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1970-05-08 第63回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月八日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長代理理事 浦野 幸男君    理事 鴨田 宗一君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 喜文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       遠藤 三郎君    小川 平二君       大久保武雄君    大橋 武夫君       北澤 直吉君    小峯 柳多君       左藤  恵君    始関 伊平君       進藤 一馬君    田中 六助君       藤尾 正行君    山田 久就君       石川 次夫君    岡田 利春君       中谷 鉄也君    松平 忠久君       横山 利秋君    近江巳記夫君       松尾 信人君    川端 文夫君       吉田 泰造君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         農林政務次官  渡辺美智雄君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省通商         局長      原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君         通商産業省企業         局長      両角 良彦君         通商産業省繊維         雑貨局長    三宅 幸夫君         中小企業庁長官 吉光  久君  委員外出席者         農林省農林経済         局企業流通部長 森  整治君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   増岡 博之君     大橋 武夫君   中谷 鉄也君     原   茂君 同日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     増岡 博之君     ――――――――――――― 五月七日  霞ケ浦総合開発に関する請願(二見伸明君紹介)  (第七六六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七三号)(参議院送付)  輸出中小企業製品統一商標法案内閣提出第五  三号)(参議院送付)  商業に関する件      ――――◇―――――
  2. 浦野幸男

    浦野委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  商業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 大臣が十一時ごろまでしか時間がないそうでありますから、大臣に、こまかいことはあとで聞いていただくことにして、ぜひとも心がまえを伺っておきたいのであります。  本国会が開かれてまいりまして以来、同僚諸君とともに商品取引の粛正に全力をあげてまいりました。しかし、私の承知をいたしますところによりますと、一向末端までその実があがっていないような気がしてなりません。いま国会がうるさいから、ざんごうの中で首をすくめておる、国会が終わったら、また許可制度がおりたならば、自由に羽が伸ばせるのであるから、この際小さくなっておれ、そして目の届かないところでやれることはやれ、こういうようなまことに反省のない態度というものが、まだ業界のすみずみに存在していると私は痛感をしておるわけであります。  大臣にお伺いしますが、農林省なり通産省取引所やあるいは仲買い人お話しになるときには、さぞかし自粛をした態度になっておると思われるのですが、実際問題として、大臣業界全般自粛体制徹底しておると思われるかどうか、どういう認識をしていらっしゃいますか、まず伺いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般問題が表面化いたしまして以来、農林通産両省から各取引所あてに、いろいろな事項につきまして具体的に措置をするように通達をいたしたわけでございます。と同時に、同じく両省で、先般資料として提出をいたしました調査総括表に基づきまして、仲買い人に対する検査を今日ただいま続行中でございます。検査に六月一ぱいかかると考えておりますが、したがって、もし横山委員の言われましたような印象業界が持っておるとすれば、それははなはだ恐縮なことでありまして、私自身は、実はこのような通達並びに現実の検査が行なわれておりますので、業界としては、これはかなり容易ならぬことであるというふうに考えておるものという印象を持っておりました。もしそれが、横山委員の仰せのようなことでありましたら、それは私どもの意図とまことに違いますので、私どもは、これは容易ならぬ事態であるという立場で対処してまいったつもりでありますし、また、してまいりたいと思っております。
  5. 横山利秋

    横山委員 四月二十五日、サンケイ、それから読売神奈川新聞の三紙が掲載したものによりますと、葉山署川崎市にございます商品仲買い商、京一産業川崎支店社員少年十八歳を検挙した。少年は、四月十四日午前九時四十分ごろ三浦郡のクリーニング商河内さんに、「「川崎のAだが、商品投資をしませんか」と電話でもちかけ、河内さんが断わると、Aは「人の話を聞かねえで、てめえぶっ殺すぞ」とおどかしたのをはじめ、葉山局全域加入電話(二千局)にかたっぱしからかけて商品投資勧誘を行ない、断わられると河内さん宅と同様におどしていた。同署には、葉山町の主婦から商品相場勧誘にからんで「おどされた」「すごまれた」と苦情が続き、内偵を進めていたところ、Aが「京一」ともらしたことばを手がかりに、県内の商品仲介業者を調べていたところ、Aの犯行がわかった。同支店には、六十五人の相場従業員がおり、業者間で”相場電話セールス”の自粛にもかかわらず、一人当たり一日百五十件の電話セールスを行なっていた」、これはサンケイ記事でございますが、読売及び神奈川新聞でもほぼ同様であります。  この電話セールスということは、私の承知をしておりますところによりますと、この川崎支店の行ないましたのは、軒並みじゅうたん爆撃であります。私が問題にしますのは、このAという少年は、話を断わったのに対して、あらためて電話をかけて「てめえぶっ殺すぞ」などと言うことは、特殊な者でございますから、刑事事件として警察の所管でよろしい。しかしながら、電話勧誘ということが業界自粛となり、政府もそれを支持しておるのにかかわらず、また国会が四回、五回にわたって取り上げておりますこの種の問題を、何ら考慮もなく堂々と東京のおひざ元でやっておるということは、私はまことになめた話だと思っておるのであります。  一体、全商連仲買い人業界自粛はどういう効果を及ぼしておるのであろうか。先般、本委員会仲買い人皆さんにも来ていただいて、時間をかしてくれという話であった。時間をかしてくれというのは、私は誠意、善意をもって努力するからひとつ時間をかしてくれということであったと思う。同僚委員から、せめてセールス社員全員を集めて自粛を申し渡すようなことがあったかどうかという追及があったわけでありますけれども、私は善意をもってそれを了承したつもりであります。しかし、その国会追及を全くないがしろにして、私の承知するところによれば、京一産業は百人の新規入社社員を雇っているそうでありますが、それを七人ずつグループに分けて、そして一人に一台をあてがって、電話帳を繰って片っ端から無差別攻撃をしろ、こういうことをいたしておるようであります。これは新聞掲載のとおりでありますから、すでに政府としては一体どういう措置をなさいましたか、この問題について政府がなさった措置を伺いたいのであります。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 ただいまのお話にございましたような、電話などによる過当の勧誘の問題につきましては、こういうことはしないように指導しておるのですが、その営業姿勢が改まらないということは、まことに遺憾であります。  今回の事件につきましては、速急に事態の真相を究明の上、厳重な措置をとる考えでありまして、許可以降におきまして、このような営業姿勢について今後も改善あとが見られないという仲買い人については、き然とした態度で不許可の方針をとるつもりであります。
  7. 森整治

    森説明員 ただいまの件について、多少補足して御説明いたしますと、事件発生後、直ちに農林省社長ほか責任者を呼びまして事情を聴取いたしました。その際、問題の二人の人間につきましては、現在謹慎中でございますという御返事でございましたから、われわれとしては、そういうことを問題にしているのではない、会社としての営業姿勢というものが全然なってないではないかということを強く指摘いたしました。その後、まだわれわれのところには参っておりませんが、本日現在のところ、全商連のほうへ問題の会社から、川崎支店は廃止をする、支店長はその責をとってやめてもらう、それから、いろいろ問題のございました未登録の、まだ若い人たちでございますが、ほかの部門へ転職をさせるという申し出があったそうでございます。この点につきましては、まだ役所に正式の報告はもらっておりません。  その後の処置につきましては、政務次官のお答えをいたしましたとおりでございます。
  8. 横山利秋

    横山委員 森部長に伺いますが、お調べになったときに、一体会社としてはこの種のことがいけないことであるということを、全国の関係の支店なりセールス徹底をしておって、なおかつなされたことであったか、それとも、この種のことについて会社社長徹底をしていなかったのであるかどうか、その点はお調べ願いましたか。
  9. 森整治

    森説明員 その点につきましては、やったと申しましても、そういう事件を起こしておることでございますから、当然われわれとしては、いろいろ詰問をいたしました際に受けた印象といたしましては、正直に申し上げますと、あまり徹底をしてなかったのではなかろうかというふうに思います。
  10. 横山利秋

    横山委員 大臣政務次官も聞いておいていただきたいと思うのでありますが、ことほどさように、上層部においては国会なりあるいは政府に対しては謹慎の意を表しながら、自分影響下にある諸問題についてはこれを徹底していない、こういう点に私は顕著たるものがあると思うのであります。  ここに三月十九日付の朝日新聞の朝刊の記事がございます。「体質改善迫られる商品取引」という記事でありますが、「業界の反応」として、山佐商事佐伯社長、これは関門取引所理事長でありますね。こういうことを言っている。「紛議紛議と騒いでいるが、バカバカしくて仕方がない。結局は相場で失敗した連中のグチではないのか。まともに相手をする気持も起りませんよ。われわれも営利企業だから、手数料かせぎで多少行過ぎることはあっても、国会やマスコミが取上げているような悪質仲買人が本当にいるのだろうか。証拠をみせてほしい」と開き直っておる。これは関門理事長で、しかもこの間ここへいらっしゃって、週刊朝日に載った記事について私が、あなたの会社だが、言い分が何かあるだろうからおっしゃいと、わざとある意味では言わせた。そうしたら、私の真意というものをどう考えたか知りませんけれども、開き直って、あのようなことは一切ないのだ、全部うそだ、告訴する、こういう態度であります。何らの謙虚さがそこにはなかった。  次は、カネツ商事の清水社長の談話であります。清水社長は、承知しておりますところによりますと、東京穀物取引所仲買い人の副会長ですか、こう言っております。「国会で取り上げられたりしたおかげで、相場で失敗したら、仲買人から取返してやろうという風潮が強くなって困ったものだ。主婦が大損すれば、自殺するか、亭主に離婚されるか、それとも仲買人にかみつくかの三つに一つしかありませんからね」、こう言っておるわけであります。まことに何ということだろうかと、私は痛感をするわけであります。  こういうような大幹部の皆さんにおいてすらこういう状況であります。だから私は一体――通産省でも農林省でもそうでありますが、役所へ呼んでおこるときには恐縮して、これからは何とかかんとか言っておりながら、外へ出たら、町へ帰ったら、会社へ帰ったら、なすべきことも何にもしていないのではないか、こういうふうに私は痛感されますが、通産大臣は、これらの一連の事実をどうお考えでございましょうか。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 事実そういうことをやっておりながら、ただいまのようなことを今後も言い続けるといたしますと、そういう人たちは、許可制移行するにあたって、当然そういうものの考え方の報いを受けなければならないと思います。
  12. 横山利秋

    横山委員 私どもは注意しながら、この許可制移行にあたって、どの個々会社がいいか悪いかという具体的な問題を提起するのをなるべく差し控えていました。先入主があるといけないから、そういうことをやってもいけないから、具体的な個々の問題については、新聞に載る、あるいは何かの記事に載る以外は差し控えてまいったつもりであります。しかしながら、一部に悪質な仲買い人がおる、それはどうしても粛清しなければならぬという抽象的な言い方をもって今日まで推移をしてまいりました。政府においてもまた、この商工委員会を通じて、悪質仲買い人免許制にあたってこれを許可しないということを言い続けてこられました。  そこで、私はあらためて聞きますけれども、個個の仲買い業者がどこがどうという意味で言うのではありません。けれども、現に悪質業者がおるのかおらないのかという点について、農林省通産省はどう考えていらっしゃるか。たとえば、いま全国仲買い人業者がたくさんいる、その中に悪質仲買い人業者が現におると考えておるのか、おらないのか。これから調べたら、全部悪質ではないということが一体あり得るのか、あり得ないのか。その点をひとつ明白に御返事を伺いたいと思うのであります。
  13. 両角良彦

    両角政府委員 現在、詳細調査を行なっておる最中でございまするけれども、大体現在までの私ども検査の結果によりますと、おおむね法令を順守いたしまして、これら仲買い人の従来の出されました報告は、事実に反するものは少ないようでございまするが、しかし、御指摘のように、一部少数の例外的なケースといたしまして、悪質なものがないとは言い切れないと存じます。
  14. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 ただいま通産省でお答えしたことと同じであります。
  15. 横山利秋

    横山委員 私が思いますに、一月に免許制移行になる。その免許基準につきましては、先般許可手続をまとめられた。その許可手続を見ますと、私が最初のころ指摘をしましたように、ビルが建っておる、銭がたくさんある、資産内容が充実しておるということが中心のようだけれども、それでは営業姿勢ということが重視をされないおそれがあるのではないかと指摘をしましたが、最近、許可手続を拝見いたしますと、営業姿勢重視をされておるようなことで、これはけっこうであります。  しかし、営業姿勢というのは抽象的なものであって、判断に迷われることが私は多かろうと思うのであります。さりとて、このような情勢のもとで、いろいろ点検をしたら、ほとんどが許可制になって移行しておって、まことに愚にもつかない小っちゃなものが、これでかっこうだけつけて免許がならなかった、こういうような結果になることを私はたいへんおそれておるわけであります。おそらく許可制段階になりますと、あらゆる工作が行なわれるでありましょう。あらゆる方面からの圧力がかかってくるでありましょう。そういうことでどんどんどんどん押されて、営業姿勢ということは抽象的だから、まあまあというかっこうになる。銭があるかないか、ビルが建っているか建ってないかということは、きわめて形式的なことであるからそろばんはすぐ出るけれども営業姿勢ということはそういうものではございませんから、この際私は、勇断をふるって、企業姿勢について断固たる態度に出られるのかどうであるのか、愚にもつかないざこのようなものを、これはいかぬということだけでなく、大きなもので根本的な立場においてまずいというものを断固として判断をせられるかどうか、その決意のほどを大臣に伺いたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 やはり一番基本になりますのは、業界全体の空気だというふうに考えるのであります。従来、おそらく人がやっておるから自分のところもやるのだというような、そういうことがあたかもあたりまえであるような、そういう一種の雰囲気があって、したがって、先ほど横山委員の御指摘になりましたような、最近もそういうケースが、末端まで浸透せずにあったのではないかと思います。  したがって、免許制移行するにあたりましては、従来のそういう当然だと考えているようなものの考え方、それを根本的に業界全体に直してもらわなければなりません。そういう全体のものの考え方が直るということが第一でありまして、それを確認いたしました上で、許可すべきものは許可いたしたいと思いますが、許可するにあたりましては、今後そういう新しい姿勢のもとにやるべきものを、なお従来のようなことを続けるようなことがありましたら、かりに許可をいたしましても、その後に直ちに厳重な処分をするということをはっきりさせておきたいと思います。
  17. 横山利秋

    横山委員 どうも私の質問していることと、まだ多少歯車がかみ合わないような気がいたします。一たん許可をしても、だめなやつは取り消すあるいは処分をするというお話はわかる。しかし、許可をする前、許可段階において、勇断をふるわれる決心があるかどうかということを私は迫っておるわけであります。大臣はやるつもりだとおっしゃるかもしれませんけれども、このままで進みますと、どうも営業姿勢ということが抽象的なことであるだけに、私は心配をするわけであります。ふたを開いてみたら、過去を戒めて、将来を戒めて、まあまあ長年やっておることであるから、この際まあ戒めて許可をすることにいたしました、全部が全部軒並みに条件つき許可をされましたという結果になることを、私はおそれておるのです。なぜおそれるか。いま言ったような、こんなことではないか。あれだけ国会で騒ぎながら、あれだけ政府両省がかけ声をかけておっても、なめたことを言っているではないか。電話戦術を堂々とやっているではないか。警察に引っぱられているじゃないか。何が一体政府の言うことを守っているんだ。こんなになめられて、そして全部条件つき許可されたというようなことが起こったら、何のための議論だと私は言いたいのであります。ですから、いま私はどこがどうというつもりで言っているわけではありません。けれども、覚悟のほどをもっとはっきりしてくれ、こう言っているわけであります。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過去においてはなはだ営業姿勢が悪く、しかも、なおそれが改まらないということがはっきりしております者につきましては、もちろん、許可をする気持ちはございません。これは前提でございます。  そこで、今後改めます、また改めるであろうと考えられるような理由がありましたら、そういう者については許可をいたしますが、先ほど、その後万一ということを申し上げました意味は、そうやって許可を受けてもし万一のことがあれば、それはその会社にとっては致命的なことになりますよということを、実はただいまから申し上げておきたかったので申したのでありまして、もちろん、許可をするにあたって、過去に営業姿勢に誤りがあり、今後ともそれが直る見込みがないと考えられる者については、これは当然許可をいたしません。
  19. 横山利秋

    横山委員 それでは許可基準について、許可手続新聞を見ながら少し私の感ずるところを二、三ただしておきたいと思うのでありますが、脱税をしたとか、起訴されたとか、罰金刑を受けたとか、こういう場合には、許可基準の中にはどういう影響をもたらしますか。
  20. 森整治

    森説明員 取引所法に違反いたしまして罰金刑に処せられた者は、会員たる資格を失うという規定もございます。ですから、もうそこまでいかなくても、いろいろ行政処分対象になりました者につきましては、その起こしてきた事態をどういうふうに改善すべきであるか、もしその改善ができないというような事態になれば、それは、先ほど大臣が御答弁されましたとおりに、われわれとしては許可はいたさないということになろうかと思います。
  21. 横山利秋

    横山委員 私も税金が専門でございますから、この税金の計算間違い、所得の計算間違いというものと、悪質故意脱税というものは違うし、また悪質故意脱税であっても、非常に少額であった場合と多額であった場合と、それから多額であった場合におきましても、起訴をされて罰金刑を課せられた場合と、そうでない場合とある。これはよくわかるわけであります。けれども、最も悪質な場合は、脱税多額にのぼり、起訴されて罰金刑に処せられる、こういう場合が最も悪質であります。その点を、いまのお話では御考慮なさるようでございますが、よろしゅうございますね。  次は、未登録外務員、いま公称一万六千人といわれているのでありますが、未登録外務員は、一体許可手続の中でどういう作用を働きますか。
  22. 森整治

    森説明員 お答えいたします。  未登録外務員、よくいわれるのは未登録外務員がいろいろ不当勧誘をするということではなかろうかと思います。よく登録される以前に、見習いですとか、ついて回りましたとか、いろいろ言い抜けをするような手口があるようでございますが、それはいろいろな形で、われわれとしては検査の際に押えております。したがいまして、そういうものが発見されました場合には当然処分をいたしております。したがいまして、そういうことが今後もし発見をされた場合には、場合によりましては、もう許可しないぞというくらいの強い姿勢で、われわれとしては臨みたいというふうに考えております。
  23. 横山利秋

    横山委員 大体私は未登録外務員ということばが気に食わぬのであります。未登録であるならば、これは外務員でない、職員である。未登録外務員ということばがあることが違法行為なんですね。だから、いわゆる実存しておる未登録外務員は、仲買い人諸君に言わせれば、うちを回ってどこか聞き込みをやってこい、それでいいときになったらすぐ責任者登録外務員が行くから、おまえは適当なところでチェックだけして帰ってこい、こういうことですから違法ではございませんとおそらく言いそうな気がするわけであります。しかし、ここが最も問題なところだと私は思うのであります。そういう紙一重すれすれのところで、結局は未登録外務員が、もう一歩もう一歩としていろんなことをやってくるのでありますから、一万六千人といういわゆる未登録外務員を全滅させなければいかぬと私は思う。職員なら会社の中で使わせるべきであって、いわゆる未登録外務員というもの一万六千人、登録外務員の倍になんなんとするような未登録外務員は一切解消しなければならぬ、こう思いますが、どうですか。
  24. 森整治

    森説明員 現在、先生も御承知のとおりに、外務員新規の採用をある程度規制をいたしております。その趣旨もそういうことでございますけれども、おっしゃるとおりに、未登録外務員が起こす紛議というのがまず紛議の手始めであるということは、十分承知をいたしております。その点については、厳重に今後監視並びに検査あるいは処分対象にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 横山利秋

    横山委員 一体悪質仲買い人とは何であるか。この許可手続の中における悪質仲買い人の定義というもの、それをひとつ概括的でいいから一ぺん聞かせてほしい。
  26. 森整治

    森説明員 たいへんむずかしい御質問でございますが、悪質仲買い人というふうに一般的にわれわれの間で考えておりますものは、やはり法規的にはあたかも合法のごとくふるまいながら、実は相当な委託者に対する態度をとりながらもうけておるといいますか、そういうことではなかろうか。お答えになりましたかどうかしりませんが、われわれとしてはそういう感じを持っております。
  27. 横山利秋

    横山委員 それでは答えになりませんね。形式的には合法的に装いながら悪いことをしておるとおっしゃるのですけれども、形式的にも違法の行為をやっている。それから問題が起こったらさっと退く、そしてこれはいかぬと思ったらさっと金を払うというようなやり方も、営業姿勢としては私は最も唾棄すべきやり方だと思うのでありますが、この悪質仲買い人というものの定義というものが少しはっきりしないようであります。ですから、この際一ぺん両省の間で――この許可手続だけを見たのでは、私はなかなか判断に苦しまれる場合があると思う。だから両省で一ぺん、この悪質仲買い人とはどういうことなのかという定義を、議論しておかれる必要があるのではないか。  特に、私は重視をいたしたいのは、ビルはりっぱであっても、お客をだますことには少しも邪悪感を感じない、そういう風潮があるような気がしてならぬのであります。お客をだますことに罪悪感を感じない、こういうことは、他の業界においてはあまり見受けないことでありますけれども、どうもこの商品取引段階におきましては、それが私は感じられるのであります。だから、営業姿勢の中で最も重視されるものは、この商品取引及び大衆投資家に対する気持ちの問題である。先ほど引用いたしましたように、相場で失敗したら仲買い人から取り返してやろうという風潮が強くなって困ったものだと、これはすなおに普通のときに聞けば、なるほどそうかと思われる。けれども、これほど世間のあらしの強いときに堂々とこう言ってのける心理が、私にはわからないのであります。この心理というものは、実は根っこから一ぺんひっくり返さなければいかぬのではないか、こういうふうに私は考えます。  次に、自己玉についてずいぶん議論をしてまいりました。仲買い人の建て玉は、自己玉と委託玉とを分けるということにはなっています。けれども、売りと買いとを分けなければ、三〇%の実質というものはほんとうはわからないのであります。三〇%の問題については、先般私が十分に議論をいたしましたから、私の真意はおわかりになっておると思うのでありますが、一見して向かい玉をやっておる。Aという客に対して向かい玉をやっておるかおらないかということは、売りと買いとをそれぞれに分けて記入をする。専門家ならば見れば大体わかるのだけれども、一般検査のときにもすぐにわかるようなしかけをしなければ、三〇%ということについての社会的に常識的な規制というものは行き届かない。これはもう底抜けであると私が指摘をいたしましたが、この問題について善処をされるお気持ちはありますか。
  28. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 自己玉の問題は、いろいろな紛争が起きた場合において、お客さんのほうで、特にだまされたというような印象を強くしておるということは、事実であろうと思います。したがって、この全体の取引の三〇%という自己玉の制度があることにつきまして、実際問題としてなかなか計算ができそうでできないような点もあろうかと私は思います。  したがいまして、紛議を少なくするという意味においても、被害感を少なくするという意味においても、この自己玉の問題は、これを大幅に規制をするか、あるいは一歩進んでこれを禁止をする、こういうような方法をとるか、これは私は、非常に重要な問題なので、ここで断定的なことを申し上げる段階ではございませんけれども、しかし、いまのままでよいとは思っておりませんので、これは事務当局をして鋭意慎重に検討をさしておる次第であります。
  29. 横山利秋

    横山委員 次は、先般、取引所仲買い人諸君の意見を聞きますと、それらの人の中においても意見が違うと思われるのは、私が提起をいたしました、取引所に積み立てられる積み立て金、仲買い人が紛争処理のために出します積み立て金、約九十億くらいあるそうでありますが、その金利は取引所の収入になっておる、経費になっておる、予算になっておるというのであります。したがって、紛争が起きた場合には、取引所の積み立て金の金を取りくずすのがほんとうである。そのために租税特別措置法も適用されておる。しかし、それを取りくずすと取引所の収入が減る、そして黒星にもなるから、それを取りくずさずに、取引所がむしろ仲買い人に対して、おまえのところの金で裏側でやれ、そうすれば黒星にしておかないから、こういうような風潮が各所で見える。これは不当である、これはけしからぬと私は指摘をしておきました。  一部の仲買い人の中には、全くそのようなことであって、金利が取引所の収入に充てられることがそういう原因になるのではないかという意見の相違がございました。この問題について、通産、農林両省はどういうふうに処置をなさるおつもりであるか、伺いたいのであります。
  30. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話しのございました商品取引の責任準備金の預託金利につきましては、私どもとしましては、これは今後仲買い人段階に帰属せしめるような方向が望ましいと考えまして、さような方向で検討を進めてまいりたいと存じております。
  31. 横山利秋

    横山委員 それに関連をいたしますことは、取引所の収入の問題であります。取引所の収入は定額会費並びに定率会費をもって収入になされ、そこへ先ほどの金利が収入として入ってまいります。私が承知をいたしますところによりますと、驚くなかれ定額会費は三万円。月じゃありませんよ、年に三万円。あとは定率でありますから、取引の多いところがどんどんと会費を納める。取引の少ないところは少し納める。したがって、取引の大きな仲買い人、それが取引所の圧倒的な収入の根源を占めている。そこに、やはり取引所仲買い人に対して頭の上がらないことになるのではないか、こういうふうに私は考えられるのであります。  さりとて、この定額会費年に三万円を軒並みにふやしますことは、やはり多少アンバランスを生ずるとは思いますが、それにしても定額の会費が月ならばともかく、年に三万円のところがある。一体それは何だと私は言いたいのであります。取引所の収入を健全ならしめて、その収入によって、仲買い人に頭が上がらないようなやり方でなくして、堂々として取引所が機能を発揮いたしますためには、取引所の収入のあり方について改善をしなければならぬと思うのでありますが、この点はどういうふうに研究を進めていますか。
  32. 両角良彦

    両角政府委員 取引所仲買い人との関係をより円滑にいたし、かつ明朗にいたしまするためには、ただいまお話のございましたように、定額会費というものの比重を現在よりも高めてまいるということは望ましい方向であろうかと存じます。私どももさような方向で、具体的な定額会費の引き上げにつきましての相談を、取引所側と、また仲買い人側と進めてまいりたいと考えております。
  33. 横山利秋

    横山委員 これらを実行いたしますためのかぎとして、いまの取引所が会員組織であって、会員組織である限りにおいては、やっている同僚の中から代表者をあげて、その代表者が仲買い人であれ、あるいは専業の人であれ、一般の人であれ、その代表者をあげて会員組織で取引所を運営するという会員組織にまで議論を発展をさして、これでいいのかどうかということに議論を発展させなければならぬと思うのであります。  私はうかつな話でありますけれども商品取引所並びに証券取引所が、普通の法人税を納めておるということを聞いてびっくりしたわけであります。普通の法人と何ら変わりがない法人税である。協同組合だとか、あるいは特殊法人だとか、それらの団体ならば軽減税率が使われておる。しかしこの取引所は、一般の皆さん考えるところは、普通の株式会社ではなくして、これは公共性のあるものだとだれしも考えておる。しかし、それが会員組織であるがゆえに普通の法人税を納めておる。普通の株式会社と一緒なんだというようなことは、どうしてもいまの時代にそぐわない状況になっておると思うのであります。したがって、取引所の会員組織から一挙に特殊法人になるということが多少問題があるとしても、その方向において検討がされなければ根本的解決にならない。少なくとも私は、税制上は軽減税率を用いて、協同組合はもちろん、他の特殊法人のような方向において検討をさるべきではないか、こう考えるのです。このものの考え方がなければ、取引所の健全化、取引所の中立性、取引所の社会性は保持し得られないのではないかと私は痛感しておるのでありますが、この点について御意見を伺いたい。
  34. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘をいただきました点は、取引所のあり方の基本に触れる問題とも関連がございますので、私どもも慎重に検討いたしたいと存じます。  御承知のように、取引所は法律の第三条によりまして法人格を与えられ、かつ会員制度を前提といたし、かつ非営利目的の法人ということに定義づけられておるのでありますので、その法律の条項に基づいた現在の法人税体系の適用を受けておるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のような、基本的な取引所のあり方、性格というものの問題との関連におきまして、今後この問題を検討させていただきたいと思います。
  35. 横山利秋

    横山委員 両政務次官にきわめて常識的に伺いたいと思うのでありますが、ここまでとにかく商品取引というものが社会の問題になってきた。この商品取引を健全化し、そしてそれぞれの機構を健全に改善をいたしますためには、どうあるべきかという点であります。一つはもちろん、今日、社会の家庭及び住宅におきまして浮かび上がっております、セールス等から発展いたします問題があります。一つには、いま指摘したような取引所の問題があります。けれども、それらを議論をしてまいりますと、単にセールス営業姿勢がよければ、会社営業姿勢がよければ、商品取引改善されるというふうには、いまや考えられないと私は思うのであります。  したがって、この際、あらためて本国会で問題になりましたさまざまな問題を含めて、商品取引の根本的改善について検討をさるべきではないのか。時間の関係上省略をいたしますけれども、二元行政の問題から、取引所の根本的な改善のあり方から等々、幾多の根本的問題にまでさかのぼりませんことには、私はだめだと思うのであります。一月に免許制移行する、そのための膨大な調査、膨大な資料に基づく判断ということが本年内続けられると思うのでありますが、それと相並行いたしまして、それらをやっていくかたわら、少なくとも、あらためて商品取引所審議会におきまして根本的改善を検討をされるべきであると思うのでありますが、政府のお考えはいかがでございましょうか。
  36. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生の御説もっともだと思います。通産省といたしましては、総点検をいたして、その結果を待って制度の改正その他を考えていきたいと思っております。
  37. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 将来の問題としては、そういうような全面的な総点検をした上で、行政の一元化等も含めた問題を検討してみたいと思います。  ただ、当面の問題としては、やはりこのままの状態で置くわけにまいりませんので、紛議、調停関係の改善とか 過当勧誘の防止とか、あるいは向かい玉の規制または廃止、禁止というようなこと、仲買い人に対する監査の強化というようなことをとりあえず徹底をさしていきたい。  同時に、この商品取引の問題については、非常に専門的な問題であるにかかわらず、しろうとさんが、過当勧誘等のこともあるのかどうかわかりませんが、たいへんないろいろな人が加入をして問題を起こしておるという実情であるので、高速道路にやたらに飛び込んで自殺をされるようなことがあっては困りますから、将来はやはり高速道路にさくを設けるようなことも私は必要ではないかと思いますし、その中で走る自動車についても、全然知識がなくて一緒になって走るということはけがのもとでありますので、一緒に取引に参加をするからには、やはりその商品取引所の内容、法令等について相当必知をしてもらう、またよくこれをPRして知らせるということも大切なことでありますから、そういうことも含めて、ひとつ検討してみたいと思うのであります。
  38. 横山利秋

    横山委員 いま両政務次官のおっしゃったことは、それぞれごもっともなことであります。ただ、この際、一言農林政務次官の発言に言及しておきたいと思いますのは、私もこの国会で数々の陳情を受けました。きわめて素朴に言いますと、きょうもたくさん傍聴をしていらっしゃるようでありますが、最初奥さん方に言ったことは、あなた、手を出さなかったらよかったのに、何でいやだとはっきりおっしゃらなかった、こういうことをまず開口一番私も言うたものでありますが、それなのになぜそういうことが起こるか。奥さん方がいやだいやだと言いながら入っていくのにはどういう条件があるのか、こういうことをいろいろ考えてみたわけであります。そこにいきますと、セールスのあり方になります。なぜそういうような状況にセールスが追い込まれるかということの心理分析をも私は必要だと思います。セールスがとにかく馬車馬みたいにじゅうたん爆撃をやるということは、よほどでなければセールスだってそうはやらないものであります。それを、じゅうたん爆撃をせざるを得ないような仕組みにセールスの労働条件がなっているわけであります。  たとえば、いまの仲買い人の中で働いておりますセールスの給料の仕組みの問題があります。この給料の仕組みが、ところによってずいぶん違いはありますが、証拠金の増減によって給料が増減する、固定給でなくして、証拠金がふえればふえるほど自分の給料がふえる、証拠金が減れば自分の給料が直ちに減る、自動的に減る、こういう仕組みでありますから、とにもかくにも電話をかけろ、どこでもいい連れてこい、とにかくそんなところで引っ込んでどうするのだというような、全く非文化的なやり方、そこに私は一つの根本原因があると思う。確かに奥さん方やあるいは多くの大衆に、商品取引はこわいものだという危険性をPRすることは大事なことであり、やっていただかなければならないことでありますけれども、それは大体において、奥さん方はばくとしたものであるけれども知っておるはずであります。最初もうけさせておいて、そうしてもうけて図に乗らせておいて、その次は向かい玉をやってわざと損をさせていく。それで証拠金、手数料というようなしかけになっていくのでありますから、セールスの数を減らすこと、セールスを教育すること、そしてセールスの給料体系にメスを入れること、そしてセールスがそういうようなことをしなくても食っていけるようにすること、そのためには仲買い人の教育、営業姿勢というものがきちんとなること、こういうところに問題の発端というものを置きかえなければ、私が最初言ったような、奥さん方、いやならいやだとはっきり言えばよかったではないか、どう言ってもそれでは解決はなかなか困難だと私は痛感せざるを得ないのであります。  その意味において、あわせて質問いたしたいと思うのでありますが、セールスマンの給料体系について、これは行政指導でやるよりしかたがないのでありますが、実はそこにこの発端といいますか、問題の一つの焦点があると思うのでありますが、どういうふうにこれを改善させられますか。
  39. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 結論的に申しますと、給与体系については、許可するにあたりまして、そういうような過当勧誘にならないように指導したいということであります。  従業員全員を対象とする完全歩合い給制度、これにつきましては、かねてから実はそういうことのないように要望をしてきたところでありますが、検査の結果は、歩合い給のみの商品仲買い人というものはほとんど見当たらないようであります。なお、固定給と能率給との結合した給与体系を用いて、能率給、営業手当、業績給、奨励金など、何らかの名目七受託成績にスライドをした高率の支給を行なっているものが少なくないということも事実であります。しかしながら、これらのものについては、やはり度が過ぎますというと、ちょうどダンプカーの運転手と事故ということで国会でもいろいろ問題になりましたが、営業姿勢の問題のみならず、これらの歩合い給だけを強くするということは、どうしても過当勧誘をするなと言ってもしがちになるというのが人情の常でありますから、そういうことのないように今後極力指導をしていくつもりであります。
  40. 横山利秋

    横山委員 以上でひとまず私の商品取引に関する締めくくりの質問を終わるわけでありますが、冒頭に申し上げましたように、国会さえ終われば、あるいは免許制さえ通過すればという隠然たる風潮が商品取引業界の中にまだ存在しておるし、同時に、上のほうでいいことを言っても、実は下まで徹底しないということが痛感されるわけであります。今後は、国会は終わるわけでありますが、一にかかって政府の行政指導がよろしきを得るかいなかという問題であります。今国会中において政府が本委員会において答弁なさったことは、私はそれぞれその決意のほどは承りました。決意のほどは承ったけれども国会中においてすら政府の決意が実践されていないではないか、いささかも下へ通っていないではないか、一体政府は何をしておるのかと私は言いたいのであります。いわんや国会が終わりましたならば、これで暴風雨は一つ過ぎた、あと免許制だけだ、免許制まで適当にうまくやって、ちょっと問題があったら、ああすんませんと言ってやればそれで済むじゃないか、そういうようなことになってはならない。  しかも、私がいつも言っていますように、今日こういう状況になった唯一無二の原因は、セールスでなくして、一般投資家でなくして、仲買い人でなくして、商品取引所でなくして、実は政府の責任だと私は言っておるわけです。  二年前に商品取引所法の改正が行なわれました。本院は三つの附帯決議を行ないました。その附帯決議の三項目というのは、本国会同僚委員諸君とともに政府に対して質問をしておることが、全部その三項目に含まれるわけであります。ですから、院の決議の三項目を政府が完全に実行し行政指導しておったならば、かかることはあるまいにとすら痛感をされるのであります。あなたたちだけがいい気になって、おれはいいけれども、おれは一生懸命にやってきたけれども取引所仲買い人や大衆がぼんやりしておる、けしからぬ、おれはいいんだというような態度は私は許されない。あなたたちこそが、ほんとうに今回のこのような条件を招いた原因である。根本責任があるとすら私は痛感をするわけであります。  次の国会は――おそらく休会中に一、二あることがありましても、次の国会は、いま大臣を通じて御答弁になりました、免許制がどういう結果になったかという結果を御報告いただく機会になると思うのであります。その結果が、いま大臣がおっしゃったように、あるいはそれぞれの皆さんがおっしゃったような結果が心ず招来をするように、そしてこれは何だ、こんなことでと、あのときの速記録をたてにとって、一体どういうことなんだと私ども追及をされないように、ひとつ健全な商品取引改善をはかられるように、勇を鼓して実現せられるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  41. 浦野幸男

    浦野委員長代理 次に、国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。これを許します。中村重光君。
  42. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうの本会議の関係もありますので、こまかい質問は省略をいたします。実施の面において、この後十分政府に対して意見を申し上げたり、あるいはまた政府考え方を聞かしていただく、そういうことで対処してまいりたいと思います。     〔浦野委員長代理退席、鴨田委員長代理着席〕  ただ、この際大臣に、私が昨日も申し上げたことではございますが、現行の十カ年計画というものが非常におくれてきた、非常に進捗していないというその原因が何か、まず、そういったあらゆる角度から検討されて、年度途中でありますけれども、新たな十カ年計画を今度は推進していこうということでございます。だがしかし、それではどのような構想でこれから進めていこうかということについて、具体的な方針が明示されていないということであります。それを、私どもは新しい十カ年計画の中では期待しなければならないわけであります。  そこでお伺いをするのですが、いま御承知のとおりの過疎、過密の状態、その中で国土の再開発というものがどんどん進められているわけでございますから、これから新しい十カ年計画というものは何を重点的に、何を優先的に取り組むかということですね。そして十カ年計画のスケジュールというものはある程度構想され、それが明示される必要があるのではないかと、かように実は考えるわけであります。その点に対しての大臣考え方というものを、ひとつこの際明らかにしていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
  43. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 この場におきまして、先日も御説明申し上げたと思うんですけれども、この制度というものが出発いたしました当初におきましては、土地の戸籍というような観点が相当強かったと思います。そうしたものをある程度の期間の間に整備をしてまいる。そこで、御存じのように地籍調査というものが中心でやってまいっております。これをわれわれは量の拡大というふうに呼んでおります。しかも、それは主として農村地帯、農地を中心にして行なわれてきたと思います。一方において、それが一筆ごとの権利の確認を伴うということで、所有者等関係人の立ち会いを一々要するということで、手続もいろいろめんどうでございました。そういうことがこの作業をなかなか進めさせなかった一つの原因じゃないか。そうして市町村の貧弱な財政ということもあり、かたがた、この制度の意義というもの、こういう調査をすることによって一体どのくらいわれわれは効果を求めることができるのであろうか、こういうことについての趣旨というものは、必ずしも徹底しておらなかった。土地の戸籍簿みたいなものを、整備したからといって、あすからすぐにわれわれの生活の向上に役立つものでもないじゃないかという感覚が、率直にいってあったと思います。それで、各市町村の要望というものの件数も非常に少のうございました。これは政府としての趣旨の徹底、PRが不十分であったと思います。  そこで、その後幾多の改正を経まして、最近におきましては、市町村においてもその認識を非常に新たにしてきております。それと同時に、御存じのように、地籍調査のほかに土地分類調査、これをわれわれは質的な面と称しておりますが、質的な調査というものは国土調査の重要な一面でございます。どちらかというと、まず地籍調査が先行し、そして土地分類調査というものがなかなかそれに追いついてまいらなかったのが今日までの実情でございます。  ところで、御存じのように新全総計画というものが制定されました。昭和六十年までのわが国土の抜本的な再編成、過疎と過密という極端なコントラストを示しておる今日の国土の利用のあり方、これについての基本的な反省というものがありまして、それに基づいて、国土を片寄らないで開発していかなければならぬ、あるいは東海道ベルト地帯に偏した国土の再編成構想というものをこの際もう一回考え直さなければいかぬということで、御存じのように新全総というものができました。そして、こうした長期にわたるところのわが国土開発の大きなビジョンができたわけでありますが、そういうことになりますと、何をおいても基礎的なデータというものが必要になってまいりまして、いよいよその必要度が増してきたわけでございます。  ちょうどそういうところに際会いたしましたので、この国土調査というものを、従来の量的な拡大だけでなく質的な拡大に役立たせたい。そして、わが国の最も基本的なビジョンである新全総によるところの今後のわが国の開発の大きな線に沿って、この国土調査というものを進めてまいらなければならない。昭和六十年までをめどとするこのビジョンに対して、今回の十カ年計画が昭和五十四年までに、ともかくも平たん地を中心にして主要部分についての調査というものを一応完了する、こういう意図を持つことになったわけでございます。そういう意味におきまして、われわれは土地の分類調査ということにさらに力を入れてまいる必要がございます。それから、各地方の地域地域の開発計画というものが、公共団体でばらばらに相当つくっておりますが、もっと総合的な高い見地の調査が必要であるということで、市町村という狭いワクを越えまして、府県がみずから行なうところの、いわゆる開発のための分類調査というものをさらにつけ加えなければならない。つい最近までは不毛の土地だったと思われるようなところに大きな産業プロジェクトを求める、こういうのが新全総のビジョンの一つでございます。そういうことでございますから、それだけにいままでの観念を変えまして、そして広くできるだけ新全総のビジョンに沿うような、そうした開発にも役立ち得るような基本的な調査というものも、本調査が心がけなければならない。こういうものも今回あわせて加えることにしたようなわけであります。いずれにしましても、今後の新しい国土の再編成、この線に沿って、できるだけその趣旨に沿うような新しい角度からの国土調査を目ざしておるのが、今回の十カ年計画でございます。
  44. 中村重光

    ○中村(重)委員 お答えの点はよくわかるわけです。また、その必要度がさらに重要度を増してきたということは、そのとおりだと思うのです。ところが、それならば、はたしてそれが可能かどうかというところに問題があるんじゃないでしょうか。どうしていままでおくれてきたのかということです。非常に大切な地籍調査にいたしましても、個人の権利関係といったものが大きな隘路になっている。こまかくは、調査をする土地の延びがあったり、あるいはむしろ少なくなったりする。そういうことはこまがいものの中の最もこまかいものですけれども、いろいろあったんだろうと思います。強制調査したならばよろしいんですけれども、なかなか強制調査はできないという点もあったんじゃないでしょうか。  それから、お答えの中にございました、市町村がいままでやってきておった問題を今度はこの中に包含してやっていくんだということでございますが、それは一歩前進です。しかし、それではたしてうまくいくのかどうかという点ですね。むしろ国の直轄としてやっていく必要があるのではなかろうか。いろんなことがこの際構想され、新しい十カ年計画を必要によってお立てになっているわけですから、やはり制度的に改めるところは改めていかなければならない。隘路を除去していくのでなければならない。そして、お答えになりましたような、調査目的を達成していくのでなければならない、私はそのように思うのでございますが、その点がいまのところ質疑応答の中でも明示されていないということなんです。考え方はわかるのです。その考え方をいかにして達成するかという点が重要じゃないでしょうか。  十二時に大臣は参議院本会議においでになるわけです。十一時五十分までに実は採決をすることに協力いたしたいと思っているわけで、附帯決議を本来つけたいとも思うのでございますけれども、この法律案の性格の点もございます。そこで大臣から明確に、私どもの期待にこたえる、国家目的に十分沿い得るという確信のあるお答えがありますならば、あえて附帯決議をしないで採決をいたしたい、このように考えているわけです。
  45. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 こういう調査でございますから、やはり現地というものを重視する。そして民主的な方法によってできるだけ調査を進めていく。それぞれの現地の実情というものをできるだけ取り入れなければならぬ。そういう意味からいうと、私は従来の方法は決して悪いとは思っておりません。  ただ、御指摘になりましたように、御心配は一つは、今日までの実績が非常におそかった、もう少しピッチを上げるべきじゃないか、そういう意味において直轄でやったほうがいいのじゃないか、こういうようなお考えも出てくると思うのであります。そういう点については、われわれも過去の実績を反省しまして、できるだけピッチを上げてまいりたい。本年もそういう意味で相当ピッチを上げたつもりですが、私はこの予定をさらに繰り上げるぐらいの気持ちで予算をぜひとって、そしてピッチを上げてまいりたい。財源的には大部分国が負担をするような実情になってきておりますから、そういう意味においては、御趣旨のような点を国のやり方、考え方等でもって十分実現できると思います。そういう意味においては、国自身の考え方をもっと積極的に持つということがやはり基本である、こういうふうに私は考えております。できるだけそういう趣旨を生かしてまいりたい。それから、やはり市町村を越えて府県単位の調査という方式をできるだけ進めてまいる、これもわれわれは考えなければいかぬと思っております。そういうことで積極的にやってまいり、そして御趣旨のような点に合うように、その結果が出るように、われわれも精一ぱい努力しなければならぬ、こう考えています。
  46. 中村重光

    ○中村(重)委員 いかがでしょう。そうした調査の状況といったものを、制度化する必要もないのですが、進んで当委員会において毎年一回ぐらいは報告をする。そういった用意はございましょうか。
  47. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 それは、もう喜んでそうしたいと思います。
  48. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  49. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 これより討論に入るのでありますが、本案についての討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  50. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  52. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 本会議散会後委員会を再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十四分開議
  53. 浦野幸男

    浦野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  輸出中小企業製品統一商標法案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。石井一君。
  54. 石井一

    ○石井(一)委員 ただいま議題となっております問題、並びにそれに関連いたしまして、私、ただいまよりお伺いをいたしたいと思います。  わが国の貿易は、年々着実に伸びておるようでございますけれども、最近、中小企業製品の輸出の伸びが多少懸念されておるような状態でございます。しかしながら、最近のデータでは、やはり四十数%を中小企業製品が占めておる。特に繊維、雑貨というふうなものが二十数%を占めておるということでございますが、今後、わが国の独特のこういう中小企業の製品を伸ばしていくためにも、この法案が今国会提出されておることは非常にタイムリーなものであるというふうに私は理解をいたしております。  一番最初に、基本的な質問でございますけれども、何百種もたくさんある中小企業の製品の中から、具体的にどの品種をまずこの対象の品目として取り上げられようとしておるのか。決定しておるのもございましょうし、今後考慮し、それに加えなければいけないということもありますし、また、その企業、品目の体質その他から、当然将来考慮に加えなければいかぬという問題もいろいろあると思うのでありますけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この法律の適用を受けるということになりますと、品質についてのそれなりの信用を、将来にわたって維持するような品目でなければなりません。したがって、そういう指定をし得る体制が、すでに整っておる業界であることが望ましいと考えるわけでございます。そうして将来とも、そのような体制を整えてくる業界がたくさん出てまいりますことを希望しております。たとえば、刃物といったようなものについて、ただいま比較的体制の整備がいいのではないかというふうに判断をいたしておりますが、そのほかにも、まだ研究いたしておりますものもございます。政府委員からお答えを申し上げます。
  56. 後藤正記

    ○後藤政府委員 補足してお答え申し上げます。  ただいま大臣からお答えいたしましたように、刃物とかあるいは金属洋食器等が、現在すでに準備をいたしておりまして、この法律を御可決願いまして施行されるようになりますと、最初にこれが出てまいると存じますが、それ以外にも、たとえば京都の西陣織りでございますとか、あるいは福井県のめがねのワクでございますとか、あるいは大阪府のめがね類でございますとか、あるいはまた、これは全国的でございますが、作業工具あるいはモザイクタイル。ギンガム、これは高級ワイシャツ生地でございます。それからスカーフとか、そういうような候補業種が、現在すでにいろいろ希望等私どものところに参っておりますし、それ以外にも、業界の自主的な盛り上がりによりまして、こういった業種が出てまいることを期待いたしております。
  57. 石井一

    ○石井(一)委員 ただいま御指摘になりました品目、私が調べたのも大体類似しておるわけでありますが、それ以外に、たとえば博多織りであるとか、それからいわゆるケミカルシューズといっておりますが、こういう製品に対してもお考えになっておるのか、政府委員からお答えいただきたいと思います。
  58. 後藤正記

    ○後藤政府委員 この法案の趣旨といたしますところは、業界の自主的な熱意が結集いたしまして、そして統一商標を付することによって、輸出商品の海外における声価がその品質の高級化と相まって上昇する、したがってその品質に見合ったより高い価格で売られていくということをねらいといたしておるものでございます。したがいまして、ただいま先生御指摘になりました博多織りでございますとか、あるいはケミカルシューズ等等、今後の輸出の伸びていくものにつきましては、やはり業界からそういう希望、熱意というものが盛り上がってまいりましたときは、すみやかにこの法案に照らしまして、これを特定貨物に指定し、この法律の趣旨に合致するよう指導いたしたい、かように考えております。
  59. 石井一

    ○石井(一)委員 せっかく通産大臣がお見えでございますし、あまり時間もないようでございますから、大臣に二、三の基本的な問題についてお伺いをしたいと思うのでございます。  いかにわが国の商品がよくても、政府のバックアップがなければ、やはり世界の市場で勝ち残っていくというわけにはいかない。第一点に私が考えますのは、最近起こっておりますいろいろの先進国における日本商品に対する排除といいますか、日本商品の輸入の規制問題、これが非常に大きい。それが第一点。それから第二点は、大企業の中にあえぎながら、人手不足と、また後進国の追い上げに追われておる中小企業を、国内的な政策でどのように伸ばしていくかということ。これは両輪相まって初めて中小企業の世界に飛躍できる余地というものが私は出てくると思うのでございますが、先ほど私が指摘いたしました、いわゆる非ゴムはきものといいますか、はきものの問題が、最近繊維に続いてアメリカでは規制の品目になっておる。特に、有力な議員であるミルズ議員がアメリカの議会で、あたかも繊維と抱き合わせのごとき感じで法律をあげようとしておる動きが出ておるわけでございます。もちろん、この情勢に対処もしておられると思いますし、いろいろの政府としての今後の御方針などもあると思いますが、基本的に、日本商品に対する外での排除政策といいますか、輸入制限の運動というものに対してどういう御見解を持っておられるか。場合によっては、もっともっと日本の中小企業が次々にこういう形で押えられてくるんじゃないかということを、私は懸念いたしておるわけでございます。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、アメリカの下院の歳入委員長でございますウィルバー・ミルズが、繊維、はきものについての規制法案を提出したという報に接しております。繊維とはきものと申しますと、ちょうどアメリカの国内では、御承知のように、大体どの州にもございます産業でありますので、この二つを重ねますと、議員といたしましては、自分の州にも必ずやはりあるということで、規制に賛成の署名をする者が多い。そこをねらったものと思われるのであります。  しかし、申し上げるまでもなくこのような規制は、本来ガットの原則に基づいて、輸入の増大の結果国内の同種の産業、同じ種類のものをつくっております産業について被害があり、または被害のおそれが現実にあるという場合に、ガットの規定に従って一般的な措置がとれるわけでありまして、それなくして輸入割り当て制限をするということは、本来ガットの違反であるというふうに考えざるを得ないわけでございます。  ところでアメリカの立場は、わが国に対しましては、わが国も必ずしもガットの条項に忠実ではないではないかという反論をいたしておるわけでありまして、その反論の部分は、それとして甘受をしなければならないところもございます。わが国の一般的な自由化への歩みというものは、よその国が見て満足するほど早いものではないというふうに考えられておることは事実であろうと思うのであります。したがってわれわれとしては、せっかく戦後十何年自由貿易に向かって歩んできたのでありますから、この潮の流れが逆行をするというようなことがあってはならないと考えるのでありまして、そういう意味では、われわれ自身もやはりガットなりOECDなりのメンバーとして、果たすべきことをもっと十分に果たさなければならないと思いますけれども、それをまた理由にしてこのような制限法案を成立させようとする動きは、私ははなはだ賢くないことであるし、その及ぼす影響は非常に大きい。いまそういう一つの転機にあるというふうに考えるのであります。  これに対して、私どものいたしておりますことは、政府としまして、常時在外出先公館を通じまして、われわれの立場を機会あるごとに述べる。また業界によりましては、業界自身がいろいろ組織をこしらえて、先方に対してPRをすることもいたしておるわけであります。一般的に申しますと、そのようないわゆるガットの想定していないような輸入制限というものは、ガットの精神に照らしてどうしてもこれは再考してもらわなければならないということを、常に声を大にして申しておるわけでございます。
  61. 石井一

    ○石井(一)委員 通産大臣の基本的な考え方に私も賛成なんでございますけれども、ガットの精神に照らし合わせても、また自由化に向かおうとしておる両国の姿勢から見ても、これは非常におかしい。政府としてはき然たる態度でこれに臨んでいただきたい、こういうふうに考えるわけでございまして、ましていわんや、各州にそういう業者がまたがっておるからというアメリカの国内的な理由で、わが国の中小企業製品が圧迫を加えられるということは、私はたいへん遺憾だと思うのでございます。  こういう事実も御存じだと思いますが、昭和四十三年四月にアメリカにおいて、大統領令で関税委員会に対して、実際にアメリカのはきもの業界が、どれだけこういう輸入品目において影響を受けておるかという調査を命じております。これは、もちろんそういうふうな将来に対する危惧があるということで調査しておるものだと思いますけれども、結局その後、専門家が集まりまして公聴会を開いたり何かしてまして、一年間の緻密な調査の結果、関税委員会報告としては、ファインディングの中で、輸入品は、国内すなわち米国関係産業の収益性に何ら悪い影響を与えていないし、また将来ともそのおそれはないであろうということが、はっきり公式の文書として出ておるわけでございますが、それにもかかわらず、その後にこういう問題が出てきておるわけでございます。これは、何も日本のかってな調査資料ではございません。アメリカの大統領令によって出てきておるものでございますから、そういうふうな意味で、ただ単に精神的なき然たる態度ということをお願いするだけでなしに、具体的にこれまで、最近の繊維に続く規制問題に対して、通産省としては何らかの手をお打ちになったのか、どういうふうなステップでこれに対しての一つの日本の態度をお示しになろうとしておるのか、お伺いしたいと思うのでございます。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 関税委員会がそのような調査をいたし、それが公になっておるということは存じております。アメリカではケミカルシューズというものの生産は、おそらく皆無に近いのではないかと思います。したがって、アメリカのは雪ものをつくる製靴業者からいえば、スペインとかイタリアとかから入りますかなり高い靴というものと競合関係があると言えるかもしれませんが、ケミカルシューズから被害を受けておるということは実際言えないことであろう。でありますから、関税委員会の所見はまことにもっともだと思うのでありますが、実は関税委員会がアメリカの繊維業界につきましても、一九六八年の現在であったと思いますけれども、アメリカの繊維業界は一般的には好況であるというやはりファインディングをいたしておるわけでございます。  でございますから、このたびのいわゆるミルズ法案といわれるものは、本来ガットの精神、原則からしてどうも普通に出てくる筋合いのものではない。むしろ考えますと、アメリカ自身がベトナム戦争をはじめいろいろなことの結果として、自由貿易というものから何となく離れていこうとするような傾向がある、そのことをむしろ私どもは一番心配をいたしておるわけであります。  そこで、いまの問題の法案でございますけれども、私どもはこれに対して、繊維とはきものと両方同じ意味で理由がない、また、たまたま両方とも関税委員会のそういう所見があることでございますから、そういうことを明確にいたさなければならないと実は思っております。従来までのところ、繊維というものがかなりやかましい、国会でもしばしば御議論になる問題でございましたから、事実上そのほうに私どもの主たる関心はいっておりましたけれども、実は、ミルズ法案が通る、通らないということになりますと、これは両方一緒の問題でございますから、はきものについても同じく、やはり私ども繊維に対すると同様の注意を払い、またその非なるゆえんを説かなければならないと、実は考えておるわけでございます。
  63. 石井一

    ○石井(一)委員 私は、ただいま具体的なステップをということでもう少し突っ込んでお答えをいただきたかったわけでございますけれども、ひとつ私の強い要望としてお聞きおきいただきたいと思うのですが、もう一点同じような問題を指摘したいのは、同じくそのころに、その関税委員会調査をなしたころに、ほんとうはアメリカの市場に大きな影響を与えておるのは、イタリアとかスペインあたりのヨーロッパ勢のくつでございまして、日本のケミカルというのは特殊な産物で、そういう影響を与えておらないというふうに私は解釈をしておるわけでございますが、イタリアに対して同じような輸入制限の運動というものを始めたわけであります。しかし、そのときにイタリアの政府がどういう態度をとったかといいますと、もう最初から最後まで、米国産の消費対象、価格というふうなことから考えても、これは影響を与えておらないということで断固突っぱねまして、最終的にそれを押し通してしまった、こういうふうな事情がやはり二年前に具体的にございます。  それで、日本の場合は、非常に大きな繊維とのからまりで、これは非常に小さいことかもわかりませんけれども、今度は反面業界立場から見ますと、ケミカルの業界などというものはほんとうに微々たるものでございまして、中小零細企業の集まりでございます。繊維だからこそ、あの程度のキャンペーンもできるし、世論も喚起できるし、アメリカで弁護士も雇えるし、いろいろな方法ができると思うのでございますけれども、結局、これから先次々に起こってくるかどうかわかりませんけれども、そういう弱小の業種は、どういうことが起こっても一切政府におまかせする以外に、これらの外国で起こる規制問題に対して何ら手が打てない、こういう問題があると思います。しかし、これはただ一業種の問題じゃないと思いますので、今後、そういう面に関して、政府も具体的にもう一度問題を点検してくださいまして、ひとつ画期的な、これまで以上に前向きな姿勢を、こういう規制問題に対して、特に中小、零細の企業に対してお加えをいただきたい、こういうことを御要望申し上げたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに繊維につきましては、御指摘のようなむずかしい事情がございますために、私ども苦慮をしておりますし、ニクソン大統領自身が、繊維だけはこれは特別なケースであるというようなことを言っておるわけでございます。しかし、はきものについては、そういうことを言ったことは私どもは聞いたことがございません。ただ問題は、このような法案が抱き合わせになって出てきましたときに、繊維も繊維でございますが、はきもののほうはまことに飛ばっちりを受けるという感じになってまいりますので、そう  いうことがあってはならない。私ども、だんだん事が本格的になりそうな気配がございますから、従来、繊維だけのことを申してまいりましたけれども、はきものについても、十分世論を喚起し、また私どもも対応策を練らなければならないと考えます。
  65. 石井一

    ○石井(一)委員 私、国内的な中小企業政策に対しても二、三の質問を準備しておるわけでございますけれども、後ほど中小企業庁長官あたりに具体的にお伺いいたしたいと思います。そうして私まだかなりの質問を持っておるわけでございますが、通産大臣のお時間が三時までのようでございますから、あとの質問は政府委員にお答えをいただいたらいいと思いますので、一時ストップをいたしまして、同僚委員大臣からの回答を御希望の方に時間をお譲りいたしまして、後ほどもう一度続行させていただきたいと思います。
  66. 浦野幸男

    浦野委員長代理 松尾君。
  67. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大臣も時間の都合で帰られますので、順番をひっくり返しまして大臣に二、三お尋ねいたします。     〔浦野委員長代理退席、鴨田委員長代理着席〕  いまも質問がありましたとおりに、中小企業の発展なくして日本経済の発展は望まれない。それでいろいろの政策が打ち立てられていくわけでありますけれども、いま輸出中小企業というものはいろいろの問題をかかえて困っております。貿易の自由化、そういうものも当然いまからすみやかにやっていかなくてはなりませんでしょうし、また、発展途上国の追い上げというものも迫っておりますので、これで日本が非常にシェアを食われておる。米国市場におきましてもそのような結果で、日本の中小企業の輸出品というものが漸次減少してまいっております。それで一つの政策というものを政府が打ち立てた場合には、今度はその具体的な実行計画というものがなされまして、その計画に基づく財政的な措置、援助というものがきちっと立てられませんと、せっかくの政策の目的というものが実現できぬのじゃないか、このように強く感ずるものであります。  例をあげますと、現在困っておるのは労働力の確保の問題、それで省力機械の導入をうんとはかるという政策があります。また、発展途上国の追い上げにつきましては、これは品質の向上以外にない。また先進国のシニアを、今度は日本の中小企業が各国にわたって食っていかなくてはできない。その面につきましても、やはり品質の高度化をしていく以外にない。こういうはっきりした政策が出ておりまして、そして省力機械の導入にはどうしていこう、品質の高度化はどうしていこうというような計画がなされておりますけれども、はたして、中小企業のどの面に向かってこのような計画が立てられ、それに基づく金融、財政上の措置というものが、一つ一つ各業態ごとに明確になされておるかどうか。この統一ブランドに関しましても、今回指定しようとする業種のそれにつきましても、その業種についての省力機械の導入はどうか、品質の高度化というものはどうであったかというような一つの政策に対する内容的にわたった計画、今度はその計画に基づく実際の財政的な措置というものが一貫してなされておるかどうか。ただ政府の三機関の資金の何%の増加だというような面だけでとらえるのじゃなくて、一つ一つの政策に基づく中小企業の高度化、構造の改善、それについてはこのような業種でこのような計画を立てておる、だからこのように裏づけがあってこのように予算がふえてきて、中小企業金融公庫の資金はこのように増していったんだというようなものがあるのでございましょうかどうかということを、まず伺いたいと思うのであります。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 中小企業の近代化促進法というのが御承知のように母法になるわけでございますが、その中で、特に輸出あるいは後進国との関連で近代化を必要とするものにつきましては、すでに近代化業種として指定をいたしております。これがたしか百二十八業種であったかと存じますが、そのために過去において今日まで投入された資金はほぼ二千億円ぐらいかと考えます。なお、その中でさらに業界ぐるみ構造改善をする必要のあるものにつきましては、法律改正を行ないまして昨年八業種指定をいたしまして、今年度は十業種余り。これも体制の整ったものでございませんと、指定をいたしましても事業がうまくまいりませんので、整ったものから今年も十くらいのものをいたそうと思っております。このための予算は、たしか昨年が三十億円、今年度は八十億円であったかと思います。むろんそのほかに、繊維でございますとかなんとかいうものの構造改善は、御承知のようにいたしておるわけでございまして、これらはすべて、片方に後進国との関係、もう片方に輸出ということを考えてやっておるわけであります。それらの業界については、私ども役所もかなりよく存じておりますし、またことに構造改善事業についてはかなりこまかに立ち入りまして、府県等をも通じまして指導をいたしておるわけでございます。
  69. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまの御説明はよくわかるわけであります。しかし、ほんとうにこまかく立ち入ってまいりますと、たとえば今回統一ブランドのほうで指定しようとする業種の省力機械の導入の実績はどうであったか。これは一応軽工業品としては、中小企業の代表的な業種を指定されるわけでありましょう。そのような日本の中小企業の代表的なものに対する省力機械の導入はどうだったか。そういうものの品質の向上、高度化のためにはどのようにいままでされてきたか。また、発展途上国の追い上げがありますけれども、そういう中小企業の業種に対してどのような措置がなされたか。このように一つの政策というものに対して、それにかみ合ったといいますか、ぴしっとつながったそのような金融措置というものが一つ一つなされていくものであろうか。ただこのくらいの予算を組んでおるからというようなことじゃなくて、やはりそのような業種の実態というものを調べた上の裏づけというものが、金融政策上なされておるかどうかでありますが、この指定せんとする業種に対する省力機械の問題だとか、その高度化の問題ですね、それに対してどのように指導してきて、どのような財政的な裏づけをしたかという点についてお尋ねいたします。
  70. 吉光久

    ○吉光政府委員 一般的な近代化促進措置につきましては、先ほど大臣からお答えありましたので、重複を避けさしていただきたいと思います。  ただいま御指摘の、具体的に現在指定しようとする商品の例というふうなことでございますが、いままっ先に金属洋食器につきましての指定が考えられておるわけでございます。金属洋食器につきましては、近代化促進法の指定業種として指定されていたわけでございますけれども、過去数年の間におきまして、具体的に申し上げますと、加熱炉でありますとか、プレス類でありますとか、あるいはロール機、自動研磨機等を中心にいたしまして、約八百台に及びます新鋭の省力機械の導入が行なわれておったわけでございます。と同時に、新しくさらに将来の五カ年計画を現在組んでおるわけでございますけれども、その五カ年計画の中におきまして、従来やってまいりました省力機械の導入のほかに、さらに自動ドロップハンマーでありますとか自動電解装置等を新たに加えまして、全体としてさらに約三千八百台に達しますところの新しい省力機械のビルドを行なうというふうな計画をつくっておるわけでございます。  なお、従来わが国から輸出されておりましたステンレス製の金属洋食器の大部分は、いずれかといいますと低級なクラスに属するものが多かったわけでございますけれども、これでは後進国の追い上げに対しまして追いつかないというふうなことから、過去五、六年間の間でもある程度品質の向上につとめてまいっておりますけれども、さらに今後五年間の間にこの割合を大幅にふやしていきたい、こういう計画になっておるわけでございまして、それに対応する資金の裏づけをいたしておるところでございます。
  71. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では大臣に最後に一つ聞きたいのでありますけれども、いろいろこのようなことを申し上げておりますのは、結局中小企業三機関の貸し出しの総額というものが、日本の全体の中小企業に対する貸し出しの中で一割に足らないという問題であります。でありますから、やはり中小企業というものは資金的に非常に苦しんでおる。そこに一つの国の政策が立てられて、その裏づけの資金というものが政府によって優先的になされていくわけでありますけれども、ほんとうに一つ一つの政策に忠実にこの事業計画、発展計画、いろいろな計画を立てまして、それにマッチした金融財政政策というものがとられていくならば、この政府三機関に対する財政金融上の措置というものはなおうんと増してこなくちゃいかぬのじゃないか。やはり中小企業全体の資金のワクから見た場合に、いまのような三機関のあり方ではこれは足らぬのだ、それをかねがね非常に痛感いたします。前年に比べてこのくらいふえたからよかったというのじゃ、なくて、ほんとうに中小企業の一つ一つの政策がなされていく。このように統一ブランドで出ていきますけれども、それをほんとうに確実に実行するためには、いろいろ業界の実態を調べて、海外でも優秀なブランドで日本の中小企業が発展するように、言うならば、きめこまかな金融措置の裏づけとなったものがなされていかなければならない。そういう政策と実際の運用資金面というものがきちっとかみ合っていないから、いつまでたっても政府三機関の占める割合というものが低くて、前年に比べて幾らふえておるというような話だけに終わるのじゃなかろうか、このような感じがしょっちゅうしているわけでありますが、中小企業庁なり通産省というものが、ほんとうに真剣にそのような問題を取り上げていかれるならば、これは資金的にもうんとふやしていかなくちゃできないということがわかるのじゃないか、そうなっていくのじゃなかろうか、このようなことで質問しておるわけであります。一言、大臣のお答えを願います。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国の全金融機関の貸し出しの中に占める中小企業向け貸し出しは、たしか五〇%に近いものでございます。その中でこの中小企業関係の三つの金融機関は、中小企業に専門に融資をしておるわけでありまして、中には特利をつけておるものもございます。私どももちろん、今年度の場合たまたま一八%増でございますけれども、まだまだ中小企業の金融事情に十分こたえておるとは申しがたい、これは御指摘のとおりであると思いますから、今後ともせっかく努力をいたします。  ただ私ども、いまあるがままの中小企業、これは業にもよりますけれども、人手不足等々から後進国の関係もあり、非常にむずかしい問題を持っておりますから、やはり融資というものをできるだけ前向きの施策と合わせてやっていきたいと思います。それがすなわち、近代化でございますとか、あるいは高度化でございますとか、構造改善とかいうことになりますので、そういうほうに重点を傾斜させながら、なお資金源も必ずしも十分とは申せませんので、今後とも増ワクに努力いたしてまいりたいと考えております。
  73. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 心から希望いたします。よろしくお願いいたします。では、大臣に対する質問を終わります。
  74. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 石井一君。
  75. 石井一

    ○石井(一)委員 それじゃ先ほどの続きを続行させていただきます。  ここで政府委員からお答えをいただきたいのでございますけれども、中小、特に弱小資本の日本の企業、その商品が外国の市場で淘汰される。それに対して、政府がどのような保護政策といいますか、手を打ってもらえるのか。ぜひともそのようにしていただきたいという気持ちで言っておるわけでございますけれども、具体的には、一つはやはりジェトロのいろいろの活動を通じまして、外国で、そのような日本製品のセールスキャンペーンであるとか、保護であるとかいうことをやっておられると思います。それからまた、通産省自体が直接の費用でやっておられるのは、私は輸出秩序維持対策事業補助金、これになると思いますけれども、この輸出秩序維持対策事業補助金について、一応その目的と過去の実績を、簡単でけっこうでございますから、御説明いただけませんか。
  76. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  ただいま御質問の輸出秩序維持対策事業というのは、おおむねジェトロ関係に一括して計上されておる予算でございまして、四十五年度は九千九百十万四千円。その内容別に申し上げますと、第一に、市場対策の調査事業といたしまして七千九百六十一万七千円、これは専門の調査機関に委嘱をいたしまして、輸入制限のおそれのある品目を早期に探知するための情報収集を行なう。それからまた、専門家に依頼をいたしまして、たとえば繊維製品もそうでございますが、調査をいたすということ。その次には、もう少し根本的に、アメリカにおける対日輸入制限の経済的要因は一体何であるかという、こういう要因まで掘り下げて調査をする。これはたとえばモザイクタイルなどのようなものでございます。そのほか四十五年度におきまして、事前に輸入制限の発生を探知するための観測指標と申しますか、さらに基本的な将来の見通しというものとつながってまいりますが、その作成を行ないまして、秩序ある輸出体制、それによって輸入防遏等々の機運に対応する方策を考えておるわけでございます。それから次に輸入制限の阻止の関係でございますが、この輸入制限機運を事前に探知いたす。それからまた、事前、事後の対策のためにジェトロは、現地の日本品取り扱い業者とか、あるいは現地のメーカーとか、あるいは現地の日本公館、あるいは商社を集めまして、終始緊密なる協議、連絡のもとに、先方側の官庁あるいはいわゆるロビーストと接触するなどの現地活動を行なっておる次第でございます。この一例といたしまして、たとえばカメラなどやはりこの対象品目にあがっております。それからさらに、国内の系列取引に対応いたしまして、日本品の秩序ある販売体制を確立いたしますために、現地の日本品取り扱い業者らと協議会をこさえまして、流通経路の実態把握あるいは改善策を検討するなど、やはり輸出取引系列整備という目的のための対策を講じております。この一例としては工作機械がございます。  以上申し上げましたのが市場対策調査事業でございますが、次に、第二番目に、業界対策の活動事業といたしまして、非常にあぶないという要警戒品目につきまして、輸入制限運動というものを未然にチェックをいたす。非常にセンシティブな品目につきましては、でき得る限りより有利な解決をはかるために、その関係業界の代表を現地に派遣いたしまして相手国業界とか相手国政府に働きかけるための経費、これをジェトロから半額補助という形で促進いたしております。たとえば日本陶磁器輸出組合のモザイクタイル等がこの例にのぼっております。それからさらに、輸入制限品目あるいは輸入制限の可能性ある品目につきましても、やはりこれは前と同じように、現地の法律事務所とかロビーストを通じましてわがほうに有利な解決をはかるために、その折衝をする経費の半額を補助いたしております。  長々しく申し上げましたが、大別いたしますと二つに分かれまして、市場対策調査事業として七千九百六十一万七千円、業界対策活動事業に対する予算といたしまして千九百四十八万七千円、合計いたしまして、冒頭申し上げました九千九百十万四千円というものを、アメリカにおける対日輸入制限運動に対処するための輸出秩序維持対策としてジェトロは使って活動いたしておる、かような状態に相なっております。
  77. 石井一

    ○石井(一)委員 だから、本年度の予算が九千九百十万、こういうことでございましたね。そこで、私の記録が正しいかどうかわかりませんが、三十五年から四十四年まで過去十年間のこの補助金が、私の持っておりますデータでは、その十年間のトータルが九百十九万。これはやはり通産当局からもらった書類でございますけれども、この数字をお答えできますか。
  78. 後藤正記

    ○後藤政府委員 私のお答えのしかたが少しことば足らずであったかと存じます。私は実は、先ほど例示いたしましたように、全品目につきまして、ジェトロに計上いたしまして使っておるその費用を申し上げたわけでございまして、いま先生の御指摘になりました数字は、それはおそらくケミカルシューズだけについての毎年の数字かと存じます。  それで、繰り返して申し上げますが、ちょっと過去十年ほどのは持っておりませんが、この輸出秩序維持対策事業補助金としてジェトロに計上されておりますのは、ラウンドナンバーで申し上げますが、四十年度が七千万、四十一年度が七千四百万、四十二年度が九千二百万、四十三年度が九千六百万、四十四年度が九千九百万、四十五年度が、先般御可決願いました予算額といたしまして一億一千四百万、こういうように累増いたしておるわけでございます。
  79. 石井一

    ○石井(一)委員 私が手元に持っておりましたのは一業種でございましたので、その点はたいへん失礼いたしましたけれども、私がこの表を拝見いたしましたときに直感いたしましたのは、使い方が、ある年によっては全然使っておらない。それからまた、ある年には多少の金額が張っておりますけれども、ある年には全然もうほとんど――申し上げますと、三十五年八十万、三十六年はゼロ、三十七年は八十万、四十年は百八十万、四十一年は百三十九万、こういうふうになっておりまして、非常にでこぼこが激しい。私これを拝見しましたときに、問題が起こってから問題の事後処理的な形でこういう補助金が使われておる傾向が非常に強かったんじゃなかろうか、そういうような点なんでございますけれども、この点はいかがですか。
  80. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 いま御質問のとおり、確かに年によって欠けておる年がございますが、アメリカのいま例に出されましたのはケミカルシューズの件だと思いますけれども、向こうの輸入制限運動が盛り上がったときに、私どもも弁護士を使いまして、それに対応する所要の措置をとる、こういう意味で、向こう側の出方との対応関係で毎年金額が動いておるわけでございます。     〔鴨田委員長代理退席、橋口委員長代理着席〕
  81. 石井一

    ○石井(一)委員 私の記憶が正しければ、本年度のケミカルシューズの輸出額というのは大体六千万ドルであります。六千万ドルということは、この間問題になった中共の覚え書き貿易の金額が大体七千万ドル。これは私、調べたんですけれども、一国の非常に大きな政治的な問題で、これだけのセンセーションを起こした後に結ばれた中共貿易でも、それだけの金額の貿易をなすためにあれだけの努力というか、無理といいますか、それはどういう解釈もあると思いますが、なされておる。一業種、一特定地域の中小企業、零細企業が中共貿易に匹敵するだけの輸出額をやっておる。それに対して、具体的にいま御説明になりましたいわゆるマーケッティングリサーチというような面とか、そのほかロビーストとかいうのは、非常に費用もかかるし、また非常に重要でもあるしするのでありますけれども、いま言った九百万円なんというのは二万ドルか三万ドルという金でありますけれども、七千万ドルの貿易をやっておるのに政府は補助金として直接には――まあ、いろいろなことをほかにはやっておられると思いますけれども、二万ドル、三万ドルはあまりにも微々たるものであって、中小企業は、国内においても国外においてもかってに生きろというような、これは極端な言い方かもしれませんけれども、そういうふうに業界の方がひがんだって、私はこれはいたし方がないような面が予算の面でもあるんじゃないかと思うのですけれども、その点いかがですか。
  82. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  確かに先生御指摘のように、先般の地域別の輸出量と、それからアメリカにおけるそういう輸出秩序維持対策といいますか、輸入制限運動に対する対策というものを相対的に見ますと、やはり軽重の差は出てまいる。今後ともこういう問題につきましては、貿易というものは世界中相手の仕事でございますので、地域により時期によりまして、いろいろ問題が起こったり、あるいはわりあい平静化しておるというような時期がございます。したがいまして、たとえば予防対策に使います費用が非常にフラクチュエーションがあるとか、あるいは相対的にその問題が少ないとかいう点がございますが、これは時期によりまして、やはり重点的に、業界とも御相談しつつその費用を使っていかなければならないという特徴がございます。  ただ、全般的にこれを概観いたしますと、決してわれわれ、中小企業製品は海外市場において政府の庇護なしに独自でやっていけ、そういう冷たい感じは一切持っていないのでございますが、何ぶんにも製品自体が非常に多種多岐に分かれております。地域もまた非常に分かれておりますので、個々の一つずつの品目をあげますと、どうしても相対的に数字が低くなってまいるという弊はあるかと思います。業界ともよく御連絡をいたしまして、特にシリアスな品目につきましては、今後とも重点的にそういう予算を使い、中小企業に御迷惑をかけないように、これが伸びていくように方策を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  83. 石井一

    ○石井(一)委員 たとえば今度の問題も、急に突発的に、繊維とのからみ合いかどうか知りませんけれども、出てきたわけであります。しかし、予算というものはそれより前に計上されておるんだから、いかにこの問題の対策費がかかったとしても、ここからは出せないということになるわけであります。ですから、そういう意味では流動的であるから、そのときそのときに出したらいいということではなしに、もう少し根強く計画的にやっていかないと、問題が起こってから処理するということこそ、結局それのダメージをこうむるのは業界だけだということになってくると思うんです。何も私の選挙区にこの業界が多いから、そちらに向かってこういうことを申し上げておるわけではなくて、いま問題になっております法律で  は、ほとんどの業種がこういう業種だと思うんです。地域産業であり、独特の小さい企業であり、後進国の追い上げを受けておる、今後こういう問題があるからこれを振興させなければいかぬという場合に、これは両輪相まって進みませんと、結局は、そこに商標がついたって何にもならぬという結果が出てくると思うんです。私の言いたいことは、結局こういう輸出秩序維持というふうなことをもっと活発に計画的にやっていただいて――しかも、これらの業界ではまかない切れないわけです。ほかのもっと強い業界なり大企業であれば、彼らの独自の力で弁護士も雇える、あるいはマーケッティングリサーチもできるし、業界に対するプレッシャーもかけられる。しかし、こういうもっと小さい業界になりますと、一人アメリカへ人をやるというだけでもたいへんなことになってくる。それを文通でやっておったのでは、そのうちにはどうにもならなくなってくる、こういうことがありますので、こういう点を非常に強く要望しておきたいと思います。  それと同時に、ジェトロを中心にした海外での振興策は、今度のこの統一商標の指定を受けるべき、あるいは今後受けるべき品目に対して、特別の配慮をもってジェトロの活動を拡大されるのか、ジェトロが一体このような弱小企業に対してどのような政策を打ち出されようとしておるのか、この点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  84. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  確かに先生の御指摘のとおりに、非常に強力な大企業、大商社、それから強い業界というものは、独自の力によって市場を開拓し、向こうと折衝する、そういった力があるわけであります。現在、御承知のように、日本の総輸出額のうちの約四割というものは中小企業の製品でございます。さらにまた、大企業という形で出ておりましても、その下請という形でそれに中小企業が入り込んでおるということを考えますと、さらに中小企業のウエートというものはふえてくるわけでございます。このジェトロの仕事につきましては、そういった、大メーカー、大業者が協力に自分だけでやっていけるというところにはむしろ重点を置かずに、自分たちで情報が的確に把握できない、調査が行き届かない、独力でできないというところに重点を置くように、従来とも指導をいたしてまいりました。ジェトロの現在の弔業全般をながめましても、これは私はシェトロの仕事というのは、中小企業の輸出、それから海外市場開拓という面に、従来からも裨益してまいったと考えるわけであります。  今般この統一商標法、これに現在のところ容易に予想されるものは、約八ないし十業種でございますが、さらに今後の業界の出方によりまして、今後、これはどこまでその業種がふえていくかということは、相当無制限と申しますか、上限なしにふえていくだろうと思います。したがいまして、現在、特賞してジェトロの予算というものをこの品目のためにというような計上はいたしておりません。おりませんが、ジェトロを私ども直接に監督する責任に当たっておりますし、今後、この統一商標法に指定される業種、特定貨物というものが広がってまいりますれば、ますます重点はこのほうに向けまして、現在約五十億ございますジェトロの予算というものは、あらゆる多角的にわたっております事業活動全般を通じて、中小企業重点に施行いたして、まいりたい、かように考えておる次第でございます。
  85. 石井一

    ○石井(一)委員 このケミカルシューズに対する輸入規制の問題が出ましてから後に、通産省一体ジェトロに対してどういう指示をして、ミルズ法案が出た時点において現在どういう活動をされておるのか、御説明いただけませんか。
  86. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  これはケミカルシューズの問題につきましても――これは全般的に申せることでございますが、一つの新しい輸入制限運動というようなものが出て、まいりましたときには、世界各国に現在ジェトロの、あるいはトレードセンターの事務所なり駐在員制度がしかれておりますので、関連するところの出先機関に対して、その問題に関する自分が任地において得た情報、仕入れた知識というものを直ちに本部に連絡いたしてくるようになっております。したがいまして、あるいはまだ十分とは申せぬかと存じますが、本問題につきましても、それぞれ関係の競合いたします、あるいはイタリアでございますとか、スペインでございますとか、さらに問題の起こっておりますアメリカ各地のケミカルシューズに対する全般の情勢、あるいは先方のこれからの出方、見通し等々に関する情報は入れるように指示いたしてまいっております。
  87. 石井一

    ○石井(一)委員 まだ十分満足できないわけでございますけれども、たとえば具体的に、従来雇っておられるヘメリンガー弁護士を今後も継続されてこの問題に当たらせておるのか。さらに問題か大きくいま国会に上がろうとしておるわけでありますから、弁護士をさらに加えようとか、あるいは特別な調査をなしたとか、その調査の結果を日本政府を通して向こうへ提出しようとする動きがあるのか。そういう具体的な問題は何かありませんか。
  88. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 具体的にいまケミカルシューズについて問題になっておりますのはミルズ法案でございます。このミルズ法案は、下院歳入委員長のミルズ議員という、本来は自由主義者といわれている議員が、繊維とくつを対象にいたしまして輸入制限をすることのできるという、アメリカの議会に出している法案で、ございます。このほかにもアメリカは法案の数が非常にたくさんございまして、輸入制限的な効果を持つ法案を合わせますと数百にのぼるといわれております。  私ども一は、現在この法案につきましては、まさか米国の良識、あるいは米政府が、自由主義を標榜しながらこの法案それ自体を実現に移すなどということは、全くたいであろうというような前提のもとに行動いたしております。特にこの法案の主たるねらいは、目下たいへん懸案になっております繊維、毛、化合繊の問題につきまして、日本やその他の関係輸出国との間で、できるならば自主規制で、輸出の規制という形でアメリカに対する輸入をある程度に押えたいというアメリカの業界の強い要望と、これを受けましたアメリカ国内の政治的背景というものを踏まえまして、もしそういう輸出の自主規制というものが実現をしないならば、こういう法案によってアメリカ自体で輸入を防ぐ道もありますよということを示すための一つの法案ではないか、こういう色彩が非常に強いと思います。したがいまして、私どもは、特にケミカルシューズにつきまして、いま直ちに弁護士さんをまた雇い直すとか、新たに追加するというようなことをしましてやるということよりは、むしろ繊維と一緒になりましたこのはなはだ不合理な輸入制限法案というもの、それ自体が防止されるのはもとより、およそそれと同じような効果を持つ自主規制というようなものにつきましても、国会の御決議に沿いまして、筋を通して合理的な解決をはかるという方法で、在外公館あるいはジェトロ及びその他の一切の機関をあげて、懸命に努力をしておる最中でございます。  したがいまして、さしあたり、このミルズ法案につきましても、それと前後――あるいはおそらくこちらのほうがあとになるか、あるいはほんとうに審議をやるかどうかもまだわからない段階でございますが、すでに十一日から始まっておりますアメリカの新しい通商法の審議、これがいかなる形で成立をするかしないか。その審議の過程、あるいは公聴会というものがすでに始まっておりますので、その公聴会の場で、ケミカルシューズオンリーということではございませんで、繊維その他全部を含めて、アメリカの政府、アメリカの議会というものが、こういう保護的な法案に動かないようにということに全力をあげてやっておるというのがいまの段階でございます。
  89. 石井一

    ○石井(一)委員 私は、アメリカの良心を信じてというふうなおことばもございましたし、それかといって、その反面、あらゆる努力を続けておられるということも理解したわけでございますけれども、繊維とのからみ合いということもございますから、向こうできまってしまってから、こちらで何の意思も表明せずに終わってしまったというのであれば、それはほんとうに業界はかわいそうだと思うのです。今後そういうことが起こった場合に特にかわいそうだと思うのです。繊維は特に一つの非常に大きな政治的な問題でありますが、今後弱小なものに次々に回ってきた場合にどうするかということを考えた場合に、やはりはきものの時点でこれを阻止してもらわなければ困るのじゃないか、私はこういうふうに思うわけであります。ただ、先ほど通産大臣にも申し上げましたけれども、関税委員会の結果もアメリカの調査で出ておるわけでございますし、イタリアの完全なるそういう措置もあったわけでございますから、公式でも非公式でも、この事態に対し、この問題を非常に重視しておるということを、向こう側の政府に対して、何らかの形で意思表明を――それはジェトロを通じてされておるかもわかりませんけれども、まだそういうふうに見えない向きもいまの御回答の中にもありますので、十分に意思を伝えていただきまして、今後、日本の弱小な企業に対してはそういう措置がなされないように、繊維とはある意味では切り離して――それは繊維はかまわないからこれだけをと、私はそんなことは言っておりませんけれども、あれとこれとは全然意味が違うと思うのです。そこに結びつけるということ自体おかしいと思うのです。これを許すということは、そのほか次々に、スポーツ用品であるとか、おもちゃであるとか、いろいろな物がやられてきた場合にどうなるのか。これはたいへん大きな国内の問題であります。そういうふうなことを考えた際に、この点をこの問題についてはひとつ強く御要望申し上げまして、善処方をお願い申し上げたいと思います。私は政府委員を困らせるために言うのではなくして、心から期待しておるわけですから、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、中小企業庁の長官お見えでありますか。――今度の、ただいま議題になっております商標法案でございますけれども、中小企業庁並びに通産省が、近代化促進法、これに基づく業種指定は、指定業種百二十二、特定業種六ないし八、こういうふうにきめておられますけれども、何か、こういう形でこの統一ブランドに指定される業種に対しては、今後もっと前向きな施策というものを考えておられるのか。それは国内の中小企業行政であって、統一ブランドとは何ら関係がないのか。その辺いかがでございますか。
  90. 吉光久

    ○吉光政府委員 御承知のとおり、現在の近代化促進法に基づきます指定業種は、いずれかといいますと、個別企業の設備の近代化というふうなことに中心があるわけでございます。もちろん競争力強化という観点からの設備の近代化でございます。ところが、これは同じ近代化促進法に基づきますところの特定業種といいますと、業界ぐるみで構造改善をやっていく-要するに、個別企業の力だけでは、個々の企業の設備の近代化を中心にした競争力強化には限界があるという前提で、業界ぐるみで構造改善を強力に進めてまいるというのが特定業種になっておるわけでございます。したがいまして、こういう後進国の追い上げムードというふうなものが非常に強い、早急に業界全体の構造改善の促進をはからなければならないというふうな業種につきましては、いわゆる特定業種というものの中に取り上げまして、強力な支援体制をやってまいりたいということでございまして、おそらく、そういう追い上げの激しいというふうな業種になりますと、統一ブランド法の将来の運用の問題とも関連いたしますけれども、統一ブランド法は、それ自身としてそれになじみやすい商品というふうなものが取り上げられることになると思いますけれども、やはり何と申しましても、追い上げの激しい業種というものが、おそらくそのうちの大きな部分を占めるであろうというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたような、特定業種としてやって応援体制が組めるというふうな業種も、将来の問題でございますけれども、相当多くそういうものも入ってくるのではないかと考えるわけでございます。
  91. 石井一

    ○石井(一)委員 私が統一ブランドと近代化促進法とを結びつけたのがかえって悪かったのかもしれませんけれども、この近促法というものに対する業者の不満が非常に多いのですね。といいますのは、先ほど金融の話もございましたけれども、指定を受けておるのになかなか金がおりてこない。それはまた、別の指定を受けた時点とその間に非常に間隔が開くとか、また金利が非常に高いというふうな面で、政府が、これで体質改善というふうなものが進んでおるんだ、そういうふうに想定されておるのに反して、その近促法の目的とするところが、案外十分に具体的に達成されてないんじゃないかという感じを私は受けるのでございますけれども、この点についてちょっと御説明いただけませんでしょうか。
  92. 吉光久

    ○吉光政府委員 いまの近促法によりますところの手法でございますけれども、一応五年先におきますところのその業界の近代化計画、これは基本計画と年次別の実施計画ということになるわけでございますけれども、この基本計画を策定する前段階といたしまして、その業界についての入念な実態調査から始まりまして――要するに、同じ計画も、その業種、業態によりましていろいろと内容が変わってまいります。したがいまして、綿密な実態調査をまずやりまして、その実態調査に基づきまして基本計画を策定し、そしてその基本計画に基づきましてそれぞれの年次別の実施計画をやる。そしてまた、それらの実施計画を実行いたしますために、それぞれ中央におきますところの中央推進協議会、あるいはそれぞれの地方におきますところの地方推進協議会、こういうふうなプッシュする団体をうしろに持ちまして、学識経験者なり、関係業界の方なり、それぞれの人が入っておるわけでございますけれども、そういうふうなことで実際に政策の推進に当たっておるわけでございます。同時にまた、この実施計画を組みます場合、やはり年次別の資金調達計画というふうなものも中に入れて、それらの計画を組んでおるわけでございます。  ただ、こういう業界の近代化計画でございます関係上、スタートの意気、やろうという意欲をみな各業界ともお持ちなのでございますけれども、経済環境の変化と申しましょうか、いろいろと激しいものがございまして、当初予定しておりました計画を途中で何回か組み直さざるを得ないというふうなことも出てまいっております。そういうふうなことでございまして、手法としては私これは非常にいいんじゃないかと思うのでございますけれども、またそれでやっておるわけでございますけれども、具体的な実行の段階になりました場合に思わぬ要因が出てまいるというふうなこと等もございまして、計画がはかばかしく進んでいない業種もあるということだと思うわけでございます。もちろん指定されております業種の大きな部分は、その計画の実現に向かって邁進しておりますし、相当の効果をあげておると思いますけれども、ともすれば、先ほど申し上げましたようなある業界につきましては、そういう問題もあろうかと思うわけでございます。こういう点につきましては、せっかく中央、地方の推進協議会を設けて推進いたしておりますわけでございますので、年度別実行計画を組みます場合に、あらためてもう一回、その時点における経済の状況、内外の状況というものをよく見直しました上で計画の実行に取り組んでいく必要があるのではないか、こう考えるわけでございます。
  93. 石井一

    ○石井(一)委員 非常に高度な説明をされるものですから、非常にけっこうだと同時に、もう一つぴんと来ない面があるわけであります。どうかひとつ、近促法の指定を受けた、ところがその恩恵を受けられないのだというようなことのないように、その辺のギャップを埋めていただいて、これから特にそういう中小零細に対しては、具体的な指導、具体的な手法というものを、さらに前向きに生み出していただきたいということをひとつ要望しておきます。  私もあまり時間をとってもいけないと思いますので、ほかに聞きたいこともございますが、もう終わりでございますけれども、ひとつ統一商標とJISのマークとの関係、ちょっとわかりにくいので教えていただきたいと思います。
  94. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  JISは、御承知のとおりに工業標準化法に基づきまして、鉱工業品の品質、性能、形状等を全国的に統一することを目的として、国によって定められた表示でございます。したがいまして、主務大臣が事業者の工場の設備とかあるいは検査、品質管理の方法等を審査いたしました上で、このJISマークというものを使ってもいいと、その使用を事業者許可するものでございます。したがいまして、一般に人口に膾炙いたしておりますJISマークは、貨物の種類とか事業者のいかんを問わず、あらゆる場合にこのJISというオーバーオールな形でその表示に統一されておるわけでございます。裏返して申しますと、このJISというものは、品質の保証機能は持っております。それから若干度の広告機能も持っておる、こういうことが言えると存じます。  これに対しまして、統一商標法におきまする商標は、あくまでこれは商標の一種でございまして、商標としての性格、つまり品質を保証するという機能、あるいは出所を表示するという機能、あるいは広告機能、あるいは財産的機能、こういうものを商標として持っておるわけであります。しかも、この法律によって裏づけられておりまして、これが統一商標というようなものになってまいりますと、これは高級優良品である、というぐあいのイメージというものがそれに伴うことを期待しつつ、これについていくわけでございます。これを適切に使用いたしまして輸出を増進し、海外市場におけるその貨物の声価を高め、そして従来ともすれば安かろう悪かろうというぐあいの、――だんだん改善されつつございますが、依然として残っておる、そういったイメージというものをイメージアップいたしまして、日本商品の当然受けるべき評価と、それにふさわしい価格というものを期待したい、こういうわけでございます。統一商標自体は、先ほど申し上げましたように、そういう無体財産的な機能も持っております。したがいまして、言うなれば、全般としてのJIS、そのある程度の機能、JISのマークの意味するものと、商標の特殊な一つとしての統一商標の持っておる機能というものとは、全体と個別との関係と申しますのに若干類似しているような差異があるわけでございます。
  95. 石井一

    ○石井(一)委員 この法律が通ることによりまして、いろいろな弊害といいますか、弊害ということもございませんけれども、中小企業の体質をまず改善してからこういうことをやれという意向もございましょうし、あるいは中小企業の商品だけにしぼる場合、どういうふうに限定してどういうふうに運用していくのかということ、こういうことをすることによって零細企業との格差がもっと広がってくるとか、こういういろいろな問題があると思いますが、基本的には、日本商品の今後さらに名声を高めるために、私は非常にけっこうだと思うのでございますけれども通産省のそういう運営面、今後のやり方という面――先ほどの近促法の問題もあると思います。いろいろな問題があると思います。その点に対して十分な配慮をしていただきまして、日本の中小企業者が外国の波に追われないように、私はいまケミカルということで一つの例をとってやったわけでございますが、ほかの業種にもいろいろ当てはまります。そういう点を強く要望申し上げまして、時間をとりましたけれども、終わらしていただきます。
  96. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 松尾信人君。
  97. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 先ほどの続きになるわけでありまして、また、いまの委員の質問にも関連しておるわけであります。結局言いたいことは、中小企業金融公庫の中には近代化貸し付けがあります。その近代化貸し付けの中で、中小企業の輸出業者に対してどのくらい貸し出されておるか。また、品質の高度化、そういう面で中小企業金融公庫はどのくらい貸しておるというような、そういうものは掌握していらっしゃるかどうか、そういう問題であります。  もう一つは、中小企業金融公庫にはそれぞれ貸し出しのワクがございます。そのワクというものと業界から出た希望、それははたしてどうか。この金融のワクによって相当部分が借り出しできぬの、じゃないか、このような疑点があるものですから聞いておるわけであります。
  98. 吉光久

    ○吉光政府委員 近代化促進法関係で、中小公庫で貸し出しておるトータルの数字を、私、ここに控えておるわけでございます。その中で輸出向けに幾ら出たかということは、これは調査は非常にむずかしい問題ではないかと思うわけでございますが、さしあたり、手元にございます、中小公庫から出しました近代化資金の推移がどうなっておるかということを、お答え申し上げたいと思います。
  99. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 総体的でなくて、やはり中小企業の輸出、それに関連したものが知りたいのです。なければ、できたらあとでもけっこうです。
  100. 吉光久

    ○吉光政府委員 輸出向けの設備と国内向けの設備というものが同じ設備でやっております。した、かいまして、輸出向けにどうというふうな分類は非常にむずかしいのではないかと考えますが、なお資料を詳細調査いたしまして、御指摘の点に沿うような資料ができますれば、御報告申し上げたいと思います。
  101. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 それでけっこうでありますけれども、たとえば国内向けと輸出向けと一緒にして、その中で中小企業金融公庫から出ておる、それでけっこうです。  それで、次に入りますけれども、結局、そのように一つの考え、政策、それに伴っていろいろの計画ですね。たとえば近促法だけで申しましても、いろいろ百二十二とか業種か出てくるわけです。もう一つ、いまお答えがなかったのは、そのような近代化の申し込みが各業種、業体からくると思うのですね。それと資金ワクとの関係で十分であったか不十分であったかという点だけ聞きたい。
  102. 吉光久

    ○吉光政府委員 完全に十分であったとは言いがたいような現象がございまして、それらの状況を踏まえましては次年度の設備ワクの設定をいたしておるわけでございますけれども、必ずしも御要望に沿ってない面も間々あったのではないかというふうに考えますので、将来とも拡充につきまして努力させていただきたいと思います。
  103. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうではないかと思っておるわけであります。それぞれ、近代化だとか、やれ高度化だとかいいましても、向こうの業界の希望というものが満足に実現できるような資金的な面がないのじゃないか、弱いのじゃないか、このように感じておるわけでありますので、今後はひとつ大いにがんばって、しっかりとした資金的な裏づけをしていただきたい、これは強く要望しておくものでございます。  この点はもうそれで終わりまして、次にまいりますけれども、中小企業の輸出業者では、やはり業者間の過当競争が激しいということであります。また現実にそのような訴えも聞きました。この業者間の過当競争というものをどのように抑制していくかということでありますけれども、どのようにお考えでありましょうか。
  104. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  業者間の過当競争は、大別いたしますと、輸出業者間の過当競争と、また生産業者間の過当競争というふうに分けられるかと思います。  前者の輸出業者間の過当競争につきましては、現在、輸出入取引法がございまして、これによって処理をいたしておるのが現状でございます。この、取引法の第五条第一項では、価格、数量等に関する輸出業者の輸出取引に関する協定、それから同第十一条の第二項で、輸出組合が設定するその組合員の順守すべき事項との二つでございます。これらの申し合わせには、一定の要件を具備いたしました場合には、アウトサイダーをも拘束するアウトサイダー規制というものも可能というふうに法的に構成いたされております。  次に、第二番目の生産業者間の過当競争につきましては、同じく輸出入取引法の第五条の三によります協定、これはアウトサイダー規制はこの協定にはかからないわけでございますが、これが一つと、中小企業団体の組織に関する法律の十七条一項四号の規定によりまして、商工組合が行なう輸出向け数量、価格等の制限、これはアウトサイダー規制が可能ということになっておりますが、この二つによりまして秩序ある輸出ということの確立をはかっておるわけでございます。
  105. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 はかっていらっしゃるわけでありますけれども、実際としましては、なかなかそれがうまくいっていないのじゃないか、こう感ずるのでありますけれども、その点どうでしょう。
  106. 後藤正記

    ○後藤政府委員 まあ、どこまでが過当競争であるか、どこまでが過当でない競争であるかという点の区別は、なかなか区切りがつけにくい問題であるかと存じます。考え方によりますれば、ある程度の競争意欲というものが強くなければ、やはり輸出というものは振興いたしませんし、生産というものが効率をあげて経済の繁栄というものは望まれませんが、しかし、それがいわゆる過当になりまして、生産業者の間では共倒れになる、海外市場においてはお互いに足を引っぱり合って、価格の暴落と、それからひいてはそのためによる損失のために国内生産業者、輸出業者の倒産という問題までつながってくる、こういうような弊害が生じてまいるわけでございます。  そこで現在の状況は、そういう意味では現在輸取法あるいは中小企業団体組織法によりましてある程度のチェックは行なわれ、これはそれぞれの業界の目制心というものと相まって効果をあげておる。現在、野放しの状態で過当競争が放置されて、そのためにその業界自体あるいは国民経済自体にそういう弊害を及ぼしておるという実情ではない、かように了解いたしております。
  107. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そのようになっていかなくちゃいかぬわけでありますけれども、たとえば望遠鏡組合等はいまは大いに途上国から追い上げを食らっておりまして、国内ではそのような過当競争で非常にもう苦境に立っておるというような陳情も受けておりますので、過当競争というものは、結局大きな目で見れば、いま局長おっしゃいましたとおりに、業界がやがてさびれていく大きな原因になるわけでありますから、しっかりこの面を今後は考えていただきたい、こう思うわけです。  次には外人バイヤーの問題でございます。いまだに日本にこのような外人バイヤーというような問題があるということ自体が、これは日本が発展途上国であったときの遺物であり、悪い習慣ではなかろうか。これは一日も早くなくなしていかなくちゃいけない、こう思うのであります。どのようにしていけば、この外人バイヤーの不当な買いたたきだとか、また外人バイヤーのブランドをつけて売るとかいうようなことをなくなすことができるか。中小企業の輸出業者の悪い後進性というものをどうしたら抜け出すことができるか。この点はいかがでしょうか。
  108. 後藤正記

    ○後藤政府委員 外人バイヤーのいわゆる買いたたきの問題は、結局これを防止するためには、やはり業界自体の結束、一致というものがまず基本になってまいることかと存じます。もちろんそういった買いたたきがない状態が一番いいわけでありますが、御承知のように、中小企業者というのは個々の一つずつでは力が弱く、そしてしかも数が非常に多い、結束というものがなかなかできてこないということで、その弱みに乗ぜられて従来の外人バイヤーの買いたたきという事態が出てまいったわけであります。この問題につきましては、従来ともいろいろ――これは法律てどうこうするというのは不適当な問題だと思うのであります。したがいまして、これは業界の自覚を促すように行政指導もいたしてまいりましたし、あるいはまた、中小企業者自体がもっと強くなって、弱みにつけ込まれて値段を買いたたかれるという事態でございますので、たとえば、向こうがそれを買わないという事態があっても、ある程度の在庫を持ちながらその期間は自分がしのげる、それだけの資金力がついてまいればこれに対する抵抗力というものが漸次増していく。そうした資金面は、中小企業対策の一環としての金融政策をも通じまして、一方行政指導をいたし、業界の自主的な自覚の盛り上がりということを助成いたしますと同時に、政府といたしましても、でき得る限り資金面等の援助を通じまして、外人バイヤーの買いたたき対策に対応してまいるのが、決して一時的なものじゃなしに、終始永続して繰り返しこういった施策というものを続けてまいることが一番大切かと存じます。
  109. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまおっしゃるとおりだと思うのですが、結局自分のほうに金がないものですから、目先の金繰りに困りまして、いやだとわかっておっても向こうの要求に従っていく。非常に後進性もあれば、金の弱みもあるわけです。いまおっしゃいましたとおり、そういう面についてはわかっていらっしゃると思うのです。わかっておれば、ひとつ前向きにしっかりこれこそ資金の手当てをしてあげる。そのような日本の後進性というものを一掃していくというような気魄でめんどうを見てやるといまおっしゃったわけですか――そのように理解します。  それから外人バイヤーのブランドの問題でございますけれども、今回指定しようとする業種の中にも、そのような外人バイヤーのブランドがありますか。
  110. 後藤正記

    ○後藤政府委員 残念ながらそういうものがございます。たとえば、この業種指定ではございません特定貨物指定という法律の立て方になっておりますが、それの最有力候補、いま一番準備を完成いたしてこの法律の適用を受けようとする意欲の強い金属洋食器におきましてもわずか数%。たとえば燕の業者の中でも自分のブランドで売っておるものはわずか数%でございます。大部分、九〇%をこえるものが外人バイヤーのブランドあるいはブランドなしで売られておる。一例をあげますと、たとえば金属洋食器でスタンレー・ロジャーズ、STR、こういうマーク、あるいはナショナル・シルバー・カンパニー、NASCO、あるいはエコー、EKOプロダクツ、そういう燕の洋食器に外人バイヤーのマークをつけられて主としてアメリカ市場で売られておる。こういう事態を何とか克服して、自分自身の業界の、ほんとうに自分たちの持っている商標で、それに対する評価を得て売れるようにしていきたいというのがこの法案の主眼なんであります。
  111. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 わかりました。そうしますと、この外人バイヤーのブランドというものは、金属洋食器についてさえもそのように大きな部分を占めておるということでありますれば、これは日本全体の中小企業の製品で有力な商品では、相当のものが外人バイヤーのブランドをつけられておるということが察せられるわけですよね。これはお互いに、やはり日本の過去の取引の一つの形態としては、過渡期にあったでしょうけれども、もういまからは日本の商品を日本の優秀なこの統一商標でやっていくというきっかけをつくっていくわけでありますから、これを力を込めて今回やっていただきませんと、いつまでも後進性というものが抜けない。そうすると、日本の輸出中小企業者というものが、資金面とかそういう面でいつまでも一人立ちができない。たよっていくのが日本政府じゃなくて、外国人のバイヤーから要請されて、金まで借りて向こうとつながっているというような状態では、問題が起こったときにこれは非常に防ぎようのない、日本の一つの中小企業の貿易の弱体性というものが暴露されまして、収拾のつかない問題になるのだと心配いたします。この点は力を入れてしっかりお願いいたします。  それから海外市場の開拓だとかいう問題であります。日本の雑貨は対米輸出の依存度が非常に高いわけでありますが、先ほども言われましたとおりに、自主規制だとか、アメリカも困った企業に対しましては、やはりいろいろ防衛的な立場で、これはこちらは希望しませんけれども、一つ一つ向こうは輸入制限をしていく傾向が強くあります。そうしますと、市場の転換ということも必要でありましょうし、さらに高度化された商品というものが必要でありますが、海外市場の開拓、そういう面で、どのような方向でこの輸出中小企業の方向を考えていくか。対米依存のほうをどのように是正していくか。そのような指導というものはどのように今後なされるかという点であります。
  112. 後藤正記

    ○後藤政府委員 従来の日本の輸出の構造というものが、これは全般的に、中小企業製品のみならず、対米依存度が非常に強く現在まで推移してきたことはおっしゃるとおりでございます。まあ私どもが常識的に日本の輸出市場というものをすっと頭に思い浮かべますときに、まずその三〇%がアメリカ、あとの約三〇%が東南アジア、その残りの、まあ二〇%からそれくらいがヨーロッパからそれ以外の世界各国というのが、ずっとここ数年来の定型みたいな形になってきておるわけであります。特に中小企業関係の制品では、さらにこのアメリカ市場に対する依存度が非常に高い、こういうわけであります。しかしながら、日本の輸出規模が非常にふえてまいりました。それから同時にまた、そういった従来と同じような市場の依存度というものは、ある意味におきましては、日本の輸出自体に対する性格的な弱さというもの、たとえば一つの市場でそれが防遏されますと、そのためにたいへんに日本の国内産業までが大打撃を受けるという事態が出てまいります。したがいまして、輸出市場を日本経済の成長に伴って多角化して、そして従来あまり出ていなかったところへ市場を開拓していくということは、これからますます必要になってまいることだと存じます。  最近若干この傾向が数字的にも出てまいりまして、対米輸出の伸び率が鈍化をいたしてまいったのと対照的に、従来わりあいウエートの低かったヨーロッパのEEC諸国への輸出がふえ、あるいはさらにまた従来は一般的に広い地域に約三割というものが出ておりました東南アジア地域というものが、さらにきめこまかく一般的に拡充、安定化いたしてまいったという状況が、数字的に最近の傾向としてあらわれております。今後はさらに、従来非常にウェートの軽かった中南米市場、あるいはまたアフリカ市場、あるいはソ連圏、東欧市場というところにまでこれを多角化して、同時に、多角化することはやはり日本の輸出体質というものが強くなることであると考えますので、そういった方面に力を注いでまいりたい、かように考えます。
  113. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そのような方向をとるべきだと思いますが、それにつきましては、政府もでありますけれども、やはり何といってもジェトロがうんとそこには力をかしていかなくてはいけない、こう思うのです。でありますから、このジェトロの役目というものが、輸出中小企業にとってどのくらいの役目を果たしておるかという問題を聞きたいと思うのでありますけれども、海外において中小企業のためにどのくらい貿易取引のあっせんをしたか、海外市場の調査をどのようにしてくれたか、また中小企業の製品のPRをどのくらい海外でしてくれたかというような点で、このジェトロの役割りの中の実績ですね、そういう点をおわかりでございましょうか。
  114. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えをいたします。  ジェトロは、先ほどもお答えいたしましたとおりに、結果において中小企業関係に裨益することを主として海外事業を行なっておる、私どもはさように考えております。何となれば、非常に強い大メーカー、大商社というものは、自分自身に市場開拓力があり、調査機能があり、たとえば今度の統一商標法でもそうでありますが、大企業というものは自分自身で、その商標にしましても、自分のブランドを売り込む力を持っておるわけであります。したがいまして、こういったジェトロの現在の活動は、そのPR関係、あるいは調査関係、あるいは引き合い、あっせん関係、あるいは貿易相談の関係、その結果として、ほとんど中小企業というものに焦点が置かれて、独自では海外にPRできず、独自では調査できず、あるいは引き合い等もうまく意のように手が伸びない、そういった人たちに対するお助けをいたしつつ今日まで伸びてまいった、かように私は承知をいたしておるわけでございます。  実績といたしましては、ここにジェトロの海外事業一般に対する数字がございますが、たいへん詳細にわたりますので、ちょっと時間を取り過ぎる心配もございますので、後ほど……。
  115. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 取りまとめてわかりやすいようにして見せていただければけっこうです。
  116. 後藤正記

    ○後藤政府委員 さようにいたします。
  117. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまの点は、結局すべて外人バイヤーの問題であります。そして、これはほんとうに是正していかなくてはできない大きな問題でありますから、今後ともにしっかりお願いしたい、このように重ねて申しておきます。  次は統一商標でございますけれども、製品の検査と輸出検査、これは輸出検査一本でなされると聞いております。そうしますと、輸出検査に伴いまして不合格品が出やせぬか、こう思うわけです。その不合格品というものの販売があまり自由になされますと、外人の観光客が買って帰ったりいろいろしまして、案外せっかくのブランドで海外へ宣伝して、ある程度の値段で売れるというようになっておるものが、日本ではこういうものがこうなっておるという妙な逆の結果が出ては相なぬと思うのでありますけれども、そのところの調整といいますか、不合格品の国内販売という点でありますけれども、これをどのようにチェックしていくか。その点いかがでしょうか。まず不合格品はやはり相当出ますか。
  118. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えを申し上げます。  全般に、現在輸出検査法によりまして不合格が出てまいりますものは、私の記憶では三%ちょっとくらいのところかと存じます。ただ、統一商標法に基づきます検査と、それから輸出検査法に基づきます検査とは、これは申すまでもないことでありますが、そのレベルが違うわけであります。輸出検査法というのは、輸出品として外へ出してもいい、言うなればこういう最低基準をきめておるわけであります。ところが、この統一商標法におきましては、認定いたしました統一商標をつけてそれが海外に出ていって、これは優良品である。したがって、言うなれば安かろう悪かろうという感じじゃなしに、よかろう高かろうということばが適当かどうか存じませんが、そういうイメージをつくらせるための統一商標でございます。したがいまして、検査はおそらく現在輸出検査法に基づきます検査機関がこれをいたすことになるのがほとんどであると存じますが、そのレベル自体は違ってまいると存じます。したがいまして、これは申すまでもないことでございますが、統一商標法による検査に合格いたしましたものは、さらにそれよりレベルの低い輸出検査法の検査を受ける必要はございませんので、これは両方の検査は兼ねられるというわけになってまいります。したがいまして、まだこれは実施いたしておりませんので、はっきり教字はわれわれにも予測がつきかねますが、輸出検査法による検査の不合格率よりも、そうでないほうが望ましいのでありますが、あるいは統一商標法による検査の不合格率のほうが若干上回るのではないかというような予想もございます。しかしながら、また逆に考えますと、この統一商標を自分たちの商品につけて海外にそういった優良品を売り出し、そのイメージアップをはかって価格を上げていきたいという業界は、やはりそれだけの自覚をいたしてこの統一商標規定の認定ということを申請してまいるわけでありますから、逆にまた、そういった自覚がある業界ではそういう不合格品が出てくることがあるいは少ないかと、実はプラス、マイナス両方考えておるわけでございますが、ちょっと現在のところ予想がつきかねます。  そこで、御指摘のこの不合格品をどうするかという問題でありますが、従来の輸出検査法では、これは検査法による検査不合格になったものは、もう一度やり直しをいたしまして、そしてもう一度再検査を受ける、あるいはそのまま廃棄処分にしてしまう。かえってそのほうがコスト等で節約できるというのが大部分のようでございます。しかしながら、さらに輸出検査法よりももっと高いレベルでの統一商標法による検査不合格品というのは、外には出られなくても、国内で売っても差しつかえない、国内ではまだ買い手があるものが出てくる可能性が十分にあると思います。これは外国の立法例でございますが、私どもが模範といたしましたゾリンゲンのあの特別法では、国内、国外を通じてゾリンゲンのマークをつけるようにいたしておるわけであります。このたびの統一商標法によりましては、外向けの検査に合格したものだけにこれをつけさして、国内ではあるいはその不合格品が売られても、その辺についてはチェックはいたしていない、こういう事態になっております。これは、公権力によって輸出してはいかぬというのを国内の販売禁止にまで及ぼすというのは、公権力の過剰な行き方であるというように理解されますので、外向けのみをもっぱら対象として考えて、国内は自由な取引にまかせるという法の仕組みにいたしたわけでございますが、ただこれは法律でチェックいたさなくても、たとえば統一商標を使いたいという団体の構成員、あるいはその団体から統一商標使用の許諾を受けたアウトサイダー、これが使える人たちは、その統一商標権を持っておる団体と契約を結ぶわけであります。その契約において、そういうものを国内的にも流すな、もし誤って国外へ流出していくことによってその商品全体の声価を下げる場合があり得るというぐあいにその団体のほうで自覚が十分でありますと、その契約面を通じて私的なベースでこれがチェックされていく、かように考えております。
  119. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 結局その点は、いまのようにしっかり配慮していかないといけない、こう思う次第であります。  この統一商標規定の問題でありますけれども、これは特定貨物の品質の基準、こういうようなもののきめ方というものは非常にむずかしいと思うのです。これは聞きたかったのでありますけれども考え方というものは大体わかっていますから、あとでその基準というものは大体こうやるというものをお示しください。  次に、認定の基準というものもございますけれども、これも「通商産業省令で定める基準」、また「品質の基準が主務省令で定める基準に適合する」とか、このようなことがありますが、これもあとでよく伺うということにいたしましょう。  それから、統一商標の管理の方法でございますけれども、これも飛ばします。いろいろ考えていらっしゃられた政策で、出てくるそういうものをこのような基準でチェックしていこうというお考えもあろうと思いますから、これはしっかりおきめ願いたいと思います。  それから最後に、海外における統一商標の登録だとかその宣伝、だとかというものの予算の措置でございますけれども、外人バイヤーの問題もあります。今度は輸出中小企業の先端を切ってやっていく大きな問題でもありますから、この業者の負担というものをなくしまして、思い切って政府の予算でやっていくという考え方をとられたらどうか。  なお、業種というものが、特定貨物が漸次追加されていくわけでありますから、毎年毎年これは大きな予算に変わっていかなくちゃいけない。なおもう一つ言えば、中小企業の海外における宣伝費、こういうものはジェトロが、先ほど私申しましたけれども、どのくらい金を使っておるかです。そしてなかなか自分の自力でできない問題でありますから、政府がそういうものは肩がわりしてでも、中小企業の製品というものをうんと海外で宣伝をして、そして外人バイヤーのブランドをつけるとかなんとかいうことでなくて、そのPRによって、外人の日本商品に対する理解、そういうものを直接買ってみたいというような気持ちを起こさせまして、外人バイヤーのブランドを排撃していくということにもつながってまいりますので、予算面においても全額国が持つ、それから指定業種もどんどんふやしていくんだ、一般の中小企業の海外の宣伝も大いに積極的にやっていこう、このように、この問題につきましてはうんとうんと積極的な面を私は要望したい。その点局長考えを聞いて終わりたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。
  120. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  この法案に関連する予算といたしましては、実は昭和四十四年度分ですでに予算措置がとられておったわけでございますが、残念ながら四十四年度、先国会におきましてこれを提出するところまで私どもの準備が整いませんで、そして四十四年度予算はそのままお流れになったということでございます。四十五年度もこの法案のためにすでに予算措置は講じてございまして、まず……(松尾(信)委員「予算措置はわかってます」と呼ぶ)それでは、それは省略させていただきますが、この補助率が、あるいは海外宣伝費補助金におきましては二分の一だとか、海外展示会費補助金は四分の三とか、統一商標の外国出願費補助金は二分の一とかいうように、先先おっしゃいましたように、全額になっておりません。  ただしかし、これは全部国庫負担ということにするには若干問題点はあるかと存じます。と申し上げますことは、もともと統一商標というものを自分たちの商品につけて海外にそれを普及宣伝し、その販路を拡張いたしたい、こういうぐあいに考えるところば、これはやはり業界にそれだけの自覚と熱意というものが出てこなければならないわけであります。したがってこれが出してくるところはそれだけの熱意を持っておる。そしてまた海外にそういうものが宣伝され、そして声価が向上して販路が拡張するということによるメリットというものは予ての業界自体が受けるものでありまして、これはあまねく国民全般には広がらないものでございます。したがって、お気持ちは私もよくわかるわけでございますが、全額これを国家でまるがかえにするというのはいかがなものであろうか。これはかえって業界の、全額やってもらえるんだから、自分たちの心がまえ、準備というものができていなくても、ひとっこれを出してやってみようという安易な考え方を、かえって誘発するような事態もあるかと存じます。したがいまして、二分の一、四分の三という補助率というものは、これはいろいろ予算の折衝上、あるいは査定されたり、あるいは事務当局間で要望がそのまま通らなかったりしてこうきまったものでございますが、今後ともこれはなるべく御趣旨に沿いまして補助率は高めるようにしたい、私はかように考えておりますが、ただ全額まるまるということは、私は若干問題点があると考えております。
  121. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 先ほど申し上げました、ジェトロで海外における中小企業の宣伝費、その地域別の実績、そういうものが――政府としてはなかなかこれは直接やりがたいと思うのですよ。また政府が出す場合にも、全額という問題も、確かにいまおっしゃったとおりと思います。その率を上げていく、それはいいと思いますけれども、全額はなかなかむずかしいと思いますから、ジェトロの予算をこの海外の宣伝のためには今後思い切って使っていく。そしてこの統一商標だけじゃなくて、やはり海外のシェアを食うためにまたいろいろ考えていかなければいけない問題がいっぱいあると思いますから、それとあわせまして、ジェトロのその分と、将来、あなたのいまおっしゃった、うんとそれに力を入れていくという分とあわせまして、海外における日本の中小企業製品のPRをしっかりやっていただきたい。重ねて要望いたしまして、質問を終わります。よろしくお願いします。
  122. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 次回は、来たる十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会