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佐藤(一)
国務大臣 御存じのように、本
国土調査というものが取り上げられた経緯等にかんがみまして、従来どうも率直に言いますと、われわれこれを量と質と言っているのですが、量のほうに重点が傾き過ぎた。言いかえますと、
地籍調査というようなものにどちらかというと重点が置かれてきた。当初この
調査が取り上げられたときには、ちょうど人間に戸籍があるようにやはり
土地にも戸籍がほしい。ところが現在の
登記制度というものは、そういうものにこたえるには十分になっておらない。あるいはまた、それは
権利関係が中心であって、ほんとうの意味の人文、自然を通じての、全体のそうした
土地の本来の性質というものについての戸籍というものには当たらないというようなことで、結局人間の戸籍と同じような
土地の戸籍を持ちたいというようなことから、この
国土調査の思想というものがだんだん発展してきたと思うのです。その限りにおきまして、まずやはりこの
地籍調査というものがどちらかというと優先してまいりました。いま松尾さんの御
指摘になりましたような、ほんとうの意味の、たとえば
土地を質的に
調査をしていく、これはいわゆる
土地分類調査というものがこれを目がけておるわけであります。これが過去の実績に徴しましても必ずしも十分の実績をあげておりませんでした。いろいろとスタッフの
関係、財源の問題、従来の御存じのような経緯に照らして十分でなかった。今度新しく十カ年
計画を設け、そして再出発をするにあたりまして、われわれは、単なる量の拡大だけではだめだ、質の拡大をはからなければいかぬ、そういう意味で
土地分類調査というものに
相当の重点を置いていこう、これが今度の改正の
一つの要点になっております。そうして、こうした
土地分類調査というものを一応十二万平方
キロにわたって十分に行なうということになりますと、いま御
指摘のような
利用目的に沿ったところの
利用のしかたができるわけであります。元来が、まさしく御
指摘のように、いかなる
目的のために最適な
土地はどういうところであるかというような点に
利用し得るようにするのがこの
調査の本来の
目的であります。そういう意味で、今後適地適作ということにこれを大いに活用してもらわなければ私は意味がないと思うのです。どっちかというと、今日までそれができていなかったために十分取り上げられなかったわけでありまして、これはぜひ実現したい、こういうふうに
考えております。
それからもう
一つは、いわゆる天然資源のアンバランスの問題であります。これはまた御
指摘のように事実でございます。結局、これらの問題を、従来のように、一
市町村限りとか、そういう狭い視野でもって
調査資料として取り上げるとどうしてもいけない。これは、手段としては
市町村単位でやっておりますけれ
ども、その終局とするところは何も
市町村に限ることではない。これは
国土全体をいかにして有効に
利用するかというような見地から
調査をするのでございますから、われわれが言っておる、いわゆる全総
計画でもしばしば研究しております広域的な見地に立ってこれを取り上げる、そういうことによって初めてこの資源のアンバランスという問題にこたえ得る
調査ができるようになろうと思うのであります。われわれもつとめてそういうことを心がけてこの
調査を促進してまいりたい、こういうふうに
考えております。
それから最後に、いわゆるシラス地帯の引例がございましたが、
国土の保全の問題がございます。これはもうわれわれの生活、産業、あらゆるものの
基礎になるところの
国土の保全問題でございますから、実は最も基本的なものであります。われわれが
国土調査をする上において、そうした
国土保全の見地をまず最初に取り上げる。それが今日まで十分でございませんでした。その結果として、緊急的な
目的を達するために、シラス地帯であるとか、いわゆる傾斜地帯その他の特殊土壌地帯におけるところの特殊立法がずいぶんできておりまして、そういうものによっていわば緊急代用しておったわけであります。そういうものも、今後こういう
調査ができることになりますと、またずっと趣の変わった、中身のある立法が可能になるわけであります。そういう意味におきましても、
国土保全という見地からもぜひこれを取り上げていきたい。全総
計画においても非常にその点を重視しておるわけでありますから、
国土調査においてそうした趣旨に沿ってやってまいりたい、こういうふうに
考えております。