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1970-05-06 第63回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月六日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       小川 平二君    大久保武雄君       海部 俊樹君    神田  博君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    進藤 一馬君       田中 六助君    藤尾 正行君       山田 久就君    石川 次夫君       岡田 利春君    加藤 清二君       中井徳次郎君    中谷 鉄也君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    多田 時子君       松尾 信人君    川端 文夫君       吉田 泰造君    米原  昶君  出席政府委員         警察庁刑事局長 高松 敬治君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君         通商産業省鉱山         保安局長    橋本 徳男君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         消防庁長官   松島 五郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 佐原  亨君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     中西 正雄君         消防庁予防課長 永瀬  章君         参  考  人         (大阪ガス株式         会社社長)   西山  磐君         参  考  人         (大阪ガス株式         会社営業部次         長)      藤田 彰男君         参  考  人         (鉄建建設株式         会社社長)   大石 重成君         参  考  人         (鉄建建設株式         会社大阪支店         土木工事第二部         長)      金子 越郎君         参  考  人         (大阪交通局         長)      黒田 泰輔君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月六日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     加藤 清二君 同日  辞任         補欠選任   加藤 清二君     岡田 利春君     ――――――――――――― 四月二十八日  グレープフルーツ等貿易自由化計画検討に 関する請願足立篤郎紹介)(第四二八二号)  同(中村寅太紹介)(第四二八三号)  同外十件(塩崎潤紹介)(第四二八四号)  同外一件(高見三郎紹介)(第四二八五号)  同外一件(木部佳昭紹介)(第四四〇九号)  リンゴ等貿易自由化計画検討に関する請願  (笹山茂太郎紹介)(第四四一〇号)  霞ケ浦総合開発に関する請願赤城宗徳紹介)  (第四四一一号) 五月一日  グレープフルーツ等貿易自由化計画検討に  関する請願佐藤文生紹介)(第四五四一号)  同外五件(村上信二郎紹介)(第四七四八号)  リンゴ等貿易自由化計画検討に関する請願  (松澤雄藏紹介)(第四七四七号) 同月二日  グレープフルーツ等貿易自由化計画検討に  関する請願小坂善太郎紹介)(第五四一九号)  リンゴ等貿易自由化計画検討に関する請願  外三件(木村武雄紹介)(第五五八二号)  同外二件(松澤雄藏紹介)(第五五八三号) 同月四日  果実等輸入抑制に関する請願井出一太郎君  紹介)(第五九一一号)  同(小川平二紹介)(第五九一二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第五九一三号)  同(小坂善太郎紹介)(第五九一四号)  同(下平正一紹介)(第五九一五号)  同(中澤茂一紹介)(第五九一六号)  同(羽田孜紹介)(第五九一七号)  同(林百郎君紹介)(第五九一八号)  同(原茂紹介)(第五九一九号)  同(増田甲子七君紹介)(第五九二〇号)  同(松平忠久紹介)(第五九二一号)  同(向山一人紹介)(第五九二二号)  米国マフラー等輸入規制反対に関する請願外  一件(浦野幸男紹介)(第六一六三号)  同外一件(遠藤三郎紹介)(第六一六四号)  同外一件(小山長規紹介)(第六一六五号)  同外一件(福田一紹介)(第六一六六号)  同外一件(藤山愛一郎紹介)(第六一六七号)  米国繊維品輸入規制反対に関する請願(藤井  勝志君紹介)(第六一六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月四日  商品取引制度適正化に関する陳情書  (第三〇二号)  米国繊維製品輸入制限反対に関する陳情書  (第三〇三号)  特許法等の一部を改正する法律案に関する陳情  書  (第三五四号)  特許法等の一部を改正する法律案反対に関する  陳情書外一件  (第三五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公益事業に関する件(大阪ガス爆発事故問題)      ――――◇―――――
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  公益事業に関する件について調査を進めます。  本日は、大阪ガス爆発事故問題について、配付いたしました名簿のとおり参考人方々出席しておられます。  参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本日は本問題について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。  まず、御出席の各参考人方々から御意見を述べていただき、そのあと質疑を行なうことといたします。  それでは最初に、西山参考人にお願いいたします。
  3. 西山磐

    西山参考人 大阪瓦斯の社長西山磐でございます。  このたびの大事故によりましてまことに多くの人命を失い、また数多くの負傷者を出しまして、多数の家屋を焼失するという事態を招きまして、諸先生方をはじめ、世間の皆さまに非常な御迷惑をおかけしましたことはまことに申しわけないことでございまして、つつしんでおわびを申し上げます。特に多数のとうとい人命を損傷いたしましたことは、何にもまして痛恨のきわみでございまして、まことに申しわけなく存じております。おなくなりになりました方々には衷心から深く哀悼の意を表しまして、つつしんで御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷者方々の御快癒と被災者方々の御再起が一日も早からんことを切にお願いいたしまして、私どもとしましてはできるだけのことをいたしまして、御遺族をはじめ、被災者方々に対しましてお償いをいたしたいと考えておる次第でございます。  事故状況につきましては、すでに新聞紙上において詳しく報道されておりますので、ここでは省略させていただきまして、事故原因につきましては、現在進められております当局の御調査の結果を待ちたいと存じます。  次に、被災者に対する措置でございますが、被災者方々に対する補償につきましては、被災の実情に応じ、十分御納得いただけますように大阪市並びに鉄建建設さんと共同いたしまして、手厚く、しかも早期にお償い申し上げるという基本方針のもとに、大阪市御当局窓口といたしまして、私どもも、社員派遣をいたしまして、できる限りの手を尽くしておりますが、個々の金額の決定につきましては、私のほうといたしましては、市長の御指示に従うことにいたしております。すでに御案内のとおり、事故の翌日から、さっそく被災者に対するお見舞い金をお届けいたしますとともに、補償基準などにつきましても、私ども三当事者の最高責任者が同席いたしまして、被災者方々お話し合いを進めさせていただいておりますし、入院中の負傷者方々に対しましても、事故以来、当社社員昼夜を分かたず病院に待機いたさせまして、できる限りのお手伝いをさせていただいております。また、家屋等復旧につきましても、市御当局の御了解を得まして私どもとしても当社の手も出しまして、一日も早く復旧するようつとめております。今後とも、誠心誠意お償い申し上げまして、一日も早く皆さま方に御安心いただけますよう処置させていただく決意でございます。  次に、事故防止のための対策でございますが、まず事故原因を明確にするということが先決でございますが、このような事故がありますこと自体が、私どもガス事業者としての社会に対する基本的責務にかかわる重大な問題でございます。特に私といたしましては、かねがね事故防止こそ、会社の最重点施策といたしまして力を尽くしてまいりましただけに、深刻に反省をいたしまして、事故の翌日から直ちに設備の総点検を開始いたしますとともに、従来進めてまいりました保安施策のすべてにつきましても、考え方基本に立ち戻って全面的に再検討しなければならないということを決意いたしまして、全社をあげて保安強化を進めるべく、去る四月十四日に全社員にこの旨指示いたしまして、五月四日に保安強化策を決定いたしまして、直ちに実施する手段をとってまいりました。  時間の関係上、詳しくは申し上げられませんが、その骨子は、  第一に、将来の都市開発のテンポに合致した保安強化をはかるために、交通量増大の著しい路線につきましては、導管の入れかえを今日までやっておりますけれども、さらに促進をしてやるということが第一点でございます。  第二に、地下鉄工事をはじめ、その他地下街とか重要な第三者工事対策といたしましては、関係当局の御協力を得まして、できる限り導管の移設を行ないますとともに、移設できない個所につきましては、当社社員を常時立ち会いをさせまして、導管防護につきまして十分の点検を行なわせること。  次に第三には、万一事故が起こりました場合の緊急出動体制強化するということでございまして、指令センター本社に置きまして、緊急車あるいは工作車を増強いたしまして、昼夜にわたりましてパトロール強化すること。  さらに、従業員保安教育の徹底、市民方々への保安PR強化、あるいはガス検知器など保安に関する技術開発促進を強力に実施するなど、今回の大事故にかんがみまして、各方面にわたる保安施策を強力に推進することにいたしまして、今日この実施に移したわけでございます。  今回の事故によりまして、多大の御迷惑をおかけいたしましたことを、重ねて幾重にもおわび申し上げますとともに、今後は、事故防止のために、私が先頭に立ちまして、全社一丸となりまして、万全の保安対策を行なうことをお約束申し上げる次第でございます。  どうか、御了承いただきまして、本委員会先生方並び関係当局におかれましては、今後ともよろしく御指導御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  4. 八田貞義

    八田委員長 次に、大石参考人にお願いいたします。
  5. 大石重成

    大石参考人 私、鉄建建設社長大石でございます。  このたび大阪におきまして本社施工しております現場におきまして、御承知のようなガス爆発というような事故が起きまして、多数の方のお命を奪い、また多数の負傷者、また御被害をこうむらせましたことを深くおわび申し上げます。また、諸先生方におかれましては、国事多端なおりから現地を御視察いただきましたり、また本日はかような有意義な委員会をお開きいただきましたことを心からお礼を申し上げます。  ただいま西山社長からお話しいたしましたとおり、重複いたすところは省きますが、実は私のほうの現場状況を、あまり報道されておりませんので、一応御報告申し上げたいと存じます。  私どもで請け負っておりました区間は延長にいたしまして三百六十メーターでございますが、その間、途中の中間部分百二十六メーター地中物関係でまだ着工できませんので、東側の区間百十メーターと西側の区間七十メーター着工をしておる次第でございます。これも御契約いただきましたのは昨年の九月でございますが、実際に着工をいたしまして、いわゆる掘さくが始まりましたのは、今年の二月の末からでございます。さようなことで、私どもといたしましては、着工いたしまして、御承知のように覆工板道路面につくりまして、そうして徐々に掘さくを始めまして、予定といたしましては約十九メーター掘る予定になっておりますが、その間約三メーターほどただいま掘さくをしておる状態でございます。ちょうどガス管が出てまいりまして、これをつり下げるということをやっておるようなところでございます。そのつり下げ状態は、大阪市のほうからいわゆる参考図というものをお示しいただきまして、それにのっとりまして私のほうで設計図をつくりまして、御承認を得まして、その御承認を得ました図面によりまして、御監督のもとに施工をいたしておる次第でございます。つり金具をつけましてガス管をつりますと、私たちといたしましては、もちろんガスに対します知識もございませんし、また非常に危険物であることは重々存じておりますので、ガス管にはさわらないように、これに衝撃を与えないようにというような注意をいたしまして、施工をしておるような次第でございまして、ただいままでのところでは、いま申し上げましたように、約三メーターほどの掘さくができておりますので、もっぱら手掘りと申しまして、重機械を用いないで手で徐々に掘り下げておるというような状態でございます。そういうようなときに、御承知のように先月の八日の夕刻、ガス漏れがあった。これが大体の経過でございます。  実は、かような事故が起きましてから、鉄建建設である私のところの会社におきましてはもちろんでありますが、全建設業者地下鉄工事をただいまやっております全業者が、やはり各所においてほとんど同じような工法で施工しておりますので、いろいろと問題を起こしまして再びかようなことがあってはたいへんだということで、私たちも呼びかけまして、一社におきましてはまことに微力でございますので、全業者が集まりましてここにパトロール隊をつくりまして、全国地下鉄をまず安全をパトロールして歩こうということと、またもう一つは、そうしてもし何か気がついたことがあったならば、まことにお恥ずかしい話でありますけれども、一社においてはなかなか御当局並びに各方面に御意見を述べることも弱いので、業者全体が集まりまして一つ意見をまとめようじゃないかというようなことに議がなりまして、ただいまさっそく全国パトロールをしておるような次第でございまして、鉄建におきましてはもちろんでありますけれども、全建設業者が集まりまして、再びかようなことのないように努力をしておるような次第でございます。  また、被害をこうむられました方々に対しましては、先ほど西山社長からお話のありましたように、最初大阪市長さんが、最も公平な立場において、自分がすべてをまとめるから、それに対して従うようにというようなお話がございました。また原因責任というような問題は、ただいま御当局においてお調べ中でございますので、さようなことを被害を受けました方々に申すことなく、まず御被害を受けられました方々に対して十分なお慰めをする、そうして責任問題また費用の分担問題というものは、後に直接関係者においてやるようにするというような、まことにけっこうな御方針市長さんにおいて立てられまして、私たちも全面的にこの御趣旨に賛成をいたしまして、ただいま大阪市長さんが御中心になりまして、私たちももちろん全面的な御協力を申し上げておりますが、さようなことで補償問題その他につきまして努力をしておる次第でございます。  まことに簡単でございましたが、事件の概況並びに工事のあらましを御説明申し上げまして、私の御説明にいたします。  どうもありがとうございました。
  6. 八田貞義

    八田委員長 次に、黒田参考人にお願いいたします。
  7. 黒田泰輔

    黒田参考人 大阪交通局長黒田でございます。  去る四月八日、私どもが、建設を進めております二号線の地下鉄現場におきまして、たいへん大規模ガス爆発が起こりまして、多数の方々に多大の犠牲を払わせ、私どもとしましてはまことに申しわけのないことだと深くおわびを申し上げる次第でございます。それ以後、国会、政党並びに政府関係機関におかせられましては、非常に心配をしていただきまして、現地に御調査をいただくことたびたびでございます。私どもとしては深く反省をしておる次第でございます。  御案内いただいておりますように、本年の三月までに、都市再開発の最も有効な手段といたしまして建設を急ぎました結果、六十四キロの地下鉄が完成をいたしまして、市民、住民の皆さんに利便を与えており、今後もこれの建設促進をはかってまいらなければならない、かように考えておりましたやさき、いままでに体験し得なかった事故に逢着し、ここに多大の御心配をおかけしたわけでございます。  先ほど来大阪瓦欺社長鉄建建設社長さんから御報告がございましたが、事故の起こりましたときに、大阪市といたしましては、対策本部を直ちに設置しまして被災者皆さんの救援に当たったわけでございますが、その間、何ぶん規模が大きくて、被災者皆さんに必ずしも十分の措置をし得なかったことはまことに残念に思っておる次第でございますが、三者共同いたしましてできるだけの措置を進めたのでございます。翌九日に至りまして、三者の責任者が会合いたしまして、責任の問題はあとに回して、この際被災者皆さんに十分な措置をとることが先決問題である、こういうことで完全に意見の一致を見まして、その線に従って自後今日まで対策を進めてまいっておる次第でございます。  一方、同日市会民生保健交通水道常任委員会合同会議を開きまして、さような方針で今後進みたいということで市会協力を求め、さらに翌十日には市会全員協議会を開いていただきまして、市長より同様の要請をした次第でございます。その後、執行の強化をはかりますために、十一日には臨時職制といたしまして、臨時ガス爆発事故対策本部を設けまして、事故の処理に当たることといたした次第でございます。この体制のもとに、市が窓口となり、両会社も同席いたしまして、十七日には被災皆さんにお集まりいただいて、対策の大綱を御説明申し上げました。それから、なおかつ、遺族皆さんにはさらに丁重なる御説明を申し上げるべしということで、四月の二十六日には遺族の方のみ御集合いただきまして、その補償等について誠意をもって対処する旨、並びにその考え方について御説明を申し上げた次第でございます。その間、二十日の日には、死亡なさった方々に対しまして三者によって合同の葬儀を行なった次第でございます。死亡せられた方、あるいは病院に入られた方、それからまた家屋を全焼あるいは半焼された方々に対しましては、事故発生の翌日直ちに三者による御見舞い金を贈呈しながら、担当者をそれぞれきめまして、自後の措置について密接な連絡を保つように処置をいたした次第でございます。全焼された方々につきましては、いっとき旅館に収容しながら、仮設住宅建設を急いでおりましたが、この五月一日から、もとの家屋復旧ができるまでの間仮住まいをしていただくという措置もでき上がった次第でございまして、道路交通の問題につきましては、警察現場検証が十六日に終わりましたので、十七日から復興作業を行ないまして、二十二日に交通は開放せられている状態に至っております。  それから、家は四百軒余りについて被害を及ぼしておりましたが、本日に至るまでの間に、小さい程度の補修については完了いたしました。大きいものに目下取り組んでいる次第でございます。  なお、おくれましたが、入院患者方々の中には六カ月以上を要するという病状の方もおられますので、その中には専門的な治療を必要とする方々もおられますので、専門の先生を三者によってお招きして、診察の万全を期している現状にございます。  それから工事現場でございますが、かような事故が発生いたしましたので、本市の建設工事を総点検いたしまして、安全の確認を得た上で工事再開をいたしているのでございます。しかし地下鉄工事は、現在事故を起こしました二号線の間において三キロ程度、それから南のほう住之江という方向に向かって三キロ程度、合わせて六キロ程度建設中でございましたが、この工事につきましては、総点検を行ないまして後、目下関係先安全度を高める方法について協議もしながら現在検討をいたしておりますので、なお地下鉄工事再開はいたしておりません。これにつきましては、事故原因等もある程度関連いたしますので、先ほど申し述べました市の臨時職制でございます対策本部の中に、事故対策技術委員会というものを設けまして、現在検討を急いでいるわけでございますが、警察等の結論も出てまいることでございましょうし、また、政府関係機関からも御調査団の御派遣があったりいたしておりますので、それらともよく連携をしながら原因の究明を急いでいる次第でございます。今後十分の準備をいたしまして地下鉄工事再開をはかりたい、かように考えている次第でございます。  重ねて申し上げますが、多数の被災者、なお六カ月以上を要するという傷病者もおられますし、七十八名という尊い人命を失ったわけでございます。深く御冥福をお祈りいたしますとともに、一日も全快の早からんことを祈りながら、現在密接な連携をしてその対策も並行して推し進めている、かような現況にございます。  以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。     —————————————
  8. 八田貞義

    八田委員長 引き続き質疑に入ります。  申し出があります。順次これを許します。中谷鉄也君。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 四月八日の大阪ガス爆発事故調査のために、八田委員長を団長といたしまして、四月の十日の日に現地調査が行なわれました。私もその議員団の一員でございました。先ほどから三参考人、二社長、一局長お話を伺いながら、あらためて四月八日の大阪ガス爆発事故現場の悲惨さを思い出します。  本日お尋ねいたしたい点は多岐にわたります。たとえば、すでに本会議等において論議をされました高度経済成長政策あるいは都市過密化との関係において、この問題をどのようにとらえるかという問題、あるいはガス保安規制について、再び事故を繰り返すまいとして対策が講ぜられた板橋事故の経験がその後どのように生かされているかどうか等の問題さらに建設省運輸省労働省のそれぞれのかかえておられる保安対策事故防止対策等たくさんございます。     〔委員長退席鴨田委員長代理着席〕 しかし、質問者も多いようでございますので、私は質問を一点にしぼりたいと思いますが、ただ、最初から非常にきびしいことをお尋ねいたしまして、恐縮であります。また、若干参考人には礼を失することになるかもしれませんけれども参考人鉄建社長さんの先ほどのおことばで、がっかりもし、がく然もし、ある意味では私は非常な不安を感じました。これは明確にその点だけは申し上げておきたいと思います。速記録を詳しく拝見いたしません。私の聞き間違いであれば幸いでありまするけれども参考人のおことばの中に、恥ずかしいことだけれどもガスに対する知識鉄建としてはないのだ、それでさわらないようにしておったのだ、こういうふうなお話であります。ガスに対する知識がないならば、非常に極端なことを申し上げるようでありますけれども工事を請け負われなかったら私はよかったと思うのであります。一体そんな話を私は冒頭からお聞きしようとは思わなかった、きわめて遺憾であります。どういう趣旨でそういうことばがあったのかは質問を順次していく中でお答えをいただきたいと思います。  そこで、文書を三参考人にお開きをいただきたいと思うのでありますけれども、四十四年八月二十日付の大阪交通局長名でお出しになった「高速鉄道建設工事における埋設物保安業務の計画策定について(依頼)」、この文書と、いま一つは四十五年三月三十日付であろうかと思いますが、同じく「ガス管の懸吊について(依頼)」、この二つの文書を中心にして、私は原因についての若干のお尋ねをいたしたいと思います。  その前に交通局に対してお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども参考人に御多用のところおいでいただきまして、参考人に対していやな質問をする、そういうつもりは全然ございません。ただしかし、何としてでも原因の究明をするということが今後再び事故を繰り返さないための一番大事なこと、これは言うまでもないわけであります。交通局のほうから詳細な「ガス爆発事故概要」、昭和四十五年五月六日作成にかかる大阪市の書面をいただきました。1の(6)「事故原因」の項を先ほど拝見をいたしましたが、「ガスもれの原因については、現在調査が進められているが、」、とあります。技術委員会等をおつくりいただいたそうでありますけれどもガス漏れ原因について現在判明しているのはどんなことが原因なのか、この点について技術委員会調査の結果をひとつ中間的に私は御答弁をいただきたいと思うのであります。  三参考人に申し上げたいと思いますけれども警察が現に捜査中である、原因の究明をしておられるということであります。当然であります。しかし、警察調査、捜査というのは、言うてみれば結局刑事責任の所在の有無に限定されます。死んでしまった人がだれに刑事責任があるということは明確にされねばなりませんけれども、それだけで済むものではありません。刑事責任外の原因、技術的な原因、今後再び事故を繰り返さないための原因の究明というものは私は大事だと思う。事故は四月八日であります。本日は五月六日であります。この間において技術委員会として、ガス漏れ原因について、どの程度推定される原因を把握しておられるか、この点についてまず交通局長さんのほうからお答えいただきたい。
  10. 黒田泰輔

    黒田参考人 技術委員会につきましては、市役所内部の技術関係者を集めまして、現在、全体の会議を三回、専門小委員会を四回ほど開いておる状態でございますが、いろいろと、平生の監督体制、あるいは埋設物の図面が必ずしも平常から把握されていない、さような根本的な問題にもまたがりますので、このもの自体に取り組む部分といたしましては現在多くありませんが、概要的に申し上げますと、ガス管は、日ごろガス会社等の御説明を承っておりますと、かなりの強度をもってジョイントされておるということを承っておりますが、一つには今回の場所はきわめて地表に近いといいますか、そういうところを通っておるガス管でありますので、それらの問題が、埋設されておる状況と裸になりました場合とにどういう誤差が生ずることがあるかというようなことを、まだはかってはおりませんが、一つの問題として取り上げております。それからもう一つは、先ほど一般の御説明にも申し上げましたが、六十四キロ完成してまいりました過程におきましては、従来からつるという工作によってずっとやってきておったわけでございますが、そういうもので十分であるのかないのかということを、特に曲がり部分等について問題があるということで、二点をとらまえて検討をいたしておりますけれども、先ほど申しましたように、私どものほうも急ぎつつありますがまだ結論が出ていない、かような状態であります。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 事は、原因というのは究明された段階においては、当然民事、さらには刑事的な責任問題を生じてまいります。したがいまして、軽々に結論は出ないのかもしれませんけれども、そうすると、四月の八日に事故があったガス漏れ原因については現在調査が進められている。なぜガスが漏れたかについては不明だ。その点をわれわれは知りたいし、その点をきょうはこの程度まではわかったのだということをお聞きをいたしたかった。そうでないとすると、現にお立てになっておられるところの応急対策、緊急対策、これらの対策があるけれども、それはガス漏れ原因と非常に密接な関係があると私は思うのです。言うてみれば、大阪市にしろ東京都にしろ、望まないことではあるけれども原因警察調査を待っているのだ。大阪瓦斯の社長からもそんなお話があった。とにかく、鋭意みずからの企業の責任、市の責任において原因究明をやっていただかなければ、いつ再びこのような事故が起こる可能性があるかわからない。われわれはそういう不安な、危険な可能性の上に生活をせざるを得ない。これでは市民としては、都民としては、とにかく安穏な生活を送るわけにはいきません。そうすると、当面の緊急対策というのをお急ぎになって、本件についてのガス漏れ原因については、先ほどお答えいただいた以上にはお答えが出ないということになるのでしょうか。
  12. 黒田泰輔

    黒田参考人 おっしゃるように、ガス管のつなぎ目からガスが漏れたという推定はされておるのでございますが、それがどういう内容によってそうなったかという原因につきましては、やはり急ぎましても日時を要すると思います。したがいまして、当面防護を十二分といいますか、そういうような方策を立てて、自余の工事の安全を確保したい、かような考えで、分離をして一応考えてもみますけれども原因なるものがある段階まで明確にならなければ、やはり自信を持って防護対策というものも考え得ないので、そこら辺をかね合わして結論づけてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 先ほど二つの書類を御準備いただきたいということでお願いをいたしましたが、最初結論からお聞きをしておきます。  新聞の報道によりますと、手抜き工事だった、下請が仕様書を無視したのだ、ガス管を固定しなかった、それが捜査本部の追及でわかった、こういうことが報道されております。いま一つは、大阪瓦斯と市が監視を怠ったのだということが、これまたそれに関連して大きく報ぜられている。手抜き工事だった、やはり手抜き工事だったんだというふうなことは、まさに死んでしまった人にとっては浮かばれない話であります。この点については四月二十一日、四月二十二日等に新聞の報道がされておりまするが、その記事等については詳細にごらんをいただいていると思います。手抜き工事だったのかどうか、下請が契約どおりのことをやらなかったのかどうか、それを無視したのかどうか、大阪瓦斯と市は監視を怠ったというふうにされている、この点についてはどうなのかという点を国民は知りたいと思う。この点について各参考人から順次お答えをいただきたい。
  14. 西山磐

    西山参考人 お答えいたします。  四月八日、事故当日に、地下鉄現場当社パトロールが参っております。ところが、このパトロールは、大阪市との交換文書によります任務といたしましては、ガスの漏洩を検査するということで地下鉄現場に常に行っておるわけでございますが、当日も三時四十分から四時半まで、約一時間にわたりまして地下鉄現場パトロールいたしまして、ガスの漏洩はないということを確認をしてまいっております。  それで、ただいま先生から御指摘のありました継ぎ手部分は、当日の八日に地面にあらわれて、露出をしたのでございますので、私どもが推察いたしますと、このパトロールがこれを発見いたしましても、当日露出をしたばかりでございますので、これからやっていただけるものじゃなかろうかというふうに判断をしたものではあるまいか、こう考えております。
  15. 大石重成

    大石参考人 最初におしかりを受けました、私、知識はないと申し上げましたことについて御説明申し上げたいと思います。  私たちは専門的な知識がないということで、全国どこでもそうでございますが、ガス管をわれわれのほうでかってにいじったりしてはいけないということになっておりますことを、簡略と申しますか、ことば足らずで、舌足らずで申し上げましたので、まことに申しわけありませんでした。そういうことで、やはり専門のことは専門家にまかせなければいけないということになっておりますので、もちろん危険であるということは十分存じておりますけれども、しろうとがと申しますか、専門外の者がそういう非常な危険なものにかってなことをしてはいけないという御指示がございますので、またそういうことが事実でございましょうと思いますので、私たちといたしましては専門家にお願いをしておるという意味のことでございますので、御了承いただきたいと存じます。  それから手抜き工事というようなことが一時出たこともございますけれども、私のほうといたしましては、ただいままで現地調査いたしました結果、さようなものがなかったというふうに確信をしております。ただ、つり下げる間隔は二メートルが標準であるが、ある部分については一メートル五十のところもあり、二メートル以上のところもあるということでございますが、これは建造物の都合によりまして、つり下げるけたの据えつける位置、たとえばホッパーと申しまして、路上に掘さくいたしましたどろを積み出します穴がございますが、これが二メートルではできませんので、そういう区間につきましては、監督当局とよくお打ち合わせいたしまして設計を直しまして、御承認を得て、構造上だいじょうぶだというような御判断のもとにやっておりますので、手抜き工事という段階ではないものだと私は存じております。
  16. 黒田泰輔

    黒田参考人 いま鉄建社長がおっしゃいますように、七日の日に、現場建設業者立会のもとに私のほうの監督員がチェックをいたしております。それで、いま話のありました間隔のふぞろいの点を指摘いたしまして、後日手直しをされる予定でございました。後日というゆうちょうなような話でございますが、御案内のように、強度としましては一応ありますので……。しかし、仕様書に忠実にやっていただくということで、そういう打ち合わせをその際にしておるという事実がございます。  それから、当日、八日の作業内容でございますが、問題になります部分を懸垂を終わりましたのが、私らの調べでは八日の午後二時ということになっておりますが、そのとき、別途見えておるので時間がはっきりしませんが、その後やはり、先ほど瓦斯社長がおっしゃいましたように、パトロールが見えておるわけなんでございますが、そうして四時半ごろ一応そういうチェックの仕事がなくなった後、四、五十分しましてガスが漏れておるという状態が起こったわけでございますが、その間きわめて少ない時間でございますので、私どもも、その間に急激に起こる現象について、先ほども申しましたように、その調査をいたしておるような次第でございますが、時間的に言いますと、きわめて短時間に変化が起こった、こういうことが考えられると思います。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 実は先ほど、参考人にお忙しいところをおいでいただいて冒頭にガス知識云々という点について指摘をさせていただいたのは、御準備いただいた八月二十日付の文書の次の点なんです。この文書には次のようになっておりますね。「既設埋設物の保安業務について当局責任をもって、今後共これをおし進めますので、埋設物関係企業体各位におかれましては、公共工事としての重要性を考慮されて当局建設工事における既設埋設物の事故防止のための責任業務遂行に対し今後ともますます積極的なるご協力を頂けますようお願いいたします。」、こういう趣旨の文書が出ておりますね。ということは、この文書のようなことでいいのかどうか。こういうふうなことで今後の保安体制がいいのかどうかの問題については、あと公益事業局長にこの機会にお尋ねをしておきたいと思いますが、要するに保安体制については大阪市が責任を持つんです、そうなっておりますね。しかもそれを請け負われたところの鉄建の方のほうのお話では、ガスについてはおそろしいものだとわかっておる、しかし、さわっちゃいかぬということになっておる。ガスには触れまいとしておる。保安体制というものは私ども責任を持つのですよというふうに企業者がおっしゃっておる。責任を持つと言っておるところの企業者から請け負われたところの鉄建のほうは、ガスはこわいこわいと言っておられる。それでは一体だれがどうして責任を持つのか。責任の分散がある点に私はやはり問題があると思う。だれかが協力をすると同時に、第一次的な責任というものはやはり明確にしておいていただかなければ市民は安心ができないと思う。この文書については、これはいまになって実はガスについては知らないんだ、専門家じゃないんだということなら、私は、今後の保安体制のあり方としては、いろいろな問題あるでしょうけれどもガスの専門家が責任を持つとか、別の役所が責任を持つとかすべきだろうと思うのです。この文書を拝見した限りでは、大阪市が保安体制についての全責任をお持ちになるんだというようなかっこうになっておると思うのです。これらは、ことばのあやとしてこういう文書をお書きになっておられるのか、それともいわゆる企業者としての法律的責任の観点からこういうふうにお書きになって、そして、埋設物の関係者である関西電力であるとか、大阪瓦斯であるとか、あるいは水道その他に対して協力を求められている趣旨なのか、このあたりはいかがでございましょう。
  18. 黒田泰輔

    黒田参考人 三者非常に協力をいたしまして、この事故の対処のしかたなり、最終的には内部問題として責任の問題が起こると思いますので、そういう問題につきましても、お互いに責任をなすり合いをせずに、公正な審判のもとに反省すべきは反省していこうという態度で三者とも現在おるわけでございます。したがいまして、これから交通局長として私の考えておりましたことを、その当時の考え方といまの考え方とで申し上げたいと思うのでございますけれども、その当時、私は内容的にはそれ以前に、板橋事故当時からやっておった内容と別段内容的には変わっておりませんけれども、本省から指導もございましたので、それ以後に、昨年の八月、御指摘のありました照会文書をガスのほうへ提出をいたしておるわけであります。こういうことで工事施行中の保安業務に任じたい、かような文書、いま御指摘のございましたような文書でございますが、そうして翌月に、協力をしようというようなガス会社からの回答をいただいておるわけでございます。  その考え方でございますが、私はこの前もそういうことを申し上げまして、責任を回避するのかというような御反論があったわけでありますけれども、決してそういう意味はございません。打ち合わせをし、文書で照会をし、回答をもらった、その内容を責任をもって遂行する、こういうことで出した文書であります。その後にまたこの事故が起こりましてから反省もいたしておるわけでありますけれども、その辺にあるいはガス会社と私のほうに考え違いがあったのではないかというふうなことを反省しながら考えておる次第でございますが、ガスの供給管の全面的な保安業務というもの、これはやはりガス事業法に基づいてあるのでないかという考え方、そのうち、第三者工事として私ども工事をやります場合に、打ち合わせをした範囲は正確にこれを遂行する義務があるという、さような考え方、やはり当時考えておりましたことといまもあまり考え方に相違がないわけでございますが、一応の考え方を述べさせていただきました。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 私は、決してこの文書にこだわるわけでも何でもないわけだし、私の質問の趣旨は、あくまで再びこういう事故を繰り返したくはない。この委員会の先輩、同僚委員が一番落胆し、かつ衝撃を受けたのは、とにかく事業法が通過した日の事故です。とにかく委員長を中心として、事故防止保安対策については真剣な努力を当委員会はやってまいりました。その足元から鳥が飛び立つようなかっこうでこういう事故が起こった、しかもいまだかつてない大事故、これは非常に衝撃的なできごとです。そこで私はこのあたりの——各省、各関係者が一致協力をして事故防止をしなければならないということはもう当然のことです。ただしかし、そのことは反面責任の分散ということを生ずる可能性もある。だから一体この種の事故の第一義的な、第一次的な責任者はだれなのか。これはだから私は、大阪交通局の文章が当時のどんなお気持ちでお書きになったか、これはいまもうこの機会に私はお尋ねしないつもりです。これはどういうふうにも読めると思うし、普通に読めば、私のところが全部責任持ちますよと書いてある文章ですけれども、そのことは、はたして各関係法規との関係においてそうなのかどうかという問題もあるでしょうし、私はその点をお聞きしないけれども公益事業局長出席になっておられると思いますが、事業局長にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、こういう責任については、当然私は、社会的には共同責任というものが追及されねばならない、道義的にも社会的な責任というものは徹底的に追及されねばならないと思いますけれども、法律的な責任として、いろいろな場合があるでしょうけれども、第一義的には、一体この種工事の場合の責任というのは、この文章との関係を離れてひとつこの機会に見解を示していただきたいが、だれが持つことになるのでしょうか。公益事業局長のほうからひとつ若干の御答弁をいただきたい。
  20. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス事業法に基づきまして、ガス業者ガス工作物というものを一定の技術上の基準に適合するように保持する義務がございます。したがいまして、その導管が普通に埋設されておる、つまりガス業者の完全なる管理下に置かれている状態でありますときはもちろん、今回のように他工事によりましてガス導管が平生と異なる状態に置かれるという場合でございましても、そのガス工作物を安全に維持するという責任は、ガス事業法上ガス業者にあろうかと思っております。ただ、導管が掘り起こされておりますときに、普通の状態と違いますのは、平常時でございますと、そのガス導管は埋設されており、かつそれを見回わり、点検をして異常の有無をチェックするというのはガス業者の一義的な責任でございますけれども、この掘り起こされている状態、普通の状態と違いますので——それにはつり防護でありますとか、あるいは抜けどめでありますとか、いろいろな防護工事をしなければ、普通の状態と違うわけです。その工事をいたしまして、そういう状態におきましてもガス導管を安全に保つということにつきましては、ガス業者は自分でその工事をやる立場にはございませんので、その工事をやられる当局、事業者に対しまして、他工事業者に対しまして、しかじかのことを完全なる防護方法をやってもらいたいということは請求をいたしまして、かつ他工事業者はそれを誠実に履行していただく、こういうことで初めてその異常な状態におけるガス導管の安全が期せられる、かように考えるわけでございます。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 ガス事業法の、われわれが審議をいたしました考え方も、そのとおりだと思うのです。ただ、非常にむずかしい問題といいますか、が出てまいると思います。したがいまして、あとは先ほど御準備をいただいた書面に基づいてお尋ねをしていきたいと思います。  四十四年八月二十日付の、先ほどから申しております保安業務の計画策定についての依頼文書によりますると、「懸すい」という項が出ておりますですね。「部分掘さくして懸すい施工時期の連絡、立会について協議(建)」というのが出ておりますが、交通局のお仕事としてそういうことをおやりになる。「交通局係員による懸すい状況の検査」、要するに沈下とか、湾曲してないとか、曲がりなどの何かそういうことの測定、カッコして、「(特に重要なもの)」、こういうことになっております。そして埋設物企業体の関係においては「懸すい状態の確認」ということになっております。事実関係をいま一度確かめさせていただきたいと思いまするけれども交通局係員の方による懸垂状況の検査、これは一体いつおやりになったのか、先ほどお話がありましたけれども。そうして企業体のほうでは懸垂状態の確認というのをいつおやりになったのか。その間の時間的な関係はどうなっておるのか、この点について交通局のほうから御答弁をいただきたいと思います。
  22. 黒田泰輔

    黒田参考人 そこにございますように、鉄建建設が請け負って懸垂しておるわけでありますから、私ども監督員の監督基準といたしましては一種から四種まできめておりますけれども、三種に該当するということで懸垂の仕事はチェックをして回っておるわけでありますが、その内容は随時ということでございます。随時監督員が見回るということでございます。それで、一日じゅうこの工区には四名の監督員が張りつけてあるわけでございますが、それらが、夜間もございますので、必ずしも日中の出づらは四名そろうわけではございませんが、監督員に課せられた仕事をその人数で当たっておるわけでございますが、先ほど御答弁で申しましたように、七日は現にそこを建設業者とそこまでの出来高についてチェックをしておる。それから八日につきましては、午前に一応見て回ったということでございますが、必ずしも常時べったりおるわけではございませんので、その件は断続いたしておると思います。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 三月三十日付の書面によりますと、ガス管の懸垂についての依頼が出ておりまして、そして、先ほど新聞に報道されました手抜き工事があったのではないかといわれた「ガス管懸垂図」が別表として別紙添付されておりますね。  そこで先ほど一言お話があったのです。反省として、曲がり部分等についての措置を、防護等の措置を適切にすべきではなかっただろうかというふうに私お聞きしたわけですけれども、そうするとこれは、三月三十日というのはガス管の懸垂についての依頼があった。このときにはガス管というのは、これは私、全くしろうとの質問で恐縮ですけれども、地下に埋設されておるわけでございますね、三月三十日は。そうでございますね。そういう状態の中で、ガス管がその後四月の七日、掘さくによって宙づりの状態になる。そうすると、これはあらかじめ埋設されている状態を予想して別紙のような「ガス管懸吊図」というものをおつくりになる。そうすると、実際に何か、現に埋設されておるところの状態と、予想されたところの掘さくをしたらこういう状態ガス管が出てくるのですよという状態とは違う場合がある。そういう場合についての配慮というのはどの程度されていたのでしょうか。この点を私は一つお聞きしたいと思ったのです。あるいは私の質問は見当違いかもしれませんけれども、この点をお聞きしたい、三月三十日付では、要するに別表のように懸垂するので依頼する、こう出てきておって、そうしてその後、依頼があった後に工事がある。ガス管が出てくる。この図面と現実のガス管との違いがある、曲がった部分があるとか、そういうような場合には、一体どういうふうにするというふうなことの協定があったのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  24. 黒田泰輔

    黒田参考人 先ほど御質問のございました去年の八月の文書というものは、時期を異にし、あちこちの場所で地下鉄工事を行ないますので、ガス当局と全般的についての打ち合わせでございます。  それから、各路線において具体的に工事を行なう場合には、私どもの下部の組織にも建設事務所というものがございますが、その建設事務所がまた打ち合わせをするわけでありますが、この第四工区の事務所につきましては、毎月第三火曜日に、ガス会社のみならず、電電、水道等、埋設企業者交通局とが打ち合わせをすることにしておるわけであります。そしてそのときに、埋設の状況はこうなっておるとかいう図面もいただきながら工事を進めていくわけであります。  それで、いま御指摘の文書は、いよいよそれにかかりますそういう会議で、あらかじめ口頭では確認をされておることでありますけれども、それをさらに確認する意味において文書を三月末に出しております。それで実質的な話は、三月の十七日の会議関係先と連絡をしておるのが実態でございます。したがいまして、その文書につきましては、一般的につるという一般図面をつけて御承認をいただきたいという趣旨になっておるわけであります。  それで、いま御設定されました質問でございますが、そうして示されておる状態と実際掘ってまいりました状況が違った場合はどうするかということでございますが、違った場合は、やはり工事担当の者もその埋設企業者に申し出るべきでありましょうし、埋設企業者におきましても、実際の埋設状態と示した状態とが違えば、自発的にもその工事担当者に通知をいただくたてまえでなかろうかと考えますが、具体的に今回の場合は、いただきました図面と実際の埋設状況とは合致しておる場合と考えております。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 大阪大学の先生が「曲折部分のつり方が悪く、管が土中のときの状態とかなり違っていたのではないか」云々、こういうふうな趣旨の談話が出ておりますね。そうすると、もう一度お尋ねいたしますけれども、「ガス管懸吊図」に書かれてあるような、そういうふうな懸垂のされ方をおやりになった。先ほど鉄建さんのほうのお話では、一メートル五十のところもあったけれども——ちょっとことばをお濁しになったけれどもあとで同僚委員質問すると思いますが、三メートルとかなんとかおっしゃった。そういうところもあったということですが、そうすると、「ガス管懸吊図」のとおりにおやりになったということになるのか。そうすると、この屈折部分のつり方が悪かったというのは、図面のとおりやったけれどもそれが不適当だったということになるのかどうか。この点はどうなんでしょうか。
  26. 大石重成

    大石参考人 先ほど、スパンの少し大きくなっておると申し上げましたのは、この部分ではございません。工区全体のお話を申し上げまして、この曲がっております管に対しましては、規定どおりの懸垂をしておったということでございます。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 鉄建参考人にもう一度お尋ねいたしますけれども、伊藤教授は「曲折部分のつり方が悪く、管が土中のときの状態とかなり違っていたのではないか。わずかでもこれまでよりもきつくつったり、ゆるくつったりすると、管にひずみをもたらし」云々というふうにございますね。「工事関係者は、このように問題の多い曲折部分にもかかわらず管を宙に浮かす以前に接合部分に上下左右から鉄板で固める”引き抜け上め”など特別の補強をせず」、こういうふうに指摘をされておるわけでございますね。こういうことについての御反論はあるのでしょうか。ないのでしょうか。この点についてひとつお答えいただけませんか。
  28. 大石重成

    大石参考人 まことに弁解がましきことを申し上げますけれども、先ほども申し上げましたように、ガスにつきましては、つり方、たとえばそういうような問題がございますれば、設計図と申しますか、具体的に御指示をいただくということがいままでの習慣になっております。こちらで自分で判断をして適当にやるということは、いままでの例としてやらないことになっておりまして、先ほどもお話のありましたように、監督者の御検査またパトロールの方の御注意というものによりまして、こういうふうにやれということを詳細に指示をいただきまして施工いたしますのでございまして、私どもといたしましては、施工するまでに、つり金具についてこういうふうにつれ、ここはこういうふうにつれという指示はございましたが、いま先生お話のございましたように、そこを何かパッキンを当てて管を締めろというような御指示は、私どもはいただいておりませんです。また、そういうことは、管を直接私のほうで締めたりゆるめたりというようなことは、いままでの例としてやりませんし、その場合にもそういう御指示はいただいておりませんでした。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 十二時までで私、質問を終わることになっておりますので、あと同僚委員のほうから引き継いでいただきますけれども、そうすると、指示を受けていないのだ、この点は問題になりそうですね。指示を受けていないのだ——指示を受ける慣例になっているのだ。掘さく工事だけが進んでいく、そうですね。管がとにかく露出してくる。そのとき、そうすると、そこに時間の間が何時間かあれば、掘さくしたことが非常にあぶないことですね。自分のほうは、指示を受けなければ専門的な知識はないのだ、しかし掘さくだけはする、そして一般的には仕様書に基づいての懸垂はやるけれども、それ以上のことはしなければいかぬかどうかについてはそのあとの指示を待つのだ——掘さく工事だけが済んでしまって、あと、そういうふうな懸垂のやり方では非常に不十分だという場合だって、そのあと何時間か後、あるいは何日か後にきた、あるいは数時間後にきた指示を受けてやるということだとすると、工事をおまかせしておいていいのかどうか。結局、判断力がないとおっしゃるわけですね。また、そういう点については判断をする意思もないとおっしゃるわけですね。そういうことなら掘さくをされて裸にされること自体が非常にあぶないと思うのです。この点については、ひとつ同僚委員のほうから引き続いてやっていただきたいと思うのです。  そこで、最後に引き続いて二点だけまとめて質問をしておきます。  警察庁の保安部長さんにお尋ねをいたします。捜査はかなり難件だろうと思いますが、捜査の大体のめど、これはどういうふうにきょうは御答弁いただけるのか、これが一点です。  それから、運輸省の佐原さんには次のようなことをお尋ねしておきますが、地下鉄工事基本になる法律というのは軌道法でございますか、何なのでしょうか。何か法律としては大正十四年ごろの法のようでございますね。付属法規も持って参りましたけれども、地方鉄道法なのか一体何なのか、私その点よくわかりませんが、軌道法だとすると非常に古い法律といいますか、しかも付属政令、施行令等もはなはだ簡単なもの。こういうふうなことで、いわゆる総合的な対策ということとの関係はどうなるんだろうか。この点、見当違いかもしれませんけれども、ひとつお尋ねをしておきたい。保安部長さんからお答えいただきたいと思います。
  30. 高松敬治

    ○高松政府委員 現在まで関係者大体百名ぐらいからいろいろ事情を聞いております。それから、目撃者その他合わせますと大体四百人ぐらいの方々からいま事情を聞いて、なおこれを継続する予定にしております。それで、四月の十六日に大阪大学の伊藤冨雄教授に鑑定の嘱託をいたしました。私どもといたしましては、今後その事情の聴取とともに、この鑑定についての結果が出てくるということを待っているわけでございますが、何ぶんにも鑑定にはかなりの時間がかかるようでございまして、早急に結論を出したいと思って努力はいたしておりますけれども、いましばらく時間がかかるように思っております。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと局長にもう一点だけ。  四百人程度参考人をお調べになったというのですが、この種の事件としては当然といいますか、やむを得ない人間だと思いますが、そうすると、あとお呼びになる人数というのは、大体どのくらいになるんでしょうか。四百人というのは現在捜査の途中でのお話でございますね。  それから、なくなった人はやはり一日も早く事故原因を明確にしてもらいたい、そうでなければなくなった人は浮かばれないと、私は何べんも繰り返して申しました。伊藤鑑定人のお話では、鑑定結果は大体いつごろというようなお話なのか、いつごろからいつごろまでの間にはというふうなことなのか。あるいは警察としては、一日も早くということで依頼されたんでしょうけれども、そのあたりのめどですね。  それともう一つは、伊藤鑑定人というのは非常にりっぱな学者だと私、聞いておりますけれども、ほかの方には鑑定をさらに依頼するというようなことは、いまのところ考えておられないのか。伊藤鑑定人の鑑定結果待ちというふうにお伺いしてよろしいのかどうか。やはり私は警察の厳正かつ公正な捜査というものを国民は期待していると思うのです。こういう点、捜査の秘密にはわたらないことだと思いますので、ひとつお答えいただきたい。
  32. 高松敬治

    ○高松政府委員 これから調べてまいります人数といたしましては、そう大きく変化はないと思います。現在までいろんな建設会社ガス会社、あるいは交通局、その他の下請、それからリンクの請負業者その他を、ずっと一わたり大体聞くべきものは聞いたと思います。しかし、その間の供述の不符合なり、それらの方々についてさらに繰り返し事情を聴取して、そして真相をはっきりさせるということにさらに仕事が向かっていかざるを得ないと思います。  それから鑑定の問題につきましては、あそこの管の曲がっている部分、それから亀裂を生じた部分、これらを切断いたしまして、それを伊藤教授のところに持ってまいりまして鑑定を嘱託しております。それで、私どものほうといたしましても、そういう物件が一つでございますので、当面伊藤教授の鑑定で、ほかにいま鑑定をお願いするという気持ちは持っておりません。しばしば御指摘のように、これについての原因の究明あるいは刑事責任の究明ということを現地大阪府警本部でも非常に急いで考えておりますが、何ぶんにも技術的な問題が非常にからんでまいります。そういう意味で、この鑑定もあわせまして、そうして最終的結論を出していきたいということでございます。伊藤教授のほうの予定は明確でありませんけれども、技術的になかなか問題が多いようでございまして、いましばらく時間がかかる。私どもとしては、あるいは中間的な報告を何かいただければというふうな希望を持っておりますけれども、その辺のところは、いま必ずしも予定が立たないようでございます。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 では局長にもう一点だけ。  たいへん恐縮ですが、先ほどから私、あまり専門的なことで参考人に非常にきつい言い方をするのは避けたいと思って遠慮しておったわけですが、ただ問題になる点は、手抜き工事だったという点については捜査本部の追及でわかったというふうに新聞記事はなっておりますね。ですから私が聞きたいのは、とにかく手抜き工事だったのだろうというかっこうで参考人をつるし上げるというようなことは、私はあまりしたくないのです。ただしかし、捜査本部の追及でわかったと、ここにあるわけです。そうすると、これは捜査の過程、プロセスの問題ではありましょうけれども、先ほど鉄建参考人は、手抜き工事はなかったとおっしゃった。しかしその点について、捜査当局の追及の結果、手抜き工事だったということがわかったとあるわけですが、この点について局長の御見解はいかがでございましょうか。
  34. 高松敬治

    ○高松政府委員 先ほども若干参考人の方からも御説明がございましたようですが、仕様書と違っている部分が若干あるということは事実でございます。しかし、その仕様書と違っていることが、それがガス管がはずれる原因になったのかどうかということが問題でございます。どれがガスが漏れ出したことについての一番の原因であるかということの究明を現在やり、その点についての鑑定をお願いしている、こういうことでございます。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 要するに、問題だったというのは、そのあたりに捜査の重点があるということですね。
  36. 高松敬治

    ○高松政府委員 そういうことが原因になっているのかどうか、その前提として、工事がどのような形で行なわれているかということをいままで調べてまいったわけでございます。
  37. 佐原亨

    ○佐原説明員 お答えいたします。  今回事故を起こしました大阪地下鉄の根拠は、先生も御指摘のとおり軌道法でございます。軌道法によって特許を与えた路線でございます。先生これも御指摘のとおりに、軌道法というのは、原則的にはいわゆる路面電車を対象とする法規とわれわれ考えておりますので、付属法令その他も非常に簡単なものでございますが、もう一つ、鉄道の法規の根拠といたしまして地方鉄道法というのがございます。路面電車の実体を備えていない鉄道につきましては、この地方鉄道法関係の付属法令をほとんど全面的に準用しておりますので、規制内容としては、どちらの法律でいきましても大体同じになっている、こういうことでございます。
  38. 中谷鉄也

    中谷委員 私の時間が十分ほど超過しましたけれども、私がお聞きしたいのは、地方鉄道法の準用があることは承知しているのです。ただ軌道法は、先ほどから指摘しているように大正十年四月十四日ですね。法文等も、拝見いたしましても、はたして都市開発とか現在の社会の情勢に適合するのかどうか、そういう点については、運輸関係の問題についての知識ははなはだ浅いですけれども、そういう感じがするわけです。この点について、総合的な保安対策という観点から、軌道法、そうして軌道法が準用している地方鉄道法弊についての問題を検討する時期に来ているのではないかという観点の質問なんです。  これで終わります。
  39. 佐原亨

    ○佐原説明員 軌道法は大正十年でございます。それから地方鉄道法もそれに劣らぬ古い法律でございまして、時代感覚として非常に時代おくれであるという点は先生御指摘のとおりかもしれませんが、われわれといたしましては、客観情勢の進展に応じまして、その規制のしかたその他を逐次改正しつつ運用してまいっております。ただ、この際根本的に改める必要があるかどうかというような問題につきましては、慎重に検討いたしまして、より的確なものができ得るならば努力いたしたい、このように考えております。
  40. 鴨田宗一

  41. 中井徳次郎

    ○中井委員 いまいろいろ貴重な質疑応答がございまして、拝聴いたしておりましたが、私は大阪の近所の出身ではありますけれども、この間の爆発事件には現場に行ったことはございません。また、ガスのことにつきましては、ガスの使用者でございますけれども、生産者じゃございませんので、その辺のところをあまり詳しく知らないのでございますが、私はただ一点おもにお尋ねをいたしたいのは、ガス会社大阪瓦斯株式会社社長西山さんを中心に一、二お尋ねをいたしまして、関連をいたしまして、建設省の蓑輪道路局長、消防庁の松島君などにお尋ねをいたしたいと思うのであります。  非常に素朴な質問で恐縮でございますが、大阪瓦斯というのは、いまたしか神戸や京都なども合併をしておるのでしょうか、あるいは別の会社になっておりましょうか。その辺いかがでございましょう。
  42. 西山磐

    西山参考人 ただいま大阪瓦斯は、神戸、京都全部昭和二十年に合併をいたして、一体になっております。
  43. 中井徳次郎

    ○中井委員 それは戦前の合併ですか。戦後の合併ですか。
  44. 西山磐

    西山参考人 戦中の合併でございます。それから一部戦後がございましたですか。
  45. 中井徳次郎

    ○中井委員 それでお尋ねするのですが、どうもガス会社は東京瓦斯もずいぶん大きい。それから大阪もずいぶん大きいし、名古屋にも東邦瓦斯というのがありまして、これもずいぶん大きいのですが、少し大き過ぎはせぬか。そうしますと、神戸と大阪の間に、この間の事件のありましたガス管などは通っておりますのか。別になっておりますのか。この融通性はどうなっておりますか。この点をちょっとお答えをいただきたい。
  46. 西山磐

    西山参考人 京阪神は全部ガス管は連絡をしております。
  47. 中井徳次郎

    ○中井委員 戦中にできたというわけですね。戦中にできて、戦後そういうものをやめちゃったらいいというので分離をしたところもある。それはいまの南海電車だろうと思うのですが、そういうふうな観点から見まして、私はどうも東京のことはよく知りませんが、京都も神戸も一緒ですか。  そこで、この間ガス爆発事故が起こりましたが、あれは何でもバンと破裂をしたらしい。新聞の報ずるところによれば、みんな、どうもガス漏れがあるぞといってのぞいておったというのですからね。のぞいておったところが、バンと破裂をして、のぞいておった連中が吹き飛ばされた、こういうのです。ですから、ガス漏れがしてから破裂するまで何分間あったのか、それがまず第一。それから、爆発してからどんどん燃えておりました。私も東京でテレビで拝見したが、まだ燃えております、こういうのですが、これは何とかすぐにとめる方法はないのでしょうか。その辺のところを、ちょっと素朴な質問ですが、お尋ねいたします。
  48. 西山磐

    西山参考人 お答えいたします。  ガス漏れの通報を受けましたのが五時二十分でございまして、爆発は五時四十分、二十分後でございます。
  49. 中井徳次郎

    ○中井委員 とまりましたのは。
  50. 西山磐

    西山参考人 今度爆発いたしました地下鉄工事……
  51. 中井徳次郎

    ○中井委員 時間だけでけっこうです。
  52. 西山磐

    西山参考人 火災がとまりましたのは九時二十分ごろというふうに承知をしております。それから、ガスがとまりましたのは、三百ミリの中圧管と五百ミリの低圧管がございましたので、五百ミリの低圧管は少しおくれましたけれども、三百ミリの中圧管は約一時間後にとまっております。
  53. 中井徳次郎

    ○中井委員 正確に教えてください。六時四十分にとまったのですか、どうなんですか。
  54. 西山磐

    西山参考人 参考人として技術の藤田君を連れてきてまいっておりますので、藤田君から詳しくお答えをいたさせます。
  55. 藤田彰男

    ○藤田参考人 営業部次長の藤田でございます。  ただいまの御質問の件でございますが、爆発の時間としましては、私ども五時五十分ごろというふうに聞いております。先ほど申しました中庄の三百ミリにつきましては、約一時間でとめております。低圧五百ミリにつきましては、二十一時、九時三十七分というふうに聞いております。
  56. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体五時二十分にガス漏れがあって、この地図を見せてもらうと、天六の東のほう、都島のほうが漏れておる、くさいぞといってみんな見ておると、ボンと破裂したわけだな。吹き飛ばされてたいへんだったわけだ。それがいま聞くと、西山さんが、第一、十分ずつごまかしておる。営業部長は、破裂したのは五時五十分と言っておる。とまったのは六時四十分だが、ほんとうの五百ミリのやつは二十一時三十七分。五時から九時半まで燃えておったんです。何ですか、これは。五時から九時半まで——私の質問時間の五倍くらいだ、九時三十七分になるまで燃えておったというのは。これをどうしてとめるわけにいかなかったか。私の質問の趣意は、おなくなりになった方はお気の毒でありますし、あとのことは、ほんとうに丁重にお悔やみ申さねばならぬし、御遺族のことも当然でありまするが、先ほどからの御質問を伺っておるとそればかり。それが多い。将来こういうことをなくするにはどうするんだという積極策は目下研究中。目下研究中が最近大はやりでございまして、あなたのほうもそうでございました。さっきちょっと伺いますと、何か三つほど言われておりました。古いやつを新しいものに書きかえるというふうなことだとかなんとか言うておられましたが、そんなことじゃなくて、何かバルブでも、四百ミリというとどれくらいの太さになりますか。大体一尺五寸ですか。一尺五寸のガス管からどんどんガスが出る。それが燃えておる。それを四時間もとめるわけにはいかないとは一体何事でしょうか。私はその原因を伺っておきたい。
  57. 藤田彰男

    ○藤田参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  低圧五百ミリにつきましてはバルブがついてなかったわけでございます。皆さん方が御承知のように、低圧につきましては網の目のようにパイプがございますので、いわゆるバルブをつけるとなりますと、四つつじに四個ずつつけるというかっこうになりまして、場所的にも、また保守上にもいろいろ問題がございまして、一般的に世界的にも低圧にはつけてないのでございます。したがいまして、事故当日、私どもバッグと申しまして、ガスを遮断する風船のようなものでございますが、これのせん孔作業を行なうわけでございます。東側につきましては、幸いにも覆工板がございまして、その下でせん孔することができたわけでございます。西側につきましては、一般の道路をまず掘さくいたしまして、それから四インチ、百ミリでございますが、そのバックの穴をあけるという作業になりまして、いわゆる掘り方にも交代で一生懸命やらしたわけでございますが、掘り方に約一時間半ぐらいかかりまして、また、せん孔にも一時間半ぐらいかかったわけでございます。最後にパイプのほうも相当長時間燃えておりましたので、温度が上がっておりましたので、ガスといいますのは燃焼温度が大体千度ぐらいでございますが、これの着火温度と申しますと五百度ぐらいでございます。したがいまして、一挙にとめますと逆に火を引きましてバッグを飛ばすというおそれがございましたので、消防局さんといろいろお話をいたしまして、冷水をかけまして冷やすという作業に三十分ほどかかりまして、現在のように九時三十七分になったわけでございます。
  58. 中井徳次郎

    ○中井委員 お話の実態はよくわかりましたが、それでは将来とも、またこういうふうにガス漏れがあると同じことが起こるんですね。私は提案をいたしたいんだが、途中でバルブをどうしてつくらないのですか。諸外国でないから日本もやらないんだ、こう言いますけれども、それはアメリカやイギリスなんかと日本と建物の構造が違いますよ。ガスなんかでも、そんな浅いところへ埋めたりしていません。その辺のところはどうですか。一体、一キロに一カ所とか、あるいはさっきあなた、五百ミリなら四カ所要るんなら四カ所つくったらいい。一カ所つくるのにどれくらいの金がかかるのですか、承りたい。そうして、そういうものができるのかできないのか、それも承りたい。もちろん私は知っていますよ。ガスを一ぺんとめてしまえば、今度黙ってガスを開けば、方々の家はガスがそのまま出ますから、それは、とまったらみなとめるように、平生から皆さん会社の名前において、不意にガスがとまったら自分の家の各ガス管を締めてください、というふうな宣伝は必要でしょうが、それぐらいのことをやらなければ、いまの地下鉄工事——先ほどから大石君に聞いたら、あぶないからいらわぬとけというようなことで、鉄建建設というのは、郊外の鉄道やトンネルがおもでありますから、都会の中ではふなれであったじゃないかと思うのですけれども、それはそれといたしまして、どうしてそういう日本的なもので、一キロに一カ所とか、あるいは三キロに一カ所とか——それは技術的にいろいろ制限がありましょう。それから、さっきあなたのおっしゃるように、逆に爆発する。しかしガスは、本管がこう出ておるんですからね。出るところのほうがあたたかくなるという理屈は、私にはよくわかりませんけれども、私は専門屋じゃありませんから、これはあまり詳しいことは聞きませんけれども、どうも四時間も燃えておったということがさっぱりわかりません。どこかでそれをとめることかできないか。できないなら——本管はもう本部の大きなガスのタンクからも直通だ。さっき伺うと、京都へも行き神戸へも行っている。途中でほかにもそういうタンクもありましょう。融通もしておるでございましょう。それはわかりますが、そういうところをとめるところがないことには、おそらくあれは、ガス漏れがあるというのでみな上からのぞいておる。何か自動車がちょんとスパークしてもいかぬし、オートバイでもだめだし、マッチで火をつけたってバンといきます。ですから、どうもそういう面が、いまのような古い管を新しくしますとか、りっぱなじょうぶなものにしますとか、それならそれで百年持つとか五十年持つとか、はっきりしたものにしなければいけないし、バランスの関係等をはたしてお考えになっておるのかおらぬのか、その辺のところを伺いたいのでございます。
  59. 藤田彰男

    ○藤田参考人 お答えさせていただきます。  最初に私ども西山社長から、今後の対策という点でも若干触れておったわけでございますが、今度の事故にかんがみまして、当社といたしまして、こういう大工事の覆工板下の工事の場合には、必ず移設をまず最初に考える、パイプの場所を移すということをまず考える、どうしてもそれができない場合にはバルブをつけるということで、至急にそういう処置ができるような対策を今後はもうやっていきたいと考えております。
  60. 中井徳次郎

    ○中井委員 西山さんにお尋ねしたいのだが、そういうところへバルブをつけるというなら、さっきどうして言わなかったのですか。最初の三カ条の中に入っていなかったんですよ。一カ所つくるのにどれぐらいの経費がかかるのか。それからあなたは、京都、大阪、神戸と三つもやっておるというから、どれぐらいかかるのですか。ひとつ社長に聞きたい。
  61. 西山磐

    西山参考人 費用のほうは私ちょっと存じませんので、これは藤田君に答えさせていただきますが、ただいま藤田参考人が申し上げましたように、この第三者工事の場合に、地下鉄とかあるいは地下街とかいったような場合に、私、冒頭に申し上げましたように、まず協議を申し上げて、鉄管を移設をするということを御協議するわけでございますが、それで、いろいろ仮設だとか仮移設だとか、あるいはガスの遮断のできないような場合は、先ほども藤田参考人が申し上げましたように、その工事期間中、緊急遮断バルブを臨時につけるというふうにいたしたいと思いまして、さような方法をとることにいたしております。そうしますと、先ほど先生御指摘のありましたように、長い間ガスが燃えるというようなことはないわけでございますので、さような方法をとらしていただきたいというふうに考えております。
  62. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういうことじゃなくて、あなたの全地域内においてバルブをつけたらどうですか。五百メートルごとに一カ所とか、四百メートルごとに一カ所とか、それは計算で出るでしょうし、緊急につくることを考えたらどうなんでしょうか。  それから、金のことを知りませんと言われるが、あなたは社長じゃないですか。私が申し上げておるのは、やはり経済効果との関連においてものごとをお考えにならぬとできないだろうと思うのですが、こんなに百人近い人がなくなられるということは——これは済んだことを私は言っているのではございませんよ。将来そういうことがあっては困りますから、ガス会社としてはいま何とか先手を打ってやるべきである。特に東京、大阪、京阪神、この三者は思い切ってそういう施設をやるべきである。地下鉄はいま六十四キロになったと、さっきも大阪交通局長が言っておりましたが、将来はこの三倍ぐらいになるでありましょう。そうすると、そういうことはきっと至るところに起こってくる。特に大阪は地盤沈下でゼロメートル地帯みたいなところがたくさんある。非常に危険だと私は判断をいたしておりますからお尋ねするのでありますが、いかがでございますか、もう一度重ねてお尋ねいたします。
  63. 藤田彰男

    ○藤田参考人 お答えさせていただきます。  私どものほうのパイプラインには、高圧、中圧ラインにはバルブはついておるわけでございますが、低圧につきましては、最初にもちょっとお話し申しましたとおり、四つつじごとにバルブをつけませんとその機能が発揮できないわけでございます。私ども大阪市をたとえますと、そういうふうにバルブの取りつけをいたしますと、約三十万個ほど取りつけなければならないということになるわけでございます。現在のように都市の過密化と申しますか、地下のほうも過密化が大でございまして、あらゆる場所にそれを取りつけるということにも問題があるわけでございます。さらにマンホールをつくりましてバルブの開閉操作を自由にできるようにしなければならないわけでございますが、従来からも私どもバルブを高中圧にはつけておるわけでございます。またそれと同じように水取り機等、いわゆる路上のほうまでいろんな設備がございますが、いままで他社工事でそういうものの損傷というのが一番多うございまして、それによるガスの漏洩ということがございまして、三十万個、これは京阪神にいたしますと五十万から六十万ということになるわけでございますが、そういうまた別の意味での不安と申しますか、そういうものの発生の頻度が増すということで、私どもとしましては、低圧にはまだつけてないわけでございます。  先ほど御質問ございました金額の点でございますが、これは大きさによりましていろいろ金額が変わってまいるわけでございますが、小さいもので大体十万円から二十万円、大きくなりますともっと高くなると思いますが、正確にはまた後ほど調べたいと思います。
  64. 中井徳次郎

    ○中井委員 十万円、二十万円なら、一万つくったら二十億だ。これはたいした金額じゃありませんな。  それから、高圧は三百ミリだが低圧は五百ミリ、その九時三十七分まで燃えておったのは大きいのですね。ですからこれは、たとえば四つつじで四つ要るなら四つつくったらいい。二十万円なら八十万円でいいのだ。そういうことは何か思い切ったことをやる段階に入っている。  特にこれは申し上げたいのですが、大阪だけじゃありません。東京瓦斯の江東地区なんか、一体どうするつもりだろうと私はほんとうにおそれますよ。ですから、もっとこういうことについて徹底的な合理的なことをひとつ考えて、金がなければ政府に補助でも申請しなさい。あなたのところは公益会社だから、あまり高い配当はできないとか、いろんな制限があることもちゃんと私は知っておりますから、そんなものは逆に補助を取ったらいいのだ。あんな悲惨なことはない。まだ現に中で蒸し焼きになっておるらしい。それを全国のテレビに出しておるという。出すほうも出すほうだとぼくは思うのだけれども、近ごろのそういうテレビの活動についても私は意見を持っておる一人でございます。あんまり悲惨なことを出し過ぎるということについても一つ意見を持っていますが、これは別の機会で申し上げたいのでありますけれども、どうですか、そういうふうなことにもっと積極的に取り組んでいただけぬものか、西山さんにひとつ最後に社長として、徹底した対策をお願いしたいと思いまするので、心境をお聞かせいただきたいと思います。
  65. 西山磐

    西山参考人 いろいろ御指摘をいただきまして、まことに私ども感謝にたえませんでございますが、冒頭にも申し上げましたように、今回、事故防止対策につきましては、いわゆる保安強化策というものを策定いたしまして、それで保安の業務だけを専門に行なうという部をつくりまして、人員の配置転換等も、百七十名ぐらいでございますが、そういうものを行ないましてすでに発足をいたしております。  そして金の面でございますが、現に四十五年度の予算は組んでおりますけれども、それをさらに組み直しまして、予算を追加するとか、あるいはまた現に組んでおりますのを繰り延べをして保安強化策に回すとかいうような策をとりまして、徹底的にやるつもりでございますので、いろいろ御批判もございましょうけれども、ひとつ今後ともよろしく御鞭撻くださいますようにお願い申し上げたいと思います。
  66. 中井徳次郎

    ○中井委員 これで私は西山さんに対する質問を終わりますが、とにかく、もう一ぺんあんなことは起らへんやろうというような考え方、これほど恐ろしいものはありませんから、念には念を入れてぜひひとつお願いしたい。  それから、名古屋は道路がいいですから、そう心配要らぬ。新興都市でもありますが、特に東京の江東地区から隅田川の両岸は非常に危険でありまするから、これは政府のほうかもしれませんが、公益事業局長馬場君がいま来ておりますから、よく聞いておいてもらいたいと思います。  最後に建設省の蓑輪君にお尋ねをするのであります。かつて河野一郎さんが建設大臣のときに、共同溝をつくれという話がずいぶんありまして、いまでもそういうことを言う人が多いです。私も言い出しべの一人でございましたが、こんなガス爆発みたいなものが起こりますと、共同溝もよし悪しで、このために電話はとまってしまうわ、水道は破裂をするわ、もうむちゃくちゃになって、共同溝どころじゃないのだ。こういうこともひとつ研究してもらいたい、私はそう思います。ガス、電気、これは共同溝もよし悪し、電信電話もそうでございます。ですから、こういう点について私は建設省の蓑輪君の見解をちょっと伺っておきたいのと、それからもう一つ、さっき鉄建建設株式会社大石君、新幹線をつくっておった人だと思うのですが、この大石君は、鉄建建設といえばいい会社で、このごろ盛んに隆々とやっておられるのですが、都市内のこういう複雑な工事をお引き受けになるにはまだ少し若過ぎるのじゃないのかという、はなはだどうも僣越かつなまいきな言い分でありまするが、そんな感じさえいたします。ガスが漏れるのは五時二十分で、爆発が四十分ですから、二十分ほっておいたわけだ。くさいぞ、くさいぞと言って見ておったというふうなことでありますが、この辺のところについての建設省の道路局長の見解を伺っておきたいと思います。
  67. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま先生お話しになりました共同溝につきまして、これは実は道路で、地下に入っております水道、ガス、電気、その他の掘り返しが非常にてんでんばらばらになる、しょっちゅう道路を掘り返しているというような現状もございまして、共同溝を早く完成させたいということで共同溝の整備の特別の立法をしたわけでございます。その後現在までにできておりますのは、四十四年度末で二十五・九キロ、四十五年度末で全国で三十九・六キロが完成する予定でございます。ただ、この共同溝につきましては、ガス管をこの中に入れるという問題につきまして、これは共同溝の建設には国も金を出しますが、公益企業者のほうで、それによる将来の掘り返しが相当なくなるという受益の分の御負担を願っておるわけでございまして、ガス会社といたしましては相当将来の掘り返しの分までの先行投資をしなければならないという点がございます。そういう点が、いまの共同溝の実績を見ますと、電気、水道、電話、この辺は非常に入っておりますが、ガスについてはまだその先行投資の分をなかなか出せないという事情もございます。  もう一つの事情は、そういう共同溝の中でガスで漏れたときに、これに対する保安の施設が、これならばだいじょうぶだというところまでまだいっておりません。外国ではやはり共同溝の中でガス爆発した例もございますので、そういう保安の施設を相当検討しなければいかぬと思います。ただ、私たち、幹線につきましては、ガスにつきましても保安施設を今後十分検討して、できるだけ共同溝の中に入れていく。そのために必要ならば公益企業者に国が特定の融資をするというようなことまでやっても、やはり共同溝に入れるべきではないかというように考えておりますので、そういう方向で今後共同溝の建設のほうを推進してまいりたいというふうに考えております。
  68. 中井徳次郎

    ○中井委員 よくわかりました。慎重の上にも慎重を期して、ひとつ将来とも共同溝のことについてはお願いをいたします。私も少し疑問になりましたから、いまお尋ねをしたのであります。しかしながら、あなたのおっしゃるのと同じように、いま東京や大阪は一年じゅうどこかを掘り返しておりまして、休むひまなし、こういうことでございまするから、ごもっともな御意見だろうと思いますが、ガスにつきましては特にそういう留意をお願いをいたしたいと思います。  最後に、松島さんにお願いするのですけれども、こういう事件があると消防も実際お手上げという意味じゃないが、何とも手の打ちようがないということになって、科学消防というか、三時間も燃え続けておるものを消防庁がとめるというふうな、そういう機械とか、そういった便法はないでしょうか。これは私はあなたにお尋ねするのだが、御研究になっていると思いますが、なっていればその範囲でお知らせをいただきたいと思います。
  69. 松島五郎

    ○松島政府委員 お尋ねの点まことにごもっともでございまして、通常の油火災というような場合につきましての消火方法等につきましては、いろいろ新しい薬剤の開発等も研究いたしております。ガスにつきましても、消すことだけを中心に考えますならば、そういう方法も絶対ないわけではないのでございますが、ただガスの場合は、御承知のとおり漏れている限りは消すことが必ずしも安全ではございません。ガスがどんどん出ているときに火を消しますと、再び空気中に拡散をして爆発を起こすという問題がございます。そういう場合にはむしろ——ちょうどガスこんろから出ておりますガスに火をつけておく限り安全だというのと同じ原理で、燃える場所を限定して燃やし続けるほうがかえって安全だという場合もあるわけでございます。したがいまして、ガスが漏れているからすぐ消してしまうということは、この際には必ずしも安全でございませんので、そういった面も考えなければならないというふうに考えております。
  70. 中井徳次郎

    ○中井委員 簡単にお尋ねをいたしまして、これでやめますが、最後に社長さんにお願いをしておきますが、先ほどの御説明によりますと、これはやはりバルブをもう少しふやしたほうがよさそうだな。うしろの藤田彰男君のお話もありましたが、少々経費はかかるでありましょうけれども、それはそれといたしまして、私は国民の一人として、あの爆発事故を見ておりまして、とにかく五時から九時何分まで、まだ消防車も消防士も入れませんとかなんだとかいうことをやっておるのを見て、非常に胸を打たれましたので、一万何千個か要るというようなお話もありましたが、何ぼあってもけっこうです。ガスの口はもっと多いと思いますが、大きな会社で関西一円を制覇しておられる、こういうことでございますから、もっと積極的にこの方面のことをやっていただきたい。  最後に、何でも承るところによると、このガス管の正確な地図がないというふうなことを聞いて実は驚いちゃったのですが、これは戦災の復興のどさくさもありましょうし、戦争でいろんな事件もあったからでもありましょうし、これまでの過ぎたことを問うのは私はあまり好きじゃありませんが、もしそういうことがほんとうでありましたならば、将来にわたりまして、さっそく詳細な地図をつくってもらいたい。それは神戸はもとよりであり、京都ももとよりであり、日本全体についてお願いをいたしたいと思うのですが、西山さんのその辺に対する御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  71. 西山磐

    西山参考人 いろいろ御注意をいただいたのでございますが、地図につきましては、個々の地図はあるのでございます。ところが、その後道路の地形なんかが変わりまして、導管を埋めてある場所が一見して、幾つも入っております場合に見えない、わからないというようなことがございますので、今年じゅうに航空写真をとりまして、大阪市内だけはそれを一覧できるような地図をつくるということを考えております。それからあと二年ぐらいいたしまして、京阪神全部にまたがる航空写真をとりまして地図を整備するということでございます。  なお、先ほど御指摘のございましたバルブの点につきましても、先ほど藤田参考人が申し上げましたのは、大阪市内に全部つければ三十万個ぐらい要るということを言うております。しかし、これは金の面は別にいたしまして、交通事情とか、いろんな大阪市の再開発をしておるテンポにかえってじゃまをするというようなことになりますので、これは非常に困難と思います。しかしながら、先生御指摘がありましたように、低圧管につきましても輸送管というのがございます。それにつきましては、先生御指摘のように、近い距離にバルブをつけるというように方針を指示しておりますので、これからはさようになるかと思います。ひとつ御了承をお願いいたします。
  72. 中井徳次郎

    ○中井委員 三十万個という話を聞きましたので、えらい数だなとお考えだろうと思うが、私はそうは思っておりません。小さいところもあるし、大きなバルブもありましょうし、各戸へ入るものはバルブはみんなついております。ですから金額としてもそうたいしたことはない。ただ工事はたいへんでしょう。それから地図も、大阪はことしだが、京都と神戸は来年と再来年でと、そんなのんきなことをおっしゃらずに、もっとどんどんやっていただくことを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  73. 鴨田宗一

    鴨田委員長代理 左藤恵君。
  74. 左藤恵

    左藤委員 本日、参考人方々には、非常にお忙しい中この委員会の審議に御参加くださいましたことを、まずお礼を申し上げたいと思います。  私は、ただいま中谷委員からいろいろと御質問がございましたように、他工事の場合のガス導管を露出したときのいろいろなむずかしい責任論の問題につきまして、これは、現在司法当局調査されてくる結果によりましてその責任の帰趨が明らかになってくる、このように思うわけでありますけれども、今後このような悲惨な大惨事を二度と起こさないためにも、この問題の究明というものはまた別の見地から必要であろう、このように思うわけでございます。     〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、いままでのお話をいろいろ伺っておりまして私が感じます点は、他工事を進めてまいりますときのガス導管措置につきまして、交通局あるいはその請負業者ガス会社に対しますいろいろな協力要請、こういった関係につきまして部分的に工事に特殊な配慮をしなければならないというケースがケース・バイ・ケースで出てくることもあろうと思います。先ほど鉄建社長さんは、ガスは非常にこわいものであるというお話がございましたけれどもガス事業の特殊性から出てくる配慮を、技術的に特別にしなければならない問題がたくさんあろうと思います。そこで、こういった問題につきまして、協力要請とか仕様書の中身の問題を考えました場合でも、こういった場合には技術者を必ず立会させなければならないとかいうようなことを最初から取りきめておく必要があるのじゃなかろうか。抽象的に、たとえば自主検査をするとか、あるいは別にパトロールするとか、あるいは連絡会議でやるとかいうふうなことをやりましても、たとえばそれが一カ月に一回というふうなことであれば、どんどん工事が進んでいく段階におきまして出てくる問題についての十分な責任の所在というものがはっきりしないのではないか。そういった点で、こういった場合には必ず責任が立会するとかいうような配意が必要じゃないか、このように思うわけであります。  そこで、大阪市の交通局長さんに伺いたいのでありますが、工事の仕様書なんかにつきまして、従来、これは土木工事の技術上当然常識だとか慣例だとかいうようなことで、別にそう感じられなかった点であって、そういったことが仕様書に明記されていない問題でありましても、今後こういった問題を起こさないためにも、工事請負の責任をはっきりさせるために仕様書に明記する必要があるのじゃなかろうか、このように思うわけであります。  たとえば、こういったことはこまかく書いてあるかどうか、私も詳細調べておりませんけれども、懸垂の作業をいたします場合に、懸垂の鋼線を通す部分、これだけをまず手掘りで土を除きまして、そのほかの部分は土に埋まったまま懸垂する、完全に懸垂が終わってから間の部分の土を除く、こういうようなことは常識なんでありましょうけれども、この点については仕様書に書いてないと思うのでありますが、こういった点もはっきりと書いておくべきじゃないか、このように思うわけでありますが、この点についての御所見をまず伺っておきたいと思います。
  75. 黒田泰輔

    黒田参考人 懸垂の具体的工事の進め方の問題でございますが、御指摘のように、懸垂をして防護するのだということは請負契約の中にございますけれども、具体的な方法につきましては、慣行といたしまして、管の背中の部分が出ました時期に、私どもタヌキ掘りと呼んでおりますけれども、懸垂する位置のみ掘りまして、ベルトを回して、そして上に緊縛してから他の土をのけていく、実際のやり方としてはこういうことでやっておりますけれども、御指摘のように、請負契約上そこまで明確にはなっておらなかったわけでございます。冒頭にもおっしゃいましたように、土木工事につきましてはそのつど協議していくというような部分がある程度あるものでありますから、今後はできるだけ具体的、内容的に詰めて、なお、応変な措置を要すべき問題についてはそのつど協議するというようなことで、できるだけ明確にしていかなければならないと考えております。
  76. 左藤恵

    左藤委員 技術者を立会させる、そういったことについても明記する必要があるという点についての御答弁はなかったと思いますが、その点についてはいかがですか。
  77. 黒田泰輔

    黒田参考人 ただいまの問題は、昨年の八月に、従前から実際上やっておりましたことを一応体系づけて、文書でガス会社に照会をしておりまして、御案内いただいていると思いますが、そこの懸垂工程の際には、交通局としましてもみずから監督をいたしますし、埋設物企業体におかれましても懸垂状態の確認を専門的立場からやってもらうほか、自主的な立会及び漏洩調査をしていただくという事前の打ち合わせになっておるわけでございますが、実際上のことを申し上げますと、先ほど御答弁申し上げましたように毎月定例会をやっておりますので、いよいよ懸垂段階にかかるという際には、原則的に毎日見回っていただいておるわけであります。今後は特段の連絡がなくても見回って、必要な指示をすることがあれば指示をする、そういうような口頭的な了解でもって見回りを受けておるわけでございますから、実際的には専門的な立場の方の見回りないし立会を受けておるわけでございます。
  78. 左藤恵

    左藤委員 次に、鉄建建設社長さんにお伺いしたいと思うわけでございます。  実は、これは参議院の商工委員会でも御質疑があったようで、そのとき御存じないという御答弁であったようでございますが、大阪の東淀川区で大阪市の住宅供給公社の建設工事が行なわれておりました。その新築工事の際に、ガスの配管が終わりまして、今度はそれを大阪瓦斯のほうで実際ガスを通してみて、ガス漏れがないかどうかという検査をされる段階で発見されたそうでございますが、非常にたくさんのパイプの中に穴があけられておったというような事件、ガス配管の損傷事件があったと、これは新聞でも伝えられておる点でございますし、また現在警察でもいろいろとその調査を進められておるように聞いておるわけでございますが、その住宅建設の本体工事施工をやはりこの鉄建建設のほうでお引き受けになっておる。これは今度のガス爆発の問題と別に結びつけられる問題ではないと思いますけれども鉄建建設で今回のガス爆発現場工事施工につきましても下請の工事業者をお使いになっておる。そういった指導の面の問題で、労務対策の点で何か不備がなかったかということを心配するわけでございます。人集めとか、工事期間を短縮しなければならないとか、いろいろなことから工事が粗雑になりはしないかということを心配するわけでございますが、その辺に対してどういう労務対策をやっておられるか、下請の工事業者に対する指導の点でお伺いしたいと思います。  話によりますと、たとえば最近、この前の日航機の乗っ取りをいたしました赤軍派の学生が、資金集めのためにいわゆる日雇い労務者としてアルバイトをしているというようなことまで話があるわけでございます。そういった者がかりにこういった下請の作業に入ってきて、そして何かひとつ世間の耳目を引くようなことをやってやろうかというようなことになって、ガス管に穴をあけたりされますということになりますと、これはたいへんな問題でございますので、この点について、そういった労務対策をどのようにやっておられるかをお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  79. 大石重成

    大石参考人 お答えいたします。  住宅供給公社の問題が第一だと存じますが、これは新聞にも出ておりましたように、ガスの配管は私のほうでやった工事ではございません。御承知のように、民間住宅でも、われわれがやりますものは、本体をつくりまして、ガス、水道というものはそれぞれの専門業者工事をやられまして、私たちは手が出せないと申してはあれでございますけれども、私のほうはそういうことをやりませんで、確かに本体は私のほうでやりましたが、ガスの配管は私のほうで施工したものではございません。したがいまして、いま御質問がございました点につきましては、お答えする資料もございませんし、何とお答えしていいか、ちょっと御答弁ができないような次第でございます。  それから労務対策、下請という問題につきまして、私のほうの会社は、本来直営工事体制をとっておる会社でございます。直営工事と申しますと、実際労務者を使いましたり、募集に参ります人間も社員として扱いをしておる。また社員がやっておるわけでございます。そういうことをやっておりましたところが、四十年ぐらいになりましたときに、末端におきましてそういう工事を直接指揮しております社員の中で、いつまでもこういうことをしていたのでは自分が一本立ちになれない。サラリーマンでは、まあ端的に申し上げますとうまみがない。せっかくここまで来たんだから、自分たちの勤労意欲また将来の生活の基盤をつくるという意味において、別の責任を持たして仕事をやらしてもらいたい、全部ではございませんが、部分的に責任を持たして仕事をやらしてもらいたい、こういうような意向が出てまいりまして、あるところにおきましては、支店管内全部のそういう社員合同いたしまして一つ会社組織をつくる者もございました。また、あるところにおきましては、数人が集まりまして会社組織をつくったところもございます。そういうものにつきましては、私のほうといたしましては、十分その意思を尊重いたしまして、育成していこうという考えを持ちまして、部分的にそういう連中に責任を持たして仕事をやらしている、こういうような状態がただいまの下請という問題でございまして、いわゆる大きな下請のようなことは、ただいままだ私のほうでは実際問題といたしましてやっておりません。そういうことで、大阪地下鉄の場合におきましても、そういう者が一つ会社をつくりまして、これに対しまして——まだもちろん力がございません、社員の力が出ておりませんので、そこまで大きな責任を持たせないで、私たちといたしましては可能な限り、ごくわずかの範囲を連中に——まことに貴重な時間を長々しく申して申しわけないのでございますけれども、たとえば簡単なスコップとかくぎとか、そういうものは自分のほうで持つから、そういうものを入れたことでひとつ仕事をやらしてもらいたいというような程度のことにいたしまして、仕事をやらしておった状態でございます。でありますから、ほとんどうちの職員が末端まで指図をし、指揮をとっておったような次第でございますので、いわゆる下請というような姿ではない状態施工しておりました。  また、赤軍の問題につきましては、私、そういうようなことを警察のほうでお調べになったということをちょっと労務者のほうから耳にいたしましたけれども、もちろん私たちといたしましては、いま申し上げましたような下請状態でございますので、長年使っておりました労務者でございますので、これは断言はいたしません。思想上の問題でございますから、長年使っておってもわかりませんけれども、私といたしましては、いわゆる赤軍派の連中の一つのハプニングというようなことではないのではないか。もっとはっきり申しますと、そういうようなことはちょっと考えられないというふうな確信を持っておる次第でございます。
  80. 左藤恵

    左藤委員 先ほどもお話がございましたが、ガス事業法の一部改正法案が本国会で可決成立した日にこの爆発の惨事が起こるという皮肉なめぐり合わせになったわけでございますけれども、この改正法の中にございます三十条に「一般ガス業者は、一般ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、通商産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、事業の開始前に、通商産業大臣に届け出なければならない。」ということで、そういう改正が今度成立したわけでございますが、この保安規程に関します省令だけでも早急に公布していただけないかという点について公益事業局長にお伺いいたしたいと思うわけであります。  現在の施行規則の十九条ですか、この保安基準によりますと、管の材質とか継ぎ方という点についての一つ基準があるわけですけれども、こういった導管を露出する場合のつり防護とか、あるいはこれを埋め戻ししますときの受け防護とかいった点についての保安基準の用意もないわけでありますし、こういった大きな事故がまたいつ起こるかわからないわけでありますので、一刻も早くこういった点についてその保安規程の部分だけでも公布して保安対策をはかるべきだと考えるわけでございますが、その点についての現在の取り運び状況をお伺いいたしたいと思うわけであります。
  81. 馬場一也

    ○馬場政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正法で新たに保安規程を届け出ることになりましたが、その部分だけをとりあえずガス事業法として施行するということにつきましては、その方向で考えたいと思っておりますが、さらに、それにいたしましても省令をつくるのに時間がかかりますので、とりあえずこの各社の保安規程のうち、特に他工事に関連する分の保安規程は、私ども早急に、省令を改正する以前におきましても、いわゆる行政指導によりまして、各社から届け出てもらってチェックをするということを至急にやりたいというふうに現在考えております。  それから、いわゆる技術上の基準を省令できめてあるわけでございますが、これは御指摘のように、現行法の省令は他工事に関する導管の防護につきましては精細な規定がございません。その意味では非常に古くなっておりますので、これの省令改正につきましては、これもガス事業法の全面的施行の前にできるだけ早くその分の省令の補強はやりたい。現在の見通しといたしましては、おそくとも来月中には省令の改正をその部分だけは先行せしめたい、かように考えて現在準備をいたしております。
  82. 左藤恵

    左藤委員 ぜひ急いでいただきたいと思うわけでございます。  最後にもう一つ大阪市の交通局長にお伺いいたしたいと思うわけでありますが、こういった事故のために今後の都市再開発というものがここで中断される、おくれていくということがあってはならないわけでありますけれども、一方、この地下鉄工事をかりに再開いたしますといたしましても、二度とこのような惨事を起こさないような十分な保安対策、配意がなされなければ再開すべきでない、このように思うわけであります。そういった点で、大阪瓦斯のほうはガス会社といたしまして、また大阪市といたしましてもこの工事に対します保安対策を考えて、私の特にお願いいたしたいのは、地元の人々に十分納得のいく説明ができるような保安対策を一刻も早く立てていただきたい。そしてこれをその地元の人々に十分説明をして、納得を得た上で工事を一刻も早く再開していただきたい。都市再開発に伴いますいろいろな問題があるわけでありますけれども、こういった問題についてそのように希望いたしますが、そういったお考えがあるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  83. 黒田泰輔

    黒田参考人 ただいまお話がございましたように十分な保安体制を整えるということ、それからできるだけ早く通勤通学輸送のために路線の整備をやらなければならないという要素があるわけでございます。しかし、これだけ大きな事故によって住民の皆さんに御迷惑をかけ、御心配をかけたわけでありますから、その保安上の目安につきましては、市といたしまして十分確信をもってただいまおっしゃいましたように沿道の皆さんに理解をしてもらって、できるだけ早い機会に再開する、こういうことに考えておる次第でございます。  内容といたしましては現在固まっておりませんけれども、先刻来の御答弁で申し上げましたように、市の内部に技術委員会もこしらえておりますが、ただいま通産省の馬場局長さんのお話によっても、新しいガス事業法の運営に関して明確な指導を行なう旨ただいま御説明がありましたが、そういう御指導も受けながら、地元といたしましてはガス会社と十分協議をしながらその結論をできるだけ早く得たい、かように考えておる次第でございます。
  84. 八田貞義

    八田委員長 午後二時二十分から委員会再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  85. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 大災害によって不幸にして被災された方々に対しましては、まことにお気の毒に思っておる次第であります。さらにまた、関係参考人方々、これまたたいへん苦労されたことだと、心からお見舞いを申し上げます。  だがしかし、先ほど来、同僚委員質問に対しましてそれぞれお答えがあったわけですが、私の不安というものはさらに増してきたのでございます。あとでまた順次お尋ねをしてまいりますが、その前に、負傷者方々の回復の状況は最近どういうことになっているのか、さらにまた焼け出された方々は現在どういう状態の中にあるのか、黒田参考人からひとつお答えを願いたいと思います。
  87. 黒田泰輔

    黒田参考人 通院患者の人数につきましては、本日お手元に、四百五名、うち入院者は百二十一名、通院者は二百四十八名という御報告をお出ししておりますが、それぞれの病院に収容して、連絡員をきめて医師の治療を十分に受けられるようしておるわけでございますが、お尋ねの中で、入院患者で現在かなり重い状況で、半年以上治療を要するのでないかという状態の方は二十名ほどございます。そのうち、ある程度——後遺症状の残ることをおそれてお手当てに精励していただいておるわけでございますが、そのうち少数の人数の方につきましては、後遺症状が残るのじゃないか、かように心配をいたしておる次第でございます。  それから、第二点目のお尋ねの、四十八世帯、二十四戸の中におられた方が家がまる焼けになったわけでございますが、この五月一日に、御希望によりまして、二十三戸の仮設住宅を近所の市有地に建てまして御入居をいただいている。その以外の方はそれぞれ縁者なりにおることを希望されておりますので、そこへかりの宿を持っておられるわけです。かたわら、焼けます前にありましたあり姿に復旧をするという御相談をいたしまして、前の御住所の再現ができるようにつとめておるわけでございますが、御相談がまとまりましても、やはりその間五カ月程度建築に日時を要しますので、それぐらいのめどで、お話し合いのついたものから前の家の建て直しをやります。したがいまして、それができるまでは一部の方は、先ほど申しましたように、仮設の住宅、そのほかの方は縁者等に寄寓されておる、かような状態が続くものと考えております。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 そうなってまいりますと、復旧をしますと、当然補償の問題というのが関連をしてくるのだろうと思うのです。ですから、この間テレビで聞いていたのですが、補償の問題についていろいろ話し合いがなされて、そこで不満の声も相当強かったというようなことであったようであります。現在補償問題はどこまで進展をしているのでございましょうか。
  89. 黒田泰輔

    黒田参考人 先ほどの御答弁で申し上げましたように、十七日には被災者全員の方にお集まりいただいて、方針お話し申し上げました。それからまた、遺族の方だけお集まりいただきまして——下旬に、二十日の合同葬儀を済ませて後、先ほど二十六日と御報告したと思いますが、その日にお集まりいただいて方針お話し申し上げたわけでありますが、その内容は、死亡者の場合はその御遺族に、医療関係の費用は全額、葬儀費用は社会通念上考えられる妥当な額でお支払いする。政府基準等に準じて慰謝料をお支払いし、その損失利益につきましても、政府基準等に準じまして算出した額で考えたい。負傷者のことも含めまして、いままでいろいろと実際に行なわれておる補償基準を下回ることのないようにいたしたいということを、ガス会社鉄建会社大阪市長同道で出まして、そういうお話をしておるわけであります。  それから物件の方につきましては、先ほど全焼の方について申し上げましたように、前の姿に復旧する。それから補修のきくものについては、前の姿に補修をいたします。ガラスが一枚割れたというところまで勘案しますと、物の被害というものは四百件程度に及んだわけでございますが、そういう簡易なものについてはすでに終わっておりまして、かなりの規模で修復せんならぬものについて、現在お話し合いをしながら手をつけておるような状態でございます。  それから営業者でございまして、その間商売ができなかったというような向きにつきましても、そういう配慮をした補償をいたしたい。あるいは借家人の方でございまして、もとのところに借家権が設定できない方につきましては、それと同程度のところの借家ができるようにその費用を補償をいたしますとか、いろいろそういうことを言いながら、現在一般に行なわれておる補償基準を下回らないということで、御死亡の方々に対しましても、老人でありますとか、あるいは子供さんがおられますので、それらの方々については八百万円を下回らないようにしたい。かようなことは、直接それらの日に、われわれのほうから被災者皆さんお話を申し上げたわけであります。  御指摘のように、中にはいろいろ感情で、肉身をなくされたのでありますから、そうにわかに得心できないという御意見の方もありましたけれども、しかし総体として、次善の策として、当局がそういう意思であるならば、それでもって話を進めるしか方法はないんじゃないかという考え方もあるように見受けられたわけでありますけれども、それらの個々の人々につきましては、担当者をきめまして、冒頭に御説明いたしました市役所内部に処理部というのを臨時職制で設けまして、そして担当者がかわることなく、一人一人御意向を十分お聞き取りして補償にこたえられるような体制でいま進んでおるわけでございます。それから各人につきまして常時連絡を保って話を進めておるという現在の段階でございます。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 立ち入ったお尋ねになるかとも思うのですが、いま示された案に対して、まあやむを得ないというような考え方もあるであろうし、またそれでは不満であるということも、いまのお答えの中でも大体明らかでございますが、そこで補償交渉を進めるにあたりまして、三者が話し合いをして交渉に当たっているということですけれども、その補償の額が最終的に決定をしまして、三者それぞれ三分するということの了解ができておると案外スムーズに話ができるのかもしれませんけれども、そこまでいっておりませんと——これは、原因が最終的に決定しませんと、なかなかきまらないのではないかというように思うのですが、そうなってくるとお互いに、この事故が発生をしたことに対する原因は自分のほうの責任だということにそれぞれ決定づけられた場合のこと等を考えますと、なるべくその額を押えていきたいというような気持ちにかられるでありましょうし、また一方、自分の責任なんだからということになってまいりますと、これは相当無理をしてでも補償費を増額をしていかなければならぬというような、そうした気持ちにもあるいはなるかもしれません。そこらが非常に微妙な関係があるのではないかと私は思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  91. 黒田泰輔

    黒田参考人 冒頭に申し上げましたように、八日に事故が発生いたしまして、九日に三者の責任者が話し合をいたしました。それで、被災者の救援を第一義にする、そのために大阪市が窓口となって対策に当たりますということと、それからこれは内部的な話で、三者だけの間の話でございますけれども、その原資といいますか、費用につきましては責任の度合いに応じて分担をするのだ、こういうことの確認をいたしておりますので、いまの世間で行なわれております基準の運用によりまして最も手厚くできる面を考えて、今後個々の人とのお話し合いに入っていく、こういうことでございますので、どこまでも三者間の問題は、公正に審判されました結論に基づいて負担をしていきたい。そのことのもめごとといいますか、そういうことのために被災者に対する措置がおくれるということはいたさない、こういうことをそれぞれ責任者が確認をして現在進んでおりますので、被災者皆さんに、そういった内部三者間の問題によって措置がおくれることはないと確信をしております。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 補償の問題については、誠意をもって対処していただくように強く要請をしておきたいと思います。  それから、同僚委員からこの爆発事故原因についていろいろお尋ねがあって、それなりの答弁があっておりましたけれども、いまのところ明確ではないと申しながらも、考えられる要因というものはいろいろとあるのではないか、こう私は思います。大事故が発生をしたということについては、あとでまたお尋ねをいたしてまいりますが、ガス漏れが火災の原因——いわゆる事故が起こりましたことに対しての責任、そのガス漏れがあったから爆発が起こってきたということになるわけですから、二つに分けて、大事故が発生をしたその原因は何か、それはあとで私なりに考えていることでもってお尋ねをいたしますから、ガス漏れ原因、いわゆる継ぎ手が抜けておった、そこからガスが漏れたということは間違いないわけですが、どうして継ぎ手が抜けたのかということですね。その考えられる要因というものはどういうものがあるのでございましょうか。黒田さんから……。
  93. 黒田泰輔

    黒田参考人 先ほど来警察のほうからも、阪大の伊藤教授に鑑定を依頼しておられるということでございまして、原因を私どもも技術委員会を設けまして検討をいたしておるわけでございますが、そういう中でどう考えられるかということでございますから、私もこの際そういうことを先ばしって申し上げることは控えねばならぬと一応思うのでございますけれども、しかし私は技術的にはわかりません。私は技術の経験がありませんのでわかりませんが、私は私なりに、ガス本来の装置の問題と、やはりそれを空中につったのでありますから、つり方がどうかという問題の二つの面になってくるのではないか、かように考えておりますけれども、しかし、何しろ現在専門家によってこのことが鑑定に付されておりますので、そこらの方向を参考にしながら、みずからやっております技術委員会検討も終結をはかりたい。結果待ちだけというわけではなしに、やはりみずからの検討もいたさねばならぬと思って、現在やっておる状況につきましては、先ほど御答弁申し上げたような状況でございます。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 私どもも、この大事故でございますから、真剣にこの問題には対処していかなければならぬと考えているのです。だから、決定的な一つをあげて、これではないかということをおっしゃることは、なかなかむずかしいと思います。あえて私はそれをお尋ねしようとは考えていない。しかし、少なくともいままで考えられる要因というものは、幾つもおあげになったんだろうと思う。こういうことがまず考えられるのだ、その程度の答弁というものは、この委員会参考人として御出席になってできないのですか。いまのような答弁というのは、あまりに私は抽象的な答弁だと思う。私がいろいろな資料を持って申し上げてもよろしいのですが、私が知っているだけでも六つくらいの要因というのがあるように思う。だから、あなたの口からこういったことがまず考えられているのだ——しかしこれは、捜査当局もこの問題については真剣に捜査をいま続けていることだから、最終的には、いま私が考えているような六つであるのかどうか、あるいはそれ以外のものであるか、それはわかりませんけれども、私がいまお尋ねした、どういうことがまず考えられるのか。いまあなた方の検討の結果、こういうことではなかろうかというように——話し合いまではいっていないでしょうけれども、少なくとも大阪交通局としては検討の対象として考えている点が私はあるのだろうと思いますが、それは言えませんか。
  95. 黒田泰輔

    黒田参考人 重ねての御質問でございますが、私は、先ほど来の御質問にもお答えいたしておりますように、つり防護でもって従来もやってきたし、今回もやっておったわけでありますが、そのつり方について設計上といいますか、そういうものに瑕疵があったかなかったかということは、これはみずからの仕事でありますから、反省としてとらえておるわけであります。  それから第二点目は、先ほど申し上げましたが、装置そのものについて、埋設時と、年数がたつ関係で路面の荷重等がかかって、それがどう働いていくかということも、装置そのものの問題として一つ検討の面でなかろうかということで、先ほどの御答弁の中で、市がみずからやっております技術委員会におきましても、何ぶんにも地表から近い位置を通っておるガス管でありますから、七年なり八年なりたつ間における変化があるのかないのか、そういう面についてもやはり考えなければならぬじゃないかということで検討をいたしておるということはすでに申し上げたのでございますが、やはりその二つの問題がまた細分されまして、こういう場合はどうか、ああいう場合はどうかということに分かれていくものと私は考えておる次第でございます。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 私のいまの質問に対して、大石参考人からひとつお答えを願います。
  97. 大石重成

    大石参考人 私といたしまして、こういうことがあったのかないかということの御質問でございますけれども、私のいまの立場といたしますと、私のところでやった仕事について、設計上、また御指示に違っていたかいなかったかということを慎重に検討しておるのでございまして、こういうものではなかろうか、ああいうものではなかろうかというものは、私ひとつお許しをいただきたいと存じます。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 ガス管は埋設をしておって、そこを地下鉄工事をやるために掘って裸にしなければ、私はその継ぎ手が抜けるということはあり得ないと思うのですよ。あなたのほうの工事に伴って、私はいまの黒田参考人のお答えの中でもありましたように、いわゆるつり手という問題。そういったことも、あなたのほうのこれは施工になっているわけだから、そのつり方が悪かったとか、あるいはその他手抜きであったかなかったかという問題については、これはむずかしい問題でございますから、あえて私はそういうことを指摘しようとは思いません。しかし、たとえばブルドーザーというものを使うと、大きな振動が生じてくるということは間違いはない。あるいは土砂が流動するといったような場合等も、これはあなたのほうの工事に伴って生じてくる問題ではないか。掘ったことによって地盤の沈下ということだって、いろいろ考えられるであろう。そのことを考えてみると、やはりあなたのほうはあなたのほうなりに、自分のほうの責任じゃないんだというならば、これはこういうようなことが原因ではなかったろうかというような考え方というものを幾つか想定をしていることはないんですか。
  99. 大石重成

    大石参考人 ただいまお話のございましたように、ブルドーザーは使っておりませんでございました。ブルドーザーが入って管をぶつけるというような段階には、まだいっておりませんでございました。また土砂の崩壊も、そういうものは私たちのほうの報告ではございませんでした。また当日、その地点において私のほうは作業しておりませんでございまして、約十メートルないし十五メートル先のほうで作業をしておったというようなふうに私は調べておりますので、いまの御質問に対しましては、そういうことをお答えさせていただきます。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 ガス漏れがあったのは四月の八日でございますね。そうすると四月の八日ごろは、ずっと掘さく工事が行なわれて、いわゆるガス導管は裸になって、これを宙づりされたんでしょう。それは、あなたのほうの工事に伴って、あなたのほうの工事の中の一つでしょう。全く違うんですか。ガス管については、あなたのほうは全然タッチしないんですか。
  101. 大石重成

    大石参考人 いまの御質問、私が要領を得ませんので違ったお答えをしたかもしれませんけれどもガス管をつる作業は私のほうの仕事になっております。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、あなたのほうの工事に伴ってガス漏れというものは起こっていないと、こうあなた言い切るんですか。
  103. 大石重成

    大石参考人 これはまだ御当局でお調べのところでございますので、私はそうでなかったということを申し上げませんし、それが直接の原因であったということも、何とも私といたしましては申し上げようがない次第でございます。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 だから私は先ほど、考えられる要因というものではどういうことがあるのかということを尋ねてみたのですよ。東京ガスの板橋の事故の場合にも私は現地に行ってみたわけです。ガス事故の問題については私は非常に関心を持って、私なりに勉強いたしております。それと、私もまた土木工事のことについては多少の経験を持っているわけです。ですから、あなたのほうとしては、今回の事故が発生をしたということについては、工事の施行の方法について振り返って真剣にいろいろなことを想定をされたのではないか、こう思うのです。しかし、責任の度合いによってその補償の問題というものも起こってくる。また、社会的な責任というものがそこで強く出てまいりますから、やはり答弁が慎重になることは私はわかるのですよ。しかし今日の段階においては、もう少し前進した答弁というものがあってしかるべしと私は思う。ほんとうは四月中に御出席を願いたかったのです。しかし相当大きい事故で、それぞれ痛手を受けておられる。あなた方の立場になってきょうまで御出席を願うことを延ばしてきたのです。にもかかわらず、いまのような全く抽象的な、なるべくしゃべらないほうが身のためだといったような態度は了解いたしかねる。いかがですか黒田参考人、それから大石参考人
  105. 黒田泰輔

    黒田参考人 何ぶんこの問題は、規模等においていままでに前例がないぐらい被害を広めまして、まことに恐縮いたしておるわけでありますから、私といたしましては、今後ガス事故の起こらないことの確保のためには公正な結論を出していただきたいというのが基本的な態度でございますので、この席において責任を逃避するために具体的にものが申し得ないということは絶対にございません。しかしながら、何ぶん装置そのものは警察に現在持って帰っておられて、阪大の伊藤教授のもとにおいて調べられておるわけでありますから、おのずと申し上げる面か大分けなこと——私は先ほど二つの分野を申し上げたわけでありますけれども、そういう面について現在検討をしておるのが実情でございます。これは実際の現在の姿を申し上げておる次第でございます。
  106. 大石重成

    大石参考人 たびたび申し上げますけれども、私といたしましては、謙虚な気持ちでお調べを待っておるというのが私のただいまの心境でございます。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 ガス漏れですから、ガス保安責任者である西山参考人から、あなたのほうなりに想定をされた問題といったことについて、お答えを願いたいと思います。
  108. 西山磐

    西山参考人 この事故ガス漏れの起こりました継ぎ手部分の構造でございますが、これは後ほど詳しく技術的に説明を申し上げますけれども、私が聞いておりますところによりますと、構造上は八トンの力で引っぱらなければ抜けないという構造になっておるのでございます。そして中のガス圧は一・二キロのガス圧でございますから、力にして約一トンでございます。したがいまして、この八倍の安全率があるということになっております。  それから、先ほどお話がございましたが、このパイプを埋設いたしましたのは昭和三十七年から三十八年でございまして、パイプは古いことはございません。普通の状態でございますれば、この継ぎ手部分が露出いたしましても抜けない。あるいはその間にいろいろな温度差とか、あるいはまた先ほどお話がありましたように、交通による振動とかいうものがございますけれども、そういうものを見ましても、問題はないというふうに承知しております。したがいまして、私といたしましては、何らかの外圧がかからなければこれは抜けないというふうに承知しております。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 どうもいまお答えになったようなことでは、あなた方自身がまじめにこの原因究明に当たっているのかどうか疑わしい。これは警察当局が捜査に当たっている、したがってなるべくみずからがその責任の最たるものだということになることを避けたいという気持ちが働いているのではないかという感じがしてなりません。私がお尋ねいたしましたように、どういうことが想定をされるのか、一つにしぼってお答えを願ったのではないのです。私なりに考えてみましても六つぐらいのことが考えられるのだと申し上げた。あなた方は、六つなり十なりのことをいろいろ想定されて、それぞれ検討しているのではないかと私は思うのです。その程度のことがこの委員会においてお答えができないということは非常に残念なんです。あえて私から具体的な問題を一つ一つあげて、こういう場合はどうなのか、こういうことは考えられないかということを申し上げてもよろしいのですが、時間の関係もございますからその点は差し控えますけれども、非常に誠意のないということについて私は残念に思います。  次に、消防庁と警察当局にお尋ねをいたしますが、大事故に発展をした原因についてはどのようにお考えになっておられましょうか。
  110. 松島五郎

    ○松島政府委員 大事故に発展いたしましたのは、結局、爆発があったということと多数の通行者がおられたということが関連をして、大きな事故に発展したものと考えられるのでございます。
  111. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 ただいま消防庁長官からお話しのありましたとおりでございますが、ガス漏れがありましてから爆発までの間短い時間でございまして、その付近に多数の方がおられたということがそういうことになった理由だろうと思います。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 松島さんのお答え、そういうお答えであなたは御満足になるのかどうか。私は、なるべく具体的な答弁を避けようというような気持ちが働いているような気持ちがしてなりません。  しかし、御答弁は御答弁ですから、具体的なことでお尋ねいたしますが、それじゃどうしてガス爆発が起こったんでしょうか。
  113. 松島五郎

    ○松島政府委員 ガスが漏れまして空気に混合いたします。空気とガスとの割合が一定の割合に達しますと、非常に爆発の危険性の多い状態になるわけでございますが、そういう状態において発火源があった、それによって引火をして爆発したのではないかと考えられます。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 そのとおりでしょう。それじゃ発火源はどういうことが考えられますか。
  115. 松島五郎

    ○松島政府委員 発火源につきましても、いろいろ市の消防当局調査をいたしておるようでございますけれども、いままでに一応、ガス会社の修理車と申しますか、サービスカーがエンジンをかけたときに火が出ているので、それが原因ではなかろうかというふうに推定しているようでございます。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 大阪瓦斯のパトロールカーが、ガス漏れがあるというので現場に来ておったわけですね。それに対してあなたのほうの消防署員が、集まってきた群衆に対して危険があるからこれを解散しろということだったのか、あるいは非常に危険であるということを報知せよということであったのか、そのパトロールカーに対して指示をした事実がありましょう。
  117. 松島五郎

    ○松島政府委員 十七時二十七分に、一一九番によりまして、消防本部がこの地点にガス漏れのあることを通報を受けまして、直ちに北消防署と浮田出張所に対しまして出場を指令をいたしております。このうち浮田出張所の消防隊が先に到着をいたしまして、ガスが噴出中であることを現認をいたしまして、火災が起これば直ちに消火できるよう放水の態勢をとるとともに、付近の住民に対して火気の使用停止の呼びかけをいたしております。その間に、修理車に火災を発生をいたしましたのに、一部の署員がガス会社の職員とともに消火に当たるというようなことをいたしました。また警察官の協力を得て、民衆に避難を呼びかけるというような行動をとっておるという報告を受けております。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 パトロールカーがそこにいた。そのパトロールカーに対して、群衆に向かって危険であるということを知らせろということを指示された。そうなってくると、パトロールカーはスピーカーが前にしかついていない。そこでそれが群衆のほうを向いていない。群衆のほうに向かってその危険を知らせるためには、結局車の向きを変えなければならない。車の向きを変えるのにはエンジンをかけなければならない。エンジンをかけるとスパークして火が出ることは間違いはない。ガス漏れが起こっている事実は間違いないのだから、そうなってくると、そこで火が出て、あるいは火事が起こるか、あるいは爆発が起こるかというような危険について、そこまでの配慮というものはなかったのでしょうか。
  119. 松島五郎

    ○松島政府委員 ガス会社の修理車に対して、ガス漏れの危険性を一般住民に広報と申しますか、するようにということを消防署員が現場で要請をしたということは聞いておりません。したがいまして、そのためにガス会社の修理車が向きを変えたというふうには、私ども理解をいたしておりません。
  120. 中村重光

    中村(重)委員 私は私なりに、現地に行って調査をされた方々、あるいはいろいろなことで調査をいたして、その調査に基づいてお尋ねをしているわけです。あなたのほうの消防署員が、群衆が集まってくるから危険である、とっさにそれをパトロールカーに対して指示しておられるようです。そこでエンジンをかけたから、いわゆる車に火がついた。そこでみなかかってその火を消したのでしょう。火を消したところが、またそこに火が出たわけです。それがいわゆる爆発原因になるのか。あるいは、群衆であるとか工事関係者、いわゆる鉄建会社工事人であるとか、いろいろな人がそこにいるわけです。その中でたばこを吸って、それが爆発をする原因になったのか。いろいろなことが想定をされるであろうと私は思う。その点に対して、あなたのほうはどういった想定をしておられるのでございましょうか。幾つもの想定が私はあると思う。
  121. 松島五郎

    ○松島政府委員 大阪市の消防当局からの報告によりますと、いまお話のございました出火源につきましても、いろいろな想定のもとに検討をいたしておるようでございます。小型ブルドーザーが、構内西のはしから東側、建設ホッパーまでの間に二台あったけれども、これはスイッチが入っておらなかった。したがって出火当時使用のあとはなかった。したがってこれが出火源であるというふうには考えられないというようなこと。あるいは電気溶接機並びにガス溶接機は構内西のはし付近に二本あったが、使用されていた様子はなかったというようなこと。あるいは通行人がたばこを吸っていたかどうかというようなこと。これにつきましては、群衆のマッチ並びにライターの炎については当然考える必要はあるが、現段階において有力な聞き込み等の事実はなく、立証はできないというようなことをいろいろ調べてはおります。しかし、いま申し上げましたものが出火源であるという断定を下すことはできないという段階でございます。
  122. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えのように、断定を下すことということはなかなかむずかしいと私も思うのです。しかし、あなたはいま比較的具体的にお答えになりましたから、その点は了承できますけれども、ただ私は非常に残念に思うのは、爆発をしたあとであればそれはもうたいへんで、もうある意味では理性を失うことだってあるのですね。これは気も転倒する中で間違った指示をすることだってあるだろう。しかし、いわゆるパトロールカーに火がついたときは、これはまだそういう状態ではないわけです。ただ、ガス漏れがして群衆がずっとそこに集まってきた。付近の人が、ガス漏れがあるそうだといってぞろぞろ出てきて、どこがガス漏れしているか見る。ですから当然まだ冷静なんですよ。そういう場合、運転手が車のエンジンをかけるのだから、エンジンをかけると、ガス漏れがしていると必ずそこにスパークして火が出ることは間違いない。これは常識でしょう。そういったときに注意があってしかるべきだったのではないか。その注意が足りなかったということを私は非常に残念に思うのです。しかし、これ以上このことについてお尋ねはいたしません。この後もあることですから、十分ひとつ原因の究明をされると同時に、この後の教育訓練に対して十分な御留意を願いたいということを要請をしておきたいと思います。  いまの問題について保安部長からお答えを願いたいのと、いま一つは、いろいろ新聞に報道されましたが、警察官の群衆の整理に対して手落ちがあったとか、いやそれは人手が少なくてどうにもならなかったのだとか、いろいろいわれたのですが、いま調査の結果、保安部長として、反省というものを含めてどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  123. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 お答え申し上げます。  警察といたしましては、当日の午後五時半に、一一〇番でガスが路上に漏れておるという通報を受けまして、その通報に基づいて、直ちに所轄の曾根崎署に現場に出動を指示をいたしておるわけでございます。一方、現場付近の大淀の天六派出所に、午後五時三十五分ころ通行人の方から、路上にガスが漏れてバスが通れないという別の口頭の申告がありまして、それに基づきまして、そこの派出所員は現場におもむいたわけでございます。爆発までに現場に参りましたのは、パトロールカー二台及び警察官は十八名でございます。最初現場に着きましたのが大体五時三十六分ぐらいという報告でございますが、そのときすでに国分寺交差点に六百名ほどの群衆の方がおりまして、これの整理、避難ということにまず当たり、それから、そのうちの三名の者をさらに東側の交差点のほうに派遣中に爆発事故が起こったわけでございます。そういうことで、現場に参りました警察官の措置としては、その当時できるだけのことをやったというふうに私は思うのでございますが、しかしながら、さらに反省をいたしてみます場合、こういうガス漏れというものにつきましては、目には見えないわけでございまして、大きな被害が出る可能性があるわけでございますから、より情勢判断を迅速に慎重にやりまして、多数の警察官を迅速に現場に出しまして、そうして迅速な各方面にわたる避難なり誘導なり、そういったことをしなければならないというふうに反省をいたしておりまして、次長名をもちまして、各県警察に対しましても、ガス漏れというようなことがあったならばそういう点に一そう配慮をしてしっかりやるように、指示をいたしておるところでございます。
  124. 中村重光

    中村(重)委員 それから、西山参考人に教育訓練の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、ガス漏れ原因はいま究明をされておることですから、そのことについては先ほどお尋ねをいたしましたから、その点に対してのお答えは要りませんが、いまのあなたのほうの修理車でございましょうか、パトロールカーが行って、そして群衆に向かって——私の調査によると、消防士の指示によってと、こうなっているようでございますけれども、いずれにしても、パトロールカーがエンジンをかけたという事実は間違いないんだろうと思うのです。それが大事故原因になったのかどうか。いま松島消防庁長官がお答えになりましたように、たばこの火であったのか、何かいまその原因の究明をやっているところであろうと思うのです。したがって断定はできないと思いますけれども、エンジンをかけたという私の調査が間違っていないとすると、ガス漏れがしているところへの車のエンジンをかけるということは危険であるということは、日ごろそれらの従業員に対しての指導、教育訓練といったようなものをしておられないのかどうか。その点はいかがでしょう。
  125. 西山磐

    西山参考人 私のほうの緊急車でございますが、パトロールカーが現場にいち早くかけつけまして、とまっておりましたのは、先ほど先生御指摘のありましたように、道路の北側に北向きにとまっておったのでございます。それで、先ほども先生お話にございましたように、東側にたくさんの群衆が集まってまいりましたので、それを口で退避させるということは非常に困難になってきた。それで、マイクを持っている車はないかということを言われまして、私のほうの、ただいまの緊急車がマイクをつけておりましたので、そのマイクを東側の群衆のほうに向けて群衆を退避させるように要請された。これは消防士の方から要請をされたというふうに私は報告を受けております。そのときに、御指摘のありましたように、とっさにエンジンをかけたのは間違いございません。エンジンをかけまして、右車輪の後方から火が出たという報告を聞いております。それで、一応消しとめましたけれども、さらに三分後にまた着火をしたというふうに報告を受けております。  これにつきましては、ガス会社従業員が、ガス漏れのある現場でそういうエンジンをかけるというようなことは、先生御指摘のとおり、普通でしたらあり得べからざることであると私は思っております。教育につきましては、私のほうは相当時間をさきまして、それからなお、設備としてはトレーニングセンターというのを本社に持ちまして、質的にも保安教育と技能教育はやっておるのでございますが、今回そういうなにを反省いたしまして——これは、非常に注意が足りなかったというようなことにつきましては、非常に私、反省をいたしまして、今度強化策におきましても、教育訓練というものが身につくように徹底的にやらなければいかぬというふうに考えております。教育が十分でなかったということにつきましては申しわけなく存じております。
  126. 中村重光

    中村(重)委員 黒田参考人にお尋ねいたしますが、地下鉄工事等における埋設物の保安業務に対する計画、あるいはその実施についてのシステムというのか、それはどういうことになっておるのでございましょうか。具体的に今回の事故の場合でけっこうです。大阪瓦斯あるいは鉄建建設とのいろんな取りきめというようなもの等もあるのだろうと思いますが、その点についてひとつお答えを願います。
  127. 黒田泰輔

    黒田参考人 ガスにつきましては、昨年板橋におきます事故もあり、本省の指導もあったわけでございますが、内容的には、従前便宜的な方法で打ち合わせをしてやってきた内容と大差はないことでありますけれども、しかし別にどの点という基準もありませんので、私ども交通局のほうで考えられる範囲内、すなわち事前に図面でどこに埋設があるかということをお知らせを願いたいとか、あるいは、こういう工程にかかった場合は御理解願いたいとか、見回りを願いたいとか、そういうことを去年の八月に一応掲記しまして、懸垂の一般参考図をつけまして、照会ということで協力方を要請しているわけでありますが、それに基づいて協力しようということになってまいったわけでございます。それは、どこで地下鉄工事をいつからやりましても、そういうような基本的な打ち合わせに基づいてやりますということでございまして、今度は、各工区で工事が始まります場合には、その工区ごとに日をきめまして、非常に埋設関係者には煩瑣なことだと思いますけれども、各工区ごとに、水道をはじめガスも含め、埋設企業者と日をきめまして毎月打ち合わせをしておるわけであります。そこで、こういうようなつり方によって、これから一月の間には工程をこのくらい進める予定でおるから、ひとつ御協力を願いたいという会議をやりまして、それから、先ほどの御質問にもございましたが、いよいよ懸垂にかかる際には、それの確認の意味において、工営所ごとに、こういうつり方でまいりたいと思うということを申し述べて、そして現場におきましては、そのきめられた手順によって進めてまいるわけでございます。  建設業者との関係はどうかということでございますが、あらかじめそういうようにしてガス導管埋設者といいますか、いろいろ埋設企業者と打ち合わせた段取りを請負の中に織り込みまして、そうして指名競争入札の結果、その内容でもってどこかの建設会社がそれを請け負われる、こういうことになってまいっておるわけでございます。したがいまして、建設業者といたしましてはその仕様書に基づいて工事を進めていく。それで、私どもはその施主としてその監督立場にあり、特段の指示がガス会社からありました場合は、それをさらに追加して、その中へ織り込んで工事を進めていく、こういう仕組みになっているわけでございます。
  128. 中村重光

    中村(重)委員 公益事業局長にお答えを願いますが、板橋事故の教訓から、あなたのほうは、再びあのような事故を起こさないということについての通達あるいは措置を講じておるというお答えを、この委員会においてしておられるのです。他工事の問題について特にこの際配慮しなければならないのではないか——具体的な問題として私が指摘いたしましたのは、板橋事故の場合、東京瓦斯というのは被害者的な立場に立っておるというように感じておるのではなかろうか。それは、いわゆる地下鉄工事に伴って、ガス管を宙づりしたり何かいろいろなことをやる。それに対する保安責任というようなものは、ガス保安責任は当該都市ガス業者ではあるけれどもガス管を移動させたりいろいろな工事施行に伴って導管関係するようなことに対する指示あるいは監督権というものがない。これは、先ほど中谷委員から指摘いたしましたようにたいへんな問題点なんだから、むしろガス管に関する工事は、当該都市ガス業者責任においてこれを施行させるということにすることのほうが適当ではないのかということまで、私は指摘をしてまいりました。しかし、なかなかそうもいくまいが、この後は万遺憾なくやりますと、きっぱりしたお答えが実はあっております。その後、今回の大阪ガス爆発事故関係をいたしまして、前と変わっていない、いろいろな書類を公開したり、あるいはいろいろな情報を入れてもらうということにしておる、といういまのお答えはお聞きのとおり。それであなたは、板橋事故の教訓によって万遺憾なきを期したということが言えましょうか。また、いまのような答弁でよろしいような指導をいままでしておいでになったのでしょうか。いかがですか。
  129. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス事業法を御審議いただいております際に、先生のほうからただいまお話しのような御質問があったことを、はっきりと記憶いたしております。そのときに、いま先生からお話しのありましたようなことでお答え申し上げたかと存じております。  昨年の板橋事故の経験にかんがみまして、昨年のたしか四月か五月だったろうと思いますけれども、各ガス業者、それからガスから見ましていわゆる他工事になりますところの、たとえば大阪交通局に対しましても、同様にこの事故の経験にかんがみまして、今後、いわゆるガス導管の掘り起こし等が行なわれる工事に際しましては、両者の間で、口頭ではなくて、防護の方法あるいは巡回の方法その他につきまして明文でと申しますか、文書でひとつお互いの分野をはっきり取りきめて、そのように連絡をとりながらやっていただきたいというお願いは申し上げましたし、ただいま交通局長からお話しのように、大阪市では、それに基づきまして昨年の八月、それまで実はお互いに口頭の話し合いでやっておられた事項を今回交換文書にしていただいた、こういういきさつでございますので、私は、少なくとも前よりは一歩前進したかっこうでこの工事が進められておった体制にあったのではなかろうか、というふうに考えております。  にもかかわらず、このような事故が起こりましたので、これの原因につきましては警察調査によるものでありましょうが、しかし、いずれかの当時者にとにかく文書までできておるわけでございますから、お互いにその文書の施行のやり方、実施のしかたに、どこか不注意があり漏れがあったということは間違いないところであろうと思いますので、今後このようなことで十分であるのかどうか。ガス業者にも、もっと明瞭な形でこの防護方法について要求すべきことを国としても要求をし、また、ガス業者がその防護方法の工事を直接講ずるわけではございませんので、その工事をやりたき向きに対しましても、それが確実に施行されるような、もっとしっかりした体制を考えるべきではなかろうかと私は思っております。  この事故あとで、御承知のように政府対策本部をつくりまして、関係の各省が集まりまして再発防止の対策をいろいろ検討中であるわけでございますが、ここ数日前に、とりあえず緊急の措置といたしまして、ただいま私の申しましたような、お互いの工事に際しましての他工事業者ガス業者関係を一そう明確にする、かつその合意の内容に、具体的にこれこれの防護方法を織り込み、それを確実に実行するということにつきましては、通産省のみならず関係各省が一致いたしまして、他工事業者あるいはガス業者を相互に監督すると申しますか、一そう強力に指導してまいるような対策を講じたいというふうにきめまして、そのような取り扱いをいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  130. 中村重光

    中村(重)委員 局長、前回の答弁と今回の答弁と同じなんです。違っておるのは、お互いにその分野を明確にいたします、文書の交換をいたしました、ところがそのとおり何か行なわれていなかったのかもしれません、この後はそういうことが起こらないように十分ひとつ対処していきたいということですね。それでは、具体的にどういった分野がそれぞれきめられておるのでございましょうか。先ほど来あなたがお聞きのとおり、前と変わりません、ただ文書の交換というのはあります、いろいろな情報というものを入れてもらっておりますということですよ。それで、あの板橋事故の教訓によって、この後再びあのような事故を起こさせないというような指導を徹底させたということになりましょうか。あなたにはあらためてお尋ねをしてはまいりますけれども、しかし、いま第一にお尋ねをした点だけは明らかにしてください。お互いの分野とは、何を、どういうことを分野というのでしょうか。もし、都市ガス業者ガス漏れについての調査をするようにいたしましたというなら答弁になりません。都市ガス業者は、絶えずガス漏れがないかどうかということをパトロールしていかなければならぬ義務があります。それはガス事業法に明記しておるところです。しかし、この導管供給に伴って、他工事に伴って板橋事故というものは起こってまいりました。依然として今日、都市再開発の中において、しかも地下の再開発において、このガス導管その他の埋設物に対する関係というものは、この後さらに増大をしていくであろうということは、よくわかっておるはずなんです。それならば、それに対応するような措置が、当然講ぜられておらなければなりません。残念ながら、私の調査しておるところによりますと、いま黒田参考人からお答えになったような線を一歩も出てないように思います。具体的にあなたが分野を明らかにしたのだから、これならだいじょうぶだという確信ある指導をなさったならば、その点をあげてください。
  131. 馬場一也

    ○馬場政府委員 先ほどお答え申し上げましたが、今月の初めに、この連絡対策本部におきまして、いわゆる再発防止ということにつきまして、数個の項目にわたりまして、こういうことをやるべきではなかろうかということをきめておるわけでございますが、内容を概括的に申しますと、一つは、こういう他工事等が行なわれます際に、できれば、ガス導管と併設をして地下鉄工事を行なうというようなことではなくて、いろいろな状況が許しますならば、極力その工事を行ないます前にガス導管をよその道に移す。あるいは同じ道でありましても別の側に移す。あるいはさらに可能でありますれば、その工事期間中、ガスの供給系統をできるだけその路線につきましては切りかえる、つまりガスを流さないというようなこと等、一番根本的なことができ得ますれば、極力その道を考えて、その上で地下鉄工事に取りかかっていただくというようなことができるかできないかということについて、再度、いま行なわれております各地の地下鉄工事、あるいは今後施工されますようなそういういわゆる他工事関係につきまして、もう一ぺん当事者間で真剣に御協議を願いたいということが第一点でございます。  しかし、どうしてもそういう移設等ができませんで、ガス導管と並行して工事を進めなければならないというような状況のもとにおきましては、その工事期間中のガス導管のつり防護、あるいは工事が終わりましたあとの受け防護につきましては、今回の事故の経験にかんがみまして、一つは、つり防護いたしますけたを、たとえば道路から直接につらないというようなこと。あるいは、特にロードのかかりますようなガス導管の屈曲部というような特殊な場所につきましては、そこに地中から出るわけでございますから、どうしても地中にあります状態よりは応力が増してまいりますので、その応力を働かせないような固定方法を導管防護工事として追加をするというような問題。そういうような数個の具体的な問題点をあげまして、これらのことを今後の工事につきまして徹底をするように、関係各省で合意をいたしまして、目下それをやろうという態勢にあるわけでございます。
  132. 中村重光

    中村(重)委員 私は、ガス管を共同溝に入れるような遠大なことを、いまあなたにお尋ねしておるのじゃないのです。具体的に現に進められておるような工事の場合に——いわゆる他工事の問題ですよ。それに対してお互いの責任を分担をさせるというならば、都市ガス業者保安責任者であるならば、その保安責任者に対しては、このことは保安責任者がその責任を負うのだ。しかし、その責任を負うということは当然権利が伴ってこなければなりません、設計において、施工の方法において。いわゆる完全な共同責任体制というものが保たれておらなければなりません。それをどうしたのかということを私は尋ねておるわけです。  時間がございませんから、私からあえて指摘するならば、工事計画に対しては、都市ガス業者は供給施設図の提供をするにとどまるでしょう。それから、つり手か矢板の打ち込みに対しては自主的な立ち合いをするのにすぎないでしょう。また、表面の掘さく工事等については、水抜きバルブとか、あるいはガス漏れの自主的な調査をするにすぎないでしょう。あるいは懸垂に対しては、自主的な立ち会い及び漏洩調査をするにすぎないでしょう。こういった一つ一つをもっと——今回の事故に関連をしてまいりまする点から言いますと、懸垂の撤去についても、自主的な立ち会い及び漏洩の調査をするのにすぎない。このように、責任の分担は何一つありません。自主的な立ち会いではありませんか。いままでやっておったことを、文書によってそれを交換したにすぎないではありませんか。これで、それぞれの責任分野を明らかにした、そして再び事故が起こらないように万全の措置を講じたということが言えますか。あなたの前で黒田参考人が明確に答弁をしておることは、あなたのその指導というものがそれほど弱かったということです。それほど重視されていないということなんです。私は、重視していない関係者に対して、もちろんその責任は追及していかなければならぬと思います。しかし、少なくとも板橋事故の教訓による、貴重な生命を失わさせないように、財産を喪失させないようにしなければならない、そうした熱意というものがあなたのほうにないということです。それが根本的な問題なんですよ。  黒田参考人にお尋ねいたしますが、私が三、四点について、計画とかあるいは実施の方法について指摘をいたしましたが、これは間違っておりましょうか、そのとおりでございましょうか、いかがですか。
  133. 黒田泰輔

    黒田参考人 事実上、いままでにやってきたことは、非常に便宜主義的な方途をやってまいりましたということを先ほど申し上げたわけでありますから。しかし板橋事故以降は、私どもとしては、私どもなりに一つの表にまとめて、しかもガス会社協力を得て、その全きを得てやっていこうという考え方に立ったわけでありますけれども、その内容的に、自主的に、あるいは確認ということが両者の分界を不明確にしておるという問題、これはやはりいなめない事実だと思うのであります。したがいまして、私どもは、いまそういうことをお願いもする立場にありませんので、原因等を明確にしてから、また、先生方にもお願いをすることはお願いをしてまいらなければいかぬと思うのでございますが、どこでそういう法制的に明確にしていただけるのか私はわかりませんけれども、あるいはガス事業サイドでそういう義務を明確にしていただくとか、何とかそういうことで今後お願いに参上もしなければいかぬじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  134. 中村重光

    中村(重)委員 私の質問に対する的確な答弁ではありません。ですけれども、これを否定をされなかったのだから、そのとおりだと思います。  念のために、それでは西山参考人にお尋ねいたしますが、私が指摘いたしましたようなことは、これは事実でございましょうか、あるいは間違っておりましょうか。
  135. 西山磐

    西山参考人 私は、板橋事故の経験は、教訓を生かしました点は、責任を明らかにするということを、まず交換文書によってうたっておると考えております。まあしかし、今回の事故を省みますと、もう少し事前において詳細に打ち合わせをしたり、あるいは工程の途中におきまして緊密な連絡をとるということを、もう少し緊密にやらなければならぬということを、深く反省をしております。
  136. 中村重光

    中村(重)委員 緊密な連緊だけでは、私はこうした事故を防止することにならないと思うのですよ。あなたのほうがいま大阪市との間に文書を交換している。こういう場合はこういたしましょう、こうしましょうということを分担している。それでどれほどのあなたのほうの発言権というようなものが働くのでしょうか。なるほど大阪瓦斯とあなたのほうとには、そういう関係でもって了解ができましても、今回の具体的な事故の場合は鉄建建設というのがある。その下にまた下請業者というのが存在しているのです。そういう場合に、あなたのほうは責任をもって監督をし、責任をもってその工事のやり方を是正をさせるということが、実際問題としてできるでしょうか。できますか。
  137. 西山磐

    西山参考人 さように、先生から導管保安について責任を持つようにせいと言っていただきますことは、非常にありがたいことでございますが、実際、御指摘のように、私のほうで防護工事の指揮監督をするということになりましても、水道とか電気なんかが接近をして埋設をしてありまして、それが露出するわけでございますから、いろいろな複雑な問題が起ころうかと思いますので、そういう点につきましては、前向きには検討いたしますけれども、非常にむずかしい問題があるということを申し上げたいと思います。
  138. 中村重光

    中村(重)委員 確認をいたしておきますが、まあ時間の関係がありますから。  この手抜き工事、これは読売新聞の抜粋ですが、四十五年四月二十二日、「手抜き工事だった下請けが「仕様書」を無視 ガス管を固定せず捜査本部の追及でわかる」、これは中谷委員から先ほど指摘したとおり。この中で鉄建建設大阪支店の金子第二部長は、「いちいち仕様書を見ながら工事を進めるわけではない。仕様書の基準現場作業員が頭に入れて作業を進めていたはずだ。けん垂鉄棒の間隔は現場状況によって多少ずれることもあるが、ガス管に支障はなく、市から注意もされなかった。けん垂ケタの両端はボルトでしめてはいないが、簡易溶接で固めたと思っていた。抜けた接合部分を補強せよということは聞いていないし、市や大阪ガスの指示もなかった」、こういったことを言っておりますが、これを確認をしますか、大石参考人
  139. 大石重成

    大石参考人 私も直接聞いておりませんので、はっきりしたことはわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、手抜き工事ではなかったということは申し上げられると思います。これは、そこに指摘してございますようなことは、設計図として市御当局協議をして御承認を得たとおりにやっておるわけでございますので、何かの間違いでそういうふうな報道があったのではないかと私は存じております。
  140. 中村重光

    中村(重)委員 手抜き工事ではなかったということを断定をされました。私は、これは警察当局がやることでございますから、一々例をあげて指摘はいたしません。ですけれども、これは報道の誤りだ——ところがこれは、仕様書を一々見てやるわけではないのだという点は、きわめて重大な問題だということを指摘しておきたいと思う。  それから、これは黒田参考人に確認をしておいていただきたいんですが、あなたのほうの宮内本部長は、「けん垂ケタを固定するなどのこまかい取り決めについては知らない。これまでの地下鉄工事と同じやり方で、現場監督者もきちんと見ていたと思う。細部については一度調べてみる」、こういったことは全く無責任な発言だ、こう私は思うのです。これは新聞にもそのとおり書いてありますが、「こまかい取り決めについては知らない」、これが現場の本部長の発言でございますが、これをお認めになりますか。
  141. 黒田泰輔

    黒田参考人 その日時を私はっきり知りませんが、事実上知らなかったんだと思いますが、しかし仕様書というものは、やはり細部にわたってまで実際は仕組んであるわけでございますから、本来知っておるたてまえと、そのとき知らなかったということを率直に申し上げただけであって、本来的にたてまえをいえば、仕様書はかなり詳しいところまでできておるのが日常の土木工事でございます。(「たてまえはいいが、実質はどうなんだ。具体的例をあげて聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
  142. 中村重光

    中村(重)委員 不規則発言だけれども、大事な問題点だから、その点はお答え願いたいと思います。
  143. 黒田泰輔

    黒田参考人 仕様書の内容につきましては、路面の荷重を受けるけたと、内部の埋設物をつるけたとは違いますが、その路面の荷重を受けるけたについて固定さすという仕組みに仕様書はなっておりまして、内部の埋設物をつる分につきましても、それに準じて取り扱う旨の仕様書になっておるわけでございます。
  144. 中村重光

    中村(重)委員 時間がありません。あと加藤委員その他からの質問があるはずですから、次に西山参考人に確認をしておいていただきたいことがあります。  前文は略しますが、「工事については市が提示した仕様書、それにわれわれが注文をつけた点を守ってやってもらっていると信じ、いっさいまかせていた」、こう語っています。これはあなたのほうの入江管理課長です。これをこのとおりお認めになりますか。
  145. 西山磐

    西山参考人 ただいまの、湾曲部の露出をいたします際に、図面を私のほうの入江管理課長が相談を受けまして、湾曲の部分には、露出した場合、抜けどめの工事をせいという御注文を出しておるわけでございます。だから、さようにいたしまして、私どもは、御協力をすべき点は、御相談を受けた場合には申し上げておるわけでございますので、その工事の節々で、いろいろな協議の場で意見を言うとか、あるいはまた工事に立ち会うとか、工事後に求められて確認をするとかいうことをやっておりますので、さように御承知おきを願いたいと思います。
  146. 中村重光

    中村(重)委員 私の質問の的確なお答えではないわけです。私がここで指摘しておりますのは、鉄建建設のほうは、一々仕様書を見てやるわけじゃないのだという点。大阪市のほうはこまかいことは知らない。それから大阪瓦斯のほうは、仕様書のとおり、また、われわれが注文をつけたとおりやっておるものと思っていた、一切まかしておる。これらの点がきわめて重大な問題である。こういうことであるから今回のような大事故を起こしたのだということが一つ。  いま一つは、できるだけ責任回避をやって、みずからを最高の責任、いわゆる最も責任立場に立ちたくないというようなことを意識して、いろんな談話というものを発表しておるような感じがしてなりません。しかし、そのようなこまかい問題ではないのである。何千万円、何億の補償をお支払いになるかわかりません。しかし、これらの記事を読んでいるのは全国民なんですよ。どのような不安と動揺をこれで与えるでしょうか。また、責任者としてこれら一つ一つの談話を——私も読んでいるのですから、関係者のあなた方としては特に読んでいらっしゃるはずなんです。こういうことでよろしいとお考えになったとするならば、私はあなた方の良心を疑わなければならぬわけです。だから最終的に、反省としていま一度、今回の事故に対してどうお考えになっておるか、この後どのように対処していくのかということをお答えを願いたいと同時に、警察庁と消防庁に、今回の大事故の教訓として、現在のような施工の方法、それから三者の間の協定等々でよろしいとお考えになるかどうか。これは改めなければならぬのだと具体的には私は言えないと思いますけれども、何かやはり両当局としての考え方もあろうかと思います。したがいまして、それらの点に対してのお考え方をこの際お聞かせ願いたい、こう思います。
  147. 西山磐

    西山参考人 ただいま先生の御指摘の点につきましてお答えを申し上げますが、今回の地下鉄工事に伴いますガス管保安業務につきましては、市との交換文書では、私どもは、第一義的に市が責任をもってやっていただく。ついては露出したガス導管保安については協力をしてくれという文書でございますので、私どもは、そのままそれによって、その要望に対して協力をいたしますということをお答え申し上げまして、結局先ほど申し上げましたように、おもな工事の節々につきましては協議の場でいろいろ意見を申し上げる。あるいはまた、工程の途中では立ち会いを求められて立ち会いをするとかというようなことによりまして、結局、市との私のほうとの協定と申しますか、往復文書でございますが、これは地下鉄工事に対しましていわば私のほうは補完的な御協力をするというふうに私は解釈をしております。  それで、先ほども申し上げましたように、今回の事故が起こりまして、それを教訓にいたしまして、ただいま先生の御指摘がございましたように、二度とこれを繰り返さぬためには、この協力関係というものをもう一ぺん反省をして、先ほども申し上げましたように、詳細に打ち合わせをするとか、あるいは緊密な連絡をとってそういったような協力をするというふうにしていきたいと考えておりますので、私の今回の事故に対する考え方はさようなことでございますので、御了承を願いたいと思います。
  148. 大石重成

    大石参考人 われわれ業者といたしましても、もちろん、再びかような事故の起きないようにどうしたらいいか、この点につきましては、冒頭に申し上げましたように、一鉄建建設だけでなくて、業者の団体であります協会におきましても、この問題を取り上げて業者立場から考えるというようなことをやっておりますので、十分皆さま方の御意見また御批判を参考にいたしまして、再びかようなことのないように万全の努力をしたい、かように存じております。
  149. 黒田泰輔

    黒田参考人 地下鉄工事をいたしております者としましては、埋設管は各種ございますが、やはり一番社会的に危険を伴うものはガスでなかろうかと考えておる次第でございますが、今後私どもは、先ほど来指摘されました文書による交換の話し合いではなお不十分である、もう少し詰めた話をしなければならぬじゃないかという反省もいたしますが、一方、どこまでも話し合いだけで現地で適当にということではなしに、やはりガス事業の重要性にかんがみまして、この点はいま直ちに私、具体的に申し上げられませんけれども、みずから十分反省をいたし、技術委員会等でもある程度の結論を出しました点で、先ほど申しましたように、またお願いの機会もあろうかと思いますが、やはり法制でもって相当基準まで第三者工事の場合の取り扱いを明定していただくということが、全国的に統一的な措置がとれるのじゃなかろうか、かように思っておる次第でございます。
  150. 中村重光

    中村(重)委員 それでは最後に馬場局長に見解を伺っておきますが、いずれにいたしましても、今回の工事は手抜き工事であったのか、手落ち工事であったのか。ガス管を固定させるその懸垂、そうした工事の面に対して落ち度があったということは、必ずや警察、捜査本部の捜査の結果出てくるであろう。このことも私はあり得ることだ。だから、それをないようにするためにはどうするかという問題、それは、少なくともあなたは、参考人のそれぞれの御意見なり答弁を聞いておられ、あなた自身も反省される点が私はあるであろうと思う。とにかく謙虚に反省をしなければだめなんです。そしておざなりの指導ではだめなんです。工事の方法についても、いまのように安上がりのオープンカット方式でいいのかどうか。シールド工法をここで取り入れなければならないということも考慮しなければならないのではないか。あるいは東京瓦斯の場合は、五百カ所くらい裸になった個所があるはずなんです。それに対して大阪瓦斯も、地下鉄工事に伴って出てまいりますのが私は相当なものであろうと考える。そうなってまいりますと、これのガス漏れというものがある。必ずそれに伴っていろいろな事故というものが発生をしてくるでしょう。これにどう対処していくのか。  私が聞いておるところによりますと、あなたのほうは、まる裸になったところには監視員をつけろ、こういうことを指導しておられるようでありますけれども、五百カ所も裸になっているところに監視員をどれだけつけることができるのか。朝から晩までつけると二交代、三交代でしょう。どれほどの人員が要るのか。そんなに安易なものでは私はないと思う。安易でないからといって、これをむずかしいからとして放置してよろしいものではございますまい。いずれにいたしましても、他工事に伴って生ずる今回のような事故というものは、前回の当委員会において宮澤通産大臣が、今回ガス改正法案ができて改善措置なんかも非常に強化したから、それによってやっていくのだ、こういうことでございましたが、今回のような場合は、改善措置なんというものは通用するものではございません。だからして、再びこうした事故を起こさないということについては、ともかく他工事との関係、いままでのような協力関係ということだけではだめなんだ。もっと保安責任者都市ガス業者工事そのものに対する権利を持たせる、同時に保安責任を持たせる、そういう体制を制度として確立する以外にないのではないか。もちろん保安思想というものが根底にあることは言うまでもないのであります。それらの点についてあなたのお考え方を最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  151. 馬場一也

    ○馬場政府委員 現行のガス事業法、改正されます前のガス事業法は、先生承知のように、いわゆるガス保安についてはガス業者責任はございますけれども、大筋は自主保安体制ということでございますので、一応の基準は省令等にもきめておりますけれども、きわめて一般的、抽象的であることを免れません。その大ワクの範囲内で一体どうやるか、あるいは社内の保安規程をどうするか、あるいは他工事業者とどういう話し合いをするかというのは、大筋から言いまして、自主保安体制という思想で貫かれておるわけでございます。改正されましたガス事業法は、そこから一歩出まして、ガス業者保安規程についても、御承知のように届け出制。不十分であれば、これをさらに改善をするように勧告をしたり命令したりすることができるように、もう一歩立ち入った法制になっておるわけでございます。そういう大きな流れ。それからもう一方では、昔と違いまして、非常に道路の下もいわゆる過密状態と申しますか、ガス管をはじめいろいろな管が埋設され、その下にさらにいろいろな他工事が行なわれるという状況でございますので、こういう昔と違った状況下において、一体、そういう他工事の際の導管保安について、いままでの法制なり何なりの考え方でいいかどうかという内容の問題もあろうかと存じております。  いま先生のおっしゃいましたように、われわれといたしましても、ただガス業者に、他工事業者責任体制を明確にするようなはっきりした文書による話し合いをしなさいという抽象的なことだけで足りるものかどうかという点は、今回の事故にかんがみまして十分反省をいたしております。いま大阪市の交通局長が言われましたように、責任の分担、あるいはどういう防護方法をやるかということにつきましても、ただ当事者で綿密に連絡をしてうまくやりなさいということだけではなくて、こういう部分についてはこういう防護方法をすべきであるというような、もっと具体的な基準というものを十分に考えまして、それをガス業者にも要求をし、また、実際に防護工事をやります他工事企業にも、額面どおりこれを実施していただくような体制を考えなければいかぬだろうと思っております。  もう一点、いま先生最後に仰せになりましたガス業者にそれは要求いたしますし、ガス業者はそれを他工事業者に要求をいたしましても、結局工事をやるのは他工事業者でありますから、他工事業者がそれをやっていただけるようになるかどうかということは、ガス業者として、ただ約束をしたからそれにまかせるということで、不十分な面もあるかもしれません。この点も、いま先生のおっしゃいましたように、そういう導管の防護につきましては、いわゆる他工事業者、あるいはその注文を受けます工事施行業者に、ガス業者としてその防護方法の面だけは監督権を持つといいますか、はっきりガス業者が自分の注文を直ちに伝えられるような制度にしたほうがいいのか、あるいはむしろ、他工事業者の掘さく工事監督されます別の法制面におきまして取りきめられました内容を、他工事業者が必ずやらなければいかぬというような、そっちの面からの法制で強化をしていただいたほうがよろしいのか、その辺のところは十分われわれも検討いたしまして、また、いろいろ関係の各省とも御相談をいたしまして、ただ、いままでのような、お互いにはっきりした話し合いをしなさいというような一般的なことではなくて、もっと立ち入った指導をいたし、あるいはそれを法制化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  152. 松島五郎

    ○松島政府委員 今回の事故にかんがみまして、こういう工事をやっております場所を、あるいは工事の内容というものを、消防機関が明確に把握しているということが第一番目に必要であるというふうに考えます。これは、対策本部等の会議におきましても、今後は現場でそういう工事が行なわれます場合には、消防機関も参画して協議をするようにいたしております。  第二番目には、ガス漏れということについて考えてみますと、ガス漏れガス爆発に通じ、さらに火災に通ずるという問題がございますが、火災の面だけでなくて、爆発という問題を常に考えなければならないということになりますと、そのガスの漏れた地域の火気の規制ということがまず第一番目に必要でございます。と同時に、付近の方々の安全のための立ち入りの禁止あるいは避難という問題を考えなければなりません。そういった面から、消防機関といたしましても、出動する際に、単に消防ポンプ自動車が出動すればいいのだという火災の場合と違った配慮が必要でございますので、私のほうは必ず広報車のようなものを出して、付近の住民に対する、いま申し上げましたような点の呼びかけ、あるいは避難の誘導というようなことに当たらせるように指導をいたすことにいたしております。  第三番目には、消防機関が到着するまでの間にある程度の時間を要します場合には、やはり現場におられます方々でも応急の措置をとっていただかなければなりません。たとえば、住民に対して危険を知らせる、あるいは火気の使用をやめていただくというようなことは、直ちにやっていただかなければならない場合もございますので、現場方々に対するそういった心得というようなものも十分徹底をしていただくようにお願いをいたしているわけでございます。  以上のようなことを通じまして、私どもといたしましては、ガス漏れガス爆発というものに対して十分な体制をとってまいりたいと思いますが、その場合にもまた、現場におられます関係者方々から的確な情報を迅速に入れていただくということも必要でございます。特にガス漏れの場合は、どの程度漏れていてどの程度の危険があるのかということは、単にガス漏れがあるというだけでは、なかなか判断しにくい点もございます。もちろん、現場で直ちにどの程度の危険があると判断されることもむずかしいかと思いますけれども、やはりそれには、どの程度の管からどの程度ガスが漏れているかというようなことも、なるべく迅速に連絡、通報をしていただくというような体制の確立も必要であるというふうに考えております。また消防機関に対しましても、ガス検知機でありますとか、あるいは、ガスの漏れています場合にはガス中毒の問題もございますので、呼吸器のようなものの整備というような、消防側の器材の整備についても努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  153. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 警察といたしましても、いま消防庁長官からお話のありましたような点、並びに、先ほど初動の措置につきましてさらに徹底をするという必要があることを申し上げたわけでございまするが、今回の事故につきまして、工事のやり方その他につきましてどういう問題があるかということは、ただいま捜査をやっておりますので、その捜査の結果判明しました点につきましては積極的に御意見を申し上げまして、そしてこの種事故の今後の絶無を期するようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  154. 八田貞義

  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、地元大阪といたしまして、今回の事故について非常に残念に思いますし、なくなられた方々の御冥福を心からお祈りすると同時に、二度とこうした事故を起こさないように、われわれとしても、あらゆる点のそうした究明をなし、今後の対策を考えなければならないと思います。私も現地に残りまして、衆議院からの視察団と現地合流いたしました。調査もいたしました。その後も時間をかけて調査をやってまいりました。きょうは、時間があればそうした点についていろいろ質問をしたいと思っておりましたが、限られた時間でもございます。そういうことで数点お聞きしたいと思います。  先ほどからの各委員のそうした質疑を聞いておりまして、私も私なりにいろいろな調査に基づいて感じた第一点は、一つはやはり責任の問題ではないかと思うのです。責任が明確化されておらない。たとえば先ほどからの答弁の中でも、御協力申し上げるとか、それは主体者たる人のことばではないと私は思うのです。御協力なんというものは、第三者的な立場なんです。そういうことで、協定書の締結等、責任体制のそうした明確化、そうしたことは今後大いに考えていかなければならない。いろいろ答弁があったわけでありますが、その辺の責任体制の明確化ということを非常に感じるわけです。  そこで、西山さんにお聞きしたいと思うのですが、ガス会社が大体責任の範囲としては、私も協定書を見ましたが、巡回、見回り、立ち会い、こういう内容じゃないかと思うのです。そうしますと、先ほどからの答弁をずっと聞いておりまして、御協力とかなんとかということばが出てきておるし、どうもその辺のところはすっきりしないわけです。そこでずばりお聞きしたいと思うのですが、パトロールカーを出せば当然ガソリン代も要るし、あるいは何組かを編成してしなければならぬ。あるいは見回り、立ち合い、こういう点で、そういう責任を遂行していくために、どれだけの予算を大阪瓦斯はもらっているわけですか。その金は市からか、建設業者からか、どこからもらっているのですか。
  156. 西山磐

    西山参考人 まず先生御指摘の巡回、見回りでございますが、これはわれわれガス業者責任といたしまして、導管保安を、導管を維持すべき義務がございますので、ガス漏れの検査というのが巡回パトロールのおもな任務でございます。それで、地下鉄工事現場におきましても、やはりこれは密度を濃くして巡回、見回りをやっておりますが、これはガス漏れがあるかどうか、ないかどうかということを検査するのが主たる任務でございます。この費用につきましての御質問でございますが、これは全部私のほうの費用で、企業者からはもらっておりません。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで私もうなづけたのですが、要するにこの地下鉄工事なり何なり他工事の場合、常にそういうガス漏れと、それから誘因する爆発、そういう危険にさらされなければならない。保安責任がある、しかしそれを実際強化していこうと思えば、そういうような費用等もかさんでくる。私は東京都の交通局のほうに聞き合わせたのです。そうしますと、東京都のほうは交通局からガス会社に対して千七、八百万円の金はいつも払っている、こう言うのです。それは何のお金ですかと聞いたところが、巡回、見回り、立ち会い費用としてはっきりとした協定書を結んで払っておる、こう言うのです。大阪の場合はなぜそういうことをやらないのですか。ただで幾ら責任がどうだこうだと言ったって、責任を強力に果たしていこうと思えばそれだけの体制をつくらなければならぬ。しかも他工事のことですよ。言うならば、他工事のことで見回りをしなければならない、そういう一念から、爆発の三十分前まで見回りをしておりながらガス漏れも発見できなかった。どうもその辺が私は不審に思う。大阪市としては、どうしてこういうような実際に要る金について払わないのですか。また、公益事業局長にも聞きますが、東京都はそのように金を払っておるけれども全国的にはどうなっておりますか。ただでやらせて、責任だけ押しつけてやるという、私はここに大きな問題があるじゃないかと思う。どうですか、大阪市と公益事業局長
  158. 黒田泰輔

    黒田参考人 いまの費用の点につきましては、別段お支払いしないとかするとかいうことではなくて、ああいう話し合いの場で自主的にやっていただけるということで、それが別に議論にならなかったものでございます。
  159. 馬場一也

    ○馬場政府委員 大阪市の場合に、大阪瓦斯がいわゆる自分の経費で自主的に、ガス業者として果たすべき保安責任として巡回、点検をやっておられるということは、いま西山社長のお答えのとおりでございます。もう一つ、東京の場合はどうか、こういうことでございますが、東京都の場合におきましては、これはむろん東京瓦斯が、ちょうど大阪瓦斯と同じガス業者としての立場から、そういう工事現場等でガス導管が露出しておりますときには、巡回、点検を東京瓦斯として自分の費用で行なっておることは、大阪瓦斯と同様でございます。ただ東京都におきましては、いわゆる企業者であります東京都交通局になりますか、営団でございますか存じませんが、企業者としても、この導管工事中は、地下鉄工事中は、企業者としての立場から導管の巡回、点検ということをおやりになる筋合いのものでございますけれども、それを、東京都の職員が自分でおやりになる仕事を東京瓦斯に委託をされまして、その委託に対して一定の費用を払っておられる、こういう関係のように聞いております。したがいまして、その場合に、経費を伴って回っておる東京瓦斯の巡回員は、実は東京瓦斯の職員と申しますよりは、いわば東京都の一種の下請企業という資格で回っておりまして、東京瓦斯がガス業者として回っておる巡回につきましては、大阪瓦斯同様別途行なっておりますし、それは東京瓦斯の負担におきましてやっておるわけでございます。したがいまして、東京の場合と大阪の場合と本質的に何ら変わりはないというふうに存じております。
  160. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこの話が何か非常にすりかえ論のように私は思うのです。実際に動く分野については、それだけの費用を東京都は見ているわけです。考えてみれば、ガス会社としては、別にそんな工事をしてもらいたくないわけですよ。言うならば迷惑でしょう。ガス漏れの危険はある。爆発の危険はある。金は要る。だから、先ほどからの話をずっと聞いておりましても、責任をはっきり持てるようにしてもらいたい、そういう奥歯にものがはさまったような話があった。したがって、契約方法について、はっきりと保安のことをそれだけ責任を持たすなら、その裏づけとして、少なくともこれだけの強化をしなければならない、これについてはこれだけの費用が要る、少なくともそれは別にガス会社にきちっと払うだけの体制をつくらなければ、いつまでたっても、協力体制協力体制と言っておったって、必ずその間隙に事故が起きると思う。空白のところ、私はそこが事故が発生した一番根本的な原因だと思う。直接的な原因は、確かに先ほど手抜き工事の問題とかいろいろあった。ボルトが締めていない。あるいはT字型の部分がこうなっている。私も下までもぐって見てきました。その辺のところは私は重大な問題だと思うのです。そういう契約方法のあり方について、事業局長、これはあとで考えますというような問題と違いますよ。そうでしょう。ただでやらされて責任だけ持たされる。その辺のところをはっきりとした明確な裏づけをすれば責任もはっきりするのです。どうしますか、この問題。
  161. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス業者ガス導管の所有者でございますから、平常に埋設されております場合でも、あるいはそれが他工事等によって露出しております場合でも、常にガス導管保安につきましては、これは法律並びに規則に定めてございますように、一定の巡回、点検をする義務が本来あるわけでございますから、ガス業者としては、それを他から金をもらってやるというたてまえではないわけであります。ただ今回の場合は、いわゆる埋設されておりませんで、外に出ておりますから、いま西山社長の言われましたように、通常埋設されておる状態であれば、どういう間隔を置いて回るというよりは、もっと濃密な点検をやっておられることが実態でございまして、いわばその面だけが普通の場合よりはガス業者としては費用がかかるかと思いますが、それがいわゆる協力関係ということであろうと思っております。  東京瓦斯の場合には、東京瓦斯は同じような立場で別途やっておりますが、先ほど申しましたように、東京都自身がこの工事中、ガス導管点検、あるいはそれを見回りをされるために常駐制をとっておられまして、その常駐を東京都の職員が行なわれるかわりに、その仕事をガス業者が東京都の職員にかわって行なっておる。その限りにおいて東京都のやるべき仕事をガス業者がやっておりますので、その費用を東京都からもらっておる、こういうことでございまして、いわゆる東京瓦斯プロパーの仕事とは別途のたてまえでございますので、先ほどお答え申しましたように、大阪瓦斯の場合と本質的に変わりはない。おそらく大阪交通局におきましても、ガス業者が自主的に立会、点検をやっておりますのと並行いたしまして、大阪交通局の職員の方が常駐をされるなり、あるいは点検をされるなり、大阪市として固有の費用をかけておられるだろうと思います。それを大阪市は自分の職員をしてやっておられるというところが違うのではないか、かように考えております。
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 たとえば東京都の職員にやらすのをガス会社に金を払ってやらしておる。あなたのお説でいけば、ガス管保安についてはガス会社責任だという点からいけば、筋論からいけば、何もそういうことをする必要もないわけです。ガス会社に持たせればいいわけです。それを東京都はそういうふうにやっている。それは実際にたてまえと現実が違うということなんです。だからそういう形をしているわけです。実際にいままでの大爆発は、見てみれば、全部そういう工事のところから発生しているわけです。したがって、一般の土中に埋まっておるそういう点検の数十倍、数百倍、それだけの濃密さをもって点検をし、巡回をし、パトロールしなければならぬわけですよ。ですから、普通の平常の状態とは全然違うわけです。それをただ、ガス保安がこうだからということだけで野放しになっておる。そこに私は今回の大事故発生の一番の原因があると思うのです。ですから、当然契約方法のあり方について、それだけの工事をする場合については直接そのガス会社責任を持たす、その辺の契約をすべきだ、私はこう思うのです。その点これからそうされますか。そうしなければ、これから次から次に事故が起きますよ。共同溝にするといっても、どれだけの金がかかるのですか。急にはなかなかできないでしょう。何回も私たちもこの委員会で言ってきた。結局は予算の裏づけがないからできない。それよりもどんどん都市再開発が進んでいる。もう爆薬庫をかかえているようなものです。それを事故をいかに起こさずにいくか。ただ法律でガス管の法がこうなっているからというだけではなくて、真剣に現状を踏まえてそういう点を考えていかなければならぬと思うのです。どう思いますか。この意見について三者の方に意見を聞きたいと思う。それから事業局長にも。
  163. 西山磐

    西山参考人 保安責任ガス会社に持たせていただくということは、私、非常にいいことだと思います。しかし、先ほどもお話がございましたように、現在の体制では、私のほうに指揮とか命令権というものが実際工事にございませんのですから、かりにいま保安責任ガス会社に持てということで、そういう権限を与えられるにしましても、先ほども御答弁を申し上げましたように、いろいろほかの埋設物がございますので、非常に複雑な問題が起こるのじゃないかと思います。そういうことでございますので、これは前向きに検討はいたしますけれども、非常にむずかしい問題があるということを申し上げたいと思います。
  164. 大石重成

    大石参考人 建設業者といたしまして、ガス会社と企業者の間でどうあるべきかということをちょっと御批判申し上げるのは、ひとつ差し控えさせていただきたいと存じますが……。
  165. 黒田泰輔

    黒田参考人 先ほど来通産省の馬場局長さんも、ガスサイドの法制化、その他のサイドの法制化、やはり基準を他工事の場合にも明確にしていくことが望ましいとも思うし、よく検討せなければいかぬということをおっしゃっておりましたが、そういう際に、第一義的に保安責任がどうであって、第三者の場合には限界、分界をどこに置いて、どういうことが第三者の責任に入るとかいうようなことが明確にされる時点において、通常の保安責任上果たすべき経費をこえる経費を要する場合は、第三者の原因によってそれを要するというようなこと、そういうようなことがやはり明らかになってまいるだろうと思うのでありますが、やはり責任の分野を明らかにされる段階において権限も明らかになってまいることだと思いますが、そこら辺で検討さるべき問題と考えております。
  166. 馬場一也

    ○馬場政府委員 先ほど中村先生の御質問にお答え申し上げましたとおり、今後この種の他工事を伴いますガス導管の防護につきましては、もっとその防護方法について具体的な基準を、いずれにしてもガス事業法上明確にいたしたいと思っております。そのガス事業法上基準を明確にいたしますと、ガス業者はそれを守ることになるわけでございますけれども、同時に、これは他工事の場合には、いまも西山社長からお話のありましたように、防護方法そのものを直接に工事する人は、いわゆる他工事業者もしくはそれの発注を受けた工事業者でございまして、ガス業者は直接の指揮命令権がございません。これを、ガス業者に指揮命令権をその分だけは持たせたらどうかということが実情に即するか。あるいはむしろガス業者のほうから、しかじかかくかくの具体的な要求を他工事業者に行ないまして、その他工事業者が、今度はそのとおり防護工事をやっておるかどうかということを別途の法令で担保すべきが妥当ではないかというような点につきましては、先ほどお答えしましたように、今後関係の各省とも十分御相談をしまして、すきのないようにいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、その費用の点でございますけれども、その防護工事そのものの費用は現在でも——これは東京、大阪に限りませず、どこでも、他工事企業がありまして、それに付随して導管の防護工事が行なわれるときの工事の費用は、他工事企業の負担でございます。現在は実態もそうなっておりますし、たてまえもそうであろうかと思っております。ただ、先ほど来繰り返しになりますけれども、そういう他工事が行なわれておる際にもガス業者として、ガス工作物であるガス導管保安、つまりガス漏れがあるかないかということは、通常の場合と同様に、むしろそれ以上に濃密にチェックをする必要がございますので、これはガス業者の固有の責任でございますから、他から費用をもらってやるという筋合いではなかろうと存じております。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに局長、筋合いではないということは——これは筋論は私もわかるんですよ。現実に東京都の場合も、濃密には、ただ保安の義務ということを課せられただけではできないということがわかっておればこそ、それだけの金を出してガス業者に回らせておるわけですよ。したがって、現状はもう合わない状態に来ておるという、この現実の姿を見てもらわなければ困ると思うのです。ですから、そういう点でこれはほんとうに真剣に考えなければ、またまたお互いのそういうすきができると思うんです。大阪の場合でも、現実にぶれどめでも、二メートルとなっておっても、その間がばらばらである。大事なところへボルトを入れなければならないのを入れてない。ここに手抜き工事ということが出ておる。T字型のところも、先ほど西山さんから話があった、ここへボルトを入れてもらいたいと言ったけれども入れてくれてなかった。建設業者も、言われたことをやらないということはよくないし、また、それをいままで見落としておった大阪市も大阪瓦斯もよくないですよ。それじゃ工事のとき、ここあなた入れてくれてませんよとなぜ言わないのですか。しかもパトロールカーが四時半に帰って、爆発が五時半ですよ。一時間にあれだけのガスが漏れて、一体何をパトロールしておったかということです。そういうことは全部お互いが無責任ということは断言はしませんけれども、お互いが、まあ言うてあるからだいじょうぶだろう、こっちも書類出してあるからだいじょうぶだろう、こういうようなことがずっとなっておるこれはそのすき間に起きた事故です。私は本委員会質問したときも、宮澤大臣は、はっきりと人災であるとおっしゃった。そのことを私は言っているわけです。したがって局長、筋論だけではなくして、真剣にこの問題を考えていただけるかどうか、もう一回お聞きします。
  168. 馬場一也

    ○馬場政府委員 現在この大阪事故が起きましたのは、警察調査は別といたしまして、当事者でございました交通局あるいは工事施行業者大阪瓦斯、当事者それぞれに、どの分野か知りませんが、いま言いましたようなお互いの不注意があったということは、私、先ほども中村先生にお答え申しましたように、そのとおりであろう。したがって人災であろうという点は、先生の御趣旨のように私も考えております。  ただ、先ほど来先生の御質問にございましたのは、そのガス業者が行なうパトロールの費用をどうするかという問題でございますが、これは先ほど来お答え申し上げましたように、ガス業者として本来なすべき仕事をやる費用はガス会社が持つのがたてまえであり、また実際にそう行なわれており、大阪瓦斯はそのとおりやっておる。たてまえと筋合いと実際とが一致をいたしておるわけでございますから、その点について私は改むべき点があろうとは思いません。東京の場合でも、東京瓦斯は同じ立場で東京瓦斯としての巡回を行なっておりますが、そのほかに東京都として、つまり他工事業者としてなさるべき点検の業務をたまたま東京瓦斯に委託して、その金を払っておられるということが、東京の場合別途あるにすぎないということをお答え申し上げたわけでございます。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたも、そうかたいことばかり言わずに、要するにその筋論と現状は違うということで、東京都の場合も、その間隙を埋めるために金も出してパトロールを緊密にしているわけでしょう。たとえば、その工事のところへ常駐させて見ておれば、そんな事故なんか起きませんよ、はっきりいえば。二十四時間ずっとおれは——なぜ事故が起きるんですか、これ。そうでしょう。だからその辺のことを私は言っているわけです。ですから、現状と保安の義務という、そこのところのギャップといいますか、そこのところを埋めるために、契約方法についてもやはりそこは考えるべきではないかと私は申し上げているんです。ですから現状の立場から、その点は今後大いに考えられるのかどうか、その辺をお聞きしているんですよ。ほかのことは答えてもらう必要ありませんから、その辺のところだけ明確にひとつもう一ぺん答えてください。
  170. 馬場一也

    ○馬場政府委員 東京都の場合に、東京都自身がどういう監視体制をとっておられるか。それから大阪交通局の場合に、大阪市がどういうふうに行動しておられたか。その間に、非常に片一方は十分であり、不十分であったかどうかという問題につきましては、今後もっとよく検討いたしまして、たとえば、かりに大阪市としての保安監視体制になお十分でない点があれば、ひとつ今後大阪市にお話しをいたしまして、十分な監視をやっていただくようにお願いをしたいと思います。大阪市がその監視をやられますときに、大阪市がみずからやられますか、あるいは大阪瓦斯をしてやらしめられますかという問題は、必ずしもガス会社に金を払ってやられるということでなくても、大阪市御自身がおやりになる場合もあり得るのではないかと思います。東京の場合、大阪の場合、それぞれその辺のところはいろいろ実情があろうかと思います。ただ十分な監視を企業者としてもやっていただくということは、先生のおっしゃるとおりでございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは大阪、東京の問題だけではなくて全国的な問題です。これからどんどん都市再開発が行なわれていくわけですから、この私が申し上げた点はひとつ十分に検討していただいて、今後の責任の裏づけとなる契約というか、その辺のところを、現状に合わせてよく考慮をしていただきたい。これは局長さんだけではなくて、きょうは課長さんも幹部の方々皆さん来られているわけですから、この点はそれぞれ三者一体となって、今後の課題としていただきたいと思うのです。  それから労働省来ていますか。——この前大阪でお聞きしたときは、労働者について、なくなられた人、けがした人について労災の適用については考えている、まだきまってないということでしたか、人命救助で——その処置の適、不適はどう判断すべきか別問題ですが、いずれにしても人命救助のためにやっておるわけでしょう。そこで、なくなった人やそこでけがした人に対して、労災を今後適用できるかとうかを考慮する——なぜそんな考えるような余地があるのですか。適用するのはあたりまえじゃないですか。労働省にお聞きします。
  172. 中西正雄

    ○中西説明員 お答えいたします。  業務上今回の事故によって被災されました方に対して労災補償をするのは当然でございまして、そのようにすでに準備を整えております。一部補償も終わっております。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではけっこうです。  それから、その現地を歩いておりまして、瞬間のぶっ飛ばされながらとった人がおりまして、連続写真を私、現地で得たわけです。これは参議院にお貸しをしまして、関係者皆さんはごらんになっているかと思いますが、この写真一枚から警備体制一つをやっても、一時間、二時間かかるわけです。きょうは時間がありませんからやりませんけれども、次の機会にやりたいと思います。  あのときにガス漏れがあった。ところがその通報体制というものは、警察警察、消防は消防、ガス会社ガス会社、それぞれ市民が別個に電話をしておる。なぜ、ガス会社は受けたならば警察、消防に、あるいは消防署が受けたならばガス会社なり警察に、そういうふうな横の連携をすばやくとってやらなかったか。交通整理にしたってもっともっと犠牲者は防げておるわけです。そういう連携についてどう考えてますか。これはだれか代表で答えてください。公益事業局長
  174. 馬場一也

    ○馬場政府委員 そういう緊急時の通報体制につきましては、今度の事件をだれがどういうふうに通報したかというのは、私も詳細に聞いておりませんが、もっと完ぺきが期せられるように、迅速な通報体制あるいは相互の通報体制ということにつきましては、一つのしっかりした形をきめなければいかぬと思いまして、連絡対策本部におきましても、そういう緊急時の場合の相互の通報体制、あるいは警察なり消防なりに対する通報体制につきましては、今後十分しっかりやっていくということを対策一つにあげておるわけでございます。  なお、今回の場合につきましては、大阪瓦斯のパトカーがたまたまその近辺を巡回しておりまして、五時二十分ごろに異常に気がつきましたので、大阪瓦斯のパトカーは、自分のところの北営業所でございますか、そこにすぐ通報しておるようでございますが、同時に営業所のほうからも、時間の落差はあるかもしれませんけれども警察、消防のほうへはそれぞれ御連絡しておったかと思っております。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 現状は、通報したかしりませんが、全部市民から連絡しているわけですよ。これは、あなたはあなたでまた言い分があろうかと思いますけれども、いずれにしてもそういう体制は全然できていなかったということです。したがって、この辺の点は早急にやらなければ、あとあとまたたいへんな問題になると思いますので、早急にみんなが実施できるプランというものを示していただきたいと思います。  それから、こまかい点でいけばガスの検知機すら十分なものはない。いまのものは、あれば年じゅう鳴りづめだ。どんなガスでも感応する。科学技術がこれだけ発達しておって、ガスの検知機一つない。よくこれでガス保安が保てたものだと思うのです。したがって、このガスの検知機もすばらしい性能のものを早くやってもらいたい。これは要望だけしておきます。  それから共同溝の問題、特にガス管のジョイント部門、T字型部門、これの接続方法なども、私は現地に行って見ましたけれども、ほんとうによくこんなのでほうっておいたなと思う状態です。したがって、安全工法という点について、安全基準等も早急に設けなければならない。いままでそういうこまかい基準は何もないわけです。ですからそういう安全基準等を早急にやっていただきたいと思うのです。また埋設物の統一地図等もまだできていない。これも全国的に早急に作成する必要もあるんじゃないか、このように思います。特に安全基準の問題について公益事業局長に聞いておきますが、これについては明細に至るまでのことを考えておりますか。
  176. 馬場一也

    ○馬場政府委員 今回の事故がございましたあと、連絡本部から、先年のガス導管防護対策会議に加わっていただきました星埜先生以下四名の先生方にお願いいたしまして、現場の実験をお願いしたわけでございますが、その後帰られまして、いろいろな防護方法についての着眼点と申しますか、そういう点の具体的な御指摘がございましたので、それらを体しまして、五月一日に、政府の連絡本部といたしまして、いわゆるガス導管の防護方法につきまして今後具体的にこういう点に留意すべきであるという数点について決定をいたしております。  概括的に申し上げますと、一つは、ガス導管を露出してつり防護を行ないますときには、上を自動車等が通ります振動の影響を極力防止いたしますために、つり防護専用のけたを必ず用いる。それからつり金具につきましては、その張力を容易に調整し得るような構造のものにするというのが第一点であります。  それから第二点といたしましては、ガス導管等が曲がっております部分の特殊個所につきましては、通常の直線部分より応力がよけいかかりますので、そういう部分につきましては、ステー等によって連結をして固定をいたしまして、十分な力の均衡を保つようなことに防護をやるというのが第二点でございます。  それから第三点は、これはつり防護じゃございませんで、工事が終わりましたあとのいわゆる受け防護でございますが、これにつきましては、土荷重等に対しまして十分な強度を持つような構造のものにするという点が第三点でございます。  それから第四点といたしまして、掘さく等で管が露出いたしますけれども、その継ぎ手部については必ず押し輪をつける。それから、特に露出しました分の屈曲部等の特殊な場所にある継ぎ手部につきましては、さらに十分な抜け出し防止装置をつける。これは導管自身の構造になりますので、この分につきましては、工事に先立ちまして、ガス業者が直接にそれだけの防護工事をやるというふうにいたしたいと思います。  さらに、掘さくによって露出した継ぎ手部につきましては、いろいろな塗料を塗る等の方法を講じまして、特に工事現場で働いております作業員の注意を喚起するとともに、継ぎ手部がもしずれたりゆるんだりいたしましたときに、ある程度それが目立ちますと発見しいいような措置を講ずるというような数点につきまして、今後これを省令の基準にも織り込みたいと思っておりますし、とりあえずはこれらの諸点につきまして、現に工事されております各現場につきまして、これだけの措置がとられていなければとられるように徹底をいたしたい、かように考えております。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので、これは要望だけにとどめておきますが、私も、負傷者あるいは焼かれた人、いろいろ会っていろいろ聞きました。そうするとこういうようないろいろな問題があるわけです。  爆風で飛ばされたが、家に帰ってから悪くなった。後日、負傷者の治療について、軽傷なので医者に行かず自宅で自己治療してなおしたが、治療費、薬品代はもらえるか。働き手の主人が負傷したり子供が負傷して、休業のため生活ができない、苦しくなった。負傷のため商売できない。爆発で通行どめになり全然商売が成り立たない。これは営業補償です。あるいはある人は、日雇いの大工で収入が定まっていないので、収入証明がとれない。クリーニング店が焼失したので洗たくに出した衣料が焼けた。あるいは補償に対して、説明会に出席できない場合は内容がわからない。補償問題に対する個人別通知はどうしてくれるか。爆発原因でいろいろ生活が苦しくなった。見舞い金の分類について重軽傷の区別が納得できない。子供が入院、家にも二人の子供がいるので両親が手が放せない。このための休業補償はどうしてくれるか。遺族負傷者で他府県の人がいる、再三大阪へ出てこられない。こういう交渉については放置されたままである。子供が入院、負傷して学校へ行けない、授業がおくれる、どうしてくれるか。通院者に、市から車を回してもらっている人と、いない人は不公平である。市の交渉、処理が手ぬるい——いろいろな非常にこまかい問題ですけれども、幾らでもそういうような意見が出てくるわけです。そういう点についてひとつ万全の補償をやっていただきたいと思うのです。それは先ほども決意表明されましたから、それでいいと思いますが、もっと克明にいろいろなことを吸い上げて、それにきめこまかな対策をひとつ打っていただきたい。この点要望しておきます。  それから、皆さん方は三者負担ということになっておるそうでありますが、事故原因が究明されてくれば、その責任の度合いに応じて負担額をきめるという話も聞いているわけです。私はここで皆さん方の答弁も聞いておりまして、要するにそういう金、補償だけの問題ではなくして、刑事責任というものを伴ってくる。ですからお互いが、何となくはれものにさわりたくないというような感じが、私はしてならない。今後事故を起こさない、そのためには根本的な原因究明ということをやらなければならぬわけです。したがって、そういう補償とか刑事責任とかいうようなことで、肝心な原因究明という、真剣な国民にこたえなければならないその態度を、お互いに忘れてもらってはならないと思うのです。ですから、今後あらゆる独自の立場、あるいは警察にも協力してもらい、たとえどうあろうと——これは、起こったことはしかたがないわけですから、今後出直してもらえばいいわけです。二度と事故を起こさないという決意で、それだけの対策を立てて出発をしてもらえばいいのです。したがって、この際はっきりと原因究明に皆さんも力を入れて、どうあろうとこの際はひとつほんとうの原因というものを明らかにしてもらいたいと思うのです。そして今後の対策を立てる。補償についてもいま数点申し上げましたが、皆さん方の家族と思って——実際に皆さん方の家族が頭を飛ばされ、手を飛ばされ、かたわになったらどうしますか。家を焼かれたらどうしますか。どうかそういう立場で、納得ができるそういう補償をしてもらいたい。これを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 八田貞義

    八田委員長 吉田泰造君。
  179. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 参考人、朝から長いこと非常に御苦労さんでございますが、できるだけ重複を避けまして簡単に質問をさせていただきたいと思います。まず具体的な質問をいたしますので、きわめて簡単に要点のみお答えいただきたいと思います。  黒田局長にまずお伺いいたします。大阪市の場合は工区現場に巡視員を置いていますか。
  180. 黒田泰輔

    黒田参考人 お答え申し上げます。  職制による建設所長あるいは係長というものの以外に、いわゆる監督員という形で、請負内容の履行を正確にするために職員を置いております。
  181. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 鉄建大石参考人、巡視員を置いておられますか。
  182. 大石重成

    大石参考人 私どもでも巡視員は置いております。
  183. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 現場に何名でしょうか。
  184. 大石重成

    大石参考人 職員が二十七名現場についております。そのうち安全保安責任者が二名でございます。
  185. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 事故の現況ですね。朝からの各同僚委員質疑を通じまして、事故が起こってから後の処置が、具体的に適切を欠いたものが非常に多いのではないか、私はこのように考えます。これは大阪市の場合もお置きになっている。ガスは、本体のことでございますので、十分パトロールする。これは当然義務がございますね。建設会社も置かなければいけない。だから、ガス会社そのものが保安責任はありまして、発見するのは当然でございますが、大阪市も、交通局も、鉄建会社も、当然巡視員を配置をして事故を未然に防止しなければならない、その責任に当たっているわけですね。さよう承知してよろしゅうございますか。局長から御答弁願います。
  186. 黒田泰輔

    黒田参考人 保安業務に関しましても、請負契約の中に保安の条項もございますし、それが履行されておるかどうかということを監督するのが、市のほうに義務がございます。
  187. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 これは重複をする点があるかもしれませんが、いま局長の答弁の中で、大阪市の請負契約の中に、保安対策について、当然、鉄建大阪市も、ガス業者である大阪瓦斯と同様な保安責任がございますね。これは鉄建社長どうですか。
  188. 大石重成

    大石参考人 もちろん私たちは、自分でやりました懸垂作業が異状がないかどうかは、責任をもって監視をしておりました。
  189. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 大石さん、私は懸垂がどうかということを聞いたのではないのです。保安責任があるかどうか。ないならない、あるならある、そういう御答弁が望ましいのです。わからぬならわからぬ、それでけっこうです。
  190. 大石重成

    大石参考人 非常にむずかしい問題で、これは決して責任のがれを言うわけではございません。ございませんが、私たちがやらされておりますことは、消防署によって示された参考図によって、監督者の市または会社の係員の指示に従って仕事をしろ、こういうふうになっておりますので、その指示には十分従っておりました。
  191. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 局長、おたくの工事請負人である鉄建社長のいまの御答弁で、監督者たる企業体の最終責任者黒田局長、それでよろしいか。いまの社長の答弁でよろしいか。
  192. 黒田泰輔

    黒田参考人 契約上から見るのが一番いいだろうと思いますが、いま社長保安要員を二人置いておると言う。また契約でもそういうものを置いてもらうことになっておる。契約上も、災害防止等のため特に必要と認めたときは建設会社も必要な措置をとらなければいけないということがありますし、また私どものほうの監督員は、緊急な場合においても乙に対して緊急の措置をとるよう指示するというように監督員に任務を付与しておりますので、そういう次第でございます。
  193. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの大石参考人の御答弁では、ちょっと釈然といたしかねる点がございます。非常にむずかしい御答弁であろうと思いますけれども、やはりここは、司直の手で原因究明をしようということではなくて、原因究明を通じて全国民に、やはり二度と事故の起こらないような、これは各員共通の意見だと思うのです。それがために法改正が必要ならひとつ積極的な法改正をしようということのたたき台にするために、皆さん方の御意見を聴取するという前向きな姿勢でこれは議論を行なっておるのです。私は、この席で大石参考人がどう言ったからといって、その責任等は、刑事上の問題あるいは民事上の問題とはおのずから別だと思います。実を言いますと、いまの局長の御答弁で私は正しいと思うのですが、大阪市地下工事標準仕様書あるいは工事契約に伴って、異常発見の場合、建設会社昼夜を分かたず巡視を行なう。これは四六時中巡視はやれということですね。いま大石参考人は、二人置いておられるということですね。これは巡視を置かなければいけない。もう一つ大阪交通局の標準契約書の第十七条にきめられておりますね。「工事請負人は災害防止等のため特に必要と認めるときは、臨機の処置をとらなければならない」、以下いろいろ文章がありまして、「工事請負人は、そのとった措置につき遅滞なく監督員に通知しなければならない」という、いろいろな義務事項の指定が契約条項の前にございますね。それがあるということ自身は、大石参考人は御存じですね。どうですか。
  194. 大石重成

    大石参考人 異常がございましたときには、遅滞なく関係方面に通知をするということは存じております。
  195. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 ここで、いま具体的な二つの例——あとでもう一つ具体的な例を、非常にこまかいことで、現場のことで私はお伺いさせていただきます。ただ、朝から皆さん方の御意見を拝聴し、参考人の御意見を聞いておりまして、私は感じた点を率直に申し上げます。  これは、たとえば非常に悪うございますけれども、一部、二割か三割かはみんなこれは責任があるのです。三者とも責任当事者なんです。したがって責任はある、道義的にも。人もたくさん死んでおりますし、たいへんな被害を与えておりますので、これは申しわけない。ただし、法律的な最後の詰めは、だれかほかのところが悪いんだろうというようなところがどうも腹の中にある。したがってどうも答弁の中に、なかなか核心に触れた答弁が出てこない。どこかほかのところが悪いんじゃないか——事実そう思っておられるのじゃないかと私は思います。ということは、これは裏を返すと、法律的に欠陥がある。これはあと公益事業局長の馬場さんにお伺いしますけれども、法律上に欠陥があるんだ。もし欠陥がないとするならば、ガス爆発の事後、本会議で通産大臣が私の質問に答えて——私の質問は、このままではガス爆発が起こりますよ。したがって、これはあとで論議をいたしますけれどもガス事業体に対して工事指示権なり監督権を与えるような措置をとってはどうかということについて、大臣答弁で、大阪市と大阪瓦斯との間には協定書をつくっておりますという御答弁をちょうだいいたしました。ということは、保安責任を持つべき——この場合、大阪瓦斯ですね。大阪瓦斯が保安責任を持てないような状況に置かれた場合、すなわち、地下鉄工事とか掘り返された場合、そういう場合に対して保安責任体制が、責任法が明確ではないということの補完の意味で協定書が必要になってまいったと私は思うのです。ただ、その協定書の法律的な性格を論議する前に——あとでちょっと論議をさせていただきたいのですが、論議をする前に、私、こういういろいろな文章を見まして、ガス事業法を見まして、これは、大阪瓦斯のガス事業法の保安責任は、法律的に問題になるようなことが非常に少なくなってくると、これはどこにあるかということなんです。ということは、この不完全な法律のままでも、ガス事業法並びにその補完的な措置として板橋事故でとられたいわゆる協定書、あるいはまた、大阪市と請負人であるところの鉄建と、あるいはその下請業者ときめられたことを、まじめに実行しておったならば事故は絶対に起こってないと思うのです。これは文章を読んでみなさい。絶対事故が起こっていませんね。ということは、みんなが案外何にも実行してないということなんですね。実行してない間隙に事故が起こった。ところが、そのきめて手であるところの——もし最悪の場合、事故が起こった場合、責任の限界が明確でないから、責任の所在が明らかでないから、朝から皆さん方が御答弁するような結果に残念ながらならざるを得ない、そういう感じを私は強くするのです。  これは公益事業局長にお尋ねいたします。現在のガス事業法でいまのガス工事保安を完全に果たし得るかどうか。果たし得る、得ない、簡単にまず御答弁をいただきたいと思います。
  196. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ちょっと先生の御質問の意味をとりかねておりますかもしれませんので、お答えがピントをはずれるかもしれませんが、現行のガス事業法の精神は、先ほどもお答え申しましたように、ガス業者のいわゆる自主保安体制という考え方で貫かれております。したがいまして、ガス業者がみずから工事をやって導管を埋めます場合、あるいは他工事に伴ってそのガス導管が露出をされます場合、それに対してどういう十分な保安措置を講ずべきかというのは、具体的には大部分ガス業者がみずから自主保安体制で考えるというたてまえになっておりまして、ガス業者がそれを十分考え、かつ、他工事の場合には、相手方に要求をして、それがそのとおり実行されたといたしますと、先生のおっしゃるように、現行のガス事業法におきましても、ほとんど全部の事故は防げるのではなかろうかと私は思っております。
  197. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 それならば、現在のガス事業法を改正する必要はありませんね、局長。いまので完ぺきなんですね。
  198. 馬場一也

    ○馬場政府委員 改正されましたガス事業法は、自主保安体制というのから一歩出まして、先ほどもお答え申しましたように、いろいろガス管自身も高圧のものになってきておりますし、また都市の中で、ガス管のほかに都市の地下自身が過密であるといういろいろな複雑な情勢がございまして、このままの自主保安体制でいいかどうかという点がございますので、社内の保安規程を届けさせましたり、あるいは省令の基準にいたしましても、いわゆる技術上の基準ということで、省令に書いてある事項につきましてもさらにもっと具体的に書きまして、そしてこの事項をガス業者に守ってもらうというふうに、現行のガス事業法からもう一歩出る精神で改正ガス事業法が立案され成立をしておる、かように考えております。
  199. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 私は、現在のガス事業法で、この前の板橋事故が起こってから、この委員会でも御質問を申し上げたのですが、このままではいけないんではないかという考え方を私は持って本会議でも質問をしたのです。いまの御答弁で、あとまた詰めた御答弁を再度していただきたいと思います。  それより先に、私の考え方では、現在のガス事業法は、保安規程とかいろいろな点で不備な点がある。不備な点があるから、先ほどの同僚委員に対する局長の御答弁にもありましたように、各地方公共団体に対して、ガス業者との間に協定文書をつくらすような行政指導を行なった、われわれはそういうふうに承知しております。完全であればする必要がなかったんではないか。したがって、現在の法律規定で十分でないから、補完的に省令を変更したり、その前に次善的な処置として、ベターな策として協定書を結ばせるようにした、こういうふうに私は解釈しております。大阪市の場合協定書が結ばれております。協定書かどうか、これは非常に疑問を残すんでございますが、これは黒田局長にお伺いいたします。この各埋設物の企業体に対しておたくから局長名で通達を出されておりますね。それで各企業者からそれに対して回答をいただいておる。この法的な性格ですね、これはどういうふうに御理解なさっておられますか。きわめて簡単でよろしいです。
  200. 黒田泰輔

    黒田参考人 国会審議の過程で協定がどういう意味でお使われになられたのか、私存じませんけれども、照会、回答という形で、内容的には一種の協定と考えております。
  201. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 板橋事故で、何らかの意味でこういう協定——法の不備な点、それについて、各企業者間の協定を結ぶことによって、相互連絡を密にしてガス爆発を未然に防ごうという精神で私は協定が結ばれたと思うのです。現に大阪市の場合もこの協定書——私は先ほど冒頭で申し上げましたように、きめられたとおりやっておれば案外事故を未然に防げたのではないかという気がいたします。これを見てみますと、大阪市の場合は、保安責任をとるから各企業者はこういうふうにしなさいという指示をしておりますね。大阪瓦斯の場合でも、それに対して協力するという旨の回答書がつけられておる。このガス事故関係のところを見てみますと、いま大石参考人が、懸垂は指示どおりやったということ。したがって、言外に法律的に間違いはないようにしておりますということを、ほんとうは言いたいんだろうと思うのです。しかしそうじゃなくて、私はこの場で言いたいのは、懸垂するときの大阪交通局がやらなきゃならないこと、これはありますね。「部分掘さくして懸すい施工時期の連絡、立会について協議」、これがまず第一点ですね。「交通局係員による懸すい状況の検査、沈下曲り等の測定」、この二つのことがありますね。それで大阪瓦斯は「懸すい状態の確認」と、日にちが工事爆発から裸になった期間が非常に短うございますので、ただ大阪市の場合は、この協定によるこの二つの事項の実行は確実にやられたとごらんになりますか。  その前にもう一つ。この協定書の前に、先ほどだれかも質問いたしましたけれども大阪瓦斯がこの工事に対して特に抜けどめを施工することを特記をして四月三日に返しておりますね。それについてこの特記事項を担当責任者は何らかの指示をなさったかということ。これは返ってもらったままなのか、あるいはこれについて何らかの指示が行なわれたか。鉄建までそれが耳に入っておったかどうか。これは抜けどめについて特に中圧管の特記事項について指示をしたかどうかということが局長に一点。約束どおりいまの二点を実行したかどうかという二点。あと大石参考人に聞きたいのは、その特記事項を請負人であるところの鉄建建設承知しておったかどうか、相次いで御答弁を願います。
  202. 黒田泰輔

    黒田参考人 第二建設事務所の所管しております工区は五つございまして、そういう特記事項のないのとあるのとあるわけでございますが、事故の発生いたしました工区については、四月三日夕刻にそういう承認するということを特記事項を付していただいております。それでその晩、翌日の打ち合わせをするのがならわしでありますから、その際に鉄建に筆記して帰ってもらった、こういう経過を経ております。
  203. 大石重成

    大石参考人 ただいま交通局長からのお話のように、私のところの係員が第二建設事務所に参りまして、これを鉛筆で書いていけということで自分で書き込んだ、しかしこれは費用の分担の問題であるぞというお話がございまして、さよう承知をして帰ってきた、こういう報告を得ております。
  204. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 ちょっと待ってくださいよ。費用の分担のためにじゃなくて、こういうことで大阪市が大阪瓦斯に出される、大阪瓦斯が特記をするということは、むしろ保安業務で必要だからという協定書に根拠があるわけなんです。したがって私の想像では、保安上必要だから特に大阪瓦斯は特記をしたであろうと思うのです。費用のことではないと思うのです。その理解の違い——それはそういうようにあくまで理解をされておりますか。特記したということは、何らか屈折部に対して問題点があるから、その点については特に工事をこうしなければならないというような理解ではなかったですか、どうでしょうか。
  205. 大石重成

    大石参考人 私が聞いておりますのは、たとえば先ほどからも何べんも申し上げましておしかりを受けておりますが、ガス管を直接つなぎ目を直す、いじる、こういうことは、いままで建設業者にはやらしてもらえないことになっておりました。それで、そういうものが今後ここに必要であるということで、そのときの費用はおまえのほうに持たせるぞ、こういうふうに現場は理解をしております。また言いわけみたいになりますとおしかりを受けるかもしれませんが、つり金具その他につきましても、一々図面がありまして、その参考図面を私たちは提示をされまして、こういうふうにしてやれ。こちらでやるものにつきましては、図面を添付されまして、このような図面でやれ、こういう御指示を受けております。それによって、こちらで詳細な設計図を出しまして御承認を得る。ただ、管直接につきまして、あるいはどういうことか存じませんが、ボルトを締めるとか、そこをいじるというようなことは、在来建設業者は一切御法度、触れてはいけないということになっておりましたので、現場の者も、いまのこれは、そういうことが起きた場合には、特別に費用をおまえのほうに要求するぞというふうに言われましたので、それをすなおにそのまま受け取って帰った、かように聞いております。
  206. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 もう一回、黒田局長に御答弁願いたいのですが、いまの大石参考人の御答弁で、費用の点とかそういう理解のしかたをしておるとすると、おたくの少なくともこの協定書による指示事項、これについての精神が下請業者には生かされてない、意思の伝達は行なわれてないと見るべきですね。そういうように理解しておりませんね。現に、おたくの下請業者鉄建社長は、横でいまそう言っておるわけです。ということは、保安上の責任を持たなければならぬという背景から出た意思伝達としては受け取ってないようですね。それでいいのですか。
  207. 黒田泰輔

    黒田参考人 御質問の点一切ごもっともだと思うのでありますが、いま鉄建社長のおっしゃっていますように、本来のガス管についてはそういう取りきめはしないけれども、従来のそれぞれの理解が、そのものずばりの管については手を触れないという——まあ各個に理解というほうがいいかもわかりませんが、そういうものを特別に議論した結果出したことでなしに、慣行からそういう理解に立っていたということも事実だと思います。  そういう面が一つあるということと、それからもう一つは、私実態を申し上げますので誤解のないようにしていただきたいと思うのですが、別途先刻の御質問でお答えしましたように、毎月、ここの工区は第三火曜日といいますから、定例の埋設物責任者との打ち合わせでございますが、三月の十七日にやっておる。そして十九日には、これから特段の——これは私らの監督員の日誌によって知り得たことでありますけれども、特段の連絡がなくても、懸垂状態に入るんだから、見回りに行って必要のつど指示するという、これは現場の動きが一つあるわけです。したがいまして、そういう段階が来れば指示があるだろう、何か特別に必要なことがあれば指示あるだろうという従来からの慣行による期待、そういうものは、これは率直にあったと思うのであります。そしてずっとつってきておって、いま御指摘された書類は四月の三日に至っていただいておる。すでにある部分の懸垂は進捗しておる。これは十七日に打ち合わせをしたことの確認的書類という理解をしておるわけです。したがいまして、そのときには、その後私らが知り得たことでありますけれども、通産省に置かれました導管の防護会議等において、大臣自身には学者の先生方が御答申もあったようでありますけれども、実際にそれが実施に移されるというようなことについてはまだその時期が至ってない。そういうような背景の中で、この前にもそういう御答弁をしたのでありますが、南側の部分については、曲がっておるから多少の補強を要するんじゃないか。北側については、非常に溶接された長いサイズのものでありますから、これはまあそれでいいんでないかというようなこと。それからまた、先ほど御説明申し上げましたように、従来からの慣行による、何かあったらおっしゃっていただけるだろう、導管のサイドからおっしゃっていただけるだろうという状態で、この問題は——実際に懸垂が終わりましたのは八日の午後二時と聞いておるわけでございますが、その後も、おっしゃるように、先ほど近江委員さんの御質問にもありましたが、ガス会社担当者も四時ごろまで見回っておられる。委託料を出してないことが原因のようにおっしゃられましたけれども、しかし、そういうように見ておられる。そこで、それで、まあいいんだろうというくらいで、またあしたの作業というときに、一時間少々のときにガスが漏れ始めた、こういう状況が実態でございます。
  208. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 これは大石参考人にははなはだ恐縮なんですが、ガス原因がどこにあるにしろ、ただばく然と言えることは、工事によってできたこと。これは鉄建建設によるという意味じゃないですよ。工事によるということは三者とも断定できると思うのです。そう考えてみますと、私この前に大阪市に対して、いわゆる地下鉄工事の——この委員会の始まる前ですね。資料を数日前に提出を求めまして、地下鉄業者に対する大阪市の建設態度と過去の事故状況を書類できょうの委員会までに参考意見を出してくれということであらかじめ求めて、書類をいただきました。大阪瓦斯にもいただきました。ということは、二つの例をあげたいんです。これは大石さん、よう聞いてください。これは、国民が原因究明したいと思っておるから、それにかわって質問するんですから。  これは、あの現場がたくさんございますね。ございますけれども、第一点で言えることは、残念ながらおたくの現場は雑然として悪かったといううわさですね。隣の建設業者の肩を持ったらいけませんので、名ざすことはやめておきます。もう一つガスの過去の事故に対して事故率は、鉄建さん非常に多いということなんですね。それに対して、社長である大石参考人はどういうふうに考えておられるかということ。いま、企業内を、下請の関係なんかは社員をみな独立さすんだということですが、その趣旨はなかなかけっこうでございますけれども、ほんとうはそれほど近代的な業務管理が行なわれておったかどうかという点が一点。もう一つは、もしそれが事実で非常に事故が多いとするならば、にもかかわらずなぜ大阪市は注文を出すのか。そういう場合、なぜ切らないのですか。去年の事故率のうち、鉄建さんが一番多いじゃないですか。国鉄の役人の古手ばかりが——古手と言っては申しわけないですが、集まって、しかも注文だけはいただく。実績は悪い。反省がない。本日の答弁でも、私は、一番いわゆる役人らしい答弁だと思うのです。その点について、これは局長、発注態度がどうかということと、鉄建さんは、そういういわゆるうわさ、そういうものを自分の企業を認識されておるかどうか。ブルが入ってないという答弁がありましたが、現実、ブルも入っているじゃないですか。含めて御答弁を賜わりたいと思います。
  209. 大石重成

    大石参考人 ブルも入っておりますけれども、場所が違うところに入っております。それでパイプ……(吉田(泰)委員「ブルはほんとに入ってなかったですか」と呼ぶ)パイプの、原因になるところには……(吉田(泰)委員「入ってなかったかということです、工事に。」と呼ぶ)一部には入っておりました。その地点には入っておりません。(吉田(泰)委員「ブルは動くのですよ」と呼ぶ)しかしブルは休んでおりました。これは、先ほどの消防庁のほうからお話もありましたように、ブルは休んでおりました。  それから、私のほうの現場が非常に悪いという御評判、これはもう私、自分ではそう思っておりませんが、そういう御評判があれば、これは謙虚に承りまして、参考にしたい、かように存じます。  それから、ガス漏れがたくさんあったということは、これは私、この前の参議院のときの先生方からもそういう御指摘がございまして、そのときは、何かブルでひっかけたり折損をしておる事故があるではないかというお話がございましたが、その後調べてみましたが、そういうような事故ではなく、天六付近でうちのやっておりました家屋移転の部分が、非常におくれたうちが数軒ございまして、その家が立ちのきましたあとに相当ガス漏れが——小さいガス漏れがありましたのを、鉄建建設の名前でガスに報告したので、それが鉄建建設の件数に入っておるのではないか、こういうような報告を現場から受けております。
  210. 黒田泰輔

    黒田参考人 建設業者の選定の問題でございますが、これは、会計年度の初めに先立ちまして、局内で単独できめるということでなしに、調度関係者、それから技術と工事関係者委員に選定いたしまして、業者の選定を行なうわけでございますが、これは別段変わったこともございませんで、会社の大きさの問題でありますとか、技術者の数の問題でありますとか、それから機材力の問題とかということでやりまして、現在三十三社入っているわけなのでございますが、それは交通局で選ぶわけでありますけれども、別途大阪市全般として調度事務をやっているところがございますが、そこらの評価の問題も参考にいたしてやるわけでございますが、四十四年度の三十三社のうち、まあ私どもはその中間的な位置に考えまして、四十五年度も引き続き入札下命といいますか、そういう措置をとっておるわけで、個々の工事につきましては、そのうちから数社、七、八社を選びまして指名競争入札に付しておる、こういう取り扱いでございます。
  211. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの鉄建大石参考人から——私の見解と社長の見解とは食い違っておるようでございますが、これは当然やむを得ないと思います。ただ、客観的ないろいろな条件が出た場合には——あるいは非常に事故が多いとか、そういう客観的な事故が出た場合には、市民のために、将来ともその発注態度に思い切った措置をとらなければいけない。事故が起こっても関係ないではないかでは、私はいけないと思います。そういう態度は発注者である市当局に特に要望しておきます。  最後に私は二、三点通産省に聞きたいのですが、その前にもう一度、黒田局長にははなはだ恐縮ですが、保安業務の主体というのはやはり大阪市にあるでしょうね。どうでしょうか。
  212. 黒田泰輔

    黒田参考人 すでにその考え方について御答弁申し上げた次第でございまして、また通産省の馬場局長基本的な考え方を申しておられると思います。私はやはり事業法上、基本的に精神として、ガス装置の維持の問題につきましてはガス業者責任があるんじゃないかと考えております。  それから第二点目として、しかしながら、道路を占用する関係上、先に占有しておられるガスをそのままの状態にしておいて、地下鉄が通るということで占用を分かち合わねばならない場合に、いわゆる第三者工事というものが起こるわけでございますが、その問題につきましては、いまの制度でございましたらいろいろ批判もございましたけれども、打ち合わせをしましたことを忠実に履行するという責務が交通局、第三者企業者にあるんじゃないか、かように考えておる次第でございますが、その点なお不明確の点もあり、いろいろと関係委員から御意見が述べられておる状態でございます。
  213. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 通産省にお聞きする前に局長にお伺いいたしましたのは、私はガス事業法に基づいて導管保安責任は本来的には大阪瓦斯にあると思う。しかし、これが第三者工事によって発注権も工事の権利も何もないような立場に置かれた、たとえば地下鉄工事のような場合には、いま黒田参考人がお答えのような、いわゆる企業体、大阪市にあるべきであろうという説には、私も賛成でございます。ただ問題は、いま最後の結びで局長が申されましたように、非常に問題点があるだけに、将来、事故防止のためにもう少し問題点を明確にすべきであろう。いまの協定書も全員がみんな守れば、これほどの大惨事にはならないと思うのです。これは大阪市も、あるいは建設会社も、大阪瓦斯も、すべての気のゆるみだろうと思うのです。末端の教育不足——西山社長が先ほど同僚委員質問に答えて、これは教育の不足を率直に認められております。そういう意味でこれはみんながやらなければならないことなんです。ところが、不測の事態が起こった場合の責任体制が明確でないから、何となしにすっきりしない結論になっておる。  私はここで馬場局長にお伺いしたいのです。現行のガス事業法はこのままでいいかどうか。先ほどの局長答弁では、まあいけるということでございます。それなら協定書は要らないし、いまのような参考人の御答弁もおそらくないであろうと思うのです。明確な根拠法によって御答弁が行なわれてしかるべきだと思うのです。そのあいまいさを断つためにも、通産省は現行ガス事業法の省令なり保安規程を変える意思があるかどうか。変えるならばどういう方向で変えようとするか。それをまずお伺いしたいと思います。
  214. 馬場一也

    ○馬場政府委員 先生、現行法とおっしゃいますのは、もうすでにガス事業法改正案が成立しておりますので、改正されたガス事業法のことであろうということでお答えを申し上げます。  それで、ただいま先生の指摘されました、いわゆるガス導管ガス業者の完全な管理下にあって、つまり普通に埋設されガス業者がそれを絶えず点検しなければいかぬ義務を負っておる、こういう状態におきましてもし事故が起きましたときの責任は、ガス業者に当然あるわけでございます。同時に、そのガス導管が、他の工事によりまして露出なり埋め戻しをされまして、つまり普通の状態でない状態に置かれたときのガス導管の十分な防護ということにつきましては、ガス業者は、こういうぐあいに十分に防護すべきであるという見地から、自分で防護工事をやりますか、あるいは他の工事業者にそれを確実に行なってもらうか、いずれかの方法があるわけでございますが、現行の実態におきましては、ガス業者導管の防護工事を、他工事の場合にはみずから行なう実態にないわけでございます。これをみずから行なわしめたほうが、徹底してガス業者責任をとりやすいのではないか、また確実にできるのではないかという御質問中村先生の御質問にもございましたが、今後立法論の問題といたしまして、そういうふうにすべきであるのか、あるいはそれが実際問題として非常にできにくいという状態であれば、他の第三者に委託いたしましてそのみずから必要と考える防護工事を行なってもらうわけでありますから、それが確実に実行されるように担保するのには、現行のガス事業法の省令で、しかじかのことを行なうべしということをガス業者に要求しただけでは不十分であるのではないか。いわゆる他の立法等の援護を得まして、両々相まってその実施が確実に行なわれるようにしたほうがよいのではないかという点も、あわせて今後十分に検討してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、改正されましたガス事業法の省令なり保安規程を強化するということだけでは、他工事の場合にそれがはたして十分に行なわれるかどうかということについて、公法上しっかりした担保がないことは事実でございます。
  215. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの局長答弁の中で、省令を変える、あるいはまた保安規程を変えるということは、通産省内で独自にできますか、これは局長、どうですか。
  216. 馬場一也

    ○馬場政府委員 先日来、対策本部できめました具体的な防護方法が数点ございますが、これは今回のガス事業法の施行省令に入れたいと思っております。省令でございますから、むろん各省と御相談はするかもしれませんが、通産省でできることでございます。  問題は、そのようなことをガス業者に示しました場合に、ガス業者がそれを他工事業者にそのとおり行なってもらうことがいかにして担保されるかというところが、ガス事業法の現在の体系内、ガス事業法そのもの、あるいはそれに基づく省令では、それを公法的に担保する手だては遺憾ながらないわけでございます。
  217. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 私の承知しております範囲で考えますと、現在の、いま局長の御答弁の中のガス業者の担保する方法ということを考えますと、非常にむずかしいと思うのです。一方的ないわゆる保安責任だけを課して、その実行手段を持たない。たとえて言いますと、これは大阪市と大阪瓦斯の場合でもそうだと思うのです。これは力関係と言ってはちょっと語弊がありますけれども、なかなかその工事を——これは黒田局長、聞いておいてください。たとえて申しますと、協力の場合、大阪市の場合は大阪瓦斯に対して指示をしやすいのです。大阪瓦斯が逆に大阪市に言う場合は、やはり一つ会社ですから力関係が非常に弱いと思うのです。その辺のところも、よくこれからのいわゆる協定書なり工事の進行の場合に盛り込んでいただかないと、困るのは市民ですからね。爆発物の上にすわって安穏な日々を送れないということになりますので、そういう意味では、保安責任を、いま局長のおっしゃったような前向きな姿勢で、責任のがれな形じゃなくてとってもらって、いわゆる市民生活を安心さしてもらうという姿を市民は望んでおると私は思うのです。そういう意味でひとつ前向きに解決をしていっていただきたいと思います。  最後に、もう時間もだいぶ過ぎましたので、一言だけ大阪瓦斯の西山社長にお伺いいたします。  大阪は、相も変わらず地下鉄工事が、これはいや応なしに進んでまいると思います。大阪市民は今度の非常な事故でたいへん不安に思っておると思うのです。したがって、私、本会議市民運動を提唱したのです。PR運動といいますか、それは一例をあげるなら、災害日に大々的ないわゆる模擬演習をやってもらう、そのことによってマスコミもとらえる。ガスというのは事故があってはなりませんが、今度もやじ馬が大かた死んでいますね。そういうことを考えますと、たいして経費もかからぬと思いますので、大々的な何かそういうことを、市も消防署も警察も一体になって、目抜き場所を交通遮断してもよろしいですから、ひとつそういうような演習をして、いわゆる市民運動として盛り上げて、そういうことをやっていただくことによって——残念なからガス漏れとか事故は起こるという前提に立っておるのです。これは撲滅することはなかなかできぬだろう、起こるだろう、起こったときに被害を最小限度にとめる、これが市民に対する当然の責任だと思うのです。それがために市民運動を展開すべきであろう。先ほどの西山社長の御見解で、保安対策に十分手をお打ちになっているということでございますが、一歩進んで、そういう運動を年に一回ぐらい盛り上げてもらう。ガス爆発というのは、私は忘れられたころに来ると思うのです。そのときに注意を喚起するような、災害を思い出す日をつくっていただいて、市民運動として大きく盛り上げていただきたい。そういうことをやっていただきたいと思いますが、これは私の希望でございます。西山社長は私の私見に対して、どういうふうにお考えでございますか。
  218. 西山磐

    西山参考人 先生の御意見まことにごもっともと存じます。大阪市もこれから地下鉄というものはやはり続いてやらなければならぬと思います。私ども公益事業として、地下鉄工事に伴うガス保安強化ということについては、これはもう最大の力を尽くして御努力をしなければならぬと思いますので、先ほど冒頭に私が申し上げましたように、強化策というものを今日打ち出しまして実行しておるわけでございますが、その中に、先ほどは詳しくは申し上げませんでしたが、私のほうの従業員の演習と申しますか、訓練、演習は含んでございます。しかしながら、ただいま先生からアドバイスをちょうだいしましたように、市民を含むそういったような訓練というところまではまだ計画をしておりません。ただ、警察、消防御一緒になりまして訓練をやるというのは、営業所におきましては月に一回とか、あるいは全社的には年一回というようなことは計画しておりますので、ただいま先生から御指示がございましたような点につきましては、これを取り入れてやっていきたいというふうに考えております。  なお、先生に御了解を得たいのでございますが、けさほど申し上げました三点の強化策につきましては、専門の導管管理部というのを置きまして、現在千百人余りの保安要員がおりますのでございますが、これを百七十人配置転換によって増加をする。しかも、それは技術者を動かすというふうに処置をいたしまして、ただいま先生からアドバイスのありましたような点につきましても、導管管理部が専門的にやるということになりますので、今後ともひとつ御注意とか御鞭撻をお願いしたいと思います。
  219. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 終わります。
  220. 八田貞義

  221. 加藤清二

    加藤(清)委員 お許しを得まして質問をいたします。  御答弁なさるお方も朝からずいぶんお疲れのことでございましょうから、私、簡潔に質問をしたいと存じます。したがって、御答弁のほうも要点を簡潔にお答えいただければけっこうでございます。  本件につきましては、本会議、参議院その他で長時間にわたって論議が行なわれ、きょうもまた朝から熱心に行なわれておりますが、それで集約してわかりましたことは、質問する側が軌を一にして、二度と再びなからしめたい、こういう意思でいらっしゃるということでございます。しかし答弁なさる側は、逃げて逃げて逃げまくって、自分の責任をくらましていらっしゃる、そういう気がしてなりません。どうもふかしぎきわまることでございます。  そこでお尋ねするのですが、あの爆発原因ガス漏れ原因が、いまそこにお並びになっていらっしゃる三者以外にあるでございましょうか。どなたでもいいから答えてください。
  222. 西山磐

    西山参考人 むずかしい問題でございますが、三者がやはり責任を負わなければならぬと私は思っております。つまり以外にはないということでございますか、そういうことになりますと。
  223. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、三者が逃げて逃げて逃げまくって、責任を自分に負おうという意欲が見えない。そこで御意思に従って、それじゃ原因がほかにあるでしょうかとお尋ねしている。私は三者の御意思をくんで質問しておるわけなんです。ところが、——委員長に提案いたします。ちょうど五時四十七分です。せっかくの機会でございまするから、ほんとうになくなられた方や負傷者方々にすまぬという気があるなら、ひとつこの際全員起立して、三十秒の黙祷ぐらいはひとつささげていただきたいと思うのですが、それがこの本委員会の趣旨だと思うのです。いかがでございますか。ちょうど五時四十七分、爆発の起きた時間です。
  224. 八田貞義

    八田委員長 加藤委員の御提案によりまして犠牲者に対する黙祷を一分間ささげたいと思います。皆さん方の御起立を求めます。——黙祷。     〔総員起立、黙祷〕
  225. 八田貞義

    八田委員長 質疑を続行いたします。加藤清二君。
  226. 加藤清二

    加藤(清)委員 私のつたない提案をすなおに受けていただきましてほんとうにありがとうございました。  なくなられたとうとい命に対する冥福を祈ると同時に、私は、いまなお病床に呻吟していらっしゃる方々が、一日も早くおなおりになって生業につかれることをここに祈りつつ質問を続けたいと存じます。  最初に、委員長にもう一つお願いをいたします。すなわち資料要求でございます。あの板橋爆発のときに指摘してできましたガス導管防護対策会議というものが通産省にございますね。通産省、学者、ガス会社、この三者でガス導管防護対策会議というものができております。海外視察が行なわれたはずです。レポートができておるはずでございます。その報告書がまとまっておるはずですから、それを本委員会に至急御提出願いたい。これが一点。  それからもう一つ。いままで論議の過程を聞いておりますと、往復文書とか協定書とかいろいろ名前はいわれておりますが、それに加えて仕様書でございます。これは板橋爆発のときにも、本委員会に間に合うようにこんなにたくさんいただいたわけでございます。ところが、今度はどうしたはずみか、逃げて逃げて逃げまくっていらっしゃるせいか、一向に核心に触れるようなそういう重要書類か——要求された人には渡っているかもしれませんけれどもね。ひとつぜひこれも御参考にお願いしたいと存じます。よろしゅうございますか。
  227. 馬場一也

    ○馬場政府委員 報告書はさっそく提出さすことにいたします。ただ、部数がはたして全部いまあるかどうかわかりませんので、総論の分だけでも、もしございませんでしたらば、至急に整えまして御提出いたします。
  228. 加藤清二

    加藤(清)委員 そんなものはコピーすればすぐにできるのですよ。そんなむずかしいものじゃないです。また、秘密書類でもないのですから、遠慮せんと出していただきたい、そんなものは。  次に、私がお尋ねしました、三者以外にしからば原因をつくったものがいるか、それを指摘してもらいたい。ガスさんのほうからはお答えがございましたが、あとのお二人にお答えがございません。お二人からお答えを願いたい。
  229. 黒田泰輔

    黒田参考人 三者寄りまして、救援対策を急ぐという申し合わせの際にも、責任は出てきました状況によって考えようということも申しておりますから、この三者の範囲を出ては、通常の状態ではあり得ないと思います。
  230. 大石重成

    大石参考人 私も同様考えております。責任のがれと申しますけれども、これは真相を述べておるつもりでございますので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  231. 加藤清二

    加藤(清)委員 三者以外にないという御三方の一致した意見でございます。そうなりますと、それはいまここにいらっしゃる三者のうちのだれかが全部ひっかぶるか、あるいは三者がいたみ分けで、三者平等に責任を案分するか、これは目下のところはわからぬわけでございます。しかし、そのことあるがゆえに、頭のいい御三方がおそろいのはずなのに、どうも歯切れが悪い。逃げて逃げて逃げまくらぬ、事実を言っておるとおっしゃいますが、いまの大石さんのおことばにも、あとで反論しなければならぬあまたの材料を私は持っておる。まことに遺憾なことでございます。板橋の審議の折にはもっとスムーズにいったのです。はっきりおっしゃったのですから。したがって時間が非常に短く済みました。ただいまも理事のほうから早く済ませてくれということだ。早く済ませますよ。一番いい方法は、答えをはっきりおっしゃったら五分で終わるのです。核心に触れた答えがないものだから、大ぜい入れかわり立ちかわり質問をしなければならない。  そこで、私は最初に、さきの質問者あとを受けて一つだけお願いしたいのですが、これを記念に市民運動を展開したいということでございました。私もこれは大賛成でございます。そこで、あの爆発の記念にぜひ、あそこへお地蔵さんをつくるとか、あるいは交通観音をつくるとか、最後の締めくくりの対策として、いろいろ手はあるでしょう。それも大切なことでございますが、ぜひひとつあの日を記念して、二度と再びこれをなからしめるために——消防庁見えましたね。消防の演習が行なわれますね。それが原因を想定してなさるんだが、ガス爆発を想定しての演習ということが行なわれていない。いないがゆえに、やじ馬が大ぜい入った。入ったがゆえに、立ち入り禁止もできないで死の道連れをたくさんにつくった。こういうことは、原因のいかんにかかわらず、避けて避けれることでございます。したがって、ぜひひとつあれを記念に、東京でも名古屋でも大阪でも、ガス爆発という原因を想定して、消防、防火、立ち入り禁止等々の演習を行なっていただきたい。警察と消防庁にお尋ねする。
  232. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答え申し上げます。  今度の事件は非常に痛ましい事件でございますので、再度こういう事件が起こらないように私ども努力いたしたいと考えております。  先生お申し越しの演習のことでございますが、私どもも十分検討してみたいと考えております。
  233. 加藤清二

    加藤(清)委員 検討された結果、今後こういう大事故が続発するということは避けて通らなければなりません。ゆえに、避けるためのあらゆる手段をあらゆる部門においてやることが、死者に対する慰めであると思うがゆえに、ぜひひとつ消防庁においては、警察庁とよく連絡の上、この爆発原因、それを想定した演習、これを今後東京、大阪、名古屋のような都市再開発が多く行なわれるところで実行に移していただきたい。よろしいですね。  次に、もう一つ。さきの質問者も触れておりましたが、保安業務の主体についてお答えがあったわけでございますけれども、その前に、この工事の主体は一体だれでございますか。
  234. 黒田泰輔

    黒田参考人 工事といたしましては、都市計画の一環といたしまして地下鉄建設という計画をいたしております大阪市でございます。
  235. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういうふうに明快に答えていただければけっこうでございます。確かにそのはずでございます。しかるがゆえに、指名入札も市が担当していらっしゃるわけでございます。板橋のときにも、東京都の同じ局長が、いまのあなたと同じように答えておられます。それでは、工事の主体が市である。つまり地下鉄工事を推進する母体である。しからばそこから発生する保安責任は那辺にありや。
  236. 黒田泰輔

    黒田参考人 それを請負の契約によりまして業者に委託しておるわけであります。いま具体的な御質問としてお答えを申し上げますが、先ほど来申し上げておりますように、ガス保安上の責任につきましては、先年八月に照会をし、九月に回答をいただいております内容に関する問題につきましては、交通局責任を持ってやる。その内容として織り込んであるものについては、請負関係としては第一次的に業者がその責めに任じられる、こういう関係でございます。
  237. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が質問しておりまするのは、保安業務の主体でございまして、部分ではございません。  もう一度お尋ねいたします。工事の主体は市にある。その工事から発生する保安責任は、私は同じく市にあると断定して差しつかえないと思います。なぜかならば、その道路は市のものである。その道路を貸している。借りている側に、いわゆるガスあり、電電あり、あるいは電気会社あり。借りているがゆえに、これは借家賃を払っている。そのままでありせば、事は起こらなかったはずである。追加工事が行なわれたるがゆえに特別保安の業務が出来するのである。ここに東京都では、専門の分野に属するがゆえに、みずから費用を払ってまでもガス保安業務を委任している。こういうかっこうなんです。あくまでそうでないとおっしゃるならば、通産大臣を呼んで、ガス事業法からくるところの保安責任を明らかにし、この導管に移動のある場合の責任を明らかにしてもらわなければなりませんが、こんなことはここで初めてやることではない。すでに板橋のときに卒業済みのことなんである。にもかかわらず、なぜそんなところでこだわってみえるのか、私にはわからない。もう一度お尋ねする。
  238. 黒田泰輔

    黒田参考人 責任の転嫁を考えておるという趣旨の御質問でございますが、私は決してそういうことで申し上げておるわけでなしに、先ほども説明申し上げましたように、きわめて大きな事故でございますから、これの原因等はすなおにこれを受けて、そして自余の工事について再発をせないように改めることが、亡くなられた方に対する唯一の報いる方法でもあろうかと考えておる次第でございます。  問題は、私は、先ほどから申し上げておりますように、一応全般的に、ガス導管の防護については、ガス事業法の精神からいってガス業者にあると考えておるということを申し上げたわけであります。  それで、第三者が占用の状態を同じくして鉄道を建設する場合には、事前に打ち合わせをしております。これらは私どもは、今後そういう結論が出ますれば、法令等によって明確にしていただきたいということもすでに申し上げました。しかし、従前の考え、ないしはガス事業に対する現在の考え方といたしましては、現地現地で打ち合わせをしておる。東京は東京で打ち合わせをされておりましょうし、私どもは去年の八月にガス会社と打ち合わせをしたという事実を申し上げました。それで、その打ち合わせをしました内容について、しっかり私らのほうが責任をもってやるのじゃなかろうか。全般的な保安の問題について、第三者工事をいたします私らがほしいままにできる問題ではないと思うのであります。その点、誤解のないようにしていただきながら、今後のあり方については十分の反省もして進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  239. 加藤清二

    加藤(清)委員 誤解をしておりません。私は参考人と討論をする気はさらさらございません。しかし、誤解だと言われては、黙っちゃ引き下がれません。  それでは通産省にお尋ねする。大臣を呼んでおいてください。その前に局長、あなたに聞く。  板橋事件のときに安西さんが、せめて埋め戻し工事ぐらいは専門のガス屋にまかせてもらいたい、しろうとの工事屋にやらせてしろうとが監督するから問題が発生するのだ、だからくろうとにまかせてもらいたいという趣旨の説明がありましたおりに、東京都側は、それはそうでございましょうけれどもガスだけではございません、電話もあれば電気もございます、所有権は、都道は都にございます、国道は国家にございます、責任はわれわれにあります、ゆえにまかすことはできません、そのかわり保安責任は当然私どもが負います、こう答えておられる。いまの答えとは違う。通産省、いずれが正しいか。通産省は、二律背反のこの考え方をどう処理するか。
  240. 馬場一也

    ○馬場政府委員 たいへんむずかしいことでございますが、先ほど来から繰り返し申し上げておりますように、ガス業者が、自分の管理の力の及ばない状態に置かれましたガス導管に対してどういう保安責任があるか、あるいはその他工事をやられる方がどういう責任があるか、こういうことであろうかと思いますけれども、先ほど来お答えいたしましたように、ガス業者は、どういう状態にあるガス導管でも、ガス業者でございますから私はそれだけの維持する責任はあろうと思っております。ただ、その責任を果たす手段が、通常埋まっておりますときには、もちろんきめられたことを自分で果たすことに尽きるわけでございますけれども、それが他工事によって他人の管理の中に入っておりますから、他人を通じまして、自分が必要かつ十分と思われる防護法を講じてもらう、こういうことであろうかと思っております。
  241. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はこの問題で時間をとろうとは思わないが、では、その件に関してもう一歩だけ先に進んでお尋ねします。  ガスについてのガス主任技術者というものを、通産省では養成するとか、試験をしているはずですね。それは製造、供給の作業に関して保安監督をさせなければならぬからである。大阪市並びにそこの御三者に承りますが、ガス主任技術者をかかえていらっしゃいますか。
  242. 黒田泰輔

    黒田参考人 交通局で、地下鉄建設に直接関与せしめるためにガスの主任技術者は採用しておりません。
  243. 大石重成

    大石参考人 建設業者におきましても、ただいまお話しのような技術者は職員としてかかえておりません。
  244. 西山磐

    西山参考人 私のほうは十名かかえております。
  245. 加藤清二

    加藤(清)委員 大阪市のほうは何名ですか。
  246. 黒田泰輔

    黒田参考人 採用しておりません。
  247. 加藤清二

    加藤(清)委員 ない——通産省、ない人はガス管の輸送その他について保安責任が負えますか。
  248. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス導管の防護を、地下鉄工事等に伴いまして必要とするわけでございますから、そういう工事をやられる当局、あるいはそれを発注をされる当局ガス知識経験のある技術者がいらっしゃるということは、非常に望ましいことであろうかと思っております。ただし、そういう当局ガス主任技術者を法律上置かなければならぬかどうかということにつきましては、これは先生御存じのとおり、事業場ごとに製造、供給の保安監督をさせるためにガス主任技術者を置かなければいかぬというのは、ガス業者にのみ課せられた法律上の義務でございますから、ガス事業法にいうガス主任技術者を大阪市なり建設業者なりが置かなければいかぬということではございません。ただ、ガスに経験のある方がおられれば、これは非常にベターなことであろう、望ましいことであろうと思っております。
  249. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは法解釈の問題になるから、きょうここで論議することを避けます。むしろ参考人質問するのが本日の趣旨でございまするから避けていきますが、しかし、「ガスの製造及び供給の作業に関して保安監督をさせなければならない。」とあるが、製造だけではなくて供給の作業です。導管をいじることは供給の作業ではないとだれが断定できます。  次に進みます。二度と再び繰り返さぬ、もう皆さんの趣旨です。それはけっこうなことなんです。それならば原因をはっきりしてもらわなければいけない。原因がなかなかはっきりしてこないから、私は逆にお尋ねいたします。裏側からお尋ねするが、市は今後この種の工事は行なわれますか、ませんか。簡潔に聞いておきます、時間急げですから。
  250. 黒田泰輔

    黒田参考人 地下鉄建設事業は今後も建設を進めてまいります。
  251. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。けっこうです。  鉄建さんにお尋ねいたします。そういう工事が公示された場合に、入札希望は出されますか、出されませんか。
  252. 大石重成

    大石参考人 これは私たちは入札希望はいたします。
  253. 加藤清二

    加藤(清)委員 いたします——しからば、うそはおやめになったほうがよろしい。なぜかならば、原因は三者にある、ほかにあるかと聞いたら、ほかにはないとおっしゃった。三者にあるとなぜはっきり言えないだろう。それは、あとから出来するところの補償の問題その他がうっとうしいからである。あるいは刑事犯に問われたら、だれかを罪にしなければならないからというので、愛社精神からきていると思います。しかし、ほんとうに先ほど黙祷した死者に対する霊を慰めるという立場、二度と再びこれをなからしめるという立場から立てば、もっと真因をはっきりさせて、それを除去することが先でなければ、二度と再び繰り返さぬということはお題目にしかすぎぬわけだ。私はこの意味において、もう少しはっきりと原因を認識してかかっていただきたいと思います。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕  そこで次にお尋ねいたします。先ほど来何度もお話に出ましたいわゆる仕様書なるものでございます。その仕様書のうちの特に懸垂の部門でございます。これは一体仕様書ではどう相なっておりますか。
  254. 黒田泰輔

    黒田参考人 仕様書の中に、埋設物の懸つり防護は標準施工参考図に示してあるとおりにやりなさいということで、標準的なつり下げ参考図をつけまして、請負契約の条項の中に入れてございます。
  255. 加藤清二

    加藤(清)委員 内容は。抽象論でなくて。懸垂の部門どうなっています。
  256. 黒田泰輔

    黒田参考人 上から懸つりします金具をつけまして、そうして上のはりにつるという仕組みでございますが、実際それの操作にあたりましては、いわゆるタヌキ掘りでもって慎重に懸つりをする、こういう内容のものでございます。
  257. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。部分掘さく、つまりその懸垂をするところは、大阪のほうではタヌキ掘りというのですか、あれは。部長さん、タヌキ掘りというのは、手掘りということと違うんですか。ぼくはそこのところはよくわからないんですが、しろうとですから。
  258. 黒田泰輔

    黒田参考人 おっしゃるとおりでございます。小さいショベル等を使うこともございましょうが、実際は手で取るのと同じ要領でございます。
  259. 加藤清二

    加藤(清)委員 まあ古墳を掘るほど丁重でなくてもいいでしょうけれども。言うなれば、埋設物にきずをつけないように、障害を与えないようにという配慮のその工法がいわゆるタヌキ掘りとおっしゃったことですね。つまり手掘りということですね。となっておりますが、ガスさん、それ御存じですね。
  260. 西山磐

    西山参考人 技術のほうの藤田次長からお答えさせていただきます。
  261. 加藤清二

    加藤(清)委員 御存じか御存じでないか、それだけでいいです。
  262. 藤田彰男

    ○藤田参考人 そう存じております。
  263. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。鉄建さんは。
  264. 大石重成

    大石参考人 よく存じております。
  265. 加藤清二

    加藤(清)委員 はい、けっこうです。私ども調査した報告によりますと、この点、どうも違った工法が行なわれているではないかという想定が成り立つ。先ほど鉄建さんはパワーシャベルでやったんではないとおっしゃった。しかしブルドーザー、パワーシャベルがちゃんと二台あった。その場にない、そのときはとまっておったとおっしゃったけれども、これはおかしい。使わぬようなものをそんなところへ持ち込むはずはない。ただ、その懸垂の部門をパワーシャベルでやったかやらないかは、これから承ることなんです。最初に聞いておきますが、あなたのところは、使わぬものを工事場に持ち込むんですか。
  266. 大石重成

    大石参考人 まことにそのむずかしい御質問でございますけれども、つぼ掘りを——私たちはこれをつぼ掘りと言っておりますが、つぼ掘り方式でやっております。そのどろを横にどけまして、ガス管地下鉄に一ぱいになるわけではございませんで、片方にございますので、それを他方にのけまして、それを機械で押したということは、前日までそういうことをやったことはございます。しかし、ガス管に対してはつぼ掘りをやっておりまして、これはガスさんのほうの巡視員からもはっきりそういうことを言っておられます。
  267. 加藤清二

    加藤(清)委員 タヌキ掘りといい、つぼ掘りといい、何でもいいです。名前は何でもいいです。要は手掘りですね。大きな機械を使わない。  ところで、それなればスコップとかつるはし程度でおやりになったわけでしょう。その土はどうやってあげなさるですか。
  268. 大石重成

    大石参考人 ただいま申し上げましたように、片すみにガス管がございまして、そこを約三メートル、それでつぼ掘りをいたしまして、こういうものをつけまして、そのどろをこちらの反対側に移しまして、これをやや深く掘りまして、そこを押しまして、ホッパーというものから出しております。
  269. 加藤清二

    加藤(清)委員 調査に行った連中が、ほかの工事場の参考にというて見てきております。私は板橋のときには克明に見て、新聞記者の皆さんと一緒に、私の指さすところは全部写真にとってもらいました。今度それをやろうと思いましたけれども、それまでやっては捜査のじゃまになるといけない、これは立法府が行政府に干渉する結果になってはいけない、これは警察庁にまかせればいい、こう思ってやめました。しかし、ほかと違うところは、手掘りでスコップでなにした場合には、ほとんどベルトコンベアを使って土を外へ出しますね。おたくの場合、ベルトコンベアがなかったですね。写真のどれを見てもベルトコンベアはないのです。あれは吸っ飛んだのですか。
  270. 大石重成

    大石参考人 ベルトコンベアを使うかショベルを使うかは、その場合によって異なるのでございまして、ベルトコンベアを使わなければならないということではないと思います。
  271. 加藤清二

    加藤(清)委員 深くなりますね。背より高くなりますね。スコップであげられますか。
  272. 大石重成

    大石参考人 スコップであげるのではなくて、スコップで下に落とすわけでございます。
  273. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。結果、おたくはその土を上へ出すときに、パワーショベルなり押すものなり、つまり機械をお使いになったわけですね。
  274. 大石重成

    大石参考人 ホッパーまでは機械で押したように聞いております。
  275. 加藤清二

    加藤(清)委員 はい、わかりました。いまは掘り方のことをお尋ねいたしました。  次には、仕様書との関係においてわが社は絶対に違反はない、こうおっしゃられておられましたが、それを大阪局長さんは認められますか。
  276. 黒田泰輔

    黒田参考人 工事がおいおいに進捗をいたしておりますので、そのつどそのつどという継続的には参りませんけれども、最近は七日の日に、午前中も御指摘がございました、つり間隔の乱れを調整するように指示をいたした経過はございます。
  277. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が聞いておりますことは、鉄建さんは、仕様書と間違いはございませんと、何べんもいままでの質問で言い切られました。それをあなたは認められますかと聞いておる。
  278. 黒田泰輔

    黒田参考人 つりの間隔に不整があるということを指示しております。
  279. 加藤清二

    加藤(清)委員 つまり仕様書どおりでなかった件がある、そのつどそれは仕様書どおり行なうように指示した、こういうことでございますか。
  280. 黒田泰輔

    黒田参考人 それは、事故発生の直前、七日の最後の段階の指示を申し上げましたわけでございます。
  281. 加藤清二

    加藤(清)委員 それで鉄建さんにお尋ねいたしますが、あなたも、相談してやったから間違いないとさっきおっしゃられましたが、それに間違いはございませんか。
  282. 大石重成

    大石参考人 先ほど私申し上げましたとおり、つり金具のスパンと申しますか、これは上のつりますはりの位置によって変わってくるのでございまして、建造物その他の……(加藤(清)委員「私の質問に答えてくれればいい」と呼ぶ)お答えいたします。その関係で多少のズレはございましたということを先ほど申し上げました。しかし、そのつど監督者の許可を得てやっておるということを申し上げました。
  283. 加藤清二

    加藤(清)委員 それ以外に間違いはございませんか。
  284. 大石重成

    大石参考人 それ以外の間違いというものは、ちょっと私、聞いておりませんでございますが……
  285. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたは聞いていないだけであって、事実あったらどうしますか。
  286. 大石重成

    大石参考人 あったらどうするというのはちょっとお答えができませんが、ございましたら御指摘をいただきたいと思います。
  287. 加藤清二

    加藤(清)委員 じゃ指摘いたしましょう。やむを得ません。私はこういうことまで申し上げたくなかったのですけれども。  それではパイプのつり具ですね。つりボルトの径はどのくらいになっているのです、仕様書では。
  288. 大石重成

    大石参考人 つり金具の径は、参考図に示されておりますのは九ミリでございます。私のほうの設計は十三ミリの設計をして施工をしております。
  289. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは爆発の場所の話でございますか。それともどこかよその話のことでございますか。
  290. 大石重成

    大石参考人 爆発いたしました工区の……。
  291. 加藤清二

    加藤(清)委員 まるきり逆になっていますね。仕様書別図は十三ミリになっているが、実際は九ミリから十一ミリである。それからつりボルトは全長溶接なしということになっているのじゃございませんか。大阪局長さん。
  292. 黒田泰輔

    黒田参考人 ガス会社と昨年八月に協定をいたしましたときは、下を木で受けるということで、鉄は一応縁が切れた仕様書になっておりますが、その後、具体的な個所につきましては、私、技術者でありませんのでどうも表現がまずいですけれども、腹帯のようなもので、木でなくして、つながっている状態で上でナットでとめる、こういうように承知しております。
  293. 加藤清二

    加藤(清)委員 けっこうです。それは文科系の人にこんなことを聞いちゃいけないので、それは私の質問があなたに対しては無理でしょう。が、先般も東京都の場合も、仕様書の間違いがありまして、それでずいぶん問題をかもしたわけでございますが、今回の場合、私の申し上げているのは、つりボルトのほうでつってあるあれのほう、これは途中に溶接があってはいけないことになっている、私が入手した仕様書によれば。あなたのほうからはいただいてないけれども、通産省のほうから幾らでもとれるのですから。これは途中で継いであってはいけないはずなのに継いである。それからどうもターンバックルを使わなければならぬところに使ってない。それから振りどめの間隔をさっき鉄建社長さんお答えになりましたですね。振りどめ間隔が五メートルであるけれども、それが不ぞろいである。七メートルのところもあれば、六メートルのところもある。これは、いまの話であなたのおっしゃるように、けたのところでつけよということになっているから、けたが少々いざっておればこれはやむを得ぬでしょう。それは私も認めます、その程度のことは。しかし振りどめは、鉄管がありますね、両方につけなければならぬ、こうなっているこっち方とこっち方に。片一方だけのがありますね。さっき写真出されたでしょう。片一方だけのがありますよ。  それから、いま局長さんがおっしゃられましたつりバンド、これは百ミリでなければならぬのが六十ミリだ。これはあなたおかしいですよ。  それから次に懸垂のけた、これははりに固定されなければ意味はないんですよ。ところがはりでないんですね。固定されているところがはりでないところがあるんですよ。これじゃ意味ないじゃないですか。ゆすれて動くにきまっている。  それから、もう一つ問題になる点は、懸垂けたにつけなければならぬのに、覆工けたに溶接しているところがあるんですね。こういうことはおかしいですよ。  これでも仕様書と間違いないとおっしゃるのですか。それは、あなたがうそを言っているとは私は思わない。それから局長もうそを言っているとは思わない。なぜかならば、手抜き工事というのは社長がやるんじゃないのですから。下請の下請、また請がやるんですから。いわんや先ほど来の質問のように、仕様書なんというものは詳細よう知らないんだ、そういう監督官が監督しているんですから、これは無理はないんですよ。きょうのあなたたちは、まあまあ代表なもんだからやり玉にあげられているけれども、何もそこのそんなこまかいところまで社長たるもの目が配れぬとおっしゃれば、それはそのとおりなんです。われわれだってそうなんです。末端で選挙違反をやったのなんというのは、こっちは知らぬでおるんですからね。だから知らざるをもって免れることができる件ですといいですけれども、そうはいきません。まあその点は、鉄建社長さんは国鉄にいらして新幹線の工事責任者をおやりになって、二メートル打たねばならぬくいが八十センチしか打ってなかった、おかげで雨が降ったら新しいレールがくずれてしまった、さあそれをやり直せという事件がありましたから、これは御案内だと思いますけれども、だからといって私はそれが局長責任だとは思いません。(「名古屋だ」と呼ぶ者あり)そうなんです。名古屋です。そう一々こまかい、はじっこのことまで、全部局長やら社長が引き受けておった日には、からだが幾つあってもたまったものではない。だからあなたが悪いとは言わぬけれども、あなたに対する報告ぐらいは正確なものをしておかれぬといけないんじゃないですか。いかがでございます。
  294. 大石重成

    大石参考人 まず一点、おことばを返してまことに恐縮でございますけれども参考図つり金具のボルトは九ミリという図面はここにございます。それから、私のほうで出しましたのは十三ミリという図面もございますので、これはひとつ御了承いただきたい、かように存じます。  それから、その他こまかいこといろいろございましたが、私いままで、そういうようなことはないというふうに聞いておりましたので、申し上げましたけれども先生ごらんになって、かくかくのものであるということでございますれば、あえて私は反論申し上げません。  それから、振れどめにつきましては、私、聞いておりますのは、先ほど来お話がございますように、まだ金具をつけたばかりでございますので、逐次つけていく過程にあったのだ、こういう説明を聞いております。
  295. 加藤清二

    加藤(清)委員 あなたの説明に対して私は了解はいたしません。いたしませんが、あなたのお立場はわかります。東京のときもやはりそういう理論が繰り返された。しからば実地検査やりましょうといってやったのです。出たわ出たわ、ぼろぼろ出てきたのです。議会というところは空理空論言うところとおぼしめすと、ちょっと事が変わるので、あいにくそういうことに趣味を持っておる連中もおるのですからね。ですから、そうそうごまかしがきくとは限らぬですねえ。まあ、これは弱ったことです。結果、仕様書と異なるという結果が出てくるわけなんで、仕様書と異なるということは——異なっても、より厳重に、より丁重に行ないなさった場合なら問題はないわけです。しかしそれが、打つべきくいが二メートルが八十センチであったとなれば、これは国鉄で問題になったと同じことなんです。太かるべきものが細かったとか、途中、中で継ぎ目があっちゃいけないというものが継ぎ目があったとか、あるいは、つりバンドの幅が百ミリなければいけないというのが六十ミリしかなかったということに相なりますと、こういうことを称して手抜き工事というんじゃございませんか。何か手抜き工事ということばはたいへんおきらいのようでございますが、そういうことを手抜き工事というんではございませんか。局長さんどうぞ。ことばは何でもいいですよ。
  296. 黒田泰輔

    黒田参考人 私は先ほど、七日の日に手直しを指示しておるということを申し上げましたが、最終的に仕様書と違う部分につきましては、いわゆる巷間でいわれておる手抜きだと思うのであります。しかし監督員は、仕様書のとおりに工事ができ上がるように監督するのをその責務としておるわけでございますから、そのとおりに実体ができ上がることを私どもは期待しておるし、またそうでなければならぬと思うのでございます。
  297. 加藤清二

    加藤(清)委員 今後こういうことをなからしめるために、鉄建さんとしては——いまないと言われた。それはあなたの認識はないでしょう。もしあったらどうします。それから今後はどうされます。
  298. 大石重成

    大石参考人 各現場につきまして厳重に査察をいたしまして、さようなことのないようにいたします。
  299. 加藤清二

    加藤(清)委員 あれから約一カ月たちますね。一カ月たったけれども、なおおたくの耳へはいまのような逆の話が入っているんですね。九ミリのものを十三ミリにしましたとおっしゃった。ところがそれ逆になっている。それからこの振れどめはもちろん両方になければおかしいはずなんです。それが片っ方にしかない。あれから一カ月たった。聞いて改めるとおっしゃったのです。それはあの場はいま警察監督下にあるから手を触れることはできないかもしれませんが、はたしていまのあなたの機構でそれができるでしょうか。一カ月たった後もなお、仕様書と現物との照合ができたのか。あるいはできても社長にはそういう報告はされなかったのか、ここらのところが私にはわからないのです。将来も入札には応じたいという鉄建さんですからお尋ねするのですが、これはいかがなものでしょうか。
  300. 大石重成

    大石参考人 先生お話を承りましたので、なおさっそくよく現場を調べまして、さようなことがあればないように処置したいと存じます。
  301. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に曲がり部の防護法の問題について先ほど来盛んにやりとりが行なわれたようでございます。したがって私は、ここはほんとうは突っ込みたいところですけれども、時間の関係上これは避けていきます。ほんとうはここが一番肝心なところでございますけれども、ここにもどうも構造上仕様書との違いがありますね。  それから次に、指示した、指示された、そのとおりやった、しかしまだその修正は途中であったというおことばでございますのでお尋ねするわけでございますが、これは相当の突貫工事が行なわれたんでございますか。市のほう、どうです。
  302. 黒田泰輔

    黒田参考人 かなり日程を詰めて、万博関連の工事等につきましては、一部においてはやりもいたしましたけれども、その後、これはその計画外の延伸路線でございますので、普通のペースで工事を進めておったところでございます。
  303. 加藤清二

    加藤(清)委員 二十九人の作業員でございましたか、先ほどあなたがおっしゃったのですが……。
  304. 大石重成

    大石参考人 労務者が二十一名、私のところの監督者が二十七名、それだけがおりました。
  305. 加藤清二

    加藤(清)委員 それだけの労務者が、さっきおっしゃったタヌキ掘りというのですか、手掘りというのですか、それでやりますと、一日に何立米ぐらい土は動きますか。
  306. 大石重成

    大石参考人 ちょっと私、そういうところまでは存じておりませんです。
  307. 加藤清二

    加藤(清)委員 市の局長はどうですか。
  308. 黒田泰輔

    黒田参考人 的確にちょっといま申し上げることはできません。
  309. 加藤清二

    加藤(清)委員 じゃ、これをあとで調べてお答えいただけますか。ということは、一つのポイントになるからでございます。なぜポイントになるか。あくまで手掘りである、タヌキ掘りである——いま一つ何とかおっしゃったですね。あの機械を使わず掘る掘り方。鉄建さんのことば、何とおっしゃったですか、さっき。(大石参考人「つぼ掘りです。」と呼ぶ)つぼ掘りですね。それで二十一名の労務者が行なった場合に、一体どのくらいの土が動くものか、どのくらいの土が掘れるものか、これは何も学者でなくたって、だれだってわかることです。工事をやってみえる専門家なら当然わかることです。しかも、あの土質から考えてみて、あれこれを相乗積をすれば簡単にわかるはずなんです。  ところで、四月六日から爆発の時点まで二日しかない。その間に二百立米の土が動きますか。
  310. 大石重成

    大石参考人 その二日間に二百立米というのが、ちょっとどういう御質問かわからないのでございますが……。
  311. 加藤清二

    加藤(清)委員 二十一名の作業員は全部土を掘っているわけじゃないのです。つぼ掘りをやって露出されればすぐにつることを用意していかなければならない。つる作業をしなければならぬ。ですからほんとうは私、時間があれば、何人がそのつる作業にかかられて、何人が掘られて、何人が運び出しをされたかと聞いていきたいところですが、そんなこまかいことは、これは警察のおやりになることですから、ここでは概略をしておけばいいことなんで、私は次へいきますが、つまりあの露出面からいって推定ができるわけです。そこで、これはひとつよく御検討願って、そうしてあとでお答えいただけばけっこうでございます。つまり私が申し上げたいことは、突貫工事が行なわれていたではないかということでございます。そうして無理な作業が行なわれていたではないかということでございます。  この際もう一つお尋ねしておきますが、その工事場はあなたのところの下請であったはずですね。で、その交代要員は何人ぐらいおりましたですか。
  312. 大石重成

    大石参考人 先ほど交通局長からのお話もございましたように、私のところは、ただいまその突貫工事でやる段取りにまだいっておりませんでした。全延長三百六メートルのところ、中間部百二十メートルはまだ着工ができないという状況でございまして、期限は四十七年半ばということでございます。期限はゆっくりございますので、いわゆる突貫工事というものではございませんです。
  313. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。私の質問に答えてください。突貫ということばが悪ければ、そのことばは下げてもけっこうです。何人交代要員がおりましたか。
  314. 大石重成

    大石参考人 ちょっと私、労務者が何人待機していたか、これは聞いておりませんです。
  315. 加藤清二

    加藤(清)委員 何交代ですか。
  316. 大石重成

    大石参考人 仕事は二交代でやっていたように聞いております。
  317. 加藤清二

    加藤(清)委員 稼働時間は何時間ですか。
  318. 大石重成

    大石参考人 資料を持っておりませんからはっきり申し上げられませんけれども、朝八時ごろから五時ごろまでの作業が普通に一つの交代としてやっておったように思います。
  319. 加藤清二

    加藤(清)委員 二交代、拘束時間何時間で稼働時間が何時間であったかを、いまあなたにそれを答えろと言ったら無理でございましたら、あとでけっこうです。しかし原因を究明するにはそういうことが必要だということなんです。  次に、今度はガスさんにお尋ねしますが、ガス漏れ原因を聞きたいのですが、その前に、火をつけたのは確かにバスか宣伝カーか、これはお認めになりますですね。火が燃えたということは…。
  320. 西山磐

    西山参考人 現場に到着いたしました私のほうの緊急車が燃えたのは事実でございます。
  321. 加藤清二

    加藤(清)委員 その爆発原因、これも先ほどちょっと質問がありましたから、軽く触れていきます。  爆発原因が、その宣伝カーか広報車か何か知らぬけれども、それのスイッチであったのか、それとも見物人の中のマッチかライターであったかは、警察庁としてもなお目下不明である、調査中である、こういう御答弁でございましたですね。  そこで警察にお尋ねしますが、発火した地点と爆発した地点は何メートル離れておりましたか。そうしてそこへ爆発が飛び火するという物理現象が過去にあったかなかったか、あるいは物理学的にそれが証明できるかできないか等々について。
  322. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  第一の、爆発現場とどれぐらい離れておったかという点につきましては、十五、六メートルないし二十メートルというふうに報告を聞いております。  それから、過去にそういうことがあったか、あるいは物理的といいますか、そういうことにつきましては、ちょっと資料もございませんのでよくわかりませんので、申しわけございません。
  323. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは警察庁さん、私どもは国会ですから、参考人をいじめたり、あるいは答弁する人をいじめようという目的でやっているんじゃないのですからね。あくまで警察は独立ですから、何にも遠慮する必要はない。しかし、この原因を究明することが、二度と再びこのような事故をなからしめるゆえんであることはよくおわかりですね。ですから、お互いが協同してほんとうの原因を探り当てて、その原因を今後除去するということに努力することが、二度と再びなからしめる道行きだと思うのです。これは御納得いただけますね。  そこでお尋ねしたいことは、そのスイッチで自動車が燃えたという、これは事実である。これははっきりしている。しかし爆発原因が、その自動車の燃えた火、それが十五、六メートル先か二十メートル先とおっしゃられたが、それもはっきりしないでしょう。それは当然だ。爆心はあとでしか推定できないわけですから、それはそれでいいとして、十五メートルでも二十メートルでもいいですが、そこへ引火するかしないか。もしするとすれば、物理学的にそういう証明ができるかできないか、これは学者に頼まなければならぬことだと思います。ここらあたりもひとつよく御検討いただきたい、こう思うわけでございます。  さて、そこで考えられることは、大量なガスが短時間に出たということですね。つまり二十メートル先で爆発する。爆発された被害の面積を調べてみると相当量である。これは小さい漏れ方ではない、大きな漏れである。その漏れば、いままでの説明によると、穴があいたのではない、こうですね、こうささっていたのが、これが抜けたのである。ここに穴があいたのではない、こうなっていたものが抜けたのである。この抜けるために必要な力はと御質問があったら、それは先ほど八トンの余の力が要る、こういう話なんです。八トンの余の力は一体どこから発生するだろうかということなんです。これは警察ではどう想定されていますか。
  324. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 午前中、中谷先生の御質問に対しまして刑事局長からお答え申し上げましたとおり、ただいまその点につきましては大阪大学の先生に鑑定を依頼いたしておるわけでございまして、その結果をまちまして判断をいたしたいと考えておるところでございます。
  325. 加藤清二

    加藤(清)委員 その判定はいつごろ出ますか。
  326. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 できるだけ早く捜査を遂げることが必要であると考えておりまして、したがいまして、先生のほうにもできるだけ早くお願いをしたいということを府警からお願いをしておるわけでございますが、いつごろかはっきりしたことを申し上げるのは、いまのところ困難な状況でございます。
  327. 加藤清二

    加藤(清)委員 八トンの力となると、これはタヌキ掘りやつぼ掘りでシャベルを当てた程度のことではない。人がぶら下がったほどでもない。さりとて上から自動車が落っこちてきたかというと、この点は、東京、名古屋に見られないようなりっぱなセメント板でおおってあるから、上から自動車が落っこちてきたわけではない。また、その振動が一度に八トンかかるなどとは考えられない。写真並びにその場に居合わせた人からの話だと、砂煙りがバッと吹き上がっておったというのですから、これはよほど大量に出た証拠である。一体これは一挙にそのような力が働いたか、あるいは何回か何回か小さい力が加わって、そしてこれがこうこうやっていたときにはやわらかいのです。そんなに作用しないけれども、ねじれた場合にはこれは割れますね。三百ミリと五百ミリは別個にあったはずである。別々にあったはずである。にもかかわらず写真を見るとこれが重なってしまっておった。ねじれたんですね。ここらをひとつよほどよく御検討を願いたい。  そこで次に、先ほど中谷委員からもお話がありまして、ガスさんからお答えをいただいたのですが、ガスさんで想定できる八トンの圧力というもの、衝撃というもの、これは一体どう考えられますか。
  328. 藤田彰男

    ○藤田参考人 お答えいたします。  私どもの今回の継ぎ手につきまして、先ほど西山から御説明しましたとおり、八トンの力にもつわけでございますが、それ以外に考えられます力としまして、先ほども申しましたように熱の応力がございます。この熱につきましては、私どもは、あれは一月から六月の間に埋設したものでございますので、大体四月ごろにあの部分を埋設いたしております。ちょうど事故の時期も四月でございますが、朝と晩の気温の差あるいはそういうものを考慮しまして、十五度ほどを想定いたしますと、あの区間が百七十五メートルくらいございますので、二十六ミリほどの伸縮になります。この力を、曲がっておりますものを二十六ミリ動かす力が大体五百六十キロくらいでございますので〇・五、六トンくらいになるわけでございます。その他振動につきましても、先ほど先生からお話がございましたように、あの部分ではそう大きな力はかからないわけでございますので、私どもといたしましては、どういう力がかかったかということで頭を悩ましておる次第でございます。  以上でございます。
  329. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に警察庁にお尋ねします。東京の原因はどうだったのですか。そしてどう処理されましたか。
  330. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 お答えします。  東京のほうの原因は地盤沈下が原因でありまして、その工事関係者を業務上過失で送致をいたしました。
  331. 加藤清二

    加藤(清)委員 これについても本委員会で長い間論議されたことでございますので、委員長にお願いしておきますが、ぜひ東京の結果報告ぐらいはしてしかるべきだと思う。あるいはあったかもしれません。これはもしなかったとすれば、あれから一年の余たっておりますから、当然結果報告をしていただきたいと存じます。  次に鉄建さんにお尋ねします。  鉄建さんの場合、私どもの仲間の委員調査に行きました場合件、御説明にいわく、先ほども申し上げましたような、ガスさんのパトカーはスイッチを入れてバックした、それで火がついたんだ、しかし私どものほうは、さようなことは危険だと思って大ぜいで手で押しました、ゆえに、うちのほうも車があそこにたくさんありましたけれども、うちの車は火を吹きませなんだ、こういう御説明があったようでございます。この点、火を吹かなかったということはけっこうなことで、それだけ用意周到に行なわれたということであれば、これはけっこうな指導ぶりである。あるいは教育がよかったのか、まことにけっこうだと私は思います。  ところで、もう終わりに近づいたのですからひとつお尋ねしておきたいのですが、あの爆発事故のために、関係方々で市は何人、鉄建は何人、ガスさんは何人の被害者がありましたか。
  332. 黒田泰輔

    黒田参考人 誤りがあれば訂正さしていただきますが、私らで集めましたのは、ガス会社は死傷六人、鉄建会社は五人、交通局監督員は、そのとき現場におりませんで走っておりましたので、交通局関係はなし、こういうことでございます。
  333. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと関連して一点だけお尋ねしたいのです。  だんだんとお尋ねしておるわけでございますが、先ほどから御答弁の中で、大阪ガス爆発しましたガスのプレッシャーが八トン、こうおっしゃいましたね。八トンというと何貫目になりますか、二千四百貫か。八トンというとすごいプレッシャーだと思うのですけれども、何ですか、八トンというのは。私ちょっとわからないし、それで、それがある限りは、京都へ送っているのか、神戸へ送っているのか、大阪市内なのか。けさ冒頭お尋ねしたのと同じですが、よほど遠方へ送っているのか、あるいはガスの供給地がごく根元にあるのか、その辺のところをもう少し聞かしていただきませんと、私は年もとりましたし、八トンというとどうもよくわかりませんが、西山さんどうでしょうか、これは。
  334. 藤田彰男

    ○藤田参考人 どうも説明不足で誤解を招きまして申しわけございません。  実は先ほど八トンと申しましたのは、あの接合部を引っぱりまして抜け切るまでに八トンの力が要るということでございまして、あの中のガスの圧力は一・二キロでございます。
  335. 中井徳次郎

    ○中井委員 一・二キロならば、私が冒頭言いましたように、五時四十分に爆発してからなぜ九時三十七分までかかったか。八トンの力でぱあっとくるからと、こう言うから、私もいささかどうもひどいものだなと思って——一トンぐらいなら何とかなりそうなものじゃないですか。途中でバルブで締めるとか何か方法が私はあると思うのですが、その辺のところの見解を聞かしてもらいたい。私はしろうとですから、率直にお尋ねしておるのです。
  336. 藤田彰男

    ○藤田参考人 先ほどの一・二キロの圧力の分につきましては、一時間でバルブを締めましてとめておるわけでございます。三時間の分量は、低圧のほうの水中百五十ミリ程度の圧力のものでございます。
  337. 中井徳次郎

    ○中井委員 低圧ならなお早くとまるのじゃないでしょうか。私はその辺のところがわからない。大きいからとめにくかったのですか、どうですか。
  338. 藤田彰男

    ○藤田参考人 先ほどもちょっと御説明いたしましたように、バルブが低圧にはついてございませんものでしたので、その途中の土を掘りまして、穴をあけましてバッグを挿入するということで時間がかかったわけでございます。
  339. 中井徳次郎

    ○中井委員 これで最後ですが、やはりバルブをうんとつけなくちゃいかぬ、こういうことだ。あなたのお話では何か六十万個というが、実際問題としてそんなにたくさん要らぬでしょう。いま大阪瓦斯からガスをとっております家は、軒数にして何軒あるのですか。一体二百万軒ですか、百万軒ですか、その辺のところを……。
  340. 藤田彰男

    ○藤田参考人 約二百八十万軒でございます。
  341. 中井徳次郎

    ○中井委員 それが六十万個というと、大体八軒に一個。こんなものはそんなに要りませんよ。それだけ申し上げておきます。私ども真剣にこの問題を議論しているのですから、いま何か研究会をつくられているということでありますが、どうぞ積極的に積極策を進めていただくようにお願いをします。  それから地下鉄をどんどんおつくりになる、けっこうです。けっこうですが、その場合に、ガス会社とのいろんな問題が起こったわけだ。こういうものをもっと慎重にやってもらわないと、私は別にガス会社のちょうちんを持つわけじゃありませんけれども、どうもそういう点でかなり無理があり強引があるのではないかというふうな、全体としての感じを私は申し上げます。近いうちにどんどん外へ出るのでしょうが、中心側より外へ出れば出るほど、ガスに対する関係も私は薄くなると思います。そういうものを大いに積極的にやられることはけっこうでございますけれども、中心部だけはもっと慎重にやってもらわないと何ともなりません。そういう素朴な感じを申し上げまして、関連質問をやめます。
  342. 黒田泰輔

    黒田参考人 先ほど人数を申し上げましたのが間違っておりましたので、訂正いたします。ガス会社社員被災された方は十四人、鉄建会社は五人、こういうことでございます。
  343. 加藤清二

    加藤(清)委員 鉄建は五人なくなられたのですか。なくなられた人と負傷された人を分けてください。
  344. 黒田泰輔

    黒田参考人 ガス会社はうち三名死亡されました。鉄建会社は死者なしでございます。
  345. 加藤清二

    加藤(清)委員 市のほうは負傷者も死んだ人もなし、こういうことですね。
  346. 黒田泰輔

    黒田参考人 交通局関係は該当がございません。
  347. 加藤清二

    加藤(清)委員 死んだ人があるとなると、これは相当なあれですが、負傷者五人という鉄建さんの負傷者程度はどんなものでしたか。
  348. 大石重成

    大石参考人 ただいま交通局長から鉄建五名というお話でございましたが、鉄建八名でございます。それは重傷と申しますか、入院しておりますのが五名でございます。
  349. 加藤清二

    加藤(清)委員 ほんとうにお気の毒なことでございました。  ここで、監督官の方はいらしたはずですね。監督が二名いるとおっしゃられましたね。このお方はどうなんですか。
  350. 黒田泰輔

    黒田参考人 監督員は他の仕事も一緒に持っておりますから、常べったりそこにおりませんので、ガス漏れを聞きまして、そうして事務所等への連絡に当たっておりました者が一名ございましたけれども被害はありませんでした。
  351. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。あなたのところでなくて、鉄建さんのほうで、さっき、作業員が何名あってそのうち二名が監督についておった、こういう御説明だったので、それで聞いておるのです。
  352. 大石重成

    大石参考人 私のほうは、ガス漏れの構内から通知がまいりました。直ちに手分けをいたしまして、関係部署に電話をいたし、また同時に付近に交通どめをやり、付近の方にガス漏れをしておるということを連呼をしておった。また、一部ガス会社パトロールカーが燃えましたので、それを消火しておりまして、そういう作業をしておったように聞いております。
  353. 加藤清二

    加藤(清)委員 質問に答えてくださいね。与えられた時間があと残り少ないですから。  私は、監督者が二名いた、いまそれは負傷者の中に入っているかどうか、その人は負傷なさったかということを聞いておるのです。
  354. 大石重成

    大石参考人 安全パトロールをやっておりました二名は負傷しております。
  355. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、電話したり何かしておったけれども、それでも負傷なさった、こういうわけですね。
  356. 大石重成

    大石参考人 うちの職員が二十七名おりましたので、その連中がそういう者から連絡を受けまして、全員この事故の通報、交通整理その他に従事していたような次第でございます。
  357. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が知りたいのは、現場に働いていた人で、いまガスさんのほうは十四人で三人死んだとおっしゃる。これはあとからかけつけてきた人ではないかと思います。なぜかならば、そんなに大ぜいあの現場におるはずがないから、ガス漏れを聞いてかけつけできて、それで負傷した人だと思います。  これと同じことは警察官の中にもある、りっぱな行為が。あるいは消防官でしたか、中へ調査に行って、それで調査を終わって報告をしたとたんに、ほっとして倒れて死んでしまった。これはガス中毒だ、こういうこと。ところで、隣の工事現場のことはお気の毒だからこれはもう言いませんが、そこでも負傷者や死人が出ている、こう言っておる。ところがいまの鉄建さんの場合は、不幸中の幸で死人はなくて済んだ。これはけっこうなことなんです。しかし、ガスがたくさん漏れている、ゆえに自動車のスイッチを入れたら燃えるかもしれない、ゆえに手で押しました、こういう報告が調査団現場でなされていたわけでございますけれども、そうすると、そこから想定できることは、相当のガス漏れがあるということを鉄建さんのほうは知ってみえたということなんです。知っていなければそういうことはできないのですから。知っていたから逃げた。したがって、ガス漏れの第一の発見者は一体だれであったか、警察庁にお尋ねする。
  358. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 第一の発見者は、現場におりました鉄建関係の方でございます。
  359. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは相当量漏れているということでしょうね。それを認識していたから、外へ出て自動車を片づけるのにも手で押したということですか。これはいかがです。
  360. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 いままでの関係者の調べでは、相当漏れておるということを認識しておったというふうに思われます。
  361. 加藤清二

    加藤(清)委員 与えられた時間が参りましたので、私はあと事故対策についていろいろ申し上げたいことをたくさん持っております。しかし、私一人で時間をかせいでは、あと質問者に御迷惑になりまするので、私は対策を読み上げます。したがって、これをひとつぜひ実行に移していただきたい。それは二度と再びなからしめるための具体策です。東京ガス爆発の場合にも同じことを申し上げたことを記憶しております。  第一番。最初の発火からガスをとめるまでに三時間もかかっているがという話、これはいま中井議員がおっしゃられましたから省きます。  二番目。ガス漏れ発見後直ちに避難命令、立ち入り禁止区域設定等々、警備体制が今後より敏速に行なわれるようにしていただきたい。そのための想定訓練もやっていただきたいということを先ほど申し上げました。  三番目。共同溝、これはたいへんに銭がかかるということなんです。かかってもなお人の命のほうが大切でございまするがゆえに、大都市再開発はぜひこの方向でいくべきである。  四つ目。すでにこれも出ておりますが、なぜ露天掘りでなければならないだろうか。シールド工法、トンネル方式、これは総理も望ましいと答弁をいたしております。これはひとつぜひ御検討でなくて、すでにこの土地、いま私どもがすわっておりますこの下にも地下鉄が走っております。しかし、これは露天掘りでなかったのです。特に大きなガス管が走っているところあたりはぜひシールド工法にしてもらいたいものだ。それがもし銭かかかってできないというならば、あの工事をやるところだけぜひ鋳鉄管から鋼鉄管に切りかえてもらいたい。これはできるはずです。そんなに銭ほかかりません。それができるならば、もう一つできることは、工事個所の分だけほかの道路に移しかえる。切り回し、これは名古屋ではとっくに行なわれておる。名古屋のような大阪、東京よりは小さいところで行なわれていることが、どうして人口稠密で被害が大きいと想定されるところで行なわれないだろうか。切り回し、これは根本大臣も、当然そうあってしかるべきであると答弁しておる。(「外へ出せばいいのだ。」と呼ぶ者あり)いま外へ出せばいいとおっしゃったが、そのとおりです。ガス管も、電力線のケーブルも、切断撤去ができるはずである。これはガス法の保安確保のときに何度もここで論議をしたことですが、失礼な言い分ですが、親心子知らずか、一向に具体的にあらわれていない。  次に下請でございますが、これが私は一つのネックだと思う。これが直ちに犯罪の原因になるとか、それにつながるとは言いませんが、問題は下請、孫請、ひこ請。工事屋は指名入札のはずなんです。孫請、ひこ請ということになると、身がわり入学と一緒なんです。少なくとも危険を伴うような工事は、入札を受けた人が責任をもって行なうべきであって、人まかせにして、監督が二人ついておったかどうか知らぬけれども、それは、方々監督場所があるからそこにはおれませなんだというようなことであるならば、せめて入札者が仕事をする。もちろん、中小零細企業を救うとか、出かせぎ農民を救うということもあるでございましょうけれども人命にかかわるような、こういう危険の伴う工事は、当然受けた者がやってしかるべきである。もしそうしなければ指名入札の意味がない。建設省にランクをつくっておく必要はない。身がわり入学が許されていいなんということは絶対にあり得ない。  次に、これも先ほど出たことですが、ガス専門の工事屋さんにやらしたらどうでしょうか。先ほど鉄建さんの社長さんは謙遜して、私はガスのことはよう知りません、なぶらぬほうがいいという指導をしておりましたとおっしゃったのですけれども、そうじゃない。あなたはりっぱな工事の経験者である。私はりっぱな人だと思っておる。けれども、実質やっている者が仕様書を間違えていたにもかかわらず、それに気がつかないというようでは、お粗末もはなはだしい。したがって、ガスのような危険物の場合は、指名入札と同時にその専門の工事屋にやらせる。このことは、去年の東京のガス爆発のときにも、安西さんから懇々と依頼のあったことなんです。それがいまだに行なわれていないということは、通産省の指導を疑う。答弁は本日は私は要求いたしませんけれども、指導を疑います。何のために附帯決議をつけたのやら、何のためにガス安全法を通したのやら、わけがわからない。その附帯決議の第一に「導管工事等に伴う監督、指導を強化するとともに地下鉄、水道等他工事におけるガス業者責任体制を明確にすること。」とはっきりうたわれておる。それが行なわれていない。怠慢である。まことに遺憾なことである。しかし、これは法律が一年延びたので、やむを得なかったこともあるでしょうが、いまからでもおそくない。ぜひひとつこれは現在の局長の手元で行なっていただきたい。  最後に、ガスと電気を比較してみますると、電気のほうは事故がわりあいに少ない。ガスのほうが多い。ところが、これを法律的に見ますると、電気のほうは八つあって、ガスのほうは一つしかない。次に最も私がふかしぎ千万だと思うことは、ガスの需要がどんどんふえている。これの監督責任がますますふえるにもかかわらず、ガス関係者担当者が本省にも非常に少ない。大阪のごときは通産局に専任の課がない。課長もいない。どうやって指導するのですか。だから通産省の言うことをちっとも聞きやせぬのだ。需要戸数は三十五年と四十五年ではもう二倍の余になっておる。にもかかわらず、三十五年に本省の中に二十一名おったものが、今日その倍になっても二十七名しかいない。課は一つしかない。電気のほうは課が幾つある、六つも七つもあるじゃないか。これは一体どういうことなのか。ここらあたりの行政機構も、おのれみずからえりを正さなければならぬと思う。したがって、これはいずれまた他の時期に本委員会において検討を進めることといたしますが、ここらあたりのことをよく勘案して、それこそ二度と再びこういう事件を起こさないように、二度と再び私ども商工委員参考人を招致してこんなに長時間やらぬでもいいように、行政当局としてぜひ指導の万全を期していただきたい。それが佐藤総理の答弁であり、建設大臣、通産大臣の本会議における答弁でもあるからです。  以上。
  362. 中村重光

    中村(重)委員 関連して。これは局長にですが、先ほど私が、いまのいわゆるオープンカット方式をやめるということで、シールド工法でやったらどうかという提起をしたのに対してのお答えがなかったこと。  それから、いま加藤委員から言われた、管を外へ出すこと。いわゆる道路上に出しますと、やはり自動車なんかにいたしましても、それはぶつかったらガス漏れができるわけだが、外へ出ると爆発はしないですよ。ガスはずっと上に上がるわけで、下へ沈下するものではない。そういったようなことで、爆発の危険というものはない。  それから、共同溝の問題にしても、道路局長は共同溝を推進したいのだと言っているのです。ところが、これに対して、むしろ危険があるというようなことで、政府自体の中でもこれに批判的な考え方もある。また都市ガス業者の中でも、ヨーロッパその他の状況等を見て、むしろこれは避けなければならないのだという考え方もあるようです。政府部内においても意思の統一がなされていないということです。  それから、他工事に伴う問題は、先ほど局長からお答えがありましたが、これはいわゆる板橋事故、それから今回の大阪瓦斯の爆発事故に伴って、この教訓に基づいて、いままでのとおりではいけないのだ、もっと保安責任を明確にしていくということでなければならぬというお答えがあったわけですが、こういったもろもろの対策はいつまでにお立てになるか。私はもうこれはすみやかにやってもらいたい、少なくとも一カ月以内ぐらいにはこれらの対策を立てて、この委員会に報告をしてもらわなければならないと思うのですが、そのめどについてお答えを願いたい。
  363. 馬場一也

    ○馬場政府委員 先ほどお答えしましたように、この防護工法その他緊急にやらなければいけない事項につきましては、五月一日に政府の連絡対策本部できめまして、とりあえずこれを実施いたしますのは、各省共同で行政指導によりましてやります。それから、通産省は防護工法についてガス事業法の省令に織り込むつもりでおりますが、これも先ほどお答えいたしましたように、おそくとも六月一ぱいには省令に織り込むつもりでございます。  なお、シールド工法なり共同溝の問題、これはシールド工法を採用する云々という問題は通産省の問題ではないかと思いますけれども、そういう抜本的な問題につきましては、連絡本部におきまして引き続き、シールド工法の採用の問題点といいますか、どういうふうにしてこれを推進できるか、共同溝の問題、いま各省あわせて進めておる最中でございます。
  364. 中村重光

    中村(重)委員 だから、最中だと先ほどもそれに似たような答弁があったのだけれども、いつまでたってもあなたのほうは結論が出ないし、その結果を一つも報告なさらないんだ。だから、いつごろまでにいま検討しておることに対しての結論が出るのか。この委員会に対して、こういったような対策を講じてこれを実施に移すという報告ができるのか。
  365. 橋本徳男

    ○橋本(徳)政府委員 シールド工法の問題、共同溝の問題は、私どもできるだけ早く各省共同してと思っておりますけれども、これは、通産省だけの判断であと一カ月とか二カ月ということを、ちょっと私の口からは申し上げる限度を越えるかと思います。ただ、先ほど申しました緊急対策のうち、省令に織り込む事項、つまり通産省でできる事項につきましては、先ほど申しましたように、おそくとも六月一ぱいには省令化いたします。
  366. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 岡本君。
  367. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に、このガス爆発事故でおなくなりになった方、あるいはまた傷ついた方々に、きょうの参考人皆さんに、どうか手厚い対策をしてやっていただきたいことを最初にお願いしておきます。  そこで、もう時間が非常におそくなりましたから、私は重複を避けまするので、どうか明確にお答えを願いたいと思います。  まず大阪市の局長さんに、きょうこの報告書をいただきましたが、第四工区は四名の専任職員が監督していたものである、契約書には何か書類でもって報告するんだというふうに出ておりますが、これは絶えずこの四人の方が交代で行っておったのですか。それから氏名はだれだれですか、この四名は。
  368. 黒田泰輔

    黒田参考人 一工区につき三、四名の監督員を指名してございまして、随時監督をしておるわけでございますが、第四工区につきましては矢萩、岡本、橋本、比良山という技術吏員がこれに当たっておるわけでございます。夜の場合もございますし、必ず四名がそこにおるという状態ではございません。
  369. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、これはあなたのほうの仕様書と——要するに仕様書にも二つある、標準仕様書と特記仕様書、こういうふうに二つあるわけでございますが、この標準仕様書に基づいてこの建設が行なわれておったのかどうか。それを監督員がはっきり認識をしておるのかどうか。これについてひとつお答えを願いたいのです。
  370. 黒田泰輔

    黒田参考人 監督員には監督員の職務規程が別にございまして、私から任命をしておるわけでございますが、個々に担当を命ぜられました工区の工程なり、そこの仕様書なりにきめられておることにつきましては、承知して監督の任に当たっておるわけでございます。
  371. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、あなたのほうの仕様書と、それから、鉄建建設の下請がありまして、錦城建設、こういうようにあるわけですが、いずれにしても、鉄建建設工事があなたのほうの仕様書にきちんと合っていたのかどうか。合っていないのなら、どの辺が合っていなかったのか、これをひとつお聞きしたいのです。
  372. 黒田泰輔

    黒田参考人 先ほどの御質問にもお答えいたしておりますが、つり下げます間隔が正規の間隔よりも相違するものがあったので、四月七日の最近の時点で申しますと、その時点では、仕様書に沿って修正をするよう指示をしておる、かように申し上げました。
  373. 岡本富夫

    ○岡本委員 局長さん、この監督者の人たちがほんとうに現場に行って、そのことを率直にあなたのほうに報告しておるのかどうか、非常に疑われる。それでそういう答弁をなさっておると——一番大事なところですからね。     〔岡本委員、資料を示す〕  これは局長さん、あなたのところの同じ二号線の工区です。これが第四工区の鉄建さんの工区です。それからこれは同二号線の五工区、青木建設です。それからこれは三号線の第一工区、飛島建設です。そうしますと、先ほどからお話がありましたように、この懸垂けたは、ほかの工区では全部、飛島建設も青木建設もとめている。ところが鉄建の第四工区というのは何にもとめていない。全部離れている。そうでしょう。それなのにあなたのほうは、大阪市が間違いなく仕様書どおり監督しましたと、先ほどから何べんもお答えしておる。私はやめておこうかと思ったのですが、あんまりひどいですよ。これではいつまでたっても——なぜかというと、この懸垂けたは動くのですよ。この上を自動車が通るでしょう。すると動くでしょう。下にあるガス管は動くにきまっている。だから抜けるにきまっているのです。  しかも、もう一つ申しましょうか。懸垂けたの付帯工法。ここに鉄管があるわけですね。このスリップというのですか、振れどめ、これはないのです、ずいぶんさがしたのですけれども。両方からつってあるのです。そういう粗雑な工事でありながら、あなたのほうでは、四名の専任職員が監督しているのだ。先ほどだれかおっしゃったように、国会というところは机の上だけで見ておるのじゃないのだ。全部こうやって現物を見てきまして、そして実際に今後起こさないように私どもはいま審議しているわけです。先ほどから聞いておりますと、案外皆さん方のほうが御存じじゃないのか、あるいは、あんまりはっきり言うとぐあいが悪いのか、この点非常に理解に苦しむのですよ。その点いかがですか、局長さん。
  374. 黒田泰輔

    黒田参考人 せんだって来御指摘をいただいておりますものに、私の現在知っておるものと知っていないものとございますが、先ほどの御説明に関連しまして、懸垂のはりを、覆工板を乗せる分と、内部の埋設管を乗せる分と、分けてあるのはいいのでございますが、仕様書の上におきましては、覆工板をささえるはりも、埋設物をささえるはりも固定さすということでございます。したがいまして、それの実態に合っていないのは、仕様書から別の姿であるということが言えると思う。それから、つってある間隔が違うという点については、これも違う部分があるということが実態としてあるわけでありますから、それらの点につきましては、設計上どうなっておるかということは監督員は当然知っておりますし、そのとおり現場で指示をせなければいかない点でございます。
  375. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのほうの専任職員の監督をなさっている方は、土木に経験のある方か、あるいはただ単の事務屋なのか、これは非常に理解に苦しむのです。なぜかならば、私ども調べたのは全部一級建築士が調べているわけですけれども、専門家が見たらすぐわかることなんです。ですから、監督されているこの人たちは、ほんとうにあなたの信頼できる人がやっているのか。あるいは役所仕事でやってないのか。しかも業者鉄建さんの下請の錦城建設さんですか、こういうことになっておりますので、どうしても非常にルーズになる。こういうことを何べんも繰り返しておりましたら、これは大阪事故が起こらないのがふしぎである、こういうように思うのですよ。私、写真をとってある。これは写真で見たやつですから間違いないです。説明したってわかるのですけれども。その点について、局長さん、もう一度当委員会にはっきりした報告をしてもらいたい、こういうように私は思うのです。どうですか。
  376. 黒田泰輔

    黒田参考人 ただいまも御答弁を申し上げたのでございますが、懸垂してあるボルトをはりに固定せしめなければならない。それからつり防護のつり方でございますが、二メートルを中心としてつくっていかなければいけないというのが仕様でございますから、そのとおりに行なわれなければならない。後日いろいろな原因究明もございますが、それは別として、とにかく発注をしてそこに一つの仕様をつくりました以上、その仕様に沿って工事の進捗をはかるのが監督員の責任、すなわち局側の責任でございます。
  377. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ監督が不十分であるということをお認めになりました。  次に、鉄建建設社長さんにお聞きしますけれども、こういうようなこまかいところの報告をあなたは下請の錦城建設から受けていらっしゃいますか、いかがですか。
  378. 大石重成

    大石参考人 先ほど申し上げましたように、錦城建設は私のところの専属社員の独立したものでございますので、下請という形はとっておりますけれども、実際はこまかく私のほうの社員監督、指導、施工の指図をしておるような会社でございます。  それから、私自身にこまかい報告はございませんが、作業所長と市の第二建設事務所の監督者との間では十分連絡をし、御監督をいただいておるものと了解しております。
  379. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのおっしゃるのは——きょうは、今後こういう事故が起こらないようにというわけで、国会に参考に来ていただいて、長い時間をかけてるる御質問申し上げでおるわけです。ところが、何も御報告を受けずに、また、それを言ったのではぐあいが悪いかなんか知りませんが、先ほど写真で見せましたように、懸垂けたが固定していない。あるいはまた懸垂ボルトですか、これが間隔が非常にいいかげんなものである。ブレースすなわち振れどめもない。こういうことを御存じの上で、きょうこちらにおいでになったのでしょうか。いかがでしょうか。
  380. 大石重成

    大石参考人 私、先ほど来御説明申し上げておりますように、懸垂いたしますバーの間隔のふぞろいは、建造物、下につくりますものの位置その他の関係で、強度その他を建設局とお打ち合わせをいたしまして、許可を得てやっておりますということを御説明申し上げました。  それから、水平けたがとめてあるかないかという問題につきましても、これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、私のほうの作業所長の意見を私は聞いておるわけでございますから、そういうことにつきまして、これは水平であるので、御当局に提出する設計図にもそれは書いてなくて御承認を得ているものである、こういうふうに説明をしてきております。
  381. 岡本富夫

    ○岡本委員 局長さん、よその飛島建設、同じ二号線で工区は別ですが、ここはちゃんとボルトで二本ずつとめているのですが、こういうことは標準仕様書には示してはないのでしょうか。
  382. 黒田泰輔

    黒田参考人 覆工けたを載せる分についてボルトで固定さすということでありますが、懸垂けたをつるはりにつきましても、それに準じて措置をするということでありますから、やはり固定さす趣旨で同様の措置が仕様書に入っておるわけでございます。
  383. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、仕様書にはそれは明確に出してある、覆工けたと同じように懸垂けたもそうなっているんだ、こういうように局長さんおっしゃる。それから建設会社のほうでは、それは示されていないんだからどっちでもいいんだ、ここにちょっと行き違いがございますね。それは建設会社のほうでは、どこの建設会社も懸垂けた——これは上で車がたくさん通るわけですから、動くにきまっておる。それにガス管がつられて固定されているわけですから、それが動いたら動くにきまっておる。そういうような簡単なことが、また一番大事なことですが、市のほうから示されてないからという答弁はどうも私、納得いかないのですがね。その点いかがですか。
  384. 大石重成

    大石参考人 私の聞いておりますことは、上の覆工板を受けておりますけたとパイプをつりますけたとは、別のけたになっておりまして、おことばを返して恐縮ですが、上の振動が直ちに伝わってくるけたとは違ったけたであるということと、それから、いまのビームはそういう設計でやったから、それで御承認を得ているんだ、こういうふうに私は聞いております。
  385. 岡本富夫

    ○岡本委員 写真を見せてもいいですけれども、こういうふうに覆工板をささえる覆工けたがあるわけですね。その上にセメントと鉄板で覆工板を載せているわけです。その下にここに沿うて懸垂けたがあるわけです。これが動けば、水平に横にあるはりに載っておるのですから、これはこう動くにきまっておるじゃないですか。ここと覆工板を受ける覆工けたが固定されておるのです。固定されておるから、上が動けば、下の水平のはりみたいなのは振動するにきまっておる。このまん中にあるところの懸垂けたがこう動かないわけはないのです。しかも何にもとめてないものですから自由に動く。そうすると、下にあるところのこのガス管というのは曲がったりしておるわけでしょう。しかも、このガス管につきましては、御承知のように、四月二十一日の大阪市港区の下水道工事のところで警察の港署員が調べに当たりまして、ほとんどボルトが腐食してしまっておる。中にはまん中で折れておるのがあるとか、あるいは直径十五ミリのものが二、三ミリに細くなっている。そういうものをつって、そして固定しなかったら、どこからかはずれなかったらこれはふしぎじゃないですか。  それはそれとして、大阪市の仕様書には、ちゃんと覆工けたと同じように懸垂けたも固定すべしというのが、これは常識であるし、そういうように出ているのだ、こういうようにおっしゃっておるのだけれども、あなたのほうはそれをお認めにならない。あなたは現場を御存じなかったのか。あるいはまた、今後も事故を起こさないという考えがないのか。こうして私きょう言うのは、今後こんなことが起こってはいけない、とうとい人命を失ってはいけないというわけで、わざわざ私、現地に行ってこれを調べて持って帰ったわけです。だからあくまでもそういうことは関係ないのだというようなことでは、ちょっと当委員会では、国民の皆さんは納得できない、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。
  386. 大石重成

    大石参考人 先生の御意見によりまして、なおよく実態を調査いたします。また、再びこういうことを起こすまいという気持ちがないというようなことは、私も人間のはしくれでございますので、そういうことはなく、私も誠心誠意かようなことををやることに対して反省をいたしておることは、ぜひひとつお認めいただきたいと思います。
  387. 岡本富夫

    ○岡本委員 おわかりになっていただければけっこうでございますから、よくあと調査をして、これは警察の保安部長さんですかおいでになっておりますから、この点もよくひとつ見ていただきたいと思います。  それから次に、時間があれですから、先ほど加藤委員のほうから提案がありましたように、再びこういうことが起こってはならないというわけで、演習をしたらどうだ、あるいはまたそうした定期的な演習をきちんとしてやったらどうかという話は、まことに当を得ておる。私も特にそれをお願いしたい。  それについてお願いがある。それは、ただ消防署だけではならない。なぜかならば、事故発生後対応する処置、この指導方針あとで一ぺん聞きたいと思ったんですが、事故が起きたのがちょうど四月八日の六時ごろでしたか。そうして私ども大阪会議員が、網沢、佐伯、山川、この三人の議員が現場へ急行したのが十九時。行きまして、だれかおるかと思って、一番中心はだれかと思って探したら大島助役がいた。その横に消防関係の人がみないた。うろうろ、うろうろしている。さっそく対策本部はどこなんだと言うと、対策本部は私がおるところですねといって、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしておる。それでは何の把握もできない。こんなところで絶えずうろうろ、うろうろしている、そんな対策本部はないというわけで、あの天六の北市民会館にさっそく現地対策本部を設けさした。大きい紙に書いて、現地対策本部とばっと張り紙を出した。すぐ臨時電話を引けと言うたら引いたというのです。こういうような応急の、予測しないときにぱしっぱしっと適切な手を打たなければ負傷者の掌握もできない。したがって、いたずらに人心を迷わして死者を多くしてしまったんじゃないか、こういう面も考えられますので、その点について、松島消防庁長官、それから警察、その方面の今後の演習について、あるいはまた、そうした処置をするための適切な指導あるいは練習、こういうものをやられるかどうかをお聞きしたいのですが、いかがですか。
  388. 松島五郎

    ○松島政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたように、こういった事故は起こらないように未然に防ぐことが一番望ましいわけでございますけれども、万が一発生した場合の処置についてあらかじめ十分な訓練をいたしておきませんと、御指摘のとおり、いざとなるとなかなかその場で知恵が出ないというようなこともございますので、私のほうは事故の発生に備えまして、警戒区域の設定について、その区域及び設定の方法、特に時の経過に伴いまして工事現場が移動をしてまいりますような場合は、現地の実情に即するような区域設定等が必要でございますので、そういうようなものについてあらかじめ計画を立てておくように、また事故発生の場合におきます一般住民の火気使用の禁止についての周知方法、さらには立ち入りの規制、避難の誘導の方法、火災が発生いたしました場合の防御方法等について、現実の工事場に即してそれぞれの計画を立て、また関係者とともに訓練をして習熟をしておくようにということを指導をいたしておるわけでございまして、同時に、先ほども申し上げましたように、特にこういうガス漏れの場合は爆発の危険性がございますので、単に消防車だけがかけつけて用が足りるわけではなくて、むしろ火災発生に至る前になすべき措置がいろいろございますので、そういったことの広報ができるような広報体制というものも同時にとらなければならないというようなことで、そういった面の計画を立て、訓練をするように指導をいたしておるわけでございます。その後東京都においても二、三ガス漏れが、ございましたけれども、その際には広報車が何台か出て、直ちに危険区域を示しまして、立ち入りを制限するというような、あるいは火気の使用の停止を呼びかけるというようなことをやってきております。この方向はさらに徹底をさせてまいりたいと思います。
  389. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 警察のほうといたしましても、御提案のとおり、関係の各機関あるいはガス会社の方その他関係のものと共同をいたしまして、こういう場合における適切な活動について効果的な訓練をするようにということをすでに指示いたしておるところでございますが、さらに御趣旨を体しまして万全を期したいと思います。
  390. 岡本富夫

    ○岡本委員 次は、大阪瓦斯の方にお尋ねいたしますけれども、今度の事件は、私、あの近所にたくさんの友だちがおりまして、聞いてみますと、最初ガス漏れがやかましく、あちこちにあったので、すぐガス会社に電話したというんですね。そうしたらガスパトロール員が来まして、そしてしばらくしたら車に火がついたというんです。大阪というところは、火事があるとみな集まってくるところですから、何や何やというて大ぜい、公園で遊んでいた子供まで見に来たというのです。集めておいてバンとやったものだからえらい目におうた。それまでもガス漏れが相当あったというんですね。いろいろと絶えずたくさんあった。私、それについてとやかく言うのはあれですが、あなたのほうでガスパトロールをする方に、どういう注意を与え、どういう指導をなさってパトロールに出していらっしゃるのか、これをひとつお聞きしたい。
  391. 西山磐

    西山参考人 ガスパトロールにつきましては、ガス業者責任といたしまして、導管保安を維持しなければいかぬ義務がございますので、ガス漏れがあるかないかということを検査するためにパトロールをしておるのでございます。  それで、先ほどの燃えた車でございますが、五時二十分ごろガス漏れが出たわけでございますが、ちょうど私のほうのいまのパトロール車がそこを通りかかったときに、ガス漏れがあるということを聞きまして、北営業所にすぐ無線で通報いたしまして、それで出動いたしました緊急車が、先ほど先生がおっしゃったように、結局燃えた緊急車になっておるわけでございます。その緊急車も一応とまっておりましたのですが、群衆が東のほうからたくさん寄ってまいりましたので、マイクを群衆に向けるためにバックをした。しかも、それは消防の方から、マイクでもって避難をさせるという御指示があったので、それでエンジンを不用意にかけたということが着火の原因であるというふうに報告を聞いております。
  392. 岡本富夫

    ○岡本委員 その報告は、現地の人たちのおっしゃっていることとちょっと違うのです。私が聞きますと、ガスだけが出ておったらだれも人が集まってこない。車がバッと燃え出したから、車が火事だといってみんなのぞきに来た。それでバンとやられたのですから、二カ所から出たらしいのですけれども、車のほうからバッと出ると同時に、また向こうのほうからもバッと出たということは言っておりましたけれども、非常にゴムくさいにおいの状態だった、こういうことでございました。  私がいま御質問申し上げたのは、ガスパトロールをする人たち、あるいはガス漏れのところに行く人たちに対してどういう指示を与え、どういう訓練をして行かしておるのか。
  393. 西山磐

    西山参考人 パトロールは、先ほど申し上げましたように、ガス漏れの検査ということが主たる任務でございます。それで、先生のおっしゃっておるのは、地下工事現場に行きましたパトロールの任務でございましょうか——それはやはり、地中にありますパイプを検査するのと同じ使命でもって、地下鉄工事現場の掘り出されておるパイプに対して、ガス漏れがあるかないかということを調べに行く役目がおもなものでございます。
  394. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間がありませんから申し上げておきますが、ガスというと、もうガス会社の方が来るまでさわってはいけない——また、あぶなくてさわれないわけですが、だから今後こういうことのないように、車は少し手前でとめるとかする。あるいはまたもう一つはその誘導なんですが、ガス会社の方にだいぶ見物人が誘導された。それが風下のほうに誘導された。いいですか、そんなことはなかなか報告しないと思いますけれども、私はこれを現地の罹災した人たちにみな聞いた、ガス会社の方が誘導してくれたのが風下だった、こういうことだった。ですから、こういう一つ一つを考えて、今後最悪の事態を考えて、特にこうした地下鉄工事とか、工事現場に対する修理班といいますか、そういう人たちに対しては、もっときめのこまかい指導をして出してあげたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  395. 西山磐

    西山参考人 御趣旨のとおりでございまして、これから、地下鉄とかあるいは地下街なんかの工事につきましては、いろいろ手を打つわけでございますけれども、とりあえず、現在そういうような工事現場に対しましては、社員を常駐さすようにいたしております。重要現場には、パトロールじゃなしに、二名ないし三名の社員を常駐するということで事故を防いでいこうということを実施しております。
  396. 岡本富夫

    ○岡本委員 社長さん、私がいま言うておりますのは、こういう重大なところに対して出動するとき、二名くらいじゃどうしようもないですよ。だから、あそこはガス会社の北支店でしたか、そこに連絡があって出ていったわけですが、その出ていく人たちに対して、要するに、どちらかといえばガス会社現場を担当するそうした社員に対して、今後はこういうところに気をつけなければいかぬ。一つは、先ほど申しましたように、車をすぐガスのところに持っていったらいかぬとか、あるいはまた、誘導するときにはよく考えて風下に連れていってばいけないとか、もっといろいろあると思うのですけれども、そうしたきちんとした訓練をして、そして出していただけるようにしてもらいたい。これに対する御答弁をいただきたいのですが、いかがですか。
  397. 西山磐

    西山参考人 どうも勘違いをいたしまして……。従業員の教育につきましては、私のほうはトレーニングセンターを持ちまして、ここで保安教育も十分やっておるのでございますが、ただいま先生御指摘のような事実がございましたということにつきましては、これはどういうことでそういうことになったか、注意が足りなかったということに対しましては、私非常に反省をしております。なお、その教育につきましても、相当時間をかけて質的にもやらなければならないのですが、これも、今回の事故にかんがみましてまだ不十分であったというような反省をしておりますので、これから十分強化してやりたいと思います。
  398. 岡本富夫

    ○岡本委員 あと二、三点で終わります。  それから、もう一つガス会社にお伺いしたいのは、先ほども話がありましたように、地中にあるときはガス管というものは、温度が一定しておりますから収縮率が少ない。しかし、地上へ出ますと、これは寒暖によりまして、要するに寒かった、暑かった、この温度差によって収縮する率が多いと思うのです。鉄道線路でもみな間隔をあけておるわけですから、これに対しては先ほど八トンとか何とか言いましたけれども、なかなかこれはとめてあるボルトくらいはすぱっと切れるわけですよ。その点について、たとえばガス管をそのまま露出するのじゃなくして、上から保安工事をするとか保温工事をするとかして、アスベストあたりで巻いたらだいぶ違いますから、そういうようにして、収縮によってはずれたりしないような措置も極力お願いしておきたい、こう思います。  そこで、鉱山保安局長来ておりますね。石炭の鉱山ですが、そういうところにおいて保安対策はどういうようになっておるのか、ちょっとこれだけお聞きしたいのです。たとえば一酸化炭素の検知機をたくさん置くとか、いろいろやっていると思うのですが、それについて。
  399. 橋本徳男

    ○橋本(徳)政府委員 お答えいたします。  鉱山、特に石炭山におきまするガス爆発と今回の場合と、私、必ずしも石炭山の対策がこれにストレートに結びつくかどうか、ちょっと問題だとは思います。というのは、基本的には、今回のような場合には要するにガス管からガスが出てはいけないというふう状態ですが、鉱山の場合には、むしろガスを出す、地山から全部ガスを出すというふうな対策を中心にとっております。したがいまして、まずそのガスを出すためにいろいろ坑道を穿孔し通気をよくする。さらに、それでもガスが抜けない場合には、ボーリングをやりまして、それで強制的にガスを抜いていくというふうなやり方。そうしまして一%以下の状態になりました場合に、初めてそこで電気施設の設置ができる。御承知のように、ガス爆発の限界はメタンガス四%ないし九%でございますから、一・五%のガスになった場合にはそこで作業停止を命ずるというふうな形になっております。それから二%になれば退避をする。それで退避をする際には、通常の訓練を、毎月図上訓練をやり、それから三カ月に一回現地の訓練をやっておりますが、その方法に基づいて係員の指導のもとに退避をするというふうなことをやっております。  それからまた、一酸化炭素等につきましては、もちろん坑内に入る全員が自己救命器を持って作業につくというふうなことをやっております。こういった仕組み方は、要するに一つの資格をとりました係員が常時検定機を持ちまして、作業開始の前及びそれ以外の特定の定められた時間ごとにガスの検定を坑内においてやっていく。それと同時に、もう一つは自動警報機という装置を置きまして、これによりまして、ガスが一定量になれば自動的にそれが警報を発する。それからまた、電気施設とそれをインターロックいたしまして、自動的に電気が遮断されるというふうなこともやっております。そういうような方法によってガス爆発の防止につとめておる次第でございます。
  400. 岡本富夫

    ○岡本委員 よくわかりました。それで、前の三井三池炭鉱のああいう爆発事件、こういうことで聞いておりましても、非常にシビアに人命尊重の上からも保安基準がきめられておる。ところが、そうした配慮というものが、陸上で、要するにこうした地下鉄なんか掘るときには少ないのじゃないか、こういうことを考えますので、たとえ一部でも、いまの鉱山保安局長が答えられたああした保安基準を少しでも入れて、たとえば検知機をたくさん置くとか、あるいはまた急にガスが出るということになれば警報機が鳴るとか、もっともっとこの点を取り入れて慎重にやる必要があるのではないかと思うのですが、運輸省と、それから通産省の公益事業局長の両方からお答え願います。
  401. 佐原亨

    ○佐原説明員 御指摘のとおり、これまでは地下鉄工事に関しましてのいろいろな対策について必ずしも十分ではないという点、十分反省しております。今度の政府の災害対策本部でいろいろな施策が打ち出されると思いますので、その線に沿いまして、十分企業者のほうを通じまして指導監督強化いたしたい、このように考えております。
  402. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガスの早期の検知あるいはそれの警報等につきまして、現行の体制あるいは現行の機器等、さらにもう一度総点検をいたしまして、できるだけひとつ綿密周到な予防体制のとれるように努力してまいりたいと思います。
  403. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に、この救済につきまして、これは大阪市にお願いしたいのですが、市のほうからビラが回ってきまして、営業補償、要するに営業をやっていて今度の事故で仕事ができなくなった、あるいはまた金融の必要な人、これに対しては、国民金融公庫大阪支店あるいは十三支店に申し込んでください、こういうようなビラが来ておりました。それにはやはり条件がありまして、国民金融公庫の金を借りようとすると、国税を払っていないと、国税の領収書がなかったならばこれは受けられない、添付しなさい、こういうようになっておりましたが、ちょうどあの事故の前に、北区菅栄町四七、生明由起子さん、これは白衣屋さんです。これは昨年病気がちで商売があまりできなくて、ことしからしっかりやっておる人ですが、この人は第二次大戦で指が三本動かない。二本動くので身体障害者の手帳がもらえない。それで昨年税金を払っていないから領収書をもらえない。いま白衣をやっておりまして、あの間お客さんがずっととぎれてしまったために、そでの長いのがたくさん残ってしまって、売れる時期に売れなくて、今度そでの短いのをつくるのに非常に資金が困る、こういうようなことを言っておりましたが、これは非常にこまかいことですけれども、私は、こういう不慮の災害のときには、そうしたこまかいところにも配慮をして、大阪市のほうで善処をしていただきたい。これは一例ですけれどもあと熱帯魚屋さんやら、たくさんいました。いろんなところにそうした問題が起こっておりますので、中小企業、零細企業でそうした人たちの商売が続けていかれるように特別の配慮をお願いしたいと思うのですが、この点いかがでしょうか、大阪市のほうで。
  404. 黒田泰輔

    黒田参考人 具体的なお話でございますが、私いま直接詳しくはそれは存じ上げておりませんが、三者で話し合いをしまして、できるだけ手厚い措置をするということを申し合わせ、しかもそれの専門の臨時部を設置いたしましてそれに当たっておりますので、帰りまして十分お話を承ってそれの措置を考えてみたいと思いますが、何ぶんいま実情をお聞かせ願ったところで、もう一つ私もはっきりわかりませんので、帰りましてよく調査をいたしてみます。
  405. 岡本富夫

    ○岡本委員 この点を特にお願いしておきまして、これで終わります。
  406. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  参考人各位には、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次回は、明七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後八時二十二分散会