○近江
委員 そういう機関があれば非常に望ましい、あらゆる情勢から
判断されてそうおっしゃったと思うのですが、そういうことも現実に考えもせずこういうような
法案を出された。そういう機関がなくてもできるというような言い方もされてはおりますが、非常に大きな疑問がそこにあるということをおっしゃったわけです。そういうような確信のないことでこうした
法案を出していいかどうかということなんです。しかも、私どもにもいろいろな陳情が来ておりますが、共通した意見をあげてみますと、たとえば、私は十年来
法改正を叫んできた、しかしこのような
法改正では断固反対せざるを得ない、私の関係しているもので二億円からの開発費用をかけたものがある、これが無にひとしい権利、無にひとしい補償で
公開されたらどうなる、
特許庁の大きな課題は
早期公開では解決できず、
出願をほったらかしにするだけである、補償金請求権という権利がつくが、これは事実上行使できるものではない、
早期公開制度は盗用奨励法ではないか、補償金がとれるということは無
意味に近い――私、非常にこの人
自身が独断的にいっているのかな
あということで、こういう
意味をずっと調べてみたんですが、なるほどやはりそうした
根拠があるわけです。特に先ほど、技術のそうした
公開ということのメリットもおっしゃったわけですが、これは大企業には言えるかもしれませんが、中小企業や個人
発明家というものは、これは全然不利になっているわけです。なぜかならば、結局大企業の場合でしたら、それだけの
公開公報が出ても、それだけの調査をするスタッフを整えているわけです。中小企業などはそういうものはできぬわけですよ。ですから、大企業の場合でしたらそれだけの体制が整っております。しかも、自分のやったその発明というものが取られたその場合、模倣、盗用のそれを訴える場合には、当然挙証責任というものが発明者にあるわけですが、そういう調査能力も調査
権限もない個人の
発明家や中小企業というものは、全国的に調査もできずに泣き寝入りしなければならぬ。たとえそのように立証したとしても、今回の
法案というものは利用者の権利というものを強くしておるので、結局はロイアルティー
程度で泣かなければならぬ、こういうようなことで、決してみんながそういう技術
公開ということを望んでいるわけではないわけです。むしろそれよりも、権利というものを守ってもらいたいという、そういうほうが強いわけです。そのために発明意欲が喪失をしてくる。自主開発という
日本の行くべき道を、逆に模倣の線を強くしていかないか、こういうような心配もあるわけです。
そこで、この
審査が実際に早くなるのかどうかという点について、私いろいろな角度から
質問をさせていただきたいと思っていますが、たとえば、実際にこの
法案ができて
早期公開されたときのことから、一ぺん考えてみたいと思うのですよ。そうしますと、
一つの分類だけの問題を取り上げても、これを使用する方法、使用する側、そうしてまた
特許庁の分類の方向、それぞれの
立場からこれは問題が出てくるわけです。そこで、
早期公開された場合どういう大きな混乱が伴うかということは、一分野である分類という面から見ていっても、それがおわかりになるんじゃないかと思うのです。したがって、
一つの分野を取り上げてもそういうことなんですから、いかに今回の
法改正というものは大混乱を起こすかということがおわかりになると思うのです。
そこで私は、一分野である分類のことから聞いていきたいと思いますが、分類というものは、要するに細分化が進んでおるということと正確度が高いという、この二点が当然要求されるんじゃないかと思うのです。ここで細分化が進んでおるということ、これはすなわち細分化が進んで、
一つの小集団当たりに含まれる対象物が少ないほどよい分類と言えるわけです。細分化が進んでいなくて、調査対象となる
情報量が調査可能な範囲をこえておるとすれば、もはやその分類というものは何の役にも立たないということが言えるわけです。これは前提としてずっとお話しているわけです。たとえば極端な例でありますが、特許、実用新案における分類を考えた場合に、機械、化学、電気、この三つの集団にしかもしも区分されていないとすれば、この特許、実用新案の
出願というのは年間大体二十数万件あるわけです。ですからおのおのの集団に区分される
出願というのは、大体十万件近くに達するわけです。そうすると、そういうように膨大になってくると調査はできない。分類の役目を果たしているということは言えないわけです。これは極端な例を申し上げているのですが。
それから正確度の問題ですが、もしもこの正確度が低くて、たとえば三〇%
程度の間違い率があるとしますと、三つの例を申し上げたのですが、たとえば電気の集団に入っているものを調査するのに、機械あるいは化学の集団まで調査しなきゃならない。こういうような点で、この分類というものは実際に確実にできなければ、利用者のほうも、幾ら体制を整えてもたいへんなことになってくるということです。
一つのことを考えてもそうなんです。そういう特殊なことですから、そんなばかげたことはないとおっしゃるかもしれませんが。
現在七十五万件の滞貨とこのように聞いておるわけです。そうしますと、
公開公報の発行に伴って、七十五万件といわれる滞貨分の
出願が短期間に
公開されるわけです。そしてこの滞貨分を除いても、年間二十数万件以上の
出願が
公開されるわけです。そうしますと、この分類対策というものがどれほど重大になってくるかということなんです。
そこで、まず
質問の第一点は、この
出願を一年六カ月経過したときに詳細な分類を付して
公開する、このように言われておるわけですが、
公開公報はどの
程度まで細分化した分類づけを行なうかということなんです。まずこの点お聞きしたいと思います。