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石川委員 たいへん時間がありませんので、
答弁をあえて求めません。要望を申し上げておきます。
それは、
情報産業などということは必然の宿命みたいなものでありましょうし、将来おそらく
日本の
産業の構造を三割から五割変えるだろう、こういわれておるわけです。この
情報産業時代になれば、はたしてこれは非常に
バラ色の世界が来るのか、あるいはまたそうじゃなく、それは単なる
幻想で灰色になるのか、その二通りの見方があるわけでありますけれども、まあ
バラ色だという見方からすれば、手近に豊富な
情報がすぐ得られるということもあるし、また、
コンピューターがいろいろNC工作
機械や何かを駆使することによって、
人間の作業を代替するということで生産性が高まるし、それによって労働時間が短縮をされるという面が出てくるし、したがって生活内容というものも向上がはかられるという見通しができるわけであります。そしてまた、レジャーというものが生まれて、レジャーを謳歌できるのだというような、非常な
バラ色の面があるわけですけれども、反面、先ほど来
質問がありましたように、プライバシーの侵害というものが
アメリカで非常に大きな問題になっておるわけであります。それから、これからは、労働と資本の対立という本質的なものは変わらぬでありましょうけれども、しかし、今後の現象としてあらわれるものは、
コンピューターを中心とするいわゆるテクノクラート、そういうものとその他のものというふうな形で、労働問題の条件というものがだいぶ大きく変わってくるのじゃなかろうか。それからまた、これはいま人手不足でありますから、そんなことはあり得ないとおっしゃるかもしれませんけれども、
アメリカあたりで非常におそれているのは、徹底した
情報化というものが進めば、たいへんな新しい
意味での失業というものが生まれるであろう、こういう問題が
提起をされておるわけであります。それから、私が一番心配をしますのは、資本主義
時代だからというわけではございませんけれども、現在でも
人間疎外、
人間性否定ということがいわれております。しかしながら、これから売らんかなの
情報がふんだんにはんらんをするということを通じて、あるべき
人間性というものがゆがめられてくるのではなかろうか、こういう心配がされてならないわけであります。こういう、
バラ色にするか、灰色にするかという面では、ひとしく政治の大所高所に立って、
情報の面を片方で推進をしなければならぬけれども、それによって生ずるところの弊害というものにどうやって対処し、これを解決していくかということを
考えながら
情報産業というものを進めなければならぬという点を、ひとつぜひ総理においても十分これからお
考えをいただきたいということが第一点であります。
それから、
情報化社会ということになれば、
産業の問題だけでなくて、
教育の問題から通信の問題労働の問題あるいは行政の問題、いろいろな点に非常に大きな影響を与えるわけでありますけれども、特にいま行政の問題では、行政管理庁というふうなものが中心になるというお
考えもあったようでありますけれども、これはとうてい行政管理庁では処理できる問題ではないと思うのです。やはり
内閣総理大臣が指揮をして、閣僚
会議とか、あるいは膨大な審議室とか、中核をつくってそこで対処していかなければならぬきわめて重要な課題ではないかと私は思うのです。いままでの縦割りのセクショナリズムというものは、この審議室
情報化というものが行政の面で合理化されていきますと、いわゆる横割りの行政で対処するような組織がこれからも生まれてくるという道が開けるのではないかという面が一つ。それから地方行政と中央との
関係をオンラインでやりたい。遠距離即時通信というのでありますけれども、これによって全部つないでいくというような
必要性が当然出てくるのではないかということで、ぜひひとつ、この
情報問題というものは、単に一つの部門にまかせるということではなくて、
内閣全体で真剣に取り組んでいかなければならぬたいへん重要な問題であるということで、基本法の問題なんかなかなか出ないというお話がございますけれども、これはぜひそれを出すのだという気がまえでひとつ対処してもらわなければならぬ問題ではないかと思うのです。これが第二点であります。
それから第三点の問題は、現在の公衆電気通信法によりますと、異企業間の通信は認められておりません。ということは、たとえばトヨタ自動車に生産工場と販売会社があります。これは両方一緒にならなければ一つの企業にならない。しかし便宜上これは分けてある。しかしこれは異企業間であるからといって、この通信というのは禁止されているという面がある。こういうものを、これはこの問題と直接
関係ありませんが、開放していかなければならぬ問題であろうと思うわけでありますけれども、そういう開放にあたっての問題点といたしましては、一方では、先ほど私が申し上げましたように、売らんかなの
情報というものはどんどんはんらんをする。これを何らかの点で調整
——統制ということになりますと問題がありますから、何らかの点で調整をはかっていかなければならぬという点では、ある程度独占的な形態が必要だという面が一つ出てくるわけでありますけれども、しかしながら、ソフトウエアの開発
——日本ではハードよりもソフトが圧倒的に
アメリカに押されっぱなしであります。これがもし上陸すれば完全に
日本は席巻をされるであろう、こういうような情勢になっておるのでありますけれども、しかしながら、これは、上陸してしまってからそれを押える方法として、電電公社のほうでこれを独占的に抑制をするというようなかっこうではどうしてもまずい。やはり外資の規制をして、上陸する前に水ぎわでこれを規制していくという方法を
考えなければなりません。しかしソフトウエアの開発の寄与率はユーザーが大半なんです。ユーザーの力が大半であって、政府の力、政治の力、電電公社の力なんかでソフトウエアというものを開発する力というのは、そう大きなものではありません。でありますので、
民間に相当依存をしなければならぬ面が多い。したがって、そういう面ではどんどん開放していかなければならぬ、しかしながらまた片方では規制をしていかなければならぬという、二律背反的な要素がこの通信の場合には出てくるわけであります。私はここに妙案があるわけではありませんが、そういう点を十分に配慮しながら、ひとつこの通信の開放、オンラインの開放というものについては対処してもらいたいと思う。そういう問題も含めて、ぜひ強力な審議機関というものを、総理府がいいか
内閣全体がいいかわかりませんけれども、つくっていただきたいということを御要望申し上げておきます。