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1970-04-09 第63回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月九日(木曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    遠藤 三郎君       海部 俊樹君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    田中 六助君       藤尾 正行君    増岡 博之君       山田 久就君    石川 次夫君       岡田 利春君    中谷 鉄也君       横山 利秋君    近江巳記夫君       多田 時子君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君  委員外出席者         通商産業省重工         業局次長    山形 栄治君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 四月八日  外国産果実等貿易自由化反対に関する請願外  二十六件(關谷勝利君紹介)(第二九二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  情報処理振興事業協会等に関する法律案(内閣  提出第七四号)  公益事業に関する件(大阪市のガス爆発事故)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  公益事業に関する件について調査を進めます。  昨日の大阪市におけるガス爆発事故の概況について政府より報告を求めます。小宮山政務次官
  3. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 昨日、大阪で起こりましたガス爆発について、御報告申し上げます。  その前に、なくなられた大ぜいの方々、また遺族の方々に、心から哀悼のおことばをささげるとともに、また、大ぜいの重軽傷者方々が、一日も早く回復されんことを願っております。  通産省といたしましては、事故発生報告を受けると同時に、本省から係官二名を大阪に派遣いたしまして、その現場状況を把握し、その指揮に当たらせるとともに、大阪通産局では、十九時三十分に通産局長本部長といたしますガス事故対策本部を設置いたしました。また昨晩十時半に、通産大臣馬場公益事業局長及びガス課長現地に派遣いたしました。また、ただいま本日、総理府に関係各省による大阪ガス事故対策本部——これはまだ仮称でございますけれども関係各省寄りまして、今後の対策を進めております。ガス爆発事故について、皆さま方のお手元にお配りしましたものに従いまして、御説明を申し上げます。  災害発生時期は、昨晩の午後五時二十分ガス漏れを発見いたしまして、五時二十分から三十五分の間に各所へ通報いたしました。午後五時四十分から五十分の間に爆発をいたしました。この時差の問題については、大阪府警市消防局交通局その他に幾らかの誤差があるようでございますが、大体四十分から五十分の間に爆発をしたと見られています。  災害発生場所は、大阪市の大淀区長柄国分寺町十五番地先の地下鉄二号線工事現場でございます。  災害の経過につきましては、地下鉄二号線で、これは梅田−天六−都島間を走る予定地下鉄でございますが、つり防護を施した工事現場において地下掘さく工事を実施中、露出された直径五百ミリの鋳鉄管からガス漏れが生じ、それに何らかの原因引火爆発を起こし、災害発生したと考えられ、その原因については現在調査中でございます。破裂した道路をおおっております板の長さ三メートル、幅一メートルのものが飛び散りましたために、付近にいた工事人及び多くの市民の方々から死傷者発生し、また道路両側家屋が延焼いたしました。  次に、被害の状況でございますけれども、九日午前五時現在、大阪府警調べでございますと、死者は七十六名、負傷者重傷百六十六名、軽傷が百十七名でございますが、そのほかに、家が焼けましたのが、大阪府警調べでございますと三十六戸ございます。なお、ガス爆発で、道路をはさんで約三十メートル、その両側に建っております家が、ほとんどガラスその他家屋が破損をいたして、約二百メートルにわたってそういう事故が起きております。  次に、災害に対して講じられた措置でございますが、羅災者の救援については、負傷者行岡病院外二十五カ所に収容いたしまして手当て中でございます。なくなられた方々の御遺体は、大融寺南御堂鶴満寺に安置いたしました。焼失しました家屋罹災者に対しては、付近の小学校三カ所に避難所をつくっていましたが、現在二カ所に百名程度収容されております。また、食糧その他については緊急手配をいたしました。  消火活動については、消防車五十四台が出動し、その出動人員は約五百人で、鎮火は八日の二十一時三十分に鎮火いたしております。  その他、いろいろな関係各所手当てをいたしている分につきましては、大阪労働基準局において約五十万円相当の緊急薬品を提供いたしました。府衛生部においては三十五病院を動員し、あるいは大阪府立病院、日赤、成人病センターからおのおの医師を派遣しております。負傷者の中にはガスえその発生のおそれがございますので、血清五十五本を用意させております。  大阪市においては、市長を本部長といたしまして、関係局長をもって構成する事故対策本部を設けております。また、先ほど申し上げました大阪通産局対策本部を設けておりますけれども、そのほか大阪府警労働基準局においても各対策本部を設けておりますが、大阪通産局がその各対策本部連絡に当たっております。けさ、九日午前二時に大阪市庁において、市対策本部大阪通産局対策本部と各省庁の出先機関による第一回の連絡会議を行ないまして、通産大臣に対してそれぞれ事故の処理と今後の方策について報告を行なっております。  今後の措置といたしましては、大阪市消防局大阪府警は、九日の午前十時より引き続き現場検証を行なって、原因の解明に当たっている模様でございます。  その他、現在死者については、総理のほうから通産大臣電話連絡がございまして、穴の中に死者がいないかということでさがしましたけれども、もう穴の中には死者がいないようでございます。ただ、家屋の焼けたあと、あるいは板の下敷きになっている人たちがいるのではないかと思いますけれども、これは大阪府警の意向によりまして、現場検証その他をやっておりますので、いまそのままの状態で現場検証を行なっているようであります。これは、けさ八時半、ガス課長からの連絡でございます。  たいへんな事故になりました。ただただ今後こういう事故がないことを願うとともに、負傷者方々に対し、また家族の方々にたいへん申しわけないことでございます。今後この対策については、通産大臣が、いまの予定でございますと、十一時五十分の飛行機で羽田に参りますので、通産大臣帰りまして、総理その他関係各省と相談の上、早急に対策を立てたいと思っております。      ————◇—————
  4. 八田貞義

    八田委員長 情報処理振興事業協会等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 ちょっといまの御報告について……。あとで本格的な御質問をいろいろといたしたいのでありますが、ちょっと気になりますことを、議事録にも残りますので、確かめておきたいのであります。  死者の七十六名、新聞がきのうからきょうにかけていっておることを聞きますと、いま私の手元にありますきょうの日本経済新聞では九十九人でございますね。議事録関係で放置できないような気がいたしますので、どうしてこういうように数字が違うのでありますか、念のために伺っておきます。
  6. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これはけさ電話がございまして、大阪府警けさ五時の発表でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 いずれ大臣がお帰りになれば詳細なことはわかると思いますから、これ以上は御質問しないのでありますが、この一点で、一般の新聞が九十九名死んでおるというのに、政府報告によりますと七十六名の死者という点については、どちらがほんとうであるかわかりませんけれども、二十数名の違いがあるというのはいささかどうかという感じがいたします。これは後刻、なぜこういうことになっておるかということもよく伺いたいと思います。
  8. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 いまの御質問でございますけれども通産省といたしましても、数字がたいへん違いますので、たいへん心配になりまして、大阪連絡をとりまして、その連絡が入らないうちに私こちらに出てまいりましたのですが、大阪府警の五時の発表でございますので、その点、家が焼けたり下敷きになった人たちの数がどのくらいになっっているのか、私どもまだ現状が把握できておりませんので、後ほど正確な数字が出るかと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 それでは、大臣帰りのときにあらためて皆さんと一緒に質問をいたしたいと思いますから、この法律案について少し逐条的にただしてまいりたいと思います。  まず第一条。第一条はこの法律目的でありますが、私どもがかねて承知をいたしておりますところによりますと、次の国会あたり情報に関する基本的な法律案政府としてはお出しになる、こういう予定を伺っておりますが、そのとおりでありますか。
  10. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 いまの問題でございますけれども基本法を出すかという問題だと私考えておりますけれども、現段階においては、情報処理という問題が非常に多方面にわたっております。そういうことで、各分野との問題点に対する基本的な考え方を十分打ち合わせ、あるいは関係各省あるいは民間と話し合いをしなければできないことが多いかと思いますので、来年度にできるとはいまのところ私たち考えておりません。
  11. 横山利秋

    横山委員 この法律が、来年度かあるいはその次の機会か、おそらく出てくるであろう基本法について支障になるようなことはありませんか。
  12. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これから出されると考えられる、まだ調整がついていない基本法の問題でございますので、今度のこの法案基本法との関係で問題となるようなことがあれば、今後調整をとって改正をしていきたいという考え方でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 お答えのように、簡潔にこれからずっとお願いしたいと思います。  私どもが心配いたします一つの点は、基本法に障害があることはないかということ。それから、基本法に盛らるべきことが二、三想像されるわけでありますが、その盛らるべきことをいまから用意をしなくていいのであろうかという点を考えるわけであります。その原則の一つは、何のためにこの法案を出すか。また基本法を出すか。私どもは、これらのことが、単に情報処理サービス業の育成とか、あるいは国民経済の健全な発展ということにとどまらず、産業革命社会革命にまでいこうとするこの情報関係の諸問題は、究極的には国民生活の向上ということでなければならず、人間疎外をさらに助長するようなことがあってはならない、こういうふうに考えるわけであります。その意味において、この法案はそのことを基礎的に考えておるのかどうかという点を伺います。
  14. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 横山先生のおっしゃるとおりだと思います。情報産業というものが、これから国民生活あるいは国民経済の中で非常に重要な地位を占めることは事実でございます。このたび出しました法案は、基本法との問題というようなことがございますけれども、現在、日本情報産業の中で一番おくれておりますソフトウエア開発という面で、ぜひこれを振興させていただきたいということで本法案を出したわけでございますので、これの開発がおくれますと、日本経済あるいは日本全体の発展にも支障を来たすような問題が起きるのではないかと考えております。
  15. 横山利秋

    横山委員 お話によれば、私と意見が合うようでありますが、この第一条の目的は、「もって国民経済の健全な発展——「国民経済」となっております。私どもは、むしろさらに一歩進んで、これらの関連法案なり基礎法案というものが、国民生活という意識なくしてはいけない、産業及び経済に限定をされてはいけない、こういう思想を持っておるのであります。お話によれば私と同意見のようでありますが、その意味ではこの第一条について私は若干疑問を持ちます。  次は第二条で事務的に伺いたいのでありますが、第二条のカッコ内の「計数型のものに限る。」とありますが、そのほかのものはどんなものがあるか。それから同じく第二条の「検索」とは一体どういうことであるか、お伺いをします。
  16. 山形栄治

    山形説明員 お答えいたします。  電子計算機には、御存じのとおり計数型と相似型という二つあるわけでございますけれども相似型といいますのは、どちらかといいますと、計器類のような性格を持っておりますので、使い方といたしましても、大体科学計算等数値制御等に使われる場合が多いわけでございまして、現在われわれのほうで考えております情報産業としてソフトウエア等開発しなければいかぬと思われるものは、大体において計数型でございますので、むしろ概念をはっきりさせまして、当面計数型のものに集中して整備をはかりたい、こういう趣旨でございます。「検索」と申しますのは、非常に大量の情報即時に取り出す作業でございまして、そのために用語の統一等もありますけれどもソフトウエア開発して、簡単に言いますと、大量の情報即時目的的に取り出すという作業を申します。
  17. 横山利秋

    横山委員 第二章第三条の「電子計算機利用高度化計画」、この高度化計画がこの法案の中に一つの柱になっておるわけでありますが、その高度化計画そのものを考えてみましたときに、これは本来この事業協会等に関する法律案の中に盛られるべきものではないのではないか。むしろ将来あり得べき基本法的な性格を持つものではないか、私はこういう考えを抱くのであります。なぜならば電子計算機利用高度化計画というものは、電子計算機それ自身では成り立たない。その電子計算機機械メーカー、今後開発されるべき諸問題と関連なしにはそれは済まされない。それからまた、教育計画関連なしでは済まされないのではないか。この第三条は「次に掲げる電子計算機及びプログラムについて、通商産業大臣が定める」となっておるのでありますが、その第三項にありますように、あらかじめ関係行政機関の長に協議をしなければならない、あるいは審議会意見を聞かなければならないとなると、単にいまある電子計算機一つのみ、これが固定された電子計算機である。その利用高度化計画というものは、これはもう不確定なものではなかろうか。むしろこれは総合的な計画になっていく可能性がある。したがってこの法律案の中で、この電子計算機利用高度化計画だけが独立してあるべきものではない、こういう感じを持つわけでありますが、なぜこの法律案の中にこの柱が入れられなければならないかという積極的理由を聞きたい。
  18. 山形栄治

    山形説明員 ただいま先生のおっしゃいますように、情報化社会の進展に応じまして、いろいろと目的的な世界におきましては広い関連を持っていかなければいかぬことは、お説のとおりでございますけれども、ここで「電子計算機利用高度化計画」と申しますのは、話がちょっとこまかくなって恐縮でございますが、第二条の定義をごらん願いますと、「情報処理」といいますのは、電子計算機を使用して検索等を行なうことをいいます。それからプログラムといいますのは、電子計算機に対する指令でございます。したがいまして、教育訓練とか標準化の問題とか、たとえば全国の交通体制をどうするかというシステムの問題等は、目的概念でございまして、ここでねらっておりますのは、その目的を達成するために電子計算機をいかに高度に利用するかという、どちらかといいますと、技術的なプログラムをいかに作成するかということをねらっておる計画でございます。したがいまして、目的概念は、どちらかというと、先ほど来話が出ておりました基本法世界で今後バランスをとって構成を考えるべきではないか、こう思っております。  なお、御質問の中にありました「関係行政機関の長に協議」といいますのは、ここで目標を定めて開発をするプログラムといいますのは、大体において汎用的なプログラムでございますので、個々のそれぞれの目的に応じた仕様につきましては、関係省が非常に関係ございますので、そのもとになる汎用的なプログラム開発につきましてあらかじめ関係大臣協議をいたしたいという趣旨でございます。審議会にはかる意味につきましては、これはまたちょっと違いまして、いろいろとあります汎用的なプログラムの中で、早急に何をどういう手順、どういう順序で開発するかという、公平なる意見を徴するための措置でございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 私が質問していますのは、この法案の一番重要な骨子になるのは振興事業協会であろう、その振興事業協会法律案の中に「電子計算機利用高度化計画」という異質なものがここにある。その異質なものがどうしてもいまこの法律案の中に雑居をしなければならない理由はあるか、むしろこれは将来きめらるべき基本法の中の一環ではないか、これは一環にすぎないのではないか。いま、電子計算機及びプログラムについてのみ高度化計画を立てるということは、一体、確定されたプログラム、確定された電子計算機ではなくて、不確定要素が非常に多い。今後研究され、開発されていくものであるとするならば、電子計算機メーカー及び産業、それと関連なしには済まされないのではないか。プログラムにしたところで、関係各省がすべてやはり関連があるのじゃなかろうか。そう考えてまいりますと、この「利用高度化計画」というものは、この法案の中に存在しなければならない必然性というものは、むしろないのではないか。極端な言い方をすると、町のうわさ、官庁内のうわさでいっておるように、通産省がここでひとつ橋頭塗をかせぐというような感じすらここにあるのではないか、こういう感じがするわけです。私の言っておることはよくわかりますか。
  20. 山形栄治

    山形説明員 この計画でねらっておりますのは、先ほど申し上げましたように、情報処理振興をはかるために必要な電子計算機の数、それから特に開発が必要と思われます汎用プログラム目標でございますが、先ほど来出ておりました目的にありますように、この法律では、電子計算機利用、それからプログラム開発を促進することを主たるねらいにいたしておるわけでございますけれども事業協会はそのための一つの有力なる手段といいますか、措置でございまして、これ以外、たとえばJECCという組織が現在できておりますけれども、これは日本電子計算機株式会社と申しまして、電子計算機メーカーがつくりました電子計算機を一手で買い取りまして、これをレンタルに回すというための資金の運用をやっておる機構でございますが、この計画をつくります前提といたしまして、そういう面も含んでおります。したがいまして、四条に「資金確保」ということの条文がございます。政府は、こういう電子計算機利用高度化計画に盛られておる電子計算機の設置及びプログラム開発促進に必要な資金確保をはかるということになっておりまして、事業協会も、その一つ資金的な措置であると同時に、ただいま申し上げましたJECC資金に対する何らかの政府資金確保等もその内容一つでございます。結局、いま一番早急に開発を必要と考えられておりますのは、適切なる電子計算機の数の増加と、それの利用が最も適切に行なわれますようなソフトウエア開発ということでございますので、従来、どちらかといいますとハードのほうが相当進んでおったわけでございますけれども、この際ソフトに重点を置いて開発いたしたい。そのためには、くどいようでございますけれども、本法に規定しております事業協会に対する措置とあわせまして、従来から行なっておりますような、たとえばJECC資金確保等もはかりたい、そういうオーバーロールなつかみ方でこの電子計算機利用高度化計画というものを考えておるわけでございます。したがいまして、この計画と、後ほど出てまいります事業協会とは、非常に密接な関係がございますが、その範囲といいますか、全部が全く一致しているわけではない、その他のものもある、こういうふうに御理解願いたいと思います。      ————◇—————
  21. 八田貞義

    八田委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  昨日の大阪市におけるガス爆発事故について、現地委員を派遣し、実情を調査いたしたいと存じますので、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  22. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、日程の都合上、往復について航空機を利用する必要が生じました場合は、あわせて議長に対し申請を行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。
  23. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  24. 八田貞義

    八田委員長 質疑を続行いたします。横山利秋君。
  25. 横山利秋

    横山委員 いまの説明がわかったようでわからないのですが、たとえば法体系としては、この計画を第三条でつくったならば、この法案のどこかの条項の中に、その計画がどういうふうに利用され、そしゃくされるということが出てこなければうそだということです、私の言い分は。それは、どこにもこの計画が、第四条以下に出てこないではないか。何か異質な分子がここへひょっこり顔を出しているという気がする。同時にこの計画というものが、単に電子計算機及びプログラムについて定められても、機械産業あるいはそのほかのもろもろの情報の処理問題と関係なしには、この高度化計画は成り立たないではないか。そうすると、もっとより高次な計画というものがあって、その計画の中の一分子としての電子計算機利用高度化計画があるのが至当ではないか。これだけ独立して、これだけ先行してやって何の意味があるか、こういうことなんです。どうですか。
  26. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 第三条の計画につきましては、ただいままで御答弁申し上げたかと思いますが、私どもとしては、やはりある程度長期──五年程度と考えておりますが、特にその間における利用促進をはかる必要がある電算機、この内容は、もし御質問があればあとで申し上げますが、さらに汎用的なプログラム、こういったものの目標を設置いたしまして、業界全般あるいは利用者全般に対して一つのガイドラインを示そう、そういうものに従って各関係者が、ここにございますような電子計算機利用高度化ということに向かって、いろいろな方面からそれぞれ持ち場において努力をするという意味があると考えております。そういう意味で、計画をつくることはそれなりに一つ意味があるものと考えております。  法文上の関係先生お示しのとおりでございまして、直接的にひっかかってまいりますのは第四条でございますが、規定してございますような、事業協会委託開発をいたしますとか、その他いろいろな事業をいたしますが、そういったことのしんにもなるもの、こういうふうに考えておるわけであります。基本法その他の関係につきましては、すでに御答弁申し上げたとおりであろうかと思います、が、この法案に関する限りにおいては、そういった意味合いを持った計画というふうに私ども考えておるわけでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 いささかこれはこじつけですね。指摘をいたしました点は二点です。一つは、いま御答弁のようなことであるならば、協会ないしは政府の施策の中で、この利用高度化計画の線に沿うやり方というようなことがどこかに入ってこなければ、法体系としてはだめだという指摘が一つ。もう一つは、情報に関する基本計画というものがあって、その一環としての電子計算機利用高度化計画があるのが至当ではないかという指摘をするにとどめます。  第三番目、電子情報処理振興審議会というものがこつ然とここに出てまいりました。この点につきましては、うしろのほうの附則の第六条で「「電子工業審議会」を「電子情報処理振興審議会」に改める。」ということでありますから、この法案でなくて、いまの電子工業振興臨時措置法の改正によって、電子情報処理振興審議会というものが名前が変わって設置されるということですね。これはわかっています。ところが、その第六条のうしろのほうで、十四条から二十一条まで削除してしまった。これは一体どういう意味で削除をされたわけでありますか。電子情報処理振興審議会に名前が変わった。この十四条から二十一条までは、従来の審議会委員構成、その選出のやり方、任期等々がきめられておるわけでありますが、それを削除した理由は何でしょう。
  28. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御質問がありました点は、従来電子工業振興臨時措置法の中で電子工業審議会というものを設けておったわけでございます。同じような電子工業及び情報処理関係というものはそれぞれ密接に関係がございますので、これを一本の審議会にして運用するほうが、いろいろな意味でいいんじゃないかということから、今回の法律で電子工業及び情報処理審議会、こういうふうにいたすわけであります。その場合には、それぞれこの審議会の運用上、その審議の内容等が両法案にまたがりますので、この際通産省設置法の中にこれを規定をする。したがって、電子工業振興臨時措置法のこの審議会に関する部分が除かれるということになるわけでございます。この設置法に規定いたします場合には、ここにございますように、設置法にこれを移しました上からは、この審議会に関する各般の事項につきましては政令をもってこれをきめる、こういうことになるわけ  でございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 電子情報処理振興審議会委員の構成、任期、その他は政令できめる、こういうわけですか。その根拠は何条になりますか。
  30. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 設置法の第二十五条に「その他の附属機関」ということで、ここにございますような産業構造審議会以下各般の通産省関係審議会が書いてございますが、その第二項に「前項に掲げる附属機関の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律に別段の定がある場合を除く外、政令で定める。」こうなっておりますので、設置法の第二十五条第二項で政令で定めることに相なるわけであります。
  31. 横山利秋

    横山委員 私はふしぎに思うのでありますが、通常の法体系からいうならば、電子情報処理振興審議会というものが第三項にこつ然と出てくる。そうして、電子情報審議会に関する何らの条項も、この法案の中にはほかのところに出てこないわけです。少なくともどこかの項に、この振興審議会に関する各項目は、別に政令で定めるというふうになるか、あるいはこの電子工業審議会の条項の十四条から二十一条がそのまま適用されるということになるのが当然ではないか、こういうふうに私は考える。いまのあなたのお話だと、通産省の設置法の中で左に掲げる審議会についての規定は別に政令で定めるというお話でありますが、政令で定められるべきものではないのではないか。これは法律で定めるべきものではないか。現に電子工業審議会の諸問題については、現行法の十四条から二十一条の中に定められておるのにかかわらず、それを政令にゆだねるというのは、なぜ後退をさせるのかという点が私にはわかりません。
  32. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの問題たいへん法律技術的な問題でございますので、私の承知いたしております限りで御答弁をいたしたいと思いますが、この審議会につきましては、従来、関係法令の中にそれぞれ審議会につきましての規定があるものと、それから設置法の二十五条におきまして各種の審議会を規定しておるものと、両方あったわけでございます。御承知かと思いますが、審議会等の整理に関する法律というのが出ますのを契機といたしまして、従来個別の法律にあった審議会を、適当な機会、つまり今回のような法律改正がある機会に、大体設置法の中に全部入れ込んでしまう。これは法律技術的な面もあろうかと思いますが、こういうのが大体内閣の方針であるように私承知いたしております。そういったことから、今回の場合にも法改正がございまして、かかわり合いのある法律が二本あるということから、こちらに移すにあたりまして、いま申し上げましたように、従来の電振法の規定を削除いたしましてこちらにまいりますと、この法律の第二項が自動的に働くことになりますので、いま申し上げたようなことで政令に規定される、こういうことになるわけでございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 これは明らかに国会軽視ですよ。審議会の構成、権限、任期等については、いまは電子工業審議会という名前において法律上こうである、これを今度は名前だけぽっと三項に出しておいて、あとはわしらにかってにまかせてほしいというばかな言い方は許しません。しかも、ここにひょっこり電子情報処理振興審議会という名前が出て、あとどこをさがしてもそれに関する規定がない。一体これは何をする審議会で、委員がどのくらいおって、任期はどうなっておってどうなるかということは、いままで法律事項であったものを、今度はおれらのかってにやらしてもらいたいということですね。政府にしてみれば、かってにさせてもらいたいということですが、そうしなければならないという積極的理由は私はないと思う。電子情報なりこの種の問題が、国会で法案ができて、今後産業界にも、あるいは国民社会の中にも大きなウエートを占める問題を、いままでは法律事項であったものを、これからは内容はわれわれのかってにさせてくれということは、私どもは納得できませんよ。どうです。
  34. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘のような点も十分あろうかと私も思いますが、ただ審議会につきましては、この箱書きの中に一応内容が書いてございます。委員の構成あるいは審議の方法等々について、従来法律でやったものを政令にゆだねることになるわけでございまして、先生御議論のような見方もあろうかと思いますが、同時にまた、法律でこれを書き上げるということになりますと、従来私どもが承知いたしておりますような、こういう設置法で審議会を設けるときのほかの審議会との関連もございます。こういうことから、ほかの審議会にならってこれをやるということで、特別にこれだけを、いまお話しのように、法律にあったものを一段格下げをしたということではないと私は思っております。
  35. 横山利秋

    横山委員 これは格下げですよ。同時に国会の審議権を奪い去ったものです。わかるでしょう、私の言い方は。あなたは、おれは知らぬ、法制局か何かでそういうふうになっておるからそうしたのだ、とおっしゃるかもしれませんけれども、現在すでにある審議会が、きちんと十四条から二十一条まで八条にわたってその審議会の構成その他をきめておるのにかかわらず、ここでは全く不親切にも、審議会の名前だけ出しておって、あとの条項には何らこの審議会のあり方について規定するものがないという点については、まさに不明朗なものだ、こういうように指摘をいたします。  次は四条と五条でありますが、これはちょっと質問するにとどめますが、四条の「資金確保又はその融通のあっせん」の「融通のあっせん」とは、どういうことでありますか。融資のあっせんという意味でありますか。何か特別な意味がありましょうか。  その次に、第五条の「プログラム」というものは、政府がこの高度化計画の中でつくられたプログラムのみであるか、民間が持っておるプログラムも含めるものであるか、その二点を伺います。
  36. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 「融通のあっせん」という点につきましては、先生の御意見のとおりでございます。  それから第五条の「プログラム」でございますが、この調査簿を置きますねらいと申しますか、目的は、あくまでプログラム等の円滑な流通をはかるというところがねらいでございます。そういった面から私どもが考えておりますのは、民間の各ユーザーが持っておりますプログラムの中には、自社のみならず、他の者に流通させても差しつかえがない、むしろそうすることによって自分のほうもプログラムにかけた費用が回収できる、別に業務の秘密でも何でもない、こういったようなプログラムも相当程度あるのではなかろうか、こう思っております。そういったプログラム調査簿に載っけることによりまして、調査簿を閲覧いたしました者が、自社にそれが活用できると思えば、それの保有者との間で適当な条件で取引をすることができるであろう、こういうねらいでございます。したがって、民間のものが中心になるものと思っております。
  37. 横山利秋

    横山委員 第六条の「情報処理技術者試験」のことでありますが、将来、予想されるこの種の試験をするとするならば、単に情報処理技術者だけでなくして、ほかの技術者というものが予想されると思うのであります。そういう予想される試験の種別は、どんなものがあり得るかということが一つ。  それから、本年は任意に通産省でおやりになったのでありますが、六条によって新しく規定された法律上の問題となった技術者試験との違いは一体どういうことであるか。  また、私が第一番目に申しましたように、ここでは情報処理技術者の試験だけを行なうというのでありますけれども、試験をするというなら、ほかの情報関係の技術者試験はどうして頭を出してこないのであるか。なぜこれだけを特に出さなければならないのか。もしもこれを一つ法律的な試験だとするならば国家試験ということになる。国家試験ということになるならば、本年やったものとの違いは一体どういうことになるのか、その点を伺います。
  38. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ここにございますように、「情報処理に関する業務を行なう者の技術の向上に資するため」ということでございまして、現在は、第一種第二種、いわば上級のものと一般的なものと、二つに分けて試験を行なったのでございます。それ以外に、たとえば企業で申せば管理者と申しますか、そういったものについても何らかの資格試験をするかどうかというような点がいま御指摘の問題点であろうかと思いますが、私どもといたしましては、やはり上級のプログラマーあるいは一般的なこういったものの関係者、こういう面の所要人員と申しますか、技能の高度化をはかり、さらにこういった者をできるだけ多く養成をしていくということが必要であると考えておりまして、将来こういった者以外の者についてやるかどうか、これは情勢の進展を見て検討しなければならぬ問題だと思っております。  それから、第二点としてこの試験の性格でございますが、これはいわば認定試験と申しますか、そういった必要な知識、技能についての認定をしてあげるという試験でございまして、その資格を持っていなければ当該業務に従事してはならないといったような意味での、資格試験という性格のものではございません。こういったことからいたしまして、私どもは、そういう認定をすることによって、広くこういった技術者の資質の向上をはかりたいと考えておるわけであります。  法律によってやった場合と、そうでない場合と違うのかということでございますが、実は昨年の通産省の告示で行ないました試験も、私ども当初、三、四千人程度が応募するのではないかと思っておりました。ところが、ふたをあけてみますと、全国で四万二千名の応募者があり、試験を受けた方も三万三千人で、たいへんな数でございます。こういうように、非常に広く全国民の関心と申すと大げさでございますが、少なくとも、情報処理関係している方々の非常に大きな関心を呼んでいるものでございますので、この際、法律をもってそういうことをやるということを明らかにするほうが国民に対して親切ではないかという意味から、今回試験という項目を入れたわけであります。したがって、去年行ないました試験につきましても、合格者につきましては通産大臣からの認定書というものを渡しておりますが、この法律によって行ないます場合も、同様のことで処理をしたい。私どもとしては、あくまで、国会の御審議を得たこういう法体系のもとに、非常に関心の深い国民的なものであるということから、実は法体系の中に入れ込んで広く国民にも周知徹底をさせたいというふうに考えた次第でございます。
  39. 横山利秋

    横山委員 現状においても通産省告示でできておるから、それを法律事項にする必要性というものは、必ずしも積極的必要性があるわけではない。いまのお話のように、認定試験で資格試験でないとするならば、積極的にこれをこの法律の中に入れなければならない必要性はないと私は考える。むしろ第六条に関する試験は基本法に含まるべき問題ではないか。単に情報処理技術者だけではなくて、試験をするとすれば、いまのお話のように、管理者試験だとか技術者試験だとか、そういうものの問題が生じてくる可能性がある。しかも、それらをやっていくうちに、だんだん認定試験ではなくて資格試験の必要性が生じてくるおそれがある。その場合に、いままでやった認定試験の者は、既得権益として認定した以上は認めるということになるのか。新しい国家試験であるから、そういう試験になったのであるから、もうおまえたちは資格がないということになるのか。そういう問題が生ずるおそれがあると私は思うのであります。だから、この技術者試験につきましても、今日どうしてもこの法律の中に入れなければならないという積極性は乏しく、むしろ基本法の中に含まるべき問題ではなかろうかというふうに私は考えます。  第十条は、政府及び政府以外の者が出資する資本金のことでありますが、一体、「政府以外の者」というのは、どういう者にどういう方法で出資をさせるつもりでありますか。
  40. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 最初の国家試験の点につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでありまして、積極的と申しますか、つまり法律に規定をしなければできないという性質のものではないという意味からいえば、確かに積極的な意味がないということが言えるかと思います。ただ、私が申し上げましたように、全国で四万人、ことしは五万人近い人間が出てまいると思いますが、そういったような非常に全国的な関心を持っておるものでございますから、私どもとしては、やはりこういったことを法律で定めて行なうほうがいいのではないか、こういう考え方をとったということが第一点であります。  それから、基本法でどうか、ほかのものも出るのではないか、こういう御意見でありますが、もちろん、将来基本法というものをつくりますときに、こういった技術者の場合は、認定、あるいは場合によっては資格試験というものの議論も出てまいろうかと思います。しかしこの問題は、まだ基本法全体の構想が未熟であり、連絡調整も行なわれておらない段階でございますから、とりあえずは昨年行ないましたものをもとにいたしまして、ここで法律に規定しておき、あともし基本法が出てまいりますれば、政務次官も御答弁したかと思いますが、この法律自体は、いろいろなかかわりあいで基本法の一部になるわけでありますから、必要があればこの法律自体が調整されてくるわけです。  それから第十条でございますが、第十条の資本金、「政府以外の者が出資する額の合計額」とありますが、これは十六条に協会設立の規定がございまして、この第二項に、この発起人は、「政府以外の者に対し協会に対する出資を募集しなければならない。」というふうになっておるわけでありまして、いずれ法案成立の後におきまして発起人が定まり、発起人が政府以外の者、これは通常民間と考えていいかと思いますが、民間の各方面に向かいまして出資の募集をして、出資の募集をいたしましたものがこの出資として出てまいる、こういうことであろうと思います。
  41. 横山利秋

    横山委員 それでは、関連して十六条についてお伺いしますが、十六条では、「協会を設立するには、情報処理について専門的な知識を有する者十五人以上が発起人となることを必要とする。」とありますが、専門的な知識がなければこの発起人になることはできないのか。いささかてまえみそ過ぎるのではないか。この協会というものは、単にこの情報処理に関する専門的な知識を持っていなくても、広く産業なりあるいは社会生活について常識をお持ちになって、その角度から発起人になることがどうして制限をされるのか。私が懸念いたしますのは、この出資につきましても、発起人につきましても、あなたのほうが業界なら業界のワクを持って、そうして特定の人々にそれを制限していこうというきらいがあるのではないか、こういうふうに考える。この情報処理について専門的な知識を有していなければ発起人になれないという理屈は一体どこにあるか。それが、たとえば十五人のうち十人は専門的な知識を持っている人であっても、あとの五人は社会常識豊かで、産業界の経験あるいは社会生活の経験を持っておれば、その常識こそ尊重さるべき問題であって、専門的な知識を有しなければ発起人になれないというのは、いささかてまえみそ過ぎるではないか、ワクを限定しているではないか、限定するねらいは一体どこにあるか、何か一つのワクの中でものを考えているのではないか、これが第一。  第二番目には、協会に対する出資を募集しなければならないことになっているのだが、その募集の方法はどういうふうにするのであるか、だれでも応募ができるのであるか。
  42. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この発起人の資格を制限をしておるかどうかということでございますが、私どもは、これを制限をするという意味で書いたつもりはございません。むしろ制限という意味ではなくて、これはやはりこういった協会をつくる場合、協会の本来やる仕事、その目的等に関して十分な理解が必要であろう。そうい意味から、協会について、あるいは協会の目的である情報処理振興という問題について全く無理解であっては困る、こういうことでここに「専門的な知識」というふうに書いたわけであります。まあ言ってみれば、一定レベル以上のこういった情報処理関係の問題についての知識があればけっこうじゃないか、こういうことでありまして、特にこれを制限する意味で書いたというふうには私は考えておりません。ただ、「専門的」ということばがございますのであれでございますが、通例こういうときは一般的な知識という書き方があるいはよかったのかしれませんが、やはりある一定レベル以上のこの問題についての知識、経験があるということは必要ではないかというふうに私は思っております。  それから「募集」でございますが、これは発起人が出てまいりますと、これが広く募集をするということでございまして、これは当協会の運営について熱意を持っておりまして、ぜひこれに参加をしたいという者であれば、どなたでもけっこうであります。
  43. 横山利秋

    横山委員 きょうは少し次元が低い質問で恐縮なんですが、しかし、あなたのおっしゃるのは、一般的な理解を持っていらっしゃればいいとおっしゃるのだが、十六条は「専門的な知識を有する」となっている。これは大きな違いですよ。では、私が一体いまこれについて専門的知識を持っておるかどうか。あなたどうお考えですか。私は一般的な知識をしか持っておらぬ。そうすると、おまえはだめだということになるのですか。専門的知識というのは、少なくとも、この種の情報処理について技術的に高度な知識、こういうふうに理解されることは当然なことであります。そうすると、メーカーだ、既存の業者だ、そういうことに限定されるのは当然のことではありませんか。これだと、あなた方は、この法律を通してちょうだいと言って、通しておいて、この十五人の発起人を念査して、専門的な知識を持っておらぬ人は法律違反だとして全部パーにしますよ。「専門的な知識」と書いてあるのだけれども、一般的知識という理解でよろしゅうございますなんて、そんなとぼけたことを言ってもらっては困りますよ。
  44. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私が申し上げたのは、「専門的な知識」ということばは、一般的に解していたがいていいと言ったのではございません。「専門的」というのはやはり専門的でございます。ただ「専門的」と申しましても、いろいろ程度がございまして、「専門的な知識」、まあそういう範囲の中でも、言ってみれば、一定水準以上のというくらいな感じで理解していただくのがいいのじゃなかろうか。これは言いわけがましくて恐縮なんでございますけれども法律用語として普通こういった場合使っておるようでございますので、実はそこまで深く考えて、頭から制限する、そういう意図をもって書いた条文でないことは、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  45. 横山利秋

    横山委員 それなら、たとえば経団連の植村さんは、情報処理について専門的知識を持っておるかどうか。総評の議長の堀井さんは専門的な知識を持っておるかどうか。どう思いますかね。具体的にあの人たちになってくれというわけではないのだけれども、ぼくが法案について、先ほども政務次官にだめ押しをしたのは、この情報処理について、それが産業界の役に立つだけでは困る、広く国民生活の上に十分な裨益をもたらすように願いたい、こう言って、政務次官もそうだと、こう言ったわけだけれども、この「専門的な知識」というものは、少なくとも技術的に高度な水準と考えるのがあたりまえではないか。総評の議長や同盟の議長が、それではわしらも一臂の力をかすと言ったら、発起人にはおまえはだめだ、専門的知識がないからと言って断るつもりですかどうですか。どう考えても、このことばは法律用語としては適当ではありませんよ。
  46. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 「専門的」ということばの解釈問題でありますが、常識的に考えて、いわゆる何も知らぬ一般の人よりは、もちろん、ある種のこういった情報処理技術について知っておるということが、私はやはり専門的だろうと思うのです。だから、この辺の「専門的な知識」ということばの内容の解釈、これは一定レベル以上の知識という問題で、いま堀井さんがこの情報処理についてどの程度知識があるかどうかは存じませんが、ただ情報処理について全く御存じないということではなかろうし、ある程度それについての勉強もしておられるのではないかと思いますが、その辺はよくわかりませんけれども、そういう意味で、あまりこれは制限的に規制する意図で書いたものではないということは、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  47. 横山利秋

    横山委員 たまにこういう次元の低い話をいたしますと、政府法律もずいぶん適当なものだ、議論が未成熟な点があるということをずいぶん感じます。  次に十七条。十七条は、「発起人は、前条第二項の募集が終わったときは、定款及び事業計画書を通商産業大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。」と、こう書いてありますが、その出資の募集をするときに、定款及び事業計画書を一般の人にお見せをする。そして募集が終わったときに通産大臣にそれを出す。そうすると通産大臣は、定款及び事業計画書について、ここを直せ、あそこを直せ、こう言う、こういうしかけになっているわけですね。そうすると、出資に応募した人は、直される前のもので応募したということになるのですね。これは逆じゃないですか。少なくとも、私どもが出資をする以上は、確定した定款及び事業計画書によって出資をするのがあたりまえじゃないですか。通産大臣の認可もないうちに、大体こういうことだから応募してくれと、こういうことになるのでしょうが。これは順序が逆じゃないでしょうか。
  48. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律の書き方がそうなっておりますので、理論的にいえば、先生のおっしゃるように、一ぺん申請をいたしましてあとで直されるということがあるかもしれませんが、実際は私はそういうものはないと思います。それは十八条にございますように、この「申請内容が次の各号の一に該当せず、」云々ということで、きわめて形式的な法令違反あるいは虚偽の記載等のことが十八条に書いてございます。ということは、そういったことがなければ通産大臣は認可をしなければならないわけでございますから、私ども、実際の取り扱いとしては、こういった募集をいたします前に、発起人があらかじめ定款、事業計画書等をつくりまして、いわば通産省に内意を求めるといいますか、事前に御相談があると思います。御相談をして、大体これでよかろうということになったところで、これを一般の出資者に示して応募を求める、こういうことになるのが私は実際の手続だろうと思います。そういったものが出てまいるわけでございますから、この申請書が出てきましたときには、すでに私どもは事前にその内容を審査をいたしておるわけでございますので、実際問題としては、先生のおっしゃるようなことは起こらない、こう思っております。
  49. 横山利秋

    横山委員 私の言うのは、通産大臣の認可を受けてから出資を募集してなぜ悪いか、それがあたりまえなことではないか、こういうことを言うのですよ。こういう定款、こういう事業計画書で協会を設立したい、よろしいと通産大臣が認可をする。認可をして、それから、通産大臣の認可をいただきましたのでどうぞ応募をお願いいたします、こういうのが筋じゃないか。何でそれを逆にする、こういう意味です。
  50. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これは民間の発起にかかわる法人でございますから、そういったものにつきましては、あらかじめその法人を運用するに足るだけの資本金と申しますか、そういうものがあることがやはり必要であると思います。かりにいまのようなお話でございますと、認可をいたしました暁において応募者ゼロということでは、いろいろな事業計画を出しておりましても、事実上お金がないから何もできない、こういう法人ができあがるわけでございます。でございますから、まず発起人がお金を集めて、これだけお金があった。またそのお金をもとにいたしましてこれを運用するわけでございますから、法律手続としては、この法案にあるような形で認可をするのがよろしいのだと思います。
  51. 横山利秋

    横山委員 それは二段階でやればいいんですよ。  十九条、「設立の認可があったときは、発起人は、遅滞なく、その事務を協会の理事長となるべき者に引き継がなければならない。」——「なるべき者」というのは、一体どういうことなんでしょうか。この理事長というものは、二十三条に「協会を代表し、その業務を総理する。」と書いてあります。理事長になるには、ここに選出の基準が書いてありませんが、少なくとも協会が設立してから、役員会で議決をされて理事長になるということなんでありますが、役員会の議を経ずして、その発起人がかってに「なるべき者」に引き継ぐ。「なるべき者」というは、一体、それは神さまの御命令か、通産大臣の御命令か知らぬけれども、「なるべき者」とはどういうことなんですか。なる予定の者というならわかるけれども、「なるべき者」というのは、一体法律上どういう意味があるのか。
  52. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この第二十一条、「協会の定款には、次の事項を記載しなければならない。」と書いてございまして、その第十号に「設立当初の役員」というのがございます。そこで、実際の問題といたしましては、この設立の際、定款を付して申請があるわけでございます。この申請があれば、その定款を私どもが見れば、設立当初の役員がだれだれであるというのがわかるわけでございます。この役員の氏名がわかりますので、この役員の中では当然だれそれが理事予定者であるということがきまっておるわけでございますので、そういったことから、これは経過的に、定款の作成、それから申請、認可、こういうことになってまいりますので、いまの条文につきましては、認可があれば、その事務を協会の理事長となるべき者——この段階ではまだ確定してないわけであります。確定しておりませんが、あらかじめなるべき者がこの定款の中できまっておるわけであります。条文の書き方としてはこういう書き方になると思います。
  53. 横山利秋

    横山委員 わからぬですね。設立の認可があった。そしてそれから役員会が開かれる。役員会が開かれて設立当初の役員がきまる。そこで理事長がきまる。その前に「理事長となるべき者」というのはどういうことなんですか。神さまが事前に御指示をなさるように「なるべき者」になるのか。理事長に選出される者というならまだ話はわかるけれども、「なるべき者」というのがわからぬ。
  54. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これは、「なるべき者」というのは、私は、法律のほうでは、第二十条の二項の登記をすることによって、「理事長になるべき者」ということを、登記する前提でこれを書いているんではないかと思っております。
  55. 横山利秋

    横山委員 第二十条もおかしいと、いま言おうと思っていたところですよ。「協会の理事長となるべき者は、」ということが書いてあるその二十条もおかしい。理事長に予定される者というならまだわかるけれども、「なるべき者」という意味はおかしいではないか。理事長と予定さるべき者に引き継がなければならないというなら、まだ話はわかる。「なるべき」の「べき」というのは、おまえがやらなければいかぬということばの解釈ですよ。「なるべき」という法律用語というものが一体あり得るのかと聞いている。
  56. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 「なるべき」というのは、これは役員を総会で選出して、また役員から理事長を選出するのでございますから、「理事長となるべき」ということは、先生のおっしゃるとおり、予定ということだと思います。
  57. 横山利秋

    横山委員 それは、あなたは常識的に豊かな人だから、あなたとはいつも話が合う。じゃあなぜ、理事長と予定さるべき者に引き継がなければならないと書かなかったか、こういうことを聞いているのですよ。理事長と予定さるべき者に引き継がなければならないというならわかるが、「なるべき」という意味が一体どこから出てくるかと聞いている。だれもおりはせぬものに、「なるべき者」というのがあり得るかね。
  58. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これはまあ常識的には、いま政務次官お答えしたとおりでございまして、普通法律の条文は、ほかの法律をごらんいただきますと全部そう書いてあるわけでございます。「理事長となるべき者」ということになろうと思います。ちょっと一、二例を申し上げます……。
  59. 横山利秋

    横山委員 ほかの法律に書いてあったって、おかしければおかしいのだから、オーソドックスに答えてちょうだいよ。
  60. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 貿易研修センター法、これは四十二年に成立した法律でございますが、その九条に、「設立の認可があったときは、発起人は、遅滞なく、その事務を研修センターの会長となるべき者に引き継がなければならない。」となっておりまして、従来こういった関係のものにつきましては、大体「なるべき者」ということで、全部当委員会も御承知をいただいておるわけであります。
  61. 横山利秋

    横山委員 そんなことは理屈になりませんよ。前があったからこれでいいのだ、さっきからそのような答弁ばかりですよ。もう少し所管の法律案について責任を持ってもらいたいと思います。  二十四条と二十五条。二十四条は、どういう場合に通算大臣は承認するつもりですか。二十五条では、「協会と理事長との利益が相反する」ということなんです。気持ちはわかるけれども、具体例としてはたとえばどんなことがあり得るのか、そういう二点です。
  62. 山形栄治

    山形説明員 二十五条、「協会と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。」それから二十四条では、「営利事業に従事してはならない」ということでございますが、二十四条のほうは、これは非常に高度な公共性を持っておる団体でございますので、みずから営利を目的とする事業に従事してならないのは当然だと思いますが、二十五条のほうは、現実の具体的な例といたしましては、この協会がたとえばプログラム開発する委託先の団体の長であるような場合には、完全に利益が相反しますので、理事長はその場合には代表権を有しないという場合がございます。ただ、われわれ、これから先の話で何ともわかりませんけれども、この協会の理事長にそういう非常に関係の深い一団体の方がなるようなことは、一般的に望ましくないのではないかと思っておりますけれども、二十五条は念のために、そういう場合には代表権を有しないということを規定したものでございます。
  63. 横山利秋

    横山委員 二十四条はどういう場合に承認をするのですか。
  64. 山形栄治

    山形説明員 二十四条のほうの場合は、兼職いたしました場合でも、人材登用上関係がございますので、非常に有能な方に就任していただく。その場合、兼職したような場合でございましても、協会の役員といたしまして職務遂行に支障がないというような場合には、個別にその事情をよく見まして通産大臣としては承認いたしたいという考えでございます。
  65. 横山利秋

    横山委員 ちょっとその二十四条の解釈は納得できませんね。協会の仕事に差しつかえない場合には、営利を目的とする団体の役員となり、またみずから営利事業に従事してもけっこうだというのがいまのお答えですと、わりあいにゆるやかですね。その承認基準がきまっていないようでありますが、そういうゆるやかな承認基準をおつくりになるおつもりでございましょうか。
  66. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 こういった場合、ほかにも多々例があるわけでございますが、統一的な承認基準というものは、通産省としてはいま設けておりません。個別のケースに当たりまして、いま次長が申し上げましたように、その役員になる人が非常に当該協会との利益関係、権利義務関係において密接な関係があるというものは困るわけでございますが、そうでない場合はけっこうではないか、こういうことでありまして、その場合、やはり個別に一々ケースを当たりまして審査をしてもらう以外、ちょっと抽象的ないまのような基準以外に、こういう場合、こういう場合ということを羅列することは困難かと思います。
  67. 横山利秋

    横山委員 そこに関連しまして二十八条の四号と五号。金融機関から金を借りる場合、債務を保証することになっていますが、金利及び返済期限についてはどういう構想ですか。
  68. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この債務保証といたす場合でございますが、特別にこの債務保証のために何かの、たとえば保証料等を取るということはいまのところ考えておりません。
  69. 横山利秋

    横山委員 保証料は取らない。それから、それならば、金融機関から情報処理サービス業者及びそのほかの人々が借りる金利については触れてはおらないが、通常金利だとみなしてよろしいのですか。
  70. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまちょっと私の答弁間違えましたので、訂正させていただきます。  この四号、五号でもって、必要なものが金融機関から借りるということでございますが、これは、従来こういったものの借り入れがなかなか困難であるということにも着目をいたしまして、あるいは御説明いたしたかと思いますが、長期信用三行に対しまして、預金部の資金引き受けでもってその金融債を引き受ける、いわゆる四十億円の金を予定をいたしております。その金がどういう条件で流されるかということにつきましては、財政当局並びに関係の金融機関でこれから実は煮詰めてまいりたいと思いますが、いま先生のおっしゃるように、大体通常の金利と考えてよろしいものと思います。  保証料につきまして、私は、いま取りませんと申し上げましたが、これは取る予定でございまして、幾らということはまだきめておりません。
  71. 横山利秋

    横山委員 もう少し、法律案をつくるとき、審議のときに詰めてもらわぬと困ると思うのですよ。保証料が幾らかわからぬ、それから、金融機関から業者等が金を借りるときに金利がどのくらいかわからぬ、返済期限もどのくらいかわからぬということでは、いささかこれは審議の対象にならぬではないですか。ほんとうに何もきまっておらぬのですか。
  72. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 まだ最終的にこの金融機関その他と煮詰まっておりませんが、従来これに似たような措置があるわけでございまして、その場合の例をとってみますと、金利が七・八%、期限三年というのが通常の例のようでございます。したがいまして、この場合にも大体それに準じてやるということになろうかと思っております。
  73. 横山利秋

    横山委員 これは、電算機の導入が七・八%、三年ということでペイしますかね、金を借りてやる人は。ちょっと詰め方が足らぬように私は思いますね。  これは政務次官にお願いしたいのだけれども、この法案がいつ上がるかわからぬけれども、だいぶぼろが出てくると私は思うのですね。法案が少なくとも当委員会で決着がつくまでに、いまの保証料だとか、金利だとか返済期限は、特に大蔵省と詰めてもらいたいと思いますが、いかがです。
  74. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおり、大蔵省と詰めまして後日お答えしたいと思います。
  75. 横山利秋

    横山委員 今度は四号と五号の違いでございます。四号のほうで、情報処理サービス業者等については、電子計算機を買うとき、プログラム開発するときその他というふうに、広範に債務保証がございますね。ところが五号のほうは、情報処理サービス業者等以外の者がやる場合にはプログラム開発しかいかない、こういうことになっていますね。どうしてそんな差別をつけるのですか。たとえば横山という問屋さんが、じゃおれのところでも電算機を買おうとした場合に、なぜこの債務保証をしてくれぬのですか。なぜ四号と五号の違いをするのですか。電子計算機をどんどん使えというならば、何も情報処理サービス業者だけでなくして、一般のそれ以外のものが、プログラム開発するばかりでなく、電算機を買うときにも恩恵を施してもいいではないですか。
  76. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この協会の目的は、第七条に書いてございますように、「プログラム開発及び利用の促進並びに情報処理サービス業等を営む者に対する助成」ということになっております。これがこの協会を運用してまいります基本的な考え方になるわけでございまして、それとあわせて二十八条の四号、五号を読んでまいりますと、ここの四号の面は、情報処理サービス業ソフトウエア業、これを営む会社または個人というものを対象にしております。五号のほうは、これ「以外の者」と書いてありますが、これ以外の者でいまのプログラム関係のある者といえば、いわゆるユーザー、電子計算機のユーザーでございます。それに四号のほうは、情報処理サービス業を営みましたり、あるいはソフトウエア業を営む者というものでございますので、ここにございますように、電算機の導入あるいはプログラム開発、つまりプログラム開発するには電算機の導入が必要でございます。それからサービス業をいたしますにもやはり電算機を導入する必要がございます。こういったことから、技術の改善または向上に必要な金が必要になってくるわけでございます。五号のほうは、みずからユーザーとして自分が必要なプログラム開発をしようということでございますから、その場合にはやはり電算機の必要があるわけでございますが、こういったユーザーの関係で申しますと、この場合には、たとえば開発銀行でありますとか、あるいは中小企業の場合には中小企業金融公庫でありますとか、そういうものから電算機の購入資金は融資を受けられる。ただプログラムについて、自分が独自のプログラムをやりたい。いま現在やっておるけれどもそれ以上の何か特別のプログラムを立てたい、こういったときには、それの金はなかなか一般の融資の対象になりません。そこで五号については、そういうものについてプログラム開発に必要な資金を借りことができる、こういうことにしておるわけでございます。その点は、やはり四号と五号では保証をいたします対象がおのずから違う、それによってこういう規定の違いが出てきておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  77. 横山利秋

    横山委員 了解しておるから聞いておるのですよ。そういう了解ではいかぬではないか。もっとやっていいじゃないか。第七条でこういう目的になっておるというのは、その第七条それ自身が、もう少しユーザーに対しても恩恵を与えるべきものに改正をしてもいいではないか。第七条にきまっておると言ったって、いま審議しておるだけですから、まだきまっておらぬですよ、第七条は。だから二十八条の五号、つまりユーザーでも電算機の導入をする場合においては債務の保証をしてやるのだ、こういうふうにしたらどうだ、こう言っている。それがなぜいかぬか聞いている。  ただ、私がくどく聞きたい気持ちは、何も大企業はそんなことやってやらぬでもいい。しかし中小企業には、中小企業は一生懸命になって、協同組合で電算機を買おうとか、あるいは、まあまあおれのところは少しえらいけれども買おうとかいう場合くらいなら、第五項に、ただし中小企業において電算機を買う場合においては債務を保証する、そこまでいくと、通産省もよう考えておるな、いい法案だということになるのです。どうですか、百尺竿頭一歩を進める気持ちはありませんかね。
  78. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘の点は十分わかりました。中小企業の場合におきます電算機による企業の合理化につきましては、別途中小企業対策といたしまして、中小企業庁が現在でもいろんな方策で進めておるところでございます。私どもといたしましては、その面の方策と合わせて、この協会自身が、プログラム開発プログラムの向上、利用の促進といったことをねらいにいたしておりますので、その面と両々相まって成果をあげるようにしていきたい。おのずから資金にも限度がございますので、そういった面もあわせて両々相まってやっていきたい、こういう考え方で、その点につきましては、別途の中小企業政策と合わせて一本というふうにひとつ御理解いただければ幸いだと思います。
  79. 横山利秋

    横山委員 通産政務次官、私の言うことようわかりますね。いま私に指摘されて、ああしまった、入れておけばよかったという顔をして見えるわけです。ところが、いまこの法律の二十八条の五号では、それができぬですよ。「債務を保証」ですから、融資はできるけれども、債務の保証はこれではできぬです。だから、私どもだいぶいま御意見を伺っておって、多少修正したいなという気持ちがあるわけですが、このようなことについて、御相談に応じてもらえますか。
  80. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 この法律については、先ほど局長が申したとおりでございます。中小企業については、中小企業個々にはなかなかそういう導入その他ができませんので、振興事業団その他でこういうシステムを考えていきたいと考えております。
  81. 横山利秋

    横山委員 振興事業団でこういうシステムを、つまり債務の保証をするシステムを考えたい——与党の皆さん、よう聞いておってちょうだいよ。いまたいへん有益な質疑応答でございますから……。  それから二十八条の八号か七号で、この協会は、技術者教育、資格試験を受けようとする人のための教育をやりますか、やりませんか。その中に含まれますか。
  82. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 協会は、いま特別にそういう教育をやる計画は持っておりません。現在、こういった教育研修等につきましては、別途情報処理の研修センターというものを設ける計画が民間にもございます。こういうものについて私どもできる限り助成をいたしまして、そちらの面からいまお示しのような目的を達成していきたい、こう考えております。
  83. 横山利秋

    横山委員 おとといでしたか、きのうでしたか、質疑応答で、文部省からの御説明で、いろいろ各方面でやっておる、各種学校もたくさんあるという話でございます。認定試験だから、どこで勉強しようといいようなものですけれども、しかしこういう協会が、試験を受けようとする人たちのために教育をやるということが、私は一番打ってつけだと思うのでありますが、えらいにべもない、そんなことは考えておりません、よそでやりますから——よそというのは、純然たる民間ですか。なぜここではやっていけない。なぜ考えない。なぜやろうとしないのでしょう。
  84. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この協会の目的をそこまで広げて、いろいろなことができるようにすることも、一つの案かと思います。私どもとしては、この協会をつくりますほかに、いま御指摘のような技術者の研修、こういったものも非常に必要であるということで、この協会の設立とあわせまして、いま申し上げましたような情報処理研修センター——もともと情報処理大学院というような名前で私ども計画しておったわけでございますが、名前は研修センターということになりましたが、いずれにしてもそういうものを別途設けるということで、私どもも非常な努力をいたしております。できるだけのそういうものを助成をする体制もとっております。これは先般発起人会が終わりまして、いずれ近く公益法人としてスタートするということになります。これについて私どもできる限りの助成をしていきたい、こう考えております。
  85. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  ちょうどいま二十八条で、半分しか私まだ質問していないのでありますけれども、何か同僚委員がきょうやりたいというわけでありますので私まだ半分でございますが、また後日に次の質問を譲りたいと思います。
  86. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先ほど先生が御質問になりました保証の件と融資の件でございますけれども振興事業団のほうは融資でございまして、あとは保証協会その他で考えるという意味で、その点明確にしておきませんと、あとで問題が出ますので……。
  87. 横山利秋

    横山委員 やはり明確にされてかえって私も失望したわけです。少なくとも、もしそういう保証協会が保証するというようなことであるならば、私はむしろこの法律を修正をしてもらいたいということを希望申し上げておきます。
  88. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  89. 川端文夫

    ○川端委員 ことしは一九七〇年代の幕あけといわれている年でありますが、特にこの七〇年代の特徴として、情報化時代に入った、入るのだという世論が多いわけでありまして、その点に関して、きのうからの論議の中にもあるように、情報化時代に備えるためには、単に一部だけ取り出した法律でなく、情報化に備える基本的な法律が必要でないのかということに対しては、必要を感じている、こういうお答えもあったから、これ以上追及しませんけれども、ともかくこういう新しい開発されていくであろう産業に対して、一部の者で考えたように考えられる法律のつくり方はいかがなものか。言うならば、国民に大きくPRして世論を喚起して、多くの人々の協力を得られるような法律立案のしかたというものが必要でなかったか、この点に対して政務次官にお尋ねしたいと思うのです。
  90. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生の御質問は、問題は、先に基本法をつくってからこういうものをつくれという、こういうことだと思います。先生のおっしゃるとおり、情報化というものは、今後国民生活の上で大きな影響を与え、また、日本経済発展にも大きな影響を与えることは事実でございますけれども、現時点において、先ほど横山先生にもお答えしたのでございますけれども、とりあえず日本がおくれておりますソフトウエアの部門の開発を速急に進めなければいけないということで、この協会法案を提出しているわけでございます。今後とも、そういうことで日本の立ちおくれている部門の開発をこの法律によって大いに振興して、アメリカその他の諸国と均衡のとれるような経済発展をしていきたいということでございます。
  91. 川端文夫

    ○川端委員 われわれがいま目をみはっているように、日本の科学技術の躍進というか、発展ぶりというものは、非常な目ざましいものがあるわけでありまして、この点に対して、ハードウエアにおいてはもうかなり欧州に先んずる開発が進んでおるという現実の中に、ソフトウエアの分野においてもそう長い将来でなく発展するのではないか、このように考えますと、現時点の段階だけでものを急がれる中に、きのうからの論議の中にも幾らか出ておりますけれども、大衆化される情報化時代に、特に、これを利用する中小企業の発言の場というものが、先取りされる姿において封じられるのではないか、このおそれがあると思うのだが、いかがお考えか。次官からもう一ぺんお答え願いたいと思うのです。
  92. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 ソフトウエアの問題については、前からよくいわれておりますけれども日本が一番開発する部門として、また輸出できる部門としてはソフトウエアであろう。しかし現実においては、ハードウエアと違いまして、ソフトウエアの部門が非常に立ちおくれておる。こういう問題で、今後中小企業がそういうソフトウエアを使う部門などもここで開発をしていかなければ、そういうものが利用できないであろうということも事実であろうと思います。で、通産省といたしましても、まずソフトウエアをやる部門を振興していくというために、将来、これが中小企業の経営、あるいは問屋、流通部門への影響も考えますと、そういうことに積極的にソフトウエア利用できるようなことも将来については考えなければいけませんけれども、現時点においては、ソフトウエアをどうしても早く欧米レベルまで持っていきたいということで、この協会を設立する法案を出したわけでございます。
  93. 川端文夫

    ○川端委員 大体、小宮山政務次官のお気持ちはわかるような気がするけれども、もう一ぺん繰り返しますと、現時点には、拙速ということが当たるか当たらぬかは別として、日本のおくれを取り戻すために急がなければならないという形において、現在の、先ほどから議論にある専門的な知識み人々を発起人にしてとりあえず発足したい。しかしながら、この五年を出ずして日本にも普及して大衆化されるであろうと信ずるときに、この協会の内容に、利用者の中小企業の人々の意見が反映できる——現在はまだ無知で十分利用する用意がなされていない、専門的な知識はないけれども、五年後には必ずそういう人々が大量に出てくると予想できるのであるから、この点に対しては、十分改組なり発言の場を与えるということを考えているという意味に理解して答弁を承っていいのですか。
  94. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 この協会ができましたときには、評議員会その他をつくりまして、中小企業問題についてもやはり考えていかなければいけないと考えますし、通産省といたしましても、今後、中小企業のコンピューターの利用あるいはソフトウエア利用という面についても、大いに考えていこうという考え方でございます。
  95. 川端文夫

    ○川端委員 まだはっきりしないんだがね。利用させるということを目的に先駆的なこの案を出されていることは、十分理解した上に立ってものを言っているわけです。この点は了解しているのであるが、現在なお普及されていない日本のおくれの中に、きょうは知らなくても、来年なり再来年になれば、十分専門的な知識を持っていろいろこれらの問題に対して意見が出せる人々がふえると思うのだが、いま出されている法律の中の協会のメンバーだけで将来とも続けていくのかどうか。こういう人々の意見が反映できるような姿に改組する必要があるように思う法律のように思うかどうかということをお尋ねしているわけなんです。
  96. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘の点は十分理解できることでございまして、今後数年たてば、中小企業の面におきましても、こういったソフトウエアの必要性がだんだん高まってまいると思います。そういう意味から、協会といたしましても、やはりそういった面に着目して当然運営され、また仕事の重点もそちらにだんだんと移っていくということになろうかと思います。そういった面からいたしまして、私どもといたしましては、役員は、ここにございますようにきめられておりますが、この役員の選任等につきましても、あるいはいま政務次官からもお答えがありましたように、定款の中に業務及びその執行に関する事項が書き込まれることになりますが、とりあえずこの定款に基づきまして評議員会というようなものを設けまして、この協会の行ないます委託開発をするプログラム、あるいは債務の保証等に関しましては、いま御指摘のような点を十分配慮してこの協会を運営できるような仕組みをまずつくっておきたい、こう考えておるわけでございます。なお、事態の進展に応じましては、十分そういった点も考えまして、この協会が中小企業者等にとりまして有効な活動ができるように十分配慮してまいりたいと考えております。
  97. 川端文夫

    ○川端委員 いまのお答えで、十分でありませんけれども、現在はおくれていて大衆化されていたいが、やがて大衆化されたときに、現在きめた組織というものがそのままでは困る時期が出てくることをあらかじめ考えておいていただいて、それに対処するという御理解を賜わったものとして、次のことをひとつお尋ねしてみたいと思うのです。  いろいろ逐条に審議しておりますと時間もかかりますので、私の感じている要点だけをお尋ねしてみたいと思うのですが、特にこの法律の中の二十八条の三項の中の「前二号に掲げる業務に係るプログラムについて、対価を得て、普及すること。」、こういう、対価ということばが入っているわけです。したがって対価という定義は、私はここで明らかにしようとは思いませんけれども、言うならば、ソフトウエアを商品というか、新しく価値づけるということに道をあけていくということになるのではないか。そうであるとするならば、この対価のきめ方、求め方がどのような根拠においてなされようとしたか、なされんとしているか、お尋ねしてみたいと思うのです。
  98. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御指摘の点は非常にむずかしい問題でございますが、現在のところソフトウエアの価格というものは、わが国ではほとんどが注文生産、こういうことになっております。したがいまして、一件、一件注文によって価格が変わるわけでございますが、大体コストの面で申しますと、いわゆる頭脳的産物でございますから、大部分が人件費と申しますか、これに従事しております技術者の費用というものが中心になってきておるようであります。ただ、将来見込み生産と申しますか、いわゆるプログラムパッケージといわれておりますが、そういったものもアメリカではぼつぼつ出ておりまして、こういったものがだんだん流通をされてくる、こうなってまいりますと、価格算定方式等につきましても、ただいま申し上げたようなコスト計算が、大体価格ということではなくて、それの市場性と申しますか、あるいは付加価値性、こういったものがやはり評価をされてくるということになってくるんだろうと考えております。ただ、そういったようなことにつきましては、これからの問題でございますので、私どもといたしましては、この協会自身が、やはり関連する調査事業一環といたしまして、こういったものの評価を今後どういうふうに考えていけばいいか、アメリカその他先進国の例等も十分参考にいたしまして今後勉強してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  99. 川端文夫

    ○川端委員 現在の実情は私も幾らかわからぬわけではなし、コンサルト的な仕事をプラスすることによって個別的な契約をしている、こういう形が現在行なわれているんではないか。しかし、政府機関に準ずる協会が、対価を求めてというこの立場でものをきめる場合において、まあ最低賃金というか、標準価格というか、いろんな意味において大きな影響を与えるものに対して、これから勉強してという意味だけでは納得しにくいように思うのですね。  そこで、たとえば、これに対してはこういう機関でこういう方法できめていきたい——新しくものの価値をきめようというこの姿の中に、これから資料を集めて勉強するというなら、その資料を用意してもらってから見直したいということばをわれわれ出さざるを得ないのだが、もう少し納得できるような、商品に対する価値づけに対して新しい道をあけるこれからの運営の中に、何か新しいわれわれに納得できるような方法があるならば、納得させ得る方法を教えてもらいたいと思うのです。
  100. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ソフトウエアの価格でございますが、この協会は、かりにこういったものについて普及をはかり、対価を払って人に貸し与えるというような場合に、どういうきめ方があるかということでございます。現状では、いま申し上げましたように、特定のものの委託生産によるものが大部分でございますから、したがってソフトウエアの価格というものは、そういった委託で行ないました場合のコスト、これが中心になるわけであります。でありますから、一応の特定のものについてはいまのコスト計算というものが対価の基準になる、これはそのとおりだと思います。ただ将来、先ほど申し上げましたように、見込み生産と考えていいようなプログラムパッケージ。だれが使うかわからぬが、とにかく一般的に使われそうだということでプログラムの作成をしていくということになりますと、この面については、いま申し上げましたようなコスト計算だけではなくて、市場性であるとかその他の要因が付加されることになって対価がきまるだろう。そういうものがかりに出てまいりますと、その場合に、どういう計算方法で売り値といいますか、対価をきめたらいいか、これは今後の問題であるということを申し上げたわけでありまして、さしあたりのところは、この一号、二号にかかわるものについては、ほぼコストを中心に対価をきめていくというのが、現状では一番適正なやり方と申しますか、そういう考え方でいくのが適当であろう、こう考えておるわけでございます。
  101. 川端文夫

    ○川端委員 原価主義というか、コスト主義で対価をきめていく行き方も、当面としてはやむを得ないわけです。しかし、政府が半額出資して、いわゆる金融の措置までして協会をつくって先駆的な産業を普及していきたいというこの意欲の中に、一つの前例ができて、だれでも楽な道を選びたい。協会自身も、現在はコスト高になる一面はやむを得ない面があるにしても、コスト高に甘えて安逸に流れるおそれがどうしても出てくるのではないか。したがって、対価をきめるということは、これは商品価値をきめる基準になっていくわけだから、いまから用意して、国際的な価格なり、いろいろな日本の実情、賃金指数なりを加えて、対価というものに用意をする準備なくして、対価ということをやたらに使われても、安逸に現在の価格をそのまま前例として、大衆が利用しかねるような、中小企業が利用しかねるような高価なものが残っていくおそれがある。現在は、どうしてもコスト高になることはやむを得ない一面ではないかと思うんだが、この点に対しての配慮が必要ではないかと思うんだが、何かそれらに対する対処があるかどうか、お答え願いたいと思う。
  102. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃる点については、原価主義という原則はございますけれども、この協会が利益法人ではございませんので、今後とも中小企業が特にこういう面で利用できるということならば、その点については考えなければいけません。ただし、ソフトウエアにもいろいろ種類があるかと思います。パッケージにしたもの、あるいは特別なものというようなことで、これは価格のきめ方については非常にむずかしい面がございます。この点については、アメリカでどのような形で行なわれているか。欧米でどういう形で利用されているかという点についても大いに研究いたしまして、いま先生のおっしゃった趣旨に沿うて今後ともやりたいと思っております。
  103. 川端文夫

    ○川端委員 協会をつくって、信用基金をつくって保証して研修会やっている程度なら、私はそうあまり神経を使わぬでも、先駆的な開発事業としてはいいと思うのですが、受託をさせて対価を払う、こういう道がこの法律の中にある以上は、価格の問題の形成に対しては十分考慮するということをひとつ研究を深めて、われわれにも納得できる線を出していただきたい、このことを申し上げて、この点はこの辺でひとつ打ち切っておきます。  もう一つの問題。私は、やはり情報処理標準化という問題に対して、まあこれは新しい道でありますから、なかなか容易ではないと思うのですが、きのうからの質疑の中に、科学技術庁がもう二十余りの標準化に対して踏み切って準備されているようですが、このきめ方の中に大きな落とし穴をつくるようなことがありはしないかという心配があるわけです。言うならば、よくいわれている人間疎外。科学技術の発展の中に人間疎外という意味がいろいろ今日心配されている。こういう大きなシステムである情報化時代に、一つ標準化をつくる中で、一つの鋳型に日本産業なり国民の気持ちを押し込んでいくようなおそれはないのか。これをもしつくったとしても、チェックする道があるのかどうかという心配があるのですが、この点に対してお答えを願いたいと思います。
  104. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまの御質問の点、ちょっとお答えが違うかと思いますが、標準化と申しますと、私どものほうでは、いわゆる日本工業標準調査会におきまして、情報処理部会がこの情報処理関係のいろいろな技術面の規格を制定をいたしております。これはほかのJISと同じでございまして、現在まで約二十余りのいわゆる規格情報処理技術に関するいろいろな規格ができておるわけでございまして、このこと自身は別に、情報処理全般に関しまして、いま先生のおっしゃったような、いわゆる何か規格化をして統制をするというような意図のもとではありませんで、あくまで情報処理技術の振興のために、各種の用語でございますとかその他の面、あるいは符号でありますとか、そういったことについての規格をつくりまして、こういった面の技術が今後一そう振興するような目的で進めておるわけでございます。
  105. 川端文夫

    ○川端委員 いま意図しているということは、私は一言も言わないし、考えていないんです。しかしながら、従来のJISなりの標準というものは形があるでしょう。機械なり物に対しての標準があるのに対して、このソフトウエア標準化という中には、ややともすれば一つの型をつくるおそれがあるので、こういう問題に対しては、広くやはり学識を求めてチェックする機関が必要な気がするのですが、そういうことは全然心配ありませんか。
  106. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま電子計算機情報処理に関するJISの現状について簡単に申し上げますが、昭和三十六年以来このJISが研究をされてまいりまして、そして現在では二十余りのJISが制定をされております。これは、計算機の面といわゆる情報処理に関する面と両方ございますが、一例をあげて申しますと、たとえば電子計算機プログラム用語、あるいは情報処理の流れ図の記号、こういったようなもの、それから各種の表示に関するコード、こういったもののJISが中心でございます。こういったJISをきめます場合には、もちろんこれに関する学界、あるいは一般の産業界からも当然学識経験者の方に集まっていただきまして、日本工業標準調査会におきまして、十分な審査を受け審議を経た後に制定をされておるということでございますので、その点は、先生の御心配の点はなかろうかと思っております。
  107. 川端文夫

    ○川端委員 私もしろうとだから、あまりこの問題にわかったような顔をして質問しても──もう少し勉強させてもらって、それで納得できないときはまたお尋ねすることにいたしたいと存じますが、もう一つ、先ほどに戻って、対価ということになれば、借り入れ金に対する減価償却的な意味利用年度というものをどれくらいに押えてものを見られておるのか。言うなら、機械等に対しては減価償却というものは標準的に出し得るのだが、こういう情報に対して、古くなったというか、この償却的な現時点における利用年度というものを、どれくらいに押えて金融等にあたって見方を立てるのかということをお聞かせ願いたい。
  108. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御承知のように、ソフトウエアのような、いわばノーハウと申しますか、知的産物と申しますか、こういうものを、まだ企業会計上資産として計上するということにはなっておりません。したがいまして、減価償却ということもないわけでございますが、こういったものを一体どういうふうに──では、金融機関が金を貸します場合、どのくらいな期間でこれが陳腐化をしていくかというようなことにつきましては、やはり、ものにより内容によりいろいろ違ってくると思います。比較的長く使い得るような、こういったノーハウ的なものと、それから、ある程度時間がたちますと新しい技術進歩に基づいて陳腐化するものと、それぞれ違ってくると思いますが、昨今のような非常な技術進歩の早い時代でございますので、私どもとしましては、おそらく、いろんな例によりそれぞれ違うと思いますが、さして長期なものではあるまい、こう考えております。
  109. 川端文夫

    ○川端委員 昨日来の質問の中で、大体五年ぐらいと言われたように耳に残っているような気がするのだが、速記を見ておりませんが、大体陳腐化するというか、ある程度入れかえ、切り捨てていかなければならぬ条件というものは五年くらいと踏んでおいでなのかどうか、もう一ぺん確認しておきたい。
  110. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 昨日、五年ぐらいとお答えいたしましたのは、第三条の計画をつくる場合、計画期間をどのくらいに考えているかという御質問に対しまして、私は、一、二年のところでは、ちょっといわゆるガイドラインにもなりませんし、といってあまり目標期間を長くとりますと、技術進歩の早い時代でありますから問題があろうということでございまして、まあ五年くらいを第三条の計画を立てますガイドラインの一応の期間というくらいにしたらどうか、こういうふうに御説明を申し上げたわけでございます。したがいまして、いまの技術の陳化腐と申しますか、こういったこともややかかわり合いはございますが、五年ということを申し上げたのは、実はそういうことで御答弁を申し上げたわけでございます。技術の進歩も早いわけでございますが、先ほども説明いたしましたように、こういった知的産物も、内容により、その利用の態様によりましていろいろと違いがあると思いますので、一がいに何年というふうには申し上げることはできないのじゃないかと考えております。
  111. 川端文夫

    ○川端委員 その点も、ではこうしたらいかがかという、提案するだけの用意が私にありませんから、一応疑問は疑問として残しながら、承ったことを参考にして判断の材料にしたいと思います。  そこで、協会設立に当たって、この法律に伴う協会ができる場合、当然出資者というものを募集されるわけですが、法律ができるまで全然何も連絡なしに、法律ができてからだという話は、それは聞こえません伝兵衛さんではないけれども、少しおかしいのじゃないか。そこでこの点に対してはどれくらいの——たとえば審議会の答申前に、審議会の話し合いの中における見通しとして、どの程度のところが現在参加するであろうと予測を立てておいでであるか、承っておきたいと思います。
  112. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この法案を提出するに際しまして、やはり発起人並びに発起人が募集いたしますところの出資が前提でございます。そういうことから、私ども、経団連及び当該関係の業界が二、三ございますが、そういったところに出向きまして、この法案内容等についてもあらかじめ御説明もし、御協力も得るようにしたのであります。そういったようなおりにおきますいろいろな感触からいたしまして——私ども、この協会に対しまして少なくとも二億円の出資を一般から出していただきたい、こう考えておりますので、その点につきましても私どもが話をいたしたわけでございますが、これに対しましては、関係業界等を中心にいたしまして、二億円の出資には十分応じていただける。また来年以降についても、これは当然増資ということも考えられますので、その点も含めまして、私どもとしては、関係財界等におきまして十分こたえていただける用意があるものと確信をいたしております。
  113. 川端文夫

    ○川端委員 現在の法律提案の内容からいえば、出資金は二億円を民間で集めて、政府が二億円を出す、まあ二分の一ずつということになっておるのだが、一つは、こういうまだ試行錯誤的な知的事業に対して、私は、どうも政府自体がやるベき仕事でないという気もして、協会をつくってやるということにまだ十分理解ができないような気がするのです。ただ金だけの問題で考えたのか。いろいろな運営の問題に何か配慮があったのか。政府が直接、たとえば輸出保険をやっているように、政府がやる場合と協会がやる場合との利害得失というものを何か考えられたことはあるのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  114. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これは先生も御承知かと思いますが、昨年の予算要求時点におきまして、私どもとしては、特殊法人である事業団の設立ということを当初念頭に置いて考えておったのでございます。つまり政府の別働隊としての事業団という考え方でおったわけでございますが、その後、予算折衝等いろいろな時点を通じまして、現在のような事業協会という構想に最終的に練り上げられたものでございます。これはそれぞれ一利一害ございますので、考え方がそれぞれの人によって違うかと思いまするが、昨日も御説明申し上げましたように、この協会自身は、現在の日本におけるソフトウエア開発プログラム開発振興というものが、主として民間のこういった機関によって行なわれておる。つまり政府機関というものがそれをやっておるわけではない、こういったことでありまして、かつアメリカと違う事情にある点は、昨日も答弁を申し上げましたように、アメリカの場合には、大きなアポロでありますとかその他のナショナルプロジェクトがございまして、そういった政府発注のものにこういったソフトウエア開発が行なわれておる。現在の日本ではそういった形でのソフトウエア振興というものが行なわれておりません。こういったことから私どもとしては、民間におけるソフトウエア開発力と申しますか技術力と申しますか、こういった点を極力助成をしていこう、こういうのがこの法案の最大のねらいでもございます。こういった意味から、民間の企業力、技術力の開発助成ということでありまするので、民間にベースを置いた一つの機関をつくり、それを政府が助成もするが監督もするという立場にいくのも、一つ考え方として十分意味のあることではないだろうか、こういったような考え方のもとに、今回事業協会という民間発起設立による協会をつくるということにしたわけでございます。この辺それぞれ利害得失があろうかと思いますが、いろいろと議論の末、そういったようなことがよかろうという結論に達したということを、御説明申し上げた次第でございます。
  115. 川端文夫

    ○川端委員 日本産業人のエネルギーというか、このものが信頼されているということは、私はそれでけっこうだと思うのだが、しかしながら、どうも現時点においては、たとえば政府の意図を介した、まあ言い過ぎなことばではあるかもしれぬけれども、政商的な連中が一部集まって協会設立の準備をするに至るのではないかというおそれがあるわけです。この点に対して、そういう心配ない、当分もうからぬのだからかえって迷惑をしているというような一面もあるかもしれぬから、その実態をひとつお聞かせ願いたいと思います。協会ができたあとにおけるこれらの経費捻出等に対する問題もあって、政府が全部しょわぬで、かえってみんな犠牲的にやってくれるんだという証拠でもあるのか、意見でもあるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  116. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この協会は、先ほども説明申し上げたように、民間からの出資を予定をいたしておるわけでございますが、この場合の出資者は、株式会社におきます株主とは異なりまして、協会の管理、運営に関しましては何ら権限を有しておるわけではございません。したがいまして、この協会を今後運用いたします場合、出資者であるからといって、特段にこの協会の管理、運営について発言権を持っており、その発言によって自己の利益に資するということは、私どもはないと考えておるわけであります。もちろん、こういった協会をつくりまして、通産大臣もこの監督に任ずるわけでございますので、私どもといたしましては、先刻来御質問に対して応答申し上げておりますように、この協会がいろいろな面で今後の日本情報処理に役立ち、特にまた、今後大いに進展が予想されます中小企業の面等についても、十分な配慮のもとに運営されることを私どもも強く希望し、またそういうふうにできるだけの努力をしてまいる、こういう所存でございます。
  117. 川端文夫

    ○川端委員 そうすると、こういうふうに理解できるわけですね。民間の二億円に対しては、たいして発言権がない、政府が全面的にこれに対して指揮権を持つわけだから、したがって奉仕的なそういう善意の人々の出資を求めているのだというふうな理解のしかたをしておくべきですか。その点はいかがですか。
  118. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 そう解釈してよろしいと思います。
  119. 川端文夫

    ○川端委員 しかし、どうもそういう善意な人ばかりがいるように思えない。私らはものを疑いの目で見る性格かどうかしれませんが、そういうふうに考える。特に協会の定款等を見まして、何もこれに対して意見を差しはさむ余地がないということ、これらを見て、政府にお手伝いすることによって何か政府から求めようとする、こういう意図のある者ができるおそれに対してチェックする機関はお持ちかどうか、この点をお聞かせ願いたい。
  120. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 出資につきましては、いま申し上げたように、私は大体先生のお考えのようなことで理解をしていいのじゃないかと思っております。  今後の運営等につきましては、御承知のように、この法律で、毎年その予算、事業計画等は通産大臣が認可をすることになっております。こういったことから、私どもとしては、何か特定の意図のもとにこの協会が特定者の利益になるというような運営をされることにつきましては、十分な監督をいたすことができると考えておりまして、また協会の運営につきましては、必要があれば通算大臣は所要の措置をとることができることとなっております。こういった面から、お話のような点、万々ないと思いますが、私どもとしては、あらゆる法律上の権限を持っておりまするので、十分その点を考えまして、この協会が公正な運営ができるようにつとめてまいる所存でございます。
  121. 川端文夫

    ○川端委員 なかなか局長、善意な御答弁いただいておるわけでして、社会を全部善意に見ればそのとおりでいいのかもしれません。しかしながら、私どもの年輩の者の経験からいくと、戦時中に物価統制令というものがありまして、その物価統制令に審議委員というものがあって、これらの審議委員は、やはり民間から人を得た場合に、あらゆる方法をもって、その物価統制をきめる過程において、どこへ流したか知らぬが、かなり流して委員の立場を悪用したという例を聞いて覚えているわけです。善意もけっこうであるけれども、やはり金を出してそういう立場に立つ人々が、なるほど自分がこの関係事業関連のあるような職につけないという制約はあるけれども、何らかの形でつながりを持っていると、それこそ情報を流したからといって、なかなかむずかしい面が後ほど出てくるのじゃないか、こう思って心配しているわけです。したがってこの問題は、新しい産業だけに、よくいわれる利権なりいろいろな利益を一部の者に先取りされるようなことのないように、ひとつ厳重に監督なり監査をしてスタートを切る準備をしていただきたいと思うわけです。  なお、いろいろ聞きたいこともありますが、先ほどからいろんな論議が行なわれている中に、もう一つはオンラインの問題に対して聞きたいわけです。  これは、いろいろリハーサル等においての説明を聞くと、必ずしも独占しない、開放する、緩和していく用意がなされているというわけでありますが、もしこれらのソフトウエアがかなり発展した場合において、現在準備されている姿の中に、電電公社が、国の発展情報化時代にどのような協力ができるのか、それらの用意をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  122. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 御承知のように、現在オンラインの業務は、緑の窓口、国鉄でやっておりますものとか、銀行のオンラインサービスとか、かなり国民に親しみのあるものがふえてきているわけであります。なお、電信電話公社のほうでも、最近、地方銀行のオンライン・システムというような業務を提供することも始めておりますし、国鉄のように自分の線で業務するものもあれば、あるいは電電公社の線を借りてやる、あるいは電電公社にサービスといたしまして全部オンライン・システムを提供してもらう、いろいろなやり方があるわけでございます。ともかくそういう形で、電電公社が全部やってやるということでありませんで、電電公社のラインを使ってオンラインの業務がもっとしやすくしたいということが、最近いろいろ問題になっております。特に、いろいろの違う企業間におきまして、共同で公社の線を借りたい。あるいは情報処理サービス業あるいはデータバンクというようなところで、ひとつ営業用に電電公社の線を借りたいという道が、いまの公衆電気通信法ではたいへん狭くなっておりますので、これを広げまして、今後の流動的な企業の結合関係というものからする情報の共同利用というものも促進されるようにしたいというのが主でございまして、このための公衆法改正の提案を実は準備をいたしたわけでございますが、時間切れになりました関係で、今後ともこの線をなるべく早く国会で御審議いただけるように、努力を重ねていきたいと思っている次第であります。
  123. 川端文夫

    ○川端委員 電電公社なり郵政省は、そのほうの専門家をもって自負されているであろうから、私は、今日まで電電公社が準備されているデータ通信の問題等に対しては敬意を表したいのですが、しかし、どうしても今日、民間の電話の普及に対してもまだ十分でない面がたくさん残っておるわけですね。そういう中にこの事業に協力できるという体制があるのかどうか。うたい文句としては、利用させる、現在の独占的な傾向を緩和するということは、いろいろ説明を聞いておるわけですけれども、しかし、どうしても自分のところを優先的になることは、人間の本来の性格上やむを得ない一面があるのです。電電公社という性格を犠牲にしてまで民間に開放するとか民間に協力することはできないはずだと思うのだが、それらに対して何か新しい計画を持って、オンラインに対して民間に使わせる、民間と協力できるという準備をなさっている一面があるか、教えておいていただきたい。
  124. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 電信電話公社のほうが自分の業務としてオンライン・データ・サービスを提供する、この面につきましては、やはり世界の技術的な競争というような問題もございまして、電信電話公社の現在の技術力を十分この方面に活用して日本情報産業全体の水準を上げるのが急務であるという認識は持っておるわけでございます。したがいまして、本年度の関係予算といたしましても昨年の約倍の四百億近いものをこの方面に用意するように、目下予算の御審議をお願いしているわけでございます。そのほか電信電話公社では、こういうような業務を提供することが、既設の電話のサービス、電信サービスというものに悪影響がないように、また電信電話の料金負担というものに、こういうものが悪い影響がないということも、十分配慮していかなければならぬと思いますので、電信電話公社の行ないますこういうサービスにつきましては、独立採算的な考え方で料金をきめていくというようなことをやっているわけでございます。
  125. 川端文夫

    ○川端委員 きっともう二年もたてば、オンライン利用に対して、電電公社への大ぜいの申し込みなり、問題点が出てくるのではないか。こういう場合に、いろいろな疑惑を持たれないように、公明正大に、しかも情報化時代に備えての発展ということも理解して、いまから十分対処をしておいていただくことをお願いしておきたいと思うわけです。  次に、情報処理技術者試験のことをひとつ承りたいのです。この点については、きのうからも、また先ほどからも質問がありましたから、多くを申しませんが、試験制度そのものは、質的向上をねらうという意味において、私はけっこうではないかと思うのですが、単に、おまえら勉強しているなら試験してやるぞ、こういうやり方でいいのかどうか。せっかく各界にそれぞれベテランなりいらっしゃるようですが、学校等においては、きのうの文部省の答弁からいうと、まだこれからという課題のようにも思うから、現場におっていま直接経験しておる連中の中にあるいは講習会等を加えつつ試験をしていくという、両面立てが必要であるように思うのだが、そういうことを何か計画されたことはありますか。
  126. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 現在こういった情報処理関係しております技術者につきましては、いろいろなことで制度が設けられております。一つには、いま各種学校と申しますいろいろな学校がございますが、その学校を中心に、現実にこういったものに従事しておる人たちのための講習会あるいは研修コース、こういったものが相当数設けられております。そのほかに、私どもといたしましては、さらに高級な技術者を養成をするために、大学を出て数年聞こういったことに従事をしておる人たちを対象といたしまして、先ほどもちょっと御答弁の中で触れましたが、情報技術者の研修センターを設けるということで、昨年来計画をいたしております。先般この発起人総会も終わりまして、いまその設立を準備中でございます。こういったような各般のものが現在民間にございますので、こういったものも十分踏まえながら、いま御指摘のような情報処理技術者の試験を取り運んでいきたい。その試験問題等につきましても、そういった民間の研修機関、あるいは勉強機関、こういったものの実態を十分踏まえながら試験を実施してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  127. 川端文夫

    ○川端委員 私らも勉強不足な面もあって、新しい問題として、問題の処理、まとめ方にはまだ十分でない未熟な面もあるけれども、ただ繰り返して申し上げますと、長い間日本の政界を見ていると、何か先走って先取りしたものが優位な立場に立って、だんだんと格差を広げていくおそれが出ておることを、われわれは知っておるわけですね。こういう新しい産業に、政府が積極的な前向きの姿勢を持つべきであるということに対しては、われわれは協力するにやぶさかではないが、先取りさせる、一部の者を利用させるという、この優位性というものに対しては、十分なるチェックをするなり民主化する考え方を織り込まなければいけないのではないか、こういう点を強く感じて、この問題をもう少し勉強させていただきたいと思いますが、時間の関係もありますので、きょうはこの辺で私の質問を終わります。
  128. 八田貞義

  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、大臣が来られるまで質問を行ないたいと思います。大臣が来られましたら、また後日にあと譲りたいと思います。  まず第一点にお聞きしたいのは、要するに情報というマクロ的な見地とこの法案との関係なんです。御承知のように、宇宙あるいは海洋、そうした開発と同様、この情報という問題は、非常に大きなこうした分野をいろいろ含んでおるわけでありますが、要するに産業政策の上からどうしていくのか、理念的な問題があまり出ていないのじゃないかと思うのですよ。この点についてまずお聞きしたいと思っております。
  130. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 情報処理という概念は、非常に広い意味と、またある程度狭く解せられている面と、いろいろあろうかと思います。情報化という考え方にもいろいろなものの考え方がございますので、一がいに言えないと思います。ただ、私ども情報化政策一般と申しますか、そういう意味で広くとらえますと、大きく分けて六つぐらいの政策のカテゴリーがあると思います。  第一は情報処理に関する教育訓練の問題。第二が情報処理技術の開発の問題。第三には各種標準化の問題。第四に遠隔情報処理、データ通信等も含みまして遠隔情報処理、こういったものの制度あるいは基盤の整備、こういった問題。第五に、狭い意味での情報産業情報サービス業でありますとかそういったものの狭い意味での情報産業の育成の問題。さらに、官庁におきます情報化、情報処理の拡充と申しますか、そういった問題。こういった各般の政策を情報化政策というものは含んでおろうかと思います。これらすべて、いわゆる産業政策の分野のみではございませんで、教育、社会全般にわたる広いことに関係のある問題だと思っております。今般提案をいたしております法案からいたしますと、この第二条に情報処理の定義を書いておりますように、「電子計算機を使用して、情報につき計算、検索その他これに類する処理を行なう」、こういうことを一応情報処理として定義をいたしております。こういった定義をもとにいたしまして、私どもとしては、情報処理関係において特にいま緊急を要すると思われるプログラム開発、あるいはその流通の円滑化、さらには情報処理サービス業あるいはソフトウエアの専業者、こういったものを早急に育成強化をしていきたい、こういうことでこの法案を提出しておるわけでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 理念的な面が欠除しておる。たとえば「目的」のところにも、最後の二行目に、「情報化社会の要請にこたえ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」こういうように目的あとのほうに持ってきているわけですね。「電子計算機利用及びプログラム開発を促進し、プログラムの流通を円滑にし、並びに情報処理サービス業等の育成のための措置を講ずること等によって」、こういう具体的なものが先に出てきて、目的あとになってきているということは、考え方が逆じゃないかと私は思うのです。その辺の理念的な問題をはっきりと踏まえた上でなければまずいと思うのですよ。ですから、この辺に通産省として場当たり的に、何とかこれはおくれているから早くしなければならない、そういう感じがするわけです。この辺について御見解はどうですか。
  132. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 情報化政策、つまりこれから先考えられる情報化社会というものに対応します情報化政策全般ということになってまいりますと、先ほど御説明いたしましたように、これは経済面のみならず、さらに狭くは産業面のみならず、経済、社会、教育、いろんなものに影響のある問題非常に広範な問題であろうと思います。ただ、情報化と申しましても、こういった各般の施策につきましては、近年急速にこういった問題が出てきましたこともあり、いろんな面でまだ議論が煮詰まっていないと申しますか、あるいは実態が十分整備されていないと申しますか、言い方はたいへんどうかと思いますが、星雲状態のような面が非常に各方面にございます。したがって、ものの考え方等も、それぞれの局面、局面に応じて、いろいろなものの考え方意見等がいわば山のようにあるわけでございます。こういったようなものの考え方なり理念なりというものを十分に整備をいたしまして、そして将来の情報化社会に備えて情報化政策を全体としてカバーをしていくというような法律がやがては必要だと私ども思いますし、そういったことについて今後引き続き関係方面多数の御意見も承りながらまとめ上げていきたい、こう考えておるわけでございますが、何ぶんいま申し上げたような状態でもございますので、これにはやはり相当な日時を要するのではないか、こう思います。  私ども考えておりますのは、情報化社会がそういうふうになってまいりますにつきましても、とりあえず当面このソフトウエアギャップ等の面につきましては緊急を要する。そういった情報化社会全般の要請にこたえるような基本的理念を持ったいわば法体系というものができるにはまだ相当な時間がかかる。私ども努力はいたしますが、相当時間がかかります。それまで待っておったのでは、先般来るる御説明申し上げているようなソフトウエア・サービスの問題、プログラム開発問題等には追いつけない。当面この点が一番問題だということで、とりあえず実施法と申しますか、基本法に対しますればその実施法というものでございましょうが、こういうものをまずつくっていただいてその面にまず対処する。そして将来、いま申し上げたような全体を踏まえた基本的なものの考え方が整理をされ、一定の理念のもとに組み立てられたりっぱな体系ができますれば、その暁において、もちろんこの実施法自身も必要に応じては十分調整をしていったらどうか、こういう考え方のもとにとりあえず、きわめて技術的ではございますが、当面の急務にこたえる法案を提出をした、こういうことで御了解をいただきたいと思います。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままで、そうした知識産業といいますか、そうした問題については融資の対象としても考えられておらなかった、そういう点で措置を考えるということは非常にいいことだと思うのです。御承知のようにアメリカのほうなんかは、ハードウエアからソフトウエア、非常にソフトウエアはその比重も大きくなってきております。こうした原因というものは、結局アポロの問題とか、非常に具体的なそうした軍事面に結びついた面もありますけれども、非常にソフトウエアの面も開発されてきております。日本は確かにそういうウエートにおいてもおくれている、これは何とかしなければならない、これは一致した私たちの考えなんです。特にアメリカとのそうしたテクニカルギャップといいますか、そういうものは非常に大きくなってきておりますし、これも見なければならぬ。そうした考えのもとから出発されて本法案を提出された、そうした背景もよくわかるのです。そこで資金的な援助というのは、結局民間にまかしていくという気持ちが非常に大きい。これがはたして政府主導型であるか、民間にしていけはいいのかというような考え方の問題というものもあるわけですけれども、ここで私はこれは一つの提案ですが、たとえば政府機関でプログラム開発センターといいますか、そうした中枢的なものを今後やはり考えていくべき必要があるのじゃないか、かように思うのです。そうした場合、この法案との関連性といいますか、その辺のところはどのようにお考えになっておられるか、その辺のところをお聞きしたいと思うのです。
  134. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御提案のような、何か政府機関あるいは政府の一部局、研究所等で、こういったソフトウエアなりプログラムなりを専門的に開発、研究をするようなものはできないだろうかということにつきましては、実は昨年来いろいろな形でそういったことの意見政府部内でも出ております。ただ問題になりますのは、現在こういったことに従事しております技術者、特に高級の技術者というものの数が非常に限定されております。政府部内でも非常にこの人数は少のりございまするし、また民間でも、それぞれ民間の会社におるわけでございますが、いわば引っぱりだこといったような状態で非常に限定されております。そういったことで、もし政府がこれらを一括して何か直接的な仕事をするとすれば、非常に妙な言い方でございますが、民間の相当なところがら引き抜きをしてまいって集めませんと、相当なレベルの技術者をそろえて仕事をするというようなことにはなかなかなりにくい、こういったようなのが実際の実情でございます。せっかく民間でそういった面が育ってもおりまするし、政府政府なりにやはりそういった面の技術者の養成を努力をいたしておりますが、こういったことから考えまして、あまり民間のせっかくの努力を阻害をしてまで政府にそういった部局を設け、あるいは研究機関を設けることはやはり問題があるのじゃないか。こういうことから、アイデアとしては私どもの内部にもいろいろございますけれども、実際問題としてなかなかそれが実らないと申しますか、実行に移しにくい、こういうたようなのが偽らざる実情ではないかと思っておるわけでございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 はからずもそういう技術者等の不足ということがここで大きく出てきたわけです。確かにこの質、質というと失礼なことばになるかしりませんが、やはりアメリカ等に比べますと、その低さというものはおおうべくもないと思うのです。質量ともに充実をしていかなければならない。そうした場合、この技術者のそうした今後の養成ですね。政府もいま力を入れておるとおっしゃっておりましたが、どのように力を入れておるかということなんです。こういう技術者の不足というのは前からやはりわかっておるわけですね。この辺の対策について、いままで政府は力を入れてきた、それじゃその力を入れてきた状況をひとつお聞きしたいと思うのです。きょうは文部省の方来られていますか。——おりませんね。それじゃ通産省でけっこうです。その辺のことについては文部省ともよくいろいろと打ち合わせをなさっておるとは思いますけれども、具体的にひとつお聞きしたいと思っております。
  136. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私どものほうで一体どのくらいその情報技術者がいるかということを、ちょっとまず簡単に御説明をしてみたいと思います。  昭和四十三年、昨年の調査でございますと、いわゆるシステムエンジニアと申しますか、高級なほうのエンジニアが全国で大体七千五百名程度おるものと思います。それから見ますとやはり一級下になりますが、プログラマーと称するグループの技術者、これがほぼ一万名、合計いたしまして大体一万七千人から一万八千名くらいというのが全国におります。こういういわゆる技術者と称するものであります。それからもう一つ、これはアメリカではじゃどのくらいおるかということで、アメリカのある種の報告書を調べておりましたら、その中にあります人数として、これは六六年、ちょっと古い人数でございますが、アメリカではシステムエジニアが約三万五千名、それからプログラマーと称するものが約八万人、このくらいの人数がアメリカにはおるというのがある報告書に出ております。  将来情報化というものを進めてまいりますには、どうしてもこのシステムエンジニア並びにプログラマーというものを格段に強化をしてまいりませんと、実際の需要には合わないことは当然でございます。そこで、文部省にもお願いいたしまして、学校教育の面からぜひその養成をお願いしたいということで、昭和四十五年度におきましては、六大学等における情報工学科の新設、こういったものを文部省では考えていただいておるようでございます。おな高等学校教育等の面におきましても、これから先十分考えていきたいということで、文部省の中に関係の検討機関を置きまして、今後そういうものをどうしてふやしていくかということで、現在もなお検討を行なっていただいておるという実情でございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 アメリカと比べますと格段の差があるわけです。いま文部省としていろいろ具体的に検討なさっておると先ほど答弁があったわけですが、いま考えておる段階でもないと思うのですね。もう踏み出さなければならぬときなんです。それでもおそいくらいなんです。その辺の実際の実施といいますか、その辺のところが非常におくれておると思うのですね。ですからこれは相当文部省とも話し合いをやってもらって、やはり応急な対策をとらなければならぬと思うのですね。場当たり的に内容のない教育じゃまずいですけれども、その辺の話し合いをやってもらえるような段階になっておるということでなくして、もっと積極的にやっていかなければ——これからどんな産業でもシステム産業になってくるわけですよ。そうなってくればやはり膨大な情報量というものが出てくるわけです。そうなってくれば、またそれを処理していかなければならないし、もうこれは焦眉の急ですよ。いままでのような遅々とした対策では、私は手おくれだと思います。抜本的な対策を立てなければならない、こう思うのです。その辺さらに、話し合いはわかりますけれども、抜本的にかつ急速にその対策を立てなければならない。これについてそういう自信ありますか。いまのままじゃ手ぬるいと思うのですが、どうですか。
  138. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 きょうは文部当局の関係者が来ておりませんので、私がまだ概括的なことしか承知いたしておりませんので、いずれまた十分実情を聞きまして御答弁申し上げたいと思いますが、昨年、御承知のように産業構造審議会情報部会で答申をいただきましたので、私どもとしては、これに基づきましてさっそくにも文部省にその実施方を申し入れたのであります。文部省はこれを受けていただいて、情報の処理技術教育についての部内の会議を持ちまして、これは部内だけではなくて、関係大学の方々にお入りをいただいたように聞いております。そして今後の情報処理技術者教育に関する問題点、さらにこれを具体化するための方向と申しますか、具体的施策を検討していただきまして、その結果が、昭和四十五年度におきまして、いま申し上げたように、六大学等における情報工学科といったものができるという結果になってまいっておるように聞いております。  なおこの問題は、いまお話しのように、今後の情報化社会に対応いたしますための基本的な点でございますので、私どもといたしましても、今後とも十分連絡をとり、また文部省関係に必要な、私どもとしてのできることはいたしまして、密接な連絡のもとに可能な限りの推進をはかってまいりたいと考えております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国はいままでソフトウエアに対するそうした評価ということは非常に低かった。それについて、この資金の貸し付け等、手を打たれた具体的な第一歩であると思います。  それはそうとして、まだまだそうしたソフトウエアの評価というものが私は非常に低いんじゃないかと思う。したがってやはりそういうソフトウエアの評価を確立しなければならない、そういうときだと思うのです。そういうソフトウエアの評価の確立、その辺についてのあなたの所感。  それともう一つお聞きしたいのは、アメリカ等の現状を見ますと、アポロ等が一段落をいたしまして、そうしますとその次にはどういう方向に向いてくるか。海洋産業とかいろいろそれはあるわけですが、当然おくれた諸外国に目を向けてくることは間違いないと思うのです。そうした場合、当然、日本もいま一生懸命やっておりますけれども、やはり日本なんかは非常に魅力のある市場ということになってくる。そうすると、やはりそういう面における外資の攻勢ということも始まってくる。そこで、この外資のそうした攻勢に対して、どういうような歯どめというものをこういう分野において考えておるか、その二点についてお聞きしたいと思っております。
  140. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 こういったような、いわゆる知的労働の産物と申しますか、従来ノーハウというようなことばでも呼ばれておりましたし、いま議題になっておりますようなソフトウエアでございますので、この評価のしかたというのは非常に問題がございます。アメリカでも、実はこういったものの評価基準と申しますか、これはまだ確立をしていないというふうに聞いております。従来は、コンピューターの場合で申しますと、コンピューターと、それに使いますいわゆるソフトウエアあるいはプログラムというものが、一緒になりまして幾らということで取引が行なわれておったわけでありまするが、最近に至りまして、IBMは特に、このソフトウエア面だけ切り離してソフトウエアだけ売買をするということを考えておるというふうに、私はIBMの担当者から聞いております。ただその場合に、一体ソフトウエアをどういうふうに評価するかということを私ども聞いたわけでありますが、これはもう非常にむずかしい問題で、IBM自身としてもなお今後検討しなければならぬが、方向としてはハード、ソフトを分離して今後は値段をつけて売っていくということを考えてみたい。それもアメリカの国内でごく一部限られた面から実は試験的にやってみたい、こういうことも言っております。  こういったことから、日本におきましても、漸次そういったソフトウエアの重要性が高まってまいりますにつれて、やはりこのソフトウエアの評価問題というのは浮かび上がってまいると思っております。現状ではまだ注文生産といったようなことでございますので、いわばコストを中心にした価格構成というのが通常の例でございますが、今後は、こういったものが一般的に使われるもの、あるいはプログラムパッケージといわれておりますが、いわば見込み生産的につくられて一般に売り出されるものといったようなものが漸次出てまいりますと、これをどう評価するかというのは非常に問題でございます。私どもも、今後これについては十分な検討も加え、またこの事業協会自身もそういった面にタッチをいたしまするので、この事業協会調査活動の一環として、協会自身においてもひとつ検討さしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。  それから第二の点の、アメリカのポストアポロという問題でございますが、これは私どもも、ポストアポロでアメリカのこういった情報エンジニアが一体どういうふうになるだろうかということは注目をいたしております。ただアメリカにおきましても、もちろんこれから先、社会、教育、医療、法律、裁判、その他全般にわたりまして情報化が進んでまいります。そういう需要はまだまだアメリカでも十分満たし切れていない。いま、アポロでありますとか、あるいは向こうの軍事計画であるとかいうようなところに集中的に使われておりますが、一般の民間の活動にはまだまだ不十分な点があろうかと思っております。そういったことから、必ずしもまだこういったものについての適応性を十分持っていない日本に対して、すぐこれが外資攻勢として飛び出してくるということにもならないとは思いまするが、いずれにいたしましても、日本のこういった現況は、先ほどもエンジニアの数で御説明いたしましたように、まだ揺籃期と申しますか、たいへん未熟な時代でございますので、私どもといたしましては、こういった面における外資というものにつきましては、今後簡単にこれを許していくということにはいたしかねる。申しますれば、この面については当分非自由化業種ということで、私どもは国内のそういった面の育成強化に専心をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 アメリカ等でもかなりそうした評価ということは固まってきておるようでありますけれども、実際の問題になれば判例等で解決していく、こういうようなことになっているわけです。ですからこの評価を確立をしなければ、当然そこに保護という問題が出てくるわけですし、流通の面でも大きな支障を来たしてくる。御承知のように、特許法あるいは著作権法あるいはノーハウ、いろいろなことでそうした点の保護ということがあるわけですが、こういうソフトウエアの面についての保護ということがはっきりしておらない。結局それが評価の確立がなされておらない最大のネックだと私は思うのです。ですからもう一歩進んで——もちろん、その根本のことが確立できていないのだから、しかたがないと言えばしかたがないかもしらぬけれども、要するにそういうことの段階じゃないとぼくは思うのです。ですから、そこでその保護を今後どう考えていくか。当然重なった問題でありますが、それをまずお聞きしたいと思います。──大臣来られたのですね。それでは私また質問しますから今度答えてください。大臣お見えになりましたから、この際やめます。      ————◇—————
  142. 八田貞義

    八田委員長 この際、昨日の大阪市におけるガス爆発事故について政府より説明を求めます。宮澤通商産業大臣
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昨八日、大阪市大淀区天神橋六丁目付近におきまして、ガス爆発事故発生いたしました。多くのとうとい人命が失なわれ、また多数の重軽傷者が出ましたことは、まことに遺憾にたえません。このたびの事故でなくなられました方々の御冥福をつつしんでお祈り申し上げる次第でございます。  昨晩おそく東京をたちまして、夜半までに現地に参りました。公益事業局長を伴いまして現場に参りまして、実情を視察し、また説明を聞きまして、事故原因の究明に当たってまいりました。なお、その後不幸にしてなくなられました方々に哀悼の意を表しに参りましたわけでございます。  事故の概況でございますが、事故現場大阪の大淀区長柄国分寺町十五番地先市道におきまして、大阪市施行の地下鉄二号線の工事現場でございまして、昨日の夕刻に発生したものであります。現地事故発生の前後について調べましたところでは、午後五時二十分ごろにガス漏れが発見されまして、直ちに周辺の人からそれが関係機関へ通報されました。  事故は、これは地下鉄の工事がオープンカットで行なわれておりまして、したがって地表から二メートル五十センチくらいのところに埋められておりました直径五百ミリメートルの鋳鉄管、これがオープンカットで工事を行なうに伴ってつられた形で、つり防護の状態になっておるわけでございますけれども、そこから何かの原因ガスが漏れ、また何かの原因でそれが引火、爆発して惨事を起こしたものでございます。しかし、この原因の詳細につきましては、今朝から大阪府警並びに消防において取り調べを開始いたしましたので、その結果を待たねばわからないところが幾つかございます。  被害の状況は、本日九時五十分現在の大阪府警調べによりますと、死者七十一名、重傷者百六十五名、軽傷者百十七名ということになっておりますが、昨晩以来、はっきり人員についてつかめないような要素がかなりあるようでございまして、大阪市の消防当局の調査と、ただいま申し上げました調査とは、多少食い違っております。しかし、死者の数につきましては、七十一名というのが、今朝十時ごろの調査でございます。調査いたしましたあと大阪の市役所におきまして、市長をはじめ市当局、それから中央の出先官庁の長、並びに東京からかけつけました各省の係官とともに、第一回の対策会議を今暁までいたしました。なお、政府において対策協議会を総理府に設けるという知らせを受けましたので、その前提のもとに、関係者政府に対して特に緊急に要望すべき事項があれば、できるだけ早く知らせてもらいたいということを伝えておきました。今朝根本建設大臣が到着いたしましたので、おそらく今日昼前に、根本建設大臣参加のもとに、この会議の第二回目の会議が開かれておるというふうに考えております。  なお、本日政府におきましては、関係行政機関をもって大阪ガス爆発事故対策連絡本部を総理府に設けることを決定いたしました。通産大臣をその本部長に任命いたしたわけでございます。  私といたしましては、今回の事故について考えますと、昨年板橋で類似の事故発生したことでもございます。その後、通産当局といたしまして、保安につきましては極力努力をし、また関係者の注意も促し、導管の防護対策につきましては、過去数カ月にわたって学識経験者の会議を開いて、その答申を得まして、その趣旨をこの二月に再度通達いたしたところでございました。全力を尽くしておるつもりではございましたが、しかもこのような事故発生をしたということは、まことに申しわけないことであります。ことに、ただいまこの時点でも同じような工事が各地で行なわれているのでありますから、緊急に、従来の指示なり、あるいは行なわれておりますことをさらに強化する方途によりまして、とりあえずの再発を防ぐ。なお、新法によりまして、さらに保安規程などの強化もはかってまいりたい、かように考えておりますが、まことに申しわけないことと存じます。
  144. 武藤嘉文

    ○武藤委員長代理 質疑の申し出があります。順次これを許します。中村重光君。
  145. 中村重光

    ○中村(重)委員 大災害においてとうとい生命を失われた方々に、あるいはまた負傷せられた方々家屋を倒壊という不幸な事態に直面された皆さん方に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、一日も早く全快されることをお祈りをいたしたいと思います。  大臣は、さっそく現場におもむかれて、お見舞いなりあるいは調査をされたことに対しまして、心から敬意を表する次第であります。だが、お帰りになりまして、総理報告をされるのは、これは当然でありましょうけれども、その後引き続いて本委員会に御出席になって、ただいまのような事情説明をされるとか、あるいは質問を受けられるという態度をおとりにならなかったことに対して、どのような事情があるかは知りませんけれども、非常に遺憾に思います。  本会議が二時から始まりますので、本会議後に質問をいたしたいと思います。保留いたしておきます。
  146. 武藤嘉文

    ○武藤委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後一時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時十九分開議
  147. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公益事業に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。中村重光君。
  148. 中村重光

    ○中村(重)委員 事故発生原因については目下捜査中であろうと思いますから、そのことはお尋ねしませんが、大災害発展をしたことについてはいろいろと報道されておりますが、大臣現場においでになって、どうしてあのような大災害発展したのかということについて感じとっておられると思います。端的にひとつお答え願いたいと思います。
  149. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、御承知のように、いわばかなり繁華なと申しますか、人口の密集したところであったということが一つであろうと思います。次に、ガス漏れがあるということが非常に爆発に転化しやすいということについて、一般に十分に認識されておらなかったことがあるのではないか。と申しますのは、私が最初に心配いたしましたのは、このオープンカットの中で働いておりました現場人たちが一番なくなったのではないかと考えておりましたところが、それが意外にそうでございませんで、むしろ死傷の率が少のうございました。おそらくこれは、現場人たちガスのにおいをかいで退避する時間があって、しかも退避をしたということであったろうと思いますが、そういう認識に比べますと、その周辺に住んでおる人、あるいは通行の人たちが、これはひょっとしたら爆発するかもしれないという認識を、専門家ほど十分に持っていなかったのではないかと思われる点でございます。  それから、警察当局は、通報とともに比較的早く現場に到達しておりましたのですが、結果論としては、その数が少のうございましたために、群衆が近寄ることを阻止できなかった。逆に申しますと、非常に多くの群衆がおったということになるわけでございます。阻止できないのみならず、その少数の警察官のうちに重傷を負った者があったというようなことで、立ち入り禁止の区域を手短かに、しかも強制的に設定するだけの警察力というものがにわかには集め得なかったし、また、それがなかったために、周辺におりました人は、やや爆発というものを十分に考えずに現場の近くにおった、このようなことが原因ではなかったかと思っております。
  150. 中村重光

    ○中村(重)委員 大阪瓦斯の作業員が、爆発の危険があるということはわかっておりながら、付近の者に対して避難をさせなかった。また、火が出ているので、何だ、何だといって集まってきた大衆に対して、危険だからということでそれを避難させるという措置をとらなかったということも伝えられていますが、その点いかがですか。
  151. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは関係者がなくなっておられますので、何ともわからないことでございます。のみならず、爆発前に火があったのかなかったのかということも、必ずしもはっきりいたしておりません。多くの関係者の話は、自動車の到達前に多少ではあるが火があったといっておりますが、しかりとすれば、ただいまのような御疑問が出てまいりますが、実はこれは確かめる方法がないということではないかと思います。
  152. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ、いろいろ作業中にガス漏れがあった、また、ガスの工事ということになってまいりますと、当然そのようなことが考えられる。そのような場合は、ガスが漏れると空気中に拡散をいたします。その濃度が爆発点に達するというような場合、これは当然それに対する措置がなされなければならない。したがって、絶えず検知がなされて、そしてその濃度を測定をしていかなければならぬ。それがなされていなかったということが伝えられている。それらの点については、あらためてお尋ねいたしてまいりますが、いずれにいたしましても、多数の死傷者を出したり、家屋を焼失したということは、これは現実の問題となってまいりましたが、これに対する補償措置はどのようにおとりになりますか。
  153. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いずれ、取り調べのいかんによりまして、刑事、民事の訴訟が行なわれるのではないかと想像されますが、実は今朝、私が公益事業局長現地に残してまいりました一つ理由は、そういう法律上の観点はともあれ、主たる関係者一つ大阪市という公共団体であり、一つ大阪瓦斯でございますから、両者においてどのような、法律的な意味とは多少異なるかもしれませんが、償いができるか。ともすれば責任を回避しやすいようなできごとでございますので、そのようなことのないように、共益事業局長が私的の立場において、両者に対して、私の意をくんで、両者が協力をして善後措置を考えるようにということを実は勧告させますために、現地に残してまいりましたので、関係者がそのような気持ちで善後措置に当たられることを、私としては希望をいたしておる次第でございます。
  154. 中村重光

    ○中村(重)委員 東京瓦斯の板橋のガス爆発事故の際、当委員会に参考人として、鹿島建設であるとか、あるいは東京瓦斯、その他東京都の関係者に来ていただいていろいろ事情を伺ったわけです。私ども現場に行きまして調査をいたしましたが、端的に申し上げると、東京瓦斯というのは、ガス爆発ではあったが、ある意味においては被害者の立場に立つというような考え方を持っておるやに、私ども感じ取ってまいったのであります。それというのは、地下鉄工事が行なわれましょう。それに伴ってガス管の移動工事というものがなされるわけですね。そのガス管の移動工事に対しましては——これは、当然ガスについては都市ガス業者が保安責任を持つわけですけれどもガス管等の移設工事と申しましょうか、移動工事と申しましょうか、そのような場合、保安責任者が、それに対しての発言権というのか、あるいは監督というのか、そのようなことをする立場にないということです。それがやはりこの事故を引き起こしてくる原因一つであるというように私ども感じておるわけであります。ところが、そういったことで事故が起こって、罹災者に対するところの損害を補償するというときに、実はこのことが問題になってこようかと思うのであります。それは大阪瓦斯が責任者で、事故発生に対する責任を持つことになるのかどうか。あるいは被害者的な立場に立つというようなことを主張するかもしれません。地下鉄工事その他工事に基づいて責任を問われれば、いやそれは自分は知らぬ、そう言うかもしれない。そうなってまいりますと、責任のなすり合いということになってまいりまして、結局は被害者がたいへん迷惑を受けることになってまいりましょう。特に今回の大阪事故の場合は、これは地下鉄工事でもって、かたい鉄板であるとか、あるいは敷き石で張っておる、それが爆発によって飛び散った。そして、そこを通っておった人がトンネルに落ち込むとか、あるいはあっちこっちに吹き飛ばされて、たいへんな被害を受けた、死傷するという結果になった、こういうことでございますが、そうなってまいりますと、私は、道路管理者というものが当然追及されるのではないかと思います。  そこでこれは、大阪瓦斯であるとか、あるいはまた、地下鉄工事をやった請負業者等の責任であるということだけで、事足りるということにはならぬと私は思う。やはり国としてどうするのか。これは大阪市が責任を持つという形になってくるのかどうか。いずれにいたしましても、通産省としてはこれに対するところの責任を持つ立場になろうと思いますから、国家賠償という形になるのかどうか。これは積極的に、この罹災者に対するところの補償措置というものをすみやかに行なわれるようにしなければならぬと思います。その点に対してのお考えはいかがでございましょうか。
  155. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 直接の関係者として考ええられます者は、確かにただいま御指摘のとおり、工事発注者としての大阪市、それから道路管理者としての大阪市——これは市道でございます。したがって、管理者としての大阪市、それから大阪瓦斯、工事施行者、こういうことになろうかと思います。  そこで、私がけさ申し残してまいりましたことは、法律上のいろいろ問題というものはかなりこんがらかるであろうし、また長くかかることが多うございますが、ともかく幸いにして、市であるとか、大阪瓦斯であるとかというものはかなりの力がございます。また、施工業者もある程度の力はあるようでございますから、ともかく関係者が一致してこれについて道義的な責任は少なくとも感じるという立場から問題を考えていかれたらどうかということを申したいために、そういうことを申し残してまいりましたのですが、なお、これらのことにつきまして、ただいま国の問題についても御言及がございましたが、先ほど申し上げました今度の事故対策協議会、総理府に設けられました協議会でございますが、ここでまず最初の一つの検討すべき大切な問題になるであろうと考えますので、実は最初にそれを検討いたしたいと思っております。
  156. 中村重光

    ○中村(重)委員 最初に検討されるということでございますけれども、時間は相当かかるだろうと思う。そこで、とりあえず弔慰金であるとかその他補償についてどのような措置をおとりになりますか。
  157. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、先ほど申し上げました関係者が私の望むような気持ちになられるかどうか、それが第一であると思います。  国の問題につきましては、いろいろ関係各省もあることでございますから、協議会でよく協議をいたしませんと、私一存で申し上げかねるわけでございます。
  158. 中村重光

    ○中村(重)委員 板橋の事故の際も、通産省がどのような措置をおとりになったのか知りませんけれども、とりあえず、いわゆる補償措置というか、慰問措置というか、相当な金額を支出されておるわけです。ですから、大臣みずから昨夜現場においでになった、その措置、態度を私はよろしかったと思う。だから、とりあえずどうするのかということについても、電光石火ひとつ対策を講じられる必要があるということを申し上げておきたいと思います。  なおまた、ガス事業法の審議の際に通産省から提出されたこの都市ガス事故、それが非常に多い。LPガス事故より非常に高い。しかも運搬中の事故である。当然導管のガス漏れによるところの事故であろうと私は思うのであります。その点大臣、検討されて措置されておるとは思いますが、それらの点、注意を喚起いたしまして、その他いろいろ問題がありますから、あらためてひとつお尋ねをしてまいりたい、このように考えます。きょうは同僚議員の質問がありますから、これで終わります。
  159. 八田貞義

  160. 横山利秋

    横山委員 私も簡潔に伺いますが、いま中村委員のいろいろな質問の中で、私は特に感じましたのは、措置よろしきを得ばかくも被害が多くならなかったにという反省であります。そういう感じがいたします。たとえば発見されてから所管のところへ通報するのに時間がかかり過ぎるのではないか。あるいは、これが事実かどうか、これから念査されるのでありますが、修理のために来た自動車を動かした、これによってスパークができた、それによって火がついたのではないかという疑いで、もしもそうであるとするならば、まことに情けない話である。第三に、防護体制というものが不十分きわまるものであった。工事関係者の被害が少なかった、多くの市民の被害が多かった、これは何を一体意味するであろうか。それも事実をきわめなければわかりませんけれども、工事関係者がこれはあぶないと思ったら、なぜ一体市民に対して緊急措置ができなかったであろうか。また市や警察が、直ちに避難措置というものがどうしてできなかったであろうか。きのうの晩テレビを見ておりましたら、あるおばさんは、これはいかぬと思って店の鉄板をすぐおろしました、私のところだけはだれも何ともありません。これはきわめて賢明な奥さんだと思うのであります。市民に対するガスというものの危険ということに対する日ごろの措置ができていなかった。それから、見てみますと、たくさんのお医者さんへかつぎ込まれて、そうして軽傷者は、私あとにしましたと、こう言うのですね。都市におけるこの種の救急体制というものが、いざというときに動かないような結果になっておるということが考えられる。それから、大体ガスは漏れてはならぬのでありますが、現状においては方々で漏れるわけであります。その工事の安全基準、工法の安全基準とでも申しますか、そういうものがどうも不十分ではなかったか、これらの累積の上に今回の被害があると思われる。もしもこの中の一つ、二つ、あるいは全部が十分にできておったならば、ガスは漏れた、しかしかかることはあるまいにと思われる。  それから最後に、いまでも私は不思議に思うのでありますが、被害者の、たとえばなくなられた人の数が情報によってきわめて違うということであります。こういうことは、緊急の際、わあっとなっておる際でしかたがないだけでは済まない問題である。いやしくも人が死んだのでありますから。それが九十九人といい、九十三人といい、九十一人だという。政府の御報告を見ても、朝は七十六人、大臣がおいでになれば七十一人だ、これはいささか軽率にすぎはせぬかというような感じがいたします。この種の問題が勃発をいたしました際における役所の扱い、協力体制というものについてもいかがなものかと思う。事が起きた、ガスが漏れたことによって、これらが累積してここまで大きくなったということを私は痛感するわけであります。私の質問は、ほかの方もありますから、この問題についてのみ大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
  161. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まず、最初の通報、それからガス会社の処置でございますけれども、このたびの場合は、私の調べました限りでは、ガス会社の修繕車がほぼ十数分の間に到着をしておりまして、これは多少偶然の事情もあったようでございますけれども、まず処置としてはあまり非難のできない早さではなかったかと考えております。  それから、警察に対する通報は、事故が起こりまして十分ぐらいで市民からあったそうでございます。したがって、警察はすぐに人員を派遣したわけでございましたが、これが避難の問題と関係がございますので、意外にたくさんの人がその周辺におりまして、少数の警察官で立ち入り禁止区域を設定するというようなことがとうていできないような状態であったときに爆発が起こった。警察官自身も実は重傷を負った、こういうことであったように思います。したがって、この点は横山委員の言われますように、ガスというものは爆発発展する危険が相当高いんだということについて十分周知徹底をさせる私どもの努力も、実は足りなかったのではないであろうか、こう考えております。なお発火の原因が何であったかということにつきましては、自動車がイグニションを入れたということであるという説と、むしろ現場におりました多くの人は、それより前に火が少しずつ燃えておったということを言っておる人のほうが多うございます。これは究明に待ちたいと思います。  それから、救急体制でございますけれども、何ぶんにもこれは罹災者の数の推定とも関係いたしますが、二十幾つの病院に収容いたしました。このことが、近くに大きな病院があって全部というわけにもいかなかったので、その結果、罹災者の数等もいろいろ重複計算されたりしたわけでございますが、まあこういうことを申してよろしいかどうか、現場におりました私の印象から申しますと、何ぶんにもまっ暗であり、どこにだれがいるかわからぬというような実は状況でございました。また、遺体の収容されております寺に弔問に参りましたが、そこにもそういうようなことがございまして、ある程度の混乱は避けられなかったのではないか。これは御批判ごもっともでございますけれども、そのような印象を私としては持ったわけでございます。  それから安全基準の問題、これは非常に大切な問題でございますが、確かに今度のように他工事で埋設されておる導管に影響が及ぶというような場合には、工作物としてのその導管をつるにしても、やぐらで受けるにいたしましても、その受け防護あるいはつり防護の強度なり基準なりについて、従来十分な規制規定がございません。これは私は一つ反省すべき欠陥であると思います。それは工作物基準についての欠陥でございます。それから保安基準につきまして、少なくともこの程度の頻度でガス漏れのチェックをすべしというようなことにつきましては、従来指導によってやらせてはおりますけれども、保安基準というものを、こういう他工事の場合にも事前に国に出させて、それに対して国が改善命令ができるというようなところまでは、従来の法律ではできなかったわけでございます。新法ではこれができるようになりますが、これらの点の法制の欠陥については私ども反省もいたしておりますし、また、幸いにしてこのたびの新法によりまして整備ができますので、速急に整備をいたしたいと考えております。
  162. 横山利秋

    横山委員 私はこの際希望を申し上げておきたいと思うのであります。  私の申し上げた救急体制というものは、たとえば一人の人が交通事故でけがをする、それに対する救急体制はわりあい整備をされてまいりました。しかし、大規模事故についての救急体制というものは、まだ整備されていないのであります。かつて国鉄で、新幹線が脱線をしたらどのくらいの死傷が出、どういうような結果になるかということについて、その机上演習をやるという話がございました。国鉄は、新幹線の信用のためにもあまりそういうことは好ましくないといって、えんきょくに断わられたことがあるそうであります。そういうことは、私は何も新幹線の信用を害する問題とは筋が違うと思うのであります。今回のような、この累積をした原因によってたくさんの死傷者が出たと私は思うのでございますけれども、こういうような場合に、国、県、市あるいは民間の医療団体あるいは地域市民の協力というものを含めた、都市におけるこの大規模事故の救急体制についての机上演習とかあるいは想定演習というものは、この機会に考慮をする必要があるのではないかということを私は痛感するわけであります。めったにないことであるけれども、さて事が起こってみると、各省がそれぞれ担当者を派遣する、それぞれの立場において議論をするということであって、何か大規模事故の救急体制についての一つのルール、むずかしい話でありますが、官民を通ずるルールというものが、拠点及び被害が想定されるところについてそういう問題があるべきではないかという感じがいたします。私の希望でございますが、大臣の御意見を承って、私の質問を終わることにいたします。
  163. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かにそういう点につきましては、まだまだはなはだ欠くるところが多うございます。どこに退避をすべきかということぐらいは、大都市ではやはりきめておかなければならないことでございますが、まだまだ不十分でございます。関係各方面とも十分協力をして、そういうものを育てていかなければならないと思っております。
  164. 八田貞義

    八田委員長 中谷鉄也君。
  165. 中谷鉄也

    ○中谷委員 一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  こうして持ってまいりましたのは、前回の板橋ガス爆発事故のときのファイルでございます。当委員会においてずいぶん詳細に、かつ二度とこういう事故は起こらないようにという立場から、板橋ガス事故については私たち論議をいたしました。また事業法も成立した。こういう中で、いまだかってない空前の事故が起こったということについては、やり切れない気持ちがするわけなんです。そこで私は、本部長としての通産大臣に特にお願いをいたしたいと思いますし、また要望いたしたいのは次の一点です。  要するに、原因の究明をやっていくという場合に、何としても筋を通すという立場からは、刑事責任がどこにあるかということを追及しなければならないことは言うまでもありません。なお、民事的な責任がどこにあるかということも明確にされなければなりません。しかし、それだけでは事故の防止にはならない。板橋おときに、刑事責任、民事責任がどこに、あるかということをかなり徹底して分析をいたしましたけれども、再びこういう事故が起こった。要するにそれが法律的な責任につながらないとしてでも、一体どんなことが事故原因になっただろうか、どんなことが事故に影響を及ぼしただろうか、こういうことを主として責任を追及ということになってきますと、警察が中心になって刑事責任の追及、あるいは民事責任の追及にしぼられがちだと私は思うけれども、そういうことでは私は事故が繰り返されると思うのです。ありとあらゆる立場から、この機会に、ひとつ安全性の立場からの解明というものを、ほんとうに私たちは残念な今度のできごとの中ですることが、私たちの責任だと思う。それについての御所見を承りたいと思うのです。たとえば群衆心理学なんというものをひとつ徹底的に導入してみて、群衆──むずかしいことをいえば第一次群衆、第二次群衆というような群衆があるらしいのですが、そういう群衆に対するところの措置を今後どうすべきかというような問題。たとえば、工事契約以来の働いておったところの勤労者の人が、どの程度の疲労度を持っておって、注意力を欠くようになったか。何もそのことが責任があるとかないとかということは関係なしに、ありとあらゆる角度から、ひとつ原因の究明といいますか、安全性の立場に立ったところの究明をこの機会にやっていただきたい。これが一点であります。  それから、いま一つ同じような要望をいたしたいと思いまするけれども、再開発される都市の上にわれわれはこうして住んでおる。まさに原子爆弾の上に住んでいるようなものだ、こういうことを私、最初にこの商工委員会に籍を置きましたときのガス爆発事故のときに、先輩の議員が発言をしたことを聞いております。四年前であります。まさにそういう状態がさらに倍加されてきておるということを考えてみますと、きょう、あるテレビが、ひとつガスの工事をやっておる関係者たちが一日仕事を休んで安全性とは一体何だろうか、かりに事故が起こった場合にどういう措置をし、どこにどういうふうに連絡をしたらいいだろうかということを、一日考えてみたらどうだろうというふうな呼びかけをいたしておりました。だから、ひとつ政府としても、対策本部長としても、通達を建設省がお出しになる、通産省が何か新しいさらにこういう点に注意をしなさいというような通達を出すのではなしに、こんなに大ぜいの人命が失われたこれを機会に、現在ガスの工事をしておる現場が半日でもいいから休んで、もしかりに事故が起こった場合に一体どうするのだということを考えることは、そのことによるデメリットと今後の安全性を確保するという点のメリットを比べると、私は問題にならないほどだと思うのです。私はこういう点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
  166. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 原因につきまして、刑事、民事の問題を離れまして、群衆心理あるいは労働科学による疲労度の調査等々というようなことも大切なことである。また、案外こういうことが一番大切なことであるかもしれないというふうに考えております。  私どもといたしまして、ガス行政を監督しております立場から、さしずめ私が感じておりますことは、これは今回の原因究明の結果、案外ポイントでないかもしれません。それはそれに待たなければなりませんが、さしずめいま思いますことは、板橋の事故と今回の事故との共通な点は、いわゆるよその工事との関連ガス漏れが生じたという点であります。いずれの場合にも、長いこと地中に埋設されてある安定を得ておったであろうガス管が、工事によって片方はつり防護、上からつられたわけであります。板橋の場合には、御承知のように、埋め返しのときに下からやぐらで受けられたわけであります。それらは、従来の埋没された安定した状態と同じ状態ではないはずであって、それが両方に共通な原因だったのではないか。これは想像でございますけれども、そういう想像ができます。そういたしますと、私どもとしてどういうことを注意すべきかといえば、つる場合あるいは受ける場合に、そういう工作上の基準というものを設定をして、それについて届け出をさせて、必要があれば改善命令を出せる、こういう体制をとっていくことが必要であろうと思うのでございます。  それからもう一つ、そういう工法で工事をいたしますときに、保安上の観点から、ガス漏れをしばしば、しかも正確な方法でチェックをする。それは工事施行者、事業者、ガス会社共通の義務でありますけれども、これは三者の義務というのは、おのおのが自分の義務と考えにくいような点がございますから、共同体制をとらせるといったような、そういう保安上のプログラムを、これも同じく届けさせて、悪ければ改善命令を出す。これらの点は、ことに新法ができましたのでこれからできますので、行政で改善できる点である、こう考えております。  なお、御参考のために申し上げますけれどもガス会社の責任者の語るところでは、今回ガス漏れの起こりましたわずか小一時間前に、その場所の点検をしたと言っておるのであります。そうだとしますと、その点検の方法が適当であったのかという問題を生むと思います。総じて、最後に御指摘になった点でありますけれども、板橋の場合にも、今回の場合にも、関係者はすべてこういう工法は長いことやってまいりまして、かつて間違ったことがございませんから、われわれの責任ではないはずだというような主張をされますが、それはやはり一種のマンネリズムだと私は思うのであります。世の中の環境が変わってくれば、いままでなかったことが起こり得るのでありますから、そういう意味でのマンネリズムに警鐘を鳴らす意味で、現在施行中の工事に対してひとつ総点検をお願いしたい、こう私は考えております。
  167. 八田貞義

  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の事故によりまして七十一名の方がなくなられました。心から御冥福をお祈りしたいと思っております。  今回の事故は全く起こるべくして起こった事故である、人災である、このようにいわれております。いままでガス会社も、カロリーアップなど品質の向上には非常に熱心であったけれども、安全対策に欠けておったのではないか、そのようにもいろいろいわれておるわけです。原因はいろいろ御調査なさっておるかと思います。ガス管の老朽化、あるいは重圧等によるひび割れ、あるいは工事の不手ぎわ、あるいは警備の手抜かり、あるいは各種条件として、巡回車が火を出したとか、あるいは人が集まってきたのを全然規制できなかったとか、あるいはまたガス検知器を備えてなかったとか、あるいはそういう緊急体制ができてなかったとか、いろいろなことがあろうと思うのです。そうしたことはこれから一つ一つ明らかになっていこうと思います。今回のことについて人災だという問題でありますが、その点について大臣はどう反省なさっておりますか。
  169. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私はいかなる観点からしましても、これは人災だと思います。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、直接のそうした原因、また今後の対策ということがいろいろあろうかと思うのです。しかし、もっと根本的にそうした対策を1私たちもいままで事故等を通じて、いろいろそのことは政府の方に申し上げてきたわけであります。科学技術庁の資源調査会が昭和四十年の五月二十五日に、パイプライン網の整備に関する勧告を関係省庁に渡しておるわけです。私もいまざっとこれを目を通しましたけれども、もしもこういうことが完全に実施されておれば今回の事故は防げたと思うのです。それについて大臣どう思われますか。
  171. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは共同溝に関するものと存じます。共同溝というようなことは一案であると思っておりますが、これには同じ溝に入ります他の線が、ガス管そのものが危険でないという保障を求めておりますので、もう少し科学的な研究を必要とする。しかし基本的には、新しいところは共同溝でいくべきだと思います。  それからもう一つ、いわゆるパイプそのものの質、新しさ、継ぎ手の確実というようなこともございますが、ただいま申しましたように、そのパイプを宙につる、あるいは下からささえるということで、現状に何かの影響を与えるというような技術についても、これも改善の余地があるのではないかと思います。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 都市の過密化によりまして、今後ますますこうした事故が予想されるわけです。みな非常に心配しておるわけでありますが、そこで原因あるいは再発防止について、各官房が一体となって考えるという姿勢は、いままで弱かったのではないか。今後の問題を考えていったときに、安全対策の主務官庁というのは一体どこであるのかという問題なんですが、これについてどうですか。
  173. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 どこか一つというわけにはまいりませんで、この場合でございますと、まあガスについては私どもでございます。それから道路管理者については建設省、また労働基準についてはと、いろいろございますが、要はその間の事故をなくそうという協力体制の心がまえだと思っております。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこでこれからの問題であります。これからの問題といたしまして、大都市を中心としたそういうガス管の埋設等について、全国各地のそういう総点検をやって安全対策を確立をしていただきたい、これが一点です。  それと、埋設物のたとえば水道管、電電公社関係のそうしたパイプ、あるいはガス管とか、ばらばらでどこにあるか全く手探りだ、これは工事関係者に聞いたらみな言うわけです。そういう点で統一地図のようなものの作成が急務ではないかと私は思うのです。政府のほうでその作成を、特に大都市を中心として早急になさるおつもりはあるかどうか、この二点についてお聞きしたい。
  175. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 工事関係者に言わせますと、大都市についてはある程度地図はわかっておるというのでありますけれども、どうも縮尺が違ってみたり、あるいは思わないところで非常に古い時代のものが出てきたりということのようでございます。むずかしい問題でありましょうが、整備してまいらなければならないと思います。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから総点検のことをお聞きしたい。
  177. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは私、申し上げたと思いまして再度申し上げませんでしたが、先ほども申し上げましたように、一種のマンネリズムを打破する意味で、そういう心がまえでやっていきたいと思っております。
  178. 近江巳記夫

    ○近江委員 それと緊急体制ですね。たとえば消防なり警察あるいはガス、その辺の横の連携というか、その辺のところが非常に大事じゃないかと思うのです。ですから、その辺のところの緊急体制を整備していただく。それと、今後この安全確保という点につきまして、基準の問題とかそうした点は先ほど答弁されたわけでありますが、この点は要望でありますけれども、さらに実情に即したそういうものをやっていただきたいと思うのです。それから補償の問題でありますが、これについてもどういうあれでやっていただけるか。その三点についてお聞きしたいと思うのです。
  179. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今回、警察、消防、非常によく動いてくれたのでありますけれども、やはりものの考え方としては、事後的なことでなくて、予防的な意味でもう少し動いてもらうことが一般として必要ではないかというふうに思っております。  それから、最後に言われました補償は、先ほどお答え申し上げましたとおり、ともかくまず関係者等、大阪市、大阪瓦斯、それから工事施行者、これらの人たちがお互いに責任をなすり合うようなことでなくて、基本的に考えてもらいたいということを、私の意思として実は伝達をいたしますために、公益事業局長にきょう関係者を歴訪させております。さしずめそういうことで進んでまいりたいと思っております。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、もう時間がありませんので、今後こうした事故発生しないように万全の対策をとっていただきたい、これを強く要望して、終わります。
  181. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  182. 川端文夫

    ○川端委員 たいへん大臣には御苦労さまでした。昨晩からの大きな災難に対して、なくなられた方、けがされた方に心から弔意と慰問を申し上げたいわけですが、特に補償という姿になれば、先ほどから言われているように、いろいろ問題も残ろうと思いますから、補償というよりは、このような大惨事の中に犠牲になった人々に、政府としては何がしかの慰問を申し上げる。遺族なりけがをした人々に慰問を申し上げるぐらいのことは、とりあえずやっていいのではないかと思うのだけれども、そういう用意をされているかどうか。特に大臣は、お帰りになって総理大臣報告されていると承っておるわけですが、そういうことに対して総理大臣と何かお話し合いがあったかどうか、お聞かせ願いたいと思う。
  183. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先刻も申し上げましたように、第一回の対策会議を開きますときに、それが一番最初に出てくる議題になろうかと思います。国会のほうの御発言にあらわれましたお考えもいろいろ伺いながら、政府部内でも検討をしてまいりたいと思っておりますが、ただいま私限り一存で何とも申し上げられないというのが事実でございます。
  184. 川端文夫

    ○川端委員 原因に関しては、明日私も調査団の一員に加えられていますから、ここで多くを申し上げるよりは、とりあえず慰問の問題に重点を置いて──まあ補償ということになれば、原因の責任の所在が明らかにならなければ、なかなか補償の問題も困難があろうと思うけれども、ぜひともその点はひとつ十分な配慮をできるような処置を考えていただきたいと思います。  もう一つ、私はこの点に対して、去る三月十一日のガス法の一部改正のときにも申し上げたのですが、問題が起きてから責任の所在を究明したりあやまったりしておることで、人命の問題等が起きる重大な問題がひそんでいる。ガスの問題、危険物の問題に対しては、予防処置が重点的に行なわれなければならない、こういうふうに申し上げて、あの法律の審議を終わっておるわけです。私はいろんな意味において、先ほどから安全の問題で、あのときも申し上げましたけれども、公共性と私企業との関連において、ガス会社が株式会社である限りにおいては、完全な、官庁、政府の考えているようなことをできない場合があり得るはずだ、こういう場合にどういう処置をとらせるための協力、助成をするかということもあわせて考えることなくしては、単に監督だけやかましく言っておったってどうにもならぬ一面があるではないか、こういうことも申し上げておりました。まあ全部言ってしまえば、いままでの安全確保に対しての私の感じでは、目に見えるところの安全、いわゆる監督に対しては十分行なっているように思うのです。ガス製造事業所等に対しての監督は十分行なっているようであるけれども、埋没されている導管等の腐朽の問題あるいは道路の荷重の相違等で起きてきた問題に対しては、事故が起きるまで一日延ばしにされている危険が感じられてならないのであります。こういう機会をとらえて、なくなられた方や多くの人々に申しわけないけれども、災いを転じて福にするという腹がまえでひとつ抜本的な対策が立てられる必要があるのではないか。  もう一点は、この問題は、先ほどから話がありましたように、ガス会社の直接的な関係でなしに工事中に起きた問題であるけれども、今日の建設業者のあり方の中に、いわゆる季節労務者を集めて、下請あるいはまた請等によって、そういう問題で十分訓練を受けざる人々を使っているおそれがあるのではないか。こういう点も私はあした視察に行ったときに調べさせていただきたいと存じますけれども、こういう機会に、単なる個人の責任追跡だけではなくして、今後問題を再び起こさないための抜本的な形をとりたいということが私どもの視察であり、大臣もゆうべから行かれた趣旨ではないかと思うのですが、そういう用意をする決意がありますかどうかを承って、私の質問を終わりたいと存じます。
  185. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 公益事業としてのガス会社は確かに重い責任を負っておりますけれども、他面で、金融でありますとか、税制でありますとか、あるいは料金の決定にあたっていわゆる適正利潤、フェアリターンというものを保障されておりますので、私は、株式会社でありましても、十分社会的な責任をわれわれが要求するに足るだけの恩典を得ておるというふうに考えております。  それから、荷重の問題でございますけれども、これは、先ほどから申し上げますように、私ども、従来の工作物の基準あるいは保安の基準を、一般の布設のときに重点を置いて考えておりまして、このような他工事によって現状が変わる場合のことについて配慮が十分でなかった、こういう反省をいたしております。昨年導管の防護についての答申も出たことでございます。新法の発足した機会に、十分他工事の場合の——板橋の場合も今回もこれが事故原因でございましたから、それも十分考えてまいらなければならないと思います。  建設業者につきまして、今回も多少そういうことがございましたかどうか、該当地域についてどうかはつまびらかにいたしませんが、そういう問題は、確かに私もございますように感じております。
  186. 川端文夫

    ○川端委員 一言だけ。同じことですが、結局他工事の場合の何か法案の準備をせざるを得ないのではないかと思うのです。新法だけで問題が解決つくと言い切れましょうか。
  187. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 新法によりまして、工作物のあり方についてあらかじめ計画書を出させる、必要があれば改善命令を出す。それから保安についてあらかじめ計画書を出させる、必要があれば改善命令を出す。両方とも新法において他工事の場合に可能でありますから、そのように省令なり保安規程を定めたい、こう思っております。
  188. 八田貞義

    八田委員長 米原君。
  189. 米原昶

    ○米原委員 時間がありませんから、ほんの一問だけにいたします。  各委員会から出された問題点、私も同様に考えます。原因究明について、単に刑事責任、民事責任を追及するというようなことだけでなくて、もっと広い見地からこの問題の総合的な原因をひとつ考えていただきたい、これが第一です。この点はもう御了承だと思いますが。  その中で、板橋の単なる爆発事件と違って、それが非常に大きなものになってしまったという点には、非常な不手ぎわがずいぶんあると思うのですね。やむを得なかったような点もあるでしょう。いままでやってきたと同じことをやっていたんだけれども、条件が悪かったと言えるかもしれないけれども、しかし、こういうことを繰り返しちゃならぬわけですから、たとえば交通局のバスが何か事故が起こって、爆発の直前ですが、とめられた。ところが、そのバスがとめられて降りたお客がそこのほうに歩いているのですね。これはストップできなかった。これはバスをとめた以上は、あぶないところに行くのをちょっととめるのが当然だと思うのですが、そういうようなことが被害を非常に大きなものにしてしまったというような点を考えますと、ただ爆発したことだけの原因じゃなくて、それがもっと広い意味で大きな被害を及ぼしたというような問題ですね。そういう一つ一つについて、これは何も刑事責任とか民事責任を追及する問題じゃないかもしれぬけれども、そういう点も全部総合的に責任を、原因を明らかにしてもらいたい。そういうことを繰り返さないための方法を考えるように、先ほどから言われたいろいろな措置を必ず実行するようにしていただきたいということの私の質問であり、お願いなんです。
  190. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 総合的な原因につきましては、先ほどもいろいろ御指摘がありまして、私どももそう考えております。やはり高度成長というものについて、その裏になるべき保安公害といったようなことが十分重視されていなかったということを反省すべきだと思います。  それから、先ほどちょっと具体的な例をおあげになりましたが、現実に聞いてみますと、これは危険な事態になりそうだというふうに私どもがかりに客観的に考えてから、事実、事態が発生するまでに十数分の時間しかなかったらしくて、したがって警察官が到着いたしましたものの、その数において、当然非常線を張ってこれを維持できるような状態になく、他方、多くの人が、ガス漏れによる小さな火災が爆発発展する危険があるということについて十分な認識を持っていなかった、こういう二つの複合の原因であったように聞いております。
  191. 米原昶

    ○米原委員 そういう意味で総合的に考えて、そうすると、補償問題にしましても、単に狭い意味だけのいままでの補償でなくて、どういう形にするか、慰問金とかいうような問題も出ましたけれども、総合的に政府としても被害者に対して処置をとっていただきたいということです。  以上で終わります。
  192. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時十四分散会