○前田委員 この際、先ほどの
左藤委員の質問に関連いたしまして、一点について通産
大臣に御質問さしていただきたいと思います。
先ほどから、石川委員の質問にもそのような趣旨のものがございましたが、私はもう少し掘り下げて具体的に
大臣の所見を伺っていきたいと思うのです。
今度の法案で、たいへん
ソフトウエアの
ギャップを埋めることには役に立つと思いますけれ
ども、先ほど
お話もございましたとおり、
外国の
進歩は、おもに軍事を含めました
政府関係の予算で進んでおりまして、現在もなおランドの例等を見ましても、これはほとんど
政府予算というものがその大半を占めておるわけでございます。そこで、私たちといたしましては、ここでしっかり、ひとつ
ソフトウエア問題について考えませんと、
アメリカから入ってきましたシステムの考え方というものを学んでばかりおっても、これはいつまでたっても、向こうは
政府ベースの金を相当多額に投じておりますから、
ソフトウエアに関しては、
ギャップは埋まらないわけなんです。そこで、やはり
日本的な考えというものを持ったシステムというものを基本的に研究をする必要があると思うのです。しかし、そういうものを
民間にやれといっても無理な話であります。また、
外国の例においても
民間でやっておりません。したがいまして、これは
政府の金でもってやらなければならないと思うわけであります。また、基礎的な研究をしましたいろいろなもの——もちろんものによりましては、それは
外国の
技術も大いに参考にしてこれを
利用しなければならぬと思いますけれ
ども、
日本的に考えて基礎的なもの、あるいは
外国の
技術を学びましたようなものも、そういう基礎的なものの力をつけました場合において、これを総合的に応用するということも、これまた
政府の
関係の行政のものが相当あるわけでございます。まあ簡単に言いましても、公害だとか防災というような問題のシステムの問題もあるわけです。あるいはまた、最近物価の問題でやかましくなっておりまするが、生鮮食料品の流通システムというような問題もある。あるいはまた、
経済企画庁が立てております
経済発展計画に対しますシステム、場合によっては、それに対するシミュレートというような問題も出てくると思います。あるいは、先ほど来の御
指摘のありました教育の場合も、
プログラムをつくりました教育システムといったようなものを考えなければならぬ。
プログラム教育というものを中心とした教育システムを考えなければならぬ。これらおのおのみな
政府の金でやらなければできないわけでございます。
民間のほうにおいては、いわゆるシンクタンク的なものをつくろう、こういうような構想があるというように聞いておるのでありますけれ
ども、いま申し上げましたように、基礎的なものは
外国でも
政府の金を使ってやっておる。また、その応用部門におきましても、行政的なものにつきましては
政府の金を投じなければならぬ。そうしますと、やはりこれは基礎的なものと総合的なものを推進する
計画、そういうものを推進できるような基礎をつくるところの研究機関というものは必要になってくるんではないかと思うわけでございます。
この点については、先ほど西田
科学技術庁長官も、本年度、四十五年度そういうものはつくりたいという希望を持たれて大蔵省に折衝したけれ
ども、それは認められなかった。
通産省のほうも、実はシステム
技術開発調査室というものに五百万ついておりまして、四十五年度に何かそういうシステム
関係のものを掘り下げて研究しようというような考えを持っておられると聞くのであります。そのほかに
経済企画庁も
経済研究所のほうでやっておられる。あるいは先ほど答弁がありました行政管理庁、あるいは大蔵省の予算
関係、おのおのみなそういうふうなことを少しずつやろうとしておられるけれ
ども、問題は、そういうようにおのおのやっておったのでは、
政府関係の金というものが効率的に生きてこないし、また、そのおのおのの部門が総合的に各省の
分野にわたるものであります。したがって、各省の
分野にわたるものを基礎的に研究し、そうしてまた、行政の基本的なものにこれをつくって、そうしてそういうシステムを考えて、それをひとつシミュレートして、行政の予測を立てて、それをひとついろいろと修正し、政策をきめていく、こういうふうなことでやらなければならぬ
段階に来ておるのじゃないかと思うわけです。しかもそれは四十五年度に、一応科学
技術庁のほうも
通産省のほらも予算要求したというようにわれわれは聞いておるわけでございますけれ
ども、今年度それが実現できなかった。いま私たち
情報産業議員連盟の者を中心にいたしまして、四十六年にはこれをぜひひとつ実現しなければならぬ、基礎的な、総合的なものをひとつ実現しなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。これは、どうしても基本的に
政府の金を投じられるような——
政府機関でなくてもいいかもわかりませんけれ
ども、公共的な性格を持ったものをやらなければ、
外国との間の
ギャップというものが埋まることはむずかしいと考えられるわけでございます。
そういう点について、通産
大臣という立場よりか、国務
大臣という立場において、こういうものをひとつここで法案を提案されたわけでございますが、この法案は確かに一歩前進でありますけれ
ども、
わが国の
現状から見て、基本的なものを、あるいは総合的なものをこの際
政府の金でもって急いでやらなければ、たいへんおくれておると思うのです。いま
お話のありました基本法の制定についても、われわれも検討いたしておりますけれ
ども、しかし基本法という問題になると、やっぱりここでまた多少の時間的な検討を必要とすると思うわけでございますけれ
ども、しかし基本法の検討している間に、この基礎的な、総合的な研究機関というものが一刻を争うような状態になってきておる。現に
民間の中ではスタートしたいと言っていろいろな案が出ておるわけであります。しかし、それらのものでは所期の目的を達成することは困難でありまして、これはみなおのおの
政府から仕事の委託を受けようと考えているようでございますけれ
ども、そういうようなものでは、性格的にいっても基礎的な研究というものはできてこない。また、基礎的な研究と総合的な研究というものは相まってこないと思うわけで、やはり
政府が応援するところの公共的な性格を持ったものを急いでつくる必要があると思っておるわけでございます。この法案の成立とともに、
日本がいよいよひとつ
ソフトウエアの方面に大きな一歩を印するわけでありますから、この機会に、ひとつ
政府も大きく基本的な問題、総合的な問題に乗り出してもらいたいと思うわけでございます。そういう点について、ひとつ
大臣としてのお答えをお聞きしたいと思うわけでございます。