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宮澤国務大臣 輸出中小企業製品統一商標法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、
わが国の繊維工業品、雑貨工業品等の中小企業製品の
輸出は、国内にあっては人手不足に起因する生産コストの上昇により、また、海外にあっては発展途上国の工業化に伴う激しい追い上げを受けて、近年伸び悩みの傾向にあり、これらの生産にかかわる中小企業にとって大きな問題となっております。
このような
情勢に対処して
わが国の中小企業製品の
輸出振興をはかるためには、発展途上国の製品と峻別し得る先進工業国にふさわしい優良高級品を、その品質に相応した価格で
輸出し得る体制を確立することが必要であります。
しかしながら、従来、
わが国の中小企業製品は、ややもすれば仕向け国の輸入業者の
主導権のもとに
輸出されてきたために、
わが国製品独自の商標をもってする市場開拓に欠けるところがあったのであります。
本法案は、このような
わが国中小企業製品につきまして、特に品質のすぐれたものを対象として、中小企業が結束して統一商標を定め、これを海外に普及せしめることにより、
わが国の中小企業製品の優良高級品としての声価を確立し、
輸出の
振興と中小企業の
振興をはかることを目的としております。
次に、
法律案の要旨を御説明いたします。
まず第一に、生産を行なう事業者の大部分が中小企業者である貨物のうち、海外市場における声価の向上をはかるには、品質の向上と商標の適切な
使用とが特に必要である貨物を特定貨物として政令で指定いたします。そしてこの特定貨物の生産を行なう者を構成員とする商工組合等の中小企業団体は、統一商標を付する特定貨物の品質の基準、特定貨物の品質の検査を行なう機関、統一商標の
使用及び管理の方法等を
内容とする統一商標規程を作成し、主務
大臣の認定を受けることができることといたします。
第二に、統一商標を付した特定貨物は、検査機関により統一商標規程に定められた品質の基準に合格した旨の表示を付されたものでなければ
輸出してはならないこととし、これを
輸出通関に際して税関において確認することといたします。
第三に、以上のほか、主務
大臣が統一商標規程を認定した場合にその要旨を公示すること、認定の取り消し、
輸出制限の適用除外、罰則等について所要の規定を設けることとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及び要旨でございます。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、
下請中小企業振興法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
下請中小企業は、
わが国産業に広範に存在し、
わが国経済の重要なにない手として、その発展をささえてきており、今後とも、
わが国産業の高度化の進展に伴い、その役割りはますます増大するものと見込まれております。
しかしながら、下請中小企業は、受注の不安定、体質
改善のおくれ等多くの問題をかかえており、さらには深刻な労働力不足、親事業者からの合理化要請の強化等きびしい環境に直面しております。
このような
情勢に対処して、下請中小企業が自主的にその事業を運営し、かつ、その能力を効果的に発揮することができるようにすることは、
わが国経済のバランスのとれた発展を確保する上からもきわめて重要な課題となっております。
本法案は、このような
観点から、下請中小企業の実態に即して効率的に近代化の促進をはかるとともに、下請取引のあっせん等を推進することにより、下請中小企業の
振興をはかろうとするものであります。
すなわち、第一に、下請中小企業の
振興に関し、下請中小企業者及び親事業者のよるべき
振興基準を定めるとともに、これに基づき必要な指導、助言を行なうことといたしております。
第二に、
国民経済上特に近代化を促進する必要がある下請中小企業について、特別の近代化制度を創設することといたしております。すなわち、下請中小企業者が組織する事業協同組合及びその親事業者が、親事業者の発注分野の明確化、下請中小企業者の設備の近代化、技術の向上、事業の共同化等を
内容とする
振興事業計画を作成して、
政府の
承認を受けることができることとしております。
政府は、
承認した計画の実施を促進するため、金融上、税制上の助成措置を講ずることといたしております。
第三に、下請取引のあっせん、下請取引に関する苦情相談等の業務を行なう下請企業
振興協会に対して、その業務の公正的確かつ広域的運営を確保するため必要な指導、助言を行なうこととしております。
これが、この法案の提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。