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後藤政府委員 御
指摘のとおり、韓国あるいは台湾に対しまする中小企業、特に、軽工業関係あるいは非常にこまかい機械部品のようなものの進出が多いことも事実であります。主としてこれは、先ほど
先生のおっしゃいました国際分業的見地に立ちまして、現在
国内におきまする労務費の非常な高騰に対応するために、低いものは四分の一あるいは二分の一という良質でかつ安価な労働力を利用しよう、こういう見地からと考えられるものであります。
そこで、たとえば競合する場合に
二つございまして、
日本自身で近隣のそうした低賃金の国で製品をつくって、
日本自身に逆上陸と申しますか、入ってまいります場合と、それから
日本の
輸出先である第三国において競合する場合と、この
二つあると存じます。したがいまして、特にこういった
国内の中小企業というものに直接に響いてまいる軽工業品を主といたしました企業進出に関しましては、現在
通産省のとっております方策は、
海外投資一般のルールは、先ほど来関係各省ともに、私からも申し上げたようでありますが、特に逆上陸等によって
日本の中小企業に被害を与えないということの意思を確認した上で、その
投資案件を個別的に出すという方策をとっております。第三国市場におきまする競合につきましては、これはなかなか
規制がむずかしい問題でありますし、またマーケットも非常に広いというようにも考えられますので、そこまでの
規制はいたしておりません。
現状はさようでございますが、ただ、
資本自由化の問題とからめまして、この中小企業施策というものを一体どうするか。
資本自由化と申しますのは
対外投資の場合でございますが、これは全般的に申しまして、どうしても
発展途上国、特にテークオフの段階にあります台湾、あるいは韓国、あるいはマレーシア、あるいはシンガポール等々の国の手をつけやすいもの、特に軽工業品関係、それが競合してまいるのは、これは
一つの大きな流れとしてある程度避け得られないところかと存じます。したがいまして、一方におきまして、対外の
投資に関しましては、ただいま申し上げましたような配慮をいたしますと同時に、
国内の中小企業施策といたしましては、構造改善等を実施いたしまして、でき得る限りそうした
発展途上国産品と直接には競合しないような技術の高度化、品質の
向上といったような、言うなれば高級品をつくる。高い賃金を使ったものは、それだけ付加価値の高いものをつくらなければペイしないわけでありますので、そういった方向をとりつつ、漸次この問題を
国内中小企業施策、同時に対外中小企業進出対策というものと総合いたしまして、施策を実施していくことといたしております。
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