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1970-03-31 第63回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月三十一日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 橋口  隆君    理事 前田 正男君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君    理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       遠藤 三郎君    大久保武雄君       海部 俊樹君    神田  博君       北澤 直吉君    久保田円次君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       進藤 一馬君    田中 六助君       藤尾 正行君    増岡 博之君       山田 久就君    石川 次夫君       中谷 鉄也君    松平 忠久君       近江巳記夫君    多田 時子君       松尾 信人君    川端 文夫君       林  百郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君         中小企業庁長官 吉光  久君         運輸大臣官房審         議官      内村 信行君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   井口 孝文君         大蔵大臣官房審         議官      下條進一郎君         大蔵省関税局輸         出課長     唐木田 穣君         工業技術院標準         部長      久良知章悟君         運輸省海運局次         長       野村 一彦君         運輸省港湾局計         画課長     大久保喜一君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     米田 東吾君 同月三十一日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     鯨岡 兵輔君   進藤 一馬君     久保田円次君   米田 東吾君     横山 利秋君   米原  昶君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     大橋 武夫君   久保田円次君     進藤 一馬君   林  百郎君     米原  昶君     ————————————— 三月二十八日  小規模企業助成法案矢追秀彦君外一名提出、  参法第三号)(予) 同月三十日  豪雪地帯対策特別措置法完全実施に関する請  願(大野市郎君紹介)(第二二〇五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気工事業業務適正化に関する法律案(海  部俊樹君外七名提出衆法第二号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第四五号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  電気工事業業務適正化に関する法律案議題といたします。  御質疑はありませんか。——質疑がないようでございますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  3. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありまするが、本案につきましては討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。  本案原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 八田貞義

    八田委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決いたしました。(拍手)  おはかりいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  6. 八田貞義

    八田委員長 次に、輸出保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出があります。順次これを許します。石井一君。
  7. 石井一

    石井(一)委員 本日、議題となっております輸出保険法に関連いたしまして、私はまず最初に、わが国経済協力基本政策について、政務次官の見解をただしたいと思うのでありますが、申すまでもなく、わが国経済は、最大の問題であった国際収支も好転し、国際競争力も徐々に強化されて、最近は黒字定着化ということが顕著になってまいっております。そうして一九七〇年代の経済展望というものも、国民総生産にいたしましても、貿易収支あるいは外貨準備高というふうなものの予測も、かなり明るい見通しが立っておるわけでございます。私は、このような七〇年代の展望に立ったこの時期に、私たちはもう一度海外経済協力というものに対して新しい角度の視線を与えなければならない時期が来ておると思うのでございます。もちろん、最近の施政方針の中にも七〇年代は内政の年だということもいわれておりますが、一見矛盾したようでございますけれども、一体通産当局としては、海外経済協力という問題に対して基本的にどのような位置づけをされておるかということを、まず最初にお伺いいたしたいと思います。
  8. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 お答えいたします。  いま石井先生がおっしゃいますように、日本経済も十年前とはたいへん違いまして、外貨保有高も非常に多くなって、発展に次ぐ発展でございます。私たちそこで考えなければいけないことは、今後、日本海外投資政策というものを考えていく場合に、特に発展している日本が、東南アジアあるいはアフリカ諸国、いわゆる発展途上国に対する経済協力を推進してその経済開発を促進するということは、相手国にとっても非常に望ましいことのみならず、世界全体の経済繁栄と平和のためにきわめて重要なことであると信じております。また、アジアなどのいわゆる発展途上国との経済的な結びつきが密接なわが国にとっては、これら諸国経済安定と繁栄とはみずからの経済の長期的な発展に不可欠の要因であると考えます。  このような見地から、わが国は今後とも、余裕を得た国際収支を背景に、国内政策との調和を考えつつ、各種の経済協力を一段と拡大強化することが必要であると信じております。
  9. 石井一

    石井(一)委員 基本的に前向きの姿勢をとられるということはよくわかりましたが、たとえば南北問題ということでございますが、私はこの問題を、私なりにこのように解釈をいたしております。すなわち、北の豊富な富を南にどのように流すかということが今後の世界政治中心の課題になるわけでありまして、アジア先進国である日本に課せられたそれに対する責務というものも、非常に大きなものがあると思うのでございますが、私が調べたデータでは、いまだに国民総生産の一%にも満たないというのが、日本経済協力の過去の実績でございます。一体政府は、この七〇年代にこの数字を漸増さすということに対して積極的に取り組もうとしておるのか。そうして、先進国がなしておる二%、三%というふうな段階にまで持っていこうとしておるのかどうかということを、ひとつお伺いしたいと思います。
  10. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 石井先生がおっしゃるように、その。パーセンテージが低いことは事実でございます。今後日本発展するためにも、発展途上国との経済協力あるいは開発というものを進めて、それが先進国と同じように二%、三%にレベルアップを考えなければ、日本繁栄自身も非常に危ぶまれるというような状況だと、私、信じております。
  11. 石井一

    石井(一)委員 なお、その経済協力方式といいますか、形態の問題でございますが、たとえば、従来の先進国がなしてきたいわゆるバイラテラルの二国間援助、これは長所も欠点もあるわけでございますし、新しい形態としていわゆるマルチラテラルな多数国間の援助国際機関を通じたり、相互の多数国間による協力、それに日本が参画する、そういう形態もございます。それからまた内容においても、たとえば経済協力を主にするのか、技術援助を主にしてやっていくのか、政府からの贈与中心にしていくのか、直接投資をやるのか、これは本日議題になっております問題ともかなり関連があると思いますので、その内容について、前向きの姿勢ということはよくお伺いしたわけでありますけれども、その点についてひとつ政府の御見解をただしたいと思います。
  12. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  仰せのとおり、現在、日本を含めました先進国経済協力には、バイラテラルな二国間のものと、それから国際的なマルチラテラル多国間のものとがございます。現在、日本の参加いたしております経済協力といたしましては、多国間的なものとしまして、世界銀行あるいはアジア開発銀行等国際機関わが国が資金を拠出いたしまして、その機関が独自の判断によって発展途上国援助を行なっておりますものと、それから二国間援助といたしまして、それぞれわが国が、あるいは贈与の形、あるいは従来からの引き続きの賠償の形、あるいは輸出延べ払いの形による援助あるいは海外投資の形、種々形態がございますことは、確かに御指摘のとおりでございます。二国間援助多国間援助といずれもそれぞれに意義を持っておりますので、今後とも、わが国経済協力立場といたしましては、最近におきまする日本経済的な国際的地位向上にかんがみまして、現状をさらに向上させ、各発展途上諸国要望にこたえると同時に、国際的な日本に対する待望にこたえるのが筋道かと存じます。
  13. 石井一

    石井(一)委員 かなり積極的な姿勢で七〇年代の対外経済協力に対処するということを伺ったわけでございますが、ここで内外に問題になっておりますのは、このようなことが日本経済侵略につながるのではないかという危惧が確かにあるわけでございまして、いやなことばでございますが、たとえばイエロー・ヤンキースというふうなことば、あるいはまたエコノミック・アニマルというふうなことばも、ささやかれておるわけでございます。せっかくわれわれが、好意で世界平和に寄与しようとか、あるいは開発途上国々生活向上を指向いたしておりましても、そのように勘ぐられるというのが、特に開発途上国々に対する援助のむずかしいところでございますが、前向きの姿勢の裏には、そのような配慮というものも同時に必要じゃないかと私は考えております。この点についてはいかがでございますか。
  14. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  仰せのとおり、当方といたしましてはきわめて善意なと申しますか、発展途上国に対する善意立場から経済協力を実施いたしてまいっておるわけでありますが、特に発展途上諸国は、ここのところ数年の間にみずからの独立をかちとったという非常に新しい国が多いわけでありまして、当然ナショナリズムの高揚というものが、排他的なと申しますか、民族の自主独立というものとつながりまして、それが先進国日本を含めまして、それらの国々から入ってくることに対する経済的な一つ侵略ではないか、こういう感じが出てきておる国もあることは事実でございます。  仰せのとおり、経済協力と申しますのは、特に発展途上国に対する南北問題を解決いたしまして、そして、これがひいては先進国をも含めた世界全般経済発展に寄与するということが、至上の目的となっておるわけでございまして、もちろんわが国といたしましても、そういった発展途上国経済協力を与える国におきまするその国の国民的感情と背馳しないように、でき得る限りその国情に沿って現地側の受け入れやすいような状態で、きめこまかく種々の方途を講じてやっていくことが必要であると存じます。一部にさような感じが出ておることも確かでございます。特にわが国の最近におきまする経済伸長の度合いが非常に強いために、そういった非難が出ておることも一部でありますが、今後ともこれが是正にあらゆる——たとえばこれは経済協力のみでございません。商社活動等、あるいは進出企業のビヘービア、そういったものを通じまして、そうした誤解を解きつつ現地の事情に即応しながら経済協力を進め、その国の発展に寄与するように努力してまいることが必要であると存じます。
  15. 石井一

    石井(一)委員 アメリカのアジア政策においてかなりの失敗が指摘されておるのも、やはりそのような国民感情を無視しておるというふうなことも言えると思いますので、アジア指導国としてのわが国援助というものは、積極的であり、かつ慎重であらなければならないというふうに私は認識をいたしております。  その点、御要望を申し上げて本日の本論に入らしていただくわけでございますが、政府がそのように、海外経済協力なり投資ということに対して積極的な姿勢を持たれようとしておる。その場合に、今回議題となっておるこの輸出保険という問題が、海外経済協力というワクの中でどのような働きをなすのか。また、従来二つ保険一つに結ばれたようでございまして、かなり難解な法案でございますけれども、どうしてこのようにしなければならなかったかということを、もちろん基本的な問題はいろいろ書いてございますが、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  16. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  先ほどお答えいたしましたように、経済協力というものはいろいろな手段方法によって発展途上国に対して行なわれておるわけであります。たとえば、賠償の支払い、あるいは国による借款の供与、あるいは民間ベースにおきまする海外投資、あるいは輸出延べ払いの形等々、二国間の場合におきましても種々形態があるわけでございますが、特にただいま御審議を願っておりまする輸出保険法改正案海外投資保険の拡充という問題は、これは、発展途上国としての立場からだけでなしに、わが国自身の必要から申しましても、海外投資を促進してまいるという必要があるわけであります。   一例をあげますならば、現在日本の拡大いたしまする経済発展に最も必要なのは、種々原材料資源確保という問題でございます。これが賦存状況世界的に通観いたしますると、発展途上国に圧倒的に多い。しかも日本におきましては、あるいは鉄鉱石製鉄用原料炭、あるいは木材、石油非鉄金属、ボーキサイト等々、重要なる資源はほとんど海外に依存しておるわけでありまして、発展途上国への経済協力を通じまして、その国の経済発展に寄与すると同時に、わが国サイド立場からも、こうした資源確保してみずからの経済発展せしめていくということが、ぜひとも必要なわけでございます。  そこで、海外投資というものはこの投資保険というものと直接つながってまいるわけでございますが、従来からの海外投資保険というものは、海外投資元本保険海外投資利益保険、この二つに分かれておりまして、諸外国例等に比較いたしましても、きわめて制度的に不備であり、かつ利用しにくい状態にあったことは、過去の実績が示すとおりでございまして、現在ほとんど微々たる利用状況しかございません。したがいまして、今般、諸外国の例をも参照いたしまして、保険対象となるものを拡大し、あるいはてん補率を引き上げる等々で法的な不備を補いまして、海外投資を促進する一助といたしたい、こういうわけでございます。
  17. 石井一

    石井(一)委員 開発途上の国に対する問題だけでなしに、わが国独自の立場からも保険法の完備といいますか、改正が必要であるということがわかったわけでございますが、先ほど政府委員のお話にありましたいわゆる海外資源開発ということが、わが国の工業的な水準、今後の展望ということからも、たいへん私は重要なことだと思うのでございます。  その場合、いわゆる海外での資源開発する場合に、私が拝読いたしましたところでは、自主開発というふうな問題に関しては非常に大きな保険対象としてなっておるわけでございますけれども、たとえば融資買鉱というふうな問題、このケースが非常に多いようでございますが、これは結局、融資をすることによって長期的な資源確保をする、こういうふうなものはほとんどこれにカバーされておらないというのが現状であると思うのであります。自主開発はなかなか資金的な問題その他でできないということになれば、結局この保険というものが従来利用されなかったのは、やはりこのような、ほんとうにかゆいところに手の届くような、ほんとう日本が必要とするような問題がカバーされておらないというところにも問題があるのじゃないか。私は、この問題は最後に聞こうと思っておったのでございますが、政府委員のほうからその問題が出てまいりましたので、それに関連してひとつお伺いをさせていただきたい。
  18. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  海外資源日本立場からして確保するというやり方には、いろいろな方策がございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、融資買鉱という形もございますし、本来ならば、そうした融資買鉱という形も、なるほど必要ではございますが、むしろ日本の力によって、現地の力というものと協力をして自主開発方式をとるという方式が、一番海外資源確保手段としては望ましいことと考えております。今般の海外投資保険対象といたしましては、資本参加を伴う自主開発方式というものは対象に加えておりますので、その意味におきましてはこれはカバーできると存じます。資本参加を伴わない、たとえば融資買鉱等開発融資につきましては、この保険対象とはなっておりませんが、これにつきましては、たとえば金属鉱物探鉱促進事業団だとか石油開発公団等債務保証制度を利用する方法等も考えられると存じます。さようなわけでございます。
  19. 石井一

    石井(一)委員 ただいま御指摘になりました、資本参加を加えた自主開発というのが過去の実績でどの程度あったか、ひとつお教えをいただきたいと思います。
  20. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  詳細に各業種別に申し上げる資料を持っておりませんが、わが国海外投資のうちで、特にこれを従来までの海外投資の全部の累計の投資残高を見ますと、約十九億ドルにのぼっております。これは許可ベースでありまして、日銀の資料によります実行ベースによりますと約十七億ドルというのが本年三月現在の資料でございますが、そのうちこれを業種別に見ますと、資源開発事業に向けられておるものが四〇%を占めております。したがいまして、わが国実行ベースで十七億ドル、許可ベースで十九億ドルという海外投資のうちの四〇%は、資源開発事業現地に向かって向けられておる、かように御承知を願いたいと存じます。
  21. 石井一

    石井(一)委員 私が理解いたしておりますところでは、また話が継続して移っていくようでございますけれども、十九億七千二百万ドルのうち保険対象になったのはたった六千五百万ドルであるというふうに記憶いたしておりますが、この数字は正しいのでございますか。
  22. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  投資額が七千万ドル、かような数字に相なっております。事実、海外投資に対します保険付保額というものが、先生の御指摘のとおりに、非常に低位にある、ほかの種類の輸出保険に比べて少ないということは事実でございます。これは種々原因があるわけでございまして、今回改正案を国会に御審議をお願いしましたのも、主たる原因はここにあるわけでございます。
  23. 石井一

    石井(一)委員 従来の保険制度というものが死文化しておるといえば非常にことばが過ぎると思うのでございますけれども、確かに過去の実績において非常に利用度が少なかったということがあります。したがって今回の必要性というものも出てきたと思うのでございますが、私は話を整理する意味におきまして、先ほど私が御指摘申し上げました融資買鉱その他、わが国資源開発というものを積極的に促進するためにも、今後融資買鉱を含めた一つの新しい形の——保険制度ではないかもわかりませんが、施策というものが考えられてもいいんじゃないかということを私は痛感しておるわけでございまして、その点についても政府委員の今後の御考慮なり検討を御依頼申し上げまして、次に進ませていただきたいと思います。  次に問題になっておりますのは、やはりこの保険制度運用基準ということでございまして、現行法では非常に保険対象というものが限定されておって、著しく国際収支の改善に寄与するもの、そうしてまた、外国為替法なり貿易管理令その他の規制にのっとって、保険対象というものが狭められておったわけでございますけれども、最近の自由化の新しい波、それから国際収支健全化というふうなことで、運用面で非常にワクが広められて弾力的な性格を帯びてきておる。ところがその反面、業種内容における問題であるとか、それに対する認可、許可というふうな問題に関して非常に明朗性を欠いておるといいますか、非常にばく然としておる。ある意味では、通産省当局としては非常にやりやすい形になっておるかもわかりませんが、これを利用する立場のほうからいいますと、ほんとうに、どこまでがどのような基準になって、どのような運営をされていくのか、私はここに確かに疑問が出てくると思うのでございますが、この点についてただしたいと思います。
  24. 後藤正記

    後藤政府委員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおり、現在、海外投資につきましては、外国為替管理法に基づきまして、同管理令許可基準に照らしてこれが運用されております。したがいまして、この管理法並びにそれに基づく管理令によって許可されたものの中から、この投資保険をかけるかどうかという問題が出てくるわけでございます。これは時代の推移がございまして、たとえば為替管理令には、「直接又は間接に国際収支悪影響を及ぼす」ものとか、あるいは「国民経済の復興に悪影響を及ぼす」ものとか、制定当時のあれでございまして、現在とは客観情勢がだいぶ変わってまいっております。しかしながら、やはりそれが許可制のもとに置かれておるということは確かでございます。しかし、最近におきまする国内に対する資本自由化の問題とあわせまして、対外投資自由化の問題が為替管理の問題と関連いたしまして現在非常に問題になっておるところでございます。  そこで、最近のあれといたしまして、昭和四十四年の十月から、特に三十万ドル以下の投資につきましては日本銀行へ事務委任をすることにいたしております。特にそのうちでも二十万ドル以下のものは自動許可制という形にしております。現在も御承知のように、国際収支はますますよくなってまいる、それから外貨保有高が高くなってきておる、こういう現況にかんがみまして、特に日本黒字集積という問題が、国際的にもいろいろ問題にされておるという事態でございますので、極端なことを申し上げますと、日本国内に対する資本自由化もさることながら、海外に対する投資自由化ということも、金額等の制限なしに全部青天井に自由にすべきではないか、こういう議論も行なわれております。したがいまして、現在大蔵省並び通産省外務省等でいろいろこの問題について議論をいたしております。これは現在検討中でございますが、とにかく漸進的ではございますが、最近の情勢にかんがみまして、対外投資自由化と申しますか、大幅緩和問題等々を考慮していかなければならない状態であると存じます。  そこで一方、海外投資保険を現在所管いたしております通産省でいかなる基準によってやっていくかということの問題でございますが、一方におきまして、政府は現在六十億円の基金を持っておりますが、国の財政の負担による保険のファンドでございます。したがいまして、これが運営に慎重を期すべきことは当然でございまして、その点から、私どもは決して恣意的と申すわけではございませんが、相手国状況と、それから、その投資案件等々につきまして十分なる考慮を加えまして、そして基本的には、前向きの姿勢で従来ともこの保険の契約を締結いたしており、今後ともそういう方向に変わりはない、かように申し上げたいと存じます。
  25. 石井一

    石井(一)委員 趣旨はよく理解いたしましたが、もう一点、その許可制について、現在三十万ドルまでは日銀審査によってほとんど自由化されておるという制度のようでございまして、それ以上の場合いろいろの許可対象になってくる、こういうことのようでございますが、海外投資というふうなことから考えますと、二十万ドルとか三十万ドルとかいう金は、二十万ドルで七千二百万円でありますから、これでどれだけの資源開発ができるかというふうな観点に立ちますと、まことにワクとしてはきびしい。そういう面からまた非常に利用度の少ないという問題も出てくると思います。やはり自由化という場合には、海外投資というふうな性格から考えて、せめて百万ドルくらいまでは自由化にするという姿勢のほうがいいと思うのでありますが、おそらく、私先ほどの説明で十分理解はいたしませんでしたが、想像しますところ、さいふを握っておる大蔵省その他が非常にしぶいのだけれども、通産当局としてはその辺まで自由化をしたいという気持ちなのか、やはり現在の体制ではなかなかそういうふうにいかないいろいろな問題があるのか、この辺の許可制についてひとつお伺いをしたいと思います。
  26. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  従来、海外投資に関しまして、お説のとおり、さいふを握っております大蔵省としましては、きわめてしぶい態度をとってまいったということは事実でございます。しかしながら、最近、この国際収支の好転状況外貨の積み増しと申しますか、蓄積の状況にかんがみまして、大蔵当局も、いろいろ考え方の国際情勢に即応した転換をいたしてまいっておるわけであります。また、私ども通産省立場といたしましても、全然制限なしに外向けに出ていくという問題は、若干これは問題があるわけでございます。  と申し上げますのは、海外投資にはいろいろな目的がございますが、たとえば発展途上国における非常に安い賃金、労務費を利用して、そこでその製品をつくって日本へ逆上陸と申しますか、逆に輸入してくる。そうすると、日本のその当該業種に関する業界はたいへんな圧迫をこうむる。さらにこれが日本へ入ってこないにしましても、これが第三国市場におきまして日本製品と全く競合するというふうな事態も出てくるわけであります。その辺を考慮いたしながら、基本姿勢といたしましては、現在の日本の国際的な地位、経済的な地位というものから考えまして、前向きであります点につきましては間違いないところであります。  それから、先ほど三十万ドル云々と申し上げましたが、三十万ドルをこえますものにつきましても、従来、特別の理由のないものにつきましては、これはほとんど全部許可をして認めておるということでございますので、百万ドルが適当であるのか、五百万ドルが適当であるのか、あるいはこれは制限なしにするのが必要であるのか、目下事務当局でいろいろ検討中でございますが、そういった国内への影響をも考慮しながら、同時にまた、日本の持っておる外貨事情あるいは為替管理の面といった点から十分な配慮を加えまして、今後とも大蔵省とも十分協議をいたしつつ、この対外投資許可制の問題は取り扱ってまいりたい。基本的には非常に前向きな姿勢に現在なっておるということをお答え申し上げられると存じます。
  27. 石井一

    石井(一)委員 そうすると、現時点においては、国内への影響その他も考慮して、通産当局としては、現在のワクというものが大体適度である、しかし、今後事態の変遷に伴って前向きの次勢で自由化に踏み切りたいが、現時点においては大体これくらいが適当ではないか、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  28. 後藤正記

    後藤政府委員 私のお答えのしかたがあまりじょうずでなかったというためかと存じますが、現在が十分であると考えておるのではなしに、現在の状況よりももっとずっと前向きに、たとえば自動許可制と申しますか、フリーにする範囲をずっと高める。先ほど先生指摘になりました百万ドルとか、さらにまた、これを三百万ドルとか五百万ドルに高めていくという姿勢が、基本的姿勢としては現時点においては、それから少なくともここのところ二、三年の見通しとしては、私は妥当であると考えておりますが、一部そういった日本経済の二重構造と申しまするか、一部足弱な部分を、特に、繊維製品でございますとか、雑貨産業でございますとか、そういう中小企業等が至大な影響を持っております分野を持っておるわけであります。したがいまして、それらに対するショックを考えつつこれは対処していかなければならない問題であると存じます。基本的に、特に資源開発等の長期かつ大型と申しますか、大量の投資を必要といたしますものにつきましては、これは左さに御指摘のとおり、二十万ドル、三十万ドルではとても規模的に間に合わない問題でございますので、そういうのはなるべく——いろいろやり方があると存じますけれども、一部そういう弱い産業も国内にかかえているということもまた現実でございますので、決して現状に満足しておるわけではなく、基本的には自由化の方向に向かい、国内産業に及ぼす影響を考慮しながら実施してまいる、かように申し上げられると存じます。
  29. 石井一

    石井(一)委員 私は、この問題に対しても、自由化かなり積極的な考え方を持っておりますので、くどいようでございましたが、そういう問題についてお伺いをしたわけでございます。  次に、この投資保険の引き受け限度額の問題でございますが、四十五年度は大体五百億を予定されておるようでございます。昨年は、私が記憶しておりますのでは百二十億円か三十億円かということでございまして、そこに四倍ほど伸長率が伸びておるということでございますが、私に言わせれば、この五百億にしましても、限度額としてはまだまだ低いという感じがいたしておるわけでございますが、それにしましても、昨年度の実績並びに本年度のここまで金額が上がってきたという裏には、何らかの一つの見通しなり算定の基準なりというふうなものがあってこういう金額をきめられたのだろうと思うのでございますが、その点についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  30. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  おおむね四十五年度におきまする海外投資の見込み額は六億五千万ドル。これは実は四十二年度に一億三千七百万ドルでございまして、四十三年度に二億二千九百万ドルの実績を持っております。これはいずれもIMFの統計によりまする実行ベース数字でございますが、ここのところの非常に急激な伸び方からまいりますと、二億ドルくらいずつ上がっていくということで、四十四年度も、それにさらに二億ドルを積み上げました四億何千万ドル。したがって四十五年度は六億五千万ドルというぐあいに海外投資を見込みますと、ここの中でやはり海外投資の今後非常にふえていくものは、特に海外投資保険対象になりますものは発展途上国向けが多いと存じます。  海外投資保険発展途上国向けの投資割合は、適去の実績から考えますと、大体それが三分の二というぐあいに考えられます。そこで従来、海外投資のうちの約五%程度しか、制度の不備、情勢の変化等もございまして、これが付保されておりませんでした。これを一五%くらいに上げるということと、さらに、本改正案でお願いいたしておりますように、一たび事故が起こった場合にそれをてん補する率を、従来の七五%というのを九〇%に上げるということに変えてまいります。そうしますと、六億五千万ドルの投資見込み額に三分の二をかけ、それから発展途上国向けの三分の二をかけ、それから付保見込みの一五%というものをかけ、それからてん補率の九〇%をかけ、さらに海外投資でございますので、非常にラフな計算でございますが、元本のほかに一割の利潤を生んでくるということでそれに一・一をかけます。そういたしますと、円に換算いたしましてこれが約二百三十億円になってまいります。非常にラフでございますが、契約限度額はその二倍強の五百億円を見ておけばおおむね間に合うのではないか、かように考えておる次第でございます。不可知ファクターと申しますか、アンノーンファクターが非常に多いものでございますから、過去の経験からいって、大体その辺の推定をしてまいる以外に積算の根拠がないわけでございますが、これでおおむねいけるということで五百億を計上して、ただいま予算審議をお願いいたしておるわけでございます。
  31. 石井一

    石井(一)委員 過去の実績、その他いろいろな経験に基づいて算定されたことはわかったわけでございますが、先ほど御指摘もありましたように、非常に予測がしにくいということと、こういう海外投資というふうなものは性格上非常に機密裏に行なわれる。そうして申請の時点に、初めて当局としてもそういう問題を察知するという場合が多いと私は思うのであります。今回の改正によって、保険対象というものが非常に広げられておるわけでございますし、運用面でも非常に弾力性を持ってきておるわけでございますから、改正したからには大いに利用してもらうということでなければ、何のために改正したかわからない。そういうふうな突発的なといいますか、法律の効果というものを考えた場合には、私はまだこの限度額では非常に低いような感じがいたしておるわけでございまして、その点についても御指摘を申し上げておきたいと思うわけでございます。  もう一点、数字的な問題で私が少し不審に思いましたのは、支払い準備金の適正額ということであります。これは特別の保険制度で、特別会計によって、独立採算制によってまかなわれているようでございますから、もちろん、赤字が出て問題が起こったら一般会計から引き出してくるというふうな方法も、最終的にはとれるわけでございますけれども、やはり企業として基本的な性格としては、一たん緩急あってもそれに対処できるというふうな考え方なり姿勢というものがなければいけない。その場合に、過去の実績を考えてみますと、輸出保険全体の責任残高というのが、これは推定でございますけれども、昭和四十五年度大体五兆から六兆になろうとしておるわけであります。ところが、それに対する支払い準備金というのが四十四年度で百八十二億、それから四十五年度で二百七十億ということでございます。これでやっていけるのかどうか、おそらく常識的に考えた場合には、責任残高と支払い準備金との対比というものは、せめて一%くらいのものは確保しておかなければならないのではないか。そういう考え方からすると、六百億ないし一千億というものを準備金としてととのえておかなければ、独立採算制としての体制が立たないのではないか。その点に対して政府当局はどういうふうにお考えになっておるか、ただしてみたいと思います。
  32. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、四十五年三月末における輸出保険特別会計の支払い準備金は、約百九十億円でございます。現在、付保責任残高は約六兆円ございますので、支払い準備率は六兆円分の百九十億円で〇・三一%ということになっております。  これは確かに、非常に少ないと申せば少ないわけでありますが、たとえば、ほかの国の例を見ましても、イギリスは三%余、アメリカは六%前後、こういう支払い準備率を持っておるわけでございます。ただ、この輸出保険特別会計というのは独立採算制をたてまえといたしておりまして、一方また、収入源の一つとなります保険料率はなるべく上がらぬほうがいいという要望も業界にあります。また、あまり上がり過ぎますと、かえって付保する数は少なくなってくるという事態もございますので、この点御指摘のとおり若干少ないという感じでございますが、現在までのところ、この支払い準備率で十分にまかなってまいっておりましたが、今後は特に海外投資等が非常にふえ、海外投資保険は、今般の改正をお願いしてこれが通過いたしますと、非常に大型の発展途上国向けの投資が出てきて、それの付保額という大きなものが出てくる、かように考えておりますので、できる限り今後適当な機会をとらえましてこの増額を行なっていきたい、かようには考えておるわけでございますが、現状では、いままでのところ、海外投資保険というのは事故率も皆無で、昭和三十一年以降一件もございませんでしたが、そういう実績の上にのんきにしておるというわけではございませんが、確かに今後大型化してまいると、支払い準備率の問題等をもう少し考え、適当な機会にこれの増資等の問題を考える必要があると存じます。
  33. 石井一

    石井(一)委員 ただいま二、三の問題を指摘されたわけでありますが、確かに今後の海外投資が大型化してくるということ。次に、支払い準備金というものが、全体の額に比べて、責任残高に比べて非常に低いということ。それからもう一点、保険料というものが近年訂正されて、外国の例に比べて非常に安いという状態にあるわけでありまして、これは過去の実績において利用者が非常に少なかったとか、あるいはまた、これまでそのような大きな問題が起こらなかったために、準備金はこれくらいでも十分まかなえてこられたのだということだけでは、今後非常に大きな経営上の問題にこの制度が直面してくるという危惧もあるのではないかと私は思うのでありまして、そういう点について今後特に注意を促さしていただきたい、かように思うわけでございます。  最後に私は、もう一つ問題をというよりも要望をしておきたいのでございますけれども、本日は通産省の当局から、具体的な保険面での内容についてのお答えをいただいておるわけでございますけれども、これは全般的な立場から非常に大きな問題で、外務省にも関係があり、経企庁にも関係があり、もちろん大蔵省にも関係があるという問題だと思います。要するに、外国の調査なり情報なりというふうなものを得なければならないという場合には、当然外務省の問題になってまいりましょうし、また、二国間の条約であるとか、投資の環境の整備というふうなことでも、外務省の管轄の問題になります。それからもちろん、税制面であるとか金融面であるとかというふうな問題になりますと、これは大蔵省の問題あるいは経企庁の問題になってくる。それから、実務的な保険面での運用ということが通産当局の問題になってくるわけでございますが、新しい制度であるために、その辺に見解の相違もありましょうし、財政的な制約もありましょうし、今後の運営がいろんな面で流動的であり、むずかしい面もある。その辺の連絡がどのような形で行なわれておるのか。もしこの法律が効力を発して非常に多くの利用者が出てきた場合、この辺の連関なり何なりというものが非常にスムーズにいくのかどうか、この点をちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
  34. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  もう一つ、この海外投資保険の一番基礎になりますものは、海外投資自体でございます。これは、先ほど来お答え申し上げておりますように、海外投資につきましては、現在のところ、三十万ドル以下のもの以外は、為替管理法並び為替管理令によって許可されているという状態のものでございます。したがって、その海外投資保険という問題に直接参ります前に、海外投資自体につきまして、これは、ただいま先生おっしゃいましたように、この経済協力問題というのは、経済企画庁をはじめ外務省、大蔵省、通産省全部にまたがってくる問題でございます。したがいまして、特にそのうちで各省のコンセンサスが得られ、十分に意見が一致した上でこの経済協力というものが行なわれておるわけでございますので、それがきまったあとにおいて、その中で、この輸出保険にかけるか、かけぬかという問題が出てくるわけでございますから、その点につきましては、現在のところ、私は、海外投資を含めた経済協力問題について関係各省間の連絡はきわめてスムーズにいっておる、かように考えておりますので、今後そういう心配はないと存じます。しかし、今後ともさらに大型化してまいり、したがいまして、一つ間違えばその影響というものは多方面にわたるということでございますので、今後ともますます関係各省の連絡は緊密にいたしてまいりたい、かように考えております。
  35. 石井一

    石井(一)委員 それでは、民間の積極的な海外投資に対する参画というものが十分できるように運営していただくことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  36. 八田貞義

    八田委員長 松平忠久君。
  37. 松平忠久

    ○松平委員 今度の改正に関連をいたしまして、各般の海外経済協力の問題点について質問をしたいと思います。  最初に、事務的なことから質問を申し上げたいのですが、通産省から出されておる今度の改正案を見ますと、いわゆる改正をする前の現行法と申しますか、これは利用率が非常に少ない。現在の利用率が株式投資の五%程度しかない。そこで、これは国際的に見ても著しく立ちおくれておるので、今度はひとつやや国際的並みに改正するのだ、こういう理由があげてあるわけであります。ところが、海外投資保険については、昭和三十六年の九月に輸出保険審議会において答申が出されておって、そういう趣旨のことを答申しております。三十六年から約九年かかってようやくこういう問題が爼上にのぼってきた。三十六年九月の輸出保険審議会の答申後、当局、政府は一体どういう考え方でずっとこの答申を見送ってきたのか、その点を理由をあげて説明してもらいたいと思うのです。
  38. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  三十六年九月の輸出保険審議会の答申では、海外投資保険の改善についてるるいわれております。たとえば、今後とも海外投資経済協力の一環として進めろ、それが日本輸出入の増大、国際収支の改善に貢献するところも大きいということ。さらに、投資相手国が主として後進諸国であるから、投資に伴う政治的危険を担保する保険制度の役割りも大きい。しかしながら、日本は米国、西独と並んで投資に対する保証制度を有する数少ない国であるが、現行制度は、これら二国に比べて担保危険及び対象の範囲が狭く、上述の要請に十分こたえているとは言いがたい。したがって、担保危険の範囲を拡大し交換性保証を加えるとともに、必要に応じ対象を貸し付け金債権、支店創業費等にまで拡げることが肝要である。そのほか、利用度が低い。かように利用度が低いのは、現在の保険料が高率である、それから、てん補率が低過ぎるということで、利用率の向上をはかれ、こういうことが内容であるように承知いたしております。このほかにもいろいろ、資本金の増額の問題だとか、担保危険の拡大だとか、信用調査機能の拡充とか、業務運営の改善等、微細にわたって指摘をされております。  これら諸点につきましては、答申の趣旨に沿っていろいろ改善措置が漸次行なわれてまいりましたが、保険のうちの海外投資保険につきましては、当時の国際収支状況からまいりまして、必ずしもこの答申の要望そのままの線に沿うというわけにまいらなかったわけでありまして、四十年度に至りまして海外投資保険制度の改善構想というものが出てまいりましたが、当時国際収支が現在と違いまして非常にきびしいという状態に加えまして、たまたまインドネシア、アラブ連合等におきまして保険事故の発生が相次いで巨額にのぼったわけでございまして、四十二年度には補正予算を要するというような事態でございましたので、それ以上進展を見ずに今日に至っておる次第でございます。  したがいまして、海外投資というものは漸次増加をいたしてきておりますが、今日なお海外投資自体が、国際的に見て日本の現在の経済的地位に必ずしもふさわしいと言いにくい、きわめて小規模なものにとどまっておるという事態でございますので、海外投資の積極的な促進をはかる、これの一つの助成策としてこの海外投資保険の改善、充実ということが必要でございます。今般の改正も主としてねらいをそこにいたしたわけでございまして、先生指摘になりました輸出保険審議会の答申のみならず、海外投資の増強、増進、促進等につきましては、そのほか産業構造審議会でございますとか、あるいはそのほかの国内経済団体の要望等、このところ、まさに御指摘のように種々の団体からそういう要望があって今日に至った次第でございます。
  39. 松平忠久

    ○松平委員 いまのお答えによると、事故が比較的多かったということや国際収支の問題、そんな理由でありますけれども、その事故が多かったという中で、いまの御説明によりますと、インドネシア並びにアラブ連合における事故のことに言及されておるわけであります。いままでの保険事故の調査したものを見てみますと、この保険事故は、インドネシアにおきましては、昭和四十年の外貨送金遅延、昭和四十一年五月の輸入禁止、この二つがあるわけであります。アラブ連合におきましては、やはり三十九年の輸入制限、それから昭和四十二年に一連の外貨送金の遅延というものがずっとあった。それからまた、四十一年にはいわゆるウールトップの輸入の禁止、この三つをあげられておるわけであります。  そこで、インドネシアにおきましても、あるいはアラブ連合におきましても、これは海外投資保険であったかどうか。その損失であったかどうか。いまあげられておるところのインドネシア並びにアラブ連合における事故の頻発というものは、どういうものであったか、それをひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  40. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。     〔委員長退席、前田委員長代理着席〕  インドネシア、アラブ連合ともに海外投資保険ではありませんで、輸出代金保険の範疇に属する事故でございました。
  41. 松平忠久

    ○松平委員 そうであるならば、海外投資保険というものを事故が頻発したから見送っておったという答弁とは、食い違うのじゃないか。つまり輸出保険全般でありますけれども、三十六年の輸出保険審議会において、海外投資保険というものを改善しろ、こういうことを言っておるわけであります。ところが、改善ができなかった理由は事故が起こったからだ、その事故が起こったのは貿易であって、海外投資ではないのだ、投資に対する事故ではないのだ、こういうことであるならば、先ほど御答弁になったところの、インドネシアにおける事故並びにアラブ連合において事故が頻発したからおくらしたのだという理由は成り立たないと思うのだが、それはどうです。
  42. 後藤正記

    後藤政府委員 私のお答えが若干ことばが舌足らずであったかと存じますが、御承知のとおり、現在保険には八種類ございまして、輸出保険特別会計ではこれは全部総括ひっくるみ、言うならばどんぶり勘定になっておるわけであります。インドネシア、アラブ連合の政変によりまして、たいへん巨額の保険としての支払いの金額が出されたということで、これは輸出代金保険あるいは送金事故というものに対するものではございませんけれども、一般的に特にその八種類のうちの一つでありますものについても拡充、前向きの方向をとるのに適当な機会でなかった、こういうように御了解願いたいと存じます。
  43. 松平忠久

    ○松平委員 八種類あるわけでありますから、そのうちの何かの保険について事故が多かったので総体的に資金難になったという答弁のようでございます。  そこで一言伺っておきたいのは、事故の発生は今日まで一体どのくらいあったのか、それからその発生の原因の傾向的な問題、それをかいつまんで説明していただきたいと思う。
  44. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  昭和二十五年に輸出保険法が成立いたしまして以来、引き受け件数は四百八十二万件、総保険金額が十兆五千億にのぼっております。事故率は〇・四五%という数字になっております。これは種々原因がきわめて多様にあるわけでございまして、その傾向を系統的に申し上げるのは非常にむずかしいという状況でございます。
  45. 松平忠久

    ○松平委員 私が手元に持っている資料によりますと、事故の発生を見ますと、輸出保険に関する限りは南米に事故が発生した件数が非常に多いのではないか、こういうふうに見られるわけであります。それから一部には東南アジアがありますけれども、その傾向の中に、いわゆるインフレとかのために、外貨自由化をおくらせたというか、あるいは阻止したというか、そういうケースがあったり、そういった相手国外貨事情というものが非常に多いように思うのですが、そういう傾向があったんじゃないかと、私はこれを見て言っている。したがって、何らかの原因の系統的なものはあると私は思うんだが、そういうことは研究しておられないのですか。
  46. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  確かに先生仰せのとおりでございまして、特に政権が非常に不安定でございます南米地区におきまして政変が頻発した、あるいはまた、東南アジアの一部におきましてそういう政変、あるいはまた、アラブ連合とか中近東方面においてもそういう事故が起こったことは確かであります。系統的な研究はいたしておりますが、数字的にそれを範疇別にぴしっときめるという数字はただいま手元に持っておりませんので……。この点の勉強はいたしておるわけでございます。
  47. 松平忠久

    ○松平委員 アラブ並びに中近東においてということを申されましたけれども、若干中近東においてもございますけれども、私がちょっと意外に思っているのはアフリカですか、ナイジェリアにしても、ケニアにしても、アフリカに案外多いという傾向があるということです。それらの国のいわゆる国別の事故の発生というか、あるいは地域別ですね。中南米なり東南アジアなりアフリカなりという、そういう地域別の事故の発生というものは、パーセンテージにしてどういうふうになっていますか。
  48. 後藤正記

    後藤政府委員 たいへん恐縮でございますが、ただいま手元に地域別の事故発生率の傾向の数字を持っておりませんので、後ほど調べましてお手元に提出したいと存じます。
  49. 松平忠久

    ○松平委員 その次に伺っておきたいのは、この答申の中に、いわゆる信用調査機能の拡充ということがあるわけですね。私はこれは非常に重大な問題点であろうと思っているのです。この指摘は、今日企業が海外投資をする、海外に進出をするという場合における、相手国あるいは相手の側の信用調査の機能というものはどういう機能にたよっておるのか。ジェトロであるのか。外務省であるのか。あるいはIMF等の調査もございますが、そういうものの中で、どういうものを一体日本の企業は参考として海外進出の企図を実現しようとしていますか。それを伺っておきたい。
  50. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  全般的に申しますと、外務省あるいはまたジェトロ等々、それ以外のところからの公的、半公的な機関を通じても信用調査というものをいたしておるわけでございますが、特に輸出保険の関係につきましては、海外の商社等の輸入業者約六万を対象といたしましてそういう調査を実施いたしてまいってきたわけでございます。この信用調査業務は、特に内外の信用調査専門機関への委託調査という形で実施をいたしてまいりました。一例をあげますならば、アメリカの国際的に信用を得ておりますダンブラッドストリート、あるいはイギリスのアマルガムとかというところの信用調査というものは世界的にも権威を持っておりますので、輸出保険特別会計からこれに連絡をすれば、直ちにその状況が把握できるという現状になっております。なお、ちなみに申し上げますと、この信用調査委託費は、四十五年度におきまして約九千九百万円でございます。それから、その現在の信用調査の頻度は、おおむね二年に一回という形でやっておりますが、特に先ほど先生指摘になりましたような、事故の多発する地域、これにつきましては年に一回、こういう状態でやっておりますが、きわめて流動的でございますので、できるだけ頻度を多く、できるだけアップ・ツー・デートな状況を把握することが必要でございますので、この信用調査業務の拡充を今後ともはかってまいりたい、かように考えております。  なおまた、現在の商社の格づけにつきましては、大体、信用状態が良好なもの、これが一つのカテゴリー、それから破産またはこれに準ずる状態にあるもの、これが一つのカテゴリー、それから支払い遅延のおそれがあるものというのが一つと、それからよくわからないというものが一つと、それから特に特別なものにつきましては、支払い遅延のおそれがあるとまできめつけるのよりは少しはましであるが信用状態が良好とまでは言えない、こういう中間的なものがございますので、これにつきましては、レボルビングシステムと申しておりますが、いわゆるシーリングシステムの一つで、この程度のこの金額までは信用でやらせるけれども、そこの上になったら頭打ちで、ちょっとこれは引き受けられないというような状態等を区分いたしまして、現地業務を遂行いたしておるわけでございます。今後とも、仰せのとおり信用調査業務というのはたいへん重要な機能を果たしますから、最初に申し上げましたように、ジェトロの機能の強化はもちろん、外務省出先機関等との十分な連絡のもとに、また輸出保険特別会計としてもさらにこの機能の拡充につとめてまいりたい、かように考えております。
  51. 松平忠久

    ○松平委員 いまの調査機能のことですけれども、輸出保険特別会計は、世界各国の、あるいは世界各国における日本の企業進出等に対する調査について、特別にいま申しましたような外国の信用調査機関と契約を結んでおりますか。
  52. 後藤正記

    後藤政府委員 ただいま申し上げましたアメリカのダンブラッドとかイギリスのアマルガムだとかいうところとは特別の契約を結んでおります。それから、特にジェトロは、それぞれまたジェトロの立場において、海外の信用調査機関と個別的に種々の契約を結んで業務を実施しておるというように承知いたしております。
  53. 松平忠久

    ○松平委員 次にお聞きしたいことは、いまの海外投資そのもののことなんですけれども、この海外投資が、いまのような信用調査機関というもので信用をして保険をかけるという場合に、その付保したところの企業というものがどういうぐあいに発展過程をたどっておるか、そういういわゆるアフターケア的な調査というものもやっておられるのかどうか。それについても、いま申しましたような信用調査機関と包括契約か何か結ばれて、常時報告をするというような、そういう義務を課しての契約であるかどうか、これを伺っておきたい。
  54. 後藤正記

    後藤政府委員 全般的な経済協力の効果、あるいはさらにその一部でございます海外投資海外進出の効果というものがどうであるかというトレースというものは、これは非常に必要なことであるということは仰せのとおりであると存じます。現在のところまでは、何ぶんにも世界全般にわたる問題でもございますし、希望いたしつつも、的確なアフターケアと申しますか、トレースができにくいままに今日に至ったという状態でございます。今後の方向といたしましては、できる限り広くこの経済協力というものの効果、少なくとも海外投資進出企業——個別的には若干把握いたしておる点もございますけれども、これらの効果というものを十分に測定をいたしまして、今後の施策を進めてまいることが肝要であると考えております。
  55. 松平忠久

    ○松平委員 そういった包括的なアフターケアなり、あるいは調査なりというものが非常に必要であるということは、もうお認めになったわけでありますが、その効率性というか、海外投資というものがいかにうまく行なわれているか、そういった効率性のアフターケアというものは、日本においては一体だれがやっているのか。
  56. 後藤正記

    後藤政府委員 これまた非常に重要な問題でございますが、これは経済協力一般につきまして関係各官庁の間に相互に密接な連絡をとっておりますと同じように、この効率性につきましては、たとえば、外務省の出先公館からの情報、あるいは通産省の所管いたしておりますジェトロからの情報、あるいはその他ただいまの信用調査機関を通じてのそれぞれの情報等々から、たいへんお恥ずかしい話ですが、現在散発的にこれをとっておるという状態でありまして、今後海外投資というものが促進されていく場合には、これはそれぞれ各省によって機能は異なりますけれども、それらが十分に相互に連絡をして、そうして一つ海外投資の効率性というものが的確に把握されて、それによって今後の施策が考えていかれるような状態をとらなければならないことは、まさに先生指摘のとおりであると存じます。その方向に向かって努力いたしたいと存じます。
  57. 松平忠久

    ○松平委員 海外投資をするという場合の事前の調査というものについて、日本としてはアジア経済研究所もある。それからジェトロもあります。在外公館もある。こういうものを利用して、そうして事前調査というようなものが、はたして実際の経済的な進出というか、海外投資というものに、アジ研にしてもジェトロにしても役立っているかどうか、その点を伺っておきたい。
  58. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  アジア経済研究所は、その性格の上から申しまして、主として基本的な立場から投資資料調査というものをその国の国情、風土、気候、民族というものについて行なってまいりましたし、たとえばジェトロ等から入ってまいりますものは、むしろそれよりももっと現実的と申しますか、個々の現時点的な関係における情報というものが入ってきております。そのほか、あるいは進出企業によりましては各関連する商社に委託するとか、いろろな点を考えまして進出の態度をきめるわけであります。もちろん政府といたしましても、通産省としては、これまた外務省の在外公館からの情報等も十分にしんしゃくいたしまして、民間の企業からそういう進出に関する御質問、お尋ね等がございますれば、でき得る限りそうした多角的な情報をまとめましてお知らせ申し上げるという態度をとってきておるわけでございます。
  59. 松平忠久

    ○松平委員 それに関連して、政府では、そういう海外投資における  これは民間だけではなくて、政府間信用供与もあるし、あるいは民間の信用供与もあります。そういった海外経済協力というものに対して長期的な見通しを立てておられるのかどうか。あるいはそれはだれが立てるのですか。
  60. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  経済協力の問題というのは、非常に多面的かつ広がっておりますので、関係するところの役所も非常に多くございます。経済企画庁はじめ外務省、大蔵省、通産省、さらに最近におきましては、農林省あるいは厚生省、あるいは土木、港湾等のインフラストラクチュラルなものにつきましてはこれまた運輸省等々、いろいろ各省それぞれの機能に基づいて経済協力という一つの大きい目的とその事業遂行のための努力をいたしておるわけでございます。そこで、現在総理府に対外経済協力審議会という総理の諮問機関がございまして、経済協力の基本的な方向、施策等については、この審議会が諮問に答えあるいは意見具申をするという形になっておりますが、この長期的な見通しという点に関しましては、これは関係各省で、それぞれの設置法に基づきますその省の機能に基づいて、それを持ち寄り、十分に協議検討をして行なってまいっておるというのが現状であると存じます。
  61. 松平忠久

    ○松平委員 昨年メキシコシティーで地下鉄工事がありましたときに、この地下鉄工事の設計のプランは日本の商社が落として、そして完成させましたが、いよいよそのプランに基づいて地下鉄を実施するというときには、日本は国際競争のあれから落ちてしまった。そしてフランスがこれを獲得して今日やっているわけでありますが、これはどういう原因です。
  62. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  ただいま先生から御指摘がございましたメキシコの市の地下鉄工事につきましては、通産省海外投資等調査補助金の一部を受けまして日本プラント協会が、メキシコ市の地下鉄建設計画についての調査団を派遣いたしております。調査団は、海外鉄道技術協力協会の佐藤さんを団長といたしまして、五名からなるものでございますが、それで概略の計画を作成いたしまして提出いたしましたが、その後仰せのとおり、フランスの借款の対象プロジェクトとして、この地下鉄工事が取りしげられて、最初の調査その他においては、日本はこれに努力して一歩先んじたという形になっておりますけれども、受注するところとはならなくて、フランスが受注した、こういう状態でございます。まあ、申しますならば、最初に調査あるいはコンサルティング業務、そういったものを、技術的にも経営的にも先方の依頼を受けてそれをいたしまして、そのあとそれを受注して、さらに場合によりましては、そこへ日本からの設備、プラント、機械等の輸出が伴いまして、初めから完成まで首尾一貫したのが一番効果的であるというように考えますが、本件は、最初の調査段階では日本だけでございましたが、あとはよその国にとられた、こういう例でございます。これは国際的にも最近いろいろ受注競争が激しゅうございますし、調査をいたしたということ、日本の技術というものが評価されたという点においては、それはそれなりに効果があったと存じますけれども、結果としては、そういうことに終わったわけでございます。
  63. 松平忠久

    ○松平委員 私が聞いているのは、日本側がそういうプランだけは立てたけれども、さて本工事ということになったところがフランス側に落ちてしまったという、その理由はどういうわけなんだ、それを聞いているのです。日本側にどこに欠陥があったのか。
  64. 後藤正記

    後藤政府委員 一般的に申しまして、大型の工事その他の受注が、大体受注合戦ということになりまして、そこで各国の競争が行なわれるというのが実態でございます。したがいまして、あるいは全体の見積もり額の問題、あるいはまた条件の問題等々、いろいろな原因があるかと存じますが、本件に関しましては、はなはだ不勉強で恐縮でございますが、私、現在お答えいたす資料を持っておりませんので、後ほど調べましてお答えを申し上げます。
  65. 松平忠久

    ○松平委員 この問題について、政府側の説明員かだれか知っている人がおりますか。どういうわけで日本の条件がフランスよりだめだったのか。いわゆるアフターケアというか、そういうことをだれが一体調査をして、それじゃこういうところを直さなくちゃいけないじゃないかということを提案する日本機関というものはないのですか。どうなっているのです。
  66. 後藤正記

    後藤政府委員 こういう大型のプラントと申しますか、設備というものの落札結果というものが、どの国がとった、どの国が失敗したというような情報は、これは従来の例から申しますと、在外公館から外務省を通じましてよく入ってまいります。本件に関しまして、私がその点を承知していないのはたいへん恐縮でございますが、主として大型のものにつきましては、在外公館なりあるいはジェトロなりから、各国それぞれ注目いたしておりますので、入ってくるのが通例でございます。原因等につきまして、後ほど照会をいたしまして調べることにいたします。
  67. 松平忠久

    ○松平委員 そういう大型のプロジェクトに対して日本が参加するということが、過去にもあり、将来もかなりあると思います。現在、サンパウロからの鉄道のかけかえ工事はどこの会社が設計をとりましたか。これは日本がとっているはずです。
  68. 沢木正男

    ○沢木政府委員 お答え申し上げます。  リオ−サンパウロ間の鉄道のかけかえ工事につきましては、一昨年、国際建設技術協力株式会社と申しましたか、先ほど後藤局長がお名前をおっしゃいました佐藤氏が向こうに参りまして、大体の基礎の案を構想の程度の段階で話しておりますが、その後、具体的な工事設計の発注あるいは受注はなされておらないというふうに承知いたしております。
  69. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つお聞きしておきたいのですが、いまインドネシアのジャカルタに百貨店が、半分でもないが、二階ぐらい建って、あとは野ざらしになっていますね。これはどこが請け負ったか、伊藤忠じゃなかったかと思うのですけれども、そういった日本の企業が受けて、そして海外でいろいろな工事をやっていますけれども、この工事は大体において成功した率が多いかどうか、あるいは損をした率が多いかどうか、こういうことをお調べになったことがございますか。
  70. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ジャカルタにございます鉄骨建てのビルは、賠償に基づきまして建てたものでございまして、スカルノ政権が倒れました後約九カ月間、向こうの政府の混乱状態が続きまして、その後の政府におきまして、新たに賠償の資金をそれがために使うということがなくなった結果、半分建てかけたままになったものでございます。ごく最近の話でございますが、これを一応合弁投資によってホテル並びに事務所にしたいというような話が目下行なわれておりますので、近く鉄骨の雨ざらしの形は解消するのではないかというふうに期待いたしております。  それから、借款あるいは賠償によりまして、具体的に工事をいたしまして、その結果、その企業がもうかったかどうかということは各企業の機密に属することでございまして、われわれもその実態は知り得る立場にございませんので、残念ながらその点についてはお答え申し上げかねると存じます。
  71. 松平忠久

    ○松平委員 香港における水道工事は大成建設が請け負ったわけでありますけれども、たいへんに損をしてしまった。この原因はどこにありますか、皆さん御承知ですか。
  72. 沢木正男

    ○沢木政府委員 外務省が御答弁申し上げるのが正当であるかどうかわかりませんが、われわれのほうは承知いたしておりません。
  73. 松平忠久

    ○松平委員 では、水野組がスエズ運河のしゅんせつをして、これまた損をしてしまった。この理由はどこにありますか。
  74. 沢木正男

    ○沢木政府委員 水野組がスエズ運河の工事を引き受けて損をしましたかどうかということについては、先ほど申し上げましたように、われわれ真相を知り得る立場にございませんのでわかりませんが、少なくとも工事が中止されるに至ったという原因は、スエズ動乱の結果、そこで工事が続行し得なくなったためであるというふうにわれわれは聞いております。
  75. 松平忠久

    ○松平委員 次に伺いたいのは、そういった海外経済投資、こういうものを、先ほどの御答弁によりますと、審議会のようなものがあって、それぞれ各省で持ち寄って、そして審議会にかけて、いわゆる長期計画というか、長期の見通しというものを立てるのだというお話がありましたけれども、ここで伺っておきたいのは、私どもが戦後七、八回参りまして、そしていろいろな経済調査をしてきておりますが、その結論というものは、最近はなはだしく私どもを不安におとしいれていることは、特定の国において非常な過当競争が行なわれておる、こういうことなんです。したがって、それが日本経済に非常にマイナスにもなっているし、その結果不信というものも抱かれておる。こういうことなんですが、その中で特に例をあげて申し上げたいのは、ここにバンコクの日本商工会議所の調べた報告がございます。その中で彼らも、去年私が行ったときに言っておるのですが、非常な過当競争が行なわれておる。この過当競争の中で、私はこの前ちょっと国会で取り上げた問題がございますが、亜鉛鉄板、これは一番初め私ども行ったときは一つしかなかった。昨年行ったら、これが三つにふえている。この亜鉛鉄板は、現在のこの三つの工場の設備の稼働力というのはどのくらいになっているか。私ども聞いたととろによると、四割以下、こういう稼働率になっておる。一つでも大体まあまあよかろうというところに、さらに一つふえた、第三番目がまたふえた、こういうことをしている。これは、でたらめにただ許可しているというのは、だれがやっているのですか。
  76. 後藤正記

    後藤政府委員 海外投資に関します許可は、先ほど来お答えいたしましたとおりのことでございますが、現実におきまして、先生いま御指摘になりましたような過当競争が、一部の国において行なわれておるのも事実のまうでございます。したがいまして、現行法制のもとで投資許可をするにあたりましては、外務、通産、大蔵それぞれよく連絡をとりまして、現地事情を十分に把握し、その企業がはたしてそこでうまくやれるかどうかという点等をも考えまして、進出企業に対する行政指導をでき得る限り行なってまいってきておる次第でございます。しかしながら、基本的には、たとえば一つの国にその業種が一つ出ていくということを、一つの企業だけに限定するということをコントロールするわけにもまいりませんので、企業が自分の採算計画に基づきましてどうしても出ていくという場合は、非常に弊害がはっきりしておるという場合は極力——これは法律的な問題としてではなしに行政指導として、従来とも指導、アドバイスを行なってきたところでございます。しかし、基本におきましては、これはやはり企業自体がよく、まあこれは国内市場でもよくあることでございまして、たとえば設備競争等も、全体の需要見通しに対しまして各社全部持ち寄りますならば、当然それを上回って、ひいては業界全体にダメージがくるという場合もあり得るわけでありますが、これが同じように海外の市場でも行なわれるということになりますと、この点は、国内市場よりもさらに、日本の対外的な信用の問題と申しますか、あるいはまた、外貨の無用なロスという事態も起こってまいりますので、今後とも、そういった行政指導は関係各省十分に連絡をいたしまして行なってまいりたい、かように考えております。
  77. 松平忠久

    ○松平委員 私の言ったのは、もっと具体的なことを言ってもらいたい。亜鉛鉄板のことを言っているわけですが、これは三つあるわけなんです。一つじゃないのです。二つ以上ある。二つでも国内の需要をまかなって余りがあるのだ。そこへ三つ目のをまた許可したという理由はどこにあるか、これを聞いているのです。
  78. 後藤正記

    後藤政府委員 当時の詳細な事情をつまびらかにいたしませんが、おそらく企業サイドといたしましては、需要というものは固定したものでなしに、今後増大し流動するものである。したがって、企業の採算ベースに乗るということで進出をされたものが、結果において見込み違いができて、過当競争、ただいま先生が御指摘になりましたように、稼働率の低下ということになってまいっておると存じます。こういう点に関しましては、今後ますます企業の海外進出というものはふえてまいるでございましょうし、特に情報を的確に入れ、市場調査、経済動向等を十分に調査をしながら、企業自体が考えて出ていくということも必要でございましょうし、これに関係をいたしております、特に外務省、大蔵省、通産省、関係各省で十分にその点は一致した意見のもとに、その企業に対する行政指導ベースでのアドバイスを行なっていく以外に方法はないかと存じます。
  79. 松平忠久

    ○松平委員 亜鉛鉄板の問題は、私が当初参りましたときに一つあって、二度目に行ったときに二つになった。そして三つできるというときに、タイの商工会議所にしても、大使館にしても、三つは困るのだ、こういう意思表示をしているはずであります。にもかかわらずこれは政府許可してしまった。その許可はどこがしたのですか。
  80. 後藤正記

    後藤政府委員 海外投資に関します許可は、法令の定めるところによりまして、大蔵省である場合と通産省である場合とございます。
  81. 松平忠久

    ○松平委員 私の聞いているのは、第三番目の亜鉛族板の海外進出を許可したのはどこの役所であり、どういう理由で許可したかということを聞いている。
  82. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  これは先ほど申し上げましたように、関係各省で投資連絡会という事務的な連絡会議を常時開いておりまして、その上の同意を得て、形式的にはこれは大蔵省が許可をしたというように承知いたしております。
  83. 松平忠久

    ○松平委員 大蔵省来ていますか。大蔵省から答弁してもらいたい。
  84. 下條進一郎

    ○下條説明員 お答えいたします。  投資許可につきましては、先ほど来通産省のほうからお答えがありましたように、各案件につきまして、それぞれの関係官庁と寄り寄り協議いたしまして、その合意の上で大蔵大臣が許可する。中には通産大臣が許可するという案件がございます。本件につきましては、そういう協議の上で大蔵大臣が許可した案件でございます。
  85. 松平忠久

    ○松平委員 そういう協議の上でと、いまおっしゃいましたが、これは三つあってもいい、こういうことですか。そこのところは、どういうふうな議論があってこれも許可するということになったのか、そのいきさつを知らしてもらいたい。
  86. 下條進一郎

    ○下條説明員 お答えいたします。  本件の詳しい内容につきましては、ただいま私、事情をよく存じておりませんので、具体的なお答えができませんけれども、このような案件の許可につきましては、先ほど御説明いたしましたように、それぞれ主として関係事業官庁の意見を尊重いたしまして、投資連絡会で協議した上で決定したわけでございまして、その当時の許可状況からは、このような、先生の御指摘のような問題が起こるという判断がなかったわけでございまして、そういう状況の変化が後にあったということになると思います。
  87. 松平忠久

    ○松平委員 それは言いのがれだと思うのです。現地からは三つもあっては困るという意見が具申されてきておる、こういうことを私は聞いておる。だから、それがどういうことで無視されたのかよくわからない。  それじゃお聞きしますけれども、現在タイへ進出しているところのテキスタイル、いわゆる化合繊あるいは紡績というようなものが非常に多いのですけれども、これは現地でいろいろ聞いたところによると、多過ぎて困ると、こういう苦情が出ているのだけれども、これに対しては政府はどういう考えをお持ちですか。こういう過当競争をしたその結果は、先ほどもお話がありましたように、日本の国際的な信用というものをむしろ失墜しているんだ、こういう結果になっているので、そこで、むやみとこういうものをぞろぞろあとからあとから出していく、こういうやり方というものは、非常に日本自体がむだな投資をしているんじゃないか。そして、しかもその結果というのは、日本自身の、先ほどどなたか申されましたいわゆるエコノミック・アニマルというか、そういった印象を各国にも与えておるし、同時に現地人に対する日本の信頼というものを失墜している非常に大きな原因になっている、こう思うけれども、これに対してはどういう見方をしておられますか。
  88. 後藤正記

    後藤政府委員 個々の投資許可にあたりましては、先ほど来、外務、大蔵、また私からそれぞれ一般的なやり方について御説明申し上げておるとおりでございます。このタイの場合は、四十四年の三月末現在で繊維関係が十九件出ております。これが、先生の御指摘では過当競争を来たしておるということでございますが、現状、私、最新のものをつまびらかにいたしておりませんが、企業が進出いたします場合には、それぞれ、特に低開発諸国によりましては、時の流れとともにいろいろ客観情勢の変化、政治情勢の変わり、あるいはまた経済情勢の変わりがございます。そのために、先生指摘のとおりであるとするならば、そういう企業の見込み違いも原因となってきたかと存じます。
  89. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、先ほど言われたように、長期の見通しというものは、いま申しましたタイに関する限りは立っていないのかどうか。あの国に対しては将来どういうふうになるんだ、だからテキスタイルはおよそどのくらいがいいだろう、自動車はどのくらいがいいだろう、こういう見通しのようなものがあってしかるべきだと思うのだけれども、そういう見通しというものは政府は立てられないのですか。
  90. 後藤正記

    後藤政府委員 全般的な世界経済の伸び率とか、あるいはその国が過去数年間のトレンドによりましてその経済成長がどうなってきておるのか、あるいはまた日本との関係におきまして、その貿易収支がどうなってきておるのかというような、一般的な把握のしかたから大体の見通しをつけつつ、これに加えて、企業の進出の意欲、それから企業自身の採算計算をもとといたしまして個々の投資案件の許可が行なわれていくわけでございます。したがいまして、的確に、どの国について、そこのどの産業が将来どれだけ伸びて、しかも業種別に、これが将来需要がどれだけできてきて、したがってこの設備でオーバーになるのか、過小になるのかという見通しというのは、非常にむずかしい問題であると存じます。
  91. 松平忠久

    ○松平委員 いや、私の聞いているのは、むずかしい問題であるかもしらんけれども、そういった長期的な見通しというものを政府は立てておらないのかどうか。いま私が質問したのはタイに関してのことでありますけれども、テキスタイルについてはお答えになりましたが、自動車は六社、あそこへ進出していますね。この六社がみんなおのおの別の車種で、したがって部品も違ったものを使うということでやっておるけれども、こういう六社がバンコクへ進出しているということは、過当競争になるのはあたりまえじゃないかと思うのだ。日本のようなところとは違って、まだそれほどの購買力もない、人口も少ない、そういうところへ六社も進出させてしまった。そうなれば、日産が進出したからトヨタも進出しなければならぬし、そうすると、いすゞも行く、何も行くというようなことで行ってしまうということを、皆さんはどう考えているのか。ただ過当競争させればいいんだ、むだな投資をさせておけばいいんだ、そういうお考えなんですか。それとも、長期の見通しの上に立って、そしてそれらは三社なら三社ぐらいにしておくというような考えというものを持たないのかどうか。その辺のことを聞いておるのです。
  92. 後藤正記

    後藤政府委員 あるべき形としては、まさに先生がおっしゃるとおりでございまして、進出先の現地におきまして無用な過当競争を生じたり、そのために出ていった企業自体が被害をこうむる、国全体としても声価を落とし、あるいはまたロスを生ずるということは、決して望ましい状態ではないわけであります。しかしながら、今度逆に、その国に対して一業種について一企業なり二企業なりに限定して、あとを絶対に認めないという方針も、これまた現在の日本の体制といたしましてはとりにくいところであると存じます。要は、行政指導によりまして、そういう過当競争ができ得る限り避けられるような状態政府側としても十分に配意し、進出企業としてもその点を十分考慮して出ていくことは必要であると存じます。  特にわが国の各種業界の状況を見まするに、これは海外市場においてのみならず、しばしば世上問題になりますように、一業種内の過当競争というのがしばしば行なわれておる状況であります。したがいまして、国内、国外を通じまして、でき得る限りそういう事態を避けるように指導いたしてまいるというのが政府の役割りである、かように存じますが、何ぶんにも企業は自分の自主的な発意によってするわけでありまして、海外に出てまいります場合には、許可という一つの関門があるわけでありますので、その点、国内よりもコントロールは比較的しやすいという状態ではございますが、いずれにいたしましても、基本はそういうことでございますので、でき得る限りそういう事態を避けるように今後とも努力いたしたい、かように考えております。
  93. 松平忠久

    ○松平委員 国内においては自由なんだ、自由競争が行なわれているのだ、だから、海外も自由競争が行なわれてしかるべきだ、こういうお話だ。あるいはそうかもしれませんけれども、しかし、たとえば電気製品等につきましては、日本においては独禁法の骨抜きというか、そういうことによって、そうして価格の協定、再販制度、こういうものが行なわれておる。ところが、外国についてはそうではなくて、どんどんと過当競争をやっている。そういうことになると、国内と国外とは違った方向で企業の競争が行なわれている。国内においては価格についてはそういった勘定をしながら、外国についてはシェアの確保なんだということが今日の企業がやっている姿じゃないかと思う。そういたしますと、いまあなたの答弁とはちょっと違うんであって、こっちでは協定しながら、向こうへ行ってシェアの獲得だ、こういうことでもって信用を失墜している、こういう事例をいまあげたわけなんだ。その他あげれば、ブラジルその他におきまして、こういうことはもう枚挙にいとまがない。そうしてその中で最も激しい競争が行なわれているのは、自動車産業と繊維と家電の関係、弱電機、こういうものであろうと思う。こういうものに対して政府は一体どういうことを考えておられるのか。ほんとうに長期の見通しに立って——そして今日はまだこれは許可制度になっております。まだ自由化ではございません。したがって見通しを立てなくちゃならぬはずなんだ。そういうことをおやりになるつもりがあるかどうか。もしやるというなら、だれがそれを一体やるんですか、どこの役所が中心になってやるのか、そういうことを聞いておきたい。
  94. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  おおむねの発展途上国におきましては、それぞれの経済開発計画を持っておりまして、そしてその計画に基づいて今後の経済開発を進めていこう、こういう姿勢にございます。わが国といたしましては、またわが国独自の立場において、その経済計画が妥当かどうかというのを十分に考慮いたしまして、その中において日本企業というものが、業界の発意その他を勘案いたしまして、どの程度の分野を占めていくものか等々をいろいろ総合して考えていく次第であります。     〔前田委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、もしその開発計画中にすでにその数字があがっておって、現進出企業の設備能力その他でこれはいっぱいであるということが明白である場合には、これはあとから出ていこうという企業に対してその点を十分に注意をして、相手国経済計画を乱さないような方向に指導することは当然であると存じます。そういう経済開発計画がないところにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、全般論としての、それぞれその国の過去における経済成長のトレース、それからトレンド、それから世界経済の全般的な伸び方、日本の進出の業界の状態というものを見つつ、海外投資を行ないたいという企業に対するでき得る限りの指導を行なう以外に、方法はないかと存じます。
  95. 松平忠久

    ○松平委員 いま言ったような激しい競争というものが、日本の国際信用を非常に失墜させておる。そしてたとえば共産圏等においては、いろいろな中傷のようなものもありますけれども、日本のやっていることは、これはアジア開発だといいながら、実は搾取をしているんだ、こういう批判の側に立っているわけでありまして、そのことは私は必ずしも当たっているとは思いませんけれども、しかしながら、そういう日本姿勢そのものが日本海外進出に対する現地人の不信感というものをもたらしてきておるのではないか、こういうふうに思うのです。そこでこれは、現地でいろいろ言っても、現地の声というものがなかなかこっちへ通らないんじゃないか、こういうふうに私は見ておるわけです。そしてこのことは、そもそも貿易から直していかなくちゃなりませんが、現在の輸出入取引法ですね、これは一体うまく運営されておりますか、どうですか。これは過当競争、そういうものを排除するためにつくられたものであって、輸出に対する秩序というものを保っていかなくちゃならないのだけれども、これがうまく運営されておるかどうか。また、そういうことから私は、うまく運営されてないとすると——大体、商社というものが仲立ちをして、そして資本進出というものをはかっていく傾向なんです。したがって、いまのような非常な過当競争のための貿易が行なわれておるということになりますと、私は、そこに一番大きな原因があるんじゃないか。だから、輸出入取引法というものもそのためにつくったんだから、これを実効ある方向へ活用していくということにするならば、私は、ある程度この過当競争は防げると思うのだけれども、いまの輸出入取引法の実行ぶりというものは今日どういう形になっておるか、それを聞かしてもらいたい。
  96. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  輸出入取引法は、現在の状態では所期の目的を達成しつつ運営されておると承知いたしております。
  97. 松平忠久

    ○松平委員 私は必ずしもそういうように思ってない。たとえば一番いい例は、アフリカあたりの例が一番いい例です。アフリカあたりの各商社の代表というものは、自分のアドレスを人に教えない。どこにその会社があるのかということを、日本の商社同士には教えないというやり方をやっておる。もしそれを教えたら、Aという商社がどこにアドレスを持っているということをBという商社が知ったら、Bという商社の駐在員は、電報局へ行ってどんな電報を打ったかを見て、それより安く自分のほうはオファーする、こういうことをやっているんだ。したがって、自分のアドレスはほかの商社マンには教えない。こういうやり方をする。たとえばケニア、ナイロビあたりではやっています。現に私が行ったときがそうだった。そういうやり方なんで、輸出入取引法というものは、決してあなたが言っているようなぐあいに効果をあげているとは思わない。またこのことは、輸出入取引法なんというものは枝葉末節の問題なんです。あんなもので取り締まりができると思ったら大間違いなんです。これは、日本の丸紅なりあるいは伊藤忠、その他三井なり、そういうものをコントロールしなければできないことなんだ。そのコントロールができなくて何ができるか。もとをコントロールしなければだめなんだ。そのもとをほったらかしておいて、枝葉ばかり輸出入取引法でやろうとしてもこれはだめなんだ。したがって、そういった日本の企業の態度というものを直さしていかなければならぬけれども、そういう日本の企業の態度を直すには、基本的な長期の計画というものをつくって、そうしてその中に織り込んでいくということを考えていかなければならないが、そういうことを政府は考えたことがあるかどうか。たとえば海外経済協力基本法というようなものをつくるとか、そういうことによってむだな投資を省いていく。現地の住民からいわゆるエコノミック・アニマルというような非難を受けないようにしなければならないし、また同時に、現地のためを思うところの海外投資でなければならない。こういうことだと思うのです。ところが、遺憾ながらいまや現地自体から日本資本がきらわれようとしておる。そういう実情なんです。  そういたしますと、政府自体がしっかりして、そうして業界に対して一つの指導方向というか、方向を与えていく、少なくともそうならなきゃならぬと思う。それは政府のどこが所管しますか。どこがやるのです。総理大臣がやらなくちゃならぬけれども、あまり関係各省に分かれておって、そうしてなわ張りがあって——なるほど調整が行なわれておるかもしれませんけれども。それでは聞くけれども、一体企画庁の調整局長というものはどういう権限を持っているのか、これをお聞きしたい。
  98. 新田庚一

    ○新田政府委員 ただいま先生からお話がありましたで海外で最近いわれておりますエコノミック・アニマルとかイエロー・ヤンキーというふうな問題が多発しておりますことは、非常に遺憾なことでございまして、経済協力でございますので、あくまでも、直接投資、あるいは借款にしましても、相手方の事情に応じた、低開発国の自主性を尊重した、相手方の立場に立った協力というものが必要であるというように考えるわけでございます。  したがいまして、近く答申になります経済発展計画におきましても、日本経済協力をできるだけ早くUNCTADの決議のGNP一%の線に近づけるということ、それから条件も緩和するということを首相はうたっておりますけれども、それを実行するに際しましても、先生指摘のような経済協力の基本的な姿勢というものは、ますます重要になってくると思うのでございます。  私ども経済企画庁としましては、設置法にございますように、各省が——これは御指摘のように、経済協力の仕事は非常に多面的でございまして、外交的な見地から外務省、それから国際金融あるいは予算問題から大蔵省、貿易振興の見地から通産省という、それぞれの権限、立場に即して行なっておるわけでございます。そういったもので、各省間で基本的な問題につきまして調整がつかない問題につきまして、私どもとして一つの調整をやるという立場にあるわけでございます。  協力機構の問題、いろいろ御指摘ございますけれども、なかなかたいへんな問題でございまして、ドイツなんかでも、一九六一年に対外経済協力省ができましたけれども、やはり経済省、大蔵省、外務省というようなかっこうで協議の体制でやっておるというふうに聞いております。私どもの調整機能も活用しながら、現在、協議会方式その他を使いましてかなり円滑にやっておるつもりでございますが、今後ともその改善に努力したいと思うわけでございます。
  99. 松平忠久

    ○松平委員 次に沢木君にちょっと聞きたいんだけれども、日本におけるいわゆる円借款、あるいは民間の借款というか、借款供与というものがいまいろいろあるが、この借款がどういうふうに効果をあげておるか、そういうアフターケア的な追跡調査というか、そういうものはどこがやっておるのか、その点からちょっと先に聞いておきたい。
  100. 沢木正男

    ○沢木政府委員 お答え申し上げます。  経済協力効果の調査につきましては、外務省に昭和四十三年度からそのための予算が認められましたので、四十三年度におきまして、技術協力効果の調査を五十カ国以上について行ないますと同時に、韓国、インドネシア、西パキスタンの調査をいたしました。四十四年度予算におきましては、インドの予備調査並びにパキスタン、それから台湾の調査を実施いたしまして、調査報告といたしましては、韓国、インドネシア、インドに関する調査報告を公表いたしております。
  101. 松平忠久

    ○松平委員 その点について、諸外国、ことに開発途上国に対して相当の援助をしておる外国、アメリカとか西ドイツ、フランスあるいはソ連、こういう国々は、そういった経済援助あるいは経済協力というものに対して、アフターケアなり、あるいは追跡調査なりというものは今日どういう機構になっているか、その点わかっておったら知らしてもらいたい。
  102. 沢木正男

    ○沢木政府委員 諸外国につきまして、彼らの経済協力効果の調査をどういう機関でやっておるかという問題につきましては、私、現在情報をつまびらかにいたしておりませんが、OECDの開発援助委員会、すなわちDAC、経済協力効果の点についての委員会がございまして、それで各国情報交換並びに意見を出し合っております。それの中でそういう議論を通じて見ますと、各国とも、後進国援助ないし経済協力の効果があがっておるかどうかということにつきまして、特別の機関は設けておらないように大体思われます。そして援助を実施する機関が、常時、同時的に自分らの過去やった援助についても調査し、将来やっていく援助について改良を加えるというのが、大体の体制であるかと存じます。
  103. 松平忠久

    ○松平委員 その点について、円借款の場合に、過去の例によりますと、インド等の場合におきましては、なかなか返還がうまくいかぬというようなことで、その延長というか、そういうものが行なわれておるけれども、いままでの日本側の円借款、それがうまく行なわれておるかどうかという調査というものは、特別にやっておられるのかどうか、その点。
  104. 沢木正男

    ○沢木政府委員 先ほどお答せ申し上げましたように、インド、パキスタンあるいは韓国、インドネシア、それぞれの国にはすべて円借款が出ております。したがいまして、今回行ないました経済協力効果の調査団の調査の中には、調査の一項目としまして、円借款プロジェクトについても全部調査をいたしております。それ以外の円借款諸国につきましては、それぞれ円借款を出しました輸出入銀行並びに経済協力基金というものも、円借款の実施上の問題もございますので、常時現地に人を派遣いたしまして過去のプロジェクトについての調査は行なっております。
  105. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つお聞きしたいのは賠償なんです。ほとんど賠償は終わっておるけれども、日本側のこの受け取り方は、賠償というものに対して、これは経済協力の中に入れて考えておるんではないかと思われる節があって、通産省から出しておる「経済協力現状と問題点」の中でも、賠償というものをあたかも経済協力かのごとく取り扱っておるわけなんだけれども、しかし、これは賠償を受ける国のほうからいうと、決して経済協力とは思っておらない。こういうふうに私は理解しているけれども、その点、賠償に対する政府の統一的見解というものはどうであるか、これは経済協力の中に入れておるのかどうか、このことを承っておきたい。
  106. 沢木正男

    ○沢木政府委員 お答え申し上げます。  賠償は、あくまで日本が戦時中の相手国に与えました損害について賠償するという精神でできました協定でございますから、それ自身政府としては経済協力とは考えておりません。しかしながら、賠償で行なわれます。プロジェクト自身が、その国の経済開発計画に貢献することもまた一方の事実であります。したがいまして、賠償と同時に並行的に行なわれております円借款あるいはその他の援助とのからみ合いにおきまして、経済開発援助的な意味合いも含めて、賠償の実施計画をきめる場合に日本の意見を相手国に言っておるというのが現状でございます。
  107. 松平忠久

    ○松平委員 ちょっと枝葉の問題にわたるわけですけれども、いまバルーチャンの水力発電所は動いておりますかどうですか。
  108. 沢木正男

    ○沢木政府委員 現在ペンストックが破壊されまして、発電はいたしておりません。
  109. 松平忠久

    ○松平委員 これは賠償でこしらえたわけだけれども、あれができたときには、ビルマのその付辺には工業というものがほとんどないということで、発電はしょうと思っておるけれども電気の買い手がない。夜、電灯用として電気を売るということになったところが、付近の農民は、日が暮れれば寝ればいいんだ、そんな高いものは買わないといって買わない。そういったまるで実情に合わないことをやっているように思う。そういった当初の五カ年計画は、どこの国もだんだん直されてきております。インドにしてもビルマにしても直されてきているけれども、そういった問題が私はあると思う。したがって、いわゆるアフターケアというものは必要だと思うし、また、賠償の場合においても、インドネシアにおけるああいうでたらめなやり方というものをまともに見ておるならば、やはりグッドアドバイスというものをしなければならぬと思うのだけれども、これに対しては、いままで外務省はどの程度グッドアドバイスをしてきたかどうか。  一、二の例を申し上げるならば、たとえばインドネシアホテルのあの建築というものは非常に高くついておるということを私は聞いておるし、たいへんなわいろのようなものが政府に渡っておるわけです。そうして、そのわいろのはね前でデビ夫人の別荘ができておるということも聞いておる。そういった問題点がそういう国には当時あった。それで、やはりグッドアドバイスというものをしなければならぬのじゃないか、私はこういうふうな意見を持っているのですけれども、それらのことについて、その国に対し、心からその国の人として、その国の経済発展というような考え方でグッドアドバイスというようなものを今日までしてきたかどうか、そういうことを私はちょっとこの際聞いておきたいと思う。
  110. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、私、先ほどのビルマのバルーチャン発電所は動いておるかという御質問に対して、動いておらないと答えましたのは、私の思い違いでございまして、ダニムのことを考えておりましたのでそうお答えいたしましたわけでございますが、ここに答弁を訂正さしていただきます。ビルマのバルーチャン発電所は現在稼働いたしております。  それから、ただいまの御質問でございますが、賠償は年次実施計画というものを双方に合意いたしまして、その実施計画に基づきまして支払いを承認する方式をとっております。その実施計画を合意いたします際に、先方の要求書に対しまして、各設備あるいはプロジェクトにつきまして、当方よりも相手国経済開発に最も貢献すると思われる有意義なプロジェクトにつきまして日本政府としての考え方を述べまして、先方にその変更を求める作業をいたしますけれども、根本的に相手国政府がどうしてもそれをやるというふうに言いました場合は、本来が賠償の支払いでございますので、それが協定の範囲内であり、協定の各条項に違反しない限りこれを認めるという態度で、基本的に折衝を進めてまいったのが現状でございます。
  111. 松平忠久

    ○松平委員 次に、国際分業についてちょっとお伺いしたいのですが、最近、韓国等へのいわゆる軽工業の進出、あるいは台湾、香港への軽工業の進出が非常に活発になってきているのでありまして、したがって、これは日本の中小企業との競合という問題も起こってくるだろうと思います。ことに台湾においては非常な勢いで企業進出が始まってきておる、こういう状態なんですが、その場合におけるいわゆる資本自由化という問題とも関連するが、この軽工業等における資本進出、企業進出と日本における中小企業との競合ということを一体どういうふうに調節し、考えておられるか、どうやって指導しておられるか、それをお伺いしたいと思います。
  112. 後藤正記

    後藤政府委員 御指摘のとおり、韓国あるいは台湾に対しまする中小企業、特に、軽工業関係あるいは非常にこまかい機械部品のようなものの進出が多いことも事実であります。主としてこれは、先ほど先生のおっしゃいました国際分業的見地に立ちまして、現在国内におきまする労務費の非常な高騰に対応するために、低いものは四分の一あるいは二分の一という良質でかつ安価な労働力を利用しよう、こういう見地からと考えられるものであります。  そこで、たとえば競合する場合に二つございまして、日本自身で近隣のそうした低賃金の国で製品をつくって、日本自身に逆上陸と申しますか、入ってまいります場合と、それから日本輸出先である第三国において競合する場合と、この二つあると存じます。したがいまして、特にこういった国内の中小企業というものに直接に響いてまいる軽工業品を主といたしました企業進出に関しましては、現在通産省のとっております方策は、海外投資一般のルールは、先ほど来関係各省ともに、私からも申し上げたようでありますが、特に逆上陸等によって日本の中小企業に被害を与えないということの意思を確認した上で、その投資案件を個別的に出すという方策をとっております。第三国市場におきまする競合につきましては、これはなかなか規制がむずかしい問題でありますし、またマーケットも非常に広いというようにも考えられますので、そこまでの規制はいたしておりません。  現状はさようでございますが、ただ、資本自由化の問題とからめまして、この中小企業施策というものを一体どうするか。資本自由化と申しますのは対外投資の場合でございますが、これは全般的に申しまして、どうしても発展途上国、特にテークオフの段階にあります台湾、あるいは韓国、あるいはマレーシア、あるいはシンガポール等々の国の手をつけやすいもの、特に軽工業品関係、それが競合してまいるのは、これは一つの大きな流れとしてある程度避け得られないところかと存じます。したがいまして、一方におきまして、対外の投資に関しましては、ただいま申し上げましたような配慮をいたしますと同時に、国内の中小企業施策といたしましては、構造改善等を実施いたしまして、でき得る限りそうした発展途上国産品と直接には競合しないような技術の高度化、品質の向上といったような、言うなれば高級品をつくる。高い賃金を使ったものは、それだけ付加価値の高いものをつくらなければペイしないわけでありますので、そういった方向をとりつつ、漸次この問題を国内中小企業施策、同時に対外中小企業進出対策というものと総合いたしまして、施策を実施していくことといたしております。     —————————————
  113. 八田貞義

    八田委員長 ただいまドイツ連邦議会議員団の方々が傍聴に見えられましたので、委員長から御紹介申し上げます。  ゲルハルト・シュレーダー外交委員長   〔拍手〕  ハリー・リール議員   〔拍手〕  ゲオルグ・クリージング議員   〔拍手〕  ゲルハルト・フレーミッヒ議員   〔拍手〕  カール・オット・レンツ法務委員長   〔拍手〕  ハンス・ヘルマン議員   〔拍手〕  ヨハン・ペーター・ヨステン議員   〔拍手〕  フリーデル・シルマー議員  クルト・ユング議員   〔拍手〕 以上でございます。     —————————————
  114. 八田貞義

    八田委員長 質疑を続行いたします。松平君。
  115. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ聞いておきたいのですけれども、最近よく共産圏のほうでことに声を大にして言っているのですけれども、東南アジア等における日本政府、民間の経済協力というのは、アメリカの肩がわりというか、そういう思想がある、こういうことをよくいわれておるわけなんです。それで、何となくそのアメリカの肩がわり的なやり方でだんだん進出してくるのだ、そういうふうな宣伝が多いのですけれども、それをどういうふうに政府は受けとめておりますか、これをお聞きしたい。
  116. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  東南アジアへの日本企業の進出がアメリカの肩がわりであるというふうには、私どもは理解いたしておりません。
  117. 松平忠久

    ○松平委員 OECDの問題がさっき出ましたけれども、これを当初DACの委員会等において、アメリカの対外援助というものは何か意図的なものがあるのじゃないか、つまりソ連なり中共というものを意図して、それに対する経済的な包囲政策というものをとるのじゃないか、こういう発言が委員会である国の委員からされておりますけれども、それは日本政府は御存じですか。
  118. 沢木正男

    ○沢木政府委員 DACの場には、政府代表として私、長らく出ておりますが、援助に関する政策論議というような形におきまして、ただいま御指摘のような議論が出たことは、私、記憶いたしておりません。
  119. 松平忠久

    ○松平委員 日本がOECD、DACに入ってからは、アメリカの対ソ政策というものは変わってきておるから、それは出なかっただろうと私は思うのです。しかし、当初いわれておりましたことは、ソ連の第二十回共産党大会の決議というものをアメリカは非常に曲解というか、誤解というか、重く見過ぎているのじゃないか。したがって、OECD、DACにおけるアメリカのやり方というものは、そういうことを意図して海外援助をするのじゃないか、こういう疑いを各国の委員に与えたことは事実ではなかったかと思うのですが、その点はいかがですか。
  120. 沢木正男

    ○沢木政府委員 アメリカの援助政策自体について世上いろいろ議論があることは事実でございますが、DACにおきまして、そういう点が各国政府代表の間で議論されたことはないと記憶いたしております。
  121. 松平忠久

    ○松平委員 その後の海外経済協力という名前のこの経済援助というものを見てまいりますと、どうも中共包囲政策の一環という感が深いのであります。中共包囲政策と同じような思想で、中共を取り巻く国々、ことに非共産圏というものに重点を置いて海外援助が行なわれておる。そういうふうに統計の上ではとれるのですけれども、政府は、そういう考え方というか、あるいはどこかからの圧力というか、そういうものを受けて、中共を取り巻く国々、しかもそれは非共産圏、そういうところに重点を指向してやるというふうに統計的には出ているのだけれども、それは一体どういう理由なのか、もし理由があるとするならば聞かしてもらいたい。
  122. 沢木正男

    ○沢木政府委員 わが国援助の地理的な配分ということから申しますと、政府援助の非常に大きな部分が東南アジアに集中されておることは事実でございます。しかしながら、民間投資におきましては、ラテンアメリカあるいは中近東というような地域も相当な額を占めておりますし、アフリカに対しても、近時、円借款が出されておるという状況でございまして、政府が中共の周辺諸国を意識して、そこに援助を強化した事実は現在までないと存ずるわけでございます。
  123. 松平忠久

    ○松平委員 一九六九年にDACが勧告をしている。その勧告によると、金利は三%、返済期間は二十五年、据え置き七年、こういう勧告をしたわけでありますけれども、現在こういうDACの勧告に基づいて行なわれておる借款なり何なりというものは、パーセンテージにするとどの程度あるか、それを伺っておきたい。
  124. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいまの御質問は、六九年のDAC勧告の援助条件にかなった援助がどれだけかという御質問であったかというふうに了解いたしましたが、日本は一九六五年のDAC勧告の条件にすらまだ達しておらないわけでございまして、したがいまして、六九年のDACの勧告の援助条件に達した援助は現在までございません。ただ、先般韓国あるいはパキスタンに米を貸与いたしておりますが、これは資金の貸し付けではございませんで、現物の貸し付けという意味におきまして、必ずしもDACの借款条件ではございませんが、それの貸し付け条件自体は、金利あるいは返済期間の点におきまして、六九年のDAC条件をある程度満足しておるかと存じます。
  125. 松平忠久

    ○松平委員 第二回国連貿易会議、これが採択したいわゆる国民総生産の一%、先ほどもちょっとどなたかから触れられたけれども、この援助目標というものは、いつごろ大体一%ということが達成されるのかどうか。現在は〇・七四%ぐらいじゃなかったかと思うのだけれども、今後何年目ぐらいにこれが達成されて、そのときにはドルに換算して一年に何ドルぐらいになるのか、この点。
  126. 新田庚一

    ○新田政府委員 ただいま御指摘ありましたように、現在一九六八年でございますが、GNPに対して〇・七四%という状態でございます。UNCTADのGNP決議一%をいつまでに到達するかという御質問でございますが、実はこれにつきまして、いついつまでという具体的な日程は、ただいまのところ持っておらないのでございます。と申しますのは、先生よく御承知かと思いますけれども、日本の一人当たりの国民所得あるいはGNPというものが、日本の場合は非常に低いということで、今後、経済成長の過程におきまして、社会資本の充実とかいろんな社会開発の問題その他に成長の成果を相当さかなければいけないという問題とのからみ合いがございまして、はっきりしたそういっためどをつくった場合に、それが事情の変化でどうしても履行不可能になったという場合の対外的な不信感の問題もございます。国際収支の面から見ますと、最近だいぶ国際収支状況がよくなっておりますので、およそのところ、四、五年後にはそう困難ではないと思いますけれども、問題は財政を通ずることでございまして、ドルのほかに円の問題も考えなければいけない。そういったことをはっきりしていついつまでというふうな目標は、ただいまのところ持っておらない次第でございます。
  127. 松平忠久

    ○松平委員 その〇・七四%の海外援助費は、日本では民間ベースのほうが政府ベースよりも多い。そこで民間ベース政府ベースの比率は一九六八年度においてどういうふうになっておるか。
  128. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  一九六八年の統計で、政府ベースのものが三億五千七百万ドル、民間ベースのものが六億九千二百万ドル、合計して十億四千九百万ドル。先生おっしゃいましたように、GNPに対する比率が〇・七四%、こういうことになっております。
  129. 松平忠久

    ○松平委員 その場合、政府間ベースを一定割合にしようという論議があるわけなんだけれども、国際会議政府間ベースを一定割合にしようという、この一定割合というのは、各国が自主的にきめるのかどうか。それはどういうふうになっているのか。
  130. 沢木正男

    ○沢木政府委員 政府ベースの援助をふやせという議論は、昨年出ましたピアソン報告では、一九七五年あるいはおそくとも一九八〇年までに、その国が出す援助総額のうち、オフィシャル・デベロップメント・アシスタンス、政府開発援助と呼んでおりますが、それがGNPの〇・七%までに達するようにしろという勧告でございます。一方、国連の「第二次国連開発の十年」のためにいたしましたティンバーゲン報告は、公的ベースの援助、英語ではオフィシャル・トランスファーといっておりますが、それが一九七二年までに国民総生産の〇・七五%に達するようにしろというのが内容でございます。
  131. 松平忠久

    ○松平委員 そういうような勧告を達成するのに、先ほど調整局長が答えられたような点まで含めて、大体四、五年後にはあるいはできるかもしれない、こういうことですか。
  132. 新田庚一

    ○新田政府委員 先ほどの私の答弁、ちょっと舌足らずだったと思いますが、何年後にGNP一%とか、ただいま御質問のありました、政府援助の比率をピアソン報告のいっているように経済援助の七〇%にするというふうなことは、現段階ではさまっておらないということでございます。国際収支面についてはある程度可能な感じもいたしますけれども、一方、財政面の問題がございますので、そういったことで、ただいまのところはっきりしたことは申し上げられないと申し上げたわけでございます。
  133. 松平忠久

    ○松平委員 これは外務省のほうに伺っておかなければならぬ問題だけれども、この投資保険制度の基礎となるべきものとしては二国間投資保証協定というようなものがあるわけです。ところが、これをやっておる国はアメリカと西ドイツしかない。この投資保証協定というものの考え方と、そういう考え方に対して政府はどういう見解を持っておるのか。これはやっていったほうがいいという見解なのか、あるいはこんなものはもうやらなくてもいいんだというつもりなのか、その理由とともに、それをはっきりしてもらいたい。
  134. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  米国の投資保証制度というのは、保証ということばは使っておりますけれども、制度、内容、運営等の実態を見ますると、これは投資保険でありまして、基本的に日本の行なっております保険と性格が異なるわけではございません。ただ、アメリカの投資保証制度におきましては、たとえば付保対象といたしまして、債務保証を含んでおるとか、あるいはてん補率がきわめて高額、一〇〇%と、広い内容を持っております。現在御審議をお願いいたしておりますこの輸出保険法改正案につきまして、改正案といたしましても、なおアメリカの制度に比べましてはやや限定的ではございますが、付保対象とかてん補率以外は、ほぼアメリカのに近づいてまいったと考えております。  そこで、アメリカの行なっております二国間投資保証協定でございますが、ドイツもまた、海外投資保証制度という制度、これも投資保険と同じような状態でございますが、二国間投資保護促進条約締結国、あるいは十分な投資保護のあると認められる国に対する海外投資に限りまして付保を限定をいたしております。こういったアメリカ、ドイツ等に見られる——たしかアメリカが九十足らず、ドイツが三十前後の国と協定をいたしておる、かように承知をいたしておりますが、これは実績等を見ますると、非常に努力を払っておるにもかかわらず、実効性と申しますか、それによって出てくる効果というものは薄い。さらにまた、付保対象とする国をあらかじめ限定をするということは、一面におきまして発展途上国の反発を招いてくるという懸念もございますし、それから特に、従来日本がやってまいりました対象国を特に限定しないという制度を改めて、二国間保証協定というものにこれから変えようといたします場合には、協定でございますので、非常に時間がかかってくる、こういう現状にございます。そのほか海外の、たとえばノルウェーとかデンマークとかオーストラリアとかスウェーデン、カナダ、最近いずれも海外投資保険制度をアメリカ、日本、ドイツに次いで創設した国々でございますが、いずれも二国間投資保証協定というものを前提とせずに、それぞれ投資受け入れ国の投資に対する法的保護という問題に重点を置いて考えておるようでございます。したがって、私どもといたしましては、従来の方針を踏襲いたしまして、あらためて二国間投資保証協定を締結した国にのみ付保対象を限ることなしに、従前の方式によってこれを行なっていきたい、かように考えております。
  135. 松平忠久

    ○松平委員 それは外務省でもそういう考えですか。
  136. 沢木正男

    ○沢木政府委員 アメリカあるいはドイツが結んでおります投資保証協定の役割りは、国家が保険制度をとっております日本あるいはイギリスというようなところでは、大部分目的が達成されておるわけでございまして、これらの投資保証協定がある場合と、日本のようにない場合とで比較いたしますると、違う点は、国家の債務の代位返済ということが行なわれるかいなかに違いがあるのではないかというふうに、検討の結果われわれは考えておる次第でございます。ところが、国家が債務を代位返済するという点につきましては、実例は、米国が九十二カ国と結んでおります投資保証協定の中で、ただ一件ナイジェリアのビアフラにおきまして、米国の民間会社が投資しました繊維工場について事件が発生しておるだけでございまして、投資保証協定で相手国から国家が債権を取得して、相手からその返済を受けた前例というものは、従来まで投資保証協定を結んだ国々についてはございません。といたしますると、国家が保険制度をとっておる以上、それにプラスした効果が薄いのではないかというふうに考えられますので、目下それらの点につきまして、外務省といたしましても内容検討中であるというのが現状でございます。
  137. 松平忠久

    ○松平委員 だいぶ長くなりましたが、もう一つ聞いておきたいのは、先ほどもちょっと出ましたけれども、国連を通じての援助あるいは間接援助というか、これは本年度も、先ほどもちょっと話がありましたが、世銀とかIMFあるいは第二世銀、これに対する投資の増額ということがあったけれども、こういった間接投資というものと現在の日本の直接投資、この比率はどういうふうになっているのかということと、それから間接投資というものが、ある意味においてはエコノミック・アニマルというような印象を与えないという効果が出てくるのではないか。そういうことから、いわゆる間接投資というものに相当ポイントを置く必要があるのではないか。同時に国連を中心としたところの、たとえばメコン川の総合開発というようなものに、事務局長に稻田君が行っているけれども、ああいった日本の職員が国連の中へ入り込んで、そして国連の職員として東南アジアへ行って、国連の名において海外援助経済協力をしていくということになるならば、私はかなり違った考え方を日本に対して持つのではないか、こういう面もあると思うのです。そこで、それらのいま質問した点についてお答えを願いたい。
  138. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  現実に経済協力多国間援助と二国間援助二つ形態があることは確かでございます。ただ、二国間援助につきましても、発展途上国開発計画を効率的に遂行いたしますためには、各援助国間の援助を相互に調整することが非常に必要でございますし、また、大規模なプロジェクトにおきましては、各援助国が共同する必要が出てまいる場合もございます。それから債権の繰り延べ等に際しましては、各援助国の分担の公平をはかるということも必要となっておりますので、世銀等の国際機関を含めまして、主要援助国が協議の上、経済協力を実施いたしてまいる場合が多いわけであります。現状におきましては、日本の現在の援助形態は、二国間援助のほうが一九六八年の実績で八六%、多国間援助と申しますか、そういうマルチラテラルというような形のが一四%という形になっておりますが、仰せのとおり、必ずしも、厳密な意味での完全な多国間援助と、これは全然独立した二国間援助であるというような形に、判然とはとりにくい状態でありまして、その問の比率の問題はとにかくといたしまして、今後とも、多国間援助と二国間援助とはそれぞれ利害得失を持っておりますので、両方をあわせながら進めてまいることが必要である、かように存じます。
  139. 松平忠久

    ○松平委員 石油開発公団と、それから金属鉱物探鉱促進事業団と、いま審議している保険制度というものは、ダブるようなところがあるんじゃないかと思うのだけれども、そういうダブるようなところはないですか。
  140. 後藤正記

    後藤政府委員 ダブる点はございません。ただ、目的的に考えてみますと、ただいまおあげになりました石油開発公団あるいは金属鉱物探鉱促進事業団等、これは債務保証の制度を持っておりまして、日本の企業が海外で鉱物資源開発いたします際には、金融界からその所要の資金を借り入れるというのが普通でございますが、この債務保証の問題は、その借り入れに際する担保の問題とからんでまいるわけでございます。わが国の金融界は在外資産を担保としてとるということは行なっておりませんので、この担保にかわるものとして、事業団、公団が一定の保証基金、ファンドをつくりまして、そうしてその一定の倍額の金額までその債務の保証を行なう、担保の肩がわりという形で行なっておるというのが、現在この事業団と公団が行なっておる債務保証制度でございます。したがいまして、海外投資保険というものとこれとダブるという性質のものではなく、お互いに補完する性質のものであると存じます。
  141. 松平忠久

    ○松平委員 いまの御答弁はこういうことですか。いわゆる鉱物資源開発ということに関して促進事業団が主としてあるわけなんですけれども、金を借りて買鉱する、鉱物を買う、言いかえるならば融資買鉱方式といいますか、この融資買鉱方式というものは経営支配を伴わないから、貸し付け金、こういうことによって鉱石を購入している。これはずいぶんそういう例があるわけなんですが、そういう場合には、何かそういう保証制度なり保険制度というものを適用できるのかどうか。買鉱の場合、いわゆる融資買鉱の場合はどういうふうにやるのか。
  142. 後藤正記

    後藤政府委員 海外資源開発に関しましては、融資買鉱にはこの海外投資保険は適用いたしませず、資本参加を伴います自主的な開発について海外投資保険の適用がある、かようなわけになっております。
  143. 松平忠久

    ○松平委員 その場合には、海外経済協力基金から何らかの金を借りてやるというような、そういうことが行なわれているのじゃないかと思うのだけれども、そういうことはないのかしら。あるいはそういう場合、まさかの場合、保証制度というものは適用できるのかどうか。
  144. 後藤正記

    後藤政府委員 そういう場合はあると存じます。
  145. 松平忠久

    ○松平委員 たいへんおそくなりましたので、以上でやめますけれども、ただ、ここで委員長にお願いしておきたい点は、政府の根本的な考え方、先ほど来申しましたところのいわゆる海外経済協力なり経済援助という問題に対して、こういうふうに保険制度も変わってきた。かなりDACの勧告もいれていかなければいけないという段階にきていると思う。したがって、長期の見通しというものを立てなければならないけれども、その長期の見通しはお互いに出して、それを調整局、企画庁で招集して、そこで調査するのだというような話がある。ところが、他方においては非常な過当競争であるということと、もう一つは、海外における、ことに現地における日本の進出に対する不信感というか、そういうものがかなり出てきておる。そういうことからさらに心配されるわけでありますから、これはどうしても、私は、一つの基本的な秩序というものの確立なり、あるいは長期の見通しの上に立ったところの基本政策なり、そういうものをつくらなくちゃいかぬと思う。しかし、それをつくる機関というものが日本にはないのじゃないか。てんでんばらばらになっておる。それと同時に、効率を追跡するというこの調査機能も持っている機関がない、これが現状だろうと思うのです。したがって、この海外経済協力というものが将来相当進んでまいる段階においては、どうしても必要なことは、長期の見通しの上に立ったところの基本政策というものを考えなければいかぬということ、それから、それに基づいてあるいは機構の改革ということも必要ではないか。いまのように、輸銀が大蔵省であり、海外経済協力基金は企画庁だ、技術援助は外務省だ、こういうばらばらなことではてんで話にならぬと思うのです。したがって、この点については責任ある総理大臣の答弁を私は要求したいと思います。これを留保いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  146. 八田貞義

    八田委員長 午後二時五十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十九分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  147. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  輸出保険法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 外務省が何か早く行かなければならぬところがあるらしいですから、最初にお聞きしたいと思います。  経済協力、これについて、あなたのほうで予算がついて各国のチェックをやっている、先ほどこういうふうにお話がありましたけれども、どれくらいの予算で、何カ国くらいをチェックしたのか、これをひとつお聞きしたい。——では調べておいてください。  政務次官はかぜをひいて出てこないですね。——それでは、経済協力の中で、民間海外投資の重要性が最近特に高まってきておる。ピアソン報告の中でもこの点を強調しておりますが、現在わが国海外協力現状はどのようになっておるのか。また、先進諸国と比較して、その規模はどのようなものか。これは振興局長ですね。
  149. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  わが国海外投資はここ数年一貫して漸増いたしておりまして、一九六九年三月末までの許可累計額が十九億ドル余りに達しております。これを地域的に見ますと、金額ではやはり北米が最も多く、次が中南米、その次が東南アジア、こういう順になっておりますが、特に発展途上国関係だけを抜き出してみますと、これが十九億ドルのうちの十一億ドル、全体の約六〇%と相なっております。これを業種別に見ますと、鉱業・製造業がそれぞれ全体の大体三割程度でございまして、商業関係が一五%ということになっております。この鉱業と製造業というのはおおむね発展途上国向けが多うございまして、商業が先進国向けが多いということでございます。それからさらに、これを形態別に見てみますと、証券取得と債権取得とがそれぞれ四二%でございまして、海外直接事業、たとえばアラビア石油のような例でございますが、それが二八%くらいとなっております。  かように、ここのところ数年来漸増いたしてはおりますが、まだわが国海外投資は全般的に見まして歴史が浅く、欧米の先進諸国に比べましても立ちおくれておるという状態でございます。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、約十九億ドルの海外投資が行なわれておるということでありますが、今度の改正投資保険、これが非常に利用されていないということを聞いておりますが、なぜ利用されていなかったのか、また、今後どういうような見通しなのか、これについてお聞きしたいと思います。
  151. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  ただいま申し上げました海外投資総額のうちで、現在までの海外投資保険現行法では海外投資元本保険と利益保険になっておりますが、これに付保されておるものは全体の五%にしかすぎない、こういう状況でございます。それと申しますのは、従来の制度というのが、一般的に見まして、他の先進諸国に比べて格段にその条件がシビアになっております。そのために、これを付保いたしましてもそれほど効果がないのではないかという感じもあるかと存じます。  将来の見通しといたしましては、ただいま御審議いただいておりますこの海外投資保険関係の部分の改正が法律上も行なわれますれば、付保率は格段に向上いたしてまいるという見込みでございます。したがいまして、現在昭和四十五年度予算案の中にも、海外投資関係の契約限度額というのが特別会計の予算総則中に計上してございますが、これを五百億円というように計上いたしまして、これは種々の要素を入れまして、おおむね四十五年度中に付保される額が二百三十億円、その約二倍量を計上いたしておけば、まず相当の状況変化があってもこれが引き受けられるであろう、かような見込みでございます。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 いまお話しの外国と比べるとどのような程度になるか、あるいは現在は外国ではどのような利用をされておるか、これについてお答え願いたいと思います。
  153. 後藤正記

    後藤政府委員 海外投資保険制度、これはアメリカでは海外投資保証制度と申しておりますが、内容は似た同じようなものでございまして、このアメリカあるいはドイツ、さらにまた日本よりもおくれて発足いたしました北欧の諸国等と比べますと、次のような点が制度的に日本の制度のほうが海外投資保険については劣っておる。劣っておると申しますのは、条件がシビアになっておるということかと思います。  まず第一に、この保険に付する付保対象が、現行法では株式その他の持ち分と配当金とに限定されておる点であります。欧米各国は、いずれも貸し付け金投資とかあるいは海外直接事業をも対象といたしております。  第二点は、担保危険の範囲が、投資元本につきましては収用危険と戦争危険、それから投資利益につきましては送金危険に限定をされておるのが現状でございます。これに比較いたしまして、欧米諸国は、投資元本と利益のいかんを問わず、収用危険、戦争危険、送金危険、いずれもを担保危険といたしております。  以上二点につきまして、欧米各国並みに引き上げるように、このたびの法律案改正でお願いいたしておる次第であります。  第三点といたしまして、この保険てん補率が、わが国の現行制度では七五%となっております。これはアメリカでは一〇〇%、ドイツそれ以外の国々では九〇%、こういうことになっておりますので、これも今回の法案によりまして九〇%まで改正をお願いしたい、かように私ども考えておる次第でございます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、大体外国並みになった、こういうことで海外投資熱も盛んになる、また、それを特に政府はいま推進しようとしておるわけでありますけれども、海外、特に発展途上国にそうした投資をした場合、今度は、たとえば発展途上国では非常に工賃も安い、こういうところにおいてその安いものがどんどん逆輸入をされる、こういうことになりますと、わが国の中小企業が圧迫される。すでにそういうところもあるわけでございますが、これについて政府としてはどういう配慮をするか。まず、中小企業庁長官、これはあなたの分野ですので、お聞きしたいと思います。
  155. 吉光久

    ○吉光政府委員 わが国の中小企業が、発展途上国からの追い上げ、あるいはまた国内におきます労働力不足等、非常に多くの影響を受けておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、現在そういう追い上げに対するいろいろの措置を講じながら、構造的に、あるいはまた体質的に、設備の近代化あるいは省力化投資等を進めますことによりまして、これらに対抗する努力を現在払っておるところでございます。したがいまして、長期的な線からいきまして、やはり海外にいろいろの企業が出かけてまいる、そしてそれぞれの有利な立地条件の中で活動してまいるという方向は推進さるべきものでございますけれども、そういう省力化投資、近代化投資等を行ないながら体質強化をはかっております過程におきまして、いま御指摘の逆輸入がされるというふうなことになりますと、せっかくの努力も水泡に帰するというふうなことにもなりかねないわけでございます。したがいまして、現在の制度の仕組みの中におきまして、一件投資額二十万ドルをこえるものにつきましては、二十万ドルから三十万ドルまでの間につきましては、ある一定の期間内にこれに対します意見を述べる期間がございますし、あるいはまた、それをこえます金額のものにつきましては、個別的な審査というふうなことになっておるわけでございまして、ただいまの逆上陸その他の心配につきましては、これらの一件一件の審査の過程にあたりまして、十分にそれぞれの物資原局及び貿易振興局等で慎重な配慮を加えてもらっておる状況でございます。
  156. 八田貞義

    八田委員長 岡本委員に申し上げます。  先ほどの質問に対し、沢木局長から答弁をいたします。沢木局長
  157. 沢木正男

    ○沢木政府委員 御答弁申し上げます。  ただいま国会に提出して審議を受けております昭和四十五年度予算におきまして、外国旅費の中で六百三十四万八千円、昭和四十四年度の予算におきましては六百六十九万五千円が、経済協力効果の調査のための旅費として認められております。そういう旅費に基づきまして現在までに調査を実施いたしました国々は、先ほどお答え申し上げましたように、昭和四十三年度予算で韓国、インドネシア、西。パキスタンを調査いたしまして、そのほか技術協力効果の調査を五十カ国についてやっております。四十四年度予算では、インドに対する予備調査、パキスタン、それから台湾に対する調査をいたしました。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 話がまたこっちの海外投資から経済協力のほうに移るわけですけれども、最近わが国経済発展の一途をたどっておる。そして昭和四十五年度の政府経済見通しによれば、国民生産が前年度比一五・八%増、七十二兆四百四十億、これはまた貿易面では輸出規模が百八十八億ドル、これは一四・六%増、輸入が百四十八億ドル、これは一七・五%増、こういうような大きな伸びを示しておって、いままで問題であったところの国際収支年間十億ドル強の黒字が予想される。一部には黒字定着かの声さえ聞かれるわけでございますけれども、こうした一九七〇年代を展望した場合に、わが国経済の見通しは明るいものだ、こういうようにいわれておりますけれども、そうした基礎になる経常収支も、昭和五十年度には三十五億ドル程度の黒字となるというように政府が出しておりますけれども、こうなりますと外貨が非常にたくさんふえてくるというわけで、発展途上国から目をつけられる。そして特に発展途上国には外貨の不足が目立っておりますから、相当経済協力を要請してくるのではないか、こういうように思うわけでありますが、この経済協力をいたしましても、それがほんとうに有効にまた確実に使われておるかどうか、あるいはまた、その点がやはり諸外国のことでありますからなかなかわれわれの目にとまらないわけですが、いつも経済協力基金のことでわれわれも質問するわけですけれども、このチェックをできるのはいまのところは外務省だけですね。そういうようになりますと、今度は外務省が相当しっかりこのチェックをしてもらいませんと、日本経済協力いたしましても、これが有効的に使われてない、こういうことになれば、これは前に聞いたことあるのですが、賠償で送ったのかもわかりませんが、自動車を相当インドネシアの海岸に潮がかかってほうってあった、こういうようなうわさもありましたけれども、こういった一つ一つ現状を、外務省が相当強力な力をもってチェックをして報告をしていただかないとならない。こういうわけであなたのほうに聞いたわけでありますが、こんなわずかな、六百六十九万ですか、これくらいなもので、いま経済協力をやっている各国の、確かに有効に使われておるかということが全部調査できるのかどうか。これをひとつお聞きしたいのですが、どうですか。
  159. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいま申し上げました数字は、そういう目的を指定して外国旅費の予算の中で割り当てられた部分でございまして、もとより経済協力の効果の調査がそれだけの予算で決して十分であるというわけではございませんし、かつまた、経済協力の効果の調査ということは常時不断になすべきものであるとわれわれ考えております。したがいまして、在外公館からも常時管内状況に関する報告を求めております中にもございますし、それから、関係各省、輸出入銀行あるいは経済協力基金も、それ自体外国旅費をもちまして、そういう目的のための個々の調査あるいは出張ということも随時行なわれております。外務省の経済協力効果の予算につきましても、外務省が外務省の人間だけで調査するということはいたしませんで、民間の学識経験者を長にいたしまして、関係各省の人間も含めた調査団として現地に  一定期間行って、そういう目的のための調査を実施するということをいたしておるわけでございまして、経済協力の効果ということにつきましては、在外、国内ともに常時気を配って調べておるつもりでございます。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 外務省は何かこれからどこかへ出かけなければならぬそうですからいままで調査した分の資料をひとつ要求したいと思うのです。これは委員長、ひとつお願いいたします。
  161. 沢木正男

    ○沢木政府委員 経済協力効果の調査団の報告書につきましては、すでに韓国、インドネシア、インドは完成いたしておりますので、これら三国についての資料はお届けいたしたい。それ以外の調査につきましては、たとえば台湾はつい先月調査団が帰ってまいったばかりでございますので、ほかの調査団につきましては、調査団の報告ができ上がり次第お届けしたいと思いますが、そういうふうに御了承いただきたいと思います。
  162. 岡本富夫

    ○岡本委員 政務次官にお答え願いたいと思いますが、経済協力に対するところの今後の政府姿勢についてお伺いしたいと思います。
  163. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 日本も非常に経済発展してまいりまして、今後、特にわれわれが気をつけなければいけない問題は、発展途上国における経済協力の問題でございます。一部にはエコノミック・アニマルというような呼び方をされておる。そういうことでは困るわけで、現地その他と大いに協力して、発展途上国国々にも寄与するような、謙虚な気持ちで経済協力をしていかなければいけないという感じでおります。
  164. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、先ほどもちょっと話したのですが、発展途上国に対するところの経済協力をすることによって、今度は向こうで安いものをたくさんつくって、日本に逆輸入してくるということは中小企業に困る。その辺の調整について、先ほど中小企業庁長官からは若干話はありましたけれども、わが国の施策としてもう少し適切な施策はあるのか、あるいはどういう考えを持っておるのか、これをひとつ政務次官にお聞きしたい。
  165. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 特に発展途上国における問題で、日本の中小企業を圧迫するような問題、たとえば最近では繊維のような問題は将来必ず出てくるだろうということを予測しております。これは二つ方法を考えなければいけないと思います。日本国内の中小企業で、そういうものが出てくる企業に対しては、近代化、合理化を徹底して進めていくこと。それからもう一つは、発展途上国におけるそういう企業に対して、わが国へ逆輸出をするようなことをなるたけ控えさせるような方法も講じられなければならないという感じでございます。ともあれ、今後発展途上国経済協力をしていく場合に、そういう大きな問題と日本の中小企業とかみ合う問題がありますので、その点は企業進出その他についても鋭意指導し、そういうことのないように両方の面から勘案していかなければならないと考えます。
  166. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはことばじりのような、ちょっと変なことになるのですが、発展途上国を指導するということは、これはちょっとぐあいが悪いと思うのです。日本の中小企業にうんと協力をして育成していく、こう理解すると話はわかりますけれども、ともすると日本アジアにおける経済大国である——事実上そうでありますけれども、こういうような考えを持っておりまして、つい指導とか、あるいはまた、援助をしておるのだというような考えでしますと、結局は反感を買ってしまう、こういう面で非常に心配するわけでありますが、その点について。
  167. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 私、指導ということばを使いましたけれども、指導という意味は、発展途上国における経済協力の中で、たとえば現地に法人をつくって、それが日本に再輸出、逆輸出されるような場合には、前もって営業方針その他については確認をしていくという意味で、そういうことでの指導をしていく必要があるだろうという意味でございます。御了承願いたい。
  168. 岡本富夫

    ○岡本委員 経済協力については、まだまだ論議もし、また主張も申し上げたいわけですけれども、このくらいでおいておきます。  次に、また本論に戻りまして、輸出振興のため、貿易振興のための今度の保険改正だと思います。そこで、海外投資をするにあたりまして、これは一つは、日本の国は資源の乏しい国だから海外資源確保が大事だ、こういう面で政府はいま海外投資を政策としてとっておると思うのです。それについて今後どういうような構想があるのか。これは振興局長から。
  169. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、今後の海外投資は、ますます大型化してまいります日本経済を維持、運営、さらに発展向上させるためにも、またさらに、国際的な見地から申しましても、日本経済大国の役割りからいっても大切なものでございますので、政府といたしましても、積極的に海外投資の促進策を講じていく必要があると考えるものでございます。  まず、海外投資規制の問題でございますが、最近におきまする国際収支状況が好転いたしてまいりますので、昨年の十月から三十万ドル以下の案件につきましては、日銀に事務委任をすることにいたしまして、二十万ドル以下の案件については日銀限りで自動許可をするという形になっておりますが、今後とも、これは関係各省と十分に協議をいたしまして、産業政策あるいは貿易政策への影響を十分配慮いたしつつ、国際収支状況等をもにらみ合わせまして、さらにまた、先ほど来先生指摘国内の中小企業への影響等も考慮して、基本的には前向きに自由化の方向に向かって進めるべきであると考えております。  それから次に、海外投資の一般的な促進策といたしましては、投資環境の整備という問題があると存じます。政府といたしましては、対外的には相手国におきまする企業活動の自由の保障、あるいは二重課税の防止、あるいは工業所有権の保護などのための条約の締結につとめますとともに、一般的な友好関係を促進しなければならぬことは申すまでもございませんし、また、国内的な施策といたしましても、現地事情の把握のために、海外の情報収集処理機能の強化をはかることが必要であると考えます。この点も、これまた関係各省と十分に協議をいたしつつ進めてまいらなければならないのでございますが、通産省といたしましては、従来から海外投資関係調査について行なっておりまする補助金、あるいは日本商工会議所に委託しております中小企業海外投資のあっせん事業、あるいはアジア経済研究所の投資資料の調査事業、さらにまた、ジェトロを通じまする情報資料の収集等々をさらに強化いたしまするとともに、四十五年度からは新しく海外進出企業の実態調査も行ないたい、かように考えております。  さらにまた、金融面におきましては、先生承知のとおりに、輸出入銀行、経済協力基金等の投資金融が前々から行なわれておりますし、税制面におきましても、海外投資損失準備金制度等が現在ございます。こうしたものの一環といたしましての海外投資保険制度でございまして、ただいす御審議を願っておりますように、これをさらに強化いたしまして、その他諸般の施策とあわせまして、ますます海外投資の促進、助成というものの方向に向かって進みたい、かように考える次第でございます。
  170. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは大蔵省下條さん来ておりますね。ちょっとお聞きいたしますが、海外投資規制の問題ですが、現在、小規模のものについては自動的に許可される仕組みになっているといま話がありましたが、現在の許可基準あるいは手続、これについてひとつお聞きしたいのですが。
  171. 下條進一郎

    ○下條説明員 御説明いたします。  海外投資許可につきましては、先ほど通産省から御説明申し上げましたように、取り扱いを昨年十月一日から若干自由化いたしたわけでございます。二十万ドル未満のものにつきましては自動許可ということになりますので、その案件につきまして、日銀のほうに申請者が書類を出されますと、その場でそのまま許可がおりるという形になっております。それから、二十万ドルをこえまして三十万ドル未満のものにつきましては、これは日銀のほうで大蔵省から委任を受けまして許可をすることになっておりますが、手続上は、書類を受け取りますと直ちに事業所管省のほうにその書類を回しまして、それぞれの審査を受けることになっております。事業所管省はそれぞれの業種につきまして専門でございますので、専門的な立場から、先ほど来いろいろ問題に出ておりますような点につきまして検討を加えた上で、異存がなければ三週間以内に日銀に送り返す、そこで許可がおりるということになっております。それ以外のものにつきましては一々個別許可ということになりまして、これにつきましては、事業所管省と協議をいたしまして、投資連絡会議審議を受けた上でそれぞれ許可をするということになっております。
  172. 岡本富夫

    ○岡本委員 海外投資についてもっと規制をゆるやかにしてもらいたいというような声もありますし、また新聞報道によると、共産国ですか、中国、こういうようなところにも自由化するのだというような政府姿勢が出ておりますけれども、これについて大蔵省から伺いたい。
  173. 下條進一郎

    ○下條説明員 お答えいたします。  海外投資の一そうの自由化という問題につきましては、この点も、先ほど通産省のほうからお話がありましたように、現在、日本経済情勢と申しますか、地位と申しますか、そういったものに対しまして内外からいろんな要請が出ておるわけでございます。国内におきましても、事業活動が活発になるにつれまして、海外投資の希望もさらにふくらんでまいりますし、また一方、海外投資を受ける発展途上国のほうの側といたしましても、そういう投資をさらに希望するという数もどんどんふえております。したがいまして、昨年の十月一日に自由化を一歩前進させたわけでございますが、さらにこの問題につきましては、諸般のいろいろな条件、状況等を検討しながら、かつまた関係所管省と協議いたしまして、この問題を前向きで処理してまいりたい、そういうふうに考えております。  いま、さらにお尋ねがありました共産圏諸国に対する投資につきましては、従来は例がございません。  以上でございます。
  174. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは新聞報道ですからあれですが、従来は、共産国ですからほとんど国営ですから、おそらくそういうものに対しては投資はなかったと思うのです。それに対しての投資許可をするのだというような報道であったように思うわけですので、ちょっとおかしいなというようにも感じたわけですが、今後そういうことはないのか。あるいはまたケース・バイ・ケースがあったらやるのか。これについてひとつ。
  175. 下條進一郎

    ○下條説明員 お答えいたします。  一部訂正させていただきたいと思いますが、過去の例では、ユーゴに四九%までの合弁で許可した例があるようでございます。過去の例では、それを除きましてほとんど希望がない。これは民間からの希望がもとでございますので、希望がないところ、なかなかそういうものは浮かんでこないということでございますが、今後の問題につきましては、もちろんケース・バイ・ケースに考えていくということだと思います。
  176. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、この輸出保険法の法律の目的、ここに「輸出貿易その他の対外取引の健全な発達を図ることを目的とする。」 これが輸出保険の目的だ、こういうことでありますけれども、いま輸出振興、海外貿易に対して私一つのネックを発見したわけでありますけれども、それは製品、あるいはまた、そういう輸出するものに対しては、国内においても相当合理化したり、あるいはいろいろなコストダウンをしたりしてコストを下げる。しかし、海上運賃、あるいはまた陸上運賃、特に海上運賃については非常に高低が多いわけです。でこぼこがあって、それが非常に輸出の振興にネックになっている。こういうようなことを考えるときに、いまコンテナ輸送、これが非常にクローズアップされてきておるわけでありますけれども、これについて政務次官、ひとつどういうような考えを持っておるのか。あるいはまた、これは通産省はあれですけれども、通産省でもやはりコンテナの規格なんかつくったりしておるわけですから、きょうはあなたが一番えらいのですから、ひとつあなたに答えていただきたいと思います。
  177. 後藤正記

    後藤政府委員 御指摘のとおり、ここ数年来貿易の規模が非常に拡大いたしてまいりまして、輸出も、それから輸入も、出たり入ったりする貨物が著しくふえてきておることは確かでございます。私いま詳細な数字を手元に持っておりませんが、これは運賃の問題と同時に、輸出に占める日本船の積み取り比率、輸入の貨物に占める邦船の積み取り比率というものも、これは国際収支に直接に影響いたしてまいるわけでございまして、たしか私の記憶では、輸出、輸入ともに、その積み取り比率は四〇数%かと、ちょっと所管外でございまして、私もはっきり記憶いたしておりませんが、かと存じております。したがいまして、これは運輸省の御所管になるわけでございますが、今後とも日本の貿易全体が、海運取引を通じ、またあるいは、そういう運賃というものともからみ合わせまして、そういうインビジブルの国際収支面への寄与という点をも考えまして、是正すべきものを是正し、助長すべきものを助長していくのが、今後の方向であろうかと存じます。その一助といたしまして、ただいま先生指摘のように、コンテナを使いまして、そうして輸送費の著しいコスト低減をはかるということは非常に必要なことであると私は考えております。
  178. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 ただいま御質問の、コンテナを使うことによって経費の低減化ということができる。現在、コンテナの国際標準化に対してことしの十月一日まで七規格を作定する予定でございます。その内容は、国際大型コンテナというものをどういうふうな形できめていくか、あるいは積み荷の緊締とか表示方法、そういうようなことを何回でもいま会議を続けていまして、国際標準化機構を受けて、国内でそういう会議をやっております。ことしの十月一日には七つの種類をきめていきたいと思っております。
  179. 岡本富夫

    ○岡本委員 その論議はあとでさせていただきますが、そこで、このコンテナ輸送について国際競争が激しくなっておる。たとえばいまアメリカのシーランド、これは御承知のようにコングロマリット、ものすごい資本でもって、聞くところによると、西ドイツやあちこちに五隻くらいのコンテナ船をつくっておるらしい。日本はいま貨物船が非常に少ない。日本輸出を運ぶのは五〇%くらいしか日本の船が使えない。それ以上は外国船に依存をしておる。こういうようなときに、こうしたシーランドの攻勢、こういうことに対してどういう体制を整えていくのか、これをひとつ。これは運輸省のどこでやっておるのですか。
  180. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。  外航海運におきますコンテナの進出は、ただいま先生の御指摘のように、非常に著しいものがございまして、特にアメリカにおきまするシーランドというコンテナ会社は、世界じゅうに非常なネットワークを持っておりまして、アメリカ国内の陸運関係はもちろん、太平洋航路あるいは大西洋航路においてコンテナ体制を整備して現在もやりつつありますが、特に最近におきましては、三十三ノット、千八百個積みのコンテナ船を八隻計画をして、もうすでに外国の造船所に発注中でございます。  したがいまして、わが国におきましても、このシーランドの攻勢に対処すべくただいま鋭意、海運造船合理化審議会といいます大臣の諮問機関等にはかりまして検討し練っておりますが、ただいまのところ、私ども考えますのは、現在日本でやっております日本の太平洋のサンフランシスコ、ロサンゼルス——加州航路と言っておりますが、現在邦船六隻でコンテナをやっておりますが、これをさらに四十五年度予算で千個積みのコンテナ船を三隻ほど投入したい。それから、ことしの六月ごろになるかと思いますが、そのころ、北太平洋、シアトル、バンクーバー航路、これに三隻のコンテナ船を日本として投入すべくもうすでに建造中でございます。それからニューヨークの航路につきましては、現在まだ日本船はコンテナ化の具体的な計画はございませんですけれども、ニューヨーク航路といいますのは、日本の外航海運にとりまして非常に重大な航路でございますので、現在邦船中核六社のうち五社がニューヨークに配船をいたしております。したがいまして、この五社が協調体制をとりながら、大体一週間サービスができる七隻程度のコンテナを一応準備したいというのでございますが、これは運営体制あるいは予算の問題いろいろございまして、まだ具体的な計画になっておりませんけれども、たとえば日本  郵船あるいは大阪商船三井船舶、こういう会社が中心になって、ニューヨークのコンテナ化を少なくとも来年度予算では要求をまとめて実現するようにしたい、こういう計画を立てております。
  181. 八田貞義

    八田委員長 岡本君に申し上げます。下條審議官から先ほどの答弁の訂正をしたいとのことでございます。この際発言を許します。下條審議官
  182. 下條進一郎

    ○下條説明員 補足説明させていただきます。  先ほどの共産圏の実例でございますけれども、最初に御説明いたしましたように、日本としての実例はないのでございまして、ユーゴの四九%の合弁事業はそういう法令があるということでございます。やればできないことはない、そういう法令があるということでございまして、実例はないということであります。
  183. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、いま日本の国の政府のコンテナ輸送、これに対するところの体制というものが海運局の次長さんから返答があったわけですけれども、各船会社、これが小さな船会社——小さいというとおかしいのですけれども、日本にしては大きいのですけれども、シーランドやそういうところから見れば全然相手にならぬ。そういう小さな船会社が集まっていろいろと相談をしておるわけですけれども、もう少し日本の国の政策として、政府の政策として要撃体制を整えなければならぬじゃないか。これをひしひしと感ずるわけですが、どっちかというと、いまのこのコンテナ輸送についても民間のほうが非常に熱心で、これをまとめて企画し、あるいはまた推進していくという政府姿勢が非常におくれている、こういうように思うのですが、これについて海運局の次長さん。
  184. 野村一彦

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  日本中心としますコンテナ化輸送が始まりましたのは、実は十年ほど前でございますけれども、これが日本にとって非常に痛切な問題になりましたのはこの数年かと思います。したがいまして、私どもとしましては、去る昭和四十一年でございますか、海運造船合理化審議会を開きまして、わが国のコンテナ体制のあり方という諮問をいたしました。それに基づいてその審議会から答申をいただきまして、それに基づいて、現在の先ほど申し上げましたようなコンテナ化を進めておったわけでございますが、その後非常にコンテナ化のテンポが早くなってまいりました。またコンテナのメリットというのも非常に出てまいりましたので、さらに昨年の八月に再び海運造船合理化審議会を開きまして、そこで答申をいただきまして、現在のところその答申に従ってやっております。  その答申で基本的な原則といたしておりますのは、大体ウイークリーサービス、つまり毎週コンテナ船を日本の港から出すというウイークリーサービスを基本とすること。それから相当高性能の船舶を投入すること。それからもう一つは、日本の船会社でコンテナをやっておりますのは、日本郵船をはじめ大きな中核六社がやっております。その航路によって多少の異同はございますが、日本の船会社は全部、スペースチャーターと申しまして、日本のよその会社の船にも、ある一定の比率でもって自分のところの荷物を積むだけのスペースチャーターの契約というものを相互にいたしまして、それで一週間間隔に各社が共同で一本化の配船の調整をしながらするという体制をとっております。そのために、経済の好調もバックグラウンドとしてございますが、日本の加州航路は初年度から償却後黒字になっておりまして、非常に成績が上がっております。そういうことでございますから、先ほど申し上げましたように、邦船のスペースチャーターによる一本化ということと、それからウィークリーサービスができなければ十日間サービスということによりまして頻度をひんぱんに行なうということと、それからもう一つ、港湾におきまする港湾荷役体制の一元化というようなことを進めまして、コンテナの能率を上げたいということで、邦船が協力して強力な外船に対抗するようなことをいま考えて実施いたしております。
  185. 岡本富夫

    ○岡本委員 次には、コンテナはやはり基地が必要だと思うのですが、このコンテナの基地について、これは港湾局。
  186. 大久保喜一

    ○大久保説明員 お答えいたします。  先ほど海運局次長から御説明ありましたように、コンテナ化に対応する海運の体制は、海運造船合理化審議会の答申に基づきまして着々進められておるわけでございますが、コンテナの埠頭、コンテナバースと称しておりますが、コンテナの埠頭の整備につきましても、同じく海運造船合理化審議会の答申の線に沿いまして整備を進めつつあるわけでございます。  それで、その埠頭整備のために、昭和四十二年度から京浜及び阪神地区にそれぞれ外貿埠頭公団が設立されまして、その両公団によりまして京浜地区には昭和五十年までに十一バース、それから阪神地区も同じく五十年までに十一バースを整備する、そういうことを基本計画としてきめまして、それに基づきまして着々整備を進めておりすす。それで現在までに、そのうち横浜の二バースと大阪の二バースがすでに供用を開始しておりすす。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕 ところが、先ほどの説明にもありましたように、予想外のコンテナリゼーションの進展に伴いまして、四十四年八月、昨年の八月でございますが、海運造船合理化審議会の再び答申を得まして、五十年までに造成しなければならないバースはさらにふやさなければならないというような状況になってきておりまして、この整備のテンポにつきましては、さらに繰り上げてやるようにいたしております。  なお、ちなみに四十五年度におきましても、京浜地区、阪神地区のコンテナバースの整備のために、京浜におきましては九十億円、阪神におきましては九十二億五千万円の事業を両公団によって実施することが予定されております。さらに伊勢湾地区におきましてもコンテナバースを整備する必要が出てまいりまして、これにつきましても、その整備のために二十四億円の事業の実施を見込んでおりますが、これにつきましては、公団方式ではなくて会社方式で整備する、そういう方法をとることにいたしております。
  187. 岡本富夫

    ○岡本委員 現在、神戸の外貿埠頭の活用状況、これを一つお聞きしたいのですが、いま拡張されておると思いますけれども、大体どんな状況になっていま一すか。
  188. 大久保喜一

    ○大久保説明員 神戸におきましては、現在ポートアイランド地区にコンテナ埠頭の整備を進めつつある状況でございますが、現在はまだそれが使われる段階まで至っておりません。それで、先ほど申しましたコンテナリゼーションの傾向に伴いまして、実は四十二年度におきまして、コンテナ埠頭としてではなくて、普通のライナーバースとして建設いたしました摩邪埠頭の一部を、暫定的にコンテナの取り扱いのできるように、荷役機械、それからコンテナヤードの整備をいたしまして、そこを使って現在コンテナの取り扱いが行なわれております。それで、四十四年中に神戸港において取り扱われましたコンテナのトン数は、約一九十三万トンになっております。  なお、神戸港のコンテナバースにつきましては、これは四十五年度中には一バース供用開始できるように着々整備を進めつつあります。
  189. 岡本富夫

    ○岡本委員 何と申しましても、コンテナ輸送にはコンテナ基地、これがはっきりしませんと、結局はその目的が達成できない。したがって、強力にこれは進めてもらわなければならぬ、こう思います。そして先ほど政務次官からも答弁がありましたが、コンテナの国際標準化に即応するところのわが国の国際用コンテナの標準化、これには遺憾がないか。このコンテナをいろいろとやっているととろは、これは工業技術院でしたね。説明願います。
  190. 久良知章悟

    ○久良知説明員 お答え申し上げます。  コンテナの標準化につきましては、これは国際的な問題でございますので、国際標準化機構、一般にISOといっておりますが、ここで六一年に取り上げまして、第一〇四専門委員会というものがっくられまして、鋭意これの国際的な標準化についての作業が進められておるわけでございます。わが国におきましても、この専門委員会の正式のメンバーとして加盟をいたしまして、国際標準化と並行して国内の規格と申しますか、JISの制定に努力をしてきておるわけでございます。  国際標準化の現状から申し上げますと、現在国際標準化機構の勧告と申しますか、これはR、リコメンデーションの略でございますが、これが三つと、それから勧告の案と申しますかドラフトリコメンデーションが二つ出ておるわけでございます。また、ドラフトにつきましては、若干変更の余地があるわけでございますが、六八年、六九年と相次いで国際標準化での審議が結論を得つつあるという現況でございます。そういう状態に合わせまして、現在日本国内でも、これは運輸省と通産省との共管の問題でございますので、緊密な連絡をとりながら進めておるわけでございます。現在、原案の作成が終わりまして、日本工業標準調査会の専門委員会の場でかなり密度の高い審議が行なわれておる状況でございます。現在進めておりますのは、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたとおり、国際大型コンテナの用語、それから主要目、隅金具表示方法、それから一般貨物用国際大型コンテナの構造強度試験方法、それから冷蔵貨物用国際大型コンテナの構造強度試験方法、それから国際大型コンテナの上部つり上げ用及び緊締用金具、この七つの規格でございまして、現在の見通しでは、ほぼ十月一日を目標にいたしまして規格の制定を終わる予定でおるわけでございます。
  191. 岡本富夫

    ○岡本委員 運輸省の官房の流通企画室においては、こうした規格についていろいろと相談に乗り、あるいはまた意見を出しておりますかどうですか。
  192. 内村信行

    ○内村政府委員 ただいまの問題につきましては、運輸省といたしましても、通産省当局と密接な連絡をとりながら意見も申し上げております。
  193. 岡本富夫

    ○岡本委員 先ほど私がお話しいたしましたシーランド、これなどは、すでに御承知だと思いますけれども、大きさの規格にしましても、八フィート半、長さが三十五フィートですか、国際規格からも離れたような状態です。しかしそれが品物がよく入る、したがって運賃が非常に安くつく、こういうことで型破りなこともやっているわけですが、何か非常におそいように思われるわけです。あなたのほうから出してもらった資料を見ましても、国際標準あるいは輸送、これに非常におくれていくような感じであります。  そこで私、これは官房の流通企画室に聞きたいのですが、内村さんにお聞きしたいのですが、イギリスではどういうところでやっているか。あるいは豪州ではこういう問題はどういうところでやっているか。あるいは米国では、この海運を含めて、船舶も含めて、こういう規格をどこでやっているか。日本では通産省の工業技術院の繊維化学規格か何かで、すみっこでやっているように見えるわけです。これは機構として一貫性がないように思われる。だから、英国と豪州、それから米国、この状態を教えてもらいたいと思います。
  194. 内村信行

    ○内村政府委員 ただいまの規格につきまして、豪州あるいはアメリカ、英国、どこでやっているかという御質問でございますが、アメリカにおいては運輸省でやっていると聞いております。ほかのところは、残念ながらただいま私存じませんので、後ほど調べましてお返事申し上げたいと思います。
  195. 岡本富夫

    ○岡本委員 アメリカでは一九六五年、豪州では一九六九年、英国では一九六七年と、こういうように私どものほうでは調べておるのですけれども、しかももっと一貫した流れでもってやっておる。日本のいまのコンテナ輸送についてのこうしたところの一貫性がない。したがって非常におくれておるのではないか、こういうように私どもは思うわけですけれども、そこで、これはあとで提言をいたしますけれども、国際輸送用のコンテナ、今度コンテナを輸送するほうについてお聞きしたいと思います。  海上とそれから陸上、欧州航路なんかをやりますと、どうしても陸上と海上、陸上、海上、こういうようになるわけです。国際輸送用のコンテナの内陸輸送、いま海上を聞きましたから、今度内陸輸送について、いろいろとタッチしておるところの政府機関はどことどこか。これは、調整をやっているところの経済企画庁、新田さん御存じですか。
  196. 新田庚一

    ○新田政府委員 輸送の問題でございますので、道路の関係で建設省、それから輸送の関係で運輸省、あるいは安全の関係で警察庁あたりが関係省かと思います。
  197. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、二十フィートあるいは四十フィート、こういうような国際輸送用のコンテナを日本の国で内陸輸送する場合、これは建設省の道路局のほうでありますけれども、どういうふうに考えて道路をつくっておるか。
  198. 井上孝

    ○井上説明員 お答えいたします。  この二、三年来、御指摘のように海上コンテナが非常にふえまして、道路輸送に大きな問題を起こしておることは事実でございます。私どもといたしましては、特にコンテナが集中いたします南京湾、大阪湾にいわゆる湾岸道路という大規模か道路を計画いたしましてすでに着工いたしておれますので、これの整備を進めるということをまず第一に考えております。  それから次に、今後新しくつくる国道等の整備でございますが、これの基準になっております道路構造令、これは政令でございますが、これを近く改正いたしまして、従来二十トントラックというのが最大の基準になっておりましたが、今後は大型のコンテナトレーラー、これが通れるようた道路を整備するという方針をとっております。したがいまして、新しくできる幹線道路につきましては、十分今後のコンテナ輸送に対応できるというふうに考えております。しかしながら、現在の幹線道路におきましても相当支障がございます。特にコンテナの重量及びその高さにおきまして、あちこちで相当橋梁あるいはトンネル等で支障がございますので、こういうところもたんねんに調べまして、今後コンテナ輸送の多い路線から重点的に補強、拡幅等の整備を進めたいというふうに思っております。
  199. 岡本富夫

    ○岡本委員 いまお話がありましたけれども、ずっと道路を見ますと、マイカーのための道路である。産業用の道路でない。要するに二十トンが限度である。コンテナだと大体三十トン、四十トンになってくるわけです。大体三十トン程度だと思いますが、そうするとそこは通れない。こういうことでは道路を拡幅したところでどうしようもない。したがって、今後の計画にはやはりこの重量制限も二十トンというようなことをしないで、もっと強いところの道路にしなければならぬ、こういうふうに思うわけですが、いまもあなたからお話があって、これからはそういう道路にするということですが、これはなかなかたいへんなことです。しかし、これは産業用道路をやはりつくっていかなければならぬと思います。  次に、現在こうした規格制限外のものの運送に対してはどういう配慮をなさっておるか、これを警察庁にちょっとお聞きしたい。
  200. 井口孝文

    ○井口説明員 一般に貨物を積載いたしました場合に、その大きさあるいは重量の規格が道路交通法できまっておるわけでございます。特にこのコンテナを積む専用のトレーラー、これは荷台が低くできておりますけれども、それでも相当に高さの制限を越えるというような形になっているわけでございます。荷物が分割不能である場合に限り、出発地の警察署長が、車両の構造とか道路あるいは交通の状況とかで支障のない場合には許可できるという規定がございます。貨物が分割不能かどうか。貨物自体は中にあるわけでございますけれども、コンテナ車の特性にかんがみまして、分割不能という解釈をとりまして、特に支障のある場所をできるだけ避けてコースをきめていただくなどいたしまして通行していただいておる、こういう状況でございます。
  201. 岡本富夫

    ○岡本委員 こうした日本の国の状況としては、やはり貿易の振興がなければ立っていかない。そのためのきょうの本題であるところの輸出保険法の一部改正、また輸出保険法としての目的があると思うのです。したがいまして、こうしたコンテナの輸送、あるいはまたコンテナの規格、あるいはまた内陸の輸送、こうした一貫したところの企画を立てて、そして各関係官庁でそれを推進していく、そうした機関がなければ、こうばらばらでは、国際標準化もきまっていない状態なんです。あるいはまた道路も結局こうだ。こういうところに隘路があるわけでございますが、今後私は、経済企画庁あたりでやはり相当な企画をして、そして五カ年計画なら五カ年計画のビジョンを出して、そうしてこうしたところの一つ一つをやらしていかなければならぬというように思うわけですが、これは長官いませんので、政務次官に一言。
  202. 山口シヅエ

    ○山口(シ)政府委員 お答えを申し上げます。  海陸を一貫する輸送体系の整備が急務であることは、先生の御説のとおりだと存じます。特に最近急速に伸びております国際海上コンテナ輸送におきましては、高速海上輸送、敏速な港湾荷役及び非常にスムーズな陸上輸送が緊密な連携のもとに行なわれて、初めてその効果を発揮するものであろうと私は存じます。当庁としましても、貨物輸送の近代化をはかるという観点から、相互の輸送体制の調整はきわめて重要であると考えておりますので、したがいまして、今後関係各省と協力いたしまして、先生仰せのように、御趣旨に沿うように努力をいたしていきたいと考えておる次第でございます。
  203. 岡本富夫

    ○岡本委員 各関係省と協力してというのでなくて、各官庁を監督してそして強力に進める、これでなければならないと思いますが、もう一ぺんどうぞ。
  204. 山口シヅエ

    ○山口(シ)政府委員 それでは、委員の御趣旨のようにしていきたいと存じております。訂正をいたします。
  205. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に一点。コンテナの輸送をはばむ一つの障壁として通関問題がございます。特に来年の秋から欧州航路のコンテナ船の運航を控えておりますけれども、通関条約に加盟すると非常に簡単にドア・ツー・ドア、庭先から庭先へと、こういうことになるわけでございますが、大蔵省の関税局から来ておりますので、これについてお聞きします。
  206. 唐木田穣

    ○唐木田説明員 お答えいたします。  コンテナにつきましては、四十四年中の輸出貨物の総額の八・五%がコンテナ詰めで輸出されておりますが、現在までのところでは、二つの条約、コンテナ条約とTIR条約とありますが、御承知のとおり加盟しておりませんが、それがために差別的な待遇を受けておる、取り扱いを受けておるということは聞いておりません。来年の秋から欧州航路にコンテナ船が就航いたしますので、コンテナ化はなお進むと思いますが、それで問題が生ずるような場合には適切に対処したいと考えております。  両条約につきまして、コンテナ条約は一昨年から改正が作業部会において検討されております。わが国も将来の加盟を考えまして、これに積極的に参加いたしまして検討を続けております。  それからTIR条約でございますが、これの加入につきましても検討を進めております。今後コンテナリゼーションが相当進むと思われますので、今後とも先生の御趣旨を体しましてこれらの検討を急ぎ、なお深めたいというふうに考えております。
  207. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に、通産省の政務次官に。私、いま論議しましたのは、せっかく輸出保険を一部改正して、さらに貿易を振興していこう、こういう通産省あるいはまた政府の考えだと思うのです。ところがこうしたところに隘路がある。したがって、こうした一つ一つの隘路を是正して、そして輸出保険もつくっていこう、拡充していこう、貿易を振興していこう、こういう態度に対して、その姿勢に対して、こうした一つ一つのネックを是正していかなければならぬ、こう思うわけです。それで論議をしたわけでありますが、最後にあなたの御見解、並びに副大臣ですから、ひとつうんと強力に今後働いていただきまして、この輸出の振興をやっていただきたいと思うわけですが……。
  208. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃること、もっともでございます。たとえばコンテナをとっただけでもこれだけの問題がございます。今後、輸出振興については、ぜひ先生の御趣旨に従って強力に進めていきたいと思います。また、先生方にぜひ協力していただいて、りっぱな輸出振興をやっていく。また、この法律もそういう意味での役割りを果たすわけでございますから、何とぞ御協力のほどお願い申し上げます。
  209. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 松尾信人君。
  210. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いろいろいままで話が進みまして、大体わかりましたのですが、特にいままでの質問漏れといいますか、そういう点で申し上げたいと思います。  この輸出保険は、輸出貿易その他の対外取引の健全な発達をはかる、これが目的であるわけでありますけれども、わが国輸出貿易の中でこの輸出保険の占める地位、どのくらい輸出額の中で保険がかけられておるか、この点をまずお尋ねをいたします。
  211. 後藤正記

    後藤政府委員 お答え申し上げます。  仰せのとおり、輸出保険制度は、金融面、税制面の措置と並びまして、輸出振興策の重要な一環をなしておるわけであります。四十四年度におきまする付保金額、保険をかけました金額は約二脈二千億円に達する見込みでございまして、輸出全体のカバー率は約三七%に達するものと見込まれております。ちなみに四十四年度の通関輸出額の見通しは百六十七億余となっております。なお、長期の延べ払いを要する輸出案件につきましては、そのほとんどが付保されておるものと承知いたしております。
  212. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この配付を受けました年度別、業種別一覧表でございますけれども、この中で六八年度のわが国の地域別海外投資には五億五千二百万ドル、このように載っております。先ほど局長の御説明では、六億九千二百万ドル、このような御説明があったわけですが、そこの金額の違いですね。統計のとり方がまた違っておると思いますけれども、これはどうなっておるのでしょうか。
  213. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  四十三年度におきます海外投資実績が五億五千二百万ドルでございまして、先生指摘の六億九千万ドルは四十五年度の見込み額でございます。
  214. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 それから、二百三十億の見込みだ、このようにおっしゃっておりますけれども、この海外投資というものがだんだん年々ふえていく。このたび投資対象もふえてまいりましたので、はたしてこの二百三十億がきちっといくかどうか。非常にたくさん出てくるのではないか。このようなお見込みを立てられた以上は、何かそこには、このような投資があるのだ、こういう部門はどのくらい、こういう部門はどのくらいと総合的なものがありまして、そこから大体二百三十億あればだいじょうぶだろう、五百億の半分くらいだから余裕があるんだ、このように出なくちゃいかぬと思うのですけれども、その計算の基準、そういうものに明確なものがあるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  215. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  IMF、国際通貨基金の統計によりまする実行ベースの推定額におきましては、昭和四十二年度の直接投資額が一億三千七百万ドル、四十三年度の直接投資額が二億二千九百万ドル、最近非常に一著増いたしておりますので、この趨勢をたどりますと毎年約二億ドルというものがふえてまいる。先ほど四十四年度の実績につきまして申し上げましたが、六億五千万ドルというのが四十五年度の海外投資見込額でございまして、この六億五千万ドルのうち三分の二は発展途上国向けの従来の過去の実績投資割合でございますので、その三分の二、それから従来の海外投資関係の付保実績のパーセンテージがおおむね五%でございますが、この海外投資保険を拡充強化いたしますことによりましてこの付保額は飛躍的に向上いたしますと存じますので、これを一五%見込みまして、これにてん補率九〇%をかけまして、さらに海外投資における利益配当の見込みをおおむね一割といたしますと、それの一・一倍、これを円価に換算いたしましたものが、ただいま先生がおっしゃいました二百三十億円でございます。で、二百三十億円の約二倍余をとっておきますれば、まず相当の増加を見込まれましても契約限度額としてはだいじょうぶと、かような積算にいたしたわけであります。
  216. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そのような計算の基礎は、先ほど御説明でわかりました。ところが、なかなかこの海外投資というものが出てきてみなくちゃわからない。事前にこれはなかなかっかみにくい問題だと思います。しかし、やがてそれぞれの計画というものが出てくるわけでありますが、やはりこの事業団の関係のものが幾らだと、大体のおおよその海外投資に対する具体的なものをある程度明確にこちらで握っていませんと、このようないまの計算の基準だけでは、実際に出てくる日本海外投資というものをどのくらいにらんでいらっしゃるのか、そういうにらむものは実際ないのかどうか、いまお話しのとおりな推計以外に出せないものであるかどうか、つかみにくいものか、そういう点がどうも私もわからないのでありますが、わかっておる限り御説明願いたいと思います。     〔橋口委員長代理退席、武藤委員長代理着席〕
  217. 後藤正記

    後藤政府委員 全く先生のお説のとおりであると存じます。たとえば私ども貿易振興の立場から毎年度の輸出額の見込みあるいはまた輸入額の見込み等をおおむねマクロ的な計算をいたしまして、世界経済における世界貿易の伸び方、それから日本のそれに関連する弾性値、そういったものを掛けましたマクロ的な計算と、さらに今度は全然別の角度から、各業種別におおむね必要と認められる積み上げ計算を各業種ごとに行ないまして、輸出見込み額あるいは輸入見込み額を計算いたしまして、そしてそのマクロとミクロの両方を種々勘案いたしまして、そうして毎年の輸入見込み額を想定し、あるいは輸出達成額を想定いたすわけであります。  さような手法をとりましても、御承知のとおりに、輸出額、輸入額はなかなか予想どおりはまいらないのでございまして、たとえば四十四年度におきましても、わが国輸出額の達成率というものは、中途において予想よりもずっと大きくなりまして、当初百五十九億ドルと考えておりましたものを百六十七億二千万ドルというように見込みを改定をいたしたわけでございます。はたしてまた、これが三月末日の統計をとりましてぴしりいくかというのも、なかなかこれも——おおむねそれに近い数字でございます。輸出、輸入の物の面でもさようでございます。特に海外投資の問題につきましては、これは一般的な投資をしようとする現実の業界の民間における自主的な発意、意向もございますし、さらにまた、先方の受け入れ国におきまする種々の事情、人為的事情、自然的事情、いろいろございますので、先ほど一応のめどといたしまして私積算の根拠をお答え申し上げたわけでございますが、仰せのとおり、全く不確定要素というものを多分にはらんでおるわけでございます。したがいまして、過去のトレンドとは申し上げましたけれども、特に相当大胆と考えられる一応の積算に対しまして、さらにそれの大事をとって二倍余を計上いたしまして予算総則に契約限度額として掲げたわけでございます。さようなわけでございまして、現在の状態におきましては、ちょっとほかにその予想の立て方、正確度——でき得る限りその正確度を期したいのはやまやまでございますが、そういう方法が現在のところではとりにくいということを御了承願いたいと存じます。
  218. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 非常にその点むずかしいと思いますが、やはりある程度民間または団体のわかったものといいますか、計画のもの、そういうものはかっちりつかんでおきませんと、案外思いもかけない大きなものがぽかっと出てきたということになるかもしれないという心配があります。  それからなお、この配付された資料によりますれば、四十一年度以降ずっと開発事業に対する保険がつけられていない、付保されていない。これは投資内容がどうだったのか、保険対象とならなかったのかどうか、疑問があるわけでありますけれども、その点いかがでしょうか。
  219. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  四十一年度以降四十三年度末まで資源開発関係の海外投資保険の引き受け実績がないことは事実であります。これは実は四十一年度から四十三年度末にかけまして、わが国国際収支の事情、さらにまた外貨の蓄積の状況等々が非常に急激なる変貌を遂げました。同時にまた、特に海外投資資源開発関係で進出いたそうとする相手国におきましても、安定いたしております先進国と違いまして、政情その他いろいろの事情の激変があるわけでございます。特にこのところ急激な変化がございましたために、さような国内的な事情と、それから海外の要因とを含めまして、発展途上国向けの投資は、この期間内におきましてわずかに八件でございました。したがって、この保険を付したい、付保したいという希望者がなかったことによるものでございます。今後は事情は変わってまいると私どもは予想いたしております。
  220. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次に保険の収支の点でございますけれども、まず最初輸出保険の収支の点、それからこの投資保険の収支というものについて、大かたのところをお知らせ願いたいと思います。
  221. 後藤正記

    後藤政府委員 お答え申し上げます。  海外投資保険をも含めました輸出保険全般に関する経理といたしまして、昭和二十五年にこの制度が創設されまして以来、資本金として繰り入れられました額は合計六十億円でございまして、これを含めまして、輸出保険特別会計の本年度末、すなわち三月三十一日、本日現在の支払い準備額は百九十億円と見込んでおります。これに対しまして、海外投資保険関係の四十五年度の事業収支は、保険料収入約二億三千万円に対しまして、支払い保険金は約千九百万円を見込んでおります。海外投資保険関係以外の輸出保険  御承知のとおりに現在八種類ございまして、海外投資関係を除きまして六種類もほかにあるわけでございますが、その他の輸出保険につきましては、保険料収入と回収金との合計額は支払い保険金額を若干上回るもの、こう見込まれております。かように、海外投資保険制度の拡充により必要となる財源につきましては、現在の輸出保険特別会計の支払い準備でまかない得る。ただ支払い準備率が、午前中の御質疑でもございましたように、アメリカ、ドイツ等に比しまして低位にございます。非常に低うございますので、この点若干、今後急速に海外投資が伸び、それからその付保額がふえてまいりますと、さらに再検討を要するかと存じますが、現在の見込み額ではまかなえるもの、かように考えております。
  222. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 先ほど、許可対象業種の点でございますが、いろいろ中小企業に悪影響あるもの等大いに注意していく、このようなお話がありました。原則としては、海外資源開発に関する分についてはできるだけ自由に認めていく、そのような考え方だろうと思うのです。わが国の中小企業に悪影響のあるものは大いに注意していく、逆輸入は困る、また第三国輸出が盛んになって日本と競合しても困る、こういう点の御注意はあると思います。海外資源開発の問題ですね、この点についての考え方はどうかというのが一つと、それからなお、条約その他で若干この対象業種には制限があるのじゃないか、このように思うのですが、あわせて御説明願います。
  223. 後藤正記

    後藤政府委員 御指摘のとおり、国内産業のある部分と競合いたしますものについては、これはある程度の制約、考慮を払う必要は十分にあると存じます。ただ、海外資源関係に関しましては、今後飛躍的に増大いたします日本経済発展、膨張、しかも日本は土地狭隘にして資源きわめて貧弱であることは御承知のとおりでございまして、その原材料資源をいかに獲得するか。しかもその賦存量は、現在、世界的に見まして発展途上国にきわめて多いという現状でございますので、でき得る限り、海外資源開発資源獲得という、日本経済のためにも、そちらの方向に向けてはなるべく前向きに進出していくことが必要である、その点全く先生のお説と私は同感でございます。
  224. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 よくわかりました。で、保険の制度で海外投資がぐんと伸びるということは疑問があると思うのです。海外投資というのは、何といってもその前にお金が要るわけですね。でありますから、その金を貸すのに、輸出入銀行がありましたり、または海外経済協力基金等があります。また石油開発公団、または金属鉱物については事業団、それぞれ政府が出しておるわけでありますけれども、また、そこで投融資が行なわれるわけでありますけれども、そういう各政府が直接関連しておりながら、そういうところから金を出していく、そのようなもののワクと申しますか、たとえば四十四年度は大体どうだ、四十五年度はこのようにそれで計画を組んでおるというような、それぞれのものの資金のワクというものが制定されておるものかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  225. 後藤正記

    後藤政府委員 お答え申し上げます。  仰せのとおり海外投資保険制度というものは、海外投資促進策の多くのうちの一つにすぎないものでございまして、特に金融面におきまして海外投資に必要な融資が行なわれることが、海外投資助成のたいへん強力な施策でございます。この点、全く仰せのとおりでございます。そこで現在、先生がおあげになりましたように、この投資金融というものに対して政府機関におきまして融資を行なっておりまする実績は、昭和四十年度から四十三年度までで、輸出入銀行が累計八百四十七億円、海外経済協力基金が累計百八十億円に相なっております。それで、これは全般的に見ますると、全海外投資額が六千百六十億円となっておりますので、ただいま申し上げました輸銀と基金、両方を合わせますと、おおむねそのうちの一六・七%というものが輸銀、基金でまかなわれておるという、こういう実情でございます。ただいま御審議中の四十五年度予算におきましても、ちょっといま私、数字を記憶いたしておりませんが、輸銀と基金についてはさらに大幅な、一般会計、財投両方の総額を加えたものが四十五年度予算案として御審議願っておるものと承知いたしております。
  226. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうすると、そういう金融機関における海外投資に対する資金ワクはある、こういうことですね。
  227. 後藤正記

    後藤政府委員 明確にこの限度云々ということではございません。もちろんこれは輸銀、基金いずれも、そのほかに輸出金融、輸入金融等々も扱っておりますので、海外投資ワクというものは若干、そのときの趨勢に応じまして、相互に彼此融通ということが全般のワク内で行なわれるとは承知いたしておりますが、おおむねのめどはついておると承知いたしております。
  228. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 それで、先ほどの海外投資計画ですね、これは非常に立てがたい。そういう立てがたい海外投資に対する資金手当てでありますから、これもなかなか立てがたいであろう、こう思うわけであります。しかし、その中から、やはり一つ政府姿勢としまして、この海外投資をどのようにしていく、その資金はどのようなめんどうを見ていくんだというような、やはり一つの総合調整されたものがなくてはいかぬのじゃないか。それで海外投資の、大体このくらいだという見当をつけていく日本の主管官庁、また、それに対してこのくらいの金が要るんだと、それを推進するような金融面の世話を見ていく主管官庁ですね。そういうところでどのくらいそういうものを検討し、どのくらいの金融を整備していくというふうな面のあり方が、よく私はわからないのでありますけれども、そういう点について政府としてがっちりとやっているというようなものがあれば——あると思いますが、御説明願いたいと思います。
  229. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  海外投資は、日本経済自身にとりまして、ただいま先生指摘のように、資源獲得と確保、こういう意味も持っておりますが、片や受け入れ国の発展途上国その他におきましては、その国の経済自身の発展にもなるということで、経済協力的な見地も持っておるわけでございます。したがいまして、経済協力的な見地、さらにまた日本経済自体の発展ということと、両方から考えますると、これは特に先ほど申し上げました、あるいは金融面におきましては日本輸出入銀行、これは大蔵省が所管いたしております。さらにまた、輸銀ベースに乗りがたくて採算ベースに乗りにくいが、経済協力的な性格としては非常に重要な意味を持つという案件については経済協力基金、これは経済企画庁の所管になっておりますが、これがやっておる。その他、海外投資許可の問題につきましても、証券として取得いたします場合は、これは大蔵大臣が見、さらにまた債権取得という形になってまいりますと、大蔵大臣の場合もあり、ものによっては通産大臣の場合もあるというように非常に何か複雑に分割しておるように感じになるかと存じますが、もともと経済協力、その一環おしての海外投資は、もちろん日本の産業自体の立場もございますが、きわめて多面的な性格を持っておりまして、非常に複雑多面化いたしておれます。日本経済一つの側面、将来へ伸びていく一つの側面なり部分として今後伸びていくものであると思いますし、従来もさようでございました。したがいまして、関係諸官庁、関係諸機関が、それぞれの固有の機能に基づいて、この間紙を相互に密接に連携を保ちつつ推進していくことがぜひとも必要でございまして、経済協力の分野におきまして、午前中にもお答えいたしましたとおり、現在きわめてその間の連絡は円滑に行なおれておる、かように私は承知いたしております。
  230. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 非常にわかるのでありますけれども、この機関がたくさん分かれており、主管庁もそれぞれに分かれておる。それでお互いに相談して、主管庁、主管庁で許可していくのだということでありますが、やはり総合的にながめ、投資、それからその資金面も行なうというような、集中された政府の指導といいますか、先導といいますか、現在のところ海外投資は、特に資源開発等につきましては民間が先に行っている。そして、資金の問題とか、また保険の問題というふうに、あとで政府がついていく。これを両方調整された、何か一つの大きな日本の国策として海外投資がながめられ、民間の先導型ではなくて——先導でありましょうけれども、それにはぴしっと政府の考え、指導というもののかみ合わさったものがなされていかないと、先に行く、あとで金が詰まる、政府にくる。そこで政府は、そういう事情があったか、そこでまたいろいろ審議検討していく。許可もおくれるでしょうし、何かとそこにやられてはおりますけれども、ばらばらな金融機関でもありますし、金を出す面でいいましても、そこに調整された——簡単にいえば、そのような輸出入銀行の海外投資という部分、それから事業団の分、石油公団の分とか、そういう面に関しては、一元的に何か貸し出し部門というものを、海外投資融資銀行ですか、そういうものを一本化してやっていくことはどうだろうか、このように私しろうととして考えるわけであります。いろいろの設立の事情もありましょうし、また経緯もありましょうし、それぞれの分担も違っておるでありましょうけれども、やはり一体化しまして、そしてきちんきちんと民間並びに政府が相携えて、両々相まって、海外投資を盛んにしていくというような考え方はどうか、こう思うわけですが、いかがですか。
  231. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えいたします。  あるべき形、理想の形、望ましい形といたしましては、まさに先生のおっしゃるとおりであると存じます。しかし、先ほど来お答えしておりますように、きわめて多面的な性格を持っておりまして、それぞれの官庁、各機関はそれぞれ固有の業務を持っております。その業務の一側面としてこの問題に触れてくるという間柄になってくるかと存じます。したがいまして、これは民間と官庁との間に許可を要すること、あるいは金融機関融資を承諾すること等の複雑なからみ合いの問題でございますが、一番大事なことは、一元化するということについても、複雑な実態というものをつかまえて、それができないというのが現状でございますので、この上とも相互の意思疎通と連絡を十分密接にいたしていくということがぜひとも必要であると存じます。たとえば民間で海外投資を発意いたしましたときにいたしましても、これは、全部の調査が完了いたして、それを企業として意思決定をいたしましたあとで、これを大蔵省なり銀行なりに持っていって、その融資をしてくれないか——その前に銀行が断わったときは、その計画はおじゃんになるわけであります。それを持ってきたときに、銀行が融資を承諾したときに、官庁に持っていって、所管の官庁で、これは、そのほかの外交的見地、あるいは産業政策的な見地から、その投資は困るというようなことになりましたら、そこにそごを来たすわけであります。現実にはどう行なわれておるかと申しますと、そういうものが全部名実ともに備わる前に、すでに調査の段階においてそれぞれ下話がいろいろあって、それぞれの意向の打診が行なわれているのが現状であるかと存じます。  若干補足いたしますが、たとえば私が所属しております通産省の仕事にしても、最近特にその傾向は顕著かと存じまするが、通産省設置法で定められた権限だけでその仕事ができる仕事というのは、きわめて少なくなってきております。たとえば産業公害一つの問題にいたしましても、所管いたしております工業で、大気汚染の問題あるいは水質汚濁の問題等が出てまいりますれば、これは直ちに農林省の関係、厚生省の関係、自治省の関係等々、すべてこれは他の官庁と連絡をとらなければならない事態ができております。先ほどコンテナの問題で御質問がございましたが、これにつきましても、運輸省の関係、通産省の関係等、種々あるわけでございます。私どもがかように申し上げますのは、とかくなわ張り根性と申しますか、そういった目でながめられがちでありますが、そういうことではなくて、むしろ複雑多元化したこういった現実の事態に対して、各機関、各官庁間の連絡、意思疎通をいかに密接にしてこの事態を円滑に処理していくかということが一番大切なことである、かように私は理解いたしております。
  232. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 現在はそのような考え方だと思うのです。しかし、海外資源の獲得は国策でありますから、それの金融機関等につきましても、できるだけめんどうを見ていく、政府のほうでうんとそれに力を注いでもらいたい。たとえばこの事業団でありますけれども、輸出入銀行から金を借りるにしましても、まず工場財団ですか、自分の工場のその財団、いろいろ担保が要ります。そういうものを過去の海外投資で出し尽くしましてほとんど差し出す担保はない。そうすると幾ら許可になりましても金融面でその仕事がやれない。現実に金属工業等の部門においては、この金融ができないので伸び悩んでいるわけです。そうしますと、そういうところには輸出入銀行ではどうしようもない問題があるわけです。ですから、この担保をどうするとかいろいろな問題があります。  もう一つお尋ねしたいのは、この保険証券でございますが、この保険証券がそういうときの金融の担保になるかどうか。そこに強力な政府の先導型、主導型というものがあれば、大いにこの金融の面も開けてくるし、海外資源開発が十分なされる面が多いんじゃないか、このように思うのですが……。
  233. 後藤正記

    後藤政府委員 保険証券は、現実に金融機関の担保としてとられて実行されております。
  234. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、四点ぐらい質問がきょう残りましたが、当委員会は五時に終了の予定でありますので、これで私の質問を一応やめます。明日あらためてあとを御質問させていただきます。
  235. 武藤嘉文

    ○武藤委員長代理 次回は、明四月一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会