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吉田(泰)
委員 お説は一々ごもっともで、よく理解できるわけですが、基本的な私の
考え方は、やはり
中小企業者が内蔵したいろいろな
問題点、どうしても
近代化ができないから
近代化を促進しようとする
——ほんとうは、この逆の見方をすると、現代の
中小企業者が全部
近代化できたら、私はやはり倒産するところが多いと思うのですね。この間、大阪の鋳物業者が、
政府は金を貸してくれ、金を貸してくれたらいまの生産性の効率を三倍くらいに確実に上げられる、ところがその
設備は
相当要ります。私はその幹部に言うのです。全部生産性向上できたらはたして需要があるのかどうか。半分くらいはつぶれにゃいかぬだろう。いま
中小企業政策は、逆の言い方をすれば、
近代化ができないから
近代化を促進しようとしておるのであって、全部できると仮定したら、いわゆる転廃業を進めなければいけないという問題をかかえておると私は思うのです。
そこで、現行のいわゆる
割賦保険、ローン
保険、この現在の
ユーザーの
分布状況をちょっと見てみますと、
割賦保険は五十人以下が二七・七%に対してローン
保険、現に行なわれているローン
保険の場合は三十人以下が四六・八%、五十人以下が二二・六%です。片や五十人から百人までが現行の
割賦保険が五三・四%。半分ですね。それに比べてローンは一六・五%ということです。これを見て私、理解できるのは、現在果たしていろローンの役目、これは、いわゆる零細
企業者に対して、
保険がなくとも十分いわゆる
近代化の効能を果たしていると思うんです。
割賦というのは、自分が力がないと買えませんからね、信用力がないと。売り手に資金がない、手形を割れない、そういう場合に、ローンというのは銀行がかわって貸してくれる。そのことによって、すでに零細
企業、五十人以下の
中小企業に対しては、もう七〇%くらいローンが現に機能を果たしているのじゃないか。しかしそれは、
保険をつけることによって原則的には
——いま
局長が言うように、この
保険ができるということは、ベストじゃないかもしれません。ベストは何であるかわかりませんが、ベターであることは事実なんです。したがってわれわれは、これは賛成だと言わざるを得ないのですが、ほんとうに
局長が言われるように、
中小企業の
近代化をただ一本の大義名分の旗みたいに振り回して、はたして通産行政というものはいいのだろうか。
現に機能を果たしている
割賦の場合なんかは、わりと少のうございますね。二七・七%ということは、信用力がないから買えないということ。そのこと自身が、すでに私は
企業の淘汰ができておると思うのです。
中小企業の五十人以下の経営者はほんとうにしっかりしておると思う。
事業計画を立て、生産性を上げるということに、ほんとうに真剣に勝負していると思うのです。ところが、これはあとで大
メーカーがどのくらいの比率を
示しているかということは御
質問したいと思うのですが、ほんとうは大
メーカーの売らんかな政策の犠牲になってしまうのではないか。通産の予想されておるのが、全般でも三・一%じゃないか。たいした額じゃないじゃないか。それが一〇%、二〇%であれば、これはたいへんな問題だと思うのです。
保険がついてこれからローンの伸びる予想額が全
販売量の三・一%。それを扱うのはもっとふえるだろう。その中のほとんどは大
メーカーの
設備なんです。大
メーカーは資金繰りはうんと楽になります、ローンがつくということで銀行の金を使えますから。そういう
意味からすると、結論からすると、
ユーザーサイドから見ても、あるいは
メーカーサイドから見ても、
中小企業の
近代化、
機械振興という、それはなるほどそのとおりでしょう。ないよりはベターです。しかしそれがはたして、ほんとうの
意味のいわゆる目的を果している形になるであろうかどうか、私は非常に疑念を持つのです。いい
法律には違いない。だからしたがって皆さんは通す。ただし、やはり大
メーカー中心の
金融がしやすくなったということだけで終わってしまう。零細
企業は買いやすくなったといってその
機械を買ってつぶれていくというようなことが
——この表から見ると私は非常に疑問を持つのです。だから、これはあとで言いますけれ
ども、ローンをすることによって銀行と大
メーカーサイドのメリットだけが残ってきた。だから、
中小企業者の
ユーザーのためにもなるじゃないかと言ったら、ならぬとは言えませんけれ
ども、そこに全然焦点が合っていないということですね。たとえば
割賦資金を得られない
中小メーカーなどは、
メーカー振興ということに焦点を合わせるならば、できることなら手形を割りやすくしてやったらいいと思うのです。だから焦点が合っていないと思うのですが、どうでしょうかね。