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1970-03-24 第63回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十四日(火曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員   委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       遠藤 三郎君    小川 平二君       大橋 武夫君    海部 俊樹君       神田  博君    北澤 直吉君       左藤  恵君    坂本三十次君       始関 伊平君    進藤 一馬君       田中 六助君    藤尾 正行君       増岡 博之君    山田 久就君       石川 次夫君    中井徳次郎君       中谷 鉄也君    松浦 利尚君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    多田 時子君       松尾 信人君    川端 文夫君       吉田 泰造君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         通商産業省化学         工業局長    山下 英明君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君         特許庁長官   荒玉 義人君         中小企業庁長官 吉光  久君  委員外出席者         議     員 海部 俊樹君         衆議院法制局第         三部長     河村 次郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         大蔵省銀行局中         小金融課長   結城  茂君         通商産業省重工         業局機械保険課         長       海老原武邦君         建設省計画局建         設業課長    檜垣 五郎君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     松浦 利尚君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     岡田 利春君     ————————————— 本日の会議に付した案件  機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四四号)  ガス事業法の一部を改正する法律案内閣提出  第九号)  情報処理振興事業協会等に関する法律案内閣  提出第七四号)  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  八五号)  電気工事業の業務の適正化に関する法律案(海  部俊樹君外七名提出衆法第二号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の申し出があります。  順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 中小企業庁にまずお伺いしたいのですけれども、最近、大企業設備投資抑制するという政府の努力がなされています。本法案は、主として中小企業設備投資をさらに増強するという立場でありますが、この政府設備投資抑制が必ずしも大企業だけに働かずに、金融引き締めという立場からいえば、全般的に設備投資抑制に働くという感じを最近強くしておるわけでありまして、中小企業専門金融機関におきましても、御時勢だからというわけで、設備投資について、中小企業に対しても資金上の立場から抑制ぎみ状況があるわけであります。政府設備投資抑制という考え方と中小企業設備投資の問題については、一線がどこかで引かれているかどうか。こういう時代にいたしましても、中小企業設備についてはさらに増強しなければならぬという立場であるかどうか。その考えを伺いたいと思います。
  4. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のように中小企業は、現在、労働力の不足、あるいはまた後進国の追い上げ、その他目まぐるしい経済環境の変化に直面いたしておるわけでございます。中小企業につきまして現在最も重要なのは、設備近代化合理化を急いでやるということでございます。したがいまして、今回の金融引き締め措置にあたりましても、中小企業設備近代化を急がなければならないという前提に立ちまして、それに対する圧迫が加わらないような配慮をいたしておるところでございます。特に、中小企業への影響を最小限度にとどめるための措置といたしまして、たとえば資金ポジション指導につきましても、比較的中小企業向け貸し出しの少ない都銀を主たる対象としてやっておるわけでございます。あるいはまた、預金準備率引き上げにつきましても、預金残高二百億円以下という中小相互銀行信用金庫は、引き続き対象外として措置されているわけでございます。また、その他引き締め施策の実施にあたりましても、中小企業関係金融が不当に圧迫されることのないよう種々の配慮方を、金融当局に対して、私どもといたしましても御要望をいたしておるところでございます。  また、だんだんと市中金融機関中小企業への融資状況逼迫するにつれまして、政府関係金融機関に対しますところの融資期待というものが強まっておるわけでございますが、御承知のように、昨年末にいわゆる年末追加財投を行なったわけでございますけれども、この追加財投規模だけで、前年度の財投規模に比較いたしまして三〇・九%アップというような財投規模で編成されましたのも、この金融引き締め中小企業設備投資に対して不当な圧迫を与えないというふうな配慮のもとに措置されたわけでございます。  だんだんと引き締めも浸透し始めてきております。御指摘のような御心配の面もあるわけでございます。私どもといたしましては、やはりこの際、中小企業に対しますところの近代化投資がおくれをとることがないよう、十分慎重に配慮してまいりたいと考えます。
  5. 横山利秋

    横山委員 これはぜひ、常に政策を立てられるときに、また金融政策を立てられるときに、必ずその点について配慮をしておいていただきたいと思うのであります。  ついては、いまの来年度予算案の中ではお話しのような状況であるけれども、かねて私ども指摘しておるように、暫定予算が組まれるのですから、三月の末から四月、五月にかけて、中小企業金融逼迫をする可能性があるということを指摘してまいりましたところ、市中におきましても、もはやその傾向があらわれておるように私は思うのであります。この三月末から四月、五月にかけて、来年度予算がまだ執行されない端境期とでも申すべき時期に、格別の手配をする必要があると思うのでありますが、いかがでございますか。
  6. 吉光久

    吉光政府委員 来年度の三機関に対する貸し出し規模につきましては、すでに御承知のとおり、一八%アップというふうなことで対処をいたしておるわけでございますけれども、いまのような金融引き締め状況を慎重に見守りながら、この貸し出し運用につきまして、特に先ほどお話ございましたような上期に逼迫度が集中することがないよう、資金計画面での運用弾力化につとめてまいりたいと考えます。
  7. 横山利秋

    横山委員 本法において、保険契約者及び被保険者は、製造業者などの総代理店製造業者地域代理店、あるいは製造業者機種別代理店、あるいは中小企業貸与機関などが指定されるようでありますが、メーカーと総代理店の問題について私は一言政府所信をただしたいと思うのであります。  最近、化粧品においても、あるいは自動車メーカーにおきましても、あらゆる点においていわゆる総代理店制度というものが系列化という意味において非常にされております。しかし同時に、そのことは、メーカーと総代理店との関係がますます従属性を強くしてきたという感じを私は持っておるわけであります。ここ数年来、きわめてこの問題にフットライトを浴びせましたのが、本田技研と総代理店との関係であります。本田技研は四輪を始めました際に総代理店を指定いたしましたが、きわめて過酷な資料の要求あるいはノルマの強制をいたしまして、結局ある程度その販売シェアを握ったら、とかくの理由をつけましてこの総代理店資格を剥奪し、小売り屋に転落をさせて、まあ直販制度にいたしました。それがもう天下にたいへんな話題を呼んで、そして業界の大論争ということに相なりましたが、このメーカーと総代理店との関係について政府がチェックをするといたしますと、一体政府内部においてどこに責任があるのか、行政指導の担当はどこであるか、どなたかひとつお答えを願いたいと思います。
  8. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの御質問は、一般的なメーカー対総代理店関係についての御質問かと思いますので、私がお答えするのは適当かどうかと思いますが、いまお話しの点は、おそらくこの流通秩序の整備と申しますか、そういった観点であろうかと思います。私どもで申しますと、本件を直接担当いたしておりますのは企業局ではないかと思います。  答えを少し狭くいたしますが、今回お願いをいたしております機械賦払い関係、これはいわゆる総代理店契約等々、化粧品その他いまの自動車等々ございますが、私どものこの法律対象になっております場合につきましては、この保険契約者あるいは被保険者につきましては、法律及び政令におきまして、製造業者などの総代理店製造業者地域代理店、それから製造業者機種別の総代理店、さらには中小企業貸与機関等がこの対象になっておるわけでございます。そこで私ども、この保険という立場からメーカーと総代理店関係を見ておりますが、これ以外のものにもいろいろとディーラーがあるわけであります。そこで私どもは、こういった保険契約者をしぼっておりますのは、これ以外のものにいたしますと、保険立場から申しますと、そこに保険リスクを集中されるというような場合が起きてくるというようなことから、いま申し上げましたような地域別あるいは機種別の総代理店ということにしておるわけであります。  私どもが調べております限りにおきましては、メーカーと総代理店との関係は、保険の面だけで見ておりますと、いまお話しのように、非常にこの関係ぐあいが悪いということはないように感じております。ただ、いろいろと品種、商品によりまして関係は異なってまいろうかと思いますが、私ども保険立場から見ておりますと、この関係はそれほど過酷なと申しますか、あるいは非常にぐあいが悪いと申しますか、そういった関係にはなっていないように承知をいたしております。
  9. 横山利秋

    横山委員 保険立場から見れば、あるいはそういうことが言えるかもしれません。しかし中小企業庁長官に、ひとつ総合的な立場から、メーカーと総代理店との関係についてあなたの所信を伺いたいのですけれども先ほど申しましたように、有名機械なり有名商品なり、そのメーカーが総代理店に対して持っております経済上の優越性といいますか、少し金額をまけて売った場合には、あるいは再販契約違反行為をした場合には、あるいはまた、やみ再販であっても、それに対して間違いをおかした場合には代理店資格を取り上げるというようなことは、往々にして枚挙にいとまがないのであります。このメーカーと総代理店との関係について、一回ひとつ洗い直してみる必要がないかと私は痛感をするわけであります。常に経済上の優位を持って、そうしていろいろな角度で圧力を加えており、総代理店につきましても、A社及びB社C社といろいろやっているものもありますが、特に自分のところのものだけを扱え。電器製品でもそう、化粧品でもそうでありますが、自分のところだけ扱えといっておるところには、特に経済上の優越性というものがきわめてきびしい、そして過酷な条件というものが常に圧力がかかってまいるという状況について、中小企業庁として分析をされ、お考えになったことがありましょうか。
  10. 吉光久

    吉光政府委員 メーカーと総代理店との関係、いろいろ業種、業態によりまして違いが出てきておるかと思うわけでございますけれども、要はメーカーが、いま御指摘ございましたような、自分の優越的な地位を——いろいろなことにつきまして、代理店その他の販売店にその地位を乱用した結果を押しつける、こういうことがあります場合、これはもうお答え申し上げるまでもなく不公正取引でございます。あくまでもその問の取引秩序は、公正な取引関係というものが当然の前提になっておるべきであるというふうに考えるわけでございます。具体的な問題につきまして、私、状況を詳細に承知いたしておりませんので、いずれ業態に即しましてよく検討いたしてみたいと思います。
  11. 横山利秋

    横山委員 それから、本田技研の問題が裁判ざたになりました際に、私はアメリカにおける自動車誠実法というものを一ぺん調べたことがございます。日本における公正取引については公正取引法にいろいろの難点がある。この難点から、いま常識的、一般的にメーカーが少し過酷であるというだけでは、この法違反ということになかなか持っていけないところがある。それ以前の、メーカーとして誠実な公正取引を守らなければならぬという立場において、アメリカ自動車誠実法は非常に示唆に富んだ法律であろうと思う。これが日本状況に、日本人の感覚になじむかどうかについては、若干の疑問が私はなしとしないけれども、今日の公正取引の規定からいうならばやや不十分な点がある、こういうふうに私は考えておるわけであります。これはいま重工業局長が、企業局とは言われたけれども中小企業庁において、一回、メーカーと総代理店とのあり方についてひとつ洗い直してもらいたいということを要望いたしたいのでありますが、いかがでございましょう。
  12. 吉光久

    吉光政府委員 ただいまのお話にございました、アメリカにおきます自動車誠実法関係ディーラーにつきましての誠実法につきましては、私も昨年この法案を読んだわけでございます。お話の中にございましたように、メーカーディーラーとの関係につきまして、予告なくしてかってに販売権を奪うとか、いわばメーカー側の優越的な地位を乱用することを戒めておる法律だと、私、承知をいたしておるわけでございます。こういうメーカー販売店あるいは総代理店等との関係につきまして、いろいろと問題のあること、あるいは化粧品業界のお示しの例、あるいはまた自動車販売業における例、あるいは家電関係例等、実例をおあげになったわけでございます。そういう実態をすみやかに検討いたしまして、どういうあり方であったらいいか、いまの御指摘の点につきましてよく企業局とも相談しながら——と申しますのは、これは大企業関係製品にそういう例が多うございますので、よく企業局とも相談をいたしながら、そこらの取りまとめをやらしていただきたいと思います。
  13. 横山利秋

    横山委員 次にローン金利の問題であります。  保険をするということによって、一体金融機関それ自身がどういう立場をとるのか。少なくとも機械代金の半額は国が保険をするのであるから、金融機関としては、この貸し出しました金額について、少なくとも半分は貸し倒れ危険性がないわけであります。したがいまして、市中金利と比較するとき、保険でない一般貸し出し金利と比較をする場合においては、少なくとも半分、国が保険をする分については調査料も必要なかろう、あるいはまた貸し倒れ危険性がないのであるから、当然この金利が安く算定されなければならぬ、こう考えるのでありますが、どうでありますか。
  14. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 現在耐久消費財等を主たるものといたしておりますが、いわゆるビジネスローンというものが市中銀行で行なわれております。私ども全部は調査いたしておりませんが、大体日歩二銭三厘ないし四厘、年にいたしますと八・四%から八・八%くらいというのが、大体いま実施されているビジネスローン金利のように承知をいたしております。これは一般のいわゆる割賦販売金利に比べますと、若干ではございますが、やや低目ではないかと思っております。  いま御指摘のように、今回法改正によりまして、いわゆるローン保険というものが新設をされる。そうすると、いわば事故が起こりましても、金融機関は、債務保証しておりますメーカーのほうへ保険金が半分支払われるわけでございますので、その面だけは危険負担が少なくなるということは、御指摘のとおりでございます。ただそれが現実の金利として作用するかどうか。その面だけリスク負担が軽くなるのだから、金利も若干下げていいのではないか、こういう点は、理論的には御指摘のとおりだと思います。ただローン保険立場から申しますと、いまこの中小機械メーカー等で、信用力等が不十分でございますために、こういったビジネスローンにつきましての基本契約銀行と取り結ぶことができないでおる、こういったメーカー保険対象になることによりまして、いわばビジネスローン基本契約市中銀行とより結びやすくなる。そういったことから機械販売が拡大され、また先般も当委員会で御答弁申し上げましたように、この機械購入者は大部分が中小企業でございますので、先ほどもちょっとお話がございましたように、中小企業設備近代化がさらに促進される、こういう効果があるのではなかろうかと思っております。したがいまして、ローン保険のねらいそのものは、むしろ金利を下げるというよりも、第一義的の目標といたしましては、従来の機械賦払い信用保険に加えまして、今回の改正によってさらにその目的とするところが拡大、拡充されていく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 しかし保険をかければ、金を貸す金融機関は、それで貸し倒れの危険がないのであるから、普通の貸し出しよりもリスクが少ないのであるから、国が保険をするのであるから、これは当然国としても、金融機関に対し金利を下げるべく要請をすべきが当然のことのように考える。この保険を拡大するについては、機械を売る人も、機械を買う人も、ともに保険を利用したほうがいい。しかも、それは国が保険をするのであるからこの法を利用したほうがいいという、この保険の発展のためにも、当然金融機関に対してその話はして、金利市中金利よりも安くするようにさせるべき当然の理由があるのではないか。いま、たしか中小企業金融公庫は八歩二厘、国民金融公庫も八歩二厘ぐらいでしたね。少なくともそれ以下にさせてもいいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  16. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまお答え申し上げましたが、先生の御指摘の点、私もまことにごもっともな御指摘であろうかと思います。金利の問題は、それぞれの銀行が、相手の取引あるいは実態に応じましてそれぞれきめておるわけでございますので、一がいに全部幾らというような引き上げ方はむずかしいかと思いますが、いま御指摘のように、確かに保険がかかりますと銀行リスクはそれだけ少なくなる。少なくとも半減することは確かでございますので、こういった点も十分勘案をいたしまして、今後大蔵当局とも相談をいたしまして、可能な限りそういった方向に指導をし要請をしていただくようにつとめてまいりたいと考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 大蔵省結城さん、お見えになっておるようでありますが、この点についてどうお考えになります。
  18. 結城茂

    結城説明員 ただいまの賦払い割賦販売の件でございますけれどもローン保険の場合は、ただいま重工業局長から言われましたように、その主たる目的割賦販売の促進という点に主眼が置かれているということであるわけでございます。それからもう一つ、金融機関に対する保証主体機械メーカーがなる。そのあとにこの保険がついているわけでございまして、いわゆる信用保証協会なんかが一般的な公的な機関として中小企業信用を補完するというものと、その辺は若干趣が違っているのじゃないだろうかというふうに考えられるわけでありますけれども、理論的にいきますと、メーカー保証に対してこの保険が裏で五〇%補完しているという点がありますので、確かに一般的な金利に比べてその分だけでも多少安くなってしかるべきだという御説は、まことにごもっともだと思っております。  中小企業関係設備といいますか、長期貸し出し金利は、大体九%程度になっているわけでございますが、一般的にこういうローン金利の場合には、ただいま重工業局長から言われましたように、八・四あるいは八・七六というふうに、通常長期金利よりも安くなっているというような状況でございまして、これは、そういうリスクの点というふうなことも加味されて確かにきめられている要素があるのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 いま信用保証協会の例を引かれましたが、それに関連をして少し聞きますけれども信用保証協会保証をするという場合に、数年前から私どもとしては、信用保証協会保証があればいわゆる金融機関貸し倒れがないのだから、信用保証協会リスクを担当するのであるから、一般市中金利よりも当然信用保証料までは金利を下げるべきだ、こういう主張をし、政府もその当時からその点を了としておったのでありますが、実際問題として、じゃ保証料だけ金利が引かれておるかというと、そうではないのが町の実態であります。一体どういう行政指導をなさっておるか、伺いたいものであります。
  20. 結城茂

    結城説明員 ただいま先生おっしゃいました、信用保証協会保証つき融資に対する金融機関貸し出し金利引き下げといいますか、通常貸し出しに比べて引き下げるべきであるという点の御指摘は、前々から私ども承っております。これにつきましては、四十二年八月に銀行局長名で各財務局長あるいは銀行協会連合会長等に対して通牒を出しましたのがしょっぱなでございますが、その後さらに昨年の五月に再び銀行局長名で、各財務局長、それから全国銀行協会連合会長、あるいはその他の金融機関団体会長都道府県知事通達を出しまして、保証つき融資金利引き下げに一そう努力してもらいたいということの指導と、それから協力を依頼したところでございます。  私ども、ただこういう通牒を出して終わっているという状態でございませんで、その通牒あとのトレースといいますか、実態を調べたところによりますと、保証つき融資保証なしの融資に比べて、年にしまして〇・三五%程度低くなっているというような状況でございます。しかも、はなはだ些少ではございますけれども、四十二年にこのような通達指導を出す前に比べますと、非常に小幅ではございますが、年率にしまして〇・〇七%程度ほど格差が広がっている。要するに保証つき融資のほうが金利がそれだけ下がってきているという状態も見えております。  金融機関としては、保証つき融資は確かに金融機関サイドリスクがないという点で、その分安くするということはごもっともでございますが、保証料率の、たとえば三分六厘あるいは四厘程度まるまる下げるべきかどうかということになりますと、具体的に、金融機関貸し出し先とのいろいろな形での交渉の結果、金利がきまるわけでございますので、たとえば四厘の保証料率まるまるめり込ませなければいかぬのじゃないかということは、これまたなかなかむずかしい点があるんじゃないかというふうに思っておりますが、こういう指導につきましては、これからとも十分私どももやっていきたい、かように考えております。
  21. 横山利秋

    横山委員 いま伺った数字を見ましても、あまりにも国会の意向といいますか、あるいはまた、政府がお約束をされた点からいうと、隔たりがあり過ぎると思うのであります。実際、信用保証協会保証を持って金融機関へ行く、あるいは金融機関へ行って保証をしてもらってこいという、そのいずれの場合を取り上げましても、おまえのところにはほんとうは貸してはならぬけれども信用保証協会保証をもらってきたら何とかしてやろうという、恩恵的な態度が常に存在をする。保証をもらってきて銀行へ行くと、そうか、保証をもらってきたかというて、そういう雰囲気のもとには、金利を下げてくれいという雰囲気がなかなか出ない。何か保証をもらってきたことによって、自分のところはほんとうは貸してもらえぬけれども貸してくれるのがありがたいという立場と、それから、ほんとうは貸してやる必要はないけれども保証をもらってきたのだから貸してやるという立場、この相対的な、対等でない立場が、金利を下げてくれいとなかなか言わせ得ない雰囲気をつくっておる。だから私は中小企業者に、信用保証をもらってこられたならば大いばりで銀行に行くんです。信用保証協会では、ひとつよろしくお願いしますはいいけれども、それを持って銀行へ行った場合、あなた頭を下げる必要はないんだよと何回も言うのでありますけれども、結局そういう対等の立場にはないというのが中小企業者の偽らざる雰囲気なのであります。したがって、これはよほどしっかりした中小企業者ならば、保証があるのですから金利を下げてくださいとはっきり言うのでありますけれども、なかなかそうはいかないのであるから、金融機関それ自身が、行政指導によって自発的に、保証があった場合には、少なくとも平均このくらいは金利を下げるという統一基準というべきものがなければ、これは言うべくして行なわれ得ない、私はそう考えておるわけであります。その点について、政府みずから金融機関と御協議をなさって、少なくとも、保証があるならば平均このくらいは金利を下げるべきだという話し合いをなさるべきだと思うのでありますが、いかがでしょう。
  22. 結城茂

    結城説明員 ただいまの、保証つき融資の場合には当然この程度は下げなければいかぬのじゃないかというような一定の統一基準といいますか、そういうふうなものを設けてはどうかという点でございますけれども、やはり中小企業全体として必要とするところの資金が得られる、しかもまた信用補完といいますのは、そういう中小企業信用度の弱い点を補完するということで設けられている制度でもございますので、何といっても、必要な融資が得られるということが基本じゃないかというふうに考えられるわけでありますが、金利の点ということで、たとえば一定率は必ず下げなければいかぬ、こういうふうになりますと、今度、融資するほうの側としましても、その場合に同様な条件のもので二つ投資案件がありますと、やはり金融機関としては、投資効果の大きいといいますか、利率の高いほうを選ぶ、こういうような場合があろうかと思いますので、なかなかそういう点で一律的な扱いをさせるということはむずかしいのじゃないかというふうに感ずるわけであります。ただいま〇・三五%程度低いと申し上げましたのは、平均で申し上げたわけでございまして、確かに中には日歩二厘程度下がっているというふうなものもあるようでございまして、金融機関によっては、あるいは対象中小企業によりましては、かなり金利差がついているというような実情のように見ておるわけでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 あなたの言い方はちょっとおかしくはないですか。中小企業者にとってみれば、金利よりも貸してもらいたいのだからという表現ですけれども、裏を返して言うならば、貸してもらえぬものを貸してやるのだからあまり欲の深いことを言うなというような感じが、私はするわけですね。  それから、金融機関立場というものは、くどく言って恐縮ですけれども、少なくとも保証があれば、それだけ調査料も要らないのだから、貸し倒れもないのだから、普通の金利よりも得するわけですよ。普通の貸し出しの場合よりも、金融機関はそれだけ費用のコストがかからないのです。だから、かからない部面だけ下げても、金融機関としては普通の貸し出しと同様なことではないかというのです。逆に言えば、不当に金融機関がもうけておる。保証つきのものについては、普通の金利でやったのでは不当に金融機関がもうけておると、私は逆に言うわけです。だから、これは何かあなたの思考の次元が、ちょっと私はおかしいと思うのです。  窓口における雰囲気を先ほど申し上げましたけれども保証を持ってきた中小企業者というのが、あなたの言うような場合もないではないけれども、それはよほどしっかりした心臓の強い中小企業者で、私どもの気持ちをくんで、ああそうですが、そういうものですか、それなら金融機関へ行って私かけ合ってまいりましょうと言うて、話を聞いたのですけれども保証があれば金利がまけていただけるそうですが、どうですかという、こういうところはまけてもらえるけれども、そういうことを知らない、あるいは、貸してもらえぬのが普通であるけれどもこの際貸していただけませんかというようなところでは、そういうことはない。だから強い者勝ちという金利の相場になってくる。大蔵省金融機関相談をして、保証のあるものについては少なくともこのくらいはまけるべきだ、まけるのが望ましいという統一的な水準を設定するのに一体どうしてそう憶病なのか、私にはわからない。まさかあなたは、金融機関の代弁者として御答弁なさっているのでもなかろうと思うのです。重ねてこのお考えをお願いしたい。
  24. 結城茂

    結城説明員 保証づき融資について金利を下げるようにということは、私どもかなり強く要請し、金融機関にもそのことを指導しているわけでございます。したがいまして、現にそういうふうな通牒も出し、あるいは財務局あるいは金融機関の各団体にも、そういうふうな旨を指示いたしまして、保証つき融資引き下げについて努力してもらいたいということをやっております。  ただ、私申し上げました点は、一律にたとえば何厘そういう保証つき融資の場合はどうしても下げなければいかぬといいますか、一定の比較する対象に比べて当然下げなければいかぬということは言っておりますけれども、しからば具体的に基準をもうけるとなりますと、実際上なかなかむずかしい面があるのじゃないか……。
  25. 横山利秋

    横山委員 何がむずかしいか。むずかしい理由を言ってみなさい。
  26. 結城茂

    結城説明員 具体的にその基準といいますか、どういうふうな条件の場合にどういうふうなものというふうなことになろうかと思いますけれども、そういう設定につきましては、具体的に詰めるとなるとむずかしいというように……。
  27. 横山利秋

    横山委員 何がむずかしい。
  28. 結城茂

    結城説明員 そこは十分これからも検討いたしますけれども、具体的基準を設けるというのは、なかなか問題があるのじゃないかというふうに思うのであります。
  29. 横山利秋

    横山委員 何が問題があるかちっともわからぬ。
  30. 結城茂

    結城説明員 問題につきましては、たとえば保証つき融資の場合には、当然一定の金利は下げなければいかぬということは——一定といいますか、それだけ安くせいということで現に安くしているわけであります、したがって。そういう指導を通じまして私どもやっていけば、十分そこの辺のところの目的を達せられるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  31. 松平忠久

    ○松平委員 関連。いま信用保証協会の件について横山君から金利引き下げのことが出ましたので、それに関連して質問したいと思うのですが、私の聞いた話では、中小企業の人たちが、保証協会で保証をつけてもらって金融融資をしてもらうという場合において、信用保証協会が担保を要求することがこれは当然あるわけであります。ところが、東京方式、関西方式というようなことを俗にいわれておって、東京における金融機関は、保証協会の保証をつけた場合において、保証協会が担保を要求すると同時に、金融機関がまた担保を要求する、こういうような傾向が東京を中心として行なわれておる。関西のほうにおいては、保証協会において保証した場合において担保を設定するという場合には、銀行においてはもちろん担保は設定しない、こういう傾向があるということを聞いておるわけです。したがって今日まで、これは登録税の問題に関係がありますけれども保証協会に担保を設定した場合には登録税を取らないという方向をとるべきだということを、この委員会においてはだいぶ前から議論になってきておるわけでありますけれども大蔵省側としては、いま言うようなぐあいに、保証協会で保証をとった場合において、関東地区においては銀行においても保証担保をとる、またそういうことをしておるそうだけれども、一体それに対して、そういう事実があるのかどうか。また同時に、そういう銀行のやり方に対して、中小企業庁保証協会に対してどういう指導をしておるのか。また大蔵省銀行局は、そういう二重担保を要求するというやり方に対してどういう態度を一体とっておるのか。この際聞いておきたいと思います。
  32. 吉光久

    吉光政府委員 保証協会が担保をとりましたものについて、二重に金融機関がその債権について担保をとるということは、金融機関のほうの行き過ぎではないかと思うわけでございます。ただ、同一の債権のみならず、その同一企業者との問に一括して債権債務関係で担保をとっておる場合もあるようでございます。  それから、いまの東京方式と関西方式の問題でございますけれども、東京方式の場合におきましては、金融機関が担保をとっておるものにつきましては、保証協会のほうでは担保をとっていない。あるいはまた、大阪方式の場合はその逆でございまして、保証協会が担保をとっておるものについては金融機関は担保をとらないというように、実際の保証運用につきまして差があるようでございます。ただ、二重担保は好ましくないということは当然でございますので、これらの関係の中に二重担保というふうなものがあれば、これは私どもといたしましても、できるだけ排除するように努力してまいりたいと思います。
  33. 結城茂

    結城説明員 ただいまの二重担保の点につきましては、ただいま中小企業庁長官からお答え申し上げましたとおり、確かに好ましくないと思いますし、その必要がないのじゃないかと思いますので、排除するということをできるだけ指導してまいりたいと考えております。
  34. 松平忠久

    ○松平委員 もう一点、中小企業庁長官に聞きたいのですけれども、そうした東京方式、関西方式というようなやり方を今日までやらしておるというところに、おかしなところがあるのじゃないか。言いかえるならば、保証協会において保証してもらう場合に担保をつけるという場合におきましては、当然登録税を免除するという考え方が政府になければならないわけなんです。それを私どもは主張してきておる。ところが、大蔵省側に言わせるならば、中小企業庁指導のしかたが、東京方式、関西方式というような二つの方式をそのまま放任しておるということのために、保証協会に担保をつけた場合に登録税を免除することができないのだということを主張しているわけなんです。そういたしますと、中小企業庁指導のしかたが、いわゆる関西方式というやり方に全国を統一するということになるならばこれはわれわれが主張しているように、保証協会が担保をとる場合においては登録税を免除するということを堂々と主張できるのではないか。こういうふうに思うのだけれども、一体中小企業庁という役所はそういう関西方式、東京方式というものを放任して今日までやってきたのかどうか。もしそうだとするならば、これは中小企業信用保険法の精神からいいましても、保証協会法の精神からいいましても、その指導のしかたがおかしいのではないか。やはり全国統一ある指導のしかたをすべきであったのではないか。今日からでもおそくはないからそれをやるべきである、そう思っておるけれども、どうですか、それは。
  35. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、東京方式よりかむしろ関西方式のほうがより合理的でございます。したがいまして、東京方式を関西方式のほうに制度的に切りかえてまいるということにつきまして、将来とも努力いたしたいと考えます。
  36. 松平忠久

    ○松平委員 もしそういうふうに指導していくというのであるならば——これは先ほど横山君が質問しましたところの銀行金利に関しましても、いまのような二つのやり方と申しますか、東西、つまり東京地区と関西地区と分かれておるということから、担保の設定一つ申しましても、私はなかなかむずかしいことが出てくるのではないかと思う。したがって、中小企業庁の態度が一貫をしておって、そして関西方式に切りかえさせていくという態度をとるならば、登録税の問題も解決していくし、同時にまた、先ほど横山君から要望がありましたところの、保証料に見合うだけの金利引き下げということを堂々と主張できるのではないか、こういうふうに私は思うのです。その点私は、中小企業庁並びに通産省全体が心を一にして、業界と話し合って、そういう方向になるべく早く実現させていかなければならない、こういうふうに思うのだけれども、その覚悟はございますか。
  37. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘のとおりでございます。東京方式の場合におきまして、従来、保証協会のほうの審査能力が不十分でございますとか、あるいはまた取引慣行というふうなものによりまして、関西と違ったような方式が採用されておったわけでございますけれども、逐次保証協会の審査能力も充実しつつあるわけでございます。したがいまして、お示しの線に沿って強力に保証協会を指導してまいりたいと考えます。
  38. 横山利秋

    横山委員 委員長はじめ同僚諸君も、おそらく、私どもが提起している問題は、町の金融の中で御体験だと私は思うのであります。もう一ぺん皆さんの御同意も得たいと思うのでありますが、信用保証を受けに行く中小企業者は、普通の銀行ではなかなか貸してくれない。だから信用保証制度がある。信用保証を受けて金融機関へ持っていく。もうこれは貸し倒れ危険性はない。金融機関はそれによって損することはない。貸し倒れがあったらこれは信用保証協会が補てんをする。したがって調査料も要らない、貸し倒れリスクも要らない。それに普通の貸し出し金利金融をするということは、不当な利益を金融機関が受けている。極言すれば私はそう信ずるわけであります。  ですから、本件につきましては、累次の国会におきまして、保証料に見合うだけの金利を下げるべきだと、超党派で何回も何回も、予算委員会でも、当委員会でも、大蔵委員会でも、きめておるわけであります。政府の説明を聞きますと、それについては四十二年の通達が出ておる、昨年の五月も通達を出したとおっしゃる。二回も努力をしておるということは、裏を返して言えば、実行されていないということを政府みずからが証明をしておるようなものであります。なるほど前と比べて若干金利は下がっておる傾向はある。けれども、私が言うように、この下がっておる人は、心臓の強い中小企業、われわれが指導した中小企業にすぎない。信用保証協会保証をもらって金融機関に行く一般中小企業は、このことを知らない。そして、私のところは本来貸してもらえぬところだけれどもありがとうございましたと言って、普通金利で借りてくる。こういう状況であるから、少なくとも、保証料に見合うだけの金利は下げろというのが基本原則であるけれども、それがいまのわけのわからない答弁ですけれども、いろいろ問題があるとおっしゃるならば、少なくとも保証料に見合うだけの金利を水準から引き下げる、あるいはこれだけまでは下げるべきだという一定の幅を持った指導基準のようなものを持って、政府信用保証協会あるいは金融機関指導すべきだ、その基準をつくれと私は主張しておるわけであります。その主張に対して、どうもいろいろ問題がある——どういう問題だか私にはわかりません。だから私は納得ができないわけであります。委員長はじめ各同僚委員に御協力を願って、これはやはり強力にそういう方向に持っていかせるべきだと私は考えるわけであります。  もしも結城中小金融課長が、自分の判断ではできないというのであるならば、しかるべき責任を持った人にここに出てきてもらって、その回答を寄せてもらいたい。これは私が初めて言うことではない。院議になっておる。そしてしばしば参考人も呼んで話をきめておる。私ども委員会ばかりではない、多くの委員会で院議になっておるにかかわらず、それが十分実行されていないということについては、私は国会軽視だというところまでは言うつもりはありませんが、少なくとも、われわれの意思がじゅうりんされておるきらいがある、こういうように考えるわけであります。  突然のお名ざしで恐縮でございますが、委員長おわかりでございましょうね。ひとつ善処を願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  39. 八田貞義

    八田委員長 委員長からお答えいたします。  ただいまの横山委員の提案につきましてはまことに重大であります。この点の取り扱いにつきましては、理事会にはかりまして、その上で決定いたしてまいりたいと思います。御了承のほどお願いいたします。
  40. 横山利秋

    横山委員 それでは、理事会の諸公に善処をぜひ要望いたしたいと思います。  つきましては、それと相関連をしまして、この保険は、多少のニュアンスは違いますけれども企業者の場合においては一〇〇%銀行リスクはない。この場合においては半額銀行リスクはないわけであります。半額であろうとも、その半額については銀行リスクはないのでありますから、事は重要なんであります。したがいまして、基本的には信用保証の問題は理事会の皆さんの御努力にまつといたしましても、少なくともその御同意が得られるならば、この保険における金利につきましても、金融機関に善処をさせるべきだ。この立法の際に政府としても格段の努力をすべきだと思いますが、いかがでございますか。
  41. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 いま先生のおっしゃったことは、私どもその実情をよく調べまして、その方向で徹底したいと思っております。
  42. 横山利秋

    横山委員 それでは、本件につきましては政府の善処を要望いたしたいと思います。  次は、この保険をいたしまして支払い不能になった。たとえば百万の機械を売った、五十万は政府保険をする、しかし支払い者は百万の機械を買ってあくる日倒産をしてしまった。その場合に、売った機械メーカーが引き揚げる。その所有権はメーカーにある。支払いについて、請求権は、請求義務はメーカーにある、こういう話でありますけれどもメーカーが回収責任を履行しないという場合が考えられるわけであります。その場合は終局的には一体どういうことになってまいりますか。
  43. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの制度で申しますと、いまお話しのようなケースでございますと、支払い不能になる、つまり事故が起こるわけでございますので、私どものほうといたしましては、実態を調査の上で保険金を支払うわけでございます。メーカーのほうは、通常、商慣行といたしまして当該機械の所有権を留保いたしておりまするので、当然売り渡し先から機械を引き揚げてくることになります。引き揚げてまいりました機械を、さらに適当な金額あるいは適当な時期に、いわば一番高く売れるケースを選んで転売をするということになるわけでありまするが、その転売いたしました金額の半額は納付をしてもらう、こういうことになっております。そういう仕組みでございますので、いわばメーカーとしては半額は政府から保険金がもらえますが、残りの半額は自己の負担になるわけであります。したがって、できるだけその半額の自己負担の分を軽減すべく努力をする。さらに、それがうまくまいりますれば、その残りの半額に近いものがさらに自分のふところに入ってくる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  44. 横山利秋

    横山委員 回収した機械が、いついつまでもメーカーのところに放置されておった場合には、どういうことになりますか。
  45. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 場合によりましては、そういうケースもあろうかと思います。もちろんその場合には、メーカーは半額しか保険金が入りませんから、それはメーカーの負担として残るわけでございます。
  46. 横山利秋

    横山委員 メーカーに残るけれども政府メーカーに対して、あと五十万回収せよと言う。メーカーは、支払い者が払いませんから回収できませんと言う。そこまではわかるのです。それからどういうことになるのですか。
  47. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 保険金を払いましたあとも、そのメーカー機械を転売するかどうかということは、絶えず調査をし、私ども注意をしておるわけでございます。実際問題といたしまして、いままでのケースで申しますと、私ども保険金を払いましたあと、その機械が全く放置されてどこにも売られていないというケースはございませんので、あるいは理論的に言えば、先生のおっしゃるようなケースもあろうかと思いますが、実際の実情から申しますと、そのものはほとんど全部が、私どものケースで言いますと、他に転売をされ、転売金額の半額が納付されているというのが実情でございます。
  48. 横山利秋

    横山委員 実情を聞いているのではない。理論的にはどういうことになるのですか。未来永劫そのままになるということですかと聞いている。
  49. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 理論的なというお話でございますが、理論的に申しますと、いまの制度でまいりますと、あと政府としてはやむを得ない、納付金は入ってこない、こういうことになってまいります。
  50. 横山利秋

    横山委員 愛知県やほかの一、二の県で、この種の保険を地方自治体でやっておりますが、これとこの改正法との調整はどういうふうになされるわけでありますか。それぞれ並列をするわけでありますか。吸収をされるわけでありますか。
  51. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これと同種のものを愛知県みずからやっておることは承知をいたしております。ただ愛知県は、現在私どもが実施をいたしておりますような割賦信用保険はやっておりますが、ローンに関する保険はまだやっておりません。したがって、ローン保険というものが新設されてまいりますが、これはそれぞれの別の機関——片方は国でございますし、片方は県でございますので、それぞれ違いますが、いまのところ愛知県がこのような国による保険が新しく追加されることに伴いまして、やはりローン保険をやろうというふうな意図があるようには承知をいたしておりません。
  52. 横山利秋

    横山委員 しかし、地方自治体の保険が、この政府保険と競合することなく、また独自の発展をさせるべく行政指導の必要はないかという点について、御意見はありませんか。
  53. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 お示しのように、同種の保険が愛知県、大阪府等にあることは事実でございます。私ども、なるべくこの国の保険と府県みずからやっております保険との問で、たとえばてん補率の問題、あるいは保険料率の問題また対象機械の面、こういった面でできる限りの調整をはかっておるつもりでございます。もちろん府県の場合には、さらに中小と申しますよりも零細な面を中心に考えておるようではございますので、若干対象のものが違う点もございますが、可能な限り調整をはかって、一体的な運用をしてまいりたいと考えております。
  54. 横山利秋

    横山委員 時間がきたようでありますから、これで質問を終わります。      ————◇—————
  55. 八田貞義

    八田委員長 ガス事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  56. 石川次夫

    ○石川委員 ガス事業法について若干の質問をいたしますけれども、私、ガス事業法の質疑応答のときにちょうど欠席しておりまして、私が質問しようとすることの大半は、もうすでに質問が終わっておるようであります。したがいまして、多分重複する気味があろうかと思いますけれども、ごく重点的に、時間の関係もございますから、結論的な質問をいたしますので、ひとつ答弁のほうもしかるべくお願いしたいと思います。  最初に、今回、このガス事業法というものができて、簡易ガス事業というものを都市ガスと別個に設けるということになったわけでありますが、昭和二十九年から最近の状態によりますと、需要家数が四倍近くにふくれ上がっておるようであります。したがって、第三次五カ年計画が終わったときに、大体普及率が五三・一%。この一軒当たりの需要量をふやすというよりは普及率を高めるというような趣旨に従って、第四次計画も立てられておるようでありますけれども、この目標は、大体第四次五カ年計画の最終に六三・三%というふうな目標が立てられておるようでありますが、LPガスがこのように発達をしてきたという理由は一体どこにあるのだろうか。原因は一体どこにあるのか。そしてこのLPガスというものが最近どの程度に普及をしているか。都市ガスとの比較において、ひとつ一応御説明願いたいと思います。
  57. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 LPガスが近年非常にに急激に伸びてまいりました理由といたしましては、一つには、最近非常に、いわゆる市街地が順序よく中から外へ連檐して伸びていくというかっこうではなくて、むしろ既成の市街地からある程度離れましたところにかなり大きな団地ができるというような、新しい状況が出てまいったというようなことが一つ。それから、従前、都市ガスがまだ十分に伸び切れませんような地帯、そういうような新しい市街地、それからまだ十分都市ガスの普及に至らない地域というようなところに、LPガスがかなり簡便な供給方式ということで伸びてまいったというのが、急激なLPGの普及を見ました一つの理由であろうかと思います。むろんLPGの生産そのものも、御承知のように、国内の石油精製の伸びに伴いまして国内のLPGの生産もふえてまいったということも、その裏づけになる事柄であろうと存じております。
  58. 石川次夫

    ○石川委員 それで、LPGの現在の配給戸数、それから都市ガスの配給戸数、そしてまた、この都市ガスの供給区域内でLPGが一体どのくらい供給をされておるか、その点を一応御説明願いたいと思います。
  59. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 いわゆる供給戸数で申し上げますと、四十三年度末におきましては、都市ガスの供給を受けております需要家数は全国で八百八十六万二千戸でございまして、LPGの入っておりますのは千三百九十九万六千戸でございます。四十四年度は、これは一部推定も入っておりますが、都市ガスは九百六十三万二千戸、LPGの供給を受けております戸数は千四百四十一万戸というような現状でございます。
  60. 石川次夫

    ○石川委員 私の質問、一つ答えていないのですけれども、都市ガスの供給区域内でもLPガスというのは五五%くらい普及している、こういうふうに私は聞いておりますが、それで間違いございませんか。
  61. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 都市ガスの供給区域内における一本売りのLPGの普及戸数が、ただいま申し上げました数字の中でどのくらいであるかという正確な数字は、把握いたしておりません。
  62. 中井徳次郎

    ○中井委員 関連。ちょっといまの御答弁に関連してお尋ねするのだが、今度のガス法案の内容を見ますと、何か七十戸以上のガスの一括管理といいますか、導管のあるものについての規制ですね。それ以外のものと七十戸以上のものとの比率はどんなふうになっているのか。私はこの前ちょっと関連して聞いたのですけれども、七十戸なんていうのは多過ぎやせぬか。もっと五十戸くらいまで下げたらどうだという質問をした記憶があるのですが、そういうことについてはどういう見解であるのか。きょうは何か最後の質疑だということをぼくはいま聞いたので、ちょっと関連して……。
  63. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 四十三年度末で、先ほど申しましたように、いわゆるLPGの供給を受けておりますのは、一本売り、導管供給合わせまして約千四百万戸でございますが、このうち、ただいま御質問のございました、今度の改正法でガス事業法対象になりますいわゆる七十戸以上の簡易ガス事業の供給を受けておる戸数は、この千四百数十万戸のうちの大体十一万戸であります。
  64. 中井徳次郎

    ○中井委員 たった十一万戸かね。千四百万戸のうちのたった十一万戸かね。百四十万戸とか千万戸というのでなくて、たった十一万戸かね。もう一ぺん念を押すが、その程度のものをわざわざ法律改正して、一体何をしておるのか。もっとなぜ程度を下げないのか。そういうことについて通産省としてはどういう見解なのか、それをもう一ぺん確かめさせていただきたい。
  65. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 いまの七十にするということでございますが、前国会で通産省は五十で出しましたが、本委員会で皆さま方の御意見をいただきまして七十に改正したものでございます。
  66. 中井徳次郎

    ○中井委員 皆さま方の御意見というが、ぼくは新しい委員だから、どんな意見だったか聞かしてもらいたい。そういういいかげんなことじゃいかぬから、おれは絶対反対だ。
  67. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先ほど七十戸以上十一万戸という御答弁を申し上げましたが、これは間違いございませんが、千四百万に比べて著しく小さいではないか、こういう御疑問があろうかと思いますけれども、千四百万戸のうちには、先ほど申し上げましたように、LPGのボンペ売りと申しますか、一本売りの供給を受けておる需要家と、それから何戸とは言いませんが、導管供給になって供給を受けておる需要家と、二種類あるわけでございます。それで、この千四百数十万戸のうちで、戸数は問いませんが、とにかく一本売りでなくていわゆる導管供給を受けておる形態の需要家数は全国で二十四万戸でございます。このうちで七十戸以上で切りますと、先ほど申しましたように、約十一万戸。それから七十戸以下の小規模導管供給が十三万戸。したがいまして、七十戸以上でございますと、導管供給形式をとっておるもののうちの約半数の戸数がこれの対象になる、こういうことになるわけでございまして、残りの千四百何万戸のものは、いわゆる一本売りのボンベ供給というのが大多数であるわけでございます。  そして、この一本売りのボンベ供給と申しますのは、保安上の規制は、御承知のように別の法律でやってはございますが、一本売りの供給を受けております需要家は、御承知のように、いわゆる消費者選択の余地というものが非常に高いわけでございますが、一たんある一定の戸数が一定の導管によってつながれますと、かりに相手方の供給条件に不満がございましても、十分に消費者選択の余地が働かなくなるということで、一定規模以上の導管供給業者を公益事業で規制するというのが今回の改正の趣旨でございまして、これを当初の通産省原案は五十戸以上ということでございましたが、最近の小規模導管供給の情勢を見ますと、だんだん単位が、先日も申し上げましたように、大きくなっております点に着目をいたしまして、国会で七十戸以上というふうな御修正がございましたので、今回の提出いたしました法案は、前回御修正のとおり、七十戸以上を対象にするということで御提出をいたしたわけでございます。
  68. 中井徳次郎

    ○中井委員 くどいようだが、私はどうも、その点については君たちの原案のほうがいいと思うのだが、どういうことか。日本は東京と大阪だけじゃないのだ。東京、大阪、名古屋だけではないのだ。それは団地はたくさんできるだろう。団地はたいてい七十戸以上くらいかもしれないけれども、どうも私は、北海道のほうにいったり、九州のほうにいったり、あるいは各県でも、地方にいくと個人のものが千四百万。当然だろうけれども、全国津々浦々まで、ぼくはいまプロパンバスが普及していると思う。しかし、それの安全をはかるためには、小さいいわゆる部落地帯、五十戸くらいの部落、四十戸くらいの部落三十戸くらいの部落でも、導管で配線をするところはますますよろしい。そういう理念でもってむしろ国会議員なんというものは安全をはからねばならぬ。ただ、バランスだとか、そういった手間がかかるとか、大ガス会社が困るとか、そういうような観点ではまさかなかろうと私は思いまするけれども、どうもいまちょっと聞いて、全く逆のことをきめられておるように感じましたので、その辺のところどういういきさつになったのですか、さらに説明願いたい。私にもし原案をつくらせるというならば、むしろ三十戸くらいにすると思うのだ、安全をはかるために少々金がかかっても。その辺どういうふうにして五十戸から七十戸になったのか。それを通産省が御採用になったのか。その辺のところはっきりとひとつ、私は新米で、新入りの男で、一向こういうことは詳しいことは知りませんのですが、お答えをいただきたい、そう思うのです。
  69. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 七十戸に引き上げ理由でございますけれども、簡易ガス事業の下限については、消費者の利益の観点からどの程度が適当であろうかということで、前国会当委員会委員の先生方にたいへん議論をいただきました。  まず第一に、需要家の集団の規模が大きくなるに従って、消費者の自由なエネルギー選択が制約されるというようなこと。それから国民経済の観点からも、二重投資によるむだが無視できないというようなこと。及び、土地収用法等の立法例にも、五十戸以上の戸数の団地の造成事業等に公益性を認めたことから判断して、その数が五十戸以上が適当であると考えたわけであります。しかしながら、先ほど申しましたように、衆議院における審議過程において、七十戸未満についても、特に国が公益事業規制を加えなくとも、既存のLPGの新法の運営により十分消費者の利益を確保するものとの意見が大勢を占めました。ですからそういう意味で、下限を七十戸に引き上げることが適当ではないかという意見がございました。通産省といたしましても、この当委員会での審議過程を十分参酌しまして、七十戸未満ものについては、LPG法の運用行政指導の徹底により消費者利益の保護につとめていきたいということで、前回法改正が行なわれまして、当委員会では七十戸に改正されたわけでございます。
  70. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうも私まだよくわからないのでありますが、別にあえて偏屈を言うておるわけじゃないのだけれども、全国の状況考えてみるときに何か経済性だとか金がよけいかかるとかいうふうなことよりも、やはり私は安全性というものに重点を置きたい。しかもいまお聞きいたしますと、いわゆる公団住宅とかいろいろな住宅も五十戸以上を単位にしておるということになれば、私は政府の原案の五十戸——そうしてその原案が出てきた場合には、われわれの立場としては、安全ということを考えてもっと下げたらどうだという意見が出そうなものだと思っておったのですけれども、一向出ないところが私はよくわからない。ほんとうにわかりません。何かもっと端的な理由があるのでしょうか。何かあるのでしょうか。どうも私にはわからない。なぜ五十戸をわざわざ七十戸にしたかということも私はわからない。案外業者のほうがうるさいからというようなことじゃないですか。その辺のところをはっきりと私は説明をしてもらいたい。業者が義務を課せられますね。同時にそれは、五十でも四十でもやりましょう、あとは野となれ山となれというと義務はない。七十戸以上ということにきめておれば、その辺のところをもうちょっと伺いたい。私は、あえてわれ一人反対してこれで退席するというわけにもいかぬし、社会党のほかの諸君も何か七十戸が賛成らしいから、よくわからぬけれども、どうも納得できないんだ。その辺のところは、何かほかに隠れた理由でもあるのですか、どうです。あなた政務次官かね、ひとつお答えをいただきたい。
  71. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先ほどの御答弁でことばが足りなかった点もあろうかと思いますけれども、七十戸以上にいたしましても、五十戸以上にいたしましても、変わります点は、いわゆる幾つ以上のものについてこのガス事業法による公益事業としての規制をするかという点が七十以上と以下とでは異なるか、こういうことでございまして、ただいま中井先生の御質問にございました保安の点につきましては、これは、七十戸以上のものにつきましても、七十戸以下の小規模導管供給につきましても、保安上の規制は全く同レベルの同一の保安規制をいたすことになっておりますから、いわゆる安全性についての規制は変わりはございません。ただ、七十戸以上になりますと、ガス事業法で保安上の規制と公益事業の規制とあわせて行ないます。七十戸以下になりますと、これはLPGの新法による規制が行なわれるという点が違いますけれども、規制の内容は両方全く同一でございます。ただ、何戸以上のもの、つまり戸数がふえるに従いまして、いわゆる消費者の選択の自由というか、相手方に対する切りかえの自由というのが、次第にそこなわれてまいりますから、一定規模以上のものにつきましては、そういう点にかんがみまして公益事業規制をする必要がある。かつまた、規模が一定規模以上になりますと、必然それに対する投資額もある程度になりますので、いわゆる過重な投資を避けるというような国民経済的な意味もあるわけでございます。これらの点を総合的に勘案いたしまして、特に五十戸が七十戸に修正をいたされましたが、先ほど申されましたように、ここ二、三年ぐらいに新たに供給を開始いたしました小規模導管供給事業について実績を見ますと、一業者あたりの供給戸数というのは、ここ一、二年だんだんと大規模になる傾向がございます。これらの傾向にかんがみまして、五十戸を七十戸にするのは適当であろうと通産省としても考えまして、国会の御修正どおり七十戸を現在の法案に入れておるわけでございます。
  72. 中井徳次郎

    ○中井委員 これでもう質問をやめますが、実はやはりぼくは五十戸のほうがいいと思っておるし、それから、千戸やろうが二千戸やろうが、ガスを使っておると同時にLPガスを使っている家はたくさんある。現にぼくなどそうです。両方使っています。台所のガスとお客さんが来たときのガスと別に使っておる。そういうところもたくさんあるんだから、どうもよくわからぬけれども、まあいいでしょう、皆さんそうおっしゃるのだから。いいでしょうけれども、これはしかしほんとうの筋としては、私は、あなたのほうの原案のほうが、まだかわいらしいと思う。誠実味があるというふうな感じがします。しかし、私だけ変人言ったってしょうがないから。冒頭でしたらやりますけれども、何かきょう採決するというのでありますから、意見だけ申し上げておきます。将来改正する時期がありましたならば、もう思い切って三十くらいにまでぴしっとやって、そういう義務を課してもらいたい。  それから、最後にもう一つだけ聞きたいが、LPガスはいま十キロで幾らぐらいしておるのですか、値段を聞いておきます。だいぶ下がったのかね。
  73. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  ボンベ自身は五キロからだんだん大きなもので五十キロまであるわけですが、一キログラム当たりで六百円から八百円程度の価格で販売されております。——十キロ当たり六百円から八百円程度販売されております。
  74. 中井徳次郎

    ○中井委員 そんな一キロと十キロと間違えるようなことを言うておってはだめだ。局長か何か知らぬが、そんなことではだめだよ。  それで、夏と冬でその上下があって、それをなるべく平均さすのが国民経済の上からいって必要であるといって、前回もぼくはだれかに聞いて、いま夏、冬の区別がないように各石油会社なり何なりが努力いたしております、こう言うから、私は満足してなにしました。いま十キロ六百円なんだね。要するに高過ぎるのだよ。非常にそれは高い。まだまだ下がるべきものであります。このことだけを申し上げて質問を終わります。
  75. 石川次夫

    ○石川委員 家庭用のエネルギーというものは、一日といえどもなくては済まない絶対不可欠のものであることは、言うまでもないのであります。そこで、都市ガスの普及が発展しないためにLPガスは非常に簡便だということで相当普及しつつあるという実情を、われわれはまのあたり見ているわけですが、このLPガスがこれだけ普及したということの反面として、都市ガスが独占の上にあぐらをかいて、普及というものに対して非常に手抜かりがあったのではないか、怠慢であったのではないかという点の批判が一部出ておるわけであります。この点をどうお考えになりますか。
  76. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先ほど申しましたように、LPガスが非常に急速に普及しました理由といたしましては、最近のいわゆる市街地の形成のされ方が昔と相当違ってきたというようなこともあろうかと思います。同時に、ただいま先生御指摘になりましたように、従来の都市ガスの供給区域の与え方というのが、いわゆる昔の行政区画、市町村の単位でかなり広く供給区域を与えている例がございます。ところが、行政区域で広い供給区域を与えられておりますと、実際には、市町村の区域内と申しましても、その中には山地がある、あるいは田畑があるというようなことで、それがぴしっと詰まっておるわけでございませんから、都市ガスの導管供給がその供給区域内になかなか普及しにくいというような実情もありまして、供給区域の与え方と実際の市街地の形成のされ方とにやや食い違いの点があった。その問を縫いまして、先ほど申しました簡便なLPG供給が急速に普及した、こういう実態があったであろうとわれわれは考えております。したがいまして、先日来お答え申し上げましたとおり、われわれはこのガス事業法改正になって施行されますまでの問におきまして、都市ガスに与えております供給区域の見直しと申しますか、再検討というものを、各都市ガス事業者から提出されます供給計画に基づきまして、もう一ぺん行ないたい、そして現在ございます供給区域の見直しをやりたい、かように考えておるわけでございます。
  77. 石川次夫

    ○石川委員 都市ガス事業の実態なんですけれども、これは必ずしも大企業だけがやっておるわけではないようで、大手の、たとえば東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯、この三社だけで全体の供給者の七五%を占めておる。したがって、残りの二十数%というのは実に二百二十三社という多きにのぼっておるような実態のようであります。その中には、はなはだしいところでは、従業員十人未満というのが十四社もある。それから千戸未満のところが十八社。少ないところでは四百三十二戸というような供給戸数のところもあるということで、都市ガスなら都市ガスらしい形態を整えておるとは限らない。したがって、こういうことが都市ガスを普及させることの上に非常な障害になっているという点も、これは見のがすわけにはいかぬと思うのであります。そうなると、都市ガス自体も相当整備をしていかなければならぬ面がたくさんあるのじゃないか。独占の上にあぐらをかいておるとはいいながらも、こういう中小企業では、なかなか設備拡充資金も潤沢にし得ないというような事情があるのではないか、こう考えられるわけですけれども、供給区域を調整する、あるいは都市ガスとしては零細な業者を統合するというような方針をいままでも持ってこられたのかどうか。そしてその実績は一体どういうことになっておるか。この点を一応御説明願いたいと思います。
  78. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 ただいま先生御指摘のように、われわれといたしましては、従来の都市ガス事業者に与えておりました供給区域の実情に合った見直しということをやりたいと思っておりますほかに、各ケースに応じまして、いわゆる合併なり事業の譲渡なりをしてもう少し統合したほうが都市ガスらしい形態になるのじゃないか。そのほうが消費者の利益のためになるのじゃないかと思われますような場合におきましては、今度の改正法におきましても、そういう事業の統合の勧告等が通産大臣からできるようになっておりますので、そういう方向につきましてもこれから十分実情に即して運用してまいりたいと思っております。  なお、現在のガス事業法ができました昭和二十九年以来ただいままで、ガス事業者が合併等をいたしました件数は、合計いたしまして十二件でございます。
  79. 石川次夫

    ○石川委員 家庭用のエネルギーは欠くべからざるものでありますけれども、この中で固体エネルギーと流体エネルギーと二つに分けることができると思うのです。家庭エネルギーの固体エネルギー、流体エネルギーというものは、将来としてはどういうふうに変遷をしていくのかという問題と、それに対応して各戸ごとの供給計画というか、日本全体としての家庭エネルギー——これは総合エネルギーという問題になるのでありますが、当面のここの問題として、家庭エネルギーに対する供給計画、そういう総合的な長期にわたっての計画が立っておるのかどうか、そういう点をひとつ伺いたい。
  80. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 家庭用エネルギーの中におきます固体エネルギーと、それから電気、都市ガス、LPガス、あるいは灯油等のいわゆる流体エネルギーと申しますが、そのウエートは、昭和三十年度におきましては、全体の家庭用エネルギーの中で合わせて二五%程度でございましたが、昭和四十二年度におきましては、それが七八%というふうに非常に大幅に増加をいたしておりまして、昭和四十七年度におきましては八七%と、ほとんど九割近くになるというのが現在の見通しでございます。  それから、この流体エネルギーが、そういうふうに絶対量あるいは比率におきましても非常に大きく伸びてまいるわけでございますが、この中におきます電気、都市ガス、LPガスあるいは灯油等が、それぞれどういうシェアを占めるかという点につきましては、基本的には、いわゆる需要者の選択という立場に立ちまして、それぞれの特性を生かしましてその地位を占めていく、こういうふうにわれわれとしては考えておりまして、その趨勢のおもむくところをよく見きわめました上で、いろいろガス事業法運用その他を適当にしてまいりたい、かように考えております。
  81. 石川次夫

    ○石川委員 大臣が見えられたので、時間がだいぶ制約をされておるので、私のしたい質問もたくさんあったのですけれども、はしょります。はしょりまして、大臣にちょっと伺いたいのでありますけれども、これは松平委員から前に質問をされて、宮澤長官のほうからも答弁がありましたが、電気ガス税七%を、池田総理が在世中に、これは悪税である、したがってこれを五%に下げるということを、委員会において確約をされておった性質のものであります。宮澤長官も、この家庭用エネルギーに対して税金をかけるということは決していいことではない、そう自分は信じておるので何とか下げたいという希望を出されたわけでありますが、もちろん通産大臣としては担当ではありませんから、独断できめるというわけにいかぬのでありましょうけれども、これは前からの懸案です。ほんとうは無税であることが望ましい。LPGのほうは税金が全然かかっておらぬわけであります。ところが、都市ガスに対しては七%の税金が、知らぬでいるうちに無理やりにも強奪されるという形でもって徴収をされるという性格を持っておるのでありますが、これは何度考えてもいい税金ではなしに、他国にもあまり例がないのではないかと思われる税金なので、これはどうしても、前からの約束でもあるので、七%を最低限池田総理大臣が約束をされた五%に下げるということについて、宮澤大臣としては極力努力する、こういうお約束をひとつここでいただきたいと思うのです。
  82. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは、先般も申し上げましたとおり、私も同じような考えを持っております。したがって、別途国務大臣としての立場から、かわり財源についても私なりの考えも添えまして、そうして関係閣僚に、御指摘のような線に沿った行政なり法案提出なりをお願いいたしたい。自分としては極力努力をいたしたいと考えておるものでございます。
  83. 石川次夫

    ○石川委員 それから、さきの質問にちょっと戻るのでありますけれども、都市ガスは、大手三社とその他の零細都市ガス会社とはだいぶ格差が大きいので、何とか零細のほうを調整をして、あるいは統合するという行政指導をやらなければならぬ、こういう希望を私は出しておいたわけでありますけれども、大手三社の利益はかなり膨大なものになっておるわけであります。大体配当が一割二分ということになっておる。電力会社は大体一割ということで規制をされておるという状態で、なぜ、この電力のほうが同じエネルギー源であっても一割で、都市ガスの場合は一割二分かということは、先ほど申し上げたように、都市ガスというのが独占の上にあぐらをかいてなかなか怠慢だというところの間隙を縫ったというわけではないのですけれども、そういう事情もあって、LPガスというのは、非常な危険負担ということを覚悟しながら各家庭は導入をしてきておるということになっておるのではないかということとのうらはらの問題として、私は伺いたいのでありますが、なぜ、ガス会社が一割二分、電力が一割、こういうことになっておるのかという点をまず伺いたいと思うのです。
  84. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 配当の実情は、ただいま先生御指摘のように、電気とガスとで若干異なっておりますけれども、これは都市ガスと電気とを比べてみますと、いろいろ電気事業につきましては、たとえば資金を調達いたしますときの社債の発行につきましてもいわゆる商法上の特例等がございますが、都市ガス等はそういう点がございません。また、たとえば原子力発電その他、電気事業につきましては、かなり従前からいわゆる財政資金による国の援助というようなことがあったわけでございますが、都市ガスにつきましては、さようなことも従前はございませんで、都市ガスはその必要とします資金を、いわゆる一般の民間企業と同じ条件で市中から調達をするというような必要がございましたので、その資金を調達いたすにつきまして、たとえば増資をいたします、その他の関係からみまして、やはりある程度の配当と申しますか、電気事業よりはそういう点は考慮する必要があろうというようなことで、現在のような、電気事業と異なる状況になっておるかと思うわけでございます。
  85. 石川次夫

    ○石川委員 時間がありませんから、この点、もっと突っ込んだ質問をしたいのでありますが……。  ガスのほうは一般市場で資金を調達しなければならぬ、増資をして自分の力で何とか調達をしろというようなこともあるし、電力の場合は、延べ払い資金などを開銀のほうから借りることができるというような恩典もあるということでありますけれども、ガスの場合も、電力とは多少事情は違うかもしれぬが、やはり公益事業であることは変わりはないし、一般家庭にとって必要欠くべからざるものになってきつつあることも変わりはないので、逆に都市ガスの場合においても、電力と同じような特典を与えるということを通じて、何とかこの普及程度というものをもっと助成するということは、この機会に考えられないものかどうかという点について、宮澤大臣から一言伺いたいと思います。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般に公益事業の名のもとに供給独占をしておりますものは、その上にあぐらをかきやすいということは確かでございます。私どもとしては、常にそういうところは注意をし、監視をしながら行政をやっていかなければならないと思っております。
  87. 石川次夫

    ○石川委員 いまの質問の答弁にはならぬが、よろしいです。  保安上の対策としてこの法案を出されたということなんでありますけれども、念のために伺いますが、昭和三十一年からのLPGの事故件数を、ずっと調べてありますが、昭和四十四年の事故件数をちょっと教えてください。
  88. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 昭和四十四年度の数字は、現在まだ年度が終わっておりませんので、一部推定が入っておるかと思いますが、いわゆる製造事業所あるいは輸送途中の事故と、それから消費先における事故とに区分しまして申し上げますと、いわゆる製造工程あるいは輸送途中における事故件数は、都市ガスの場合、昭和四十四年は八十八件、消費先における事故は六十一件でございます。それからLPガスの分につきましては、いわゆる販売所あるいは供給途中の事故は十七件、消費先における事故は百七十件でございます。
  89. 石川次夫

    ○石川委員 そうしますと、LPGは相当普及している、需要が相当ふえているということもありますけれども、昭和三十一年の二十七件、昭和三十二年の二十五件、昭和三十三年の三十一件というようなことからずっと見ていって、この需要はふえてはいますけれども、しかし、それと見合う以上に、何か事故件数が相当ふえているのではないかということが言えると思うのです。  この問題について、国家試験を受けてこの販売の業に携わるいわゆる主任技術者というものが、毎年二百人くらい出ておるわけでありますけれども、一戸一戸配給をするいわゆる取り扱い業者、こういうことは技術者でなくてもやれるということになっておって、保安上については相当きびしさが足りないのではないか。たとえば電気工事士とか、あるいは理髪屋でも、薬剤師でも、全部そういうふうに国家試験を受けた者が業に携わるということになっておりますけれども、現実に取りつけるという人が、ほとんどそういうふうな国家試験の資格を持たずに、販売業者の主任技術者だけがおればいいというかっこうで、保安上には多分に手抜かりがある。それがこの事故件数を相当ふやしているのではないか、こう思われるので、取り扱い業者の資格基準をもっと強化する必要があるのではないかということについて、局長どうお考えになりますか。
  90. 山下英明

    ○山下政府委員 消費者に直接タッチします販売業者に対しましても、高圧ガス取締法の第二種免許を出しておりまして、業務主任という制度になっております。また、その販売業者が消費者に対しては書面を交付しまして、使い方、安全についても十分お話をして販売をする仕組みにいたしております。
  91. 石川次夫

    ○石川委員 時間がないので非常に残念ですけれども、実は、これはほんとうに若い連中が、資格も何も持たない者が紙っぺらを一枚持って行って、こういうふうに注意してくださいと言って、それだけで事足りるというふうなかっこうになっていることが多いのです。これは実は、保安上の問題で死んでいる人がLPGの関係では毎年三十五、六名いる。昭和四十四年は何名になっておりますかわかりませんが、昭和四十二年が三十四名、昭和四十三年が三十八名というふうに、なかなかこの死者の数も減らない。また負傷者の数も毎年ふえておる。四十年が百五名であったものが、四十二年には実にその三倍の三百二十一名。それから四十三年の数字はまだ出ておりませんが、累年このLPGの取り扱いの関係では事故がふえているということについて、取り扱い者に対するもっと厳密な資格試験というふうなものを与える必要がどうしてもあるのではなかろうかということと、それから、売らんかなのPRは相当ははでにテレビなどを通じて行なわれておりますけれども、家庭内の取り扱いについて、テレビなどを利用して安全を訴えるというふうな努力が非常に欠けておるのではないか。売らんかなのことだけでなしに、取り扱いの上でのいろいろな注意というふうなものも、テレビなどを通じて相当積極的にやってもらう必要があるのではないかという点について配慮が欠けておるという点を指摘したいと思うのです。  時間がなくて残念でありますが、最後に伺いたいのは、都市ガスについては、この総合エネルギー調査会のガス部会の答申の冒頭にいろいろなことが書いてありますけれども、最終的には計画的に都市ガスが施設をされることが望ましいということで、簡易ガス事業法が今度できても、究極のところは、保安上の対策あるいは行政上の指導も行き届くという点で、都市ガスを重点に普及をしたいというような指導方針になっておる。そうしますと、LPガスを都市ガスの供給区域内で七十戸以上の場合にやろうとするときには、地方ガス事業調整協議会の意見を聞いた上でということになりますと、やはり都市ガスのほうを優先させたいということで、七十戸以上の業者に対して、新たな申請をしてもなかなか許可をしないということになるのじゃないかという懸念があって、先ほどの中井さんの質問じゃないけれども、相当業者がそういう制限を受けることを喜ばないということが、五十戸を七十戸に上げたということの一つの大きな原因になっておるということはいなめない事実なわけでありますけれども、そういう点で、これは実際問題としてどういうようにされるかということは、これから先の現実の運用の問題ですけれども、いまから予測はできませんが、地方ガス事業調整協議会というのは中立委員五名だけで構成するということになっておる。許可基準というものに当てはめて簡易ガス事業をやろうと思っても、それは都市ガスでやったほうがいいんだということで、なかなか許可にならぬという問題が一つ出てくるのではないかという懸念。  それと一つは、あとから都市ガスがそこへ入ってくるという場合には、今度は業者のほうではなくて、消費者の側でどちらを選択するかという問題になるのだけれども、都市ガスのほうが割り込んできて既設業者の権益が侵されるという場合に、そこの補償の問題、あるいは買収の際にいろいろないざこざが出る場合にどういう行政指導をするのかという点で、今度のこの法律が出るにあたって一番懸念される点じゃないかと思うのですが、そういう点について局長どういうようにお考えになりますか。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先般も申し上げたことでありますけれども、消費者の立場から申しますれば、一番望ましいのは都市ガスであり、次に御審議願っております簡易ガスであり、最後に一本売りであると思うのであります。したがって、理想といたしましては、全国くまなく都市ガス事業がカバーするということが、終局的には望ましいのだと私は思いますけれども、それはとうてい、いま見通し得る将来に起こりそうなことではございません。したがって、簡易ガス事業、これを助長していかなければならないのが現状だと思います。ただ、これを放置いたしますときは、危険その他消費者の不利になりますから、簡易ガス事業として育てていきたい、こう考えております。  そこで、都市ガスと簡易ガスとの利害調節の問題でございますが、私どもは、結局これも消費者本位に考えるべきだと思うのであります。でありますから、都市ガスが何となくばく然と、そのうち自分のところでこの地域は供給いたしますからというようなことでは、私どもはそれを認めるつもりはないのでございまして、都市ガスが一定の期間のうちに具体的に敷設するという計画を示してきません限りは、何となくこれは自分たちの領地でございますという言い分は認めるわけにいかない。そういうときには消費者を中心にして、ともかく早く簡易ガスなりが供給するということが大事だと思いますから、ばく然とした、都市ガスがテリトリーとして何となく席をとっておくという姿勢を認めるつもりは、私ども行政の上でございません。  それから、具体的に都市ガスが供給する計画が実際にあって、それをなるほどと私どもが思いました場合には、従来の業者との利害調節の問題が起こります。これは当然話し合いによって補償等が行なわれなければならないと考えますが、必要があれば、調整協議会もこれに対して介入をする、こういう姿勢で行政をしたいと思います。
  93. 石川次夫

    ○石川委員 いろいろまだ伺いたいことがあるのですけれども、大臣の時間がないようですから、中村さんにあとは譲ります。
  94. 八田貞義

    八田委員長 中村重光君。
  95. 中村重光

    ○中村(重)委員 先般大臣に御質問いたしましたが、時間の関係がありまして、大臣の考え方を伺うことができなかったわけですが、この際私が大臣に注意を喚起しておきたいと思います点は、先般の委員会でも申し上げましたように、今回の改正案は、簡易ガス事業、新たにこの制度を設けるということが柱に実はなっている。ところが肝心の簡易ガス事業に対する計画というものがないということです。私はこれはきわめて不満に思っておるわけです。やはり保安の確保、取引適正化ということをはかってまいりますのには、どうしても導管供給というものを普及していくということでなければならぬと思います。そのことから私どもは、ガス事業法改正を求めるとか、あるいはまた附帯決議等をもちまして、LPガス販売業者に対しましても導管供給を実施するよう強く指導してもらいたいということを要望いたしてまいった。したがいまして、的確な数字が出ないにいたしましても、都市ガス事業の供給計画に五カ年計画というものがここで資料として提出できるならば、簡易ガス事業による導管供給、あるいはLPガス業者の導管供給ということに対しましても、やはり通産省としての計画なり方針はあってもしかるべしと私は思う。そこに初めてこの法律案に対する説得力というものが出てくるのではないかと思います。ですけれども、いままでのお答えの中では、それは明らかになっておりませんから、強力にその点は計画を立てるとともに、その線に沿った指導をひとつやっていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  次に、実は先般資料をいただきまして、保安の状況、都市ガス並びにLPガスの事故の状況ということを初めて知ったわけですが、意外に思いましたのは、都市ガスがLPガスと比較いたしまして、このガスの製造工場、販売所及び供給運搬中の事故としては非常に多いということなんです。私どもはやはり観念的に、事故というものはLPガスよりも都市ガスが実は少ないのだと思ってきたわけです。ところが、いま大臣も見ていらっしゃるような資料という形になって、実はあらわれてまいりました。さらに意外に思いますのは、ガスの消費先におけるところの事故、これに対しまして、事故件数はなるほどLPガスが多いわけですけれども、死者の事故というのは都市ガスが非常に多いということでございます。この点どのような事情によるのかわかりませんが、やはり今日までのこの法の不備、あるいは行政指導というようなことの違いにあったというように考えなければならないのではないかと思うのであります。  液化石油ガスの保安の確保及び取引適正化に関する法律におきましては、販売業者に対して、この消費器具に対するところの検査義務というのを課せられてきた。ところが、このガス事業法の場合におきましては、それが実はないわけです。さらに都道府県におきましては、都市ガス事業に対しましては、政令事項といたしまして、導管の工事に対するところの検査義務というものは都道府県にありますけれども、その他の検査義務というようなもの、それは通産局にあるだけであって、都道府県にないということ。ところが液化ガスの場合には、都道府県に実は検査義務というのがある。それらのこと等から、やはりどうしてもこの都市ガスのほうの保安という面について欠けてきた点があるのではないか。それらのことが、このような意外にも都市ガスの事故が多く発生をしておることになっているのではないかと実は思うわけであります。  それらの点を勘案いたしますと、やはり中央及び地方のガス行政の担当機構並びに人員の整備拡充をやる必要があるのではないかというように、私ども考えるわけです。これらの点に対して大臣はどのようにお考えになられるのか。他の省との関係も実はあるわけでございますから、大臣のひとつ見解を聞かしていただきたいということと、これから事故防止に対しまして、どのような強力な指導を進めていこうとお考えになるのか、まずその二点についてお考えをお示し願いたいと思います。
  96. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いま御指摘の事故の発生状況でございますが、確かに私も表を見まして、中村委員と同じ感じを持ちます。あるいは都市ガスのほうが、先日からもお話のございますように、ほかのいろいろな工事が行なわれておるときに導管にひっかかるとか、いろいろなことから事故が生ずる場合が多く、LPガスにはそういうことがないということにも関係があるかもしれません。もう少し分析をさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、安全確保という点については、中央、地方の行政機構をもう少し整備いたしまして、公益事業であればそういう危険というものはあまりないのだというようなことにまで持っていかなければならないと思いますが、現在のところ、そこまで行政がいっておりません。せいぜい早く中央、地方の行政機構を整備いたしまして、利用者になるべく御心配をかけないような心がまえで行政をいたしたいと思うわけでございます。
  97. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいま申し上げたところですが、今回の改正案を見ましても、消費設備に対するところの、都市ガス業者に対しては周知徹底の義務というものが課せられている。ところが、液化石油ガスの保安の確保及び取引適正化に関する法律は、業者みずからが検査義務を負わされているという違いがあるわけです。同じなんですよ、消費者にとっては。いわゆるガスこんろを使うわけですから。導管をもってずっと供給するわけですよ。全く同じなんです。ところが都市ガス業者に対しては、検査義務のようなきびしいものはない。LP業者にはそれがある。これは私は不公平であると思っております。ですから、政令等の関係もありましょうし、あるいは運用の問題で、いずれにいたしましても、事故をなくする、消費者に安心してガスを使わせる、そういうことでなければならぬと思いますから、その点は大臣の善処方をひとつ要望いたしておきたいと思います。
  98. 八田貞義

    八田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  99. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  101. 八田貞義

    八田委員長 次に、本法律案に対し、中村重光君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。中村重光君。
  102. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいまより、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかるガス事業法の一部を改正する法律案に関する附帯決議案について、その提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたさなければなりませんが、時間の関係等もありますから、案文はお手元にお配りいたしておりますので、省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げまして、趣旨の説明にかえさせていただきます。     —————————————  [参照〕    ガス事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、最近におけるガス事故頻発の実情にかんがに、ガス工作物に対する許認可諸検査並びに改善命令等を厳重に実施し、導管工事等に伴う監督、指導を強化するとともに地下鉄、水道等他工事におけるガス事業者の責任体制を明確にすること。 二、一般ガス事業者の供給区域を早急に再検討するとともに、みなし一般ガス事業の 開始の許可にあたつては、必要最小限に止め、かつ、速かに一般ガス事業本来の供給形態に切替えるよう指導すること。 三、ガス事業に関する許認可及び変更等があつた場合は、消費者の利益保護の見地から一般に周知徹底せしむること。 四、液化石油ガスの取引適正化、保安の確保を図るため、流通機構の整備、メーカー段階における成分分析の表示等について、強力に指導するとともに、中小ガス事業者並びに液化石油ガス販売業者に対して金融、税制上の特別措置(液化石油ガス販売業者に対する近代化促進法の業種指定を含む)を講ずるよう努めること。 五、地方ガス事業調整協議会の構成並びに運用にあたつては、公正を期し、消費者の意見が十分反映するよう配慮すること。 六、中央及び地方のガス行政担当機構及び人員の整備拡充を早急に実現するよう特段の配慮を行うこと。           —————————————
  103. 八田貞義

    八田委員長 直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御配付をいただきました書類によりまして、詳細拝見をいたしました。  この御決議につきましては、その内容を十分尊重いたしまして、御趣旨に沿って善処いたします。     —————————————
  106. 八田貞義

    八田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  107. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  108. 八田貞義

    八田委員長 次に、情報処理振興事業協会等に関する法律案及び特許法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次政府より提案理由説明を聴取いたします。宮澤通商産業大臣。     —————————————
  109. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 情報処理振興事業協会等に関する法律案につきまして、その提案理由及び趣旨を御説明申し上げます。  今日のように高度に多様化し、また急速なテンポで発展している経済社会におきましては、あらゆる活動は、複雑な外部環境の変化を予測し、その変化に機敏に即応していかなければならないことは、申し上げるまでもございません。  このため、企業や行政機関などのあらゆる組織体は、日々に発生する大量の情報を迅速に処理し、その成果に基づき的確な判断を行なっていくことが要請されております。  電子計算機による情報処理は、このような要請から生まれたものでありますが、この発展のためには、ハードウエアすなわち電子計算機の機械そのもののほか、これを利用するための技術、すなわちソフトウエアの進歩が不可欠であります。  従来、政府といたしましては、電子工業振興臨時措置法の運用などによりまして、ハードウェアの技術開発などのための施策を講じ、その技術水準も国際的なものに近づきつつあります。反面、ソフトウエアについては十分な措置が講ぜられていたとは申せず、特にこの分野において進んでいる米国との格差がますます拡大しているのが現状でございます。  また、情報処理サービス業及びソフトウエア業は、情報処理技術の向上などになうものとして、その健全な発展が望まれておりますが、わが国においては、いまだ歴史も浅く発展初期の段階にあるといえます。  このような現状にかんがみ、わが国における情報処理を振興するためには、電子計算機、すなわちハードウエアの技術の振興のみならず、それに即応したソフトウエアの開発及び利用を促進すること、情報処理サービス業等の育成をはかっていくことが特に緊急を要する政策課題となっておりますので、これについて必要な措置を講ずるため、本法案を提案することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨について、御説明申し上げます。  第一は、電子計算機利用高度化計画等についての規定であります。  まず、情報処理の振興をはかるため、性能のすぐれた電子計算機の設置及び先進的かつ広く利用されるプログラムの開発についての目標を設定する電子計算機利用高度化計画を定めることといたしております。そして政府は、この計画の対象となった電子計算機の設置及びプログラムの開発の促進に必要な資金の確保などにつとめることといたしております。  また、プログラムの円滑な流通をはかるため、プログラム調査簿を作成し、これを一般の閲覧に供することといたしております。  さらに、情報処理技術者の技術の向上に資するため、情報処理技術者試験を行なうこととしています。  第二は、情報処理振興事業協会に関する規定であります。  まず、協会の設立につきましては、情報処理について専門的な知識を有する者十五人以上が発起人となって、通商産業大臣に設立の認可申請を行なうこととしております。この認可の申請が行なわれますと、通商産業大臣は、その事業の運営が健全に行なわれ、情報処理の振興に寄与することが確実であると認められるときは、一つを限り、設立を認可することとしております。  協会の資本金は、政府及び民間の出資によって構成されることとなっており、政府は四十五年度予算においては、二億円の出資を予定しております。  協会の業務でございますが、これは、大別して二つございます。第一は、先進的かつ汎用的なプログラムの開発を委託し、その成果を対価を得て第三者に使用させることであります。第二の業務内容は、情報処理サービス業者等が業務の高度化に必要な資金を借り入れる場合及び一般事業者がプログラムの開発に必要な資金を借り入れる場合に、債務保証を行なうことであります。  協会の業務のうち、債務保証業務に関しましては、資本金と、民間からの出損金によって構成される信用基金を設けることとしております。  なお、協会の適正な運営を確保するため、通商産業大臣がその監督を行なうこととしております。  以上、この法律案提出理由及びその概要を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、御賛同をくださいますようお願い申し上げます。  次に、特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近における技術革新を背景として、特許及び実用新案の出願は激増し、しかもその内容は一段と高度化、複雑化しつつあります。この結果、特許庁における増員、機構の拡充、予算の増加など、種々の審査促進対策の実施にもかかわらず、審査は大幅におくれ、特許庁には未処理案件が累積し、特許、実用新案の処理に要する期間は平均約五年に達する状況になっております。  このように事態を打開するため、政府といたしましては、昭和四十一年十一月、工業所有権審議会に対し、工業所有権制度の改正についての諮問を行ない、約二年にわたる審議を経て昭和四十三年十一月答申を得たのであります。この答申に基づいて作成いたしました法律案を昨年の第六十一回通常国会に提出いたしましたが、成立を見るに至りませんでした。  このときの法律案の骨子は次のとおりでございます。  第一は、出願の早期公開制度を採用したことでございます。現在出願された発明、考案は審査の後その内容を公表しているのでありますが、これを、審査の段階のいかんにかかわらず、一定の期間後にすべての出願の内容を公表することといたしました。公開された発明等の出願人に対しては補償金請求権を認め、その保護をはかっております。  第二は、審査請求制度を採用したことであります。出願の中には、独占権は要らないが他人が権利を取得して自己の事業の実施が妨げられることをおそれて出願しているものや、出願後その技術が陳腐化し、もはや独占権を取得する必要性のなくなっているものが含まれております。そのような出願は、同じ内容の他人の出願が権利にならないという保証があれば、必ずしも審査を必要としないのであります。そこで、特許につきましては出願から七年、実用新案につきましては四年の審査請求期間を設け、その間に審査請求があったものだけ審査をすることといたしました。そういたしますと、何割かの出願は審査をする必要がなくなり、その分の審査能力を他の出願の審査に振り向けることによって、審査の質を維持しつつ処理の促進をはかることができるのであります。  第三は、審査前置制度を採用したことであります。この制度は一定の要件に該当する審判請求については、これを審査官に再審査させるというものであります。この制度の採用により拒絶査定不服審判の処理は大幅に促進されることとなります。  このほか、現行法制定以後における社会経済情勢の変化にかんがみ、手数料、登録料等の改正を行ないますとともに、先願の範囲の拡大、出願公告後における仮保護の権利の強化などにつき、現行法の諸規定を整備、改善することとしております。  今回提出いたしました法律案は、骨子においてはただいま御説明いたしました前回の法律案と同じでございますが、前回の御審議の過程を通じて御意見のありました、早期公開制度の採用に伴う出願人の権利の保護の面で、公開された出願についての優先審査制度を採用し、及び補正の内容制限を廃止するという二点について手直しを行なったものであります。  次に、この修正点の内容について御説明申し上げます。  第一は、優先審査制度を採用したことであります。出願が早期公開されますと、一応の権利を取得する出願公告までの間に、その出願に盛られた発明が、第三者によって実施され、その結果問題となる場合も想定されるわけであります。前通常国会に提出いたしました法律案では、この点について補償金請求権を認めるということで出願人の保護をはかっているわけでありますが、さらにこの問題を早期に、かつ根本的に解決するため、そのような問題が生じている出願を他の出願に優先して審査することとしたのであります。  第二は、出願公開後の補正の制限を緩和したことであります。すなわち、前回の案では出願した発明の内容の訂正については、公開後は時期的にも内容的にも制限を付していたのでありますが、出願人の利益を擁護するため、このうちの内容面での制限を廃止したのであります。  なお、本法律案は、昭和四十六年一月一日から施行いたしたい所存でございます。  以上が本法律案の主要点であります。  なお、諸外国におきましても、審査期間の短縮に腐心しており、たとえばオランダ及びドイツにおいては、すでに本法律案と同趣旨の制度を実施して、着々とその効果を発揮しております。何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  110. 八田貞義

    八田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  111. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電気工事業の業務の適正化に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。松浦利尚君。
  112. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、初めて本委員会でこの法案について質問をいたしますから、あるいは中村委員その他の委員質問と重複する点があるかとも存じますが、これは前もってお許しをいただきたいと思います。  まず、提案者の方に御質問をいたすわけでありますが、この目的の第一条、前段と後半に分かれると解釈をするわけでありますが、この主たる目的、これはどこに主たる目的があるのかを、第一条に関してお尋ねをしたいと思います。
  113. 海部俊樹

    海部議員 この目的の主たるものは、国民の電気保安の確保をはかることが第一の主たる目的であります。ですから、御質問の趣旨からいきますと、業務の適正な実施を確保することによって保安の確保に資する、こうなっておりますが、あくまで保安の確保に資するということが主たる目的でございます。
  114. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの御説明によりますと、その保安の目的を達する手段として、前段にある業者の登録、あるいはその登録によってその業務の適正な実施を確保するのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  115. 海部俊樹

    海部議員 おっしゃるように、保安の確保をはかるためにいろいろな規定や制約をもうけておるわけでありまして、この法律によってきめておりますいろいろな問題は、結論として保安の確保のためになっておる、こういう考え方であります。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
  116. 松浦利尚

    松浦(利)委員 事業局長にお尋ねをいたしますが、このいまの提案者の説明によりますと、保安の目的に資するためにこの法案を提案をした、こういうことでありますが、電気工事士法の第八条、それと電気工事士法の目的、これについて説明をいただきたいと思います。
  117. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士法の第一条、これは電気工事士法の目的でございますが、これはここにございますように、電気工事の作業に従事する人間の資格、義務を定めまして、それによりまして電気工事の欠陥による災害の防止、言いかえますれば、電気工事の保安と言ってもいいかもしれませんが、それに寄与することを目的とする、こういう趣旨でございます。  それから電気工事士法の第八条は、これは届け出の規定でございまして、電気工事士はその業務を開始いたしましたときから十日以内に一定の事項を都道府県知事に届け出なければいかぬ、また廃止をいたしましたときにも同じように届け出なければならぬというふうに、届け出の手続を書いた規定でございます。
  118. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま公益事業局長の説明によると、電気工事士法の目的というのは、的確な業務に対する保安を維持するために電気工事士法というものが制定をされた、こういうふうに理解をされるし、また、その届け出の義務を負わせておるということは、それだけ電気工事士の資格に対して責任を負わせておるというふうに理解できるわけでありますが、間違いありませんか。
  119. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 そのとおりでございます。
  120. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、この電気工事士法、これによって電気関係の保安に資することができるんじゃないですか。特別にここで議員立法によるこうした法律を制定しなくても、現在あるこの電気工事士法、あるいは電気事業法、あるいは電気用品取締法、こういった三法によって、電気の保安は、この提案された法律目的は達せられると思いますが、その点どうですか。
  121. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士法は、ただいま申し上げましたように、いわゆる電気工事に従事する人間について一定の資格要件を定め、届け出義務等を課しまして電気工事の保安に資しよう、こういう内容の法律であります。それから、ただいま提案になっております電気工事業法律は、それらの電気工事士をいわば雇用いたしまして電気工事そのものを営む、いわゆる事業者に対する規制を、登録制その他によって課することによりまして、同じく電気工事の保安に資しよう、こういうことでございまして、いずれも目的は電気工事の保安ということかと思いますけれども、その手法といたしまして、片一方は電気工事の作業に従事する者に対して必要な規制を行なう、こちらの法律はそれらの者を雇用いたしますいわゆる業者、電気工事業者に対して規制をするということで、両々相まって電気工事の保安を完全にしよう、こういう関係にあるかと存じております。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公益事業局長の答弁を聞いておりますと、ちょっと矛盾を感ずるのでありますが、電気工事事業に携わる者、実際に工事をする者は、電気工事士法による国家試験を通った資格を持っておらなければできないわけじゃないですか。そうでしょう。その点どうですか。営業所の営業をする者と工事をする者は、もともと電気工事に関しては初めから別じゃありませんか。
  123. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事の作業そのものを行ないます者、つまり電気工事の作業に従事する者は、ただいま先生おっしゃいましたように、工事士法によりまして一定の資格を持った者でなければならないとされておるわけでございます。一方、電気工事というのは、いろいろわれわれ需要者が電気工事を頼みますときに相手になりますのは、いわゆる業者、電気工事業を営む者でございまして、これは、実際的にもそれらの者が電気工事士を使用いたしまして電気工事をやりますので、直接われわれの目の前で相手方になりますのは電気工事業者でございまして、おのずから工事業者と工事士というのとは明らかに範囲が違うのではないかと思っております。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一ぺんお尋ねをしますが、電気工事業者というものも、かりに下請をし、あるいは元請をしても、電気工事士法による国家試験に通った者がおらなければ、工事は受けてもその仕事はできないでしょう。いまの法律でもできないはずですよ。そうじゃないですか、どうですか。もともと受けられないのです。
  125. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事業者が、電気工事をみずからやりましたり、あるいは他から請け負いましても、電気工事の仕事をやりますときにその仕事に実際に使います人間は、ただいま申しましたように電気工事士でなければならないわけでございます。
  126. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのとおりでしょう。そうであれば、電気の工事をする者は、必ず電気工事士法による国家試験を通った者でなければならないということでしょう。それがここの規定にあるとおり、ちゃんと保安に対する責任が課せられておるわけでありますから、いまここで、あなたが先ほど、営業する者を取り締まると、こう言われるけれども、実質的には電気工事士法そのもので取り締まれるじゃないですか、その点どうですか。
  127. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 作業に従事する者は、繰り返し申しますように、電気工事士でなければいかぬわけでございますが、実際にわれわれが電気工事を頼みましてその仕事をする人間は、むしろわれわれ直接に電気工事士に頼みますよりは、電気工事士を使っておる電気工事業者にいろいろ仕事を頼むわけでございますから、その電気工事業者に対して、一定の資格のある者を登録し、一定の業者でなければ電気工事ができないようにするというのが、ただいま御提案になっておりますこの法律の趣旨でございまして、おのずから電気工事士法とは範囲が違うのかと思っております。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、提案者が言ったように、議員立法で出された代表の方が言われたように、保安に資するためではなくて、営業に規制を加えるための法律だと言っておられるじゃないですか。だいぶ違いますよ。
  129. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 この法律目的にございますように、電気工事業法の趣旨は、先ほど提案者から御説明のございましたように、一般用電気工作物の保安に資するという目的でございますが、その目的を達しますために、ただいま申しました電気工事業を営む者、つまり電気工事業者に一定の登録要件その他の規制を行なうことによって一般用電気工作物の保安に資しよう、こういう関係でございまして、先ほどの提案者の御説明と変わっておらない、別のことを申しておるとは思っておりません。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 速記録を見なければ食い違いはわからないんですけれども、私は食い違っておると思うのです。提案者の方は、この「目的」の後段にその目的があると、こう言っておられるんです。ところがあなたは、営業に関して取り締まるのだ、こう言っておられるんですね。おのずから違っちゃおりませんか。ですから、私はおそらく中村委員から質問があったと思うんですが、この法案目的というのは、電気業者の過当競争を防ぐための目的というものが潜在的に存在しておるんじゃないですか。提案者の方、どうでしょう。
  131. 海部俊樹

    海部議員 先ほどお答えしましたように、第一条に二つの意味があるとすれば、どちらが主たる目的かという御質問でありましたので、主たる目的はあくまで国民の電気保安の確保であると、こう御返事いたしましたが、前段にありますのは、その目的を達するためにその業務を適正に行なわせなければならぬわけでありますから、そのための規制なりいろいろの制約なりがここに書かれておるわけであります。そういう意味で私は申し上げておりますから、食い違いはないと思います。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、公益事業局長にお尋ねをいたしますけれども一般用電気工作物の保安の確保に資するための目的だ、こう言っておりますけれども、その内容をずうっとここで拝見をいたしますと、結局、そこで言わんとすることは、第十九条、「電気工事士法による電気工事士免状の交付を受けた後電気工事に関し三年以上の実務の経験」がなければ云々ということがあるわけですね。主任工事士のの資格が与えられない、こういうふうにいっておりますね。電気工事士法による国家試験というのは、一体どういう試験なんですか。国家試験を通った者に対してたいへん失礼な言い方ですけれども、ネコでもしゃくしでもみんな通ってしまって、国家試験の権威がないから、経験が三年なければ実務につけない、こういう解釈が成り立つと思うのですが、それに対して公益事業局長はどう思われますか。
  133. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士になりますのは、国家試験と申しますか、電気工事士という免状を取り得る場合というのが、電気工事士法の第四条の二項に規定をされております。一つはいわゆる電気工事士試験に合格した者。この電気工事士試験は都道府県が行なう試験でございます。そういう電気工事士試験に合格しますれば電気工事士の免状が交付されます。それからもう一つの道は、第二号にございますように、通産大臣が指定をいたします養成施設におきまして、電気工事士たるに必要な知識及び技能に関する課程を終了いたしますと、同じく免状が交付をされます。それから第三の道は、通産省令で定めるところにより、以上二つのものと同等以上の知識及び技能を有しておるというふうに都道府県知事が認定をいたしました者、この三つのいずれかに属します者に対して免状が与えられる、こういうことになっております。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 事業局長、ちょっと質問が不明確だったと思うのですが、電気工事士の免許をもらった者は、これは技術的に未熟だから三年間の経験がなければだめだ、こういうふうにこの法律はなっておるんですね。「その営業所ごとに、」「電気工事士法による電気工事士免状の交付を受けた後電気工事に関し三年以上の実務の経験を有する電気工事士」と、こういうふうになっておりますね、主任電気工事士については。そのことは、国家試験に通っても、まだその人は一人前ではないんだ、こういうふうに理解していいんですか。公益事業局長はそういうふうに思っておられますか。
  135. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 ただいま私のお答えしましたのは、電気工事士の免状をもらう場合を申し上げたわけでございます。この免状を交付されますと、いわゆる一人前の電気工事士ということになるわけでございますが、電気工事士と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、電気工作物の作業に従事する人間でございまして、作業に従事するという点から見てどういう資格があったらばいいかというのが、この電気工事士法に規定されておるところでございます。  一方、この電気工事業法におきましては、電気工事業というのは、そういう電気工事上等を雇用いたしまして、電気工事業を業として営む者であるわけでございますから、ただいまこの法律にございます、そういう業として営むのは、電気工事士の資格があり、かつ三年以上の実務経験がある、こういう要件がこの法律にあるわけでございまして、作業に従事する人間と、それらを雇用いたしましていわゆる電気工事業という営業を営む者との差異と申しますか、それがただいまのようなことになっておるのであろう、こういうふうに考えております。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま、公益事業局長は、あろうという推定を言われたわけですけれども、私もあろうという推定なんです。それはなぜかというと、先ほどお話ししましたように、第八条は、「電気工事士は、電気工事の業務を開始したときは、その開始の日から十日以内に、通商産業省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。」というふうになっておるのです。「業務を開始したとき」ですよ。「業務を開始したとき」ということは、営業なり仕事を始めるということです。それでは、こっちの法律でも同じ「業務」ということばが書いてありますね。同じ法律で「業務」の解釈が違うのですか。
  137. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士法で、業務を開始したときの届け出という規定がございますが、電気工事士としての業務の届け出と申しますのは、いわゆる電気工事士というのがどこかの電気工事業に雇用されまして、つまりそこで電気工事士としての仕事を始める、作業に従事する、これが電気工事士としての業務の開始でございまして、その場合には、一定の期間内に、電気工事業に就職をして電気工事士としての仕事を開始しますという届け出をすることになっておるわけでございます。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公益事業局長、この法律がなかったときに、この第八条の「電気工事の業務を開始したとき」というのは、そういう解釈をしておるのですか。この法律だけがあったときですよ。これがなかったときの解釈は違うのじゃないですか。
  139. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士法が制定されましたときから、業務の開始ということの意味は、ただいま私が申し上げたとおりに解釈いたしております。  なお、ことばが若干足りなかったと思いますが、電気工事士になりましてから、どこかの電気工事業に就職というか、雇用されまして電気工事士としての仕事を始めるケースもございますし、場合によりましては、その電気工事士が独立して、工事士自身が電気工事業を営む場合もあろうかと思います。その場合も業務の開始でございます。
  140. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま公益事業局長が言われたように、電気工事士法では、工事士の資格をとった者が直ちに業務を開始することができるわけでしょう。そうでしょう。それを今度の法律では、三年経過しなければ主任工事士になれないのですね。ましてや自分一人で一本立ちすることは、この法律で規制されるわけですね。その点は、この法律が通ったときの電気工事士というものに対する国家試験の感覚、観念と、この法律がいま提案されてきておるときの観念と、ちょっと違ってきたのじゃないですか。電気工事士法に対する、国家試験に通った工事士に対する事業局長の見方、通産省の見方が、この法律が提案されたことによって、いままでの解釈と変わってきたのじゃないですか。その点どうですか。
  141. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士法の当該条文の解釈は、先ほど申しましたように、当時といまと変わっておりません。ただ、電気工事士法ができましてから以後、まだこの電気工事業法ができておらない現在におきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、電気工事士の資格をとりました人間が他に雇われる場合と、それから自分でみずから独立して営業を始めます場合と、いずれも業務の開始でございまして、自分一人で独立して業を始めます場合には、電気工事業法がございません今日におきましては、それは届け出をすれば業が開始できるわけでございます。
  142. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではさらにお尋ねをいたしますが、いままでの電気工事士法によって支障があったという経験がありますか。あるいは三年の経験がなければ障害があったという経験があったら発表してください。
  143. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事、一般用の電気工作物に関する毎年のいろいろな事故等がございます。これらの事故等の原因はいろいろあるかと思いますけれども、一つには、われわれしろうとが  一般用電気工作物の工事を業者に頼みましたときに、その相手方によりまして、もし非常に粗悪な工事等を行なわれますと、それに起因をいたしましていろいろな電気の事故等が起こるわけでございます。電気の工作物に関します事故等が毎年相当数あるという点につきましては、これの保安を一そう全うするためにいろいろなことが考えられるかと思いますけれども、一つには、電気工事を業としてやります人間、業者につきまして一定の要件、資格を要求し、これに対して一定の規制をすることによって電気工作物の保安が一そうよくなるのではないか、こういう認識があるわけでございます。
  144. 松浦利尚

    松浦(利)委員 一問一答になってたいへん申しわけありませんが、さらに公益事業局長にお尋ねします。  私がお尋ねをしておるのは、三年の実務経験がなければ障害になったいうケースがありますか、ということを聞いておるのです。そういう精神的な問題じゃない。いままで、電気工事士が国家試験を通って、この電気工事士法にいう第八条の業務を開始して、具体的に工事が粗悪であったために障害になったというケースがありますか、こう聞いている。
  145. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 一般用電気工作物が設置されますと、これは当初設置されましたときには、いわゆる電気事業者が電気事業法によりまして調査義務を負っておりますから、通電をいたします前に調査をいたすわけでございますが、毎年の数字を見ますと、その調査をしてふぐあいである、再調査をしなければいかぬという件数が、全体の調査件数の数%、件数にいたしますと相当の数にのぼるわけでございます。また、それが設置をされましてから隔年に一ぺん、これは電気事業者もしくは電気事業者から委託を受けました電気施設保安協会が、いわゆる調査義務を負って調査をいたしますが、この隔年の調査におきましても、いろいろふぐあいのある件数が相当数あるわけでございます。これらはいずれも一般用電気工作物の工事が現在行なわれている状況では、まだ完ぺきでないということの証拠にはなるであろうと思います。これを一そう全ういたしますためには、繰り返し申し上げますように、いろんな方法、手段があろうかと思いますけれども、最初に、電気工作物の工事を行ないます業者のレベルを一定のレベルのものにするということが、電気工作物の保安を全うするのに資する一つの有力な手段ではなかろうかという判断があるわけでございます。
  146. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうもはっきりしないのですが、いま言われたことは抽象的なことですよ。具体的に三年の実務経験がなければ障害になったというケースがあるのか、こういう質問をしている。私が調査した範囲内ではほとんどありませんね。一番大きな原因は、電気工事士の免許を持たないしろうと——極端にいうと、私たちがタコ足配線といいますね。一つのコンセントからたくさんの配線を自分かってにやって、許容量以上の電流が流れたために電線が過熱して漏電をする、火災を起こすというケースはあります。しかし、工事そのものによってそういった事故が起こったという件数は、ほとんどありませんね。その点どうですか。
  147. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 われわれいわゆるしろうとが自分の家庭におきまして、かってに家庭用の電気工作物の配線等をやることはもちろん違法でございますが、先ほど私申し上げました、一般用の電気工作物が設置されました場合に、これはそういうしろうとがかってに工事をやったということではなくて、いわゆる電気工事士と申しますか、電気工事事業者に頼みまして設置されたというものを、通電の前に電力会社が調べたところによりますと、たとえばこれは四十三年度の数字でございますが、九電力関係で全国で四百二十三万件の調査件数がございます。このうち、通知需要者数と申しまして、いろいろ調べたところにどこかふぐあいがあった、もう一ぺん通電の前に直すべきであるというふうに、電気事業者のほうから需要家のほうに通知をいたしました件数が、四百二十三万件のうちで十九万七千件。比率にいたしますと四・七%、約五%でございますから、二十件から二十五件に一件くらいのふぐあいが設置時にあるわけでございます。これは、現在のなされております電気工事が決して完ぺきでないということの証拠にはなるだろうと思っております。
  148. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではお尋ねをいたしますが、いま言われた四百二十三万件のうちの五%については、電力供給者側が電気事業法の手続に従って、電気事業法の第六十七条によって調査をするはずですね。調査をして不十分であったものに対しては、是正勧告をすることになっておりますね。そうでしょう。そうであれば、三年の実務経験を持った者は、一切チェックせずに素通りさせるということですか。やはりいままでどおり電気事業法に従った調査はするのでしょう。その点はどうですか。
  149. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 これはおっしゃるとおりでございまして、この法律が通りましたあとも、一般用電気工作物の設置がなされますと、電力事業者には調査の義務があり、かつその調査の際にふぐあいを発見いたしましたものにつきましては、再調査をして需要家のほうに改善をしてもらうという義務は、電気事業法上でございます。ただ、電気工事業者のレベルが上がりますと、ただいま申しましたように、最初に電気事業者が調べに行きましたときのいわゆるふぐあいの件数というものがはるかに少なくなり、つまり早く需要者のほうが電気工作物、家庭用の電気を利用しやすくなるというメリットは出てまいるかと思っております。
  150. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま事業局長がメリットということばを使われたのですが、現在は昔のようにノッブ配線というのはなくなっておりますね。全部VR電線を使って配線が行なわれておるのです。しかも御承知のようにリミッターもついております。電力を供給する側は、かりにその配線そのものに欠陥があったときには、いままでは電力供給をせずに手直しをさせるわけですし、これからも直させるわけですから、結局ここでいっている保安の確保というのは、チェックする段階で、この法律があろうがなかろうが、現状でできるのじゃないですか。電気事業法の中でチェックすることはできるでしょう。
  151. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気事業者は、設置時に調査をいたしまして、ふぐあいがございますと、再調査の結果、需要家のほうに直してもらうわけでございますが、これは直し終わるまで通電しないということではなくて、ケースによりまして通電をしながら直してもらうというケースもむろんございます。しかし、その内容によりまして、そのまま通電したのではあぶないという場合には、直してもらってから通電をする。言いかえますれば、直しますまでは通電ができない、その家庭は電気が利用できないというケースも多いわけでございます。したがいまして、最初電気事業者が調べましたときの再調査件数という比率が少なくなればなるほど、需要家のほうは安んじて早く電気が使えるというメリットがあろうかということを、先ほど申し上げたわけでございます。
  152. 松浦利尚

    松浦(利)委員 メリットということを言われたが、この議員立法は実際は保安の問題なんです。それで、メーカーのほうは、電気の供給量を調べた上で基本料金を取るわけですから、先ほど言いましたように、いままでのような配線技術ではなくて、それを許容し得るVR電線、しかもリミッターを使わなければならないように電気用品取締法になっておるのですよ。しかも、そういう配線技術についても、ちゃんと実務に通ったという国家試験によって免状を交付するわけでしょう。それが保安上不完全で非常に問題があるということになるのですか。どうなんでしょう。こんな法律は通らなくても、いまの中で取り締まれるでしょう。どうなんですか。
  153. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、電気工作物の保安を全うするためには、いろいろな手段があろうかと思います。一つには、電気工事士にただいま一定の資格によって免状を与えておりますが、電気工事士のレベルをもっと上げていくことによりましても、先ほど申しましたような、いわゆる電気事業者が調べました場合のふぐあい件数というものは減っていくかもしれません。しかし同時に、それらの者を雇用して、いわゆるわれわれの相手方となって電気工事をやります業者のレベルをアップすることによりましても、ただいま申しましたような件数が減る、あるいはそれがゼロに近づくということに大きく寄与するであろう、かように思っております。
  154. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま事業局長がそういうふうに言われるなら、なぜ通産省がこの法律を出さないのですか。あなたが出せばいい。いまの電気事業法、あるいは電気工事士法、あるいは電気用品取締法、この法律で安全が保たれないというなら、なぜ通産省が取り締まる法律を出さないのですか。当然そうじゃないですか。
  155. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 通産省におきましても、ただいま申しましたような一般用電気工作物の保安の確保を強化いたしますために、電気工事士法あるいは電気用品取締法等々と並びまして、それらを業としてやるような電気工事業の規制と申しますか、そういう法律が必要であるという認識に立ちまして、立法化の作業を三十九年以来努力をいたしてきたわけでございますが、電気工事業というのは、一つには建設業法という法律がございまして、建設業法の一種類である。そういうふうに、そちらのほうでも法律がございますために、われわれのほうで電気工事業だけを抜き出しまして規制をしようという法律の立案にあたりましては、いろいろ建設省との間に話し合いが相当難航いたしたという経緯があるわけでございます。したがいまして、政府提案にしようということにつきましては、数年来努力をいたしましたけれども、そういう関係から政府提案に至らなかった、かような経緯でございます。
  156. 松浦利尚

    松浦(利)委員 くどいようですが、さらにもう一ぺんお尋ねをしておきます。  いまの電気事業法で、屋内工作物が欠陥がある場合には、それを調査して修正を命ずるわけです。この適正化に関する法律案が通っても、調査を行なって、悪い分はチェックされるわけでしょう。そうなれば、工作物そのものに欠陥があるのか、あるいは技術基準以下なのかということは、当然いまの電気事業法そのものでチェックできるわけだから、保安の完全である、安全であるということは保たれるわけでしょう。先ほどあなたはそう言っておられるわけだから、何もこの法律をつくらなくてもいいわけだったのでしょう。先ほど言っていることと、いま言われたことと違ってきたのではないですか。
  157. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気事業法によりまして、一般用電気工作物が新たに設置されましたときに調査をいたしまして、ふぐあいの面をチェックするというたてまえにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。ただ私、先ほど来から申し上げておりますように、そういう調査を現状で電気事業者がやりますと、数%のふぐあいのものが当初にあるわけでございます。これらのものは必ず直した上で電気を送るわけでございますから、保安の面で支障がないといえばそれまでかもしれませんが、できますれば、工事の際、電気事業者が調査をいたしましたときに、当初からそういうふぐあいの件数がいまより半減をする、あるいはゼロに近づくということであれば非常にベターであるわけでございます。かつ保安も確保されますし、これを使います家庭にとりましても、それだけのメリット申しますか、利便があるわけでございます。そのようなことを先ほど申し上げたわけでございます。
  158. 松浦利尚

    松浦(利)委員 電気工事士の資格を持った者しか工事できないんですからね、いままでも。そうであれば、その人がやったもので、いま言ったように五%程度の事故があった、ふぐあいがあったわけですね。基準以下があった。それは手直しを命じているわけです。ですから、もっと具体的に言うなら、いまの国家試験そのもののレベルをアップすればいいんじゃないですか。わずかに五%ですからね。五%でも事故は事故でしょう。しかし事故は、いま言ったように、電気事業法によってチェックできるのだから、そうなってくれば、国家試験そのものの内容をもっと強化することによって、むしろレベルアップするんじゃないですか。経験三年というよりも、そのほうがもっと正しいんじゃないですか、考え方としては。その点どうですか。
  159. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先生の仰せのとおり、電気工事士法、つまり電気工事士になる資格の与え方、あるいは一たん電気工事士になりましたあとのいろんな研修でございますとか、あるいは電気工事士のいわゆる資格をたとえばある一定の期間でもう一ぺん更新をする。技術も年々進んでまいりますので、そういう一定の期間を置いて更新をするというふうに、電気工事士のレベルを上げますようないろんな対策につきましては、電気工事士法の運用といたしまして十分われわれも検討いたしておりますし、また、今後も検討いたしまして電気工事士のレベルをもっと上げるということにつきましては、当然努力しなければならない、かように考えております。
  160. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま局長が言われたことであれば、行政指導でそういう努力をなさって、こういう法律を通さなくともいいんじゃないですか。そうじゃないですか。その点はどうですか。
  161. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先ほど来から申し上げておりますように、電気工作物の保安を確保いたします、保安に資する、そういう大目的に対しましては、一つには、電気工事士法の運用をさらに一そう検討いたしまして、この内容を上げるということも非常に大事なことでございます。同時に、それらの電気工事士を雇用いたしまして、電気工事を業としてやっておる人々のレベルをアップするということも、並行してやることが必要である、通産省としてはさように考えております。
  162. 松浦利尚

    松浦(利)委員 提案者の方は、私は良心的に提案しておられると思うのです。しかし、一ぺん条文になりますと、運用するのは政府なんです。往々にして議員立法というのが、その提案された議員の方の意思に反した方向で運営されるから、私はくどくなるくらいに聞くんです。それでまた事業局長にさらにお尋ねするんですけれども、この法律というのは、いままでなら、国家試験による電気工事士の資格をとった者は、第八条によって営業を営むことができたわけです。ところが、今度のこの法律の違いというのは、保安確保に関するということよりも、国家試験を通った者が直ちに営業を開始するということに対して制限を加えるということのほうが、より強い面として出てきておるのじゃないですか。その点、公益事業局長どうですか。
  163. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 この電気工事業法、現在の法律案が施行されますと、いわゆる電気工事士の資格のありました人が他の電気工事業者に雇われる場合は別といたしまして、自分で独立して業をやるというときの資格は、ただいまの法律によりまして、従前よりは厳重になるわけでございます。ただし、現在これは経過措置といたしまして、この電気工事業法が施行されました際、現にそれをやっておる人につきましては、三年間の実務経験というのは、経過措置としてなくともかまわぬというふうになっておりますので、現在電気工事士として独立に一人で営業をやっておられる方のこれからの営業につきましては支障のないようになっておるはずでございますが、この法律案が通りましてから新たに自分一人で独立して電気工事業を始めようという場合には、従前と扱いが異なってまいります。
  164. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに公益事業局長にお尋ねをしますが、現在、経過措置があることは、それはこの法律の附則に出ておりますからよくわかっております。しかし、そういうことよりも問題は、国家試験を通って、この電気工事士法さえあれば自分が一本立ちして事業が営めるものが、三年どこかで働かなければ営業を開始できない、そういうことを私は問題にしておるわけです。だから、国家試験はなるほど通ったけれどもその人は営業を開始する資格はないのだ、それほどいまは国家試験というのはお粗末なんですか、逆に言うと。どうです。
  165. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 先ほど来から申し上げておりますように、電気工事士というのは、電気工事に従事するいわゆる作業者でございますから、作業者の資格として、これこれの試験を行ない、これこれの資格、技能を要求するという問題それでどの程度までで十分であるかということが、電気工事士法の問題であり資格でございます。一方、電気工事業というのは、これらの人間を雇用いたしまして、電気工事業を直接需要家との問に取りきめを行ないまして、業として営む事業でございますので、これらを営みますときの資格要件というのは、おのずから別個であろうと考えておるわけでございます。
  166. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも議論がまたもとに戻ったのですけれども、もう一ぺんお尋ねしておきます。  いままでも、電気事業を営業しようとする者は、その者が直接は工事できずに、電気工事士の資格を持った者しか工事に手を触れることはできなかったわけでしょう。いままでと同じじゃないですか。結局、電気工事士の資格を持った者がおれば工事ができるわけなんですよ。それを、経験三年という主任工事士がおらなければできないというふうに規定づけるのがこの法律なんですよ。いままでもやれたのですよ。免許を持たぬ者でも、従業員の中に電気工事士の資格を持っておる者さえおれば、その電気工事士の資格を持った者が配線をすればよかったのですよ。ところが今度は、三年たった者が主任工事士でおらなければできない、こういっておるのですよ。その点どうですか。
  167. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事業法におきまして、それの第十九条におきまして、電気工事業者は、いわゆる電気工事士免状の交付を受けてから電気工事に関し三年以上の実務の経験を有する者を主任電気工事士として置かなければならないというのがこの法律の眼目でございますが、この主任電気工事士と申しますのは、その条文にございますように、電気工事の作業を管理するという職務を行なう人間でございます。     〔橋口委員長代理退席、前田委員長代理着席〕  それで電気工事士は、繰り返し申し上げますように、これらの主任電気工事士の管理に従いながら、電気工事そのものの作業に従事をする人間でございます。したがいまして、作業そのものに従事する人間の資格と、それらの人間の作業を管理する人の資格というのに差異をつけたわけでございます。
  168. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その差異をつけたということが大問題なんですよ。なぜ差異をつけなければならなかったのですか。これは提案者のほうは私は良心的にやっておられると思うのですが、ただ法律解釈上お尋ねをしておくのですが、それでは、三年間という経験はだれが判定するのですか。同じ会社に三年間おったという保証ありませんよ。ある会社に三カ月、ある会社に何カ月あるいはアルバイト。だれが判定しますか、三カ年という経験を。
  169. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 この三年以上の実務経験の判定につきましては、都道府県知事がいたします。
  170. 松浦利尚

    松浦(利)委員 都道府県知事が認定をしますけれども、その三カ年というものの基準ですね。アルバイトをやったとか、あるいは、あっちこっち再三個人で親方のところに出かせぎに行って、工事があるたびに、その工事主任がたった一人しかおらない電気会社もあるかもしれませんけれども、そこに工事士として行って、きょうはAという人、あるいはBという人、あるいはあしたはCという人、そういうところに毎日毎日変えてやっていく人、こういう人たちも現におるのですね。     〔前田委員長代理退席、委員長着席〕 いままでも一人親方というものはおったわけですから、これからもないということはないのですよ。そういう三年の実務経験というものはどこで判定しますか。
  171. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 三年の実務経験と申しますのは、職場が変わりました場合でも、一つの職場におります場合でも、電気工事の作業に実際に三年間の実務経験があればいいということでありますから、もし作業場等その間変わっておりますれば、作業場ごとに、どこで何年問電気工事の実務をやったという証明等がありますれば、これは、同一の場所におりましょうとも、場所を転々いたしましょうとも、その点は問わないわけでございます。
  172. 松浦利尚

    松浦(利)委員 極端な言い方をすると、毎日毎日変わってもいい、こういうことですね。そのことが技術の向上になる、こういうふうに理解をしていいのですね。
  173. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 毎日毎日というケースがあるかどうか存じませんが、たてまえから申しますれば、三年の間、毎日毎日移動しておりましても、通算いたしまして三年の実務経験に達するということで十分でございます。
  174. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではお尋ねしますが、ここにいう三年というのは、実務経験がなくとも、結果的に電気工事士免許をもらって三年間たてば大体よろしい、こういう解釈が成り立つのじゃないですか、逆に言うと。どうですか。
  175. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 業務の開始の届け出を工事士法によって行ないましてから三年間実務に従事するということが要件でございますから、三年の間その実務に従事してないという、ばく然と三年が過ぎるということではございません。一つの職場なり数個の職場なり多数の職場なりで、通算をいたしまして三年間実務をやっている、こういうことでございます。
  176. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、先ほど言われたように、都道府県知事がそういうのを全部チェックするのですか。
  177. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 都道府県知事がその実務の有無を判定いたします。
  178. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、この法律が通ったら、そのチェックをするのは通産省の何課がされるのですか。都道府県は何課がそれをされるのですか。今度の予算の中に、地方財政需要計画の中に、この法案が通ったための予算措置を地方自治体に対してしていますか。正確に答えてください。
  179. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 都道府県知事の、この法律の施行に当たるセクションはおそらく商工部で、現在電気工事士の試験その他をやっておるセクションがそれをやることになろうかと思っておりますが、現在まだ法律が通っておりませんので、四十五年度におきましては、この仕事をやりますための特定の財政需要と申しますか、そういう計算はいたしておらない実情でございます。ただし、この法律が施行されましたらば、各都道府県ごとにおのずから事務量の判定というのはできますので、可及的すみやかにその体制を都道府県知事に対してとらしめるような措置は講じたい、かように考えております。
  180. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらにお尋ねをしますが、第二十九条の報告の義務ですね。そうすると、電気工事士になった者は、この電気工事士法によって、やはり第九条による報告の義務があるわけですね。さらにこちらのほうでは、電気工事業を営むすべての者について報告の義務が課せられておりますね。電気工事士の報告する内容と、こちらのほうが報告する内容というのは、ほとんど同一のものが出ていくのじゃないですか。同じ会社に長い間おった電気工事士が報告する内容と、その会社で営業をしておる者が報告する内容とは、全く同じものじゃないですか。その二つのものを都道府県知事は受理して審査しなければならぬのですか。その点、どうでしょう。たいへんな仕事ですよ、地方自治体は。
  181. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 この第二十九条は、通産大臣または都道府県知事が、この法律の施行に必要な限度におきまして、電気工事業を営む人間から必要な報告を必要のつど徴することができる、こういう規定でございます。これはあくまで電気工事業者に対しまして、その電気工事業に関しまして法律の施行に必要な報告をさせる、こういうことでございまして、電気工事士法に報告の規定があったかと思いますけれども、その報告の内容とは法律が違いますので、求める範囲が当然違うと思うわけであります。
  182. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも公益事業局長法律の解釈——私もしろうとですが、どうも違っているように思うのですが、第二十九条の報告の義務と第九条の報告義務は同じなんですよ。電気工事士の人でAという業態長期間雇用されておった人が報告する内容と、その人を雇用しておる営業主が報告する内容というものは、全く同じものになるのではないですか、結果的に。そうでしょう。同じものが二つ出るということなんです。そうなるじゃないですか。第九条には、これもこの法律の施行に必要な限度において業務を開始した者から報告を徴する、こうなっておるのです。これも同じ。こちらも同じ。言われたように、必要な限度において報告を求める、こうなっておる。同じ報告が二つ出てくるのですよ。
  183. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工事士法の第九条におきましても、必要な電気工事の業務に関し必要な報告を電気工事士から徴することができる規定がございます。ただし、この業務と申しますのは、先ほど、いわゆる業務の開始の届け出のときで申し上げましたように、電気工事士の業務と申しますのは、電気工事の作業に従事をするということでございますから、そういう仕事を開始したときに届け出をし、あるいはそれに関して役所から必要な場合には報告を徴せられるということでございます。それで、この法律の第二十九条の「業務に関し必要な報告」と申しますのは、電気工事業の「業務に関し」ということでございますから、先ほど来御説明しておりますように、電気工事業という内容と電気工事士というものがやっております作業というのとは次元が違います。したがいまして、ことばは同じ「業務」ということでございますが、こちらの法律にいう「業務」と、電気工事法にいう「業務」とは、法律が違いますので、当然内容が違ってまいるかと思うのでございます。
  184. 松浦利尚

    松浦(利)委員 法制局の方にちょっと質問したいのですが、同じ電気事業を取り締まる電気工事士法あるいは電気事業法、そして今度のこの法律で、同じ法律用語である「業務」ということばの解釈がそれぞれの法律によって違う、こういうことについて法制局はどう思われますか。
  185. 河村次郎

    ○河村法制局参事 それぞれの法律におきまして業務の内容が規定されておるわけでありますから、同じ「業務」ということばを使いましても、それぞれ法律が別であれば、おのずからその内容は異なると思います。
  186. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一ぺん質問いたしますが、この法律がなかったときには、この「業務」ということばの解釈の中には、従業員として工事をする場合、自分自身で営業をする場合を「業務」といっておったのです。先ほどの局長の答弁では、この法律ができたとたんに、この法律の「業務」ということばの解釈は変わるわけですね。そういう点についてどう思われますか。法体系としてそういうことが正しいのですか。
  187. 河村次郎

    ○河村法制局参事 電気工事業の業務の適正化に関する法律が新たにできましたので、従前、電気工事士が作業に従事するということでやっておりました業務につけ加えまして、業として電気工事業をやろうという者を規制する法律がこの新しい提案になっている法律でございますから、したがいまして、その範囲内で、従前の電気工事士が単に作業に従事する場合の業と、それから独立して業としてやる場合の業とは、おのずから異なると思います。
  188. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この電気工事士法でいう「業務」とは、それじゃどういう業務とあなた解釈されますか。
  189. 河村次郎

    ○河村法制局参事 依頼者から依頼を受けまして、一般用電気工作物を設置する業務でございます。
  190. 松浦利尚

    松浦(利)委員 依頼を受けてでしょう。
  191. 河村次郎

    ○河村法制局参事 はい。
  192. 松浦利尚

    松浦(利)委員 営業するということでしょう。
  193. 河村次郎

    ○河村法制局参事 そうでございます。
  194. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いいです。それじゃ公益事業局長にお尋ねをしますが、そういうふうにいま言われたように、業務という解釈についてもいろいろな疑義を生じるんですね。ですから、この法律条文そのものも、ある程度私はもう少し整備してもらわなければならないと思うのです。そういう意味では混乱を起こさないように。  それで、提案者の方にお尋ねをするわけですが、そういう意味で、さらにこの法案について、私もある面では——もちろん全部が全部反対というわけじゃないです。そういうふうに条文上修正する部面があれば、修正をされるという意思がありますか、提案者の方。
  195. 海部俊樹

    海部議員 実は、この法律を提案しましてからすでに五年目でありますけれども、何回も何回も、非公式に野党の皆さん方の御意見も尊重し、委員会の審議等を通じて、内容はすでに数回にわたって改正し、修正を続けてきたものでございますので、私どもとしては、もう問題点はすべてこれで修正し尽くしたものと判断はしておりますけれども、なお野党の皆さん方の全会一致の御要求等もあり、またこれが必ず保安確保のためによりよくなるのだという高度の蓋然性があれば、絶対修正しないというかたくなな気持ちは持っておりません。
  196. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、提案者からたいへん前向きのお話をいただいたので感謝をするわけですが、その発言をさらに前向きにしていただいて、もう一ぺん電気工事に関する取り締まりの法体系というものを整備をして、そうして提案のし直しをする、こういうお考えはありませんか、提案者の方に。
  197. 海部俊樹

    海部議員 いまこれの提案をやり直して再整備しなければならないとは、どうしても考えられませんので、きょうまでいろいろな問題点は確かにありましたけれども、すでに数年にわたって修正をし尽くして、野党の皆さんの御要望も十分織り込んで提案したものでありますので、この際は、そういう再提案とか引っ込めるということではなくて、疑義がございましたら、ここでただしていただいて、できれば御賛成をいただきたい、こういう気持ちでございます。
  198. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、さらに疑問をただしておきたいと思うのですが、公益事業局長にお尋ねをいたします。屋内配線をしまして、そしてリミッターがあって、そうしてメーターがありますね。どこからが一般工作物でその工事施工者の責任で、どこまでが電気を供給する側の責任ですか。
  199. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 お答え申し上げます。  一般用の電気工作物につきましては、電柱からそのうちの家庭内のいわゆる第一引き込み点までの工事が電気事業者としての工事でございまして、そこから先、いろいろうちの横等入りまして、うちに入り、リミッターに入り、メーターに入るという引き込み点以後の工事につきましては、いわゆる一般用電気工作物の工事でございます。
  200. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ公益事業局長にお尋ねをいたしますが、その屋内の施工した工事が基準以下の工事であったものに、供給する者が電線を接続した場合、それによって事故が発生した場合、どこの責任になるんですか。
  201. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 この第一引き込み点以降の一般用電気工作物の工事が行なわれましたときには、先ほど申しましたように、電気事業者として調査の義務がございますから、電気事業者が調査をいたしまして、その一般用電気工作物にふぐあいがないという場合にいわゆる通電をするわけでございます。あるいは、ふぐあいがございましても、通電しながら改善できるという場合には通電をいたすわけでございます。もし、その調査を電気事業者がやりませんで通電をいたしました結果、事故があったという場合には、電気事業者の責任であろうかと存じます。
  202. 松浦利尚

    松浦(利)委員 調査をして通電をして事故が起こった場合、どこの責任ですか。
  203. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 当初に調査をいたしまして、その結果通電をいたしました場合に、もし事故が起こりましたときには、あるいはその引き込み点までのところに原因があるのか、あるいはその屋内に入りましてからの工作物にその後ふぐあいが生じたのかというケース・バイ・ケースの判定になりまして、もし屋内配線以後の部分につきましてその事故の原因があると申します場合には、これは電気事業者の責任にはならないわけでございます。
  204. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それはなぜ問題にならないのですか。それなら、初めから調査せぬで通電をすればいいじゃないですか。なぜ責任にならないのですか。弱い者いじめだけじゃないですか。その点どうですか。
  205. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 最終的には、これはどちらの責任ということは、裁判の問題に相なるのかもわかりませんけれども、電気事業者が当初行ないました調査が、不完全な調査をやりました結果、その事故が起こったのだという場合は、当然電気事業者は責めを免れないわけでございます。しかし、完全に手落ちのない調査をやりました場合におきましても、事故が起こりましたときには、そのケース・バイ・ケースにつきまして、一体どういう原因だったのかということが分かれてくるのではなかろうか、かように存じております。
  206. 松浦利尚

    松浦(利)委員 電気事業法第六十七条ですか、これに調査の義務というのがありますね。調査をして、悪かったら、先ほどから言うように、公益事業局長は工作物について手直しを命ずる。そして修正してから通電をするわけでしょう。ですから、調査をして通電をする時点では悪いところはないわけですよ、調査技術基準からいったら。それで事故が起こったときには、工作物を工作した者が責任者で、通電した者が責任者でないという、そういう弱い者いじめというのは、私は片手落ちだと思いますね。むしろ調査することにもっと責任を持たせて、給電側なら給電側、保安協会なら保安協会にもっと責任を持たして、この第一条の目的を達するための保安の強化ということに資するということが、この条文の中に抜けておるのですよ。その点はどうなんですか、公益事業局長
  207. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気事業法上電気事業者に課せられております調査義務は、むろん電気事業者が厳正に執行する必要がございますから、調査義務を怠る、あるいは調査を非常に不完全にする、そのために当然指摘すべきふぐあい事項があったのを見つけなくて再調査もしないということに基因をいたしまして事故が発生いたしましたという場合には、もとより電気事業者の責任でございます。しかしながら、その調査を完ぺきにやりましても事故というのが起こる場合が、その後の状況なり何かによってあり得るわけでございますから、その場合には、先ほど申しましたように、一点一点、ケース・バイ・ケースの問題になろうか、かように申し上げたわけでございます。
  208. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、提案者の方がいま用に立たれましたけれども、三年の実務経験があろうがなかろうが、三年の経験があっても、そういうケースは出てくるでしょう。調査をして完全だからといって通電をしてみたら事故が起こったというケースは、必ず起こるのですよ。そうじゃないですか、公益事業局長。三年たったから完全に保安が保たれるということなりますか。
  209. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気工作物の工事を注文者から頼まれまして工事をいたします電気工事業者のレベルが上がりますれば、先ほど来申し上げましたように、電気事業者が当初に調査いたしましたときのふぐあいにも一そう減るはずでございますし、そういうふうになるものというふうにわれわれのほうは考えておるわけでございます。しかし、電気事業者の調査、あるいは電気工事業者の工事と申しましても、すべてどの場合でも、こういう資格を要求すれば何もかも完ぺきである、全く事故がなくなるであろうということになるかどうかということは問題かと思いますけれども、電気事業者が真剣に作業を執行し、一定レベル以上の電気工事業者が工事をやるということと相まちますれば、ただいままでの電気の事故は、両々相まっていまよりはずっと減るだろうというふうに考えておるわけでございます。
  210. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、公益事業局長質問をさらに重ねていまの問題で行ないますが、この適正化に関する法律案でもけっこうですし、通電する側の調査責任というものももっと明確にする必要があるんじゃないですか。その点はどうですか。あなたは、両々相まってと、こう言われたんだから。この法律電気工事業の業務の適正化に関する法律案で、工事をする側の責任を明確にした。それじゃ今度は、通電する側の調査責任も明確にする法律を出す考え方がありますか、両々相まってだから。
  211. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気事業法におきまして、電気事業者が調査義務を負っておりますが、どういうことを調査するかというような内容につきましては、電気事業法の省令と申しますか、ここに詳細な規定がございます。もちろんこの規定で足りるかどうかということは、先ほど電気工事士の場合にも申し上げましたように、いろいろ技術が進歩いたしますから、絶えずわれわれとしては検討いたしまして、より完ぺきな調査が行なわれ、あるいは電気工事士そのもののレベルが上がるように努力をしてまいるということは当然のことでございます。
  212. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも公益事業局長の答弁を聞いておりますと、一方にだけその責任を負わせる——この法案がそうなっているから、そういう答弁になるんでしょうけれども。確かに、電気事業法によってちゃんとした調査基準というものが設けられていることも事実です。それから電気用品取締法によって、一定のVR電線ならVR電線の規格というものが指示されて、それを使わなければならぬということも事実です。問題は、そういうことがきめられておっても、調査する能力、それがいいかげんであったり、あるいは適当な保安協会等に頼むという、こういうようなかっこうでやられておるために事故が起こるというケースが起こってくる場合もあるのですよ。両々相まってというなら、調査する技術ですね、調査能力というものももっと向上するように、法律でもっときびしく制限をすべきじゃないですか。その点どうですか。
  213. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気事業者の行ないます調査義務につきまして、法律なりあるいは省令、あるいはそれに基づく実際の電気事業者の仕事、あるいは電気事業者の委託を受けました保安協会の仕事の内容につきましては、絶えず申し上げますように、これでいいということではございませんで、絶えず検討を加えまして、新しい技術の進歩その他に対応できるような強力なものにしていくという努力は、今後といえども十分にやるつもりでございます。
  214. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、その片一方のほうの調査能力を高めるため、技術の向上をするために行政指導するんだから、片一方のほうも、こういう法律をつくらずに行政指導で技術を高めるように、あるいは国家試験の内容を強化するようにしたらどうです。同じ電気を扱う者によって、一番末端の工事をする一番弱い中小企業がこの法律によって規制を受け、調査をする側に対しては何らの規制もない、ただ行政指導でやりましょうということでは、先ほどあなたが答弁をした、両々相まって電気の保安に資するという考え方と片ちんばになっちゃうじゃないですか。弱い者だけをこれで取り締まる。通電する側のやはり調査をきびしくするために、法律なり何なりをつくるということが私は妥当だと思うのですが、どうですか。
  215. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 電気事業者が行ないます調査義務につきましては、決して行政指導ではございませんで、電気事業法に調査義務があるという規定がございますし、この調査義務をどういうぐあいに執行するかということにつきましては、先ほど来申し上げましたように、省令その他に詳細な規定がございます。私が申し上げましたのは、単に電気事業者に法律的義務を課さずに行政指導でやるという意味で申し上げたのではございませんで、法律なり省令なりに電気事業者の行なうべき調査義務が詳細に規定をされておりますけれども、なお技術の進歩その他がございますので、いままでの調査義務の施行のされ方、省令の書き方というものは絶えず検討を加えまして、より完ぺきなものにしてまいりたい、かように申し上げたわけでございます。
  216. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、先ほどから私が言うように、この法によらずに、同じようにちゃんと電気工事士法という取り締まり法がある。それから電気用品取締法という法律がある。これによって行政指導することによって高めていったらどうですか。保安設備の責任が一方的に業者にあって、通電する側にはないじゃないですか。調査する側にその点を指摘しておるのです。どうですか。何べんも同じことを質問しますが……。
  217. 馬場一也

    ○馬場(一)政府委員 一般用電気工作物の電気工事に関係する者といたしましては、まず電気工事の作業に従事する電気工事士という者がございます。それから、その工作物ができ上がりましたときに調査をし、かつその後におきましても調査をするという電気事業者の調査義務もございます。したがいまして、これらの者に対する規制なり仕事のやり方というものは、繰り返し申し上げますように、絶えず見直しをいたしまして、完ぺきなものにしていくということは当然必要でございます。しかしながら、同時に、一般用電気工作物の工事にあたりましては、電気工事士を使用いたしましてこれらを管理しながらわれわれ需要家との間に電気工作物の工事をしてもらう電気工事業者というのがあるわけでございますから、この電気工事業者に対しましても、レベルアップのために一定の規制を行ない、そうして三者相まちまして保安の確保に資してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  218. 松浦利尚

    松浦(利)委員 たいへん長くなりましたから、もう質問をはしょりますけれども、この法律でいくと、一般用電気工作物の保安の確保に資するということよりも、前段の電気工事を営む者の登録、そしてその業務を規制をする、そうすることによって一般用電気工作物の保安が確保できるんだという条項しかないんですよ、どこをさがしてみたって。要するに登録して、そして主任電気工事士を置いてというようなところだけで、そのことが一般用電気工作物の保安に資するんだということになるだけで、責任を重たくしておるだけで、内容的には、ここでいう「保安の確保」という条文は精神条文であって、何も具体的なものはないのです。  しかも、先ほど言ったように、通電する側は、調査をして、正しいからといって接続をして通電した場合に事故が起こったときには、裁判をやらなければわからぬ。通電する側には、何らの保安に対する責任規定というものは、調査をしたあとにはない。この法案では、やはり通電をする者もある程度規制を受けるんだという条文なり何なりがないと、私は電気事業そのものの完全的な保安の確保というものはできないと思うのです。そういう点について提案者の方にお尋ねをするのですが、そういう面についてもっと明確にするために、条文の整理その他をしていただけますか。
  219. 海部俊樹

    海部議員 この前この委員会で、法律全体に含まれておりますと申し上げて、中村先生からおしかりを受けたのでありますが、この法律全体が、とにかく保安の確保をはかるためにいろいろなことを考え、並べておるわけでありまして、沿革を申し上げてたいへん恐縮でありますが、やはり新しい電気事業法ができて、それまでは電力会社が責任を持っておった、家庭の電気の最終責任というものが保安協会に移行した。おっしゃるように、電気工事士法とか電気用品取締法とかいろいろございますけれども、現実に電気工事というものが業として規制を受けて、そうしていろいろな監督を受け制約を受けておるのは、建設業法にいう五十万円以上の工事であって、五十万円以下の工事は、ことばがひど過ぎるかもしれませんが、野放しのような状態になっておるのではなかろうか。これが、五十万円以上の工事をやる裕福な人は、国家の規制、監督で安心できるけれども、それ以下の人がほっておかれるのはいささか正義に反するのではなかろうか、こう感じましたのがそもそもの出発点でありまして、そういう意味から、一時期には建設省にお願いして、二千円なり三千円なり、工事金額のアッパーリミットを下げていただくことができるならば、あるいはこの法律を提案しなくても安心できるのではなかろうかという気持ちがしたこともございますが、そういったこと等も、現実の問題としては不可能だということが、建設省とのお話し合いでわかりましたので、法律にまとめて、しかも国民の保安確保のため法律でありましたけれども、保安確保だけでは弱いので、もっとメリットを具体的に考えろというので、あれこれ教えていただいて、苦情処理の規定等も前国会でこの法案の中に盛り込ませていただいて、国民の保安確保とか、苦情処理の問題とか、いろいろな問題も全部これでできるだけ行なえるようにしていこう、こういう考えでやってきたわけでありますので、この法律案が持っております全体の精神というものも、ひとつおくみ取りいただいて御解釈をいただきたい、こう思うわけであります。
  220. 松浦利尚

    松浦(利)委員 建設省の方にお尋ねをいたします。  私が調べた範囲では、昭和三十一年に業法の改正が行なわれておりますね。そのどきに、いままでは三十万円以下であったものを、今度はわざわざ五十万円以下に、除外例の金額を二十万円上げたのですよ。その理由はどういう理由ですか。
  221. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 建設業法の適用除外をいたします軽微工事といたしまして、建設業法制定当初におきましては、一件工事額三十万円未満の工事のみを請け負うものは建設業法の適用除外とする、こういったことになっておったわけでございます。これが、昭和二十四年から三十一年までの問におきましての建設物価等の上昇にスライドいたしまして、昭和三十一年に三十万円を五十万円ということに改正いたしたわけでございます。
  222. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ですから、建設省にお尋ねいたしますが、五十万円以下の軽微な工事については、保安上その他から見てだいじょうぶだ、その基準が不明確であるから、五十万円という金額によって工事の量というものを規定をした、こういうことですね。
  223. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 建設工事につきましては、ただいま、土木一式工事、建築一式工事、その他専門工事業二十六種類あるわけでございます。これをそれぞれきめこまかに、これは五十万円以下、これは三十万円以下、これは二千円以下というふうにすべきなのがあるいは筋かとも思うのでございますけれども、技術的になかなかそうもまいりませんわけでございまして、それぞれの専門工事業におきましても、やはり今回提出されております電気工事業のように、さらにその五十万円以下のものにつきましても規制しなければならないというふうなものもあろうかと思う次第でございます。
  224. 松浦利尚

    松浦(利)委員 建設省の方に質問をいたしますが、除外にかかわる業種は何業種ありましたか。
  225. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 現在、建設工事の種類といたしましては、土木一式工事、建築一式工事のほかに専門工事業二十四業種、合計二十六業種ございます。
  226. 松浦利尚

    松浦(利)委員 建設省にお尋ねをいたしますが、そのうち電気工事に関してだけこの適正化に関する法律が出されるわけでありますけれども、その点について建設省はどう思われますか。
  227. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 この問題につきましては、過去、通産当局といろいろ折衝のいきさつがあったように承っております。ただ前国会におきまして、与党の建設部会の先生方と商工部会の先生方とが御協議になりまして、電気工事業の保安を確保するためにこういった法律がぜひとも必要である、また、これを立法化するについて現行の建設業法との関連を合理的に調整しなければならない、そういったことで御検討いただきまして、現行の建設業法等の関係で二重登録等にならないように調整いたしまして、われわれの意見を求められましたので、そういうふうに、われわれとの完全な二重登録というふうな正面衝突はしない、また電気工事業適正化あるいは保安を確保するという意味から必要であるというふうなことでございますので、われわれもこの法律案に同意いたしたわけでございます。
  228. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまここに建設六法を持ってきておりませんけれども、その土木一式工事、建設一式工事を除く専門工事二十四業種の中に、通産省管轄の業種がありますね。その業種についてさらにこういう取り締まりに関する法律を出せと言ったら、建設省は応じますか。
  229. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 この電気工事業につきましては、通産省の設置法におきましても、電気工事業の監督に関する事項という一項がございますし、また建設省の設置法におきましては、建設業の発展、助成その他建設業の監督に関する事項というふうな項目があるわけでございます。こういった項目がございますのは、現在のところ、二十六業種のうち一般用電気工作物と申しますか、今回の電気工事業のみでございますので、その他の工事業につきましては、こういった問題は起こる余地がない、また起こらないものとわれわれは確信いたしておるわけでございます。
  230. 松浦利尚

    松浦(利)委員 建設省にお尋ねをしますが、電気に関係をして、熱絶縁工事という問題について、あなたのほうはエリアとしてだいじょうぶだと思っておられるのですか。議員立法が出てきたとき、どうしますか。
  231. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 ただいまのところ、熱絶縁工事につきまして、特に五十万円の限度額を引き下げなければならないという具体的な必要性が起こっているようには、われわれ承っていない次第でございます。これがさらに、いまの五十万円では高過ぎる、もう少し少額の工事についても規制を行なうべきであるということになりますならば、この工事につきましては、現行五十万円という金額引き下げることによって措置するのが筋道だろうとわれわれ考えております。
  232. 松浦利尚

    松浦(利)委員 保安という問題を考えますと、しかもその保安というものを科学的、技術的なものを度外視して経験年数ということだけで考えるならば、いま言った工事そのものについても、経験年数というものが範疇に入ってくるわけですね。保安というものは、あくまでも技術基準でなければならぬと私は思うし、区切りをつける意味で、ある程度国家試験というものが、その保安に対しての全責任を負ったというパスポートにならなければならぬと思うのです。そういう面で、いま建設省のほうでだいじょうぶだというふうに言われましたけれども、業法との関係から見ても、この電気工事業だけがここに独立して出されてくることについては、われわれは非常に疑問に思うのですよ。あなたは政府の説明員だから、明確に方針として答えることができないだろうとは思いますけれども、そういった問題について、あなたどう思われますか。
  233. 檜垣五郎

    ○檜垣説明員 この電気工事業の業務の適正化に関する法律、これは通産省所管の法律でございますので、これにつきまして私、具体的に意見を述べるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、建設業法におきましても、たとえば現場主任技術者となるためには、高等学校の土木学科を出まして五年以上の実務経験のある者、こういったことを主任技術者の要件といたしておるわけでございます。したがいまして、現場主任技術者というような地位につくためには、やはりそういった一定の経験を持つということは、工事を適正に施行する上に大いに有意義であろうと考えておる次第でございます。
  234. 松浦利尚

    松浦(利)委員 たいへん長くなりましたから、私は意見として提案者の方にぜひお願いをしておきたいのですが、この法案の審議について、まだわが党から下平委員が来て質問をする予定になっておりますので、りっぱな法案になるようにぜひ下平委員の発言をひとつ認めていただいて、お願いをいたしたいと思うのです。  いままでいろいろと議論をしてまいりましたが、率直に申し上げまして、一つは国家試験に通った者が直ちに営業を開始できない。いままでは電気工事士法によって、国家試験に通ったら業務を開始することができた。ところが、この法律が通ることによって、いま行なっておる者については救済措置がとられるけれども、これから国家試験に通った者は、極端な言い方をすると、インターンみたいなことをやらなければ業務を開始することができない。そのことは、大きなことを言うつもりはありませんけれども、国家試験という冷厳なものを通ってきておるわけですから、そういう意味では、私はやはり職業の選択の自由という問題に一つの制限を加えておるのではないか、ここに一つの問題点があろうかと存じます。  しかも、それを規制する意味で登録というものが、業法では五十万円未満は除外されておったものを、電気についてだけは登録をさせる。しかも主任工事士というものが三年の実務を必要とする、こういった条項に改めることについて、若干の疑問点が残されておると思うのです。  もう一つの問題は、保安に関しまして、実務経験三年だけで保安が完全なのだという精神的な条項だけでは、保安というものは保たれません。やはり電気という、特にこれは高圧ではなくて低圧だと思うのですけれども、この低圧に関しては、むしろ通電する側の調査機能の強化、それに対する責任の度合いの指導、こういったことをもっと重要視しなければならないのに、この法律ではそういったことが何ら触れられておらない。こういう点からすれば、せっかくここにりっぱな適正化に関する法案をつくられようとしておられる議員の皆さん方も、ぜひわが党の意見もお聞きいただいて、そういう点について修正ができるならば修正に応じていただきたいし、本来ならば、重要な法律であるとすれば、議員立法ではなくて政府自身の手で提案されるべきだと私は考えます。  しかし、そのことはいいにいたしましても、これは、いままで三回も手直しされたり、あるいは流れたりした法案だそうでありますから、本委員会においてさらに慎重な御審議をいただくことを心からお願いいたしまして、提案なさった皆さんにはたいへん失礼になった質問もあったかと存じますが、お許しいただいて、私の発言を終わらせていただきます。      ————◇—————
  235. 八田貞義

    八田委員長 機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。松平忠久君。
  236. 松平忠久

    ○松平委員 先ほど同僚の横山君から本法律案につきまして質問がありましたので、私はなるべくダブらないようにして、若干の疑問点について、まず最初に通産省、それから大蔵省質問をしたいと思います。  この法律は、現行法の第一条にあるように、いわゆる中小企業の振興ということを目的としておる法律であるわけでありますが、お聞きしたい点は、これに書いてあるところの中小企業というものは、中小企業基本法に定義されたところの中小企業であるのかどうか、その点と、それから当局からお出しになっておるところの資料の中に、たとえば四十四年度見込みとして八百五十九件というふうにいわれておるわけですけれども、この八百五十九件という見込みの件数の中に、いわゆる中小企業基本法に基づく中小企業のために行なわれるところの保険の件数は何%ぐらいあるのか。過去の実績はここに出ておりますけれども、過去の実績によりますと、大企業も実は含まれておるという書き方になっておるわけです。そういたしますと、中小企業基本法というあの法律とこの法律関係の中の中小企業というものは、一体同じなのかどうなのか。まず中小企業の定義と申しますか、そういう点について実際に適用されているところから説明をしていただきたい、こう思います。
  237. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 本法におきますところの中小企業とはいかなる範囲か、こういう定義の御質問でございます。  そこで、この法律におきましては、いま御質問がございましたような、中小企業の基本法におきますところのいわゆる中小企業の概念とは少し違っております。大体同じ概念というふうに考えていいと思いますが、厳密に申しますと若干の違いがあるというふうに考えております。それはどういうことかということを申し上げますと、この制度はもともと包括保険制度という制度をとっておるわけでございまして、言ってみますれば包括保険でございまするので、厳密な、いわゆる基本法にいわれる中小企業だけを対象にするというふうにはなっていないわけでございます。  また、包括保険であるということはどういうことかと申しますと、厳密な意味での中小企業以上のものを制度的に排除するといたしますと、いわゆる包括保険の持っております危険の分散、それによる料率の低下、こういった趣旨からいたしましても、若干問題がございますし、また、購入者規模をそういうふうに限定をいたしますと、一々事務的に厳密にチェックしなければならぬというようなところから、事務処理手続上非常な煩瑣が起きてくる、こういったようなことからいたしまして、いま申し上げましたように、大部分のものは購入者中小企業でございますけれども、厳密に、いまお示しのような中小企業基本法にいわれる中小企業であるかということになってきますと、ほぼ同じではございますが、若干の違いはある、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
  238. 松平忠久

    ○松平委員 せっかく中小企業基本法というものをつくって、そしてこの法律自体も中小企業のために行なわれるという法律であるならば、私はやはり中小企業基本法というものを基本的なものとして考えてもらわなければならないんじゃないか。それがいかに包括保険であるといえども、大企業にこれを適用するということは、先ほども定義の問題で出ましたけれども、同じ通産省から出しておる法律としまして、中小企業のためだというのであるから、これはやはり中小企業基本法に基づくところの定義に基づいた中小企業者、その利益のためになる法律というふうにしなければどうも意味が通らぬと思うんだけれども  中小企業庁長官は来ておりますか。ちょっと聞かしていただきたいと思うのですけれども、現在、中小企業金融公庫融資の最高限度はどのくらいになっておりますか。
  239. 吉光久

    吉光政府委員 一般的に申し上げますと、限度額は五千万円でございます。なお、特別に八千万円という制度もございます。
  240. 松平忠久

    ○松平委員 限度額五千万円。特別の場合の八千万円、これはたしか協同組合というか、あるいは団地化というか、そういったものではなかったかというふうに記憶しておるのですが、この点はどうですか。
  241. 吉光久

    吉光政府委員 協同組合の場合もございますし、あるいは特別に、たとえば構造改善事業のように、特に積極的に構造改善を進めるというふうな部類につきましては、八千万円までかさ上げをいたしておるわけでございます。
  242. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、くどいようですけれども、もう一度重工業局長にお尋ねしたいのだけれども中小企業基本法の中の中小企業者以外のものにこの保険を適用しておるというのは一体何%ぐらいあって、それはどういう業種のものに限られておるのか、何かそこに基準のようなものがあるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  243. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 基本法にいわれる中小企業に類するものが利用しておりますのが、全体の比率で申しますと九七%でございます。残りの三%でございますが、これも大部分のところはいわゆる中堅企業と申しますか、そういったような企業でございまして、たとえば金属工作機械という保険対象業種をとってみますると、ただいま申し上げましたような比率に近い比率でございますが、いわゆる三百人以下の中小企業のものが九八%、残りのうちで三百一人から五百人までが一・一%、五百一人から千人までが〇・九%でございます。したがいまして、たとえば代表的な機種でございます金属工作機械をとってみますと、千人未満というところが中小企業からはみ出しておりますが、それが二%、こういったような数字になっております。
  244. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つお尋ねしたいのは、あの定義によりますと、いわゆる中小企業というのだから、小の定義もあるわけであります。この小規模事業がこういう制度の適用も受けられるわけだけれども、実際の数字の上から、いわゆる小規模事業というものは、この制度の適用を受けておるものは何件ぐらいありますか。
  245. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 小規模事業あるいは零細企業でございまするが、全体の数字がまとまっておりませんが、ただいまもちょっと御披露申し上げました代表的な機種であります金属工作機械についてみますると、五十人以下というようないわゆる小規模事業、あるいは零細企業と申しますか、これの利用比率が全体の二七・七%ぐらい、大体二七・八%でございます。百人まで、百人未満というふうな小規模事業ということにいたしますと、全体の八一%ということでございまするので、ただいま中小企業というふうに申し上げましたが、その中でも百人未満というような中小企業者が、金属工作機械につきましては八一%利用しておる、こういうのが実情でございます。
  246. 松平忠久

    ○松平委員 いま私が質問しましたのは、中小企業基本法の中のいわゆる小規模事業、こういうことであったわけであります。あなたの答弁は、中小企業基本法というものを知っておられるのかどうか。五十人未満のものが幾らだとか百人未満が幾らだとか言っておられるけれども、これは中小企業基本法の中のいわゆる小規模事業ではございません。私の言っているのは、あの基本法の中の定義に基づいた小規模事業であって、その小規模事業というものは、一体この保険法の適用を受けているものがあるのかどうか、こういうことを聞いているわけです。
  247. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いわゆる二十人未満という小規模事業でございますが、これは実のところ統計をとっておりませんので、現在のところ判明いたしておりません。先ほど申し上げましたように、五十人、百人という区切りで実は調査をいたしました関係上、手元に資料ございませんが、適当な機会に調査いたしましてお答えをいたしたいと思います。
  248. 松平忠久

    ○松平委員 中小企業庁長官中小企業というものの定義がそういうぐあいにできておるということであります。したがいまして、小規模事業というものをやはり引き上げてやらなくちゃならないということが、私は一番現在としては必要な政策の一つではないか、こういうふうに思っているわけです。ところが、こういう法律を適用していく場合に、中小企業庁は同じ通産省の中の一つの庁でありますけれども、そういうところに対して注文は出さないのかどうか。中小企業というものはこういうものだ、しかし、その中の小規模事業はこうなんだから、これについても考えてくれということを言っておらないのかどうか。いまお聞きすれば、小規模事業については一体どのくらいだかわからない、こういうことを言われているわけです。あなたのほうじゃわかっておりませんかね。どのくらい適用されているか。
  249. 吉光久

    吉光政府委員 二十人以下の小規模企業に対します施策のうちに、いろいろの施策があるわけでございますけれども、先生御承知のとおり、現在二十人以下のみを対象としてやっております制度に、都道府県でやっております機械貸与制度というのがあるわけでございます。この機械貸与制度は、これはもう原則として二十人以下の層が利用できるという制度でございまして、しかも、この機械貸与いたします場合には、貸与機関としてこの賦払い保険のほうに保険いたしておるというのが現実でございまして、もちろん小規模層でございますだけに、やはりこういう賦払い保険との関係で施策を進めていくというのがより適当であるというところから、本制度にリンクをいたしておるわけでございます。
  250. 松平忠久

    ○松平委員 都道府県の機械貸与制度ですね。それとこれとの関係をいま説明なさって、ここにリンクしておるというわけでありますけれども、それではお聞きしたいんだけれども、その件数はどのくらいありますか。中小企業庁長官、これにリンクしておる件数ですね。
  251. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 全国二十三の貸与機関割賦販売いたしました金額でございますが、昭和四十三年度の統計しかまだ手元にございませんが、全体で二十二億二千七百万円余りという金額が出ております。
  252. 松平忠久

    ○松平委員 私の言うのは件数です。
  253. 吉光久

    吉光政府委員 全体につきまして、現在、機械設備貸与機関が貸与いたしております額は、いま申し上げたとおりでございますが、四十三年度二十六億二千二百万の貸与額でございますが、このうちこれに対します貸与企業数千四百四十一でございます。これは四十三年度でございますが、ただ、この千四百四十一企業のすべての貸与機械が、要するに割賦販売保険対象となっておるものと、そうでないものも一部入っておると思いますので、これを含めた数字でございまして、手元に、実はいまの御指摘いただいた、ぴしゃりと一致した数字というものを持っておりませんので、至急調べさせていただきたいと思います。
  254. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ伺いたいのは、この対象機械ですね。施行令によりますと、大体対象機械が二十五に分類されておるというのでありますが、この二十五に分類をされたのは、これは当初の昭和三十六年の政令、それからその後四十二年に改正されておるわけだけれども、当初とその改正後はどういうぐあいになっておるのか。それからまた、こういう機種を選定された基準というものはどういうところに置いてあるのか、これを伺っておきたいと思うのです。
  255. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまお話しの機種の件でございますが、これは三十六年度、この制度が発足をいたしました当初、指定をいたしました機種は、金属工作機械等計四つでございましたが、その後三十七年度に八機種追加をいたしまして、それから三十八年度にさらに四機種追加をいたしております。また、四十一年度になりまして一機種削除いたしましたが、新たに十機種の追加をいたしております。それで合計二十五機種ということに相なっております。
  256. 松平忠久

    ○松平委員 この機種を見ますといろんなバラエティーに富んでおるのですけれども、第一の金属工作機械、これによりますと、いわゆる包括保険として五千万円以下、それから鍛圧機械ということになりますと八千万円以下というような規定になっておるわけなんですが、私はその中で見ておりまして、たとえば五番目のミシンというのがあるのですけれども、このミシンなどを対象の機種にしたというのは、一体いつごろどういう理由なんですか。
  257. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの御指摘のミシンでございますが、これは工業用のミシンでございます。  機種の選定の基準といたしましては、中小企業設備近代化に効果のある機種であるということが第一点。第二点といたしましては、機械工業の振興の見地から重視すべき機械であるということ。第三点といたしましては、割賦販売がかなり広く行なわれておりまして、これに対する保険の効果が大きいものというような選定の基準を置きまして、機種の選定を行なっておるわけでございます。
  258. 松平忠久

    ○松平委員 いま技術革新の時代で、かなり変転が激しいと思うのですけれども、今度のローンの制度を取り入れるということによって、何か機種を広げるとか、あるいは従来の機種をやめて新しく機種をつけ加えるとか、そういう機種に対する将来の考え方というものはどういう考え方を持っておられるか、この点を伺っておきたい。
  259. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 現在の二十五機種と申しますのは、機械の中で、先ほど申し上げましたような観点から選びましたもので、大体は網羅をいたしておるように考えております。ただ、ただいまお示しのように経済事情等も非常に変わってまいっておりまするので、それに応じまして対象機種を拡大していきたいという方針を持っております。たとえば最近割賦販売の増加の傾向にございますトラッククレーンでございますとか、あるいは、必ずしも従来対象としておりましたような生産設備ではございませんが、中小企業の特に事務管理の近代化に資するような小型の電子計算機でありますとか、さらには公害関係の機器、こういったものも、もし割賦販売というようなことが実際上行なわれるというふうになってまいりますれば、当然この法律対象として検討していっていいのではないか、かように考えております。
  260. 松平忠久

    ○松平委員 今回のこのローン保険のことなんですけれども、通産省から出している資料によって、抽象的なことについての説明はございます。ただここで質問申し上げたいのは、現在、設備近代化等に関してローン販売、こういうものを主としてやっておる——いわゆる生産に関係しておる機械なんですけれども、生産関係機械においてローン販売の現状というか、そういうものはどういうふうに把握しておられるか、この点を伺っておきたいと思うのです。
  261. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御存じのように、ローン販売と申しますのは、主として耐久消費財を中心といたしまして発達してまいったものでございますが、ここ数年来、設備機械についてもこれが行なわれるようになってきた。こういうのが現状でございます。私ども調べてみますると、まず都市銀行がこれを行なっておるわけでございますが、都市銀行のローン基本契約を行ないました締結件数で見てみますると、昭和三十九年度には八件程度でありましたのが、毎年二倍以上の勢いで増加をいたしておりまして、昭和四十四年度末、最近あたりの調査ですと約三百七十件くらい、非常に大きな件数になっております。このほか地方銀行あるいは相互、信金等々まで含めますると、全国では約九百件くらいがビジネスローンの契約件数ということではないかと思っております。  そこで、お話しの、この保険対象機種がどのくらいその中に含まれておるかということで調査をいたしましたところが、ほぼ七十五件程度がいわば純粋の設備財、こういったもののビジネスローンであるというふうに考えられております。この七十五件という数字も、傾向から見ますると、全体のビジネスローン基本契約締結が大体二倍くらいのピッチで急増いたしておりますのに対しまして、この設備機械ビジネスローンのほうは、ここ数年でございますが、三倍くらいというような非常に早いスピードでこれが普及しつつある、そういう現状であると承知をいたしております。
  262. 松平忠久

    ○松平委員 さっき横山君が質問をしたときに、私、聞き落としたか、あるいは彼がその点について触れなかったかどうか、ちょっと疑問に思っておるのですけれども、いわゆるローンを追加した場合におけるやり方というか、その中でちょっと不明な点があるのです。バンカー、金融機関メーカー、それからユーザー、それが包括保険をやるという場合に、バンカー、メーカーとの間に契約をする。ところが、ユーザーのほうがA、B、C、Dといたしますと、その中でA、B、これはどうも金はないから包括保険をやってもらわなければならない、割賦販売にしなければならぬ。それからC、Dも割賦販売にしなければならぬけれども、今度の機種に関する限りは割賦販売にしなくてもいいのだ。そういう場合には、C、Dというものはその包括保険から抜けることはできるのか。A、B、C、Dと分かれておる場合に、包括保険というのはどういうふうに適用するのか。その点について通産省が出されておる説明を見てもよくわからない点がある。この点についての説明をいただきたい。
  263. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまのお話でございますが、割賦の場合にいたしましても、あるいは今回のいわゆるビジネスローンということに関係する場合におきましても同様でございますが、メーカーのほうがある機種につきまして包括的に保険契約を結ぶわけであります。したがいまして、A、B、C、Dとユーザーがあるといたしまして、もしC、Dというユーザーが現金買いをするという場合には、これは関係ございません。ただ、A、B、C、Dがいずれも割賦でこれを買うといたしますれば、包括保険契約でございますから、ビジネスローンという制度を利用するにいたしましても、あるいは従前の割賦保険を利用するにいたしましても、いずれも包括保険でありますから、全部ひっかかってくる、こういうふうに考えていただいてよろしいかと思います。
  264. 松平忠久

    ○松平委員 それから次に伺いたい点は、実際の保険の現在の経理状況と申しますか、そういうことを伺っておきたいのだけれども、この説明資料によりますと、五ページに三十六年以降四十四年までの事業収支の累計というのが出ておる。これで三角になっておるのはマイナスだろうと思うけれども、そうすると、三十八年から四十三年にかけて十三億千五百万ですか、十三億円ばかり赤字になっておると思う。この事業収支から見るとそう見えるのですが、これはどういう数字ですか。この三角になっておるのはマイナスだろうと思うのだけれども、それだけ特別会計に穴があいた、こういうことであるのかどうか。その辺はどうですか。
  265. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまお示しの資料でございますが、これは単位百万円でございます。それで、いまお話しのように、三十八年度が一千万円の赤字、以下三十九年度に新たに事業収支が一億四千二百万赤字が出まして、累計の赤字が一億五千二百万、こういうことになっておるわけでございます。収支累計の一番はしのところが三角の一一二でございますから、一億一千二百万の累積赤字、こういう形になるわけでございます。  この赤字は、しからばどうなっておるかと申しますと、そのときの資本金からこの赤字の分が差し引かれると申しますか、それだけ資本金が減っておるという状況になっております。四十四年度におきましては、見込みでございますけれども、大体一億一千八百万円程度の黒字が出ると見込まれておりますので、累計いたしますと六百万円程度の黒字になる、ほぼとんとんから若干の黒、こういった感じになる、そういう数字でございます。
  266. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、これに要する経費は、特別会計でありますから、保険料でまかなっておられるのではないかと思うけれども、その中でお伺いしたいのは、いままではずっとこういう赤字が続いてきた。四十四年度黒字になるという見込みでこういう数字を出されておるわけでありけれども、大体この保険に従事しておる職員というものは何名ぐらいあるのか。それからその職員の給料は、国家公務員として国の予算の中に入っておるのかどうか。あるいは特別会計としてこの会計の中で収支のやりくりをしておるというのであるかどうか。そういう点は一体どうなっておるのか。
  267. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この保険を実施しております経費の関係の御質問でございますが、ただいまこの保険は、御承知のように特別会計をもって処理をいたしております。したがいまして、この特別会計にございますいわば資本金の余裕金を資金運用部に預けまして、その資金運用部に預けました利子収入でもって、いわば特別会計に関与しております三十名の職員の給与その他事務経費をまかなっておる、こういうことでございます。実際問題といたしましては、三十人の人間がいま従事をいたしておりますが、その給与はもちろん国家公務員でございまするので、国家公務員の給与と同じベースの給与を支給いたしておる、こういうことでございます。
  268. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、今度ローンまで拡充すると、職員の増強をしなければならぬだろう、こういうことになるだろうと思う。先ほど、このローンの制度を新たに設置するという場合における見込みのようなもので、ちょっとその数字に触れられましたけれども、その職員の給与その他をまかなっていくのに十分であるのかどうかということ。  それから、もう一つは、一体この窓口は、私の聞いているところによると、通産局でやっておられるところと、それから全然通産局には権限がなくて、本省で直接やっておられるというところがあるそうだけれども、この権限の分け方あるいは窓口というか、それはどうしてそういうぐあいになっているのか、つまり東京では、東京通産局ではなくて本省でやっておられるということを聞いておるし、四国にも中国にも通産局はあるのだけれども、その通産局ではこの事務は取り扱わせておらない、こういうことを聞いておるわけです。その辺の区別をされておるところはどういうことであるのか、その点がちょっとふしぎに思うので、これは理由を聞かせてもらいたい。
  269. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 今回のローン保険を実施するにあたりまして、職員の増加が必要であるかどうかということでございますが、私ども実は昨年電算機の導入をはかりまして、一そうの事務の合理化あるいはスピード化をはかるようにいたしております。そういったことから、このビジネスローンに対する保険ローン保険が実施をされるといたしましても、職員の増加は行なわなくとも従来以上の能率的な事務処理ができるのではないか、こう考えておるわけであります。  それから次に、ただいま申し上げました三十名の人員の配置でございますが、これは本省が二十四名、大阪通産局が三名、名古屋の通産局が三名、こういう区分に相なっております。保険契約者は大体全国に分布いたしておるわけでございますが、実際問題といたしましては、東京、大阪、名古屋といったようなところが中心でございまして、その他のところは件数が非常に少のうございます。そういった関係から、実際この保険の事務を扱っておるところは、東京では本省でございますので本省、これは全体もまた統括をいたしております。それから大阪と名古屋ということで、他の通産局では実はまだ保険事務そのものは取り扱っておりません。ただ、保険契約者の便宜を考えまして、大阪、名古屋以外では、札幌、仙台、福岡各通産局では、保険契約の受付事務はいたしております。中国と四国につきましては、現地の実情等からまだそれほど要望が出ておりませんのでやっておりませんが、今後実情に応じまして、そういう必要が出てまいりますれば、いま申し上げましたような札幌、仙台、福岡でやっておりますような受付事務も開始していきたい、こういうふうに考えております。
  270. 松平忠久

    ○松平委員 全国的に適用されるべき法律であるわけだけれども、中国とか四国、これは件数が少ないと言っておられるけれども中小企業者が少ないというのか、あるいはこういう法律があるということをPRすることがうまくやってないというのか。どうして中国や四国は受付業務をやってないのか。中国、四国の中小企業者は、こういうことをしたいという場合にメーカー側と話をしなければならぬが、それはどこへ来て話をするのか。それはどこが窓口になっているのか。
  271. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 中国、四国のお話でございますが、保険契約者は、御承知のように本法では機械メーカーでございます。したがいまして、いま指定業種二十五機種の機械メーカーというものがどこに中心を置いておるか、こういうことでございまして、そういったことからいたしますと、二十五機種の生産メーカーの本店等は、主として大阪、名古屋、東京と、この近辺に集中をいたしているわけでございます。もちろん中国、四国にもないというわけではございませんが、比較的そういったメーカーが少のうございます。  では、中国、四国のそういったメーカーが包括保険契約をするとすればどこでやるのかということでございますが、これはたいへん御足労でございますが、本省へ来ていただきまして東京で保険契約を結んでおります。
  272. 松平忠久

    ○松平委員 それはちょっとおかしいと思うのですがね。どうして近いところで、大阪なら大阪でそれを受け付けてやるというふうにしないのか。中国、四国の機械メーカーもやはりおると私は思うのです。それがどうしても東京まで来なくちゃいかぬ。いまお聞きすれば、大阪でちゃんと職員がおるにもかかわらず、中国、四国だけはどうしてそういう冷遇をしておるのか、そこのところの理由をちょっとはっきりさせてもらいたいと思う。
  273. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これはどうも御指摘を受けてたいへん恐縮でございますが、設置法あるいは組織規定の関係、職員の数、こういったものからいま申し上げたようなことになっておるのかと思います。ただ、先ほども御答弁申し上げましたように、経済の情勢もだんだんと変わってきておりますので、できるだけ近い機会に、中国あるいは四国の通産局に、少なくとも札幌、仙台等と同じような受付窓口が設置されるように考えてまいりたいと思います。
  274. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ通産省に伺っておきたいのは、現行法の第三条の第三項ですか、この中にこういうものについては保険契約はしないのだ、こういうことがあるが、その中の「一 製造業者等が当該割賦販売契約を履行する能力を有すると認められない場合」、こういうのがあるのだけれども、これはどういう基準であなた方はそういう判断をするのか。これはおそらく保険契約をするのは大企業だろうと思うんだけれども、大企業の中にそういう契約をするに値しないような能力しか持っていないというのが  そういう基準はどこかにあるのですか。どういう規定なんです、これは。
  275. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御指摘の第三条第三項の第一号の規定でございますが、これは私どもといたしましては、たとえば保険金詐欺的な悪質業者、こういったものを実は排除したい、こう考えておるわけでございまして、実際問題としては、現実にはこれを発動いたしまして契約を拒否したというような事例は出ておりません。今後こういったようなものが出るか出ないか、あるいは出た場合にどういったような基準でもってこれを考えていけばいいかという点につきましては、目下検討をいたしておりますが、何ぶんまだ前例がなくて、この一号該当ということで保険契約を拒否するという事例はございませんので、私どもも、こういったような事態が出そうになってまいりますれば、その点は慎重に検討いたしまして、何らかの基準を設ける必要があろうかと思っております。
  276. 松平忠久

    ○松平委員 この法律は、ことに今度のローンについてもそうですけれども中小企業設備近代化のためというこの通産省のほうから出している説明書によりますと、発展途上国の製品の進出等によって設備近代化が焦眉の問題となっている中小企業にとって、現在最大の隘路というものは実は設備資金の不足であるのだ、この設備資金の不足を補うためにこういう制度も必要なんだ、こういう理由をつけておるわけなんです。  そこで、これは私は大蔵省に聞きたいのだけれども、私どもかねてから主張しておる点の一つといたしましては、中小企業は確かに設備近代化が必要である、設備近代化を必要とするけれども設備資金が不足をしておる。一方において政府自体は、中小企業は自己資金というものをもっと増強しなければならないということを盛んに言っているわけなんです。そこで、こういう制度と並行しながら、むしろこういう制度ができる前に、いわゆる施行令に書いてあるような二十五品目というか、二十五の機種のこういったものの設備近代化をはかるという場合においては、何らか積み立て金制度というようなものを設けて、そしてそれをを非課税にしておいて積み立て金にする、そういうことで設備近代化をはかっていくという制度を考えられないものかどうか、そういうことを考えられたことがあるのかどうか、これを大蔵省に伺っておきたいと思います。
  277. 安井誠

    ○安井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御意見は、中小企業設備近代化のために、機械設備を購入するための資金をあらかじめたくわえさせておいて、企業の自己資金を豊かにしようという御趣旨だと存じます。私どもかつて、そういう中小企業設備近代化のために積み立て金を認めてはどうかという議論もしたことはございます。  税制上これを取り上げますときに、一番難点になりますのが、機械を購入するという目的のために積み立てをするわけでございますけれども、たとえば三年なり五年なりたちまして、実はその機械設備を、いろいろその企業の事情等がございまして、買わないという場合があり得るわけでございます。そうなりますと、このときに、ただ単に積み立て金を取りくずせばいいということになりますと、その何年かの問が無利子金融というようなことになりまして、税制上非常に不公平という問題が起きてくるわけでございます。したがいまして、検討いたしました末に、税制上とり得る措置といたしましては、いわゆる機械を現実に購入なさるときに、たとえば中小企業の場合でございますと、中小企業合理化機械の特別償却、つまり初年度特別償却という形で、大企業の場合には初年度四分の一の特別償却でございますけれども中小企業の場合には、ときにはこれを三分の一の特別償却にいたしまして、その機械を現に買うときにその企業金融をゆるめるという制度のほうが望ましかろうというふうに考えたわけでございます。つまり、初年度三分の一の特別償却を認めますと、かりに一千万円の機械を買いましたときに、その三分の一の特別償却と申しますのは、三百三十万円が償却に認められるわけでございますから、三百三十万円に税率をかけますと、税額にいたしましても、大体一千万円の機械に対しまして約一割くらいの税額、一千万円の機械を買いますと、大体百万円くらいの税額が安くなるわけでございまして、その分だけ非常に買いやすくなるという制度を設けたわけでございます。  さらに、中小企業近代化促進法と関連いたしまして、特定業種なりあるいは指定業種につきましては一律の割り増し償却を認めて、現に購入しておられる機械につきまして、普通の償却のほかに、三分の一の割り増しであるとか二分の一割り増しであるとかいう制度を講じまして、いま先生の御指摘のような、中小企業設備近代化に税制上援助するという方向が望ましかろうということで、そちらの制度をとっている次第でございます。
  278. 松平忠久

    ○松平委員 それも一つのやり方で、初め考えられたことを——そういうふうに、現在も、割り増し償却とか、あるいは特別償却という方向でこの問題をしたほうがいいという考え方で、初めの考えはとれなかった、こういう答弁であったわけでありますが、資金が不足なんで機械が買えない、こういうことなんですね。ですから、当初資金関係のことを考えてやる税法のほうが、中小企業者のためには必要になるんじゃないか。何か外国、私の聞いた話ではたしかフランスだと思いましたけれども、フランスには、中小企業のためのいわゆる近代化資金というか、積み立て金制度があって、そしてたしか三年だと思ったけれども、それを買わなかった場合にはあらためてさかのぼってその税金を取る、こういう制度をとっておるということを聞いておるわけです。したがって私は、めんどうくさいかもしれぬけれども、三年ぐらいを限って、そして設備近代化のための特別の積み立て金制度というものをつくって損金に落としていく、そして買わなかった場合には税金を取る、こうこういうふうにしたほうが中小企業者としてはやりいいんじゃないか、こういうふうに思うけれども、そういう考え方は現在大蔵省は持っておりませんか。
  279. 安井誠

    ○安井説明員 先生の御指摘のように、あらかじめ積み立て金制度を設けて中小企業金融をゆるやかにするという御議論、もっともだと思います。もっともだと思いますが、そういう形になりますと、いま御指摘のように、あとで買わなかった場合に取り返す。取り返す場合に、ただ単に取り返したのでは、他の企業も全部、たとえば設備を買いますということを言いまして、三年たってから実はやめましたということになるわけでございまして、もしその制度を設けるといたしますと、買わなかった企業に対しては何らかのペナルティーを課すとかいうことをしませんと、非常に公平論の問題で問題が出てくるだろう。その辺のことも実はございまして、私も、先生御指摘の、外国でもそういう制度をとっている国があるかということを調べてみたのでございますが、ちょっと私の手元では、フランスでも、近代化設備計画というようなことでやっております制度につきましては、増資配当の免税制度というのは何か考えているようでございますけれども設備を購入するからということに基づいてあらかじめ留保を厚くさせぬという政策は、どうもとっていないようでございます。  むしろ私ども、そういう内部留保を厚くする方法は、設備を買うからということではなしに、たとえば一般的に中小企業について法人税率を下げる。たとえば今回の法人税率の引き上げにつきましても、中小企業部分につきまして、つまり資本金一億円以下の法人の三百万円以下の所得につきましては法人税率の引き上げを行なわないとか、あるいは同族会社の事業所得課税の控除限度額を引き上げるとか、そういったことでやはり留保を厚くさせる。一般的にやっていったほうが、むしろ税制としては望ましいのではあるまいか、こんな考え方を持っているわけでございます。
  280. 松平忠久

    ○松平委員 その点は、いま大蔵省考え方はわかりましたが、いま説明の中にありましたフランスの制度ですけれども、私どもは、中小企業の業者と実際接触して話をしておる。その中で一番彼らが望んでおることは、——政府の言っていることは、自己資金が足りないんだ、もっと自己資金をふやせ、こういうことを言っておる。そこで、自己資金をふやすというためにはやはり増資をしなければならぬけれども、その場合に、その配当の中で半分くらい増資に充てるんだ、こういうふうにした場合において、いまあなたがおっしゃったフランスの制度のようなぐあいに、いわゆる配当分については損金に落としていく、こういうことにしてもらいたいというのが多くの中小企業の実際の業者の声になっていると思うのです。  それで私は、これは無制限にやることではなくて、その経済情勢等に応じなければならぬけれども、中堅企業に育てるんだという場合においては、二千万円なり三千万円の限度の資本金になるまでは、配当に充てるというものについては、かりにその配当の中の半分を増資に充てるというような場合に、半額だけは損金に落としてやる、こういう方法をとって、そしてそれが中小企業近代化、つまり機械の購入資金に充てられるなり、そういう方向をとることができるのではないか。言いかえるならば、自己資金をそういった形における配当による増資、しかもその配当の半額分だけ増資にするというような場合の一つの優遇措置というものは考えられないものかどうか。これは、さっきあなたが説明の中で触れられた外国の例がありますけれども、現在どういうことを考えておられるか、その点、ちょっとお聞きしたいと思う。
  281. 安井誠

    ○安井説明員 先生の御指摘は、配当部分に対します税を軽くすることによりまして増資のインセンティブにしたらどうかというお話かと存じます。  御承知のように、かつて昭和二十九年から三十一年まで——多少端数はございますが、大体二十九年から三十一年ころまでの約三年間に、増資配当免税という措置を私ども講じたことがございます。そのときの結果をあとから見てみますと、その増資配当免税をしたから増資がふえたかといいますと、実はあまりふえておりませんで、一番最後の年には、数字で言いますと大体三千億ばかりの配当払い込みが行なわれておりますけれども、翌年以降またその増資分ががたっと落ちてしまいまして、その増資配当免税をしている期間に将来増資すべき部分を繰り上げてしまったというような形になっているようでございます。  この増資配当免税をいたしますと、これは税法上の技術的なことを申し上げて非常に恐縮なんでありますけれども、増資配当免税をしたものにつきまして、受け取る株主側の税金のほうを考えてみますと、配当部分について免税をしておきながら、受け取る場合にまた配当控除をするということになりまして、それを避けるためには、増資部分と増資部分以外のものとを分けまして税額調整しなければいけないという、非常に技術的な問題も出てまいったわけであります。この二十九年から三十一年にかけましては、それに踏み切って、増資部分については一定率、年配当率一〇%以下ということで制限はいたしましたことはしたわけでございますが、受け取り側では、法人側で税金を納めていなくても配当控除をするというような形でしたわけでございますが、いま申し上げたようなことで、実効があがらないということでやめたわけでございます。  それからもう一つ、わが国のいま、実験といってはおかしいのでありますけれども、やっておりますのが、配当に対しましては配当軽課というやり方をとっております。これは大企業でございますと——大企業と申しますか、三百万円超の所得になりますと、留保分が三五%、配当分は二六%という比率になっておりますし、三百万円以下のものにつきましては、留保分が二八%、配当分は二二%という税率になっているわけでございます。この配当軽課制度を採用いたしましたときにも、実は自己資本充実と申しますか、株式の払い込み資本の増加ということを期待いたしましてやったわけでございますけれども、どうもこれも、必ずしも期待しただけの効果はあげていないというような状況でございまして、これは多少先生の御指摘中小企業と必ずしも言えないわけでございますが、証券業協会のほうのアンケートを見てみますと、配当軽課があるから増資がしやすかったかという質問をいたしましたのに対しまして、これは昨年の六月から七月にかけてのアンケートでございましたけれども、配当軽課と関係なしに増資をしたというお答えが九割からまいったわけでございまして、どうも税制というものはあまりにも無力ではないかという感じを実は持っているわけでございまして、御指摘のような、自己資本を充実させる方法というのは、やはり利益をあげてその利益を内部に留保していくという形がどうも一番いい方法ではないだろうかというような感触を持っているわけでございます。
  282. 松平忠久

    ○松平委員 それから、ついでに耐用年数のことについて伺っておかなければいかぬと思うのですけれども、二十五機種の中のこれの耐用年数というものは、どういうふうなぐあいになっているのか。つまり減価償却資産の耐用年数、昭和二十六年制定後いろいろ変化があると思うのですけれども、ことに賦払信用保険法の適用を受けておる機種についての耐用年数というものは、特別の考慮がされておるのかどうか、その辺について伺っておきたいと思う。
  283. 安井誠

    ○安井説明員 この機械類賦払信用保険法対象機械につきましての耐用年数がどのようになっているかというお尋ねでございますが、耐用年数の短縮を実はいたしておりますのが、昭和三十六年度に大体二割の短縮をいたしております。それから、そのあと三十九年度に平均して一五%の短縮をいたし、昨年度も、あるいは本年度の税制改正におきましても、項目数は少のうございますけれども、できる限り耐用年数の短縮をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  この賦払い信用保険対象になりますような機械は、やはり重要な機械でございますので、耐用年数の短縮をいたしますときには、通産省のほうとも十分御相談いたした上でやっておりますので、この対象となっております機械につきましても、これらの改正を通じまして耐用年数の短縮が行なわれている、かように考えているわけでございます。
  284. 松平忠久

    ○松平委員 いまの説明の中に若干あったようなんですけれども、今度新しいローンの信用保険を追加するということで法律改正をするということでありますので、その件について、法人税の引き上げということにもかんがみて、本年度特に耐用年数というものを考えていただかねばならないことではないかというふうに思っていますけれども、何か昨年に比べて特別に本年度は少し耐用年数について考慮するというようなことを考えておられるかどうか、その点をもしはっきりしているならば数学をあげてやっていただきたいと思います。
  285. 安井誠

    ○安井説明員 本年度の税制改正におきましても、企業体質の改善という目的のために、耐用年数の全面的な短縮とはとうてい申せませんけれども、見直しをいたすことにいたしております。財源的にも大体平年度で四十四億ぐらいの範囲内でいたしたいと考えておりまして、通産省のほうからも、必要と認められる機種、機械設備等につきまして御協議をいただきまして、四十五年度の税制改正の一環として耐用年数の短縮をしてまいりたい、かように考えております。
  286. 松平忠久

    ○松平委員 これで私は大体質問を終わります。時間がございませんから、ほかの会合に出るので、これをもって私の質問を終わりたいと思います。
  287. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十二分散会