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田邊委員 私は、この
帰国事業の、
ジュネーブで
協定が結ばれて以来の推移を実は静かに振り返って見ておるのですが、そういう十数年の間の
経緯をながめてみて、
朝鮮赤十字会、
朝鮮側は、
日本政府なり
日本の
赤十字に対して新しい
問題提起をしていることはございますか、ないと思うのであります。より困難な
条件を持ち出していることはございますか、ないと思うのであります。朝赤は、いわば最初に行なわれた
協定に基づいて
代表団の
入国も当然簡素化すべきである、何も
日本に来ていろんな
国内活動をしようというのじゃありません、新潟に来て、
帰国者に対するところの
取り扱いをするというところの
代表団でございましょう、そういった点で以前の
状態というものをそのまま踏襲してもらいたい、こう言っておると思うのです。いま
田邊副
社長がおっしゃられたように、
日赤からいろいろな形でもって、紆余曲折はありましたけれ
ども、
提案をいたしておりますが、最終的には
国際赤十字を通じて、いわば
代表団の
取り扱いをしようというのですね。こういうのは、いわばこちら側の新しい
提案なんですね。そこに私は、問題が複雑化している大きな要因があると思うのです。以前行なわれていて、それがスムーズに遂行されていたんですから、何でその
状態というものをそのまま引き続いて行なうことができないのか、これは私は常識的にいって、疑問に思うのは当然だと思うのです。
したがって、そういう
立場でわれわれは考えたときに、やはり
日本政府なり、その全権を委任されていると思われる
日赤が、以前の
状態に立ち戻ってこの問題に対しては処理をするということがあくまでも原則でなければならぬと思うのです。そういうことから考えますならば、いまの、いわば問題になっておる点は解決の余地あり、解決の方法あり、こういうふうに私は確信を持っているのでありますけれ
ども、そういう
立場でこれから先も対処をお願いしなければならぬと思うのであります。
そこで、またあとで
田邊副
社長にお伺いをいたしますけれ
ども、厚生大臣、いま私が述べましたように、歴史的な
経過を経て、この問題はいまいわば一つの山にかかっておるという
状態であります。一昨年の一月の
コロンボ会談決裂以来、断続的にいろいろな
往復があります。
書簡の
往復やいろいろな折衝はあるようですけれ
ども、何かとだえるが
ごとく、とだえざるが
ごとくという形でもってここ二年の間
経緯をしておるのです。私はこういう
状態で推移をすることは許さるべきでないと思うのです。厚生大臣は厚生行政のいろいろな施策に対して、きわめて野心的な構想を示されて今日までわれわれに対処されてきました。私は
内田さんの人柄からいって、言われたことは必ず実行する、うそをつかない張本人であると思って信頼をしてきておるのであります。この際私は、この
帰国問題に対してあなたがやはりこの在任中に勇断をもって処理する、こういう必要があると思うのです。これは外務大臣や法務大臣やあるいは官房やその他にいろいろ
関係をするから、おればかりの
責任じゃないというようなことをあなたが答弁されてははなはだ困るのでありまして、そういうことではありません。人道的な
立場、しかも
日赤と一番
関係の深い
立場、いろいろな戦後処理の事務をやってきて、この間も戦傷病者戦没者
遺族等援護法が通過するというようなことでもって、いわばそれらの援護についても十分な関心を持っておる当面の
責任者である厚生大臣が、この問題に対して
責任を持って対処することは私はどうしても必要なことである、こういうふうに思っておるのでありまして、
政府を代表する
立場でひとつ厚生大臣、この
帰国問題に対して私はこの前もちょっぴり聞きましたけれ
ども、ひとつ善処しましょう、できるだけひとつ努力しましょうというような答弁があったんですね。予算
委員会等においても同様であります。しかし、もう今日許されない事態であると思うのです。
私は実は私の質問の中に、「よど号」問題を持ち出すことは避けたいと思っておるのであります。「よど号」問題の中で北
朝鮮がとった人道的な
立場、こういったことを考え合わせてこの問題を処理すべきであるというふうに、私は実は言いたくないのであります。しかしそういう歴史的な
経過、それからつい最近起こったあの種の問題、こういう突発的な
事故に対して
朝鮮民主主義人民共和国がとった態度というものも、これは忘れてはならないことではないか、事実ではないか、こういうふうに思っておるのでありますが、これらのことをあなたは頭の中でいろいろとお考え合わせの上に立って、当然この際、いわば抽象的な答弁でなくて、あなたのほんとうに腹の底から、とれに対してはおれが
責任を持って対処するという答弁をいただきたいと私は思うのであります。
このことはその
帰国を待ち望んでおる、すでに申請をした一万七千人の
在日朝鮮人の
人たちはもちろんでありますけれ
ども、私は
日本の隣国に対するところの将来の
立場からいって、人道的にこれを処理する、こういう基本的な態度を堅持をして、
政府がこれに対して断固たる態度をとるということを、この際ひとつ大臣から表明してもらいたいと思うのです。いかがでございますか。