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1970-04-23 第63回国会 衆議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十三日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 倉成  正君    理事 伊東 正義君 理事 小山 省二君    理事 佐々木義武君 理事 増岡 博之君    理事 栗山 ひで君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君      小此木彦三郎君    大石 武一君       梶山 静六君    唐沢俊二郎君       小金 義照君    斉藤滋与史君       中島源太郎君    松山千惠子君       箕輪  登君    向山 一人君       山下 徳夫君    渡部 恒三君       川俣健二郎君    後藤 俊男君       島本 虎三君    山本 政弘君       古寺  宏君    古川 雅司君       渡部 通子君    寒川 喜一君       西田 八郎君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君  出席政府委員         厚生大臣官房長 戸澤 政方君         厚生省公衆衛生         局長      村中 俊明君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省社会局長 伊部 英男君         厚生省児童家庭         局長      坂元貞一郎君         厚生省年金局長 廣瀬 治郎君         社会保険庁年金         保険部長    穴山 徳夫君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省畜産局参         事官      斎藤 吉郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     谷垣 專一君   箕輪  登君     中村庸一郎君   山下 徳夫君     福永 健司君 同日  辞任         補欠選任   谷垣 專一君    小此木彦三郎君   中村庸一郎君     箕輪  登君   福永 健司君     山下 徳夫君     ――――――――――――― 四月十三日  労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案  (小林進君外六名提出、衆法第二二号) 同月十四日  日雇労働者健康保険改悪反対等に関する請願  外二百九十五件(卜部政巳紹介)(第三二一  七号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三二一八号)  同外四件(曽祢益紹介)(第三二一九号)  同(田邊誠紹介)(第三二二〇号)  同外二件(千葉七郎紹介)(第三二二一号)  同(不破哲三紹介)(第三二二二号)  同(松浦利尚君紹介)(第三二二三号)  同外百五十六件(卜部政巳紹介)(第三二九  九号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三三〇〇号)  同外二件(千葉七郎紹介)(第三三〇一号)  同(寺前巖紹介)(第三三〇二号)  同(米原昶紹介)(第三三〇三号)  同外八十五件(卜部政巳紹介)(第三三四八  号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三三四九号)  同外二件(千葉七郎紹介)(第三三五〇号)  同外二件(松平忠久紹介)(第三三五一号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三四二五号)  同(田邊誠紹介)(第三四二六号)  同外二件(千葉七郎紹介)(第三四二七号)  同外九件(土井たか子紹介)(第三四二八  号)  同(土橋一吉紹介)(第三四二九号)  同外三件(松平忠久紹介)(第三四三〇号)  同(山本政弘紹介)(第三四三一号)  労働者災害補償保険法改正に関する請願外四件  (曽祢益紹介)(第三二二四号)  同(田邊誠紹介)(第三二二五号)  同(千葉七郎紹介)(第三二二六号)  同(不破哲三紹介)(第三二二七号)  同(寺前巖紹介)(第三三〇六号)  同(米原昶紹介)(第三三〇七号)  同(久保三郎紹介)(第三三五二号)  同(千葉七郎紹介)(第三三五三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三三五四号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第三三五五  号)  同外二件(松平忠久紹介)(第三三五六号)  同(小林政子紹介)(第三四一八号)  同(田邊誠紹介)(第三四一九号)  同外二件(鳥居一雄紹介)(第三四二〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第三四二一号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三四二二号)  同外三件(松平忠久紹介)(第三四二三号)  同(山本政弘紹介)(第三四二四号)  保母処遇改善に関する請願外一件(菅太郎君  紹介)(第三二二八号)  同(谷垣專一君紹介)(第三四三二号)  全国産業一律最低賃金制法制化に関する請  願(斉藤正男紹介)(第三二二九号)  同(井岡大治紹介)(第三四一六号)  療術開業制度復活に関する請願永山忠則君  紹介)(第三二三〇号)  同外一件(松澤雄藏紹介)(第三二三一号)  同(武藤嘉文紹介)(第三二三二号)  同(石井一紹介)(第三三〇八号)  同外二件(登坂重次郎紹介)(第三三〇九  号)  同(松本七郎紹介)(第三三一〇号)  同(稲葉修紹介)(第三三三八号)  同外一件(仮谷忠男紹介)(第三三三九号)  同外二件(田村良平紹介)(第三三四〇号)  同外一件(葉梨信行紹介)(第三三四一号)  同外一件(福田繁芳紹介)(第三三四二号)  同(華山親義紹介)(第三三四三号)  同(赤城宗徳紹介)(第三三九六号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第三三九七号)  同外一件(梶山静六紹介)(第三三九八号)  同外一件(金丸信紹介)(第三三九九号)  同(寒川喜一紹介)(第三四〇〇号)  同(木野晴夫紹介)(第三四〇一号)  同(草野一郎平紹介)(第三四〇二号)  同(小林進紹介)(第三四〇三号)  同外四件(小峯柳多君紹介)(第三四〇四号)  同外二件(佐々木義武紹介)(第三四〇五  号)  同(佐々木良作紹介)(第三四〇六号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第三四〇七号)  同(進藤一馬紹介)(第三四〇八号)  同(中村弘海紹介)(第三四〇九号)  同外一件(西岡武夫紹介)(第三四一〇号)  同(華山親義紹介)(第三四一一号)  同外三件(藤本孝雄紹介)(第三四一二号)  同外一件(福田繁芳紹介)(第三四一三号)  同(三原朝雄紹介)(第三四一四号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願(別  川悠紀夫君紹介)(第三二三三号)  同(中山正暉紹介)(第三三一一号)  同外一件(西田八郎紹介)(第三三八五号)  優生保護法の一部改正に関する請願外十四件(  田中龍夫紹介)(第三二五四号)  同(永山忠則紹介)(第三二五五号)  同外千六百七十六件(武藤嘉文紹介)(第三  二五六号)  同外九十九件(倉成正紹介)(第三三一三  号)  同外六件(地崎宇三郎紹介)(第三三一四  号)  同外四十三件(有馬元治紹介)(第三三五八  号)  同外十八件(稲葉修紹介)(第三三五九号)  同外百四十六件(菅野和太郎紹介)(第三三  六〇号)  同外二百八十件(佐伯宗義紹介)(第三三六  一号)  同外十六件(田中龍夫紹介)(第三三六二  号)  同外六百八十七件(箕輪登紹介)(第三三六  三号)  同外三百二十件(上村千一郎紹介)(第三四  三四号)  同外一件(瀬戸山三男紹介)(第三四三五  号)  山村僻地医療保健対策強化に関する請願(上  村千一郎紹介)(第三二九五号)  同(藤井勝志紹介)(第三二九六号)  同(八木徹雄紹介)(第三二九七号)  同(愛知揆一君紹介)(第三三三四号)  同(仮谷忠男紹介)(第三三三五号)  同(菅太郎紹介)(第三三三六号)  同(田澤吉郎紹介)(第三三三七号)  同(大村襄治紹介)(第三三九三号)  同外一件(奥田敬和紹介)(第三三九四号)  同(小坂善太郎紹介)(第三三九五号)  衛生検査技師法の一部改正に関する請願(川俣  健二郎紹介)(第三二九八号)  未認可保育所助成等に関する請願不破哲三  君紹介)(第三三〇四号)  心臓病児者医療等に関する請願倉成正君紹  介)(第三三〇五号)  同(菅太郎紹介)(第三三四四号)  同(西村英一紹介)(第三三四五号)  民生委員関係費増額に関する請願外四十件  (毛利松平紹介)(第三三一二号)  同(廣頼正雄紹介)(第三三四六号)  ソ連長期抑留者補償に関する請願外百二十件  (箕輪登紹介)(第三三四七号)  看護婦不足対策等に関する請願寺前巖君紹  介)(第三三五七号)  同(寺前巖紹介)(第三四三三号)  通勤途上交通災害労働者災害補償保険法適  用に関する請願井岡大治紹介)(第三四一  五号)  管理美容師制度改正に関する請願寒川喜一  君紹介)(第三四一七号) 同月二十日  療術開業制度復活に関する請願井岡大治君  紹介)(第三四六〇号)  同(井野正揮君紹介)(第三四六一号)  同(宇野宗佑紹介)(第三四六二号)  同外一件(植木庚子郎君紹介)(第三四六三  号)  同(遠藤三郎紹介)(第三四六四号)  同(神田博紹介)(第三四六五号)  同外一件(倉成正紹介)(第三四六六号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第三四六七号)  同外一件(根本龍太郎紹介)(第三四六八  号)  同外一件(福田繁芳紹介)(第三四六九号)  同(横路孝弘紹介)(第三四七〇号)  同(井野正揮君紹介)(第三五八二号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三五八三号)  同(岡沢完治紹介)(第三五八四号)  同外一件(大西正男紹介)(第三五八五号)  同(大橋武夫紹介)(第三五八六号)  同(川俣健二郎紹介)(第三五八七号)  同(北澤直吉紹介)(第三五八八号)  同(笹山茂太郎紹介)(第三五八九号)  同外五件(床次徳二紹介)(第三五九〇号)  同(内藤良平紹介)(第三五九一号)  同(横路孝弘紹介)(第三五九二号)  同(石川次夫紹介)(第三六七四号)  同(小澤太郎紹介)(第三六七五号)  同(田中龍夫紹介)(第三六七六号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三六七七号)  同(松本十郎紹介)(第三六七八号)  山村僻地医療保健対策強化に関する請願(小  島徹三紹介)(第三四七一号)  同(野原正勝紹介)(第三四七二号)  同外三十九件(早川崇紹介)(第三四七三  号)  同(松野頼三君紹介)(第三四七四号)  同(坊秀男紹介)(第三五五七号)  同(小島徹三紹介)(第三五五八号)  同(田中龍夫紹介)(第三六七九号)  労働者災害補償保険法改正に関する請願(有島  重武君紹介)(第三四七五号)  同外九件(大橋敏雄紹介)(第三四七六号)  同(小林進紹介)(第三四七七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三四七八号)  同(山本政弘紹介)(第三四七九号)  同(青柳盛雄紹介)(第三五五九号)  同外一件(下平正一紹介)(第三五六〇号)  同(曽祢益紹介)(第三五六一号)  同(多田時子紹介)(第三五六二号)  同(原茂紹介)(第三五六三号)  同(不破哲三紹介)(第三五六四号)  同(松本善明紹介)(第三五六五号)  同(三木喜夫紹介)(第三五六六号)  同(田邊誠紹介)(第三六八〇号)  同(畑和紹介)(第三六八一号)  同(原茂紹介)(第三六八二号)  同(堀昌雄紹介)(第三六八三号)  日雇労働者健康保険改悪反対等に関する請願  (有島重武君紹介)(第三四八〇号)  同(大橋敏雄紹介)(第三四八一号)  同外二件(鳥居一雄紹介)(第三四八二号)  同(小林進紹介)(第三四八三号)  同(田邊誠紹介)(第三四八四号)  同外四件(千葉七郎紹介)(第三四八五号)  同外九件(土井たか子紹介)(第三四八六  号)  同(中嶋英夫紹介)(第三四八七号)  同(山本政弘紹介)(第三四八八号)  同(青柳盛雄紹介)(第三五六七号)  同(小林進紹介)(第三五六八号)  同外一件(下平正一紹介)(第三五六九号)  同(曽祢益紹介)(第三五七〇号)  同(田邊誠紹介)(第三五七一号)  同(多田時子紹介)(第三五七二号)  同外二件(千葉七郎紹介)(第三五七三号)  同(原茂紹介)(第三五七四号)  同(不破哲三紹介)(第三五七五号)  同(松本善明紹介)(第三五七六号)  同(三木喜夫紹介)(第三五七七号)  同(山本政弘紹介)(第三五七八号)  同(田邊誠紹介)(第三六八四号)  同外二件(千葉七郎紹介)(第三六八五号)  同外九十九件(土井たか子紹介)(第三六八  六号)  同(畑和紹介)(第三六八七号)  心臓病児者医療等に関する請願大橋敏雄君  紹介)(第三四八九号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願外一  件(西田八郎紹介)(第三四九〇号)  同外一件(小澤太郎紹介)(第三六七二号)  同外三件(亀山孝一紹介)(第三六七三号)  全国産業一律最低賃金制法制化に関する請  願(井岡大治紹介)(第三四九一号)  同(木原実紹介)(第三四九二号)  同(木原実紹介)(第三五九三号)  同(木原実紹介)(第三六八八号)  通勤途上交通災害労働者災害補償保険法適  用に関する請願井岡大治紹介)(第三四九  三号)  同(木原実紹介)(第三四九四号)  同(田中武夫紹介)(第三四九五号)  同(木原実紹介)(第三五九四号)  優生保護法の一部改正に関する請願外三百六十  四件(相川勝六紹介)(第三四九六号)  同(池田清志紹介)(第三四九七号)  同外百件(白浜仁吉紹介)(第三四九八号)  同外三十件(田中正巳紹介)(第三四九九  号)  同外八件(中垣國男紹介)(第三五〇〇号)  同外三件(二階堂進紹介)(第三五〇一号)  同外千四百三十七件(西岡武夫紹介)(第三  五〇二号)  同外二百十九件(西村英一紹介)(第三五〇  三号)  同外四百六十件(古内広雄紹介)(第三五〇  四号)  同外二百七件(本名武紹介)(第三五〇五  号)  同外二件(松浦周太郎紹介)(第三五〇六  号)  同外四件(足立篤郎紹介)(第三五九七号)  同外百二件(上林山榮吉君紹介)(第三五九八  号)  同外二百二十六件(佐々木秀世紹介)(第三  五九九号)  同外四百六十五件(中川一郎紹介)(第三六  〇〇号)  同(原健三郎紹介)(第三六〇一号)  同外百五十一件(松本十郎紹介)(第三六〇  二号)  同外十九件(山手滿男紹介)(第三六〇三  号)  同外二百二十九件(小川半次紹介)(第三六  六五号)  同外十二件(田中龍夫紹介)(第三六六六  号)  同外三十八件(田中正巳紹介)(第三六六七  号)  同外八百二十八件(谷垣專一君紹介)(第三六  六八号)  同外五十五件(渡海元三郎紹介)(第三六六  九号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第三六七〇  号)  同外百四十五件(佐伯宗義紹介)(第三六七  一号)  家内労働法の制定に関する請願山本政弘君紹  介)(第三五一〇号)  看護婦不足対策等に関する請願寺前巖君紹  介)(第三五七九号)  同(山本政弘紹介)(第三五八〇号)  同(山本政弘紹介)(第三六八九号)  管理理容師美容師制度改善に関する請願(  内海清紹介)(第三五八一号)  老人福祉対策充実に関する請願三原朝雄君  紹介)(第三五九五号)  保母処遇改善に関する請願山手滿男君紹  介)(第三五九六号) 同月二十二日  管理理容師美容師制度改善に関する請願(  麻生良方紹介)(第三七五一号)  同(麻生良方紹介)(第三八四六号)  同(川端文夫紹介)(第三八四七号)  労働者災害補償保険法改正に関する請願(麻生  良方君紹介)(第三七五二号)  同(大原亨紹介)(第三七五三号)  同(曽祢益紹介)(第三七五四号)  同外一件(大原亨紹介)(第三八四八号)  同外百三件(成田知巳紹介)(第三八四九  号)  日雇労働者健康保険改悪反対等に関する請願  (麻生良方紹介)(第三七五五号)  同(曽祢益紹介)(第三七五六号)  同外四十三件(土井たか子紹介)(第三七五  七号)  同(堀昌雄紹介)(第三七五八号)  同外二件(成田知巳紹介)(第三八五〇号)  同外二件(大原亨紹介)(第三八五一号)  同(北山愛郎紹介)(第三八五二号)  同(久保三郎紹介)(第三八五三号)  同(土井たか子紹介)(第三八五四号)  集団給食施設栄養士必置等に関する請願(金  子一平紹介)(第三七五九号)  看護婦不足対策等に関する請願一件(寒川喜一  君紹介)(第三七六〇号)  同(山本政弘紹介)(第三七六一号)  同外一件(寒川喜一紹介)(第三八六四号)  同(山本政弘紹介)(第三八六五号)  全国産業一律最低賃金制法制化に関する請  願(木原実紹介)(第三七六二号)  同(木原実紹介)(第三八六六号)  療術開業制度復活に関する請願外一件(坪川  信三君紹介)(第三七六三号)  同(永山忠則紹介)(第三八六八号)  同(松田竹千代紹介)(第三八六九号)  同(吉田泰造紹介)(第三八七〇号)  山村僻地医療保健対策強化に関する請願(古  井喜實紹介)(第三七六四号)  同外一件(大村襄治紹介)(第三八五八号)  同外十七件(正示啓次郎紹介)(第三八五九  号)  同外一件(中川一郎紹介)(第三八六〇号)  同外六件(早川崇紹介)(第三八六一号)  同(毛利松平紹介)(第三八六二号)  クリーニング業法の一部改正に関する請願外三  件(山下徳夫紹介)(第三七六五号)  同(奥野誠亮紹介)(第三八六三号)  優生保護法の一部改正に関する請願外五十九件  (田中龍夫紹介)(第三七六六号)  同外六百九十九件(谷垣專一君紹介)(第三七  六七号)  同外三十九件(大野市郎紹介)(第三八五五  号)  同外九百十三件(谷垣專一君紹介)(第三八五  六号)  同外一件(松田竹千代紹介)(第三八五七  号)  心臓病児者医療等に関する請願白浜仁吉君  紹介)(第三八六七号)  保母処遇改善に関する請願外一件(三原朝雄  君紹介)(第三八七一号)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  食品衛生行政強化充実に関する陳情書  (第一三三号)  民生委員関係費増額に関する陳情書外一件  (第一三四号)  失業対策事業費増額に関する陳情書外一件  (第一三五  号)  勤労青少年対策に関する陳情書  (第一五二号)  医療費の引上げに伴う国民健康保険財源措置  に関する陳情書  (第一五七号)  農村における医師及び看護婦充足対策に関す  る陳情書  (第一五八号)  食品及び食品添加物の規制に関する陳情書  (第一五九号)  同(第二四五号)  失業対策事業費削減反対に関する陳情書  (第一六〇号)  スモン病対策に関する陳情書  (第一六一号)  同外一件  (第二四七号)  産業廃棄物処理対策に関する陳情書外一件  (第一六二号)  チクロ食品回収延期反対に関する陳情書  (第一八一号)  出産手当制度の実施に関する陳情書  (第一八二号)  砒素ミルク中毒被害者の救済に関する陳情書  (第一八三号)  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  に関する陳情書  (第一八四号)  優生保護法の一部改正に関する陳情書  (第一八五号)  国民健康保険制度改善に関する陳情書  (第一九七号)  同(第二四九号)  児童に対する社会環境の浄化に関する陳情書  (第一九八号)  厚生年金保険法等の一部改正に関する陳情書  (第一九九号)  労働者災害補償保険法等の一部改正に関する陳  情書外一件  (第  二〇〇号)  児童手当制度早期実現に関する陳情書  (  第二〇一号)  被生活保護者必要経費増額に額する陳情書  (第二二四号)  奄美群島自然公園の指定に関する陳情書  (第二二五号)  原爆被害者援護法早期制定等に関する陳情書  (第二二六号)  同外一件  (第二四八号)  進行性筋萎縮症患者療養施設設置に関する陳  情書(第二二七  号)  管理理美容師制度改善に関する陳情書  (第二二八号)  日雇健康保険制度改善に関する陳情書外一件  (第二四四  号)  国立阿久根療養所病院昇格に関する陳情書  (第二四六号)  国民年金法の一部改正に関する陳情書  (第二五〇号)  衛生検査技師法の一部を改正する法律案の成立  促進に関する陳情書  (第二五一  号)  国立香川療養所結核ベッド廃止反対に関する  陳情書(第二五二  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五五号)  厚生関係基本施策に関する件(汚染牛乳に関  する問題等
  2. 倉成正

    倉成委員長 これより会議を開きます。  国民年金法等の一部を改正する法律案議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。内田厚生大臣
  3. 内田常雄

    内田国務大臣 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  国民年金制度については、発足以来、逐年、その改善をはかり、昨年は厚生年金保険改正とあわせて拠出年金を中心とした制度全般にわたる大幅な改善を行なったところでありますが、現在の年金受給者の大部分は福祉年金受給者であり、福祉年金がこれら受給者福祉に貢献している現状にかんがみ、本年も引き続き福祉年金改善をはかる必要があると考えました。  また、児童扶養手当制度及び特別児童扶養手当制度につきましても、逐年その内容改善をはかってまいりましたが、支給の対象となる児童福祉の向上をはかるためには、なおその内容充実が望まれるところであります。  今回の改正法案は、以上の趣旨にかんがみまして、福祉年金児童扶養手当及び特別児童扶養手当につきまして、その額を引き上げるとともに、所得による支給制限の緩和をはかろうとするものであります。  以下、改正法案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、年金額等引き上げについてでありますが、国民年金につきましては、昭和四十五年十月分から老齢福祉年金現行月額千八百円から二千円に、障害福祉年金月額二千九百円から三千百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金月額二千四百円から二千六百円に、それぞれ月額二百円、年額二千四百円の引き上げを行なうことといたしております。  次に、児童扶養手当につきましては、まず母子福祉年金との格差を是正するため、昭和四十五年九月分について児童一人の場合の手当月額現行二千百円から二千四百円に引き上げることとし、さらに翌月十月分から母子福祉年金引き上げにあわせて月額二百円引き上げ児童一人の場合は二千六百円にすることといたしております。  また、特別児童扶養手当につきましては、児童扶養手当の額の引き上げにあわせてその月額現行二千百円から、昭和四十五年九月分については二千四百円に、引き続き十月分から二千六百円に引き上げることといたしております。  第二に、所得による支給制限の緩和について申し上げます。  母子福祉年金及び準母子福祉年金の受給権者本人の所得による支給制限の限度額を受給者の生活実態を考慮して昭和四十五年五月分から扶養義務者の所得による支給制限の限度額並みに緩和することとしており、また、児童扶養手当及び特別児童扶養手当受給者本人の所得による支給制限の限度額につきましても同様の緩和を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 倉成正

    倉成委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
  5. 後藤俊男

    ○後藤委員 まず最初に、厚生大臣にちょっとお尋ねしたいのですけれども、これは四月二十二日の新聞情報でございますけれども、老人福祉週間中に約二千人くらいの各界の代表を集めて、「豊かな老後のための国民会議」を開く計画をしておる、こういう報道を私読ましていただいたわけですが、これから問題になりますのも、老齢福祉年金とかこれらの問題も関連があるわけでございますので、九月に老人に対する福祉の大会をお開きになって、今後の見通しの上に立ってひとつ福祉対策をつくろう、こういうふうな方向であろうと推察するわけでございますけれども、この会議を開くにあたりましては、やはり厚生省は厚生省として何らかの方針があるであろうと思います。何かお考えになっておる方針に基づいてこれらの会議が開催されるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、そのことにつきまして、簡単に、私新聞情報だけの話をしておるわけでございますけれども、ぜひひとつ、これらの構想につきまして、あれば御説明をいただきたいと思います。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 後藤先生ももちろんお気づきのように、わが国のこれから十年、二十年先の人口構造あるいは社会構造というものを、今日の資料を基礎として判断をいたしますと、人口構造が急速に老齢化を高めてまいる、これは欧米の諸国が一世紀にわたって達成されたような老齢化の現象が、わが国におきましては二、三十年の間にこれに追いつくというようなことが見込まれるわけであります。したがって、好むと好まざるとにかかわらず、老齢者の問題というものは社会の大きな課題となり、また政治の大きな課題となると私どもは考えまして、その場合、私ども厚生省が、もちろんその老齢者に対する社会保障とかあるいは社会福祉などの政策を担当はいたしておりますけれども、いわば政府の一部門である厚生省だけが、閉ざされた見地からこれらの大きな老人対策に取り組むということよりも、むしろこの問題を国民的関心事として、各方面からこの問題の重要性を取り上げていただき、また、それを根拠とするいろいろな施策についても意見を出していただいて、そして老人政策というものは国民的な重要課題であるということで、政府のみならず、全体としてそういう認識の上に立っての施策として展開してまいることが、これは私どもが単に予算をとるとか、法律をつくるということばかりでなしに、私は、日本の多くの国民の方々が非常に納得もしてくださることだろう、こういうふうに考えまして、いささか野心的なような試みになるという御批判をいただくかもしれませんが、ああいうふうな構想を実は抱いておるわけでございます。  老人対策の課題と申しますと、もちろん老後の生活保障の問題もあり、健康管理から、あるいは医療保障の問題もございます。また、家族的扶養の制度がだんだん社会的扶養の制度に変わりつつある今日のわが国の社会情勢を見ますときに、住宅とか老人ホームの問題も大きな課題でございます。あるいはまた、それよりも、いわゆる健康管理や環境衛生が非常に進んでまいりますので、今日六十五歳あるいは七十五歳の老齢者の方々は、必ずしも稼働能力を喪失した後備の方々ばかりといえないわけであります。社会の先輩としてなお十分に働いていただけるような方々もおられるわけだと思いますので、そういう面からも、私は、老人対策ということを、あるいは老人対策というのではなしに、社会の先輩対策というものをつくり上げていくべきだ、こういうふうなことを考えておるものでございます。したがいまして、社会保障に関する審議会にもこの老齢者対策のことにつきましては諮問はいたしておりますが、それらの審議会からも、今後政府としてとるべき方向についていろいろなお示しがあろうと思いますが、そういうお示しをもこういった国民的な会合に持ち出して、そして広く御批判をいただきながら、政府としては老人問題の対策を進めてまいる、こういう趣旨でございます。  細目につきましては、この会合は厚生省がやると申しますよりも、これらの方面についていろいろのお考えを持っておられる方々が中心になってこの会合を持つ、厚生省はいわば事務局的な機能を果たしてまいる、また労働省その他の各省にも御協力いただく、こういうことでありますので、厚生省が立てた案を御批判をいただくというような消極的なつもりで進めないほうがいいと私は考えておるものでございます。
  7. 後藤俊男

    ○後藤委員 それとあわせて、いま大臣が言われましたとおりの構想のもとに、九月二十二日ですか、日にちまで決定してこれは書かれておるわけなんです。それと同時に、老人福祉の五カ年計画をつくりたい、こういうようなことも触れられておるわけでございますけれども、老人福祉の五カ年計画というのは、現在も考えておられると思いますが、一体どういう方向のものを構想として持っておられるのだろうか。それもやはりこの国民年金との関連は全然なしとはいえないと思うわけなんです。しかも社会労働委員会におきましては、特に国民年金の問題なり福祉問題は、厚生省が中心になって論議が行なわれておるわけでございますけれども、ことしの九月二十二日から老人福祉の大会を開く、しかも、そこで老人福祉の五カ年計画を立てたい、こういうふうなことまで新聞に発表されておる以上は、何かやはり方向なり方針が出ておると思うわけなんです。たとえば、今度の老齢福祉年金にいたしましても二百円の引き上げになるわけですが、ただこれだけのことじゃないと思うわけです。これ以外にも厚生省として考えておられる問題はたくさんあると思うのです。そういう問題がありとするのなら、せっかくいま国会が開かれておるのですから、この社会労働委員会におきましても、お年寄りに対する対策として厚生省としてこういうものを考えておる、しかもこれはことしの九月二十二日に大会を開いて、そこで全国民的な規模のもとに進めていきたいというくらいなものを発表してもらっても行き過ぎじゃないような気がするわけです。社会労働委員会、国会における審議は審議としておいて、ことしの九月二十二日に日比谷の公会堂で大会をやって、そこでまたお年寄りに対する方針をきめる、そういう行き方もあるかもしれませんが、やはり問題は予算に基づくことがもとになろうと思いますし、しかも現在、大臣としてそういうような大きな構想のもとに、十年、二十年後を見通されまして、老人に対する福祉対策を考えよう、そこまで考えておられるのなら、現在この委員会におきましても、こういうふうな方向で徹底的に老人福祉対策をやっていきたい、しかも九月にはこういうかっこうで開きたいというくらいなものは、発表していただいてもいいんじゃないかと私は思うわけでございますが、その点いかがでしょうか。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 まず「豊かな老後のための国民会議」というようなキャッチフレーズといいますか、呼び出しで大会合を開きますのは、九月二十二日というわけではございませんで、年寄りの日というのが国民の祝祭日として九月十五日にきまっておりまして、その前後、いろいろ国民的行事が全国で行なわれるはずでございます。それを従来のような行事だけにとどめず、それと並行しながら、いまの年金の問題も、その他の年金の問題もとらえて、また、私が先ほど述べましたような幾つかの老人対策、社会の先輩対策の課題もとらえて、シンポジウムなりあるいは分科会というような行事もやりまして、その総締めくくり的な、いわば——そこで予算を組むわけでも法律案要綱をきめるわけでもございませんが、これからの日本の社会構造の変革に対応すべく、老齢者綱領というか、あるいは憲章というか、何かそういうようなものでも打ち上げることができればということで、その期間が終わる二十二日ごろを見計らって総会のような形にする。  それからもう一つは、私どものような一大臣がこれを主催するよりも、先ほど申しましたように、むしろ国民的関心の形においてこれをやったほうが、厚生大臣もあとたいへん仕事がやりすくなるわけでありますし、そうなりますと、むしろ総理を引き出そう、こういうことを実は考えておるわけです。しかし、その前後いろいろ国内的あるいは国際的な行事もあって、総理も多忙になるかもしれないというようなことも考えまして、実は私は二十二日くらいぜひひとつ総理にからだをあけてほしいということで、これは二十二日にしないほうがいいのですが、総理の身辺との関係で一応二十二日に総理にからだをあけていただいたということでございまして、これは正式に二十二日にきまっているわけではございません。ことしの年寄りの日のいま言ったようないろいろな行事、計画の総決算としてと、こういうようなことでありまして、多少はその辺は動くかと考えます。  それから、すでにお答え申し上げましたように、いま私どものほうにこれこれの老齢者対策があるということで、それを当委員会で発表し、さらにいまの国民会議に持ち出すということよりも、私どもも、もちろん八月までには概算要求もしなければなりませんし、また、四十五年度予算も通りまして、それにも貧弱ながらある程度の老人対策も盛り込んでおりまして、それらの施策もこれから具体的に展開いたすわけであります。そういうようなことがあるのでありますけれども、九月にやろうというのは、御指摘がございましたように、むしろ十年、二十年先を見通して、日本の人口構造が非常にむずかしい形になるときを目途としての長期の見通しというような野心を持っております。いまの老人施策五カ年計画ということについては私は実は触れておりません。むしろ私の気持ちとしては、短期の計画としては社会経済発展計画というものが近く閣議決定になりますが、それの受けとめ方の問題として、この発展計画に即応する、できたならば老人問題をも含む社会保障、社会福祉の長期計画といいますか、体系的整備というような形にすべきだろうと考えておる。したがって、五カ年計画よりも六カ年計画のほうが、それは経済社会発展計画とも周期が合うということで、したがって私は、五カ年計画のことには触れておりませんが、担当の方面でレクチャー等をされる場合に、おそらくそういうことがあるかもしれません。また、その点については、あとから政府委員のほうにお尋ねいただきたいと思います。
  9. 田邊誠

    田邊委員 関連して。いまお話がありました豊かな老後への国民会議の構想は、私がこの委員会で質問をいたしました際に、大臣がこれに関連をいたしましてきわめて野心的な老人対策の構想をお持ちである、それを称して豊かな老後への国民会議である、こういうようなことを言われたのであります。それで私は、これにあくまでも、いま後藤委員からの質問にありましたとおり、五カ年計画等の計画がおありのことは当然でありますけれども、いずれにしても、長期的な展望に立った老人対策、計画的なしかも長期的な意味合いにおける老人福祉対策、こういったものの一環としてこれは持たれるものである、こういうふうに私は思うのであります。何かアメリカにならった形で、一千人から二千人の人を集めて意見を聞きました、聞きっぱなしでありますというようなことでは、実は意味が少ないのであります。私は、それは苦情のはけ口になるおそれあり、こういうふうに思っておるのであります。これは、それのプロセスの中で一つのこまとして重要な意味を持っていると私は思うのでありますが、これにあわせて、当然いま申し上げたような、おくれておる老人対策、所得保障がたいへんおくれておる。日本の現状の中で、この所得保障ないしは現在の非常に金のかかる医療保障、特にこれらの問題に対する老人の場面において一体どう対処するかという構想がなければ、私はこの国民会議は、たとえ開いても、その意味というものがきわめて薄くなるんじゃないか、こういうように思うのであります。  この点は、後藤委員がいま質問されたことと私は全く同じ観点から、やはり大臣は、長期のしかもきわめて秩序正しい計画をお持ちでなければならない、こういうように思っておるわけであります。しかも私は、そういう計画は、当然当委員会にあなたのほうから示されて、その上に立って具体的な日時等の方針についてはかくかくであるという新聞発表なされるべきであって、何か外のほうにばかりアドバルーンを上げたり、景気のいいことばかり言ったりするけれども、初めにことばありき、だけでは、実際に老人対策にはならぬわけであります。内田さんは、私はそういう方ではないと思います。あまり外に対しては大きなことを言わぬけれども、着実に、一つ一つのことをやっていこうという意欲に燃えた大臣であるとお見受けするから、私は念のために、ぜひひとつそういう立場でこの計画は立てられるべきであるというように思っておりますので、後藤委員の質問とあわせて、そういった着実な展望を持った、計画を持った老人対策をやってもらいたい、その中でもって、この国民会議なるものの占める位置というものはこういうものである、こういうことを私はやはり国会と国民の前に示すべきであるというように思うのですけれども、いかがでございますか。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 いまの田邊先生なり後藤先生のおことばは、私どものこの問題に対する激励のおことばと私はありがたくお受けをいたすものでございます。その具体的な計画があるならば示せということですが、そこで政府の一角で、厚生省で、これだけの計画ありとか、あるいは一厚生大臣にこれだけの計画があるということだけで示してみましても、いろいろ私は落ち度もあるし、また、それらを実現するためには広い方面からのいろいろな御意見を承るような機会があったほうがいいので、それをだんだん締め上げていって長期計画もできるだろうし、あるいは体系的整備もできるので、どこか政府の片すみで、私のような政治力のない者が計画を立てていますよりも、いま申しますように、大きい問題として取り上げて、そして十年先、二十年先の構想をだんだんまとめていきたいというのが真意でございます。短期というか、中期といいますか、社会経済発展計画等に対応する計画が私どものほうでまとまるような段階になりましたならば、それはもちろん当委員会にもお示しして御意見をいただくようにいたしたいと思います。
  11. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣、いろいろ言われましたけれども、この新聞を読みますと、もう委員まで全部きまっておるんですね。何名ですか、三十名くらいな委員が全部きまっておるわけであります。委員まで全部名前が羅列してあるわけなんです。そうしますと、いま適当に大臣のほうで話されましたが、田邊委員も言われたように、私らこのことをやることについては反対はしておらぬわけです。けっこうなことだと私は思っておるわけです。それならそれで、国会のほうも五月中旬で終わりになるかもわかりません。そうなれば、新聞でこういうものを発表される以上は、少なくともこの委員会において、十年、二十年後における老人対策というものはまことに大切な問題である、だから大体九月の中旬ごろには国民会議でも開いて、そこでお年寄りに対する福祉対策その他きちっとしたものをひとつやりたい、こういうような構想のもとにこういう会合を開きたいと思う、というくらいな具体的な提案があってしかるべきではないかと私は考えておるわけなんです。だからひとつ一ここでこの論争をいたしておりましても、時間を食うばかりでございますから、実のあるものになるように、ぜひこのお年寄りの問題については進めていただきますようにお願いいたしたいと思います。  さらに、いまも話が出ましたように、五カ年計画であるとか、委員までもきまっておる。大体今度の国民会議の構想については、こういう構想のもとにこれぐらいのことは進めたいという方針ができれば、ひとつわれわれのほうへもお示しいただきたい。いますぐどうこうということは言いませんけれども、でき次第お示しいただきたいということだけお願いいたしたいと思います。  そこで、国民年金の問題でございますけれども、いま各種年金制度があるわけなんですね。あるいは共済年金制度があるわけなんです。さらには、性質がちょっと変わるかもわかりませんが、公務扶助料というようなことでいろいろあるわけでございますけれども、これらの各制度間における給付の不均衡ですね。あるいは国の負担しておるのも不均衡になっておると思います。これらに対して、将来どういうふうな方向に進めるべきであろうか。たとえば、国民年金があり厚生年金があり共済年金がある。あるいは片方には軍人恩給がある。ところが、それらの給付の内容を見ましても、全部ばらばらなんですね。さらに、これらに対する国庫負担の問題につきましても、ばらばらで不均衡だと思います。こういうことでいいのかどうか。厚生省としてはこれらの問題を将来どういうふうなお考えをもって進めようとされるのであろうか。この点を冒頭お尋ねいたしたいと思います。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、どうも非常に正直で、ものごとの言いくるめがへたなものですから、この御答弁たいへんむずかしいのですが、いま後藤さんのおっしゃるように、各種の年金制度がありまして、七つも八つもあるようでございます。それは共通部門もあるし不合理な面もあるから、統合すべきではないかという議論もかなり長い前からございまして、私が厚生大臣に就任いたす前から聞いておるところによりましても、総理府が中心でございましょうが、各省集まりまして、年金制度調整打ち合わせ会という各省担当首脳者の会合を何年間か持ってきておるようでございます。しかし、これは一本にすればいいというものではなしに、たとえばいまの公務扶助料、恩給等、ああいう公的年金の目的、趣旨と、企業の被用者等を対象とする厚生年金というものとは私は全く違うと思います。一方は国家の発展過程における功労者に対しましての国の援護法であって、必ずしも社会保障ということに吸収はしないほうがいいのじゃないかと私は個人的には考える。そういう面もあり、また各種の団体等を対象とする共済の長期給付等におきましても、それぞれ雇用政策上の目的などもありまして、単純に一緒にできない面もあるようでございます。しかし、また、国庫負担とか、国の補助金とか、あるいは給付の年齢等々に関しましては、それらの間のバランス調整につきまして十分検討したほうがいい課題もあるようでございます。したがって、いま各省間の年金、恩給等の担当者の会合というものはなお続けていただいて、でき得る限り矛盾や撞着や不整合の点は個々に直していきながら、将来の構想としては、七つも八つもあるものを、さらに幾つかのタイプに集約していくということは、検討を続けていっていいものではないかと私は思います。しかし、それができます間はほうっておきませんで、国民皆年金の時代で、一方においては、被用者を対象とする厚生年金を主軸とし、他方においては、その他の一般国民を対象とする国民年金制度ができておるのでありますから、それらを中心としながら、それらの部門におきましてもでき得る限りの合理性ある改正、発展、成熟の方策というものを毎年続けていきたい、かように考えております。
  13. 後藤俊男

    ○後藤委員 それとあわせて、給付の開始年齢が全部違うわけですね。五十五歳もあれば六十五歳もあれば七十歳もある。その年金制度によってばらばらになっておると思うわけです。その点は大臣としてどうお考えになりますか。
  14. 内田常雄

    内田国務大臣 これもまた、後藤さんからしかられては困るのですが、私は、いまの開始年齢が、一般論としてはおおむね妥当であると思います。実はこの問題は、社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会に、ちょうど後藤さんがお持ちになりましたような御不審の見地から、恩給支給開始年齢の調整問題について諮問をいたしましたが、その答えも、その年齢を、たとえば国民年金の六十五歳の開始年齢を六十歳に引き下げるとか、その他にも関連いたしましての変更というものは、やらないほうがいいという、消極的な答申でございますか勧告もいただいております。被用者年金のほうは、六十歳が支給開始となっておるが、六十歳プラス退職という要素を加味して、したがって退職しない限り六十二歳になっても年金は出ないわけであります。これに反して、国民年金の拠出制は六十五歳でございますが、これは退職というような観念が入れられませんので、そこで五歳の開きがある。実質的には二歳か三歳の開きしかないと私は思います。  もう一つの一番問題になりますのは、先般もこの委員会委員の方から御発言もございましたが、無拠出の福祉年金でございますが、これが老齢年金をとりましても七十歳になっている。この七十歳は何とかもう少し前に持ち上げられないか、こういう御意見もございまして、これについては、一般論としては、これは無拠出で掛け金がないのであるから、掛け金の年金が六十五歳なんだから、無拠出の分はということで出発が七十歳になっておりますが、しかし、七十歳に至らなくても、欠陥を持ったような老人層というものはあられるわけであります。そういう方々の部門等を頭に置きながら、七十歳については部分的にももう少し前まで、老齢福祉年金支給の開始時期をもう少し若くするような努力をしてみたい、こう私は思うわけでございます。
  15. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣が言われましたが、老齢福祉年金の給付の開始が七十歳ですね。昭和四十年から四十一年、二年ごろの国会の審議をずっと振り返ってみますと、七十歳から直ちに六十五歳に持っていくことについては困難があるけれども、順次六十五歳に近づけるような方向で検討したいという回答が、この委員会におきまして何べんもなされておるわけですね。そうしますと、四年たち、五年たちしておりましても、現在やはり七十歳、厚生大臣としても何とか六十五歳に近づけたいという所信の表明がいまあったわけでございますが、それなら今度の改正のこの時期に、いままでどおりの七十歳を踏襲せずに、一ぺんに六十五歳に持っていくということが困難があるとするのなら、もう少し何とか考えようがあるような気がします。いままでの政府の回答なり経過を考えてみましても、当然そうあってしかりではないか。相変わらず七十歳で二百円上げましょう、これだけではどうも芸のない話だと私は思うわけです。なぜ一体老齢福祉年金は七十歳を固執されるのか。これは財政的な見地なのか。しかも六十五歳で実施した場合にはどれぐらい適用者が出てくるのか。現在七十歳以上の適用者は一体どれぐらい数があるのか。財政的な見通しの差額としてどれだけお金がよけい要るんだというようなことも、厚生省としては十分検討されておると私は思うわけです。だから私は、今回の七十歳という提案でございますけれども、少なくともこれは六十五歳に向かって前進したような形のものを最終的には御決定いただいてしかりではないか、こう考えておりますので、七十歳を固執されて提案されたその理由ですね。四十年ごろから、何とか六十五歳にしたい、したいということで、一歩一歩近づけるんだという回答をしながら、相変わらず今回も七十歳ということを提案されておるその理由を御説明いただきたいと思うわけです。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 福祉年金は、これも先ほど申し述べましたように、拠出制ではない、全額国庫負担でございます。しかし、私は、これで決して十分であると思うものではございません。そこで、これをさらに十分にするためには幾つかの面がございます。たとえば、まず金額が、老齢福祉年金にいたしましても、従来は月額千八百円、それを今度は、この法律の改正によりまして月額二千円に引き上げさせていただくわけでございますが、そういうような給付金額の増額。さらにまた、せっかく給付することになりましても、本人または扶養者の所得によりましては所得制限がありまして、老齢者年金がもらえない、こういうようなたいへん手痛い面がございます。ことに母子家庭で母子福祉年金支給を受ける人々などは、これは一体本人所得か、扶養者所得か、どちらのたてまえをとるかによって、母子福祉年金というものがまるで絵にかいたもちのようにもなりますので、それらについても、今度相当思い切った所得制限緩和の措置を、母子福祉年金については特にとっておるわけであります。そういう面がございますし、もう一つは、いま申しますように、支給年限の引き下げ——支給年限を若くするのでありますが、それがなかなか一ぺんにできません。私は、今度初めてそういうことをこの国会で私の願望を述べたので、私の首が来年つながるかどうか別でありますが、つながったとしても、微力であってできないかもしれませんが、私は、全面的に解決できなくても、七十歳以下であっても、欠陥のある老齢者については、それを何とか引き下げるようなことを、まず一角として取りつきたいと思います。数字ですが、いま老齢福祉年金支給を受ける方はたしか三百二、三十万人でございます。ところが、六十五歳以上の老齢者は七百五十万人あります。でありますから、そのままですと倍になりますが、ただし、所得制限等があり、また、私が述べますように、六十五歳以上の老人全部というのではなしに、何か欠陥のある老齢者というものをとっていけば、三百何十万が一躍七百何十万にもならない、八百何億円の国の支出が一千六百億になるわけでもないので、その辺三つの面を考えながら、私の考案といたしまして、三つの面を考えながら、内田君よくやってくれたというような、その程度の結論をぜひ出したい。御激励をいただきたいと思います。
  17. 後藤俊男

    ○後藤委員 大臣、いろいろ言われましたけれども、四十二年の通常国会で、衆参議院でも、こういういまの問題を附帯決議で出しておるわけなんです。昭和四十六年から拠出制の老齢年金の支給が始まりますね。その人方は六十五歳から支給を受けるわけなんですね。ところが、老齢福祉年金については相変わらず七十歳。これは四、五年前から委員会で問題になっておるわけです。大臣は、きょう初めて、自分の願望を述べただけだと言われましたけれども、いままで各大臣が、そういう願望を述べられては何もやっておらぬわけなんです。ですから、四、五年前からそういう問題が論議されながら、はい考えましょう、考えましょうということで、附帯決議をつけておるけれども、附帯決議があってもなくても今日では一緒なんです。しかも、もう四十六年から拠出制のほうが始まる、そういうことになる直前のこの国会あたりでは、せめてひとつ、いままで七十歳から支給するという分を何とか考えるべきではないか。去年、おととしまでは百円でありました引き上げが、二百円になった。ふえたことは間違いないですけれども、ふやすと同時に、年齢のほうも考えると、これまた大臣としては、これは一〇〇%になるわけなんです。いままで私は無理を言うておるつもりはないわけです。この問題は、もう四十年の時代から毎回、毎回論議されておる問題なんです。しかも、そのつど局長さんあたりが、一ぺんには持っていけませんけれども、逐次近づけていきますという回答をしておるわけなんです。ところが、相変わらず七十歳ということは、全然近づいておらぬわけなんです。この国会くらいで側とかすべきではないかと思うのですが、大臣としてはどう思われますか。
  18. 内田常雄

    内田国務大臣 私はそうしたいと思います。決して後藤さんにさからう意思は毛頭ない。ぜひひとつ、ことしから来年にかけての予算編成期には、また皆さんから御支援をいただきたいと思うわけでありますが、さっき申しましたように、金額の引き上げもせねばならぬ、また所得制限の緩和もせねばならぬという問題があり、また、いま拠出制の問題もありましたが、拠出制は、かりに来年から拠出制の支給が始まりましても、ほっておくとあれは月に二千円ということだったのですね。それが今度五千円に引き上げるというようなこともいたしておりますので、まあことしはどうもできなかった。そのかわり、予算の折衝でも、去年と同じに月百円、年千二百円しか上げないというのを、身体障害者あるいはまた母子家庭と同じように、月二百円、年二千四百円上げることに、実はがんばって通してまいったというようなこともありまして、いまここで、年の途中で、予算もセットしておりますのに、予備費をくずしてというようなわけにはなかなかまいりません。ところで、これは各国のこれに類似した年金の支給開始年限などの例も調べたものがありますが、案外欧米の先進国でも年金の支給開始年限は非常に高い。六十五歳よりも多い国がずいぶんあります。しかし、人間も健康になったり寿命も延びておりまして、その人の稼働能力というものも必ずしも昔のままではなしに、さらに長く続くというような面もありますけれども、何べんも申し述べますように、七十歳にならなくても働けない老人があります。身体障害者でなくても働けない老人がありますから、そういうような面から取りついていくのが一番現実的で、いままでの歴代の大臣がいろいろ御激励も受けたようでありますけれども、私はまた私なりに、いろいろ方便を講じて、長年の問題で御決議もあったようでございますので、そういう面や、また、御激励にこたえてまいりますので、ぜひひとつ今回のところは御了承をいただきたい、こういう次第でございます。
  19. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、大臣としては、もうことしはこういう時期にもきておって何ともしようがないが、来年はひとつ考えよう。ただし、今度の国会においては、七十歳にならない人でも、寝たきり老人とかいろいろあるわけなんで、そういう人については老齢福祉年金支給を考える、こういうふうに解釈していいですか。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 ことしはここに法律を出したわけでありますから、この法律案のとおりの処遇の改善で御納得いただくほかございません。ただし、寝たきり老人の方々につきましては、これは老齢福祉年金ばかりではなしに、程度の問題でありますが、障害年金の制度ですでにもらわれておる方々も若干はあるわけでありまして、そういう方については、その障害年金で目的を達しておると思いますが、それでカバーされない人々についても、この次の改正のときには広げたい、こういうことで一これは私が大蔵大臣兼任でありますと、よろしいと言うのでありますけれども、やっぱり概算要求をいたしたり、二五%のワクがあったり、また予定経費要求書というようなことで妥協したりしなければ国の予算はできませんので、おまえ、ほんとうに来年やるかということまで言わせないで、ぜひひとつ、激励ということで——私はできるだけの努力をいたして、そして御期待に沿うような方向に持っていきたい。願望でなしに、持っていくことについて最大限の努力をいたすことをお約束いたします。
  21. 後藤俊男

    ○後藤委員 それではひとつ、次の機会にはぜひ、先ほどからいろいろ言いました問題を実を結ぶような方向へ御努力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  それから、これも先ほど大臣が言われたのですが、併給の問題です。いま一年間に公的年金が二万四千円ですか、それ以上の人には併給されない、いわゆる引かれるということですか、それから軍人恩給、公務扶助料、これにつきましては十六万七千三百円まで、それ以上については老齢福祉年金との関連で控除があるわけなんですね。この年金の併給問題について現在どうなっておるか、もうちょっと詳しく局長のほうでひとつお答えいただきたいと思うのです。
  22. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 福祉年金国民年金法においていろいろ規制しておりますが、国民年金法の六十五条に一つの原則がありまして、福祉年金は公的年金給付を受けている間はその支給を停止するというのが原則になっております。したがいまして、この原則からいいますと、いわゆる公務扶助料等につきましても、これは公的年金の一種でございますので、たてまえは福祉年金支給が停止になるわけでございますが、ただし公務扶助料あるいは援護法による遺族年金等は、いずれも戦争公務という特殊な原因に基づいて支給されるものでございまして、一般の公的年金とは性格が違うというふうに私も思っております。そこで、国民年金法におきましても、このような戦争公務に基づく公的年金の支給を受ける方につきましては、ある一定の限度を設けまして、その限度内において公的年金がそれに達しない場合には、その差額を福祉年金として併給するということになっておるわけでございます。  それで、現実の数字を申し上げますと、昭和四十四年度におきましては、戦争公務と福祉年金の併給額の限度額が十四万四千八百円ということになっております。この内訳を申しますと、兵の場合は、四十四年度におきまして公務扶助料が十三万五千三百六十一円ということでございまして、その差額、すなわち九千四百三十九円というものが福祉年金として出される仕組みになっておったわけでございます。ところが、四十五年度の恩給法の改正に基づきまして、公務扶助料が十三万五千三百六十一円が十五万七千百二十五円に引き上がる予定でございます。従来も公務扶助料が毎年引き上がってきたわけでございますが、この場合には、従来から併給を認められておりました福祉年金の額が少なくとも減らないように考慮いたしまして、その限度額を引き上げてきたわけでございまして、四十五年度におきましても、公務扶助料の引き上げに伴いまして併給限度額も引き上げまして、四十五年度では十六万七千三百円に引き上げるという案になっておるわけでございます。したがいまして、その差額、すなわち一万百七十五円が四十五年度において福祉年金の併給額とされる予定でございます。したがいまして、まあ若干ではございますが、四十四年度に比べまして、福祉年金の併給額が九千四百三十九円から一万百七十五円に引き上がるわけでございますから、わずかではございますが、福祉年金の額もそれだけ引き上がるというふうになっております。
  23. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いまの説明ですと、公務扶助料については十六万七千三百円まではよろしい、いわゆる福祉年金支給があるわけなんですね、これは一〇〇%かどうかということは別問題として。ほかの公的年金の場合には年間二万四千円以上については併給がないわけです。公務扶助料にいたしましても、やはり国の経費で支給されておると思うのです。その他の公的年金については、これは全部が国の負担ではないと思います。そうなると、かえって理屈の上からいえば、公的年金の二万四千円で押えるというのはおかしいんじゃないですか。併給すべきであると私は考えるわけなんです。
  24. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 これは福祉年金の性格からきておる問題でございまして、福祉年金という制度は、御承知のように拠出制の年金が原則でございまして、その拠出制の年金をもらい得ない人に対しまして、一定の条件に該当する人に福祉年金を出すということになっております。いわば補完的、経過的な制度でございます。  こういう点から考えますと、一般であろうと戦争公務であろうと、公的年金をもらっている人は福祉年金を併給しないというのがたてまえでございますが、戦争公務の場合には、ただいま申しましたような特殊の性格のために、一定限度の限度額を設けてある程度の併給はなしているわけです。それから、一般の場合には、原則からいえばそういう戦争というような特殊の原因がございませんので、たてまえは併給しないというのがたてまえでございます。  ただ、現在二万四千円まで併給するということになっておりますのは、これは経過がございまして、以前にはこの一般の公的年金制度が非常に金額が低うございまして、福祉年金相当額にも満たないような時代があったわけでございます。したがいまして、発足当初は、福祉年金相当額まで満たない公的年金をもらっている人はいかにも気の毒だから、せめて福祉年金相当額までは併給を認めようということが事のいきさつでございまして、それが現在二万四千円ということになっておるわけでございます。  しかしながら、その後年限がたちまして、公的年金制度は、いずれもその年金額の引き上げが行なわれ、また最低保障額も引き上げが行なわれまして、現在ではもうほとんど二万四千円を下る公的年金はなくなっております。したがいまして、もはやこういう規定はほとんど必要がないわけでございますけれども、そういうただいま申しましたような経過がございまして、現在二万四千円が一般の場合の限度だということで残っておるわけでございます。  それで、こういう限度を廃止すべきであるという御意見につきましては、それはもはやほとんど実益のない制度でございますが、さらに逆にこれを引き上げたらどうかという御意見もありますが、一般公的年金制度の場合には、この限度額を引き上げるというよりも、むしろ公的年金の年金額そのものを引き上げて、福祉年金を併給しなくても十分な年金がもらい得るようにすべきであると考えておりますし、現実にそういう方向に向かって進んできておるわけでございます。
  25. 後藤俊男

    ○後藤委員 これは大臣にちょっとお尋ねするわけですが、いま説明がありましたように、公務扶助料については十六万七千三百円でございましたか、一年間に十六万どれだけもらいましても、老齢福祉年金の併給が行なわれるわけなんです。ところが、一方におきましては、公的年金を年間二万四千円以上もらっておる場合には、老齢福祉年金の併給が行なわれないということです。これは私は非常に不均衡であり不合理ではないかと思うわけなんです。さらに、この二万四千円というのが、いま御説明ありましたように、公的年金年間二万四千円というような人はほとんどないと思うのですね。ほとんどないものを対象にして、これ以下の人には老齢福祉年金支給しますよというふうな無意味なものを残しておいても、何の役にも立たぬのじゃないかと私は思います。それならそれで、この二万四千円というものをもうちょっと限度額を引き上げて、現在といえども公的年金の非常に少ない人もあるわけなんですから、全部が全部一〇〇%併給ということはできなくても、公的年金の非常に少ない人に対してはある程度はこの老齢福祉年金の恩典に浴するというようなことを考えるのが現実的ではないか。これでは何にもならぬ。二万四千円というものはほとんどないと思うのです。二万四千円以下の人には併給しようといっても、こんなものは全然おらぬと思うのです。当然金額をかなり引き上げて、公的年金支給者についてもこれ以下の人については老齢福祉年金の併給をいたします、こう改正をしていただくのが具体的な前進じゃないか、こう思いますが、大臣いかがですか。
  26. 内田常雄

    内田国務大臣 後藤先生におことばを返すようになってまことに恐縮でございますが、第一点は、これは私もここで申したことがあると思いますし、後藤先生も御承知と思いますが、公務扶助料等、国家に命をささげた方に対する年金は、お金の形をしているけれどもお金じゃない、一つの勲功表彰状なんだ、だから、福祉年金というものが別にあっても併給をもって論ずべきではない、こういうことから実は私も一政治家、一代議士の時代から併給をがんばってまいりましたので、今度公務扶助料の限度額が兵について十五万何千円に引き上がりましたけれども、引き上がったことによって福祉年金の併給分を食われてしまわないように、福祉年金はその上に乗っかるようにいたしました。のみならず、多少わずかでもその福祉年金支給分がふえるように実はなりまして、一万円余りの福祉年金が併給されるようなことになっております。しかし、これはさらに毎年福祉年金改善されるというような事態があれば私は毎年考慮をしてもらいたい、あるいはいまの私の立場からいえば、やるべきだ、こういうような気持ちでおるのが第一点でございます。他のものにつきましては、福祉年金というのは、公的年金がない場合の対応策として、とにかく額は少ないがということで無拠出の福祉年金制度をつくったわけでございますから、多かれ少なかれ他の公的年金が支給される場合には福祉年金は併給しないという原則が年金法に掲げられておるわけであります。第一点で申しましたのは、その原則を破って、ただし次の場合には次のようにするということでありますが、いまの二万四千円を最低限として、他の公的年金が二万四千円に達しない場合には経過的に福祉年金を出しておったのですが、その最低保障というものが二万四千円よりもかなり上にきてしまったので、もう福祉年金でつなぐ場所がなくなってしまったわけでありますが、それならば二万四千円をもっと高くしたらどうか、五万円、十万円くらいに高くしていったらどうかということもありますが、そうなると、全く原則を殺してしまうことになりますので、なかなかやりにくい。これは厚生大臣として言うべきことではございませんが、それをやり出しますと、第一点の公務扶助料等に対する併給について逐年これをさらにふやしてまいろうという努力さえも実り得ないことにもなるわけでございますので、私は後藤先生の御親切なお話は十分銘記をいたしますが、いま私が答弁したところでぜひひとつこの際は御了承をいただきたいと思います。
  27. 後藤俊男

    ○後藤委員 だから、いま大臣の言われたように、公務扶助料との関連の併給については私は別に反対しておるわけじゃないのです。十六万七千三百円まで引き上げになるわけですね。これは別にとやかく言っておるわけじゃないのですけれども、一方、公的年金の併給については、おそらく私は対象者が全然ないだろうと思う。一年間に二万四千円以下の人には老齢福祉年金支給いたします——大臣がいま言われたように原則として併給しないということなら、二万四千円という無意味な規定はなくてもいいじゃないですか。これを置くという気持ちは、少なくとも経済情勢から考えて、これ以下の人は気の毒だから老齢福祉年金支給しましょうということで、だいぶ前だろうと思うけれども、二万四千円というものがきまったと思うのです。これをいつまでもいつまでも、今日もやはり二万四千円が置いてありますが、こんなものはあってもなくてもいい。盲腸ではございませんけれども、何の蛇足にもならぬものが相変わらず堂々と書いてあるわけです。そういう考え方を残すつもりならば、二万四千円というのはある程度現在の情勢に合うところまで引き上げてしかるべきではないか。別に公務扶助料との併給をとやかく言うのではなくて、こっちの片方の問題を、二万四千円の金額を当然らしいところまで改定すべきではないか、このことを私は言っておるわけなんです。いかがですか。
  28. 内田常雄

    内田国務大臣 併給の原則をくずすわけにまいりませんので、二万四千円という最低保障はいまさらに上がってしまって、おっしゃるとおり、もうない。しかしそれでも私は十分でないと思いますので、福祉年金の併給をもって論ずるよりも、いま低過ぎる公的年金の最低保障額というものを事情に応じて引き上げる、そうしておいていまの盲腸的条文はもうなくしてしまうという方向で検討すべきものだと思います。しかし、そんなことを言って法制局から私はしかられるかもしれませんがひとつ検討をさしていただきたいと思います。
  29. 後藤俊男

    ○後藤委員 それでは具体的に、二万四千円で支給されておる人が全国的にあるのですか。
  30. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 厚生省でやっております厚生年金保険あるいは国民年金、これはいずれも最低保障をつけておりまして、すべての給付について月八千円にしておりますので、これはございません。年額九万六千円でございます。したがって、厚生省の関係ではございませんが、非常に古い人の普通扶助料、そういう方の金額で、千人あるいは二千人程度の人が、この二万四千円よりも低い人が若干おられるようでございます。
  31. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま言われた公務扶助料のほうは関係ないでしょう。(廣瀬政府委員「普通扶助料です」と呼ぶ)私が言っておるのは、公的年金で二万四千円以下の人で、老齢福祉年金というありがたい法律によってお金をもらっておる人が何人ありますかということです。私は、推定するところ、ほとんどないと思うのです。ないなら、なぜこんなものを置いておくのですか。大臣としては将来何とか考えるべきだという方向を言われましたが、それならば現時点においては一体どうするのかということです。それでは二万四千円をそれらしいところまで金額を引き上げるというならば、私は話はわかると思うのです。何の蛇足にもならぬ盲腸的存在をそのまま認めていくということ自体がおかしい。これはぜひひとつ大臣検討してもらいたいと思いますし、これについてはこの国会ではっきりしてもらいたいと思うのです。何にもならぬものを羅列しておいて何の福祉対策かといわざるを得ぬと思うのです。これはぜひひとつこの国会ではっきりしていただきたいと思います。いいですね。
  32. 内田常雄

    内田国務大臣 それは調べてお答えをいたします。いま政府委員のお答えしたところは、私はそばで聞いておりますと、公務扶助料あるいは厚生年金とか国民年金は二万四千円というような低い最低保障どころではなくなっておるが、古い退職者の恩給で、その方がなくなってしまって遺族の方が受けておる、その普通扶助料の中に若干二万四千円以下の方がおって、そういう方が、この規定を置くことによって、わずかばかりではあるけれども、老齢福祉年金の併給を受けている人があるかもしれない、こういうことを答えておりますので、あるかもしれないが、あるのかないのか、これは調べましてお答えを申し上げたいと思います。これは厚生省だけのことではありませんで、各省調べてみないとわかりませんので、若干の日をかしていただきたいと思います。
  33. 山本政弘

    山本(政)委員 一つだけでいいのですけれども、年金の一部改正をする場合に、ここに老齢福祉年金あるいは障害福祉年金母子福祉年金及び準母子福祉年金とありますね。これは月額一律全部二百円ずつ上がるということになっている。三十八年以降ずっと見ていると、年には大体月額二百円ずつ上がっている。私がちょっとお聞きしたいのは、二百円というものを上げる基準を一体どこに置いておるのか、それを一つだけお伺いしたい。
  34. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 考え方といたしましては、最近のように毎年物価なり消費水準が上がっておりますので、そういう関係の要素を勘案いたしまして、ただあまりこまかい端数がつくのもあれでございますから、それをまるめて百円単位で、百円上げた年もあれば二百円上げた年もありますが、四十五年度におきましては、物価、消費水準等を考慮いたしまして二百円上げたということでございます。
  35. 山本政弘

    山本(政)委員 三十八年の物価を一〇〇としたら四十年が一一一・六、四十二年が一二二・〇、四十三年が一二九・三、これは総理府統計局の試算ですが、そういうことから見て、それからもう一つは賃金の指数から見ましても、あなた方がおっしゃるように二百円ずつ上げるということと、物価指数並びに賃金指数と合わせてみても一致しないのですよ。非常に物価指数が上がった年も二百円、そんなに上がらない年も二百円、賃金が非常に上がった年も二百円、賃金が上がらなくても二百円。そうすると、あなた方の二百円という根拠というものは根拠がないということになる。一体二百円というのをどこから出されたか、そのことだけです。あなたのおっしゃるようなことでは根拠が薄弱だと思うのです。
  36. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 物価なり消費水準の率と同率でということではございませんが、大体上げる考え方の基本的な考え方は、そういう物価なり消費水準の上昇を十分に考慮に入れてまるい数字でやってきたということでございます。
  37. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、一〇〇%から一一一・六%、つまり一一・六%上がったのと、それから一二二・〇%から一二九・三%上がったのとでは、前者は一一・六%上がるわけでしょう。後者は七・三%上がるわけです。この違いというものは総合物価の指数からいえばたいへんな違いですよ。しかし上がったのは二百円。これは私はやはり理屈に合わないと思うのですよ。幾らあなた方が総合的にと言っても、いまの物価指数の上がりの比較から見て、もっとあげるべきだと思うのです。
  38. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 御承知のように、福祉年金は三十四年からできたわけでございまして、老齢福祉年金は三十四年発足当初は千円でございまして、四十五年で二千円ですから、倍率にしますと二倍ということでございます。その間の消費者物価を指数でとりますと、三十四年を一〇〇といたしますと四十五年はどれだけになるかわかりませんが、四十三年が一六一でございますから、あと二年間引き延ばしますと一七〇か一七五くらいだと思います。そういう指数だけ比べますと、大体消費者物価の上昇率よりは、わずかではございますが、上がっておるというふうに考えます。
  39. 山本政弘

    山本(政)委員 そんなことにならないでしょう。とにかく、あなたのおとりになったのは総理府の統計局のだと思うのですが、四十一年から四十二年のときには四・一%しか上がってないんですよ。ところが四十二年から四十三年のときには、六・八%上がっておるわけでしょう。そうすると、その二%の違いというのがたいしたことないということにはならぬと思うんですがね。それは経済の趨勢から考えてみて、それだけの物価の上がりというのはたいへんな物価のあがりですよ。賃金からいえばもっとだと思うんですがね。どうもその辺を上げるのに、二百円ずつ上げたらそれで済む、用足れりというような考え方を厚生省はお持ちじゃないかと思うんですがね。何で五百円上げられないのか、何で六百円上げられないのかというのが私の質問なんですよ。少なくともその三十八年のを上げたときも二百円だとすれば、貨幣価値からいったってもっといまのほうが下落しているはずですよ。しかも同じ二百円、物価指数からいってもかなり違うけれども、やはり同じ二百円、これは筋としては通らぬと思うんです。その当時の時点から考えるならばいまはやはり六百円か、少なくとも五百円くらいは上げなければならぬはずですけれども、厚生省の考え方はたいへんみみっちいと思いますね、そういう意味では。
  40. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 確かにおっしゃいますとおり、二百円というのは非常に少ない金額だと思います。それで実は端的に申しまして、厚生省としては決して二百円アップで十分であるとか、満足しておるわけではございませんで、厚生省としてはもっとたくさん引き上げる予算要求をしたわけでございますが、いろいろ国全体の財政等の問題もありまして、政府としては最終的に四十五年は二百円に落ちつかざるを得なかったということでございます。
  41. 山本政弘

    山本(政)委員 そういうことをおっしゃれば、四十三年度には百円ずつ二回上げているんです。なぜ一ぺんに二百円上げないんです。ほかのときには二百円ずつ上げているんですが、四十三年度だけはなぜ百円ずつ二回分けて上げているんでしょう。物価の指数とかなんとか考えれば、当然二百円一ぺんに上げていいはずなんです。何も手間ひまかけて委員会開いて、百円ずつ小刻みに上げるよりは、二百円一ぺんに上げていいはずです。かりにあなた方の言うように、物価がそんなに指数として違いがないから二百円にしたということになれば、四十三年の二回の引き上げ、百円ずつ二回引き上げているのは理由にならぬですよ、こんなものは。
  42. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 ただいま御指摘になりました四十三年度に二回上げているということでございますが、実はおっしゃるように四十三年一月に上げまして、また四十三年の十月に上げておるわけでございますが、実は四十三年の一月に上げました分は、これは四十二年度分でありまして、四十二年度分を四十三年の一月から当該年度わずか三月分しか上げてなかったので、それが非常におそかったわけでございまして、同じ年に二回上げたわけでございませんで、四十二年度の引き上げ分がおそかったというのが実情でございます。
  43. 山本政弘

    山本(政)委員 そういうお答えをするだろうと思ったんです。そういうお答えをするだろうと思ったからお伺いしたんです。四十二年度にあなたは三百円上げたから、四十三年度は百円でいいというお考えがそこにあるわけですよ。なぜそれでは四十三年の十月に二百円上げないんです。私はあなたのそういう御答弁があるだろうと思ったからお伺いしたんです。四十二年に三百円上げているから、四十三年は百円でいいんだというお考えがそこにあるんですよ。だから百円しか上げてないんです。四十三年の十月には当然二百円上げるべきでしょう、あなたのお考えとすれば。だから理屈が合わないわけですよ。
  44. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 四十二年度に引き上げました金額は、障害と母子福祉年金は三百円でございますが、そのときの老齢福祉年金はやはり百円しか上がっていない……
  45. 山本政弘

    山本(政)委員 四十二年に二回上げたとおっしゃるけれども、しかし四十二年は一月ですよ、上げた当時は。あなた方のおっしゃることは、それは四十一年度の会計年度になるのですよ。論理的に合わないじゃありませんか。四十二年に実際は二回上げておらぬわけですよ、会計年度からいえば。
  46. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 ちょっと恐縮ですが、先生の御質問の意味がよく理解できないのですが、四十年は九月に上げまして、四十一年度は四十二年の一月分から上げまして、四十二年度は四十三年の一月から上げまして、四十三年度からは当該年度の十月から引き上げた、そういう経過でございまして、大体四十年以降は、一年度に、時期は違いますが、一回だけ上げているという経過でございます。
  47. 山本政弘

    山本(政)委員 これは厚生白書ですよ。厚生白書から私申し上げたわけですが、四十年九月一日に上げて、四十二年の一月一日に上げて、四十三年の一月一日じゃありませんか、そうでしょう。そうしたら、四十二年に二回上げたというけれども、実質二回上げているということをおっしゃったけれども、四十二年の一月一日ということは四十一年度ということになりませんかと、こう言っているのですよ。
  48. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 私は同じ年度に二回上げたということは申しておりませんわけで、年度の食い違いでたまたまそうなっておりますが、それは一年度に一回しか上げていないということを申し上げておるわけでございます。
  49. 山本政弘

    山本(政)委員 しかし、それは抜け道であって、年度、年度に上げているということにあなた方は大体なっているんじゃないか、考え方としては。ときたま何年に上がったからということで逃げちゃぼくはいかぬと思うのです。年度であなた方は予算をお立てになっているのだから、少なくともそういうふうになるのだったら、理屈からいえばあなた方のほうに間違いがあるんじゃないか、私はこう言っているのです。  ともかく私が申し上げたいのは、物価とか賃金とかその他の指数を全部比較してみて、二百円という額はもはや額としては考えるべき段階に来ているんじゃないか。毎年一律二百円ということは、どう考えてもおかしいのですよ。三十八年も二百円上げておる。物価とか賃金とか考えて、それで四十五年も二百円だというのは、どうもいまの生活実態からいって間尺に合わぬだろう。だからそれをもう少し大幅に上げるということを考えるべき段階に来ているんじゃないか、こう申し上げているのです。
  50. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 いま私が申し上げましたのは、四十五年度の予算案の数字について申し上げたわけでございまして、厚生省の考え方といたしましては、先生のおっしゃるような考えを持っております。
  51. 後藤俊男

    ○後藤委員 いずれにしても、百円、二百円と、うような微々たる引き上げではいかぬということなんです。  もう時間が参りましたので、最終的にちょっとお尋ねするわけなんですが、この国民年金と——やがて生まれるであろう農民年金が予想される上げであります。農民年金が発足した場合には、国民年金のほうの財政との影響は何もないのかどうか、この点が一つと、それから先ほども大臣が言っておるように、十年二十年の先にはお年寄りがだいぶふえてくる。そうなった場合に、国民年金の財政の見通しは一体どうなんだ。それからもう一つは、いま積み立て金があると思うのです。その二割五分というのが一般福祉に使われておると思うのですが、あとの七割五分というのは一体何に使われておるのか。いままでの国会審議の中を見ますと、何に使ったということを明確に、はっきりわかるような別途会計にするのだ、こういうふうなことも国会審議の中に言われておるわけでございますけれども、はたしてそういうふうになっておるのかどうかという点、この三点を最後の質問としてお伺いいたしたいと思います。
  52. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 最初の御質問の農民年金と国民年金との関係でございますが、今度つくろうとしております農業者年金基金は、国民年金制度の上にプラスしてつくるわけでございまして、これができたために国民年金制度の掛け金なり給付なり、それには全然無関係ということでございます。それとは別に農民年金基金というものをつくりまして、基金だけの収入の掛け金を別途徴収するということでございますので、農業者年金基金ができましても、国民年金の財政には全然影響、関係はございません。  それから第二番目の、国民年金の財政の今後十年あるいは二十年先の見通しでございますが、いまの保険料のままでございますと、いずれ赤字になって経営ができなくなる。したがいまして、御承知のように、少なくとも五年ごとに再計算をするということになっておりまして、そのときどきの収入支出の収支の長期的見通しを立てまして、必要な保険料を再計算するということになっておりますが、少なくともいまの制度を維持しておくという前提に立てば、いまの保険料は実際に必要な保険料よりも安くなっておりますので、このままでは長期的には財政が続かないということになるだろうと思っております。したがいまして、必要な再計算をして、また適当な保険料を定める必要があろうかと思います。  それから三番目のお尋ねの年金の積み立て金の運用でございますが、いま先生おっしゃられましたように、二五%は還元融資ということで直接被保険者の福祉厚生に役立つように使われているわけでございますが、残った七十五%の使途につきましては、これは御承知のように、大蔵省の資金運用部資金に入りまして、政府資金の一部として使われているわけでございます。ただし、この使い方につきましては、かってに大蔵省が使うということではございませんで、これは厚生省が集め、しかも将来年金給付の財源としての大事なお金でございますので、厚生省と大蔵省とその運用について申し合わせをしております。その要点を申しますと、まずこの年金資金は他の一般の郵便貯金等の一般的なお金と資金区分をして、使途別分類をして使途の明確化をしております。  それからその使われている内容につきましては、国民生活の安定向上に直接役に立つ住宅なり生活環境整備、たとえば上下水道あるいは厚生福祉施設、たとえば病院、福祉施設あるいは文教施設、中小企業あるいは農林漁業公庫というようなものに重点を置いて使うとかいうことで、できるだけやはり国民の福祉の向上に直接役立つようなものに使うというたてまえになっております。
  53. 後藤俊男

    ○後藤委員 質問を終わりますけれども、先ほどからいろいろ大臣にも質問したわけですが、中身を検討してみますと、不合理な点があるわけなんです。だからこういうような点については、ぜひひとつ次の機会にはできるだけ是正をしていただき、不均衡な問題については是正をしていただき、さらに老齢福祉年金の七十歳の問題につきましては、先ほども大臣がいろいろ言われました。七十歳前でも働けぬ人に対しては考えなければいかぬというような具体的な話が出ましたけれども、これは言うだけではなしに、実行に移せる方向で次の機会には必ず改正案を出していただきますようにお願いをいたしたいと思いますし、さらに総括的には、老齢福祉年金が、先ほど山本議員のほうからもいろいろ話がありましたけれども、わずかに月二千円なんですね。これは、いま上野動物園の動物の食糧費を、厚生大臣、御存じですか。大体、象が一日に三千円ずつ食っておるわけです。それなら、上野動物園の動物で老齢福祉年金並みの生活をしている動物が一体あるかとさがしてみましたら、カンガルーなんです。カンガルーが月二千円なんです。大体一日六十二、三円なんです。佐藤総理大臣が言っておられるように、人間尊重、人間尊重、しかも、七十年間も日本の国のためにお働きになった人に対する老齢福祉年金が、上野動物園のカンガルー並みの扱いをしておいて、人間尊重とこれは言えるでしょうか。そういうような点から考えていただくなら、もっと抜本的に改正すべきであるし、増額すべきであると私は思うわけなんです。  ただし、冒頭に話をいたしましたように、お年寄りに対する福祉の問題は、年金だけの問題じゃないと思います。ことしの九月には二千名から集めて、お年寄りに対する大会を開く。これは相当偉大なる構想のもとにやられると思いますけれども、ぜひひとつ、いま申し上げましたような点については、じっくりと一ぺん考え直していただく。言ったことを必ず実行する方向へ進めていただく。さらに、九月の大会というのは一つの契機にもなろうと思いますけれども、これも先ほどお約束をいたしましたように、厚生省なり政府として、その方針が出たなら、必ずその前には、この委員会にも提示をしていただく。こういうようなことで、全般的にたくましい前進の方向を打ち出していただきますように、ぜひお願いを申し上げたいと思うわけです。最後に、大臣の決意を聞かしていただいて終わりたいと思います。
  54. 内田常雄

    内田国務大臣 いろいろ御意見を承りまして、私どもも極力その御意見の実現の方向に努力をいたしてまいりたいと思いますので、今後ともよろしく御激励をお願いいたします。
  55. 後藤俊男

    ○後藤委員 ありがとうございました。
  56. 倉成正

    倉成委員長 古川雅司君。
  57. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 初めに、ただいま議題になっております中に児童扶養手当制度並びに特別児童扶養手当制度がございますので、児童の扶養に関しましては後ほどまたお伺いするといたしまして、これに関連して、児童手当制度について、若干お伺いをいたしたいと思います。  これは、いまさら申し上げるまでもなく、昭和四十五年度の実施に対する政府並びに総理の確約がむざんにも踏みにじられまして、今国会の冒頭から、代表質問あるいは予算委員会の質問等におきまして議論をされてきたところでありますし、大臣におかれても、遺憾の意を表明されまして、昭和四十六年度の実施に対して、強力に推進していくというお約束をあらためていただいたわけでございますが、予算委員会における大橋議員等の質問に対しまして、今国会中に児童手当審議会にあらためて推進方を依頼し、その骨子をあらあら発表するというお約束をいただいております。すでに三カ月になろうといたしておりますが、その後、審議会の経過、並びにお願いをいたしております骨子の発表について、どうなっているか、また、その発表がいつごろになるか、御答弁を賜わりまして、以後、順次、議題に対する質疑に移らしていただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  58. 内田常雄

    内田国務大臣 児童手当の件につきましては、よく私も了承をいたし、また、最大の関心を持って処理をいたしております。  御答弁を申し上げましたように、この国会の終わりまでの間には、児童手当審議会における審議の状況、問題になっておるような点につきまして適当な方法で御報告を申し上げる、こういうことはいたしたいと思います。  いま古川さんのおことばによりますと、案の骨子、こういうことでございましたが、案の骨子は、私はまだおそらくこの国会中にはまとまり得ないのではないかと思います。案の骨子につきましては、それはこの八月の概算要求の際に間に合うような段取りで審議会から御答申をいただくというようなことで、有澤会長先生にも私からよくお願いをいたしておるところでございますので、私が他の機会で申し述べましたように進めてまいるつもりでございます。
  59. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 国会の会期も迫っておりますので、いま大臣のおっしゃった骨子の御報告を願って、今国会中に審議ができるような段階で審議会においてはいま作業が進められているのか、その辺の経過はいかがでございましょう。
  60. 内田常雄

    内田国務大臣 ただいま申し述べましたように、今国会は五月中旬に閉会になるわけでありますが、それまでの間には、審議会におけるその問題の要点といいますか、審議の対象になっておる課題の経過報告を申し上げる。ただ、審議会からまとまった骨子の答申のいただけるのは、これはひとつぜひ八月中にしてほしい、こういうことを有澤会長先生に申し上げておりますので、したがって、この国会中に、御論議をいただけるような、御批判をいただけるような児童手当制度の要綱案というものはお出しはできないと私は思います。これは前言をひるがえす意味では全くございません。
  61. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 くどいようでございますが、会期も迫っておりますので、いまの御答弁了解をいたしますが、この前お願いをいたしました件について、どうか会期中に間に合わせていただきたいということをお願いを申し上げまして、次に移らせていただきます。法案についてお伺いする前に、先ほど大臣の御答弁の中で、たいへん御謙遜のことばがございました。私には政治力がないからというようなことをちょっとすべらしていらっしゃいましたが、私、そばで伺っておりまして非常に残念でございました。大臣にしては非常に御謙遜が過ぎる、決してそんなことは、心には思ってもおっしゃるべきではない。社会保障制度につきましては、大臣にはもっと確信を持って、大蔵大臣以上に、あるいは総理大臣以上に高姿勢で、日本の社会保障制度はこうあるべきだ、ただいま議題になっております年金制度についても、国民の要望はこうなんだから、日本の社会保障制度の将来をになう厚生大臣として、こうあるべきだと、あくまでも強腰で臨んでいただきたいというのが私の要望でございます。何と申しましても、一九七〇年代の出発点でございますので、どうか強力に社会保障制度の推進のために御尽力をいただきたいと思います。  今回のこの国民年金等の改正案でございますが、まず、基本的に大臣にお伺いしたいのでございますけれども、予算の編成の中で、この基準あるいは保障の水準の算定が行なわれている、そのどれだけ引き上げるかということは、これはあくまでも財政の配慮というワクがあるわけでございます。財政のゆとりが狭いということで、いわゆる基準の改定が消費者物価の上昇分を満たす程度にとどまってしまっているというふうに感ずるのでございますが、この辺は大臣として今後どう対処していかれるか。支給の水準をさらに引き上げるべきであるということは、先ほど来いろいろ議論をされてまいりましたが、こうした消費者物価の上昇分を満たすだけにとどまっているという国民の皆さんの御批判に対して、大臣はどうおこたえになっていくおつもりであるか、その点をお願いいたします。
  62. 内田常雄

    内田国務大臣 ほんとうのところ、私どもは国民の老後保障のための年金制度の確立ということに非常な熱意を持っておるところでございます。でありますから、昨年もこの国会に御審議をわずらわせまして、厚生年金制度及び国民年金制度にはかなり大幅な改革を盛り込んで、おかげさまで成立をさせていただいておるわけであります。それがことしの途中から動きだす、こういうことになるわけであります。  そこで、今回法律の改正をお願いいたしておりますのは、そのつなぎでありますところの福祉年金の部分、またこれに直接関連がありますところの児童扶養手当及び特別児童扶養手当改正といいますか、改善でございます。この福祉年金につきましては、これは古川先生もよく御承知のように、いま私が冒頭に申し上げましたような、年金が成熟するまでの間、これは国民皆年金になるわけでありますから、いずれはすべての方々がその本格的な年金制度になるわけでありますが、それのつなぎとして特別の方だけを対象にして全額国費で、まあ年金という形ではありますが、特別給付金というようなものを出す仕組みになっておるわけでございます。でありますから、本格的な年金の改善というものはあくまでも国民年金そのもの、あるいは厚生年金というようなものに力を注ぎまして、それのつなぎになっております福祉年金につきましても、財政の許す限り、またできる限り受給者の利益になりますように、改善を毎年、まあ小さい改善ではございますけれども、少しずつ加えておる、こういうのが実情でございまして、したがって、今度の改正をもちましてこれが画期的の改正であるとかなんとかいうものではございませんで、来年におきましても金額の引き上げをやはりやりたい、また所得制限の改善もやりたい、さらにまた受給年齢の一部の引き下げというようなものも努力をいたしてまいりたい、こういうようなことを続けておりますので、ぜひひとつ古川先生にも、この福祉年金をもってわが国の本格的年金の柱である、こういうふうにおとりにならないで、あくまでもつなぎの便宜の措置として存在するものである、こういうふうにおとりをいただきたいと思います。
  63. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 事が福祉年金の問題になりましたが、局長にお伺いをいたしたいと思います。  この老齢福祉年金でございますが、昭和四十一年の第六次改正以来、毎年百円程度の引き上げにとどまっております。今回は二百円ですけれども、先ほど私、大臣にお伺いいたしましたとおり、いわゆる物価上昇分を満たすだけということが国民の皆さんの大勢の御不満でございまして、消費水準の伸び率から申しまして所得の保障にはなっていない。一時のつなぎであると、いま大臣の御答弁がございましたけれども、これはちなみに昭和三十四年法制定当時には、老齢年金月額二千円の半分が老齢福祉年金とされておりました。十年を経過しているわけでございますが、老齢年金は月額八千円であるのに対して、現行老齢福祉年金は、今回の改正案が通りましても二千円で、わずか四分の一にも満たない。少なくともこれは発足当時の比率からいいましても四千円以上には引き上げるべきではないかというのが筋ではないかと思いますが、この辺いかがでございましょう。
  64. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 福祉年金というものの金額はいかにあるべきかということは非常にむずかしい問題だと思いますが、これは先ほど大臣からもお話がありましたように、年金制度の本体はあくまでも拠出をする年金が原則でございまして、この福祉年金制度というのは、たまたまそういう制度ができたときに、すでに高齢であったとか、あるいはすでに母子状態であったとかいう、この制度に加入したくともできない人はあまりにもお気の毒だということで、こういう無拠出の福祉年金というものができたわけでございまして、いずれ拠出制の年金制度が成熟すれば、おのずからこれはなくなるべきものでございます。したがいまして、性格としては経過的あるいは補完的な性格のものでございます。  そういう性格論と、それからもう一点は、その財源が拠出ではなくして全額国の予算でまかなわれているという制約もあるわけでございまして、現実には御指摘のように、なかなか十分な年金額の引き上げができないわけでございますが、さればといって三十四年当初拠出の半額であったから、現在その二分の一という比率をあくまでも維持すべきかということには、直ちにはならないと私は思います。しかしながら、先ほども御質問がありまして御答弁しましたように、それで私ども決して満足しておるわけではございませんで、このような物価の上昇あるいは経済成長、いろいろな社会経済情勢を十分に勘案いたしまして、今後とも年金額の引き上げその他の改善につきまして十分努力をしたいと考えます。
  65. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 なかなか納得できない点でございますけれども、ただ額を引き上げる努力をするというだけでは、国民の皆さんに御納得はいただけないわけでございまして、冒頭から申し上げておりますとおり、額の引き上げについては、絶えず財政のワク、そのワクのしわ寄せによって水準が押えられているという点を憂慮しているわけでございまして、やはりはっきりとした態度で、これだけの基準で引き上げていくべきだ、ここまでは現状としてどこまでも主張し通していくべきだという姿勢をお願いしたいわけでございます。先ほどからいわゆる拠出あるいは国の租税によってまかなわれる無拠出ということを非常に強調していらっしゃいますが、こうした年金そのものが、老人年金の保険そのものが、全額租税をもってまかなうべきであるという議論もあるわけでございまして、これは決して極端な議論ではない、かなり正当な裏づけもあるやに私考えております。したがって、この老齢年金と老齢福祉年金の間の格差は、やはりどこまでも強力に縮小していくべきであって、年々わずかばかりの引き上げで国民の皆さんを欺瞞していくということは問題であると思います。来年度に対してのお考えもお持ちだと思いますが、財政のワク云々とおっしゃらずに、全体の経済情勢等を考えて、今後年々どのように引き上げて、この当面の措置等なさっていくか、制度等なさっていくか、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 明年度の予算要求の態度というのは、まだ厚生省としても正式にきめておりませんが、ただ福祉年金に関する問題点は、先ほど来いろいろ御意見がありましたように、年金額の引き上げの問題もあれば、所得制限を緩和する問題もありますし、あるいは年齢を引き下げるという非常にいろいろの問題があるわけでございまして、先ほど大臣も申しましたように、できればあれもこれもやりたいわけでございますが、現実問題としては必ずしもすべての問題が一挙に解決することも困難でございますので、それらのいろいろの問題点の緊急度を十分勘案いたしまして、最も緊急を要するものからできるだけ改善をやっていくという考えを持っております。具体的にはまだ厚生省として、来年度どういうふうに要求するかはきめておりません。
  67. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 年齢の引き下げの問題がいま局長のほうからお話が出ましたのでお伺いいたしたいと思いますが、昭和四十三年五月十七日の本社会労働委員会、また同年五月二十一日の参議院の社会労働委員会で附帯決議がなされておりまして、いずれもこの老齢年金と老齢福祉年金支給開始年齢を同年齢にすべきである、その努力をすべきであるということが付されております。このことがもう何回も言われてきていることは、私は会議録を通しましても理解しているわけでございますが、この附帯決議に対してどのような努力をなさったか。またこの老齢福祉年金の開始年齢を七十歳から六十五歳に引き下げるということだけで、一体どれほど膨大な財源を要するというのか。これは財政的な理由だけだとはいえないと思うのでございます。一体なぜこうした簡単なことができないでいるのか、その点御答弁を賜わりたいと思います。
  68. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 その年齢の問題につきましては、確かに福祉年金に関する大きな問題の一つであると私も考えております。ただ、先ほども申し上げましたように、福祉年金に関する問題は、そのほかにも年金額の引き上げあるいは所得制限の緩和などいろいろの問題点がございまして、四十五年度の予算におきましては、その緊急度あるいは諸般の事情を考えまして、所得制限の緩和とそれから年金額の引き上げということを中心にこれを実施したというのが事情でございます。
  69. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 たいへん立ち入ってお伺いして申しわけないのでございますが、現在の老齢福祉年金支給開始年齢七十歳を六十五歳に引き下げた場合、どれほどの予算措置が必要なのか。そのことに要する財源についてお伺いいたしたいと思います。
  70. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 どうも御答弁漏れまして失礼いたしました。  六十五歳から六十九歳の方、この中には公的年金をもらっている方もありますので、大体六十五歳まで年齢を下げますと、その間の老齢の方の大体七割くらいが福祉年金受給者になるであろうという一応の前提を置いて推計をしてみました。その結果、人数といたしましては六十五歳から六十九歳まで、その対象になるであろうと思われる方が約二百九十万人、それから年金額を一応四十五年度の予算、月二千円という前提を置いて計算いたしますと、四百九十四億程度かかるという推計でございます。
  71. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 大臣にお伺いいたしますが、いま局長から御答弁をいただいたわけでございます。七十歳からということは非常に問題があり、非常に議論の多いところでございます。わずかとは申しませんけれども、きわめて少ない財政措置でこうした国民の要望におこたえできるわけでございます。ひとつこの支給開始年齢の引き下げという点をまず最重点にお考えになって、来年度あたりに実施していく、そういうめどで予算要求をなさるお考えはないでしょうか。
  72. 内田常雄

    内田国務大臣 そういう考えを持っております。ただし、おそらくその七十歳を六十五歳に全面的に引き下げるということはむずかしいので、やはり段階的に、先ほど来他の委員の先生に御答弁申し上げましたように、故障のある方を優先させて七十歳から年齢を引き下げるという方法が現実的だろうと私は考えますが、なおまたいろいろお知恵を拝借いたしたいと思います。
  73. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 お年を召しますと、余生の二年、三年あるいは五年、十年というのはすぐたってしまいます。お年寄りの心情もくみ取って、一日も早く年齢の引き下げが実現できますように、ひとつ御尽力をいただきたいと思います。できれば来年度の予算の中に、たとえ二歳でも三歳でもいい、少しでも引き下げて国民の皆さんにおこたえを賜わりたいと思います。私どもむしろ六十歳まで引き下げていくべきだ、そうしていただくべきだというのが持論でございますが、あえて六十五歳というところを定めまして財政の内容等についてお伺いしたわけでございます。  所得制限の問題もこれは議論し尽くされておりますが、私ここでひとつお伺いいたしたいのは、御本人の所得の制限は理解できるわけでございますが、いわゆる扶養義務者の所得制限についてはいささか疑問を持っております。御承知のとおり核家族の傾向も非常に急速に進んでおりますし、扶養義務者の所得によって年金の支給が制限されるということは非常に現実に即さないのではないか。これも当然財政の制約を受けるわけでございますが、この点についてお考えをお示しいただきたい。  あわせてこの二千円という金額でございますが、テレビのコマーシャルあたりで、六十円で何が買えるかというようなことを盛んに言っておりまして、「価値ある六十円」なんというので結んでおりますけれども、二千円を一体お年寄りがどのように使っていますか。これはプライバシーの問題もありますので立ち入った実態調査や意識調査はできないと思いますけれども、二千円で一体何ができるとお考えになっていらっしゃるか。私も実際にお年寄りといろいろひざを突き合わせてお話ししてみますと、実際には二千円がそのまま生活費の中に繰り込まれております。生計費の一端になっております。それがほとんど実情でございます。むしろ私は、このわずか二千円はお年寄りの楽しみなお小づかいの一部分として与えられるべきであって、これはいつも申し上げておりますとおり、現在の六十代、七十代の皆さんは、その青春時代もまた人生の花盛りであった年代も戦争というたいへんな犠牲の中に悲惨な生活、非常に苦しい生活を余儀なくされてこられた方ばかりであります。そういった方々に対する国家補償という見地からも、やはりお年を召した方々には、少額であれば少額なりにこうした支給の制限を早く撤廃して、お年寄りの楽しみの一つとしてお与えいただくように措置していただくべきではないかと思います。所得制限は先ほどから議論が尽くされている感がございますけれども、あえて扶養義務者の所得による制限という点に力点を置いて御答弁を賜わりたいと思います。
  74. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 この扶養義務者の所得によりましても制限を設けられておるのは、御指摘のとおりでございます。これは先ほど来申し上げておりますように、やはり福祉年金というものの性格からきておるわけでございます。扶養義務者と一口に申しましてもいろいろな家庭があるわけでございまして、非常にお金持ちの方でおじいさん、おばあさんが七十以上の方もおられるわけでございます。そういうりっぱなむすこさんを持っておられる方のおじいさん、おばあさんまで全額国庫負担の無拠出の年金を差し上げるということはどうかということで、やはり扶養義務者につきましては一定の所得以上にある人は御遠慮願いたいという考え方でございます。  そこで問題は、扶養義務者の所得制限の限度額をどの程度できめたらいいかという問題になると思うわけでございますが、これは考え方といたしましては、従来設けられてある所得限度額をそのままにしておきますと、毎年賃金なり物価が上がってきておるわけでございまして、そのままでほっておきますと、従来福祉年金をもらい得た人がもらい得なくなるというケースが出てくるわけでございますので、少なくとも従来福祉年金をもらい得た人が、普通の状態であれば引き続きもらえるようにしようという考え方で所得制限の限度額を引き上げておるわけでございます。結果的には大体賃金の上昇率に見合っておりまして、たとえば四十四年度から四十五年度の引き上げ率は一三・九%ということで、物価の上昇よりははるかに多うございまして、賃金の上昇程度までいっておる、そういうことが現状でございます。
  75. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 時間の制限がございますので、残念ながら先へ急がしていただきますが、お年寄りの問題に関しましてこのたび国民会議をお開きいただいたということ、これは予算委員会におきまして大橋敏雄議員が御質問を申し上げまして、総理並びに厚生大臣から非常に前向きの御答弁をいただきました。さっそく具体的にその会議を持っていただいたということは、非常に喜びにたえないところでございます。これは老人問題解決の一歩前進であるというように私も考えさしていただきたいと思います。ただ、その内容につきましては、これは決して単なる名目あるいは形式で終わらしてはいただきたくないわけでございまして、第一回の会議を持っていただいた以上、今後その内容を十分に充実させながら、さらに推進をして、老人問題の解決に大いに資していただきたいと思います。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、第一回の会合を持ちましたこの国民会議の今後の内容、また進め方等につきまして、お考えをお持ちであればここで承りたいと思います。
  76. 内田常雄

    内田国務大臣 この件についてお答えを申し上げますが、これは、私は老人に対する課題が、今後日本におきましては、社会的にも政治的にも非常に大きなウエートを占めてくることは争えないという見地に立ち、そこから出発をいたしますが、老人対策というものが、一厚生省だけの閉ざされた考え方から出発するようなことでは、これは国民の同調も得られないであろう。予算の要求をいたすにいたしましても、あるいは制度の立て方をつくるにいたしましても、あるいはまた予算、法律だけでなしに、老人問題というものは国民全体がお互いの先輩をいかに遇するかということにもかかわるものでありますので、開かれた社会における老人についての対策や、また、あとに続く者たちの考え方を築くべきだ、こういうような見地から各方面の方々のお集まりをいただいて、そしてこの問題を盛り上げる機会をつくっていただいて、また、そういう国民の盛り上げの潮に乗ってというとことばが悪うございますが、そういうものを背景として私どもも施策を進めていきたい、こういうところから出発をいたしたものでございます。したがって、これは今後いろいろ案をつくるにいたしましても、考えるにいたしましても厚生省の案ということではなしに、民間有識者の方々を中心とする考え方を基礎にしてこれを盛り上ぐべきだということで——現在まだ確定はいたしておりませんけれども、十数人の方々を、この会議の発起人といいますか、会議の運営委員というような形でお願いをすることにいたしておりまして、その会合はまだ開いておらないわけであります。この九月の十五日から始まります年寄りの日を中心とするいろいろのシンポジウムとか分科会とかいうものを運営をいたしました結果を九月の下旬に集大成して、ひとつ大規模な老人に対する国民の考え方というようなものを打ち上げようということで計画をいたしております。  その計画をいたすにつきましては、いまも申しますような、厚生省の考え方というよりも、各方面を代表する方々を中心とした意見をつくりたいということで運びますので、老人問題の課題というものは、たとえば生活保障もございましょうし、あるいは老後の保健医療というような問題もございましょうし、あるいはまた、いまお話がございましたような、核家族化の社会的な趨勢に対応いたしまして、住宅の問題とか、老人ホームの問題とか、その他いろいろの分野があるわけでございますが、そういう分野につきまして、この会議の中心になっていただけるこれらの方々の御意向を反映して、そしてだんだんこれを盛り上げて  いこう、こういうことにいたしておるわけでございます。したがって、いまこういう案を持ってこの国民会議に臨むのだというところまできておらないわけでございまして、たびたび申し上げるような、私どもの老人政策重視の広い国民との場をつくっていただくということで、これを計画しているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  77. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま私がここで申し上げましたのは、この国民会議が開かれまして、新聞あるいはまたテレビの報道によって非常な反響があったということです。その点であえて大臣のお考えをお伺いしたようなわけでございまして、くどいようでございますが、この内容が名目や形式に決して終わらないで、厚生省はこれだけ老人問題について強力に取り組んでいるんだという実績の上で今後の成果を期待させていただきたいと思います。  次に移らしていただきます。  国民年金についてでございますけれども、先般の改正で夫婦で二万円の年金というふうに呼ばれておりまして、非常に宣伝もされているわけでございますが、これはすでに、申し上げるまでもなく、定額部分が八千円、妻の年金額が八千円、それに加えて所得比例が四千五百円で二万五百円になる。これは確かにこうして制度上は二万円になるわけでございますが、いろいろこの制度に関しましては疑問もあるわけでございまして、これも議論は尽くされているかと思いますが、何といってもこれは実際は先の話じゃないか、二十五年先の話じゃないか。しかも、この中で所得比例の四千五百円の部分についてお伺いをしたいのでありますけれども、これは任意加入制ということに一つ問題がありますし、この任意加入の部分について二五%の国庫補助があるということは、生活力のある方々は、任意でございますから当然入れます。所得比例の部分に加入のできないようないわゆる所得の多少低い方については、この二五%の国庫補助の恩恵が及ばないという点に一つの疑問を抱くわけでございますが、その点いかがでありますか。
  78. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 国民年金制度におきまして、所得比例制度は、いま御指摘のとおり制度上は任意加入でございます。ただし、私どもの気持ちといたしましては、従来の国民年金の給付は定額でございまして、定額ということになりますと、やはり保険料との関係で、どうしても給付が高くあげられないという問題があるわけであります。また反面、所得のある人は、たくさん負担をしても老後には厚い給付をもらいたいという御要望も非常に強いわけでございまして、所得比例制をつくるということは、制度発足当初からの宿題であったわけでございます。ようやく機が熟してきまして、国民年金制度にも定額制度のほかに所得比例制を設けることにしたわけでございますが、何ぶんにも国民年金制度にとりましては初めての新しい制度でございまして、まだすべての人になじみがあるというわけではございませんで、当初からいきなり強制加入にすることもいかがかということを考慮した点が一つと、それから国民年金の被保険者は御承知のように自営業者でございまして、なかなか所得の把握がむずかしいというような事務的な問題もございましたので、制度発足当初は任意加入の制度でまず発足しようということになったわけでございます。  このように任意加入ではございますけれども、これはあくまでも政府が主体になりまして、社会保障制度の所得保障の一環として行なうわけでございまして、これに対しても国がただいま御指摘の二五%の補助をしているわけでございます。ただ定額と比べますと、従来の定額給付につきましては、全体の三分の一、三三・三%に当たりますので、補助はございますけれども、それから比べますと、所得のある人が対象になりますので、国庫補助の率は若干低くなっている、そういう状態でございます。
  79. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 国民の皆さんには、いわゆる二万円年金ができるということで非常にPRしていらっしゃるわけですが、御説明を待つまでもなく、実際にはそうではない。所得比例部分を除きますと、これは一万六千円でございますし、また、片方になりますと、わずか八千円でございます。これはもう十分な老後の所得保障というわけにはいかない。こういった御不満をどう踏んまえていらっしゃるのか。また、特に最初に申し上げましたとおり先の話でございまして、二十五年先ということ、これは過去二十五年をお考えいただければわかることでございまして、経済の変動の激しい今日でございますし、国民の皆さんの今後年金に対する依頼度というものは非常に大きいと思います。そのためにも、これも先般来出ておりますが、具体的ないわゆるスライド制については緊急にお考えいただくべきではないか、この際国民の皆さんの前に明確にすべきではないかということをお伺いしたいわけであります。
  80. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 いわゆる二万円年金ということにつきましては、いま御指摘のとおり、二十五年の掛け金をかけた場合の計算でございます。ただ、年金制度は、俗に長期保険といっておりまして、やはり長期に一定の年限掛け金をかけて、その結果、老後なりその他の事故が起こった場合に、その生活を保障するという事柄の性質上、制度をつくって、すぐもう相当額の年金をもらえるということにはできないわけでございまして、これは年金制度の宿命であろうかと思います。ただ問題は、二十五年先のことだけではございませんで、そのためにはいろいろなくふうをしておるわけでございまして、たとえば国民年金制度ができました当時、五十歳以上、五十歳から五十五歳の人は十年間で年金が出るというしかけがしてありまして、ちょうど四十六年度、明年度がその十年目に当たりまして、明年度から拠出制の十年年金が出るわけでございます。その金額は一人五千円、夫婦合わせて一万円でございますが、これも、かけた保険料に比べて非常に年金額が優遇してあります。さらに、当時高齢者任意加入に加入しなかった人も、もう一回再加入のチャンスを与えまして、さらに五年間の掛け金をかければ年金がつくというように、できるだけ年金権に結びつく人が早く、多くの人が出るようにといういろいろのくふうはしておるわけでございます。  しかしながら、いずれにしましても、今後何年かたちますと、本来の値打ちが出るわけでございます。ただ、その場合に、現在の貨幣価値で二万円といっているけれども、十年先、二十年先では、そういう金額ではしかたがないじゃないかという問題がございまして、いま御指摘のような年金額の実質価値の保持、保全ということが、最近のような物価上昇のときには、年金制度にとりまして最も重大な問題であることは、私どもも十分承知をしておるわけでございます。  従来は、この法律の示しておるがごとく、少なくとも五年ごとに財政再計算をいたしまして、その機会に生活水準、物価、賃金等の上昇を十分に考慮しまして、年金額の改定をしてきたわけでございますが、最近の経済、社会情勢の変化が非常に急速なために、私どもとしては、従来のように五年ごとの改定では追っつかないであろう、その間にほうっておいてはいけないのではないかということを痛感しておるわけでございまして、年金額の実質価値の保持ということを、その五年間どういうふうにやっていくかということを、いまいろいろ具体的な方法を検討しておるわけでございまして、このような情勢に対応して、十分に年金額の保持ということをやっていくつもりでございます。
  81. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 お約束の時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきますが、いずれにいたしましても、こうした各福祉年金の年金額を大幅に引き上げること、あるいは所得制限の限度額をさらに緩和するといったこと、これは国民の皆さんの強い要望でございます。今回の法の改正が、一番最初に申し上げて、三たびこれは申し上げるわけでございますが、消費者物価の上昇分を単に満たしただけにとどまったという点を再確認させていただきまして、これは相当強力に今後この改善につとめていただくことを御要望申し上げ、最後に大臣に、その点に対する御所感を伺って終わらせていただきたいと思います。
  82. 内田常雄

    内田国務大臣 年金の充実につきまして、また、その他老齢者対策等につきまして、古川先生からたいへん含蓄のある御意見をいただきましてまことにありがとうございました。私どもも、できる限りの努力をいたしまして、御期待にこたえる所存でございます。
  83. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  84. 倉成正

  85. 寒川喜一

    寒川委員 先輩の委員諸公からいろいろと御質問がございましたので、できる限り重複を避けたいと思います。  まず最初に、大臣にお伺いしたいのですが、大臣御自身が非常な見識、博学を持っておられて、おことばを承っておりますと、非常に一生懸命に取り組んでやっておられるような感じがするのですけれども、今回出ております立法にあらわれておる内容とは、あまりにも次元的に差があるように思うのですが、どういうところに原因があるのか、御所見を承りたいと思います。
  86. 内田常雄

    内田国務大臣 やはり、それは正直に申しまして、何と申しましても財政上の制約がまず第一だと私は考えるものでございます。それからもう一つは、福祉年金というのは、本格的な拠出年金が成熟するまでのつなぎの制度で、したがって、これを改善することはもとより大切でありますが、やはり最大の問題は、今後本格的に成熟してまいるところの国民年金の問題、あるいは厚生年金の問題をどうしても考えてまいらなければならないというような点もあると私は考えます。
  87. 寒川喜一

    寒川委員 そこで、先ほど局長から、今度二百円上げられたのは物価上昇に見合うというような御答弁があったように記憶いたしますが、二百円というその計算基礎というものが、そういう物価上昇に見合うという理論的根拠の上に立って二百円上げられたのかどうか。私が思いますのには、こういう種類のものは、物価上昇とかそういう性格のものとは基本的に違うと思うのです。したがって、そのものによってある程度の生計を維持しておる、たとえば要保護家庭に対する救護といったようなものについては、当然物価上昇というような見地から判断されて、指数の取り方等に見解の相違がございましても、システムとしては一応私は肯定できると思うのですが、そういう面で、アップ率に関連した二百円というのは、どういう計算で二百円とおきめになったのか、お伺いしたいと思います。
  88. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 先ほども申しましたように、物価の上昇、その他生活水準の向上、そういう要素を勘案いたしましてまるい数字にしたということでございまして、算術上の計算でこれを出したものではないわけでございます。  それから、現実問題といたしましては、過去の引き上げで百円のときもあれば、二百円のときもあるというようないろいろの要素、それから福祉年金というものの性格、そういうものをすべて総合的に判断されまして、結果的に二百円になったというのが実情でございます。
  89. 寒川喜一

    寒川委員 そこで、特に私は申し上げたいのですが、冒頭に申されました大臣の御答弁の中にございました財政的理由、このことが、現時点で法案の内容を見るときに、一番大きなウエートになっておるということは肯定できると思います。  そこで、お伺いしたいことは、先般成立を見ました予算の拡大幅、そういうものと、このときに要する経費の上げ幅と申しましょうか、そういう面では厚生省は大蔵省にかなり遠慮しておるのじゃないかというような感じが私は実はしているのです。皮肉なことを申し上げてたいへん恐縮でございまするが、大臣はなりたてのことだから、あまり就任早々で無理を言えなかったという結果が出ておるような感じがするのですが、これでは私はたいへんだと思います。総理大臣自身も、社会福祉国家の建設、社会保障の充実、そういうことまでキャッチフレーズにした政治活動を展開されていらっしゃるわけで、言うならば、羊頭を掲げた式の感じも受けるし、大臣の御答弁と予算折衝の現状から見まするならば、極端な表現をすれば、巧言令色的な感じもしないわけではないのです。その辺の事情を、どういう折衝の過程でこの程度で終わったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  90. 内田常雄

    内田国務大臣 私が信頼する寒川先生から、まことに意外なおしかりを受けるのですが、四十五年度の予算の取りまとめにつきましては、私は、就任早々ではございましたが、実は大いに厚生省の諸君を率いて大奮闘、大活躍をいたしました。その結果、御承知のように、一般会計の予算で申しますと、予算の伸び率は一七・九%でございますが、社会保障の関係は二一%内外の伸びでございます。絶対額におきましても、昨年の予算は八千億ないし九千億程度が厚生省全体でございましたが、ことしは一兆一千億をこえまして、国の予算全体に占める割合も一三・九%、約一四%というかつてない大幅の引き上げ方でございます。  この福祉年金につきましては、これはいま御指摘がございましたように、月二百円、年二千四百円というような引き上げでございますが、これでも年間の予算にいたしますと八百億円以上を要します。のみならず、拠出制の国民年金、あるいはまた厚生年金におきましても、それぞれ国の助成がございまして、そのほうにも数百億円の支出を獲得いたしておるわけでございます。さらにまた、寒川先生のおことばの中にございましたが、生活扶助費、生活保護につきましても、ここ数年間獲得できなかったのに、この一四%アップというものを、私がほんとうに粘って確保をいたしましたし、あるいはまた、直接の社会保障とはいえないかもしれませんけれども、国民の環境関係の整備、たとえば水道の助成費でありますとか、あるいはまた、いろいろ福祉施設に対する設備費の助成予算とかいうものをはじめといたしまして、各方面に一そんなに最後まてがんばっている大臣はないよと言われるまで実はがんばりまして、当時点数をいささか上げさせていただいたわけであります。しかし、これは出発点のことでございますので、私が来年かりにこのポストにおりましたら、ことしのこの経験を生かしまして、さらに御期待に沿うような努力をする所存でございます。
  91. 寒川喜一

    寒川委員 生活保護とかいうような面での御活躍は、私もよく承知しているのです。ただ、この年金ということにしぼって考えた場合においては、それは金が要るからできぬ——そもそもこういうものは、やはりこういうことをやる、福祉国家をつくっていくのだ、こういうたてまえを立てれば、金が要ることは百もわかった話なんです。そういうことから、先ほど局長の答弁の中にもございましたように、老齢福祉年金の年齢引き下げの問題に要する経費等からしましても、国家財政全体から見れば、これは極端な表現をすれば、もう微々たるものです。そういう感覚でひとつやっていただかないと、大臣が、来年おりましたらというような心細いことでは、私はせっかくの御努力が無になると思います。そういう意味で、国の予算の伸びというものと、こういうものに限定して考えました場合においては、額が非常に少ない。それは先ほど算定基準の際にお話のございましたように、二百円という金額を出す考え方を抜本的に変えてもらわなければ、この問題は片づかないと思うのですが、そういう面について再度お考えをお漏らし願えればけっこうだと思います。
  92. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。予算に縛られましては、社会保障政策、社会福祉政策というものは進展をいたしませんので、金のほうはあとからこいということで——日本の経済がここまで成長いたしまして、これからは人間のための裏づけ政策、人間開発、人間福祉の政策が最重要政策になるわけでございますので、もちろん、そういう前向きの努力をいたします。いたしますが、しかし、とどのつまりは、財政というもので縛られる面も現実に出てまいります。高福祉高負担というようなことばさえも出かかっているわけでありまして、高負担が許されるならば、たとえば社会福祉、社会保障のために特別税を取らしていただく、実は私、内々かねてそういう構想を持っているものでありますが、これがなかなか実現がむずかしいので、私は出さぬわけでありますが、たとえばいま物品税というものがありまして、何千億かの歳入をあげているわけであります。しかし、物品税のないぜいたく品もたくさんあるわけであります。また、この物品税を取っているものとしましても、社会福祉、社会保障のための付加的な特別税だ、それを三年間、五年間認めてくれというような行き方もなきにしもあらずだと、私は実は腹の底のほうで考えているわけでありますが、これは、なかなか実現困難であります。しかし、どうしても金が足りない場合には、私は、国会の皆さん方にも相談しなければならぬ、こういうことにもなるわけでありますが、実はそのくらいの気持ちを持ってやっております。  金額にしますと、いまの福祉年金が年額二千四百円の引き上げというようなことで小さいようでございますが、しかし率にしますと、昨年の福祉年金の予算に対して本年度の予算の伸びは二十何%、約二一%くらいの伸びになっております。さっき申しましたように、金額で申しますと約−八百億をこえまして、昨年の六百何千億から比べますとやはり百数十億、福祉年金だけでもそういう伸び方をいたしておりますので、なかなか一挙に一月五百円の引き上げというようなことを申しましても、むずかしかった点は御了承をいただきまして、しかもこれは金額の引き上げばかりではなしに、所得制限の緩和の問題等、あるいはまた、これから先、対象によっては支給年齢の引き下げなどということも面を広くして改善をいたすべく努力をいたす所存でございます。
  93. 寒川喜一

    寒川委員 次に、所得制限の緩和のことなんですが、いろいろと御配慮のあとはわかりまするが、前段で議論をしてきましたことからいたしますると、わずかの金で——所得制限が緩和されたとは言い条、やはり漏れるパーセンテージがあるのじゃないか、こんな感じが実はいたしておるのですが、将来この問題について、さらに緩和を拡大していくというお考え方をお持ちかどうか、聞かしていただきたいと思います。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
  94. 内田常雄

    内田国務大臣 まことに当然なことでございまして、毎年所得制限の幅の引き上げをいたしてまいりたいと思います。
  95. 寒川喜一

    寒川委員 それから、いわゆる上げた幅に見合った間隔を一歩前進をさすというお考え方、だから所得制限の緩和をすれば全部これで救済をされてしまっておるのであれば、そのシステムで上げ幅に応じて緩和をその幅だけ拡大をしていけば事足れり、そういうシステムに私はなっておらないと思っておるのですが、そうなっておるのかどうか、局長からお聞かせをいただきたいと思います。
  96. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 個々の個人の人にとりましては、特に扶養義務者の所得の場合に、中くらいの所得の人が非常に所得が多くなるという場合もありますので、個々の人の場合にはいろいろのケースがあると思います。一般的な考え方といたしましては、従来福祉年金をもらっておった人が、その後物価なり賃金が上がることによって、基準をそのままにしておきますともらえなくなるということがないように、考え方は、従来もらっておった人が通常の場合引き続きもらい得るという考え方で引き上げをやってきたわけでございます。大体それは物価の上昇率よりも上回っておりまして、賃金の上昇率に見合った引き上げをやってきたわけでございます。ただし、個人の人は、所得が非常にでこぼこのある人もありますので、例外もありますが、一般的な考え方はそういうことでございます。
  97. 寒川喜一

    寒川委員 ですから、本人の所得制限に例をとりましても、今度改正されて六十二万五千円ですか、扶養家族一人の場合。この表を見てみますと、おおむね五万円そこそこまでは緩和されると思うのですが、そういう面からしましても、私はまだまだ足りないような気がする。すなわち、通常の生活の状態から見て全部カバーできておらない側面がありはしないか、そういう意味で拡大をされる意思がないか、こうお伺いをしておるわけなんです。
  98. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 所得制限は、いまお話しのように、本人の所得がある場合と、それから扶養義務者に所得がある場合と二つありまして、いずれも緩和いたしておるわけでございますが、緩和の考え方が若干違いまして、先ほど申し上げましたのは扶養義務者の所得制限の緩和のほうでございます。それから、本人の所得制限の緩和の考え方は、地方税法に規定がございますが、老齢者の世帯には非課税限度額というのがございます。したがいまして、その非課税限度額よりも少ない所得の人、税金を納めなくてもいいような方には福祉年金を差し上げる。逆に言えば、地方税の税金を納め得るような所得のある人は遠慮してもらうという考え方にしております。そこで、本人所得制限は、扶養家族の数によって違いますが、本人一人の場合には従来三十万円でございましたが、四十五年度は二万円上がりまして三十二万円。それに対しまして、家族が一人ふえるごとに従来八万円ずつふえておりましたのが、今回は十万円ずつふえていく。大体税法の取り扱いにならってやっておるわけでございます。それで、税法のほうは、本人所得制限は一応こういう考え方でいくことになっておるのでありますが、扶養義務者の所得制限につきましては、先ほど申しましたような考え方でやっておりますけれども、本人が所得がある場合と扶養義務者が所得がある場合とでは、若干感じも違う場合がありまして、私どもは、特にこの扶養義務者の所得制限につきましてできるだけ重点的に努力したいと考えております。  なお、立ったついでで恐縮でございますが、母子福祉年金につきましては、従来はおかあさんに所得があった場合には、本人の所得制限より少ない限度額で制限をしておったわけでございますが、母子家庭は、その生活の実態から申しまして、大部分はおかあさんが生活の中心者でございますし、子供という扶養家族を持っておりまして、いわば扶養義務者の立場にありますので、今回は本人所得制限の金額をはじく場合に、扶養義務者の所得制限の限度額まで緩和するという措置をとっておるわけでございます。したがいまして、母と子供一人の場合には、四十四年ですと三十八万円が限度額でございましたが、これが扶養義務者の所得制限のところにつけまして、限度額で申しますと六十九万三千円というところにつけまして、約八割以上の緩和をしておるわけでございます。
  99. 寒川喜一

    寒川委員 ひとつ、この種の性格からいって、できるだけ——やらぬという考え方でなしに、あとで御質問申し上げたいことにも関連をいたしまするが、お年寄り等の関係もあって、いろいろと配慮していただくことを希望申し上げておきます。  次は、年金がいろいろな種類ございます。そのことにつきましては、先ほど来質問がございましたので、できる限り重複を避けますが、将来、年金の体系というものをどういう方向に持っていかれるのか、そういうことについて構想があればお聞かせをいただきたいと思います。
  100. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 一般的にいわれておりますことは、わが国の年金制度は、厚生省の所管しております厚生年金、国民年金のほかに各種共済組合がございます。国家公務員共済組合その他の共済組合がございます。それで、一般的には年金制度が非常にばらばらになっておるので、制度を統合すべしという意見が関係の審議会等に非常に強いわけでございます。私どもといたしましても、方向はそのとおり統合すべきものはすべきであるというふうに考えております。ただ、先ほども御質問がございまして、大臣が御答弁しましたように、国家公務員の共済組合なり地方公務員共済組合あるいは恩給、それぞれ制度のできました目的、沿革あるいは対象者が違いますので、そういうものを全く御破算にして、完全な一つの制度にするということは、現実問題としてはなかなかできないだろうし、はたしてそれが合っているかどうかということには疑問を持っております。したがいまして、私としては、できるだけ統合し、あるいはばらばらであっても、給付その他の要件につきまして統一しなければならず、また、し得るものはできるだけすべきである。しかし、それぞれの特性に応じて、それに見合った支給要件なりその内容のものを保持しなければならないものは、それはやはり実態に合ったような制度を残しておくべきものであろうという考えを持っておりまして、できるだけそういう方向でやっておるわけでございます。  たとえば、従来各種年金制度の最低保障額というのがございまして、これがばらばらでございましたが、昨年の改正で、最低保障制度を統一的にきめたほか、あるいは従来、各制度は、自分の制度だけで何十年おらなければだめだ、途中でかわったらその期間がむだになるということでございましたが、最近は、制度が移り変わってもその期間を通算して年金権に結びつけるというようなことをやっておるわけでございまして、なお検討すべき問題も多々あると思っておりますので、そういう方向でさらに努力をしたいと考えております。
  101. 寒川喜一

    寒川委員 そこで、方向としてはけっこうだと思いますが、ただそのプロセスにおいて、現在の制度、いわゆる国家公務員なり地方公務員の共済、あるいは非現業の共済、そういうものを凍結をするといいますか、最近の傾向としては、本来そういうプロパーの職員でないものを吸収するという空気があるような感じを私は持っておるのです。私の承知しておる範囲内では、農林省なり自治省、そういう面で年金の実態というものを検討してみますと、利害得失という、将来の点からすれば、必ずしも地方共済なり農林共済に吸収されることがいいわけではないのだけれども、特定の公務員がそういった団体に転出しておるといいますか、悪いことばでいえば天下りをしておる、そういった人々は、吸収されることによってかなりの恩恵を受ける側面がございます。が、同じような種類の団体がたとえば特に地方公共団体の場合にはあるわけなんで、特定の政治力を発揮する団体だけが法の改正によって地方共済に入っていくという態度、こういうものが見受けられるのですが、このことに対して、年金の体系という立場から、局長はどういうお考えを持っておられるか、この際お聞かせいただきたいと思います。
  102. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 ただいまお話しになりましたようなことは、私もちょっと聞いておるわけでございまして、厚生省といたしましては、いろいろな共済組合がございますが、本来その共済組合に入るべきでない人が、たまたま職業が非常に似ておるというような理由でそちらに入りたいという託が一、二あるわけでございますが、このようなことにつきましては、厚生省としては、先ほど申しましたような考え方に立ちまして、反対の意向を持っておるわけでございます。
  103. 寒川喜一

    寒川委員 そういった問題は、各省と連絡をして、ひとつ体系を乱さないように、将来の方向を見定めて善処していただきたい、このことを要望いたしておきます。  次に、先ほど来から老齢福祉年金の年齢の引き下げ、そういったことについて質疑応答がございましたが、私が特にお聞きしたいのは、厚生省のお考え方で、社会保障の立場で老人というものを一体どういう角度でとらえられておるのか。将来の方向として、やはり年齢が基準になると思いますけれども、金がよけい要るから、ここは老人というのは七十歳であるとか、ここは六十歳であるとか、その他年金の種類によってはもっと下げておる。そういうものについて統一した考え方を打ち立てて措置していくということが、年金の体系を整備し、かつ、合理的な運営をする上に重要な関係があろうかと思いますが、こういう面についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  104. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 考え方といたしましては、いろいろな年金の支給年齢を一定の年齢に統一したほうがいいという考え方もあると思いますが、一方、対象によりまして必ずしもそれが適当でないということもあり得るわけでございます。これも先ほどの御質問で大臣が答弁いたしましたように、たとえば厚生年金の対象者はいわゆる被用者、雇われておるサラリーマンであります。この厚生年金の支給開始年齢は満六十歳となっておりますが、ただし六十歳になっただけではもらえませんで、退職という要件がもう一つついておるわけです。六十歳プラス退職ということが支給要件になっております。ところが、国民年金の場合には、これは自営業者でありまして、いわばサラリーマンの退職というようなことがないわけでございます。そこで、退職という要件がないかわりに、年齢を六十五ということにしておるわけでございます。したがいまして、六十五と六十という点だけを見れば、五歳の開きがあるというふうに感じますが、実際は厚生年金は六十歳プラス退職という要件がございまして、平均的に見ますと、現在は六十三歳くらいが実際の年金をもらう年齢になっておりますが、これはさらに今後年齢が長くなってくる傾向にございますので、実際問題としては、退職要件を加えますと、六十五歳くらいでちょうどバランスがとれることになるのではないか、そういうふうに考えておりますので、やはり年金の対象者の職業その他のことも考えまして、形式的よりも実質上バランスがとれるというようなことも考慮しなければならないだろうと考えております。  ただ問題は、この福祉年金につきましては、一般の拠出の年金と違いますので、年金を差し上げる年齢も、全然別の角度で考えざるを得ないと思います。これは、気持ちとしてはできるだけ多くの老人に多くの年金を差し上げたいのでございますけれども、いろいろ財政その他の問題もございまして、必ずしも十分でないというのが実情でございます。
  105. 寒川喜一

    寒川委員 お考え方、よくわかりましたが、ただ皆さんからもお話しがございましたように、四十六年から拠出年金が動き出すということからすれば、やはり感情の上で、そういう問題は、われわれ政治家、政府も含めて、一体何しておるんだというような議論がかなり起こってこようかと思います。先ほど大臣は、せっかく努力をしたい、こういう御答弁でございましたから、ひとつ誠心誠意、そういう客観情勢の動きに対応するような姿勢で取り組んでいただきたい、このことを要望申し上げておきます。  それから、前の委員会児童手当の問題についていろいろ御所見の開陳がございましたが、その後大臣のお考え方で、おおむねいつから実施することができるかというようなお考え方が固まったかどうか、もしお漏らし願えれば承りたいと思います。
  106. 内田常雄

    内田国務大臣 児童手当の件でございますが、いつから実施するかということについての具体案は、まだ全然、私の手元に審議会のほうから御報告なり御答申をいただいておりません。と申しますのは、従来はこの審議会には一つ二つの試案のようなものが出されておりまして、それを中心にして御論議をいただいておったのでありますが、各方面の代表の方々がおられますし、また、お考えも違うわけでありまして、そうした試案については一致した結論が得られなくて今日までに至りました経緯に対応いたしまして、新大臣の私からは試案を出さない、ひとつ皆さんでまとめられる案をということでお願いをいたしておるわけであります。これはもう少し丁寧に申しますと、要するにその委員の方々を通ずる社会のコンセンサスがなければどうにも動き出さない案なものでございますから、そういうことでお願いをいたしておるということでございます。それを八月ぐらいに、つまり明年度といいますか、その後の段取りに間に合うように御答申をいただく、−こういうことになっておりまして、せっかく御審議をいただいておる最中でございます。
  107. 寒川喜一

    寒川委員 苦衷のほどよくわかりますけれども、えてして役所の委員会、審議会というものは、隠れみの的な役割りを果たす場合が私の経験からもあるわけなんです。そういった意味でなしに、側面から実現をせしめるんだという態度で一いろいろネックがあろうかと思いますが、そういうことを排除していく、このことが、やはり佐藤内閣としても、そういう姿勢を選挙の際にはっきり打ち出されておるのだから、やはり大臣の立場で今後努力されんことを希望いたしておきます。  最後に、先ほど皆さんから老人の問題について国民会議の問題が御質問になられました。私はあのメンバーを見て、いささか、お年寄りが寄ってお年寄りのことを相談されるんだから、これはまあ無理もない話だと思いますけれども、やはりこういうことは、次代をになう人が理解をしませんと、いろいろな負担というものは次の時代の人が解決に力を貸すわけなんで、そういう時点と、同時に経済的に非常に裕福な人ばかりが集まって御相談をされても、やはり感覚がかなり違ってくるのじゃないかということで、将来ひとつそういう運営等については十分な配慮をしていただきたいということが一点。  第二点は、御承知のように、定年制もだんだん延びてきますし、中小零細企業の面では、健康の許す限り、年齢に関係なく働くほど人手が要望されております。そういった中で、やはり就業構造からはみ出した後のお年寄りの対策ということになりますと、労働省に、君たち何かこういう問題について相談を受けたのか、こう聞いてみますと、全然相談がなかったというようなこと等を承知するにつけて、大臣ひとつ、関係方面との密接な連絡と配慮、そういう面について今後一段の努力をしていただきたいと思いますが、もしお考えがあればお述べをいただきたいと思います。
  108. 内田常雄

    内田国務大臣 老後を豊かにする国民会議の構想につきましては、寒川先生からたいへんごもっともの御意見、御批判をいただきまして、私もよくわかります。先ほども私が述べましたように、あれは厚生省が主催するということでは、何と申しますか、国民的視野、国民的規模ということで問題が持ち上がりませんので、あそこに一応載せられたような方々のお名前をお借りしてと申すと語弊がありますが、お名前によってあの会議をひとつ動かそう、こういうことでございまして、新聞に載せられましたその際にも申し述べておいたはずでございますが、あのメンバーもあれで固まっているわけではございません。どなたが見ても、たとえば町村会代表であられるとか、あるいは知事会の代表であられるとかといったような、あるいはその方面の審議会の委員長であられるというような方を一応載せまして、それらの方の御意見もいただきながら、この会議の中心になってくださる方、あるいはその母体とのつながりにおいて有意義だと考えるような方をさらに追加をすることになるだろうと私は考えておるような次第でございます。  また、労働省等ともまだ打ち合わせが進んでいないと思いますが、実はさっきも述べましたように、総理に出ていただくことが一番旗を高く掲げる意味もあるだろうと考えまして、私が総理の日程を相談したものですから、もうプレスのほうは押え切れなくなりました。でありますから、関係方面に十分の連絡がないまま、まだあの構想の構想のようなまま、プレスとの関係上発表させたと、こういう次第でございまして、総理も、おれも出よう、こういうことでございますので、だんだんその連絡なりあるいは組織固めなり運営についての方向づけなりをいたしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしく御協力を駒願い申し上げます。
  109. 寒川喜一

    寒川委員 そういうことになればいよいよもって世間一般からは大きな期待と関心が寄せられると思います。ただ催しだけに終わらないように、精一ぱいの御努力を御要望申し上げておきます。  これで私の質問を終わります。
  110. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 寺前巖君。
  111. 寺前巖

    寺前委員 もう幾たびかいろいろのお方から突っ込んでお話もございましたから、私は基本的な考え方の面を中心にしてお聞きをしたいというふうに思うのです。四点お聞きしたいのですが、まず第一点から大臣にお願いします。  いただきました改正案を見ますると、たとえば老齢年金でいいますと、昭和三十四年の四月に老齢年金二千円であったものが四十五年の七月から八千円になる。それに対して福祉年金のほうは三十四年十一月に千円であったものが千八百円に、そして今度の改正によって二千円になる。たとえば、この一つをとって見ると、老齢年金そのものが決して高いわけじゃありませんけれども、福祉年金の当初つくられたときとの関係で見ると、老齢年金は四倍になっているのに福祉年金は二倍だ。これは障害年金の場合をとってみても、当初二千五百円であったものが一万円、四倍になっている。ところが、福祉年金のほうになると千五百円であったものが二千九百円、今度のこれによって三千百円、やはり二・〇七倍ですか。母子あるいは準母子年金の場合を見ても、やはり同じような、福祉年金の伸び率というのが、年金そのもののほうも決してこれが保障するものにはなっていないのに、それ以上に輪をかけてこのように非常に少ない。これは一体、福祉年金というものを基本に考えられるのか、あるいは拠出制年金のほうを基本にして、福祉年金というのは単なる補完的なものだということに考えられておるのか。この福祉年金というものをどういうふうに見ておられるのか。この問題についてまず最初にお聞きしたいと思います。
  112. 内田常雄

    内田国務大臣 寺前さんに議論は申し上げませんが、これは、先ほども述べましたように、わが国の年金制度は、国民年金、厚生年金というような、いわば年金保険制度を、社会保険制度を中心としてこれを完成していこうという、そういう方向で設定され、また発展をいたしてまいってきております。でありますから、厚生年金保険といいますし、また国民年金保険ということばを使っておりまして、それぞれ保険料の掛け金をする。ですから、一つの社会保険——これは医療保障のほうについても同じであるわけであります。しかし、そういう制度をつくりましても、やはりこれが成熟しないと、この年金の性質上、年金給付ができませんので、その間十年なり二十年なりの期間が必要でございますので、その間のつなぎ、補足、補完として無拠出の全額国庫負担の福祉年金制度というものをつくられたことと考えますので、あくまでも補完でございまして、したがってこれはなくなるわけであります。やがてこれは国民皆年金、みな強制加入でございますので、全部がいずれかの年金保険に入られる時期においては、これはなくなることになるわけでございますので、お尋ねの、どちらが根幹かということになりますと、年金保険、拠出制の年金が根幹であって、これはその間のつなぎである。したがって、私はつくづく考えてみましても、やはりそういう制度をとっておりますので、拠出制を伴わない福祉年金というものは、幾年たちましても何か伸び悩むという点は、正直に申しまして御指摘のとおりでございます。それはいま申しましたようなところから由来するものと考えます。
  113. 寺前巖

    寺前委員 そうしますと、結局老齢年金のほうは四倍、こちらのほうは二倍になっていく。将来はもっと差をつづめていって、結果的には消えてなくなるということになるのですか、大臣。
  114. 内田常雄

    内田国務大臣 はさみ状に差がつくのではありません。福祉年金のほうも、先ほど来御議論がございましたように、いろいろの面で改善もいたします。金額も引き上げます。が、本格年金のほうの成熟のしかたのほうがより早い、こういうことはやはりあるのではないかと思います。
  115. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、結局これは基本的には補完的なものだから、月二千円のお年寄りの福祉年金でもこれはしかたがないんだ、掛け金をかけてやっていく体制の中に入るべきだというのが基本的なお考えだというふうに承るわけですけれども、この辺は見解の相違になるので、これ以上は追及しませんけれども、私はやはりお年寄りとか障害者の皆さんというのは、家族を含めて、年をとられたら大切にするとか、あるいは五体満足で生まれてくることほど親としてうれしいことはないので、もしも五体満足でない場合には将来どうしようかという気持ちから考えていく場合に、やはり無拠出制の社会保障として取り扱っていく福祉年金というものを強化していくというのが、基本的に政府としてお考えいただくべきことではないかというふうに私は思います。  次に、お聞きしたいのは、毎回の国会で附帯決議がなされるわけですね。毎回のを見ておって、毎回同じ問題が論議される。きょうもまたその点が毎回と同じように追及されるわけでありますけれども、一体こういう国会の附帯決議という問題については、希望的な取り扱いでいいというふうにお考えになっているのか。それとも、いや、これは積極的に取り上げなければならないものだ、この項についてはこういうふうにやっていくのだという、一つ一つについて明確に態度をきめておられるのかどうか。前回の附帯決議あるいは前々回、その前、ずっと続いておる。こういう附帯決議に対する政府の態度というのは、どういうふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思うのです。
  116. 内田常雄

    内田国務大臣 今日は民主主義政治でございますし、また法律的にも、国会が国権の最高機関でございますので、その御意思は、当然行政の面にも反映さるべきものだと私は考えます。ただし、予算を伴う事項につきましては、やはり法制局やなんかのほうから御答弁を申し上げたほうがいいのかもしれませんが、いささか特別な取り扱い方があるようでございます。したがって、御決議の中でも、予算、財政膨張を伴うものにつきましては、政府が直ちに御決議のとおりを執行できないものがままあるようでございます。しかし、御決議の段々につきましては、これは従来の御決議を見ましても、金額を引き上げるべしということばかりではなしに、いろいろの面の御決議もございますので、それらのうちで、私どもは全面的に関心と注意を注ぎまして、そうして、でき得る限りの実現につとめてきておるつもりでございます。一挙にできないものにつきましては、分けて実現をするというようなこともいたしておりますので、金額の問題につきましては、いま申し述べますようなことがあるにいたしましても、国会の御意思として私どもは予算を組んだり、あるいはまた要求をいたします場合には、一つのあと押し——ということばは適当じゃないかもしれませんが、国会の非常に有力な御意見として、この面に向かいやすい点もありまして、それがやはり、たとえ金額は少のうございましても、毎年の法律の改正に反映をいたしてきておることはごらんのとおりでございます。
  117. 寺前巖

    寺前委員 年金のことですから、主として金の伴う話だと思うのですよ。しかも附帯決議というのは、各党が共通して公約数としたところの、それぞれの党のそれぞれの思惑はあると思いますよ。しかし、少なくともこの程度のことは考えられるのではないかという責任を持った附帯決議だと思うのですよ。したがって、これは財政的にも責任をもって各党は最大公約数として出しておると思うのですけれども、それが簡単に、財政等ということだけで考えられなくなるというのは私にはわからないのですが、その辺はどうでしょうか。
  118. 内田常雄

    内田国務大臣 これは法律と予算とございまして、予算は一方において歳入と歳出とが均衡を持ってつくられるわけでございます。もちろん、高福祉高負担というような政策も、だんだん取り上げられる時期に来ておるようでございますが、従来は、必ずしもそのために高負担というようなわけにもまいらない。そうすると、どうしても予算の制約を受けるということも現実の問題で、したがって、御決議をいただいたとおりの金額の増幅が行き悩んできておる、こういうことだと思います。
  119. 寺前巖

    寺前委員 私も、それは予算の諸関係できれいな形にはできないだろうということはわかりますよ。だけれども、一つ一つについて、特に毎回毎回同じことが強調されておる問題について、何としてもこの点は、さっきからここに出ておった、たとえば七十歳のものを六十五歳にするとか、一つ一つについて解決方法を、それなりに検討が加えられてなされていかないことには、やはりこれだけ長期にわたって続いておるのは、よくよくその点は問題だというふうに一致して、この委員会か認めておる内容だと思うので、これがあまり長期にわたって続いておるということは、これは政府としても重大な責任問題だと私は思うのですよ、同じことが長期にわたって言われるという場合には。そういう問題で、いまここに出されてきておる問題というのは、みんな長期の問題じゃないでしょうか。だからこれは、政治的にも私は重大な責任を追及されておるというふうに見ておるのですが、その辺、大臣もう一度聞きたいと思うのです。
  120. 内田常雄

    内田国務大臣 責任を追及され、また、一面においては激励を受けておるものと思います。でありますから、私は直接にその決議にお答えするということではなしに、そういうような国会の御意思が積み重っていることを、おのずからその行政の責任に立ちます私が反映を受けまして、先般来この委員会におきましても、何らかの形におい、その支給年齢の引き下げというようなものも手をつけたいということを私みずから申しておるわけでありますが、それは、やはりそういうたびたびの御決議が厚生省におります私どもにも反映をいたしておる結果であると考えます。
  121. 寺前巖

    寺前委員 これ以上は同じことになりますので言いませんけれども、局長にちょっとお聞きしたいのですが、その附帯決議の中で、大幅の引き上げとかそういう問題については先ほどから質問が出ましたので、それは避けて、特にさっきから出ていないのじゃなかったかと思う点で、附帯決議の中で見ると、例の障害福祉年金の級別のものですね。一級、二級三級制度があって、この問題についてかなり広範な人たちが障害福祉年金の二級を入れるとか、あるいはさらに三級まで含めて入れる、いろいろ意見が出ておりますけれども、私はこういう障害者の年金については積極的に検討を加えられるべきだと思うのですが、どのように検討されているか、ちょっとお聞きしたいのです。
  122. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 障害者の問題につきましては、単にこの障害福祉年金だけではなく、いろいろの問題があるわけでございます。たとえば、いろいろな法律に障害者等級という表がありますが、その内容が必ずしも一致していないという問題もあります。それから、いま御指摘の障害福祉年金が一級だけであるので、二級障害福祉年金をつくるべしという御意見も問題としてございます。それからまた、障害問題につきましては、単に年金だけではございませんで、障害者の福祉そのものの対策も厚生省として講じなければならない問題でございまして、こういうような問題を全部ひっくるめまして、厚生大臣の諮問機関であります障害者福祉審議会におきまして、年金の問題、それから年金以外の問題、障害者に関するすべての問題を取り上げまして、障害者対策をどのようにしていくかということを、ただいま御審議してもらっている最中でございまして、その中の重要な問題の一つとして、障害者に対する年金をどようにすべきであるかという問題につきましても目下御審議をしてもらっている最中でございますので、その御審議の結果を待って対処していきたい、そういうふうに考えております。
  123. 寺前巖

    寺前委員 お年寄りの問題とか、障害者というのは働けなくなってきているだけに、こういう附帯決議そのものに対する期待も非常に大きいわけですよ。そういう点から見ると、拠出制年金の加入前の障害ですね。加入前の障害を対象に入れるとか、こういう問題は非常に切実な問題なんですよ。こういう切実な問題に対する態度というのは、やはり次の議会ではどうなるだろうというふうに注目されているだけに、私は積極的にこういう問題が出されてこなければいかぬと思うんですよ。どういう態度をとるかということについて、予算がたとえ関係するにしても、それなりの形で発展方向を出されなければいけないと思うのですが、実際いまの見通しとして、こういうふうにあげられた附帯決議については、どういう見通しで仕事をしようとされていますか、ちょっと聞かしてください。
  124. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 たとえば四十三年度の五月十七日の当委員会の附帯決議、いろいろ内容がたくさんあるわけでございまして、各項目によりましてすでに解決したものもあります。たとえば老齢福祉年金の受給制限の問題は撤廃いたしました。したがいまして、項目によりましてそれぞれ今後の——解決しない問題もたくさんあるわけでございますが、それも項目によっていろいろニュアンスが違うわけでありますが、いまの障害に関する問題は、制度加入前の障害をどう取り扱うかという問題につきましても、これは年金制度という制度論からいいますと、たてまえは制度に加入した後の事故に対して給付するというのがずっと伝統的な年金制度のたてまえでございますので、加入前の障害をどのように取り扱うかということは、やはり年金制度そのものの基本に触れる問題でございますので、かなりやっかいな問題だと思います。ただし、実態は、制度加入前の障害はほっておいていいという意味ではございませんで、そういう方に対しまして年金制度で解決するか、あるいは年金制度以外の他の障害者福祉対策という面で解決するか、解決の方法はほかにもいろいろあるわけでございまして、障害に関する問題は、先ほど申しましたように、一切の問題を含めて審議会でやっておるわけでございます。
  125. 寺前巖

    寺前委員 加入前の問題を考えろということの決議を議会であげたわけでしょう。附帯決議として、考えろという問題を提起をしたわけですよ。そうすべきだという態度、その立場に立って検討しないと、それだったら大臣、財政上の問題だけにしぼられていくと思うのですよ。ところが、いや、それはあり方がどうのこうのになると、国会の決議というのはそれじゃ問題だという言い方に聞こえてくるわけですよ。だから、附帯決議の取り扱いというのを基本に据えて検討はされるべきだということを、私はこの際明確にしておきたいというふうに思うわけです。  時間がありませんので、第三番目に、私どもの党が昨年の十月二十七日に家族手当制度の提案を政府に具体的にやっているわけですよ。私どもの家族手当制度の提案というのは、年金制度がいま出されているような状況下においては、これだけではお年寄りが安心して生活できない。あるいはまた、障害者あるいは子供が未来に向かって育っていくことができない。そういうところから見るならば、緊急に、総合的な無拠出の社会保障としての年金制度ができるまでの問題として、検討すべきものもあるんじゃないかという角度から提案をやったわけですけれども、私どもの党が提案した問題は一体どういうふうにお考えになって取り扱われているのか、この際聞きたいと思うんですよ。
  126. 内田常雄

    内田国務大臣 寺前さんからのただいまの御質問でございますが、児童手当につきましては、各党からそれぞれの対案が発表され、また私どもも拝見いたしております。寺前さんのほうの御提案は、それにさらに老人手当、身体障害者手当、母子加給年金、出産手当というものを加えられておるお話しのとおりの家族手当の制度でございまして、これにつきましては、いま申します各党からの児童手当等の提案をも含めまして、政府のこの問題に対する一つの参考意見として、十分研究させていただいておる次第でございます。
  127. 寺前巖

    寺前委員 それで、さっきからの話、国会の決議からいうならば、財政等の勘案があってむずかしいんだ、できる範囲からやっていくんだというお話がございました。
  128. 内田常雄

    内田国務大臣 むずかしいものもある。
  129. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、具体的に財政問題なんかについても、こういうようにしたらいいんじゃないかという問題も含めて提案したわけですね。ほんとうにこれが検討されたのかどうか、それを私はちょっとお聞きしたいと思うのです。各種の厚生年金、国民年金その他のいろいろな年金の積み立て金がありますね。この積み立て金がほんとうに財政云々と言われるならば、一体これらの年金制度の改善のために使うということで、あの積み立て金がそういう方向に使われてきているのかどうか、内容の変化があるならば教えてもらいたいと思う。現在その積み立てがどういうふうになされているか。
  130. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 現在この年金制度は必要な保険料を徴収しているわけでございます。ただ、制度が新しいために年金受給者が非常に少ないので、−支出よりもはるかに収入が多いわけでございます。その残額は全部大蔵省の資金運用部資金に預託いたしまして、他の政府資金と一緒にしまして財政投融資に使われておるわけでございます。ただし、これは決して大蔵省に差し上げた金ではございませんで、将来制度が成熟化し、年金受給者がふえてきますと、今度は保険料収入よりも支出のほうが多くなることもありますので、将来の給付の財源として現在は積み立ててありますが、今後は重大なる給付の財源というふうになるわけでございます。
  131. 寺前巖

    寺前委員 それで、具体的には預けた積み立て金を財政投融資に使っていくという状況になっているというお話までありましたが、それでは、現在積み立て金がどれだけあって、従来はこれだけのときに、そのうちで福祉に関係する内容の施設に使うためにこれだけの金は使いましたけれども、あとは政府資金として使われていっておりますよ。ところが、このごろは年金制度の改善の具体的なものに使うためにこういうふうに改善しましたよと、金がないと言う以上は、どういうふうに使ったかという問題について明らかにしてもらいたいと思う。
  132. 内田常雄

    内田国務大臣 年金制度は、政府委員から述べましたように、積み立て金が、現在のところにおきましては年間数千億、この厚生年金保険国民年金保険の保険料として積み立てられております。これは二つの角度から運営をいたします。  一つは、これは将来の支払い基金になるものでございますから、安全確実ということがまず第一でございます。したがって、これは株を買うとか、あるいはわれわれ年金担当当局が恣意に運営するということはいたさないで、政府の資金総合機関である資金運用部に預けてしかるべき金利をかせぐ、こういうことでやる面が一つと、もう一つは、それに加えまして、これは資金運用部に入ってしまった金ではあるけれども、もとをただせば国民大衆からの掛け金からなっておるのだから、この金が国民大衆のために、国民社会の発展のために使われるようにすべきである、こういう考え方も私どもは持つものでございます。  これにつきましては、直接的には毎年ふえました数千億円の積み立て金の四分の一を厚生省が取り戻しまして、直接厚生省関係の社会福祉なりあるいは環境衛生の方面に貸し出しをいたしております。これは主として公共団体あるいはその方面の年金福祉事業団等でありますが、残りの七五%につきましても、これはいまもお話がございましたように、財政投融資の財源として、たとえば農業でありますとか、住宅でありますとか、あるいはまた中小企業でありますとか、社会制度の運営上欠くべからざる方面に国民から集めた資金として運用されておる。しかもこれは漫然と運用されているということでなしに、大蔵省のほうに残されているものにつきましても、厚生省が集めてきた金はどこに貸し付けになっておるかというような別扱いの帳面をつくらしておる、こういうことでございまして、私どもがその金を年金加入者の御期待にはなはだ反する方面に流用、運用いたしますとか、制度の本旨をくずすような活用のしかたはいたしておらないつもりでございます。
  133. 寺前巖

    寺前委員 具体的にどうやってくれますか。
  134. 廣瀬治郎

    ○廣瀬政府委員 現在厚生年金及び国民年金の積み立て金の額について申し上げますと、四十四年度末、これは若干見込みが入りますが、両方合わせまして累積額が約四兆円でございます。それから四十五年度の見通しでございますが、厚生年金、国民年金合わせまして約一兆円でございまして、五兆円になる予定でございます。これは積み立て金の利息も累積の中に入っております。  それではこれがどういうふうに運用されておるかと申しますと、ただいま大臣が申し上げましたように、その毎年の積み立て金の増加額の二五%は、いわゆる還元融資ということで厚生省が主管しておりまして、拠出者の福祉に直接役立つようなものに使っておるわけでございます。具体的に申しますと、住宅あるいは生活環境施設、それから厚生福祉施設その他のものでございます。  それから、資金運用部の全体の運用につきまして申し上げますと、資金運用部の運用方針といたしましても、こういう年金原資はできるだけ国民の生活の向上、福祉に役立つものに運用するという基本原則がございまして、四十五年度の計画の内容で申しますと、たとえば住宅に非常にウエートがかかっておりまして、年金資金等につきまして二二%、それから生活環境整備につきましては一八%、厚生福祉施設関係につきましては九%、それから文教、中小企業、農林漁業等ひっくるめまして約一一%、そういう状態になっております。その他一部国土保全、復旧、道路、運輸施設、地域開発にも使われておりますが、これは全体の約二〇%でございまして、国民の生活に直接関係のあるものには大体八割が運用されておる、そういう状況でございます。
  135. 寺前巖

    寺前委員 時間がないのでやめますけれども、こういう福祉関係の問題というのは、国家の予算と、それからそういうふうな年金の掛け金なんかで集めた金、こういうものをもっと積極的に財源として改善のために使うということで打って出なかったら、これは掛け捨てみたいな感覚でものを見たらえらいことになると私は思うのですよ。そういう意味で私は、国会の附帯決議の実現のためにも、また、各党が要望しているああいう施策を実現するためにも、財源問題について大臣が積極的に、財政全体に向かって国民福祉の立場から再検討してもらうように奮闘してもらいたいということを要望して終わりたいと思います。
  136. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩をいたします。    午後二時八分休憩      ————◇—————    午後三時四十三分開議
  137. 倉成正

    倉成委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
  138. 後藤俊男

    ○後藤委員 四月二十二日の朝日新聞でございますが、有機塩素系の農薬BHCの乱用で牛乳等動物性食品が西日本を中心にひどく汚染されているというようなことで、かなり大きく汚染牛乳の問題を取り上げておることは御承知のとおりだと思います。そこで厚生省としましては、全国の八道府県で追跡調査をされた。そうして、牛乳はやはり高濃度に汚染されているという調査の結果をおつかみになっておると考えておるわけでございますが、さらにその汚染に基づいて、農林省にその対策を厚生省としても強く要請されたというようなこともいわれておるわけでございます。  ところでその新聞の報道によりますと、汚染牛乳の問題につきましては、昭和四十一年、高知県の衛生研究所の上田技官のほうから、牛乳の中には農薬が含まれていることを突きとめて、厚生省に全国的な調査をしなければいけないという主張をした。しかしながら、厚生省といたしましては、この高知県の衛生研究所の上田技官の話にもかかわらず、これらのことには全然耳を傾けようとしない、そのまま今日に至っておりますので、BHCの牛乳汚染の問題につきましてはさらにひどくなってきておるというような新聞報道が行なわれておるわけでございますし、さらに、中身におきまして多少違いはございますけれども、各新聞ともこの汚染問題について取り上げておるようなわけでございます。このBHCの汚染牛乳問題について、昭和四十一年高知県の研究所の話が出まして以来、今日までどういうような経過をたどっておるのか、この点について最初にお尋ねいたしたいと思います。
  139. 金光克己

    金光政府委員 BHC等の有機塩素によります牛乳の汚染につきましては、ただいま御説明がありましたように、高知県衛生研究所の上田技師はその当時におきまして全般的な研究をされておったわけでございます。国に対して全国的な調査が必要ではないかと言われたというのは、だれも聞いていないことなんでございますが、そういった研究をされまして、雑誌等にも一部発表をされておるわけでございます。  その当時の調査結果というのは、牛乳ということに焦点が置かれておるわけではなくて、一般の食物と有機塩素系の関連ということで調査されておりまして、当時におきましては特に牛乳が問題としては提起されていなかった。しかも今回の調査でおおむねはっきりしてまいりましたBHCの中のベータBHCという問題につきましては、その当時はまだ十分調査には出ていなかったという実情であると考えております。この有機塩素によります一般食品の汚染につきましては、厚生省におきましても特にトマト、リンゴ等の食べものにつきましては、残留農薬の規制を行なおうということで、昭和三十九年から進めておったわけでございますが、逐次全般の食品についても行なおうということでまいっておりました。そういう状況におきまして、昨年の夏、外国におきましてはDDTのほうを多く使っておるわけでありますが、そういったものの使用につきましての規制が提起されたということと、高知衛生研究所の上田さんから国立衛生試験所のほうに、牛乳のBHCの問題につきまして調査をしておるのだということで相談もあったわけでございます。そういうことで、牛乳の中に蓄積と申しますか、BHCが混入しておるという問題を調査すべきだということで、昨年の七月から、厚生省におきましても国立衛生試験所を中心としまして、先ほど御説明がございました八道府県と共同の研究、調査を進めてきた。それが今回一応まとまったということで、一昨日、食品衛生調査会の二つの部会にかけまして、いろいろと御意見を承って、発表したというような経過でございます。
  140. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま言われましたように、昭和四十一年に高知の衛生研究所の上田技官から、全国的な調査の依頼があったかどうかということにつきましては別の問題といたしましても、ようやく厚生省としては去年の夏に、これはえらいことだというので、腰を上げて、そうして調査を始めた。ところが調査をいたしました結果、BHCの汚染度につきましては、思ったよりかひどい。さらには国立衛生試験所としても、同じような調査をした結果、同じような調査の結果が出た、こういうことであろうと思うわけでございますけれども、その間、上田技官が学術講演会ですか、そういうところにおける講演を行なおうとしておるそのことを、中止をしてくれ、やめてくれというような働きかけをやり、さらには関係者にもきびしく口どめをしておるというようなことも、やはり新聞で報道されておるようなわけです。ですから、少なくとも日本の三大新聞といわれる大新聞で、これだけ大きくこの問題が取り上げられて、しかも厚生省といたしましては、問題がやはり牛乳に関する問題でございますから、及ぼす影響が大きい、できるならば、ひとつひた隠しのようなかっこうで隠していって、最終的には何事もなかったような方向へ進めていこうというような考え方があったのではないか、そういう気がしてならないわけです。(「思い過ごしだよ」と呼ぶ者あり)ちょっと思い過ごしかもわかりませんけれども、あの記事を読んだ限りにおいては、そういう気がするわけなんです。こういういま申し上げましたような経過に基づきまして、それなら一体厚生省として、これからこの問題についてどういうふうに進めようとされておるのか。しかもあの新聞の記事というのは、全国民が読んでおると思います。一本の牛乳を飲むにしましても、まことに不安に思っております。いままで厚生省がやってこられたのと違っておるなら違っておる、安心して飲めるなら飲めるのだということで、可急的すみやかにいずれにしても明らかにする必要があるし、保健衛生上害があるというなら、直ちにその処置をとらなければいけない、こう思うわけです。ですから、現在、厚生省といたしまして、どういう考え方でこの問題を処理されようとしておるか、この点をお伺いいたします。
  141. 金光克己

    金光政府委員 厚生省としましては、先ほど申し上げましたように、昨年の七月から調査研究班を設けまして、調査を始めたわけでございます。実際の実施は、十一月からの実施になっております。それまではいろいろと準備期間があったわけでございます。そういうことでございまして、調査研究班を組織して、調査を始めたわけでございますから、決して隠そうとかなんとかというような考えはあるわけのものではないわけでございます。ただ中途段階で、一部の資料が表に出たというようなことで、いろいろとやかくのことが言われたわけでございますが、さような経過があったわけでございまして、この結果が出れば、発表するということは当然だという考え方でまいっておるわけでございます。その間におきまして、対策といたしましては、有機塩素系農薬の製造を自主的に十二月に中止をしてもらったということでございます。  それから農林省には、結論はまだ出ないが、おおむねこういった傾向だということで、十二月にはいろいろと相談を申し上げております。一月の末には農林省からもいろいろ通達も出されたということで、減少対策につきましても進めてまいったということでございます。  そういうことでまいっておりまして、なお一月、二月の調査——昨年は十一月のものについて調査を進めましたが、一月、二月さらには一部三月の資料等も出てまいりましたので、それで食品衛生調査会の乳肉水産食品部会、残留農薬部会の合同部会を開きまして、専門家の先生方の御意見を聞いたわけでございます。その結果におきましては、牛乳がBHCによってかなり汚染されているということは、もう事実でございます。  そういうことでございますが、大体地域的には北海道とか東北、関東といったところはかなり少ない傾向であり、西日本に多い傾向が見られるということでございます。これにしましても、まだ調査資料が少ないわけでございますから、何県と何県を比較してどちらが多いというようなものではございませんが、全般的にいいますと、西日本のほうが汚染度が高いということでございます。  そこで問題は、人体に影響があるかどうかという問題でございますが、これにつきましては、調査会の意見といたしましては、現段階において健康上心配はない、しかしながら牛乳というものは、根本的にはやはり純正であるべきものだ、不純物をあまり含むべき筋のものではないということと、また、これを長期に持続するということは——長期というのは、一カ月とか二カ月という意味ではなしに、かなりの長期にこれを持続するということはやはり問題がある、こういう結論で、早く牛乳の中のBHCの減少対策を講じなければならぬ、かような結論が出たわけでございます。  そういうことで、従来農林省におきまして、いろいろ調査もされ、牛乳の中にBHCが混入する経路としましては、やはり家畜の飼料でございますが、家畜の飼料の中でも、特に稲わらが問題であるということも調査でだんだん出てまいっております。そういうことで、そういった方策を強力に進めていただくことによりまして、短期間内に減少対策を進める、さようなことを進めてまいれば、決して国民の健康に害を生ずるという心配はない、かような考えでいるわけでございます。
  142. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いまのあなたの御説明でございますと、去年の十二月に、いわゆる農薬の製造を中止したと言われたのですか、その点お尋ねします。
  143. 金光克己

    金光政府委員 これは農林省のほうにおかれまして、業界を指導されて、自主的にBHC入りの農薬の製造を停止したということでございます。
  144. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、これは農林省にお尋ねするわけですが、このBHCの入っている農薬の製造については、現在停止されておらないわけですね。これは工業会で尋ねたわけでございますけれども、中小企業のメーカーでは、現在農薬をつくっているわけですが、農林省としては、この点いかがですか。
  145. 遠藤寛二

    遠藤説明員 私ども指導いたしまして、農薬原体の製造を中止させております。流通過程にありましたものはこれは、パッキングをやるもの等につきましては多少まだ残っておるものもございます。
  146. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまのわかりません。もう少しはっきり言ってください。
  147. 遠藤寛二

    遠藤説明員 もう一ぺん申し上げますと、薬の原体の製造を中止したわけでございます。在庫の原体によります製薬というものは、多少まだ行なわれておるわけでございます。
  148. 後藤俊男

    ○後藤委員 原体というと原塊のことですか。もとになるかたまりのことですか。
  149. 遠藤寛二

    遠藤説明員 どう申したらいいのですか、まあそういうようなものでございますけれども、要するに毒性をあらわします純分でございます。
  150. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いまあなたが言われた、私に言わせるならば原塊というのですかな、これの製造を中止した。ところが、原塊そのものは相当薄くして農薬はつくられると思うわけなんです。大きいのが一個あれば相当膨大なる農薬ができると思うわけです。だから原塊の製造を中止したことによって農薬の製造を中止したということにはならぬと思うわけです。  さらにもう一つは、現在農薬のストック品が二千五百トンからあるといわれております。そうしますると、そういうようなストックの問題やら、原塊の製造は中止しておるけれども農薬の製造については中小メーカーでは中止をしておらぬ、そのまま相変わらず製造を続けておる、こういうことになってまいりますと、厚生省の言われたのと農林省のとっておられる措置とは、食い違いがあるのじゃないですか。
  151. 遠藤寛二

    遠藤説明員 原体製造を中止いたしましたことにつきましては、私どものほうから厚生省にもるる申し上げましたわけでございます。  それから在庫の量につきましては、ガンマBHC換算の原体といたしまして、先生のおっしゃいましたように二千五百トンございます。大体そのうち輸出用に使われるものが、過去の実績から見まして大体七百トソくらいあるだろうという推定でございます。そうしますと、約一千八百トソくらいの農薬が在庫原体によってつくられる。その在庫原体量として一千八百トン、これがつくられる。それが大体BHCの年間使用量と申しますか、原体換算で約三千トソございますので、私どもが指導いたしております穂ばらみ期以後はやめまして、それ以前の稲作に使う量とほぼ見合うものしかつくられないということでございます。
  152. 後藤俊男

    ○後藤委員 この農薬を扱っておる全購連等は現在販売しておるのか販売しておらないのか、どういうことになっておりますか。
  153. 遠藤寛二

    遠藤説明員 在庫いたしておりますものにつきましては販売いたしております。
  154. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、厚生省のほうといたしましては製造を昨年の十二月に中止しておる、そういう説明があったわけなんです。ところが農林省のあなたのほうにお尋ねすると、原塊の製造については中止をしておるけれども、たとえば先ほど言いましたストックが二千五百トンある、その中で約半分くらいは輸出用だ、あとの半分くらいは国内で使うのだ、しかも農協関係の全購連といたしましても販売中止ではなしに販売をいたしておる。こういうようなことになってまいると、一体いま問題になっておるところのBHCの問題についてはどういうふうな方針をとられるおつもりなのか、これはさっぱりわかりませんね。厚生省は、中止をするのだ、こういう話です。あなたのほうは、原塊の製造は中止しておるけれども、ストックがあると、商売がつぶれるから商売だけはさしてやろう。これは極端な言い方かもしれませんけれども、考え方によってはそういう考え方もできるわけなんです。中止するなら中止するで、ストックも何もかも全部、人体に影響ありというのでとめるのがしかりだと思う。さらに原塊だけではなしにこのストックにしてもそうだし、全購連にしても販売を中止するのが当然だと私は思うわけなんです。その辺一体どういうようになっておるのですか。
  155. 遠藤寛二

    遠藤説明員 少しくどくなるかもしれませんが、詳しく御説明申し上げます。  実は先ほど厚生省が私ども農林省も指導しておるとおっしゃいました件でございますが、私どもやっております指導といいますのは、一つはえさに使われます作物、飼料用作物、これは稲を含めましてわらをえさ化する場合でございます。そういうものにつきましては一切使用禁止ということにいたしております。それからその他の作物としておもなものは、えさにしない稲と森林が多少ございます。そういうものにつきましては使用禁止にはしない。ただ、この前厚生省でもデータを出されておりますし、私どものほうでも調査をいたしましたデータに基づきますと、稲の穂の原体ができる時期でございますが、穂ばらみ期以後に使用いたしましたものにつきましては、かなりな濃度のものが出るわけでございます。これは先ほど厚生省からもお話がありましたが、関西地区の特に秋ウンカの発生する地帯、これは八月とかもっとあとになるわけでございますが、そういう時期にまきましたものは非常にたくさん出るわけでございます。それで穂ばらみ期以後をやめました場合には、後期使用いたしましたものに比べまして、BHC残留度が十分の一以下になりました。それでありますので、とりあえず稲につきましては、穂ばらみ期以降の使用を停止する。なぜそういうことにするかと申しますと、一つはBHCはいままでの稲のメイ虫、ウンカの防除薬の半分を占めておるわけでございます。でございますから、直ちに切りかえると申しましても、なかなかかわるべき農薬の生産は間に合わないという面がございます。安全なる範囲をとりまして、穂ばらみ期以降使わせない。穂ばらみ期以降につきましては、カーバメート、低毒性有機燐剤というものを使いまして、しかし前半におきましては、濃度は後期使いましたものの十分の一以下になるというデータを得ておりますので、使用する。ただし、そのものもBHCをまきましたものにつきましてはえさとして使わせないという指導をいたしておるわけでございますが、指導がうまくいくかという御疑問が一つあると思うのでございます。ただ新聞などに書いてある、通達を出してそれでしまいまでいくのかという御議論があるわけでございますので、私どもは、先ほど全購連についても何でそんなものを売らせるのだというお話がありましたが、全購連につきましても、そういう趣旨におきまして、こちらと緊密な連絡をしまして、そういう趣旨に反さないように地域的にも限定して売っておるわけでございます。私ども末端に植物病虫害防除所というものを国の補助で都道府県に何カ所か置いております。そこの職員が防除の指導をいたしますほか、末端に特に稲の防除を中心にいたしまして、防除の補助員とかそういうものを農協職員等に委託しておりますのが、全国に一万八百人でございます。そういうものが末端におきまして防除組織をつくっております。それから防除をやります場合には、防除暦というものをつくりまして、その中でこうこうこういうふうにやれということを厳密に指示しましてまかせるようにしておりますので、その点は相当徹底をすると思います。また、稲わらで現在乳牛のえさに使っておりますものは大体一割以下くらいであるというふうに、これは確実な数字はわかりませんが、推定数字でいわれております。それから乳牛のおります地帯、それから流通しております地帯というものは比較的はっきりつかまえることができますので、そういうものにつきましては厳重に指導してまいりたいと思っております。多少くどくなりましたが、そういうことであります。
  156. 後藤俊男

    ○後藤委員 どうもわかりにくい説明ではっきりわからぬわけでございますけれども、結局こういうことですか。BHCというのは人体の健康上よくない、しかも農薬の中にはBHCが入っておる、ですから農薬を使ったところの稲わらを乳牛に食べさせると、牛乳の中にBHCが含まれることになる。だから、稲わらは牛に食べさせないように強く管理をしていくのだというふうに私は思っておるわけなんです。そこで問題になりますのは、あなたが先ほどから説明されたように、酪農のいなかのほうにおきましては、いままで稲わらといえば自分のところでとったものでお金も何も要らないわけなんです。あなたが言われた一割というのは、これは少ないかもわかりませんけれども、せっかくいままで稲わらでやっておったものを全然使用せずに、お金を出して別の飼料を買って乳牛に食べさせる、そういうような方向になっていくのじゃないかと私は思っておるのです。そのことが一本の通達ではたして実行されますか。その辺のところにかなり疑問があるわけなんです。だから厚生省なり農林省といたしまして、それほど人体に影響のあるBHCが含まれる牛乳の問題でありますから、特に牛乳の問題については、子供なり病人なりが常食のようなかっこうでこれは利用いたしておりますから重大な食糧だと思いますが、それほど危険なものならば、なぜもう少し強力に、しかもすかっとした対策を立てられないものだろうか、こう私は思うわけなんです。しかも、これもけさの新聞によりますと、厚生省としては、調査の結果、BHCの含んでおる量がふえておるという発表をいたしております。ところが、あなたのほうの農林大臣としては、ゆうべでございますか、どうか牛乳は安心して飲んでくださいと、こういうような談話を発表されておるわけなんですけれども、そうなりますと、厚生省と農林省のBHCに対する見解というのは大きな開きがあるのじゃないかと思うのです。これはどう国民は考えたらいいんですか。
  157. 遠藤寛二

    遠藤説明員 自家用の飼料が、稲わらを食べさせない場合になくなりはしないかという御指摘でございますが、自家用の稲わらにつきまして、先ほど申し上げましたように、えさにするものにつきましてはBHCは使わせないということにいたしておりますので、その自家用のえさとして稲わらを用いている農家につきましては指導をいたしまして、BHC以外の薬を使わせて、それで食べさせることができる。あとえさの問題につきましては畜産局の参事官がおりますので……。
  158. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 ただいま先生御指摘のえさにつきまして、農林大臣が昨日牛乳について、このえさとの関係におきますところのBHCについて、談話を発表したわけでございます。これについての御指摘でございますけれども、この大臣談話は、よく読んでいただきますとおわかり願えるのじゃないかと思いますが、私どものほうで、厚生省の食品衛生調査会の問題になっております調査の結果、数字が出たわけでございまして、さらにそれに基づいての一つの見解というものが示された。これを受けてのお話でございまして、御案内のとおり食品衛生調査会の御意見の中に、「いま直ちに危険であるとは考えがたいが、このままの状態が長期間続く場合は、保健上支障をきたすおそれがある。」こういう意見の発表でございまして、今後とも早急に牛乳中のBHCの汚染を減ずることを厚生省として強く農林省に対して要請をされたわけでございます。その結果をいただいたわけでございまして、この安全性の問題については全く厚生省サイドのお考えの結果を、われわれが、危険なものを安全だ、こういうようなことを言おうということは全然考えたわけではございませんで、要するに、なるべく早くBHC汚染を減ずるように、こういうお申し入れでございますので、実は私ども農林省といたしましては、昨年の十二月来、先生御承知かと思いますが、このBHCの関係につきましてのいろいろな、ただいまお話しになっておりますところの稲作に対するところの使用規制あるいは牧草、飼料作物や畜舎内におけるところの使用の禁止といったようなことを早急に手を打ちまして、通達をいたしまして、極力その残留量の減少につとめてまいったわけでございまして、これとて単なる一片の通牒を出しただけではもちろん実効があがらないということで、私どもとしては非常に濃密な末端への指導をいたしたつもりでございまして、実はこの措置を通達いたしました時点が一月二十八日の段階でございます。いろいろと今回の話のもとになっておりますデータは、すでに御説明があったかと思いますが、一月と二月と、それから一部三月、こういうことでございまして、われわれの指導通達、それに伴いますところの実際の指導、こういうものの徹底期とはやはりややずれておりまして、そういう意味合いにおいてその効果がはっきりあらわれた数字ではないという点が、残念ながらあるわけでございます。そういったことで、おそらく現段階ではそうした末端の適応性というものが発揮されまして、そうした数値等もかなり減少の段階に入っているのではないか、こう思われるわけでございまして、そうしたことを含めまして、しかしながらなおこういう厚生省サイドのお申し入れがあったわけでございますので、一段とこれを強化いたしまして、さらに通達等も——昨日でございます、あらためてもう一度各地方に通達をさっそく出したというような次第でございまして、これに関係いたしまするところの官民一体になりました徹底体制というものを全組織をあげてやろうということで、再度昨日そうした措置をとったわけでございます。  さらに時点的に申し上げますと、現段階に入ってまいりますと、先生御案内のとおり、牧草、飼料作物、野草といったようなものも十分にこれを自給できるという時点になってきておりますので、稲わらを非常にたくさん使います時点とはまたずれてまいっておりますので、決してそのBHCの残留量が前に増してふえてまいるというような状況ではない、こう考えますわけで、そうしたことを含めまして昨日の農林大臣談話では、現段階においては消費者におかれても特に御心配はないというぐあいに思われるのでということを申し上げたわけでございまして、農林省といたしまして別段厚生省と全く反対のことを言うというようなことではございませんで、両者の間には全く乖離がないというぐあいに考えているわけでございます。
  159. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、農林省のほうとしては昨年の十二月から今日までいろいろな措置はとってきた。ところがことしになって一月、二円のデータを見てみますると、長崎のごときは、WHOですか、世界保健機構の安全基準の三十倍からの含有量を発見しておる、こういうようなこともいわれておるわけなのです。そうなれば、この牛乳を飲んで直ちにどうこうということではないけれども、これを長く飲み続ければいわゆる健康上害があるのだ、だからこのBHCの問題については早く何とか考えなければいけないというのが今日の情勢だと思うわけなんです。そうなってまいりますと、先ほど農林省の言われた原塊については、これは通産省だと思うのです。この製造については農林省じゃないんですよ。農薬になってくると、これは農林省になるわけなんです。そこで問題が起きてくると厚生省に移ってくるわけなんです。これはアメリカあたりにおきましては、農薬、こういう関係については厚生省が一本で扱っておるというようなことで遺憾なく処置されておると私は聞いておるわけでございますけれども、先ほどからのわずかな時間の質問に対しましても、厚生省なり農林省なり通産省というようなことで、これは各省にわたりますと、なかなかこの問題に対する措置すら、いわば行政の一元化というのが行なわれないような気がするわけなんです。その一つのあらわれとして、私が先ほど言いましたのは、たとえば厚生省のほうとしては、BHCの問題は、これは早く処置せなければいかぬ。一月、二月のデータを見ましても、かなり含有量が多い。いますぐどうということではないけれども、それが永続するとたいへんなことだ、こういうことで、いかに処置してこれを防ぐかというようなことで考えておられると思うのです。ところが、一方におきましては、農林大臣が、簡単に言えば、わあわあ騒いでおるけれども、御心配いりませんよ、牛乳は安心して飲んでください、これからは稲わらを食わさぬようにしますから、おそらく次に出てくるデータは含有量も減ってくるでありましょうから、だから安心してひとつ牛乳を飲んでくださいという談話を、農林大臣としてはやっておるような気がするわけなんです。そうしますると、厚生省と農林省の考え方が、もうここに食い違いが出てきておると私は思うわけなんです。しかも、一般の国民として受けておるのは、私が言ったような気持ちなんです。きょうの新聞の記事にもこれは書いてあります。BHCの使用を禁止したといわれても、ほんとうにその後使われていないのか、チェックする体制が一体あるのか、農林大臣の説明を信用するわけにはいかない。すでに製造、販売されたBHCはどこにどういうふうな形で保管されているのかもわかるまい。今後引き続いて牛乳を検査し、汚染されていないことが科学的に証明されたときに、安心して飲んでほしいというのならばともかくも、まだまだ疑わしい段階で、一片の通牒を出したくらいで、安心して飲んでくださいというような軽々な扱いは承知できないと、これはある一主婦が言っておるわけなんです。私自身がそういうふうにも思うわけなんです。これは厚生大臣、いかがですか。
  160. 内田常雄

    内田国務大臣 食品の安全性、また、その重要性につきまして、後藤委員から御警告をいただきまして、私は十分ここで拝聴をいたしておりました。  結果論になるかもしれませんが、両三日前、私どものほうで発表をいたした八道府県の牛乳におけるこのBHC含有の状況の調査結果は、すでに御承知のように、一月、二月、一部は三月に入ったものでございまして、この時期には青草がないということで、主として乳牛の飼料が稲わらによらざるを得ないという地域が相当ある。しかし、これからだんだん青草がはえてきておるので、かつはまた、こういうことが公に取り上げられて、農林省もいろいろ対策を講じてくださることであるから、これから少なくとも市場に出回る牛乳というものは、この間の私どもの調査資料におけるよりも、BHCベータの含有量は当然少なくなる、こういうことは、私も大臣としていま私どものほうの当局から報告を受けておりますので、これから先は、いまのような、あの資料のような悪い状態のものではないと思います。しかし、この青草が出て、そして稲わらを牛に食わせないでも済む時期の間に、この稲わら対策なり、飼料対策なり、あるいはまた、それらに対する農薬としてのBHCの使用規制などについても、十分その施策を立てておくべきだ、正直のところ、こういう気持ちでございます。  なお、これはまた後藤さんに、専門家でない私がことばを返すのは恐縮でありますが、私が大臣として当局から報告を受けておりますところによりますと、BHCといっても、アルファとかベータとかガンマとかいうのがございまして、WHOまたFAO等の許容基準として設定されておりまするBHCの種類は、今回のベータではなしにガンマである。したがって、すでに両三年前に、リンゴでありますとか、ブドウ等々の果実につきましては、このBHCの許容基準に従いまして、厚生省も農林省も、その手配をいたしまして、使用規制をいたしておるわけでございます。ところが、このベータにつきましては、いま言うような国際機関の基準も、その許容限度についての表明もないものだそうでございます。同じBHCと申しましても、ベータとガンマとは違うものだ、こういうことで、私も初めて理解をいたしたようなわけでありますので、そこで、ベータにつきましても、むしろ場合によっては、その国際機関にさきがけて、こういう事態に直面いたしましたわが国の研究機関がこれを打ち立てて、WHOのほうに通報をするぐらいの、それだけの先駆性、先導性を持ってしかるべきだ、しっかりこれもひとつ研究してほしいということを私から当局に申し渡しておるわけであります。  幸いこのベータにつきましても、実はすでに国立衛生試験所で動物実験を始めておるそうでございまして、その中間報告によれば、私がいま申し述べたようなこと、あるいは、農林大臣が昨日談話で語られたようなことと結びつけて納得がいけるような、そういう中間報告だそうでございます。しかし、これはさらに継続をいたしまして、そうして毒性試験もするし、さらにまた、その三月以降における青草の時期における牛乳におけるBHCの残存状況などにつきましても、国も本年度の予算をもって、また、地方団体等にも、八団体よりも、場合によってはさらにこれを広域について徹底的に調査をいたしまして、そうして農林省にも十分な対策を立てていただかないと、これは私のほうは被害者みたいなものでありますが、しかし、苦情は被害者から出しませんと、これは農林省に見過されてもたいへんでございますので、後藤先生と同じ思いで対処を厚生省としてはいたす考えであります。
  161. 後藤俊男

    ○後藤委員 じゃ、農林省としまして、先ほどからいろいろ御説明いただいたわけでございますけれども、最終的に確認をいたしますと、続いて追跡調査は行なう——これは厚生省でございますか、それはおやりになると思います。現在とるべき処置としては、BHCを含んでおるところの農薬、この製造は中止をする、つくらせない。聞くところによりますと、BHCにかわる薬があるそうですね。だから、必ずしもBHCを使わなくとも農薬はできると、こういう話も聞いておるわけなんです。ですから、農林省としては、いま言いましたように、BHCを含む農薬は一切製造させない。さらに、全購連等の販売を直ちに中止をする。これはストックが二千五百トソあるわけでございます。これは国外向けならいいが国内向けなら悪いという考え方は、これはどっちが正しいかわかりませんけれども、このストックについても処置をする。さらに、稲わらの問題につきましては、一本の通達では十分じゃございませんけれども、全組織をあげてこれは厳重に取り締まっていくんだ、こういうような方向をとるべきだと私は考えるわけなんです。それと、さらに一歩突っ込んで考えますと、現在市中に売っておるところの牛乳には、所によってはBHCが入っておるわけなんですね。それを平然とみな、一日に多い人は五本も六本も飲んでおるわけです。現実に飲んでおるわけなんです。そうしますと、先ほどの厚生大臣の話じゃございませんが、WHOの許容基準というものはどうなっておるかは私は知りませんけれども、日本における牛乳の中のBHCの許容量と申しましょうか、許容基準ですね、これ以下ならだいじょうぶです、これ以上はだめなんです、そういう許容基準を早急につくるべきではないかというふうにも私考えておるわけでございますけれども、この点農林省として、いま私が申し上げました点に対して、全面的にその方向で進めていくのかどうか。これは二重になるかもわかりませんが、この点をもう一ぺん、当面とるべき措置としての方針の説明を伺いたいと思います。
  162. 遠藤寛二

    遠藤説明員 御質問のありましたうちの第一点は、まず製造中止にかかわる問題でございますが、これは原体の製造は中止いたさせておりまして、今後とも原体の製造というものの中止を継続していきたいと思っております。ただし、原体としてストックのございますものを製造いたしますものについては、先ほど申し上げましたように、ただいままで何ぶんにも農薬は稲のメイ虫防除あるいはウンカ防除のうちの半分を占めておりますので、かつ、前半期の使用におきましては残留量が非常に少ないということは厚生省なり私どもの調査でもわかっておりますので、穂ばらみ期以降の使用については厳重に使用を禁止いたします。  それから、えさになります作物につきましては、これはもちろん稲でありましても、これをえさとするということがわかっておるものや、ないしはおそれのあるものにつきましては、先ほど申し上げました末端の組織を通じまして厳重に指導をいたしまして使わせないというようにいたしてまいりたいと思います。  私ども、農薬の取り締まり関係、指導関係はそれでございます。
  163. 金光克己

    金光政府委員 安全許容量の問題でございますが、先ほど大臣から御説明がございましたように、国立衛生試験所でサルを使って実験をいたしておりまして、現在三カ月を経過しておりまして、一応の中間結果は出ておるわけでございます。出ておりまして、この結果に基づきますと、いままで調べた最高値、長崎県等の最高値でございますが、それと比較いたしまして、大体安全許容量のすれすれの線と申しますか、若干最高値が上回っておる、そういう程度でございますが、これはやはりもう少し研究を続けてまいりませんと最終的な結論は出ないと思いますので、できるだけ早急に結論を出したい、かように考えております。
  164. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま言いましたのは牛乳の問題ですけれども、牛から取れるものは牛乳だけじゃないと思うのです。バターもあればチーズもあると思うのです。特にバターの中にはBHCの含有量が多いともいわれておるように私聞いておるわけでございます。そうなりますと、いまあなたが説明されました牛乳のみについて動物実験をやって、これで安全でございますよ−−ところが、それ以外にバターを食うわ、チーズを食うわ、さらには乳牛でありますから、乳牛から取れる牛乳にBHCが含まれておるなら、肉は一体どうなるのだというような問題もいろいろ出てくるわけなんです。そうなりますと、いまあなたが言われた動物実験をして、これでだいじょうぶだということは、人間は毎日牛乳も飲めば肉も食べる、バターも食えばチーズも食う、こうなってまいりますと、BHCがすべての品物に含有されておるような気がいたしますから、総合的な調査をしないことには安全基準というのは出ないような気がするわけなんです。牛乳だけの動物実験では、これは問題にならぬと思うのです。この点はいかがですか。
  165. 金光克己

    金光政府委員 先ほどの説明、ちょっと舌足らずでございましたが、安全許容量というものは一日の摂取量を考えて出すわけでございまして、動物実験は大体動物の一生と申しますか、一生食べ続けても安全な量を出しまして、それにいろいろな因子が入ってまいりますので、さらに百分の一以上の安全率をかける、こういったものが国際的な一日の安全許容量ということになっておりますから、そういう考え方でやる安全許容量でございまして、許容限度、これを越したら病気になる、そういう意味ではないのでありまして、相当幅を持った安全許容量、そういうことでございます。
  166. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまの話はわかりますけれども、ひとつ私の聞いたことに答えてもらいたいわけです。
  167. 金光克己

    金光政府委員 バター、チーズ、肉でございますが、こういった肉とか乳製品につきましても、この調査研究班で調査をすることにいたしておりまして、当初調査を始めたのでございますが、牛乳に全力を集中いたしまして、いま継続中ということでございます。いままでの経過で若干の資料は出ておりますが、やはり乳製品の中には牛乳よりは濃度としては多いわけでございます。しかしながら、量的にはこれは少ないわけでございまして、まず問題はないと思うのでありますが、しかし、一日の安全許容量は、こういったものも牛乳も含めて人間の摂取量から考えていかなければならぬわけでございますから、今後そういった立場で研究してまいりたい、かように考えます。
  168. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 ただいまバター、チーズのお話があったわけでございますけれども、確かにBHCは脂肪分のところにとどまるというような性質があるようでございますけれども、御案内のとおりバターにつきましては、要するに国内の全国至るところでつくっておるというわけではございませんで、材料となりますものは大体北海道、東北地方という原料乳地帯の乳を使うわけでございまして、市乳地帯とはまたおのずから違ったところでございます。今回の数値をごらんになりましても、東北、北海道は非常に低い数値の出ておるところでございまして、そこで、それを材料としてつくっておりますので、バターについてただいま早急に非常に問題があるというふうには考えておりません。  さらにチーズ等につきましても、これは御案内のとおり、プロセスチーズの原料になりますところのナチュラルチーズにつきましては八割方が輸入物でございまして、国内の牛乳を使っておるわけではないのでございます。その辺のところも、もちろんいま環境衛生局長からお話がございましたように、このものについてなおざりにするというわけではございませんけれども、当面牛乳とはやや事情が異なるということで、この点はある程度御安心を願いたい、こういう感じがいたします。
  169. 後藤俊男

    ○後藤委員 厚生省として御説明がありましたけれども、これからバターなりチーズなり牛乳なり、疑わしい品物の調査をやって、許容限度ではなしに安全許容基準ですか、そういうものを出したいのだ、こういう御説明だったと思うのです。そうなりますと、いま世の中でこれだけ騒いでおるのに、これから調査していいか悪いかきめますので待ってくださいという姿勢のように聞こえますが、それで一体いいのですか。  さらに、これはもう一つ農林省にお尋ねするわけでありますが、先ほどの説明が原塊の製造については禁止をいたします、ストックが二千五百トンありますけれども、これは使います、農協あたりも引き続いて販売をしていただきます、こういうような説明であったと思うのです。そのかわり稲わらを使用させないように徹底的に行政面から押えて規制をいたします、ですから、それを売ったり使ったりストック品を販売したりいたしましても心配はございません、こういう説明だったと思うわけです。  そこで、私考えますのは、なるほど三月、四月、五月になってまいりますと、これでは心配がないというデータが出るかもわかりませんけれども、現在のところは稲わらがその原因であろう、ですから、稲わらさえ食べさせなければ、青草を食べさせれば、この含有量もどんどん減ってくるから心配ないだろう、こういうような予想のもとにそういう方法をとられるような気がするわけなんです。  そこで、最終的に言わんとするのは牛乳メーカーなりその他の企業を守るのが大切なのか、人間の命を守るのが大切なのかというところにいくような気がするわけです。そういうような点を考えるときに、ここ二月、三月待てば、その結果のデータは出てくると思います。これで安心であるというデータが出るまでは、原塊だけの製造を中止するだけではなしに、農協関係の販売におきましても一時中止をする、これで安心であるという確証を得るまでは中止をする、あるいはストックの二千五百トンにつきましてもこれは利用させない、これくらい強力な姿勢をとる必要があるのではないか。あとになってから、やれしまった、えらいことだなというようなことでは、これはたいへんな問題になると思いますので、そこまで人の命に関係のある大事な問題でございますから、一歩進んで強硬なる態度で進むべきじゃないかというふうに私としては考えるわけなんであります。最終的に厚生省と農林省ともう一ぺん、当面とるべき態度についてきちっとした明確な回答をいただきたいと思います。
  170. 金光克己

    金光政府委員 最初に、御説明いたしました安全許容量の問題でございますが、それはガンマBHCにつきまして、大臣からお話がありましたように、WHO、FAOの基準があるわけでございますが、ベータBHCにつきましては国際的にないというような状況でございまして、日本でいま実験を始めておるというような状況でございます。したがって安全度につきましては、いままでのガンマBHCの毒性、あるいはベータBHCの別の面からの毒性等を勘案し、また日本でやっております実験の結果からいろいろと判断しておるわけでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、早急に実験を進めて基準をつくりたい。  それから今後の厚生省の対策としましては、これも大臣からすでに御説明ございましたように、現在進んでおります国立衛生試験所と各都道府県の調査研究は続けていく、また幅も広げてやっていくということと、また各府県におきましてもいろいろと計画的な検査体制を進めていく、かような考えでまいりたい。そういうことによりまして、牛乳の中のBHCの減少対策を積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
  171. 遠藤寛二

    遠藤説明員 先ほどのお答えと同じようなお答えになるわけでございますが、私どもももちろん農業生産をやるのと人間とどちらが大切かということになりますれば、もう言わないでもわかっていることでございますが、私どもといたしましても常々ほかの農薬につきまして、またBHCにつきましても、他の野菜何種類かの作物につきましては、厚生省に許容基準量をきめていただきまして、それに従いまして使用基準をつくりまして、その濃度以下になるような使用方法というものを規制して、いままでそれを守ってきていたわけでございます。ものによりましては許容量ゼロということになりますと、そのものにつきましては全面的に使用禁止というような措置を従来もとっております。私どもといたしまして人命尊重、ないしは病気になっても何になってもいけないということは十分承知しておりますので、厚生省からそういう基準のお示しがあれば、私どもはそれによって対処するということを従来もとってまいりましたし、今後もとってまいるつもりでございます。その点につきましては、私ども確信を持ってお答えできるわけでございます。  ただBHCの稲に対する問題につきまして、これはBHCが出ていれば稲は食べさせなくても、ほかのものにまくではないかという意味にもひとつとれたわけでございますが、大体ほかの作物、野菜につきましては、いままでもおもなものにつきまして許容基準がきまっております。それからBHCの用途というのは稲が大部分でございまして、幾らか森林関係にもございます。そういうものでございますので、稲の規制というものを厳重にいたしてまいりまして、私どもまたいまから準備をいたしておりますけれども、先ほど申しました穂ばらみ期前になりましたら、もう一度重ねて徹底的な指導をいたしまして、それ以上まかせないということはもちろんでございます。もう一つ、えさに使うということがわかっているものにつきましては、今後まく話でございますから、それにつきましてはまかせないという指導を徹底いたしてまいる。それしかいま申し上げられない次第であります。
  172. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 私ども畜産行政の担当者の側からいたしましても、ただいまお話がございましたようなことを一生懸命やってまいるわけでございますが、ことに今回の問題に関しまして、乳業メーカーとかそういった企業側のメリットを考えて消費者のことを考えない、人命をどうするのだというようなおしかりでございますけれども、私どもといたしましてはそういうことはないわけでございまして、先ほど官民の全組織を通じてと申し上げましたのはその意味でございまして、この件に関します限り、乳業メーカーも生産者もこれは自分のことでございますし、問題がやはり先生御指摘のとおり非常に重要な人間の命にかかわる問題でございますので、その点そういうような妙な立ち居ふるまいはございませんで、非常にわれわれと協力的にやりまして、これの推進体制の一環の中に繰り込まれて大いに努力していてくれるわけでございますので、一言申し上げておきます。
  173. 後藤俊男

    ○後藤委員 いろいろ論議をいたしましたけれども、結局はあとになって取り返しのつかないようなことにならないように、とにかくこれだけ現在問題になりつつある、しかも命に関係のある事件でございますので、万遺憾のない対策を立てていただいて、しかも全日本国民が安心して牛乳が飲めるようにしていただくことが、これは大切なことである。これは早急にやっていただきたいと思うわけです。  きょうは農林大臣なりほかの大臣はおいでになりませんで、厚生大臣だけでございますけれども、特に先ほどちょっと触れましたように、原塊の問題は通産省だ、農薬になりますと農林省だ、これに問題が出てくると厚生省だ、こういうふうなことで、各省ばらばらなやり方自体が、この問題を処置するにあたりましても非常にむずかしいことになるのではないかと思います。特にこういう問題につきましては、アメリカあたりでは厚生省一本というような形でやっておって、成果もあがっておるということを聞いておるわけでございますけれども、そのことも含めて今後の問題として十分ひとつ検討していただきますようにお願いをいたします。  終わります。
  174. 倉成正

    倉成委員長 古寺宏君。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 ただいま後藤委員からもいろいろと御質問があったのでございますが、昭和四十四年の十二月二十六日に食品添加物の規格基準の一部改正がございました。このときにガンマBHCの規制があったようでございますけれども、この時点において、なぜ乳牛のほうの飼料の規制というものが行なわれなかったのか、この点が第一点でございます。  それから先ほどの御質問にもございましたけれども、高知県の衛生研究所の上田技官が昭和四十一年に、牛乳の中にBHCなどの有機塩素系の農薬が含まれている、そういうことで厚生省に対しまして、国として全国的に牛乳中の農薬調査をすべきである、このように要望しておりましたけれども、なぜその調査を実施し、その対策を講じなかったのか、その二点についてまずお伺いいたします。
  176. 金光克己

    金光政府委員 食品の中のガンマBHCの問題につきましては、昭和三十九年から残留農薬の基準をつくり始めておるわけでございまして、四十三年、四十四年にわたりまして、十二食品につきまして残留農薬の基準をきめておるのでございます。その中にそのガンマBHCが入っておるわけであります。そういうことでございますが、なぜ牛乳の中のBHCというものが取り上げられなかったかということでございますが、これにつきましては、牛乳と残留農薬の関係は、高知県衛生研究所で四十一年ごろから研究が進められております。そういう状態でございますが、その状態において、まだ学会におきましても特に牛乳との関連において問題が大きいといいますか、取り上げなければならぬというほどの受け取り方ではなかったという経過だと考えております。そういうことで、牛乳等あるいは乳製品等につきましても調査すべきだという考え方はあったと思うのでございますが、そう深刻な考えというほどには受け取っていなかったということで経過してまいっておりまして、そういうことでだんだんと調べておる経過におきまして、高知県の衛生研究所が国立衛生試験所にかようなる状態だということの連絡が昨年ございまして、それを契機としまして厚生省におきましても調査研究班をつくって本格的な調査を始めたというようなことでございます。一つには、やはり乳というものには本来不純物はあまり混入しないというような考え方が実はあったわけでございまして、そういう防御的な機能を持っているという考えが実はあるわけでございます。そういうことでありましたが、たまたまベータBHCというのは油の中に残存しやすいという性格を持っております。そういうことで、特にベータのBHCが今回大きくわかってきた、かような経過でございます。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、四十四年の十二月の改正の時点においてガンマBHCの規制をいたしております。この根拠はどういう根拠があってこういうふうに改正が行なわれたかということをお伺いしたいわけです。
  178. 小島康平

    小島説明員 残留農薬の許容基準の設定でございますが、私どものところでは昭和三十九年から残留農薬の実際の残存量と毒性と、それからどういうまき方をしたらどのくらい残るか、そういったような調査を続けてまいりました。そうして現在までに十二食品につきましてBHCあるいはDDT等の残存をきめておるわけでございます。このきめました作物はいずれもDDTとBHCを直接に使う作物でございますが、私どもはそういった資料をもとにいたしましてこういう計算をしております。つまり毒性を検討した結果から、あるいはまたBHCの場合には国連のWHOとFAOできめた許容量というものがございます。それ以上を人間が一日に摂取しないようにということで、一日の人間の野菜の摂取量あるいは米や何かの摂取量、そういうものから、ある野菜にこれだけBHCが残っていた場合には全体としてどのくらい人間のからだに入るかという計算をいたしました。そうしてそういうワクの中で、しかも実際に残っている量を考慮してきめていくわけでございます。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 そうしてそういう量が守られるようなBHCの使い方などを、農林省のほうでまき方としておきめいただく。そして一緒に省令で告示をするというやり方をしております。この場合に、実際の摂取量はどういうやり方をするかと申しますと、たとえば私どもは野菜は一日に大体九百グラムくらい、これは実際に口に入る量じゃありませんで料理する前の量でございますが、そのくらいの量を食べる。また穀類は四百五十グラムくらい食べます。穀類には大体どのくらい、野菜には大体どのくらい、非常にたくさん残っていた場合を推定いたしまして、野菜の中のたとえばトマトにはこれだけ残っている、全体の野菜としてはこのくらいになるだろうという推定をしてみまして、私どもとしましては一つ一つの野菜を全体を総合して一日の許容摂取量を越えないようにという計算をしてやっておるわけでございます。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、このいわゆる許容量というのは、これは人間だけではなしに、動物においても当然こういうことが言い得るわけでありますか。
  180. 小島康平

    小島説明員 これは動物につきましてどのくらいの許容量を考えるかということにつきましてはっきりしたデータはないわけでございますが、先生の御質問の意味がちょっとはっきりわからないのでございますが、動物を通じて人間にということになりますと、これは私どもも考慮いたしておりまして、WHOあるいはFAO等では、直接にBHCを使いませんで、草についたり作物につきましてそれが動物に入る、その動物の肉とか牛乳につきましてはやはりある程度残ってくる、そういうものを人間が一緒に食べるじゃないかということで、そういった肉や牛乳につきましては実際にどのくらい残っているかという量を調べまして、そういう量を一緒に計算をいたしまして、そうしてそういう牛乳や肉からくる量を許容量のうちから除きまして、残ったワクの中で野菜やあるいは穀類にBHCを使う、そういう考え方で全体として計算して総合するというやり方をとっております。
  181. 古寺宏

    ○古寺委員 当然これは人間だけではなしに、直接こういうものを食べている動物にも毒性は影響するということはわかるわけでございます。そこで全国の八道府県でありましたか、それから国立衛生試験所において毒性の試験が行なわれたわけでありますが、その予算がわずかに六十万円でございます。しかも当初は牛乳、肉、卵あるいは淡水魚もこれは対象としておったわけでございますが、その後は牛乳の試験しか行なっておらない。一体今年度においてはどのくらいの予算をもって今後この研究を続けていくのか。  さらに先ほどもお話がございましたが、ガンマBHCについてはいろいろ許容量の問題も出ているようでございますが、アルファあるいはベータあるいはデルタBHCについては現在はっきりしていないわけでございます。いろいろな毒性が将来研究の結果はっきりした場合に、現在とっておるところの農林省のような対策あるいは現在の厚生省の考え方で、はたしてこれで安全であるかどうかということは非常に疑わしいわけでございます。今後の厚生省の考え方と申しますか、現在の時点におけるこの措置でもって十分危険がないかどうか、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
  182. 金光克己

    金光政府委員 結論から申しますと、牛乳の安全性につきましては現在のところは心配ないと思いますが、このままこの事態が長く続くということは問題でございますので、早急に減少対策をやりさえすれば心配はないということでございます。  それから基準の問題でございますが、問題は、やはりBHCにいたしましてもいろいろ異性体があるわけでございますが、その中でも牛乳、乳製品との関連ではベータBHCが一番脂肪の中に蓄積しやすい性格を持っていることはわかっておりますので、これがやはり一番問題であるということでございますが、その他の異性体もあわせまして考えていく必要があるということでございまして、これは今後総合的に調査研究を進めてまいりたい、かように考えております。
  183. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、肉であるとか卵であるとかあるいは淡水魚の問題はこれからの問題といたしましても、牛乳の場合には絶対に安全である、そういうふうに確信をもってお答えできるわけでございますか。もし将来これがいろいろ研究の段階において、あるいは動物実験の段階において、あるいは新しいこういうBHCによる病気というものが発見された場合に、いままでの厚生省がやってきたところの栄研の試験だけによってはたして確信を持って答えられるかどうか、まことに疑問でございます。その際に局長並びに厚生大臣は責任をとるお考えをお持ちになっているかどうか、お伺いしたいのであります。
  184. 内田常雄

    内田国務大臣 私は厚生大臣でございますから、人間の健康を第一に考えたいと思います。でありますから、許容量の問題などはあろうと思いますけれども、私の純粋の気持ちから言えば、疑わしきは全部禁止するということで、牛乳は一切飲むべからず、またBHCを使った稲わらであれ何であれ、そういうものは一切牛に食わせるべからず、また、そもそもBHCが悪いとすれば、BHCそのものを、原体であろうが、それの加工口であろうが、一切直ちにつくらせるべからず、ということでやれれば、それは私は将来責任を問われないで済むわけでございます。しかし、また、同じく厚生大臣でありますので、国民の栄養を考えます場合に、やはり牛乳も国民に飲んでいただきたいし、肉類も食べていただきたい、また野菜やくだものも国民の栄養として必要だということになりますと、いま私が当初に申しましたように、疑わしきは全部禁止するという立場がとれません。結局、その許容量とか安全度であるとか、しかもそれも、今日の科学の基準における許容量であり安全度でありまして、これから五十年先、百年先、さらに分析やそういう方面の科学が進歩して、思わざることが起こらないとは私も言い切れないものでございます。これは、あたかもこれだけ国民総がかりでいままでいろいろな医療や保健の対策をいたしましても、いつも御指摘がありますところのスモンであるとかベーチェットでありますとか、カシン・ペックというような、前には予想できなかったような、まだ診断方法さえも今日わからないような病気が出てまいりまして私どもが悩まされることと同じでありまして、これは昔もあったかもしれませんが、昔はそこまで人間の医学的あるいは理化学的な知能が今日のところまで達していなかったために見のがしておったのではないかと私は思うわけでありまして、そういうことまで考えてみますと、先ほど来のだんだんのお話で御了承はいただけると思いますけれども、今日の段階におきましては、その稲わらを食ったとされる牛の乳も、これはまあいまから毎日よほど、一年、二年、三年の長期にわたって使用すれば格別だけれども、今日の状態においては、お互いに警告し合い警戒する動機ではあるけれども、いまの場合としては、この状態の改善という方向に向かって私どもが努力すればそれでよろしいと考えざるを得ない、こういうことに帰しておるわけでございますので、その辺のことも十分ひとつ御理解の上——これは私ども企業を擁護をしたり、また農家を擁護したりするという意味ではございませんけれども、いろんな面を立たせるには、ぜひこうやったらどうだ、農林省と厚生省でひとつこういう対策をとってほしいということを、特に古寺先生はその道のお医者さんで十分御理解のあられる方でございますので、お教えもいただきたいと私どもは思っております。
  185. 古寺宏

    ○古寺委員 昨年の十二月の時点で新聞に出た場合には、この程度であれば安全である、こういうふうに厚生省は言っているわけです。それが、二十一日になってから、健康上支障を来たすおそれがある、こういうふうに発表いたしました。ところが、農林大臣のほうは、安心して牛乳を飲んでください。全くどれが一番正しいのか非常に判断に苦しむわけでございます。私は、決してその企業や農家が困るようなことは申し上げたくはございません。しかしながら、人間の生命の尊重という立場からいうならば、これはもっと正確を期して、やはり人間の安全を守るという立場に立ったそういう発言なりあるいは対策というものが当然必要である。しかも、厚生大臣のお立場あるいは局長のお立場からいって、私は非常に重要なお立場にいまいらっしゃると思うのであります。もしも今後において卵あるいは牛肉、特に牛の肝臓であるとかいろいろな内臓の中にBHCが非常に多量に含まれておった、そういうことが人体に対して非常に影響があるというようなことがわかってくるような場合もあるいは考えられるわけでございます。しかも、先ほどお話がございましたところのガンマBHCの許容量にいたしましても、これは現在はっきりきまっているわけではないと私は思うわけです。現在これは確かに検討中のはずでございます。そういう一つの基準を用いて、そして、これは安全である、これは心配がないのだ、こういういわゆる無責任な立場でもってこの問題を進めていくならば、もしも将来においていろいろな問題が起きてきた場合には、これはたいへんなことになる、こういうふうに私は考えるわけでございます。  さらにまた、先ほども申し上げましたように、これらの研究費はわずかに六十万円でございます。今年度もおそらくこれと同じくらいの予算しか見ていないのではないかと思いますが、今後こういう問題を解決するためには、どうしても研究体制を強化し、予算を十二分に考えなければこの問題の解決はつかないと私は思うわけでございますが、この点について、もう一ぺん厚生大臣にお願いしたいと思います。
  186. 内田常雄

    内田国務大臣 まことにありがたい御警告であると存じます。でありますので、昭和四十五年度におきましては、この研究調査の遂行のためには六十万円ではなしに、さらにまた牛乳だけではなしに、私はこれは当局の意向も聞いて進めたいと思いますが、いまお話しのように、BHC等の飼料の影響を受ける動物の乳のみならず、その他の畜産物につきましても、その残存状況とか許容量とかいうようなものにつきましても手を広げるようなことをやらせたいと思うものでございますが、そうなりますと、とうてい少額のお金ではカバーできないと思います。昨年は、年の途中でありましてその金がもうすでに配分済みで、なかったというようなことで六十万円程度で終わったようでございますけれども、それはもう私のほうでも、先般来厚生省にあるいろいろな調査費をかき集めまして、昨年よりもかなり思い切った金額を出しまして、いまの古寺先生の御指摘になるようなことに十分の処置を講じてまいりたいと思います。  なおまた、私のほうでは、御承知のように食品につきましては、添加物等も含めまして、これは別の問題でございますけれども、総点検のようなこともいたす段取りをいたしておりますが、これは同じことでありまして、やはり農薬などにつきましても、農産物の育成といいますか、農産物の肥料効果ということのみならず、その農産物が今回のように及ぼす影響をも考えて、危険な農薬についての、それのもたらす発展等に関する総点検のようなことを、ぜひひとつ私どももお手伝いをさしていただいて、農林省にもその方面からもお願いをいたすような努力をしたいと思います。
  187. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう現状でございますので、農林省においても、当然これは、水田の場合には差しつかえないというお考えではなしに、当然その水田の水が流入するところの環境汚染、あるいは淡水魚の問題等も考えられますので、今後この問題について慎重に御検討の上、BHCの使用については一時全面的に禁止すべきである。研究の結果によっては、これをまた解除するなり今後の措置を考えていただきたい、こういうふうに御要望申し上げます。  時間がございませんので次に移りますけれども、去る三月三十日の予算委員会におきまして、公明党の山田議員が総理大臣に対してスモン病対策について質問をいたしました際に、佐藤総理は、「とにかくスモン病、これはたいへん気の毒な状態だと思います。ただ状態が気の毒だとか原因が不明だというだけでは救えないと思っております。ただいま具体的に積極的に救済に乗り出せ、特別措置をとれ、こういうお話でございますから、そういう意味で、いまの研究は研究、対策は対策、これは別に分けまして、具体的に厚生省で積極的に検討さすことにしたいと思います。」このように述べておられます。また、その際厚生大臣は「スモン対策につきましては、総理大臣からもせっかく御答弁もありましたので、厚生省といたしましても、研究、対策と並行しながら何かの対応策をとるように、ひとつ至急に研究をいたしたいと思います。」このように御答弁になっておられます。その後、厚生省当局は特にこの医療費の問題、あるいはまた医療体制の問題、あるいは身体障害者の認定の問題、そういう問題について具体的にはどのように検討を進めておられるか、お伺いしたいと思います。
  188. 内田常雄

    内田国務大臣 先般の予算委員会におけるスモン病対策に関する総理大臣並びに私のお答えは、ただいま古寺さんからお読み上げのとおりに私も記憶をいたしております。このことにつきましては、当時から直ちに私は事務当局に命じまして、何しろ予算も要るわけでございますので、大蔵省方面その他とも折衝をして、なかなかむずかしい点はございますが、知恵を出しておれのところに持ってこい、こういうわけで、命令を出しておるわけでございます。その進行状況につきましては、なかなかむずかしいという報告は受けておりますが、これは政府委員から答弁をさせたいと思います。
  189. 村中俊明

    ○村中政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、私どもといたしましても、研究が終わったところで対策を立てるということは毛頭考えておりません。ただ現在の研究の進行状況は、古寺委員も御承知のように、一体感染症なのか、非感染症なのか、その辺の区別すらなかなかできないという実態です。したがいまして、これに対してどういう医療の手を伸べるか、具体的な方法になってまいりますと、いろいろな考え方、いろいろな学者による研究がぼつぼつ出てまいっておりますが、これがいけるじゃないないかという意味の医療対策あるいは的確な治療の方法というものは、これからの研究に期待するところが多い。そういうことで鋭意研究の進行を期待すると同時に、先ほど来御指摘のように、先般の予算委員会で総理がお答え申し上げ、また大臣がお答え申し上げましたが、今後の問題として、現行の利用し得る社会保障制度と関連させながら、どういう対策をとるかという検討をただいまいたしておるということでございます。いまここで具体的にこういう考え方があるというところまではまいっておりません。
  190. 古寺宏

    ○古寺委員 去る三月の二十日にスモン調査研究協議会が行なわれました。そこでスモンの診断基準案というものができました。甲野会長のお話によりますというと、ほとんどのスモンはこの診断基準によって診断ができる、そういうお話でございました。また、現在各医療機関において行なわれている治療法にいたしましても、早期に治療するならば七〇%から八〇%までは社会復帰が可能である、こういうようなお話も承りました。いままでは診断基準がない、あるいは治療法がはっきりしていない、こういうようなことで、医療費の問題が将来の問題として残されておりましたけれども、御承知のように、このスモンに対する治療については、ATPの大量療法であるとか、非常に医療費のかさむ治療が行わなれているわけでございます。したがって、患者にとっては、この医療費の問題が大きな負担になっております。そのために、ついには財産を全部売り払って生活保護にまで転落をしなければならない、あるいは医療費を心配して自殺をしなければならない、こういう気の毒な患者さんもいらっしゃるわけでございます。  結核の場合を例に申し上げますと、治療法が確立される以前において、すでにこの患者を収容いたしまして、その適切な治療をやった結果、結核の患者が非常に救われたという過去の例もございます。そういう立場からいって、私は医療費の免除、健康保険あるいは社会保険による以外の患者負担分については、これは当然免除してあげるべきではないか、あるいはまた、各都道府県の中に、中心的な専門的な医療機関というものを厚生省が地方自治体などとタイアップいたしまして、そういう医療施設を指定いたしまして、そこにスモンの患者さんを収容してあげて治療すべきではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、その点につきましてお尋ねをしたいと思います。
  191. 村中俊明

    ○村中政府委員 ただいまの御指摘の今年三月にございましたスモンの調査研究協議会の結論でございますが、その中に出てまいりました研究の問題につきまして、たとえば治療、研究、ATPの大量投与の方式が相当効果があるというようなことも聞いております。この効果の点については、古寺委員も御承知のとおり、学者によって若干の異見があるようでございます。しかし、三百数十名に対して投与した結果では、ほぼ五〇%あまりがよい方向に効果が出てきているというような報告を受けております。しかし、これの使用にあたっては、一体早期に使用したのがよろしいのか、ある程度の、たとえば三月か半年経過した後に投与したのがいいのか、この点については、必ずしも学者の統一した意見がないわけであります。この治療方法の創始者である新潟大学の椿教授は、三月ないし半年、ある程度たってからの治療が非常に効果をおさめるというふうにも私は承知しております。もちろん、このようなATPの治療につきましては、先ほど来お話の出ておりますように、調査研究費のうち、あるいは保険の医療費の中で、それはそれぞれ支払われているわけでございます。  なお、原因がはっきりしない、あるいは治療方法も現在のようにきめ手のなかった時代の結核対策は、ある患者については地域をきめて、あるいは施設をきめて収容、治療していったというふうなことを例にあげられましたが、私どもも、もしもスモンという疾病について、感染症ないし感染症の疑いが大方の学者によって出てくるというような時期がまいりますれば、あるいは結核に準じた手当てができる。しかし、残念ながら、いまの段階では、一体感染症かどうかという点についても、幾つかの意見が出ているわけであります。これを集約的に感染症のほうに軍配をあげる方向になってきたということには、残念ながらまだ時期がきていないというふうに、先般も総会で私自身も出席して拝聴いたしたわけであります。  なお、このような原因の非常に複雑な、よくわからないスモンのような患者を、特定の地域に施設を考えて、そこへ人なり機械などを用意して、指定のようなものを考える、あるいはそこへ集めて治療するというような点についての御提案がございましたが、これは私、拝聴に値するものと考えまして、今後研究をさしていただきたいと思います。
  192. 古寺宏

    ○古寺委員 いま感染性のものか非感染性のものかというお話がございましたが、最近の研究の段階におきましては、感染説が非常に強いわけでございます。そういう面からいって、一日も早くこの病原をつきとめる必要がございますけれども、今年度の予算を見ますと約五千万円を計上されているようでございますが、昨年は九月から三月まででもって三千五百万円でございます。今年は一年間で五千万円でございます。昨年よりもずっと研究費が減ったように思うわけでございます。さらにまた、現在甲野会長のところでいろいろやっておられる動物実験にいたしましても、非常に動物が少ないために思うような研究ができない、あるるいはこの動物を飼育する人あるいは取り扱う人に対しても十分な手当てがなされていない、こういうようなことも承っております。当然、病原をつきとめる段階になれば、チンパンジーであるとかいろいろなものも考えなければならないわけでございますが、今年度の五千万円の予算では非常に足りないのではないか。さらにまた、研究者に対する待遇の問題、そういう点についても非常に配慮が足りないように思うわけでございますが、この点についてはどうお考えになっておるか、承りたいと思います。
  193. 村中俊明

    ○村中政府委員 スモンの研究費についてのお尋ねでございますが、ただいま御指摘もございましたように、昭和四十五年度におきましては、この五月に調査研究協議会の役員会を開きまして、一応私どもが積算して予算が出ました五千万円の配分のことにつきまして相談をすることにいたしております。私は、決して五千万円で十分だとは考えませんが、一応貴重な国費でございますし、五千万円という額は決して少なくないと考えております。この金額をもとにして四十五年度の調査研究を有効ならしめていただきたい、こういう期待を持っておりますが、この研究を進めていく過程の中で、五千万円で足りるのかどうかという問題が当然出てまいるわけであります。一応、当初予算として、私自身は五千万円で相当の研究ができるというふうに考えておるわけであります。  なお、研究者あるいは甲野会長の所属しております衛生研究所の職員の待遇、あるいは施設の問題が出ましたが、御承知のとおり、約五百名をこえる職員がおりまして、年間十億円近い予算を組んで現在研究をやっておるわけでございます。これは御承知のとおりでございます。ただ、この中でスモンに直接触れる施設とかあるいは職員という問題になってまいりますと相当限定されるわけでございますが、一応私どもといたしましては、国の施設については国の他の研究職員、他の研究施設とのバランスの問題もありまして、特にスモンに当たる施設、スモンに当たる研究者だけに、特別の配慮あるいは施設の強化ということは、実態としてはなかなか考えにくいようでございます。ただ、この研究の促進のために、ただいま御指摘ありましたような、動物の足りない、こういうような問題には、当面する非常に重要な課題でございますので、当初予算の中あるいは年間予算の中で、あるいはそういう便利をはかるようなそういう指示、努力、協力はしてまいりたい、こう考えております。
  194. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、このスモンの患者さんが一応よくなりまして後遺症が残るわけでございますけれども、この身体障害者の認定の際に、非常にむずかしい、保留が決定されたり、非常に長引く、こういう話を聞いておりますけれども、この点についての厚生省の指導はどのような指導をなさっておりますか。
  195. 村中俊明

    ○村中政府委員 身体障害者の認定をして手帳を交付する、その認定のことだと私承知をいたします。御承知のとおり、スモンの疾病は非常に再燃する傾向が強くて、現在の身体障害者の手帳の交付にあたりましては、症状が固定をしたという一つの基礎的な前提があるわけでございまして、この症状が固定したという認定、判断をどの時点で医学的にするかというところが、ただいま御指摘いただいたいろいろなケースによっては、当然認定さるべきだと期待しながら認定が延びるということになっているのではないかと考えます。この点につきましては、関係の局ともいろいろ相談をしておりまして、スモンだから認定がおくれる、認定されないということのないような、他の一般の障害が症状が固定して手帳が交付できるようなそういうケースがスモンにあれば、当然これは除外というようなことでなくて、むしろできるだけ幅を持たせたそういう認定の方式を考えてほしいというような話し合いをいたしておりまして、これは今後とも努力をしてまいりたいと存じます。
  196. 古寺宏

    ○古寺委員 これは厚生大臣にお尋ねしたいのですが、厚生大臣はスモンの患者さんにお会いになったことがございますでしょうか。
  197. 内田常雄

    内田国務大臣 まだございません。
  198. 古寺宏

    ○古寺委員 私はぜひお願いしたいのでございますが、スモンの会というのがございます。このスモンの会の方々とぜひ一度お会いになりまして、スモンの患者さんの苦しみを大臣に知っていただきたい。と同時に、また現在この研究を続けておられるいろんな機関に実際に一お時間もなかなかないでございましょうが、でき得るならば一度おいでになられて、現時点の研究の内容を大臣に知っていただきたい、私はかように思うわけでございますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  199. 内田常雄

    内田国務大臣 このことにつきましては、私も所管大臣として多大の関心を持っておるものでございます。
  200. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がないので非常に残念なのでございますが、スモンとはまた違う病気でございますベーチェットがございます。これは非常に失明率も高い、また今日までこの病気に対する研究も非常におくれているわけでございますが、今後ベーチェットに対してスモン以上に研究費を考えてあげなければならない、研究体制をつくらなければならない、このように考えているわけでございますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  201. 内田常雄

    内田国務大臣 私もスモンと並んでベーチェットというような、その病原も判明しないような悲惨な病気があることを承知をいたし、承っております。でありますので、これに対しましても、スモンと同様、多大の関心を持って臨みたい覚悟でございます。
  202. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がないので非常に残念でございますが、どうかひとつ、こういう恵まれない取り残されている病気に対しましては、厚生省といたしましても、今後積極的に取り組んでいただいて、これらの方々が一日も早く社会復帰ができるように私は心からお願いをいたしましてきょうの質問を終わりたいと思います。
  203. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 西田八郎君。
  204. 西田八郎

    西田委員 去る四月十日に薬用石けんのことについて質問をしたわけでございますけれども、同じような質問をここでまた繰り返さなければならぬことを非常に遺憾に思うわけでございます。  BHCあるいはDDTという薬剤は、戦後アメリカから入ってきたものだと思います。したがって、アメリカ等におきましては、もうすでにこうしたものの毒性なり、あるいは人体に対する影響ということについては、十分研究ができていますので、そういう資料なりあるいは研究の結果が事前に入手できなかったのかどうか、あるいは持っていたけれども公表されなかったのかどうか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  205. 金光克己

    金光政府委員 BHCの研究につきましては、先ほど来申し上げておりますように、WHO、FAOにおきましても、ガンマBHCを中心にした研究が進められておるわけでございます。そういうことで、一応一日の安全許容摂取量ということを実は予定いたしまして、最終決定してきめておるわけでございます。それで、外国におきましては、大体DDTが多いのでございまして、DDTによる汚染、また魚とか人体に対する蓄積というのが問題になっております。ベータBHCというのは、日本で非常に多いということが最近わかったわけでございます。そういう意味で、ベータBHCそのものの毒性というものは、一部の学者では研究されておるわけでございますが、ほんとうにこれが安全許容量をどう考えたらいいかというようなところまで研究が進んでいなかったというのが実情でございます。そういうことで、今回のこととも関連して、国立衛生試験所でもいま研究を始めておるわけでございます。さような経過でございます。
  206. 西田八郎

    西田委員 ちょっとそれはおかしいのですよ。WHOで許容基準量というのがきめられておるのではないですか。
  207. 金光克己

    金光政府委員 それはBHCの中には、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタと異性体がございまして、その中のガンマBHCでやっておりまして、ベータBHCはそれとまた違った性格を持っております。ガンマBHCというのは、人体に入っても早く分解して排せつされるということですが、ベータBHCのほうはそれよりも残存しやすいというような性格があるわけでございます。それでガンマBHCを中心として研究されておって、ベータBHCそのもののことについては、諸外国であまり量も多くございませんので、研究があまり進められていなかった、かようなことでございます。
  208. 西田八郎

    西田委員 それならWHO、国際保健機構でこうしたBHCという問題が出てきたときに、直ちに日本でこうした問題に着手すべきが至当ではなかったのですか。それを、とにかく今回騒がれてくるまでほっておくというところに問題があると思うのです。どうなんです、その点は。日本だけで使っているとすれば、それを使わせている行政担当者としては、これはどうなるのかということを、まず最初に心配するというのが、これが私は行き届いた行政だと思うのです。それを新聞があるいは地方の調査機関が発表するまでは黙っておく、あるいはそれに対して何の発表もしないというようなことは、私は不親切だと思います。そういう点について、もしそういうことをひそかに研究しておられたとするなら、一体いつごろからそういう研究に着手されたのか、その二点について質問いたします。
  209. 金光克己

    金光政府委員 ベータBHCの研究を早くやるべきではなかったかということでございますが、これにつきましては、ベータBHCというものが牛乳の中に残存してくるということにつきましては、学問的にも思いつかなかった、そういうような状態でございます。それで、先ほど申し上げましたが、昭和三十九年度から、いわゆる食物の中の農薬の残存量というものを日本でも検討し始めたわけでございます。その当時におきましては、やはり一般に食べる食物ということで、乳製品等もあわせて検討すべきであろうという考えはございましたが、ベータBHCのように非常に油の中に残存するというようなこと、これがかように残存してくるということは、学会でも十分気がつかなかったというのが率直な実態でございまして、それを高知の衛生研究所でたまたま手がけておったということで、昨年の夏から問題が提起されて、それで厚生省といたしましては、国立衛生試験所を中心に研究を始めたというのが経過でございます。  それから、昨年の十二月に新聞報道がされまして、一部データが出まして、その機会に、それまでの中間報告をいたしたわけでございますが、それにいたしましても、やはりBHC自身の検査法でございますが、これが御承知のように、ガスクロを使ってやるわけでございまして、材料の取り扱い方等につきましても、やはり検査法を一定してやりませんと非常に誤差が大きくなるというようなことで、今回の研究班では、そういった技術的な統一もはかったり、一つの材料につきましても二人がチェックし合うというようなこともやりまして、確実なデータを出すべきだということで進めてまいっておりまして、その中間過程で一部の資料が出た、かようなことでございます。それで今回、その資料が一応まとまりましたので、発表して、対策をさらに強化することにしたということでございます。
  210. 西田八郎

    西田委員 少し話が横道にそれますが、学会には厚生省からだれか出席されているのですか。こういう研究をされたり、あるいは発表されるというのは——保健衛生学会というのですか、そういう学会には、どなたか御出席されているんでしょうね。
  211. 金光克己

    金光政府委員 この高知衛生研究所の学会への発表は、昨年十月にいたしたわけでございまして、それには全国のこういったいろいろな関係者が出席しているわけでございまして、その時点では、もう研究を始めておったわけでございます。それから、以前のいろいろの結果につきましては、雑誌に載っているのは載っておりましたけれども、その当時だれが出席したかということは、私、詳細に存じません。
  212. 西田八郎

    西田委員 時間がないので答弁を簡潔にしてもらいたいのです。学会に出席しているのかどうかということを聞いているんですよ。どうなんですか。
  213. 金光克己

    金光政府委員 昨年十月仙台で行なわれました学会には、厚生省からも出席いたしております。
  214. 西田八郎

    西田委員 そうしますと、先日、たしか三月十日だったと記憶しておりますが、この委員会で、私は、厚生大臣の所信表明に対して、保健衛生ということはきわめて重要な問題である、したがって、現在の機構あるいは体制で十分な効果があげられるのかということを質問しましたら、若干の不満はあるけれども、とにかく何とかやりますという御答弁であったわけです。そういう点から考えまして、いまの答弁を聞いておりますと、何か手おくれのような感じがするわけです。もっと早くからわかっておった、そういうものにもつと早くから着手しなければならなかったにもかかわらず、おくれている。どうしてそれがおくれたのか。厚生省としてのそうした機関の機能がいわゆる機能するようになっていないのか、あるいは体制が悪いのか。体制が悪ければそれを直さなければならぬと思うのですが、そうした点について大臣いかがなんでしょうか。
  215. 内田常雄

    内田国務大臣 食品を中心とする行政機構でありますとか、あるいは幾多の法律をどうこうして、厚生省はその中心になってやるべきであるというような御意向を、当委員会を中心として私どももお尋ねを受けたりもいたしてまいりました。しかし、これに対しましては、先ほど西田さんが述べられたとおり、若干の不満はあるけれども、これは各省の食品規格連絡会議というものでやっているので、いまのところ、たとえば農薬の取り締まり法まで通産省から取り込む、あるいは、もう一つさかのぼって、農薬の原料になる化学工業品の製造を、通産省の行政までわがほうに取り込むということは、実際問題としてなかなかできないので、厚生省が中心になって、人間の健康を害するようないろいろの物体につきましては、これが食品に流れ込まないように十分な対策や措置を考えてもらうというようなことにいたしているわけであります。でありますから、リンゴやブドウやトマトやキュウリなとに直接それが一これらのものは食品衛生法上の食物であります。でありますから、それらについて、直接付着するようなガンマBHCにつきましては、厚生省は、先年来食品衛生法の機構の中でいろいろ規制をいたしておるわけでありますが、その牛乳の中に入っておるBHC、その牛乳はもう一つ先の雌の牛が出す、その雌牛はまたある農薬がかかったものを食べている、こういうわけでありますので、直接厚生省の守備範囲には入ってまいりません。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、牛の食うもの、豚の食うものというものは食品衛生法の直接の対象になっておりません。人間の食品についてはこの法律で取り締まれる。ただし食品というか、薬品を除いて、人間の口に入るものというこういう定義がございますので、動物の口に入って、その動物から乳が出て、そして人間の食品になるというものにつきましては、直接には守備範囲が及ばないわけでございますし、また牛乳の中に入っておりますBHCの残存量の検定というものも非常にむずかしいものでございますので、これらに対する着手が、これは厚生省として、牛乳になってくるともう食品でありますから、当然着手すべきでありますけれども、それがおくれておった、こういうことになっております。  それから、当局の私に対する説明によりますと、乳というものは、純粋、神聖なものなんだから、リンゴや何かにいきなり農薬がくっつくのとわけが違うのだということで、やや安全視しておったということは私は争えないと思います。しかし、こういうことで問題になりまして私はむしろ幸いであったと思いますので、この関係の調査や対策はどこまでも追跡をして進めてまいって、また、それに対応することは農林省にも、また通産省にも、必要ならばどこまでもやってもらわなければならぬ、こういう決心でおります。
  216. 西田八郎

    西田委員 大臣の御答弁では、それは十分ではなかったけれども、そうした点については留意をしてきた、しかし牛の食うものまでは厚生省の食品衛生法の関係ではない、こういう御答弁でございますけれども、少なくとも、何ごとによらず因果関係というものはあるわけですよ。だから、牛乳が常にきれいな牛乳であるかどうかということは、これは検査をする義務が厚生省にあると私は思う。その点牛乳だけではなしに、人間の口に入るもの、そのことが結局人間の生命にかかわる問題ですから、それを常に鮮度の高い、そして有毒でないもの、こういうものを求めるということは、私は厚生省として当然の義務だと思うのですよ。そうすれば、それは私の管轄外であったから気がつかなかったでは私は済まされないと思う。そういう態度というものは、農林大臣の、この程度のものならだいじょうぶですよという発言は、先ほどからずっと各委員の質問を通じて聞いておると、厚生省はかなり神経質になっておる。そういうところで厚生と農林で違ってくるわけですよ。同じ政府におられる大臣の答弁も違っておる。こういうことで私ははたして今後安心して食品を食していっていいのかどうか。ことに牛乳は唯一のたん白源というような形で子供にも奨励して、学校給食なんかにも使われておるわけですよ。われわれのように、人生の半分くらいまで来た者はいいけれども、これから人生を送っていかなければならない子供に奨励して飲ましている牛乳なんです。しかもそれは、おそらく粉ミルクになったとしても残ると私は思うのですよ。そうだとすれば、乳飲み子のころからそれをからだに入れているということですね。こういう点から考えれば、きわめて重要な問題だと思うのですが、その辺についての行政責任者としての厚生大臣に伺いたいと思う。
  217. 内田常雄

    内田国務大臣 西田先生のおっしゃるとおりであります。牛乳そのものはりっぱな食品でありますので、これは厚生省の守備範囲内でございますから、たとえば牛乳に化学的合成品を添加する場合でありますとか、あるいはその牛乳が腐敗しておる場合であるとか、あるいは大腸菌が入っておる場合は、当然厚生省がやっておりまして、規制をいたしております。しかし、牛乳そのものの生成のもとにさかのぼってやることが、私がさっき申しました直接の守備範囲の向こうにあるものですから、したがって同じBHCの取り扱いでも、リンゴやキュウリは早くから行なわれたけれども、牛乳については手が届かなかったという遺憾な状態にあったということをすなおに認めるものでございます。でありますが、こういう機会は幸いでございましたので、どこまでもこの問題については、再び申しますと、農薬にさかのぼり、さらにまた通産省の所管する工業製品にさかのぼってでも追跡して、そして安心して牛乳が飲めるような事態を取り戻さねばならないと思います。そのためには、農林省にも十分な協力をぜひしてもらわなければならない、かように考えております
  218. 西田八郎

    西田委員 そこで、関係の方にお伺いしたいのですが、なま肉は心配ないものなんでしょうか。牛乳に心配があるというならば、私はなま肉にも心配があると思う。そうすると、牛乳の摂取量よりもなま肉の摂取量は相当多量に及んでおりますから、結局人体に入ってくる量もかなりふえると思いますが、これはいかがですか。
  219. 金光克己

    金光政府委員 なま肉につきましては、本年度は計画的に調査するということにいたしておりまして、昨年度着手はいたしたのでございますが、牛乳に専念したものでございまして、一部の県では資料が出ておりますが、それによりますと、やはりある程度高い濃度で出ておるというものがございますけれども、これはもう少し数を調べてみませんと、あるいは全国的に調べてみないとわからないというのが実態でございます。これは次々とまた早急に調べたい、かように考えております。
  220. 西田八郎

    西田委員 そのほかトマト、キュウリ、ブドウ、リンゴ、キャベツ、いろいろあるわけですけれども、そういうものに今後こういう問題が出てくる心配はないのですか。
  221. 金光克己

    金光政府委員 これは昭和三十九年度からいろいろ検討いたしておりまして、四十三年度と四十四年度におきまして、キュウリ、トマト、ブドウ、リンゴ、キャベツ、日本茶、イチゴ、夏ミカン、ナシ、バレイショ、ホウレンソウ、桃といったものにつきましては、約八つの農薬につきまして残留許容量を定めております。それに基づきまして、農林省におきまして農薬の散布の規制を行なっておる、かようなことでございます。
  222. 西田八郎

    西田委員 先日例のチクロは五月一ぱいで販売禁止するという通達が出されたのが、いつの間にか九月まで延ばされているわけですね。そういうことから考えますと、これは許容量は定めておりますというものの、はたしてその許容量が厳格に順守されておるかどうか、そういう基準について厳正に検査すると言うが、一つ一つやるわけにはいきませんでしょう。産地を抽出的にやるということは行なわれておるのですか。
  223. 金光克己

    金光政府委員 ただいま申し上げました農薬の残留許容量に基づきまして、各県、政令市の食品衛生監視員が抜き取り検査をやっております。私一がその報告を受けた範囲内におきましては、もう非難は出ていないという実態でございます。
  224. 西田八郎

    西田委員 それはおことばを信用することにいたしまして、今後ひとつ十分なチェックをしていただきたいと特に要望をしておきます。これは事人間の生命に関係する問題です。  そこで、この措置について二、三お伺いしたいのですが、これは高温多湿のいわゆる西日本地方に特に多い現象であるといわれておるわけですけれども、それはいわゆる害虫駆除剤の使用ということからきておるわけです。したがって、このBHCを使用することによってそれはそれなりの効果があがってきておると思うのです。ですから、ものには効果があれば、表裏があって必ずまた反対的なものが出てくる。反対的なものがあまりに大きいと、そのショックが大きいということなんですけれども、いずれにしましても、今日農家では労働力不足でとにかく主婦労働化してきておるわけですよ。そういう時期に、昔ながらのいもち送りという形で従事できないと思うのです。そうしますと、このBHCにかわるべき新薬といいますか、新しい薬品の開発というものを急がなければならぬのですが、そうした点について研究はどの程度進んでおるのか、まずこの点についてお伺いいたします。
  225. 遠藤寛二

    遠藤説明員 BHCは、メイ虫それからウンカ、大体そういうものの薬でございますので、そういうものに対しまして、先ほどもほかの先生にお答えしましたけれども、稲のメイ虫等の防除の半分が大体いままでBHCによったものでございます。したがいまして、一挙に全部切りかえるということは非常にむずかしい。量的な関係で間に合わないと思いますが、薬といたしましては、低毒性の有機燐剤がございます。それからもう一つは、カーバメート系の薬がございまして、その生産量も逐次伸びておりまして、遠からず置きかえることができるというように考えております。
  226. 西田八郎

    西田委員 代替する薬品がいわゆる生産ベースに乗り、かつ需要に応じられるという体制がとれるまでの暫定的期間というものは、一体どういう方法をとられるのか、これは農林省の方。
  227. 遠藤寛二

    遠藤説明員 大体本年の稲作の、先ほど申しました前半期だけBHCを使いますと、あと大体稲に対しまして置きかえできるのではないかと思っております。
  228. 西田八郎

    西田委員 そうすると、その暫定期間はやはり使用することを許すというわけですね。
  229. 遠藤寛二

    遠藤説明員 先ほども御説明申し上げた次第でございますが、前半期に使いましたBHCは残存量が非常に少のうございまして、後半期で使いましたものの十分の一以下でございます。とりあえず前半期、先ほど穂ばらみ期以降は使わせないと申し上げましたが、そういうことで、前半期につきましては使わせるということにしております。
  230. 西田八郎

    西田委員 厚生省あるいは農林省のいろいろな見解が発表されたとしても、これだけ世論を騒がせますと、牛乳というものに対する国民の観念も変わってくるでしょうし、また、購買力等も落ちると思うのですけれども、現在BHCの含まれておるようないわゆる汚染牛乳ですね、それの在庫は一体どのくらいあって、その牛乳はもう再処理する必要はないのか、あるいは再処理する方法がないのか、この点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  231. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 ただいま先生の、汚染牛乳の在庫量が幾らか、こういうお話でございますけれども、私のほうにおきましては、全く汚染牛乳であるかないかということ自体、これはどういうふうに申し上げていいのかわからないわけでございまして、先生十分おわかりだと思うのでございますけれども、そういう数字がどうこうということではございませんで、先般来申し上げておりますようなことを通じまして、今後のBHCの残有量というのは落ちていくのであろうということで、これまでに出ました一応高い数値のものもございますけれども、それは部分的にそういうことがあったということでございまして、時期的なずれからいいまして、そういう高いいわゆる汚染牛乳はもはやないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  232. 西田八郎

    西田委員 ちょっと私の質問がとっぴもない質問になったのでなにですけれども、全くないということではないんじゃないですか。汚染された牛乳は、非常に濃度の高い牛乳は、もう全くなくなったということではないんじゃないですか。それはもう全くないのですか。
  233. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 先生おっしゃいますけれども、どの牛乳か一々はかっているわけではございませんで、先ほど来の今度出ました厚生省の数値も、ごく限定されたところの限定された標本について、日本全国の牛乳の数からいいましたら全然問題にならないものを見たわけでございまして、それじゃ全国の牛乳のどこがどうだというのがないのでございますから、どれが汚染である、数量が幾ら、皆無であるかとおっしゃると、それは皆無ということも、あるいは汚染の定義にもよりますけれども、ございません。ここで数字がどのくらいあるかとおっしゃいましても、これはにわかにお答えできる性質のものではないのでございます。まことにお答えにならないかもしれませんが、御了解を願いたいと思います。
  234. 西田八郎

    西田委員 そうすると、非常に心配になってくるわけですね。そういうものが廃棄されるとか処分されるとか、これは検出されたんだからわかってきたのでしょう。そうしたら、どの地方の牛乳くらいはわかるのではないですか。
  235. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 先ほども厚生省のほうからも、これは何県の牛乳がどうだというようなもののいえる数値ではないということははっきり申し上げておられますし、この間の調査会でございますか、その中でも、これだけのことでもって日本全国なり日本の牛乳の現状をどうだというぐあいに言うようなものではないということは、その中に入っておるわけでございまして、そういう事の性質として御了解願えませんと、一体どこの牛乳がどうであるかというような問題ではないとお答えする以外にちょっとないと思うのでございますが……。
  236. 西田八郎

    西田委員 何かだまされておるようなことで、私もはっきりわからないのですが、さっき北海道のほうは少ないんだ、こうおっしゃった。東北地方は少ないんだ、関東以西でたくさん出ておる。高知県で検出されたということまでわかっておるのですよ。それを、いまあなたの答弁からいくと、全く五里霧中である。どこをつかんでいいかわからないんだというような答弁ですよ。そんなことではたしてこれの対策ができるのですか。先ほどまで言われた対策、こういう対策をします、ああしますという御答弁は、全部この場所をつなぐためにしておられる答弁ですか。
  237. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 そういうことではございませんで、おことばを返すようで恐縮でございますけれども、傾向といたしまして、北のほうではああいう状況が出ておって、あまり数値は高いものは出ていない。それから、西のほうではややそういうものであるということが傾向としては出ておりますけれども、それじゃ一体数量的にどれだけであるか……
  238. 西田八郎

    西田委員 数量はもう言うてない。これに対する処置をどうするかということを聞いておる。
  239. 斎藤吉郎

    ○斎藤説明員 ですから、それは先ほども申し上げましたように、従来の牛乳は、これは生鮮なものでございますから、一月のころのものが、市乳に回るものがだぶだぶ現在残っておるということではございませんで、これはやはり新鮮にしぼってその日その日というのが主体のものでございます。でございますから、そういう一、二月ごろのものが残っておるというようなことにはならないのではないかと思います。(「そんな答弁があるか」と呼ぶ者あり)
  240. 西田八郎

    西田委員 それは私の質問もあるいはきわめて具体的過ぎた質問だったかもしれないけれども、少なくともその原因がわかったのですから、その原因を追及していけば、その追及していった先というのははっきりしておるはずです。それにもかかわらず、ばく然としていますとか、わかりませんというようなことだったら、何でこの問題は騒がれてきたのですか。私は、そこに原因があったからこういう問題が発生したということを考えてみれば、それをたぐっていけば、必ずそこには処理する方法はあると思います。見つけ出す方法はあると思います。そういう点で、やはりもっと厚生省は、各府県にも衛生研究所はあるでしょうし、そういう機能をフルに使ってやっていただきたいということなんです。  そこで、先ほど私は、大臣にもそうした機能は十分なのかどうかという質問をしたわけです。だから、そういう機関をフルに機能させてこそ初めてこういう問題の解決になるわけです。そのことを私は先ほどから質問しておるわけです。だから、もしもそれがほんとうに明らかでないというのなら、一体この問題はどこから起こってきたのかということになるわけです。
  241. 内田常雄

    内田国務大臣 私からお答え申し上げていいのかどうかわかりませんが、先ほど私が誠意をもってお答えを申し上げておりますとおり、こういう問題が出てきた以上は、それが現在中間報告的なものがあらわれておる、許容量以下であろうがなかろうが一まあ以下だということのようで私も安心いたしておるわけでありますが、しかしこのまま放置しておけるものではございませんので、予算等につきましても、昨年の予算を何倍にふやしましても、従来までの八地区に協力して国が調査をいたすことはもちろん、さらに範囲を広げるなり、さらにまた、牛乳ばかりでなしに、その他のこの農薬の影響を及ぼす畜産物等につきましても調査を広げる等の措置も講じまして、もちろん国の調査機能も、また各道府県の調査機能もフルに活用いたしまして、そして今後安心して牛乳が飲んでいただけるような万全の施策を講ずる覚悟でありますと、こう言ったとおりでございますので、そのように御了承いただきたいと思います。
  242. 西田八郎

    西田委員 いまの問題はこれでピリオドを打ちますけれども、時間もきたようですから、私は厚生大臣に、一億国民の生命を預かる大臣として、やはりこの場所で——私もこれで三回か四回やっておるわけで、大臣からはいつも、きれいなことばで、やりますという御答弁を伺うわけなんです。しかしながら、どうも問題が起こってくると、何かしらんそこには政府の行政機関というものが十分機能していなかったとか、あるいは調査研究が十分でなかったというようなことで、民間に先んじられたり、あるいは学者、専門家の会議で先に問題にされるというようなことがあって、いつも行政のほうが後手後手に回っておると思うのです。したがって、こういう点では、ほんとうは国民は安心できないと思うのです。そして、問題が起こったときにはばあっと広がる。そのときにはいろいろな関係の人が出てきて、それはこうだああだということで説明し、弁明し、かつまた対策というものも発表される。もうこの問題についても十二月の十六日に、前厚相の斎藤さんが、牛乳のBHCの使用基準については万遺憾なきを期するんだということを、これは新聞に発表されておるわけです。ところが、問題がまだ解決しない。そして、答弁を聞いておっても、実はこれは日本だけの問題でわからなかったんだというようなことで、逃げ答弁と言うと少し言い過ぎかもしれませんけれども、この場の答弁のための答弁を私は伺っているような気がしてならない。したがって、ひとつ大臣は、その点厚生行政については非常に造詣が深いようでありますし、またきわめて意欲的でもありますので、首相がしばしば口にされるように、人命尊重、人間を大切にする政治をするために、最も重要な保健行政について、今後ひとつ十分な措置を講じていただきたい。このことを希望申し上げまして終わりたいと思います。
  243. 倉成正

  244. 寺前巖

    寺前委員 いまの関連ですが、きのう一日のニュースを見ておりますと、一つは先ほどから問題になっておった汚染牛乳、「いまごろ『保健上支障』とは」、「隠し続けた厚生省」といって、厚生省がすでに昨年の十二月問題になっておるものを隠し続けた上でfはっきりそう新聞に書いてある。そういう処置がなまぬるいのではないかという意見がそこに出ています。  同じく昨日のニュースの中に、これは富山県の「神通川の水銀調査、学者も怒りの“告発”」という記事が出ておりますね。これも問題になっているのは、昨年の九月以来問題になっている地域で調査をして、一定の方向を出してきている。ところが、現実に、行政指導では「ウグイはほとんど食べられていないし、少量なら食べてもさしつかえない」とか、あるいは「飯代わりに常食しないかぎり無害だ」というようなことで、こういう非常に危険なものが出ていて、第三の水俣病になるのじゃないかというような非常に危倶されることを、研究員のメンバーが深刻に考えているのにもかかわらず、行政指導ではそういう態度だ。だから、もうけしからぬという批判が出ている。  それからまた、同時にその日のニュースに出たのは、西ドイツの製薬会社でサリドマイドの被災児の問題、これが現地では和解がなされて補償で示談がついている。ところが、このサリドマイドの問題にしても、救済を待つ百八十四人が日本におる。この事実について見ても、例の三十六年の西ドイツのレンツ博士が奇形を起こす疑いがあるからこれはやめねばいかぬという警告を出しておる。ところが、実際にそれを中止するというのは、会社が自主的にやられたのは、もう数カ月も後になってしかやられていない。しかもそれも自主的だ。  こういうように見てくると、昨日なされたところの三つのニュースそれぞれを見詰めてみる場合に、強制力をもって執行するところのぱちっとした態度を厚生省がとらないところに被害の範囲が広がっていく。そしてあとから、厚生省は何をやっているんだという批判が出てきているというふうに、きのうのこの三つの事実を通じても思うのですけれども、実際に先ほどからの答弁を聞いておっても、人命を尊重するという立場から、積極的に強制的な措置を即刻とるという態度をとらなかったところに今日の批判があるのだというふうに、厚生大臣は受けとめるべきではないかと思うのですが、その点に対する見解を聞きたいと思います。
  245. 内田常雄

    内田国務大臣 御警告のおことばとして私はまことにありがたく受けとめるものでございます。御指摘をされました新聞の見出しにつきましては、私は必ずしも納得いたしません。それはまあ、ああいうのは整理というのでございましょうけれども、新聞の取り上げ方によってショッキングなヘッディングをつける場合もございましょう。が、それは私はかまいません。かまいませんけれども、しかし、その実態につきましては、私は納得しないものもある、こういうことを申し上げるわけであります。  たとえば、私は就任後日も浅うございますから、私が言明をしてすぐまたぼろが出たということは、まあいまのところ幸いにないと自分では思っておるわけであります。しかし、それでは前大臣にいたしましても、誠意をもっていろいろの対応策を講じられてきたと私は思うものでございまして、今回の牛乳のBHCの事項につきましても、ひた隠しに隠してはおらなかったと私は思います。昨年の十一月か十二月か、厚生省はそのまま中間発表をいたしておるはずでございます。そして、それだけでは調査が十分でないので、調査の範囲を八道府県に広げ、また厚生省の国立衛生試験所等も動員をいたしまして、そして今回の広い調査結果があらわれましたので、先般も直ちにそれを発表した——直ちに発表したと申しますよりも、あるいはもっと三日でも四日でも早く発表できたかもしれませんが、調査の結果を食品衛生調査会という関係方面の専門家を集めた会合にお見せをして、これをどう判断されるか、これは隠しごとでも何でもないのでございますが、どう判断されるかということの御検討を願ったところで今回も発表いたしましたので、これがおとといかの新聞に載っておるものだと考えておるわけでございます。  先ほど来申しておりますように、私はこれはまあ厚生省といたしましては、この牛乳にどうしてBHCが入ってきたかという先にさかのぼることは、厚生省の手が届かないことであったにいたしましても、牛乳そのものはりっぱな食品でありますから、厚生省は、機会あるごとにこれに対して最大の注意を向け、監視をいたし、また手抜かりがあったとするならば、今後これらについては、十分国民の健康を守る施策を尽くしてまいりたいと思うし、まいりますということを申し上げておるとおりでございます。  また、サリドマイドの事件でございますが、これはもうあなたも御承知のように、西ドイツから端を発しましてイギリスとかノルウェーとかデンマークとかオランダとかいろいろの国々が同じような事態を起こしたと私は聞いております。だいぶ前の事案でございましょう。しかし、それはあやしいということになってできるだけ早く禁止してしまうことが最上の策であると同時に、それだけのまだ科学的の確信が得られないというような面もあったために、日本ばかりでなしに、ドイツをはじめ各国でこういう事態を起こしておるわけでございますが、それはともかくといたしまして、この薬の製造承認、輸入承認をいたしましたのは政府でございますから、当時の厚生大臣も責任を痛感するということを公表いたしておる次第でございます。ただ、いかなる形においてこの責任を実行するかということにつきましては、いまこの案件は、ドイツと同じように、あるいはその他の国と同じように、幾つかのグループに分けられて訴訟が提起せられております。昨日の新聞を見て、私どもも、ああそうなったかと思いました。私は去る一月にその新聞を見たわけであります。私が就任当時見たわけでありますが、ドイツにおきましては、元締めの会社が巨額の資金を児童福祉を兼ねた意味で提供することによって、訴訟を和解に導きたいというような希望を表明しておる記事が伝えられておりました。それから四カ月たちました今日、それが相手方の原告側の受けるところになって、この訴訟を和解で片づける、こういうことになったと私は了解するものであります。  さて、しからば日本におきましても訴訟の結果が早く出るかといいますと、なかなか因果関係その他むずかしい面があるようでございまして、すでに何年か前に提起されました訴訟が、まだ公判も開かれていないという状況にありますので、私は正直に申しまして、このままでは被害者の家族の方々がたいへん気の毒だと思いますので、できるならば英国なりあるいはドイツなりその他の諸国の例にならって、裁判所の和解なりあるいは裁判を取り下げて調停というようなかっこうで持っていって、納得すべき処置を訴訟外の方法で講ずるような努力をすべきであると考えております。ただし、実はこれは、いま言うように、国にも形式上の責任があるということで製薬会社と相被告になっておりますので、国だけ先に走り出すわけにまいりません。原告側の意思もございますので、何らかの方法によりまして製薬会社並びに原告側にもアプローチをいたしまして、できる限り早くこの問題の解決をいたしたいと思うものでございます。また、訴訟が係属しております間におきましても、政府は、その間生まれたアザラシといわれる手の不自由な、不幸なお子さま方のために、十分ではありませんけれども、いろいろの対策は講じてきておるわけでありますが、訴訟外においてどういう和解、調停ができましても、生まれたお子さま方の処置につきましては、政府もそのための対応策をさらに講じていくことも検討してまいりたいと思います。
  246. 寺前巖

    寺前委員 時間がありませんが、サリドマイドのほうのことは、率直に大臣が国も責任があるという態度から、積極的に処理していくという方向を打ち出されたことは、私は非常にいいことだと思うのです。考えてみると、問題は、いまも大臣が言われたように、やはりちゅうちょして何カ月間か過ぎたその間に被害が広がったというのがサリドマイドの事実上の非常に大きな問題だったわけです。(内田国務大臣「そのとおり」と呼ぶ)大臣もそのとおりだとおっしゃっておる。昨日出された神通川の水銀の調査の問題、これについても当該の調査した助教授が、これは重大だ、行政指導とこれとの間に違いが起こっておる、自分らが調査した結果では、もう第三の水俣病になりかねない事態だと、問題をぽんと提起しておるわけですね。そうなってきたら、これもまた食べてしまったあとから言うて被害を広げたってだめなんだという問題になります。したがって、こういう問題については、調査をしたら、何やかや言うて長々と延ばすべき性格のものではないから、率直にこういう問題に対する処理を大臣みずからが指示して、即刻処理するという態度をとらるべきだ。もう一度、先ほどの牛乳の問題ではありませんけれども、見出しをあえて言うわけではないが、問題は事態が広がらないうちに押える、危険な段階にならないうちに押えるという態度が要るのじゃないか。あの牛乳の場合でも、たとえばかわるべき農薬がないからということだけで、あるいは、さきの農林省の人の話によると、二分の一BHCを使っているというようなことでちゅうちょする。このちゅうちょ自身に大きな被害をもたらす原因があるのじゃないか。だから、そういう点で大臣は、積極的に人命尊重の立場から即刻処理をするという態度をとらるべきではないか。そういうことで、いま新しく出てきている問題、神通川の問題といい、牛乳の問題といい、即刻処理するという態度をとられるのかどうか、もう一度その点をお聞きしたいと思うのです。
  247. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりの進め方をいたしたいと私は思います。神通川は私どもの記憶にはカドミウムのことばかりありましたが、なに最近になってみると、それは水銀の問題もあるのだ。これは実はいまに始まったことではないので、だんだん当局から聞いてみますと、去年その一部の報告が出てきた。これは富山県でございましょうが、それで富山県当局と打ち合わせて、それの精密検討を去年からやってまいりました。そして、その状況、影響、また何が原因であるか。初めは、たとえば地中に含まれておる水銀等々が原因ではないかと思いましたけれども、それがメチル水銀ではなしにエチル水銀であるというようなことから、何か犯人があるはずだということでさがしました結果、しかるべき場所にその原因をなす工場があることも突きとめておりまして、そのことは、直ちに水銀を排出するような製造をとめておりますと同時に、そこに住まう魚類等の食い方についても、大量に食うべからずというようなことを昨年の段階で警告をいたしております。現在また許容量等の関係におきまして、下のどろの調査までさせておりますので、それらの調査と並行いたしまして、これが災害を呼び起こさないような有効な対策を私はぜひ講じてまいるべきだと考えますので、いろいろまたお教えもいただきたいと思います。
  248. 寺前巖

    寺前委員 いま、警告を発したとおっしゃっておるのですが、それでは、その地方の行政機関がだいじょうぶだと言っておることばというのは、  一体どういうことなんですか。
  249. 金光克己

    金光政府委員 富山県においてだいじょうぶだということは言ってないと思うのでございますが、ウグイ等にはかなりの量が含まれておるわけであります。厚生省の定めました水銀の暫定対策要領の線からいいますと、やはり要警戒地域でございます。そういう意味で、大量に食べることはなるべく避けなければならぬ、こういうことで去年の夏警告を発しておるわけでございます。そういうことでございまして、新聞紙上に載っております考え方というものは、一つの考え方として十分検討はしなければならぬ問題でございますが、これに関連していろいろ研究を進めております範囲の班員の意見によりますと、大量に食べなければだいじょうぶだというのがいままでの考え方でございます。  そういうことでございまして、実はいまの調査結果は、約八割くらいの調査が出ておるわけでございますが、先ほど大臣から御説明ございましたように、どろにどの程度水銀がたまっておるかということも調査いたしております。これはごく近々に結果が出ると思いますが、そういう結果が出ましたら、関係者集まりまして対策会議を開き、今後に問題が残らないような積極的な体制をとりたい、かように考えております。
  250. 寺前巖

    寺前委員 大量に食べなければだいじょうぶだ、大量に食べなくても、一日に魚はそんなにべらぼうに食べられない。しかし、毎日毎日食べ足していったら非常に重大な問題になるのだ。牛乳の場合だって同じことですよ。要するに、人体によくないものについては、率直にすぱっとだめだという態度をとらなかったら、あとからわあわあ言ったって始まらないというのが私は中心だと思う。そういう点で厚生省の態度は無責任だということを批判されておるのではないかと思うので、どうぞ大臣、積極的にやっていただきたいと思うのです。  以上です。      ————◇—————
  251. 倉成正

    倉成委員長 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  御発言ございませんか。1なければ、これにて本案についての質疑は終局いたしました。     —————————————
  252. 倉成正

    倉成委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  国民年金法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  253. 倉成正

    倉成委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  254. 倉成正

    倉成委員長 この際、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君より、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。伊東正義君。
  255. 伊東正義

    ○伊東委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読いたしまして説明にかえさせていただきます。    国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、国民年金制度の重要性にかんがみ、次の事項をすみやかに実現するよう努力すべきである。  一 各福祉年金の年金額を大幅に引き上げ、所得制限の限度額をさらに緩和すること。  一 老齢福祉年金支給開始年齢を早急に引き下げ、障害福祉年金支給範囲を拡大すること。  一 拠出制年金について、スライド制の確立を図るとともに、年金額、保険料、給付要件及び受給対象につき社会保障の精神に従って改善すること。  一 拠出制年金の積立金の運用については、被保険者の意向が十分反映されるようにし、被保険者の福祉のため運用する部分を大幅に拡充すること。  一 特別児童扶養手当については、公的年金と併給するとともに支給事由となる障害の範囲を拡大すること。  一 児童手当に関する法律を昭和四十六年度から実現に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  256. 倉成正

    倉成委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  257. 倉成正

    倉成委員長 起立総員。よって、本案については、伊東正義君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付すことに決しました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣
  258. 内田常雄

    内田国務大臣 全会一致をもちまして法案の御可決を賜わりまして、まことにありがとうございました。  ただいま決定せられました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重をいたしまして、一そうの努力をいたす所存でございます。     —————————————
  259. 倉成正

    倉成委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  261. 倉成正

    倉成委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  内閣提出の家内労働法案、田邊誠君外六名提出の家内労働法案、同じく最低賃金法案の各案審査のため、明二十四日、全日本家内労働者組合総連合副会長本間熊藏君及び東京都交通労働組合主婦の会常任幹事塚本すみ子君の両君に参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 倉成正

    倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次回は明二十四日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会