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小林(進)
委員 ともかく、
労働者が三倍に大きく増大したというこの
数字はちょうだいをいたしましょう。それに対して、
労働基準監督官がわずかに二十三年から今日まで二百余人しかふえておらない。二千四百八十名から二千七百余名にしかふえていない、こういうお粗末な
状態であるというこの
数字だけは認めましょう。
だが、社会の情勢は変わったんだから、何も監督官はふやさなくたって
労働基準
行政がうまくいっているかのようなあなたの答弁に対しては、私は断じて承服することは相ならぬ。なぜかならば、一体
労働基準
行政違反の事実が、現在も、あなたも言うとおり、調べてみれば、七割以上の違反があったというじゃないか、われわれのせっかくつくった建築業の宿舎に関する衛生安全規則に関する報告を見たら、八割以上も違反をしているというじゃないか、こういう違反行為や、基準法にさからうような違反が減っているから、
労働基準監督官は要らないというなら、私は了承いたしましょう。また、もっと大事なことは、この職場に働いている
労働者の
災害です。
災害率は減っていますか。あるいは八日間休業以上の
労働災害に痛めつけられている人々、四十万近くの
数字というものは依然として横ばいじゃありませんか。年間を通じて六千人あるいは七千人、企業のもうけんかなにあおられて、とうとい
労働者が、冗談じゃない、それだけの人間が毎年死んでいっているじゃないか。そういう
数字がなくなったから
労働基準監督官は減らしてもいいというなら私はのみましょう。人の命
一つでも、人の命は地球よりも重いのですぞ。それが一年間で六千人も七千人も死んでいるというその
数字は一体減っていますか。その中で
労働基準監督の監督官をそんなにふやさぬでいい、減ってもいいというような、まさに暴言にひとしいといわなければならない。私は断じて了承することはできません。もしあなたが、私の言うことが気に入らぬのなら、この問題は留保しておきまして、いま一回
労働大臣に、
労働大臣がわからぬければ総理大臣佐藤何がし様に対決して、この問題を明らかにしていかなければならない。こんなにまで
労働行政の冷酷な扱いのために、かくごのごとく被害者があらわれているという実情だけは、総理に私に訴えても問題の解明を基本的に考えてもらわなければいけない。独占資本家は、こういう
労働基準法が正確に行なわれたり、
労働基準監督官がふえたりしては、企業の成長にじゃまになるから、向こうの側からいわせれば、
労働基準監督官をふやすことははなはだ迷惑でしょう。ですから、あなたの言うように、ことしは七十五人ふやしましたなんと言っている、そういう
労働省のいわゆる管理者や高官は、企業者側はまことにこれは好ましいことだろうけれ
ども、われわれは、
労働者が毎年六千から七千なり殺されているというこの事実に照らして、断じていままでのこういうささやかな基準
行政というものを認めるわけにはいきません。大幅に本質的にこの問題は取り組んでいただかなければならないと思います。
そこで私は、結論的に
一つ申し上げますが、昨年の四月の、まだこれは原さんが
労働大臣でおられたときに、やはりこういう出かせぎの問題が論ぜられた。そのときに、この出かせぎの問題は、今日過渡的、暫定的に終わるのじゃない、先ほ
ども言うように、これから先将来さらに自民党の
農業政策が続く限り、これは将来に向かってまだまだ大きく増大していく問題でありまするから、この際、いまの
労働省がおやりになっている出かせぎ
労働者の宿舎をちょっと手直しするとか、あるいは不払い賃金の問題を何とか下請の不払いを元請も責任を持つようにするとか、ささやかな手直し
——その手直しもちっともうまくいってない。いってないが、そういう手直し
程度のごまかしで問題が解決する問題ではないという、こういう切実な要求に対して、昨年の四月前後の
社会労働委員会の中で、当時の原
労働大臣は、出かせぎのための特別立法を考慮いたします、こういうことを確約せられておる。私はこのことばに非常に期待している。先ほどから申し上げますように、住居から離れて出るところから帰って
失業保険をもらうところまで、立体的、総合的にそれを保護し守り抜くというためには、どうしても出かせぎのための特別の立法というものが必要であると私も感ずる。原さんは、いみじくも昨年の四月に、これを考慮すると言われていたが、その後、この大臣の答弁を受けて
行政当局がどういうふうに
作業を進めておいでになったか、これを承っておきたいと思うのであります。