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1970-03-18 第63回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十八日(水曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 倉成  正君    理事 伊東 正義君 理事 小山 省二君    理事 粟山 ひで君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君       有馬 元治君   小此木彦三郎君       梶山 静六君    唐沢俊二郎君       藏内 修治君    小金 義照君       佐々木義武君    斉藤滋与史君       中島源太郎君    別川悠紀夫君       松澤 雄藏君    松山千惠子君       箕輪  登君    向山 一人君       山下 徳夫君    渡部 恒三君       渡辺  肇君    川俣健二郎君       小林  進君    後藤 俊男君       島本 虎三君    藤田 高敏君       山本 政弘君    古寺  宏君       古川 雅司君    渡部 通子君       寒川 喜一君    寺前  巖君  出席国務大臣         労 働 大 臣 野原 正勝君  出席政府委員         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         防衛施設庁労務         部長      長坂  強君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省人事局長 中田 正一君         労働政務次官  大野  明君         労働大臣官房長 岡部 實夫君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      和田 勝美君         労働省職業安定         局長      住  榮作君  委員外出席者         郵政省郵務局次         長       広瀬  弘君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長) 御子柴博見君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   島村 忠男君         参  考  人         (労働福祉事業         団理事長)   中西  實君         参  考  人         (労働福祉事業         団職員部長)  比留間一雄君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   古寺  宏君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     古寺  宏君 同月十七日  辞任         補欠選任   渡辺  肇君     福田  一君 同日  辞任         補欠選任   福田  一君     渡辺  肇君     ————————————— 三月十三日  家内労働法案内閣提出第八号) 同月十七日  未認可保育所助成等に関する請願井岡大治  君紹介)(第一二三二号)  同(木島喜兵衞紹介)(第一二三三号)  同(田畑金光紹介)(第一二三四号)  同(内藤良平紹介)(第一二三五号)  同(山本政弘紹介)(第一二三六号)  同(小林政子紹介)(第一二八九号)  同(津川武一紹介)(第一二九〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第一二九一号)  同(林百郎君紹介)(第一二九二号)  同(松本善明紹介)(第一二九三号)  同(米原拠紹介)(第一二九四号)  同(小林進紹介)(第一四五二号)  心臓病児者医療等に関する請願梶山静六君  紹介)(第一二三七号)  同(草野一郎平紹介)(第一二三八号)  同(田中榮一紹介)(第一二三九号)  同(福田篤泰紹介)(第一二四〇号)  同外一件(田川誠一紹介)(第一二四一号)  同外一件(増岡博之紹介)(第一二九六号)  同(寺前巖紹介)(第一二九七号)  同(大久保直彦紹介)(第一三二四号)  同(後藤俊男紹介)(第一三二五号)  同(島村一郎紹介)(第一三二六号)  同(山下元利紹介)(第二一三七号)  同(古寺宏紹介)(第一三四五号)  同(宇野宗佑紹介)(第一三七二号)  同(石川次夫紹介)(第一四五〇号)  同(小林進紹介)(第一四五一号)  民生委員関係費増額に関する請願田川誠一  君紹介)(第一二四二号)  同(園田直紹介)(第一二九五号)  同(山本幸雄紹介)(第一三四六号)  同外二十件(松澤雄藏紹介)(第一四五四  号)  労働者災害補償保険法の一部改正に関する請願  (田川誠一紹介)(第一二四三号)  同(田畑金光紹介)(第一二四四号)  同(八木昇紹介)(第一四五五号)  労働災害以外によるせき髄損傷障害者の援護に  関する請願田川誠一紹介)(第一二四五  号)  同(田畑金光紹介)(第一二四六号)  同(八木昇紹介)(第一四五六号)  優生保護法の一部改正に関する請願外十四件(  上村千一郎紹介)(第一二四七号)  同外七件(大坪保雄紹介)(第一二四八号)  同外百四十二件(小金義照紹介)(第一二四  九号)  同外百一件(河野洋平紹介)(第一二五〇  号)  同外六十七件(田中榮一紹介)(第一二五一  号)  同(佐々木秀世紹介)(第一二五二号)  同外四件(斉藤滋与史君紹介)((第一二五三  号)  同外百十六件(塩谷一夫紹介)(第一二五四  号)  同外八十件(中村弘海紹介)(第一二五五  号)  同外五十一件(福田篤泰紹介)(第一二五六  号)  同外十八件(山田久就君紹介)(第一二五七  号)  同(佐々木秀世紹介)(第一二九八号)  同外六件(坂本三十次君紹介)(第一二九九  号)  同外十八件(園田直紹介)(第一三〇〇号)  同(野原正勝紹介)(第一三〇一号)  同外十八件(松野頼三君紹介)(第一三〇二  号)  同外四十件(佐々木義武紹介)(第一三三二  号)  同外九十九件(白浜仁吉紹介)(第一三三三  号)  同外九十一件(西岡武夫紹介)(第一三三四  号)  同外七十一件(安田貴六君紹介)(第一三三五  号)  同外八件(佐々木秀世紹介)(第一三四七  号)  同外二百六十件(坂本三十次君紹介)(第一三  四八号)  同(中馬辰猪紹介)(第一三四九号)  同外百十四件(山口シヅエ紹介)(第一三五  〇号)  同外百四十三件(宇野宗佑紹介)(第一三七  三号)  同外五十件(田中龍夫紹介)(第一三七四  号)  同外四十六件(早川崇紹介)(第一三九八  号)  同外三件(上村千一郎紹介)(第一三九九  号)  同外三十四件(小川半次紹介)(第一四〇〇  号)  同外六十五件(粟山ひで紹介)(第一四〇一  号)  同外百件(堀田政孝紹介)(第一四〇二号)  同外四十七件(松野頼三君紹介)(第一四〇三  号)  同外六件(高見三郎紹介)(第一四五七号)  同外千三百六十四件(永山忠則紹介)(第一  四一五八号)  同外二十五件(松澤雄藏紹介)(第一四五九  号)  同外二十九件(渡辺栄一紹介)(第一四六〇  号)  衛生検査技師法の一部改正に関する請願(神田  博君紹介)(第一二八八号)  同(斉藤正男紹介)(第一三二八号)  同(高見三郎紹介)(第一四五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四九号)  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。
  3. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 提案理由説明を聴取いたします。労働大臣野原正勝君。
  4. 野原国務大臣(野原正勝)

    野原国務大臣 ただいま議題となりました「中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案」につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  中小企業退職金共済法は、中小企業従業員福祉増進中小企業振興に寄与するため、昭和三十四年に制定され、この法律に基づきまして、現在、中小企業一般従業員対象とする中小企業退職金共済制度と、建設業並びに清酒製造業期間を定めて雇用される従業員対象とするいわゆる特定業種退職金共済制度の二種類の制度が設けられているのであります。  これらの制度の現在の普及状況をみますると、両制度あわせて、加入事業主数約十七万人、従業員数約二百五十二万人という実績をあげているのであります。  このような実績から見まして、これらの制度は、中小企業労働福祉対策の主要な柱の一つとして、中小企業に働く従業員福祉増進中小企業振興のため、貢献するところ大であると信ずるものであります。  しかしながら、本制度を最近における社会経済情勢に即応した、より効果的なものとし、本制度の一そうの普及発展をはかるためには、なお改善を要する幾つかの点があるのであります。  すなわち、近年の賃金退職金水準上昇等を考えまするとき、現行中小企業退職金共済制度における掛金月額は、実情に即さないものとなってきているのであります。他方、中小企業においても退職金制度についての関心が高まっているおりから、本制度を一そう魅力あるものとするため、退職金給付に対する国庫補助増額する必要があると考えられるのであります。  また、現行制度では、死亡退職者につきまして、特段の配慮はなされていないのでありますが、死亡という特殊事情を考慮いたしまするとき、死亡退職者にかかわる退職金給付について、改善をはかることが適当と考えられるのであります。  以上のような事情にかんがみまして、政府といたしましては、これらの諸点につき所要改善を行なうこととし、中小企業退職金共済審議会に諮問の上、その答申を得て、この法律案を提出するに至った次第であります。  次に、法律案内容につきまして概要を御説明申し上げます。  この法律案は、以上申し述べました趣旨に基づいたものでありまして、その内容は、次の三点であります。  第一点は、中小企業退職金共済制度における退職金給付に対する国庫補助増額であります。すなわち、現行制度では、退職金給付に関し、掛金月額二百円に対応する退職金について、掛金の納付された期間が三年以上十年未満は五%、十年以上は一〇%の国庫補助が行なわれているのでありますが、退職金国庫補助対象部分掛金月額二百円に対応するものから掛金月額四百円に対応するものに引き上げ、国庫補助増額することといたしたことであります。  第二点は、掛金月額の引上げであります。現行中小企業退職金共済制度では、掛金月額最低額は二百円、最高額は二千円とされているのでありますが、これを、最低額四百円、最高額四千円にそれぞれ引き上げることといたしたことであります。  第三点は、死亡退職者にかかる退職金給付改善であります。現行制度では、長期勤続者に対する退職金給付を有利にするため、短期勤続者の場合には、退職金が支給されず、または退職金の額が納付された掛金総額に満たないことがありますが、死亡退職者につきましては、特例を設けることといたし、掛金納付期間が一年以上の死亡退職者につきましては、少なくとも納付された掛金総額以上の退職金を支給することといたしたことであります。  その他、これらの改正が円滑に実施されるよう所要経過措置を講ずることといたしております。  以上この法律案提案理由及びその内容概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 次に、労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  おはかりいたします。  首都高速道路公団における労働問題について、本日、首都高速道路公団理事長御子柴博見君及び理事島村忠男君にそれぞれ参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
  7. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 昭和三十九年から、首都高速道路公団賃金問題で今日も紛争が続いておるわけでございますが、特に最近、政労協関係のいわば労働問題で、首都高速道路だけではなしに、ほかの組合におきましても、不当処分の問題なりあるいはその他いろいろな紛争が続いておると思うのでございますが、特にきょうは、首都高速道路公団賃金体系の問題で、今日もやはり紛争が続いておりまして、聞くところによりますと、今月の賃金すら正式に支払いが行なわれておらない、こういうような情勢だと聞いておるわけでございますが、これは労使ともに非常に大切な問題であろうと思いますし、できるだけ早く労使の正常なる姿に返っていただく、これが非常に大切なことだと私は考えるわけでございますが、そういう意味におきまして、これから首都高速道路公団のいわば管理者のほうのいままでの経過なり考え方等をお尋ねいたしたい、こう思います。  時間も十分ございませんので、一々こまかいことは省くような方法でお聞きいたしたいと思うわけですが、先ほども言いましたように、昭和三十九年以来、賃金体系の問題で、労使の間で紛争が起きておる。しかも、このことが、昨年あたりからのベースアップの問題なり手当の問題なり、あるいは先ほど言いました賃金等の問題につきましても、正常なる形の支給というものが行なわれておらないと聞いておるわけでございますが、きょうは、首都高速道路公団管理者の代表の方も来ておられますので、いま申し上げました、三十九年以来できておる賃金体系を基礎にする紛争につきまして、できるだけ重点的に今日までの経過を冒頭にお伺いいたしたいと思います。
  8. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 御子柴でございます。  お答え申し上げます。  ただいま、お話がございましたように、賃金体系の問題につきまして、三十九年以来、いろいろと組合のほうと話し合いをいたしておりますが、いまだに解決に至っておりませんことは、御指摘のとおりでございます。  御案内のように、いまお話がございましたように昭和三十九年から四十一年にかけまして、公団といたしましても、給与体系に関しまして従来の典型的な年功序列的な通し号俸を改めまして、国家公務員なりあるいは一般的な社会の趨勢にありますように、その賃金を、その仕事によりまして、責任の度合いとかあるいは能力、そういったものを勘案をいたしまして、できるだけ妥当な賃金体系をつくりたいということで話し合いをいたしておりまして、それが、いまお話の三十九年から四十一年にかけまして組合といろいろと折衝を持ったのでございます。  それで、四十一年に、組合との話し合いで、この賃金体系の問題は非常に重要な問題であるから、ひとつこの点につきましては、長期かつ慎重に労使の間で話し合いをしようではないか、こういう覚書が取りかわされているわけでございます。  その後、公団といたしましては、慎重にこの問題に取り組みまして、昭和四十三年の五月に正式に組合のほうに新しい体系提案をいたしたわけでございます。提案いたしましたのが五月でございますが、それから十二月に至りますまで一向にそれが進展いたしません。その間におきまして、御承知と思いますが、他の公団建設関係公団におきましても、水資源公団、道路公団、あるいは阪神高速道路公団住宅公団、いずれも提案後、早いところでは三カ月あるいは四カ月、おそいところでも七カ月間くらいの期間をもちましてこれが妥結いたしたのでございますが、遺憾ながら当公団におきましては、基本的に新しい体系を容認することはできない、こういうことで、長い間争いが続きまして今日に至っているわけでございますが、その間、昭和四十三年の十二月に、組合とさらに詰めまして折衝を持ちまして、四十三年十二月の二十一日に協定いたしたのでございますが、とりあえず四十三年度のべースアップは、公団は旧体系で回答いたしましょう、なお、公団提案いたしております給与体系改定案組合は受領いたしまして、四十四年一月から労使間で審議を進めよう、こういう趣旨協定をいたしたのでございます。  なお、この協定につきましては、付属議事録として次に申し上げますような確認がございます。すなわち、公団は「給与体系の改訂については、労使が全力を挙げて審議を促進し、昭和四十三年度中に合意することとしたい。」これに対しまして組合は「審議に協力し、解決に努力することとしたい。ただし、内容及び時期についての公団意向を了解したものではない。」こういう議事録がついているのでございます。  ところで、四十四年に入りましてから、組合はその審議方法の議論だけに終始いたしまして、幾たびも説得いたしたのでございますが、給与体系実質審議にはついに入らないまま三月に至りました。この間、組合の申しますことは、給与体系に関する覚書のうちで「長期、かつ慎重」、この文言を非常に主張したのでございますが、当公団といたしましては、精力的に双方が検討し、議論するならば、決してそんなに長い期間はかからない、かように考えておるわけでございます。組合の申しますのは、「長期、かつ慎重」というのは三年も五年もかかる、こういうようなことから、ついに一歩も内容審議に入り得なかった、こういう事情でございます。  そこで、こういう事態をたどりながら四十三年度末を迎えたわけでございますが、四十三年度の給与改定を四十四年の三月に妥結いたしませんことには、これは、当公団給与体系国家公務員なり他の公団に比べまして非常に水準が低いものになってしまう。通し号俸の各号を新しい体系に改めるといたしましても、給与が下がるのではなしに、公団の案によりましても、全職員の九〇%は給与が上がってまいる。一〇%につきましては現状維持、こういう形になります。しかも、その現状維持でございます一〇%の方々、いわば国家公務員で申しますと行政職(二)表に当たりますような単純労務、こういう方につきましても、新しい体系による給料表によりますると、昇給頭打ちを解消する措置をとっております。たとえば、一番最初の技師補主事補段階におきましても、従来よりもその号俸を十一号延ばしておりまするし、技師主事段階におきましても八号延ばす、こういう措置をとっておりますので、結局、下がるのはございませんし、また、現状維持の方につきましても、今後昇給頭打ちが解消する。こういう点からいたしまして、新しい給料表は、従来よりも決して悪いものではなしに、むしろ是正されてまいる。こういうような観点から、職員全体にとって有利なものである、かように判断をいたしまして、四十四年の四月から新しい給与体系を、就業規則改正によりまして実施している。大体そういう状況でございます。
  9. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 そうしますと、いまあなたが言われた昭和四十四年の四月でございますか、就業規則改正された。就業規則改正につきましては、やはり労働組合意見も十分聞いてやるんだ、しかも、就業規則そのもの労働協約にも関係があると思うのです。そうなりますと、この就業規則を一方的に改定するということは、行き過ぎであり、できないように私は思うわけでございますけれども、いまの説明ですと、四十四年四月に就業規則改定した、こういう説明でございますが、いま申し上げましたところの労働組合意向も十分くみ入れました上で就業規則改正をされたのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  10. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 御指摘のように、給与の取りきめにつきましては、労使の間で話をいたしまして、それが円満妥結の上で協定を結ぶ、これが筋でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、そのことにつきまして組合側とは鋭意折衝を重ねたのでございますが、組合側におきましては、新しい体系は白紙還元しろ、こういう主張一方でございました。そういったことでまいりますると、ただいま説明申し上げましたように、職員全体にとって非常に不利な状況になる、かようなことになります。あわせまして、組合との折衝の過程におきまして、四十四年二月三日に一応もとの通し号俸ベースアップをいたしております。それにつきましては、その後の折衝によりましてこれを解決する、こういう前提に立ってベースアップをいたしておりますが、いま申し上げましたような事情から、このまま放置いたしますると職員全体にとりまして非常に不利になる、こういうことから公団といたしましては就業規則改正いたしました。しかし、その改正いたしました就業規則に基づきまして組合と鋭意折衝の上、円満な妥結をいたしましてこれを協定化してまいりたい、こういう考え方でございます。
  11. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 いま、最後のほうの説明が少しわからなかったわけですが、円満に妥結してから就業規則改正する、こう言われたのですか。
  12. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 就業規則改定は、建設大臣大蔵大臣の協議を経まして、建設大臣認可を得まして一方的に改定をいたしました。これはまことにやむを得なかった措置でございます。
  13. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 一方的に改正した、これはやむを得なかった、こういう説明がいまあったわけでございますけれども、この就業規則の中には職員給与規程があるわけなんです。これは十分御承知だと思います。職員給与規程がある以上は、その給与規程というのは、賃金体系に基づく給与規程だと思うのです。そうなってまいりますと、働いておる労働者なり労働組合としましては、少なくとも労働者賃金体系が変わる——これはあなたも御承知のように、どこの労働組合におきましても、賃金体系をなぶるということはたいへんな問題なんです。非常に長い間紛争を起こす組合もありますし、先ほどあなたが言われましたように、一本の賃金体系を六本、七本の賃金体系に変えてしまう。労働組合に言わせますと職務給だあるいは職階給だ、こういうふうな立場で、あなた方がやられようとしておる賃金体系につきましては反対をしておるんだと私は解釈しておるわけでございます。先ほどからあなたは、この賃金体系をなぶることは職員に有利になるんだ、有利になるんだと言われますけれども、有利になると言われますのはあなたのほうであって、あなたの相手の労働組合としては、この賃金体系につきましては不利であるという立場反対をしておられると私は推測するわけなんです。そうなってまいりますと、この就業規則の中には職員給与規程まで入っておる。その給与規程の中には賃金体系も含まれておるんだ。その大きな問題を一方的にやむを得ずやったということでは通らぬと私は思うわけです。労働基準法からいおうと、あるいは現在の労働組合法からいおうと、法のいっておる精神というのをあなたのほうが強引に踏みにじったような形で就業規則を一方的に改正された、こう私は考えるのですが、この点いかがですか。
  14. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 御指摘のように、就業規則改正をいたしまして給与規程改正いたしたのでございます。その有利不利の問題でございますが、先ほども申し上げたと思うのでございますが、組合のほうは非常に不利になる、こうおっしゃるのです。私のほうといたしましては、先ほど申し上げましたように、全体を通じまして有利になる。特に、もう申し上げるまでもないことでございますが、当公団創立十年を経過いたしておりまして、職員も、相当長期に、しかも専門的な知識を持ちましたいい職員もおります。その職員が、創立当初ならばともかくといたしまして、もう十年も経過いたしますと、やはりその本人の能力なり責任の度合い、そういったことから考えまして、将来に希望を持てるような賃金体系というものは当然必要ではないか。公団といたしましても、これから数多くのむずかしい問題もかかえておりまするし、そういった点からいたしましても、職員に希望を持たせまして、それにふさわしい処遇をいたしまして本来の責任を果たしてまいりたい。これはわれわれも強く責任を感じまするし、また職員もそういう気持ちでおるわけでございます。  そこで、先ほどちょっと、職務給であるとか職階給であるとか、こういうお話がございましたが、純粋な意味の職務給と申しますのは、職務を幾つかに分類いたしまして、その中で勤務年数とか年齢とか学歴とか、そういうことは無関係賃金がきまってくるようなものでございまして、今度私の申しておりますのは、従来の体系を若干手直しをいたしまして、各ごとに若干の昇給に差のある給与体系をつくる、こういうことでございまして、きわめてこれは、むしろ前進的なものでございまして、決して職階給であるとか職務給であるとか、こういう組合の申しておりますことは当たっておらないと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、有利になる。組合は不利になる。不利になると申しますのは、むしろいまの通し号俸をそのまま今後とも続けて、それをもとに給与改定いたしてまいりますと、ますますそれが不利になりまして、一般の水準からおくれてまいる。ですから、私のほうといたしましては、この改定というものは全体の組合員にとりましても有利になる、さような考え方に立ちまして、これを改定いたしたのでございます。
  15. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 いまあなたが説明されましたのは、あなたのほうから提案されておる賃金体系は、こういうふうに有利であると思うという説明だと思います。労働組合労働組合のほうとして、あなたのほうでやられようとしておる賃金体系に対しては、将来のことを考えるとこれは了解するわけにはまいらぬということで反対、こういう態度であったろうと思います。  それで、ただ私があなたにお尋ねするのは、あなたのほうから提案されておる賃金体系そのものがどうとかこうとかという中身の問題ではなしに、少なくとも労働基準法第三条でいうところの労働条件の中の一番大事な賃金の問題です。賃金問題というのは労使対等の立場できめるべきものだ、これははっきり法律できまっておるわけなんです。これを一方的にあなたのほうで実施されたということは、一体どういうわけだというところを聞いておるわけなんです。ただあなたのほうから提案されたものがいいとか悪いとかいうことではなしに、賃金問題をそういう扱いをされた根拠、理由、なぜ一体そういうようなことをやられたのだろうか。労働基準法からいいましても労組法からいいましても、いかにも手口、やり方といたしまして強引なやり方ではないか。ただ、おれらのやることは職員の有利になるから、おれらのやることを認めよ、認めぬなら実績をつくっていくぞ、既成事実をつくっていくぞというかっこうがわれわれの目に映ってしようがないわけなんです。  ですから、あなたにお尋ねするのは、提案されておる新賃金体系のいい悪いではなしに、賃金問題についての労使の扱いが、あなたのほうでやられたそのやり方が、一体そういうやり方でいいのかどうか、それを私はお尋ねしておるわけなんです。話の中心を間違えないように私の質問にお答えをいただきたいと思います。
  16. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 お話しのように、双方が話し合ってこれを円満にきめてまいる、これはもう御趣旨のとおりでございます。先ほど申し上げましたのは、御説明がへたで十分御納得がいかなかったかと思いますが、今日までの労働組合との折衝の過程におきまして——いろいろ詳しく申し上げますと長くなりますので省略いたしますが、あくまで当方といたしましては、組合に対しまして円満に話し合いをいたしまして、それできめていきたいという姿勢を持っております。労働組合といたしましても、今日までいろいろな経緯から反対はいたしておりますが、組合協定あるいは覚え書き等を結ぶ過程におきましては、この点につきましては自分のほうもひとつ誠実にやる——これは組合法の精神からいたしましても双方誠実にやるのは当然でございますが、誠実にやるのだ。ただその期限について、二カ月とか三カ月とかいうようなことでやられるのは困る。さっき申し上げました何年もかかるというのはおそらく極端な、オーバーな言い方だろうと思いますが、組合といたしましても早晩はこれを解決しなければならぬという姿勢を持っておることをわれわれも確認いたしております。  そこで、お話しのように、一方的にやりますことはどうかという点につきましては、私のほうも不本意ながらこれをやったという表現を用いましたが、これは就業規則改定いたしまして、今後、年度内にそれはできなかったけれども、昨年の場合でございますが、これはさらに話を詰めまして、あくまでこれを協定化してまいりたい、この努力は必ずやできるのではないか、こういう判断に立ちましてやったのでございまして、その点御了承いただきたいと思います。
  17. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 いまの説明では了解できませんね。というのは、いまあなたが説明されましたように、大事なことを先に一方的にやっておいて、あとからひとつ話をしてきめましょう、きめるのだからというようなことがいまの御説明なんです。ただ、私があなたに言いたいのは、少なくとも就業規則の中には賃金給与規程も入っておるわけです。賃金給与規程というのは、これは何べんも申し上げますが、労働者に対しては一番大事な賃金問題なんです。しかもこの賃金問題をあなたのほうは、いままでの一本の通し号俸を新しい体系に変えてしまおう、いわば労働者がもらう賃金を根本的に変えよう、体系を変えてしまおうという提案なんです。そのことも含んだ就業規則でございますから、やむを得ず一方的にやりました、一方的にやりましたというのなら、一体労働基準法やら労組法は何のためにあるのだ。何べん組合に話してもうんと言わぬから、おれは一方的にやったのだということになりますと、労使関係というのはますます紛争が深まる一方だと私は思うわけです。ですからこの就業規則をあなたのほうでなぶるということなら、その中身の賃金問題を少なくとも相手の労働組合ときちっとしないことには、就業規則改正というのは行なわれない、行なってはいかぬというのが、現在の労基法なり労組法で命じておる内容だと私は考えておるわけです。それもやむを得ないのだ、やむを得ないのだ、情勢情勢だからやむを得ないでやったというのでは通らないと私は思うわけですけれども、いかがですか、この点は。
  18. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 ただいま御子柴から申し上げましたことを少し補足させていただきたいと思います。  なぜ就業規則を一方的に改正するに至ったかという理由につきまして補足させていただくわけでありますが、先ほどから御子柴からも申し上げておりますように、いろいろなやむを得ざるいきさつがあるわけでありますが、しかしながら、このやむを得ざる理由の中に非常に重大な問題があると私どもは思っております。それは先ほど御子柴から申し上げました中にもありましたが、経過の中で申し上げたわけでありますけれども、昭和四十四年に入りまして、一月以降は双方で実質審議に入ろうという協約がございます。この協約が忠実に実行されておりましたならば、組合といえども——三月末というのはこれは年度末でもございますし、単年度予算の体制の前提をとっておりますから、この辺のことは組合もよくわかっておったろうと思うのでありますが、一月以降実質審議に入ろうという協約が誠実に守られておれば、それは一応時期、内容については組合は必ずしも公団の言うとおりにはならないよということがございましても、実質的には入らせて解決に立ち至ったものとわれわれは考えておったわけです。しかしこの協定実質審議に入ろうという協定があったにかかわらず、ついに年度末まで一ぺんも実質審議に入ろうとしなかった。言ってみれば、手続がどうのというような審議方法だけにとどまりまして、ついに実質審議に入ろうとしなかった。なお組合の態度といたしましては、この一方施行をする以前でございます昭和四十三年五月にこの案を提案したわけでございますけれども、その以降、まだ別にきわ立った段階にきていない時点におきましても、組合側のいろんな態度を見ますと、先ほど御子柴からも申し上げましたが、どうも新しい体系そのものについて反対という態度が非常に強かったようでございます。どうも本来乗る気がなかったのじゃないかというようなことが、われわれとしては感じられておるわけです。まあそれもございましたけれども、一番問題になりますのは、四十四年の一月以降実質審議に入ろうという協約があったにかかわらず、この協約についに乗ってくれなかったということでございます。  それからなおつけ加えて申し上げますならば、職員の全体の利益、不利益の問題につきましては、これは体系を改めるにあたりまして、賃金の原資が不足いたしたわけでございますが、その不足分もこれは監督官庁等から取りつけまして、だれも不利にならないように、有利になるようにという配慮を加えた、これは案で組合に示したわけでございます。  そういう理由をもちまして、それかついに——三月の末まで交渉が進められたわけでございますけれども、その交渉の詰めと申しますれば、三月でございますが、三月の末に入りましてから、組合は新しい体系に関して五百項目にわたる質問状を出しております。それでこの質問状に対しては逐一懇切に答えております。したがいまして組合といたしましても、その辺の審議実質審議だ、実際は。——実は組合の内部でも行なわれておったというふうに私は理解しておりますが、それらの問題、さらにそれでもらちがあかないというので、公団といたしましては、妥結条件と申しますか、いろんな妥結条件まで組合に示しまして、何とか年度内に妥結をはかりたいということで強く要望を続けてまいったわけでありますが、それらがいずれも、まあ言ってみれば組合側からけられたわけでございます。そこで公団といたしましては、これは単年度予算というシステムをとっておりますから、その点から申しましても、どうしても年度内にこれを妥結したいということで、最後にやむを得ず就業規則の一方改正ということにならざるを得なかった。このこと自体は、もちろん労使の原則論に照らしますれば、決して私どもも妥当であったとは必ずしも申しません。申しませんが、これはやむを得なかった、言ってみれば、どうしても組合が乗ってくれなかったということでございます。
  19. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 いろいろといま説明されたわけですがね、ただ賃金体系の問題について組合のほうは反対だし、あなたのほうは早いところのんでもらいたいという気持ちがある。その上に立って、なかなか組合が相手にしてくれぬ、なんぼ言うても相手になってくれないから、やむを得ずこうやったんだ、こう言われるわけでございますけれども、そういうやり方というのが、はたして法的に正しいやり方なのかどうかという点なんです。いわば労働組合としましては、あなたのほうから提案しておられる新しい賃金体系については、これはもう絶対反対だという条件のもとに戦いを進めておられたと思うのです。しかも団体交渉は、この問題については、やはり回を重ねてやっておられるわけなんですね。ところが、労働組合のほうの言いますのには、新賃金体系、いわゆる賃金体系を変更しなければいけないという問題かどうかという点からひとつ論争をしていこうではないか、こういうふうな意見だったと聞いております。あなたのほうとしては、一刻も早くこれをのんでもらわぬと職員が損する、こういう言い方だと思うわけなんですね。いずれにいたしましても、先ほど言いました昭和四十四年の三月でございますか、就業規則を一方的にあなたのほうで改正されたということは、これは間違いないと思うわけなんです。どんな理由があろうとも、これは一方的にやられたことは間違いないと思います。ただし、何べんも言いますように、その就業規則の中には、問題になっておる新しい賃金体系まで含まっておるわけなんです。といたしますならば、組合のほうとしても、この就業規則をなぶるということは、自分の賃金がなぶられるということになってくるわけでございますから、そうなれば、何もあなたのほうから提案したものを組合が協力するというスタイルではなしに、労働基準法の第二条じゃございませんけれども、労働条件の一番大切な問題だから、対等な立場でこれをきめなければならない。これははっきりしておると思うのでございます。ただ、あなたのほうの説明を聞いておると、おれのほうがいいものをつくったら、組合のほうが協力せぬからだめなんだというようなものの言い方に私には聞こえてしようがないのであります。ですから、いままでの就業規則を一方的にあなたのほうでなぶられたという理由につきましてはいろいろありましょうけれども、最終的な結論として就業規則そのもの賃金の中身の問題まで含まれておる。しかもいままでどおりの賃金ならいいけれども、新しい賃金体系に変えてしまうということまで含まれておるところの就業規則を、あなたのほうとしてはやむを得なかったからやったのだ、やむを得なかったからやったのだということでは、労使の問題として扱い方が非常にまずいと思うのです。やり方としては非常に強引ではないか。しかも先ほど言われましたように、昭和三十九年からたびたび協定を結んでおられるわけなんです。あなたのほうが言っておられるように、賃金体系の変更についてはまことに大きい問題であるから慎重にかつ長期間でやりましょうという協定を、二回も三回も結んでおられるわけなんです。だからあなたのほうとしても、賃金体系をなぶるということはたいへんなことだということは十分御承知なんです。そういうような経過を考えてみるときには、いままで申されましたような情勢があるといたしましても、就業規則を一方的に改正をしてしまって、既成事実をつくったようなかっこうで新賃金体系労働組合にのましてしまう、こういうようなやり方は私としては納得できないし、労使問題の扱いとしてはまことにまずいやり方ではないか。さらに紛争をあとへあとへと延ばすようなやり方になってくるわけなんです。こういうことをやっておらぬとするならばもっと問題は解決しておるかもわからぬと思いますけれども、こういうような一方的な強引なことをやられることにおいて、今日すら新賃金体系はまだ解決しておらぬじゃないですか。その辺のところへもこの問題は大きく響いておると私は思うわけなんです。だから現在管理者の代表といたしまして、この就業規則を一方的にやったということにつきましては、これはまことに申しわけなかった、やり方はまずかった、考え直す必要がある、こういう御意見であるならば、そういう御意見をひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 ただいま考え直せという御提案でありますが、これは結論といたしまして、私どものほうでは決して好ましい措置でなかったということは重々認めておりますけれども、しかしながら、就業規則改正いたしましたものを組合の言うように白紙に戻せ、つまり通し号俸時代に戻せ、そうしたらどうかという御提案ならば、これは残念ながら私どもはそれはできないということを申し上げなければならぬと思っております。もちろん労使関係の問題といたしましては、くどくど申し上げるようですけれども、双方の協定によってというところまでいかなかったことを非常に残念に思いますし、またそれをその協定の成立しないままに就業規則改正に持っていったということ自体は、私どもも決して労使の間柄の問題といたしましては適当なものだとは考えておりません。ただこれは一方、法的に申しますならば、これは私どもにも十分な言い分があるわけでございまして、この問題はここでは申し上げませんけれども、この点につきましてはただいま都の地方労働委員会等でも争われている問題でございますから。ただ法的な正不正の問題につきましては、私どもは十分な自信は持っております。一方、くどいようですけれども、労使間の協定なしに就業規則改正したということについては、私どもははなはだ遺憾に思っております。ただそこで、これを遺憾だと思うならば、それならば白紙に還元したらどうかということにつながるかと思いますけれども、これはもしもそういうことになりますと非常に内部的にも重大な問題、非常に大きな混乱も起こってまいるだろうと思いますし、また必ずしも組合員が公団職員のすべてでも実はございません。かなり大量の管理職、非組合員もわが公団の場合おりますので、その辺への影響等も十分考慮しなければなりませんので、この白紙還元という問題につきましては、私どもとしてはとうてい実施するわけにはいかないだろうというふうに考えております。
  21. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 私先ほど白紙還元にしてくれということは言うた覚えはないのですけれども、先回りされて返答されておるように私思うわけです。ただ、いまあなたが言われました中で、法的に言えば自信を持っておる、こういう開き直ったお答えがあったわけです。それで、ただ就業規則改正ということなら、一般的に労使の問題として大して問題がないわけなんですよ、就業規則をどうするということについては。ただ現在問題になっておりますのは、賃金問題が紛争中でありますから就業規則が問題になってくるわけなんです。普通の労使関係でありますと、賃金の問題はきちっときまっておる。それに基づいて就業規則がつくられておる。その就業規則改正するということなら、これは大して問題はありません。ところがそうではなしに、就業規則の中に賃金給与規程そのものが入っておる。その体系労使関係で一番大きな問題になっておるわけなんです。そのことがこの就業規則の中に入っておりますから問題にしておるわけなんです。その点はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思いますし、さらにあなたが先ほど言われましたように、法的にはこういう扱いをしたことに対して自信があるという説明をされましたけれども、それなら一体、法的にどういうふうな考え方で、こういうことをやったのが正しいのだという説明があればひとつお伺いいたしたいと思います。
  22. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 法的に自信があるなら説明せよということでございますが、その一点は実質論でございまして、先ほど申し上げました昭和四十四年一月以降は労使双方実質審議に入ろうじゃないかという協定がございます。その協定についに組合が入ってこなかったということでございます。したがいまして組合側といたしましては協定に、われわれ違反をしたとまでは申し上げないにしましても、協定を忠実に実施してくれなかったということははっきり言えると思います。その限りにおきましては、組合といえども十分反省さるべきだろうと思っております。それが一点でございます。  それからもう一点は、労使双方のこの協約の位置づけの問題でございますが、当公団の場合には——もちろん一般論といたしまして協約が内部規則よりも優先するということは当然でございますけれども、当公団の場合には給与改定に関する協定というのも労使の間にはできておるわけでございますけれども、これを見まするに、協定書なるものは給与規程を次のように改めるという形のものになっております。したがいましてその就業規則である給与規程改正するための協定書であるということにもなっておるわけです。これは内部的な事務的な問題でございますけれども、やはり第一の問題は組合が、四十四年の一月以降双方実質審議に入ろうという協約に反したということを私どもは言いたいわけでございます。
  23. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 そうしますと、いまの説明によりますと、四十四年の一月に新賃金体系について審議に入ろうという協約を結んだ、ところが実質的には入ってくれなかった、であるから、同じ年の二カ月後の三月二十四日に一方的に就業規則改正した、こういうことになるわけなんです。同じ年です。二カ月ほどあとなんですよ。しかもそのときには地労委のほうから要望書が出ておると思います、これは四十四年の四月でございますけれども。この体系の問題については真剣に労使双方でやりなさい、一方的に差額支給はやっちゃいかぬ、こういうような要望書が出ております。ですから先ほどあなたが言われましたように、一方的に就業規則改正したということについては、法的にいって間違っておらないという自信がありますという説明ですけれども、その説明といたしましては、一月にこういう協定が結んであって、二カ月後にもう就業規則を一方的に改正してしまったということに対する理由としてはまことに貧弱だと私は思うわけなんですが、たいして根拠にならぬと思うわけなんです。先ほどもこちらの理事が言われましたように、少なくとも昭和三十九年から何回か協定を結んでおられる。その協定の中身は、非常に重大な問題であるから長期かつ慎重にやりましょうということで、労使の間でちゃんと判が押してある。それが二回も三回も繰り返されておるわけなんです。しかもいまあなたの説明ですと、四十四年の一月に、体系問題で実質審議に入りましょう、こう言ったけれども入ってくれぬものですから、四十四年三月二十四日に就業規則の一方的改正を行なった、これはまことに正しいんだ、そうやるよりしようがない、やるのがあたりまえだ、こういう説明のように私には聞き取れるわけなんです。ですから、あなたのほうの説明としてはもう十分聞きましたので、ここでひとつ、労働大臣はおいでになりませんけれども、政務次官がおいでになりますし、さらに労政局長もおいでになります。いままでの経過を聞いていただくと、この話の内容につきましてはもう十分わかったと思いますので、やはり政労協関係の指導的立場に立つ労働省といたしまして、こういうやり方についてどういうふうにお考えになるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  24. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 ただいまお話を伺っておりまして、賃金の決定につきまして、先生のおっしゃいますように、労使が自主的な話し合いによりまして完全な妥結に達して、そうして改定をする、これが最も望ましい、これは言うまでもないところでございます。この場合、そういう意味におきましては、これで紛争が起こっておるというのはたいへん遺憾な事態である。私どももこれははっきり言うことができると思います。  いま経過を伺っておりまして、昨年の年度末におきまして、一方的な就業規則改正給与規程改正が行なわれたということでございますが、これは公団側の説明のように、予算が単年度主義でありまして、したがってその給与規程改定ができませんと予算が流れてしまうというような事情があったことからやむを得なかった、こういうことではないかと思うのであります。ただ私としましては、その後ことしまでに一年近い期間があるわけでございまして、その間にやはり団交を、これはいまになって言ってみてもしかたがないかと思いますが、もっと積極的、精力的にやりまして話し合いを煮詰めるべきであった。それはおやりになったのでありましょうけれども、もっとやるべきであったのじゃないかというふうに思うのであります。ただことしもう三月でございますので、またまた年度末の問題が出てくるわけでございます。そうしますと、二年続けてそういう問題が残るということになりますので、ひとつこの三月末までまだ半月あるわけでございますので、この問題につきまして公団側のほうも一方施行は望ましくないのだ、話し合いによってやるのが本筋だということを言っておるわけでありますので、組合公団との間におきましてこれから毎日でも団交をやりまして、年度末に間に合うように話を煮詰めることが問題解決としては、それぞれ主張もありましょうし法律論もあるかと思いますけれども、一番いい方法ではないかというふうに私は考えるのであります。私ども公団理事の方からもお話を伺いましたけれども、給与体系提案につきまして、その公団提案体系について、一歩も動かないというようなものではない、話し合いの中で妥結をするというときに弾力的なかまえでいきたいということを私は伺っておりますので、そういう態度であるならば、この年度末までの間におきまして労使で十分にひんぱんに団交をやって煮詰めてもらいたい、そして円満妥結のところにいってもらいたいというのが、私の強い希望でございます。
  25. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 就業規則の問題については、いまもいろいろ話がございましたが、それ以後短月の賃金なりあるいは手当等はどういう扱いをされておるのか、御説明いただきたいと思います。
  26. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 お答えいたします。  就業規則の一方導入ということの結果、また労使紛争がいわば一段と深刻になったわけでございます。その導入の適否の問題は別にいたしまして、確かに問題は深刻になってきた。そこで四十四年度以降ことしの給与の支払いにつきましては、これは正規の領収書ではなく仮領収書という方式を用いて今日まで支払いを続けてまいっております。ただ三月に入りましてから、仮領収書方式なるものを公団として停止いたしました。
  27. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 そうしますと、いま言われた就業規則改正したのは昭和四十四年の三月二十四日ですか、それ以降の賃金なり手当なりべースアップの差額なり、そういうものにつきましては、正規の支給ではなしに仮領収書で支給を行なってきた。ただしことしの三月になりまして、年度末になってまいりましたもので、いろいろ会計の関係もあるだろうから、仮領収書ではいけないので仮領収書の実施は行なわない、普通どおりの扱いをするんだ、こういうように変わってきたわけですね。そうなりますと、ちょっとお尋ねしたいのですが、仮領収書というのは一体どういう扱いになるのですか。普通の支給との仮領収書との違いというのは一体どういうことなんですか。
  28. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 お答えいたします。  本来ならばいずこの世界におきましても、正規の帳簿に捺印いたしまして受領するというのが筋であろうと思います。この仮領収書というのは、言ってみれば、何といいますか、労使紛争の空気をやわらげたいということが一つと、それからさらに、今後四十五年度に入りましてからもこの体系問題は論議してまいらなければならぬわけでございますから、その論議の過程が円滑であるようにという願いのもとに、特に公団といたしまして認めた方式でございます。これは正規の領収書に捺印するわけではございませんで、仮領収という領収書の型をつくりまして、それに判を押して、賃金と引きかえにこれを公団に提出する、こういう形のものでございます。
  29. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 三月になって取りやめた理由を御説明いただきたいと思います。
  30. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 仮領収というのは本来非常にイレギュラーなものでございまして、言ってみれば変則的なものでございますが、あえてそういう変則方式を導入してみたわけでございますが、そのねらいは、意図するところは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、この仮領というのはそういう趣旨でやってまいりましたけれども、実際今日に至りましても労使関係は一向に改善されておりません。それで、せっかく公団の気持ちといたしまして、こういう変則な方式をあえて導入して、組合側異議をとどめる形式ということでこれを導入してまいりましたけれども、実際的にはあまり意味がないということがいまになってわかってまいったわけでございます。それで、この仮領方式というものは、もと組合の主張でもあったわけですけれども、しかし、仮領方式というものをやめて本領にしたならば一体労使の間に、特に組合員の権利関係にどんな影響があるのだろうかということも十分考えてみましたが、組合員の権利関係にはこれは全然影響のない問題でございます。言ってみれば、給与の処理上も非常に困っている問題をもとに戻したい、それだけの理由でございます。
  31. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 いまの説明から考えられることは、昭和四十四年の三月二十四日に就業規則改正して、それ以来というのは、賃金なり手当なりあるいはべースアップの問題にいたしましても、新しい賃金体系組合が了承しない限りにおいては正常なる姿に戻らぬ。いままで仮領収書の扱いはこの間に何とか解決しようということでやってまいりましたが、解決しないものですから、三月からはもう仮領収書の扱いはやめて、正規の支給をする、正規の扱いをする。正規の扱いをするということは、新賃金体系を認めさせることに通ずるのだ、こういうふうにわれわれとしては考えるわけでございます。それともう一つは、先ほど労政局長が言われましたように、たとえばあなたのほうで一方的に支給せんとしておられる新賃金体系に基づくと、ある程度組合員の人はベースアップになるかもわかりませんが、そういう原資については大蔵省から無理を言って取ってきたお金もある。ですから、これらを整理しないと年度末で弱る。そういうことも含めて強引なる就業規則改正を行なった一つの原因でもあろう、こういうような説明もあったわけでございますけれども、そのことはあなたのほうで一方的にやったからそういうことになったわけです。いわば既成事実をあなたのほうでつくってしまって、これを組合がのまぬ限りにおいては断固としてこれはうしろへは引けないぞ。年度末だからお金の問題が出てくる。就業規則改正にしたところで、おまえのほうに何か言っても相手にならぬので、おれら一方的にやった、こういうふうなやり方が一口に言って昭和三十九年から今日までのやり方のような気がするわけです。そこで、この労使の問題を少なくとも一刻も早く正常なる姿に返せ、これはあなたのほうだけではなしに、相手の労働組合としても考えておられると思います。これを正常なる姿に返すためには一体どうするのだ、四十四年の三月から一方的にやった新賃金体系は一体どういう扱いにするのだ、こういうことも一つの大きな問題になってくると私は考えるわけです。あなたのほうだって、早く解決したいという気持ちがあると思います。ただし、強引に一方的にやってきた既成事実を認めぬことにはこの問題の解決にはならぬ、こういうような気持ちでやられるとするならば、いつまでたってもこの紛争解決しないと思うわけなんです。解決しようというあなたのほうに意欲がありとするならば、先ほどの話じゃないが、行き過ぎた点についてはもう一ぺんもとに戻ってもらう。やり過ぎた点については考え直してもらう。さらに、相手の労働組合のほうも新賃金体系につきましては真剣なる論議をしてもらう。労使双方がそういう気持ちにならない限りにおきましては、この問題の解決にはならないと私は思うわけなんです。しかもきょうは三月の中旬でございまして、もう年度末も迫ってきておるわけなんです。ですから、いままでの経過というのは大体わかりましたけれども、さてこの問題の今後の解決の方向として、管理者のほうであるあなた方として何かお考えになっておるかどうか。ただいままでのとおりのかっこうでは、組合のほうでこっち向けこっち向けと言っても、なかなかこっち向かぬと思うわけなんです。先ほどからいろいろ話しました、やり過ぎたことにつきましても、あなたのほうも反省していただき、行き過ぎた点は戻っていただく、そこで初めて労使が正常なる姿に返る入口になろうと私は考えるわけですけれども、この点いかがですか。
  32. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 お答えいたします。  二点ございましたが、初めの一点、仮領収の影響、効果の問題でございます。これが新体系をのませることにイコールであるというふうに御理解いただいていらっしゃるとすれば、それは違いますということを申し上げたい。それは全く処理上の手続問題でございまして、現在六百数十名の職員がなお仮領収書ということでやっておりますけれども、組合員の中にも別に本領で受け取っておる方々も相当おるわけです。それはいずれにいたしましても新体系そのものに通ずるというわけではございません。それは先ほど申し上げましたように、事務処理上の問題でございまして、これが組合員の権利の行使ということに何ら影響を与えるものではないし、何ら拘束するものでもないつもりでおります。  それから次に、労使の正常化を進めよ、そして労使双方のこれからの態度、交渉のしかた、いろいろ御示唆があったわけでございますが、もちろん私どもといたしましても、先ほどから申し上げておりますように、一方的に就業規則改正せざるを得なかった事情はありますけれども、しかし、そのこと自体やはり決して適当な方法ではなかったということは重々認めておるわけでございますので、その辺から組合ともいろいろ話をして、これから進めてみようと思っております。確かに、おっしゃるように、組合は自分たちが正しいと言い、公団公団で自分の説を主張する、平行線で、いつまで問題を続けてまいりましても、何らこれは解決にならないと私は思いますので、そこでまだ今年度といいましても約二週間ほど残りがございます。この間に、私どもといたしましても、組合に対しまして柔軟な態度に出られるところはもちろんそのつもりでひとつ対処してまいりたい。あわせて、組合のほうもそのつもりでひとつやってもらえないだろうかというのが私どもの念願でございます。いずれにしましても、二週間の間に鋭意努力いたしたいと思っております。どうぞよろしく……。
  33. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 いま言われました第一の問題ですけれども、仮領収書の扱いをやめたということは新賃金体系に通ずるものではございません、こういう説明だったですね。ところが、聞くところによりますと、今月分の給料すら支給されておらないように思うわけです。全部が全部じゃないかもわかりませんけれども、受け取っておらない職員があると私聞いておるわけなんです。そうしますると、毎月のきめられた日に賃金が支給されない。支給をしてもらおうと思うと、仮領収書じゃなしにいわば普通の扱いをせぬことには給料がもらえない。普通の扱いをしてしまえば新賃金体系を認めたことになってしまう。そういう微妙な段階にきておるんじゃないかと私は思うわけなんです。ただあなたは、新賃金体系に通ずるものじゃない、通ずるものじゃないと説明されますけれども、いままでは新しい体系の問題は労使の間で問題になっておるから、ひとまず仮領収書で扱っていこうとされたわけなんです。やがて十カ月ほど過ぎたわけなんです。ところが、この仮領収書の扱いをこの際やめてしまうということになると、正規の扱いをしていくということになるわけなんです。正規の扱いをするということは、新賃金体系を認めたということにならぬことには正規の扱いはできない。これは、あなたのほうだけじゃなしに、もらう労働組合だってそういう考え方に立つと思うわけなんです。そうしますと、あなたは新賃金体系に通ずるものじゃない、通ずるものじゃないと言いますけれども、これは全く一本道で通ずるやり方ではないかというふうに私としては考えられるわけなんです。この点をもう一度お尋ねいたしたいと思います。  それから、もう一つの問題は、あとの問題です。先ほどあなたが言われましたように、労使の間でひとつ柔軟な態度でお互いにあまりかたくななことを言わずにやっていこうじゃないか、もまだ十何日間かございますから、できるだけ一生懸命でやります、こう言われますけれども、それなら去年の四十四年の三月二十四日に一方的にやった就業規則に基づくこの新しい体系の問題ですね、これを既成事実として認めた上に立っての労使の団体交渉で解決しようというのなら、三年やろうが五年やろうが解決しないと思います。一応、いま出されておるところの新しい体系については白紙撤回する、その上に立って新しい体系の問題を労使の間で早急にひとつやろうじゃないか。就業規則につきましては行き過ぎの点もあるということを十分認めておられるのですから、行き過ぎの点は行き過ぎで、さらにまた行き過ぎしようということでなしに、行き過ぎのところはひとつ正常なところまで戻っていただいて、その点で労使でじっくり話し合いをしょう、こういうことならまことに筋の通った話だと思いますけれども、昭和三十九年以来四十五年のきょうまで紛争した問題が、いままでのことはいままでのことだ、その上に立ってひとつやりましょうといったって、私は解決しないと思うわけです。  ですから、二つ目の問題としてあなたにお聞きしたいのは、四十四年の三月二十四日の一方的改定に基づく就業規則の新しい体系の問題、これはきれいに白紙に返す、その上に立って労使の問題として新賃金体系の団交を始める。そのかわり労働組合のほうも真剣に審議に入っていただくし、あなたのほうも真剣に審議を行なう、そういう気持ちになれないものかどうか。そうしなければ、この話は解決の糸口に入らない、こう私は考えますが、いかがでしょうか。
  34. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 御質問、二つございましたが、前のほうの仮領収をめぐる問題について私申し上げ、あとの問題は副理事長からお答えいたします。  仮領収方式をやめることは結局公団の導入した新体系、現在の就業規則を認めることに通ずるではないのか、通じないのかという重ねての御質問でございますけれども、私たちは、それは理論的には通じないと思っております。ただ、感情の上では若干それは問題があるかもしれませんが、理論の上では何ら通ずるものでもなく、そして、それが先ほども申し上げましたように、よって組合員の権利の行使に何ら影響を与えるものではない。極論でありますけれども、仮領から本領に変わった職員あるいは組合が、たとえば都の労働委員会とか地方裁判所とかいうようなところで自分の権利を争う場が閉ざされるかというと、そういうことは絶対ございません。これは理論としては、私どもは何ら組合員の権利に影響を与えるものではない、全く事務的なことでございますということを申し上げているわけです。
  35. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 後段の御質問の御意見でございます白紙撤回の問題、これは非常に重大な問題でなかなかお答えがむずかしいと思うわけでございますが、その前に、先ほど労政局長から、あと残り約半月の間に組合公団側と十分話を詰めて解決するのがいいんじゃないか、こういうお話がございました。実は私どものほうといたしましても、その問題につきましては、いろいろと組合側意見を聴取しながら、こちらとしてその運用上あるいはそのほかの問題で考えられる点があるならば、組合意向を十分聞きながら、円満妥結の方向に向かって進みたい、かように考えておるわけでございます。  そこで、白紙撤回ということになりますと、これは非常に重大な問題がございまして、一つの例を申し上げますと、新体系によります給与を支給いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、もとの通し号俸にいたしますと、それより下回っている。したがって、それを昨年の四月以降の分につきましてお金を返してもらわなければならぬというような問題もございますし、また、一般職員といたしましては、当然現在の新しい体系によります給与を受けるべき期待権も持っておりますし、それを請求するというような問題も起きてまいりまして、非常にむずかしい問題がたくさんからんでいるわけでございます。  そこで、従来の経過を考えてみますると、かりに白紙撤回いたしたといたしましても、組合側の案はおそらく通し号俸を主張してくるのではないかというようなことになりますと、はたしてお話のように、白紙撤回したならば直ちに根本的解決に近づくかというようなことにつきましては、非常に危惧を感じているわけでございまして、それらの点を考えまして、いまの白紙撤回されるかどうかという点につきましては、後藤先生の御意見として承って、私どものほうといたしましては、先ほど申し上げましたような点から、何とかしてこれをまとめてまいりたいというふうに考えておりますことを、もう一度申し上げたいと思います。
  36. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 具体的問題でひとつお尋ねするのですが、年度末手当の問題が年度末ですからあると思うのですが、これはどういうことになっておりますか。
  37. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 年度末手当の御質問でございますが、これは組合に対しましては、三月十四日に——もちろん妥結を前提としての話でございますが、三月十四日を支給日としようという回答をこちらはいたしております。それに対しまして、組合のほうから、先日公団の提示いたしましたる率及び額については了承するという答えがあったわけです。それで実は、いままで夏の場合にいたしましても、冬の場合にいたしましても、この手当につきまして、これは正式の妥結はなかったわけです。言ってみれば、組合の暗黙の了解というようなことで、形の上では従来一方支給になっております。しかし、組合の裏の了解ということがあって、したがってトラブルは起こらなかったのです。夏の場合も冬の場合も同じでございます。今回三月の年度末にあたりまして、公団といたしまして、この問題、年度末手当〇・五プラス一〇hということでございますが、これをどうするかということを、公団としてもいろいろ考えたわけでございます。一つの考え方としては、まあ夏冬同様な行き方もあろうと考えられる、これは一方支給の方式でございます。協約なしの一方支給という考え方でございます。しかし、時期がちょうど三月下旬にかかっておりまして、この際べースアップの問題もございますし、それから体系の問題もございますので、これらをあわせて、年度末でもございますので、組合とひとつ精力的に話を詰めようじゃないか、そして一連の問題として解決する、いわゆる本給問題を解決するというのが一番よくないだろうかという考え方に立ちまして、組合に対しましても、ずっと体系の問題、ベースアップの問題を語り続けてきているわけですが、その中にこの問題も織り込んで、あわせて一括して解決したらどうかというわれわれ考え方を持ちました。そこで、組合に対しましては、なるほど夏冬は一方支給であった、しかし今度は、ひとつまとめて根っこになる基本問題を解決し、その上で年度末手当をきめようじゃないかというように答えまして、そのために、言ってみれば、私たちは妥結といっているわけでございますが、妥結が——一方施行なら別でございますけれども、妥結がないわけですから、したがって現在、まだ組合員には支給されるに至っておりません。
  38. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 体系の話がつかぬ場合にはどうなりますか。
  39. 島村参考人(島村忠男)

    島村参考人 この体系の話がつかないという場合は、単に年度末手当だけの問題ではなくなる、べースアップの問題から、いろいろ根本論がまた吹き上がってまいると思います。体系の問題が片がつかないというのは、公団にとっては非常にたいへんな問題であります。もちろん、体系の問題については、先ほどからも繰り返し申し上げておりますとおり、これは何とか歩み寄りをして、年度内にできるだけ早く解決したいと思っております。けれども、もうこれは——いまのお話は、仮定の問題として承りますけれども、万が一妥結しなかった、体系の問題、本給の問題が解決しなかった場合にどうするのだということだと思いますが、これがどうしても解決しないという場合には——解決しないというのは、ぎりぎりいって三月三十一日とわれわれは心得ておりますが、どうしても解決しない場合には、これはまた組合員から非難が起こるかもしれませんけれども、一方支給ということもやらざるを得ないかなとは思っております。
  40. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 まだまだ問題点はたくさんありますけれども、もう時間がまいりましたので、終わりたいと思いますが、先ほどからも繰り返しておりますように、昭和三十九年以来今日まで紛争を続けてまいりました問題でございますから、解決というのもなかなか容易ではなかろうと思います。さらに、その間における就業規則の問題なり、べースアップの差額の支給の問題なり、さらには、いま言われた年度末手当の問題等につきましても、あるいは仮領収書の扱いにつきましても、さらには最近あなたのほうから一般掲示板に出されました掲示の問題等につきましても、私は全部見せていただきました。ただ、この問題がこのように紛争を生じたというのは、少なくともやはり労使の間の正常なる姿というのを欠いているように思うのです。その第一歩というのは何かといえば、具体的に言うと、就業規則を一方的に改正した。いわば就業規則改正だ、改正だといいながら、その中身の新賃金体系を延ばしてしまおうとした、この辺のところから出発しているような気がするわけなんです。しかも、何回も申し上げて恐縮ですけれども、少なくともあなたのところで働いておられる職員の皆さんの賃金というのは、有利だから、有利だからといって、あなたのほうで一方的にやるという手はないと思います。有利であろうと不利であろうと、労使の問題は対等の立場解決するというのが——労働条件のうちの一番大事な賃金の問題じゃないですか。先ほどから何回も、あなたのほうから、職員に有利なことだからおれはがまんしてやったのだ、無理にやってやったのだというような説明もなきにしもあらずのような気がするわけでございますけれども、事賃金問題につきましては、もっと慎重に扱っていただく必要がある。そうでなければ、いつまでたちましてもこの紛争解決しないと思います。だから、そういう立場に立って、先ほどこちらの副理事長さんでございますか、白紙撤回するということになるとこれはたいへんなことだ、白紙撤回はできない、できないけれども、あなたの言うこともひとつ参考にしてやっていきましょう、こういうようなどっちつかずのあいまいな説明がございましたけれども、ただ私が白紙撤回と言っているのは、今度新しく解決するための労使の団体交渉をやるということになるのなら、お互いに白紙の立場でやったらどうかということを私は言っているわけなんです。いままでこういうものが出ているから、これは厳として動かさぬぞ、ちょっとくらいの修正は応ずるけれども、いままでの既成事実というものは、何と言おうと動かさぬぞというかたくな態度であなたのほうがやられるとすれば、この問題は、まだ年度末まで十数日あると思いますけれども、解決はできないと私は思います。ですから、いままでのことは一応白紙の立場に立って、労使の間で真剣なる話をしていただく。また、あなたのほうとしては、やり過ぎの点もあったんですから、そういうふうにやらなければいけないという根拠もあると思うわけなんです。だから、ぜひともこの問題につきましては、いま私が言いました気持ちというのは十分わかっていただけると思いますので、その方向であなたのほうも全力を尽くして、正常なるスタイルに返す、一番大事な賃金問題を一刻も早く解決をしてもらう、この方法でぜひお願いをしたいと思います。  最後に、政務次官もおられますので、長い間、この論争を聞いていただいて、このことに対する所見があれば一言お伺いをいたしたいと思います。
  41. 大野政府委員(大野明)

    ○大野政府委員 いまさら、熟知しておられる先生に申し上げる必要もございませんけれども、要するに、首都高速道路公団の性格というものは、都内の高速道路の建設、維持、管理等であり、これがまた交通の円滑化、また首都の機能維持等に非常に大きな役目を果たしておるわけであります。そういうような公団において、昭和三十九年以来、今日現在、なお賃金体系等において、いろいろと、先ほど来の非常にしこりの多いというか、非常にみぞの深い問題を残しておるということは、まことに残念なことでありまするが、先ほども先生あるいはまた小林先生もおっしゃっておりましたが、ほんとうに、一歩後退二歩前進というように、大いにこの公団のきわめて重要な公共的な立場労使双方が理解をして、そして一日も早くこの問題が解決できるように、自主的な話し合いを進めていただきたいというふうに考えております。
  42. 後藤委員(後藤俊男)

    後藤委員 それでは最後に、副理事長さんのほうからひとつ……。
  43. 御子柴参考人(御子柴博見)

    御子柴参考人 いろいろと御注意や御意見いただきまして、まことにありがとうございます。るる申し上げましたように、非常に困難な問題でございますが、私ども、あくまで、労使、誠実に団交を重ねまして、今後の円満な妥結に向かって努力する考えでございます。  ありがとうございました。
  44. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 田邊誠君。
  45. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 郵政省の労働政策、労務管理について、これから私と山本委員、島本委員が、相互に関連をしながら、与えられた時間の範囲内で質問をいたしたいと思うのであります。  私は、郵政省の労務管理の問題については、私が社会労働委員会に席を置きまして六年有余の間、最も数多くこの問題に対して質問をさしていただきました。私は、きょう、この問題に対して、また質問をしなければならぬことを、非常に残念に思っておるのであります。はたして郵政省の労働政策が誤りであるのかどうか、あるいは質問する側の私どもの立場が間違っておるのかどうか、あるいは労働組合のやり方に対して、総括的に見て、これが誤りであるのかどうか、私は実はもう一度思い返してみたのであります。そして、私が質問いたしました議事録を昨晩もう一度引き出して見まして、その中身を検討いたしました。しかし、私は、静かにそのことを思いながらも、やはり現在の郵政省のとっておる労働政策は、近代的な労務管理の上からいって基本的な誤りをおかしておる、こういうことを実は感ぜざるを得ません。そういう立場で、実はきょうまた質問することをたいへん残念に思うと同時に、私は、相も変わらない郵政省の労働政策に対して、大きな怒りを感ぜざるを得ないのです。  まず、人事局長にお尋ねをいたしまするけれども、郵政省は、労務管理の問題については、しばしば、不当労働行為はやらない、労使間の問題は労働組合との話し合いの中でもって解決をする、こういうことを再三言明をしてきたのであります。また、省内に対しては、郵人管九〇号、その後における郵人管七五号等の通達をもって下部に対してこれが浸透をはかってきたというふうに言ってまいったのであります。あくまでも、この労使間の問題は労使話し合いの中で解決をするという原則について、いまでもあなたは堅持していますか。
  46. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 労使間の紛争について労使間でできる限り解決するというようなことにつきましては、基本的に変わりございません。ただ、その場合に、労使間の紛争という場合に、労働条件に関するもの、あるいはそれとの関連あるものについては、当然でございますけれども、事柄の内容が管理運営事項、そういうものに関する場合に、労働組合側としては、これは紛争であるというようなことの場合に、若干意思疎通をする場合があるわけでありますが、基本的には、労使間の問題について労使間で解決するということに、これは格別変化ございません。
  47. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 労働条件の問題といわゆる管理運営上の問題というのはきわめて紙一重の問題であります。見解によっては、おのずからそれぞれの見解を持つ問題であります。たとえばあなた方のほうで、これは管理運営の事項であるというふうに考え、労働組合のほうでは、これは当然労働条件に関係するものだという、こういう見解の相違が起こったときには、一体どういうふうに措置しますか。
  48. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまのお尋ねのような場合には、これはやはり意思疎通いたしまして、お互いの見解を述べ合う、ある段階になった場合には、これは問題の内容によりまして、この処理のしかたが変わってくるということはございます。できるだけそういう問題についても意思疎通し合うということでやっております。
  49. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 いまの観点の相違の問題で、労働組合側から労働条件の改善の問題であるというこういう申し入れを受けて、あなたのほうでは管理運営事項だということで意思疎通するということが十分にはかられていますか。実際問題として、組合側のほうでそういう申し入れをしても、一方的に、これは管理運営事項であるということでもって、折衝はおろか、話し合いもしないという、こういうことは絶対ございませんか。
  50. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 郵政省の世帯が大きうございますから、支部あるいは地方あるいは本省と、各段階労働組合との接触が行なわれるわけであります。その場合に、支部、郵便局の段階で、ただいま問題になりましたような事柄について意見が合致しないという場合には、上部の郵政局段階、地方本部の折衝話し合いでものごとを解決していく。また、それでもなかなか意見が合致しないという場合には本省、本部の間で地方の具体的な問題について、地方ではこう考える、こういうトラブルがあるけれどもどうであるかというようなことで、中央でさらに話し合いをしていくというふうなことでありますので、その間の支部、地方、本省、そういう関係の処理をスムーズにやってまいるということで処理しておるわけでございます。
  51. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 じゃ、いまのあなたの言ったことは、もう一つ下部に対してその趣旨の徹底をしてもらわなければ、事実が次から次へと起こっているのです。あとで同僚の委員から具体的な事実を指摘をいたしますけれども、これは、あなた方にはあなた方の言い分がある、組合なりあるいは職員にもそれぞれ言い分があるでしょう。しかし、その接点を常に求めていかなければならぬと思うのです。その中でもって解決をはかっていかなければならぬと思うのです。東京郵政局長は、折衝の相手方であるところの全逓東京地本とこの種の問題について一回も話し合いをしていないというけれども、この事実に対してあなたはどう考えますか。
  52. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、郵便局は支部、郵政局は地本、本省は本部ということで問題ごとにやっておるわけであります。東京の場合に、問題がありました場合に、郵政局が交渉、話し合いに応ずるというふうなことは、これはもう引き続き行なっておるところでありまして、郵政局が団交、話し合いを拒否しているというようなことはございません。ただ、その場合に、だれが交渉の場に出るかというふうなことは、おのずからルールがございますし、また、そのときの問題によりましてこれはおのおのきまってくるわけであります。当局側として、組合側にだれでなければならぬ、組合のほうはだれでなければならぬというふうなことを申したこともございませんし、また今度、組合からだれだれと当局側の交渉委員について求められた場合にも、これはおのおのの側の都合がございますので、そのときの仕事の関係との振り合いもあります。そういうことでおのおのの責任者が十分意思疎通した上で、だれが出席するというようなことはそのつどきめておるわけでございます。
  53. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 私はそういうことを聞いているのじゃない。東京郵政局長浅見喜作というのが、組合から一度でも会ってもらいたいという申し入れに対して、絶対会ってないじゃないか。しかも、組合の代表者としては会えないけれども、一般の民間人として話しに来るというのなら秘書課を通じて来なさい、こういうことを言っている。この態度に対して、私はあなたの見解を聞いている。あなたも東京郵政局長をやったでしょう。そういう態度でしたか。   〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 そんな態度ばかりを歴代の郵政局長はとっていますか。私はそうでないと思う。そうでないと思う善意の上に私は立って、現在の浅見東京郵政局長が、組合の代表者としては会わないけれども、一般の民間人としてならば秘書課を通じて話だきなさい、こういうことを言っていることは、間違いですか、間違いでないのですか。
  54. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほども申し上げましたように、交渉、話し合い、おのずからルールに従ってやっているわけでございます。ただいまのルールといたしましては、おのおの交渉委員というものを出し合って、それに従ってやっておる。その場合に、そういうルール上は、交渉委員として、郵政局の場合には各担当の部長を指名しておるというわけでありますから、郵政局長が交渉委員ではないというたてまえからいたしますれば、郵政局長が出る出ないというようなことは、そういったルール上格別の事柄ではないと思うのであります。ただ、いろいろ事実上折衝するという場合に、先ほども申しましたように、問題の内容により、問題の軽重により、郵政局長が出るということは、これはまああり得るわけであります。
  55. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 ちょっと、質問に対して的を射た答弁をしてくださいよ。私は個々の問題に対して一一郵政局長に出ろなんて言っているんじゃない。たった一回も、組合から会見を申し入れても会わない。しかも、組合の代表者としては会わないけれども、一般の民間人として会えというなら会いましょうなんという、こういう態度が許されるかどうかと言っている。そういったことがいいかどうかと言っているんだ。あなたの経験に照らして明確に言ってください。そんな、一々の交渉でもって人事部長が交渉代表者で組合と交渉するなんということは、私も知っていますよ。そんなこと聞いていない。浅見局長がたった一回も会わないで、しかも、これだけ世論をわかして、世論を騒がしている杉並の問題等でもって、一回だけでもいいから郵政局長に会ってじかに話し合いをしたいという組合の態度に対して、一回も会わないということが問題の解決のために有効であるかどうかということを私は突き詰めていきたいから話を聞いておる。いまの態度に対してどうですか。一般論のことを聞いているんじゃない。一言で言いなさい。
  56. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 東京の郵政局長、格別組合の幹部と会わぬというようなことは申していないというふうに承知しております。
  57. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 私のいま言った、組合の代表者としては会わぬけれども、一般の民間人としてならば秘書課を通じて会いにきなさいという、こういうことを言ったとすれば、一体それはどう思いますか。言ったとすれば、あなたはどう思いますか。
  58. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来申しておりますように、郵政局としては労働組合と会うことについて格別避けておるというようなことはございませんので、おのおの責任者が意思疎通しながら、だれが出るかということはそのときの状態においてきめるわけでありますので、具体的問題について判断しなければならぬというふうに思うのであります。
  59. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 ちょっと、これでは私は質問をしない。できない、こんなことでは。私の質問に対して正しく答えなさいよ。委員長から注意してください。組合の代表者としては会わぬけれども、一般人としてならば会うというこの態度、しかも現在そういったことに対して会っていないという、こういうことに対して、あなたは一体どう考えるか。二月の十二日の十時に人事部長を通じて交渉を持ったということでもって、局長に会いたい、こういう申し入れをしたけれども、いま私がお話をしたようなことでもって、局長組合の代表者に会わない、こういう事実がある。あなたは事実を確認したかどうか知らぬけれども、私のいま質問している限りにおいてはあなたはどうお考えですか。これをはっきり答弁しなければ、これ以上質問はできぬよ。
  60. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほども申し上げましたように、東京の局長組合の幹部とは会わぬというようなことを申しておるというふうには聞いておりません。したがいまして、民間人となら会うとかいうようなことも聞いておりませんので、そのことについてとやかく私の見解を申し上げることはいかがかと思うわけでございます。
  61. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 私の質問に対してあなたは答えているんですか。ここは国会の場所ですよ。だめだ、そんなことでは。
  62. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、東京の局長組合幹部とは会わない、民間人とならば会うというようなことを言ったというようなことは、私ども承知しておりませんし、もしそういうことを言ったとすれば、これは不見識だというふうに思うのでございます。
  63. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 そういうことを事実問題として言っているんですよ。あなたも確かめてないそうですけれども、これがいまの紛争を激化する最大の要因であることを、あなたはしっかりと認識してもらいたいのです。組合無視の態度、組合からいろいろな問題に対して話し合いをしたいと言っても、それに応じない態度、そういうことでもって、一体労使間の紛争労使話し合い解決するという本省郵政省の態度が守られているとあなたは判断しますか。断じてそうじゃないでしょう。もし私の言うことが一これは国会の場所で言っているんですから、私は架空の問題をとらえて言っておるつもりはありません。しかし、もしそういうようなことが事実問題として起こっているとすれば、これは私は将来の労働政策の上からいって、重大な誤りだと思うんです。したがって、郵人管七五号等出ておりましたけれども、いま人事局長から答弁のありましたようなそういう趣旨の正しい労働政策、労務管理の問題に対して、下部に対してその趣旨をあらためて徹底をする、そういう御用意がありますか。できればひとつ政務次官からお答えをいただきたいのですが、人事局長でもけっこうであります。そういう方針はございますか。
  64. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 郵人管七五号の趣旨というものは、機会あるごとに徹底しておりますし、今後ともそういったことについては、さらに徹底を期するという考えでございます。
  65. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 あなたのほうはいまたいへんな合理化を進めておるわけですけれども、こういった合理化を進めるにあたっても、組合の協力がなければならぬと再三言っているわけですね。ところが、いま全国の各地でもって起こっているような団体交渉を拒否する問題、あるいは人権を侵害するような問題、そういう問題は省の基本的な考え方と全く相矛盾するやり方ではないか、私はこういうふうに思っておるわけでございますけれども、これらの問題に対してあなたのほうは事実問題を確認しておりますか。
  66. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまお尋ねのような事柄につきましては、現在労働組合と郵政省との間でいろいろ折衝を続けておるところでございます。地方におきまして問題がありますれば、先ほど来答弁申し上げておりますように、それを具体的に爼上にのせて、そこから問題の改善をはかるというようなことにいたしております。ただいま団交否認の問題とか、あるいは不当労働行為の問題というようなことを、組合側の提起によりまして話し合いを進めておりますが、現在のところ、まだやや抽象的な段階でありまして、これからそういった問題について具体的に意思疎通する必要があると思います。たとえて申しますと、団交権否認というようなことで組合側は問題を提起するわけでありますが、それじゃ中身は具体的には何かといいますと明確を欠くという向きがないではありません。と申しますのは、団交の問題については、中央では現在ほとんど問題はないのでありますが、地方で問題が起こる。それはこういう場合に起こるわけでございます。中央で時間外労働協約の締結を行なう、それを今度地方においてさらに具体化して基準法上の協定を結ぶというようなことが常にあるわけでございますが、そういう場合に、当局側からすれば、まず中央協約に基づいて時間外労働協定を締結する、それを取り運んでいきたい、ところが、組合側、これは末端のほうでありますが、支部のほうでは、その問題よりも先にほかの問題をいろいろ話し合おうというようなことでトラブルがある。そういった場合に、そういったトラブルがあったところは、これは団交否認じゃないかというようなことで問題が提起されるという向きもありますので、団交否認というような抽象的なことでなしに、具体的に何がそういう団交否認というようなことになるのかということでさらに意思疎通をする必要があるというふうに思っております。われわれといたしましては、団交を否認するというようなことは毛頭ございません。  次に、不当労働行為の問題についても組合から提起されることがありますが、われわれのほうとしては、具体的事実に即してそういうことがあったかどうか、あったとすれば、その是正につとめなくてはなりませんし、そういうことで対処しておるわけでございます。
  67. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 そこで、ひとつ具体的に東京郵政局長の問題が出ましたから、きょう国会でもって田邊誠から、おまえのほうは組合代表と会わぬ、民間人としてなら会うというようなことを言われているけれども、そういったことのあるなしにかかわらず、いま実はたいへんな問題になっている、杉並の問題等をかかえていることだから、早急の機会に郵政局長、おまえは組合の会見に応じて具体的な話し合いに応じろ、こういうふうにあなたのほうでひとつ指示をしてもらいたいと思いますが、どうですか。そして返事をもらってください。浅見局長から、承知しました、何月何日に組合の代表と会いましょう、という返事をもらってください、一度も出ないんだからね。いいですか。
  68. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまの問題につきましては、先ほど来申しておりますように、東京の局長としては、問題の内容により組合と会う用意がございますので、あらためて本人の意向を確かめるというような必要はございませんし、そういうようなことでございます。
  69. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 私の言ったことに対して、あなたはもし事実がこういうことであれば、まことにけしからぬことだ、こう言ったじゃないですか。私はきょう日のことを言っているのじゃないのですよ。これは、ここでもって発言する以上は、私は私なりの確信を持って言っているのです。だから、そういう事実があったから何しなさいというのじゃない。田邊誠から国会の場でそういう話を聞いた。もし会わぬとすればそれは困ることだから、ひとつ間違いなく会ってみたらどうかとすすめて、そして浅見局長から返答をもらってくれ、こう言っているのです。私はあなたの立場を全部否認したり、あなた方の感覚を全部無視して発言しているのじゃないのですよ。親切に勧告しているのですよ、これは。それを何ですか、そんなことも言えないのですか、あなたは。
  70. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど、どういう資料に基づいて御質問になったのか、これは別といたしまして、最近本省といたしましては、東京郵政局と十分意思疎通しておりますので、御懸念の点はないと存ずるのでございます。
  71. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 委員長にお願いしますが、私はかなり親切に当局の立場を考慮しながら発言しているつもりですよ。一方的に私の意見が正しいときめつけているのじゃない。しかし、そういう意見も国会の場であった。組合と会っていないじゃないか。だから郵政省なりあるいは東京郵政局長としては、それは正しいことをやっているのかもしれないけれども、そういう意見があったのだから、一度組合の会見に応じて会ってみたらどうかというようなことを、これができないというのはどういうことですか。私の常識では判断できないのですよ。委員長としてどう考えるか、判断をひとつ示してください。
  72. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、本省としては、東京郵政局と最近十分意思疎通しております。御懸念のような点はないと思いますが、田邊委員のただいまの御発言の趣旨は、あらためて十分伝達いたします。
  73. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 そういうようなやりとりをしておったのでは、これは困るのですよ。私どもすなおな形で、素朴な形で、あなた方のいわば労使間の問題を何とか自主的に話し合いでやってもらいたいという前提で私は質問を始めたつもりです。ですから、私どもの言い分についても、他人のことばであっても、耳をかすという態度でなければいけませんよ。郵政局と意思疎通しているのかもしれないけれども、しかし、われわれがこういう問題を取り上げている以上は、それはそれなりに、やはりそういう意見もある。そういうことを聞いておるわけですから、それに対してもう一度謙虚な気持ちで反省をして、話し合いをするという態度をとらなければいかぬと思うのです。東京郵政局長が話し合うことをもう一度あなたはすすめますか。返事をもらえますか。
  74. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいま問題になっておりますような事柄につきましては、すでに全逓本部ともいろいろ折衝しておりますし、それから、先ほど来申しておりますように、十分われわれとして東京郵政局と意思疎通しておりますので、そういう方向で現在進行中でございますから、(発言する者あり)先ほど来の田邊先生の御発言の趣旨は、十分これはあらためて伝達いたします。
  75. 伊東委員長代理(伊東正義)

    ○伊東委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  76. 伊東委員長代理(伊東正義)

    ○伊東委員長代理 速記を始めて。  それでは小渕政務次官。
  77. 小渕政府委員(小渕恵三)

    ○小渕政府委員 より多くの時間、より多くの方と接触するということは、まことに意義の深いことであると思います。そういう観点から考えまして、東京郵政局長が団体交渉の直接の責任者ではありませんけれども、組合側と接触せられることは意義があることだと考えますので、政務次官といたしましても、東京郵政局長にその旨をお伝えし、田邊委員の御趣旨をお伝えいたしたいと思います。
  78. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 政務次官からそういう意見もありましたから、私はいまの発言に期待をして、その誠意を信じたいと思います。しかし、人事局長からそういう答えが出ないのは、一体どういうつもりか。あなたの機構はどうなっているのですか。本省の人事局長は、いわゆる労働問題について、下部に対して指示をする権限はないのか、あなたのほうは。いま本部、本省間でいろいろなことをやると言ったけれども、いわば労働組合とあなたのほうでやっていることが下部でもって否認されているじゃないか、東京郵政局長の名でもって。あなたの威令は地に落ちて行なわれておらぬじゃないか、そういうことにあなたは気がついて対処されなければ、いかにあなたのほうで小手先でもってものごとを処理されても、この大世帯の郵政省の労務管理をまかなっていくということはできませんよ。  そこで、東京郵政局では二月の二十日に、首都圏郵便事業基盤整備緊急対策本部というのを設けたということをあなたは御存じですか。
  79. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 そのことについては十分承知しております。
  80. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 この対策本部は企画班と対策班と二つに分けて、企画班は、ある小人数の者でもって構成をする。それ以外の者は全部対策班としてこれに当たる、こういう仕組みになっておるそうであります。これは郵政省の現在の機構の上からいって、言わずもがなですけれども、郵便、貯金、保険その他付帯事業を含めてかかえておる郵政事業の状態からいって、この対策班というのは、郵政局員が全部当たるのだそうです。そういったことでもって、バランスのとれた事業の運営ができるとあなたは御判断ですか。
  81. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 地方の郵政局は、おのおの地方ごとに特殊の問題をかかえておりますので、東京郵政局の場合に、現在非常に大きな問題は、何と申しましても郵便業務の正常な運営ということでございますので、そういった当面の大きな問題に焦点をしぼって関係の郵政局が努力するということは、これは当然のことであると思うのであります。いまお尋ねのことにつてまして、当面の問題、郵便の正常運営という観点から対策本部を——これは昔からあったわけでありますが、最近の情勢に合わせて衣がえをする。そうして全職員が対策本部員に連なるということは、これは郵政局が一体として、単に郵便を直接担当する部門だけが当たるというのでなしに、郵政局全体がそういう体制になる。そして、郵便局と合体して事に当たるというようなこと、これはもうそのことによって貯金、保険の仕事が阻害されるということには毛頭ならないだろうと思いますし、時宜に適したしかたであろうというふうに思うのでございます。
  82. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 それじゃ、それ以外の仕事はほうっておいていいのですな。郵政局の各部門は、その対策員として、これは実行部隊だからね、トラック部隊というそうですけれども、それでもって、現場の局へ押しかけていって、監視部隊としてその機能を発揮するということだから、そういったことの仕事をやっておって、ほかの貯金、保険等の業務は正常に運行できる、こういうふうにあなたはお考えですね。そうなれば、郵政省の機構はもういらぬですね。
  83. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、郵便貯金、簡易保険の仕事が、この対策本部の設置によって阻害されるというふうには考えられませんし、ねらいは、郵政局員全部がそういった問題に取り組むという姿勢を現場に示すということにあるわけでありますから、この組織というか、これは臨時の緊急の仕組みでありますが、このことによりまして、貯金、保険の仕事が阻害されるとか阻害されていいというものではないと思うのでございます。
  84. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 あなたは、三歳の童児でもわかるとおり、これは、人が余っておるの。仕事に余裕があるの。貯金、保険なんというのはそれほどひまなの。あれだけ新規の募集を、目標額をかかえて、現場に対して督励をしている郵政局の貯金部や保険部やその他の部は、あれですか、余暇にやるのですか。対策員として余暇に仕事をするの。そうじゃないの。どっかに労働密度が集まってくるんじゃないの。そういうことはないのですか。強弁言っちゃいけませんよ。対策員として動けば、当然ほかの仕事はやれぬでしょう。百手観音じゃないんだ。対策員として、郵便の、ことに現場に当たって、それで一緒に貯金、保険の仕事をするなんて、そんなことができますか。当然、そうなってくれば、その他の業務に対しては労働の密度を厚くしなければこれはできないでしょう。遂行できないでしょう。子供に対してあなたは答弁するんじゃないですよ。私の質問に対して理にかなった答弁をしなさい。いまの私の質問に対してあなたは答えられますか。なぜ支障がないんだ。
  85. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 今回の対策本部は、これは事新しいものじゃございませんで、先ほどもちょっと触れたかと思いますが、前々からあった仕組みを、最近の情勢に合わせて衣がえしたというものであります。従来ともこの組織によって郵便貯金、簡易保険の業務が阻害されたという実績はございませんし、今後ともそういった懸念はないと思うのであります。  ただ、田邊委員御懸念されるのは、対策本部員に全郵政局員がなっているから、そこが問題であろうということであろうかと思うのでありますが、これは対策本部員になったからといって、常時その仕事に専念するというふうなものではございません。常務は常務として行ない、何らか問題があったときに、一般職員は参加するということでありまして、そのことによって郵便貯金、簡易保険の仕事が影響を受けるというようなことは、従来もございませんでしたし、今後もないだろうと思います。  なお、この対策本部は、これはやはり臨時の緊急のものでありまして、恒常的な組織ではないことは、これはもう申し上げるまでもないことであります。
  86. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 私も郵政事業についていささか見解を持っている一人であります。したがって、あなたの冗漫な、しかも的をはずれたような答弁を私は聞くために質問をしているのじゃない。常時対策員として携わっているなんて、私も思っていませんよ。それじゃ、あれですか。第一郵務部、第二郵務部、それ以外の職員は、この対策員として行動したことはないのですか。あるのですか。どっちですか。そのときは、一体それに携わっておる諸君の仕事はどうなっているのですか。仕事は一体支障がないのですか。結局またどこかで補わなくちゃならぬでしょう。補わなければやれないでしょう。そんな融通無碍なの、あなたのほうは。対策員として実際に仕事をしておって、その間の時間的な空白に対して他のところでもって取り返しをしなければならぬでしょう。ひとつきちんとした答弁をしてくださいよ。
  87. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 繰り返して申し上げておりますように、全職員が常時対策本部に専念するということはございませんし、(田邊委員「そんなことを聞いているのじゃない」と呼ぶ)ときに対策本部員として活動するということでございます。それが仕事のほうにはね返らぬかということでありますが、これはもういままでの実績から申しましても、貯金、簡易保険のほうは順調に進んでおるわけでございます。
  88. 伊東委員長代理(伊東正義)

    ○伊東委員長代理 委員長として中田人事局長に注意しますが、要領よく、簡潔に答弁してください。
  89. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 第一郵務部、第二郵務部職員以外の者が対策本部員として活動したことはございます。そのことによる本来の業務の問題は、その時点においては、これは影響があるということは、これまた事実でございますが、これはまた郵政局の業務——これは申し上げるまでもございませんが、管理事務でございますので、その時点で完全にいかなかったものは他の時期にずらして回復するという若干の余裕がございます。そういうことで、時間的ズレが生じますが、そういうことで補正をして業務の全般の調整、推進に当たるということであろうと思います。
  90. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 労働密度は厚くなるでしょう。私は、もうちょっと、あなたは労働問題担当者ならきちんとした発言をしてくださいよ。他のところで労働密度は厚くなるでしょう、当然。労働過重になるでしょう、たとえ管理職であっても。それじゃ、あれですか。これは東京郵政局だけの独自なもので、こういったことに対して、あなたのほうは本省として認めている。もういわゆる各部門別の機構なんということばあまり気にしなくてもいい、総がかりでもってそこへ行けと、こういうかっこうですな。郵政省の機構というものはそういうものだね、これは。
  91. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 この対策本部は、先ほど来申し上げておりますように、臨時の緊急の組織でございまして、常時のものでございません。そうしてまた、当面東京郵政局としてかかえる一番大きな問題に重点を注ぐということは、これはやむを得ない、また当然そうあらねばならぬ事柄であろうと思います。
  92. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 あなたとそういうやり取りをしておったのでは、これはもう全くの食い違いでしてね、私はあなたと私の見解が違ってもいいのですよ。しかし、これを親切に私の質問に対してそのまますなおに答えてくださいよ。あなた方の見解を、そういうふうなぐあいに問題をそらして、それでもって当面を糊塗するようなことでは、私は断じて許しません。これは、私は当委員会でもってこの問題を解明するまでは絶対に容赦しない、こういうつもりでかかっているのですから、あなたのほうもひとつ性根を据えてまともに答弁してもらいたい。  そこで、具体的な問題は同僚の委員から質問しますから、私はあえてそれを触れないでいるわけですけれども、一つだけお答えいただきたいのです。  一月十四日にあなたのほうは処分を発表しましたね。その中に東京の杉並郵便局の職員を公労法違反で解雇しておりますな。これは一体どういう理由ですか。
  93. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 一月十四日に処分発令したことは事実でございます。その中で公労法十八条によって解雇した者は、これは昨年の十一月の下旬、杉並局において闘争が行なわれておったわけでございますが、その際に、郵便物をためる、それを指導するという行為がありましたので、公労法十八条によって解雇したというものでございます。
  94. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 いままでそういう現場の組合の支部段階における役員に対して公労法を適用したことはございますか。
  95. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 いまここに資料を手持ちしておりませんので、正しくはお答えできかねると思いますが、必ずしもこれだけであるというふうには思いません。  正確な資料がございませんので、追って調べてお答えいたします。
  96. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 資料を提出してもらいたいと思いますが、いままで例がないですよ。首を切った例はあるけれども、公労法に基づく解雇というのはない。これと類似なもので、あなた方がいままでやってきた処分は、国家公務員法による免職でしょう。なぜ今度公労法に基づいて解雇したのですか。同じものがいままで免職であっても、両刀を使い分けるというようなことができるということはないはずです。  私は、しばしばこの問題に対しては当委員会で質問した。これは具体的な理由は何ですか。これは年末闘争を指導した、特に時間外労働協約を締結しないことが主目的だ、こういうことになっておりますけれども、そのとおりですか。
  97. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 公労法十八条で解雇した理由、時間外労働をしないとか、そういうことが内容ではございません。先ほど来申し上げておりますように、郵便物をためる、郵便物を停滞さすという闘争を指導したということが理由でございます。  それから、従来の免職と違うではないかということでございますが、従来懲戒免職というようなケースがだいぶ地方にございますが、この場合は、大体労働運動とも関連しておりますけれども、その中に暴力行為的なものが非常に多かったわけであります。そういう場合に、これは国家公務員法の懲戒免職でいく、今回の場合には、いわゆるそういった暴力行為的なものがあったわけではございませんので、そういうことでなしに、もっぱら公労法十八条を適用したということでございます。
  98. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 機関責任を追及したことですか。
  99. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 必ずしも機関責任ということでございませんで、本人の行動全体を把握して、本人の責任を追及したというものでございます。
  100. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 事実問題をいままで取り扱ってきた場合には懲戒免職ですよ、事実問題がある場合には。機関責任を追及する場合に公労法違反、その点明確なはずです。どっちですか。
  101. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 機関責任の場合には公労法、機関責任でない場合には公務員法というふうには私ども考えておりません。先ほども申しておりますように、労働運動に起因しておりましても、その中にいろいろ暴行的なものとかそういうものが含まれておるというふうなときに大体懲戒免、ところが、今回の場合には、そういったいわゆる暴行的なものは対象にしておりません。また、機関責任かとおっしゃいますけれども、先ほど来申しておりますように、機関責任の場合には公労法、個個の職員の場合には公労法を適用しないというような原則はとっておらないつもりでございます。
  102. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 労政局長どうですか。
  103. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 どうもおそれ入ります。ちょっと中座いたしておりまして……(田邊委員「質問を聞いてないで答弁できる、そういうルールが国会にあるのですか」と呼ぶ)たいへん恐縮でございますが、いまちょっと中座をいたしましたので、できますればもう一ぺん質問をお願い申し上げたいと存じます。
  104. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 だめだ。だめですよ。
  105. 伊東委員長代理(伊東正義)

    ○伊東委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  106. 伊東委員長代理(伊東正義)

    ○伊東委員長代理 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議
  107. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。田邊誠君。
  108. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 先ほど公労法上の解雇の問題と国家公務員法違反による懲戒免職との違いについて郵政省にお尋ねをいたしたのでありますが、これに対して、一般的な意味におけるその適用の区別というものについて労政局長からお答え願いたいと思います。
  109. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 公労法の十七条におきましては「職員及び組合は、」「同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」こういう趣旨の規定でございます。そして、これを受けまして、十八条におきまして、それに違反した場合には解雇されるものとするという規定になっておるわけでございます。  お尋ねのこの違反が機関責任をいったものではないかというお尋ねでございますが、条文そのものといたしましては、職員がそのような違反の行為をした場合にはこれを適用するということになっておりまして、特に機関責任という限定はないわけでございます。実際問題といたしましては、争議行為の禁止でございますので、行なわれます行為が集団的に行なわれるということでございますので、その行為の態様、違反の態様あるいは程度ということからいいますと、その集団的な行為について、指導的な地位にある人の程度が重いということになりまして、現実の結果におきまして、この条文を適用いたしました場合に、組合の役員等の責任が追及されるということが多くなっていることは事実でございます。
  110. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 いま郵政省のとっておる、ときに国家公務員法適用、ときに公労法適用という便宜主義的なやり方は、私は避けなければいかぬと思うのです。やはりこの問題に対する明確な態度を示しておくことが必要ではないか、私はこういうように思うのでありまして、さきに私が質問いたしました杉並局の副支部長に対して公労法を適用して解雇したということは、私は労働運動上の筋道からいいますならば、これに当てはまらないというふうに考えざるを得ないのでありまして、従前のやり方と違った解雇を持ち出したということについての私の見解は、郵政省の解釈において大きな誤りを来たしておる、こういうように断ぜざるを得ないわけであります。したがって、今回のこともさることながら、私は、やはりこの種のことに対しては、明確な基準を設けてそれに対処をすべきことは当然であるというように思っておるわけでありまするけれども、それに対するお考え方がありましたらお示しをいただきたいと思うのです。
  111. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 杉並局において解雇をされた者につきましては、これは単に郵便物を停滞さしたということでなしに、ただいま労働省の労政局長の答弁にありましたように、指導的地位、いわゆる機関責任ということではございませんけれども、組合が指令を出したとか組合としてやったんだからという意味の機関責任ではございませんが、多数の組合員を指導してそういった現象を生ぜしめた、そういった指導的立場にある者という点に十分着目して、一人だけを解雇し、それに追随した者については、おのおの減俸、戒告、そういった処分をしておるということで、参加した者すべてを解雇したというふうに扱ったものではございません。  なお、ただいまの先生の御意見につきましては、われわれとしても将来検討していきたいと思います。
  112. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 この男は、副支部長という組合の役職にあるのですよ。したがって、それならば特別にこの人物だけが組合の組織上からいって特異な地位にあるわけじゃない。支部長、副支部長、それ以外の執行委員、こういう形になるわけでありますから、そうするならば、いわば組織上のたてまえからいえば、最終的な組合の組織の責任者ではないわけであります。とするならば、当然この人物を解雇するという非常手段に訴えたとすれば、それ以外の特異な現象があっただろうと思うのです。特異な現象ということになれば、それは一つは実行行為であろう。こういうふうになってまいりますと、私はきわめて微妙な考え方に立ちまするけれども、一般的にいえば、やはり国家公務員法違反をいままであなた方は適用したのじゃないかと思うのです。したがって、今回この公労法による解雇を適用したという根拠は、どう考えてみても私は薄弱である、こういうふうに考えざるを得ないから、先ほど来の質問をし、将来の戒めとして、それに対する明確な基準を設けてもらいたい、こういう質問をいたしておったわけでありますが、十分おわかりになっておらないようであります。したがって、これに対する資料、いかなる理由で公労法を適用して解雇をしたのか、これをひとつ当委員会に御提出を願いたいと思います。委員長からもひとつそのようにお話をいただきたいと思います。
  113. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 後刻取りそろえて提出をいたしたいと思います。
  114. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 事実問題についてはそれぞれの委員からあとで質問がありますから、私はその事実問題の質問を待って、またあらためて省の労働政策といいましょうか、労務管理について、全体的な意味でこの事実の突き詰めの上に立って質問をいたしたいと思うのです。  一つだけ最後にお聞きしておきたいのは、東京郵政局長の浅見という人の考え方は、郵政事業を遂行する上からいって、大きな誤謬をおかしているのじゃないかと思うのです。浅見局長は、口を開けば現場第一主義と言っています。しかし、実際には、私は現場に働く第一線の職員に対する信頼感を彼は持っておらないのじゃないかと思うのです。それが何といっても指導者としての最大の欠陥ではないかと思うのです。ただ単に、現場の職員に対して威圧感、しりをたたく、そういう形でもって事を処そうとするところに、私は基本的な態度の改めなければならぬ点があると思うのです。  確かに彼は国民へのサービスということを盛んに言っています。国民へのサービスという美名に隠れて、実際には職員の締めつけ、服従心を要求する。下から上へのいわゆる下克上を排除する、こういういわば民主主義の原則にはずれたような考え方に実は立っておるわけであります。あとで島本委員等から指摘があると思いますけれども、さっきの機構上の問題についてもしかりですけれども、個々の事業についても、たとえば貯金の募集に行ったところが、郵便がおくれているからとても貯金の募集など受けられない、こう言われたので、その男は帰ってきて一生懸命郵便の区分をやったとか、あるいは小包の配達に貯金の職員が行ったら、非常に感謝されて、一言も貯金のことを言わなかったけれども定額貯金に入ってもらえたとか、これはまことにうるわしい表彰すべきことだ、こう言っているのであります。一見非常に何かいいことをやったように印象づけておりますけれども、そのことによって起こるところのいわゆる機構上の問題、規律上の問題、そして、しりたたき、こういったことに対する彼の権威主義、権力主義——事業第一主義と言っております。現場第一主義と言っております。しかし、実際はきわめて封建的な権力主義を用いているというふうに受け取らざるを得ないのであります。彼は札幌の郵政局長時代に、公務員というような親方日の丸ではいけない、大臣は社長、そして局長は支店長、局員は社員、こういうようにやりなさい。一見非常に何か新しいようなことを言って、奇をねらっているような感じを受けますけれども、実際には、そうやって現場の職員に対する締めつけをする、いわば猛烈社員をつくる。そういう中でもっていわば労働組合がじゃまになってくるという考え方じゃないかと思うのです。  彼は年頭のあいさつの中でも、人事異動について、近くあるぞ、おまえたちは人のいやがる一番遠いところを望め、人のいやがる困難な仕事を望め、これは私はいわば人事異動の中でもって、ややもすれば、自分の気に入らないような職員に対しては、いやなところにやるぞ、こういうあいくちを突きつけて、それに対して服従をさせる、こういうやり方をとっておることは間違いない事実であります。私は、実は東京に来てから、いわば大東京、そして関東を含めた日本の郵政事業の中において、死命を制するような地位に彼が立った以上は、そう軽々にはやらぬだろう、こういうように実は私は考えておったのでありますけれども、しかし、その彼の考え方、性格は変更すべくもなくて、いままた重大な問題が起きつつある。こういうことに対して私は非常に残念に思っておるのであります。いまの解雇問題もその一つのあらわれじゃないかと私は思うのです。実際には副支部長を解雇するということに対して、これは私の言い過ぎかもしれませんけれども、この男は解雇に値するぞ、この男は解雇しなければならぬぞという前提に立って、いわばその男を解雇に追い込むようなやり方をしていないとはいえないのであります。実は、そういうやり方というものが現在東京郵政局においてとられている、前近代的な労務管理がとられているということに対して、一体どういうようにお考えでございますか。あなたのほうで知らないとは言わせない。郵政局長会議の際における諮問事項に対する答申書というので、青少年対策というのがございます。特に郵便の外務員に対する問題を中心としての答申書が各郵政局から来ております。仙台郵政局とかそのほかにおいても問題がありますが、東京郵政局長から答申をした中身を見ますと、まさに、組合は悪く、労働組合はないほうがいい、労働組合があることで事業に支障を来たしておる、いつもこれは重大な妨害をしておる、これを排除しなければ事業の運営はできない、実はこういう前提に立っておると思うのです。この答申書をごらんなさい。まさに悪意に満ち満ちたるものであります。こういう答申書をあなたは受けて、それでもって東京郵政局は正常な運営ができていると思いますか。正常な労使間の状態が確立しているとあなたは思いますか。断じて私はそうでないと思います。この二つの私の質問に対して、ひとつまとめて答弁をしてください。
  115. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 東京郵政局の答申の内容に対する考え方はどうかということでございますが、東京の局長は格別組合無視というような考えを持っておるわけではございません。ただ労使双方相接して事を進めるにあたって、当局側ももちろんいろいろ考えるところがありますけれども、現在の組合も必ずしも完全でない面がありますので、そういった面についてお互いに是正をはからなければならぬ、そういうことを答申の中で触れておるのだろうというふうに思います。
  116. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 この答申書には、そういう組合が完全でない、そんなこと書いてありませんよ。それだからこそ、さっき小渕政務次官も言われましたから私はその善意を信じておるのですけれども、労働組合と会いなさいと言っているんだ。それじゃ、そういう組合が完全でないということに対して、率直に、組合の幹部に対して、あなた方のほうも、ひとついろいろな面で改めてもらいたい、こういうことがあるじゃないかということを指摘してお互いに話し合う、そういう場所をつくってと言いますが、つくってないでしょう。つくってないで、一方的に、組合は完全でないから改めてもらいたいというような答申書をあなたのほうに示したといっても、これは世の中の人は納得しませんよ。この答申書の中身というのはまさに悪意に満ち満ちている。いろいろなことを言うけれども、考える施策は豊富にあるけれども、しかし組織的な妨害を排除する体制でなくては十分な実施は期し得ない。東京郵政局管内は全部組合の組織的な妨害で業務は正常に行なわれていないのですか。さっき私が言ったように、現場の職員に対しても、一生懸命君たちやってくれているじゃないか、中にはいわば完全でない者もあるよ、こういう言い方をすればいいけれども、この年頭のあいさつについてはあとでほかの委員が触れますから私は触れませんけれども、そういうことを一言も言っていないですね。昨年一年はまさに十分な運行ができなかった。みんな現場の職員の組織的な妨害の結果じゃないか、こういう表現ですよ。職員に対する感謝の気持ちは一つもない。いま労働力を確保して正常な運行をするにはたいへんな時代でしょう。青少年対策はそういうところから出発しなければならぬ。にもかかわらず、そういうことは一つも書いてない。古めかしいイデオロギーからくる考え方、そういったものを排除しなければならない、それが職員の意識を近代化することだ。これは何ですか。まさに時代に逆行する前近代的な考え方じゃないですか。こういう考え方の上に立って業務をやられ、あるいは労務管理をやられたならば、もう職員はいたたまれませんよ。実際には言えない。言って口答えすれば一体どうなるかわからぬ。人事異動でどこへすっ飛ばされるかわからぬ。こういう恐怖心におののいて毎日毎日仕事している。こんなことで郵政事業の発展に寄与することができますか。私は、もっとあたたかい血が流れていなければ、郵政事業を円滑に遂行することはできないと思うのですよ。そういう意味合いからいって、この答申書はまさに郵政事業の円滑な運行に重大な支障がある答申書じゃないか、こういうふうに私は判断しますけれども、あなたのほうは、この文書を読んでそう見ないのですか。まことに郵政事業の運行のためにたいへん貴重な文書であって、これを尊重しながらやるというのが郵政省の考え方ですか。どちらですか。
  117. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 全体をよくごらんになっていただければわかると思いますけれども、格別そのような悪意に満ちたとか、これでもってマイナスになるようにというようなことでなしに、現状を少しなりとも前進させる立場からこの答申がなされておると存ずるのでありますけれども、ただいまの田邊委員の御意見につきましては、十分われわれも拝聴いたしまして、今後の業務の運営に資したい、改善に当たりたいと思うのでございます。
  118. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 そういう当面を糊塗する抽象的なことばで、委員会で時間を過ごせばいいと思ったら間違いですよ。この答申書の私がいま読んだ字句を、あなたは一体どう判断するのですか。そう思わないのですか。まず何といっても施策を遂行するにあたっては組織的な妨害を排除する体制でなくては十分な実施はできない、こう言っているのです。それ以外のことを言っていない。あとは、その間に事例をあげているだけだ。こういう言い方が、私がさっき言ったような、きわめて愛情に包まれたふくよかな形で従業員を包んで郵政事業を遂行する指導者の答申書か、こう言うのですよ。全体を読んでいますよ。一番重要な基本的な問題について答申書はそう書いているじゃありませんか。一片のそういったいわば人情もない、まさに事業遂行、現場第一主義、国民へのサービスという、そういう美しいことばだけは並べるけれども、実際は有無を言わせない服従心をしい、言うならば、浅見局長は絶対者だ。彼自身は、自分を絶対者に仕上げよう、こういうのだ。自分は本省に対して言いたいことを言っている。なぜかなれば、自分は現場を背中にしょって、現場のことをよく知っているから。とんでもないことだ。現場の人たちの苦労というものについて一体どのくらい知っていますか。杉並問題についてもしかり。いま劣悪な労働条件、局舎の狭隘、私は去年下谷の問題を取り上げたけれども、あの仮局舎でもって夏の暑いときに仕事をしている。正常な運行ができますか。あなた、そういう事態というものを全然考慮に入れないで、それでこういう考え方に立って事業を遂行するという危険性、これを私は何としても改めてもらわなければ円滑な運行はできない、こういうふうに考えているのですが、私の言うことが間違っていますか。私の言うことが間違っていたら言ってください。
  119. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 お説はごもっともでございます。われわれもさらに検討いたしまして業務の改善に当たりたいと思います。
  120. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 この答申書について、達第九号について二つ私は提起しましたが、これに対する内容をあなた方再検討しますか。そんな甘っちょろいことを言っちゃ困るよ。私の質問の核心には触れないで、何かお説ごもっとものようなことを言うけれども、私のお説がごもっともなら、さっきの東京郵政局の局長考え方は全く違うのだから、局長のやり方を改めるということになるでしょうが。どっちもいいようなことを言ったら困りますよ。再検討しますか。
  121. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 首都圏に関する郵便事業整備緊急措置ということにつきましては、先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、格別そのこと自体について改めるべきものはございません。ただ、運用にあたって十分配意していくべき事柄だというふうに存じます。  それから、後段の問題につきましては、これは答申でございますので、われわれは十分その中で取り入れるべきものは取り入れていくということでございますので、御了承いただきたいと思います。
  122. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 あなた、そう言うけれども、さっきの対策本部の問題は実際の運用の問題なんですよ。運用問題が重大なんだ。きめたこと自身よりも、実際の運用上業務に支障がないかということですよ。支障がないなんて強弁したって、具体的な事実として、郵務関係以外の者が仕事に当たれば、どこかに穴があくでしょう。穴があかないのだったら、その仕事は要らぬわけです。管理職であっても、どこかで穴を埋めているでしょう。一日なり二日なり一週間なり自分の職場をあければ、それだけ自分の仕事に対してだれか補充しているわけじゃないでしょう。とすれば、当然自分みずからがそれを埋める、あるいは残った者がそれをカバーするというかっこうになるでしょうが。これは労働の密度が高くならないかというのです。こういったことに対して、あなたちっとも答弁しない。まことに、いんぎん無礼じゃなくて、国会無視ですよ。いまの答申書についても、とるべきことをとるのじゃない、この中で重大な錯誤と間違いがあるから、それに対して再検討できるかできないかと言っているわけだ。あなたは、私の言ったことに対してちっとも答えないですよ。施策はいろいろ考えられるけれども、組織的妨害を排除するような体制でなくては十分な実施は期し得ないと書いてある。郵政局管内にこういうものが満ち満ちていると言うのだ。これはまさに組合を全くの悪者に仕立て上げて、これを排除しなければ正常な仕事の運行ができない、こういう考え方でしょう。そうじゃないのですか。そういうように書いてないのですか。何と書いてあるのですか。
  123. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまの問題につきまして、これはすべてがそうであるという前提でなしに、そういう部面があるから、その面については、というふうにわれわれは理解しております。
  124. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 見にいらっしゃい。そういうふうに書いてない。あなた見なさいよ。私がでたらめを言っているんでない。見なさい。そういうふうに書いてあるから。   〔田邊委員、書類を示す〕 一般的にはそうでなくて、組織的な妨害がたまにあるというふうに書いてあるか。
  125. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 この文書の表現には、仰せのとおり格別書いてございませんが、この全体の体系、また、従来からの実際から見ますれば、われわれとしては、この組織的妨害という表現を先ほど申し上げましたようなことで理解してよろしいのではないかというふうに存ずるのであります。
  126. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 それはあなたの独断ですよ。そんなぐあいにかってに字句をひん曲げて解釈されては困る。そういうような表現を使っているのなら、私は何も言わぬ。私は労働組合が完全だとも思わないし、労働組合考え方がそのまま正しいなんという前提でもって国会で質問してませんよ。私は私の独自の判断で質問しているんだ。そういういわばあなたの言ったような全体の仕事は、職員の熱意で行なわれている。しかし、たまたまそういうような、いわば阻害をするようなことも一部にあるんだけれども、これはひとつ何とか直さなければならぬという考え方に立って、その答申書なり、あるいは中田局長考え方、発想がなされておるならば、私どもここであえて口を開いて質問いたしませんよ。まさに組織的妨害というのがいま組合の中において満ち満ちている。これを排除することが大前提だ。こういう考え方というのは、近代的な労働慣行をつくる上からいっても、決して正しい考え方じゃないんじゃないか、こう言っているのです。あなた、これをお読みになって、その表現がそのまま正しい、もうたいへんに貴重な文献である、こういうように思っていますか。それに立ってあなたは仕事をしようとするのですか。それだったら、郵政大臣に来てもらってあらためてやります。
  127. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、私どもとしては、この組織的妨害というものを、全面的ということでなしに、そういった事態がありましたことにかんがみてそういうことであろうというふうに理解するのでありますが、さらに東京の局長にそういう面も申し伝えまして、今後の業務運営に十分当たるように指導したいと思います。
  128. 田邊委員(田邊誠)

    ○田邊委員 あなたは指導できる能力はないと私は判断するけれども、しかし一応厳格にやってみてください。  私は事実問題にあえて触れませんから、きわめて抽象的なやりとりであるけれども、私の真意とするところはわかってもらえたと思うのです。これは政務次官もおいでですから、よくわかってくれていると思うのです。以下それぞれの委員の方から具体的な事実の究明がありますから、それも通じて省の労働政策に対してさらに突っ込んだ意見の発表の機会を得たいと思っております。私に関連をする意見がそれぞれの委員から出されるわけでございますので、一応私は保留しておきたいと思います。
  129. 倉成委員長(倉成正)

  130. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 先ほどから中田さんと田邊委員とのやりとりを聞いておりますと、どうも答弁のほうがすれ違った答弁をなさっているような気がしてならないわけであります。ただ、話の中から私が感じたことは、どうも労使関係の安定に、郵政当局が言っているように、労使双方が共通の基盤に立って誠意をもって交渉または話し合いを行ない、相互に理解と協力のもとに取りきめられた労働協約が、話し合った内容を尊重するというふうな立場に立っておらぬような実は気がするわけであります。  先ほどから具体的事実に基づいてという話が再三田邊委員からありました。私は杉並の郵便局にも行ってまいりました。その中で感じましたことは、きわめて非人間的な抑圧的な管理が行なわれておるというふうに考えられてなりません。監視労働といい、あるいはその他の事柄といい、すべて人権を無視しているというふうな感じがしておるわけであります。  そこで、その前に、基準局長ですか労政局長ですか、私よくわかりませんが、ちょっとお伺いしたいのです。病気になったりあるいはけがをして診断書をもらうときに、これは公立の病院に行ってもらわなければならないのか、あるいは私立の病院に行ってもらわなければならないのか、どちらでもいいのか、この点は一体どうなっているのでしょう。
  131. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 お答え申し上げます。  基準法では特にそういうものに対する規制はございませんので、どこの病院でもけっこうであります。
  132. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私はよくわかりませんけれども、これは就業規則でこういうことはおそらくきめられるのだろうと思うのですけれども、そこで人事局長にお伺いいたします。郵政省のほうではそういう場合に一体どういう規定をなさっておるのか。いま労働省からは私的なあるいは公的な、別にそういう規定はない、こう言われておるけれども、郵政省としてはどういうふうにおとりになっておるのか。
  133. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 格別どの病院、どの医院という定めはないというふうに思っておりますが、ただ、いろいろ具体的事実の場合に、当局側がこの病院、逓信病院とか逓信部内の診療所、なるべくそういうところというふうに指定することはあろうかと思います。
  134. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 全逓杉並で組合員が頭が痛くて目まいがするという訴えがあった。そうして本人が病院に行けという指示があったもので、それで私立の病院に行っておる。そしてこの病院の診断書をもらってきた。ところが、本人に対して藤田という課長が診断書が届いておらぬ。こういう話だったそうであります。私は、診断書が届いておるかどうかということを別に問題にしたくないのですけれども、国立の病院は設備がないから逓信病院へ行きなさい、こう言ったのであります。医務局長か保険局長がおいでになっておれば、国立病院がそんなに設備がないのかどうか、お伺いをしたいと思いますけれども、逓信病院に行きなさい、こういう話があったわけであります。ところが、逓信病院に行ったら、逓信病院の医者が診断書をつくることを拒否したという話があります。そのことについて一体どういう考えを持っておるのか、それをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  135. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 杉並局で問題になりました事件、具体的にいつのことか存じませんけれども、国立の病院の診断ではいかぬ、逓信病院でなければならぬというふうに言ったことはないというふうに、われわれは資料の上で把握しておりますし、設備の不十分な病院の場合より、設備の整った病院、そういう意味で逓信病院へ行くようにというふうなことはあろうかと思いますが、国立の病院がいかぬとかそういうようなことは毛頭ないと思います。
  136. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 医師は診断をして、そして説明を求められたときには、患者に対して十分納得するだけの説明をしなければならぬ義務があると私は思うのですよ。ところが、聴診器を当てただけで医者は一切の説明を拒否している。しかもそれはあなた方が行けと言った病院に本人は行っているのです。私がなぜそれを言いたいかというと、つまり、一体そういうことに対して、郵政省自身から人を派遣した事実があるのか。おそらく郵政省から、そうしてかくかくしかじかのことがあったから、この点についてはこうしなさいという指令がおそらくおりたのだろうと思うのです。私の邪推じゃないですよ。そうでなければ、医者としては十分本人に納得する説明をするのがあたりまえでしょう。そうじゃありませんか。その点だけひとつ聞かしてください。
  137. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 さような事実は承知しておりません。
  138. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 中田さん、こういうことなんです。先ほどから田邊さんの質問に対してのあなたの答弁というのは、たびたび的をはずれた、何か筋違いな御返答をなさっておるわけです。この場合も、あなたは確信をもってそういう事実がないと、こう言えますか。
  139. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 そのような事実、ただいまの時点において承知しておりませんということでございまして、具体的な日時をお示しいただければ、どういう事情であったのか調査したいと思います。
  140. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それじゃ具体的な日時を申し上げます。二月二日、藤田課長が設備がないと言う大久保病院に行った。そのときに、設備がないという病院で尿を検査し、血圧を測定して、そして診断書を書いております。それはおそらく杉並の局長に届いておると思います。けれども、設備を誇っておる逓信病院では、三日分の薬を与えただけで、本人の納得する説明をしておらないのです。そういうことが公的な病院としてのあり方かどうか、事実を申し上げました。そこにたくさん資料を持ってきている方が一緒においでになっていると思うから、それは調べてください。
  141. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいま手持ちしておる資料では、いまお尋ねのことはよくわかりませんので、後刻調べましてお答えしたいと思います。
  142. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 わからないなら、なぜ初めからあなた、わからないとおっしゃらないのです。そういう事実はございませんと、私にあなたおっしゃったでしょう。私が申し上げたいのは、いままでの一切の答弁が、あなたはそういうふうな答弁をなさっているということが第一点。第二点は、その考え方の背後にあるものは何だということであります。ノーマルな労使関係というものについて、あなた方がきちんとした考えを持とうとなさらないから、そういう考えが出てくるのですよ。答えがそうじゃありませんか。
  143. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまおしかりを受けて恐縮に存じますが、先ほど最初に申し上げましたのは、さような事実は承知しておりませんというふうに申し上げまして、ございませんと申し上げたのではございません。
  144. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 時間がありませんから、先へ進みますが、これはちょっと話がそれるかもしれません。  政務次官、たばこをお吸いですか。——人事局長はたばこをお吸いですか。
  145. 小渕政府委員(小渕恵三)

    ○小渕政府委員 吸いません。
  146. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 吸わなければ、ちょっと話は困るのですけれども……。私が申し上げたいのは、ここにこれだけの資料がございます。この資料のほかに新聞にもたくさん出ておる。朝、仕事についてから、そうして昼食まで、たばこを一切吸わない——吸わないというか、吸わせないというのがいまの杉並の郵便局のあり方ですよ。私は、作業が一段落ついたら、たばこくらいは吸わせてもいいと思うのですけれども、その点について、たばこを吸わない方はおわかりにならないにしても、しかしそのくらいのことは、おわかりになると思うから、ちょっと私お聞きしたいわけです。どうお考えになっておりますか。
  147. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 杉並局のたばこ事件、いろいろ背景がございまして、ただいまのところは、仕事の一段落したときに吸うようにということで、作業中にたばこは吸わないこと。一段落したときに吸うようにというふうに指導しているように聞いております。
  148. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 ここに事例がたくさん出ております。日にちから申し上げれば、一月二十九日、二月四日、二月九日、二月十一日、喫煙に対する参考事項で、管理者の指導の変遷があります。その中で一月の二十九日の事件は、午後作業に入って一時間二十七分−二時半ごろ、つまり一時間半ぐらいおそらく働いたと思うのですけれども、仕事が一段落ついたので、たばこを吸い始めたところが、現場で監視中の課長が近づいて、たばこを吸っちゃいかぬ、こう言ったそうです。本人は、たばこを灰皿の上に置いて、作業が一段落ついたからたばこを吸っているんだ、こう言ったところが、灰皿に置いてあったたばこをいきなりもみ消してしまったそうであります。そういう事件もあるそうであります。私は常識から考えて、もちろん作業の性質によってはたばこを吸うべからざる作業所というものもあるだろうと思う。しかし、いままで慣例として一段落つけば作業中たばこを吸っておったようなところで、なぜそういうことまでするのか、ちょっと理解しかねるのです。それで、そういうことに対して、あなた方は一体どういうお考えでそういう指導をなさっておるのか、これをひとつお伺いしたいと思うのです。
  149. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまの問題につきまして、仕事の性質上吸えない場合もあろうというお話がございましたけれども、郵便局の仕事の場合、いろいろ態様はございますが、現在問題になっておりますのは、郵便配達に出かける前に郵便物を個別に区分する、そういった作業の中で、たばこを吸うことをある一定時間制限しておるということでございます。これは現実に過去にもいろいろ例があるのでございますが、最近の事例としては、昨年の末に杉並局で一件、また杉並局ではございませんが、他の局で最近の数カ月の間に数件、くわえたばこというか、たばこを吸いながら作業したことによって郵便物が危うく焦げそうになったというような事件がございました。非常に郵便物のたくさんあるところで作業する職場でございますから、平素から、たばこのことについては留意するように指導しておったのでございますが、そういう事件がありましたために、東京郵政局において、ことしの初めに管内に通達を出して、具体的にこういう事件があったから、たばこを吸われるについては特別に慎重にせよという指導を東京郵政局で現場に対してしておる。杉並郵便局においても、それに従ってさらにたばこの問題について慎重にということで指導しておったわけでございます。
  150. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私は、くわえたばこをして仕事をしなさいということを言っているんじゃないんですよ。仕事が一段落ついたらたばこくらい吸わしてもいいではないか、こう言っているんですよ。ところが、あなたは、くわえたばこをすることがままあったということで、一、二事例をあげられました。私はそのことのほうがかえって危険だと思うのですよ。つまり、あなた方が、たばこを吸うというのは、それだけ郵便の区分けですか、いまあなたのおっしゃった、そういうことを急がせるためだと思うのです。つまり、集配局において効率をあげるために、たばこを吸わないようにしているというのが一般的に考えられ得る常識だ、こう思うのですね。けれども、もしあなたがそういうふうな指導をなさっておるのだったら、一体これはどうなるのだ。  二月九日、午前十時五分ころ、作業が一段落したのでたばこを吸おうとしたところが、荻野という副課長が近づいて、君は仕事がおそいからたばこを吸うな、こう言っているのです。本人は、仕事が一段落したから東郵の人の許可を得て吸っている、こう言ったのです。ところがその課長は、仕事をしながら吸いなさいと言っているのですよ、仕事をしながらというのは、これはくわえたばこじゃないだろうか、まさにあなたの言ったことと反対のことですよ。そうじゃありませんか。
  151. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまお示しのことにつきましては、私ども手元に資料がございませんのでわかりませんが、もしそうだとすれば不可解なことだというふうに思います。
  152. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それでは、いま私は二つの事柄について聞きましたので、ちょっとお伺いいたしたいのですけれども、つまりトラブルが杉並郵便局にあったときに、どれくらいの人数の監視班の方が入ったのですか。
  153. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 東京郵政局から対策のために派遣した者が二十五、六名だというふうに記憶しております。
  154. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 日にちはいつごろでしょう。
  155. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 本年の一月の二十六日から二月の十九日ころまででございます。
  156. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私が全逓の杉並に行ったのは、記憶に誤りがなければたしか二月の七日ころだったと思いますが、そのころ二十五、六名どころではありませんでした。私が自分の目で見たのです。百二十名くらい、あるいはそれ以上だったと思うのです。それくらいの人があそこに立っておりました。私自身入ろうと思ったけれども、あまりたくさんおったので、気が弱いもんですから入ることができなかったわけですよ。それくらいの人数がおった。その人たちが集配をやっておる人たちの背後に立って監視をやっておったわけでしょう、昔の女工哀史じゃないけれども。監視対策というものがどれだけ能率を落とすか、あなた方お考えになったことありますか。能率を促進させるどころか、むしろ能率を停滞させるんですよ。しかも、それだけ多くの働いている人たちの背後で目を光らせているということが、一体あなた方の正常な労使関係になっているのだろうか。
  157. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 一般的に業務が順調に流れておるときに、監督あるいは——監視ということばを使われますけれども、いわゆるそういう監視的な行為というものがプラスになるというふうには毛頭考えておりません。ただ、何らかの事件があったそのあととか、極端に能率が低下しておるというような場合には、その原因が那辺にあるか、どうしたらよろしいかというようなことで、今後の対策を講ずるためにも、現場の監督者だけで不十分なら、郵政局の関係者がおもむいて援助するというようなこと、これは異例なこと、やむを得ない緊急のことでございます。
  158. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私は、援助をするというのならたいへんけっこうだと思います。それから、もしそういうものについての調査なり、あるいは能率をあげるためのことだったら、監視労働をしなくても、ほかに調査をする方法が幾らでもあると私は思うのです。背後におって、そうしてここにこういう事実がある。いま申し上げたように、たばこを吸っちゃいけないとか、用便にすら行っちゃいけないとか、用便に時間がかかったとか、そういうことを一々やるということが、一体あなたのおっしゃるような能率をあげるためのまともな方法なのかどうか、その点についてどうお考えになっているか、私はもう一ぺんお伺いしたいと思います。
  159. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 いわゆる監視的労働というようなものが、平常な場合に能率をあげるというものではないことは、先ほども申し上げたとおりであります。ただ、異常な状態の場合に、それを是正するというための措置、これはそれなりの効果があったわけでございます。
  160. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 島本さんからあとで質問がありますので、私は先へ急ぎますが、あなた方のやり方については、たいへん奇異なことを感ずるのですよ。  ではもう一つ申し上げましょう。日曜勤務は七時からですね。従来は速達の担当者だけがそれをしておったと思うのです。ところが、滞貨があるということで日曜に出勤をさしておる。これは二月八日だったと思いますが——その前もやっております。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 そこで七時から十二時まで、これは外に回るわけですよ。そして中では立ったままで仕事をしているわけです。食堂もないし、パンもないわけです。だからひとり者は朝——それは本人が悪いのだといえばそれまでかもわからぬです。だけれども、七時に来るのに、朝早く起きてきて、全員が、食堂もない、パンもないというところで、昼も、七時に来るのに、朝早く起きてきて、全員が、食堂もない、パンもないというところで、昼まで五時間作業させられるわけです。そういうやり方というのが、あなた方の言う思いやりのある、要するにそういう労務政策なんですか、労務管理なんですか、その辺、一体どうお考えですか。
  161. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 杉並の局に限らず、相当大きな局には食堂を設備していろいろ配意しておるわけでありますが、ただいまお示しのように、日曜の場合に食堂の運営がどうなっておったか、これは私詳細に承知いたしませんけれども、日曜日も食堂を運営するということが一番望ましいことだろうと存じます。ただ日曜日の場合には、出勤者が少ないということのために、あるいは食堂が日曜日だけ閉鎖されておったのかもしれません。その場合には、あらかじめ職員にそういう事情を懇示して、弁当なり何なり、あるいは外からの出前というようなことを配意するとか、そういうことで十分対策を講じておくべきであろうというふうに思います。
  162. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 食堂を開けとかパンを用意させろというところまで私は申しておるんじゃありません。杉並の郵便局がそういう事態の中で八日の日には——八日に限って九時から十五分間だけは食事時間を特別につくらざるを得なかったという事実があるのですよ。あなた方が考えるときに、そこまでの配意をしながら労務管理をおやりになっているのかどうかということを私は聞きたいわけです。七時から来るのだったら当然食べてくるだろうから、別に若い者だから、あるいはあなた方はそこまでの配慮はしなかったのかもしれません。だけれども、七時から十二時までの間、ともかくも食事時間もなければパンもないところで、五時間働きっぱなしで働かしておるのです。だからあなた方は八日の日には、十五分だけは食事時間をとったでしょう、とらざるを得なかったでしょう。それならなぜそれだけの配慮をやらぬかということです。当然じゃありませんか。あなた方がここにどんなりっぱなことをお書きになっていようと、その根底にあるものは、従うべし、よらしむべし、使うべしということでしょう。そういうものが背後にあるから、つまりちょっとしたささいな配慮だってあなた方にはないということなんです。そこから現実に労使関係というものは悪化してくるのです。浅見さんがどんなりっぱなことをお書きになっても私はりっぱだと思いません。どんなりっぱなことをかりにお書きになっても、根底にそういうわずかなことに対する配慮がなければ、一切労使関係というものは悪くなってくるということを私は申し上げたいのです。そういうものがあなた方に欠けておるのじゃありませんか。もう一ぺん、あなた方は労使関係について一体どうお考えになってやっているのか、簡単でいいからお聞かせいただきたいと思います。
  163. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいま御指摘の七時から十二時までの勤務のことに関してでございますが、私、詳細に現場の事情承知しておりませんけれども、七時から十二時まで勤務するとすれば、その間に休憩時間あるいは休息時間というものを設定してあるというふうに思うのでございます。具体的に何時から何時までということは個々の現場の作業との関係で現場の長が定めますが、七時から十二時までぶつ続けということでなしに、その間に休憩、休息が設定されておるというふうに推測するものでございます。一般的に労務管理、人事管理のあり方ということでございますが、これはもう申し上げるまでもなく、郵政事業の場合には大多数の職員の力によって運営されるものでございますから、職員が十分意欲をふるい起こして仕事に専念できるという配意から、先ほど問題になりましたような福利厚生の問題あるいは基本的な賃金、任用制度、保健施設、そういう面からいろいろ考えておるつもりでございます。
  164. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私は、誠意を持ってやってくださることを……
  165. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 委員長に発言を求めてから御発言を願います。
  166. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私は、誠意を持ってやってもらうことを希望いたしまして、もう一つ伺います。  あなた方がそれだけの配慮をしないのにかかわらず、賃金をカットするときには九秒カットするとかなんとかいうことをやっておるのです。いま私が何件か申し上げたけれども、そのことと、賃金をカットするということを比べてみてごらんなさい。第三者が考えたら、どれだけあなた方の労務政策が極端な政策をやっておるか、つまり働いておる人たちに対して極端な政策をやっておるかわかりますよ。
  167. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 人事局長
  168. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 答弁要りません。私、話を続けておるのに、なぜ中田さんを指名されるのですか。私はまだすわっていません。  中田さんに、そこでお伺いいたしますけれども、常時業務運行困難局については、十月定例物数調査の結果に基づいて適正に是正するということをあなた方は答えておりますね。その点どうなんですか。
  169. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 郵便局の職員の定員につきましては、常時現実にマッチするように配意しなければならぬわけでありますが、その基本資料として、郵政省としては十月に定例物数調査というものを行ないました。その資料を基本にして、またそのほかにいろいろな要素をかみ合わせまして、定員の調整、改善につとめておるところでございます。
  170. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それならば、十月の定例物数調査の結果に基づいて、杉並郵便局に対してあなた方はどういう措置をとろうとなさっておるのか。年が明けて、もうすぐに三月です。十月の結果が出て、そして、あなた方はそれに対する対策をすでにお持ちになっておられるはずだと思いますが、それをお聞かせいただきたいと思います。
  171. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 杉並局の要員関係につきましては、実情を勘案しながら、四十四年八月に内務の一般要員四名、集配関係一名、外務三名、同時に四十四年十一月に集配課分化に伴い、外務主事一名の増員、それから四十四年の二月に内務勤務時間の改正をいたしまして、四十五年三月に内務七名、外務四人の増員をいたしております。
  172. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 そうすると、つまり事集配に関する限りは合計何名になっているのでしょうか。それをひとつお伺いしたいのです。
  173. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 外務定員で二百五名でございます。
  174. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 だから、ふやしたのは結局最終的には集配で何名になりますか。
  175. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 四名の増加でございます。
  176. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 では、人事局長かいまのお方かどちらでもけっこうですけれども、いま杉並郵便局には臨時の作業の人たちが何人か入っておりますか、入っておりませんか。
  177. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 東京郵便局から杉並郵便局への対策部員の派遣のことかと存じますが、ただいま三、四名——二、三名派遣されていると思います。
  178. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 間違いないですか。つまり、きわめてあいまいな数字だけれども、私はがまんいたしますが、それで間違いないですか。
  179. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほどのお尋ねを聞き違えたかも存じません。私は、人事、人の事、人事部というふうに感じまして、東京郵政局から派遣されているというふうに聞き間違えたのですが、臨時というものについてでございますれば、私、臨時の職員が何名現在配置されておるか、詳細存じません。
  180. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 十月の運行困難局ということで、要するに調査の結果、いま四名ですか、七名ですか、増員になったという。しかし、現実には、杉並郵便局にいま臨時の主婦の人たちが約三十名おるじゃありませんか。郵便課では常時三十名の主婦の人たちを臨時に採用しておって、そして入れた数字は一けたですよ。そこで、あなた方は人不手足が現実にわかっておるにもかかわらず、そして、現実には臨時の人が三十名も来ておるにもかかわらず、ふやし方はそんなふやし方なんですよ。物の滞貨があるとかなんとか言うけれども、そういう点で、あなた方の不手ぎわはないと言えないでしょう。
  181. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 パートを使っておりますのは、滞留等がございますので、それを臨時の物増処理という意味で使っておるわけでございます。
  182. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 滞留があるからこそ人をふやさなければならないんじゃないですか。臨時でなくて、きちんとした人をふやすことが必要なんでしょう。あなた方は、きちんとそのことをしなければいけませんよ。ここにちゃんと書いてある。郵便局で局長がまいておるのですよ。「人手は不足しておりません」と書いてまいておるじゃありませんか、杉並の人たちに。現実に三十名の臨時の人を入れておって、なぜ、どこに人手が不足しておらないのです。
  183. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 要員の算定をいたします場合の基準は、標準作業能率というものがございまして、それから参りますと、杉並局の場合はその算出で可能だということでございまして、一時的に物数が多くなったり、あるいは一時的に能率が落ちまして物が多くなるという場合には、その滞留排送の措置のために臨時要員を必要とするというわけでございます。
  184. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 定員のことかもわかりません、あなたのおっしゃったのは。それならば、私も言い分があります。浅見局長は「上司を背中にして、下僚のほうに向いてものを言うことはほんとうの仕事にはならない。自分の部下を背にして、上司に向かってものを言うことがほんとうの仕事をする人の態度である。」こう言っているんだったら、定員が足らなかったのだったら、なぜそのことをきちんと本省に向かって言うことができないのですか。人事局長は、その点についてどうお考えになっています。
  185. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど郵務局次長が答弁したことと重複するかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。  ただいまの杉並局の制度的な定員としては、現在の定員で可能である。ただ現実に三十数名の臨時職員、アルバイトがおるじゃないかというお尋ねかとも思いますけれども、これは算出どおりの能率、平常他局並みの能率であれば使わなくても済むアルバイト、しかし現実にそれでは郵便物が滞留いたしますので、国民に対するサービスの観点から、臨時に人をつぎ込まざるを得ないという事情でありまして、これは職員の能率をさらに高めるための諸施策を講じなければならぬということで、ただいま東京郵政局等においては、具体的にそのような職員について仕事のやり方を手ほどきから始めて能率向上策を進めておるという段階でございます。
  186. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 つまり標準作業能率というのがあるわけですね。そのことをひとつお答えいただきたいと思います。
  187. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 郵便現場の定員を算定するに際しましては郵便物数、それからまた外勤の場合には配達区域の広さとかそれからまた郵便物数を配達する場合の個所数、いろいろな要素をかみ合わせまして措置いたすわけでありますが、一般的に標準の能率はこの程度だ、局内作業、局外作業また作業の種類ごとにそういうものがございまして、それを総合いたしまして定員を算定しておるわけでございます。
  188. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 そうすると、つまり集配に対する定員算出の基準というのはあるんだそうですけれども、具体的にはあなたのほうのことばの中からどういう基準によってということを私はお聞き願えなかったわけですけれども、そういう標準作業能率の目安となる、おそらくこれは私の間違いかもわかりませんが、唯一の資料というのは郵政省の定員算出のための算出基礎係数、通称若林方式というものがありますね。それによっていると思うのですけれども、その辺どうなんでしょう。
  189. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 基本的にはただいまお尋ねあったとおりでございますが、それにいろいろ、さらに各郵便局の地況とかその他の特殊性を加えまして、また現在の職員の仕事の状況を考えまして算定いたしておるわけでございます。
  190. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それではお伺いいたしますが、杉並郵便局の地域の特殊性というのはどんなものか、ちょっと教えていただきたいのですけれども。
  191. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 杉並郵便局の特殊性と申しますといろいろございますが、要するに東京都内におきましても住宅地域である。同じ戸数、同じ人口でありましても、都心部と住宅地域では違うわけでございます。そういう意味で、住宅地域というようなことが一つの特殊性でございます。それからまた面積、これはたとえば隣の練馬区とかそういうところと比べますると、面積はずっと少ない。家が立て込んでおりますために面積が少ないというような事情、それから最近では、住居表示の新しい制度がどの程度進んでおるかという問題もございます。これは東京都内全般的に進んでおりますが、杉並区内でも住居表示制度は進展してまいりまして、ただいまのところほぼ一〇〇%達したわけでありますが、ただこれはいろいろむずかしい問題がございまして、その過渡期には非常にむずかしい問題がありますので、そういう特殊性もございます。
  192. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 そうすると、その通称若林方式によるものに対してプラスになる、つまり一定基準量プラスアルファになるのか。つまりあなたのおっしゃるのには、メリットの面とデメリットの面とあると思うのです。そうするとそういう標準作業能率にプラスをする面が多いのか、マイナスをする面が多いのか、つまり労働量からいって過重になる面が多いのか、軽減される面が多いのか、そのことをちょっとお伺いしたいのです。
  193. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 私はただいま人事部局の担当で、そういった面しろうとでございますので、はなはだ申しわけございませんが、正確なお答えをいたしかねるわけでございます。
  194. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それじゃ郵務局次長がお見えになっているので、郵務局次長ならおわかりだと思うのですけれども……。
  195. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 いまの定員の関係から申し上げますと、住宅地でございまして、一年のうちに急激な戸数の増加、人口の増加がございませんので、ほぼ標準と考えてよろしいかと存じます。
  196. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 そうすると、ちょっと食い違いがありますね、人事局長と郵務局次長の答弁は。なかなか複雑な特殊事情もあるから、多くなるのか少なくなるのか、つまり過重になるのか軽減するのかわかりませんというふうに人事局長の答弁は受け取れたのですが、郵務局次長のほうは標準作業量と言うのですけれども、この辺はひとついま統一見解を出してほしいと思います。
  197. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 郵務局次長と私の答弁にもし食い違いがございますれば、私はしろうとでございますので、郵務局次長の答弁を御採用願いたいと思います。
  198. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それでは郵務局次長にお伺いいたします。  通称若林方式というものが一つの標準作業能率となっているのだったら、これによれば、区分の速度というのはおおむね一分間に二十通前後になる、こういわれておるのですけれども、これは一体どうなんでしょう。
  199. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 私の知る限りでは、四十通ないし五十通程度と承知しております。
  200. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 四十通ないし五十通、私も全くそういうことについてはしろうとでございますけれども、どうも杉並郵便局の標準作業能率は六十通ぐらいになっておるのではないかという気がいたします、いろいろ現場の人たちの話を聞きましたけれども。そうすると、標準作業能率よりも少なくとも十通は上になっていますね。その点は一体どうなんでしょう。
  201. 広瀬説明員(広瀬弘)

    ○広瀬説明員 職員の中には個人差もございますけれども、平均してその程度になっておるとは考えておりません。
  202. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 そうすると、個人差があるということは、四十通以下の場合もあり得るということでしょう。そうするとつまり、監視をして六十通に近づけておるというような作業というのは、やはりいわゆる監視労働ということになるのじゃないだろうか。つまり現場の働いておる人たちにより多くの過酷な労働をしいようとしているのが、いまの東京郵政局の態度ではないだろうか。そして、それを指導しているのが本省ではないだろうかという気がするわけですけれども、この点いかがでしょう。
  203. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来問題になっております標準作業能率というものは、これはもうあくまでも一つの基準でありまして、職員としては全力をあげて仕事に当たってもらいたい、できるだけ能率をあげて国民のサービスにつとめるということでございますが、ただいまお示しの点は、われわれのほうがいわゆる監視的な方法をとって、そして能率を高めるようにしておるんだということではございませんで、そういった基本的に能率を高める面は別の方法で行なうべきでございます。ただいま東京郵政局がとってまいった方法は、非常に例外的に低能率であるものを標準くらいまでに引き上げようという努力をしておるものでございます。
  204. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私はいままで何点か問題を申し上げましたが、配達の問題についても、区分けというのですか、そういう問題についても、能率をあげるために、全逓杉並支部のほうから提案をしているはずであります。こうすればより能率があがるだろう、特に荻窪局と杉並局とに分かれて、しかも荻窪局の中には荻窪一丁目、二丁目というような、配達をするにはまぎらわしい地名というものがある。それにどう対処したらいいだろうかということが、組合側から提案をされておる。提案をされているにもかかわらず、杉並局のほうの首脳部の人たちは、われわれの言うとおりにやれということで、組合提案をけっておることも私聞いております。事実、提案内容もここにあります。中田さんがおっしゃるように、労使関係に気を使っているんだったら、労務管理に気を使っているんだったら、なぜ提案に対してすなおに耳を傾けて、是は是とし、否は否としてとるべきものをとらなかったのだろうか。あなたのおっしゃるようにすべてうまくいっているというのは、私はそのままあなたのことばとしては受け取れないのであります。監視労働の問題、喫煙の問題、トイレに行く制限までしている、時間まではかっている。そして何か弁明しようとすると、それに対して賃金カットしている。どれを見ても、あなた方がおっしゃるようなノーマルな労使関係をつくるという配慮のもとに、働いておる人たちを指導していると私は思えないんですよ。事実だけを私は述べましたが、事実だけの中であなた方が御答弁に詰まることがあったり、お詰まりになったこともありました。実態というものをあなた方はそれほど把握をしていない。しかもその中で、単に局の首脳部の報告をそのままうのみにしているという事実がありはしないだろうか、そういうことを私は危惧するわけであります。そして一番根本になるのは、浅見東京郵政局長の態度にあると思うのですよ。それは先ほどから基本路線について田邊委員のほうからお話がありました。私がお話を申し上げた問題と、それから田邊委員お話しになった基本姿勢に対する質問というものに対して、ひとつ総合的に人事局長のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  205. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいまのお尋ねの中で、集配区の調整について組合からも意見が出ておる、そのことをなぜ率直に受け入れないかというお話その他いろいろございましたけれども、まずそのことについてお答えいたします。  集配区画の調整というような問題は局の管理者が全責任をもって措置すべき事柄でございますけれども、組合から提案があったというような場合にそれを聞くにやぶさかではございませんし、そういうふうにやっておるとわれわれ思っておるわけでございます。ただこういった問題についてまま紛争が生じますのは、組合のほうが提案する場合、案が受け入れられれば問題にならないわけでありますが、案が受け入れられない場合に、組合側とすれば組合無視ではないか、話し合いを尊重しないではないかというふうなことがトラブルのもとになることがままございます。しかし、これは最初に申しましたように、元来こういった管理運営事項——一定の定員、一定の勤務時間内において処理する施設の問題については管理者が全責任をもって当たるということでございますので、意見が合わないというような場合においては、管理当局の責任において行なってそのとおり実行してくれというのが組織運営上の原理であろうと思うのであります。そういった面につきまして事柄の本質というものをもう少し労使双方が話し合って、お互いの分野、領域というものを理解、尊重し合って相接し事を進めるというようなことが、労使関係安定の一つの要素であろうというふうに思うのでございます。そういった点について、先ほど来申し上げておりますように、現場で問題がありますれば郵政局において、なお話がうまくいかぬ場合には本省において、本部において行なうということで、労使関係のあり方という事柄を具体的事実を通じて処理し改善していくというふうにつとめつつありますし、今後もつとめたいというふうに思うのでございます。
  206. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 最後に一つだけ。これは同じ問題になりますけれども、全逓の地本の委員長が今後の問題として浅見東京郵政局長——これは双方の組織の責任だと思いますが、その人に会いに行ったときには、一民間人としてなら会うけれども組織の責任者としてなら会うことができないというような態度というものはとらないということを、ここで約束していただけますか。
  207. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来田邊委員のお尋ねにお答えしたように、ただいま十分処理し得る体制が整っておりますので、御懸念のようなことはないと思います。
  208. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 では、私の質問は終わります。
  209. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 島本虎三君。
  210. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 田邊委員山本委員から、いろいろ現在起こっている郵政省当局の労使間の問題についてのはっきりした質疑を通じて意見の開陳があったわけです。いままで黙って聞いておりましたが、聞いておりますうちに、ややわかるような気がしながらもはっきりわからない点がまた出てくるわけであります。私は、この問題はやはり原点に立ち返ってお互いによく考え合うのがいいのではないかと思うわけです。それで私自身も前からいろいろ経験がございますので、簡単なことなんですけれども、たとえば団体交渉を拒否するとか、人権侵害をしないとか、労働組合無視の態度はよろしくないとか、労働慣行の一方的剥奪の行動はよろしくないとか、そういうふうにわれわれは考えておるわけなのであります。しかし、そういうような態度についてのいろいろな質問があり、そこに意見の食い違いもまた出てくるのであります。そういうような点で再びまたそれぞれ疑問になってまいりましたので、簡単なことですからここで労働省のほうにまず聞いておきたいと思います。  団交拒否、人権侵害の監視労働、労働組合無視の態度、一方的な労働慣行の剥奪などの行動、こういうようなことについて労働省はどうお考えでございましょうか。これはまず労政局長のほうからお伺いしたいと思います。
  211. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 ただいまの先生の御質問で、ことばのとおりであれば、それは全部よろしくないということであります。
  212. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 では、これは郵政当局にちょっとお伺いしたいのですけれども、河本前郵政大臣のころに、昭和四十二年ではございませんでしたでしょうか、ちょっとど忘れいたしましたが、いろいろな件で人事権の乱用による支配、介入はしない、こういうようなことを主にした郵人管七五号の通達、それから不当労働行為は行なわないように処置する、こういうような言明があったわけでございます。それについて、当然労使間の紛争話し合い解決する、こういうようなことは私どもの前で再三言明したところでございます。そこで、今日までの労働政策を通じまして、いま私が申し上げましたような点——河本郵政大臣の言明でございますが、これについて郵政省当局はどのようにお考えでございましょうか。
  213. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 以前に通達を出した趣旨、前に大臣が言明された線に沿いまして、ただいまも労使関係の安定のために努力しておるところでございます。
  214. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 労働大臣はおりませんが、政務次官がおられます。いま労政局長が申しましたその件については、相違ございませんね。
  215. 大野政府委員(大野明)

    ○大野政府委員 労政局長が答弁したとおりでございます。
  216. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 いま局長が答弁されましたのは、郵政当局としてもそのとおりですね、小渕さん。
  217. 小渕政府委員(小渕恵三)

    ○小渕政府委員 そのとおりでございます。
  218. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 それを全部確認した上でないと困るのです。  それで、先ほど中田局長と田邊委員との間でいろいろの話がございました。その中で、現浅見東京郵政局長のいわば組合無視的な態度があるのではないか、こういうような言に対して、格別組合無視の態度ではない、交渉については話し合いのルールに従ってやっている、それから面会については問題の軽重によって出るのと出ないのがあるのである、本部と東京郵政局と意思疎通中である、大体こういうような、断片的であるがあなたの考えをここにまとめたような答弁があったわけであります。もしそのとおりだとすると、私は次のことをお伺いしなければならないと思うわけであります。  その前に中田さん、そのとおりでございますね。
  219. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 そのとおりでございます。
  220. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 中田人事局長は、人事局長になられた年月日はいつでございましたか。
  221. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 昨年の十一月二十何日かというように記憶しております。
  222. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 この二月三日に、やはりこの杉並郵便局の問題で、不当処分抗議全逓西部ブロック総決起集会というようなものが催される、こういうことになりました際に、やはり勤務時間を終了した組合員の集会でございまするけれども、その中で外へ押し出すとか押し出さないとかで何かトラブルがあったように承った。あったのかもしれません。しかしその際に、全逓本部と本省人事局長が中で話し合われたことがあったそうであります。その当事は人事局長というと中田さんですから、中田さん、この事情についてひとつ御報告願いたいと思います。
  223. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 二月三日は杉並郵便局のほうで集会、デモを企画しておったというような時点でございまして、東京郵政局のほうから、そういう不穏なというと語弊がありますけれども、そういったむずかしい問題に発展しないようにというようなことで、注意を喚起したというようなことが当時ございました。  そういうこともございましたし、また当時は郵政省と全逓本部の間では時間外労働協約の定めをいたしまして、元来その協約に従いまして各現場ごとに時間外労働協定、いわゆる三六協定というものを結ぶことになっておったわけであります。ところが杉並郵便局は三六協定を結んでいないという事態でございました。それに一月の末から杉並郵便局に再びいろいろトラブルがありまして、郵便物も相当たまっておったというような状態でございました。そこで当局側からは、中央労働協約に従って杉並局においても時間外労働協定を結ぶように指導してもらいたいというようなことを中央本部に申し入れ、それをめぐっていろいろ折衝が行なわれておったわけであります。そういう事情でございます。
  224. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 その結果、「一、二十六名の監視班は引き上げ、純然たる業務指導の数人にとどめる。二、浅見郵政局長に、地本委員長との会見をさせ、正常化の確認を行なう。三、組合側は本日の集会を指導し、事態を混乱しないように進める。」というようなことを確認して終わった、こういうようなことはございましたか。
  225. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 いろいろのやりとりはございましたけれども、結局二月三日の段階においては何らの合意に達しなかったということでございます。
  226. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 これは合意に達しなかったのですか、そういうことで努力するようなことでこれはお別れになったのですか。
  227. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 この二月三日の時点においては、いろいろの経過がありましたけれども結局合意に達せず、それがその後に持ち越された。引き続いて四日、五日、六日、ずっと継続して話し合いが持たれておったという事情でございます。
  228. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 その際あなたは浅見郵政局長に、地本委員長との会見で正常化の確認を行なうというようなことについて話し合って、そのための努力をすることをお誓いになったはずですが、そうしませんでしたか。
  229. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 そのようなことはございません。その経過において、組合側から郵政局長の出席とか、そういう話が出たかと思いますけれども、その当時としましては、われわれは、郵政局と地本が話し合うのは当然だけれども、だれが出るとか出ないとかは、中央でそういうことをやるのはおかしな話ではなかろうか、そういうことは郵政局の窓口でやるべきことであって、ここはそういうことをやる場ではなかろうということで、その時点あるいはその後の時点においても、大体いま申したようなことであったわけであります。
  230. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 先ほど田邊委員山本委員からの質疑で、どうも肝心の点になると自分の責任をおそれるのか、はっきりやっていながら言明を避けるという癖がございませんか。それならば、あなたが七時過ぎになってから、浅見局長は本省の指導に同意しないから、あすまで待ってほしいという連絡を地区本部にしておるのですが、ではこういう事実はございませんか。
  231. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 私から東京地本に対して連絡した事実はございません。
  232. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 これは確認しておきます。これはほんとうにいまあなたがおっしゃったとおりですね。それでなければ、私は次の質問に対して困るのです。確認できないままではできませんから、いま私が質問したのは全部うそである、これだけここではっきり言っておいてください。
  233. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 お尋ねの趣旨を取り違えておるとすれば申しわけございませんが、私から全逓の東京地本の関係者に連絡したことは全然ございません。
  234. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 あなたが直接やらなくても、あなたがやらしたようなこと、また、こういうことについてあなたが全逓本部と直接会われて話されたというようなことはなかったのですね。
  235. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、全逓本部の役員とはいろいろ話し合い折衝をいたしましたけれども、その内容、結果について、私あるいは私の部局の職員が東京地本に連絡したことはございません。
  236. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 じゃ、私が質問したことは全部架空なことであった、こういうように私は理解しておきます。  では二月の十日、いろいろとまた事態収拾のために事務次官と人事局長とがそれぞれ全逓とお会いになったことがございますか、ございませんか。
  237. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 全逓が事務次官と会ったという事実はございません。私は二月十日に全逓の役員と会っております。
  238. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 そのときに何かはっきりとここで確認されるか、また話し合いに同意されたことはございましたか。
  239. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 二月十日におきましてもいろいろやりとりがありましたけれども、最終的にこういうことで事を処理しようということになったわけであります。一つは、郵政省と全逓との間に時間外労働の中央協約がある現在、杉並郵便局においても時間外労働協定を早急に締結してもらいたい。これに対して、よろしいという全逓側の回答。それから第二項目としましては、全逓側のいう監視班については東京郵政局から派遣されておる対策部員の処理については、業務の運行状況に応じて措置する。この二つでございます。
  240. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 そうすると、滞留郵便物の処理について省側から組合に協力を求めることが問題解決の先決要件である、それから省側の誠意ある協力要請があれば組合側は直ちに時間外協定を締結する、そしてその段階で省側は監視班を早急に引き揚げる、杉並において紛争の問題点であったところの定員、局舎その他の問題については支部と協議し、その解決をはかる、東京郵政局は地本委員長と浅見郵政局長との交渉を設定し、正常化を確認する、以上のような項目についてそれぞれ話し合ったのではございませんでしたか。これは確認されたのではないのですか。
  241. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほどの答弁の中で一つ訂正申し上げたいと思います。  事務次官と全逓が会ったかということでございますが、私、もっぱら事務的なことというか事務室内のことを考えておりましたけれども、十日に大臣の招宴をホテルで行ないました。そのとき事務次官も出席しておりました。そういう意味で全逓の役員と会っておりますし、そのあと立話で若干話しておるということがございましたので、訂正申し上げます。  それから、ただいまの……
  242. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 じゃ、あなた、事務次官に会っていないというのは間違いなんですね。やっぱり会っていたんですね。
  243. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいま、先ほどの答弁を訂正申し上げたとおりでございます。  それから、ただいまお示しの項目についていろいろとやりとりがあったわけでございますが、最終的に確認したことは先ほど申した二点でございます。いろいろやりとりがあったことは、そのほかにもいろいろやりとりがあったと思いますが、最終的にはっきりと相互確認したことは二点でございます。
  244. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 いろいろありますけれども、じゃ私のほうの手元にあるのは全部あなたのほうに一つずつ聞いて確認しないと、またこれも落ちているんじゃないかといって次から次と出てくる、こういうようなことであります。  また私の言い間違いかもしれませんが、これは全面的にあなたは否定されましたが、二月三日にあなたは連絡は中央本部あてにもしていないということだったですが、ほんとうにしていませんね。これはもう一回確認しておかないとあぶない。
  245. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 二月三日には全逓本部といろいろ話し合いましたので、中央本部とはいろいろ話し合ったわけでありますが、東京地方本部へは何ら連絡しておりません。
  246. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 中央本部のことですよ。あなたは何と聞いたのですか。中央本部のことを言っている。こういうふうにして中央本部と会って、そこであなたもいろいろ誠意ある態度を示すことを要請して、その中で、浅見郵政局長と地本の委員長との会見、ここで正常化の確認を行なわせる、こういうことをはっきり言っているじゃないですか。それも言ってないのですか。
  247. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 いろいろ組合から要望が出たことは事実でありますが、そういったことについて、こちらとして確認するというふうなことでなしに、正規なものとして、先ほどあげました二点についてはっきりさせたということでございます。
  248. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 どうも、こういうふうにしていると、さすがに私も——そういうことばの行き違いや何かで決しておこりませんけれども、あなたがこの場をのがれるためにうそ偽りを通すと、今度はこの問題、このままでは済みませんよ。もうはっきり、ここで九九%までつかれても、あとの一%が残っていると、あなたはそれを否定するような性格じゃありませんか。そういうような考えじゃだめだよ。  じゃ、私のほうでちょっと具体的に聞きますけれども、杉並局のいろいろな業態の中で、腕章を着用していることが一つの問題になって、腕章をはずせ、はずさない、こういうようなことで組み伏せられたり、また、これによっていろいろな紛争が起きているようであります。この腕章を職場でつけるということは、不当労働行為になるのですか。これは労働省のほうからちょっと聞いておきたい。
  249. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 お尋ねは不当労働行為かということでございますが……。
  250. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 いや、不当労働行為じゃない。違反になるか。
  251. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 まず、実体的な問題としましては、勤務時間中に職場で腕章をつけないほうが望ましいと思います。正常な状態であると思います。  ただ、お尋ねの場合が法律的に違法なのか合法なのかという法律判断ということになりますと問題は別だと思うのでございますが、法律解釈をお尋ねでございましたら……。
  252. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 そのまま答弁してください。
  253. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 法律解釈の面から申しますと、腕章、リボン、はち巻き、それからワッペンといったようなものにつきまして、ほかの職場におきましても、合法か違法かというような問題がいままで起こってきております。結局、法律問題でございますので、裁判所において判断されるということになるわけでございますが、いままでの判例といたしましては、違法になる場合もあるし、違法でない場合もある、一言で申しますと、そういう解釈でございます。  国家公務員につきましては、公務員法に国家公務員についての服務の章がございまして、そこにいろいろな規定があるわけでございますが、最近、最高裁判所の事務総長から通達がなされまして、最高裁判所の職員労働関係についての主張を貫徹する一つの手段としてリボンをつけるということについては、これは国家公務員法の違反である、違法であるという通達が出されております。  最高裁の判決は、この問題につきましてまだ出ておりません。地裁、高裁の段階でありますが、それは、そのような、ものによっては違法になる、違法にならぬものもある。国家公務員法の解釈についての最高裁事務総長の通達は、違法である、こういうことでございます。
  254. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 いま言ったのは、ちょっと労政局長、私は裁判所の問題を聞いているんじゃないのです。国家公務員ですから、国家公務員やその他の職場にもある。裁判所だけの問題に対して、あなたはいまこれに対してのお答えがあったようですが、それじゃないのです。一般的に、腕章をつけることが不当なる行為なのか、このことを問いているのです。
  255. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 それで、ただいま申し上げましたのは、私どもは労組法についての責任があるわけでございますが、労組法上の問題、つまり民間の問題といたしましては、違法になる場合もあるし、違法でない場合もあるという判決が従来出ておる。それから、国家公務員法につきましては、私ども所管でございませんけれども、そういう通達等の例があるということを御参考に申し上げたわけでございます。
  256. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 裁判所の問題について、そこに働いておる人についてのいろいろな裁判官が協議されたそういうようなことについてのやつはいま発表ありましたし、そういうようなことはここに関係ないのです。それは裁判所内の問題です。その他についてはいいものもある、悪いものもある。この点についてはきわめて不明確である。そうすると、中田さん、郵政省当局の中では、腕章をつけることが業務の阻害になって、その人の手をねじ伏せてまでもとらなければならないような重大な業務阻害行為ですか。
  257. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 手をねじ伏せてまでというお尋ねでありますが、その点はおきまして、腕章と業務阻害の関係でございますが、これは一般的にはやはり職場規律の上からいって、そういうことはいけないということでやっておりますが、特に公衆と接する場面、公衆室、窓口あるいは郵便配達途上におきまして公衆と接する場面においては、そういう腕章は特に好ましくないという上に立って措置を進めておるところでございます。
  258. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 これは重大です。公衆に接する場合だけはこれは望ましくないと言うが、中に働いている人がつけているために、郵便課長にねじ伏せられて、みんなの前でとられたというのが杉並にあったじゃありませんか。これは一体郵便課の中は、公衆が中まで入っていくようになっているのですか。こういうようなことに対してはまことに不可解なんです。それならば、白い腕章を巻いてうしろに立っているあの腕章はどうなんですか。組合員の腕章が悪くて、また、いわばここにはっきりした組合の表示をするところの腕章が悪くて、そのうしろのほうに立って監視をする白い腕章はよいのだ、この法的な解釈を示してください。
  259. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 先ほども最初に申し上げましたとおり、一般的に、腕章ということは職場規律の上からいけないということであります。局内、局外、公衆に接するところ、接しないところを問わないわけでありますが、特に直接公衆と接するところではそういったことはいけないということでございます。  お尋ねの杉並の事件の場合は、これは窓口事務室、公衆に接する場面においてのことなのでございました。
  260. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 これは腕章をやることが業務阻害である、こういうような具体的な一つの例を示してもらいたいと思います。腕章をつけるのがどのようにして業務を阻害するのですか。そして、ねじ伏せてまでもその腕章を取り上げなければ業務が円満に運行しないのですか。どうも私はわからない。
  261. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 杉並の場合に、ねじ伏せてまでというふうには私ども報告を受けておりません。  それから、業務阻害の関係でありますが、要するに、勤務時間中は、職員は職務に専念する義務があるわけでございます。職員が勤務時間中、管理者の指示に従わずに、指示を排して腕章を巻くというようなことは、これはやはり勤務時間中に労働運動を継続して行なうということになりますし、それから、国民の側から見ますれば、そういうことによって一種の感じを持つ。郵便局何をやっているんだろう、腕章を巻いて何しているんだろうか、こういうことでいろいろ国民のほうから誤解を招きかねないというようなことから、腕章は好ましくない、いけないということで取りはずしを指示しているところでございます。
  262. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 そういうふうにして組合員であることを表現したい、表現の自由はかってじゃありませんか。郵便局につとめる場合には、着てくる服までも、赤い服はだめだ、青い色の服でないとだめだ、白い服もよろしい、服の色にまで干渉なさいますか。おそらく、ここに巻く腕章は、白い腕章はよろしい、組合の腕章はだめだ、こういうようなことは、本人が巻いて一生懸命に働いているならば、それは本人の自由じゃないですか。それまでもあなたのほうでは、一切だめだ、こういうふうにして示達をしながらこれを禁じているのですか。
  263. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 職場において、勤務時間中においては管理者の指示に従って仕事をしてもらわなくちゃなりませんし、その場合の服装についても、場合によっては、いろいろ対外的に、公衆との関係において、公衆から見てあまりに不快感を呼ぶような服装であれば、これを正すこともございます。
  264. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 そういうようなことだったら、私はまことに不可解です。それでは、管理者が変な服装をしているのもそこの職員の人は何も言うことはできないのですか。管理者だけが職員の服装だとかそういうような腕章についてものを言えるのですか。こういうようなことを郵政省当局はちゃんと指示しているのですか。そういうようなことだとすれば重大な問題です。それと同時に、そういうふうにして一生懸命働いている、ただ腕章をつけている、それを課長が、人の前でわざわざねじ伏せてまでもとって、そしてこれを見せて歩いておる。こういうようなことをしなければ、業務は円満に運行しないのですか。こういうようなことがはっきり二月十六日八時五十分から九時十五分までの間に杉並郵便局の中にあるのです。事はこれ一つじゃないのです。たくさんあるのです。枚挙にいとまがないのだ。こういうようなことまでするひまな管理者がたくさんいるのに、なぜそういうような人に郵便の区分でもさせないのですか。腕章をつけることが、そして一生懸命働くことがなぜ悪いのですか。判例さえもまだはっきりいいとも悪いともついていないのです。裁判所に働いているそういうような人にだけ、いま前例としてあるということを言っているのです。そのほかに、民間と官公庁とを問わず、はっきりした判例さえまだないという。それなのに、郵政省では、もう腕章を巻いちゃだめなんだ、これは業務を阻害するんだ、一切課長の言うとおりにしなければならないんだ、自分の表現の自由さえもそこで踏みにじられるのですか。杉並の局では、こういうようなことをあなたのほうではっきり許してやっているのですか。これはとんでもないことだと私は思う。そういうような枝葉末節のことで感情的な点で完全に断絶してしまう。そういうようなことがトラブルの起きるもとじゃありませんか。私はどうもこういうような点では聞けば聞くほど腹が立ってくる。もう一回答弁してください。
  265. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 表現の自由というような立場からお尋ねがございましたけれども、われわれも表現の自由をとやかく言うものではございません。ただし、勤務時間中、職場においては職場の規律というものを守ってもらわなければいかぬわけであります。そういった事柄について、一生懸命仕事をやっているんだからいいじゃないかというふうに仰せでありますけれども、なぜ管理者の指示に従って仕事をしてくれては困るのか。なぜはずしては困るのか。表現の自由は、勤務時間外別個に堂々とおやりになればよろしいことであります。時間内に職場において、われわれはこう思うのだからということでなにされたのでは、これはなかなか職場の規律というものはうまくいかぬと思うのでございます。
  266. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 郵政省では、組合の役職にあるものが組合の腕章をつけるのに、勤務時間中ではだめだ、こういうふうにはっきり考えているのですね。それだけはっきり伺っておきたい。
  267. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 職場内、勤務時間中におきましては、組合の役員とか組合員ということで差別ございませんで、団体交渉とか話し合いの場合には、これはもちろん幹部としてなにするわけでありますが、勤務時間中職場においては、これは役員の表示も格別職場上は必要ないわけでございます。
  268. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 もう一回。だれが必要ないのですか。
  269. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 勤務時間中職場内においては職場の規律に従って職員は行動しなければならぬという立場から、たとえ役員であっても、勤務時間中は管理者の指示に従ってもらわなければ困るわけでありますから、役員なるがゆえに腕章を巻いていてよろしいという理屈はなかろうと思うのでございます。
  270. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 役員なるがゆえに、正当なる局の仕事をしている、それでも腕章をつけるとだめだ。それじゃあなたのほうでは、組合員等に対して、業務に差しつかえないのにそれをはずせ、こういうような権利があるのですか。
  271. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 たび重なってはなはだ恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、職場内において勤務時間中は管理者の指示に従って行動してもらわなければぐあいが悪いということを重ねて申し上げたいと思います。
  272. 藤田(高)委員(藤田高敏)

    ○藤田(高)委員 関連して。私、いま局長の答弁を聞いておってたいへん不可解に思うわけですが、勤務中腕章を巻いたりあるいはリボンをつけたりワッペンをつけたりするそういう表現の自由というものは、正当な組合運動のワク内には入らない、こういう意味ですか。
  273. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 お説のとおりでございます。
  274. 藤田(高)委員(藤田高敏)

    ○藤田(高)委員 たいへんこれは暴論に近い見解だと私は思います。そういう正当な組合運動の一つのワクぎめをするような重大な発言があったわけですが、そういう根拠は、労働三法のたてまえから、あるいはそれに関連する労働法規のたてまえからいって、いかなる法律の何条に基づいてそういう見解をおとりであるか。そうして、われわれの知る限りにおいては、いわばそういう判例なんというものは、裁判所においても出ていないと思うわけですけれども、そういう判例がもしあるとすればそのこともあわせてお教えいただきたい。
  275. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 一々条項は記憶しておりませんが、国家公務員法に職員の職務専念義務というものがございます。勤務時間中は職務に専念しなければならぬ、そこからわれわれは先ほど来の問題が出てくるというふうに思っております。  判例等については私一々承知しておりません。
  276. 藤田(高)委員(藤田高敏)

    ○藤田(高)委員 労働省の労政局長にお尋ねしますが、公務員であろうと民間であろうと、正当な組合運動の限界というものについては原則的に区別はないと私は思うのです。いまの局長の見解に対する労政局長の見解をひとつ聞きたい。それと、島本議員のほうから再三にわたってお尋ねをしておりますけれども、ここで腕章をつけたりリボンをつけることと、いま言われた公務であろうと民間の作業であろうと、職務に専念しておるかどうかというのは何によってはかるのですか。たとえば、民間の場合だったら、一時間当たりにこういった湯飲みだったら湯飲みを十個つくるという場合、正常な職務に専念しておる作業量として、一時間に十個つくる。腕章を巻いたからといったって、場合によったら十一個つくる場合がありますよ。その場合、腕章を巻いておるということで業務を阻害したとかあるいは職務に専念していないというようなことで、腕章を巻いておっただけで、リボンをつけておっただけで、そういう業務阻害の行為として、いわば実力行使というか強制的手段をもってリボンを取りのけたり腕章をのけたりすることが許されますか。これは明らかに当局の不当労働行為だと思いますが、どうですか。
  277. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 まず、一般的に申しますと、いわゆる労働権というものはよく三権と申します。団結権、団体交渉権、争議権あるいは団体行動権というようなことで区分けされておりますが、これにつきまして、全部違いがないかと申しますと、たとえば国家公務員、地方公務員といったような公共性のきわめて強いものにつきまして、あるいは公共企業体等につきましては争議権が否定されておるというようなことがございまして、それぞれ業務の態様、その職務の性質によりまして違いがあるわけでございます。ただ、おっしゃいましたような、そういう大ワクの中におきまして、個々具体的な、またいろいろな組合の権利があるわけでございまして、ものによっては民間も国家公務員も公共企業体も同じであるという面がございますし、いま申し上げたような争議権について言えば、明らかに違いがあるというようなものもございます。  それから、先ほど御質問がございました腕章着用でございますが、これは先ほど申し上げたのは民間の例でございますが、国家公務員につきましてただいま問題になっております郵政関係は、国家公務員法がその服務の部分につきましては適用になっているわけです。そういう意味におきまして、国家公務員法のその部分をどう解釈するかということが問題になるわけでございます。
  278. 藤田(高)委員(藤田高敏)

    ○藤田(高)委員 人事局長、どうですか。
  279. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 ただいま労政局長が答弁いたしましたけれども、国家公務員法の関係につきましては、私ども先ほど来答弁申し上げているように解釈し、運用しておるところでございます。
  280. 藤田(高)委員(藤田高敏)

    ○藤田(高)委員 私は関連質問ですからこれで終わりますけれども、私の質問したことは本委員会では保留をして、後日の委員会で私は見解をただしたいと思いますが、確認をしておきます。  腕章やリボンをつけた組合員だけでなくて、組合の役員といえどもリボンや腕章をつけて勤務に従事することが、正当な組合活動のワク内には入らないという見解を表明されたことについては間違いないかどうかということをひとつ確認をしておきます。  それと、いま労働省の労政局長のほうから答弁がありましたが、これはこちらの郵政局の人事局長の双方にお尋ねしておきますが、国家公務員に争議権を認めていないという点については、これは悪法といえども法律としてあることについては知っています。しかし、争議行為とは何かといえば、これは正常な業務を阻害することを争議行為といっておるわけですね。これは法律上明確なんです。法律によって争議行為とは何かということを労調法によっても規定しています。それによれば、正常な業務を阻害することを争議行為というわけですね。ですから、国家公務員の場合争議権を否認されておりますけれども、リボンや腕章をつけることは争議権の範疇には入らないでしょう。争議権の範疇には入らない。さすれば法律で禁止されている以外のことであれば、当然この程度の表現の自由、組合活動の自由というものは許されてしかるべきでないか、こういうふうに思うわけですが、その点についての法的見解をひとつ明確にしておいてもらいたい。その答弁を受けた上で、後日の審議にまで私の意見として留保しておきたいと思います。以上です。
  281. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 おっしゃいますように、争議行為に該当するかどうかということと、それから、この郵政省の場合は、国家公務員法の百何条でしたか、服務に関する規律に違反するかどうかということは必ずしも同じではございません。  それから、腕章着用その他が争議行為になるかどうかということにつきましては、その四囲の状況あるいはどういう種類のどんな大きさのどういう内容のものであるかによりまして違ってまいりますが、これは裁判所の判例におきましてもそういう解釈をしております。ただ、おっしゃいましたように、争議行為になるかどうかという観点と、それから服務規律違反になるかどうかという観点、これは必ずしも同じでないということが言えると思います。
  282. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 お尋ねの第一点については間違いございません。  それから、第二の点につきましては、われわれ必ずしも腕章を巻くことが争議行為というふうに考えておるわけではございません。争議行為ではないけれども云々ということでございます。
  283. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 云々とは何ですか。笑いごとではないよ。そういうようなことは直接管理者が出ていってもぎ取らなければならないような緊迫した情勢にしてあるのです。それが問題なんです。なぜ組合のほうと話して、これは望ましくないから、正常化させるために話し合おうじゃないか、こういうふうなことをしないのですか。正常化に対しても今後話し合いましょう、こういうふうなことを——こういうふうな要請を、組合からも、今度は東京地本からも全然受けておりませんですか。受けておってもこれをやらないでおいて、今度も腕章を巻いたからといって、ねじ伏せてまでも腕章を取る。こういう課長がいるのです。一回や二回ではないようです。こういうふうなことがほんとうに望ましくない、そういうふうに思うならば、なぜ組合のほうと正規のルートで話して、そういうふうなことをしないようにしてもらえないか。一つのテーブルに着かないのですか。着かないでいて、あれは望ましくない、これはこうすべきじゃない、べからずばかり言っているのです。そういうのは古い官僚の風習ですよ。そういうのはすでに前世紀的な考え方です。こういうふうなことで労働組合運動を指導しよう、規制しよう、こういうふうな考え方ではもう古いです。私どもは、そういうふうな点で、先ほどからいろいろと条件を聞いていたのはその点なんです。私は、こういうふうなことは、組合からも申し出なければ全然こんなことを問題にしないのです。そういうふうな場合には確かにこれはヤマネコかもしれない。そういうふうなことを望ましくないからといって、組合のほうから再三申し出ているではありませんか。その一つは、従来東京郵政局と全逓の東京地方本部との間では曽山局長、竹下局長、上原局長、石川局長、中田局長——中田局長はいまの人事局長のあなたでしょう。あなたの時代にも、それぞれ労使の積極的な話し合い、それから意思の疎通を大事にするように、いたずらに紛争の生じないように、こういうような話し合い、そしてそれを通じて問題の解決をはかるように、こういうようなことを両者で確認して実行してきているじゃありませんか。あなたの時代までやってきているじゃありませんか。いまの浅見さんの時代になって、今度はそれを全然やらない。それどころか、今度は話し合いを全然拒否するような態度に出てきておる、こういうようなことじゃありませんか。こういうようなことだから、いろいろと問題を惹起するのです。これは一体どういうことなんですか。全逓東京地本と話し合い、確認し、実行してきた、いたずらに紛争の生じないように、労使積極的に話し合い、意思の疎通を大事にするという方針、これを今後継続することはどうか、こういうようなことに対して聞いておるのです。それに対してどういう答えが出ていますか。必要な話し合いは東京郵政局で判断するということじゃありませんか。こういうような大事なやつを話し合いによってきめましょうと言ったら、必要な判断は東京郵政局でする、具体的な問題は進んで提起してくれと言ったのはあなたのほうでしょう。具体的な問題をルールに乗せて、それを検討しますと地方本部に答えておるのは本省でしょう。だから、具体的にこの話し合いをしましょう、そしてこの中間段階で、東京地本のほうから申し出ると、それは当方で判断する、こういうような回答が出ておるじゃありませんか。こういうようなことをして、腕章を巻けば悪いとか、業務を阻害するものである、こういうような判断をして、一方的にねじ伏せてまでとっておる。話し合いのパイプが詰まっておるわけですよ。そうして、こういうような達九号の計画でも、郵政局支部組合員であっても、本来労使間で解決する労働慣行の是正のために、これを一方的にやられるのは悪いから、労使間で話し合う意思があるかどうか、こういうようなことに対して何と言っておりますか。郵政局の現場への派遣をとりやめるべきではない、はっきりと言っているんです。それでもまた話し合い一そうする前提に立って、今後そうしなくてもいいから話し合いましょうと組合が言っているのを拒否している。これが東京郵政局じゃありませんか。これは、いままで言ったように、民主的にちゃんとやられて、具体的にこれを提起するならばそれに応じましょう、こういうようなことを言うことと全然違うじゃありませんか。こういうようなことが一番問題だと思うのです。せっかく提案しているのですから、提案されたことによってこういうような問題についての話し合いの結論を出しましょうと言ったならば、なぜ和気あいあい裏に、一つのテーブルにつくように指導しないのですか。一体、これをどういうふうにしますか。これを一つだけはっきり聞かせておいてください。
  284. 中田政府委員(中田正一)

    ○中田政府委員 話し合いにつきましては、従来とも進めておるつもりでございますが、ただいまお示しのような点につきましては、さらにこれを強めまして、労使関係の安定につとめる、よってもって国民に対するサービスを完全に進めるという方向へ持っていきたいというふうに思います。
  285. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 これは、先ほど私が聞いたときに、はっきり原則としてそういうようなのは正しいと言っているのです。原則として確認しながら、具体的な問題になると全然やっておらぬ。その場のがれをしておれば、あなたは、この次には次官になる、こういうような考え方で皆さんやっておるかもしれない。しかしながら、こういうのはまことに悲しむべきことなんです。私は、こういう悲しいことは——去年の十一月二十五日に浅見局長が東京郵政局長に転任することになったのです。そして二十五日の十三時ごろに飛行機に乗るためにいよいよ札幌郵政局を出たのです。私も見送りに行こうと思って、その前に行ったら、行けない状態だったのです。どういう状態だと思いますか。全道労協の組合員数百人が表に来ているのです。そして、早く出ていけ、早く北海道を出ろ、こういうようなことです。おそらく北海道でもこういうようなことをやってきているのです。そういうようなことのために、再びこういうようなことを北海で繰り返してもらいたくない、おまえなんか早く行け、こういうような怒号ですよ、そして管理者側に囲まれた人がきの中でようやく車に乗ってあとは疾風のように行ってしまったのです。それが東京に来て、今度またこういう状態じゃありませんか。まさに悲しむべきです。たった一つの問題が欠けているからです。組合と話し合わないことですよ。これは話し合えば解決することです。なぜ話し合わないで、こういうトラブルばかり起こしているのです。これは重大な問題です。ことに、これは政務次官にもこの問題については聞いておきたい。これは指揮命令関係がき然として行なわれなければならない、こういうようなことです。  その中で、特に私はこういうような点が、年頭のあいさつの中で郵政局長が行なったということが、これは一月十二日付の号外第一号でもって出されている。これを見たのです。その中には、「事なかれ主義の場合には、本省から何か通達が来る、焼きなおして現場に流せばそれで一応中間管理機関の任務が済んだかにみえる。「それならば中間管理機関なんかいらないじゃないか」こういうことになってまいります。あるいは先ほど申しましたラインごとの硬直した姿がさらに本省と直結しました場合には、何々係長は同じ名前の本省の何々係長と直結した姿においてその所掌事項の運行が図られてしまう。もしラインごとに本省と直結してすべてが行なわれるとすれば郵政局長などはいらないのであります。」「同時に、現業第一主義ということは、先ほどいったように通達の焼きなおしに象徴されるような本省を背中にしょって現場に対してものをいうのではなしに、まわれ右をして現場の声を背中にうけて本省にもの申す態度でなければならないということであります。わたくしは、地方局長会議に行きますと本省にとって痛いことばかり申します。それで通る。なぜ通るか、現場の声を背にしょってものをいうから強いのであります。そういうふうにわたくしはまわれ右を求めるのであります。」「まず第一にお願いしたいことは、わたくしの方を向いて仕事をしてもらいたいということであります。本省の係長の方を向いて仕事をしてもらったんじゃ困るということであります。そうしませんとわたくしは関東地方三千数百万のお客さまに対して郵政事業に関して責任を持つわけにはいかない、責任を果たすことができないということであります。」これはそのとおり読んだのです。本省の言うことを聞かないで、そして本省に文句を言うこと、これがすなわち中間管理者の責務なんだ、やり方なんだ、こういうようなことをはっきり言っておるのです。なかなかこれはわからない。なぜ郵政本省と全逓中央本部と話し合いをしても下のほうへ通っていかないか、こういうふうに思って、いままで疑問でありました。しかしながら、こういうような考え方が年頭の決意として出されてあるのです。中間管理者である以上、郵政局の職員は全部私のほうを向きなさい、私は本省に対して文句を言うのだ、こういうような態度じゃありませんか。上から下まで一本になって指揮命令系統が確立されている、き然としている、こういうようなことでなければなりません。しかしながら、そうじゃない。じゃ具体的にどっちのほうに向いてやっているか、これなんです。おそらく現場の局長クラスだけじゃありませんか。局長、また職員と申しますか従業員との間に断絶がある。こういうような状態の中で、このような中間管理者のやり方を許すということになりますと、当然指揮命令系統が今後うまくいかない、おそらくこういうようなことになってしまうおそれがあると思うのです。次官、この決意のほどはこれでいいものでしょうかどうか。これをはっきり承っておきたいのです。
  286. 小渕政府委員(小渕恵三)

    ○小渕政府委員 ただいま島本先生の名節回しをお聞きいたしましたけれども、私はいまの決意はまさに郵政局長としての決意を披瀝したものであろうというふうに感じております。字句ないし表現におきまして、若干その決意のほどの表現があふれ過ぎた点は感じまするけれども、一応局長としてはそうした決意で臨みたいということであろうと思います。と同時に、指揮命令系統に反逆するというような立場で述べられたものでないと私は理解をいたしております。
  287. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 時間になってしまってほんとうに申しわけないのでありますけれども、私の意は尽くせません。言わんとすることは、きょうは全部通じません。むしろ、このままでいったならば、今後ますますこういうような風潮が、皆さんの指導が悪いほうに実ることをおそれます。もう早く話し合いをつけて、はっきり交渉に乗せるものは交渉に乗せて、こういう問題に対してははっきりと解決をしてもらいたい。これが私の念願なんです。口先ばかりの答弁をしてこの場をのがれれはいい、こういうことでおそらくは答弁したのかもしれません。そういうようなことはもう通らないのです。へたでもいい、ちょっとぐらいごろを間違えたっていい。誠意があふれて、われわれを納得させることがなぜできないのですか。こういうようなことがすべていまのガンになっているじゃありませんか。早くパイプを通して、そして話し合いをうけるように、心から私は望んでおります。  これで郵政関係のほうは終わって、最後に、約二、三分だけ労働省のほうに対して、最近問題になっている点について確認だけしておきたい、こういうように思うわけでありますけれども、安定局長おりますか。——失対はいろいろ問題も多いようでありますけれども、これは今後十分審議することにして、いま差し迫った問題では、石炭手当について早く制度化せいということをいままでに再三要請してまいりました。しかしながら、加算金というようなことによって、まだ制度化はされておりません。しかし、これをよく見ますと、われわれ非常勤の特別職のいわば公務員になっておるけれども、同時に失対労務者であっても、あれは特別職の非常勤の地方公務員という身分があるはずです。そういうふうになりますと、一般公務員にいま石炭手当、寒冷地給、こういうのが出ているのですから、そういう点を十分考えて早く制限化してやる、こういうことがいままでの念願だったと思うのです。いま北海道、東北、北陸はいままでにないような大雪だそうです。それにしても、こういうような寒冷地手当といいますか石炭手当、この制度化は一日も早くしなければならないのです。これは、努力いたしますと言ってから十年たっております。これはいまだに実っておりません。これに対してどういうことになっておりますか、ひとつ経過を聞かしてもらいたいと思います。
  288. 住政府委員(住榮作)

    ○住政府委員 失対事業の賃金につきまして、御指摘のように、積雪寒冷地におきましては、冬季一定期間賃金の加算をやっております。これを分離して制度化したらどうだ、こういう御指摘でございますが、現在の緊急失業対策法にございます賃金決定の原則からいってもいろいろ問題があるわけでございますし、いま先生御指摘の失対労務者が特別職の公務員ではないか、こういうお話でございましたけれども、失対労務者は御承知のように日々雇用される、こういうたてまえになっておる。あらかじめ予定された雇用というものを前提とする石炭手当というような趣旨から見てもいろいろ問題があるわけでございます。従来から研究いたしておりますけれども、現在のところまだ結論が出てない状態でございます。
  289. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 それはまことに残念であります。きのうきょう、いまだに北海道、東北方面は大ふぶきだそうであります。こちらは天気がいいけれども、向こうはふぶきである。積雪また多量である。こういうようなことであります。それにつけても、いろいろ問題があったにしろ、就労しておる人たちに、こういうような実態に即して十分手当てしてやらなければならないと思います。そうして北海道、東北、北陸、こういうような実態を見る場合には、やはり制度化は将来必ずしてもらいたいし、将来の問題としても、来年の賃金をきめる、こういうような段階にもうきているのじゃないか、こう思われますから、従来の、賃金をきめるにあたってやってきたような配慮、こういうような配慮も十分考えて今後はこれに対処してほしい。このことだけは強くお願いしておきたいのですが、まあ配慮するということですよ。きょうは全部拒否していますが、安定局長、これも拒否しますか。
  290. 住政府委員(住榮作)

    ○住政府委員 冬季加算制度は、北海道、東北、北陸のような積雪寒冷地における就労者の生活の実態を考慮いたしまして、賃金の積み上げという方式でやってきておるわけでございます。明年度の賃金をどうするかということにつきましては、御承知のように失対事業の賃金審議会がございまして、現在いろいろ検討を願っておるところでございますが、私どものほうといたしましても、そういった生活の実態というものを考慮いたしまして、冬季加算についてせっかく御検討いただいている最中でございますので、お含みおきいただきたいと思います。
  291. 島本委員(島本虎三)

    ○島本委員 まあ、これで終わらせてもらう次第になりました。私は、きょうはすべて拒否されるような段階になってしまったわけであります。失対のほうの冬季加給だけは、これから検討するということですから、一るの望みだけはその辺にあるようでございます。しかし、この不当労働行為に関係したり、またいろいろと皆さんのほうでいままで答弁があった郵政局の問題に関しては、私は全部不満であります。しかし、これは労使関係がうまくいかないところにおいては今後業務の円満なる運行は期し得ない、こういうように私は思っているのです。せっかくここに、われわれの期待できるような両政務次官がいるわけです。いままでのいろいろないきさつも聞いておられるとおりです。これをひとつ皆さんの実力と若さにものをいわせて、ここでいままでの悪弊を断ち切って、そして、ほんとうに日の当たるような、そしてまた、パイプがよく通るような、こういう制度をひとつここにつくり上げてやってほしい。制度はできているのですから、これに両方あわしてやってほしい。また、そういうふうにして意思が通ずるようにしてやってほしい。これだけは二人のこの優秀なる政務次官に私は最後に心からお願いする次第であります。お二人から一言ずつその決意を表明していただきたいと思います。
  292. 大野政府委員(大野明)

    ○大野政府委員 ただいま島本先生からの御趣旨の問題でありまするが、すでに経過等については住安定局長お話ししたとおりでありまして、労働省といたしまして、前向きの姿勢で一日も早く御要望に沿えるようにやっていきたいと考えております。  なお、その他郵政関係の問題を長時間聞かしていただいたわけでありまするが、ほんとうにわれわれは、人間が人間社会を形成しておる以上、やはり人生意気に感ずというか、お互いに誠心誠意労使話し合いをするということが大切でありますから、今後そういうような姿勢でやっていきたいと考えております。
  293. 小渕政府委員(小渕恵三)

    ○小渕政府委員 私も就任をいたしまして以来、さっそくにいま話題になりました杉並の局あるいはまた王子の局等に参りまして、その実態に触れてまいりました。残念でありますが、労使双方の間にはいささか不信感もなきにしもあらずのような気がいたしております。私は、それこそ現場の方々の声を声としながら、また同時に、官は官としてその職責を果たしながら、お互い両々相まって、りっぱな郵政事業の推進ができるように一段と努力をいたしてまいりたいと思います。      ————◇—————
  294. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 おはかりいたします。  関東労災病院における労働問題について、本日労働福祉事業団理事長中西實君及び職員部長比留間一雄君にそれぞれ参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  質疑を続けます。山本政弘君。
  296. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 質問が五時までということですから、簡単に質問に入りたいと思います。  労政局長にお尋ねいたします。  関東労災病院の病棟縮減について、二月二日に「職員の皆さんへ」ということで実は病棟を縮減するという通知を出しております。そうして一番最後に「なお、この件に関しては労働組合とも充分意を尽くして説明し了解を得たい」と、こういっているわけであります。そして二月四日の告示によって、「職員就業規則第七条の規定により、看護婦勤務交替時間を二月五日の日勤から左記のとおり定める。」こういって時間をきめてきたのであります。そして二月五日に「患者の皆さんへ」ということで、新しい勤務体制についての通知を出しているわけであります。そして二月十二日に全労災の関東支部に対して勤務時間の交代の通知を出しているわけです。  それでお伺いしたいのは、この順序です。私は日にちをずっと並べてこう申し上げましたが、私自身の考え方からするならば、病棟の縮減並びにそれに伴う勤務の交代時間について、普通のあり方からするならば、まず私は、全労災の関東支部にそういう意向があるけれども一体どうなんだろうかと相談をして、逐次、職員、それから看護婦の勤務交代時間の時間表あるいは患者というふうにやるのが普通の労働慣行のような気がいたしますけれども、その点について一体どうお考えなのか。
  297. 松永政府委員(松永正男)

    ○松永政府委員 通常の状態におきましてそういうようなことになるかと思いますが、実はお許しをいただければ、主管局長である基準局長が事実関係をよく知っておりますので、基準局長から御説明申し上げ、また必要があれば私から申し上げます。
  298. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 事実関係について私から御説明を申し上げます。もし不足する部分がありますれば、きょうは参考人で事業団のほうから来ていらっしゃいますので、そちらから補足をしていただくことにいたしたいと思います。  関東労災病院におきましては、実は勤務形態とかそういう問題とは全く別に、看護婦さんが昨年の暮れあたりから減ってまいりまして、厚生省で定めておられます看護単位当たりの看護婦を確保するためには、どうしても病床をやむを得ず減らさなければならないような事態に立ち至った。そういうことに関連をいたしまして、全く病院で正当な看護をするためだけに病床を減らそうとする考え方のもとにいろいろのことをやってまいりまして、昨年の暮れに、十二月の十日に、二病棟百四ベッドを減少をいたしました。その後看護婦さんの確保その他の努力をいたしましたが、毎年実は年度末になりますと、いろいろの事情で看護婦さんがやめていかれるのが多うございます。それと、年度末に、その年度で余っておりました年次有給休暇を看護婦さんがとられる傾向も年度末に多いようであります。そういう点を過去の例から判断をいたしますと、二月あるいは三月に入りますと、十二月に次いでさらにベッド数を減らさなければ必要な看護ができないという結論に達しまして、二病棟約百ベッドの減少をしたい、こういうことでそのような措置をとることにしたわけであります。これも三月までに予定される退職者がたとえば二十九人だとか、そういうようなことから、外来及び手術のほうの看護婦さんを減らすわけにはまいりませんので、病棟のほうの病床を残念ながら減少されてきた、こういうことでございます。  この減少につきましては、実は病院側は看護婦さんにも十分その趣旨を理解してもらう必要がありましたので、看護婦さんのほうにも意のあるところを伝えたようでありますが、必ずしも了解に達せられなかった。それから患者さんのほうにも、患者さんの強制退院等は一切やらない、といいますのは、大体一日十人ぐらい患者さんが減少してまいりますので、入院をされるほうを押えれば、病院側が予定をしているようなところにはいける。ただ問題なのは、看護婦さんの数が少なくなってまいりますので、病棟にばらばらに病床がありますのは、看護体制上非常に好ましくございません。そういうことで、病棟を減らすにつれて残りの病棟に集約をしていく、こういう姿勢は、看護する立場からいって普通のことのように考えますが、そういう趣旨で看護婦さんといろいろとお話をしておりましたが、なかなか了解に達しなかったというような事実があるようでございます。  詳しくは、何でございましたら、事業団のほうから補ってもらったほうがよかろうと思いますが、かいつまんで申し上げますとそういうことでございます。
  299. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 時間もないので、私の質問に対して三倍ぐらいの時間をとられないで、ひとつ簡単に御答弁願いたいのです。  私、いまこれだけの順序について申し上げたのです。それについて、考え方として、こういうあり方がノーマルな労務管理のあり方だろうかどうだろうかということについてのお答えをいただきたいわけです。日にちを申し上げました、これに対して是か否かということだけをひとつ聞かしていただきたいのです。
  300. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 それの具体的なことにつきましては、できれば事業団のほうにお尋ねをいただきたいと思いますが、私どもが受けております報告では、先ほど申しましたような事情で病棟閉鎖のやむなきに至ったということで、全労災の関東支部に対しまして、減床について話し合いに入りましたけれども、先ほど申しましたように、他にも紛争問題があった関係もありましてか、話し合いが十分にとれないままあの事態に立ち至っております。それで事業団といたしましては、本部の組合であります全労災本部に対して、この問題を二月二十七日に申し入れまして団交を行ないまして、連日団体交渉を行ないました結果、三月三日に病棟縮小問題と看護婦さんの勤務体制の改正要求等については、これを全く分離して処理をするという合意が成立したようでございます。これに基づいて関東支部と話し合いをしたところが、話がついていないというようなことでございますので、まず、一応組合側話し合いをしてこのことに入った。ただ、その間におきます期間が長い短いの問題につきましては、具体的な事情を事業団のほうからお聞き取りをいただければけっこうかと思います。
  301. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 理事長お見えになっていますか。
  302. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 見えています。
  303. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 私、冒頭に申し上げましたのは、二月の二日に「職員の皆さんへ」ということで勤務体制を変えるという話が出たわけです。そして、そのあとの二月四日に、職員就業規則によって勤務時間の時刻表が出されたわけです。そうして今度は、五日に「患者の皆さん」へということで、勤務体制が変わりますという通知が出ている。二月十二日に至って組合との交渉が初めて持たれたというけれども、そういう持ち方というものがノーマルな労使関係のあり方かどうかということを聞いているわけなんですよ。それを、長長と的はずれな御説明をいただいたわけですけれども、理事長もかって労働次官をなされた方ですから、この点について、私の質問が是か否かということ、それだけをお答えいただきたいと思うのです。
  304. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 問題が二つありまして、看護婦の勤務体制の問題と、看護婦不足による病棟縮減の問題でございます。  仰せの問題はおそらく看護婦の勤務体制の問題かと思いますが、この問題につきましては、昭和四十一年以来の問題でございまして、この新しい勤務の体制につきましては、特に関東労災病院におきましては、昨年の五月ごろからずっと話し合いを続けてきておりまして、さらに九月ごろからは本式にいろいろと話し合いを進めてきたわけでございます。  そこで、告示はなるほど二月になっておりますけれども、問題はもう前からの問題でございまして、どうしても看護婦の一部の納得が得られないということで、二月以来実施に移すということにしたわけでございます。患者に対しては、このことにつきましては、特に了解を得る必要がない事項ではなかろうかと思っております。
  305. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 これについては、四十一年十一月九日以降にですか、運用面で施設に適用した時間帯を約束しているというふうに聞いておるのですけれども、そういう事実があるのかないのか。
  306. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 ちょっとおそれ入りますが、もう一度お願いいたします。
  307. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 看護婦の勤務体制については、いま理事長のほうから四十一年十一月以来というふうにお話がありましたけれども、十一月九日の確認書の中で、運用面で施設に適用した時間帯を約束した。つまり、十一月に労使できめたその中で、運用については若干の弾力性を認めるというふうな話し合いがあったと聞いておるけれども、一体そういう事実があったかどうかということをお聞きしているわけです。
  308. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 当時折衝に当たりました関係者に聞きましても、もちろん運用について十分に話し合いをする、しかし、関東労災病院につきましては、四十一年の、たしか十一月十一日と思いましたが、特に関東労災について協定を結びまして、その協定によって実行するということになっておりまして、協定の原則をくずすということについての話し合いは全くなかったというふうに聞いております。細部につきましては、もちろん実情に合うようにということは申しております。
  309. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 各党からこの質問があるようですから、私は別の角度からお伺いしたいのですが、関東労災病院には差額ベッドがありますか。——ありますね。労災病院は労働福祉事業団法によってできているのだと思いますけれども、労働福祉事業団法の第一条は「労働福祉事業団は、労働者災害補償保険の保険施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行うことにより、労働者福祉増進に寄与することを目的とする。」こうなっているわけです。  ところで、お伺いしたいのは、差額ベッドの一番高いのはどれくらいですか。
  310. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 労災病院も、労災患者の十分な治療をしますには、いろいろな科を持っておる必要がございますし、いろいろな疾病についての配慮も要りますので、労災病院にもいわゆるドックというようなものがございます。そういうところは特別に高い部屋代を取っておりまして、一番高いところはたしか八千円でございます。それはもう病院の中で一つか二つでございまして、これは全く特別な方に対するサービスのような、いわゆる人間ドックの関係がその病室になっております。
  311. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 いま私、何で第一条を読んだかというのですよ。労働者が災害にあう、それを補償するためにあるわけでしょう。そういう病院の中で、あなたいま八千円とおっしゃったけれども、一日一万円のベッドがあるのですよ。七千円のベッドもあります。そういうものが一体労働者のベッドとして考えられるかどうかという問題ですね。その点は一体どうなんです。
  312. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 ただいまのは特殊のものでございまして、労災患者につきましては、これは差額ベッドのところに入れますけれども、すべて労災保険で支払いをしてもらっております。したがって、本人の差額の負担はないことになっております。
  313. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 飛び飛びで申しわけないのですけれども、五時までだというので、お伺いいたします。  関東労災だけは診察券の再発行が百円、自賠の認定料が五千五百円。東京労災は診察券の再発行が二十円であり、自賠の認定は二千円であります。千葉労災も再発行が二十円、自賠は二千円。国立第一病院は、珍察券の再発行はゼロ、自賠の認定料が八十円。国立第二が再発行はゼロ、自賠は八十円。都立の荏原が、診察券の再発行がゼロ、自賠の認定は三百円。都立広尾が、診察券の再発行がゼロ、自賠の認定料が三百円。東横病院は、診察券の再発行十円、自賠の認定料千円。関東労災だけがなぜ診察券の再発行が百円で、自賠の認定料が五千五百円というけたはずれな額にしているのか、これをひとつお伺いしたいのです。
  314. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 資料を持っておりませんので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
  315. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それではあとでお答えいただくとして、これは私は事実として聞いた話であります。ですからお話しをいたします。  診察券を忘れて持ってこなかったときにも、診察券の再発行ということで百円お取りになっているという事実がある。どうも労災病院の設立の趣旨労働福祉事業団法の第一条の目的とはおよそかけ離れたものが関東労災においては行なわれているような気がいたしてなりません。その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  316. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 福祉事業団の具体的なことはいま資料を調べておられるようですからそちらにおまかせいたしますが、実は労災病院は労災患者の治療を完全な姿で行ないたいということで、労災保険事業のほうから事業団に出資をいたしまして病院経営に当たらせているわけでございます。したがいまして、労災患者の問題につきましては、先生のいま御指摘になったようなことは一切ございませんで、本人の負担はゼロで、すべて労災保険事業のほうから所要の経費を支出いたしております。ただ労災病院につきましては、それ以上に施設に余裕がある場合には、別に健保の場合でも国保の場合でも、本人自身の医療の場合でも、あるいは自賠の場合でも、それは受け入れて差しつかえがないということになっておりまして、その面になりますと、いわゆる事業団法の第一条に書いてあるものと多少違った問題になるわけでございます。したがいまして、それにつきましては、患者本人の負担問題というものが出てまいる場合もございますが、それは事業団が労災病院を経営する本来のものとは違った付帯的なもの、こういう意味でひとつ御理解をいただきたいと思います。
  317. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それはもうあたりまえのことなんですよ。だから労働者災害補償保険法には、「労働者災害補償保険は、業務上の事由による労働者の負傷、疾病、廃疾又は死亡に対して迅速且つ公正な保護をするため、災害補償を行い、併せて、労働者福祉に必要な施設をなすことを目的とする。」そういうものがあるから、あなたのおっしゃるように予算についても、それから財務諸表についても、それから一時借り入れ金についても、財産処分その他の制限についても、労働大臣の認可、承認あるいはその他のことがあるのたと思います。それから予算上についてもそういう面で非常に制限もあるけれども、同時に非常な恩恵もあると思うのです。しかし労災病院はそういうことのかたわら、これは公的病院の性格を持っておるわけでしょう。私立病院とは違うわけですよ。私立病院と違うにもかかわらず、東京労災に比べて二倍以上、国立に比べれば七十倍、都立に比べてもこれはたいへんなあれですよ。そういうものが一体公的病院に許されるのかどうかという問題があると思うのです。私がきわめてふしぎに感ずるのは、そういう何か一つの基本的な考え方というものが、病棟の削減とかあるいは看護婦さんの問題にしても、あちらこちらに影響して出てきているのじゃないかという気がするからお伺いしておるわけでありますが、労災は別としても、公的病院としてのこういうあり方というものははたして正しいあり方なのかどうなのか、この点お伺いいたしたいと思います。
  318. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 いまの金額でございますけれども、関東労災病院の認定・鑑定の文書料——労災の障害補償給付請求診断書あるいは症状の現状報告診断書、これは二百円でございます。一般の診断書は五百円ということになっております。ただし、鑑定料は別でございまして、これは実費で、かかったものだけはいただくということになっておりますので、ちょっとお示しの数字が私のほうでよくわからないのでございます。
  319. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 文書料金表というのがございます。これは四十五年二月の診療報酬請求明細書という紙の中に出てきておるのですけれども、これによりますと、外科後処置審査診断書というのが、いままではゼロだったのが新料金では五百円になっております。死体検案書はいままで千円だったのが二千円になっております。厚生年金用診断書あるいは病歴書というのが、いままでは二百円だったのが前者が一千円、後者が五百円、自賠保険用障害認定診断書が、いままでは千円だったのが新料金で五千五百円になっております。こういうことがあるのですよ。だから、あなたがもう一ぺんお調べになって答弁していただきたいと思います。
  320. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 ただいま山本先生の御質疑に対しまして、自賠の診断のことについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり障害補償の等級についての診断につきましては、これは医師の障害鑑定料というような意味合いにおきまして五千五百円、それから、大体障害の賠償額は数十万円にも及ぶものがございまするので、ことにまたいろいろと求償その他の問題等ともからみますので、責任ある鑑定を行なわなければならないということから、鑑定の内容を非常に高めておるつもりでございます。ただし、文書料といたしましては、御指摘のとおり五百円を徴しておるというのが実情であります。
  321. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 それでは、年金診断書はどうして二百円を一挙に五倍の新料金の千円にしたのですか。
  322. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 きょうは職員部長が来ておりまして、そのほうの担当でございませんので、あとで資料をお出ししたいと思います。
  323. 山本(政)委員(山本政弘)

    山本(政)委員 五時ですからたいへん残念ですけれども——私が申し上げたいことは、ともかくも公的病院であるのなら、公的な性格を帯びている以上は、もっと外来なり入院患者のほうについても、災害適用者でなくてもそれだけの配慮があっていいと思うのです。ところが実際はそうではなくて、よその病院と比べてもたいへんな金額になっておるという事実があると思うのですよ。そういうあり方が公的病院のあり方として一体いいのかどうか。つまりそういうことをあえてする関東労災病院の態度というものが、人事面では看護婦さんの勤務体系にまであらわれてくるだろうし、患者の面に対しては病棟縮減になってあらわれてくるんじゃないだろうかという気がするわけです。  あと各党の方がそのことについては御質問をすると思いますけれども、お願いしたいことは、いま私が申し上げたことが事実かどうかについては、少なくともあとで報告をいただきたいと存じます。  質問を終わります。
  324. 小山(省)委員長代理(小山省二)

    ○小山(省)委員長代理 古寺宏君。
  325. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 それでは引き続きまして、関東労災病院の問題についてお尋ね申し上げたいと思います。  最初に関東労災病院の病棟縮減の理由についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その根本の原因は何であるか、また現在までの経過はどのようになっているか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  326. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 これはどこの病院でもでございまするけれども、年度の初めに新しい看護婦が看護学校を単立ってまいりますので、そのときには相当余裕が出てくるわけでございますが、年度末になりますに従いまして、看護婦がやめていくということが共通のことでございます。関東におきましては特に、進学者が多かったり、あるいはまたやめるときに従来持っておった有給休暇、これを全部とっていくというようなことがございまして、看護婦の不足というものがほかの病院よりもいささか多くなる。そこで二年前にも一度、新年になりまして二病棟縮減をしたことがございます。去年はよかったのでございますが、ことしもまた、全部で十一病棟ございますが、その病棟を維持するだけの看護婦がいなくなりまして、十二月の中ごろに二病棟縮減いたしました。ところが新年に入りましてさらに退職予定者が三十名近く出たということから、どういたしましてもさらに病棟を少なくする必要があるということで、当初、三月までの看護婦の数からしますと三病棟閉鎖する必要があるという病院側からの報告を受けまして、それは病院の医療看護の面からどうしてもそうだということなら、これはやむを得まい、それじゃ病院にとって非常に残念なことだけれども、責任ある病院の管理者側のお話でございますので、それをわれわれとしても承認せざるを得なかったわけでございます。  その後さらにまた検討を重ね、また他病院等からの応援というようなことも考えまして、さしあたっては三病棟でなくとも二病棟でも何とかやっていけるという報告がございました。そこで、それじゃ二病棟縮減することはやむを得まいということになったわけでございます。  ところがこの病棟縮減が、先ほども話が出ました看護婦の勤務体制の問題とこんがらがりまして、病棟縮減絶対反対ということで非常な妨害がございまして、実は今月の初めに二病棟の縮減をする予定でございましたけれども、どうしてもできませんで、そのために非常な看護婦の不足にかかわりませず、いままで九病棟を運営してまいったのであります。しかし病棟によりますと、患者が二十名とかあるいはそれを切るというような病棟がございまして、何としてもこれは病院の医療看護から困るということで、さらに反対する側も説得をいたしまして、きのうからきょうにかけまして一病棟縮減をいたしました。もう一病棟縮減すべきなのでございますけれども、そこに非常な無理がかかる。無理がかかるといいますのは、トラブルが生じまして、うっかり患者にもしものことがあってはというようなことで差し控えまして、本日のところは一応暮れの二病棟とそれから一病棟、三病棟を縮減しておるというような概要でございます。
  327. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 この労災病院の特殊性並びに病院本来の使命からいきまして、病棟を閉鎖するということは非常に残念なことでございますけれども、この問題につきまして病院側また事業団、そしてまた労働省はどのような対策を講じてこられたか、さらにまた、現在この閉鎖をいたしておりますところの三つの病棟については、いつごろ再開ができる予定であるか承りたいと思います。
  328. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 われわれとしましても、まことに遺憾に思っております。二年前に二病棟を閉鎖しましたときには、たしか二月に閉鎖いたしまして、一病棟は四月に回復しております。ところがもう一病棟はなかなか看護婦の獲得ができませんで、九月になってもとに復しております。今度は、いまのところ三病棟で、もう一病棟どうしてもやはり縮小の必要があるのでございますが、四月にはおそらく一病棟ないし二病棟はぜひ回復したいと思っております。そのために、現在でももう全国的に看護婦の確保ということで努力しております。ところが、大体において当初三十人から五十人くらい四月になれば新しい看護婦が採れるという報告を聞いておったのでありますが、最近の報告では、予約の取り消しといいますか、これが非常に激しゅうございまして、予想しておりました数の半分以下しかいま確保ができないようなふうに聞いておるのでございます。そうだとしますと、これでは二病棟回復が非常にむずかしいので、さらにその後あらゆる方途を尽くしまして看護婦獲得につとめまして、あとの縮減しております病棟を一日も早く回復したいというふうに考えております。
  329. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 いまの御答弁の中には、労働省あるいは病院その他の現在まで講じられた措置についての御説明がなかったようでございまするので、労働省側からお願いいたします。
  330. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 労働省は、昨年の暮れの病棟閉鎖につきまして報告を受けまして、年度末になりますと看護婦さんがやめていかれて病棟閉鎖がさらに進まざるを得ないというような状況を事業団から伺いました。しかし、私どもが、公的な病院として労災病院の運営で五百六十一ベッドは関東地区には必要なんだと、こういうことでつくっております病院でございますので、あらゆる努力を払って病床減少を少なくすべきだ、あるいはできるだけの努力を払って完全な姿で運営をすべきだというのが私たちの基本的な姿勢でございまして、そういうことで事業団に対しましても十分話し合い、協議をし、あるいは督励をしてまいりました。その結果、先ほど理事長から御報告を申し上げておりましたが、今回は三病棟の閉鎖をしなければ、当初予定されたものとしてはとてもやっていけないということを、事業団側も非常に努力してくれました結果、いまのところでは二病棟閉鎖くらいまででどうやら食いとめられるだろう。そして、いま理事長から御説明申し上げましたように、五月になればその分は十分回復できる努力を、さらに具体的にはできておるようでございます。私どもは、事業団のそういう努力を多としながらも、さらに病院設置の目的に照らして、全病床が運営できるような努力を、事業団に対しても今後具体的に折衝しながら激励をしてまいりたい、かように考えております。
  331. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 過去のこの病院の実態を見ますと、いままでにも相当の紛争が続いてまいったようでございますけれども、この病院内における病院側と看護婦側との人間関係、あるいは労務管理の状況は、どういうふうになっているか御説明を願いたいと思います。
  332. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 その点でございますが、残念ながら関東労災病院の人的な関係は決してよくはございません。あの病院のかきねにはいつも赤旗が立っておるというような状況でございまして、私ども前々から関東労災病院の人事管理ということについて非常に憂慮いたしまして、機会あるごとに、よい方向にいくようにアドバイスをし、また協力をしているのでございます。いろいろの原因があろうかと思いまするけれども、問題はやはり管理者側とそれから全労災の関東支部というもの、これとの間の意思がどうしてもうまく疎通しないというところにあるように思っておりまして、いつの日か抜本的にこの関係をよくするという手段をとる必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  333. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 話がちょっと最初に返りますけれども、二月の十八日付で病院の玄関に提示をされた病院の外来患者に対する告示を見ますと、当院は、組合の行き過ぎた労働争議の影響により、看護婦さんの退職者が相当数見込まれますので、こういうふうに縮減をしなければならない、こういうふうにおっしゃっているわけでございますけれども、これはこのとおり受け取ってよろしゅうございますか。
  334. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 看護婦の減少は、先ほど言いましたように年末、年度末になりますと、どこも減っていくというのが常態でございますが、特に関東労災におきましては、いわゆる組合活動というものによってかもし出されておる病院、ことに看護部門における雰囲気をきらって退職するという者も相当あるというふうに考えております。
  335. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 相当数見込まれるというふうになっておりますけれども、一体何名ぐらいを見込んでいらっしゃるのでございますか。
  336. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 看護婦の移動状況について御説明を申し上げます。  四十四年度の定員といたしましては一応百九十七名ということでございます。今年の三月十日現在における勤務者総数が百六十八名というわけでございます。このうち産休もしくは長欠者の数が二名、そのほか看護部長あるいは婦長等管理職にある者の数が十名、また手術部もしくは中材部等の勤務者数が二十名、外来のほうの勤務者数が二十八名、これで六十名でございます。さらに三月十日から三月末日までの退職の希望者数でございますが、これは一応二十九名という報告になっております。これらの退職希望者数に載せられておる二十九名の方々は、大体三月初旬ごろから大半が年休をとり始めます。下旬にはほとんど全員が年休をとるということとなるわけでございます。したがいまして、先ほど申しました百六十八名の現員に対しまして、実際に病棟勤務に確保できる三月中旬以降の見込み人員が七十九名程度ということと相なるわけでございます。  さらに、病床の縮小とのからみでこれを申し上げまするというと、四十四年度の定床数は、先ほど理事長説明のとおり、五百六十一床でございまして、病棟数にいたしますと、十一病棟ということになるわけであります。昨年の十二月にすでに縮小いたしましたベッド数が百四床、病棟数にいたしまして二病棟、したがいまして、この時点では四百五十七ベッドということに相なるわけでございます。病棟数といたしまして九病棟、四十五年の三月に病棟勤務に確保できる人員が七十九名ということで先ほど申し上げましたのですが、病棟部門の一看護単位当たり大体五十床と御了承いただければけっこうだと思います。一看護当たりの必要要員といたしましては十二名ということとなるのでございます。そうしますると、七十九名の確保人員の中で維持できる病棟数というものが、大体七十九を十二で割った六・六と申しますか、七カ病棟の能力ということに相なってまいります。  そこで、四十五年の三月の縮小を余儀なくさせられる病床の予定数が、四百五十七からさらに百床と申しますか、ちょうど二病棟くらい、これはまことに遺憾なことでございますが、縮小せざるを得ない。そうして四十五年三月以降の維持できる病床数は、すなわち百ベッドをマイナスいたしまするので、三百五十七床程度ということに相なるわけでございます。ちなみに四十五年の三月七日現在における人員数を御参考までに申し上げますが、三百二名ということと相なっております。  以上御報告申し上げます。
  337. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 二月の二十七日から三月の三日まで五日間にわたって本部交渉を行ないまして、争議行為中止の協定が成立した、このようにいわれておりますけれども、事業団側、病院側は、その趣旨に沿ってその後どのようにこの問題について努力を重ねてこられたか、承りたいと思います。
  338. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 お答え申し上げます。  病棟縮小にかかる紛争の正常化につきまして、事業団本部並びに全労災とも大いなる努力を傾けました。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕 二月二十七日以来、ほとんど徹宵して、五日間にわたる交渉の結果、まず病院内にあるトラブルについて正常化をはかろう、その上でさらに勤務体制等の問題についてなお話し合いをひとつ進めようというようなことといたしまして、まず正常化の前提、話し合いの公明な広場をつくるということとなったわけでございます。三月三日に事業団と全労災本部の間に合意が成立いたしまして、覚書が交換をされました。ところが、全労災関東支部におきましては、どうもその後の経過を観察いたしておりますと、必ずしもこの覚書の精神と申しますか、その点につきまして、むしろ同調の態度を示しておらないというような姿が観察せられておるのでございます。なかんずく覚書に伴う確認書がございまして、その確認書の第五項に「その他覚書の実施に関しては、関東労災病院労使で話し合うものとする。」かようなことを設けてあるわけでございます。もとより、この覚書の大前提は三つございまして、まず病棟縮小に関しては、事業団は看護婦の確保に全力を尽くす、これが第一でございます。第二は、全力を尽くしても、なお病棟縮小のやむを得ない場合、最小限度にこれをとどめることとする。第三は、組合においては、病棟縮減にかかる争議行為はこれを中止する。この三つの柱があったわけでございます。確認書の中におきましても、病棟縮減に伴いまして、縮減病棟の看護婦さんは、他の病棟に当然配転ということが予想されるわけでありますが、配転にあたりましては、個々の看護婦さんの意見をなるべく尊重することにしようというような意味合いの事項も確認書中に掲げられているわけでございます。したがって、病棟縮小そのものは、確認書、覚書の上では、話し合いの詰めの上では前提となっておったとわれわれは了解しているわけでございますが、実際には覚書の基本事項を否定するような、いわば正常な話し合いができない状態に至っているわけでございます。三月三日に正常化のための覚書を交換いたしまして、病院におきましては、翌三月四日、五日にわたりまして、一応、先ほど申しましたように、病棟縮減そのものは、いわゆる診療管理上の問題であるというような立場からではございますが、やはりそれを実施するために、すべて正常化の精神というものを前提といたしておりまするので、一応このことを組合当局にも話を通じたわけでございますが、そのこと自体は、なかなか話し合いが円満に進まない、徹宵をして話しをいたしましても、なかなか覚書趣旨のとおりに進まないというような事態がございまして、ついには結局トップ会談ということと相なりまして、病院長、副院長、また組合のほうでは支部の執行委員長と副執行委員長のトップ会談の席で、院長から、病棟縮減、したがって、患者を移床することについての趣旨についてさらに理解を求めるべく話をいたしましたときに、三点を要請いたしたわけでございます。院長から、トップ会談で申したことは、覚書どおり、事業団においては、看護婦の確保については全力を尽くす、同時に、病院も、これについては万全を期したい、また各病棟に、退院後ばらついておる患者を移床するということにつきましては、これはまことにやむを得ない事情なのでぜひ了承してほしい、診療上の責任を全うする上からも理解をしてもらいたい、そこで組合に対して以上のことについて協力を要請をした、かようなこととなっておるわけでございます。そういうことでございまして、一応締結以後における交渉の経過まで付言をいたしましたわけでございます。
  339. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 まことに御丁寧なる御答弁でおそれ入るのですが、この覚書によりますと「事業団は、看護婦の確保に全力を尽くすものとする。」こういうふうに第一項にございますが、どのように全力を尽くしてこられたか、この覚書をかわして以降の事業団の看護婦対策についてお尋ねをしたいと思います。
  340. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 事業団といたしましては、覚書に基づきまして、直ちに、一応各潜在看護婦の確保ということについて、就職勧誘をするための採用の募集等を各紙に申し込みをいたしたわけでございます。なおまた、それのみでは急場に間に合いませんので、全国三十四労災病院に、かかる危急の際における紐帯の連帯意識というものを特に強調をいたしまして、三十三労災病院に働きかけまして、非常に苦しい、いまは看護婦の求人難の時期であることは御了承のとおりでございますが、そういう中におきまして、それぞれ関東における窮状を了察をしてもらって、緊急に若干、病院からまず婦長クラスあるいは主任クラスの方も含めて、昨今約五、六名まず派遣をして応援をしてもらっておるという実情でございます。先ほど申しましたいろいろ募集等の結果、さしあたってパートの方も五、六名採用いたしておる。また、臨時的に二名ほど看護婦さんを採用することができたということもございます。漸次その効果が——各労災病院等の協力を得て、必要に応じ有効な方策を尽くしていきたい、かように考えております。
  341. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 三月七日に、病院は、現在の九個病棟を七個病棟に集約するために、患者を移そうとしたわけでございますが、看護婦さんの妨害によって中止をした、こういうふうに病院側ではおっしゃっておりますけれども、覚書をかわしてからまだ四日しかたっていないわけでございます。どういうわけでこの七日に集約をしなければならなかったのか、その理由についてお尋ねをしたいと思います。
  342. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 御指摘のとおり、三月三日の日に、正常化のための覚書を締結いたしましたときに、病床の縮減というものにつきましては、これはある程度もう避けられないという状況話し合いの中でも申し述べておったわけでございます。さような前提もございましたし、また締結後、やはり病棟を縮減するということは、本来ならば余裕をもって縮減すべき手を講じ、それぞれ移床した患者に対して、若干期間の看護体制の手なれというものも必要であろうというような配慮もございましたし、最大の理由といたしましては、診療科各部長先生の御意見の総合のもとで、できるならば、理解を得て七日にまず移床を滞りなく終えて、そうしてその看護体制の集約をはかって、真に患者さんに御迷惑にならぬような看護単位を再編して万全を期するべきであるという御意見が強うございました。以上のような事柄から三月七日にこれを行なうことといたしたようないきさつでございます。
  343. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 この覚書からいきますと、「事業団は、看護婦の確保に全力を尽す」そうして「前項の努力にもかかわらず病棟の縮減がやむを得ない場合には、最小限度にとどめる」こういうふうにここに記されておりますので、四日間にそれでは確保に全力を尽くすことができるのかどうかという問題が一つでございます。それからまた、この患者の集約に関して指示をいたしましたところの部長先生は、この覚書内容についてはたして知っておられたかどうか、この二点についてお尋ねをします。
  344. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 前後いたしますが、各診療科部長につきましては、覚書締結後、すみやかに病院におもむきまして、締結に至る経過また締結の精神及びこれに基づいて諸般万端滞りなく円滑に——前提が正常化ということを基本としておる中身でございますので、その趣旨をよく理解してもらったと私は考えておる次第でございます。  それから、三月三日に覚書を締結をいたしまして、自後、看護婦の確保について全力を尽くすということにつきましては、直ちに先ほど申しましたような手だてを講じましたし、また若干の、特に近隣の労災病院からの応援体制については、事業団としては打つ手は打った次第でございます。
  345. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 その経過はよくわかりませんけれども、少なくとも確保に全力を尽くすというこの覚書については、三日か四日ではできないということは、常識でも私は判断ができるわけでございます。それが、あえて七日に行なわれようとしたところに、今回の紛争の大きな原因があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、三月七日の病床縮減に伴う患者移床をしようとした際に、看護婦側と病院側との間の紛争によって三名の方々が負傷をするというような事件が起きております。その内容について具体的に御説明願いたいと思います。
  346. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 まことに遺憾な御報告を申し上げなければならないことを残念に思いますが、ただいま古寺先生の御質問にかかる事項でございますが、三月七日の日に行なわれました、病棟縮減に伴います患者移送の作業に対する組合員の妨害行為の状況の一端でございますが、その一部を御報告を申し上げます。  ただいま御質問の三名の負傷者が出たという事故に関して申し上げるわけでございますが、当日午前十時ごろ、リハビリテーション病棟の患者八名をまず三の一病棟にこれを移すために、婦長二名がストレッチャーで患者を迎えにまいったわけでございます。患者の姓名は朴沢という方でございますが、その患者をまず三の一に移しまして、そうして残りの七名の患者についても逐次移送業務を行なうということとしておったのでございますが、このリハビリ病棟に残っておりました組合員の看護婦が、残りの患者に対して移送業務をはばむというような行為がございました。それで、七名の患者について結局移送を拒否するように説得を行ないました。そこに鈴木整形外科部長と、それから高橋副部長にばり雑言を浴びせるというような一幕があったわけでございます。そうして車いすに乗った患者の一部とともに室の入り口を囲みまして、移送がために不可能になった。同十一時三十分ごろ、三の一にまず移し終えました朴沢さんにつきましては、某主任看護婦が再びもとの病棟に連れ戻そうといたしまして、警備中の職員がこれを阻止しようといたしました。そこに若干のもみ合いがあったわけでございます。そこで、整形外科部長と高橋副部長が、朴沢患者に三の一病棟にこのまま残るようにという説得をしたのでありますが、このような病棟は不安だから、もとのリハ棟に帰してほしいというようなことを訴えられまして、間もなく再びリハ棟に戻すこととなったのであります。そうして、入れて、その三の一病棟から出ようとしたときに、事務局長がたまたまそこに居合わせましたが、某主任看護婦は、ばり雑言を浴びせた。それで守衛がとめようとしましたところ、さらにかたわらにおった高田庶務課長を突き飛ばすというような行為も行なわれたということであります。そこで、神谷次長が、この某主任看護婦を退去させるように守衛に命じまして、排除を命ぜられました守衛二名と病歴士一名、三名でこの某主任看護婦を外へ連れて出るについて、病棟からエレベーターホールまで参りましたときに、突然三名の職員に対して三日から十日に及ぶ負傷を負わしたのであります。小島守衛は、左上腕に人咬傷、つまりかみつきといいますか、人咬傷全治十日間、それから瀬戸病歴士は右のひじ部に人咬傷四日間、それから佐藤守衛は左前腕打撲擦過傷全治三日間、かような事故があったという報告を受けております。
  347. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 そうしますと、主任看護婦に守衛が全部負傷をさせられたという話でございますが、その内容に間違いございませんか。
  348. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 間違いございません。
  349. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 それから、組合員と非組合員の対立が激しいために、非組合員が組合員の看護婦の圧力に耐えかねて用便にも行けない、そういうようなことがあるということも聞きましたけれども、そういうことは事実でございますか。
  350. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 私も実はこれは仄聞の域でございまするし、ことにいま御指摘の点は、人権にかかわる問題でもございます。宿舎内でのそのような突き上げというのでありましょうか、ある意味では拘束というのでありましょうか、そういうようないやがらせ等の事実は、私も仄聞をいたしております。何にいたしましても病院内のことでございます。事は個々人の問題でございましょうけれども、やはり院内の服務、管理、規律、こういうような問題からいたしますると、病院といたしましてもまことに寒心にたえない次第でございまするので、その点につきましては、後刻調べ得る限り調査をいたしまして、お許しをいただければ、その調査に基づいて御報告をさしていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  351. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 そういう事実があって、今日までそういう人権にも関するような問題が放置されているとすれば、今後どんなに努力をしても、私は看護婦の確保というものはできないと思います。今日まで、こういうような事実に関して調査を進めなかった理由について、納得のいく説明をしていただきたいと思います。
  352. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 先ほど申し上げましたような数々の不当な、場合によれば違法な行為が行なわれたのでございますが、できるだけ話し合いで穏便にやりたいという趣旨のもとに、穏忍自重といいましょうか、しかしながら仰せのごとく、そういった雰囲気のところでありますがゆえに、先ほどもちょっと申し上げましたが、新年度新たに看護婦として採用予定の者もどんどん断わってくるというような状況がございますので、早急にこの点につきましては措置をしなければならない、そういう段階に来たと思っております。
  353. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 病院当局は、現在入院中の百四十名の患者に対して退院を強制しようとしている、そういうふうにいわれておりますけれども、入院患者についてはどのような了解を得ているか、承りたいと思います。
  354. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 日によって数字が変わりまするけれども、現在三百数名の入院患者がおると聞いておりますが、これに対しまして、強制的に退院とか、そういうようなことは、絶対やるべきじゃない、やらさないという方針でやっております。
  355. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 病棟縮小に際して、病院側は労災や交通事故で脳外科の治療を受けている患者を強制的に他の病院に転院させたり、ようやく立ち上がれるようになって、これから言語訓練を受けようとしている児童を訓練施設のない病院へ移したり、患者や家族の意思を無視した強制退院を強行した、こういうふうに新聞では報道いたしておりますが、こういう事実があったのかどうか、承りたいと思います。
  356. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 きょうも関係の先生が見えておりますけれども、十分な医療上の配慮のもとに行なわれたのでございまして、患者の症状が悪くなるというような懸念のあるようなこと、それから、医療上やってならないようなことをしたという事実は、全くないというふうに聞いております。
  357. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 それではさらに進みますけれども、神奈川県の労働基準局では、二月五日に、告示した新勤務体制は労働基準法の違反のおそれがある、そういう理由でもって関東労災病院に勧告をしている、そういうふうに聞いておりますが、その内容について承りたいと思います。
  358. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 神奈川の労働基準局から病院当局に御指摘のありました事項につきましては、ただいまその中身を資料として、調査をして直ちに御報告申し上げることといたします。
  359. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 先生いま御指摘のように、二月五日に病院側から神奈川の基準局の監督課長のところに参りまして、新しい勤務体制の提示がございまして、法律上に問題があるかどうかについて照会をしてまいりました。——たいへん失礼いたしました。病院側ではございませんで、県の医労協の杉本事務局長さん外四名の者が局に来られまして、監督課長に面接をしまして、新勤務体制について法律上問題があるかどうかについての照会がございました。それに対しまして監督課長から答えておりますのが三点ございます。  その第一点は、交代勤務の場合の休日については、継続二十四時間の休息が各勤務割りについてできるようなことをすることが望ましいが、この勤務割りについては必ずしも直ちに違法であるということは言えないように思う、ということが第一。  第二点は、休憩は単に何分やるということでなくて、何時から何時の間にどれだけするというようなことを明示することのほうが望ましいだろう、こういうこと。今度の新しい勤務体制については、変形の労働時間制の例であると考えておりますが、その場合に、各人ごとの四週間における勤務割りの労働時間が明らかでないので正確なことは言えないが、単に一週が四十四時間をこえなければ割り増し賃金を支払わなくていいということにはならない。勤務の時間によっては割り増し賃金を払うことの必要性もあるであろう、こういうようなことを言ったわけでございまして、これらにつきましては、病院側から中身について詳細なことを聞いた上で、局としての意見を発表する、こういうことになろうと考えております。
  360. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 これは実際に労働基準局から聞いた話でございますけれども、向こうでは勧告をした、こういうふうに申しているわけでございます。その第一点の問題でございますが、新勤務体制では休日が二十三時間三十分になる、こういうことをいっているわけでございますが、この点については、いままではこういうことはなかったのか、また、この新しい勤務体制からいくとこういうことになるのか、その点について御説明を願いたいと思います。
  361. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 休日は二十四時間とるように勤務ダイヤを組むべきであるということといたしまして、その点については二十四時間となるように組むことについて、事業団としては各施設に強く言っておるわけでございます。でありますので、勤務表編成については、その衡に当たる責任者は十分配慮をしておる、かように考えておる次第でございます。
  362. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 十分に配慮しているつもりであるとおっしゃいますけれども、過去に、たとえば二月であるとか、一月であるとか、昨年の十二月であるとか、その個々の月に、そういう二十三時間三十分しかない休日が実際になかったかどうか、それをお尋ねしたいわけでございます。
  363. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 今度の新勤務体制で、ちゃんと組みますればそういうことにならないと考えるのであります。それで、御指摘の二十三時間三十分というのは、私のほうでは朝の八時から四時までが日勤、それから三時ごろから十時までが中勤、十時から朝の八時ごろまでが夜勤。それで、中勤という十時までを済ませまして夜勤にかわる場合、原則として九時半に来ることになるのです、十時交代でございますから。そうしますと二十三時間三十分になるわけです。しかし、それはよほど人が休んだりしまして、振りかえる場合にそんな勤務が臨時に出るというようなことで、ちゃんと人数さえおり、勤務が正常に行なわれておれば、今度の勤務体制では二十四時間を切るというような勤務割りにはならないというふうに考えております。いままでは確かに臨時の人が足りなかったり、急に休んだりというようなことで、現実にはあったかもしれません。
  364. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 現実にあったわけでございまして、十一月には全部で十九例ございます。十二月には九例、二月にも十一例ございます。三月のことはわかりませんが、いままではそういうふうにあったわけでございますが、この新しい勤務体制でいくと、今後絶対にないということを、事業団側でははっきり言えるのかどうか、その点をもう一回伺いたいと思います。
  365. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 人数が確保されますれば、そういうことは絶対に起こらないということは言えると思います。問題は人が急に休んだりしまして振りかえたりしまするとそこで狂ってくる、したがって、そういうことがえてして関東労災にはよくあるというようなことから、やはり病棟を縮減して人間を確保するという必要が特に関東においては強く出てくるというふうに考えます。
  366. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 第二点の夜勤の場合の二時間の休憩時間については具体的に明示しなければならない、こういうふうに労働基準局で言っておるわけでございますが、この点についてはどういうふうになっておるのでございましょうか。
  367. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 御承知と思いまするが、四十年に人事院が国立の病院の看護婦、准看、それから助産婦、これの夜勤勤務の制限ということについての行政措置の要求が出ておりますが、それに対する人事院の勧告といいますか、判定といいますか、それを見ましても、看護婦について休憩時間を個々にきめても、それは現実に実行できない、したがって、ある時間帯において所定の時間の休憩がとれるように措置するようにというふうに申しております。そこで、私どものほうとしましては、深夜、十時から朝の五時までですが、おそらく十時から十二時までは休憩、仮眠の必要もないと思いますので、十二時から五時、つまり深夜の勤務時間帯において適宜二時間の休憩なり仮眠をとってよろしい、それでとりましても夜勤の手当は出すというふうにやっております。
  368. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 それば何かにはっきりと明示しているわけでございますか。
  369. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 職員部長、簡潔に願います。
  370. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 明示してございます。
  371. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 どこに明示しているか教えていただきたいのであります。
  372. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 就業規則第七条の別表でございますが、別表に夜勤の場合の零時から午前四時までの間にとるということを明示してございます。その点は今回も変更ございません。
  373. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 休憩時間につきましては、国立病院その他においてははっきり何時から何時までというふうにきめて休憩時間をとっておりますが、今後労災病院においてはそういうふうに改善する考えを持っていらっしゃらないかどうか、承りたいと思います。
  374. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 先ほど申しましたように、大体深夜勤務の中間において二時間をとることになろうと思いますが、これも交代でとることになりますので、一応きまっておるわけであります。きまっておりましても、臨時の用がありますればそれがずれるということもございますが、一応の基準をきめてくれという看護婦からの強い要望でもございますれば、それは一応きめておいてもいいかと存じます。
  375. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 労働省は監督官庁として、この関東労災病院の問題についてどういう指導を病院に与えたか、また、どういうふうにこの問題の解決のために手を打ったか、具体的にお伺いをしたいと思います。
  376. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 お答えいたします。  ただいまの休憩時間の問題は、先ほど職員部長からお答えがありましたように、就業規則の七条に、看護婦の勤務時間の割り振りについては、管理者が各施設ごとに別表においてこれを定めるということで、別表のほうで規定しておりまして、ことしの二月二十日に就業規則改正届け出が所轄の監督署に出されております。それによりますと、たとえば夜勤の場合には、零時から四時までの間に、二人勤務をいたしておりますので交互に二時間できる、こういうように具体的に書いておりますので、先ほど私からお答えいたしましたようなことで、基準法には適合しておる、かように考えております。
  377. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 どうも質問のしかたが悪かったのですけれども、時間がだんだんなくなってきましたが、このような関東労災病院がいろいろな問題を引き起こした原因は、事業団と病院が前向きで看護婦の対策に当たらなかったのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。  そこで、今後この看護婦の問題を解決するとすれば、当然看護婦の養成を考えなければならないし、看護婦の養成所の定員をふやしただけでは、とうていこれは間に合わないと思いますので、今後新たに養成所をふやすとか、あるいは現在の養成所を夜間は准看の養成所として活用していくとか、そういうような対策を考えておられるかどうか、承りたいと思います。
  378. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 看護婦のことにつきましては、かねてから前向きで考えております。七千五百の職員のうち看護婦が約三千二百ばかりおりますので、そして関東以外三十三の労災病院では、いまのところ問題がないのでございまして、関東が一ついろいろといま問題が起きておるということをまず御承知おきいただきたいと思います。  それから、看護婦の養成でございますが、これは本筋の厚生省でも十分考慮しておるようでございますが、労働福祉事業団としましても、高看をいま五カ所持っております。いままで四カ所でございましたが、昨年から一カ所ふやしまして、それから五カ所の養成所も、できるだけ定員をこの際ふやすということで、養成の人員をよけいにするように考えております。さらに、ことしはまた予算で一カ所高等看護学院をふやすという予定にしておりまして、事情の許します限り、事業団自身でも看護婦の養成をしてまいりたいというふうに考えております。
  379. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 労災病院の看護婦全体の問題につきましては、ただいま理事長からお答えを申し上げましたが、私から少し具体的に申し上げてみますると、美唄の労災高等看護学院以下、現在五つの高等看護学院を経営いたしておりまして、一年の定員は百五十五人でございます。四十五年度予算におきまして中部に高等看護学院を新設する予定でございまして、定員は三十。したがいまして、四十六年からは定員が百八十五人ということになります。これに対しまして、さらに私どものほうで奨学資金を貸し与えまして高等看護学院に入りやすい状態をつくる。それでその奨学資金を受けた院生が卒業いたしまして、労災病院に一定期間勤務してくれますとその借金は棒引きにする、こういうような制度を設けておりまして、全体の減耗率等から考えますと、新規の定員としては大体減耗率に合うような措置が講ぜられております。ただ、実際問題としましては、この卒業生全員が必ずしも労災病院に入らないという悩みがございますが、施設的にはそういうことで、新しい看護婦の養成ということに対しては、私どもとしては力を尽くしておる次第でございます。
  380. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 事業団に対しては当然監督権は労働大臣にあるわけでございますけれども、労働省はこういういろいろな紛争、あるいは病棟の縮減、いろいろな問題について、業務の状況についていままでに検査したことがあるかどうか、その点について承りたいと思います。
  381. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 事業団法に明らかにございますように、労働大臣には事業団に対する監督権がございまして、事務監査、会計監査、すべての面にわたりましての監査権限を持っております。これに基づきまして、事業団本部の監査、あるいは必要に応じて病院の監査、こういうことも従来から行なっておりますし、最近におきます関東労災病院のような事態は、非常に残念な事態でございます。これらの経験を生かしまして、今後は監査を厳重にしてまいりたい、かように考えております。
  382. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 この「社会保障」という雑誌には、「労働省労災管理課では「事業団を通じてたえず連絡をとらせ、無理をしないように指導している」が、二月十九日には一名、二十三日に二名、二十八日にも一名転院させている事実をあげ、“思うように言うことを聞いてくれない”」こういうふうに労働省は言っていると記事に載っておりますけれども、そういうようなことがあったのかどうか。
  383. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 ただいまお読み上げになりました記事については私ども承知をいたしておりません。
  384. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 いずれにしましても、この労災病院の設立の趣旨からいって、この病院の問題は、当然一日も早く解決をしなければならないと思いますが、今後の事業団としての決意、また、今後の見通しについてお話をしていただきたいと思います。
  385. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 これは、責任者といたしましても、一日も早く正常な姿にしたいと考えます。  問題は当初に申し上げましたように二点、つまり勤務体制の問題と病棟の縮減を回復するという問題でございまして、それぞれこれは十分にわれわれとしましては努力をしてまいりたいと思います。ただ問題は、組合——組合と申しましても相手の全労災、それからさらに関東労災の支部、そのほかに関東労災の組合の看護団というようなものもございまして、なかなか処置には困難を感じております。しかし、これを何とか打開いたしまして、すみやかなる平常化ということに努力をしてまいりたいと思っております。
  386. 古寺委員(古寺宏)

    古寺委員 それじゃ時間ですから終わります。
  387. 倉成委員長(倉成正)

  388. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 いまの質問に引き続き若干関東労災病院の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、病院の不足がいわれておる今日です。また、関東労災病院は、全国の労災病院のいわば中心であり、シンボルである、関東労災病院には脳外科であるとか整形外科の権威者がおいでになる、こういうことをわれわれはかねて承っておるわけです。さらに事業団の理事長は、かつての輝かしい労働事務次官、その道の大家の中西實氏がすわっておられるわけで、そこで労使関係のトラブルが起きるなんということは予測もされない事態であるわけなんです。  そこで、初めにお尋ねしたいことは、全国三十四の労災病院がある、こういうお話でございましたが、今日まで関東労災病院に見られるように病棟の閉鎖をせざるを得なくなった、そういうところはどことどこがあったか、それをひとつ教えていただきたいと思うのです。
  389. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 病棟閉鎖の必要を生じたのは関東労災病院ただ一カ所でございまして、二年前と今回と、同じ病院に二回あったわけでございます。
  390. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 全国三十四の中で、関東労災病院だけだ。二年前と今回。これはわれわれ外部の者からははかり知れざることでございますが、どうしてほかではそんなことないのに、関東労災病院だけでこんなことが二度も起きるのか。理事長としてはどのように御判断なさっておりますか。
  391. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 どこの病院も、年度の初めには、学校を卒業した新しい看護婦がとれまして相当余裕があるわけですが、年末、年度末になると減っていく。そこで、私のほうでは、一年間の退職者の状況を見まして、年度の初めに予定しております数よりも、つまり定員よりもよけいに、つまり、やめるのを予想してよけいにとるようにしております。したがって、年度の初めには勤務の割当も非常に楽なんです。ところが、年末、年度末になるとだんだん窮屈になる。これはどこの病院も大体共通しておるのです。ところが、ほかの病院では、年度の初めは楽だ。年度の終わりになるとだんだん窮屈になる。その窮屈なときも協力してくれまして、勤務の割り振り等についても十分な協力が得られます。そこで閉鎖なくして済むわけでございます。ところが、関東労災におきましては、その協力体制が得られない。組合との協定で、いわゆる午後十時までの勤務と夜勤の勤務と合わせて月に十回を原則にするということになっておりますが、これは原則でございまして、ときに看護婦に不足があればその原則はくずれるのは当然でありますが、関東におきましてはそういうことを容赦しない。その勤務が十回になれば、あとはもう勤務しない、こういうような状況も出てくるわけなんです。そうなりますと、勢い病棟を閉鎖せざるを得ない。つまり、協力体制に非常に差があるというのが大きな原因。  もう一つは、先ほども言いましたが、関東労災病院の雰囲気からして、看護部門ではどうもよけい看護婦がやめていく。それから、年度末にやめる者が、長期間有給休暇の余ったのを全部とるということで、出づらといいますか、それが非常に減る。こんなようなことが関東におきまして特に病棟を閉鎖しなければならない事態に追い込まれる理由ではなかろうかというふうに判断いたしております。
  392. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 三十三の労災病院では、年間通じて、年度末を見ても、そのような閉鎖をする事態は発生せぬ、こういうことですね。しかし、いま御答弁になりましたように、どこの病院でも、単に労災病院だけでなくして、年末は何とか看護婦は確保できるが、年度末になればいろんな事情でやめていく人もあるし、あるいは准看護婦から正規の看護婦学校に入っていく人もあるしというわけで、年度末になってくれば看護婦のやりくりに困っておるというのが日本のすべての病院共通の現象であろう、こう見るわけですね。ところが、労災病院といういわば労働省の外部機関であり、公共施設であるこういう病院において、しかも、だんだんお話を伺っておると、関東労災病院だけが話し合いがつかぬということですね。これは、その他の労災病院と違って、特別な事情があるのかどうか。お話を承りますと、先ほどの質疑応答の中でも明らかにされました、いわゆる新勤務体制というのは、おそらく、四十一年十一月に事業団と全労災との間で結ばれた協定なんですね。これがいま新勤務体制として行なわれておる。その中で、いまお話しのように、午後二時から午後十時までの勤務及び夜勤は、原則として四週間で十日以内とする。関東労災病院では、この原則をくずすことは、話し合いを通じ、絶対に妥協がつかない、そこに原因があるやに、いまお話を承りますとお聞きしたわけでありまするが、そういう点にあるのか、あるいはその他にもあるのか。もしその点だけだとすれば、結局は労使の問題、こういうことになってくる、こう思うのでございます。病院というこのような社会的な大きな使命をになう機関において、労使の間でトラブルが起きて、病院を閉鎖しなくちゃならぬ、入院患者をとめなくちゃならぬということは悲しむべき事態だ、こう考えるのです。この点について、もっと何か事情があるならば、理事長から明らかにしていただしきたい。
  393. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 先ほど申しましたごとく、ほかの病院では——この間も、名古屋とか関西にあります、関東労災病院と同じくらいの規模の病院の看護婦の実情を聞いてきましたが、やはり定員から見ますると二、三十人足らないというような事態になっておる。それでも協力が得られまして、病棟閉鎖に至っていないのでございます。ところが、関東におきましては、先ほどの、中勤と夜勤は十日が原則と、もう原則を変えないということで、それをこえればもう勤務をしないというようなことで、ほかの病院と比べて、関東労災病院の看護団、これが常に権利主張というものが非常に強いということ、そうして、管理者側のやろうとすることに、権利主張によってことごとに反対するというようなことが大きな原因じゃなかろうか。  そのほかに、若干、おっしゃいましたように、進学コースに行くのがほかよりもあるいは多いのかもわかりませんが、これはほかの病院でもそういった進学コースに通っている者、あるいは行こうとする者、相当ございます。したがって、大きな原因は、先ほど言いましたような、いわゆる協力体制といいますか、そういうものにきわめて欠けておるというのが原因じゃなかろうかと思います。
  394. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 今日の世の中でございまするから、それぞれの立場において権利を主張するということは当然のことだし、いわば権利の関係をお互いにどう調整していくか、それによって円満な社会生活なり団体の運営なりができるかどうか、こういう問題だろうと考えるわけです。問題は、定員が確保されるならば、いわゆる新勤務体制で看護婦さん方にしわ寄せをしないでもやっていけるであろうか。しかし、看護婦が絶対数として足りないというところからそのような問題も起きてくるのだと私は考えております。  先ほど基準局長からお話を承りますと、美唄高等看護学院はじめ全国五カ所で、現在百五十五名の看護婦養成をなさっておられる。今回中部高等看護学院を新設される。それで百八十五名ですね。私は百八十五名と聞いて、これはちょっとゼロが落ちておるのじゃないかとすら感じたわけでありますが、もっとこういうような面について施設をふやすということが必要なのじゃないか。私はできると判断するわけでありますが、この点、どうしてこの程度で制約されておるのか、事情を承りたいと思います。  なるほど、今度の国会に、厚生省としても、二十五万の看護婦を昭和五十年前後には四十八万五千名あるいは五十万名にする、こういうわけで法律の一部改正などを提案されておることは御承知のとおりでございまするが、やはり事業団としても、もっと積極的に看護婦の養成等について努力すべきであると思いますが、この点は理事長どうお考えでしょうか。
  395. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 私のほうの高等看護学院は、全くのまるがかえといいますか、卒業すれば労災病院に勤務するという約束でやりますので、相当な経費が要るわけでございまして、経費の許す限り看護学院をふやし、また定員もある程度確保したい、今後もその努力をしたいと思っております。  なお、御参考までに申しておきたいと思うのですが、労災病院では、看護婦は一般よりもよけい置いております。医療法で一応きまっておる基準は、入院はベッド四人に一人、外来患者には三十人に一人であります。そうすると、これを関東労災に当てはめますと百六十人くらいでいいのです。しかし、それでは非常に忙しいというので、定員百九十七人と、二割以上置いております。どこの労災病院も、大体医療法できめておりますものよりも二割以上置いておる。全国で、医療法の規定の計算でやりますと、看護婦が一割以上足らないというふうに聞いております。そこのところを、私のところはそれよりも二割以上置いておるということで、だいぶんよそを犠牲にしているようなことになっております。しかし、大病院は十分な看護が必要だということでそうやっておるのでありまして、看護婦の処遇あるいは勤務体制というものは他と比べてきつい——これはもう看護婦自体の仕事はきつうございますけれども、他と比べてきついという状態にはないということをちょっと申し添えておきます。
  396. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 これは基準局長からお答え願ったほうがいいかどうか知りませんが、全国の労災病院をならしてみた財務経理の状況というのはどういうことになっているのですか。これは私はどういう財務経理をやっておるか確かめておりませんが、全国労災病院の経営の実情はどうなっておるのか、簡単でけっこうでございますので、御説明を願いたい、こう思うのです。
  397. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 労災病院の経営につきましては、医療費の値上げ関係が非常に敏感に反映をいたしまして、今回医療費の値上げができたわけでございますが、この医療費の値上げが実施に移されますれば大体収支とんとんくらいにいくだろう。いままでは非常に苦しい経営をやっております。
  398. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 いままでの経営は非常に苦しい、こういうことですね。今度また医療費の値上げがありましたね。そうなってまいりますと、今度は赤字にでも転落する、こういうことですか。
  399. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 医療費の値上げが今度ございましたので、それで大体収支が償うよらな状態になるだろう、こう思います。特に入院料がだいぶ高くなっておりますので、労災病院は御存じのようにベッド数を相当たくさん持っております関係上、それらのはね返りがありまして、大体の収支が償うような状態になるだろう、かように予想しております。
  400. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 わかりました。今度の医療費の値上げで、特に入院費等について特別の引き上げ措置が講じられたので、そういう面で経営はとんとんにやっていける、こういうことですね。  そこで、私がいま申し上げました、将来看護婦の養成の施設の問題等についてさらに増強する考えはないのかどうか。この点は基準局長、どうですか。
  401. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 現在事業団全体の看護婦さんの定員は三千二百五十人余りでございます。したがいまして、四十六年から百八十五人の養成になりますが、これらにつきましては、実は潜在看護婦さんが相当おられますので、それからどのくらいを労災病院の看護婦さんとして雇い入れることができるかというかね合いがございます。  それならば百八十五人をどういうようにしてはじいたかというような御質問になろうと思いますが、実は高等看護学院を経営いたしますためには、厚生省の規定がございまして、総合病院でなければできないことになっております。労災病院は総合病院的なものに欠けている面も病院の性格上ございますので、現在のところ五カ所、四十五年から六カ所でございますが、その定員の増強につきましては、今後の労災病院におきます看護婦さんの確保状況等を勘案しながら、必要があればさらに増強させていただきたい、かように考えております。
  402. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 この問題は、厚生省との関係もいろいろありましょうし、また別の機会に、看護婦の増員あるいは養成施設をさらに強化充実するということは、厚生省関係でその法律も出ておりますから、そういう機会に議論を移したいと思うわけです。  ただ、私遺憾に思いますことは、理事長、三病棟ですか、閉鎖をされた。五百六十一ベッドのうち二百五十ベッド前後閉鎖された。この四月ごろまでにはもとに戻したい、こういうことであります。できるだけ早くそういう姿に戻ることを期待いたしますが、ただ、お話しのように、関東労災病院の労使関係が、いつまででもそのような姿であっては、このようなことを毎年繰り返す結果になるかもしれぬ。この点について、やはりその道の専門である理事長としては、最善の努力を払っていかねばならぬ、こう思うのです。やはり、組合側の主張する問題点も十分検討し、もちろん十分以上に検討なされておるでしょう。しかしまた、お互いに妥当な意見の調整をはかり、譲歩することも必要でありましょう。この点、ぜひひとつ最大の努力をお払い願いたい。赤旗が立っているというお話でしたね。これは年がら年じゅう立っておるのですか。どうですか。
  403. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 おっしゃったとおりでございます。
  404. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 年がら年じゅう赤旗が立つようじゃまことに遺憾ですね。福島県いわき市の内郷労災病院、これは年末か春のいわゆるべースアップ闘争のときだと思いますが、ときおり赤旗が立ちます。しかし、率直に言っていい感じはしませんね。病院で赤旗が立つということは、入院患者の気持ちがどうだろうかという感じを、私たちのように、組合運動を通じやはりそれなりの理解を持っておる者にとっても、率直に言って、病院の正門に赤旗の立つことはあまりいい感じはしません。年がら年じゅう立つなんということはどうか、私は率直に言って、私の良心からいってそういう感じがする。こういう問題等につきましてもやはり十分お互いに話し合いまして、そうでない努力をすることが大事だ、こう思うのです。一体、今後関東労災病院における労使関係の正常化について事業団の理事長として自信がありますか。おそらく病院長は権威ある病院長でありましょう。病院長はその道の大家ではあろうけれども、こういう問題については、えてしてふえての人が多い、私はこう考えるわけでありますけれども、この点については事業団として十全の努力を払うことが必要ではないかと思っております。どうですか。
  405. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 仰せのごとく、病院に赤旗が立つということは、社会常識上おかしいと思います。そして、ほとんど年じゅう立っておるということによって、関東労災病院の組合の性格というものが御推察できるだろうと思います。私も長年労働関係の仕事をしておりましたが、田畑先生御承知のように、かつての炭鉱その他の大争議のときにおきましても、病院部門、診療部門というものは、これは保安施設として実力行使なりストなりはやらなかったものでございまして、いまだかつて大企業の争議のときに、病院部門、診療部門がやったことは聞いたことございません。ところが、われわれのほうは、とにかく病院ばかりの組合、これが気安く赤旗を立てたり、あるいはときに実力行使をする。私は社会常識上きわめて遺憾なことだというふうに考えておりますが、そういうことをする指導のグループというもの、これが私は非常に問題だと思っております。先ほども言いましたように、全労災、それからこれの関東支部、そのほかにどうも組合の看護団というものがあって、組合話し合いましてもなかなか話が通じない。たとえば、今度の病床の縮減でも、もちろん看護婦の確保につとめる、しかし病床の縮減もやむを得なければやる、そして病床縮減については、いろいろな妨害なりそういった行為をしないという約束をしたのですが、この病床縮減そのものにも絶対反対、こう言って聞かないわけなんです。こういうグループに対して一体どう措置すればいいか非常に思い悩んでおります。しかし、こんなことをいつまでも続け、また、こんなことを毎年続けるというようなことは、私は公の機関、ことに医療機関として絶対避けなければならないと思っておりますので、いずれ相当な決意を持ってこれに当たる必要があろうかというふうに考えております。
  406. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 労働組合運動というのは戦後の変遷を見ても、やはり国民世論とともに歩く運動でなければ、結果においては、労働運動の健全化はあり得ないし、また組合員の利益を守り生活の向上をはかることはできぬというのが私の確信なんです。したがって、世論に背を向ける一握りの指導者に振り回される、組合員の意識が組合運営に反映されない、そういう独善的な組合のあり方は、やがて壁にぶつかって回れ右することは確実だ、こう見ております。しかし、それに長い時間をかける、そのことによって患者が迷惑を受ける、社会的な使命を病院が達成できぬということはまことに遺憾だと私は思う。やはり、労使関係は相対関係でありまするから、その意味において理事者側もできるだけ努力を払い、譲るべきは譲り、その反面で措置すべきは措置する、こういうことが必要だろう、こう判断するわけです。行き過ぎた組合の中には必ず正常な組合を求める勢力が出てくる。そういう勇気ある人たが出てくる。また、出てこなければ間違いである。全国三十四の労災病院には七千五百名いらっしゃるそうでございまするが、組合員は何ぼであるのか。それは全部全労災の組合に入っているのかどうか。組合のあり方等について、この際端的に御説明をいただきたい。
  407. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 職員の数は大体七千五百ぐらいでございますが、その中に全労災の組合に入っておりますのが千三百七、八十でございましょうか。これはしょっちゅう変わりますのであれですが、千四百を切っております。何ぼになりますか、ごく一部なんでございます。それから、そのほかに病院ごとに職員組合ができておる。これが五つございます。そのほかは組合はございません。そのほかといいますと、全労災の支部は二十ばかりございますが、それ以外のところには組合組織がございませんで、常に職場懇談会、対話を通じて十分に職員間の意思の疎通をはかるということでやっております。
  408. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 実は、私はきょうは駐留軍離職者の問題について質問するのが本筋だったのです。しかし、先ほど来の質疑応答を聞いて感ずるところがあって質問申し上げたわけでありまするが、ただ願わくば、中西理事長並びに労働省の政務次官並びに基準局長、関東労災病院の問題は世間から見ても異常な事態なんです。このことはもう万人共通の見方です。このような事態が特殊法人の関東労災病院の中で起きたということ、これはまことに悲しむべきことなんです。これはひとつお互い考え直して、すみやかに正常化の努力をはかられるように——ことに私は、中西理事長の経歴から見ても、中西理事長が自分の傘下の労災病院の中でこんなことを起こしておるということは、まことに残念だと思うし、また遺憾きわまることだと思うので、理事長を筆頭にして労働省も一緒に協力して、この問題の解決に努力を払っていただきたい。特に看護婦については、これはいろいろな事情はあっても、とにかく重労働とこういわれておるのが実際の姿でございまするから、民間の診療所を見ても、個人病院を見ても、あるいはその他の病院を見ても、やはりその問題はその問題として親身になって解決する、この努力をぜひ払っていただきたい、こう考えます。  そこで、実は本筋の質問に入るわけでありまするが、ひとつ防衛施設庁の長官にこれから質問いたします。  私、いろいろ質問したいと思っていたのですけれども、限られた時間になってしまいましたので、二、三お尋ねする結果になるわけでありますが、ニクソン政権が登場してから、ドル防衛政策の一環として海外基地の整理縮小、こういうことになってきたわけです。昨年七月には大統領の海外要員一割削減、八月には、国防長官が軍事費を三十億ドル削減する、こういうことで、日本の基地のあり方というものも漸次変わってきておる、こういうことです。一昨年の十二月二十三日の日米安保協議委員会では、基地の縮小という問題が取り上げられましたね。その内容を、簡単でけっこうでございますが、ひとつ説明願いたい。
  409. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 一昨年の十二月二十三日の日米協議委員会におきまして、在日米軍基地の整理縮小について協議が行なわれたのでございまして、約五十の施設につきまして返還あるいは共同使用あるいは移転ということが協議されました。この協議をもとにいたしまして、現実の事務処理といたしまして日米合同委員会でその後鋭意努力いたしました結果、現在までに二十七の施設についてそれぞれ返還あるいは共同使用、移転等の合意がなされまして、すでに二十五の施設について返還等の措置を終了いたしておるというのが現在までの状況でございます。
  410. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 かつて百四十八の基地といわれましたかな。それがいまのお話をお聞きしますと二十五はすでに返還の話がついた、こういうお話でございますが、そうしますと、現在アメリカの在日基地は幾らあるのかという問題が一つ。  それからもう一つ、これはいつか機会があれば中曽根防衛庁長官に聞きたいと思っておるわけでありますが、中曽根防衛庁長官は、アメリカの在日基地の整理縮小ということをしばしば言われておるわけですね。そうして、在日アメリカ基地を自衛隊が管理するとか、あるいは共同使用するとか、このように述べておられるわけです。ついこの間、三月十七日の新聞を見ますと、三月十六日の第二回の外交・防衛連絡会議、愛知外相、中曽根長官、保利官房長官の三者会談では、特別国会の終了したあとに日米安全保障協議委員会を開いて、在日米基地の整理について正規な申し入れをする、こういう新聞記事が出ていたわけでありまするが、政府部内としてもそのような方向で努力なさっておられるのかどうかですね。努力というよりも、そのような心づもりで将来の構想をお持ちなのか。この点を……。
  411. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 最初の施設の件でございますが、先ほど申しました二十五と申しまするのは、一部返還あるいは使用転換等を含んでおりまするので、現実に全部返還が行なわれますと基地がなくなるわけでございまして、その数は二十二なくなったわけでございます。したがいまして、米軍提供施設は現在百二十六になっております。それから、その中には二、四、(b)という二条四項(b)という米側に対する共同使用提供といいますか、百二十六の中にはそういうものが二つ含まれております。  次に、中曽根長官のおっしゃっておりまする米軍施設の自衛隊への管理移管ということを大臣の方針としていわれております。それらにつきまして、じゃ具体的にどういうふうに検討するかということ、在日米軍基地について中曽根長官のお考えとしては、できる限り自衛隊の管理に移して、そして米側に提供するというような方向に持っていくのがいいであろう。しかしながら、現実に具体的にどういうふうにやっていくかということは、それぞれの個々の基地の実情に応じてまた違ってくるであろうから、そこでこれらについて検討するようにということで、ただいま防衛庁の内部において検討をいたしておる段階でございます。  それから、それに関連いたしまして、中曽根大臣のお考えとしては、国会を終わった適当なる時期に、こういった問題について日米協議委員会においていろいろ米側とも話し合ってみたいというふうにお考えになっているやに承っております。
  412. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 いま長官のお話の中にもありましたが、地位協定の二条四項の(a)ですか、これは米軍が管理し自衛隊も使用する場合ですね。いわば日米共同使用ということだと思いますが、この協定に基づく話し合いは、具体的にどういう基地施設について——地位協定の二条四項の(a)、「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。」これに基づく話し合いはどうなっておるのか。さらに二条四項の(b)、これが自衛隊が管理し米軍に使用させる、こういう問題でしょう。この話し合いは一体どのように進んでおるのか。さらに地位協定の第三条、これは米軍が第一義的な管理権を持っておる、そして、共同使用も米軍の判断でなされる、こういう規定でございますが、これに基づいた話し合いが進められている基地はどういう基地なのか、こういう点についてひとつ御説明をいただきたい、こう思うのです。
  413. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 現在米軍の施設につきまして二条四項(a)によって自衛隊が使用しておりまする施設は二十三施設ございます。それから二条四項(b)によりまして自衛隊の施設であるものを米軍に使用せしめておるものといたしましては五つございます。ということでございまして、ただいま大臣のお考えになっておりまする自衛隊の管理に米軍基地を漸次移していこうということにつきましては、目下これは部内で検討中の段階でございまするので、まだ米側と話し合う段階には至っておりません。そういうお考えのもとにいま検討中であるという実情でございます。
  414. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 そこで、長官に念を押したいのですが、これは大臣に質問するのが本筋でありますけれども、基地の問題でございますから施設庁長官にお尋ねするわけですが、要すればわが国の自衛隊が管理をして、必要なときにアメリカに使用せしめる、これは結局地位協定の第二条の四項の(b)、こういう形に持っていきたい、そういうことだと思いますが、間違いありませんか。
  415. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 いろいろな形が考えられると思いますが、いまの地位協定の範囲内では、おっしゃるように二条四項(b)という形になるのではないかというふうに考えております。
  416. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 三月三日でございましたか、新聞で見ますると、リーサー米陸軍長官が上院の軍事委員会で、今後日本、南ベトナム、タイ、韓国などにある兵たん施設を縮小し、その一部を沖繩に移す、将来沖繩が東アジア、東南アジアの米軍及び同盟国軍の補給拠点となっていく、すなわち、このことば沖繩にとっては兵たん基地としての性格を一そう強化されていくであろう、反面、日本には、本土においてはいわばアメリカの補給基地的な性格というものが、だんだん基地自体も少なくなっていくであろう、このように見ておるわけでありまするが、私がいまお尋ねしているような方向に将来いくのかどうか。さらに、現在わが国にあるアメリカの基地並びに施設の数はわかりましたが、日本にいるアメリカの駐留軍は幾らなのか、その中でいわゆる戦闘部隊といわゆる補給部隊に相当するものはどの程度の数なのか、この点ひとつ教えていただきたい。
  417. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 リーサー長官の、陸軍の補給処をだんだん沖繩のほうに持っていくということはわれわれ伺っておりまするが、具体的にどういうふうに基地がなっていくか、個々の施設についてどういうふうになるかということについては、現在まだ米側から連絡を受けておらないので、現在のところ具体的にどうなるということはちょっと判明いたさないのでございますが、いずれにいたしましても補給関係の施設が将来逐次沖繩のほうにいくであろうというふうに予想せられるのでございます。ただ、その際のわれわれの得ておる情報では、補給関係が沖繩にいくということにはなっておっても、近い将来そう大きな変更はないであろうということをあわせて伺っております。したがって、当面の近い将来においてはそう多くない補給基地がだんだん縮小されていくというふうな方向に向かうのではないかと思うのでございます。ことに陸軍関係でございますね。  それから、駐留米軍の数は約四万と承知いたしておりますが、これのうち戦闘部隊、それから補給関係がどのくらいであるか、ちょっと私存じませんので、他の関係者からお答えさせていただきます。
  418. 鶴崎政府委員(鶴崎敏)

    ○鶴崎政府委員 ただいま御質問の米軍の戦闘部隊と補給部隊の人数でございますが、この内訳はいまのところわれわれとして承知しておりません。ただいま長官からお答えしました米軍の全体の数としましては、十一月末現在で四万一千六百、その内訳は陸軍が八千三百、海軍が九千二百、海兵隊が五千三百、空軍が一万八千八百、こういう内訳になっております。
  419. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 さらに、その中で駐留軍労務者、諸機関労務者、そういう二つに分かれておるわけですが、まあ時間の関係もありますから、過去三年間の推移はどうなっておりますか。   〔委員長退席、伊東委員長代理着信〕
  420. 長坂政府委員(長坂強)

    ○長坂政府委員 現在、一月末で従業員の数は四万六千五十九人ということになっております。それで、陸海空軍別に見ますと、陸軍が約一万三千人、これは陸軍のMLC従業員が一万二千二百一、それから諸機関従業員が千三百三十人。それから海軍が全体で一万五千百十二人。この内訳としまして駐留軍従業員が一万一千六百三十二人、諸機関従業員が三千四百八十人。それから、空軍は全体で一万七千二十九人ですが、この内訳としまして、駐留軍従業員が一万二千四百九十八人、諸機関従業員が四千五百三十一人、それからMSTS、いわゆる船員の関係が三百八十七人となっております。これを一応総数で見ますと、四十四年三月三十一日は総数で五万五百十一人、それから四十三年三月三十一日でやはり総数で五万六百六十一人、四十二年三月三十一日で五万六百四十八人でございまして、四十二年、四十三年、四十四年の三月ぐらいまではあまり変動はございませんでしたが、昨年の十一月以降人員整理が行なわれまして、現在のような数字になっておるわけでございます。
  421. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 いまの数字については、ひとつ昭和四十年以降の動きを資料として出してください。  いまの最後の答弁の中にありましたように、昨年の十一月、十二月に相当の駐留軍離職者が発生した。そうして昭和四十五年、ことしの一月から六月の間の整理の見通しが、私の得た資料によると、すでに四千四百四十五名にのぼるわけですね。   〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 これは長官がお答えになるのが適当か、あるいは労働省が答えるのが適当かどうか存じませんが、昨年の十一月二十日、中央駐留軍関係離職者等対策協議会において、駐留軍関係離職者対策について一つの方針なるものをきめておりますね。この内容については、私資料を持っておりまするから、聞いても時間の浪費になりますから……。この中央駐留軍関係離職者等対策協議会の決定、これはどこの所管ですか。
  422. 住政府委員(住榮作)

    ○住政府委員 便宜私から答えさせていただきたいと思いますが、御指摘の協議会は、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして設置されておりまして、総理府総務長官が会長になられまして運営されている組織でございます。御承知のように、駐留軍関係の労務者の雇用形式というのは政府の間接雇用になっておりますので、政府全体があげて離職者対策その他に当たる、こういう趣旨で総理府に置いてある組織でございます。
  423. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 離職者等臨時措置法を見れば、いまお話しのとおりに、第五条で「会長は、総理府総務長官をもって充てる。」こうなっておりますから、本来であると総務長官にお聞きしたほうがいいのでございますが、しかしきょうは中身のことをちょっと私はお尋ねしたい。  その大きな柱の中で、施設庁長官、この間も社会党の島本議員から質問がございましたが、こういう点を指摘しておりますね。離職者の配置転換等、米軍当局と連絡を密にし、駐留軍関係労務者の雇用計画を明示するよう要請するとともに、人員整理にあたっては可能な限り長期の事前調整期間において配置転換を行なうことにより、離職者の発生を最小限にとどめるよう努力する、こう言っておりますね。また、昨年の昭和四十四年十一月十九日、防衛施設庁長官山上信重の名で、市川全駐労中央執行委員長あての回答書であるか連絡書であるか知りませんが、これによれば、第三項として「長期調整期間の設定について 長期調整期間の設定については、貴要求の期間を考慮しつつ、当庁より基本労務契約の所要改定を行なうよう、既に米側に申入れたところである。この契約改定については、先月初旬以来の日米間交渉の積み重ねを基礎に、当庁としては、この機会に年内解決を目途として、精力的に管理者間の調整を図るよう努力致したい。」このようにあなたは全駐労の市川執行委員長に文書で回答をなさっておるわけです。かくして本年の一月二十日に小幡防衛庁事務次官とフランクリン参謀長との間で、今後における人員整理の実施にあたっては、解雇発効日に先立ち極力三カ月以上の予告期間を置くように努力する、そして、これを労務基本契約にうたうよう努力することを約束しておられるにかかわらず、いまなおこれが実現していないということ。この間もいろいろ質問があったことを私は聞いておりましたが、今後の見通しはどうなるのかということですね。いまさら長官にこのようなことを申し上げてもむだなことでありますけれども、沖繩全軍労が一番大きな柱として要求しているのが三つございますが、その一つが、予告期間を長くしろ、少なくとも半年くらいは期間を置いて予告しろ、沖繩全軍労が沖繩においてアメリカを相手にしてストライキをやって要求を主張しておる、やはり、この沖繩の問題の解決の前に、少なくとも本土において、この解雇予告期間を、もっと四十五日を長くすることぐらいは実現しなければ、沖繩問題の解決はとうてい不可能だ、こう思うのです。長官として、あるいはむしろ政府として、これは私は、労働政務次官も、これは労働大臣の立場で閣僚として当然努力しなければならぬと思うのですが、これはいま政府としてどう取り組んでおるのか、まず長官からお答えをいただきたい。
  424. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 駐留軍労務者の整理にあたりまして、事前の調整期間をなるべく長期にいたすということにつきましては、組合からもかねて要求のあったところでもあり、われわれといたしましても、過去のよき前例の中には相当長期間の調整期間を持った事実もございまするし、できるだけ長い調整期間を置きたいという趣旨から、米軍に対しまして、契約の改定ということを申し入れたということは、ただいま先生のお読み上げになりましたとおりでございまして、契約改定については、昨年来引き続き努力してまいってきたのでございます。ただ、しかしながら、御承知のように現在の契約は四十五日ということになっております。米側においても、一般の労働基準と申しますと三十日というのが原則ではないかというようなことも言っております。われわれとしては、整理というものが影響するところが非常に大きいので、調整期間を長くして、そして再就職なり配置転換なりということができるようにしたいということで引き続き努力いたしておりますが、まだ契約改定の実現を見るに至っていないことは、私どもまことに申しわけないと思っております。  そこで、今年の一月に、実際問題の措置として極力九十日以上、三カ月以上にするようにということについての了解は取りつけたのでございますが、これまた契約改定に至っておりません。極力ということでございまするので、米側の国防費削減というようなこういった事態のもとにおいては、必ずしも完全にこれを守らせるというわけにいかないというので、現実に九十日以内というものが若干あるということ、まことに遺憾でございまして、政府といたしましては、これらにつきましては、今後引き続き、この調整期間長期にするように、契約改定については努力をしてまいりたい。ただ、いままで成果が上がっておらないことは遺憾でございまするが、この考え方については米側においても逐次納得していくようになりつつあるのでございまして、今後この契約改定について最善の努力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  425. 大野政府委員(大野明)

    ○大野政府委員 田畑先生もう御承知かと思いまするが、大臣も閣議におきまして積極的にこの問題に対して発言もいたしておりまするし、また労働当局といたしましても、けっこうな御趣旨でございますので、関係各省とより緊密な連絡をとってこれが実現を期しておる次第であります。
  426. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 私は、労働政務次官並びに山上施設庁長官にお願いしたいことは、先ほど述べたような経過もあることですから、すみやかに実現できるように御努力を願いたい。駐留軍離職者あるいは炭鉱離職者特別措置法がつくられて、特別の援護措置が行なわれておるというのは、言うならば国の大きな政策の犠牲になってきた、そういう歴史的な沿革に沿う人方の問題であるから、こういう特別立法もできておるということだと思います。ましてや今日のいろんな周囲の事情を考えたならば、駐留軍離職者が多発するおそれのある今日、何らかの、該当するこの人方の希望と期待にこたえる具体的な成果をあげることが皆さんのつとめだ。ぜひ御努力を願いたいと思うのです。  それから、最後にもう一つ。これもこの間、長官と島本委員との間にいろいろと質疑応答がございましたが、年末に整理した人方については、一カ月分の特別給付金を支給された。現にもう今年の一月から六月にかけて四千四百以上の人がリストに載っておる。その中には、三月末だとか四月一日とか指定された人もおるわけですね。べースアップはおそらくことしは五月一日以降実施されるであろう。このベースアップにも当てはまらぬ、あるいは六月末までいれば期末手当も支給される、その前後に相当数の離職者が発生する、こういうことを考えたとき、昨年ば年末で時期的にも特別な同情すべき事情があったから特別給付金を一カ月分支給したという、それも一つの理由であるかもしれませんが、しかし、私がいま申し上げたよらなもろもろの事情を考えてみるならば、ましてや、同じ雇用主である政府が責任を持ってそのあと始末をすべきである駐留軍離職者について、去年の暮れに離職した人と、今回これから離職する人とを、取り扱いを別にするということは、どこから考えても理屈に合わない、こういう感じを強く持つわけで、この点、やはり私は今後起こるであろう駐留軍離職者について、一カ月分の特別給付金を支給するのは当然のことだ。現に昨年以降炭鉱の離職者については、山ぐるみ閉山する人方については、当然一カ月分の特別給付金が支給されておるということを考えてみるならば、大体炭鉱離職者とこの駐留軍離職者との援護措置というものは同じような条件にあるわけでしょう。こういうことを考えてみた場合に、ぜひひとつ駐留軍離職者についても同様の措置を講じていただきたい、講ずべきだ、この点ひとつ長官の決意と労働政務次官の御意見もあわせて承っておきたいと思います。
  427. 山上政府委員(山上信重)

    ○山上政府委員 昨年十一月、十二月にわたりまして整理がございました際は、きわめて大量の人員、二千数百でございましたか、でありまするだけでなく、要求時期から解雇までの日数のきわめて短い、いわゆる調整期間の短い期間に整理が行なわれて、かつまた年末でもあったということが重なりましたので、昨年限りの措置として特別に一カ月分の給付金を支給するということをいたしたのでございまして、その際においては、これは昨年限りの措置であるということで実施いたしたのでございます。したがいまして、その後におきましては、われわれといたしましても調整期間長期化に努力いたしますことは当然でございますが、この現在の整理におきましては、米側においても相当の調整期間というものについても、まあわれわれの要求を完全とはいきませんが、ある程度入れた形で逐次行なわれつつあるという現状でもございますし、昨年と事態を相当異にいたしておるというようなことで、これを直ちに昨年と同様にやるということには相当の困難があるということの実情でございます。われわれといたしましても、こういうものが支給できればそれにこしたことはないというふうに考えておりますが、そういった実情にありますことを御了承願いたいと申し上げておるわけでございます。
  428. 大野政府委員(大野明)

    ○大野政府委員 ただいま施設庁長官の答弁と全く同様であり、まことに遺憾ではありますが、なかなか現状はむずかしいのではないか。しかし、前向きの姿勢で一応の検討はしてみたいと思っております。
  429. 田畑委員(田畑金光)

    田畑委員 私の質問は、時間もこえましたのでこれで終わりますが、労働政務次官が最後に答えられたような趣旨、心がまえで、施設庁長官も、いろいろ理由を並べればどうとでも理由はつくわけですが、しかし大きなアメリカの基地の整理に伴う、そうして戦後二十何年間基地で働いて、そうして、要すれば人生の一生の仕事としてやってきた人方でしょう。これからやめていく人はおそらくそういう人方のことですから、一カ月分ですよ、そればひとつ前向きで、労働政務次官のことばのとおり前向きで、施設庁長官、防衛庁長官も一緒になってがんばっていただきたい。このことを強く希望として申し上げておきます。
  430. 倉成委員長(倉成正)

  431. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 もう時間もおそうございますし、かなり多くの方から、重点的に関東労災病院については出されておりますので、私は確認の意味で、また、そのことを通じて関東労災病院の関係者がどのような考えを持っておられるかということを知りたいというふうに思うわけです。  病棟閉鎖の問題をめぐって、二つの時期の最近いたします。二月二十四日の各紙で、「関東労災病院 ついに患者追い出し」というような、大体似たような見出しの新聞が出ているように思います。そして多くは、「家族の訴えも無視」というような見出しが非常に多うございます。ちょっとその内容を、たとえば東京新聞で見ますと、「看護婦の夜勤ダイヤをめぐって労使が対立している川崎市木月の関東労災病院で、あくまで三つの病とう(棟)閉鎖を主張する病院側は二十三日、入院患者を強制的に転院、退院させ始めた。労災や交通事故で脳外科治療を受けている患者が多く、泣き泣き他病院へ転院させられた口のきけない人や、ようやく立ち上がれるようになり、いまから言語訓練を受けようという子供が、訓練施設のない病院へ移されるなど、患者や家族の意思を無視した“病院追い出し”に非難の声が上がっている。」、この新聞はこう書いてある。大体私、各紙ずっと拾って見たら、こういうようなことが二十四日の記事に出ております。それから、こえて三月の八日の新聞になってきますと、「2病棟の閉鎖できず関東労災病院」、「患者も“不安”と反対移転したのは4人だけ」、「移棟めぐって大ゆれ」、「患者そっちのけ結局は一時見送り」、どう見てもこれらの新聞は、病院のやっていることは患者に対してむちゃだという内容の記事が一連に出ているように思うのですが、御存じですか。御存じかどうかだけでけっこうです。
  432. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 そういう記事が出ておったようでございますが、われわれとしましては、こういうことは社会問題にしたくはないので控えておりましたところが、一方的に看護団のほうでいろいろとそういうことを発表した、一方的な記事だと思っております。
  433. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 次に、関東労災病院の入院患者の萩野昭二さんを代表として、陳情が出ております。ちょっと一部分だけを御紹介したいと思います。  「前々回、前回、今回共勤務ダイヤ変更に伴いの問題について、まず新聞でちょっと聞いてみたいと思います。これは理事長さんにひとつお願い不満の看護婦の退職を誘い、病棟閉鎖にたち至っております。労使それぞれの理由がありましょうが、いづれにしろその被害を蒙るのは我々患者であり、その迷惑は、甚だしいものがあります。病棟閉鎖は、とりもなおさずベッド数の縮小であり、治療半ばで退院を強要されたり、転院、移動を強制される等、医療の一貫性に欠け、短期間に再度の閉鎖で、我々は相当の衝撃を受け、全員の動揺は甚だしく、安心して医療を受けられない状態であります。」云々とありまして、そして「充分な対策を怠り、簡単に病棟を閉鎖すれば事足りるとして、完全に患者は無視され、退転院させられる我々の人権はどうなるのでしょう。又、既入院患者のみならず、これから起るであろう災害、罹病に対しても一切受入れられず、この地域社会にも大いに不安感を持たせ、只でさえ全国的病院ベッド不足が叫ばれている折から、社会問題でもあります。」こういうような趣旨の陳情書が患者さんから出てきている。これは御存じでしょうか。
  434. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 それは私読んでおりません。
  435. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 それから、これは病院の中にある医薬局会常会というのがあるようですが、三月七日にこういう決議をしておりますので、ちょっと一端を紹介しましょう。「三月六日開かれました医薬局常会において、鎌田浩氏の要求“現在問題になっている病棟閉鎖に関し、医薬局会員各位の意見を聴取し、総意を運営に反映させるための会議を開くこと”が、出席会員三十四名により成立、そこでの動議  病棟削減回避に努力する看護婦諸姉の誠意を重んじ昭和四十五年三月三日付の覚書の主旨に添い病棟閉鎖を可能な限り延長することを希望するが、二十名の賛成にて成立しました。この動議が本会の決議となるまでには、会則二十二条により全会員による記名投票が必要です。」ということで、記名投票がなされて確認をされた。このことを御存じでしょうか。
  436. 比留間参考人(比留間一雄)

    ○比留間参考人 ただいまの御質疑に対しましては、なるほど三月六日に医薬局会が持たれまして、おっしゃるとおり三十四名の出席者があったということでございます。そこで過半の一応動議がございまして、全会員六十四名ということでありますので欠席者が多い。したがって、これは記名投票をするということになりまして記名投票が行なわれましたのは、私の聞き知っている範囲では三月十日というふうに実は思っておるわけでございます。その結果としてただいまおっしゃるように三十三名の賛成、五名の否決、二十六名の棄権、計六十四名になりますが、さような御意向の表明があったということは、これも聞き知っております。おっしゃるとおりの内容のことのようでございまして、結局三月三日の覚書趣旨に沿って可能な限り延長することを希望するということであったようでございます。事実におきまして、その後そのような形で病床の移床は遷延をいたしておりますということを御報告申し上げます。
  437. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 その次に、先ほどからここでずいぶん論議になった問題になるわけですが、あそこの病院の看護婦さんの大体三分の二くらいの人が労働組合を組織されて、皆さんのやっておられる問題に対して批判の態度をとられているというのが事実だと思うのですが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  438. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 関東の看護婦の中で、パーセンテージは三分の二かどうかはっきりしませんが組合員がおりますので、組合員が反対していることは確かでございます。
  439. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 それでけっこうです。私がいろいろ事実を確めたというのは、この問題はだれの責任において解決しなければならぬかというために聞いてみたのです。というのは、新聞報道においてのあの病院の問題に対する態度は、病院当局に対する批判となって出てきている。患者の側からも病院当局に対する批判になっている。それから医薬、この分野に働いている方々も、その批判が病院当局に向かっている。看護婦さんの大半がやはりそこになってきている。そうするとこの責任は、いろいろな面から考えても当然病院の経営者の側に反省の態度がなければならないのじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょう。
  440. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 私は病院の運営の責任は病院長以下管理者側にあると思います。したがって、偶然にそういったいろいろな宣伝がなされておるということはあるかもしれませんけれども、一体病院の最終の責任はだれが負うのか、病院長以下管理者が負うものだというふうに考えておりますので、そういったたまたまの批判というものについて、そのとおりそれに従って、そのために病院の運営がうまくいかないということがあってはならない、あくまで病院の責任者というものが責任をもって処理するということでなければならぬと思っております。
  441. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 私の提起している意味を御理解になっていないのじゃないかと思うのです。私が言っているのは、管理者がやっておられるやり方が社会的にも各分野の皆さんからも批判を受ける状態にある、これが解決を困難にさせる原因になっているんだというふうに管理者が理解をしなければ、反省から始まらなければ解決はできないというふうに見るべきではないかということを質問しているのです。もう一度お願いします。
  442. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 だれが見ても当然理屈のあるものなら、それもよろしゅうございます。しかしながら曲げた宣伝その他意図ある情報活動によってつくられたそういったいろいろな非難、こういうものは私はあまり価値を認めておりません。したがって、最終の責任者である病院当局側がこうなければならぬということになれば、それによってやってよろしいというふうにわれわれとしても協力をしておるのでございます。
  443. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 わかりました、いまの態度。それじゃもう一般新聞、世論の反映でさえもこういう状況にあるということに耳をかさぬという態度として私は受け取らざるを得ないと思うのです。  次にお話を承りたいと思うのですが、先ほど理事長は、労働者管理者との間に穏便にやって、そしてこの解決に当たっていきたいという話をされておったと思うのです。労働組合に対するあなたの見解をお聞きしたいと思うのですが、私は事実に基づいて聞いてみたいというように思います。私のここに持っておりますのは「プラネット通信」という、これはあそこの病院で出ている、おたくのほうから出ているものだと思うのです。間違っておったらあとから訂正してもらってけっこうです。これを読みますと、こういうふうに書かれております。まず見出し「一揆的下剋上許さぬ 看護婦の品位を落すな 中西実事業団理事長が語る」これが見出しです。その幾つかのところを拾い読みしてみましょう。「並木看護部長から、最近の組合員看護婦、とくにK主任看護婦一派の活動が報告され、丁主任看護婦が組合指令によると称して、職制を乱す組合管理的行動に出たことが語られた。それに対して、中西理事長は、「事業団の職員である以上、」云々ということがあって、「組合員として徒党を組み、一揆的な下剋上に出ることは、事業団職員とはみなしがたい。処分ということも考えなければならないが、」云々ということが言われております。この「プラネット通信」に載っているあなたのこの発言は、このとおり受け取っていいでしょうか。
  444. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 それは私も読みました。そして、これは病院内で何か自主的に出しているもののようでございます。いま拾い読みなさいましたけれども、ずっと読みますと、私、そのとおり言ったかどうかは知りませんけれども、書いてあることについてはいまでも間違ったことは書いてないように思いました。
  445. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 これは「看護部」というところから出ている「看護婦の皆さんへ」というものですが、これにはこう書いてあるのです。「病院当局の再三の警告にも拘らず、この連夜赤腕章を巻いた看護婦数名乃至十数名が徒党を組み、リーダーに引率されて各病棟を練り歩き、事務局次長、庶務課長や看護部長の制止も聞かず、忙しく立働いている看護婦詰所に入り、婦長等に対して聞くに耐えない暴言を吐いたり、」云々ということが書かれておりますが、こういうふうにあなたたちは理解をしておられるわけですね。間違いありませんね。
  446. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 そういうふうに聞いております。事実であれば、これはもう許しがたいことだというふうに考えております。
  447. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 なぜいまその点を聞いたかといいますと、労働者が行動を団結してやるのを、徒党を組んでというような理解をする。これは、あなたは労働次官までやられた方が、労働組合の団結を徒党を組むというふうな表現でしか言えない。これは考え方の問題がここに出ていると私は思う。また「一揆的下剋上」。団体交渉という権利を持っている。それを「一揆下剋上」というふうにこの行動を見るのかという考え方の問題が、これらのあなたのほうから出ている幾つかの資料から見ることができるというふうに思うわけです。  また私の手元にいろいろな人から手紙が来るのですが、そういう手紙の中の一節に、全国の看護婦主任の講習会か何かあるのですか。四十二年九月、東京の半蔵門会館において行なった看護婦主任講習会の模様について、職員部長や事業部長の発言のおもな内容を私に言ってくれている人があります。そのおもな内容について、ちょっとその一部分を、どういうことをやっているんだろうかということなんですが、これを見るとこういうふうに書いてあるのです。「全労災の性格」ということを教育している。「三十二年八月、日本医労協発足と同時に出来た。総評傘下に属する評議会に、日赤、全社連、連合会等、総評の反主流派の傘下にある全労災は、全国二十二の支部をもっている。日本医労協の団体とは、産別会議が解体され、日本共産党が主な役割を果していた。全労災の幹部役員には日共が半数をしめている。医労協の中には日共が千名入っている。全労災からも二名医労協の幹事に出ている。全労災はこの様な上部団体に加入している。」云々ということで、何か共産党に引き回されている団体だということを盛んに教育しておられるようなことがここに書いてあり、「これ等は、マルクスレーニン主義者が共産主義革命をやる思想から出ている。」云々、こういうような内容が、これはだれがやっているのか、事業部長説明の中に出てくるのですが、そういうようなことを教育していることは事実ですか。
  448. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 人数がどうのこうのということは私は存じませんけれども、いま申されたことは世間一般にいわれておることであり、うちの労災組合がどういうものかということについての知識を与えるということは必要に応じてやっております。
  449. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 そこがやはり問題だと思うのですよ。徒党を組むとか、それから上部に共産党がおって、それが引き回しているのだとか、そういうような——労働者組合というのは、思想、信条、性別に関係なしに、ちゃんと規約に書いてあって、その規約に基づいてお互いに役員を選出して、民主的に運営するのであって、だれだれが共産党員だから、その思想で引き回されているのだとか、そういうふうに見るべき組織でないということは、あなたも労働次官をやっておられたんだったら知っているはずですよ。労働組合の規約には明確に書いてあるのですから。  だから問題は、こういうような考え方でもって職員を見ており、労働組合を見ており、そして下剋上を許さぬという態度の話し合いで、はたして正常な労使関係が発展するのだろうか。ほんとうにあなた自身が労働組合に対する態度を改める必要があるのじゃないかということを、あなたが認められた一連の内容から見るならば私は感ずるのですが、いかがですか。
  450. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 私は、政党がどうの思想がどうの、こういうことで問題にしておりません。問題は、出てきた事象を見ておるのでございます。ほかの事業所と違いまして、病院の病棟の中で、勤務に関係のない者が十数人ざわざわするということが一体許されるかどうか、こういった事象について私は申し上げておるのです。それから、そのほかあげればいろいろございます。たとえば病棟カットにいたしましても、人数の問題が病棟カットに結びつくわけでありますけれども、看護婦の人数を病院の当局と関東組合支部と突き合わせましたところが、これは異論なかったのです。これでは病棟カットしなければならぬ、こういうことになったのに、さあ、それを看護団に持っていきましたら絶対反対ということなんで、こういった一連の反秩序的な行動を私は問題にしておるわけでございます。
  451. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 事業団のほうの考え方というのは、私が事実をずっと出してきたことからも大体明らかになってきたと思うのですが、今度は局長さんに聞きましょうか。  というのは、やはり労災病院の持っている性格があると思うのですね。これは政府として、ああいう保養施設を責任持ってやらなければならぬということになっていると思うのです。そういう点から見るときに、私は病棟閉鎖の問題というのはやはり重要だと思うのです。たとえば関東地方にあるところの労災病院のベッド数を見ると、これは労災病院だけを出すというのはあれですけれども、千六十一ですか、労災病院だけでベッドがある。それから関西地方に至ると千六百七十三ある。関西地方のほうがベッド数は多い。対象になるところの労働人口から見ると、関東のほうが関西よりは、まあ二倍にはならぬでしょうが、相当な労働人口がある。だから、こういう条件の中でベッドが減っていくという問題は、政府としては軽々しく取り扱うわけにはいかないだろう。軽々しく労災病院をそういうふうにやられていくということは、政府としても重大な問題だと私は思うのです。  それから、看護婦が足らぬからやむを得ないのだというような問題が出てくるわけです。そうすると、あの病院の近所の病院はどうだろうか。たとえばあそこに川崎の市立病院があります。五百四十六ですか、ベッドを持っておる。国立の横浜病院がある。三百五十ある。東京労災病院、二百のベッドを持っておる。一連のこれらの病院においてはどうかといえば、看護婦不足でわあわあ言ってこうなっていくという現象は起こってない。やはりここの特殊な現象になってきているということがいえると思うのです。そうすると、何といってもそこの看護婦さんが——主として看護婦さんになるわけですが、問題にしている労働条件上の問題というのは十分に検討を要する問題を持っておると私は思うのです。おたくのほうも、さきのここでの報告によると、神奈川の基準局が当該の労働組合との間に意見も聞かれ、事実も聞かれ、そういう中から三つですか疑いがある、そしてぼくの聞くところでは、当該の病院の事務局長にその問題について指摘したというところまで話は聞いています。そういうふうに、ここの中における一番の問題は労働条件上の問題が出てくると思うのですが、時間がありませんので、私は、その中で特に看護婦さんが重要視されている問題の一つを、あなたにどういう見解を持たれるかちょっと聞いてみたいと思うのです。  直接病院の責任者でないからあれですけれども、一応あなたはそういう方面についてはきわめて詳しいお方ですし、またお調べにもなっておると思いますので、聞いてみたいと思うのですが、実は新しい勤務体制のところで十時を基準として交代をするということが出てきているでしょう。御存じでしょうね。これが非常に問題なんです、看護婦さんに聞いてみると。というのは、患者さんが九時までは起きているというのです。九時まで起きておって、九時半に交代の開始をやり、そして十時に交代してしまうという時間帯になるところが問題だというのです。九時に患者さんが寝て、三十分の間にその日の整理をするということはできない。これは病院勤務看護婦業務指針という厚生省のほうのものになるのだけれども、患者の病状及び処置の記録並びに報告を行なうという義務づけが看護婦さんにはあるわけですね。そのためのカルテ整理をだっとやらなければならぬわけです。このカルテ整理が三十分の間にできるか。だからこれがやられなくなってくる。これがやられなくなっていったら、これは病院にとって非常に重大な問題だ。この義務づけが行なわれなくなっておるということは非常に重要だ。したがって、患者さんを握っているところの看護婦さんにとってはいやでもおうでもこの問題は責任をもって処理をしなければならぬということになると、九時半に交代して十時できちっと別れてしまうということは事実上不可能だし、そういうことをやったら患者に対しても迷惑をかける。看護をやる実態から見てこういう勤務体制を持ち込んでくることは非常に問題だということを言っているのですが、基準局長、ちょっと聞かしてもらいましょうか。
  452. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 私どものほうで承知をいたしておるものでございますと、現在、関東労災病院で慣行的に行なわれていると称されている勤務体系を見ましても、日勤、中勤、夜勤の交代時間のダブリは三十分でございます。四十一年十一月からやっております新勤務体系について見ましても、同じくその点は三十分でございます。そういうことからいたしまして、新しい体系と現在やっております体系の間における勤務のダブリは同じでございますし、新しいものが、実は四十一年の十一月からすでに他の三十三の労災病院で行なわれておりまして、現在までのところ支障なく行なわれているというように報告を受けておりますので、ただいま先生がせっかくの御指摘でございますが、そういうことで事実問題としてはスムーズにいっているように考えております。
  453. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 事実問題で、九時に終わって九時半までにカルテ整理が完了する、できるというようにあなたおっしゃいますね。間違いありませんな。
  454. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、現在の勤務でもそうですし、新しい勤務にいたしましても、四十一年の十一月から三十三の病院においてはスムーズに行なわれている。特にその間の紛争がないように聞いておりますので、その事実から見ておそらく順調にいっていると思いますが、具体的な事実につきましては、その当面の責任者である理事長のほうからお聞き取りを願いたいと思います。
  455. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 では、理事長に答えてもらいます。
  456. 中西参考人(中西實)

    ○中西参考人 これがどこの病院でもできないなら問題でございますが、他の三十三の病院ではみんなやっておるのです。そこで十一時交代の勤務をずっとやっておって、ここで突如十時にすれば、それは一時間仕事が切れてしまいます。しかし、一日の事務の配分を検討しておさまるようにやれば絶対できるわけなんです。その努力なり検討もせずして、そしてできないできないとこう言う、これでは話にならないのでありまして、必ずできる、関東だけができないというはずはないと思います。
  457. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 あなたは自分の労災病院関係だけおっしゃっていますけれども、これは全国的にいま問題になっているのです。保健所が監査に入り出すと、カルテの整理がついていないという問題がかなり出てきている。短時間の間に整理することの無理という問題がいま出ているわけですよ。これは当然基準局においても、別の面からの研究を要するところに私は来ておると思う。従来の交代時間十一時とかああいうことになってくると、患者が寝ている間の時間においてのもので、九時まで起きているという状態において処理をするというところに、九時ぎりぎりの、そこの動いている問題があればこそ、その段階において三十分で整理するということは非常に困難だという問題が出されていると思うのです。これは時間がありませんので、私は一応問題提起をしておきたいと思うのです。  もう一つ基準局長、せっかくですからお聞きをしたいと思うのです。  看護婦さんの中で非常に不満になっているのは、何しろ労災病院のことですから、外科関係のものだったら十五分置きに何やらせんならぬということが急に出てくるわけです。そういうことでどうしても延びる。ところが、延びて超勤をやっても超勤がつかぬという面が出てくるわけです。それは何かというと、実はさっきここでもちょっと論議になっていました夜勤の場合です。十一時間の夜勤を二時間の仮眠という問題で計算をするときに、四週全体が百七十六時間だ。四週全体の計算の中で、事実上拘束しておるのにもかかわらず、今度は休憩時間として勤務からはずして毎日の計算をやっていくと、その日居残りを命じられても、若干の超勤を命じられても、四週として百七十六時間の範囲内に入ってしまうから超勤を出さぬという事実が出ているわけです。そこで重要な問題は、十一時間勤務のうちの二時間の仮眠という問題が、基準局からも明示がないというのを非常に重視しているという問題が先ほどここで報告されました。実際に私写真を持っていますが、病院のこういう部屋の中で簡易な寝るやつを置いて寝ている、こういう状態で、これを仮眠として別個に抜いてしまうというような状態、これはいいのでしょうか。私はいまの賃金の不払いと仮眠のあり方の問題について、局長意見を聞きたいと思います。
  458. 和田政府委員(和田勝美)

    ○和田政府委員 超勤の問題でございますが、一般の方と違いまして、看護婦さんにつきましては一日の労働時間が九時間まで合法になっております。したがいまして、新しい勤務体制によりまして夜勤二時間を引きますと、実働九時間になりまして、基準法としては法によって超勤を払うことが強制をされないことになります。  次はただいまの仮眠の問題でございますが、私現場を確認をしておるわけでございませんから、報告によって申し上げますと、一応、幕等で他と遮断をしているということでございます。全体的な病院を見ましても、そういう形態のものが非常に多いようでございます。これは一般的な問題のようでございます。しかし私どもはそれだけでもちろん満足しておるわけではございませんで、音響その他にもできるだけ遮断をされたほうがよりベターであるとは考えております。そういう点がございますので、法律違反がある、ないということは別にいたしまして、私どものほうの関係の事業団のことでございますので、よく事業団と話しながら、より一そうよい仮眠設備ができるような手だてを漸次講ずるようにいたしたいと思います。
  459. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 もう時間が八時になりますので、最後のまとめ的発言を政務次官にお願いしたいと思うのです。簡単にやりたいと思います。  以上、私はまず事業団の理事長に幾つかの分野で、こういうふうな社会的批判を受ける問題を指摘しました。また労働条件についても、いま二つの点だけ触れましたけれども、この点からも明らかに検討を要する状況になっていると思います。また先ほど質問された方々のお話の中から、幾つかの問題について疑問を感ずるものがあるように思うわけです。したがって、こういう状態の中で、労災病院の持っている使命から見ても、いま行なわれているやり方というのは非常に一方的な視野でもって実施がされているという状況であるように思うので、労働者として直接、事態について、労働者の管理のあり方について、あるいはまた患者に対する取り扱いの問題を責任をもって調査に当たられる必要があると思うのですが、その点についていかが御見解を持たれますかということが一つ。  もう一つは、先ほど山本さんから出た話ですが、あそこにおけるところの値段書きの問題を山本さんは提起しておられました。たとえば診療券の問題とかあるいは証明の問題、こういう問題を見た場合に、それはそれぞれの病院のほかの人を入れるから云々ということを局長は言いましたけれども、私は労災病院の持っている性格から見てそういうような取り扱いをしてはならないのじゃないだろうか、だからああいう文書などに対するところの問題などについては、あんなに高い値段を出すのじゃなくて、社会常識から見てむしろ無料にするなりもっと低廉にするなり、これは処置する必要があるだろう、あの病院のあり方の問題として、この面からも検討を要すると思いますけれども、そういう問題についても政務次官としてのお考えをお聞きしたいと思うわけです。
  460. 大野政府委員(大野明)

    ○大野政府委員 ただいまの問題等につきましては、きょうはほぼ一日じゅういろいろな先生方から承ったわけでありますけれども、いずれにいたしましても、この関東労災病院の問題につきましては各種の事情がございまして、現在非常に労使の間というものが安定しておらないというところに問題が一番大きく取り上げられるんじゃないかと私は考えております。しかしながら、一方的な管理体制というお話でございますが、これとても必ずしもそういう面ばかりでなくして——もしそういうことがあるとすれば三十四の労災病院がある以上、そこのただ一つであるという点において、これはひとつすべての労災病院というものを総合的に検討して、なぜ一カ所だけそうなのかという点を勘案して、そしてものごとを煮詰めてこれからやっていかなければならない問題じゃないかと私は考えております。もちろん看護婦さんの勤務体系等におきまして、いろいろ人権の問題とかその他出ておりましたが、やはり患者の人権の問題等も私はあるんじゃないかというふうに承っておったのでありますけれども、まあ憲法の精神にのっとっても、人権というものは大切な、また大きな問題でありますから、ひとつ大いに検討してみたいと思います。  そして次の問題についても、個々についていろいろと問題ありますけれども、これは先ほど申し上げたように、やはりこれも統一した見解を持ってやっていくべきことであろうというふうに考えておりますので、その点検討して、そしてまたいずれ近いうちに私も労災病院のあり方をひとつ——まだ政務次官になって日が浅いものですから、ほかの施設等はだいぶ視察に参りましたが、労災病院だけは行っておりませんので、近々行って、直接労働者側の方々ともお話をしてみたい、こういうふうに考えております。その上でまた寺前さんにお話ししたい、こう考えております。
  461. 寺前委員(寺前巖)

    寺前委員 労災病院の持っている公的位置から、これはすみやかに円満に解決するように努力をお願いしたいということと、それから労働省の直接の——悪いことばで言えば天下り官僚どもが配置されておるし、また直接の責任を持っているところにおいて、労働基準法を尊重し労働者の労働条件の向上を願わなければならない省の直接のところにおいて、そこの労働条件で批判を社会的に受けるようなことは、これはやはり考えなければならない問題だから、当然すみやかに処置をされるよう期待をして発言を終わりたいと思います。
  462. 倉成委員長(倉成正)

    倉成委員長 次回は明十九日正午委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時三分散会