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松尾政府委員 高等学校卒業者を看護婦の准看の場合でも入学資格としたい、こういうことを
考えました背景には、すでに御承知のとおり、中学から高等学校へ進学します率が非常に高まってまいりました。現在全国で約八〇%が高校進学をしている、こういうことでございまして、したがって、中学卒業のままで残ってくる方というのは非常に減少してまいりました。四十八年ころには約十万を割るのではなかろうかと推察されているわけでございます。したがいまして、そういう少ない数をもとにした原則としてやってくるということ自体が、すでにもう無理であるということが第一の点でございます。
それから、第二の点としては、現在中学卒業生を資格とする准看護婦養成の中に、約四割近い高等学校の卒業生がすでに入っております。この方方は、いわば過剰資格の形で入っているようなものでございまして、中学の卒業生と一緒に肩を並べて勉強していくということの上に、教育上にもいろいろと取り扱い上因る問題も出てまいっております。
それから、第三点としましては、今日
医療の進歩あるいは
患者さんのいろいろな事情というものも変わってまいりました。いわば看護婦さんに対する質的な向上ということが非常に強く期待されてまいっております。したがいまして、基本的には高等学校を卒業したという、あらゆる教養、学力というものを、高等学校卒業のレベルでものを
考えてまいりたい、その上に立って専門教育を一年やりたい、こう
考えておるわけでございますが、すでにこの辺につきまして、これがいわば教育効果があがらない、あるいは質的低下をするのではないかという不安がありますことは、私
どももよく承知いたしております。
なお、私
どもがこういう方面につきましてまだ十分な説明をしてないという点にも、そういう責任があろうかと存じますが、少なくとも、ただいま申し上げましたように、高等学校を卒業したというかなり高い学力を基礎にいたしまして教育課程を
考えてまいるわけでございます。カリキュラムの時間数その他を比較いたしまして、相当の専門家の手を経まして検討していただいておりますけれ
ども、その結果といたしましても、専門教育としてはこれで十分やれるのではないか、こういう見通しを得てまいっております。もちろん、教育の中身そのものが、従来の中卒時代に使っておりますような教育内容、あるいはそういうレベル、あるいは参考書、こういうものでいいはずはございませんので、そこはやはり高等学府卒業生に対するらしい中身にいたしまして、いわばレベルを上げた教育をしていく、こういうことで大体できるかと存じます。
いろいろな団体から、いろいろなそういう心配の御
意見もいただいておるわけでございますが、第一にこの需給
関係の点から見まして、高等学校卒業住を対象にいたしました場合には、すべてが大学准学コースに行ってしまって、いわばほんとうの実働部隊としては残らないのじゃないかという大きな懸念を抱いている向きもございます。この点につきましては、看護婦協会でも、約三年間にわたる
調査資料を私
どももちょうだいいたしておりますが、それを拝見いたしましても、いわゆる経験年数ゼロで進学コースに上がってまいりましたのは約二三%
程度でございます。それからまた、やはり協会の同じ
調査でございますが、なぜ、ただいま申しましたように、中卒の学校に高等学校の卒業生が入っているのかといいますと、やはりその四割
程度は経済的な
理由等がありまして、早く職業につきたいという希望が答えられておるわけでございますので、私
どもは、そういう面におきましても、決してすべてが進学するということは
考えなくていいのじゃなかろうか。ただし、将来についてそういう進学コースを
考えることは、われわれは十分に考慮してまいりたいと思っております。
なお、そのほかに教育のあり方といたしまして、現在持っておりますようないわゆる各種学校でなくて、本来の大学なりそういうものにのせるべきだという基本的な問題がございます。これは、むしろ私
どもは、今後の大事な検討課題として、いわば基本的な問題としてく今後取り組んでまいらなければならない、こういうふうに
考えておるわけでございます。