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久保委員 私は、通産
大臣に主としてお伺いしたいのでありますが、最近建設資材である骨材の需要が多くなって、その
関係について先般の
予算委員会の分科会で若干お伺いをしたのでありますが、骨材の中でいわゆる砕石による
公害がかなり多くなってまいりました。ついては採石法の改正をすべきではないか。特に同じ通産省の所管である砂利採取法は、二年前に御案内のとおり
公害防止の観点から全面改正になりました。
ところが、同じような骨材、しかも山という限定された
地域でも、砂利取るのと砕石取るのでは、
公害防止について格段の相違がある、そういうことであります。特に最近の骨材の傾向としては、
河川の砂利は枯渇してまいりました。そこで、おかあるいは山の砂利にたいへん手が伸びてきて、そのための
公害が今日でもたくさん起きております。四十年ごろから格段に発展してきておる。
そこで、先ほど申し上げたように、砂利採取法が改正になったのでありますが、その後この骨材の傾向を見ておりますのに、大体おか砂利というか、そういうものには限度が出てきた。そこで山砂利、それにも限度があるというので、いま私が申し上げたように山を掘って岩石を砕いて骨材にする、いわゆる砕石の需要というのが飛躍的に多くなってきた。でありますから、これは通産省の調べでありますが、これらによる災害を見ましても――これは古い資料であります、四十年から四十二年、大体砂利採取法の改正のときの資料であって、最近の資料を持っておりませんが、砕石による
公害というのはこの三年間に二百九件ある。現在ではもっとたくさんあると思うのです。これは倍くらいになっていると思う。砂利の
公害というのはどのくらいかというと六十八件ですね。これに対して大体三倍程度砕石のほうの
公害というのが出てきた。しかも、冒頭申し上げたように、採石法そのものは
公害防止の
法律では実はないのですね。これは鉱業法に見合った採石権の創設というか、物権たる採石権の創設を中心とした
法律でありまして、途中で
公害が出てきたので多少
公害防止の改正の条項を入れてきたという
法律であります。
そこで私は、てっぺんから申し上げたいのは、言うならばこの採石法は、できるならば二つに分割する。いま直ちに採石権の設定を否定するようなことではこれはたいへんな混乱もあるだろうし、問題があると思う。だから、いわゆる採石権の設定を中心にした採石法というのは、これは別個にしておいて、砕石によるところの砕石法ですね、これは砂利採取法に見合って
公害防止の観点から砕石法をつくってみたらどうか、こういうふうに一つは
考えているのであります。
それからもう一つ、もしもそれが不可能であるならば、さしあたり少なくとも砂利採取法と見合った採石法に改正をひとつ
考えてほしい、こういうことであります。でありますから、実際はあまりこれは
答弁が要らないのであります。やっていただきたいということです。
問題でありますからその幾つかについて、御
承知かと思うのでありますが申し上げてみます。もちろん通産事務当局の
答弁では、砂利採取法に見合ったような
公害防止の
措置要綱をきめてあるから、それで間に合うような
答弁をするんだと思いますが、これはできない相談だと私は思っておる。私はなぜそういうことを言うかというと、現場を見ているのです。現場を見ているし、現に私の地元で幾つかあります。もっとも採石場というのは茨城県だけで三百以上あるのです。その中にはもちろん、たとえばあの辺に特別に出る花こう岩、こういうものの採石場が多いと思うのです。しかし、これは災害はかなり少ない。ところが、いわゆる硬質砂岩である水成岩であるとか変成岩、そういうような硬質の砂岩を砕いてやる山、砕石の災害というのが一番ひどいのですね。その現場というのは、言うなら採石法によって着手する場合には届け出すればいいのです。届け出は通産局に届けるのです。
市町村、県、
関係ありません。通産局です。届け出をしますと、いまは
公害防止の観点から
措置要綱において
公害防止の方法書を出せということになっている。これは業者が地元の
関係の
市町村長の
意見書をつけて出すということになっておる。ところが、そういうものができていても、まだ許可にならないのに実際は山を掘って
公害をまき散らしているのです。これを押えるすべがないというのが実態であります。
そこで、まず一つ一つ幾つか申し上げますが、先ほ
ども申し上げたように、この採石法の目的は採石権の創設、そういうものが中心である。砂利採取法は、御
承知のように砂利採取に伴う災害を防止するというのが実体であります。そういう違いがあるのですから、現状には採石法はもう合わないのですね。
それから
規制の対象でありますが、これもかなり手ぬるいのであります。この砂利採取法では、直接災害がなくとも社会通念上大体因果
関係があるとすれば、いわゆるおそれあるとすれば、これは
規制の対象になる。ところが、採石法では、これはなかなか段取りが要りまして、そういう
規制の対象には少しもない。いわゆる実際に
公害の
発生の事実があって、しかも必要と認めたらばこれは
規制の対象になる。
公害の
発生のおそれじゃなくて、
公害の事実があって、しかも、これを
措置しなければならぬという必要があって初めてこの
規制の対象になる。だから、
法律を解釈していけば、あまりひっかかるものがないのですね。そういうのがある。
それからもう一つは、
規制の対象に、砂利採取法では砂利の洗浄が入ります。ところが採石の洗浄は、この中には、対象には入っていません。その他の
法律によりますが、その他の
法律によりますれば
規制水域がきめられます。ある限定されたもの、そういうものも比較してみてたいへん問題があると思うのです。
それにもう一つ大きな問題は、先ほ
ども申し上げたように何といっても砂利採取法では登録なんです。登録する場合には、御
承知のように採取計画の認可が必要なんです。採取計画の中には、業務主任という国家試験に合格した者の認定が必要なんですね。形としては非常にきびしくなっている。ところが、採石法では御
承知のように先ほど申し上げたように届け出をすればいい。いまは
措置要綱によって
公害防止の方法書を出せということをするだけであります。問題は、着手してからでは
公害を未然に防ぐというのはたいへん困難な事情にあります。これは砂利にしても砕石にしても同じだと思うのです。だから、始まる前にこれは万全を期さなければ、残念ながらうまくいかないのです。しかも、いま砂利採取法による
規制というか、
公害防止というのは、ほめた話をだいぶしましたが、そのほめた話の砂利採取法でさえ、大きな穴をあけたままで、
法律による埋め戻しの命令をしても、埋め戻しもしないままにいま大きな問題になっている
地域もたくさんあります。
法律できめてさえだめなんであります。きめてないのでありますから、これはもう何にも
規制がないと同じです。そういうことをまず第一に
考えていく必要があろう。
それからもう一つは、
地方自治体との
関係であります。
東京通産局というのがわれわれのほうの管内を監督する管庁であります。この中の採石法の係というのは、鉱山部の鉱政課の採石係という役人がたしか五人以下くらいでしょう。これが一都九県くらいの管内を全部見て回れるだろうかという問題、これは非常に問題だと思う。しかも、先ほど言ったように届け出だ、それで
法律上は着手してよろしい、そういうことになりますと、残念ながら
公害を真剣に防止するという
対策には、
法律の形の上からいってもこれは全然ざる法と言っていいと思うのです。こういう幾つかの点を
考えますれば、これらの点を網羅した改正案というのが今回開かれるところの特別
国会に出されてしかるべきだと私は思うのであります。これは全然強く触れなかったから、あるいは政府当局においても気がつかなかったかもしれませんけれ
ども、先ほど申し上げたように、すでに
予算国会の中で私は少しく触れておいたつもりであります。しかも砕石は、言うならば対象は山、自然ですから。しかもてまえ
どものほうには、もうすでに十年間やられて山がなくなったのがあります。山でなくなってしまった。とんがった山が、全然向こうが見えるようになった。しかも、骨材は要ります。骨材をどうして確保するかという問題と、破壊されれば再び帰ってこない自然と歴史はどうするのかという問題がここにもあると思うのです。これはこの前通産
大臣にも
お話し申し上げて御同感をいただいた点だと思います。だから骨材の確保について一つの
基準を設けて――新全総の中に自然を守るという一項目もあるようであります。あれは具体的にこういうものと
関連して早急に方法を立てる必要があると思うのですね。
いま申し上げたように、いずれにしてもさしあたり私が強調しておきたいのは、通産
大臣の所管の中に二つの
法律がある。ふしぎじゃないでしょうか。片方は砂利です、片方は砕石です。使い道は同じです。ところが、
公害に対する見方というものは全く雲泥の差がある。だから、これを補強するのに通産省は省議においてきめた
公害防止の
措置要綱なるものでやっているようでありますが、これはいささか便宜主義なやり方であります。やはり必要とあれば
法律できちんとしなければならぬだろうと思う。しかも、見落していけないのは、採石権の創設でありますから、当然のごとく、この
法律は採石をやろうとする者に対しては、土地収用法の特例まで認める
法律であります。ぼくらは何か矛盾を感じます。そういうものも整理してこの際改正をやっていく
考えはあるのかどうか。あまり
予算は要りません、役所の競合もあまりありません。ただ、あるとすれば、
地方自治体と政府との
関係が若干あるかもしれません。あとは通産省所管内での
法律の改正ができ得ると思うのですが、いかがでしょうか。