○山中国務
大臣 ヘドロはどこの所管かという、これは実は
公害対策の
関係閣僚
会議でも
佐藤経企庁長官から持ち出されまして、まあ所管という言い方が少しおかしいのですが、ヘドロは本来天然に長年蓄積された水底の堆積物でありましょうし、二千メートル以上の深い海底でも一応あるものである。しかし、いまわれわれがヘドロといって議論をしておるのは有毒、もしくは有機物を含んだそういう人工的につくり出されたものが堆積をして、天然ヘドロを汚染したり、さらに堆積の蓄積を重ねたりというものが、われわれ人類の居住環境、場合によっては生命に
影響を与えつつある、この問題をどうするかという問題だと思います。そういう
意味では、港湾内はこれは運輸省、河川、海岸等については建設省、内水面等の漁業権等の設定されておる水面の湖底等については水産庁という、いろいろとそれぞれ事業主体等によって分けられると思いますが、全般的にそのようなものは、全部のヘドロと申しますか、俗にいういま問題にしておるという
意味のヘドロということでこれから申し上げますが、そのヘドロ問題は、やはりその地区、あるいは汚染された
場所という問題でヘドロの問題提起の
内容が第一違いますから、それらの地区についてどのような処理をするかということにおいて、その主導権をとっていく主管庁が違ってくるであろう。そして、
関係官庁はそれに対して応援をする体制で、対策本部がそれをリードして調整していくということに
現実にはなろうかと
考えるわけであります。
なおまた、処理の方法の
一つに、埋め立ての土砂としてヘドロを吸い上げて使うということが一応いわれておる。これは
場所によってはたいへん有効な方法ではないかと思います。
東京湾でもそういう話が一応伝わっておりますし、北九州の洞海湾あたりでも、あの濁った海面の、二メートルに及ぶといわれる長年の蓄積された工場廃液等が累積していった堆積物、こういうものをやはり埋め立ての土砂として使って、その上にきれいな公園とか、あるいは森林
地帯——森林と申しますか緑
地帯、公園みたいなものをつくろうというような、いろいろな
計画があるようですけれども、これはまわりに囲いをしっかりして、そうしてきちんとした護岸みたいに外洋あるいは
関係水面を遮断をして、その中で処理をして、しかも処理の過程で硫化ガス等の有害物質の発生しないような手段を講じつつ、その中で乾燥していって、次第にそれをいろいろな都市の廃棄物その他と一緒にまぜながらほうり込んでいって、やがては一番上層に覆土をして、そうしてきれいな土として固まっていけば、しかもまた、そこに緑
地帯等ができて、公園等ができていけば、私は非常に簡単で有効な、海をきれいにするいい方法ではないかと思っておりますが、そういう手段がとれない
場所もあるし、とれない物質もあるように思います。これらのことは、全般論として、埋め立てに使用してもらって、そうして海の底がきれいになるものならば、たいへんやりやすい形式の
一つであろうというふうに思うわけでございます。
それから、弗素ガスの稲作その他に対する
大気汚染、土壌汚染等に
関連をしてのお話でございましょうが、具体的な案件そのものを
行政実施官庁でございませんので私よく知りませんが、私のいわゆる基本的なあり方という
立場からいえば、これは
一つは、原因者はだれであるか、加害者はだれであるかという問題の提起であろうと私は思います。これは現在法務省に純
法律理論、あるいは法執行の上の、具体的にそれが有効な法廷維持の手段として成り立ち得るか等の問題を
前提としながら、専門的に、法務省プロパーで立案を急いでもらっております
公害罪、あるいは挙証
責任の被害者立証主義転換ですね、だから過誤もしくは自己の故意、過失によってやったものでないというその証明を
自分自身がしなければならぬということの御
承知のとおりの法体系にしようというわけでありますけれども、これらは大体成案を得ていただいたようでありまして、今月中には法務
大臣と私との間で、その案でいけるかどうかについて、法務省の
立場を主にしてお伺いをいたしまして、いままでの
公害の万般の議論あるいは
公害対策関係閣僚
会議には、法務
大臣はその問題ができ上がるまでは御列席をいただいておりませんので、それらの
関係閣僚の
責任ある議論の過程を踏まえて私と法務
大臣と相談をいたしまして、あるいはもっときびしいものという感触をお伝えして練り直していただくかどうか、それらの相談を近くいたすことになっております。
一方、それらの現象によって、
自分たちはもう
土地への愛着あるいは居住地への愛着を断って去ろうという、人間としての最悪の、いわゆる
自分の住んでいるところを立ちのくという、そういう集落の移転等の問題については、これは
企業の費用負担の
法律というものを、今回、次の臨時国会に提出する準備をいま進めております。これはもう御
承知のように通産省の
産業構造
審議会の
公害対策部会の中間答申、厚生
大臣の私的諮問機関である
委員会の答申等がそれぞれございます。一長一短がございますが、その中で当然緑
地帯の設定から、こういう集落移転を余儀なくされる場合の費用負担等に至るまで、これは全部
法律で定めていくつもりでございますので、いまのところその
法律のできる前に立てかえるということになりますと、国の
段階でそれを立てかえたにしても、その
法律ができ上がったならば、それは
企業の負担に帰すべきものであった場合には、
企業からそれを取り返してもらうということにやはりしなければならぬと思いますが、それは融資の手段なり起債の手段なりが
考えられることになるだろうと思います。