○山中国務大臣 田子の浦に例をとって、施策が立ちおくれておるという傾向にあるのではないかという点は、率直に私はそのとおりであると思います。先ほどの建設省の下
水道課長の話を聞きましても、私が先ほど
答弁いたしましたことによっても、岳南排水路というものは、本来そういうような、
公害処理機能のためにつくったものではなかったのだということから、現在は
公害処理機能というものを備えないで、たれ流ししている排水路というふうに、議論は全く違った角度からなされておるわけでありますから、やはりこれは立ちおくれであることはいなめませんし、すでに長い期間、三十年前後の集約された製紙業界の排出するいわゆる廃液というものが、ヘドロの上に、さらに新しい有毒ヘドロとして沈でんしていくという現象が始まって長い時間を持っておるわけであります。やはりある
意味では確かに経企庁の水質基準の指定
地域の指定もまだなされておりません。立ちおくれは認めざるを得ないと思います。しかし、先ほどの島本君に説明をいたしました、本日きめました各項目の中で、経企庁の田子の浦だけが特掲して別に予算が組んでありますが、これはもうすでに使いまして、田子の浦の分は今月中に
作業が終わって、来月の一日をめどとして指定をするということにこぎつけましたので、あとは地方の
都道府県知事に全面的に
権限を
委譲するんだということを申しておりますから、この示された基準について、知事さんが積極的にやっていける、国のほうも、これに対してものを言い得る根拠がここに出てくるということになろうかと思いますが、いずれにしても、今日の状態まで、国として手を打っていないということは、幾らローカルの問題であっても、
公害として全政治の視野の面でとらえれば、これは反省しなければならぬ点だと
考えます。
なお、海洋投棄に関する御
質問でありますが、漁業者の方々はいかなる地点、いかなる距離であっても、場所であっても、これは認めないんだということをおっしゃっておられます。ただその前提に、
企業側が依然として出しっぱなしにしておきながら、そうして投棄は外洋だとか何とかいっても、それは受け付けぬという感触もあるようでございまして、なるべく
企業側の被害を受けるおそれのある漁業者、すでに受けておる
地域の漁業者の人々が納得できる
姿勢をやはり
企業側に示してもらうのが第一だと
考えます。
きのうは第一回の会合が持たれたのでありますが、私としては、あす知事さんもおいでになるということでありますが、知事さんのローカルにおける問題の処理の力を実は高く評価し、またそれをたよりにしたいと思っておりますが、自分の手に負えないんだといって投げ出してもらうと、知事に
権限を
委譲したあとがどうなるかという問題にもなる
一つの試金石だと
考えておりますが、幸い竹山知事さんは、私たち
国会議員の先輩でもございますし、政治的にも多年の経験を積んだ知事さんでございます。漁業者との
話し合い、
企業者の説得その他についても、私にまかしてくださいということを二度にわたって私に言明をいたしておられるわけでありまして、その点は御信頼を申し上げておるわけであります。しかし、漁業者の方々はどうしても直接山中にも会わせろということで、きのうおいでになりまして、その御意見も十分に承りました。でありますので、そのあと行なわれました直接の
企業者側との会談、もちろん副知事が立ち合ったといたしましても、私としてはどうも好ましくない会合の
持ち方だと実は思って見ておりましたが、やむを得ずもの別れということは予想できたわけでありますけれども、そのとおりになりました。
私としては、県のほうに漁業者の意向というものを十分に聞いていただきたい。あるいは
地域住民の意向、それも十分に何回も足を運んで意見を聞いてもらう。そして、一方において製紙業界を
中心とする産業界の意見もまた何べんも足を運んで聞いてもらって、逐次その間にお互いが県の知事さんを媒体としながら意見を詰めていく。その最終
段階で、両者が最後確認し合うために代表者を出して会うというような形が好ましいように私は思うのです。
御
承知のように、ロケットの紛争は私が小
委員長で処理いたしましたし、自分の体験から見ても、加害者と被害者とまともに議論をしてもらったのでは、とてもまとまる話もエキサイトしてしまってだめだと思うのです。その
意味で、さらにそこら辺詰めていく感触を知事さんにお願いしておりますが、それらの点も、漁民の方々が自分たちの生命線である漁場というものを死守するという気
持ちは、田子の浦地区の
静岡県漁連のみならず、それに関連のある
地域、もしくは日本鰹鮪組合連合会、全国漁業協同組合連合会、こういうところも非常な関心を示しておられることでもよくわかるところでありますから、今後それらの点を十分踏まえて漁業者の理解を取りつけるということに全力をあげるということにしたいと
考えます。
投棄場所は、もちろん漁業に関係のない場所を水産庁が選んで、距離も地点も示してくれるわけでありますから、その点は水産庁を信頼したいと
考えます。
さらに、今後の見通しでございますが、こまかな流入量、堆積量、あるいは
規制による排出の減、あるいは運搬船による海洋投棄による運び出しの数量、あるいは一部船だまりをヘドロ貯蔵池として使用するとか、いろいろな
検討がございますが、それらを総合いたしまして、田子の浦の機能の復活、海洋の状態を取り戻すという、最低の状態を切り抜けるという状態は、四十六年中には解決できる。しかし、いま立てておりまする施策は、これ以上に蓄積されない、これ以上悪化しないという条件をまず最初取り組んで果たしていこう。その後に逐次国の施策、県の施策と相まって、あるいは事業団等の積極的な
重点融資等とも相まって、
企業側、両者相まって四十六年中に港湾の機能が回復できる、これ以上に悪くならない条件を、すみやかにさらにりっぱにする条件に積み上げていくように努力をしておりますが、見通しとしては、四十六年中には何とかしたいということでございます。
それから立地の問題としてこれをとらえて
考えてみる必要があるということは、当然でございまして、あの広大なアメリカの大陸の中にたくさんの荒れ野がございます。あれだけの広大な陸地がありながらなおニクソン大統領の議会に対する勧告の文書を見ますと、立地条件、土地政策というものを重視しろ、これが前提だということを言っております。やはりその中に、荒れ野というものも当然レイアウトの対象にしろということを言っているようであります。私どもは、やはり学ぶべき点は学ばなければならぬ。ことに私たちの居住可能面積というものが、諸外国に比べてたいへん狭い環境下の日本の中において、いまおっしゃったように、
企業の集中したことによる発展という形態をとったわけでありますから、当然まとまった被害というものが一カ所に集中して起こる可能性が予測されるわけでありまして、今後
公害対策の大前提には、アメリカのあの広大な陸地ですら荒れ野を含めての土地政策というものをやはり前提に求めておることを念頭におきまして、建設省その他を
重点に置いて、日本の今後の長期的な
公害の防除については、産業立地の前提に立って、土地政策というものを十分に念頭に置いて、いわゆる産業立地の土地
計画というものを日本列島全体に、遠くは沖繩まで含めてよく
考えなければならないと思います。
ただ、それも
公害企業をいなかのほうにやって、あっちこっちで
公害を出せというような分散であってはなりませんので、それは当然のこと、これから先の新しく立地する
企業は、
公害を出さない状態において、しかも立地条件というものを念頭において配置していくということであろうと思います。