○土井
委員 いまのはわかりましたが、どうもお伺いしておりますと、企業側の
公害責任が、いわゆる
公害発生源は企業にあるということがはっきりしている場合、今日ただいま責任に対する追及がこれくらい強く叫ばれているときはないわけでございますのに、ややもすると企業側の営利ベースに乗っかって事を運ぶというふうなきらいがちらちら見えるように私は思うのです。先ほどおっしゃいました第一番目の御
回答の中にありますエンジンから
考えられるガソリンの内容、これから五カ年計画で進めていかれますオクタン価をお
考えになる場合にも、ひとつ企業者側の営利面に乗っかって
考えるのではなしに、き然たる態度でそれは臨んでいただかなければ、これは五カ年計画なんてとんでもない話なんで、私は一歩も前進はないと思うわけでございます。
一体
公害問題ということを
考えた場合に、いずれの立場で処することが
公害解決の道であるかということはおのずと明らかでございますから、営利側、企業側、経営側に立ってものをお
考えになるというふうなことがいささかでもございますなら、それはもう即刻根本から改めていただきたいと切に私はただいま申し上げたい気持ちでございます。
さて、それに続きまして、この企業の責任ということから
考えてまいりますと、現在
公害対策基本法という
法律の内容を見ました場合に、やはりこれは手直しが必要だと私は思うのです。先ほど馬木
委員もこの事柄について
関係して述べられましたが、実は
公害の発生源が企業側にあるという場合に、その
公害に対する
対策費として国が三分の一、地方公共団体三分の一、企業三分の一なんというふうな配分ではなくて、これは全面的に企業が費用を分担する、費用をまかなっていくというふうなことでなければならないと私は思うのです。そういうふうなことをはっきりと国の政治の中で打ち出す、そういうふうな方向で
行政を進められるということが、いわばこの
公害対策基本法の第四条にあるところの国の責任ではなかろうかと私は思います。この第四条では、御存じのごとくに「国は、
国民の健康を保護し、及び生活環境を保全する使命を有することにかんがみ、
公害の防止に関する
基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」というぐあいになっておるわけでございますから、そういう
関係から
考えまして、この
公害対策基本法というものの立法趣旨は、断じて企業者の営利面というふうなものに対してそれを保護するのではなくて、やはり住民の命と暮らしを保障するというところに根本の立場があるということを
考える以上は、この
基本法の第二十二条についてもやはり
改正をされるという余地があるのではないか。先ほど申し上げたこの二十二条の個所については、
公害の発生源が企業にあるということが明確である場合に、企業がこの
公害対策に費用を全面的に分担しなければならないという向きで
考え直す必要があるのではないかというふうに私は思うわけでございます。しかし、一歩進めまして、こういった
公害対策基本法に対する手直しであるとか、あるいは
環境基準に対する手直しであるとかを進めるだけで事足れりとはしないと私は思います。法万能のものの
考え方では、
法律が欠缺している場合あるいは
環境基準が不十分な場合、救われないのは
公害によって被害を受けている
国民自身でございますから、こういう問題を促進していこうとしましたら、やはり
公害対策に対してはき然として、
法律より以上に、これを予防する
対策に対しては徹底して講じていく、研究に対しては十分に進める、あるいは
環境基準より以上に
公害に対してはき然たる態度でこれを防止することに進むことが私は必要だと思うのです。そういう意味からじまして、私はこの三日間、このたびの
自動車の排気ガスから出ました
鉛害についていろいろ質問を進めてきたわけでございますが、肝心の
自動車についての
関係省庁でございます
運輸省、運輸
大臣に対しての御
出席を求めましたのに、ついに拝顔することができませんでした。ここにいらっしゃったのは隅田
整備部長だけでございます。私は、他の
厚生省なり、
通産省なり、
経済企画庁なり、それぞれの
省庁が、いまこのたいへんなときに、
新聞で日夜
自動車の排気ガスの
公害についてこれほど問題にされておりますときに、示される一連のこれに対する努力に比べまして、
運輸省のほうはまことにこの事柄に対する熱意が足りないと思うのでございます。そういうふうなことからいたしましても、どうも
各省庁の足並みもそろっておりませんし、第一、私開口一番聞きました無機鉛の人体に及ぼす実害はどういうものであるかということについても確たる統一した見解をついに聞くことはできませんでした。私はこの際、したがって
法律万能主義におちいらず、基準万能におちいらず、徹底して
公害に対する
対策、
公害予防に対する
対策、
公害研究に対する
対策、常に
公害に対する監視を怠らずにやるということ、それを
考えました場合に、この際
行政の窓口を一本化していく必要がどうしてもあるんじゃないかと思うのです。単に
行政改革をいたずらにすることによって事を進めようとすることは、私はやはり間違っているとは思いますけれ
ども、この際大所高所に立って全般的に見ました場合に、どうしても
行政の
公害に対処する窓口を一本化していくということが急務であるように
考えます。
厚生省のほうは御承知のとおりに今度は
公害局を新設したいというふうな
厚生大臣の六月九日付
新聞などの発表もございましたが、しかしこれは、
厚生省という一省が、省の中にこの
公害局という一部局を置かれるというに問題はすぎないと思うわけでございます。同様に、今度の
鉛害一つ取り上げても、警察、運輸、通産それぞれが
関係省庁としてはすぐに浮かび出るところなのでございますから、そういう総合的な、全般を取り扱ってこの
行政を一本化していくということは、どうしてもこの一つの例を見た場合にだって、今後強く
考えを打ち出さなければならない問題を提起しているように思います。
そこで私は、せっかくここに
経済企画庁長官がお見えでいらっしゃるわけでございますから、特に
経済企画庁長官にいまこの席でお尋ねしたいわけでございます。でき得れば
内閣総理大臣に御
出席をいただいて、
内閣総理大臣じきじきからこのことは私はお聞きしたいつもりでおりましたけれ
ども、ついに
内閣総理大臣も御
出席になりませんでした。また
閣僚についても、この問題についてはやはり御意見をたださなければならないと存じますが、きょうはひとつ
経済企画庁長官から、日本においてもひとつこのあたりで
公害省というものの設置を
考えてみてはというふうな声もちまたにございます。こういう問題についていかがお
考えでいらっしゃるか、ひとつ御意見をお伺いいたしたいと思います。