○小島
説明員 細谷先生の食品添加物に関する御
意見でありますが、私
どものほうの食品衛生法では第六条に、「人の健康を害う虞のない場合として厚生大臣が定める場合」に食品添加物の指定をいたしまして、そしてそれについて使用を認めるということになっております。また、その使用につきましては、基準を設けまして
制限をするような
方法になっておるわけでありまして、アメリカの場合と表現は違うわけでございますが、私
どもは安全ということをたてまえといたしまして指定を行ない、また使用基準というものを設定しておるわけでございまして、その精神においては変わりはないと考えておるわけでございます。
また発ガン性の、問題のデラニー条項でございますが、これにつきまして、アメリカのほうは法律に明文をもって載せておるわけでございますけれ
ども、私
どものほうは、食品添加物の指定の基準といたしまして、各種の毒性
データを食品衛生
調査会において
検討いたしました上で指定をしておるわけでございます。その際の許可基準というものも持っておるわけでございますが、その許可基準というものは国連のWHO及びFAOの専門家
委員会のこしらえました基準に従ってやっておるわけでございまして、その基準の中には発ガン性のあるものについては安全率を考える。つまり普通の場合には、動物に対する安全量というものの百分の一を人間の安全量と考えまして使用基準等をきめておるわけでございますが、動物によって発ガン性の認められるものにつきましては、そういった安全率を適用しないということになっております。われわれは結果におきましてはデラニー条項と同じことをやっておるわけでございますが、ただ食品衛生法の上にそういう明文がないという形でございます。ただこの審査基準は、私
どもとしては公にしておるものでございます。
それから、また先ほど
先生から、アメリカにおいてFDAが数千あるいは一万にも及ぶ添加物の総点検をやって、そういうものを廃止するということが新聞紙上で報道されたというお話がございましたが、これは一九五八年までは、アメリカにおきましては無害と考えられるものについては、添加物としては使用を認めるという一般的な規定もございまして、製造会社がそれぞれ責任をもちましていろいろな添加物を製造しておったわけでございます。日本の場合と違いまして、日本の場合には当時すでに指定制度をとって品目を非常に
制限しておったわけでございますが、アメリカではそのようなやり方をしておりましたために、非常にたくさんの添加物があったわけでございます。それが一九五八年に食品医薬品化粧品法の改正がございまして、そして日本と同じような指定制度をアメリカも採用することになったわけでございます。その際に、従来使っておりました非常にたくさんの添加物につきまして、二年以内に
データを出せ、そしてその
データを出したものから指定をしていくということで、リストをFDAがこしらえていったわけでございますが、その際に
データの提出のおくれたものにつきまして、猶予期間をだんだんに延ばしまして、実はそういうものがいまだに残っておるという
状態でございまして、アメリカにおける添加物のいろいろな協会が、自分たちで安全なもののリストをつくりまして、自主
規制のようなことをやっていたわけでございます。そういうものにつきまして、今回すべて整理するということのように聞いております。そういったわけでございまして、アメリカの場合と指定制度が変わっておって、幸いなことに品目を
制限してやってきたわけでございますが、私
どもとしては、アメリカの今回の処置というものにつきましても十分に
資料を取り寄せ、今後危険なものについては疑いが持たれました時点においてできるだけ早く排除する。またそういうものについては指定をしないという方針で十分慎重にやってまいりたいというふうに考えております。