○山中
国務大臣 与野党一致いたしておりまするのに、当該
大臣との間に紛争
処理がなされなかったということについておわびを申し上げます。私は、
中身の問題よりも
法律の形の問題を
考えたわけでございまして、
法律というものは、国が国民に対し、何を目的に、何をしようとするかということを定めなければならぬと思います。本法は、そのことがもちろん定めてあるわけでございますが、附則で、その定めたこと以外のことを
検討しろということが書かれますと、ここでは
国会の意思をいれたんだということで形はおかしくないようでありますが、成立可決の瞬間からこの
法律は全体として
法律になりますから、そうすると、
政府のやるべきことについて附則でさらにこんなことも
検討すると書いてありますと、だれがだれに対して何を——何ははっきりしておるわけですが、どうしてこんな
法律なんだということに、形の上で
法律としておかしくなるということであります。前例があるということでございましたが、私は、前例も悪例であるならばとる必要はないと
考えたわけであります。
そこで、私としては、ただ
法律のていさいだけで、
中身を議論しなかったかと言われると困るのでありまして、そうではないんで、担当の審議室長以下官房を集めまして、事務担当の副
長官ももちろん集めまして、このような
法律がどうしても与野党でつくられるというならば、むしろ三条機関並びに裁定機能を持たせる
法律につくりかえる、それを
国会のほうで入れてもらうということにできないだろうか。それならば、自衛隊の基地の問題を別にいたしましてはっきりするわけですから、思い切ってそれをはっきりさせたほうがいいと
考えまして、十分——二時間ほど議論をいたしましたが、いまの
段階で司法
制度を補おうという
立場で、私どもの
考えておりますこの法案から出て、さらに
行政府において最終結審に近い形の裁定を下していくということについては、どうしても私も踏み切れなかったわけです。そこで、踏み切れないならば、やむを得ずもとの線に戻りまして、せっかくの御提案であるけれども、私の
考えとしてはそれを受けることができませんというお答えをしたわけでございます。
いきさつはそのようなことでございますが、ついでに、ではどうするかという問題についてお答え申し上げておきますと、三条機関というのは公取等で非常にはっきりしておりますように、
政府の
一般行政の機構の外にありまして、
相当強力な権限を与えられることになるわけでございますから、現在あります三条機関を総ざらいして点検をいたしてみますと、土地
調整委員会というものがございます。土地
調整委員会は当初、鉱業権、砂利採取、その他の許認可に関しまして、主として農地等の他の公共の利益に対して紛争が生じた場合に、その所管
大臣が裁定をいたします際、決定以前に土地
調整委員会の意見を聞かなければならないということになっておるのであります。これは、この
処理件数を見ますと、実際にはあまり力はないようなんですけれども、こういうものが三条機関でいまありますから、そうすると、今後の、おそらく増大し多様化するであろう、しかも国民は、人間の
立場において日々追い詰められていくであろうと思われる
公害に対しまして、これを紛争
処理の権能を付与するのに、そのような土地
調整委員会等の既存の機関の換骨奪胎なり、あるいはさらに権限を付与するなり等の
考え方で、やがてはいずれこの裁定の——司法権そのものはできませんけれども、
行政上持ち得る権能の一ぱい一ぱいまで
考えていかなければならない日は、そう遠くないであろうという感触をいま持っております。でありますから、いつまでに裁定権を持った三条機関をつくるということを、いま直ちにこの時点では言えませんけれども、決して私も不用意に、
国会の皆さま方の御意見を無視する言動をしておるわけではございませんので、当然自分としては、それ以上の
考えを持っていかなければならない義務があると
考えまして、そのような
検討をこれからやっていきたいと思っております。