○佐藤(一)
国務大臣 いま
島本さんの御
指摘になりました点は、私も全く同感でございます。
率直に申しまして、
公害問題に対する認識というものがやはりだんだん変わってきておると思います。どっちかといいますと、やはり経済の成長というものを中心にして
考えられがちであったわけでありますけれ
ども、そうしてこの
公害問題というのはその裏側にあって、だんだんとひそやかに深刻さを増してきたわけであります。最近に至っては、先ほど御
指摘の国際
会議等に対しても、あれだけの大きな関心を呼んでまいっておるわけであります。
政府といたしましても、もちろん経済成長と同時に、この
公害問題はいわば不可分の
関係のものであるということで、結局、幾ら成長いたしましても、
公害問題が片づかなければこれは成長ではないのだ、こういう認識がだんだんと出てきておると思います。GNPの増加の数字を手にとるだけではだめである。そこから
公害についてのものを差し引かなければほんとうの成長とは言えない。GNPの数字だけでは
国民の福祉の指標たり得ない、こういうようなものの
考え方が最近いよいよ確立してきたと私は思っております。
政府といたしましても、もちろんその
考えのもとに、最近におきましては急速にこの施策を拡充強化をはかろうとしておる次第でございます。今回の
改正案の
提出もその一環でございますが、御存じのように
公害基本法に基づくいわゆる環境基準、
水質基準の設定等も急速にこれを行なってまいる、こういうことでいま私たちも一生懸命やっておるつもりであります。御
指摘のようにまさしく、特に河川の水というものは、あらゆる近代の生活のあかがそこへ入ってくる、こういうことでありますから、成長が進むにつれまして、なかなか、その
公害の対策というものがともすればおくれがちになるおそれがあります。これを、過去のおくれた
部分をさらに取り戻す、そして今後の分はもう絶対この
公害ということを抜きにしては、処置をしなければほかに対策は進めない、そういうような気持ちでいるところでございますから、私もただ
法律だけつくってよしとする気持ちではございません。
ただ率直に言いまして、御
指摘のありましたように企画庁がいわば調整役というようなことも兼ねて
水質についての所管をいたしております。水の行政というものは、御存じのように非常に複雑でありまして、それだけに企画庁としては各省と連絡を十分にとらなければなりません。そうしてまた、ただ
水質基準をきめただけではだめでありまして、いわゆる工場の排水規制にはそのための実体法がある。各種の実体法がございまして、これが各省の所管になっておりますし、また
地方団体との
関係もよほど緊密にやってまいらなければならない。最近は、
地方団体もずいぶんものの
考え方も違ってまいりまして、一ころはむしろ工場誘致のほうに力を注いでおったようなところが多かったのでありますが、最近は、それよりはやはり
公害をまず
考える、こういうふうに認識が非常に広く行き渡ってきたと思います。私たちもいま申し上げたような
考えで
関係方面と十分連絡をとって、そしてこの強化をはかってまいりたい、こう思っております。