○柴崎
説明員 お手元にお届けいたしました縦書き資料の「
昭和四十五年度の
通商産業省の
産業公害対策について」、この資料に基づきまして御
説明申し上げたいと思います。
先ほど
大臣がその
所信の中でも述べられたごとく、
公害問題と真剣に取り組みまして、
国民の健康を保護し、
生活環境の
保全をはかることによって、
国民生活の
質的充実に対処するということは、
産業政策を進める上にまことに重要な
課題でございますが、この実効を裏づける具体的な事業といたしまして
昭和四十五年度に
考えております事業の
内容は、一ページから二ページにございますように、
中小企業の
公害防止に対する
助成の
強化、
産業公害総合事前調査の
拡充等十一の項目に分かれて
考えられております。
これらの事業を裏づけます
予算案の額でございますが、三ページに総合的な表が掲げてございますが、一般会計と財政投
融資、
重油脱硫に対する
原油関税の軽減という三本の柱に分けてございまして、一般会計の中にはさらに一般
対策費、これが二億六千五百万円でございますが、これは主として
企業局の立地
公害部
関係の費用でございます。(ロ)の特別
対策費は一億一千八百万円でございます。これは主として
企業局立地
公害部以外の他局の特別
対策費を掲げてございます。(ハ)といたしまして、
技術開発費十億一千百万円が計上いたしてございますが、これは
工業技術院におきまして
技術開発のために要する費用でございます。(ニ)に地盤沈下
対策費という項目がございますが、これが十五億九千万円、これは地盤沈下
対策として工業用水道を建設する場合、その建設費に対する補助金でございまして、
東京都の城北地区と
千葉県の葛南地区の二つの
地域に対する
対策費でございます。
以上の一般会計の合計が二十九億八千四百万円でございます。前年度に対比いたしまして一・五八倍という倍率になっております。
財政投
融資関係は
公害防止事業団の事業、それから
開発銀行、
中小企業金融公庫、
国民金融公庫等を通じます
融資でございますが、総額は二百六十九億円にのぼりまして、前年度対比一・七倍。
重油脱硫に対する
原油関税軽減措置は、今回初めて実行される新しい政策に要する費用でございますが、金額といたしましては三十九億円。
以上を合計いたしまして三百三十七億八千四百万円ということで、前年度に比べますと一・九倍程度の金額が現在
予算案として
審議されておるという状況でございます。
以下順を追いまして、各項目の
内容につきまして御
説明申し上げたいと思います。
第一番目は、
中小企業の
公害防止に対する
助成の
強化でございますが、これは
産業公害相談事業と
中小企業金融公庫を通じます
融資と二つに分かれるわけでございますが、
産業公害相談事業は、
中小企業の
公害防止対策を
推進し、かつ
中小企業の親身の
相談相手になるような
機関をつくるということを
目標にいたしまして、
日本商工会議所及び
東京商工会議所など、十三の
商工会議所におきましてこの
相談相手になる機能を持たせるということで、国から事業を委託いたしまして遂行させたいというぐあいに
考えております。
中小企業金融公庫を通ずる
融資につきましては、
公害防止施設関係の
融資と、
工場移転関係の
融資と二つございますが、特に四十五年度からは、
工場移転関係の
融資が新設されまして七%の特利をもって実行されるということでございまして、金額は前年度の十億円から十五億円にふえておる。
第二の
産業公害総合事前調査の
拡充でございますが、これは従来からやっております
施策でございますが、四十年から四十四年までにすでに大気
関係で二十五カ所、水の
関係で十八カ所というものが具体的な
調査の対象になりましたが、四十五年度におきましては、大気で八カ所、海域で五カ所、河川で一カ所を対象にしております。特に海域の五カ所の中には、瀬戸内海の全域
水質汚濁防止予備調査という費目がございまして、いままでやっておりました各湾ごとの個別の
調査では瀬戸内海の問題は
解決しないということで、アメリカのカリフォルニア湾のモデルとか、あるいはデラウェア河口モデルとか、そういうものを参考にいたしまして、総合的な
予備調査を実行したいというぐあいに
考えておる次第でございます。
第三の、
産業廃棄物
処理対策の
推進でございますが、これは最近急激な勢いで
増加しております
産業廃棄物——一例をあげますと、スラッジ、廃油、スラグ、廃酸、廃アルカリというような物質が、
国民生活に相当大きな
影響を与えておるわけでございまして、しかし、その
実態調査もあまり完全な形では行なわれていない現状でございますので、これらを
中心といたしまして、
排出、処分等の
実態調査を早急にやろうということで、五百万円を計上しておるわけでございます。
第四の、
公害防止計画策定調査の
充実でございますが、これは
公害対策基本法に基づく
公害防止計画策定につきまして、
地方公共団体を
指導ずるための資料を得るための費用でございまして、具体的には、大都市の群小煙源が密集しておる地点の
調査、それから先ほど御
説明いたしました
産業公害事前
調査の中の大気
関係のアフターケアのための、電算機を利用いたしましたシミュレーションモデルの作成、さらに新しい仕事といたしまして、
水質関係のシミュレーションモデルの作成といった
内容を含んだものでございます。
第五の、
産業公害に対する
規制の
拡充でございますが、これは従来行なわれております
各種の
規制措置を継続、
拡充ずるという
内容でございますが、この中で新規に取り上げられたものを御
説明申し上げますと、七ページの二行目にございます
騒音、振動、悪臭
対策のうち、鍛造業の
騒音振動の
対策調査、それから
騒音の模型実験という費用が、実に約三百万円含まれております。次の
微量重金属対策、これも四十五年度から新しく取り上げられた
対策費でございまして、水銀あるいはカドミウム等いろいろ問題を起こしております
微量重金属につきまして、
調査対策を進めたいというぐあいに
考えておる次第でございます。
九ページ目の、(八)
産業廃水等の再生利用
調査の
充実という項目がございますが、これも来年度新しく取り上げる項目でございまして、今後急速に増大する
産業廃水、下水
処理水等を工業用水道の水源に利用して、
公共用水域の
水質保全という目的と、二者をねらいまして効果ある
対策を立てたいということで、その
調査費を計上しておるわけでございます。
事業の第六番目は、
公害防止施設等に対する
助成の
拡充強化でございますが、
公害防止事業団につきましては、
厚生省から御
説明がありましたので省略いたしまして、金融上の
助成措置といたしまして、新しく
公害防止機器リース事業の
助成ということを来年度から始めたいと
考えております。これは興銀、長銀の金融債を資金運用部で引き受けまして、その資金を原資として
防止機器の貸し付け
制度を行なう。金利はまだ確定しておりませんが、大体七・五%の金利を予定いたしまして、低利資金による
防止機器の普及、
拡充をはかるというねらいでございます。工業用水道への転換に対する日本
開発銀行
融資、これは従来やっておった事業をさらに
拡充するといった性格でございます。
地域冷暖房施設に対する日本
開発銀行
融資でございますが、これは来年度、四十五年度からの新しい事業でございまして、特に来年度は大阪
関係の事業を
目標にしたものでございます。
これらの
融資のほかに、税制面からの
助成措置というものも
考えておりまして、四十五年度は
粉じん防止施設につきまして、
特別償却、初年度三分の一の
特別償却を創設いたしますとともに、
固定資産税の非課税
措置を講ずるという点と、
重油脱硫施設につきましては、やはり初年度三分の一の
特別償却と、
固定資産税の適用期限の三カ年延長という
施策を実行することになっております。
第七の、
産業公害防止技術の
研究体制の
整備と
開発の
促進でございますが、金額は十億一千万円で、前年度に比べて伸び率はあまり大きくございませんが、これは特殊な事情がございまして、排煙脱硫に関する大型プロジェクトが四十四年度で終了いたしたために、かかる現象になっているわけでございますが、その
内容といたしましては、
重油の直接脱硫施設に対する大型プロジェクト、その他
自動車排気ガスあるいは
産業排水
処理の総合
研究というような
重点的な項目を効果的に実行しようということを
考えまして、十億一千万円を計上しているわけでございます。
第八の、低
硫黄化対策の
推進でございますが、
燃料の低硫黄化は、
大気汚染を
防止する上の
基本的な
対策でございまして、これに対しまして、
重油脱硫に対する関税
軽減措置、脱硫装置に対する日本
開発銀行
融資という二本の柱を建てまして対処しているわけでございますが、
重油脱硫に対する関税
軽減措置は、キロリットル当たり三百円、
昭和四十五年七月から
実施するということで、三十九億円が計上されております。脱硫装置に対する
開発銀行からの
融資でございますが、
産業公害ワク五十億円の中で見ることになっております。
排煙脱硫装置につきましては、これは新しいワクといたしまして
産業技術振興ワクというものを設けまして、特利六・五%ということで
重点的に
融資しようというぐあいに
考えております。
九の地盤沈下
防止対策でございますが、これは先ほど御
説明申し上げました工業用水道による地下水の転換事業、その工業用水道に対する補助金でございます。
第十の、工業立地
適正化の
推進でございますが、一般会計で四千万円、財政投
融資で約三十億円を
考えておりまして、立地
適正化、
公害のない新しい立地
計画というものの樹立に
努力いたしたいということをねらったわけでございます。
第十一の
対策が行政体制の
整備、
拡充でございますが、これは立地
公害部、
鉱山保安局等を整理統合して
公害保安局を設置するという
内容でございます。
以上御
説明申し上げました
内容は、終わりの四表に詳しく整理して載せてございますので、お読みとりいただきたいと思います。
以上でございます。