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1970-10-12 第63回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十二日(月曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 辻原 弘市君    理事 天野 光晴君 理事 細田 吉藏君    理事 斉藤 正男君 理事 合沢  栄君       小沢 一郎君    仮谷 忠男君       坂元 親男君    高鳥  修君       羽田野忠文君   三ツ林弥太郎君       吉田  実君  早稻田柳右エ門君       川俣健二郎君    川村 継義君       米田 東吾君    新井 彬之君       古寺  宏君    鈴切 康雄君       渡辺 武三君    津川 武一君  委員外出席者         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         食糧庁業務部長 中村健次郎君         中小企業庁計画         部長      斎藤 太一君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     勝目久二郎君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 棚橋  泰君         建設省河川局長 川崎 精一君     ————————————— 委員の異動 九月十六日  辞任         補欠選任   西中  清君     古寺  宏君   小宮 武喜君     鈴木  一君 十月十二日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     仮谷 忠男君 同日  辞任         補欠選任   仮谷 忠男君     田澤 吉郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  台風第九号及び第十号等による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 辻原弘市

    辻原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、新潟県における河川等災害復旧状況並びに雪による災害対策の諸問題調査のため、去る九月二十一日から二日間新潟県に委員派遣を行ないましたので、現地に派遣されました委員から報告を聴取いたします。天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 新潟県における河川等災害復旧状況並びに雪による災害対策の諸問題調査のため、議長の承認を得、去る九月二十一日から二日間新潟県に派遣されました派遣委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、委員長辻原弘市君、自由民主党の私、天野光晴日本社会党斉藤正男君、公明党の鈴切康雄君及び民社党の合沢栄君の五名で、ほかに地元選出議員多数の御参加を得、現地実情をつぶさに調査してまいりました。  まず、新潟県における河川等災害復旧状況について御報告いたします。  新潟加茂市及び田上地方は、昭和四十二年、四十四年及び四十五年と、過去四年間に三度にわたり集中豪雨に見舞われ、特に昨年八月には加茂市全市が浸水し、約百七十八億円にのぼる壊滅的被害を受けたのであります。これは信濃川支川加茂川下条川及び大皆川等のはんらんによるもので、これらの河川災害復旧と抜本的な改修は喫緊の急務として、本委員会において再三論議されていたものであります。  県当局説明によれば、昭和四十四年八月の被災直後からこれら河川の抜本的な改修計画を立案、加茂川につきましては、信越本線鉄橋から上流災害復旧助成事業により約二十四億円の予算で、下流約十八キロを中小河川改修事業により約六十八億円をもって抜本改修を行なうこととなり、本年度から施行し、さしあたり、昭和四十八年出水期までに計画高水流量毎秒五百トンを完成し、引き続き、毎秒千百トンとする拡幅工事を実施するとのことであります。また下条川につきましては、加茂長福寺地内に約十一億円の予定治水ダムを建設し、信濃川合流点から上流約六・七キロを災害復旧助成事業小規模河川改修事業等によって川幅拡幅を行ない、上・中・下流を含む抜本改修を行なうことになり、当面、信越本線鉄橋から上流災害復旧助成事業により、約六億一千万円の予算で、下流小規模河川改修事業により約二億五千万円の予算で、また、これより下流信濃川合流点までの間を、四十六年度より新規中小河川改修事業として改修を行なう予定とのことであります。すでに、加茂川においては、本年度から約一億円の予定河道の掘さくが始まっており、また加茂市では、用地先行買収のための起債について関係方面との折衝を行なっているとのことであります。  これらの河川災害復旧及び抜本改修における隘路は、加茂川等拡幅に伴う約五百戸、八百世帯移転と、信濃川合流点付近農地等買収の問題であります。加茂当局では、この住家移転について、代替地を用意、移転計画を作成しているものの、これが経費が約十三億七千万円の巨額にわたり、これを起債によってまかないたいとのことで、この起債が認められるかどうかが加茂川改修のかぎになっております。また、田上村では、加茂川保明橋右岸付近農地等約十八ヘクタールを中心とした農家五十五戸の代替地等で話し合いがつかず、用地買収が困難をきわめているとのことで、農民は祖先伝来の田畑を手放すについて将来の不安を感じ、国の手厚い施策を要求し、問題は単に補償金の額だけでは解決できない状態になっているとのことであります。  視察した黒水地区は、去年の集中豪雨により堤防が決壊し住家が流失、死者四名を出した地区でありますが、災害復旧助成事業で川を右岸側の山ぎわに変え、川幅拡幅する工事をほぼ完了しておりましたが、すぐ下流の未改修部分が狭くなったため、新たな危険が予想され、早急に全体的な改修必要性を痛感してまいりました。  加茂川信越本線鉄橋付近では、河川改修と並行して鉄橋改修が問題となっておりましたところですが、国鉄当局から、県側と協議しており、建設省改修計画とあわせて改修するとの説明を受けてまいりました。  加茂川保明橋付近は、加茂川信濃川に合流するところで、蛇行した河川が急に狭くなり、しかも直角に流れ込んで、出水時には加茂川の流れはせきとめられ、過去の災害は起こるべくして起こった観があります。このほか、保明橋右岸田上村の農地買収予定地下条川と信濃川との合流点等を視察、関係者から説明を聴取し、実情調査してまいりました。  県当局からは、加茂川下条川の施行年次の短縮と特別の国庫助成措置並びに現在小規模河川改修事業として施行している下条川の区間より下流信濃川合流点までの間を、昭和四十六年度より中小河川改修事業として新規に採用されたいとの要望があり、また、加茂市及び田上村当局からは、加茂川及び下条川水系の改修について予算増額及び住家移転用地買収等に要する経費について特別の措置を講じ、一日も早く改修されたい旨の強い要請を受けてまいりました。  これら県、市及び村当局からの要望事項に対しましては、国はかなう限りの施策を行なうべきであり、特に住家移転用地買収に要する経費については政府は特別の措置を講ずべきで、少なくとも起債に対してはその全額を認めるべきであります。また、これら事業早期実現は、何よりも住民の理解と協力にかかっていることを付言し、本問題に対する報告を終わります。  次に、雪による災害対策の諸問題について御報告申し上げます。  豪雪地帯は、その自然的、社会的な悪条件により、常に後進性を脱却し得ないまま今日に至っており、これが解決には恒常的な雪害防除対策が必要であります。本委員会においても、去る九月十一日雪害対策小委員会設置し、本格的にこの問題に取り組んでおります。  調査団は、新潟県当局及び関係者から、豪雪時の実情、現状の雪害対策問題点及び今後実施、強化すべき対策等について説明を聴取してまいりました。県当局説明によれば、同県の豪雪地帯では、例年、十二月中旬には本格的降雪が始まり、二月中旬には最高の積雪となり、四月下旬に消雪し、一年のうち約三分の一以上が雪に閉じ込められ、豪雪時の山間僻地では交通は途絶し、物資輸送はおろか、病人が出ても医者の治療も受けられず、あまつさえ死亡診断書をもらうため死体を町に搬出するという状態のところもあるとのことで、その生活には悲惨なものがあります。  昭和三十七年、豪雪地帯対策特別措置法の制定を契機に、政府豪雪地帯対策も本格化したものの、近時における著しい産業の発展生活様式の変化に伴って、雪害に関して早急に解決すべき問題が山積しており、これが抜本対策について、県当局から詳細な要望を受けてまいった次第であります。  以下、県当局からの要望事項のおもなものについて申し述べます。  まず、立法もしくは法令等の改正を要するものについてでありますが、第一に、積雪の特に著しい特別豪雪地域における道路交通確保に関する緊急措置法を制定されたいこと。  第二に、義務教育学校施設費国庫負担法を改正し、施設耐雪化を促進するため、施設設備に対する国庫負担率を三分の二に引き上げられたいこと。  第三に、学校教育法施行規則並びに公立義務教育学校学級編制及び教育職員定数の標準に関する法律を改正し、豪雪地帯特有寄宿舎入舎児童生徒生活指導を効率的に行なうため専任の舎監、寮母を設置できるようにすること。  第四に、明四十六年三月に失効する積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法をこの際総合的に再検討し、恒久的な立法措置をとられたいこと。  第五に、所得税法を改正し、所得控除として雪寒控除制度を設けられたいこと。また、地方税法を改正し、県民税市町村民税において、所得控除として雪寒控除制度を設けられたいこと。また、減価償却資産耐用年数等に関する省令を改正し、種雪地帯にある建物、特に木造建物耐用年数を短縮されたいこと。等であります。  次に、行政措置及び予算増額を要するものについて申し上げます。  第一に、冬期交通体系整備についてでありますが、道路改良舗装事業強化促進雪寒地域道路予算増額、消雪取水施設助成雪寒指定路線大幅追加指定市町村雪寒機械補助台数大幅拡大補助基本額引き上げ市町村道除雪費助成雪上車増配置更新措置等について特別の措置をとられたいこと等であります。  第二に、住民福祉関係についてでありますが、豪雪僻地勤務医師確保するため僻地等医療振興会の創設、僻地診療所整備費及び運営費に対する補助率を三分の二に引き上げること、災害救助法運用拡大し、日常生活に著しい支障を及ぼす除雪排雪を必要とする世帯には、その措置がとれるようにすること等であります。  第三に、学校施設関係等についてでありますが、耐雪化を促進するため鉄筋鉄骨化による構造比率引き上げ事業費拡大及び建築単価の改定、冬期間における給食用物資輸送費及び貯蔵施設設置について国庫補助制度新設されたいこと、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共施設除雪に要する費用の補助に関する特別措置法運用拡大し、豪雪指定基準局地豪雪にも適用できるよう指定基準を改正されたいとのこと等であります。  第四に、農林業関係についてでありますが、共同育苗センター設置に対し国庫補助制度を設けられたいこと、異常豪雪時の桑苗共同生産施設補助制度新設農業経営資金特別融資制度を設けられたいこと、農道舗装事業予算を重点的に配分されたいこと、雪起こし、根踏み、すそ枝払い等造林保育事業に対する国庫補助制度新設なだれ防止林造成事業予算大幅増額等であります。  そのほか、豪雪地帯指定基準に関する政令に基づく累年平均積雪積算値が特に大きい地帯特別豪雪地帯に指定し、予算上特別の配慮をされたいこと、また豪雪地帯対策のための調査研究機関強化及び新潟大学工学部付属雪氷工学研究施設強化等々について強い要望を受けてまいったのであります。  雪害対策につきましては、冬期道路交通確保、都市の耐雪機能強化豪雪山村における雪害の克服、諸税の軽減適正化科学技術上の研究開発の推進等々、国会及び政府が早急に解決しなければならない問題が山積しております。  県当局からの要望事項等を参考にして、現在、雪害対策小委員会において、これが対策を鋭意検討中でありますことを申し添え、今回の調査に御協力いただいた関係各位に敬意を表し、報告を終わります。(拍手)
  4. 辻原弘市

    辻原委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  5. 辻原弘市

    辻原委員長 次に、台風第九号及び第十号等による災害対策について調査を進めます。  まず、その後政府においてとった措置等概要について、政府当局から説明を聴取いたします。湊総務長官
  6. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお話がございました、過般の台風第九号及び十号等による災害について、その後とった措置概要を御報告申し上げたいと思います。  実は、過般数回にわたり当委員会においていろいろ御希望、御意見等がございまして、私どもも今回の取り扱いについて非常に努力をしてまいったつもりでありますが、過般の委員会において、九月十九日の閣議に決定できるようにひとつ骨を折れ、こういうお話もございまして、私どももその目安でやったのでございますが、作業はまさしく九月十八日に一応結論を見出しまして、政府部内において防災会議に対する手続等を含め決定をしたのでありますが、閣議手続上実はおくれて、一週間後の九月二十六日政令という形で公布施行したことを、まず、おわびかたがた報告申し上げたいと思います。  若干その事情について申し上げますと、第一番目には、過般の委員会においても申し上げておったのでありますが、従来、台風等単発災害取り扱いについては一本ごとに扱っていくというのが前例でございましたし、また、ダブルヘッダーのような形で継続して参りました台風等についても、そのいずれか一本だけで激甚対象になるような場合に、もう一つのものをつけ加えて合わして指定する、こういう前例はございますけれども、九号、十号という、一週間の幅を置いた台風を一括して一つ災害として指定するという前例は、実は過去においてなかったわけであります。それを何とかやりたいというので、幸い、その中間に八月十七、十八日と、台風影響による集中豪雨が、これはほとんど全国の各府県、おおむね三十くらいの都道府県にございましたので、それをつなぎにして、実は九号及び、その間にはさまった八月十七、十八日の災害、続いて起きた第十号、これを一括して取り扱うしかないというので作業を進めさせた次第であります。ところが、その三つを合わしても、実はある種の災害については激甚指定基準に達しないというふうな事情もございましたが、幸い取り扱い上、過般の委員会でも話がございましたが、「おおむね」何%というふうな規定もございましたので、その「おおむね」ということで、いま申しました三種類の災害一括対象にすることに話がきまったわけであります。  第二番目には、現地住民の皆さんの御期待にこたえるために、従来適用のなかった補助等もあわして、できる限り多くの適用対象の仕事をこの災害について行ない得るようにしたい、適用措置の範囲を広めて、なるべくたくさんの事業をこの際激甚という形でやりたい、こういうことがございまして、それを拾い出すのにかなり手間どった、こういう事情もあったわけでございまして、この機会にあわせて御了承をいただきたいと思います。  そこで、御承知のように激甚は二段の構造になっておりまして、まず災害そのものを指定する、その次に、その災害についてとるべき、適用すべき措置を指定する、こういう二段になっております。第一段については、ただいま申しましたように、九号と十号、その間にはさまる十七、十八両日にわたる台風影響による豪雨、これを合わして一本の激甚災害、こういうことにしたわけであります。  次に、とるべき措置としてきめました事項を申し上げますと、まず第一番目には、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、これは激甚法第二章。その次に、農地等災害復旧事業等に係る補助特別措置、いわゆる農地農業用施設等に対する措置であります。これは第五条の関係。次に、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例、これは第六条の関係。次に天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置特例、これはいわゆる天災融資法の発動に関する特例措置、第八条の関係。次に、共同利用小型漁船建造費補助、これは第十一条。次に、中小企業信用保険法による災害関係保証特例、これが第十二条。次に、中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間等特例、これが第十三条。次に、中小企業者に対する資金融通に関する特例、これが第十五条。次に、公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助、これが第十六条。次に、私立学校施設災害復旧事業に対する補助、これが第十七条。次に、日本私学振興財団業務特例、これが第十八条。その次に、市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担特例、これが第十九条。次に、母子福祉法による国の貸付けの特例、これが第二十条。次に、公共土木施設農地及び農業用施設等災害に係る地方債元利補給等、これが第二十四条。いままでの災害にはしばらくなかったように、以上申し上げるような各項目について適用を決定した次第であります。これに基づき、各省を督励して、鋭意措置をそれぞれ継続して現在進めさせております。  以上で、御報告を終わります。
  7. 辻原弘市

    辻原委員長 これにて政府当局からの説明を終わりました。     —————————————
  8. 辻原弘市

    辻原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細田吉藏君。
  9. 細田吉藏

    細田委員 ただいま湊副長官から御報告がございましたが、今回の九号、十号を中心激甚法適用につきまして、政府当局が、いまの制度では比較的早くやっていただいたと思います。特に副長官、非常にお骨折りをいただいたことを私、感謝いたしたいと思います。  そこで、今回、いまお話がありましたように非常に異例な措置をとられたということでありますが、これはたいへんけっこうな先例をおつくりいただいておるわけでございまして、こういう非常に御苦心になって適用されるということは、いまの制度自体、いまの基準自体検討しなければならぬという時期に来ておるということだと私は思うのであります。激甚法ができたいきさつ等については、私が強調申し上げるまでもありませんけれども、その後の状況を見ておりますと、もちろん社会事情がうんと変わっておりますから、私はこの辺で激甚法というものはもう一ぺん、特にあの基準については相当研究をしていただく必要がある、かように考えるものでございますが、その点についての副長官のお考えをお聞かせいただきたい。  もう一点、これはあとの質問に関連を持っておりますが、これは委員長にもお願いしなければならぬと思いますし、野党の各位にも御相談をしなければならぬと思うのでありますが、当災害対策委員会としましては、これまでいわゆる災害個人被害に対するいろいろな対策、これにつきましていろいろ小委員会等をつくって論議をしてまいったことはございます。天野理事が当時小委員長をして、非常に御努力いただいたこともございます。ところが、一向に進行いたしておりません。日本経済発展がこのようにたいへんなものになってまいっておりまするし、また、国民の所得というようなものもずいぶん上がってきておるわけでございます。そこで、十年一日と申しますか、いままでのように、いわゆる災害による個人被害をこうむった者が、不運だった、しかたがない、金融だけは何とかめんどうを見る、こういうことでいいかどうか、私はもういけない時代に来ておるのじゃないか。もちろんこれは、直ちに国の金を何が何でも全部出せとまでは私は言い切りませんけれども、これは保険の問題もありましょう。あるいは共済の制度もありましょう。第一、金融などについても、先般も指摘がありましたように、お百姓さんに対する金融中小企業者に対する金融と、これはたいへんな条件の相違がある。こういうことはもう放置できない状況まで来ておるのじゃないか、かように思うわけでございます。そのほかにも、いわゆる個人被害についてもっともっと考えていかなければならない点があると思うのでございまして、これは非常に大きな問題でございますから、きょうは問題の提起にとどめますが、ぜひひとつ当委員会としてもお取り上げをいただき、私ども与党の中でもいろいろ議論をしてまいらなければならぬ、かように思っておるわけでございます。  これらの点について、防災会議事務局である総理府として、きわめて一般的な問題としてどうお考えになっておるか。これは、いままでの方針から見ますとたいへんむずかしいことだと思うのです。しかし、むしろ率直にひとつ副長官にも意見をお聞かせいただき、それから委員長、ひとつ委員長の御覚悟というか御決意をお聞かせいただきたいと思います。  以上二つ、どうぞよろしく。
  10. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまたいへん広範な問題についておただしがございまして、副長官としての考えはどうだ、こういうことでございますから、そういうことも含めて申し上げたいと思いますが、先ほどからお話しのように、激甚災害指定基準一つとりましても、いろいろいまの事態にそぐわない点が多々ある、こういう点は、私ども率直に十分認識してございます。  そこで、私はこう思います。御承知のように最近公害問題が起きてまいりまして、公害に対する政府の全般的な取り組み及びそれの裏打ちになる公害対策の、特に公害防止ないし規制のためのいろいろな法律体系が、どうも個々ばらばらになっておる。だから、つい数年前、昭和四十二年に制定された公害対策基本法のその後の洗い直しを含めて、公害関係の諸立法、およそ二十ぐらいになると思いますが、これをこの機会に全部見直せというのが国会並びにおおむね世論の支持するところとなって、現在その作業を進めております。そうなりますと、昭和三十六年にできた災害対策基本法及びそれに基づくいわゆる激甚法、さらにそれに基づく激甚指定基準、これらについても御同様な問題があるかと思います。そういう点で私自身の気持ちとしては、災害対策基本法の根っこに戻って、いまの災害対策制度全体を見直すべきであると考えております。しかし、そう一ぺんに欲ばってもなかなか及ばぬ点もあるだろうし、公害の場合と違って、スタッフも二、三人のごく限られた人間しかおらぬという事情もこれあり、そこでいけるものからやろうというので、実はもうすでに検討は始めております。  問題点はたくさんございます。一つをいじれば他も関連する点もございますので、早急にいま問題点各省ごとに御検討——この点を建設省に御検討をわずらわしたい、この点を厚生省はひとつ頼むというふうなことで、いま各省ごと検討し、さらにそれを各省担当官会議にあげて総体的に検討する、こういう作業に実は入っておるわけでございますが、いまの段階で、その仕上がりはこういうものでございます、と申し上げる段階にはまだ至っておりません。ただいまの御趣旨に基づいて全力をあげたいと思いますが、同時に当委員会といたしましても、従来の例等もこれあり、そういう諸問題の洗い出し並びに私どもに対するいろいろな御助言等について、よろしく御配慮をお願いしたいと思っております。  なお、個人災害については、過般九月一日、防災の日に全国の各都道府県、村によっては悉皆調査という形で、特に最近の災害のはなはだしかった市町村中心に、さらに全国市町村長さんの御意見都道府県知事さんの御意見等も今月いっぱいにひとつ集約をして、十一月から検討に入ろう、こういうことになっておりますので、あわせて御返事申し上げたいと思います。
  11. 辻原弘市

    辻原委員長 細田委員委員長からお答えをいたしておきたいと思いますが、個人災害につきましての細田委員の御提言は、まことに時宜に適した御発言であると私も考えておりまして、特に今回、高知市における災害実情現地にわれわれが見ましたときに、最近の個人災害の様相というものの一つのモデル的な状況が顕著にあらわれておったという感を深くしたのであります。したがって、私としましては、長い間の当委員会にとりましての懸案事項であり、各党それぞれの立場で御検討していただいてきておる問題でありまするが、この機会に何とかひとつそれぞれの衆知を集めて、さっき細田委員からお話のありましたごとく、社会情勢の変化に対応できる一つの新しい措置としての個人災害補償制度というものを確立していきたい。そういうために何とか各党の御協力をこの上とも賜わりたい、かように委員長考えております。お答えをいたしておきたいと思います。
  12. 細田吉藏

    細田委員 委員長のたいへん力強い御発言で、これは私、ぜひお願いしたいと思うのでありますが、また理事会等で御相談をお願いしたいと思います。  私は去る九月十一日、当委員会におきまして若干の質問をいたしましたが、いわばペンディングというか調査中、今後努力したいというようなことになっております二、三点だけお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、斉藤(正)委員長代理着席〕  その一つは、農作物の被害に対する問題でございます。食糧庁業務部長が見えておりますが、十一日には中村部長から、御答弁がありましたが、目下調査中である、努力したい、こういうようなことでございました例の等外米の買い上げの問題でございます。  その後私どものほうの県などでは、それほどたくさん出ないのじゃないか、こういうふうな予想だったものが、取り入れをやってみますと意外に数量がふえる。よその県でもそういう事情があるのではないかと思いますが、たいへん被災農民は困っておられるのであります。今日のような米の事情下においていろいろな問題があろうかと思うのでありますが、その後食糧庁として、財政当局とも話し合いをしておられるようでございます。どういうふうにしていただけるのか、結果について御報告をいただきたい、かように思います。
  13. 中村健次郎

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  台風九号及び十号によって米作に被害を受け、等外米等の発生が著しいと見込まれます諸県につきましては、いろいろ調査をやってまいりまして、その結果をもちまして財政当局等と、これの買い入れにつきまして協議中でございましたが、原則的には政府買い入れを行なうということで合意に達しました。  なお、該当いたします県でございますとか買い入れます数量等につきましての細部の調整を目下実施いたしておりますので、これをなるべくすみやかに調整をいたしまして、買い入れのできるような手続を取り進めたい、かようにも考えております。
  14. 細田吉藏

    細田委員 調整中というけれども、県別や何かは別として、大体の数量はどの程度のことで考えておられるのか。大蔵との話し合いがあるでしょうが、農林省からの要求としてはどのくらいのことで考えておるのか。それから、価格をどれくらいで考えておられるのか。これもできたらきょう明らかにしていただきたいと思うのです。最終的にはこれできまっておらないということでもいいと思うのですけれども、大体の見当をできれば明らかにしていただきたいのですが、どうですか。
  15. 中村健次郎

    ○中村説明員 数量等でございますが、これにつきましては一応の調査をいたしまして、各県どの程度発生するかというふうな数字を詰めてまいっておりますけれども、この段階でこれが何トンになるかというふうなことは、今後県当局等とも十分打ち合わせた上でございませんと数量が固まらないという点がございますので、目下その打ち合わせを急いでおるところでございます。  価格につきましても、これは例年五等米を基準にいたしまして、財政負担等のつり合いのとれた価格で等外上あるいは規格外、その品質に応じた価格をきめてまいっております。   〔斉藤(正)委員長代理退席、委員長着席〕 そういったことで現在調整を急いでおるところでございまして、この席で、幾らになるということはまだ申し上げられないことは残念でございますが、ごかんべんを願いたいと思います。
  16. 細田吉藏

    細田委員 業務部長、たいへんくどいようですが、値段は前例があるわけですよ。それで、何円くらいまでは言わぬでもいいですが、前例とはどうですということくらいは何とか言えませんか。前例考えてよろしいですか。そうもいかぬだろうと思うんだがね。
  17. 中村健次郎

    ○中村説明員 前例がございまして、昨年は、等外上につきましては五等米の財政負担と同じ価格ということできめましたけれども、本年は、こういった食糧事情でもございますので、若干それよりも安くはなると思いますけれども、そうたいした違いはないと思います。
  18. 細田吉藏

    細田委員 きょうはその程度であれしておきますが、きょう大蔵、来ておるかどうか知らぬが、できるだけ食糧庁として、こういう事情でたいへん苦しいことはよくわかりますが、がんばっていただきたいと思う。これこそ一種の個人災害ですよ。これは私は、食糧管理特別会計じゃなくて、一般会計の予備費か何かから出すのがほんとうだと思うのですよ、災害ですから。ですから、さっき言った一般の問題とあわせてほんとうは解決してもらわなければならない問題なんですよ、本来からいえば。しかし、まあなかなか、そう言っても、財政当局は簡単にうんとは言いませんでしょうが、私は本質的にはそういうものだと思うので、いまの答弁、これ以上には伺いませんが、できるだけがんばっていただきたいと思います。  それから、数量についても実情をよく調査されて、ひとつ県別に十分めんどうを見ていただけるようにお願いしたい、こう思います。農林省、食糧庁は、私はそれだけであります。  あと、これも十一日にちょっと伺いましたわけですが、特に高知県の地方鉄道あるいはバスについて、いろいろ高知県の委員方から御質問があり、私も補足的に申し上げておいたんですが、どういうふうになったか、運輸省の御報告をいただきたいと思うのです。
  19. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 お答え申し上げます。  先般の委員会におきまして、高知県の土佐電気鉄道に対します災害補助関係につきましては、地方鉄道軌道整備法の規定に基づく災害補助をするという方針で財政当局と協議中でございます、というようにお答えを申し上げたわけでございますが、その後の経過について御報告申し上げます。  財政当局との間で、政府としては同法律に基づく災害補助をするという方針を定めまして、現地に係官等を派遣いたしまして調査を終わりまして、現在、同法令の規定に基づきます補助額を算定する作業を急いでおります。災害復旧という性質でございますので、なるべく早く交付決定をいたしたいということでその作業を急いでおるということでございますので、近々補助金の交付決定、引き続きまして交付そのものを行なうということにいたしております。
  20. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 バスの関係につきましてお答え申し上げます。  先回の委員会で、土佐電鉄及び高知県交通両社の車両等の被害につきまして、何らかの国としての措置がとれないかどうか積極的に検討をいたしますということを、局長から御答弁申し上げました。で、その後財政当局のほうと再三にわたりまして検討をいたしまして、大蔵当局も非常に積極的に御検討いただいたのでございますが、御存じのように、現在は法令上で、個人のバス事業者の災害に対しまして補助する規定がない、そういう関係から非常にむずかしいということでございました。ただ、そのまま放置するということもできませんので、いろいろ協議いたしました結果、現在、私ども運輸省が行なっております過疎地域におきますバスの補助がございまして、その中に車両を買いかえる場合の補助がございますが、その範囲内で措置ができないか。特に今回のは車両の被害が中心でございますので、その車両を買いかえる場合、この現在ございます補助金の中から優先的に支出するということで措置はできないかということになりまして、その旨を関係のバス事業者のほうに連絡を申し上げました。申請があった場合には優先的に、しかも早く支出をするということで話をいたしたわけでございますが、その後、水につかりましたバスは一応全部修理をして運行できるということでございまして、当面車両を買いかえるという予定がないということで、バス事業者のほうからも、今回についてはそういう意味で、せっかく運輸省のほうから話がございましたけれども、一応車両の代替の予定がないのでけっこうでございます、こういう話がございましたので、一応その線で話を終了したわけでございます。
  21. 細田吉藏

    細田委員 バスの関係は、昔はバスはもうかるものだということだったのだが、このごろは、バスはもう実に経営四苦八苦という状況で、特に過疎地帯のバスというものはたいへんな状況になっておる。赤字だからやめたいけれどもやめられないというような、経営の面から見れば——やめてもらっては困るわけですが……。したがって、全般の対策が非常におくれておる。これはぜひひとつ、いまの程度のことではだめなんで、根本的に解決してもらわなければならぬ。その際に、やはり災害対策制度として確立をしてもらわなければならぬ。つまり、昔のバス事業と今のバス事業は違いますからね、そういう点は申し上げるまでもないのだが、ひとつ運輸省で、この問題はあわせてさらに検討していただかなければならぬ、かように思います。  以上で質問を終わります。
  22. 辻原弘市

  23. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 湊副長官から、台風九号、十号に対する施策につき概略的な説明を伺ったわけでございます。その労を多とするものでありますが、私は、九月三日並びに十一日の当委員会の質問の中から、懸案事項と思われる点について一点だけ伺っておきたいと思うわけであります。  それは、愛媛県今治を中心とした中小企業の激甚法指定の問題であります。御承知のように、災害救助法適用しなければ激甚法の指定にならぬという法のたてまえから、愛媛県の中小企業の災害についてはむずかしい。しかし、山中長官の答弁によりましても、あるいは湊副長官の答弁によりましても、十分検討したい、こういうことでございました。その後、公共土木なりあるいは農地、農業用施設なりその他県における中小企業なりに対しましては、ほぼ適用がきまったというように伺っておりますけれども、この災害救助法適用されなかった愛媛県今治地区の中小企業に対しましては、激甚災害法の適用はどのようになっておるのか、まず伺いたいと思うわけであります。
  24. 湊徹郎

    湊説明員 詳細は中小企業庁のほうからお答え申し上げますが、ただいまの問題につきまして基本的に申しますと、普通災害の場合は、災害に対応するための一般的な対策法というのが根っこにありまして、この中の特に激甚なものについては二階建て式に激甚指定をする、こういうしかけになっております。中小企業の場合は、その一般の災害に対応する規定そのものがございませんで、ずばり激甚というかっこうでまいっている。そういう事情がありますので、基本的に考えれば、ちょうど天災融資の場合農業者に対すると同じように、根っこから実は災害対策の基本法制というものを整備しなければいかぬ、一応理屈の上ではそうなるわけであります。しかし、現実にはない。そこで次に、災害救助法という——本来これは住家の流失及び人命、身体に対する危害というものを前提にして指定することでございまして、中小企業というものと本質的なつながりは実際問題としてないわけであります。ただ便宜上、いま申し上げましたような事情もあったので、従来、災害救助法適用された地域を対象地域として、こういう措置を当てはめようというので適用してきたのでありますが、実際の実態はむしろ、災害救助法適用にはなったけれども、中小企業の措置がとられぬという御不満のほうがいままでは多かったのであります。  たまたま今回、今治地区の場合には全く逆の現象で、災害救助法適用しなかったために、適用したいと思っても措置がとれない、こういうことになったわけでございます。そこで、愛媛の知事さんに二度ほど実は電話連絡したり、おいでをいただいたりして御相談申し上げたんでありますが、知事さんとしては、やはり今治だけでなしに、同じ地域が実は県内に相当ある、それを一括同じ条件で取り扱っていきたいと思うので、今治だけという形で災害救助をあとから追っかけてかりに適用しても、県知事としてはちょっと困るんだ、そこで実は御辞退申し上げたい、こういうふうな最終意思表示がございましたので、私どもとしてはそれに準ずる——といいますと、たとえば利率や何かを六分五厘にするということはできませんけれども、しかし、いろいろな融資措置あるいは償還の猶予その他できるだけ中小企業庁としてもめんどうみていただくように、準ずる形でひとつ愛媛の場合は考えてほしい、こういうことを中小企業庁のほうに要望申し上げて、ただいま申し上げたような措置をとった次第でございます。
  25. 斎藤太一

    ○斎藤説明員 愛媛県の台風十号の災害に対します融資の状況でございますが、八月の二十四日に、政府関係の三つの中小企業金融機関に災害貸し付けを実施するように指示をいたしまして、それによりまして災害貸し付けが実施されております。  これは災害貸し付けとなりますと、普通の場合と違いますのは、まず貸し出しの限度を、たとえば中小企業金融公庫の場合五千万に切られておりますけれども災害貸し付けを六千万まで、一千万だけ貸し付け限度をこえて貸し付けて差しつかえないというふうにいたしております。それから貸し付け期間につきましても幅を持たせまして、通常は設備資金、五年間が一応貸し付けの期限になっておりますが、十年までの範囲で延長して差しつかえないということになっております。また担保等につきましても、普通、担保をとりますけれども災害関係貸し付けの場合、たとえば二百万までなら無担保でよろしいとかいったような弾力的な措置をとっております。また、すでに貸し付けております分の償還につきましても、二年を限度といたしまして償還期限を延長して差しつかえない。  こういうふうな、通常の金融と違いました便宜措置をとっておりまして、これに基づきます愛媛県下の貸し付け状況は、九月末までの実績でございますが、中小公庫が一億一千万円、国民公庫が四千万円、商工中金が二億円でございまして、合計三億五千万円になっております。なお、愛媛県全体で約十五億円ほどの貸し付けの希望がございますので、あとの残りの分につきましてはさらに十月以降貸し付けをいたすようにいたしたい、こういうように考えております。  激甚災害指定がありますと、さらにこの貸し付けのうちの百万円につきまして六分五厘、低利の貸し付けになります。激甚災害適用がございません場合は全部普通金利で、ただいま申しましたような便宜は計らいますが、一応金利は八分二厘ということになっておりまして、その金利の面だけが、百万円だけに限りまして差があるという点がございますが、この六分五厘のほうは、激甚災害の指定のあった区域に限るということになっておりますので、愛媛県の場合には適用になっておりません。ただ、それ以外の激甚災害に伴ういろいろな便宜措置は、全部愛媛県にも適用いたしております。
  26. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 一、二回知事に電話をかけたりあるいは来ていただいたりして、遡及指定はやめるので一様に扱っていただきたい、こういう地元からの話があってというお話もございました。私は、知事の考え方と罹災者の考え方、あるいは特に今治あるいは伊予三島、川之江等の住民考え方、あるいはその自治体の長の考え方とは若干ズレがある、特に罹災者と知事との考え方には大きな違いがあるんではないかというように思うわけであります。副長官、直接の担当者ではありませんけれども、この今治とかあるいは伊予三島市とか川之江市とか、そういう地域のあの被害は、副長官がお考えになって、災害救助法適用すべき被害であったのか、あるいはそれには及ばないというような被害であったのか、この辺は、直接の担当者ではありませんけれども、間接的な災害担当者としてどのようにお考えになっておりますか。
  27. 湊徹郎

    湊説明員 先ほど経過の中で申し上げましたように、実は知事との相談の際も、当然災害救助法適用いたしてしかるべき地域である、こういう前提でお話を申し上げたのでありますから、私としては適用して当然であったろうというふうに思います。
  28. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私も同様に考えて、いろいろな関係があって後日発令というようなことも不可能なので、その他の制度をフルに適用をして、災害救助法適用したとほぼ同じような対策を立ててほしいという要望であったようでありますけれども、副長官が当然救助法の適用被害だというようにお考えになっておるものを、現地では適用しなかったのですから、ここに一つ問題が明らかにされると思うわけであります。  それは別といたしましても、金利の点で、激甚法適用しなければ八分二厘だ、適用して百万までは六分五厘だ。この八分二厘適用——六分五厘そのものも決して安い金利ではない、ずいぶん高い金利だというように私は思うわけであります。したがって、先ほど細田委員からのお尋ねもありましたし要望もありましたけれども、これらはやはり抜本的に、他の制度との勘案もありますけれども、改めていかなければ、災害のための資金の融資だといいましても、借りた側からいたしますれば、また、その他の融資の関係からいきましても、中小企業関係は非常に高いというように思うわけでありますけれども、この点に対し中小企業庁はどのようにお考えになっているか伺いたい。
  29. 斎藤太一

    ○斎藤説明員 御承知のように政府系三金融機関、中小企業関係三つございまして、中小企業金融公庫と国民金融公庫と商工中金とございます。現在中小企業金融公庫、国民金融公庫の一番低利の貸し付けをやっておりますのが六分五厘でございまして、その一番安い金利を適用するということで現在はやっておるわけでございますが、農業関係と比べますと確かに高い面もございます。もっともこの農業のほうは非常に生業的な融資で、中小企業の場合は企業的な融資といったような違いはございますけれども、確かに農業よりは高いという事情はございます。なお今後とも検討を進めてまいりたいと存じます。
  30. 辻原弘市

    辻原委員長 関連して天野君。
  31. 天野光晴

    天野(光)委員 いま金利の問題が出たんですが、実はこの前の小委員会のときに、金利をとことんまでやったのですが、天災融資法のほうは三分五厘をようやく三分に下げたんです。いまの説明は、他の金融機関の最低の金利が六分五厘でありますから、六分五厘より下へやるわけにいかないという考え方、それ自体が間違っているんです。これは災害ですから、災害をこうむった者に国が高利貸し的な金を貸すという手はない。根本的に考え方が違うのです。救済するために融資をするので、ほんとうは無利子でいいと思うのです。  災害に対しては、この前も五分にするように、これは小委員会でずいぶん議論をしたんですが、たまたま私、途中で小委員をやめることになりまして、その三分五厘を三分にすることには成功したんですが、六分五厘を五分に下げることには成功していなかったわけであります。その当時の通産当局説明も、いま言ったように、他の金融機関が最低六分五厘だから、六分五厘以下に金利を下げるわけにいかないという考え方で、これをまず根本的に改めなきゃいけないと思うのです。  これは個人災害につながる重要な問題の一つでありますから、先ほど細田君からの御意見等もございまして、個人災害についても相当こまかいところまで検討をする必要があると思いますので、いまここで結論を出せと言ったところでとても出し切れないと思いますから、いずれ近い機会において、この問題にしぼって議論をするようにします。そのときにひとつ中小企業庁のほうでも——災害をこうむって商品が全部だめになった中小企業というよりも零細企業の者に、復興するための資金を融資するのに金利は六分五厘という手は、これはございません。ですから、そういう点で政府当局のほうでも、近いうちにこの問題について議論があるという考え方のもとに、政府等の内部における意思統一をひとつやっておくように希望しておきます。
  32. 湊徹郎

    湊説明員 この問題も相当長い議論の経過を持った問題でございまして、実際問題として、ただいま御議論があったことに、私も個人的には全く同感なんでございます。ただ、農業の場合は何せ年に一回ないしよくて二回転、一般の中小企業等の場合は回転率も高いという経営の実態の差もございましょうし、農業の場合は、実は背景に五兆円になんなんとするというような農協の資金がございまして、それに利子補給をつけるということで、原資そのものの措置についてわりあいに手がつけやすい、あとは利子補給の問題というふうな点もございましょうし、全体としての金利体系の問題もございましょうから、ただいま話があったように、私どもとしても今後全般的に検討することには、これは異議はございません。ただいまの御趣旨のようなことで、私どもとしても内部的に検討したいと思います。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私の言わんとするところを天野委員から御発言いただきましたので、九号、十号に対する災害対策につきましては、以上で終わらせていただきます。  ここで私は、全く違った問題でありますけれども、一点だけ、建設省川崎河川局長にお尋ねをいたしたいと思います。  それは、天龍水系大入川の上流に新豊根ダムというダムが建設されております。電源開発が行なっている発電計画でありますが、この新豊根ダムの建設にあたって建設省が積極的に、電源開発株式会社に対し設計変更を申し入れているということを伺っているわけでありますけれども、なぜ建設段階でこのような設計変更を申し入れたのか、そしてまた、その設計変更の内容はかいつまんでいかがなものであるのか、御説明をいただきたい。
  34. 川崎精一

    ○川崎説明員 ただいまお話しの電源開発の新豊根ダムでございますが、お話のように、現在いろいろ電源開発会社、それから愛知県、静岡県、それに私どものほうも含めて協議をいたしております。  御承知のように、電源開発会社の新豊根ダムにつきましては、昭和四十四年の十月に一応認可を受けまして事業を進めておったわけでございますが、その後いろいろ電力事情等を考慮いたしまして、さらに四十五年、本年の三月六日付で、そのダムの規模等は変わりませんけれども、取水量並びに出力等について変更がございまして、これを許可をいたしております。  これと一応並行いたしまして——御承知のように天龍の大千瀬川につきましては、浦川を中心にしまして四十三年の八月、それから昨年の八月と、連年相続いてかなりの災害を受けたわけでございます。したがいまして、大千瀬川の浦川周辺におきます現在の洪水量をわれわれは三千百トンぐらいということでいろいろ計画を進めておりましたし、また四十三年の災害につきましても、その程度の流量を安全に流すというようなことで災害復旧並びに改良のための助成事業、こういったものを現在進めておるわけでございます。その後、昨年にもまた水が出ましたので、いろいろやはり流量的に、以前に考えておったよりは安全度が少し低いのじゃないかということで、流量の再検討をいたしました。その結果、三千百トンと考えておりましたが、もう六、七百トン流量が多くなるのじゃなかろうかというようなことで、これをそれじゃどういうように解決するかという点がいろいろ問題でございましたが、たまたま、先ほど来申し上げました新豊根ダムはちょうど建設の途上でございまして、現在の段階では特に工事上の手戻りもございませんので、先ほど申し上げましたように、愛知県、静岡県等とも協議をいたしまして、特に静岡県のほうでは、浦川周辺の治水のことを考えるとぜひ豊根ダムを治水目的にもひとつ利用して、あの辺の治水上の対策に当ててもらえないかというような強い御要望もございました。で、現在いろいろ内容につきましては検討をいたしております。  したがいまして、四十六年度予算要求の段階で、これは通産省あるいは大蔵省等とも、財政措置あるいは電力の問題等がございますので、今後協議を進めていくことになるかと思いますが、私どもといたしましては、新豊根ダムというものを電気単独のダムではなくて、治水目的を持った多目的のダムとして今後建設していくように指導していきたいというように考えております。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 天龍水系の数あるダムのうちで、今回おくればせながら、初めて利水ダムの性格から治水ダムの性格をこの新豊根については持たせたいという配慮から設計変更を申し入れ、関係省庁とも連絡をとっておられるということで、けっこうなことだ、ぜひ実現をしていただきたいというように思うわけでありますけれども関係地元としましても、新豊根ダムの設置場所は愛知県であるし、その水の悪い影響を受けるのは静岡県だということで、行政区域も二県にまたがり、なかなか問題は多いと思うのでありますけれども、通産はもちろん、建設省の言い分に対し賛意を表していただけるということを確信をいたしておりますけれども、愛知県側の態度は一体いかがなものでございましょうか。同時に、大蔵当局はどういう考え方を持っておられるのでありましょうか。局長、おわかりでしたらお答えをいただきたい。
  36. 川崎精一

    ○川崎説明員 新豊根ダムは、いまお話のように非常に場所的にややこしいところでございまして、ほとんど全部愛知県でございますが、被害を受ける浦川は静岡県でございます。したがいまして、この事業をどういう形で実施するか、それから費用をだれが持つか、それから、あとあとの管理をどうするか、そういった点で非常に問題がございます。しかしながら、静岡県のほうで非常に強い御要望もございまして、近畿地方建設局等からいろいろ話し合いの中に入りまして、これは正式にまだ予算措置等もきまりませんので、具体的な取りきめにはなっておりませんけれども、地建の段階で打診いたしましたところでは、愛知県も協力をしたいというような話を承っております。したがいまして、これが通産省並びに財政当局等と話をいたしまして、事業の実施がきまりました段階で、正式にこまかい費用の負担の問題だとか、それからあとの実施の問題等については、私どもも極力円滑にいくように取りまとめる努力をいたしたい、こういうふうに考えております。  それからなお予算の見通しでございますが、これはちょっと何とも申し上げられませんけれども、私どもとしますと、できるだけこれを実現したいということで一生懸命努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 概要をお答えいただいて、大かた了解をいたしました。しかし、建設途上の設計変更ということは前例のないことだというようにも聞いておりますし、また、その設計変更に伴う経費の増等も十億を下らないというようにも聞いておるわけでございます。私どもも陰に陽にこれを支援をし、何としても実現をいただいて、天竜水系の住民が安心して生活ができるようなダムをぜひ新豊根につくっていただきたいというように思いますので、せっかくひとつ御勉強をいただきますように要望をして、私の質問を終わります。
  38. 辻原弘市

  39. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 すでに御存じのとおり、災害対策基本法防災行政関係法の根本法であり、その立法精神は、災害対策基本法第一条に明らかになっております。ところが、現行の災害関係法は大規模な災害応急復旧の措置に力点が置かれ、個人災害の救済については、今日まで種々議論をされ検討もされてまいりましたが、先ほども細田委員からお話がありましたように、積極的な個人救済の法的措置がとられていない現状であります。  災害対策基本法第九十七条において、激甚災害に対処するための立法その他必要な施策を講ずべきことを政府に義務づけた規定がなされ、激甚法立法され、激甚法に規定すべき事項については第九十九条に示されております。第九十九条三項には「激甚災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成」について規定するようになっております。小災害を含めて考えるわけでありますが、この点については、激甚法第三章、農林水産業に関する特別の助成、第四章、中小企業に関する特別の助成、第五章、その他の特別の財政援助及び助成等の措置が規定されていますが、一般的にいわれております被災者救済という本質的なものは条文化されていないのが現状であります。  第三十九国会の衆議院の地方行政委員会、参議院の地方行政委員会において、それぞれ附帯決議をつけて法案の可決をしております。すなわち、衆議院においては附帯決議「国及び地方公共団体の努力目標として被災者の援護を加えるものとする」、参議院の附帯決議には「災害対策については、特に国民生活の安定と民間施設の復旧につとめ、被災者援護に万全を期すること。」このように決議をされております。この附帯決議の条文よりすれば、単に農林水産、中小企業等にとどまらず、附帯決議の条文のままに、被災者援護に万全を期するとあるように、法的措置を前向きに検討されるべきであると私は思うのでありますが、ここで質問したいことは、当初災害対策基本法立法された際の第九十九条三項の法的解釈と見解、及び精神をどのように判断をされているか、その点をまずお聞きします。
  40. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまのお尋ねでございますが、災害について国と、あるいは県ないし市町村それぞれの自治体と、どういう形でそれぞれ対応措置を講ずるかという基本的な点は、小規模災害に対する対応措置起債を認め、また、それに対して元利補給の措置をとっておるごとく、小規模のものについては一次的には市町村等がお骨折りを願い、かつ、なかなか市町村だけの財政負担等でむずかしいような問題等については、これは二次的に県、さらに激甚ごとく国家的なあるいは国民経済に相当な影響ありというようなものについては、むしろ全面的に国が主体になってやる、そういう対応のしかたの順序というものを一応前提に置いて考えていく。それから、ただいまお話しの九十九条の「激甚災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成」等につきましても、たとえば天災融資制度あるいは先ほど御議論のあった中小企業対策、いずれも一種の個人災に対する対応のしかたでありますが、その生業に即して、仕事ができなくなっては困りますから、失われた生業の基盤をひとつ補てんしていくということでいろいろな融資制度考えておるし、同時に今度、生活に困ったということになりますと、これは例の生活保護その他の社会保障体系とのかね合い等もございますが、過般来議論がございましたように、特に一つの共済制度に乗るような形で、生活のどんじりまで下がった者についても何か救えるくふうはなかろうかということでいま検討しておる。基本的には、そういうふうな順序と体制で対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府はそのような考え方をしているということは、一つは、個人災害に対する根本的な救済措置が非常におくれているところに私は問題があろうかと思うのであります。本来の考え方、九十九条の三項の精神というのは、一般国民の被災者に対する特別の助成という考え方が正しいのであって、特定の業種のみに限定をするということは、衆参両院の、被災者の援護、国民生活の安定に万全を期さねばならぬというふうな附帯決議をされた精神に反する、私は、そのように思うのであります。ゆえに、そういう意味においては、やはり政府自体が個人災害に対してもう少し積極的な考え方、災害基本法に基づくところの精神をもう少し生かしていかなければならないのであって、特定業種にとどめるということはいけない問題である、私はそのように思うわけであります。いま総務副長官が言われたように、現在、総理府内閣総理大臣官房審議室で個人災害共済制度に関する意向調査が実施をされておる現状であります。個人災害共済制度については、ニュアンスの相違はあるにしても、個人災害について何とかしなければならないという方向に手をつけたということ、これは、私はそういう意味においては一歩前進として評価をしてもいいのではないか、そのように思っておりますが、本来ならば、災害対策基本法その他関係法の精神により、個人災害については全面救済を目標とすべきではないか、私はそのように思います。  きょうは、政府から出された個人災害共済制度調査の内容について二、三御質問をしたいと思うのであります。  まず、個人災害共済制度については、国民的規模の参加による実施が強く要望されるわけでありますが、今回の調査を大成功させる意味から、国民世論の支持を喚起する調査に関する広報、PR、趣旨の徹底がなされなければならないと思うのでありますが、具体的にはどのような行政指導がなされているか、その点についてお伺いします。
  42. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  個人災害共済制度調査の実施は国全体として大規模に行なうということで、ただいま先生御指摘のありました、その世論を喚起するということ、これについては努力したつもりでございます。調査は九月一日を基準としてやったわけでございますけれども都道府県調査を委託する直前におきまして、政府案を決定した際でございますが、各新聞、報道機関を通じてその趣旨を御説明いたしまして、これが新聞等に出ております。  それから第二点は、調査がよく行なわれるように全国市町村会、市会と町村会二つございますが、それぞれ全国市会、町村会の事務局のほうにその調査の趣旨を御説明いたしまして、その調査に協力を御依頼申し上げたわけでございます。  以上二つの措置をとりました。
  43. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 個人災害共済制度に関する意向調査に関するアンケートを私、読ませていただいたわけでありますけれども、まず全体的に、各種のアンケートの項目が非常に抽象的であります。そうして説明不足の感を免れないのであります。政府において検討される共済制度を具体化していくには、内容説明がきわめて不親切である。たとえていうならば、「個人災害共済制度調査について」という趣意書ですが、これを読んで十分理解できるか、私は全く疑問に思うのであります。  たとえていうならば、この中に「これらの災害による被害を予防し軽減するために、政府は、都道府県市町村と協力して、総合的な防災体制の確立につとめておりますが、特に大切な生命や身体に対する害について、手厚い措置がとれるよう次のような個人災害共済制度をつくることを究研しています。」こういうふうに書いてあるわけであります。これでは、まるきり政府自体が個人災害共済制度に対して、どちらかというとある程度措置がとられているような、そういう感を抱かざるを得ないのであります。たとえていうならば、この中にもし親切にこういう項目が入っているならば、私は、国民はおそらくさらに考えるであろうと思うのであります。「市町村と協力して、総合的な防災体制の確立につとめておりますが、残念ながら個人災害に対しては救済する道は十分だとはいえません」とか、「万が一の災害に対して」とか、あるいは「個人災害に対しては、法的には積極的に救済する道は今日まで開かれておりません。万が一の災害に対して」と、こういう項目がもしこの中に入っているならば、国民は、たいへんだ、やはりわれわれで何とか共済制度をもり立てていかなくちゃならない、そういうふうになるのは私は当然だと思う。あまりこの内容が不親切なので、その点について説明をお願いしたい。
  44. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  この調査のアンケートについては、できるだけわかりやすく理解していただけるように苦心いたしたわけでございますけれども、ただいま御指摘のありました点につきましては、裏を返せばまさにそのようなことでございます。そのような気持ちがここに出ていると思いまして、生命や身体に対する災害についでさらに手厚い措置がとられるようにという趣旨で、その裏は、現在そういうものについては共済制度といったようなことはとられていないということを含んで書いたつもりでございますが……。
  45. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに、いまここで論議をしているわれわれは災害対策特別委員のメンバーでありますから、あなたのおっしゃるように、そういう裏も十分に理解はできるのであります。ところが、国民一般、しかも瞬間的に災害を受けて、それから非常などん底に落ちていく国民が、このような、あなたのおっしゃるような裏を返して読まなければならないような不親切な個人災害共済制度の趣意書であって、私は結果的にいい結果が出ようはずがない、そのように思うのです。なぜ親切に表の分まで書いて、そして、こういう問題もありますが、さらに政府としては取り上げていくという姿勢を示さなかったか、そういう点について、私はさらにあなたに申し上げたいわけであります。  過日の委員会において、私が共済制度の内容をお聞きいたしました。そのときにあなたは、九月一日にこれを出します、十一月に回収をする予定になっておりますが、しかし内容についてはいろいろ研究をしております、ついては、できましたならば御意見等も伺いまして善処をしたいと、あなたは言ったじゃないですか。それに対して何にも意見も聞かないで、こういうふうに裏まで解釈しなければ意味の通じないような出し方については納得がいかないのですが、その点についてお伺いします。
  46. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先生、非常に調査の内容が不親切であるという御指摘でございまして、私ども非常に遺憾に思いますけれども、それが個人災害共済制度調査に熱がないということでは決してありません。これについては精力的に検討していきたい、このような基本姿勢は持っているつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
  47. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それから、もう一つでありますが、特に実施主体である市町村長都道府県知事のアンケートについては、政府側よりの財政援助等を含む前向きの姿勢が示されてこそ、実施への意欲が喚起されようかと思うのでございます。ところが内容は、依然として国民の自力復旧の原則について書いておりません。また、共済制度運営の責任は地方自治体に一任しているように、私は深く感ずるのであります。はたしてこのような政府の姿勢のもとに行なわれる調査で、共済制度実施へのみごとな方向づけができるかどうか、非常に私は疑わしく思っております。  一例をこの中にあげれば、市町村長用の意向調査の十番目に、掛け金を安くして市町村が見舞い金の一部を負担するほうがよいと思いますか、そのほうがよい、あるいは負担できない、わからない、こういうふうな内容がありますが、市町村長の立場からするならば、限られた地方財政のもとで、明らかに負担をしょい込む共済事業の実施にはたして賛同できるであろうか。かりに負担するようなことがあっても、その分は国が援助をします、このようなことを大前提として行なうべきではなかったであろうか。人間尊重、生命尊厳の基本理念として、災害にあった個人を救済するために積極的かつ意欲的に取り組んでいく姿勢がはたして政府にあるかどうか、その点が非常に疑わしいのでありますが、その点についてお伺いいたします。
  48. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  この共済制度の実施主体の問題でございますけれども、まず災害対策といたしまして、市町村都道府県、国、この三者が一体となって行なう。特に市町村住民の基礎的な公共団体として、まず第一次的にその住民対策をやっているわけでございますけれども、そうした現在の災害基本法のシステムと申しますか、そうしたことを考えまして、まずざっくばらんに市町村、それから府県の意向を聞こうという考えで、そのような質問事項になったわけでございます。現に一番最後に市町村、それから都道府県のアンケートについては、共済制度について忌憚のない一般的な意見を書いていただくように、そのような項目も設けております。現在市町村都道府県からは、まだ上がってきておりませんけれども、相当率直な意見が期待できるんじゃないか、このように考えております。
  49. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほども話がありましたが、災害対策の根本法である災害対策基本法立法精神にかんがみまして、国は「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する」、この災害という定義についても、災害対策基本法には「災害暴風、豪雨豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。」とあります。  最近の急激な都市化現象の中で、災害の内容も、規模ともに大きく質的な変化をしておるのが現状であります。今回のアンケートで示されたように、自然災害のみに限定し、範囲を狭めていくという行き方は、私はうしろ向きの印象が強いと思うのであります。そのような環境の中で、基本法第二条第一項第一号の「大規模な火事若しくは爆発」は、今後ますます重要な課題になってくると思われますが、何ゆえ見舞金支払いの対象から除外されているか、お伺いいたします。  基本法に「国民の生命、身体及び財産」とあるように、生命、身体は言うに及ばず、財産、すなわち住居、家財等に関する共済制度について、今後共済制度対象として考えられていくかどうか、その点についてもお伺いいたします。
  50. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  まず、共済の範囲に取り上げるべき災害の原因でございますが、今回のアンケートは、自然災害に限定して出しております。それで、火災とそれ以外の爆発といったようなことも、災害対策基本法災害と扱うことになっているわけでございますけれども、問題は、自然災害については、これは要するに第三者的な求償権といいますか、そういうことももちろんないわけでございまして、それを第一次的に救わなければならないのではないかということで、自然災害についてだけ限定したわけでございます。  それから、第二点の給付の内容でございますが、生命、身体、それから財産についても及ぼすべきではないかというような御指摘でございますけれども、それについては、まず何よりも大事な生命、身体についての救済措置考えなければならないということと、それから財産については、実は家屋総合保険といったような損保の制度も若干できているようでございます。それとのかね合いもありまして、まず何よりも大事な生命、身体、それに対象を今回は限定してアンケートの調査内容をつくった、このようなわけでございます。
  51. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうも納得がいかないのですが、たとえば自然災害から起こるところの関連災害というものは当然考えられるわけです。自然災害が起きたときに火災が起きた、あるいは爆発が起こったという場合は、それをどういうふうにお考えになっているのか。  それから災害の範囲の中に、片一方のアンケートのほうには山くずれ、がけくずれということが入っている。ところが、この趣意書のほうには山くずれ、がけくずれは入っていないんですね。こういう点においても、ほんとうに親切な気持ちがあるならば、やはり自然災害の一環として当然災害の範囲に、アンケートに盛られたものをここで趣意書の中にも講ずべきではないか。「山くずれ、がけくずれなどの自然災害」というふうにしてこれを規定しなければならないのに、そこのところが抜けているのですが、この点はどうなのか。以上の二点について……。
  52. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  まず第一点の問題でございますけれども、たとえば地震によって火災が発生して、そのために人命がそこなわれたという場合どうするかという問題でございますけれども、その直接の原因が地震という自然災害であるとすれば、それに起因する火災も当然含ましていいというふうに考えております。  それから、第二点の、がけくずれ、山くずれ等を趣意書のほうにも入れるべきではないかという御質問でございますが、この点まことに不親切な書き方で申しわけございませんけれども、当然豪雨とかそういったことによる山くずれ、それから地すべり、そういうことも含ましてある、豪雨の中に入っているというふうに考えましてつくったわけでございます。
  53. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 山くずれ、がけくずれは、必ずしも豪雨だけによって起こるとは限らないのであります。新潟のほうでは、要するにがけくずれ、山くずれが地盤のやわらかいところには自然に起こっているのであって、何も豪雨だけの問題ではないのでありましで、そういう点はやはり自然災害という中に、当然この趣意書に盛り込まなければならない問題ではなかったか、そのように思うのであります。ゆえに、そういう点も含めて、この個人災害共済制度調査については、簡便に国民にわからせなければならないけれども、これをもり立てていこうという政府のほんとうの姿勢があるのかどうか、私はこれを非常に疑いたくなるのであります。  次には、一般保険、生命保険あるいは火災保険、簡易保険、損害保険、こういうその他の社会保険との調整、たとえば国民年金との調整、労災保険との関係、公務員災害補償との関係についても前向きに検討されなければならないが、原則的にはどのような相関関係を持っておるのか、この点についてお伺いします。
  54. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 生命保険との関係が一番問題だと思いますけれども、生命保険につきましては、多額の掛け金を長期間にわたって保険料として払うというようなことで、国民としても、普及率等から考えまして、事災害のような事故について救済するということから考えますと不十分であろう。それで結局わずかな掛け金で、ある程度の給付金をもらう、そういう仕組みがこの災害救済の対策として一番望まれるであろう、このようなことで個人災害共済制度考えているわけでございます。生命保険の行き方と共済制度の行き方にそのような違いがあるわけでございます。  それから第二点は、損保関係の傷害保険でございますけれども、たとえば旅行保険とかその他の傷害保険制度も現在あるわけでございますけれども、これも掛け金がわりあいに高くて、一般の普及率ということから考えて非常に問題になるであろう。そこで、そのようなけがの場合には、同じようにできるだけ安い保険料、共済料でございますか、でもって非常の場合は救済できるというような方向を考えるべきだというようなことで、実はこの共済制度考えているわけでございます。
  55. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうもあなたのおっしゃることはさっぱりわからぬ。趣意書と同じようにさっぱり内容がわからないのですが、要するに、この共済制度というのは見舞い金制度じゃないですか。それであるならば、これはもう重複しても別ワクで支払いの処置を講ずべきが当然である。だから、そういうものには一切相関関係はない。すなわち、そういうふうな事態が起こったときには、共済制度だから払うのはあたりまえだ、こういうふうに私は理解しているのですが、その点はどうですか。
  56. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  本質的には、先生のおっしゃるように見舞い金制度であろう。しかも、あくまでも加入を前提としておりますので、その辺は共済関係でございますけれども、その気持ちとしてはやはり見舞い金制度であるわけでございまして、実害補てんといいますか、そういうものではない、このように理解しております。
  57. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、そういう保険に入っていようとも、こういう問題になったときに、共済制度で金をかけている以上は当然それだけのものを出す、こう理解していいですね。  それで、共済制度で一番問題になるのは、財源確保の問題と財政の規模でございます。このアンケートの中ではたびたび、共済制度なる災害の範囲の拡大、また見舞い金の引き上げについて、必ず、掛け金を高くしてでもという二者択一を迫っているところがございます。いずれにしでも、掛け金を高くするような方法は好ましくない。国あるいは場合によっては地方自治体においても、その分補助をしてあげなければならない。災害共済制度の確立というのは非常に大切ではないかと私は思うのですが、ここで政府案の考えておられるところの死亡見舞い金五十万円程度、けがの程度において二十万円以下という金額についての算定は何を基準にして行なわれているか。あくまでも被害者である国民より見て納得のいく制度の確立が望ましいわけでありますが、この点についてはどういうふうに考えておられるか。  また、加入者が死亡したときに五十万円程度、けがの程度において二十万円以下の金額というのは、あまりにも基準が低過ぎるのではないか。魅力のない内容に魅力のない見舞い金というのでは、国民にアピールすることはできない、そのように私は思うのでありますが、その点についてはどのようにお考えになっているか。
  58. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  五十万の基準、それからけがの場合における二十万の基準については、一応、現在市町村中心になりまして行なわれている交通共済事業がございますが、その交通共済を参考にいたしましてそのようにいたしたわけでございます。おっしゃるように、多ければ確かに魅力ある制度になるということは疑いないところでありますけれども、なお給付の財源の関係もあるものでございますから、一応現在の交通共済の例に準じてそのような額を設定してあるわけでございます。
  59. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 市町村長都道府県知事に対してのアンケートとして、制度を実施する意向を質問されておりますが、どうも質問の要旨がすっきりしていないわけであります。なぜならば、機関の設置、事務費等の運営に必要な諸経費について、たとえば国が全額補助をするとかその辺を明確にして、実施主体の自治体の実施意欲を喚起するような具体案を明示しなければ、私は促進できないと思うのです。先ほど、国民的な規模でやるところに意義があると申し上げたわけでありますが、窓口を広くするため、国は極力交付税その他の援助をしなくてはならないと思うのでありますが、実施すべき主体が市町村であり都道府県であっても、実際にはやはり国の強力な援助がなくては、その効果は期待できないのであります。  そこで政府として、個人災害共済制度の実効ある運用についてどのような具体的援助でもって臨まれるのか、その点についてお伺いいたします。
  60. 高橋盛雄

    ○高橋説明員 お答えいたします。  共済制度の仕組みにつきましては、先ほど申し上げましたように、市町村、県、そして国というこの三つの関係を調整してその組織を考えなければならないということでございますが、まず何よりも初めての調査なものでございますから、市町村、県がどのように率直にこれにこたえてくれるか、そうした調査がこのねらいの一つでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、そのための調査として、市町村ないし都道府県がこの問題についてどのように考えているか、ひとつフランクな意見を出していただくということも十分考慮して書いたつもりでございますので、まず自治体の率直な意見を知りたい、知ってよく検討していきたい、このように考えているわけでございます。
  61. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、それはあまりにも不親切なやり方じゃないかと思います。政府の腹は見せないで、とにかく都道府県並びに市町村の腹だけ見せてくれというふうなやり方、これではほんとうに市町村あるいは都道府県において、熱意ある回答を政府に持っていこうというわけにはいかないわけであります。あとでどういうふうな腹になるかわからないわけでありますから……。そういう点について、私はまことに、今度のこの共済制度調査についての趣旨というものには多くの問題があろうかと思うのであります。  しかし、最後に副長官にお聞きしたいわけでありますが、少なくとも今度の災害共済制度は、現行法において救われなかった個人災害に対してあたたかい手を伸ばそうという意味においては一歩前進だ、そのように私は思っております。個人災害の救済法を考える前提ともなる重要な問題も含まれているのではないかと思いますが、しかし、先ほどから私が幾多の問題を提起いたしまして、こういうふうな内容をもって調査をされた結果というものは、意識調査というものは、必ずしも政府が期待をしているようなそういう内容になってこないのではないかと、私は非常に懸念をするのであります。そこで政府として、やはり個人災害という問題については今日まで相当論議もされ、救済をしなければならないという観点から、たとえそれがどのような意識調査になろうとも、前向きにこの問題を取り上げていかれるかどうか、御決意をお伺いいたしまして質問を終了します。
  62. 湊徹郎

    湊説明員 先ほどからの御意見を伺っておりまして、まことに理論的にはおっしゃるとおりであろうと思います。私どもといたしましては、この種の個人災害について大局的にどういうふうに判断しようか、実は率直な話、なかなか目安がございませんので、今度の調査を通じてひとつはっきりした大きな方向をつかみたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、再々の委員会においても申し上げたのでございますが、実は交通事故の問題が、最近のこの種災害としては一番多うございます。去年一万六千人の死者、負傷者だけで九十七万名、合わせて百万名になろう。これについて現在全国でおとりになっておる交通共済、市町村中心でやっておりますが、これは加入率二割くらいの実態でございますし、最近の傾向として明らかなのは火災でありますが、これが実は終戦直後あたりは、大体一年間に全国で四百人ぐらいであったのが、逐年、一、二の例外はありますけれども、これだけはもう文句なしに傾向としてふえてまいっておりまして、昨年は千三百人に達した、こういう例もございますし、それから水死、これなんか、かってに遊びに行ったんじゃといえばそうかもしれませんが、やはり幼き生命が失われたという点については大きな社会問題であろうと思うのでありますが、この水死というのは毎年大体三千ないし三千五百名の死者で、時期もそれから傾向も、これは安定してというと語弊がございますが、ずっと続いておる。  それから、この災害について地域ごとに調べてみますと、農業共済において非常に問題になっておりますように、災害をほとんど受けたことのない地帯というのが全国にございますが、自然災害等になるとその傾向はなおひどうございます。簡単に申せば、東北でいえば、青森が一番頻度が高うございます。それから関東、甲信越で申せば長野、それから新潟、近畿のほうに行きますと兵庫、それから中・四国では高知、九州では宮崎、鹿児島、長崎、実は戦前からそうでありますが、地域的に災害というのが農業災害以上に非常に片寄っておる。そして、特に死者や何かの統計を見ますと、山くずれとか何かでもって、かなり局地的に集中している傾向が歴然であります。  それだけに、一般の災害制度の持ち込み方というのが、私も農業者年金制度あるいは農業共済制度、いささかタッチして承知しておるのでありますが、一般の国民の皆さんの受け取り方というものを頭に置いて、しかもこの地域的な偏在の度合い等を考えたときに、ある項目については、一般的に全国民に訴えるということも必要だけれども、しかし特殊なものについては、やっぱり特殊地帯に限定してほんとうの話を聞かなければなるまい。だから、形の上の調査と別に、そういう全国の県知事さんあるいは市町村長さん等にお集まりを願って、そこら辺の打ち割った相談をする必要がある。だから、そういうことをやりながら全体としてこれを成功させるような表の調査と、裏の調査というと語弊がありますが、そういう実態把握と並行してひとつこれを進めなさい、こう私はいままで指示をしてまいっておりますし、その種の会合も実は二、三回、調査の前後にいたしております。  そういう点を踏まえて、この制度全体についてとにかくやろうということで、調査費も計上し、再々の委員会においてもいろいろ御算見があったわけでございますので、そういうことでひとつ何とかはっきりしたものをつくり上げるように努力をしていきたいと思います。
  63. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要望です。先ほど、交通災害共済制度は加入率が低い、こういうお話でありました。私は災害共済制度も、そういう意味においてはやはり同じような反応しかあらわれないではないかと実は心配するわけであります。しかし、災害というものは実際に瞬間的にやってくる問題であり、また、それは瞬間にして死というものの現実を呼び起こす場合があるわけであります。そういう点において、災害を受けていない人においては何ら災害という恐怖は感じないわけであります。また交通の問題においても、だれしも車に乗っている人は、おそらく交通事故にあおうなんということは思っていないでしょう。あるいは、死というものを考えている人は一人もいないと思います。しかし、それが今日のように、交通事故において相当多数の人が死んでいるという現実、私はやはりそういう意味においては、この災害共済というものを何としても個人的な面にも伸ばしていく、政府としてそれも踏んまえて取り上げていかなければならない。その点を私は要望して、質問を終わります。
  64. 辻原弘市

    辻原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後雰時二十八分散会