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1970-08-10 第63回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年八月十日(月曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 辻原 弘市君    理事 天野 光晴君 理事 細田 吉藏君    理事 斉藤 正男君 理事 小濱 新次君    理事 合沢  栄君       小澤 太郎君    坂元 親男君       高鳥  修君    羽田  孜君       羽田野忠文君    浜田 幸一君      三ツ林弥太郎君    吉田  実君     早稻田柳右エ門君    川俣健二郎君       川村 継義君    小林  進君       米田 東吾君    新井 彬之君       鈴切 康雄君    西中  清君       小宮 武喜君    津川 武一君  委員外出席者         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         警察庁交通局交         通規制課長   竹岡 勝美君         警察庁警備局警         備課長     赤木 泰二君         厚生省公衆衛生         局防疫課長   石丸 隆治君         厚生省社会局施         設課長     吉村  仁君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         中小企業庁計画         部長      斎藤 太一君         中小企業庁計画         部金融課長   高橋  清君         気象庁長官   吉武 素二君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         建設省計画局宅         地部長     朝日 邦夫君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局国         道第一課長   菊池 三男君         自治大臣官房調         査官      成田 一郎君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道施         設局土木課長  久保村圭助君     ――――――――――――― 委員の異動 七月八日  辞任         補欠選任   津川 武一君     林  百郎君 八月四日  辞任         補欠選任   林  百郎君     津川 武一君 同月十日  辞任         補欠選任   古内 広雄君     浜田 幸一君   木原  実君     川村 継義君   安井 吉典君     小林  進君 同日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     古内 広雄君   小林  進君     安井 吉典君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十五年六月及び七月の梅雨前線豪雨等に  よる災害対策      ――――◇―――――
  2. 辻原弘市

    辻原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十五年六月及び七月の梅雨前線豪雨等による災害対策について調査を進めます。  まず、その後政府においてとった措置など対策の概要並びにその後に発生いたしました災害について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長官湊徹郎君。
  3. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお話がございました、本年度の今日までに至るおもな災害等について政府の講じた措置並びに最近の災害状況等について、この機会に御報告申し上げたいと思います。  過般来の委員会において数々の問題点が出されたわけでありますが、まず、ことしの四月からかなり長い期間にわたって七月中旬まで、長雨等による災害全国各地に発生をいたしておりました。それらについて激甚災害指定、及び指定された激甚災害について適用すべき措置指定する政令等の制定を急いでおったわけでありますが、去る八月三日、激甚災害指定すると同時に、これに対してとるべき措置指定する政令を公布したわけであります。従来の例でございますと、気象条件等によってある程度一まとめにできる災害は、なるべく一括して取り扱う、こういう慣例でずっとやってまいったのでありますが、四月から七月という相当長期間、三カ月余にわたる期間を一括して災害として取り扱うという例は、いままでなかったわけでございまして、この辺は、各委員の熱心な御審議並びに政府部内における協力によってこういう措置がとられたことを、まず第一番目に御報告申し上げたいと思います。  内部について申し上げますと、まず四月から七月中旬まで、これはいろいろな態様の災害があったわけでありますが、長雨等による災害について農作物に対する被害、これは麦あるいは蔬菜、場所によっては果樹というふうな被害があったわけでありまして、この長雨による農作物等被害に対して天災融資法の発動が決定されたわけであります。この災害を、同時に、先ほど申しましたように激甚災害法上の激甚災害、こういうかっこうで、天災融資法とともに同時指定されたわけでございます。  次には、六月の十日から七月の十八日までの継続した豪雨による農地農業用施設被害、これにつきましても、激甚災害指定基準に達しましたので、この政令によって、六月十日から七月十八日に至る豪雨による災害激甚災害として指定し、同時に、これに対してとるべき措置をあわせて指定した次第でございます。  最後に、中小企業関係でございますが、これは被害額一般基準に達しなかったわけでありますけれども、特に七月一日に千葉県における豪雨によって集中的な局部被害を受けた市町村のうち、局地激甚災害指定基準に達する市町村が出てまいりましたので、同じ八月三日付で、七月一日の豪雨による市原市等の区域にかかる災害激甚災害として指定をして、これに対し適用すべき措置指定する政令を公布したわけであります。  次に、これらの激甚災害に対して適用すべき措置として決定いたしました内容を申し上げますと、まず第一番目には、四月から七月中旬までの長雨等による災害等につきましては、御承知の、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置特例、いわゆる天災融資、並びに農地等災害復旧事業等に係る補助の特例、及び農地農業用施設等の小災害に係る地方債元利補給等措置、以上の措置が中身になっております。  また、先ほど申し上げました七月一日の千葉県の豪雨による市原市等の区域にかかる災害につきましては、中小企業信用保険法による災害関係保証特例措置並びに中小企業近代化資金等助成法による貸付金償還期間特例措置及び中小企業者に対する資金融通に関する特例措置、これがその内容となっておるわけでございます。  なお、その後の災害等について若干申し上げますと、愛知県等における災害が最近発生したのでありますが、これは去る七月二十日、東海地方大雨があったわけであります。  これは、その前日の七月二十九日、奄美大島の西のほうの海上に弱い熱帯気圧があって、それが三十日の朝、九州の南の海上において台風第六号となったのでありますが、幸いこの台風第六号は、同日夕刻には衰えて、弱い熱帯性の低気圧となって消滅したわけであります。  ところが、この台風の刺激を受けまして中部日本では、東海地方中心に強い雨が降ったわけでございます。二十九日の夜からかみなりを伴う強雨となって、局地的に三時間の雨量が百ミリをこえる、こういう大雨になったわけであります。総体の雨量は百ミリないし二百ミリ、場所によっては、山間部等は三百ミリをこえたところもありましたが、おもな地点雨量としては、例のダムのある佐久間地点、これが一番多うございまして二百九十九ミリ、静岡は百三十五、名古屋が百二十四、こういうふうな降雨状況であったわけであります。  この大雨による被害について申し上げますと、一般被害といたしましては死者四名、そのうち二名はがけくずれ、それから一名は、先ほど申しましたようにかみなりを伴ったために、落雷による死者、他の一名は別な理由のようであります。負傷者が二名、床上浸水が六千三百二十七棟、床下浸水が三万五千五百七十二棟、罹災者数が一万八千九百八十五名、施設関係等被害といたしましては、公共土木関係施設が約六億円、その他農林関係、学校関係等合わせて約四千万円というふうな状況になっております。  この大雨によりまして特に被害の大きかったのは名古屋市の南部のほうでありまして、瑞穂区、緑区、南区、港区、この四つの区に対しては災害救助法を適用して、被災者の収容、食糧の供与、被服、寝具その他生活必需品の支給を、前例によって実施したわけであります。  そのほか、八月一日には北海道旭川における集中豪雨災害がございまして、旭川市で二百ミリをこえ、上川町で百八十ミリ、こういう降雨がございまして、これは幸い死者はございませんでしたが、重軽傷をされた方が五人、家屋の全壊が九棟、半壊十三棟、床上浸水が千二百三十五棟、床下浸水が七千四百五十四棟、施設関係被害としては、公共土木施設その他含めて約十五億円程度であります。これについても、災害救助法旭川市、上川町に適用をしておる状況でございます。  続いて八月六日、ごく最近でありますが、栃木県、群馬県、これは非常にこの種災害の例年発生する地帯でありますが、たつまき、降ひょうによる被害がございました。一般被害としては、これも負傷者が四名、全壊二戸、一部損壊四十四戸。農作物被害は、これはごく最近のことでありますので、県の報告があったものをなまで申しますと、約四億円、こういうふうな状態になっております。  先ほど、四月から七月中旬にかけて激甚災指定を行なったというふうに申し上げましたが、私どもとしては、こういう年間を通じて発生しております各種の災害を、できる限り拾えるものは拾っていく、こういう前提で、その後発生したそれぞれの地区ごと災害等についても、いままでと同じように、できるだけまとめて対策対象になり得るように、今後とも実態の把握と同時に対策を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上、御報告を申し上げます。
  4. 辻原弘市

    辻原委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 辻原弘市

    辻原委員長 質疑の申し出がありますので、次これを許します。米田東吾君。
  6. 米田東吾

    米田委員 私、最初に、ただいま報告いただきました総理府関係からの報告にございましたけれども、特に七月中旬の新潟加茂市を中心といたしました集中豪雨に対しましてのその後の政府当局施策並びに今後の見通し等につきまして、若干お聞きをいたしたいと思っておる次第でございます。  まず総務長官にお聞きするのでございますけれども新潟県の加茂市は、昭和四十二年から四十五年まで、この四年間に三回にわたりまして、四十二年、四十四年、四十五年、連続三回にわたりましてたいへんな集中豪雨を受けまして、特に昨年のごときは全市が水没するというような状態でございました。住民の皆さんは非常に苦労されておられますし、県並びに加茂市といたしましても、その復旧あるいは対策に非常に苦労しておられるわけであります。しかも今日、地方財政が非常に苦しい状態でございますので、大幅に国の御援助をまたなければ復興できない、こういう状態でございますが、政府といたしましても、この加茂川復旧につきましては、特に昨年以降、加茂川改修というものについて重点的に取り組まれておられるそうでございますし、また加茂川改修十カ年計画総額において約百億をこえる予算規模の十カ年計画で、思い切って加茂川改修するという大きな仕事をされるというところまで進んでおるように聞いておるわけでありますが、この際ぜひ私は、その方向でもっと積極的に重点的に取り組んでいただかなければ、加茂市の市民の皆さんは雨が降るともう眠れない、こういう状態で、ほんとうに立ち上がることができないのじゃないか、こういうふうに思っておるのでございます。  この際、総務長官から、この加茂市を中心といたしました、特に加茂川改修中心といたしました災害復旧あるいは改修計画に対しまして、政府関係各省を鞭撻していただきまして、この復旧に全面的に重点的に取り組んでいただけるようにひとつお願いをしたいと思うのでございますが、特に総務副長宮から、そのことにつきまして、各省を指導される総理府としての見解をひとつお聞きしておきたいと思うのでございます。
  7. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお話がございましたように、新潟県は連年災害でございまして、昨年私も、現地のほうへ参りまして状況を承知しておりますが、その前の羽越災害、あの前後にも、例の加治川でございましたか、復旧工事が進んでいる途中において、またダブルパンチのような再度災害を受けるというふうな前例もございましたし、特にそういう連年災害については従来の工事進行原則、これをもう少し傾斜的に実施に移して、できるだけ早い機会に促進するように、内部的にいままでもやっておりますが、特にただいま御指摘がございましたように、加茂川は去年に続いてことし、こういうことでございますので、私どもとしても、まんべんなく全国さらっとやるのではなしに、ある程度復旧工事その他について傾斜をかけて重点的にやるように、各省に対してもひとつ大いに鞭撻をしてまいりたいというふうに思っております。  なお、詳細は河川局長のほうからお答えをいたさせます。
  8. 米田東吾

    米田委員 副長官からたいへん心強い御答弁をいただきまして、喜んでいるわけでありますが、どうか工事が全体的に傾斜をして、現状に合わせて促進されるように、また、災害対策としての国の施策がここに重点的に向けられるように、ぜひ今後とも御配慮いただきたいと思います。  建設省局長さんがおいででございますので、お聞きしたいと思います。  実は七月二十四日のこの災害対策特別委員会懇談会におきまして、私、当面緊急を要する幾つかの事項についてお聞きをいたしておりますが、きょう、正式の委員会でもございますので、なおひとつ、重複はいたしますけれどもお聞きをいたしまして、建設省としての方針と見解をぜひ明らかにしていただきますようにお願いしたいと思います。  要点だけ申し上げますが、建設省新潟県並びに加茂市が一体になりまして、特に四十二年災害以降昨年の災害で、加茂川の大改修をしなければならぬという方向で一致をされたというふうに聞いておりまして、現在その方向上流下流を分けて取り組んでおられるようでありますが、私が現地を見ました感じでは、上流よりも下流のほうが非常におくれておるように実は感じておるわけであります。この際、そういう関係も含めまして、加茂川改修の全体の計画を早めるという方向で、実は二十四日の懇談会では注文をつけておるわけでありますが、この方向でどのような方策をその後検討されましたか。  私は具体的には、しろうとでありますから十分な根拠はございませんが、大体十カ年でということ自体が問題にならぬ。少なくとも全体の計画を五カ年計画程度に切り上げて、重点的な対策を進めるという方向がまず大原則ではないか。それから、当面第一期工事としての毎秒五百トン流量の確保ということについては、これは四十八年をめどにされておるようでありますけれども、これも間が抜けて長過ぎる。ことしも八月が、まだ新潟県では災害の月であります。来年これがまた繰り返すということが、当然想定されておるわけであります。これらの情勢に合わせますと、四十八年までに毎秒五百トンの流量ということでは現状に合わない。したがって、これは四十七年の大体の災害の時期、七月ごろまでに、毎秒五百トンの流量を確保するというこの第一期工事を促進する、こういう方向で取り組めないか、こういうことを、実は懇談会では御注文をつけておるわけであります。  私の言いたいのは、全体として改修計画を早めてもらう、五百トン流量をまず緊急に確保してもらう、そのことでございますが、これにつきまして、ひとつ局長さんから、その後の皆さん検討されました結果に基づく御答弁をいただきたいと思うのであります。
  9. 川崎精一

    川崎説明員 お答えいたします。  先生のお話のように、加茂川につきましては非常に連年災害を受けておるわけでございます。したがいまして、私どももできるだけ抜本的な改修を促進したいということで、いろいろ県並びに地元加茂市等とも協議をいたしまして、現在まで検討を重ねておるわけでございますが、現在のところ全体計画といたしましては、約百二十四億程度改修費をもって加茂川の全川を改修いたしたいと思っております。  なお、これにつきまして緊急的に、お話のございましたように――昨年の八月の出水がやはり加茂川とすれば、既往最大といいますか、かなり大規模災害でございましたので、当面この実績の洪水をまず安全に流下させることが必要ではないかということで、毎秒五百立方メートルの洪水を処理するということを基本にいたしました暫定計画を立てております。これが河川改修で約三十六億二千万円くらいになります。これ以外に信越本線上流、主として市街地から上でありますが、これに災害復旧、これに伴う関連の改良復旧事業、こういったものが、合計約二十三億六千万くらいの計画になっております。したがいまして、総額で約五十九億八千万、約六十億の費用を要するわけでございますが、これをできるだけ早く完成をいたしたい。先ほど申し上げました全体計画というのは、流量にしまして約千百トンというような相当大きな計画をいたしております。先ほど申し上げましたように、既往最大でも五百トンでございますので、千百トンというのは、かりにああいった集中豪雨加茂川流域全般に、しかも同じように降った場合ということでございまして、相当長期的な計画になろうかと思います。したがいまして、当面は緊急計画を進めながら、徐々にそういった程度を上げていくようにいたしたい、こういうことでございます。  しかしながら、これにつきましてはいろいろ問題がございます。その気のついたところを二、三申し上げますと、この改修計画暫定の中でも、約四割くらいが物件の移転費あるいは買収費でございます。したがいまして、こういったものを円滑に――資金の手当ての問題と、これを被補償者から取得するための説得の問題、それから、こういった方々が約百九十世帯くらいございますが、どこに移転するかという問題、こういったいろんな問題がございます。資金につきましてはいろいろ問題がございますが、自治省等でも、こういった用地先行のための起債をできるだけ確保するような措置をひとつお願いをしたいということで、現在接触をいたしております。  それから、造成地につきましては、これは現在、来年度調査をされまして四十七年から着工されるというふうに聞き及んでおりますが、土地改良関係と同時に、あわせまして移転宅地造成を生み出す、こういうようなことを県のほうでいろいろ検討されておるようでございます。したがって、こういったものも円滑に進まないとうまくいかないんじゃないか。  それからもう一つ国鉄信越本線が、これは加茂川の本川だけではなくて、大皆川とかいろいろ隘路になっておるようでございますけれども、こういったものにつきましては、当面打上をするとか継ぎ足しするとか、いろいろな措置が必要でございます。これにつきましては、やはり国鉄との関係がございまして、いろいろ費用の負担をし合う必要がございます。したがいまして、こういう点につきましても、国鉄当局と私どものほうで、できるだけ早期にできるようにということで検討いたしております。  そういったことを総合いたしまして、当初、四十八年度ですから四十九年にちょっと入りますが、順にやるのが精一ぱいじゃなかろうかということでございましたけれども、なるべく一年でも短縮できないか、四十八年にはかかりますけれども、少なくとも出水期までには何とか目鼻をつけることができないだろうかということで、現在、大体基本的なスケジュールを立てまして、それに従いましていろいろ接触をしておる最中でございます。いろいろ関係方面もたくさんございますし、地元協力等も必要かと思いますが、私どもとすればその方向努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  10. 米田東吾

    米田委員 建設省から非常に前向きの御検討をいただき、御努力をいただいておることにつきまして、よくわかりましたし、私からも感謝申し上げておきます。なお、地元のほうでも、そのことにつきましては非常に感謝いたしておりますので、あわせて申し上げておきたいと思います。  ただ、私が御質問申し上げました点についてのお答えとしては、どうもまだちょっと不明確でございますので、再度お聞きをいたしますが、そうしますと、いまの御答弁によりますと、まず毎秒五百トンの流量を確保するという暫定工事でございますね。これについては、いまの御計画でいけば、四十八年の出水期前に目鼻をつけるように早めたい、結論はそういう御答弁だと思うのであります。当初、私ども現地で聞いているあなたのほうの計画によりましても、五百トンは大体四十八年までという計画が出ておったようであります。そうなりますと、ただ四十八年の年度一ぱい計画が、出水期までにという程度に早まったというだけでありまして、実際の問題としては、全体の計画を早めるということはなかなかできておらないように実は思います。  それから、いまあげられました四点の理由ですね。たとえば移転補償やあるいは買収等関係が困難するだろう。それから、自治省その他が、その代替地関係について起債その他で努力をするだろうけれども、なかなかうまくいかないだろう。それから右津部左岸部土地改良との関係もある。もう一つは、鉄道の鉄橋の関係、これらを総体的に御答弁なさいまして、四十八年の出水期までということでございますが、こういう四つ関係は、これは異常な速度で現地のほうでは取り組んでおられるようでありますから、これらの関係が進むとすれば、四十七年の出水期までにこれをめどをつけるということは、技術的には可能であります。この点お聞きしておきます。
  11. 川崎精一

    川崎説明員 財政的な問題もございますが、技術的にも、いまから造成をして、話し合いをしまして支払うというようなことになりますと、やはり先ほど申し上げました程度がもう精一ぱいじゃないか、こういうふうに私ども思っております。できれば四十八年度というふうに思っておったわけでございますが、そういった客観情勢が順調にスムーズにいったとしまして、その辺が限度であろうかと思います。
  12. 米田東吾

    米田委員 局長さん、あれですか、その辺が限度というのは、あなたの御答弁の四十八年の出水期までが限度、こういうことですか。
  13. 川崎精一

    川崎説明員 四十八年の出水期でございますから、実質的には一年早めるわけでございますが、これが限度ではないかと思います。
  14. 米田東吾

    米田委員 それで、これはあなたのほうが専門であり、しかも、財政的な関係等もにらみ合わせての御答弁でございますからなにでございますけれども、私がしろうと考えでございますけれども、特に約五百に及ぶ住宅の移転をかかえておるわけでありますが、そういう問題を含めて、この種の、加茂川としては全く思い切った大改修をやるわけでありますね。そういう大規模な、しかも対象者が相当多い、五百をこえる方々移転させなければならぬというような内容等を考えますと、私はある一つの盛り上がった時期に思い切って全部やってしまう。予算関係があるから、ことし三分の一、来年三分の一、再来年三分の一ということではだめでありまして、条件が整えば思い切って、その盛り上がった時期を逃がさないで地元方々が交渉できる、仕事ができる、こういうふうにするには、私はそれだけの弾力的な建設省の特に財政上の配慮が必要ではないかと実は思うのでありますけれども、そういうふうな配慮をしていただければ、私は、これは意外に――移転の交渉や、あるいは自治省の土地造成とかいろいろな関係がありますけれども、それを含めまして用地の確保、そういうような関係については大体一、二年でできるのではないかと思うのでありますが、この点はどうでありますか。
  15. 川崎精一

    川崎説明員 私が財政的な事情もあると申し上げましたのは、単に私どものほうの改修事業とか復旧事業だけではございませんで、関係各省あるいは国鉄等の問題もありますので、あわせて申し上げたわけでございます。むしろ復旧事業的なものよりは、実際の用地の取得の問題とかそういった点のほうが非常に円滑にいくかどうか、問題じゃなかろうかと思います。特に市内につきましては、非常に狭いところで河床を下げますので、そういった点の技術的な工程の都合もあろうかと思います。
  16. 米田東吾

    米田委員 わかりました。非常にこれは大きな仕事でございますから、いまのお話国鉄その他自治省を含めまして、全体として力を合わせなければこの仕事はなかなか予定どおりいかぬという問題でありますので、十分その点はわかりますが、何といいましても建設省の主管といたしましては、四十八年の出水期までというめどでありますけれども、できれば四十七年の出水期までにこれが進むように、ひとつ最大の御努力お願いしたい。なお、これは当然国鉄その他関係のほうと、それから、何といっても新潟県当局、それから地元加茂市あげまして、その方向努力をしていただくように、私は、それも建設省のほうからひとつぜひお骨折りいただきたい、こう思っておるわけであります。  それから、千百トンの要するに全体の計画は、したがいまして相当早まるというふうに理解してよろしゅうございますか。これはいつごろというふうに御答弁なかったのでありますが、まず五百トンについては四十八年の降水期までにめどをつけたい。全体の十カ年計画というふうに出ておる千百トン、総体を仕上げるというそのめどは、したがって早まると思いますけれども、いつごろにめどを持っておられるか、お聞かせいただきたい。
  17. 川崎精一

    川崎説明員 改定の規模から見ましても、かなり安全度の高い全体計画を一応立てておるわけでございます。これをどの時期に、どの程度に水準を上げて疎通量を拡大していくかということにつきましては、もちろんこれは、現在の五カ年計画のワクにも入っておりませんし、現在の第三次五カ年計画が四十七年度まででございまして、当然改定の時期が来るわけでございますので、そのときに見通しを立てたい、こういうふうに思っておりますが、少なくとも十カ年ではとても無理じゃなかろうかというふうには思っております。
  18. 米田東吾

    米田委員 少なくとも十カ年では無理だろうというあなたの御答弁は、十カ年以内に早めるということで理解をいたしてよろしゅうございますね。
  19. 川崎精一

    川崎説明員 できるだけ努力はいたしたいと思いますが、やはりこうなりますと相当財政的な問題、治水事業全体の規模の問題等もございますし、全国改修の水準との均衡の問題もございますので、ちょっといま申し上げかねますけれども、できるだけ早く改修する方向努力はいたしたいと思っています。
  20. 米田東吾

    米田委員 ひとつぜひこれもお願いを申し上げますが、もう一つ、今度の災害で大きな問題になりましたのは下条川のはんらんでございます。同時に私は、下条川につきましても御計画をお聞きしたいのでありますが、私が聞いているところでは、下条川も上流下流部分――その上流下流の境は大体信越線の鉄橋もしくは国道の橋、それが境になっておるようでありますが、上流部分と下流部分に分かれまして、おのおの小規模河川改修あるいは中小河川改修というふうに、これは昨年以降相当進められておるように見ておるわけであります。ただ私、現地を見まして、下流部分というのは、信濃川に合流するところまでの全体を含めた改修計画ではないのでありまして、大体信越線の鉄橋から約八百メートルか九百メートル程度までが小規模河川改修でありまして、それ以下、信濃川の河口ですか、合流する地点まではまだ計画ができておらない、方針が固まっておらない、こういうことなんでございますが、聞くところによりますと、これも合流地点を含めて中小河川改修が、とにかく全体の計画とあわせて取り組んでいただけるような方向でいま進められておるというふうに聞いておりますけれども、この下条川の改修につきましても、ひとつ建設省から現状について、それから計画について、この際お聞かせをいただきたいと思います。
  21. 川崎精一

    川崎説明員 下条川につきまして一番基本的な改修工事の目玉はダムでございますが、このダムにつきましても、できるだけ現在促進をはかっておるわけでございます。  なお、この事業の緊急的な計画といたしましては、中小河川で約十億、小規模で約二億五千万を投入いたしまして、先ほどの加茂川とほぼ同じような時期までに完成をしたいということで、先生の御指摘のございました下流の部分につきましても、中小河川改修事業で促進するように、現在予算のいろいろ作業をやっておりますが、その中にできれば織り込みたいということで、現在作業中でございます。  なお、ダムにつきましてもいろいろ問題はございますが、四十八年ぐらいまでには見通しをつけたい、四十八年度には完成がむずかしくとも、一部ダムの効果があがるように努力をいたしたいと思っております。
  22. 米田東吾

    米田委員 これもひとつぜひお願いをいたしておきたいと思います。くれぐれも信濃川の河口部分までの全体的な計画が、四十八年降水期までには全部完成するようにひとつ御配慮いただきたい、こう思っております。  それから、急ぎますが、もう一つ、同じ加茂市の市内を通っております河川で大皆川がございます。これは建設省のほうの主管になるかどうかわかりませんけれども、これがはんらんいたしまして、特に加茂川の溢水よりもこれがはんらんして、ことしの場合は約一千戸をこえる浸水を起こしたという事情になっておるようでありまして、これは毎年繰り返しておるわけでございます。これはただ、加茂川改修の陰に隠れておりますので、いままであまり表に出なかったのでありますが、この機会にこの大皆川の改修も、加茂川改修と一体的に進めていただかなければ、加茂災害というものは解決しないというところにいっているわけであります。私が聞いているところでは、新潟県当局等とも十分話をされまして、この大皆川の改修も、加茂川の中小河川改修の一体のものとして受け入れて思い切ってやろう、そういう方向で進んでおるやに聞いておるわけでありますが、この点はいかがでありましょう。
  23. 川崎精一

    川崎説明員 大皆川につきましても、改修そのもの、それから国鉄あるいは県道の橋と、いろいろ問題はございますけれども、やはり加茂川水系の一環として、先ほど申し上げました本川の改修と均衡のとれたように進めていきたいと思っております。
  24. 米田東吾

    米田委員 これもぜひひとつ一貫してやっていただくように、最大の御配慮をいただきたいと思っております。  次に、局長さんにもう一つどうしても聞いておきたいのでありますが、信濃川の改修であります。  御承知のように信濃川は、建設省の管理する河川のように指定はされておると聞いておりますが、部分部分には、新潟県知事の委任管理の地域がございます。特に信濃川は、大河津分水から関屋分水工事がいま進められておりますが、その部分に至る中間地帯は新潟県知事の委任管理というところでありまして、新潟県のいろいろな財政その他の関係もございまして、一番大事なこの部分が、ここ数年間ほとんど改修が行なわれておらない。私が聞いておるところによれば、相当川底も上がっておるというふうに聞いておるわけであります。この部分、おわかりだと思いますが、刈谷田川から、三条の五十嵐川から、加茂川から、その他新津の能代川、あと幾つかの中小河川がみんな合流しておるのでありますが、その河川の改修が進んでも、吐き出すところの信濃川が、それに対応する河状整理あるいは川底を下げるとかそういう改修が進みませんと、やはり詰まってしまうと私は思うのであります。  これが最近非常に大きな問題になりまして、関係市町村等では、あげて信濃川のこの部分についての改修の促進ということで、非常に努力をされておられるわけでありますが、この信濃川の大河津分水から関屋に至る間の河状整理、これを一日も早く新潟県知事の委任管理から建設省直轄の状態に戻していただいて、同時に河状整理をやっていただく、こういうことがどうしても必要かと思いますが、その関係につきましては、どのようにいまお考えでございましょうか。
  25. 川崎精一

    川崎説明員 私どものほうでも県の要望を伺っておりますので、現在検討中でございます。ただ、管理の問題と改修の促進の問題といろいろございますが、直轄につきましては関屋分水等、いろいろ集中投資を相当やっておるわけでございます。それから、合流しております各河川もかなり災害を受けておるといったようなことで、あの周辺には、われわれとしても相当事業費を投入いたしておるわけでございますので、その辺との均衡も考えながら、当然処置すべき区間だと思いますので、前向きで検討するように、現在作業中でございます。
  26. 米田東吾

    米田委員 ぜひひとつ、これもお願いをしておきたいと思います。ことに技術的に、合流する幾つかの河川がそれぞれ計画されまして、刈谷田川、五十嵐川、加茂川等の河川の改修が完成いたしましても、下のほうがよくならなければほんとうの意味の解決にはなりませんので、これは皆さんが一番よく御存じだと思いますから、当然、一日も早く建設省直轄の河川管理の体制に戻していただきまして、そうして河状整理が進むように、この機会に特に注文しておきたいと思います。  それから、国鉄当局がおいででございますので、建設省国鉄当局とあわせましてお聞きしたいのでありますが、問題の下条川と加茂川と大皆川に、それぞれ鉄橋がございます。これは今回の改修計画と非常に関係の多いものでございますが、聞きますところでは、建設省のほうで国鉄当局お話をなされて、全体として、この下条川、加茂川、大皆川の改修に合わせてこの鉄橋の改修もやる方向でいま努力をいただいている、国鉄関係のこの鉄橋の改修がおくれて全体の計画がおくれるというようなことはあり得ない、というふうに聞いておるわけでありますけれども、この関係につきまして、建設省国鉄当局から、ひとつ具体的にお聞かせいただきたいと思うのであります。特に大皆川の鉄橋の関係、これはまだ国鉄建設省あるいは新潟県との間に十分な対策協議に進んでおらないというようにも聞いておりますけれども、大皆川は、いま御答弁いただきました全体の改修の面からいきまして、これは切り離せないところでございますので、これを含めまして皆さんの、建設省のこの計画国鉄が合わせていただくような方向で確認できるかどうか、すみませんが、これをひとつ建設省国鉄当局からお聞かせいただきたいと思います。
  27. 川崎精一

    川崎説明員 どちらかといいますと、私どものほうは、国鉄お願いをする側でございます。まだ正式な話はきまっておらないようでございますが、現在担当のところで折衝しておる最中でございます。
  28. 長浜正雄

    ○長浜説明員 お答え申し上げます。  結論から申し上げますと、国鉄としましても、ただいま川崎河川局長から御答弁のありました御計画に極力合わせて、この河川改修工事を進めていきたい、こう考えております。  ただ、問題は、加茂川及び下条川についてはいろいろ御協議をしておりますが――大皆川については、これは非常に簡単な川でございますので、これはあとになろうかと思います。そのうちでも加茂川の橋梁につきましては、これは何ぶんにも片方は私鉄が走っておりますし、片方は民家が密集しておるというような状況でございまして、現在信越線を複線のまま運転をしながら河川改修をするということは、非常に工事としては難工事が予想されます。いろいろなやり方がございますが、仮線を別につけて本線をやりかえるとか、あるいは本線を別につくって現在の線を捨てるというような、いろいろな方法がありますけれども、いずれも相当な用地並びにそれに伴う民家の補償が要ります。また工事そのものも、現在列車が走りながら近接してやらなければならぬので、非常に工期を必要とする、こういうことで、一番私たちの心配しておりますのは加茂川改修工事ではなかろうか、こう思っております。しかし、これにつきましても、さいぜんお話しのように、もう最近三回も災害が起こりておりますので、われわれとしても、できるだけ早い機会にこれができるように技術的な努力をしたい、こう考えております。  もう一つ、実はさいぜんも先生からお話がございましたけれども資金の手当ての問題がございます。国鉄といたしましては、実はこの点が一番困っている問題でございまして、毎年国鉄としては防災だとか、あるいは災害復旧工事等に約百億円前後の金を入れております。これは御承知のように、国鉄の場合はほとんどが借入金、いわゆる借金で工事をやっているわけでございまして、特に今年度につきましては、仲裁裁定あるいは収入の予想の伸び悩み等もありまして、まず工事は、ほとんど大部分は借り入れ金ばかりでやらなければならぬという状態になろうかと思います。もちろん来年、再来年もそのとおりになろうかと思いますので、われわれとしては、そういう点を非常に心配しておりますけれども、結論から申しますと、できるだけ建設省の御計画に合わせていきたい、ただ、そういう心配な点がありますということを申し上げまして御協力を得たい、こう思う次第であります。
  29. 米田東吾

    米田委員 いま御答弁いただきましたが、私も運輸委員でございまして、国鉄の財政事情というのはよくわかっているつもりでございますから、これはまた委員会を変えて、協力すべきところは幾らでも協力したいと思いますけれども、そういうような内部事情はよくわかっておりますが、しかし災害の問題は、特別な、一刻を争う、緊急を要する問題でありますので、ひとつ御努力だけはいただきたいと思っております。  いまの御答弁によりまして、大体基本的には建設省計画に合わせる、ただ加茂川関係だけは、工事規模がでかいので、したがって、これは信越線の複線をとめないでやる場合には技術的にも非常にめんどうだ、そういう事情があるけれども、全体としては合わせたい、こういうことであろうと思います。  そこで、河川局長さんは四十八年の降水期まで、加茂川の部分というのは、五百トンも、それから千百トンも同じ法線でおそらく工事をやるのだろうと思いますが、そうなりますと、大体国鉄当局も、四十八年の降水期までにはやはり合わせて鉄橋の改修は完成する、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  30. 長浜正雄

    ○長浜説明員 橋梁の場合は、二度やり直すのは非常に不経済でございますので、一度に千百トンの最終計画にまで幅を広げる、こういう工事をしたい。それから工事の工程につきましては、いま技術的に河川側のほうと、いろいろ協議をしております。工事のスケジュールその他について打ち合わせをしておりますので、いつの時点ということを、まだちょっと最終的に決定しておりませんけれども、さいぜん私が御答弁申し上げましたように、できるだけ建設省の案に合わせたいということで最大の努力をするつもりでございます。
  31. 米田東吾

    米田委員 長浜さん、もう一つだけ。  いま加茂川では、県の加茂川改修事務所、それから地元のほうで、当面市街地部分の河床の掘り下げを、全体としては約三・五メートル程度に下げるそうでありますが、ことしじゅうに約一メートル程度だけは全部通して下げたいという計画で、いま進められているそうであります。ところが、国鉄の鉄橋の部分だけはどうしても手をつけるわけにいかぬというのであります。そうなりますと、上流からずっと一メートル程度下げてまいりまして――これは幾つかの市街地に橋が通っておりますが、その橋の下も含めて一メートル程度全部下げていくと、国鉄の鉄橋の部分だけが、現状のままですが、一メートル程度上がってしまう。地元のほうでは非常に困窮しているようでありますが、あの鉄橋は、一メートル程度下げても技術的にはかまわない鉄橋じゃないかというのが地元方々の意見なんでありますけれども、それが国鉄のほうでは、なかなかそうは言われない。設計書もなかなか見せてもらえない。そういうような関係もありまして、さてどうしたものかというふうに、非常に困っておるのでありますが、鉄橋の下の部分も市街地全体と合わせるようにして、一メートル程度下げていただくようなことが可能かどうか、これはいかがでございますか。
  32. 長浜正雄

    ○長浜説明員 あそこは複線でございまして、古いほうが明治三十年に建設された橋梁になっております。新しいほうが昭和十九年でございまして、新しいほうは、資料その他も十分そろっておりますので、すぐ見当がつきますけれども、古いほうは明治三十年でございますので、しかも土の中に入っております基礎が相当痛んでおるのじゃないか、こう思われます。これは十分調査させていただきまして、そして下げられるものなら下げるようにしたいと思います。そのお話は、実は現地でも承っておるようでございます。現地調査しておるはずでございます。
  33. 米田東吾

    米田委員 長浜理事さん、そういうことで新潟支社のほうにもひとつ伝えていただきまして、全体として、市街地はまず一メートル程度の川床を下げることについての国鉄としての協力もいただけるように、これは地元の人も非常に安心すると思いますが、ぜひひとつお願いしておきたいと思います。  以上で私、質問を終わります。
  34. 辻原弘市

    辻原委員長 小林進君。
  35. 小林進

    小林(進)委員 いまの米田さんの問題に関連いたしまして御質問をいたしたいと思いますので、他の政党の方々も、どうも前後いたしまして申しわけありませんが、しばらくの間お許しをいただきたいと思うのであります。  私も加茂の近くの在住でございまして、現地はしばしば見ておるのであります。現地をしばしば見ておりまするから、いまの河川局長や、特に国鉄の当局の御答弁には、私は安心して聞いているわけにはいかないのであります。  河川局長にまずお尋ねをしたいのでありますが、応急措置のほうは、四十八年の災害期を避けてこれを完成したい、こういう御答弁でございます。四カ年計画を若干繰り上げても完成をしたいというお話でございます。それはそれとして、それならば、その間に再び災害が起きないという自信をあなたはお持ちになっているかどうか。それまでに至るあなた方の処置で、四たび災害は繰り返さないという自信があるとおっしゃるなら、私はけっこうです。それは四十八年の災害期を前に完成する、こういうことでもけっこうです。四十九年でもいいです。しかし、現地の気持ちは、ともかく三年続いて、災害が毎年起きている。それも市街地ですよ、人口五万に近い町が水害にやられているのですから。住民が、畳をはがしたり、屋根の上に上がったり、荷物をかついだりして逃げ回ったりしている。そういう災害を三年間繰り返している。これをいま一回やらないという確信をあなたがお持ちになるならば、私は、いまの四カ年計画を五年になさろうと六年になさろうとけっこうです。局長さん、もう二度と四たびこの災害は、いまの計画で繰り返すようなことはございませんという御自信があるなら、その一言だけお聞かせ願いたいと思います。それをお聞かせ願えれば、私はけっこうです。
  36. 川崎精一

    川崎説明員 昨年の水害は、先ほど申し上げましたように、加茂市地方でも相当大規模といいますか、数量的に見ましても流量的に見ましても、過去にないような出水でございました。したがいまして、それに対応した改修緊急計画を立てておるわけでございます。常識的には、あのような雨はそう来ないと思いますが、これは天災のことでございますので、私も確言いたしませんけれども、少なくとも四十八年の出水期までにああいうふうな大きな水が来ないことを、むしろ祈っておるわけでございます。
  37. 小林進

    小林(進)委員 どうも、祈られたら困るんです。神がかりでこの問題を解決されては困る。あなたは異常な出水だとおっしゃるけれども、異常な出水も、三年続いて来たら、それはもう異常じゃありませんよ。三年も続いて同じことを繰り返すということは――異常の出水だから、四回目は来ないというものの考え方は、私はお気に召さぬ。  それから、最近の例ですけれども米田さんはここにおられた。これは今月の上旬、七日に現地を見ておられる。私は行かれないので、六日の日に行ったのです。六日に一回現場を見てきたのです。私は午後の八時半ころまで現地を全部見て、そして地元方々に来ていただいてお話を承って、十二時ごろ帰ってきました。ところが、十二時ころ帰ってくると、新潟県は大雨なんです。それで私どもは、この大雨では、またあくる朝、あそこに引き返して水害を見に行かなければならぬ、この大雨ならまたやられますよと心配して、六日の夜はおちおち眠れなかった。それで、七日の朝の新聞を見たら、加茂のちょっと先の新津では、水害で住民が立ちのいたという大きな新聞記事が出ておるけれども加茂の問題は出ていない。新潟県ではもはやニュースにならないのですよ。ほかの市がやられるとニュースになるが、加茂がやられてもニュースにはならない。それで、加茂はやられてないと思って私は飛んで行かなかったが、市民はその晩は一睡もしなかった。みんな荷づくりをしたり、屋根に上がったり、床をはいだりして大騒ぎをした、こういう情報です。  そういう状態なんですよ。今月の六日の大雨で、新潟県の新津市が水害でやられましたというときには、加茂はそれ以上の水害でやられているけれども、もはやニュースにならないという、この現実なんです。それは異常水害だから、この先ないだろうというような、そういう安易な気持ちで片づけられたらかなわない。あなたは、これはまた異常出水だから、この先四年間、四十八年の水害期までないという御自信がおありになりましょうか。ないなら、国の行政を扱っている、河川行政の最高責任者として、いますぐに問題を考え直していただかなければいけませんよ。私はあなたを脅迫しているのではない、現実論で言っておるのですが、どうですか。考えを変える意思はありませんか。やはり従来どおりおやりになりますか、いかがですか。
  38. 川崎精一

    川崎説明員 先生のおっしゃるように、日本の地形的あるいは気象的な特殊の条件で、相当あちらこちら同じような現象を呈しておるとすれば、非常に進度のおそいことを残念に思っておるわけでございます。したがいまして、先ほども米田先生のときに申し上げましたように、新潟県は災害の多いところでございますので、かなり集中投資をしておるつもりでございます。しかし、やはり財政的に、あるいは技術的な問題等いろいろございますので、私どもとすれば、先ほど申し上げました、四十八年の出水期までには全力をあげて努力をしたいということでございまして、それまでの間に災害があるかどうかというようなことは、ちょっと私はいま申し上げられませんが、積極的に取り組んでおるということを御了承いただきたいと思います。
  39. 小林進

    小林(進)委員 これは私、大臣がおいでになれば、大臣にもの申したい、総理大臣がいらっしゃれば、総理大臣に私はものを言いたい。事務当局として、事務屋として、それがあなた方の最高の答弁であるかもしれませんけれども、住民の要望から見て、そういう御答弁で安心しているわけにはまいりません。  あなたは一体、加茂現地をごらんになったことがありますか。町のまん中の川の両側に何がありましたか。川の両側に土のうをみんな積んでおりますよ。一メートルくらいの高さもありますか、大きな土のうが川の両側に積んであります。これをごらんになりましたか。日本じゅうに、町のまん中の川の両側に土のうを積んでいる、そういう町が、そんな川が、加茂のほかにどこにありますか。ほかにありましたら、私はお目にかかりたい。  しかも、その土のうをだれがやったのです。市当局が計画をして、水害でまた町がやられるかもしれないから、町の方々協力してくださいと言ったら、町の人たちは――いま八月ですよ、あなた。山にも行きたいだろうし、海水浴にも行きたいだろうし、お盆でお墓参りにも行きたいようなその町の人たちが、全部無料奉仕で出て土のう積みをやった。戦争中じゃない、この平和な世の中なんですよ。それが戦時中と同じかまえで町じゅうの人が出て、あの町の中を流れておる川の両側を一メートルも、老いも若きも、男も女も、自分の材料を持ち寄って、そうして土のうを積んでいる。いまの若い人は昔のように力がないから、一俵だわらというわけにいかない。六十キロの俵というわけにいかないから、あれは三十キロくらいの土のうです。それを何万、何十万と川の両側に積んでいるじゃありませんか。それほどまでに住民は、この水害のために不安、動揺、おそれおののいている。  あなたは、この現地の実情を見ていらっしゃいましたか。――だから、いままでのような常識的なケースでこの問題を推しはかろうとしてはいかぬ。これが官僚行政と称するあなた方の行政の一番悪いところなんです。血も涙も通っていない証拠なんです。現地のこの災害におののいて、俵をかついで、暑いさなかに水害の対策をしておる住民の気持ちになったら、そういう――あなたに誠意がないと私は言っているのじゃないけれども、まだまだ、住民のために血の通う対策というものは生まれてきておりません。真剣に考えてください。  私は、次に社労委員会へ行かなければなりませんから、演説をしているわけにいきませんけれども、そういう実情だけは――あなた方がよくこの切実な気持ちを知らなければ、生きた対策というもの生まれてこない。この問題はどうかひとつ、皆さん方の気持ちを察して真剣に考えていただきたい。  次に、私はいま一つ米田さんの質問に付言をいたしますけれども、あの加茂の水害というものは、問題は加茂川中心にいわれておりますけれども加茂川だけじゃありません。あの水害は、加茂川と大皆川と下条川という三つの川が町を流れて、この三つが一時にはんらんをするから、ああいう町全般の水害が起きている。あなたのお話の中で、この二つの水害も一緒になって処置をするとおっしゃったからいいと思いますが、水系が一つだから一緒になっておやりになるとおっしゃったが、あれは水系は一つじゃないのです。出てくる水はみんな違うのです。加茂川とは別の谷の、別の山の中から出てくるのですから。そして、これは三つともみんな一級河川です。この点は問題の本質をよく理解していただきまして――しかし、一緒になって水害の対策をおやりになるということはけっこうです。けっこうだが、ここに順序、序列をきめて、こっちは早い、こっちはおそい、こっちを先にやってこっちはあとからやるというような災害対策をやっていると、問題の解決になりません。  どうもあなたに説教がましいことを言って申しわけありませんけれども、ここはどうしても、あなた自身に現地状況を見ていただいて、頭にたたき込んでいただかなければならぬ。見ていただかないと、この加茂の全市をおおう水害の基本的な解決にはならぬと私は思っていますから、あなたは局長になられましてまだあまり長くないかもしれませんが、いまのことは、せいぜい現地を見ていただきたい。いいですか。  そうして、特に申し上げますが、五百戸くらいの移転が必要だと言いますけれども、むしろ――むしろというと加茂方々におこられるかもしれませんけれども、実害を受けているのは、加茂川のはんらんもそうですけれども、大皆川のはんらんのほうがかえって住民に影響を与えている。これは一番密集地を流れているのですから。この流域の人家は二千戸、人口にして八千人だ。これが加茂川と大皆川の中間で、ここに水があふれるものですから、これでまいってしまう。しかし、これは立ちのきも土地の買収も要らないのですから、この川だけの改修工事――特に悪いのは国鉄です。国鉄が一番悪い。そこを汽車が走っていて、これが水流をじゃましておる。どっちへ回ってみても、国鉄というものは世の中に害を流して歩いておる。考えるのは新幹線、新幹線といって、そういう方向にだけ頭を持っていって、住民がこのためにいかに水害をこうむっておるかということを、ちっともお考えにならない。そのほかに、ひまがあると労働組合を弾圧して首切りをやる、処分する。全く驚くべき公社もあったものだとわれわれはあきれておりますけれども、いま国鉄のことをやっておるひまはありません。社労に行ってやりますが、そういうことをやっておる。  この大皆川の改修をむしろ早くやっていただかなければなりません。どうですか、この問題は、局長さん。この水系を別にしている大皆川の改修工事を即刻やっていただけるかどうか。あなた方の計画はどうなっておるか。米田さんへの答弁にありましたけれども、ちょっと気に入りませんのでいま一回申し上げたので、御答弁をいただきたいと思います。
  40. 川崎精一

    川崎説明員 水系の問題も、ちょっと私のことばが足りなかったので、あるいは先生誤解されたかもしれませんが、大皆川、これは加茂川に注いでおりますが、それに下条川、いずれにしろあの地域のバランスをとりながら、それから地域の緊急度もありますので、その辺は地元なり県の要望も聞きまして、最終的には、先ほど申し上げましたように四十八年の出水期までを目標にして、できるだけ努力をしたいと思っております。
  41. 小林進

    小林(進)委員 あなたと議論してもしようがないので、ひとつそういうことでお願いをして、先ほどの下条川です。  これも米田さんがおっしゃったがあの下条川の下流のほうのお話がありました。あの下流のほうというのは、下流の千百六十メートル、あの信濃川に入る下流です。そこだけが、皆さん方の改修工事の中に入っていない。中小河川の改修工事の中にも入っていない。計画の中に入っていない。これはやはり早急に入れてもらわなければいかぬ。同じ下条川でも、上流、中流が入っても、下流が入らなければ何にもならない。これは画龍点睛を欠く。むしろダムをつくる工事――ダムならば下流なんか考える必要はない。すなおに水を流そうとすれば、下流が一番大事なんだ。その下流計画に入っていないというのが問題でありますから、それをひとつどうしても入れてもらわなければならぬ。おわかりになりましたね。  それでは、もう時間も参りましたので終わりますけれども、私も問題を見まして、大皆川、下条川、それからいま一つの難点は、これも同じことを繰り返すようですけれども、特にあなた方の注意を喚起しておきたいが、いまの加茂川の問題の隘路は、鉄橋を中心にした上流にあるのではなくて、下流にあるのです。五百トン、五百トンとおっしゃったが、一メートル下げて、あのじゃまになる鉄橋の下を掘れるようにしてもらえば、五百トンの水は下流に流れるじゃないかということをおっしゃったが、その鉄橋を越えてきた五百トンの水が、鉄橋の下から信濃川へおりる間に、一体すなおに流れていくか、問題はこれなんです。私は現地を見たが、あの辺の下流の川の中に、まだいわゆる堤外地と称する川の中の畑、川の中の山林といったってキリ畑みたいなものだが、これが十ヘクタールあるとおっしゃった。私は建設省に行って、あなたのところの課長さんに話をした。課長は、いま十ヘクタールの堤外地の買収は済みまして、そのうちの五ヘクタールくらいはもはや掘さくをして取り払っているから、まあまあ下流のほうはだいじょうぶだろうとおっしゃったので、私は現地に見に行った。見に行ったら、とても、十ヘクタールののうちの半分だけの改修が済んだなんというものじゃない。実に広大な地域が川のまん中にあって、その地域の端っこをちょろちょろと加茂川が流れて海に注いでいくという状況なんだ。それで、現地へ行って聞いてみましたら――あなた、聞いてますか、官房副長官聞いていますか、よく聞いてくれなければ……。ともかくそういう状況なんです。まん中に陸があるんだ。その両方の端っこをちょろちょろと流れている。とても五百トンの水なんか流れる状態じゃない。よく聞いてみましたら、いや、これは十ヘクタールじゃなくて――確認してみましたら、十ヘクタールぐらいある。川の中に十ヘクタールぐらい陸地があればそうならざるを得ない。その中の約五ヘクタールの土地をいまようやく掘さくしただけだ、こうおっしゃるから、私は、加茂川のこの水害を直すためには、先ほども米田さんが言われた、加茂川のこの堤外の十ヘクタールの土をどう早急に取り上げるかというのが問題解決の重点であるし、とてもこれは並たいていの仕事じゃないと思うのでありますが、局長、やはりこういうところを見なければいけない。私がどんな大きな声を出しても、見なければ実感が頭に響かない。見て考えてください、こういうことでございます。  それに対して一億の金を――中小河川の改修工事は、初年度は一千二百万円。一千二百億円ならいいけれども、一千二百万円で、あとあっちこっちやりくりして一億の金をつくって、初年度工事をやりますと、あなたの部下の課長さんはおっしゃった。その一億の金を、あっちこっちからやりくりして、どこから持ってきたと聞いたら、県のほうの金をやりくりしただけの話だ。国としてはあまりお出しになっていないという、そういう状態です。これは嘆かわしい現象でありますけれども、こんなことでは、とても問題の河川改修の解決にはならない。あなたもそうお思いになるでしょう。あれをひとつ早急に処置してください。どうぞ、この点を心からお願いをいたしますが、それに対するあなたの所見、総務長官の所見――総務長官もひとつ見ていただきたいと思うのでありますが、所見を承りたいと思います。
  42. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまの話、残念ながら、ただいまお話がありました現地そのものは見ておりませんが、私も災害関係、約二十年ぐらい各所の現地を見ておりますし、特に最近都市部における河川の改修の問題と、それから、特に関連してその下流部における一種の湛水災害といいますか、こういうものについては、確かにおっしゃるように、従来のような仕法そのものではなかなかさばきのつかぬ問題があるだろうと、一般的に私自身も想像いたしております。そういうことで、そういう昨今の特殊な都市に関連した災害状況等に対応して、いままでとは違ったいろいろな対策をひとつ類型的にまとめていく必要があるのじゃなかろうか、こう私個人も思っておりまして、内部で検討さしておるわけでありますが、機会がございますれば、私、新潟県は五、六回は行っておりますので、この加茂川のただいま話があった地点等についても、ひとつ見さしていただく機会を得たいと思います。
  43. 川崎精一

    川崎説明員 先生のほうからいろいろ御指摘をいただきまして、そういったものを十分改修工事に反映するように、私ども努力をしていきたいと思います。どうぞよろしく……。
  44. 小林進

    小林(進)委員 それではこれで終わりますが、住民の皆さまは、先ほどから申し上げましたように、三回も生き死にの思いをしていただきましたので、いま一回こういうことが起こるようになれば、私ども住民はもはや、民主国家の主権者の一人として、黙って過ごすことはできません、国を相手に訴訟をいたします、こういうことを言明いたしておりますし、私は、これはどうかつじゃないと思います。今度水害が起きれば、おそらく加茂市住民の過半数が署名をして、国を相手に訴訟問題を起こすという未曽有の不祥事件が起きるのではないかということをおそれております。そういう意味におきましても、どうか当局におかれましては、心を新たにして、問題の基本的な解決に努力をしていただきたいと思います。  私どもは、いまいただきました、速記をつけたこの委員会の御答弁を今度は基本にいたしまして、各個撃破に移ります。今度は関係各省に各個撃破に参りまして、さらにこの問題の推進のために努力いたしますことをここで申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。よろしくどうぞ。
  45. 辻原弘市

    辻原委員長 鈴切康雄君。
  46. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 七月三十日、名古屋市の南東部を中心に襲った集中豪雨による被害についての御質問を申し上げます。  名古屋市は、特に南、緑、港、瑞穂の四区に災害救助法が適用され、三十四年の九月の伊勢湾台風以来の被害が出ておると、そのようにいわれております。今回の災害の特色は、特に人口密集地帯であるために、床上床下浸水を合わして四万三千戸に及ぶ浸水被害が起こりました。特に洪水後、市内南部のゼロメートル地帯における排水作業に関する問題点が、今回特に指摘をされております。南部地区において、ことしに入りすでに三回の浸水被害をこうむり、抜本的な対策が望まれておる現状において、下水道の処理施設も問題視されておるわけでありますが、二十四カ所あるところの排水ポンプ施設について、排水処理能力はどのくらいあるか、その点についてお伺いいたします。
  47. 川崎精一

    川崎説明員 はなはだ恐縮でございますが、南区といいますか、天白川の南の側につきましても、実は下水道関係施設として現在進めておりますので、ちょっと私、こまかい数字を存じませんので、後ほど報告したいと思います。
  48. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は今度の名古屋市の集中豪雨におけるところの問題点は三つあるというふうにいわれております。一つはポンプの不良だということ、それからもう一つは備蓄倉庫の不備によるところの防災体制の欠陥、並びに宅造による水害という問題、この三つがあげられております。  その一つの柱であるところの、この水害の中におけるところの排水施設、これがはたして完全に稼働しておったかどうかという問題、その点について御報告は受けておりますか。
  49. 川崎精一

    川崎説明員 私どものほうで承知いたしておりますのは、必ずしも十分に稼働状況がよくなくて、一部、中にはポンプが稼働しなくて多少手当てがおくれたというような報告も参っております。全般的には、かなり名古屋市でも水防活動等をやっておりますけれども、なおその間若干、資材の搬入等につきまして、道路の交通事情等もあっておくれたとか、そういったようなポンプの稼働の問題と、それから水防資材の手当ての問題、この点で少し十分でなかったところがあったというふうに聞いております。
  50. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 非常にあいまいな御答弁でありますけれども、防災基本計画には、水防、消防及び救助に関する施設及び設備の整備に関する事項をきめられております。ことにこのゼロメートル地帯におけるところの浸水という問題は、やはり排水ポンプの稼働が重要な要素を占めてくるわけであります。そういう意味において、まず排水ポンプにはディーゼルによるものと電動力によるものがあるわけでありますが、あの名古屋の千代田ポンプ場、柳ポンプ場等において、落雷または強行運転によるモーターの過熱によって故障を起こし、稼働しなかったのが実に七台もあると聞いております。その点についてやはり河川局長として、詳しい一つ報告というものが、今後の大きな災害を予防する意味においても重要な問題になろうかと思いますが、排水ポンプに対して、今後どのような型式、またどのような性能が必要であるか、また排水施設の問題についての御見解をお聞きいたします。
  51. 川崎精一

    川崎説明員 御承知のように天白川の右岸は既成市街地でございまして、海のほうは防潮堤で、伊勢湾台風以後の施設で守られております。したがって、区域内の排水は全部ポンプによらざるを得ないというのが実情でございますが、これは現在、排水路につきましては都市下水路として、主として下水道の施設としてポンプ排水をしておりまして、私、その点、十分きょうは承知しませんで、非常に申しわけないと思っております。しかし、基本的には、やはり河川等もポンプで内水を排水しておるわけでありまして、非常時の場合のポンプの位置の高さだとか、あるいは電源が切れた場合の予備電源の装置の問題。こういった点は、やはり今後十分に検討する必要があったように聞いております。
  52. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは一つの例でありますけれども、おそらく私は、ゼロメートル地帯におけるところの排水ポンプというものは一つの大きな問題点になろうかと思うのでありますが、そういう点について稼動しないような状態、二十四カ所の中で七つも稼動していないという状態であっては、しょせんは、そういう災害は人災といわなければならないわけでありますが、あらためてここで排水ポンプ、排水施設というものに対して、建設省としては、さらに各市町村に対するところの施設についての指導あるいは点検等についておやりになるかどうか、この点についてお伺いします。
  53. 川崎精一

    川崎説明員 私どものほうで所管しております水防法で、それぞれの各都市につきましては、地域的な水防計画を立てることになっております。また、災害対策基本法によりまして地域の防災計画もございまして、やはり水防計画とあわせて地域の災害を守るための計画を立てておりまして、その中にいろいろ機材の問題とかそういった災害時の処置の問題、あるいは協力、応援の問題、こういったものを詳しくきめておるわけであります。  したがいまして、そういうものが円滑にいけば、かなり今回の災害も軽減されたんじゃないかと思いますけれども、今回の名古屋災害は、平均してみますと約六十ミリ、中には九十ミリをこすようなところも若干あったようでございまして、下水道並びに河川の排水も含めまして、今後一度名古屋市のあの辺の事情を点検いたしまして、なおこれには、さらにそのほかに下水道施設自身の促進の問題、それから都市河川の問題、こういったものの改修の促進の問題もあろうかと思いますが、総合的に地域防災の基本的な施設の整備についてわれわれも検討して、改修努力したいと思っております。
  54. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、次に参りますが、災害救助については、災害救助法第二十三条に規定された救援物資が支給されなくてはならないとあります。今回の場合は、各区ごとに毛布、食糧等が支給されました。ここで緊急土木用物資の援助について――三十日の夜、名古屋市緑区鳴子町地内の扇川において、増水のため堤防が決壊の危険状態の際、堤防補強工事用の土のうが不足いたしました。堤防補強物資の支給と非常時における救援物資の運搬については、当然運搬道路は確保されなければならないと思いますが、災害対策基本法第七十六条には、緊急輸送については道路の区間を指定し、車両の通行を禁止し、または制限することができるとありますが、その点について、名古屋の場合においてはどのような対策が講じられたか、その点をお伺いいたします。
  55. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 お答えいたします。  名古屋の中川区にあります物資保管場所から、いま御質問ございました土のうその他の緊急物資を災害地区の緑区まで、約十キロでございますけれども、これを運搬しますにつきまして、御承知の直線道路であります国道一号が、冠水のために一般の車が行けませんので、それで北のほうへ迂回したわけでございますが、私のほうのパトカーが誘導いたしまして、そして北のほうの迂回道路から現場に行かしたわけでございますけれども、時間が非常におくれまして、通常三十分くらいのところが約二時間余りかかったようでございます。  こういうものにつきまして、先ほど御指摘のとおりに災害対策基本法で、緊急物資の輸送を確保するために、そういう道路を区間を指定してほかの車は一切とめてしまうという措置が、警察のほうで交通規制できることになっております。しかし、今回の場合はそういった迂回路を指定して――全部の車をとめてしまって、緊急物資を輸送する車だけを通すというところまではまだ至らないで十分行ける、ほかの車をある程度通しても行けるという判断でやったようでございます。しかし、今後――前の新潟地震のときにも、そういう緊急車両等のステッカーを張っておる車以外は一切とめた経験がございますので、その緊急性の度合いその他を考えまして、必要ならば、当然ある区間につきましては一切の車をシャットアウトする措置もとるべきだと思います。  七月三十日の名古屋の場合は、まだ行ける、パトカーで誘導して行くならば、ほかの車を一切とめるという大きな措置をとらなくても、迂回路を通って十分行けるという判断をしたようでありますが、今後われわれとしても十分検討してまいりたいと思います。  以上でございます。
  56. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま警察のほうからそのようなお話がございましたが、確かにそのとおりでございます。三十日夜、緑区の鳴子町地内の扇川で堤防が決壊しそうになった際、堤防補強工事用の土のうが不足しているということから、市の災害対策本部で緊急に土のうと作業員を派遣してもらいたいという要請をいたしました。実際には午後の六時トラックが出発したわけでありますが、普通ならば、あなたのおっしゃるように三、四十分で到着することができるその場所が、実に国道一号線が数キロにわたって停滞したために、これが何と三時間以上もかかるという事態が起こったわけであります。  そこで、いまあなたがおっしゃるように、確かに都市部災害においては今後交通規制体制の確立が必要であるということが、一つの大きな柱になってくると思います。それと同時に、交通量の増加と道路事情の変化に対応した対策を抜本的に考えていかなければならないと思います。そういう点について警察庁としては、今後そういう都市災害におけるところの交通規制について、どのような対策の確立と、その確立の基準についてお考えになっておるか、もう一度お伺いいたします。
  57. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 先般の名古屋の場合は、御承知のとおり一号線が冠水したので、三時からずっと一般の車をあらかじめとめておったのですが、それが少しおくれたかもわかりません。そのために、その冠水地域からずっと手前のほうに車が渋滞したので、ああいう結果になったと思います。パトカーが誘導しますと、これは緊急車としてサイレンを鳴らして行くので、ほかの車をできるだけ避けさして行くことになっておりますが、おくれました。  なお、この車を一般的に、たとえ区間をきめましても、そういう緊急物資を運ぶ車以外の車を全面ストップさせるということは、非常に大きな影響力があるわけなんです。あるいは個人的に見舞いに行くとか、あるいは助けに行くとか、そういう車を全部とめますので、これの発動は、相当われわれも慎重に考えなければなりませんけれども地元災害対策計画その他につきましても、必要な幹線道路につきましては、必ずその緊急物資のために確保するという規制計画は、それぞれ持っておるはずでございます。それをいつ発動するかという具体的な段階は、それぞれ個々別々に違うと思いますけれども、そういう計画は十分持っておりますし、さらに非常に痛感しますのは、やはりPRその他の関係でございます。これは、愛知県の交通情報センターがございますが、そういう面での情報で十分規制計画、規制の位置、そういうものを各運転者に知らせまして、一般地元方々協力を得なければ、こういう規制はできないと思います。  何をおきましても、そういう緊急物資の優先、それから被害者の救済というものをまず第一の優先に考えました交通規制計画を立てるつもりでおりますので、よろしく御了承願いたいと思います。
  58. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防災基本計画には、災害の備蓄制度の運用に関する事項を義務づけているわけでありますけれども名古屋の場合におけるところの低湿地帯というのは限られておるわけでございます。そこで、その備蓄倉庫の位置というものは、しょせんは、災害のときに重要な役割りをしてくるわけであります。そういう点について、実際に災害が起こるであろうと予想されるところの近くにある備蓄倉庫であるならば十分用を達するわけでございますが、しかし、はるか遠くから運搬をするということになれば、やはりいまのような交通等のいろいろの規制もありますし、実際にそぐわないという状態も出てくると思いますが、備蓄倉庫に対するところの考え方、並びに備蓄倉庫の中においても、十分に義務づけられたものが用意をされていないというところもあるやに聞いておりますが、そういう点について、市町村防災計画に基づくところの備蓄倉庫の設備についてのお考え方について、湊副長官にお伺いいたします。
  59. 湊徹郎

    湊説明員 ただいま水防その他の備蓄資材についてのお話がございましたが、既往の重なる災害にかんがみて、おのずから、いままで受けた災害の頻度等に対応して、現地自体でも備蓄に対する考え、被災の経験の強いところは非常に強うございましょうし、しかし、いつ災害が来るかわからぬ、特に先ほどからもお話があったように、もはや常識が常識として通用しないような種類の災害が頻発しているというような状況にかんがみて、常時備えをしていくという立場で、ここ二、三年、水防資材その他の備蓄については、かなり私どもも、政府全体に対して鞭撻をしながら準備をさしておるわけでございますが、先ほども話がありましたように、一般の自然災害の場合と、特に都市部に起きた場合の災害のあらわれ方の態様の差といいましょうか、そういうものは、明らかにいままでの経験上もわかっておりますので、それぞれそういう起こり得べき災害の実態に対応した備蓄資材の種類、数量、その他市町村の防災計画等において十分準備していくように指導してまいりたいと思っております。
  60. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もう一つの原因としては、やはり宅地造成の問題があげられようかと思うわけであります。たとえば昭和区天白町天白川の左岸一帯の新興住宅地は、水田を宅地造成したが、立ち並んだ家よりも高いところを天白川が流れており、あふれた水ははけようもないという状態であったということであります。天白町植田においても同じことであります。  このような危険個所における宅地造成は、宅地造成等規制法により宅地造成の規制を受けているわけでありますが、この地区の造成地は、宅地造成工事規制区域指定はされているかどうか、その点についてお伺いいたします。
  61. 朝日邦夫

    ○朝日説明員 お答え申し上げます。  ただいま例示としてお取り上げになりました地域、天白川の流域は、宅地造成等規制法の規制区域指定をいたしております。
  62. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 指定をしているわけですか。
  63. 朝日邦夫

    ○朝日説明員 しております。
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の定義の「「急傾斜地」とは、傾斜度が三十度以上である土地をいう。」とありますが、平たん地もある程度広く解釈し、宅地造成工事規制区域指定をなし、宅地造成に関する工事の技術的基準等の適用を私はすべきではないかと思うのですが、その点についてお伺いします。
  65. 朝日邦夫

    ○朝日説明員 お答えを申し上げます。  宅地造成等規制法ができました経緯を申しますと、これは法律の目的といたしまして、まず、宅地造成に伴いまして、いわゆるがけくずれあるいは土砂の流出、こういうことによって災害が発生し、その結果、国民の生命、財産に影響を及ぼすということを防止しよう、こういう趣旨でございまして、本来やはり、そういうがけくずれなり、土砂が流出をするという危険なところを工事を規制をしよう、こういうことでございます。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その工事の許可は、どこでなされるようになっておりますか。このような宅地造成を認可した場合、宅地造成等規制法第九条の規定は、どのように解釈をされ、運用されているか、その点についてお伺いします。
  67. 朝日邦夫

    ○朝日説明員 規制法に基づきます規制区域内で宅地造成工事が行なわれます場合には、知事が、その工事の設計その他内容を審査いたしまして、許可をいたしております。――失礼いたしました。ただいまのは、六大都市の区域内に関します場合には六大都市の首長でございます。したがいまして、名古屋の市長でございます。
  68. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどの副長官からのお話で、昭和四十五年四月から七月中旬までの長雨等による災害激甚災害として指定し及びこれに対処し云々という措置が講ぜられたというわけでありますが、この名古屋の場合においては七月中旬以降になるわけでありますが、その点についてどのようにお考えになっているか、最後にお聞きします。     〔委員長退席、斉藤(正)委員長代理着席〕
  69. 湊徹郎

    湊説明員 先ほども申し上げましたように、できるだけ私どもとしては、災害対策の各種立法等かなり幅広く適用することによって、住民の被害を、できるだけお手伝いをして立ち直りを早からしめたい、こういう主眼のもとにいままで運用してまいっておりますが、名古屋の場合、ごく最近のことでもございますし、被害状況等逐次明らかになるにつれて、特殊な都市災害でございますから、一般の場合の自然災害等とおのずから異なる点もございましょうし、その辺まあちょっと、いままで承知した範囲では、激甚災害指定対象ということは、これはむずかしかろうと、率直な話、思いますけれども、宅造関係あるいは下水道関係、あるいは一般河川改修関係等々、その他の手段をできるだけ集中的にひとつまとめて対策に役立つように運用する、そういう前提で検討させてもらいたいと思っております。
  70. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど同僚議員から、新潟加茂市におけるところの災害についていろいろ質問されましたけれども、七月十七日の夜から十八日の朝にかけて集中豪雨が襲い、加茂川、大皆川、下条川の水害により、加茂市は非常に大きな被害を受けているわけであります。加茂市においては、御存じのとおり四十二年の八月あるいは四十四年の八月、四十五年と、過去四年間に三回、二年連続して発生したというところに、私は大きな問題があろうかと思うのであります。二度と繰り返してはならない災害が、連年災として四年間に三度も繰り返されたことは、もう明らかに政府災害行政の怠慢と貧困以外の何ものでもないと私は思うのであります。  何といっても今回の災害の原因の第一は、前年よりの河川改修のスローモー工事にあることは、先ほども各議員から言われたとおりであります。確かにできるところの中州の除去、鋼矢板の打ち込みあるいは河床の掘り下げ等、一部されたところもあるやに聞いておりますけれども、毎年定期的に襲う集中豪雨により、河川防御の土木工事が追いついていかないところに大きな問題があります。このままでいきますと、台風の来襲、そして再び来る集中豪雨にとうてい耐えられる状態ではないわけであります。  政府は、昭和四十五年から災害復旧助成事業と並行して行なう十年事業計画を策定されておるやに聞いておりますが、私はこれを、少なくとも加茂市については特例法を設けて、そして変更する必要があるのではないか、そのように思うのでありますが、御所信をお伺いいたします。
  71. 川崎精一

    川崎説明員 先ほどお話し申し上げましたように、加茂川災害流量規模にして約五百トン程度ということで、既往の実績から見ますと、相当の大災害であったわけでございますので、それを四十八年の出水期までには何とか完了したいというようなことで進んでおりますが、さらにこの防災の整備水準を上げる計画につきましては、あらためて今後検討をしたいということでございます。
  72. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 毎度毎度災害のときに、その責任体制の所在が明らかでないところにばらばら行政の一つの大きな問題があります。たとえば加茂川の場合においては、そのように連年災で、加茂市の方々も非常に困っておるわけであります。私も加茂市に行かせていただきましたが、あの惨状は目をおおうような状態でありました。それが、四年間に三回もそのような問題が起こるということについては、私は、少なくとも政府が誠意ある解決策をしていかなければならないと思っております。確かに復旧のための予算投下は三・五・二という割合があるわけでありますが、その予算投下の率を少なくとも変更して、この問題について特例法を設けていかなければならない。そして加茂川に対する住民の不安を取り除かなければならないと思うのでありますが、もしもその対策が手ぬるくて、そして再びこういう問題が起きたときの責任はだれにあるのか、そしてその所管はどうなのであるかということについて、副長官からお伺いいたします。
  73. 湊徹郎

    湊説明員 なかなかきびしい御質問でございますが、率直の話、いままで私も担当しておりまして、いまのような連年災害――新潟の場合、典型的な一つ連年災害の形をとっておると思います。ところが反面、ことしの一月の台湾坊主、これはいままで過去十年、ほとんど類例がない初めてのケース。千葉県のつい最近の七月の災害、これまた十年来、三十五年以来初めてのケース。それから昨年の北越一帯の集中豪雨新潟県は連年でありますが、富山県のほうは、ほとんどいままでしばらくの間災害の経験のない地帯に、同じような水害があった。こういうことでございまして、連年の部分もありますけれども、同時に、ここ十年来経験のないようなそういう種類の災害を受けた地域もある。こういうことで、その辺のさばきについて、率直の話、私どもとしても全体をにらみながら、そういう新しい災害のあらわれ方について、従来のようなレールで考えていったのではとても追っつかないのではないかと思っております。  さっきも申しましたように、都市災害という形はここ数年のものでございますし、最近は、たとえば大阪でガスが爆発する。これは人災とも違う。ある意味では災害とも言えよう。また川崎の例の昭石の爆発事故、こういうこと等もあります。こういうものも、さっきの宅造の問題とあわせて、一種の新しい都市災害の形である。こういうふうに考えてまいりますと、なかなかその対策の幅というのも、従来よりもかなり広めて考えていかなければなるまいというふうに思います。  特にその御指摘のあった連年災害につきましては、私自身災害委員の当時、四十二年の羽越災害、あの前後、同じように新潟県は連年災害を受けた経験にかんがみ、その種のものについて特例措置を考える必要がある、こういうことを委員会の席上で、実は再々政府を鞭撻した記憶もあり、鞭撻される立場に立った現在でございますから、ただいまの三・五・二の比率の問題も含めて――あれは別にきちんとしゃくし定木に三・五・二ときまっているわけでもございませんし、先ほども申しましたように、傾斜をかけて集中的にそういうダブルヘッダーあるいはトリプルヘッダー、二重、三重の連年災等については、その行政措置としてやはり特例的な扱いをする必要があるだろう、こういうことで、私どももひとつ検討をさしていただきたいと思っております。     〔斉藤(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に二、三点まとめて質問いたしますので、お答えを願いたいわけであります。  加茂川の河口、すなわち、先ほども地元の同僚議員がいろいろ言われたように、鉄橋から下のほうが非常に問題点があるということでありますが、河口がいわゆるきんちゃく型みたいになっておりまして、とうていその出水時には水がはけ切れないという大きな問題があるわけでありますが、下流部の中州の除去と相まって、やはり河口の改修を早急にやらなければならないと思いますが、その点についてはどのようにお考えになっておるのか。  また、加茂川水系の支流である大皆川及び小皆川は、加茂川、下条川同様の大水害で、幅員の狭さと河口の狭隘は、より流域の市街地、他河川にも溢水して、言うならば水がより以上かさむという状態になっておりますが、大皆川あるいは小皆川、また下条川等の河川の改修事業についてどのような計画で今後進められるか。  また加茂川、下条川及び大皆川下流施設されている信越線の例の鉄橋の低さが最大のネックになっているわけであります。先ほど国鉄のほうについてはいろいろ相談をしているという話でありますが、はたしていっその計画が実施に移されるか、もう少し具体的なお話をしていただかなければ、加茂市の方々は安心して眠れないという状態であろうかと思いますので、再度、この問題が重要な問題でありますので、御答弁を願いたいと思います。
  75. 川崎精一

    川崎説明員 加茂川下流部、特に右岸の新田の地区でございますけれども、これにつきましてはやはり一番改修のかなめでございますので、下流部につきましては、全面的に中小河川改修等で行ないますが、下流部の構造とか線形等については十分注意をいたしまして、この際抜本的な改修をするように考えたいと思っております。  大皆川につきましても、やはり本川の加茂川にあわせまして河道の拡幅、整備あるいは築堤等、加茂川緊急計画の時期までに完成するようにいたしたいと思っております。  それから、下条川につきましては、現在上流でダムを実施いたしております。このダムによる洪水調節が一番大きい働きをするんじゃないかと思いますので、これの促進をまず第一にはかるということ、それからあと下流部につきましては、現在中小河川改修事業の対象になっておりませんので、明年度から中小河川の改修事業として採択するように、現在要求のための作業を進めておるところでございます。  なお、国鉄等のいろいろな関連の関係につきましては、これはまた先方の御都合もあることでございますけれども、先ほど申し上げました方向で、私ども予算要求の時期ごろまでを目途にしてできるだけ話を詰めていきたい、こういうふうに思っております。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上で質問を終わります。
  77. 辻原弘市

    辻原委員長 小宮武喜君。
  78. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は、ことしの四月から七月にかけての長雨やあるいは集中豪雨によって農作物被害が大きかったのでありますが、その対策について若干の質問をいたしたいと思います。  けさ配付されました資料によりますと、政府は特に被害が甚大であった福島県、千葉県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、福岡県、熊本県及び大分県の九県を天災融資法の特別被害地域に指定するとともに、激甚災害法も適用することを決定しておるようでありますが、しかし、この天災融資法激甚災害法の併用適用を受けた九県のほかにも、相当被害を出しておる府県があったはずだと思います。したがって、この九県のほかには、この天災融資法の適用を受けるところはなかったのかどうか、この天災融資法の適用基準に該当しなかったのかどうかということについて、まず質問します。
  79. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  御案内のように天災融資法におきましては、当該天災に基づきます被害指定いたしまして、その被害を受けました地域の農家の方々には、一定の被害限度がございますと、すべて融資の対象にいたすわけでございます。特に被害を非常に激しく受けた農家の方、それらの農家の方がまとまっておられるところにつきましては、天災融資法で特別被害地域ということで指定をするというのがたてまえになっております。それを受けまして、激甚災害法によりまして同じくこれを指定いたしまして、融資の条件とか金額等について若干有利にいたすというたてまえになっております。したがいまして、今回指定の県以外は、これは特別被害地域のある県あるいは激甚災指定県ということでございまして、一般的に、今回の長雨によりまして被害を受けた県につきましては、当然一般的な融資の適用があるというふうなことに相なっておるわけでございます。
  80. 小宮武喜

    ○小宮委員 したがって、その九県以外の一般府県で、この天災融資法の適用を受ける府県はどれくらいあるのか、その点質問します。  特に長崎県の場合はその適用基準に該当しないのかどうか、その点もあわせてひとつ御答弁お願いします。
  81. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  ちょっと県数は数えておりませんが、今回の長雨はほとんど全国的に及んでおります。したがいまして、一々県の名前は申し上げませんが、青森、岩手、宮城、秋田、山形等についてはあまり被害がございませんけれども、それ以外の県については、ほとんど相当な被害がございます。したがって、それらについては当然天災融資法の適用もございますし、また長崎県などは当然、融資の希望がございますれば、この融資対象にいたすということになっております。
  82. 小宮武喜

    ○小宮委員 適用時期はいつからになりますか。
  83. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  先ほど総務長官からも御案内申し上げましたように、今回の天災融資法の適用をいたします災害は、四月から七月下旬までの梅雨を含めました長雨による被害でございまして、その期間降雨災害についてはすべて適用するということでございます。  なお、いつから発動するかというお話でございますれば、八月三日にこれをすでに公布いたしまして、ただいま融資需要をとっておるというところでございます。
  84. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでよくわかりましたけれども、大体農林省としては、今度のこの被害に対しては早くから、天災融資法を適用しなければいけないということはわかっていたはずなんですね。それが非常におくれたというのは、農林省として、そのような被害状況を的確につかんで、その上で適用しようというふうに考えておったのではないかというように考えますけれども、実は農家では非常に困っておるわけです。それで、いつもながらのお役所仕事に不満を持っているわけです。したがって、四月から七月までのこういうような中で大体該当するようなところにはやはり早く適用して、何としてでも、一日でも早く農家の方々に対して安心させる、また立ち上がらせるということをすべきではないかと思うのですが、今日までおくれた事情は、大体つゆが明けてから、いろいろ正確な数字をつかんでからということであろうかと思いますが、おくれた理由をひとつお願いします。
  85. 湊徹郎

    湊説明員 これは先ほども申し上げたかと思いますが、大体災害に対する対応のしかたといたしまして、市町村等きわめて限られた局地的な災害等については、従来は市町村が主としてやる、やや大きなやつについては県がお手伝いをする、それから、でっかいやつは国のほうが激甚災害ということでお手伝いをする、こういうたてまえになってきております。そこで、そのでっかい災害は何だといえば、国民経済全体に対して甚大な影響を及ぼすような災害激甚災害というんだ。それは一体金額にすればどのくらいなんだ。内々でありますが、これはもうちょっと、数年前の数字ですから変わっているかもしれませんが、大体三十億円程度、たとえば農作物災害でも、一つの県なら一つの県、あるいは数市町村まとまって三十億円程度のやつは国民経済に重大な影響あり、こういうことで指定をしようという取り扱いに従来なってきたわけなんです。  ところが、だんだんと、局地であるけれども傷の深い災害というのが、最近非常にふえてきたものですから、そこで、さっきも申しましたように、そういう災害を選ぶときに何を選択の基準にするかというと、おおむね同一の気象条件によって起きた災害を選ぶ。そうすると、今度の場合は、長雨なだけに非常に気象条件も複雑でありますし、地域も全国にまたがるというので、一つ一?えり抜いたのでは、どれもこれも激甚災害に該当しないわけであります。そこで、そういうものをできるだけだんごにして――激甚災害指定対象にすると三分五厘の有利な融資が受けられますので、そういうふうな扱いをするためには、四月から七月中旬という――いままで、そういう長い期間をだんごにして扱ったという例がむしろないくらいで、今度初めてです。そういうふうにしてでも、むしろ激甚災として対象にしてあげたほうが、被害を受けられた農家の方々にはいいのではなかろうか、こういう配慮からやったのでありまして、一般の激甚ならざる災害の形で天災融資法災害対象にする分については、さっき話がありましたように、いままで待つ必要はなかったわけなんでありますが、そういう事情になっていることを御了解いただきたいと思います。
  86. 小宮武喜

    ○小宮委員 それで、この天災融資法による貸し付けの場合、これは先ほど出ました、融資の利率が年三分とか六分五厘に分かれておるわけですね。この年六分五厘というやつは、農家では非常に評判が悪くて、非常に敬遠されておるわけです。これを意地悪く勘ぐれば、この六分五厘というのは、利息を高くすることによって融資申し込み者が減る、減ることによって融資総額を幾らかでも減らしてもうけよう、というふうに私は考えるわけなんです。しかし、私はこの種災害については、少なくとも災害に対する融資については、三分とか六分五厘とかということではなくて、もう年三分なら三分ということに一本にしぼるべきだというふうに考えておるわけなんですが、この年三分と年六分五厘と区別した理由と、そういった災害融資についてはとにかく年三分一本にするということについてどのように考えられておられるのか、御見解をひとつ承りたいと思います。
  87. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  御案内のように天災融資法におきましては、一般被害農業者につきましては六分五厘、特に被害が大きい方、たとえば農業の平年収入に対して被害額が五割以上に相当するというような方々に対しては三分というような融資を適用しておることは、先生御案内のとおりでございます。これにつきましては、それぞれこの融資の制度は、まあ初歩的なことを申し上げましておしかりがあるかと思いますけれども、再生産資金の確保ということで、それにのっとりまして、被害の傷の深さによりまして六分五厘なりあるいは三分という金利を想定しておるわけでございます。  で、これは被害を受けたから金利が低ければ低いほどいいではないかというような御指摘もございましょうが、各種農林関係の金利制度、あるいは他の業種に対する被害災害融資制度、それらの均衡を考えて、現状は六分五厘なりあるいは三分というような金利になっておるわけでございまして、これら金利の今後の取り扱いにつきましては、農業も含めまして、各種業種全体に対する災害融資制度の金利体系のあり方等について検討する必要があるかと思うわけでございます。
  88. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、最後に質問します。  農林省は、この今度の長雨とか集中豪雨による麦の被害に対して共済金の仮払いをするということで、各都道府県知事あてに、被害調査を早くするようにという通達を出しております。したがって、この麦の被害に対する共済金の仮払いはいつするのか、その点について質問します。
  89. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  当委員会におきまして、本施策につきまして種々御質問があったことでございますけれども、前回及び前々回にも御説明申し上げましたように、六月の末に、災害補てんとしての共済金の仮渡し、あるいは単位の共済組合がその共済金を仮渡しするために必要な保険金の仮渡し、あるいはその財源を確保するための国の特別会計による概算金の仮払いというような点については遺漏なきを期するというようなことで、各県とも早急な体制をとるということは、たしか六月二十四日に通知したとおりでございます。これに基づきまして、各県それぞれ対応しておるわけでございまして、すでに県によりましては仮渡し方式で実施しておるところもございます。われわれ承知しておるところでも、徳島県あるいは愛媛県等においては、すでにその措置を完了しております。なお、千葉の水稲災害につきましては八月十一日にこれを行なうというふうな報告を受けております。  ただ、仮渡しをいたしまして農家の方々の需要を充足するわけでございますが、県、地域によりましては、仮渡しのあとで精算というよりも、早期に本払いをしたほうが実際的であるというような判断をとっておる県もあるようでございます。それらの県につきましては、大体今月中には早期本払いということをする予定になっているというふうに承知しておりまして、御懸念の点については、われわれとしても遺憾がないというふうに考えております。
  90. 小宮武喜

    ○小宮委員 わかりました。  私の質問をこれで終わりたいと思います。
  91. 辻原弘市

  92. 津川武一

    津川委員 集中豪雨長雨に対してだいぶ質問が進んだようですから、私ははしょります。  そこで、先ほど総務長官も話していたようですが、世論が災害に対してわいているときに、また、その気になっているときにすることが非常に必要なので、千葉県の災害に対して、三つだけ問いただしてみたいと思います。  一つは、この間も指摘したのですが、空港などの大資本本位の仕事を進めておって、中小河川の改修をあまりしてなかった。たとえば成田空港の放水路になる根木名川は、十一億五千万円年間使っておる。今回大きな被害を出しておる養老川は、事業費がゼロであったわけであります。そこで、問題の世論があるうちに、また、市町村長も時がたつと情熱が失なわれていくのは、皆さん御存じのとおりでありますので、国としてこの点をすみやかに進める体制をつくったのかどうか、つくってなければこれからどうするのか、ひとつまず答えていただきます。
  93. 川崎精一

    川崎説明員 お答えいたします。  先生のお話のように、千葉県、特に南総地域の事業の進捗の問題でございますが、予算的に申し上げますと、昨年から約二割程度伸びてはおります。しかし千葉県のほうは、主として北総のほうに都市集中等の問題がございまして、千葉県全体で見ればむしろ三割くらい伸びておるのですが、総体的に見ますと、何か南総が予算的に非常にまま子扱いになっておるような感を受けるわけでございます。  これはいろいろ計画上の問題等もございましたが、今回相当大規模出水がございましたし、われわれも計画内容を十分反省いたしまして、特に御指摘の養老川等につきましては、新しく中小河川として採択するとか、あるいはダム計画もあわせまして、今回のような出水でもなお十分安全を保てるような河川施設の整備を積極的にはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  94. 津川武一

    津川委員 もう一つ千葉県は、防災上から見た災害発生危険水域の実態というものを出して、うんと指摘してあるのですが、これが今回、その指摘されたところ十数カ所でがけくずれなど起きてきたのですが、ここもやはり忘れないうちに固めてやるべきだと思うのです。これに対する対策をもう一つ聞かしてください。
  95. 川崎精一

    川崎説明員 千葉県で、今回のがけくずれの発生に伴いましていろいろ調査をいたしましたところ、全部で約二百四十五カ所という報告が私どものほうに参っております。このうち五戸以上のものというのは三十四カ所くらい、しかも、そのうちでいわゆる急傾斜地の危険区域指定の要件にはまるものというのは二十四カ所くらいでございまして、非常に少ないわけでございます。ほとんどは一戸ないし二戸建ての裏のがけが落ちたとか、非常に局地的なもので、ちょっと制度的に救済をするわけにはいかないんじゃないかという感じがいたします。むしろ防災意識の高揚だとか、警報、通信、連絡あるいは避難体制、こういったものが非常に大事じゃないかと思います。  なお、急傾斜地崩壊防止の事業に該当するものが四カ所くらいあるようでございますが、これにつきましては、まだ現在県のほうからその手続といいますか、申請が出ておりませんので、来ましたら、私どものほうで積極的に取り上げるように努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  96. 津川武一

    津川委員 県のほうにこちらから指導して督促するという態度ではないのですか。県のほうを待っているというのでは、今後の災害の教訓はないと思うのですが、もう一度重ねてお願いします。
  97. 川崎精一

    川崎説明員 実はただいまの調査も、私どものほうからずいぶん督促をいたしまして、その結果やっと出てきたわけでございますが、県内におきましても、非常に災害復旧事業等に忙殺されておるので、あるいはおくれておるのじゃないかと思いますが、今後も一そう督促するようにいたしたいと思います。
  98. 津川武一

    津川委員 南総の災害に対して最後の点は、厚生省と副長官に対しての質問ですが、行くえ不明の方がまだ二人ある。これを災害救助法で捜索している。その中で、家族がもうあきらめていいんじゃないかというふうな気持ちにもなっているそうですが、やはりこれは、家族の意図はどうあろうが、なくなられた人に対する最大の国の責任として、私は最後まで続けるべきだと思うのですが、この点一つ。  それから副長官に対しては、なくなった方に対して埋葬料の七千円より出てないが、これは一番大きな被害者なので、この間も話したとおり、国としての見舞い金なり何らかの形はあるべきだと思うのですが、その点の作業は進めてくれましたか。進んでいるかどうかお伺いします。
  99. 湊徹郎

    湊説明員 後段のほうの御質問にお答えしたいと思います。  過般の委員会でも申し上げたわけでありますが、個人で、なくなられた方あるいは負傷された方、これに対して国も何らかの形でやはりタッチすべきではないか、こういう御議論が実は数年前からございまして、私ども内部的にいろいろ検討いたしておりますし、特にこの点については公明党さんのほうからも、この前の国会で議員立法の形で提案された経過もこれあり、具体的な実態を――九月一日が防災の日になっておるものですから、そしてまた、経験的に一番災害が集中しやすい時期でありますから、さっきの鉄は熱いうちに打てというふうな御指摘もあったように、ことしの九月一日前後で全国被害の多かった市町村は悉皆調査、あるいは一般的には抽出調査、さらに県ないし市町村長さん等については、制度そのものに対する意見等をお聞きして、年内に大体その種の方法をひとつ見つけたい、こう思っておるのですが、まだ検討前に予断めいたことを申し上げて恐縮なんですけれども災害というのは年度ごとに非常にばらつきが多うございまして、ここ二年ぐらいは、一年間に二百名程度の死傷になっております。交通事故なんか一万六千でありますし、夏場だけの水死者だけで、ここ数年三千名をこえているという現況、落雷だけでも大体四、五十名、火災による人だけでも千数百名というふうに、いろいろ事故原因によってなくなられた人、特に自然災害の場合、いま申したように数が非常に少ないだけに、ほかのものとのかね合いで、一つの制度としてそういうものがはたして成り立ち得るものかどうか、そういう基本的な検討もやはり必要だと思っておりますので、そういうものを実態調査とあわせてひとつやっていきたいというふうに考えております。  なお、災害救助法のほうは厚生省のほうから答弁があると思いますが、救助法自体のあの内容についても、いろいろ洗ってみる必要のある項目がかなりあると、私個人は率直に思っておりますので、いろいろな災害に対応する制度全般をもう一ぺん見直す時期になったのではなかろうか、こういうことで、いま内容的に検討を始めております。
  100. 吉村仁

    ○吉村説明員 前段のほうについてお答え申し上げます。  災害救助法によります死体の捜索につきましては、一般基準では、十日間だけの捜索期間が認められておるわけでございますが、千葉県の場合、なお二人行くえ不明ということでございまして、この二名にかかる死体捜索につきましては、御遺族の方の御納得がいくような形で、十日間の一般基準を延長するということで運用をやっておる次第でございます。
  101. 津川武一

    津川委員 千葉県の災害はそのくらいにいたしまして、次に、副長官も話していましたけれども、何が災害であるかという点が非常に複雑になりましたが、去年の四月一日、新四ツ木橋で出かせぎ者が八人なくなる事故が起きている。それに対して、建設省新四ツ木橋事故調査技術委員会から調査報告書が出ている。この報告書の最後を見ましたら、何か地盤に問題があるようにいっておりましたので、委員長に話して、ここで取り上げていただくようにお願いしたわけでございます。  そこで、建設省にお尋ねいたします。この出した報告書は、これで最終的な結論なのかどうかということであります。  私たちは、学問、技術、特に生命に関係ある一つの結論は、もう一つどこかで追試して、同じ結論を出したときに最終結論として効力がある、反対の意見を持ったような報告書や調査書が出たときには、それを検討してはじめて最終結論とすべきだというわけであります。そこで、一九六九年十二月五日発行の「日本の科学者」という雑誌の中に、荒川事故調査会で荒川事故調査報告を出しておりますが、この報告書と建設省報告書というのとかなり違うのでございます。  そこで、こういう点を検討したのかどうか、これを最終的な結論にするのかどうか、この二つをまず答えていただきます。
  102. 菊池三男

    ○菊池説明員 お答えいたします。  ただいまお話しございましたように、実は四十四年四月に荒川の四ツ木橋のところで、建設省が橋梁の新設工事をやっております。そこの下部の工事をやっておりますときに、その工事の施行段階で、川の水の中に橋脚を建てます関係上、その水を排除して仕事をやるために、一つのその中で作業をやる矢板の円筒をつくりまして、水をかい出しまして、そこでドライにして下部の橋脚を建てる工事をやっておったわけでございます。そのときに、その矢板を打ち込みました大きな円筒が水圧によってつぶれませんように、ちょうどふろのたがのようなけたを内側から入れまして、それによって水圧に対抗するというような工法で実はやっておったわけでございます。そのときに、そのリングを約九段ほど入れる予定でおりましたところが、だんだん掘さくをしてまいりまして、六段目が終わりまして七段目のリングをはめるちょうどその時期に、その仮締め切りが崩壊いたしまして、とうとい人命が八人ほど失われたわけでございます。  建設省といたしましては、直ちに、同じような工事をほかでもやっておりましたので、それの中止を命ずる一方、早急にその事故の原因を確かめる必要があるということで、ただいまお話ございました新四ツ木橋事故調査技術委員会というものを早急に発足して、約一年半にわたりましていろんな調査をやりました結果、今度の報告書が出たわけでございます。  その報告書のメンバーといたしましては、土木研究所の所長でございました福岡正巳さんが委員長でございますが、やはりそれの原因の妥当性ということを考えまして、そのメンバーには大学の教授二名、それから民間の学識経験者二名、それから他官庁――たとえば国鉄あるいは首都高速道路公団というところもみなそういう工法を使っておりますので、そこから二名、それから建設省からは二名というような構成でこの調査委員会をつくりまして、その公正を期したわけでございます。  したがいまして、この出ました報告は、一応建設省といたしましては、先ほど建設省報告書と申されましたけれども建設省報告書ではなくて、やはりそういういろんな方々の御意見が集約された報告書であるというふうに考えております。したがいまして、またさらにこれに対して、何か次の別の機関で検討するというようなことは考えておりません。
  103. 津川武一

    津川委員 そこで、「日本の科学者」に載った荒川事故調査報告というものを、検討するときに――私は、これはかりに建設省報告書と呼ばしていただきますが、建設省報告をやるときに考えたかどうか、これが一つ。  もう一つには、調査委員が十一人で、いま答弁になったような編成のようですが、しかし、土木研究所所長、首都高速道路公団理事国鉄構造物設計事務所長、飛島建設株式会社常務、建設省東北地方建設局長建設省道路局長建設省土木研究所構造橋梁部長、こういう方たちでやっているので、やはり警察庁も建設省工事をした間組に安全の手落ちがあるとして刑事責任を追及する、というようなことが新聞に書かれてくるし、関係者も納得しないわけであります。  そこで、今後こういう委員会でいいのかどうか。だからこそ、反対の意見を出している者の事故調査報告書を取り入れて検討したのかどうか。この二つをまた答えていただきます。
  104. 菊池三男

    ○菊池説明員 最初の点の問題でございますが、これはただいまの委員会では、委員会として独自に調査しておりますので、この調査の段階でいろいろな文献、いろいろな資料を集めて、その内容検討しておりますが、ただいま申されましたそれがその中に入っていたかどうか、ちょっと、私はこれに直接関係していませんでしたので、当時のことはわかりませんけれども、少なくとも建設省というか、その調査委員会としては、できる限りそういう意味の資料を集めて検討した結果だろうと思います。  ただ、警察でも何か刑事責任を問うというようなことが新聞にいわれておりますが、これはまた、私どもの直接の問題ではございませんけれども、警察としては、やはり警察の独自の立場から、あるいはそういうような刑事事件としての調査をやっておられるというようなことも聞いております。しかし、今度の報告書につきましては、そういうほかのところとの直接の関連はございません。
  105. 津川武一

    津川委員 そうすると、建設省は、この私が言う建設省報告書、これを最終結論とするつもりでございますか。
  106. 菊池三男

    ○菊池説明員 そのとおりでございます。
  107. 津川武一

    津川委員 とすると、この報告書に対してかなり聞いてみなければならぬことが出てまいりましたが、その次に、この事故が起きましてからリングビーム工法でやる建設工事を中止してしまったようですが、これはその工法に問題があるからでございますか。それが一つ。  それから、この報告書が出た今日、リングビーム工法を使うのかどうか。この二点を……。
  108. 菊池三男

    ○菊池説明員 事故が起きましてから、建設省関係工事で、このリングビーム工法を使おうと計画していたところ、あるいは工事中のところ、これが七、八カ所ございます。そこで事務次官通達を出しまして、これは即刻作業の中止を命じております。これはちょっとまだ当時は、原因がはっきりどこにあるかということもわからない状態のときでございますし、とうとい人命が失われたということで、安全を期しまして、そこで中止をしておるわけでございます。  それで、その七、八件ございました計画あるいは施工中のものでございましたものにつきましても、そのまま工法を変更して、リングビームじゃない工法でやったものが半分ございます。残りの半分は、工事の途中でございましたので、それを補強して、その補強が妥当であるということならば工事の継続をするということで、同じくこの調査技術委員会で、一件ごとに全部その補強工法を考えまして、これならだいじょうぶだということで事業の再開をしております。
  109. 津川武一

    津川委員 そこで、報告書の内容に少し入ってみますが、報告書によりますと、破れた六段目リングビームに作用した外力は、リングビームの「座屈耐力を超過して、事故が発生したとの判断に達した。」こういっております。報告書では、この点が、必ずしも設計のときにそういうことが考えられておったのかどうか――座屈に対する耐力のことが設計に明記されていないようですね。ここの点でも、その点を追及していないようですが、設計の上で手落ちがあったのではありませんか。
  110. 菊池三男

    ○菊池説明員 設計の時点では、面内の座屈耐力は計算いたしてございます。ただその場合に、今度の破壊の原因が、結果的に座屈耐力をオーバーしたわけですけれども、そのオーバーする原因が、先ほど申しました円筒の下の地盤にシートパイルを打ち込んでおるわけですが、その内側の土が内部抵抗して、外の力とバランスがとれてそのままの形が保たれるわけですけれども、たまたまこの土質が非常に鋭敏比の高いと申しますか、こね返しによって非常に強度が落ちる、そういうような特別な軟弱な土質であったために、それが長いある時間を経る間に急激にその抵抗力が失われてしまったということで、本来ならばリングビームとそれからその底の地盤、それの内部抵抗によってバランスが保たれるべきものが、下のほうの土の内部抵抗がなくなってしまった。そのために、外力がすべてそのリングにきてしまったということで、その座屈耐力を越えてしまったということでございます。  それで、あの報告書にもございますが、面内座屈だけですと、それが破壊には至らなかったのですが、その面外の、面内座屈よりもっと上回る力がリングにかかりまして、それで面外座屈でこわれてしまった。面内座屈と申しますのは、一つのリングがその面の中でこうつぶれるようなことでございます。ところが、それがこういうような立体的に波を打つような座屈を起こしたということで、面外座屈でこわれたということでございます。したがって、面内座屈等についても十分な検討がしてあった。ただ、その面内座屈を越えた、そこにまあ問題があったわけでございます。  そこで、まあ原因としては、内部の土圧の抵抗力がなくなったためであるというふうに、その報告書ではうたっております。
  111. 津川武一

    津川委員 この私の言う建設省報告書は、事故が起きたことを、なぜ起きたか、あとたんねんに検討している。これはよくわかります。  そこで、面内座屈だけでなく、面外座屈による破壊だという結論になっています。この点は、事故を検討したらそうなった。これはよろしいですが、とすれば、設計のときに面内座屈の設計準備しかしてなくて、面外座屈の可能性があるということを、事実上設計において無視している。このことが報告書では明らかになっていない。したがって、設計の上でミスがあった。やった工事でなぜ事故が起きたかという検討においては、これは正しい。面外座屈があったから。設計のときに面外座屈をなぜ検討しなかったか、このことが明らかにされてないので、面外座屈を設計の段階において考えておったのか考えてなかったのか。考えてないとすれば手落ち。考えておって設計に出なかったのか、施工の段階で、その面外座屈に対して対策を怠ったのか、この点を明らかにしていただきたい。これは報告書ではわかりません。
  112. 菊池三男

    ○菊池説明員 設計の段階では、先ほど申しましたように面内座屈で設計をしております。普通リングビームを据えつけます場合に、一般的には、面外座屈のほうが面内座屈よりも強いわけでございます。したがって、面外座屈で計算してだいじょうぶであるよりは、それより小さい面内座屈で計算するほうがこれは安全なわけでございます。  ただ、今度の事故でやはりわれわれがよく教えられましたことは、その面外座屈がなるべく起こりにくいような形に施工しておく。これはもう設計の問題ではなくて、施工上の問題としては、なるべく面外座屈が起こりにくいようにやらなければいかぬのじゃないか、こういうようなことで、今後どういうふうにすれば面外座屈というものはとめられるかということなどは、施工の問題として検討する余地が非常にございますけれども、設計の問題としては、面内座屈のほうをとっておけば安全であるというふうに考えております。
  113. 津川武一

    津川委員 いま第一課長が、面内座屈のほうをとっておけば安全だ、したがって、面外座屈は小さいのだからかまわないと言っているが、今度の場合、報告書は、問題を起こしてこわしたのは面外座屈だといっているのです。これを設計上どう取り扱ったかと聞いているのです。
  114. 菊池三男

    ○菊池説明員 いま設計上の問題としては、面内座屈でやっておけばだいじょうぶだ。ただ今度の場合、面内座屈の耐力をオーバーするような力がかかりまして、それで面外座屈でこわれてしまった。したがって、われわれはやはり面内座屈でもこわれないようなということを設計の問題として考えればよろしいというふうに、いま申し上げたわけでございます。  ただ、先ほど言いましたように、計算以上に下の地盤が弱くなったものですから、計算数値以上の力がリングにかかりまして、それでこわれた。現象としては面外座屈でこわれた。本来ならば面内座屈で計算しておりますから、面内座屈で先にこわれる理論でございますけれども、この面内座屈の計算は、まわりが自由に、拘束されない、どういう形にでも変形できるというような計算でやっております。ところが、実際にはシートパイルを土の中に打ち込んでおりますので、変形するには、まわりに土がありますので、実際には自由変形ができないということで、計算上は面内座屈で本来ならこわれるものが、そういう意味でまだ相当がんばっておった。ところが、面内座屈の耐力を越えてしまったので、今度は面外座屈でこわれてしまったというようなことでございます。
  115. 津川武一

    津川委員 少し繰り返すようで恐縮ですが、やはり問題の、事故を起こしたのが面外座屈、設計の上でこのことで考えてない。この報告書は、施工の上に問題はないといっているのです。  そこで、これで私は考えていきたいと思うわけですが、しからば安全率です。一九六八年におたくの皆さんが出しました十一月号の「土木施工」に載せた「新小松川橋りようの基礎」という建設省首都国道工事事務所長松島岩夫さんたちのリングビームに対する検討によれば、リングビーム自体の安全率を必ず二以上に引き上げること、こういうふうにおたくの中で問題を指摘しているのであります。荒川事故研究会の調査報告によりますと、新四ツ木橋リングビーム工法の安全率は一によりなってない。この点からやはり設計に問題があったのではないか。これを見ておられるかどうかわかりませんけれども、この点ひとつ答えていただきたいのです。
  116. 菊池三男

    ○菊池説明員 荒川の前の小松川のときの報告書がございます。これは建設省の中の直轄工事でございますので、私も内容は見て存じております。その中に、安全率は二以上とるべきであるということも確かにございます。(津川委員「必ず二以上といっている」と呼ぶ)いっております。これは、実は執筆者の話によりますと、小松川で事故が起きましたときは、現在使っておりますのと計算式が違っております。当時は、まわりの力がリングの軸力によってのみ受けるという考え方でやっておりまして、それの強度も、降伏点といいまして、けたがもうこわれるぎりぎりの数字までとって、それより少なければいいという考え方でやっておりました。ところが、今度われわれがやっております計算は別の考え方の計算でございまして、同じ安全率ではございますけれども、ちょっと考え方が違います。もしあのレポートを出しました前の段階に当てはめて考えてまいりますと、当時二千三百キロというふうにとっておりましたのが、今度はわれわれのほうは千二百という数字で考えておりますので、二以上に必ずなっておるわけであります。計算の根拠が違うので、その二という安全率の数字が変わっておるということでございます。
  117. 津川武一

    津川委員 それでは、技術的なことになりますと私はわかりませんので、この荒川事故の報告書を書いた人たちと皆さんで、計算の基礎についてもう一度話し合って、それから私にもう一度答弁なり、教えていただければと思うわけであります。技術上の問題になりますと、必ずしもよくわかりません。もし必要があれば、私もそこに立ち会って、皆さんと一緒に聞いてみたいと思います。  そこで、さらに建設省報告書では、いまみたいに面内座屈だけで考えておったのに、面外座屈が加わって事故が起きた。こうしたことに対して、地盤の非常に弱いこと、内側地盤の抵抗力、すなわち受動土圧の減少をあげて、こうなったんだ。そして、世界的に明らかにされてなかったことであるので、今回はどうにもならなかった、こういう意味のことをいっておりますが、これも世界的に明らかでないのではなく、おたくのこの「土木施工」のさっき話したものの中に、こう書いてあるんですよ。「矢板根入れ部の掘削により受動土圧が減少し、」――つまりいまの面外座屈が起きるような状態が出るわけです。「受動土圧が減少し、その付近に横方向地盤係数が減少して、」――まさにあなたがおっしゃったとおりのことです。「土中での矢板が変形を生じ、その結果リングに力をおよぼすこと」になる。だから気をつけろと、この権威のある報告書の中で、あなたたちはこういっているわけです。このことを知らなかったんですか。こうして、世界的にも知らなかったんだ、しかたがなかったんだ、災害だったんだと、こう結論しています。あなたたちの研究書の中で、こういうことは気をつけなければならぬ、こういうことを指摘しています。これが私の最後の質問です。
  118. 菊池三男

    ○菊池説明員 ただいまのお話でございますが、そこに盛られております内容は、実は変圧のところでその考え方を述べておるわけでございます。そういうようなことになると変圧が起こるぞ、ということを書いておるわけでございます。実は今度の調査委員会でも、変圧の問題についてもいろいろ検討いたしました結果、変圧が原因で破壊に至るようなことはないというふうにしております。したがいまして、その内容につきましても、調査委員会では十分検討してございます。  それからもう一点、その世界的にもないということでございますけれども、これはリングビーム工法に限らず、そういう軟弱地盤等に締め切りをやる工法がいろいろございます。そういう場合にも、軟弱な地盤であったためにそれが急激に内部抗力が落ちて破壊するというような考え方は、現在もまだ全然とっておりませんし、また世界的にも、仮設工事につきましては、そういうような考え方というものはどこもとってないし、まだ解明されていない問題であるというふうに思っております。
  119. 津川武一

    津川委員 そこで仮設工事、仮の締め切り工事をやるときに、やはりこれも設計があると思います。そのときに地盤を検討して、設計と施工の点で検討されたかどうか、これを答えていただきます。
  120. 菊池三男

    ○菊池説明員 仮設工事の場合でも本工事の場合でも、当然土質が土木工事では非常に重要でございますので、そういう点につきましては十分調査をし、十分考えを取り入れているわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、今度のこのリングビームを設計いたします際には、それが軟弱地盤であるから今度のように急激に内部抗力がなくなってしまうということをもし考えれば、それなりの、やはりそれに対する設計があったと思います。しかし、それがいま申しましたようにまだ解明されてない、まだわかってない問題でございましたので、たまたまこういう不幸なことが起きたわけでございますけれども、今後はこういう教訓を生かしまして、軟弱地盤の締め切りあるいは深い水中の基礎というような場合には、たとえば一重締め切りは非常に危険であるとか、あるいは、こういう内部応圧が急になくなるのだから、それに対して十分検討して設計をやれというようなことで、ただいま、また事務次官通達でそういう一つ基準のようなものを流すべく、現在検討しております。
  121. 津川武一

    津川委員 終わります。
  122. 辻原弘市

    辻原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時二十七分散会