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小林(進)
委員 これは私、大臣がおいでになれば、大臣にもの申したい、総理大臣がいらっしゃれば、総理大臣に私はものを言いたい。事務当局として、事務屋として、それがあなた方の最高の
答弁であるかもしれませんけれ
ども、住民の要望から見て、そういう御
答弁で安心しているわけにはまいりません。
あなたは一体、
加茂の
現地をごらんになったことがありますか。町のまん中の川の両側に何がありましたか。川の両側に土のうをみんな積んでおりますよ。一メートルくらいの高さもありますか、大きな土のうが川の両側に積んであります。これをごらんになりましたか。日本じゅうに、町のまん中の川の両側に土のうを積んでいる、そういう町が、そんな川が、
加茂のほかにどこにありますか。ほかにありましたら、私はお目にかかりたい。
しかも、その土のうをだれがやったのです。市当局が
計画をして、水害でまた町がやられるかもしれないから、町の
方々、
協力してくださいと言ったら、町の人たちは――いま八月ですよ、あなた。山にも行きたいだろうし、海水浴にも行きたいだろうし、お盆でお墓参りにも行きたいようなその町の人たちが、全部無料奉仕で出て土のう積みをやった。戦争中じゃない、この平和な世の中なんですよ。それが戦時中と同じかまえで町じゅうの人が出て、あの町の中を流れておる川の両側を一メートルも、老いも若きも、男も女も、自分の材料を持ち寄って、そうして土のうを積んでいる。いまの若い人は昔のように力がないから、一俵だわらというわけにいかない。六十キロの俵というわけにいかないから、あれは三十キロくらいの土のうです。それを何万、何十万と川の両側に積んでいるじゃありませんか。それほどまでに住民は、この水害のために不安、動揺、おそれおののいている。
あなたは、この
現地の実情を見ていらっしゃいましたか。――だから、いままでのような常識的なケースでこの問題を推しはかろうとしてはいかぬ。これが官僚行政と称するあなた方の行政の一番悪いところなんです。血も涙も通っていない証拠なんです。
現地のこの
災害におののいて、俵をかついで、暑いさなかに水害の
対策をしておる住民の気持ちになったら、そういう――あなたに誠意がないと私は言っているのじゃないけれ
ども、まだまだ、住民のために血の通う
対策というものは生まれてきておりません。真剣に考えてください。
私は、次に社労
委員会へ行かなければなりませんから、演説をしているわけにいきませんけれ
ども、そういう実情だけは――あなた方がよくこの切実な気持ちを知らなければ、生きた
対策というもの生まれてこない。この問題はどうかひとつ、
皆さん方の気持ちを察して真剣に考えていただきたい。
次に、私はいま
一つ、
米田さんの質問に付言をいたしますけれ
ども、あの
加茂の水害というものは、問題は
加茂川を
中心にいわれておりますけれ
ども、
加茂川だけじゃありません。あの水害は、
加茂川と大皆川と下条川という三つの川が町を流れて、この三つが一時にはんらんをするから、ああいう町全般の水害が起きている。あなたの
お話の中で、この二つの水害も一緒になって処置をするとおっしゃったからいいと思いますが、水系が
一つだから一緒になっておやりになるとおっしゃったが、あれは水系は
一つじゃないのです。出てくる水はみんな違うのです。
加茂川とは別の谷の、別の山の中から出てくるのですから。そして、これは三つともみんな一級河川です。この点は問題の本質をよく理解していただきまして――しかし、一緒になって水害の
対策をおやりになるということはけっこうです。けっこうだが、ここに順序、序列をきめて、こっちは早い、こっちはおそい、こっちを先にやってこっちはあとからやるというような
災害の
対策をやっていると、問題の解決になりません。
どうもあなたに説教がましいことを言って申しわけありませんけれ
ども、ここはどうしても、あなた自身に
現地の
状況を見ていただいて、頭にたたき込んでいただかなければならぬ。見ていただかないと、この
加茂の全市をおおう水害の基本的な解決にはならぬと私は思っていますから、あなたは
局長になられましてまだあまり長くないかもしれませんが、いまのことは、せいぜい
現地を見ていただきたい。いいですか。
そうして、特に申し上げますが、五百戸くらいの
移転が必要だと言いますけれ
ども、むしろ――むしろというと
加茂の
方々におこられるかもしれませんけれ
ども、実害を受けているのは、
加茂川のはんらんもそうですけれ
ども、大皆川のはんらんのほうがかえって住民に影響を与えている。これは一番密集地を流れているのですから。この流域の人家は二千戸、人口にして八千人だ。これが
加茂川と大皆川の中間で、ここに水があふれるものですから、これでまいってしまう。しかし、これは立ちのきも土地の買収も要らないのですから、この川だけの
改修工事――特に悪いのは
国鉄です。
国鉄が一番悪い。そこを汽車が走っていて、これが水流をじゃましておる。どっちへ回ってみても、
国鉄というものは世の中に害を流して歩いておる。考えるのは新幹線、新幹線といって、そういう
方向にだけ頭を持っていって、住民がこのためにいかに水害をこうむっておるかということを、ちっともお考えにならない。そのほかに、ひまがあると労働組合を弾圧して首切りをやる、処分する。全く驚くべき公社もあったものだとわれわれはあきれておりますけれ
ども、いま
国鉄のことをやっておるひまはありません。社労に行ってやりますが、そういうことをやっておる。
この大皆川の
改修をむしろ早くやっていただかなければなりません。どうですか、この問題は、
局長さん。この水系を別にしている大皆川の
改修の
工事を即刻やっていただけるかどうか。あなた方の
計画はどうなっておるか。
米田さんへの
答弁にありましたけれ
ども、ちょっと気に入りませんのでいま一回申し上げたので、御
答弁をいただきたいと思います。