○門司委員 この事実を知っておいてもらいたいと思うのですね。検挙された事実はきわめて少ないのであります。しかし、実際は
かなりたくさんありますよ。私は、実例を言えといえば言ってもよろしいのです。だれそれのところでどういうことがあった、どこでどういうことがあったということはわかりますね。検挙は、非常にむずかしい検挙でありますから、これはほとんど、警察でこれを検挙したということがあれば、
かなり私は努力が要るか、あるいは、はっきりしただれかの示唆によって、聞き込みその他によってやる手しかないわけではあろうと思いますけれども、事実たくさんこれは行なわれているのじゃないか。あらわれたのは四十何件とか五十件とかいっておりますけれども、この犯罪はほかの犯罪と違います。なぜそういうことを私は言うかといいますと、これは詐偽をされておっても、本人が行けば
投票できるのですからね。そこであまり大きな問題にならないのですね。おれは
投票したのだということで、関心のない人は、別に、自分の
投票券がだれかが
投票してしまってその人が
投票できないということになればたいへんな騒ぎになるかもわかりませんけれども、そうじゃないのですからね。本人に
投票させれば、本人はそれで行ってしまうということで、
あとで帰ってきて茶飲み話ぐらいに、行ってみたらおれの
名前が
投票してあってけしからぬ、だれが
投票したかわからぬけれども、おれがやかましいことを言って
投票してきたよということを話はします。これから先の
選挙というものについては、こういう事実が最近非常にあらわれてきたということ。かつてそういうことはあまりなかったのであります。しかしここにはいろいろな
選挙の
方法によりまして、たとえば入場券をやればその入場券が売買されるとか、人間の全然いないことがわかっておればだれかの入場券を持ってそして
投票するというようなことで、入場券を渡すことによってそういう犯罪の
一つの契機をつくる、というとおこられるかもしれませんが、
一つのすきができてくるということもいえる。しかし入場券を渡さなければ
——いまのようにたくさんの人が移動している場合には、おれの
選挙権はどこにあるのだろう、どこがおれの
投票所だろうと迷って、したがって棄権する人も非常に多いということが、やはり大都市の棄権率の非常に多いということの原因になっている
一つであります。こういうことを両方あわせて考えてくると、一体詐偽
行為のやりやすい入場券を出すのがよろしいのか、あるいは全然出さないほうがよろしいのかということには、いろいろ問題があろうかと私は思います。しかしその問題はその問題として、もう少し何とかいい知恵がないものかということで、実は私どもも国会にいる限りにおいては放任しておくわけにはいきません。
法律をこしらえたたてまえからいけば、何とか考えなければならぬだろうということは考えておりますが、
選挙管理委員会がもう少しチェックをする段階でできないかということですね。かつて、昔と言うと語弊がありますが、昔の
選挙の場合には、大体そう人間の移動もありませんから、その地方における顔の広い人が受付にがんばっておればどこの何兵衛であるぐらいのことは大体わかるのであって、そうむやみに詐偽はできなかった。このごろの
選挙の
投票所に行ってみると、高校の女の人のアルバイトぐらいでやらしているものですから、隣のうちのおじさんだってわかっちゃいない。したがって、詐偽をやろうと思えば幾らでもやれる。男が女に化けていればこれはつかまえられるかもしれませんけれども、大体年かっこうが似ていてこうだと言われれば
——せいぜい十人か二十人に生年月日を聞くか聞かないかの
程度である。したがって、少なくとも生年月日を聞くとか住所を明確にするということが、繁雑ではあろうが何とかならないかということです。そうするには、やはり朝の一ときの非常に多い
投票者に対して迷惑をかけないようなことも必要になろうかと思いますけれども、あまりにも
選挙がずさん過ぎはしないか。さっきの東
京都の話などはあり得べからざることなんですね。一体何のために開票立ち会い人がやっておったかということです。開票立ち会い人が五人も十人もずらっと並んでおって、大体五百票なんというものが大きな束になっておるということもおかしいと思う。大体五十なら五十で、それを点検するはずなんですね。全然点検しない開票所というのがどこにありますか。これも実は常識をはずれたずさんな
選挙管理委員会の態度だと思うのです。常識じゃ考えられませんよ、どう考えたって。そういうものについてもう少し
——さっきも
お話がありましたように、
選挙に対する政府の熱の入れ方というものが不足しているのじゃないかということですね。
選挙管理委員会というものがあっても、それは
選挙のときだけ事務管理をするというような、いわゆる立
候補の届け出の手続だとかなんとかいうことだけをやるのであって、
あとはほとんど形式的だというのは、政府の熱の入れ方がちょっと足りないのじゃないかと思うのですね。もう少し
選挙は公正に厳正に行なわれるべきものだということになりますと、これは国の最大の基本ですからね、民主主義国家における最大の基本は何かというと、
選挙の公正ですからね。それが一番おろそかになって、先ほどの
お話のように何か補助金みたいなものを出したからということで、
一つの県に十万や十五万をやったって何にもなりはしない。その辺を
大臣、どうお考えですか。もう少し
選挙というものに重点を置いて、これはいまの
大臣を責めても始まらぬ話ですけれども、かつて
選挙が大事だということで、
自治省の中で
選挙局という
一つの局長にしておったが、これはこのごろは
部長に格下げしてしまって、
選挙というものがどうでもいいようなことを政府自身が考えるのが間違いだと思うのです。もう少し
選挙を重要視するという考え方がなければ公正な
選挙は行なえない、こういうふうに考えるのでありますから、したがってもう
一つだけ
大臣に聞いておきたいと思いますが、いまの自治法の中に、地方の自治体で設置をしなければならない部門の中に、
選挙管理委員会と、いわゆる
選挙に対するものを、いまのように県に行けば地方課の諸君が兼任でやっているとか、あるいは市に行けばやはり社会教育課の人が兼任でやっているというようなことではなくて、府県の必置部にするというような、権威を持たせる必要が私はあると思うのです。そういうことはできませんか。