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1970-06-10 第63回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年六月十日(水曜日)     午後一時三十五分開議  出席委員    委員長 受田 新吉君    理事 小峯 柳多君 理事 河野 洋平君    理事 丹羽 久章君 理事 後藤 俊男君       浦野 幸男君    唐沢俊二郎君       左藤  恵君    斉藤滋与史君       野中 英二君    古屋  亨君       高田 富之君    長谷部七郎君       横路 孝弘君    松本 忠助君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   田村 宣明君         警察庁交通局長 久保 卓也君         大蔵省主税局税         制第二課長   田邊  昇君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         運輸省航空局長 手塚 良成君         建設省道路局日         本道路公団監理         官       松本 剛郎君     ————————————— 五月十三日  一、交通安全対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 受田新吉

    ○受田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。横路君。
  3. 横路孝弘

    横路委員 先月の十五日に、ここの交通安全対策特別委員会羽田状況について視察に行ったわけでありますけれども、私ども視察に行った一週間後にチャイナ航空のボーイング727が、作業中の滑走路上にいた車と衝突をして、一人なくなったという事故が発生しているわけであります。その事故に関連いたしまして空の安全について二、三お尋ねをしたいと思うのですけれども、そのときにもあのタワーにのぼりまして、タワー状況なりあるいはレーダー室ども見せていただいたわけなんですけれども、まずあの事故について、航空局のほうで現在まで調査された内容について最初に簡単に御報告をいただきたいと思います。
  4. 手塚良成

    手塚説明員 これは事故の概要にもなるかと思いますが、五月の二十三日の午前一時四十四分台北を出ました東京行きの中華航空の八〇二便が、三時五十七分に東京国際空港滑走路の33のRの進入許可を与えられまして、五十九分木更津上空から進入を開始いたしました。四時一分ごろ管制塔から着陸支障なしという許可を得まして着陸を開始いたしました。そのときの高度は三百フィートぐらいで、着陸灯を点灯しておりました。当時、視界といいますか視程が非常に悪かった。着陸態勢に入りましたときに、突然に黄色い車が滑走路中心線上に駐車しているのに機長が気がついた。復行するにはおそ過ぎまして、衝突を避けるべく機体を引き起こそうとしたようですが、間に合わないで右車輪が駐車した車と接触した。こういうことで、同機は四時二十二分無事に着陸をいたしました。航空機右車輪の内側三番タイヤにかすり傷及び二、三センチ四方が剥離をいたしました。そのほかは機体に異常がございませんでした。  接触いたしました航空局所属車両、これはライトバンでございますが、これは大破いたしております。滑走路自体には異状はございませんでした。この飛行機には搭乗員九名、乗客三人乗っておりましたけれども、これは皆さん異状はない。車両に乗っておりました運転者の黒岩君、二十歳でございますが、この方が左の胸部を圧迫いたしまして、右腕を骨折いたしまして、七時四十分に大田区糀谷の高野病院に入りましたが、残念ながら死亡いたしました。同じ車に同乗者として塚越君というのが乗っておりましたが、同人は異常がございませんでした。管制塔には管制官として当時三名配置についておりました。  なおこの八〇二便の飛行機スケジュールが非常におくれたわけでございまして、香港台北大阪東京というコースをたどってくるもので、正常に着きました場合には二十一時二十五分に到着すべきものでございましたが、香港機体交換をいたしまして、台北経由大阪をオーバーフライトして東京に飛来した台北出発時間が一時四十四分でございまして、その結果東京に到着したのが先ほど申し上げました四時二分という状態でございます。  なお、滑走路上標識塗装という作業を行なっておったわけでございますが、この標識塗装作業を行なうといういわゆるNOTAM航空情報というのは五月の二十二日の十四時四十五分に発行して、そのNOTAMに基づいていろいろ作業が行なわれ、飛行機進入が行なわれておる、かようなことが当時の事故の経過でございます。
  5. 横路孝弘

    横路委員 その事故原因について後ほど詳しくいろいろお尋ねしたいと思うわけですが、その前に一つ警察の方にいまの捜査状況についてお尋ねをしたいと思うのです。  この事件で現在三名の管制官被疑者になっているわけですね。ところが、この三名のうち二名の者については、いわゆる管制塔の中での補助席に着く資格はあるけれどもあとの全部の資格を持っている管制官、有資格管制官ではないわけなんです。いわゆる無資格者をもこの被疑者の中に入れている。つまり実質的な仕事をする権限がない者まで含めて被疑者という扱いをしているのは一体どういうわけなのか。私はおかしいと思いますが、その辺のところをお尋ねしたいと思います。
  6. 田村宣明

    田村説明員 ただいまの御指摘の点は、管制官が三名勤務についておったわけでございますが、そのうちの一人が主幹管制官でございまして、私ども聞いておりますところでは、主幹管制官飛行場管制席に着きまして、他の一名の管制官地上管制席、もう一名の管制官補助管制席に着いて業務を行なっておったということでございます。いま御指摘のように、主たる仕事主幹飛行場管制官がやっておったわけでございますけれども、この事故が起きるにつきまして、この主幹管制官のほかの他の二名の管制官につきまして、それぞれこの三名全部の業務がどういうふうになっておるかという根拠についていろいろ現在詳しく調べておる段階でございますが、現在のところ、一応この主幹管制官のほかの二人の管制官につきましても、この主幹管制官に対する必要な助言並びに作業員などの退去の指示というようなことについて一応仕事範囲にあったかどうか、一応あったという前提に立っていろいろ調べておりますけれども、いま御指摘のように現在まだ捜査を進めておる段階でございまして、最終的に被疑者になるかどうかということは、現在の段階ではまだ結論は出ておりませんけれども、一応その容疑はあるという前提に立って調べてみた場合にどうなるかということで現在いろいろ調査をいたしておる、こういうわけでございます。
  7. 横路孝弘

    横路委員 法律論から言えば、過失の共同正犯みたいなものを認めれば別ですけれども、そうでなければ、権限がないのですから責任がないということになるんじゃないかと思うのです。  もう一つだけその捜査についてお尋ねをしてみたいと思うのです。けれども最初から管制官ミスだということを前提にして、先入観を持ってどうも捜査をされているような気がするのです。その場合パイロット責任がどうなるのか、チャイナ航空パイロット責任は一体どうなのか、その捜査が十分に進められていないんじゃないか。たとえば木更津上空から羽田飛行場に対して着陸許可を与えるのは管制官仕事になるわけですけれども、しかし、たとえば羽田のエンディング・ミニマムといわれている、つまりパイロットがどうしても責任を持たなければならぬ部分というものは、羽田の場合には二百八フィート、それ以下の高度についてはパイロット責任ということになっているわけですね。そうするとパイロット安全注意義務ということを考えてみますと、その途中でゴーラウンドしてもう一度空中に舞い上がることができたのじゃないか。それを調べるためには、たとえばフラップの開度がどうなっているとか、それをさらに調べるためにはフライトレコーダーが一体どうなっているのだというような問題が出てくるわけです。ところがこの飛行機機長を、すぐその日の朝の九時ごろ——事故があったのは四時ごろで、九時ごろに帰しているわけですね。その辺のところは、一体おたくのところで十分な捜査をされた上で帰したのかどうか。その辺のところはどうでございますか。
  8. 田村宣明

    田村説明員 本件の事故につきまして、刑事責任の有無の捜査という観点から現在警視庁のほうでやっておりますことは、機長関係管制官、それから空港事務所あるいは塗装関係作業をした方、そういうそれぞれの関係者から事情を聞くということと同時に、ただいま御指摘のございました事故当時の管制状況を録音いたしましたテープ、それから事故機フライトレコーダー、これをそれぞれ提出願いまして、現在それぞれの専門家の協力を得て、これを分析して、ただいま検討中でございます。  なお、この機長につきましては、私ちょっとこまかいことを失念いたしておりますが、いままでに三回事情を聞いております。この点正確を欠いて恐縮でありますが、当日とその後さらに調べておるものというふうに承知をしてまいったのでございますが、日時等につきましてはただいま資料がございませんので、正確にお答えいたしかねるのでございますが、ただ問題は、進入許可あるいは着地の承認につきまして、その間機長がいろいろな情報というものを知り得る状態であったかどうかということももちろんでございますし、着地した直後、機長の言うところでは、九十メートルほど前方で車両を発見した、この場合には、衝突を避けるということと、自分飛行機のオーバーランによる事故を避けるというために最大限の事故防止の措置を講じた、しかしながらそれがついに及ばなかったということでございますけれども、この場合、専門的なことではございますけれども、そういうふうな状況もと事故の発生を回避するということを期待する可能性があったかどうかというようなことにつきまして、なお今後この点十分な捜査をいたす、こういうふうに警視庁当局では考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  9. 横路孝弘

    横路委員 そこで肝心の事故ですけれども、私たち委員会視察で行ったときにも、あのタワーから見ていて、着陸と離陸がほんとうに十分な間隔じゃなしに次から次へと行なわれている。さらに下のレーダー室に行ってみますと、まっ暗い部屋でレーダーとにらめっこして六時間も七時間もずっと勤務しているというような状態にあったわけです。  そこで今回の事故原因、いまお話がありましたように、それは確かに管制官着陸してもよろしいという許可を与えたのは管制官ミスだろうと思うのです。しかし、その管制官ミスを誘導した大きな原因が一体どこにあるのかということをやはり私たちとして考えなければ、今後この種の事故を防ぐことはできないのじゃないか。そういう観点で、具体的にいまの羽田状況なり管制官のいろいろな仕事状況なりというものをお尋ねしていきたいと思いますけれども航空局のほうの立場で、今度のような非常に単純なミス、この単純なミスが出てきたその背景にある大きな原因というものを一体どのようにお考えになっているか、それをひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  10. 手塚良成

    手塚説明員 今回の事故原因そのものにつきましては、いま捜査当局でも御調査中でございますから、私のほうでこうだということを申し上げることは差し控えたいと思いますが、私のほうで行政上いろいろ考えますことは、現在の東京国際空港は非常に離発着がふくそうしておる。あそこには滑走路が三本、AランウエーBランウエーCランウエーとございますが、現在スポットの工事中でもございまして、それとBランウエー延長工事をやっておりますので、滑走路は一本しか使用できない、しかも離発着回数については逐次若干ずつ伸びておる。これに対応する諸施策を実施はいたしておりますけれども、そういう現状で、非常に一本の滑走路でふくそうをしておるということは事実だと思います。そういう中で離発着についてのコントロールをする管制官の御苦労というものは私どもは十分自覚しておるつもりでございます。それから管制官自体につきまして、やはりいろいろ訓練ということをやっていかなければならないということがございまして、この訓練やり方自体についていろいろ検討をしておりますが、たとえば今回事故を起こしたアシスタントの二人のごときは、一人は特に研修所出たてであるというようなこと、こういう出たての人が直接ああいった国際空港に直ちに張りつくのがいいのか、あるいは前段的にもっと閑散なところで訓練した上でそういうところに出てくるのがいいのか、それは過去の実績その他いろいろございまして、専門家の間でもいろいろ検討しておるところでございますが、そういった問題がありますし、管制官自体定員その他につきましても、私どもでも必ずしも完全に十分であるというふうにも思っていない。そういったような飛行場状態飛行機離発着状態、あるいは管制官訓練の問題、あるいは定員の問題、こういったもの等が複雑にからみ合って、加えましてマーキングという地上における作業状態、これらが複合されまして、ああいった簡単といえば簡単かもしれませんが、ちょっとしたはずみのミスによるああいう事故が起こったということが背景として考えられるのではないかというふうに思っております。
  11. 横路孝弘

    横路委員 いま御指摘のとおりだろうと思うのですね。ほんとう原因がどこにあるのかということは航空局のほうでも十分承知しておられながら、じゃ、その対策ほどうなっているのか、私は十分には行なわれていないだろうと思う。その点をこれから具体的にお尋ねをしていきたいと思うのですが、皆さんそうだろうと思うのですけれども飛行機に乗った方は時間どおります羽田に着いたことはないですね。こちらから行っても、時間どおり自分目的地に着くなんということはまずない。大体二十分前後おくれるのが普通なんです。ここに一つ資料があるのですけれども、ことしの五月十九日のいわゆるホールディングした時間がどのくらいになるだろうか、空中で待機した時間ですね、しかも、羽田管制で扱っている範囲内で待機した時間がどのくらいになるだろうかということを調べた資料があるのですけれども、それによりますと、一日の空中飛行機が待機する時間の総計は二千五百九十六分、つまり四十三時間にものぼっているのですよ。いま羽田管制というのは五つのチーム編成でやっていますけれども、そのうちのあるチーム、七時間勤務、その七時間勤務のあるチーム範囲内でも千八百五十八分、大体三十時間、これだけ飛行機を待たしているのです。いま羽田に来る飛行機についてはなぜこんなことが許されるのだろうか。ダイヤ編成については、運輸省のほうに許可をする権限があるわけなんです。六月からまた変わりまして、また増便になりまして、七月、八月になればまた臨時便がどんどん入ってくる。こんなにホールディングさせている空港はないのではないか。全部トータルしますと、一日四十三時間ですね。五月の十九日です。たとえば四時から五時までの間、全部で大体十四、五機、平均二十分から三十分、多い飛行機で四十九分も待たされている。私は、運輸省のほうが、いまどんどん飛行機利用者はふえて利益があがっている、飛ばしてくれという要求をおたくのほうになさっている、それを安易に認め過ぎているのではないか、こういうぐあいに考えるのですが、その点はいかがでございますか。
  12. 手塚良成

    手塚説明員 いま飛行機ディレイの問題で時間をあげての御質問があったわけですが、このディレイにつきましては、いろいろな原因でこういうことが起こっております。いわゆる管制処理能力をオーバーするというような場合にはもちろんこのディレイが起こるわけです。しかし、それ以外に飛行機自体出発地においておくれる。これはいわゆるエンジンスクォークがあるとか、あるいは荷物のローディングでおくれるとか、そういうおくれが順押せで東京に集まるというようなおくれのしかた、あるいはまた飛行中におきまして向かい風というようなことになりまして、その結果おくれる、ただいまのジャンボジェット機などはそういう影響が相当出ているようですが、そういう意味のおくれというようなものがございまして、おくれ自体につきましては原因が非常にいろいろあるわけです。先ほど申し上げた事故を起こしました中華航空飛行機にいたしましても、香港で機種を変更するというような事故になってああいうおくれになってきておるわけです。しかしながら全体的に見ました場合には、やはり一機一機の平均おくれというのがただいま先生のおっしゃったようなことで、われわれのデータにおきましても一機について約十ないし十五、六分くらいが平均遅延というような状態になっております。  これが中身の原因といたしましては、先ほど申し上げたようないろいろなことでそういうふうになるということですが、問題は、管制上の処理能力の限界におけるおくれということが問題ではないかとわれわれは考えるわけでございまして、この問題に対しましては、われわれは一定時間当たり離発着機数を厳重に制限をする。それ以上の、一定機数以上のものにつきましては、羽田空港に入ってくる前に、国内線であれば大阪でもってしかるべき時間を待機をさせるとか、あるいは外国機につきましても出発地においてとめるというような、私ども専門用語フローコントロールというような言い方をしておりますが、そういうようなことでとめる。ダイヤの問題につきましても、実は航空機ダイヤといいますのは、同一時間に出発をする、あるいは到着するというような汽車の時間あたりに比べますと、非常にラフな時間表がたくさんございます。そういうので、結局は物理的にその時間に出られないというのが事実上あるわけでありまして、乗られたお客さんはそういう時間に出られないということでディレイであるというようにお考えになりますが、これは実際はなかなか汽車のようなパンクチュアリーにいかない要素を多分に持っております関係上、時間表そのものがそういうふうにラフになっておるということでディレイという中に入ってくるものがあるわけであります。こういうものに対しましては、われわれはそれなりの対策をとり、サービスの観点からもダイヤの是正を求めるよう逐次つとめておりますが、そういった意味で、ディレイがいま申し上げたような程度で出ておる。その内容の分析はいま申し上げたようなことでいろいろありまして、問題とする管制上のディレイということをどういうふうに扱うかということに現在専心しておるところであります。
  13. 横路孝弘

    横路委員 それは飛行機のおくれですから、いろいろな要素があるでしょうが、しかし、毎日統計をとってみれば、大体これくらいの時間になっているのですね。しかも、いま一機当たり大体十分ないし十五分というお話だったけれども、非常にこむ時間に集中して考えてみれば、一機当たり三十分とか四十分というおくれになっているのです。いまダイヤのほうで同じ時間に何機も出発するのは普通なんだというお話だったけれども、それは運輸省のほうで認めておられるわけですね。そこで、いろいろなダイヤ編成が六月にまた改定になりましたが、はたして羽田状態でいって妥当なものなのかどうかということを少し議論していきたいと思うのですけれども羽田空港の場合、いろいろな離発着基準みたいなものはおたくであるのですか。さらに、そうしたダイヤ編成ならダイヤ編成というようなスケジュールを一体運輸省のどこでやっているのか、その二つの点について簡単にお答えいただきたいと思います。
  14. 手塚良成

    手塚説明員 ダイヤの規制あるいは調整といいますか、それは私どものほうの部内の組織から申しますと、監理部の中の監督課というところが中心でございまして、これに技術的な各課の関係者が一緒になりまして、実質上そういうダイヤ調整委員会というのを具体的に組織をいたして、そこでいまの調整実施いたしております。この調整を知ります場合の基準というものが必要になるわけでございますが、この基準につきましては、現在の羽田におきましては、次のような前提で次のような基準考えております。  それは、滑走路は現在使っておりますとおりの一本のC滑走路だけ、それからこれに離発着いたします飛行機ジェット機並びにYS11以下のプロペラ機といいますか、そういったもの、それから気象条件は、このIMCまたはVMC、有視界飛行条件、無視界飛行条件といいますか、こういう専門用語で恐縮ですが、そういう気象条件をそれぞれ比率といたしまして三〇対七〇、過去の実績もとにした比率考える。それからいわゆるポアッソン分布原理によりますところの集中率というものを考える。これは十分の一として考えております。それから管制施設としては一次レーダーASR、二次レーダーSSR、それからILS、そういう現在ございます施設前提考える。それからこの滑走路向き使用率、つまり簡単に言いますと、木更津側から入ってくる、それらに向かって飛ぶ、あるいは東京都側に向かっておりる、こういった向きによる使用率、これは風向きによって変わるわけでございますが、北風用南風用というものによって分かれてまいりますが、北風用という場合を八〇%、南風用を二〇%、これも過去の全体の実績もとにして考えた数字でございます。このほか二、三ございますが、基準になります前提条件を以上のようなふうにとりまして、現在の離発着回数についてこの風の基準として私ども考えておりますのは一時間当たり三十四機、三時間で九十機、こういう線で飛行機離発着を規制するということで実施をいたしております。
  15. 横路孝弘

    横路委員 たとえば五月の十九日に五時から六時まで離発着した飛行機は三十七機ですよ。その前後三時間をとってみても九十三機になっている。いまあなたのおっしゃられた基準そのものにも問題がありますから、それを議論しますけれども現実にそういう運用になっていないじゃありませんか。いまおっしゃられた三十四機という基準そのものは守られていないじゃありませんか。その点はどうですか。
  16. 手塚良成

    手塚説明員 この基準を一応基準といたしまして、あと管制官現実の姿をまかせておるわけですが、先ほどのような非常に遅延をした特別の飛行機が入ってくる、あるいはまた事故後非常に遅延したものができるだけ早く国際線で飛び立っていかなければならない、こういう特別な事情とか、そういった非常に特殊な事態に対して、管制官自体で自信の持てる場合には、いまのような事実があるかと思います。しかし、その起きました具体的な曜日の内容については、いま手元に具体的な資料がありませんし、その日がどういう事情があったか、ちょっと明白にいたしかねております。例外は二、三あるにいたしましても、私ども管制官に対していまのような基準で十分なコントロールをやるようにということを指示いたしております。
  17. 横路孝弘

    横路委員 この五月十九日は全部で四百九十三機が飛んでいったり飛んできたりしている。いま私のほうで指摘しました五時から六時までに三十七機ということになりますと、大体一分半に一機というような状態になるわけです。ですから私たちが見ていても、飛行機が着いたとたんに次のが出るというような、非常に目まぐるしい状況になっておるわけですけれども、いま基準についていろいろとお話がありましたが、はたしてその基準で安全なのかどうか、その基準国際民間航空条約規定に合っているかいないか、それが運輸省規定そのものに該当しておるのかどうかということについて少しお尋をしてみたいと思います。  いま一時間に三十四機ということでございましたけれども羽田のほうに行って少し調べてみましたら、六月、七月、八月というのは大体南風の多いときですが、南風の多いときにはランウエー33は使えない。ランウエー15から入るためには木更津から七分かかって旋回して入ってくる。海の方向に向かっておりるわけです。そういうことになると七分かかる。そうすると、いまの場合の三十四機の基準でいきますと、一分半に一機です。木更津からランディングアシュアーのところまで行くのに七分かかるということになると、木更津とランディングアシュアーに二機も三機も入っているということになりかねない。その間隔で着陸許可を与えなければならないという状況になるわけです。それではたして安全かどうかという問題です。到着するばかりではなくて、こちらのほうから出発もするわけです。到着する飛行機が入ってくる方向と飛行機が飛び立つ方向がランウエー15を使った場合には正面衝突する危険性があるわけです。ですから、着陸できないでゴーラウンドする場合に、六月、七日、八月をとってみますと、ゴーラウンドしてしまうのが大体五、六回はある。さらにいろいろ聞いてみると、そういったランウエー15を使ってのニアミスのケースは、年間大体少なくとも三十か四十あるというふうに羽田の現場で働いている人たちは言っておるのです。そうすると、いま羽田で三十四機離発着できるとおっしゃられたけれども、気象庁のほうで調べてみますと、風速十ノット以上に限定しても五月で十六日間、六月で十五日間、七月で二十日間がランウエー15を使わなければいけないような風向きになっておるのです、世界のパイロット羽田管制官は世界一の軽わざ師だというようなことをいつも言っているそうですけれども、いまいみじくも局長のほうから答弁があって、あと管制官の腕にまかすというが、それで一体安全をきちんと考えた上での行政ということがこの基準からいってはたして言えるかどうか、非常に大きな疑問があるが、その点はどうでございますか。
  18. 手塚良成

    手塚説明員 この離発着回数基準といいますのは、国際的にきまっているものでも何でもないわけです。飛行場滑走路の数あるいはその向き、あるいはそれに対応する保安施設の数といったようなものに、いまお話しの気象条件というようなものが総合的に勘案されるわけでございます。羽田は、現状におきましては、この木更津方向にILSというのが一方だけにしかついておらないということから、こちら側から出入りするときにはそのまま直線進入進行ができますが、羽田側から入る場合には、東京都に対する騒音問題もございますので、これはぐるっとサークリングというので入ってくる。そこで時間がかかるという点は確かに御質問の中にありましたとおりですが、私どもはやはりそういう事実も一応念頭に置きまして、先ほど申し上げましたのは平均機数ということでやっておるのであります。ただ、そういった平均機数でやるあまりに、いまの南風の時期が非常に長期で問題が多いというような状態でありますと、この平均機数なり何なりの基準は変えなければならない。こういう平均しました基準というのを考えますのは、時間帯あるいは時間表をつくりますには相当前広につくりませんと、国際問題といいますか、外航航空ライン等はなかなかダイヤ編成ができないわけでございますので、そういう意味から全体を平均してどれくらいかという押え方を一応やる。そうして先ほど申し上げた時間調整委員会においてその具体的な中のはめ込みをやる。特にこの調整委員会でやっております重点は、時間によって山が非常に多いという点の山ならしをやるということを強く指導しながらやる。この中でいまの季節的な問題というのについてやはり調整する必要がある場合には、この調整考えていく。こういうふうに考えながらまず長期にわたる問題の設定を進めていく。こうした上で、実際に予定されざる時期といいますか時間に三十四機入れないにもかかわらずそれだけの飛行機が来るという場合には、先ほど申し上げましたようないわゆるフローコントロールということを極度に全面的に活用をする。そうして時間はおくれますけれどもその間に飛行機が入らない、安全性ということの見地からおくれはやむを得ない、こういうような措置をとってやっていこう。このフローコントロールにつきましては、世界におきましても、国内的にやっておるところはございます。先ほど日本が非常に激しいというお話がありましたけれども、ニューヨークのケネディ空港などにつきましても、日本以上の場合も応々にしてある。かつては向こうから帰られた方々が、日本の羽田管制のやり方は非常になまぬるい、もう少し離発着回数の能率がニューヨーク並みにあげられるんではないかというような御批判も一時あったことがあります。しかしながら、私どもは、かねがねの検討の結果といたしまして、先ほどのような基準で押えた。しかもその基準の厳守の意味、あるいは季節的な変化に対応しては、いわゆるフロートコントロールということを極度に活用しなさい、これは旅客にとりましてはサービスが落ちることになりますけれども、それはそれでしかたがないということで、安全第一主義をとるようなことでやっている。管制官にある程度の裁量の余地を与えておるといいますのも、それはいま申し上げましたような季節的な問題、あるいは時間的な問題その他いろいろありますので、そういう範囲における裁量を言うのでございまして、大幅に機数の変更を裁量させておるわけではない。  ただ、ニアミスお話が出ましたのですが、羽田の周辺におけるニアミスという問題も、これは私ども十分気をつけなければならない問題で、いろいろ検討をしておりますが、いまの非常に稠密な問題とは若干問題の性質が異なるかと思います。これはこれに対応する措置を別途に考えて進めたい、かように考えます。
  19. 横路孝弘

    横路委員 そのフローコントロールだって、結局どんどん飛ばすことを認めているからそういう状態になっているのですよ。だから、ひどいときには飛行機がどこで待つかといえば、大阪から飛んできた飛行機が浜松の上空で待たなければならない。千歳から飛んできた飛行機が松島の上空で待たなければならない。ビルディングのように飛行機が十機以上重なって待っている。羽田だけでできなくて、東京管制所まで動員してやらなければならぬ、そういう状態になっているわけです。だからやむを得ず管制官のほうで、大阪から飛んでくるのをやめなさい、福岡から飛んでくるのをやめなさい。それは結果がそうなっているからやむなくやっているんで、そうなったのはあなた方のほうでそういうダイヤを認めているからだ。それは議論が逆だと思う。そういう議論では私はおかしな議論だと思う。  たとえばことしの六月、羽田で、定期便だけで、十一時から十二時までが三十機、十二時から十三時までが三十三機、十三時から十四時までが二十七機、これは定期便だけなんです。これに臨時便や貨物が入れば、さっき言ったように三十六機とか七機とかいうような数字になるのです。さっきの私の質問に答えていないと思うんですよ。三十四機で、いまの六月、七月、八月のような南風が吹くような状況でランウエー15を使っているときに、そういう危険性があるじゃありませんか。木更津からおりてくる飛行機羽田から飛び立つ飛行機は方向が同じになるのでしょう。それが二分間に一機あるいは一分半に一機というような状態で飛んだりおりたりしているわけです。木更津からランディングアシュアーのところに来るまでの間に、着陸許可を与えて着陸していない飛行機が二機か三機ぐらい入っているのです。だから少なくとも六月なり七月なり八月なり、あるいはともかくランウエー15を使わなければいけないときには、三十四機なんてだめなんです。認めている定期便で——ともかく定期便を一時間に三十四機も三十機もおたくのほうで認めたのですから。三十四機というのは、いろいろ平均をとってみまして、あるいはランウェー33を使えるとき、あるいは視界のいいとき、そういうものを全部含めての平均でしょう。それを国際基準にするのは私はおかしい話だと思う。安全という観点から考えたら、一番最低のところに押えるべきなんだ。一番条件のいいところで押えて三十四機というようなダイヤ編成になっている、六月のダイヤが。さらに七月、八月、さらにこれから観光だ何だということになると、たとえば羽田から千歳へ行く飛行機なんというのは相当ふえますから、私は、いまお答えもありましたけれども、季節によっては基準をまた下げて、三十四機じゃなくて、たとえば二十八機とか二十五機にするとか、航空の管制なんかの関係の人に聞きますと、やはり一時間当たりの処理の能力というのは、ランウエー15を使うようなときには十五機から二十機ぐらいだと言っておる。倍ですよ、皆さんのほうで認めている基準というのは。だから、とにかく次から次へと着陸許可を与えているわけですが、ほんとうにゴーラウンドで、おりられなかった。この前もジャンボがおりられなくて、横田に行ったことがありましたね。向こうから次々と飛行機が来ているのですから、ああいうことがあったときに衝突する危険性というのは常にあるわけです。ニアミスが昨年三回か四回あった、こういうような話も聞いているのです。そもそもその基準は何かというと、ともかく民間からの要求に対して、やはりそれに合うような形で基準設定がされているのじゃないか、航空の安全ということを考え基準設定にはなっていないと私は思うのです。  そこで一つお尋ねしますけれども、おたくのほうの航空保安業務処理規程、第五管制業務処理規程の管制方式基準、昭和四十四年一月九日空制第五号「滑走路の選定」の中に、こういうぐあいに書いてある。「地上風の風速が五ノット以上の場合は風向に最も近い方位の滑走路」をとること。いまこの五ノットの場合に、ランウエー15だというようなことでやられたら、一体羽田はどうなりますか。ほとんどおりられないような状態でもって、飛行機がたまるだけです。だから、こういう規程がありながら、あなたのほうでさっき言ったように管制官にまかせておる。だから管制官は十ノット以上の風が吹かなかったら15のほうにしないのです。だから、よく最近は機長とこういうやりとりをするのだということを言っているのです。機長のほうでは、飛行機が飛び立つときにどうしても風に向かって飛びたいということで、15を使わせてくれという要求を管制のほうにする。そうすると管制のほうでは、33を使っているときに15を使わせてくれというのですから、それではあなたのほうは二十分なり三十分なり待たなければなりませんよ。これは機長に対する一種のおどしです。そうすると機長のほうでも、そうか、ではしかたがないから飛び立つかというので33を使って飛び立つ。向かい風でなくて、追い風で飛び立っていく。飛行機は追い風に弱いことは御承知のことだと思う。だから、外国の機長なんかで強硬な人は、一ノットの風があっても絶対に向かい風でなければ飛ばぬ。荷物をたくさん積んで重量が重いときなんかは、そういうことをともかく厳重に管制のほうに要求して、二十分なり三十分なり待ってでも向かい風で飛んでいっているんですね。それが、あなたのほうで先ほどおっしゃったように管制官にまかせているという実情なんです。規程がありながらそういうようになっているじゃありませんか。それはともかく、便数が多くて処理できないから、やむを得ず五ノット以上十ノットの間は追い風で飛行機を飛ばしたり追い風で飛行機着陸させている。昨年の宮崎の空港のYS11の問題にしても、結局あれは追い風でやむを得ずおりているという面があるわけですね、だから羽田の場合に、この規程どおり五ノットに押えなさい、それ以上は飛ばしたらだめだということを管制のほうにお話しになってごらんなさい。羽田というのはそれこそ世界じゅうあちこちから非難の的になる。飛行機は全然おりられませんよ。たまってしまうだけです。その辺のところはどういうぐあいにお考えになるか。
  20. 手塚良成

    手塚説明員 羽田の規程によりますところの15か33かという問題につきましては、十ノットまでは一応33というので飛んでおる。これはそのとおりでございます。追い風に対する問題というのは、これは機種あるいは機種による搭載量、そういったいろいろな要素からの問題で、これは追い風が全くゼロであるということが望ましいのですけれども、近時、横風等におきましても、機材の大型化に伴って、そういった気象上の影響というものは漸次少なくなっているということで、33の場合に十ノットまでは飛んでおるのが実情であります。この限りにおいては特に危険はないとわれわれは考えております。ただ、これも機長の要求アクセプトが実際ない場合にそういう状態で飛ぶことはさせないのでありまして、機長がそれでも飛ぶということで了解の上でこれを飛ばすというふうにしております。いまの管制官のおどしというお話でございますけれども管制官としてはそういうアドバイスを与える。そのアドバイスの結果を受け入れて、どういうふうにどちらから飛ぶかということは機長の判断になるわけです。しかし、入り乱れて、あるときは15あるときには33、そういうことは許されませんので、そのときの総体的な機長の意見に従って、その要求をアクセプトされる限りにおいて入れる、そういう事態で飛んでおりますので、現在十ノットの33というのは危険はない、われわれとしてはかように考えてやっております。  それから前段におきますところの時間帯の非常にアンバラということから時間調整でこれのならしをやる。いまのような危険性あるいは気象状態というのを、極力気象状態のいい時間にしようということも考慮に入れまして、非常にばらつきの多いのを改めて時間帯の平準化を加えることによって、いまのような気象状態の特に問題がありそうな際に集中されるような時間帯というのを平準化することになっております。  チャーター便等が今後もふえるではないかということにつきましては、いまのようなワクを厳重に考える。このワクにつきましては、先ほど来お話しございましたように、当然平均だけではいけない。あまりにふえてくるものに当然なるディレイ考えられるような状態である場合には、こういうワクについてはできるだけ制限的にやる。こういうふうに考えながらわれわれとしては安全の限度において最大限の飛ばし方をしたい。現状におきましては、御承知のように飛行機に対する需要というのは非常に多いわけでございます。この需要を何とかカバーをしていくことがまたわれわれに課せられた一つの使命だと思っております。公共性、輸送機関の使命といまの安全性というものをどういうふうに調和してこれを遂行するかということが私どもに課せられた最大の問題だと考え、安全性あっての輸送であるということも当然自覚をしておるわけでございます。そういう中のいま言ったような具体的な飛ばせ方ということ、一たんきめました基準というものも、私どもは決して最終的に絶対であるというふうにも思っておりません。ニアミス等もわれわれはしょっちゅうデータをとっておりまして、そういうものの増減によりまして、いろいろ新しいくふうを加えて、飛び方を考えておるというふうにしております。この離着陸につきましては、いろいろな保安施設が新たなものができてまいりますので、そういうものができたのを前提にしての新しい進入出発方式をまた研究し加えながら、安全を増加して能率をあげていくということをやっております。最近、VOR、DMEというものを十分使える見通しもつきましたので、そういうものを入れることによって安全度の加重を考える、あるいはレーダーベクターという新しい進入の方式といいますか、従来検討してきましたもののテスト上の自信も持てたことによりますところのそういう進入方式を採用することによって、安全度を加えたいまの輸送力増強の方法を考える、こういったような観点から事を進めておるわけでございます。
  21. 横路孝弘

    横路委員 安全性と公共性の調和の問題ですが、それはやはり安全性を第一に置いてもらわなければ困るのです。飛行機をどんどん増便を認めるという場合に、空港施設が整っていないのに増便を認めるということはだめなんで、調和じゃなくて安全第一主義ということでおたくのほうはやってもらわなければ困ると思うのです。いまのお話ですと、自分のところでつくった滑走路の選定についての基準をみずからお破りになって、そのことを何もふしぎと思われておられない。業務処理規程の五ノット以上という場合はこういう風に向かうように飛び立ちなさい、滑走路を選定しなさい、ちゃんと業務処理規程にありながら、羽田の場合はその倍です。航空局長、そういう運用になっていますということだけでは困るのです。  それからもう一つ、先ほど民間航空条約の中には何も規定がないんだということをおっしゃいましたけれども、時間がないから私のほうで言うだけで終わっておきますけれども、ICAOのパンス・ラックのパート四の十一の一、二ですね。これにはランディングアシュアーに達するまで次の飛行機着陸許可を与えてはだめですよということが規程にちゃんと書いてある。そしておたくのほうでも四、五年前まではこの保安業務処理規程の中に入っておったんだそうですが、これが四十四年のときに消えてなくなってしまったというように私は聞いている。ICAOのパンス・ラックできめられた。ハート四のアプローチ・コントロール・サービス、進入管制の場合の基準の中にきちんときめられているのですから、やはりそれに沿ったような基準をつくってもらわなければ、まるで無視したような形で基準を設定して、どんどん民間の便を認めていくということでは困ると思うので、ぜひその点もお考えをいただきたいと思います。  時間がございませんので、最後に管制官の労働過重の問題についてお尋ねをしたいと思いますけれども、昭和三十五年を一〇〇として、昭和四十五年の推定の取り扱い機数を一万七千五百機といたしますと、交通量は二・五六倍になっている。ところが現在は五十八名ですから、交通量に合わせて管制官の数というものを検討してみますと八十五名ということで、現在でも十七名の欠員が出ているわけです。十七名も現状で足りないわけですが、さらにいまの羽田考えてみますと、十一名のチームが三つ、十名のチームが二つ、そして予算上は一応十三名になっておりますけれども、その中で無資格者、いわゆるフルレーティングという意味での無資格者は大体三分の一以上、五十八名のうち二十五名がそうですよ。だから、たとえば羽田のいまのBチームなんかを見ますと、十一名でやっていて、そのうち三名が完全な無資格者ですね。六カ月の見習い期間、さらにそのほかに二人、三人はフルレーティングを持っていない人がいる。そして私たちがみんなで視察に行ったときにも、現実に指示を受けながら仕事をやっているわけです。だから警察のほうでも一応容疑者扱いにしている。まるきり権限も持たせないで、仕事をしていなかったら、やはり警察だって、ほかの二名の者について被疑者というような取り扱いはしないだろうと思う。行ってみれば、ちゃんと飛行機レーダー室なんかの場合、飛行場管制資格だけ持っていて、あと資格を持っていない人が、マイクでもって飛行機と応答やっていますよ。手一ぱいですね。一人で二つも三つも、本来三人なら三人がすわらなければならないいすのところを一人でやっているわけです。だからトイレにも行けない。食事にも満足に行けない。二時から九時までの七時間の労働。あのレーダー室に行ってみて、ああいう労働というものはほんとに密度の濃い労働だろうと思う。しかも、一つ何か間違えば、管制官が悪いんだというような状態になっているわけです。事はやはり国民の生命、安全という問題ですから、それは予算がならぬ、いまもう定員削減だ、なかなかむずかしいというような面があるけれども、しかしこれはやはり金の問題じゃない。命をどれだけ大切にしているかいないかという問題だろうと思う。  そこで私、時間がありませんから一つだけお伺いしたいのですけれども、まずこの欠員補充の問題がありますね。それと同時に、いかにして管制官を養成するかという問題があるのです。この管制官の養成は、いまのようにチーム編成の中に入れてしまってやるというのは、やはり私は間違いだと思う。しかもその訓練生専門に教育に当たるような管制官というものはいないわけですね。仕事を持ちながら教えている状態です。ですから、やはりそれをはっきり分離をして——私たちこの間日本航空へ行ってパイロットの養成のところを見ると、シミュレーターを使ってやっているわけですね。あれは管制にだってあるわけです。シミュレーターは大体一台が二億円するような機械らしいのですけれども、シミュレーターがあるというふうに私は聞いております。それだったら、やはりシミュレーターを使って、きちんとまとめた形でもって養成すべきであって、実際の仕事の中にそれを組み入れてやらすと、この間のような事故があって、訓練生だって、おまえやはりやっているじゃないかということで——おたくのほうでは、仕事はやらせていないからだいじょうぶなんだというが、しかし、これはやはり一般の国民から見れば、仕事をやっている。だから警察もやっていると見て容疑者扱いにしているわけです。被疑者として取り扱いをしている。そういうことはきちんと、事は大蔵省が金を出すとか出さぬとか、行管のほうが定員を認めるとか認めないとかいう問題ではなくて、その辺のところは国民の生命、安全を守るという観点から、運輸省としてももう少しきちんと監督官庁としてやっていただきたいと考えるわけです。その養成計画の問題、その辺のところをどういうぐあいにお考えになっているのか。
  22. 手塚良成

    手塚説明員 管制官の養成につきましては、安全の第一線に従事する人でございますので、私ども非常に重視をして考えております。この養成の現在やっておりますやり方は、航空保安職員研修所というものがございまして、そこに管制科というものを置いております。その中で本科の管制学生と専修科学生というのを置いておりまして、専修科学生というのは毎年五十ないし六十人を採用しておりますが、これは大体短大卒業程度の者で、中級職の公務員ということで採用をいたしております。教育期間を約一カ年ということでこれを実施しております。それから本科の学生は、これは高等学校卒業程度の学歴を有する者につきまして、初級職ということで人事院で採用願いまして、毎年約三十五人を採用して、学歴は研修所で二年を費す、こういうふうなやり方で養成をする。その研修が終わりました後に、今度はまた実際のタワーへ入っていろいろ訓練をさせる、こういう実地の訓練期間に入るわけでございます。タワーに入りました場合に、このタワーでもまたポジションによっていろいろレーティングが違うわけでございますので、飛行場管制進入管制、その前にはもう一つそのアシスタント、そういうようなのを順繰りに資格をとって上がっていくというようなやり方をとる。したがって、ターミナル管制が実際にできますのは採用後約三年五カ月くらい、あるいは航空路管制ができますのは三年八カ月くらい、こういうふうなやり方をとって、管制官の養成と技量の保持につとめさしておるわけです。  管制官は、私どものほうで、ほかの機関に比べて、たとえば交代制にいたしましても、一般の輪番の場合に三直四交代というのに対して、四直五交代というような、繁忙度の激しい羽田のような空港についてはそういう交代制をとってその疲労度の緩和をはかる、こういうことをやっておりますし、待遇等につきましても、ほかのものに比べましては、調整額あるいは手当というようなことで特別な扱いを考えながら進んでおるということであります。しかしながら、これらにつきましていずれも完ぺきということではもちろんございません。特に待遇等につきましては、まだまだその責任の軍さと比較いたしました場合にはやはり問題があろうかと考えておりまして、毎年のことではありますが、逐次ステップ・バイ・ステップでその向上をはかる、かようなやり方を考えておる次第でございます。
  23. 横路孝弘

    横路委員 これで最後にしてやめますけれども、とにかくこの航空行政ですね、先日、私、内閣委員会でいろいろいまの全日空や日本航空のことについてお尋ねしました。その際少し勉強したわけですが、いろいろ航空管制の人やら飛行機機長の人やら、運航管理者の話やら整備の人の話を聞けば聞くほど、だんだん飛行機というものはおっかなくなって、正直なところ、最近は乗る気がしなくなってきているのです。いまのような状況で、ともかくこれは一万回に一回だろうと十万回に一回だろうと、事故が起こればたいへんなことになるのです。そのときいつもその責任を追及されるのは下で働いている人ですよ。皆さん方が責任をとるということはそんなにない。今度の事故にしても、あそこの現場の夜間の工事の問題、照明の関係はちゃんとあかりをつけてやっているけれども、土木の関係工事をする際何もランプでもって照らすようなことをしていない。そうすると、やはり工事の監督者としての責任はあるじゃないですか。やはり行政上の責任というものは、私は工事のあそこの責任者にあると思うのです。しかしその辺のところは放置しておいて、いま管制官だけがいじめられている、こういう状況になっているわけなんです。ぜひひとつ安全第一ということで、最近は航空業界の再編成とかいって、皆さん方当初考えられておった四十一年の事故の当初のような意気込み、安全第一主義の意気込みというものがだんだんなくなっていく、民間会社のほうの、利益を追求しようということで、どんどん臨時便をふやせ、ダイヤを認めろというような要求にだんだん運輸省のほうで屈服しつつあるのではないか、そういう感じがして非常に不安なわけなんです。  私、この点に関してお尋ねしたわけですが、きょうは時間がなくて詰めることができませんでしたので、また機会をあらためてさらに詳しくお尋ねしたいと思います。
  24. 受田新吉

    ○受田委員長 松本君。
  25. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは質疑を始めます。  去る五月の十三日の新聞の報道によりますと、警察庁は欠陥車によるところの交通事故を総点検した結果、昨年の一月から六月までの上半期に起きた事故のうちの十二件、この十二件のうち構造の欠陥に基づくことを突きとめたという報道であります。しかし、京都府警で捜査中のニッサンエコーに関する事故を除いた十一件につきましては、事故の予見性、事後処置、このような点からメーカー側の刑事責任を追及しない、こういう方針をきめたという新聞の報道がございました。だいぶん世間の話題になっているわけでございます。  ところで、私が去年の六月に当委員会におきましてこの欠陥車問題を最初に取り上げましたときからちょうど一年を経過したわけでございますが、この間に運輸省といたしましては欠陥車対策を発表して、その問題に対してどのような効果があがったか、その成果はどうであったか、これを承りたい。
  26. 隅田豊

    ○隅田説明員 昨年欠陥車の問題が起きまして、先生御承知のとおり運輸省といたしましては、新型の審査の強化、あるいは研究所の新設その他諸般の施策を講じたわけでございます。その後、事故件数その他の上でどういうふうな数字が出ているかという点に関しましては、直接的な影響はまだ判然としておりません。しかし、メーカーに対する指導はかなり徹底してまいりまして、その後いわゆる欠陥車の公表という制度につきましては、かなり守られるようになってきておりまして、最近の事例を申し上げますと、昨年の一斉届け出分を除きますと、その後メーカーが運輸省のほうに欠陥車として届け出てまいりまして、公表をし、その結果回収を終わりましたものが、現在までで大体約三十件になっております。これは国産車十八件、外車十二件でございますが、三十件の届け出がございまして、対象車両数で申しますと、トータルいたしまして十九万二千八百両ほどでございます。回収状況は、ごく最近のものを除きますと、九五%ほどは大体回収が終わっております。現在までの状況は大体以上のとおりでございます。
  27. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで警察庁にお尋ねするわけでございますが、欠陥車の問題につきまして、ただいま申し上げましたように刑事責任を追及しないという新聞発表に関連する問題でございますが、ニッサンエコーの問題についてはどのようになっているのか、その保留した理由というものはどういうものか、その理由をお聞かせを願いたいと思います。
  28. 久保卓也

    ○久保説明員 ニッサンエコーの問題については、京都府警が捜査をいたしておるわけでありますが、問題は、欠陥部位としてあげられているところが、実は使用者のほうでも、たとえばあのニッサンエコーの場合には、車輪がそれぞれ特定のタイヤを使用しなければいけないということになっておるのを、後輪用のものを前輪につけたり、あるいは高速で運転しておったりということで、実は構造上の欠陥があるということは確かであるけれども事故そのものとの結びつきがどうであるかということについての調査をなお続行しておる、したがいまして、構造上の問題については科学捜査研究所のほうで結論を出しておりますけれども、使用者の使用条件との関連がどういうふうに事故に結びつくかというところで、目下苦慮しておるという状況でございます。
  29. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま局長のお話の中に車輪ですね、タイヤの問題がいろいろあるというふうなお話もございました。しかし、われわれがいろいろと研究し、検討を進めてみたところによりますと、あのニッサンエコーにつきましてはシャフトに大きな問題があるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。これは運輸省お尋ねしたいわけでございますけれども、エコーに限らず、わが国のすべての自動車に当てはまる問題でございますが、自動車を構成するところの各種の部品、この部品の基準について統一に欠けているところがあるのじゃなかろうか、部品の統一がなされていないのじゃなかろうか、こういうふうに私、考えるわけです。と申しますのは、自動車の部品の基準というものがJISの規格、あるいは各メーカーの社内規格、あるいは自動車工業規格、さらには運輸省の型式検査のときの内部の基準と申しますか、規程と申しますか、このように各種に分かれているために、自動車部品の安全基準というものが明らかでないと思うのです。そこで、その各規格を明確に一本化する必要があるのではなかろうか、こう思うわけです。いずれにいたしましても、この問題は近い将来におきまして、自動車工業の発展のために検討されるべき問題の一つであろうと私は思うのでありますけれども、このエコーの問題につきましては、シャフトに原因があったというふうに私は聞いております。いま交通局長のお話では、車輪に大きな問題があったというふうな御答弁もございましたけれども、世間一般に、エコーについては、シャフトが折れて地に突きささった、そこで転覆した。そうなってきますと、いま局長のお話にあった車輪にはどういう影響があったのか、どういう原因があったのか、この点などはわからぬわけでございますけれども、いずれにしましてもシャフトの問題があったというふうに一般的に言われているわけです。  そこでこのニッサンエコーのシャフトについては、ただいま私が申し上げました基準のどれによってつくられたものか、これをひとつ隅田さんに答えていただきたい、こう思うわけです。
  30. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生御指摘のただいまのニッサンエコーがどの基準でつくられたかと申しますと、これは日産が設計上どういう数字を最終的に採用したかということにつきましては、ちょっとつまびらかにしておりません。ただ、運輸省といたしましては、新型の審査の際に、われわれが持っておりますところの内規に当てはめまして審査をして、一応のオーケーをしたということでございます。
  31. 松本忠助

    松本(忠)委員 日産のほうでは安全ということを一応考えてつくられたことと思います。また運輸省としても、型式検査のときにそれでよかろうということでお認めになったと思うのでありますけれども、このニッサンエコーについては御承知のような事故が起きているわけです。そこで日産がつくったところのシャフトについては、これは社内規格でこれで十分だとの判定を下した、こう私は思うわけでありますけれども、これはやはり安全の上で問題があったのではなかろうかと思うのです。専門家の隅田さんに言うこともありませんけれども、御承知のように、シャフトについては自動車の構造上重要な部品の一つであろうと思う。そうすれば、最も適合した安全な規格でこれはつくられなければならない。運輸省としては型式検査の上ではこれで安全なりとお認めになったようでございますけれども、やはりこういう重要部品については規格の統一の必要があると思うのです。そこで、聞くところによりますと、運輸省では部品の製作過程を指導し監査する権限を持っていないという。製作過程の指導ができなくとも、安全が確保できるのかどうかという問題が一点あります。部品の一つ一つ検査できれば製作過程での指導は必要ないかもしれないけれども、それはできないわけでしょう。そうなりますと、現状においては、まず最も安全な規格をつくること、その規格によって安全な部品をつくること、またそのように部品メーカーを指導していくことが必要であろうと思うわけです。そういう観点から、運輸省ではこれをどのようにお考えになっているか、これをあらためてお伺いしたいわけです。
  32. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生御指摘のとおり、自動車の保安関係の部品というものが非常に重要なものであることは、もう申すまでもないことであります。ただ先生お話しの部品一つ一つにつきましてどの程度安全性を確保するか、そしてそれを運輸省の審査と申しますか、新型審査あるいは型式審査の際にどの程度追求していくかということになりますと、自動車の構成部品の数というものは、御承知のとおりかなりの数でございまして、重要なものだけを取り上げたといたしましても、これは非常な数になります。たとえばブレーキ装置という一つのものを一つの部品の組み合わせと考えましても、ブレーキ装置の中には、ビス一本から始まりまして非常に数多くの部品の組み合わせがございます。この一つ一つの部品をすべて、耐久性その他において完全にだいじょうぶであるということを、われわれの運輸省の立場で、実際的に手に取って目で確かめ、試験をして確かめるということは、おそらく不可能だろうと思います。私たちといたしましては、やはり自動車が全体としてでき上がった姿でいかにして安全性が確保されているかというところで追求せざるを得ないのが現状だろうと思います。ただ、御指摘のとおり、そうはいいながら、われわれも部品の耐久性その他についてほっておけるものとも考えておりませんので、欠陥車問題が起きまして以後、従来やっておりませんことで追加いたしましたことの中に、耐久試験の結果を添付するということをメーカーに一応義務づけてございます。その結果、車すべてのでき上がった形ではございますが、また一部車によって分けておりますが、三万キロなり五万キロなり走らせた結果、一応安全であるということの証明を出させるということによって、われわれとしてはその担保をしていきたいというのが現在の状況でございます。実際問題としましては、部品の保安上の問題については、まだこれからやらなければならないことは幾多出てくると思います。それはそれなりにわれわれといたしまして検討いたし、またことしの予算の成立を見ましたので、七月から交通安全公害研究所の発足を見るわけでございます。この中にも事故解析室という新しい室をスタートさせるつもりでございますが、そういうようなところも十分活用いたしまして、安全性の確保というものにはなお一そうの努力をしていきたいと思います。
  33. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま部長からお話がございましたが、昨年の六月に欠陥車の問題が起きましたときに私が提案しました研究所の設置の問題、要するに運輸省の船舶技術研究所の中で自動車の安全あるいは公害問題等を研究しているというようなことでなくて、独立した充実した機関をつくれ、こういうふうな提案をしたことがきっかけになりまして、運輸省設置法の一部が改正され、提案を見て、それも通過をいたしました。いま部長の言われましたような、交通安全公害研究所が発足することになった、その部品の問題もそこにおいて大いに検討も進めていきたい、たいへんけっこうなことだと思うわけでございますが、なお一そうこの交通安全公害研究所の充実をはかり、そして一そう安全確保という面からの努力を進めていただきたい、こう思うわけでございます。この交通安全公害研究所の現状はどんなふうになって発足したのか、簡単でけっこうでございますが、私ひとつ伺っておきたいわけでございます。
  34. 隅田豊

    ○隅田説明員 この七月一日から交通安全公害研究所の発足を見るわけでございますが、そのでき上がりました姿を簡単に御説明いたしたいと思います。昨年まで船舶技術研究所の中におりましたときは、総勢三十二名、二部、三十二名の研究部門でございました。これに対しまして今度新発足いたします研究所は、新型審査をいたしますところの自動車審査部という部を新設しております。それからもう一つは、先ほど御答弁いたしましたように、安全部の中に事故解析室というものを新しく設けました。今後いろいろやはりまだまだ起こり得るところの自動車事故につきまして、私たち自動車技術屋、構造屋の立場から、これを学問的な検討を経てまた行政のほうへ反映させてもらうための解析室というものを新しく発足いたしました。全体、従来三十二名のところが、五十五名という形、三部、五十五名、それに総務課が一課つきますが、という形で新しく発足することになります。
  35. 松本忠助

    松本(忠)委員 交通安全公害研究所が七月の一日から発足して、大いに充実した仕事をしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、一つお願いをしておきたいことは、将来の課題であろうと思います、当面そのことにすぐ取りかかれということではございませんけれども、公害の面などから考えまして、たとえて言いますと電気自動車、このような無公害車、この開発を積極的にひとつ進めるべきではないかと思うわけです。電気自動車等につきましては、業界等で種々の検討を加えておるようであります、研究をしているようでございますけれども、やはり役所としてもこの問題については取り組んでいただきたい。それからまた、先ほど私が申し上げました自動車部品についても、徹底した調査、研究ということが必要であろうと思うわけでございます。これらの点についてはやはり多額の財政措置が必要であろう。また、人員も三十二名が五十五名になった。二部が三部になった。けっこうでございますけれども、なおなお一そう充実して、安全第一にひとつ車両をつくっていただきたい。先ほども横路さんから航空問題についてお話がございました。やはり安全ということが一番大事なことであろうと私は考えるわけでございます。したがいまして、今回発足を見ておりますところのこの交通安全公害研究所においても、そういう安全自動車の開発、部品の研究、そういうものについて一そう充実をした、徹底をした調査研究をやっていただきたい。それについてはやはり多額の財政措置が必要であろうと思います。大蔵省の税制関係の方、幸いにして御出席をしていただいておりますので、担当する部面は違うと思いますけれども、ひとつ聞いていただきたいわけでございます。まず何としてもこれに対する財政的な裏づけ、それを特段の配慮をしてもらいたいと思うわけです。どうも財政当局というのは、目先に何かてきめんに効果が出てくる、こういうものについては予算をつけたがる。ですけれども、こういうふうな公害の安全研究所のような、陰で、見えないところで、日の当たらないところで研究しているものにはあまり予算をつけたがらない。こういうことではいかぬと思うので、どうかぜひともこういう問題については一そう努力をしていただきたい。大蔵省の一員として、担当する部面は違うであろうけれども、ひとつ御考慮おき願いたい、こう思うわけでございます。  そこで、大蔵省の田邊さんにお伺いしたいわけでございます。私がきょうここで大蔵省にお伺いしたいことは自動車税のあり方です。現在のわが国の自動車税というものは車の排気量によって分けられていると思うのです。たとえて申しますと、小型四輪の乗用車について言いますと、自家用の場合はこまかく分けられておりまして、一〇〇〇cc以下は年間に一万八千円、一〇〇〇ccから一五〇〇ccまでの間が年間二万一千円、一五〇〇cc以上は年間二万四千円というふうに段階がなっている、こう思うわけでございます。これは間違いないかどうかひとつあとで答えていただきたいわけです。それからまた、物品税の面から言いますと、この排気量の区分が自動車税のほうとは異なりまして、大きく区分しますと、二〇〇〇cc以下と二〇〇〇cc以上というふうに分けられていると思うのです。厳密に言えば四通りになっていますけれども、高級普通乗用自動車なんというものは実際問題としてはございませんから、何といっても二〇〇〇cc、これを上下するところの普通の乗用自動車と小型の普通乗用四輪自動車、こういうものに分けられると思うのです。そこでこれらの税率はどうなっているのか、この点をひとつ伺っておきたいわけです。
  36. 田邊昇

    ○田邊説明員 お答え申し上げます。ただいまお話のございました自動車税と物品税のことでございますが、その課税の区分のしかたはお話のありましたとおりでございます。  まず自動車税につきましては、小型乗用車について排気量の大きさによりまして課税額が違ってきております。これは現在地方税でございます。それから物品税は、やはりお話のございましたように二〇〇〇cc以下のところを基準にいたしまして、小型乗用車の課税一五%というような税率が定められております。大きな車は物品税では四〇%、中型の普通の乗用率は三〇%、このように三段階の税率が定められております。  この気筒容積を基準にいたしました課税のしかた、特に物品税につきましては沿革的な事情がございますが、当初は道路運送車両法によります小型、普通、軽というような自動車の区分に一応リンクして一五〇〇ccが小型乗用車というふうに定められておりましたが、昭和三十六年の改正によりまして、その後わが国の自動車産業の事情とか輸出市場への進出とか、高速性、加速性という問題など、税制面から課税の基準検討いたしまして、一番低い税率の適用されます一五%の小型乗用車の範囲を二〇〇〇ccまでに引き上げたということでございます。
  37. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、あらためて伺いたいのは、自動車税、これは地方税でございますけれども、あるいはまた物品税といい、なぜ気筒の容積を基準にしたか、排気量を基準にしてきめたか、その点をひとつ伺いたいわけです。
  38. 田邊昇

    ○田邊説明員 少し説明が足りなかったと思いますが、実は物品税におきましては、自動車税と違いまして、気筒容積基準のほかにホイールベース、幅が基準として設けられています。したがいまして、たとえば一五%の課税がされます小型乗用車といいますのは、排気量が二〇〇〇cc以下でホイールベースが二七〇センチメートル以下、さらに幅で押えられておりまして一七〇センチメートル以下、こういうふうになっています。したがいまして、一番高い税率は三〇〇〇cc超またはホイールベース三〇五センチメートル超、三〇%はその残りのものというふうに、排気量のほかにホイールベースがきめられております。
  39. 松本忠助

    松本(忠)委員 そのホイールベースの問題も私も承知はしておりますけれども、大きく分けまして、先ほど申し上げましたように、二〇〇〇ccを一つ基準として、二〇〇〇cc以上、二〇〇〇cc以下、こういうことで百分の十五と百分の三十、こういうふうになっている。そこで、いまいろいろと気筒の容積によってきめられたというその根本的な原因を私は伺いたいわけですけれども、時間もございませんので、先に進めますけれども、この気筒容積を基準にきめたというところに私はいろいろな問題があると思うのです。自動車のメーカーあるいは販売業者が、要するに自動車税でもこうです、こういうふうに安いのですよ。またこれは直接使用者側には問題はないわけですけれども、やはり物品税である以上は価格の中に大きな影響を占めているわけなんです。そういうところで、この車はこういう特性があります、こういうふうに経済的に安いんですよと、こういう売り込み方をしてくるのです。そこに問題があると思うのですね。このことについてはまたあとで触れたいので、その間にひとつ建設省の道路局監理局がお見えになっていますので、ちょっと、伺いたいわけです。  ということは、道路公団で管理しているところの東名、名神この高速道路の通行料金については、これをきめる手続はどのようにやってきめられるのか。ここで問題にしたいのは、なぜ車種別に料金を区分したか、こういうことなんです。その手続については詳しいことは必要ありませんから、その問題点は、なぜ車種別に四段階にきめているかということなんです。要するに、小型と軽は乗用もトラックも同じだし、それから普通乗用車と二車軸の普通トラックは同じです。それからマイクロバスと三車軸以上の普通トラックも同一でありますし、第四番目に観光バスと大型特殊自動車と、また五車軸以上のトレーラーというように、四つに分けてある。この四つに分けた基礎というものはどういうところから出ているのかということです。これをひとつお答え願いたい。
  40. 松本剛郎

    松本説明員 最初の料金の決定の方法でございますけれども、これは建設省と運輸大臣が協議いたしまして、もちろんその間に道路審議会の料金部会、そういう意見を聞きまして決定するようになっております。御質問の車種別にどういうふうに料金をきめたかということでございますが、五つの分類に分かれておりまして、先生も御承知のように、料金のきめ方というのは、道路整備特別措置法にございますように、まず道路の建設費を償う、もちろんその管理費用とか、その他金利負担、そういうものを全部償うものでなければいかぬという原則、それともう一つは、公正妥当なものでなければならぬというワクがあるわけでございます。公正妥当というワクはなかなか説明しにくいのでございますけれども、結局車種に応じまして、自動車の重量でありますとか使用の面積でありますとか、それから料金の負担能力等十分考慮した上で合理的にきめなければならないというふうにわれわれ考えておりまして、したがって先生御承知のように、首都高速では大型、小型と二つだけに分けておりますけれども、高速道路のような場合には、いま言ったようなことから最低五種類にいたしまして、あるいはほんとういうと、もっと分類したほうが負担の公正、重量、使用面積ということから見ると公平なのかもしれませんけれども、これをふやしますことによりまして、かえって徴収の面、管理費がかかるとか、あるいは自動車の渋滞が起こって時間ロスが起こるというようなことから、この程度の五種類にしろという実は道路審議会の料金部会の答申に基づきましてきめたような次第でございます。
  41. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、結論に入りますけれども、大蔵省の方にも、それから運輸省の隅田さんにも、また通産省の方お見えになっていらっしゃいますから、ひとつ聞いていただきたい。そしてまたあとでお答えをいただきたい。それから取り締まりの側の久保交通局長にも頭に入れていただきたい。交通局長のほうからのお答えは必要ありませんが、一つ提案がございますので聞いていただきたい、こう思うのです。  私がなぜこの自動車の税体系に触れ、またいま高速道路の通行料に触れたかと申しますと、わが国の自動車が高圧縮、高回転のエンジンが開発されている理由の一つは、排気量別の税体系があるからだと思うのです。すなわち先ほども申し上げましたけれども、経済性を考えて税金が安い、これは売り込む場合に一つの魅力になっているわけです。しかも性能の高い自動車を開発することに各メーカーが取り組まなければ車の販売競争に打ち勝てないからだと思うのです。最近大きな問題になっておりますところの排気ガスの公害につきましても、きのうから、またきょうも産業公害の特別委員会のほうでいろいろと討議されておることと思います。無鉛ガソリンを販売しろとか、あるいは浄化装置をつけろとか、あるいは交通規制をしろとか、いろいろな御意見が出ておると思いますけれども、これらも一つの方策には違いないと思いますけれども、私は、ここでなぜこのような公害が発生したのか、なぜこのような公害を発生する自動車がつくられ売られているのか、こういうことについてはあまり論議されてないじゃないか、こう思うのです。  そこで、このような事態が起きた原因一つとして、私が先ほどから触れているところの自動車の排気量別の税体系に原因がある。各メーカーが自動車を売るためにはわが国独特の排気量の小さいエンジンに高出力の高性能を要求しているところにあると思うのです。日本の自動車の販売広告、宣伝などを見ますと、小さい排気量のエンジンに豊かな居住性を誇るために大きな車体を載せていることをPRしているわけです。これははなはだ矛盾のあることだと私は思う。欧米の車にはこういう例はない。これこそ排気量別の税体系がもたらした問題ではないかと思うのです。  そこで、日本のような高圧縮、高回転型のエンジンでは、どうしても添加物を加えたところの、オクタン価の高いガソリンを必要とすると思います。勢い排気ガスによる硫化鉛、一酸化炭素等を多量に含むことになり、これを除去することがたいへん困難になり、結局柳町をはじめとして、東京あるいは日本全国至るところに発生しているところの排気ガス公害の原因がここにあると考えられるのですが、騒音についても同じことが言えると思うのです。高圧縮、高回転型のエンジンはどうしても騒音が高くなることは自明の理であります。これを改善するにはどうしたらいいか。それには排気量を高めることにある。排気量を高くすれば問題は解決するわけですけれども、そうなりますと、経済性、この点から問題が出てきます。それで結局それもできないで、公害発生の原因が、日本のいまの税体系を基礎にして、排気量をもとにしているところの自動車、ここにあると思うわけです。ヨーロッパの車は車体のわりにエンジンが大きいし、だから騒音も少ない。無鉛ガソリンも使用しやすい。したがいまして、その結果としては公害発生の度も低いし、問題も少ない。アメリカのGMやフォード社等ではいち早く無鉛ガソリンの使用車を生産すると言明したのに対して、日本の業界ではあまりはなばなしくこの動きがないように私は思うわけです。このわけについては、米車は排気量が大きいから、無鉛ガソリンにしても、多少出力が低下するくらいで車の性能には影響が少ない。ところが日本の車は、先ほどからしばしば申し上げますように、概して小型車におきましては排気量が目一ぱいのところへもってきて無鉛ガソリンを使用すると、出力が大幅に低下する。こうなると現段階では実用に適さなくなるおそれがあって、結局は車が売れなくなる。こういう点から考えなければならぬと思うのです。  そこで、もう一点つけ加えれば、米国がいち早くこの無鉛ガソリン使用車の製作をGMにしてもフォードにしても言明したという裏には、最近異常な進出を見せているところの日本の自動車を、公害問題を表にして必然的に締め出しをはかろうという意図があるのだという説もあるくらいです。  そこで、通産省に伺いたいわけでございますけれども、現在国産の自動車の対米輸出は一体どれくらいあるのか、一昨年度と昨年度の実績、その伸び率、こういうものについてひとつここで参考のために聞かせていただきたいわけです。
  42. 大永勇作

    ○大永説明員 対米輸出の現状につきましては、資料を手元に持ってまいっておりませんが、大体三十万台程度年間輸出しているというふうに承知しておりまして、かなり伸び率にしても大きい。アメリカにおきましては、輸入外車トータルで大体百万台余りでございまして、そのうち一番多いのはドイツのフォルクスワーゲンであろうか、こういうふうに承知いたしております。
  43. 松本忠助

    松本(忠)委員 ことしの予想はどうですか。
  44. 大永勇作

    ○大永説明員 大体二割弱伸びるのではないかというふうに予想しております。
  45. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、米国では無鉛ガソリン車の開発に積極的になっているわけです。日本でもそれに順応していかないと立ちおくれをして、結局は対米輸出の減少を見るようになるのではなかろうか。結局米国の自動車業界の動きを通産省はどのように把握しているか、それに対してどのような手を打っているか、日本の自動車産業を伸ばすためにも技術的な指導、輸出の振興策、それに対してどのように考えているか、この辺の考えを的確にしておかないととんでもないことになりはせぬか、私はこういうふうに心配するものですから、あえてお伺いするわけでございます。
  46. 大永勇作

    ○大永説明員 先生御指摘のように、アメリカにおきましても今後安全公害規制が非常に強化されてまいると思いますが、日本の輸出車は小型車でございますので、相対的に負担が重いということは事実でございます。無鉛の問題につきましては、これはエンジンの改造その他、それほど負担にはならないかと思いますけれども、やはり今後一酸化炭素とか炭化水素、それに今後はアメリカにおきましても酸化窒素等も規制されるようになりますと、これはいろいろ浄化装置等に相当コストがかかるようになりますので、いろいろ今後の研究開発等とともにコストの低減策についても業界におきまして検討してまいらなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま通産省からお答えをいただきましたように、アメリカは日本の国にとっても小型車の輸出については最も魅力のあるマーケットになっていると思うわけです。そこで、それだけにこれまで公害問題にあまり熱のなかったところのわが国の自動車業界も、今度ばかりはいやおうなしにこれと真剣に取り組まなければならなくなってくると私は思うのです。このような観点に立って考えましたときに、国内、国外にわたる問題を見たときに、根本問題の一つとして排気量別の税体系がもたらしたものと考えるわけです。  そこで私は提案したいのですが、この排気量別の税制を、道路の占有量、要するに道路を占めている自動車の大きさ、言いかえれば自動車の大きさによって税制を改めてはどうか、そのほうが妥当ではないか、こういうふうに思うわけです。先ほどの道路公団の通行料の問題にしましても、いろいろその道路をつくった原価あるいは今後の償却、そういうものが当然考えられて通行料がきめられるわけですけれども、なおその上に、要するに車が通ることによって、大きい車が通ればそれだけ面積を占めるし、また道路もいたむ、そういう面も考えられてこのような段階がきめられていると思うのです。まあそういう点からも考えなければならないことであろうと思うわけです。そこで今後の道交法の改正にいたしましても、マイクロバスの運転が大型免許を必要とするようになりました。これはマイクロバスの大型化が問題になり、運転技術が普通車を運転する技術では無理である、このようなところから大型免許になったわけでございますが、これもマイクロバスの大きさによって生じた問題であって、このように車の大きさ、すなわち道路占有の率を基準にして考えたほうが適切ではないかと思うのです。車のスペースによって税額をきめようと排気量できめようと、いずれにしましても税収入の総額において変化がないように税制を改めれば問題はないと思うのです。排気量を基礎に置いて税体系を考えるところに、きめたところに公害発生の一つ原因があると私は思うのです。そこで、大蔵当局に一考をわずらわしたいわけです。この排気量によってきめてあるものを、道路を占める面積によってきめるように改める考えがあるかないか。また運輸省としてもこれに対して検討を加える必要があると思うわけであります。運輸省考えも聞いておきたいし、今後通産省として自動車生産行政に携わる面からもこの点についてどのようなお考えを持つか、ひとつお考えをそれぞれ三省の方からお伺いしておきたいわけです。
  48. 田邊昇

    ○田邊説明員 お答え申し上げます。物品税につきましての課税の基準を排気量にとるということにつきましては、いま御指摘になりましたような問題もいわれているように伺っております。ただ、税制といたしましては、こういうような自動車の消費の背後にあります税を支払う力といいますか担税力、それを測定する場合の基準としまして排気量なりホイールベースをとらまえておりますので、その限りにおきましては、単に排気量のみならず、道路占有率というものがかりにホイールベースであらわされるというならば、その税に関する限りの問題は一応お話の点を満たしているのではないかと思います。ただ、地方税でございます小型乗用車は排気量一本でございますので、この点につきましての御批判は、別途自治省当局が御検討されるように連絡しておきたいと思っております。  それから公害問題と排気量という問題、特に税制の基準といたしております気筒容積との関係を離れまして、最近気筒容積につきまして課税の基礎とすることについては、たとえばロータリーエンジンが新しく開発されたということなどがございまして、別途な角度からの改正要望の意見の出ていることもつけ加えさせていただきます。
  49. 隅田豊

    ○隅田説明員 先生いま御指摘の車の分類の中で、エンジンの総排気量を一つの指標として使うことのよしあしの問題でございますが、御承知のとおり、これは非常な歴史的な経緯がございます。運輸省といたしましては、道路運送車両法の施行規則でもっていわゆる車の分類というものをやっておりまして、その中で現在エンジンの総排気量につきましては、二リッターの線が一つと、それから軽自動車との境三六〇ccの境が一つ、この二つございます。御指摘のとおり、こういうところに一つの境がありますと、メーカーさんの設計その他は、やはり税制もそうでございましょうが、その他いろいろな面で有利があるほうに、その境のところで集中するという弊害があるということは、これもいままでの経験からいってそのとおりでございます。過去におきまして、たとえば小型と普通車の境が一五〇〇ccという時代がございました。やはりこのときも車が一五〇〇ccのところに集中いたしまして、そのために日本の国産車がとかく性能的にアンバランスではないかという御批判を浴びたことがございます。まあ私たちは、なるたけそういう境がうまくいくように、こういう線を引きたいということを考えております。運輸省といたしまして直接的にこの境を使っておりますのは、たとえば整備工場の認証をいたしますのに、小型の整備工場の認証と普通の整備工場の認証と、これは対象とする自動車を小型車、普通車という先ほどの二リットルの線のところで分けておるのでございまして、いろいろ一部そういう保安上の問題としての基準にも使っておりますので、たとえばもしccを取ってしまった場合、大きさだけで自動車の性能というものを十分にあらわすことができるかどうか、これは一応まともに議論をよくしておきませんと、道路交通の問題とか税制の問題とかだけでございますと、あるいは大きさだけでよろしいかとも思いますが、自動車の性能、たとえば高速道路を走るのに百キロ以上性能がないと走れない、そういうような車を許すか許さぬかという議論がもしあったといたしますと、そういう場合にはやはりエンジンのキャパシティーもある程度は考えておかなければならぬということも出てきますが、その場合のエンジンのキャパシティーと車の大きさのバランスの問題もございますが、一がいにccがあったら弊害ばかりであるかということも、やはり検討は要する問題だろうと思います。現在のところは、確かに先生のおっしゃいますとおり、cc制度があるための弊害というものが非常に議論されていることは事実でございますし、公害問題を契機といたしまして、そういう線がないほうがいいじゃないかという意見をわれわれのところにも申し出ておられる学者の方もおられます。今後私たちといたしましても、これは各方面の行政に非常に関係いたしますことでございますので、十分お互いに連絡をとりながら、前向きでいろいろこういう車の分類というものを何で書くかという意味検討していきたいと考えます。
  50. 大永勇作

    ○大永説明員 通産行政の面から見ますと、この排気量基準というのは、二、三の点でいろいろ問題になっていることは事実でございます。  一つは、先生御指摘のように、公害対策との関係でございまして、今後公害対策を進めていく上におきましては、やはりある程度余裕のあるエンジンというものが必要になってくるということでございまして、そういう点からいたしまして、排気量基準はないほうがいいのじゃないかというふうな意見が出ております。  それからもう一つは、輸出車との関連でございます。これも若干公害その他にも関連いたしますけれども、輸出車は大体二〇〇〇ccより少し大きいエンジンを載せておりますが、量産対策という見地からいきますと、輸出車のエンジンとそれから国内で走る車のエンジンとは同じエンジンであったほうが、コスト等の関係からいいますとベターであるというふうな問題がございます。それから海外からの輸入車についての排気量基準の廃止というふうな、海外からの要望もございます。  そういうふうないろいろな観点からいたしまして、われわれ生産行政を担当するものとしましては、排気量基準はないほうがよろしい、廃止したほうがよろしいという基本的な考え方を持っておる次第でございます。今後、来年の税制が議論されます際に、そういう角度から前向きに大蔵当局に対しましてこれを要望するようにしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  51. 松本忠助

    松本(忠)委員 終わります。
  52. 受田新吉

    ○受田委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十四分散会