運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1970-05-06 第63回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十五年五月六日(水曜日) 午後一時十二分
開議
出席委員
委員長
受田 新吉君
理事
加藤 六月君
理事
木部 佳昭君
理事
小峯 柳多君
理事
河野 洋平君
理事
丹羽
久章
君
理事
後藤 俊男君
理事
田中 昭二君
左藤
恵君 斉藤滋与史君 野中 英二君 久保
三郎
君
沖本
泰幸
君
和田
春生
君 土橋 一吉君
出席政府委員
運輸大臣官房審
議官
内村 信行君
運輸省船舶局長
佐藤美津雄
君
海上保安庁長官
河君 一郎君
高等海難審判庁
長官
藤原 重三君
気象庁長官
吉武 素二君
委員外
の
出席者
運輸省海運局監
督課長
妹尾 弘人君 参 考 人 (
日本海事協会
常務理事
)
松平
直一
君 参 考 人 (
日本造船工業
会副
会長
)
古賀
繁一
君 参 考 人 (
日本船主協会
大型鉱石船対策
特別委員
)
青山
三郎
君
—————————————
委員
の異動 四月三十日
辞任
補欠選任
河村
勝君
和田
春生
君 五月六日
辞任
補欠選任
和田
春生
君
河村
勝君
松本
忠助
君
沖本
泰幸
君 同日
辞任
補欠選任
沖本
泰幸
君
松本
忠助
君 同日
理事河村勝
君四月三十日
委員辞任
につき、その
補欠
として
河村勝
君が
理事
に当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
交通安全対策
に関する件(
大型船
の
海難事故
対 策に関する問題) ————◇—————
受田新吉
1
○
受田委員長
これより
会議
を開きます。
交通安全対策
に関する件について
調査
を進めます。 本日は
海上交通
の
安全対策
について、
参考人
として
日本海事協会常務理事松平直一
君、
日本造船工業会
副
会長古賀繁一
君、
日本船主協会大型鉱石船対策特別委員青山三郎
君、以上三名の
方々
の御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人各位
には御多用中にもかかわらず本
委員会
に御
出席
をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。本日は
海上交通
の
安全対策
、特に
大型船
の
海難事故
の
現状
及び今後の
対策等
につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと思います。 次に議事の
順序
について申し上げます。時間の都合もありますので、御
意見
の御開陳は、
松平参考人
、
古賀参考人
及び
青山参考人
の
順序
で、お一人約十分
程度
にお願いいたしたいと存じます。次に
委員
から質疑がありますので、その際
参考人各位
から十分お答えをいただきたいと存じます。
松平参考人
。
松平直一
2
○
松平参考人
松平
でございます。ただいま
委員長
より
お話
がございましたとおり、
日本海事協会
の
意見
につきまして申し上げます。 最近引き続き
発生
いたしました
大型船舶
の全
損事故
によりましてなくなられました乗り組み員の
方々
に深甚なる
哀悼
の意を表しますとともに、今後再びかかる不祥事が
発生
することのないよう
官界
、
学界
、
海運界
、
造船界
の
協力
のもとに、
現存大型船舶
に対する
検査基準
、今後
建造
される
大型船舶
の
構造基準
の
整備
、
合理化
の促進に一そうの
努力
を重ねる
所存
でございます。 最近の
大型船舶
の
海難事故
に関しまして、
海事協会
がとりました
措置
は次のとおりでございます。 まず「ぼりばあ丸」の
海難事故
に関しましては、
昭和
四十四年一月六日に当
協会内部
に、
事故
に
関連
する
技術的調査
及びその
原因究明
のため「ぼりばあ丸」
事故調査班
を設置いたしました。本
調査班
において、
本船遭難経過
に関し得られた
情報
、
本船
の
検査履歴
あるいは
本船
の
船体強度
、材料に関する
調査
結果に基づいて、
海事協会
の
構造規則
及び
検査面
において本
海難事故発生
の主因となるものが存在していたかどうかを
検討
いたしました結果は、そのような
原因
の存在は、
調査
当時の
海事協会
の
経験
及び知識からは指摘することが困難であると報告されております。 次いで、本年二月九日「ぼりばあ丸」とは
構造様式
を全く異にする「かりふおるにあ丸」の
海難事故
の
発生
を見るに至りまして、二月十
日本会
内に「かりふおるにあ丸」
事故調査班
を設置するとともに、二月十六日には
本会技術委員会
の
下部組織
として
鉱石船調査委員会
を設置する決議をいたしました。三月六日に同
調査委員会
の
準備会
を開催し、四月二十三日に第一回の会合を開催いたしました。そうして
鉱石船
の
構造規則
の再
検討
を始めたのでございます。また二月十六日
付け官政
第一七八号の
運輸事務次官通達
に基づき、「かるふおるにあ丸」と
類似
の
構造
を持つ六十九隻の
船舶
について、
点検
及び
補強
を実施いたしております。 次に
大型船
の
損傷
及び
海難事故
についての私
ども
の
見解
を申し述べます。 最近の十年間における
船舶
の
大型化
が、
従前
における
船舶
の
大型化
の傾向に比べまして早いテンポで進められたことは事実であります。これらの
大型船
に対する
規則
は、当
協会
の
技術関係
の
委員会
におきまして最善の
努力
のもとに
作成
されたものでありまして、
船体
の基本的な
強度
につきましては十分な
検討
が行なわれております。しかしながら、
大型船
が
小型船
に比べまして
発生
する
損傷
の数が多いことも事実でありまして、私
ども
は、その
損傷
の
実績
に基づいて、
大型船
の
構造細部
、
応力集中部
に
発生
する
局部的損傷
の
防止対策
について
昭和
四十一年以来
検討
を行なってまいりました。その結果、最近二、三年間に
建造
された
大型船
につきましては、以前の
大型船
に比べて
損傷
の減少が認められております。これらの
損傷
は、
性質
上は
従前
の
小型船
に
発生
したものと同様でございまして、
損傷
は局部的に限定され、
発生
した
損傷
が急激に進展することはなく、船の安全を左右するような
事態
を招いた例は全くございません。
船体設計
上、これらの小
損傷
は船の安全に直接
関係
する重大な
損傷
とは全く見方を変えて
検討
すべきものであるというのが従来の
造船界
における
見解
でありまして、私
ども
もこの
見解
に異論を持つものではございません。
大型船舶
の
損傷
は、以上述べましたような
性質
のものでございましたが、このような
状況
のもとにおきまして「ぼりばあ丸」の
事故
が
発生
いたしましたので、
検査機関
としましては非常に大きな
衝撃
を受けたのであります。すなわち「ぼりばあ丸」は
波高
五ないし六メートル、せいぜい高く
評価
しましても九メートル前後の
波浪海域
において
船首部
が折損したと伝えられておりますが、
本船
の
強度
から見ますと、この
程度
の
波浪
によって
船体
が折損するということは、従来の常識からは考えられないことでありまして、私
ども
にとりましては全く初めての
経験
でございます。したがいまして、
事故
の
原因
として私
ども
が知り得なかった特別な
状況
が存在していたのではないかということが考えられるのでありますが、それがどのようなものであったかは、遺憾ながら現在の段階で明らかにすることは困難なことであると考えられます。 次いで「かりふおるにあ丸」の
事故
が
発生
いたしましたが、
本船
につきましては、
波高
二十メートル及び十五メートルといわれております二度の荒天に遭遇した後において、
波高
十メートル前後の
海域
において
船体
に
破損
を生じ、数時間後に
沈没
したと伝えられております。かりに
波高
二十メートルあるいは十五メートルという値が実際に近い値であるといたしますと、このような
海象
は
海洋波
の統計上は全くまれな
海象
であると考えられます。すなわち「かりふおるにあ丸」の
事故
もかなり特別な
状況
のもとにおいて
発生
したものでありまして、
船級船
のすべてに適用されておる
構造規則
におきましては、上記二隻の
海難事故
を防止するために
強度規定
を改めなければならぬのではないか、あるいは改めなくてもいいのか、どの
程度強度規定
を改める必要があるのかということを考えます場合に、どの
規定
をどの
程度
改める必要があるかにつきまして早急に結論を出すことはたいへん困難であると考えられます。 「かりふおるにあ丸」の
事故
に
関連
しまして、先ほど申し上げました
運輸事務次官通達
によって、
鉱石専用船等
について総
点検
及び
補強
を当
協会
が実施いたしております。現在までに
点検
を終了いたしました五十三隻のうち二十一隻の
点検
結果について簡単に申し述べますと、
点検
によってかなり多くの
損傷
が発見されております。これらの
破損
の大
部分
は、従来
経験
されております
部分的破損
でありまして、
船体
の
基本的強度
に対する
影響
は少ないと考えられているものでございますが、中には
接岸
の際生じた
損傷
が
原因
になったと考えられる、かなり大きな
損傷
が発見された船もございます。また、最近一部の船で問題となっておりました
専用バラストタンク
の部材の
衰耗
が、かなり多くの船について
一般的現象
としてあるということが判明いたしたのでございます。これらの
損傷
あるいは
衰耗
は船の安全に重大な
影響
を与えるものと考えられますので、さっそく
船主各位
の
注意
を喚起いたしましたが、さらにこのような
現状
に対しまして、その
実態
に即応した
検査基準
、
検査体制
について
検討
を進めております。私
ども
といたしましては、
大型船
の
海難事故防止対策
、あるいは
事故発生
の場合の
災害
を減ずるということのために、次に述べますような
対策
が有効であろうと考えております。 まず
一つ
は、
船体構造
の
破壊
に対する
安全性
の量的な
評価
、これを可能とするために
波浪
中の
航海
において
船体
が受ける
水圧力
の
調査研究
及び
船体構造
の
破壊強度
の
調査研究
、これを促進いたしまして、
船舶
に期待すべき合理的な
安全性
を決定し、それに基づく
構造基準
を
作成
すること。 次には、こういう
基準
の
作成
にあたりまして、
自由競争下
における
日本船舶
が、他国の
船舶
に比し、不当に過酷な制約を受けることを避けるために、
国際的基準
の制定、
合理化
を促進するよう積極的に
努力
するとともに、
基準
が期待する
安全性
を確保するため
船舶
の
保守基準
、
安全航法基準
を
確立
すること。 第三には、不幸にして
事故
が
発生
した場合、
事故
の
性質
、その
発生個所
、船の
状態
、周囲の
状況
に応じて、乗り組み員が適切な
処置
をとり得るようなマニュアルの
作成
。 四番目は、
事故
に起因する
災害
の大きさを限定するために、
船舶
の
損傷
後の
安全基準
を
作成
して実施する必要がある。 以上の各項目を当
協会
が単独で行ないますことはたいへん困難でございます。
官界
、
学界
、
業界
、これに当会も参加いたし、
協力
してその達成をはかるべき
性質
の事柄であろうと存じます。 以上であります。
受田新吉
3
○
受田委員長
どうもありがとうございました。
古賀参考人
。
古賀繁一
4
○
古賀参考人
古賀
でございます。 昨年一月「ぼりばあ丸」が、引き続いて本年二月に「かりふおるにあ丸」が、いずれも
本州東方海域
において
沈没
、とうとい
犠牲者
を生じましたことにつきましては、まことに
哀悼
にたえないところでございます。 顧みますと、現在、
わが国
は
世界
の約五〇%、
大型船
について言いますと六〇%以上の
船舶
を
建造
しております。そのうちの半分以上が
輸出船
であります。これは、終戦後の苦難の道を、国際的にも国内的にも、
造船業界
が真剣に
努力
してきました結果であります。たとえば、
設計一般
につきましても、
船舶
の
建造
は、
政府
または
船級協会
の
基準
を満足することはもちろんでございますが、同じ船の
種類
の
実績
、
工作法等
を
参考
といたしまして、さらに
運航面
、それから
載貨条件
に応じ、
必要個所
に十分の
検討
を加えることに
努力
を重ねてまいりました。また、
強度計算法
の
精密化
につきましては、
電子計算機
の導入に伴い、さらにその
効果
を高めるため、プログラムの
共同利用
あるいは
共同開発
の推進をはかり、
強度計算法
の総合的なレベルアップを期してまいりました。と同時に、この結果を確認し、その
精度
を高めるため、実
船実験
あるいは
建造過程
における
タンク
の
水圧試験
時の
応力計測等
についても
共同研究
を重ねてまいっております。
船体主要部
に使用する鋼材については、
造船研究協会
におきまして、いろいろな
条件
のもとで、亀裂の
発生
あるいはそれが伝わる伝播及び
停止特性
、疲労、
拘束等
が及ぼす
影響
などを
研究
して、それを
実船
に適用してまいっております。 また、
工作精度
の
強度
に及ぼす
影響
についても、
各種工作法
、
加工法
について
研究
をいたしております。 それから、船の
品質
につきましては、
作業
をやります個々の人の
責任感
と意欲とがいい結果を得るもとでありますので、いま
造船業界
はその
具体策
としていわゆる
ZD運動
、ゼロ
ディフェクト運動
、まあ、悪いものが絶対に残らないように十分な
品質管理
をやる
運動
とか、クォリティ・コントロール・サークル、
QCサークル
といっておりますが、そういうのを強力に推進して善処いたしております。 それから、
修理
にあたりましては、単なる
復旧修理作業
として済ますだけでなく、その
事故
の技術的な
判断
、解析をいたしまして、
設計
、
計算
の面からも調べて、十分な
処置
を行ない、新しい船の
設計
にはそれをフィードバックするというふうにやっております。このような
状況
でございまして、
日本
の
造船
の
設計
及び
建造技術
は、
世界
の
船主
あるいはロイドとか
AB
とかBVとかいう
外国
の
船級協会
などの十分な信頼と
評価
をかちえております。
国内船
につきましても、その
設計
とか
建造法
というのは
輸出船
と全然同じでございまして、何ら変わっておるところはないのでございます。 それから、
日本船
に適用される
船級協会
の
ルール
は、さっき
松平参考人
が説明された
日本海事協会
の
ルール
でありますけれ
ども
、この
ルール
も、総合的に
判断
いたしますと、
外国
の
船級協会
と同
程度
の
強度基準
を持っておるのでありまして、
国内船
、
輸出船
いずれも国際的な
技術レベル
にあるものと考えております。 こうやってきておりますにもかかわりませず、昨年「ぼりばあ丸」の
事故
が起こりまして、
本会
といたしましては、この
対策
を
常任理事会
で十分
検討
いたしまして、すみやかに
原因
が解明されるよう、また、
当該建造会社
の行なう
調査
、及び
政府機関
が行なわれる
調査
にできるだけ
業界
として
協力
を行ないますとともに、
会員各社
におきましても、船の
設計
、
工作
、
検査
、すべての面で一そう気をつけるようにいたしました。
本件
に関しまして、
造船技術審議会
の建議に基づいて
運輸次官
から指示が出たのでありますが、これにつきましては、全面的に一そうの精進、
努力
をはかることで進めてまいっております。 次に、この二月「かりふおるにあ丸」が
事故
を起こしたのでありますが、これにつきましても、「ぼりばあ丸」の場合と同じように、
造船工業会内部
で
対策
、
調査
を積極的に進めておるのでございます。先ほど
海事協会
から
お話
がありましたとおりに、
次官通達
による
点検
が、
対象
の船六十九隻のうち五十三隻が終了いたしております。
バラストタンク
における
腐食衰耗及び
若干の船における
接岸事故
、船を
岸壁
につけますときに
岸壁
に船がぶつかるとか、あるいは係岸しているうちに
岸壁
と船が接触するとか、そういうことによる
損傷
が四、五隻ちょっとひどいのがあるのでありますが、そのほか特に問題となるような
破損
は見出されておりません。特に問題になるような
損傷
は出ておりませんでした。
バラストタンク
につきましては、
海事協会
から
通達
が出まして、
造船業界
は善処することにいたしております。それから、
岸壁
への
接触事故
につきましては、船型が
大型化
したのに伴いまして、
港湾設備等
の改良を期待しますとともに、
接岸
、
操船
について十分な御
配慮
をお願いしたいと考えております。 以上が、
経過
、
対策
の大要でございますが、
造船工学
というのは、船の
運動
との
関連
を含めての波による複雑な
外力
が
適確
に把握できない点などから、
経験工学
といわれておりますが、
船級協会
を
中心
として、
実船
でのいろいろな
経験
を、
理論
や
実験
の裏づけのもとに解析し、これを整理して、相当の
精度
で、絶対
計算
はできませんけれ
ども
、
比較強度計算
をいたしております。もちろん
理論
及び
計算法
については、まだ十分でない点もございますけれ
ども
、一そうの精密さを求めて
努力
しておるところでございます。 船は、もともと従来からの通常の
運航
に対し、十分な
強度
を持ち、安全であるように
設計
、
建造
されております。すなわち、
運航
される方の
安全航海
の長年の
経験
、
判断
に依存する面が強いわけでございます。したがいまして、私
たち船舶
の
建造
に当たる者は、今後
関係方面
で実施される
海象
、
気象
についての広範、総合的かつ長期にわたっての
調査
結果、及び実
船試験等
の結果を得て、
船舶
に加わります
外力
、外部からの力をより正確に把握したいのでございます。もちろん、いかなる
海象
、
気象
に対しても、万全の
強度
を持たせることは困難とは思いますが、
海象
、
気象
に対する
船体強度設計
の基盤をより明確にしたいのでございます。 前述のように、現在の
船舶
は、従来の
安全運航
の
実績
、
経験
に基づいて
設計
、
建造
されていますので、この面についての御
配慮
をお願いしたいのであります。 このような
事態
の中で、私
たち造船業界
は、近年の種々な
経験
に誠実に対処して、今後一そう
安全性
の高い
船舶
の
建造
に最大の
努力
を払う
所存
でおりますので、
関係
各
方面
の御指導と御
協力
とをお願い申し上げます。終わります。
受田新吉
5
○
受田委員長
どうもありがとうございました。
青山参考人
。
青山三郎
6
○
青山参考人
青山
でございます。
大型船
の
海難事故
についてということでございますが、一口に
大型船
と言いましても、その定義が非常にむずかしいかと思います。また、
海難
と申しても、いろいろ
種類
があるのでございます。本日は主としまして、去る二月十日に
発生
しました
鉱石車用船
の「かりふおるにあ丸」の
沈没事故
以来、
日本船主協会
がどのような
措置
をとってきたか、また、今後の
安全対策
についてどのように考えておるか、というようなことに焦点をしぼりまして申し述べたいと思います。 まず申し上げたいことは、「かりふおるにあ丸」の
事故
は、昨年の一月の「ぼりばあ丸」の
事故
との
関連
におきまして、私
ども
に非常に大きな
衝撃
を与えたということでございます。 「ぼりばあ丸」の
海難
の
原因究明
につきましては、現在
海難審判
が進行中でございますが、「ぼりばあ丸」の場合は、何か特別な
原因
があったのではなかったかというような全般的なムードがあったように思います。昨年一月二十四日に設置されました
造船技術審議会鉱石運搬船特別部会
の
審議
結果を見ますと、「ぼりばあ丸」
類似船
について、
造船技術
上特に問題はなく、
現存船
についても、現在安全上問題となる点はないとされながらも、
わが国
の
造船技術
の高水準を確保する
観点
から、幾つかの
問題点
が指摘されておるのでございます。 この事件を契機といたしまして、
船主
は、
大型船
に対して、適当な機会に、自主的に
点検
を実施いたしまして、必要な
措置
を講じてまいったのでございます。
日本船主協会
といたしましては、「かりふおるにあ丸」の
事故
が
発生
いたしまするや、直ちに
関係
の
常設委員会
におきまして、とりあえず
技術的観点
からの
検討
を開始する一方、
緊急常任理事会
を招集いたしまして、
基本的対処方針
を
審議
いたしたわけでございます。その結果、今回の
事故対策
につきましては、乗り組み員が安んじて職務を遂行し得るよう、
類似船
の
安全性
再確認のための
点検
を含めて、
船主
としまして自主的に対処するという
基本方針
が確認されまして、以後その線に沿って
具体的各種
の
措置
をとってまいったのでございます。 この間、二月十六日には、
運輸事務次官通達
をもって、「かりふおるにあ丸」
類似船
の総
点検
、
補強等
の
安全対策
が指示されたのでございます。 これに対しまして、当
協会
といたしましては、
関係
各
方面
と
連絡協議
を重ね、
点検
、補修あるいは
補強等
が最も円滑かつ
効果
的に実施されますよう
努力
いたしました。 一方におきまして、
次官通達
による
点検対象船
が、
鉱石専用船
三十九隻、
鉱石
、油兼
用船
が三十隻、計六十九隻。また
全日本海員組合
との
安全協議会
の結果、
自主点検
を行なうことになった
大型バルクキャリアー
は十五隻でございますが、これを含めまして
点検対象船
は五万トンないし十万
重量トン
の
大型船合計
八十四隻に及びました。当
協会
といたしましては、この際、
鉱石運搬船
のみならず、全
船舶
について、あらためて
安全運航
上十分な
配慮
がなされるよう、
海運各社
に対して、文書をもって
注意喚起方
を要請しております。 これら当面必要とする一連の
対策措置
を終わった時点におきまして、去る三月四日には、
福田会長
を
委員長
とする、
大型鉱石船対策特別委員会
を設置したのでございます。この
特別委員会
は、当
協会
の
会長
、副
会長
、
関係常設委員会
の
委員長
などのほかに、
日本気象協会
、
日本海事協会
、
日本海難防止協会
及び
日本造船工業会
からも、それぞれ
委員
として参画をお願いし、
海運
、
造船
、
気象
、
海象
、救難など、できるだけ広い
観点
から、
事故原因
の探求と
安全対策
の
確立
につきまして
検討
することといたしておるのでございます。 次に、本問題に
関連
いたしまして、
海運業界
といたしましては今後の
安全対策
についてどのように考えておるかにつきまして、その概略を申し述べたいと存じます。
船主協会
といたしましては、ただいま申し上げましたように、
大型鉱石船対策特別委員会
を
中心
といたしまして
対策検討
を進めていくわけでございますが、
運輸省
の
大型専用船海難特別調査委員会
、
日本海事協会
の
鉱石船調査委員会等
の
審議
結果に
重大関心
を払っておることはもちろんでございます。
安全対策
といたしましては、
船体構造
、
強度等
の
船舶建造
上の問題と、
保守
、
整備
を含めて
運航面
での問題があろうかと思われます。この両者は、
船舶
の
安全確立
上表裏一体であるべきものでございますが、とかく
密接不可分
の
関係
が十分保たれたとは申せない
状況
にあると思います。たとえば、
造船側
は、
船舶
の
運航実態
の把握にやや欠ける点があり、一方
船主側
は、その船の生まれといいますか、その
構造
、
強度等
に関しまして十分理解しておらない、こうしたことも大きな
問題点
であろうかと思います。しかし、この際、
船体構造
、
強度等
に関しましては、それぞれ
専門家
に再
検討
をお願いすることといたしまして、われわれといたしましては、必要な実
船テスト
、実
船調査等
に積極的に
協力
し、かつ、就航中の
船舶
からの
各種データ
の
効果的フィードバック
につとめたいと考えておるのでございます。 現在、
関係者
間のコミュニケーションは必ずしも満足すべき
状態
ではなく、このため、
本件
に限らず、必要な
対策
がおそきに失することが間々あるのでございます。特に
造船所相互
間、
船主相互
間の
情報交換
はさらに活発に行なわれるべきでございまして、これにつきましては、
日本海事協会
がこうした面での
中心
的な
役割り
を果たすことが
一つ
の望ましい姿ではなかろうかと存ずるのでございます。
船舶
の
大型化
、
自動化等
、
技術革新
が急テンポで進んでおる現在、このことは非常に重要な問題であると考えまして、あえて申し上げた次第でございます。 それでは、主として
保守
、
整備
を含めた
運航面
での
問題点
を
中心
に、
安全対策
について申し上げてみたいと思います。
船主協会
の
特別委員会
の
審議
もまずその緒についたばかりでございますので、若干私見の入ることはお許し願いたいと存じます。 まず
安全運航
の徹底でございます。輸送の要点は安全、迅速、確実ということでございます。
経済性
と
安全性
などにつきましていろいろ申しておりますけれ
ども
、安全第一であることはいまさら言うまでもないことでございます。そのためには、ただ安全第一というばかりでなくて、
操船者
に対しての安全を確保しやすいような
条件
あるいは
データ
を提供することが肝要でございますが、この点、従来必ずしも十分であったとは申せないのでございます。急速な
技術革新
の
過程
で生じた
一つ
の盲点かと思いますが、たとえば、適切な
運航
マニュアルの
作成
等について必ずしも十分でなく、早急に
検討
する必要があろうかと存じます。 次に、今回の
事故
に
関連
いたしまして、
海象
、
気象
の問題が大きくクローズアップされておりますが、
船舶
に対しまして、より十分な
気象
情報
が提供されるならば、
船舶
の安全上のみならず、
運航
経済の向上にも寄与することが大であろうと存じます。
日本気象協会
では、過去二年間にわたる
研究
調査
の結果、近く北太平洋に関する
波浪
概況図の
船舶
向け模写放送を開始することになっております。当
協会
といたしましては、この事業に対しまして、
研究
資金の拠出はもとより、実
船調査等
につきましても全面的に
協力
してまいりましたが、今後における本格的航路
気象
予報の開発につきましても、引き続いて必要な支援を行なう
所存
でございます。自然の力というものは、身をもって体験した者でないと真実には理解できないのでございます。この際、
造船技術
者は、大自然の
実態
の把握につきまして積極的であることをお願いいたしたいと存じます。 次に総
点検
の結果についてでございますが、これにつきましては
松平参考人
から申し上げましたので、省略いたしたいと存じます。ただ、この
バラストタンク
内の腐食
衰耗
の問題でございますが、これにつきましては、
海事協会
とも十分協議の結果、内部
点検
を励行いたしまして、適切な腐食
防止対策
の実施を考えております。 次に救難の問題でございます。
海難
救助体制の
整備
強化につきましては、かねて当局にお願いしておることでございますが、この際、特に遠距離救難
対策
を早急に具体化されますよう重ねてお願いいたしたいと存じます。
船舶
に装備する救命設備に関しましては、
全日本海員組合
との協定に基づきまして、大幅な増備を行なっておるのでございます。ただ、過去の
海難
事例から見ましても、現用の設備では荒天下での有効性に非常に疑問があるのでございますので、今後新型式の救命設備、救命機器の開発が強く要望されるわけでございます。
船舶
の急速な
大型化
が一部問題とされておるようでございますが、
大型化
による輸送コストの低減は国家経済的要請でありまして、ある意味では、
海運業界
はこのために大きなリスクを負って基幹産業といたしましての任務を果たしつつあるということが言えると思うのでございます。 今回の不幸な
事故
を契機といたしまして、
原因究明
が徹底的に行なわれることを期待し、今後の
事故
防止に懸命の
努力
をいたす
所存
でございますが、
関係
各
方面
の理解ある
協力
と御支援を切に望むものでございます。 時間の都合で意を尽くすことはできませんですが、最後に一言、海上
交通安全対策
について付言させていただきます。 最近のロイド
船級協会
発表によりますと、一九六九年度におきましては、
世界
の商船規模は二億一千百万総トンでございますが、
日本
は二千四百万総トンとなりまして、
世界
第二位、ついに英国を追い越したのでございます。第一位はリベリアでございますので、実際は
日本
が第一位と申してもいいと思います。
わが国
の貿易の著しい進展に伴い、海上輸送活動はとみに活発化し、このため
海上交通
はますますふくそうの度を加えてまいりまして、
わが国
周辺の特定の水域では、まさに陸上の交通戦争に匹敵するような様相を呈しております。衝突、座礁等による重大
海難
発生
の危険が増大しつつある
現状
を認識され、国家的見地に立って、より適切な法規制の早期制定実現に御尽力くださいますようお願いいたしまして、私の説明を終わりたいと存じます。
受田新吉
7
○
受田委員長
どうもありがとうございました。 以上で
参考人
からの御
意見
の御開陳は終わりました。
—————————————
受田新吉
8
○
受田委員長
質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
加藤六月
9
○加藤(六)
委員
参考人
の皆さん方には、本日たいへんお忙しい中を当
委員会
のために御
出席
いただきましたことを、まず厚くお礼申し上げます。 私たちは、皆さん方においで願いまして、先ほど
参考人各位
からいろいろ
お話
がございましたが、
造船
量において
世界
の半分以上の
造船
を行なっておる
日本
、あるいはまた四周を海に囲まれた海国
日本
、この
海運
行政というものは、
日本
の立場にとって非常に重要なる役目をしておる、こういった
観点
から、昨年の「ぼりばあ丸」あるいはことしの「かりふおるにあ丸」その他いろいろな
海難事故
等が
発生
いたしましたが、これはいろいろな面から取り上げられ、あるいはまたこれを国政の上に反映しなくちゃならないという立場で本日おいでいただいたわけでございます。私たちは——私たちと言ったら語弊がございますが、私の場合はしろうとでございます。したがいまして、変な質問やあるいは焦点がぼけるかもわかりませんが、ねらいは
船舶
の安全ということ、そうして
日本
がつくった船は
世界
どこへ行っても
事故
はないのだ、こういった
一つ
の
日本
の信用の
確立
、並びにその
船舶
に乗り組んでおられますところの乗り組み員の皆さん方が、自分の乗っておる船に対する絶対的な信頼、こういうものを
確立
して、
日本
の今後の政策に役立たせたい、こういう立場でおいで願い、また質問させていただく次第でございますので、その点ひとつよろしくお願いいたしたい、こう思う次第であります。 質問の
関連
上、私は「かりふおるにあ丸」の
事故
の問題からひとつ入らせていただきたいと思います。
政府
当局は、あとからこれに
関連
して質問させていただきたいと思いますが、まず第一番に
海事協会
の
松平
さんにお伺いしたいと思います。 「かりふおるにあ丸」の資料をわれわれ要求しまして、この資料をいただいておるわけですが、「かりふおるにあ丸」の製造登録というのは
昭和
四十年の九月二十二日に行なわれておる。そうして四十一年の八月五日に二種の中間
検査
をやっておる。ここまでは私たちよくわかるような気がするのでありますが、四十二年の十一月七日、一種の中間
検査
をおやりになっておられますね。そのときには全般の
検査
というものと、その次は満載喫水線変更、いわゆる増喫水のための
船体
内部
補強
工事というのを「かりふおるにあ丸」がやっておるわけです。そのあとにも
バラストタンク
の中の問題等も四十二年におやりになっておるようです。そうして四十三年の五月十四日に二種の中間で、全般と、それから満載喫水線変更、増喫水のための
船体
補強
残部工事を行ない、満載喫水線の再指定を行なう、こういうことがされておるわけでございますが、この四十二年の十一月七日の、たとえば満載喫水線変更、いわゆる増喫水のための
船体
内部の
補強
工事、これをやるときには、どの
程度
の
検査
をおやりになったかということが一点と、そのときには、いわゆるおたくの鋼船規程、この「かりふおるにあ丸」の場合には、「かりふおるにあ丸」の大きさというのは、この鋼船規程の中にはっきりうたってあった
基準
でおやりになったのか、それともこれを読んでいきますと、
委員会
の適当と認めた、という問題が出てきておりますが、これは
委員会
が適当と認めておやりになったのか、そこら辺の
判断
をひとつお教え願いたい、こう思うわけであります。資料がなかったらかまいませんけれ
ども
、どうでしょうか。
松平直一
10
○
松平参考人
どの
程度
の
検査
をやったかという、非常に詳細にわたりましては、
検査
報告書をいま持っておりませんので、調べて、御必要があればお答えいたしますが、全般的に増喫水につきまして申し上げさしていただきますと、一九六六年にいままでの満載喫水線条約というものが新しくなりました。その条約をその船に適用いたしまして、いままでよりも相当喫水が深くできるということになったわけです。ところが、喫水を深くいたしますと、たくさん荷物が積めるわけでございますが、私のほうは大体
船体強度
を喫水によって定めておるのでございますから、それだけ喫水線の条約で喫水を深くできるようになるためには、その喫水に応じた
強度
を持たせなければならない、こういうことになるわけでございます。それで増喫水のための
船体強度
の
計算
をやり直しまして、そうして
本船
に相応する
補強
を施しまして、そうして新しい喫水を与えた、こういうことでございます。 で、実は第一種中間
検査
、第二種中間
検査
と申しますのは、少しやり方が……。
加藤六月
11
○加藤(六)
委員
いや、それは知っています。
松平直一
12
○
松平参考人
そういうわけです。
加藤六月
13
○加藤(六)
委員
そのとき喫水を直す。われわれもその条約のあと、国会でこの問題を
審議
したわけなんでございますが、いま「かりふおるにあ丸」の問題を取り上げた場合に問題になったのは、私がちょっとピンぼけしておるかもわからないと最初お断わりしたのですが、条約はもうすでに
日本
は締結しておったかどうか、それから
日本
国内の法律は、そのときに国会を通過しておったかどうか、それに基づくところの
規則
はどうなっておったかという問題ですね。それはこの「かりふおるにあ丸」の増強工事、いわゆる喫水線変更によるところの増強工事の段階においてはどうなっておったかということなんです。
松平直一
14
○
松平参考人
満載喫水線条約、それからそれに基づきますところの満載喫水線は、実は
船舶
安全法に全部
規定
してございます。で、私
ども
のほうは、安全法八条で満載喫水線の指定をやりますことを認められておりますので、やれるのでございますが、そういう
計算
の式なり何なりは、全部
政府
から出ましたものを使います。 それで、増喫水をやります時期は、私ちょっと記憶がはっきりいたしませんが、条約が批准になります前だったと思います。ただ、条約の批准になる前、条約が、あれはたしかパリで開かれたと思いますが、その批准前にその条約を適用してもよろしいということが、サインしました各国
政府
に許されておりますので、
日本
政府
もそれにならいまして、条約前に一部実行に移したというふうに覚えております。
加藤六月
15
○加藤(六)
委員
私たちが「かりふおるにあ丸」の
事故
あるいは「ぼりばあ丸」の
事故
を見ますときに、新聞等にもすでに出ましたが、第二十次
造船
のものである、こういうことになっておるわけですね。二十次
造船
のものの中に「ぼりばあ丸」も「かりふおるにあ丸」も両方入っておる。そうすると、調べてみると、「かりふおるにあ丸」は竣工が四十年の九月であり、「ぼりばあ丸」は同じく四十年の九月であって、両方とも二十次
造船
の計画
造船
のものであるということになるわけですが、私よくわからないのでお聞かせいただきたい。というのは、最初四十年の九月に出したときと、いわゆる製造
検査
をおやりになりますね。その時分と、満喫を上げるといいますか、上げるときとのいわゆる
強度
、
構造
、それから先ほど出たいろいろな波、いろいろな現象に対する問題は、
補強
ということで十分にいけるという
判断
でこの
補強
ということをおやりになったわけですか、お認めになったわけですか、どうですか。
松平直一
16
○
松平参考人
その増トンをやりますときの
補強
は、もちろん先ほど申し上げましたとおり、新しい喫水で
強度
の
計算
をし直したわけです。そうしてそれに対して
補強
でその
強度
が十分保たれるということで、その
補強
を加えた部材を
計算
の基礎にいたしてやっておるわけであります。ですから、適用しました
規則
は変わりございません。
加藤六月
17
○加藤(六)
委員
そこで、おたくのいわゆる
検査基準
という問題でございますが、いろいろ見ていきますと、この「ぼりばあ丸」や「かりふおるにあ丸」の
補強
を認めた時分において、私が一番最初に御質問いたしましたいわゆる鋼船規程というものは、何トンまでのものがその時分ははっきりいたしておったでしょうか。
松平直一
18
○
松平参考人
二百三十メートルまででございます。二百三十メートル以上は
委員会
の適当と認めるところということになっております。
加藤六月
19
○加藤(六)
委員
二百三十メートル……。私は「かりふおるにあ丸」を
中心
に言うのですが、そうすると、「かりふおるにあ丸」の長さは二百十一メートルということになっておりますね。二百十一メートルということになっておりますと、鋼船規程の中のはっきりした規準の中にそのまま当てはまっておったわけですか。それとも
委員会
が適当と認めるところというやつをやったのですか。どちらなんでしょうか。
松平直一
20
○
松平参考人
二百十一メートルでございましたら、当時の
規則
をそのまま適用いたします。
加藤六月
21
○加藤(六)
委員
どうも私たちのいろいろ承っておる感じというのは、改正で三百六十五メートルまでのものにいった、しかし「ぼりばあ丸」、「かりふおるにあ丸」というのは、その時分の鋼船規程の外にはずれた、
委員会
が適当なものというやつの中でいったのではないのだろうかという疑惑が一時あったのです。したがいまして、「かりふおるにあ丸」の問題については、こういった問題をはっきりしておいてもらわなくちゃならないということでお尋ねしたわけです。 ついでにこの際「かりふおるにあ丸」問題にからんでお聞きしておきますが、
委員会
が非常に大きな権限を持っておるわけですね。そうしますと、この
委員会
の構成という問題等も当然問題になってくると思うのです。先ほど来
参考人
の皆さま方がおっしゃっておられましたいろいろな
対策
というものを講じていく場合でも、
委員会
の構成は非常に重要だと思うのですが、おたくの寄付行為を見せていただきますと、第六条管理
委員
八十五名以内ということになっておりますが、この八十五名の皆さん方の大ざっぱな内訳というものはどうなっておるのでしょうか。というのは、これから出てくる
経済性
あるいは
安全性
との
関連
、あるいは私をして言わしめれば、これからいわゆる損保会社との問題等にも出てくるわけなんですが、あるいは技術に対する信頼性という問題もこの八十五名の構成ということの中に若干
関係
があるのではないかと思うのですが、それはどうでしょうか。
松平直一
22
○
松平参考人
八十五名以内となっておりますが、いま八十五名全部いるわけではございませんですが、
海運
会社が三十九名、それから
造船
、造機の
関係
が二十名、それから保険業
関係
が六名、その他、何と申しますか、学識
経験
といいますか、海事
関係
団体が四名、そのほかにも、監督官庁である運輸大臣指名の管理
委員
が一名加わっております。そういうことでございます。
加藤六月
23
○加藤(六)
委員
それで、もう
一つ
松平
さんにお伺いしておきたいと思うのですが満喫線の線が変わったから
補強
増強工事をやりますね。その場合の最小乾舷は、五年前につくった船も、あるいはことしつくった船も同じようにするのでしょうか、どうでしょうか。
松平直一
24
○
松平参考人
ちょっと意味がよくわかりませんのですが、最小乾舷でございますか。
加藤六月
25
○加藤(六)
委員
乾舷マークの線の引き方ですね。
松平直一
26
○
松平参考人
乾舷は、大体において、船の寸法、それから船楼とか、いろいろそういうものがありますが、形から大体きまっておりますね。それで喫水がきまる。それに合わせております、
強度
は。それできまる喫水に合わせた喫水で
強度
を
計算
する、こういうことでございます。もうほとんどそういうぐあいにやっておりますのですが……。
加藤六月
27
○加藤(六)
委員
いや、私が御質問申し上げたのは、ちょっと前提
条件
が抜けたわけです。たとえば「かりふおるにあ丸」と同じ
構造
ですね、同じものがあるかないか、戦標船とは違いますから言えませんが、「かりふおるにあ丸」と同じような使用目的、同じ
構造
、そして長さも幅も深さも同じ、総トン数も同じもので、いまさっき御質問申し上げました満喫変更、増喫水をやります工事を、最初から、この法律が施行されたあとつくる船は、そういう
基準
に従っておたくのほうも
検査
をやるし、
造船
所のほうもそういう船をつくりますね。ところが「かりふおるにあ丸」のように、進水したあと
補強
工事をやっておるでしょう。そうしますと、
昭和
四十四年に
造船
に着工し、竣工するものと、それから
昭和
三十九年に
造船
所が船をつくり出して、途中で
補強
工事をやって満喫線を変えるでしょう。その場合に、同じ船であるという前提があるわけですね。
構造
や大きさ、すべて同じ船である場合、いわゆる最小乾舷マークというのですか、それは同じところに引くわけですか。五年前につくった
船舶
と四十四年につくった
船舶
とは、同じ線といったらおかしいのですが、私の質問がおかしいと思うのですが、それはどうなっておるのでしょう。
松平直一
28
○
松平参考人
それは、いまの御質問はこうだろうと思うのですが、つまり同じ長さ、幅、深さで、同じような
構造
の場合は、その喫水が同じに出るか、こういう
お話
ですか。
加藤六月
29
○加藤(六)
委員
ええ。
松平直一
30
○
松平参考人
同じに出ます。
加藤六月
31
○加藤(六)
委員
そこで、
青山
さんにちょっとこの問題についてお聞きしておきたいのですが、船の場合、保険をかける場合は、船齢によってあれは割り増しがつくんじゃないでしょうか。同じ型の、たとえば同じ大きさの、前提がちょっとおかしいのですが、船齢というのが大体ありますね。そうしますと、「かりふおるにあ丸」と同じ船で、保険の場合は、五年前につくって就航しておる船と、ことしつくって就航さす船とは、保険は違いますか、違いませんか。
青山三郎
32
○
青山参考人
五年前の船と、いまつくっておる、最近つくる船と保険料は違うかという御質問かと思いますが、それは当然違うと思います。ただし、そのつけ方は、老朽船だからどうということでなくて、船会社の場合は、
海難
の度合いによりまして、ロスレシオというものを毎年出すのでございます。たとえば保険金が全部で一〇〇%としまして、その内部で何%の保険金を保険会社は支払っておるかということによりまして、割り引きというものがございまして、保険料は毎年変わるわけでございます。その
評価
があるわけでございます。ですから、いまの御質問についての的確なお答えはできないと思いますが、当然差はあるわけでございまして、老朽だからどうというようなことはないのじゃないかと思います。
加藤六月
33
○加藤(六)
委員
どうも私の質問、おかしいのですが、満喫線の線の引き方、これは船の航行安全という問題を
中心
に私はいまお伺いしておるわけなんですが、線の引き方の場合、五年前の船も、ことし就航する船も同じところへ線を引くということになると、同じ総
重量トン
の積み荷ができるわけですね。しかし、実際保険会社の場合は、保険料金というものは、船が古くなっておればなっておるほど、いわゆる船齢による割り増しという制度をやっておるんじゃないでしょうかということであったわけなんです。
青山三郎
34
○
青山参考人
そうではございません。船会社によって違いますし、先ほど申し上げましたように、ロスレシオによってきまっていくということでございます。
加藤六月
35
○加藤(六)
委員
それから、先般来の
事故
を起こした場所と船というものを見ますと、四十四年一月五日に、先ほど来私申し上げております
鉱石運搬船
「ぼりばあ丸」、同じく一月六日にタンカー「ソフィアP号」、同じくこれは四十五年でございます、四十五年二月七日に、貨物船「アントニオス・デマデス号」、それから二月九日にいま
中心
に触れております「かりふおるにあ丸」、こういう船が
海難
にあい、
沈没
いたしております。先ほど来
参考人
の皆さん方も
お話
しになりましたが、「ぼりばあ丸」については、
安全性
という問題についての、いろいろなことをおっしゃっておられましたですが、この
沈没
した帯域という問題でございます。これはあとから、実は
政府
当局にただしてみたい、こう思っておるわけでございますが、帯域及び季節区域図というものを見てみますと、大体この「ぼりばあ丸」あるいは「かりふおるにあ丸」あるいは「アントニオス・デマデス号」、こういうものが
沈没
しておる帯域というものが、いわゆる三十五度ウエスト、百四十五度イーストという帯域の境界線あたりでみんな沈んでおるわけです。そしてその内容、たとえばそれでいきますと、冬季季節帯というものが、この帯域で言いますと、十月十六日から四月十五日の間は冬季季節帯に入るという、こういった
参考
の地図があるわけなんで、これは専門の皆さん方のほうがお詳しいと思う。先ほど
青山
さんが
気象
、
海象
の
情報
ということをだいぶ触れておられたわけでございますが、去年「ぼりばあ丸」が
沈没
するときに、脆性
破壊
の問題からいろいろな問題が出たと思うのです。これは質問するのはどうかと思うのですが、大東亜戦争の末期におきまして、アメリカの輸送船が数隻、
原因
不明の
沈没
をした。これはアメリカの西部海岸の港の近くであったということを私たち聞いておるわけです。それで帯域及び季節区域図というもので、アメリカの輸送船が
沈没
したあたりというのを調べてみて、何かアメリカは戦争中でございますので、
日本
の潜水艦にやられたんじゃないか、特殊潜航艇が来たんじゃないか、とたいへん騒いだそうでございますが、調べてみたらそうでなかったということがはっきりしたということで、アメリカにおいても脆性
破壊
の問題、あるいは帯域あるいは季節区域図の問題というのを非常に真剣に取り上げてきたんだということを漏れ聞いておるわけでございますが、
わが国
の帯域、季節区域図で、たまたま四隻の船が同じ境界線、冬季季節帯、夏季帯との境界線で沈んでおるということになりますと、そこに
一つ
の鉄というものと極端な冷たい水、あたたかい水という
関係
、これは私しろうとでよくわからないのですが、ただ帯域、季節区域図というものが設けられておる理由というものは、前段が非常に長くなったのですが、帯域及び季節区域図を設けておる理由はどういうところにあるのでしょうか。これは
参考人
の
青山
さんでも、あるいはまた
松平
さんでもかまいませんが、お教え願いたいと思うのです。
松平直一
36
○
松平参考人
実は先ほど申し上げましたとおり、満載喫水線に関する
規則
をつくったりするのは全部
政府
なのでございます。できた
規則
を適用いたしまして、こういう
規則
をこれからやれとかいう
政府
のほうの指示によって私
ども
のほうはやっておるものですから、いまおっしゃった冬季とか帯域が昔からどう変わったか、どういう理由で設けられたか、実は詳しいことはわかりませんので、ちょっとごかんべん願いたいと思います。
受田新吉
37
○
受田委員長
それでは
政府
に答弁してもらいます。
佐藤美津雄
38
○佐藤(美)
政府
委員
満載喫水線のいわゆるマークでございますけれ
ども
、これはいろいろ帯域によって差がございます。すなわち夏季の満載喫水線あるいは冬季の満載喫水線、それから冬季北大西洋満載喫水線、熱帯満載喫水線、それぞれあるわけでございます。それで、この満載喫水線はこの条約からきておるわけでございますが、積み荷の限度を示しておる、こういうことになっております。したがいまして、海の荒らさと申しますか荒海、あるいは季節ということを大体大分けに分けまして、それに応じた満載喫水を指定しまして、それによって航行する、こういうふうにしておるわけでございます。
加藤六月
39
○加藤(六)
委員
この問題はあとから
政府
委員
に御質問しなければいけませんが、いま
船舶
局長が説明されたように、満載喫水線、T、S、W、WNA、こう分けてありますね。私が言いましたのは、「かりふおるにあ丸」が航行する地域がS、いわゆる夏季帯を通ってくるのだというので、ぎりぎり一ぱい積んでおる。いま帯域の問題を出したのは、それが冬季帯に入っておったということにしますと、これは私は教えてもらったのですが、喫水線の線で二十七センチ違う。そして積み荷において約千五百トン違う。「かりふおるにあ丸」が冬季帯を通って
日本
に帰ってくる場合と、夏季帯あるいは熱帯を通ってくる場合とでは、積み荷において約千五百トン違うのじゃないか。それが、夏季帯ばかり通るのだという感じで積み荷をたくさん積んでおる。ところがいまの帯域の場合に、最近の
気象
その他の
関係
によって、冬季帯であるところの、私が申し上げました緯度の中にうっかり入っておったということになりますと、二十七センチ満喫線が下がり、そして、脆性
破壊
ということばが適当かどうか知りませんが、いろいろな現象というものが起こって、「かりふおるにあ丸」あるいは「ぼりばあ丸」は沈んだのではないかという
観点
からお尋ねしたわけなんで、これは
海難審判
庁のほうで、「かりふおるにあ丸」の航行という問題等について今後いろいろ議論されるだろうと思いますので、この席でこれ以上、私もそう知識もないし、お伺いいたしませんが、
青山
さん、法律を見ますと、
船舶
安全法の第四条の
規定
により、
運輸省
令で定める区域を航行するときは、技術上の
基準
に従い
気象
及び水象を観測し、
運輸省
令の定めるところにより、その成果を
気象庁長官
に報告しなければならないという問題があるわけですね。そうすると、
気象庁長官
もおいでになっておるようでございますが、これは時間があればあとから私は質問したいと思うのですが、
気象
業務を船長は刻々報告しなくてはならぬわけですが、一般に船会社の場合は、帯域の境目をどうするとかこうするとか、あるいは東経何度、こういう地点におるときの海の温度は何ぼであって、こういう
状態
のようであるというような報告は、船長は、会社あるいは
気象
庁に、現実には一日おきとか、あるいは十時間おきとか、いろいろな
条件
でやっておるのでしょうか、どうでしょうか。
青山三郎
40
○
青山参考人
ただいまの御質問でございますが、船といたしましては、これは
規定
によりまして、船からは
気象
庁には毎日
海象
、
気象
について報告いたしております。 それから会社につきましては、これも
航海
報告等の形式で必要に応じて報告いたしておりますが、大体
実績
ができておりますので、たとえば北太平洋でしたらどういう
海象
、
気象
であるかということは、大体会社はつかんでおります。
受田新吉
41
○
受田委員長
加藤君ちょっと、
政府
委員
はあとからという
お話
でしたが、三人の
参考人
の
方々
は非常に誠意をもって、お時間を少しずらしてもいいというお気持ちがおありですから、適当に
政府
委員
を織りまぜて、また、
参考人
の
方々
も
政府
の意図をお聞きしておきたいというお気持ちもおありのようですから、識りまぜて質問されてけっこうです。御了解を願っておきます。
加藤六月
42
○加藤(六)
委員
わかりました。
青山
さん、たとえば「かりふおるにあ丸」はおたくの船ではなかったと思うのですけれ
ども
、「かりふおるにあ丸」が鉄
鉱石
を積んで
日本
の港に入ってくる、その場合に、どことどこを通ってどういうようにやるということは、これは会社が指示するのでしょうか、船長が指示するのでしょうか、荷主がやるのでしょうか。それはどうなっておりますか。
青山三郎
43
○
青山参考人
それは船長がいろいろ
経験
等によりまして
判断
してきめるのでございます。
加藤六月
44
○加藤(六)
委員
そうすると、帯域の問題は私が触れておるのですが、船長が近回りしてやろうということで、いわゆる体験航法に近い方法で、私が申し上げました冬季帯に、荷物はいわゆる夏季帯を通行する荷物を積んでおる、それが近回りしてやろうという、期間を短縮し、先ほどおっしゃった安全、迅速、確実という中の迅速というほうを船長が選んで、帯域圏を通って早く
日本
へ船を着かせようというので、夏季帯とか冬季帯の帯域を無視してやるということは、船長がやろうと思えばできるわけでしょうか、どうでしょうか。そこら辺は何でしょうけれ
ども
……。
青山三郎
45
○
青山参考人
仮定の問題ですから非常にむずかしいと思いますが、やろうと思えばできると思います。船長が無視してやろうと思えばできると思います。ただし、やはり帯域がきまっている以上、その帯域内を走るのが至当だと思います。
加藤六月
46
○加藤(六)
委員
私しろうとなんで、どうもおかしいと思うでしょうが、それからついでに、
青山
さんにいま質問しておるのでございますが、計画
造船
の場合は、
運輸省
に書類を出すときに、いわゆる積み荷証明といいますか、荷物の確保の証明書がないと計画
造船
は認めてくれないようになっておるのじゃないのでしょうか、どうでしょうか。これは開銀の
関係
か、
運輸省
の
関係
か、両方かんでくると思いますが、そこら辺はどうなんでしょうか。
受田新吉
47
○
受田委員長
どちらから答弁をされますか。——それでは
青山
さんから先にひとつ……。
青山三郎
48
○
青山参考人
それは一般船でなくて専
用船
の場合だと思いますが、証明でなくて積み荷の保証ですね。積み荷の保証というものは計画
造船
には当然必要だと思います。
妹尾弘人
49
○妹尾説明員 積み荷保証につきましては、積み荷保証のある船については積み荷保証の写しを要求いたしております。保証がなければ
建造
させないとは必ずしも申しておりません。船会社の体力その他の
条件
から、無保証船をつくるという場合に、それは審査して無保証船でもつくる場合があり得るわけでございます。積み荷保証のある場合には積み荷保証を持ってきてくれと言っているわけであります。
加藤六月
50
○加藤(六)
委員
私は、そのつくらすつくらせぬの問題でなくして、この次に、いわゆるオペレーターは、荷主のわがままといいますか、低コストというか、
経済性
という表現をしたらいいのか、それにどの
程度
拘束せられるんだろうかということを聞きたいために、いまちょっと申し上げたわけです。 専
用船
の場合は、そういう積み荷証明がなければ、大体においてつくれないし、また、つくる目鼻もつかぬと思う。そうすると、今度は、荷主は、先ほどの
お話
にあったように、専
用船
ですから、それぞれの専用のものを運ぶと思いますが、よそよりもたくさん積んで一円でも安く、そして一時間でも早くという問題が出てくると思うのです。そういうときに、いわゆるオペレーターのほうとして、相当な無理をせざるを得なくなるのではないかという
観点
からお伺いしたわけなんです。そういう無理をせなければならぬということになると、定期
検査
あるいは中間
検査
の一種、二種という問題が、今度は逆にオーナーあるいはオペレーターのほうで、
造船
所に対してわいわい言わなくてはならなくなってくるという
一つ
の因果
関係
があるのかないのかということを承りたいために、いまの積み荷証明を最初に出したのですが、実際、オペレーターが
運航
する場合には、たいてい十年間ぐらい
一つ
の船について専用契約をおやりになる。そうした場合における荷主に対する
一つ
のノルマといいますか、あるいは
基準
というか、量というか、そういうものはやはり採算をはじき出す上からいうて必要だと私は思うのです。その場合に、航行の安全、
船舶
の安全というものも無視するかしないかということが、一番最初に申し上げました当
委員会
の非常に大きな問題にもなってくるわけなんですが、専
用船
をつくる場合に、荷主と契約される場合における
安全性
といった問題についての協議というのは、相当おやりになるんでしょうか、どうでしょうか。ただ、もう荷主側は
条件
を出すだけでしょうか。
青山三郎
51
○
青山参考人
船をつくる場合は、船会社といたしましては、十年間の積み荷保証というようなことでやらしていただくわけでございますので、計画を立てて、全然採算に合わない船をつくっても意味ないということですから、運賃とコストをにらみ合わせて、有利だというところで船をつくるわけでございます。ですが、先ほど申し上げましたように、安全、迅速、確実ということをいっておりますが、安全を度外視した
経済性
というものはあり得ないと私は思っております。そういう面では、もちろん安全な船をつくるわけでございますが、しかし、安くて安全であればもちろんそれでいいわけですから、そういうことについてはNKさんの規格に合った、そして安全だという船、それで、規格以上の船もつくっているわけでございます。ですから、むしろ安全というものを非常に重視しておるわけでございます。
加藤六月
52
○加藤(六)
委員
どうもしろうとでございますので……。
古賀
さん、よく、今回のようなこういう
海難事故
が起こった場合にいわれておることばがあるのです。それは、コンピューターにたより過ぎているんではないか、あるいは、コンピューターを駆使して、
経済性
を強調して、
安全性
というのを少しおろそかにしておるんじゃないか、こういう問題が出てくるわけなんですけれ
ども
、私たちは必ずしもそれを全面的に信じておるわけじゃないんです。
造船
所がオーナーから船の注文をいただきます。そうすると、
海事協会
から
運輸省
へ出してから、いろいろな
検査
をされるわけですが、二十次船だけに非常に
事故
が多いということ、これはまた偶然であって、二十次船全体に通ずる欠陥とは必ずしも思っておりません。 私、今回のこういう
事故
が起こったについて、いろいろしろうとなりに鉄鋼メーカーを調べてみたのです。鉄鋼メーカーに資料を持ってきてもらいますと、NK規格とか、各種の規格がたくさんあるのです。
AB
規格あるいはNK規格、いろいろな規格が鉄鋼メーカーのほうの内容にあるわけですが、この差は一体どういうものか、あるいはどういう
基準
でこういうものを出されておるのかということが不敏にしていまだにわかっていないわけです。
造船
所の場合は、
船主
から発注があった場合に、いわゆる
設計
基準
上のいろいろな問題は
海事協会
とやられるのでしょうが、鉄鋼メーカーから買い受ける材料については、独自の
検査
というのをおやりになっておるのでしょうか。それとも、これは規格品だ、鉄鋼メーカーの
検査
を信用して
造船
所はそのまま使うというかっこうをとっておられるのでしょうか、どうでしょうか。
古賀繁一
53
○
古賀参考人
コンピューターに依存し過ぎるという
お話
ですが、コンピューターで正確に仕事を運んでおり、依存し過ぎるということはどうかと思うのです。 それから、さっき
お話
ししましたとおりに、
ルール
でいろいろ
構造
の部材、寸法はきまっておりますけれ
ども
、それを大型
電子計算機
で有限要素法で詳しく
計算
いたしまして、それで、
ルール
で行き届いていないところは、
電子計算機
の
計算
結果を使って補って、ちゃんとした、よりいい船をつくりつつあるというのが
現状
でございます。 それから鋼材は、製鉄所でロールして、すぐ材料試験をおやりになりまして、それは、NKにプラスします船はNKの
検査
官、ロイドの船はロイドの
検査
官が立ち会いまして、証明書が鋼材についてくるわけです。それを使ってやっておりますから、十分
検査
された良質の材料を間違いなく使っておるわけでございます。
加藤六月
54
○加藤(六)
委員
そうしますと、
造船
所は、鉄鋼メーカー並びにNKあるいはほかの
AB
なら
AB
、ロイドならロイド、いろいろなところの
検査
証明がついてきておるから、あらためて
検査
はせずにそれを使用する、こういうようにとってよろしいわけでしょうか。
古賀繁一
55
○
古賀参考人
そのとおりでございます。
加藤六月
56
○加藤(六)
委員
私は、
大型船
の
海難事故
の問題は、時間ももうだいぶきましたので、この
程度
でやめさせていただこうと思うのですが、実は、いわゆる材料であるところの鉄鋼そのもの、また、それを溶接する技術、方法、そして、
造船
所とオーナーと
海事協会
との
関係
、オーナーと荷主との
関係
、こういった問題から入っていって、抜本的にいろいろなものを出していかなくちゃならぬのじゃないか、こう思っておったわけなんでございますが、時間の制約上これで終わらしていただきたいと思うわけでございます。
船舶
の
構造
あるいは
強度
、外部的な
経済性
の問題、船そのものの
安全性
の問題、乗り組み員の安全の問題、こういったいろいろな
方面
からこの
海難事故
の問題は究明していかないと、一番最初に申し上げました
造船
量で
世界
の半分、
海運
国
日本
の信用という問題、こういう問題全部がからんでくるのではないかと思ったわけでございます。 本日は、
参考人
の皆さま方に、しろうとでいろいろ焦点のぼけた御質問等いたしましたにもかかわらず、非常に親切、丁寧にお教えいただきましたことを厚く感謝しまして、私の質問を終わらせていただきます。
受田新吉
57
○
受田委員長
久保
三郎
君。
久保三郎
58
○久保
委員
お三人の
参考人
の皆さんから
お話
がありました点から先にお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。私も
専門家
じゃありませんので、十分に意を尽くしてお尋ねできないかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。 まず第一に、いままでお三人の皆さんに
お話
を伺ったのでありますが、結論的に共通していることは、船の
構造
というか
強度
というか、耐航性、こういうものについてはやや十分であるような
お話
が共通的ではなかったか。むしろ強調されたのはいわゆる
操船
の問題、それから提供さるべき
情報
の問題、さらには救難の問題、あるいは
気象
、こういうようなものを
中心
に
お話
があったと思うのであります。もちろんそれぞれのお立場でございますからやむを得ない——やむを得ないと言ったらたいへん語弊がありますが、当然かと思うのでありますが、まず第一に
松平参考人
にお伺いします。
強度
は十分にしてある、そういう御発言がありまして、なお
海象
、
気象
については、特別な事情というか、そういう十メートル以上の
波浪
というのはまれなことであるというようなこともある。そうしますと、いままでこういう
経験
は、あなたのほうには
データ
としてあがっていないのかどうか、あらためてこれをお伺いするわけであります。いわゆる「ぼりばあ丸」あるいは「かりふおるにあ丸」のそれぞれ当時の遭遇した
海象
、
気象
というのは、まれであるのかどうか、それはどういう
データ
によってまれであるというふうにお考えでありましょうか、いかがでしょう。
松平直一
59
○
松平参考人
われわれ側の
強度
計算
に用います
外力
というものは、実は数字的にいまおっしゃいました波との
関連
においてはっきりときめられないものです。長い間実際に船が走ったという、その
経験
から
外力
を推定しておるわけでございます。しかし、いま
お話
しになりました二十メートルという波ですが、これは実際にしょっちゅう起こっておらないと思います。おそらく台風でもなければああいう
状態
は起こらないと思います。結局、通常の海の
状態
というものをわれわれ大体想定して、それで
外力
をきめて、それを
構造
強度
の
計算
に使う、こういうふうにやっておるわけであります。
久保三郎
60
○久保
委員
平常の
状態
を
条件
にして
強度
計算
をしている、こういう
お話
だと、いうならば通常の平穏無事、そういうものを
基準
にして船の耐航性というか
船体
の
強度
というのはきめられておるのですか。われわれの考えでは、外洋にはあらしの日も当然予想して船はつくらるべきだと思っているのでありますが、その点はそうじゃないのでありますか。
松平直一
61
○
松平参考人
その平穏なというのは、非常に静かという意味ではございませんで、通常起こり得る
気象
、
海象
というふうに考えます。ですから、数字をいま申し上げますのはちょっと困りますが、大体十メートルから十二、三メートルぐらいまでの波は考えております。
久保三郎
62
○久保
委員
気象
庁の吉武
長官
おいででございますか。 先ほど来
長官
もお聞きになったと思うのでありますが、いまも
松平参考人
から
お話
がありましたが、「ぼりばあ丸」あるいは「かりふおるにあ丸」が遭遇した
気象
、
海象
の
条件
というのは、
お話
しのようなものであるのかどうか、これはいかがですか。
吉武素二
63
○吉武
政府
委員
お答え申し上げます。「かりふおるにあ丸」は、船としては珍しいくらいよく
気象
資料を送ってきております。
沈没
の寸前まで毎日、多いときは五回、そういう資料がございます。その中で、ちょうど
沈没
直前ごろは右舷の
波高
が十メートルという
データ
を四、五回送ってきております。私たちのこういう船からもらう
データ
としては、この
程度
の波というのは冬季北太平洋では別に特に珍しい波ではないように思います。
久保三郎
64
○久保
委員
松平参考人
、お聞きのとおりであります。この場合でもいわゆるまれなものであるのでしょうか。それで
船体
の
構造規則
というのは、いま
気象庁長官
から
お話
しのあったような
状況
までは耐え得られない
構造規則
になっておるのかどうか。あなたの
お話
の中では、
構造規則
を改正するかどうかというのは結論を出すのが非常に困難であるというふうにも
お話
しになりました。われわれはしろうとでございまして、よく存じませんけれ
ども
、「かりふおるにあ丸」は
沈没
寸前まで
気象
、
海象
について通報していたのであります。これはまぎれもない事実であります。そういうものを
データ
にしないで、何を
データ
にしてあの結論を得られようとするのか、私はあらためてお伺いしなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。
松平直一
65
○
松平参考人
私がさっき
意見
を述べますときに、二十メートルと申し上げましたのは、これは乗り組み員からの報告でございます。あれにもお断わりしましたとおり、たしか遭難の一週間か六日前でございましたか、いわゆる台湾坊主というのが通りまして、あのとき非常に激しいあらしだったということで、二十メートルと思うといって報告を受けたのです。その二十メートルという
波高
は、これはたいへんなものだと思いましたです。そういうことで、あの二十メートルという数字を出しましたのです。
久保三郎
66
○久保
委員
気象庁長官
にもう
一つ
お聞きしたいのですが、いま
お話
しになりました台湾坊主というのは異例の
気象
条件
でありますか、いかがでしょう。まれに見るものであるのかどうか。
吉武素二
67
○吉武
政府
委員
お答え申し上げます。あの台湾坊主という名前がついているぐらいでして、一年に数回はやってくるものでございます。
久保三郎
68
○久保
委員
いまのような
お話
だと一年に数回も来る。俗称、ニックネームまでもついているというようなものでありますから、まれにあるものではないとしろうと目にも見られるわけでありますが、そういうものにも耐え得られない
船体
ということになりはしないかと思うのでありますが、これについてはどういうふうに
松平
さんはお考えでありましょうか。
松平直一
69
○
松平参考人
船を大体どのくらいの強さに耐えるようにしたらいいかということは、いまおっしゃったような年に数回しか起こらないようなあらしにでも耐え得るようにするかどうかということ、これはなかなか
運航
のほうとの
関係
がございまして、むずかしいところだと思います。技術的に申しますれば、いまの二十メーターぐらいの風に耐えられるようには私はできるとは思いますが、まあ一般商船としては大体この辺というところがいまほとんど
世界
的にきまったようなかっこうになっておるわけでございます。中にたまたま二十メーターは入っていないだろうと私は思っているわけでございます。
久保三郎
70
○久保
委員
もう一度
気象庁長官
に……。 二十メーターという、いま重ねて
松平参考人
から波の高さについてありましたが、台湾坊主というのは二十メーターしょっちゅう出るのですか、出ないのですか。
吉武素二
71
○吉武
政府
委員
二十メートルとおっしゃるのは、風のことでしょうか、それとも波の
波高
のことを言っていらっしゃるのでしょうか、私ちょっとわかりませんが……。
久保三郎
72
○久保
委員
気象庁長官
からはお尋ねできないから、私からお尋ねするわけでありますが、
松平
さん、二十メーターというのは先ほど聞いたのでは波の高さのように聞いたのでありますが、これは風でありますか。
松平直一
73
○
松平参考人
波の高さでございます。
久保三郎
74
○久保
委員
気象庁長官
、二十メーターというのは波の高さということであります。
吉武素二
75
○吉武
政府
委員
そばに大野主任予報官もおりますけれ
ども
、波の高さで二十メートルというのは皆無、もうないんじゃないかと思いますが……。
久保三郎
76
○久保
委員
もう時間がありませんから、お答えだけで……。
気象
に関しては
気象庁長官
が
日本
では一番最高権威者でいらっしゃる。そのつもりで
お話
を伺っていっていいと思うのであります。そこで、そういう
状態
の中でこの
構造規則
を改正するかどうかというのは非常に結論を出すのは困難だということです。これはもちろん時間をかけて
検討
されることはけっこうだと私は思いますよ。しかしながら、現実に一年間に何ぞうもの船が沈んでいる。特に第二十次船の二つが前後して
海難
にあっているのでありますから、これはわれわれからすれば、早急に結論を出してというよりは、こういう天候にも耐え得られる船をつくってほしいというのがわれわれの考えであります。
参考人
の
お話
からも、
安全性
を第一に考えております。当然だと思います。 そこで
松平参考人
にお聞きするのでありますが、どの
程度
の
強度
にするのがいいか、
運航
の面もございますからという
お話
が先ほどございました。で、あなたとしては、
松平参考人
のおいでになる
日本海事協会
というものの任務は何でありましょうか。
松平直一
77
○
松平参考人
私のほうは御承知のとおり
船級協会
でございます。この
船級協会
というのは、海上運送に不可欠な保険に
関連
して生まれたものでございます。二百年前に設立されたロイド
船級協会
、これが一番最初のものでございますが、その後各国に
船級協会
が生まれまして、いま
日本
では
海事協会
といっております。
船級協会
は、
船舶
を
検査
いたしまして、一定の
基準
に合っているかどうか判定を下して、そういう船には船級を与えるということになっております。それで、その船級というのはいま申し上げました保険その他に非常に
関係
を持つものになっております。
造船
業者のほうにも偏せず、オーナーにも偏せず、また保険
関係
だけに偏することなしに、厳正中立な立場になければならぬという
関係
で、先ほど御質問がありましたとおり、私のほうは
海運
会社、それから
造船
造機の製造
関係
、保険会社、それから海事
関係者
と申しますか、そういうものから選出されました先ほど申し上げた七十八名以内の管理
委員会
で運営されておるわけでございます。それから運輸大臣指定の会である、こういうことであります。
久保三郎
78
○久保
委員
そうしますと、いわゆる
船級協会
である
海事協会
というのは、必ずしも船の
安全性
についてはあまり責任は持たないでもいいということですね。そういうふうになりますか。極端な言い方をしてたいへん恐縮なんでございますが、詰めて申し上げますれば、そういうことになりますか。
松平直一
79
○
松平参考人
私のほうの
協会
の寄付行為には「
船舶
に関する諸般の事業の進歩発達を図り、人命及び財産の安全を期することをもって目的とし、」こう書いてございます。
船級協会
というのは当然安全を考えているということでございます。
久保三郎
80
○久保
委員
船舶
局長に伺いますが、いままで私が
気象庁長官
あるいは
松平参考人
に御質問申し上げている内容、お聞きのとおりでありますが、
船舶
安全法はこの機会に
船体
の
構造
についてもっとシビアなものにしていく方法を取り入れて改正する必要がありはしないか、いかがですか。
佐藤美津雄
81
○佐藤(美)
政府
委員
いままで
参考人
から
お話
がございましたように、
構造
につきましては、非常に国際的な
基準
によってこれを行なっているわけでございます。今回の「ぼりばあ丸」事件及び「かりふおるにあ丸」事件以来、この問題につきましては、鋭意各
関係
の向き、われわれ
中心
となってやっておるわけでございます。したがいまして、この
原因
が究明されましたならば、当然それを強化する必要があれば強化するように取り計らうように考えております。
久保三郎
82
○久保
委員
なるほどいま
海難審判
に二つともかかっておりますから、当然そういう答弁だろうと思うのでありますが、いままでの
お話
から見ますと、どうも何か
船体構造
その他
検査
というかそういう船の
安全性
については、いうなら結論が出るまでといって、それ以外のいわゆる
操船
技術あるいはそれに対するインフォメーション、そういうものに何か力点を置いておられるようにわれわれは考えるのでありますが、われわれ自身としてはそのものずばりで問題の究明をはかる必要がありはしないか。 それからもう
一つ
は、第二十次船、これは最近「出雲丸」でありますか、ないしょでやったんではなかろうけれ
ども
、一応
補強
というか
修理
をしたというので明かるみに出てまいりましたが、けっこうな話でありまして、それぞれ悪いものは外へ出して、この際はオーブンに処理していくことが一番正しいと思うのであります。その意味でいいのでありますが、私はどうも、先ほど加藤
委員
からも
お話
がありましたが、第二十次船だけじゃなくて、それ以降のいわゆる
大型船
についても、これは
検討
を加える必要がありはしないかという心配をしているのです。これはどうですか、
船舶
局長。
佐藤美津雄
83
○佐藤(美)
政府
委員
正規の
ルール
によってつくったのでございまして、それの
安全性
は、つくったほうの
造船
所、それから継続して使っている船会社、及びそれを
検査
した
船主協会
におきましてそれぞれ保証しようというかっこうになっておるわけでございます。二十次船といいますと、普通は非常に変わったような感じでございますけれ
ども
、私のほうの感じといたしましては、あれは予算上の
一つ
の呼称でございまして、これを技術のほうから考えましたときには、特に差があるわけでございません。そういう意味では実は先生のおっしゃったような懸念もないわけではございません。しかしまた
原因
の明確でない現段階におきまして、すぐこれをどうするこうするというのはちょっと行き過ぎじゃないかと思います。 それから、実は先ほどの御質問と
関連
しまして、
海難
の特別
調査委員会
におきまして、
船体
のほうは鋭意その
問題点
を改良の面からあるいは実
船実験
の問題からいろいろ
検討
を進めております。したがって、近い将来にこの一応の結論らしいものが出るんじゃないか、それの
対策
としてやっていくべきである、かように考えます。
久保三郎
84
○久保
委員
もっともそれ以上の答弁ができないんだろうと思うのでありますけれ
ども
、私ら国民の一人としては、念には念を入れて、お立場上いろいろ問題もあろうかと思いますけれ
ども
、
原因
がはっきりわかったらどうする、これはあたりまえの話でありますが、
お話
のように二十次船というのは予算上の呼称の問題であります。ただ、あれを境にして
大型化
が進められてきたということは事実でありますから、現在問題になっているのは
大型船
でありますから、これはやはり全体的にもう一ぺん念を入れて
点検
をする必要がある、こういうふうに思うのでありまして、これは何ら差しつかえないんではなかろうかと思う。何か起きてから、「出雲丸」にしても、ああやっぱりそうだったのかということで、じゃタンカー全部やれ。何か後手後手に回っていることでありまして、これ以上後手に回ることは、どうも
政府
としてもこれは許されないのではなかろうかと私は思うのであります。いままでわれわれ自身も、まあこの次にそんなことはないだろう。ところがここまできては、もはやあるかもわからぬという考えをせざるを得なくなっている。これは
点検
をするということは考えていくべきだと思うのですが、どうですか。
佐藤美津雄
85
○佐藤(美)
政府
委員
いままで
参考人
の
お話
を承っておりまして、やはり
海難
というのはもちろん
船舶
が十分強くなくちゃいかぬ、耐航性が強くなくちゃいかぬ。しかしそれ以外にもやはりいろいろな
原因
がございます。たとえば
運航
の問題、
船舶
の故障の問題、
海象
の
船舶
に及ぼす力、そういういろいろなものがございますので、
運輸省
としましては、鋭意この解明に現在つとめている段階でございます。したがいまして、いまの段階で二十次船あるいはそれ以外のものについてもやるというようには現在は考えておりません。
久保三郎
86
○久保
委員
時間もありませんから先へ行きましょう。 次には、先ほど来
参考人
からも
お話
がございました
経済性
と
安全性
の問題でありますが、もちろん
お話
にあるとおり
安全性
を第一にしていく、こういうことであります。ただここで、先ほど加藤
委員
からも若干
お話
があったんでありますが、たとえば船会社にとりまして考えた場合には、いうならば計画
造船
そのものに対する制度的な欠陥がありはしないか、そこから来ているものがありはしないかということです。これは別に何を目的というのじゃなくて、
お話
もありましたように、積み荷保証、十カ年間で開銀融資は償還だ、その中で再建
整備
終了後の最近における船会社の
実績
というか、そういうものはあまり芳しくはない、しかし
政府
自体というか、開銀を含めてでありますが、約束どおりのものはひとつやる、そのためには運賃をひとつ上げたらどうかという要請も出てきた。最近はだから長期の積み荷保証というものもあまり好ましくないというのでやらなくなってきた。二年でも三年でも短くしてきたものもあるということでありますが、いずれにしても、そういう制度そのものに問題がありはしないか。それと同時に、結局船といわゆる荷主の
関係
でありますが、これはいうなら過当競争。最近そんな過当競争ほどではないかもしれませんが、いずれにしてもそういう運賃に対する競争が事実あるのですね。最近やや、定期船部門でありますかコンテナ部門でありますか、この調整な
ども
含めてやってきたようであります。これは少し時間的にはおそかったと思うのでありますが、いずれにしても、やることはけっこうだと思うのであります。そういうものがない限りは、やはり運賃競争が当然起きる。運賃競争が起きれば、どうしても安い船をつくらざるを得ない。安い船を追求することは当然だと思う。しかしそれには限界があるはずなんでありますが、これが
造船側
にまいりますと、結局、先ほ
ども
お話
があったかと思うのでありますが、いわゆる船の注文を受けるほうとつくるほうとの
関係
が必ずしも一体になっていないんではないかという心配も出てくる。そのために、いうならばぎりぎりの線で船をつくる。だから、これはしろうとでよくわかりませんが、一九六〇年、十年ぐらい前は、いわゆる十四次船で使用鋼材の比率を一〇〇%と見れば、二十次船では七〇%から八七%に減っているわけですね。鋼材の使用がそれだけ比率としては減っているというようなことが
一つ
いわれている。しかもこの間じゅう、これは「エコノミスト」だと思うのでありますが、ある対談の記事が載っておりまして、その中で
造船業界
のある人が言っているのには、いや、安全な船をつくれというならば、それは幾らでもできる、大体二割ぐらい鋼材をよけいに使えば、それはだいじょうぶだろう、こういうようなことをこの「エコノミスト」の誌上で言っております。だからそうなると、われわれは、ああ、やっぱり薄っぺらな鉄を使ったのかということにならざるを得ない、そうであるのかどうかは別にして。そういうことも事実問題にして、これはやはり公正に
判断
をつけてほしいものだと私は思うのであります。これは回り回って今度は鉄鋼メーカーと
造船
関係
の問題になる。鉄鋼にしても、最近はまた値上げをしようというのですね。かなり鉄鋼を使う。しかも船価の中で占めるこの
造船
用鋼材は、大体八五%ぐらい原材料の中では鋼材を使う、こういうことになっているそうです。そうなりますと、巨大な鉄鋼メーカーに対して
造船
業、
造船
業に対して船会社、こういうようなことで何かずっとしわ寄せがきて、最後にはこの船に乗っている者のところにしわ寄せがきちゃうのじゃなかろうかというふうにわれわれ自身は
一つ
は考えざるを得なくなってくる。そういうことはもちろんお考えはないという御回答だと思うのでありますが、一言お聞きしますが、
造船
工業会といたしましては、鋼材の問題、鋼材の値上がりに対しては、これは現在どうなんですか。いまの価格の中で吸収できるような体制にありますかどうか。 それからもう
一つ
は、
作業
時間が非常に
合理化
、近代化してまいりまして、当然これは大幅に短縮されておりますが、これは労働力の問題等にらみ合わせがございましょうが、最近われわれはしろうとなりに危険に感ずるものは、溶接忘れなんというものがたくさん出てきている。これはそういう
作業
時間というか、船台におる時間、工程、そういうものに無理がありはしないかどうか、こういうものをひっくるめてひとつお伺いしたい。 それからもう
一つ
は、船価にしても、十年前は、タンカーは、大体当時は四万トンないし五万トンが標準だろうと思うのでありますが、トン当たり七万
程度
。ところがいまは二十万トンタンカーで大体四万円でありますか、そういうふうなことになってきている。かなり船価も安くなっている。安くなっているのはけっこうでありますが、いまのような問題から
海難
というか、
安全性
が阻害される心配がないのかどうか。いかがでしょう。
古賀繁一
87
○
古賀参考人
鋼材の値段は、ここ数年たいした値上がりはいたしておりません。去年あたりから少し上げてくれないかという折衝はいただいておりますけれ
ども
、それもほとんどわずかの金額でございまして、御心配になるような
原因
にはなっていないと思います。 それから賃金は、毎年、
造船
工業会会員会社の平均で一七%
程度
上がっておりますけれ
ども
、御承知のとおりに設備の改善をやったり、それから
作業
のやり方をくふうしたりいたしまして、企業内である
程度
は吸収いたしております。しかし十数%という大きな改善はできませんので、大
部分
は船の売り値のほうに御
配慮
いただくようにいたしております。 それから溶接忘れの
お話
が工期短縮とあわせてあったのでありますが、工期を短縮いたしておりますのは、たとえが適当でないかもしれませんけれ
ども
、プレハブリケーションというのを非常にやっておるわけですね。それで大きなブロック、クレーンで四百トンとか六百トンぐらいの大きいものも近年設備されてきておりますので、そういう大きなブロックをつくりまして、仕事が安全に確実にできるやり方を進めておりますから、そういうブロックは
検査
も非常にしやすいのであります。工場の中でやりますから、仕事が確実に、また
検査
も十分できるように進めております。したがいまして、現場でやる仕事がずっと減ってきた。現場でやる仕事は危険もありますし、むずかしくもありますけれ
ども
、その
作業
量がぐっと減ってきたということで、工数も減るし工期も短縮されてきております。これは合理的に工数も減り、
建造
日数も短縮されてきております。 それから溶接の長さでありますが、「ぼりばあ丸」で二十四万メートル、二百四十キロですから浜松の辺ぐらいまでありますか。それから出光さんの「沖ノ島丸」というのは七十一万九千メートルあるのです。これは東京から岡山の辺までの長さがあると思うのです。そういう中で今度の
点検
で一船にほんのこのくらいのが何カ所かあった。そういうことはあってはいかぬことでございまして、今後十分
検査
を徹底してやりまして、そういうことがないようにすることに
努力
しておりますけれ
ども
、非常に長い距離のうちにちょっとした見落としが出ております。しかしこれは幸いにどの船も溶接漏れが
事故
につながる
性質
のものではなくて、まあほんの不
注意
な不行き届きの
程度
で済んだことをしあわせに思っております。十分気をつけます。
久保三郎
88
○久保
委員
もう時間でありますから、最後に審判庁
長官
に一言お伺いしますが、先般運輸大臣には申し上げておいたのでありますが、審判にそれぞれかかるわけでありますが、いまの審判制度必ずしも十分でないというふうにわれわれ考えております。しかしながら、審判制度そのもの自身やはりかなり進歩的な制度であろうというふうに思っておるわけです。ただ問題は、今度の
事故
のように
船体
その他について問題が多いのではなかろうかというふうな考えからいたしまするというと、たとえば
調査
機関も、まず第一に
海上保安庁長官
のところで取り調べをする、あるいは今度運輸大臣の諮問機関の
調査
機関ができる、あるいはそれぞれのいわゆる船会社あるいは
造船界
あるいは
海事協会
、それぞれの手によって
調査
されるということでは、それはそれなりになかなかいいとは思うのでありますが、手間をとる、あるいは
見解
の相違ということで
原因
が不明というか、うやむやになるという心配もあろうかと思う。そこで私は、
海難審判
の制度の中に独立した第三者機関によるところの恒久的な
海難事故
の
調査
機関というものを設けておいたらどうか。これは
専門家
による。そうでないと、何かいまの
海難審判
のあり方は、先般も申し上げたとおり
船舶
職員法違反、もちろんそれに対しては裁決によって行政処分をすることになっていますから、審判庁のきびしい権力というのはそれに尽きるわけですね。
船体
の
構造
あるいは港湾の
構造
その他の
原因
によるところの
事故
については、これは審判庁はあまり権限がない。勧告
程度
にとどまるということであります。それは勧告
程度
でもいいと思うのでありますが、この
船舶
職員法自体に至る前のいわゆる
海難
全体の
原因
調査
というものは、やはり第三者機関によってやることが正しいと思っているわけなんです。審判庁制度をまるきり変えろとは私
ども
はいまだ申し上げません。そういう方法をとっていくことも
一つ
ではないかと思うのだが、御所見はいかがでしょうか、お伺いします。
藤原重三
89
○藤原
政府
委員
お答え申し上げます。
海難審判
法の改正の点につきましては、
昭和
四十年から足かけ三年ぐらいの間に、
海難審判
法改正
準備会
議というものが学識
経験
者によってつくられまして、討議の結果、これでよろしいと、そういうふうになっております。がしかし、いま先生がおっしゃいましたように、
調査委員会
制度の点でございますけれ
ども
、この点につきましても、審判法制定当時いろいろと論議されました結果、現在の三審制度に落ちついた、そういうふうに承知しております。しかしながら、いまおっしゃいましたとおり、
調査委員会
構想につきましては、なお今後慎重に十分
検討
していかなければならないと存じます。
久保三郎
90
○久保
委員
終わりますが、
参考人
の三人の方に特にこの際われわれから御要望申し上げたいのは、再びこういう
事故
が起きないようにすることは、もちろん人命の安全でありまして、これは当然だと思うのでありますが、それ以外に、やはり
日本
の
造船
あるいは
海運界
のためにも、徹底的な
原因
の究明と、その有効適切な
処置
をとらねばならぬと思うのでありまして、立場上、いろいろ苦しい問題もあろうかと思うのでありますが、どうかそういう線に沿って御
協力
をいただくよう、重ねてお願いしまして質問を終わります。 ありがとうございました。
受田新吉
91
○
受田委員長
沖本
泰幸
君。
沖本泰幸
92
○
沖本
委員
質問時間を限られておりますので、十分質問ができないかもわかりませんが、できるだけ簡単にお答え願いたいと思います。同時にまた、質問がいろいろと前後するかもわかりませんが、その点御了承願いたいと思います。 私も、せんだって「出雲丸」がいろいろ問題があるということが新聞記事にありましたので、お伺いして船も見させていただきましたし、いろいろ御
意見
も伺わしていただいたわけでございますが、その節にも話も出ましたし、その後
関係
の
方々
の御
意見
もいろいろ伺ってみますと、現在までの段階では、
運輸省
側のほうにも
大型船
に対する責任がない、あるいは
船主
さんのほうにも責任はない、あるいは
海事協会
のほうにも責任はないし、
造船
所のほうにも責任はない、こういう結論になるわけです。いま
原因
を一生懸命に究明中である、こういうことになるわけですけれ
ども
、そういう段階でいろいろ
対策
を立てていこう、こういうことになりますが、
原因
がわからなかったら
対策
はなかなか立てられない。これはわかり切ったことなんですけれ
ども
、先ほど久保さんの御質問にもありましたとおり、溶接の忘れがあった、こういうことなんですが、聞きますと、船底
部分
と外板との間の曲がりかどで、非常にその辺の鋼材は強くなってくる、曲げるのに熱を加えなければならない、その熱を加えるのが十分でなかった、そういうことのためにいわゆるはずれが出てきて、溶接忘れのような問題もあったというのが新聞に出ていたと思うのですが、こういうふうな問題はまれにある問題だというただいまのお答えなんですけれ
ども
、「ぼりばあ」にしても「かりふおるにあ」にしても表れにあった
事故
なんです。それでみな
日本
じゅうが驚いているわけなんですが、そういうことは在来船にはなかったことなんでしょうか。どうなんでしょうか。
造船
所側のほうあるいは
船主
さんのほう……。
古賀繁一
93
○
古賀参考人
御承知のように、前はびょう
構造
の船であったのでありますが、びょう
構造
の船の場合にもびょうの打ち忘れというのが間々ありまして、溶接船でも
検査
は二重三重に十分やっておりますけれ
ども
、さっき申し上げましたとおりに、何百キロメートルというものがずっとありますので、
検査
漏れで、ごく一部、
部分
的溶接漏れということは従来もありましたし、今度の
点検
でも若干出てきておる。しかし、これはそういうことがないようにさらに徹底してやっていきたいと考えております。
沖本泰幸
94
○
沖本
委員
私がお伺いしているのは、いわゆる曲げる
部分
の外板とか鋼材は非常にやわい質の鋼材を使っておる。曲がる
部分
だけが少し強い鋼材を使う。曲げた場合にある温度を加えながら溶接をしていくということが新聞に出ておったわけです。 〔
委員長
退席、加藤(六)
委員長
代理着席〕 その温度が足りないので外に引っぱった、こういうことで溶接部門のところに溶接忘れのような問題が出たというのがあの出光の二十四万トンのタンカーで起きた、そういうふうに新聞で承知しておるわけですが、その点はどうなんですか。
古賀繁一
95
○
古賀参考人
「出光丸」の溶接のことにつきまして、朝日新聞に記事が出たのでありますが、それは大きな船は高張力鋼を
強度
を強く必要とする
部分
には使っておるわけです。高張力鋼、ハイテンサイルスチールといっております。それと普通のMS、普通の軟鋼のつき合わせの溶接
部分
の一部に、肉眼では検出し得ないような小さなクラックが若干あったということであります。それは、高張力鋼は溶接します前に温度を上げまして溶接するのであります。加熱して溶接するのであります。それから鋼材の材質がもっと高度な、ものになってまいりますと、たとえば圧力容器——化学反応をやる反応塔とか、あるいはボイラーのドラムとか、あるいは原子力のリアクターの、高温高圧だけではなくて放射能を受けるというふうなものについては、材料がずっと高級化されておりまして、溶接のしかたもむずかしい溶接をやっておるわけであります。高張力鋼というのはほんの初歩の、材質をちょっと上げた
程度
の鋼材でございますけれ
ども
、それに対応した溶接方法をとらなければいかぬのであります。 それでエックス線はとっておりますけれ
ども
、それでは出てこない、ダイチェックという
調査
のしかたがあるわけですけれ
ども
、それでも出てこない。それでマグナフラックスといいまして、これは非常に高級な溶接を要望されるところで使う
検査
法でありますけれ
ども
、その
検査
法を念のため使って
検査
したら、少し小さなヘアクラックに類するものが数十カ所発見できた。それはそれぞれ削り取りまして、手直しをして完全な溶接をしておる、そういうことでございます。
沖本泰幸
96
○
沖本
委員
私たちがこういう問題に対しまして勉強するのは、別に専門的な知識がありませんから、新聞記事なり何なりそういうものをたよりにやっていって、ある
程度
専門家
の御知識をいろいろ伺うわけでありますが、そういう点からいきますと、新聞で一番問題になっておりましたのは、
沈没
した船の隔壁が少なかったのではないか、こういうことも問題である、こういうふうな御
意見
が出ているわけなんですけれ
ども
、鋼材を減らしていくという点も問題がある、こういうふうに考えられますので、結局船の
安全性
という
観点
から見ていきますと、船の耐用年数ですけれ
ども
、
日本
と
外国
の場合は少し違うのではないか、こういうことになってくるわけですが、
大型船
になって、
日本
と
外国
船の耐用年数は少し違うのじゃありませんでしょうか。その点いかがでしょうか。
古賀繁一
97
○
古賀参考人
詳しくは知りませんけれ
ども
、
造船
所に対して、
国内船
の
船主
さん、
外国
船の
船主
さんから、特別な
お話
はいただいておりません。それぞれ
船級協会
の
ルール
によって船をつくってくれという御注文をいただいておりますが、特別な話はない。つくるのは同じ船という点から、差はないのじゃないかと存じます。間違っておれば後刻訂正さしていただきます。
沖本泰幸
98
○
沖本
委員
質問するほうにおいても、私自身確たる自信があるわけじゃないのですが、昔は、船は大体四十年ぐらいもつのじゃないかというふうに、しろうと考えではよく考えておったわけです。そういう船をよく見受けるわけですけれ
ども
、現在の計画船からいきますと、十年たてば返済が終わる、こういう考え方から、またどんどん近代化されていきますから、船の耐用年数というものを幅を短くしてお考えになるようなお考えが主力になっていく。それが船の
経済性
というものに
影響
していって、昔の船の考え方と現在の考え方とが変わっているのじゃないか。その変わったものが、いわゆる
大型船
になってくるほどその
問題点
が広がっていって、やはりそういうものが結果につながっていくのじゃないか、こういう疑問を私たちは持つわけでございますが、そういう点について御三者の
方々
の御
意見
はいかがでしょうか。簡単なお答えをいただきたいわけです。 〔加藤(六)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
古賀繁一
99
○
古賀参考人
鋼材の所要重量が、
大型船
になると単位当たり減っておるという御発言だと思うのでありますけれ
ども
、それは、船が大きくなりますと、たとえば積み荷に
関係
のありますデットウエート、
重量トン
ですね、
重量トン
当たりの鋼材の所要量は減ってまいります。これは無理して減しているのではありませんで、当然減ってくるのでございます。いま船は大体三十万トン前後ぐらいのところまで大きくなってきておりますが、その辺までは、鋼材の所要量はデッドウエート当たり減ってきております。最初のほうは相当減ってきておりますけれ
ども
、いまはもうなべ底みたいになりまして、三十万トン、三十五万トンにいたしましてもそう減りませんし、四十万トンにしてもそう減らないような感じを受けます。だから、二十数万トンまでの
大型化
の
過程
では、単位当たりの鋼材所要量は合理的に減っております。これは、強さ弱さということに
関係
なく、合理的に減ってきております。したがいまして、単位当たりの所要工数といいますか、
作業
時間でございますね、これも滅ってきております。ですから、ある大きさまで船の大きさが大きくなっていくまでは
経済性
が伸びてきておる、そういうことでございます。
沖本泰幸
100
○
沖本
委員
いまの
青山
さんの御発言の中にも、
バラストタンク
の腐食については今後
対策
をいろいろ考える、こういうことをおっしゃっていたように思うわけですが、いわゆる
バラストタンク
の中を見ましても、相当さびが、やせが出ておるわけですね。いろいろ聞いてみますと、きめられた
ルール
以上のものを、
船主
さんのほうはいろいろ考えて、ある
程度
無理して入れている。ただその間に銀行から借りなくてはならない
関係
もあるわけで、その点の間に問題があるのではないか。鋼材も新しく強化されてきた鋼材で、そのために、隔壁なんか、使っている鋼材はだいぶ薄いものを使うことになっているけれ
ども
、それもある
程度
船主側
のほうでは考えて使っている、こういうことをおっしゃっているわけです。それはやはりやせを考えている。だから、その間に、いわゆる鋼材を
強度
なものにいろいろ改革されて、新しいものができるようになった、そういう点は考えられるけれ
ども
、やせそのものは結局同じだ。こういうところに、亀裂とかクラックとか、そういうような
問題点
も出てくる。こういうふうにわれわれは見たわけなんですけれ
ども
、そういう点について、なぜもっと最初の段階に中の塗装をなさるなりあるいはさびを防ぐなり、そういうものが考えられなかったか。 あるいはまた、もう一点は、上のほうに非常に亀裂が出ているという点が考えられ、しわがある。こういう点も、伺ってみると、いままで船を扱っておって考えられなかったことだ、最近になってそういうことが非常に多くある、こういうようなことをおっしゃっておるわけですけれ
ども
、そういう問題が、
大型化
してきたから、いわゆる油を積んだときバラストをうんと抜く、そういう間に重みがうんと加わってくるためにしわが起きるのか、その辺がはっきりしないということなんですけれ
ども
、いずれにしても一年間の保証期間があって、その後いわゆる定期
検査
のときに問題が出なくて、次の中間
検査
までの間、時期を待たずして早く問題が出てきたりしている。いままで問題になっている船は、ほとんど早い時期に問題が出ているわけです。そういう点について少し、使っている材料とか、そういう点についての取りきめ、そういうものに問題があるのではないか、こういうふうに考えられるわけですけれ
ども
、その点についてお考えは……。
青山三郎
101
○
青山参考人
バラストタンク
内の腐食の問題は、各船によって違うわけでございます。最初はやはり電気防食でいけるじゃないかということで、特に塗装をせずに電気防食でやった船の
衰耗
が特に激しいということでございます。しかし、同じ
バラストタンク
におきましても、ダーティバラストの場合、クリーンバラストの場合、それからクリーンでからっぽにして走る場合、その三段階に分けますと、その度合いは違うようでございます。その
衰耗
の度合いと鋼材の厚みの
関係
でございますが、これは
ルール
に従って、
ルール
以上につくっておるわけでございますので、問題はこの塗装の問題が大きくクローズアップしてきたというふうに考えられます。先ほど申し上げましたように、これにつきましては、
海事協会
と、
造船
所ももちろんでございますが、
船主側
ともやはりどうするかという問題について
検討
しているわけでございますが、これについては新しい
一つ
の考え方が近く出てくるのではないかというふうに考えております。
沖本泰幸
102
○
沖本
委員
こういうふうなことを伺っているのは、その
構造
について、皆さんおっしゃっているのは、
経験工学
だということをいろいろいままでたびたび伺ったわけです。ですから、初めの
大型船
と最近の
大型船
とは、やはりその間にいろいろな
経験
をお積みになっていらっしゃると思うのです。そういう点から見ていくと、何らかの形でいろいろな御
意見
が出ていると思うのですが、そういう点が
一つ
も明らかにならずになっておるという点に私たちは疑問を持っておるわけなんです。ですから十万トンと二十万トンとは、
船舶
局長さんの
お話
ですと、深さが少し違うとうんと違ってくる、こういうことをおっしゃっていらっしゃいましたけれ
ども
、見た目ではそうは変わらない。だけれ
ども
、深さによって相当違う、そういう面、見た目では同じだけれ
ども
、
構造
の上から亀裂が起きたり、いろいろなものが起きるような内容になってくるのじゃないかというふうに考えられるのですけれ
ども
、そういう点の、
経験工学
だとおっしゃる上のいろいろな
経験
というものはいままで明らかにされなかったでしょう。どうなんです。
松平直一
103
○
松平参考人
それぞれ分担して御返事を申し上げたいと思います。私は
建造
のほうをやっているわけでございませんから、われわれの立場で申し上げます。 われわれが考えます
造船工学
という意味は、つまり
船体
の
構造
についての技術あるいは
構造
理論
は毎年発達してまいりました。そういうのを取り入れて
強度
計算
、それからいままで実際に走った船の
構造
というものを
参考
にして、このくらいの強さだったらよかったということでいままでの
ルール
ができております。それがずっと長い
造船
の歴史であった。もちろん、その間いろいろ
理論
的な解析が進みましたから、そういう考え方を取り入れておりますが、それでもまだ実際の船に起こりますいま問題になっているようなクラックだとか、そういうものがたいへん役に立っているわけでございます。そういう意味で、われわれは
船体
の各部に出るそういう
損傷
を解析いたしまして、さらにそれを
ルール
の改正に取り入れていくという形なものですから、その意味で
経験工学
というふうに申し上げたのでございます。
古賀繁一
104
○
古賀参考人
先ほど来話がしばしば出ておりますが、
海象
、
気象
を的確にはつかめない、それで船の
強度
をきめる場合に、いままでの就航船で、安全に無事に
航海
しておるプループンの船の
実績
を持ってきて、それでそれぞれ
設計
していくというやり方をしているわけです。波の高さが幾らといいましても、波にもいろいろ
種類
があると思うのです。じわっと来る十二メートルの波はそうたいしたことじゃないと思うのですけれ
ども
、波自身も船にぶつかってぱたんとやった場合は非常に強い
衝撃
力を
船体
に与える。それから
衝撃
力がくるときに、それをよけるように船が
運動
しておるときはそう大きな力を受けないのですけれ
ども
、反対に、船もこっちに動いている、波もこっちからこう来ている、船も波も両方正面衝突でぶつかったという場合は、非常に大きな
衝撃
力を受けるわけです。その辺可能な限り
実験
して調べてみたいということでいま進めておりますけれ
ども
、非常にむずかしい。したがいまして、既存のりっぱな船を手本にして、それで安全なように
設計
するというのが
造船工学
の現在の姿でございます。それと、近年
電子計算機
が大型のものが自由に使えるようになってまいりましたので、新しい
計算法
をあわせて用いまして、安全な船を手本にして安全に
設計
していくというわけでございます。 それから船が大型になってまいりましたのは、
鉱石船
で言いますと、十八次から
大型化
しております。十八次の計画
造船
では平均トン数が五万二千トンになっております。それから十九次は平均四万三千九百トン、二十次は五万トン、二十一次は五万二千九百トン、デッドウエートですね。それから二十四次と五次でまた急に大きくなっている。そういうことでございまして、二十次の計画
造船
から急に大きくなったということではございません。その二年前の十八次の計画
造船
のほうが船の平均トン数は大きくて、むしろ二十次の場合はちょっと下回って落ちついておるというかっこうでございます。
沖本泰幸
105
○
沖本
委員
伺っていて私たちなかなか御説明で納得できないのですが、まあ
経験工学
で、われわれが伺ってみてどういう点が変わった面として出てきたかというようなことを伺いたかったわけなんです。時間がありませんので、これは何らかの形で国民にもわかるような方法にしていただきたいと思うのです。各
造船業界
では、いろいろな商業上の秘密があって、なかなかお漏らしにならないと思うのですけれ
ども
、そこは一番疑問に思っている点でございますから、たとえばだんだん無人化されていく点について新しい技術面が取り入れられていっている、そういう面もどんどん進んでいっているわけですから、
船体
の
構造
についてもこういう新しい技術面が開発されていっているというようなものがいままでもあったし、お使いになったと思うのですけれ
ども
、そういうものは全然われわれの目や耳にはわからないままで、
事故
が起きた
事故
が起きたで現在進んでいるわけです。 そこで、話をいきなり飛ばしていきますけれ
ども
、いまのような内容で、
波浪
計なんかがあったらそういう問題は問題なかったということなんですが、この
波浪
計をつけるには、一個が数千万円するということで、
船主
さんのほうもちゅうちょしていらっしゃるということです。これをおつけになるようなお気持ちがありますか、また
海事協会
のほうでは、こういう点についていままで開発をどんどん進めておられたか、あるいはこれから開発をお進めになろうとしていらっしゃるか、あるいは
運輸省
のほうは、こういうものをつけることを
大型船
に義務づけをお考えになっていらっしゃるかどうか、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
松平直一
106
○
松平参考人
その
波浪
計、実は申しわけないのですが、どういうものにつけるのかよくわかりませんが、私のところでは
波浪
計は考えておりません。実は
気象
庁やそういうほうへお願いして、できるだけ波の観測の
データ
をちょうだいして利用したい、こう考えておるわけでございます。
佐藤美津雄
107
○佐藤(美)
政府
委員
先生のいまおっしゃった
波浪
計というのはちょっとわからないのですが、あるいは先ほど議論になりました波の大きさをはかる
波高
計ということかと思うのです。確かにいままで波の大きさを目視でやっておりました。これがかなり正確であったといわれておりますけれ
ども
、ほんとうの正確さということは、ちょっと先ほ
ども
無人
データ
の
お話
が出ましたけれ
ども
、的確ではないと思います。今後そういう船のほうとしましては、
外力
がどれだけ船に加わるかということが大事でございまして、その
外力
が加わって、船の
構造
によりまして、それが
構造
内の材料の応力と申しますか、どういうふうにそれが分布され変化するか、しかもそれがまた形によりまして一カ所に非常に集中的に応力が起こるとか、そういうことがきわめて大事なわけでございます。当然
波高
計につきましてはわれわれも考える必要があると思いますが、実
船実験
で実は現在もやっておりますし、将来もやろうとして
船主協会
その他の御
協力
もいただこうとしております。結局
波高
計そのものよりも、いわゆる船の応力をはかるというところに力を入れてやっておる
状態
でございます。
沖本泰幸
108
○
沖本
委員
せっかく
参考人
お越しですから、もう少しお伺いしたいのですが、あまり時間がありませんので……。 さっき加藤さんの御質問にあったのですが、アメリカの沖で船が三隻、
原因
不明の爆発をした、こういうことなんですが、伺ってみますと、何かガスを抜いている装置の中に静電気が起きて
事故
が起きたのじゃないかという
原因
もあるということなんです。これからの船はどうしても動力を使って
船体
のガスを抜くようなことになるわけですが、そういう動力
関係
からいろいろ
事故
も考えられるわけです。今後、
船体構造
について、どうしてもそういうものを取りつけなければならない時代が来ている、また、そういうことについてそういうおそれもある、こういうことになるわけですが、その点についてどういう
対策
をしていらっしゃるかどうかお伺いしたいのです。
青山三郎
109
○
青山参考人
ただいま御質問のタンカーの
事故
は、昨年の暮れに起きました、アフリカの沿岸に起きましたシェルタンカーの
事故
、二つございました。これはいわゆる爆発
事故
でございます。いち早くシェルは
世界
じゅうの
造船
あるいは
海運
関係
のほか学識
経験
者を集めまして、
原因
探求をしているわけでございますが、まだ的確な
原因
は把握できてないのではないかと思います。しかし
タンク
の中を掃除しますガン・クリーンというものがあるわけでございます。これが
一つ
の
原因
ではなかろうかというふうにもいわれておるわけでございます。したがいまして、シェルはもちろんこれの使用をとめておりますが、
日本
のタンカー所有者も一応これはとめておるわけであります。これを使わないようにしております。別の機械を使っておるということでございますので、もしガン・クリーンが
事故
の
原因
であるとすれば、そういう
事故
は今後は起きないと思います。
沖本泰幸
110
○
沖本
委員
もう二問ほどで終わりたいと思います。
船主
さんのほうにお伺いしますが、総
点検
ということになって、全部の船を
点検
しているわけですけれ
ども
、みな一斉にすぐできるということじゃないと思うのですね。それで、みな定期
検査
の中間
検査
、そういうふうな時期を選んで、またドックのあいたときをお選びになっておやりになると思うのですが、相当費用がかかる。
安全性
をはかるためにお互いにそれは考えなければならないことであり、また船のいろんな
損傷
とかいうような面が出てくれば、船の安全率、こういうことで船会社のほうもプラスになっていくということも考えられるわけであります。一
航海
休むと相当な損失が起きてくる、こういうことも考えられるわけです。そういうことで総
点検
を
政府
からいろいろ言われたわけですけれ
ども
、その費用は
船主
さんのほうで持っていらっしゃるわけでございますか。その点について
政府
が持ってくれたほうがいいというお考えがあるのじゃないでしょうか。私があえてそれを聞きたいのは、計画
造船
で、将来どうしても
政府
のお世話にならなければならないというお考えがあって、言いたいこともおっしゃらないのではないか、こういう点おもんぱかってお伺いするわけですけれ
ども
、その点と、海上
交通安全対策
について先ほど御質問がありました。それについては、われわれ国会のほうでもその問題を相当取り上げているのですが、漁業権の問題とか、いろいろな点でいま問題があるわけです。そういう点はどうしても
大型船
化していくほど、
日本
の大きな港、臨海工業地帯、重工業の地帯に入っていくには狭水道を通らなければならない、こういう問題で相当の衝突
事故
がたびたび起きております。われわれも
交通安全対策
法案をつくらなければならない。何度か出たけれ
ども
、いろんな問題でいままだ日の目を見ていないということなんですけれ
ども
、先ほど御要望がありましたけれ
ども
、同じような
観点
についてお考えになっていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
青山三郎
111
○
青山参考人
第一の御質問でございますが、総
点検
による費用は大きく分けまして三つに分けられると思います。
点検
に要する費用、補修に要する費用、
補強
に要する費用。大体現在までに五十三隻
点検
が済んでおるようでございますが、それらのかかりました費用の平均でございますが、大体
点検
費用には一隻二百万前後かかっております。それから補修に関しましては五、六百万円、
補強
に関しましては二、三千万円かかっておるというような
状況
でございます。この費用をどうするかという問題については、今後どうするかという問題になると思いますが、
船主協会
といたしましては、
関係
の担当の部門がございまして、目下
検討
中でございます。 それから第二の問題の、
日本
近海の特定水域における交通ラッシュに対しての
海難
防止に対してということでございますが、これは私冒頭で申し上げましたように、現在陸上には交通法がございます。これは先生方は陸上では常に車に乗ったりして走られますので、陸上交通の問題についてはお詳しいのです。
海上交通
については、船に乗って
日本
近海をお回りになられた御
経験
があまりないと思いますので、案外大事なところについての関心も薄いものがあるのじゃないかと思います。二、三年前から
海上交通
法の設定の問題が起きました。東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内、関門付近、こういったところが交通ラッシュの一番ひどいところでございます。これについては、
日本
の特殊性といたしまして
小型船
も非常に多い、こういう狭隘なる水道に漁船はやはり漁業をしておるというような問題もあるわけでございまして、いろいろな複雑な問題はございますが、やはり
一つ
の法規をきめまして
海難
をできるだけ防止する、これは国際的にもそういうことが必要ではないかと思いますので、先ほ
ども
早目に法の規制をしていただくということをお願いをしたわけでございます。よろしくお願いいたします。
沖本泰幸
112
○
沖本
委員
あと
運輸省
にお伺いをいたしますが、先ほどいろいろ
問題点
が出たわけですけれ
ども
、しかし肝心の亀裂とか、
船体
の
構造
の部門についてのいろいろな点が浮き彫りにされてこない。いろいろな問題はこれからだと思うのですけれ
ども
、そういう点について、私も、いままで何らかの形でいろんな
条件
が出てきていると思うのですが、
運輸省
のほうとしても、
大型船
の
事故対策
委員会
をおつくりになっているわけですから、現在までにお調べになった段階もいろいろあると思いますし、来年度予算要求、いろんな
関係
からも、何らかの形で中間的な発表がおありになるのじゃないかと期待しておるわけなんですが、こういうものの今後の
対策
について、現在どういうふうな問題をお持ちになっておるか、どういう
対策
で臨まれておるか、この点についてお答え願いたいことと、それからこれは
船舶
局長でありませんけれ
ども
、先ほどの
海上交通
法について、
運輸省
のほうとしてはどういうお考えか、その二点をお答え願いたいと思います。
内村信行
113
○内村(信)
政府
委員
現在
運輸省
では
大型専用船海難特別調査委員会
というものを設けまして、諸般の問題につきまして、いろいろと
調査研究
をしておるわけでございます。その点につきましてごく大まかに申し上げますと、これは二月の二十日に第一回の
委員会
を開きました。それから三月の二日、それから四月の六日に
委員会
を開きました。その間におきまして、各部会あるいはワーキング、それぞれで各部会ごとに数次にわたってのいろいろな議論などがされました。その結果、四月六日現在におきましてまとまりましたところは、約九項目ばかりに分かれまして、こういった問題を進めてまいろうというふうなことになっておるわけであります。 その概要を申し上げますと、
気象
、
海象
関係
につきましては、
本州東方海域
における
気象
、
海象
の問題、これの統計的
調査
を行なう、あるいは「かりふおるにあ丸」の
海難
当時の
気象
、
海象
の
調査
、あるいは
点検対象船
舶についての
気象
、
海象
の
調査
、それから
運航
部会におきましては、「かりふおるにあ丸」の過去及び
海難
当時の
航海
状況
の
調査
、「かりふおるにあ丸」の
海難
当時の付近航行中の他の
船舶
の
航海
状況
の
調査
、それから
点検対象船
舶、これは六十九隻の
点検対象船
舶について、冬季における
日本
海付近の航行
状況
の様子、その間の
気象
、
海象
の
調査
、あるいは
大型船
を所有する各社の船長に対する積み付け、あるいは
運航
上の
注意
並びに
情報
提供の
状況
、そういったものでございます。あるいは救命設備ないしシステムに関する
調査
、それから
船体
の
破損
個所、これは
船体
部会でございますが、
船体
の
破損
個所の推定、あるいは当該
部分
の
破壊強度
、それから
破壊
順序
の推定、あるいは実
船実験
、模型
実験
等によります
船体
破壊
のための
波浪
衝撃
の解明というふうなことを大体のテーマといたしまして、具体的なものを積み上げまして、現在
調査
を進めておるところでございます。これにつきましては、大体四月六日を起点といたしまして四カ月、長いものは一年ないしそれ以上かかるものもあるかと思いますけれ
ども
、私
ども
といたしましては、なるべく必要なものは予算のほうにも反映させたいという気持ちでございますので、必ずしも全部が全部それまでに結論が出るというわけにまいりませんが、なるべくならば六月末くらいの時点で、一応の現在までのものを取りまとめまして、必要な予算要求その他に反映させたい、こういうふうに考えております。 それから次に
海上交通
法の問題でございますが、これは海上保安庁から御答弁するはずでございますが、ただいま
長官
おりませんので、私かわって申し上げますと、先ほど先生御指摘のように、私
ども
鋭意この成立については従来
努力
してまいったのでございますが、議案
関係
その他まだ調整のつきません点がございまして、残念ながら今国会には提出することができなかったのでございます。しかし、今後ともその点につきましては鋭意
努力
を重ねまして、なるべく早い機会に提出の運びに進めたいというふうに考えておりますので、ひとつよろしく御
協力
のほどお願いいたしておきます。
受田新吉
114
○
受田委員長
和田
春生
君。
和田春生
115
○
和田
(春)
委員
本件
につきましては、予算
委員会
に始まりまして運輸
委員会
、また本日はこの交通安全
特別委員会
でございますけれ
ども
、非常に重要な問題で、連続をしてこの問題についてはお尋ねをしておるわけでございまして、御答弁のほうも、この場限りのあいまいなことではなく、短い時間でありますから、的確にお答えをお願いしたいと思うのであります。 まず第一にお伺いしたいのは、今日の質問に対しまして、NKのほうの代表の
松平
さんから、また佐藤
船舶
局長から、この
大型船
の
海難
については、
船体
の
構造
、耐航性ばかりでなく、ほかにも大きな問題が、たとえば
船舶
の
運航
の問題というようなことばが明確に言われておったわけであります。その
船舶
運航
の問題というと、乗り組み員の
操船
上に誤りがある、端的にいえば、シーマンシップに問題があるということを意識して言われておるのかどうか、お二人にそれぞれお答えを願いたいと思います。
佐藤美津雄
116
○佐藤(美)
政府
委員
前に
参考人
から
お話
がありましたので、
海難
という問題につきましては各
方面
からの
検討
で、私のほうでは
対策
委員会
で
船体
部会あるいは
運航
部会あるいは
気象
部会、そういう
方面
から出ておるわけでございますが、結局先生がおっしゃったような意味でなく、
運航
の問題も十分に
海難
と
関係
することがあるという意味で申し上げたわけでございます。
松平直一
117
○
松平参考人
私が申し上げましたのは、たいへん口はばったい言い方だったかもしれませんが、いわゆる
船舶
の耐航性というのがよく一般に言われております。われわれの問題にしております
船体
の
構造
というのは、狭義の耐航性だと考えております。やはり
船体
と
運航
とローリングですか、この三つの柱が大きな意味の耐航性があるのじゃないかと、こう思っております。その中で、私のほうは
船体
の
構造
だけを扱っておるわけでございますので、ただその点を明確にしたかったです。ほかの
原因
につきましては、われわれはまだはかり知ることはできないわけです。
和田春生
118
○
和田
(春)
委員
それでは、
船体
の狭義の
構造
の面を明確にしたいという意味でおっしゃったそうでございますから、NKのほうにはそれ以上この問題についてはお伺いいたしませんが、
船舶
局長に重ねてお伺いしたいと思うのですけれ
ども
、私が言ったような意味ではないとすると、
船舶
局長が言われた
運航
上の問題というのは、どういうことでございましょうか、端的にお答え願いたいと思います。
佐藤美津雄
119
○佐藤(美)
政府
委員
いろいろ
運航
部会で議論になっておると思いますけれ
ども
、昔の小さな船でございますと、波に乗って行くというようなことで、あるいは船に力がかからない、かかる場合がわりあいに少なかった。ところが、最近非常に大きくなってまいりますと、同じような
運航
をやっておりましても、はかり知れない力がかかってくるんじゃないか、そういうことから考えますと、逆にいまの技術をそのまま遂行していくとすれば、先ほ
ども
青山
さんから
お話
がありましたように、
運航
マニュアルの問題とか、そういうような問題に
関連
してくるわけでございます。そういう意味におきまして、私ちょっと申し上げたわけでございます。
和田春生
120
○
和田
(春)
委員
そういたしますと、お伺いをしたいのですが、これは
造船
工業会の代表の方、また
船主協会
の代表の方、
運輸省
、それぞれ
関係
すると思いますけれ
ども
、第二十次
造船
を境にいたしまして急速に
大型化
してきたわけであります。従来の
経験
にはなかったようないろんな
事態
が予測される。そういう点について、この種の
船舶
についてはこれこれの
海象
、
気象
の
条件
のもとにおいて、こういうふうに
注意
すべきである、あるいはこのような
運航
の方法をすべきである、そういうことをどこかの機関で
研究
し、またそれを船長に指示をする、あるいはまた商船学校その他の船員の教育機関でそういう問題を取り上げて特別に訓練をする、そういうことを行なってきた事実があるかどうか、その点をはっきりお答えを願いたいと思います。
青山三郎
121
○
青山参考人
私からお答えいたします。タンカー、
鉱石専用船等
を通じまして
船舶
の
大型化
というのは非常に急速でございました。十八次ぐらいからだいぶ
大型化
してきたようでございます。私
ども
船主
といたしましては、船長に、
運航
上特に
注意
しろということは言っておりません。昔から親船に乗った気持ちとか、あるいは大船に乗った気持ちということがいわれまして、大きな船ほど安全だという固定概念といいますか、一応そういったものがあったと思うのであります。それが、「ぼりばあ丸」それから「かりふおるにあ丸」、こういった事件が起きましたので、
船主
としても
衝撃
を感じておるわけでございます。そういったことで、
運航
上の問題をどうするかという問題につきましては、いろいろ今後の問題になると思います。先ほど
船舶
局長の
お話
ございましたが、小さい船たとえば一万トンの船……。
和田春生
122
○
和田
(春)
委員
質問したことだけにお答え願えればけっこうでございます。
青山三郎
123
○
青山参考人
以上でございます。
古賀繁一
124
○
古賀参考人
船が大きくなってまいりました
経過
を申し上げますと……。
和田春生
125
○
和田
(春)
委員
時間がございませんので的確にお答え願いたいのですが、急速に
大型化
をした、そういう
大型船
で従来の
経験
では律せられないような問題が出てきた。それが
運航
上の問題であるというならば、そういう
船舶
を
設計
し
建造
した立場において、この種の船を
運航
するにはこういう点に
注意
してもらいたいということを、つくった側で特別に指示し、ないしはそういう
情報
を提供したことがおありかどうか、こういう意味をお聞きしておるわけであります。
古賀繁一
126
○
古賀参考人
船というものは、御承知のとおりでき合いのものを買っていただくようにお願いしておるのではありませんで、船会社が一隻一隻御注文になる。その注文仕様、注文契約書、そのとおりのものをつくっておるわけであります。ですから
和田
先生のお尋ねの
操船
マニュアルとか、そういうふうなものはおつくりしておりません。ただ、こういうふうに積み荷をいたしますと、こういう応力がかかって、これはまずいです、これはよろしゅうございますとか、それから重
強度
の
計算
はこういうふうにやっていただきたいとか、そういうことはやっておりますけれ
ども
、
操船
マニュアルは
造船
所ではやっておりません。
内村信行
127
○内村(信)
政府
委員
私も直接その衝にございませんので、完全な御答弁になるかどうか疑問でございますけれ
ども
、一応知っておる限りを申し上げますと、現在のところ、そういった
運航
マニュアルというものは、あるいは海防協あたりで
研究
しておるということは聞いておりますが、こういうものをつくれというふうにして指示したことはございません。ただ、今後の問題といたしましては、あるいは今度の
調査委員会
等で
研究
した結果、そういうことが安全のために必要があるということになれば、そういうふうなことに対する
研究
もあり得るかと存じます。
和田春生
128
○
和田
(春)
委員
私がこういうことをお伺いしておるのは、船をつくられたほう、あるいは注文された
船主
の責任を追及しようという意味で申し上げておるわけではなくて、事実
関係
をこの席上で確かめたかったわけです。といいますのは、この
特別委員会
の席上における先ほど来の加藤
委員
あるいは久保
委員
等の御質問に対するお答えの中にも、
運航
上の問題ということばが簡単に出てきておるわけです。
大型船
海難
の
調査
特別委員会
におきましても、
運航
部会を設けられるのはけっこうでございますけれ
ども
、これは全く秘密のべールに包まれておって、私たちはどういう
審議
が行なわれておるのかよくわかりません。しかし、うわさに聞くところによりますと、
船体
の
構造
上の問題が乗り組み員の
運航
責任に転嫁される傾向がきわめて濃厚であるというようなうわさも出ておるわけです。そこで、そういう形になってくると問題でありますから、一体
運航
上の問題というのを当局が口にするけれ
ども
、それはどういう意味で使っておるのか、そういう点を確かめたいために、いま言ったようなことをお伺いしておるわけであります。 そこで次の質問に移りますけれ
ども
、先ほど来の、高さ二十メートルの波、
波高
二十メートルというものが非常にめったにないことであるとかないとか、あるいは十二、三メートル
程度
ならば通常の大しけの場合として予想されているということがございました。私も約十年に近い乗船の経歴を持っておりますが、私自身の
経験
の中で、昔はフィートで言っておりましたけれ
ども
、
波高
五十フィート、六十フィートというものを二回
経験
しております。もちろん一、二メートルというものは正確にはかれないかもわかりませんが、御存じのように、船のブリッジにおける目の高さというものはわかっているわけでありますから、
運航
上それを標準にいたしまして大体波の高さはわかるわけであります。南米の沖におきまして
波高
六十フィートと想定される大しけに遭遇いたしました。木製のブリッジが飛ばされてしまいました。しかし、私は当時一万トンの船に乗っておって、まだ船に乗りたてでございましたけれ
ども
、船が沈むなどという不安は全然持っていなかった。大船に乗ったということばがございますけれ
ども
、もちろん船長以下万全の
注意
をいたしておりましたけれ
ども
、そういうしけによってこれだけの大きな船が沈むということは全然考えていなかった。それがかなりの自信であったわけなんです。ところが、数万トンの巨船が、「ぼりばあ丸」に続き「かりふおるにあ丸」という
事故
が起きているという点で、大船に乗ったということに対する信頼が根本からゆらいできた。このことは非常に大きな問題を意味していると思う。それは
運航
上の問題ではなくて、船が
大型化
いたしますと、波の上に乗る船が乗らない。ちょうど戦闘艦と駆逐艦のような
関係
で、戦艦の場合には少しくらい波が来ましても、海中からはえた
構造
物のように船そのものは動かない。それに対して波がぶつかってくるというものと、波の上に乗って動く船というものにつきましては、波を受けるところのいろいろの力の
関係
、そういう面において基本的に違った面が出てくるのではないか。そういう点を
運航
の面に問題をすりかえたのでは困るわけなんでありまして、船はどういうしけにあうかもわからない。したがって、おおよそ想定される二十メートルという波は決してめったに起こらないということではないのです。私自身の
経験
でも二回ほど
経験
している。そういう場合でも、やはりどういう
状況
が起こるかということを想定してつくられるべきである。もしそれを想定してつくられていないとするならば、この船はせいぜい
波高
十二、三メートルまでを想定して
構造
計算
が行なわれているわけであるから、それ以上の波に乗ったときには特別に
運航
の
注意
をしてもらいたいとか、あるいは逃げて帰れとかいうような適切な指導というものがなければならぬと思う。船乗りも
運航
は
経験
によってやっているわけですけれ
ども
、かつて、そういう大きな船をいろいろの
条件
のもとにおいて
運航
したという
経験
はない。そういう
条件
を突き詰めていきますと、結局それは
運航
上の問題ではない。想定される
海象
、
気象
の
状況
に適応できない船をつくったというところに問題があるのではないか、そういう点を考えるわけであります。この点について、安全行政の一番の責任にある
船舶
局長の所見をお伺いしたい。
佐藤美津雄
129
○佐藤(美)
政府
委員
先生がおっしゃるように、船と天然現象である
波浪
の問題、これは非常に
密接不可分
の
関係
にございます。そういう意味合いにおきまして、実は各
参考人
の
方々
も
気象
の正確な把握がほしいということを言われたと思います。私のほうも、
気象
部会を設けまして、これにはこれでいけるという線を出したい、かように考えております。
和田春生
130
○
和田
(春)
委員
たいへん抽象的なお答えですけれ
ども
、事は非常に重要でございますから、この点は時間の
関係
もございまして、次回は運輸
委員会
等に譲ることにいたしまして、具体的なことをお伺いしたいと思うのですけれ
ども
、実は新聞紙上にも大きく報ぜられましたけれ
ども
、「出雲丸」の
損傷
状況
につきまして、私自身
タンク
の中に底までもぐりましてつぶさに見てまいりました。相当なこれは問題があるというふうに感じました。こういう
大型船
につきましては、船をつくりあるいは修繕に従事している人たちは、一種のなれっこになっている。そういう
関係
もありまして、この
程度
のヘアクラックは
大型船
においてはよくあることですと、こういうふうなことばもちょいちょい出てきたわけであります。それは決して悪意があると私
ども
は思わないので、一種のなれからだろうと思うのですけれ
ども
、あの船を見てみますと、ロンジの方向のバルクヘッドに対しましてはバックリング、ゆがみが出ている。あるいは相当に材質が弱っているというような点がかなり明瞭に読み取られる。それからヘアクラックといいますけれ
ども
、われわれがいままでかつて常識的にヘアクラックといったのは、ちょっとでは気がつかないような小さな亀裂をいっておったのでございますが、あの
程度
のヘアクラックとなると、ヘアでも相当大さな、ゴジラの毛ぐらいじゃないかと思うようなヘアクラックになってきておるわけですが、これはトランスバースのアスワートシップの方向の、あるいはブラッケットであるとかあるいはスワッシュであるとか、そういうところに非常にたくさん出ている。そういう
状況
がはっきり出ているわけであります。さらにまた電気防触等をやっておりますけれ
ども
、これが予想されたほどの
効果
がない。
建造
以来わずかに四、五年の船が、多いところは二ミリも、あるいは三ミリ近くも板の厚さが薄くなっているという
条件
があるわけであります。昔もずいぶんぼろ船が走っておりましたけれ
ども
、こういう点は昔から見ますと、船のいたみが
建造
してからの年数に比べて非常に激しいということがいえると思うのです。昔の場合にはできてから四、五年でしたらまだ新造ほやほやの部類であったけれ
ども
、やはり相当の問題ができておる。「出雲」の場合にも船の安全を行なうために相当たくさんの鋼材を使っている。金額にしても一億数千万円を投じなければならぬ、こういうことになっているわけなんです。こういうような
状況
というものについて、これはNKが
検査
をされておったわけでございますけれ
ども
、昨年の六月「出雲丸」に行なわれました定検の場合には、これをパスしているわけであります。ところが、その後においてこういう
状態
が出てきて、本年のドックにおいてはどうしても手入れをしなければ安全上問題があるというところまできたわけであります。その昨年の定期
検査
におきましてNKの
検査
員の方はこれに気づかなかったのか、あるいは気づいておったけれ
ども
、その
程度
のことは差しつかえないと思ったけれ
ども
、これはやはりいまになってみるとたいへんだということになってきたのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
松平直一
131
○
松平参考人
今度ロンジ・バルクヘッドに出ました「出雲丸」のあのクラックでございますね、あれを
タンク
の
検査
に行きまして見落とすような者はいないと申し上げます。それからもう
一つ
、
水圧試験
をこの前やっております。ですから、あれだけの亀裂がありましたら
水圧試験
でも発見はできたわけで、この前の定期
検査
に、ないという報告がございましたのを私は信用いたしております。 ところで、定期
検査
になかったクラックが四カ月たって出たじゃないか、こういうことだと私は思うのでございますが、まあ正直に申し上げて、あり得ることでございます。何でクラックが出たかということは、いずれいろいろございましょうけれ
ども
、定期
検査
で、なくて、その後
発生
するということは、これはまああり得ることだと申し上げます。
和田春生
132
○
和田
(春)
委員
なかなか
松平
さんとしましては公式の席上ですからお答えにくいと思うのですけれ
ども
、確かに昨年六月の定検のときにはなかった。その数カ月の間に何か激しい
航海
をやってそういうことが出てきた。あり得るということは、まあ、かもわかりません、あり得ないとはなかなか断定できないことだと思うのです。しかしあの
状況
を見たところによりますと、私がかりに
検査
官であったとしましても、よほど時間をかけて綿密に見ないと見つからないクラックがたくさんある。それは御承知のように、電気防蝕で上にずっと防蝕の膜がかかっている。その下からどんどんさびがついて、相当
程度
にさびが盛り上がっているわけです。それがクラックの生ずるようなところに一ぱいくっついているわけです。これを全部たたいて落としてみないことには、なかなかそれがわからない。たまたまあの船はそういう異常な
損傷
が一
部分
で発見されましたがために、念のためにという形でやっていったところ、あちらこちらに何十カ所となくそういうクラックが出ている。これは主要な
構造
そのものには現在では決定的な
影響
はないかもしらないけれ
ども
、何でもなかった相当
程度
の厚さの鋼板にあれだけの大きなクラックがたくさん入っているということについては、やはり異常な
外力
のかかり方というものがあったのではないか。そういう点を考えますと、今後の
検査
という体制の上において、昨年の六月の定検というものについてその責任を責めるという意味ではございませんけれ
ども
、やはり問題があるんではないか。これだけ大きな船の、人命の安全と、それから積み荷の安全に
関連
をするような
検査
という点について、現在の体制には私は問題があるように考えるわけなんです。NKの責任者として
松平
さんは問題がないとお考えになるのか。問題があるとすれば、それは
検査基準
そのものにあるのか、あるいは
検査
のやり方にあるのか、あるいは人手が足りないということにあるのか、あるいは
船舶
の
運航
スケジュールが非常にタイトであるために
検査
期間が短過ぎるというところにあるのか。あるとすればそのいずこにあるのか。そういう点についてひとつお答えを願いたいと思うわけです。
松平直一
133
○
松平参考人
鉱石船
の総
点検
をいたしまして、相当いろいろクラックが出てきたということは御報告申し上げました。あれらが大体マイナークラックで、大きな
事故
には結びつくとは思われないということも申し上げましたのですが、まあ
構造
上のことを申し上げましてはいけませんかもしれませんが、ロンジフレームがトランスバース、ああいう板を通過するときに、あのスロットがあけてございますですね。あれは何かほかにいい方法はないかということは前から考えておったわけです。ああいう不連続のところへどうしても出るわけで、ストレスが弱くてもいわゆる集中が起こって、ああいうところに起こるわけですね。それでああいうクラックが出まして皆さんの目に非常につくということでございます。で、あのクラックのごく初期には、おそらく一ミリか二ミリだったろうと思います。御承知のとおりああいうふうに
タンク
の中はきたのうございますし、
タンク
クリーニングをやったといっても、なかなか一ミリ、二ミリのクラックが全部発見できるということはたいへん困難だと正直に申し上げるわけでございます。で、だれが見てもわかるようなクラック、こういうものを見落とすということはございませんし、その
発生
する個所によりまして、これが発展するものか、大きな
事故
につながるものかの
判断
はサーベイヤーにできると思っております。
和田春生
134
○
和田
(春)
委員
松平
さんの見落とすようなことはございませんという御返事でございまして、一応そうではないだろうと私が言うのも、これは言い過ぎでございますから申し上げませんが、私
ども
の感じから言いますと、なかなかあの
検査
はたいへんだろうと思うんです。やはりいまのような
状況
で進んでいきますと、
検査
において、これは悪意であるとかサボるという意味ではなくて、一生懸命尽くしてもやはり限界があるために見落としが生ずるとか、あるいは気がつかなかった、それが
事故
につながるということはあり得ないということも私は断定できないだろうと思う。 そこで、
船舶
局長にお伺いをいたしたいのですが、現在の安全法によりますと、
船級協会
のクラスボートにつきましては、
運輸省
の安全法上の
船舶
の
検査
の主要な
部分
を行なわないことになっているわけです。これは予算
委員会
でもお伺いいたしましたが、あまりはっきりしなかった点でございますけれ
ども
、そういう
検査
というのは、結局安全をチェックするということが非常に大きな任務なわけでございまして、
造船
所と
船主
にまかせておけばいいということならば、行政権力が介入する必要はないわけでございます。 そこでお伺いするわけですが、いま
政府
は、この
船級協会
であるNKというものが、
政府
の安全に関する
検査
の肩がわりをしているというふうに考えておられるのか、あるいはNKはNKという
船級協会
の独自の立場で
検査
を行なっている、それを
政府
が認める、こういう考え方に立っているのか。その辺の
運輸省
当局の責任ある解釈をお伺いしたい。
佐藤美津雄
135
○佐藤(美)
政府
委員
船舶
安全法の八条に明記してありますように、
日本
の
船級協会
の
検査
を受け、船級の登録をなしたる
船舶
にして旅客船にあらざるものは、その船級を有する間、管海官庁の
検査
を受け、これに合格したるものとみなすということで、
政府
の肩がわりをしておるわけではない。結局
船級協会
の権威を認めて、
政府
は立法的に手を抜くようなそういう法律体系になっていると私は考えております。
和田春生
136
○
和田
(春)
委員
そういたしますと、船の安全に対する
検査
というものについての最終責任は
政府
にある、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
佐藤美津雄
137
○佐藤(美)
政府
委員
検査
そのものは、附則のほうに
船級協会
の責任と申しますか、監督条項がございまして、これによって監督しております。その面で
政府
は行政上の全責任がある、こういうふうに考えております。
和田春生
138
○
和田
(春)
委員
そういう立場の
政府
について、
検査
というものは、やはりどういう船ができるかということと大いに
関係
があると思いますので、お伺いしたいわけです。先ほ
ども
質問の中で、私の
意見
として若干申し上げたのですけれ
ども
、いま
大型化
の傾向というものは非常に大きな反省期に来ているのではないかという気がいたします。先ほど
古賀
さんの
お話
の中にも、三十万トンクラスまでは使用鋼材をデッドウエートトン当たり相当
程度
に軽減をすることができる。これは船の
経済性
という面でプラスになることは否定できないと思います。三十万トン以上になってまいりますと、あまりそれが減らないという
お話
もございますし、また
経済性
というのは、船をつくる場合の
造船
単価だけではない。一たん
事故
を起こしますと、非常に大きな損失をこうむる。そればかりではなく、償却年数というものがあると思うのです。昔の一万トン
程度
くらいの船でしたら、三十年あるいは四十年現役で走っておった船もあるわけでございますが、いまの
大型船
の様相を見ますと、とても三十年などはもちそうもない。世の中の進歩も速いですけれ
ども
、せい一ぱい十年なり十五年で完全に償却をしてしまわないことには、これはそれ以上長くは使えない。世の中の変化とともに船のいたみが非常に激しいという問題もあるわけであります。また大きな船をつくりますと、それに付随するところの港湾施設その他で膨大な投資が要る。そして船を一隻つくる
建造
単価だけが安いということが
経済性
であるのかどうか。しかもそれが
安全性
を犠牲にして行なわれるという形になると、貴重な人命が失われるという、何ものをもってしても取り返しのつかない、償い得ないような重大な犠牲を生ずる。こういうふうになってまいりますと、
検査
の体制においても、
造船
価格の面においても、究明されていない面がまだたくさんあるのにかかわらず、
大型船
の
建造
というものを、技術上可能であるという点、あるいは
船主
のふところ勘定の点、そういう点にだけゆだねておって、どんどんつくっていくということに、私は重大な疑問を感ずるわけであります。国際競争の面もありましょうけれ
ども
、
大型船
の非常に大
部分
は
日本
でつくられている。
造船
王国といわれている
日本
が、この際人命の尊重と安全という見地、またほんとうの意味の
経済性
という見地から、
船舶
の
大型化
というものに対してチェックを加えて、当分の間この
大型化
というものに抑制を加えて、徹底的な
研究
を進めていく、こういう考えがあるかないかをお伺いしたい。
佐藤美津雄
139
○佐藤(美)
政府
委員
船舶
の
大型化
につきましては、実は
海運
政策とも
関連
しますので、私一存の答えでは十分ではないと思いますが、
船舶
局長としましては、安全な船をつくるということに徹すれば、実は
大型化
も決して問題じゃないのじゃないかというふうに個人的には考えます。ただ、先生がおっしゃったように、いままでは小さな船につきましては、乗り組みの方も
船主
の方も、それからNKの方もみんな、船が届くのか、あるいは届かないのじゃないかという疑問を投げかけたわけでございますけれ
ども
、そういうようなことはあるいはあるかもしれませんし、そういうことから
検査
の体制というものをこの契機に十分考えていく必要はあろうというふうに考えております。ただ現段階におきましては、御存じのようにすべてが国際的な標準で動いております。それから先ほど
古賀参考人
から
お話
があったように、
輸出船
が先行しておりまして、それの
実績
が
日本船
に振りかえってきて、それでつくっているわけでございます。そういう意味からわれわれ
造船
に携わる者としましては、非常にじょうぶな船、安全な船というふうにまで持ってきておるわけでございますし、いまもまたそう持ってきておるわけでございますが、この点はいろいろ
問題点
があろうと思いますので、
検査体制
等については、将来の問題としていろいろ
検討
したいと思います。
和田春生
140
○
和田
(春)
委員
私は
検査体制
についてだけ言ったわけではなくて、お伺いした点を
船舶
局長は正確にお答えになっていないと思うのですけれ
ども
、
海運
政策の
関係
もあります。本日は
海運
局長が参議院の
関係
でお見えになっておりませんので、
本件
の主管の
委員会
である運輸
委員会
において、いずれ
海運
局長等にも御
出席
を願いまして、この問題についてはあらためて問題にいたしたいと思います。 なお、時間がほとんど尽きましたので、一問だけ
海難審判
庁の
長官
にお伺いをいたしたいと思います。 この点につきましては、予算
委員会
でも少しお伺いをしたわけですけれ
ども
、
日本
の法律の体系によりますと、
海難事故
の
原因
の探求は
海難審判
庁の所管になっているわけでございます。これを処理するためには
海難審判
庁にそれにふさわしい機能がなければいけない。この点につきましては、すでに
全日本海員組合
からも
運輸省
に対して申し入れが行なわれているわけでございますが、
海難審判
庁の
長官
は、現在
高等海難審判庁
、地方
海難審判
庁を通じましてお持ちのスタッフ、審判官、
理事
官、副
理事
官、この人たちをもってして、こういう特殊な
構造
上の問題、
大型化
によって生ずるところの
海難事故
について
原因
を探求をすることが可能であるとお考えであるかどうか、それに対して必要な機能を備えていると
判断
しておられるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
藤原重三
141
○藤原
政府
委員
最近の
技術革新
の進展に伴いまして、新しい型の
海難
事件が
発生
いたしまして、その
原因
も複雑かつ多岐にわたるものと思われるのでございます。したがいまして、今後審判官に
海運
出身者以外の各分野の
専門家
も採用するという方針で、
運航面
に片寄ることのないよう、総合的に体制を
整備
して、従来以上に
原因究明
の体制を強化したい、そういうふうに考えておる次第でございます。もちろん重大事件につきましては、参審員制度を活用いたしますし、鑑定それから検証、そういうようなことにつきましても従来以上に十分
注意
してまいりたい、こういうふうに存じております。
和田春生
142
○
和田
(春)
委員
重ねてお伺いいたしますが、現在、
海難審判
法施行令第四条第二号のイによる
船舶
検査
官、この
船舶
検査
官で
経験
のある人から任命されました審判官、
理事
官は何名おるか、簡潔にお答え願いたいと思います。いまおわかりでなければ、あとでもよろしゅうございます。最後にもう一問だけ確かめたいと思います。
藤原重三
143
○藤原
政府
委員
この間、最近でございますが、四月二十日付で
船舶
検査
官の経歴を有しておられる方を審判官として採用いたしております。
和田春生
144
○
和田
(春)
委員
そうすると、その方が初めてでございまして、いままではなかったわけでございますね。
藤原重三
145
○藤原
政府
委員
従来はこういう方がいらっしゃいませんでしたが、機関科
関係
でございますけれ
ども
、
検査
官の経歴を持った人が一人ございます。
和田春生
146
○
和田
(春)
委員
それでは、これは質問というよりも最後に、きょうの質問の締めくくりとして要望したいのでございますけれ
ども
、せっかく立法上は、
海難
の
事故原因
の探求が
海難審判
庁の
役割り
である、こういうふうにきめられておりながら、ただいまの
長官
のお答えでも明らかなように、こういう
船舶
の
構造
上等にかかる問題を探求するためにははなはだ不十分な
状況
になっておる。そして「ぼりばあ丸」事件が起きればそのための特別の部会を設ける、「かりふおるにあ丸」事件が起きれば
調査
の
特別委員会
を
運輸省
に設ける。こういう臨時の機関を設けて追っかけておる、こういうことでございますので、今後のことに備えましても、文字どおり
海難審判
庁が
海難
の
原因
を明らかにする、こういう体制を備えた法律どおりのものにするようにすること、さらにまた、新しい時代に即応するように
海難審判
法の改正をして、このような
安全対策
に適応できるようにすることを強く要望いたしたいと思います。 なお、
調査
特別委員会
等々の具体的な
関連
事項につきましては、本日は時間がございませんので、次回にあらためて御質問いたしたいと思います。 以上で質問を終わります。
受田新吉
147
○
受田委員長
和田
委員
の要望を十分
政府
に伝えます。 土橋一吉君。
土橋一吉
148
○土橋
委員
私は時間が十分にありませんので、質問する内容をお聞きくださって、あとで一括してお答えを願いたいと思います。 まず第一番に私がお尋ねしたい点は、「ぼりばあ丸」が昨年の二月沈んだときに、いろいろ調べられたのでありますが、この「ぼりばあ丸」の沈んだおもな
原因
といわれるのは水密隔壁が非常に少なかった、こういうことがいわれておるのであります。この点について、御承知のように
日本海事協会
の編さんした鋼船
規則
の十二編六条の
規定
によりますと、長さ百六十五メーターから百八十六メーターの一般貨物船については、これはどうしても九枚、つまり貨物を入れる船倉が四つ以上必要ではないかというふうにいわれておるのです。いま問題となっておる「かりふおるにあ丸」、これは何枚であったか、この点を明確に答えていただきたい。もし第二十次船の
建造
にあたって「ぼりばあ丸」と同じようにこの隔壁が七枚前後であったとすれば、「ぼりばあ丸」と同じような欠陥をこの船は露呈しておるということがいわれるのであります。これは財団法人
日本海事協会
相生支部の渋谷亨支部長が、横浜の
海難審判
理事
所で証言して、この点を明確にしておりますので、この点をお聞きしたいと思います。いままで多くの
委員
の諸君が言われましたように、相次いで
大型船
がこのような
事故
に見舞われたということは、明らかにこれらの船が欠陥船の要素を持っておったのではないかという点が最も大きな点として指摘をされるわけであります。もちろん波の問題あるいは
運航
の問題等もありましょうが、基本的には、
経済性
を強調するあまりに、
船主側
から特にそういう船の要請をしておったのじゃなかろうかというふうに考えられる。こういう点について
船舶
局長は一体どう考えておるのか、あるいは
海事協会
の
松平
さんは一体それに対してどういうふうに考えておられるのか、この点をお答え願いたいと思います。これが第一点です。 第二点は、ことしの二月十三日に全
日本
造船
機械労働組合中央執行
委員長
長谷川勲という方から
日本造船工業会
会長
永田敬生殿というので、
日本造船工業会
へ要請書が出ております。この要請書の項目は一から十までございますが、この内容は非常に重要なものを含んでおるように私は思いますので、この十項目の内容の特におもなものを読み上げてみますが、これに対してどういうふうに
造船
工業会は回答しておるのかあるいはどういうふうにこの問題について処理をしておるのかということを聞きたいわけです。 第一は、「
経済性
、合理性を重視するため、鋼材の使用量が一
重量トン
当り一四次船(
昭和
三十三年度)を一〇〇として、二〇次船以降(
昭和
四十年以降)八七−七〇と節減したことに問題はないか。」こういう点を第一に指摘をしております。 第二番目としては、スクラップ効率を高めるため、つまり廃船になってスクラップした場合にその効率を高めるために、
補強
材などの機質、量などに不十分はないかどうか、こういう点がやはり
事故
を起こした
原因
でなかろうかという点を聞いておるわけです。これが第二です。 第三点は、「積荷スペースの拡大に問題はないか。」という質問です。 第四番目は、「乗組員の削減に問題はないか。」つまり、労働者が非常に少なくなって
合理化
しておるという点にこういう
事故
の
発生
する
一つ
の
原因
があるのじゃないかという点を聞いております。 「したがって、貴工業会において鋭意再
検討
されることを切望すると共に、私たち
造船
労働者が余裕をもち、安心して立派な
作業
をしていくことのために、つぎのことを要請します。」 次は要請であります。五以下でございますが、要請する
一つ
は、「労働力の確保と増員に勢一杯の
努力
をされたい。」これが非常にいま不十分であるように見受けるわけです。 六は、「下請工の本工化を早急に実施されたい。」つまりあまり
経験
のない下請、そういう諸君がたとえば溶接をつけ間違えたとか、あるいは溶接をしなかったとか、先ほどから
和田
委員
もいろいろ説明しておりますように、さびのあるところをどんどん塗ってしまって、わからないようにするというような問題もあるわけです。こういうことについて、本工に十分仕事をさせてもらいたいという要求です。 次の七つ目は、「生産協議会などで、工程上の問題等十分
意見
を取入れると共に、この種の
会議
がもたれないところは、早急に実施されたい。」ということをいっております。 八番目は、「乗組員の
意見
も十分取り入れた
船舶建造
をおこなうべきである。」 九として、「無理な工程の強行はさける。」つまり十分工程を踏んだ仕事をやってもらいたいということなんです。 十番目として、「
作業
場の環境をさらに
整備
されたい。」 以上が
日本
造船
機械労働組合の中央執行
委員長
長谷川勲君から要求された内容です。こういう問題について、私はまことに至当なものが多いと思うのです。特に一と二あるいは三、四などは適切な問題を指摘しているように思うが、
船主協会
の
古賀
さんはどう考えておられるのか、あるいは
運輸省
の
船舶
局長さんなんかはどう考えておられるのか。簡単に以上二問について答えてもらいたいと思います。
松平直一
149
○
松平参考人
「ぼりばあ丸」のバルクヘッドの数が七枚というのは、これは確かでございます。
規則
によりますと、標準の数が出ておりまして、あれは九枚ですね。ここの鋼船
規則
に、船の長さに応じましてバルクヘッドの数がきめてございます。それで、これは百八十六メートルまでが九枚。ですから、「ぼりばあ丸」は百八十六メートルをこすわけでございます。二百十三メートルでございます。ですから、
本会
が適当と認める数ということになります。
土橋一吉
150
○土橋
委員
何枚つけておったのか。
松平直一
151
○
松平参考人
七枚です。
本船
は七枚ございます。つけてあったのが七枚です。
土橋一吉
152
○土橋
委員
それは「ぼりばあ丸」でしょう。
松平直一
153
○
松平参考人
はい。
土橋一吉
154
○土橋
委員
いまお聞きするのは、「かりふおるにあ丸」は何枚つけておりましたか。
松平直一
155
○
松平参考人
「かりふおるにあ丸」は九枚です。
受田新吉
156
○
受田委員長
いまの発言は全部
委員長
が了承したものと認めますが、正規に発言を求めてやってください。
松平直一
157
○
松平参考人
「かりふおるにあ丸」については何枚であったかというお尋ねでございますね。
土橋一吉
158
○土橋
委員
はい。
松平直一
159
○
松平参考人
九枚でございます。「ぼりばあ丸」は七枚でございますが、これは一応
規則
上は
本会
が適当と認めるところになっております。それで、適当と認めると申しましても、めちゃくちゃな適当ではないわけでございまして、一応
船主
さんのほうの御要望も加味するわけでございます。それに応じました二重底とか、それから船側部材とか外板、フレーム、そういうところの
強度
をバルクヘッドの距離に応じましてきめておるわけです。 それから三番目の、
経済性
を犠牲にしたのじゃないかという
お話
でございましたが、私のほうで
船体
の
強度
をきめます
基準
は、先ほど申し上げましたとおり、一定の耐航性を持つということを目標にしてやっておるわけですね。これは
経済性
でも何でもないわけです。しかも一定の耐航性の水準というのを昔からいままで変えたことはございませんです。これはまあ一応ロイドとか
AB
とか
方々
のああいう標準と合っておりますけれ
ども
、そういうふうに耐航性の標準を変えてないということがわれわれの信用の
一つ
でもあったわけでございます。ですから、
経済性
を犠牲にしたということはないと存じております。また、その耐航性の標準を劣化させるということはわれわれは考えていないということでございます。
古賀繁一
160
○
古賀参考人
いまの御質問のことで長谷川全
造船
中央執行
委員長
から造工の
会長
あての要請書、これは持ってこられた方が造工の専務
理事
と話をされまして、了承してお帰りになったそうでございます。それで、おもな点をおっしゃいましたのですが、十四次船は
鉱石運搬船
では一万五千トンくらいが平均トン数になっておりますけれ
ども
、二十次船では五万トンくらいになっております。だいぶ大きくなっております。三倍以上に大きくなっております。ですから
重量トン
当たりの鋼材所要量は
大型化
のために当然減るわけでございますが、八七、七〇、そんなには減っていないと、実際のことを
お話
ししまして了解を得たそうでございます。 それからスクラップ効率を高めるために
補強
材などこまかい部材には規格材を使わずに、質の劣る材料を使っているじゃないか、そういう御質問だそうでございます。全部規格材を使っておりますので、問題ありません。その他についても説明を申し上げて、よく御理解いただいたそうでございます。
佐藤美津雄
161
○佐藤(美)
政府
委員
「かりふおるにあ丸」の隔壁につきましては、ただいま
松平参考人
から
お話
があったとおりでございます。隔壁が多いということは、すなわち浸水、水が入ってくる場合、非常に沈みにくくするという
効果
を持っております。それからやはり
構造
の面からいっても、強さを平均して確保できるわけでございます。しかし、いま
お話
のありましたように、すべて同等の応力と
強度
を持たしてあります。それから浸水につきましても、一般のものと同じように、一区画浸水を可能ならしめるように
設計
されておりますので、何ら支障はない、かように考えております。
土橋一吉
162
○土橋
委員
最後に、それではいま九枚だとおっしゃったのですが、これは常識的に——私
ども
しろうとですからよくわかりませんけれ
ども
、先ほど読み上げましたように、百六十五メートルから百八十六メートルあたりの一般貨物船については、水密隔壁は九枚以上でなければならない。ところが、「かりふおるにあ丸」は御承知のように二百十五メートル前後の船であるわけです。百八十六メートルまでで九枚以上の隔壁を持たなければならない。そうすると浮力と重さの
関係
で、これから考えますと十一枚あってもいいのじゃないか。それが九枚では、船の全体の
構造
から見ても百八十六メートルで九枚、つまり船倉が四つになるわけですね。それがこの説明によりますと、約三十メートルも伸びておる船ですから、もう二つくらい船倉があってもいいようにしろうと考えで常識では考えるわけです。そういう点で、船の
構造
上において非常に危険があったのではないかという点が推定できますが、その点は
古賀
さん、どう考えていらっしゃいますか。
松平直一
163
○
松平参考人
私
ども
は、
規則
にもございますとおり、ここに一応きめてあります数字は標準でございます。
委員会
が承認すれば減らすことができるというふうに書いてございます。ですから、減らしていけないということはございませんが、一方、あまり減らしてはぐあいが悪いわけです。減らしたことに対しては、先ほど申し上げたとおり、船側
方面
の
構造
部材、それから船底
方面
の
構造
部材を強くしまして、
強度
上はそれを補っております。あとは浸水に関する区画の浸水だけでございますが、「かりふおるにあ丸」には新しい満載喫水線
規則
にきめております一区画可浸、これを適用しておりますから、バルクヘッドが少なくなって、
タンク
が大きくなりましても、その中に一ぱい水を浸水したことにしまして、安全な点を確かめてやっておるわけであります。それで九枚という数が出た、こういうことであります。
土橋一吉
164
○土橋
委員
これで終わります。
受田新吉
165
○
受田委員長
これにて
参考人
に対する質疑は終了いたしました。 この際、
参考人各位
に一言お礼を申し上げたいと存じます。 本日は、休憩なしの長い時間にわたりまして、海上の交通安全に対し容易ならざる熱意を示す貴重な御
意見
を拝聴さしていただきましたことに対しまして、
参考人各位
に一言お礼を申し上げたいと思います。ただいまの貴重な御
意見
が本
委員会
の
調査
に資することがきわめて多かったことを、
委員会
を代表して厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。 ————◇—————
受田新吉
166
○
受田委員長
この際、
理事
の
補欠選任
についておはかりいたします。
理事河村勝
君
委員辞任
に伴い、
理事
一名が欠員となっております。この
補欠選任
につきましては、先例によりまして
委員長
において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
受田新吉
167
○
受田委員長
御異議なしと認めます。よって、
河村勝
君を
理事
に指名いたします。 次回は、五月十二日火曜日、
理事
会午前十時、
委員会
午前十時半より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十二分散会