○内村
政府委員 ただいま調査
委員会についてお尋ねがございましたので、その点について御
説明申し上げます。
今回の
事故が起こりまして直ちに大臣が指示されましたことは、先ほどの大型船の総点検をやれということと、総合的な調査をやりなさい、この二つでございますが、そこでその趣旨に基づきまして、今回は単に船体のみならず波浪、気象、海象そういったものとか、あるいは運航
関係、特に船体
関係、そういったものを含めまして総合的な調査をするということから、これを官民合同で行なうということにいたしました。そこで、各方面の専門家に御参加いただきまして、
役所の責任者も加わりまして調査
委員会というものをつくったわけでございます。この調査
委員会がまず二月二十日に第一回が行なわれまして、続いて三月二日に第二回、それから先般六日に第三回の
委員会を開きました。その前に、その中に気象、海象あるいは運航あるいは船体、この三つの専門部会を設けまして、その中で調査課題を選定し、その課題についての具体的な調査
内容、調査
方法ということを
検討いたしました。そこで、先般その専門部会の
検討結果に基づきまして大体調査項目を正式に決定いたしました。
その概略を御
説明申し上げますと、まず第一に、「かりふおるにあ丸」の過去における航海
状況を調査してみよう、これが
一つでございます。これにつきましては、建造以来の航海履歴のうち、風力七以上の荒天航海
状況、それからそういうものに対応する船体修繕歴、こういったものを調査するということであります。
それから二番目に、海難当時の「かりふおるにあ丸」の航海
状況調査。これは出航時から沈没時に至りますまでの船の状態、航跡あるいは航海
状況等の調査を行ないます。
それからもう
一つは、「かりふおるにあ丸」の海難当時、その付近を航行していた他の船舶、これが一体どういうふうな航海
状況をしておったであろうかということについての調査を行なうということが
一つございます。
それから、点検
対象船舶、これは先ほど船舶局長から御
説明申し上げました同型船の総点検の
対象船舶でございますけれ
ども、特にそういう
対象船舶につきまして、冬季、すなわち十二月から三月における日本近海付近、その他風力七以上の航海
状況、そういったものを調査するということで、これは過去五年間のデータによりまして
状況を調査してみようということでございます。
それから、そのときの気象並びに海象の調査も行なうということでございます。
次に、大型船を所有する各社の船長に対します積み付けあるいは運航上の注意、それから諸般の情報提供を一体どういうふうにしているのだろうかということの
状況の調査をしてみるということが
一つございます。
それから船体の破損個所を推定し、また当該部分の破壊強度、それから破壊順序等を推定してみようということでございます。
その
内容といたしましては、浸水計算によって破損個所を推定する、あるいは強度計算によって破損個所あるいは破壊順序及び崩壊荷重を推定する、こういうふうなことでございます。
それから船体破壊のための波浪衝撃力は一体どういうふうなものであろうかということを解明いたすこともまたその
一つでございまして、そのためには、実船計測によりまして波浪による衝撃的水圧を計測してみようということが
一つ。それから波浪中の模型実験によりまして、波と船体運動の相関
関係あるいは船体にかかる波浪衝撃力というものを調べてみよう。それから、船体構造模型によりまして強度解析を行なうということでございます。
それから次に救命
関係でございますが、救命設備の能力あるいはその操作というものにもいろいろ問題がございますので、救命設備の能力あるいはそれに関する管理、訓練、そういったものを含めましての救命システムと申しましょうか、そういうものについて一体どうしたらいいのかということを
検討してみたいということが
一つございます。
それから次に、本州東方海域における気象、海象は一体どうであろうか。これを過去十カ年のデータに基づきまして統計的解析を試みるということでございます。
ただいま申し上げました、全部で九項目になりますが、その九項目が先般決定いたしました調査事項でございます。
これにつきましては、その時期ということでございますけれ
ども、これは先ほど
先生おっしゃいましたように、これは何としても客観的に
原因を究明しなければいかぬということでございますが、ものによってはそう短期にできないものもございます。したがいまして、ものによりましては相当長くかかってもいいから、じっくりとほんとうのものを出したいというふうに
考えております。それからまた、ものによりまして、早く何らかの
方法、手段のとれるものにつきましては、ぜひそういうふうにいたしたいというふうに
考えております。