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1970-07-01 第63回国会 衆議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月一日(水曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       金子 一平君    森下 國雄君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    北側 義一君       内海  清君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君         建 設 大 臣 根本龍太郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  神川誠太郎君         大蔵省銀行局総         務課長     磯辺 律男君         建設省計画局長 小林 忠雄君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     —————————————  五月十三日  一、建設行政基本施策に関する件  二、国土計画に関する件  三、地方計画に関する件  四、都市計画に関する件  五、河川に関する件  六、道路に関する件  七、住宅に関する件  八、建築に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 基本的な問題を先に二、三厚生大臣にお伺いしておきます。  建設大臣厚生大臣もみな同じだと思いますが、国会質問に対して答える答弁ですが、その答弁については十二分責任を持つというたてまえをとられるのが妥当だと思うのですが、どのようにお考えでございますか。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 国会国権最高機関でございますし、また、私ども国務大臣あるいは政府委員国会の中から選ばれ、あるいはまた国会の御承認を受けて政府委員に就任いたしておること申すまでもございません。したがって、国権最高機関である国会考え方というものはどこまでも尊重をいたしながら、議院内閣趣旨を十分体してやってまいってきておりますし、また今後もその所存でございます。
  5. 天野光晴

    天野(光)委員 小学校の一年生のような質問になるわけですが、もとよりそうだと思います。私もそう信じております。国会は本会議委員会、いろいろあるわけですが、その中で国会にお約束をし、発言をされた内容については、当然責任を持ってこれを行なうというたてまえだろうと思いますので、お伺いをしたわけであります。答弁はそのとおりのようでございますから、たいへんけっこうだと思います。  そこで、国会委員会には、きょうは大臣都合よくて出ていただいたわけでありますが、大臣都合悪いと政府委員という大臣代理出席します。もしその政府委員局長等都合があってどうしても出られないという場合は、説明員という肩書きで各担当の課長が出て説明をされますが、大臣大臣だけの質問に対して答弁をされたものについて責任を持たれるのか、いわゆる建設省なら建設省厚生省なら厚生省政府委員並びに説明員答弁まで責任を持つべきであると思いますが、その点はいかがでしょう。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 天野先生お尋ねの後段のとおりでございまして、いやしくも自分の部下である所属の説明員大臣考え方と間違った答弁などを国会でいたすべきものでないと思います。大臣意思に反したような答弁をした場合には、私は首を切ってしまいます。
  7. 天野光晴

    天野(光)委員 きょうは閉会中の委員会でもあり、十時半開会の予定がずいぶん延びておりますし、数多くの質問者があるようでございますので、私、できるだけ簡潔に質問を申し上げますので、答弁も簡潔にお願いをいたしたいと思います。  そこでもう一つお伺いしたいのですが、今度は答弁とは別に、国会委員会あるいは本会議議決されたものを執行する立場に当然政府はあるわけですから、国会委員会あるいは本会議議決された内容については、当然責任をもって誠心誠意執行に当たるべきだと思いますが、その点はいかがでごさいましょうか。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 天野先生の御意見のとおりに存じます。ただし、政府は行政府でございますし、国会は立法府でございますので、おのずからそこに機能の違いがございまして、国会議決されましたことが行政上直ちに実施し得ない問題も中にはございますが、そういうことをも含めまして、国会議決につきましては、私どもも極力議決趣旨に沿うように努力をいたします、こういう御答弁を申し上げておりますので、そういう心がまえでやっております。
  9. 天野光晴

    天野(光)委員 そこで、これは私の手落ちで、いまは長官になったさき局長に見えてもらっておくべきだったわけなんですが、実は国会閉会になってからこの建設委員会理事懇談会を二回持ったのです。私、はなはだ不勉強で申しわけなかったのですが、第一回の理事懇には私出席したのですが、二回目の理事懇が急にきまった関係で、私の個人的なスケジュールがあって出席できなかったのです。その席上前局長が、委員会課長答弁したものは、これは説明員だから関知しないというような発言をされたということを、これは私直接聞いたのではありません、仄聞をしたわけであります。こういうことで、いま大臣説明員までの責任についてどうだとお聞きしたわけですが、いやしくも大臣の重要な補佐役を果たす局長が、いわゆる説明員答弁したことは責任持てないというようなことが、これは正式の委員会ではございません、理事懇の席上ですが、あったということについて、ほんとうはきょう確かめておきたかったわけです。保険庁長官になられてえらくなったから出てこなかったのかもしれませんけれども、これは理事諸君の中で御記憶の方があると思います。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 建設委員会理事皆さま方懇談会の席上、かりにも前の保険局長の職にありました者が、天野先生が申されましたようなことを言ったとすれば、それはたいへんけしからぬ話でありますが、おそらくその趣旨は、保険局長説明員国会答弁をしたその場所にいなかったから、彼がどういうことを言ったかそのことは自身は聞いていない、こういう意味で申し上げたことと思います。しかし、その中身につきましては、先刻私が答弁をいたしましたように、政府委員答弁は、当然大臣の方策、方針と一致すべきものであるし、また説明員答弁というものは、これまた上司である局長政府委員考え方と一貫しておるべきでございます。私も実はその委員会での説明員答弁は聞いてはおりませんが、その意味におきましては、その答弁趣旨というものは政府委員並びに大臣の私の考え方と一致しておるものと私はいまでも考えております。
  11. 天野光晴

    天野(光)委員 基本的な問題をいま論じてきたわけですが、厚生大臣みずから、国会における発言は、自分答弁に限らず政府委員あるいは関係のある説明員答弁しても、その答弁については大臣みずから責任を持つ。それからもう一つは、国会議決されたものについては、各省とも、これは建設省も同断でありますが、国会意思を尊重して、その執行にあたっては万全を期するのだというふうに了承をいたしまして、次の質問に入ります。  そこで、実は前国会最終段階でこの委員会建設業法という法律案が上程をされております。私、与党の理事ですが、野党との関係もございまして、先国会でこれを仕上げるということは非常に困難であろうという前提条件に立っておったわけでありますが、できれば前国会で上げたいという考え方で、普通のようにだらだらと委員会質問をしておったのでは時間がかかって、日程が詰まっているのでどろにもなりませんから、そこで一応野党諸君の御理解を願って理事懇談会というものを開きまして、その席上において野党の意図する問題について議論をしました。これはオープンでやりまして、各関係省庁全部出席を願って議論をしまして、委員長の格別なる取り計らいによりまして、この議論された問題について政府側見解はどうだ、その政府側見解委員会が期待するような見解を表示されるならば、当然この法律案は早急に結論が出るであろうということで、政府側意思統一委員会で申し入れをいたしました。  そこで建設大臣にお伺いするのですが、四つの問題について当時資料が出されております。この政府見解と称するものは建設省だけの問題ではなくて、厚生省労働省大蔵省も含む要するに四つの省の統一見解として出されておるものであります。これについて大臣は十二分了承を願っていると思うのであります。各省庁との連絡協調はきちっとできてこれは出されたものと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのとおりでございます。
  13. 天野光晴

    天野(光)委員 そこで本論に入ります。それともう一つお伺いしておきますが、その業法を上げるときに附帯決議というものをつけました。これは七項目にわたるものがついております。これは建設委員会ですから、建設大臣が主としてこれを了承して、御期待に沿うようにいたしますというふうにここであいさつされたはずであります。そういう点で、この中には他の省庁のものも含んではおりますが、根本建設大臣はそれも含めてという意味でここで措置をすると答弁されたと思うのでありますが、その点いかがでしょう。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのとおりでございます。十分に事務当局同士連絡の上、そういう答弁をいたしました。
  15. 天野光晴

    天野(光)委員 そこで、この会議録は五月八日の議事録でありますが、五月八日にこの問題をいわゆる四つに詰めたものだけに関して野党との話し合い質問を行ないました。これはいわば八百長みたいなものだといわれればそうでありますが、問題は詰めましたから、詰めだけの質問で通してほしいというお願い野党側にいたしまして協力を願って、この四つを重点にして質問をいたしました。その質問内容でありますが、厚生省関係のいわゆる一人親方に対する健康保険擬制適用の問題について質問をしております。質問内容速記録にありますから勉強されておると思いますが、それはことばじりをとらえてこう言ったからこうだとか、あるいはこれはこういうふうに解釈してものを言ったんだというようなこそく的なごまかしでなしに、ひとつここはお互いに国会委員会の席上でもありますから、りっぱに正々堂々と、実はこう言ったんだけれどもこうだったというふうに、非は非として認めていただいて話し合いをしていただきたいということを前提条件にして質問をいたします。  この内容を見ますと、擬制適用がやられてから十五年くらいになります。現在よりも悪くならない、要するに登録許可になっても、現在よりは厚生省労働省との関係扱いも悪くならないという意思表示をされておるんです。具体的に言えといえば申し上げますけれども許可または登録を受けているからといって被保険者から除外したり、いわゆる不利益になるような扱いはいたしませんというふうに私たちは聞いているんです。これは五月八日のそのときの課長中野説明員答弁でありますが、社会保険審議会で「この質疑について厚生大臣答弁をいたしております。その答弁趣旨は、現在出しておりますところの法案が成立し、これが円滑に実施される暁においては、この擬制適用制度を将来ともに維持させていくつもりであるという趣旨発言をいたしておるわけでございます。この擬制適用を法制化いたした場合には、これは現在、各種保険制度適用範囲の調整が問題になりますので、あるいは御案内かとも存じますが、厚生省といたしましては、現在、すべての各種保険を通じまして、たとえば給付率アンバランスの問題だとか、財政アンバランス問題等を踏まえて抜本改正を考えておるところでございます。したがいまして、この擬制適用者についての最終的な保険料取り扱い、法制上の取り扱いにつきましては、厚生省といたしましてはその抜本改正の一環として検討していく、」という答弁をされております。  もうおわかりになっておるんだから、いわゆる結論から申し上げますと、実は社会労働委員会日雇い健保改正法案が提案されている、これが通ればこうなります、通らなければこのままです、というふうに私たちは受け取ったわけなんです。いわゆる課長舌不足であったかとも考えるのですが、通らなかったならばこうするんだというふうにきちんとしておいてもらえば、きょうここで私が大きな声を出して質問しなくても済んだわけでありますが、通らなかった場合の説明ほしていないわけであります。ところが社労委員会では、御承知のように十三日、最終日段階においてこれが廃案になったわけであります。私のほうは五月八日でありますから、約五日ばかり前にこれを議論しているわけでありますが、そこらあたりの、その当時そういう意思があったのだろうと私は思うのでありますが、通ればこうだ、通らなければこうなるんだというような考え方が当然厚生省の内部にはあったと思いますが、その点はどうでございましょうか。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 天野先生は、平素非常にざっくばらんな性格に私は敬慕をいたしたり尊敬をいたしておる方でございますから、私もざっくばらんに申します。  いまの擬制適用制度は、皆さま方も御承知のとおり、日雇労働者健康保険法法律上の対象になっている方々ではございません。法律的には入る資格のない方々でありますけれども、いろいろの便宜上がございまして、日雇い労働者に似たような擬制適用ということで、非常に安い日額保険料保険給付をいたしておる方々であります。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  これは少し説明が長くなりますので御了承いただきたいのでありますが、ところが日雇労働者健康保険法というのは、料金が日額二十六円より高いのはございません。それで大体月二十日前後日額保険料を納めていただくといたしましても五百円内外でございます。年間通じて計算いたしましても、保険料納付額というものは五千円内外でございます。ところが保険給付のほうは、いろいろの病気になったときの医療手当のような、現金給付のようなものもありますし、一般の健康保険などとそう待遇が違うわけではございませんので、給付所要額というものは保険料納付額の約十倍くらいのお金が要るわけであります。でありますから、もともとこの制度ニコヨンあるいは保険制度がある会社につとめるのだけれども、つとめ先が違うために健康保険組合員に入れてもらえないというような気の毒な方々だけを対象といたしまして、そのかわり、まあいわばある程度赤字が出てもやむを得ないというようなつもりで始められておったわけであります。したがって、他の国民健康保険その他職域健康保険よりも料率が非常に安いものでございますから、建設関係の一人親方方々が、ニコヨンでも日雇いでも本質的にはないにもかかわらず、だんだんよけいに擬制適用という形で加入をされるようになりました。しまいには神主さんまで入られる、これは建物ができ上がったときにおはらいをするから関係がある。実はそのときにバーの女給さんも関係があるということで、ホステスさんまで入ってくる。一人親方ということばがありますけれども、何人かのお弟子さんを持った親方までも入ってこられるということになりまして、年々擬制適用対象になる方々はふえる一方でございます。最近は、一年間に五万人内外擬制適用方々がふえてまいりました。これは厚生省といたしましては、その保険加入を認めますと、赤字が累積してどうにもならぬものですから、御承知のように地方社会保険事務所あるいは県の保険課等中心として非常に力関係——同様のことをやってまいっておりましても、また新しい擬制適用組合は認めないということをやりましても、五万人内外もふえてくる。しかし、一方におきまして経済が成長いたしましたから、ニコヨンあるいは日雇い労務者という本来の日雇い労働者健康保険対象になります方々は年々減る一方でございまして、最近の事情では百万人くらいの被保険者のうち四十万人程度、四割程度擬制適用方々ということになりましたために、この保険はもう一千億円内外、あるいはことしあたりは一千億円をこえる赤字をかかえまして、保険支払いができないというようなことに実は追い込まれてまいりました。   〔正示委員長代理退席委員長着席〕  むろん予算もつきません。そこで、しかたがないものですから、医療費を払うために、わかりやすくいいますと日銭月銭を借りるような——資金運用部に泣き込みまして、医者に払うお金日銭で借りまして支払いをするというような状態に落ち込んでおりました。もちろん政府からは何割かの国庫負担もありますし、それでも足りないで、その上第二次の国庫負担金までもらっているような状態でございます。そこで、これではどうにもならぬということで、昨年の国会及び本年の国会日雇労働者健康保険法改正案を提案いたしまして、保険給付のほうも改善をする一方、他方において保険の掛け金も二十六円ではどうにもならぬものですから——またその二十六円の保険料をはじく基礎たるや、日額給料がたしか四百六十円くらいを基礎にいたしまして、四百六十円以下の給料をもらう人は、保険料日額二十円、四百六十円以上もらう方は、何千円の日額収入がありましても保険料は二十六円、こういうことでありますので、それをやはりその日額収入に応じて、今日ニコヨンといいましても二百四十円、四百八十円というような給料ではございませんので、それで保険料を上げていただくような改正案を提案いたしておりました。しかし、昨年もそれが廃案になりました。本年も非常にむずかしい事情にございました。そのとき、社会労働委員会方々中心といたしまして、これは天野先生お尋ねにも非常に関連が深いところでございますが、もしこの改正案が通れば、法律で正面から認めてはいないけれども擬制適用の人々はどうしてくれるんだ、こういう御質問もございました。それで、私自身が、今度の改正擬制適用を認める改正ではない、本来の被保険者のためにする改正ではあるが、もしこの改正が通ればこの保険財政状況もよくなるので、その際は目をつぶって認めていくぐらいの腹づもりで私はおりますというようなことを、社会労働委員会でも、さらにそれに先立って予算委員会などでも、法律上の問題としてではなしに、厚生大臣腹芸としていままでやってきたことだから、それは知らぬ顔して目をつぶっていくぐらいのつもりでございます。さっきの速記録でも、お読みになりましたように、いずれは各種医療保険抜本改正という時代も来るんだから、そのときの勝負というようなつもりで、腹芸のあるところを私述べておったわけでございます。したがって、その中野課長なる説明員答弁も、私の腹を読んでそういう説明をいたしたわけでございます。私はいまの速記録天野さんの読み上げで聞きまして、私の考え方を述べているんだなといまでも思うわけでございます。  ところが、非常に苦労いたし、また与野党話し合いましたけれども、なかなか政府原案のままでは日雇労働者健康保険法改正案が通らないということで、そこで与野党で相談をして、擬制適用というものを法律上の制度としてこの際認めてしまえということで、擬制適用日雇い健保対象者として認めると同時に、さらにその保険料については、これらの建設関係技能者の中には二千円、三千円、四千円というような高い日額給料を受ける方もあるので、それらに応ずるような、政府原案よりも高くなるかもしれない保険料を徴収する道を残すような修正案をも与野党で相談して国会に出されたわけでありまして、衆議院ではその修正案は通ったわけであります。でありますから、そうなれば必ず建設委員会との関係はよくなる。建設業法がどのように改正されましても、いままでの擬制適用者はそのままでいけたわけでありますけれども、最後、参議院を通じ、あるいは国会内外のいろいろな組織あるいは勢力とも非常な難渋な接触がございました結果、ついにそれが廃案になってしまったわけでございます。そうなりますと、この保険法はつぶれてしまう以外にございません。つぶれますと、ほんとう意味日雇い労働者あるいは技能者ではない、そういう擬適の方々がこの保険が利用できなくなりますので、どうしようもないということで、これはもうもともと法律上の制度ではございません。法律が通らなかったのでやむを得ないというので、私が厚生大臣としての一切の政治上の責任あるいは行政上の責任を負うという形で擬制適用方々に、今後は実際のこの保険運用を受けますのは八月一ぱいまでということになるわけでありますが、それ以後はこの保険対象にいたしかねる、しかし、そのあとお世話はいたします。あとお世話は、単に職域保険に入らせるとかあるいはそのまま地域の国民健康保険に入れるということではなしに、非常にのみやすい、乗り移りやすい方途も講じながら擬制適用制度を廃止する、こういうことにいたさざるを得なかった、こういうわけでありまして、その間の事情につきましては、決して政府説明員がうそを申し上げたわけでもなければ、また私が大臣として非常によこしまな考え方で今日まで来たわけでもございません。先般来衆参両院社会労働委員会などにも私どもこの間の事情を十分御説明を申し上げ、また国会以外の諸組織、諸団体ともいろいろ打ち合わせも実は重ねてまいりました結果、おおむね御了承を得まして、あと措置についての打ち合わせ、こういう実は段階に入りつつある、こういうことに相なりました次第でございます。この間のことは天野先生にも何とぞ十分御了承をいただいて、私ども国会を軽視したわけではない、かように御理解をいただければ幸いでございます。
  17. 天野光晴

    天野(光)委員 私は、建設委員会ですから、決して日雇い健保内容についてとやかく質問しようとは考えておりません。現在もそう考えておりません。ただ扱い方として、これは常識的な考え方で、昭和二十九年からということになりますと十四、五年間擬制適用をやってきた、これは法律的解釈からいって違法性があるかないか、いろいろ議論されたことであろうと思います。しかし、同じそういう制度を十数年間も継続してくれば、やはり一応は法制化されたものと同じにみなして常識的にいいのじゃないか、これは常識から私はそういう考え方を持っております。しかし、いま言ったように、保険の経済的な内容について容易でないから改正をするとか、あるいは廃止をするというような問題については、それは主管大臣である内田先生が当然やったことだから、そのことをとやかく私は言っているわけじゃない。ただ、要するにもうすでに五月十四日の朝日新聞の朝刊に、これは廃止する、こう書いているわけですね。これは法律案が通るか通らないかということは、通ること五〇%、通らないこと五〇%でしょう、国会は生きものですから。そういうことでどんな努力をしても法律案は通らない場合もある。しかし、通る場合もある。そうして今度の場合は、参議院でいわゆる日雇い健保改正案廃案になったというのは十三日の何時ころであったか私はわかりませんが、少なくとも関係のある問題について、私のほうでは五日前ではあるが、許可制度に変わっても決して不利益なことは絶対しないということが、自今登録が続こうが許可になろうが——許可になっても変わらないということは、このまま変わらないという意思表示をこの委員会でされておりまして、いまのような財政的な事情は十分わかりますが、少なくともこのことについては、さきにも申し上げましたように、附帯決議でもちゃんとうたっているわけです。私のほうではそれを、十三日に廃案になったから、十四日の朝刊にはすでに報復的な措置でこれをやるのだと朝日新聞が書いています。これはそのとおりだとするならばいいのですが、報復的な措置でないとするならば、政府当局は朝日新聞に抗議しましたか、この問題は。どうですか。「厚生省と自民党は、いわば報復措置として擬制適用の廃止に踏み切った。」こう書いております。この踏み切ったのはいつですか。
  18. 内田常雄

    内田国務大臣 廃止に踏み切りましたのは、国会が終わりましてから、私が大臣で、踏み切ったのは私でありますが、五月の末日近いころ、あれやこれや非常に深く苦悩いたしました結果、私が踏み切りに決意をいたしました。  ところが、ここでは申し上げにくいこともございますが、擬制適用は、天野先生もおっしゃるように、これまで法律上の制度ではなかった。しかし、今度法律上の制度にしてまでも残しましょうということで、与野党方々政府提案の日雇健保改正法案の修正まで実はなさいました。私のほうは、いろいろ実は政府としては不満もございましたが、いやしくも国権最高機関である国会で、しかも野党まで含めて、また有力な野党方々とも相談されてその修正案を出されたものでございますので、私は、それが成立するならば本来の日雇いさんではないところの擬制適用方々修正案どおり認めるつもりで最後までおりました。最後までおりましたが、先ほど来申しますようないろいろの内外組織、団体その他微妙な関係がございまして、それさえも、修正案さえも認めない、こういうことになりかかってまいりました。まあ私は大臣でございますから、その関係社会労働委員会にどっしりと腰を落ちつけて、そうして十三日一ぱいすわっておりましたが、舞台裏ではいろいろな折衝が重ねられておりまして——これは天野先生でございますから私は申し上げるわけでございますが、そのときすでに政府原案もだめだ、与野党修正案も成立させないということであれば、これはもう擬制適用というものは当然なくなるようなことになってしまうのだ、なくならざるを得ないのだ、それでもやっぱり政府原案修正案も審議未了になるのかというような議論が行なわれておったようでございまして、私が擬制適用の廃止を決心するそのもとの状況、条件というものは、国会最終日の十三日ぐらいから動いておったようでございます。しかし、ここで申し上げますが、建設委員会、衆議院の社労委員会で論議されておりました八日当時におきましては、私は、政府原案日雇い健保改正案が通れば、擬制適用は法制化されなくても、腹の中では従来どおり認めざるを得ないというつもりでおりましたし、いわんや修正案が通りますと、修正案には堂々と擬制適用日雇い健保対象とすることになっておりましたので、八日の当時は、私は全くこの建設委員会のお考えの裏打ちができるものだと考え込んでおりました。ことに、ここにおられる建設大臣は、天野さん、あなたも御存じのとおり、私が自民党におりましたとき、私が政務調査会の副会長で、根本建設大臣は会長で、いわば私の親方でございますから、その辺のことも大いに根本建設大臣のためにも、また私事を申し上げるようで恐縮でございますが、この建設委員会委員長は、御承知のとおり私の同郷の盟友でもございますので、建設委員長の顔も立ててまいりたい、こういうつもりでおりましたのが、だんだん申し上げるようなあの事情でございまして、決して建設大臣を裏切ったわけでも、また建設委員長を裏切ったわけでも、また皆さま方に違ったことを申し上げてまいったというものでもございません。
  19. 天野光晴

    天野(光)委員 どうも歯切れが悪いのですが、赤字で因るから擬制適用を廃止しようというそのこと自体については、私はとやかく言っているわけじゃないんです。少なくとも衆議院では修正までしてあの日雇い健保を通して、参議院に持ち込んだ。まあ私なんかは大臣とは違って非常に年数も新しいのですが、私のほうにすらも参議院最終的なあの動きにつきましては情報も流れたわけですが、いろいろな事情があって国会はいくものですから、流れたわけです。また、そのほうは廃案にならなかった、健康保険のほうは廃案になったということでありますが、そこまでやろうということになりますれば、私は、野党も賛成してそしてその修正をやったわけですから、当然次の国会ではこれは成立される法律案であろうと思います。これはやってみなければわかりませんが……。ただ問題は、十三日に終わって十四日に新聞にこう具体的に出ているというこの状態からいって——すでに新聞も二者択一を書いております。修正をしたこの法律案を通さなければ擬制適用を廃止するぞと言っておる、こう書いております。そういう重要な問題が三日や四日で——十五、六年間も継続してきたこの擬制適用制度を廃止するという大臣の腹がまえをきめるのに、まさか三日や四日できまることではないと私は思うのです。そうですから、なぜこの委員会では、この二者択一的な発言を少しでもいいから私たちにここで出してもらえれば、私たちは何をか言わんや、これはもう所管が違うのですから。そういうことで、私の言っておることは、こういうふうにやるから建設業法に協力してほしいということで、野党各位の御了解を願ってあの法律案を通したわけですから、そういう意味で、いま私は与党理事として、野党に対してこれをやるんだからひとつ頼むと言ってやったのにかかわらず、何らのごあいさつもなしに、それも国会が終わって一月か二月でもたってからやるというのなら、まだ話はわかるのです。(「それでもおかしい、わからぬ」と呼ぶ者あり)いや、それはわかる。予算関係もあるし、いろいろあるからどうにも困るからと言えば、それは大臣の権限ですから、それは私もわかるのです。ですが、次の日にこういうように具体的にきめられて、そのとおり厚生省がそれをやったということについて、私は理解ができないのです。  そういう点で前にさかのぼりますが、附帯決議も尊重しなければ、質問答弁内容についてもやろうという意思がなかったというあらわれが、そういう結果になってあらわれてきたのじゃないかというふうに私は考えるわけなのです。その点が一点です。廃止しようというまではそれは大臣の権限なのですから、そんなことはいいのです。法律内容がどうなろうと、そんなことはそっちでやったらいいのです。ただ、私のほうは、たまたま建設委員会関係のある法律案を審議するにあたってこの問題が出てきた。そして、この委員会では、これだけはこのとおりやれるのだという意思表示をされておって、それをやるのに、廃案になったから新聞に報復措置だなんて書かれながら、やらなければならなかったということについて了解ができないのですが、その点はどうですか。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 二つのことを申し上げておきたいと思います。  先ほども申し述べましたように、私が擬制適用という特別扱いを廃止する決心をいたしましたのは、国会が終わりまして二週間ぐらいたちました五月の下旬でございます。五月下旬に至りまして、もうこれはどうしても廃止せざるを得ないというようなことを、私は初めて大臣として決心をいたしましたので、国会が終わった翌日の十四日の新聞のことは、大臣として私は全く関知しておらない。ただし、その裏側におきましては、与野党あるいは総評とか中立労連とかあるいは全建総連とか、諸団体を含めまして、この法律案を成立させるかさせないか、させない場合には擬制適用の問題がどうなるかというようないろいろな打ち合わせがされておったようでございます。これはようでございまして、私は先ほど申しましたようにどっかり委員会の席にすわっておりましたので、裏のかけ引きは全く知りません。しかし、新聞社の方々はその辺は敏感でございますので、これは二者択一的みたいな形になりそうだというようなことを感ぜられて、いま天野先生がお読みになったところでも何か前置詞みたいなものがございましたが、その辺は新聞の新聞たるゆえんだと思いますが、十四日の日にいきなりそう書かれたわけでございますが、私は何も十四日の日にはそんな決心はいたしておらないことは重ねて申し上げます。  それから第二点は、私どもは日雇健保法が成立してもしなくても、あるいは擬制適用制度を続ける場合におきましても、また今回のように遺憾ながらやめざるを得ないような場合におきましても、建設業法改正に関連する許可制の対象内、外の業者にかかわる労務者の方々について、その扱いを異にしようという考え方は従来から全く持っておりません。たとえば許可制等になって、その業者は相当大規模の業者というふうに扱われる。その結果、そこで働く建設関係の労務者の方々が、しからば日雇い労務者とは遠いと厚生省がながめて、そうして擬制適用からはずすようなことをしようというつもりは全くございませんで、擬制適用制度が存立する限りは、建設業法における許可制の条項にかかわらず運用させるというつもりでおりました。また、今回のように不幸にしてたいへん皆さまに御迷惑をかけたような結果になりましたが、擬制適用をやめますときにおきましても、その扱いは、その許可制の条項にかかわらず、全く一様に考えておるということを申し述べさせていただきます。
  21. 天野光晴

    天野(光)委員 そこで建設大臣にお伺いしたいのですが、建設委員会では理事懇であれほどもんで、政府統一見解というものを出されて、この委員会で可決して参議院に送ったわけであります。その可決したものについては附帯決議もついているわけです。建設大臣だけの出席でございまして、関係各省の大臣出席されておりませんでした。前段で御質問申し上げましたように、各省庁との連絡は十二分にできておるということでございますが、いま申し上げましたように、擬制適用を廃止するということは、どう考えてみても私たちとしては、この委員会説明をされた厚生省の態度、並びにこのまとめてきた資料の中身とは違うというふうに考えておるわけであります。そういう点で建設大臣としてはこの問題についてどのようにお考えでございましょうか。
  22. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この前の委員会でも明らかなように、厚生大臣のただいまの御答弁のあるとおり、当時擬制適用を廃止するという意図は内閣どこにもなかったのです。むしろ擬制適用というのも問題であるということはすでに社労あたりで問題になって、そこで共同修正でこの問題を一挙に、日雇い健保改正にあたっていわば法制上の若干の裏づけをしてまでこれを一応存立せしめて、抜本改正までいこうという意図のもとにああいうものが行なわれたというふうにわれわれは考えておりましたために、まず第一に、公党の責任者がお互いに協力してやったああいう修正案廃案になるということは、あり得ることとは思っていなかったのです。したがいまして、私が政府を代表して申し上げたことは、そのまま内閣全体の意向ということでお答えしたわけでございます。しかるに、どういうことの結果かわかりませんが、はからずもこれが廃案になって、そこに非常に重大なる支障が起きたということでありまして、その点から見て厚生大臣も非常に苦慮したようだと私は拝察しております。  そこで、実は新聞にいろいろ出たりしたけれども、何らかの措置を講ずるためにずいぶん厚生大臣が検討したようでありまするが、最終的には、いろいろやってみたけれども、これを廃止するという決意をした報告を受けました。そこで、それは私の権限ではないし、厚生大臣の権限でやることについてはかれこれ申すわけにはいかないのだ。しかしながら、現実に私のほうで所管しておる従業員がこれによって従来非常に恩典を受けておったことは事実でありまするが、それから見れば不利な立場になることも事実なのです。そこで、廃止されることについては、私は法的にもまた権限上からもこれを阻止する力はないけれども、少なくとも何らかの形で、いままでのとおりとはいかないにしても、いわゆる日雇い労務者とは違った立場において何らかの救済措置を講じてもらわなければ困る、これは建設大臣として、ぜひ考慮してほしいという点を申し入れたわけです。それに対しまして厚生大臣は、現在はこういうものは、普通は廃止すれば廃止したままでありますけれども、そうはいかないので、保険組合をつくりましてこれを奨励し、それに対して特別なる財政上の保護も加えて、そうして擬制適用を廃止したことに伴うところのショックをできるだけ緩和して、漸次これらの人々の立場を今度は正式に法的にも確立する方面に努力したい、こういうことでありましたので、それではぜひともそういうふうな立場で、今後これは時間もかかるでしょうが、漸次これに協力してほしいということで、私のほうから厚生大臣に申し入れて、厚生大臣はそのように処置するということで今日に至っておるわけでございます。
  23. 天野光晴

    天野(光)委員 内容をよく知っているものだから、いろいろ申し上げたいのだけれども、どうも内ゲバみたいなかっこうになって、ものごとがどうもまずくなるので——ただ私の性格上、自分たち話し合いをしてやった行為について、信義にもとるような行為を、同じ自民党であり自民党の内閣である厚生省がやるということについては、とても了解ができないわけなんです。それで実は委員会招集を委員長に強力に折衝しておったわけでありますが、なかなか政治的に力のある委員長なものですから委員会を開けず、きょうになったわけであります。ただ問題は、私の言っていることは簡単なんです。十三日に廃案になって十四日の朝の新聞にこう出るということになれば、厚生省としては当然廃案にするという覚悟であったんだろうと私は思うのです。だから、その点をなぜわれわれの委員会でにおわしておかなかったのかということなんです。におわそうとしたが、どうもにおわしにくかったんだというなら話はわかりますが、そうでないとすれば、やはりここで議論したものの結論を裏切った行為になると私はどうしても考えざるを得ないわけであります。  そういう点で、擬制適用を廃止するか廃止しないかという議論は別にいたしまして、不利益なようにはしないという申し合わせであります。それが附帯決議で決議されておることでもあるし、政府統一見解としても出されておる結論がそれでありますから、政府自体も、自民党と野党との話し合いで修正をして日雇い健保が出た、その修正案のとおりならば何とかいける、非常に容易ではないが、やらざるを得ないという腹をきめておったものとするならば、わずかの期間ですから、その事後処理、あとの始末を適切にやるという話し合いだというふうに、いま建設大臣から聞いたわけでありますが、これは私のほうの委員会責任ではありません。社労委員会責任でありますが、私のほうでは、法律案を通す上において、そういう措置はしないという前提条件に立ってあの法律案を通したものですから、そういう点で大臣、どのようにお考えでしょうか。
  24. 内田常雄

    内田国務大臣 天野理事のお立場、私はよく理解ができます。しかし、たびたび申しますように、私は、五月十三日、国会の末日あるいはその翌日の十四日には、擬制適用の廃止を大臣として全く決心いたしておりません。これは大臣がきめるわけでありますから、私がきめましたのは、それは五月の下旬になりまして諸般の事情を考え、また閣議にもこの問題を持ち出しまして、厚生大臣責任でやるからということで、そういうことをきめました。  報道機関は、私が知らないような舞台裏の事情をも当時国会の舞台裏でいろいろ見ておられたと思う点もございますし、それらの微妙な点をも含んで、報道機関としてのお立場からそういう新聞が出たと思うわけでありますが、内田厚生大臣談話でもなければ決意表明でもないことは、もう一度ひとつ御理解をいただきたいと思います。また、私がこれをやめましたことはやむを得ざる処置でございますので、建設業法改正を妨げるような方向をとるつもりは全くございません。  したがいまして、いまお尋ねの事後処置のことにつきましても、これは建設大臣からの申し入れもございますので、具体的に申しますと、擬制適用方々は、擬制適用をやめますと当然地域の国民健康保険組合員国民健康保険の適用者になるか、あるいは何人かのお弟子さん等をかかえた親方方々は政管健保に入られるかということになるわけでありますが、それを特に同種同業につきましては地域の事情等をも勘案して、いままでは積極的に認めておりません国民健康保険組合という形で同種同業の被保険者保険組織を認めていこう、そして、それに対しましては助成もしてまいって、できる限り急激なるショックの緩和ということにつとめるように指導をいたす所存でおります。
  25. 天野光晴

    天野(光)委員 これで終わります。ただやっぱりどうしても歯切れが悪い。十四日に新聞に発表になって、十五日の閣議で、正式ではなくても議題になっているという情報を私とっております。そういう点で大体大臣が決意しないのに、こういう具体的なものを——役所の中から出たのには間違いないのですから、そういう役所じゃだめですよ。大臣は知らなかったが、だれかが知っていて、そして新聞にどんどんどんどん出るというようなことでも困る。これは綱紀粛正にもつながる問題でありますが、それは別の機会にいたします。  問題は、私どものほうの建設業法も、御承知のように継続審議になっております。もう一回この次の議会でこの結論を出さなければならなくなるわけであります。いろいろ微妙な点がございますので、そういう点、私、野党だともうちょっとやるのだけれども、どうも与党なものですから、これ以上やることはちょっと——やる前からおまえは感情的になるから注意しろと言われておるものですから、きょうはこの程度で私の質問は終わりますが、厚生大臣といたしましては、ひとつこの趣旨を十二分に理解されまして、廃止はしたわけでありますけれども、その後空間が何カ月か出ると思うのです。その間の善処を、これからでもおそくはないわけでありますから、ひとつ十二分に考慮してほしいという申し入れをいたしまして、私の質問を終わります。
  26. 金丸信

    金丸委員長 松浦君。
  27. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 厚生大臣が十二時半までだそうですから、主として厚生大臣に、いまの天野委員質問しました擬適の問題で質問をいたします。  まず、この前国会閉会後、院の常任委員長室で建設委員会理事懇がありましたが、そのときに五月八日の建設委員会会議録議論になりまして、そのとき、当時の局長でありますいまの保険庁長官の梅本政府委員は、中野、正田両説明員会議録説明内容を、これは一説明員でございましてという前置きをして発言をしておるのです。そのことは、一説明員発言には政府責任を持たないということで理事懇でも相当追及をしたのですけれども厚生省の役人というのは、大臣発言政府委員発言政府説明員発言というのはそれぞれ関連がない、しかも、説明員については全く責任がないのだ、どのようなことを言っておろうと責任がないんだ、こういうふうにわれわれは理事懇で受け取ったわけですけれども厚生省はそういうやり方をいままでやってきたのですか。その点を明確にしてください。
  28. 内田常雄

    内田国務大臣 松浦さんのお尋ねは、先ほど天野さんからも同趣旨お尋ね、御意見の表明がございましたので、私から申し上げておきましたが、大臣の政策を説明するのが説明員であると私は考えますので、説明員にはかってなことは私は言わせないことにいたしております。その逆にまた、説明員が申したことについては大臣責任をとる、大臣が納得いかない場合には説明員の首を切るという、こういうことまで申しておるつもりでございます。
  29. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私はそのことばじりをつかまえていろいろ言おうとは思いませんけれども、そのときの理事懇における梅本さんの発言というのは、明らかに一説明員ということをはっきりわれわれの前に言っておるわけですね。会議録で言っておることについては責任がないんだということを暗にわれわれに示唆しておるわけです。だとするなら、あなたがいま言ったように、どのような措置をとるか、あの人はむしろ栄転して長官になっておる。どうなんですか。
  30. 内田常雄

    内田国務大臣 説明員の申したことは、大臣の政策を説明することになっておりますので、その説明員の申したことについては、大臣責任をとることはもちろんのこと、説明員の上司の政府委員である保険局長の申したことも、もちろん大臣責任をとります。しかし、私はその席でその話を承ってはおりませんでしたが、それらのことばのとり方もいろいろあろうと思いますが、おそらくは、自分委員会説明員説明したことは、現場におらなかったので具体的にどういうことを述べたかはわからないがというような意味で、梅本局長が言われたのではないかと想像いたしますけれども、もしそうでなければ、これは私から梅本局長にも当時の状況をさらにあらためてただしまして、もし私が納得し得ない点があれば、今後国会における発言等につきましては、いやしくも政府委員でありますので、私の意を体して、皆さま方に疑惑や御迷惑を与えないように厳重に注意を促すつもりでおります。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、厚生大臣は本会議説明等は非常に丁寧な説明をなさる大臣だということで感心をしておったのです。ところが、実際に理事懇等に出てきた厚生省の官僚の発言というのは非常に行き当たりばったり、その場限りで逃げるという言い方をするのですね。いま大臣も、らしいということを言っておられるのですが、大臣はあのとき席上におられなかったわけです。われわれはその席上におったわけです。その席上でこのことが大問題になったんです。明らかに説明員でございましてということをはっきり言っておるのですね。だとするなら、これから厚生省の場合は、国会において委員会出席するときには説明員は出さない、政府委員以上を必ず出席させる、説明員答弁させない、そういう方向でもとってもらわないと、厚生省の役人から答弁を受けても信用できないですよ。大臣がそれほど言われ、かばうけれども内容的にはそうではなかったのです。もう一度はっきりしてください。厚生省説明員委員会出席させるのかどうかもはっきりしてください。
  32. 内田常雄

    内田国務大臣 松浦さん並びに天野委員の御発言の御趣旨は、私も国会に席を持つ者でございますので十分よくわかりますので、もう多言は申しませんけれども、私からこの両君に対しましては、現実に皆さま方からおしかりを受けるような誤解を与えておるわけでありますから、何らか私はそこに足らざるものがあったと判断せざるを得ませんので、大臣の私といたしましては、この両君に十分注意を促しまして、今後、説明員として厚生省から説明をさせます場合には、皆さま方から御信頼を得られるように指導をしてまいる所存でございます。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 説明員国会出席させるかどうかについては、これからまたわれわれのほうで十分議論をしたいと思います、厚生省の問題については。それで私は、いまこの擬適廃止の問題については政府との間に団体ごとに話し合いが続いておるそうですから、あまり刺激をしてまた報復爆撃を受けるとたいへんなことになりますからね。あまり発言をするなということだから、はっきりといい質問ができないのが非常に残念なんです。報復爆撃を受けると困るからね。ただ、どうしても理解できない点が一、二点ございますから、質問さしていただきたいと思うのですが、実は今度の擬適の問題については、当初から厚生省は廃止に踏み切るという方針がレールとして敷かれておったんじゃないですか、その点どうでしょう。
  34. 内田常雄

    内田国務大臣 全くそういうつもりはありません。これは私が、社労日雇労働者健康保険法改正案が取り上げられる以前に、予算委員会におきましても、擬適の問題は改正法案国会に提出されております。それをどうするかについては、この法律が成立した時点において考えさせていただきます。しかし、それも速記録をお調べいただけばわかるのですが、私がぶっきらぼうにそう申したのではなしに、法律が成立すればこの保険財政事情も緩和するので、私の腹づもりとしては、できるだけ存置の御期待に沿いたいという言外の意味を含めて説明をいたしております。したがって、松浦先生おっしゃるように、厚生省が初めからこの擬適をやめるということで法律案を出していたことでは全くございません。
  35. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 経過をさかのぼって恐縮ですが、審議経過としては、この日雇い健保改正問題が衆議院を通ったのが十二日ですね。参議院段階では十三日と、一日の日しかなかった。しかもその日に委員会、本会議を開かなければこの法律は通らないのですよ。どだい初めから、こういう重要な法案参議院でたった一日で委員会と本会議を通過するという判断に大臣は立っておられたのですか。
  36. 内田常雄

    内田国務大臣 だんだん議論になって恐縮でございますが、厚生省は十ばかりの法律案国会に出しましたけれども、おことばのように、この法律は影響するところも多いし、一番大切な法律だと考えまして、実は一番先に提案をいたしております。しかし、野党内外における事情がございまして、委員会の表面の審議はなかなかできませんでした。おそらく私の想像では、関係団体その他とのお打ち合わせがなされておりまして、そしておっしゃるとおり、ずっと十二日まで衆議院の委員会にあったわけであります。そこで与野党が話し合って、擬適を法律の裏打ちまでするということに、そういう修正案ができました際には、それはもう衆議院の野党参議院野党も、野党の政党は一本でございますので、もう全部通じての話だということに私ども理解をいたしておりました。そこで先ほども申しましたが、私は政府でございますから政府原案を支持する者でございますけれども、衆議院の有力野党を含めての修正案というもので、これでいけということで国会意思がきまれば私はそれに従います、こういうことを言明いたしておりましたので、私は、参議院では一日か一日半しかなかったわけでございますが、関係団体並びに野党、与党の打ち合わせはずっと通っておったものと全く理解いたしておりましたのに、ここで言いにくいような私のほう以外の事情でそれが成立しなかったということは、私はまことに残念千万に考えております。
  37. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ですから、国会法案が通るか通らないかということは、これは国会の権限に属しますね。いま言われたとおりです。私はいまここで議論するつもりはないのです。だとすれば、初めからこの法案が通らなければ擬適を廃止するという考え方がなければ、すぐその擬適を廃止するというような行為には私は出ないと思うのです。十四日の朝日新聞に、擬適の廃止はしっぺ返しだ、報復だという記事が出たときに、われわれがあわてて梅本局長なり何なりに電話をしたのです。ことばじりをとらえて言うつもりじゃありませんが、国会廃案になったんだから擬適は廃止するということを、はっきりそのときに厚生省は言っておるのですよ。あなたが言っていることと事務官が言っていることとだいぶ違うじゃありませんか。かってなことを私に答えたということになりますが、その点どうです。
  38. 内田常雄

    内田国務大臣 だんだん申すと、私のほうにも実はずいぶん言い分がございますが、これは委員会でございますから私は申しません。最後に修正案を、与野党内田、おまえが、厚生大臣がいやな修正案でも、これを修正すれば参議院まで一本で通すというから、私はそれをのんだのです。しかるに、それを通さなかったのは一体だれの責任でございますか。私ははなはだ遺憾にたえません。新聞はいろいろなことを推測して書きます。これは、私は新聞の任務で、新聞が間違っているとは言いませんが、あの新聞も、見出しのタイトルといいますか、タイトルのつけ方と中身とはだいぶ違っております。新聞は見出しだけしか読まないのでありますから——記者の方が見出しをつけるのではありません。整理部でつけるわけでありましょう。その中でも厚生大臣いわくということもないし、先ほど天野君が読みましたが、それを見るとなかなか含蓄のあることで、私もあれを見まして、ははあそういうことが裏にあったのか、こういうことを新聞を見まして教えられたようなことがあるわけでありまして、何にいたしましても厚生省できめることは、厚生省の官僚や課長局長が何を言いましても、私が大臣ですから、私がやるんだと言わなければ、これはやることになりません。たまたま私が最後に、諸般の事情を考えまして、そして擬制適用を踏み切らざるを得ないことになりました。なりましたから、これは新聞社が先見の明があったというようなことになりますけれども、それはあくまでも新聞の推測でありまして、何と申されましても、私はあれを廃止するということを十二日、十三日内に——現に野党諸君が修正をすれば通すんだという話でございまして、私はそれを全く信じ切っておりました。
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大いに厚生大臣は開き直ってけっこうだし、内容を全部言ってもらってけっこうだと思うのです。たいへん重要なことを言っておられるわけですよ。だれの責任かと言われれば、通さなかったのはだれの責任ですか。国会が通さなかったのですよ。国会責任ですか、どうです。
  40. 内田常雄

    内田国務大臣 修正案を出されたのも国会でございますし、通さなかったのも国会でございます。したがって、厚生省がこれを通さざることを前提としていろいろな画策は全くいたしませんでした。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまあなたが言った答弁内容というのは、文書になって出ておるのですよ。読み上げます。いまあなたは本心を言われたのです。昭和四十五年五月二十二日の厚生事務次官、社会保険庁長官の各都道府県あて通達の第二の後段に、「第六十三回国会における衆議院審議の段階で行なわれた擬制適用の法制化についての修正は、この法制上の問題点の解消を意図したものであり、また、この修正案が衆議院において可決されたことにより現在のままの取扱いがもはや法律上認めがたいものであることが明確となった」、廃止の理由としてこうちゃんとあげておられる。それなら、衆議院で法制化をするという修正をやって、現実に修正が可決されたことによって擬制適用はもう廃止される根拠ができたのだ、こういう通達ですが、このとおりですか。
  42. 内田常雄

    内田国務大臣 それは書いてあるとおりでございまして、私の説明と一向に矛盾をいたしておりません。つまり政府原案も成立しなかったし、また与野党一致した修正案も成立しなかった、こういう事態のもとにおいては、もはや擬制適用の成立というものは全く法律の裏づけもなくなってしまったということを説明したものだと思います。
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは擬制適用を廃止した理由というのは、厚生省廃案になったときにすでに考えておったということじゃないですか、この通達が出ておるのだから。そうじゃないですか。
  44. 内田常雄

    内田国務大臣 たびたび申すとおりでありまして、そんな、人間の頭は瞬間的にひらめいたわけではございませんので、二十二日に顧みて、政府原案修正案も通らなかった、こういう事態のもとにおいては擬制適用を廃止せざるを得ません。  これは松浦先生に申し上げますが、これ以上やりますと議論になります。実は私、弱みを申すわけではありませんけれども厚生大臣の職責上、私は六十三歳余りでございますが、愛の献血運動というものがけさから始まるわけでありまして、長い行列に入りまして献血をやってきまして、実はふらふらしています。いささか興奮をいたしがちでございますので、きょうのところはこの程度にぜひひとつとめておいていただいて——議論もおおむね皆さん、松浦先生ももうよく御承知のことのようでございますので、きょうはこの程度にとめておいていただいて、議論はまたあとで幾らでもお受けいたす、こういうことにいたしたいと思います。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 委員としては厚生大臣に同情します。その点はよくわかっておるつもりです。ただ、この問題は非常に大切なことを含んでおるから、くどいように聞くのです。その点はひとつ大臣もぜひ了解しておいてもらいたいと思います。  それで、私たちがこのことでわれわれ自身が判断をしたのは、初めから——衆議院の社労委員会で修正をさして法案を通しても、どっちにしたって、参議院段階でたった一日ではこの法案は通らない。しかも参議院段階で、衆議院が修正した案の再修正という話し合い理事会で出てきたのです。そうなってくれば、当然手続上は参議院の修正についてはまた衆議院段階に戻さなければならぬ、そういった問題から、時間的に見ても、これはもう通らないということは当然初めから予測されておるのですね。それで私たちがどうしてもふに落ちないのは、この日雇い健保の問題については、初めから通る見通しがないまま、一つのレールに乗せて擬適を廃止するという目的に向かって終盤の国会において画策された、厚生大臣が知らないところで厚生官僚によってなされておったということを私は非常におそれるのです。だから、大臣にくどいようにお尋ねをするし、理事懇の梅本前局長の話に見られるように、一説明員でございましてというような、何か国会の審議を無視した高飛車に出るような発言というものがわれわれは非常に身近に感ずるものですから、そういうことなら国会の審議というのは、政府のやることは初めから疑ってかからなければならないというようなことになるので、くどいようにあなたにお聞きをしておるのですよ。そういうことが絶対になかったということがはっきり言えますか。
  46. 内田常雄

    内田国務大臣 全くございません。擬適を廃止するためには法律措置をとらなくても、ほんとうに廃止するつもりならば、法律改正案がなくても廃止できるわけであります。私のほんとうの心中は、むしろその擬適が残り得るような余地を入れる日雇健保の改正案のつもりで国会に出しました、擬適には触れておりませんけれども。ある程度保険料も高くなります。いままで保険料は、日額四百八十円以下の方については二十円、四百八十円以上の方についても日額保険料二十六円というようなことは、先ほど来申しますように、今日、日雇い労働者日額所得もかなりふえております状況においては、ほかの保険に入っておる国民とあまりに間隔があり過ぎまして、一種の社会的不公正というような事情も生じておりましたので、そこで保険料も何段階制かにいたしまして上げてまいる。二十六円ではなしに三十円、六十円、九十円というふうに所得に応じて上げてまいる。そうすればかなり保険料収入もふえますので、私が知らぬ顔して擬適をそのまま置いておいても何とかいけるだろうというような、私は善意と好意をもってこれを見ておった。松浦さんがおまえうそだろうと思ってお疑いになればこれは切りがないわけでありますが、ここで申し上げますように、私はほんとうにそういうつもりでやってまいりましたし、野党方々は、百尺竿頭一歩を進めてさらに擬適というものを法制上の制度にしてしまおう、そのためならばさらに若干政府原案以上に保険料を引き上げる分野があってもということで、社会党のその方面を代表される方々もお加わりになってあの修正案ができました。これは一日で通らぬことはわかっているじゃないかとおっしゃるが、私はたいへん意外でございまして、松浦先生は社会党でいらっしゃいますから社会党を例にとりますと、衆議院のほうも参議院のほうも社会党一本としてお話は十分通しておって、そして舞台は衆議院の社会労働委員会でございましたが、党としてのお話はすっかりついている、最後の一日でもあるいは何時間でもそれでいいんだということで与党の諸君もその修正案に乗っておった、こう私は理解をいたしておりました。しかし、どうかひとつ松浦先生、これ以上この問題の議論に入ることはお許しをいただきたいと思います。決して事態をよくするものとも思いませんし、私はきょう非常に疲れてはおりますが、あなたと議論したからといって報復措置をとるというつもりは全くございません。どうかその辺は御理解いただきたいと思います。また、私は厚生省の官僚のしりに敷かれておらぬのであります。私が厚生省に行きましてから、むしろ厚生省のことはおれがやるんだ、役人はついてこいというふうなかっこうでほんとうにやっておりますし、私は国会議員の一人でもあることを忘れずにやっておるつもりでありますので、その辺のことは御理解いただきたい。私がここで手柄を立ててえらくなろうという気は毛頭ありません。どうぞひとつこの辺で御理解をいただきたいと思います。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この辺で御理解いただきたいということですから、理解はできませんけれども質問をやめなければならぬ。ただ、ここではっきりしておきたいことは、衆議院で厚生省が言ってきた内容与野党間の内容参議院段階で言ってきた内容というのは違うのですよ。その点だけははっきりしておいてください。また機会を見て衆議院段階参議院段階の食い違っておる点を明確にするつもりです。その点はひとつこの際、明確にしておきたいと思うのです。  それで私は建設大臣に最後にお尋ねをしておきたいのですが、たとえば一つ建設委員会にかかっておる業法という法律を通すために、関連してくる政府関係法案なり、いろいろな行政面の問題が出てくると思うのです、建設省から各省にまたがる問題がですね。そうした場合には、当然この法案と関連をさせて、業法と関連をさせて擬制適用という問題が本委員会議論をされたわけです。ところが、その委員会議論をされて、しかも与野党間が満場一致で決定をした、そして法案が衆議院を通過をする。現在これは継続審議になっておるわけですけれどもね。われわれが報復措置をしようと思ったって、与党多数ですから参議院業法、通るでしょうね。われわれは報復手段を持たないために、また約束を破ったからこのやろうというわけにいかぬですからね。また社会党は、そういうことをやろうとするつもりはないですよ。また、一つ法案を上げるときにはわれわれ委員をごまかしておいて、頭をなでておいて、ぜひひとつ通してください。この法案が通ってしまったあとは、今度は頭をほかのところでなぐりつける。そしてその責任は私たちありません、審議した国会がけしからぬのですよ、廃案に追い込んだからけしからぬのですよ、廃案になると思っておらなかったけれども、結果的にはそういう結果になったからもうしかたありませんわというふうに逃げられたのでは、そういうふうに結果を見られたのでは、われわれはまじめに法案の審議ができないのですよ。いまの政府は、縦の行政はぴしっとしておるけれども、横の行政が非常にばらばらだ。その典型的なあらわれがこれだと思うのですよ。そういうことを知らずにひっかかったわれわれが悪いといえば、それは悪いでしょうね。こういう問題について建設大臣はどのようにお考えになりますか。私は、将来の法案審議に関連をさせて、明確にこれはしておきたいと思うのです。
  48. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど来の厚生大臣の御説明によって、そういうことは全然なかったということが御理解になられたと思いますし、私もそう信じておるのです。もともと擬制適用の問題がこの委員会で問題になりましたのは、この業法が成立いたしまして許可制度になった場合とそうでない場合との関連において議論をされたので、その点については何回も政府関係は、労働省厚生省も、さらに大蔵省まで税制の問題も含めてそういうことをやりませんということを言って、今日まで変わっていないのでございます。  さらに、擬制適用の問題は、いま社労との関係においていろいろな問題が出たけれども、これは終末の段階において出たのでございまして、しかもそのときにあたりまして、与野党とも合意の上に政府原案を修正してまで擬制適用をさすべき裏づけに何らかの形において協力をしようということでいたのでございますから、その段階において政府がそういうことをして、あとで打ち切るとかなんとかでは毛頭ないわけでございます。また、与野党の間においても、少なくともそういうことがなかったと思います。先ほど来、一日で法案が通るか通らないかということは、これは松浦さんは最近おいでになりますから物理的に不可能だというふうに判断されたかもしれませんが、それこそ国会ほど与野党が一致すればオールマイティーです。もうはなはだしい例のごときは、一日で三十も法律案が一挙に通ったことがございます。それが議会政治なんです。政党政治なんです。したがいまして、私はあの最終段階においてこれは必ず通る、こう信じておったわけでございまして、したがいまして、私は建設委員会で適当に御答弁を申し上げて、参議院でこれが否決されるなどというようなことは政府の考えらるべきことでもございません。結果がそうなったことは、いかなる理由があったにしても残念だと思っておる段階でございますけれども、断じてこれは、少なくとも政府国会を何らかの形において詐術をもって法律を通せしめて、他でこれをつぶすというようなことは毛頭ないということだけははっきり申し上げます。
  49. 金丸信

    金丸委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  50. 金丸信

    金丸委員長 速記を始めて。
  51. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、いま建設大臣から長々と御答弁がございました。私はちょっと違うと思うのです、ずっと経過からいうと。私が十一日——委員会業法が採決される直前の質疑をやった十一日です。そうして十三日に国会が終わった。そうして十四日の新聞に、先ほど与党の天野理事が示した新聞のあれが出た。それで私は梅本局長に、松浦委員とさっそく驚いて電話をした。流れた以上しようがない、こういう答弁でした。それはあなた話が違う。それからさっそく今度は建設省の官房長その他に電話をした、計画局長。何か厚生省のほうから事務当局は相談があったか。いや何にもありません。委員長に今度は——厚生大臣とはしかも同じ選挙区、先ほどお話しのように。何か電話の一本くらいあったか。とにかく厚生省見解というものは、われわれとしてはむしろいまの擬適の問題も前向きに、より内容を充実するような方向で努力をするという——先ほど梅本局長は、それは一説明員のあれであって、われわれは関係ないみたいな話をして、理事懇を設けたのですけれども、私が十四日に電話をしたらその事態。したがって、今度委員長に何か連絡があったかと言うと、何もないと言う。ははあ、そうすると——これは決していやみを言うわけではありませんから、ぜひひとつ穏やかにお聞き願いたいのですが、はて、委員長と同じ選挙区で一番、二番を争っている仲だで、そこで建設委員長ひとつやってやれくらいなことで、厚生大臣ハッスルしたのかなというような勘ぐりも実はありました。  まあまあそれはそれとして、そこで私は少なくとも当委員会があの業法をまとめるのに、これもやはりたいへんなたいへんな、与野党の間にほんとうにやはりお互い誠意と信頼の上に立って、大臣承知のようにまとめ上げた経過があるわけです。その経過の中で、日雇い健保の擬適の問題は、後退ではなくて、むしろ内容をより充実発展させるという観点でやるという政府見解というものがここでやりとりされたというふうに私ども——どものみならず、与党も一致して確認しておったところなんです。それがとにかく、大臣が腹を固めたのは月末だとおっしゃるのですが、事務当局のほうは、十四日に梅本局長に電話したらそれはだめだ、もうわがほうは、腹を固めております、こういう御答弁でした。したがって、そこは大臣は、厚生省はおれが引っぱっておるとおっしゃいますけれども、この新聞は、朝日新聞がかってに書いたんじゃないというふうに私どもは当時の状況判断で感じました。建設省の事務当局もたいへんこの事態には驚かれて、その以降、梅本局長との間にいろいろ、建設省の事務当局の首脳部の間でもやりとりがあったのです。しかし、これはもう腹が固まっておった、私どもにこういう連絡でした。いま私は、そのことをあえて問題にしようとは思いません。事態はさらに進んで、現実にたくさんの建設職人という関係者が、一体この医療制度の中でどうやって混乱なしに持っていくかという重大な段階にあるわけですから、いま私は既往のことを問題にしようとは思いませんが、とにかく私ども野党のみならず、きのうまで二日間私ども委員会の国政調査に出かけたのですが、与野党を含めて今回の厚生省措置はやはり報復だ、ああいうことはいかぬという意味では、与野党を通じてその点で見解の不一致はないのです。それはいいです。したがって、このことだけはやはり確認——確認じゃなくて、よく胸におとめ置きをお願いしなければならぬと思うのです。  そこで私は、大臣お疲れのようですからお聞きをしていただいて、最後に言だけ大臣のお気持ちをお聞かせ願いたいと思うのですが、いま国保というものに移行していく、その場合の内容の問題について、ぜひひとつ、建設大臣所管の建設業に従事する一人親方職人の皆さん、大ぜいの皆さんをどうやるかという問題になるわけですから、この皆さんが、今日の都市建設なり住宅建設なりその他の面でわが国の、繁栄とかなんとかいいますけれども、国土建設のために果たしておる役割りと任務はまさに大きいものだと思うのです。この皆さんの健康保険制度というものが、この措置によっていま非常な混乱の現状にあるわけです。したがって、一日も早くやはり前向きな方向が落ちついて進んでいくということにならなければ、これは大問題だと思うのです。そういう意味で、大臣お疲れでほんとうに残念なんですが、この日本の国の国土建設、住宅建設その他のために大きな任務と役割りを果たしておられる皆さんのこの問題を前向きにするために、一体どういう御用意があるかということをお聞きしたいのです。大臣お疲れのようで申しわけないのですが——いいですか、申しわけありません。私も人間ですから、大臣の献血は尊重しますので……。
  52. 内田常雄

    内田国務大臣 阿部委員からたいへん御親切な思いやりをいただいてありがとうございます。  擬制適用がなくなりましたあと関係方々をどう処遇するかということは、私も当初から一番心にかかっておりました。これは先ほどもちょっと申しましたように、ほっておきますと、現在国民皆保険制度ですから、義務的にどこかの保険に入ることに必ずなるわけでございます。一人親方じゃなしに、部下といいますか仲間を率いられた方々は、政府管掌健康保険に入るなり、あるいはまたそうでない方々は地域の国民健康保険に入るわけでありますが、それらの保険料と、いままでの擬制適用というものがよかったか悪かったかは別にいたしまして、保険料とかなりの間隔があるはずでございます。もっとも先般の日雇い健保法の改正案なりあるいは与野党修正案なりが成立いたしますと、もちろん日額二十六円の保険料は御承知のように六十円、九十円程度までは上がったわけでございますが、これも成立しなかった現況におきましては、それらの方々が他の義務保険加入されますと保険料も高くなりますし、と同時に、同志的結合というものがくずれるという面も私ども政治家としてわからぬ点はございません。  そこで、それについては一つのいい方法があるわけでございます。それは、現在では積極的に全く認めてはいない制度でございますが、本来は、地域保険でありますところの国民健康保険につきまして、職種別に国民健康保険組合というものをつくる道が法律上はございます。たとえばお医者さん方が一緒になって、そして国民健康保険組合をつくるなり、あるいは他のある職業の方々が一緒になって国民健康保険組合というものをつくる道が法制上はございます。しかし、これはやたらにつくりますと地域の国民健康保険との関係もございますので、現在この道は認可をしないことにいたしておりますが、今度の場合にはこの道をあけて、そして元来は建設関係者、それは大工の方もおられますし、左官の方、板金工の方、あるいは建具職の方もおられましょうし、幾つかの職が対象になっておるはず。あるいはもっと多くの職種もあるかもしれませんが、対象になっておる方々は、それは同一職種と見られるわけでございますので、それの縦横の編成によって国民健康保険組合というものを認めていこう。ただし、いままでの擬制適用の場合には、日雇い労働者健康保険というものが政府の直営でございますから、保険料が安かろうが高かろうが、また保険支払いの金があろうがなかろうが、親方日の丸で何らの責任なしに皆さんが擬制適用を通じて日雇い健保に入っておりましたが、今度国民健康保険組合というものをつくりますと、組合自身保険主体になりますので、わけのわからぬ人々と一緒では組合の運営がつかなくなる。その点を考慮いたしまして、具体的に申しますと、まず地域的な同業種組合と、それから地域を越えた、場合によっては全国的な同業種組合の両方を認めていこう。  地域について申しますと、ある府県に一つでも二つでもよろしゅうございますが、やや広くてもかまいません。建設関係業者が三千人ぐらいの範囲でまとまりますならば、地域別の国民健康保険組合というものを認めて、それを助成の対象にして補助金も出していこう。三千人以下だと、小そうございますと、長期疾患の人でもたくさん出ますとすぐに保険料を上げなければならない、場合によるとつぶれてしまうかもしれない、こういうことも理論的にはあり得るわけでありますので、危険分散の意味で三千人以上くらいでないと保険はもつまいということで、三千人を一応の目安といたしまして、一府県に三千人いない場合は隣接県を含めて、三千人程度の規模にいたしましてもそれはひとつ認めていこう、こういうふうにいたしております。  それから全国規模でも認めておるのでございますが、全国規模の場合は、原則として十数業種あるいは数業種というような非常に幅の広い建設業関係だといっても、たとえば先ほど冗談のように申しました神主さんからバーのホステスまで一緒に含んだような全国組合ということになりますと、同志的結合はできるはずがございません。全国的規模の場合は原則として単一業種、大工なら大工、左官なら左官、板金なら板金、これは原則としてでございます。同一業種も、文字どおり原則として厳格に業種でまとまる場合には同志的結合もできましょうから、また今度の場合は親方日の丸じゃございません、自分責任を持ちますから、責任を持つということを組合結成の発起人の方々にも考えていただきながら、全国規模の組合を認めることもあり得るというようなことにいたしまして、もう特別にそんな組合に入らなくてもこの機会に政管健保の——自分の部下にめんとうは自分のほうで——労災保険の問題なんかもございましょうし、自分のところは保険組合の適用の事業所ということによって人も集めやすい場合も非常にございますので、そういうところへ行かれる方はそれはそれでよろしいし、また、どうしても一緒に連れていかないほうがいい、そうしないと地域の人々と不公平になるという方々は、もちろんさっき申しましたような現存の地域組合に入っていただくこともございましょうし、たいへん長くなりましたが、以上申しましたような趣旨で、国民健康保険組合というものをつくっていただくように指導いたしまして、そしてそれに対しまして助成をしてまいる、こういうことによりまして急激な経済的、財政的な変動を避ける、あるいはまた組織的と申しますか、政治的意味の課題につきましても、前と同じ全建総連の四十万人を一本の健康保険組合に認めるということは理論的にもできませんし、また実際的にやってみましても、それは釈迦に説法でございましょうが、地域によって医療費の非常に安いところと高いところとございますので、全建総連の形で一本というようなことはできるものではございませんが、事態に即応するような話し合いをいたしながら、以上申しましたようなことであとのカバーをしてまいる、こういうつもりでございます。いままでの擬制適用関係保険給付を受けられるのが、擬制適用をいまはもう廃止いたしましたので保険料の印紙を張るということになっておりますが、通常の場合には、七月なり八月いっぱいは前の日雇い健保擬制適用のままで医療給付が受けられる。また、すでに病気になって医者にかかっておられる方は、引き続いて二年間だったと思いますが、二年くらいはそのまま、もう前のままの関係で医療給付を受けられるということになっておるので、その制度はそれで生かしながら、おおむね八月末くらいまでを目途として、いま申しますような健康保険組合へ誘導してまいる、こういうことでやってまいるつもりでございます。  これは単に原則的ばかりではいけませんで、実際におつくりになる場合に保険料を幾らにしたら成り立つか、また、どの範囲の業種だったら実際にやれるかということも、現実に即して厚生省のそれぞれの当局、中央なりあるいは保険事務所なり、それらのほうとお打ち合わせを願いながら円満にやっていきたい、こういうつもりでございます。
  53. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣お疲れのところ、長い答弁で全くあれなんですが、このことはお約束願えましょうか。  いま大臣は、現状までずっと続いておった擬適、これをがらっとやるわけですから、いろいろな意味で激変が起こる、その激変を起こさないように、財政的にも補助するというような話がございました。私は、この補助というものはやはりつかみ金じゃなくて、一定の割合というか組合の負担すべきものとの割合、政府が補助をする割合は何ぼ、こういうきちっとしたかっこうでお話をまとめていくことが重要だ、こう思われるわけです。その中から、従来言われておった今回のこの措置によってがたんと大きな打撃の出ないような努力をする、こういうこと。  それから大臣お疲れのところで、これは全く委員会審議が十分できなくて残念なんですが、いずれこの制度も含めて、日本の医療制度というものに大きな根本的な変革が年来の経過があって迫られておる。したがって、その時期は、従来の経過からいくと、来年あたりにかけて政治的にもやらざるを得ない時期ではないか、そう思っておるわけでありますが、その直前にこの制度だけがたっとやるということについては、ちょっと問題があるように思うのです。したがって、実は私、与党の国対関係の相当重要な立場にある方々ともお話し合いをいたしましたが、あの修正案の際に与党の側の国対にも——何せ国会末期にはあのとおりあわただしい状態になるわけだが、国対ベースで手を抜かずして、もうちょっと手を添えればああいう事態にならずに済んだのではないかということを実は思っておるのだ、ということを言われる与党の国対の相当重要な立場の方々の話も私はお会いして聞いておるわけでありますが、それだけに今回のこういうがたんと——国会の終わった次の日、こういう新聞に載ってやられたということは、当委員会の審議経過もあってなかなか納得ができません。したがって、いま大臣の御説明、いろいろ専門的な細部にわたった問題がありましたけれども、たとえば全国組織、地域の云々ということがありましたが、やはり従来の経過というものは、あまり大きくがたんとできるだけやらぬという立場で事態の収拾をやられ、今回のこの事態からの移行措置というものも万全の配慮を払ってもらわなければならぬのではないか、こう思うのです。  お疲れのところ、関連ですから、これ以上やるということはたいへんですが……。(「強く要望して終わりだ」と呼ぶ者あり)要望じゃありません。ぜひそのことは大臣のほうでも考えてもらわなければならぬように思うのです。
  54. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま阿部委員のほうから最後の締めくくりを、要望というより、いま話し合いも進んでおることですし、あまりここで詳しく質問できませんので、保険関係の向きを、大臣あるいは厚生省との間にお話し合になっておる最中でありますから、それ以上深くは突っ込みません。  大臣は、きょう献血でたいへんお疲れのところ、大切な問題ですから出席していただいたことを心から感謝申し上げます。ただ同時に、おそらく厚生官僚——私はどうも理解できないのですが、大臣理解できても。大臣が献血して出席しておる。おそらく厚生省の官僚の中で、献血に行った人はほとんどおらぬのではないかと思うのです。政府委員説明にしたって、大臣を除く政府委員説明は、まことに適当な答弁で、しかも理事懇に来たらまたごまかすというような、こうした厚生省のあり方、特に官僚のあり方は、根本的に私は改めてもらいたいと思います。大臣にそのことも最後に強くお願いして——建設大臣は、またしょっちゅうお会いしていろいろと質問をする機会があるわけですから、私は厚生大臣にだけ質問をして終わりたいと思います。どうもお疲れのところ、ありがとうございました。
  55. 金丸信

    金丸委員長 厚生大臣、お帰りくださってけっこうでございます。御苦労さまです。  小川君。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私ももっと聞きたかったのですけれども、健康状態の悪い大臣をとめておくわけにいきませんので、私の厚生大臣に対する質疑はこの次にさしていただきます。  きょうは、マンションの件について、二、三聞いておきたいと思います。  最近、マンションの共同経営を種に、不特定多数の大衆から二十数億円の大金を巻き上げて倒産した日本住宅総合センターをはじめとするところの一連の汚職といいますか、こういった不正事件が勃発しております。これは住宅行政のひずみであると私は理解しておりますが、まずこの問題につきまして建設大臣のお考えなり、また建設当局の責任もあったのじゃないか、こう思っておりますが、この点についてお尋ねしたいと思います。
  57. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、現在住宅問題が非常に深刻な様相を呈してきておる。これをある意味において悪用いたしまして、不当なる手段をもちまして、ほんとう意味における住宅を欲する人々に提供するのではなくして、そうした国民的な要望を一つの詐欺的手段に使ったという事実があらわれたことは、まことにこれは遺憾に存じます。こうしたものができ得るゆえんのものは、要するに住宅の供給が十分でない、そういうところにあると思いまして、今後、従前から政府がとっておりました住宅政策をさらに推進するとともに、今後こうした不当不正なるマンション業者が、いままでのような立場で——これはどうも欠陥があるような気もいたしまするので、十分そういう点は皆さんの御指導を得て、検討の上最善の努力をしたいと思います。詳しいことは、事務当局がいまの東京の何とかマンションの実態、これを調べてあるようでございますから、そちらのほうから答弁さした上、さらに御指摘を受けまして私からお答えいたしたいと思います。
  58. 小林忠雄

    ○小林説明員 ただいま問題になりましたマンション投資事件でございますが、これは日本住宅総合センターという会社で、代表取締役は大矢忠という人でございます。同社は、昨年の十月に建設大臣の免許を受けました宅地建物取引業者でございますが、東京、大阪等におきましてマンション分譲の広告を行ないまして、購入者から一口三十万円以上の出資を募り、出資金に応じて同社所有のマンションの分譲を行なうとともに、分譲したマンションを今度は購入者からその会社が賃借をいたしまして、その賃借料として一年について分譲価格の一割四分四厘を支払う、こういう商法を行なっていたものでございます。この点に関しまして大阪府警察本部が、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律に違反する疑いがあるといたしまして、五月二十八日、同社の東京本社、大阪支店等を捜索し、さらに同社社長ら四人を逮捕して取り調べ中でございます。  同社はこのような分譲方式によりまして一般のサラリーマン、商店主、主婦等約千七百人から合計十億円、さらにそれを賃借する人から敷金等の形で十億円、合計二十一億円の資金を集めているといわれております。そのうちマンションの一室につきまして、七十五名あるいは百十五名というような多数にのぼる購入者との間に建物売買契約及び建物賃貸借契約を締結しているものもございます。同社の宅地建物の取引の実態について調査したところによりますと、分譲の対象となるマンションの持ち分が、契約締結前における説明の過程におきましても、契約書の内容におきましても明らかにされておりません。また、契約に基づく本登記の履行もまだ行なわれておりません。  建設省としましては、先ほどの出資法違反の疑いとは別個に、宅地建物取引業法違反の疑いもございますので、すでに同社につきまして聴聞の措置をいたしたわけでございますが、社長以下が全部逮捕されて、おらないというようなこともございまして、とうとう出頭をいたさなかったわけでございます。今後さらにこのような事態の発生を防止いたしますために、業者に対する監督を強化するようにさっそく関係方面に通達をいたしました。これに基づきまして、東京都が同種の商法を行なっております数社につきまして、すでに聴聞等の取り調べに入っております。しかしながら、根本的には、これは法律の法網をくぐって非常に巧妙に行なわれているものでございますので、今後の問題につきましては、法律改正を含む所要の措置を事務的に検討いたしたいと考えております。
  59. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、この種の問題は、稲村建設、技研興業、日本住宅総合センターなどいろいろなトラブルが起きているわけです。きょう始まったことじゃないわけです。そうして、いまお聞きいたしますと、契約上や不動産登記の手続上の問題、こういった問題に法的な不備がたくさんある契約というものが行なわれ、なおかつ、そこのマンションに住む人じゃないんですね。住宅にいま困っている人たちがこの問題を引き起こしたのじゃないのです。余ったお金と申しますか、出資金に対する利殖が目的でこういった犯罪がかもし出された。まして一四・四%、年利一割四分四厘というような高率を払ってマンションが、一体家賃とかそういった問題で採算が住宅業者としてとり得るのかどうか。こういった問題が、いままで五年も前、六年も前、ずっと前から続けられておったということに対して、建設当局としてはどのような指導また措置をとってきたのか、これが私疑問なんです。こういった事件が発覚したらあわててやる。これは例の前の保全経済会というように、頭のいいやつ、悪いやつがいろいろなことを考え出すわけですね。住宅不足という社会的な重大問題に取り入って、そこから金もうけをする。そいつは、もちろん悪いやつであります。こんな者は許せるわけはありませんけれども、そういった悪質な犯罪をかもし出すところに建設当局のすきがあり、また、行政上また法制上にいろいろな欠陥があると思うのでありますが、どのようにこういった連中に対しては事前にチェックをし、措置をとってきたのか、この点についてはどうですか。
  60. 根本龍太郎

    根本国務大臣 小川さん御指摘のように、これらの人々は、正常に住宅を供給するという考えではなくて、いわば詐欺行為を初めから計画したものと思われます。いまの状況から見ると。そういうものは、あえて宅地のみならず、あらゆる業者にこれはあります。その場合、そうしたものを厳重に法的に事前に許可営業でこれをやるということは実質上困難です。そのために、そうした法網をくぐって詐欺行為をする者に、詐欺行為ができないような法律をつくるということは、これは非常にむずかしいのです。そういうことになりますれば、これはもうあらゆる建築業者が全部犯罪容疑者というような立場で法の運用をするということになると、これまた非常な弊害がありますので、原則として、ああいう許可業者については、善良なる者が正常な営業を営むという条件のもとに認可をし、さらに指導しておるというわけです。しかし、こういう事態が起こった場合においては、たいへんなこういうインチキなものが、再び起こらないように行政指導あるいは法的な措置が必要であることも事実だと思います。その意味において、過去においていろいろのものがあったけれども、それを制度上完全になくするための立法はなかなか困難でございますので、今後運用にあたって十分気をつけるのでありますが、いままでああしたマンション業者をどういうふうに指導してきたか、これは事務当局に答弁させたほうがいいと思いますので、一応これは……。
  61. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ちょっとその前に……。私がそう言うのは、一例をあげて言ったのですけれども、そこで疑わしいのは金利の一四・四%という、これは全くの高利貸しのような高金利ということがえさになっておる。ここにそういった一つの事例がもう出ているわけですね。それは全部の宅建業者や不動産業者が犯罪容疑者であるなんということは、われわれはそんなことは思っておりません。まじめに営業をやっていると思う。ただ、そういう常識で考えても、銀行金利の何倍にもなるようなものを公に宣伝して——これは大蔵当局にも聞いておかなければならぬのですが、そういったところにいろいろな問題が起こる。当然考えたって一四・四%の金利を払ってやっていけるわけはないとわれわれは考えるのです。その点について。
  62. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この点は、許可条件にどういう営業をするかをきめてあるのじゃなくて、これは一定の基準がありますれば許すということになっているようです。ただ、そうした営業をしておることについて、建設省が一々あらゆる業者の営業状況を全部フォローして、そしてそれの適否をやるということはなかなか困難だと思います。今日までどういうような指導をしておったか、これは事務当局から答弁いたさせます。
  63. 小林忠雄

    ○小林説明員 ただいま問題になりました会社につきましては、建設省としましては、私の聞く範囲では、広告でこれを承知したようでございますが、その広告によりますと、アパートの一戸分を約十人くらいで共有にしてアパート経営に参画してくださいという、そういう広告をしておるようです。ですから、かりに一戸分が五百万とか六百万とかいうことでございますと、五十万程度の出資者が十人あれば、一人で一戸分の家賃は取れないけれども、十人くらいであれば、まあ無理もない、できないことはないというふうに考えたわけでございますし、また、現に同種の商法をやっておりますマンションにおきましては、事実そういうようにまじめに十人なら十人で健全に経営しているところもないわけではないのであります。いまの一四・四%という金利は確かに高いわけでございますが、これは家賃でございますので、うんと高い家賃を取っているのだといえぱ、これは成り立たないことはないかもしれない。ただ、問題は、五百万円くらいのところは十人で五十万円ずつ出せばちょうど見合いますものを、広告では十人くらいで持つようなかっこうにしておりますけれども、実際はこの中に百人も押し込んだために、実は五百万の持ち分が、五十万出した人が実は五万円分しかないというところが問題なんです。それに対しまして、実は五十万円分の一四・四%の利子は確かに従来支払っていたわけでございます。現在もおそらく支払われていると思うのです、手が入るまでは。したがいまして、いままでのところは何も損害がなかったわけでございますが、どうも常識から考えましてこういうことが長続きするはずがないだろう。それに対しまして業者は、実はいま建てたのは一棟だけれども、このほかに何棟かいま建てておるし、さらにこういうものをやる計画がありますよ、こう言っておるわけです。かりに全部そういうものを建てますと、いま千何百人か集めておりますが、これは全部三百棟くらい計画どおりに建てれば、ちょうど値段相当分までにおさまるということでございますから、はたして言ったとおりにできるかできないかというのは、見通しの問題でございまして、まだ確実にだましたのかだまさないのかという点は、警察の捜査の段階がもう少しわかりませんと、われわれとしては十分承知できないという段階でございます。とにかく合法すれすれの線でやっておりますので、こういうような警察の手でも入りますまではなかなか行政的にこれを免許を取り消すとか、あるいは営業停止をするという手はあるのだけれども、そういうことをいたしますと出資者にかえって迷惑をかけるということもあります。ですから、こういうものをひとつ、いま司直の手も入っておりますので、そういう捜査がもう少しはっきりいたしました段階行政上の処分をいたしたいと考えております。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは警察当局にちょっと聞きたいのですけれども、そうしますと、司直の手が入らなければ、いま言ったとおり一四・四%の金利は支払っておった、何も波風は立たなかった、司直の手が入っちゃったためにもうみんな一ぺんにわっと大騒ぎになってしまった。自転車操業しておった場合もあるでしょうが、そういう問題が出てきたのだから、憎むべきは警察当局であるという、そういう声もある。ところが、いまこちらで言うと合法すれすれだ、一四・四%で家賃が幾ら高くなってもかまわないという、そういう無責任な立場——職住近接というんでマンション経営というものがだんだん出てくる、そういうことを言われた大臣の立場がなくなっちゃうんだな。マンションができればいい、うちさえ建てばいいというんで、どんなものでも野放しにしておるということは、家賃体系のモラルとか、そういう社会的に及ぼす影響とか、こういうものが出てくる。  そこで私が警察当局に聞きたいのは、その点についてなぜ入ってしまったのか。これは手を入れなければこのままいったのだ、ところがそういう事例がたくさん出てきて大きな社会的な問題になったらにっちもさっちもいかなくなってしまう、そう御判断になったのか、そういう点について明確にお答え願いたい。
  65. 神川誠太郎

    ○神川説明員 お答えいたします。  このたびの大阪府警で検挙いたしました日本住宅総合センターの預かり金の金利違反の事件でございますが、この種のマンション業者の行ないます預かり金というものは、いままで警察で検挙した預かり金違反の中でも初めてのケースでございますけれども、通常の預かり金金利違反の多く出てまいりますのは、貸し金業が、その貸し付けの資金繰りのために預かり行為をする、そういう場合にもいろいろ知恵を働かすわけでございますけれども、マンションの場合につきましては、その一室についてまず総合センターが買い求めまして、それを共同経営といううたい文句でお客さんをつるわけでありますが、そのときに売買契約を取りまして、直ちにこれを賃貸借契約を結ぶわけです。売買の形式をとって、しかも所有権移転請求権保全の仮登記をいたすわけでございます。そうなりますと、通常の預かり金であるときには利息は大体高くなっておりますが、一応つまずきがない限りにおいては、その結果的に被害者になる預け主のほうでも被害意識を持たないわけです。したがいまして、捜査にあたっての端緒をとることが非常にむずかしいという隘路もございます。  今回の事件につきましても、いろいろこういった問題について情報もありましたので、大阪府警として内偵をしたわけでございますが、内偵をした結果、当時七室を一応把握したわけでございます。その七室の中で一番ひどいのが、東京都目黒区のあるマンションの一室をその会社が買い取って、先ほど来お話がございましたような契約を結んだお客は、四百四十万円の一室に対して百五十二名客をつけたわけであります。そういうことで具体的事実が出まして、しかも会社の経理状況等を内偵いたしました結果、広告が月ごとに激しくなってきたわけでありますが、その実態から見まして、被害の波及防止という観点で、これを捜査令状、いわゆる捜査に着手するに必要な範囲の疎明をとり次第すみやかに検挙をしなければならない、かように判断いたしました。そのときに、ただいま御指摘のとおり警察が入って、そうすると会社のほうはこれをもっけの幸いとして倒産とか、あるいは逃げるとかいうような形の姿が出るか出ないかという点でいろいろこまかく分析したわけでございますが、とにかく結論的に申し上げますと、直ちに、早期にこれを検挙しなければさらに多くの被害者が出る、さらにまた、いろいろの債権者の方の建て直しの問題もございますが、これについて会社の役職——社長、それから経理担当の取締役、それから大阪支店長、さらに陰の実力者が一人おるわけでございますが、この四名を第一次的に検挙したわけでございます。取締役一名と監査役一名は任意にしておく。で、これによって債権との関係において交渉に当たらせるという配慮もありました。それで捜査に踏み切ったわけでございます。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ちょっとお尋ねしますが、陰の実力者は政治家ですか。
  67. 神川誠太郎

    ○神川説明員 お答えいたします。  違います。これはその会社の経営をまずいろいろ資金的にも、それから人事的にもあやつっております者でございまして、これは新聞にも出ておりますが、崔敏圭という人物でございます。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この事件には、政党とか政治家とかいう問題にからんでうわさがありますが、そういった事例はいまつかんでいますか。
  69. 神川誠太郎

    ○神川説明員 ございません。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点はあとでまたお聞きしますが、警察庁は三年ほど前にもこのマンション業者の事件を摘発しております。そのときに金を集めて問題になって調べたことがありますが、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反になるとの確証がとれなかったということで、そのままになっていたということを聞いておりますが、どういう問題が隘路になっていたのか、その経過はどうなっておりますか。
  71. 神川誠太郎

    ○神川説明員 警視庁が三年ほど前に内偵をいたした事実はございます。これは同種の業者でございましたけれども、この業者の営業の実態におきまして、先ほども申し上げましたとおり、その端緒を得ることが非常にむずかしくて、立件するだけの疎明資料が得られなかったわけでございます。特に売買ということの仮装をいかに破るかということがこの種の事件の一つのポイントでございますが、売買の仮装性という点についての疎明が得られなかったわけでございます。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、こういう事例が二年前からあった。それからまだこの間も、この事件が起きてからもマンションの件が摘発されています。出ている。それで、いま私ちょっと心配になりますことは、崔何とかいう人は中国人なのか、朝鮮の方なのか、ちょっと不勉強で調べておりません。しかし、このような外国人が関係している問題は、重大な対外問題に発展するおそれもあるし、また、その国の大使、大使館等にも申し入れねばなりませんし、日本の建設問題担当者として、いま住宅問題が非常に大きな問題になっていることは、先ほどの大臣の御説明にもありました。こういう日本の最も——衣食住の憲法第二十五条に保障されねばならない住宅問題の中に、他の外国人が、何国人たるとを問わず、その陰の実力者として犯罪を構成し、かもし出す、このような問題に対してはき然たる建設大臣の態度を示さねばならぬし、また法務大臣、また外務大臣、外務省とも問題がからんでまいります。その点について、まず何国人であったのかという点はそちらからお尋ねしますとしまして、根本建設大臣は、この点についての御所見はいかがお考えですか。
  73. 神川誠太郎

    ○神川説明員 本籍名は、メモを持参いたしておりませんので具体的には申し上げかねますけれども、朝鮮国の国籍の方でございます。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 朝鮮国という国はないでしょう。どちらですか。
  75. 神川誠太郎

    ○神川説明員 訂正させていただきます。韓国籍であるか、北朝鮮国籍であるか、メモがございませんので、いまここで明確にお答えすることができません。まことに申しわけございません。
  76. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いまお尋ねになりました点は、不動産については、この自由化をいま認めるという気持ちはございません。  ただ、いまの問題の崖何がしという人物が経営に参加して、そうしてその資本を牛耳っておるというところに問題点があると思います。しかし、これは何国人たるとを問わずそういうふうに不当、不正なる手段をもって法網をくぐって詐欺行為をすることについては、これは厳重に取り締まっていくべきだ。ただし、これは建設業法で取り締まるべきものか、あるいはまた、いまの預かり金制度の問題として取り締まるべきかという、かなり微妙な問題がございまするので、十分に警察当局の捜査の結果、その過程においてはっきりとこれは宅地建物業関係制度上の、法律上の欠陥があるということになりますれば、法の改正をも含めて検討いたしたいし、あるいはまた、その法の問題よりもむしろ行政指導の問題に問題があるとするならば、その点を再検討して万全を期す。いずれにしても、いま警察当局の調べの方向に従いまして、一般国民に非常な迷惑を及ぼすようなこういうことについては、あらゆる方法をもって防止の体制を進めるべきだと考えておる次第でございます。
  77. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この問題について、宅地建物取引業法違反に属するのか、建設業法の問題に関してくるのかということは、ちょっといま大臣の御答弁では明快にならないのです。  そこで、私は宅建業法のほうに関連があると思うのですが、この点は、専門の方いかがでございますか。
  78. 小林忠雄

    ○小林説明員 ただいま大臣から御答弁がありましたように、これが売買でありますれば、宅地建物取引業法の違反の問題になるわけでございます。しかし、それが出資の預かり金であるということになりますれば、預かり金の法律の違反になるわけでございます。したがって、いま業者のほうは、預かり金の法律違反であげられているわけでございます。ところが、これは仮装して売買をやっている。今度は売買だということで追及いたしますと、これは売買じゃなくて出資だというように、それぞれ逃げ方が両方あるわけでございます。ですから、具体的に警察が捜査をしてどういう形で起訴されますか、その点を——問題は刑事罰の問題でございますので、その点がはっきりいたしますまで、われわとしては行政上の問題はもう少し慎重に検討いたしたいと思っております。
  79. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 警察のほうでは、もちろんこれは出資金法違反で摘発しているのですけれども、こういう問題をかもし出しているのは、宅地建物取引業の分野において出てきているわけですね。私はいまの局長さんのお話よく理解できますけれども、こういった問題がどっちつかずというような——これは非常に微妙な点でございまして、こういった問題がはっきりしませんと、出てくる事例があるので、この点について警察当局の見解をまず聞いておきたいことが一点。  第二点は、最近相次いでマンション投資が行なわれ、不正に関する問題がまだまだ相当数あると思われております。そうすると、そういったものを総点検せねばならない。いまのこの住宅何とか会社のように、疑わしきものはこれ一例だけじゃないという先ほどの御答弁でしたが、そうすると大きな社会問題にまで拡大していくようなおそれも私心配しておりますが、一社だけやって他をやらぬということもこれは問題であります。その点についていかがお考えになっておりますか。
  80. 神川誠太郎

    ○神川説明員 ただいま捜査中の事件につきまして、預かり金として取り調べをいたしておりますのは、住宅総合センターの仕事の中身は、大きく分けまして三つございます。一つは、一つの部屋を共同で経営するというやり方、それからいま一つは、分譲マンション、これは一般的なことでございます。いま一つは、自分が一室を借りたものを転貸しするという、この三つのタイプが会社の中にあったわけでございます。現在捜査の対象になっておりますのは共同経営、いわゆる利殖マンションの方式の分野でございます。これは、一応形式は売買という形はとっておりますけれども、あくまでも仮装売買であって、いわゆる宅建業者として行なうべき売買の形態ではないということで、これは預かり金の違反としてやっているわけであります。この部分につきましては、宅建業法の違反は入る余地はございません。  その他のことにつきましては、現在捜査中でございますので、ただいま申し上げることはできないわけでございますが、今後取り調べの経過によりまして、あるいは他の違反の事実も出るかとも思いますけれども、現状はそういうところでございます。  それから次に、他にも同種の利殖マンション形態があるかどうかという点につきましては、現在東京都の住宅局が七社立ち入りをいたしまして、その七社に対して改善方を指示し、きのう一ぱいまでにその回答をよこせという形になっておると聞いておりますが、それによって私どものほうにもお話をちょうだいできることになっております。それとあわせて、大阪にも一社、あるいはと思われるような点につきまして情報を集めておったのがございます。大体いまのところ八社くらい、そのうち東京都で立ち入りした中で、全額もうすでにお客さんに返したという情報も聞いております。しかし、その改善方の指示の結果等も勘案いたしまして、今後どのように進めていくか、これを検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  81. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 中央高層レジデンス、日本建設協会などはこの八社の中に含まれておるのか、また、この八社の名前をいまここであかすことは大きな影響が出てまずいですか。
  82. 神川誠太郎

    ○神川説明員 情報収集でいろいろ内偵をやっておりますので、ただいまここで個々の名前を申し上げるのはいかがかと思うわけでございます。一応立ち入りをした会社七社の中に入っておるということは聞いております。
  83. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 計画局長はいかがですか。こういう問題は、警察当局から情報をもらうまでは——先ほどお話があったように、四百五十万円のマンションに百七十人も出資しておる、こういうちょっと想像もできないようなことについて、特に私心配しておるのは、日本建設協会、これは一体どういう性格なのか、またこの中に建設省関係の、元建設省のお役人とか、そういった方々が参与していないのか、それから建設当局としてはただいまの八社、名前はあかせませんか。
  84. 小林忠雄

    ○小林説明員 これは、類似の商法を行なっている形跡が認められますものは、われわれが都道府県のほうにさっそく照会いたしました結果、ただいま警察庁のほうで御答弁がありましたように、八社ございます。そのうち、いま警察庁から御答弁がありましたように、この八社はいずれも建設大臣免許でございませんで、知事免許であります。そこで東京都が指示をいたしまして、業務の改善をすでに終わっているものが三社ございます。それから宅地建物取引業法上の不正不当の疑いがありまして、聴聞のため出頭を命じておるものが三社ございます。これはすでに一般に公開をいたしまして聴聞をいたしましたので、名前を申し上げても差しつかえないと思います。その中に日本建設協会が含まれております。ところが、日本建設協会は、この聴聞がありました後、すでに廃業届けを出して廃業をしております。そうしますと、刑事上の問題としまして警察が今後追及することはできるわけでありますが、廃業しましたものにつきまして宅地建物取引業法の手の打ちようがない。まことに残念でございますが、そういう状態でございます。そのほかに現在調査中のものが二社ございますが、これはちょっと名前を申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。  それから日本建設協会に建設省の出身者その他が関係しているかどうかという点につきましては、ただいままでのところ聞いておりません。
  85. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 計画局長、そうしますと、大体ぼくの概算で十三社あります。特にいま名前を伏せたというにはいろいろな理由があると思いますが、万が一これらの十三社がこういった誇大な——だれが考えても、一四%も一五%も出資に対する利子を払ってやっていけるというようなことを考えること自体もちょっとおかしいし、また一室を多数の、複数の方が経営者となって経営していくことについては、建設当局もこれに対しては十分厳重な注意を与えておるはずだ。これらの中からは事故が起きないという断言はできませんけれども、現在までの調査の見通しでは、このまま放置しておったほうがいいのか、社会的な問題でこれらをはっきりさせたほうがいいのか、その辺の判断については私も軽々にはここでいまできかねるので、建設当局また警察庁当局御相談の上でいろいろおやりになるのだと思いますが、傷口が広がらない防止の面では早急に手を打たぬとならぬと思いますが、この点についてはどうですか。
  86. 神川誠太郎

    ○神川説明員 預かり金違反をマンション業者が行なったケースでございますが、この種の事件につきまして保安警察の立場から申し上げますと、これは特別行政法規がございまして、まず実害の未然防止、それから被害の波及防止、そして違法状態の解消ということをねらいとして捜査するわけでございます。一罰百戒ということばがよく使われますけれども、実害を起こさずに法の目的を実現するために、姿勢を正していただけるならば、それなりに反省をしてまともな業態に返っていく。それでお客様には何の被害も与えない、会社も健全化に努力するということであれば、それでよろしかろうと思います。しかし、被害の波及防止の面で、これを捜査の手続によって行なわなければ解消できない、違法状態を解消することがむずかしいということであれば、もちろんそれぞれの行政監督面においていろいろ先行していただく面もございますけれども、その段階において捜査に着手せざるを得ない、そういったケースもあろうと思います。これについては個々のケースにつきまして検討を加えていかなければならない、かように考えておる次第でございます。  それから、さらに先ほどの国籍の問題でございますが、大韓民国の方で慶尚南道が本籍地になっております。外国人登録につきましてもその国籍で登録されております。
  87. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 計画局長、そうしますと、こういうことはまずいことだからやってはいかぬと、この契約を取り消すように勧告されて、こういう事故を起こさないように事前にお客さんとの平和的な解決方策をあっせんするのかどうなのか、このまま放置しておくのかどうか。
  88. 小林忠雄

    ○小林説明員 ただいまのような問題がございましたので、六月五日に都道府県知事に対しまして、宅地建物取引業者の業務の適正化に関しまして、県知事の免許にかかる業者についていまのような違反の事実がある場合には、すみやかに免許取り消し等の監督措置をとるように通達をいたしております。こういうものは、なるべく事が大きくならない前に手を打つ必要があるわけでございますが、今回の場合でも、先ほど申しましたように十人くらいで分けておる分には、いまそういう商法が悪いと一がいにきめつけることが必ずしもいいかどうか、多少私ども疑問がある。問題は、それを知っていてひっかかったということでありますと、多少ひっかかったほうも悪いということがいえるわけでありますが、共有持ち分を分譲いたします場合に、どの分が共有持ち分になるかというようなことが契約書で何らはっきりしないわけです。具体的に申しますと、出資金に見合う持ち分と書いてある。見合う持ち分というのは、五十万円出したら五十万円分を割ってくれるというふうに思ったのだろうと思いますが、それは実は、出資金の割合によって分けるということに結果的にはなっておる。したがって、そういう場合には事前に契約書その他で共有持ち分を特定をする。それを承知の上でやって損をするのは、これはしようがないわけでありますが、しろうとの見た場合は、ちょっと誤解を生ぜしめるような形で行なわれておるということが一つございます。それからもう一つは、宅地建物取引業法では、共有持ち分を分譲いたしました場合には、直ちにその本登記をさせなければならないわけでございますが、いまのように価格を上回るように、五百万の物件に対してもう数千万の金を集めておるというようなかっこうでは、共有持ち分の本登記ができないわけです。そこで共有持ち分の登記ができませんので、所有権移転請求権の仮登記というものをやっております。これは所有権移転の請求権の順位を保全するというための登記でございます。だから上位の、たとえば十人くらいまでは意味があるわけでありますが、十一人以下は全然意味がないわけであります。ところが、知らない人はこの仮登記をもらいまして、これで自分の権利が保全されていると思って安心している、こういう点が問題でございます。その他持ち分につきまして重要事項の明示というものがされておらない、こういうような点をはっきりするようにということを指示しております。
  89. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その辺よくわかりました。  それできょうは大蔵省に来ていただいておりますからちょっとお尋ねします。  この種金融犯罪の防止について、金融関係における法律違反の疑いがあるといま言われておりますが、どうお考えになっているかという点が一点。次は、出資の受入、預り金及び金利等の取締等の法律に違反すると思いますが、第何条項によってこの措置をとられたらいいと思いますか。三番目は、金融犯罪の防止として、大蔵省としての取り締まりの強化が要請されておりますが、今後これらの問題を含み、どのような具体的な対策を講じられていくのか。この三点、まとめてひとつお答えいただきたい。
  90. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましては、今回の事件に関連いたしましては出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の第二条に該当すると考えております。といいますのは、第一条といいますのは出資金の受け入れの制限でございますが、これは出資をした人が共同で事業を営むという意思というものがなければいけない。第二条におきましては、これは単なる預かり金でございます。今回の事件におきましては、売買をいたしました代金を三年後においては、そのときの金をそのままお返しする。それからまた、それに対して年一四・四%の実質的な利息でございますが、そういった確定利息を払う。そういった事実。それからしかも、先ほどから御説明がございますように、一つのマンションにつきましては、その価格いかんにかかわらず多額のこういった資金の受け入れが行なわれておるというふうなことがございますと、これは明らかに不特定多数の者からによる資金の受け入れである。しかもそれは、先ほど申しましたように、元本の返済というものを確約し、しかもそれについて実質的な確定利息をつけておるということで、またこういった資金を拠出した人は、事実われわれの承知している範囲内におきましては、第一条でいうところの共同事業を営んでいくというそういった意思がないやに聞いております。したがいまして、ただいままでのところ、大阪地方検察庁がその犯罪の一部につきまして公訴を提起いたしましたのも、その犯罪の事実の容疑はこの第二条第一項違反というふうに聞いております。この点につきましては、警察庁それから法務省、大蔵省とも意見が一致しておると考えております。この法律につきましての主務官庁は、御承知のように警察庁、大蔵省ということに相なっております。  大蔵省といたしましては、第一条、第二条違反につきまして、通常の行政面におきましては一般の善意な市民の方からよく照会があるわけでございます。こういったものは法律違反にならないかどうかということがございます。それから同時に、また取り締まり官庁のほうからも大蔵省の意見いかんというふうな照会がございまして、そういったことにつきましては、大蔵省といたしまして省としての確定解釈で御答弁を申し上げておるわけでございますが、同時に、今回のような問題が起きましたときには、これは直ちに地方支分部局に流しまして、同様な事例がないかどうか、そういったうわさを聞かないかどうかというふうなことの注意を促しております。ただ何ぶんにも、そういったことは、一般の日常の行政官庁としては普通の善意の人に対しては非常にやりやすいわけでございますけれども、今回の事件のようにかなり巧妙に犯罪行為をやっておる、しかもこの法律の違反ということをあるいは承知しておったのじゃないかと思いますけれども、それをきわめて合法性を装って脱法行為をやっているということになりますと、これは通常の行政面でこれを発見し排除するということは非常に困難でございまして、今後とも取り締まる官庁のほうとの連絡を密にいたしまして、こういった犯罪の未然防止、それから同時に、知り得た犯罪の排除ということについては万全の措置をとってまいりたい、かように考えております。
  91. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が参りましたので、最後に大臣にまとめて二点お尋ねして終わらしていただきます。  第一点は、建設行政のあだ花としてこういう問題が起きてきた。誇大広告、手付金詐欺、計画倒産、二重売り、免許の賃借り、不当な報酬請求、ただいまのマンション事件、またそれに住宅供給公社の事件、これは埼玉県の問題なので私はあまり大きな顔して言えないのですけれども、供給公社の例の問題、こういった問題が多発しているということは、これはやはり不動産取引に対する規制を強化し罰則をきびしくしただけで業界の体質が改善されるということでは、これはだめです。それで宅地建物取引業法、宅建業法改正というものも建設省としても考えていかなければならぬのじゃないか。私どもも、法改正そのものについてはいろいろ検討してこれからまた議論しなければなりませんが、こういう点について最後に建設大臣のお考えをまずお尋ねしたい、それが第一点であります。  第二点は、埼玉県の住宅問題で起きました住宅供給公社の件について一点お尋ねしたい。それは住宅供給公社法の第四十条、第四十一条にいろいろと文章がありますが、要するに知事が監督するということになっておる。ところがこの問題が起きたのも、住宅供給公社の理事長を知事がやっていた。そこに問題があった。そこで専務理事に、県の元土木部長が住宅供給公社の専務理事に横すべりしてこの問題が起きてきたのでありますが、私はこの供給公社問題で前にも一ぺん御質問したことがありますが、この公社は種々の問題点があるのです。そこで知事が理事長をやっておった。その住宅供給公社にこういう汚職事件が発生するような要素を持つ——取り締まる知事が理事長をやっておるのですから、取り締まる者とやるものとが一緒になっておる。要するに執行機関と委員会とが一緒になっておるようなもので、議会と政府とが一緒のようなものです。これじゃ不正の起きる可能性がありますので、こういう場合には建設大臣が監督をするよう法の改正ができないものだろうか。この点についてお考えをお尋ねいたしまして、まだ質問がございますが、だいぶん時間も過ぎたし、各位の御迷惑も考えた上で私質問を終わらしていただきますが、どうかひとつ明快な御答弁をいただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  92. 根本龍太郎

    根本国務大臣 宅地建物取引業法改正をいま直ちにやるべきだという結論は、私まだ持っていません。これは、今回の問題は、先ほど警察あるいは大蔵省、各方面から御答弁がありましたように、非常に巧妙に初めから法をくぐって詐欺行為をしようということの発想のもとにやったように思われるのでございます。そういう者を相手にして宅地建物取引業法改正してやるということは、かなり今度は他の方面の障害が出てくるんじゃないかというような気もいたします。しかしながら、現実にこういったことが起こったことも事実であり、これにひっかかった人間も多数あるということでありまするから、この点は十分に委員各位のいろいろの御意見を拝聴しながら、あるいはまたこれらの審議会の意見も聞いて、これから十分に慎重に検討したいと思っております。  第二の問題は、これは公社法そのものの欠点ではなくして、今回の事件等も私あまり詳しくは承知しておりませんが、かなりこれは私も実は胸を痛めておりますけれども、直接ではありませんけれども、各都道府県に住宅供給公社を置くべきだという政府の方針に従ってやったものが、ああいうふうな事態を起こしたということについて、道義的に私も非常に胸を痛めておるのでありまするが、従来、ややもすれば知事がみんな理事長を兼ねておったので、行政指示をいたしまして、現在ではほとんど大部分が知事でなくしております。しかもその上、御指摘がありましたように、土木部長がこれをやるというのも必ずしも適当じゃない。できるだけ専任の理事長を置くべきだというふうに指導をいたさせております。  ところで、これを直接建設大臣が監督するということは、これまたちょっと問題があると思います。最終的には建設大臣が指導、監督しているのでございますが、ただいま申し上げましたように、専任の理事長を置きまして、そうして綱紀粛正の実をあげますれば十分に知事の監督でやれることでございますし、また、知事のやることについてのいろいろの行政上、政治上の怠慢もしくは不当がありますれば、それぞれの自治体で議会がございまして、それぞれの委員会でチェックし、これによっていろいろと指導もし、弾劾もし、是正もさせるということができますので、むしろいま制度上、建設大臣が直接に住宅公社の人事や運営について指導するように変えるということは必ずしも適当とは思いませんので、十分検討いたしますが、現状のままにおいてこれを改善させるということが適当ではないかと考えておる次第でございます。
  93. 金丸信

    金丸委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会