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内田国務大臣 阿部
委員からたいへん御親切な思いやりをいただいてありがとうございます。
擬制適用がなくなりました
あとの
関係の
方々をどう処遇するかということは、私も当初から一番心にかかっておりました。これは先ほ
どもちょっと申しましたように、ほっておきますと、現在国民皆
保険制度ですから、義務的にどこかの
保険に入ることに必ずなるわけでございます。一人
親方じゃなしに、部下といいますか仲間を率いられた
方々は、
政府管掌
健康保険に入るなり、あるいはまたそうでない
方々は地域の
国民健康保険に入るわけでありますが、それらの
保険料と、いままでの
擬制適用というものがよかったか悪かったかは別にいたしまして、
保険料とかなりの間隔があるはずでございます。もっとも先般の
日雇い健保法の
改正案なりあるいは
与野党の
修正案なりが成立いたしますと、もちろん
日額二十六円の
保険料は御
承知のように六十円、九十円
程度までは上がったわけでございますが、これも成立しなかった現況におきましては、それらの
方々が他の義務
保険に
加入されますと
保険料も高くなりますし、と同時に、同志的結合というものがくずれるという面も私
ども政治家としてわからぬ点はございません。
そこで、それについては
一つのいい方法があるわけでございます。それは、現在では積極的に全く認めてはいない
制度でございますが、本来は、地域
保険でありますところの
国民健康保険につきまして、職種別に
国民健康保険組合というものをつくる道が
法律上はございます。たとえばお医者さん方が一緒になって、そして
国民健康保険組合をつくるなり、あるいは他のある職業の
方々が一緒になって
国民健康保険組合というものをつくる道が法制上はございます。しかし、これはやたらにつくりますと地域の
国民健康保険との
関係もございますので、現在この道は認可をしないことにいたしておりますが、今度の場合にはこの道をあけて、そして元来は
建設関係者、それは大工の方もおられますし、左官の方、板金工の方、あるいは建具職の方もおられましょうし、幾つかの職が
対象になっておるはず。あるいはもっと多くの職種もあるかもしれませんが、
対象になっておる
方々は、それは同一職種と見られるわけでございますので、それの縦横の編成によって
国民健康保険組合というものを認めていこう。ただし、いままでの
擬制適用の場合には、
日雇い労働者健康保険というものが
政府の直営でございますから、
保険料が安かろうが高かろうが、また
保険支払いの金があろうがなかろうが、
親方日の丸で何らの
責任なしに皆さんが
擬制適用を通じて
日雇い健保に入っておりましたが、今度
国民健康保険組合というものをつくりますと、
組合自身が
保険主体になりますので、わけのわからぬ人々と一緒では
組合の運営がつかなくなる。その点を考慮いたしまして、具体的に申しますと、まず地域的な同業種
組合と、それから地域を越えた、場合によっては全国的な同業種
組合の両方を認めていこう。
地域について申しますと、ある府県に
一つでも二つでもよろしゅうございますが、やや広くてもかまいません。
建設関係業者が三千人ぐらいの範囲でまとまりますならば、地域別の
国民健康保険組合というものを認めて、それを助成の
対象にして補助金も出していこう。三千人以下だと、小そうございますと、長期疾患の人でもたくさん出ますとすぐに
保険料を上げなければならない、場合によるとつぶれてしまうかもしれない、こういうことも理論的にはあり得るわけでありますので、危険分散の
意味で三千人以上くらいでないと
保険はもつまいということで、三千人を一応の目安といたしまして、一府県に三千人いない場合は隣接県を含めて、三千人
程度の規模にいたしましてもそれはひとつ認めていこう、こういうふうにいたしております。
それから全国規模でも認めておるのでございますが、全国規模の場合は、原則として十数業種あるいは数業種というような非常に幅の広い建設業
関係だといっても、たとえば先ほど冗談のように申しました神主さんからバーのホステスまで一緒に含んだような全国
組合ということになりますと、同志的結合はできるはずがございません。全国的規模の場合は原則として単一業種、大工なら大工、左官なら左官、板金なら板金、これは原則としてでございます。同一業種も、文字どおり原則として厳格に業種でまとまる場合には同志的結合もできましょうから、また今度の場合は
親方日の丸じゃございません、
自分で
責任を持ちますから、
責任を持つということを
組合結成の発起人の
方々にも考えていただきながら、全国規模の
組合を認めることもあり得るというようなことにいたしまして、もう特別にそんな
組合に入らなくてもこの機会に政管健保の
——自分の部下にめんとうは
自分のほうで
——労災
保険の問題なんかもございましょうし、
自分のところは
保険組合の適用の事業所ということによって人も集めやすい場合も非常にございますので、そういうところへ行かれる方はそれはそれでよろしいし、また、どうしても一緒に連れていかないほうがいい、そうしないと地域の人々と不公平になるという
方々は、もちろんさっき申しましたような現存の地域
組合に入っていただくこともございましょうし、たいへん長くなりましたが、以上申しましたような
趣旨で、
国民健康保険組合というものをつくっていただくように指導いたしまして、そしてそれに対しまして助成をしてまいる、こういうことによりまして急激な経済的、
財政的な変動を避ける、あるいはまた
組織的と申しますか、政治的
意味の課題につきましても、前と同じ全建総連の四十万人を一本の
健康保険組合に認めるということは理論的にもできませんし、また実際的にやってみましても、それは釈迦に説法でございましょうが、地域によって
医療費の非常に安いところと高いところとございますので、全建総連の形で一本というようなことはできるものではございませんが、事態に即応するような
話し合いをいたしながら、以上申しましたようなことで
あとのカバーをしてまいる、こういうつもりでございます。いままでの
擬制適用の
関係で
保険給付を受けられるのが、
擬制適用をいまはもう廃止いたしましたので
保険料の印紙を張るということになっておりますが、通常の場合には、七月なり八月いっぱいは前の
日雇い健保の
擬制適用のままで医療
給付が受けられる。また、すでに病気になって医者にかかっておられる方は、引き続いて二年間だったと思いますが、二年くらいはそのまま、もう前のままの
関係で医療
給付を受けられるということになっておるので、その
制度はそれで生かしながら、おおむね八月末くらいまでを目途として、いま申しますような
健康保険組合へ誘導してまいる、こういうことでやってまいるつもりでございます。
これは単に原則的ばかりではいけませんで、実際におつくりになる場合に
保険料を幾らにしたら成り立つか、また、どの範囲の業種だったら実際にやれるかということも、現実に即して
厚生省のそれぞれの当局、中央なりあるいは
保険事務所なり、それらのほうとお
打ち合わせを願いながら円満にやっていきたい、こういうつもりでございます。