○佐野
委員 だから皆さんのほうは、新しい場合におきましても、親の仕送りを受ける場合には、仕送り分も収入として認めて入居条件の中に入れる。勤労者の家庭では、働いて、しかも親から仕送りを受けて入る者は、それを本人の収入として認めるというような、全くひどい考え方のもとでやらなければ入ることができ得ない。その中で入るという現況に対して、私は、やはりもう少し次官、建設大臣と一緒にこの問題を十分吟味していただきたい、かように考えるわけです。これだけ上げたとしても、一体新規の住宅公団の家賃が下がってきているんだろうか。逆に、市街地の場合においては三万円、あるいは大島における工場あと地の場合をとってみましても二万数千円。もはや勤労者は
日本住宅公団の住宅に対しては入ることはでき得ない、高額所得者しか入ることができ得ない、こういうような家賃になってきてしまっておる。こういう家賃に右へならえをするんだという考え方は、これはたいへん危険だと思います。現在建てておるものと、五年前建ったものとの間に格差が激しい、だから上げるんだ、経営上の問題ではなくて、上げることによって実は家賃を下げるんだと言われる。実際は下がっていない。どうですか、公団のほうだってここ四年間、五年間やってまいりまして、あき家家賃によって下がったということが顕著だということを皆さん言われないでしょう。逆に上がってきておるじゃないか。上がる原因があるわけですね。
実はそのときにおきましても、今回は上げるけれども、いわゆる閣僚協議会が生まれて、土地の問題など抜本的な
改正をやるんだ、土地は商品でない、こういう考え方も明らかにして取り組むんだ、だから、土地収用法は新しく私権を制限いたしますけれども、物価対策の有力なきめ手として国会においてもぜひとも協力してもらいたい、こういう発言も当時なされた。税制に対しましても抜本的な対策をやるんだ。一体何がとられてまいっただろうか。いや、そういうものをやるんだからこれから安定する、いままでは政府が怠慢だったから、おしかりを受けるかもしれないけれども、これからはやるんだ、閣僚協議会でも決定して、各大臣がみんな重大問題だ、このまま放置することはできないから、税制、土地対策を推進する、だから法案を出します、協力してもらいたいと言いながら、安定するから上げるんだ、上げることによって、いわゆる新しい家賃は必ず抑止されるんだ、そういう政府の政治責任の中で、あき家の場合、いま入っている人たちには上げようという考えは全然持っておらない、勘ぐり過ぎです、こう言っている。皆さん、もはや勘ぐり過ぎのことを検討の段階に入ってきて、いかにそれが社会公平の原則に合うがごとく抽象論をもって臨んでおる。私は、これは非常に重大な問題で、そういう考え方があるとすれば、国会の審議の場で、皆さんの検討される問題を明らかにしていただきたいと思います。
それから最後に、次官、今度の予算編成の場合にはあなた自身がお考えになったんじゃないか。このような現状において、逆に社会不公平が増大する、いわゆるまじめな勤労者層はもはや
日本住宅公団の住宅に入ることができ得ないという高額家賃になってきてしまっておる。あき家も上げなければならない。古くから入っている人たちも上げなければならない。しかも、市街地においてはほとんど望みがなくて、汽車を乗りかえながら、電車を乗りかえながら、一時間も一時間半もかからなければ公団住宅が建たない。しかも、値上げの問題は低所得者を苦しめるだけであって、何にも住宅政策の役に立っていないじゃないかという反省があったればこそ、皆さんの場合におきまして、やはり五分の利子を四分にしたい、こういう要求を出されたんじゃないですか。あるいはまた住宅金融公庫の場合におきましても、やはり産投会計から無利子の金が現に使われておりますからね。産業基盤整備のための産投会計から無利子の金を出しておるわけですから、これを住宅の面にも出してもらいたい。だから、出資金として無利子の財投資金を出してもらうことによって取得価格を薄めることができるじゃないか、こういう要求を皆さんは出されたんでしょう。
ことしの場合を見てまいりますと、みんな出資金はゼロでしょう。本国会におきまして、本州四国連絡橋公団法案なりいろいろな法案審議の中でも、多くの国からの出資金が出てまいっておるわけであります。あるいは財投融資の中における産投会計というものは一体どう使われておるであろうか。これは政府みずからの手によって、無利子の産投会計というものを住宅政策の中に導入する、こんなことは社会正義の上においても当然なことじゃないか。やればできることだ。だから、皆さんも六百七十億円を要求されたわけでしょう。残念ながら全額削除になっておりますけれども、そういう考え方がやはり皆さんの中にあるんじゃないですか。あるいは現在、財投資金の六分五厘を五分に内部で、自己資金でやりくりしておられるわけでしょう。ところが、やはり補給金というものが出ていない。ようやく住宅公庫の場合におきましては七十億円ですか、利子補給金というものが一般会計から導入されてきておる。住宅公団は一銭も補給金をもらってないじゃないですか。予算
委員会なんかにおいても、大蔵大臣は全く勘違いをして、補給金を出していますというような答弁をやっているのを先ほども読ましてもらって、実はびっくりしたのですけれども、住宅公団に対して、一体一般会計から補給金が出ておりますか。