○卜部
委員 全く文化庁の御
意見のとおりだと思います。というのは、ここにも福市遺跡のパンフがあるわけですが、遠くてごらんになれないと思います。さっきもこれを見にきた人がおったわけですが、いや、これはすごい住居趾だな、こう言っておりますが、この上にあるのが学校です。これが日進小学校です。それでここにまた住居趾があるということで、これをわざわざ残して、それで校舎をずらしてここに建設されておるわけですね。これはいま部長のおっしゃるとおりです。そのときに、当然プールをつくろうとする
土地も遺跡
指定がなされておったと思うのですね。当然、文化庁のほうのお答えにもあったように、われわれとしてもそれは遺跡
指定がしてあったと思っておったわけです。突如としてそういうことをやるものだから、これはとんでもないことだ、こういうことに相なっておるような状態です。ですから、いまのおことばの中で、これはあくまでも保存をしていくという態度を貫いていくということを聞いて安心いたしましたけれ
ども、しかし、これと並行して、これはもう常識として、学校ができればやはり住宅ができてくるわけですね。そういう点からここにある福市遺跡、これを私たちは全部福市遺跡と言っておりますけれ
ども、これをやはりこわそうとするような動きがあるわけですね。
そこで、これは建設省のほうに先ほど来指摘をいたしておりましたけれ
ども、私たちの研究員の中にでさえ、業者から五十万の金を渡すからひとつ
調査したことにしてくれないかというような誘惑がかかったことも事実であります。ですから、企業側としましては、ともかくなるべくそういうような
調査をしたという名目の中で、一気かせいに
——これは峰続きのほうをこわすことが一番安いのです。ここら辺のたんぼなんというものは、五千石平野といって、いまごろすごく高いわけですから手が出ない。ですから、やはりここに手が伸びてくる。こういうかっこうで青木
地区というものが破壊される危険性もありますから、ひとつ文化庁としては、私たちが言う福市遺跡の問題、これは宮畑
地区もそうでありますが、また二新庄
地区、さらに御所原
地区あるいは東堀
地区とかいう
地区がたくさんありますので、特にこの福市遺跡の問題については十分な監視をしていただきたいし、また指導をしていただきたい。このことをひとつお願いをしておきたいと思います。よろしゅうございますね。
そこで、建設省のほうに申し上げたいと思いますが、建設省のほうは政務次官一人しかおらぬのですか。
——では続いて文化庁のほうに申し上げたいと思いますが、これはおそらく建設省と競合する分野がたくさんあると思うのですね。それで、こんなことを言って
——先ほどのお答えもありましたように、文化庁はよくがんばっている、こういうことについては私わからぬではないのです。しかしながら、古都保存法にいたしましても、当然あれは文部省の担当ですよ。それが、古都保存法は建設省のほうにさっと吸い上げられた。こういう問題もありますが、これは予算的な
関係もあるかどうか知らぬですが、人のふんどしで相撲をとるようなきらいが文部省、文化庁なんかで多々あるのです。それでは国の予算
執行という問題がやはり問題だと思うのです。これは午前中にも指摘をいたしましたように、業者がこのごろおかかえの
調査団をつくると同じように、国そのものの姿勢が、国でもって私たちの遺産を守ろうという姿勢がない。そして何かしら
調査をやらせるというときには業者にやらして、それでもうそれは済んだというような、そういう国の予算
執行の姿が文化庁にもはね返ってきておる、こういうふうに私は思うわけであります。
そこで、私はもう
一つ原因があろうと思うわけなんですが、文化庁の技術員、技官、こういう人たちが、建設省だとか住宅公団だとかいうような人たちに、情報をキャッチして説得し得るような、そういう人たちがほんとうに少ないのじゃないか。予算の
関係でしぼられておる
関係かどうか知りませんけれ
ども、そういう技術者が少ない。こういうところにも問題があろうと思う。だから、奈良だとかそこら辺の
調査のあれがだいぶふえていますけれ
ども、やはり、文化庁のそういう人員を強化する
措置が必要じゃないか。だから、結果的にこの福市の遺跡なんかでもそうです。行って
調査を
自分ができぬから、県教委にまかせた。そこら辺でやってみろというようなことではね上がってきたものを、ああそうか、五十七条の二によるところの申告が出たか、発掘やむなしだろう、そういう調子が全国にやられているから問題がある、こう思うわけです。ですから、確かに今度は五億から十億の
土地買収の予算なんかもふえたけれ
ども、これとても微々たるものですよ。六百億だけではならぬですよ。そういう
意味で民族の遺産を守るという文化庁の皆さん方なんだから、胸を張って、やはり堂々と私は行ってもらいたい。そしてまた、いまの人員の強化の問題等につきましても、やはり十分に
政府のほうに
要求をしてもらいたい、こう思います。そういう点で、ちょっと文化庁をほめたようなかっこうになったりなんかしますけれ
ども、しかし、実際問題としては、そういう弱点もあることも皆さん方も知ってもらわなければならぬ、こう思うわけであります。
建設省の方はお見えになりましたか。
——建設省の方には、午前中にどこら辺までやりましたかね。たった二つしかやってなかったと思うのですが……。大企業の問題についてお話をしておったわけですが、大企業の記録保存という名目のもとで工事をどんどん施工することができておるわけですが、中小企業にとってはそうしたところの
調査をする資力がないわけでありますから、隠して工事を進めていく。いまのこの福市遺跡と同じでありますが、そういう問題について建設省としてはどういうような指導をしておるのか、この点についてちょっと指摘をしてみたいと思います。