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根本国務大臣 ここに各
委員の皆さまに印刷したものを差し上げておりますので、これで御承知願いたいと思いまするが、主として私は今回行って見た後の所見を申し述べまして、これに基づきましてもし御
質問がございますれば、御説明いたしたいと思います。
昨日、羽田五時発の飛行機で参りまして、直ちに現場に設置されてありまする現場の対策本部に入っていきました。そこには中馬市長ほか関係のおも立った人が集まって、今日までの経過の御説明がございました。この経過がここに書いてあるのでありますが、それから現場はすぐ近くでございましたので行きました。行ってみて想像以上の被害の状況に、私はしばし絶句したのでございます。と申しますのは、
工事のための覆工板がまるでめちゃめちゃに散乱しておる。ただ幸いにも——幸いと申しますか、私が行ったときには
大阪の警察の機動隊、消防署、関係者の非常な必死の努力で遺骸あるいはまた負傷者の処置はできており、凄惨なそれだけはなくなっておりました。
ところで、現場に私が行こうとしたら、それはあぶない、まだ非常に危険であるからということで、中まではだれも入れさせてくれなかったので、そばからずっと見てきたのでありまするが、おそらくこういう
工事中の爆発としては、よその国でもほとんどないのじゃないかというほどの大きなもので、私は驚いたのでございます。
いろいろ事情を聞いてみますと、あの
工事については、関係者はそれぞれ指示されたことはかなり守っているようなんです。安全のために、二日前、それから前日と当日も
調査はしておるのですね。確認しておる。にもかかわらずああいう事故が起こったことについて、どうも私は解せない。そこで、これは慎重に原因を
調査してもらわなければなりませんが、確認をしたけれども、確認の方法に手落ちがなかったかどうかということですね。これの究明を客観的にやらなければならないのじゃないかということがまず第一点です。
確認の方法は、ただにおいでやるよりほかはないということを言っているけれども、この科学
技術の進んだ今日、科学的にガス漏れがはっきり探知できないというところに疑問を持ちまして、このガス漏れの探知機の
開発を精力的にやらなければいけないということが
一つでございます。
それから、建設現場の担当者は、こっちから指示したところの工法はよく守っているようでございます。したがって、動揺とかつり下げの工法に誤りがあって、そこから出たとは思えない状況でございます。しかし、これは厳重に検討してもらわなければならぬ。爆発後そういうものがくずれたとか、何かによってああいうふうになったというような結論はまだ出てないようなんです。ただし、私は、自分の所見として本日の閣議にも報告し、参議院の本
会議の
質問にも答えたのでありまするが、ああいうふうに非常に大都会の密集したところでございまするから、非常に埋設物が複雑に入り組んでおります。そういうところでオープンカット
方式の工法を——これは禁止するわけにいかない、いまのあれでは。みな発注者の意思によってきめられておる。私は、あれを許可するときに、これは
法律上の改正が必要かどうかまだわかりませんけれども、ああいう密集地帯の非常に複雑な埋設物のあるところでは、工法を
条件つきにきめて、シールド工法をとるならとるという
条件のもとに許可するということも検討すべきじゃないかということを、これは運輸
大臣にも、それから通産
大臣にも私は意見を出しております。ただ、シールド工法をとるに適当でない地盤もあるようでございますから、そういう場合には、むしろ私はガス管を移設してしまって、移設してから
工事をやるという、命令でやれるなら、そういうふうな方法をとるべきではなかろうか。いずれにいたしましても、いままでやって指示したことで間違いないということを
技術者の諸君が言っているようでありますけれども、それだけでは満足せずに、私は工法全体を再検討すべきだということを、きょうの閣議で提案している次第でございます。
それから私が現場で聞き、また、いろいろその後の
調査で確認したことでございまするが、
工事関係者の死傷者は非常に少ないということです。わずか三、四名のようですね。ところが大部分は
工事に関係のない人、しかもその地域の人よりも、むしろよそから来た通行人が非常に多かったということでございます。なぜそうなったかということをいろいろ聞いてみますと、最初修理に来た、安全装置を手入れするために来たガス会社の職員が乗ってきた車がその現場にあって、それが燃え出した。ちょうど夕方どきで、サラリーマンやいろいろ通行人がバスとか何かで来たところが、道路のまん中で燃えているから、それに興味をそそられてずっとみな出てきたらしいですね。警察は交通規制はしたんですけれども、制止したけれどもみんなぞろぞろと来て、制止が物理的に行き届かなかった、力の関係で。もうだあっと来るものだから。そうしているうちに爆発、それでああいう被害が大きくなったということでございます。機動隊が来て現場の処置等一生懸命やったようでありまするけれども、どうも一般の市民の方々が、ガス漏れによって起こる爆発の危険性を認識しない。写真をとるとか、子供なんかは——子供さんが死んだのがだいぶあったようですけれども、それなんかはやはり興味本位で、燃えておるのでみな集まるから、ますます人が集まってきたというところに爆発の連鎖反応が起こった、こういうことでございますから、私は今後の対策として、ガス漏洩のあるところの地区については、今後警察がまず何よりも避難命令を早く出して、それから消火なり何かということ、ガスの手当てをするというほうがむしろ適切じゃなかったか。
大阪の警察本部長も、そういう経験がだれもないものだから、ただ一生懸命燃えているところを押えるのに集中したのではなかろうか。そこで今後は全国的に、ガス漏れの地帯については何よりもまず避難命令、それからいまの交通遮断してそこに人をやらないというような措置が必要ではなかろうか、こういう所感を持ちました。
それからもう
一つは、これは通産省に対しまして、先ほど申したようにガス漏れの自動探知機の
開発と、その設備をすべきであるということで研究してほしいということを要請しました。
それから、私も非常にガスの知識がなかったために——あの事件が起きて、ガスがとまるまでに三時間かかっておりますね。なぜすぐにとめられないのかと申したところが、専門家のほうでは、メーンパイプ、そのそばを何とかして急にとめると、今度はその圧力の変化で、家庭で使っておる火から引火してさらに大きな爆発を誘発するので急にとめられない。何かとめる前には大きな風船みたいなものをそばに置いて、そこに吸い口をつけて、そうして圧力を調整しながらとめなければならぬ、そのために三時間もかかった。これは現在、それよりほかないということです。それはあまりにもプリミティブではないか、そういうことであるならば、やはりガス漏れが出た場合にパイプを安全に、かつすみやかに遮断する
技術開発を当然やるべきだということもお願いしてまいった、こういう状況でございます。
建設省といたしましては、直ちに事務当局に今後こういうことの絶対ないように、まず現在各地で地下
工事等をやっておるところを総点検して、万全の上にも万全を期する指示を与えたということと、それから今後地下
工事を、特に大都会でやる場合にはできるだけシールド工法を採用するということ、それから移設する検討を命じておる次第であります。
なお、今回私は、自分の所管でないけれども非常にショックを受けたのは、あそこの警察官で非常に優良な機動隊の隊長が、死体やそれから負傷者がそこに見えておるものだから、やはり自分の身の危険を全然忘れてしまって非常によくやったために、一酸化炭素を吸入してしまってなくなられたという。そこで私は、いままでああいう災害に対して、ああいう警察隊とか警察官があまり経験がないからそうだと思いますけれども、国家公安
委員長には、大都市については消防と、警察官にはガス漏れの場合に安全な防具をちゃんと整備してやらないと、職務に忠実なる人間に不測の災いが起こってくる。最初はみんなあぶないと警戒しておったらしいですけれども、あまりにも悲惨な状況のものだから忘れてしまって、抱きかかえて搬出に夢中になってしまうのは、これは人間の本能だと私は思うのですね。だからして、それは不注意だといってしかることはできないのじゃないか、やはりこれは防具をちゃんと与えておかなければああいうところの処置ができないじゃないかと思いまして、さっそくこれを公安
委員長に申し入れておいた次第でございます。
概略以上でございます。もし何か御
質問ございましたら、私の知っている範囲内で御
答弁申し上げます。