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1970-04-03 第63回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月三日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 大村 襄治君 理事 正示啓次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       古内 広雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       松浦 利尚君    小濱 新次君       内海  清君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  地方道路公社法案内閣提出第八六号)  本州四国連絡橋公団法案内閣提出第八二号)  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八七号)      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会の件についておはかりいたします。  本委員会において審査中の、内閣提出本州四国連絡橋公団法案について、運輸委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。この際、これを受諾し、来たる四月六日月曜日午前十時から運輸委員会との連合審査会を開会することに御異議ありませんか。   〔「異議存し」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 金丸信

    金丸委員長 なお、ただいま決定いたしました運輸委員会との連合審査を行なうにあたりまして、日本道路公団当局及び日本鉄道建設公団当局から参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 金丸信

    金丸委員長 これより地方道路公社法案本州四国連絡橋公団法案道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  8. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま建設省業務やり方をずっと振り返ってみますると、従来、建設省直営で実際の事業をやってきた時代がずっとあったわけであります。現状段階では、これはもうほとんど全部請負に回されて、直営現場というものはほとんどないようになってきておる。そこで今回地方道路公社法、こういうものがだんだん広がっていく。しかも本来有料制道路という形態にすべきでない基幹的な道路までが、有料制道路になってきつつあるように思うのです。したがって、建設省は、従来の事業をみずからやっていくというシステムから、いわば行政官庁にするなどということをある時期にいわれた。最近は今度経済官庁にするんだ、こういう言い方さえしておるように聞いておるわけです。したがって、今回のこの地方道路公社法内容等を考えますると、いま建設省で言っておるという、この事業をやってきた役所から行政官庁にしていく、今度は経済官庁だ、こういう一連の行き方を見ますと、将来建設省人員配置というものは、非常に圧縮をしていくかっこうになるんじゃなかろうかということが想定されるのであります。この辺は一体どうかということが一つ。  それからいま全建設省定数一体何名なのか、昭和四十四年における人事異動は、その中で一体何名人事異動を行なったか、このことをまずお聞きしたい。
  9. 根本龍太郎

    根本国務大臣 建設省仕事は、最近非常に事業量がふえております。これを全部直営でまいりますと非常な人員を要するのでありまして、実は、私が十二年前に建設大臣を拝命しておった当時、御承知のように初めて道路特別会計を設けました。現在から見れば非常にわずかなものでございますが、当時、五カ年九千億でございます。年間業務としてわずか二千億足らずでございますが、その当時、従前のように直営事業でやりますと約二万数千名の職員の増加が必要ということに計算されたのでございます。ところで、当時の行政管理庁長官をしておりました川島正次郎先生から注文がつきまして、当時から行政機構の縮小、役人を減らせという、これは野党からの強い要請もございますし、内閣もその方針に従いまして、この道路特別会計を設けることによる人員はふやさないという条件で、これが閣議で了承を得たのでございます。そのときに、全面的に事業民間企業体に発注する、設計調査の一部をも民間に委託してやるという方針をとりまして、自来今日に及んでおるのでございます。特に今後道路の新しい五カ年計画が十兆三千五百億にものぼる、あるいは河川住宅等、これが一々直営事業でやりますとたいへんな役人を任命しなければなりませんので、したがいまして、事業量に伴うところの人員をふやすということはいたしませんで、でき得るだけこれは民間企業にやらせる、建設省はいわゆる行政官庁として指導、監督、立案、そういう方面に向けていきたいと思うのでございます。しかしながら、いま御指摘になりましたように経済官庁になるという、これはどういう意味かはっきりわかりませんけれども、能率的な行政管理を行なうということについては変わらない方針でございます。  次に、現在の定員並びに人事配置あるいはまた任免等に関することにつきましては、事務当局から御説明いたさせます。
  10. 志村清一

    志村政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十五年度の建設省定員といたしましては、特別職大臣政務次官等四名おられますが、これを除きまして三万三千九十二名でございます。このほか、暫定定員として五百十七名を予定いたしておる次第でございます。  なお、お尋ねのございました異動の問題でございますが、大体春に五千名前後の人員異動をやっております。年間を通じまして春の異動が一番大きな異動でございますので、年間を通じましても大体六千名程度であろうと考えております。私ども建設省仕事を直接やっておりますのは工事事務所でございますが、工事事務所仕事の分量というのは、たとえば道路とか河川とかいろいろございますが、そういった仕事は逐次でき上がったり、あるいは新しい仕事ができたりするわけでございます。工事事務所相当部分は、事業量が大きく変化をいたしております。そういった意味もございまして、定員異動と申しますか配置転換は、相当の員数にのぼっておるという状況でございます。
  11. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長、その中で生活場所その他を全部変えなきゃならぬくらいの異動、たとえば通勤可能な区域内の異動と、それから通勤不可能で一家全部引き連れて異動しなければならぬような異動の中身もあると思うのですが、その割合はどうでしょう。
  12. 志村清一

    志村政府委員 ここで異動といっておりますのは、たとえば本省の中で河川局から道路局にかわるというような異動は勘定に入れておりません。ただ、建設省仕事全国的なものでございますから、全国事業所がばらまかれております。そういう意味で、家族全員が動くとか、通勤ができなくなるというふうなものは相当ございます。ただいまその割合は明確にいたしておりませんが、相当ある、かように思います。
  13. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私の判断では、六千名という年間異動建設省全体の定数に対して約五分の一であります。しかもこの五分の一というのは、家族全部引き連れて、一切の生活環境を切りかえざるを得ないという規模での異動が約六千名に近い、五分の一に及んでいるのであります。したがって、この異動をめぐって、建設省現場で働いておられる皆さんの中には、たいへんな問題が起こっておるのであります。したがって、私がその中で特に問題にいたしまするのは、建設省当局組合運動というものに対してどういう認識を持っておられるかということに、たいへんな疑問を感ずるのであります。そこで、前提として断わっておきますけれども、私は建設省労働組合推薦は受けておりません。私は労働組合出身ではないのであります。したがって、建設省には、どっちかというと管理者の側といろんな接触の度合いが多い。その観点から見ておりましても、組合運動に対する建設省当局側の態度というのは、たいへん一般的な常識を越えておる点があるのじゃないかということを痛感するのですが、その辺は官房長どうですか。
  14. 志村清一

    志村政府委員 私ども組合に対する考え方でございますが、職員団体職員勤務条件維持、改善をはかるということを目的といたしまして、公務員法あるいは人事院規則の定めるところによりまして適法な組合活動を行なうのは当然でございます。私どもといたしましても、適法なそういった組合活動あるいはそれに基づく諸要求事項についても、組合とよく話し合いをしてまいりたいと考えております。しかし、違法また不当な組合活動が行なわれるという場合におきましては、これを見過ごすわけにまいりませんので、法の定めるところによりまして、しかるべき所要の措置を講ずるというたてまえで進んでおる次第でございます。
  15. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長、こういうのはどうでしょうか。いま異動の時期になってくる。その前に管理職課長その他が、組合運動相当熱心だと思われる職員をつかまえて、おい、君、そろそろ異動の時期だなというぐあいにぽんと肩をたたくのです。これはどうでしょうか。おい、そろそろ異動の時期だな、ぽんと肩をたたくのです。こういうことがいま一般的に建設省で行なわれていますね。建設省異動というのはよその異動と違って、たとえば県庁の職員とかあるいは学校先生なんということになると、大体家族ぐるみ全部生活場所を変えなければならぬという異動じゃない。建設者異動というものの内容は、やっと住みなれて、子供学校や何だかんだみんな定着したときに、君、そろそろ異動の時期だな、こう言ってぽんと肩をたたかれちゃうと、ぎくっとするような内容を持つわけですね。こういう行き方で組合からの離脱をすすめておる事実がたくさんあるのです。この事実について、合法的な、適法な行為だというふうに官房長はお考えですか。
  16. 志村清一

    志村政府委員 建設省労務管理におきまして、組合からの脱退工作をするとか、あるいは第二組合の結成を管理者側がはかるというような御趣旨の御質問かと思うわけでございますけれども、私どもは、組合活動につきましては、先ほど申し上げましたように、適法な活動は当然あってしかるべきで、われわれとしても十分組合とも話し合ってまいろうというたてまえでございますが、いわゆる職員団体に加入するとか、あるいはそれから抜けるとかいうふうなことは職員みずからおきめになることでございまして、われわれがこれに不当に干渉するということは当然不当労働行為として禁ぜられておるところでございますので、われわれといたしましては管理者に対しましても、いろいろな会合の場におきましても、こういった問題の起きないようにという指導を重ねていたしております。  確かに最近、建設省関係事務所等におきまして、全建労脱退いたしたり、あるいは新しい組合をつくったりという動きがずいぶん出ております。このことにつきまして、一部から、管理者側がそういう工作をしておるのではないかという話も私、耳に入っておりますが、かようなことのないようにわれわれとしては十分注意をいたしております。ただ、先ほど申し上げましたように、職員の中にはいろんな考え方の方がおりまして、ある特定の組合の行き方にとてもついていけない、だからわれわれとしては別の立場でいきたいというような方もおられるようでございまして、そういった職員の中の考え方がいろいろあるということは、これまたやむを得ないことでございます。しかし、そういうものに関連いたしまして、当局がことさら助成、干渉といったことのないように、常日ごろからわれわれとしても指導いたしておるような状況でございます。
  17. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 事実を示せということになれば、幾つかの事実を私はあげてもいいと思うのですが、官房長言うほど、そんなにりっぱに、きれいにやられていないのです。公然と管理職組合からの脱退勧告を、もう公然と個人を呼びつけて、いまの組合はいかぬぞ、おまえさん、将来があるんだから抜けたらどうかということがしきりに繰り返されて、なおかつ抜けませんと言う者については、ちょうどいまごろのシーズンになりますると、ぽんと肩をたたいて、そろそろ異動の時期だなと、こういうことになる。それは、不適法なことをやっておりますとは官房長なかなか言わぬでしょう。内容はこういう経過が、何せ全建設省職員のうち五分の一というものが、生活の一切の環境をひっくり返さなければならないような異動対象になるわけですね。昭和四十四年でいえば。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 やはり局長ぐらいになれば、異動でも何でも、それはまた条件が違うわけですね。管理職や何かの皆さん異動とは、一般の働いている職員異動というのは違うと思うのです。いまみたいな形態でやると、これは結び合わせてないといえばうそなんで、私の見ておる限りでも——私は建設省労働組合推薦などなかなか受けられませんので……。しかし、現実に見ておりますと、組合活動に熱心なような職員がおった、次に異動期が終わっていってみると、いなくなっているのです。聞いてみると、ぽんと肩をたたいて、そろそろ異動期だなというようなことでやっている。このやり方不当労働行為じゃありませんか。あげろというなら、幾つかの事実を私は持っておるんですが、きょうそこまで言うつもりはありませんけれども、そういう事実ありとすれば、これは不当労働行為じゃありませんか。官房長、どうです。
  18. 志村清一

    志村政府委員 事務所長クラス管理者側の出先における長でございますが、事務所長クラスにおきましても比較的転勤というのはございまして、あちこち回るわけでございます。あるいは技術系事務所課長というようなものも、日本全国を通じまして北から南へと、あるいは南から北へとずいぶん回っております。建設省仕事自体が、先ほど申し上げましたように全国的な規模仕事をしておる、そして幸いのことに仕事がどんどん仕上がっていくというふうなことから、異動が激しくならざるを得ないということでございまして、全体的に異動があるのはやむを得ないことと存じます。また、一部に実は長期の滞留者等がございまして、かえってその人の能力を開発し、新しい仕事に従事させるほうがよりよいという問題等もございまして、われわれとしては、仕事の能率的な向上あるいは職員の資質の向上というようなことも考え合わせまして配転ということをやっておりますが、異動時期になりましてある程度の異動があるというふうなことは、まあやむを得ないことだというふうに私どもは考えておるような次第でございます。
  19. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 建設省一つの特徴だと思うのですけれども、確かに仕事全国的な規模で動いておることは、私どもそのとおりだと思うのです。しかし、異動をやったけれども、たとえば私のところの酒田の工事事務所定数が減ったかといえば、減っていないのです。山形工事事務所の人数がうんと減ってくるかといえば、減っていやしない。うんとふえているのかといえば、定数はあまり変わってはおらない。その中で五分の一くらいの者が異動対象になって、どんどん、子供の教育から生活の一切の環境をしょっちゅう——管理職ならこれは別です。総体を統括する責任のある者ですから、これは私、異動使命感を持ってやらなければならぬことは当然だと思う。いまのように、組合運動との関係でどうもあいつ活発だ、組合脱退を勧告してなおかつ応じないような土根性のあるような者は、ぽんと肩をたたいて、異動期だぞというような形でやっていくこと、これは不当労働行為じゃありませんか。この事実を私、幾つか材料を持っておりますけれども、きょうここで言おうと思いません。思いませんが、官房長は、そういうやり方は、事実だとすれば不当労働行為だということは確認しますね。
  20. 志村清一

    志村政府委員 先ほど申し上げましたように、業務上の必要等々によりまして配置転換をいたしておりまして、職員組合活動家であるというようなことで異動をするというようなことはいたしておりません。   〔正示委員長代理退席委員長着席〕 さような意味におきまして、実はわれわれといたしましても、宿舎の手当てとか、あるいは共かせぎをしておるような場合には、事情の許す限り共かせぎを一緒にやっていけるような配慮とか、あるいはさらには、本人身上申告書等をとりまして、本人の家庭の事情とかあるいは希望とかいうふうなものもあわせ考えながらやっておりまして、これが組合幹部であるとかあるいは活動家であるとかいうふうなことをもって異動の要素にいたすというようなことは、いたしておらない次第でございます。しかし、数あることでございますから、さような中におきまして、組合幹部あるいは活動家異動対象になるということは、これはやむを得ないことで、組合活動家だけを配転対象外にするということはできません。さように考えておるような次第でございます。
  21. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長答弁をすりかえちゃいけないです。組合からの脱退を陰に陽に働きかけて、応じなかった、その場合に、おい異動期だぞと肩をぽんとたたいて、異動がきまるまで時期がありますね、その間に本人組合から抜けるかどうかを見ておって、抜けないという場合に異動をやらすというのは、これは不当労働行為じゃありませんか。
  22. 志村清一

    志村政府委員 先生お話を承りまして、まあいろんな条件があると思いますけれども不当労働行為の中には、利益誘導というようなことはいかぬということになっておりますので、もし利益誘導にかかるようなことがございましたら適当ではない、かように考えております。
  23. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。あとでその事実を幾つか御披露いたしますので、善処してもらいたいと思います。  先ほど、本人からの身上申告書をとってある、したがって、それによって家族状況その他いろんな意味で、異動させた場合にはたいへんだと思われるような者は異動させないようにしてあるというお話ですが、中には、身上申告書転勤希望と出すような者はあまり動かすな、転勤いやだという者をひとつ異動させろ、その場合に、常に組合から抜けるか抜けないかということを陰に陽に働きかけるということをやっておるのがいるのです。確かに身上申告書のようなものをどの機構の中でも、たとえば地方自治体なんかの場合でもみなとっておると思う。そこで、本八の希望としては異動したくないという場合でも、異動対象にならざるを得ない場合もあると思う。あると思うけれども、いまのように組合から抜けるか抜けないかということを条件にしてやっていくというのは明瞭な不当労働行為なんで、別な条件でやったんですとは言うのですが、私ども客観的に見ていると、私のように全建労推薦を受けておらない者の立場から見ておっても、ははあやったなと、はたから見ておってちゃんと見えるようなやり方は、これはどうでしょうか。  そこでもう一つ、ためて質問をいたしますけれども、これは保守党の与党の皆さんは非常に目ざわりなものかもしれませんけれども、一般的に組合運動というものの領域というものがあると思うのです。たとえば、いろいろな役所の建物の中などに職員団体掲示板のようなものがあるということになりますと、一般的なところの職場では、みんなその掲示板には人事院勧告完全実施とかあるいは安保反対とか春闘の勝利とか、やはりいろいろなポスターを張りますね。組合新聞や、あるいは私ども社会党新聞どもよく張る。建設省掲示板というやつは、私ども社会党機関紙などをあそこに張ったりすると、あるいは組合新聞であっても人事院勧告完全実施なんてことで張られておるとか、安保反対なんていう活字の入ったものを張ると、はがせということになるようですが、ほかの職場ではちょっとこういうやり方は見てはおらぬのですが、これは官房長、あなたのほうで指示しているわけですか。
  24. 志村清一

    志村政府委員 身上申告書につきましては、先生のおっしゃるとおり各人希望が雑多でございますので、その希望どおりいくというわけにはなかなかまいりません。各人申告書参考にいたしまして、でき得るならば各人申告希望に沿うようにいたしたい。人事配置上の一つの重要な参考とはしておりますけれどもお話しのように、身上申告書のとおりいくということはなかなかむずかしいのでございます。ただ、それを悪用するということのないようにわれわれも十分注意をいたしておりますが、今後もさらに注意を続けていきたい、かように思っております。  なお、職場における掲示板の問題でございますが、先生承知のとおり、庁舎等を公務以外の用に供するというのは、国有財産法で一応原則として禁じられておることでございます。しかし、そうかといいまして、適法な組合活動として行なわれる掲示活動ということにつきましては、これは庁内における業務の遂行とか秩序の維持とかあるいは災害の防止とかいうふうなことに支障がないというものでございましたら、これを認めるのは当然だと思うわけでございまして、われわれといたしましても、組合側に対して掲示板設置個所というものを設けまして、そこに掲示をするということについて包括的に許可をいたしておりますけれども、しかし、違法または不当な活動がございます場合には、人事院規則等々に基づきまして、これをとどめてもらいたいというふうなことをわれわれとしては言わざるを得ないと思うのでございます。人事院規則政治的行為の問題とかいろいろなことについていろいろ指示がございます。それらに基づきまして、適正でないものについてはビラの掲示等をやめろという指示をするのは、法律制度上からやむを得ないもの、かように考えております。
  25. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長、あなたなかなか答弁がうまいのですが、よく聞いておると私は問題があるように思うのですが、たとえば掲示板がずっとこうあるわけです、一定のスペースが。そこから掲示してあるものが一センチはみ出してもけしからぬといってすぐはがすというのは、これはどうですか。掲示板スペースの中から、その張ってあるものが建設省でいう適法なものであっても、一センチはみ出しておっても、許可の基準と違うといってぴっとはがす。はがせと言ってはがさぬと、管理職の人が来てぴっとはがすというのは、これはどうですか。
  26. 志村清一

    志村政府委員 まことにそういう問題というのは、お互いの気持ちの通い方だと思うのであります。実を申し上げますと、かつて建設省組合活動がたいへん激しいことがございまして、率直に申し上げますと、事務所長がノイローゼになって入院するという例が頻発したこと等もございまして、多少そういう点について、一部の個所で、お互い管理者側組合側との感情がやや対立的になっておるという個所も実はまだ若干あろうかと思います。そういったことにつきまして、両方の側で、ささいなことでいがみ合うということもなきにしもあらずだと思いますが、かようなことは、われわれとしては非常に不幸なことだと思っておりますので、管理者側に対しましても組合側に対しましても、正常なる活動についてはお互いにひとつそれを育てていくといいますか、われわれとしても十分それに対応し、話し合いをしていくという体制に持ち込むように努力しておる状況でございます。
  27. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長、政府が長年にわたって公務員のストライキ権を剥奪する代償として、人事院という制度をつくってそしてやられてきたわけですが、いまだに勧告どおり実施されたことは一ぺんもない。したがって、これはひとり建設省のみならず、国家公務員はもちろんのこと、これに準ずる地方公務員なども、全部人事院勧告を完全に実施しろという強い言い分を持つことは当然だと思うのです。人事院勧告の完全実施を主張する主張というのは、不法、不当な政治的主張ということになるでしょうか。
  28. 志村清一

    志村政府委員 人事院勧告完全実施ということは、先生のお説のように不当なことにはならぬ、かように考えております。  実は、昨年も、組合側大臣との会見がございましていろいろ話し合いをしたわけでございますが、その際も、人事院の勧告の実施等についてそれぞれ希望がございました。われわれもその意を受けて、しかるべき場所において発言をいたしたりしたような次第でございます。
  29. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、建設省のみならず、国家機関あるいは地方自治団体等の職員が、このくらいの小さな、人事院勧告完全実施という黄色か何かの小さいリボンなんかをつけていますね。このリボンをつけたということだけの理由で、勤勉手当を減給させておるという事実があるようですが、その辺はどうですか。
  30. 志村清一

    志村政府委員 リボン着用の問題でございますが、勤務時間中リボンを着用したということだけで違法とか、不当であるとかいう問題はない。ただ、その着用いたしましたリボン自身が、その違法等の中身をリボンが表示しておるとか、あるいはそういうものでないにいたしましてもリボンのつけ方、あるいは大きさとか、あるいはどれだけの方々がつけておるかとか、それによってかもし出される雰囲気が異様な雰囲気になる、あるいはよそから来た方々が見て非常におかしいじゃないかという印象を与えるとかいうような場合に、われわれとしてはリボンの着用は適当でない、違法、不当の疑いがある、かように考えております。それ以外の場合でもわれわれとしては好ましくないのでなるべくとってくれというふうに注意はいたしておりますが、そのリボンの内容によるものか、かように考えております。
  31. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 人事院勧告完全実施というこのリボンは、不法、不当でしょうか。
  32. 志村清一

    志村政府委員 これは、先ほど申し上げましたような条件を考えましたら、違法、不当ではないだろう、かように考えております。
  33. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 しかし、このリボンを着用しておったというだけで勤勉手当の減給をされたという事実はどうでしょうか。現実にやっておりますよ。
  34. 志村清一

    志村政府委員 ストライキ宣言をいたしまして、そのもとにおいて統一行動としてリボンを着用するというふうな場合がございましたならば、さような問題につきましては、われわれとしては適当なものとは考えておらない、もしそういう状況でございますならば、あるいは訓告とかその他の注意を受けるということはやむを得ないことだと存じます。
  35. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 リボンというのは、建設省の財産か建設省の備品か何かを削ってつくったリボンじゃないのです。おのおのがつけておるリボンですね。いわば私物に属する問題だと思うのです。このリボンを着用したというだけで減給になる、あるいは勤勉手当を減額するなんということが起こるのならば、今度、官房長の締めているネクタイの色がどうも気に食わぬ、あるいは下にどんな下着着ているか知らぬが、下着の色がけしからぬなんということで、だんだんやるようなかっこうになるんじゃありませんか。したがって、ここには、状況判断に対するいわばものすごい運用上の拡張解釈というものが行なわれている危険があると思うのです。人事院勧告完全実施というのはきわめて冷静な、きわめて一般的な、それはだれでもが——政府にしても、完全実施できなかったことをよかった、けっこうだったと思っているのじゃないのですから、まことに申しわけないけれども現状段階でこれでかんべんしてくれ、こう言っているのが現状でしょう。その場合の人事院勧告完全実施というのは、不当、不法ではないと思う。そのリボンを付しただけで勤勉手当の減給までやるなんということは、さっきの、おい、そろそろ異動期だぞといって肩をたたいていくのと同じように、私は、ちょっとヒステリックに過ぎるのじゃないかというふうに思うのです。しかも、よそのどのあれを調べてみましても、全職員の五分の一というものが、一家春族全部、もろもろ引き連れて生活環境を異にしなければならぬような異動のしかたというのは、私どもの調査ではあんまりない。私はどうも、そういう意味で、建設省職員団体活動というものに対する対応のしかたというものが、非常にヒステリックに過ぎるのじゃないかというふうに思うのです。これは官房長、ひとつ冷静に検討してみる気持ちになれませんか、どうでしょう。
  36. 志村清一

    志村政府委員 リボンの問題につきましては、繰り返すようでございますが、先ほど申し上げましたように、リボンの中身とかあるいは着用の際の状況とかいうふうなことで、いろいろ問題があるわけでございます。先生お尋ねのお話は、昨年の十一月十三日の統一行動戦術の一つとしてリボンを着用した際の問題ではないかと推定いたしますが、これは御承知のとおり、統一行動作戦の一つとして行なわれた……(阿部(昭)委員「作戦というのは何です、作戦というのは」と呼ぶ)戦術、統一行動戦術の一つとして行なわれたようでございますが、ストライキ宣言下の組合活動の一環として行なわれておったものでございますので、こういったことにつきましては、ストライキそのものが問題でございますし、公務員として適切でない行為である、さような意味において、職務命令でリボンの取りはずしを命じたわけでございます。その職務命令に従わなかった方に対しまして、いわゆる公務員法による懲罰ではございませんが、訓告とか注意とかいうふうな措置をとったというのが事実でございます。  それからもう一つ、先ほどの異動の問題でございますが、年間五、六千程度の異動がある、かように申し上げましたが、それ全部が非常に大きな異動であるとは限らぬわけで、ちょっと私もどの程度の数字かはっきり推定できないのでございますが、おそらく事務所同士で、事務所外ではなくて事務所間に動くというのが、年間を通じて三千くらいあるのではないかというふうに考えております。
  37. 金丸信

    金丸委員長 関連。松浦利尚君。
  38. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 官房長のいまの答弁にちょっと疑義があるのです。官房長人事関係を担当しておられるというので御存じだと思うのですが、いまあなたの答弁を聞きながら、私は神戸の中郵事件をいま思い出したのです。御承知のように、神戸地裁では、闘争宣言を発しても、要求を記載したリボンをつけることは闘争ではない、それは郵政省の行き過ぎであるという地裁の判決が出まして、そしてバックペイしたことがすでにあるのです。これは、私ははっきりわかりませんが、国家公務員の労働組合がビラをつけたことによって不利益を受けたということで、人事院に公平審査を求めたことがあるのです。建設省だったかとも思うのですが、そのときにも、ビラを撤去する場合に、業務命令とかそういう行為を行なうのは行き過ぎであるという人事院公平委員会の結論が出たことを、いまあなたの答弁を聞きながら思い出したのです。だとすれば、十一月十三日の人事院勧告完全実施、言われたように統一闘争ですから統一宣言を出したといたしましても、その地裁の判決あるいは人事院の公平審査による決定というものを見比べてみますと、あなたが言ったように、異常な状態のリボンということの解釈は成り立たないのですよ。だから、いまあなたが言われたような形で建設省の労使関係が依然として存在しておるということだと、私はちょっとたいへんな問題だという気がするのです。だから、その点もう一ぺん正確に答弁してください。おそらくこれは、あなたは答弁の行き過ぎじゃないかと思うのです。人事を知っておればそういう答弁にならないと思うのです。どうです。
  39. 志村清一

    志村政府委員 いわゆるリボンにつきまして人事院に提訴がございまして、裁定が出たということについては、私も承知いたしております。その際の人事院の考え方が、このリボンの関係についての御質問の冒頭に私が申し上げたように、リボンの内容そのものが適切でなかった、あるいはリボンの内容そのものとは別個に、リボンの着用の形態が異様な雰囲気をかもし出し、局外者、部外者から不審に思われるとかいうような状況になったときには、職務命令でもって撤去するということは適当だろう、それ以外のときには、職務命令等出すということは適切ではないというような趣旨であったかと思います。私どもも、そういったたてまえで考えて、行動をしておるわけでございます。  今回の問題につきましては、ストライキ宣言下における統一行動としてのリボン着用という問題につきましては、われわれとしてもいろいろ考えたのでございますが、これは一応政府の統一した見解に基づきまして、さように措置をいたしたという次第でございます。
  40. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 官房長一つのことを見ておると、労使問題というのは生きものですから、御承知のように動いておるわけです。固定的なものじゃないのです。ですから、神戸地裁にわける判決と公平委員会における裁定というものを見比べてまいりますと、やはり郵政省がとったように——何か勤勉手当をチェックしたという、カットしたのですか、いま阿部委員質問に対してカットということばが出たのですが、かりにカットをしておったとすれば、私はそれはかえって行き過ぎではないか、むしろこの際郵政がとったようにバックペイすべきだと思う。ちゃんと神戸地裁の決定に服して郵政省はバックペイを出しておるわけです。だから、なぜそういうことをされるのか。先ほどの説明を聞いておりますと、官房長も、人事院勧告完全実施という要求は正しい要求だ、こう言っておられるでしょう。正しい要求をやって、しかも闘争戦術でない、リボンをつけておったというだけで勤勉手当がチェックされるということになれば、阿部委員が先ほどいろいろ質問しておられたように、建設省に正常な労使関係というものは存在しておらぬじゃないかということになると思うのです。いまカットしておられるかどうかは別にして、かりにカットしておるとすれば、この際やはりこれは生きものなんですから、バックペイなさることが将来の労使関係にとって正しい行き方だ、またそうすべきだ、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  41. 志村清一

    志村政府委員 昨年十二月の勤勉手当の支給の問題でございますが、これにつきましては、勤務成績によりまして三つくらいの段階を設けまして勤勉手当を支給するということになっております。その際、勤務成績によってランクをつけるわけでございますが、今回の十二月の勤勉手当の支給につきましては、別にリボンをつけたからつけないからということではなく、全体の六カ月間における勤務状況を判断して点数をつけまして、それによって勤勉手当の支給をいたしたような次第でございます。
  42. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長、あなた表情豊かに答弁するので、一応はもっともらしく聞こえます。あなたの横にいらっしゃる方はどなたか知りませんが、ちょいちょいあなたに知恵をつけられる。きわめて無表情。無表情なところがほんとうじゃないかという気が実はするわけなんです。  そこで、私の手元にある資料によりますと、青森の工事事務所、ここではリボンの関係で文書によって厳重注意をされた者が四名、口頭でリボンの問題で注意を受けました者が四十七名、合わせて五十一名ですね。減額されました者、これも五十一名なんです。員数がちゃんと符号しておる。その次の岩手工事事務所、これもリボンの関係で、口頭によって厳重注意を受けました者二十七名、減給されました者も二十七名。ずっと見てみますと、員数がみんなぴしっと合っておるのです。総合的な成績とかなんとかいうのは、あなたの表情豊かなところでごまかそうと思っても、事実はそう簡単にいかぬと思うのですよ。あなたの横の人は無表情で盛んに知恵をつけているようですが、あなたはにこやかに表情豊かに答弁するので、この場の雰囲気はなかなかいいのですが、事実はそうじゃないということを内容がちゃんと証明しておると思うのです。私は、そこは虚心たんかいにいかなければならぬじゃないかと思うのです。どうでしょう、官房長
  43. 志村清一

    志村政府委員 私どもといたしましては、先生から御指摘のありましたもののほかに各地建でいろいろやっておりますが、たとえば土木研究所等見ますと、リボン関係で処分を受けた者が十名ほどおるわけでございますが、いわゆる成績があまりよくないというふうにされた者は一人もいないというように、各勤務所によりまして実はデータにそれぞれ違った点がございます。これらにつきましては、私どもは、勤務成績は仕事のできばえとか、勤勉さであるとか、規律とかということを総合的に判断しておるわけでございまして、リボンに関して注意等の措置を受けた職員のうち成績率が低く決定された職員がおることは事実でございますが、それは総合判断の結果行なわれたものというふうに考えておる次第でございます。
  44. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 官房長、それはちょっと虚心たんかいという、私のほうからきわめて穏やかに提唱しておることと——それはことばだけで総合判断というようなことでやれるのなら、あいつはどうも——官房長とお隣と二人並んでおる。官房長はなかなかいい感じですよ。しかし、お隣は無表情で、このあたりがちょっと、こう感じますね。その感じ方だけでそう簡単に給与の問題にまで影響するような減給とかなんとかというものをやられてはかなわぬと思う。総合判断と言えば、何とはなしに望洋と、ものみなそこに含み込んでしまうようなかっこうになる。事実はそうではなくて、リボンで注意した者、この皆さんといまの勤勉手当を減給された者が、ほとんどの場合にぴしっとみんな数字が合っておる。総合判断なんというのは、いわばその場しのぎの官房長らしからざる答弁で、お隣あたりからちょいちょい無表情でものを言われて、ロボットで答弁しては私はいかぬと思う。そこは虚心たんかいにいこうじゃありませんか。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの阿部委員質問に関連して申し上げますが、いま阿部委員のところに、せっかく建設大臣が来ておられるからということですが、阿部委員建設大臣に建設行政の質問がしたいと思うのです。しかし、建設行政を執行するためには、その衝に携わるあなた方、そしてそれに従う従業員というものが一体的になっておらなければ、建設行政というのは進まないと思うのです。だから、阿部委員建設大臣質問したいけれども官房長に一生懸命質問しているのです。しかも私がこの数字を見たら、阿部委員の言うとおり、全く同じなんですよ。もっと極端な言い方をさしてもらいますと、処分を受けた人は労働組合員だという言い方をしておるのです。それが全部勤勉手当からカットされているのですよ。どうですか。郵政省もすでにバックペイをやったわけだから、もう一ぺんよそと相談せぬで、大乗的な見地から、官房長、あなたが人事関係では最高責任者なんだから——もちろん最高責任者は大臣ですが、大臣はそんなこまかいところまで御存じないですから、あなたがぴしっとそこで言われたら次へ進むんじゃないですか。しかもさっき業務命令なんか出せませんと言うけれども業務命令を出している。富山工事事務所で経理課長の大矢さんという人が、業務命令という形で文書を各人に出しているのです。そういうことから見ても、どうですか、過去にあったことはわれわれはもうここで追及しませんから、ぴしっとバックペイするならバックペイする、善処するということがなぜ言えないのですか。たいしたことじゃないと思うのですがね。むしろそのことが、建設行政を前進させる一番基本のことだと思います。これは労使関係に大切なことです。
  46. 志村清一

    志村政府委員 先ほど先生からそういう業務命令のお話が出ましたが、先ほど申し上げましたように、今般につきましては取りはずすようにという業務命令は出しております。それに従って取りはずしをしなかった職員に対して、注意あるいは訓告という措置をとったわけでございます。  なお、勤勉手当の問題でございますが、勤勉手当そのものは、先ほど申し上げましたように、業務の遂行状況その他を勘案いたしまして、全く平等でなく、よくやる者は多少色をつけるというふうなことで制度的にできておるものでございますので、先ほど詳細に申し上げましたような各種の要素を考えながらやっているわけでございますが、これらにつきましても、先生御指摘のように誤解を受けることのないように、これからも慎重に公正に進められるようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 官房長、将来のことはよくわかりました。将来のことがそういうふうにはっきり言われるなら、いままであったことはどうなんです。私が質問し、阿部委員質問しておる内容についてはどうなんですか。それはそのまま据え置きですか。
  48. 志村清一

    志村政府委員 訓告等の処分を受けました者は、勤勉手当の支給において非常に優秀であるというところにランクできない。これは人事院等でもさような方針で進んでおるわけでございますが、あと、どういうふうにランクするかということにつきましては、各管理者がそれぞれ自己の所属の職員を十分見た上で、各種の要素を判定しながらきめるわけでございまして、管理者もそう神さまのような人ばかりでないわけでございますので、場合によりましては多少の行き違いがないことはないと思いますけれども、われわれとしては公正に判断して進むようにという従来からの指導もいたしておりますので、今後とも公正さを保つようにということで十分指導を続けていきたい、かように考えている次第でございます。
  49. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 関連質問のほうが長くなって申しわけないのですが、どうも答弁がすれ違うのですよ。ここのこの数字が事実だとするならば、国家公務員法にいうところの懲戒処分、人事院規則に定めるところの懲戒、訓告、これは四名なんですね。そうすると、国家公務員法あるいは人事院規則等にいうところの手続による訓告というのは四名で、あとは厳重注意ということなんですよ。これは懲戒処分ですか、あなたが言われるように。そうじや危いでしょう。これは法的根拠はないでしょう、厳重注意というのは。だからそれは、先ほど阿部委員が言われるように、厳重注意の数字を足していくと、リボンをつけた人の数字になるわけですよ。偶然かどうか知らないけれども、数字がたまたま一致する。だから私たちが質問しているわけですよ。どうなんです、これは。さっきから具体的な問題としてバックペイという問題を出しているが、ここでいますぐそうしますと言うことができなければ、調査をして善処するとかなんということも建設省の場合はできないですか。過去のことについては、もう一ぺん発令したものは一切だめ、間違っておろうがどうであろうが、絶対だめだというふうにかたくなになってしまわれるのですか。扱っておる仕事がコンクリートだとか何とかだから、かたいのかもしれませんけれどもね。その辺の人事というものは、先ほどから言うように生きものだから、それはお互いに間違いもあるでしょう。だから、そういうものをいつまでもかたくなに、からに閉じこもってやっておれば労使関係は決して前進しないし、また明るくならないと思うのですよ。だからどうです、官房長、そういうふうにかたくなにならず、もっとおおらかな気持ちで、過去にやったことについての答弁ができないのでしょうか。大臣ならもっときちっと答弁されるでしょうけれども大臣が就任前のことであるし、官房長がこういった問題の最高の責任者だから、あなたに質問が集中しているのですよ。どうです、くどいようですけれども。将来のことはわかりました。過去のことです。
  50. 志村清一

    志村政府委員 国家公務員法等による処分というものは戒告以上でございまして、訓告は公務員法によるいわゆる懲罰ではございません。  なお、ただいまの話でございますが、私ども承知しておる範囲では、たとえば北陸なんかではリボン等で三十数名注意を受けておりますけれども、いわゆる勤勉手当等で下のほうにランクされたものは一人もいないという状況でございます。先ほど土木研究所の例も申し上げたように、十名処分を受けましたが、下にランクされた者は一人もいないということでございまして、建設省の各所属の場所場所によりまして、それぞれ総合的に考えて処置したものでございますので、私ども一応妥当な線、かように考えておるわけでございます。
  51. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういう木で鼻くくったみたいな官僚的な答弁やっちゃいかぬと思うんですよ。私ども、こういう問題はさっと片づけて、そうして一日も早く法案審議をどんどん進めたいと思っている。そういう角度から、いまみたいな何というんですか、あなたらしからざる無表情な答弁をしておったんじゃ、これはらちがあかぬですね。あなたおっしゃいますけれども、私どもずいぶん材料持っておるんです。リボンはけっこうと、こう言うんですね、あなた、さっきは。そしていま、リボンで注意その他受けました者はいわゆる公務員法でいう処分ではないもので、減給をやられた者は、リボンでやられたんじゃなくて総合的なその人の成績を判断してのことで妥当だ、こうあなたはおっしゃいますけれども、数字は全部リボンで注意をされた者、これがきちんとほとんど合っておるんですよ。私は、そんなことやっちゃいかぬと思うんですね。私ども無理言おうと思いません。これは、官房長立場立場としてあろうと思いますけれども、やはり将来、建設省の場合には全国的な規模業務を進めなければならぬ、そういう観点から見れば、どうしたって人事異動ということになれば、いまみたいなたいへんな問題をはらむ。それだけ他の役所と違った、建設省職員というのは、多くの献身的なそういう使命感というものを要求されてくると思う。そういう観点からいえば、どうしても正しい労使慣行というものをつくるという意欲を大臣を先頭にして当局の側も持たなければ、組合側をただぽんと片手で、おう、そろそろ異動の時期だぞという程度でやっていったら、私はこれは将来えらいことになると思う。そういう意味で私は、正しい労使慣行をつくっていくという、この立場は非常に重要なことだと思うのです。そういう意味で、どんなに官房長抗弁されようとも、リボンを付しただけで注意その他を文書、口頭でやられました皆さんと今回の勤勉手当のチェックは、全部符合しておるんですよ。これはやはり何らかの善処をするという態度に出るのでなければ、私は正しい労使慣行というのは——当局側はオールマイティーで、職員のほうは虫けらのようにというわけにはいかぬと思うんですね。これは大臣、何らかのかっこうで善処を求めたいと思うのですが、大臣のひとつ、それこそ官房長でできない答弁をこの際期待したいと思うのです。
  52. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いろいろお話聞きました。私、まず第一に、建設省管理者と第一線で働く人たちの間の信頼感の確立については、全く同意見であります。これなくしては仕事はできません。特に建設関係仕事は、場合によっては生命に関係する重要なことであります。それだけ正常でなければならぬと思います。と同時に、いやしくも公務員として任命された者は、まず第一に、国民に対する奉仕が第一前提であります。その職務を遂行するにあたりまして、自分たちが公務員としての私的利益と申しますか、それを確保するために、労働組合の結成は許されておるわけであります。しかし、この労働組合は、国家公務員たる立場における一つの制約があることも事実でございます。官庁内における組合運動は、それだけ非常に制限されておるはずでございます。その制限内における正当なる労働組合活動は、当然われわれとしても、これがむしろ健全に運営されるためには協力もし、助成してしかるべきであると思います。しかし、逆に、組合活動なるがゆえに何らの制約を受けずに、組合活動なるがゆえに官庁内において何らの拘束なくやるということも、これは許されてないと思います。そこにお互いの秩序と自制というものが必要であろうと思うのでございます。私は十二年前に比べれば、だいぶその点は改善されたということを認めております。その間におけるいろいろの試行錯誤がお互いにあったことも事実だと思います。ただし、いま聞いている限りにおきましては、任命権者である管理職が、今日組合弾圧のために不当なことをしておるという心証は、私はまだ受けておりません。したがいまして、一般論として御提言されたことについては全面的に同意でございまするが、具体的に訓告あるいは注意を受けた、それと、いわゆる勤勉手当が減額されたのをいま直ちに撤回してバックペイすべきだという判断には、まだ遺憾ながら達しておりません。したがいまして、この事実については、いまここで具体的にいいとか悪いとかは言いかねます。ただし、今後そういうような、いわば非常にデリケートな、ささいな形式の問題で先鋭なる対立をするということはお互い不幸なことであり、避けるべきであると思います。  そういう意味から、本省はもとよりのこと、第一線に至るまで、労使間という立場をあまりに強調するよりも、お互いに国家の公務員として信頼感を持っていくという観点から、はなはだ古い言い方でありまするが、建設一家的な考えで、お互いに持ちつ持たれつでやっていかなければならないということを実は私はいままで言ってきたのであります。そういう方針でこれから進めていく意味で、総合的な御提言については、私は賛意を表する次第でございます。
  53. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣、言い回しは非常に思わせぶりにもとられますね。しかし、私がいま問うておりますのは、建設一家的にしていきたい、それもよくわかりますよ。しかし、問題は、今回減給したとはいいましても、たかだか勤勉手当に対して百分の二とか百分の三なんです。文書で注意をされた者は百分の三、口頭で注意をされた者は百分の二、これもずっとみんな明瞭に出ておるのです。額たるやほとんど何百円というものなんですよ。それだけのもので内部に非常にいやらしい雰囲気を現実にかもし出しておる。何千円も何万円も減給とか減額というならば、また話は別だと思う。やっぱり相当のことがなければできないことだろうと思いますから。しかし、たかだか何百円の減給、減額で、職場内部に非常にいやらしい雰囲気をかもし出すことになっておる。しかも当局側は、ぽんと肩一つたたけば、一家春族全部生活環境を変えなければならないほどのオールマイティーの権限を持っているのですよ、一人の職員に対して。その中で行なわれておる問題の一つなんです。このいまの勤勉手当をチェックしたという問題は、ほんとうに建設一家的な、管理職も第一線職員もこん然として融和でき、その中で正しい労使慣行をつくるという前提に立つならば、たかだか百分の二とか百分の三とか——リボンは人事院勧告完全実施という内容です。これぐらいのものでそういうやり方をするということは、何としても少しヒステリックに過ぎるのじゃないかという気がするのです。官房長、あれを思い、これを思いという気持ちはあると思う。しかし、その横では無表情な、いろいろな実務にあずかってきた人々の立場もあり、やはりなかなか簡単にはいかないということだろうと思いますけれども、いま大臣言われましたように、将来のことはわかりました。過去のことも、たかだかほんのわずかなことで労使が先鋭的な対立をつくりだすようなことは、この際再検討してみたらどうかということなんです。
  54. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いまのお話を聞きますと、どうも私は、そういうささいなことでそれほど先鋭な対立をするということ自体が、単なるリボン問題だけでない、深い労使の不信感があったと思う。そのためにあるいは組合の行き過ぎもあり、あるいはまたこれに対して管理者としても相当な抵抗もあったとか、いろいろそういう結果、一つのリボンというものに象徴されたのではないかとすら感ずるのであります。そういうことですから、過去についてのわずか数百円の問題であるというならば、阿部さんのいまここに提言されることは、むしろ過去におけるそうしたものをなくして将来に向かっていかによくするかということであるならば、ここで官房長もはっきり言い、私も申し上げたことで、これはいくべきではないかと私は思います。  私は、いまその実態について、自分が、どういう具体的な例がどういう客観情勢のもとにやられたかということがわからないために、この点は私も明言することについて若干心の抵抗は感じますけれども、客観的に見れば、そう私は思うのです。私は、組合員の人で主観的には自分がこのために不当の処分を受けたという感じの人も、金銭上の問題ではなくして、むしろ自分たちがこういう不当にされたという、あるいは信頼されなかったということに対する精神的の不満のほうが大きいと思うのです。だから、そういうことを今後なくするために管理者も十分に気をつけるし、また、労働組合のほうにおいてももっと公的な任務に使命感を持ち、そしてそれをやるために、自分たちも官吏としての私的待遇の改善をはかるということについての御認識に基づいて、組合のほうももっとおおらかな気持ちで御協力してくれるという、お互いのあれがなくしては、労使間の問題は一方的には解決できないと思います。  そういう意味で、ひとつ私も心をいたして指導したいと思いますから、その程度で、お互い国会というところは大局の観点に立ってやっていることでありますから、そういう点で御協力いただければ幸いだと思う次第でございます。
  55. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまずっと経過をたどってみると、総合的な判断をしてみるということを言われるのですが、事実関係は、リボンあるいは文書で注意を受けた員数とチェックされたのはきわめて明瞭です。私ども現場で見ておりますと、管理職皆さんに、私などの場合には特に組合よりもそっちのほうにつながりが深いので、いろいろ非公式に聞いてみますと、非常に熱心ないい人なんだ、しかし、方針としては、リボンをはずせという注意を受けた者は処分だということなんで、わずかの金額だし、いいじゃありませんかみたいなことを言うのです。現場の管理体制にある方々で、私どもいろいろざっくばらんに話し合える人が多くいますから。金銭的にはほんのわずかなものですが、そのことのために非常にいやらしい雰囲気をつくるということは、大臣が求めている建設一家的な、第一線の職員管理職立場にある者もほんとうに解け合って、国家、国民のために奉仕しようという目標と、非常にそごするみたいな雰囲気がつくられておると思う。したがって、先ほどお話しの神戸の郵便局の場合の先例もあり、たいした大きな問題じゃないわけですから、再検討してみていいんじゃないかと思うのです。あとのことは全部だめ、これから先のことだけだ、こういう御答弁では、いささか官僚的に過ぎるのじゃないかという気がするのですが。
  56. 根本龍太郎

    根本国務大臣 阿部さんの気持ちはよくわかる。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 わかりますけれども、どうもそういうふうに法律で争うということなら別ですけれども、そうじゃなくて、いわば今後の労使の関係を建設的にどう改善していくかについて、あなた方とわれわれがここまで合意ができた。国会の場においては、その程度のことがしかるべきではないかと思うのですよ。一々の行政の処分について若干の疑義、これはおかしいということがあった場合に、一々これを是正しろといったならば、これは数限りなき問題が発生すると私は思うのであります。どうかそういう意味において、この問題の所在が明らかになり、これに対する方向づけができたならば、私は、その程度でいくことがしかるべきではないかと感ずるのでございます。
  57. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの大臣の御発言は、非常に含蓄のある、非常に政治的な配慮というものを感ずるのであります。したがって、裁判じゃないわけですから、いまこの問題をぎりぎり詰めるということは私も避けたいと思います。したがって、先のことはわかりました。そういう意味で、異動期になると、おい、ぽんと肩をたたいて——リボンで減給、減額をやられたのは、どっちかというと、みんな組合運動に熱心な連中なんです。したがって、このままでいけば、この中から、ぽんと肩をたたかれて、一家春族引き連れて、生活環境を異にする大転勤をやらされるというものが相当出てくると思うのです。そういうことがないように、金でいえばほんのいささかの額です。そういうことで異様な雰囲気をつくっておるという事態についても、やはり現状をひとつ大臣官房長皆さんもよく相談をされて、検討していただきたいと思うのです。そして将来に向けては、ぜひひとついま大臣から御発言ございましたように、前向きに正しい労使慣行をつくる。いまは、単に職員団体を押えっぱなしで押えつければいいという時代じゃないことは、大臣もよく御存じのとおりです。  これは余談ですけれども、この間、私がたいへんじっこんにしておる人で、おれは組合からはずれたのだ、なぜかというと、やはり転勤の問題が家族関係その他これやでたいへんなんで、どうしてもこれ以上組合におるとどうも異動対象に大いになりそうなんで、はずれましたというようなことをちゃんと言うのです。やはりそういう事態じゃなくて、他の場合、労使関係相当きびしく対立の生じておるような職場でさえも、人事異動については内示即決定なんという形態ではなくて、いろいろ二回、三回人事担当者と話し合う、そして生活環境を全部転換せざるを得ないような大きな異動の場合は、やはり人事当局者とその異動対象になる人との間に何回かの話し合いを行なって、その中には、組合皆さんども十分前向きな協議などもしながらやっておるという職場が、労使の関係相当対立があっても、そういう職場がいま一般的なんです。そういう面では、ぜひひとついまの問題も、既往の問題は目をつぶれという行き方ではなくて、いま大臣の御発言のとおり、ここでは裁判ではないのですからこれ以上詰めることは避けますので、十分の再検討を期待したいと思いますが、それはいいですね。
  58. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私が数次にわたって御説明したとおりでございますが、さらに繰り返して申し上げますれば、管理職立場にある者の十分なる検討、それから運営についての注意も必要であるが、組合側も、私はやはり考えてほしいと思う。組合なるがゆえにいかなる要求でもこれは貫かなければ、それに反対するものは不当労働行為だというふうにきめつけてかかれば、これはたいへんシリアスな態度になる。同時にまた、任命権はやはり管理者にありますから、それを組合が要請しなければ一切人事ができない、これは許せないことであります。そこにやはり、家庭の事情でどうしても動けないという人も出てくるでしょう。そういうときには、十分に善意をもってこれを考える。ただし、先ほど官房長が御説明申し上げましたように、建設省仕事というものは、年によって仕事の性質がだいぶ違ってくるのですね。同じ地方にあれがありましても、いままでダムを建設しておったものがダムが終わってきたのだ。ところが、やはりダムに関する技術者は非常に数が少ない。だからどうしても異動してほしいとか、道路河川、いろいろあるために、普通の役所よりは異動が激しくなるのは、これは建設省としてはどうしてもやむを得ないのです。ところが従前は、そうした人たちはおもにいわゆる定員外のあれで、現場の雇用員はそうだったが、このごろそうじゃなくなったということの関係で、異動に対する家族生活のかなりの抵抗があるということはありまするので、そこで、できる限り公務員宿舎というものを整備して、異動に伴うところの不利益がないように、これから十分注意させたいと考えておる次第であります。   〔正示委員長代理退席委員長着席〕 いずれにいたしましても、労使関係お互いの信頼と良識と善意に基づいてよき慣行ができて、お互いが不信感のないようにする最善の努力を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。
  59. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。なお、この問題について、私どものほうでももう少し内容を検討して、次の機会にさらに合意に達するような答弁が期待できるような、そういう積み重ねをしたい、こう思うのであります。  そこで、これは私の住んでおる町の現場状況の中で起こっておる問題でありますが、建設省職員の寮があります。公務員宿舎にあらざる寮です。この寮の中で、何というのですか、他の政府機関の寮や何かとは非常に違った、やかましいことが持ち上がっている。たとえばふろに入ったならば——洗たくは普通の水道や何かでやってはいかぬ、ふろの水で洗たくをやらなければいかぬというようなことを管理者は言う。若い、それこそ希望を持って建設省に入って、いまだ独身で寮にいる連中です。私も、考えてみると昔海軍の航空隊の経験がありますけれども、ははあ、昔の私どもの予科練時代と似たようなことが、建設省の寮の中ではやられているのだなという感じを持たされる。それから休憩室とか娯楽室のようなところは、時間が来るとぴたりとかぎを締めてしまうということになる。これも、私ども航空隊時代は、夜九時になると消灯ラッパがあって、それで起きているとえらいことになる。いまあれから二十五年経過した今日段階において、建設省の中では、やはりかつての私どもの帝国海軍航空隊の伝統は、脈々として生きておるらしいという気になるのですが、この辺は一体どうなんです。子供じゃないんですよ。みんな公務員試験に受かって建設省に入ってきている連中なんですね。
  60. 志村清一

    志村政府委員 寮の管理運営につきましての規則のことかと存じます。若い人の入っておる寮でございますのでとかく乱雑におちいりがちでございますので、寮生活の秩序を保つことが、お互いにとっても非常にプラスであるわけでございます。さような意味におきまして、管理、運営についての規定を定めたわけでございますが、それが寮に入っている方々の私生活まで非常に強く影響を及ぼす——寮でございますから共同生活でこざいますので、共同生活に伴う制約は、これはやむ存得ないことだと存じますけれども、私生活そのものに対して非常に大きな影響を及ぼすということのないように考えておる次第でございます。こまかいことにつきましては、実は私もよく存じてわりません。
  61. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 たとえばさっき私が言いましたように、ふろに入ったならば、普通の水道なんぞで洗たくをやっちゃいかぬ、ふろのお湯で、人間がからだを洗い上げたお湯で洗たくし行ければいかぬなんという管理者指示、これは私ども、航空隊のときには、確かにふろ場へみんな持っていって、洗たくなんぞも競争でやったものであります。たとえば一定時間で、これはまさか朝の一時、二時までマージャンやってよろしいということにはならぬと思う。思うけれども、十時なら十町でぴたりかぎを締めてしまって、部屋など利用できないようなしかたとか、少なくともみんな、公務員試験を受けて建設省の将来をになっていく若いメンバーですから、そのメンバーに対しては、一定の自治というものを寮なら寮の運営についてやらしていくのが——学生と違うのですよ。国家公務員法で一定の人間的なワク組みの中に入り、一定のえりすぐられて建設省に勤務しておる方々ですね。この方々の寮の運営ぐらいについては、やはり上のほうから、これだということでびしっとやって、洗たくまでこうやれなんて、そんなむちゃなことじゃなくて、その方々の相当部分は私生活だと思う。しかし、寮である以上、団体生活であることも否定できない。そういう意味では、運営については、もっとそこにおる建設省の少なくとも職員皆さんの自治というものを認めることは、現代社会では当然じゃないかという気がするのですが、どうでしょう。
  62. 志村清一

    志村政府委員 先ほど申し上げたようなわけでございまして、私生活の自由を非常に脅かすというようなことがあってはならぬ、かように思います。先生御指摘のようないろいろなこまかい問題等につきまして、場合によっては行き過ぎ等の問題があるかもしれませんが、その点につきましては調べて善処いたしたいと思っております。ふろの湯を使えとかいうようなことは、むしろ年寄りが、ふろの湯を使ったほうが落ちやすいぞと言うようなことではないかというふうに思いますが、そういったいろいろな問題につきまして十分検討いたしたい、かように存じます。
  63. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 水道の水を使っちゃいけませんなんという管理の姿、これは現実にやられている。ふろの湯を使ったほうがあったかでいいじゃないかという限界を越えて、水道の水なんぞ使っちゃいかぬ。とにかくいま私がお尋ねをしておりますのは、一定の話し合いをして、やはりそれはみんな一時、二時までマージャンをやってよろしいというかっこうにはならぬと思う。したがって、その中で一定のあれはあっても、そこに入っておる寮生は国家公務員試験をパスしたある意味でいえばエリート青年なんですね。この連中。しかもそれ以外に国家公務員法のワク組みの中にもおり、いろいろな社会生活の中では一定の規範の中にやはり生活をしておる、建設省が将来を託していくべき方々だと思う。この皆さんに自治もまかせられないで、いつでも寮の中身の、はしの上げ下げまで上のほうできびしい管理規則を押しつけて、そしてやらねばならぬなんということで、どうして大臣が期待するような建設一家なんというのが生まれてくるでしょうか。私が官房長に伺っているのは、寮の運営については自治を尊重する、このことはどうです。
  64. 志村清一

    志村政府委員 寮の生活につきましては、私も寮生自身がみずから律するということは大事だ、かように思っておりますが、大きなワク組み等につきまして、国家公務員の入っておる国有財産でございますので、そういった意味において、また若い人たちでございますから、団体訓練も近ごろの若い人はあまり受けておりませんので、そういった基本になるような条項等については指示をするのがしかるべきで、そういった範囲内におきまして十分皆さん方で話し合って生活を律するという経験を積むべきであろう、かように考えております。
  65. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それではこの次の機会に、私は、寮の現場における規則、管理当局が寮生に一方的に指示をして、これで行けということでやっておるその規則が現場ごとにずっとあるようでありますから、これを持ってきて再検討を迫りたいと思います。官房長はそういう規則を見たことありますか。
  66. 志村清一

    志村政府委員 おそらく見たと思うのでございますが、いま記憶いたしておりません。
  67. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私、まだ実は全部釈然とするほど詰まりません。したがって、この問題はさらに——道路局長は、法案がだんだん延びるのじゃないかと思って気をもんでおられるようでありますが、地方道路公社法にいたしましてもあるいは本四架橋公団にいたしましても、建設省職員をあそこに相当程度投入して、やっぱり機構の再編成というものがいろんな意味で動いてくるのだと思う。そうなりますと、どうしても労使慣行というものを正常にどうつくるかということをやらなければ、大臣が期待するような建設一家というビジョンというものは、そう簡単にいかぬと思うのですよ。そういう意味で、いまの地方道路公社法、本四架橋の問題もしかり、今後の建設行政というものを人事管理という面で一体どう運営するのかということは、今後の建設行政の上できわめて大きなウエートを持つ問題だと思う。したがって、次の機会にさらにまたこの問題はもっと合意に達し得るようにということで詰めてみたい、こう思います。  内海委員がたいへん時間の関係で気をもんでおられるようでありますから、ひとまず本日の段階はここで私の質問を打ち切りたいと思います。
  68. 金丸信

    金丸委員長 内海清君。
  69. 内海清

    ○内海(清)委員 私が最初に一つお尋ねをしておきたいと思いますことは、昨日あたり私のところにいろいろ話を持ち込まれましたので、簡単にお尋ねして、今後に対する御要望を申し上げておきたいと思います。  御承知のように、首都高速道路公団で一日から料金の値上げをいたしました。これはやはり全く公共的な性質を帯びておるものでございますが、ところが利用者にとりましては、料金が上がったけれどもさらに緩和せられない、従前と同様な非常な交通の渋滞を来たす、こういう問題が盛んに話があるわけであります。もちろんこれは、今後のいろいろ計画されております高速道路の建設その他を考慮してあるいは値上げをされたものだと思いますけれども、そういうことが一般の利用者には十分理解されていない。料金が上がったのに交通渋滞がむしろますます激しいじゃないか。こういう状態を一体どう考えておるのか、こういうふうな問題があるわけであります。これにつきましてのひとつ建設省のほうの御所見をお伺いしたいと思います。
  70. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、首都高速道路の供用の延長が相当延びました。これはその意味では非常に意味があることでありまするが、いま御指摘のように、そのために今度は利用者も殺到してくる。幅員が同じで距離が延びたものだから利用者が殺到してくるために、ある局部的部面においてはかなりの混雑、渋滞を来たしておる、こういうことになることであります。それに対して利用者としては、料金は高くなってかえって渋滞するじゃないかといわれることも、これはやむを得ない感情でございまするが、それだといって全面的にいまの首都高速道路の幅員をぐっと延ばすと、これは膨大な資金がかかるのでございます。そこでやむを得ず、これは運営面についても十分ほんとうは考えていかなければならぬと思いますが、いまのところ具体的にこれに対して抜本的にどうするかということは、実際上は非常に困難だと思っております。いずれ今後、首都高速道路のあり方をやはり検討しなければならぬじゃないか。同じ状況でただ延長だけ延ばすと、利用する人間はうんとふえてくるけれども、その時間帯あるいは場所において非常に渋滞するということもできるから、そういう点を十分に調査研究の上、何らかの改善をしなければならぬという問題が出ると思います。この点は事務当局あるいは首都高速道路公団に十分検討させたい、こう思っている次第でございます。
  71. 内海清

    ○内海(清)委員 われわれは、ただいまの大臣の御説明も十分理解できるわけであります。しかし、だんだんと高速道路が延びて利用者が多くなる。そうなれば、やはり少なくとも高速道路に入ります入り口あるいは高速道路から出てきますところ、ここが最も込むのだと思うのです。したがって、この点を、あらかじめ高速道路が延びるに従って将来を考えて改善、改良して、しかる後に料金値上げということが行なわれるならば、スムーズに走っておれば、走行の途中ではそれほどの混雑はないわけであります。ところがそういうことに対して、さらに考慮なしに料金だけを上げたところに私は問題があると思う。しかも一般利用者は、なかなかそういういま御説明になったことも考えられませんから非常な不満がある。しかも、いまの物価問題から考えましても、やはり公共料金的な性格というものは、今日まで政府も常に押えるという態度でやってまいりました。それをさらに、利用者の理解もなしにこういうことをやられるということに対する非常に不満が大きいと思います。その辺の御所見をいまひとつ……。
  72. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでございまするが、実は新たに供用した方面は、一日も早くそれを供用させてほしい、こういう要望が切なるものがございましてああいうふうになったのでございまして、今後は、御指摘のように、出入り口を十分に整備する計画のもとに延長させなければならぬと思っております。今後十分にそういう配慮のもとにやらなければ、せっかく政府あるいは首都高速道路公団が一般利用者のためにやったことが、感情的に受け入れられないということは不幸なことだと思います。十分その点を配慮してやりたいと思います。
  73. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は本論でございませんからこの程度でおきますけれども、いずれにいたしましても、早急に出入り口の整備ということと、さらに、こういった一般利用者の、高速道路が延びますことは希望もあるわけで、こういう料金値上げ等につきましても利用者にもできるだけ理解さすように啓蒙していただいて、早急に出入り口等の改良整備をやっていただいて、スムーズにまいりますように強く要望申し上げておきたいと思います。  いま地方道路公社法案本州四国連絡橋公団法案道路整備緊急措置法等の一部改正がかかっておりますが、私に与えられました時間は大体一時間でございまするけれども、きょうは本会議もございまして時間もないようでございますので、私は主として本・四国の架橋公団問題について、いままでもいろいろ御質問がありましたので、あるいは多少重複する点があるかもしれませんけれども、私の疑問とするところをお伺い申し上げたいと思うのであります。  この中・四国の架橋問題につきましては、すでに御承知のように、建設省では昭和三十四年からこの調査に入っており、さらに、国鉄は三十年ごろからこの調査に入っておるわけであります。そしていままで十年間というような長い間、この問題に国としても取り組んでおる。ましてや地元の関係地方公共団体等におきましては、真剣な態度で、非常にいわば今日政治問題化するまでに誘致運動が行なわれておったということであります。さらに、それに加えまして一昨年でございますか、いわゆる新全国総合開発計画が設定されまして、これによりますると、昭和六十年までには中・四国連絡道路は三本必要である、こういうことが決定されておるのであります。これはもちろん、最新の技術を要しまするきわめて大きな事業でございますから容易なことではないと思うのでありますが、今日まで十年以上それぞれの立場でこれまで調査してまいりましたこの調査費のみでも、かなりの額になっておるようであります。おそらく建設省関係あるいは国鉄関係その他を入れますると六十億くらいになっておるのじゃなかろうか、さらに、地方自治体がいまの調査あるいは宣伝その他に使いましたものを入れますならば、優に七十億をこすのじゃないかといわれておるようでございます。これはまことに大きな金額でございまして、御承知のように、若戸大橋が東洋一といわれたけれども、これはわずかに五十一億程度でございます。私の地元に尾道大橋ができましたが、これなら四つ以上できるわけでございます。でありますから、私は、今日の段階で、これが直ちに架橋という段階にまだなかなかいかぬようでありますけれども、できるだけ早く建設省といたしましてはこれが建設に着手するということが、国家的立場から見ましても、ましてや地方公共団体の今日の立場から申しましても、きわめて緊要なことじゃないかと思うのであります。そういう意味合いで考えてみますと、昨年末におきましても前建設大臣の坪川さん、この時代にも秋にはすでにきまる、あるいは総選挙以前には決定されるというふうな段階であって、これまたそれぞれ関係方面は相当大騒ぎをした。しかし、それがきまらないで、今日この公団法というものが提出されたわけであります。  この公団法によりますると、目的としましては中・四国のいわゆる有料道路の建設、それから鉄道の建設、さらにこの管理を総合的かつ効率的に行なう、これが目的になっておる。しかもその業務としては有料道路の新設であり、あるいは改築、維持、修繕、その他の管理、鉄道の建設、管理というようなことが業務になっておるのであります。ところが、いろいろ予算委員会以来質問がございまして、私それを承ってみますと、大臣の御答弁によりますと、この公団に対して技術開発公団的な性格を含めておるのじゃないか、こういうふうな気持ちがいたすのであります。その点はいかがでございますか。
  74. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、この本四架橋の問題が、いわゆる政治的に取り上げられまして十年の歳月をけみしております。これに対して関係地元の非常に熱心な政治的な運動が行なわれ、これが中央における非常に重要なる政治課題になったことも事実でございます。その過程において、これは日本にとってのみならず、世界の架橋においても非常に珍しいほどのむずかしい問題でございますので、一応学界並びに技術者の方々に調査を依頼し、あるいは助言を求めたりしてやってきたのでございまするが、その結果、技術的に理論的にはこれは可能であるということが出たのでありまするが、これをどういうふうな運びで順位を立ててやるかというところに、またこれが政治的な非常な問題になってきたのでございます。  ある特定の地域の人たちは、何としても自分のほうを優先さしてくれということが、みんな出てくるわけでございます。ところが、全体の日本の財政力からいたしまして、しかもこれが道路整備は、御承知のように、それぞれ五カ年計画で財源あるいは路線等も一応の目標を立ててやっておるときに、新全総で大体六十年度までに三本必要だとはいうものの、これをやるということはたいへんな財政負担になる。そこで、一本にしぼらなければやれないというような判断も、一時出たことは事実でございます。その過程において、それでは一本にしぼろうという努力もしたわけでありますが、それがなかなかむずかしかった。そうした形において論議されたとき、私も実は党側におりまして、これにいろいろ参画せしめられたことも事実でございます。  しかし、私がはからずも建設大臣を拝命いたして以来、真剣にこれを関係各方面の意見を聞いてみて判断したことは、理論的に技術的に可能であるということは出たけれども、現実に工事をする場合における技術というか設備というか、これを現実に工事をするための条件はほとんど整っていないと言ったほうが正しいほど、かなりむずかしいということでございます。それは御承知のように、これがある一つのところについていえば世界最長であり、しかも海中で四十メートルも五十メートルも深いところで、それから潮流が非常に速いということ、しかも大型の船がしょっちゅうあすこは出入りしておる。それに地盤関係のたいへんむずかしいところである。それにもってきて、御承知のように台風常襲地帯に類似するところであり、しかもこれがつり橋でやらなければならない。しかもこれは、よその国でない、二つの面については鉄道と両方併用するということになりますと、技術的問題は、たとえば日本で宇宙衛星をやるということが、理論的にはこれもすでに十年前に可能であるということで、東大なり科学技術庁が取り上げています。しかし、実際にやってみると、あれだけの英知とあれだけの努力をしたにもかかわらず、幾たびか失敗し、そうしてようやく先般でき上がった。ところがあれは宇宙衛星だからいいけれども、これには今度は車と汽車が乗って、これにもし事故があった場合には、これはたいへんなことになるのでございます。単に理論的に技術的に可能であろうというだけの学術的な結論だけではできない。どうしてもこれは調査、設計を本格的にやらなければならぬ。そうした上に今度は技術開発をしなければならない。海中でやらなければいかぬ。あるいはつり橋の、非常に台風が来るその空中で作業しなければならない。そのための設備がほとんど開発されていない。してみれば、いま現在、あるいは道路公団あるいは鉄道建設公団というものがございまするけれども、これが分担してやってはとうていこれはできない。そういうような形で、単に政治的な決意だけではいかない技術的な、あるいはただいま申し上げましたような一つのプロジェクトとして、これは総合的にやらなければならない。それにはやはり一つの統一的にやる機関を設けなければならない、これがいわゆる公団発想でございます。  それができてから初めて、今度は具体的な架橋に入れる。その間において、これは膨大な資金を要するものでございまするので、地元関係者の御協力を得て、土地あるいはその他についての、あるいは漁業補償の問題も出るでございましょう。そうした問題の解決、あるいはまた、地元関係の御協力は資金的にも相当協力してもらわなくてはならない。そうした問題を集中的に、総合的にやるための機関としてこの公団の設立をお願いした、こういう次第でございます。
  75. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣のお考えはわかりましたが、大体いままで、御承知のように、それぞれ土木学会でも調査ができましたし、あるいは鉄建公団でもいろいろ調査してまいりました。その結果がいままで発表されてまいったわけでございます。しかし、こういうふうに工期、工費まできめて発表いたします以上、それは架橋がすでに十分技術的にも可能である、こういう見通しがつかなければ、工費、工期も発表できるものじゃないだろうというふうに想像いたすのであります。もちろんいまお話しのような長大橋でありますし、潮流の関係あるいは台風の関係、船の大型船の問題高速の問題、いろいろの問題がございます。これらにつきましてもいままですでにそれぞれ調査、研究がなされて、その結果可能である、したがって工期、工費はこういうふうになるんだという発表があったわけです。ところがいまの大臣の御説明によりますと、まだ残された部面が非常に多いということのように思うのであります。いままでの調査では、いま大臣の言われましたような技術的な面は調査されていないのでございますか、研究されていないのでございますか。
  76. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私が申し上げましたのは、いままでの調査の結果これは可能である、しかもこれは日本の技術で可能である、路線はこういうふうになる、それについてはおおよそこうであろうという判断が出たということは事実でございます。ただし、これを現実に、しからばあすからすぐに着工できるような日本の機械なり設備なり、そういうものができているかというとまだできていない。そこで、これは開発しながら設計をしていかなければならない、こういうところに問題があるのでございます。これははなはだ例が適当かどうかは存じませんけれども、アメリカにおいてもアポロ計画なるものは非常に長い前から理論的には可能である、それには大体こういう目標でやったということもいわれております。しかしながら、幾たびかこれは実験を繰り返し、技術開発をしてようやく飛んでいく。これはアメリカのみならずソ連でも同じでございまして、ある意味におきましては日本のこの陸上にかけるという世紀の事業は、日本におけるある意味におけるアポロ的な一つの試みであると思います。海中トンネルでいくということになれば、これは御承知のように、関門トンネルあるいはまた青函トンネルでできていますけれども、そうじゃなくて、水流のあるところをしかも相当深いところで陸上に——陸上というか空中につくるというところに問題があるのでございます。  技術的なことは私から申し上げても権威ないことでございましょうから、そういう問題については道路局長から御説明申し上げさせます。
  77. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま大臣からお話しになったとおりでございまして、ただ一つ御説明しておきたいと思いますのは、実は四十三年の二月に三ルートについて工費、工期を出しました。この問題でございますが、これはその前年、四十二年度に土木学会の技術的な報告書が出まして、それに基づきまして工費、工期を算定したのでございます。それにはやはり相当な前提の条件がございます。技術的には、これからどういうような工法でするかという問題もございます。それは三ルートともそういう問題を持っておりますので、その辺は一つの前提を置きまして、こういう方法でやったらというようなことで工費、工期をはじき出し、その方法をどう実施していくかという問題は、これは施工上の問題で今後大きな技術開発が必要になってくると思います。また開発いかんによりましては非常に安くなる場合もあるし、またそう安くならない、私たちのほうが予想しておったものよりも高くなる場合もあろうかと思います。  もう一つの問題は、鉄道との併用橋の問題でございます。併用橋につきましては、これは私たち荷重の関係で新幹線を考えておりませんでした。これは在来線の貨物列車、長さ約四百メートルの貨物列車が乗ることがつり橋には一番シビアな条件になりますので、貨物列車が乗るということでいろいろ工費、工期、そのための橋梁の構造を考えた次第でございまして、これがいま伝えられておりますような新幹線を乗せるということになりますと、一つの問題——はっきり言いますと明石のルートについて新幹線だけを乗せる、貨物列車は乗せないということになりますと、荷重条件が貨物列車を乗せるよりはさらに楽になってまいります。そういう点で四十三年に出しました工費、工期というものは、これからの技術開発、これからのいろんな鉄道の計画、道路計画によって変更になるということはあり得る数字でございます。
  78. 内海清

    ○内海(清)委員 大体そういう点は理解できますが、昨年度までの建設省のいろいろな態度から見まして、この公団ができたら、公団の性格というものから見て少し政治的な配慮でこういうふうな性格の公団ができたんじゃないかというふうにも考えるわけでありますが、時間がございませんからこれはさておきまして、そうすると、当面この公団でやることは実施調査と実施設計、この段階でございますか。
  79. 根本龍太郎

    根本国務大臣 それなくしては架橋はすぐできませんものですから、前提条件としてそれに精力的に努力します。そしてそれができてから、すぐに今度は着工に入る、こういう段階になるだろうと存じます。
  80. 内海清

    ○内海(清)委員 そうするとその実施調査と実施設計、これは見通しとして大体どのくらいの期間を要する見込みですか。
  81. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 設計いたします場合の地質調査、こういうものは一年半程度で終わると思います。それに伴います耐風設計、耐震設計——耐震設計もこの二、三年前よりかなり進歩しております。そういう新しい進歩した理論を取り入れるということになりますと、そこで最終的な設計の方針がきまるわけでございます。そういうようなことを考えますと、やはりそうむずかしくないスパン、ということはつり橋でもスパンの短いものとか、下部構造も比較的水深の浅いところでそう高くないもの、こういうものの設計がまずできると思います。やはり一番最後に残るのは、私たちが一番むずかしいと考えております明石の設計になろうかと思いますが、早くできるものについては、この二、三年のうちに実施設計というものはまとまっていくというように私どもは想像しております。
  82. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、大体調査、設計まで二年程度かかるであろうということのようでございます。それで、さっき大臣からアポロ計画のこともございましたが、もちろんアポロ計画はケネディ計画で、ケネディが月着陸を宣言しまして、実際は八年で実現した。もちろん、それまでに基礎が十分あったことは申すまでもございませんが、これはもうすでに十年以上たっておるのであります。したがって、大きい事業ではありますけれども、できるだけ早く架橋に着手されることがきわめて好ましい。しかも日本の今日の科学技術の発展から考えれば、これはいままでの調査の期間で技術的な問題も十分調査、研究されていなければならなかったのじゃなかろうかというふうに考えるのです。  この段階で私、技術的な問題で一つ考えますのは、いま御承知のような関門架橋ができる。これは七百二十メートル、これで一つの長大橋の技術の経験は経るわけです。それから私が知っております範囲で考えると、山口県の大島に橋がかかるということで、これは御承知のように、非常に狭水道で潮流が非常に速い、しかも下は岩盤のところであります。だからこういう地形に対する、地勢に対する技術的な研究開発がここでできるであろう。いま一つは、いわゆる広島大橋、広島の市から呉に行く途中でもって広島湾を横断する、これは下が全くヘドロであります。そういう地域に架橋する、これがそれぞれ予定されておるわけであります。  私は、この三本の経験を経るならば、大体中・四国の架橋の技術的な目安がつくのではなかろうか、あるいは建設機材、こういうものの開発にもめどがつくのじゃなかろうかというふうな気がいたすのであります。一応いま申しましたようなこれらの三つの架橋問題がありますが、これらはいまからどのくらいの期間で完成するのか、お伺いいたします。
  83. 根本龍太郎

    根本国務大臣 あとで道路局長から答弁させまするが、前段のなるべく早くこれは架橋に着手すべきだ、そのとおりだと思います。御承知のように、これはいわば技術的な問題が解決し次第早くやらなければ、この架橋の経済的な効果が、長くなればなるほどメリットが少なくなります。現在近畿、中国、四国、これの一体化によるところの経済開発こそが目的でございますから、その意味で、これはできる限り技術的問題が解決すれば着工することを意図しております。  ただいま後段で御指摘になりました問題については、道路局長から説明をさせます。
  84. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのお話にございましたまず関門の架橋は、これは四十八年くらいまでには完成すると思います。実はこの関門の架橋は、基礎についてはほとんど陸上と同じような状況でございまして、ただ、あそこの七百メートルにわたりますつり橋のケーブルを架設するということは、今後の本四の架橋には非常に役に立つ、また技能者の訓練にも相当役に立つというふうに私たち考えております。  もう一つ、広島の橋は、これはいま御指摘のようなことでございますが、これにつきましては、湾の中を渡るわけでございます。スパンについてはそう制約がございません。しかし、地質的問題がございますが、大体四十八年くらいにはこれを完成させたいという方針でおります。  もう一つ、山口県の大島の架橋でございますが、これは先生もおっしゃいましたように、水深が二十メートルで、七ノットというかなり潮流のきついところでございます。この辺も実はこの四月から工事事務所道路公団でつくって、実施のための調査に入るわけでございます。この辺が一つの大きな——いまはっきりこれならいけるというような確信を得た方法はまだ立っていないわけでございまして、実はいまのところ四十八年くらいには終わりたいというふうに考えておりますが、これは四十九年くらいになるのじゃないか。ここはやはり橋梁でございますが、上部構造としてはそう問題がございません。要するに、下部構の施工はいまの本州四国の橋には非常に参考になるということで、新公団ができますれば、新公団もあわせてその施工に何らかの形でタッチさせていきたい。その施工法を、いまの新しい本四の工法に取り入れていけるのではないかというふうに考えております。
  85. 内海清

    ○内海(清)委員 私は、この三つの予定されておる架橋というものは、今後の中・四国の架橋に非常な技術的な一つの助けになるものだ、したがって、この三つの架橋にあたりましては、中・四国の架橋を十分ひとつ予想して、そしてこれに真剣に技術的に取り組んでいただく必要があるだろうということを考えるわけであります。  時間がございませんから次にまいりますが、そこでひとつお尋ねいたしたいのは、中・四国の架橋、これは建設省のほうでも、この法案の中にも同時着工ということばが出ております。その意味をどう解釈したらいいかというふうな気もいたすのであります。調査を同時にやる、設計を同時にやる、着工を同時にやる、いろいろ考えられると思うのです。考えられると思うのでありますが、これははたしてどういう意味に解釈したらいいか。それぞれ地元でかってにこの問題を解釈しましても、いろいろな問題を起こすだろう。同時着工ということばがあちらこちらに散見できるようでありますが、その点をひとつお伺いしておきたい。
  86. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。  少なくとも調査並びに技術開発は同時にやって、その成果があがることを期待しておるわけであります。ただし、これについて具体的に着工が必ずスタートラインを同じにして、用意ドンで一緒に走るというほどの厳密性はないと思います。これは場合によりましては、あるルートについてはそれほどの長大なつり橋でなくてもいい、あるいは鉄道を併用しなくてもよろしい、場合によっては地方道路公社的な考えでやってもいいというものが出た場合には、その時点においてそれを考えていいと思います。そうした場合には、他の条件よりもそっちのほうが整備されておれば、何もそれを押えておく必要はなかろう、こういうふうな気もするわけでございます。現在、いま御指摘された点は、少なくとも調査、設計について三本ともみんな自分のほうこそ早くやれという要望がある。それを順序をきめてやるということは、またいろいろのトラブルが出てくるから、設計、技術開発、調査、これは一緒にスタートして一本の道路公団でその仕事をさせていく、こういうことが主たる趣意でございます。
  87. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題についてはいずれまたいろいろ関係してまいりますからあれでありますが、私は、三本とも同時着工ということであるならば、いまのいろいろな情勢から問題ないと思うのであります。しかし、そこにいろいろな思惑が出てくるわけでありますが、少なくともルートの決定のきめ手は、技術の問題と工費、工期の問題と、いま一つは経済効果の問題だと思うのであります。この三つによってきまってくると考える。すでに技術の問題あるいは工費、工期の問題は、大体において土本学会から出ておるわけであります。ところが、この経済効果の問題、これはいままでさらに出てないのであります。すでに経済調査は終わっておるということでありますが、それがいまだに発表されていないところに、これまたいろいろな問題が起きてくるわけであります。この経済効果の問題は、ことばが過ぎるかもしれませんけれども、これはデータのとり方一つでどういうふうにでもいわば作文ができるのであります。したがって、関係地元からいえば非常な問題である。はたしてどうなるのか。これは想像すれば、おそらく最終決定のおり、これが一つの最終態度の決定の裏づけとなるんじゃなかろうかというふうにも考えられるのでありまするし、あるいはまた、どのルートがきまってもそれに対応する経済調査はできておるんじゃないかという想像もいたしますし、これは非常に問題だと思うのです。しかも、それを発表されてないところに、いろいろ疑惑を皆それぞれ持っておるのであります。でありますから、この問題が発表になってないのはどういう理由かということ、これを発表する意思があるのかという点をひとつお伺いしたいと思います。
  88. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま御指摘になりましたように、経済効果というものは観点によって非常に違ってくるのです。その意味において、非常に客観的なごとくに、あるいはデータのとり方によっては非常に不確定なものを確定したごとくに見られる点に問題があります。私は、経済効果を一応調査したということは、一本にしぼろうとするときに効果はどうだというときには、それなりにその時点において意味があったと思います。しかし、現時点になりますれば、いまの事務当局から言えば、技術開発と設計調査に少なくとも二年はかかるというならば、その時点において、技術的に技術開発等の点から見て判断したほうがむしろ適当でないかとすらこのごろ思っておるわけです。特に最近における経済発展の状況、社会的な構造変化が起こっておるこのときにあたって、ある意味においては、客観的なごとく不確定なものを発表してしまって、それに基づいて今度何らかの関係でそれが変更されたら、それこそ政治的なあれでひっくり返したとかいう問題が出てくるということです。一応の調査したものの資料は、ある程度整っておることは事実のようでありますが、実は私自身がほんとうの内容を厳密に見ておりません。そこで、これはいましばらく関係閣僚間においても、ものの見方について検討しなければならぬだろうと思いまするし、この取り扱い方は非常に慎重を期しておるという段階でございます。
  89. 内海清

    ○内海(清)委員 全く大臣の言われるとおりだと思うのです。しかし、それだけに関係者から見れば、いろいろな疑惑をもって見ていることは事実であります。実施調査、設計が少なくともまだ二年はかかるだろう、その最終段階において最も公正な、すべての関係者が納得のいくような経済調査というものができてこれを発表しなさい、こう解釈してよろしいのでございますか。
  90. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私は現在そのように考えておりますが、実はこれは経済企画庁それから運輸省等各関係方面と相談しなければなりませんが、私自身は現在そう考えておる次第でございます。
  91. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん、関係方面と御協議の上発表になることは言うまでもないと思いますが、管理委員会が設置されるようになっておるが、この構成は、総裁が入りますと同時にほかに七人の委員、そのうち三名は地元推薦ということになっているようであります。しかも、この資金の問題がございまして地元出資があるわけです。地元出資がございまして、いわゆる受益者負担の原則というものが取り入れられていると思うのでありますが、この法案によりますと、この出資する地方公供団体については政令で定めるということになっているようであります。これまた管理委員の地元の推薦とも関連してくると思うのでありますが、出資する地方公共団体を政令で定めるというのは、具体的にはどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつ伺いたい。
  92. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 この問題も、関係各省ともよく相談しなければならぬと思います。ただ、基本的には三本のルートがございまして、おのおの中国側と四国側が対応する点がございます。また、兵庫県は、指定市として神戸市もございます。そのほかに、この三本の橋自身が四国の開発になるということが非常に大きな利点でございますので、直接橋がかからない高知県の問題もあろうかと思いますが、どこからそういう出資者を応募するかというような点につきましては、これから関係公共団体と協議して政令できめることにしたいというように考えております。
  93. 内海清

    ○内海(清)委員 おおよそ具体的な構想はありますか。
  94. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 具体的な構想といいますと、いま言いました中国側の三県の兵庫、岡山、広島、四国側の三県の徳島、香川、愛媛は当然でありますが、先ほど言いましたように、兵庫のほうは指定市の神戸市もございます。また、全体として利益を受ける四国側としては高知県の問題があります。この橋は三本どこでもそうでございますが、これは非常に阪神経済圏と密接な関係がございますので、大阪市、大阪府というものはどうするか、また、中国も山陰の各県、それから山口、九州でいえば大分、こういう県をどうするかということは、これからのいろいろ協議の対象になろうかというように考えております。
  95. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、この管理委員会委員は三名になっていますが、これに対してどういう構想を持っておりますか。
  96. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これも関係公共団体と協議することになると思いますが、やはり三名ということになりますと、明石−鳴門ルートの関係、瀬戸大橋の関係、瀬戸内海大橋の関係、この三名がなられることが妥当ではないかというように考えております。最終的には、これは関係公共団体と協議する問題になってくるかというように考えております。
  97. 内海清

    ○内海(清)委員 この公団の資金の問題でございますけれども、これは国の出資と公共団体の出資あるいは財投資金あるいは借り入れ金というふうに大体なっているようでありますが、この地元出資につきまして、先ほど申しましたような受益者負担の原則が適用されていると思う。政令で定める地方公共団体につきましては大体お伺いしたわけでございますが、この地元出資金の分担割合をどうするかということであります。これは各県でも財政事情も違いましょうし、もし経済力に応じて出資さすならば、公団内における発着力も違ってくるだろうということもあるわけであります。いろいろむずかしい点が出てくると思いますが、この分担割合などについては、いまどういうふうな構想を持っておられますか。
  98. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実はこの辺については、私たちはまだ最終的な意見はまとめておりませんが、まず考えられることは、実施調査の段階、このときの必要な出資の問題 これは各ルートおのおの独立していない部分が相当あると思います。一つの技術開発というものがこれら三本のルートに共通なようなものもあると思われますので、実際の実施調査の段階の出資の割り振りと、それから建設段階になりましておのおののルートそのものがみんな工事費が違うわけでございますので、その工事費によってどういう配分をするかという問題が出てくると思います。その辺は、単に国が金がないから幾ら地方に持ってもらうということだけではなくて、やはり地方公共団体の財政の状況というものを考えまして、大蔵省その他の関係省と協議して、いまの調査の段階、工事の段階というふうに分けてきめていくのが妥当ではないかというふうに考えております。
  99. 内海清

    ○内海(清)委員 いまのお話によりますと、調査と設計段階においては、これはいわば均等負担、着工の段階にいくならば、その工事費の額等によって、さらにまた財政負担の能力に応じてやろうということでありますが、さっき申しましたように、少なくともそういうことが各県の財政力に応じて出さすということであれば、それがその後におきます公団内における発言力に影響するようなことがあっては、国土の開発という面からいえば、これは十分慎まなければならぬことだと思うのです。しかし、そういうことは実際問題としてはなかなかむずかしい問題になってくると思うのでありますが、その辺のところはどうお考えでありますか。
  100. 根本龍太郎

    根本国務大臣 公団によって三本全部が完全に着工される場合になりますれば、いま御指摘の点は相当問題になると思います。そういうときにあたりましては、出資の状況によって、いわゆる株主の発言権によって動かすような意味の出資額に基づく発言権のことは、そのままフリーにはいたしておきません。これはどこまでも国家がやることでございますから、国が公平なる判断によって、十分に行政的にも政治的にも公平を期してやるつもりでございます。
  101. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣は一応そうお話しになりますけれども、地元負担を認め、それによって管理委員会に地元から入れるということは、いわゆる出資者の地元の発言力を認めるということ、これはいろんな公団がそうなっておるわけです。その形態はいままでいろいろの公団などにあるわけでありますから、その点は、よほど注意していただかなければあとに問題を残すだろうという気がいたすのであります。これは要望いたしておきます。  それからいままでの大臣のいろんなところの発言を聞いておりますと、いまの実施調査、実施設計、これはずっといきますが、その段階において着工順位の決定は地元の準備協力体制の整ったところから着工するんだ、こういう意味合いの御発言があるようでありますが、これはどういう意味か、ひとつはっきり教えていただきたい。
  102. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは御承知のように、民間というか地元の協力なくしてはなかなかいけない点があります。たとえば、工事については、接続地帯の用地買収の問題があります。これが解決しないと着工したくてもできません。それから水中工事をやりますから漁業権の補償の問題があります。これなくしてはまたできません。あるいはまた、経過地点の道路とずっと続いていくわけでございますから、その場合における地元の先行買収なりそうしたものの条件が整わなければ、これは幾らやりたいとしてもできないという性格のものでありますから、やはり現実に着工する場合には地元の協力状況が実際の工事には非常な影響を及ぼす、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  103. 内海清

    ○内海(清)委員 そういうふうに十分お聞きすれば理解できるわけでありますけれども、あのことばによりますると、関係者のほうはなかなかそう簡単に受け取りませんで、むしろ調査、設計段階において、いままでよりも一そう狂奔するという形が起きはせぬかという気がいたすのであります。でありまするから、そういう点につきましては十分ひとつ配慮して、これは与党の人でも、やれやれ公団ができたので、これで二年ほどは休戦だという安堵の色の見える人さえあるわけでありますから、公団ができたために一そう関係者が誘致運動に熱を入れるというふうな状態が出てきたのでは、これはますます問題を複雑にすると考える。したがって、この点につきましては十分お考えいただきたいと思うのであります。  それから、時間がありませんので急ぎますが、作業の技術者の問題であります。これは一本一本やっていくなら問題はないと思いますけれども、複数で着工した場合あるいは三本同時着工のような状態ができた場合に、これは工費問題とかその他は別でありますけれども、技術者が不足しないかという問題であります。  ついでに、施工機械の開発あたりについてはどういうふうに考えておられるか、この二点についてお伺いいたします。
  104. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 施工技術者の問題につきましては、いろいろ私ども試算しております。工事が三ルートとも特に最盛期を迎える段階では、大体技術者五百名ぐらいが必要ではないか、こういうふうに考えます。これは若戸大橋、関門架橋、こういうものから類推しておるわけでございます。これに対して三公団、地方建設局からどのくらい技術者を割愛するか、また民間からどのくらい割愛するか、新しい技術者はどのくらい養成するかという一つの目安でございますが、いろいろそういう点はいま検討しておる次第でございます。  もう一つは機械の開発でございますが、これはいろんな機械だけじゃなくて、いろんな設計法、先ほど言いました耐風設計、耐震設計の問題もございますので、これはもちろん公団ができましてその組織の中で当然考えていくべきだと思いますが、私のいま考えておるのは、やはり土木研究所とか鉄道研究所というようないわゆる官側のいろんな研究所を使って開発するような部門と、それから民間の力をかりて開発する部門と、二つに分けた機構をつくるべきではないかということを考えておりまして、その中で施工機械の問題になると、やはり民間で開発してもらうというような分野が非常に多いというふうに考えております。
  105. 内海清

    ○内海(清)委員 次に、料金の問題でありますが、これは私は、三本できたといたしましてもそれぞれの立地条件その他に特徴がありまして、いろいろな形になると思う。したがって、できればプール制が好ましいと思いますが、これはブール制にするか、独立採算制にするか、どちらを考えておられますか。ことに三本できれば料金徴収も償還もプール制で非常にスムーズにいくという考え方があるわけでありますけれども、実際の問題として建設省でどう考えておられるか、お伺いいたします。
  106. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実はこの三本の橋をつくることにもいま非常に問題がございます。私たち、そのできたあとどういうふうに管理していくか、これは当然料金の問題が非常に重要な問題だと考えております。地形によりまして建設費が高い、安いということだけで、また交通量が多い、少ないということだけで料金がきまったのでは、地域開発のために非常にバランスを欠くように考えられます。そういう意味では将来の三本の償還計画というのはプール制でいって、妥当な料金をきめるということが必要になろうかと思います。ただ、まだ最終的な工費、どのくらいの交通量というものも今後の情勢で変わってまいりますので、いまの段階ではこの法律は三本をプール採算するということにはなっておりませんが、いま道路公団でやっております損失補てん金という制度がございます。おのおのの一〇%の料金収入を損失補てん金として積みまして、それによって償還のおそいところをカバーしていくという制度がございます。こういう制度はいまのままでもとれますので、これは今後の問題として検討してまいりたいという考え方でございます。
  107. 内海清

    ○内海(清)委員 かけ足で失礼ですが、今度の新道路整備計画がございますが、この十兆三千五百億の中で架橋関係の費用をどのくらい見込んでおられますか、お伺いいたします。
  108. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 総額十兆三千五百億の第六次の道路整備計画の中で、いま閣議の了解になっておりますのは、有料道路としては二兆五千億でございます。この中で幹線自動車道その他の有料道路全部含めて配分をするわけでございます。これは今後検討いたしまして正式な数字をきめたいと考えておりますが、一つの案としては、四十九年までの本四関係としては四百億から四百五十億くらいのものを予定すれば、その間については、仕事がおくれないような形で十分事業を進めていくことができると考えております。
  109. 内海清

    ○内海(清)委員 それから民間資金の導入のことでありますけれども、これは公団債の発行あるいは借り入れ金だと思うのであります。いまのような各関係公共団体等のこの架橋に対する非常な意欲から見れば積極的に参加されると思うのでありますけれども、しかし、償還期限がかなり長いものになる、その辺に一つの不安なしとしないのであります。  それとさらに、鉄道その他、いままでの非常に大きいものから見ますならば、多くは国の利子補給というものが考えられておりますが、今回の場合に、この架橋についてそういう利子補給という制度が考えられるかどうか。その点もひとつお伺いしておきます。
  110. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実はいろいろ民間資金なり国の財政投融資の借り入れ金をいたしましても、その金利が非常に高い。それを薄めるために、利子のない出資金という制度をいまの道路公団、新しい公団も使おうとしているわけであります。出資金によって金利を下げるという考えをとっております。ただ、今度の本州四国の橋の中には鉄道もございますので、鉄道は利子補給という形でそういうものを処理しておると聞いております。私の想像では、道路に対しては出資金という形、鉄道については利子補給という形がとられるのではないかというように考えられます。
  111. 内海清

    ○内海(清)委員 そのほか鉄道関係のもございますが、これは六日に連合審査が行なわれるようでございまして、むしろ運輸のほうになかせたらいいかとも考えます。  それからいま一つ、船舶の航行安全の問題がございます。これも連合審査にゆだねたほうがいいかもしれません。もう時間がございませんが、これはすでに海上保安庁が中心になりましていろいろと調査ができておるはずでございます。ただ、ここで一つお伺いしておきたいと思いますのは、ことに瀬戸内の海上交通というものは非常な問題のところでございます。運輸関係で海上交通法を設定しようということはすでに長年の懸案でありまして、漁業問題その他に関連していまだにできておりませんが、そういうときでございます。しかも非常な狭水道が多い。しかも架橋のところは、瀬戸内の本航路をみなまたぐわけであります。だから、こういう非常な長大橋の場合には、船の運航には多くの問題があるわけでございます。御承知のように、瀬戸内海沿岸は今日非常に開発されておりまして、新産都市、工特地域が六つ、七つあることは御承知のとおり。今後、瀬戸内海沿岸がさらにいろいろな臨海工業地帯として発展していくだろう。その発展するゆえんのものは、やはり海上輸送力が最大限に利用されるということである。これが非常に発展するから、また中・四国の道路も必要になるということになると思いますが、この連絡橋ができたために海上運送に大きな問題があれば、むしろマイナス面が出てくるのではないか、こういうことでございます。  御承知だと思いますが、これは私、調べたのは古いのでありますけれども、この架橋予定水域はいま申しました本航路でございまして、一昨年の調査でございますけれども、一日約二千隻くらいの船、そうすると一時間に六、七十隻通るわけであります。しかも、ああいう架橋のところがみな瀬戸内の航海の難所といわれておる。だから瀬戸内の海難の六〇%ないし七〇%は、そういう地域で起きておるわけであります。これは御承知のとおりでありまして、しかも船は大型化する、高速化するという状態、なおかつ、瀬戸内には石油コンビナートであるとか原油の基地あるいはLPガスの基地、その他の危険物を積みますタンカーというものが航行船舶のほとんど三分の一であります。こういう状態であることを十分ひとつ頭に入れていただいて、いままで保安庁を中心にしていろいろな調査はしていただきましたけれども、さらにパイロット協会であるとか船長協会であるとか、そういう実際の海上の技術者の意見を十分取り入れて、これは処置していただかなければならぬと思うのであります。造船所にしてもずいぶんございまして、瀬戸内で大体大きいのは三十万トンをつくる造船所もあるわけであります。鉄工所あり、造船所あり、さらに石油コンビナートあり、今後ともいまのままでいくならば、おそらく二十万トン以上の船が瀬戸内に入ることも予想しなければならない。そういうふうになってくれば、瀬戸内の航行を規制するかどうかということ、これは保安庁の問題になると思いますから、それらはまた六日の連合審査で問題になることだと思います。しかし、いずれにしてもああいう長大橋ができますならば、二十万トンの船が走っておりますと、これはなかなかとまりません。ゴースターンかけましてもなかなかとまらないのであります。そういう点を考え、あるいは橋のためにレーダーに影響がある、あるいは一時的な霧が起きるとかあるいは潮流が変化するとか、いろいろな問題があると思います。もう時間がございませんから、保安庁の調査の答申については私、書類で見ておりますけれども、なお多くの不安を持っている。もし十万トンのタンカーにいたしましても、一たんこれが事故を起こしますと、瀬戸内の沿岸というものはこれは壊滅状態に相なるだろう。あるいはLPガスが爆発いたしましても同様なことが考えられる。この点は、建設当局におかれましてもひとつ十分考えて、万遺憾なきを期していただきたい。そういう専門家の意見を十分徴して、慎重な態度でこれに対処していただきたい、このことを強く要望いたしまして、もう時間がございませんで、ほかの法案も用意しておきましたけれども、またの機会に譲らしていただきたいと思いまするし、なおこの問題につきましても今後問題が残っております。また時期を得ますならば御意見を伺いたいと思います。  きょうは以上で終わります。
  112. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま非常に適切なる忠告並びに助言をいただきまして、ありがとうございました。そういう意味におきまして、ただ単に、いままで技術的にだいじょうぶというだけではいかない。この工事をやるということは、よほどの綿密在る準備、技術開発、あらゆる面を総合しなければできないと思いまするので、今後十分配慮してこの問題の推進に当たりたいと思います。ありがとうございました。
  113. 金丸信

    金丸委員長 次回は、来たる四月六日月曜日午前十時から、本州四国連絡橋公団法案について運輸委員会との連合審査会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十二分散会