○松浦(利)
委員 私は、日本社会党を代表して、わが党、公明党、民社党、共産党四党共同提案にかかる修正案に賛成をし、原案に反対する立場から、若干討論をいたしたいと思います。
根本建設
大臣の所信表明にあるごとく
国土の保全は国政の基本であり、
河川行政は
国土の保全、水の高度利用を通じて社会経済の発展に資するところ大であり、
治水、利水の両面にわたり
国民生活を密接不可分の
関係にあることは多言を要しないところであります。周知のとおり、水は循環、変態して種々の様相を示し、人類社会を常に包容して社会経済生活に密接な
関係を有し、重大な影響を与えるものであります。昔から水を治むる者はよく国を治めるといわれており、また今日においては、水を利する者は国を富ますことができると言うことができると思います。しかしながら、
河川は一面において常に
洪水の危機を内包しており、一たび
はんらんするときは限りなく
災害の源となるのであります。
このことは、
建設白書の
指摘するごとく、わが国は気象上及び地形上
河川の
洪水による
被害は大であり、
洪水を防御すべき
治水事業の促進は一日もゆるがせにすることを許されないものであると思います。それゆえにこそ、なくなられた河野元建設
大臣は、国会の答弁の中で、
補助率を四分の三に引き上げて
河川行政を積極的に進めると答弁をし、さらに
補助率が一ぺん上がったものが下がるということは、日本の法律の常識や政治の常識にはないと断言されておるのであります。しかるに、本原案は、一部を除き
補助率を事実上引き下げ、法律及び政治の常識を破る
措置をとるに至ったことはまことに遺憾にたえないところであります。しかも、
治水計画を再三にわたって
変更するごときことは慎んでいただかなければならないと思うのであります。
政府答弁によれば、
地方財政が豊かになったことをその
最大の理由としていますが、
現実の
地方行政水準は、地域
住民の要求からかなり低い水準にあるといわなければなりません。その証拠に、法定外
河川の現況は全くの原始
河川の現況をとどめ、
災害が発生した
あとに
災害復旧
補助三分の二と
改良工事補助二分の一を含めて、細々と
災害の
あと追い
工事を行なっているのが
地方自治体の実情であります。
また、原案施行後の
地方財政へのしわ寄せは六十一億にのぼり、
自治省との話し合いは未決定のままだといわれて偽りますが、四十五
年度特別交付金を除く交付税総額は一兆六千九百二十億、
河川関係都道
府県分基準財政需要額八百三十億に対し、交付団体交付分は六百六十九億、同じく
市町村分基準財政需要額七十億のうち交付団体交付分は六十五億にすぎないのであります。交付税総額に占める
河川関係交付分は四・六一%、昨年の三・九六%に比べてわずかに〇・六五%の
増加にしかすぎず、
河川行政は、根本建設
大臣の言う国政の基本ということばとはうらはらに建設行政の片隅に追いやられ、まことに寒心にたえないところであります。
また、
大臣は、原案を通さなければ本法にもとるということを理由に、一部
ダム及び大
工事を四分の三の
補助に食いとめることができると自賛せられておりまするが、まさに四党共同提案にかかる修正案によってこそ
河川行政の進展に資することができるのであります。現に事務当局の
説明によれば、今後の
河川行政に必要とする需要額の総額は二十八兆であると
説明をしておられるのであります。
なお、新
河川法は
国土の保全と水の高度利用に資するためのものであり、
水系主義に基づく国家責任管理の原則を明らかにし、
一級河川の管理費用については、原則として国が
負担しようとするのがその法の趣旨であります。
以上の理由から、修正案に賛成をし、原案に強く反対するものであります。