○佐野
委員 ただいま
大臣と阿部
委員との
質疑を聞きました。途中退席しましたものですから十分聞いてなかったのですけれ
ども、一、二お尋ねしておきたいと思います。
大臣は、非常に
地方財政が好転したのではないか、そういう
事情もあったから今回の
措置をとった、このように述べておられるわけでありますが、こういう点でもう少し
大臣の
考えを伺っておきたいと思うのです。それは、
自治省から発表になっております
昭和四十二
年度に行政投資
——これは所得倍増
計画から出てきた新しい用語なんですけれ
ども、この行政投資の総額が、国、県、市町村三つ合わせたもので三兆五千二百六十八億八千四百万円、こうなっているわけですね。このうちたとえば
道路を見てまいりますと、
昭和三十三年では一九・四%であったのですが、これが
昭和四十二年になってまいりますと二八・四%、合計したものが一兆十一億四千四百万円、四十二
年度で初めて
道路費は、国、県、市町村を通じまして一兆円を突破した記録が
決算上出てまいったわけであります。これと比較いたしまして治山治水を見てまいりますと、治山治水はこの総額に占める割合が六・七%、
金額にしては二千三百七十七億三千万円、こういう数字にたっておるわけであります。そこで、
昭和三十三年を見てまいると、このときにおけるところの行政投資に占めている役割りは、治山治水が七・七、
道路はこのときには一九・四になる。ところが、
昭和四十二
年度の
決算によりますと、片方は二八・四%、片方は逆に六・七%、こういう形で行政投資の方向は
道路優先であって、治山治水というものは非常におくれてまいっておる。逆に
決算面から見ると減ってまいっておる。ここに大きな問題が含まれているのじゃなかろうか。しかも、
昭和三十五、六
年度ぐらいから行なった高度経済成長政策に基づく利水の問題、治水よりも利水の問題が大きく叫ばれてまいって、利水
関係の
金額も実は治水の中に入ってまいったわけですね。治水
計画の中に治山治水並びに利水という問題が登場してまいったわけです。それらを引きますと、ほんとうの治水費というものは一体どうなってきておるのだろうか。
道路の場合を見てなるほど行政投資の二八・四%、三分の一近いものが
道路にたたき込まれるわけですから、
道路の
整備が地方団体において非常によくなってきておる。
こういう実績がはたしてあるだろうかというのを見てまいりますと。おそらく
昭和四十二年で国道の改良率は七〇%をこえてまいった。しかも舗装率も大体それに近い六七、八%にふえてまいっておる。ところが、この間におけるところの県道、
市町村道を見てまいりますと、非常に悪いわけであります。特に
府県道の場合におきましては、改良が三六%、舗装が二五%、市町村の場合におきましては、改良が一二%、舗装が四・五%だ。もちろん市町村の場合におきましても、
大都市、郡市、中都市、小都市、一般町村というぐあいに分析されておる詳しい
資料が出ておるわけです。同じく四十二
年度の
決算の中でもう少し私
たちが見てまいりますと、四十二
年度において市町村が改良に使ったお金が
決算面では三百三十三億円、四千六百二十四キロメートルが改良されておる。これは全
市町村道の〇・五%だ。一カ年間に〇・五%しか改良されていないわけだ。舗装にはどうか。三百九十八億円投ぜられている。これで六千六百七十八キロメートルが成っておる。舗装率は〇・七%だけ向上した。こういうことが明らかになっているわけです。と同時に、現在におけるところの
市町村道を一%だけ改良するために
幾ら金がかかるか。七百億円だ。しかるにかかわらず、先ほど申し上げましたように三百三十三億円しか使われていない。舗装の場合におきましても、一%の舗装をやるためには六百億円の金を要する。しかしながら、四十二
年度において全市町村が使った舗装費は三百九十八億円だ。一%すらも達成することができないという数字が出てまいっておるわけです。全
市町村道を改良するために六兆円、舗装するために五兆四千億円の
資金がなければ、
市町村道を
整備することはできないという数字になっておる。しかし、これを半分だけに打ち切る、半分だけの
市町村道を
整備する、これに要するお金は二兆六千億円になる、こうなってまいりますと、四十二
年度ペースで進んでまいりましても、七十年か八十年かからなければ五〇%の
市町村道が
整備されることができないというほど、国道の
整備、
有料道路、高速
道路のすさまじい飛躍に比較いたしまして、地方行政として一番大きな
生活基盤に密着しておる
市町村道はおくれている。こういうような状況である。県道の場合を見てまいりましても同じことがいわれております。
昭和四十二
年度決算によりましても、
府県が投じましたところの改良は七百二十八億円、舗装が五百四十九億円だ。そこで見てまいりますと、最初に申し上げました行政投資の総額の中に占める二八・四%、これほど躍進を続けておる
道路の場合にいたしましても、中身を見てまいりますと、国道なり出産基盤の
整備のための
道路費が非常に多くふえてまいってきておる。それで県市町村も協力を要請されておる。しかるにかかわらず、県市町村の場合におきますところのいわゆる
道路行政、
生活基盤に密着する行政水準というものは、このように低い
状態の中に置かれておるわけであります。
といたしますと、地方行政が一体好転したであろうか。もっと詳しい地方行政白書を見てまいりますと、公園の場合におきましても、あるいは下水道の場合におきましても、あるいは橋梁の場合におきましても出てまいりますが、そういう場合にはたして
地方財政が好転をしておる、だからという
考え方が出てくるだろうか。こういうことに対して一応
大臣が持っておる
考え方を聞かせていただきたいと思います。
同時に、
資金の
負担率、四十二年三兆五千億円の国、県市町村合わせました総行政投資の
資金の割合を見てまいりましても、国が四三%、地方が五六・九%。ところが投資主体別の内訳は一体どうなっておるか。この点を見てまいりますと、国は二五%、県市町村が七四・九%の投資割合になるわけでございます。こういう
状態を
交付金だとか起債だとかそういうところでまかなっておることの事態の中で、地方行政の水準を上げていくため、本来
交付税は、標準団体におけるところの一定の水準を維持していくあるべき姿、これを保障するための
財源として、
交付税法が明確に三二%を
規定しているわけです。これを、国の懲罰なりあるいは国の恣意によって
交付税を動かしてはならない。国の方針に反する場合があったといたしましても、
交付税によってこれを
措置してはならない、あくまでも固有
財源だ、こういうぐあいになっておるわけですね。だから、この固有
財源を本来の地方行政の水準、
公共施設の
充実のために使われるべきものとして、国から独立して三二%を保障されておるわけです。こういう
財源を、もっともっとそういういまの現況から見て使うべき問題点がたくさんあると思います。それを、その中から六十一億円、もちろん起債その他があって、起債にいたしましてもそうだと思いますが、いろいろ起債の要求が強まっておる、こういう中において、しかも公営住宅の用地費にいたしましても非常に超過
負担をしいられており、また起債においても充当率が非常に低いという。ここで起債の要求が強まっておるのが現況だろうと思う。
こう見てまいりますと、一体
地方財政が好転しておるだろうか。三二%の地方行政水準を上げる、標準団体としてのあるべき姿を維持していくために、もっともっと足らない面を充足すべきものとして国が
法律をもってきめている中に、一体この治
水事業を中心として今回の
措置がとられることが妥当だとお
考えになるかどうか、こういう点に対して、もう少し所信を聞かせていただきたい。