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1970-03-18 第63回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十八日(水曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       遠藤 三郎君    小沢 一郎君       砂原  格君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       古内 広雄君    松永  光君       森下 國雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    三木 喜夫君       北側 義一君    小濱 新次君       内海  清君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   岸   要君         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     小沢 一郎君   丹羽喬四郎君     遠藤 三郎君   森下 國雄君     松永  光君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 三郎君     丹羽喬四郎君   小沢 一郎君     木村 武雄君   松永  光君     森下 國雄君     ————————————— 三月十七日  地方道路公社法案内閣提出第八六号) 同月十一日  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(廣  瀬正雄紹介)(第一〇一八号)  同(福田篤泰紹介)(第一〇一九号)  同外八件(小澤太郎紹介)(第一〇六八号)  同(石井光次郎紹介)(第一一三七号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第一一三八号)  同(神田博紹介)(第一一三九号)  同(藏内修治紹介)(第一一四〇号)  同(進藤一馬紹介)(第一一四一号)  同(瀬戸山三男紹介)(第一一四二号)  同(田中伊三次君紹介)(第一一四三号)  同(高見三郎紹介)(第一一四四号)  同(中島茂喜紹介)(第一一四五号)  同(中村寅太紹介)(第一一四六号)  同(西村直己紹介)(第一一四七号)  同(堀田政孝紹介)(第一一四八号)  同(松澤雄藏紹介)(第一一四九号)  同(三原朝雄紹介)(第一一五〇号)  同(山崎平八郎紹介)(第一一五一号)  同(池田清志紹介)(第一二一四号)  一級河川等公共事業費国庫負担率引下げ反対に  関する請願瀬戸山三男紹介)(第一一五二号) 同月十七日  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(安  宅常彦紹介)(第一二六三号)  同(大橋武夫紹介)(第一二六四号)  同(高田富之紹介)(第一二六五号)  同(畑和紹介)(第一二六六号)  同(横山利秋紹介)(第一二六七号)  同(青木正久紹介)(第一三七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方道路公社法案内閣提出第八六号)  河川法施行法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例  試験に関する法律案起草の件  自転車道整備等に関する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各党間におきまして御協議が続けられておりましたが、お手元配付してありますとおり、その案文がまとめられております。     —————————————     —————————————
  3. 金丸信

    金丸委員長 この際、草案趣旨につきまして説明を求めたいと存じます。天野光晴君。
  4. 天野光晴

    天野(光)委員 ただいま提案になりました不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律案草案につきまして、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  本案は、最近における不動産鑑定評価の急激な需要の増加の実情等にかんがみまして、不動産鑑定士制度充実をはかるため、昭和四十五年及び昭和四十六年に限り、不動産鑑定士特例試験等を行ない、同試験合格者不動産鑑定士等資格を有するものといたすほか、同試験受験資格等について所要規定整備したものであります。  以上、趣旨説明を終わります。
  5. 金丸信

    金丸委員長 ただいまの天野光晴君の御説明につきまして、何か御発言はございませんか。——別に御発言がなければ、おはかりいたします。  本件につきましては、お手元配付起草案委員会成案と決定し、これを委員会提出法律案とするに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 金丸信

    金丸委員長 次に、自転車道整備等に関する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各党間におきまして御協議が続けられておりましたが、お手元配付してありますとおり、その案文がまとめられております。     —————————————     —————————————
  8. 金丸信

    金丸委員長 この際、草案趣旨につきまして説明を求めたいと存じます。天野光晴君。
  9. 天野光晴

    天野(光)委員 ただいま提案になりました自転車道整備等に関する法律案草案につきまして、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。  本案は、わが国における道路交通事故の防止と交通円滑化をはかるため、自転車が安全に通行することのできる自転車道等整備に関し、国及び地方公共団体の責務、自転車道計画的整備自転車専用道路等設置自転車の通行の安全を確保するための交通規制等措置を定めますとともに、附則において交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正し、歩道と同じく自転車道設置交通安全施設等整備事業とすることができることとしたものであります。  以上で趣旨説明を終わります。
  10. 金丸信

    金丸委員長 ただいまの天野光晴君の御説明につきまして、何か御発言はございませんか。——別に御発言がなければ、おはかりいたします。  本件につきましては、お手元配付起草案委員会成案と決定し、これを委員会提出法律案とするに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
  12. 金丸信

    金丸委員長 なお、両法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  14. 金丸信

  15. 金丸信

    金丸委員長 まず、提案理由説明を求めます。根本建設大臣
  16. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま議題となりました地方道路公社法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、従来から道路整備事業の一環として道路整備特別措置法に基づく有料道路整備を推進してまいりましたが、自動車交通量伸びに対する道路整備はなお著しい立ちおくれを示しており、国土の総合的な開発産業経済の発展のためには、一般道路とあわせて有料道路についても、さらに強力にその整備を推進する必要に迫られておる次第であります。  従来、この種の有料道路事業につきましては、道路管理者のほか、日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団の三公団をしてこれを推進せしめてまいりましたところでありますが、今回新たに地方公共団体が出資し、設立する地方道路公社事業主体としてこれに加える道を開き、政府資金及び地方公共団体資金のほか、積極的に民間資金を導入、活用することにより、地方的な幹線道路のうち有料道路事業として適当なものについて、その建設及び管理を行なわせ、もって、これらの道路の飛躍的な整備をはかることとしたものであります。  この法律案は、この地方道路公社設立目的及びその組織、業務財政及び監督等について、所要規定を設けようとするものであります。  以上がこの法律案提案いたしました理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、地方道路公社の行なう業務でありますが、道路整備特別措置法に基づく有料一般国道都道府県道及び市町村道建設及び管理を行なうことを主たる業務とし、あわせてこれに伴う付帯業務を行なわせることとしております。  第二に、この地方道路公社は、その目的業務の性格にかんがみ、都道府県または人口五十万以上の大都市建設大臣の認可を受けて設立する特別法人といたしております。  また、必要に応じ、二以上の都道府県または大都市が共同して設立することも認めることといたしております。  第三に、地方道路公社の財務及び会計でありますが、地方道路公社予算資金計画事業計画等につきましては、都道府県知事または市長の承認を受けることを要するものとしております。なお、地方道路公社設立した地方公共団体は、地方道路公社の債務について保証契約をすることができることといたしております。  第四に、この地方道路公社は、事業公益性を確保し、経営の健全化をはかるため、建設大臣都道府県知事または市長が監督することといたしております。  なお、地方道路公社設立は、この法律によりまして全国的に行なわれるものと思われますが、さしあたり昭和四十五年度施行予定しております事業は、名古屋市の都市高速道路にかかわるもので、これに必要な資金は五億八千五百万円と予想されておりますが、その内訳といたしましては、地方公共団体出資四千五百万円、地方公共団体交付金一億二千八百万円、財政投融資資金一億六千万円、道路整備特別会計からの無利子貸し付け六千九百万円のほか、民間からの借り入れ金一億八千三百万円となっております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  17. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  18. 金丸信

    金丸委員長 次に、内閣提出河川法施行法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川新一郎君。
  19. 小川新一郎

    小川(新)委員 まず第一に大臣にお尋ねいたしますことは、この河川法改正に伴い、地方公共団体がその財源が裕福になる、そういう財政的な理由によってこの国の補助率を引き下げる、あなたのところでおやりなさい、都道府県でおやりなさい、こういうことと私は理解しておりますが、一体その地方財政が好転したという原因、またそれの見通し、現在ほんとうに実際、地方公共団体財源が豊かになっておるのか、今後また日本経済その他諸般の情勢によってはどう変化するかわからない、こういう大きな国の経済政策の流れの中から、大臣は、いま私が申した点をどのように踏んまえての改正をお考えになったのか、この辺のまず理由についてお尋ねしたいと思います。
  20. 根本龍太郎

    根本国務大臣 地方財政内容充実につきましては、私からお答えするのがはたして筋かどうかわかりませんが、この点につきましては大蔵省自治省が十分に検討の上、これはそういうふうな見方で賛意を表しておるわけであります。われわれのほうとしましては、全体としての河川工事が順調にいくことを望んでいるのでありまして、地方財政と国の財政を担当する両省において同意したことについては異議がない、こういう意味で賛成をした次第でございます。
  21. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省関係で私、呼んであるのですけれども、どなたかちょっと——それでは森岡さんお願いします。
  22. 森岡敞

    森岡説明員 お答えいたします。  地方財政につきましては、御案内のように、最近決算収支じりについては若干の改善は見られておりますけれども、しばしば指摘されておりますように、住民の生活を取り巻く各種の公共施設が非常に立ちおくれております。そういう意味合いでは、非常にやるべき仕事が取り残されておるということでございますので、私どもといたしましては、決算収支じりにとらわれず、地方行財政充実をはかっていく必要が今後とも引き続き強く要請されておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 小川新一郎

    小川(新)委員 大ざっぱに都道府県財政が豊かになったというだけでは、私どもはちょっと疑問があるのですけれども一級河川水源県、これは後進県なんでございますね。そしてこれはダム等をつくる。ある程度緩和を認められておりますが、それよりちょっと下のほうの県、こういうふうに考えてきますと、この河川法改正案の対象になる県というものは一体どことどこの県なのか、そしてこの河川改良工事特例補助工事予算額影響というものは、それらの県にどのようにあらわれてくるのか。一体現実にはどの県がこの法律に一番該当しているのか。その県の財政というものは一体どうなのか、これが私たちの知りたいところなんです。その点はいかがでございましょう。
  24. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  四十五年度予算でもって私ども一応想定いたしております。これは予算の個所づけ等がダムのほかは、あまりまだ河川等は最終的に煮詰まっておりませんので、その段階で申し上げますと、該当しない県を逆に申し上げますと、石川県と山口県と長崎県がたまたま四十五年度においてはこの特例に該当しませんが、その他の県は全部この特例措置といいますか、四分の三を一部延長するという措置が認められますれば、該当する次第でございます。  なお、各県の内容につきましては、それぞれまた自治省のほうと十分連絡して、地方財政等に遺憾のないようにやっていきたいと思っております。
  25. 小川新一郎

    小川(新)委員 当然この当該府県財政というものが、一体どういう状態になっているかということが問題なんですが、自治省としてはどうですか。
  26. 森岡敞

    森岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま建設省のほうからお答えがありましたけれども、四十五年度事業費配分につきましてはまだ確定いたしておりませんので、私どもといたしましても、各府県財政に与える影響を、いま具体的な数字でもってお答え申し上げる資料を持ち合わせておりません。ただ、関係いたします府県の数はかなり多うございます。でございますので、どの県に何億ということまではちょっといまのところ申し上げかねますので、御了承願いたいと思います。
  27. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣もお聞きになったとおり、一番問題となるのは、河川改修工事等を伴うにあたって、こういった都道府県財源的なしわ寄せがどのように影響があらわれてくるか、また、いま言ったとおり、最も必要な府県というのはどこなのかということがまずキャッチされておらないと、いろんな面で、ただ大ざっぱに地方公共団体財源が豊かになったんだ、財政事情が好転したんだ、いろんな事情があるのでしょうけれども、そういう好転したというだけで判断するというのは、非常に私は危険だと思うのです。後日、この資料についてはお願いしたいのでございます。  そこで、これはあらためてもう一ぺん自治省にお尋ねいたしますけれども、大体当該都道府県財政指数ですね、また、この指数及び自主財源の比率というものはどうなっておるのか。それがまた一般財源——要するに一般財源伸びは、本年度はこの当該関係しておるところはまだはっきりしていないようですけれども、大ざっぱでけっこうですが、その一般財源伸びは、本年度、四十五年度はどのくらい伸びているか、その点お願いいたします。
  28. 森岡敞

    森岡説明員 地方財政全般について申しますと、地方税昭和四十五年度自然増収見込み額は、対前年で約二〇・五%でございます。金額にいたしまして約五千八百億、地方交付税伸びは二一・八%、金額にいたしまして約三千三十一億円でございます。税と交付税を合わせました、いわゆる一般財源の増は、そういう意味合いで二〇ないし二一という形になっております。
  29. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、当該都道府県工事量と、今回引き下げられるために地方費負担増は一体幾らぐらいなのか。差し引きどのくらいの差が出てくるのか。
  30. 森岡敞

    森岡説明員 先ほども申し上げましたように、個々の府県河川事業費配分がきまっておりませんので、何県に幾ら地方負担がふえる、こういうことをいま申し上げる資料を持たないのでございますが、私どもといたしましては、地方負担制度改正によりまして増加し、それによって事業の執行が困難になるという事態にならないようにできるだけの措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 その場合、これは建設大臣にもちょっとお尋ねしたいのですが、地方交付税ですね、普通交付税において何らかの負担というものを、めんどうを見てやるような配慮というものが考えられているのですか。
  32. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま自治省からお話がありましたように、そういう点は、自治省でも配慮をするという前提に立っておるのでございます。
  33. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはまた大きな問題なんで、われわれとしても、いまここで私が言うことは差しさわりがあるので申し上げませんが、何らかの決議を行なわなければならぬというような考えを私は持っておりますので、あらためて聞いたわけです。  そこで私、大臣は二時から御用があるというふうに聞いておりますので、その前にちょっとほかのことへ話題を転じたいのですが、ダム関係したことなんです。これは、ダム等に関しての予算措置も講ぜられておりますので、全然関係がないということを申せませんので、ちょっとお尋ねをしておきたい、こう思っております。あとゆっくり違う点でまた御質問をさしていただきますが、利根川開発一連ダム工事、これは重大な問題になっておりますが、諸般の問題に関連いたしまして、このダム工事が一体計画どおり進んでいるのか進んでいないのか。特に首都圏水需要というものは、昭和六十年度においては、現在のままでは当然まかない切れない。御存じのとおり、国民一人当たりの水需要という基準も上がってきておりますし、都市化に伴うところの南関東、また北関東に大量の人口が流れ、集中されてくるということは、大臣の前回の都市問題の方策についても御発表があったとおり、私どもはそういう観点に立って、建設省利根川開発基本計画、こういう水需要という問題をとらまえて、幾つかのダム群計画並びに建設がいま進んでおると思います。特にお尋ねしたいのは、草木ダム、八ツ場ダム、この二点についてはいろいろと問題があるように聞いております。利根開発一連ダム工事はどのような状態で進んでおられるのか、まず大臣から、このダム開発構想というものを一ぺんお聞きしておきたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。
  34. 根本龍太郎

    根本国務大臣 具体的な事例についてでございますから、河川局長から説明させます。
  35. 坂野重信

    坂野政府委員 御指摘のありました八ツ場ダムにつきましては、いま地元との調整に苦慮いたしておりますが、ともかくできる範囲内におきまして調査を進めておりまして、四十五年度にはぜひとも地元との調整をはかりまして着工をはかりたい。それから草木ダムにつきましては、水資源開発公団においていま地元との調整、特に補償問題、公共補償等を重点にしまして進めておりまして、四十八年度完成を目途にいま鋭意努力中でございます。
  36. 小川新一郎

    小川(新)委員 草木ダムの現状については、これからしぼって河川局長にお尋ねいたしますが、当初の草木ダム完成予定年月日はいつであったのかという点が一つ、第二点は、その予算規模幾らであったのかということ、第三点は、その当初計画とズレがあるのかないのか、また予算規模ではどれぐらい上乗せになるのかということ、それらの点について、草木ダムについてお尋ねいたします。
  37. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えいたします。  草木ダムにつきましては、当初の予定が四十五年度でございましたが、用地補償等諸般の問題あるいは基本計画等の問題がございまして、先ほど申し上げましたように、四十八年度完成を目標に現在は進んでおります。それから予算につきましては百八十七億程度と見ておりますが、これは用地補償等の今後の問題等とも関連いたしまして、これをかなり上回る見込みでございます。まだはっきりいたしておりません。
  38. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、そこで問題があるのですが、水事業の点では非常に大事な点です。特に私は、土地の問題で大臣にお尋ねしたときには、私権の大幅制限は当然である、こういった点につきましては、土地収用権というものも強化していかなければならないんじゃないか。また、過日の予算総括質問の際に私は総理にお尋ねしたのですが、憲法第二十九条と第二十五条とはどちらが優先するのか。この際には、総理は、第二十五条が優先するのである、国民基本的生活の擁護をうたったほうが優先するのである。こういうふうに考えてまいりますと、多くの首都圏の水問題として建設省がこうしてプランを立てたダム群開発が、当初より三年も延びた。私の調べでは、たぶん百三十億円くらいであったと思うのですが、大幅なる予算増、これだけ一つ見ましても、国家財政に及ぼす影響は非常に大きなものが出てまいりまして、当然必要なものであるならば、あらゆる努力を傾注してこのダム開発を進めなければならぬことは、これは都市サイドを待つまでもなく重要な問題でございます。だからといって、この補償の問題は大事になってまいるわけでありますが、そういう問題について建設大臣は、首都圏の一番大きな水資源の根本問題である利根川開発のこのダム群構想については、今後どのような決意で当たられていくのか、また、これらの補償に対していろいろなトラブル等が起きてまいると思いますが、これに対してはどのような法的措置、また決意をもって臨まれるか、この点まず一点をお尋ねしたいのでございます。
  39. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、水資源開発が非常に重要な社会的な問題であり、政治問題化してきておるのであります。従来、ややもすれば水源地帯いわゆる上流のほうが、自分たちだけの犠牲において下流に利益を与えるというのは不公平である、こういう観念が強いために、特に水没するような地区の人々に非常に反対が多く、またこれを支持する一つの相当有力なるグループもありまして、なかなかこれはむずかしい問題でございます。しかし、いま御指摘のように、最近はもっと高い公益的な観点からこの問題をやらなければならないという一般国民の世論も出てきたために、従来よりは若干、これは一つのムードとしてはよくなってきているんじゃないか。そこで、われわれといたしましては、こういう問題についてできるだけ関係者の同意を得て、なるべく円満にやりたいと思っておる次第でございます。特に首都圏内の問題については従来いろいろ問題がありますので、機会を得ますならば、この前も他の委員会で申し上げましたが、上流地区の県知事、下流の関係の県知事と会合いたしまして、総体的にどのようにしてこういう問題に取り組むかということを、私も入りまして話し合いをしたい、こう思っておる次第であります。  いま御指摘になりました二、三のダムについても、地元の町村では反対しておるけれども、上級機関というか上の一つの組織である県議会などでは、条件さえよければこれはやるべきだというような、かなり複雑な動きもございますので、できるだけこれは納得の上に進めたい。しかし、ごく少数の人の抵抗でこれができないということになってはたいへんでございますから、そういう場合には、この前御説明したように、土地収用権の発動ということも最後的にはやらなければならぬという場合になりますれば、それをもやらなければならぬ事態になるかもしれませんけれども、なるべくそれはしたくないという気持ちでおる次第でございます。
  40. 小川新一郎

    小川(新)委員 この草木ダムが当初より三年間もおくれたという弊害、これの与える影響というものも相当出てきているのですが、どのように建設省としては把握しておりますか。
  41. 坂野重信

    坂野政府委員 草木ダムは、御承知のように、利根川、特に渡良瀬川を主体とする洪水調節、水利用の点からいいますと百三、四十万トンばかりの首都圏の水の供給を考えておりますので、一刻も早くこれは完成すべきであるというぐあいに考えております。いろいろおくれた原因はございますが、さっき大臣もおっしゃいましたような地元のいろいろな関係、特に公共補償生活再建、地域開発というようないろいろな問題がからんでまいりまして、水資源公団も相当努力はいたしておりますが、いろいろな問題がからみ合っている関係上現在までおくれてきておるということでございますけれども、最近、水公団も相当馬力をかけて、いろいろな問題が片づきつつあります。近く個人補償についての基準等も発表できるような見通しがついておりますし、今後は、これは早急に、ラストスパートといいますか、相当スピードアップできるんじゃないかというぐあいに期待いたしております。
  42. 小川新一郎

    小川(新)委員 補償基準というものはどのくらいの額を示し、いつごろこの補償基準というのが発表できるのか。現在わかっているのであればお教え願いたいのです。
  43. 坂野重信

    坂野政府委員 補償基準の具体的な内容については、私どもはまだ存知しておりません。水公団のほうでいろいろ検討しておる段階でございます。  時期につきましては、遠からず、公共補償の見通しはもうほとんどついているということを聞いておりますので、これは日ならずして示されるんじゃないかというふうに考えておりますし、私どもとしても、公団に対して早くそういう方向に持っていくように指導いたしたいと思います。
  44. 小川新一郎

    小川(新)委員 私一言申し上げたいのは、最初の計画では、四十五年に完成ということはことし完成だったんです。それがいまだに補償基準も明確でない。ただ水資源開発公団にまかせているだけであるということは、私は、当該監督官庁としては、ちょっとおくれているんではないかという気がいたします。だといって責めているわけではございませんが、そういう点ひとつよろしく御配慮いただいて、少なくとも夏ごろまでには、七月ごろまでにはこの補償基準を明確にしていただきませんと、さらに大きな弊害が出てくるということなんです。  なぜ私がこのような問題をしつこく聞いているかと申しますと、最近草木ダムの中に、これは大臣も最もきらっている暴力団が介入してきたということなんです。との事例は、朝日新聞に載っておりましたから大臣もごらんになったと思いますが、長引けば長引くほどいろいろな虫がついてくる。特に憎むべき暴力行為組織団が、補償費目当てに純真な山村の過疎地帯の住民にいろいろな影響を与えながら入ってきた。こういうことは非常に考えなければなりません。大臣も詳しいことは御存じないと思いますから詳しいことは聞きませんが、このような事例が発生しておりますことについては、どうお考えでございましょうか。
  45. 根本龍太郎

    根本国務大臣 具体的な事例についてはあまりよく存じませんが、私もかつて私の選挙区内でそういう事態がありまして、当局が非常に苦しんでおる状況も一、二知っております。     〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 ある特定の勢力が、そういうふうな補償と工事を妨害するという二つの目的を持って建築をしたり、あるいは土地を少しずつ持って妨害もしくは条件闘争に入るということで、非常に地元民自身も困っておるという事態も、かつてあったことは私知っております。そういうことによってこれらの特定の者が利益を得ることは、断固としてこれは排除しなければならぬと思っております。具体的事例については、わかっておる範囲において河川局長からお答えいたさせます。
  46. 小川新一郎

    小川(新)委員 警察庁から来ておいでになりますから、草木ダムの暴力団関係についてひとつ実態をお示し願いたいのです。
  47. 長岸要

    ○岸説明員 ただいまの草木ダムにおきます暴力団の実態ということでございましたが、私ども報告を受けておる範囲では、昭和四十一年の六月ごろに、三十数世帯がバラックを建ててそこに住みついたようでございます。その中に暴力団系統の者が数名おりまして、これらの者は、最初はダムの工事関係者に皮バンド類等を売っておりましたが、部落の者には相手にされませず、その後いっとはなしに数が減って、ほとんど住んでいないような状況であったようであります。ことしの二月ごろになりまして再び居住を始めまして、全員が居住しているわけじゃございませんで、大体二、三名ずつ交代で泊まり込んでおるというような状況でございます。  なお、これらの者が部落の者あるいは工事関係者等を相手に若干賭博を行なっておるんではないかというようなうわさもございますが、現在までのところ、まだ私どもといたしましては具体的にそれを裏づける資料を残念ながらつかんでおりません。警察といたしましては、暴力団が——これはたいへん虞犯性の強い団体でございます。したがいまして、常にどのような行動に出るか、どのような犯罪を犯すおそれがあるかということについて警戒を重ねているところでございまして、本件につきましても不法事案を犯すことのないように警戒を続けておると同時に、不法事案があれば断固として取り締まるという方針で臨んでおる次第でございます。
  48. 小川新一郎

    小川(新)委員 その暴力団の名前、勢力、組織をお願いいたします。
  49. 長岸要

    ○岸説明員 あそこに入っております団体と目されるものは、上州神梅一家と称する団体のようでございます。私どもで大体つかんでおりますのは、構成員二十数名でございます。
  50. 小川新一郎

    小川(新)委員 警戒体制をしくと申しておりますけれども、当該市町村にはどれくらいの警察官がおるのですか。
  51. 長岸要

    ○岸説明員 ダムの管轄は大間々警察署でございます。私、残念ながら大間々警察署の定員を、きょう実は把握してまいっておりません。
  52. 小川新一郎

    小川(新)委員 大間々警察までは、その暴力団のいるところから何分くらいかかりますか。それで、そのところには駐在所があるのですか。
  53. 長岸要

    ○岸説明員 大間々警察署からは距離にして大体二十四キロくらい、駐在所は四キロくらい離れておるというように承知しております。
  54. 小川新一郎

    小川(新)委員 二十四キロということは、六里くらいあるわけですね。その六里の体制の中で、当村には駐在所が一カ所しかないのですね。おまわりさん一人しかいない。いま、国定忠治の流れをくむとかいうふうに新聞なんかでは書いておりますけれども、そういう暴力団が何のためにここに入ってきたか、何のためにこの平和な山村に暴力団が介入しなければならぬのか、これはどういうふうに調査されておりますか。
  55. 長岸要

    ○岸説明員 暴力団と申しますのは、一般に利を追求いたすことのたいへん強いものでございます。したがいまして、山奥にも若干の利があるという見込みをつけて集まってきたのではないかというように推測する次第でございます。
  56. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、テレビのドラマに出てくるような、犯罪を犯した者の隠れ家か何かでアジトと解釈していいのか、それともそういう人里離れた山の中で何事かをたくらんでいるのか、それともこれは河川関係補償費をねらうためにわざわざそういうところに住みついたのか、それとも賭博が目的で、そこにたくさん落ちるお金を目的としてばくち等で巻き上げるのが目的なのか、この四点に対しては御調査があったと思いますが、その前に、大間々警察並びに群馬県警では何日に御調査になったのですか。
  57. 長岸要

    ○岸説明員 大間々警察署におきましては、先ほど申しましたように、四十一年に入ってきましたころに注目して見ておったようでございます。なお、最近におきましてそういう新聞報道がありました後に、係官を派遣して調査をいたしておるはずでございます。
  58. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点は、三月十三日に現場を視察なさっておりますね。それからその一日後に、群馬県警からも調査に行っております。そういう点は、もう少し明確に警察庁のほうでお調べをしておいていただかなければ困る問題です。  これは河川局長にお尋ねいたしますが、昭和四十一年には、もう草木ダムは当然ダムとしての目的を明らかにし、着工しておったと私は理解しておりますが、そういたしますと河川法五十六条、五十七条、五十八条、同施行令の三十五条、同施行規則の三十二条、三十三条、すなわち河川予定地制限令にひっかかってくると思うのですが、これはどうでしょう。
  59. 坂野重信

    坂野政府委員 河川予定地の指定をいたしましたのが四十一年の九月十四日でございまして、お話しのように、指定を告示したあとにおいて入ってきたものは明らかに違反になるわけでございます。
  60. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、明らかに河川制限令に違反しているということになりますと、これは補償の対象にはなりませんね。
  61. 坂野重信

    坂野政府委員 いろいろな事情があるかと思いますので、よく実態を調べないとわからないのですが、原則的には補償の対象にはなり得ないということで、公団のほうにもそういう指導をいたすつもりでございます。
  62. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、警察庁の岸課長さん、ただいまこれは違法である、そういう違法であるところにバラックを建てて——河川敷だと思うのですけれども、そういうところへ建てて、もしも補償を要求した場合には恐喝罪とか、そういうものにはひっかからないのかどうか。そういう点が一つ。  それから、これらの好ましからざる神梅一家を、この地から駆逐することはできるのかできないのかという点でございます。
  63. 長岸要

    ○岸説明員 初めのほうでございますが、補償金の請求その他をめぐりまして恐喝になる事案があれば、これは私どものほうで検挙をいたすつもりでございます。  それから、実際これらの場所におります事柄につきましては、立ちのき等の問題につきましては、第一義的な所有者なり管理者なり関係当局の立ちのき命令というものがあって手を尽くされる結果、強制執行や何かの場合になりまして、初めてわれわれの活動が開始されるというのが通例でございます。
  64. 小川新一郎

    小川(新)委員 河川局長、制限令に抵触するということになりますと、これは明らかにそういう目的でバラックを建ててここに住んでおるのですけれども、こういうところに建ててある建物の排除というものは建設省当局としてできるのかできないのか、またできない場合には、警察なんかの力をかりてやれるかどうか、ましてこういう暴力団の場合はどうなんですか。
  65. 坂野重信

    坂野政府委員 予定地を指定したあとにおいてこういう問題があったらいかぬということで、河川管理者、担当職員が文書であるいは口頭で注意をしております。しかし、これを聞き入れないで強引に入り込んだという事実がございます。代執行等の方法もあるわけでございます。その辺につきましては、今後警察当局等ともいろいろ相談をしながら適切なる措置を講ずるように、公団のほうとよくその辺は話し合っていきたいと考えております。
  66. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常にその点が明確でないと思うのですね。明らかにこれは制限令にひっかかっておるということをお認めになっていらっしゃるし、補償金もお払いにならない。ましてや事件が起きているじゃないですか。先月ですね、車に当てた。当たり屋的なことをやって、二十万円恐喝された事例があるではありませんか。こういう問題が続発するということもあるし、それから地元草木ダム建設事務所では、涙金ぐらいは支払わなければならないであろうということを言っておりますけれども、この建設常任委員会の席上、われわれの税金である涙金といっても、どれくらいが涙金であるかは定義がありませんし、どれくらいお払いになるかわかりませんが、草木建設事務所の係官の方がそうおっしゃっている。これは絶対に払わない、当然である、どうなのか、これが一点。  第二点は、警察庁の課長さん、そういう賭博だとか、先ほど言ったような自動車の当て逃げのために二十万円恐喝されたというような事例、こういう事例があるんですけれども、これはどうなんでしょう。
  67. 坂野重信

    坂野政府委員 前段の問題でございますが、補償金としては払うべきでないということは、さっき申し上げたとおりでございます。
  68. 長岸要

    ○岸説明員 二十万円の当て逃げによる恐喝というお話でございますが、私事情を聞いておりませんので、さっそく調査をいたしたいと思います。  なお、賭博その他につきましては、暴力団の主要資金が賭博であるということで、賭博捜査は、暴力団全体の問題といたしましても重点を置いておるところでございます。先ほど申し上げましたように、現地では、残念ながらまだ賭博の裏づけ資料をつかんでないという状況でございます。
  69. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、このマル暴対策は非常に進んでおると私たちは理解しておるのですが、この地区からいろいろそういう、たとえば証拠はつかんではいないけれども、明らかに沼田方面においては、お医者さんとか神主さんとかお坊さんとか町の有識者がばくちをやっているといううわさがありますし、この当該市町村の農家の方々が、ばくちで金をすって農協に借金を申し込んでいるという事例もある。この農協問題はいずれ問題になってまいりますけれども、判こを預けっぱなしなんです。そして何千万ですか何百万ですか知りませんが、相当の補償金が入ることをもくろんで、農協では金をどんどん貸し付けておる。そのために競艇に行くとかあるいは競輪に行くという、そういう名目でばくちをやってすっておるということが地元のうわさになっております。それがいまだにつかめない。こういうことは明らかに——山村地帯で駐在のおまわりさんが一人しかいないし、大間々警察までは二十四キロも離れておる。こんなところでは事件の起きる可能性が非常に大きい。ましていわんや、ばく大なダム補償の金が入ってくる、これは暴力団のかっこうなカモじゃないですか。それが事例がないとか証拠がつかめないとかいって、まして河川法にも抵触しているようなそういう暴力団に対しては、断固たる処置をとらなければならぬ。これに対してはどういう御決意で進まれるのですか。
  70. 長岸要

    ○岸説明員 ただいまも申し上げましたように、現在までつかんでおりませんが、いろいろな犯罪事実についてはこれをつかむべく、いま努力をさしておる次第でございます。もちろん私ども、暴力団につきましては見過ごしておるわけではございませんので、ふだんから情報の収集につとめ、その構成員の犯罪については常にかたい決意をもって取り組んでおる次第でございます。
  71. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと待ってください。私が聞いている質問は、このかたい決意はわかったのです。決意はわかったから、この当該市町村にいま巣食っているこの連中に対しては、どういう処置をとるのかというのが私の質問なんです。
  72. 長岸要

    ○岸説明員 きょうのお話を現地のほうによく伝えまして、十分犯罪の検挙に努力いたしたいと思います。
  73. 小川新一郎

    小川(新)委員 そんなことを言っているから私とかみ合わないのであって、これはもう県警でも大間々警察でも、調査に行かれているのでしょう。四十一年に入っているのでしょう。ことしは四十五年ですよ。五年間も放置してあるのです。だからこれは、マル暴対策が進んでいる、進んでいると言っているが、明らかにいま言ったように、河川局長は、河川制限令に抵触していると言っているじゃありませんか。何の目的もないじゃないですか、何のために借地権をとって、何のために暴力団が入っているのですか。だから、こういう目的がはっきりしていない、こういう住めないところにいるのですから、そういう暴力団に対して警察庁はどういう態度をとるのかということを聞いているのですよ。
  74. 長岸要

    ○岸説明員 暴力団の排除につきましては、現地警察ともよく話し合いまして——もちろん現地の関係当局との関係もございますので、十分話し合いまして、これが排除に努力いたしたいと思います。
  75. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあ排除に努力するということでありますから、ひとつ期待しております。そういたしませんと、何か突発的な犯罪事故、婦女暴行とか恐喝とかばくちの問題とか窃盗とか、いろいろな刑事事件が続発するような懸念がなきにしもあらずだから、私は御注意申し上げておるのであって、すみやかにその点をお願いするものであります。特に私、河川法施行法の一部改正法律案の中でこういう問題を取り上げるのは本意ではないのでありますけれどもダム等に関する一連水資源開発に伴う——四十五年の完成が四十八年にまで延びている。それに伴う社会的、経済的損失というものはたいへんなものであるから、私は、この河川法趣旨というものを、ほんとうにあらゆる角度から地元府県に、財政的にも精神的にも影響のないようにひとつ与えてもらいたいということを言いたいわけで、いま質問したわけです。  では、次に進みます。  次は、都市河川についてお尋ねいたします。  最近行管庁から河川局にいろいろと勧告があった問題がございますが、その点についてお尋ねするのでありますけれども、局長、どういう点が勧告になってきたのですか。
  76. 坂野重信

    坂野政府委員 最近、都市河川をめぐるいろいろな治水上の問題が、都市の発展とともに出てまいっております。都市河川をめぐる管理上の問題、特に普通河川管理の問題、それから下水道あるいは農業用排水等の調整の問題、それから整備事業につきましては改修計画の策定の問題、それから用地取得の問題、それから最近行なわれている大規模宅地開発との調整のあり方の問題、それから都市河川整備の問題に関する諸対策につきましては、先ほど申し上げた下水道との調整をはかって、総合的な計画、排水計画を立てる必要があるのじゃないか。最後に、都市河川の浄化の問題につきまして、積極的にその対策事業を推進する必要があろうというような趣旨でございます。
  77. 小川新一郎

    小川(新)委員 局長、この都市河川の責任の分野はどこにあるかということなのですが、一級河川、二級河川、普通河川、要するに河川法にいう準用河川、または準用していない河川、これらの都市河川というのは国が管理するというのか、都道府県管理責任を持っておるのか、市町村が管理責任を持っておるのか、どこなのでございましょうか。
  78. 坂野重信

    坂野政府委員 御承知のように、河川法一級河川、二級河川と分かれておりまして、大体一級河川、二級河川につきましてはほとんどが、その水系に属するものはそれぞれの指定をされておりますから、それ以外のいわゆる普通河川と称するものがございまして、これはあるものは下水道の管理者が管理をして下水道事業を行なっております。それからまた、都市の中でも農業用の水路として使われておる、こういうものもございます。そういうものはそちらの団体でやられておる。それから市町村が独自の立場で管理をしておるもの、それ以外のものでそういう管理に属しない一般的な、いわゆる小さな河川というものもございます。
  79. 小川新一郎

    小川(新)委員 財産上の管理権というものは都道府県にあると理解しておりますけれども、これは自治省にちょっとお尋ねしますが、行管から指摘を受けております、この管理責任が不明確なまま放置されておるいろいろな諸問題が提起されておりますが、都道府県が財産上の管理を持つ責任があるにもかかわらず、その実態を掌握しておる都道府県というものに対して行管から指摘されておりますが、実態はどうなんでございましょうか。
  80. 森岡敞

    森岡説明員 御指摘のように、一般的には、財産上の管理につきましては建設大臣の機関委任を受けました都道府県知事管理をする、こういうことに普通河川については相なっております。これまた御指摘のように、行管の勧告によりますと、都道府県管理の条例を定めておる事例がかなり少ないというのが実態でございます。私どもといたしましては、こういう御指摘もあったことでございますので、今後管理の万全を期するように一応監督、指導をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  81. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは河川局長、昨年都市河川対策室を設けておりますが、こういう都市河川対策室は、これらの都市河川の、ただいま申し上げましたように自治省でも遺憾の意を表して、これから監督していくということをおっしゃっておりますが、これは責任、管理の所在が不明確なのです。この都市河川対策室を設けたのは、こういう河川をいろいろと管理、監督していくためであると私は理解したのでありますけれども、これとはどういう関係がございますか。
  82. 坂野重信

    坂野政府委員 都市河川対策室は、最近の都市河川をめぐるいろいろな水害の頻発にかんがみまして、都市の治水問題を総合的にひとつ処理していこうということで、そこに主眼を置いて設けられたものでございます。もちろんその中には、河川の行政管理上の問題も非常に重要な問題でありますので、そういうものはまた河川局の中に別に水政課という課がございます。その辺でひとつ総合的に河川管理のあり方の問題等を含めまして、今後どういう措置をとればいいかという問題につきまして、行管の勧告もございますので、十分尊重した方向で検討してまいりたいと考えております。
  83. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから、大都市等の都市化に伴って、下水だかどぶだか川だかわからない、もう汚濁しておりまして、わからないようになった都市河川があります。こういうのは都市下水としての下水道として、市町村に管理の委任を行なっていったほうが私は適切だと思うのでございますが、これに対するお考えはいかがでございましょうか。
  84. 坂野重信

    坂野政府委員 下水道と河川調整でございますが、河川は、どちらかというと機能的には面積の広い流域を持つもの、あるいは山地なり丘陵部から流れておるものというものを主体にいたしまして河川事業を行ない、河川管理を行なっていこう。それ以外のもの、小規模なものにつきましては、下水としての役割りが重要なものについては町方で十分話し合いまして、その辺の仕分けを今後はっきりとやってまいりたいと思います。それから農業用水につきましても、すでにその用途を失っておるものもございますので、その辺もあわせてひとつ総合的な立場で仕分けをして、管理区分というものをはっきりしてまいりたいというぐらいに考えております。  ただ、四十五年度からは、そういった小さな河川につきましても、東京都並びに六指定市につきましては補助制度を新しく設けるわけでございますけれども、そういった管理の問題につきましては、今後の問題として研究してまいりたい。とりあえず利用面におきましてそういった問題があるような点につきまして、優先的に事業を実施していきたいというふうに考えております。
  85. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは政務次官にお尋ねいたしますが、財源の問題がいろいろ問題になっておると思います。いま新都市計画法で、市街化区域と調整区域の線引きが盛んに行なわれておりまして、固定資産税のあり方が、地方自治体に及ぼす財源の問題で非常に大きくなってまいります。そこで、市街化区域内に指定された農地というものは、一体農地並みに課税をしていくのでありましょうか。なぜ私がこういうことを質問するかというと、河川財源として非常に大きな影響を持ってくるからお尋ねするわけでございまして、この点はどうでございましょう。
  86. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 市街化区域の中に残りました農地についての課税の問題につきましては、従前からいろいろ議論があったことは先出御承知のとおりでございます。現在のところは、農地につきましてそれが市街化区域に入ったからといって、直ちに固定資産税を宅地並みに評価するということにはなっていないわけでございます。ただ、税制調査会の答申におきまして、市街化区域の中でも都市的な環境の整備された地域については宅地との均衡をはかるべきである、そういう答申が出ておりまして、今年度の税制調査会の答申におきましても、その問題は引き続いて検討するというような段階になっておる。現在のところはそういう段階でございます。したがいまして、市街化区域におきます農地について、固定資産税の評価を宅地並みに評価するという段階には至ってないわけでございます。
  87. 小川新一郎

    小川(新)委員 この間の新聞によると、自治大臣は、四十六年度から市街化区域内にある農地は宅地並みに取り扱っていくというような意味の記事が響いてありました。ただ私がそう理解しておるんじゃなくて、これはこの席上ではっきりしておかなければならぬ問題でございますが、本来なら大臣に御答弁いただかなければならぬ。それも段階を分けてやらなければならぬ。大体三百分の一ぐらいの安い税率でございます。そういう財源のあり方というものが、この河川法の四分の三から三分の二になっていく。いろいろな地方財政の好転の理由になってまいりますので、私はあえてここではっきりしておかないと困るので、四十六年度からたぶん自治大臣はおやりになるような意味のことが新聞に載せられておりましたが、私のひが目であったかどうか。ただいま都市局長はまだまだその段階ではないと答える。こういう点が明確にされてこないと、私は、この河川法改正問題について地方財政が好転するという一つの材料として見ていけない。こういう意味でお尋ねしているのでございますが、局長さん、いかがでございますか。
  88. 森岡敞

    森岡説明員 所管外でございますので、申し上げるのはちょっとどうかと思いますけれども、固定資産税の農地に対する課税につきましては、先ほど都市局長のお話にもございましたように、かねてから非常にむずかしい問題になっておるわけでございます、市街化区域の線引きが行なわれました後に、その中にある農地について、宅地との評価課税のバランスをとることはぜひ必要だという御意見でございます。固定資産税の性格、これは財産課税ではございますけれども、収益税という性格もあるというふうにいわれておりますので、そういう観点から見て問題があるのではないかという全く正反対の御意見があるわけでございます。この問題につきましては、建設省当局もかねがね御研究され、自治省といたしましても、税制調査会等を通じまして御審議をわずらわしておるわけでございますけれども、現段階ではまだ慎重に検討中である、こういう段階であるというふうに考えております。
  89. 小川新一郎

    小川(新)委員 課長さん、そうしますと、毎日新聞や読売新聞に出たのは、まだまだ四十六年度には、この固定資産税はあくまでも農地並みでやっていくんだ、そうなってまいりますと、あの新聞を見て喜んだり悲しんだりした多くの人たちがおりますが、大臣の答えることは、課長さんといえども全部一貫していると私は思っております。その点がどうも不明確で、いろいろな意見、考え方等を私聞いておるのではありませんで、そのものずばりを聞いているのでありまして、この河川法に関する自治体の財源問題に関連しているから聞いているのであって、全然無関係なことを聞いておるのではないと私は理解しております。いかがでございますか。
  90. 森岡敞

    森岡説明員 おしかりを受けるかもしれませんが、私、実は先生御指摘大臣発言要旨を十分承知しておりませんので、お答えが的確でございませんけれども、おそらく四十六年度までに、大問題でございますので結論を出したい、こういうことではないかというふうに私なりに考えております。
  91. 小川新一郎

    小川(新)委員 ここに発言した大臣がおりませんから、あなたに責任を転嫁するわけではございません、しかるわけではございませんが、ちょっと不勉強なように私理解するのであります。(「一所管が違う」と呼ぶ者あり)それはそうでございますけれども、それくらいのことは、これは大事な問題であって、自治省としても当然——私しかっておるわけでも何でもありません。ただ、ちょっといやみを言っただけであります。  そこで政務次官、これはどうしてもあなたにお答え願いたい。すぐ局長にバトンタッチされないで、きょうは大臣のかわりにお答えいただきたいと、私手ぐすね引いて待っていたわけです。  市街化調整区域内にある不動産業者が買い占めてある土地は、私の知っている範囲で、南関東の東京、神奈川、埼玉、千葉だけで四千四百ヘクタール以上ある。四千四百ヘクタール以上ありますが、法律では、市街化調整区域というものは開発できないことになっておる。ただ、政令にゆだねております。これもちょっと私は異論がある。法律で禁止してあるのを、政令でそういうことをやるというのは、ちょっと私異論がありますけれども、それはそれとしまして、これはたぶん局長のところに日本不動産協会の陳情、請願がいっていると思う。そこで、この大事な河川法関係してくるのですけれども、この不動産業者の持っておる土地を、市街化調整区域に線引きが決定したら開発させるかさせないか。南関東だけで約二十万戸ぐらい家が建つ計算になっておりますが、これは政務次官、大事な政治問題になっております。よく御意見を聞いてからでけっこうです、どうでしょうか。
  92. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えします。市街化調整区域内に残りましたものにつきましてはもちろんかってな開発を許しません。個々の問題につきましては、この計画を推進するにあたって妥当適正なものにつきましては検討を加えるということの用意はあるが、原則として開発は許さないつもりでございます。
  93. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、市街化調整区域に線引きされたならば、不動産業者の持っている土地というものは、特例はございますが、二十ヘクタール以下のものは許可しない、こう理解していいですか。これは局長でけっこうです。
  94. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 相当大規模なまとまった面積の宅地開発でありましても、都市計画法の上では、市街化区域に入れて市街化をしていくというのが原則でございます。ただ、今度の市街化区域の設定にあたりましては、農業との調整あるいは公共投資の負担方法、あるいはただいま問題になっております河川改修との関連というようなことがございまして、十分調整がつかない場合は、やむを得ず市街化調整区域に残るというものが出てくる。そういうものにつきましては、調整がつき次第市街化区域に編入をする。それからもう一つは、現在の段階におきましては、まだ市街化区域に入れることが不適当なものがございます。そういうものにつきましては、現在の段階では調整区域に入れざるを得ない。そういう場合に、ただその市街化区域の生まれ方によりまして、法律にも書いてございますように、市街化の区域の市街化状況から見まして、そういうような適地がとうてい市街化区域の中に得られないというような場合には、やむを得ず開発許可という形で、二十ヘクタール以上のまとまったものにつきまして許可をするということが出てくるわけでございます。原則としては許可しない、こういう考え方でございます。
  95. 小川新一郎

    小川(新)委員 原則としては、これはもう調整区域になったら許可しない、どんなに泣きついてもしない。そうですね。
  96. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 ただいま申し上げましたように、市街化区域の状況から見て、適地がないというような場合を除きましては許可をしない。
  97. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、市街化調整区域は公共投資を抑制することになっておりますが、現実には政令によって二十ヘクタール以上の開発が許可されることは、いま御答弁になったとおりであります。そこで、河川改良工事というものを、公共投資をもってこの市街化調整区域内においても行なうのかどうか。開発者だけにまかせるのかどうか。
  98. 坂野重信

    坂野政府委員 河川の立場からいいますと、市街化された地域については重点的に公共投資を行なう。調整区域につきましても、必要なものは、やはりほうっておけませんので、もちろん市街化区域に比べますとテンポは落ちるかと思いますが——その場合に、いまおっしゃるような大規模な開発行為が出てまいりましたら、もちろんそれを許可する場合には河川管理者に対しての協議もあるわけでございます。そういう観点からよく審査いたしまして、そういう行為が行なわれるということを認めた以上は、もちろん公共事業を行なうわけでございます。その場合に、開発事業主体のほうから、原因者負担といいますか、そういった負担の方法等につきましては、できるだけ積極的に進めていただきたい。現に一部、そういうように県において進めておるものもございますので、そういう問題について、ひとつ積極的に考えてまいりたいと思います。
  99. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、河川法第十八条によって原因者の工事施行を定めておりますね。そうしますと、住宅公団や住宅供給公社、民間デベロッパーにそういった工事をさせる、こう理解していいですか。
  100. 坂野重信

    坂野政府委員 事実行為としてそういう開発行為をやれば、それだけやはり下流なり各方面に影響が出てくるわけでありますので、そういった法令そのものではございませんが、法令の精神によって影響分に相当する分くらいは、ひとつ積極的に協力してもらう方法で、事実問題として措置してまいりたいと思います。
  101. 小川新一郎

    小川(新)委員 地方公共団体財政好転ということでございますけれども、局長、今回のような河川法一部改正ということと伴って、道路にもこういうことが当てはまってくる、港湾にも当てはまってくる。事実道路とか港湾等には、こういう国と都道府県との財源配分比率の変更というものが、財政好転という理由によってあるのですか、ないのですか。
  102. 井上幸夫

    井上説明員 便宜私からお答えいたします。  四十五年度予算におきまして、国の負担割合の変わっておりますものは港湾に、ごく一部の例ですが、ございます。それから道路につきまして、国道の短い地区のうち特定の要件を満たしているものについて、若干の調整予定してございます。
  103. 小川新一郎

    小川(新)委員 政務次官、こういうスタイルがどんどんあらわれてきますと、財政好転、好転といっても建築にもあらわれてくるだろう、道路にも出てくるであろう、またそういった河川問題等、いろいろな面にこういった姿があらわれてくるということは、好ましいことではないと私は思うのですよ。せっかくやっと好転のきざしが見えてきたのだ。少なくとも河川緊急整備長期計画というものが終わらないものは、四分の三で持続していったほうがいいと私は思うのです。これは建設省の意向はそうであっても、大蔵省あたり、おそらく福田さんあたりから、そんななまぬるいことを言っていてはいかぬ、この際、もう国の援助というものはこの辺である程度あれして、好転した都道府県財源を出させるのだというような考え方であると思う。政務次官、こういう姿をどう思いますか。
  104. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えします。  思いは同じでありますけれども、実はこの河川法制定当時の経過を伺いますと、ことしの三月末日までで一応期限になっております。したがって、ほっておけば全部三分の二にダウンするわけでありますが、何とかかじりついて、せめて大規模な事業あるいはダムについては、従来どおりいこうじゃないかということの折衝をしたわけであります。大蔵省ここにおられますから、私から言いにくいのでありますが、なかなかきびしい打ち切りをやりますので、思うように金をもらえません。しかしながら、いま仰せのように、地方自治体の財政が少々好転したらしいということで、直ちに何でもかんでも地方に負担をバックさせてよろしいかということになりますれば、行政の運びとしては考えるべき点もあろうと思いますが、いまの一級河川の事態につきましては、何もきょう急に全部ダウンするのでなくして、五年の期限内においてということと、今日までサービスしてきたということをあわせ御了承願いまして、今後なお検討いたしたいと思います。
  105. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは政務次官、私、ことばじりをとらえて言うのではないが、サービスというものではないですよ。それはまずいですよ。政務次官だって私らと一緒に視察に行ったときは、山の中まで陳情が来て、あなたも山の中まで出ていってサービスこれつとめた。これがサービスで、財政的な問題にサービスのどうのこうのという問題ではないですよ。これは地方政財がたいへんであるという一つの大原則に立って国がやったのであって、サービスだとかないとかいう単純な理論のもとに四分の三を三分の二に削るとか、そういう問題ではない、こう私は理解しているが、いかがですか。
  106. 田村良平

    ○田村政府委員 サービス問答をしているつもりはありませんが、ことし三月末日まで現行でいく、自然にほっておきますと期限が切れるわけでありますから、せめて大規模なものあるいはダム等につきましては従来どおり高率の補助でいこうという線を進めていきたい。その他の補助率の変化につきましては、ただいま申し上げましたように今後検討の余地があろうか、このような考えます。御理解願いたいと思います。
  107. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省せっかく来ておいでになりますから、地方財政が好転した、好転したと言っているけれども、まず第一点として見通しはどうなんですか。  それから地方財政の問題、地方公共団体といっても、ほんとうに行政をやっているのはやはり市町村なんです。これはあとで私言いたいのですけれども、埼玉県の人口過密地帯なんかというものは、ちっとも黒字じゃないんですよ。やろうと思えば一ぱいある。やらないでもって財政が好転したという事例をいまから言います。やれば金なんかなくなっちゃう。行管から指摘されている。地方公共団体は、もっともっとやらなければならぬということを一ぱいいわれています。たとえば建築基準法第三十九条に基づく災害危険区域の指定を励行して、どんどん河川整備をしていったら金なんかなくなっちゃう。だから整備しないのですよ。それを行政管理庁から指摘されているんです。危険なところへ家を建てちゃいけませんよ。それはなぜかというと、危険ということに指定すればその河川を改修しなければならない。だから、しないのですよ。それでただ宅地が安い、土地が安いという理由だけでこうなっている。私は埼玉県の出身だから埼玉県の例をあげてお願いしたいんですけれども、ほんとうに好転していますか。埼玉県はどうですか。大蔵省はどう見ていますか。
  108. 後藤正

    ○後藤説明員 地方財政を担当しております後藤でございます。  第一点の問題でございますが、大蔵大臣がよく申しておるわけでございますけれども、国と地方財政とは車の両輪のような関係にありまして、相補完しながら国民各層のいろいろな行政費をまかなっていっているんだ。そういうようなことで、各交付税率を見ましても、二十九年当時三税の約二〇%でございましたが、それから発足いたしまして現在では三二%、あるいは国庫補助事業につきましても補助率の引き上げであるとか、あるいは後進地域のかさ上げであるとか、それから新たな単独事業の補助事業の採択、それから税源のたばこ消費税の増大、いろいろなことをやりながら、国と地方とは手をとりながらここまでやってまいっておるわけでございます。  それで、地方財政の好転の問題でございますが、これはやはり相対的な問題でございまして、現在の地方行政のいろいろな水準に比べまして十分であるというふうなことは、私ども毛頭思っておりません。ただ、先ほども自治省の財政課長が申しましたように、決算じり等の実質収支あるいは積み立て金の状況等を見ましても、かなり伸びてまいっております。たとえば二九・五から三二%に引き上げました四十一年は、経済の非常に一時的に落ち込んだときでございますが、その年は国税三税の一%は二百三十億であったわけでございますが、ことしの当初予算では五百三十億というふうに金額もふくらんでまいっております。一般財源と申しますか、地方税交付税、それから譲与税等の一般財源の増加額は、四十一年当時千五百八十一億であったわけでございますが、四十五年度財政計画では八千九百六十八億というように、財政計画一般財源伸びてまいっております。このような情勢を考えまして、やはり今後とも国と地方財政とは相補完しながら、新しい七〇年代のいろいろな行政需要に即応してまいりたいというふうな観点からの、若干の調整額というふうに私は理解しております。
  109. 小川新一郎

    小川(新)委員 数字をあげて反論されたわけですが、私も数字をあげてここでやればいいのですけれども、時間がありませんからやりませんが、大蔵省でもよく御存じのとおり、埼玉県のような過密人口地帯は、教育の問題に大和町なんという町は七割もとられちゃって、元利償還の起債の借金だけでも一億も返さなければならぬ。そして、その一般予算は七億しかない。ほんとうに火の車というところもあるのですね。ただ、確かに都道府県というのは、よくなってきていることは事実です。これはわかる。そこで私は、地方行財政財政の組み方、財源配分のしかたというものは、これから考えなければいかぬという段階に来ていると思っているのです。そういう点を考えながら、なおかっこの四分の三という問題が論じられていると私は理解したいのです。なかなかそこまではできないと思うのですが、こういう点も今後の議題となっていくのではないか、論議の的になっていくと思います。  そこで河川局長、第三次治水事業計画が、この四分の三から三分の二に下がることによって遅滞することがないだろうか、また、これは自治省にも聞きたいのですけれども、超過負担という問題はどうなっていくのか、この二点についてお尋ねいたします。
  110. 坂野重信

    坂野政府委員 第三次の治水事業五カ年計画でございますが、これは御承知のとおり、事業費ベースで純治水事業が一兆五千億、総投資二兆五百億ということになっております。現在の私どもの推定では、別に今度の措置によって治水五カ年計画に支障を来たすことはないというふうに考えております。  超過負担の問題につきましてはあとでお答えいたします。
  111. 森岡敞

    森岡説明員 国の財政地方財政との間で、国庫補助事業あるいは国庫負担事業施行されます場合、補助単価あるいは事業費の単価などにつきまして適正でないために地方に超過負担が生ずるだろうというふうなことが問題になりまして、四十二年度、四十三年度以降、その主要なものにつきまして政府といたしまして調査を行ないまして、計画的な解消をはかったわけでございます。たとえば農業改良普及員の補助でありますとか職員補助でありますとか、そういうたぐいのものについてやってまいりましたが、いま御指摘河川その他の公共事業につきましては、そういう意味合いでの超過負担というものは、私どもは、現段階では特に調査をしてやらなければならぬということはないのではないか、こんなふうに考えております。
  112. 小川新一郎

    小川(新)委員 局長、治水事業については特定財源の制度を設ける意向はありませんか。治水特別会計があるわけですね。道路特会法においてはその財源目的というものがはっきりしておりますが、そういった点において、治山治水のこの問題についても特定財源の制度を設けて、道路特会法のような性格というものを打ち出していったほうが私はいいように思うのでございます。これはいろいろな議論があると思いますが、それではなぜこういった治水特別会計があるのか。どうなんでしょう。
  113. 坂野重信

    坂野政府委員 特定財源の問題でございますが、これは私どももかねがね実は研究いたしておるわけでございますけれども、やはり道路だとか都市計画等々と若干先生御承知のように違っておりまして、受益地が非常に広範で複雑であるという点と不特定多数を対象にしているというような関係、また、その受益者負担等につきましても実質的にはなかなかむずかしいというようなことで、現在のところ特定財源というものを制度化するということは困難でございます。しかし、検討はいたしております。  それから特定財源がないのに特別会計になっている理由という御質問だろうと思いますけれども、治水特会は、御承知のように、緊急措置法に基づく治水長期計画に伴って治水事業に対する政府の経理を明確にするために設置されておりますけれども、性格的に言うとそういう特定の事業を行なう場合という、財政法の第十三条に規定してあるようでございますが、それに該当するものとして、特定財源はないけれどもそういう特定の事業を行なうためにやるのだということで、ほかに港湾整備等もその例がございます。そういう立場でやっております。
  114. 小川新一郎

    小川(新)委員 検討の要項として私要望しておきますが、要約して言うならば、地方公共団体財源を圧迫しないようには十分な配慮をしなければならない。これは、私はこの法案に賛成するとかしないとかいう問題以前に立ち返って、三割自治だとか、まして人口急増過密地帯、首都圏にあるところの都道府県というものは、非常な財源が要求されておる。だから一律に地方財政が好転したという大ざっぱな考えの中から、このあった特例法を削ってしまうということ、ダム等大規模な工事等においては、五年ですか期間をきめてやっておられますけれども、もっと大きな治山治水、利水の立場から論ずるならば、これはもっと大きな配慮をしていかなければならぬというような気持ちがいまひしひしとしております。この点については、あとの質問者も控えておりますから、私これで終わらせていただきますが、どうかひとつ十二分なる御配慮と、またわれわれの意見等もこれからどんどん聞いていただきたいということを要望しておきます。  最後に、私の持ち時間が参りましたので、お尋ねしておきますが、これはちょっと角度を変えまして、地方公共団体が行管から勧告されました。「建築基準法第三十九条に基づく災害危険区域の指定を励行し、低湿地等、安全性に欠ける場所における宅地開発の規制を強化すること。」こういう一項目が今回の行管の勧告の中に織り込まれております。先ほども私申しましたように、これは河川に例をとりますと、当然こんなところにうちを建てて宅地開発をやったんでは危険なんだ。政務次官も私と災害を見たときに、私見ではございましたが、御意見を述べておられましたことを私は覚えております。そういうことを行管が調査したときに、六十都道府県と市を調べた、それを実行しているところが大阪、札幌、北海道の浜中町、長野県の飯田市、名古屋の、たったの五カ所しかないという実例がある。こういうことは非常に私危険に思うし、河川対策上からも都市対策上からも遺憾に思うのです。これはどなたでもよろしいのですが、関係の方で御答弁できる方がありましたら、ひとつこれについて御説明していただきたいと思うのです。都市の立場からでも河川の立場からでも、どちらからでもけっこうです。
  115. 前川喜寛

    ○前川説明員 建築基準法のお話でございますので、面接担当の建築指導課長のほうからまずお答えさせていただきます。  建築基準法の災害危険区域の制限につきましては、行管からそういうふうな勧告を受けております。われわれとしても、災害防止のために、従来とも極力公共団体にそういう指定をするようにということで指導しているわけでございます。ただ、御存じのように、この制限は、条例によりまして住宅の建築禁止という非常に強い制限まで入っておるものでございますから、実際上この指定を与えるために、地方公共団体その他についても慎重に扱っておるという点がありまして、なかなか実際上は進んでいないということも御指摘のあるとおりでございます。最近のいろいろな災害の発生状況、水害の発生状況、こういったことにかんがみて、われわれとしてもさらに極力この指定を推進したいというふうに考えているわけでございます。
  116. 小川新一郎

    小川(新)委員 それほどしっかりしたお考えがあっても、なおかつ行政管理庁からこうして勧告を受けている。これは前向きにもつと指定していかなければならぬ。ただし、これは正式に五カ所はやっているんですから、お願いいたします。これは自治省もひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、二点ですけれども、市街化調整区域に指定されました中において、その市街化調整区域の中に日本でもその地域しかないという資源がある。たとえば物をみがく金剛砂という砂が市街化調整区域内に埋蔵されておる。だけれども、市街化調整区域というのは開発等が行なわれない。だめなんだ。規制されておりますけれども、こういう地下資源の開発というものは、市街化調整区域に線引きされた中にあるものに対してはどのように開発をさせてくださるのか。また、そういう貴重な資源というものに対しては開発をさせないのか。一つ法律に従って規制をされるのかどうか、いかがでございましょうか。調整区域内にある地下資源の開発について。これは宅地開発じゃありませんから。
  117. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 都市計画法の三十四条で、市街化調整区域の中におきまして例外的に許可し得る場合を書いてございます。その第二号に、市街化調整区域内に存する鉱物資源その他の資源の有効利用上必要な開発については、例外的に開発許可を与え得るということになっております。
  118. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、ただいま明快な御答弁をいただきましたから、まだたくさんございますが、持ち時間が参りましたので、私の質問は終わらしていただきます。たいへんありがとうございました。
  119. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 吉田之久君。
  120. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 私も、引き続いて河川法施行法の一部改正法案に対しまして若干の質問をいたしたいと思います。  そこで、まず、今度のこの改正をめぐりましていろいろと論議が展開されているわけでございますが、どうしてもわれわれはこの問題の根源にさかのぼって、この河川法施行法が制定されたころのいきさつをもう一度振り返ってみて問題を論じなければ、いろいろと混乱を起こしたり、また誤解のままで法改正が進められていくおそれがありますので、その点について少しただしてみたいと思います。  お互い承知いたしておりますように、昭和三十五年、閣議で治山治水の十カ年計画が策定されました。しかも昭和四十年、前期五カ年を終わって後期に入るときに、あらためて五カ年計画が策定された。そして昭和四十三年に再びこれが改められまして、新治水五カ年計画ということで現在進められておるわけでございます。これは社会党の松浦委員から御質問があったのでございますけれども、当時河野建設大臣は、河川管理権を国に取りしげるということは、当然いままで都道府県管理いたしておりました水利権そのものを国が取り上げるという重大な変更でございますので、その代償として一級水系と二級水系に分離をして、一級河川、二級河川というものをはっきりと区別して、一級河川については国が原則として全責任を持つ、全責任を持つということは全額国庫負担でやっていくのだ、こういう態度を明らかにされたところから、この問題が出発していると思うのです。もっとも大蔵省とのいろいろな折衝の結果、なかなかそうもいかずして、ならば四分の三でやっていこうではないかということにきまったと聞いております。当時、将来この四分の三はそのまま維持存続されるのであろうかというような国会の論議に対しては、当時の河野建設大臣は、一度上がったものが下がるというふうなことはあり得ないのだ、上がったものは下がらないのが政治の常識であるというふうに言明されたと承っております。政務次官は、この辺のいきさつに対していろいろと御承知だと思います。さらに詳しくひとつ当時の経過を御説明いただきたいと思います。
  121. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えします。  河野大臣のただいまの御指摘の点につきましては、私ども残念ながら当時の経緯の詳細について承知いたしておりませんが、現行の河川法についてのいまのお話につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、今年の三月末日まで暫定的な措置として一応四分の三、したがって次から三分の二にダウンする。ただいまの河野大臣の言われました点を私から御答弁申し上げますならば、せっかく高率の国庫負担率がきめてあるものを、一ぺんにどかんと落としてしまえば地方にたいへんな負担がかかります。そんなことは、法律をつくった以上常識としてはあり得ないであろう、こういう河野大臣の御見解であったかと思いますし、私もそのとおり感じます。  ただ、当時、一級河川については管理並びに管理の費用は全部国で持つんだというような意見もありましたが、地方公共団体のほうとしても、一応これだけの大河川の受益者負担という立場も考えられるのではないか。したがって、幾ら地元にも負担をというようなことからただいまのような体制で出発したのではないか、私そのように考えております。したがいまして、その時期が来たものでありますから、ほっておけばいきなり一挙に全部落ちてしまう。せめてここで、ダムとか大規模集中的な経済効果をあげてその工事の完成を急がなければならぬ、また非常に広範囲な利害関係を持つような大事業については、従来どおり四分の三の負担でいこうじゃないか、こういうので今、その施行法の問題についていろいろと御審議を願っておる、このように理解をいたしております。  以上御答弁申し上げます。
  122. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 一部ダウンすることは確かですね。もちろん交付税とか起債等でいろいろ配慮していかれるようではありますけれども、少なくとも河川法施行法という段階では、一部負担率が都道府県の場合にダウンしていくことは明らかな事実です。いま政務次官は、それは河川とい、えども受益者負担という考え方を、当然一部適用せざるを得ないんだというところに理由を見出そうとなさっております。受益者負担という考え方は、ある日突然そういう考え方が出てくるものなのですか。ならば十年前には、そういう考え方は出ていなかったのだろうと私は思います。それがどうしてこういう考え方に変わらざるを得なかったのか、その辺の事情、いきさつを局長からでもひとつ……。
  123. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  受益者負担といいますか、国の持ち分と地方の持ち分という考え方で、やはり地方としても一般的に受益する問題があるので、全額国費ということじゃなくて、やはり地方も一部負担すべきじゃないかというのが——当初は、御承知のように、先用おっしゃいましたように一級河川を全部国が管理し、国が全額負担をし、そのかわり収入は全部国に帰属するというようなことでございまして、いろんな折衝の結果そういうぐあいになったわけですが、その辺の考え方の大義名分としては、やはり地方もそういう受益を受けるので、受益者負担というのに当たるかどうかあるいは問題があるかもしれませんが、そういうような考え方が導入されて、そしてそういう大義名分が立てられて、河川法としては本則ならば三分の二であるけれども、暫定的な措置として四分の三を国が負担、そのかわり四分の一は五年間だけは見ようということになって、おそらく河野大臣としてもその当時財政の見通し、五年先のことでございますから、その時点でどういうようにお考えになったかあれですけれども、その後の情勢と比べるとかなり地方財政も好転しつつあるというようなことで、政務次官が先ほどおっしゃいましたように、地方財政に急激なる影響を与えることはまずいということで、ダムだとかあるいは大規模な工事につきましてはどうしても集中的に投資が必要だということになってまいりますと、それだけまた集中的に地方の負担がふえてはまずいというような考え方から、いまの案ができたわけでございます。
  124. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ちょっといま記録が届きましたので、当時の河野建設大臣と兒玉委員とのやりとりをもう一度調べてみたいと思うのです。河野国務大臣が、「御説はごもっともですが、何も河川法が変わったから変わらぬからによって、ダム管理が変わるということはないので、これまでもダムの運営につきましては十分に研究されてやっておられる。それを今度の河川法によって、御承知のとおり、よりこまかく、より強度の監督権を発動してやろう、こういうことにいたしておるわけでございまして、なおこれが運用につきましては、万全を期して運用してまいる、こういうつもりでおります。」その次、兒玉委員質問に再び答えて、「四十三年になりまして、私が建設大臣をしておるとは考えられませんけれども、私は、従来の経験からまいりまして、こういう補助率が一ぺん上がったものが下がるということは、日本の法律の常識や政治の常識にはない、こういうふうに考えて、これがこのまま続くものであると期待いたしておるわけであります。」政務次官お聞きのとおり、こういうふうに当時建設大臣がお答えになっているわけです。ところが、これがいまこのまま続かなくなろうとしているわけなんです。したがって、事はやはり相当重大でございます。  私は、その受益者負担の原理を一がいに否定はいたしません。だから、全額国庫負担すべきところを四分の一程度は地方で負担させ、四分の三は国が負担する、こういうところで一つの区分が引かれておるというふうにわれわれはお互いに解釈してもいいと思うのです。ならばその受益者負担という概念はそのまま尊重されなければならないのであって、急にこの時点でその四分の三の線が基本的にくずされるということに対しては、われわれは非常に深い疑問を感じます。同時に、この法律は、もともと地方財政が苦しいだろうからという一つの条件と、それから治山治水の緊急性という一つ条件、いわばこの二つの柱のもとにその法律ができ上がっておるというふうに考えられなければならないと思います。  そこで、いま地方財政がずいぶん好転してきているではないかというふうな説明がしばしばなされているわけでございますけれども、それは一応横に置いておきまして、あとで論議をするといたしまして、その緊急性の問題ですね。     〔天野(光)委員長代理退席、正示委員長代理   着席〕 治水の緊急性の問題は少しもゆるやかにはなっていないというふうに考えるわけでありまして、この点から推して今度の法改正をすべき理由は出てこないと思うわけでございますが、その点、政務次官いかがでございますか。
  125. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えします。  考え方としては、現状でいくのは一番妥当であると思います。ただ、五年の期限が一応暫定的な措置としてことしの三月末日ということになっておりますので、せめてその趣旨の中で、大きな事業につきましては従来どおりの四分の三を比かして、その他につきましてはやむを得ない措置としてこのような審議をお願いいたしておるのであります。全部高率負担を続行するという希望ないし趣旨につきましては、全く同意見であります。この点につきましてはいま申し上げたとおりでありますが、暫定的に一応五年を切った措置として今日その事態が来たのでありますから、大きな問題につきましては四分の三、その他につきましては三分の二に落ちることはやむを得ないのではないかということで、建設省としては審議をお願いいたしております。
  126. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 政務次官の、何べんも切れてしまうから延ばさなければならぬのだとおっしゃること、それはお互いにわかります。しかし、(「それが大事だ」と呼ぶ者あり)それは大事です。けれども、いま政務次官がはしなくもおっしゃったように、この四分の三そのまま継続していきたい、最近はやりのことばでいえば自動延長していこうという考え方については、お互いに希望や趣旨は全く一緒だ、こうおっしゃっているわけなんです。一緒ならばこのままずっと盲動延長すればいいのですね。それを一部、いわゆるダムは当然としても、大規模な工事は四分の三でいくけれども、その他の工事は三分の二に落とそう、少なくとも法律の文言からは落としていこう、こういうことは、政務次官としても、いまどうしてもそうしなければならないという理由が明確に出てこないと思うのです。なぜいまの時点において一部脱落をさせていかざるを得ないのか、本法に戻さなければならないのか、どうしても説得力がないように思うのです。われわれにわかるようにひとつ御説明をお願いしたい。
  127. 田村良平

    ○田村政府委員 この問題につきましては、最初お答えいたしましたように、趣旨については全く同感のものであります。(「同感ならそのとおりやるべきだ」と呼ぶ者あり)そのとおりやるべきだと言われますが、ただいま申し上げておりますように、暫定的に五年間という措置をいたしておりますので、その措置の時代が来たのでほっておけば全部がダウンする、せめて大きなものだけでもひとつ従来どおりにする、このことで御審議をお願いいたしておるのでありまして、従来どおりの高率負担がいいじゃないかということについては、おそらくどなたも御意見はないと思います。ひとついま申し上げました点で御了承をお願いしたい、かように考えます。
  128. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 政務次官は何べんでも同じように押してこられますので、これ以上はあまりお聞きしてもと思いますので一応それはそれとしておきまして、実は局長にお聞きしたいんですけれども、これは四十三年の第三次五カ年計画に改定されたときに、なぜこの問題を処理しておかれなかったか。四十五年まで四分の三が生きていることはもちろんわかっておりますけれども、これはやはりそういう計画と同時に走っているはずのものでございまして、それを四十三年の時点において延長しておかなかった、そしていまごろ中途はんぱにこの問題がせっぱ詰まって問題とならざるを得ないということは、われわれは、政治の運びといたしましてどうも非常に疑問を覚える次第でございますが、その点はいかがですか。
  129. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  さっき政務次官が言われましたように、本法では三分の二ということが、河川法にはっきり規定されております。その暫定措置として、暫定期間として五年間の措置が認められたわけで、それが施行法にうたわれておるわけでございます。それじゃ、その当時、五年ということをいろいろあれしてみますと、ちょうどたまたま治水の十カ年計画のうちの前期が終わりまして、後期の残りが五年あったというようなことで、たまたまそれと歩調を合わしたということなんで、これはどこまでもたてまえは河川法施行法としての暫定期間を五年ということで行なわれましたので、五年の期間が切れる時点において現在この法律改正をお願いしているわけで、治水の現行の五カ年計画の円滑な進捗をはかるということにはもちろん深い関係があるわけでございますけれども、直接的には、やはり施行法の暫定期間の切れる時点においてこの施行法の改正をお願いしておるわけでございまして、その期間も現行の五年の期間ということでおおむねバランスをとりまして、五年を下らざる期間においての一部の継続というものをお願いしているわけであります。
  130. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 政務次官、どうもその辺のところがぼくら合点がいかないんです。たまたま五年計画、長期計画がある。それでそれと偶然五年間という四分の三の期限とが合っただけなんだ、偶然というよりは、多少考慮に入れたけれども、何もそれがもろに完全にかみ合っているものではない、こういう御説明のようですね、私の聞いた範囲では。ところが、そういう暫定期間としてたまたま歩調を合わしたんだというふうなことでは、ほんとうの治山治水のこういう大事業が軌道に乗って進んでいくとはわれわれ考えられないんです。大体いままで十年ときめて、途中で五年でもう一度やり直したまではいいけれども、また玉印たって新しい五カ年計画に変えておる。日本の長期計画というものはほんとうの五年なのか、五年といって、また二、三年歩いてまた五年にするのか、その辺が非常にセットしておりません。私は、こういう長期五カ年計画というものは十分に英知を集めて、そして国が財政的にも決意をして、強力にこれを推し進めていくということでなければならない。朝令暮改もはなはだしいと思うのです。そういう面から考えましても、私は、この五カ年計画に必然的に歩調を合わせて五年間という期間が定められたというふうに解釈しないと、問題はおかしいと思います。政務次官、その点ただ偶然合っているだけなんだ、五カ年計画をちゃんと組んでおきながら、最も大事な国庫負担率の問題で、途中で四分の三が切れて三分の二になるんだ、都道府県はそれでいいだろう、承知で走れ——そんな走り方はないと思うのです。計画があって、その裏づけがきちんと符合してなければ、こういう大事業というものは進まないはずでございます。その点、政務次官は、たまたま合ったんだという考え方に同意なさいますか。むしろ積極的に、必然的に合わせたというのでないと、この問題は前へ論議が進まないと思うのです。いかがですか。
  131. 田村良平

    ○田村政府委員 御意見の点よくわかります。高率負担で国費を多く出して大きな事業をするということについての考え方には同意見でありますが、たびたび申し上げましたように、五年間の暫定的な措置として四分の三という高率負担を国が出しておった。本法に戻りますと、三月三十一日になりますと、申し上げましたように全部がもとへ戻るわけであります。したがって、ダムその他の大きな事業につきましては何とか従来の措置を続行したい、こういう念願で御審議をお願いいたしております。たびたびで恐縮でございますが、御了承願いたいと思います。
  132. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 政務次官、ほっとけば本法へ戻ると御心配になってばかりいるんですが、断じて戻るべきものではないわけです。戻せるような中途はんぱなものではないはずなんです。われわれは、当然長期計画がある以上は、よほどの異常な変化が起こらない限り、こうした四分の三という負担率はそのまま、その計画が全部終了するまで続いていくべきものである、こう考えているんですけれども、そのほうはあまり切れてしまうからといって御心配なさる必要はないと思う。問題はそのつなぎ方、内容の問題であります。われわれはそれに触れておるわけでございますから、そこで私は局長にお聞きしたいんですけれども、本来この種の規定は、こういう河川法施行法の中できめておくべきが正しいのか、それとも、われわれの考え方から言うならば、治山治水緊急措置法の中にむしろはっきりと明定しておくべきものではないか、それほどやはり不動のものであり、そうしてきちんと固定したものであるべきだと思います。同時に、道路局長がお見えになっているかと思いますが、道路整備緊急措置法の場合と、法律のきめ方、そういう負担率のきめ方等が全くバランスがとれておりません。片方は緊急措置法の中に書き、片方は施行法の中に書くというふうな、ていさいの問題からいたしましても、一体これはどららが正しい書き方なのか、ひとつ御説明いただきたい。
  133. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  どうも、明快なお答えになるかどうかあれでございますが、その辺の事情は、いままでなぜ緊急措置法にしなかったか、なぜ施行法にしなかったか、当時のいろいろないきさつがあったかと思います。ただ先ほど申し上げましたように、治水の長期計画の遂行の問題、つまり治水の十カ年計画なり五カ年計画負担率の問題は、非常に密接不可分な関係のあることは事実でございますけれども、そうだからといって、河川法施行法でやって別に悪いということもないわけでござ一いまして、本来的にそういった期限を切ったものじゃなくて、河川法は本来的に三分の二とうたわれておるわけでございます。これは厳然たる事実でございますので、それの暫定期間として五年というものを見たのは、治水の十カ年計画と密接な関係があるということも事実でございましょうし、また五年くらい見ておけば、その後いろんな国家財政地方財政のほうの情勢も変わってくるのじゃないか、またその時点で検討すべきじゃないかということがあるいは期待されておったんじゃないかと思います。その辺のいきさつはよくわかりませんけれども河川法施行法だからといって、これは適切でないともいいかねると思います。
  134. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路の場合は道路の五カ年計画を定めまして、道路整備緊急措置法、この中で本法にあります改築の国道の三分の二を四分の三以内としておるわけでございます。また北海道については、これは道路法の施行令で直轄については十分の十というふうに規定しておるわけでございます。こうなりましたいきさつというのは、道路の五カ年計画が当初できました昭和二十九年、このころは道路を急速に進める、特に国道もまだ未整備の時代でございまして、国道を優先的に整備していこうということもございまして、まず国道の負担を四分の三という高い負担にいたしまして整備を促進するということで、五カ年計画をつくるときにそういう五カ年計画内容とからめまして、地方の負担を軽減しないと整備がうまくいかないということで緊急措置法特例を設けることになったと私は聞いております。
  135. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 道路局長のほうから御説明ありましたが、道路整備緊急措置法のほうですね、これは昭和四十二年から走り出して、そして五カ年計画でやっておられるわけなんですが、このほうも、今度河川のほうの国庫補助率が四分の三から一部三分の二に戻ることとにらみ合わせて、四分の三から少し内容を変えていこうじゃないかという動きがあるやに聞いておりますけれども、その点いかがでしょうか。
  136. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実は道路整備五カ年計画昭和二十九年から実施されております。その間、これの緊急措置法特例負担率で実施されておったわけでございます。その中で現在いろいろやっておるのを見ますと、街路事業と国道の四車線以上の二次改築、これは都市の周辺、ことに都市計画区域内では非常に同じようなものになってくるわけでございまして、その辺が、いままでの例でございますと道路としてやる場合には四分の三、街路としてやる場合には三分の二というような不公平なことがありますので、そういう点をこの際改めまして、道路でやる場合でも都市計画区域内の都市計画規定されております四車線以上の道路の二次改築、こういうものについては街路と同じような三分の二にして四十五年から実施したいというように考えておりまして、それに伴う政令の改正を、いま各省と協議をだんだんとしておるわけでございます。  もう一つは、北海道につきましては、これは先ほど言いましたように、国が直轄でやります場合には十分の十でございましたが、道路法の施行令で北海道につきましても、一次改築はかなり進みました。まだ相当残っておる地域もございますが、十年前に比べて非常に進みまして、今度は二次改築になってまいりました。そのために、一次改築と二次改築ということになりますとやはり地元のいろいろの利益関係もございまして、この際急激な負担の減ということは道の負担関係してまいりますので、これはいままでの十分の十を十分の九で二次改築をやっていきたいということで、これも道路法の施行令の一部改正を各省と協議している最中でございます。
  137. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 そうすると道路局長、あなたのほうのこういう負担率の変更の考え方の基礎には、先ほどから問題になっておりますような地方財政事情というものは、直接は関係ないわけですね。その点いかがですか。
  138. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 厳密にいいますと、国の負担が減ってその分だけが地方が多少でもふえるということで、地方財政との関連はないと言えませんけれども、いまの私たち考えは、どちらかといえば是正という形で法律調整をやっていきたいというように考えております。
  139. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 政務次官お聞きのとおり、同じ建設省の管轄でも河川の場合と道路の場合、これは両方とも大事な柱になるべき問題でありますけれども、一方のほうでは内部の矛盾からこの際改正していくんだ、したがって直接地方財政事情をにらんでのことではない、しかも法律のたてまえからいってこれは変更できるわけなんです。こちらの河川のほうは、法律の書かれている形式も違うし、また今度法改正をしなければ変えられない。しかもおっしゃっていることは、地方財政が好転したからだ、こうおっしゃる。どうもその辺が、国民の側から見てもわれわれの側から聞いても、何だか思いつきでやっているようにしか見えないんですね。そして理由はあとからつけようというような感じがしてならないんです。さっきの受益者負担という発想からしても、あるいは今度の地方財政事情が好転したという理由づけからいっても、決して私は確たるものだとは思わない。こういう法律のたてまえ、それぞれ法の沿革によって多少形式やかっこうが違うことはわかりますけれども、どこかこの辺でもう少し調整しておくべきではないか、もっとこういう重要な負担率という問題は、はっきりとした歯どめをしておかなければならないんじゃないか。一方は政令できょういってあすからでも変えられる、一方は理屈をつけてだんだんデスカレートしていくというやり方が、これからの重要な建設行政を進めるにあたって、あるいは長期計画を推進していくにあたって、妥当なものであるとお考えかどうか。
  140. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えします。  全体的に建設省内はもちろんでございますが、政府間の中で一つ事業についても考え方が違ったりしまして、負担率の問題とか法律の立て方あるいはたてまえにつきまして、いろいろと御審議願う中でおかしいじゃないかということがたくさん出てまいります。ただいまの河川局長なり道路局長の答弁の中でも、いろいろとわれわれが将来検討を加えて是正すべき点がたくさんあると思います。私の口から恐縮でありますが、官僚の長き歴史の中にいろいろな問題があろうと思います。そういう大きなからをしょって新しい時代にどう進むかということについては、重大な課題がたくさんあると思います。私も初めてのこの地位におりますが、御意見を体しまして、ひとつこれからもっと答弁がスムーズにできるような明快な建設行政を推進していかなくちゃならない、このように考えて、ただいま吉田委員の御質疑の過程を謹聴いたしております。私自身の考え方も述べまして、将来は皆さん方にも安心して御協力願えるような建設行政の立て方はどこにあるんだ、それはやはり過去のいろいろな問題点の分析も十二分に慎重にやっていくべきだ、このように考えまして、将来の建設行政に対する考え方を申し上げまして、御答弁にかえます。
  141. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 初めて政務次官から田村さんらしい元気なおことばが出まして、われわれ非常にうれしく、また心強く思います。やはりそういう積極的な、しかも勇気ある決意で、この非常に複雑な建設行政の中でひとつ田村さん自身が努力していろいろと反映させ、また改善していってもらわないといけないんじゃないかというふうな気がいたします。  そこで、まあ問題は、いま一つ地方財政の問題でございますけれども、実はきのうも理事懇で服部さんらが話をしておりました。ぼくらが県会議員をやっていたころといまと比べてみると隔世の惑があるじゃないか——そのとおりであります、どの府県に参りましても。ここに森岡課長もおられますが、確かに数字としては、都道府県予算というものは非常に大きなものになってまいりました。しかし、私は、この数字だけを見て地方財政が豊かになった、やりやすくなったと即断するのは大きな間違いだと思います。十年前、二十年前と比べて、都道府県のなすべき仕事の内容というものが根本的に変わってきております。たとえば、いままでそれぞれ農家の人たちが独自に処理をいたしておりましたし尿処理、これが今日はどんないなかへ行きましても、全部バキュームーカーで、地方自治体がいろいろと協力しながら、あるいはみずから努力しながら処理をしておる。じんあい処理の問題ももとよりでございます。あるいは学校の内容も変わってまいりました。老朽化した木造のすし詰め学校でありましたものが、最近は非常に近代的な充実した内容に変わってきております。あるいはこの間建設大臣にもいろいろ申し上げましたが、団地がますますふえてくる。当然のこととして、託児所や保育所というものを地方自治体がみずから運営していかなければならない。さらに、これからは下水道というのをつくらなければならない。これはたいへんに金を食う仕事である、こういうことでございます。しかし、それは時代の趨勢に従って、当然地方自治体がこれを実施しなければならない大きな課題になってきております。こういうことを考えたら、私は、地方財政というものは確かに表面一見してみれば好転しているように思いますけれども、しかし彼ら自身がかかえている、あるいは今後かかえなければならない仕事の内容というものは、いままでとは全く変わったものに変質しつつある。こういうことを考えたときに、自治省の皆さん方は、今度のこの法改正に伴って、実質的に地方の負担がふえることに対して、さして痛痒を感じておられないようでございますけれども、どこかその辺に認識の誤りがあるのではないか。あるいは実際は苦しいのだけれども、やはり政府間の横の連絡もあって十分言いたいことも大蔵には言えないのだということでがまんをしておるのか、その辺のほんとうのところを聞かせていただきたいと思うわけですが、私が申し述べましたことなどと関連して、一体地方の財政事情というものは現にどの程度の余裕があるものか、あるいは将来ますます余裕が出てくるものと考えて間違いはあるのかないのかという問題について、御説明を願いたいと思います。
  142. 森岡敞

    森岡説明員 お答えいたします。  地方財政の好転論につきまして、ここで好転論に対する論議の内容につきまして私ども考え方をくだくだしく申し上げることもいかがかと思います。一部にそういう御意見はございますけれども、先ほど来申し上げましたように、やるべき仕事をやれない、やれないで収支の黒字を確保しておるというのが実態であると私ども考えておるのでございます。  かたがた、御指摘のありましたように、国民経済は発展をしておりますし、住民の生活水準も上がってきておりますから、五年前、十年前に比べまして、住民の求める施設の水準というものはどんどん上がってまいっております。したがいまして、そういう意味合いから、私どもは若干の収支上の黒字がふえたからといって、これで地方財政が好転をしたということは間違いであろうと思います。収支の黒字と申しましても、たとえば市町村分について申しますと、一市町村当たり平均しますと二千万円くらい、橋梁一本かけるともうおしまい、こういうことでございますので、そういう点からもこの辺のところはおくみ取りいただきたいと思います。  なお、河川の国庫負担率の変更の問題でありますが、これにつきましては、御承知のように、当初地方財政の立場からは、都道府県、市町村それぞれ現行の従来の国庫負担率を存続してもらいたい、こういう要請を強く出しております。予算編成の過程を通じまして、特に都道府県財政に大きな影響が与えられると考えられるダムあるいは大規模のものにつきましては、これは四分の三の負担率を存続するというふうな形で、その余のものは三分の二の補助率にするということで結論が出されたわけであります。その事柄の評価の問題は別にいたしまして、私どもといたしましては、そういう形で結論が出ました以上、治水事業というのは、これはもう国民生活を守る上に非常に重大な仕事でございますので、都道府県がその負担ができないということで事業の執行が確保できないことになりますと、これはたいへんなことでございますので、地方財源のワク内であとう限り、事業の実施に影響のないように、支障のないように措置をしてまいりたいというふうに現在考えて、検討しておるところであります。
  143. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 前段は非常によかったと思います。ただ最後のほう、地方財政を事実上圧迫しないで、これらの事業が円満に進展していくようにそれぞれしかるべき措置考えていきたい——これは当然交付税や起債の問題を意味しておられるのだろうと思います。ただ、交付税と起債というものはやはり性格が違うと思うのです、起債というのは向こうの借金でございますから。あるいはこの補助裏を、全部起債を認めてやって、それを交付税で基準財政需要額の中でちゃんと処置してやろうということであるならば、事情は非常に明快でございます。もちろん富裕県と貧弱県とがございます。その辺のむずかしい方程式を一体どのように解こうとしていくのか、この辺のところをもう少し詳しく、政府考え方を御説明いただきたい。
  144. 森岡敞

    森岡説明員 お答えいたします。  地方交付税の各地方団体に対する配分の問題、これにつきましては、御承知のように基準財政需要額を個々の行政ごとに算定をし、また地方税の収入を基準財産収入額という形で、府県は八割、市町村は七割五分算入いたしまして、その差額を地方交付税として交付をする、こういう仕組みになっております。で、基準財政需要額を算定いたします場合に、できるだけ客観的な手法を用いよということで、同時にまた、地方団体にあるべき財政需要を的確に捕捉していくという意味合いで、河川について申し上げますと、一般的には河川の延長を用いております。しかし、それでは、現実に施行してまいります各種の公共事業あるいは単独事業等につきまして、それに見合った的確な財源措置というものがなかなか困難でありますので、最近におきましては、そういう延長を用いて計算いたしますが、それに加えて公共事業費地方負担を用いて一定の補正を行なう、こういう形をとっておるのであります。これは事業費補正と称しておりますけれども、そういう事業費補正を行なうことによりまして、公共事業地方負担が相当程度補正できるような仕組みを従来からとってまいっておりますし、今後ともこれは続けてまいりたいと思います。河川についてもそのような措置によって、先ほど来申し上げておるように、財政上に支障のないような措置ができるものと考えておる次第でございます。  それから地方債につきましては、これは適債事業、非適債事業という区分がなされておりまして、ダムあるいは災害、関連その他については地方債を認めております。地方債の元利償還費については、従来は基準財政需要額は算定しておりません。将来の問題として、四十五年度以降の問題といたしまして、一定の算入を考えていってはどうかということで、現在検討中でございます。
  145. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 以上、政務次官お聞きのとおり、この問題は非常にいろいろな重要な要素を含んでおるようでございます。私どもは、治山治水の緊急性というものは、いまもこの間までも少しも変わっていないと思う。しかも、地方財政の問題も一見好転したようには見えますけれども、その内容というものは、先ほどからお聞きのとおりでありまして、まだまだとても手放しの楽観ができる状態ではない。むしろ新たなレベルアップのための地方の住民の要求というものがたくさんふえてくるであろう。こういう時点から推しても今日、長期計画を依然として進めていかなければならない段階において、一部といえども四分の三の補助率をくずすということ、そのたてまえには大きな疑問を持たざるを得ないという点では、政務次官もおそらく内心うなずいていただいておるだろうと思います。しかもわれわれが心配いたしますのは、それがひとり河川の問題だけでなしに、いろいろな理由、条件は別なようでございますけれども、たまたま軌を一にしたようにして道路のほうでも同じような国庫補助率の減少というものがあらわれてくる、こういうことになりますと、問題は非常に深刻であります。したがって、私どもは、こうした重要な国の道路河川計画に伴うその裏づけである国庫負担率というふうなものは、ただきめた時点が来ればまた適当につなげばいいではないか、あるはいこの機会だから少し手直しし、本法に近づけておけばいいではないかというふうな考え方ではなしに、あくまでも長期計画と完全に合わせて、そうして一切その内容が低下しないという歯どめをすべき問題であると強く考える次第でございます。  最後に、政務次官はわれわれのそうした考え方に対してどのようにお考えになるかということを承りまして、私の質問を終わらしていただきます。
  146. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えいたします。  いまの問題につきましては、やはり私は新たな政治行政形態を推進することが基本だと思います。たとえば閣僚懇談会とかいろいろやっておられますが、一体こういうことを煮詰めてやっておられるのかということを考えますと、自治大臣はあっちで答弁を与え、大蔵大臣はこっちで答弁する、建設大臣はここで答弁する、中身を聞いてみるとてんでんばらばらの補助率になって、何が何だかわけがわからぬ。これが一つ政府の方針かというふうに詰められますと、御意見全く同意見だというような答弁をするということも間々出てくるわけであります。ただいまの御質問にお答えするには、私はやはりそういった、お互いが考えて非常にふしぎな、あるいは納得のできないような政治行政の現組織体に対して鋭いメスを入れるような時代がいま来ておる。そういうふうに考えます。     〔正示委員長代理退席、天野(光)委員長代理着席〕 したがいまして、失礼ながら、これからはおざなりの閣僚懇談会とかそういうことでなくして、やはり河川の問題については、地方自治体に関係の深い問題でありますから、実際に地方自治体の財政が好転したのかしてないのか、四分の三が三分の二になったときにどういうふうな影響があるだろうかというようなこともやはり煮詰めておられると思いますが、私は建設政務次官でありますから、他省のことについてはとやかく申し上げるわけにはまいりませんが、そういった共通の広場を持って、国政を担当する行政府の一員として、私はもう少しはっきりした答弁ができ得られるように、あるいはそういう背後的な、過去の長い歴史と一つのからの中でやってまいりました行政体に対しては、新しい方向に進めるべきではないか、そうでないと非常に心苦しい答弁をして、一生懸命お願いをするという形になるのではないかということを、ただいまの質疑応答の中から私なりにひしひしと感じております。したがいまして、先ほどお答えいたしましたように、今後新しい建設行政の推進というものをどうするかということにつきましては、省内におります限り、私もその責任の一端を果たさなければならないと思っております。本日の御質疑に答え、私の率直な意見を御答弁申し上げまして、今後大きな補助率の問題、あわせまして建設省としての基本方針を慎重に内部で検討さしていただきたい、このように考えております。  以上、御答弁申し上げます。
  147. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 終わります。
  148. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 阿部昭吾君。
  149. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣もいない、委員長も代理、このままで重大な問題を審議するについてはちょっと問題があるように思いますので、今後委員会として善処してもらわなければならぬと思いますが、大臣は五十六分に到着するということでありますから、それまでの間、主として田村政務次官に対してお尋ねをしたい、こう思うのですが、いままでただされましたように、四分の三、三分の二、さっきからずっと答弁を聞いておりますと、どうも田村さんは政務次官になったら、往年の在野の政治家田村さんらしいところが全然なくなってしまって、まるで局長かだれかに吹き込まれておるテープか何かを繰り返し繰り返し言っておるにすぎない、こう思われるのですが、どうでしょうか。少なくとも河野大臣の時代に一ぺん四分の三というものをやったならば、もっとこれが五分の四になりあるいは一〇〇%になることはあり得ても、それよりももっと下回っていくなんということは政治の常識として絶対にない、こう明言をされて、速記録にもちゃんと残っておるわけです。このことは、私はやはり政治の責任の問題ではないかと思うのです。この責任の問題が、いかにいまの大蔵当局が、死んだ河野さんのライバルの福田さんが大蔵大臣であるといえども、少なくとも政治家として閣内は全部一つの問題ですから、これを明らかにした方針が、ここで前進するのではなくて後退するなんということは、これは国民に対して、政治に対する不信感を招く以外の何ものでもないのではないかと思うのです。この辺の政治責任について、一体田村さんはどう考えておるか伺いたい。
  150. 田村良平

    ○田村政府委員 ただいまの御質疑の点でございますが、先ほどからお答えいたしておりますように、私自身は、やはり高率国庫負担というものを一ぺんにダウンするというようなことは常識としてあり得ないのではないか、こういう河野大臣のお考え方に全く同意見であります。ただ、経過的な措置があったものでありますから、こういう事態に相なって、ただいまの御質問にお答えをいたしております。政治的な立場で、あるいは政治家としてどういう見解かと問われますならば、率直に、できるだけ高率で国が見てやりたいという気持ちに全く変わりございません。  以上、私の考え方をお答えいたします。
  151. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 どうもすかっとしませんね。内閣というのは一つのものでしょう。いま政務次官田村良平さんがおっしゃることは、一政務次官の発言だという受け取り方を私はしないわけです。佐藤内閣の発言だという受け取り方をしておるわけです。そういう認識で間違いありませんか。
  152. 田村良平

    ○田村政府委員 もちろん建設政務次官でありますから、内閣の立場において答弁をいたしております。政治家としての良識としては、やはりそういう気持ちでおるということを申し上げておることを御了承願いたいのであります。
  153. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そうだとすると、河野大臣があの当時言明されたことをほごにするということは、これは一体どういうことになりますか。やはり政務次官が、辞表を出すぐらいのつもりでやっていいことじゃありませんか。政治に対する不信というものを起こさぬようにするのが政治家の任務であり、責任だと私は思うのです。いま死んでしまって、ライバルの福田さんがどんなに権力を持っておるかしらぬけれども大蔵省あたりにぐるぐるやられて、四分の三が三分の二にダウンされて、しかし一気にダウンされてはかなわぬだろうから、少々のところは何とかしよう、こういうことでは不信感を招く以外の何ものでもないじゃないですか。ほんとうは、田村さんは、福田だろうとだれだろうと、あの連中ぶった切りやがって、もうしゃくにさわってしゃくにさわってしょうがないというのが本音じゃないでしょうか。  そういう面で、私がここで伺いたいと思いますのは、建設省の長期計画というものはいろいろあるわけです。いまの治水五カ年計画あり、道路五カ年計画あり、下水道五カ年計画あり、あるいは住宅五カ年計画あり、あるいは建設省の所管外ではありますけれども、港湾の長期計画があり、こういうものが順次みなこのやり方でやられるのじゃかなわぬと思うのですよ。したがって、今年こうなっても、いまさしあたってこれをひっくり返すとなると、田村政務次官が辞表一枚たたきつけたくらいではどうにもならぬ問題かもしれませんが、しかし、このあたりでやはりほぞを固めて何かやる。いまさしあたって、ある意味でいえば時間を切られておる問題ですね。したがって、がくっといくよりはしようがないと、こういうあと向きの行き方ではなくて、それでは来年は何とかしようじゃないかという、何かが出るのかどうか。
  154. 田村良平

    ○田村政府委員 お答えします。  私も、先ほどからたびたび答弁を申し上げましたように、心境は全く同意見であります。閣議は権威あるべきものだと考えております。したがって、いやしくも閣議で五カ年計画を決定しておきながら、三年あたりで実はやめました。新しい計画を立てました。二年間は放置されるということについては、私も非常な抵抗を感じます。やはりきめたことは責任をもって最後まで処理すべきだ、私はこういうふうに考えておる一人であります。したがいまして、当面の問題につきまして意見を申し上げ、あるいは御答弁申し上げましたが、今後につきましては、たびたび申し上げますように、建設省というものが国民の皆さんからの期待に沿い得るように約束を実行する、あるいは計画はあくまでも慎重に、立てた以上は実行するというような体制をつくるべきだ、その場限りの答弁で終われりというようなことではいけない、こういうような覚悟をもってこれからの建設省の仕事を私なりに推進していきたい、このような見解を持っておりますので、よろしくお願いいたします。
  155. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  156. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 速記を始めて。  暫時休憩いたします。     午後三時五十五分休憩      ————◇—————     午後四時二十三分開議
  157. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部昭吾君。
  158. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 先ほど政務次官に伺ったのでありますが、国庫の分担金、これが四分の三、三分の二という問題を決定する際に、時の河野建設大臣は、速記録にも明瞭に残っておるのですが、いま五年間というものは四分の三だ、その先は一体どうなるのか、三分の二に戻る、こう意味かどうか、こういう趣旨質問に対して、下がることはない、政治の常識として一ぺん上げたものを下げるようなことは絶対にない、上げることはあっても下げることはない、これが政治の常識だという答弁をなさっておるのでありますが、いままでの質疑の中で、地方財政の好転とかいろいろな理由を言って、昭和四十五年度でいいますれば、従来のとおりの四分の三でまいりますれば百四億、これが今回のようにダム等大規模なものに限定して三分の二ということになりますると、その差額六十一億というものを地方で負担しなければならないというかっこうになるわけです。これは明瞭に河野大臣政府を代表して国民の前に約束をされた。下がることは絶対にない。一ぺん上げたものを下浅いうことは絶対にあり得ない、これが政治の常識だというきわめて明確に約束されたことが、河野さんがなくなって相当の年限もたちますけれども、この段階で明らかにくつがえされる結果になるわけですね。私は、少なくとも政府が約束した問題をこの段階で、いろいろな理由を付するにせよ後退させるということになりますれば、政治に対する不信というものを免れることはできない、こう思うわけです。そういう面で、大臣はこの政治責任という問題をどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
  159. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般もそういうお話がありましたが、当時の河野大臣が、自分がそういうふうに思うということを言ったことだろうと思います。もし河野大臣がそのままのことを貫こうとするならば、特別措置法を時限立法にすることに反対すべきだったと私は思います。それがなくして言ったのは、一つの政治的な判断としてそうあることが望ましいし、また、そういうことになるのではなかろうかという一つの希望的な予測を言ったことではなかろうかと思います。今日まで河野さんのあとにずっと、何代になりますか、私でたしか六、七代になります。その間この問題について、引き継ぎ事項としてこれは特例法をそのまま本法に置きかえるということの引き継ぎもないようでございます。私もそういうことは受けておらないのでございます。したがいまして、これは当時の大臣が申し上げたこと、一つ大臣の予測もしくは願望として言われたことが、そのまま継続していかなければならぬということもいかがかと思うのでございます。今回この特例法が時限が来まして改正するにあたりまして、私のほうといたしましては、とにかく現在、治水、利水の面からいたしまして非常に事業がふえてきているわけです。工事量を相当ふやさなければいけない。そこで、補助率を高くしていくことと、それから補助率を若干一部のものは低下さしても工事量全体として伸びるほうがどうか、こういう判断に迫られたのでございます。そのときにあたりまして、先ほど申し上げたように、財源配分の問題については私のほうよりもむしろ大蔵省自治省の問題でございまして、そのときに協議した結果、この際はちょうど法律において時限も来たことであるが、しかしながら、本法どおりにするということにはかなりの負担分におけるところの激変が出てくるから、そこで当分の間、五年間は、今度の改正法に明記しておるように、大きいもの、ダム等については従前どおり、その他のものについては本法に指定しておるところでいくほうが総合的判断としてしかるべきだ、こういうことでこういう立場になった次第でございます。
  160. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、ちょっと納得ができないのです。というのは、たとえば私はいままでいろいろな法律の審議に参加をする際に、現状は不十分だ、不十分だが、たとえばいろいろな確認をとられてこうこうこういうぐあいにする。希望的観測なんという発言ではなくて、先ほどの速記録もあるわけですが、きわめて明瞭に言明をしておるのですね。政治の常識です。さようなことは絶対にありません、こう言い切っておるものを、私は、前向きにもっとよりよく改善していくというなら話はわかると思う。後退させるということは、いま大臣がおっしゃるように、どう理屈をつけようとも政治不信を招くことは避け得ないと思う。そういう意味で、今後私どもがいろいろな法案を審議する際に、特に大臣のほうと私どもとの間で意見のかみ違う面があっても、主張はわかる、しかし、そういう方向についてはさらにこう、こう、こうといろいろな説明や答弁などがあって、そのことをやはり了として、現在の段階では不十分であってもまとまるという場合が多いと思うのです。これは建設委員会の所管の問題ではありませんけれども、たとえば失業保険法の審議の場合に、昭和四十八年度以降昭和五十一年一月一日までの間に、たとえば農林水産業についても全面適用のために努力をする、こういうような説明などがあって、私ども、現状はきわめて不十分、不満足でありますけれども、そういういろいろな説明や何かを全部総合して了として、一つ法律案なら法律案というものが審議されて、一定のかっこうで整っていくと思うのですね。いまの場合に、河野さんの言ったのは単なる政治的、原則的な河野さんの判断として言ったのであって、政府全体を拘束するものでないなどと言うとすれば、私はどうも、これからのいろいろな法案審議の際に、いろいろな説明や話があった程度のことでは納得するなどと言うわけにはいかない問題がたくさん起こってくるように思うのです。その場限りで、そのとき通せばいいんだということにはならないと思うのですね。そのとき、本法にすべきかあるいは施行法でいくべきかということが議論になったと思うのですよ。そこで当面河野さんは閣内に乗り込んでいって、いろいろな経過をたどって施行法というかっこうになったと思う。なった際の施行法が五年ですから、この先どうなるかという問題が当然起こってくる、その際の答弁として、下がるなんということはあり得ない、こういう説明をやったから、そのときは施行法になるということについて話がまとまったと思うのです。いまこの時点で、それはそのときの河野大臣の政治的判断にすぎなかったと思うということになると、私は全然話が違うと思う。やはり政治責任というものを明瞭にしていくということにならなければ、私どもがお互いの相互信頼の関係の上に立って、国政の審議をやるということができないんじゃないかと思う。この当時の河野さんの速記録などもごらんになったかと思うのですけれども……。
  161. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いまここにある写しを見ますと、「従来の経験からまいりまして、こういう補助率が一ぺん上がったものが下がるということは、日本の法律の常識や政治の常識にはない、こういうふうに考えて、これがこのまま続くものであると期待いたしておるわけであります。」と書いてある。
  162. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 その期待をひっくり返したわけですね。
  163. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど私が申し上げたのは、河野大臣は、自分はそう願望しておるという意味だろうと言ったのです。それでもし河野さんがこれはこのままに永続せしめる、本法を改正するくらいの措置をとっただろうと私は思う。あれだけの実力の大臣が単に期待しておりますというようなことを言ったということは、その段階において本法を改正することはできない、しかし、将来においてもこれが続くことを期待する、こういうふうに言っているのでございます。この意味において、私が先ほど申し上げたことは間違いないと思っておるのでございます。
  164. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は何度も申し上げておりますように、それでは政治に対する不信というものを免れることはできないと思うのです。河野さんだって、いま九年間だけだ——少なくとも大臣ですよ。それからこう言っている、政治の常識ですと。こう言っていることを、いまそれは河野さんの政治的判断であったのだということで片づけたのでは、政治に対する不信感というものはどうにもならぬと思う。したがって、この現状の段階で、うしろ向きで言いがかりをつけてものを処理するという行き方でなくて、期待すると言っておるから、期待する方向へ進まなければならぬのではないですか。期待するというのを、期待するのと逆の方向にいくということで政治に対する信頼を大きくすることができるでしょうか。
  165. 根本龍太郎

    根本国務大臣 法律でもこれは常に多元的なものである。そこで、もし私もこれが必要であるとするならば、時限立法をさらに延長するという措置も講じなければならぬかもしれません。しかし、現段階において、この負担の区分について責任があるのは大蔵省自治省であるわけです。そこでわれわれのほうは、工事全体が効率的に伸びるということがわれわれの要望であります。そこで大蔵省考え方としては、いろいろ大蔵大臣が各方面に言っておられるように、現在の高度成長の過程において国の財源充実とそれから地方との関係を見ると、むしろ地方の財源が国の財源充実よりも伸びている、こういう観点配分の状況について協議した結果、大蔵省自治省もこの程度ならば事業の執行に差しつかえないという合意を見た結果、われわれは、工事自体がこれによって確保されるという段階になりましたので、先ほど申し上げたように、本法の一部を緩和しつつ、一部は本法に従ってやることもこれはやむを得ない、こう判断しておる次第でございます。
  166. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いやみを言うわけではありませんが、私どもの認識している限りでは、大臣もかつて実力大臣河野さんの有力な片腕だったというふうに承っておるんです。その河野大臣がなくなってもはや五年近く経過しておるわけであります。そうすると、私が何としてもすかっと釈然とできないのは——それならば観点を変えて、河野さんが実力大臣時代あるいはそのもっと以前に、歴代の大臣が中心になって進めたところの五カ年計画やその他長期計画はたくさんあるわけですが、これがある意味でいえば、さらに国と地方との分担などという意味からいえば、もっと国が責任を持つという領域を持つべきだと思う。政治情勢が中央集権的な方向、実際問題としてものすごい勢いで進んでおるわけですから、私は大臣と同じ東北の過疎地帯出身の者として、いまの税の問題、財政問題等で根本的に格差が広がっていく現状について、非常にはだで感ずるものを持っているわけであります。そういう面から見ますと、いまあるいろいろな計画、長期的な国の施策や何かというものが、将来いろいろな理由を付してだんだんだんだん地方におんぶさせていくというかっこうになるのかどうか、そこら辺が非常に心配でならぬ。これはひとり河川の場合のみならず、いろんな問題をこういう考え方でやられたんじゃ話にならぬと思うのですが、大蔵自身がそうならば全部ずるずるどこまでも後退していくのかどうか、その辺はどうでしょう。
  167. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは、現在の治水関係のみならず、道路についてもこういう考え方もあったことは事実のようであります。いわゆる国道とかあるいは河川管理における一級河川は全部国がこれを持つべきである、それ以外のものは財源並びに管理権も全部地方に与えるべきだ、こういう一つの有力なる意見もあったと聞いております。現在でもそういう意見なきにしもあらずです。しかるに、そういうときにあたりまして、むしろ地方自治体においては、そういうふうに一級河川とか国道は全部国がやって、地方自治体がこれに関与できないということは必ずしもよくない、道路並びに治水、利水の恩恵は地方自治体に非常に大きな関係があるから、やはり地方における一部の権限というか——財源負担してもいいから、その点は従来どおり、画一的に国あるいは各地方というふうに分けないで、やはり相互補完的な体制でいったほうがよろしいというのが、本法がああいうふうに河川法改正のときに出てきたゆえんでございます。ただし、そういうふうにいま直ちにやるということは負担関係においても大きな変化が出てくるので、激変緩和のために、十カ年治水計画のうちの五年間については特例でいく、この時期が現在に来た。この現在の時期になっても、いま阿部さんが御指摘にたって心配なように、本法どおりそのままやれば地方の負担が相当大きくなってまだ消化し得ない。そこで、一部の大きな工事、それからダム等については、当分従前どおりにこれを続けていく。そうしてその他の若干規模の小さいものは本法に基づく負担区分にするということでありまして、私はやはり、現実の行政、政治の実態に合った措置であると考えておる次第でございます。
  168. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、大臣のものの考え方、たいへん問題のあるお考えだと思う。たとえば、また間もなくこの国会に新しい道路整備五カ年計画議題になるわけでございますが、この前の道路整備五カ年計をやります場合に、建設省の原案は七兆三千億円、ところが決定されました五カ年計画は六兆六千億円で、七千億円のズレがあったのです。ところがその中で、七兆三千億の原案の際には、地方単独事業というのが、私の記憶に間違いないとすれば九千億だったと思う。七兆三千億が六兆六千億に、つまり総ワクを圧縮した段階では、地方単独事業というものが一兆二千億くらいになったんじゃないか。したがって、ある意味でいえば、総ワクでは圧縮をして、地方単独事業だけは逆にぐっとふやしておるわけですね。いま伝え聞くところによりますと、今度の十兆数千億という新しい五カ年計画ども、いまの大臣考え方がそのまま入ってくるとすれば、相互補完なんといううまいことを言いながら、結局は地方のほうに全部しわを寄せていくというかっこうになりかねない。私は、いまの河川改良事業における国の負担分というものを、河野大臣があれだけ明瞭に言っておるにかかわらず、それとは逆な方向にいくなんというこの考え方は、どう考えたって納得ができないわけですが、他の計画も全部その考え方でいくのだとすると、私どものほうも、今度のこの国会で審議されることになります新しい五カ年計画問題等も、新たな観点で腹がまえをして向かわなければならぬ、こう思うのです。だんだん皆さんが、そういう考え方でほんとうにいくのかどうか。
  169. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほどから申し上げましたように、河川法改正のときに負担区分を法律で明定しておるわけでございますね。そして、そのときにあたって、しかしながら、これは激変緩和の立場から……(阿部(昭)委員「激変はだれがやらせるのです」と呼ぶ)だれがと言ったって、そういうふうに法律ができたんですね。そうでしょう。そしてそのときに、当時の時点において本法どおりにやることは地方自治体の負担が耐え切れないかもしれないということから、ああいうふうな特例法ができたと私は理解しております。そして大体五年たったならばその時点であらためて検討する、そのあらためて検討する時期が現在に至って、それにおいてダム並びにかなり規模の大きいものは特例法どおりにやって、そして自余のものは本法に基づいて負担区分する、こういうことでございまして、私はこの点は十分配慮してやった結果だと思うのです。  そこで、しからば他のものが全部これによるかというと、それは他のものが全部そうだということではございません。これは法律に基づいて時限が来たからこういう措置をとるというふうに理解してほしいということと、それから最近、これは正確を期するために事務当局から説明いたさせまするが、道路にしろその他にしても、地方自治体自体でやっている部面が非常に多くなってきました。これはやはり地域住民からの要望によって、道路なんかは、このモータリゼーションの今日、やらなければ地方自治体の運営ができないということもあります。現実にまたそれをやるだけの力もあるということでございまして、これは河川法のことについてでありまするから道路のことは言いませんが、そういう意味において、希望的としてはもうほとんど全部の公共事業は国家負担でやったほうがいいという議論も出てくるわけです。しかしながら、一方においては国が税金を取るのが過重であるというようなことも出てくる。したがって、事業執行機関である建設省として、財源については積極的にいろいろわれわれは提言しておりまするけれども建設省財源まで全部自分で把握してやるといういまの日本の政治行政機構でありませんので、やはり財源等については関係方面との合意を得てやらなければならぬということでございます。
  170. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 このことはこれだけでやめたいと思うのですが、大臣、当時の状況として、いまの三分の二が本法、四分の三が施行法、この状態がまれたときは、河野さんがものすごい馬力で時の大蔵その他に立ち向かって、そして将来の方向性も明らかにしながらこれを実現したと思うのです。確かに根本建設大臣が誕生いたしましたのは選挙のあとで、しかもこの予算がある程度まとまりつつあったさなか、したがってそれは相当問題がむずかしかったことはよくわかるのです。そうかといって、あの当時河野さんはたいへんな馬力で向こうに立ち向かったと私は思う。そしてとにかく施行法にせよ何にせよ四分の三というものをとって、これより下がるなんということは政治の常識であり得ないという、政治の方向性を国民の前に明らかにしてここまで来たと思うのですよ。このことに対してどうも大臣の認識は、本法がそうではない、大臣自体が、今回は予算がある程度かっこうのついたころに新大臣に就任されて、しかしその前は与党の政調会長ですから、そういう意味でずっと国民に対して問題を提起して、一連の政治の方向性を示してきたことに対して責任を持たぬというわけにいかぬのじゃないかと私は思う。したがって、そのことに対して大臣の答弁として、地方財政がどうのこうの、何がどうのこうの、これは説明にはならぬと思う。  そこで、大臣のところも私のところも、御出席の各委員の皆さんのところも御同様、実際の河川の末端の現状はどうかということになると、われわれの過疎地域などにおきましては、一級河川にしてもらいたいけれどもなれない場所がたくさんある。二級河川にもなれない。そして、ちょっとの雨でどうにもならぬような状態になっていく普通河川、原始河川というのはたくさんあるわけです。これをかかえて、正直言うと、末端の地方自治体というのは四苦八苦しているのが現状なんです。しかし、何せ現状、地方財政好転とかなんとか数字的にはうまいことを言うが、県は、大臣も御案内のように、財政課長というのは大体自治省の指導下——支配下と言うとかどが立ちますが、指導下に置かれておって、ワク組みの中でむだな、よけいな仕事をやっちゃいかぬということで押えられているのが現状なんです。だから、地方の町村段階では、この川を何とかしなければならぬと思ってもやれないものがたくさんあるのです。したがって、従来あったところの四分の三というものを三分の二にするというのが当面県の問題ではあります。町村段階で普通河川やその他になりますと、なかなかやれない。したがって何とか県に対して、町村の責任における普通河川ではありますけれども、県単事業や何かいろいろなものをやってもらいたいというので、ずいぶんとたくさんの要望がある。あるけれども、実際はなかなかやれないというような現状なんです。この現状は大臣が一番よく知っていると思う。そういう観点から考えると、本法、施行法という関係の中にそういう一連の経過があって、今回の大臣の時期的な問題からいえば、大臣に就任された時期も、選挙のあった関係でちょっと問題があったようには思いますけれども、これをお話として合理化しようとしても、ずっと歴史的な政治の方向性があったのですから、そう簡単に国民が、ああなるほど、根本大臣の言うことよくわかりました、大蔵省によく屈服してくれましたと、ほめはだれもしないのじゃないか。建設行政の責任者として、ずっと前からの河野大臣以来の経過と政治の方向性を示しておった問題については、確たる態度で立ち向かってもらわなければならぬ、私はこう思うのです。われわれの地域周辺にたくさんある普通河川や何かの問題は、一体どうしようとなさるのかという問題、こういう問題こそ、県なり市町村なりがまだまだたくさんのことをやらねばならぬのじゃないでしょうか。私は、そのこととこのこととは不可分な問題だという認識をしておるのです。いかがでしょう。
  171. 根本龍太郎

    根本国務大臣 一級河川、二級河川からいわゆる一般河川に至るまで、治水関係の仕事は、どんどんふえておるということは御指摘のとおりでございます。そのときにあたりまして、従前どおりに負担を大きく国が持つということになりますれば、ある意味においては事業量がそれだけ減ってくる、全体の事業量は減らざるを得ないわけです。そこで、若干の地方負担がありましても事業量を多くしてほしいということも、また一つの要求でございます。そういうことも勘案いたしまして、いま御提案しているような結果になった次第でございます。今後われわれは、財源確保の点については積極的にやる気持ちでございます。しかしながら、現在の段階では、治水につきましては、あとで他のほうから御質問もあるかもしれませんが、特定財源というものはなかなか見出せない。道路につきましてはまだありますけれども……。そういう観点からいたしまして、いま御提案して御審議を願っておることが、現時点においては総合的判断として現実に即した方法であろう、こう考えておる次第でございます。
  172. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そのことはこの辺でと思っておったのですが、そう言われると、ああそうですかといってなかなか引き下がるわけにはいかない。先ほどあなたの片腕である政務次官は、いろいろ説明はしましたが、残念だ、こう言っているのです。あなたは、これが現状で考えられる妥当な線、こういう趣旨にとれる説明ですが、あなたの片腕である政務次官はそんな答弁をしておらぬ。ニュアンスにたいへんな食い違いがある。  そのことはあとで議論するとして、もう一つ、先ほどまでの質疑の中で問題になりました受益という問題があるのです。私は、河川のような場合の受益をどういうように理解するかということがたいへんな問題のように思います。たとえば下水道の場合は、いままでくみ取りか何かが来ておった、今度下水道施設が完備されて、それも来なくて用いいようになった、あるいはちょっとの雨でも水があふれでたいへんな状態だったが、何とかちゃんとなった、市街地の床下に水は上がってこぬようになった、こういうので受益というものは相当目の前に見えると思う。しかし、河川のような場合、確かにこれはいままで非常に整備がおくれておりますから、雨が降れば洪水になる、洪水にならぬようにするんだから地域の地方自治の中で責任を持ちなさいといっても、個々人が直接そこに入居してよくなるところの住宅というもの、あるいは下水道のようなものと道路河川といったものは、受益といっても相当質が違うと思うのです。したがって、この辺のところはやはり国が責任を持ってやっていくというかまえが正しい、こう私は確信しているわけです。それが、ひとり日本のみならず、七〇年代の近代国家の方向じゃないかというふうに私どもは実は思いたいわけです。  そういう面で、地方財政が好転した、好転したと、いままでずいぶん説明があった。ほんとうに好転しているかどうか。先ほど自治省森岡課長も、好転したなどという一部の議論がありますけれども、それは上っつらだけ見ている議論だ、こういう指摘であって、私全くそのとおりだと思う。そういう面で、せっかくの河野さん以来の政治の方向性というものをもとに戻した根本建設大臣の責任はきわめて大きい、その政治責任はどうか、こう何度も何度も声を大にしていわざるを得ないのです。  そこで、時間の関係もありますので、この分のものを交付税の中でいろいろ考えるということを言っておるわけですが、基本的には、交付税で見るということと国庫の分担金というかっこうで見るというのは、全然質が違うのです。これは異質なんです。そこで、交付税で見るというのは一体どういう見方をするのか、その辺のところを少し、地方行政や何かにあまり経験のない者にもわかるような説明のしかたを、ひとつ明瞭にやってもらわなければ困るのです。
  173. 森岡敞

    森岡説明員 地方交付税で地方に対する財源措置をやっております具体的な方法につきましては、先ほども申し上げたことでございますが、公共事業だけでなくて、単独事業も投資的経費の中に含まれております。そのほかにも、申し上げるまでもなく、各種の経常的な経費もございます。それらを経常費、投資経費に分かちまして、一定の客観的数値を用いまして計算しておるわけであります。先ほど河川費について申し上げましたように、河川費につきましては、原則といたしまして河川の延長を基準に用いまして、それに一定の単価を乗ずるという形で投資的経費の計算をいたしております。その方法によりまして、公共事業地方負担及び単独事業をまかない得るような算定をいたしておるわけであります。現在まで四分の一の地方負担がございました。その場合もやはりそういう方法で計算してまいったわけでございます。ただ、公共事業の分量、単独事業の分量、・いずれもふえてまいって、住民の要請にこたえて充実していかなければならない。そういう実態に沿いますように、最近におきましては事業費の分量というものをとらえまして、河川の延長だけでなくて、それに一定の事業費の分量に応ずる補正を加えまして、必要な財源に見合う額を交付税措置をしていくという、こういうやり方をとってきているわけであります。先ほど来申し上げましたのは、そういう措置を講じておりますので、地方負担の増加額につきましては所要措置を講じ得るもの、それによりまして財政運営上は支障を生じないようにできる、こういうふうに私どもとしては考えておるわけであります。
  174. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 中の積み立てや何かのこと、それは一ぺん聞いたってなかなかすらっとわからぬ場合が多い。  そこで、この差額六十一億、こう言っているわけです。これに対して、一体このことに対してそろばんを入れました場合に、何ぼ持つということになってくるのか。
  175. 森岡敞

    森岡説明員 これも先ほど申し上げましたとおり、地方負担の増加額六十一億というのは、これは全体としては地方財政計画にその分を計上いたしております。しかし、個々の団体に対する財源措置につきましては、個々の団体についての事業費配分河川事業費の張りつけが出ませんと、それに応じた財源措置内容というものは明らかにし得ないわけでございます。地方交付税法につきましては、現在国会に提出いたしまして御審議を願うことになっておりますけれども、その張りつけの結果を待ちまして、先ほど来申し上げております事業費補正の基礎になる事業費をつかんでいく、そういう作業が必要でございますので、どのような財源措置が具体的になされるかというところまでは、現段階では数字がまとまっておりません。しかし、六十一億円の地方負担の増加に対応しますものは、できるだけ措置を講じまして、事業執行に遺憾のないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  176. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 六十一億すとんと出ていくことでないことはわかっているわけです。六十一億すとんと出すなら、何も四分の三を三分の二にして、ダム等あるいは大規模な事業というふうに限定する必要はないわけで、地方交付税でいろいろもつくり返して、いろんなやりくりをして何とか支障ないようにする、こう言っておるわけですが、現実には自治省は、支障ないようにするというのですけれども、地方に対して一体何ぼ出すということになるのか。そのことが明らかに計算上出てこないで、どうしてこの案件の審議ができますか。そのくらいの計算はちゃんと立っているはずですよ。
  177. 森岡敞

    森岡説明員 先ほどの御質問にも答えたことでございますけれども交付税による措置だけでございませんで、地方債の充当、こういうことも考えていくわけでございます。そういうものを合わせまして財源措置に遺憾のないようにしたい、こういうことでございます。
  178. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 ちょっと、質問したことに答弁してもらいたいのですがね。六十一億でしょう。これは国庫分担金でいく場合には、六十一億という金額でぽんと出てくるわけだ。しかし、交付税という関係になると、いろいろなものでぬるま湯にして薄めておるわけですから、計算上一体それはどれだけ財源措置をすることになるのかという、その金額をお示しいただきたい。そのことが出てこなければ、この案件の審議はむずかしいじゃないですか。
  179. 森岡敞

    森岡説明員 先ほども申しましたように、河川費の事業に伴う所要財源、これにつきましては、根っこから計算をしておるわけでございます。ふえた六十一億をどうするのかという計算を私どもはしておりません。根っこから必要な財源措置がどの程度であるかということを計算しておるわけでございますので、いま御指摘の六十一億のうち幾らをどうするかということではなくて、その根っこから積み上げました必要な財源を地方債でも措置し、また交付税の基準財政需要額にも算入する、こういうことでございますので——そういうことでございます。
  180. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 ちょっと説明がはっきりしないと思うのです。私どもがいまこの問題を——六十一億ぱっとこの財源措置するものでないことはわかるわけです。めぐりめぐっていろんなことをやるわけですから、その場合に、最後に歩どまって、実際六十一億に見合う分として関係を持ってくるであろう財源は、一体大めどどの程度か、このことを明らかにしてもらいたいと言っておるのに、いろいろやりくりしていくのでちょっとわからぬという話では、私ども審議できないではありませんか。そんなにうんと最末端の数字がはっきりしなくていいのです。大めどのところで……。
  181. 森岡敞

    森岡説明員 率直に申しまして、個々の府県事業費配分、それがきまり、それから地方債の充当が明確になり、そういうふうな段階で初めて、地方負担に対する措置がどういう形になるかということを明確に申し上げるわけでございますので、現段階では、六十一億円の財源措置がどうなるかというお話につきまして、明確な申し上げ方が実はない。しかし措置は、私どもといたしましてはいま申し上げましたように、事業費配分がきまり、地方債の充当も明確にし、それとあわせて基準財政需要額の算定を行なって措置をする、こういうふうにしていくわけであります。
  182. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 らちがあきませんので、なおこのことは、あさってわがほうの野党三党の修正案も出るわけでありますが、それまでの間に、結局何というのですか、いろいろやって肝心のところはうやむやのままで——どもはそのことをちゃんと知っておるわけです。交付税とかなんとかいうことになれば、みないろんなことをやって、何が何なのかわけがわからぬようなことになるということはよく知っているわけです。だからこそ、簡明率直に、国庫の分担金というかっこうでいくのが一番明瞭だという主張を私どもはしておるわけです。交付税なんというかっこうで、隠れみのの中でいろいろ操作をいたしますると、何がどうなるのかはっきりしない。そのことをよう知っておるから、そういう措置をしてきていると思うのですよ。  以上で私の質問を終わりますけれども大臣、いまお聞きのように、措置をするとかなんとか、たとえば地方債とかなんとかいうことをつい最近言い始めました。きょうになってから言い始めたことです。これなんかでも、返さなければならぬ金でしょう。返さなくてもいい、将来棒引きにしてあげましょうと言うなら、これはたいへんわかるのですが、地方債とかなんとかは返さなければならぬ。金利を付して返さなければならぬ。そういう意味で、とにかく河野大臣の時代に政治的なきわめて明瞭な約束を国民の前に示し、さらにまた、従来の問題についてはこの問題に関する政治の方向も明瞭にしておった問題を、根本大臣に至ってこれをがくんと後退させたという責任は一体どうするのか。このことは、いろいろどんな答弁がありましても、私いままでの答弁では納得できないのです。このことを指摘して私の質問を終わります。
  183. 金丸信

    金丸委員長 関連質問を許します。佐野憲治君。
  184. 佐野憲治

    ○佐野委員 ただいま大臣と阿部委員との質疑を聞きました。途中退席しましたものですから十分聞いてなかったのですけれども、一、二お尋ねしておきたいと思います。  大臣は、非常に地方財政が好転したのではないか、そういう事情もあったから今回の措置をとった、このように述べておられるわけでありますが、こういう点でもう少し大臣考えを伺っておきたいと思うのです。それは、自治省から発表になっております昭和四十二年度に行政投資——これは所得倍増計画から出てきた新しい用語なんですけれども、この行政投資の総額が、国、県、市町村三つ合わせたもので三兆五千二百六十八億八千四百万円、こうなっているわけですね。このうちたとえば道路を見てまいりますと、昭和三十三年では一九・四%であったのですが、これが昭和四十二年になってまいりますと二八・四%、合計したものが一兆十一億四千四百万円、四十二年度で初めて道路費は、国、県、市町村を通じまして一兆円を突破した記録が決算上出てまいったわけであります。これと比較いたしまして治山治水を見てまいりますと、治山治水はこの総額に占める割合が六・七%、金額にしては二千三百七十七億三千万円、こういう数字にたっておるわけであります。そこで、昭和三十三年を見てまいると、このときにおけるところの行政投資に占めている役割りは、治山治水が七・七、道路はこのときには一九・四になる。ところが、昭和四十二年度決算によりますと、片方は二八・四%、片方は逆に六・七%、こういう形で行政投資の方向は道路優先であって、治山治水というものは非常におくれてまいっておる。逆に決算面から見ると減ってまいっておる。ここに大きな問題が含まれているのじゃなかろうか。しかも、昭和三十五、六年度ぐらいから行なった高度経済成長政策に基づく利水の問題、治水よりも利水の問題が大きく叫ばれてまいって、利水関係金額も実は治水の中に入ってまいったわけですね。治水計画の中に治山治水並びに利水という問題が登場してまいったわけです。それらを引きますと、ほんとうの治水費というものは一体どうなってきておるのだろうか。道路の場合を見てなるほど行政投資の二八・四%、三分の一近いものが道路にたたき込まれるわけですから、道路整備が地方団体において非常によくなってきておる。  こういう実績がはたしてあるだろうかというのを見てまいりますと。おそらく昭和四十二年で国道の改良率は七〇%をこえてまいった。しかも舗装率も大体それに近い六七、八%にふえてまいっておる。ところが、この間におけるところの県道、市町村道を見てまいりますと、非常に悪いわけであります。特に府県道の場合におきましては、改良が三六%、舗装が二五%、市町村の場合におきましては、改良が一二%、舗装が四・五%だ。もちろん市町村の場合におきましても、大都市、郡市、中都市、小都市、一般町村というぐあいに分析されておる詳しい資料が出ておるわけです。同じく四十二年度決算の中でもう少し私たちが見てまいりますと、四十二年度において市町村が改良に使ったお金が決算面では三百三十三億円、四千六百二十四キロメートルが改良されておる。これは全市町村道の〇・五%だ。一カ年間に〇・五%しか改良されていないわけだ。舗装にはどうか。三百九十八億円投ぜられている。これで六千六百七十八キロメートルが成っておる。舗装率は〇・七%だけ向上した。こういうことが明らかになっているわけです。と同時に、現在におけるところの市町村道を一%だけ改良するために幾ら金がかかるか。七百億円だ。しかるにかかわらず、先ほど申し上げましたように三百三十三億円しか使われていない。舗装の場合におきましても、一%の舗装をやるためには六百億円の金を要する。しかしながら、四十二年度において全市町村が使った舗装費は三百九十八億円だ。一%すらも達成することができないという数字が出てまいっておるわけです。全市町村道を改良するために六兆円、舗装するために五兆四千億円の資金がなければ、市町村道整備することはできないという数字になっておる。しかし、これを半分だけに打ち切る、半分だけの市町村道整備する、これに要するお金は二兆六千億円になる、こうなってまいりますと、四十二年度ペースで進んでまいりましても、七十年か八十年かからなければ五〇%の市町村道整備されることができないというほど、国道の整備有料道路、高速道路のすさまじい飛躍に比較いたしまして、地方行政として一番大きな生活基盤に密着しておる市町村道はおくれている。こういうような状況である。県道の場合を見てまいりましても同じことがいわれております。昭和四十二年度決算によりましても、府県が投じましたところの改良は七百二十八億円、舗装が五百四十九億円だ。そこで見てまいりますと、最初に申し上げました行政投資の総額の中に占める二八・四%、これほど躍進を続けておる道路の場合にいたしましても、中身を見てまいりますと、国道なり出産基盤の整備のための道路費が非常に多くふえてまいってきておる。それで県市町村も協力を要請されておる。しかるにかかわらず、県市町村の場合におきますところのいわゆる道路行政、生活基盤に密着する行政水準というものは、このように低い状態の中に置かれておるわけであります。  といたしますと、地方行政が一体好転したであろうか。もっと詳しい地方行政白書を見てまいりますと、公園の場合におきましても、あるいは下水道の場合におきましても、あるいは橋梁の場合におきましても出てまいりますが、そういう場合にはたして地方財政が好転をしておる、だからという考え方が出てくるだろうか。こういうことに対して一応大臣が持っておる考え方を聞かせていただきたいと思います。  同時に、資金負担率、四十二年三兆五千億円の国、県市町村合わせました総行政投資の資金の割合を見てまいりましても、国が四三%、地方が五六・九%。ところが投資主体別の内訳は一体どうなっておるか。この点を見てまいりますと、国は二五%、県市町村が七四・九%の投資割合になるわけでございます。こういう状態交付金だとか起債だとかそういうところでまかなっておることの事態の中で、地方行政の水準を上げていくため、本来交付税は、標準団体におけるところの一定の水準を維持していくあるべき姿、これを保障するための財源として、交付税法が明確に三二%を規定しているわけです。これを、国の懲罰なりあるいは国の恣意によって交付税を動かしてはならない。国の方針に反する場合があったといたしましても、交付税によってこれを措置してはならない、あくまでも固有財源だ、こういうぐあいになっておるわけですね。だから、この固有財源を本来の地方行政の水準、公共施設充実のために使われるべきものとして、国から独立して三二%を保障されておるわけです。こういう財源を、もっともっとそういういまの現況から見て使うべき問題点がたくさんあると思います。それを、その中から六十一億円、もちろん起債その他があって、起債にいたしましてもそうだと思いますが、いろいろ起債の要求が強まっておる、こういう中において、しかも公営住宅の用地費にいたしましても非常に超過負担をしいられており、また起債においても充当率が非常に低いという。ここで起債の要求が強まっておるのが現況だろうと思う。  こう見てまいりますと、一体地方財政が好転しておるだろうか。三二%の地方行政水準を上げる、標準団体としてのあるべき姿を維持していくために、もっともっと足らない面を充足すべきものとして国が法律をもってきめている中に、一体この治水事業を中心として今回の措置がとられることが妥当だとお考えになるかどうか、こういう点に対して、もう少し所信を聞かせていただきたい。
  185. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えします。  基本的には、日本の社会が、ごく最近までモータリゼーションというのは非常におくれておったわけです。のみならず、日本の経済構造自身が実は第一次産業が中心であった、そういうところで地方が行政をやってきた。しかるに、高度の経済成長の過程において、地方自治体もそれから一般国民も、社会的資本の充実に対する欲求が急速にふえてきたということは事業でございます。欧米社会におきましては、道路なりあるいは都市計画なり上水道なり下水道なりというものは、もう数百年の歴史を持っている。しかるに日本においては、そういうことがなくしても生活に、まあ満足というよりはそれに耐えてきておった。ところが、急速に欲求が出てきたというために、国も地方もこれに対する非常な需要がふえてきた。ところが、これに対する財源措置は、いずれの方面においても十分にはなされていないというところに、ここに大きな矛盾があると思います。  ところで、地方財政充実したということは、立場によって非常にこれが違ってくると思います。財政収入の面から見れば、確かに飛躍的にふえたことも事実です。それから、従来国に帰属しておったところの財政の状況からすれば、地方が比較的よくなっておるというのは事実です。この点からいえば充実したともいえる。しかし、一面に、いまあなたが御指摘になりましたように、にもかかわらず、非常に不満感を持っているのはなぜかというと、地方行政自身が、従来と違った高密度の社会資本の充実をしなければならない、あるいは厚生施設についても充実を迫られておるという点からすれば、いわゆる地方財政がふえたにもかかわらず、不足感が非常に強いという点からすれば充実とはいえない。これは二つの点から結論することができると思うのでございます。     〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕  そこで、政治というものは、やはりそうしたところの総合的判断において、現在具体的な問題になっておる治水政策につきましても、どうしても量的に事業をふやさなければ追いつかない状況になっておる。ところが、一方においては、負担はなるべく国が負担せいという要求もわかるわけでございます。そこで、事業量をふやすということと負担との関係をどう総合的に判断したほうがいいかというのが、現在われわれが当面している問題だと思うのでございます。その意味におきまして、地方自治体とすれば、大部分は国が負担して事業量もふやしてほしいということを要求する、これは当然の欲求とは私は思います。しかしながら、それを充足するに、国が治水だけやっておるわけではない、諸般の仕事をやっておるためにそこに矛盾を感ずるのでありますが、その時点、時点において総合的に、これは諸先生方の高度の政治的判断で認めてもらわなければならぬというのが——そのために政治家があるゆえんでありまして、それがなければ行政官庁だけでできるわけでありまして、そこにやはり立法上、行政上の配慮があってしかるべきことだと思います。  それから、あなたの指摘したことについては、その立場においてはそのように思います。また、先ほど阿部さんが言われたことも、その意味においてはそうだけれども、さらにもっと広範な立場からすれば、われわれがいま御審議を願っている点も合理性があるという点を理解していただかなければならぬ、こういうことでございます。
  186. 佐野憲治

    ○佐野委員 時間もなんでありますし、また道路その他の法律の中で、もう少し論議を深めさせていただきたいと思います。  私は、高度経済成長政策のために各市町村がいわゆる役割りを果たさなければならない、そういう意味におけるところの負担金が非常に高まってきておると思います。ですから、先ほど申し上げました道路整備一つを見てまいりましても、約三分の一に近い道路整備費が計上されたとしても、住民の生活にほんとうに結びつく道路というものは、非常に悪い水準の中に放置されていくことは明らかだと思います。  ところで、全体の予算規模もふえてまいっておるし、その率がどうなっているかという点を見ていただくと、行政投資総額の中に占める治山治水が、昭和三十三年におきまして七・七%、これだけの水準を三十三年−三十九年まではずっと持続してきているわけです。それが四十年ころからだんだん下がって六・六、六・七というように、全体の行政投資の中に占める割合としての治山治水というものが非常に軽視されてきているわけです。あなたが政治家として決断されたその決断は、結果として国、県、市町村の予算全部を決算してまいると、逆に低下してまいっておる。こういう現況にあるときに、今度建設省が出しておる「国土建設の現況」の「河川をとりまく環境の動向、イ水害の動向」の中に指摘されておるように、戦後二十二年の年平均は、昭和四十二年価格に直せば毎年三千億円の被害を出してきておる、こういうことを指摘しておるわけです。これほど大きな災害を引き起こしておるし、治山治水の急務が叫ばれ、緊急措置法がとられておるにもかかわらず、逆に、あなたが政治家として決断される治山治水の行政投資総額の中における割合が低下してまいってきておる。また全国で、災害において三千億円からの大きな被害を受けておる。こういう事態に立っておること等を考えますときに、高度経済成長政策そのものは、いろいろ成長率が論議されるでしょう。この場合におきまして、私、官房長官の保利さんが大臣のときに、率直にお伺いしたことがあります。ウサギとカメの話の中に、ウサギがどんどん走る。いわゆる経済成長率が、政府の予想を上回って、民間の高度蓄積、利潤を求めてぐんぐん進んでまいる。国民のための投資、国民のための生活、このカメさんはとっても追いつけない、少し一服してくれなければ、カメはとっても追いつくものではないという悲鳴をこの委員会であげられ、政府、政治家の責任を明らかにした意見も述べておられますが、大臣はいまのような高度経済成長政策のもとで、なるほど国民総生産は上がるかもしれませんけれども国民の置かれている現況というのは一体どうだろうか。公害なり交通麻痺なりあるいは災害、水害なりの中で苦しまなければならぬというこの現況にメスを入れていくのじゃなくて——いま、せっかく自治省から、国が県、市町村に交付したものの逆に低下をしてきたという資料をいただきました。こういう点、政治家として決断の問題にしても、新しい角度から考えなければならぬ問題ではなかろうか。  非常にこまかい話で恐縮ですけれども交付税の問題でも非常に自信に満ちた話をしておられるわけですが、この間松浦さんも質問されましたところの河川法の適用になっていない河川、いわゆる普通河川、膨大な普通河川が、集中豪雨なりあるいは台風なり、こういうたびに被害を非常に大きくしておる。いわゆる普通河川に対する管理がほとんどなされていない。また、地方行政の市町村の段階から考えてまいりますと、そこで手が伸びない。県はまた県といたしまして、それだけの手当てをすることはできない。そのままに放置されておる。ここへ集中豪雨なり河川のはんらんが加わりますと、被害を加速度的に大きくしているのが普通河川の存在だと思います。これは一体、普通河川はどう取り扱うことになるのか。並びに、いろいろな都市におけるところの中小河川、いわゆる河川法外におけるところの中小河川におきまして本年度新しい措置をとろうと、もはや都市住民は承知できない、承知しないという。高度経済成長政策のもとで、人口、産業の集中の結果として目の前に出てきているわけですけれども、しかしながら、一方、地方におけるところの普通河川の場合におきましては、やはり同じく大きな問題が出てきたと思います。これに対する交付税は一体どんな見方でやっておりますか。これは意見を聞かなくてもいいです。わかっておるでしょうけれども、これは土木費の中に計上されていない。私はせめてその他の土木の中に入るのかと思ったら、その他の土木の中にも入らない。これは一体どこに入るのだと見てまいりますと、地方行政全般の財政需要額の中のその他の諸費という、この中にいろいろなのが入っておりますが、その他の諸費の中にようやく普通河川に対するところの交付税財政需要額が見込まれておるにすぎない。一体幾らだろうかと大臣見られたことがありますか。一級河川、二級河川以外に、広範な災害を誘発しているところの普通河川、これは市町村長の管理にゆだねられておる。これだけ国は何にもしない。工業用水やその他の場合には補助金を出す。いろいろな手厚い補助をしてダムを守っておりますけれども、その下流にある、しかもそれによっていろいろな影響を受けるところのいわゆる普通河川に対しては、一体どれだけの措置をやっているだろうかと見てまいりますと、市町村の標準団体は十万の人口が単位になっておりますから、この中においてわずかに二百万円が見られておるにすぎない。二百万円で、その市町村をおおっておる災害の危険性、誘発の原因となっているものに対する対策が一体進めていけるだろうかどうだろうか。これには国や県は一銭の金も出していないわけです。それで水防倉庫その他が、災害基本法によって市町村に義務づけられておる。これに対しましてもどうですか。三分の一は国が出してやっている、県も三分の一は出している。標準団体では一体幾ら交付税として見込まれておりますか。たった三万円のうち国が一万円、県が一万円、町村が一万円、一体わずか三万円の金で、あの災害に対するところの水防倉庫その他を管理することができるでしょうか。しかも資材その他、それ集中豪雨が起こった、大河川からいわゆる中小河川、そして河川法にない河川に起こってくる。これに対するところの措置をとらなければならない。事前に水防体制をつくらなければならない、水防組合をつくらなければならない、とれが災害基本法によって義務づけられて、市町村に対して交付税としては一体総額幾ら見られておりますか。全く惨たんたる中で普通河川は放置されておると思います。これを何とかしなくちゃならない。そういう問題に取り組む地方行政の真剣なまなざしの前に、大臣のことばはあまりに冷酷ではありませんか。産業基盤の整備、わが国の総生産は世界の自由諸国の三位だ、それぞれという形でいわれて、しかも地方財政は余裕があるではないか、好転してまいったではないか。いわゆる地方財政が担当しておるところのこの水防なり普通河川に対する交付税見込み需要額、このことを考えてまいりますと、自治省の課長さんだからやむを得ないけれども、自治大臣はやはり反論されたらと思います。この状態をそのままにしておいて、ここに少しでも向けなければならない三二%、国の意思によって、国の都合によって、あるいは懲罰的にも使ってはならないという一定の水準を確保するために地方団体に与えた固有財源である。その固有財源をもって少しでも水害から守りたい、治山治水を町村においてもやっていきたい、こういう考え方の中にこの六十一億円が回されたとするならば、もっと国の政治がそういう方面に対しても配慮されるかもわからない。それこそ大臣の政治的決断を迫っておる問題ではなかろうか。その問題を伏せておかれているところに私は納得できないものを感ずるわけであります。  これらの点で一応所信をお伺いしまして、きょうは関連質問でありますので、次の質問者に譲ります。
  187. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま御指摘になったそのこと自身については、私も同感であります。ただし、道路にいたしましても河川にいたしましても、大きな河川が処置されないでおりますると結局中小河川も、全面的にこれが被害を受けてくる。そこで、やはりそれぞれの中小河川から零細河川に至るまで必要であるけれども、それを実施する場合に、どちらから割り当てすべきかということ、これが判断の問題だろうと思います。たとえば先ほど例として国道や県道が相当改良、舗装されておるにもかかわらず、市町村のほうはおくれておる、そのとおりです。しかし、国道や主要なる道路をだれが利用しているかといえば、やはり市町村の方々がみんな利用しているのでございます。現在の広域社会におきまして、市町村の人が市町村だけで生活しておるということはほとんどなくなってきています。そこで、むしろ過疎地帯になればなるほど、国道なり地方道が充実することを要求されるということは、佐野さん御自身もよくおわかりのことだと思うのです。そこで、そちらのほうにいままで、ほとんどの政治家の皆さん、それから都道府県の自治体の人も、まず自分の行政区域内の市町村道充実よりもむしろそうした大きな道路、大きな河川の改修、これに重点を入れて要望されておることは事実でございます。そこで、今後これができ次第に、だんだん中小河川考えていかなければいけない。今回は、御承知のように特に過密現象に基づいて、従来は自然河川でもたいした被害はなかったようなところの都市における小河川が非常に大きな災害を起こしておるので、これを地方自治体だけの力ではとうていやり得ないということで補助制度をつくった、こういうことでございまして、佐野さんが御指摘になったその点だけには私も同感です。ただ、全体の現在の国の経済と緩急の問題からすれば、いまこれは完全を期してもなかなかいけないから、やはりこういう段階でやらざるを得ないという判断をしているのでございます。
  188. 佐野憲治

    ○佐野委員 関連でありますから、他の委員質疑はまかせます。ただ、ここで資料要求をしておきたいと思います。  地方財政は、国会にも昨日の本会議で上程されましたが、細部の説明資料、これを本委員会に出していただきたいのと、第二は、昭和四十二年に大規模住宅団地開発に伴う公共施設整備についての五省協定、この五省協定の内容をひとつ提出していただきたい。それから第三には、こういう協定をやってもなおも解決されていない問題ができておりますので、御存じのとおり、大規模住宅団地の整備に伴う関連公共設備の費用負担について、非常に地方財政を圧迫しておることから、いろいろな研究会が開かれておる。特に、財団法人日本都市センターにおいて、御存じのとおり、荻野委員会ですか、といわれる小委員会を設けられて、近く政府に対して答申をするそうですけれども、この小委員会の一応の結論ですか、これが、簡単に省略したものが私たちのもとに入っておりますが、これは同時に、関連公共施設の費用負担について現在どういう状態になっていて、どういう解決の方法を見出したらいいだろうかという点を具体的に指摘しておるようにうかがわれますので、これの全文をひとつ提出していただきたい。そして地方行政の現況に対しましても、私たちはやはり理解をしておかなければならない問題点として、非常に深刻な問題として取り上げられておりますので、本委員会におきましても、今後の審議の過程において参考資料としたいので、一応請求したいと思います。
  189. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 さよう取り計らっておきます。
  190. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 以上で私の質問を終わります。
  191. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 井上普方君。
  192. 井上普方

    井上委員 私は、河川法施行法の一部を改正する法律案につきまして、まず第一番に、特にこの際、法律案にいうところの「ダムに関する工事その他政令で定める大規模な工事」、実はこの政令案がいただきたいのであります。といいますのは、非常にばく然と「政令で定める大規模な工事」といわれましても、私どもにはわかりません。これは政令案はできておるのでしょう。どうですか、河川局長さん。
  193. 坂野重信

    坂野政府委員 政令の案はできております。
  194. 井上普方

    井上委員 できましたならば、その政令案を早急に次の委員会までに御提出願い、そしてそれに関する御質問をまたいろいろとしてみたいと思うのであります。と申しますのは、私どもは、一昨年この委員会におきまして新都市計画法を議決いたしました。その際に、これは大臣——関係者はおいでにならないのですか。私どもが審議いたしておるときには、市街化調整区域の中においては宅地を造成することができないんだ、ぴしゃり実は建設省の統一見解が出されておったのであります。ところが昨年の十一月に、次官通達をもって、市街化調整区域については農家の次男、三男の方々の宅地は、五十坪はつくってもよろしいという緩和通達がなされておるのです。私はそのことを聞きまして、この建設委員会での論議をいつも聞いておった一人といたしまして、どうしてそこに出てきたんだろうとふしぎでならなかったのです。こういうようなことがございます。したがって、次官通達と政令との関連、あるいは法令との関連というようなことは、少なくともこの建設委員会の審議を通じて明確になったものでなければ、私は次官通達というものは出すべきではないと思うのです。ところがそれに反した通達が出されておるように承っておるのですが、これは大臣はおわかりにならぬと思いますので、次の機会にまた大臣あるいは局長さんからひとつ御答弁をいただければ幸いと思うのであります。  ただいまも阿部、佐野さんからいろいろと地方自治体の問題について言われましたが、この河川管理の面と、それと費用の面とが実はちぐはぐになっているのであります。この三十八年の河川法改正を見ますと、どういうことで——私もあの当時、改正案に対しましては、実は非常に大きい関心を持っておったのであります。と申しますのは、いままで管理権というものは地方自治体の知事にあった。ところが、これは一級河川になると建設大臣がこれを持つ。広域行政においては、ある程度私はこの点は——いままでは知事と大臣協議するということであったはずです。これを実は管理権を大臣が召し上げたと申しますか、お取り上げになった。いままでの各地の知事同士の協議あるいは大臣との協議ということばが一切消え去ってしまったのであります。しかし、そのときの会議録を読んでみますと、こういうことが書いてあります。これはいま参議院議員になっておる山内一郎河川局長の言といたしまして、「河川法案におきましては、河川一級河川と二級河川に分けて、一級河川建設大臣管理をするというたてまえでございます。二級河川都道府県知事、そういうたてまえからまいりますと、やはり費用の負担の原則も、一級河川は国が負担する、二級河川都道府県負担する、こういうような原則に管理体系から費用の負担が出てまいります。こういうことでこの条文をつくったような次第でございます。」こうあるのです。といいますと、この新しい河川法をつくるときには、管理の体系と費用負担の体系を一本化しなければいかぬという考え方でもって実は進んでおるのですね。そうしますと、この河川法は、特例ではございますけれどもこの法律をはずすことによって、いままでの考え方と大きく食い違ってきたように考えられてならないのでありますが、大臣の御所見をひとつお伺いいたしたい。
  195. 根本龍太郎

    根本国務大臣 当時の状況を私はよくつまびらかにしておりませんが、先ほど若干それに触れて申し上げたつもりでございまするが、当時山内河川局長がそういうふうなことばを申し上げたことは、一つの大きな有力な言だったと思います。そのときにあたって、私があとで聞くところによりますと、そうすると今度は二級河川以下は全部都道府県もしくは市町村が全面的に負担しなければならない。管理権はあっても、そうなっておるとかえってこれは非常に事業執行に困るということで、そこで、これは従来の方式を踏襲したほうがいいというように議論がだんだん煮詰まって、あのような本法になったと私は実は聞いているのです。これはあとで事務当局から説明いたさせます。  それからもう一つ都道府県管理を国に取り上げたということは、これは井上さんがよく御承知のことだと思います。もとはこれは、本来は国が全部管理するというたてまえであったかもしれません。それを内務省が全面的にこれは——知事の任命を内務大臣がしておった。そういう形において、これは河川のみならず、道路でもそうでございます。実は私が十二年前に建設大臣をしておったときに、この問題に逢着いたしました。これは道路について若干時間をいただいて申し上げると、私が就任した当時、各県をずっと回っていきますと、県境はほとんど国道の体をなしておりません。都市だけに集中している。地図の上では国道だけれども、全然国道の体をなしていない。これはやはり選挙に関連しまして、知事さんも選挙によって出るし、地方議員もそうなものだから、結局予算をやると投票の多いところばかりに集中して、県境に全部いかないという状況であります。そこで、道路特別会計を私のときに設けましたが、そのままにしてやるというと都市周辺だけができて、国道の体をなさない。そこで、一級国道については建設大臣がみずから管理するという姿勢を示したときに、最初は各県知事がたいへんな抵抗をしました。しかし、根強く説得を続けて、また国会の諸先生の同意を得てこれは建設大臣管理にして、そうして今日に至ったのでございます。  水についても、御承知のように、最近におきまして水資源の問題と治水の問題からして、やはり広域的な判断をしなければならないということであの河川法改正していったわけでございますから、その段階において、いま御指摘になりましたように、当時の河川局長はそういうふうなことを言ったということも私は聞いております。けれども、後ほどそれは貫かれない。むしろそれは、地方自治体においてもこれに抵抗があり、いろいろ御相談の結果変わったもの、こう承知しているのでありまするが、その変異の状況は私はよくつまびらかにしておりませんから、事務当局から御説明いたさせます。
  196. 坂野重信

    坂野政府委員 山内元河川局長が答弁されたのは、あるいは途中の経過的な時期じゃなかったかと思いますが、いずれにしても原則的には一級河川はできるだけ国が負担をする、そのかわり、国が一貫して管理するという立場は貫かれていることは御承知のとおりです。二級については、全額県が負担するかわりに、県に管理をまかしてある。それに対して二級については補助が認められ、一級の全額国の負担については全額ということにならないで、三分の二の本則に対して四分の三の特例を設けるということになって、国の管理については、原則は全部国の管理であるけれども、指定区間というものを設けて部分的に管理をまかしたというようなことで、基本的には大体おっしゃったようなことで、山内元局長が言ったとおりでございまして、原則的には大体そういう方向で間違いないと思います。
  197. 井上普方

    井上委員 河川局長にちょっとお伺いしますが、一級河川の地方自治体が持っておる負担額、それから二級河川に国が出している負担額、補助額はどれくらいになりますか。
  198. 坂野重信

    坂野政府委員 ちょっと全体の金額はいま持ち合わせませんので、後ほどあれしますが、御承知のように、一級については三分の二、それから二級については二分の一、その中であと予算補助とかいろいろございますが、ちょっと額はあとで申し上げます。
  199. 井上普方

    井上委員 先ほど佐野委員の言われましたように、現在の地方自治体のあり方、これは非常に財政的に苦しいということは、私も言えるんではないかと思うのです。もう一つは、国のお役人、あるいは大臣までもそうでございますが、先ほどの国道の話からいたしまして、自治体への不信がにじみ出ておるように思われてならないのです。だから国が出ていかなければならないという考え方が、どうも国のお役人を通じて一般にあるんではないか。そうであるならば、地方自治体の健全なる育成は、私はあり得ないと思う。地方自治体というものは、これはあくまでも民主主義、民主政治の基本である。住民参加の道も開かれておるし、また間接議会政治というものも開かれておる。この二つの道を並行させて、完全に住民のための自治体に築き上げなければならない責任が国にある。これが現在の憲法でいうところの地方自治の原則でなかろうかと思うのです。ところが片一方におきましては、国のほうは、地方自治体への不信のあまりに、地方自治体のやる仕事に対しましてチェックを加え、中央統制が加えられていく。先ほど大臣は、河川管理権の問題につきまして、広域的な立場からと言われました。昭和三十九年に新河川法が制定せられましたときには——私は、一つには根本大臣考え方が違うのです。といいますのは、当時官選の知事であっても、その地域における水利権を個々に与えておったのではわずらわしいので、実は知事が総括して河川管理権というものを持っておったんです。そういう意味からいたしますと、あなたとうらはらに、地方にある水利権の個々の管理権を一人一人に渡すのはめんどうだから、一括して知事に渡してあるんだという考え方からいきますと、民選知事になったならばそれをますます強化さしていかなければいかぬ。その間には広域行政との関連もございましょう。しかし、そこをあなたのおっしゃるように、だからその際は国のほうに取り上げるんだという考え方だと、全くさか立ちするんです。官選知事の当時ですら与えておったんじゃないか。しかし、これを管理権までも取ったというところに、私は、いま大臣がおっしゃられたような地方に対する不信感が根強くあって、それが地方自治体の完全なる自治体への妨げになっておると考えられてなりません。もちろん、いま大臣がおっしゃたように、地盤というところについては道路をよくするというようなこともありましょう。私は、ないとは申しません。しかし、そういうような首長が、やがては賢明なる国民によって、あるいは住民によって排除せられることは間違いないと思うのです。そういうような指導育成こそ、地方自治体を健全な道に歩ましていくゆえんでないか、このように考えられます。それを、地方自治体に不信感があるからといって、一級国道を国の管理下にしてしまう、あるいは新河川法によって管理権も建設大臣が持つ、これは中央統制へつながる道であって、健全なる地方自治体の育成の道でないと思うのでございますが、大臣の御所見を伺いたい。長い目でひとつものごとを見ていただきたい。
  200. 根本龍太郎

    根本国務大臣 井上さんの考え方には、私は一つの哲学があると思うのです。そのとおりです。しかし、現実にあなたは四国で御経験のように、四国総合開発の点で、例の吉野川の問題で徳島県のほうはずうっと来るからいいですけれども、いまの高松、愛媛のほうで非常に困ったという事態も現実に御経験のことと思います。そこで、こうありたい、こうあるべきだという民主主義の姿と現実の間に相当の乖離がある。そこにやはり現実の政治としては、こうあるべきだということと現実にあることとの矛盾をどう判断していくかというところに問題があると思うのです。その意味において、私は現在——実は午前中の分科会で、利根川の治水、利水の問題について同じような問題が出たのです。上流地区においては、下流のために上流が犠牲になるという感じが非常に強い。ところが首都圏全体から見ると、利根川水系全体の治水、利水計画を立てたものが、ある特定の地域の反対で三年もおくれているのは一体何事かというふうに実は指摘をされておるのでございます。だから、そういう計画を立てたらどんどんやったらいいじゃないかという、こういう御意見も一方にあると同時に、一方では自治体の機関の市町村で反対決議したものを実行するのははなはだけしからぬという、これも一つのあり方でございます。そこで、この問題については、できるだけわれわれは地元民の合意を得てやりたいのだけれども、時間的な若干のズレもしばらく容赦してほしいというふうな説明をしておるわけでございます。いまの井上さんの御指摘について直接の、端的な答弁にならないかもしれませんが、そういう事態をも考えてみてよい現在では、やはり一級河川についての治水、利水を総合的にやったほうがより効率的であり、国民の要望に全体としてよりこたえることができるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。そういう立場において河川法が決定されたというふうに、私は承知いたしておるのでございます。
  201. 井上普方

    井上委員 私は、いままでの国の行政自体が、その計画において、立案においても住民に周知されていない。その地方に住んでおられる国民に周知されずに、ただ雲の上で計画せられ、実施段階になって知らされておるいままでの行政のあり方、これが反対運動を生んでおるのです。おそらく利根川流域においてもそうでございましょう。私は徳島でございますが、私は、あの吉野川の総合計画案にはまっこうから反対するものです。これはなぜといいますと——あなたが例を出されましたから私は申しますが、吉野川の下流流域というのは官選時代から洪水で痛めつけられてきているのです。そしてあの堤防をつくるために徳島県民はどれほど負担したか。洪水の水は全部流れるのですね。でございますので、いい水を持っていく、平水を持っていく、こういうことが行なわれておるわけですね。しかし、それのほうが下流の住民の感情としては、われわれはよろしい、われわれが十分な水を確保した上での愛媛県、香川県への分水であるならば、それはわれわれも納得いたします。徳島県のあの吉野川平野の農業用水の調査もしておらない。一体将来どれだけ果樹園がつくられるか、これの農業用水がどれくらい要るかということを農林省はおととしまでやっていないのですね。これは私が指摘いたしまして、おととしの五月から始めた。香川県においては、十年間も調査をして、農業用水というのはこれだけ必要なんだということを国がやっておるのです。でございますので、あの計画によるならば、吉野川の農業用水の不安を感ぜざるを得ない。特に分水いたしましたならば、下流の地帯におきましては、南海地震による地盤沈下が大体五十センチあるのです。現在これが伏流水でどんど塩害が起こっておるのです。こういうような実情を見るときに、塩害防止用の水というものをどんどん流さなければならぬ、それではたして十分かというところに、自信を持った案が実はつくられておりません。大臣は秋田の一角から、あるいは東京の一角から四国をながめれば、ふしぎだなということを言われるでしょう。しかし、これには長い間の歴史があるのです。しかもあの川は、おそらく利根川よりもはるかに利用せられておるはずです。集水面積の三三%ぐらいは、いままで分水しておるはずなんです。でございますので、こういうような問題についてお役人、国の行政機関が十分に住民に周知徹底せしめ、十分納得した上の計画であったかというと、納得せしめるだけの努力が足らなかったのです。ために住民は不安を持ち、現在でも徳島県下においては、あの総合開発計画に対して反対運動が起こっておるのです。こういう点で、国の行政の責任というものは非常に大きいといわざるを得ないのであります。大臣の御所見を伺いたい。
  202. 根本龍太郎

    根本国務大臣 四国の総合開発については、あるいはそういう点があったかとも思います。そうなれば、総合開発それ自体が問題ではなくして、それをやる手段あるいは御指摘のようにこれを一般の方々に理解せしめること、これが足らなかったと思います。だから今後は、そういう場合においては、国が地元のいろいろの要望、不安、そういうものをよく正確に把握して、それに対していかなる処置を講ずるかということによって、これは計画が完全というか、修正されていくという方向にいくべきだと感ずる次第でございます。
  203. 井上普方

    井上委員 私は、横道にそれたような話になりましたけれども、要は国は、あるいは特に大臣あたりは地方自治体を長い目で見ていただきたい、そして地方自治体というものの健全なる育成をやらなければならない、そういう観点からいたしますならば、自治体に対しましては自主財源というものを多く与えなければならない。この自主財源を多く与えなければならないにもかかわりませず、あるいは起債を含めて明年、財政需要額の中からおそらくこの金というもの、六十一億の大部分は出されるのではないか、これがはね返って地方自治体の財政逼迫に加わってくるのではないか、地方自治体を健全に育成するためには、これは地方自治体の財政の独立を考えなければならない、同時に、事務の再配分もしなければならないと思います。しかし、日本の民主主義を貫こうとしますと、健全なる地方自治体の発達なくしてはあり得ない。ここから考えますと、長い目で見てふんだんに、地方自治体に自由に使える自主財源というものを与えるべきであると私は考えるのであります。したがいまして、このたびの御処置につきましては、法案につきましては、遺憾ながらこれは私はどうも地方自治体の財政を圧迫し、ひいては民主主義に逆行する結果になりはしないかと大いなる不安を持たざるを得ないのであります。  もう時間も参りましたようでありますので、特に大臣に一言申し上げたいのは、あるいは八ツ場ダムあるいは神戸ダム、こういうようなダムが利根川の上流にありますね。しかし、住民の方々は、私がこれも一昨々年ですか、指摘をしたのでありますが、実を言うと、土建業者がダムサイトの土地を買い占めているのです。このダムは、もうどこそこの組、どこそこ建設ということを全部設定しておるのですね。しかもそのダムサイトの土地を買っておる書類を私は持っておりました。当時、私は保利さんに見せたことがあります、登記の写しを。そういうようにして、この地帯のこの土地はわしの土地である、であるから、わしが手をつけたのだからひとつ談合に応じろということで、ダムサイトの土地が全部談合の対象になっておる。この事態が住民に不信感を持たせるゆえんではないかと思うのです。こういうような点において、大臣の姿勢をぴんとしていただきたい。  特に私はこの際申し上げたいのですが、私は、これで四代の建設大臣の所信表明演説を実は聞いたのです。ところが、いままでの大臣でございましたならば、との大臣——西村大臣にいたしましても保利大臣にいたしましても、あるいはまたこの間の坪川大臣にいたしましても、いずれも予算の効率的な運用、あるいはまた清らかな姿勢を保ち続けますということをおっしゃっているのですが、あなたの場合には特にそれがなかったのですね。所信表明演説を拝見いたしまして、どうしてこうなったのだろうかと実はふしぎに思ったのでありますが、特に利権にからむことの多いいすでございます。特にこの点は御注意になって、ともかく効率的な、そして先ほど申しましたように、談合などというようなものを極力排除するような指導方針をとっていただかなければ、国民の政治に対する不信はさらにさらに強まるばかりであろうと思われますので、大臣の御所見を承りたいと思います。
  204. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いろいろ激励と警告を与えていただきました。  私は十二年前建設大臣をやりましたが、私のときにそういう不祥事件は全然ございません。当然のことだと思います。清らかに、効率的にやるということは、当然これは政府の任務でございますから、私はこれを当然のこととしております。しかし、御指摘のように、そういう事態があればさらにその点が心配になるから警告されたのだと思いますが、政府の発注にあたりましては、これは私の時代から特に厳重に私はいたしました。十二年前には確かに談合めいたものもありましたが、それに関連して暴力ざたもありました。そのために、私のときにそういう事態をなくするように厳重に措置するとともに、そうしたことがなくなる条件もつくってやらなければならないということで、当時初めて前渡金制度なるものを設けたのです。当時は、土建界というのは非常におくれておる企業体でございまして、まず金を借り、あるいは高利貸しから金を借りなければ、もう仕事ができないというものもかなりあったわけです。そこで、当時の大蔵大臣は非常に抵抗したけれども、前渡金制度をつくり、さらに今度はそれを補完するためにいまの保険制度もつくった、こうやっておるつもりでございます。  それから、現在では、大臣といえどもかってにこれこれやれということをいたしません。ちゃんと、入札に関しましてはそれぞれのランクに従いまして、建設省一つ委員会的なあるものをつくりまして、そこで客観的に審査し、そうして一部のものは地建にまかせ、あるいは公団、公庫の間にまかせて、相当大きなものについては、さらに大臣の許可を得て発注させるというような制度をとっております。したがって、土建業者がつばをつけておいてこれで通るのだなどということは、そういうものは全然眼中に置かないし、そういうものは全然発注の際の条件にはいたしません。
  205. 井上普方

    井上委員 大臣の御決意のほどはよくわかるのです。それでは、十二年前の状況と現在の状況とをひとつ見比べていただきたい。現在も談合横行時代です。昔でございますれば、指名で入れてくれろということをみんな頼んでおいたものですが、ところがこのごろでございますと、指名はこれこれしか入れてくれるなという頼み方が横行いたしておる。ひどいのになると、ランクの問題にしましても、これはまたあらためてほかの場所でなにいたしますが、一例を申し上げますと、四国地建におきまして、大手のAクラスの大企業が、二千二百万円の道路工事の入札に加わっているのです。そういうようなことを平気でやっているのです。大手の企業者が中小企業の分野に入ってきて、そうして中小企業が痛めつけられている現状を私はまざまざと見ておる。あるいはまた、あるところで聞けば——この談合の問題からはずれますからもう詳しくは申し上げませんが、ともかくいまの建設省の姿勢というもの、これに私は問題があるのじゃないか、あるいはランク制そのものにも一つの転機が来ておるのではなかろうか、このように感じられてならないのであります。だから、大臣としてもこういう面からひとつ——話がそれましたけれども建設行政の明朗化にさらに御奮闘になっていただきたいことをお願いする次第であります。  さらには、次の委員会において政令あるいはまた、先ほど申されました予算金額が明示された時点におきまして、もう少し今度は短く質問いたすつもりでありますから、御了承のほどをお願いいたします。それでは、きょうはこれで終わります。
  206. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 次回は広報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十七分散会