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勝澤委員 大臣はいま
佐藤内閣の実力を持っている、力のある人だから言っているのです。
大臣、それはたとえば米を見ましても、私はお互いが選挙ということ、それからやはり地盤ということを
考えず、もう少し経済的にものを
考えたら、米の問題だって、あるいは健康保険の問題だって、これはそう違った議論というのは出てこないと思うのですよ。自民党の中で
東京都から出ている人からいけば、米の問題についてはそれはやっぱり上げるなと言うでしょう。しかし、東北から出ている自民党の人は、上げろと言うでしょう。これはやはり社会党の場合も私は五十歩百歩じゃないかと思う。健保の場合も同じことですよ。お医者さんの出身のほうからいえば、それは困る、薬屋さんのほうからいえば困る。しかし庶民の
立場からいえば、これは何とかしなければならぬと、こういうことになると思うのです。鉄道の場合も同じことです。私のところに佐久間線というのが静岡にできるわけでありますけれ
ども、これは足立篤郎さんにしても社会党の斉藤正男さんにしても民社党の竹本さんにしても、つくってくれ、つくってくれと言うのはあたりまえであります。しかし、経済的に見たときに、それはどうだろうかなと言う人はだれかといえば、それはやっぱり
佐藤内閣であり、その一番の力のある
大臣だと思うのです。その
大臣が右か左かとものをきめない限りものは進んでいかないわけですよ。ですから、そういう点で私はひとつものの
考え方というものをしていただきたいと思うのです。
それで私は、国鉄が赤字になった、輸送力が減った原因というのは、あなたもちょっと
指摘されていましたけれ
ども、結局道路事情がよくなったわけですね。ですから、東名高速ができて名神と連なった。だから
東京から万博に行くのに、汽車で行こうか、新幹線で行こうか、自動車で行こうかという選択になるわけですね。あるいはそれが貸物の輸送に変わってきているわけです。あるいはジャンボジェット機が
東京から札幌に走る、このことで国鉄の輸送も変わってくるわけであります。あるいは大阪へ行けばなおさらであります。あるいは近海の船が動くことによって、たとえば私のところの清水の港から新潟へ行くのに、鉄道よりも船のほうが安い。会社のほうは、退職者を船会社の社長にしてその船会社をつくったほうがいいということになれば、そうなるわけであります。その一切がっさいの輸送を
運輸省があずかって、国鉄が赤字になるようにひとつこのトラックの会社を許可しようじゃないか、国鉄が赤字になるようにこっちをこうしようじゃないか。赤字になるか黒字になるか、輸送力の平均をとればいいわけです。国道一号線をトラックが自動車を六台載せて走っているわけでしょう。その一台が走るために交通が麻痺しているわけです。しかし、それを鉄道に移せばいいわけです。鉄道に移せば、鉄道でそういうものを運んで、もっと軽いものを自動車に回せばいいわけです。その取捨選択をするのはだれかといえば、運輸
大臣、あなたなんです。あなたのところで自動車の
行政も船のほうも飛行機のほうも鉄道もみんなやっている。やっていながら、こうめちゃくちゃになっている。ですから、国鉄の貸物がいま停滞をしている、なぜ停滞をしているかといえば、国鉄と自動車で荷物の競争をやっているわけであります。競争をやっている中で国鉄が負けるわけであります。なぜ負けるかといえば、片っ方は便利で安い、片っ方はなかなか不便だということです。
ですから、これも国の産業の政策、交通の体系の中から、やはり
東京から大阪まで、それは車を六台、トヨタでも日産でも六台積んで国道一号線の狭いところを走るのは無理じゃないのか、これは鉄道で運ばせるようにしたらどうだ、鉄道のないところはどういうふうにするのだ、そういう調整の役目というものをもうそろそろ
運輸省がしなければ、何でも出てきたから、このうしろにはあの代議士があるから許可してやろうじゃないか、このうしろには何がと、こういう形だから調整ができないわけであります。だから、やはりトラックの場合においても、それから船の場合においても飛行機の場合においても、それを
考え合わせながらやっていかなければいけない。青函トンネルができたけれ
ども、実際には
東京から青函トンネルを通って北海道へ行く人は、夏の学生と
あとは一度だけ、できたからトンネルを通ってみょうという見物客があるだけで、
あとは多くの人たちはみんな飛行機を、ジャンボを使うようになるのでありましょう。ですから
大臣、実力のあるあなたが運輸
大臣になられたわけでありますから、この次も留任になることは確定でしょうから、やはり四十四年度、四十五年度、四十六年度にかけて根本的にその
考え方というものを、ただ判こを押している、許可しているということでなくて、輸送経済というものを扱っている官庁だというものの見方をぜひしていただくようにしていただきたいと思うのです。これは
答弁必要ないと思います。
それから次の問題、あまり私ばかり言っているとほかの方が
大臣に質問できないですが、国鉄のパイプラインの問題です。
これはお聞きになっていると思うのですけれ
ども、この間ここでも
運輸省の意見、それから通産省の意見を聞かせていただきました。これは簡単に言いますと、
運輸省は輸送の問題としてものを取り上げているわけであります。通産省というのは経済的な
立場からものを
考えています。私は、パイプラインというのはやはり輸送コストといいますか、輸送体系といいますか、こういういろいろの
立場からものを見なければいけない。しかしまた、それはできるだけ競争のない独占形態でなければいけないだろうという気がするわけです。なぜならば、国鉄が独占であったけれ
ども、民間の自動車が、トラックが、あるいは飛行機が、船がという形で独占体系というものは破れていったわけです。ですから、道路をつくればつくるほど、実は国鉄の斜陽化というのは進んでいくわけであります。ですから、かりにパイプラインをやるとしても、パイプラインはできたけれ
ども、その入れてくれる油のほうでは、おれはタンクローリーで、汽車のほうがいいとか、あるいはトラックのほうがいいとかいうことになったら、実はパイプラインをつくったけれ
ども何にもならぬわけであります。
そういう点を
考えてみると、これはやはり総合的な
立場でどうやっていくかということをこの辺でそろそろ
大臣、まだ
事務当局でもあまり話し合いが進んでいないようでありますけれ
ども、やはり目をつけられて、これは来年度の予算の中では、通産省のものの
考え方の法律、
運輸省のものの
考え方の法律が出ているわけであります。国鉄でいうならば、早く線路下を使わせてもらえばいい、こういうことじゃないかと思うのです。ですから、これはやはりある
程度煮詰まってきた段階で、この問題というものは、かりにパイプラインはできたけれ
ども、油業者は、おれはそんなところへ油を送らぬ
——結局、お客が鉄道に乗るのか、お客が自動車に乗るのかというお客の選択なんですね、それが実は今日の鉄道のいろいろな問題を起こしてきているわけですから。このパイプラインを石油会社が通産省と
一緒になってつくった、
運輸省と国鉄はこっちをやっている、だけれ
ども、片一方のほうは半分だ、片一方のほうも半分だではしようがないわけです。ですから、輸送の量を見てみれば、いまの量がだんだん加速度的にふえていく限りは鉄道の輸送も行き詰まるだろう、あるいはトラックのタンクローリーの輸送も行き詰まるだろう、やはりパイプラインをやらなければならぬというのは方針だと思うのであります。この方針はもうきまっているわけですから、その方針について、われわれから見て、なるべく内輪の争いがなく、なるほどそういうものだ、そしてそれがやはり完全に使用されるものというものをこの際ぼつぼつ
考えるべきだろうと思うのですが、その点いかがですか。