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吉田(賢)
委員 職業訓練をおやりになっております。これはシステム分析なんかの対象にもなっておるのでありますが、私
ども日本人は、労働というものに対して、ほんとにとうといものであるというような考え方をこの際もう一ぺん持つ必要があるのではないだろうか。もうかるなら何でもいい。こちらはうんと給料を払ってやるから、一番いいやつは来いというようなことで、完全に商品化するというような考え方じゃなしに、労働に対してもう少し違った角度から考え直す必要はないであろうか、こう実は思うのであります。一粒の米も捨てたらもったいない、お粗末にしたら目がつぶれるというようなことばすら昔はあったといわれておりますが、労働につきまして、神聖ということばは適当でないと思いますが、やはり労働に対しましての考え方を、もっと経済構成の上から、
社会生活の上から、生産性の面から、あらゆる面から非常にとうといものであるという考え方に、もう一ぺんなる必要はないであろうか、そういう意味でひとつ根本的にPRなさってはどうだろうか。そして、
日本人全体としてそのほうに進んでいきませんと、とてもいくまいと思います。これが一点です。これはひとつ省をあげて御研究くださって、労働省として重要国策として打ち出してもらいたい、
国会でも堂々と審議を進めるような新テーマをひとつ出してもらいたい、こう思うのであります。ひとり当
委員会だけではありません。全
国会みずから
——実はきょうもりっぱな公務員の方々がたくさんその部屋に一ぱいおられたので、私はほんとは相すまぬと思うのです。どうしてこんなに
委員会が能率があがらぬのだろうか、どうしてこんな大事な仕事をしている人がここでぶらぶらしてじっと待機しておらなければいかぬのかなというような感じがしたのでありますが、何とかひとつ、
社会全体として合理性を発揮できるようにできぬものだろうか、そう思います。かかる意味におきまして申し上げますから、ひとつPRの基本課題として取り上げまして、ぜひ研究してもらいたい、こう思うのであります。
それからもう
一つ、これはひとりあなたのほうだけではありませんけれ
ども、潜在労働力の問題です。これは非常に重要であります。私も女性の職場をつくることにずいぶん骨を折ったものでございますけれ
ども、潜在労働力を活用するということ、開発するということにもっと企画性をもって
全国に臨んでもらいたいと思う。
最近兵庫県におきまして手足のない人が五千名おりますが、主として交通事故であります。この人に、厚生省としては大体において授産のかまえはできておるはずでありますが、実際はないのです。川重の会長の砂野仁という方がおりますが、私、県立のリハビリテーションの所長さんなどをその方に引き会わせまして、手足のない人に職場を与えるということについて、計画をもってやってほしい、こういうふうにしてやったのであります。これらはほんの一例にすぎませんが、こういう潜在労働力、これを活用するということは、
一つは産業のため、
一つはその人に対して、
社会復帰する、人生を新しく計画せしむるため、言うなら光を与えるためであります。そして潜在労働力というものを活用するということは、他のいろいろな面において波及効果があるわけです。これが
一つです。これはやはり労働省としまして、厚生省とも組んで、通産省とも組んで、積極的にひとつ企画してもらいたいと思うのです。
それからもう
一つは婦人の労働ですね。これは
中小企業の
関係にもなるのでありますが、たとえば、私いなかに行ったのですが、兵庫県に三木市というところがある。これは金物です。そこに行きましたら、のこぎりをやすりですっておる。これは薄暗いところにかみさんがいる。五十がらみの人が何人もおります。こちらに二人、あちらに三人、何人もおります。一生懸命やっております。りっぱに何々メーカーの製品として出るのですよ。一流の商店にちゃんと出るのですよ。それだけの労働力、生産性を持っているのです。しかし、その場はどうかというと、暗いところ、ほこりがばっと出るところです。おのずからその人の健康は害されているかもわかりません。これはもっと明るくできぬだろうか。もっと明るく、愉快に、そして能率をあげるような職場にその小さいところができないだろうか。潜在労働力ではありませんが、こういう労働の場です。労働者が
ほんとうにしあわせを感じながらその場で仕事をするというような、それこそ私は生きた労働
行政だろうと思うのです。これは何も不足対策そのものじゃありません。やはり職場を明るくする、職場をしあわせの場にする、愉快にその職場へ行けるということは、どれだけその人のしあわせになるかわからぬと思います。これが
一つであります。
もう
一つは、やはり農村の主婦なんかでありますが、農村の主婦自体でも、これはやはり用いようによりましては相当な労働生産性があるのですよ。こういうものにつきましても、一々そんな遠方へ行って職業訓練所で免状やるから、卒業証書やるから、そんな式じゃなしに、やはりそこにおきましてその生産性を高め、同時にその人の体力、嗜好、技能等々に適するような何かを与えるというような簡易な労働訓練、
指導を現場へ行ってするような手はないだろうか。これはしろうとの歩いた思いつきですけれ
ども、こういうようなことを思いまするので、この潜在労働力を活用するということ、またさらに、これはひいては老人対策につながっていきます。
老人過剰の
日本になってきましたから、老人対策といたしまして、七十になってもなお職場で元気よく一人前に仕事をする。そして老後人生に生きがいを感じていく。いたずらに国の
税金を食って、ひなたぼっこして、棺おけ横に置いて待つという老人対策にあらずして、そういうふうにひとつしむけていく、これも
一つの労働
行政ですよ。だから労働、厚生にもつながりますよ。生産性もあがります。だから、これは繊維
行政やら
中小企業なんかの各面からみんな注目して、こういう方面は提携して私は施策を立てるものであると思うのですが、いろいろありますけれ
ども、例を二、三あげたのです。これは若年者にもあります。婦人にもあります。いろいろな面があるのですから、一、二例をあげたにすぎません。
この場はそれ専門の場でありませんから多く述べませんけれ
ども、これは現実に生きた事実に基づいて私は御質疑申しておるのです。それで労働省の御
意見を聞き、また繊維の
関係もありますし、
中小企業の
関係もあります。もちろん同じような問題でありますけれ
ども、それぞれ角度が違いますので、御答弁伺っておきたいと思います。
あともう一点で終わりますから、急ぎます。