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1970-03-20 第63回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 小山 省二君 理事 高橋清一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 森下 元晴君    理事 華山 親義君 理事 鳥居 一雄君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       塩崎  潤君    中村 弘海君       中山 利生君    水野  清君       日野 吉夫君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林大臣官房長 亀長 友義君         農林大臣官房経         理課長     白根 健也君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君         食糧庁次長   馬場 二葉君         水産庁長官   大和田啓気君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         農林大臣官房企         画室長     内藤  隆君         食糧庁経理部長 齋藤 誠三君         林野庁業務部長 福田 省一君         水産庁漁政部長 平松甲子雄君         会計検査院事務         総局第四局長  増山 辰夫君         農林漁業金融公         庫総裁     大澤  融君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     西宮  弘君   田中 武夫君     細谷 治嘉君 同月十八日  辞任   西宮  弘君     勝澤 芳雄君   細谷 治嘉君     田中 武夫君     ————————————— 三月十日  昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十三年度政府関係機関決算書 同月十七日  昭和四十四年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和四十四年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和四十四年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (その1)           (承諾を求めるの件) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十二度政府関係機関決算書  昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (農林省所管農林漁業金融公庫)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は農林省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行ないます。  まず、農林政務次官より概要説明を求めます。渡辺農林政務次官
  3. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 農林省所管昭和四十二年度歳入歳出決算について概略を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済み歳入額は、一般会計において三百九億三千百六十万円余、食糧管理特別会計勘定合計において三兆七千八百二十一億四千九百三十三万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において千五百九十四億三千二百八十五万円余、農業共済保険特別会計勘定合計外特別会計の総合計において九百十四億九千三百三十五万円余、となっております。  次に、歳出についてでありますが、支出済み歳出額一般会計において六千百六十七億六千九百七十二万円余、食糧管理特別会計勘定合計において三兆七千七百六十四億五千三百三十万円余、国有林野事業特別会計勘定合計において千三百五十億四千百六十四万円余、農業共済保険特別会計勘定合計外特別会計の総合計において六百四十二億二千四百九十二万円余となっております。  これらの経費は、農業生産性向上と総生産の増大、農林生産選択的拡大農業構造改善農産物等価格の安定及び流通の合理化農業従事者の福祉の向上地域振興農業団体整備強化林業振興水産業振興その他農林漁業金融公庫資金の拡充、災害対策事業食糧管理事業国有林野事業などの諸事業実施に使用したものであります。  これらの事業概要につきましては、お手元にお配りをいたしております昭和四十二年度農林省関係決算概要説明によって御了承を願いたいと存じます。  これらの事業執行につきましては、いやしくも不当な支出や非難さるべきことのないよう、常に経理の適正なる運営について、極力意を用いてまいりましたが、昭和四十二年度決算検査報告におきまして、なお、不当事項として相当の件数の指摘を受けておりますことは、まことに遺憾に存じます。  今後とも指導監督を徹底いたしまして、事業実施適正化につとめる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     〔委員長退席高橋(清)委員長代理着席
  4. 高橋清一郎

    高橋(清)委員長代理 次に、会計検査院当局より検査概要説明を求めます。
  5. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 昭和四十二年度農林省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告不当事項として掲記いたしましたものは、工事関係が二件、二百余万円、保険関係が三件、二千三百余万円、補助金関係が六十八件、一億九千四百余万円、計七十三件、二億二千余万円、でございます。なお、補助金のうちには災害復旧事業に対する早期検査の結果、補助金の減額を要すると認めましたものが、一億四千五百余万円ございます。  まず、工事関係について説明いたします。  一四四号及び一四五号の二件は、工事施行にあたり監督及び検査が適切でなかったため、道路コンクリートブロック練り積み工事において、胴込めコンクリートの養生が十分でなかったなど、工事施行が不良となっているもの、道路の敷き砂利工事において施行量が不足しているものでありまして、監督、検収の充実強化など、適切な処置を講ずることが緊要と認められるものでございます。  保険関係について説明いたします。  一四六号は、農業共済保険事業運営が適切でないというもの、一四七号及び一四八号の二件は、漁船再保険金支払いが適正を欠いたものでございます。このような事態につきましては、毎年度検査報告に掲記してその適正をはかるよう注意を促しているところでございます。  補助金関係について説明いたします。  一四九号から一九九号までの五十一件は、いずれも公共事業関係のものでございまして、コンクリート工事などの施行が不良で、設計に比べて強度が著しく低下しているもの、石積み工事などの施行設計に比べて粗雑となっているものなどでございます。  このような事態につきましても、毎年度検査報告に掲記してその適正をはかるよう注意を促しているところでありますが、なお、今後一そう指導監督強化をはかるなど、工事の適正な施行について配慮の要があると認められるものでございます。  二〇〇号から二一五号までの十六件は、公共事業関係以外の一般補助関係のものでございますが、事業費を過大に精算しているものなどでございます。このうち、二一五号は、都道府県が国からの農業改良資金助成補助金自己資金とを財源として農業者貸し付け農業改良資金関係のものでございまして、借り受け者に対し本制度の趣旨を十分徹底させていないなどのため、借り受け者が事業を全く実施しないで貸し付け金を貯金のまま保有していたりしているなど、府県の貸し付け金運営が適切を欠き、補助目的に沿わない結果となっていると認められる事態でございます。つきましては、関係当局改善方を期待するところでございます。  二二八号は、昭和四十二年発生災害復旧工事費の査定を了したものに対し、早期検査を行ないました結果のものでございます。このような事態につきましては、毎年度検査報告に掲記してその適正をはかるよう注意を促しているところでありますし、関係当局におかれてもその対策について種々努力されておりますが、なお、今後一そう体制の強化をはかるなど、特段の努力を期待しているところでございます。  次に、改善意見を表示した事項について説明いたします。  四十三年十一月、会計検査院法第三十六条の規定により改善意見を表示いたしましたもので、直轄施行した土地改良事業において直轄工事機械施行に関する積算基準が十分整備されていないと認められるため、機械作業能力算定等工事施行実情に沿わないこととなり、ひいては予定価格積算が適正を欠いていると認められますので、工事施行の実態に即して積算基準の改訂、充実をはかるなどして工事費積算の適正を期する要があるということが改善意見趣旨でございます。  以上、不当事項及び改善意見を表示した事項のほか、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものについて説明いたします。  その一は、都道府県農林省から補助を受けて施行したかんがい排水事業におきまして、事業施行中または完了後、住宅工場等農業目的以外の用途に本事業受益地の一部が転用され、農業生産基盤整備が必ずしも期待どおり行なわれているとは認められないものがありますので、今後事業の採択につきましては、関係行政庁との間の連絡調整を十分に行なって、適切な計画のものを採択するなど、適切な配慮の要があると認められるものでございます。  その二は、輸入食糧等を本船からはしけに沖取りする際、汚損を防止するなどのため、敷きものを使用させておりますが、近年、鋼船の新造、はしけ改良が行なわれまして、敷きものは必ずしも全部使用しなければならないような状態ではないのではないかと思われますので、経費節減をはかる意味からも配慮の要があると認められるものでございます。また、外国砕米輸入港で、袋ごとに開袋して量目調整実施させておりますが、砕米酒類等実需者に多量に売り渡しているものでありますから、袋ごと量目調整を行なうことにかえて、経済的かつ適切な方途を講じて経費節減をはかるよう配慮の要があると認められるものでございます。  その三は、飼料小麦売り渡し予定価格は、買い受け時の原麦数量一トンに対しまして、ふすま五百五十キログラム及び小麦粉四百五十キログラムが生産されるものとして計算されておりますが、製粉工場におきましては、小麦を加工いたします際挽砕効率向上のため加水いたしますので、製品の生産数量原麦数量を上回るものでございますから、この加工の実情予定価格に反映させて、適切な売り渡し価格決定をはかるよう配慮の要があると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。     L1
  6. 高橋清一郎

  7. 大澤融

    大澤説明員 農林漁業金融公庫昭和四十二年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  まず、昭和四十二年度収入支出決算について御説明いたします。  昭和四十二年度における収入済み額は三百二十四億二千百四十九万円余、支出済み額は三百三十億七千二百二十九万円余でありまして、収入支出に不足すること六億五千八十万円余となっております。  以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたしますと、まず収入の部におきましては、本年度収入済み額は三百二十四億二千百四十九万円余でありまして、これを収入予算額三百三十二億四百七十一万円余に比較いたしますと七億八千三百二十二万円余の減少となっております。この減少いたしましたおもな理由は、一般会計からの補給金受け入れ予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度支出予算現額三百三十九億三千六百三十四万円余に対し、支出済み額は三百三十億七千二百二十九万円余でありまして、差し引き八億六千四百四万円余の差額を生じましたが、この差額全額不用となったものであります。この不用額を生じましたおもな理由は、委託金融機関に対する手数料及び借入金利息支払い予定より減少したためであります。  次に、昭和四十二年度における損益について申し述べますと、本年度の総益金三百五十五億千二百三十一万円余に対し、総損失は三百四十五億五千二百九十九万円余でありまして、差し引き九億五千九百三十二万円余の償却引き当て金繰り入れ利益をあげましたが、これを全額滞貸償却引き当て金及び固定資産減価償却引き当て金に繰り入れましたため国庫に納付すべき利益はありませんでした。  次に、昭和四十二年度貸し付け概要について御説明いたします。  昭和四十二年度中における貸し付け決定総額は千四百四十九億八千五百七十一万円余で、前年度に比し、百八十一億五千四百九十九万円余の増加となっております。  これを業種別に申し上げますと、農林漁業経営構造改善五百三十六億八千六百四十三万円余、農業構造改善土地基盤整備)五十五億二千百九十万円余土地改良四百十八億八千六百三十六万円余、林業九十六億五百九十二万円余、漁業百一億二千四百四十一万円、共同利用施設及び新規用途・乳業四十七億六千百二十一万円余、自作農維持百三十五億二千百五十六万円余、その他五十八億七千七百八十九万円となっております。  以上、貸し付け決定状況につきまして御説明申し上げましたが、これに対しまして、四十二年度貸し付け回収実績は四百八十一億九千八百七十二万円余で、前年度回収実績に比較いたしますと五十億七千八百三十六万円余の増加となっております。この結果、昭和四十二年度末における貸し付け金残高は六千二百五十五億四千四百四十七万円余となっております。  次に、昭和四十二年度貸し付け資金概要について御説明いたしますと、本年度における貸し付け資金交付額は千三百二十億七千九百三十四万円余でありまして、これに要した資金は、資金運用部資金からの借り入れ金千百十四億円及び簡易生命保険及び郵便年金積み立て金からの借り入れ金三十五億円並びに貸し付け回収金等百七十一億七千九百三十四万円余をもって充当いたしました。  以上が昭和四十二年度農林漁業金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 高橋清一郎

    高橋(清)委員長代理 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  9. 高橋清一郎

    高橋(清)委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  10. 華山親義

    華山委員 会計検査院に伺います。     〔高橋(清)委員長代理退席委員長着席〕  ただいまの留意を要する事項でございますか、その中に、従来土地改良その他のことで金をかけてやったのだけれども、あとで、それがほかの宅地とかいろいろなものに使われていて当初の目的を達していないものがあるから、初めから計画をきちんとしてやれ、こういうふうな指摘を受けておりますが、今後減反等計画がどんどん進んでまいりますと、そういう場合が今後もっと多くなると思いますけれども、そういうことについては、会計検査院は今後どういうふうにお考えになっていますか。
  11. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 四十二年度決算報告に、いま先生お話しになりました点を留意事項として今後注意するように申し述べておりますが、今後、御承知のように減反等が非常に行なわれまして、どういう事態が出てまいりますか、いまの趣旨のことは非常に重要な問題と考えておりますので、十分注意して、その推移を見てまいりたいと思っています。
  12. 華山親義

    華山委員 ただいまその話も触れましたけれども、昨日予算委員会農林大臣が、今度の減反ということによって行なわれる道路等公共用地とか、あるいは住宅用地とか、あるいは工場用地とかにつきまして、数字をあげて計画を御説明になったと新聞で私、見ておりますが、これは相当ばく大な資金が私は必要だと思うのです。今年中にやるということであれば、今年中にこれについての買い上げをしなければいけない。工場用地等につきましては、これは民間資金もありましょうけれども、政府資金がばく大なものになるのじゃないか、そういうふうなお見込みとか、あるいは予算面には出ているのか、これからどうなさるのか、そういうことにつきまして農林当局から御説明を願いたい。
  13. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 ただいま華山委員からお話しになりましたことは、米の生産調整にからみまして、何としても百五十万トンの生産調整をやっていくことが緊急必要なものであるというようなことになったわけでありますが、そのうち、百万トンについては転作あるいは休耕等措置を講ずる、それに対する補助金を交付して百万トンは減産をしていただく、残りの五十万トンについては、これは直接政府が休むことにお金を出すというのではなくして、過剰という問題は水田が多過ぎるということもございます。一方においては、東京をはじめとして大都市周辺住宅難、こういう問題もあります。あるいは工場敷地がないというような問題もあります。  そこで、これらの一石二鳥を考えておるわけでありますが、そういうふうに、一方で用地不足ということでございますから、この土地対策ということも考えてやらなければなりません。土地を供給するということ、そのために、政府は去年度税制の改正におきましても土地税制というものをこしらえて、ことしと来年に限って、土地を売った者には特別に税金を少なくする。一〇%の税率で分離課税をするというような措置を去年度から講じておるわけであります。そういうふうな土地対策というものの一環ということにもなってくるわけであります。  そこで、おおよそ五十万トンに見合う水田というものはどの程度になるだろうかということを平均的に算出をしますと、大体十一万八千ヘクタールぐらいになる。そこでその用途でありますが、政府としては一応の目標をきめたわけであります。これについては、関係各省といろいろと協議をして目標をきめたわけであって、その目標がきのう農林大臣が御発表になった工場用地として二万ヘクタール、住宅用地として五万九千ヘクタール、それから道路などの交通関係用地として一万五千ヘクタール、その他の建物、施設などの用地といたしまして二万四千ヘクタール、こういうようなものを一応政府としてはきめたわけであります。もちろんこの大部分のものは民間資金にゆだねられることになると思います。工場用地あるいは住宅用地等におきましても、これは国が直接全部やるというようなものではありません。しかしながら、住宅県営住宅もあるし、あるいは公団住宅もあるし、あるいは市町村営住宅等もありますから、この中には民間の必要な住宅用地公共団体の必要な住宅用地とがあるわけであります。これはそれらを一切ひっくるめた一応の数字でございます。  しかも、この中で直接政府なり地方公共団体が必要とするものは幾らあるのか、その資金量は幾らあったらばいいのかというようなことにつきましては、四十四年度予算で一億円の調査費政府としては補正で計上いたしたわけであります。それを各省に配分をして、そのこまかい内容については目下検討中であります。おおむね今月一ぱい、あるいはもう少しかかるかもしれませんけれども、それによってもっと詳しい調査の結果が出てくることだろう、かように期待をしておるわけであります。
  14. 華山親義

    華山委員 一億円の調査費をおつけになった、それによってわかってくる。だけれども、実行する面についての予算というものは、こういうことを予期して立てた予算ではないように思われるわけです。したがって、もう植えつけの時期も近いわけでございますし、なかなか困難でございますし、こういうふうにも思われるのでありますが、そうしますと、これに要するところの経費、これは今後の補正予算等にまたなければいけない。予備費にはそういう金はありません。そういうふうなことを考えていらっしゃいますか。
  15. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 それらの問題を含めまして、目下政府においては各省ともいろいろと検討をいたしておるわけであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、これは全部政府機関地方公共団体でやるんではなくして、その相当多くのものは民間住宅敷地なり工場用地というものを当て込んでおるわけであります。これらは、御承知のとおり、この間農地法基準というものも緩和をして、特に水田については緩和をするというような措置をとっておるわけであります。  参考までに申し上げますと、現在の新都市計画線引き地域に入る水田面積というものがおおむね十八万ヘクタール程度あるというようなこともあるものですから、これは相当数そういうような税制措置あるいは農地法緩和措置というようなこと、あるいは政府公共団体が取得をするための今後のいろいろな援助措置、こういうものを合わせれば何とかいけるのではなかろうか、こう思っております。  先ほど言ったように、これらの予算問題等につきましては、どういう資金をどういうふうに利用するかというようなこと等のこまかい具体的問題は、目下各省間で詰めておる最中であります。
  16. 華山親義

    華山委員 それは、これから五年間でやろうということでありますれば私はわかりますけれども、極端なことを言えば、もう二月か三月の間に農民との間に話し合いをつけなければいけない。何か私はただの紙の上のプランのような気持ちがいたしてならないわけでありますが、ことしは休耕させて、来年はそういうふうに持っていくということも考えられるわけでありますが、一応お聞きだけいたしておきます。たいへんむずかしい紙上プランのような気持ちがいたしてなりません。  それで、いま申し上げましたように減反の問題がやかましいわけでありますが、その前例となるものとして古米や古古米処分政府が苦悩をしていらっしゃる、こういうところから出ていると思うのであります。  それについて伺いますが、その前に、私も調べておりますけれども、間違えているといけませんのでお伺いいたしますが、四十二年につきまして産米は幾らあったのか、そのうちで政府買い入れが幾らあったのか、政府買い入れのうちで配給はどれだけしたのか、いままで配給以外に処分したものはどれだけあったのか、また、その中に外米の輸入もあったかもしれませんし、そういうふうなものについて残高が出てくるわけでありますが、またその配給米以外にも処分をなさったものもあるかと思いますが、四十二年についてそれらの数字をちょっとおっしゃってくださいませんか。
  17. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 お答えいたします。  四十二年会計年度について申し上げますと、四十二年産米生産史上最高生産であったわけでありますが、千四百四十五万三千トンでございます。年度当初の持ち越しが、国内米で四百七十一万一千トン、それから輸入外国産米で十九万四千トンでございました。それから食糧庁買い入れは、国内米で九百八十九万一千トン、輸入米で三十六万五千トンでございます。  それから政府が払い下げた数字でございますが、これは主食工業用とございます。主食のほうには国内米を六百七十六万五千トン、輸入米を二十万七千トン、工業用は主として酒米、みそ、あられ、せんべい等でございますが、国内米が六十九万五千トン、輸入米が十六万一千トンでございます。当時は、いま先生のおっしゃった項目で、輸出と、それから特別の処分というものは四十二年度には扱いがございませんでした。  こういうことで、年度末、期末の在庫は、政府手持ち国内米が七百十七万八千トン、輸入米が十九万一千トンでございました。
  18. 華山親義

    華山委員 四十三年も同じような数字ですか。
  19. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 では、続いて四十三会計年度を申し上げます。  四十三年度産米の生産は千四百四十四万九千トン、それから年度初めの持ち越しでございますが、国内米が七百十七万八千トン、輸入米が十九万一千トン、政府買い入れは、国内米が一千四万四千トン、それから輸入米が二十六万四千トン、政府の払い下げのほうは、国内米が六百六十九万二千トン、輸入米が四万九千トン、それから工業用でありますが、払い下げが、国内米が六十八万一千トン、輸入米が十七万六千トン、この年は初めて韓国向けに貸し付け——輸出の一つの形態でございますが、貸し付け方式で三万五千トン出しております。  こういうことで、年度末の在庫が、国内米で九百八十一万四千トン、輸入米で二十三万トンでございます。
  20. 華山親義

    華山委員 四十四年度は……。
  21. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 続いて四十四年度でございます。  四十四年度は自主流通米が発足した年でございますが、自主流通米は、ただいま見込みとして九十万トン、ただいま申し上げる数字のほかにあるわけでございますが、政府の需給数字を申し上げますと、四十四年産米は、生産は千四百万三千トンでございます。年度初めの持ち越しは、国内米が九百八十一万四千トン、輸入米が二十三万トン、買い入れは、これは見込みを含んでおりますが、国内米が八百八十六万七千トン、それから輸入米が四万八千トン、これはモチ米でございます。政府払い下げは、主食が、国内米が六百二十三万四千トン、輸入米が三万トン、工業用で、国内米で二十万トン、外国米で十六万六千トン、輸出が五十万三千トン、これは一部見込みを入れてあります。そのうち貸し付け方式によるのが四十四万三千トン、それから売却によるのが六万トン、それと、本年度初めて過剰米処理の一つといたしまして、飼料用に実用化試験として売る予定をしておりますのが六万トンでございます。年度末の在庫は、国内米で千百六十八万四千トン、輸入米で八万二千トンでございます。  四十五会計年度は、これはもちろん予定でございますが、一応、生産は平年作として千三百九十万トンという数字を見込んでおりまして、また政府の扱うほかに、自主流通米として百七十万トンを計画し、見込んでおります。したがって、政府の持ち越しでございますが、国内米は千百六十八万四千トン、輸入が八万二千トン、買い入れ国内米が六百五十万トン、輸入米が三万トン、これはモチ米でございます。それから売却でございますが、主食が、国内米が五百六十三万八千トン、輸入米が一万一千トン、工業用でございますが、国内米が九万五千トン、輸入米が十万一千トン、輸出は三十万五千トンを見込んでおりまして、貸し付けが今日二十七万トン、これは韓国でございます。そのほかに、普通の売却で三万五千トン、過剰米処理として、予算上一応十六万トンを当面見込んでおります。  こういうことで、四十五会計年度年度末の持ち越しは、国内米千百九十八万五千トン、それから輸入米はゼロ、こういう計画でございます。  いま申し上げましたところで、千三百九十万トンは生産調整を含んでおりませんので、生産調整を考えますと千二百四十万トンでございます。千二百四十万トンという生産で、自主流通米を百七十万トン見込んで、そういう前提で先ほど申し上げましたような政府の需要計画になります。失礼いたしました。
  22. 華山親義

    華山委員 予算のほうでは四十五年度産米は残らない、こういうふうな計算になっているわけでございますね。予算では、予定では四十五年度産米の在庫はないということになっているわけでございますね。
  23. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 年度だけの政府買い入れと需要は大体見合うわけでございますが、しかし持ち越しとして……。
  24. 華山親義

    華山委員 持ち越しはいいですね。そうすると、四十二年度産米は、いま政府の倉に幾ら残っているのですか。おっしゃったと思いますが……。
  25. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 ただいま期末で、玄米トンで百十三万トンであります。いわゆる古々米でございます。
  26. 華山親義

    華山委員 そうすると、去年の古米は……。
  27. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 四十三年産米が二百八十万トン、四十二年が百十三万トンであります。
  28. 華山親義

    華山委員 これを処分されることについて、どうして消化されるかということについて御苦心だと思いますけれども、今年度補正予算にこのための対策的な経費が乗っておりますね。あれはどういうことなんです。
  29. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 四十四年度補正では、過剰米処理としては全体で百億を見込んでおりまして、そのうち五十億程度が先ほど申し上げました飼料用の実用化試験実施の損失引き当て金として考えております。あとの五十億程度のものは、輸出等をいたしました米の損失引き当て金として考えております。
  30. 華山親義

    華山委員 飼料用の試験というのは、今年中にお使いになる金ですか。もう使われた金なんですか。
  31. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 ただいま試験の方法なり売却の方式を検討いたしまして、できれば年度内に売る契約だけはいたしたいと考えておりますが、ものの売却はまたその後、ちょっと年度末になるのではないかと考えております。
  32. 華山親義

    華山委員 よくわからないのですけれども、しかし、その金は今年度中に使わなければいけない、少なくとも契約が成立して支出決定しておる——支払いは別にいたしましても決定していなければならない性質のものじゃないですか。
  33. 齋藤誠三

    ○齋藤説明員 お答えいたします。  食管の会計のやり方としましては、発生主義で契約のベースをとっておりますので、年内に契約できれば、契約時点において損失が発生するわけでございます。そういうことで、期末までに契約するというたてまえで一応引き当ての処分をいたしました。
  34. 華山親義

    華山委員 それはトン当たり幾らですか。
  35. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 米を飼料用に売りますのは初めてのケースでございますので、ただいま民間の学識経験者等の意見を聞き、検討会を開きまして、一体どういう価格で払い下げたら適当であるかということを目下検討しておるわけでございます。ただ、言えますことは、一応配合飼料用原料として使います場合、トウモロコシ等の代替ということになりますと、従来の米の価格という観念からすれば相当安い価格になる、こういうふうに考えております。
  36. 華山親義

    華山委員 しかし、これは年度中にはきまらなければいけないでしょう。おっしゃったとおり間に合いますか。
  37. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 間に合わすべくいま鋭意検討を進めている段階でございます。
  38. 華山親義

    華山委員 これが幾らになるかということはこれからだとおっしゃるわけですけれども、数量がきまっているわけですから、予算としては単価がきまっているわけですが、予算単価は幾らでございますか。
  39. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 予算単価としてはトン当たり二万六千十円を見込んでおります。
  40. 華山親義

    華山委員 原価といってはおかしいんですけれども、原価は幾らのものでございますか。
  41. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 四十二年産米価格は、トン当たり十万八千二百六十八円でございます。
  42. 華山親義

    華山委員 ただいま払い渡しされようとする六万トンという計算はどこから出た計算なんですか。一般飼料がそうだからというところから出てきた計算ですか。予算でございますから、何かそこに標準があったと思いますけれども、何を基準にしておきめになったのでありますか。
  43. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 先ほど申し上げましたように、何ぶんにも初めての飼料充当のことでございますから、あくまでこれは実用化試験ということにかんがみまして、試験の規模はやはりおおむね三カ月くらいにわたって実施する予定でございますが、試験規模の観点から六万トン程度あればいいんじゃないか、こういう考えで六万トンを予定したわけであります。
  44. 華山親義

    華山委員 値段は一般飼料を基礎にされまして、この程度の値段が適当であろうということで予算の単価になすったのかどうか。
  45. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 この過剰米の発生が見込まれましたので、一度も試験をしたことのない米の飼料用につきましては、実験室的な試験を昨年の秋口から続けておったわけでございます。農林省の畜産試験場等が日本科学飼料協会に委嘱いたしまして、その中間試験結果によりますと、やはりでん粉質原料でございますから、配合飼料に使う場合、おおむねトウモロコシあるいはコウリャンの代替として十分使える、遜色ないというような中間報告もございましたので、予算単価としては、とりあえずトウモロコシの価格をにらみまして、それに大体見合う価格ということで、先ほど申し上げました二万六千円がらみの価格予定したわけでございます。
  46. 華山親義

    華山委員 それで試験をなさいまして、今度は四十二年度も四十三年度も含まれるかもしれませんけれども、試験の結果によって、ことしはどれだけ処分をなさるおつもりですか。
  47. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 ただいま予算措置としてとられようとしておりますのは、四十二年度補正でただいまの六万トンの試験用、それから四十五会計年度で七十億程度、食品原料でございますが、工業用に回すものを大体十六万トンと見込んでおるわけでございます。しかし、これはいま御指摘のように、何ぶんにも古古米になる運命のものが四十二年産米、四十三年産米、四十四年産米で七百万トンも見込まれておるわけでございますから、こういった飼料用の実用化試験なりを基礎にいたしまして、新年度に入りましたなら、民間の有識者による過剰米処理検討会ないしは研究会的なものをこしらえまして、そういうものの処理の方法なり、あるいはそれによる損失の補てんの方法を検討してまいりたいと思っております。
  48. 華山親義

    華山委員 輸出のことも、これから外国との交渉もございましょうからいまから考えるわけにもいかないかもしれませんが、国内の消費についても、まだ試験の段階であって、飼料としてどれだけこれがさばけるかというお見込みはまだないというふうに了解していいですか。何かお見込みはありますか。
  49. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 この過剰米の処理につきましては、何といっても、根本的には生産と需要の均衡を一刻も早く回復することが抜本的対策なのでございます。すでに発生しております過剰米の処理ということになりますと、米は主食でございますので、できるだけ主要食糧として消費の拡大をはかる、あるいは食品原材料としてみそ、あられ、せんべい、酒とかいう、こういう食品原料の消費を伸ばすとか、学校給食等に回すとかいうようなことで、従来の用途での消費拡大をはかるべきだというように考えるわけでございます。あるいは、いま御指摘の輸出のほうも、もうすでに貸し付けその他の方式で八十万トン程度の輸出、ないし輸出が見込まれておりますが、ただいま農林省としては、さらに輸出を促進すべく延べ払い方式を内容とする法案の提出を準備している段階でございまして、将来輸出についても努力いたしたい、しかし、そういうことをしてもなお処理できない、めどのつかない米が残ると思います。七百万トンという膨大な過剰米でございますので、これは生産者の感情からいっても、あるいは国民感情からいっても好ましくないわけでありますが、最後は飼料用に回されざるを得ないのではないか。いま配合飼料は千二百万トン程度の生産がございまして、年々一割程度の需要増加がありますから、配合飼料原料の一部として米を充当するということは、財政負担の面では膨大になるかと思いますが、技術的には相当消化できるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  50. 華山親義

    華山委員 米のほうで充当するというふうなことであれば、飼料の輸入につきまして、トウモロコシなりコウリャンなりの輸入飼料が減るわけでありますか。その点について予算でかげんがしてありますか。
  51. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 いまトウモロコシとマイロは自由輸入になっております。したがって、畜産局と相談いたしまして、農林省としては、配合飼料工場の協力を得まして米を充当するということをいたします。それだけ結果的にはトウモロコシなりマイロの輸入が減るということに当然なるかと思います。
  52. 華山親義

    華山委員 食管会計で輸入飼料が減るような予算になっておりますか。
  53. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 いま食管会計飼料勘定で政府が買うと予定しており、あるいは現に買っておりますのは、主として小麦と大麦でございまして、一部トウモロコシを予定しております。これは本年需給調整計画でほんのわずかでございまして、四百万トン、あるいはマイロになりますと七百万トン、すべてAA方式で民間輸入に相なっております。
  54. 華山親義

    華山委員 それで、来年度につきましては工業用にというお話でありますが、工業用につきましても七十億ですか、予算にものっておるようでございますが、これはどういうふうなことをなさるお考えですか。
  55. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 実はこの七十億円も一応工業用ということで積算はいたしましたが、これは工業用の原料が、売却見込み単価として、従来から規格がございまして比較的見込みやすいから、かりにそういうことで積算をいたしましたけれども、実際それを使用し売却する場合は、先ほど申し上げましたような検討会の結果によっては、あるいはほかの用途ということもあり得るかと思いますが、ただ、単価が比較的算定しやすいということがございまして、また、実際原料用に回す可能性も十分あるのでございますのでそういう積算をいたしたわけであります。
  56. 華山親義

    華山委員 七十億は工業用処分をする——それは欠損でしょう。そうじゃございませんか。
  57. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 損失の補てんとして七十億円を引き当てるわけでございます。
  58. 華山親義

    華山委員 私のことばもまあそういう意味で申し上げたのですけれども、そういたしますと、それはたとえばみそとかせんべいとか、そういうところにいままでは砕け米等でやっていたものを、古い米でやろう、こういうことでございますね。
  59. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 七十億円を引き当てにいたしておりますが、実はこの七十億円は過剰米の処分可能量が非常に流動的でございますので、先ほど申し上げましたように、比較的単価の算定が容易である工業用として積算をされておるわけでございますが、これはほかの、たとえばえさに回すとか、あるいは輸出に回すとかいうことになりますと、これは若干処分可能量の数量が変わってまいると思います。ただ、いま御指摘のように、工業用に回すものなどは、みそとか、しょうゆだとか、その他あられ、せんべい等には輸入の安い砕米を入れておったわけでございます。大体トンあたり六万円台の安いもの、これを全面的に輸入をやめましたので、やはりある程度そういう廉価な従来から使っております米をまた今後も使うという要望が強いわけでございますから、そこでやはりこういう過剰米あるいは古古米を充当したらどうかというふうに考えて、一応工業用として十六万トン程度見込んだ、こういうことでございます。
  60. 華山親義

    華山委員 工業用というのは、一体年間需要というのはどのくらいあるものですか。
  61. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 酒造米、これは除きまして、あと、先ほど申し上げましたみそ、しょうゆ、あられ、せんべい、それから穀粉、こういうものがございますが、これは大体従来は十六、七万トン程度米を使っております。
  62. 華山親義

    華山委員 いままで日本にも砕け米というのはあったわけで、それもそういう加工用品に回っておったわけでありますけれども、今度の分は、いままでのそういうのはどうなるのですか、砕け米等は。
  63. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 ただいま申されました十六万トン程度のものは政府の売った米でございまして、そのほかに御指摘のように、政府が買わない農家の保有米等がございます。これは若干酒造用とかビール用等に回っておるようでございますが、これは正確な数字が実はつかめていないのですが、ある程度回っておることは事実でございます。そのほかに、やはりそういう食品原料として、米のかわりといいますか、米と同じでん粉質原料として、トウモロコシのコーンフレークスないしはコーンスターチというものが使われております。たとえば、みそ原料でいいますと、政府の売った米が約六万トンでございますが、そのほかに三方トン程度のそういうコーンフレークス、でん粉質原料のものを使っておりますので、将来過剰米を処理する場合には、やはりこういうものに米が取ってかわるということであれば、それだけまた過剰米処理の需要の促進が期待できるのではないか、こういうように考えております。
  64. 華山親義

    華山委員 そうしますと、工業用原料については、米だけのことでいえば、大体砕け米と同じ値段でなければ業者は買わないということですな。そういうことになりますか。
  65. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 実は、主としてみそに例をとりますと、みそに使っていた砕米輸入をやめたのは昨年の三月末であったわけでございます。したがって、四月以降、一体みそ等の食品原料米をどうするかということで考えまして出しました方針は、一応採算ベース——従来みその原料採算ベースというのがございますから、その採算ベースをやはり維持することが必要ではないか、輸入砕米がなくなって急に高い米に切りかえますと、みそ自体の値段も上がってきて思わしくない事態になりますので、採算ベースということで、たとえば、当初準内地米をみそには九万円で売っておったわけでございますが、それを七万三千円程度に下げて、できるだけ砕米の値段に近づけた、こういうことをやったのでございます。これが従来の経過でございます。  したがいまして、今後みそ等に過剰米なり古米を充当する場合は、やはり一つの考え方としては、このみその原料採算ベースというのが基準に相なろうかと思うわけでございます。
  66. 華山親義

    華山委員 先ほどおっしゃいましたけれども、砕け米というものの統制の問題でありますが、これは農家からみそ屋さんが自由かってに買っていいのですか。何か、私の記憶によれば、県庁の許可を得て買っておるように思いますけれども、どうですか。
  67. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 現在では食糧管理法による輸送証明書だけが必要でございまして、その他の流通規制は全部はずれておる、なくなっておるわけであります。
  68. 華山親義

    華山委員 砕け米だから流通規制の中に入らない、しかし同じ原料米でも砕け米でない古米は流通規制の中に入る、こういうことになりますか。ちょっとおかしいような気もしますがね。食管制度では米というふうに書いてある。そうすると、砕け米だって米なんだから、これを流通規制からはずしておるのはおかしいのじゃないですか。砕け米は米じゃありませんか。
  69. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 法律は「米穀」、米でありますので、その点でやはり輸送証明書の制度も適用されると思います。ただ、現在の米の需給の実態から申しまして、そういった砕け米的なものは主食として不適当でありますので、食糧に不適な砕け米について厳重な流通規制をするのはどうかということで、現在その他の流通規制ははずしておる、こういうことでございます。
  70. 華山親義

    華山委員 そうすると、いままでは砕け米についても流通は規制してあったかも知れぬけれども、値段は統制していないわけですね。
  71. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 現在は値段もきめてございません。
  72. 華山親義

    華山委員 そうすれば、主食としての米の値段はきめてあるけれども、米ではあるけれども、主食以外の砕け米のような工業米については値段がきめてない。それだったならば、もう工業用米にいくところのこれらの米というものも値段はきめなくったっていいのじゃないですか。その辺の関係はどうなんですか。政府が値段をきめないで、市場相場によってそれは出るということになりませんか。それのほうが適当なのじゃないですか。
  73. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 政府が持っております古々米なり古米なり新米なりの処分には、やはり一定の価格をきめておるということになるかと思います。ただ自主流通米の制度が四十四年産米からできまして、これが相当主食工業用にも出回っておると思います。これはもちろん価格規制がないわけでございますが、政府が持っておるのは、これは一定の価格をきめて、適正な価格で売却をする、そういうふうに考えます。
  74. 華山親義

    華山委員 こういう加工原料の原料を買う店といいますか、工場は全国にどのくらいあるのですか。
  75. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 業態、用途が非常に多種多様でございまして、正確にはわかりませんが、たとえばみそでいいますと、約二千五百軒から三千軒のみそ工場がある、それから酒屋がやはり三千軒ほど、それからわかりにくいのは穀粉でございますが、これはちょっといま資料がございませんが、米を粉にしていろいろな用途に回すという業態があります。それからビール、これはビールは数社なんですが、ビールにも使っておりますので、実は資料の持ち合わせございませんが、相当工場の数に達しておるのではないか、あられもせんべいもございます。相当の数に達しているかと思います。
  76. 華山親義

    華山委員 それらの店を対象にして政府が売るということはできますかね。たいへんな手数だと思うのですが、どうやっておやりになるか。
  77. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 現にみそとか、しょうゆとか、あるいは酒、ビール、穀粉には、過剰米の特別処理ではございませんが、通常の売却はいたしておるわけでございます。これは本庁で一々扱うのではなくて、食糧事務所にワクをおろしまして、事務所段階できめこまかい売却をいたしておるわけでございます。
  78. 華山親義

    華山委員 食糧事務所で売るときには、いままでは何か数量の制限をしておりますか。
  79. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 いままでは、大体需要量というのがございまして、同時に実績がございますので、それを目安に売却をいたしております。
  80. 華山親義

    華山委員 これからもそういうふうになすって、この店ではいままでこのくらいの実績だから、この程度だということでお出しになる、そういうことになりますか。
  81. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 問題は、過剰米の特別価格による特別処理ということになりますと、ある程度安い価格で出すという場合が考えられますので、そういう非常に零細な工場に対しては、その後の、目的どおりの用途使用されたかどうかという監督指導が必ずしも徹底しない面もあるかと思いますので、やはり売却数量はおおむね需要量を基準に考えまして、一つのワクを設けて売却を続けていきたい、こういうふうに考えます。
  82. 華山親義

    華山委員 私は心配するのですけれども、農家にはやはり従来どおり砕け米があるわけです。自分のところの使うのは砕け米を使う。農家から買ってくる、それがやみにも出てくるでしょう。これは、昔は農家は砕け米を食ったという時代があったそうですけれども、農家も砕け米なんか食べませんから、やみで買ってはいけないことになっておるそうですけれども砕け米を買う。政府から受けたものは、これはある集荷業者でもあって、これをまとめて、そしてこれをつき減らしを多くして、食べられる米にして、これをまたやみに流す、こういうことが心配されるのですけれども、そういうふうにしていたしますと、今度は正当の流通によるところの正規の米が売れなくなる、こういうふうなことを御心配になりませんか。
  83. 馬場二葉

    馬場(二)政府委員 御指摘のように、過剰米の特別価格による売却をいたしますと、転用、転売ということが私どもも非常に懸念されるわけであります。特に、かりにそういう横流れがあって、それが、たとえばみそ、しょうゆ等に充当されますと、正規の政府の売却が影響を受けるということになります。そしてまた不当、不正なことでかりに業者が利益をあげる、これは絶対許すべきことではございませんので、私どもとしては、売り方については、転用、転売がされなくて正規の用途に使われるような指導監督を十分してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  84. 華山親義

    華山委員 しかし、このごろの米というのは、もう法律なんかない乱雑なものですからね。やみ米はあるし、自主流通米という制度をつくってみたけれども、目的のとおりには出ない。そのかわりにやみ米が出たという話もありますし、従来から、もう米というものは、末端の一般市場では野放しの状態になっているわけですよ。ですから、十分に監督とおっしゃっても、むずかしいのではないだろうかと私は思う。何かそういうことをやった国もあるということですけれども、そういうふうに政府が払い下げたところの工業用、加工用の米あるいは飼料用の米に色でもつけるとかなんとかでもなければ、ますますこの米の流通制度というものが乱雑になりはせぬか、こういうふうに思うわけです。特に私、心配しているのでござ  いますけれども、今度の検査基準というものに手心を加えますと、落第品が多くなってくる、そういうふうなものがまた出てまいりますと、これらのものと競合いたしまして、市場にはそういうものが出てくる、そういうことになってくるのではないかということを私、心配しておるわけなんです。そういうふうな御心配は、食糧庁としてはあまりされておりませんか。
  85. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 実は、われわれとしても一番頭を痛めている点はそういうところにあるわけであります。よく飼料の払い下げの問題等も、政府が値段をきめないで、入札制度にして、だれにでも高く売ったらよいではないかというような財政面だけからの議論もあります。しかし、これが非常に問題でありまして、そういたしますと、先ほども言ったように、特別な価格——二万五千円とかあるいは何万円とかいう、政府の普通の売り渡し価格から見れば、半値どころではない、四分の一とか、そういうふうな値段でありますから、それが横流れをするということになると、これはたいへんなことになるわけであります。したがって、今回試験的に六万トン、えさの払い下げをしようということで考えておるわけでありますが、これらについても特に厳重な指導監督が必要である。  どういうふうなことをやるかと申しますと、政府の倉庫から出荷をするのに係官が立ち会って、工場に、それも保税工場に持ち込ませる、その工場で、立ち会いのもとでそれをまず粉砕するならば粉砕をする、できた数量を確認をする、さらに粉砕をした米を、そのほかのトウモロコシや、あるいはふすま、その他のものとまぜるわけですが、まぜる点においても、もちろん立ち会いもするし、まぜてでき上がった品物についても、はたして政府が売り渡しただけのものが予定基準で混合されているかどうか、こういうようなことについても検査をしよう、こういうふうな何段階もの政府が監視をした検査をして、製品から流通に至るまで考えよう。ただ、先ほど言われたように、米に色でもつけて、あるいは、においでもつけて売り出せば、もとに戻らぬじゃないかというふうなお話もございますが、それらについては実験的にやってみたそうであります。ところが、近ごろ非常に洗剤がよくできてしまって、色をつけたくらいでは、ちょっと洗うときれいに落ちてしまう。なかなか科学技術が発達をしておるものですからだめだ。においをつけても、少しくらいのにおいでは溶けてしまうし、今度は全然取れないようなにおいをつけたのでは、馬も牛も食わぬということになって、これまたたいへんなことになるわけであります。そこらが実際非常にむずかしい。したがって、みそその他について七万円とか八万円という値段で払い下げるならば、そう横流れが出てくるということもございませんでしょうが、これらについても、さらに特別な低い値段で払い下げるということになると、これは口で言うのは簡単なんですが、管理、監督ということが何千軒もあるということになってまいりますから、酒屋さんに税務署が立ち会っているように、みそ屋に食糧事務所が全部立ち会うというようなことは、事実問題としてなかなかむずかしい。そういう点で、実は非常にむずかしい問題がたくさんあるわけであります。  したがって、われわれとしては、まず過剰の処理をしなければならぬ、そのかわりそういうふうな不正が起きたんでは、これは相すまぬことでありますから、そういうことのないように食糧庁ではいろいろ手を変え品を変えて研究をさせておるわけです。したがって、なかなか思うようにはかどらぬ、さっぱりてきぱきした処分が具体的に国会でも御説明できないじゃないかというような御不満も他方においては出てくるわけですが、今後そういう点で、慎重を期して、いろいろやっておるということでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  86. 華山親義

    華山委員 私はさっきまじめに、においとか色とか言ったわけじゃありません。そういうこともできないでしょうという意味で申し上げたわけであります。私はこれは非常にこわい問題だと思うのですよ。大体、都会等では米の値段なんかは家計費に占める割合はたいしたことないんだ、こういうことをよくいいますけれども、しかし、都会ではそうなのかどうかわからぬですけれども、地方に参りますと、そんななまやさしい問題じゃないのです。やはり米の値段というものは相当家計費に影響いたしますよ。これは、育ち盛りの子供三人でも持ちまして、そしてそう収入の多くない郵便局員等の話を聞きますと、家計費に占める割合は相当大きいんですね。一般にいわれるように、そんなたいしたことはないんだというふうなことではあるまいと私は思う。それを考えますと、こういう米が出回りますと、こういう米をまぜて食うということは当然行なわれると思うのです。そういうふうにさせたほうがいいのではないかという考え方も私にはあります。しかし、貧乏人は古古米を食えなんということになりますと、これは一緒になって、たいへんどうも悪いんで私は言い切れませんけれども、私はそういう方向に流れると思うのです。そういう危険があるわけなので心配いたしますが、役人よりは米を扱われる人々のほうがりこうですから、なかなかいかないんじゃないかというふうに私は心配をしているんで、とにかくまず十分に御研究も行き届いておらないようでございますから、今後研究された上で、実績等も私見まして、またお聞きしたいと思います。会計検査院は、この面について、今後どういうふうな検査方針をとられますか。
  87. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 いまのお話は、古古米なりを飼料用等の目的で売られるときの値段の問題かと思いますが、現在の食管法を見ましても、ちょっとはっきりしない点もございますので、今後それが行なわれまして、いろいろ調べまして検討いたしたいと思います。その際には——この段階では何とも申し上げかねるわけでございます。
  88. 華山親義

    華山委員 私はこの点非常に疑問を持っております。米の売り値というものは政府がかってにきめていいものでもない。大体、米の売り値というものは家計費に影響を及ぼさないということを重大な目安にした。ところが、今度の卸値は家計費の問題じゃないわけですね。法律に何の規定もないわけですよ。これは食管法のもとからいいましてもおかしなものじゃないのか、こんなふうに私は考えているのです。この食管法というものは、米を買って、それを食糧として各家庭の消費に充てるんだ、その値段はどうするんだということをきめているだけなんです。それ以外に、はみ出したものについてどうするかということは、食管法以外の問題じゃないのか。そういうことを考えますと、私は会計法上にも問題があると思いまして会計検査院にもお聞きしたようなわけでございますけれども、なおそういう点、私が申し上げた、会計検査院もいま申されたようなことについて、よく今後会計法上のいろいろな問題が起きないように御注意願いたい。私は何もやかましいことを言っておるわけじゃありませんし、いまから言うわけでもありませんけれども、財政法上から見ましても、古古米古米というものが主食以外のものに出るというふうになったならば、これは食管法からはずれるものじゃないか。財政法上の原則に立って、やはり競争入札なりに付すべきものじゃないのか、こういう気持ちもいたします。しかし、財政法上のそういう問題だけをとらえて言っておりますと、かえって国民の米の消費に影響のある場合もありますから、私、一がいにそうすべきだということを言い切れませんけれども、よくそういう面は検討の上にも検討を重ねてお願いをいたしたいと思う。今後、会計上、この決算委員会で、やれ、やみ米がどうしただの、それがどうなっただのというような問題を私論議したくもありませんし、ここで論議することのないように、十分に御注意おきをいまからお願いしたいと思って申し上げたわけであります。
  89. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 ただいまいろいろ御指導をいただいたわけでありますが、農林省としても、そういうような御趣旨を十分に尊重いたしまして、いやしくも処分の米の横流れがあるとか、そういうふうなことの絶対にないように万全を期してやらしていきたい、かように存じております。
  90. 華山親義

    華山委員 食管法と財政法の問題についても十分に研究していただきたい。  これで終わります。
  91. 濱野清吾

    濱野委員長 鳥居君。
  92. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 農林省の所管になっております国庫補助で、多額な国庫補助の出ておりますかんがい排水事業についてお伺いしたいと思います。  もともと、これらの事業は、土地改良法に基づきまして農業生産基盤整備をはかり、農業生産性向上目的としたものであることは言うまでもないわけでありますけれども、現在、考えてみますと、この事業の無効投資がきわめて多いように思うわけであります。幾つかの具体的な典型的な例があるわけでありますが、大阪の光明池というかんがい事業地域があります。この事業昭和三十五年着手になりまして、四十年に完了したかん排事業の一つであります。場所につきましては堺、高石、和泉、泉大津の各市にまたがった平野部の地域に水を供給しようということでありまして、府営の事業で、正確に言いますと昭和三十四年の四月から始まりまして、四十一年の三月完了になっております。そうして水の供給を受けて、いわゆる受益面積は約千三百七十六町歩、この場所は、大阪の中心部に国鉄の阪和線で参りますと大体二、三十分という非常に便利のいいところでありまして、光明池から扇状形に伸びた平野部に水を供給しようという事業であります。  ところが、これを考えてみますと、事業が始まった昭和三十四年の四月以前に、すでにこの供給をしようとしておりました千三百七十六町歩の中のおよそ四百町歩に相当するものが、宅地あるいは工場に転用されていたということがわかったわけであります。そうしてその後も、昭和三十五年には残されたほとんどの地域がこの工場の指定を受けたり、あるいは住宅地域の指定を受けたり公園の指定を受けるというぐあいで、全く農業には適さないという状況になってまいりました。しかし、このかん排事業は延々と昭和四十一年の三月まで続いてまいりました。国庫補助は一億一千万円かけられております。この問題については、まことに無効投資といいますか不経済投資の著しい例だと思うわけでありますが、この光明池地域のかんがい事業について見解を伺いたいと思います。
  93. 中野和仁

    ○中野政府委員 大阪府営の光明池のかんがい排水事業につきましての概要は、ただいま鳥居先生お話しのような事態でございます。  ただ、ここでちょっとつけ加えさしていただきたいことは、なるほどお話しのように事業実施中に用途指定がかかってきておりますが、それはこの受益地がたくさんの市町村に関係しておりますけれども、用途指定がかかりましたのは、昭和三十年高石市、三十三年泉大津市、四十一年和泉市、これが一番受益者の多いところであります。四十二年に堺市というふうになってきております。その間、四十年度末までに千三百七十六ヘクタールの受益地のうちで正式に転用がありましたものは百二十一ヘクタール、その後も若干ふえておりまして、四十二年度末で百六十四ヘクタールでございますので、現在はおそらくもう少しふえておるかと思います。ただ、旧都市計画法によります用途指定は、もとの建築基準法によりまして、農林省関係と何ら調整しないで住宅地域なり商業地域なり工業地域なりの指定をするということになっているものですから、いま御指摘のように、片一方でかんがい排水事業をやる、片一方で用途指定をかけるというような事態があったわけです。  この点につきましては、その後御承知のように新都市計画法が一昨年施行になりまして、ただいま市街化区域、調整区域のいわゆる線引き作業をやっておりますけれども、この新しい法律になりました際に建設省と農林省と相談をいたしまして、こういう市街化区域に分ける場合の土地改良をどう持っていくかということもその後きめたわけであります。そして今後は、市街化区域におきましては、こういう長期の効果を発揮するような事業はやらないという原則にいたしております。過去にこういう例はありまして、はなはだ社会経済情勢、都市化の急激な進展ということもありますけれども、転用が進むごとにその事業自体が無効になってきておるということは、ただいま最初に御指摘があったようなことでございます。今後は、そういうようなことで無効投資がないようにひとつやっていきたいと考えております。
  94. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いま、今後は、ということで釈明がありましたけれども、これは非常に問題だと思うのです。  事例としてあげたほうがはっきりわかるので申し上げるわけですが、三重県の四日市の工場地帯をちょうどすっぽり包むような平野があります。これは朝明川のかん排事業でありまして、この事業は受益面積が四百六十九・二ヘクタール、いままでに転用になったものが三十二・一ヘクタール、今後住宅あるいは工場に転用になるという見込みの非常に濃いもの、つまり用途指定を受けた地域が四百三十七・一ヘクタールあるわけであります。そうしますと、これまでに転用になったもの、それからすでに色分けされて農地以外のものとして使われるもの、これを合わせますと、実に一〇〇%になるというような実情であります。ですから、この朝明川を例にとりますと、朝明川のかん排事業に要した費用が、これはやはりかんがいの事業でありますけれども、かんがいとしての働きが全然ないということになるわけでありまして、まことにひどいものだと思うわけです。さきにあげました光明池の場合にも、これは私どもの調べによりますと、かんがいの用水路が現在できつつあります工業団地の工場廃液のために使われ始められている、こういう実情もわかっております。この朝明川については一体見通しが立たなかったものかどうか、この点について伺いたいと思います。
  95. 中野和仁

    ○中野政府委員 この朝明川の事業は、ただいまお話しのように、四日市周辺の四百六十九ヘクタールにつきましてのかんがい排水事業でございます。昭和三十年に着工いたしまして、三十八年に完成をしておりますが、三十七年の一月に四日市市で用途指定をかけております。だから、いまお話しのありました大阪の場合と似たようなことになっておりますが、この地域の転用の実情は、いまお話しのありましたように四百九十六ヘクタールのうち十ヘクタール、その後四十二年が五ヘクタール、それから昨日まで調べてみましたら四十二ヘクタールということになっております。  ただ、そういうことになりまして、なるほど用途指定がかかって市街化をするということにはなっておりますけれども、現在の状況はどうかといいますと、先ほどの大阪の場合でもここの場合でも、たとえば大阪の場合では千ヘクタールくらい、ここの場合では約四百近く、そういうものは現に農家がかんがい排水としてその水路を使っているわけでございます。全部が、ある日一日にして市街化すれば全く無効ということになりますけれども、なるほど転用は相当程度進んでおりまして、その部分自体はむだということに、あるいはなりかねないかと思いますが、残った大部分の農家というものはその水路を使って現に農業を営んでおる一わけでございますからその点はひとつ実態も御了承いただきたいと思うわけでございます。
  96. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ところが、この朝明川を見てみますと、これはだれがどう考えても、この地域を長い間農地として存続することができないということは常識で判断できることでありまして、四日市市周辺のその農地が都市化の傾向が著しいこともありますけれども、工業地帯として伸びてきたところです。そうして、事業昭和三十年から三十八年までを目途にした事業でありますし、そこら辺に私どもの疑問が残るわけであります。明らかに無効投資と思われるわけなんですが、その点についてはどうなんですか、見通しは全く立ちませんか。
  97. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、それぞれの事業の着工当時はやはり農業でやっていこうということで始めたわけでございます。ただ、ただいま御指摘のありましたように、その後の急速な都市化、市街化、工場の増設その他がきましたので、途中でそういう問題になった、非常にわれわれも悩んだわけでございますけれども、一面では、先ほども数字で申し上げましたように、それじゃ全部が全部そこはつぶれてしまうということになりますと、相当部分はやはり現在でも農地として残っておるわけでございます。この点は、新都市計画法で今後十年以内に市街化をする予定のところを市街化するといたしましても、十年間の間にはかなり農業が残っていって、順次市街化していくということでございますので、まさに、着工しましたときに見通しかなかったかと言われれば、いまから振り返ってみればそうかもしれませんけれども、着工しました当時は、先ほども申し上げまして繰り返すようでございますが、農業でやっていこうということで、地元の三分の二以上の同意をとってやった仕事でございますので、その間、時代の推移とはいえ、われわれとしましても、最初に御答弁申し上げましたように、今後はそういうことのないようにいたしたいということでやってきておるわけでございます。
  98. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もう一例あげたいと思います。これは埼玉県鴻沼事業は二十八年から四十年まで行なわれました。そして、この地域は一帯が湿地帯であります。ちょうど大宮市、与野市、浦和市、この各市にまたがった地域でありまして、東北本線と荒川のちょうど中間にあたる湿地帯であります。この地域かんがい排水事業、ここは排水事業でありまして、しばしば水の出た地域でありますけれども、この地域で排水工事が始まりまして、そうしてその排水工事とともに地価が上がってきた実情があります。それまでは、宅地としてはもうとても使えないところでありましたけれども、この農林省の所管の事業が進みまして、そうしてそれが宅地として使われるようになったわけでございます。  これを考えてみましたときに、今日の都市化の傾向をたどることは、決して否定もできることでもありませんし、これについて云々するわけではありませんけれども、本来、補助金目的からいきますと、その効果の点がやはり重大な問題であると思うわけです。この埼玉県の鴻沼の地域につきましては、受益面積が九百七十三ヘクタールあります。これまでに宅地として転用されたものが二百四十四ヘクタールになっております。およそこの受益面積のうちの三分の一がすでに宅地化されたものでありまして、現在ここで作動しておりますポンプ、それから農業用の排水路、これを見ましたときに、あくまでも農業用としてつくられたものでありますから、現在のところはこれで事足りる状態でありますけれども、近い将来、これはポンプも入れかえなければならない、それからまた排水路もつくりかえなければならないというような二重投資の傾向さえ見れる実例であります。これはもちろん農業生産性向上目的とした国庫補助でありますから、そういう意味からいきましたら、その線に沿って当然その効果があがらなければならない。しかし、これも全くかん排事業が無効であったということの実例であります。  こう考えてまいりますと、全国にかなりあります。八十九カ所、この転用の傾向にあるところがあるわけでありますけれども、これを申し上げますと、このかん排事業昭和三十八年度以降に完了した事業、さらにまた継続している事業、これが全国に二百二十二カ所ありますけれども、面積にして四十三万一千三百八十八ヘクタール、総事業費のうちの三分の一に相当する額でありますが、五百五十二億六千六百二十五万円の国庫補助が出ております。そうして、このうちの八十九カ所までが、このかん排事業の本来の目的であります農業生産性向上とは全く違う、著しい例で言えば、工場の廃液のために使われている水路になってしまっているもの、こういう傾向をたどっているわけでありまして、面積で見てみますと、受益面積二十三万三千八百四十一ヘクタールのうち、すでに転用になったものが一万四千三百八十七・五ヘクタール、もうすでに用途指定になりまして、近い将来、農地以外のものに使われるというもの三万二千四百三十三・三ヘクタールにのぼっております。全くずさんなかん排事業だと考えるわけでありますが、この点についていかがでしょうか。
  99. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまのお話は、検査院からもわれわれ指摘を受けました。  先ほどからも繰り返して申し上げておりますように、社会経済情勢の変化とはいえ、われわれとしても先の見通しを持ち得なかった場合もあり得たかと思います。そこで、われわれといたしましては、先ほど申し上げました都市計画法との調整のほかに、会計検査院の御指摘がありましたあと——四十三年の十一月、国会に、ただいまお話しいたしましたことの御指摘があったわけでございます。その後、大蔵省からもそういう意見がございまして、われわれとしましては、昭和四十四年度から土地改良事業受益地が転用された場合の補助金の返還措置というものを講ずることにいたしました。これによりまして、ただいまのような場合に、転用されました場合には、圃場整備事業あるいはかんがい排水事業によって、取り扱いをいろいろな事情から若干変えている面もございますけれども、原則的には、転用部分に相当する補助金は返還をさせるということにして、今後はできるだけそういうことのないようなことにしたい、しかしこれは事後の措置でございまして、やはり初めての計画を、できるだけ将来まで見通した上で農業に役立つようなものとしてやっていく必要があろうというふうに考えておるわけです。
  100. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 通達を出したからそれでいいようなお考えに伺えるわけでありますけれども、それでは、ここで指摘されております八十九カ所についてはどういう措置をとるわけですか。もうすでに工場の廃液用の水路になっている、そういう実例もあがっておるわけです。どう考えますか。
  101. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘のありましたものにつきましては、これは過去にできましたものですから、私がただいま申し上げましたのは四十四年度新規採択のものからそういうふうにいたしましたので、それ以前のものについては、この補助金返還措置ということはとらないということにいたしておるわけでございます。
  102. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃちょっと納得できないと思うのですけれども、この八十九カ所を見た場合に、その後の使用状況というものはきわめてあいまいだと思うわけであります。農業用かんがい、あるいは排水としてできたものが、これが工業団地をつくる、あるいは住宅をつくるために人が集まってくる、そうしたものになっているとすれば、補助金の効果という点で考えてみたときに、まことにこれは遺憾なことだと思うわけです。  そうして、その通達でありますけれども、四十四年の五月に出た通達以後の実績について、それでは説明していただきたいと思います。どういう効果があがっておりますか。
  103. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十四年五月、四十四年度からこういう措置をしたわけでございます。まだ四十四年度は終わっておりませんので、具体的に補助金の返還というところまではいっていないわけでございます。ことしの事業の終わりました際と、それからその間の転用というものを見比べまして、これから順次、具体的に転用がありました場合には返還されてくる、こういうことでございます。
  104. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、全く農業用以外の、たとえば工場の廃液のために使われているような、そういう水路になってしまっている、そういう場合には、やはりこれはノーチェックというわけにはいかないだろうと思うわけであります。農林省として、これを総点検する考えはありませんか。そして、その通達は四十四年以降に生きることになっておりますけれども、現在問題になっております八十九カ所について、その使われ方を点検する意思はないかどうか。
  105. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘のありました八十九カ所についてはもうすでに工事が完了しておりますので、われわれとしましては、この件を通じましてどういうところがどうなっているかを調べることは、調べる必要があればやりますけれども、そのこと自体によりまして、それではその工事を途中で中止するということにもまいりませんので、もうできておるものでございますから。  そこで、もう少し実態に触れますと、そういうような場合には、おそらく工事を完了しました場合には、地元のほうで負担金を出しておりますその負担金が、それではどうなるかという問題にまでなってまいるわけであります。土地改良法上は、転用しました場合には決済金という形で、農家がそこから地区除外をして出て行くわけでございますから、その部分の方は、土地改良のほうで  一時的に決済の形でそれを集めまして、その負担金の処理の問題は、その面では法律上はできるようにはなっているわけでございます。ただ実態が、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、急激な都市化の進展でございますので、やはり、いわゆる農業上無効になりました施設も、場合によりましては都市側の下水あるいは工場排水に使えるということになりますと、現地にあります土地改良区がその施設を市町村に移管をするというような善後措置等も講じなければならないというのは、これは当然のことだと考えております。
  106. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 通達によりますと、八年経過しますと転用してもいいような、用途指定期間が切れることになっておりますけれども、そうして転用が自由になる。こんなことでは、いままでとやはり同じようなことにならないか。八年で切れてしまうならば、農地として使うために水を引く、そうして水を引いておいて、八年たったらすぐ宅地に切りかえる、地価は高騰する、こういう現象が起こらないか、その点について心配なのですが、いかがですか。
  107. 中野和仁

    ○中野政府委員 ここで八年ときめましたのは、現在の土地改良法に基づきまして、干拓地につきまして、農家に売り渡す場合でも、八年以内にもし転用すれば、事業費相当額は国に返せということになっておりまして、それは、一ぺん国から補助金があったものは、その農地は永久に農地として使わなければならないという義務を課しますことは、やはり社会経済情勢の全体の変化から申しまして、それは無理であろうかと思いますので、そこで、いろいろ過去の問題の例等から見まして、一応八年ときめました。そして、そのあと——農業用として使われますれば望ましいわけでありますけれども、やはり都市周辺その他につきましては、当然その後の情勢変化ということも考えなければならないのではないかと考えております。
  108. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大体わかりました。私も、こうしたかん排事業に国庫補助がきわめて大きなものが出ているわけでありますから、年次計画をもってやっておりますことでもあるし、途中のチェックがなければならないだろうと思うのですが、施工になりますと、完了までそのまま続いてしまう。途中で都市化がどんどん進んでいる場合もありますし、あるいは、用途指定になっているそういう場合もあるわけでありますから、年々のチェックがなければならないと思うわけですが、農林省の場合は、施工しますと、そのままあとを追っていないと思うわけですけれども、その点についてはいかがですか。
  109. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいま御指摘のありました三カ所につきましては、当初の計画どおりやりましたわけでございますけれども、地区によりましては計画変更をいたしまして、工場になるというようなところは地区除外をしてやるというような手続も法律的にもございますし、できるだけそういう方向でわれわれも従来やってきております。今後もそういうことで、十分都市側の要請といいましょうか、そういう都市の進展との調整はやりながら、土地改良事業をやるべきではないかというふうに考えております。
  110. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 検査院にお願いしたいと思うのですが、なおこの問題については、引き続きチェックをして、是正のできるようにしていただきたいと思うわけです。いかがですか。
  111. 増山辰夫

    増山会計検査院説明員 いまお話しの、また御審議かんがい排水事業は、多額の金を使いまして、しかも日時が相当の長期にわたっておりまして、いろいろ事情の変化によりまして補助目的が達せられていない、目的に沿わないという結果になっておることを、国の金の使い方の上で私のほうもたいへん重要な問題であると考えまして、検査報告注意事項として当局の注意を促しております。やはり非常に多額な金の使用になりますので注意を促しておりますし、今後十分気をつけてやっていただくように注視していきたいと思っております。
  112. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 鳥居委員の御指摘はまことにごもっともだと思います。しかしながら、先ほど局長からるる御説明いたしましたように、ただいま御指摘がございました三件等は、いずれも非常な米不足、昭和三十年ごろのことでございますから、非常に輸入もしなければならぬ、増産増産というふうなことで、かけ声をかけてやらせた時代の問題であると考えます。ところが、世の中が非常に変わってまいりまして、米をやるからお金も出せというのではなくて、米をやめた人にお金を出す、出すから何とかやめてくれないかというほど、世の中がここ二、三年非常に変わってしまったというようなことで、こういうふうなケースは私はこれに限らずもっと多かろう、こう思うのであります。しかしながら、政府補助金をやってそれが目的どおりに使われない、補助金をもらいっぱなしで、自分のたんぼが何倍もの値段で宅地に売れるのだということは、だれが考えてもこれは解せない点であります。したがって先ほど言ったように、八年以内にそういう転換をした場合は補助金は全部返せというふうに、今回からは取り扱いを変えていくということにしたわけであります。  この八年の問題につきましても、八年では短いから何年何年にしろというようなことでは、またいろいろ議論が出てまいりますし、いろいろなかん排、干拓等の事例を考えて、まあまあ完了は八年程度ならばいいじゃないかというところに達したわけでありますから、どうぞ御了承を賜わりたいと存じます。
  113. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、次の問題に移ります。  国有林野の貸し付け制度についてお伺いしたいと思います。  昭和四十一年共和製糖事件その他の国有地、国有林をめぐる不祥事が相次いで起こりました。まあ共和製糖事件は、御承知のとおり国有林の交換渡しに疑惑があった事件であります。国有林の貸し付け制度がしっかりとしていたならば、事前にこうした事件は防げたのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、国有林野の貸し付け、これは現在どういうふうになっているか、説明を願いたいと思います。     〔委員長退席、吉田(賢)委員長代理着席
  114. 福田省一

    ○福田説明員 お答えいたします。  国有林については、貸し付けそれから使用、二つございまして、国有林野法によりましてこれが貸し付けられる場合はいろいろございますが、農業用の用地に使う場合、あるいは樹木の植栽地として使う場合、あるいは工業用地としてこれを貸し付ける場合、あるいは電気事業者に貸し付ける場合、温泉の用地あるいは道路敷、学校用地、建物敷、採草牧地というような種類になっております。  三十八年度におきましては、件数において約四万六千件、面積において四万六千ヘクタール、大体このような数字でございまして、四十三年度の実績は件数にして四万八千件、面積にたいしまして四万二千八百三十ヘクタール、こういう現状になっております。
  115. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昭和四十二年の四月十八日に「国有林野の管理処分の事務運営について」という通達が出ております。どんな内容で、通達のねらいはどこにあるのか、説明願いたいと思います。
  116. 福田省一

    ○福田説明員 国有林野の管理処分にあたりましては、趣旨としましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな種類がございますけれども、公用あるいは公共用あるいは公益事業用、それから地元の産業振興、それから住民の福祉の向上ということを特に考慮を払って行なってきたところでございます。しかし、社会経済情勢の変化に即応しまして、管理処分の一そうの適正化をはかる、こういう趣旨から、四十二年の四月に必要な改善措置をきめまして、非常にこまかな通達を長官から各営林局あてに出しておるところでございます。
  117. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 その通達の中で、貸し付けの規模が規定されているわけでありますが、それを見てみますと、住宅用地及び商業用地については、建て面積の五倍以内の必要最小限度にとどめて貸し付けをするんだ、こういう規定があります。建て面積の五倍以内の設定基準、この五倍以内とした点はどこら辺にありますか。
  118. 福田省一

    ○福田説明員 昭和四十二年四月の通達によりまして、住宅それから商業用地——住宅、宿泊地等でございますが、そういう住宅及び商業用地についての貸し付け規模の面積は、原則としまして建て面積の五倍以内の最小限度ということにとどめることにしたのでございます。これは、国有林野の場所は、御案内のように相当山岳地帯でございます。そういうことから地形が非常に急峻である、それに近いような特殊な場所が多い、したがいまして、のり面もあわせて考えなければならぬということもございますし、それから東北、北陸、北海道等におきましては豪雪地帯でございまして、その雪の捨て場等も考えなければならぬというふうな、こまかいことでございますが、そういうふうなことも配慮しまして、最小限度ではございますけれども、貸し付けの実態から見まして最高五倍くらいが適当であろうというふうに判断しまして、個々の貸し付けの案件につきましては、さらに慎重に審査して必要最小限度にする、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  119. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 通達の以前、以後において、その貸し付け契約、これを行なったものの中で、建て面積五倍以上の貸し付けを行なったものがありますか。
  120. 福田省一

    ○福田説明員 昭和四十二年の四月の通達によって面積基準を明らかにしたのでございますが、それ以前の貸し付けにかかるものにつきましては、現在の基準を上回るものもございます。これを直ちに基準に適合するように改めますことは、双務契約という問題もございまして、急にはむずかしいのでございますが、相手方が延長したとかいうふうな際に、できるだけ現在の基準に近づけるようにしてまいりたい、そういう方針でやっております。
  121. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一例をあげます。長野県の大町市大字平というところがありますが、ここで、これは例の黒四ダムの建設のために国有林を国策上貸し付けたわけでありますけれども、借り受けたのは関西電力であります。そして黒四ダム建設工事が行なわれましたけれども、工事の終了後、この傍系の会社であります株式会社、ホテル・くろよん、これがクロヨン・ロッジという名前で現在引き続いて借り受けている土地があります。これはその工事中、関係者の宿泊に供したりあるいは駐車場にした、そういう場所でありますけれども、その後現在はクロヨン・ロッジという名前で、それが宿泊施設になって使われているわけでありますが、この貸し付けの内容を見てみますと、建物それから土地、この割合は三十倍に及ぼうとするものがあるわけであります。     〔吉田(賢)委員長代理退席委員長着席〕 通達の規模から見ますと、この制限のワクをはるかに上回る規模のものになっておりますけれども、通達以前のものについては今後そうした規制をする考えがないかどうか、伺いたいと思います。いかがですか。
  122. 福田省一

    ○福田説明員 ただいま御指摘のございました長野県の大町の建物敷の貸し付けでございますが、全部で一・八六ヘクタール、中身は、建物敷がロッジ敷としまして〇・八ヘクタール、駐車場敷が〇・九ヘクタール、給水施設が約〇・一ヘクタール、合わせまして約一・八六ヘクタール、こういう実態でございまして、御指摘のように五倍をこえまして、五・五倍というふうな数字になるわけでございます。  そこで、これにつきましては、先ほども申し上げましたように双務契約でもございますので、基準に合わせるように、今後この件については相手方と話し合いを続けてまいりたい、かように存じております。
  123. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 備考欄にありますけれども、この貸し付けを受けている全体の面積が二十九ヘクタールに及んでいるわけです。ですから私は、この基準の五倍ときめた通達が通達以後に及ぶ、これはもちろん常識で考えてそのとおりでありますが、通達以前のものに関して、今後やはりそれに沿った線でいく考えがあるかないか、どうですか。
  124. 福田省一

    ○福田説明員 通達を出しましたのは四十二年、先ほどお答えしましたとおりであります。十分検討しまして、これが最も現在の社会情勢に合っている実態であるというふうにきめたのでございます。したがいまして、それに合わない場所につきましては、今後十分に検討して改正をしてまいりたいと思います。ただ、お互いの双務契約でございますので、一方的にはまいりません。十分努力してまいりたいと思います。
  125. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この問題につきましては、国有林野事業特別会計所属の国有林でありまして、行政財産です。この行政財産の処分等につきましては、国有財産法の十八条に使用許可の規定が明記されております。十八条の第一項によりますと、「行政財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができない。」と明記されております。またその二項で、「前項の規定に違反する行為は、無効とする。」こういう規定になっております。現在貸し付け契約があるわけでありますけれども、実情を見てみますと、一年ごと、三年ごとという使用許可になっているわけですけれども、これは便法上そうやっているものかどうか。
  126. 福田省一

    ○福田説明員 建物の貸し付けの使用期間のことでございますが、これにつきましては、三年または一年の短期にしておるのでございます。これは、貸し付けの使用の期間につきましては、現在の状況、あるいはまた料金の改定の必要等もございます。したがいまして、あまりに長期にわたることは、その間の経済事情の変動によりまして妥当を欠くということもございますので、あまり好ましくないということから、実際の運用にあたりましては、貸し付けの使用料それから土地利用の適正化のために、特殊な、たとえば送電線の用に供するような場合のほかは、原則といたしまして貸し付けは三年、使用許可の場合には一年というふうにいたしまして、できるだけ更新をしていくようにしておるのでございます。
  127. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 契約は一年あるいは三年ということになっているわけですけれども、それでは、契約が切れた場合に、再契約しない場合に、建物を見てみますと、耐用年数からいけば五十年あるいは七十年という鉄筋みたいな場合もありますし、木造の場合もありますし、取りこわしをして直ちに契約をやめる、そういうことはちょっと考えられない、実情に合わないことになるわけですけれども、そい点についてはどうなんですか。もし契約が切れた場合、更新しない場合には立ちのきをあえてやるのかどうか、実情に合わない話だと思うのですが、いかがですか。
  128. 福田省一

    ○福田説明員 支障がない限り、これは継続して、更新してまいるということにいたしております。ただ、コンクリートの建物等があって、これは将来にわたって永久にほとんどこちらに返る見込みがないんじゃないかというふうな問題も想定されます。そこで、国有林の経営のためにこれは存続する必要はないというふうなものにつきましては、普通財産といたしまして、売り払いなりあるいは売り渡しなり、そういうふうなことをすることになっておるわけでございます。
  129. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 売り払い、貸し付け、交換で、実際には署長権限で処分できる面積、金額、そういうのがあるわけですが、その点についてはどうなっておりますか。また、営林局長の権限というのがありますけれども、この権限について説明願いたいと思います。とかく情実がからみ、あるいはそうした署長、局長権限で貸し付けが行なわれて私権が設定される、こういう場合が非常に多いと考えられるわけでありますけれども、この点についていかがですか。
  130. 福田省一

    ○福田説明員 原則といたしまして、国有林の貸し付けあるいは使用につきましては、御承知のように、国有林は全国に散在しておりまして、営林署の数も三百五十ございます。したがいまして、その成立過程などから見まして、貸し付けの事例はきわめて数多くございます。そこで、現地の実情に精通しておるところの営林署長に貸し付けの事務を行なわせることは、最も実態に即したことであるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、事務処理にあたりましては、慎重を期するために、貸し付けの面積が一町歩以上のもの、それからその他特殊な部類に属するものは営林局長の承認を得て営林署長は契約する、あるいは使用を許可する、こういうふうになっておるわけでございます。なお、その使い道が公用それから公共用あるいは公益事業の用、地元住民の方々の農林漁業等の用以外のもの、そういう特殊なものについては林野庁長官の承認を得てやるというふうにしてチェックをしておるわけでございます。
  131. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。昭和四十二年の通達以前には、貸し付けでありますけれども、面積が約五町歩までは、目的、相手を選ばずにかなり広い裁量でこれが貸し付けられていた、そういうこともあります。ですから、とかくそうした情実のからむ分野でもありますし、貸し付け、あるいは売り払いについては適正を期していただきたいと思うのです。要望しておきます。  次に、昭和四十二年度決算でありますが、国有林野事業特別会計の収納未済が約五十三億九千七百万円あります。それから自作農創設特別会計、ここで約四億三千四百万円あります。さらに開拓者資金融通特別会計、ここで約六十八億一千五百万円の収納未済があります。これらは非常に多額な収納未済でありますけれども、この理由について説明していただきたいと思うのです。さらに、債権の保全措置はどうなっているか、説明願いたいと思います。
  132. 福田省一

    ○福田説明員 それでは国有林野特別会計のほうからお答え申し上げます。  四十二年度の収納未済は御指摘のように五十三億九千八百万円でございます。これはその年度の末期に至りまして契約したために納期が翌年度にまたがったというものが大部分でございます。その中身は、立木あるいは素材のそういう林産物の売り払いの分でございまして、翌年度に越しましても四月中には納まっておるものが大部分でございます。
  133. 中野和仁

    ○中野政府委員 自作農特別会計のほうの収納未済の原因でございますが、御指摘のように四億三千四百六十二万円収納未済がございます。このうち半分近い二億円は四十年度以前に発生したものでございます。大部分は農地改革以来、未墾地を開拓農家に売り渡しましたそれの代金でございます。しかし、御承知のように終戦後入植しました開拓農家は立地条件も悪いし、営農条件が非常によろしくない、それからまた、数次の災害等もございまして、かなり負債を持っております。そのために農家の資金繰りが非常に困難でございまして、約二億円ほど収納未済になっております。  それから残りの一億六千九百万円、これは四〇%ぐらいでございますが、当年度、四十二年度に発生した収納未済でございます。この分は、政府からの農地あるいは未墾地の売り渡しが三月一日にありまして、そうして納入書を出しましたけれども年度内には入ってこなかった分でございます。この分は翌年度相当程度収納されております。そういう状況になっております。  それから開拓者資金特別会計のほうの未収金は六十八億円でございますが、これは先ほどちょっと未墾地の未収納が多いということを申し上げましたのと同じようなことになるわけでございますが、戦後の緊急開拓から現在まで開拓政策を進めてきておりますが、特に最近五カ年間不振開拓農家に対しまして新振興対策というのを実施してきました。それによりまして、かなり営農が伸展したわけでございますけれども、それ以前の貸し付け金と申しますのは、緊急開拓に特に貸しましたもの、その後のものに対しましても、農家のほうは、先ほど申し上げましたような開拓地の条件、営農の伸びない点、それからなお、伸びてまいりましても系統的金融その他の借り入れ金の返済に追われているというようなことがございまして、こういうふうに残っておるわけでございます。  これにつきましては、御質問の第二点で、債権保全の手続等をどうしているかということでございますが、自作農の特別会計につきましては、個々の農家のところまで県の職員が出向きまして徴収をするとか、あるいは一カ所にまとめてそこでいろいろ話をして徴収をするとかというふうな努力を続けておるわけでございますが、今回もまた債務者の納付能力の実態調査をやりまして、気の毒な方々には分割して納付させるとか、いろいろな手を打って、できるだけ収納させたいと考えております。  それから開拓者資金のほうにつきましては、御承知のように、昨年開拓者資金につきまして負債整理をいたします特別措置法をつくったわけであります。これによりまして、約五百億円にのぼります政府貸し付け金を、開拓農家の実情によりまして、このまま納められるもの、それからいまの開拓融資の条件では納められないものにつきましては、償還期間の延長あるいは金利の引き下げ等をやります。それから、中には全然返せない者もおりますので、これは徴収停止をかけるということで、負債整理を二年間かかってやることにいたしております。これをやりますと非常にはっきりしてまいりますので、われわれといたしましては、この負債整理の過程におきまして十分徴収の実をあげたいというふうに考えておるわけでございます。
  134. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 四十三年度末で、農林省所管特別会計で食管の赤字はすでに周知のとおりでありますけれども、森林保険の損失が一億六千三百万円、それから漁業共済保険が二千九百万円、自作農創設特別措置特別会計、こちらで七千六百万の収納未済が出ています。この損失の原因はどんなことですか。
  135. 福田省一

    ○福田説明員 森林保険の四十二年度の赤字についてお答え申し上げます。  四十二年度には約二億九千万円の赤字が生じましたことは御指摘のとおりでございます。この原因は、一つは凍霜害、気象災害でございます。それからもう一つは干ばつの乾燥害、この二つが四十二年度に異常な発生をしたことが原因でございます。つまり、この年は冬の降雪量が非常に少なかったのでございますが、そのために北海道と東北地帯一帯に例年になく凍霜害が出たのでございます。また、この年の夏には西日本一帯に異常な干ばつが続きまして、特に被害の激しかった愛媛県下におきましては、七月十三日の梅雨明け以来雨らしい雨が全然なかったのでございます。この八月の降水量は五・一ミリという昭和九年の二・二ミリに次ぐ記録的なものでありまして、造林地に激甚な被害をもたらしたのでございます。このような異常な災害が発生したために、四十二年度の収支保険金額は五億五千二百万円となったのでございます。これは、過去三カ年平均の支払い二億八千六百万円の約二倍になる、こういう状態になったものでございます。
  136. 平松甲子雄

    ○平松説明員 漁船再保険及漁業共済保険特別会計漁業共済保険勘定の赤字について答弁いたします。  四十三年度には、冬期に異常高温がありましたのと干ばつがございまして、ノリの被害が著しく、非常な凶作になったわけでございますが、そのためにノリの保険金支払い必要額が九億二千六百四十九万円というふうになったわけでございます。この中で、四十三年度中に支払い金額の支払い必要額が確定いたしたものが三億二千六百九十三万円にのぼったものでございますから、当該年度予算予備費から二部使いまして、その三億二千六百九十三万円を支払ったわけでございます。御承知のとおり、保険につきましては、当該年度契約いたしましたものについて翌年度に繰り越します未経過保険料というのがございますが、未経過保険料を一部食ったというような形になりますので、決算上二千九百五十万円の赤字ということになっておるわけでございます。
  137. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十三年度の自作農特別会計の赤字の原因でございますが、この特別会計は、農地を売り渡しました場合に、この売り渡し代金がその農地を買いました代金をこえた場合は、これは法律にございまして、一つの算定方式によりまして、超過額を一般会計に繰り入れるということになっております。  そこで、四十年度からそういうことをやっておりますが、四十年度には十一億円、四十一年度には十二億円、それから四十二年度は十四億円、四十三年度は十七億円を一般会計繰り入れをやりまして、この一般会計に繰り入れをやりましたために、それぞれの年度に、単年度としては赤字になる場合がございます。たまたま四十三年度は七千五百万円の損失ということになっておりますけれども、この特別会計は繰り越し利益相当ございます。四十三年度では四十七億円ございます。そこで、この決算書にもございますように、七千五百万円は四十七億円からそれを引きまして、四十六億五千万円を次年度に繰り越すということになっておりまして、業務上は黒字になっております。会計上の操作で七千五百万円の赤字が出ておるということでございます。
  138. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。  引き続き、四十三年度決算で取り上げて検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  私の質問は、以上で終わります。
  139. 濱野清吾

    濱野委員長 吉田賢一君。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、第一点は酪農問題を中心に伺いたいのであります。  ただいまの日本の経済の成長が、申すまでもなく、自由主義国第二位になりました。また、国民の所得におきましても、一人当たりの水準はだんだんと上がってまいりました。これは、企画庁の四十四年度版の経済白書について見ましても、わが国民の資質と活力をもっていたしますれば、一人当たりの国民所得の水準は一流先進国水準に達すること、時間の問題なりと言っております。一般の経済の専門家、財政家の見通し等によって見ましても、昭和五十五年、いまから十年後の一九八〇年にはGNPがアメリカに接近すること、かつ、国民一人の所得水準がヨーロッパ並みに達すること、この二点は異論がなさそうであります。さすれば、日本人の生活水準というものは、その時点におきましては相当高くなっておることを想定いたします。とりわけ、そのうちの食生活の環境というものは高度の発達を遂げるのではないだろうか、こう推定されるのであります。御承知のとおりに、特に最近の日本人の食生活は、過去の穀物主食の時代から次第に動物性の脂肪、たん白を多量にとるという傾向に変わってまいりましたこと、これも顕著な事実であります。  こう見てまいりますれば、酪農によって生産されております飲用乳、この牛乳の消費量というものはいまの数倍に達するのではないだろうか、農林省の最近の発表によりますと——「農産物の需要と生産の長期見通し」、これによりますと、五十二年に飲用乳が四十一年に比較して大体二・一ないし二・四倍、こういう推定をいたしております。乳製品につきましては、同様一・八もしくは二・〇倍、こういうようにいっておるのでありますが、五十五年には最低は三倍というのが大体常識らしいのでございます。三倍の牛乳を必要とするというように日本人の食生活が高度化いたしましたときの酪農対策はどうしたらいいのか、これが私の尋ねたい点であります。  これにつきましては、私どもといたしましては、過去における酪農政策並びに行政の実績、これに投じました財政投資の効率、効果というようなものも検討いたしまして、そしてこの客観的な需要の増大というものとにらみ合わせまして、どうすることによって国民の非常に重要な健康保持のために必要な需要を満たすことが可能であろうか、ここへいきたいのであります。  でございますので、まず局長に伺っておきたいのは、あなたは専門家でありますから、酪農の過去、現在を顧みましたときに、今後の酪農政策として一番重要な柱は何と規定したらいいんであろうか、これは基本的な姿勢としてちゃんと聞いておかねばならぬと思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
  141. 太田康二

    ○太田政府委員 御承知のとおり、国民の所得水準の向上に伴いまして、牛乳、乳製品に対する需要が相当ふえるであろうということは、先進国の例を見ても予測されるところでありますので、われわれといたしましても酪農振興のためにいろいろ力をいたしておるものでございます。そういった政策効果もございまして、酪農におきましても確実に経営の構造改善が進んでおりまして、すでに成畜五頭以上の規模が六二%にも達するということで、着々多頭化が進行いたしておるのでございます。  われわれといたしましては、この傾向を今後も伸ばしてまいらなければならないというふうに考えておるわけでございますが、まず第一に心がけるべき問題は、現在の酪農の経営構造で最も弱いと目される点は、飼料基盤が十分整備されていないということでございます。このために、御承知のとおり土地改良長期計画に基づきまして草地の造成事業実施いたしておりますし、一方、既耕地におきますところの飼料作物の作付けの拡大の事業も取り上げておりまして、これらによりまして、われわれはできる限り飼料基盤をまず整備するということが経営の安定のために必要であろうというふうに考えております。  第二は、現在これは短期的な問題と考えておるわけでございますが、若干需給に不均衡がございます。御承知のとおり、昭和四十一年以来不足払いの法律を制定して実施してまいったのでありますが、四十一、四十二年は、どちらかと申しますと、需要が堅調と申しますか、むしろ生産が非常に鈍化したというようなこともございまして、四十三年、四十四年は生産が非常に伸びまして、これに比べますと需要が鈍化したというようなことで、実は四十三年におきましても四十四年におきましても、畜産振興事業団が乳製品の買い上げを行なったというような事態を迎えておるのでありまして、やはり積極的に消費の拡大というものを、ここ当面はとってまいらなければならないだろうというふうに認識をいたしております。  それから、やはり基本的には、酪農がどこまでも農業の基幹的部門とわれわれは認識いたしておりますので、今日自由化に対しまして実は非常に強い保護を与えておるのでございまして、主要な乳製品につきましては畜産振興事業団の一元金融というような体制をとっておるわけでございます。それにいたしましても、できる限り早く体質改善をいたしまして、十分国際競争に耐え得る酪農を育成するということを基本の方向として今後施策を進めてまいらなければならないだろうというふうに考えております。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 十年後に日本の人口は大体一億一千万、それ以上とも計算する人がありますが、そのくらいになる。そこで、日本人が一日に要する摂取量、これはカロリーとしてどのくらいになるのであろうかという点、並びに、内容的にでん粉質の食品、それから果物とか蔬菜類の食物等、第三には動物性の食品、この三つに分類いたしますと、大体どういう割合に政府では推定しておるのであろうか。これらを全部総合いたしませねば数字的な決着は出ませんから、たとえば一億一千万の国民が一日に何ほどの食糧を必要とするか、それに対して供給はどうあるべきか、こういうような数字をだんだん積み上げていきませんと、少なくとも食糧等に対するこの種の基礎が固まってまいりません。ただいまの問題につきまして、どういうふうにお考えになっているのであろうか、これは積算の基礎ですから……。
  143. 内藤隆

    ○内藤説明員 いま先生のお示しのような計算自体はやっておらないのでございますが、先ほど先生がちょっと御指摘になりました「農産物の需要と生産の長期見通し」を試算いたしましたときの計数で申し上げますと、基準にいたしました四十一年のカロリーが二千四百三十七カロリーでございまして、でん粉質と、たん白質の比率でございますが、でん粉質の比率が六一%になっております。それから、たん白質のうちの動物質の比率が三六%強になっておりまして、これが五十二年の将来には、その幅が若干ございますが、でん粉質比率は五〇%程度に低下する、それからたん白質中におきます動物質比率というのは現在の三六%が五〇%程度には高まるのじゃないか、そして、いま先生の御指摘になりましたように、先進国等の状況から見まして、将来ともこの傾向は持続する、一応そういうように考えております。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 動物性の食料のうち魚類と畜産の比率はどういうことになるのであろうか。それから、現在が二千四百カロリーといたしまして、現在のヨーロッパにおける摂取カロリーはどのくらいと見ておられるのでしょうか。二千七、八百ないし三千といっておるのではないだろうか、そういう計算を出している人もあるのですが、政府はどういうふうにつかんでおられますか。
  145. 内藤隆

    ○内藤説明員 いまの前段のお話でございますが、四十一年度基準におきまして、総たん白質のうち動物質たん白が三六と申し上げましたが、そのうち魚類が約四割五分程度を占めておるわけでございます。植物質が当然でございますが四七%程度、これが五十二年に参りますと、総たん白質のうち動物質たん白が約五割と申し上げましたが、その四割程度が魚類である、こういうふうに一応見ております。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ヨーロッパにおける摂取カロリーはどうですか。
  147. 内藤隆

    ○内藤説明員 ちょっといま手持ちしておりませんので、後ほど申し上げます。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、ついでですから確かめておきますが、やはり今後の水産振興の政策の樹立の面において、または畜産の振興の面におきまして、ただいまの四十一年度等、もしくは五十二年度等における大体の摂取の比率、これは非常に重要なことになるのであります。  それならば、水産庁で今後四七、八%を魚類のたん白給源として提供し得る、こういうような数字を握っておられるのでありましょうかどうか。水産を主とすべきや、あるいは畜産を主とすべきや、これは日本の食糧政策の基本にかかわる重大な問題でありますので、政府は総合的にこの点は統一見解を一致しなければ、いわゆる実際の政策立案の数字が生まれてこないと思うのです。この点、水産庁長官、どうなっておりますか。
  149. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 ただいま官房の企画室長から話がありましたように、四十一年の基準で、動物たん白のうちで水産物の占める割合が六割弱でございましたが、その後の勢いといたしまして、水産物の摂取もふえますし、畜産物の摂取もふえるという過程で、割合といたしましては水産物のシェアが少しずつ減っております。  ごく最近の数字で申し上げますと、四十三年で水産物、これは鯨を除いてでございますが、五五%、五十二年は四割強というふうに私ども推算をいたしておりますけれども、最近の魚といいますか、水産物のとれ方を申し上げますと、一番新しい数字で、昭和四十三年が八百六十七万トン、これは四十二年に比べて約七十万トン増、さらにその前年も七十万トン程度ふえておりまして、この二年ほどの間に約百四、五十万トン水産物がふえたわけですが、今後はとてもどの二カ年毎年一割ずつふえるというふえ方はいたさないと思いますけれども、昭和五十二年、約十年近くの間を展望いたしまして、この農産物の長期見通しにありますように、絶対額としてふえながら、動物たん白の中で占めるシェアが多少減っても、それでも四割強を水産物が占めるということは、私は可能であろうというふうに考えておるわけであります。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それじゃ、なお水産庁の長官にその点伺っておきます。水産庁としましては、食料の貴重な部分もしくは国民の栄養に必要なもの、そういうものを供給するということが主眼となって、漁業振興、漁獲の増大をねらっていくのか、それとも、比重はさにあらずして、漁業者の漁業の安定という面に比重を置いておるのか、ウエートはどちらが大事であるか、どういうふうにわれわれは理解すればいいのでしょうか。
  151. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども水産行政をやる心がまえといたしましては、当然漁業の社会的な使命として、国民に豊富低廉な、しかもすぐれた水産物を供給するということを一つの大きなかなめといたしておりますけれども、同時に、魚をとる、あるいは海草をとるのも人でございますから、漁業経営の確立、あるいは漁業に従事する人たちの福祉の向上、そのこともあわせて、二つの大きな目的として行政をやっておるつもりでございます。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それならば、両者両全を期する。豊富低廉な魚類のたん白供給もしたいし、同時にまた、漁業者の生活の福祉、漁業自体の安全と発展をも求める、こういうふうに両全を期する、そういう基本的姿勢と理解したらいいのですね。
  153. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 そのとおりでございます。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、一転いたしまして畜産局の側でありまするが、酪農によって生産される牛乳、ことに飲用の乳というものは、食料といたしましては、成分において非常に均斉のとれた、そしてまた、日本人が次第に嗜好度が高まってきて、将来は非常に大きく増大するような可能性があるようにどうも考えられる、こういうふうに考えるのですが、そういう認識のもとに牛乳の生産は特に力を入れていくということが、食糧政策、酪農振興、これまたこの両方の面から考えましても適当な考え方、つかみ方でないかと思うのですが、これはいかがですか。
  155. 太田康二

    ○太田政府委員 私たちが一昨年の十一月に公表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましても、先ほど先生も申されたわけでございますが、牛乳製品の需要は、現在の需要に対しまして大体一・八ないし二・〇倍くらい伸びるであろうという前提に立ちましていろいろな施策を進めておるわけでありますが、御承知のとおり、現在私のほうの関係予算は大体四百三十三億あるわけでありますが、そのうち三百何十億がほとんど酪農関係の対策でございます。  その対策の内訳をかいつまんで申し上げますと、生産対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、飼料基盤整備事業として草地開発事業、既耕地における飼料作物の増産事業あるいは大型の機械の助成等をいたしております。  それからさらに、酪農経営の近代化をはかるために、家畜の導入事業に対する助成、あるいは大規模な牧場の創設事業、あるいは国の種畜牧場におきまして優良な雌子牛を育成しましてこれを農家に配付する事業、こういった事業実施しておるわけでございます。  それから技術の向上対策といたしましては、経営技術の改善普及をはかるために、経営技術の改善向上のモデルとなるような指導施設を全国主要な個所に設置いたしまして、これによって技術の向上をはかるということのほかに、今回は大規模な草地を利用した省力多頭飼育を実施するための技術の普及展示、あるいは研修を行なうための施設を、私どものほうの十勝の種畜牧場に設置するというようなこともいたしております。  それから価格安定と流通合理化対策といたしまして、御承知のとおり畜産振興事業団によりますところの加工原料乳に対する不足払いの補給金の制度がありますし、さらに、政策的な需要を喚起するというようなことで、これも計画的に年次計画に従って実施いたしておるわけでございますが、学校給食に対する生乳の供給事業をいたしております。これらのこと、さらには指定生乳生産者団体が設置いたしますところのクーラーステーションに対する助成というようなこと、あるいは、将来の需要に備えまして、比較的市乳化のおくれております加工原料乳地帯から生乳大消費地に輸送する実験事業も四十五年度予算には組んでおりまして、その総額といたしまして約三百三十億円程度の予算が酪農関係予算として計上されておるわけでございます。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 牛乳の需給が次第に重要性を加えておるという今後の趨勢につきまして、かつまた、そういう観点も含めまして、政府は施策を講じつつあると了解をするのであります。さりながら、一般の国民の立場に立って考えてみたいのでありますが、いまの国民の立場から考えまして、はたして牛乳は豊富低廉に供給されているという認識があるだろうかどうだろうか。関西地区における最近の事例によって見ましても、八円ないし十円くらいが農家の所得らしいのです。ところが、同じ量でわずかに砂糖一個つけて四十円ということでございますが、普通は配達して二十円から二十一、二円ということです。東京都内の実例を聞いてみますと、大体そういうところであります。  こういうことになってまいりますと、いませっかく膨大な予算を組んで酪農振興をはかろうといたしましても、なぜ一体農家が需要者に低廉豊富に供給し得ないのだろうか、ネックはどこにあるのか、ネックなしという認識であるかどうか、当然それだけのものを飲むのがあたりまえだと理解をしておるのか、何とかもっと安くする方法がないだろうか。少なくとも生産者と消費者の間に倍以上の差がある。加工を加えられるのは殺菌する以外に何もない。それ以外には運搬、配達、貯蔵その他施設の費用でしょう。これが事実上の管理、経営費ですね。そういうことになりますが、このような、きわめて単純なコースを通じて生産者から消費者にいくものがどうしてこんなに高い値段で、しかも平気で行なわれておるのか。こういう問題を解決することなくして、大量生産、大量供給ということをもくろむということは、どこかに大きな欠陥がなければならぬと思うのです。これはメーカーにある、これが一般国民の偽らぬ声なんです。  でありますから、これはすべての主婦たちが頭を悩ますだけです。あなたはそういうことの経験はないかもしれぬけれども、少なくとも三倍くらい牛乳を飲ますことができたらということで、子供の健康を考えるのが母親で、ひとしくそう思っているのですよ。これは五十二年に需要の二倍何がしというのが供給できるという政府の推計ですが、でき得るならば二倍、三倍の供給ができたらと思っておるのです。また同時に、何かわけがわからないが、濃いから高く売っているというが、濃いから栄養価が高いのかどうか飲む人はわからないのですが、濃いから高い、薄いから安いのだ、こういうふうなきわめて素朴な、単純な常識で店頭に飾られているのです。  要するに、いかにすれば豊富低廉で新鮮純良な牛乳を消費者に供給し得るか、これが牛乳政策の目的でなければならぬ。どんなにその施設が大きくなっても、どんなに飼料問題が解決いたしましても、結局は消費者国民のしあわせということ以外には政治はないはずです。そのことを考えましたら、一体ネックはどこかと、ずばりつかまなければならぬ。それに対する案はどういうものがあるのか。政府の施策に関する問題でありますから、政府としてもどういうふうにお考えになっておるか、局長から答えていただきたい。
  157. 太田康二

    ○太田政府委員 実は生産者の段階、処理加工業者のメーカーの段階、小売りの段階と、それぞれ三段階の手を経て戸別配達されるわけでありますが、生産者段階におきましては、先ほど来申し上げましたように、確実に多角化が行なわれておって合理化が進んでおります。生産調査の結果によると、もちろん労働費等の値上がりもあるので、年々若干ずつのコストの値上がりがあるが、今度は先ほど来の政策を進めまして、合理化によるところの、たとえば乳牛の増等による飼育管理労働時間の減少によって吸収してまいる努力を続けなければなりませんが、もちろんそういう意味での合理化努力を現在生産者が続けていることは御承知のとおりでございます。それから、工場段階における処理加工経費についても、かなり労賃等の値上がりがありますが、今後十分合理化ができるでありましょう。  最も問題になるのは小売りの段階でございます。御承知のとおり、現在の牛乳の流通形態の大部分が戸別配達を主としておるわけでございまして、最近におけるところの労働力不足を反映いたしまして、小売り段階の配達経費が非常に増高いたしておるのでございまして、小売り段階における経費の約六八%が人件費というようなことにもなっております。そこで、現在のような流通形態を存続する限り、今後においても労賃値上がりによりますところの配達経費の増高は避けられません。ただ、このために小売り価格が値上げになるということになりますと、また消費が頭打ちになるということもございますので、われわれはこの対策に一番腐心をいたしております。  そこで、こういったことを抜本的に解決いたすためには、何と申しても、牛乳容器の軽量化をはからなければならないが、びんから紙容器に切りかえる際、できる限り大型容器に切りかえていくというようなことを実施いたしまして、牛乳の省力化流通をはかることが必要であります。そういったことは、実は諸外国においてすでに行なわれておるところでございまして、すでにワンウエー容器の採用ということが着実に最近におきまして実施されております。また、これが消費者にもある程度理解を得ながら、そういった形での流通を定着してまいるという小売り段階における合理化努力、さらに、従来のような週日配達ではなしに、隔日配達に持ってまいることによりまして、配達経費を軽減するというようなことによって小売り段階の政策を強化することが、今後牛乳の消費拡大をはかるために最も必要ではないか、これがまた値上げを防止し得るゆえんではないかと考えております。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたはなかなか雄弁で、たくましいけれども、そういう施策の宣伝をしてもらおうというのじゃないんです。いずれにしても、素朴な消費者の立場として牛乳の高いのには困っておりますということと、もっと安く二倍も三倍も供給し得ることになるならば、国民全体がどれだけ幸福になるかわからない。だから、政府がしゃちほこばるだけではこんな問題は解決しません。政府はオールマイティーではない。物価政策につきましても、政府だけで解決する面は全部ではないはずだ。さすれば、どこに原因があるかということをもっと国会で明らかにしなければならないんです。明らかにしなければ、こういう低廉豊富な安定した供給という問題の解決はなくなってしまう。そういうことを私は考えるのです。ですから、いまおっしゃったような点は物懇の勧告にも出ておりますが、あなたの資料によって見ましても、ガラスびんから紙容器に切りかえるということは、かえって高くつくという資料が出ております。農林省はそういう資料を出しております。こういう問題についてもすでに昔、国会に出ておりました。長野県の吉田セイ君、これは専門屋ですが、吉田セイ君なんか、とっくに言っておりました。十五年も前から私は聞いておったのです。けれども、いまもって解決していない。また、一戸一戸の配達にいたしましても、隔日配達とかなんとか、手は何ぼでもありますよ。それが何一つ行なわれておりません。行なわれておらぬのに、何にも知らぬ国民は渇望しておる。この現状の錯綜いたしました矛盾を解決しなければいかぬ、これが政治ですからね。だから、どこが根っこだということをぴしゃっとやるべきことをやってもらわなければいかぬということです。値上げとかいう問題ではありません。値下げをいたしまして、そうして豊富に清純なものを供給してやる、また、経営家としても、酪農家が十分採算の合うように、経営を十分に企業的に持ちこたえられるようにする、それがやっぱり酪農の将来性だと私は考える。だから両方を全うしなければいけません。  そういう面からいきまして、いまとうとうとお述べになりましたことは、これをやろうとしておる、それはそうかもしれませんが、それでは何も解決しておりませんよ。そんなものは何年も前から物懇が提案しておるのです。物懇が提案しておるけれども、何にもできやしません。物懇も推進会議も同じですが、何一つ解決しておりません。  それではどこをやるのかということになりますと、これは流通段階——流通段階かどうかわかりませんけれども、これはやっぱり資本との関係もありますよ。あるいはこれは公取との関係もあるかもわからぬということも考えられます。これはいろいろな角度から衆知を集めまして、根っこをつかまえて解決に積極的につとめていくのでないと、こんなに多くなっている牛乳需要量——政府は二倍半と言うておりますけれども、見方によれば七、八倍の生産を必要とするという説さえあるのです。池本喜三夫君あたりはそういう説を出しておりまするけれども、私は、やっぱりその辺はもっと大胆な施策を根本的にしてもらいたいと思いますね。  次官、これは政府の姿勢としてぜひやってもらわなければいかぬのです。牛乳問題一つを解決しないで、酪農は振興しません。えさの問題は解決しませんよ。政府は牛乳政策について、もっと積極的に取り組む姿勢ありやなしや、次官、ひとつあなたからもはっきりしておいてもらいたい。そうして倉石さんにも言うておいてくださいよ。
  159. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 先ほど局長からもお答えをいたしましたが、政府としても、今回は特に畜産振興というものには力を入れておるわけであります。国全体の予算の伸び率は一八%弱でありますけれども、畜産関係の予算は約三三%、倍にはまいりませんが、相当大幅な伸び率を示しておる、これを見ましても、政府は畜産関係の予算、ことにその大部分を占る酪農関係のことについては力を入れておる、こういうことを御了解いただきたいと思うのであります。  また、そればかりではもちろん足りないのは、これはもう先生の御指摘のとおりでございますから、さらに安くて豊富な牛乳を提供できるために、先生のようなそういうほうに精通をされた方の御意見も十分にお聞きをして、さらに緻密な計画を立ててまいりたい、かように存じます。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 局長、ちょっと伺いますが、積極的に、たとえば高温殺菌につきましても、施設を認めていく、もしくは勧奨していく、もしくはあなたのほうの通達、省令、政令等を改めるなら改めていくというふうにいたしまして、そうして簡単に、いまのように生産者の生産物を遠隔地に持っていき、そうして殺菌して、また遠隔地に持って帰ってきて、そうして日々配達するという間の抜けた不便な流通過程をたどることなくして、産地、現地におきまして、できるだけ簡単に、簡易に殺菌の方法をとる。高温殺菌にいたしましても施設を簡易化する、それが十分に開発できていなければ、この方面は十分通産省とも連絡をとりまして、民間との協力も得まして、しかるべき施設を開発していく、こういうふうにすべきではないかと思うのです。いままでですと、とかく遠距離まで生乳を持っていって、そして殺菌して、また持って帰ってきて、配って回って歩くというばかげた労力を浪費しておる、こんなこともあるのですから、だから、私も通達が出ているのを読んでみました。例外として高温殺菌を認めておるような、そういう通達も見ております。また、農協がそういった方面に対する処理のしかたについて協力方を要請しておる、これも通達を拝見いたしました。しかし、そういうようななまぬるいのではなしに、積極的に、進んで高温殺菌の施設を簡単にし得るものを認めるという方向に出る、これが価格安定の一つの手じゃないか、こう考えるのですが、いかがですか。
  161. 太田康二

    ○太田政府委員 実は牛乳の衛生上の問題は厚生省の所管でございますので、私がお答えするのはあまり適当でないわけでございますが、私のほうも、いま先生のおっしゃったような問題もございますので、厚生省にお願いして、農山漁村地帯におきましてそういった高温殺菌処理もできるようなふうにお願いをいたしまして、いま御指摘のとおり昭和二十九年に通達も出しておりますので、そういったことがやれるような道も開いておるわけでございます。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次官、あなたにお頼みしておきますが、やはりこの種の問題は、各省ばらばらになったら成果はあがってまいりませんです。すべからく、たとえば清純なものを低価、安定的に豊富に供給し得るような施策を、これは各省一致の体制をもってすみやかに処置をせなければならぬ、こう思いますから、やはり横の面についてもしかるべく御連絡の上、総合、統一的にこの施策を進めるということに、やはり農林省といたしまして、厚生省のほうとしかるべく御連絡の上、進められんことを強く御要請申し上げたいですが、どうでございましょうか。
  163. 濱野清吾

    濱野委員長 吉田君、お話し中だが、厚生省の神林乳肉衛生課長が来ておりますから、ついでのことに聞いておいたらどうですか。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうですね。ではあなたのほうから……。
  165. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、牛乳というのは、一番完全な栄養食品といわれておるものでございますから、私たちも、これの普及ということにつきましては、従来からも農林省と協力してやってまいっておるわけでございます。  ただいま御指摘の高温殺菌の問題でございますが、これはすでに通達が二十九年、三十年というふうに、だいぶ前に出ておりまして、その後通達が出ておりませんですが、現在これも生きております。それから、昭和四十三年に厚生省令を改正いたしまして、その前までは、いわゆる高温殺菌六十三度ないし六十五度、三十分以内の殺菌方法というものは、厚生大臣の承認を要しておったわけでございますが、四十三年にはその厚生大臣の承認をはずしまして、六十三度ないし六十五度、三十分あるいはそれと同等以上というふうに省令もいまなっておりまして、そういうことで、一応殺菌の問題につきましては、省令から厚生大臣の事項をはずしておりますから、今後どういうふうにそれを実行するか、農林省とも協力して検討をいたしたいと思います。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこの種の省令なり通達なりを出しまして、四年も五年もたってなお成果があがらず、そういうような場合には、手法もしくは何かに、どこかに客観的、主体的な欠陥があったのじゃないか、こういうふうに反省してみなければならぬわけです。いつまでも、法律とか制度とか通達とかいうものは、出したから国民は従っている、それに従っていくだろうと、そんな考えは昔の太政官の政治ですよ。いまはさにあらずして、国民のために出すのですから。それが、通達は出したけれども、実際には行なわれていない。高温殺菌施設、大いにやってよろしい、例外的に認めておるというけれども、あまり行なわれていない。なぜだろう、なぜ受けないのだろうかということを検討してみなければいけません。そして、常に、通達とか省令というものは、現に生きてそれが行なわれておるということで、初めてそれは通達の通達たるゆえんであるのですから、だからこれは手法がだめなんですよ。そんなものをいつまで置いておいてもだめなんですから、どこかに欠陥があるのですから、そういうものを反省してみて、そして新しい行き方にしなければなりません。  そういう意味において、この際は、さっきの高温殺菌の施設についても、あらためて検討するという積極的な姿勢でこの解決に乗り出していく。これは一は健康のため、食品衛生のため、一は豊富低廉に国民に供給するため、一は酪農の振興のため、一は業界のそれぞれの担当者がそれぞれ仕事を一生懸命にやっていくためという、あらゆる面に波及効果が大きいのですから、だからその点、ひとつ積極的にそういう姿勢で取り組み直さなければいかぬが、それはあなたのほうでお考えになって相談できませんか。そしてまた、横に農林省と連絡になってお考えになったらどうですか。
  167. 神林三男

    ○神林説明員 その点につきましては、こっちのほうでもよく検討いたしまして、なお農林省と協力してやっていきたいと思います。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次官、この問題は一つ一つは小さな問題なんです。しかし全国民の望む問題であります。婦人の代議士でしたら、わんさわんさわかしますようなものになっている問題なんです。保健の点から考えましても、家計費の点から考えましても、食糧全体の政策から考えましても、酪農の面から考えましても、衛生の面から考えましても、どこから考えましても非常に大事な問題ですから、これを非常に小さなこととしないで、積極的な姿勢で取り組んで、ひとつ万全の措置をとられんことを強く御要望申し上げたいのですが、よろしく頼みますよ。どうですか。
  169. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 非常に御説ごもっともな点が多いと思いますので、農林省もさらに督励して、御趣旨に沿うように努力をしたいと思います。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 えさの問題ですが、時間がなくなってきましたのであまり深入りできないのでありますが、聞くところによりますと、現在日本で二毛作可能である面積にして百五十万ヘクタールの農地が裏作なしに放棄されておるという数字を出しているのがございますが、これはほんとうでございますか、どうでしょう。これは要するに飼料対策として重要な前提になっておるのでありますから。
  171. 内藤隆

    ○内藤説明員 現在の調査でございますと、冬作の作付面積が二百八十九万八千町歩程度でございまして、そのうちの水田が二百四十五万町歩程度でございます。これの利用可能性についてはまだ厳密な調査がございませんけれども、冬作の作付地という意味合いにおきましては、現在作付けられておりませんものが約二百九十万町歩程度ある、こういうふうに思っております。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこの問題は、飼料問題の解決、草地開発等々から見て非常に重要なことだと思うのです。この実態をつかむことなくして、牧草地帯を開発していくとか、あるいは牧草の作付をどこへ持っていったらいいかという問題は解決しないと思うのです。ほんとうに百五十万町歩あるならば、ただし、それは麦をつくろうとあるいは牧草栽培をしようと、これは一応別にしまして、飼料作物の観点からいたしましてそういうものがあるのかどうか、これなんですが、それはどうつかんでおられますか。
  173. 太田康二

    ○太田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在の酪農家の飼料給与率、これは必ずしも理想的な飼料給与率までいっておりません。したがいまして、一方におきまして草地開発事業等を推進し、既耕地における飼料作物の導入事業実施いたしておるわけでございます。従来でございますと、主として既耕地における飼料作物導入事業といいますのは、水田裏作あるいは畑作を対象に実施いたしておるわけでございまして、現在までにすでに六十二万ヘクタールの飼料作物の作付が行なわれておるということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、まだまだ乳牛の場合は七五%を粗飼料で給与する、しかもこの全量を良質粗飼料を給与することが、家畜の衛生の面から見ましても、経営基盤強化の面から見ましても最も好ましいわけでございますので、こういった政策を講じまして、できる限り飼料給与率を高めるということを進めておるわけでございます。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 酪農家にとりましては、牛乳生産の六〇%は飼料費が占めておるということ、それから輸入飼料の価格の上昇、一方におきましては生産した乳価が割安であるということ、これらが酪農振興を阻害しておる重大な停滞因であるという説もあるのでございますが、こういう実態と認識したらいいのでしょうか。
  175. 太田康二

    ○太田政府委員 昭和四十三年の数字で申し上げますと、第一次生産費が全国平均で三千四百八円ということに相なっております。これは百キログラム当たりであります。そのうち飼料費の占めるウエートが二千二百五十五円ということで、先生指摘のように、かなり高いわけでございます。そのうち自給飼料が、全国平均で申しますと七百八十九円、それ以外は配合飼料に依存いたしておるという実情でございます。飼料費がかなり高いということで、われわれも、先ほど来申し上げておりますように、飼料の自給率をもっと高めるという政策を進めておるわけでございます。不足する部分につきましては、かなりの数量の外国の飼料を入れておりまして、酪農の場合には特にふすま等が重点になるわけでございますが、これにつきましては、私どものほうの飼料需給安定法によりまして、ふすまの取り扱いについて特に専増産ふすまの制度をとりまして酪農家に供給するということで、時価とかけ離れた、かなり安い値段で現在供給いたしておるという実情でございます。
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 酪農問題は時間の関係でこの程度にします。要するところ、酪農振興につきましては重要性が非常に増してまいりました点から見まして、生産と飼料、それから価格安定、流通関係等が総合されたところに一つの大きな柱を置いて、これが完全に行なわれていくという施策がなされなければならぬ。それには財政の裏づけ、あるいは人の養成その他等々、幾多のさらに新しい要素がそこにあるのではないかと思っておりますが、大事な問題でありますので、この問題は幾ら議論しても議論の尽きないほど、お互いにいろいろな問題を持って取りかかっておるというふうに御認識をいただきたいのであります。私はそれ以上この問題には触れないことにいたします。  それから水産の関係にちょっと入りますが、せっかく長官見えておりますから。  私は特に注目いたしておりますのは、最近の海洋開発と水産の関係なんです。海洋開発が科学時代の日本に大きくクローズアップしてまいりましたことは御承知のとおりであります。この立場に立ちまして瀬戸内を見たいのであります。瀬戸内における漁業振興のセンターについて、新たにあなたのほうで発表いたしましたなさんとする施策等々、その白書を通じてこれを知るのでございますが、この点につきましても、魚類の食料給源としての位置づけが依然として衰えることがないということを思いますと、いかにして多量の漁獲をなすべきかということ、これには最も先端をいきつつあるところの栽培漁業——栽培漁業というのは、農業の範疇から転化してきたことばと思いますけれども、積極的に栽培漁業を進めていかねばならぬのではないだろうか、こういうように考えるのでございます。  そこで、栽培漁業は、これはひとり瀬戸内のみではございません、広い意味において日本の周辺を取り巻く沿岸漁業全体をつなぐ立場に立ちます。しかし、具体的には、瀬戸内が四国同一大の面積を持つ地域でございますので、現在においても十四府県が一致いたしまして、いろいろと新しい栽培漁業に取り組んでおる事実がございます。こういう客観的な情勢にもかんがみまして、栽培漁業を盛んにするということについて、幾多の打たねばならぬ手がおくれておるのではなかろうかと考えます。そこで、水産庁といたしましては、今後栽培漁業は沿岸漁業振興の非常に重要な施策と見ておられると思いますが、それならば年次計画、つまり長期計画をどういうふうに持っておられるのだろうか。これはさっき一部たん白給源としてのそれは触れましたが、今度は財政の面から見まして、規模の面から見まして、どのくらいのものを計画して進めていこうとするのか。やはり今後はそういう観点に立ちまして私は漁業振興の問題も論じてもらいたいと思うのです。したがいまして、計画性を持った沿岸漁業振興対策としての栽培漁業の長期計画はどういうふうになっておるか。財政の計画、大体において何をどれほど収穫を増加していこうとしておるのか。できれば種類までも言ってもらいたいけれども、そうこまかくなくて、大まかでよろしゅうございますから、長期計画的なものがあれば述べてもらいたい。
  177. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 栽培漁業と申し上げましても、ここ四、五年のことでございまして、まだ打つべき手はたくさん残されておるわけでございますが、私ども昭和三十七年から始めまして最近に至っております沿岸漁業の構造改善事業で、相当養殖の面を強化をいたしましたけれども、第一次構造改善事業がおおむね四十六年に終わりますことから、さらに養殖に重点を置きまして、第二次の構造改善事業を四十五年からおおむね十年ほどで、国費約四百億、融資事業補助事業と合わせまして千四百十四億という相当大がかりな事業で、沿岸漁業振興、特に養殖事業をいたすつもりでおります。ただ、たとえばハマチのようなものは、ブリとして自然にとれるものが四万トンでございますが、すでに養殖ハマチの出荷は三万トンをこえておるという形で、ここ二、三年のうちにはとるブリよりもつくるハマチのほうがふえると私は思うわけであります。それ以外に、マグロでありますとかカニでありますとか、あるいはサケでありますとか、実験室の中では人工ふ化、養殖が可能でございますが、なかなか企業化がまだまだ足らない面がございますので、そういう点について相当大がかりな実験事業をいたすつもりでございます。したがいまして、事業といたしましては相当大がかりな構造改善事業をやる、試験研究の面ではいまなお手が行き届きませんが、国民の需要が非常に強いマグロ、サケ、カニ等の人工ふ化、養殖、それからハマチあるいはウナギ等の種苗の安定的な確保ということをやるつもりで用意をいたしておるわけでございます。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 瀬戸内におきましても、四十六年から五十二年までの間に十六億種苗を放流するという計画を持っているようでございます。でありまするから、日本全体といたしましたら、あちらこちらの湾等々からいたしまして、かなり多量な種苗の放流ができるかと思うのでございます。  そういう際に、一番早く警戒をしておくべきことの一つは、公害との関係だと思うのであります。これもあとで時間があれば触れますけれども、臨海地帯における工場の進出、都市化等をめぐりまして、だんだんと優勢になってきますところの工業の発展の過程、また公害対策がまだ十分できておらぬ現在の日本の実情、こういう点からしまして、海の自然環境を保全するという見地とは非常に異なった公害続出の危険がございます。河川につきましては建設省の所管ですけれども、水質汚染の基準もきめられておりますが、海のそれはまだきまっておらぬのではないか。そういうものにつきまして、公害の実体はどうか、その追求がまだ十分されておらぬというようなこと等から見まして、公害の問題は今後起こってくるであろう大きな課題になる。さすれば、このような膨大な数百億の投資をいたしまして沿岸漁業の栽培をやっていこうといういまの段階におきまして、事前に公害対策を十分に立てておくことが必要ではないかと思うことが一つであります。  もう一つは、いまのような魚の種苗の放流ということとともに、ノリの栽培がことに瀬戸内においては非常に盛んになっておるのでありますが、ノリにつきましても同様に、瀬戸内におきましては、もはや公害問題が相当深刻化している地域さえあるのであります。したがいまして、現状から追いかけて公害対策を講ずるというのもおそいです。おそいから事前に手を打っていただかなければならぬ。特に海における海水の汚染は何が原因で、そして、それが有害であるかというようなことは、これも厚生省の所管が主ですけれども、農林、厚生、建設各省一体となって総合いたしまして公害対策を立て、研究施設をしなければいかぬ。そしてこれは自然保護、環境保護、生物保護、漁業の保護振興、すべてに波及効果があるわけですから非常に重大な課題であろうと思う。ことに、これは食料です。食料に有害なものがありましたらたいへんであります。畜産のほうでは容器とか何かにDDTなんか使用禁止の政令か何か通達が出ましたね。厚生省あたりで出したと思うのです。ああいうような実例さえあるときであります。とにかく、被害ありと外国の学者が発表すると、びっくりして通達を出すような間の抜けたことをやっていてはいかぬと思います。公害対策の問題、そしてノリ栽培等につきましても、もう起こっておりますので、この二点について、かなり積極的な姿勢で取り組んでいってしかるべきだと思う。あなたのほうだけではとてもできぬことはわかっておりますが、いかがでございますか。
  179. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 お説、まことにそのとおりでございます。私のほうも公害が沿岸漁業にとって非常に大敵であることは十分承知しておりまして、水質保全法の運用ばかりでなしに、実は相当重要な漁場につきまして、あらかじめ観測の器具を助成をいたしまして、水質汚染があらかじめ早くわかるような措置をし、それが自動観測によってあらわれますれば、それに必要な措置をできるだけ早期に講ずるということで、この問題に対処いたしておるわけであります。
  180. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間の関係がありますので、農林漁業金融公庫の総裁見えておりまして、御迷惑さまでありましたが、きょうはひとつ留保させていただきます。あなたのほうは水産施設あるいは酪農施設、最近は施設のみならず、生活改善あるいは改良普及、こういう事業相当重大なウエートを占めてきております。あわせまして、酪農家なり漁業者なりのために、かつその制度自体に役立つ、そういうものにまで融資の範囲を広げていくという点のいろいろな施策について、いろいろ伺おうとしたのでありますが、やむを得ません。次の機会にいたします。  また、構造改善事業等で問題になっております自治省のアンケート、これは百二のうち九十一ですか、それはノーもあり、イエスもあり、検討中もあるということですが、しかし一番大部分を占めておるのは農林省です。これにつきまして相当明確なものを出すということは、行政、財政全体の改革の上に必要なことでありますけれども、これも時間がありませんので、別の機会にさせてもらいます。  それから、新しく建設的な問題といたしまして、最近は都市を中心にしました広域行政ということが起こっておりますのですが、これは一つは近郊型の農業を企画するというような、そういう思想さえ発生しているようでありますので、この辺につきましても一般的に伺ってみたいと思ったのでありまするが、いずれにいたしましても、農林省は分野が膨大にわたっておりますることと、したがいまして、予算の使い方いかんによりましては成果も歴然たるものがあるということ、使い方がへたでありますと死に金を使っておるということが随所に見えるのでございますので、私も数年来農林省予算執行のあとを見てみましたときにはそういう辺、思いますので、まずもって間違いない政策を立ててもらいたい、そして調査研究は徹底的にまずもってやってもらいたいこと、しかる上、財政を組み立ててそして執行していく、こういう順序を踏んでいくことは、他の省よりも一そう農林省においては私は痛感してきた次第であります。そういうことを思いますので、実は施策の姿勢を正すというような観点から少しあっちこっち追及してみたいのでありますけれども、きょうは時間の関係もありますので、割愛いたしまして、別の機会に何かと聞かしていただきたいと思います。  農村における健康問題も大事であります。過疎地帯におけるあらゆる社会保障の非常に大きな谷間のようになっておる問題も大事であります。こういうことは、広い意味における農林省の所管事項であります。政府一体となって対策を立てなければならぬ問題でございますので、これまた、大臣等とも話し合ってみますけれども、きょうは委員長、やむを得ませんので、たいへん御多忙のとき申しわけございませんですけれども、ひとつ問答できなかった御出席の各位にはお許しをいただきまして、きょうは委員長、時間がないから失礼いたしました。  質問を終わります。
  181. 濱野清吾

    濱野委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二分散会