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1970-02-26 第63回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年二月二十六日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 高橋清一郎君 理事 森下 元晴君    理事 華山 親義君 理事 浅井 美幸君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    塩崎  潤君       中村 弘海君    中山 利生君       原 健三郎君    綿貫 民輔君       勝澤 芳雄君    日野 吉夫君       鳥居 一雄君  出席政府委員         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房会         計課長     安養寺重夫君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         文部省管理局長 岩間英太郎君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省簡易保険         局長      上原 一郎君         郵政省人事局長 中田 正一君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         厚生省社会局更         生課長     山縣 習作君         厚生省児童家庭         局障害福祉課長 今泉 昭雄君         郵政大臣官房首         席監察官    中根 敬一君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         会計検査院事務         総局第二局長  鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第五局長  石川 達郎君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十二年度政府関係機関決算書  昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (文部省所管郵政省所管日本電信電話公社)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、文部省所管郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行ないます。  これより順次概要説明を求めます。  まず、文部省所管について概要説明を求めます。西岡文部政務次官
  3. 西岡武夫

    西岡政府委員 昭和四十二年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算概要を御説明申し上げます。  まず、文部省主管一般会計歳入につきましては、歳入予算額二億二千六百二十七万円余に対しまして、収納済み歳入額は一億八千七百三十三万円余であり、差し引き三千八百九十三万円余の減少となっております。  次に、文部省所管一般会計歳出につきましては、歳出予算額六千四十六億六千六百五十四万円余、前年度からの繰り越し額十一億九千三百五万円余、予備費使用額五億六千百十六万円余を加えた歳出予算現額六千六十四億二千七十六万円余に対しまして、支出済み歳出額は六千十六億五百二十万円余であり、その差額は四十八億一千五百五十五万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は三十九億四千六百五十三万円余で、不用額は八億六千九百一万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもな事項は、義務教育費国庫負担金三千百十八億四千二百九十五万円余、国立学校特別会計繰り入れ千九百十二億八千二百七十一万円余、科学技術振興費五十九億三千百三十六万円余、文教施設費二百七十六億七千八百七万円余、教育振興助成費三百七十九億八千三百四十万円余、育英事業費百三十億四千百九十二万円余、青少年対策費三十四億六千六十八万円余となっております。  次に、翌年度繰り越し額三十九億四千六百五十三万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは文教施設費で、財政執行繰り延べ措置として歳出予算執行調整をしたこと及び用地の選定、気象条件設計変更等により、工事の施行に不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額八億六千九百一万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、教育振興助成費のうち要保護及び準要保護児童生徒就学援助費を要することが少なかったこと等の理由によって不用となったものであります。  次に、文部省におきまして、一般会計予備費として使用いたしました五億六千百十六万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、公立文教施設災害復旧費に要した経費であります。  次に、文部省所管国立学校特別会計決算について御説明申し上げます。  国立学校特別会計収納済み歳入額は二千三百二十億九千五百十四万円余、支出済み歳出額は二千二百六十七億七千七十九万円余であり、差し引き五十三億二千四百三十四万円余の剰余を生じました。これは、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により、翌年度歳入繰り入れることとして決算を結了しました。  その内容について御説明申し上げますと、まず、歳入につきましては、歳入予算額二千二百九十六億五千七百三十五万円余に対しまして、収納済み歳入額は二千三百二十億九千五百十四万円余であり、差し引き二十四億三千七百七十九万余の増加となっております。  次に、国立学校特別会計歳出につきましては、歳出予算額二千二百九十六億五千七百三十五万円余、前年度からの繰り越し額四億四千二百三十一万円余、昭和四十二年度特別会計予算総則第十一条第一項の規定による使用額二十三億七千五百十九万円余を加えた歳出予算現額二千三百二十四億七千四百八十五万円余に対しまして、支出済み歳出額は二千二百六十七億七千七十九万円余であり、その差額は五十七億四百六万円余となっております。  このうち、翌年度へ繰り越した額は三十四億二千百六十六万円余で、不用額は二十二億八千二百三十九万円余であります。  支出済み歳出額のうち、おもな事項は、国立学校千二百六十三億六千五百三十八万円余、大学附層病院三百六十億百四十六万円余、大学附置研究所百七十一億三千百六十九万円余、施設整備費四百五十七億四千八百九十五万円余となっております。  次に、翌年度繰り越し額三十四億二千百六十六万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは施設整備費で、財政執行繰り延べ措置として歳出予算執行調整をしたこと及び設計変更用地関係、資材の入手難等により、工事の施工に不測日数を要したため、年度内支出を終わらなかったものであります。  次に、不用額二十二億八千二百三十九万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは施設整備費のうち学校施設費で、学校財産処分収入予定より少なかったので、これに伴う施設費を要しなかったこと等の理由により、不用となったものであります。  次に、国立学校特別会計におきまして予備費として使用いたしました金額は四千六百二万円でありまして、これは、国立学校施設災害復旧費等に要した経費であります。  なお、昭和四十二年度予算執行にあたりましては、予算の効率的な使用経理事務の厳正な処理努力したのでありますが、会計検査院から不当事項五件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。今後、このようなことのないよう適切な措置を講ずるとともに、予算執行等にあたり、留意を要すると認められた事項についても慎重に検討の上執行の適正を期するよう、より一そうの努力をいたす所存でございます。  以上、昭和四十二年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 濱野清吾

  5. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和四十二年度文部省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、四十二年度決算検査報告の三六ページから三八ページにかけて記載してございますけれども、不当事項が五件、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものが一件でございます。  不当事項として掲げましたものについて説明いたします。  一三六号から一四〇号までの五件は、文部省所管国庫補助金のうち、初等中等教育助成費産業教育振興費学校給食費私立学校助成費及び公立文教施設整備費関係国庫補助金経理におきまして、補助対象設備購入額等を過大にして事業費を精算しているものについて指摘したものでございます。  次に、今後の予算執行等にあたり留意を要すると認めましたものについて説明申し上げます。  その内容は、補助事業により取得した施設管理につきまして、その管理状況を調査いたしましたところ、当該施設が他用途に転用されていたり、十分活用されていなかったりしているものがありましたので、学校関係者に対し補助事業の趣旨の周知徹底をはかるなどして、施設設備整備計画的に行ない、補助の効果をあげるよう配慮の要があると認められるものでございます。  以上、簡単ではございますが説明を終わります。     —————————————
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、郵政省所管について概要説明を求めます。小渕郵政政務次官
  7. 小渕恵三

    小渕政府委員 郵政事業特別会計郵便貯金特別会計簡易生命保険及び郵便年金特別会計並びに一般会計昭和四十二年度決算について、その概要と、会計検査院から指摘のありました事項について申し上げます。  郵政事業特別会計歳入予算額は四千八百七十九億七千三百八十三万余円、歳出予算現額は五千十四億五千二百十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では五千五十九億三千三百五十六万余円、歳出では四千九百六十八億四千九百八十三万余円となっております。この中には収入印紙等業務外収入支出や借入金、建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では三千七百四十九億九千五百二十三万余円、歳出では三千六百十六億一千八百八万余円となっております。  この収支差額は、建設費の財源をまかなうほか債務の償還等に充当いたしました。  郵便貯金特別会計歳入予算額は二千五百九十七億二千四百九万余円、歳出予算現額は二千二百三十五億一千十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二千七百六十四億七千三百九十七万余円、歳出では二千二百三十五億九百四十五万余円となっており、差額五百二十九億六千四百五十二万余円は、法律の定めるところに従い、翌年度歳入繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は四千八十六億六千二百九万余円、歳出予算現額は二千四百九十九億八千三百十七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では四千二百九億五千一百八十一万余円、歳出では二千四百一億六千一百七十万余円となっており、差額一千八百七億九千十一万余円は、法律の定めるところに従い積み立て金といたしました。年金勘定歳入予算額は三十七億三千二百四十七万余円、歳出予算現額は三十七億二千三万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では三十八億五千四百九十六万余円、歳出では三十六億八千七百八万余円となっており、差額一億六千七百八十八万余円は、法律の定めるところに従がい積み立て金といたしました。  また、一般会計におきましては、歳出予算現額五十五億七千二百九万余円に対し、支出済み歳出額は五十二億一千二百八万余円となっております。  次に、四十二年度主要施策事項について申し上げますと、第一は、郵便送達安定向上をはかるため、通常郵便物航空機搭載を引き続き推進したほか、郵便物の集配、運送各般にわたって改善を行ないました。  第二としましては、事業近代化をはかるため、郵便局舎改善を行なったほか、作業機械化としまして、郵便作業におきましては自動選別機、自動取りそろえ押印機等実用機の配備を行なうとともに、作業各般にわたる機械化の研究を行ない、為替貯金窓口事務におきましては、郵便局窓口事務における事故犯罪防止及び事務品質改善等利用者サービス向上をはかるため、機械化を推進し、保険年金事務機械化につきましても引き続きその拡充をはかりました。  第三といたしましては、増大する業務量に対処して業務の円滑な運行を確保するため、定員において約千七百人の増員を行なうとともに、職員宿舎を完備充実して雇用の安定をはかりました。  第四といたしましては、郵便貯金及び保険年金の増強であります。  まず、郵便貯金の純増加目標額五千六百億円に対しましては、七千九百十四億六千三百四十万余円の成果をあげ、目標額をはるかに上回ることができました。郵便貯金の四十二年度末の現在高は四兆五百九十億四千五百五万余円となりまして、資金運用部資金の約五二%は郵便貯金預託金で占めている状況であります。  また、簡易生命保険新規募集目標額四十八億円に対しましても五十八億一千七百八十四万余円の実績をあげることができ、四十二年度保有契約高は五兆七千五百八十五億八千四百三十八万余円となっております。  なお、四十二年度における簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの財政投融資額は二千一百八十六億八千二百七十万円であります。  次に、会計検査院昭和四十二年度決算検査報告において指摘を受けました事項について申し上げます。  四十二年度におきましては、不正行為関係三件の指摘事項がありましたが、この種犯罪があとを断たないことはまことに遺憾に存じます。  郵便局における不正行為防止につきましては、従来から諸種の施策を講じ、特に防犯管理体制強化及び相互牽制措置励行等につとめ、管理者のみならず一般職員防犯意識の高揚、犯罪未然防止早期発見について強力に推進してまいりました。  なお、今後とも諸施策徹底を期するとともに、業務考査及び会計監査を厳重に実施し、一そう不正行為の絶滅に努力をいたす所存であります。  引き続き、昭和四十二年度日本電信電話公社決算書類会計検査院検査報告とともに第六十一回国会に提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十二年度における日本電信電話公社決算は、前年度に引き続き黒字決算となっておりますが、損益計算上の利益金は、事業規模の拡大に伴い、給与その他諸費、利子及び減価償却費等が増大したため、前年度よりも減少し、二百三十七億二千百十四万余円となっております。  また、建設計画につきましては、農村集団自動電話を含め、加入電話増設約百六十万加入主要工程とする建設工事を実施いたしました。  以下、決算内容勘定別に御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入済み額六千七百九十二億八千九十六万余円、支出済み額は六千六百六十八億八千五百三十七万余円でありまして、収入支出を超過すること百二十三億九千五百五十八万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額六千五百二十億三千九百八十七万余円に対し、二百七十二億四千百八万余円上回っておりますが、これは電話収入で二百六十四億八千三百七万余円及びその他で七億五千八百一万余円の増収があったためであります。  他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額六千六百九十九億七千百五十五万余円に対し、三十億八千六百十八万余円下回っておりますが、この差額は、翌年度繰り越し額二十億二千五百九十六万余円と、不用額十億六千二十一万余円とであります。  資本勘定におきましては、収入済み額は五千百十億一千三百七十三万余円、支出済み額は五千九十七億九千二百十六万余円でありまして、収入支出を超過すること十二億二千百五十六万余円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額五千二百六十二億六千八百七十九万余円に対し、百五十二億五千五百六万余円下回っておりますが、これは減価償却引き当て金が三十八億四千四百十二万余円、債権発行差損償却引き当て金が二億二千九百四十五万余円、損益勘定より受け入れが四十八億六千四百八十一万余円、いずれも予算額に比べ増加したのに対し、電信電話債券が二百四十二億二百五十四万余円減少したことによるものであります。他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額五千三百五十二億七百十九万余円に対し、二百五十四億一千五百二万余円下回っておりますが、これはおもに電信電話債券発行が翌年度に繰り越されたことによるものであります。  建設勘定におきましては、収入済み額は四千七百四十一億三千八百八十九万余円、支出済み額は四千八百三十四億三千四百三十六万余円でありまして、収入支出に不足すること九十二億九千五百四十七万円となっております。  この決算額予算と比較いたしますと、収入におきましては、予算額四千九百六億四十九万円に対し、百六十四億六千百五十九万余円下回っておりますが、これは資本勘定より受け入れが減少したためであります。  他方支出におきましては、支出済み額支出予算現額五千二百十億二千六百九十三万余円に対し、三百七十五億九千二百五十七万余円下回っておりますが、この差額は全額翌年度へ繰り越すこととしております。  なお、昭和四十二年度日本電信電話公社電信電話拡充第三次五か年計画最終年度に当たっておりますが、実施いたしました建設工程のおもな内容について申し上げますと、加入電話増設農村集団自動電話を含め、百六十万加入予定に対し約百六十万加入公衆電話増設は四万三千個の予定に対し約四万個を実施し、また市外電話回線増設、新電話局建設等についても、それぞれおおむね予定どおり実施いたしております。  最後に、昭和四十二年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾なことでありまして、日本電信電話公社に対し、経理事務適正化経費効率的使用につきまして、今後一そうの努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして私の説明を終わります。
  8. 濱野清吾

  9. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和四十二年度郵政省決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が三件でございます。  不当事項内容は、職員不正行為に関するものでありまして、窓口事務担当内務員貯金保険担当外務員が、郵便貯金預入金簡易生命保険保険料などを受領しながら、受け入れ処理をしないなどして現金を領得したものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  10. 濱野清吾

  11. 石川達郎

    石川会計検査院説明員 昭和四十二年度日本電信電話公社決算につきまして、検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が一件でございます。  その内容でございますが、日本電信電話公社において電話局等高圧受電局所高圧機器等電気回路接地事故を起こしたとき、自動的に電気回路を遮断させるために使用する高圧接地保護装置を購入いたしましたが、仕様が適切でなかったため不経済となっていると認められるものでございます。  なお、以上のほか、四十一年度におきまして、既設電話宅内装置のうち老朽化いたしました屋外線屋内線の取りかえを部外に保全強化工事として請け負わせておりますが、予定価格の積算におきまして単価などに不合理な面が見受けられましたので、これらにつきまして適正を期し経費の節減をはかるよう改善の意見を表示いたしましたが、これに対する日本電信電話公社処置状況につきましても掲記いたしております。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  12. 濱野清吾

  13. 米澤滋

    米澤説明員 昭和四十二年度事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和四十二年度は、電信電話拡充第三次五カ年計画最終年度に当たりますが、大幅な電話の架設が順調に実施され、また、前年度に引き続き景気が好調を持続したこともあって、事業収入予定を上回る結果となりました。  しかしながら、事業支出の面について見ると、減価償却費利子及び債券取り扱い費など資本費用増高は引き続き著しいものがあり、業務合理化能率的運営につとめましたが、収支決算におきましては、利益金は前年度に比べますと一億六千三百八十八万円余減少し、二百三十七億二千百十四万円余にとどまる結果となっております。  四十二年度決算について見ますと、損益勘定におきましては、収入予算額六千五百二十億三千九百八十七万円余に対しまして、収入済み額六千七百九十二億八千九十六万円余となり、二百七十二億四千百八万円余上回りましたが、その内容は、電話収入で二百六十四億八千三百七万円余の増、その他の収入で七億五千八百一万円余の増となっております。支出におきましては、予算現額六千六百九十九億七千百五十五万円余に対しまして支出済み額は六千六百六十八億八千五百三十七万円余となり、三十億八千六百十八万円余下回っております。  また、建設勘定におきましては、収入予算額四千九百六億四十九万円に対しまして収入済み額は四千七百四十一億三千八百八十九万円余となり、百六十四億六千百五十九万円余の減となりましたが、これは建設勘定繰り入れられる資本勘定において、収入予算額五千二百六十二億六千八百七十九万円余に対しまして収入済み額が五千百十億一千三百七十三万円余となり、百五十二億五千五百六万円余下回った結果であります。  すなわち、資本勘定収入では、予算額に対し損益勘定からの繰り入れ額で四十八億六千四百八十一万円余の増、減価償却引き当て金で三十八億四千四百十二万円余の増、その他で二億三千八百五十三万円余の増となった反面、政府景気調整施策に協力して電信電話債券発行繰り延べを行なったため、電信電話債券で二百四十二億二百五十四万円余の減となり、これにより建設勘定繰り入れ額が減少したものであります。  支出の面におきましては、予算現額五千二百十億二千六百九十三万円余に対しまして支出済み額は四千八百三十四億三千四百三十六万円余となり、三百七十五億九千二百五十七万円余は翌年度へ繰り越しました。  次に、四十二年度に実施しましたおもな建設工程内容について見ますと、加入電話増設は約百四十万加入予定に対し約百四十万加入農村集団自動電話増設二十万加入予定に対し約二十万加入公衆電話増設四万三千個の予定に対し約四万個、また、市外電話回線増設約六万六千回線の予定に対し約六万二千回線などとなっております。  なお、四十二年度をもちまして電信電話拡充第三次五カ年計画を終了したものでありますが、実施しましたおもな工程は、加入電話増設約五百十一万加入農村集団自動電話増設約四十二万加入公衆電話増設約十六万個、市外電話回線増設約二十六万回線などであり、おおむね所期の成果をあげたのであります。  この結果、四十二年度末におきます加入電話は約九百八十九万加入公衆電話は約三十三万個、市外電話回線は約四十三万回線となり、加入電話の普及率は人口百人当たり九・八加入、市内ダイヤル化率は九一・五%、また、市外ダイヤル化率は八四・四%となりました。  このような増設を行なったにもかかわらず、電話の申し込みを受けてなお架設のできないものが、同年度末において約二百四十二万に達し、依然として熾烈な需要に応じ得ず、かつ市外通話の即時化、同一市町村内の市内通話区域の統合等に対する要望も著しい状況でありますので、さらに、施設拡充及びサービスの向上をはからなければならないと存じております。  最後に、四十二年度決算検査報告指摘を受けました事項について申し上げます。  不当事項として一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。  これは、高圧接地保護装置の購入にあたり、仕様についての配慮が十分でなかったため不経済となったものでありますが、さっそく仕様を改定し、経済化をはかりました。今後は十分注意いたします。  以上、簡単でありますが概略御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  14. 濱野清吾

    濱野委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  15. 濱野清吾

    濱野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉田賢一君。
  16. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず、郵政省、電電公社にちょっと伺います。時間を相当制約しておりますので、すみませんが、簡単明瞭にお答えを願いたいと思います。  郵政事業につきましては、幾多の解決せねばならぬ問題が滞積しているらしいのでございますが、こういうことを背景といたしまして、郵政審議会におきましては、いわゆる公社案を世上に発表いたしております。その公社案につきまして、大体のあなたのほうのかまえ、もしくは、いまの段階において公社案を受けるかいなや、あるいは、どういう点に問題があるからまだ審議を延ばしていくのかどうか、これをごく簡単でよろしゅのございますから、いまの段階、いまの時点における公社案に対するお考え方、これを伺っておきたいと思います。
  17. 小渕恵三

    小渕政府委員 お答えいたします。  昨年の十一月に答申が出まして以来、省内に特別な委員会を設置いたしまして、現在、その委員会におきまして最終的の結論を得るべく努力中でございます。
  18. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最終結論は、大体において公社案を部分的に修正するけれども、のんでいく方向に進みつつあるのか、あるいは絶対拒否するような方向へ行かんとするのか、その辺はいかがなものでしょうか。
  19. 小渕恵三

    小渕政府委員 答申の線に沿いまして現在検討中でございます。したがいまして、各般の情勢を判断の上、状況によっては公社に進むべくその努力中であるということだと思います。
  20. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 公社案につきましての骨子は、いろいろな角度から検討を要する問題があるらしいのでありますが、たとえば、経営の自主性の確保、生産意欲をもっと向上せしめて人の能力を十分に発揮せねばいかぬ、需要のはなはだしい増大、変動に対応する弾力性を培養していかなければいかぬ、健全経営による財政基礎の確立への努力、こういったことが一つのねらいとなっておるらしいのであります。  いずれにいたしましても、郵政事業があらゆる角度からこの流動化のいまの時勢に非常におくれておる面があるんじゃないだろうか、こういうことは、ひとしく国民が考えておる点であります。たとえば、膨大な郵便配達の遅配があるというような問題あるいは手不足で悩んでおる、年末にアルバイターを募集いたしましてもなかなか思うように来ない、国民としての素朴な感じはそういうようなところからくるんじゃないかと思います。  そこで、内容等につきまして、機械化の方面も相当進めていくということは、これは具体的に進行の面もあるようでありますが、この滞貨とか、手不足とか、あるいは給与、処遇とか、機械化が非常におくれておるし、機械化するならば、適切に効果があがり効率が非常に高いと見られる郵政事業、あるいはまた電算機の問題も同様でありますが、こういう辺につきましての大体かまえ、いまの準備、どう進めるか、その辺の御説明を願っておきたい。
  21. 竹下一記

    ○竹下政府委員 お答え申し上げます。  郵便事業は、従来その性格上、人力をもってやるほかはないじゃないかというようなことで、機械化あるいは近代化ということにつきましてはやや立ちおくれの感があったわけでございますが、最近そういうことではいけないということにいたしまして、と申しますことは、郵便物数は毎年ひどい増加を来たしておる、片一方、人力は非常に逼迫してきておる、こういうこともございまして、機械化につきましては、ここ数年来非常に力こぶを入れておるわけでございます。  そういうこともございまして、一昨年郵便番号制というものを採用する、そういうことと並行いたしまして、郵便作業の面におきます機械、たとえば自動区分の機械、そういったものも開発いたしまして、これを現業局に配備していく、あるいは郵便物を取りそろえ、スタンプを押す、これも機械でやっていく、それから小包の区分でございますけれども、これも電子工学を利用いたしました自動区分の機械を開発いたしまして、これらいま申し上げました三つの機械は、すでに一昨年以来相当数を現業に配備してやっておるところでございます。御指摘にございましたように相当立ちおくれましたけれども、近年にわかに——にわかにということばはちょっと悪いですけれども、大いに力こぶを入れまして、予算もいただきまして、その方面の拡充を期しておる次第でございます。
  22. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現在、機械化しておる郵便局はどれほどの数になっておりますか。それから郵便物数について……。
  23. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵便物数は一日におよそ二千四百万通ございますが、そのうちの約一千万通が、先ほど申しました自動読み取り区分機の機械にのっておる、それからほぼ同数のものは、先ほど申しました自動取りそろえ押印機械に乗っておるというわけでございます。
  24. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その機械を使用しておる局の数を、大体でよろしいから……。
  25. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵便番号自動読み取り区分機を配置しております局数が全国で十七局、そこに配置いたしております自動読み取り区分機が二十一台でございます。それから郵便物自動選別取りそろえ押印機、これを配置しております局数が二十局で台数が三十一台、小包区分機を配置しております局が八局で台数は二十四台、配置局はみな中郵局クラスの大局であります。
  26. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 中郵局クラスの全国の数はどのくらいになっておりますか。要するに何%に該当しておるか、これをつかみたいのです。
  27. 竹下一記

    ○竹下政府委員 全国に中郵局が十五局ございますが、そこには全部この自動読み取り区分機を配置いたしました。
  28. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 コンピューターを活用いたしまして作業能率をあげるという場合には、一時間どのくらいまで上げ得るのであろうか、あるいは自動区分機、選別機などを活用いたしまして最大限度どのぐらい上げ得るのであろうか、その辺についてはどうお考えになりますか。
  29. 竹下一記

    ○竹下政府委員 自動読み取り区分機につきましては、一時間二万七千通ぐらいの区分ができる、人力でやりました場合の大体七人分ぐらいのことができるのではなかろうか。もっとも、これは開発が完了しておりませんで、性能がどんどん上がっておりますので中間的な数値でございますが、大体そういうところでございます。
  30. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 郵便事業の手不足、これは給与、待遇が悪いからなんですか。そこはどうなんですか。
  31. 竹下一記

    ○竹下政府委員 最近は、郵便に従事いたしますところの職員の給与は大いに改善をされまして、世間の民間の会社あるいは同種の企業、そういったものの給与と比べましても遜色はございません。したがいまして、郵便事業につきましては、よく手不足でなり手がないとか、なりましてもすぐ逃げていくとか、こういったようなことがございますけれども、その原因は、給与が特段に悪いからそういうことになっておるということは申されない、かように思います。
  32. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 自転車で郵便物を配達する実例はなお相当ある。それから年末のアルバイターを雇い入れようとするとき、なかなか集まってこないらしいです。高校生などがアルバイトをやる場合でも、郵便局へ進んで行こうということは一向どこにも耳にしません。こういう面から見ると、仕事の量、仕事の複雑さ、あるいはまた機械設備の悪さ、そういった面がほかの職業と比較いたしましてずっと劣るのじゃないか、劣悪じゃないだろうかということも考えられるのですが、その点についてはどうなんですか。もっと率直なお答えをいただけましたら……。
  33. 竹下一記

    ○竹下政府委員 いなかのほうにいきますと、郵便局への希望者は非常に多いわけでございます。外勤の仕事にいたしましても志願者がたいへん多いのでございますが、都会におきましては、特に東京では、郵便の仕事、特に外回りの仕事についての志願者というものが、残念ながらたいへん乏しいということでございまして、それはどういうことからそうなってくるのか、私どもは大いに外務員というものの士気を鼓舞いたしまして、待遇もよくするということで努力をいたしておりますけれども、何といいますか、これはそういうことがあってはいけませんけれども、外回りの仕事はやはり一般の人にいやがられるというような傾向がありますのでしょうか、おっしゃいますような実情に相なっております。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは、実情に対する認識をあなたのほうは十分しておられると思うのだけれども、いずれにいたしましても、雨の降る中を郵便物を自転車で配達するというような現状があるわけなんです。そういったところへ年末にアルバイトに行くというようなのもやはり生徒、学生などの選択の対象といたしましては好ましいものではないということは、ちょっと常識で考えてもわかるのです。そういうこともありまするので、いずれにいたしまして、現在の手不足、遅配の原因あるいはそういう処遇の関係、あるいはこれが機械化がおくれておるというような事情等々は、やはり総合いたしまして急拠相当力こぶを入れて改めていくというふうにしなければ、郵便事業というものは、最後には行き詰まってしまいはしないだろうかというようなことも考えられます。ですから、何千万になるのか存じませんけれども、とにかく滞貨というものが社会生活を混乱させるということもお考えいただきたいのであります。したがって、この重要な郵便事業につきましては、いま申しました一、二の点だけを例示したにすぎませんけれども、ひとつ、うんとがんばってもらいたいのです。詳しくは、また実例をあげて次の機会にお尋ねします。  ですから、あなたのほうでいまの点について、もし何か資料がございましたら——ただいまの処遇の状況とか、あるいは希望者をつのっても応募者が少ないとか、その辺についての割合とか、他と比較した状況とか、いずれにいたしましても、いま言った障害の問題を明らかにするような資料があったら、ひとつ委員会へ出していただきたい。お願いしておきます。
  35. 竹下一記

    ○竹下政府委員 お求めの資料、調製いたしまして提出いたします。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうぞお願いいたします。  電電の方、一点だけお願いします。  百万台の電話増設の件、これは四十七年ですか完成すると聞いておりましたけれども、電話というものは、日常もっともっと活用される場がふえてくるような状況らしいのであります。そこで、電話増設につきまして計画があったようでございますが、この四十七年までに百万台増設を実現するという計画は、予定どおり進行しておるのかどうか、この辺を伺っておきます。
  37. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  現在、第四次五カ年計画を進めておりまして、第四次五カ年計画におきましては九百三十万の加入電話をつけるということで進んでおりました。しかし、最近電話の申し込みが非常に多くなってまいりましたので、それにおこたえする意味におきまして、百万個増設ということをいたしました。結局九百三十万の計画を千三十万に第四次五カ年計画においてふやすことにいたしました。四十五年度予算におきましては百八十五万個の加入電話をつけるという計画でありましたが、それに対しまして、いま政府のほうで予算を出していただいておりますが、電電公社の原案におきまして二百十万個つける、すなわち二十五万個、従来の計画よりもふやすということで進んでおりまして、幾らかその方向につきまして進めておる次第でございます。
  38. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 けっこうです。  次に、文部省の方見えていますね。——これは何年来の懸案でございまして、もう解決せねばならぬ段階に来ておりますが、教育制度運用の実態につきまして、特に私は初等教育の重要性を考えますので、これらの点につきまして二、三点を伺ってみたい、こう思うのであります。  そこで第一は、就学前の年齢の児童に対する教育の問題ですが、これは幼稚園教育であります。幼稚園教育につきましては七年計画ですか、これが進んでいると思いますが、予定どおりに計画の目標が実現しつつあるのかどうかという点、先にそれから伺っておきます。
  39. 西岡武夫

    西岡政府委員 幼稚園教育につきまして、御指摘のとおり七カ年計画を実施してまいりまして、四十五年度がその最終年度でございます。そこで、最終年度予算を御承認いただきますれば当初の目的でございます、六三・五%のカバーをできるという見通しでございます。
  40. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現状は、もっと率が上がらぬということで、実績は少ないのじゃないですか。そうじゃなかったですか。
  41. 宮地茂

    ○宮地政府委員 ただいま政務次官が申されましたが、私ども、四十五年度が、一応当初計画いたしました七年計画の最後の年でございます。したがいまして、四十四年度でまだあと一年残っておりますが、今日までのところ、当初予定いたしました六三・五%に対しまして五六%でございまして、あと七%ばかりでございますが、四十五年度におきまして一応の目標を達成すべく、あと四十五年度一年間で努力したい、こういうふうに考えております。
  42. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 幼稚園教育を思いますときに、児童に対する保育事業ですね、この関連は相当重視すべきじゃないかと思います。もちろんこれは、背景といたしましては、保育は即家庭教育につながってまいります。ですから、家庭の教育の場と、それから保育事業の場と、幼稚園教育の場と、この三者が総合されまして、一体的な観察のもとに幼稚園教育を完成していくということが大事であって、これがばらばらになりましたら、そこに非常に大きな亀裂を生じ、あとの小学教育あるいは初等教育に大きな影響を与えるような素因をつくるのじゃないか、こう思いますので、この三者の関係を総合調整しながら幼稚園教育を全うする、こういうことはいかにお考えですか。
  43. 西岡武夫

    西岡政府委員 全くお説のとおりでございます。そのように努力いたしてまいりたいと思っております。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 幼稚園教育につきまして、これは義務制にしてはどうかという意見も出ておるようでございますが、義務制にするのは適当かどうか、まだ議論の余地があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、小学校の教育との関連性が乏しいという面、これはやはり保育事業との関連の問題の一つの発展ではないかと思うのですが、そういう点から、義務制にしてはどうかという議論が相当出ておるようでございますが、そういう方向へ検討は進めるのだろうか、こういう点はいかがですか。
  45. 西岡武夫

    西岡政府委員 幼稚園の義務制の問題につきましては、ただいま中教審で鋭意御検討をいただいているわけでございますが、文部省といたしましても、これと並行いたしまして、確かに御指摘のとおりいろいろ議論の多い問題でございますので、義務制と申しましても、幼稚園を独立させて義務制にするのか、あるいは満五歳から小学校の一年生にするのか、そういうふうな議論の分かれているところでございますので、各方面の御意見を承りながら、文部省としても十分検討を続けていきたいと考えているわけでございます。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 教育の根本的な一つの問題は、国民が憲法二十六条によりましてひとしく教育を受ける権利を持っておりまするので、これを全うするということが大原則になるのじゃないだろうか、こういう点。それから、これを受けまして子女を保護する人、つまり父兄ですね、父兄が子女に対して普通教育を受けさせるべき義務を持っている、これが二つ目の柱。次に三番目の柱といたしましては、義務教育につきましては無償とする、これは国の義務教育に対する憲法上の大原則です。この三者を全うすることが、未来の日本を背負っていくべき青少年に対する教育の基本姿勢であろう、こう思うのであります。そういう点について幾多の疑問があり、また問題点があると思うのです。こういう一、二点を指摘いたしまして、私はずっと詳しくはまた別の機会にしますけれども、二、三の点をきょうは伺ってみたい、こう思うのであります。  そこで、いまの幼稚園教育をまず取り上げたいのですが、幼稚園教育にいたしましても、幼稚園というものが、これは過疎、過密の地域格差を受ける影響はかなり大きいのじゃないか、こう思うのであります。幼稚園が義務制でないために、児童の数は任意である。したがって、家庭において余裕のない人は入れない、余裕がありましても、たいして教育の効果がないようなところには入れない、こういうような事情もあろうかと思います。これは過疎、過密の断層からくるのだろうと思います。児童教育の施設につきまして、過疎、過密の断層が相当あるのじゃないだろうか。たとえば教師、教職者を求めるにいたしましても、過疎地域におきましては財政能力は非常に弱い、過密地域におきましては時期におくれてしまう、あるいは団地をつくっていこうとしましても教育施設が乏しい、土地を入手しようといたしましても敷地はブローカーが暗躍いたしましてなかなか入手はできない、こういういろいろ支障があるようであります。こういう人的、物的施設についても、過疎、過密の点から見るだけでも、この幼稚園教育についても、相当教育の機会均等を奪ってくるような気がするのであります。こういう点は、抜本的に大きな柱を立てましてこれを全うするということは、政府の憲法上の大責任であります。その辺、幼稚園一つ見ましても、ある幼稚園の教師の処遇と施設状況、それから教育の実情、教育の効果の状況等々は、非常に大きな格差ができておると思います。これは根本的に解消する義務があると思います。この点はどうでございますか。
  47. 西岡武夫

    西岡政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、幼児教育につきましては、今後とも文部省といたしまして強力に推進をしていかなければならない大きな問題であるというふうに認識をいたしております。  ただ問題は、先ほどもお話を申し上げましたとおり、学校教育全体にからみまして、教育制度をどうするかという一つの転換期に来ておりますので、そういった問題も含めて、ここ一、二年十分検討を続けて、将来の方向を見出していきたいと考えておる次第でございます。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 自治省に伺いますが、自治省にいたしましても、過疎、過密対策は、財政面からも相当重視してきておられることはもちろんでございます。そこで、教育面にあらわれました過疎、過密の断層が、国民の重大な権利を侵害しつつあるような現状を黙視はできないのではないか。それならば、たとえば交付税の交付にあたりましても、教育に対する財源の補給というものは特に考える必要があるのではないだろうか。一体、教育費というものをどのようにお考えになっておられるのだろうか。その前提といたしまして、各地方公共団体における教育費の占めるウエートはどうなのか、位置づけはどうされているのか。教育費が足りない、足りないために財源が乏しい、だから幼稚園その他の施設ができない。国庫補助等はございます。分担はございますけれども、もともと力のないところでありますから施設はできない、こういうことになってくるのではないか。さっき指摘しておりましたように、人間の問題でございます。人の問題でも、処遇が劣悪でございますので、よい人が得られない、こういうことになるわけでございます。  自治省のお立場といたしまして、財政の指導監督の面から見まして、あるいは交付税の配分の問題にいたしましても非常に大事な課題である、こう考えますが、どういうふうにつかんでおられますか。
  49. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 地方財政の中で教育費が占めるウエートは非常に高いわけでございます。府県、市町村ともに教育費のウエートは、各費目の中で最も高い比率を占めておるということは事実でございます。  特に最近におきまして、過密地域における施設の問題、あるいは過疎地域における施設の問題というものが、教育行政上も非常に 大きい問題となっておるのにかんがみまして、特に過密地域におきましては、校舎あるいは用地等の経費が一時的に相当多額に計上されてきておるというようなことを考えまして、本年度から義務教育施設等につきましては、その経費の見積もり方を、経常経費と投資的経費というものに分けまして、いわば交付税計算上における地方団体の財政需要額を、いわゆる動態的な把握をしてまいりたい、そして事業の実態に応ずるような交付税の配分をいたしたい、こういうことで、市町村につきましては、義務教育費につきまして事業費補正というものを導入いたしたわけでございます。これによりまして、過密地域におけるいわゆる校舎建築あるいは用地費の財政需要というものを、十分にこれによって措置することによりまして、過密地域におきましてはそうした校舎建築等に支障のないように措置してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  また、過疎地域におきましては、学校統合等によりまして、どうしても生徒の遠距離通学というものが出てまいります。そうした遠距離通学等に要するスクールバスでありますとか、あるいは寄宿舎の設備でありますとかいったようなものの財政需要が十分に見積られますように、数値急減補正というような形で、そうした学校統合に対応するような通学諸経費というものについて十分実態を反映するような方式を導入したような次第であります。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 義務教育費につきましてはわかるのですが、さっき問題にしておりました一つは、義務教育以前の段階の、就学前の教育の問題、たとえば幼稚園、あるいは厚生省側に属する保育事業、これもやはり義務教育の前の段階といたしまして、これは親の立場から見ましたなら、非常に重要な教育並びに保育施設なんです。こういう方面につきまして義務教育と同じような扱い方をするのが筋じゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  51. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 現在の幼稚園の施設につきましては、義務教育施設とはやや違った扱いにならざるを得ないということは、御承知のとおりでございます。まだ、幼稚園の施設についての国の補助制度なりといったようなものにつきましても、十分な整備が行なわれておりませんし、また交付税上の計算におきましても、義務教育の経費との見方は、必ずしも十分な取り扱いがなされているというふうには考えておりません。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵省の立場は、主計局の立場としまして、財政編成の見地から見まして、国の財源の配分につきまして、教育費のウエートは、初等教育もしくは義務教育以前の段階における教育制度、そういったものが非常に密度の高い、かつまた行き届いた施策が必要であるということは十分御承知と思うのであります。だから、こういう方面に対しまして、財政配分の大きな見地から見まして、私は相当これは優遇していくべきでないか、こういうふうに見るのですが、どういうふうな見方をしておられるのか。いまのところ、自治省にしましても、交付税の配分にしても、財政需要額の算定にいたしましても、特別に幼稚園保育事業などを考えておらぬらしい。しかし、これは当然検討してしかるべきであって、もしくは当然同列に扱うべきであると思うのですが、大蔵省の見地から見まして、どういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。義務教育もあわせてやってください。
  53. 藤井直樹

    ○藤井説明員 現在の文部省予算の面から見ますと、やはり初等中等教育の面が一番多く金額が計上されております。これは義務教育国庫負担という形で、教育の機会均等、それから水準の維持向上という面から、現在計上されております額が文部省予算の約半額程度でございます。そのほか、公立学校、私学等をはじめとする高等教育の面につきましても相当額が計上されております。  いまお話しの幼稚園教育の問題につきましては、就学前の教育の重要性ということはよくわかるのでございますが、現在の義務教育というもの、それから高等教育というものと並べて見た場合には、やはり現在、財政的にはそれほど負担をするという形にはなっておりません。しかしながら、その中にありましても、先ほど御質問のありました幼稚園の七カ年計画というものがありまして、就園率は六三・五%にするという計画をもって進んでまいっておるわけでございます。四十五年におきましては、全体として、公立幼稚園の施設とか私立幼稚園の施設、それから公立、私立の園具等の設備、そういったものの補助金を計上いたしまして、昨年に対しては約三割程度の増加になるかと思いますけれども、それによりまして、就園率を先ほどの六三・五%という数字に近づけるように努力をいたしておるわけであります。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大学問題からながめた日本の財政のあり方、ないしは血税のむだ使いというものをいろいろ考えましたときに、やはりこういう機会に、初等中等教育もしくは義務教育以前の段階における教育、保育の施設とかいったものに、財政の見地から根本的な再検討を加えるという必要があるんではないだろうかと考えるのであります。でありまするので、同等に扱っておらぬという、それもいままでのこれはわかりますけれども、重要な課題といたしまして急拠再検討してしかるべきであろう、こう思うのです。別の機会にまた大蔵省と論議はいたしますけれども、やはりいまのおつかみ方は、幼稚園七カ年計画に対応せんとするそれはわかりますけれども、やはり大蔵省自身はもっと前向きの姿勢で、本来の独立の立場に立ちまして財源の配分ということをお考えになってしかるべきだ、こう思うのであります。  そこで、これらに関連するのでありますが、特殊教育の問題でございます。これは文部省、それから大蔵省も自治省も全部同じであります。これは身体障害者などの問題などがからんでくるのでありますが、身体障害者などの児童に対しまして、これはやはり相当重視して教育機関を整備しなければいくまい、指導施設、教育の内容等は準備して臨んでいかなければいくまいと思うのでありますが、いまのところ、やはりこの種の特殊教育につきましては非常に不備であることは免れないのであります。これもやはり幼稚園教育ないしは初等教育と同じような角度からも考え、また特殊教育という別の要因からも考えまして、私は、特殊教育に対しまして十分な施設があってしかるべきではないだろうか、教育が行なわれてしかるべきではないだろうか、こういうふうに思うのですが、文部省の全般的なお考え方をちょっと伺っておきたい。
  55. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の特殊教育の問題については、現在の文部省といたしましても、かかえております重大な問題の一つであるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  そこで具体的には、四十五年度予算でお願いを申し上げているわけでございますが、特殊教育総合研究所の設置という、日本におきましては初めての画期的な計画を、文部省といたしまして計画をいたしまして、この予算を御承認いただければ、直ちに第一期工事に着手するという段取りになっているわけでございます。これは、昭和四十六年の秋に一部これを使用できるというふうな形で、できるだけ早くこの機能を生かしていけるようにしたいということで、現在努力を続けているわけでございます。具体的には、たとえば特殊教育の学校の就学奨励の補助金、これも四十五年度予算で御審議をお願いいたしております。新規対象として幼稚部の学用品の購入等のものを入れる、そういうふうな個々の具体的なきめのこまかい施策を順次行なっていきたいと考えておるわけでございます。
  56. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特殊教育の財政負担は、これは大蔵省方面になお御意見を伺っておいたらいいのですが、これは一体教育費というような考え方で出しておるのだろうか、一種の社会保障の経費というようなつかみ方をするのだろうか、どちらが主になるのか。社会保障的な性格を持った教育費、こういうふうに考えるのだろうかどうか。この点は、文部省としても、ないしは大蔵省としてもどういうふうにお考えになっておりますか。
  57. 西岡武夫

    西岡政府委員 文部省といたしましては、教育費ということでこれをとらえていく考えでございます。
  58. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵省のほうはどうですか。
  59. 藤井直樹

    ○藤井説明員 現在、特殊教育の中には、父兄の負担の軽減という意味での就学奨励費が含まれております。それがやや社会保障的なものになるかと思いますけれども、全般としてはやはり教育費というふうに考えております。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 普通の教育費にあらずして、大きな見地から見まして、福祉国家実現の過程を考えてみましても、交通災害がだんだんと頻発するような状況から考えましても、この社会保障の見地からぐっと抱いていくということでなければ、万全を期することは不可能だと考えております。  これらに関連いたしまして、リハビリテーションのことについて触れていきたいと思うのでありますが、一体、この児童、ないしは成人も含めましょうが、根本的に文部省の見地からしましても、また厚生省の立場からいたしましても、心身障害者に対する補装具であるとか、あるいはこれに対するいろいろな機械であるとか、あるいはその他の施設、そういったもの等につきまして相当調査研究をしていかねばならぬのじゃないだろうか。たとえば六歳の子供が交通事故で腕を取られた、足を一本取られた場合、六歳の子供は年々伸びていくわけでありますから、同じような義手義足をはめておりましても、五十歳の人と違いますからとても間尺に合わぬ。こういうことをやっておっても企業として企業性はない、こういうことでありますと、やはり社会保障的にどうしてもそういうものを、逐次発達する肉体に沿うようなものにつくってやらなければならない、こういう問題もございますし、いろいろな角度から、時期を失すると社会復帰は不可能になるようなものもあるようでありますから、この特殊教育と関連いたしまして、心身障害者に対する社会復帰を目ざして、そうして施設なり教育なり、根本的な学術的な調査研究なりについて、厚生省のほうも文部省も、根本的な研究といたしましたら大学等を通じまして、言うならば、両方とも総合的に打って一丸となって調査研究をし施設をしていかなければならぬのじゃないかと見ておるのです。ここに初めて特殊教育を全うし、両全を期することが非常に大きな課題である、こういうふうに見るのですが、この点につきまして、文部省はどういうふうに考えておりますか。文部省のつかみ方、厚生省の対策、お互いの関連はどういうふうになっておりましょうか。
  61. 宮地茂

    ○宮地政府委員 いまのお尋ねでございますが、直接、義手義足といったようなものは、一応文部省としては特に対象にいたしませんが、学校におきましてのいろいろ心身障害児の教育でございますので、機能訓練設備であるとか、一般の小、中学校にない、また一般の小、中学校では必要としないような特殊教育につきましての特殊な設備については、学校設備としては十分用意をと申しては語弊がございますが、逐年充実いたしております。それから、特にいま先生がおっしゃいますものと直接結びつきませんが、とりわけ重度の障害児あるいは重複障害児、こういったような子供につきましてはいろいろ現在でもなされておりますが、なお一そうこれを医学的な面も考えまして研究する必要もございます。先ほど政務次官が御答弁いたしました久里浜に特殊教育の総合研究所ができますれば、そこで十分研究機能を充実して研究もしたい、こういうふうに考えております。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 初中局長さんのほうの所管事項でないかもしれませんが、やはりこれは学問的に相当深く研究していくということも必要ではないだろうかと考えております。なるほど施設も若干あちらこちらにあるのもわかりますけれども、やはり肉体ですから、肉体は時期を失しましたら回復不可能なことになりますし、また、適切な処置を講じていくということになりましたら、同じような普通人としての活動が社会的にもできるわけですから、学問的に研究調査の機関が必要ではないだろうか。これは大学学術局の仕事になるかもしれませんが、私は先年、前の局長にちょっとお聞きしたことがありますが、それは手をつけておらぬでしょうか。文部省は全体といたしまして学問的に科学的に調査研究するというふうになことが必要ではないだろうか。そうして施設におきましては、厚生省と横の連絡をとって、総合的に行政措置を講じていくというふうにあってしかるべきではないか。大学に付置するか、研究所に付置するか、国立病院等に付置するか、地方でやろうとすれば地方に対して援助するとか、また自治省も別に考えなければならぬ点でありますが、国、地方をあげましてこの問題に対処するという姿勢が大切であります。私は大学学術局に属するのではないかと思いますが、文部省は全体としてどうお考えになりますか。
  63. 西岡武夫

    西岡政府委員 ただいま初中局長からお答え申し上げましたが、重ねて申し上げますが、文部省としては、特殊教育研究所におきまして、そういったいろいろな研究をしていきたい。ただ、義手義足の問題につきましては、厚生省の所管として御検討いただきたいということでございます。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 別な機会に聞きますが、アメリカあたりにおきましては、ニューヨーク大学あたりの大学でもやはり専門に研究しております。日本では文部省が特殊な施設、研究調査をなさいますけれども、人も施設も要りますし、何年もの実績を積んでいかないといけません。だから、世界の水準から見まして非常に劣っているわけです。ことに東南アジア地域の未開発地域につきましても、平和外交上の関係から見ましても、こういう問題は、もっと積極的な全体の姿勢で進んでいかなければならぬと思いますが、これは別の機会にいたしましょう。  せっかく厚生省が見えておりますから厚生省にちょっと伺いますが、厚生省も、少年は児童家庭局のほうで、成人のほうは更生課でありましたか、やはり教育施設、研究調査は相互関連のあることでありますので、厚生省の面から見ましても非常に重視すべきことではないかと思います。現在におけるこれらの施設、あるいは厚生省の立場からする調査というもの、それから教育機関との関連、社会保障的な面からするつかまえ方はどういうふうにになっておりますか、これをひとつ御説明お願います。
  65. 山縣習作

    ○山縣説明員 先ほどお示しになりました義手の関係でございますが、これは国立の身障センター等におきまして従来から研究を重ねておりましたが、特に四十四年度予算におきまして、研究部門を設けることの予算がつきまして、現在研究機関を設置中でございます。四十五年度予算がお認め願えますれば、四十五年度から発足することになっているわけであります。  なお、全般的な問題でございますが、身体障害者の今後のリハビリテーション等の研究開発につましては、昭和四十一年に身体障害者の福祉に関する答申をいただいておりますが、最近の諸情勢にかんがみまして、特に昨年の十一月に再諮問いたしまして国立の身体障害者関係の機関のあり方等についても、現在審議していただいておるという状況でございます。
  66. 西岡武夫

    西岡政府委員 先ほどのお答えに補足をいたしますが、特殊研究では、義手義足という問題にまで手が及ばないと思います。しかし、現実問題といたしまして、すでに各大学におきまして、御指摘のような学問的な見地から義手義足の研究というものは相当進められている、その予算も研究助成という形で支出をされております。  具体的に申し上げますと、たとえば熊本大学の医学部におきまして電子義手の作製に関する研究、あるいは徳島大学の医学部におきます動力義手義足に関する研究、こういうものが行なわれ、文部省といたしましては、これに対して研究に対する助成という予算を組んでやっておるわけでございます。
  67. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これで終わりますが、御要望申し上げておきます。  徳島、熊本で研究していることは存じております。しかし、これはきわめて部分的なんです。そういった部分的なことで、研究者の手も足らず、施設も十分にあらず、したがって、アメリカあたりの調査研究の相当進んでおるのと比較しまして、こんな違いがあるのです。そこで、文部省といたしましては、この問題の重要性にかんがみまして、もっと大きく取り上げましてこれは進んでいただいたらどうかというのが私の姿勢なんですから、別の機会に文部大臣によく申し上げまして聞きたいと思いますが、御要望申し上げまして、また、ひとつ、ともにこれは進めていくように協力していただきたい、こう考えております。  きょうはこれで終わります。
  68. 濱野清吾

    濱野委員長 華山委員。     〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  69. 華山親義

    ○華山委員 委員長にちょっとお取り計らいを願っておきたいと思います。  昨年、特殊法人の役員の名簿を決算委員会から要求いたしまして提出してもらっておりますので、本年もこの点については委員長においてお取り計らいをお願いいたしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
  70. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 了承しました。
  71. 華山親義

    ○華山委員 文部省にお聞きいたしますけれども、この会計検査院の報告を見ますというと、いろいろな意味におきまして学校法人に対する補助金についての不当事項が見受けられます。学校法人につきまして、いわゆる私立の学校につきまして、会計検査院はこれは徹底的にお調べになっていらっしゃいますか。あるいは、お調べになるのに不便な点が多いというふうになことの感触を持っておりますか。会計検査院にお伺いいたしたいと思います。
  72. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃることは、大学その他全部含めてのことでございましょうか。——直接私立の学校を検査するという立場ではございませんけれども、政府出資法人である私学振興会というようなものから融資されておる、あるいは文部省補助金という立場でありますと、そういう面では相当検査をいたしております。
  73. 華山親義

    ○華山委員 その際には、学校法人、そういうものに出された補助金の範囲でやるのであって、これと関連する部分も多いと思われますけれども、その学校の会計という全般的なものについては何ら関心を払われないわけでございますか。
  74. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 私立の学校へ参りました場合には、補助金に関する会計ということでございますけれども、その関連においては拝見さしていただいております。補助金の経理に関連する面につきまして、相当程度拝見いたしております。
  75. 華山親義

    ○華山委員 名前を言ってもいいと思いますけれども、日大等におきます紛争も、その原因の発端におきましては、経理上のいろいろな問題から起きているようでありますけれども、そういう面までは会計検査院としてはタッチする範囲ではない、こういうふうにも考えられますが、そうでございましょうね。
  76. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 やはりおのずから限界があると存じます。やはり補助金に関連する面で拝見するよりほかいたし方ない、こういうふうに思います。
  77. 華山親義

    ○華山委員 今度の予算で、大学等の人件費についても文部省補助をされる、予算をつけられたということでございますが、さようでございますか。
  78. 西岡武夫

    西岡政府委員 そうでございます。
  79. 華山親義

    ○華山委員 この予算の立て方は、各大学の人件費の実績をもとにしておやりになるのか、あるいは、単価を定めて各大学の教員数等によってお出しになるのか、どういうふうになっておりますか。
  80. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いまの予算の積算といたしまして、本教員一人当たりの単価を定めまして、具体的に申し上げますと、文科系の短大におきましては約十七万円、それから理科系の大学院のございますところでは六十九万円というのが最高、最低でございますが、そういうふうに単価をきめまして、配分も、したがいましてそういう単価を基礎にいたしまして配分をしていく、具体的な使い方につきましては、大学のある程度自主的な判断にまかせようというふうな考えでございます。
  81. 華山親義

    ○華山委員 実績によらないで、単価と教員数によって原則としては各大学に補助する、こういうことでございますね。
  82. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 配分につきましては、まだ具体的にきめておりませんけれども、大体先生の御趣旨のような方向でやりたいというふうに考えております。
  83. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、いままでのようにいろいろな設備等についての補助のほかに、今度は人件費についても各大学の検査というものを会計検査院は——文部省はもとよりでございますけれども、おやりにならなければいかぬ、こういうふうになことになります。そういたしますと、大学の人件費全般について会計検査院検査しなければいけない、文部省検査しなければいけない、こういうふうになりますが、そういうふうな場合に、大学の独立とか自立とか、そういうことには、私立大学でもございますし、特に内容に立ち入るというふうな心配は文部省ではございませんか。その点についてはどういうふうに解釈いたしますか。
  84. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問の点が非常に重要な問題であると考えております。しかし、今回の人件費補助の問題をめぐりまして、今国会に私学振興財団法という法律の御審議をお願いする予定でございますが、この財団が実際には配分の事務をやる、こういうことで自主的な運営を大学のほうにやってもらうというのがたてまえでございます。これは、各大学が社会的にその責任を果たしていくという、自主的な行動をしてもらうということをたてまえとして今度の助成という問題も考えられたわけでございます。ただ、経理の問題につきましては、これは国民の税金を配分するわけでございますから、やはり厳正な経理面での処置はやらなければいけない。これは公認会計士等の監査を要する等、そういうふうな手を打っていかなければならない問題で、ちょっとことばは適切かわかりませんけれども、政経分離と申しますか、そういうふうな形で、経済的な経理の問題と学問と切り離してこの問題はお考えいただいてけっこうである、かように思うのであります。
  85. 華山親義

    ○華山委員 いま財団と言われたが、これは何か特殊法人にでもなりますか。新しく特殊法人でも設けられるわけですか。
  86. 西岡武夫

    西岡政府委員 特殊法人という形でお願いを申し上げております。
  87. 華山親義

    ○華山委員 新しく、ということですか。
  88. 西岡武夫

    西岡政府委員 そうでございます。これは現在ございます私学振興会を発展的に解消して、財団ということでお願いを申し上げたい、そういう考え方でございます。
  89. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、会計検査院検査は、このような特殊法人の検査だけで済むのか、大学の実地について検査もなさるのか、どうでございますか。
  90. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  御質問の点でございますけれども、何ぶん昭和四十五年度以降のことでございまして、私といたしましてまだちょっとわからない点もあるのでございますけれども、文部省補助金が、今度できます私立学校振興財団でございますか、これを経由して学校に交付されるということになりますと、これは間接補助ということになるわけでございますが、その場合に、文部検査課がございます私ども二局でこれを担当するか、あるいはこの財団を担当する部局で担当するか、そういうことさえもまだわからない段階でございます。  なお、それにさかのぼって申し上げますと、そういう補助金につきまして、個々の大学にどの程度まで参りまして検査いたすかという点につきましても、なお今後検討する問題であろうか、こう存じております。
  91. 華山親義

    ○華山委員 この不当事項というのにも出ておりますけれども、私立大学理科等教育設備整備補助というものが学校法人高松学園に出ておりまして、この検査の結果、不当であるといってここに指摘してある。こういうふうな、いままでもありました理科等教育設備整備事業補助というのは、これは、いままでは文部省がその学校に直接出していたのか、あるいは私学振興会のほうを通じて出しておられたのですか、どちらでございますか。
  92. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 直接出しておりました。これは、今度人件費を含みます新しい経常費の補助金ができます場合には、その中に取り入れて、いままでのものはなくすというふうな計画でございます。     〔高橋(清)委員長代理退席、委員長着席〕 いままでは二分の一というふうな補助率等もございまして、したがいまして、半分はその学校のほうで持っていただかないと、この持ち方が少なければそれが不正になるというふうな形になったわけでございますが、今度は、その使い方をもう少し弾力的に、理科の補助金も含めまして、経常費全般につきまして、たとえば人件費、教育費、研究費というものの相互間ではある程度融通をつけ合って使えるように、弾力的な使用ができるようなことを考えております。
  93. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院は、筋といたしまして、そういうふうな特殊法人から補助を受けたものについては検査をする権能を持っておりますね。
  94. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 院法第二十三条の規定に基づきまして指定をいたしますればできる、こういうふうに考えております。
  95. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、指定をするかしないかの問題ですね。
  96. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 そういうことになると存じます。
  97. 華山親義

    ○華山委員 それで、指定をするかしないかは、まだ局長限りでは御返事は申しかねる……。
  98. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 そういうふうに考えます。
  99. 華山親義

    ○華山委員 これは私は検査すべきだと思いますよ。まあ多くの学校について私、言いませんけれども、今度の大学紛争につきましても、いろいろな原因もあったと思いますが、大学の会計のおかしなことから出てきているということもございますし、会計検査院は、大学自体を正しいものだといった前提のもとに立たれることは、私は問題だと思います。ただ一つ、そういうふうなことで会計検査院が大学の教育というものに立ち入る限度、経理検査するために大学の教育の自主性というものを阻害するかどうかという見解から私は判断さるべき問題だと思いますけれども、この点につきましては、なお会計検査院長等に今後伺う機会があると思いますので、よく方針を立てていただきたい。いまのうちに方針を立てませんと、文部省の交付のしかたも違ってくると思う。その点、ひとつお含みおきを願いたいと思います。
  100. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 ただいまの先生の御趣旨は、上司によく報告いたしまして、今後しかるべき措置がとられるように申し上げたい、そういうふうに思います。
  101. 華山親義

    ○華山委員 宗教学校といわれるような状態でございますけれども、宗教団体が学校を経営するといいますか、そのときに他の法人——学校法人になりますか、この関係は現在どんなふうになっておりますか。
  102. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いまのところ、大学につきましては、これは学校法人がやるということになっております。それから幼稚園につきましては宗教法人もやれるというふうな形になっております。
  103. 華山親義

    ○華山委員 ほかの高等学校等はどうですか。
  104. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 高等学校以上の、高等学校、高等専門学校、短期大学、大学と、小学校、中学校、これにつきましては学校法人がやる、それから幼稚園につきましては宗教法人がやる余地が残されております。
  105. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、宗教法人は学校の経営はできない、こういうたてまえでいられるわけでございますか。
  106. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いま申し上げましたように、幼稚園についてだけ宗教法人ができるという余地は残されております。その他のものにつきましては、これは学校法人がやる、学校法人以外にはできないということでございます。
  107. 華山親義

    ○華山委員 その問題は、私は憲法の問題を常々気にしているのでございますけれども、これは皆さま方のほうがよく御存じのとおり、憲法におきましては、宗教団体等の組織については国が公の金を使ってはいけないということが書いてあるわけですね。それが前段であって、後段に、公の支配に属しない教育、そういうものについては公の金を使ってはいけない、こう書いてある。そういたしますと、学校法人といものは、これは公の支配に属するもの、そういうふうに解釈——まあ法律もあるわけでありますから、私は解釈されてもいいと思うのです。ですから、そこに補助金が出るということもあると思いますけれども、実際問題として私は、ここに前段の宗教団体と学校法人と混浴を来たしているのじゃないだろうかと思います。明瞭に、ある大学は宗教団体の学校だというふうなことであって、宗教団体というものが一つの特別のものとしての法人格を与えた学校法人をつくっているのじゃないか。その間に密接な関係がある、あるいは支配関係にあるかもしれぬ、そういうふうなことで、文部省も、この宗教の学校等につきまして、宗教団体と学校法人とは厳格に区別できる、そういうふうにお考えですか。あるいはそういうふうに指導していらっしゃいますか。そういうふうなことについて、補助等を与えられる場合に、よく調査をされた上でなすっていらっしゃいますか。どちらですか。
  108. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 御指摘のように、現実の問題といたしましては、特定の宗教的な団体が学校を経営するというふうな形になる場合もございますけれども、実際には宗教法人と学校法人とはこれは別でございまして、学校法人の中に宗教法人の関係者がお入りになることは、これはございますが、私どものほうの指導といたしましては、両方を区別するという意味で、できるだけ第三者を役員の中に入れる、そういうふうな方向で両方を区別していくべきじゃないかという考えを持っております。
  109. 華山親義

    ○華山委員 まあ高等学校程度、あるいは大学等によっては、学校の中に教会等を持っている学校もある。礼拝をなさる学校もあるように私は聞いているわけです。したがって、そこに学校法人というものと宗教団体の混淆があるのじゃないか。今後補助金を与えるという範囲が次第に大きくなると思いますので、この憲法の精神からいって、きびしくこれは区分していく、学校法人の役員とかそういうふうな中に宗教法人の人が入らないようにというふうなこと等もよく研究されないと、私は憲法の問題が起きてくると思いますので、その点は気をつけていただきたい。そういたしますると、検査の面でも、あるいは私たちといたしましても、こういうところに公の金を使ったじゃないか、憲法第八十九条の違反じゃないかというふうな問題も起こしかねないと思いますし、会計検査院もまたその点は気をつけてもらわないといけない。憲法上の問題でございますから、あらかじめ、その点についての混淆を来たさないように、ひとつ文部省会計検査院に希望しておきたい、こう私は思うわけであります。  それから、ちょっと伺いますが、この四十二年度検査報告の中で一四〇というのがございます。白河市の何か小学校の屋内運動場の新設に対するもの、これはどういうふうな内容でございますか。これは事務当局からひとつ——会計検査院でもよろしゅうございます。内容をもう少し詳細に、あまり簡単でわかりませんので……。
  110. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは白河市の第二小学校におきまして屋内運動場の新築をいたしました場合に、二階のギャラリー分百十平方メートルを建物の面積に、もし加算いたしましたならば単価が下がる、ところが、その二階のギャラリー分百十平方メートルを加算しなかったために単価が高くなった。それから、全体の屋内運動場の補助対象の面積が、実際の実施の面積がこえておったものでございますから、その中に二階のギャラリー分を入れるか入れないかで補助の単価が違ってくる。ちょっとむずかしいあれでございますけれども、要するに百なら百という資格面積があるのに百十を建てた、ところが、安い部分を除外しまして、その安い部分は十である、高い部分が百であるというふうな計算をいたしますと、補助金の額が多くなるわけでございます。ところが、高い部分が残りの十だというふうに見ますと、安い部分が資格の中に入ってくるというふうなことになりますと補助単価が下がるわけでございます。そういうことで、結局補助金の行き過ぎであるというふうな御指摘を受けまして、補助金の交付済み額が七百十八万一千円、実際に補助すべき額が六百四十三万円、差額の七十五万一千円は超過交付であるというふうな御指摘を受けまして、これはまあ事務の手違いであったわけでございますが、そういうふうないきさつでございます。
  111. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、体育館のギャラリーということは、二階にこうなっている、みんなが見る部分ですか、あの部分を面積に入れたか入れないかという、こういう問題ですか。
  112. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 そのようでございます。
  113. 華山親義

    ○華山委員 こまかいですけれども、体育館の単価の計算をする場合には、ギャラリーというものはあるものとして単価を計算してあるのか、そんなものはないのだということで、ただ平べったいところとして計算していらっしゃるのか。もしもギャラリーというものはないのだということが常識的だということでどうということになると、最近の体育館の建築とは違うのですね。単価が低過ぎるのじゃないか。どうなんですかね。
  114. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 常識的に考えますと先生のような御意見もあろうと思いますが、ただいまの私どもの基準の中には、そういうものを一応含めて計算をするというぐあいになっておりますので、検査院の御指摘がございました場合には、やはりそういうものを含めて計算しなければいかぬというふうに従来考えております。
  115. 華山親義

    ○華山委員 御指摘のあった場合は、というようなことはちょっとおかしいですね。御指摘のない場合はそういうことでいいのだ、こういうように聞こえますけれども、まあきょうはあげ足をとるようなことは言いませんけれども、私は、まあおっしゃるとすればそのとおりかもしれませんが、何か酷のような気がするのですよ。それは学校の建築単価というものが低い。建築単価が低いから、どうしたってその三分の一の補助では間に合わない、持ち出しがある、超過負担になる。はなはだしくなりますというと、まあ白河あたりでもそうだと思いますが、ああいうところにいきますと、PTAとか地区とかの寄付金でこれを補っている、こういうのが私は実態だと思うのですね。何かここに酷な面があるような気も私はいたしますけれども、もう六、七年前から私たちは超過負担の解消ということを言い続けてまいりまして、だんだん少なくはなってきているようですが、最近の状況、どうですか。
  116. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 超過負担につきましては、三年ほど前から文部省といたしましても重点施策の一つとして取り上げまして、逐次改善をはかってまいっておりますけれども、最近の例を具体的に申し上げたいと思いますが、昭和三十九年におきましては、鉄筋コンクリート造につきましては、一平方メートル当たり二万一千九百三十一円、これを逐年改善をいたしまして、昭和四十五年度予算につきましては三万二千九百円、三十九年から申しますと、毎年六・九%、八・七%、四・一%、六・三%、一〇・二%、四・一%、昭和四十五年は八・六%、そういう割合で伸びてまいっております。
  117. 華山親義

    ○華山委員 建築費の実勢から見ますと、伸び方は少ないのじゃないですか。
  118. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 毎年実績との開きを私どものほうで調査をいたしておりますけれども、ただいま申し上げました鉄筋コンクリート造につきましては、昭和三十九年が、予算に比べまして実績が一〇七・二という数字でございまして、七・二%上回っておったわけでございます。単価の改善をそれ以後続けてまいりまして、昭和四十三年までの実績しか出ておりませんが、昭和四十三年には一〇〇%、ちょうど実績と予算単価が合ったという非常に珍しい形になっております。しかしながら、その年には鉄骨造は一〇六・〇、それから木造は一一三・三ということで、これは実勢に比べましてまだ予算単価が低いという結果になっておりますが、それを基礎にいたしまして、四十四年では鉄骨を七・五%、それから木造は一一・六%というふうに引き上げの幅を大きくしております。そういうふうにいたしまして、いささかあとから追っかけるようなかっこうになりますから、その年度の単価と完全に一致するというのはなかなかむずかしゅうございますけれども、そういう努力は重ねてまいっておる次第でございます。
  119. 華山親義

    ○華山委員 それで、さらに一歩を進めて、先ほどいみじくもおっしゃいましたけれども、現在ギャラリーのない体育館というふうなものは——ギャラリーなんかつくるのはぜいたくだといえば、ぜいたくなのかもしれませんが、ギャラリーのない体育館というものはちょっと考えられないことでありますし、それから実際問題といたしましても、たとえば廊下がない学校とか玄関のない学校とか、いろいろなことが、私実際は知りませんけれども、市町村等に行きますとあるわけですね。そうすると、それに対しまして、どうしてもそれに設計を増していかなければいけない、こういうふうな実態もありますし、教育が次第に進歩いたしますと、建物も一つの施設なんですから、だんだん施設という面につきましても改善していっていただきたい、こういうことを希望いたしておきますが、その後どうでしょうか、できておりますか。その点については最近の傾向はどうですか。
  120. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ただいまたいへん御理解あるお話でございましたが、私ども、そういうふうな御意見を基礎にいたしまして、実施の上で弾力のある取り扱いをしたいということでございますが、現在でも特別の場合には二〇%程度の幅を持たせまして実際に運用いたしております。ただいまの白河の問題につきましても、これは検査院と十分話をいたしまして、今後のこともございますので、今後の取り扱いにつきましては検討いたしたいというふうに考えております。
  121. 華山親義

    ○華山委員 結論的に伺いますが、いまの白河の学校については、これは同情すべきものなんでしょうか、非難すべきものなんでしょうか。どうお考えですか、文部省は。
  122. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 その実施の当時に私、ちょうど担当しておりませんで恐縮でございますが、ただいまの心境を申し上げますと、同情してもよろしいのではないかという感じがいたします。
  123. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院は同情ばかりしていられないでしょうけれども、私も、何かこういう問題は少し幅があった解釈、ものの考え方をなさってもいいと思うのですが、どうです、会計検査院は。
  124. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 多少文部当局の御見解と異なるのではないかという点がございますので、ちょっと御説明申し上げます。  ギャラリーの問題でございますけれども、これは建設費の二千二百八十二万円、こういうものの中にギャラリーの百十平方メートルの工事費が含まれていたわけでございますけれども、これを除外した、こういうわけでございます。  このギャラリーを入れるか入れないかという点でもございますけれど、これは、この根拠法でございます義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づきまして、政令なり規則なり、またその下に細目があるわけでございますが、その細目によりまして、文部当局のほうで、幅一・八二メートル未満のギャラリーにつきましては算入しないということになっておりますけれども、本件の場合は、幅が五・四八メートルで長さが二十メートル、こういう大きなギャラリーでございますので、当然建設費の中に入れるべきものを落とした、落としたために、実施単価が二万四千二百七十二円であるところが補助単価二万七千円になっておる、そのために私どものほうで批難した、こういう状況でございます。
  125. 華山親義

    ○華山委員 この問題について、文部省がどうの会計検査院がどうのと言っておりますと時間もかかりますし、ここではこの程度にいたしておきます。  たいへん時間が過ぎまして申しわけありません。郵政省にちょっとお聞きしたい。  私が許される時間ももうあまりございませんので簡単に伺いますけれども、いままでの決算、それから本年度予算、その計数等は、時間がありませんから、いまここで申しませんし、おっしゃっていただかなくてもいいと思いますが、傾向として、郵政特別会計は悪化の傾向にありませんか。悪くなっておりませんか。
  126. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問のように、四十二年度決算当時は、郵政事業特別会計は相当黒字を示しておりましたが、ついに四十五年度予算を編成するにあたりましては、収入支出におきまして、百三十三億、歳出歳入をオーバーするという予算を組まざるを得なくなった、おっしゃいますように、こういうように悪化の傾向をたどっております。
  127. 華山親義

    ○華山委員 また郵便料金値上げに結びつきますかね。
  128. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 いままで財政が悪化いたしました場合にとりました処置は、過去におきまして、四十年度に、ちょうど四十五年度と同様に、持ち越し現金というもので過去の蓄積を出しまして予算を組んだことがございます。そして、四十一年度にいろいろ検討していただいた結果、料金値上げをしていただいたことがございます。  今後の問題になりますと、四十五年度は一応そういった形で予算が組めましたが、私どもの会計は主として人件費でございまして、そのうちの大部分が、仲裁裁定がどのように出るかということによって、収支が悪化したり、あるいはとんとんになったりということでございます。はたして四十五年度及び四十六年度においてどの程度のベースアップがあるか、そういったものの関連において、四十六年度以降何らかの財政措置をしていただかなければいかぬのではないかと思います。  財政措置といたしましては、一般的に考えられますように、一般会計からの補てんという方法もございますし、四十一年度において行なわれましたように、料金改定によってその赤字を解消する、この二つの方法があろうかと思いますが、その辺になりますと、相当高度な政治的なものになりますので、ちょっと差し控えさしていただきます。
  129. 華山親義

    ○華山委員 郵便局の現場を見ますと、局長は郵政特別会計ばかりでなくて、いろいろなほかの特別会計の仕事をみな扱っていらっしゃいますね。それから、郵便局員も、分担がありましょうけれども、そういうふうにやっていらっしゃる。貯金の仕事をやっていらっしゃる人もあるし、また年金の仕事をやっていらっしゃる人もある。そういうふうな人件費の区分はどうしてやっていらっしゃるのでしょう。
  130. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 一応郵便局の仕事は、いまおっしゃいましたように、郵便、それから為替、貯金関係、保険、年金の関係、それから電電から委託されております電気通信関係というふうに分かれております。そして、会計的には一応、郵便局で行なわれている経費等は郵政事業特別会計という会計一本でやっております。ただ、その財源として、郵便については郵便業務収入で見ておりますが、貯金につきましては貯金特別会計というのがございまして、そこから必要な経費郵政事業特別会計歳入に入れます。同じように、保険につきましては保険特別会計から繰り入れます。電気通信につきましても、委託費として繰り入れます。そして、郵政事業歳出につきましては、一本にしてそれぞれの事業に必要な経費を出すということにしておりますので、郵便局における、いわゆる経費支出というものは、郵政特別会計一本という形には一応なっております。ただ、予算でもってそういうふうに繰り入れてもらうためにはどれだけ経費が必要かということで、内部でいわゆる事業別分計というものを、いろいろ調査をしながら一応そういうものを計算して、そしてそれぞれのところにツケを回すといいますか、回してそれぞれの会計から繰り入れていただく、こういうシステムをとっております。
  131. 華山親義

    ○華山委員長 体的に伺いますけれども、郵便局長というのは全部仕事をやっていらっしゃる、郵便局長の給料はどういうふうに分けていらっしゃるのでしょうか。
  132. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵便局長——同じように庶務、会計等で共通のものがありますが、これらの経費は、それぞれの事業、郵便、貯金、保険というように、普通局で言いますと郵便課、貯金課というふうに課でもって判然と分かれているもので、そういった分計比をもってそれぞれの共通関係のものの分担を分計し直す、こういう方法をとっております。郵便局長としてもらうのは、本人はただ俸給でもって何級何号ということできまっておりますが、それぞれの事業別分計比、そのもとのほうの職員の直接にかかった経費の比率と申しますか、そういった比率でもって管理及び共通関係を分計する、こういう方法をとっております。
  133. 華山親義

    ○華山委員 郵便局に参りますと、たとえば保険課とか、いろいろな課がありますね。そういうところで人件費を幾ら使っておるか、そういうふうな割合によって、たとえば仕事が庶務とか会計とか、そういう管理部門はその割合で分担している、こういうことでございますね。
  134. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 そのようになっております。
  135. 華山親義

    ○華山委員 それで、今度の検査院の報告でございますけれども、、これはちょっとひどいようですね。十年間もわからなかったというのですが、十年間わからなくてとうとうわかったんですけれども、これは郵政省の監察事務でわかったんですか、会計検査院でわかったんですか。
  136. 中根敬一

    ○中根説明員 お答え申し上げます。  わかりましたのは、考査の際に発覚しましたものでございます。お話しの件は、野母崎の犯罪のことかと思いますが、考査の際に発見いたしました。
  137. 華山親義

    ○華山委員 どうして十年間もわからなかったものなんですか、継続した犯罪のようですが。
  138. 中根敬一

    ○中根説明員 お話しの犯罪は、昭和三十三年の一月から昭和四十二年の十一月まで継続した事件でございまして、おっしゃるとおり相当長期にわたった事案でございます。  その犯罪内容といたしましたものは、定額貯金、通常貯金等による犯罪でございますが、これは非常に特殊な形をとったという点が認められまして、その点で犯罪の発覚もおくれたものと考えられます。と申しますのは、犯罪を犯しました当人のおります職場は……
  139. 華山親義

    ○華山委員 きのうも承りましたし、時間がありませんから簡単に、ただ議事録にとどめておく程度でよろしゅうございます。
  140. 中根敬一

    ○中根説明員 相手といたしました者が、高齢の者とか、あるいは出かせぎの者とか、あるいは身体障害者とか、そういう者、ないしその家族のところを回りまして貯金をとりまして、その通帳ないし証書によりまして犯罪を犯しました関係上、なかなか発覚しづらかった点があると思うわけでございます。
  141. 華山親義

    ○華山委員 そうなると、人が多くかかって困るとおっしゃるのだろうと思いますから、その辺のかげんはむずかしいと思いますが、銀行に参りますと、一人の人が金を受け取って通帳に記入して通帳を返してよこすというようなことはないと思うのですが、とにかく郵便局におきましては、人数の少ないせいもありましょうが、一人の人が金を受け取って通帳に記入して返してよこす、それを一人の人がやっている。これを二人の人でやるということも小さな郵便局なんかではたいへんだと思いますが、そういうところに犯罪ができる温床があるのではないでしょうか。
  142. 中根敬一

    ○中根説明員 おっしゃるとおりな状況に照らしまして、防犯対策といたしましては、窓口における扱いを現金主任と事務主任に分離する、それから監査事務を適切、厳正に励行する、それから、この局におきますように、管理者の指導監督が不十分な点がございましたので、防犯対策といたしましては、その点を十分に執行してやっていく、なお、取り扱い方法自体につきましては、たとえば元利金通知制度というのがございますが、これを厳重に執行していって効果をあげたい、それからなお定額貯金につきましては、あいさつ状という形式でその真否を確かめる、あるいはいなか等でどうしても通帳を扱わなければいかぬような場合があります場合には、それを原則として禁止しておるわけでございますが、その場合には一定の方式、厳正なる方式を定めておりますが、その方式に基づきまして誤りのないように取り扱ってまいる、あるいは印章保管について厳重に注意し、かつまた監査も行っていくというふうな方法等、業務の監督上あるいは監査上あるいは取り扱い方法等々につきまして、またその執行されました事務につきましてあとで監査する方法につきましても、あいさつ状とか元利金通知制度その他をもちまして、一そう厳重に励行していくというふうに配慮しておる次第でございますし、また、なお私どもの考査の際におきましても、そういった点につきまして一そう厳正に見てまいる。特に管理者の指導あるいはその担務の変更の関係、執務のチェックの関係等につきまして、中間管理者の指導を一そう配意するように、考査の方針といたしましても作成しておるような次第でございます。今後この種の事件の絶滅を期してまいりたいと思っておる次第でございます。
  143. 華山親義

    ○華山委員 あなたは監査の立場からおっしゃいますけれども、私は、仕事それ自体の中で発生しないような事務の分掌のやり方とか、何か仕事のやり方とか、そういうことでできると思いますし、このごろ郵便貯金では窓口で何か機械でやっておりますね、いままでは記入だったやつを。しろうとですからよくわかりませんけれども、あれを使えば一日の合計が私はできると思うのです。そうすると、一日のできた合計とその窓口で扱ったところの現金と合わせれば、今度のような問題は未然に防げたんじゃないか、こんなふうに思いますが、どうなんですか。あの機械というのは、そんなふうにまで役立つのではなくて、ただ印刷機の一部なんですか。
  144. 中根敬一

    ○中根説明員 おっしゃるとおり、四十二年に窓口会計機を導入しまして以来、この種の犯罪の防遏遇にたいへん効果をあげておるようでございます。それから、時間の関係上、断片的で恐縮でございまして、言い落としも多々ございますが、それに関連しまして、定額貯金につきましては、予刷制度というものをつくりまして四十年の二月から実施しておるわけでございますが、これは貯金通帳に金額が印刷してございます。この制度を実施しましてから、当野母崎郵便局における定額貯金犯罪は防遏されてございます。そのとき以来犯罪をやっておらないという点がございます。さらに、おっしゃるとおり、窓口会計機の配備によりまして、その点、一そう防犯の実をあげることができると考えておる次第でございます。
  145. 華山親義

    ○華山委員 裁判の結果は、この人はどういう刑法上の実刑があったんですか。
  146. 中根敬一

    ○中根説明員 懲役三年の刑でございます。
  147. 華山親義

    ○華山委員 執行猶予なし。
  148. 中根敬一

    ○中根説明員 なしでございます。
  149. 華山親義

    ○華山委員 それだけの犯罪者を郵政部内から出したということについては、やはり反省されたほうがいいと私は思うのです。  それから、これは申し上げるまでもありませんけれども、預金者とか保険者とか、そういう人には実害はございませんね。
  150. 中根敬一

    ○中根説明員 お答え申し上げます。所定の手続により賠償しておりますので、実害ございません。
  151. 華山親義

    ○華山委員 委員長、終わります。
  152. 濱野清吾

    濱野委員長 高橋君。
  153. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 郵政省関係、おそくまでお待ちいただきまして、時間も相当経過しておりますのでごく簡潔にお尋ねしたいと思いますから、要領のよい御答弁を承りたいと存じます。  郵務事業が国民の生活と直接きわめて密着性が強いということについては、御案内のとおりであります。したがいまして、時々刻々いろんな郵政事業の面から出てまいりまする事象等についても、新聞等も相当関心を持って報道もし、また、省当局につきましてもいろいろお尋ねする場面が多かろうと思うのであります。  いまから三年半前でありますけれども、昭和四十一年七月に、料金の改定を含みましたいわゆる郵便法の改正が行なわれたのでありますが、この当時、いろいろ省としては企画された面も多かろうと思うわけであります。概括的にお尋ねするわけでありますが、この郵便料金改定の当時におきまする目的とされたものが、はたしてうまくいっているかどうかということに関連いたしまして、二、三の質問を申し上げたいと思うのでございます。  一番初めには、郵便局舎のことについてでありますが、何にいたしましても局舎が事業運営の中心でありますし、そのよしあし、すなわち効率的であるかそうでないかということについては、直接業務運営に影響するところきわめて大きいばかりでなく、急速ないわゆる都市化の進展に伴いまして、その建設ということも非常に急を要するものがあると思われるのでございます。したがいまして、一年、二年とはいわれない。考えておったものよりも、もう急速に、三年後にはなあという程度の予想も一年後にやってきたというような思わざる事態と申しますか、それほどのいわゆる都市化の急激な勢いのおもむくところという場面が出てこようと思うわけであります。郵便局舎の第二次計画でありますけれども、これは四十一年度から四十五年にわたります問のことでございます。この第二次計画について見ますと、特定局はまあまあという状態でございまするが、普通局の建設におきましては、計画にその当時ございましたのは四百九局でありまするけれども、これに対し実績は二百十六局くらいになっているそうであります。この原因は何かということになりますると、なるほど地価の高騰等もあり、建築費の高くなったというようなことがすべて原因とも思われるのでありまするけれども、この数字面から見ましても、きわめて低調そのものであるという印象は免れないのでございます。したがいまして、そのために業務に支障を与えなかったかどうかというようなことにつきまして、お伺いしたいのでござまいす。まずその一つの点についてお答えいただきたいと思います。
  154. 竹下一記

    ○竹下政府委員 お答えいたします。  第二次五カ年計画のことにつきましては御指摘のとおりでございまして、当初予定しておりました局数四百九局が、実際には二百十六局にとどまるということでございまして、その理由は、一つは土地の値上がり、建築単価の値上がりということもございますが、もう一つの最大のものは、長期計画の中身を若干修正したところがございます。と申しますことは、当初予定しておりました一局当たりの面積を若干広げようじゃないかという考えが出てまいりまして、その方向で進みますと勢い局数が少なくなるというわけでございます。つまり、一局当たりの面積を広げた結果、局数としては落ちたということに相なっております。ただし、所要面積を比較いたしますると、当初七十四万平米ばかりのものを計画として立てておったのですが、実行といたしましては六十五万平米を確保できそうでございますので、面積で申しますると九〇%の確保ができるというわけで、このほうから見ますると、この第二次長期計画はかなりいい成績で終わりそうであると思います。もちろん業務運行の上から見ますると、もっとよけいの局数を建て、もう少しよけいの面積を確保する必要はあろうかと思いますが、まずまずのところであろうと思います。
  155. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 二番目でありまするが、御案内のとおり、郵便事業というのは、いうところの国の独占事業でございます。独占事業であるがゆえに、その反面、またこれが運行については、その事業の遂行につきましては罰則規定が設けられているわけであります。罰則規定を設けるということは効率的な面を多く持ちたい、すべてがスムーズにまいるようにということが根本原因であろうと思うのでありまするが、しかし、最近の新聞の投書欄等に掲載されますところによりますと、郵便の遅配が原因となりまして一いろいろな例を申し上げるのでありまするが、まず第一に通信教育に支障を受けた、あるいは重要な会合に間に合いませんでした、あるいは小包の内容物が変質しておりました、また、新車の発表会に招待客が来なかったというようなことが、よく苦情として見受けられるのです。これらのことは最近の例に限るのであって、ずっと前々にはこういう事象はなかったわいということでなくして、やはり前にもこういうような場面が多くあっただろうということを私は記憶しているのでありますが、要は、依然としてあとを断たないという姿でございます。したがいまして、利用者側に立ちました場合、やはりそこに何がしかの損害を受けておるわけでございますが、郵便法上から観察いたしますると、損害賠償は書留に限られておるわけでありまして、書留以外の場合におきましては、すべて泣き寝入りをせざるを得ない状態であるわけでございます。  したがいまして、私、先ほど申しましたように、これは独占事業であるという観点からいたしましても、遅配ということについては絶対避けてもらわなきゃならない。ひっきょうするに、国民から信頼される業務運営すべきであると思うのでございます。もちろん、迅速、正確を期するということであらねばなりませんが、この面から考えました場合、どのような運営を目下おとりいただいておるか、また、将来、企画として別途こういう仕組みがあるわいというような、自信にあふるるものをお持ちでございますなら、お伺いしたいのでございます。
  156. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵便の遅配でございますが、これは全国的な問題でなくして、やはり一部の現象のように思われるわけでございます。一部の現象と申しましても、影響するところは非常に大きいわけでございまして、気をつけなきゃいけないと思うのでございます。  遅配の原因ですが、これは大体二つの原因がございまして、一つは、東京等におきまする都市の膨張に伴う、過密現象に伴う遅配でありまして、世帯人口がふえると郵便物数が急激にふえていく、それに対しまして、郵便局舎が狭くなる、郵便局そのものの数が足りなくなる、あるいは従業員が得られなくなるという雇用難の問題がございます。それから交通事情が悪くなるとか、最近では住居表示の変更をいたしておりますが、それがまだ完了しないとか、こういったような事情が重なり合いまして遅配となって出てくる場合がございますが、これに対しましては、要員措置、局舎措置等を迅速にいたしまして、遅配がないように措置をいたさなきゃならないと考えておりまして、懸命に努力をいたしております。ただ、若干時間的に間に合わなかったりするものですから、遅配となってあらわれるところがあるわけでございます。  もう一つは、そういう事情でございませんで、あるいはそういう事情があった上に、なおもう一つの事情といたしまして出てまいりますのは、荒れた職場という問題がございます。荒れた職場におきましては職員の能率がきわめて悪い、意識的に能率を低下しておる人、あるいは集団がおる、そういう場合には、管理者が注意をして正常の服務をするように命ずるわけですが、なかなか言うことを聞かない。そういうところでは、いわゆる職制に対する反発というか、反抗という姿が慢性化してきておるというようなことで、これは管理者としても、そういうことがあってはいけませんので、十分努力はいたしておるのでございますけれども、いかんせん、相手方の質がよくないという局におきましては職場秩序が乱れる、全体的に能率ダウンになる。最近の新聞等に出ました杉並局の場合はそういう事例でございますけれども、そういう場合に遅配を来たすというわけでございます。これに対しましては、もうほかには手はございませんので、職場規律を回復するために、それ一本にしぼりまして、いろいろな対策を講じなければならないということでやっておるわけでございます。
  157. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 後段お述べになりましたことにつきましては、三番目にお尋ねする事項を終わりましたあとで、また少し詳細にお尋ねするわけでございますが、三番目にお尋ねいたしますことは、先ほど吉田委員からも質問がありましたことに対し、あなたのほうでお答えになりましたことに結論づけられるわけでありますけれども、郵便作業機械化が出てきたわけであります。いうところの郵便番号制度であります。  これは御案内のとおり四十三年の七月に実施されたものでありますが、この番号の記載率であります。四十五年一月末のデータでありますけれども、切手におきまして七八・二%、別納、後納につきましては六四・二%となっております。別納、後納という大口のほうが悪いようであります。料金の別納、後納につきましては、郵便規則に、差し出しの際受け取り人の住所の郵便番号ごとに分けて出させることができると定めているわけでありますが、極力この面の勧奨と申しますか、奨励と申しますか、省におかれましても今後御努力をいただきたいと思うのでございます。これにつきましてお考えを伺いたい。
  158. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵便番号の記載につきまして、別納、後納郵便物の記載率が非常に低いという御指摘で、ございまして、そのとおりでございますが、一昨年の七月に発足いたしました当時に比べますと、別納、後納の記載率もだいぶ上がってきており、当時三〇%程度であったものが六十数%でございますから、だいぶよくなってはきているということでございます。ただいま御指摘ございましたように、番号を記入してブロックに区分をして差し出しますると報奨金が出る制度がございますから、それを極力活用してもらうように勧奨をいたさなければならぬと思っております。大口の利用者でございますから、今後なおその方々に、番号記載について一そうの御協力をお願いするという方向で努力したいと思います。
  159. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 小さいことでちょっとお尋ねしたいのです。こういうことを質問の中に入れてどうかと、実は正直に考えますと思うわけでありますが、ごろと申しますか、呼び名と申しますか、私は先ほど別納、ゴ納と申しました。あなたはそのお答えにおいてコウ納と申されました。正式にはどちらがよいのでしょう。調査室はゴ納だと申しておりますが、お尋ねいたしたい。
  160. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵政省では、もう何十年となくコウ納と申しております。
  161. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 どうもおそれ入りました。——調査室、いいですね。  先ほど局長さんのほうで私の質問に対して具体的な引例があったのでありますが、その杉並局のことについてでございます。これは毎日新聞におきましては今月の四日であります。朝日新聞におきましては今月の三日付であります。相当の見出しで出ておるわけでありますし、特に朝日につきましては、「滞貨の山」と称しまして、紛争の場の強い印象づけの写真が出ておるわけであります。この姿を見まして、あなたも先ほどお述べになりましたけれども、これほどの激しい紛争の場が——局長と局員との間の問題がそうであるかと断定されていいかどうかわからないけれども、ともあれ、そういう遠因、近因によりまして、いろいろな感情的なもつれ、あるいはそれ以外の大きい問題が原因であるか私はわかりませんけれども、こういう姿が出ておること自体、皆さま方に先ほど冒頭申し上げましたように、非常に遅配の原因となっておる。あなたもそれに対して、こういう姿があるのですよ、全部ではないけれども、局面においてはこういうことがあるのですよというようなことをお述べになったのでありますけれども、そういうような事象というのは、近年におきましてもあまり数多くはないと私は思うのであります。この杉並の局の姿というのは、最近におきまする非常に顕著なあらわれだというような気がしてならぬので、私にいたしましてもどうもおもしろくない感情が伝わりますとともに、この結果が出たということに対して非常に理解しがたい面もございます。  御案内のとおり、郵便法七十九条によりますと、郵便の業務に従事する者が、ことさらに郵便の取り扱いをせず、またはこれを遅延させた場合、罰せられることになっておるのでありますが、ことさらに遅延さすということはどういうことでございますか。その内容、またもう一つ、これは付随的でございますが、この真相はさほどのことでないのをことさらに写真版に出したと思うのでありますけれども、一面の写真の部分だけでありますが、よく見ますと、東京郵政局員が一人の郵便局員に対して二名ずつそばで監視して仕事をさせておるようであるということが報告されておるのであります。そんなことをしなければ能率があがらぬわい、仕事ができぬわいということでございますれば、もうたいへんなことでございます。先ほどお述べになりましたような面も多かろうと思うのでありまするけれども、この際でございます、あと質問いたしませんから、実情につきまして、ある程度時間をかけていただいて、遠慮なく速記録にとどめてください。
  162. 中田正一

    ○中田政府委員 杉並郵便局の問題につきましては、先ほど一応事例を掲げて説明されたとおりでありますが、いろいろの経過をたどってきております。  数年前から問題の局として対処しておったところでありますけれども、特に昨年の夏ごろから、業務の運行の改善をはかるために、職場規律等の維持をはかるというようなことで局管理者が大いに努力をしてまいったところであります。これに対しまして、職員、組合のほうが反発いたしまして、昨年の秋から年末にかけまして、特に十一月の中ごろ以降、全逓が時間外労働協約というものを中央において締結しておりますが、これを切った、未締結にした際に、杉並の郵便局においては特に激しい闘争を行ないまして、積極的に、郵便物をためようではないか、郵便物をおくらせるというような指導をしたわけであります。その結果、十一月の末から十二月の初めにかけて相当の郵便物の滞留を生じまして、国民の方々に迷惑をかけたという遺憾な事態が生じたわけであります。  これに対しまして郵政省といたしましては、年明けてことしの一月の十四日に、その責任を追及したわけでございます。解雇一人を含めまして、十七人に対して行政処分を行なうという措置をとりました。この処分を契機に、またまた組合のほうは反発、抗議の闘争を強めるということで、一月の下旬から二月の初めにかけて、郵便物の滞留が増加したというような状況であったわけであります。したがいまして、郵政省といたしましては、さらにこれに対するということで、東京郵政局から一月の末に若干の職員を派遣いたしまして、郵便局改善を応援するという措置をとったわけであります。  先ほど御指摘のように、新聞にいろいろ報ぜられるところがありましたけれども、こういった事態は必ずしも好ましい状況ではないと思います。しかし、そういう措置をとらざるを得ないというような事態が杉並の郵便局にはあったことは、先ほど来の御説明によっても御了解いただけると思います。  したがいまして、当局といたしましてはもっぱら業務改善をはかる、職場規律を維持するというような観点から指導に当たっておるというわけでありまして、一部に報ぜられるような、いわゆる監視的なとか強制的なというようなことを意図しておるわけじゃ毛頭ございません。もっぱら早く職場秩序の回復をはかって業務の正常運行をはかる、国民の方々に適正なサービスを申し上げるという観点から措置をしておるわけでございます。  こういうことの結果、二月の十二日に至りまして、組合のほうと杉並の郵便局の場合におきましても時間外労働協定が締結されまして、事態は平静に向かってまいりました。ただいまのところ、大体郵便物処理も正常に戻りつつあるという状況でございます。
  163. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 事態は正常に戻りつつある。戻りつつあるということで、まだ解決したとはいわれないのですか。そのことをひとつ。
  164. 中田正一

    ○中田政府委員 組織的な闘争というような点は、ただいま申しましたように平常に復しつつあるわけでありますけれども、職員の中の能率の低い者、こういう者の仕事というものは、まだ完全に戻っておりません。したがいまして、そういった低能率の者につきましては、引き続いて指導を重ねまして、能率をもう少しあげるように、いろいろの方法を講じまして現在指導を継続中でございます。そういう面では、解決とか、すべてが終わったと言うには、まだまだほど遠いものがございます。
  165. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 先ほどるるお述べになりました、いわゆる事犯と申しましょうが、それに対する罰則適用、そして処分発表という場面になったわけでございます。普通私ども常識的に考えまして、処分発表になるということは、たいがいもういろんな事象、紛争の場面が終ったわいという時点において処分発表という、そういった処置をおとりになることが常識のような気がするのですが、その間、どうですか。
  166. 中田正一

    ○中田政府委員 一月十四日の処分というものは、昨年の十一月の末から十二月初めへかけての事態に対する責任追及ということであったわけでございます。ところが、先ほど申しましたように、その処分を契機に、その処分に抗議して、また新しい闘争が一月の中ごろから巻き起こったということでありまして、そういった事態に対しては、さらに現在いろいろ調査中でございまして、一定の段階におきまして、またあらためて責任の所在を明らかにしなければならぬというふうに思っております。
  167. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 杉並局の場合につきましては、きわめて強い桎梏と申しますか、原因がどのようでございましょうとも、根深いものを持っておるような気がしてならぬのでありますが、しかし、冒頭申し上げましたように、一般庶民にきわめて密接な業務遂行である、一番勘どころの、投書欄におきましてもこうこうこういうような事象が出ておりますよと、るる申し上げたようなことは、どうか郵便の遅配のないようにということをこいねがえばこそでございます。にもかかわらず、いまのような杉並局、これはお話しございましたように、全国的におしなべてではもちろんございません。ほんの一部にすぎないのでございましょうけれども、一局にすぎないような事象が新聞に喧伝せられるということ自体が、何としても郵政省の威信にもかかわるような気がしてならぬのであります。特にこうした面については、ここ二、三年は私は見受けはせぬのであります。やはり断固として強い処置を求めなければならぬという場合においては、遠慮なくおやりになったらどうですか。  ほかの例で申し上げてどうかと思いますが、文部省の大学問題にいたしましてもそうです。一番、やむを得ないわい、この事象に対してはこれ以外にないわいなと思ったならば、国会でもって思い切ったことをどんどんおやりになる。やはり反応が出てきたじゃありませんか。あれだけの挙に出たればこそ、この程度の進行ぶりなんだ。もう紛争校も少のうなったということで非常に国民も喜んでおる。関係者は、特に私は安んじておる方が多かろうと思います。郵政省につきましては、特に一般の方にたいへんな御迷惑をおかけるするわけであります。一部の人たちはがまんもできましょうけれども、郵便の遅配ということは大きなことであります。一日違いでもって自殺をする人だって私はあり得ると思うのであります。あの手紙が一日早く到着しておりさえすれば、あの方は自殺しなくてもよかったというような郵便内容、人生の営みの中において、非常に貴重なものを含むものもあるだろうと思います。そうした面におきまして、私は、郵便の遅配ということについて、特にそれについて協力するような者がありましたならば、断々固として処罰してもらいたいと思うのであります。そういうことで新聞報道もありましたゆえんもございますので、ざっくばらんのことで、私は私的感情を露骨にする面もありますけれども、もっと皆さま方の御奮起をお願いしたいと思うわけでございます。  十二月の選挙が終わりまして、十二月、いろいろ郵便の遅配を、特にこの組合でございますか、郵便局に従事しております連中は、賃上げ闘争にかこつけ、一つの手段方法として闘争の場が出てくるわけでございますけれども、十二月選挙があった。私の耳に相当数多く入っておりますことは、たとえば、よしあしは別にいたしましても、それぞれ立候補者は事務所開きをいたします。事務所開きの案内を出します。それを特に故意に遅延させる。事務所開きが終わったあとで、二、三日後にようやく到着する実例を数多く知っております。それはすなわち、やはり別の意図を持ちました悪らつな——郵便遅配の手をとった別のねらいを持ちました組合連中の悪らつな手段であると申し上げてよかろうと思うのであります。私は、選挙にあたりまして、これは一例でしかないのでありますけれども、事務所開きに多く来るというようなことは、立候補者にとりましては、かなえの軽重にも影響するのでございます。そればかりではなくして、やはりこれは皆さん方、選挙に関係ございませんからおわかりにならないかもしれませんが、立候補者の側にとりましても事務所開きが一つの契機になって、これから一緒にやりましょうということで意気軒高の場面を持ちたい。それについて数多くの皆さん方に集まっていただきたい。それは、その場面がうまくいくかどうかによって当落に影響がきわめて大きいのであります。ということを考えました場合、この事務所開きの案内状が全然到着しないわい、にわかに電話でもってだだっと、何時でございます、場所はこうでございますというようなことを連絡しながら事務所開きをやらなければならぬというようなことは、もってのほかだと思うのであります。それも三日前に出しておるはがきが到着せぬのであります。これは悪らつな、遅配を故意に導き出そうとする他候補のたくらみであると申し上げてよかろうと私は思うのであります。これは全部が全部各候補者に適用されるものではございませんですけれども、この杉並の例をとりましても相当滞貨がある。特に、毎日新聞等におきましては四万五千通であるというようなことを発表しておりますだけに、これらのことが全国的に、杉並がやっておるのだから、われわれの局だってたまにはやろうやということで、組合幹部を刺激するというようなことがあってはたいへんなことだと思うのであります。  そうした意味におきましてもお尋ねもし、今後の御処置、そういう強い態度に、ときには出なければならぬわいということで、御勉強いただきたいと思うのであります。遠慮なくやっていただきたいと私は思うのであります。これは何組合であろうと幹部でありましょうとも、高姿勢でぶつかってもらいたい、これだけはお願いしたいのです。抽象的なことでけっこうでございます。せっかく政務次官においでいただきましたので、その点についてお答えいただきたいと思います。
  168. 小渕恵三

    小渕政府委員 先生御指摘の点につきましては、最後の問題につきましては十二分に調査をいたしまして、さようなことのないように善処したいと思います。  なお、杉並の問題をあげての御指摘につきましては、郵政事業の推進のためには、なお一そう綱紀を粛正し、事に当たっては信賞必罰をもって対処し、国民に期待される事業の推進をはかってまいりたいと思います。
  169. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 これで終わりますが、郵政省の皆さん、おそくまで御苦労さんでした。
  170. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十九分散会