運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-05-11 第63回国会 衆議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十一日(月曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 田中 榮一君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 田中 六助君 理事 永田 亮一君    理事 山田 久就君 理事 戸叶 里子君    理事 大久保直彦君 理事 曽祢  益君       石井  一君    木村武千代君       鯨岡 兵輔君    中山 正暉君       福田 篤泰君    村田敬次郎君       山口 敏夫君    豊永  光君       松本 七郎君    中川 嘉美君       樋上 新一君    不破 哲三君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省条約局長 井川 克一君         大蔵省主税局長 細見  卓君  委員外出席者         外務省アジア局         外務参事官   金沢 正雄君         外務省アジア局         北東アジア課長 伊達 宗起君         外務省欧亜局西         欧第一課長   武藤 利昭君         外務省中近東ア         フリカ局アフリ         カ課長     羽澄 光彦君         外務省経済協力         局経済協力第一         課長      小村 康一君         外務省条約局外         務参事官    山崎 敏夫君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ————————————— 五月十一日  理事曽祢益君同月八日委員辞任につき、その補  欠として曽祢益君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府マレイシア政  府との間の協定締結について承認を求めるの  件(条約第五号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国政府オランダ王国政府との間の条  約の締結について承認を求めるの件(条約第九  号)(参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国ザンビア共和国との間の条約の締  結について承認を求めるの件(条約第一〇号)  (参議院送付)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国大韓民国との間の  条約締結について承認を求めるの件(条約第  一一号)(参議院送付)  請 願  一 世界連邦建設の決議に関する請願田中六助   君紹介)(第一七三八号)  二 同(別川悠紀夫君紹介)(第一七三九号)  三 同(勝澤芳雄紹介)(第一八一一号)  四 日米安全保障条約廃棄等に関する請願青柳   盛雄君外二名紹介)(第二二三二号)  五 中国渡航制限撤廃に関する請願堂森芳夫   君紹介(第二二三三号)  六 同(松本七郎紹介)(第二二三四号)  七 同(山本幸一紹介)(第二二三五号)  八 同(戸叶里子紹介)(第三一二四号)  九 同外十九件(下平正一紹介)(第三五二四号)  一〇 同外十九件(下平正一紹介)(第三六三八   号)  一一 同(土井たか子紹介)(第三六三九号)  一二 同外四十九件(三宅正一紹介)(第三六四   〇号)  一三 同(安井吉典紹介)(第三六四一号)  一四 同外十九件(下平正一紹介)(第三七二四   号)  一五 同外四十九件(三宅正一紹介)(第三七二   五号)  一六 同外十九件(下平正一紹介)(第三八〇九   号)  一七 同外十九件(下平正一紹介)(第三九一九   号)  一八 同(中嶋英夫紹介)(第三九二〇号)  一九 同外十九件(下平正一紹介)(第四〇三七   号)  二〇 同外十九件(下平正一紹介)(第四六〇四   号)  二一 同外十九件(下平正一紹介)(第四八二一   号)  二二 同(小林進紹介)(第五〇二七号)  二三 同外十九件(下平正一紹介)(第五〇二八   号)  二四 外十九件(下平正一紹介)(第五二三二号)  二五 同外十九件(下平正一紹介)(第五四八三   号)  二六 同外十三件(下平正一紹介)(第五六四四   号)  二七 日米安全保障条約廃棄等に関する請願外二     件(美濃政市紹介)(第六〇一八号)  二八 同(美濃政市紹介)(第六二七二号)  二九 同(美濃政市紹介)(第六五四〇号)  三〇 同(青柳盛雄紹介)(第六八四三号)  三一 同(浦井洋紹介)(第六八四四号)  三二 同(小林政子紹介)(第六八四五号)  三三 同(田代文久紹介)(第六八四六号)  三四 同(谷口善太郎紹介)(第六八四七号)  三五 同(津川武一紹介)(第六八四八号)  三六 同(寺前巖紹介)(第六八四九号)  三七 同(土橋一吉紹介)(第六八五〇号)  三八 同(林百郎君紹介)(第六八五一号)  三九 同(東中光雄紹介)(第六八五二号)  四〇 同(不破哲三紹介)(第六八五三号)  四一 同(松本善明紹介)(第六八五四号)  四二 同(美濃政市紹介)(第六八五五号)  四三 同(山原健二郎紹介)(第六八五六号)  四四 同(米原昶紹介)(第六八五七号)  四五 同(華山親義紹介)(第六九〇九号)  四六 同外二件(美濃政市紹介)(第六九一〇号)  四七 世界連邦建設に関する請願田中六助君紹   介)(第七一二四号)  四八 中国渡航制限撤廃に関する請願安宅常   彦君紹介)(第七五四〇号)  四九 日米安全保障条約廃棄等に関する請願(浦   井洋紹介)(第七五四二号)  五〇 同(小林政子紹介)(第七五四三号)  五一 同(田代文久紹介)(第七五四四号)  五二 同(谷口善太郎紹介)(第七五四五号)  五三 同(津川武一紹介)(第七五四六号)  五四 同(寺前巖紹介)(第七五四七号)  五五 同(土橋一吉紹介)(第七五四八号)  五六 同(林百郎君紹介)(第七五四九号)  五七 同(東中光雄紹介)(第七五五〇号)  五八 同(不破哲三紹介)(第七五五一号)  五九 同(松本善明紹介)(第七五五二号)  六〇 同(山原健二郎紹介)(第七五五三号)  六一 同(米原昶紹介)(第七五五四号)  六二 同(青柳盛雄紹介)(第七五五五号)      ————◇—————
  2. 田中榮一

    田中委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についておはかりいたします。  理事曽祢益君が去る八日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。この際、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事曽祢益君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 田中榮一

    田中委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府オランダ王国政府との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ザンビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件、以上四件を一括議題として審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。戸叶里子君。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 大臣がまだお見えになりませんので、ほかの問題について伺いたいと思いますが、いま議題になっておりますザンビアマレーシア、それから韓国オランダ関係での所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止条約でございますが、この条約締結し、批准することによって、日本がどの程度有利な点があるか、それから先方にどのくらい金額的な有利な面があるか、各国別にそれぞれ述べていただきたいと思います。
  6. 山崎敏夫

    山崎説明員 お答え申し上げます。  租税条約一般に関しましては、先生承知のとおり、これを結ぶことによりましてお互いの税の二重課税防止がはかられ、また脱税防止がはかられるという一般的な利益があるわけでございますが、まず個々の問題について申し上げますと、ザンビアとの関係につきましては必ずしも経済関係においては密接ではございません。わが国は、この統計にも差し上げましたように、輸入は非常にたくさんしておりますが、輸出の面ではきわめて限られておりまして、その点ではたいしたことはございませんが、この国はもとイギリスの植民地であったわけでございますが、最近非常に経済関係を多角化したいという希望があって、経済成長の非常に著しいわが国に対しましても、大いに企業進出を求めている。その意味でこの租税条約を整備することによって日本経済進出企業を大いに歓迎したいということを言っておるわけでございまして、この租税条約ができることによってそういう環境は非常によくなるのではないか。またわが国といたしましては、ザンビアに対してはすでにこの条約の中にもありますように、いわゆるみなし税額控除制度を認めることになっておりますから、その意味企業ザンビアに対しても非常に進出しやすくなるのではないかと存じます。  それからさらにザンビアとの関係におきましては、アフリカ諸国との間の租税条約としてはこれが最初のものでございまして、これを一つモデルにしてアフリカ諸国との間の租税条約も今後締結が促進される。それによってわが国経済アフリカ諸国との経済関係が非常に密接になっていくのではないかというふうに存じます。  それから次にオランダとの間でございますが、オランダ先進国でございまして、ここに掲げられております租税条約パターンは、従来わが国先進諸国との間でやっているものと全く同様でございまして、いわゆるOECDモデルにきわめて近いものでございます。その意味でこれは先進諸国間の経済交流その他について相互に非常に容易になる、しかも税率お互いに軽減される、投資、その他についても大いに促進されるということは、いわゆる先進諸国との条約について共通の問題でございます。  それからマレーシアでございますが、マレーシアにつきましては、実はマレーシアとの間にはすでに昭和三十八年にできました租税条約がございます。しかるにこれに関しましては、マレーシアが、昭和四十四年二月六日になりまして、この前の租税条約は独立後比較的日が浅いときにつくったものであるから、これを一回整理してひとつ現状に即したものにしたいということをわがほうに申し入れてきてこれを廃棄してまいったわけでございます。これには一つ向こう所得税法が全面的に改正されたという事情もあったようでございます。したがいまして、これは租税条約規定によりまして廃棄通告がありますと、一年後には廃棄されるわけでございますので、新しい交渉が始められまして、ことしの一月三十日に新しい条約ができたわけでございます。新しい条約ができましたが、これはわがほうが従来からパターンとしておりますOECDモデルに非常に近いものでございますが、非常に違いましたのは、船舶とか航空機に関します国際運輸所得につきまして、従来は相互免税をやっておったわけでございますが、船舶に関しましてのみは相互半額に軽減するというふうに改められたわけでございます。航空機に関しましては、従来同様相互全額免税ということになっております。これはマレーシアわが国の船の行き来が、このお配りいたしました表からもおわかりのように、わがほうのほうが圧倒的に多いので、やはりある程度の税は取りたいという気持ちがあるわけでございまして、これはわが国がほかの後進国との間で結びます場合にもある例でございまして、ニュージーランドのような国でも運輸船舶所得なんかは半分は取りたいということを言っておるわけでございますので、この点は先方申し出にも無理からぬ点もあり、わがほうとしてはこれに応ずることにしたわけでございます。ただその場合にも、その税の計算にあたりましては、わが国税法に基づいてやることになっておりますから、船会社負担としては、別にこれによって変化はないと存じます。ただ一方において、このマレーシアとの条約におきましては、従来ありませんでした利子条項が追加されまして一〇%をこえないという限度が定められましたので、この点についてはむしろ企業進出は容易になったのではないかと思います。またみなし税額控除につきましても従来同様認めまして、わが国企業マレーシア進出することを容易にいたしておるわけでございます。  最後に韓国でございますが、韓国との間におきましては、これは先生もよく御存じのとおり、昭和三十九年以来日本商社課税問題をめぐっていろいろなトラブルがあったわけでございます。非常に高額な法人税営業税が課せられるということになりまして、この問題に関しましてはいろいろな折衝が行なわれましたが、わがほうとしましては、韓国側に対して、税務当局が一方的に認定して課税するということは困る、やはり実態に即した課税をしてもらいたいということを再三申し入れ、大いに交渉いたしまして、また結局この税の問題を安定して解決するためには租税条約を結ばなければだめなのではないかということで、韓国側を大いにいわば説得いたしまして、その結果向こう側もこれに応じたわけでございます。ただ、何ぶんにも韓国側租税条約締結した経験がなく、わがほうが最初でございましたので、いろいろと手間どったわけでございますが、ずいぶん長い時間をかけて交渉を続けました結果、やっとこの条約締結にこぎつけたわけでございます。  それでこの韓国との租税条約の内容は、従来のいわゆるOECDモデルからは若干異なっておりまして、たとえば事業所得課税につきましては、いわゆるアトリビュータブル方式帰属方式ではなくて、エンタイア方式総括方式と申しますか、その方式をとっておりますが、この点は規定のしかたによって実際上はほとんど変わらないようになっております。詳しい点はあるいは大蔵当局からお話があるかと思いますが、実質上はそう変わらないようになっております。  それから韓国に対してもわがほうの企業進出はいろいろとありますので、また向こうもそれを歓迎いたしておりますので、みなし税額控除という制度を設けることにいたしております。  他方、船舶航空機等に関します国際運輸所得に関しましては原則として相互免税ということになっておりまして、この点はわがほうの船会社航空会社は非常に利益を受けるのではないかと思います。  それから配当、利子及び使用料につきましてもいわゆる限度税率でございますが、その税率は一二%をこえないということになっておりまして、これはほかの条約と比較しても決して不利ではないと存じます。  そういう意味におきまして、いずれの条約もそれぞれ意義がございまして、この条約締結によってわが国とこれらの諸国との間の経済関係は非常に促進されるのではないかと存じます。  数字の点につきましては、あるいは大蔵当局からお話があるかと思いますが、私の説明はこれで終わる次第であります。
  7. 細見卓

    細見政府委員 数字の点について御説明しろということでございますが、御承知のように、経済交流は年々変わっておりますので、昨年とりましたと同じパターンがことしもとられるかどうか、必ずしもわかりません。それから租税条約締結いたすことによりまして、いわば新しい経済関係ということも可能になるわけでありまして、ただ単に従来ありました経済関係にそのまま軽減税率を当てはめて得失を考えるというわけにはまいらないと思いますが、かりにそういう考え方をいたすにいたしましても、たとえば韓国との事例で申し上げますれば、お手元にお配りいたしております条約付属議定書におきまして、例の請求権取引につきましては営業税を今後課さないということを明らかにしておりますとか、あるいは民借取引につきましては、過去にさかのぼってこれを課さないという、一九六七年以前でありますが、それ以前のものは課さない。と申しますのは、そういうものにつきましては、今後課税関係が起こるとすれば、これは御承知のように事業税と申しますか、一種の間接税的な税でありますから、そういう税がかかるものとして商取引を行なえばいいわけでありまして、結果として所得が出てくる、それに対して課税されるという、つまり取引の段階で不明なものではないわけであります。そういう意味で、議定書のほうでございますが、営業税関係が明らかになったというのは、これはもう計数的に明らかなメリットになろうかと思います。  それからまたマレーシアにつきましては、確かに船舶所得につきまして課税を受けることになったわけでありますが、もしこの条約が再締結されることなかりせばとすれば、御承知のように東南アジア諸国は、そこでの積み荷収入の大体五%程度所得と断定いたしまして、それに所得税をかけるやり方をとっております。もしそういうことが無条約状態になって行なわれたといたしましたものと、今回の条約によりまして日本船会社マレーシアに支払うであろう税額とを比べますと、およそ十分の一くらいに今回の条約によりまして軽減されることになります。なお、そういう十分の一くらいになりますので、これは御承知税額控除という方式によりまして、日本船会社といたしましては、つまり運賃収入の五%というような所得を認定されたのでは税額控除はできませんが、いま申し上げました条約による程度のものでございますと、これは日本所得計算と同じ方法によるわけでありますから、したがって、マレーシアで生じた所得半額についてマレーシアに払う。日本政府はその意味半額税負担をするわけでありますが、会社といたしましては何らの負担増加にはならないということになりまして、今後船会社が積極的に東南アジア方面に出ていく場合に非常に有利になるというわけでございます。  それからザンビアにつきましては、これはもういまのところこういう形での租税条約経済的にどれだけのメリットをあげるかというのは、経済交流がそれほど活発でもございません現状におきましては計数的に申し上げるのはなかなか困難かと思いますが、先ほど外務当局からお話がございましたように、これをもとにいたしまして今後ますます盛んになってまいりまするアフリカ諸国日本との経済交流にあたって、いわば経済計算の基礎となる租税がこれによって計算され、そのモデル各国に、日本ザンビアとの間にこういう条約があるから、たとえばほかの諸国日本との租税条約を考える場合に、われわれはザンビアとこういたしておりますということを言える。それはいわばOECDモデルの大体そのままにいたしておりますので、むしろ先進国間の条約というような形になっております。ただそこに、先ほど御説明がありましたように、いわゆるみなし税額控除ということで、そのそれぞれの国の行ないます外資優遇策導入政策に対する協力をあらわしておる、こういうのが特色になっておろうかと思います。
  8. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま大体のお話を伺ったわけですが、マレーシアとの企業状態を見ますと、日本からマレーシアへ行っている企業が四十一、支店が十一で、マレーシアから日本に来ている企業というのが全然なくて、そして支店が二つというふうになっておりますけれども、いま御説明になったような税の関係から見て、今後この条約を結ぶことによってマレーシアからの企業進出日本にあるというようなことは考えられましょうか。それからまたさらに日本からの企業進出マレーシアにもっといくのだというふうなことをお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  9. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、資本なり技術なりというものが高いところから資本なり技術なりの不足している方向へ経済交流が行なわれるというのが原則でございますから、そういう意味マレーシアから特定の企業が近々にやってくるのであろうというようなことは予測できませんが、しかし国際貿易がそれぞれ特性をもって特化していく過程におきまして、マレーシアにおいても日本との貿易上非常に有利な企業ができたというような場合には、向こうもやってこられる。その場合に日本における課税上の取り扱いはこういうものであるということが明らかになっておる。その意味で、相互計算可能な関係が結ばれたという意味ではそういうこともあろうかと思いますが、当面さしあたりましては、どちらかといえば技術資本あるいは経済協力というような面におきまして、日本側企業マレーシアのお役に立つような形で出ていくということが多いのではなかろうか、かように考えます。
  10. 戸叶里子

    ○戸叶委員 まだ確としたものはおわかりにならないようですけれども、もし日本に来るであろうと考えられるような企業というのは、マレーシアだったらどんなものですか。全然わかりませんか。日本にとってそういうようなものがあり得ますか。
  11. 金沢正雄

    金沢説明員 マレーシアはいまのところ主としてすずでございますとか木材でございますとかゴムとか、そういう第一次産品を生産いたしまして、それが輸出大宗をなしておるという国でございます。それに対しまして、日本企業現地でいろいろな分野へ進出しておるわけでございます。そういう事情でございますので、国の経済大宗が一次産品生産輸出ということでございますから、日本企業進出してくるという可能性はきわめて少ないのではないかというふうに私ども考える次第でございます。
  12. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ザンビアのことをちょっと伺いたいのですけれども、アフリカの中で今後日本との経済関係というものが結ばれていくであろう、そういう意味一つモデルケースとして非常に大事なものであるということを述べられましたのですが、そこで、そういう国なんですけれども、この表を見ますと、日本輸出はたいへん少ないですね。輸入のほうがうんと多いわけですね。わが国総額に占める割合が輸入総額で二・〇%、輸出のほうは〇・一四%しかないわけですけれども、これは将来は日本からもっと輸出の量がふえるということはあり得るでしょうか、ないでしょうか。何かたいへんに少ないように考えられるのですけれども……。  それから、向こうがどういうようなものを日本から——いまのに関連しますが、もう少し具体的に言いますと、どういうようなものを将来日本からもっと買いたがっているか、こういうふうなものを伺いたいと思います。
  13. 羽澄光彦

    羽澄説明員 ザンビアに対しましては、わが国はいま非常に銅を買っておりまして輸出は少ないのでございますが、それでもアフリカの国といたしましては自動車の部品とか機械類がむしろかなり出ているほうでございまして、これからもザンビアにおきましては、相当銅による資源がございますので、アフリカの中ではかなりそういった重工部門的なものも出る可能性のある国かと考えております。特に最近になりまして自動車に対する需要がだんだんふえておるようでありまして、現在は少ないのですが、これからは期待されるのではないかと思います。また、ザンビアにおきましては、そういった通常の貿易だけではございませんで、これから企業進出が非常に期待されております。現在までのところは、肥料工場を一社つくりまして、現地に引き渡すことが行なわれただけでございますが、最近わが国が大使館を設置したこともありまして、向こうわが国に対する態度をたいへん緩和しております。たとえば大使館をつくる前ですと、入国の査証なども非常にむずかしかったのですが、この一月開設いたしましてからは、査証も非常に簡単におりるようになりまして、わが国の商社の人たちが非常に便利をしておると聞いております。そんなこともございまして、環境づくりもたいへん進んでまいりますので、こういった二重課税防止条約などができまして、今後合弁が相当出るんじゃないかと思います。合弁で期待されますのは、そういった肥料工場、あの国も現在農業開発に非常に主力を注いでおります。と申しますのは、国連決議でローデシア等々から入っておりました野菜が入らなくなりましたので、いまザンビアでは、野菜を主にした農産物がないのですが、そんなことが原因になりまして、肥料工場などには非常に関心があるようでございます。しかしそれだけでなくて、やはりあの辺は文盲率が高いというようなこともございまして、ラジオによる教育とか、社会政策の徹底というようなことが問題になっておりますので、わが国のそういった軽い電子工学的なものの進出も可能ではないかと考えております。
  14. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ついでですから、二、三問続けて聞きますけれども、いま企業一つ持っていったということなんですが、それはどういうのかということと、それからこれを見ますと、なるほどザンビアからの国際留学生は一人もありませんね。将来こういうふうなことに対してどういうお考えを持っているかということと、それからもう一つアフリカでほかの国との経済的な交流がこれを一つモデルケースとして締結することによって、また出てくるんじゃないかというようなことをおっしゃったんですが、アフリカの今後において期待される国はどういう国であるか。この三つの点を伺いたいと思います。
  15. 羽澄光彦

    羽澄説明員 現在出ておりますのは、神戸製鋼があそこにつくりました肥料工場でございます。これがルサカの町からかなり離れたところにもう工場を設置いたしまして、現在ザンビア側に引き渡しました。ただ経営等々まだザンビア側で一人ですぐやれる段階でございませんので、わが国のほうから専門家が参りまして、先方に経営の指導等行なっておる段階でございます。  それから、現在たとえば技術協力の実績はないという御指摘がございましたが、まことにそのとおりで、何ら実績はございませんが、大使館もできましたので、今後特にわがほうから技術協力関係の人が行くことも非常に容易になったということがございまして、現在ザンビアとは技術強力協定交渉を進めております。それはおもに向こうに入りましたときのわが国の専門家に対する待遇、特に特権上の問題とかいうことを取り上げてやっておりますが、その技術協力によります専門家のほかに、さらに青年協力隊を派遣することも考えておりまして、この件につきましては、すでに数名向こうに派遣する計画が具体化しております。  それから、こういったザンビアとの二重課税条約ができたことによって、ほかの国に対するどういった突破口になるであろうかという御質問がございましたが、その点につきましては、たとえばすでに東ア三国——ケニア、ウガンダ、タンザニアが東ア三国といわれておりますが、そこから日本租税条約の話をしたいという申し込みがきております。そこで交渉の日程等を打ち合わせまして、大体八月上旬からこのケニア、ウガンダ、タンザニアとの交渉を始める予定でいま大体合意が成立したところでございます。それでいきなり交渉に当たりましても、向こう日本税法等をあまり知りませんので、われわれとしてはこの交渉に実際当たりましたときには、ザンビアと合意ができておると言うことができれば、向こうも非常に安心するでしょうし、また向こうとしても非常に取り組みやすい、すでにザンビアでこういう経験があるということで、向こうも非常に安心して取り組んでくるのではなかろうか、このように考えております。東ア三国以外にはまだそういった具体的に交渉の日取りまで決定したところはございませんが、最近日本企業進出も相当多く行なわれておりまして、方々でやりたいという話が現地にあがっておりますし、日本企業からもあがっておりますので、漸次打ち合わせを進めてまいりたい、こう思っております。特に企業進出の中でも鉱物資源、最近日本は鉱物資源の確保が非常に重要視されておりますが、特に日本が必要とする鉱物資源が大量に産出されるところ、ザンビアがその一つなんですが、そういう国につきましては特にその緊急性が高まってくるものと考えております。
  16. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまいろいろ詳しく御説明いただきました。そこで一つ青年協力隊の問題、今度は五人くらいザンビアのほうへ行かれるというふうにお述べになったのですが、それは大体確定したと思うのです。そこで青年協力隊の役割りというものは、ことに後進地域といいますか未開発の地域においては、日本技術を持っていくということで非常に役立つことが多いと思うのですけれども、私はたいへん問題があると思うのです。そういう問題を御存じですか、御存じないですか。
  17. 羽澄光彦

    羽澄説明員 非常に各般にわたるいろいろな問題があることは聞いておりますが、アフリカにおきまして、たとえばタンザニアとかケニアにおきましては青年協力隊につきましては、とにかく世界じゅうでも非常に後進性の強いところでございますし、場所によっては非常に気候条件の悪いところもございますので、問題もいろいろ起こっておるようでございますが、向こうでも日本の青年協力隊というのはよその国に比べて自分たちと一緒になって生活をしてくれるとか、英語とかフランス語を教えるだけの教師ではなくて自分たちが最も必要としている、簡単なものでございますが技術を教えてくれるということで、全般的に見ますと非常に成績をあげておる。また行った人も、それによりまして後進国の実情を見るとか、自分たちはどういうふうにそういう人たちに接していったらいいかという面で非常にいい経験をして帰ってきておられる、こう私は考えております。
  18. 戸叶里子

    ○戸叶委員 だから私はいい点は否定はしないのです。ただ問題は、もっと根本的なことがわかっていらっしゃらないと思うのです。実際に現地へ行きまして青年協力隊の方なんかにお会いしたり、それからその地域の人に会ったりしますと、いろいろな問題点がはっきりしてくるのです。それはどういうことかといいますと、ある一定の訓練を受けて行くわけですけれども、その訓練を受けている間に一番の障害はやはり語学らしいのです。行っても意思が通じないのです。語学を学ぶ期間が何か三カ月くらいでしょう。たとえばフランス語を三カ月勉強さしてぽんと入れられて、しかもこの人自身は大学を出て相当技術を持って行く人なんですね。大学を出て技術を持ち知識があっても、ことばがあまりよくできないので通じない。向こうのほうはよくわからない。たとえばフランスなんかがやったあと北アフリカなんかに行きますと、フランスのやったあと始末に行くわけですから、フランス語なんかでそこのいろいろな統計なんかを見せられて、こういう点がこうだああだと言われてもことばがわからないので、自分がこういうふうなものにしていきたい、こういう技術を発展させたいと思っても、一つもそれができない。片っ方はそういういらいらした気持ちがある、片っ方のほうはそれを十分のみ込んでくれない、そういうことで一つ帰されたところもあるわけです、帰されたときも。あれはモロッコかどこかで農林省で行ってみましたら、一人残念ながらお帰しいたしましたと言って、理由は言いませんでしたので、私はずっとよく調べてみますと、やはりそこいら辺に行った人も苦労するけれども、一つも実を結ばない。そして向こうのほうは、何でこういうふうな人をよこしたかという気持ちを持つ。これでは青年協力隊の意味はないと私は思うのです。だからそういう点をもう少し親切に出していけるならば、向こうへ行って困らないようなことを考えて出してあげなければ私は効果がないと思うのです。だから、その点についてこの際根本的に考えていただきたい。三カ月やったんだから、機械的に、いいじゃないか行ってみろという形で押し出し主義のところが少し見えているのです。あっちこっちにそういう傾向があるわけです。だから機械的じゃなくて、ほんとうに親切に見てあげて、向こうへ行って役に立つように、せっかく行ってもらうなら役に立つようにしていただかないと問題があると思うのです。どこに問題があるかということをもう少し根本的に研究して出していただきたい。そうでないと。せっかく出しても効果が薄いと思いますので、特に今度ザンビアへお送りになるということですから私は強く要望しておきたいと思うのですけれども、気候も悪いのにぐじゃぐじゃしたり、ことばも一つも通じなかったり、一つも問題の解決に当たれない、自分たちの意見も通らないということじゃ行った人も気の毒ですから、その点もお考えになっていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  19. 羽澄光彦

    羽澄説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、語学の問題には私どもも一番頭を悩ましております。特にアフリカは仏語圏が非常にたくさんございますので、特に青年協力隊ではまだフランス語のほうにあまり手を伸ばし得ない。モロッコが一つの例なんでございますが、ほかにはまだ手を伸ばし得ないくらいの状況でございます。  御指摘の線に沿いまして、私どもといたしましても、そういう点には語学とか現地事情とか、行く前にできるだけの訓練をして、向こうへ行って十分の成果をあげられるように努力したいと考えております。
  20. 戸叶里子

    ○戸叶委員 たいへんしつこいようですけれども、私行きまして会った青年はみんないい青年なんですよ。ところが、実際苦しんでも効果がないという面が多いですから、特に今度はお気をつけになって、そして効果をあげるようにしていただきたい。たとえば農業の技術の面で協力隊の役割りがあると思いますけれども、そういうことをするのにも十分気をつけていただきたいと思うのですが、三カ月ぐらいでことばが覚えられますか。ちょっとむずかしいんじゃないですか。よほどの天才でなければむずかしいと思うのですよ、向こうへ行って暮らせるというのには。そこら辺のことをどういうふうに解決なさいますか。そのままで私どもとしては効果をあげるようにいたしますという御答弁はできると思うのですけれども、実際問題としてことばの問題もあるし、その人がよく知らないでいくという問題もありますし、ここはもう少し、日本語を使わなくても最小限度日常生活に困らないし、自分の専門のことばぐらいはできるくらいのことはしておかねばならないのですが、三カ月で向こうへ行って技術の指導ができるなんというのは、よほどの天才でなければ覚えられないと思うのですけれども、こういうところはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  21. 羽澄光彦

    羽澄説明員 英語の場合には日本でも中学とか、あるいは最近は小学校からやっているところもあるようですが、何がしかの予備知識がございますので、特に青年協力隊の場合には高度の技術を教えるというよりは、手を使って教えるとかあるいは自分のやっているところを見てもらって向こうに習ってもらうという面が非常に強い。それだけに一緒に生活する面が強く打ち出されておりますので、英語に関しましては私大体やっていけるのではないかと思っておりますが、やはり問題はフランス語だと思います。特にフランス語三カ月というのは、モロッコの例でいろいろ討議されたのでございますが、中には技術を教えているうちに帰ってくるころにはうまくなったというようなことで、向こうへ行って訓練をしたような面も出ておるわけでございますが、そういった人は今度別のところで指導員のようなかっこうで出ていただくということで、その経験は生かされております。それからこれは私の地域だけに関してでございますが、フランス語圏に関してはまだきまっておりませんのであれなんですが、特にフランス語圏の中でも非常に親日的な国などがございます。それで、親日的だけじゃなくて地理学上の問題とか、歴史学上の問題ではアフリカでありながら非常に日本に近いというようなところもございますので、実はまだブラックアフリカではフランス語圏の技術協力は始められておらないのですが、さしあたってはフランス語のそういった面をカバーする意味で、そういったなじみやすいところで実験的にやってみようかと思っております。その場合にも御指摘のとおりのフランス語の問題はございますので、なるべくフランス人講師を連れてきてフランス人からフランス語の勉強をしてもらうとかいったことで改善をはかっていきたいと考えております。  それから現地に行った人には、なるべく青年隊に行く前によく話し合ってもらうようにいたしまして、そういった現地事情につきましては、最近は行く前に相当知られるようになっていると考えております。
  22. 戸叶里子

    ○戸叶委員 だんだんにいろいろな経験、失敗を通してよくはなっていくだろうということは私も期待をしておりますし、いまのようなうまくいった例では、帰るときにはすっかり語学が達者になってこの次指導員として行ってもらうというようなこと、それも一つの行き方でいいと思いますけれども、せっかく大学を卒業しまして技術なんか勉強していて、向こうの統計を示されてもよくわからなくて、役所のほうでこれじゃ意味をなさないから帰されるというようなことになりますと、せっかく日本が好意を持って行ってもらっても、かえって反感を持たれるような結果にならないとも限りませんので、そういう点を重々注意していただきたいということを私は要望したいと思います。気をつけていただきたいと思います。  そこで、いままでいろいろと質問をしておりましたこの条約の批准ですけれども、日本の国は国会を通れば批准するわけですが、相手の国はもう批准されておりますか。
  23. 山崎敏夫

    山崎説明員 ザンビアマレーシアに関しましては、向こうのほうは国会のほうへかける必要はないようでございまして、いつでも批准できる体制にある。オランダは国会にこれから出すところでございます。それから韓国は、近く臨時国会が開かれて、出す運びになっております。いずれも近く向こう側も批准手続をとるものと存じます。
  24. 戸叶里子

    ○戸叶委員 ザンビアマレーシアは手続上国会にかけなくてもいい。オランダは今後出すというわけですね。じゃ日本の批准待ちですか、それもちょっと伺いたいし、それから韓国は何かたいへんにいろんな議論をしているそうですけれども、この見通しはどうなんでしょうか。日本での国会の様子だとかいろいろ見た上でなければ通さないという野党の強い意見もあるというようなことを聞いているのですけれども、オランダ韓国の両国の関係といいますか、それを述べていただきたい。
  25. 山崎敏夫

    山崎説明員 韓国につきましては、あとからアジア局の担当の方からお話ししていただきたいと思いますが、オランダに関しましては、向こうは普通こういう種類の条約につきましては、国会に出しておきまして、三十日間たって特に異議がなければ自動的に承認されるという仕組みになっているようでございますので、従来から租税条約につきましてはオランダでは何ら問題がないと承知しております。それでこちらを待つとか待たないとかいう形でなくて、当然向こうも批准手続が進められると存じます。
  26. 伊達宗起

    ○伊達説明員 韓国につきましては、実はきょう、十一日に韓国の臨時国会が開かれまして、それで直ちに上程されるということになっております。もともと韓国の批准の見通しというものは、私どもも関心を持っているところでありまして、御指摘のように韓国の一部には若干の危惧と申しますか、反対論と申しますか、そういうものもあったことはあったのでございます。これは条約締結交渉をしている途中でございました。しかし現実に韓国側もそういうところを考慮いたしまして、いろいろと条約の内容については日本側も譲るべきところは譲り、韓国側も譲るべきところは譲った上ででき上がった条約でございまして、韓国税務当局といたしましては、国会通過ということに非常に確信を持っておる。なお日本の国会の審議状況を韓国側が見ていたわけじゃございませんで、実は韓国では、国会に与党と野党との間に意見の相違がございまして、この間まで開かれておりました国会におきましては野党はボイコットをいたしておりまして、与党だけの議会が開かれておった。そういうことは好ましくないというので、与野党の間の話し合いが長引いておった結果、臨時国会の開催がおくれておる、こういう状況でございます。本日開かれます国会には、与野党間の話し合いができまして、野党も全員出席をするということになっております。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この韓国との間のこの種の契約で、特に日本韓国の強い主張で譲らざるを得なかった点、これはどういうところでございましょうか。この種の条約というのはその国によっていろいろ違うと思うのですね、国内法の関係や何かで。それはわかりますけれども、韓国がここだけはのめない。だからここだけは譲りなさいというようなことで、日本が譲ったところ、それを述べていただきたい。  それからもう一つ、いまのお話もありましたし、それから私もおそらく韓国も批准するだろうと思います。思いますけれども、一般論として、もしも批准しなくて日本だけ批准したときはどうなりますか。この条約は発効しませんね、常識的に考えて。おそらくするとは思いますけれども、念のために伺っておきたいと思います。
  28. 細見卓

    細見政府委員 最初の、韓国との租税条約の、ほかの租税条約と違っておる点につきまして、私実際に交渉の衝に当たりましたので、這般の事情について私から御説明申し上げておきたいと思います。  韓国租税条約OECDモデルと違っております表現を使っておりますのは、御承知のように総括主義と申しますか、俗にエンタイアと申しておる方式条約締結いたしております。御承知のように国際的に発生いたしまする二重課税防止する方法といたしましては、いずれにしましてもその国に源泉のあるあるいはその国の支店なり事業所なり企業活動に帰属する所得をその国で課税し、一方の国はその部分について税額控除なりあるいは課税所得から除くというようなことをやることによって二重課税を排除するわけであります。  そこで、その二重課税を排除する方法に二つのプリンシプルというようなものと申しますか、伝統がございまして、アメリカ型の考え方と申しますのは、特定の恒久的施設がございましたときには、それに帰属する所得と申しますか、それに関係する所得は全部総括して、その恒久的施設のある国において課税権を認めるという考え方をとる。これを総括主義と申すわけです。  一方、帰属主義、アトリビュータブルと申しますか、帰属主義によりますと、その恒久的施設なりあるいは事業所なりの事業活動にいわゆる帰属する所得を、その恒久的施設のある国が課税するというプリンシプルをとるわけでありますが、先ほど申しました総括主義ということになりますと、何もかもその総括主義で課税できるわけじゃなくて、総括主義をとりましても、その相手国におきまして、恒久的施設のある国におきまして課税できますものは、その国に源泉のある所得に限られるわけであります。したがいまして、源泉規定というものが入ってくるわけであります。そのいわゆるエンタイア方式で源泉規定を入れた型が一つ。それからアトリビュータブルと称します帰属主義によりますと、その帰属する所得と申しますものが特別な形の帰属所得であってはならないわけで、御承知のようにこれに独立企業原則という名前をつけまして、つまりその相手国におきます企業が全く独自な企業、一個の独立した企業として考えたときに、その企業に帰属するであろう所得を帰属させるという形になりますので、したがいまして、アトリビュータブルという方式をとりますときには、一方では独立企業原則というのを入れまして補完をしておるわけです。今回とりましたものは、いま申し上げました総括主義と源泉規定を入れて、それぞれの国に源泉のある所得というものを、どういうふうに源泉を分け合うかということを明らかにしてきめるというやり方であります。  後進国と申しますか、日本もそうであったのでありますが、最初の段階は何か租税帰属主義といいますか、あるいは独立企業原則というようなことを申しますと、取り漏らしの所得が出るのではないか。何か総括主義といっておりますと、すべての所得がかぶさって取れるという感じがいたしまして、日米条約は御承知のように総括主義になっておるわけであります。それから日本の国内法も総括主義の国内法を規定いたしておるわけであります。そういうわけでありまして、韓国日本の国内法のたてまえをよく知っておりまして、日本の国が総括主義で租税条約を結んだからといって何ら問題がないのだから、総括主義というたてまえで条約を結んでほしいということになったわけであります。  そこで総括主義になりますと、いまの、どちらの国に源泉のある所得かということを非常に明確にきめなければならないということで、議定書とかあるいは交換公文とかによりまして、その所得について厳密にどちらに源泉があるかあるいはまたその源泉をどういう割合で分け合うかということにしたわけでありますが、韓国との間におきましては、一般的に申し上げまして、経費によって分け合おう、およそ企業活動が利潤を生みますときには、必ずそこに経費といいますか、コストといいますか、事業活動といいますか、そういうものがあって、それの反射として利益が出てくるわけでありますので、韓国との間には経費主義、経費の額によって所得を分け合おうということにいたしておりますので、課税原則といたしまして、私どもとしては相互に合理的な公平な源泉の分け方になっておる。したがって総括主義によりましても事業活動に関する限りは何ら問題がないわけであります。そこで投資活動が行なわれる、つまり現地の恒久的施設と関係のない事業、投資活動がかりにあったといたしましたときに、それをどうするかというのが、総括主義そのままでありますと、そういう本社が直接行なっておるような投資活動も、その恒久的施設に帰属さして課税させるということになるのでありますが、日韓におきましては、そこに実質的関連のある投資ということを条約に入れておりますので、これも本社が関係なしに投資いたしておるようなものについては韓国では課税権が生じない。その恒久的施設、支店が自分の資金を出していろいろな投資活動を行なっておる、それは合算される、そういうことにいたしております。  最後に残ります帰属主義と総括主義との違いということになりますと、これはいろいろその他の所得が何らかの形でウインドフォール的に出てきた場合に、それは総括主義でありますと相手国の課税になり、帰属主義でありますと事業活動に合理的に帰属いたしておりませんので課税権がないというようなことが違いとして出てくるわけでありますが、総括主義、帰属主義ということだけでいたしますとかなりの差になりますが、そこに一方において源泉主義の源泉の規定が入り、一方に独立企業原則が入ることによりまして、いずれも課税所得相互に二国間で分け合うということに関しては、それなりに一貫した考え方になっておるわけでありまして、日米の方式をとるかあるいはOECDの方式をとるかという違いでございます。そういうわけで特にどちらに有利、どちらに不利ということではない。ただその場合総括主義という名前が非常に魅力ある名前だという感じはいままで韓国側で持っておられたようであります。
  29. 山崎敏夫

    山崎説明員 御質問の後段の点でございますが、この条約は批准条約でございますから、双方ともに批准しなければ発効いたしませんので、わがほうが批准しても向こうが批准しなかったら発効しない、それはそのとおりでございまして、先ほどアジア局の担当の課長からもお話がありましたように、向こう側もすでに国会に提出しておりますので、われわれは向こう側も必ず批准するものと確信しております。しかしこれは向こう側の問題でありますから、必ず向こうが批准いたしますと、お約束はいたしかねますが、長期的に見れば、これは両国の経済投資活動が盛んになるのであって、向こうとしても、ますますわがほうから税金はよけい取れるはずであり、また向こう船舶航空機の取得は日本において免税となるわけでございますから、利益となることは明らかでありまして、大局的に見れば、向こうとしては利益であることは、内容をよく見てもらえばわかるはずであって、向こう側の政府は確信をもってこれは十分説得にあたるし、批准できると確信しておるということを申しておるわけでございまして、われわれはそれを信頼して、向こうの審議を見守っておる状態でございます。
  30. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いま局長から総括主義の問題を詳しくお述べになりました。わかりましたけれども、日本が結んでいるこの種の条約で、総一括主義をとっているのが大体多いのですか、そうではないほうが多いのでしょうか。
  31. 細見卓

    細見政府委員 率直に申しまして、日本が初めて租税条約を結びましたころのものに総括主義がございまして、いま申しました日米、それから日本とパキスタンの条約、これが総括主義になっております。日米につきましては、やはり租税条約に二つの考え方を一つの国がとっておるというのはいかがなものかというようなことも考えまして、帰属主義によって改定したらどうかというようなことを話し合っておりますし、パキスタンともできますれば帰属主義によって条約を結んだほうがいいのではないかと技術的には考えておりますが、先ほど申しましたように、総合的に考えればどちらをとったからといって、そう大きな利害に差はあるわけではありませんが、一つの国が二つの形の条約を持っているのもいかがなことかと考えております。
  32. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうないまのお考えからいきますと、いままで初期のときに結んだのは総括主義で、日本の国が総括主義と帰属主義によるものと二つに分けておきますと、やはりいろいろ問題も——それだけではなくて、今回の韓国の場合には総括主義であっても、それを補完するといいますか、欠陥を補完するようなものがいろいろあるわけですね。だからいまお述べになったようなことでいいようなものですけれども、原則から言いまして、やはり帰属主義に日米のやらパキスタンのものを変えようというお考えであるときに、新しく結ぶのに総括主義というのは少し割り切れないような気がいたします。その点の欠陥をいろいろ補うというのだということはわかりますけれども、私たちがぱっと聞いたときには、韓国だけは総括主義になって、ほかのほうはだんだん直していこうというお気持ちがあるのは、ちょっと矛盾したものを感じます。内容的にはそうでないという御説明かもしれませんが、一つのスタイルと申しますか、何かから見ましても、統一されたほうがいいと思うのでありますけれども、それは将来そういうふうなことも韓国との間で議論をなさる御意思があるかどうか。その点も伺っておきたい。
  33. 細見卓

    細見政府委員 何と申しましても、韓国租税条約を結びますのは日本最初なものですから……。私どもが仄聞いたしております限り、韓国と米国との間も総括主義で結びたいというようなことを韓国側は言っておられるようです。そういうことを考えまして、私どもはこの際、多年の日韓の租税問題をまず合理的に片づけるということが第一であって、主義のための主義というような点につきましては、後に考えればいいじゃないかというような立場で私ども交渉に当たったわけでございますが、将来の問題として、世界じゅうがやはりOECDモデルでやっていこうというようなことも、全体の方向としてだんだんさだかになってまいりますれば、韓国とも話し合って、租税条約というものは韓国側で考えておられるような、いわゆる経済的な侵略とでも申しますか、そういうものの武器だというようなことではなくて、両国の間をきちっと所得税あるいは法人税に関して国境を画定するだけの作業であって、そのどちらが有利とか、どちらが不利になるかでないということについて、韓国側も経験によって習得していただければ、われわれも今後は国際的な風潮に従った方向で改定を考えてもいいのではないか、かように考えております。
  34. 戸叶里子

    ○戸叶委員 韓国との関係は、日本とはいろいろ特殊な関係があるわけですね。そして韓国との条約について、国交正常化の問題について国会でも非常に論議のあったところですけれども、私どもの立場からすれば、そういうふうな関係にある国でありますから、やはりいまのような御意思があるとすれば、その話をもっとまとめて、そしてその上で条約を結んだらいいのではないか、何もそんなに急いでやるべきではないというようなことを考えるわけですけれども、これは意見の違うところですから、この程度にいたします。  そこで、少し政治的な問題に入りますけれども、この間の日米共同声明の中で、韓国日本の防衛構想の中に一応入ってきて、言ってみれば、運命共同体のようなものになったわけですけれども、一方において経済的な面から見ますと、日韓の条約で、賠償があり、民間、それから無償供与等のいろいろな供与をしていくということで、経済的にも非常にたくさんの日本資本というものが韓国経済の中に入っていくような状態になっているのですけれども、そういうふうな中にあって、アメリカの経済的な援助というものも、一方においては非常に大きな役割りを果たしていると思うのです。そういうふうな状態の中で、今度の租税条約が結ばれたということになりますと、日本から韓国への直接の投資というものが非常にしやすくなって、どんどん行きやすい、そういった傾向が多くなってきたのではないか、日本韓国との経済共同体の傾向にさらに拍車をかけるというような方向になると思うのですけれども、そういうものを政府としては期待をしていらっしゃるのですか、どうでしょうか、この点をまず伺いたいと思います。
  35. 金沢正雄

    金沢説明員 いま御質問の点でございますが、先ほどからも御説明を政府委員から申し上げましたように、これは韓国におきまする日本の商社その他会社に関して当方と見解を異にする課税がなされたということから、その問題を合理的な基礎において解決するという目的で、この租税条約交渉が開始されて、その結果、この条約が結ばれたわけでございます。したがいまして、その結果といたしまして、日本企業進出が容易になるということは、これは事実だと思います。しかしながら、その結果として、日本韓国とが経済的にも共同体になるというような、そういうことを目的としている条約ではこれはもちろんないわけでございまして、これは日韓の経済間の交流の問題について起こったところの具体的な問題を解決するための手段だ、そういう意味では技術的な性格を持ったものだというふうに私どもは了解しておるわけでございます。
  36. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまのお考えは外務省のお考えでしょうけれども、現実の問題としては、そういう結果になりつつあるのじゃないでしょうか。一方においては、日本が日米共同声明で韓国日本を同じに防衛する。そして今度はこっちでは、いろいろな角度で日本が援助をしている。そういうような形のところに租税条約が出てきて、日本資本進出がしやすくなる。こういうふうになると、どんなに経済共同体の形にならないんだといって打ち消されても、結果的にはそうなるのではないか、こういうふうに私どもは考えますけれども……。
  37. 金沢正雄

    金沢説明員 申すまでもないことでございますけれども、韓国日本と地理的に非常に近いわけでございますので、その間におのずから経済の交流、あるいは人間の交流その他の交流が行なわれるということは、これはむしろ自然の流れではないかと思うわけでございます。したがいまして、現在の日本におきましては、韓国との貿易は往復合わせて相当な量になるわけでございますが、しかし日本全体の貿易の規模ということから考えますと、これはそんなに大きなパーセントを占めるわけではないわけでございますので、世界の各国貿易による交流を行なって、日本経済の繁栄維持をはかっていくというそういう大きな目的から申しますと、きわめて隣接しております韓国との間にも経済の交流がふえていくということは、これはまあ自然のことじゃないか、したがって、それに特に政治的な意味を考えるというふうに必ずしも考えなくてもいいんじゃないかというふうに私は考える次第でございます。
  38. 戸叶里子

    ○戸叶委員 まあ外務省のお考えはそうでございましょうけれども、結果的にはそういうふうな方向に行きつつあるということは私たちは考えざるを得ない。ことに日本資本がどんどん進出していくということが一体韓国自身にとってもいいことであるか悪いことであるか、大きな目から見て。いいことか悪いことかといえば、これはいいことだけども言えないんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。その理由は、韓国と北朝鮮とは三十八度線で分断されておるわけですね。そうしてアメリカとの関係は、特別な緊密な軍事的な政治的な関係というものを持っておるわけです。そうしてベトナム戦争に対してはアメリカと協力をするという意味で約五万くらいの兵隊が派遣されている。こういうふうな中でアメリカからの特需、ベトナム戦争による特需というものが入ってくる。つまり、韓国がこれの一番の受益者じゃないかというふうなことがいわれているほどの特需がいろいろ入ってくるわけでございますけれども、そうして韓国経済というものを見ますと、たいへんに高消費あるいはまた高度成長型の経済というものを実施はしておりますけれども、ソウルで一方においてはたいへんにみえのいいようないろんなものが建ったり、どんどん経済発展がしたような見せかけがあっても、一般の社会保障の面なんかでは非常におくれている。生活というものがたいへんに苦しくなっているというふうなところに日本資本が入っていくということになりますと、かえって日本資本というものに対する依存度というものが非常に強くなってくるんじゃないか。そうして、韓国の国内の問題の方向よりも、むしろ日本資本の入ってくるということに対する依存の度合いというものが多くなるし、韓国自身のためにはむしろならないんじゃないかということを私どもは考えるわけですけれども、こういうふうな考え方に対してはどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 金沢正雄

    金沢説明員 御質問の日本経済進出、つまり今回の租税条約によって容易にされるであろうところの日本経済進出韓国にとっても必ずしもよくない面があるんじゃないか、こういう御質問でございますが、実は韓国に対する合弁投資というのは最近数が徐々にふえておるわけでございます。これは韓国自身が非常に望んでおったことに基づいて日本企業進出が行なわれている、こういうのが実情でございまして、韓国のように資源がわりあいに少なくて、しかも人間が多いわりあいに教育程度が非常に進んでおりまして技術をどんどん生かしているというような国につきましては、やはり工業化という線で国の経済の発展をはかるという方向を目ざすのはこれは当然じゃないかと思うわけでございます。したがいまして、そういう資本とそれから技術の不足しておる発展途上国は、日本のような国から技術資本を求めて、そうして工業化をはかる。そういうことは韓国にとって、これは韓国なんかでも望んでおることでもございます、それから韓国利益にもなることだ、そういうふうにわれわれは考えるわけでございます。いま御指摘のございました、一方では高度成長しておるけれども、都市には生活保障その他の問題がある。これは先生おっしゃったとおり、そういう農村と都市のひずみでございますとか、そういう経済的な難問、これはいろいろあると思います。そういう点は韓国自身が解決すべき問題であると思うわけでございますが、全般的に考えました場合に、韓国としては健全な経済発展の道を歩んでおるのじゃないか、われわれはそういう感じを持って見ておるわけであります。
  40. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務省のそういうお考えはお考えだからしかたがないのですけれども、私たちから考えますと、それは少し甘過ぎるのではないかというふうに考えるわけです。この考え方なり見通しの問題は、見解の相違ですから、それ以上のことは申し上げません。  そこで、さっき合弁会社の問題が出ましたけれども、一九六八年八月に第二回の日韓閣僚会議でコミュニケを出しておりますね。その中に書かれておることで、合弁投資の積極的進出が両国間の経済関係の緊密化に資するものであることを確認したということが表明されているわけです。そのコミュニケでは特に合弁投資の促進を取り上げ確認し合う必要性がどういうところにあったかというようなことが、私どもとしてはこのコミュニケでわからないものですから、このコミュニケでいわれております合弁投資の促進を取り上げてお互いに確認し合ったというその必要性というものはどこにあったかということが聞きたいわけですが、どういうところにあったわけでございましょう。
  41. 金沢正雄

    金沢説明員 これは先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、合弁投資を促進してくれということは韓国側からの非常に強い希望であったわけでございます。それで日本側といたしましては、投資が行なわれるためには投資環境の整備が行なわれなければならない、たとえば租税協定でございますとかあるいは意匠権、商標権、そういうものを尊重するという制度、そういう投資環境が整備されていないということで、従来は日本側としては韓国に対する投資は非常に慎重であったわけでございます。しかし韓国側の非常に強い希望もございますし、それが韓国経済の発展に基本的には従う問題だということで、そのときに韓国側の強い要請に基づいてそういうコミュニケの文言ができた、こういう経緯でございます。
  42. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると合弁会社といいますか、現在の合弁投資というものを阻害する要因というものは、今度の租税条約である程度解決しようという目的でこの租税条約を結んでいらっしゃるわけですか。
  43. 金沢正雄

    金沢説明員 租税条約そのものは、さっきからもいろいろ御説明がありましたとおりに、韓国側韓国における日本の商社その他の会社の活動に対する課税が非常に多額でございましたので、その問題を合理的な基礎に乗せるという目的で始まったわけでございます。結果といたしましては、先生御指摘のようにこの投資がこれによって容易にされるということはそのとおりだと思います。
  44. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、一九六七年から韓国の第二次経済開発五カ年計画というのがたしか始まっていたと思うのですが、そこでその期間中の外資の依存度というのは大体どのくらいあったわけですか。
  45. 金沢正雄

    金沢説明員 韓国におきます外資の導入の具体的な数字でございますが、これにつきましてはいろいろな資料があると思うわけでございますが、韓国側数字を申し上げますと、一九六七年におきましては外資導入の総額は二億三千八百万ドルでございます。その内訳は公共借款、これは政府でございますとかあるいはアジア開銀とか世銀とかそういう公共の機関によるところの借款でございますが、この二億三千八百万の内訳は公共借款が一億五百万でございますそれから民間借款、これが一億二千三百万、それから直接合弁投資、これが九百万余、端数は申し上げませんが。翌年の六十八年でございますが、外資導入の総額は三億五千六百万でございます。この内訳は、公共投資が七千三百万、民間借款が二億六千七百万、それから直接合弁投資が一千六百万でございます。それから昨年度につきましては、まだ手元に持っております数字は一月——六月、上半期だけでございますが、その合計は二億八千七百万でございます。内訳は、公共借款が八千三百万、民間借款が一億九千九百万、それから直接合弁投資が四百万、こういう数字でございます。したがいまして、六七年から昨年の六月までの合計は八億八千二百万でございますが、それが韓国の公共計画の所要の資金のうちの何%を占めるのかということませんので、調査の上お答えさせていただきたいと思います。
  46. 戸叶里子

    ○戸叶委員 これは韓国の中に占める割合の半分以下ですか、半分以上ですか。大体そのくらいのことはおわかりになるでしょう。それと、外資の依存度というものがさらに増していくような傾向があるかないか、この点を伺いたい。
  47. 金沢正雄

    金沢説明員 今後この外資の負担が増していくかどうかという御質問でございますが、その点について直接のお答えにはならないかもしれませんが、韓国経済は一九六八年には一三・三%、昨年一九六九年には一五・五%という成長率を示したわけでございますが、韓国政府といたしましては、いま御指摘の債務償還の問題もございますので、高度成長よりはむしろ安定成長を重視する、こういうふうな経済政策に現在転換を見せておる段階でございます。したがいまして、本年一九七〇年は、成長率を一一%、七一年には一〇%、それから七二年以降は年平均九%というふうに成長のテンポをスローダウンいたしまして経済の過熱を回避する、こういうふうな措置がとられております。具体的には、昨年でございますが、商業借款の借り入れのワクを設定いたしまして、それ以上については借款を許さない、こういうワクをきめたわけでございます。具体的にはそういう措置をとって、債務の負担が増加しないように努力をしておる、こういう状況でございます。
  48. 戸叶里子

    ○戸叶委員 一九六九年にIMFの調査団が韓国を訪問して、そうしてこの韓国経済の動向に対して勧告を与えたというようなことを私ども聞いているのですけれども、そういうことをお聞きになっていらっしゃいますか。その勧告をしなくてはならなかった原因はどういうところにあるか。いま韓国経済的な動向に対してIMFの調査団が行って、そうして何か勧告を与えたということを聞いているのですけれども、そういうことはお耳に入っていらっしゃいませんでしょうか。
  49. 小村康一

    ○小村説明員 ただいまのIMFの調査でございますが、これに関しましては、昨年とことしの四月に、世銀の主宰のもとで、IMFも加わりまして、関係の国々が協議を行なったわけでございますが、そのときに、昨年の会議のときには、韓国経済が少し過熱ぎみではないかという点がいま御指摘のようなことで指摘されました。そこでこの過熱を押えるつもりである、また押えることが、帳期的な見地からしまして韓国自身のためにいい画とであるからこれを押えたい、こういう約束をいたしておりまして、ことしの四月にまた協議グループが行なわれましたときにも、その点を再確認いたしました。過熱を避けたい、したがって経済成長もそのためには従来のような一五%あるいは一三%、そういうふうな数字から落としまして、今後五カ年間で大体八・五%、従来に比べますと、成長率が非常に落ちるわけでございますけれども、そういう地道な政策をとっていきたい、こういうふうに韓国側も約束いたしております。
  50. 戸叶里子

    ○戸叶委員 IMFでも韓国経済のあり方にそういった勧告を与えておる。日本でも外務省が、韓国経済の正常化のための対韓債権国会議設置に関する構想というようなものをお出しになったけれども、韓国の強い反対でこれができなかったということを聞いておるのですけれども、そういう事実はあったのでしょうかどうですか。
  51. 小村康一

    ○小村説明員 ただいまのは何かの誤報かと存じます。関係国が集まりましてすでに二回、ただいま申し上げましたとおりの会議を国際的に行なっておるわけでありますが、それ以上のものはございません。
  52. 戸叶里子

    ○戸叶委員 では、念のためにもう一度伺っておきますが、国際会議としてそういう忠告をしたけれども日本としては特にそういうことは考えなかった、こういうように考えていいのですね。
  53. 小村康一

    ○小村説明員 そのとおりでございます。
  54. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで、こういうふうな国際会議韓国に警告を与えるような状態のもとで、総合製鉄所の建設が韓国で考えられたと思うのです。それに対して世銀加盟国であるアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアというような対韓協議グループというものが資金の援助を拒否しているわけですね。その拒否にもかかわらず日本がそれを引き受けたという理由はどういうところにあるのでしょうか。大臣、御存じないかあるか知りませんが、これは大きな問題ですから、もし御存じだったらその点を伺いたいのです。
  55. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いまお聞き及びのように、韓国経済の発展は、ある意味では目ざましいものでございます。これはある時期日本でも経験したようなことではないかと思いますけれども、その成長率が非常に急激過ぎる、あるいは手を広げ過ぎるという傾向があるのではないかということが、日本のみならず世銀あるいは関係の国の間にもそういう意見が起こっておりまして、それが世銀等の調査などにも反映してきているわけであります。いま浦項製鉄所のお話が出ましたが、この浦項製鉄所につきましても、これはまた全体の問題の一環ではありますけれども、世銀に融資の申し入れがあって、この一つの案件について、世銀としても十分の調査をいたしまして、いろいろのアドバイスがあって、いま融資を拒否したというお話がございましたが、経過はいろいろございましたけれども、日本として態度を決定しますその状況に至ります当時においては、世銀側の調査においても、韓国側も世銀等に対するアドバイスを十分取り入れて、これならば、こういう建設的なモデレートな計画ならばこれは進行させてよろしかろうということが世銀のほうでも認められて、それを受けて日本としてもこれに対する態度をきめるようになったというのが、その経過であるように私は承知いたしております。
  56. 戸叶里子

    ○戸叶委員 話をだんだんつけていって、そうしてこういうふうなものならいいだろうというところで日本が引き受けたというお話でございますけれども、こういうふうないろいろ批判的であるときに、なぜ日本だけが引き受けなければならないんだろうかということを、私どもは報道を見まして感じるわけです。たとえば世銀加盟国である、いま申し上げましたような米、英、仏、独、伊というようなこういう国々は、相当大きな国だと思うのですけれども、そういう国は断わって、日本だけが、まあこういうものならいいだろうということでお引き受けになるという、それほどのゆとりが日本にもあるはずはないじゃないかと思うわけですけれども、これはどうしてそういう国々の考えを押し切って、いかにこの程度のものだからしかたがないというような、モデレートなものにしたからいいということであるにしても、それを引き受けなければならないという理由がちょっとわからないんですけれども、特に日本だけがこれを引き受けたというような理由について、御説明願いたいと思います。
  57. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはいまも申しましたように、ずっとこう長い期間の経過がありまして、最初韓国側の計画というのは、非常に意欲的であると申しましょうか、野心的であると申しましょうか、規模も非常に大きなものでありましたし、それから、その設備等につきましても、非常に高度の超近代的と申しましょうか、そういうふうな計画を考えておった。それに対して、世銀等においても、いろいろ調査をし、また、日本技術陣その他の参加も求められて、いろいろの経緯がありましたが、規模を相当縮小する、あるいは民生安定に資するような目的というようなことで、その中身のプロジェクト内におけるいろいろの計画も漸次、モデレートなものになるようになった。そして世銀の立場においても、これならけっこうではないかということで、世銀のことばで言えば、世銀がエンドースしたわけでございます。世銀がエンドースしたものに対して、関係国がどういうふうに融資その他を協力するかということは、それは今度は、各国の自主的な立場に立って判断をすべきものであって、日本といたしましても、世銀とも十分連携をとり、そして世銀がエンドースした範囲内のものについて適切な協力をするということが、日本の国益にも合致するものである、こういうことで態度をきめた、こういう経過にななっておるわけでございます。
  58. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は、それ以上主張しませんが、ただ、疑問に思いますことは、そういうふうにいろいろと話をしていって、まあこの程度のものならいいだろうといって日本が引き受けるんだったら、そういうことを断わった国が話をしていって、世銀の協議グループの人たちが断わらないで、こういうふうなものならいいじゃないかといって、やはり援助してやればいいんじゃないかと思うのですよね。それを、初めはだめだといって断わって、そして今度は、日本が間で話し合って、それじゃ、この程度のものなら日本でいいですというような引き受け方でなくて、そういうところに持っていくなら、ほかの国だってそういう話をしていったらいいじゃないかということを考えますけれども、これ以上、この問題で議論していても、だいぶ自民党さんのほうでお急ぎのようですから、またの機会にいたしまして、最後にもう一つだけ伺いますけれども、いままでのいろいろな観点に立って考えますと、筋の通らないような資本協力とか資本進出というものは、一面においては、韓国経済の対日、警戒心というものをある程度そそるものだと思いますし、そういう点のこともよく考えていただきたい。かえって害があるんじゃないかということを考えます。  それからまた、さらに、韓国に一生懸命になって協力をして、資本が出られやすくしていくということは、南北朝鮮の分裂ということをさらに強化していく方向にいくわけでございますから、そういう面でも、特に考えていただきたい。で、私どもとしては、こういうふうな分裂的な関係にある国々の分裂をさらに促進させるようなことにはとても賛成できないものですから、そういう点に十分に留意をしてほしい。この点を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 田中榮一

    田中委員長 中川嘉美君。
  60. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 まず、ただいまもいろいろ韓国に関するお話が最後出ておりましたので、私も、租税に関する大韓民国との条約から入りたいと思いますが、この議定書の第二項のところに外資導入法というのが出ておりまして、この外資導入のことにつきまして、韓国は、一九六六年外資導入法を制定して、積極的に外資の導入をはかりながら韓国経済の振興につとめているわけでありますが、伝えられるところによりますと、一九六九年の一月で外資導入額の累計が十四億ドル、この十四億ドルもすでにこえてしまっている。そのうち、民間借款は九億ドルをこえており、その比重が圧倒的に大きいと言われております。ところで、わが国は、アメリカと並んで、韓国に対しまして経済協力に力を入れておるわけでありますが、先ほどもちょっと関連の質問があったようでありますが、わが国の今日までの民間借款の金額ですけれども、これは現在、どの程度供与しているか、ひとつ今日までの分についてお答えをいただきたいと思います。
  61. 金沢正雄

    金沢説明員 今日までの民間信用供与の数字を申し上げます。  一般プラント類が三億五千百三十二万四千ドルでございます。それから、漁業協力でございますが、これが千九百四十四万二千ドルでございます。それから、第三番目に船舶輸出でございますが、これは二千五百四十六万八千ドル、合計三億九千六百二十二万二千ドル、これが本年二月末現在の数字でございます。
  62. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 外務省は昨年春に韓国産業視察団というのを派遣して、日本から導入の借款によよってつくられたところの諸工業の生産設備についての調査をしておられると思うのですが、その概要についてちょっと説明していただきたいと思います。
  63. 小村康一

    ○小村説明員 御指摘の調査団でございますが、すでにこの報告書につきましては、事務局を通しましてお手元のほうに配ってございますが、ごく結論の部分だけ申し上げますと、まず第一点といたしまして、このわれわれの行なった経済協力によって日韓両国間の経済関係というものはすこぶる緊密になったという点、及び二番目といたしまして、その経済協力がきわめて生産的かつ効果的に使われているということ、それから第三点といたしまして、そのわが国から供与された協力によりまして、韓国の高度の経済成長がささえられるところが非常に大きかったという点、並びに特にわが国からの協力が向けられた方向でございますが、これは農業、水産業、各種製造業、鉄道、電力等、韓国経済の建設にとりまして非常に重要な分野に向けられているということ、こういうことで、非常にけっこうな方向に進んでいるということ、したがって、今後ともわが国としては、十分韓国の立場を考えながら協力をその方向に沿ってやっていく必要がある、こういう結論でございます。
  64. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま私がお伺いしたのは、生産設備についての調査ということであったわけですけれども、こういったことについても、そのデータに載っておりますか。
  65. 小村康一

    ○小村説明員 こまかい点はあの報告書を見ていただきたいと思います。
  66. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ところで、いまのこれらの返済の時期の到来であります。これがいつごろ来るかおわかりになりますか、こういったものの返済の時期ですけれども……。
  67. 小村康一

    ○小村説明員 韓国側の試算したところによりますと、七〇年には一億五千万ドル、七一年には一億七千五百万ドル、七二年に一番頂上にまいりまして一億八千万ドル、以下ずっと漸減いたしまして、七六年には一億ドルまで下ってくる、こういう数字が出ております。
  68. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 韓国経済は、先ほどの戸叶委員に対する説明にもいろいろ出てまいりましたように、かなり外資に依存している経済になっておるわけであります。また、一方日本の場合は、外務省からいただきましたデータにもありますように、貿易面でもって一億三千万ドルの輸入に対して七億六千万ドルの輸出を行なっておるわけで、相当の入超になっておるわけであります。  いずれにしても、先ほど申し上げた外資の借款による元利金償還というものがこれからの韓国経済に重圧を加えることになると思いますが、この点、政府はどのように見ておられるかお答えいただきたいのですが……。
  69. 小村康一

    ○小村説明員 まさに御指摘の点が今後の韓国経済の成長の中で非常に問題になる点でございます。したがいまして、先ほど戸叶委員にもお答えいたしましたとおり、今後の成長を考えていくときに、外資の返済というものの負担が過大にならないようにというのが韓国経済の今後の進め方の非常に大きな問題点である。また、それについて先方は、それ相応の決意を示しているということは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
  70. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 たとえば日本として、もしも韓国から債務の一時たな上げであるとか、こういった問題について万一申し入れを受けた場合には、どの歌うに対処するおつもりですか。
  71. 小村康一

    ○小村説明員 ただいまの御質問でございますが、実はさようなことのないように日本側も注意いたしておりますし、もともと韓国側がそういう事態が来ることをできるだけ避けたい、いや、絶対にあっては困るということで今後の成長を割り出しておるわけでございますから、さような心配はないものと確信しております。
  72. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 万一という場合もあるわけですが、債権国会議のような方法によって韓国の債務を処理するというようなお考えはありますか、どうでしょう。万一という想定ですけれども……。
  73. 小村康一

    ○小村説明員 非常にむずかしい仮定の質問でございますので、私のお答えも、どうお答えしていいかよくわからないのでございますが、万一韓国輸出が予想どおり伸びない、何かのことで非常に低調をきわめるというようなことがないとは言えないわけでございますが、さような場合には、むしろ今後出していく日本のみならず、アメリカあるいは西欧の諸国から出されるところの借款がもっとゆるい条件で出されるという事態のほうが先に来るのではないかと思います。
  74. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 韓国日本経済資本の導入ということを期待しながらも、他面、日本経済侵略ということで警戒するという声がきわめて強いように思うのですが、この租税条約によって日本経済資本進出はより促進されることになる、こう思われますが、この点についての調整は政府としてどのように考えておられますか。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまもいろいろお答えいたしておりますけれども、これは第一に韓国だけの問題ではございませんで、たとえばインドにつきましても、あるいはインドネシアにつきましても援助を与えるほうの国は、これは日本だけにとどまりませんで、やはり回収という点については非常に大きな関心を持ち、また、その間非常にきびしい経験も日本のみならず列国がいたしておるわけでございますが、そういう観点から韓国について、また具体的には日韓間の関係におきましても、政府としても非常な関心を持っているわけでございます。  幸いに、先ほど来お話があったかと思いますけれども、韓国経済の安定成長の度合いを少しスローダウンするということがまず第一だと思いますが、同時に日本側としても考えなければならぬのは、これは韓国側も非常に要望していることですが、貿易のインバランスを何とか改善するということ、これは日本側がやはり先方の対日輸出をもっと考えてやらなければならないという問題も同時にあるわけでございます。  それから融資、投資等については、成長率がスローダウンすれば自然計画全体がスローダウンされることになりますから、その規模等についてももちろん現実的な規模にとどめなければなりませんが、同時にやはり日本側としても、これは韓国に対するだけではございませんが、融資の条件の緩和ということは、与える立場としてはやはり列国と足並みをそろえて相当緩和としてやるということも同時に考えていかなければならないと思います。  幸いに日韓関係では、八月には定期の日韓経済閣僚会議もことしは先方で、ソウルで開かれることになっておりますが、昨年の経験に徴しましても、日本側の積極的好意のある公正なアドバイスに対しましては非常によく理解をしてくれるような状況になりまして、いま申しましたような考え方で日本側としてもいるわけでございますから、私はいまのところ、さしておそるべき状況になっていないと思いますれども、かりそめにも韓国側から、日本資本あるいは経済進出先方の心配を多くするというようなことはかりにもないようにという点についても、今後とも十分の配慮をしてまいりたい、かように考えるわけでございます。今回の二重課税防止等の条約の制定をお願いしているゆえんは、むしろ過去において、どちらかというと、過度に日本企業が、過度にと言うといささか穏やかでないかもしれませんけれども、待遇を受けていたというようなことを是正するということであって、今後積極的に向こうが何でもがりがり進出するのだということを考えているわけでは毛頭ございませんことを御注意いただきたいと思います。
  76. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほど警戒ということばで申しましたけれども、これが事実であるとすればどうかという問題も出てまいりますけれども、いまいろいろ御説明になりましたし、ついでにちょうど大臣から御答弁があったものですから、次に現在問題となっておりますところのカンボジア情勢に関して、経済的な側面から考えて申し上げてみたいと思います。  この間五月九日付の新聞紙上でありますが、韓国はロン・ノル政権と「領事関係を再開」というような記事が実はあったわけであります。この記事をちょっと読んでみますと、「北朝鮮がカンボジア王国民族連合政府を承認したため、プノンペン政府と領事関係を結ぶ方針を固めた。韓国は、プノンペン政府の出方をみたうえで、こんご大使館も開きたい意向でおり、韓国政府はカンボジア介入に積極的な姿勢を示しているとみてよい。」ちょっと飛ばしますけれども、次に、韓国は「ロン・ノル政権に対しては最初から好意的で「要請があれば援助を考慮する」との態度を明らかにしている。」こういうような記事が出ております。このように、韓国は場合によっては大使館も開きたい、また要請があれば援助を考慮する、このような積極的態度を示しておるわけでありますが、日本政府としてはカンボジア紛争を鎮静化させる努力の手始めとして、アジア会議に大臣が出かけられる前に、お隣の韓国では介入に対して非常に意欲を示しておられるようでありますが、韓国の介入を抑制する手段は考えておられないかどうか、この点についてお答えいただきたいのです。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 韓国がカンボジア問題についてどういう態度をとるかということは、日本として直接コメントすべき問題ではないかとも思いますけれども、ジャカルタで会議が開かれて、そこへ韓国側も代表者を送ることになっておるようでございますから、そういう機会にただいまお話しになりましたようなことは、私も御同様の感じを強く持っておりますから、こういう機会も大いに話し合いの場にいたしたい、かように考えております。  なお、それに関連して、政府といたしましては先般来政府の意図を明らかにいたしておるつもりでありますけれども、そういう方向で、つまりカンボジアが中立で、独立で、領土保全が維持できるように、そして軍事的な介入というようなことはいかなる国もこれをやめるべきであるという筋を通していきたい、こういう考え方は韓国のみならず各国に対し、それぞれすでにいろいろのルートを通じまして、日本の意のあるところは十分連絡をとり、あるいは協議をいたしておるような次第でございます。
  78. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それで韓国は先ほど指摘いたしましたとおり、外資依存経済ということで、わが国経済資本にたよる面も非常に多かったわけでありますが、そうした経済にありながら、韓国はいま申し上げたカンボジア紛争に積極的に介入しようとしているわけであります。この新聞の記事によりますとそのように解釈できるわけですが、いざ介入となれば、韓国経済的にもかなりの負担を負うことになるのじゃないか。そうした韓国に対して日本経済協力に力を注ぐということは、間接的にカンボジア紛争に介入するといわれてもやむを得ないのじゃないか、このように思うわけですけれども、先ほどの御答弁にあわせてもう少しつけ加えていただきたいと思います。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いま申しましたように、韓国がカンボジアに対してどういう態度をとるか、あるいはそれに対してどういうことをやるかということについては、現在のところあまりコメントすべきじゃないと思いますが、政府として一番大事なことは、韓国経済が健全な発展をするということで、これがまず第一に韓国の望むべきはずのところではないかと考えるわけであります。そういう意味からいいまして、たとえば成長率を落とす、それから外資に対する依存度を低下させていくというようなことが、日本としての態度なのでありますから、そういう線からいっていま御指摘のようなことがあることは、決して好ましいことではない。そういうことのないように私は期待をしていきたい、かように考えております。
  80. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ただいま大臣の御答弁に、韓国経済が健全な発展をすることというお話がありましたけれども、そのとおり私も考えるわけでありますが、少なくともアジアの諸国にこういったことで誤解を与えることのない経済協力の形態だけはとっていただくよう、ひとつここで切望しておきたいと思います。  次に租税に関するザンビア共和国との条約でありますが、アフリカ地域についてこういう租税条約締結したのは、このザンビアが初めてではないかと思いますが、今後ザンビア以外のアフリカ諸国租税条約交渉する用意はありますか。将来の見通しかあるいは御見解について伺いたいと思います。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 お答えいたしますが、現在東アフリカ三国、ケニア、タンザニア及びウガンダとの間で、租税条約交渉を行なう予定にいたしております。  なお御承知のように、アフリカ諸国もいろいろの関係日本との経済関係が漸次かなり急速に進みつつありますので、こういうわけで求められれば、あるいはその他の国との間にもこういう協定は結んでしかるべきではないか、こういうふうに考えております。
  82. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ところでわが国ザンビアとの貿易額を見ますと、銅鉱物資源が輸入について二億八千八百六十八万ドル、約二億九千万ドルに及んでおり、そしてまたこのことによって約二億七千万ドルの入超という形をとっているわけでありますが、今後わが国の入超ということは是正しながら、ザンビア経済開発というものに大いに寄与していくことが必要と考えられますが、政府はこの点どのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 的確に各国別に申し上げるだけの用意をいたしておりませんけれども、アフリカは申すまでもなく戦後新興の国が続々独立しておりますので、地域的な資源の分布の状況とかその他率直に申しますと、特に日本との関係で、かなり偏しているところもあるわけであります。日本として輸入したいものを比較的たくさん持っている国と、それほどでない国とございます関係もありますから、アフリカのそれぞれの国と日本との関係でバイラテラルにおのおのが全部貿易上均衡をとっていくということは、場合によってなかなかむずかしいところもあると思います。基本的にはやはり均衡をとっていくべきものである、しかし一国一国に対して日本がそれぞれの関係で均衡をとっていくということは、これはなかなかむずかしいことではないだろうか、こういうふうに考えております。
  84. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いずれにしましてもわが国経済が今後ますます発展していくというためには、これら地域の天然資源に依存する面が増大化するのではないかと思います。そのため多くの日本企業進出することが予想されるという点において、先ほどいろいろお話委員会の場においてありました。また戸叶委員に対する御答弁にもありましたけれども、これらの諸国から日本企業進出に関して対日批判というようなことを受けることのないように、ひとつ政府においても慎重に配慮されるように、ここであわせて要望しておきたいと思います。  次にマレーシアとの租税条約に入りますが、この提案理由の説明の一ページの終わりのほうですが、「マレイシア政府は、同国が独立後比較的日の浅い時期に締結した各国との租税条約を終了せしめて現状に即した新協定締結したいとの一般的な方針に基づき、」云々とありまして、マレーシアについて政府は旧条約を終了させる理由として、現状に即したものにしたい、このように言っておりますが、旧条約はどのような点が現状に即さないと考えておられるか。先ほどの御答弁にもいろいろあったようですが、そのほかにもう少し詳しい御説明がいただければと思いますが……。
  85. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほども御説明いたしましたように、前回の条約は独立後間もなくつくったものであり、向こう側としても税法も整備していなかったということで、所得税法の全面的な改正をやったので、それについてそれに合わせてやりたいという希望がまず第一にあったわけでございます。  それから第二点といたしましては、先ほども御説明申し上げましたように船の往来でございますが、わがほうからマレーシアに行くほうが多いので、船舶所得について完全に相互免税にするということは、日本側のほうの利益が多くて自分のほうの利益があまりにも少ないということで、船舶所得についてある程度の税金は取りたいという申し出がありまして、それについては他の後進国との間にも若干の例がございますので、五〇%は向こうが取れるようにするというふうなことにいたしたわけでございます。しかしこの点につきましては先ほど主税局長からお話もありましたように、日本税法に従って算定するわけでございますから、日本船会社に関しては実質的には税額控除が行なわれますので、負担とならないわけでございます。他方、われわれ先ほども申し上げましたように、利子条項なども加わりまして日本のほうとしては利益を受けた面もあるわけでございます。
  86. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま最後に御説明のありました船舶関係所得ですけれども、これが旧条約とこの協定との大きな違いじゃないかと思いますが、それでは、七条に「五十パーセントに等しい額だけ軽減される。」云々とありますが、日本マレーシアに納める船舶所得に対する税金は年額どのくらいになるかという点ですが……。年九月が約五千五百万円くらいになろうかと思います。それから四十四年十月から四十五年九月のものが約六千九百万円くらいになろうと思います。
  87. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは円ですね。  次にみなし税額控除というのがありましたけれども、この税額控除は発展途上国との間の租税条約によくある規定でありますが、発展途上国がこの規定を必要とする直接的な理由はどういうことでしょうか。
  88. 細見卓

    細見政府委員 発展途上国は多くの場合、何らかの意欲的な産業計画を持ちまして投資活動を活発にして国内の開発をはかっておるわけです。その部門におきまして、いろいろな金融上のインセンティブもございますけれども、多くの場合税制上のインセンティブがございまして、その形も、半分軽減するとか、あるいは特定年間免税にするとか、あるいは特定期間というよりもやや長期にわたって免税するとか、そういう型が考えられます。もし日本企業が出てまいりまして、相手国では確かに免税を受けるわけでありますが、御承知のように、日本の税制のたてまえといいますものは世界所得をいわば総合して税額をはじき、その中で外国で現実に支払われておる税額を控除するというのが日本税法のたてまえになっておるわけであります。そこでもしそのみなし税額控除というのがございませんと、せっかく相手国が資本を導入するために免税にいたしましても、その企業日本国においてその免税部分を払わなければならない、具体的にはその分だけ税額控除を受けられないという形で、払わなければならないということになるわけであります。そういう意味で、経済協力を進めていく場合に、相手国も特定のものにつきまして、具体的にこういうものは免税にいたす、しかもそれは自国の産業開発のために非常に緊要なものだというようなものを例示いたしておりますので、項目を限りまして、こういうものについては税額が払われた——現実に払われておりませんが、払われたものとみなしてその分だけ日本企業進出を容易にするという形にいたしておるわけでございます。
  89. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまお答えいただいたほかに、何か外資導入のための優遇措置か何かそんなようなことにも関係ありませんか。
  90. 細見卓

    細見政府委員 韓国のように外資導入法というような形をとっておるところはもちろんそれに関係ございますし、そのほかの国におきましても特定産業振興法というような形で、同じような免税を規定しておるところもございます。
  91. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 日本と東南アジアの経済関係日本の出超がその大勢となっておりますが、マレーシアとの関係では、ここにある外務省からいただいた関係資料を見ますと、日本が三倍の入超となっているわけで、このように三倍もの入超というのはどういったところに理由があるか、品目もここに出ていますので、大体わからないことはないのですが、ちょっと説明していただきたいと思います。
  92. 金沢正雄

    金沢説明員 昨年度におきましては日本マレーシアに対する輸出は一億三千三百万ドル、輸入が四億六千万ドルで、まさに御指摘のように三倍のわがほうの入超になっておるわけでございます。マレーシアとの貿易は従来ともわがほうの大幅な入超でございまして、その理由といたしましてはマレーシアから木材それからゴム、すず、鉄鉱石というふうな日本の必要とするところの原料品を買い付けておるということが輸入を非常に多くしておる理由でございます。輸出のほうは、何ぶん人口一千万の国でございますので、別段先方で制限をしているというような事情は何もございませんが、おのずから需要に限りがあるのじゃないかと存じております。
  93. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 その辺の理由はわかりました。そしてまた日本の必要とする原料ということでいまお話がありましたけれども、何かこのほかに特にマレーシアに対して日本経済協力に力を入れようというような意図でもありますか。そういう点はどうでしょうか。
  94. 金沢正雄

    金沢説明員 経済協力の面でマレーシアに特に力を入れようという考えはないのじゃないかと思っております。しかし現在マレーシアに対する日本企業進出は合弁企業約四十社というふうな現状でございまして、その進出企業の業種も各般の分野にわたっておるわけでございます。したがいまして、その点進出の投資環境としてはマレーシアは非常にいいということがこういう状況になっておる理由じゃないかというふうに考えるわけでございます。
  95. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ついでですけれども、そうすると東南アジアでこういった日本が入超もしくは半々になっているような国がどこか別にありますか。あれば、その主要品目であるとかどういったものが輸出されてきているか、こういった点についてお答えいただきたいと思います。
  96. 金沢正雄

    金沢説明員 東南アジアで日本が入超しておる国はマレーシアとインドネシアとそれからインドと大体この三国だと考えております。  インドに対しましては昨年度の輸出が九千五百万ドルでございます。それから輸入が三億二千百万ドルでございます。したがいましてわがほうの入超が二億二千五百万ドル、こういう状況でございます。インドのこの理由は、インドからは御承知のように鉄鉱石でございますとかあるいはマンガン鉱石とかそういうわが国の鉄鋼業にとって必要な原料資源をインドから多量に買い付けるということが輸入が非常に多い理由でございます。それからインドに対する輸出が非常に少ない理由は、これはインドは外貨の事情が非常に悪いということもございまして輸入制限を行なっております。それからなるたけ国内の工業を育成いたしまして輸入代替産業と申しますか、そういうことで外国からの製品は輸入しない。したがいましてわがほうは、対印輸出は一九六五年をピークといたしましてその後だんだん減少いたしておりまして、特に鉄鋼と機械製品、そういうようなもののインドに対する輸出が減少しておる、こういう理由でございます。  それからインドネシアでございますが、インドネシアは、一九六九年のわがほうの輸出は二億三千五百万ドル、これに対しましてインドネシアからの輸入は三億九千七百万ドルということで二倍近い数字になっておるわけでございます。入超は一億六千百万ドル、これもやはりインドネシアからは木材それから石油、ゴム、そういうふうな原料品を輸入するということに基づいてわがほうの輸入が非常にふえておる。わがほうの輸出は、何ぶん御承知のようなインドネシアの外貨の非常に悪い状況のためにおのずから制限される、こういう実情で大幅な入超が生じておる。大体マレーシアとインドネシアとインド、この三国がわがほうの入超を見ておる国だというふうに考えております。
  97. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最初におっしゃった九千五百万ドルの輸出とそれから三億二千百万ドルの輸入、これはインドですか。
  98. 金沢正雄

    金沢説明員 はい。
  99. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最後にオランダになりますが、このオランダとの租税条約第三条の(b)項ですが、「「オランダと」は、オランダ王国のうちヨーロッパに位置する部分をいう。」というところがあります。この定義について、このようにオランダ王国となっているにもかかわらず、スリナム及びオランダ領アンティールを除いた理由はどこにありますか。
  100. 山崎敏夫

    山崎説明員 オランダは、オランダ本国とそれからスリナムとオランダ領アンティールとからななっております。スリナムとアンティールは、オランダ王国内におきましては立法、行政、司法に関しまして自治権を持っております。これは別個の行政体になっておりますので、一応この条約の適用地域から除いた次第でございます。しかしながらこのスリナム及びアンティールに関しましては、別に第二十九条の規定がございまして、この条約の適用拡張を行ない得るようになっております。
  101. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま二十九条についてそのようにお話がありまして、「この条約は、スリナム及びオランダ領アンティールにつき、そのまま又は必要な修正を加えて適用することができる。」このようになっているのですが、この条約を適用させる場合の規定でありますが、わが国は適用させる考えがありますか、どうでしょうか。
  102. 山崎敏夫

    山崎説明員 もちろんわがほうとしてもそちらの方面にも進出しておりますし、漁業の関係もございますから、向こう側が希望さえすれば適用したいと考えております。
  103. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま申し上げたこれらの地域、すなわちスリナム及びオランダ領アンティールですけれども、オランダにおいては行政上どういうふうになっているかという問題ですが、それは先ほどおっしゃったように別々にというふうに解釈してよろしいわけですね。行政上どういうふうになっているかということです。
  104. 武藤利昭

    ○武藤説明員 一九五四年にオランダ王国憲章というものができまして、それにスリナム及びオランダ領アンティールの地位を規定しているわけでございますが、その中に両地域は立法、行政、司法に関し自治権を持つということが定められております。外交及び軍事を除きましては完全な自治権を持っているということでございます。
  105. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この一九三三年の「海運業からの利得に対する二重課税回避に関する日本国オランダとの間の取極」これがいま申し上げたように第九条のところに「千九百三十三年一月二十六日付けの公文の交換によって効力を生じた海運業からの利得に対する二重課税回避に関する日本国オランダとの間の取極に影響を及ぼすものと解してはならない。」このようにありますが、これらの地域にスリナム及びオランダ領アンティールは入っていたんでしょうか、どうでしょうか。
  106. 山崎敏夫

    山崎説明員 この交換公文は戦前のものでございますが、それには、仰せのとおり、オランダ本国に加えましてスリナム及びオランダ領アンティールにも適用されておったわけでございます。したがいましてさしあたりこの条約よりもこの交換公文は適用範囲が広いので、そのまま一応存続させるということになっておるのでございます。
  107. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この条約には情報交換についての規定がないのじゃないかと思うんですが、これを入れなかった理由は何かありますか。たとえばOECDモデル条約にはこれがあって、当然入れたほうがいいのじゃないかと思うんですが、特に何か情報交換の何を入れなかった理由があるのでしょうか。
  108. 細見卓

    細見政府委員 特別の事由はございません。非常に隣接国で、経済関係が緊密な国との間には情報交換あるいは脱税防止というようなものを全部カバーしたほうがいいとは思いますが、日本オランダとの間にはそれほどの企業進出もないものですから、とりあえず情報交換は両国の協議ということによって行ない得るから特別に情報交換は入れなかったわけでございます。
  109. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この情報交換というのは非常に大事なことじゃないかと思いますので、特別の理由なしに入れなかったといういまの御説明もわかりますけれども、そういうことではちょっとおかしいような気がするのです。たとえばOECDのモデル条約というものもあるわけなので、何かほかにもこういうような前例といいますか、情報交換について記載されてないようなものもありますか。ほかの国との条約で何かあれば……。
  110. 細見卓

    細見政府委員 現在のところは大体情報交換の条文がいわば通例になっておりますが、先ほど申し上げましたように、一般的に国内税制の通報、情報交換というようなことは当然のことであり、外交チャンネルもあるわけでありますし、またOECDの財政委員会などのメンバーにもなっておりまして、OECD諸国との間には、それぞれの国が税制改正をいたしたときには連絡し合うとか相手国の税制を通知し合うというような仕組みもできておりますので、その意味におきまして一番新しい条約でございますので、しいて条約としてうたわなくても、当然に外交チャンネルあるいはそういう国際機関を通じて行ない得るのではないかということで、条文としては省いておるわけでございまして、特別他意があるわけではございません。
  111. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 外務省で作成されたわが国オランダとの間の経済関係等の現況のデータが出ておりますが、この資料を見ますと、企業進出のところの表に現地法人というのがありまして、オランダからわが国へは十八もある。企業進出が相当あるようですけれども、この十八の企業の内容になりますけれども、これはどういうような企業がありますか。
  112. 細見卓

    細見政府委員 いろいろな事業がございますが、 いま現地法人として考えられておりますのは、一つはホテルオークラがアムステルダムにホテルを建設しようということで現地法人を考えております。  それから、例のファスナーの吉田工業、これは世界的に販路の広い事業でございますが、これが工場を設けるとか、あるいはまた松下電器がかねて提携関係にありますフイリップスとの間に合弁で工場を設けるというようなことがいま目立った動きでございます。
  113. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この企業進出の表をみますと、駐在員事務所というのがありますが、これがいまと同じように、オランダからわが国へというところが不明になっているわけですけれども——マレーシア韓国の場合でもそうでしたけれども、駐在員事務所というのは恒久的施設に含まれるわけですか。
  114. 細見卓

    細見政府委員 事業活動を行なっておりませんので、含まれないわけでございます。
  115. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この資料によりますと、この駐在員事務所のところがこうなっておるということで何か含まれるのじゃないかという感じも持ったのですけれども、これはそれじゃわが国には事務所はないという意味ですか。それとも日本に来ているのだけれどもつかめないという性質のものでしょうか。
  116. 細見卓

    細見政府委員 事務所がないというと語弊がございますが、事業活動を行なっている事務所はない。売買行為とか、あるいは契約の成立について参画している事務所はなくて、ただ一般的に日本のいろいろなマーケットを調べているとか、あるいは日本のいろいろな情報を集めておるというだけで、商行為あるいは実業行為にタッチしておる事務所ではないというわけでございます。
  117. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いずれにしてもこういうような状態ですと、条約の適正な適用が行なわれないと同時に税の捕捉が行なわれないのじゃないかというような気がするのですけれども、この点はどうでしょうか、最後に一つ……。
  118. 細見卓

    細見政府委員 現実の取引がございますと、為替取引を通じまして資料が把握できるわけでございますから、そういう場合には課税になりますので、御心配のようなことにはなりません。これはただ単に特定の人が日本のマーケットを一般的に調査しておるいわゆる事業活動じゃない調査活動だけをいたしておるものがこの不明というところに出ているわけでございまして、脱漏の問題はないと思います。
  119. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 もう少しこの件についてもずっと伺っていきたかったのですが、きょうは時間がありませんので、最後に要望として、私の聞いたところでは、日本政府が外国法人に対して企業の実態把握が困難であるという点からも課税面について比較的甘いのじゃないかというような評価があるようですが、そうは思いたくないところですけれども、少なくともこういった評価が事実であるとするならば、ひとつ適切な適用を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  120. 田中榮一

    田中委員長 以上四件に対する質疑は、これにて終了いたしました。     —————————————
  121. 田中榮一

    田中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府マレイシア政府との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府オランダ王国政府との間の条約締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ザンビア共和国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  右三件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  122. 田中榮一

    田中委員長 起立多数。よって、三件は承認すべきものと決しました。  次に所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国大韓民国との間の条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  123. 田中榮一

    田中委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました四件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました     —————————————
  125. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  126. 田中榮一

    田中委員長 これより請願審査に入ります。  今国会において本委員会に付託されました請願は六十二件であります。請願日程第一より第六十二までを一括議題といたします。  各請願の内容については文書表で御承知のことでもあり、また先ほど理事会で御検討願ったところでもありますので、この際各請願について紹介議員よりの説明聴取は省略し、直ちに採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。請願の日程中、第四十七の請願は採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  130. 田中榮一

    田中委員長 なお、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり四件であります。この際、御報告いたします。      ————◇—————
  131. 田中榮一

    田中委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、国際情勢に関する件について、閉会中審査申し出を議長に対していたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、閉会中審査のため、委員を派遣し、実情を調査する必要が生じた場合は、その人選、派遣地及び期間その他議長に対する承認申請の手続等、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十六分散会