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松本(七)
委員 これは安保
条約一般の問題と言われました。それはそのとおり十年前の論議のときからこの点は議論になったわけですよ。
政府はこれが歯どめだという説明を一貫してされてきたわけです。私
どもは必ずしも歯どめにならないのだということで議論してきたわけですけれ
ども、それが今日
施政権返還という時点において、こういう表現が共同声明に出てきました。だからやはりわれわれが
心配したとおり、これは歯どめじゃないのじゃないかという疑いが出てくるわけですよ。だからわざわざ
施政権返還のときに、
沖繩の基地に限って今後
沖繩に対する
事前協議に関してこういうものが打ち出されたということは、何か特別な
意味がなければわざわざここに打ち出すはずはないじゃないか、これは疑うのがあたりまえだ。ですから、自動延長される前にもう一度ここについてはっきりと
アメリカとの統一解釈というものを確立しておいていただきたい。
それからあといろいろ問題を申し上げる予定でしたけれ
ども、あと
防衛問題を中心にした
質問を楢崎さんがやることになっておりますから、ここらで私は打ち切りたいと思いますが、ただ、
一つ総理にお伺いしておきたい。それは例の
中国からいろいろ
軍国主義云々の
批判を受けましたね。あなただいぶあれに対する発言その他を聞くと、いたけだかになっておるような
感じを受けるのですけれ
ども、それは
沖繩の返還が
ペテンだとか、それから
古井さんもずいぶん——
古井さんの話をあなた詳しく聞かれたのですか。聞かれない。何か
佐藤政権そのものはそれほど悪く言っていない。
佐藤さん個人を言っておるそうですよ。正直なところ、それは無理もない点もあると思うのですよ。あなたもそれは岸さんの責任まで弟が負うのは筋違いでしょうけれ
ども。だけれ
ども、それはやはり岸さんは何といっても——
向こうはそういうことを言っておるのだから、それは一応耳をかすべきだと思うのです。岸さんとか賀屋さんに対しては相当風当たりが強かったらしいです、話を聞いてみると。賀屋さんはあの
戦争にどちらかというと消極的だったということですけれ
ども、岸さんは何といっても満州国をつくり上げて、積極的な侵略の元凶ですからね。私は十年前そのことをここで岸さんとやったのだから。しかしあなた
自身も問題があるらしいですよ。たとえばあなた通産大臣のとき南漢宸といろいろ話された。かなり前
向きの話をされたのじゃないですか。それが
総理になりながら何ら前進していない。ここで
向こうさんが使った
ことばというのを私は聞いたのを繰り返しませんけれ
ども、相当激しく
佐藤個人を攻撃しておる。だから
佐藤総理とか
佐藤首相という表現にしてくれと言って
古井さんはずいぶんがんばったらしいけれ
ども、これだけはがんとして聞かなかった。
佐藤榮作と呼び捨てですよ。それは
沖繩は
ペテンだ、
佐藤榮作、それから
軍国主義、こう言われれば、
国民感情にさわる点はあると思います。けれ
どもやはり何といってももう一度ここであなたに
考えてもらいたいのは、吉田
総理が当時サンフランシスコ平和
条約を
締結し、あの
状況の中で
日本を独立に持っていこうというためには、当時やはり日華
条約というものも結ばなければならない
立場にあったわけでしょう。けれ
ども、その吉田さんもちゃんと限定政権ということにしておるわけですから、あの
台湾に限った政権だという
立場を貫いておるわけです。これはいわば亡命政権ですよ。そうでしょう。この一方は
台湾の亡命政権、片方は
大陸を支配して、しかもあなたの言う
北京政府というものの国際的な発言力はだんだん強くなる、国力も上がってくる、こういう状態の中で、あなたの言われるように、この日華
条約というものを守ることによって国際的な信義は貫くんだ、一方
大陸に
北京政府のある
現実は認めるんだ、これともうまくやっていこう、こういうことなんだろうと思うのですけれ
ども、これだととどのつまりどういうことになるか。やはり世界における力
関係を
考えて、いつかは私は、
中国大陸を支配している中華人民共和国
政府を正統
政府として認めるときが早ければ早いほどいいと思うのですけれ
ども、この
立場はあなたに要求したって、根本的な
立場が違うのですから、これは
平行線になるだろうと思うのです。そこで少なくとも自由民主党並びにその
政府の
立場からいっても、いまの
立場を貫いておると、私は
台湾独立論に行き着くのではないかという気がするのですね。あくまでも国際的信義、日華
条約は尊重していくということで、
中国大陸の
政府、
北京政府とそれから蒋介石
政府が平和的に話し合って解決する以外は、
日本が自主的にその道を切り開いていく道はもう閉ざされたのにもひとしい。それでは私は
日本の過去、再び岸さんのことは言いませんけれ
ども、過去を反省して、そうして
アジアの平和を確保していくということとは、道が遠くなってくると思うのです。ですから、そこまであなた方の
政府ではできないにしても、せめてその障害を少しずつ減らしていく、こういう
意味で江田さんもきのうも第二次借款問題も取り上げられたと思うのですよ。蒋経国が来て第二次借款を三億ドル要求したとかいろいろいわれておりますが、この借款も何か聞くところによると、今度は民間銀行も使って少し形式を変えるというようなこともちらほら聞かれておるのですが、何らかの、方式は違ってもこの借款には応ぜられる方針なんでしょう。この点、どうでしょうか。