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1970-04-08 第63回国会 衆議院 外務委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十五年四月八日(水曜日) 午前十時十二分
開議
出席委員
委員長
田中
榮一君
理事
青木 正久君
理事
田中
六助君
理事
永田
亮一君
理事
山田
久就君
理事
戸叶
里子君
理事
大久保直彦
君
理事
曽祢 益君 石井 一君 鯨岡 兵輔君
小坂徳三郎
君 野田 武夫君
羽田
孜君
浜田
幸一
君 福田 篤泰君 森
喜朗
君 山口
敏夫
君 加藤 清二君
堂森
芳夫君
松本
七郎
君 中川 嘉美君 林 百郎君
出席国務大臣
外 務 大 臣
愛知
揆一君 運 輸 大 臣
橋本登美三郎
君
出席政府委員
外務政務次官
竹内 黎一君
外務大臣官房領
事移住部長
遠藤 又男君
委員外
の
出席者
外務省アジア局
外務参事官
金沢 正雄君
外務省条約局外
務参事官
山崎
敏夫
君
外務省情報文化
局文化事業部長
兼松 武君
運輸大臣官房観
光部長
渋谷 正敏君
運輸省航空局監
理部国際課長
松本
操君
外務委員会調査
室長 吉岡 俊夫君
—————————————
委員
の異動 四月八日
辞任
補欠選任
木村武千代
君
羽田
孜君
中山
正暉
君
浜田
幸一
君 豊
永光
君 森
喜朗
君 不破 哲三君 林 百郎君 同日
辞任
補欠選任
羽田
孜君
木村武千代
君
浜田
幸一
君
中山
正暉
君 森
喜朗
君 豊
永光
君
—————————————
四月八日
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び 脱税の防止のための
日本国政府
と
マレイシア政
府との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの 件(
条約
第五号)(
参議院送付
)
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
のた めの
日本国政府
と
オランダ王国政府
との間の条 約の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第九
号参
)(
議院送付
) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
旅券法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一 四号)
北西大西洋
の漁業に関する
国際条約
及び
関係
諸
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第一六号)
全米熱帯まぐろ類委員会
の設置に関するアメリ
カ合衆国
と
コスタ・リカ共和国
との間の
条約
へ の加入について
承認
を求めるの件(
条約
第一七 号)
南東大西洋
の
生物資源
の保存に関する
条約
の締 結について
承認
を求めるの件(
条約
第一八号)
日本国
と
アフガニスタン王国
との間の
文化協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第六 号)
日本国政府
と
フィリピン共和国政府
との間の航
空業務協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第七号)
アジア統計研修所
の設立及び
運営
のための援助 に関する
日本国政府
と
国際連合開発計画
との間 の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第八号)
——
——
◇—
——
——
田中榮一
1
○
田中
委員長
これより
会議
を開きます。
旅券法
の一部を
改正
する
法律案
を議題として審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
松本七郎
君。
松本七郎
2
○
松本
(七)
委員
きょうは
運輸大臣
に来ていただいてどうも御苦労さんです。いま
審議
中の
旅券法改正案
ですが、
御存じ
のように
海外旅行
も非常にふえているので、
旅券給付
の能率もあげようというので、かなり改善の
あと
が見えるのですけれ
ども
、私
ども
が前回の国会でも重点的にただした点は、要するに、
社会主義諸国
あるいは
承認国
と非
承認国
の間、そういうところに、同じ
旅券
の
発給
にしても非常に
差別
があるわけです。だから、この
差別
をどの程度なくす
姿勢
が
政府
にあるか。またそういう
方針
に基づいて具体的に今後どう前進するかという点が今回の特に私
ども
の注目しているところなんです。 それで
参考
までに
運輸大臣
に申し上げるならば、
旅券
というのは
許可
でなくて、本来はもう全面的に認めるものだ。ただし、場合によっては気違いを
外国
に出すわけにいかないですから、そういう場合に個人を対象にして例外的にはこれを
許可
しない場合がある。そういうふうに本来は
身分証明書
であって、その
身分証明書
によって
相手国
に対して保護を
要請
する、こういうことでなければならないと思うのです。それが
日本
の場合は依然としていわゆる
外出許可
みたいな
許可
証的な性格を持っているわけです。この点は、
外務大臣
の
答弁
によりましても、
政府
は将来そういう方向に持っていきたいんだ、本来そらあるべきだ、しかし今日すぐそういうふうなところまで到達できないので、漸進的にそういう
姿勢
で取り組みたい、こういうことです。 そこで、いろいろ
質問
した中で、
社会主義諸国
、特に
大臣御存じ
でしょうけれ
ども
、未
承認国
の中で朝鮮民主主義人民共和国に対する
扱い
が一番きびしいし、
差別
がひどいわけです。その次は
ドイツ民主共和国
、これは朝鮮の場合は
韓国
から非常にやかましくいってくる、
ドイツ
の場合は西独からいろいろいってくる点があると思うんです。そういう点を非常に気がねしている。だから今日はもうこういう情勢ですけれ
ども
、これらの面についても
旅券法
が
改正
になった
あと
は
運営
について大いに自主的な
態度
を貫いてほしいという要望を付して
質問
は展開してきたわけです。 そこで結局きょう
大臣
に私は御
意見
を伺いたいのは、時間が非常に制限されておりますから、
一つ
一つ
やっていると時間をとりますから、
質問
する
要点
だけ最初にごくかいつまんで申し上げておきますから、一応御
答弁
を願って、その上でまた詳しいあれが必要なら
質問
したいと思います。
一つ
は、
社会主義諸国
、これは同じ
社会主義諸国
といっても非常に違うでしょう。いろいろ違うでしょうが、
社会主義諸国
に行く人も非常にふえてきたし、これからもまたふえると思いますね。それと同時に
社会主義諸国
と体制が異なる国ともだんだん、一歩ずつではあるけれ
ども
、
友好関係
を前進させようという
政府
の
方針
ならば、
旅券法
というようなそういうものの
扱い
ばかりではなしに、その
発給自体
においてはある程度の
差別
はあっても、それをなくすためにはやはり具体的な
経済交流
とか
文化交流
、
学術交流
あるいは
新聞記者
の
交流
、そろいうものを積み重ねることによって一そうその
友好関係
は促進するし、また
旅券法
のねらいも円滑に実施できてくると私は思うのです。だから
旅券法
を
改正
したらそれでいいというものではないので、やはり実際の
社会主義諸国
との
交流
をどうするかということが非常に大事なことになってくると思います。 そういう
意味
で特にまず第一にあげてみるならば
ソ連
との
関係
ですが、これは
皆さん
の御
努力
によって
自主運航
も
シベリア上空
を飛ぶことによってだんだんできてきた。しかしもうあの以前から問題になっておった
ハバロフスク
と
新潟
間なり、もう少し短距離の日ソの
航空
ということもずいぶん
——
あれは
佐藤
さんが何の
大臣
のときでしたかね、特に
佐藤
さんがこれは実現するという公約をしたこともありますね。そういうふうな状況です。今日は
万博
のために
大阪——ハバロフスク
間の
航空
が、これは一時的なものでしょうが、そういうところまできているわけですから、今後それらの
航空路
についてどういう
方針
で臨まれるか。 それからもう
一つ
は中国の
関係
です。とれも現
政府
の中でもときどき
日中航空協定
とか実際の
運航
の
問題等
も一時的な、
松村
さん出迎えとかそういうことでなしに、全般的な問題としても
話題
にものっておったんです。単なる
話題
であって、少しも具体的に進むというような様子がない。こういう
方針
について、当面の
責任者
である
運輸大臣
の
方針
を聞いておきたい。 それからこれは
あと
のことになりますけれ
ども
、
旅券法
の
改正
の時期に関連して伺っておきたいのは、今日これはまだ
運輸省
の
観光部
の
部内案
らしいのですけれ
ども
、
旅行業法案
というものを用意されております。これについてかなり直接
利害関係
のある者あるいは
業界
からいろんな不満、
意見等
も出ております。それはどういうことかというと、第一は
審議会
の構成、これが
受け入れ側
の、
意見
があまり反映されないでちょっと片手落ちなところがあるんじゃないかという点、それから実際にこの
法案
を準備するにあたって、確かに形式的には
旅行
あっ
ぜん業制度
及び
通訳案内業制度
のあり方についてという
旅行あっせん
及び
ガイド制度懇談会
というのがある。その
懇談会
が、こういう
意見書
を出して、これに基づいていま
観光部
の案ができたということになっていますけれ
ども
、形はいかにも民主的なようであって、実際の
業界
から出ている
案そのもの
が、たとえば
補助金
をもっと上げるとか、あるいは
試験制度
をめぐる
やり方等
で
中小企業
が非常に圧迫されるような
内容
を持っているわけです。どの
程度内容
を
御存じ
か知りませんけれ
ども
、それらについて少し
あと
で御
質問
したい。こういうことですから、ひとついま御
答弁
できる
範囲
で一応していただきたいと思います。
橋本登美三郎
3
○
橋本国務大臣
今回の
ハイジャック
の問題につきましては、特に
外務委員会
は、問題が
国際
的な問題に発展いたしましたので、たいへん
各党とも
に非常な御
心配
にあずかりまして、まことに
感謝
、感激にたえません。私現地に
責任者
として参りましたが、ただ申しわけないことは、ああいうような
事件
でありますだけに、いろいろ
国際
的な
関係
で、たとえば
韓国記者団
、
日本人記者団
、
日本人記者団
も百人くらい行っておりますから、それに
外国人記者団
と三つの
グループ
がありまして、それに対する十分な
情報
を提供することが不可能であった、実際
上人手
がありませんので。さようなことのために正確に
事情
を刻々と
皆さん
のところに御通告申し上げなかったために、いろいろ
国内
においては
心配
をかけまして、その点の不手ぎわはひとつお許し願いたいのであります。ただ幸い
山村政務次官
の自発的な勇気ある行動によって最終的な
措置
を講ずることができまして、不幸中の幸いであると心から喜んでおるわけであります。また
韓国政府
をはじめ、あるいは
ソ連
、
北朝鮮等
が
人道主義
という大きな
目的
のために協力一致せられまして、
イデオロギー
、
政治関係
を越えて、そうして万全の
措置
を講じてくれた、これに対しては
関係各国
に心から御札を申し上げる次第であります。 この
事件
は、いろいろな
意味
において、われわれに
考え
るべき点、あるいは将来の取り
扱い
の点、こういうことについていろいろの
資料
と、またわれわれに
考え
るべき点を与えてくれたと心から信じます。何せ
日本
で
ハイジャック
という問題は、これは初めてでありまして、それ
自体
でもってわれわれ
当局
だけではなくて、
国民各位
も非常な衝撃を受けた
——外国
のような何回かの経験があると別でありますけれ
ども
、ことに
日本
の場合は、先ほど
松本
さんから
お話
がありましたように、
分裂国家
といいますか、未
承認国家
がある。それと
日本
は
国交
を持っておらない。こういうことのためにいろいろな点で慎重に扱わざるを得なかったということも御了承願いたいと思います。 この問題は、いずれ
関係委員会
においていろいろ私の
考え方
も述べたいと存じますが、ただいま
松本
さんからの御
質問
の
要点
は、やはりこれにも関連があるのでありますからして、大前提として、さようなことを申し上げたのであります。 そこで、これは、私は
松本
さんの御
意見
も、また
愛知外務大臣
の
——先
ほどから
松本
さんの
お話
を聞いておれば、そういう
外務大臣
の御発言であるとすれば、これは、
原則
はそう変わっておらないのではないだろうか、私は
外国旅行
は好きでありませんのであまり行っておりませんけれ
ども
、あの
EECグループ
といいますか、そういうところにおいては
一つ
の
身分証明書
的なものをもってこれが済んでおる。しかし
国交
ができていない国では、やはり相当のむずかしさがあるようであります。御
承知
のように、東
ドイツ
に入る場合は非常にむずかしい点があります。しかしながら
原則
としてこれほど
飛行機
による
国際人的交流
が
激増
してまいる場合において、かつまた
世界
のものの
考え方
が
世界
平和といいますか、そういう自由のもとに
世界
平和を求めるという
人類
のいわゆる大きな
目的
、こういうものがだんだんと実っていくに従って、こういうような
人的交流
が盛んになると同時に、ある
意味
においては
人的交流
を促進せしめなければならぬということによって、
人類
の平和といいますか、
世界
の平和を達成する
努力
が
人道
的な
意味
にも、あるいは
政治
の
理想
の上からも積み重ねられていく、とれが
一つ
の
理想
であろうと思います。 そういう
意味
におきまして、
政府
、おそらく外交の
責任者
である
外務大臣
としても、
現状
で直ちにいま言ったようなことのできないことは、
松本
さんもお認めのようであります。しかしながら積極的に、そうして徐々にそういうような
実績
を積み重ねていこうという前向きの
姿勢
は御
了解
が願えるのではないだろうか、私は
運輸大臣
としての事務的なものの
考え方
にとどめざるを得ませんけれ
ども
、その
立場
から
考え
ましても、できるだけ陰といっては問題がありますけれ
ども
、慎重なる中に
人的交流
としては比較的容易に行なえる
状態
をつくっていきたい、かような
考え方
を持っておりますので、
外務大臣
のお
考え方
と
松本
さんのお
考え方
とは、必ずしも全然食い違っておるのではない。ただ現在の
国際
、
国交
、あるいは
条約等
の
関係
から、その間におのずとある程度は違わざるを得ない点もあると思いますが、特に未
承認国
の場合、
国交
のない場合は、それらの
お客
を送った場合、あるいは入った場合に、もし不注意によって問題を起こしたときに、問題の解決が非常に困難になります。そういう
意味
においていろいろ慎重に問題を
——向こう
に送る場合におきましても、慎重なる
態度
をもってその
人たち
を送ったり受け入れたりしませんと、問題をかえってつくり上げる場合もあり得ると思います。そういう
意味
において、今回
人道的立場
で
北朝鮮当局
が
山村政務次官
や
機長
らを直ちに送ってくれたことに
感謝
をいたしたい。
一つ
は、
山村政務次官
というものの
資格
がはっきりしておる。いまさらこれがどうかと調べる必要もない。
機長
にしても
資格
がはっきりしておるという点で、あまり御迷惑をかけることがなかったのではないだろうか、これが
日本
ですらも、なかなか乗った人の
身分
が当時はっきりわからなかった、住所と氏名が一致しなかったのもあったようであります。そういう
状態
で参りますと、かえって相手方に御迷惑をかげる場合もあるということで、
お互い
に
公的機関
を未
承認国
の場合には持っておりませんために、これらの行き違いが起こり得る
危険性
もありますので、できるだけ
親善関係
といいましょうか、
人的交流
は好ましいのではありますけれ
ども
、それらについても、おのずから慎重な
態度
をとらざるを得ないというのが、われわれの
考え方
でありますが、
気持ち
としては、
日本
の憲法のたてまえからも、また
総理大臣
が言っておるように、どこの国とも仲よくしていきたい。
イデオロギー
を越えて仲よくしていきたい。おのずから
国際政治
の何はあるけれ
ども
、その
気持ち
としては、どこの国とも仲よくしていくようにしたい、こういう
考え方
は、
皆さん
と決してあまり変わりはないと私は
考え
ておるわけであります。 第二の
中共
の、いわゆる
臨時便
、
ハバロフスク—大阪
間の問題でありますが、これは実は私が
官房長官
をいたしておりましたその後において、当時
交渉
がありました
ハバロフスク
と
日本
との
間——新潟等
でありますが、それに対しまして、
日本側
も必ずしも
反対
ではない。その後四十四年に、
日ソ航空交渉
の際に合意したわけでありますが、ただ私は、当時
官房長官
として
ソ連
の
大使
にも、それからちょうど
日本
に参られました
外務次官——
大体かたかなの
名前
を忘れる傾向がありまして
名前
を忘れましたけれ
ども
、その
従属者
である
外務次官
が参りましたときにも、その問題は
日本
でもあるけれ
ども
、それについてはわれわれは必ずしも
反対
ではない。ただしかし、
本筋
でない問題に力を入れるよりは
本筋
に、
モスクワ
と
日本
のいわゆる
相互乗り入れ
を
考え
るべきじゃないか、そういうことによって
お互い
の
信頼感
が増すと同時に
交通
上の利益も非常にこれは倍加される、われわれは
モスクワ
と
東京
間の
乗り入れ
のほうがより
日ソ関係
の
親善
を増す上においては重要じゃないか、いろいろ
ソ連
には
事情
があるようだけれ
ども
、そういうことによって
日ソ関係
のいわゆる
親善関係
を抜本的に促進せしめるということが必要であろうということを、
総理大臣
、私も同席いたしましたが、私からも強くその点を
要請
をいたしたのであります。ちょうど四十年の暮れでありましたが、
日本大使
から、これは
コスイギン首相
の
佐藤総理
に対する親電であるという中に、
日ソ航空
について
交渉
をすることをしようという、本式の
内容
は忘れましたが、さような
意味
の電文があったのであります。そのときに、
総理
、私、当時の
外務大臣
、椎名君でありますが、これはどういうことだろうか。 〔
田中委員長退席
、
永田委員長代理着席
〕
ハバロフスク
と
日本
間の問題であろうか。それなれば、私はすでに、その問題については
原則
としてはかまわぬけれ
ども
、それじゃなくして
モスクワ
と
日本
との間の
本筋
の、いわゆる
航空交渉
がわれわれは望ましいんだ、それについての回答をわれわれは知りたいんだ、こういうことを言ってありますので、私の判断としては、この
コスイギン首相
から言ってきたこと、これは
モスクワ
と
日本
との
乗り入れ
について
交渉
を始めてもよろしい、
お互い
に検討してもよろしい、ころ
理解
すべきではないか。いろいろ
総理
、
外務大臣
と三人で
お話
しした結果、
総理
も、たぶんあるいはそうかもしらぬ、そういう
意味
にわれわれはとるということで、四十一年の
元日
に大きな
ニュース
となって、初めて
ニュース
らしい
ニュース
が
元日
の
新聞
を飾ったのであります。それから
モスクワ
−
東京
間の
乗り入れ交渉
が始まりまして、長い間かかりまして
日本
が
自主運航
を展開することになりましたが、とにかくそれがあったのであります。したがって、この
ハバロフスク
と
日本
間のローカル線、この問題は
日ソ航空関係
から見れば、
原則
としては
日ソ航空交渉
において合意しているのでありますからして必ずしも問題はありませんけれ
ども
、ただ、これから
経済
上の問題を
考え
、あるいはこれは
貨物
の
輸送等
も
考え
ておるようでありますが、そういう面から見て、はたして今後定期的に、永続的にやっていける
可能性
があるかどうか、
現状
からいって、という問題が残っているわけでありますけれ
ども
、
現状
では、ただいま御
承知
のように、
ハバロフスク
と
大阪
の間には
大阪万博
のための
臨時便
がすでに十二便
運航
されております。今後引き続き
万博期間
中はこれが動かされますので、それらの
実績
及び将来の
お客
さん及び
貨物
の
量等
を検討した上で
お互い
に
——
これは
政治
問題でありません。ある
意味
においてはこれは
経済
問題といってもよろしい。そういう極東の
開発
は、
日本
に対して
ソ連政府
からも
要請
があり、
日本
ももちろん
コマーシャルベース
において可能なものはやろう、こういうような基本的なことすらも出ておるのでありますから、したがって、この線について何ら
政治的要件
を加える必要はないという
意味
において、問題は
経済
的問題でありますから、私は
万博等
においてこれらの
実績
を見た上で、そうして
お互い
に希望があれば検討を加えていく、こういう
考え方
でおるわけであります。 第三の、
中共
のいわゆる
臨時便
の問題でありますが、御
承知
のように、これは
定期航空
になりますと
航空協定
ということになります。
航空協定
を持つということは、
政府
間の
協定
ということになるわけなんです。そういうことが、何せ
国際慣例
であり
国際通念
なんですね、なかなか
お互い
に
隣同士
がというわけにはいかないところに
国際政治
のむずかしきもあることは御
承知
のとおりであります。そういうような問題があり、かつまたその間においては領空上、
航空管制
の問題があることは、これは御
承知
のとおりであります。
韓国
及び
台湾側
の
航空管制
の問題、これらの
了解
を得なければ飛べないという問題もある。こういうことで、いわゆる
定期航路
を結ぶことができるかといえば、そういうような
国際関係等
の問題から
考え
て、なかなか困難な
事情
が
現状
ではあるといわざるを得ません。ただ、
松村謙三
氏が
向こう
に参りまして帰る場合に、非常に健康上無理があるというのは
人道
上の問題であり、そういうような場合においては、これは私は
外務大臣
にお願いをし、また
外務大臣
もその意向でありますが、その必要があれば出してもよろしい、こういう了承を得ております。
松本
さんは、そんなことだけではなく、もっとスムースに
人的交流
ができたらいいじゃないか、こういう
お話
でありますが、いま申しましたように、
中期航路
を結ぶということは、やはり
お互い
に
国家
間に
国際定期航路開設
に関する
航空協定
がなければならぬ、こういうような間々かた苦しい
国際関係
がありますので、直ちに
定期航路
を開設するということは困難である。いわゆる
臨時便
の形で、しかもいろいろ
制約
がありましょうけれ
ども
、子の
制約
をできるだけ
お互い
の
理解
で、より
関係国
の
理解
を求めつつ、そうしてこれを徐々に進めていくというわれわれの
政府
の
考え方
はひとつ御
理解
を願いたいのであります。ただ、
総理大臣
も
外務大臣
も言っておりますように、
人的交流
は非常にわれわれは好ましいと思っておる。したがって、最大限可能な
範囲
において、そうして
お互い
に
人的交流
及びその国、
お互い
の国を刺激しないというかあるいは干渉しない、
内政不干渉
でありますが、それは
政治
の上ばかりじゃない。
文化
、言論の上においてもさようなことは抜きにして、そうして
お互い
が知り合うというための、あるいは
文化交流
、
人的交流
というものは好ましい、こういうことは
政府
も言っておりますし、われわれもそのように
考え
ておるし、
皆さん
もそのようにお
考え
になっておる。その道が必ずしも
定期航空
によらなくても、それは多少不便がありますけれ
ども
、しかし
香港回り
でも可能でありますので、できるだけ
現状
においてはそのような道を講ずる以外にない。ただ
臨時便
の場合は、やはり特に
必要性
があった場合、
ケース
・バイ・
ケース
で
考え
て、そうして可能な
範囲
で進めていく、かように私もいたしたいと
考え
ております。 第四の、いわゆる
旅行あっせん業法
の
改正
の問題でありますが、この問題はまだ
運輸省
において成案を得ておる問題ではありません。ただ最近、御
承知
のように、非常な数で
飛行機
を利用する人が多くなってまいっております。あるいは一般の
旅行
も非常に多くなっておる。
国内飛行
をする者は、十年後には一年間に一億二千万人の人が動くだろう。そうなりますと、一年間に生まれた赤ん坊一人まで動く、ある人が三回、五回乗るからでありますが。さようないわゆる
飛行機
だけを
考え
ても、
旅行
の数というものは非常に
激増
をしてきておる。そういうような
激増
に伴って、
サービス業者
あるいはそういう
交通機関
と旅客との間の
トラブル
あるいは
あっせん業者
との間の
トラブル
が発生し始めておりますので、そこで従来あまりに不明確であった
旅行あっせん業者
の取引のルールをきめたい、こういう
考え
は
運輸省当局
も
考え
ております。しかしこのために大
企業
だけに片寄るような、
中小企業
を圧迫するようなことはもちろんあってはなりません。
先ほどお話し
がありました
懇談会
なるものは、これは
運輸省
の特別の
機関
でもありません。ある
意味
においては
研究機関
でありますからして、その
機関
から出されました
意見
は
意見
として、一応われわれは
参考資料
にはしますけれ
ども
、それを全面的に取り上げる
考え
もない。当然これらをやる場合においては、
運輸省
が自主的に独自の
立場
から
関係
方面の
意見
を十分に、
中小企業
に至るまで、あるいは
お客
さんの
意見
も十分に徴して、そうして
旅行あっせん業者
の
中小企業
の実態に対しても十分に調べた上、かつまた迷惑を、
中小企業
圧迫というようなことにならないように、全体が
日本
は営業の自由という
原則
があるのでありますからして、そういう上に立って公正にしてしかも自由
経済
、あるいは自由に商売をし得る、こういう
原則
をもある程度貫きまして、満足できるものをつくりたい。まだ残念ながら申し上げるような具体的成案を得ておらないのが
現状
であります。 以上、
松本
さんの御
質問
に対してお答え申し上げます。
松本七郎
4
○
松本
(七)
委員
順を追って少し
質問
をしたいと思うのですが、
運輸大臣
は、今度の
ハイジャック
事件
で
人道主義
の
立場
が貫かれて解決できたと、これは非常にけっこうなことなんですけれ
ども
、それを実際に担当されただけに、やはり未
承認国
といえ
ども
できるだけそういう
航空協定
とかあるいは郵便
協定
とか、
承認
というところまでいかなくても、それとは別の次元でそういう
協定
ができることが
人道主義
を貫く上からも非常に大事な点だということをきっと痛感ざれたと思うのですよ。そういう点からも、私
ども
はいろいろ
質問
したいことはあるのですけれ
ども
、いま、少し問題を限って、まず第一にいまの
ハバロフスク
と
日本
間のローカル線の問題、これは確かに以前はそういうローカル線よりもまず
モスクワ
−
東京
間、シベリアの
自主運航
ということと、それから当時
日本
航空
が非常に難色を示したのは、
御存じ
のように
——
運輸大臣
、よく聞いておいてくださいよ、
日本
航空
が難色を示したのは、将来はやはりビヨンド・
モスクワ
、パリなりロンドンまで飛べるということを獲得したい、それをしないで
モスクワ
−
東京
間だけにローカル線までやってしまうと、たとえば
日本
から
ハバロフスク
まで行くと、
あと
は全部安い
ソ連
の
国内
線を使って
モスクワ
まで行く、そういうことが固定化してしまうとこれはビヨンド・
モスクワ
が実現できなくなる、これはもう
世界
の
航空路
としての
東京
というものの地の理からいっても、非常に国益を害することになるんじゃないか、こういう観点から
——
ただ
日本
航空
が自分の利益という点だけでなかっただろうと私は思うのですよ、そういう
立場
から、むしろローカル線の問題はもっと先に延ばしてほしいということだった。ところが、今日はもろシベリア
自主運航
もできたし、それからビヨンド・
モスクワ
も実現したわけですね。おまけにシベリア
開発
という、非常に
日本
と
ソ連
の将来の
経済交流
の大きな基盤になる問題も、具体的にもう折衝が始まっているわけでしょう。そうなると、なおこれは
ハバロフスク
と
日本
の間のローカル線の問題は私は切実な問題になってくると思うんですよ。だからそういう
意味
でこれはもう当時とは
——
ずいぶん昔のことをしきりに
答弁
されておったけれ
ども
、今日の時点においては当時とは
事情
が違うのですから、もう少し真剣にこれは
万博
の
あと
もローカル線が実現されるようにひとつ
努力
していただきたい。 それから朝鮮の問題は、これは一ぺんに
航空協定
とかあるいは船の
定期航路
とか、そんなところまでなかなかむずかしいでしょう。しかし私はそれを
政府
の
態度
を是認しているわけじゃないんですよ。不満であり私
ども
はこういう
状態
ではだめだと思いますけれ
ども
、
政府
がそう言うからしかたがない、その
範囲
でどの程度のことが実現できるかという観点からいま
質問
しているのであって、何も
政府
のいまの
態度
をわれわれは是認しているわけじゃないということをよく御
了解
願いたい。そこで、
人道主義
を貫くならば今後やっぱり在日朝鮮人の帰国の問題それから自由往来の問題、こういう問題がこれから一そう切実になってくると思います。そういう問題についても、今度の貴重なかつ苦い経験をみずからざれた
運輸大臣
としては、よほどこれは力をかしていただきたい。その点もお願いしておきたい。 それから時間がないようですから急ぎますが、いまの
旅行業法案
、これについての問題点をごくかいつまんで申し上げておきたい。それはあまりこの
懇談会
の
意見
に拘束されないと言われるから、今後、
運輸省
独自の案をつくられるときに、十分考慮していただきたい点をこの際申し上げておきたい。 〔
永田
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 第一、その
懇談会
の構成なんです。これは
旅行あっせん
業が三名、それから宿泊施設側が三名、運輸
機関
が三名、これは日航とか国鉄とかバス協会、それから通訳案内、ガイド協会、これが一名、学識経験者が三名、それから官設
機関
三名、これは
日本
観光協会とかなんとかいう、そういうものでしょう。それでこの中で通訳案内及びこの学識経験者あるいは官設
機関
、これを中立とかりにしますね、そうしても結局はいま言うように送客側が三名、そして
受け入れ側
が六名という比率になります。そういうところからすでに
受け入れ側
の
意見
というものが、特に
国際
旅行
を担当しているものですね、そういうものの
意見
というものがあまり重要視されてないきらいがある。そういう点から
中小企業
がだんだん締め出されてくる。それから今後
中小企業
がそういう事業をやろうという場合に非常に困難が増すような、答申ではないけれ
ども
、
意見
が出ている。その第一が、さっき申しましたように資力信用基準を引き上げようとしている、それが
一つ
、それから経験能力基準を判断するために
資格
試験制度
を採用しよう、こういうわけですけれ
ども
、これは非常に重要な問題になってくると思うのです。この
試験制度
ですね。ただ、この中には
資格
試験制度
の合格者のほかに、それだけではやらないのだ、
資格
試験もやって合格者のほかに期間導入該当業務といって相当な長期の経験能力のある者が何名かいればそれは認めようというような、そういう余地も残すべきであるという
意見
が出されているのですけれ
ども
、ところが全くこれは文字どおり余地程度であって、実際の問題となると中小零細
企業
の進出というものをはばむばかりではなしに、小規模の既存の業者もこれは非常に切り捨てられる危険に私は遭遇してくると思う。その点。 それから今度は経験能力者試験の委託実施及びその講習というものを業者団体が行なうということが出されている。これは全体に今度の
意見書
に官僚統制の危険が私は非常にあると思うのです汗れ
ども
、一々ここでは申し上げませんが、その官僚統制、下請団体が戦時中のちょうど統制会のようなそういう性格を持ったものになりそうなんです、これは。ですからそういう点を十分考慮してもらいたい。 まだいろいろ問題ありますけれ
ども
、担当の運輸
委員会
がだいぶせいているらしいから、それらについて
意見
をちょっと伺って、また別な機会にお願いしたい。
橋本登美三郎
5
○
橋本国務大臣
最初の、日航にその後のローカル線をやらなかったじゃないかという御
意見
ですが、私は当時日航の幹部はだれ一人知りませんし、接触もありません。ただ
国家
、国民の利益のために
モスクワ
と
東京
との
乗り入れ
、これが第一に必要であるという観点でやったものでありまして、今日になりますと、
大阪
−
ハバロフスク
というものは
政治
的な
関係
は御
承知
のように全然ありませんから、
経済
的な問題としてどう
考え
るか、もち
一つ
は
航空
政策もあります、こういう点から十分に検討して善処したいと思います。 なお、
旅行
あっ旋業法の問題につきましては、
松本
さんからいろいろの御
意見
もありますので、それらも十分に
考え
ながら、自主的な
立場
で公正かつ妥当なる案をつくりたい、かように
考え
ておりますので、御了承願います。
田中榮一
6
○
田中
委員長
大久保直彦
君。
大久保直彦
7
○大久保(直)
委員
旅券法
の質疑を続行しているわけでございますが、きょう二、三お伺いして私の
質問
を終わらせたいと思います。
旅券
の
発給
申請に伴う返事の問題でございますが、十三条で
発給
しないということが決定した場合に、十四条でその返事をいたすことになっておりますが、この条項ははたして実行されているのかどうかという問題と、
あと
はイエスにしましてもノーにしましても、やはり期限をきちっと定めたほうがよろしいのではないか、これが無期限に延ばされて、実際自分が参加する予定である
国際
会議
なりまた博覧会が終わってしまってから返事をもらうような
ケース
が二、三あったというふうに伺っておりますが、この期限をつげていくことがはたしてどうなのか、この点まず一点お伺いしたいと思います。
愛知揆一
8
○
愛知
国務
大臣
旅券
の
発給
の申請がありました場合には、たとえばやむを得ずといいましょうか、お断わりしなければならない場合には書面で回答する。これは従来もそういうふうにやっておったはずでございますけれ
ども
、なお先般来の御
審議
を通してのいろいろの御
意見
もございますから、的確に、なるべくすみやかに書面で御返事をすることにいたしたいと
考え
ております。 なお、昨日も申し上げましたように、そういう場合には申請者との間にとっくり口頭でも
政府
の
考え
ていることな
ども
十分御説明を申し上げ、親切に扱うということを心してまいりたい、かように
考え
ておる次第でございます。
大久保直彦
9
○大久保(直)
委員
ただいまのなるべくすみやかにというのは、善意的におっしゃっておるのだと思いますけれ
ども
、やはり受け取るほうからしますと、大体二カ月以内にはっきりした確答をいただけるのかどうかということが
一つ
の目安になるのじゃないかと思うのですが、そういう
意味
で期限をあらかじめ定めるということは不可能でございましょうか。
愛知揆一
10
○
愛知
国務
大臣
これは率直に申しますと、事案によっても回答の日にちが違うことがあり得ると思いますけれ
ども
、先般も御説明しておりますように、申請書の数を減らしたり手続を簡素にするということも期限を短縮するというつもりでございますから、従来よりはよほどその期間が短くなる、二カ月というようなことは、率直に言いまして、そこまでいかないで、最長の場合でももっと短縮をするようにいたしたいと思っております。
大久保直彦
11
○大久保(直)
委員
前にも
お話
があったと思いますけれ
ども
、もう一度あらためてお伺いしておきたいのは問題の十三条でございます。第十三条の判断といいますか解釈がかなりばく然としておりまして、時の行政官庁の包括的な判断によるところが非常に多いわけでございますけれ
ども
、こういった事実について、
愛知外務大臣
がずっと
大臣
でおられるわけではないと思いますので、今後この十三条の運用といいますか適用について、
大臣
御自身はどのようなお
考え
を持っておられるのか、その点をあらためてお願いいたしたいと思います。
愛知揆一
12
○
愛知
国務
大臣
これは全くごもっともな御
意見
であると私もかねがね
考え
ておるわけでございまして、法文の土でもいろいろくふうがこらされて、非常に厳格に運用すべきものであるというその法の趣旨は明らかになっておると思います。たとえば「著しく且つ直接に」という表現がございますし、また
外務大臣
といいますか外務省として決定したいと思いますときには、法務
大臣
に代表されている法務省に協議をしなければならないというようなことが法文上明記してあるのも、やはりそういう法の精神によるものである、かように存じておりますから、これはなるべく厳格に公正に運用してまいりたい。これが厳正であるかどうかということが、結局たとえば司法上の問題になりましたときに、仮定の問題でございますけれ
ども
、やはり裁判所の決定ということ、判決を求める場合におきましても、これが非常に大きな根拠になると思いますから、そういう点も十分
考え
て、厳格に運用をいたしたい。これはもう法の基本的な運用の心がまえの問題であると
考え
ます。いやしくも党利党略等によって左右されないようにこれを厳重に守っていきたいと思っております。
大久保直彦
13
○大久保(直)
委員
この
旅券法
の一部を
改正
する
法律案
につきましての提案理由の説明によりますと、
旅券
制度の適正な運用をはかるものであるということであるわけでございますが、いままでどのような点について適正な運用がなざれなかったのか、またその点を今後どのような適正な運用をしようというのか、この点を総括的に
大臣
の御見解を伺いまして、私のこの質疑を終わりたいと思います。
愛知揆一
14
○
愛知
国務
大臣
この適正な運用をはかると提案理由に書きましたのは、先般来当
委員会
でもしばしば私からも申し上げておりますけれ
ども
、前国会のときの本案の御
審議
をいただいたときの経緯もあります。たとえば当時の
委員長
の御発言で
政府
の
態度
を確認を求められたわけですが、そういう経緯にもかんがみまして、当時の
委員長
の御発言の趣旨を体して、そういうふうな御趣旨によって善意をもって運用していきたいということを
政府
の
姿勢
として明確にいたしたつもりでございます。従来そういう点について欠けるところがあったかどうかということよりも、今後そういう
意味
で適正な運用をはかりたいということを特に提案の説明に明記いたしたような次第でございますから、この点も御
理解
をいただきたいと思います。
田中榮一
15
○
田中
委員長
戸叶
里子君。
戸叶里子
16
○
戸叶
委員
事務的な問題で一点だけ伺います。 第三条の一項六号にこういうことがあります。「前各号に掲げるものを除く外、渡航先及び渡航
目的
によって特に必要とされる書類」こういう未のがあげられておりますけれ
ども
、「特に必要とされる書類」というのは一体どういうようなものであるかというのがわからないわけです。そこで、その必要とされる書類と、それからこれらの書類がそろっていないときには
旅券
は
発給
されないのかどうか、この点をはっきりさしていただきたい。
遠藤又男
17
○遠藤(又)
政府
委員
ただいま御指摘の第六号でございますが、われわれとして現在
考え
ておりすすものは、その人の赴任命令書、それから留学の場合ですと入学
許可
証、それから移住者でございましたら移住者適格通知書、こういうものを
考え
ております。
戸叶里子
18
○
戸叶
委員
旅券
申請に入学
許可
証が必要なんですか。それはどういう理由なんでしょうか。
遠藤又男
19
○遠藤(又)
政府
委員
第六号は、その前にいろいろ並べておりますが、その
あと
を受けまして、
旅券
を
発給
するに必要な、
参考
となるような、特に
旅券
を
発給
してあげるのに都合のいいような書類ということで
考え
ておるわけでございます。それで、いま申し上げました入学
許可
証
——
入国
関係
で必要な場合は、その前の第五号に出ております必要な場合には入国に関する
許可
証を出していただくことも
考え
ます。
戸叶里子
20
○
戸叶
委員
相当いろいろな書類が必要だということがわかるわけですけれ
ども
、そこで、
国家
公務員が
海外旅行
をする場合は一般
旅行
者と何か違った書類が要求されるのかどうか、この点を伺いたい。
遠藤又男
21
○遠藤(又)
政府
委員
公務員の海外渡航の場合は二つあるわけでございまして、
一つ
は国の用務のために出る場合、それから国の用務でない場合とございます。国の用務で出る場合には公用
旅券
の請求ということになりまして、各省庁の長が請求をするということで、これは公用
旅券
の
発給
、第四条の規定がございます。 それからもう
一つ
は、国の用務でなく出る場合があります。これは一般
旅券
の請求ということになるわけでございますが、それにつきましては、
国家
公務員の
身分
上特別な書類を出すことにきめております。それは現行法の第三条第一項第八号、渡航先、渡航
目的
によって特に必要とされる書類、これで読むことにいたしまして、現行法の第二十二条第二項によって
外務大臣
が告示することにいたしまして、特別の書類を出していただいております。これは昭和四十年の外務省告示百七十一号でございまして、その中で
外務大臣
の告示といたしまして、
国家
公務員で、国の用務以外の
目的
で渡航するものは、所属省庁の長の海外渡航
承認
書を出す必要があるというふうに定めております。
戸叶里子
22
○
戸叶
委員
そうすると、いま外務省の告示によって所属省庁の長の
承認
書が必要なんだということがわかったわけです。そうしますと、それは昭和四十年の告示でございますが、四十年の前は所属省庁の長の
承認
書というものは必要なかったわけですか。その当時も必要であったわけでしょうか。
遠藤又男
23
○遠藤(又)
政府
委員
四十年以前は特別定めがございませんので、実際の運用でやっておったわけでございますが、それ以後こういうはっきりした定めをつくったわけでございます。
戸叶里子
24
○
戸叶
委員
それまではなくて、その告示によって出すようになったとするならば、何かやはり出したほうがいいということをお
考え
になったからこういう告示によってお定めになったと思いますけれ
ども
、その
承認
書を出すようにしたほうが、出さないよりいいというふうに判断されて告示でおきめになったその基準はどういうところにあるのでしょうか。
遠藤又男
25
○遠藤(又)
政府
委員
これは、第一には
国家
公務員の特別の
身分
から
考え
ているわけでございます。
国家
公務員法第九十六条からいたしまして、国民全体の奉仕者で公共の利益のために勤務することが服務の根本基準だというふうに
考え
ております。それからもう
一つ
、
国家
行政組織法第十条に、各省各庁の長はその職員の服務を統督する職責を持っておるというふうに定められております。したがって、
国家
公務員が国の用務以外で比較的長期にわたって職務を離れ、それから統制の及びがたい海外に
旅行
をする、こういう場合には統督する
立場
からいたしましても、その実情を把握しておく必要があるということで、こういうふうなはっきりした規定を置いたわけでございます。
戸叶里子
26
○
戸叶
委員
私らとしますと、告示前と
国家
公務員の性格というものは変わっていないと思うのです。
国家
公務員というのは国民に奉仕をする者をいうということやら、それからまたそういう人の
身分
を把握しておかなければいけないという
考え方
といろものは、この告示があるなしにかかわらず当然だろうと思うわけです。それが四十年に急にこういうふうな告示で変わったというのは、一体何かあったのかしらというような危惧の念を抱くわけでございまして、その点がちょっとはっきりしないのじゃないかと思います。
遠藤又男
27
○遠藤(又)
政府
委員
もちろん四十年の前後で変わるはずはないわけでございますが、
一つ
実際問題として状況の違いがございました。それは、外貨面から見まして海外渡航の制限が実際上はずれましたのが昭和三十九年で、昭和三十九年以降は観光渡航が自由になったわけでございます。したがいまして、それまでは
国家
公務員が国の用務以外で出る場合には外貨面からのチェックということが可能でございましたけれ
ども
、それ以後は外貨面からのチェックということはなくなりまして、公務員が観光その他の理由で外に出ることが非常に多くなった。したがいまして、それを把握する必要からも、こういう定めを置く必要が現実の必要として起こったわけでございます。
戸叶里子
28
○
戸叶
委員
外貨という面からというようなことをおっしゃいますけれ
ども
、ちょっとそこいら辺が私はすっきりしないものがあるような気がします。といいますのは、外貨面というのは、ほかの人も行くわけですから、それだけで公務員がどれだけ行くかということがわかるものじゃないんじゃないかと思うのです。ですから、そこら辺私にはのみ込めないわけです。たとえば外貨面でどういうふうなことで公務員の承諾書がなければならなかったかということを、もうちょっと具体的におっしゃっていただきたいのと、もう
一つ
は地方公務員にこれが当てはまっているかどうか、この二つの点を解明していただきまして、私の
質問
を終わります。
遠藤又男
29
○遠藤(又)
政府
委員
初めのほうの部分でございますけれ
ども
、これは実際問題といたしまして、
国家
公務員の海外渡航を
目的
別に見てみますと、休暇をとって観光
旅行
で出る
ケース
が圧倒的に多いわけでございます。さっき申し上げましたような観光渡航の自由化の以後におきましては、公務員が観光のために外に出るという
ケース
が非常に多くなったわけでございますから、実際上の必要からも、外貨面を離れた別の面から見る必要があるということで、把握の必要上こういう定めを置いたというのが
一つ
でございます。 それかう地方公務員につきましては、この規定は適用されません。
戸叶里子
30
○
戸叶
委員
いまの
お話
を伺っておりまして、観光面からどういうふうに渡航が多いとか、いろいろそういった数字や、それをチェックするのにこうだからというような理由に、もう一度聞きたいこともありますし、それから、私
ども
もそういうことだけで
身分証明書
ですか
承認
書ですか、所属官公庁の長の証明書、
承認
書を出せなんということは、ちょっと何かわからないような気がするのですけれ
ども
、もう一度その点をはっきりさせていただきまして、私は
質問
を終わります。
遠藤又男
31
○遠藤(又)
政府
委員
先ほど申し上げましたように、各省各庁の長はその職員の職務を統督する職責を持っておるわけでございます。それで、職員が休暇をとって比較的長期にわたって観光その他のために海外へ出るという場合については、実際問題として、その長の
立場
からいたしますと、統督の必要上その実情把握の必要があるということが一番の根本的なところでございます。観光渡航が自由化される前におきましては、外務省に渡航のための、外貨割り当てのための外貨
審議会
というのがございまして、公務員が私用で行く場合であってもみんなわかるようなことになっておりましたが、自由化後はその
審議会
もなくなりまして、チェックの方法もなくなったということから、実際の必要からいま申し上げましたように、昭和四十年の告示によって定めた。これは内閣法制局、それから
総理
府の人事局とも協議いたしまして定めたような次第でございます。
田中榮一
32
○
田中
委員長
これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————
田中榮一
33
○
田中
委員長
この際御報告申し上げます。 昨四月七日の
外務委員会
理事
懇談会
において、
政府
側から
旅券法
の一部
改正
案はいずれの地域に対しても渡航の制限をする
目的
に出たもので丸く、かつ、いずれの地域に対する渡航の自由についても善意をもって
措置
するなどの昨年第六十一回国会七月四日の当
委員会
理事
懇談会
における発言
内容
と同様の発言があり、これを再確認いたしました。なお、善意をもって
措置
するとは、相手側が入域を認める場合には、渡航手続の簡便化をはかりつつ、善処することである。との意向があわせて表明され、与野党
理事
がこれを確認いたしました。 以上御報告申し上げます。
—————————————
田中榮一
34
○
田中
委員長
これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。
戸叶
里子君。
戸叶里子
35
○
戸叶
委員
私は
旅券法
の一部
改正
につきまして、残念ながら
反対
の意を表明いたします。 理由は、この
委員会
で多くの
委員
から指摘されたところに尽きるわけでございますが、私
ども
はこの案の中に多くの前進あるいはまた
海外旅行
が急増しておる今日、早く事務の手続が済むよう
努力
されんとしての
改正
は十分認めるのであります。しかし私
ども
が主張いたしましたように、海外渡航の権利というものは、憲法におきましても、
国際
法においても、基本的人権の尊重をうたう国連憲章の精神から見ても、当然認められているところであります。ところが今回の
旅券法
の
改正
は、
国交
未
承認国
に対してはなはだしく
差別
をつけ、
法案
を読む限りにおいては
旅券
発給
の制限がつけられておることでございます。これによって広く貿易を行なう者とか忙しい仕事をしなくてはならない報道
関係
者に、いろいろ不便が生じたことはまことに残念でございます。たとえば前進された金
世界
包括
旅券
というものを持っておりながら、急に未
承認国
へ用事ができてすぐその近くまで行っていても、用事のできた未
承認国
へ行くときには、また
日本
の出先
機関
のある国まで帰って手続をし直し、それにまた時間がかかって緊急の用事が足せないという深刻な事態が起こり得る点でございます。もしこれに対する違反、すなわち二十三条の二項の一、「一般
旅券
に記載された渡航先以外の地域に渡航した者」に該当したときには三万円の罰金と、さらに次に
旅券
の
発給
が断わられるというきびしい情勢に置かれることでございます。問題を起こさないで済む
状態
に置くことこそ必要であって、問題を起こさざるを得ない
状態
にしておいて
発給
をきびしくするということは、
文化
国家
のすることではないと思うのでございます。 また十三条で、「
外務大臣
において、著しく且つ直接に
日本国
の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」に
旅券
の
発給
の制限が
考え
られているのでありますが、これがまた問題のところであります。このばく然としている点はいろいろ問題となるところであります。 また、これまでいろいろ問題になりました、すなわち法律事項でもなく、また国益に反し公安を害する行為の基準がないのに、
外務大臣
の裁量で国益または公安を害する行為を行なうおそれがあると認めるという判定は、行き過ぎになることが多いのであります。基準がないので人によってその認定が違うのではないかという点は、私のみではなくて多くの
人たち
が質疑のときも指摘をしたところでございます。 その他こまかい点もたくさんありますが、せっかく
旅券法
の
改正
によって国民の海外渡航の便をはかろうとしても、欠点のほうで帳消し、いな、むしろ悪くするようなことではまことに残念でございます。私
ども
はこの際
旅券法
の
改正
をするならば、まず
旅券
という窓口を通して
世界
じゅうすべての国との
交流
ができるようにし、
お互い
に
理解
し、
国交
未回復の国をなくする
努力
の一助にすることこそ
旅券法
の
意味
が出てくるのであり、またそれこそ
日本
が平和への
努力
を示す大きな役割りを示すことであると思うのでございます。この点、一日も早くそうするよう
努力
をしていただきたいと思います。しかし
外務大臣
の
理事
会で述べられた決意、そしてまたいま
委員長
がお読み上げになりました
理事
会できめられたこと、そういうのを尊重して、同時に
国際
情勢も流動化していることでありますので、一日も早く
旅券
本来の精神に基づく
改正
、すなわち、いずれの国にも
旅券
を出すという法の
改正
が
考え
られることを切に望んでおります。その
改正
のできたときこそ両手をあげて賛成することを誓いまして、
反対
討論を終わりたいと思います。(拍手)
田中榮一
36
○
田中
委員長
大久保直彦
君。
大久保直彦
37
○大久保(直)
委員
私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
旅券法
の一部を
改正
する
法律案
に対し、若干の理由を申し添えて
反対
の意を表明するものであります。 初めに、今回の
改正
点を見ますと、数次往復
旅券
の拡大及び渡航先の包括記載等、改善されるべき点につきましてはわが党は大幅な前進と認めるものであり、賛成できる点も多々あることはこれまでの
審議
を通じて明らかにいたしております。 しかし
反対
の理由の第一は、質疑の過程でも明らかにされましたとおり、この際当然削除されるべき十三条一項五号の国益公安条項が残存している点であります。この点につきましては、あたかも
承認国
、未
承認国
を渡航上必要以上に
差別
するやの解釈を内在させたまま条文をそのままにしている点については、
政府
の
旅券
発給
に対するその
姿勢
に私
ども
は
反対
の意を表明せざるを得ないのであります。しかも
日本
を取り巻く
国際
情勢や外交上の機微にわたる点も多々あることはよく
理解
するわけでありますが、
旅券法
の解釈からするならば何らの差異もあり得ないにもかかわらず、
分裂国家
の一方に渡航する場合、
旅券
の
発給
につきましては他の一方の国の顔色をうかがいながら手かげんをするというような
旅券
制度の運用、さらに
分裂国家
でも一方の出方によってその
扱い
に平等さを欠いているという面につきまして、
日本
が独立
国家
として、
政府
はいささか自主性を欠いておるのではないかと言わざるを得ないのであります。 第二点として特に注目すべきことは、新たに二十三条二項としていわゆる横すべりに対する罰則が加わったことであります。
政府
は、かねてより未
承認国
への貿易を行なうことは認めておりながら、北朝鮮、中国、北ベトナムと貿易を行なう業者は困難な条件のもとに国益の見地から貿易振興のために
努力
をいたしておるわけでありますが、しかるに国民の渡航の自由という基本的権利の侵害のみならず、
経済
活動も阻害するものであって、国民の生活権により重大な影響を与えるものであります。私
ども
は、このように国民の基本的権利を不当に制限し、さらに行政権の乱用を引き起こすおそれのあるものという
考え
を持たざるを得ないのであります。 最後に、未
承認国
に対する
旅券
の
発給
制限を緩和し、ただいま
委員長
の御報告どおり、また、過日の
理事
会における
大臣
の御発言どおりに、さらにこの
国際
的
友好関係
を促進することこそ、また、さらに相互
理解
を深めることは国民の心からの要望であり、多数の念願であることを言明いたしまして、私の
反対
討論を終わります。(拍手)
田中榮一
38
○
田中
委員長
曽祢益君。
曾禰益
39
○曽祢
委員
ちょっと伺いますが、従来の慣例からいえば
反対
、賛成、
反対
、賛成という順序でやるのじゃないですか。私は賛成ですよ。釈明を求めます。前国会からわが党は賛成にきまっているじゃないですか。
田中榮一
40
○
田中
委員長
これは
委員長
の手落ちでありましたので、自後十分注意いたします。
曾禰益
41
○曽祢
委員
私は民社党を代表いたしまして、この
旅券法
に対しまして賛成の討論をいたしたいと存じます。 賛成の第一の基本的な理由は、わが国の国民の海外渡航が非常にふえました。そのこと自身は非常にいいことだと思うのでありまして、その手続をなるべく簡易化、簡素化し、そして海外渡航主なるべく自由にするという
意味
で、いままでは一回限りの
旅券
であったものを数次往復ができる五カ年の期限の
旅券
にするのを
原則
とする、こういう
意味
におきまして、趣旨において開放的自由社会のわが国の本旨に沿う
改正
だと思うので、私は賛成するのであります。ただし、この問題につきまして、この
旅券法
の
改正
案の中で、第十三条の一項五号における、いわゆる国益、公安条項による渡航禁止という点が
改正
されてないからという
反対
の
意見
もあるようでありますが、海外渡航の自由は、いわゆる閉鎖社会の国においては認めてないという現在の
世界
の
現状
、またわが国の場合におきましても、やはり例外的に国益、公安から禁止することがあってもやむを得ない。たとえばいわゆる赤軍派と称する暴力集団がたとえば北朝鮮というところに行って、そこで革命ごっこの基地をつくるというようなことを広言しておる場合に、もし彼が
措置
されておらなかったとしても、そういうものの申請に対して
日本
がこれに
旅券
を交付するという理由は何らない。また国連の総会なり
理事
会の決議によって、ある国に対して
経済
断交等の
経済
政策を行なっておる場合に、わが国の国民がその地域に行くことについては、国益上これを
許可
しないという場合があり得る。問題は、いわゆる
政府
の恣意的な、かってな理屈によって
許可
しない、あるいは未
承認国
である、共産国であるから
許可
しないという理由は全然あり得ないと思うのでありますが、全然完全な自由にしなければいけないという議論は、私は遺憾ながら賛成ができない。その
意味
で十三条のその点の
改正
がないからといって、この
法案
に
反対
する理由にはならないと私は思います。 また、今回の
改正
におきましても残念ながら未
承認国
に対しては
原則
として一回限りの
旅券
になっておるようであります。その点の
差別
待遇はありますけれ
ども
、現実の質疑を通じて明らかな点は、未
承認国
あるいは共産主義国といいましても、実際上中国、北朝鮮、あるいは東
ドイツ
はほとんど問題にならない、
ケース
・バイ・
ケース
であるけれ
ども
、これは許されておる。問題はいわゆる北鮮、朝鮮民主主義人民共和国に対する渡航だけが現実にはもう
日本
政府
が今日まで
許可
しなかった。したがって、そこに横すべり現象が起こっておったのであります。この点をそのままにしておくならば、今度の法
改正
によって三万円の罰則が新たにはっきりと横すべりの場合に科せられるということになるわけであります。これはどうも不合理ではないかということが一番私
ども
のひっかかりとした点であります。しかし、この点に関する質疑におきましては、いろいろございましたけれ
ども
、ただいま
委員長
が読み上げられましたように、
理事
懇談会
におけるわれわれの
了解
、また
政府
の見解等によれば、この
法案
というものはあらゆる地域に対して
——
あらゆる地域というものは、私の解釈するところでは、いわゆる共産主義国を含むという
意味
だと思いますが、
世界
のあらゆる地域に対して
旅行
を制限する
目的
ではないのだ、第二には単に制限する
目的
でないのではなくて、むしろ自由にしたいのだという趣旨の善意を持って積極的に取り扱っていこう。それは積極的に自由化に向かいたいという意思ではあるかと思うのであります。そういう場合に、昨日の
懇談会
における、いま
委員長
がお読みになった、もう
一つ
は、
相手国
がこれを許す場合には、特に積極的にかまえるという事実に該当するやにとられるあれが発表されたのであります。なおこれに関連いたしまして、この
委員会
における速記のある質疑におきましても、少なくとも北鮮に行きたいという
日本
人の場合に、はっきり理由がある場合、すなわち商用の場合、貿易の場合及びスポーツの場合、これらの場合は
ケース
・バイ・
ケース
であっても許すべきである。私
ども
はこの点を強く要望いたしまして、これらの点については、いま
委員長
が読み上げられた
理事
懇の趣旨から
考え
ましても、
政府
は必ず誠意をもって積極的にこたえるものと私は期待して、その期待の上に立ってこの
法案
に賛成するものであります。 これをもって私の討論を終わります。(拍手)
田中榮一
42
○
田中
委員長
林百郎君。
林百郎
43
○林(百)
委員
私は
日本
共産党を代表して、ただいま議題となっております
旅券法
の一部を
改正
する
法律案
に
反対
の
態度
を表明します。 言うまでもなく、国民の海外渡航の自由は
世界
人権宣言及び憲法によって保障され、何人も奪うことのできない基本的人権の
一つ
であります。また
旅券
は、自国及び
外国
の官憲に対して
身分
証明をするための
国際
的に認められた公の文書であり、国外で
外国
官憲もしくは自国領事の保護を受け得るための
旅行
文書であります。すなわち、
旅券
の本質は
身分証明書
であって、
外出許可
証ではありません。したがって、
旅券法
が国民の
海外旅行
の自由を制限することができないのは自明のことであります。ところが
政府
は、これまで、現行
旅券法
第十三条第一項五号を根拠として、
国交
未回復の社会主義国への渡航を制限しているのであります。特に朝鮮民主主義人民共和国への渡航は
韓国
との
友好関係
に支障を来たすこと並びに人身の安全が保証されないという外交政策上の理由で、同じ未
承認国
間でも著しい
政治
的な制限が加えられております。本
改正
案によってもこのことは何ら改善されておらないどころか、むしろ横すべり処罰によって改悪されることになるわけであります。 そもそも海外渡航の自由は、憲法上の権利である以上、国益などというあいまいな時の
政府
の
政治
的判断あるいは利害を基準として、また時の
政府
の外交政策上の理由で制限を加えることは許されるものではありません。 今回の日航機乗っ取り
事件
を通じて、こうした
佐藤
内閣のいわゆる国益なるものに基づく対朝鮮外交が持つ矛盾と問題点が一そう明白にされたではありませんか。
政府
は、今回の
事件
から積極的な教訓を引き出し、これまでとり続けてきた朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策を直ちにやめて、真に善隣友好の
立場
にふさわしい対朝鮮外交をとるために具体的な一歩を踏み出すべきでありますが、
政府
は私の
質問
に対しましても、従来からの対朝鮮外交を何ら改める意図がないことを表明しております。しかも、当面
政府
が直ちにできる問題である渡航の自由すら、その実現に前向きの
努力
を払おうとしておらないのであります。 このように、真に国民の利益に相反する朝鮮敵視政策をなお国益と称して継続し、これに照らして
旅券
の発行を制限することのできる十三条一項五号を依然として存続きせることは、若干の技術的な改善があるにしても、
旅券法
の根本的な改善にはならないと思います。 そもそも本
法案
は、こうした現行法十三条一項五号による不当な
政治
的な制限を改めるどころか、
反対
に数次往復用
旅券
の効力の拡大とか渡航先の包括的記載とか
旅券
発給
手続きの簡素化等の若干の改善はなざれたにしても、何人も侵すことのできない基本的人権であるはずの
海外旅行
の自由に対する制限はかえって一そう強化されることがその主たる
内容
になっておるわけであります。したがって、わが党は本
改正
案に絶対
反対
する根本の理由がここにあるわけであります。 すなわち、第一に、
国交
未回復国への渡航の制限を
旅券
制度の中に公然と組み入れようとしていることであります。つまり本
法案
は、数次往復田
旅券
の効力を五年間に延長しておりますが、提案理由説明では、
国交
未回復国への渡航者にはシングル
旅券
以外は
発給
しないとしてその適用を除外することを明らかにしており、また渡航先の記載についても、全
世界
地域という包括記載を認める反面、その際、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム民主共和国、中華人民共和国、
ドイツ民主共和国
は除くと官報に明記することを
政府
答弁
で公言しています。これは明らかに、
国交
未回復の社会主義国への
日本国
民の渡航を
差別
して、
旅券
発給
の抑制を強化するものにほかなりません。 第二は、本
法案
によって、渡航先の追加申請が強制されることとともに、
旅券
に記載されていない渡航先に渡航した者、または指定された経由地以外の地域に渡航した者は、第二十三条第二項で新設された罰則によって三万円以下の罰金に処され、さらに第二十五条によって
旅券
没取、さらに第十三条によって以後
旅券
発給
を拒否される対象となることであります。このような、いわゆる横すべり渡航禁止処罰の規定を新しく設けたことは、
政府
が未
承認国
への
旅券
発給
を不法にも制限し、禁止している現在、実質的には未
承認国
への渡航を封殺し、不可能とするものであり、ことに朝鮮民主主義人民共和国に対してはそのことの
可能性
は非常に強いと思います。このように個人の
海外旅行
の自由を抑圧するものであります。 第三に、第十六条で三カ月以上の海外滞在者に対して、領事館への届け出を義務づけ、第十九条では、「
日本国
民の一般的な信用又は利益を著しく害している」との理由で
旅券
の返納命令ができることにしております。国民の海外活動への
政治
的規制を強化することになるわけであります。 第四に、その他本
法案
は、第十三条の
旅券
発給
の行政的制限が拡大されること、また第二十二条の二の同法施行のための手続き等の外務省令への包括的委任など、本来
政府
の政策とは無
関係
であるべき
旅券
発給
事務に対し、
政府
の政策的介入を一そう増大きせる
内容
を持っているものであります。 以上のように、現行法十三条一項五号による海外渡航の自由に対する制限を改めるものでもなく、その基本的人権に対する制限をかえって一そう強化することを
内容
とした本
改正
案に対しましては、わが党は
反対
することを表明して、私の討論を終わります。
田中榮一
44
○
田中
委員長
これにて討論は終局いたしました。 これより
旅券法
の一部を
改正
する
法律案
について採決いたします。 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
田中榮一
45
○
田中
委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本案に対する
委員会
報告書の作成等につきましては、
委員長
に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田中榮一
46
○
田中
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
——
——
◇—
——
——
田中榮一
47
○
田中
委員長
北西大西洋
の漁業に関する
国際条約
及び
関係
諸
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件、
全米熱帯まぐろ類委員会
の設置に関するアメリ
カ合衆国
と
コスタ・リカ共和国
との間の
条約
への加入について
承認
を求めるの件、
南東大西洋
の
生物資源
の保存に関する
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件、以上三案を一括して議題といたします。
—————————————
北西大西洋
の漁業に関する
国際条約
及び
関係
諸
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件
全米熱帯まぐろ類委員会
の設置に関するアメリ
カ合衆国
と
コスタ・リカ共和国
との間の
条約
への加入について
承認
を求めるの件
南東大西洋
の生産資源の保存に関する
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕
—————————————
田中榮一
48
○
田中
委員長
政府
から提案理由の説明を聴取いたします。竹内
外務政務次官
。
竹内黎一
49
○竹内(黎)
政府
委員
ただいま議題となりました
北西大西洋
の漁業に関する
国際条約
及び
関係
諸
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この
条約
は、
北西大西洋
水域の漁業において最大の持続的漁獲の維持を可能にするためこの漁業の調査、保護及び保存に関する協力を取りきめることを
目的
としており、一九四九年二月八日に作成され、翌年七月三日に効力を生じたものであります。 この
条約
は、全締約
政府
の代表により構成される
北西大西洋
漁業
国際
委員会
と称する
委員会
を設置すること、同
委員会
は、調査、研究及び共同
措置
のための提案を行ない得ること、締約
政府
はこの
条約
の実施に必要な
措置
をとること等を規定し、また、一括して付託いたしました五個の
議定書
はこの
条約
の運用の強化をはかることを
目的
として
条約
の規定を
改正
しまたは適用拡大するため作成されたものであります。 現在、この
条約
には、米、英、カナダ、
ソ連
等十四カ国の
政府
が加盟しております。 わが国は、従来、
北西大西洋
水域における漁船の出漁は小規模であったためこの
条約
に加盟しておりませんでしたが、今後は相当数の漁船の出漁が予想されますので、わが国としてもこの
条約
に加入することによりまして、漁業における
国際
協調に貢献することのみならず、将来におけるわが国の漁業の安定した発展をはかることができると
考え
る次第であります。 次に、
全米熱帯まぐろ類委員会
の設置に関するアメリ
カ合衆国
と
コスタ・リカ共和国
との間の
条約
への加入について
承認
を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この
条約
は、東太平洋水域においてまぐろ漁船が漁獲するまぐろ類の資源を最大の持続的漁獲が毎年可能となる水準に維持することを容易にするため
情報
の収集及び解釈につき協力することを
目的
としており、一九四九年五月三十一日に、アメリ
カ合衆国
と
コスタ・リカ共和国
との間に作成されたものであります。 この
条約
は、全締約国の代表により構成される
全米熱帯まぐろ類委員会
と称する合同
委員会
を設置すること、同
委員会
はまぐろ類の資源等について調査を行ない、締約国がとるべき共同
措置
について勧告すること等を規定しております。現在、この
条約
には、アメリ
カ合衆国
及び
コスタ・リカ共和国
のほか、カナダ・パナマ及びメキシコが加盟しております。 わが国は、従来、この
条約
水域におけるマグロ漁船の出漁は限られたものであったためこの
条約
に加盟しておりませんでしたが、今後は、この水域でのわが国漁船による規制対象魚種の本格的漁獲活動が予想されますので、わが国といたしましても、今般この
条約
に加入することによりまして、漁業における
国際
協調に貢献することのみならず、将来におけるわが国の漁業の安定した発展をはかることができると
考え
る次第であります。 最後に、
南東大西洋
の
生物資源
の保存に関する
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 近年
南東大西洋
水域におきましては、トロール漁業の急速な発展によりまして同漁業の
生物資源
に及ぼす影響が懸念されており、その保存
措置
の
必要性
が
関係国
によって叫ばれてまいりました。かかる背景のもとに、
国際
連合食糧農業
機関
(FAO)は、同水域の
生物資源
の保存及びその合理的な利用を
目的
とする
国際
的な漁業管理機構を設置するための準備作業を行なってきたところ、昨年十月に同
機関
の主催による全権代表
会議
が開催され、この
条約
が採択された次第であります。 わが国は、
南東大西洋
水域における漁業に
利害関係
を有する水産国の
一つ
として、本
条約
の採択にあたってはその準備作業の段階から積極的に参加し、わが国の
意見
を反映せしめた
条約
とすることができました。わが国がこの
条約
の締約国となりますことは、漁業における
国際
協調を旨とするわが国の
立場
上きわめて有意義であり、同時に、この水域におけるわが国の漁業の安定した発展をはかる上にも有利であると
考え
られます。 以上三件につきまして、御
承認
を求める次第であります。 何とぞ御
審議
の上すみやかに御
承認
あらんことを希望いたします。
田中榮一
50
○
田中
委員長
これにて提案理由の説明は終わりました。 三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
——
——
◇—
——
——
田中榮一
51
○
田中
委員長
次に、
日本国
と
アフガニスタン王国
との間の
文化協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、
日本国政府
と
フィリピン共和国政府
との間の航
空業務協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
アジア統計研修所
の設立及び
運営
のための援助に関する
日本国政府
と
国際連合開発計画
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、以上三件を一括議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。
戸叶
里子君。
戸叶里子
52
○
戸叶
委員
ただいま議題になっております
アジア統計研修所
の設立及び
運営
のための援助に関する
日本国政府
と
国際連合開発計画
との間の
協定
について、まず二、三点
質問
をしたいと思います。 第一にお伺いしたいことは、この種の研修所というようなものはいま
日本
に幾つくらいあるのでしょうか。それから今後どういうようなものを
考え
ておられるのでしょうか。
山崎敏夫
53
○山崎説明員 国連との協力によりますこの種の
国際
的な研修所としては従来二つございます。最初のものは、犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア極東研修所と称するものでありまして、俗にアジア防犯研修所と称しておりますが、これは昭和三十六年に国連との間に
協定
が
締結
されまして、現在府中でこの研修が行なわれております。これは
協定
が四十年に失効いたしましたが、その後引き続き交換公文によってこの研修所は活動を継続いたしております。第二は、
国際
地震工学研修所と称するものでありまして、これも国連との間の
協定
が
締結
されまして、昭和三十七年に署名され、昭和三十八年から発足しております。現実には建設省の建築研究所内にこれは設けられております。したがいまして、今回のこの研修所は第三番目のものであります。 それから今後の問題といたしましては、さしあたりは計画はございません。ただ国連の通常予算による技術援助との協力につきましては、現在名古屋に地域
開発
に関する
国際
研修を行なう
機関
として中部センターというものがございまして、ここで研修が行なわれております。今後、いまのところは具体的な計画はございません。
戸叶里子
54
○
戸叶
委員
犯罪防止の
協定
が結ばれているということでございますけれ
ども
、たまたまいろんな犯罪はどんどん複雑になって大きくなってくるということが、この間の
ハイジャック
事件
でもわかるわけですけれ
ども
、何も
協定
ができたり研修所があるから減るというようなことは
考え
ませんけれ
ども
、ここでどんなふうなことを具体的にやっていらっしゃるか。そしてまた効果があがらないと思えばおやりにならないでしょうけれ
ども
、大体こういう面ではたいへん貢献できるのじゃないかというようなことがお聞かせ願えましたら聞かせていただきたいと思います。
山崎敏夫
55
○山崎説明員 この犯罪防止研修所の
内容
につきましては、私もちょっと詳しくは存じませんが、研修所の
目的
からいたしますと、結局行刑に従事するアジア及び極東地域の各国の官吏を御招致いたしましてゼミナールをやっておるわけでございます。そしてまた同時に、こういう方々の教化手段についていろいろ理論及び実際について研修をやっておるわけでございます。また少年犯罪その他につきましては、最近非常にふえておりますので、これについても大いに研修を行なって、それに対処するということでございます。同時にまた、アジア地域全般にわたりまして、こういう行刑
関係
の
情報
交換の場所とするという
意味
もあると思います。この研修所の成果はわれわれは着々とあがっておると聞いておりますが、具体的な点はつまびらかにいたしませんので、あるいは必要でございましたら、法務
当局
から伺っていただきたいと思います。
戸叶里子
56
○
戸叶
委員
今度
アジア統計研修所
ができるわけでございますから、今後においても、ここでやはり成果をあげていかなければならない、そういうふうな面から
考え
ますと、犯罪防止と統計ということは違いますけれ
ども
、やはりこの犯罪防止のほうでどういうふうなことで、どういうふうな成果が大体あげられてきつつある、どういう点に中心を置かれているかというようなことを、私もちょっと知りたいわけでございます。それで、ことに青少年の犯罪防止の
問題等
についても、取り組んでおられるという
お話
がございましたし、四十年からといえばもう五年もたっておりますから、相当いろいろなデータなり何なり出ておると思いますので、いま急にとは申しませんけれ
ども
、
参考
書類として提出していただきたい、これをお願いいたします。
山崎敏夫
57
○山崎説明員
承知
いたしました。法務
当局
とも連絡の上、
資料
をお届けいたしたいと思います。
戸叶里子
58
○
戸叶
委員
この統計研修所の予算というのはどういうふうになっておるのでしょうか。
山崎敏夫
59
○山崎説明員 この研修所はこの
協定
にもあらわれておりますように、わが国も金を出す、それからUNDP、国連
開発
計画も金を出す、エカフェ加盟国も金を出して共同でやる事業でございます。わが国に関しましては、五年半にわたって実施計画にも出ておりますが、約五億円の金を支出することになっております。エカフェ加盟国は約一億一千八百万円出すことになっております。最後にこの
協定
の相手方であります国連
開発
計画は約八億七千万円を出すことになっています。これは五年半にわたる
一つ
の見積もりでございますが、さしあたりの問題といたしましては、この金は、四十五年度におきましては、行政管理庁及び外務省において若干の金を計上いたしております。具体的に申し上げますと、行政管理庁の予算としては三千四十七万四千円が計上されております。さらに外務省といたしましては、海外技術協力実施委託費、これは技術協力事業団の金でございますが、そこで十二名十カ月分の奨学金として約一千三百万円分が計上されております。それから建物は、今年度は飯倉の旧郵政省の建物の中で研修することになっております。
戸叶里子
60
○
戸叶
委員
当初予算もわかった、初年度の予算もわかったのですけれ
ども
、この海外技術援助費の中から出されているということですが、ついでですけれ
ども
、海外技術援助費はことしはどのくらいですか。いろいろにお使いになると思いますけれ
ども
……。
山崎敏夫
61
○山崎説明員 私は前に会計課長をやっておりました
関係
で、若干調べてみたわけでございますけれ
ども
、現在四十五年度の海外技術協力の実施事業と称するものは六十五億六千三百万円でございます。その中からいまの金が支出されているわけでございます。ただ海外技術協力事業団が使う金といたしましては、これだけではございませんで、これ以外に事業団
自体
の事務経費として海外技術協力事業団交付金というのがございまして、これは九億五千百万円であります。それから建物その他の
関係
といたしまして、海外技術協力事業団出資金として四億八千六百万円がございます。その三つの金を合わせたもので海外技術協力事難団は
運営
されているのでございます。
戸叶里子
62
○
戸叶
委員
私は海外技術費の
関係
の使い方、それからまた事業団の
内容
、あるいはその予算をどういうふうに使っているか、またこれからそういう問題が大きな問題として扱われてくると思うのです。私
ども
この問題にはたいへん関心を持っているわけでございますので、実はここで伺っておけば一番いいのですけれ
ども
、
条約
のほうをだいぶお急ぎのようでありますから、ここでは聞きませんけれ
ども
、いつか伺わせてもらいたいと思っております。 そこで六条に、他の「いずれか一方の締約者が事業を実施するための援助を他の源泉から得る場合には、」という、この「他の源泉」というのは、いまどういうものが
考え
られているのですか。
山崎敏夫
63
○山崎説明員 「他の源泉」と申します場合には、非常に広く書いてあるわけでございますが、具体的にはこの計画に参加しておらない第三国、あるいは適当な民間団体、たとえばアメリカの財団とかそういうものから金を受けることがあり得るので、こういうふうに記載されておるわけでございます。この
アジア統計研修所
の具体的な計画といたしましては、現在すでに西独及び
ソ連
から援助の専門家の派遣その他について申し出があります。ただし、これはまだ正式に受け入れるかどうかきまっていないと
承知
しております。
戸叶里子
64
○
戸叶
委員
適当な民間団体というのは、まだ何にも上がっておりませんか。
山崎敏夫
65
○山崎説明員 いまのところ、民間から申し出は
承知
しておりません。
戸叶里子
66
○
戸叶
委員
そうしますと、これに対して援助を出そうという国が出てくれば、その国を何か
皆さん
の間で協議をして、それを査定して、それで援助を受ける、あるいは民間団体でそういう申し出があれば、そこから受ける。こういうふうに、たとえばせっかく協力しようといっても、それに対してお断わりするということもあり得るわけですか。いまの
お話
では、たとえば西独、
ソ連
から申し出があるけれ
ども
、受け入れるかどうかわからないという御
答弁
だったものですから、受け入れることもあるし、受け入れないで断わることもあり得るというふうに解釈するのか、それとも受け入れるけれ
ども
、時間的な問題があるという
意味
なのか、そこのところをちょっと伺っておきたいと思います。
山崎敏夫
67
○山崎説明員 この計画は、わが
日本
政府
といたしましても、それから国連
開発
計画といたしましても、いわば援助する
立場
でございまして、これをほんとうの
意味
で実施する主体は、エカフェのこの計画に参加しております二十カ国でございます。したがって、エカフェの二十カ国が御相談の上で、ここに出ております、いわゆる実行計画が立てられるわけでございまして、エカフェの二十カ国の間で相談してきめるわけでございますから、先ほど申し上げましたような西独なり
ソ連
なりの申し出が適当なものであれば、もちろん受け入れるのが
原則
であろうと私は推測いたしますが、これは
日本
政府
だけできめるとかUNDPだけできめるという性格のものではございません。大体エカフェできめられるものと了承いたします。
戸叶里子
68
○
戸叶
委員
民間は何かありますか。
山崎敏夫
69
○山崎説明員 民間についても同様であります。俗に筋がいいお金ならば、当然受け入れるのではないかと
考え
ます。
戸叶里子
70
○
戸叶
委員
さっき私が伺ったのは、民間ですでにそういう
気持ち
を持っているところがあるかないかということを伺っておるわけです。
山崎敏夫
71
○山崎説明員 現在のところはありません。
戸叶里子
72
○
戸叶
委員
八条の6で読み方がちょっとわからないのですが、これはこういうふうに
理解
していいんでしょうか。だれか
日本
に講師なり何なりで来た、そういう人が事故か何か起こしたときに、その責任は
政府
が負うことになって、請求権を
日本
政府
が肩がわりとして払うというふうな書き方なんでしょうか、ちょっとこの辺がわからないので説明していただきたい。 そしてついでに伺います。こういう規定をわざわざ入れなくてはならなかった理由はどこにあるのかということと、それからこういう額は援助額とは別だと思いますので、予算上組んでおかなければならないと思いますけれ
ども
、そういうものはどういうふうな形でどうやって組んでおおきになるか、これも伺っておきたいと思います。
山崎敏夫
73
○山崎説明員 この規定は大体仰せのとおりだと思いますが、補足して申し上げますと、結局そういう計画の実施にあたって、国連の要員が第三者に対して損害を与えた場合、
政府
は、第三者がたとえば
日本
人だとすると、
——
国連の要員がこの事業を遂行中に何か事故を起こして、その人から損害賠償を要求されに場合には、その請求を処理する責任はございます。ただし、その問題の金を
政府
がいきなり第三者、
日本
の普通の人に払うのではなくて、やはりその事故を起こした国連の職員が一応払うべきである、ただ、それが結果的に損害を受けないように、ある
意味
で
あと
で補償してやるという責任をとっておるわけでございます。 なぜこういう規定を設けたかと申しますと、
日本
の、ことに統計研修所のように、町の中でやられるような場合はいいんでございますけれ
ども
、国連
開発
計画が後進国でいろいろな援助をやります場合には、相当いなかに行っていろいろなことをやることがございます。ダムサイトもございましょうし、いろいろ建築現場もございます。そこで公務執行中に思わぬ事故が起こった場合に、それについて、国連の職員が公務執行中に起こった場合についてまで全部損害賠償の責任を負わされるのでは援助はできないということを国連としては
心配
するわけでございます。そこで、そういう場合には、受け入れ国側で国連の損にならないように、ひとつ責任を持ってくれという申し入れが、援助を受ける側の後進国一般にあるわけでございます。
日本
はそういう後進国とは
立場
が若干違いますけれ
ども
、やはりそういうことも起こり得ますので、これに対してはそういう点は引き受けましょうという
意味
でございます。ただ何ぶんにもこういう問題はあまり起こらないと思いますし、起こりましてもどの程度の債務になるか、きわめて不確定でございますので、そのために予算を組むということは非常にむずかしいわけでございます。それでこの点は、行政管理庁で組んでおられます予算の
範囲
内でまかない得る場合には、その予算の項目ないしは流用によってまかなわれるだろうと
承知
をいたしますが、もしどうしてもまかない得ない場合には、事後にでも予算
措置
を講じて支払うことになるのではないかと思います。ただあらかじめ明確にその費用として組んである費用はいまのところはないと
承知
をしております。
戸叶里子
74
○
戸叶
委員
事故のないことを望みますし、またあっては困ることだと思いますけれ
ども
、しかしどんな事故が起きないとも限らないわけですね。そこで、
日本
がいずれ責任を負って補償をしてあげるということになりますと、やはりある程度
考え
ておかなければいけないかと思いますけれ
ども
、行政管理庁の中のこれに関して組まれている予算というものは、来年からずっとふえていきますけれ
ども
、あまり目立ってないわけですね。ですから、その中から一体
——
そういうふうな問題が起きなければいいが、起きたときに補償できるかどうかということを危倶するわけでございます。そういう点である程度考慮をしておいたほうがいいのではないかというふうに思いますので、一言申し上げておきます。 それから次に、交換公文の一で3項に、「
日本国政府
は、適当な時期に基本
協定
を
締結
することを検討する意思を有する。」ということでございますが、この基本
協定
というものは一体いつ結ばれるのか、そしてその
内容
とするところは一体どういうものでしょうか。これはこの
協定
がまずいから基本
協定
を結ぼうとするのか、またどういう
意味
で基本
協定
というものを結ぶという交換公文をわざわざここにつけておられるのか、その点のことを承わらしていただきたいと思います。
山崎敏夫
75
○山崎説明員 先ほどから申し上げましたように、普通国連の援助は後進国にやるわけでございますから、普通はいろいろなプロジェクトが次から次へと出てまいりますので、まず基本
協定
というものをその当該国と国連
開発
計画との間でつくって、それからいろいろな実行計画をやっていくわけであります。それが普通のやり方でございます。しかしながら、これはそういうことの性格上、この
協定
に書いておりますよりもかなり広い特権、免除を規定しております。パターンとしてはそういうふうに書かれております。さらに建物提供とか、ローカルコストの負担とかの長期にわたる財政支出を義務づける規定も置かれております。したがいまして、そういう基本
協定
を結ぶことは、わが方の
立場
としましてはあまり適当ではないと思いまして、わが国の
方針
としましては、従来、先ほど申し上げました防犯研修所にしろ、地震工学研修所にしろ、その
一つ
一つ
のプロジェクトごとに
協定
を結んでおります。そして特権、免除の
範囲
も、若干後進国との間の基本
協定
に比較して狭くしております。そういう
関係
がございまして、わが方としては基本
協定
を結んでこなかったのであります。ただ国連の側といたしましては、やはりどこの国にもこういう型でやっておるので、
日本
ともやるという
姿勢
はとりたいという非常に強い希望がございまして、「検討する意思を有する。」と書きましたけれ
ども
、正直に申し上げまして、いまのところこれを結ぶ予定はございません。
戸叶里子
76
○
戸叶
委員
いま
日本
としては結ぶ予定はないけれ
ども
、国連の顔を立てて、一応こういう交換公文をかわしたというふうに
理解
していいわけですね。 それで交換公文の二ですけれ
ども
、ドルの為替相場の問題で、一合衆国ドルに対する基準為替相場は三百六十円で、そしてそれがまたそのときによって相場が変わってくる、たとえば電信為替相場が三百六十二円七十銭と三百五十七円三十銭との間であるというふうに、ドルの相場が、
外国
為替公認銀行の一定の基準為替相場と、それからいわゆる電信為替相場というものが出ているわけですけれ
ども
、これにからみまして、たとえば沖繩が
日本
に返還された場合には、一体どちらをとるだろうという声をあちこちから、沖繩の人から聞くわけです。それで
政府
としてはどういうふうにお
考え
になっていらっしゃるか。いわゆる基準為替相場に基づくのか、それとも電信為替相場によるのか。これは沖繩の人にとっては相当の差が出てきますから、非常に関心を持ち、重大な問題として
考え
ているわけですけれ
ども
、この点はいかがでございますか。
山崎敏夫
77
○山崎説明員 これは沖繩の方の御関心のほどはよくわかるのでありますが、それはまさにこれからの沖繩返還
協定
の
締結
交渉
の一環としていろいろと討議されていくべきことであろうと思いますし、所管の大蔵省のほうでこの点は善処いたすのではないかと思いますので、ちょっといまのところそれがどういうふうに落ちつくかについては、私としてはお答えいたしかねます。 それから先ほどちょっとお答え申し上げましたが、
一つ
事実の誤りがございましたのは、基本
協定
の問題に関しましては、地震工学研修所においては当てはまりますが、防犯研修所は国連との
協定
でございますので、基本
協定
の問題はございません。間違えてお答え申し上げましたので、訂正をさしていただきます。
戸叶里子
78
○
戸叶
委員
いまの沖繩のドル交換レートの問題は、それはいま外務省のほうに伺っても担当でないのでおわかりにならないかもしれませんけれ
ども
、これは大蔵省に聞いたらわかりますか。それともまだ先にいかなければわからないという
答弁
しか得られないでしょうか。
山崎敏夫
79
○山崎説明員 もちろん大蔵省の所管でございますが、いまの段階でその為替相場をどれをとるかということは、ちょっと大蔵省としてもきめかねるのではないか。これはやはりアメリカ側との
交渉
並びに
政府
全体の
方針
としてきめていくべきではないかと思います。
戸叶里子
80
○
戸叶
委員
では、それは別の機会にいたします。そうすると、
アジア統計研修所
の設立の
質問
はこれで終わります。 フィリピンとの
航空協定
についての
質問
に入りたいと思いますが、二条の二項の(a)で「他方の締約国の領域を無着陸で横断飛行する特権」を与えることになっておりますけれ
ども
、これは無制限ですか、制限がありますか。
日本
の場合、フィリピンに対して……。
山崎敏夫
81
○山崎説明員 無制限という
意味
がちょっとわかりかねますが、もちろん
日本
の領域の上を飛ぶ場合に、いかなるところでも飛んでいいという
意味
ではありません。
航空
当局
が指定する航路というものがあるわけでございまして、その上を飛ぶ。ただ、それをこの
協定
業務を
運営
する間、いわゆる
定期航空
業務としてやる場合に、その上を横断飛行できる、その指定された
航空路
の上を横断飛行ができるという
意味
でございます。
戸叶里子
82
○
戸叶
委員
結局ある一定の指定された地域を通るということになると思うのですけれ
ども
、
日本
は安保
条約
を結んでおりますから、基地を提供しておる。そうすると、基地の上空というようなものもある程度は制限されているんじゃないかと思うのですね。で、こういうふうな航路の場合に、大体どういう航路が許されているかということは、具体的に発表できますか、できませんか。
資料
として出せますでしょうか。
松本操
83
○
松本
説明員 フィリピンの場合がどうなっているかにつきましては、ちょっと私、いま存じておりませんが、
日本国
につきましては、これはフィリピンもおそらく同等であるかと思いますが、通常
外国
の
航空
機のみならず、すべての
航空
機が航行をすることのできます通路、エアウエーというものがきまっております。このエアウエーにつきましては、AIPと称する刊行物がございまして、これは公刊された刊行物でございますが、この刊行物に、明確にここが
航空路
であるということが規定してございます。市販もされているかと思いますが、容易に入手することができます。したがって、
外国
機が
日本
に入ってまいります場合に、当然AIPを調べまして、どのようなところに
航空路
があるかを明らかにさえしておきますれば、フィリピンとの間のみならず、一般にシカゴ
条約
との関連性におきまして、当該
航空路
を通って、
日本
上空をすり抜けていくという場合でございますれば、何ら問題はございません。このように
考え
ております。
戸叶里子
84
○
戸叶
委員
その
航空路
というのは、よその国の
飛行機
もその
航空路
しか通れないのですか。私、何も知らないので、ちょっと承っておきたいのですが……。
松本操
85
○
松本
説明員 お答えいたします。
飛行機
の飛び方には、御
承知
のとおり二通りございまして、指示を受けて飛びます場合と、目で見て飛んでいきます場合とございます。目で見て飛んでいきます場合は、非常に低いところを飛ぶ飛び方でございます。これはやたらに飛びますと非常に危険がございます。私ここでそらんじておりませんけれ
ども
、ある
制約
のもとに、特に天候
状態
等の
制約
も受けまして、そのような場合は目視飛行というものが許されておりますが、一般に、
外国
から参って
日本
の上空を通り抜けるという場合には、そう小型の
飛行機
でもございません、したがいまして、当然
航空路
を通るということが予想されるわけであります。ただ、
航空路
というものは、
日本
の
飛行機
にとか、
外国
の
飛行機
にとかいうことではございません。先ほ
ども
お答えいたしましたように、一般に
航空
機が通る道、たとえて申しますならば、自動車道路のようなものでございますので、国籍のいかんを問わず、およそ
日本
上空を通過する
飛行機
はすべてその
航空路
を通るのがたてまえである、こういうふうになっておるわけでございます。
戸叶里子
86
○
戸叶
委員
そうしますと、やはり
機長
はそういうものを持っていて、よその国へ行ったとき、あるいは
国内
もそうですけれ
ども
、その線に従っていくということになるのですね。それ以外は飛ばないということに……。
松本操
87
○
松本
説明員 いま御指摘のとおりでございまして、AIPが公表されております
関係
上、
機長
は必ず、ある
目的
地に行こうといたします場合には、その関連のAIPを持っております。そのAIPに示されております
航空路
につきましては、航行援助施設というものがございます。ほとんどの場合に電波をそこから発射しております。その電波をたどっていくことによりまして、あたかも灯台を見ながら船が航行をいたしますように、安全な航行が確保できる、こういうしかけになっておるわけでございます。
戸叶里子
88
○
戸叶
委員
そうすると、あれですか、
機長
というものは、AIPを持っているにしても、それは限られたものなんですか、それとも、全部の分ですか。行く
目的
地というのは、きまっていますね。たとえば、きょうは
日本
からホノルルへ行こうと思えば、それに関するAIPというものなのか、それとも
世界
の大部分の国のAIPなのか。というのは、私ちょっと今度の
飛行機
の乗っ取りの問題なんかにもからんでいろいろわからない点があるのです。ちょうどいいついでですから、伺っておきたいと思います。AIPというものは、非常に厚いもので、どこの国へ行くときにも書いてあるのか、それともその国と
目的
地の国との間のものだけなのか。それを
参考
のために伺っておきたいと思います。
松本操
89
○
松本
説明員 ややこまかなことになりますと、私も完全に、専門でございませんので、詳細なお答えになるかどうか、初めにお断わりいたしておきますけれ
ども
、
飛行機
が飛びます場合に二通りの方法がございます。
一つ
は、いまの
航空路
によって飛んでいく場合でございまして、その場合に、
航空路
上には、先ほど申し上げました航行援助施設というものがついております。もう
一つ
の方法は、いわゆるオーシャン・ゴーイングといっておりますが、海の上を飛ぶ飛び方でございます。この場合には海の上でございますから、地上にステーションを置くことができません。したがいまして、昔は太陽を見ながら飛んだわけでございますが、現在は地上から相当長距離に届く電波を出しまして、大体ここがルートだということを示しております。それによって飛ぶわけでございますが、それには、
飛行機
にそれを受信するための設備がついておりませんと、そのようなものを使うことができなくなる、こういうことでございます。 そこで、御
質問
の通常
飛行機
が飛ぶ場合に
機長
はどのようなものを持っておるかということでございますが、かりに定期飛行の場合について申しますれば、
東京
を出発いたしましてホノルル、サンフランシスコを経由してニューヨークに行く、こういう場合には、
機長
はそのルートについてのAIPを持っております。このAIPも単に通常刊行されたAIPではございませんで、
機長
が実際飛ぶために必要なものをそれぞれ各
関係
会社がくふうをこらしたものをつくっておるわけであります。これを持って飛んでいくわけであります。したがいまして、急にサンフランシスコからロサンゼルスまで行ってくれとかなんとか言われましても、
機長
としては地図がないということになってしまいますので、おいそれと簡単に飛ぶということはできない。 それから、不
定期航空
の場合は、これはもちろん不定期でございますので定まった路線がなく、きょうはホノルルへ飛んで、あしたは香港に飛ぶというような飛び方をするわけでございます。この場合には、飛ぶとき飛ぶときによって、いま申し上げました所要の地図を持って参るわけでございます。香港に入るなら入るで、これもやや詳しいことを申しますと、香港に入る場合にはどういうような着陸援助施設があるということがわかっておりませんと簡単に
飛行機
をおろすことができませんので、
機長
が持っております
資料
の中には、途中の
航空路
におきますそういった航行援助施設のほかに、
目的
地に参りました場合に、あの飛行場にはどのような角度から、どのような高度で着陸体制に入って、どういう周波数を使って、コンタクトを使って入るかということを書いた別のAIPを持っておるわけであります。そういうものがございませんと簡単にそこら辺を飛び回ることができないというのが現在の民間
航空
の一般的な状況であります。
戸叶里子
90
○
戸叶
委員
AIPが
目的
地以外のものを持っておるとすれば便利でしょうけれ
ども
、たいへんに複雑になるから、自分の
目的
地以外のは持たないということは大体わかったわけです。 そこで、第二の
質問
として、附表で
日本
の
航空
会社の飛ぶ路線というものとフィリピンの飛ぶ路線とは違っているわけなんですけれ
ども
、どうして違った路線というものができてきたのでしょうか、この点をお伺いいたします。
松本操
91
○
松本
説明員 お答えいたします。 一般に附表というものをきめます場合に、
国際
的に通用しております
考え方
がございます。附表というものを定めまして、その附表に従って飛びます場合についての各種の権利義務というものが
協定
本文に定められておるわけでございます。附表というものによって
航空協定
の相当部分の実態がきまるわけですが、この附表をきめる
原則
といたしましては、
関係
する二つの国の間に
航空
業務を行ないます場合に、両方の国のそれぞれの
航空
業務を
経済
的に見てバランスをとる、
航空
権益上から見てバランスがとれるようにするというのが、附表を決定いたします場合に一般に通用しております大
原則
でございます。したがいまして、A国とB国との間に附表をどのようにつくるかといいます場合に、最も簡単な場合はAとBの間だけであります。間におりもしないというのが一番簡単な形でございます。その次には、中間地帯を設けまして間におりる、AとBの間に存在しております第三国におりるということをきめます。この場合に、第三国の地点としてどこを通るかというとA国の都合もあり、B国の都合もあり、必ずしも同じところを通らなければならないということはございません。したがって、Aという国はこの地点を通りたい、Bという国はこの地点を通りたい、
お互い
がそれぞれの地点を通りました場合に、A、B間のルートのバランスがとれそうであるということであれば、それで合意が成立するわけでございます。第三の段階といたしまして、今度は
お互い
に
相手国
を越えて飛んでいく、これを以遠権と申しておりますが、
相手国
を越えてさらに遠くに行くという問題が出てまいります。
日本
とフィリピンの間はまさにこの第三番目の範疇に入っておるわけでありまして、
日本国
内の地点、フィリピン
国内
の地点という起終点のほかに、さらに中間地点を入れ、さらに
東京
、マニラを越えてどこに行くかということをきめたわけであります。その場合に非常に大事なことは、途中着陸をいたします地点の力というもの、これが非常に大きなファクターになってまいります。たとえば、ごらんいただきますとわかりますように、
日本側
の地点は非常にたくさん書いてございますけれ
ども
、しかし南太平洋における地点というふうなところは、小さな島をちょぼちょぼつないでおるだけでありまして、これらの島の
経済
的な価値というものはそう取り立てて言うほどのものではない。ところが、逆にフィリピン側のほうの附表をごらんいただきますと、
東京
を越えましてからホノルル、サンフランシスコ、ニューヨークという、
世界
でもきわめて
経済
力の高い、
航空
的に見まして価値の高い地点を貫く、そういうふうなことから二国間及び中間の地点、さらにその以遠の地点を加えました全体の路線の
経済
価値というものを比較考量いたしました場合に、このような書き方においておおむね均衡がとれておるということに双方の
意見
が一致したということの結果が、このような附表の形になってあらわれております。このように御
了解
いただければよろしいと思います。
戸叶里子
92
○
戸叶
委員
両方とも同じような形をとらなければいけないけれ
ども
、
日本
の場合はたくさんの地点を通るけれ
ども
、
経済
的にそれほど高い地点でないのだ、たいして問題ではないところをすっと通っていく、フィリピンのほうは
経済
的価値の少ない地点を通るので、少ないけれ
ども
、それで両方の均衡がとれる、こういうふうに
理解
してよろしいわけですね
——
わかりました。 そこで次に移りたいと思いますが、交換公文には、たとえば、「いずれの一方の国の指定
航空
企業
も、他方の国の領域内において、支店を設置し及び維持し並びに
協定
業務の
運営
に必要な活動に従事することを許される。」というふうに、普通事業活動というようなものは本来はできないことになっておるわけですけれ
ども
、この交換公文では、この中に事業活動をするようにうたわれておるわけですけれ
ども
、これはどういうわけでございますか。
山崎敏夫
93
○山崎説明員 御指摘の点でございますが、これは本来ならば、通常の
航空協定
ではこういうものは必要ないのでございますけれ
ども
、御
承知
のとおり一九六〇年に署名されました日比通商航海
条約
がまだ先方の
事情
で
承認
されておりませんので、発効いたしておりません。そういう事態におきましては、やはり日航が現地へ参りまして、その業務を
運営
いたすにあたって特に重要な支店の設置とか営業活動とか、あるいはその支店に勤務する者の入国滞在とか利益金の本国送金というようなものをやはりはっきり確保いたしておきませんと事業がやりにくいので、通商航海
条約
が未発効の
状態
ではございますけれ
ども
、この点については特に
向こう
側の保証を取りつけた、この取りつけた趣旨がこの交換公文でございます。
戸叶里子
94
○
戸叶
委員
同じことが二の条項にもいえると思うのですね。たとえば人の滞在ということも、観光ですとある程度限られているわけですけれ
ども
、ここで通商航海
条約
が結ばれたと同じような
資格
で
日本
人がフィリピンにいられるというふうな形をとっているので、これは普通の
航空協定
ではないものじゃないかと思うのですけれ
ども
、この点はいかがでございますか。
山崎敏夫
95
○山崎説明員 普通の
航空協定
の場合にはその国の間の
国交
が正常であり、また通商航海
条約
上問題がない、また滞在についてもそうシビアな制限がない国ではこういうものは特に必要ないのでございますが、現在のフィリピンにおいては滞在に つきましても若干の制限
——
実際上支障ございませんけれ
ども
、いろいろな制限がございますの で、ここではっきりそういうものを保証を得たいということでございます。したがいまして、一般 の場合にはあまりこういうものは必要ないかとは思います。
戸叶里子
96
○
戸叶
委員
そこでやはり問題になるのですけれ
ども
、一九六〇年のときにフィリピンとの間の通商航海
条約
がこの
委員会
で
審議
されて、フィリピンは批准していないのだ、どうして
日本
の国だけ批准するのですかと言って私が
質問
しましたら、いや、近いうちにフィリピンも必ず批准しますから、どうぞ批准してくださいというので、
向こう
の顔を立てて先に喜ばせて
——
私は
心配
をいたしたのですけれ
ども
、
政府
がそうおっしゃるものですから、そうかなと思って批准をしたわけですよ。そうしたらことしは何年ですか。一九七〇年、まだ批准されていないという
状態
なんで、まことに驚いているわけなんですけれ
ども
、
政府
はあの当時はどういう見通しだったのでしょうか。批准されるという見通しに立って、そういうことを国会で説き伏せられたのだと思いますが、それ以来何か私は
政府
の言うことは信じていいのかどうかというような疑問を持たざるを得なくなったのです、ほんとうのことを言いますと。これは少しオーバーかもしれませんけれ
ども
……。 そこで一体
日本
とフィリピンとの間の通商航海
条約
は、今後批准されるのですかされないのですかということが
一つ
。 それからもう
一つ
は、この前の
日本
で批准した案がそのまま生きるのかどうかということも問題になるのじゃないかと思うのですけれ
ども
、これは一体どういうふうなことになるのでしょう。この点を伺いたいと思います。いろいろ言いにくいところもおありになると思いますので、
向こう
に響いては困るということがありましたら、私も多少はそういうことはわかるつもりですから、追及はいたしませんけれ
ども
、やはり事の真相だけははっきりさしておいていただきませんと、私もどうも腹の虫がおさまらないものですから、伺っておきたいと思います。
金沢正雄
97
○金沢説明員 ただいまの御
質問
にお答え申し上げたいと思います。 一九六〇年にこの
条約
が署名されまして、本年まで十年近くなりますのに、フィリピン側はこれを批准していないというのはいままさにおっしゃったとおりでございますが、フィリピンはその間
日本
の
経済
進出というような点についての危惧の念も非常にございまして、そのためには
日本
のそういう
経済
進出というようなものを押えられるような
国内
立法をいたしまして、その立法が成立した段階で批准しようというような動きをしておったわけでございます。そういう
国内
法が六つあるわけでございますが、そのうちの五つはもうすでにフィリピンの国会を通過しておるわけでございます。本年三月十七日に、マルコス大統領は、初めてこの
条約
の批准を求めるといろ決議案を上院に提出したわけでございます。フィリピンにおきましては、
条約
は上院の三分の二の議決を経て
承認
されれば、それでフィリピンは批准できるということになっておるわけでございます。
条約
が署名されまして十年近くたちまして、初めてマルコス大統領がこの
条約
の批准を求めるという正式の行為をフィリピンの上院に対してとったわけでございます。上院では本
会議
が
条約
案件を
外務委員会
に付託したわけでございますが、まだその
外務委員会
の
審議
は始まっておらないわけでございます。しかしわれわれといたしましては、そういう長い間の空白の期間を置いて、初めて上院に提出されましたので、今回の上院の本
会議
において
承認
されるということを期待しておるのが
現状
でございます。 それから、この
条約
の
内容
に変更を加えるかどうかという第二点の御
質問
でございますが、その点につきましてはフィリピンの内部でも
一つ
問題にいたしておりますのは、領海の問題でございます。フィリピンはアメリカがスペインから譲り受けたわけでございます。それからその後フィリピンはアメリカから独立したわけでございますが、アメリカがフィリピンをスペインから譲り受けますときに、何ぶんフィリピンは七千というような数多くの島がございますので、この島のどこが漏れた、どこが漏れないということがあっては困るというので、非常に広い
範囲
の線を引きまして、その
範囲
内の島がフィリピンだ、譲り受けの対象になる島だ、こういうふうにしたわけでございます。それでそれは領海とは何ら
関係
のないものであるわけでございますが、フィリピンは、これがフィリピンの領海だという
考え
を持っておるわけでございます。したがって、その点について何かの留保を付さないと
日本
の漁船の進出があるのではないか、こういう
心配
をしておるわけでございます。しかしそもそも通商航海
条約
には領海の規定というものは含むべき性質のものではございませんし、それからフィリピンのそういう領海に関する主張は、もちろんわがほうとしてはのめない性質のものでございます。ただその領海については、通商航海
条約
には何ら規定はないわけでございます。これは規定がないということによって、フィリピンの
立場
そのものは何ら害されるものではないというふうに解釈されるわけでございます。もちろん
日本
の
立場
もそれによって害されるものではないわけでございますが、そろいう点は、フィリピンはこれを批准しますにあたってどういうふうな解決策を求めるのか、これはわれわれとしてはわからないわけでございますが、
条約
自体
を変更するということはないのじゃないかというふうにわれわれは感じております。
戸叶里子
98
○
戸叶
委員
今度は通るだろうという外務省のお見通しでございますし、私もそろいうふうに信じたいと思いますけれ
ども
、大体
一つ
の国が批准をして、ほかの国が批准をしないで十年間もブランクになったなんということが、
条約
の歴史の上にあるでしょうか。そういうものがたくさんありますか。あれば私、ちょっと
参考
までに伺っておきたいのです。これは特殊な
ケース
じゃないかという気がするのですが、どうでしょうか。
山崎敏夫
99
○山崎説明員 二国間
条約
の場合に、一方の国が
国内
事情
によって批准できなかったという例は上ると思いますが、戦後わが国が
締結
いたした
条約
については確かにまだこれだけが問題でございます。ただほかの国の場合にはそういう例があると思いますが、
あと
で調べまして御報告申し上げたいと思います。ただ多数国間の場合には非常にあるわけでございまして、ある国が批准しないために当然発効するものが発効しなかったということはございます。
戸叶里子
100
○
戸叶
委員
そういうのがどことどこにあったとかなんとかいうことを私は別に知るつもりはないのですけれ
ども
、外務省の見通しの甘さというものを今後気をつけていただきたいという
意味
で伺っているわけです。このフィリピンとの
航空協定
はこれで終わります。 アフガニスタンとの
文化協定
に入りたいと思いますが、
委員長
、時間は……。
田中榮一
101
○
田中
委員長
ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
田中榮一
102
○
田中
委員長
速記を始めて。
戸叶里子
103
○
戸叶
委員
時間の
関係
で五分ぐらいに詰めろということなんで、少々むずかしいかもしれません。ユーゴスラビアとの間の
文化協定
を結んだときにも、
文化協定
には特別に予算は組んでありませんというような
お話
でしたけれ
ども
、この
文化協定
も予算は何にもないのでしょうか。その点を念のために伺います。
兼松武
104
○兼松説明員 ユーゴスラビアの場合にも御説明申し上げたのでございますが、大体
文化
事業
関係
の予算は外務省
関係
と各省
関係
ございますが、通例前年度
実績
の上に大体予想される翌年度の
関係国
の大ワクとしてどのくらい前年度に上乗せが必要であるかということを概算要求に基づいて査定してでき上がるわけでございますが、本年度このアフガニスタンにつきましても、やはり前年度
実績
で幾つも上がっているのがございますし、それに四十五年度予算については
文化
関係
費で、たとえば外務省
関係
で見ますと、
国際
文化
事業
実績
で約一千万増、それから
日本
語普及事業費
関係
で約 一千二百万円増というふうに、前年度
実績
に対しまして毎年このように少しずつ増額が認められております。こういうふうにいたしまして、
協定
が結ばれた国との一そう緊密な
交流
関係
が円滑に行なわれるように
措置
しているわけでございまして、特定の国について幾らあるいは特定の
協定
実施のために特に毎年幾らというふうな仕組みはとっておりません。それが実情でございます。
田中榮一
105
○
田中
委員長
金沢参事官から発言を求められておりますので、発言を許します。
金沢正雄
106
○金沢説明員 先ほどの
戸叶
先生の御
質問
にお答えした中で、フィリピンが領海の問題について
日本
の漁船が進出してくるんじゃないかということを
心配
をしているということを申し上げたわけでございますが、
日本
の漁船はフィリピンの近海に進出して漁業をするというような計画は従来もございませんし、現在も全然ございませんので、その点つけ加えさせていただきたいと思います。
戸叶里子
107
○
戸叶
委員
わかりました。 そこで、いまの
文化協定
に戻りますけれ
ども
、
文化協定
の中には何々を奨励するとか研究するとか、権利義務の
関係
を持たないようなものが非常に多いと思うのですね。いろいろな国と
文化協定
を結ぶことはたいへんけっこうだと思うのです一よ。しかしそういう何々を奨励するとか研究する一ということをやはり具体化していったほうが効果があるのじゃないか。そうするとやはり予算が必要になってくると思うのですけれ
ども
、一千万、 一千二百万というようなものは、
文化協定
をどこそことの間に結んでいる、その全体をカバーするものであるならばそれほど多いものだとは思いませんので、この点についてはどういうふうに
考え
ていらっしゃるか。たとえば個々の国との
実績
をあげられた場合には、ここには特に力を入れるとかそういうふうなことは
考え
ないほうがいいのか、
考え
てもいいものか、その点の御見解を伺いたいと思います。
兼松武
108
○兼松説明員
文化
事業の種類によって必ずしも一様ではございませんが、たとえば従来
協定
がない段階ですでに実施しておりました国費留学宙の招致、技術研修生の招致というようなものは毎年
文化協定
がない段階ですでにやっておりまして、国費留学生の場合にはわがほうへ大体毎年二名ずつ招聘しておりますし、技術研修者の場合には過去十年間の統計をとってみますと、アフガニスタンから四十人名を受け入れているようなことがございます。他方、毎年度のきまった事業計画ではなくて、ある行事の際にこちらから
文化
的な催しものを企画する、たとえば二年前にアフガニスタンの独立五十周年記念式典がございました。このときには五十周年記念式典を契機にいたしまして、
日本
から民俗舞踊団を式典に対する
日本
からの参加行事としてこちらから派遣いたしまして、その際あわせてイランとトルコにも民俗舞踊団を派遣いたしました。従来トルコ、イラン等もいろいろな催しを要望しておったわけでありますが、ちょうどアフガニスタンに派遣した際にあわせてそういうことが実現できたというような例がございます。したがいまして、同じ種類の事業を毎年
一つ
の国について必ずやっていくという慣行になっておるものと、適当な時期に適当に行なわれる、二年か三年に一ぺんあるいは四、五年に一ぺん行なわれるというのもございますので、ただいまの御
質問
のように、ある国との特定の項目につきまして必ずはっきりした予算項目なりがあったほうがいいという御趣旨は抽象的には私もよく
理解
できますけれ
ども
、実際の予算の編成にあたりましては、いま申しましたように外に対する催しものの派遣等の場合には必ずしも毎年やるということではなくて、ほんとうに適当な時期に適当なものを出すというようなものもございますので、その辺のところを最小限の予算で最大限の効果をあげるというたてまえから、徐々にいまおっしゃった御趣旨に沿うような方向で
考え
ておりますが、急にはちょっと実現できないのではないかと思います。
戸叶里子
109
○
戸叶
委員
文化協定
全般をカバーする
意味
で、ある予算はとっておいて、それを適当に運用するというふうなお
考え
であることはわかりました。 いま何か学生のことをおっしゃったのですけれ
ども
、この中には学生や教授の交換を奨励するというふうに書いてあるわけですが、いま学生は何人ぐらいとおっしゃったのですか。
兼松武
110
○兼松説明員 国費留学生でございますが、毎年二名平均採っております。これは必ずワクがあって、どうしても採るというのじゃございませんので、採用試験をしまして一定の学力、一定の点数以上のものについてそのワクの中で処理する、こういうたてまえでございます。必ず二名採るという趣旨ではございません。それから技術研修生の場合も同様でございまして、毎年それぞれ農林
関係
等、専門分野によって人数は違いますけれ
ども
、十年間合わせますと約五十人近くのものをすでにアフガニスタンから
日本側
が奨学金を支給する形で招致しているわけでございます。
戸叶里子
111
○
戸叶
委員
たしかフランスとの
文化協定
を結んでから、もう十何年前になると思うのですけれ
ども
、混合
委員会
というのをつくって、そうしていろいろ
文化協定
の
内容
を具体化するためにお骨を折られていたと思いますけれ
ども
、そういうことがどの程度具体化されたかということをまず伺ってみたい、どの程度に成果が上がっているかということを伺いたい。その中で具体的に伺いますと、学位とか
資格
証書の同等の価値を認め合うとかそういうふうなことが
考え
られると思いますけれ
ども
、その目安はどんなふうになってくるか伺いたい。
兼松武
112
○兼松説明員 フランスとの
文化協定
に基づきまして混合
委員会
がほぼ定期的に開かれておりますが、前回、三年前にパリで開かれました混合
委員会
を通じまして二つの成果が得られました。 その
一つ
は、フランスにおいて従来学位を与える場合に、学士号につきまして、
日本
の研究を専門とするものについて、そういう種類の学士号を与える制度がなかったわけでございます。しかし混合
委員会
における討議の結果、新たにフランスの高等教育
機関
で
日本
の研究を主題とする専門の研究に対しまして学位の制度を認めるということがきまりまして、実施されております。 それから次に、フランスの高等学校におきまして
日本
語の授業を教育課程に入れるということを申し出まして、フランス側がこれを快諾いたしました。
御存じ
のように、フランスは諸
外国
に対してフランス語の普及ということを基本的な
文化
政策としてとっております。わが国からもそのフランスに、
日本
語の普及講座と別に、フランスの学校
自体
でやはり
日本
語の講座を設けてほしいという申し入れをしたわけでございますが、それが
文化協定
に基づく混合
委員会
の協議の結果、六つの高等学校でまずその翌年、六八年からそういろ制度が始められた。今後さらにそういう方向でフランスの高等学校における
日本
語の教育というものが拡充されていくものとわれわれは
考え
ております。
戸叶里子
113
○
戸叶
委員
十七年もたっていることですかう、私
ども
としても相当の
実績
があがっているのじゃないかと思いますけれ
ども
、なかなかわからないものですかういろいろと伺っておきたかったわけです。 そこで、
文化協定
の混合
委員会
の
委員
手当として四十五年度の予算ではどのくらい計上されているかということと、それからその予算の内訳はどういうふうになっているか、それから混合
委員会
の
日本側
の
委員
はどういう
人たち
かということを
参考
までに知らしていただきたいと思います。
兼松武
114
○兼松説明員
委員
手当でございますが、四十五年度予算で、一般会計歳出予算各日明細書の第六ページの一番末欄にございますが、
文化協定
混合
委員会
委員
手当九万八千円というものが計上されております。これは
日本
において開催されます混合
委員会
における
日本側
の、民間側の
委員
に対する手当でございます。混合
委員会
の性質によりまして、民間の
委員
にえらい方をお願いする場合もございます。その場合、
相手国
との協議の結果、えらい方を
委員長
にお願いするという場合も予想しておりまして、その場合には一人一日当たり三千五百円、それから
委員長
以外の
委員
の場合は一人一日三千二百円、こういう積算にしておりまして、延べ二十五日分を計上したものがこの九万八千円の
内容
でございます。 それから混合
委員会
の
委員
がどういう人であるか、
名前
という御趣旨でございましたが、これは毎回混合
委員会
開催の一月前くらいに、双方が今度の混合
委員会
にはどういう方に
委員
になっていただくという通報を
お互い
にするのが例でございます。最初
条約
ができ、混合
委員会
が第一回開催されますときには、あらかじめ当該国の、民間でいえばその方面の一番えらい方、それから
関係
省の主たる
文化
関係
の
責任者
ということでやっておりましたが、その後いろいろ
事情
が変わりまして、そのつど双方とも、都合のつくその方面の権威者を民間からお願いするということでやっておりまして、従来
日本側
では大体外務省から一名、文部省から一名、それから当該国との
文化
関係
の一番中心になる
機関
の会長であるとか
理事
長とか、あるいはその国との
関係
の
文化
方面で一番御造詣の深い学者の方、そういう方に民間側の
委員
は一応お願いしております。
相手国
側につきましても、やはり外務省と
文化
省、または
日本
でやる場合には
東京
にある
大使
館の
大使
、あるいは
大使
を補佐する次席の者なり、それと在京の
向こう
側の民間代表、そういうような形で構成されております。リストは過去の記録がございますが、そのつど変わっておりますので、もし御必要があればお手元に差し上げられると思います。
戸叶里子
115
○
戸叶
委員
時間がないですからもうやめますけれ
ども
、いま
お話
を伺っておりまして、何でもないことですけれ
ども
、
委員長
にはえらい人を頼むので一日三千五百円で、一般の
委員
は三千二百円。えらい人だから三百円だけ高いというのは、ことばをとるわけじゃないのですけれ
ども
、その辺のところが何かちょっとおかしな説明だなと思って聞いたのです。ほかの方はどうかわかりませんけれ
ども
、ちょっとおかしく聞いたものですから、そこら辺手当の問題は、少しえらいから三百円上にするなんということがないように
考え
ておいていただきたいと思います。
文化
事業部長なのにちょっと
文化
的じゃないような気がしたので、たいしたことじゃないですけれ
ども
、その点
考え
ていただきたいということが
一つ
。 それからもう
一つ
、小さいことなんですけれ
ども
、この
文化協定
の一条(d)項で「
文化
的、科学的又は教育的フィルム」とあるわけです。いままでのいろいろな
文化協定
なんか見ておりますと、フィルムじゃなくて映画とあったような気がするのです。そうすると、ここで映画とフィルムと同じかどうかと私
考え
てみたのですが、違うのじゃないかと思うのですが、特にフィルムにしたのには理由があるかどうか、その点を伺っておきたい。 この二点を伺いまして、私の
質問
を終わります。
兼松武
116
○兼松説明員 映画となっておる理由とそれからフィルムとなっておる理由という御
質問
でありますが、映画もフィルムの中に入るというように
了解
いたしております。
戸叶里子
117
○
戸叶
委員
これからフィルムということばを使うわけですね。
兼松武
118
○兼松説明員 これはいずれ国会で御
審議
されると思いますが、教育的、科学的及び
文化
的資材の輸入に関する
協定
、それから関税定率法の品目の分類等でもフィルムということばを
日本
の法令用語として使っておりますので、そのほうが実際に一適しておるというふうに
考え
ております。
田中榮一
119
○
田中
委員長
曽祢益君。
曾禰益
120
○曽祢
委員
フィリピンとの
航空協定
に関連いたしまして、実はもう同僚の
戸叶
委員
が指摘された点、すなわちフィリピンと
日本
との通商航海
条約
の問題について、これは基本的な問題ですから
外務大臣
に伺いたいと思うのです。 実は先ほどの質疑応答の中でも、外務省の山崎参事官のほうから、多数国
条約
ならば、署名は済んでいるけれ
ども
批准が済んでいないという
ケース
は多々あるということを言われましたが、これはまさにそのとおりだろうと思うのです。たとえば先般問題になりました核拡散防止
条約
に
政府
は署名した、しかし調印するとするならばこれこれの非常にきつい条件があるぞ、すなわち署名と批准とが国の観点から見て必ずしも一致しないということはあり得ることなんだ。当時私
ども
は、署名に追い込まれたことについては
政治
的に
政府
の施策の足らざる点を追及いたしましたけれ
ども
、署名即批准ということにならない多数国
条約
は幾らもある。たとえば毒ガスあるいは化学兵器、細菌兵器等の戦時使用の禁止に関するジュネーブ
議定書
のごときは、四十五年も前に署名は済んでいるけれ
ども
、批准はしていない。それからちょうど
航空
機の乗っ取り
事件
で問題になりました
東京
条約
も、七年前に署名しているけれ
ども
批准していない。そういう
ケース
と、
戸叶
委員
が指摘されたような二カ国間の
条約
で、十年も
日本側
だけが署名並びに国会で
承認
いたしまして、批准書の交換がいつでもできる
状態
にあるのに、いかに先方の都合とはいえ、批准されておらないというこのきわめて異常な事態を、多数国
条約
と必ずしも同じレベルで論じたいとは思いませんけれ
ども
、もしそうだとすれば、このセンスはまことにはなはだしい、何といいますか間違った
考え方
かと思いますね。そこで、これは確かに当時の
政府
の見通しの誤りに違いないのですけれ
ども
、ただ一方的に責めるだけでなく、現にそういうことのために今度の
航空協定
においても特別に支店の設置に関連するいろいろなエタブリスマンの問題などに関連して交換公文ぐらいつくっていかなければならない。その他いろいろわが国とフィリピンとの貿易
関係
、つまり
貨物
の輸出入あるいは航海の
関係
、さらには入国、居住、税金その他の問題、いろいろやはり支障があることは当然だと思うんですね。現実にどれだけの支障があるのか。それからこれに関連して、これはいろいろフィリピンの政情とからんでなかなか複雑な
関係
があるようであります。とにかくしかしフィリピンの総意としてどういう点が不満なのか、それはどういうふうにしたら解決できるのか。先ほど例をあげられた最近問題にしているらしい領海の
範囲
を非常に広くとるというようなことは、
原則
として、
日本
として実害があるなしにかかわらず、通商航海
条約
が取り扱う問題じゃないのですけれ
ども
、そういう条件をのまされるのではなくて、
向こう
の主張の中で無理からぬものとどうしても受け入れられないものがあろう、どういう点が問題になっていままでできないのか、今後その点に対してどういう打開の方法があるのか、大きな点でありまするから、
外務大臣
からひとつ御説明願いたいと思います。
愛知揆一
121
○
愛知
国務
大臣
条約
全体の問題といたしましては、仰せのとおり、多数国間の
条約
についての調印と批准の
関係
と、二国間
条約
の調印と批准の
関係
というものは多少相違して
考え
ていいのではないか。また場合によりましてはそうしなければならない場合も、ただいまお述べになりました核防
条約
その他の場合については必要な
考え方
だと思います。したがって、二国間
条約
について
日本
が調印し、すでに批准を了している、その後長い期間たな上げにされているということについては、まことに遺憾なことであると思います。本件については、フィリピンとの通商航海
条約
の先方における取り
扱い
については、御
承知
のとおり歴代内閣とも批准の促進方について非常にフィリピンの側の
理解
と協力を求めてまいったわけでありますが、思うにまかせなかった。その原因はどこにあるかということでございますが、これはいまもお触れになりましたが、主としてフィリピンのいろいろの政情の変化というようなことがこれにかなり大きく関連しているのではないだろうか。通商航海
条約
それ
自体
の中でどういう点について受け入れられないのかという点については、率直なお答えですけれ
ども
、どうもなかなか
理解
できないのでございます。しかし幸いにして、マルコス大統領がフィリピンとしては史上初めてのできごととして再選されて、政情も安定してまいったと申しましょうか、マルコス大統領の第二次政権下におきましても、本件はやはり先方としても早く
措置
をしなければならないという取り上げ方の
姿勢
に積極的になってきているようでございまして、現在
政府
の期待しておりますところは、きれいな形でフィリピンの国会が
承認
を与えてくれるようにということでありまして、なお先方の状況を十分見ながらその結果の成果がすみやかにあがるようにということを待ち望んでいるわけでございます。最近における
情報
としては、これもかなり公になっておりますけれ
ども
、領海の幅員の問題というようなことが取り上げられ、かつ、これが付帯的な問題としてフィリピンの国会においてかなり取り上げられておるようでありますが、この点は通商航海
条約
の批准と関連がないことはないかもしれませんけれ
ども
、この点は別の問題として取り上げてしかるべきではないのか、私
ども
はかように
考え
ておるわけでございますが、成り行きを見ながらさらにフィリピン側の積極的の協力を求めて、すみやかにこの
条約
の効力が発生できるようにいたしたい、この上とも大いに
努力
を展開いたしたいと思っております。
曾禰益
122
○曽祢
委員
じゃそのように善処してください。
田中榮一
123
○
田中
委員長
これにて三件に対する質疑は終了いたしました。
—————————————
田中榮一
124
○
田中
委員長
これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
日本国
と
アフガニスタン王国
との間の
文化協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
日本国政府
と
フィリピン共和国政府
との間の航
空業務協定
の
締結
について
承認
を求めるの件について採決いたします。 右両件は
承認
すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田中榮一
125
○
田中
委員長
御異議なしと認めます。よって、両件はいずれも
承認
すべきものと決しました。 次に、
アジア統計研修所
の設立及び
運営
のための援助に関する
日本国政府
と
国際連合開発計画
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件について採決いたします。 本件は
承認
すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
田中榮一
126
○
田中
委員長
起立多数。よって、本件は
承認
すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました三件に対する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田中榮一
127
○
田中
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決します。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
田中榮一
128
○
田中
委員長
暫時休憩いたします。 午後一時七分休憩
——
——
◇—
——
——
〔休憩後は
会議
を開くに至らなかった〕
——
——
◇—
——
——