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1970-03-06 第63回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月六日(金曜日)     午後一時十分開議  出席委員    委員長 田中 榮一君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 永田 亮一君 理事 山田 久就君    理事 戸叶 里子君 理事 大久保直彦君    理事 曽祢  益君       石井  一君    小坂徳三郎君       中山 正暉君    村田敬次郎君       豊  永光君    堂森 芳夫君       松本 七郎君    中川 嘉美君       不破 哲三君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省経済局長 鶴見 清彦君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         外務省条約局長 井川 克一君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   遠藤 又男君         通商産業大臣官         房審議官    室谷 文司君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   加藤 清二君     川崎 寛治君 同月二十八日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     加藤 清二君 三月二日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     小坂善太郎君 同日  辞任         補欠選任   小坂善太郎君     小坂徳三郎君 同月五日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     岡崎 英城君 同日  辞任         補欠選任   岡崎 英城君     山口 敏夫君 同月六日  辞任         補欠選任   加藤 清二君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     加藤 清二君   正木 良明君     多田 時子君 同日  理事正木良明君三月六日委員辞任につき、その  補欠として大久保直彦君が理事に当選した。     ————————————— 二月二十日  旅券法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四号) 同月二十一日  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国オーストラリア連  邦との間の協定締結について承認を求めるの  件(条約第一号)(予)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国イタリア共和国との間の条約の締  結について承認を求めるの件(条約第二号)  (予)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国とグレート・ブリテ  ン及び北部アイルランド連合王国との間の条約  の締結について承認を求めるの件(条約第三  号)(予)  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国とインドとの間の協定を修正補足す  る議定書締結について承認を求めるの件(条  約第四号)(予) 三月五日  日本国アフガニスタン王国との間の文化協定  の締結について承認を求めるの件(条約第六  号)  日本国政府フィリピン共和国政府との間の航  空業務協定締結について承認を求めるの件  (条約第七号)  アジア統計研修所設立及び運営のための援助  に関する日本国政府国際連合開発計画との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第八号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府マレイシア政  府との間の協定締結について承認を求めるの  件(条約第五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  旅券法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四号)  日本国アフガニスタン王国との間の文化協定  の締結について承認を求めるの件(条約第六  号)  日本国政府フィリピン共和国政府との間の航  空業務協定締結について承認を求めるの件  (条約第七号)  アジア統計研修所設立及び運営のための援助  に関する日本国政府国際連合開発計画との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第八号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 田中榮一

    田中委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。  理事正木君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。  その補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中榮一

    田中委員長 御異議なしと認め、委員長理事大久保直彦君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 田中榮一

    田中委員長 この際、愛知外務大臣及び竹内政務次官より、それぞれ発言の申し出がありますので、これを許します。外務大臣愛知揆一君
  5. 愛知揆一

    愛知国務大臣 一言ごあいさつ申し上げます。  先般の第三次佐藤内閣組閣にあたりまして、不肖私、外務大臣に再任することになりました。まことに微力でございますけれども、従来に倍する御支援、御協力を賜わりたく、心からお願い申し上げる次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手
  6. 田中榮一

  7. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 政務次官に就任しました竹内でございます。もとより浅学非才でございますが、私なりに最善を尽くす覚悟でございますので、練達たんのうな諸先生方の御教導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  8. 田中榮一

    田中委員長 次に、去る二月二十日付託されました内閣提出旅券法の一部を改正する法律案及び昨五日付託されました日本国アフガニスタン王国との間の文化協定締結について承認を求めるの件、日本国政府フィリピン共和国政府との間の航空業務協定締結について承認を求めるの件、アジア統計研修所設立及び運営のための援助に関する日本国政府国際連合開発計画との間の協定締結について承認を求めるの件、以上四案件一括議題といたします。     —————————————
  9. 田中榮一

    田中委員長 政府から提案理由説明を聴取いたします。愛知外務大臣
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず旅券法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  最近の国際間の人的交流は、航空機輸送の進歩と相まって、急激な増加を示し、邦人の海外渡航昭和三十九年四月の観光渡航自由化以後は毎年約三〇%の増加を示し、昨昭和四十四年におきましては四十八万余の多きに達し、今後もこの増勢は当分続くものと思われます。  現行旅券法は、戦前の旅券制度を参考にして定められておりますので、現在の渡航の実情に合致しなくなってきております。このため、旅券制度に関する国際的諸勧告及び諸外国の旅券制度を参照して、国際的な渡航自由化の時代に適合するようわが国旅券制度改正し、国民の便宜をはかるとともに増大の一途をたどる旅券事務合理化旅券制度の適正な運用をはかろうとするものであります。  改正法案の主要な点をあげますと、第一は、一般旅券効力の拡大と渡航先包括記載をはかったことであります。現行制度では、日本を出国してから帰国するまで有効ないわば一渡航ごと旅券原則であり、渡航のつど旅券発給申請を行なうことは不便でありますので、わが国承認関係にある国へ数次渡航する必要がある者に対しては五年間はいつでも使用できる数次往復用旅券発給し、あわせて旅券渡航先は全世界地域等包括的な記載方法も用いることとしております。なお、原則としてわが国承認関係にない地域渡航する者等に対しては、従来どおり一渡航ごとに有効な旅券発給することとしております。  第二は、事務地方分散手数料の改訂をはかる点であります。現行では都道府県知事申請の受理及び旅券の交付のみを行なうこととしておりますが、改正後においては、たとえば旅券作成事務の一部を知事に委任できるように改め、また、手数料については、昭和二十六以来据え置きとなっておりますので、五年数次往復用旅券発給は六千円、一次往復用旅券発給は三千円に改正するものであります。  第三は、その他の事務合理化及び五年数次往復用旅券制度を実施するために必要な実務上の調整をはかった点であります。  主要な点を申しますと、申請時の本人出頭緩和旅券の二重受給の禁止、旅券訂正方式改正旅券の合冊、査証欄の増補の制度の採用、滞在届け出制度化帰国専用渡航書の新設、刑事事件関係者等に対する発給制限改定及び返納事由改定であります。  次に、罰則については、今回旅券効力を拡大した関係上、従来の虚偽申請に対する罰則等による旅券法秩序維持がむずかしくなりますので、一般旅券渡航先以外の地域渡航した者に対しては三万円以下の罰金を科することといたしました。  最後に、附則でありますが、施行期日経過措置及び関係法令改正について規定しております。  以上が旅券法の一部を改正する法律案提案する理由及びその内容であります。  次に、日本国アフガニスタン王国との間の文化協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  昭和四十三年以来アフガニスタン側より文化協定締結したい旨の申し入れがありましたが、わがほうといたしましては、この協定両国間の親善関係の増進に寄与すること等を考慮してこの申し入れに応ずることとし、昭和四十四年一月以来交渉を行ないました結果、同年四月九日に東京において正式署名を行なった次第であります。  この協定内容は、戦後わが国締結したアラブ連合、パキスタン、ユーゴスラビア等との間の文化協定内容と類似しており、諸分野における両国間の文化交流を奨励することを規定しております。  この協定締結は、両国間の文化交流発展に資するところ大であると期待されます。  次に、日本国政府フィリピン共和国政府との間の航空業務協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国フィリピン共和国との間の航空業務は、それぞれの政府行政許可による相互乗り入れという形で行なわれておりますが、両国間の航空業務を安定した法的基礎の上に置くとともに、これをさらに発展させるため、昭和四十三年十二月以降フィリピン共和国政府航空協定締結のための交渉を行ないましたところ、合意が成立しましたので、昭和四十五年一月二十日に東京でこの協定署名を行なった次第であります。  この協定は、わが国フィリピン共和国との間の定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手数及び条件を規定するとともに、両国航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した多くの航空協定と形式においても内容においてもほぼ同様のものであります。  この協定締結により、両国航空企業は、安定した法的基礎の上において相互乗り入れを行なうことができることになるのみならず、わが国フィリピン共和国との間の友好関係も一そう促進されることが期待されます。  最後に、アジア統計研修所設立及び運営のための援助に関する日本国政府国際連合開発計画との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  近年アジア発展途上国におきまして、その経済開発を促進するために不可欠な統計専門家の必要がとみに高まっておりまして、国際連合アジア極東経済委員会エカフェ)も、従来しばしば、統計分野アジア諸国政府職員を養成、訓練する施設の設立を呼びかけてまいりました、  アジア統計研修所は、アジア発展途上国のかかる切実な願望を背景に、一九六七年のエカフェ総会でその設立が決議されたものでありまして、その具体的な設立及び運営を共同して援助するため、わが国国連援助機関である国連開発計画との間で協定が作成された次第であります。  わが国が同研修所東京に招致し、その設立及び運営協力援助いたしますことは、発展途上国援助及び国連協力の観点よりきわめて意義あるものと考えられます。  以上、四案件について御承認を求める次第でございます。何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  11. 田中榮一

    田中委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各案件に対する質疑は後日行なうことにします。      ————◇—————
  12. 田中榮一

    田中委員長 国際情勢に関する件について調査に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。永田亮一君。
  13. 永田亮一

    永田委員 私は、外務大臣に対して、まず中国問題から御所信を承りたいと思うわけでありますが、一九七〇年代に入って日本外交方針あるいは姿勢というものについて、これはもう総理大臣あるいは外務大臣から本会議予算委員会でお述べになったところでありますれけども、特に外務委員会においてある程度詳しく御所信を承りたいと思うわけであります。  私は戦後の日本外交というものを見てみまして、大体において、結果からいって大成功とはいえないかもしらぬけれども、悪くなかったと評価しておるのです。それは何といっても日米安保体制というものを中心にして、これを軸にして日本外交が進められ、そのために日本防衛費なども非常に少なくて済んだし、日本の自衛というものをアメリカの核のかさにゆだねてしまって、もっぱら日本経済発展という方向に向かってきた。これが結果からいうと国民の勤勉、努力ということと相まって、GNPが世界第三番目になったということを見ても成功であったと思っておるわけであります。しかしこれからあと、七〇年代からあと外交というものがいままでのままでいいかどうかという問題がある。外交というものは申すまでもなく日本の平和と安全ということを第一義に考えなければならぬわけでありますが、この日本の平和と安全ということを考える場合に、お隣に中華人民共和国というものが厳然として存在するという事実であります。この中国核開発をどんどん進めておる。あるいは七〇年代のいつかはアメリカ、ソ連に次いで核の大国になるのじゃないかといわれておるわけであります。こういう中国が隣にあるというときに、いままでの外交方針のように中国というものをあくまで冷視するといいますか、警戒視するというか、そういう形のままでいっていいものかどうか。アメリカなんかも中国というものの最近の力を認めたといいますか、米中の会談に乗り出してきた。そういうことを考えてみますると、ほんとうわが国の国益というものを考え日本の運命というものを考えるときに、中国との間に平和共存というような体制を真剣にまた具体的に考えなければならぬ時期になってきたのではないかという気がするわけであります。その問題について、まずわが国の七〇年代の外交の基本的な姿勢ということについて大臣の御所信を承りたいと思うわけであります。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 一番基本的な姿勢ということがお尋ねの主眼であると思いますので、いささか抽象論になるかと思いますけれども、日本外交の一番の目標というものは、私はよく平和への戦いということばを使いますけれども、一口にいえばそういうことではないかと思います。  それには二つの命題といいますか、目標があるのではないか。一つ国際緊張緩和ということであり、それからもう一つは、ただいまもお話がございましたが、いろいろの意味で日本の力が充実してきた、それに伴っての国際的な責任の自覚ということではなかろうかと考えるわけでございます。そういうことを基本にいたしまして、先般本会議場でも申しましたけれども、四本の柱が立てられるのではなかろうか。一つは、体制を異にする、いわゆるイデオロギーを異にするような国をも含めて、各国との友好関係を切り開いていかなければならないということが一つの柱ではなかろうか。それから一つの柱は、やはり南北問題の解決に対して積極的な努力をすることではなかろうかと思います。もう一つの柱は、従来からもいわれておったことでありますが、国連外交といいますか、特にこの面におきましては軍縮を中心にした日本らしい努力の推進、これが一つの柱ではないだろうか。もう一つの柱はいろいろの点で、これは経済の面も文化の面も、あるいは技術の面も、あるいは当今いわれておる世界的な新しい社会問題の解決というようないろいろの分野があると思いますけれども、日本のいろいろの面で持っているものを国際協力の場に押し出して、国際的に大いに協力を惜しまない。これはよく経済協力の面だけが取り上げられがちでありますけれども、ほかの面におきましても国際協力の積極的な努力という面がこれから大いにあるのではないだろうか。大体以上の四つの柱を中心にして考えてまいりたい。そこから二国間あるいは数カ国間、いろいろ具体的な問題を解くかぎをそういう基本的な心がまえの中で求めていくべきではないだろうか。基本的には以上のように考えておるわけでございます。
  15. 永田亮一

    永田委員 時間があまりありませんので、私は中国問題について御質問いたしたいと思います。  中国日本との関係友好に持っていくという考えには大臣も御賛成だと思いますが、そのときに一番現実に具体的に障害になっているのは吉田書簡ではないかと思うのであります。この吉田書簡の扱いをどうするかということが、たいへんな重大かつむずかしい問題だと思うのでありますが、三十九年でありましたか、倉敷レーヨンビニロンプラントを認めたあとで問題になって、吉田書簡が出て、あのときニチボーのプラント輸銀を使わないということでケリがついたと思うのでありますが、佐藤総理吉田書簡というものは私信であるから政府を拘束するものではないということを御答弁になっておる。そして、中国向けプラント輸出輸銀を使用する問題についてはケースバイケースで検討する、そういうふうに御答弁になっておるわけであります。ところが、ケースバイケースで、というといろいろなケースがあるというふうに解釈されるわけでありますけれども、現実にはいままで倉敷レーヨンプラント以後において認めるということがほとんどなかった。造船か何か一つあったかと思いますけれども、まずなかった。そうすると、ケースバイケースというのは断わるための言いわけじゃないかという疑問が国民の間にあるわけでありまして、どういうケースの場合には認めるのか、どういうケースの場合には認めないのか、そういう基本的なことがあればお答えをいただきたいと思うのでありますが、もしも認めるというような場合があるんだったら、これはもう政府が腹を固めて国民政府に説得をしなければいかぬという事態が起きてくると思うのでありますけれども、そういう御用意があるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 吉田書簡につきましては、従来もたびたび国会でも論議のあったところでございますが、政府の現在の立場も変わっておりませんことは御承知のとおりでございます。ということは、これは吉田さんの私的の書簡であって、政府の公のものではもちろんございませんし、したがって、政府としてこれを廃棄するとか存続するとか言うべき性格のものではない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから輸銀の問題でございますが、これはケースバイケースということを従来から言っておるわけでありますけれども、これもやはりそれに変わりはございませんわけで、具体的な事例が起こりましたような際に、いろいろの点から勘考して、ケースによって処理をきめる。ほんとうケースバイケースという以外にはお答えのしようがないというのが現在の政府立場でございます。
  17. 永田亮一

    永田委員 いつまでもしかたがありませんから、次に国連加盟の問題でちょっとお尋ねしたいと思います。  中国という国が建国以来二十年たって、七億五千万人の人民を支配している、これは事実である、この間予算委員会小坂善太郎議員がそういう質問をされて、総理もたしかそれを確認されたということであります。これは小坂議員がたしか五つほど項目を出されまして、その第一番に、北京というところには有効な支配を行なっている政府があるということは事実であるということを総理も認めるかという質問をされたら、総理も、認めますということだったようであります。しかしただ口先だけで認めると言っただけではなかなか前進をしないわけだと思うのです。私さっきも申しましたように、日本の安全と平和ということを考えますときに、中国のような核の大国になった国あるいはなろうとしておる国を、いつまでも国連の外に置いておいて国際の平和というものがはたして得られるかどうか、私は、共通の土俵に上げて、とにかく平和というものへの話し合いを実現すべきじゃないかというふうに考えておるものでありますが、わが国では三十六年の十六回の総会以来、中国問題については重要事項指定方式でずっと一貫しておる。ことしの総会でも、あるいは共同提案国になられるおつもりなのか、あるいはこの前みたいに自分から進んで、率先して趣旨説明をやられるのか、あるいはそうじゃなくて、もうことしからおりてしまうのか、あるいは棄権をするのか、そういう点について、いま御答弁ができればひとつお考えを承りたいと思うのであります。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先般予算委員会小坂議員から御質問があり、それに対して総理答弁がありましたことはよく私も承知いたしております。  そこでしいて明確にされた点といえば、五つ提案に対して第一の、中国大陸北京政権があることを認めると言うと、承認というふうなことに解せられるかもしれないので、そこのところは、事実であるというところでとめておいていただきたいということを総理が申しましたが、それ以外の四点については、いま申しましたことも含めて政府としても全然異存のないところでございます。  それから核に関係して北京といいますか、中共と申しますか、こういう状態がだんだん発展していってそれでいいかという角度から見ました場合は、この間核兵器拡散防止条約の際に、日本政府として内外に態度を表明いたしました。そのときにも明らかにしておりますように、北京政府核兵器拡散防止条約に参加することを期待するということをはっきりしておりますところにも政府考え方は明らかであると思います。やはりこうした国際的な環境の中に積極的に入ってくることを期待するというのが、ひとり日本だけの立場ではないのではなかろうかと思います。  それからそれならば国連に対してはどうかということでございますが、ここになってまいりますと、一番率直にいってやっかいな投票権問題が、二つ中国ということにも問題が発展するわけでございますが、とにかく国際的にこれだけの大きな問題でございますから、やはり国連総会で取り扱う場合には、単純多数決ではやるべき問題ではなかろうというのが御案内のように多数の国々の意向でもございますし、また日本政府といたしましても、これは重要事項として扱うべきである、このことは今日もさよう考えておりますが、ただ今年の第二十五回の国連総会でこの問題が上程された場合、おそらくまた当然問題になることはあろうと思いますけれども、そのときに共同提案国になるかとか、あるいは共同提案国になって率先して趣旨弁明を買って出るかどうかというようなことについては、今後いろいろの状況を勘考いたしまして、慎重に態度をきめるべきものだと私は思います。いまこの席で、提案国に昨年同様なりますという言明はいたしません。
  19. 永田亮一

    永田委員 私は、政治とか外交とかいうものは事実を全く無視することはできないと思うのです。国民政府が一千三百万の台湾の住民を有効に支配しているということは事実である。しかし、同時にまた北京政府中国大陸の七億五千万か八億かの人民を有効に支配しているということも事実だと思うのであります。そうしますと、この二つ中国という問題が——二つ中国ということばはタブーであって、これをうっかり言うと両方からおこられる。これはそう思うのでありますが、しかし、中国国民政府も、中国一つである、それは内政問題だという立場をとっておりますから、中国一つだといえば国民政府中国も自分のことをいっているんだと思ってきげんがいいわけであります。しかし、それは自分から慰めておるというだけのことであって、問題の解決の前進にはならないんじゃないか。私は、思い切って二つ中国ということを、そういう問題を提起してみたらどうかという気がするのです。そういう二つ中国というものをたたき台にして議論しているうちに、何か解決の道が生まれてくるのじゃないかという、これは私自身がそういう気がするわけでありますが、ほっておいたんじゃいつまでたっても同じことで、なかなか前進はしない。たとえば国民政府のほうを常任理事国に認めておいたまま中国を普通のメンバーに入れるというようなことをいえば、もちろん中国はおこっちまってそんなところには入らないというに違いないと思うのでありまするけれども、あるいはその逆の場合でも、中国が常任理事国になって台湾のほうは普通の国として入れといっても、それは国民政府はおこっちまって入らない、国内問題であるといっておこるに違いないのでありますが、そういうような話し合いをやっているうちに何か解決の道ができるのじゃないかと思うのです。小坂さんが、そういうふうにして一ぺんに入れない場合にはFAOとWHOとかユネスコとか、そういうところにまず中国を入れて、それから徐々に解決の糸口を見つけていったらどうかという話をされておったようでありますが、何かいままでどおりでなしに、七〇年代の日本外交方針として前進をしていく方途をお考えになっているかどうかということをお聞きしたいと思います。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたように、いわゆる核拡散防止条約署名を決意いたしましたときに、北京政府の態度に対する呼びかけをしたということも、先ほど私が申しましたような気持ちからであります。  それから二つ中国論というものは、まあこれはざっくばらんに申しまして、やはり国際的にタブーでございますので、政府としてこれにコメントできませんけれども、ただこれはちょうど先般の小坂提案にもございますように、北京政府と台湾政府とが相互に武力を行使しないことを希望する。やはりこれは両方とも内政問題であるといい、一つ中国ということを主張してやまないわけでございますから、それならそれでひとつ両者の間で平和的に何とか解決のめどがつかぬものだろうかということを、現状としては期待をいたしておる。それから同時に、先ほどもお話があったように、北京政府中国本土を支配していることは事実なのでありまするから、その事実に即して、政府といたしましては前々から申し上げておりましたが、たとえば抑留邦人の問題についてはだいぶ時間がかかりましたけれども解決したといいますか、釈放してくれた者もあって、その点は喜んでおるわけですが、なお残っておる人もございますし、それらを含めてではありますが、同時に、第三国において日中両方が大使館を持っているところも相当ございますし、それから北京政府の側も文化大革命の終息に伴って、いわば外交機能の回復ということにだんだん努力あとが見えてきておるようにも思いますので、こういう機会でございますから、日本としては、いつどこででもけっこうですが、そういう場所において、いわば大使級会談なりあるいは政府機関同士、外交機関同士の接触、話し合いができれば喜ぶべきことであるということで努力をいたしておるわけでございます。こういうことができればまず——いままでずいぶん長きにわたって率直に言って双方に誤解もありましょうし、また直接触れないでいていろいろと意見を言ってみるよりも直接触れ合って、政府機関同士が、たとえばわが方からいえば敵視政策などというものはとっているつもりはない、あるいは共同声明に盛られている日本としての考え方はこうなんだといろいろと説明をしたい機会もあるわけでございます。そういうことも直接の話し合いの場ができれば、それをだんだん積み上げていくことによって事実的にいろいろと実りも期待できるのではなかろうか。こういう考え方で努力しているのでありますけれども、先般予算委員会で申し上げましたように、現在のところこれといって御報告のできるような事実とか事態はまだできておりません。私どもとしては、誠意を尽くしてそういう接触をできるようにいたしておる。これが現状でございます。
  21. 永田亮一

    永田委員 日中関係の打開について、政府、外務省が非常に涙ぐましい努力をしておる、できるだけのことはやっておるということは私も了解をするわけでありまして、特に日中渡航手続の簡素化など、きょうの新聞にも出ておりましたし、また広州交易会への渡航申請なども前向きに努力するということが発表されておって、まことにけっこうだと思うのでありますが、この広州交易会への渡航申請の問題について、新聞にも出ておりますけれども、一つ心配なのは北鮮との関係であります。在日華僑の一時帰国を認める場合、再入国を認める場合に、それでは在日朝鮮人の北朝鮮への一時帰国を認めねばならない事態になりはせぬか。たとえば広州で交易会がある、これは認めた。それでは平壌で交易会をやるときにはどうか。そういう問題が起きてくると思うのでありますが、そういうことについて外務省の立場を御説明いただきたいと思います。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 広州交易会の問題につきましては、戦前から日本に定住して平穏無事に商売をやっておるというような人たちが、ほかの日本国内での懸念されるようなことなくして、純粋に経済的な目的ということで往来するというような場合に、これは従来は人道的な問題以外には認めていないのが原則でございましたけれども、そういうことではなしに、いま申しましたようなことであるならば、これを頭から否定的に考えるのはやめて、前向きにひとつ検討しようではないかというのが私たちの気持ちでございまして、個別的に関係当局が審査をして、そしてしかるべきものは許可をするということに、関係各省庁間の打ち合わせがたぶんそういう結論になるだろうと思っております。これはやはり一つの転換であろうかと私は考えております。  同時に、しからば北鮮についてどうかというお尋ねでございますけれども、これは何ぶんにも朝鮮半島におきまして、あらためて御説明するまでもないような状況が具体的に、客観的に存在しております。そして日本は、その地域と接触しておるところで、国連決議に基づいた状況下において大韓民国と正常な国交を結んでおる。そして北朝鮮側との間に緊張が続いておる。やはりこの事実を事実として認めざるを得ないわけでございますから、多少考え方や姿勢について違う点があってもやむを得ないのではなかろうかと思います。  中国の問題にしても、やはり先ほど来お話がございますように、われわれとしては、中華民国政府との間に長きにわたって友好親善関係を持っておりますし、そして政府のものの考え方というようなことも、われわれとしてはやはり十分考慮のうちに置かなければなりません。そして、そういうことを考慮に置きながら、中国に対する政策も実施していかなければなりませんが、北朝鮮との場合は、いま申しましたように、現に陸上において境を接し、かつ国連決議によって休戦協定のもとに置かれておるが、なお緊張状態が続いておる、この事実は事実として認めていかなければならぬのではなかろうか、こういう点において若干の、姿勢が変わりがあってもやむ得ないのではなかろうか、非常に率直な意見でございますけれども、さように考える次第であります。
  23. 永田亮一

    永田委員 私の持ち時間がもうなくなったので、これ一問だけで終わります。  自由化の問題でありますが、きのうの夕刊を見ておりましたら、アメリカの貿易緊急委員会のケンドール委員長が万博を機に日本に来る。それで、十七日だったかに佐藤総理に会見をして、日本の貿易と資本の自由化のテンポが非常にのろいので、こののろいことに対して不満の意思表示をする、もしも日本がいつまでもぐずぐずして煮え切らないという態度をとるのであれば、アメリカの国会に出されておる輸入制限法案を——たくさん出ておるらしいのですが、それを成立させて、日本経済に打撃を与えるぞというような最後通牒みたいなものを出すぞという表明をされたそうでありますが、これは繊維問題とも関係すると思うのでありますけれども、こういうことについての外務大臣所信を伺いたいと思います。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これも率直に申しますと、自由化という問題については、私はもう少し日本側としても積極的に考えてしかるべきではないだろうか、こういうふうにかねがね考えておるわけでございます。政府としても、すでに昨年末以来閣議決定をいたしまして、七一年末までには半分は自由化をする、それからそれ以外の約六十品目につきましてもできるだけ大幅に、かつ時間的にも繰り上げて自由化をするということを決定しておりますのは、そういう考え方からでございます。  なお、アメリカとして自由化をもっと促進してくれというのは、私は率直に言って無理からぬ希望ではないかと思います。これは繊維問題について制限立法をするというのとは、同じアメリカの主張でありますけれども、自由化の主張のほうが、私は筋が立っているのではないかと思います。こういうふうな考え方でございますから、ケンドール氏が、外電に伝わっているところがどこまでが——こちらに来て総理やわれわれに話をするかまだわかりませんけれども、よく彼らの意見も聞いて十分の意思の疎通をはかってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからなお、いままで申し上げたいと思っておりましたことで、一点お許しをいただきたいと思うのですけれども、私の率直な気持ちからいえば、いまの日米経済関係は、数年前あるいは二、三年前と申してもいいかと思いますが、すっかり環境が変わってまいりまして、貿易の数字一つをとってみましても、膨大な日本の輸出超過になっております。こういうことは、双方ともに数年前には夢想もしなかったものではないかと思いますので、それだけにアメリカ側が受けている衝撃は大きいのではないか、またそれだけに日本にプレッシャーをかけるというよりは、アメリカ側として日本に対する——ことばは問題になるかもしれませんが、お願いというような気持ちも相当あるのではなかろうか。そのところがともすると、こちらの受け方の発想の上にも、こちらもよほど向こうの立場を理解してかからなければならない要素があるのではないか、こういうことをかねがね考えておったわけでございます。一言つけ加えて申し上げます。
  25. 田中榮一

    田中委員長 戸叶里子君。
  26. 戸叶里子

    戸叶委員 委員長、私いま質問に先んじて、議事進行で一つ外務省に聞いておきたいことがあるのですが、新聞で、日本の国がもうすでに批准をした国際砂糖協定、これが昨年の一月一日から発効しているけれども、その協定の中にミスが発見されて、そして国連の総長からそのミスについて連絡があったということを聞いております。それに対して、外務省としては国会でどういうふうな形の訂正をなさるのか。これをまず伺っておきたいと思います。
  27. 井川克一

    ○井川政府委員 戸叶先生御存じのとおりに、この条約国連から送付されました認証謄本に基づきまして国会の御承認を受けたわけでございます。その認証謄本自身に間違いがありまして、私どもとしてはその間違いの通知を受けまして、官報におきまして間違いであったという告示をいたしたわけでございます。また本文は、御存じのとおり、輸出国側に関連する事項でございまして、一番大きな砂糖の輸入国でありますわが国とは全く関係のない事項でもございますし、まことにいいことではございませんけれども、特に最近国連において採択されました多数国条約に、認証謄本ができましたあとで間違いがあるという例がしばしばではございませんけれども、あるわけでございまして、そういうのは国連におきまして、各国に対してこれをエラーとして取り扱って、それを直していただこうという問い合わせをいたしまして、その各国の返答によりましてエラーの取り扱いをいたしているわけでございまして、私どもといたしましては、官報による告示におきましてこのエラーを訂正した。国連の指示に基づきましてエラーを訂正したと考えておるわけでございます。
  28. 戸叶里子

    戸叶委員 これまでもいろいろな条約で、日本に直接関係のある場合には、この委員会に訂正を求めてきたわけでございますけれども、今度のいきさつというものはそういういきさつであるということは私もよく知っているわけです。しかし、今後におきましても、またエラーがないということはいえないわけでございますし、それから私どもが審議した条約でございますから、やはり官報だけでなしに、この委員会なり何なりに、こういうことであったということを今後は訂正を出しておいていただきたい。これを御要望をいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
  29. 井川克一

    ○井川政府委員 まことに仰せのとおりだと思います。今後そのとおりにいたします。
  30. 戸叶里子

    戸叶委員 昨年日米共同声明が発表されましてから、ずっと外務委員会は開かれませんでした。そこで、日米共同声明につきまして、予算委員会等でも質疑がかわされたようでございますが、そしていろいろ政府答弁をされておりますが、私どうしてもまだ納得がいかないといいますか、わからない点が二、三ございますので、その点を外務大臣にもう少し詳しく話していただきたい、これを要望する次第でございます。  第一点は、一九七二年に日本に沖繩が返ってくるけれども、そのときにベトナム戦争が続いていれば、「そのときの情勢に照らして十分協議することに意見の一致をみた。」こういうふうに書いてあるわけでございまして、当時ジョンソン米国務次官の背景説明要旨というものを見ますと、この協議というのは、返還に先立って行なうのだ、返還に先立って行なわれる協議のことであって、安保条約にいうところの協議でない点に留意しておきたいと思う、ということが言われているわけでございます。この点については、外務大臣説明を読んでみましても、これは安保条約にいう事前協議ではないのだ、こういうことを言われているわけでございますので、そこで率直にお尋ねして、この返還に先立って行なわれる協議というのは、日米間でどういうことを念頭に置いて、こういうことばをお入れになったかということを疑問に思うわけでございまして、どういうことを考えてこのことばを挿入されたかをまず伺いたいと思います。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともなお尋ねでございまして、この点は、その当時公表いたしました私の説明の中にもある程度詳しく書いておいたつもりでございますけれども、さらに御説明いたしますと、こういうことでございます。一九七二年沖繩返還、七二年中の返還、それから本土並み、核抜きというのがその共同声明の中の第六項ないし第八項に書いてございますね。沖繩返還については、これが決定、合意事項でございます。そしていまのベトナム云々のくだりは、その前の一般的な国際情勢の話の中に取り上げられておるわけでございます。そしてアメリカといたしましては、日本総理大臣ともども、一九七二年までに現在のような状況が続いていないことを強く期待しているわけでございますね。しかし、アメリカから言わせれば、アメリカの心配から言えば、現にこういう状態になっているので、一定の時期を限って、いつまでに終結しているのだということを言い切ることは、アメリカの現状からいえば、もしその時期までに片づいていないという可能性を全面的に排除してしまった断定的な表現をすることは、自分たちの現在の状況を、参戦国でもない日本との間の文書の上に出すことは、ということが配慮にあらわれているわけです。したがいまして、まずその時期までベトナムの戦争の状況が続くということは考えたくないという願望、それから特に日本としてはそんなことは考えたくない、この気持ちで対処しているわけでございます。そういう点からいいまして、七二年中に返る、本土並みで返るのだ、核抜きであるのだということは、返還の問題として決定しているわけですから、そのワクの中というか、そちらに抵触しないような問題について、その時期以前に必要があれば協議をいたしましょう、そういう必要は考えたくないけれども、万一そういう状況があったら、そのときに御相談があれば御相談を受けましょう、こういうことが書かれてあるわけでございますから、どういう具体的な問題について協議しましょうかということは、予想したくない状況下における協議でございますから、その協議の内容ということについては、それ以上何ら考えていないというのが率直なその文書についての解説でございます。
  32. 戸叶里子

    戸叶委員 日米両方ともベトナム戦争が続いているということは考えたくない。これは当然だと思います。しかしこれをわざわざ挿入したからには、やはりそういうこともあり得るということを想定してお入れになったのだろうと思うのですけれども、それでなければこんな文章は書く必要はないと思う。  そこでいま南ベトナムに対してB52も飛んでいますし、自由発進も沖繩から行なわれているわけです。それがもしも、いま政府のおっしゃるように、七二年返還、核抜き、本土並みということになると、非常にアメリカを縛った形になる、そういうふうなことになりますので、やはりそういうことを考えて、協議をしようじゃないかということになったのではないか。それがどうしてそう言えるかと申しますと、共同声明の中に「南ヴィエトナム人民が外部からの干渉を受けずにその政治的将来を決定する機会を確保するための米国の努力に影響を及ぼすことなく」というふうに書いて、結局この南ベトナム政府が、もしベトナムの戦争が続いていた場合には、あぶなくないような形をとりながら、しかもアメリカ努力に影響を与えないような形にしながら沖繩を返すという、こういうことを言っているわけです。だとすると、やはりこの協議というものは、いままで沖繩が使っていたというそういう基地のあり方、そういうものが協議の上である程度残るのではないか、こういうふうに考えられる。核抜き本土並みというのは、七二年に返されるときまでベトナム戦争が続いている場合は基地の内容を多少変更するような協議というものがそこで行なわれるのではないか、こういうことが考えられますが、この点はいかがでございましょう。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 なぜそういう文章が出てきたかということは、先ほど申しましたように、可能性を絶対的に排除してしまうということもできないというようなことから出てきている考え方でございますから、まず第一にそういう状態が起こらない、つまりベトナム戦争は済んでいるということで考えていきたいわけです。しかし万々一、可能性の問題としてそういう事態が続いたならば、その状態に応じて御相談をいたしましょうということですが、しかし大事なことは、沖繩返還については本土並みなんですから、返還の時点から以降においては、安保条約一連の取りきめが全部本土と同じようにかぶさるわけですね。それに特別の取りきめをするような協議の内容になれば、私がいま申しました六項ないし八項の例外になりますね。そういうことは私どもとしては考えていないわけです。ですから本土並み、核抜きのこの例外なき大原則による沖繩返還のそのワクの中で協議と、こういうことになります。これはいわゆる安保条約下における事前協議とかなんとかではないということが一つ。それから同時に本土並みの返還なんでありますから、その返還の事前に、返還後に本土並みになるべきところの、たとえば事前協議の運用その他について予約をして、別の約束をするというような協議の対象は含まれていない、こういうのがその真意でございます。
  34. 戸叶里子

    戸叶委員 いままで伺っているところによりますと、それじゃこの文章を入れなくてもよかったのじゃないかと思うのですけれども、どうしてこういうものをわずらわしくもお入れになったのでしょうか。いままでの御答弁に関する限りでは、別にこれをお入れにならなくてもいいのじゃないかと思うのです。
  35. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは先ほど来申しておりますように、現にその戦争が行なわれている。それでそれを時限を付していついつまでには終わっているんだということを断定することは、これはやはり当事者の立場としては言いにくいでもありましょうし、むしろそのことははっきり——はっきりというか、観念的に絶対的に排除できない可能性ということについては、触れておくということが妥当であるという考え方に対して、同意を表したわけでございます。
  36. 戸叶里子

    戸叶委員 そうすると、協議の内容というものは、まあお互いに話し合ってきめることでしょうけれども、協議の内容は核抜き、本土並みということに抵触するものでは絶対にない、こういうことを確認してもよろしいわけでございますか。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのとおりでございます。
  38. 戸叶里子

    戸叶委員 それに関連してもう一つ伺っておきたいのは、事前協議の問題で、ポラリス潜水艦なども事前協議の対象になり、もしもこれが入ってくるということになれば日本がノーとおっしゃるというふうにここで確約していただけますか。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはまたこの問題を離れて事前協議一般の問題になりますから、一般論としての事前協議にはイエスもあればノーもあります、これが政府の確定解釈です。  それからポラリス潜水艦ということになりますと、非核三原則ということがございまして、これがやはり沖繩に本土並みに適用されますから、非核三原則によって沖繩を返還いたしますということが第八項によって明確になっておりますから、さように理解していただいてけっこうでございます。
  40. 戸叶里子

    戸叶委員 いま私はその点に触れていこうとしたのですけれども、いまの八項の核の持ち込みの問題でございますが、それに対しましてこの「日本政府の政策に背馳しないよう実施する」、そしてそれと同時に「日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府立場を害することなく、」とこう書いてあるわけです。そこで私たちから見れば、「日本政府の政策」というのはここでは非核三原則である、こういうふうにわかるわけでございますけれども、なぜはっきり非核三原則というものをここに政策としてお述べにならなかったかということに対する疑問を持つわけです。ほかにもまだ政策というものをお考えになっていたかどうか、ただ非核三原則だけであったかどうか、そしてまたどうしてお入れにならなかったか、その点をまず説明をしていただきたい。
  41. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのくだりはその前段からよくお読みいただきたいと思いますが、日本国民全体が核というものについて特殊の感情を持っている。この国民感情の上に立脚したところの、日本国民の気持ち、その上に立ったところの核に対する日本政府の政策、これに深い理解を示して、ということによって、まず三原則というものは私は完全に入っている、こういうふうに理解をしておりますし、また相手方も、これは三原則だ三原則だということをもうよく口にしているくらいでありますから、その辺についてはもう全然御心配はございません。のみならず、私は積極的に前段に言っていることもこれはひとつステーツマンライクにお読みいただきたいと思うのですけれども、日本国民の感情が核というものに対して特殊のユニークな気持ちを持っているということが、この第八項全体にかかっている非常に大きなフィロソフィーだと私は思うのです。それに対して深い理解を示したということは、私はもう何よりのことではないかと思っております。
  42. 戸叶里子

    戸叶委員 そういうふうな説明愛知さんのこの共同声明のあとから出された説明書を読んだら書いてございましたけれども、それと同時に「日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府立場を害することなく、」とわざわざここに入れているわけですね。そこで私は非常に疑問になるわけです。日本の政策はそうであっても、今度はアメリカ立場に立って、そしてアメリカ政府立場をこわすことなくというふうに書いてあって、そのときには、矛盾するものではないかと思うのですけれども、その点はどうしてこういう文句をお入れになったかを伺いたい。
  43. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは本土並みということでございますね。つまり日米安保条約第六条交換公文によりましてこれはきめられてあることですね。そこを直してしまって——何と御説明したらいいでしょうか、特別の取りきめをつくらないという意味には、積極消極いろいろな意味も含まれるかと思いますね。いま日本側の立場から御議論ですけれども、向うの立場から言いましても、いままでの一連の法体系といいますか、条約体系はそのままだということの意味と何ら違いはないのであって、しかしたとえば撤去について確約するとか、それから深い理解を示してそれによって沖繩返還を実施すると書いてございますでしょう。したがって、この共同声明におきましては、日本に核の持ち込みをしない、あるいは事前協議をかけても日本が断わるんだぞ、ここがはっきりしていれば私は十分の目的を達成されていると思います。
  44. 戸叶里子

    戸叶委員 いま外務大臣が御説明になりましたように、返還のときにあたっては日米安保条約及びこれに関連する諸取りきめが変更なしに沖繩に適用されることに意見の一致を見たということがちゃんと七項にあるわけです。ですからこの事前協議制というものはちゃんときめられているわけですね。にもかかわらず、わざわざここに入れたというところに、私どもは非常に不信の感を抱かざるを得ない。なぜそういうことを入れたのか。たとえばいまのお話を伺っておりますと、日本は非核三原則を守るんだからその政策に忠実であるために、核兵器を持ち込みますよと言われたときにはノーと言います、ノーと言って持ち込ませない。ところがそれがアメリカ政府の心証を害するかもわからない、アメリカ政府のお考え方と一緒にならないかもしれない。そういうときには一体どっちをとるんだろうというふうに考えるわけですが、そういう場合にはどういう処置を講じられるわけですか。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その前段のお尋ねに対しては、たとえばこの文章を離れて申し上げますと、本土並みだということだけで沖繩返還決定合意をしたというだけでも、私はあるいは必要にして十分かもしれないと思うのですよ。しかし日本の世論というもの、それからその第八項に書かれてあるような、日本国民は沖繩返還について核抜き、本土並みということが、ほんとうにこれは全国民の願望であると思うのです。ですから特に核についてははっきりとした条項を設けなければならないのが私どものこれは使命であると思う。そういう点で、本来ならば、純粋な条約論などから言えば、本土並みということがあるだけでこれはいいのです。しかしこれは全国民の悲願にこたえる意味からいっても、政治的にも最大の問題であるところの核について、特にこの点を強調したかったからそれを入れたのでありますし、そうすれば、今度はアメリカのほうから言ったって、変更なしに本土並みで適用されるということにはなっているのだということを入れたからといって、こちらの押えが十分きいていれば、日本側からいって、何もおかしいことはないんじゃないでしょうか。私はそういうふうに考えております。
  46. 戸叶里子

    戸叶委員 もう少し聞きたいんですけれども、時間がなくて……。  いまの問題ですけれども、核抜きは、もう私たちが望んでいることですから、日本の政策を実施します、政策どおりやりますということをアメリカと話し合っていくことはたいへんいいことなんですけれども、アメリカ日本に対する立場といいますか、どういう関係を持っていくかといえば、安保条約及びそれに付随したいろいろな法律をみんな守っていくんですよと、こう書いてあるんですね、七項に。だから、何もここでわざわざ念を押さなくても、日本の政策というものを、これをきちんと守っていく、そうして「沖繩の返還を、右の日本政府の政策に背馳しないよう実施する旨を総理大臣に確約した。」だけでいいんじゃないですか。わざわざ七項ではっきりいっていることを、またここで、アメリカ立場を主張する必要はないんじゃないかと私は思う。それで十分だと思うのです。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 しかし、この八項というので、特に日米双方の立場からはっきりさせて、そうして日本の要望のとおりを結論づけるということが大目的なんでありますから、本土並みということについて、若干の注釈がついたって一向差しつかえないんじゃないでしょうか。だって、そのとおりなんですもの。法律的に、観念的にいえば、六条に関する交換公文によって、事前協議をかけてくる法律的な立場を持っているわけでしょう。それに対してイエス、ノーを言うのがこちらに留保されているわけでございますね。そのことをメンションしたからといって、結論として、日本の願望どおりに実施いたしますということで締めくくりがついていれば、私はこれでりっぱなものだと思いますが、どうでございましょう。
  48. 戸叶里子

    戸叶委員 だから、そのものずばりでもう一ペん伺いますけれども、日本でその政策をそのまま実施する。たとえば、核兵器持ち込みには反対ですと言った場合に、もしもアメリカ政府立場を害するようなことになっても、日本の政策を貫ぬく、こう考えてよろしゅうございますか。
  49. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まあ、そうなりますと、議論のための議論になるような気もいたしますけれども、アメリカ立場は、日本の欲せざるところをやらないということがアメリカ立場を害さざることになると思うのです。そのことば、その文章だけではなくて、最近のニクソンのいわゆる外交教書にもわざわざ書かれてあるところですね。日本に対する期待も大きいことが大いに書かれてあるけれども、同時に、日本の欲せざるようなことについてはやらないんだということをわざわざ書かれてあるというようなところは、やはりそういうところの哲学がそこにもにじみ出ている、こういうふうにお考えいただいていいんじゃないかと思います。
  50. 戸叶里子

    戸叶委員 ニクソンの外交教書で、欲せざるところはやらないということはおっしゃっているかもしれませんけれども、一つ問題として出てきているこの共同声明の中で、やはり私たちはその点をはっきりさせておきたいんです。たとえば、日本はもう核兵器を持ち込まないんだとなっているときに、もしアメリカの心証を害するような立場になったら、どっちをおとりになりますか、こういうことを聞いているので、そのことだけにちょっと答弁をしていただきたいと思います。
  51. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、私といたしましては、現政府といたしましては、相手がどうあろうとも、日本の国益を守る、核は持ち込みませんという三原則を守るというのが基本でございます。
  52. 戸叶里子

    戸叶委員 そういうふうに読むならば、日本は絶対に持ち込まない、アメリカの心証を害しても持ち込まないんだということになりますので、それなら何もここでわざわざこの文章を入れる必要はなかったという結果になると私は思います。思いますけれども、これ以上議論はいたしません。いたしませんが、そこでもう一つの点を伺いたいのは、レアード国防長官が、内外の三百七十一カ所の基地の撤廃と縮小というものを発表したようでありますけれども、日本でもこの内容について折衝があったかどうかをまず伺いたいと思います。
  53. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私のところへは、今度のレアード長官の言っておりますことが、具体的に日本にどう適用されてくるかという的確なインフォーメーションはまだ届いておりません。しかし、これはもう御説明するまでもないところと思いますけれども、年来、日本における基地については、俗なことばでいえば縮小といいますか、そういうことでずっと話が進んでおりますので、たとえば、一昨年の暮れでございましたけれども、約五十カ所——あるいは五十以上になりましょうか、これも整理、縮小ということが合意されておるような状況でございますから、日本に関する場合、あるいは正確にいえば、本土におきましてはと申し上げるほうが正確かと思いますが、すでにその方向に進んでいるわけでございますね。ですから、あるいは今度の場合は、そう大きな比重で日本を対象にしていないのかもしれないと思いますけれども、しかし、これは正確な連絡をまだ受けておりません。
  54. 戸叶里子

    戸叶委員 私、その基地の問題でお伺いしたのは、中曽根防衛庁長官が基地を自衛隊の管理に移して、そしてそこでアメリカと共同使用するというようなことをたびたび言われる。それからきのうも外人の記者クラブで日本の防衛について話をして、東京周辺の米軍の基地はできるだけ自衛隊管理にするか、地方へ移管したいと考えている、自衛隊に移管した場合にも有事の際の米軍使用は保証をするというふうに言われているわけです。そうしますと、現在の地位協定でいわゆる二4(a)項、二4(b)項、つまりアメリカが管理して、自衛隊が一定の期間使う場合と、それから自衛隊が管理して、一定の期間アメリカが使う場合と、それから三条でアメリカに管理権があって自衛隊が使うという場合と、これのいずれにも入らないと私は思うのです、こういう発言そのものは。そこで地位協定改定をしなければならないのではないか。そこでこの防衛庁長官がおっしゃったことばは一体どういうふうな考え方で言っておられるかということを伺いたいのが一つ。  それから、一体現在の地位協定のもとで、こういうふうな防衛庁長官の言われるような、有事の場合に日本の自衛隊が管理して使えるというようなことが地位協定から出てくるかどうかということ。それから地位協定の範囲内で米軍、つまりいまのことを詰めて言いますと、地位協定の範囲内で米軍基地の自衛隊移管ということが進められるかどうか、こういう点をはっきりさしていただきたいと思います。
  55. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は先般も予算委員会でも問題になりまして、中曽根君の答えられたところと私の答えたところと食い違いがあるのではないかという場面がございましたけれども、その後、両方からあらためて御答弁したことによってこの点は非常に明快になったと思います。なお、お確かめいただければ、中曽根君からも直接聞き取っていただきたいと思いますけれども、私はやっぱり将来の方向としては、地位協定改定ということはほんとうに前向きにまっとうに検討すべき値のある問題である。その点において私ども意見が一致しております。同時に、私は言い過ぎたかもしれませんけれども、地位協定現行のもとにおいてもこうやりたいと思うことで実はまだやれてないことが相当あるのですよ。ですから、一面において地位協定改定ということも検討していくと同時に、いまの地位協定下においても、できることで、しかもそういう発想に合うような具体的なものがありますから、そういうことも同時にどんどん手がけていきましょうやというのが私のつけ加えた意見でございまして、この点についても中曽根君と全然同感でございます。  さらにこの地位協定の二条の解釈その他についてもいろいろございますけれども、改定そのものの作業は、御承知のように過去の経過を考えてみましても、これはかなり日数のかかる問題ではないかと思いますから、やはりその間、やるべきことを具体的に進めていくことの努力も怠ってはいけない、かように考えております。  なお、具体的な条文がどういうふうになるかということは、専門家にお聞きいただきたいと思います。
  56. 戸叶里子

    戸叶委員 時間がないですから、私ちょっと聞きたいのですけれども、これでやめますが、地位協定の中にも私はまだほかに非常に大きな問題があると思います。それをきょう聞こうと思いましたが、時間がないのでやめますが、いまの外務大臣答弁で私一つはっきりさせていただきたいのは、たとえば自衛隊に基地を移管をした場合にも、有事の際の米軍使用は保証するということは防衛庁長官が言っておられるけれども、有事の際に保証するということは、この地位協定のどこからも出てこないと思うのです。それは一体どういうことであるかということを伺いたいし、これはいまの地位協定では出てこないのだ、改定しなければだめなんだというふうにお考えにならないかどうか、この点もはっきりさせていただきたい。一体どの条項からこういうことが出てくるのかということをはっきりさせていただきたい。
  57. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私いま申しましたように、これは専門的に解明すればもっとクリアーになるかと思いますけれども、たとえば期間を限ってやるということならば、現行の地位協定のもとでもできるかと思います。しかしいまそういう点を検討中で、防衛庁というか施設庁と共同で研究をいたすべき問題でございます。
  58. 戸叶里子

    戸叶委員 これは終止符をつけなければまずいですから発言させてください。いまのおことばですけれども、二条の4項の(b)に「一定の期間」ということがあるんですよ。しかし期間を限るというのは、英語でリミッテッド・ピリオズ・オブ・タイムというので、時間を限ってということであって、何か問題が起きたときに使わせるということにはならないと思う。中曽根さんがおっしゃったのは、何か問題があったときに使わせるという意味だと思うんです。ですからそういうことは現在の地位協定ではできませんねということをいま伺っているわけですけれども、この点についてはっきりさせていただきたいと思います。
  59. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点はなおよく検討させていただきたいと思います。
  60. 田中榮一

    田中委員長 堂森芳夫君。
  61. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣に私は対米繊維輸出規制の問題について、時間がありませんから二、三の点を質問をしたいと思うのです。  すでに両院の本会議でも質問がございまして、総理大臣以下関係大臣答弁もありました。また予算委員会でも各党の同僚議員が質問をしております。いままでにいろいろ解明されてきた点もありますが、また私は理解できない点もあるのであります。特に昨日帰国をしておりました吉野公使が帰任をいたしました。そうしてきょうの新聞を見ましても、あるいは昨日の予算委員会において足立議員でありますか、一般質問で聞いておられました。吉野公使が帰任の際に、今後の新しい段階としての対米交渉の訓令を何か与えて帰任をさして、そして来週にもなれば、対米折衝を一そうに強く行なっていく。ある報道機関は、何か高度の政治的外交交渉をもって打開をしていくんだ、それはどういうことかわかりませんが、そういう表現をしたような報道もあるのでありまして、私はいろいろ聞きたいのですけれども、まず昨日総理外務大臣及び通産大臣が、外務、通産事務当局がつくった事務当局案というものについてほぼ了解をされて、これからの対米交渉の現段階における一つのまとまった案をつくった、こう新聞には報道されておりますが、その点についてまず御答弁を願いたい、こう思います。
  62. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この繊維問題につきましては、与野党を通じて非常な御心配をいただいておりますことを非常に恐縮に思っておりますが、政府といたしましても近来にない非常に大きな問題として、全力をあげ、あるいは知恵をしぼって対処いたしております。そしてただいまの御質問お答えする前にちょっと一言申し上げさせていただきたいのでありますが、それは、今回きわめて短時間でございましたが、吉野公使を呼びましたのも、電信電話等では尽くせない状況もアメリカ側にあろうが、これもはだに触れて聴取したいと思いましたし、同時に各方面から寄せられております、対米外交国民的なこれだけの大問題にされて、日本の国内のこの状況も、交渉に当たる、あるいは大使を第一に補佐する吉野君の頭の中には十分たたき込んでもらう必要がある、こう思いまして、一時帰国を命じたわけでございます。  そこで私の得た印象は、率直に言えばあまり新しいことはございませんでしたけれども、二つのことを特に感じました。  一つは、米側の第一次案、第二次案あるいはその説明、あるいはアメリカの繊維業界その他関係者の間の考え方というものには、文章の上はともかくといたしまして、やっぱり包括的な規制ということが非常に深くしみ込んでいるということでございます。ですから日本側としては、この点をどうしてもアメリカ側に理解、納得させるということが、いまの段階においてもなおかつ第一に必要なことであるということをあらためて感じたことが一つです。  それからもう一つは、アメリカ側が非常にきびしいきびしいといっていることは、一体何をきびしいと見るかということでございます。これにはいろいろのきびしさというものが捕捉できますけれども、その中で一つ最近大いにいわれておることは、今月の、もう来週早々でございますが、通商法案の公聴会が開かれる。それを契機にして制限立法がいよいよたいへんな勢いに燃え上がってくるのではなかろうか、こういう観測を米政府が非常に心配しておって、米政府としてはもし米議会方面でさような制限立法などができるということになると、いまのアメリカ政府としては日米の友好親善関係に思わざる不測の事態を来たすのではなかろうかということを非常に心配しておる。そこで日本との間に何らかの話がつかないだろうかということに焦慮の色を濃くしておる、こういうことが一つ。要するに二つの点が私としてあらためて問題なんだということを感得いたしました。  ですからそういう点を基礎にいたしまして、世間では、吉野に対案を持たせて帰したんだろう、それから対案を示さなければアメリカは納得しないだろう、こういうふうに観測されあるいは報道されておりましたけれども、対案というのにもいろいろ幅がございますし、何かしらは持たして帰さなければ、話し合いを断絶させることは外交上まず第一にまずいことでございますから、そういう姿勢で吉野君と相談をし、通産大臣ともとっくり相談をいたしまして、次のような措置をとりました。  吉野君が昨日帰任するときには、大体の私の考え方を口頭で詳細に示しましたが、文書につきましては、大使に対して、君が帰任するころに追って訓令として届くような文書をすぐ送る。その米側に対して文書として回答することにいたしましたものは、通産大臣と完全な合意をいたしまして、決定をして——現在の時間ではもう電信をいたしたころかと思います。  その内容はこういうことでございます。したがって、これはこれから申し上げることによって御承知を願いたいと思いますが、いわゆる対案とは向こうはとらないかもしれません。  第一は、まず米側提案は実質的に包括的規制であり、わがほうとしては話し合いの基礎として受諾できない。これが第一です。  第二は、この回答は日本側のいわゆる対案——日本流にいえばかぎをして「対案」とは言えないが、本問題についてのわがほうの考え方をできるだけ具体的に詳細に述べたつもりである。すなわちその内容として、一は、本問題は米国の繊維産業で輸入により重大な被害またはそのおそれがある品目に限り、すなわち選択的なベースにおいて解決をはかっていくべきであるというのがわが国の基本的立場であり、そうでなければ、わが国業界の協力と納得を得ることはできない。二は、かりに輸出自主規制を行なう場合にも、かかる措置は本来暫定的な措置であり、短期間に限らるべきものである。  三番目は、本問題は日米間のみの問題ではないので、しかるべき段階で他の主要輸出国をも交えた多数国間協議を行ない、かかる協議を通じて問題の解決をはかることが必要と考える。  こういうような基本的な考え方から、わがほうとしては米側から重大な被害または被害のおそれについての補足的な資料の提供及び説明があれば、さらに検討を進める用意はある。このためジュネーブにおいて予備会談を再開することはいかがであろうかということを重ねて申し入れることにいたしました。そして補足的な資料の提供やあるいは説明などがありますれば、それに応じて具体的な当方の意見というものもさらに申し入れるであろう。  以上申しましたことが、文書として訓令をし、または米側に申し入れることにいたしました基本的な条項でございます。
  63. 堂森芳夫

    堂森委員 いまの外務大臣の御答弁よくわかりましたが、第一これは外務大臣の耳に入っておるかどうか知りませんが、私は聞きますよ。外務省の中ですでに昨年日米首脳会談のときに話はできているのだ、こういうふうなうわさは絶えず聞いておる。それを裏書きするように、あなたの代理で、命令を受けて行っておるわけじゃないが、外務大臣の管轄下にある下田大使は、新聞にも報道されたり、あるいは国会でも取り上げたような下田大使案というのをしゃべって、ジョンソン国務次官に申し入れた。そして二十八品目でなくて数品目であるならば日本政府考えるべきである、あるいはまたそういう申し入れをしてみたり、記者会見をして、どうせこの話は最高首脳部の間ではさまっておる問題であるというような意味の発言をしておるとか、あるいはこれよりは沖繩のほうが大事で、繊維の問題は沖繩の問題から見れば軽い比重の問題であるとか、いろいろな談話を発表した、こう新聞には伝えられております。そういうふうなことがあるということ自体が——今日まで、いまも外務大臣答弁された中で、どうもアメリカ側は日本側の事情等についてよく理解をしていないように思えるというふうな御答弁だったと思うのです。理解をしていないということは、私はやはり日本の在外公館である駐米大使以下がそういう努力をしていないのじゃないか、あるいはしているのか知らぬが、なかなか向こうの特に上層部にそういうことが率直に伝わっていないのではないか、こうわれわれは疑わざるを得ないのですが、大臣、いかがですか。
  64. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これも私率直に申し上げますけれども、日本は繊維王国とも申しましょうか、それだけにまたアメリカのほうも非常に大きな関心を持っておりますし、やっぱり国際的な商売上の問題でございますから、双方ともに官民を通じましていろいろのルートから、これだけの大問題ですからいろいろの意見があって、いろいろのコメントが出、情報が乱れ飛んでおりますので、これは困ったことであるともいえますけれども、同時にこれだけ大問題であるからにはいろいろの、極端に言えば揣摩憶測やありそうな話が出てくることも、ある意味ではやむを得ないことかとも思いますけれども、政府立場としては一貫していまも申しましたような態度で終始いたしております。  私として見れば、実は昨年の五月にスタンズ長官が来日したときがあらためての皮切りでございますが、それ以来ほとんど一年に近くなろうとしておりますが、その間始終私自身も頭を痛めている問題なんでございますが、その間、それだけに総理大臣とニクソン大統領との間に本件についてすでに話ができているんだということは、これはしばしば総理自身も言明しておりますように、そういう事実はございません。また実質的に数時間の間に他に大きな問題も——これももちろん大問題ですけれども、話が出ましても、やはりコンプリヘンシブルだとか、やれガット十九条だとか、それから品目にいたしましても、繊維くらい品目の多いものはございませんし、こういう専門的、技術的なことについてブリーフィングなしに、あるいは手下をはべらせずにおいて、いかに有能なる大統領と総理大臣であっても、そこで話が詰まるということは性質上もあり得ないということをひとつ御理解いただきたいと思います。もしそういうことがあったとするならば、われわれはこれだけ苦労している必要もないわけでありますが、現にこういう段階で大いに努力を新たにしておるわけでございますから、国内的に私は率直に言って業界の方々その他にも、これだけの大問題をかかえてアメリカとの間に熱心な討議をしているのですから、日本人同士で不信感を抱かないで、一体となって当たっていきましょうやということをお願いしているわけでございますから、どうかそういう政府のとっております姿勢については御理解いただきたいと思います。  また駐米大使館の活動についていろいろの御批評も現に受けておりますけれども、これらについてはなお一そう私としても努力を新たにしたいと思っております。
  65. 堂森芳夫

    堂森委員 どうも答弁が長くて、大事なことをちっとも答弁されないのですよ。あなたの訓令を大使はほんとうに向こうにわからせるように努力しておるとは思われぬがどうか、あなたはどうお考えになるのですか、こう私は聞いたんですよ。
  66. 愛知揆一

    愛知国務大臣 だから御批判はありましょうけれども、そういう点については一そうの努力をいたします。
  67. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、私はいろいろ聞きたいことがあるわけですけれども、時間がありません。とにかく一九五六年でしたか、綿の規制のときは数品目でした。そしてそれに応じていった。今日では全品目について規制をしよう。あの当時われわれはこれは必ず外堀になるぞ、こう言いました。私いまでも覚えている。今度は内堀になる。毛及び化学合成繊維の規制になった。おそらくこれは近い将来弱電機の製品であるとかあるいはその他のアセンブルのいろいろな雑貨類というようなものの規制にもつながってくると考えなければならぬ問題である。しかも政府は、表面は一貫してガットの場でならこい、インジュリーがあるならそれを持ってこい、初めからのそうしたオーソドックスな態度で臨むんだ、こう言っておられますが、一方また客観的に見るとずっと引っぱられてきておると思うのです。やはりアメリカ側のペースといいますか土俵といいますか、そういうものに引っぱられていっておると思うのです。そういうふうになってきた根本的な原因として幾つかあると思うのです。今日こうした規制問題が出てきた原因は単純なものじゃないと思うのです。あなたがいみじくもおっしゃいました。数年前といまでは日本経済アメリカ経済との比重が変わってきました、それも大いにあると私は思う。私の県は、この間業者と一緒にあなたに陳情申し上げたこともありますが、おそらく日本における化学合成繊維の織物の大部分を織っておるのじゃないでしょうか。非常な打撃をすでに受けてきておりますから、毎日のように聞いておるわけですが、単にそういう問題だけじゃないと思うのです。わが国の産業の今後の発展全体についても大きな関係がある問題であります。私が申さなくても、外務大臣がよく知っておられることであります。時間もありませんので、通産省当局に聞きたいこともありましたが、終わらなければいけませんが、従来のとおり、あくまでも今度は筋を通した、すなわちいつも言っておられるような、ガットの場でならやろう、ほかの話し合いには無理なことは聞かれない、大筋いって、そういう態度で望んでいってもらうことであるということを私は信じて疑わないのです。  もう一つ提案があるのです。それは、役人間の、政府間のいろいろな話し合いというものも大事でありましょう。政府があっせんをして日本の繊維業者と向こうの業者と民間ベースにおける話し合いの場というものを積極的にやって、そして解決への一助にされていくような努力をされることが必要だと思いますが、そういうことを外務大臣総理と相談してやる意思がございますかどうか、あわせて答弁をしていただきたいと思います。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは政府側でも考えていないわけではございませんし、それから繊維全体の両方の代表者が会ってというようなことはいまはまだやっておりませんけれども、個別的には、いろいろの機会を通じて当方の状況などを米側に理解してもらうためのいろいろのルートにおいてはそういうこともやっております。しかし、あらためて御提案については考えてみます。
  69. 堂森芳夫

    堂森委員 もう終わりますが、この問題の処理が筋の通らないことで中途はんぱな妥協をしていかれて間違った道を進んでいく、こういうことになると、私は、これは他の諸国にも大きな影響を与えてまいるでありましょうし、日本の今後の経済的、外交発展にも影響がくるということをつけ加えて申し上げまして、政府の善処を要望しまして、質問を終わります。
  70. 田中榮一

  71. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 舞台が変わりまして恐縮でございますけれども、中国問題につきまして、大臣所信をお伺いしたいと思います。時間がございませんので、端的に伺いますので、ひとつ結論だけでけっこうでございますが、よろしくお願いしたいと思います。  一九七〇年代の日本外交の最大のテーマは中国問題であるといわれておりますが、さきの外務大臣の演説の中におきましても「北京政府がその対外関係において、より協調的かつ建設的な態度をとることを期待しながら、相互の交流と接触をはかっていきたい考えであります。」このように述べられておるわけでございますが、この前段の部分は明らかに沖繩返還に関します日米共同声明からの引用文ではないか、このように思いますが、その日米共同コミュニケの文のすぐあと同じパラグラフの中に、台湾の安全は日本の安全にとって重要である、あたかも中国を刺激するような表明がなされているわけでございます。  ここで外務大臣にお伺いいたしたいのは、さきの大臣の発言、その前段の部分、「北京政府がその対外関係において、より協調的かつ建設的」云々、その発言を見ますと、何か日中関係はあなたまかせ、先方の出方次第だという態度で、私は非常に理解に苦しむわけなんです。なぜかなれば、いままでの日中の歴史、特に日中の戦争の過去を振り返ってまいりますと、この日中問題は、むしろ日本のほうから積極的友好的な態度が示され、接触を深めていくことが本来の日本外交の姿ではないか、このように考えるわけでありますが、その点いかがでございましょうか。
  72. 愛知揆一

    愛知国務大臣 簡単にということですから簡単にお答えいたしますと、先ほども申しましたように、政府といたしましても、第三国における大使館同士の接触というようなことについてはすでに試み、努力をしておるわけでございます。そうしてそういう接触の機会ができれば双方の不信、誤解を解くような場ができる、そういうふうな接触ができることが私は当面一番必要なことではないだろうか、かように考えております。
  73. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 その「北京政府がその対外関係において、より協調的かつ建設的な態度」云々という点でございますけれども、大臣北京政府のどういう行為、どういう出方を想定して期待を持っておられるのか、その点についてお願いしたいと思います。
  74. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まあこれは、私はあえて多くを申し上げないほうがこの時期においてはよろしいかと思いますけれども、たとえば国連参加というような問題に対しましても、従来は必ずしも積極的でなかったようにも思われるわけでございます。あるいは核防条約その他に対する考え方等についても日本だけというのではなくて、多くの国々がもう少し北京政府も胸を開いてくれることを期待しているのではないだろうかと私は推察するわけでございますが、それ以上に向こうがこう言っているではないか、こうではないかというようなことはあえて申し上げないほうがよろしいかと思います。
  75. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 そういう答弁を伺いますと、イソップ物語の北風と太陽でございますか、旅人と北風でございますか、両方とも締めつけ合ってどちらからも打開の方途がない。むしろ太陽になるのは日本であって、北京政府にそれを期待すること自体が無理なのではないか。むしろ日本が太陽になってその打開の方途を講ずる必要があるのではないか、それが日本外交の本来の姿ではないか、こう思うわけなんですけれども、重ねてひとつお願いしたいと思います。
  76. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、ですから申し上げるとまた長過ぎるのでおしかりを受けるのですけれども、国際緊張緩和ということを私はもう基本にしておりますし、いま申しましたように、事実として存在している北京政府との間にも何とか接触を持ちたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  77. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 その接触を持ちたいという大臣のお気持ちはよくわかるのですけれども、それじゃ具体的にいかなる方策を考えられた上でそういうことを述べられたのか。私の感触では従来とあまり変わってない、政経分離という域を出ていない、このように判断いたしておりますのですけれども、何のはっきりした信念もなくて単なる思いつきでおっしゃっているのではないと思いますが、その具体的な方策についてお願いをいたします。
  78. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これまで長い間こういう状態が続いているときでもございますから、たとえば私がいろいろ考えておりますことを、政府の当局者としてこうだ、こうだ、こうだと並べ立ててみることもかえってこういう際にはいかがかと思いますので、要するに接触をして対話の場ができればおのずからそれからものは解けていく、こういうふうに私は考えるわけでございまして、それから先のことはあえて申し上げないほうがよろしいのではないかと思っております。
  79. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 接触をして対話ができればということでございますが、いままでどのような接触を試みられておられるのか、具体的にお願いします。
  80. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたが、文化大革命の終息に伴って北京政府外交活動もやや正常に復帰しつつあるのではないかと一般的に見られているようですが、そういう際でもございますから、北京政府の在外公館があるところと、日本の在外公館があるところ、これはもう三、四十あると思いますが、そのいずれの場所においても大使級会談を持ちたいというのがわれわれの希望であります。そしてそれぞれに試みを、われわれとしては誠意を尽くしてやっております。しかしこれは外交の機微でございますから、それ以上は申し上げられません。
  81. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 はっきりしませんけれども次の問題に移りたいと思います。残念なことを申し上げるようでございますけれども、政府が米国の圧力に屈しまして、みずからの選択の権利を放棄した結果、国府との平和条約が結ばれたわけでございますけれども、そのために戦後二十数年にわたりまして日中関係は、日中貿易関係を除いてほとんど断絶状態にある。したがって正確な情報もとれませずきょうまで来ているわけでございますが、日本国民は中国とは一体どういう国なのかという国情に関する認識がきわめて低い現状でございます。この点につきまして、アメリカは、ワルシャワ会談を再開し、またいろいろと中国との緩和接近政策を打ち出しておりまして、アメリカ国民中国に対する関心を深める努力がされておるわけでございますけれども、ここでお伺いしたいのは、今日多くの日本国民が中国に対して関心を寄せているのでありますから、外務大臣は現在の中国の国情をはたしてどの程度に認識なさっておられるのか。私は中国国民が現状抱いている民族意識、また政治、経済文化、社会、あらゆる面についての大臣の御認識を伺いたいわけなんですけれども、時間もありませんので政治、経済面のみでけっこうでございますが、外務大臣中国の国情に対する基本的な認識を承りたいと思います。
  82. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまもお話がございましたように、現実の情報とか国情とかいうことについてはなかなかつまびらかにし得ない状況であるということは申し上げられると思います。それから多少の人的の往来がございましても、これは報道関係の方々などからもよくお耳にされているところと思いますけれども、なかなか正確な情報を捕捉することが、国内におきましても外国人にとってはなかなか困難な状況ではないだろうかというような想像ができるわけでございますが、そういう点からいいましても、先ほど米中会談の話もございましたけれども、よくある人たちは言っておりますけれども、現在までのところは日本が事実上の関係をとにかく持って、人的往来も細いながらもやっている。貿易の量も世界のどこの国よりも相当多くやっている。これまでのところは日本としてやってきたところの政策の選択はとにかくよかったのじゃないだろうか。むしろアメリカなどは大使級会談以外に手がないわけでございますね。そういう点を含めてそういうことを批評する外国人もあるような状況でございますから、現在のところ外国に比べてやはり日本は比較的には中国の状況にも明るいのではないか、その程度のことは言えると思います。他国におくれていることはないと思います。
  83. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 御認識のほどがよくわからないわけなんですけれども、私は中国の正確な国情認識と申しますか、正しい認識を深めるためにも、もっとより人的また文化交流を積極的にしなければならないと考えておるわけでございますが、特に私は日本政府が単なるリップサービスだけではなくて、ここで具体的な、かつ能動的な方策を打ち出すことが日中間の当面の現状打開に最も急務である、こういう立場から伺うわけでございますけれども、日本から文化経済、社会にわたる幅広い文化視察団みたいなものを編成して、それを中国に派遣する、また中国からも、日本を認識してもらうためにそういったものを日本に招聘する、こういったことが政府のほうから切り出せないものか、このように考えるわけでございます。このことはどっかの国々から横やりが入って、その横やりが入るために無理、このようにおっしゃいますが、いやそんなことはない、近い将来友好促進また相互理解のためにこのくらいのことはやるのだという積極的な意思が大臣におありかどうか、御所見を賜わりたいと思います。
  84. 愛知揆一

    愛知国務大臣 申すまでもないところですが、つい最近も古井君の一行も出かけているわけでございます。そういうふうなパイプを通しても、向こう側が、そういう計画がかりに具体化された場合にどういうふうに応待するかどうか、これは一人相撲をとるわけにもまいりませんですから、そういう状況などもよく考えていくことにいたしたいと思います。
  85. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 一人相撲というお話、確かにそのとおりであると思いますが、そういった方策をこちらから打ち出す、向こうに打診する、そういう御意思はおありでございましょうか。
  86. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはわれわれもよく申しておりますように、中国問題というのは一九七〇年代の問題であるとわれわれは考えているわけでございます。ある程度長い目で忍耐強く積み上げていかなければならないので、早急にこの具体案はどうだ、この具体案はどうだと考えれば幾つも案があるかと思いますけれども、長い目で慎重にひとつ情勢の熟するのを待つよりほかにないのではないかと思っております。
  87. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ただいま外務大臣の仰せのとおりの現状ではあるかと思いますが、私は早急にということではなくて、近い将来文化視察団というようなものをこちらが積極的に提案をして向こうと交流をはかる、こういったことが必要なのではないかと思うわけでございます。重ねて伺うわけでございますが、北京政府のほうでこうした申し入れに対してそれを断わるというような何か御懸念がおありでございましょうか。その点をひとつお願いいたしたいと思います。
  88. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういう点は必ずしもはっきりしないわけでございますね。ですから長い目で見ていきたいと思いますけれども、日本の国会で公明党を代表して大久保さんがそういう御意見をここで公に開陳しておられるということも、これは一つの大きな事実でございますから、そういうようなことがだんだん何らかの意味でメリットを発揮することもあるのではないかと考えております。
  89. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 ちょっと時間がありませんので問題をはしょりますが、輸銀の点について一点だけお願いしたいと思います。先月の十四日でございましたか、外務省筋の見解で輸銀の融資は不可能であるということが表明されたわけでございますけれども、その代案として第二の道を考えているというようなことが伝えられております。この第二の道でありますけれども、何の具体案もなく第二の道を考えているということではないと思いますけれども、念のためにお伺いするわけでございますが、その第二の道の具体的な内容について、もし御答弁いただければお願いしたいと思います。
  90. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これもいま御案内のように覚書貿易と友好貿易と両方が貿易の道になっておるわけですけれども、それらの問題にしても、たとえば日本としては向こうから輸入するものがなくて困っている、それから決済の問題なんかについて向こうにもいろいろの事情や希望もあるんじゃないかと思われるのでありますけれども、そういうようなこともこの覚書貿易の話し合いなどでいろいろの建設的な意見でも出てまいりますれば、それに対処するいろいろな方法もあるいは考えられるのではなかろうか、こういうふうに思っておりますが、いま具体的なケースについて、どこでどういうファイナンスをするかということについて、具体的な検討は進んでおりません。
  91. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 次の問題に移りますけれども、先ほど永田さんからも御質問ございましたが、渡航手続の簡素化の問題、本日報道されておりますけれども、それ自体はけっこうだと思うのです。しかしこれは中国からの入国につきましては、その審査その他の手続については従来どおりで何ら変わっていない、そのように受け取れるわけでございますが、これでは実態は従来どおりで緩和という実績にはならないのではないか、そういう実績が期待できないのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、こういうことについてももっと積極的な手直しをする必要があるのではなかろうか。昨年一年日本から中国へ行った人は二千五百余名、向こうから来た方がわずか十六名でございますが、こういった入国手続また審査、そういった問題に手直しがなされませんと、これは積極的な緩和とはいえない、そのように思いますが、この点について……。
  92. 愛知揆一

    愛知国務大臣 直接そのお問いに対する答えにならないかと思いますけれども、たとえば広州交易会に出席を希望される在日華僑の方について、これは従来は人道的な立場からのみ再入国を伴う出国を認めておったわけでございますけれども、長年戦前から日本において平穏無事に商売をしておられる人たちが純粋の経済的な用件などで行かれる場合には、やはり現在の手続としては個別審査を必要とするし、外務省だけでは処理しかねるわけでございますけれども、前向きに扱おうということを閣僚レベルで実は相談いたしたわけでございますが、こういうふうな問題についても、御意見のように百八十度わっとやったらどうかというような意味も込めての御質問だと思いますけれども、ひとつできるところから着実にやっていくことが望ましいのではないかと思っておりますが、いまの問題などはやはりこれは日本側としては一つの転換した姿勢である、私はかように考えております。
  93. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 百八十度とまでは申し上げないわけですけれども、確かにいろいろなマイナスもあるかと思います。しかしやはりそういった積極的に窓口を開くことが、プラスマイナス相殺して非常に現状打開の方向にプラスになるのではないか、このように考えますので、この点はあわせて大臣の強い御配慮をお願いいたしたいと思います。  最後に、昨日出発されました古井団長の一行のことについてお伺いするわけですが、昨年四月日中覚書貿易協定調印時の声明を見ますと、大要四点、 一、日中関係を悪化させている点は日本政府にあることを認める。 二、政経分離はすみやかに改めるように推進する。 三、中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府たらしめるようにする。四、日米安保条約中国に脅威を与えることを重視しこれが脱却に努力する。  このことは、古井団長の個人的見解であるかまた政府承認であるかということは別の問題にいたしまして、事実上こういった約束が何一つ実現されていないまま今回きわめて悲壮な決意のもとでの団長の訪中であるわけでございます。率直に伺いますが、外務大臣はこの古井団長一行のこのたびの更新交渉、この成否を大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  94. 愛知揆一

    愛知国務大臣 第一に私としては、古井君の一行が覚書貿易協定を続け、あるいはそれを広げるということに成果をあげてもらえるように期待しているわけでございます。これが第一でございます。非常にこれは前提となる、いまもお読み上げになりましたようなこともございまして、たいへんむずかしい。古井君としては非常に悲壮なものがあるというお話でございましたが、私も古井君の立場もたいへんなものだと想像しておるわけでございます。  それから第二には、これはもちろん政府の代表というわけではございませんし、覚書貿易の代表者であるという資格でありますが、その資格の中でもやはり対話は持てるわけでございますから、日本としての、日本国民の考え方や、いろいろのところであらわれている意見などは十分伝えてもらいたいし、これが誤解を解くよすがになれば日本のために非常によいことではないかと思いますが、しかし多きを期待することは古井君自身に対しましても過大な期待であり、非常にたいへんなことだ、こういうふうに考えております。いまのような状況下においては、やはりああいう人が日中間を往来してくれるということについては、私は私なりの評価をしておるわけであります。
  95. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 団長一行が出発しました日に、ただいまの渡航手続簡素化等の問題が表明されたわけでございますけれども、去る二十一日の野党への総理答弁で、おみやげは別としても、日中貿易拡大にあらゆる努力をしたい、このようにおっしゃっているわけでございますが、この総理のあらゆる努力ということは、今回の古井団長一行の訪中を配慮されておるのかどうか、その点についてお願いいたします。
  96. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほど予算委員会でも御説明したのですけれども、やはり古井君の立場というものもわれわれとして非常に尊重しなければなりませんしいたしますから、おみやげ論というのはすれ違いの御答弁しかできないことを非常に遺憾といたしますけれども、私はやはり緊張の緩和あるいは私は先ほど来申しておりますように、第三国における大使級会談というような点については試みかつ努力をしておる、こういう立場をとり、かつ行動しておる立場でございますから、その辺からいろいろのことを御想像をお願いいたしたいと思います。
  97. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 先ほどから古井団長個人につきましても、大臣また総理も配慮の弁を賜わっているわけでございますけれども、中国に対する総理及び外務大臣の積極的な姿勢、また数々の発言から、推測でございますが、当然古井団長一行に何か具体的な現状打開策が指示されたのではないか。ということであれば、孤立無援のような現状を助ける意味において非常に望ましいようにも受け取れるわけでございますけれども、その点最後にお願いいたしたいと思います。
  98. 愛知揆一

    愛知国務大臣 どう申したらよいかわかりませんが、非常に常識的なお答えになって恐縮なんでありますが、古井君もりっぱなステーツマンでございますから、ステーツマンとしてこういう非常にむずかしい仕事を引き受けておられる限りにおいては、われわれの考え方というのも腹の中には十分入れられたと思います。これをおみやげとかどうとか、あるいはいまの日本政府の責任者との間の関係というようなことにつきましては、あまり多くを申し上げないほうが古井君の立場を尊重するゆえんではないかと思います。
  99. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 いまの御答弁では積極的姿勢はあまり感じられないわけでございます。先ほど外務大臣がおっしゃいましたように、中国問題は七〇年代の最大のテーマとして、より前向きな積極策をこれからも盛大に講じていかれますことを心より要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  100. 田中榮一

    田中委員長 曽祢益君。
  101. 曾禰益

    ○曽祢委員 核拡散防止条約が昨日からけさにかけて核保有国、イギリス、アメリカ、ソ連を含めた三国の批准書寄託と四十カ国以上の他の国の批准書寄託が終わっていよいよ効力を発生したわけでありますが、これからの一番大きな課題の一つであるいわゆる国際原子力機関と各国あるいは数カ国との間の保障措置に関する協定、簡単にいえば査察に関する協定といってもいいんでしょうが、こういうものもありまして、これからわが国がどういうタイムテーブルで核拡散防止条約に取り組んでいくのか。条約の規定等によってこれを簡単に御説明願いたいと思います。
  102. 愛知揆一

    愛知国務大臣 具体的な条約の各本条に照らしてのタイムスケジュール等につきましては、政府委員から専門的にお答えをさせたいと思います。
  103. 曾禰益

    ○曽祢委員 簡単でいいですから、大臣から。
  104. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまもうすでに御承知のように、二月の下旬からIAEAではモデル協定等を中心にしての実際上の協議と申しますか、が始まっておりますので、日本としては、国際原子力機関の部長クラスに人も入っておりますし、かなりの信頼度を受けているようでもございますから、そういうものを通して、あるいはその他の方法によって査察協定日本の好ましいような形、一言にしていえば簡素な形でできるように、そしてユーラトム等と実質的に不利がないように、公平な取り扱いが受けられるような協定ができることにもう専念していきたい。その山場はやはり今年中じゃなかろうかというふうに考えております。
  105. 曾禰益

    ○曽祢委員 この査察協定内容についてあるいはこの条約内容の評価についてはあとで触れたいんですけれども、純粋の時間割りですね、タイムテーブルからいいますと、この条約三条の第四項ですか、「締約国である非核兵器国は、この条に定める要件を満たすため、国際原子力機関憲章に従い、個個に又は他の国と共同して国際原子力機関と協定締結するものとする。その協定交渉は、この条約が最初に効力を生じた時から百八十日以内に開始しなければならない。」一応こうなっているんですけれども、わが国がまだ十分な準備なしに調印に追い込まれたというのは、政治的にも外交的にも失敗じゃないかと思っているわけですけれども、とにかく調印はしてしまった。調印しただけでは締約国にならないかと思うんですが、この条項の適用よりもその次にある「百八十日の期間の後に批准書又は加入書を寄託する国については、その協定交渉は、当該寄託の日までに開始しなければならない。その協定は、交渉開始の日の後十八箇月以内に効力を生ずるものとする。」第二のようにいくんじゃないかと思うんですが、その点は締約国の解釈にも関連するのですが、日本の場合はどっちになるのですか。つまり半年以内に交渉を始めなければいけないのか、それとも半年後でもなるべくすみやかに、最初に効力を生じた日から一年半の間に、つまりいまから勘定すると大体二年以内に、何か批准なり批准書寄託なりあるいは加入する——調印してしまったんだから、むしろ加入じゃなしに批准書寄託という形になると思うんですけれども、大体二年以内にやればいいんですか。
  106. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのとおりでございます。批准をして正式に加盟するわけですから、最終的には二年以内ということになります。
  107. 曾禰益

    ○曽祢委員 ですから開始のほうはどっちになるんですか。
  108. 愛知揆一

    愛知国務大臣 開始はあとのほうです。
  109. 曾禰益

    ○曽祢委員 六カ月ですね。
  110. 愛知揆一

    愛知国務大臣 六カ月後です。
  111. 曾禰益

    ○曽祢委員 手続上のことはわかりました。  そこで、さっき大臣も触れられたので、したがって、この順序としては国際原子力機関との査察協定の話になるんだろうと思うのですけれども、この際、保障措置協定の中でもどうしても日本が確保しなければならない諸点があるんじゃないか。先般も調印の際の政府、外務省の声明にも触れられておったし、いま大臣もちょっと触れられたと思うのですが、私はこの条約内容からいいましても、あるいは字句からいいましても、たとえば前文の第五項なりあるいは第三条の第一項なんかを見ますと、技術的手段を利用して原料物質及びその特殊核分裂性物質を効果的に捕捉し云々、こう書いてあるのは、やはりこの保障措置、すなわち査察の対象が、要するに大体物質なんであって、施設そのものに立ち入るとか、施設そのものの青写真をよこせとか、そういうことがどうも条約の趣旨じゃないようにいま考えられるのですけれども、その解釈は少し甘いのかどうか。条約の趣旨からいってですよ。問題の物質を確実に捕捉して、トレースして、あとを追跡していくというような趣旨か、施設そのものに立ち入るとか、施設のブループリントをよこせ、そういったことはいまあげたような条項からいっても趣旨じゃないと思うのですが、その点はどうですか。
  112. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私も曽祢さんと同じように解釈しております。物質を捕捉して、物質が入るときと出るときといいますか、そこを捕捉すれば十分なのであって、施設とかノーハウとかそういうものに重点を置いていないように私も読めます。
  113. 曾禰益

    ○曽祢委員 同様にこの条約は辛くも見なければならないけれども、公平に見てわがほうの主張によりどころのある点もありはせぬかという意味でいま研究しているわけです。また同様に、条約第三条第三項等から見ても、この保障措置、つまり査察は締約国の経済的もしくは技術の発展を妨げない態様で実施する、これもいろいろとれるでしょうけれども、やはり産業スパイの問題とかそういうことをしないように、なるべく機械を使う、ブラックボックスを使うとか、そういうことの余地を残しているやに考えるのですが、その点はどうなんですか。
  114. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのとおりに私も理解しております。
  115. 曾禰益

    ○曽祢委員 そこで私どもは、先ほども申し上げたように、情勢が去年の暮れごろから非常に変わって、政府が調印をしないと発効が近くなる。調印の前にも、実はあとで申し上げるように、いろいろ政治レベルの折衝をすべきではなかったかという点であの調印に追い込まれたことをいかぬと言いました。そのとおりに考えておりますが、それはそれとしてこれからやはりどうしても、条約そのものについても政府の声明にも触れているように、この条約がへんぱなものであってはいけない。つまり、核兵器保有国による真剣な核軍縮への努力が少なくともなされなければならない。それから、非保有国に対する安全保障について、従来やった以上にさらにもっと安全保障の道を確かなものにすることによって非同盟諸国なんかを加入させるように努力しなければいかぬ。  それからまた、この条約が二十五年では長過ぎるとか、いろいろな問題がありますね。しかし、ぎりぎりのところで、そういう政治的な問題とともに、わが国が一番重大に考えてがんばらなければならないのは、平和利用に対して不当な——軍事利用にいかないように保障するという名のもとに、不当なまた不平等な干渉があってはならない。つまり査察問題、保障措置に関する問題の一番の中心中の中心だと思うのですね。もしこれについて十分なる安心が得られない限りは、わが国としては他のいかなる理由があっても、この問題だけでも、この条約に対する批准はすべきでない、こういうふうに考えますが、その点に関する政府の決意はいかがです。
  116. 愛知揆一

    愛知国務大臣 結論的に申しますと、そのとおりに考えております。まあ一言つけ加えて申しますと、前段の問題も非常に大きな問題でございますけれども、具体的に日本の平和利用ということが不平等であったり、そのために不平等どころではなくて、原子力平和産業の発展のために阻害になるような文書を不必要に残したら、これは日本の国益に直接害がございますから、その点の十分な、納得のできるようなものでなければ、その保障ができなければ、私は批准というものは慎重に考えなければいけないのじゃないかと思います。
  117. 曾禰益

    ○曽祢委員 問題は、不当なる干渉があってはならない。それには産業上の機密保持、これはわが国経済発展の将来をかけた大きな問題で、いまではまだ立ちおくれておっても、とれからは原子力発電のプラントあるいはパテントあるいは濃縮ウランの濃縮のテクニック、ノーハウ等についても、国際的な商業ベースの競争ができるくらいに日本発展することを期待するわけですね。それにバックアップする現政府の予算措置その他も必ずしも十分だとは思いませんけれども、そういう余地を封ずるようなことがあってはならない。そういう意味で、何といってもわが国としては、相当のテクニックも持っているわけですから、なるべくならばいわゆるブラックボックス等による自動査察、施設の立ち入り等をしなくて済む、こういうことが一つの点である。  第二の点は、やはりあくまで平等でなければいけない。査察を受ける義務の平等、これはむろん保有国と非保有国間の平等の問題もあります。これも原則上がんばらなければならないが、特に非保有国間相互間の平等の問題が非常に重要である。そういう意味で、いま日本が特に注意しなければならぬのは、たとえば最近イギリス、オランダ、西ドイツ三国によるいわゆる濃縮ウランの濃縮技術が、アメリカ方式でなくて、遠心分離方式のあれをとにかくやる。これは一つの技術的の進歩だと思うのです。これは軍事的にも平和的にもどっちにも問題は発展するわけですけれども、日本もそういうものをやっていかなければならないのに、どうもユーラトム、つまり西ドイツが加わっているほうのグループはやはりそういったように、保有国がいまの濃縮ウランの問題だってイギリスが入っているから事実上自己査察でいいじゃないか、あるいはEECなりユーラトムの全体については、やはりフランスが入っているんだから、西ドイツだけを別に特に取り上げるわけではない。たとえていえば、西ドイツのような、今後、日本ともイギリスともフランスとも技術的のノーハウを争い得る国が非常に自己査察的な有利な条件に立つ。ところが、わが国のほうは、言うならばばか正直に、国際原子力機関との協定によって、これは自己査察はできないというような、そういう不平等的可能性は事実上非常に多いのじゃないか。そういうことに対してどういう歯どめをされるつもりであるか。二点ですね。  第一は、自己査察あるいは技術的、機械的な査察に持っていく。繁雑なものは許さない。第二は、不平等は絶対に許さない。特にユーラトム、EEC諸国との間の不平等を絶対に日本としては拒否しなければならない。この二点についてどう考えますか。
  118. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この二点とも全く御同感なのでありまして、それは、先ほど一言で申し上げたのですが、要するに、査察の簡素化ということ、これが一つ、それから不平等性の打破という二点が政府として一番気にしているところでございまして、具体的にどういうふうにするかということについては、科学技術庁がその道のあれですが、われわれとしても協力一致してその要請が通るようにしたいと思っております。現状、私もしろうとでなんでございますが、この間も現状受けているIAEAからの査察の状況などを聞いてみましても、これから日本の原子力平和産業というものはどこまで発展するかわからぬ。こんな細部にわたる、私からいえば不必要な査察を受けている、これを放置しておけば、IAEAだって資金的にも技術的にも人的にもまいってしまうだろうと思うのですね。そういう点は私は日本の主張が十分に通り得る環境はだんだんできてきておるのじゃないかと思いますが、特に不平等性ということになりますと、これは機構の問題になる。一方のほうは技術の問題、両面合わせて善処してまいりたいと思います。
  119. 曾禰益

    ○曽祢委員 そこで、これはこれからの国内的な措置と外交交渉にわたることなんですけれども、その外交交渉という意味は、国際原子力機関における外交ということを入れましてこれは大いにがんばってもらいたいと思うのですが、国際原子力機関における日本のいろいろな主張については、たとえばいま外務大臣も言われた、日本の部長が枢要なポジションについた、これもいいことだと思いますが、それだけで安心はむろんできないと思うのですね。それから四月に特別理事会が開かれる。これはやはりかなり重要なもので、いまそれに対して全知全能をあげて日本の原案をつくるために努力されておるのですが、これがやはり一つのポイントですね。少なくともこれが現実的なスタートですね。そこで簡単に日本の主張がきまるとかいう問題じゃないと思う。そこで、その国際原子力機関を通ずる努力あるいは軍縮委員会を通ずる努力ということが一つある。もう一つは冒頭の問題にも関連するのですけれども、これがちょうど西ドイツが核防条約の調印に踏み切る前に、いわゆる旧敵国条項について、どれだけの満足を得たかは別として、これが頭に乗っかっておる限りは核防条約は賛成できないというので、アメリカに対しあるいはソ連に対しそれぞれ交渉して、どういう返事を得たか知りませんが、これで政活的の一つの難関を突破したというので調印に踏み切ったわけですね。私はそういう意味で先ほど何回も触れたのですけれども、調印に踏み切る前の外交努力が足りなかりたと思うのです。これだけ査察の問題一つをとらえても、やはりアメリカにはアメリカ、ものわかりがいいというたてまえに立ってこの査察の平等性が確保されない限り、日本としては他の意味では全然ない、核兵器を持とうなんて毛頭考えていないけれども、これが確保されない限りは賛成できない。調印すら実はできない。批准なんか問題でない。それからもう一つ、ソ連に対しても一やはりソ連はすべての国に、核非保有国に対して保障措置を要求するでしょうけれども、特に西ドイツの動向等については重大関心を持っておると思うのですね。そういう意味からいうと、あるいは日本とソ連がユーラトムだけ自己査察ということは反対だということについては、その部分については意見の合致するということもありますね。それから逆に、西ドイツと日本とはそういう意味で関係はあるけれども、核保有国による核テクニックの独占ということには、核兵器保有国による独占ということについては反対だという、部分的な利害共通面がある。一例を上げて恐縮ですが、そういう意味で、私は、これからの日本の核防条約をめぐる外交問題においては、単に国際原子力機関における努力、あるいは軍縮委員会努力だけでなくて、いまも言ったように、多角的に、ことによってはアメリカと話し、ことによったらソ連とも話し、ことによっては西ドイツなりEECと共同戦線を張ることも含めて、非常に多角的な、強力な外交努力が要請されるのじゃないか、かように考えるのですけれども、その点についての外務大臣の決意を伺いたいと思います。
  120. 愛知揆一

    愛知国務大臣 全く私の考えていることそのままずばりと御指摘いただいたような感じがいたします。決してこれはIAEAの中だけの問題ではございません。いま私の考えておりましたものの一つは、軍縮委員会の場です。それからもっと広い意味の、何と申しましょうか、国際外交とでも申しましょうか、多角的な努力は非常に必要であるし、やはりこれを一つのてことして日本外交は展開するというくらいの意味のある問題ではないかと思います。そういう意味で、私は一言釈明になりますけれども、実はいまから一月ぐらい前に、もはや効力を発生し得る状況になったわけですね。関係国のいろいろの行事的な都合からいって、きのう批准書寄託式が行なわれましたけれども、実際は一月前にあの状態になっておりましたものですから、加入という手続になれば国会の御承認がなければなりません。そうしてそうなれば、ますます大ごと——大ごとといいますのは、手続の大ごとという意味ではなくて、相当な決心が必要でありますので、この条約の性格からいって、とにかく調印だけしておいて、そうして批准について留保しておくということが、いろいろの意味の発言権を強くするゆえんじゃないか、こういうふうに考えて、追い込まれたという御表現がございましたが、そういう御批判も当たっていると思いますけれども、急遽政府の態度をきめたわけでございます。本来ならば、調印に際しましても、十分与野党間でも御説明したり、御相談をしたかったところでございますけれども、突然効力を発生するということになると、日本として態度表明の時期を逸するものでありますから、こういうふうなことにいたしたわけでありまして、御了承ください。
  121. 曾禰益

    ○曽祢委員 最後一つだけ。調印について、それがよかったかどうかについては、これはわれわれと所見を異にします。それははっきり申し上げておきます。  ただこれからの問題は、スタートは大体四月から始まるとして、かなりこれは長い、根強い交渉をして——決して早いばかりが能じゃありません。かりにどうしてもこの条約に従って、二年以内には決心するとしても、二年間うんとこさがんばったらいい。と同時に、この問題は初めから当時の佐藤内閣の方針だった。三木外相時代です。こういう問題こそ、できればいわゆる、名前は超党派的ということばがいいかどうか知りませんが、コンセンサスに基づく日本の態度を打ち出すことが望ましいわけですよ。ですから、同時に国民なり各党がいろいろの立場はあるわけですけれども、政府がしっかりやることによってミニマムな査察の平等性、あるいはそういったような、何といいますか、査察が繁雑に過ぎて、日本の原子力平和産業にマイナスにならないようにということについて、大いにやっているという努力とともに、やはりコンセンサスをつくる努力がなされなければならない。この間のように、調印してしまってからちょっと説明に外務省から来るというのでは、これはほんとうにいわゆる党派を越えてコンセンサスをつくる努力が、政府側の姿勢として私は足りないのではないか、この点については十分にお考えをお願いしたいと思います。  これをもって私の質問を終わります。
  122. 田中榮一

    田中委員長 不破哲三君。
  123. 不破哲三

    ○不破委員 総理も外相もこの国会で平和外交を非常に強調されましたが、私はアジアの平和における日本の役割りを考える場合に、朝鮮、ベトナム、中国などアジアの社会主義国に対する日本の態度、これが非常に大きな重要な問題になると思います。  それでまず中国に対する態度ですけれども、予算委員会の総括質問の中で、総理は、たしか小坂委員への回答だったと思いますけれども、政経分離ということはもう言わない、それからまた、大使級会談という形で政府間の接触を考えたい、この接触は非常に狭く限られたものにはしたくないというように言われました。それで政府間接触ということをこれからの展望として問題にする場合に、政府は一体これをどこまで実らせるつもりがあるか、どこまでこの点で前進させるつもりがあるか、そういう点で非常に大きな問題だと思います。その点で大きなポイントは、この政府間接触を通じて、たとえば通商の分野であるとか、郵便とか、気象とか、かなり実務的な分野であるとか、そういう問題で政府協定にまで踏み切られる用意があるかどうかということが一つの大きなポイントになると思います。その点で以下若干の質問をしたいと思うのですが、この問題につきましては、たしか一九五一年にサンフランシスコ条約を結んだ直後に、日華条約を結ぶ前でしたか、吉田総理からアメリカのダレス国務長官への書簡という形で日本が態度を表明したことがあります。そのときには、いまの中国政府とは二国間条約というものは一切結ばないことを確言するという趣旨のことがあったわけですね。この点については、私は過去の問題であって、今日の政府立場を拘束するものではないと考えるのですけれども、あらためてお伺いしますけれども、中国政府政府間の条約あるいは協定は結ばないというのが当時の吉田書簡立場ですね。これがいまでも政府立場であるかどうか、この点をあらためて念のために伺いたいと思います。
  124. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に、これは常識的なことですけれども、念のためお断わりいたしておきますが、いわゆる世に有名な吉田書簡とは違う吉田書簡ですね。吉田総理がダレスにあてた吉田書簡、これは、政府の見解といたしましては、日華基本条約締結されたことによってあの書簡はその使命を終わった、効力がなくなったものだ、かような解釈といいますか、その見解を終始堅持いたしております。
  125. 不破哲三

    ○不破委員 それでは次に伺いたいのですけれども、これから中国政府間接触あるいは政府交渉を大使級会談の形でもやりたいといろ場合に、その過程で、情勢に応じて、中国承認する以前に政府間の協定をあれこれの問題で結ぶということも考慮される用意があるかどうか、その点を伺いたい。
  126. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはやはり非常にむずかしいところへ触れるものですから、私のというか、政府立場といたしましては、大使級会談というものをやりたいということで、接触につとめておりますが、そのときにどういう具体的な話になるかということについては、まず接触を求めることを第一に考えておりますから、そこまで実は考えており、ません。  それから、ただいま具体的にイエスかノーかとお尋ねになりますと、承認問題とかなんとかに触れますから、そういうところに触れるところまではいまのところは考えていない、こう申し上げざるを得ない。
  127. 不破哲三

    ○不破委員 ただ承認問題に触れるというように言われましたけれども、先ほど外相も触れられた核防条約の調印にあたっての声明ですね。あの中では、核防条約に中華人民共和国政府が参加することを呼びかけるという文言がありますね。これは多国間条約ですけれども、ともかくこれに調印をされた日本政府が、多国間条約に参加する相手として、つまり国際条約の対象国として、その対象として中国政府をあげられたのはこれが初めてだと思うのです。そういう意味では、日本と共通に参加するそういう国際条約の相手国としてすでに扱われているというふうに考えるわけですけれども、その点はどうでしょうか。
  128. 愛知揆一

    愛知国務大臣 条約論的に申しますと、たとえば核防条約でありますとか、部分核停条約でありますとか、宇宙条約でありますとか、そういうものは別の扱いとして、これは二国間の承認関係とか条約というものとは別個に扱うのが通説でございます。
  129. 不破哲三

    ○不破委員 その通説は理解をしているのですけれども、その場合には日本がこの多国間条約に中華人民共和国政府の参加を呼びかけるという意味で、日本政府の判断なり態度なりが出ている問題として取り上げたわけですけれども。それでなお承認問題についていいますと、たとえば相手国を承認する以前に、相手国と正常な国交を結ぶ以前に通商協定なりその他の協定を結んだ例というのは過去にも非常にあるわけですね。たとえば有名なものでは、戦前イギリスがソ連を承認する以前に政府の代表を派遣して、イギリスとソ連の間の貿易協定を結んだという先例もありますし、そういう意味ではいろいろな分野協定は、直接承認を前提にしないでも可能だと思うのですけれども、その点についての条約論的な外相の見解はいかがでしょうか。
  130. 愛知揆一

    愛知国務大臣 条約論的観念論的あるいは過去の実例等から見ますれば仰せのとおりだと思うのです。承認ということを前提にしないで政府協定を結んだということは、日本はともかくといたしまして、ほかの国の例にもございます。
  131. 不破哲三

    ○不破委員 その点で先ほどの外相の答弁ですと、政府間接触をどこまで拡大するかということは、接触を始めるかどうかがまだ問題なので未検討だという趣旨の答弁に伺ったのですけれども、ほんとうに前向きに改善するという意味では、条約論的に可能ないろいろな分野での協定の問題ですね。これについては早急に検討されて積極的な態度をとられることを要望したいと思います。  次に、時間もありませんので、あと一つだけ問題を伺いたいのですけれども、外相も総理も、すべての国との友好関係の増進ということを平和外交の中身として強調されております。これも念のためのお伺いなんですけれども、朝鮮民主主義人民共和国とベトナム民主共和国も友好関係の増進を願っている国のうちに入っていると思いますけれども、そのことを念のために伺っておきたいと思います。
  132. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはしばしば予算委員会でも申し上げましたように、たとえば一九六六年あるいはそれ以降の国連の決議について日本も積極的に入っておりますが、朝鮮においては平和的な話し合いで、民主的な選挙による統一の政府ができることを期待するということが決議されておって、それに賛成しているということで将来のターゲットとしては、私はそういう方向でいくのがよろしいと思いますが、ただ現実の現在の事態において直ちにそうだと言い切るわけにはいかない、かように存じます。  それから、ちょっといま私、イギリスとのあれを答弁したら、いま注意されました。事実は違うところがあるそうですから、ちょっと一言。
  133. 須之部量三

    ○須之部政府委員 たしかいま不破先生おっしゃいましたイギリスとの貿易協定でございますが、その直後イギリス政府としては、これは事実上の承認であると声明をしております。
  134. 不破哲三

    ○不破委員 その際、正式な承認のかなり以前であったことは事実だと思うのですけれども。  それからもう一つ。そうすると、いまの御答弁ですと、すべての国と友好関係を増進したいという中には、朝鮮の社会主義国は現状では入れるわけにはいかないというお答えだったのでしょうか。
  135. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは日韓国交正常化のときにも政府の態度は非常にはっきりしていると思いますけれども、国連決議を引用いたしまして、国連が認めている現状のもとにおける、国連の決議によって認められる地域における唯一の合法な政権として大韓民国政府日本承認し、これと国交の正常化を結んだわけでありますし、その以降において今日に至りますまで、やはり三十八度線をめぐって休戦協定が行なわれ、国連軍が駐とんしておって、その国連軍の使命性格については毎年のアンカルクにおいて決議がされておる、こういう状態でございますから、現状からするとこの客観的状況は是認せざるを得ない。あるいは政策としてもその線に沿った政策でございますから、やはり大韓民国との国交の正常化、そうして大韓民国のとっている政策について日本としては親善友好関係協力していかなければならない。こういう態度でございますから、将来の希望、ターゲットとは別に、現状はそうであるということを明らかにしておるわけです。
  136. 不破哲三

    ○不破委員 これは非常に重要な御答弁だと思うのです。つまり当面の状況のもとでは日本の側からは友好を願わないというふうな趣旨にしか受け取れないわけなんです、そう言われますと。ところが、予算委員会の総括質問で江田委員佐藤総理質問をしたときに、それはもちろんすべての国と友好関係を望みたい、しかし国交を結んでいる韓国と同等に扱えというのは困ると、すべての国と友好で、もちろん北とも友好を拡大したいけれども、韓国と同一に扱いたいというのは困るという答弁をされているわけですね。いまの外相の答弁ですと、韓国との友好があり、やはり国連の決議で拘束されているから、北との友好という問題は将来の問題であって当面の問題でないというふうに言われるわけで、これは非常に違うわけですから、すべての国と友好と言われていることとも反するわけですけれども、その点についてほんとうに朝鮮民主主義人民共和国との友好という問題は——別に、直ちに国交を結べと言っているわけじゃない。友好を結びたいという限り、すべての国との友好関係をはかりたい、社会体制のいかんにかかわらずはかりたいという対象からはずされているのかどうか、いまの条件のもとで。その点念のためにもう一度伺いたいと思います。
  137. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は同じことを言っているつもりなんですけれども、あるいは言い方によって響きが重大におとりになったとすれば、要するに常識的なことばで言えば、韓国と同一に扱うということは現状においてはできにくい。しかし将来の目標ということはまた別に考えられるということを申し上げたわけです。  それからもう一つは、それなら現状においてどうするか。ですから同一には扱えないけれども、そこはまたおのずから考え方もあるのじゃなかろうかと思っております。
  138. 不破哲三

    ○不破委員 そうすると現状ではおのずから考え方というのは、一般方針にしますと、韓国と同一ではないけれども、友好の増進というのは現状よりも進む、量的に前進する意味だと思うのですけれども、改善を考えることも含まれると答弁されたと考えてよろしいでしょうか。
  139. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答えにならないかもしれませんが、現に北朝鮮方面とも、たとえば貿易でも五千五百万ドル程度のものが平穏に行なわれておるわけでございますね。あるいはスポーツの交換とかいうようなことも現に行なわれているわけでございますから、そういう点については十分今後も留意してまいりたいと思います。
  140. 不破哲三

    ○不破委員 時間も参りましたので、この問題はまた次の機会に質問したいと思います。  以上で質問を終わります。
  141. 田中榮一

    田中委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会      ————◇—————