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前田委員 まあそういうことで、ひとつ必ずこの
計画を実現するということが第一
段階だと思うのでありますが、そこで先ほど
島理事長ちょっと触れようとしておられました二段の問題につきましては、一応Qの三段に使おうとしましたものについて、
ロケットダインが
日本と
技術協力をしてこれをつくろうということで、現在打ち合わせ中のようでございます。ただ、これと同じものは現在
ロケットダインにはございません。それの大きなもの、あるいは小さいようなものは燃料が違うわけでございますから、その違う燃料のものについては、やりました経験はありますけれども、これと同じものはございませんので、現在それを
計画を進め、お互いに
技術協力の話をしておる。しかしそういうことで、いまできておるエンジンを
技術導入するのではなくて、能力の違うものはつくった経験はあるけれども、これに合ったものはありませんので、新しく
計画を立て、設計をしていく。そういうようにして
技術導入をしていって間に合うのかという話をいたしましたところ、大体自分たちは間に合うつもりでおるのだ、ただ間に合わないときは二年ぐらいたったら、もう間に合わなかったら現在のデルタのエンジン、これは
ソーとデルタでできているわけですが、現在のデルタのエンジンは、これは
ロケットダインじゃなしにエアロジェットでつくっているわけでございます。これは
ダグラスの現場におきましても、エアロジェットから持ってきましたものがそのまま並んでおりますけれども、エンジンとタンクとちゃんと二段のステージになってエアロジェットから入ってきている。ただ、
ダグラスでつけますのは電機品をつけておるだけでございます。こういうふうなものをそのまま買ってきて使えばいいじゃないかというようなことをちょっと言っておりましたが、そういうことはわれわれとしては困る、やはりこの
機会に
計画を立てて導入をしてやっていかなければならないので
協力をしてもらいたい、こういう話をしてきたわけでございます。そうしてさらに、アトラスのエンジン等もございましたので聞いてみましたところ、これはすでにスペース用に使っておるのだ、こういう話でございました。
こういうことでございまして、私は大体現在の
計画のN
関係のものを
ダグラスと
ロケットダインで見たのでございますけれども、いわゆる
ソー・デルタでございますから、デルタのエンジンをつくっているエアロジェットへ行ったわけでございます。そうしてエアロジェットで
ソー・デルタのいまのエンジンとタンク、ステージをつくっております状況を見学したのでございますが、実は非常にここで私は、いままで
政府側としては知っておったようでございますけれども、私たちには
説明のなかった事実でございますけれども、それは現在
ソー・デルタというもののデルタのエンジンは、この際、先ほど
ダグラスが、
計画にありますとおり七一年
計画で燃料をかえて、そして
ソー・デルタを改良しよう、こういうようなことでNASAからの
計画に基づきましてデルタのエンジンを従来はE型といっておりますけれども、これをF型に切りかえる。そういうことでこれはすでにもう一年ぐらいの間でございますけれども、非常に早くこれができておるのであります。それはなぜかといいますと、エアロジェットは
タイタンのエンジンをつくっておりますけれども、その
タイタンのトランステージのエンジンをそのまま持ってきまして、そうして燃料もそのときのエアロジン50それから窒素という非常に長くもち、安定をしておりますコントロールのしやすいストラブルでハイパボリックな、また着火の問題も非常に簡単なそういうものにしよう。これはいまのQの三も大体そういう形の燃料に切りかえようとしておられるわけでありますが、ところがそういうものをこれから
日本は
技術協力して設計してつくろうという話で、この点については、われわれが各方面においていろいろこの問題について話をしておりますときにも、
日本は五十年に上げるということであるので、新しくこの点をやるのはなかなか問題があるんじゃないか。試験、実験の回数等その他に問題があるので、
ソー・デルタをそのまま輸入したほうがいいんじゃないかという
意見もあったのでありますが、デルタのほうの二段のエンジンには燃料を改良した新しいものを入れて、将来もNの増強に備えていきたいという話であった。ところがこっちのエアロジェットに行ってみましたら、すでにそれができておりまして、そしていままでのEのものも置いてありましたけれども、それは最後で、これでもう生産は打ち切りだ。新しいFのほうのエンジンはモックアップができておりまして、そして
あと二段生産に流れておって、これは十一月から納入し、十一月から先は
ソー・デルタでは全部F以外は使わないということがNASAで承認され、
ダグラス会社もそれで承認している。こういうように現実にできておるのがあるわけなんです。しかもそれは増強されて
タイタンのトランステージとして何回も使っておりますから経験もあるし、また実射試験も行なわれておる。また燃焼試験も行なわれておる。そうしてしかもこの燃料補給は圧力タンクであるというように非常に簡潔な装置でございまして、またジンバル等も改良された非常に優秀なものがついておる。こういうものが現在できておるということを私は実は出る前は知らなかった。行ってみまして初めてこれがわかった。
ダグラスからも
増強計画の話は聞きましたけれども、そういう燃料を切りかえてやるという話は聞いたけれども、二段のエンジンはすでに十一月から切りかえられて、従来のエンジンはもう生産は停止しておる。こういうことがNASAでもきめられ、全部しておる。しかもそのものができ上がっておる、こういうことは知らなかったわけであります。私はこれを見まして
——出る前からQの三段を
日本でつくるということについてはいろいろ問題がある、おくれてくるんじゃないか、こういうことで心配しておる向きもありました。しかもそれだけでなしに、この際
システムの点から見ましても、
ソーの
一段にQの三段をつけるということになりますと、この
システム自身もつくりかえなければならぬ。そこで
システムにつきましても、つくりかえる時間もかかれば、
システムインテグレートとしては金もよけい払わなければならぬ。ところがこの
ソー・デルタの改良型をそのまま使えば、そのままの
システムを持ってこれる。ペイロードが違いますから多少の計算は違わなければなりませんけれども、
システムとしてはそのまま持ってこれる。時間的にも非常にいい。しかも片方のエンジンはもうでき上がったものである。燃焼実験その他の発射の経験は
タイタンでは何べんもしております。
ソー・デルタとして、改良型としては行なっておりませんけれども、しかし燃焼試験その他全部できておる。できたものをそのまま
技術導入してつくるほうが非常に安定性があり、信頼度があるということは間違いないわけです。それでありますから、
ソーの第
一段を現在そういう理由でもってそのまま
技術を導入しよう、こうしておられるわけです。なぜデルタの第
一段のほうはそのまま
技術導入し、二段のほうはせっかく改良型の最新のものができておるのに
技術導入しないのか。そうして新しくこれも自分で、
日本だけでつくるなら別問題ですけれども、
ロケットダインで新しく
技術協力を結んで導入する、しかもその
ロケットダインはそれと同じものはつくっていない。これから設計し計算してやっていかなければならぬ。しかも発射実験をやらなければならぬ。そういうむだなことを私は実は初めてわかった。私はそのときにエアロジェットの連中に、なぜ
ダグラスは
システムインテグレートとして
協力しますということをわれわれに言っておきながら、しかも
計画としては七一年の
計画で燃料を
改定するということを申しておきながら、どうして私らにFのエンジンを使ったらいいということをアドバイスしないのかということも私はそのとき言ったのであります。そうしたらエアロジェットのほうは、それは他の会社のものであるというようなことでしなかったのじゃないか。リリースの問題は、すでにQの三でストラブルのハイパボリックなものを
技術導入するということはリリースしておるわけでありますから、この改良型をリリースされることは、これは問題ありませんけれども、そういうふうなことで信頼度もあり、同じくリリースもできる。どうしてそういうことを、われわれが一番問題にしておりますところの金がよけいかかるということ、
システムにも設計にもよけい金がかかる、そうしてしかも時間的にも一番間に合わない、こういうふうな信頼度においても一番信頼性のあるものをどうしてこの
機会にやらなかったのかということを私は非常に疑問に思いました。帰りましてから、そのことは
宇宙開発委員会、
島理事長おられませんでしたけれども、副
理事長以下
理事の方に
事業団でも申し上げまして、この際これはぜひひとつ
方針を切りかえてもらいたい。
N計画の二段というものはこの際デルタの改良型のFを
技術導入してやる、それのほうが私たちのこの
計画も信頼性ができてくる、また早くできる、そうして最新の
技術が導入できる、こういうことだと私は
考えておるわけでございます。
この点については今日の
段階ですぐに
委員会としてきめられるということはむずかしいかもわかりませんけれども、しかしこういう
N計画の
方針は、結局
委員会で決定をされていかなければならぬことだと思います。そこで、ひとつこの際
委員会の
委員長としては、この問題について、
大臣として
計画の問題についてよく御
研究を願いたい。私もさらに資料を集めまして、この問題については十分に今後
政府側と議論をしていきたいと思いますけれども、私は今度見学に行きまして、
ソー・デルタを、
技術を中心とした、
N計画を中心とした面におきまして、そうしてこれが期待
どおりに
計画どおりにいくかどうかということを心配してまいりました。行く前からもこの点については私にいろいろなことを言う人がございました。そうして私が一番心配しておりましたのは、
システムインテグレートの問題とそれからこの二段の問題でございました。ところが
システムインテグレートの問題は
協力してくれる。Nの
増強計画のほうも大体
ソー・デルタの
増強計画でもって見込みができた。したがって、残った問題はこの二段の問題であると思ったところが、行ってみましたら、二段は改良型のものがすでに生産に乗っておる、こういうことでありましたので、これをこの
機会に再検討していただきますならば、
N計画というものは非常に安心してやっていける、あるいは場合によれば、さらにこの
計画を短縮することもできるのではないかというふうに
考えられるわけでございます。したがいまして、この点についてはひとつ
委員会におきまして
N計画をよく御検討願いたい。私は今度
調査に行きましてたいへんこれはいい収穫だったと実は思っておるわけでございます。このことは私たちの
日本の今後の
宇宙開発の進歩において大いに私は役に立つと思って、非常によかったと思っておるのでありますけれども、ひとつぜひそういうことについて
——私は
調査に行ったかいがあったと思っておるんでありますが、
委員会におきましてもひとつよく御
研究を願いたいと思っておるわけでございますが、それに対して、
委員長の
立場からひとつ御返事を願いたいと思います。