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1970-10-14 第63回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十四日(水曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 佐々木義武君 理事 田川 誠一君    理事 前田 正男君 理事 井上 普方君    理事 近江巳記夫君       加藤 陽三君    橋口  隆君       増岡 博之君    山田 久就君       石川 次夫君    三木 喜夫君       吉田 之久君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長          官)     西田 信一君  委員外出席者         宇宙開発委員会         委員      山縣 昌夫君         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁振興         局長      田中 好雄君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         外務省条約局外         務参事官    山崎 敏夫君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   島  秀雄君         参  考  人         (東京大学教授曽田 範宗君         参  考  人         (東京大学教授玉木 章夫君     ————————————— 委員の異動 十月十二日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     三木 喜夫君 同月十四日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     山田 久就君   綿貫 民輔君     増岡 博之君 同日  辞任         補欠選任   増岡 博之君     綿貫 民輔君   山田 久就君     梶山 静六君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発、ウラ  ン濃縮技術及び海洋開発に関する問題等)      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  本日は、宇宙開発に関する問題調査のため、宇宙開発事業団理事長島秀雄君、東京大学教授曽田範宗君、同じく東京大学教授玉木章夫君に参考人として御出席願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ、本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  なお、参考人からの御意見の聴取は質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田正男君。
  3. 前田正男

    前田委員 本日私が質問しようとしますことは、実は私がいかにも大陸間弾道弾を導入しよう、こういうようなことを考えているというふうな記事が一部に出ておりまして、たいへんな誤解であります。  それでこの際私は、立場を明らかにする意味において国会ではっきり質問しておきたい、こう思って質問する次第でございます。  私は、科学技術振興、発展のために、当選以来長年にわたって努力してまいったつもりでございます。そして終始平和利用のために努力し、原子力の問題をはじめ、科学技術平和利用については努力してまいったわけでございます。特に宇宙開発についてもこれを平和利用で推進したい、こういうことを考えて努力してまいりまして、軍事利用というようなことはあり得ないことでありまして、たいへんな誤解であります。こういうようなことは私の不徳のいたすところでありますけれども、私は比較的まじめに、正しく政治をやってきたつもりでおりまして、私としてはたいへん心外なことでありまして、残念に思っておる次第であります。しかしこの際、国会の場を利用して私の弁解をするつもりはございません。宇宙開発が、こういうような誤解のために、日本宇宙開発について国民が疑問を持ったり、あるいはまた開発がおくれるというようなことがあってはまことに申しわけないと思いますので、私はこの際明らかにしていきたいと思うわけであります。  また、今度の調査について、いかにも私はタイタン調査にいったように書いてありますけれども、そんなことではなくて、実はいま問題になっておりますところの従来の宇宙開発計画変更するについて、私は党の宇宙開発特別委員会の副委員長でありますし、また当委員会におけるところの小委員長でもありますので、いろいろ相談を受けましてそれに関係をいたし、また私からもいろいろと発言をしております。はたしてその私の発言したとおりにこういう問題がうまくいくのかどうか、あるいは相談を受けております計画説明どおりに進むのかどうか、こういう点については私も職責上、立場責任がありますので、いま考えておられますところのQをやめてN計画を促進し、ソー・デルタを中心にして技術導入をするという、そういうことがはたしてうまくいき、時間どおり開発が進むかどうか、こういう点について調査を行なったわけでございます。特に、宇宙開発計画はだんだんと計画延び延びになってきておりまして、実用的にこの衛星がいつ活用できるかということは問題点でございまして、この点について、今度の計画がそのとおり進むのかどうかということが一番問題だと思うわけでございます。そういうことで調査に行ったところ、後ほど申しますけれども、やはり私が調査しましたとおり、現在までのわれわれが相談を受けました計画においては、一部この機会変更する必要があるのではないかと私は考えておるわけでございまして、帰りましてからもそのことは宇宙開発委員会事業団にも申しておるところでございます。しかし、本日その点につきましても明らかにいたしまして、今度の調査目的はこういう問題だったということをこの機会に明らかにしていきたいと思うわけでございます。なおタイタンにつきましては、来年度からこのN計画のほかにさらにもっと大型ロケット日本として導入する必要があるかどうかということを調査する方針でありますので、そういう点についてその可能性があるか、あるいは適当であるかどうか、そういうふうなことを調べまして、この大型ロケット調査の対象となり得るかどうかということを下調べしたわけでございまして、私が今度行きましたのはN計画を主として行ったわけでありまして、まるでタイタンのために行ったようなことを書いてありますのは、本末を転倒したたいへんな曲解でございます。そういうことで、この際、政府関係者その他の方たちに私から質問いたしまして、内容を明らかにしていきたいと思うわけでございます。  まず最初に、宇宙開発平和利用のために従来努力してまいりました。私も専心努力してきておるつもりでございますけれども、まだ不十分な点がありまして、なかなか日本実用衛星が打ち上がらないというようなことは、われわれといたしますとまことに残念に思っておるわけでございます。また当委員会といたしましても、この宇宙開発計画が実効をあげて促進していくようなことについて、平和利用に徹してやろうということで申し合わせを何回もいたしております。また私が小委員長をあずかっておりますところの宇宙開発小委員会におきましてもそういう申し合わせをし、さらに平和利用をうたいましたところの基本法も制定しよう、こういうことでお互いに申し合わせもしておるわけでございまして、過般の小委員会におきましても基本法の問題についていろいろと話し合いをしたというような経過でございまして、われわれ国会側におきましても、宇宙開発についてはこれを平和利用しようということで従来推進してきておるわけでございまして、こういうような記事を書かれるということはまことに残念に思っておるわけであります。したがいまして、そういうふうなことはわれわれは毛頭考えたこともありませんし、はなはだ心外なことでございますけれども、この際ひとつ関係者の人から、一人一人見解を明らかにしていきたいと思うわけでございます。  私は、この日本におきますところの宇宙開発平和利用に徹して行なうべきものであり、軍事利用というものは現在も将来を問わず、これは全然考えるべきものではない。たとえば、将来宇宙ステーションというようなものができましても、こういう問題については全然軍事利用ということについては考慮すべき問題ではない、われわれはあくまで平和利用に徹して、この宇宙開発計画というのを進めていく必要がある、こういうふうに考え、私も努力してまいったわけでございますけれども、こういうふうな誤解された記事が出ました機会でありますので、まず大臣から、続いて宇宙開発委員会からあるいは宇宙開発事業団理事長郵政省のほうからもひとつ一人ずつその宇宙開発に取り組む見解、御所信をこの機会に表明していただきまして、国の内外にわたりましてこういう誤解のないように明らかにしていきたい、こう思うわけでございます。したがいまして、まず第一に大臣からこの宇宙開発に対します政府の態度に対してお聞きしたいと、こう思うわけであります。
  4. 西田信一

    西田国務大臣 わが国宇宙開発はあくまでも平和目的に限られているということはきわめて明確であると存じます。宇宙開発の今日までの経緯に照らしましても明瞭であると思います。宇宙開発審議会の第一号答申、これは昭和三十七年でございますが、におきましても、このことが明瞭にうたわれております。また宇宙開発事業団法審議の際の総理の発言にも、このことが明確になっておるのでございます。さらにまた事業団法の第一条には事業団宇宙開発平和目的に限るということが明瞭になっております。これから宇宙開発はおくれを取り戻していかなければならぬと存じますが、また一面におきまして、衛星等のニーズが大きくなってきたというようなことから、ロケット開発もいま検討中でございますが、これは少しく大型化をしていくであろうと存じまするけれども、そういったことには全くかかわりなく、あくまでも平和目的に限るということは一点の疑う余地のないところであるというふうに確信をいたしておまりす。
  5. 前田正男

    前田委員 次に同じ問題につきまして、ひとつ山縣委員、それから島理事長からおのおの御答弁を願いたいと思います。
  6. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいま宇宙開発委員会委員長からお話がございまして、私もそのとおりに考えております。
  7. 島秀雄

    島参考人 宇宙開発事業団理事長といたしましても、ただいま委員長からお話がありましたように、また事業団法にうたわれておりますとおりに、平和に徹して仕事を進めていく所存でございます。
  8. 前田正男

    前田委員 次に、郵政省電波監理局長からお聞きしたいと思うのでございますが、将来宇宙ステーションみたいなものもできる可能性があるわけでございますが、そういうような現在から将来にわたりましての宇宙関係衛星においても、軍事利用関係するような研究は一切われわれは承認もできないし、またそういうことをしているとは聞いておりませんけれども、しかしこの機会誤解を解くためにひとつ郵政省電波監理局長から、衛星関係担当者としてそういうような動きがあるか、そういうような空気があるかどうか、あるいは将来とも一切そういう軍事利用については考えないということの考えがあるかどうかということについて、見解をここで明らかにしておいていただきたいと思うのでございます。
  9. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましても、先ほど科学技術庁長官の御答弁にありましたように、人工衛星につきましてはあくまでも平和利用という立場研究開発を進めている段階でございます。
  10. 前田正男

    前田委員 さらにこの際明らかにしておかなければならぬと思いますことは、この記事には、いかにもアメリカの謀略があるようなことを書いてございますけれども、これはまことにたいへん失礼なことでございまして、アメリカ立場誤解されるようなことが書いてございます。これは私もいままで承知している範囲におきましてはアメリカにおいても技術導入はもちろんのこと、ロケットを使って衛星を打ち上げるような場合におきましても、軍事利用については一切協力できない、こういう方針であるということを私は承知しておるのでありますけれども、そういうような誤解されるようなことが書いてございます。こういうことは外国に対しましてもまことに失礼な話だと思うのでございますが、私が承知しているだけではなしに、現在の、昨年結びました日米宇宙開発協力の覚え書きにおいても軍事利用しないという旨が明記されておる、こういうふうに私は存じております。この点について、政府の知り得る見解を、ひとつこの際大臣から明らかにしておいていただきたいと思います。
  11. 石川晃夫

    石川説明員 具体的なことでございますので、私から御答弁申し上げたいと思います。  昨年の七月三十一日に結ばれました日米技術協力協定がございますが、この中でわが国政府アメリカからの技術または機器を移転する場合には平和目的のみに使用するということが明らかに書いてございます。またそのように約束しております。このような場合に限ってアメリカからは技術並びに機器の移転を承認するというようなかっこうになっておりますので、その点は間違いないと存じます。
  12. 前田正男

    前田委員 大臣からもひとつできたら、アメリカがわれわれの日本に対して軍事的な問題についてそういうようなことは一切考えていない、アメリカ立場という、この一国の立場でありますからやはりこの際大臣からも軍事協力というようなことについては全然考えていない、こういうことをひとつ——私が聞いている範囲ではアメリカはそういうことは考えておらないようでありますけれども、明らかにしておいていただきたいと思います。
  13. 西田信一

    西田国務大臣 ただいま局長から答弁を申し上げたとおりでございまして、私も就任以来アメリカペイン長官等にもお目にかかって、宇宙開発に関する会談を行なったこともございまするけれども、いま疑問にされているようなことは、全くそういう片りんもないというふうに確信いたしております。
  14. 前田正男

    前田委員 以上で日本軍事利用ということについては全然考えていないし、アメリカにおいても軍事利用について協力しようというようなことはあり得ないことでありまして、一部の書いてある記事は全くのでたらめであることが明らかになったと思うのでありますけれども、私もどういうふうに見てこられたかは知りませんけれども、終始まじめに真剣にひとつ平和利用のために努力してまいったつもりでございまして、こういうふうな無責任なことを書かれるということは、私といたしましてもまことに残念に、心外に思っておるような次第でございます。  そこで、さらにこの際今回の調査につきましていかにも誤った報道がございますので、私はこの機会に少しく時間をいただきまして、今度調査いたしました内容について、今年度の計画変更について、ひとつこの際質問をしていきたいと思うわけであります。  本年度の計画変更は、従来のQの計画を取りやめてNを早める。こういうことでソー・デルタ技術日米協定で導入してやろうということでございまして、政府からの説明によりますと、一段ソー技術導入をしてやる。二段はQの三段を技術協力でもって開発していきたい。そして今度のNの三段はQの四段を使っていきたい。こういう方針でありまして、この問題について政府考えておられるように第一段階実用衛星といたしまして五十年に円軌道へ電離層衛星を八十五キロのものを打ち上げる、こういう計画。それからこれに伴うNの増強計画というものがあるわけでございますが、そういうことが順序よく運んでいくかどうかということが、実はわれわれといたしましては従来Q計画は大体できるできるというお話であり、昨年も実は一年延ばせばできるということで国会説明員があり、また予算も承認しておりましたところ、今回事情の変化もありましたけれどもここで変更するということになった。そういうことで、今回変更しようというものがまたずるずると、事情がうまくいかなかったとかあるいはいろいろな問題が起こったとかいうことでそれがまた進まないということになりますと、国民の多額の国費を使いましてやります宇宙開発でございますから、これは実用的に国家のために役に立たなければなりません。もちろん東京大学がやっておられます科学研究のほうの、学問として研究されること、これは別問題でございますが、科学技術庁のやろうとしておるところの、各省との協力でやるものは、これは実用衛星を目ざしておるわけでありますから、あくまでこれがそういう延び延びにならないように責任持って実行できるということが第一問題だと思うのでございます。私は今度の計画変更ということは事情やむを得ない、こう思うわけでありますが、それが計画どおりに進まないということになってはたいへんでございますから、またそれについて私も立場上いろいろと発言をしてきておりますので、私のそういうふうな考え方、これがうまくいくものかどうか、あるいは政府計画がうまくいくのかどうか、こういうことについて調べに行ったわけでございます。  まず第一の問題点は、このN計画につきまして、Qのときも同じでありますけれども、こういう宇宙開発においては何といってもシステムということが一番問題でありまして、しかもそれが時間的に間に合う、計画どおり進むということが一番大事な点だと私は思います。Q計画がうまくいかなかったという点もそこにあると実は考えておるわけでございます。そこでこの際N計画トータルシステムというものが計画どおりにいけるかどうかということでございますけれども、私はこれについてはトータルシステムインテグレーターということでメーカーに責任を負わす必要があるのではないか。ソー計画の場合は、これはダグラス責任を負うてシステムインテグレーターとしてやっておるわけでございます。日本の場合におきましても、技術協力をしてやる、技術導入をしてやる、そういうことになりますと、一段をやりますところがダグラス協力いたしまして、そしてトータルシステムインテグレーターとしての責任を、時間的においても計画どおりに進むかどうかということについて、あるいはそれがN計画開発に適応したような計画が、システムが進んでいるかどうかということについての責任を明らかにしていく必要があると思っておるわけでございます。そこでこれについてはダグラスが従来やっておりますので、私はダグラス社——いまはマクダネル・ダグラス会社ということになっておりまして、ロサンゼルス近所工場へ行きまして工場を見、また幹部の方とこの点についてまず第一に話をいたしたわけでございます。しかるところ、トータルシステムインテグレーターとしては技術協力をすることはやぶさかではない、こう思うけれども、やはりこの際責任を明らかにするためにトータルシステムインテグレーターとしては契約を別にしてもらって、そしてできるならひとつ早くこの際契約をしてもらわないと、五十年に電離層衛星を上げていこうというそういう日本側計画にはなかなか間に合いにくいのではないか、こういうようなことでございます。そこでこの際まずお聞きしたいのでありますけれども、トータルシステムインテグレーターというふうに契約を別にいたしましてその取りまとめを通ずる責任というものを明らかにしていく必要があるのではないか、こういう点についてひとつどうお考えになっておるか、お聞きしたいと思うのであります。
  15. 島秀雄

    島参考人 お答え申し上げます。  いまの御質問に際しまして伺いました御意見、きわめて適切な、私としても同感申し上げる次第でございます。  それで、システマティックにものをやるということ、いわゆるシステムとこのごろ非常によくいわれますが、それが大事なことはもちろんでありますが、それに対しましてその形態をほんとうに、何と申しますか形ではなくて内容がしっかりしていることが必要なんでございまして、それに対しましては、そのシステムを組み上げる個々のものが不確定性がないというところが非常に大事なんだと思うのでございます。  それで今度のN計画改定というのは、それはいままでもいろいろなことをやっておりますが、システムの形骸は整いましても、内容におきまして確実性が必ずしも十分でなかったというような点に注目いたしまして改定をいたしたのが根本の思想だと御了解いただきたいと思うのでございます。  それがたとえば、すでに非常にたくさんの数打ち上げられておりまして、平和目的に徹し、しかも日本にリリースすることができるとアメリカが言ってくれております既存のソーブースターを使いたい。それも、この宇宙開発計画根本目的の一つは宇宙開発をするということもございますが、同時にそれができるような国柄に日本を持っていきたいということにあるんだと考えますので、その意味におきまして、ただ単に持ってきて使うというのでなくて、その手本に従いましてものをつくり、またつくる技術日本に涵養したいということでソーライセンス生産をやるというふうに考えておるところでございます。でございますからその性能につきましては大体間違いないものと考えておりますし、それが日本でできるようになるということにつきましても、これは私どもの日本工業力調査、またいまお話のございましたマクダネル・ダグラス社のごときものの日本工業力を診断しての向こうの認識、そういうものとあわせまして予定のごとく十分日本の力を伸展していきましてそれができるというふうに考えておるわけでございます。  それから、それはいまのいわゆるブースターと称しております最下段の打ち上げる大きなロケットでありますが、その上につきます……。
  16. 前田正男

    前田委員 まだあと次質問していきますから、順番にひとつ……。
  17. 島秀雄

    島参考人 それでそういう種類のものも、これも——よろしゅうございますか。じゃ、またあとで……。
  18. 前田正男

    前田委員 あとから順番に……。  そこで、このシステムインテグレーター責任を明らかにしていく必要があるかと思いますが、個々質問させていただきますから、ひとつまた逐次お答えを願いたいと思うのでありますけれども、このN計画では、実はわれわれ小委員会でも、日本衛星を打ち上げようというそういう要求を持っておられるところからいろいろと聞いてまいりますと、現在のソーが打ち上げられております程度のもので百四、五十キロぐらいのところのものではあるいは要求が間に合わない。たとえば一番具体的に出ておりますのは世界気象機構におきまして気象衛星昭和五十年に二百五十キロ程度のものを上げてくれという問題もあるわけでございますが、こういうようなことに対しまして実はソー・デルタのほうも増強計画が行なわれておる。そしてその増強計画に合わしていくならばNもさらに増強されて約三百から三百五十キロぐらいまで増強できるんじゃないかというようなことで、ある程度のところまではこの気象の要望しておるところは間に合うんじゃないか。それ以上の四百キロとか五百キロとか六百キロとかあるいは一トンというような要望もあるようでございますけれども、一応三百五十キロぐらいのところまでは間に合うのじゃないかというふうな御説明でありましたけれども、それじゃはたしてソー・デルタ増強計画が順調に進んでおるかどうかという点が、今後ソー・デルタを入れましても百五十キロ程度でとまるならば、日本といたしましても一番実用衛星の数の多い二百キロ前後、二百から三百キロぐらいの間のものがこのNでは役に立たないわけでございますから、Nが増強されなければ意味がないわけでありますので、そういうことが順調に進むかどうかとりうことが、また私が調査に行きました大きな問題点でございます。しかるところ、このダグラスにおきましては六八年の計画、上げるのは大体みな一年おくれでございますけれども、計画としては六八年で、この従来の一段の横に固体のブースターを三本つけておりますが、その三本のブースターをつけまして、一段の液体を長くいたしまして静止軌道におきまして百二十キロのものをやりまして、それから六九年の計画におきまして、この固体のブースターを六本にいたしまして百六十キロのものをやる。これはカナダ向けのようでございます。それから七〇年の計画で、この固体のブースターを九本にいたしまして二百十キロのものをやる。七一年におきましてブースターを九本にいたしまして、二段からの燃料を切りかえまして、窒素を使う、そういうようなことで二百七十五キロをやる。それから七二年の計画でもって、ガイダンスを改良いたしまして、同じく九本のブースターでもって三百キロをやる。七四年で、ブースターを九本でございますが、さらに、うち三本を大きくいたしまして三百から三百五十キロぐらいのものを上げる。ここまでは大体設計をいたすことになっておりまして、需要も大体あるという見込みだ。具体的な計画ができておるのはここまでであります。そのほか将来案としては六百キロぐらいまでやりたいという希望を持っておりますけれども、これは需要もまたそういう具体的な計画もできていない。目録だけはできておる、こういうことでございます。  まあこの将来の問題はそういうことで問題になりませんけれども、現実にその設計をし需要を見込んでおる、こういうことならば、これはわれわれといたしましてもたいへんNの増強に役に立つわけでございますので、現場の、工場のほうも私ども見せてもらいました。しかしやはりお話のとおりで、六九年計画の六本のブースターをつけましたものはすでにほとんど完成しておりました。それから七〇年計画の九本のブースターをつけるものは現在組み立て中でございまして、これは現在のところどこへ使うということははっきりしてないので、一応NASAの倉庫に入れるということを言っておりましたけれども、すでに相当製作が進行しております。それから七一年から後の、この燃料の改良をする——さっきからの燃料改良問題は後ほど申しますけれども、現実にこれも進んで、エアロジェットのほうで改良の二段を現物を見せてもらいまして、相当進んでおるというふうなことでございまして、大体この計画は順調に進むように思うのであります。したがいまして、これをそのまま日本に入れてくるということになれば日本のNの改良計画も大体間に合いまして、少なくとも三百から三百五十キロぐらいまでのところはソーの改良型、Nの改良型、増強型でもって大体の衛星は上げられるのじゃないか。それから先のものは別に考えなければなりませんけれども、大体はそこの辺までいけるのじゃないかと思うのでありますが、しかしこれにおきましても、実はやはりこれを増強していくのにはシステムインテグレーターとしてのダグラス協力というものが必要であるし、またこの一段のステージをつくり、まとめておりますのはダグラスでございます。こういうふうなことについてもわれわれは協力が必要であると考えておるわけでございます。したがいましてこのNの改良計画につきましても、先ほど申し上げましたようなシステムインテグレーターとしての協力を求める必要があると私は考えておる。そうしなければNの改良増強計画が進まないと思うのでありますが、この点についてどう考えておられるか、ひとつお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
  19. 島秀雄

    島参考人 お答え申し上げます。  私どもNの計画改定案を考えまして委員会に御提案申し上げましたときは、もちろんこれを次第に改良、増強いたしまして、次第に大きくなってまいります要求に応じていくということを考え、それがまたできるというふうに見込みまして案を組み上げて、申し上げたわけでございます。それで、私もいまのお話にありました現物を見てまいりまして、いろいろダグラス社におきましても将来のものをつくっておるところを見てまいりました。私どもはそういう前例を踏まえましてこれを増強していく、増強していく実例がそこに示されておるのでございますから、われわれが考えました増強ができていくという考え方に裏打ちができたものと考えております。  それで、これは一体そういうものをいつまでも日本ライセンス生産でやっていくのか、できるだけ早くわれわれが自分でも知恵を加えてこれを増強していくようにできるのかということが問題であります。われわれは本来自分に力がつくということが第一でございまして、それが力が及ばないときはライセンスなり何なりをしてやっていくということでございます。そこにはできるだけ私どもとしましては自分でやっていきたいものと思っております。しかしそういう先例に従うということは、非常に貴重なことで早い道でございますので、そのときはちゃんとしたトレードオフを行ないまして、いい道をとっていきたいものと考えております。  それから、下のほうのステージの話を申し上げましたのでございますが、上のやつにつきましても、私どものほうのいまのN計画には、いままでQの計画で……。
  20. 前田正男

    前田委員 二段の問題はまた別にひとつ……。  そこでソー一段につきましては、このシステムの問題についてもシステム以外につきましても、一段技術導入ということについてはできるだけ協力するというダグラスの話でございましたが、さらにこのエンジンのほうはロケットダインでつくっております。ノースアメリカン・ロケットダインの工場も私行ってきました。ソー・エンジンにつきまして、いわゆるN計画一段に使いますエンジンでございますが、これについていろいろとお話を承りました。五百八つくりまして四百六発発射をしておって非常に安定をしておるということでございました。改良ソー・デルタのエンジンにつきましても十分に進めておるということでございまして、日本N計画における一段のこのソー・エンジンの協力についても、ロケットダインとしても技術協力することにはやぶさかでない。時間的に一体間に合うかというお話をいたしましたところ、N計画の五十年の目標に間に合うように、大体自分たちといたしましては三年半ぐらいでエンジンができるのじゃないだろうか。技術導入して三年半でできるのじゃないかというふうな話をしておりましたが、ただ問題は、一部のコンポーネントの部分あるいは部品の部分なんかが間に合わない場合が出てきた場合にはやはりそのまま導入しなければならぬのじゃないかということを申しておったわけでございます。  この点については、実は私は前に山縣委員にもお話し申し上げたのでございますが、私たちは先ほど島理事長の言うとおり、日本技術を確立することは第一の目標でございますから、技術導入をして技術を確立したい、こういうことは考えておりますけれども、しかし一方またN計画できめられましたものが導入の関係がおくれまして、それで五十年からの電離層衛星の打ち上げをはじめ、計画がずれていくということになってはこれまたたいへんなことでございますから、どうしても間に合わないものはもちろん逐次全部日本で国産化をし、技術を確立するということには変わりありませんけれども、計画の遂行に間に合わないときには一部のコンポーネント、部品を輸入するのは私はやむを得ないのではないか、こう考えておるのでありますけれども、今度行きましたらそういうような話がございました。三年半で大体できると思うけれども、場合によったらそういう必要もあるんじゃないかと思うというお話ロケットダインでありましたので、この際山縣委員にひとつこの点についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  21. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいまのお話、導入がおくれるような懸念もある、したがってハードウエアを、部品を導入したらどうかというお話でございますが、私ども日米技術協定をやります場合にもそれを考えております。したがいまして、ハードウエアを入れるということは、日米協定でできるわけであります。それを踏まえまして、いま先生からお話がございましたような事情、必要ならば当然部品を輸入するということも以前から考えておりますので、その点は御懸念ないと存じます。
  22. 前田正男

    前田委員 まあそういうことで、ひとつ必ずこの計画を実現するということが第一段階だと思うのでありますが、そこで先ほど島理事長ちょっと触れようとしておられました二段の問題につきましては、一応Qの三段に使おうとしましたものについて、ロケットダインが日本技術協力をしてこれをつくろうということで、現在打ち合わせ中のようでございます。ただ、これと同じものは現在ロケットダインにはございません。それの大きなもの、あるいは小さいようなものは燃料が違うわけでございますから、その違う燃料のものについては、やりました経験はありますけれども、これと同じものはございませんので、現在それを計画を進め、お互いに技術協力の話をしておる。しかしそういうことで、いまできておるエンジンを技術導入するのではなくて、能力の違うものはつくった経験はあるけれども、これに合ったものはありませんので、新しく計画を立て、設計をしていく。そういうようにして技術導入をしていって間に合うのかという話をいたしましたところ、大体自分たちは間に合うつもりでおるのだ、ただ間に合わないときは二年ぐらいたったら、もう間に合わなかったら現在のデルタのエンジン、これはソーとデルタでできているわけですが、現在のデルタのエンジンは、これはロケットダインじゃなしにエアロジェットでつくっているわけでございます。これはダグラスの現場におきましても、エアロジェットから持ってきましたものがそのまま並んでおりますけれども、エンジンとタンクとちゃんと二段のステージになってエアロジェットから入ってきている。ただ、ダグラスでつけますのは電機品をつけておるだけでございます。こういうふうなものをそのまま買ってきて使えばいいじゃないかというようなことをちょっと言っておりましたが、そういうことはわれわれとしては困る、やはりこの機会計画を立てて導入をしてやっていかなければならないので協力をしてもらいたい、こういう話をしてきたわけでございます。そうしてさらに、アトラスのエンジン等もございましたので聞いてみましたところ、これはすでにスペース用に使っておるのだ、こういう話でございました。  こういうことでございまして、私は大体現在の計画のN関係のものをダグラスロケットダインで見たのでございますけれども、いわゆるソー・デルタでございますから、デルタのエンジンをつくっているエアロジェットへ行ったわけでございます。そうしてエアロジェットでソー・デルタのいまのエンジンとタンク、ステージをつくっております状況を見学したのでございますが、実は非常にここで私は、いままで政府側としては知っておったようでございますけれども、私たちには説明のなかった事実でございますけれども、それは現在ソー・デルタというもののデルタのエンジンは、この際、先ほどダグラスが、計画にありますとおり七一年計画で燃料をかえて、そしてソー・デルタを改良しよう、こういうようなことでNASAからの計画に基づきましてデルタのエンジンを従来はE型といっておりますけれども、これをF型に切りかえる。そういうことでこれはすでにもう一年ぐらいの間でございますけれども、非常に早くこれができておるのであります。それはなぜかといいますと、エアロジェットはタイタンのエンジンをつくっておりますけれども、そのタイタンのトランステージのエンジンをそのまま持ってきまして、そうして燃料もそのときのエアロジン50それから窒素という非常に長くもち、安定をしておりますコントロールのしやすいストラブルでハイパボリックな、また着火の問題も非常に簡単なそういうものにしよう。これはいまのQの三も大体そういう形の燃料に切りかえようとしておられるわけでありますが、ところがそういうものをこれから日本技術協力して設計してつくろうという話で、この点については、われわれが各方面においていろいろこの問題について話をしておりますときにも、日本は五十年に上げるということであるので、新しくこの点をやるのはなかなか問題があるんじゃないか。試験、実験の回数等その他に問題があるので、ソー・デルタをそのまま輸入したほうがいいんじゃないかという意見もあったのでありますが、デルタのほうの二段のエンジンには燃料を改良した新しいものを入れて、将来もNの増強に備えていきたいという話であった。ところがこっちのエアロジェットに行ってみましたら、すでにそれができておりまして、そしていままでのEのものも置いてありましたけれども、それは最後で、これでもう生産は打ち切りだ。新しいFのほうのエンジンはモックアップができておりまして、そしてあと二段生産に流れておって、これは十一月から納入し、十一月から先はソー・デルタでは全部F以外は使わないということがNASAで承認され、ダグラス会社もそれで承認している。こういうように現実にできておるのがあるわけなんです。しかもそれは増強されてタイタンのトランステージとして何回も使っておりますから経験もあるし、また実射試験も行なわれておる。また燃焼試験も行なわれておる。そうしてしかもこの燃料補給は圧力タンクであるというように非常に簡潔な装置でございまして、またジンバル等も改良された非常に優秀なものがついておる。こういうものが現在できておるということを私は実は出る前は知らなかった。行ってみまして初めてこれがわかった。ダグラスからも増強計画の話は聞きましたけれども、そういう燃料を切りかえてやるという話は聞いたけれども、二段のエンジンはすでに十一月から切りかえられて、従来のエンジンはもう生産は停止しておる。こういうことがNASAでもきめられ、全部しておる。しかもそのものができ上がっておる、こういうことは知らなかったわけであります。私はこれを見まして——出る前からQの三段を日本でつくるということについてはいろいろ問題がある、おくれてくるんじゃないか、こういうことで心配しておる向きもありました。しかもそれだけでなしに、この際システムの点から見ましても、ソー一段にQの三段をつけるということになりますと、このシステム自身もつくりかえなければならぬ。そこでシステムにつきましても、つくりかえる時間もかかれば、システムインテグレートとしては金もよけい払わなければならぬ。ところがこのソー・デルタの改良型をそのまま使えば、そのままのシステムを持ってこれる。ペイロードが違いますから多少の計算は違わなければなりませんけれども、システムとしてはそのまま持ってこれる。時間的にも非常にいい。しかも片方のエンジンはもうでき上がったものである。燃焼実験その他の発射の経験はタイタンでは何べんもしております。ソー・デルタとして、改良型としては行なっておりませんけれども、しかし燃焼試験その他全部できておる。できたものをそのまま技術導入してつくるほうが非常に安定性があり、信頼度があるということは間違いないわけです。それでありますから、ソーの第一段を現在そういう理由でもってそのまま技術を導入しよう、こうしておられるわけです。なぜデルタの第一段のほうはそのまま技術導入し、二段のほうはせっかく改良型の最新のものができておるのに技術導入しないのか。そうして新しくこれも自分で、日本だけでつくるなら別問題ですけれども、ロケットダインで新しく技術協力を結んで導入する、しかもそのロケットダインはそれと同じものはつくっていない。これから設計し計算してやっていかなければならぬ。しかも発射実験をやらなければならぬ。そういうむだなことを私は実は初めてわかった。私はそのときにエアロジェットの連中に、なぜダグラスシステムインテグレートとして協力しますということをわれわれに言っておきながら、しかも計画としては七一年の計画で燃料を改定するということを申しておきながら、どうして私らにFのエンジンを使ったらいいということをアドバイスしないのかということも私はそのとき言ったのであります。そうしたらエアロジェットのほうは、それは他の会社のものであるというようなことでしなかったのじゃないか。リリースの問題は、すでにQの三でストラブルのハイパボリックなものを技術導入するということはリリースしておるわけでありますから、この改良型をリリースされることは、これは問題ありませんけれども、そういうふうなことで信頼度もあり、同じくリリースもできる。どうしてそういうことを、われわれが一番問題にしておりますところの金がよけいかかるということ、システムにも設計にもよけい金がかかる、そうしてしかも時間的にも一番間に合わない、こういうふうな信頼度においても一番信頼性のあるものをどうしてこの機会にやらなかったのかということを私は非常に疑問に思いました。帰りましてから、そのことは宇宙開発委員会島理事長おられませんでしたけれども、副理事長以下理事の方に事業団でも申し上げまして、この際これはぜひひとつ方針を切りかえてもらいたい。N計画の二段というものはこの際デルタの改良型のFを技術導入してやる、それのほうが私たちのこの計画も信頼性ができてくる、また早くできる、そうして最新の技術が導入できる、こういうことだと私は考えておるわけでございます。  この点については今日の段階ですぐに委員会としてきめられるということはむずかしいかもわかりませんけれども、しかしこういうN計画方針は、結局委員会で決定をされていかなければならぬことだと思います。そこで、ひとつこの際委員会委員長としては、この問題について、大臣として計画の問題についてよく御研究を願いたい。私もさらに資料を集めまして、この問題については十分に今後政府側と議論をしていきたいと思いますけれども、私は今度見学に行きまして、ソー・デルタを、技術を中心とした、N計画を中心とした面におきまして、そうしてこれが期待どおり計画どおりにいくかどうかということを心配してまいりました。行く前からもこの点については私にいろいろなことを言う人がございました。そうして私が一番心配しておりましたのは、システムインテグレートの問題とそれからこの二段の問題でございました。ところがシステムインテグレートの問題は協力してくれる。Nの増強計画のほうも大体ソー・デルタ増強計画でもって見込みができた。したがって、残った問題はこの二段の問題であると思ったところが、行ってみましたら、二段は改良型のものがすでに生産に乗っておる、こういうことでありましたので、これをこの機会に再検討していただきますならば、N計画というものは非常に安心してやっていける、あるいは場合によれば、さらにこの計画を短縮することもできるのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、この点についてはひとつ委員会におきましてN計画をよく御検討願いたい。私は今度調査に行きましてたいへんこれはいい収穫だったと実は思っておるわけでございます。このことは私たちの日本の今後の宇宙開発の進歩において大いに私は役に立つと思って、非常によかったと思っておるのでありますけれども、ひとつぜひそういうことについて——私は調査に行ったかいがあったと思っておるんでありますが、委員会におきましてもひとつよく御研究を願いたいと思っておるわけでございますが、それに対して、委員長立場からひとつ御返事を願いたいと思います。
  23. 西田信一

    西田国務大臣 宇宙開発計画のかなり大幅な組み直し、再検討をいま実施中でございます。そういう時期に際会いたしまして、前田先生は非常に御熱心にわざわざお出かけになっていろいろな具体的な調査をされて御提言をいただいておりますことはまことにありがたいことでございます。厚くお礼を申し上げます。  なお事業団を中心といたしまして、その計画の検討をいたしておるわけでございますので、私は委員会の方々と御相談を申し上げて、特に島理事長に渡米を願いました。そして最も責任のある立場において、具体的な調査、検討をして最近お帰りを願ったわけでございます。したがいまして私どもは島理事長からも、概略のことは御報告を受けましたけれども、近く正式な御報告をちょうだいいたしまして、そして委員会におきまして十分なひとつ検討を遂げまして、全体の結論を出したい、こう考えておるわけでございます。ただいまの前田先生の御意見を御意見として十分ここで理事長以下玉木先生も承っておるわけでありますので、十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  24. 前田正男

    前田委員 これは政府の決定されることでございますから、ひとつ政府側のほうで取捨選択していく、検討していただきたいと思っておるわけでございますが、さらにこの第三段のQの四につきましても、メーカーはたいへんアメリカ中に散らばっておりまして、直接全部行く時間的な余裕がありませんでしたが、エアロジェットでは三段のインテルサットにつきまして、つくっておりました経験がありましたので、参考意見を聞きましたが、なかなか三段目は——技術的に技術導入することはできますけれども、実際できましたものがなかなか正確性を保ってくるというのは時間的な経験その他非常にむずかしい問題がある。まあ五十年の初めに上げようという計画に間に合わないときは現物、これはわりあい小さいものでありますから、ある程度現物を一部輸入しないと間に合わないのじゃないでしょうか、技術導入されること自身はできるけれども間に合わないのじゃないでしょうかというような話がありました。これは参考に申し上げておきます。  そこでさらに私は、先ほども申しましたとおり、来年度の計画大型ロケット調査する、導入する必要性があるかどうか。あるいはその適否がどうか。こういうふうな問題で、その一つとして考えられるこのタイタンにつきましては、マーチン社に行って調べてみたわけでございます。これはすでに私も行く前から聞いておるわけでございますけれども、アメリカが御承知のとおり二年前に弾道弾といたしましては、液体のものは使わない。全部固体に切りかえるということでございましたが、現在マーチン社におきましても、いわゆる弾道弾として攻撃用兵器としては一切タイタンは使っておりません。それで、スペース用として、だんだんと比重をふやしておりまして、一般の打ち上げをしておりますが、ただ軍事用衛星は上げておるようでございます。普通に扱われておるようでございますが、いわゆる攻撃弾道弾としては一切使われておらない。そしてだんだんと一般の打ち上げと将来のスペース計画、宇宙ラボだとかあるいは金星の衛星を観察するバイキング、こういうものに使われていくようでございまして、従来ももちろん人間衛星にも使われたことがございます。ジェミニその他に使われたこともございます。それでありましたが、こういうものは一体平和利用として技術協力あるいは将来そういうものについて可能性があるのかどうかということについて、話を聞いてみましたところ、現在西ドイツが太陽観測のヘリオスという衛星をNASAと協力いたしまして七四年秋と七五年の夏に二回アメリカで打ち上げる、こういうことの話ができたようでございます。それに伴いまして、さらにヨーロッパのほうの人たちがタイタンのほうへ視察に来まして、さらに打ち上げてもらえるのかあるいはそういうことに伴って将来これは技術導入できるのかどうかというようなことを視察して回ったようでございます。そういったことについてこれはリリーフの問題もここでよく一、二年は十分に検討しなければならぬ。まあ向こうの話ではやはり一応打ち上げたから、打ち上げれば大体のことはわかるから、それから技術協力ということのほうがスムーズにいくんじゃないか。しかし日本として私も述べておいたのでありますが、そういう大型ロケットが必要であるかどうか。ということは、それだけの大きな衛星が必要性があるかどうかということであります。日本としてこのNの改良では間に合わない、Nの増強では間に合わないというような大きな衛星が現在のところ考えられておりますのは、アジア放送衛星とかあるいはアジア地域衛星だとかあるいは電電公社の大規模な衛星というようなものは間に合わないと思いますけれども、しかしそのほかにもたくさんあるのかどうか。たくさんあれば大型衛星というものをつくる。もう一つNのほかに大型ロケットというものを考えなければならぬし、数が少なければそれはアメリカへ持っていって打ち上げる、こういうことも考えられるべきじゃないかというように考えられるわけでございまして、そういうふうなことについての可能性その他を聞いてきたわけでありますけれども、最近大臣も欧州のほうに視察に行かれたそうでありますが、私も欧州のほうなんかもそういう可能性の視察をし、打診があったというように聞いてきたのでありますけれども、大臣のそういうお話、ヨーロッパのほうに行かれたわけでありますからお聞きになっておれば、この機会にひとつ明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
  25. 西田信一

    西田国務大臣 先般渡欧いたしました機会におきましても、宇宙問題につきましてESROの幹部の諸君と会って会談をいたしてまいりました。その際にヨーロッパの状況についても伺ったわけでございますが、時間の関係上きわめて簡略に申し上げますけれども、ヨーロッパでは七一年から——ESROの話でございますが、七一年、二年に三つの衛星を打ち上げる、これは科学衛星でございます。七四年、七五年にはさらにやや大型のものを二発打ち上げる、こういうような計画のようであります。応用衛星につきましては通信及びテレビ用の実用衛星を一九八〇年を目標に打ち上げる。その準備といたしまして七五年、六年ごろに実験衛星を打ち上げる。そういうような考え方を持っているようでございます。そこでそれに用いますロケットはヨーロッパ一型並びに二型を現在開発中であるようでございますが、それから先の問題につきましてはまだヨーロッパ三型というロケットの構想を検討中のようでございます。そこで先般ヨーロッパから代表団がアメリカに参りまして、いろいろな調査検討、あるいは話し合いを行なったようでございます。それはポストアポロヘの参加についてのアメリカ側に対するいろいろな打診と申しますか話し合い等もありまして、近いうちにこれらの返事が来る、それまでは何とも申し上げられないが、それとかみ合わせて、ヨーロッパ三号と申しますか第三型と申しますか、これはかなり大きな四メートルくらいの直径のもののようでございますが、そういうものをどうするかということは、そういうような検討と相まって将来の問題である、こういうふうに申しておりました。まだそこまで固まった考え方は持っておらないようでございます。  なお、ついででございますから伺ってきたことをちょっと申し上げますと、ヨーロッパで衛星関係のESRO、ロケット関係のELDO、二つの別々なものがございます。別々にやっておりますが、これではとてもばらばらでまずいということで、欧州宇宙会議というものも、これは閣僚会議のようでございますが、これは三者合体で一体化するということで話し合いがかなり進んでおるようでございます。中には、イギリスなどはややアメリカのほうに若干依存するというお考えがあるのか、ロケットに対しましては必ずしも足並みが全部そろっておるということではないようでございますが、来年の春ごろに、できるならば条約の署名を行なって、七三年ごろにはひとつ批准を行なって統合したい、こういう考え方を持っておるようでございます。  なお、そういう際の資金の関係でございますが、これは各国に割り当てをしているわけでありますけれども、いま申し上げましたようなヨーロッパ三型をどうするかというような問題と関連いたしましてかなりの幅があるようでありますが、年間二億ドルないし三億ドルくらいを考えておるということでございます。また現在は予算の資金ワクは三年ワクをきめておるが、その際にはやや長期的な見通しで、五年ワクの資金計画をつくりたい、こういったことも申しておりました。  なお、また日本宇宙開発につきましても向こうでもたいへん関心を持っておりまして、できるならばひとつ日本と公式な、あるいは事務レベルでもよろしいという何がございましたが、公式な会談といいますか会合を年に一回くらい行ないたいがどうか、こういうような向こうの提案もあったようなわけでございます。私ども、そのことは帰って十分検討したい、こう申してまいりました。
  26. 前田正男

    前田委員 これで質問を終わりますけれども、冒頭に述べましたとおり、本日政府はじめ、質問さしていただきましたとおり、われわれ国会側のほうも従来平和利用に徹して努力してまいっております。私自身もそういうつもりで努力してまいったのであります。さらに政府から、今日日本政府としても平和利用であることを明らかに再度確認をしていただきました。本日の質問の一番大きな問題点が明らかになったと思います。そういうことと同時に、今度行きました調査の私の立場上、私がNについていろいろと相談を受け、またそういうことについていろいろと発言をしなければならない立場におりました。それがそのとおりにうまく進むか進まないかというのは私の立場上調べる必要があるので行ったのでありまして、まるで誤解されたようなことが書かれてありましたのでこの機会に明らかにしたわけでございます。それらについては先ほど質問を通じて私の意見を申し上げておきました。政府において十分御検討されんことをお願いいたしまして私の質問を終わります。
  27. 北側義一

    北側委員長 次に三木喜夫君。
  28. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣もおられますし、それから事業団あるいは開発委員会山縣さんもおいでになる。幸いきょうは実際にやっておられる東大も来ていただいておりますので、ずばりと御質問申し上げたいと思います。  私は、前々から申し上げておるように、この宇宙開発というものに対しては、狭い日本であり、人材も少ないのですから、言うなれば一元化を強く望んでおる一人であります。しかしながら今日まで一元化ができない。そして今日やっておるところのミューによって東大は研究開発は打ちやめだ、こういうようなことには一応なっております。  次に問題は、この宇宙開発の名のもとに軍事利用がその陰で行なわれるということにつきましては、厳に戒めなければならないと思うのです。そのあかしは何かといいますと、要するに宇宙開発基本法をつくる以外にないと思う。これが一つの大きなあかしだと思うのです。そういう観点からきょうはひとつ質問をやりたいと思います。  そこで長官おいでになる間にしかと承っておきたいのですが、いま前田さんの質問あるいは御意見に対して非常にありがたいというおことばが出ました。それは聞いておるところによりますと、詳細に見てきていただいて、そして宇宙開発事業団ないしは委員会あるいは技術庁に意見をいただいたということですが、これはタイタンを導入せよという意味でか、あるいはまたダグラスがやっておるところの技術を導入せよという意味でか、要するに日本の国で開発をするというこの基本姿勢を捨てたというところでありがたいのか、どうしても導入せなければだめだという観点に立ってありがたいとおっしゃっておるのか、その辺を明らかにしていただくことが一点。  もう一つは、今度の通常国会で是が非でも基本法を出さなかったら、私たちの周辺にはすでに軍事利用のにおいがふんぷんとしてまいりました。うわさにもせよそういうことが載っていくということは、政府のほうに基本的なはっきりした姿勢がないからじゃないかと思うのです。巷間伝えられるところによりますと、三井だとかあるいは三菱だとか日産だとか、こういうところが軍事利用のほうへ傾きつつあるんじゃないかと私は思う。それに動かされるようなことがあるならたいへんなことになると思うのです。ぜひこの点を長官からはっきり言っていただきたい。  三番目は、あなたはヨーロッパに行かれた。しかしながらそのヨーロッパではすでに国威を傷つけずしてフランスは最初からこんな衛星打ち上げに失敗していない。そういうところをつぶさに見てきていただきたいと思う。そしてELDOとかESROというようなヨーロッパ連合の失敗を繰り返しておるところだけを見でこられたようなお話をいまされたのは遺憾に思う。その点ヨーロッパヘ、フランスあたりへ、どういう考え方を持ってあなたは行かれたか。私もあなたと相前後してヨーロッパへ行きました。その点は注目して帰ってきたつもりなんですが、どういうように考えておられるか。これははっきりといま聞かなかったら、ある議員に疑惑がかかったりするようなまことにぶざまなことが起こってくる。これはなっちゃいないのです。その点をひとつ長官として、あなたはいまその関頭にあるむずかしいときですから、非常に責任がありますよ。ありがたい、ありがたいと、そういうような抽象的なことをおっしゃっておっては、疑問はますます広がるばかりです。ここに明確に言ってください。
  29. 西田信一

    西田国務大臣 ありがたいということばを使ったことが誤解を招いてはいけませんからはっきり申し上げます。私は、いまわが国におきましても、宇宙開発根本的なと申しますか、根本に触れた再検討を行なっておるときでございます。したがいまして、そういうことに対して国会の先生方が非常に御熱心にいろいろな御検討をくださるということに対しまして私はありがたいということばを使ったわけでございます。決していま先生がお述べになりましたようなそういう方向に進めることを前提としてありがたいというようなことを申したのではございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、宇宙開発事業団が実施の主体でございますから、その理事長責任ある立場において調査をしてもらいまして、また方向もちょうだいいたしまして十分ひとつ検討をさせていただく。ただ一つの御提言としてございましたので、そういう御苦労に対しましてありがたいということばを使った次第でございますから、その点ははっきりさせておきたい。  それから次は、基本法をぜひつくるべきであるという御意見でございます。このことにつきましてはいまの御趣旨は、基本法がなければ平和利用ということははっきりした保証はつかない、こういうような御趣旨のように伺ったわけでございますが、私どもは先ほどからお答え申し上げておりまするように、基本法をつくるかつくらぬかということは別問題といたしまして——別問題ということは、先ほど前田先生にお答え申し上げましたように、最初から平和利用ということで進んでおりますし、現状におきましてもその考えは毛頭変わりはないということを申したわけでございます。しかしながら、基本法をつくるかどうかということにつきましては国会でもいろいろと小委員会までおつくりくださいましていろいろ御検討をちょうだいしているわけでございますし、そういう御検討の状況もかねながら、私どもといたしましてはこれにどうするかということについてこれから対処をしていかなければならぬと考えております。  それから次に、おまえはヨーロッパへ行ってきたがELDO、ESROの失敗のようなものばかり見てきている、フランスのことを調べてきたかというお話でございますが、私はそれは非常に限られた時間で参りまして、実はスウェーデンからの招請で参ったので主たる目的はスウェーデンでございました。したがいまして、その期間は私は少しでも時間をさいてそういう宇宙の問題あるいは原子力その他のいろいろな問題、環境の問題等についてもこの際少しでも見聞を広めたい、こういった気持ちで短時間、時間をさいて参ったわけでございましたので、フランス側の当事者と現場を視察しあるいはまた会談する時間を十分もち得なかったことはたいへん残念でございました。しかしながら、フランスがESRO、ELDOに参加すると同時に、その主要な国はまたみずからが別な予算で別個に宇宙開発の問題と取り組んでおるということに対しましては、いろいろな話を伺って、その熱意というものを感じてまいったわけでございます。またフランスが気象衛星を打ち上げるということについて、年度の打ち上げの時期について十分その確率があるだろうかどうだろうか。そういうことにつきましても実は若干いろいろ聞いてまいりましたけれども、打ち上げたいという考えを持っておるが、それを確実に打ち上げられるかどうかということについては、まだはっきり言えないというような話も伺ってまいりましたが、はなはだ十分な調査もできなかったことを残念に思います。
  30. 三木喜夫

    三木(喜)委員 まだ次に別の質問が続きますから、時間がないので大臣にはただ一言だけ申しておきます。いま御答弁の中でもわたし、疑問がつい出てきたのですが、これはあとで時間があったらお聞きいたすといたしまして、ただいま宇宙開発についてはタイタンをめぐって軍事利用といううわさが出ておるし、さらにまた週刊誌の伝えるところですけれども、東大の固体燃料に固執してやるのは、固体燃料は軍事利用しかできないのですから、それ以外精密なものは液体燃料ですから、そういうことがあげてミサイルにもっていくというようなことがうわさにもせよ出ておるときです。だから政府としては断固軍事利用にも宇宙開発事業団とかあるいは委員会とか、科学技術庁は参加しないぞ、このことを明確にいってくれということを私は言っているのです。そのあかしは何かというと、宇宙開発基本法というものがつくられることがあかしになるということを言っているのです。しかし、かつて科学技術庁は宇宙の定義がどうでございますとか、というようなことをいっておきながら、定義はわからぬくせをしておって、宇宙開発委員会という名前の委員会をつくったり、宇宙開発事業団というものをつくったり、定義がわからなかったらロケット開発でもいいですよ、衛星開発、これでもいいですよ。わからぬといって逃げておきながら、その実、自分らも使っておるじゃないですかということを言っておるのです。だから宇宙の定義でどうのこうのという遍照金剛を言わなくて、そして断固この際、この軍事利用というものには私は加担しないぞ、これを私はきょう最初にはっきりずばり聞きたかった。それをひとつお答えいただきたい。
  31. 西田信一

    西田国務大臣 そのことは、はっきり申し上げておるつもりでございます。平和利用以外は一切考えておらないということははっきり申し上げておきます。
  32. 三木喜夫

    三木(喜)委員 山縣委員がおいでになっておりますが、山縣委員からもひとつお聞きをしたい。それから島理事長、それから東大からもおいでいただいておりますが、同じことをひとつ聞かしていただきたい。
  33. 山縣昌夫

    山縣説明員 委員会といたしましては、ただいま委員長からのお話しのとおり考えておるわけでございますが、いまお話がございました宇宙開発委員会設置法の中で「宇宙」ということばがあるじゃないか、その定義がはっきりしておらぬ、こういうお話でございますが、私はこの設置法を立案した当事者ではございませんけれども、この設置法を見ますと、「宇宙」というものの定義はございませんが、「宇宙開発」の定義があるわけでございまして、「宇宙開発」というものは何かというと、人工衛星及び人工衛星打ち上げ用ロケット開発、その付帯のいろいろな設備、それから打ち上げ追跡、こういうことになっておりまして、人工衛星ということで宇宙開発というものの定義をまとめている、こう私は解釈しております。御参考になるかどうか存じませんが、私自身はそう考えておりますので、さよう申し上げておきます。  平和利用につきましては、委員会といたしましては委員長がただいま申し上げましたとおりでございまして、過去においても何回かここで申し上げましたが、委員会におきまして基本法につきましては何回となく議論をしておりまして、具体的のいろいろな検討はやっております。しかし、いま申し上げましたように、いろいろな、たとえば対象の範囲であるとか、規制令の問題であるとか、そういったようなことで具体的に考えてまいりますと、やはり技術的にむずかしい問題がございますので、まだ成案は得ておらないというのが現状でございます。
  34. 島秀雄

    島参考人 宇宙開発事業団は、宇宙開発事業団法に盛られておりますとおり平和利用に徹して仕事をしていく覚悟でございます。
  35. 曽田範宗

    曽田参考人 東大では御承知のように純粋に宇宙科学の研究ということでそのロケット開発したということでございます。固体ロケットはわれわれの目的とする宇宙科学の研究にはいろんな意味で非常に都合のいい面、やりいい面がございまして、いままでわれわれの力で開発したわけでございますが、固体ロケットによる宇宙観測というのは、これはアメリカあたりでもたとえばスカウトというようなもので非常にじょうずに使っておるものでございますが、われわれのところではこれは純粋にむろん平和目的ということでございまして、われわれのロケットが軍用にむしろ利用されるということになれば、われわれ自身としてもはなはだ迷惑で、われわれのロケットはぜひ平和目的のほうに利用してもらいたい。そのほうに利用するについてはわれわれのできる範囲では協力するつもりでおります。
  36. 三木喜夫

    三木(喜)委員 重要な問題ですので、明確にしておかなければいかぬという失礼な言い方をしたかと思うのですが、それではきょう東大からわざわざおいでいただいておりますし、こういう機会もそうたくさんないと思いますので、ミュー4Sの失敗したことについて、科学衛星にならなかったということは私たちも返す返すも遺憾に思うわけであります。そうして、この失敗の原因というものは、これが次の成功に結びつくためにという意味合いできょうはおいでいただいたのでありまして、どこまでも失敗したことをあげつらい、あるいはその責任を追及しようというものではありません。これは最初に明確に申し上げておきたいと思うのです。  そこで、打ち上げなさってからかなりの日数もたち、宇宙開発委員会のほうにも資料を提供なさって、相ともに失敗の原因というものを追及されておるように聞いております。しかし、この打ち上げの、いわゆる衛星責任者と打ち上げ責任者にきょうおいでいただいたのですから、失敗の原因は一体どこにあったのか。伝えられるところによりますと、スピンが二回転半ほどでいいものが六回転した、それがとまらなかったということはいわれておりますが、いよいよ突き詰めたところはどこか。それは二十五日時限ですね、いま言うた原因は。今日ではどこだったかということと、それから、そういうことを追及することのできない日本の国の法律的な欠陥と行政機構になっておるわけですが、こういうことを繰り返し、同じようなことを繰り返す部分品をつくったところの責任をどのように追及されるか。私はこれがなかったら責任体制は確立せぬと思うのです。その点を東大の責任者からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  37. 玉木章夫

    玉木参考人 ミュー4S一号機衛星を軌道に乗せることができませんで、皆さま方の御期待にそむいたことに対して申しわけなく思っております。ただいままでにわかっております、どういうことが起こったのかということについての調べました結果について御報告したいと思います。  ミュー4S一号機は、第四段目ケットの切り離し、点火といったようなことが行なわれませんで、そのために衛星を軌道に乗せることができなかったわけでございますけれども、点火が行なわれなかったということは、第四段及び衛星を水平に向ける姿勢制御が終わったあとで、その姿勢を保つために機体に与えますスピン、機体の縦軸まわりの回転でございますが、そのスピンが、姿勢制御の過酸化水素ロケットのうちの回転制御用ロールジェットと申しております、このロールジェットの一本が故障してとまらなくなったために、設計値の二・七回毎秒をはるかにこえまして六・五回毎秒まで上昇いたしました。そのために第四段の切り離し、点火その他の動作を行なっているタイマーの系統が損傷したというふうに考えられるわけであります。機体の姿勢のデータがとれておりますが、その記録によりますと、姿勢制御は発射してから二百三十秒後に始まりまして、約十五秒の間で機体はほぼジャイロできめられた所定の方向を向きましたが、それから二、三秒たちましてからロールジェットの一本が開いたままになったと見られる徴候があらわれております。そして、この姿勢のデータ、及びおのおののジェットの作動を示す信号の記録がございますが、これから判断しますとどのジェットが故障したのかということの推定までできます。  過酸化水素のジェットは、おのおの電磁弁と申しましてジャイロからの信号が来て弁についておりますコイルに電流が流れますとピストンが動いて弁が開き、そして過酸化水素が噴射口のほうに向けて流れる、電流が切れますとスプリングの力でピストンがもとへ戻りまして弁が締まるようになっております。姿勢制御の終了の際に電磁弁に電流を流すための電源を切るわけであります。これが切られたことは確認しております。そして再スピンモーターという一対の固体ロケットでスピンが設計値の二・七回転毎秒にほぼひとしい三回毎秒という値になっております。ここでその後は一定の値を保つものでありますけれども、それが約百秒の間に徐々に増加して六・五回毎秒になっております。この増加の状況、スピンの増加がスピンが時間に対してどう変化していくかという曲線でありますけれども、これは一本のロールジェニットがほぼ全開の状態で余っておりました過酸化水素全部を噴出したということで計算した場合の値とほぼ一致しております。このことからも一本のロールジェットの電磁弁が電流を切ってからもほぼ全開の状態で締まらないでいたというふうに判断できます。  この姿勢制御装置に使っております電磁弁は輸入品でございますが、ジェットの推力の大きさに応じて同じ会社、同じ形式のもので流量の違ったもの二種類を私どもで使っております。小さいほうのものは、これは昭和四十年カッパー10型、姿勢制御の最初の試験をやりましたロケットでございますが、これ以来、ラムダ4S、ラムダ4T、ミューの3D、さらに今回のミュー4S一号機でも上下左右の制御に使うジェットには使っております。これまでに大体七十個ほど使っておりまして、一度も故障したことがございません。したがって信頼性が非常に高いものだというふうに考えております。  問題になりましたロールジェットのほうは推力がやや大きい値でありますので流量の少し大きいほうの弁を使っております。この大きいほうの弁につきましては実地使用の経験が今回のミュー4S一号機を含めて二基でございます。これは小さいほうに比べて使用回数は少ないのでありますけれども、今回のミュー4Sのものにつきましては十回ほど地上試験を行なっておりますし、また、発射のすぐ前の弁が正常に働くかどうかの動作チェックというのがございまして、こういったところでいままで何の異状もなく働いておりました。そういうことで小さいものと同様な信頼性があるというふうに考えております。  それではなぜこれが突然故障したかということにつきましては、それはいろいろのことが考えられるわけでありますけれども、たとえばスプリングが疲労でこわれたのではないか、あるいはピストンが何かの原因でなめらかに動かないでひっかかるようになってしまった、いろいろなことが考えられます。またこの流量がやや大きいものだということが何かの故障を起こしやすい原因になっているのではないか、そういうようなことも考えられるわけでありまして、こういった事情をこれからはっきりさせていきたいと思っております。耐久試験とかあるいは温度の影響はないかとか、振動試験、これは事前にずいぶんやっておりますけれども、またあらためてやってみる、とにかく実際の使用条件よりもかなり過酷な条件を加えましていろいろ試験をやって、一体どういう場合にこういう故障が起こるのかということを明らかにしたいと思っております。  それからタイマーの系統に何か異常があったというふうに考えられるわけでありますけれども、これについても、正規の使用条件より過酷な遠心加速度を受けたような場合にどの部分が故障を起こすかということについて、この際はっきりさせておきたいと思いまして、一連の実験を計画して、いまそれを始めたところでございます。  こういったことにつきましては、宇宙開発委員会技術部会第一分科会に先日、これまでにわかっておりますことを御報告いたしまして、議論していただいたのでありますけれども、今後も引き続いてこういった試験の結果とか、あるいは今後どうやっていくかということについておはかりして、討議していただきたいというふうに考えております。
  38. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いずれ詳しい検討ないし御報告は科学技術庁を通じて国会のほうにもなされるだろうと思いますが、そのことを望みますけれども、いま概略の疑問点をお聞きしたわけであります。  ただ、私が申し上げたいのは、そうすると部品に問題があったのか、それを操作したあなた方に不注意があったのか、それを組み立てたメーカーにあったのかということがいまの段階では明確でないのですね。それを明確にされるのだろうと思いますけれども、さしあたって二十五日の各紙の論調を私拾ってみた。そうしますと、各紙とも共通していっておることは、部品の欠陥だ、こういうことばで書いておるわけです。部品の信頼性が問題だということ、こういう書き方をしておるところ、また信頼性の低い部品、こういういい方がしてあることが目立ちます。ただいまお聞きしたところによりますと、これはたいへんに信頼性の高いものである、カッパーから制御、上下左右のジェットにいままで七十回使って一度も故障がない、信頼性の多いものである、今回大きい弁は二基しか使用していないのであるが、地上実験を十回ほどやった、こういうことになりますと、新聞に書いておる第一の段は全部取り消さなければならぬことになると思うのですが、「部品の欠陥」「信頼性の低い部品」日本の有数の新聞がこういうとらえ方をしておるわけです。私もそのように思っておったわけです。そうしたら第二の論調はこういう論調で書いてあります。「初歩的なミス」「基本的ミス」こう書いておりますが、そうすると、このほうに重点を置かなければならぬということになると思う。しかしそのほかにまだ考えられることがあるようでしたら言っていただきたいと思うのですが、要するに、「おおすみ」が昔の紀元節の日に打ち上げられた。あなた方東大が国威発揚ということをお考えになったかどうか知りませんけれども、これはラムダの場合でミューにはなっておりませんけれども、日本をあげて非常に功績をたたえた直後の、ミューに移ったとたんにこういうことが起こった。そうすると、新聞に書いてある「初歩的ミス」「基本的ミス」ということになる可能性があるのですか、どうですか。そうするとやっぱり東大の打ち上げ体制に問題があったというようにわれわれは思わざるを得ないのですけれども、またある新聞の一つだけはこういうことを書いております。決して東大側を責めるべきではない、むしろこの組み立て、こういうところに問題があるんだろうというようなことも書いておるのですが、その辺どうなんでしょうね。もう一回お伺いしたいと思う。
  39. 玉木章夫

    玉木参考人 この問題になりました電磁弁というものにつきましては、それを組み立てると申しましても、そのものを過酸化水素のエンジンの中につけるということでありますから、特にこの部分をこしらえたメーカーが組み立ての上で何か問題があったんじゃないかということはないんじゃないかと思います。  それから信頼性ということの考え方でございますけれども、信頼性をあげるということは、やはり突き詰めていきますと、どういう原因でどういう現象が起こってそれが故障につながるのかというようなことを、非常にはっきりつかむということが大事なことだと思います。そういう意味で今回も十分調査したいと思いますが、そういうことによって故障の起こらないような信頼性の高い設計あるいは信頼性の高い使い方というようなことを勉強していきたいというふうに考えます。
  40. 三木喜夫

    三木(喜)委員 理屈をこねるのではないのですが、非常に信頼性の高いものを使われる、地上実験も十回なさった、そうしてたった一つのガスジェットの穴が開きっぱなしで、そこから全ガスが噴射したんだ、だからスピンが六回も回った、そうして六回回るその熱でタイマーが故障したんだろう、こういうことになりますと、たった一つのジェットがいうとおり締まらなかったのですから、信頼性はないのじゃないですか。それを信頼性があるということは一体どういうことなんですか。  それと、これは山縣さんにお伺いしたいのですが、これをいよいよ突き詰めたときに、いま東大側はメーカーには責任がない、組み立てたほうには責任がないんだ、こう思うのですけれどもというお話でしたが、こういうのをチェックできないのですか。いつまでもこういうことをやっておれば、えりを正して組み立ててくれるというようなことがないのじゃないかと私は思うのです。そういう心配を非常に持つのです。東大はいまメーカーをかばって言われておりますけれども、これもお立場はわかります。わかりますけれども、国費を投じてやる以上、これはメーカーに責任を持ってもらわなければならぬ部分、打ち上げで十分気をつけなければならぬ部分、それから購入した部品がだめだというのだったら責任を持ってもらう部分というものを明確にしなければいかぬ。総合的なものであることはわかります。前の五倍からの部品がこれに入っておるのですから、ラムダよりもかなり部品が多いですからね。問題はあると思いますけれども、そういう点を日本ではチェックする、そして責任を追及するというところまでいかない。メーカー側も、それから研究者側の東大も、それから宇開発委員会内の部会も、あげてこの問題には取り組んでいただいているだろうと私は思いますが、その責任がいつも不明確のままに進んでしまうのじゃないかと思う。これは余談になって申しわけないのですけれども、私がここで取り上げたのは、あの南極観測船「ふじ」のスクリューが折れた、材質が悪かったのかどうかということ、あるいは組み立てが悪かったのかどうか、こういうことを明確にしなかったら科学の進歩にはならぬ、こういうふうに申し上げておるのですが、山縣先生、それから東大側もその点をもう少し明確な御答弁をいただきたいと思うのです。信頼性の非常に強いものをやっておると言いながら、ジェットの一つも穴があきっ放しだったというようなぶざまな話でしょう。そして信頼性の高いものだったということになると、どこまでも操作上のミスか、新聞には初歩的ミス、基本的ミスということが書いてあるので、私もそうじゃないかと思うのです。あとそういう問題について申し上げたいと思うのですが、初歩的ミス、基本的ミスということばであらわれておるのです。
  41. 山縣昌夫

    山縣説明員 御承知のように宇宙開発委員会におきましては、計画部会と技術部会があるわけです。この技術部会の中に第一分科会というのがあります。それで、この第一分科会の任務は、東京大学及び事業団でいろいろな打ち上げをおやりになろ、その打ち上げの成績を出していただきまして、それについて十分な御検討を願う、非常にぐあいのいい場合にはよかったということを評価し、また失敗がありましたときにはその原因について明確にするということが任務でございます。  先ほど玉木教授からもお話がございましたように、今回のM4S一号機につきましては、先週の金曜日、十月九日でございましたか、東京大学からいろいろな資料を出していただきまして、引き続きまして検討されることになると思います。ただいまのお話責任の問題でございますが、これは原因がはっきりいたしました場合に、当然そこで責任がどこにあって、その責任に対してどういう措置をとるかということになるのだろうと思いますが、いま申し上げましたように、第一分科会で原因がはっきりいたしますれば、そこで責任がどこにあったかということがはっきりすると思います。しかし、それをどういう形と申しますか、どういう方法で追及するかということになりますと、これはどうも委員会の所掌じゃないような気がいたしまして、まだ検討したことはございませんが、今後考えてみたいと思います。
  42. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それはわかります。委員会でそれをとっちめよと言っているんじゃないのですけれども、その点が日本の法体系とか、あるいは行政の面では不明確ではないですかということを言っているのです。委員会でとっちめてくれということを言っているのじゃございません。これは、新幹線の功労者である島理事長がおいでになるのですが、スピンがかかったまま新幹線がとまらなかった、それにお客が乗っておったということになると、これはたいへんなことですね。これはたまたま内之浦で打ち上げて、太平洋の中に沈んでしまうから、それまでのものかもしれませんけれども、五億円もかけるということになりますと、これは中学校が二つも建ちますよ。そういうことから私はやはり責任を明確にしていかぬといけないということを言っているわけです。  それで、次に移りたいと思うのですが、いまお話がありました根本的な原因ですけれども、これは東大側に反省してもらいたいのですが、私は、根本的な原因はあなた方のあせりにあるのじゃないかと思う。弾道飛行でもう少し性能を確かめられたらどうだ。ラムダがまだ三機残っておるのでしょう。なぜこれを飛ばしてからミューに行かれぬのですか。時間的な余裕がないからという意味ですか。新聞の論調を見てみますと、スピンに対する根本的な技術、第二に風に弱いという欠陥、第三はシステムの信頼性向上、いわゆる組み立てですね、この三つが指摘されております。そして「おおすみ」の成功を手放しで喜べないことが明らかになったということを新聞紙上も伝えておるのですが、やはりこの三つを克服するのには、根本的な原因であるところの問題を弾道飛行の中でやるべきだということを、前のラムダが相前後して三機失敗されたときに私は国会で申し上げた。今回もその感が非常に強いわけなんです。いきなりミューにかかって、人工衛星をそれに乗せて、そしでスピンが回り過ぎた、ガスジェットが開いたままで閉じなかった、こういうようなことでなく、もう少しやっていただける面があったのじゃないだろうか。根本的な原因を見るならばあせりにあったのじゃないですか。七回も八回も延期して、五メートルの風が吹いたらもう上げられない。ラムダは五メートルの風には平気で上げられたようでありますが、ミューは胴体が大きいですから、風に対して抵抗が強いというところから、七、八回延期されておる。勘ぐりようによっては七、八回延期された中で、今回はもうだめかもしれない、しかしあれだけ前宣伝をやったのですから上げざるを得ぬ、こういうことがあったのではなかったのですか。弾道飛行の問題と、それから今回はすでにその結果に気がついておられたのじゃないかとさえ思う、この二つについて、東大側から御返事いただきたいと思います。
  43. 玉木章夫

    玉木参考人 ラムダにつきましては、ラムダ4Sが一機残っております。これは今後の科学衛星のいろいろな姿勢制御でありますとか、そのほかの科学衛星の今後の設計に必要なような試験をやるものとして使いたいというふうに考えております。  ラムダ一機だけでミューにいきなり進んだのはあせっているのではないかという御意見をいただきました。あせっているというようなことは、私どもそういう気持ちは持っておりません。ミューにつきましては、昨年ミュー3Dというのを実験いたしました。二段のロケット、それから姿勢制御と四段目を、部分的に推進薬を持っておるものでありますけれども、それをふかせるという実験をやりました。今回は三段目のモーターが初めて実際の飛しょう実験をやりました。それから四段目の推進薬がやはり入っております点が、前にやっていないことでありますけれども、ラムダを使いましていまの方式で衛星を打ち上げるということの可能といいますか、この方式で衛星が上げられるということは確認できたと思います。  それからミューの次の段階としては、やはり四段全部積んだものをやるのが適当であるというふうに考えまして、ラムダでもう一度あるいは二度試験してからというような考えもございますけれども、実はラムダとミューはやはりロケットの大きさが違うということ、あるいはそれの各段の燃焼する高度が違うとか、いろいろなことがございまして、こまかく言いますと、ラムダはラムダなりの問題を持っておりますし、ミューはミューなりの問題を持っております。私どもはこの時点でミューの実験に進むほうがよいというような考えで実験をやりました。決してあせって早くミューを上げようというような気持ちではございませんでした。  それから八月天候が悪くて、特に八月は風が強いというようなことで、また九月にやるということにいたしましたけれども、御承知のように現在実験の期間というものが八、九月と一、二月というように限られております。ミュー4S初めての飛しょう実験でございます。できるだけ天候のいい状態、最初のものは少なくとも天候のいい状態、一、二月は若干八、九月に比べると風が強いというのが常識でございます。初めての飛しょう実験の場合、これは単に風の修正ということだけではなくて、各段のロケットの切り離しとか飛しょう中に経路が片寄るとかいろいろなことが起こるかどうかということも試験しなければならないわけです。そういう意味で、できるだけ条件のいい静かな日にやりたいということで、九月には——大体毎年の統計から見ましても、八月はかなり異常だったわけでありますけれども、九月が正常になれば実験はやれるという考え計画したわけでございます。
  44. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私が申し上げるのは、ミュー4STというものが打ち上げられ、さらに4SD、いきなり人工衛星を積まなくて、その二つをやってみて、その後にミュー4S、そうして人工衛星とこう組み立てていくべきでなかったかということを申し上げているので、見解の相違もあろうと思います。そうなりますと、ミュー4Sというものには多分に射幸性というものがつきまとうわけであります。フランスなんかは人工衛星打ち上げるのにそうやかましく騒ぎ立てぬわけです。「おおすみ」が上がったのならこの次はミューに対して十分の手を打って、国民に対してそういう射幸性をそそらないようにしてやってもらいたい。どこまでも科学の研究ということなら、そういうことが私は望ましいと思うわけなのであります。  そこで、第二のほうに進みたいと思いますが、普通なら失敗は成功のもとということになるのですけれども、この成功がそうしたら次のNだとかあるいはQだとか、あるいはQではややこしい話が出ておりますけれども、それは別問題にしまして科学技術庁の打ち上げるところの人工衛星というものにどう結びつくかというと、その結びつきが私は問題だと思う。どこまでも固体でしょう。そうして無誘導でしょう。四段目だけ誘導制御をつける。行く行くはあなた方のほうでも計画をお持ちのようであります。しかしながらそれはほんの言いわけになると思うのです。スラスト・ベクトル・コントロール、推力方向制御というものをいま研究されて、第二次噴射の研究に入っておられるそうでありますけれども、これを研究したなら私はミューにつけてもらいたかった。いまからやっては申しわけ的になりますよ。そういううらみは非常に強いわけでありますけれども、どういうようにこれを、全段液体に切りかえられた科学技術庁関係衛星——あなた方は固体をやはり入れておられる、このやり方とのつなぎをなさるか、これは山縣さんや島さんにぜひお聞きをしておきたい。できないじゃないかということです。そうすると東大は東大だけに終わってしまう、そういう懸念がしてしかたがない。この点ひとつ島さんや山縣さんからお聞きしておきたいと思う。
  45. 島秀雄

    島参考人 私からお答え申し上げますが、ロケットの推薬をいろいろなのを選びますということは、それぞれ用途に従って選ぶものだと考えております。私どもは大きな衛星を確実なところに上げますということになりますと、初めのうち勢いのいいところを、ちょうど鉄砲でねらって撃つようなぐあいにぽんとやっておきまして、それから先に行ってかじをとるというのではなくて、手元を出るときからかじをとるほうがよろしいということで、いまのかじのとりやすい液体ロケットを使いまして初めからやっていくということを考えておるのでございますが、同時にそれほど正確を要しないときは、より簡便な、鉄砲で撃つ式のものでやったほうがよろしいと私どもも考えておりますものでございますから、今度のN計画の上段を開発いたしますときに、N計画の下のほうの段も一方で開発しておりますが、それと同時に、上のほうを開発いたしますのには、下の大きいのを使いませんで、簡単な鉄砲で撃つ式の固体でねらいをつけてぽんと撃ちます。それは精密に誘導しないのでございますから、ぽんと高いところに打ち上げ、そうして高いところに上がっていくということだけにそれを使いまして、それで上のものをいろいろ高いところでの性能を向上するのに使う、そういうことに使おう、でございますから、私どものほうもそういう意味では固体ロケットというのはたいへん役に立つものだと考えておりまして、やはり応用していく。だから高いところに打ち上げるというためのエネルギーを発生さすのには、固体のいい場合もございますし、液体のいい場合もございますので、それぞれ用途に従って選ぶものと考えております。  私どものほうは、重ねて申し上げますが、私どもの実用的な最終的な目的というのは、非常に精密なところに上げなければなりませんから、最初からかじのとりやすい液体ロケットを使おうと考えたわけでございます。そしていま申し上げますように、それほど精密を要しませんけれども、性能だけを調べたいというようなところのものは固体のものを、これは東大のはすでにりっぱにその打ち上げということにつきましては確立しておりますので、それを流用させていただいて、それでやっていきたいと考えております。ただいまのミューのロケットでも、この間は打ち上げまして、上のほうに行って不幸にして目的を達しませんでしたけれども、下のほうの第一段目、第二段目などは予定どおり非常にみごとに飛んでおります。これはもともと誘導を持っておらないのでございますから、風向きその他天候を選んでやるという不便がございまして、これまたいつでもぽんと打てることが必要だという軍事の用のものと違いまして、科学的な研究あるいはいろいろなものの研究でございますから、天候の回復を待っていく、しかし、だからわりあいに安く上がるというような手をとるのももっともだと思って、私どもはそれを拝借して使うことにしております。  以上でございます。
  46. 三木喜夫

    三木(喜)委員 せっかく御答弁いただいたのですが、島さんらしくない御答弁だと私は思うのです。精密度を要するものについては液体でなければならぬ、そして全段誘導でなければならぬ、こうですけれども、宇宙開発事業団が用途によっては固体で打ち上げて、そしてそれで目的を達するような横道をしておる間があるのですか。私は全段精密を期してやってもらいたいし、それなるがために液体に全部切りかえられたのじゃないですか。そしてアメリカでもすでに固体燃料の場合は軍事用しかないのでしょう。液体の場合はもう一回回収される。固体そのものになれば胴体まで傷つけることが非常に強いので回収不可能なんです。三回、四回ぐらい回収して使っております、アメリカに行ってみますと。私もこの間行ってみたが、これはみんな液体燃料です。そして現在翼をつけてもう一回回収するという研究まで進められているし、将来日本アメリカとの間は三十分くらいで行き来するようなロケットが飛ぶということになりますと、これは全部液体だということが定説になっております。事業団が足して二で割るような考え方で、東大側もちょっとなだめておかなければだめだからというような考え方で御答弁いただいたら、国民は迷惑すると思うのです。固体燃料でやって、そのこと自体がそれきりぽっきり終わってしまうのなら困ると思うのです。そういう心配を持つわけです。  時間がありませんから、私の言うことだけ先に言っておきたいと思うのです。あとで御答弁いただけるならしていただきたいと思います。  それから、東大側の科学衛星とは一体何のことですか。私はここにも東大側のごまかしがあると思うのです。科学衛星なるものは、私が調べたところではアメリカではもうすでに、それは軍事目的もいろいろあるでしょうけれども、特に大きいアメリカ衛星はすでに科学衛星の役目を果たして、いまも生きておりますけれども、スイッチをみな切ってしまっております。OGO、OAO、大きいものはもう科学的な役目を果たした。数百個上がっております中でコスモスは三百個、米国はそれ以上上げておるだろうと思うのですけれども……。科学でどこをどういうように調べるのか、国民を瞞着するような感じがしてしかたがないのです。そして東大それ自体の研究を温存しておこうという方便にすぎないような気がするのです。東大をこういうぐあいに研究させて利する者は一体だれなのか、ここまで追及する必要があると思うのです。まさにばくち的な打ち上げ方をやって、そしてその陰で笑う者は一体だれなのか、私は東大ではないと思うのです。なぜ早く宇宙開発事業団の仕事と提携していただけないのか。本年もまた予算をとられるでしょう。大蔵省も喜んで予算をつけるかっけないかそれは知りません。私はこの一つの失敗をとやかく言うのじゃない。これが事業団の打ち上げるところの衛星につながるのならいいのですけれども、つながらない公算が非常に強い。それなら一緒になってひとつやっていただいたら、労力の節約の上からも経費の節約の上からも非常に有効でないかという、私は冒頭申し上げました一元化論者です。いまもって一元化論者ですけれども、そのメンツを両方立てねばならぬということ、二頭立ての馬は依然として走っておる、その中に、軍事利用するのじゃないかというような——アメリカの御協力を仰ぐ、そのことが軍事利用につながるのじゃないかという疑いさえ出てくる。まことに危険千万なことであります。学者の良識とそれから行政当局のほんとうに行き届いたやり方によって両者一本化の必要を私は感じます。  これはきょうはこれで言い切れません。ほかのいろいろなデータも用意しておりますけれども、その点だけ東大側からあるいは山縣さんから聞いておきたいと思います。そして最後に長官にちょっとお伺いしたいことが残りましたから、それだけ申し上げてきょうは終わりたいと思うのです。
  47. 曽田範宗

    曽田参考人 私どもの研究所は御承知のように宇宙科学者のグループとそれから宇宙に関しては宇宙工学、いわゆるロケットのほう、その他技術的な面を研究開発するグループとございます。私申しわけないのですが、実は宇宙科学の専門家じゃございませんので詳細はわかりませんけれども、われわれの研究所ができますときにその問題はすでに十分議論されまして、そしてわれわれの研究所は宇宙科学、それから宇宙工学、航空、この三つ一緒にやるにふさわしい研究所として意味があるということで設置をされまして現在までやっているわけでございます。宇宙科学がどの程度の成果をあげているかということは、専門的の意味では、私十分な理解が届きませんけれども、これはいままでのわれわれの宇宙科学の中から生まれました研究は、各種の国内あるいは国際的な会議におきましてたくさんの仕事が出ております。また外国からも関係の科学者が実に応接にいとまないくらい来ておりまして、始終そういう研究成果の交換をやっております。そのうちの一、二と申しますか、幾つかのものは新聞なんかにも——新聞に出ることがどれほど意味があるかわかりませんが、かなり評価されておる。業績もあがっておるというようなことも聞いております。その成果の評価はいろいろありましょうが、当人が意味ありと考えてやっていることは、これは学問の自主性というところから、大学では自由にやっております。そして全体の大学のあげた研究成果に対する評価というものがどういうように行なわれるか、われわれはそれは学界で評価すべきだと考えます。そういうことがございまして、私どもとしては成果はあがっていると考えていますし、いまの宇宙科学グループというものを無意味だとして、急にどうしようというような理由はないのじゃないかというぐあいに考えております。  それからいまお話の出ました一本化の問題でございます。これは歴史的に見まして幸だったのか不幸だったのかわかりませんけれども、日本では東大でロケットのごく初歩的な段階から開発研究が行なわれたという歴史的な事情がございます。その後日本でも国としての宇宙開発の施策が出まして、現在のような形が歴史的に見て一番いい形だというように宇宙開発委員会のほうでも答えが出まして、その線に乗ってわれわれも活動しているわけでございます。新しくできました事業団島理事長のほうとは種々連絡もございます。  それから、どういう形で協力していくか——この一本立ちという考え方はたいへんけっこうなんでございます。私もこれは大賛成なんでございます。ただ具体的な形はどうしていくか。現在、とにかく一番大きなロケットは、不十分なものであるけれども、東大が開発するというのは事実でございます。それから将来のイメージとして、事業団計画というものが日本宇宙開発の柱になるということ、これも明らかな事実だと思います。将来、われわれのところも科学研究というものを柱にしておりますが、それがわれわれ現在はM計画ということで、開発のほうはスローダウンするということははっきりしております。おりますが、その先、たとえばアメリカ的な非常に規模の大きなものというような場合に、事業団のほうにこちらのほうからいろいろな協力をお願いしなければならぬというような点はたくさん出てぐると思いますが、そういうことは時々検討、相談、あるいは文部省、あるいは宇宙開発委員会、いろいろな関係方面と相談しながら、これからのいい形、一言で申しますと、やはりむだのない日本の形というならそれはそのまま一本化ということになると思いますが、そちらの方向にいくということは私も大賛成です。
  48. 山縣昌夫

    山縣説明員 ただいまの宇宙開発実施体制の一元化の問題でございますが、この問題につきましては、この席で何回か繰り返して私の考えていることを申し上げたわけでございますが、いま曽田先生からもお話がございましたが、要するに、原子力の場合と違いまして、宇宙開発というものがまず東大から始まった。これは東大は何も、科学観測をやりたいのであって、ロケットとか衛星ということはその手段として、当時ほかにやるところがなかったもので、おそらくやらざるを得なかった、こういう歴史的背景があると思います。  そこで、こういうことを踏まえますと、われわれは、ただいま先生一体化というおことばをお使いになったかとも思いますが、要するに、一体化と一元化というものは区別して考えていいのだろうと思います。将来の姿としては一体化を私どもも望んでおりますし、また昨年の宇宙開発計画の中にもそれをうたってございますが、ただいまの歴史的な背景もございますし、また先ほど来いろいろお話がございましたように、実は事業団自身もいま早々の際でございまして、いますぐ東大の仕事を全部引き受けるということは実際問題としては不可能、あるいはまたそれを強行すればかえってマイナスの面が出てくる、こういうような事情もございます。そういったようなことを踏まえまして、私どもとしては、一体化ということは次の段階といたしまして、まず一元化ということでやっていけばいいんだろうというふうに考えております。そのためには、委員会がその間の進行状況、そういったものをいつも見ておると同時に、事業団自身も東京大学と十分なコンタクトをいたしまして、東京大学のいろいろな開発成果を事業団に反映させるということが必要でございます。御承知のように、すでに事業団理事の中には、東京大学の方も兼任で入っておられますし、またいろいろな形で御相談に乗る、あるいは技術委員会も組織されまして、東大の方の知識をいただくというような機構をおつくりになっておりまして、そういった意味で、一体化は次の段階で、さしあたりは委員会におきまして一元化をするという方針でございます。  さて、それならば一体化はいつであるかということでございますが、これも開発計画の中にございますし、また先ほど来るるお話がございましたように、東京大学のM計画というものが十分信頼がおける程度、そういった場合には東大はロケット開発はおやめになるということになっております。しからばそれをだれが判断するかということでございますが、これは委員会が判断いたします。委員会で、Mロケット、M計画というものが十分信頼性が出てまいりまして、少なくとも普通の科学観測には十分役立つということになった場合には、今度はMロケットというものは既成品みたいな、一種の商品みたいなものになってしまいまして、そこで東大は開発を終わる。その時期におきましては、そういう先ほどのお話の一本化は完全にできるだろうと思っております。
  49. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣にお伺いするのは、うちの大臣ですからまたいつでもお伺いできるし、やはり時間を守らなければいけませんから……。  そこで、いまのお話の中で非常に力強い感じがすることばも聞きましたし、わが意を得たりというところもあるわけなんですが、一体化とまで東大側から話が出ましたので、けっこうなことですし、さしあたり一元化に努力をされるということもけっこうです。ただ、東大のほうに対して私は今度は質問状を出しますから、きょうはもうここでやりとりいたしませんが、科学観測で成功した、こういうところはどこかということを、私も専門家と一緒になって検討してみます。何もあなたのあげ足を拾おうというわけではございません。さきにエクスターの問題で、東大が見つけたといったところが、もうすでに見つけたところがあったというようなこともありまして、それならカッパーなりラムダでけっこうじゃないか。山縣さん、発展のいままでの歴史的な背景は、要するに科学を研究するという科学研究が主体だったのでしょう。今日は衛星ですよ。「おおすみ」を上げたのはおれたちの力だということで、まるでそのことに国民の拍手かっさいを誘うというような研究の方向に進んでおると思う。もうこんなことはけっこうですよ。こんな国民を、まるで競馬か競輪のような、あるいは阪神が勝つか巨人が勝つかというような見方で科学の研究というものは置くべきではないと思う。これはもう衛星に移行してしまっておりますよ。あなた方のやるべき仕事がそっちに移ってしまっているわけです。だからこの際、「おおすみ」で成功されたのだから、いまがチャンスじゃないかと私は言うのです。山縣さんのおっしゃるM計画が信頼をおける程度、その信頼をおける程度委員会がこれを判定いたしますとこうなんですが、いつまでにやるのですか。信頼をおける程度というと延々延びるかもしれません。だから私はどこかにその期限を設定しなければなりませんし、宇宙開発事業団の中にあって専心、一体化まで言われておるのですから、東大が飛び込んできていただいていまやるときではないかと思う。固体燃料でやっておって、そのことが宇宙開発事業団でやることとどう接点を持つかということが非常に疑問なんですから、だからいま山縣さんも言われましたように、もうミューを開発した、これはそれなりでもう商品になってしまって、お蔵にしまうのだ。どこかがほしいというと、これは企業の営利の段階で、商売の段階に使われるのだということに結論はなってきたということになりますと、国費によって開発したものを企業のお蔵入りにして、そして企業がこれから注文を受ける。そのときの開発に要した費用は一体どうなるのか、あるいは特許の権利は一体どこに帰趨するのかということもそうなってくると大きく問題になるでしょう。だから、そういうもろもろの問題を含むことはここではいまよしますけれども、そういう時期が到来したのじゃないだろうか。「おおすみ」によってもう東大のメンツはあったのではないか、私はこう思うのです。それをまたぞろこういう失敗を繰り返しながら、新聞には部分的な部品がいけなかったのだと書いておりますけれども、そうでなかったとおっしゃる。そうすると基本的なミスか初歩的なミスかということになってくる。こういうことを繰り返しつつやっていくということなら、一体だれが東大をして研究させて、そしてその陰で笑う者は一体だれなのかということをもう一回このところで鋭くえぐって追及しなければならぬ事態になってくるわけであります。そういうことが本意ではございません。わが国宇宙開発研究というその線の上に乗ってそういうことをやるべきときが来たのではないか。今回の失敗はむしろそういう意味合いで宇宙開発事業団につなぐ好機ではないかということを思うのです。そういうことで御答弁があればしていただきたいと思いますが、私のきめられた時間をちょっと超過しましたのでおきたいと思います。ありがとうございました。
  50. 北側義一

    北側委員長 次に、石川次夫君。
  51. 石川次夫

    石川委員 宇宙開発の問題だけに限ってまず最初に質問いたします。そのあとまた近江委員質問が終わりましてから、来年度の科学技術政策の問題点、それからウラン濃縮の問題、あるいはシンクタンクの問題というようなことについての方針を伺いたいと思うのでありますけれども、宇宙開発につきましては、いま前田委員、それから詳細にわたって三木委員のほうから質問がありましたから、私は結論的に二、三の点だけ申し上げますので御答弁を願いたいと思うのです。  先ほどの質疑応答の中で、長官が答弁をされた中で、宇宙開発基本法というものをどうしても設定すべきであるということに対して、個々同意の答弁がいままでなされておったと思うのです。それから先ほどの答弁では、宇宙開発小委員会がある、したがってそこの意向は尊重する、もちちんわれわれ立法府ですから法律を出す権限は持っておるわけでありますけれども、われわれの意向がどうであろうと行政府は一方的に提案をする権限があるわけですね。したがって、われわれの意向をくんで、しかる後にということであるならば、われわれの反対の法案は出るわけはないので、いつでも一方的に出る例が多いわけなんです。ですから行政府の、政府立場として、宇宙開発基本法、絶対に軍事利用しない、平和利用に限るのだということを鮮明にした基本法というものをどうしても立てなければ、われわれはこの宇宙開発にある程度協力できない面が出てくる。ということは、国際的に相当日本が軍事国家になるのではないかというふうな懸念が持たれ始めておるおりからでもあるので、なおさらその必要があると思うのですが、これはわれわれの小委員会の結論待ちということではなくて、政府自体がえりを正して基本法をつくるという決意を持つべきではないかと思うのです。この点はっきり御答弁を願いたいのです。
  52. 西田信一

    西田国務大臣 国会でも御熱心に御審議をちょうだいしておるように承知をいたしておりますのでそのことに触れたわけでございますが、国会の御審議待ち、こういうふうにして手をこまねいているわけではなくて、先ほど山縣委員からもお答え申し上げましたように、委員会といたしましてもいろいろ審議を続けておりまして、しかしいろいろ問題があるので、これはおくれております、まだ結論が出ておりませんというふうに申し上げたわけでありますが、私どもといたしましても、この問題は十分に前向きでいきつつ検討を進めてまいりたいと考えております。
  53. 石川次夫

    石川委員 アメリカあたりでは、最近日本の軍事主義復活というものは、もしアジアから撤兵をすれば日本が核武装をするであろうとか軍事国になるであろうとかいうようなことは、これは向こうの口実の一つに使われている面があるとは思うのでありますけれども、そういう面が最近非常に顕著に出てきている。昨年私が東南アジアへ行きましたところが、東南アジアの国民は、日本に対して非常に期待はしているけれども、アメリカに隷属し過ぎているという面と片貿易過ぎるという面は、これは大問題でありますが、同時に日本が再び軍事大国になるのではないかという懸念をどこでも持っている。これは私、非常に注目すべき現象ではないかということを考えております。したがって、宇宙開発をするにしても、原子力開発をするにしても、軍事利用はしないのだということを強固に立場を鮮明にできるということのためには基本法というものをどうしても出さなければ、われわれは端的にいって宇宙開発にこれから協力できない面が出てくる、こういうことをはっきり申し上げたいと思うのです。  そこで申し上げたいのですが、これは私の党の意見ではございません。あくまでも私個人の意見でありますけれども、最近タイタンとかソー・デルタを導入するという問題に関連をして、ICBM利用ではないかというふうなことが——まあ週刊誌でありますからそれほど信を置くという必要はないかもしれませんけれども、しかしながら表ざたにされて騒ぎが始まるような形になってきているわけですね。そうなるとわれわれは技術導入ということに安閑に依頼をして、それにばかりよりかかっていいのかどうかという点について非常な疑問を感じ始めてきておる。もしこの基本法というものを出して平和というものの基本的な態度というものが明確にならない限りあえてわれわれは技術導入の必要はないのではないか、ここまで考えざるを得ない、そういうところにまで来ております。これは私個人の意見でありますけれども、いま電波監理局長がおいでになっておりませんので伺えないのは残念でありますが、衛星として使えるのは、われわれが当面望んでおるのは通信衛星であります。そのほかに航行衛星あるいは気象衛星もほしい、それからまた私個人の希望としては魚群探知衛星というものをどうしても日本でつくらなければいかぬであろうというような希望は強く持っております。したがって衛星方面はとことんまで日本独自の力で開発をすべきであると思っておりますし、必要があれば技術導入も必要であろうと思っておりますけれども、しかしそれ以前にまず当面必要なのは通信衛星、したがって、通信衛星のための静止衛星というものをどうしても上げなければいかぬのだというようなことが当面の課題になっておるわけです。それがずるずると延びてきておる。そういうところからいろいろなあせりがあるということがあるのでありますけれども、地上の電波、極超短波ですかそういったものの開発なんかも徐々に非常に開発をされて進んでおるという明るい曙光も見えてきておるわけです。したがって地上の電波が満ぱいになってしまってどうしても通信衛星によらざるを得ないのだという時期は一体いつなんですか。これは宇宙開発委員会のほうである程度お調べになっておると思うのでありますけれども、どうしても地上ではこれ以上は電波が満ぱいでどうにもならぬ、有線以外にはどうにもならぬだろう。したがってどうしても静止衛星によらざるを得ないのだという時期は一体いつなんであろうか。これは相当専門家でないとなかなか答えにくいとは思うのですけれども、大ざっぱな見通しとしては——大ざっぱな質問でたいへん恐縮なんでありますけれども、一体いつなんでしょうか。
  54. 山縣昌夫

    山縣説明員 いまの御質問でございますけれども、御承知のように宇宙開発委員会はそういった利用の面の検討ということは任務にございませんので、したがいまして、私ども郵政省といろいろお話をしておりますけれども、委員会自体がそういうことを検討するということはいたしておりません。
  55. 石川次夫

    石川委員 私は地上の極超短波の開発なんかもかなり日本は先進国にひけをとらない程度に進んでおると思うのです。いま通信衛星、静止衛星ということを盛んにいわれるのは何か地上の電波が満ぱいになってしまうのだ、すぐにでも飛ばさなければいかぬのだというようなことがしきりにいわれておるのですが、どうもその論拠が私にははっきりいたしません。したがってその点をここで伺いたかったのでありますが、きょうは電波監理局長あいにくいなくなったのではっきり言えませんが、それと民間の研究者によく聞きますと一番問題になるのはエレクトロニクスの関係で誘導制御ということになるわけでしょう。ところが誘導制御の技術はわれわれにまかせてくれという若い研究者の意見が非常に熾烈なものがあるのです。外国から技術導入をする必要はないと、そこまでは言い切っておりませんけれども、とにかく時間をかければ何とかできるのだ。したがって、安易に技術導入をしてもらいたくないという熾烈な意見もあるのです。これは皆さん方のお耳に届いておるかどうかわかりませんけれども、それをやると多少時間はかかると思います。しかしこの基本法も確立をしない、軍事利用ではないかというおそれを持たれるという段階で、いたずらに技術導入することが是か非かということについては相当疑問がある。したがって、若いこういう科学者の意見というものも聞いて、もし必要があるならば、どうしても通信衛星というものを飛ばさなければならぬ時期が早急に来るという、日本が独自に技術開発をしたんでは間に合わないということが明らかであるならば、これは外国で、アメリカで打ち上げてもらってもいいじゃないですか。しかも日本独自でもってそれを開発するというはっきりした見通しが立て得るなら、これは仮定の問題で、私はどこまでも確信を持っていえるわけじゃないのですけれども、そういう点は一体宇宙開発委員会はどうお考えになりますか。これはことし宇宙開発委員会としては相当ドラスティックな転換をして技術導入をするんだ、そうでなければ追いつかぬ、間に合わぬ。間に合わぬということは具体的にどういうふうに間に合わないのか、これはどうも確認できない点があるわけなんです。そこまで思い切って、軍事利用ということのおそれがあるならば、基本法ができないということならば、これは打ち上げてもらって日本でじっくりと誘導制御のほうの研究をさせるということも一つの方法ではないか、そう考えざるを得ないのですが、その点についてどうお考えになりますか、長官の御意見を伺います。
  56. 西田信一

    西田国務大臣 先生の御質問は、軍事利用の危険も感ずるので、むしろみずから誘導制御の技術開発に時間がかかってもやむを得ないじゃないか、そういうめどがつくまではそういう方法でもよくないか、もし急ぐならばよその国に頼んで打ち上げてもらう、こういう方法もあるのじゃないか、こういう御質問のようでございました。一つの御意見と思いますけれども、わが国宇宙開発は、平和利用ということはもうきわめてはっきりいたしておりまするし、そういう立場に立って諸種の実用衛星を打ち上げよう、こういうのが基本的な考えでございまするので、ではそれは時間が幾らかかってもいいじゃないかというような考え方は、従来の衛星打ち上げの要請から申しましても、できる限り時間を短縮して、なるべく早く着実に打ち上げ、そしてわが国宇宙開発を推進をしたい、こういうのがわれわれの基本的な考えでございますので、できるだけ自主的な技術開発をやるということにつきましての努力はもとより必要でございますけれども、ただいま考えているような方向でひとつ、私がいま基本的に申しましたような考え方に立って計画を進めたい、かように考えておる次第であります。
  57. 石川次夫

    石川委員 どういうことが基本的な考え方かはっきりここで説明されたことはないわけなんですけれども、結局技術導入ということですよ。日本のいままでの科学技術の進歩というのは、ほとんどカエル飛び戦法といって、技術導入をしてそこから飛び上がっていくというようなやり方はもう限界に来ている。どうしても自力でやるんだという気魄が必要だ。またその能力も日本としてはあり得ると思うんですけれども、技術導入にたよればそのほうが早いんだということのほうが企業家の意図としては先行してしまうということは私は非常に残念だと思うのですよ。ドイツを見習ってもらいたいと思うんです。たとえば、情報化の問題といえども基礎的な数学から出発をするという態度、そういうような態度がなくても、技術導入だけで何か非常に安易に経済成長をはかるんだという考え方があまりにも強過ぎると思うのです。  あと一つさきにさかのぼってお話したいのでありますけれども、軍事利用のための誘導制御ロケット技術導入は絶対やらないということ、それからそれに関連して、必ずしもうがった見方ではないと思いますけれども、機密保持法をつくってまで技術導入をするんだというようなことが週刊誌で取り上げられておるわけなんです。こんなことになったらこれは暗黒政治で、戦前に復活をしてしまうんです。そういったことは断じて私はやるべきではない、こう思うので、軍事利用のための技術導入をやらない、機密保持法なんかは断じてこれに関連してつくらない。これは濃縮ウランの場合にも技術導入の場合にも言い得ることでありますけれども、その二点を明確にしてもらいたいと思うのです。
  58. 西田信一

    西田国務大臣 先生のお説のとおりに考えています。
  59. 石川次夫

    石川委員 技術的な問題で質問したい点がたくさんございますけれども、いま東大と三木委員のほうでいろいろなお話もありましたし、それからまた質問状も出るというようなことでございますからそれでよろしいと思いますけれども、一つお願いしたいのは国民はたいへんな費用をかけて非常な期待をしている。ジャーナリズムが少し取り上げ過ぎたという面もあるでしょうし、また失敗したからといって失敗だけを必ずしも責める気持ちはございません。失敗はあり得ると思うのですけれども、あまりにも同じ失敗が繰り返されて、しかも新聞論調などでは基礎的初歩的ミスだというふうにいわれるような状態ではまことに残念です。いま科学衛星がよしんば名前どおり科学衛星の任務を果たし得るような形で軌道に乗ったと仮定いたしましても、これはアポロ衛星と比べれば月とスッポンであります。国威宣揚には何らならない。したがって、われわれはもっと謙虚な気持ちでこの衛星というものに取り組まなければならぬと思うのであります。  そこで失敗したといいますか、今度の打ち上げの経過これについての報告を科学技術委員会にだけでもひとつ御提出いただけないか、こう思うのでありますが、このお願いが聞いていただけるかどうか委員長のほうから聞いていただきたいと思います。
  60. 玉木章夫

    玉木参考人 今回の実験の経過並びに故障の原因の調査報告とかそういったようなものにつきましては、宇宙開発委員会技術部会第一分科会のほうに引き続き資料を提出しまして御討議いただくことになりました。その上で従来もやっておりますけれども、報告をまとめておりますので、宇宙開発委員会を通して報告を差し上げるという形にさせていただけたらと思います。
  61. 石川次夫

    石川委員 それから最後に、これは前の質問にも出ておりますから言いませんけれども、宇宙開発関係は原子力と違いまして非常におくれて出発をしたわけです。そしてまたばらばらな機関にまたがっておったというようなことから出発をしておりますからやむを得ないのでございますけれども、システム化というものが非常におくれておる。これは前田委員からも鋭く指摘があったとおりでございます。一体目標を立ててそれからこちらに戻してくるという方法でなくて、現状から出発をするというやり方だけになっております。目標を数年後にどういう形をやるのだということに基づいて、演繹的な方法ではなくて帰納的なパートまでもいかなくてもそういった緻密なシステム的な計画化というものがなされておらないという点が非常に残念だと思うのです。人材も不足しておるのだろうと思います。原子力のような形になっておりませんから、いろいろな点で非常に困難性はあるとは思いますけれども、そういう方向でいかなければいつまでたってもこれは軌道に乗らないという点については、もちろん開発委員会自体がよく御存じのところであろうと思いますから申し上げませんが、一般庶民として感ずることは、これは閉鎖的に一大学あるいは一機関、こういうことでばく大な費用を使い、何回も失敗を繰り返すということはけしからぬ、言語道断だという批判がきわめてきびしいことは肝に銘じてもらわなければならぬと思う。したがって、先ほどから一元化か一体化かということがありますけれども、東大は非常に権威のある大学であることはだれもよく認めておるところでありますけれども、昔から医学部なんかに見られるように東大は閉鎖的だという批判が手きびしいのです。世論はほとんど東大出身者以外はその点を鋭く指摘していると思うのです。したがって、閉鎖的ではないのだということの一つの証左としても、少なくともこの宇宙開発に関しては宇宙開発事業団があり、宇宙開発委員会もできまして相当連絡調整はうまくいっているようでありますけれども、一体化までいくのだというところまで踏み切ってあらゆる機関——民間にもあらゆる企業集団があるわけです。それからほかの大学にもたくさんそういう研究をしている人もあるはずです。そういう人も全部こん然一体となって衆知を合わせるということの上に立って失敗をしたというのならこれは国民は納得すると思うのです。ところが閉鎖的な中でやったということになりますと、東大の閉鎖性に対して非常な批判が出てくるばかりなんです、という点もよくお考えになって、一元化するということあるいは一体化するということは、非常に困難ではあろうけれども、これはぜひやり遂げなければ、失敗に対して手きびしい批判が出ることは火を見るよりも明らかであります。この点について、いままでの東大のあり方全体について私は言えると思うのでありますけれども、よほど反省をしていかなければならぬという点だけを申し上げまして、あと、次の質問がありますから、これで私の質問を終わりにします。
  62. 北側義一

    北側委員長 次に、近江巳記夫君。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 参考人の方も非常に長時間でお疲れと思いますが、私が最後でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず初めにお伺いしたいのでありますが、各委員からも質問が出ておりますが、要するに軍事転用の問題でございます。現在の日本の世界におけるそうした位置、あるいはまた、最近のGNPの伸びとか、そういうような一連のことで、非常にそうした日本の力というものが最近はいろいろと取りざたされておるわけです。そういう点で、この宇宙開発におきましても、軍事転用ということが確かにうわさをされ始めてきておる。こういう点におきまして、われわれもこの委員会でやってきまして、前大臣の木内さんなり、また西田大臣のそうした答弁からも、そうしたことは私たちも疑いたくはないわけですが、しかし、非常にそういうような心配の声が出てきておるということについて、われわれとしても質問をせざるを得ないわけであります。それで、絶対に平和利用に徹するということを本委員会においても幾度となく私たち聞いてはおりますけれども、それだけでは非常に心配である。こういう点はっきりと国民の皆さんにも納得をさしていける、それがなければ私はいけないと思います。言うならば、大臣がかわられるそのたびに、われわれとしても、一々聞いて間違いないかというような調子です。したがって、大臣がかわられようとどうしようと、絶対に心配はない、そういう歯どめといいますか、それについて、国民の皆さんに安心させる、そういうものをはっきりと出さなければいけないと私は思うのです。その点どのようにお考えでございますか。
  64. 西田信一

    西田国務大臣 先ほど来この問題について諸先生からいろいろ御質問もちょうだいいたしておりますが、私どもはもうほんとうに正真正銘平和利用以外には、全くそれ以外のことは念頭にございませんし、また事業団、宇宙委員会はもちろんでございますが、この事業団をつくります際の総理の答弁の中にも、はっきりと——これは私どもの答弁だけではなくて、総理が、政府責任者が、宇宙開発は、まだ現在基本法はございませんけれども、基本法があるなしにかかわらず、自主、平和、公開、こういう原則を守っていきたいということを明確に政府責任者として答弁をいたしておりまして、何らの変更がないわけでございます。また、われわれも、政府当事者全体が、その精神で貫かれておるわけでございます。したがいまして、いろいろな疑問が生ずるということ自体が、どうも私どもにもわかるようなわからないような、どうしてそういう心配が出るのかというくらいに実は感ずるのでございますけれども、問題は、先ほどから基本法の問題にも触れておられるわけでございますけれども、われわれとしては、絶対にその懸念なし、こういうふうに言い切っておるわけでございまして、国民の皆さまに御信頼をちょうだいする以外にないと思っておりますが、なお基本法その他の問題につきましては、十分にひとつ検討さしていただきたいと考えております。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう国民の皆さんに心配をかけるような背景がある、そういう声があること自体に対して、私は、えりを正さなければいけないと思うのです。国民の皆さんに信頼してくれ、このようにおっしゃってますけれども、言うならば、いままでは口約束だけなんですよ。この事業団の平和という文字を入れるときも、なかなか政府の腹がきまらず、何回も何回も論議を尽くしてやっとこさ入れたというような事情も私は知っておりますし、ほんとうに平和に徹するというなら、何もそんな論議を尽くさなくても、最初から入れてくればいいのですよ。そういう、それをなかなかやらなかったというようなこと自体も問題があると私は思う。一連のものがあるわけですよ。ですから、国民は、それは大臣も信頼していますよ。していますけれども、事こういう平和という問題になったときは、これはもう非常にきびしい考え方、見方をしておると私は思います。そういう点で、口約束だけでは信頼できないといえばそれは非常になんですけれども、まあしかし心配があるわけですよ。そういう点で、ほんとうに平和に徹するなら、基本法もちゃんとつくって、国民の皆さんに絶対に心配しなくてもけっこうですよというものを出すべきじゃないか、こう思うのです。早い機会にこれを出されるかどうか、もう一ぺんここで確かめたいと思います。基本法の制定です。そうしてはっきりと平和をうたうと……。
  66. 西田信一

    西田国務大臣 何度もお答えしておりますが、誠意をもって検討を続けます。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから東大の今回の実験の失敗のことですが、実際失敗したときの気持ちというものは、私たちもいろいろそうしたことでわかるつもりなんです。そういう点で、むしろ、失敗したときには激励してあげたいような気持ちでありますが、しかし、国民の代表として、やはりその点はその点として、質問をさしていただきたいと思うのです。いろいろ私も考えておったのですが、各委員からいろいろな質問が出ておりますので、できるだけ省きたいと思いますが、今回の失敗は、全般的にいって、故障が起きたらそれに対処する何らかの対策を考えて、また打ち上げてみて故障が起きたらまた直すという場当たり的な実験という印象を若干受けるわけです。全く予期せぬできごとというようなことであったわけですが、その予期せぬできごとを発見するために、事前の予備実験といいますか、これをもっとやるべきじゃなかったかと思うのです。この四段目の姿勢制御系統について、どういうような実験をやって、またその実験の結果はどうであったか、この点についてまず初めに参考人の方からお聞きしたいと思います。玉木教授からお願いします。
  68. 玉木章夫

    玉木参考人 姿勢制御装置の実験といたしましては、いろいろな形のものを合計十回ほどやっておりますが、どういう種類のものがあるかと申しますと、一つは、装置を台の上に置きまして、そうして所定の時間だけおのおのの過酸化水素のジェットを電気信号によってふかせてみせるような試験であります。これがまあ一番簡単な試験でありますが、それから実機で実際に飛ばしました場合にどれだけの衝撃あるいは加速度、振動を受けるか。その状態で実際の装置が働くわけでありますから、衝撃試験機、それから加速度の試験機、それから振動試験機、そういうようなもので、従来から観測ロケット並びに衛星打ち上げ用のロケットというようなもので、地上の燃焼実験あるいは飛しょう実験の結果から、これだけの衝撃、加速度、振動等に耐えればいいはずだという規格のようなもの、基準ができておりますので、それに従って試験をやりましたあとで噴射試験をするということでございます。それから実際にジャイロと組み合わせまして、ジャイロの示す角度に調整が行なわれるかどうかという試験がございます。実際の装置では、これはかなり大きなものでありまして、ジャイロのほうを電気的に動かしまして、それに追随するようにジェットが働くかどうか試験をやるわけであります。  それからもう一つは総合試験と申しまして、三段目がスピンがかかった状態でいきまして、切り離されますとデスピンという動作がありまして、姿勢制御装置のスピンをとめまして、それから姿勢制御装置を働かせる。それが終わりますと、まず姿勢制御装置の中にあります二本のロールジェット、一対でございますが、それを働かせて約〇・五回毎秒という回転を与えまして、その次に再スピン、リスピンといっておりますけれども、再スピンモーターを働かせて機体のスピンを所定の値にする。それから四段目を切り離して点火するというわけでありますが、その四段目の切り離しのところまでを、スピンをしていたものがとまって姿勢制御をやって、またスピンをかけて四段目を切り離す、そこまでの動作をタイマーに従いまして総合的に試験をするというのがございます。これは品物を内之浦に運びます前に宇宙研でやりますし、また、これを今回の場合は内之浦でもやっております。大体そういうような種類の試験を合計十回ほどいたしました。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした技術的なことは私はあまりわかりませんが、十回も実験をされておる。しかし結果はそのように失敗であった。こういう実験項目について再検討を考える必要があるのじゃないか、また、それについてどのようにお考えであるか伺いたいと思います。
  70. 玉木章夫

    玉木参考人 いまどういうことがあって弁が開きっぱなしになったのか。まず故障が起こらないようにするために、実際に故障が起こった場合にそれを再現してみるということが大事なことでありまして、そういった意味で耐久試験とか温度環境を変えるとか振動試験をまたやり直すとか、いろんなことを考えておるわけでありますけれども、そういったものの結果から、弁が開きっぱなしになるというのはこういう場合に起こり得るのだということがわかりますと、これはわかると思っておりますが、それがわかりますと、それに対してどういう対策をとったらいいかということがきまってまいると思いますので、それに従って新しい試験項目をつけ加える必要があればつけ加えたいと思いますし、それからまた発射前の操作、作業というようなことでどういうことに注意すればいいのかということも出てくると思いますので、これからの調査試験の結果に従ってそういうものをきめていきたいと思っております。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、今後新しい実験項目等に再検討を加え、またいろいろと研究されると思いますけれども、それについても前の委員会でも私は申し上げたのですが、評価の問題について、いま技術部会でやっているからということをおっしゃっておりましたが、やはりその辺の構成なりあるいはその評価のしかたについて、ここでもう一歩考える必要があるのじゃないか、このように思うのです。これは、実際に行なわれておる参考人の方よりも山縣さんなり大臣にお聞きしたほうがいいのじゃないかと思いますので、お二人に評価の今後のしかたについて、いまのままでいいのかどうかお聞きしたいと思います。
  72. 山縣昌夫

    山縣説明員 具体的な問題でございますので私からお答えいたしますが、近江先生から前にもお話があったことを覚えております。近江先生が外国人を呼んできたらどうかというお話でありましたが、そのときも申し上げましたように、日本におきまする宇宙開発関係の学者、技術者、非常に数が限られておるわけでございます。しかも民間の方になりますと、いろいろ直接的な関係もございますので、どうしても中立的と申しますか、そういった方に評価をしていただかなければならぬという事情がございます。現在におきまして全部で何人ぐらいでございますか、十人ちょっとぐらいだと思いますが、私といたしましては、現在日本で求められる最も高い水準の知識を持っておられる方にお集まりを願いまして、同時に、これも前回申し上げましたが、東京大学におかれましてあるいは事業団におかれまして実験で実際とりましたデータまで全部その場に提供していただきまして、十分議論をいたしまして、そこで原因が出、さらにその対策、今後どうすればいいかということ、これも検討していただいております。  さらに、その対策にからんで計画をどうまた変えなければならぬかというようなことも出てまいります。まあ私どもといたしましては、現在国内の方々のお集まりを願う、評価委員会というと少し語弊がございますけれども、そういう意味の組織としては最高のものであると私は信じております。
  73. 西田信一

    西田国務大臣 これはもう専門家の立場山縣先生からお答えがございましたので、私もそれを信頼いたしております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の失敗につきまして、部品なりあるいはロケットシステム工学等について信頼性が低いのじゃないかという声が非常に強いわけです。そういう声が圧倒的なのですが、その原因についてどのようにお考えであるか、玉木さんからお聞きしたいと思います。
  75. 玉木章夫

    玉木参考人 確かに衛星を軌道に乗せるという実験でそれが目的を果たしませんでした。もちろん衛星が軌道に乗るまでにつきましては非常にたくさんの資料をとっているというようなことで、今回の実験で得るところは非常に多いのでありますけれども、とにかくそういう目的を果たさなかったということで信頼性が低いというような、そういう御意見を承るということは私どもとしてたいへんに残念と申しますか遺憾に思っておることでございます。研究所では実はロケットの実験でしばしば予期してなかったようなことが起こるということがございます。そういう意味で実は昨年から所内の関係者、これは非常に広い範囲でありますけれども、システム計画会議というものをつくりまして、実験の数カ月前から必ず次に実験するものについて大ぜいが集まりまして、どこか問題が起こりそうなところはないかということの検討をやることにしております。そしてこれはロケットの仕事を専門にやっている人ばかりでなく、もう少し基礎的なことをやっている人とかいろいろな人に出てもらったわけでありますが、とにかくどこかに落ちばないかということの討論をやりまして、その結果こういう点は注意しなければならぬということが出てまいりますと、それぞれ専門の人間が取りかかりまして、計算をやったり試験をやったりというようなことをやって、それが終わったところで実験に臨むという形をとっておりますが、私どもとしてはそういう方式で、最初にお話がございましたように、何かどこか問題があるとそれに対する対策は立てるけれども、ほかのところがまたお留守になっているじゃないかというような御疑問もございましたが、そういうことのないように、電磁弁一個——今度の問題は電磁弁ということでありますけれども、今後におきましてもそれ一個にとらわれることなく、また全体にどこかまだ問題はないかということは十分検討して、次の段階に進みたいというふうに考えております。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは参考人で来ていただいておるわけでございまして、どこにも遠慮せずにずばりいろいろと思った点を言ってもらいたいと思うのですが、信頼性が低いということについて、部品メーカー側の製作技術上あるいは未熟な点ですね、また技術上誤りがあったかどうか、それについてはどう思われますか。
  77. 玉木章夫

    玉木参考人 今度の電磁弁の故障についてという御質問でしょうか。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあ実験のことです。
  79. 玉木章夫

    玉木参考人 これにつきましては、これまで相当長い期間、しかも多数実験をやっておりまして問題がなかった。開く弁が開きっぱなしということは、実は一回もなかった。そういうことで、われわれのほうで実験の前にやるいろいろな試験、そういったものをパスした状態で実験をやればいいものだというふうに思っていたわけでありますけれども、今回こういうことが出てきた。何か原因があるに相違ないわけでありまして、ただ偶然ということで片づけたくないわけであります。そういうところをしっかりつかまえたい。その上で適切な処置を講ずるということだと思います。やはり故障がどうして起こるのかということ、これをはっきりさせますと、案外簡単に問題は片づきまして、非常に信頼性の高いものができる。この故障の原因といいますか、故障を調べるということは場合によって非常に基礎的な学問になる場合がございますけれども、幸い研究所に大ぜいの研究者がおりますので、大ぜいでやればこういう問題もまた克服できるんじゃないかというふうに思っております。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 この実験の段階では各部品については信頼性があった。そうしますと、このロケットの設計上の誤りあるいはまたロケットシステム工学上の未熟さからくる問題ではないか、そのように理解してもいいわけですか。まだまだわからない、そういうような未知な部分もあるわけですが、まだそこまでの研究も進んでいない、そういう未熟さといいますか、えらいはっきり言うてなんですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  81. 玉木章夫

    玉木参考人 おっしゃるとおり、日本の宇宙技術というのは歴史も外国に比べて浅いわけでございますし、それから実際に実験をやった数も外国に比べて少ないという事情もありまして、確かに経験が浅いという点がございます。未熟な点がございます。私ども、失敗をした場合に、それをあとから考えてその失敗したことが決してむだにならないようにするという努力をできるだけしたいと思っております。絶えず技術的にいいものをつくっていくというようにしていきたいと思っております。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 この二号機以後の実験について今後どういう方針で進まれるか、お聞きしたいと思います。
  83. 玉木章夫

    玉木参考人 今回の失敗の直接の原因というのは電磁弁にあったと思います。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな試験をしてその故障の原因といいますか起こり方というようなものをはっきりさせますと、わりあいに早く対策ができるのじゃないかと思っております。  それから、次にどうするのかという御質問でございますが、実は今回のM4S一号機は第一号科学衛星のF1と申しまして、科学観測は一項目に限りまして、あとは大部分振動とか温度どかそういった工学的な観測をやるものにいたしました。それから衛星が軌道に乗る前、つまり打ち上げ時の衛星の環境、機能、それから軌道に乗りましたら軌道上における衛星の環境、機能の試験を行なうということを目的にしていたわけであります。しかし軌道に乗せることができませんでしたので、軌道に乗るまでのデータはたくさんとれましたけれども、そしてその範囲では大体私どもが予想していたように、たとえば太陽電池の働きとかあるいは電源、電圧とか中の温度とか、大体予想していたような結果が得られました。残念ながら軌道に乗ってからの衛星の環境あるいは機能の試験というようなものは全然できなかったわけであります。そういう意味でこの第一号科学衛星のもう一つのフライトモデル、F2と略称しておりますが、このF2は本格的な科学観測をやるためにつくってあるわけでありまして、われわれもこれはぜひほんとうにしっかり観測のデータをとってもらいたいということを考えておりますので、F2の打ち上げをやる前に軌道上における衛星の環境及び機能を調べるような飛しょう実験をもう一回やれたらやりたいというふうに考えておりますが、これにつきましては宇宙開発委員会その他関係の機関と御相談いたしまして結論を出すようにいたしたいと思っております。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで聞くところによりますと、二号機以後に二段目からTVC、二次噴射の推力方向制御装置ですか、これをつけるということをちょっと聞いているのですが、それの開発という点についてどういうふうな状況になっておりますか。
  85. 玉木章夫

    玉木参考人 TVC、これは二次流体噴射による推力方向制御というものでありますが、これはいまのM4Sの形ですぐ使うということは考えておりません。M4Sが完成したあとで、第三号の科学衛星から先の衛星の打ち上げの場合に使うM4SCというロケットの二段、三段にTVCをつけようということを考えておりまして、これの研究はかなり前からやっておりますが、現在の段階はカッパー、ラムダ、ミューといういろいろな大きさのロケットモーターにつきまして地上燃焼実験の段階ではほぼ終わっております。ただ今後も機会あるごとに地上燃焼実験のときにTVC装置をつけた試験をやりたいとは思っておりますが、ミューにつきましても大体地上実験を終わっております。したがってこれからは飛しょう実験の段階でございますが、昨年一回と、それからことしこの夏に一回と飛しょう実験を行ないまして、その結果は大体予想していたような結果が得られておりますが、カッパーの大きさでやりましたので、これからはラムダの大きさのもので飛しょう実験をやり、それができたところでミューに適用していくというふうに考えております。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでこの際Mロケットシステムの全系にわたって総点検をやるべきではないか。そうなりますと、非常に時間もかかるし、回り道のようになるかもしれませんけれども、そのほうが結果的にかえって早くなるのじゃないか、効率的になるのじゃないか、このように思うのですが、システム全系にわたっての総点検をやるかどうかについてお聞きしたいと思います。
  87. 玉木章夫

    玉木参考人 現在のミュー4Sにつきましては、これは私どもとしても十分研究をいたしましたし、またそれに必要な地上試験、それから飛しょう実験というようなものをずっと行なってまいりまして、、打ち上げ方式にいたしましても、ラムダで実験してこれでいいということを確認しております。これをいま変えるということは考えておりません。ただ先ほども御指摘ございましたように、こまかい点で何か落ちがないかということにつきましては、これはもちろん始終気をつけて信頼性の高いものにしていきたいと思っております。全体として考え直すということはいま考えておりません。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 東大の場合は科学研究目的であるということで、本格的な誘導制御装置はあまり必要ではないというようなお考えではなかったかと思うのです。しかし誘導制御装置というものがどうしても必要であるということは、これはみなが言っているわけです。そこで今後この姿勢制御誘導装置の開発に力を入れなければならないのじゃないか、このように思うのですが、その点どのようにお考えですか。
  89. 玉木章夫

    玉木参考人 仰せのとおり科学衛星にしましても、軌道に対してだんだん要求のきびしいものが出てまいります。軌道の精度の高いものの要求がございます。そういう意味で私どももいまやっておりますミュー4Sの一番簡単な方式だけではいけない、誘導制御をつけたものをいま研究しているわけでありますが、いまのミュー4Sでは四段目を打ち出す前に姿勢制御というのだけがついているわけであります、これはロケットが燃焼してない状態の制御ということで。それからTVCというようなものはロケットが燃焼中の制御でありまして、どちらがやさしいかというと、いまやっている姿勢制御のほうがやさしいのでありまして、まずこういう技術をしっかり身につけて、それからだんだんに高級な技術に進んでいきたいというのが私たちの根本的な考え方でありまして、現に姿勢制御の実験でいろいろのことを学んだわけでありますけれども、それはTVCの装置をつくるというような上で非常に役に立っております。まあやさしいものからむずかしいものへというような考え方で、だんだんに精度のいい制御に持っていきたいというふうに考えているわけであります。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 今度は今回のロケットが失敗したわけです。今後第二回、第三回とやられるわけですが、成功しないとこの事業団の実験計画に影響があるかどうか、それを島さんにお伺いします。
  91. 島秀雄

    島参考人 お答え申し上げます。  私どもいま計画改定方を提案しております私どもの計画におきましては、やはりその計画を早めるために東大のミューロケットの成果を利用させていただくことになっております。これは一元化の一つのあらわれだと思うのでございますが、それはいまのところミューロケットの第一段を使わしていただくことに考えております。第一段並びに第二段につきましては、この間の実験にいたしましても非常にみごとな成績をあげておられます。でございますから、私どもは使わしていただくという段階におきましてはすでに東大において御成功になっているということでございまして、万間違いなく遂行していけるものと考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、第一段、第二段については今後事業団としては使わしてもらう。あとはあまり影響はないということですか、それから上のあれについては。
  93. 島秀雄

    島参考人 私どものほうはいまのところ、私どもの言いつかっております目標に向かいましての本格的な大きいものをあげるのは液体ロケットを使いましてやっていこうと考えております。  その第二段目、それから上という段につきましては、それを開発いたしますのに、私どもが今度やっていきます液体ロケット一段目を使わずに、もっと簡単なと申しますか、わが国においてすでにでき上がっております固体ロケットを使って高空に打ち上げる、そしてそれでもってわれわれが開発しようと思っているものの確かめをいたそうと考えております。でございますから、私どものほうの本筋は東大のほうとは違った行き方でいくわけでございます。東大の進み方は片一方にあると思いますが、その根元のほうを拝借して使わしていただいて私どものほうの別にありますものの開発を行なっていこうということでございます。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは一応それでいいとしまして、もう少しお互いにすべての面でそれが使えるというか、そういう効率的なあり方ということを考える必要があるのじゃないか。そうなってきますと、そもそもの出発の点からもう一度掘り起こさなければならぬことになってくるわけですが、その点非常にむだがあるのじゃないかという気がするわけです。  その次にお聞きしたいのですが、人工衛星部門でメーカーの二系列化をはかって競争原理を投入するということでありますが、ロケット部門でも同様にするつもりかどうか、その点を島さんにお伺いしたいと思います。
  95. 島秀雄

    島参考人 お答え申し上げます。  いまの競争原理ですべて仕事をしていきたいと思うのでございますが、その中にどの程度まで競争さしていくかという点があるのでございます。まず品物そのものを使わないで考え方の上で二並びなり三並びのものを提出させまして、その間の優劣をわれわれにおきまして判断いたしまして、そのうちの一つをとるという、そういう点からだんだん、競争的にどの程度までの現物をつくらして、それで比較してというところに進んでいくと思います。最後には、もっといえば、ロケットだか何か、本物ができるところまでつくらしておいて、どっちがいいかといって、いいほうだけとるといういき方もあると思うのでございますが、それは結局、品物をつくるところまで進みまして、そこで片方にきめてしまうというのは、それは片方はやめられてしまうわけでございますから、たいへんなむだになるわけでございます。当たりはずれの問題でございますが、そういうことになりますとたいへんなことでございますから、最後までいきまして比較してどれかをとるということは一等確かでございますが、その前にまず考えの辺から調べていって、どちらに分けるかという一等やさしい点にいかなければいけない、高くお金のかかるものはいかなければならないと考えるわけでございます。いまの衛星でもずいぶん高いものでございますから、それを二並びにして——三並びならばもっとでございますが、複数並びにしてやらしていくということは、そこに必要といたします費用と比べましてどの点までかということを考えるわけでございます。衛星のほうはまず初めのエンジニアリング・モデル辺まで二並びにしてもいいんじゃないかなという一つの提案をしておるわけでございます。しかしこれも費用ともっとよく当たりまして、そこまでいかないで、それに対する前の段の比較までで何とか判断をつけてしまおうかということも起こり得るかもしれません。それでロケットにつきましては、また、いまのところずいぶんお金がかかるものでございますし、それからいまはアメリカからライセンス生産をしてやろうというようなふうにきまったものをやろうとしているわけでございますから、これはまずそういうものとかあるいはいろんな射場のものとかなんとかいうものをそれぞれ現物になる前の段階で比較検討してどれがいいかということを判断し、採択していきたいと考えております。それは私どももう実際、力を尽くさなければ、どれがいいかということをきめにくいのでありますが、そこに要るお金とあわせましてやっていきまして、いまのところは、まあ先ほどの御質問にありましたように、徳星のほうはそういうふうの提案をしておりまして、ロケットのほうはそうではなしにやっていこうかと思っておるのでございます。しかしそれにいたしましても、すべてもう根本はいろいろ競争的に考えてもらって、そのうちからとっていこうということでございます。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後に大臣にお聞きしますが、この宇宙開発計画の予算は当初一千数百億円と、このようにいわれてきたわけですが、この計画変更によって今後どの程度になるか、それをお聞きしたいと思うのです。
  97. 西田信一

    西田国務大臣 近く決定を予定しておりまする宇宙開発計画のうち、宇宙開発事業団関係のことについてのお尋ねと存じますが、従来の予想されました経費は千数百億、こういわれておりましたけれども、事業団等の具体的な最近のいろいろな説明を伺いますと、必ずしもそれで事足れりということではなさそうでございます。したがいまして、この千数百億というもので従来の計画を遂行し得るかどうかということについては一つの問題点があるようでございます。それは別といたしまして、今度の液体を使う新しい計画が決定されるといたしまして、人工衛星、それから液体のMロケット開発、それからそれに関連いたしますところのいろいろな施設をしなければなりません。こういうものの整備に要する経費、これらの大体の見通しでございますけれども、二千億近くになるのではなかろうかと考えております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 二千億からの国民の血税を使っていただくわけでありますし、ひとつその辺のところは国民の皆さんにお答えのできるそうした推進を、今後政府におかれても綿密な計画そしてまた効率的な開発ということを推進していただきたい。これは要望しておきます。  それからもう一点、東大からの報告書はいつ出していただけるかということです。これは先ほどたしか三木さんと思いますが、各委員からもお話があったわけですが、これは一年や二年先じゃおそ過ぎますし、いつ出していただけるかという大体のめどをお聞きしたいと思うのです。
  99. 石川晃夫

    石川説明員 この技術部会の第一分科会の検討はこの九日から始めたわけでございます。現在におきましては大体東京大学のほうからいろいろ今度のミューの実験につきましての報告をいただいたわけでございますが、あわせて宇宙開発事業団が行ないました打ち上げ実験の結果もこの分科会で検討するわけでございます。したがいまして、予想といたしましては大体十二月の上旬ぐらいにはまとまるのではないかというふうに考えております。したがいまして、その時点において報告書が作成されるわけでございます。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃこれで終わります。
  101. 北側義一

    北側委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  102. 北側義一

    北側委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。    午後二時十一分休憩      ————◇—————    午後二時五十分開議
  103. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石川次夫君。
  104. 石川次夫

    石川委員 きょうは科学技術庁長官を中心として今後の科学技術政策のあり方について十分お伺いをしたいと思ったのでありますが、出席の悪いことが残念であります。特に与党たる自民党の出席がきわめて少ないのはまことに遺憾にたえません。しかしせっかくの機会でありますので、時間をなるべく短くしたいと思いますので、答弁のほうもひとつ簡潔にお願いしたいと思います。  さしあたっては、当面する問題としてウラン濃縮の問題について伺いたいと思うのであります。昭和四十五年度のウラン濃縮の予算は驚くなかれわずかに三億円であります。こんなわずかなことで一体ウラン濃縮の技術が完成するかどうかということについて疑いなきを得ない。炉の問題とか、そういういかにも目立つ問題については研究費をつぎ込むけれども、基礎的なものについては非常に手おくれになるということの顕著な一つの代表としてこのことがいえるのではないかと思うのであります。たとえば、昭和六十年になりますというと、日本で必要な濃縮ウランの数分の一を満たすという設備だけでも大体三千億円から五千億円ぐらいかかるだろう、こういうことがいわれておる。それに対する技術者は一体どうするのだ、量産体制はどうするのだというような問題も含めて考えますと、こんなわずかな予算で、世界が今日どんどん資金を投入してウラン濃縮の技術を指導し開発をしておるときに、一体ついていけるのだろうか。ここでおくれをとるとまた技術導入だということにならざるを得ないという宿命をみずからになっておるのではないかという危惧の念で一ぱいなのでございますけれども、この点長官どうお考えになっておりますか。
  105. 梅澤邦臣

    ○梅澤説明員 ただいま先生おっしゃいました三億円は動燃の遠心分離のほうと思います。そのほかに委託費のほう、それから理研等でガス拡散のほうをやっております。その両方合わせまして約四億二千万で、おっしゃるとおりわずかでございます。実はこの予算をつくりますにつきましては、研究者の集まりの検討会で大体の五カ年計画をつくっていただきました。初年度でこの点が少なかったわけでありますが、その中で遠心分離のほうにつきましては、大体動燃が御要求になった分をほぼ満たした金額を出したわけでございます。しかしこれはまだまだ大きくなりますので、来年度の予算におきましては両方合わせまして約十五億程度は必要であるということで、目下予算要求を進めておるところでございます。
  106. 石川次夫

    石川委員 十五億程度ということですが、どの程度その要求が通るかわかりませんけれども、とにかく非常な立ちおくれであることは議論の余地がないと思うのです。それに関連して、日本のウラン濃縮技術は部分的には理研においてもあるいは原研においても動燃においても成功しているという研究発表はあります。しかしながらこんなものじゃどうにもならぬというあせりがあるのだろうと思うのでありますけれども、先般中曽根防衛庁長官がアメリカへ渡りまして、そしてこの濃縮ウランの技術アメリカから導入をするという交渉をしたことが大々的に新聞に報道されておるわけであります。この点については、長官はあらかじめそういうことを承知の上でなさったのかどうか、その点について御説明を願いたいと思います。
  107. 西田信一

    西田国務大臣 中曽根防衛庁長官が渡米せられました際に、ウラン濃縮技術の導入と申しますかあるいは提供と申しますか、そういう話に触れられたことは、帰りましてからも私直接お目にかかってその内容についてお伺いをいたしました。出発前に特別な打ち合わせというような形のものはございません。ただ、ウラン濃縮のことについてアメリカでちょっと意見を聞いてみたいと思うがというような話が立ち話的にございました。しかし私は、これは非常にむずかしい問題であるからということを、簡単なことばでございますが、そういう考え方を申し上げておいたのであります。もちろん帰ってからのお話を伺いましても、これはあくまでも防衛庁長官とか国務大臣とかという立場を離れて、政治家個人として、中曽根個人としての提案と申しますか打診である——私は打診と受け取っておるのでありますが、こういうことでございまして、これに対する先方のアメリカ側の返事をもたらしてお帰りになってはおらないようであります。しかしながらある程度の反応と申しますか、いずれしかるべき関係者に話をして何ぶんの返事をしようというような趣旨のお話があったようでございます。そしてまた同時に、そういったことを前提としてでございましょうが、アメリカ日本並びにしかるべき第三国を加えたウラン濃縮の共同開発と申しますか、そういったことはどうであろうか、こういうことにも触れてお話があったようでございます。これにつきましてもはっきりした返事を受けて帰っておられませんが、そういうことについてもひとつアメリカ内部で検討してみよう、こういうようなことのようでございます。  閣議におきましても、他の主任務の報告のついでにそのことに触れて同様な御報告がございました。同じような内容でございました。こういうことであるから、アメリカからどういうふうな反応を示してくるかわからないが、あとは外務当局なり科学技術庁当局がこの問題は受けてひとつ検討してほしい、こういうお話であります。  その際に私は、わが国といたしましては、いま先生御指摘のように立ちおくれたということは事実でございましょうけれども、将来の原子力発電を中、心としますところの原子力開発立場から、ウラン濃縮の技術というものを早く開発しなければならぬということで二つの方法があるようでありますが、遠心分離とガス拡散両方の手段につきましてその評価を急いでおるわけであります。四十七年度をめどに評価を急いでおるわけでありますが、そこでわれわれといたしましては、そういうような面で日米が、あるいはその他の国とのそういう国際協力を得るというようなことがかりにあるといたしましても、とにかくわが国がみずから濃縮技術を身につける、開発するということがもっと必要である。かえってそういうことに、かりにのことでございますが、するとしても、わが国がそういう能力なり技術を持っておらないということでは非常に不利な立場にありますし——そういうことのために開発するのではございませんけれども、そこでいろいろウラン資源の確保、またその核燃料サイクルの確立というような立場においてこのことが非常に重要なことである。したがって私は、南ア等におきましても、内容はわかりませんけれども、最近また新技術開発されたという報道もあることでもあるし、またオーストラリアでも非常に有望な新鉱が開発されたというようなニュースも入っておるし、とにかくこういうようなわが国の現状から考えて、ウラン濃縮技術開発にはより積極的に取り組む必要があると思うから、財政当局もそのつもりでひとつ考えてもらいたいということを、私は閣議の席上でもかえって大蔵大臣にこの機会に要請をいたしたようなわけでございまして、まだその程度でございまするけれども、私どもといたしましてはウラン濃縮技術開発につきましては、先ほど局長が申しましたように、ひとつ明年度以降におきましても積極的に取り組んでまいりたい、こういう考え方でございます。
  108. 石川次夫

    石川委員 この問題はたいへん大きな誤りを二つおかしていると思うのです。これはいまの御答弁の中に出ている面も多いのでありますけれども、ウラン濃縮という技術はどこの国でも軍事目的なんですね。平和目的でウラン濃縮をやっているところはないんです。軍事目的のための開発ということでやっているんです。そういう目的でどこの国でもウラン濃縮をやるということは軍事目的であるということを前提に置いてやる。ということは、日本においては軽水炉ばかり使っておりますが、軽水炉というのは世界の炉の三分の一なんですよ。ほかはそれほどウラン濃縮ということの必要性はなく、ウラン濃縮を必要とするのは軍事目的であるというのは通念になっているのです。そこへもっていって防衛庁長官の肩書きを持った中曽根長官が行って濃縮ウランの交渉をするといえば、外国では当然軍事利用だというふうに結びつけて考えられる危険性が多分にあるということを中曽根長官自身がわからなかったのかどうか。もっとも中曽根さんはだいぶ古い科学技術庁長官でおられて、たとえば科学技術基本法なんか私なんかも泊まり込みで一緒にやったという経験もあって、科学技術に関しては非常に熱心だということはわかります。だから、個人が全くの肩書き抜きの発言として、そういう熱意のあまりやったのではないかというふうにも善意に解釈すればできますけれども、しかし肩書きはあくまでも肩書きです。しかも今度はわれわれ外国へ行きましたときにずっとユーラトムやどこかを回りましていろいろと核防条約の交渉をした。その場合に、私どもなどは野党の代表というつもりもありまして、とにかく日本は唯一の被爆国であって絶対核武装はしない、それから平和憲法もある、基本法もあるというような立場で絶対に核武装をさせないのだ、したがって査察の必要はないではないかというようなことを強調して歩いたのでありますけれども、しかしながら、東南アジアとかアメリカあたりは日本は核武装で軍事国家になるんではないかという危惧の念を絶対捨てていないのです。いかにわれわれがそれを説明したって納得しない面が多々ある。そういうところへ、軍事目的だという通念化されておる濃縮ウランの技術提携を防衛庁長官の肩書きを持った中曽根長官が行って、かりそめにも私の資格だということで話をしても非常な誤解を与える。この点はどうお考えになりますか。
  109. 西田信一

    西田国務大臣 私は中曽根さんが全く個人的な立場で言われたということはそのとおりだと思っております。そしてまた、そのウラン濃縮のことに関してであったのか、また別の防衛の問題についてお話があったときか、そこのところははっきりしませんけれども、とにかくアメリカに行かれましてから非核三原則の厳守それからまた核武装はしないということを明瞭に中曽根さんもアメリカで言明されたようでございます。あくまでもわが国の原子力開発というものは平和利用に限られておるということはもうはっきりしております。ただ原子力発電等も非常な急速度で進んでおりまするし、そういう意味において現在わが国が鋭意努力はしておるが、このウラン濃縮技術開発等がまだはっきりした見通しを持っておらない。ウラン濃縮技術は四十七年までに一応の技術的な解明をしようということにはなっておりますけれども、それから後の開発等のことを考えますと、多少そこら辺に心配があるというようなことで、全く平和利用という立場に立ってのそういう技術導入あるいは技術の供与ということを個人的に提唱されたものであろう、こういうふうに私は理解をしていますし、帰ってからもそういうはっきりしたお話でございました。  ウラン濃縮は全く純軍事的なのが通念であるというお説でございますけれども、わが国立場といたしましてはそういう立場をとっておりまするし、またそのことは十分百も承知の中曽根さんでございまするし、そういう気持ちでこの個人的な発言をされたものと考えております。
  110. 三木喜夫

    三木(喜)委員 関連して。私も海外でこの反響の状況を見たのですけれども、なかなか反響大きいですよ、防衛庁長官がこういうことを言ったということで。ただここで、私は石川さんが言いましたことをもう一回えどって言おうとは思いませんが、ただ所掌事務の干渉じゃないかと思うのです。それで閣議で了承されたということになるとおかしい。彼が防衛庁長官、そうして運輸大臣それから科学技術庁長官というような経歴がいままでにあります。そうすると運輸行政に関することを彼が言ったとすると、運輸大臣はおこるだろうと思うのです。あなたもおこったような発言を、その後の新聞で外国で見たのです。なかなか科学技術庁長官はいいところがあるな、よくここまで言えたなと思ったのですが、いまの話を聞いてまた逆転しました。閣議では了承された。個人でこういうことを言っていい。全く私は政治家個人だということになると、あなたも防衛庁の問題を言ってよろしい。言えますよ。あなたがそんなことを言われたらおさまりますか。私は、こういう了解のしかたの中に、中曽根さんは思い上がっておると思うのです。自分がいかに科学技術に通暁しているとはいえ、こういうような濃縮の仕事を一緒にやろうかとかやってもらえませんかとか、ある程度の決定を得たとか、そのあとはおまえらやっておけ。まるで科学技術庁長官やかりに運輸でいうならば、中曽根防衛庁長官の下請けをさせられておる。おかすだけちょうだいして唯々としてこの交渉をされるのですか。これはちょっと大臣としては見識を持って言うてもらわなかったら、あの反論を出されたときぐらいのいま気持ちを持ってもらわぬと、これは科学技術庁の姿勢を疑われますよ。これが一つ。  それからこんなことを防衛庁長官に言わすぐらいいまの日本の国のウラン濃縮の見通しというものは暗いのですか。これはひとつ原子力局長に聞いておきたいと思うのです。そんなに暗いということを防衛庁長官が知っておったのかどうか。そういう事情を知っておりながら、日本技術開発しようとする意図を持っておる者がある。強いと思うのですが、その中でこんなことを言い——そのこと自体が問題でありまするのに、それをまた了承する科学技術庁長官は、それらの人に失望の念を与えると思うのです。その点を明確にしてくださいよ。答弁だから、お互い内閣の間で了解したんだからというような、そういうなれ合いでものを言ってもらうと困る。その点をひとつ。
  111. 西田信一

    西田国務大臣 閣議が了承したというお話でございますが、これは全く個人的な立場でこういうことを言ったということがあって、もしこれがどういうふうに返事がくるかわからぬけれども、あとは自分が関係すべきものじゃないという立場でおっしゃったと思いますし、それを閣議が了承したというふうに私ども受け取っておりません。ですから、そのことはむしろわが国が自主的に、積極的に濃縮技術開発をやらなければならぬ。大蔵大臣もそのつもりでやってくださいということを私は申したのでございまして、それは遠い将来までそのことを私はどうこうということは申しませんでしたけれども、少なくともそういう姿勢で臨みたいということを申したのでございまして、アメリカと共同することが了承されたとかなんとか、どういう仕事について交渉をどうするとかそういうことではございませんので、その点はひとつはっきりさしておきたいと思います。
  112. 三木喜夫

    三木(喜)委員 関連だから、一口言っておきたいと思うのですが、了承とか了承せぬとかという問題じゃないでしょう。とにかくそのことが日本でできる、できるという確信を持っておるなら、ばかなことをおっしゃい、わが国でやります、こういわれながらやったろうと思うのですが、そこに確信がないんじゃないですか、大臣として。  そこで、これは原子力局長にもお聞きしておきたい、はっきりと聞いておきたいと思うのですが、最近の閣議で山中総務長官をおいて、沖縄の問題でしたか公害問題でしたか言った大臣がある、それはしかも防衛庁長官だったということですが、それに対して山中長官は、同じ派閥ですよ、同じ中曽根派に属しておりながら、色をなしてここで反発しております。もしその確信があるなら、これはあなたがそこで反発されるべきだと思うのです。あれは個人的な政治家として言った問題だという、こういう受け取り方をいま私はしたのですが、ああそれならよしよしだから防衛庁長官と違うのですねということで了承されるなら、日本の濃縮ウランというものは見込みがないということをやはり裏づけたことになるし、もしあなたが確信ありというなら中曽根長官がやったことは絶対だめだという結論になるのです。そのどちらなんですか。
  113. 梅澤邦臣

    ○梅澤説明員 原子力委員会で現在までに特定総合研究としてやっていますことは、やはり日本で何としてでも技術をつくるのだという考え方でやっております。ただそれが現在考えますと、先般から申し上げますように四十七年度にどちらにするか。それからやはり経済性、あるいは技術の確立等の具体的なところにくるのには、いま私たちの考えでいきますと、やはり三年ぐらいは要るのじゃないか。そうしますと、五十年くらいまでは技術の確立に時間がかかってくる。そういうふうな感じを持っております。しかし、四十七年度以後につきましては、あらためて原子力委員会で検討するということになっておりますので、三年くらいかかるというのは個人的といいますか、私たちの事務的な点でそう感ずるわけでございます。  そこで、いまの需要量の問題でございますが、現在発電が相当早くなっております。したがいまして、濃縮ウラン、約三%濃縮として計算しますと、五十年度で日本で一年間七百トンくらいが使われるのではないか。それから、五十五年度には千二百トン、それから六十年には千九百トン、五十五年の千二百トンというのは分離作業度で換算いたしますと約五千トンになります。そうしますと、アメリカの現在の一工場分ぐらいを使うというところに来ているというのが一つでございます。それから、もう一つは先般から報道されておりますが、ウラン濃縮費がいままで二十六ドルでございましたが、二月の二十日から二十ハドル七十セントに値上がりという形になっております。そういう関係、それから電力料も上がってきますので、アメリカ自身もその後上げないと言っておりますけれども、値段の上がる可能性というのはあるんではないか。そういう見越しから、私たちのほうはやはり何とか技術の確立を急ぎたいという考え方で実際に進んでいるわけでございます。
  114. 石川次夫

    石川委員 いま三木委員から私が言おうとすることを言ってもらったわけなんでありますけれども、これは明らかに所掌侵害ですね、防衛庁長官という肩書きでそういう話をするということは。それと、防衛庁長官という肩書きなるがゆえに軍事利用という危惧の念を外国に与えるということは、たいへん私は遺憾だと思うのです。したがって、端的に結論を申し上げますと、このアメリカとの交渉を取り消してもらいたい。はっきり一応水に流して、あらためてこの交渉をし直す。こういう話にしなければ、この誤解を解くわけにはいかぬのではないか。そのくらい事は重大だと私は思うのです。その点、どうお考えになりますか。
  115. 西田信一

    西田国務大臣 これはいわゆる政府間交渉という形には私はなっていないのじゃないかと思うのです。個人的にそこらを、受けた側も当面の責任者ではございませんようです。したがって、そういう希望があるのだということを、その個人的な希望としてアメリカ側のあれを打診的に考え方を述べられたというふうに思います。そういうふうに私は受け取っておりまして、ですから交渉の打ち切りというようなことにはならないのじゃないかと実は思っております。
  116. 石川次夫

    石川委員 しかし、交渉という正式なものでないことはわかりますよ、それなら、こちらからの言い方も、正式な交渉という形でなしに言ったらいいじゃないですか。ああいう話があったけれども、一応私のほうからあらためてお話を申し上げますから、こういう個人的な話でいいだろうと思うのです。それは向こうは、交渉でなくても、とにかく防衛庁長官という肩書きを持って来て、非常な危惧の念を持っている、そういうところに対して、言わせっぱなしでそのままにおいておくということは私は非常にあと誤解を残してしまうと思う。誤解か正解か知りませんよ、ただ、その話はぼくはすべきだと思うのです。そうしないと、日本はいよいよ核武装するのだという危惧の念はますますこれから濃くなっていくだけだ。平和利用に徹するのだということに、幾らことばで何万言費やしたところで、その誤解は解けないと思うのです。その点機会があれば、あれは中曽根長官が言ったけれども、個人の資格で言ったので、あらためてまた話しますからという、軽いことでいいと思うのですよ。そのくらいのことは言っておかなければ——所掌侵害という問題はもちろんあります、原子力委員長として、科学技術庁長官として、憤然としてこれに食ってかかるという決意も必要でしょうが、それ以外に、やはり国際間のそういう不信感を除くという意味での配慮というものは当然私は必要じゃないかと思う。これは日本以上にほかの国に対してはたいへんな反響を呼んでいると思うのです。いよいよ日本も始まるなという印象を与えていると思うのです。そういう点で、その配慮をしてもらいたい、それが一つのあやまちであります。  それからあと一つの誤りは、いま技術導入か自主開発かという二者択一の問題だというふうになっておりますけれども、そんな単純なものじゃないと思うのです。ということは、ガス拡散法というものをやる場合には、これはたいへんな電力を食う、非常に大規模な需要がなければ、これはとうてい採算が成り立たないものだ。聞くところによると、フル回転をしますとアメリカの濃縮のガス拡散法で費やす電力量というのは、ほぼ日本の全電力量に匹敵するといわれるぐらいものすごい電力を必要とするということは、巷間言いふらされておるところだが、そうなるとこういうガス拡散法などという技術を導入することが是か非かという問題が大きくまず正面に立ちはだかってくるのじゃないか。それから遠心分離法のほうが非常に小規模に処理できるということで、いいというような利点もあるのじゃないかというようなことがいわれておる。それから化学分離法というのは垣花先生あたりがだいぶ、これは私は何とかものにしますというような自信のほどを見せておるわけです。ノズル法というのはどこで研究しているかわかりませんが、その他の方法も徐々に開発をされておるというふうなこともある。そうすると、一体どういう方法がいいのだというふうな優先順位というものもまず考えていかなければならぬ、そういうむずかしい問題がたくさんある。  それから値段の問題にしても、パデュウカとかポーツマスとかオークリッジなんというアメリカのウラン濃縮工場は全部償却済みなんですね。そういう償却済みの工場に対して、日本が新たに工場をつくった場合には一体値段の点で立ち向かえるかどうかという疑問も残る。いろいろな点で複雑な問題があるわけです。それを簡単に自主開発不可能、では先導技術、単純に技術導入だというような、そんな単純なものではないのではないか。そういう点も十分配慮しないで、思いつきで、しかも防衛庁長官という肩書きを持って、日本誤解を与えるような発言を向こうへ行ってやってくるというようなことは、軽率きわまると思うのです。そういう点においてもこの交渉——交渉というほどではないでしょう、しかしながら一応これは水に流してください、私のほうでまたあらためて検討しますというような話は、一応私はすべきではないかと思うのです。この点どうお考えになりますか。
  117. 西田信一

    西田国務大臣 ただいまの先生の御意見でございますが、十分拝聴いたしました。あくまでも個人が個人的な考えを述べたということのように私は受け取っておりまするけれども、いま御意見もございましたので、十分ひとつ考えさしていただきたいと思います。
  118. 石川次夫

    石川委員 まあここではそれ以上の答弁を引き出すことはむずかしいのだろうと思いますけれども、たいへんな問題、波及するところが大きいのですから、この点はほんとうに善処してもらわなければ困ると思うのです。たとえば、高速増殖炉ができれば一体濃縮ウランとの関係はどうなのだという問題もあるわけですね。高速増殖炉が完成すれば、濃縮ウランで技術導入をしてえらい費用をかけることがどうかというふうないろいろな問題がありますからね。そう簡単に向こうの技術を導入すればいいんだということでの問題ではないんではないか。  実は今度アメリカに渡りまして、ランド・コーポレーシヨンへ行きましたら、核防条約との関連もありまして、原子力の問題を聞きましたところが、アメリカ、ニュージーランド、カナダあるいは日本というところで、ひとつ共同で原子力開発をやったらどうか。これは濃縮ウランとは限っておりませんでした。そうすればユーラトムと同じように事後査察で済むのではないか。日本においては査察がたいへん問題になっておるようだけれども、共同でやったらどうかという意見が出されまして、これは一つの着想として、アイデアとしてたいへんおもしろいと思ったのです。おもしろいとは思いましたけれども、ランドあたりがそういう考え方を持っているということから類推をすると、共同でやりたいという気持ちがアメリカ政府にないとは言い切れない、そういう疑問が残るのです。それだけになおさら何としても一応自主開発でやるんだという、どこまでいっても、これは追いついていけないということになれば、そのときはそのときでまた考えなければならぬかもしらぬけれども、私の個人的な意見を言わせてもらえるならば、何とかガス拡散でない方法でやらないと、とても、これだけの設備をまかなうことには、日本の需要は狭過ぎる、こういうような気持ちを持っております。したがって、二者択一の問題というふうな簡単な問題ではないんだということを十分ひとつお考えを願いたい。  それから、いまの問題はなかなかむずかしい問題で、閣内の事情もあるでしょうから返事を保留されたわけでありますけれども、これは保留されただけではわれわれは満足できないのですよ。それほど私は国際的な影響は大きいと思うのです。そういう点で、次回には中曽根長官にも来てもらって、その点のはっきりした解明ができない限りは今後この質問を続けていくということで私の質問を保留していく。委員長、よろしいですね。
  119. 北側義一

    北側委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  120. 北側義一

    北側委員長 速記を始めてください。
  121. 石川次夫

    石川委員 それでは、次に、本論に入ると言うとおかしいのでありますけれども、科学技術政策というのは相当大きくクローズアップされておりますが、日本ではまだまだ科学技術というのは政治の中の片すみに置かれておりますものですから、非常に残念だとわれわれは常々考えております。  OECDに行きまして、一体OECDの重要な課題は何だということを聞きましたら、第一に後進国援助の問題がある。これは先進国の集まりでありますから当然でありましょう。それから一つの柱は経済問題である。国内干渉にひとしいくらいまで各国の経済情勢を調べていろいろな勧告をするということまでやっておる。一つの柱は科学政策である。あくまでも科学というものを高めるということを通じて人類に貢献をするという、三つの柱になっておる。非常に科学政策というものが重視をされ、公害の問題であろうと、人間のしあわせにかかわる科学をいかにして発展せしむべきかということに非常な関心を払っている。  ところが、日本の政治の姿勢を見ると、科学政策というのは、片すみで、企業の利益のために奉仕をする関係だけで何か運営をされておるという可能性がきわめて濃いということは、私は非常に残念でならないのであります。アメリカの科学政策の予算は大体二百四十億ドル——日本は全予算が八億ドルですが、これを全部科学政策につぎ込んでいる。もっとも、この中で五七%までは原子力、宇宙、国防というようなことに費やされておるようでありますけれども、いかんせん、政府が非常な肩入れをして、七割までは政府科学研究費用でまかなっておるというのに対して、日本はわずかに三割しか出しておらぬというようなことで、立ちおくれていることは、額においても、意気込みにおいても、全然問題にならぬということは、これは科学技術庁長官はよく御承知でありましょうから、ここであえて念を押すまでもありませんけれども、科学技術会議で、最近、科学技術政策はどうあるべきかということで答申が出ておりますね。なかなかいいことばを使っているのですよ。ニード、いわゆる社会的要請にこたえる。シード、科学的種子、これを培養する。ベース、基礎的土壌というものを養成するというようなことば、それから、よくはやりのテクノロジーアセスメントというものを適用するのだというようなことで、ことばだけは非常に巧みに飾られておる、と言うと科学技術会議の方にしかられるかもしれませんけれども、なるほど私、このとおりだと思うのです。そういうことでこれから、科学技術会議の議長は総理大臣でありますから、科学技術政策を進める、人間復権の科学として確立をするのだ、それから基礎研究というものを重視するのだというような姿勢は、ことばの上では見えているのです。しかし、現実には一体どうなっているかというと、これは私から説明するまでもないのでありますけれども、大学のほうの関係を除きますと、昭和四十年が予算の中で占めている割合が一・二六、昭和四十五年になって一・三六、わずかに〇・一%パーセントとしてはふえている。しかも、その中で原子力関係昭和四十年が百十三億で昭和四十五年は二百九十七億、それから宇宙が新たに加わってまいりましたから、六十一億、これを引いたら、このビッグプロジェクトを除いた予算はさっぱりふえてないということになるのです。パーセントでは逆に低下をしているというような状態になっていることは、これは長官お認めにならざるを得ないだろうと思うのです。もちろん、そうかといって私は、宇宙とか原子力に対して予算が多過ぎるなどと言うつもりは毛頭ございません。これはまだまだ足りないと思っています。しかし、これを除いてしまうと、この陰に隠れて、一般の基礎研究にかかわるもの、たとえば国立試験研究機関というものが八十八機関あります。その予算が昭和四十三年で、最近のものをちょっと見落としましたけれども、全部で百二十三億です。わずか百二十三億です。こんなもので一体科学技術政策を推進するというのに値し得るものかどうか、まことに残念でならないのです。  そこで、来年度の予算の編成の方針といいますか、腹がまえというのか、そういう点は、長官、これらの点についてどうお考えになっておりますか。
  122. 西田信一

    西田国務大臣 石川先生の御指摘はまさにこれはそのとおり当たっておると思います。わが国科学技術予算、ことに科学技術庁予算と限定して考えますと、ビッグプロジェクトの分を引きますと、額におきましてもきわめて少ないものがございます。  そこで、七〇年代に入りまして、科学技術政策はきわめて重要であるということにつきましては、全く私どもも同様に認識をいたしております。そこで、「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」というのが、総理大臣から科学技術会議に諮問第五号として諮問されておるわけでありますが、その中におきましても、わが国科学技術の現状を見ると、その振興が非常に強く要請されておるにかかわらず、生活環境の改善、国民福祉の向上などの社会開発分野においては十分に要請にこたえておらない。また、経済の効率的発展のための科学技術水準も急速に向上はしておるものの、先端的科学技術分野などにおいては、なお非常な格差があるということを指摘いたしまして、この七〇年代の科学技術政策の基本について諮問を受けて審議を進めておるわけでございます。そういうような立場に立って、来年度の予算要求等も行なっておるわけでございますが、先生御承知のとおり、一面におきまして、国の財政計画というものもございまして、一応の、何と申しますか、大まかな制約というものも受けながら、この要求を行なわざるを得ないという立場でございます。  また宇宙開発等につきましては、目下検討を続けておりますので、この分はおくれて要求することにいたしておりまするが、しかしながらただいま私どもが立っておる認識に立って、科学技術予算はひとつ伸ばしていきたい、こういう考え方でこれからの財政当局との折衝にも当たってまいりたい、こういう決意でおる次第でございます。
  123. 石川次夫

    石川委員 ぼうばくとした答弁でつかみどころがないのでありますけれども、とにもかくにも、たとえば科学技術会議の第一部会ですか、そこの審議過程を見ますと、たいへんいいことが書いてあるんですね。それは、たとえば環境科学技術、安全科学技術、資源科学技術、医療科学技術、省力化科学技術、教育科学技術、それから海外援助関連科学技術というものについて重視をしなければならぬ、これだけを読みますと、ほとんど人間に関係するものです。人間のしあわせに関係しておるもので、非常にけっこうだと思うのです。しかし現実には、科学技術というものはどこで大きく日本全体として使われておるかというと、全部企業の関係の、企業の繁栄のための科学技術に七割まで使われている、大ざっぱにいって。そういう関係で、人間のしあわせのための科学技術なんというものは、ことばだけにしかすぎないというような形になっておる日本科学技術政策というものを、何とか人間復権のための、人間のしあわせのための科学技術というものに置きかえていかなければならぬということを、ほんとうに腹をきめてかかってもらわなければならぬ。その中の一つの典型的なものとしては、公害の問題があろうと思うんです。OECDで科学政策というものを非常に大きな柱にしておるということは、実は公害なんかも非常に大きな中核をなしているわけですね。最近は、山中長官が中心になり、総理大臣委員長というかっこうで、公害に正式に取り組むんだという姿勢になっておりますけれども、どうも法律的に、行政的に処理をするという考え方が先行しておるようであります。日本の政治の一番悪い点です。OECDあたりの考え方のように、科学技術としてこれにどう対処するか、公害にどう対決をするかというような開発の面というものは、何か行政だけ解決ができれば何とかなるだろうというような非常に甘い考え方で、本末転倒というか、主客転倒になっているのではないか、こう思います。たとえていうと、公害の問題は、これは言い出したらきりがないから申し上げませんけれども、重油脱硫とかそれから排煙脱硫の問題にいたしましても、これは工業技術院でやっているんですね。これはなかなか進捗しておりません。それから自動車の排気ガスの問題も、輸出のものについては装置を、完ぺきなものではありませんがつけておるけれども、輸入の、国内のものについては全然つけないのだというようなばかげたことがまかり通っている。それから排水処理の問題も、凝集沈でんなどの物理、化学的処理法だとか、メタン発酵法だとか、あるいはまたイオンでもってやるというような方法だとか、いろいろな問題が考えられておりますが、これもきめ手はない。それから廃棄物の関係は、ことしは五千九百万トンと予想されておりますけれども、三分の一しか処理されていないんです。あとの三分の二は投げっぱなし。これは昭和五十年になると一億トンになる。いまのままでいけば、ごみの中に人間が住まなければならぬようなことにならざるを得ないのではないかというような状態まで追い詰められてきている。それから水の問題あるいは空気の問題がたいへん騒がれておりますが、水のきれいで空気の澄んだところにいる人まで、一億全部が受けている被害としての食品添加物と有害農薬の問題があるわけです。この問題も、厚生省のほうではさっぱり、製薬会社の立場に立って国民の側に立って処理しようとはしておらない、こういうような状態です。この公害のたくさんの問題について、これをどう科学的に処理するか、科学的に一元化するというか、システム化するというか、こういう問題こそ科学技術庁がやるべき問題ではないのか。これはただ単に法律を公布して行政指導してというその前に、〇・一PPMとか何とかいったって、その科学技術的手法が何もできてないわけです。こういうようなことで、かけ声だけかけていたんでは企業の側としても迷惑な面が多々あるわけなんで、そういうような科学技術開発こそがまず第一に必要だというようなことが、ほんとうに政府でつくっている公害対策本部の中で確立されておるかどうかということになると、私は、たいへん心もとないと思っております。何か、かけ声だけで何とかなりそうだというようなことで、一時のあだ花に終わってしまうのではないかという危険性を感じるので、こういうような公害に対する科学技術というものを一元化するといっても、一つにまとめるというわけにいかぬと思います。しかし、これを何らかの形で一本化して見ていくという組織というものは確立されなければならぬと思うのです。どこで何を分担する、どこで何を分担する、この公害、この公害についてはどういうふうにして処理をするという、総合的にこれを見ていく機関はどこにあるのかと思う。私は、こういう点で非常に疑問を感ずるわけなんです。この点はどうなっておりますか。
  124. 西田信一

    西田国務大臣 公害の問題につきましては、政府がいま公害対策本部を設置いたしまして真剣に取り組んでおることは御承知のとおりでございます。そこで公害の問題、環境の問題等につきましては、確かに一面、すでに発生しておる公害の処理の問題、これがやはり行政面で処理しなければならぬ問題がたくさんございますから、そういう問題と積極的に取り組んでいかなければならぬことは当然でございまして、そういう面では山中長官を中心といたしまして、内閣一体となって取り組んでおるわけでございますが、しかしいま御指摘のとおり、根本的にこの公害を技術的に解消していく、あるいは公害の発生を未然に防止する、こういうことはやはり科学技術の力にまたなければならぬことは当然であると思います。しかもこのことは、もうすでに一国だけの問題ではなくて、これは国際的な問題になってきておると思うわけでございます。そういう意味におきまして私どもも、すでにやっておりますところの、日米間において行なわれておりまするUJNR、これなんかにおきましても具体的な問題を取り上げて、すでに具体的な検討に入っておりますし、今回のトレイン氏の来朝によりましても、そういう姿勢で両国が協力をし、さらに私は、もっと広く、国際的にこういう問題は協力し合わなければならないものであると思います。私も、先般欧州へ参りました際におきましても、フランスの、公害、そういう問題に対する担当の責任者、あるいはスウェーデン等におきましてもそういう問題等をいろいろ話し合ってまいりまして、情報の交換その他いろいろな話し合いをいたしてまいりましたが、私どもも、そういう意味合いにおきまして、私どもの任務というものは非常に重いというふうに認識をいたしておりまして、明年度の予算におきましても、昨年のわが庁の科学技術白書におきましてもすでにこの問題に触れておるわけでございますが、ひとつ積極的な姿勢で取り組んで、公害を科学技術の力をもって克服するということに全力を尽くしていきたい。したがって、予算の内容におきましてもそういう色彩をかりなり強く出しておるつもりでございます。
  125. 石川次夫

    石川委員 GNPの成長は、世界に例のないほど進んでおるわけでございますけれども、これも科学技術の力によってなされたものであって、GNPを伸ばすことにだけ費やされた科学技術の力というものを、GNWといいますか、福祉のために還元をするという努力が全く閑却されて、反省の時期に来ているのがこの公害問題をきっかけとして起こってくるだろうと思うのであります。そういう点でいまいろいろ私おもだった問題点だけ申し上げたわけでありますが、この科学技術開発によってこの公害問題を解決をはかるという先進国並みの考え方、こういうところに立ち戻ってもらわないと、行政手段だけで考えるという考え方は、ほんとの小手先に過ぎないのです。小細工です。そういう点が総合的に一元化して開発体制というものをどう政府がつくり上げるか。これは単なる委員会でもって右往左往、行政手段を講ずるということではない。科学技術の面でこの対策をどう処置していくかということについての体制を確立するという点について、ぜひひとつ科学技術庁長官が中心となって政府にひとつ確立をしてもらいたい、こう強く要望しておきます。  それから時間がちょっとオーバーしますので結論だけ申し上げますけれども、シンクタンクの問題でございます。これは今度シンクタンクの調査に向こうへ参ったわけでありますけれども、シンクタンクは、つくること自体は行政のセクトを打破するというようなこともあるし、審議会のような思いつきのものではなくて、ほんとうに正しい手法でもって未来を予測しながら国民立場に立っての正しい方策というものがシンクタンクから生まれるのではなかろうかという期待をわれわれは持っております。持っておりますけれども、反面日本ででき上がるこれからのシンクタンクというものに対しては危惧の念もまた非常に多い。そういう点を克服をしていかなければならぬと思うのであります。それは問題点をいいますと、何でも新しいことはアメリカのまねだというようなひやかし半分の批判が強く出ております。これは非常にばかにできない強い意見だろうと思うのです。ヨーロッパにはシンクタンクというふうなものは公然とは存在しておりません。ほとんどアメリカだけでありますので、これは頭脳産業として、新しい産業として開発していこうという企業側の要請によってアメリカのまねをしておるという批判がきわめて強い。しかしアメリカのように、人間の流動性というものが伴わないわけでありまして、アメリカでは高級な産業としての頭脳産業、このシンクタンクというものに入れば大体民間にいたときの給料の倍まではいかなくても相当高級でかかえられる。そこにつけば箔がつく。三年か五年でそこを出ていけば、またもっといいポジションへ行けるというようなことになっておりますが、日本では終身雇用というようなことが非常に因襲として残っておりますから、なかなかそう簡単に人間の流動性というものをはかることができないという点で、人材難という問題が出てくるのではなかろうか。それから非常に皮肉な見方ではないと私は思うのでありますけれども、どうも外貨が獲得できたんで海外進出のためにこのシンクタンクというものを考えているのじゃないかという批判もあるわけです。これは一つの侵略計画ではないか。そのためのシンクタンクではないかというような皮肉な見方もあるわけであります。それから私は、このPPBSとかパートだとかいう非常に新しい手法でやるんだという説明が裏づけにならないと、従来の審議会と何ら変わるところはないんじゃないか、こういう批判が出ざるを得ないと思うのですけれども、日本でこれからつくられるシンクタンクにそれほどの能力があるんだろうか、この疑問が残らざるを得ない。これはないという見方のほうが強いのであります。しかしそれなら審議会とさっぱり変わるところはないんではないか。こういうことにならざるを得ないという危険性が多分にあるというふうに思わざるを得ない。それからあと一つ、たいへんな問題は、これは完全に政府から独立してシンクタンクだけでものを考えるという習慣がありますけれども、それはアメリカにおいてすら、やはり委託をした人の意図というものはどうしても金を出さざるを得ないという批判がアメリカですらあるわけです。そうなりますと、日本の荒廃した政治のモラルというものが、それなりにシンクタンクの中に影を落として、それを為政者の意図というものを反映するような結論が膨大な資料に基づいて出ると、反撃の余地がない。未来のバラ色を大衆に示すことによってシンクタンクはいいんだいいんだといっても、実際はがんじがらめになって反論ができないような形でもってシンクタンクがある一つの政策をつくるということになれば、たいへんなマイナスの影響が出てくるというようなもろもろの問題がある。これは私一口にしゃべってしまいましたけれども、ほんとうは一つ一つについて実際は一問一答の形で政府のほうでこの点はどうなんだということを解明していかなければならぬ責任があると思っているのです。この点は問題点だけを申し上げましたから、あと速記なり何なりごらんいただいて御検討いただきたいということだけを申し上げたいと思うのです。  最後に一つ伺いたいのは、シンクタンクをつくるというのは自民党の間でもって相当熱心に討議をされて結論めいた構想も出されております。政府のほうは一体これに対してどういう反応を示すことになっておるのか。科学技術庁は一体どの程度までこれにかかわりがあるのか。政府機関としては一体どこがどういうふうに取りまとめをいたしておるのか、そういう点について御説明願いたいと思うのです。
  126. 西田信一

    西田国務大臣 自民党が中心となりまして、自民党の政調会でシンクタンクの構想を進めておりまして、結論ではないかもしれませんが、かなりのところまで進んでおるように承知をしております。科学技術庁でも実は来年度予算の中にソフトサイエンス総合研究所構想というものを出しておりまして、これとは内容的にある程度ダブると申しますか似通う、共通しておると申しますか、そういう面がございます。そこで私どものソフトサイエンス総合研究所は、これも政策課題の解明に必要な科学の技術手段であるところのソフトサイエンスの開発、これらの手法を適用して政策課題の解明を行なう、こういったことのほかに関連業法の適用では人材の養成であるとか、こういったことを考えているわけでございます。そこで自民党とよくこれを詰めるところまでは実はまだまいっておりませんけれども、相当共通しておるところもございますので、今後におきまして十分調整をはかりまして最終的にひとつ結論を出したいと考えておりますが、その調整結果によりましてはあるいはもし自民党の構想が実現する場合におきましては、私ども考えているものもこれは一本化するといいますか、そういうこともあり得るではないかというふうに考えております。
  127. 石川次夫

    石川委員 これで質問はやめますけれども、いまの答弁だとさっぱり暗中模索ということです。答弁にはならないと思うのですよ。私は商工委員会がきょうありましたので商工委員会のほうでも話をしようと思ったわけですけれども、これは科学技術庁がやるのかあるいは経済企画庁あたりが相当進んでおりますから、そこが中心になってやるのか、あるいは総理府として一元化してやるのかといういろいろな考え方があると思うのです。しかしながらこれはやはり総合官庁として行政のセクトを打破していく、従来の隠れみのになっておるような審議会というものを全部廃止をする方向に持っていくというような効果が出なければ、シンクタンクというものをつくっても意味がないんではないか。それといろいろ私が先ほど申し上げたような問題点がたくさんございます。日本でつくったシンクタンクはアメリカと同じようなものだというようなバラ色の幻想だけではいけないと思うのです。日本の場合にはいろいろなもろもろの欠陥がある、またこれから出発しようというところでございますから、そういう点でいろいろな疑問の点がある。そういうものを解明されないままで、単なる頭脳産業として企業の側に立っての構想として、自民党としていま考えられているということは、私は非常に残念だと思うのです。そういう点での疑問点というものをこれから解明したいと思うのでありますが、それらの点はひとつ科学技術庁も総合官庁としての力を発揮して十分に善処をしてもらいたいということを強く要望しておきます。
  128. 北側義一

  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も中曽根長官の発言に関しまして大臣にお聞きしたいと思いますが、率直に申し上げて中曽根長官の発言というのは非常に配慮が足らなかったのではないかというように思うわけです。西田長官は、それは個人的に言われたんだからということで非常に中曽根さんをかばっていらっしゃるような発言でありますが、先方にとればこれはたとえ個人的な見解であろうと何であろうと防衛庁長官という肩書きで向こうへ行かれておるわけです。したがって、防衛庁長官としての発言として受け取っているわけです。したがって、その影響性ということをどれだけ考慮されて発言をされたか、その点について非常に軽率ではなかったか、私はこのように思うわけです。それで、これは何も今回に始まったことではなくして、前に原潜の保持の発言があったときに、私この委員会で聞きまして、要するに中曽根さんの発言と非常に食い違いがあるということで、閣内の不統一ということがはっきりしたわけですが、そういうようなことで平和利用、あくまでも平和に徹するという問題については、きょうのああした宇宙開発のところでも、政府方針としてはあくまでも平和に徹するといったこともお聞きしたわけなんです。そういう原則を全閣僚が常に、心しておるならば、ああいう発言は防衛庁長官としての立場からもまず控えるべきではなかったか。しかも、西田長官も今回の発言について詳しく打ち合わせも何もしておられないわけです、中曽根さんがそういうようにおっしゃったことで。これは私は、平和平和ということを口に言いながら、一切の推進をなさっておる各閣僚がまだまだ平和ということを観念的にしか考えていないのじゃないか、このように思うわけです。そういう点で中曽根さんの発言は率直に言って軽率じゃなかったかと思うのです。それについて長官としてはどう思われますか。
  130. 西田信一

    西田国務大臣 私から批判を出すことは避けたいと存じますが、中曽根防衛庁長官としておいでになったのでありますが、この発言の際にはもう明確に、これはそういう立場を離れて、政治家中曽根個人としてものを言うんだということをおっしゃっての発言であったというふうに報道もございましたし、帰ってからの報告もはっきりそうでございます。しかし、防衛庁長官としての立場で行っておられますからそういう誤解を生むという御懸念でございますが、その点は中曽根さんとしてははっきりした立場でおっしゃったようでございます。  それから先ほど来、濃縮ウランにつきましては軍事利用と非常に関係が深いというお話でございますが、わが国は原子力開発は全く平和利用に限るということは法律の上でもすべてはっきりいたしておりますし、またアメリカもこれはよく承知をいたしておるのであります。中曽根さん自身はなおさらのことでございますが、これは私の想像でございますけれども、非核三原則をはっきりおっしゃり、また核武装は全然考えておらないこともおっしゃっておりまして、また共同でやるなんということも、あるいはかえってそのほうがそういう疑問を持たれない、公開的になると申しますか、わが国だけでなくて共同でやるというようなことによって、かえって、日本が核武装するんじゃないかとか軍事利用するんじゃないかという疑念を晴らす上にも——疑念と申しますか、そういった疑問がかりに、あるかないか知りませんが、そういうこともあるいは念頭にあってああいうことをおっしゃったんじゃないか、これは全くの想像でございますが、そんなことも実は私としては感じておるわけでございます。中曽根発言が軽率であるかどうかということについての私の批判は、ひとつこの際避けさせていただきたいと思います。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、原子力基本法等でも平和ということがうたってある。ですから、少々の発言なりあるいはまた疑惑を招くような零囲気であったとしても、法でそのようにきちっとうたってあるんだから心配ないんだというようなお話とすれば、それじゃ極端にいえばもっとエスカレートしてもいいのかということになるんじゃないかと思うのです。私たちもそうした法治国家として法のきびしさはよくわかっておるわけです。だからこそ基本法もつくって、あの宇宙開発についても平和ということをうたってもらいたい、こう言っておるわけです。それについては、いや、いままで総理大臣もあるいは歴代の科学技術庁長官、また現在の西田長官も、私もこのように約束しておるから間違いないとおっしゃっておるわけです。そうすれば、総理にしろ閣僚にしろ発言されたその一言というものは、要するに法にうたわなくてもそれだけのきびしいものである、それだけの信頼の置けるものであるという裏づけじゃないかと思うのです。そうであれば法と同じだけの重みというものが、私は閣僚にしろ総理にしろあるんじゃないかと思うのです。そういう立場からすれば、たとえ原子力基本法というものに平和ということがうたわれてあったにしても、やはり防衛庁長官という立場でそういう疑惑の出るような発言ということはまことに影響を考えないことじゃなかったか、私はこう思うわけです。ましてやこの所管は、あくまでもこれは平和に徹するという立場からいけば、厳然とこれは科学技術庁長官の所管の問題なんです。前の原潜の問題といい、今度の問題といい、あまりにも科学技術庁長官として無視をされておらないか。防衛庁長官は少し科学技術庁長官を無視して走り過ぎておる。しかもそれはただ中曽根長官一人の責任を追及しても、この影響というものは世界じゅうに広がっておるわけです。これだけの大国になった日本としていずれは日本がさらに軍備も強化するであろう、そういうことをだれだって思っておるのです。そういうときにああいう発言というものは、これは取り消しのできない、幾ら個人的だとかなんとか言ったって、一たんそういう疑惑を持たれて流してしまったことについては取り返しがつかないたいへんなことであると私は思うのです。そういうような問題になってくるんじゃないかと思うのです。こういう点で先ほども中曽根長官の出席の要求がありましたけれども、私もこれは重ねて委員長にお願いしたいと思うのです。あと理事会ということでございますので、特にその点をまたお願いしたいと思っております。そういう点でひとつこの問題は国会でもこのように非常に大きな問題になっておるわけですから、西田長官としてもこれはもう閣議においても、全閣僚がほんとうに平和に徹する、常にそういう慎重な立場をとってもらいたいという強い要望があったということを強く話してもらいたいと思うのです。これについてはどうですか。
  132. 西田信一

    西田国務大臣 しかるべき機会に御趣旨に沿いたいと思います。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは次の機会に中曽根長官の御出席を得てこの問題をさらにわれわれとしては真剣に反省も求め、またそうした背景についても、また今後の原子力政策等の問題にまでいろいろと論議を尽くしていきたい、このように思います。  それから次は海洋開発に関する問題ですが、きょうは外務省の方も来ていらっしゃいますが、まず国連の国際海底地域条約、特にアメリカのほうからそうした話し合いがあったということでありますが、この条約をアメリカ考えるに至った背景について、要点を簡潔に御説明願いたいと思います。
  134. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 御承知のとおり国連におきましては海底平和利用という問題に関しまして、過去三年ほど非常に真剣にかつ熱心に討議しておるのでございます。それで一九六七年の十二月に海底平和利用に関する決議ができまして、それに基づいて国連の海底平和利用のアドホック委員会というものがございまして、それが一年後には常設の委員会に改組され、日本もそれに当初から積極的に参加して討議を続けておるわけでございます。そこではまず第一に海底平和利用に関して法原則に関する宣言をつくろうということで審議が進められておりますが、ごく最近はことしの八月にジュネーブで会議が開かれたのでありますが、まだ全部問題の解決を見るに至っておりません。しかしながら、さらに引き続きまして現在開会中の国連総会においてもこの法原則について何とかまとめよう、できればこの二十五周年の総会中に法原則宣言をまとめようとしていまいろいろと協議が続けられております。この審議の中でいろいろまだ問題は残っておるのでございますが、大きな方向といたしましてはまず何よりも深海海底の利用というものは平和利用に限るということがうたわれております。そしてさらに深海海底の資源は人類の共同の財産と考えて、これを国際的管理のもとに置くというふうな考え方に向いております。そしてその国際的管理というものを具体的にどうやっていくかということでございますが、いまの方向としてはそこに一つの機構、国際機関をつくろうという方向に向かっております。もちろんこれに関しましてはまだ異論を唱える国もございまして詳細はきまっておりませんが、大体そういう方向でございます。そしてこれに開発からあがる収益があった場合には、その一部を国際社会のために、ことに後進国の開発のために使おうというふうな考え方になっておるわけでございます。実はそういう考え方を受けまして、アメリカは一つのそれの条約案を提出してまいったのでございます。それがことしの八月に発表されたわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたような方向にこの条約案は合致しておりますので、その意味におきまして非常に注目すべき、また検討に値する提案だと存じます。しかしながら、現在までのところは条約は、それ以前の原則宣言がまだ審議されておる段階でございますので、われわれとしてはこの条約案そのものについて日本政府としての立場を明らかにするということにはまだ至っておらないのでありまして、目下検討している段階でございます。  それからなお、その条約の中にはいま私が申し上げましたような方向以外に具体的に考え方といたしまして、大陸だなと国際海底区域といいますかとの限界をはっきりきめるという規定を含んでおります。つまり、大陸だなは深さ二百メートルのところで切ってしまう、それ以降は全部国際海底区域にする。ただしその大陸だなとほんとの深海海底との間の大陸傾斜といいますかコンチネンタルスロープというのでございますが、これにつきましては沿岸国が国際社会のいわば受託者、トラスティーとしてある程度権利をもつというふうな考え方になっております。これは非常に注目すべき提案でございますが、いろいろ問題を含んでおりまして、政府としても目下慎重に検討しておる段階でございます。  大体以上が現在の状況でございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 この条約を今後結んでいく上において外務省なり科学技術庁なりがいろいろ打ち合わせも当然なさっておると思いますが、わが国としてはどの点が今後特に一番問題になると政府としては考えておられますか。
  136. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 最後に申し上げましたように、大陸だなを水深二百メートルのところで切るという点は、いろいろとわが国の長期的な国益というものを考えて、その利害得失についてもよく慎重に考える必要がある、これがまず第一の点でございます。  それから第二の点は、一種の国際機関ができるという方向は政府としても大体まだ十分打ち合わせておりませんけれども、望ましいと考えておりますが、その国際機関が持つ権限といいますか、対象とするものは何を扱うかということが大きな問題であろうと思っております。政府としては当然いまのところは海底の鉱物資源に限るべきだという考えをとっておりますが、この点についてはまだ今後かなり詰めていかなければならないと存じております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまおもな問題点ということで聞かしていただいたわけですが、いろいろな問題点は確かにあろうと思うのですが、やはり大勢としては、将来、海洋の資源を開発していくという点において、国際的にそれを管理していくということについては、やはりそういう方向に行かざるを得ないだろうと私たちも考えておりますし、その意味でも、わが国としても今後積極的にそういうイニシアチブをとっていくべきではないか。ただ、そのように提唱されたのを、言われたのだからしかたがないから検討しようか、こういうことではいけないと思います。その点、姿勢をまず聞きたいと思うのです。海洋開発という事柄ですが、科学技術庁と両方お願いします。
  138. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 その点は仰せのとおりでございまして、先ほどから申し上げましたように、深海海底を国際的な管理のもとに置くという考え方は、日本政府としても大いに原則として賛成し得る点でございます。ただ、管理と申しましても、いろいろな管理のしかたがあるわけでございまして、そういう機構をつくり、さらにその機構にどの程度の権限を持たせるかということは、いろいろと現実性あるいは各国の利害調整も考えまして、またわが国自身の利益も考えてきめなければなりませんので、この点については目下大いにいわば前向きに検討しておるのでございまして、わが国としてはこの委員会には最初から参加しておりますし、大いに貢献してまいりたいという意欲で現に積極的に、ドラフディングにもといいますか、案の起草にも参加している次第でございます。さらにそれが具体的にきまってまいります段階では、科学技術庁や通産省その他関係官庁と十分協議して、わがほうとしても積極的に貢献いたしたいと存じます。
  139. 石川晃夫

    石川説明員 わが国海洋開発を総合的に進めております科学技術庁といたしまして、今回提案されましたこの条約案につきましては相当深い関心を持っているわけでございます。ただいま外務省のほうからも御説明がございましたように、問題としてはいろいろあると思いますが、やはり外務省の考えておられる方向が、われわれとしてもそのような方向で進むべきであろうというふうに考えております。なお、これを進めるにあたりまして、わが国海洋開発に必要な国益をそこなわないということを根本的な考え方として今後外務省と相談していきたいというふうに考えております。
  140. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは海底条約のことを聞きましたので、海洋開発の来年度の構想について科学技術庁としては研究室とかいろいろ考えておられると思うのですが、構想の概要を簡潔にお尋ねしたいと思います。
  141. 石川晃夫

    石川説明員 科学技術庁といたしましては、ただいま各海洋開発関係省庁の官房長で構成しております推進連絡会議というのがございますが、ここで今後の実行計画を練っておるわけでございます。これはことしの一月に実行計画の第一次案ができたわけでございますが、それをさらにその後の海洋開発の状況に従いまして実行計画を練り直しまして、新しい実行計画を進めたいというふうに存じております。  そのほか、それに関連もございますが、明年度の計画として考えておりますのは、まず第一に海洋科学技術センターというものの設置を考えております。これは今後の海洋開発を本格的に推進する上に必要な海洋科学技術に関する調査研究、あるいは大型の共用施設の設置あるいは運用、それから人材の養成、そういうようなものを行なうセンターを認可法人のようなかっこうで設立したいというふうに考えております。  次に、現在までにできました今年度でき上がります海中作業基地あるいは現在手をつけております潜水シミュレーター、こういうものの建造を促進いたしましてさらに運用にかかるわけでございますが、そのほか昨年度できました潜水調査船の「しんかい」をさらに運用していきたい。  それから、これは一つの新しい構想でございますが、「しんかい」の母船が現在老朽船になっておりますので、これの母船の新しい建造に着手したいというふうに考えております。  次に海洋観測の調査の推進でございます。従来から特別研究促進調整費等を使いまして海洋開発に関するいろいろな調査研究をやっておりますが、本年度新しく北方亜寒帯についての調査を始めました。明年度におきましては豊後水道の海域に関する精密調査をやりたいと考えております。これは、実は瀬戸内海の状況というものが、ことに瀬戸内海におきます海洋の状況というものがはっきりしておりませんので、その点各方面から調査を行なわないといけないわけでございますが、とりあえずその入り口でございます豊後水道について明年は調査を実施したいというふうに考えております。  最後に、現在海洋科学技術審議会というのがございますが、だんだんわが国海洋開発も進展してまいりますと、ただ単に科学技術というだけでは非常に範囲が狭くなりますので、もっと広く、海洋開発全般にかかわる重要事項を調査審議するという機関をつくりたいというふうに考えております。そのために発展的解消と申しますか、現在の科学技術審議会を改組いたしまして海洋開発審議会というものをつくり上げたいというふうに考えております。  以上が大体明年度の計画でございます。
  142. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで大体骨をお聞きしたわけですが、こまかい点まだいろいろあると思うのです。しかし、最近は非常に公害ということがいわれておりまして、特に海洋の汚染についてはひどいものがあると思うのです。私も伊勢湾あるいは東京湾あるいは大阪湾の調査に行きまして、その辺の海水をとって魚を入れても、もうほんとうに三十分もたないというようなそういう汚濁をしておりますし、特に工場の排水口付近の排水をとりますとわずか何秒で死ぬようなところがあるわけです。そういう点において海洋汚染ということは私はたいへんな問題ではないかと思うのです。アメリカにおいてはそうした環境保全庁というような体制もつくって、一万数千人もそこで対策を練っておるというような対策からいきまして、環境の汚染という立場からして、科学技術庁海洋開発を進めるにあたってそういうような配慮がここに全然出てないわけです。大きな柱として入れていない。大体そういう考えでいいかということです。これについてどう考えておりますか。
  143. 石川晃夫

    石川説明員 この海水汚染の問題でございますが、これにつきましては海洋開発審議会の答申におきましてもこの問題は非常に重要な問題であるということは取り上げられているわけでございます。一方、科学技術庁におきましては、従来から、海洋汚染と海水汚染というだけではなくて、全体の環境科学という立場から、いろいろなそういうような公害問題と取り組んでおります。したがいまして、従来の海洋汚染というのは主として陸上に原因を持った汚染というものが多かったわけでございますが、これについても現在公害対策本部等においても検討が進められております。当然海洋の海水汚染に対する対策もわれわれとしては取り上げないといけないわけでございますが、その実態というものをまず研究段階において進めていきたいということで、大きな柱としては入っておりませんが、当然環境科学の一環として取り上げる考えでございます。  なお、その具体的な現在起きております事象につきましてはそれぞれ関係省庁で行なっておりますし、海洋開発——当庁ではございませんが、通産省等におきましては、瀬戸内海の約二千分の一の水理模型をつくりまして、その海水汚水の問題なんかとも取り組んでいるわけでございます。
  144. 近江巳記夫

    ○近江委員 これだけの、いまも問題になっておりますし、これからもそれは大きな問題として、さらにそうした生物資源の保護とかおよそわれわれ人類のそういうような食糧の確保というような問題、いろいろな観点からこれはゆるがせにできない大問題だと私は思うのです。そういう各省庁でばらばらで——それは対策はとっており連絡もしておるかと思いますけれども、そういう連絡調整の柱になっていくのは科学技術庁です。それが、柱にもせずに、一つの十ぱ一からげの中で環境科学ということで、私が言ったから初めて環境科学ということで研究しております、そういう消極的な態度でいいかということです。そういうような消極的なことで、やりますといったって、それは口だけですよ。どれだけ全体としての行政を進めていくことができるか。こういう点について非常に私はまずいと思います。その点どうですか。
  145. 石川晃夫

    石川説明員 ただいま私のほうから説明申し上げましたのは科学技術庁プロパーの内容について御説明申し上げたわけでございますが、海洋開発全般といたしましては明年度は約九十七億近くの予算が出てきているわけでございます。したがいまして、その中にただいま申しました瀬戸内海の水理模型あるいは汚染等の問題について各省それぞれ現在の各省の所掌におけるものについては取り組んでおりまして、その調整は当然科学技術庁で行なっているわけでございます。  なお、詳細な資料につきましてはただいま手元にございませんので、いずれ別の機会に御説明申し上げたいと思います。
  146. 近江巳記夫

    ○近江委員 詳細な資料なんてそんなものとればすぐわかるのですから、私が言っているのは、要するに根本姿勢としてもっと真剣にこの海洋環境の保全ということについて取り組んでもらいたいということを言っておるわけですよ。そういう点、長官、こういう問題をそういうように軽く長官としては取り扱っていかれるおつもりですか。
  147. 石川晃夫

    石川説明員 冒頭申し上げましたように、ただいま各省庁の官房長をベースにいたします推進連絡会議がございます。ここで現在ことしの一月につくりました四十四年度の実行計画の見直しを行なっておるわけでございます。その中の一番大きな柱が海水の汚染問題を取り上げております。したがいまして、その実行計画ができ上がりますと、その中に海水汚染に対する大きなテーマが入ってくるわけでございますが、これはただいま検討中でございますので、でき上がりましたら御報告申し上げたいと思っております。
  148. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまごろ対策を考えているということについては、私はおそきに失しておると思うのです。そういう点昔のことを言ってもしょうがないわけですが、いずれにしてももっと力を入れてもらいたい。ほんとうはこの項目の中で一番最初に出てきてもいいわけですよ。そういう点私は科学技術庁としての根本姿勢について非常に不満を覚えるわけです。それについて、あくまでもまだいま何も予算がはっきりきまったわけでもないのですから、特にもっと重点にそれをやってもらいたいと思うのです。それを強力にひとつ働きかけていただきたいと思います。長官どうですか。
  149. 西田信一

    西田国務大臣 御趣旨に全く同感でございます。私はこの間欧州を回りましたが、フランスでもまたスウェーデンでも公害の問題の中で特に海洋汚染の問題を非常に大きく取り上げております。また、日米間の会談等におきましてもこの問題を大きく取り上げておりまして、私ども政府といたしましても、ひとつこの問題には真剣に取り組んでいきたい、そういう姿勢から、従来の組織を拡大、強化いたしまして、海洋に関する審議会制度を設けて、その中でこれを強く取り上げていきたいという趣旨がその中に十分織り込まれておるわけでございまして、先生の御指摘のような方向で全力をあげたいと思います。
  150. 近江巳記夫

    ○近江委員 ひとつ強力にやってもらいたいと思います。  それから最後に一点お聞きします。きのう私は沖縄から帰ってきたのですが、いよいよ七十二年の復帰を控えて、いままで沖縄といえば基地問題、確かにそれは非常に大きな問題であると思います。しかし、ほんとうに住民の生活に密着したいろいろな問題で力の入れ方が非常に足らぬのではないか、私はこのように思うわけです。特に感じた点は、復帰に際して、そういうような点に対して本土政府はどのようにわれわれに対処してくれるかということについて非常に不安があるわけです。また、いままでやってきてくれたことに対しても不満を持っておるわけです。特に科学技術として力を入れていけば非常に住民福祉の向上になっていくべき点がたくさんあるわけなんです。たとえば、向こうではOHKという放送の会社があるわけですが、たとえば離島の宮古島群島等につきましても那覇からビデオテープを送っておる。ちょっと風が強いあるいは台風シーズンになってくるともう飛行機が出ない。放送もできない。しかも非常におくれたものをビデオテープで放送しておる。これなどはマイクロ中継とか、そういうようなことで技術的に解決できることがたくさんあるわけですよ。あるいはまた、離島においては水が非常に不足である。そういう点については海水の淡水化とか、そのように解決できる問題がたくさんあるのじゃないかと思うのです。そういう点、科学技術庁としては復帰になってから考えるのだということではおそいと思うのです。そういう点、特に放送の問題とかあるいは海水の淡水化等について実際に具体的な計画を練っているかどうか、それをひとつ聞きたいと思うのです。
  151. 矢島嗣郎

    ○矢島説明員 沖縄の振興につきましては科学技術庁としてもいろいろ考えているわけでございますが、先生も沖縄へ行かれましてごらんになりましたように、沖縄というのは鉱物資源その他もなくて、見られるとおり、大きな資源となりますのはサトウキビでございます。サトウキビをいまのままで単に粗糖にするというだけでは付加価値も乏しいし、沖縄の県民所得の増大にも寄与しないわけでございまして、その点を何とかしてもう少し付加価値の高いものにしたいということで、バガスの利用というようなことですが、バガスを利用して板をつくるというようなこと等につきましていろいろ考えておりまして、かねてから当庁の資源調査所が中心になって何回も調査団を出しまして研究しているわけでございます。こういうのも当庁で考えている沖縄の振興対策の一つであろうと思います。  また先生のおっしゃる海水淡水化も、まさに沖縄としては一日も早くこれを実現させたいわけでございます。幸い通産省のほうで三年間くらい海水淡水化の大型プロジェクトをやっておるわけでありますが、これを来年度予算におきましてもさらに充実しまして、一日も早く海水淡水化が工業化できて、トン当たり三十円くらいの水ができるように推進してまいりたい、かように考えております。
  152. 近江巳記夫

    ○近江委員 問題はいろいろあると思うのですが、特に放送の問題については離島も受信料を取られているわけですよ。ところが、そのような全くサービスの行き届かないところで同じような受信料を取られておる。こんなだったらもう一切免除してもらいたいというような強い声もあるわけです。しかし制度上は一応そうなっておるわけですから、それをもしも存続するとすれば、当然完全なサービス網を早急につくる必要があると私は思うのです。ですから、それはNHKとかそういうような法人組織のところはそのようにやっておるわけではありますけれども、政府としては当然抜本的にそうした援助体制といいますか、そういうものを早急に立てる必要があると私は思うのですが。そういう点特に放送についてどう考えておりますか。OHKとかそうしたところ、あるいは技術援助をNHK等に科学技術庁から働きかける、それについてはどう考えておりますか。
  153. 石川晃夫

    石川説明員 ただいま御指摘の放送の問題でございますが、これは所管が郵政省でございますので、詳細は郵政省のほうからお答えすることが正しいと思いますが、ただ私たち従来から聞いておりましたのは、郵政省といたしましても、沖縄関係が従来テレビが見れない、ことに内地のテレビが見れないということでいろいろ施策を講じていたようでございます。その結果は、結局沖縄の各島々まで一応テレビの電波が届くというようなかっこうにはなったわけでございますが、それのカラー化につきまして現在郵政省で検討しておるようでございます。  なお一方当局の関係いたします宇宙通信におきましても、そのような離島に対する放送のサービスというものについての通信衛星というものも考えているようでございます。したがいまして、現在郵政省から出てきておりますいわゆる通信衛星あるいは放送衛星というものにつきましても、そのような離島に対する——これは沖縄だけではございませんで、小笠原とかその他日本周辺の離島に対する放送サービスというものも考えながら、郵政省における通信衛星の検討が進められておる、このように聞いております。
  154. 近江巳記夫

    ○近江委員 カラー放送なんて、カラー放送じゃないのですよ。白黒のテレビをビデオをこっちに空輸して映しておるというような状態で、カラーテレビなんてそんなもの、一言も出てこないわけですよ。白黒でもいいから同時放送をやってくれと言っておるわけですよ。しかも衛星も上がるかどうかというような宇宙問題、先ほども論じておったわけですけれども、五年先に上がるか十年先に上がろか、全くそういう暗中模索のような不安な状態の中に置かれた宇宙開発の状況の中で、実際にいまごろこんな通信衛星だ放送衛星だといったって、何年先かわからぬわけですよ。何も放送衛星を使わなくても解決できる方法はあるわけですよ。もっと現実の問題を言ってくれと言っておるのです。ですから、科学技術庁から真剣に郵政省とも協議し、予算も取り、そうして積極的に来年度は進める、そういう具体的な答えをしてください。私はそんなまだいつのことかわからないような、そんなことを聞いておるのと違うのです。将来カラー放送も当然やっていただかなければいけません。放送衛星だってやるのは当然ですよ。もっと現実のことを言ってもらいたい。
  155. 石川晃夫

    石川説明員 これは当庁の所管ではございませんので参考でございますが、郵政省があそこにテレビ回線をつくるときにいろいろな島々からの要請がございましてテレビ回線をつくったそうでございますが、何しろ電波が届かないので、テレビを送ってくれといっても無理でございます。したがって何か方法はないかということでいろいろスキャター方式とかそういうものを考えまして、現在テレビが送れる範囲は送っておるはずでございます。電波の届かないところに対しては空輸をしているということでございますので、これ以上技術的にはちょっと無理ではないかというふうに考えられます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、これにテレビを同時に放送するということになりますと、これは衛星を使うよりほか手がないということになるというふうに私たちは聞いております。
  156. 近江巳記夫

    ○近江委員 だけれども、サンゴ礁のそうしたところが、たとえば群島の間にも非常に点在しているわけですよ。そういうところであればそこに放送塔を建設するとか、リレ一式になるかもしれませんけれども、そういう形ででも解決できないこともないわけです。ですから、その辺の総合調査もやった上で、やはり現実にすみやかにできる体制をぼくは考えるべきだと思うのです。一挙にそういうようにいい方法で、この方法でできれば一番いいのですけれども、何年先の話かわからぬわけですよ。ですから、それまでにできる方法はないかということをもっと調査なりをやってもらいたいということですよ。何も所管が郵政省だからということじゃなくて、科学技術の恩恵をあまねく国民に行き渡らせていく、科学技術庁はあくまでも大衆福祉といいますか、そういう積極的な立場に立たなければ困るということです。所管は郵政省、そんなことは何回も言わなくたってわかっていますよ。だけれども、科学技術庁としてはそういう勧告なりいろいろな形で、やろうと思えばさらに力が入れられるわけですよ。その根本姿勢を私は聞いているわけですよ。どうですか、そういう放送塔についても今後さらに郵政省と検討して、早期にそれが実現できるように、その辺の考えをもっと真剣に検討してもらう必要があると私は思うのです。それについて具体的に調査班を出すとか、そういうようなもっと具体的なことを聞きたいのです。大臣、お願いします。
  157. 西田信一

    西田国務大臣 私も実はあまり技術的なことはよくわかりませんので、はっきりしたお答えはできないのでありますけれども、でき得る限り沖縄島民の方々に文化が均てんするように、こういうことにつきましては全く同感でございまして、私も昨年、ちょうど返還で佐藤さんが向こうへ行っているときに沖縄へ行って、かなり各方面の方々と話し合ってきましたが、たくさん問題があるようでございます。そのうちの問題の一つが、いまお話しの点でもあろうかと思います。私ども所管でございませんので、可能であるかどうかという結論を私はここで申し上げられませんけれども、十分関係のところに話をいたしまして努力をしてみる、可能であるかどうか、調査その他につきましては私どもも努力をいたします。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは所管ではありませんし、その辺技術的にも詳しいことはわからないというお答えですから、これ以上言いませんが、そのように約束していただいたわけですから、早急にNHKなりOHKなり、あるいはまた所管の郵政省あるいは沖縄の琉球政府のそうした関係のところ等とも連携をとっていただいて、その具体化構想をきちっと報告をしていただきたいと思うのです。それを、先では困るのですよ、いつ出していただけますか。
  159. 西田信一

    西田国務大臣 ちょっと時間のお約束はここで申し上げられませんけれども、できろだけ誠意をもって関係方面と話し合いをいたし、私のほうから先生の御趣旨を十分伝えて善処させることにいたします。
  160. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではこれで終わりますが、いずれにしても科学技術庁の総合調整という立場から、私の質問は決して不自然ではないと思います。ですから、そういう点で、ただもう所管が違うというような受け取られ方をされるのであれば、これはまた問題ですよ。その点については私たちはまた言わなければならぬ。その点については、あくまでもそうした推進についての一切の調整をやるということがうたってあるわけなんですから、何も関連がないとはいえぬわけですよ。ですからひとつ大臣として責任を持って推進してもらいたいと思うのです。この点は強く要望しておきます。  以上で終わります。      ————◇—————
  161. 北側義一

    北側委員長 この際おはかりいたします。  先般、茨城県、福島県、青森県及び北海道の各県に委員を派遣し、科学技術の実情について調査を行なったのでありますが、派遣委員より調査報告が文書で提出されております。  本調査報告を参考のため、会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 北側義一

    北側委員長 異議なしと認めます。よってさよう取り計らいます。本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会      ————◇—————