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石川説明員 いままでの経緯並びにこの
考え方について、簡単に御説明申し上げておきます。
宇宙開発委員会におきまして昨年の十月一日に四十四年度の
宇宙開発計画を作成したわけでございます。その計画によりますと、ただいま御指摘ございました、Qロケットを
開発してそれから次にNロケットを
開発し、そうして電離層衛星を四十七年に打ち上げるという内容のものが、この四十四年度の
開発計画の中に入っていたわけでございます。なお、同じ昨年十月
宇宙開発事業団が発足いたしまして、
宇宙開発事業団におきましてはこの
開発計画につきまして技術的な面におきまして検討を開始したわけでございます。この結果、いろいろ検討すべき事項が出てまいりまして、それはこの五月ごろから作業を開始いたしました四十五年度の
宇宙開発計画の中に盛られてきたわけでございます。
衛星計画につきましては、当然ロケットの
開発と関連性がございますのでロケットの
開発ということが当面その主体になると思いますが、そのロケット
開発の構想といたしまして現在事業団から出てきております
考え方が、ただいま御指摘のような
考え方でございます。
宇宙開発委員会におきましてはことしの五月から作業を始めまして、そうして現在四十五年度の
宇宙開発計画を決定すべく作業中でございます。中に部会が
二つございまして、計画部会と技術部会、
二つ置いてございます。技術部会の中には三つの分科会を設置しておりますが、そのうち第一分科会はロケット打ち上げ結果の評価等を行なう分科会でございますが、残りの第二、第三分科会は、それぞれロケット
関係の
開発の問題、それから人工衛星の
開発の問題、この問題を取り扱う分科会でございます。この部会並びに分科会で検討を現在進めておりますが、これがようやく最近骨子がまとまってまいりまして、近くその骨組みができ上がりましてこの
委員会に正式にはかって御決定を願いたいということで進んでおります。
その中のロケットの
関係といたしまして、従来
開発を進めておりましたQロケットにつきましていろいろ検討いたしました結果、現在のQロケットを
開発する中におきましてもいろいろ技術的な問題点が出てきております。その点を解決しながら進めてまいりますと、当初計画の予定よりもおくれてくるということが判明いたしたわけでございます。なお、そのQロケットができ上がりました
あとで
開発する予定にしておりましたNロケットでございますが、このNロケットも当初は固体ロケットということも
考えておりましたが、いろいろ事業団のほうで技術的に検討をしてもらいました結果、Nロケットを固体で
開発するということにつきましてもさらに技術的に非常にむずかしい問題があるということも判明いたしました。このようにいたしますと、Qロケットをつくり、さらにその後固体のブースターを用いますNロケットを使います場合には、相当大幅にその完成時期がおくれるということも
考えられるわけでございます。
一方、このNロケットというものを、固体をブースターとしたロケットがいいのかあるいは液体をブースターとしたロケットがいいのか、この点についても検討を進めてもらったわけでございます。その結果、現在まで
考えてまいりました固体燃料を使ったNロケットを用いますと、この現在のNロケットが完成した
あとさらにまた新しくこの固体燃料を用いた大型のロケットを
開発しなければならないということが判明いたしました。と同時に、この液体燃料をブースターといたしますロケットを
開発いたしまして、これをさらに強力にするために改良を行ないながら進めていくという、このほうが将来の大型の衛生を打ち上げるためにはかえって方法的にはあるいは時間的、経費的に見ても有利ではないかというような検討が出てまいりましたので、そのようなことで事業団のほうから計画が出てまいったわけでございます。したがいまして、従来このQロケットで電離層衛星を、目方にいたしまして約八十五キロの電離層観測衛星でございますが、これを千キロの高さの円軌道に回すというような計画が四十四年度計画されておりましたが、この電離層衛星もNロケットによって打ち上げるほうが有利ではないかというような
考え方も出てまいりました。従来のQロケットによりましても打ち上げが可能でございますが、液体燃料を用いましたNロケットを
開発するということによって、さらに強力なロケットが得られるといたしますと、このNロケットによって電離層衛星を上げるというほうが、さらに衛星の打ち上げについての確実性が出てまいるわけでございます。したがいまして、現在行なっておりますQロケットの
開発を一応中止いたしまして、そしてQロケットの上段につける予定でございましたQケットの三段、四段を液体燃料を用いたブースターの上につけることによりまして新しいNロケットというものを構成したい、こういうふうな計画でございます。したがいまして、Qロケットにつきましては三段、四段はそのまま
開発を進めてまいります。一段、二段はこれを液体燃料というような方式に変えまして、そして一、二段を液体燃料を用いたブースターとして将来のNロケットの形にしていきたい、こういう
考え方でございます。電離層衛星につきましても、そのようなことから、当初予定しておりました四十七年度からNロケットの完成時まで約三年ほどおくれるというような
考え方でございます。