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1970-03-11 第63回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十一日(水曜日)    午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 佐々木義武君 理事 菅波  茂君    理事 前田 正男君 理事 井上 普方君    理事 近江巳記夫君       稻村 利幸君    加藤 陽三君       海部 俊樹君    梶山 静六君       橋口  隆君    松永  光君       綿貫 民輔君    三木 喜夫君       山中 吾郎君    小宮 武喜君       寺前  巖君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      西田 信一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       藤本 孝雄君         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁計画         局長      鈴木 春夫君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局水質保全         課長      白井 和徳君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     石丸 隆治君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   村上信二郎君     菅波  茂君 同月十一日  辞任         補欠選任   吉田 之久君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     吉田 之久君 三月十一日  理事村上信二郎君同月十日委員辞任につき、そ  の補欠として菅波茂君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二四号)  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  最初に、理事補欠選任についておはかりいたします。  昨十日理事村上信二郎君の理事辞任により、理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、理事菅波茂君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 北側義一

    北側委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田正男君。
  5. 前田正男

    前田委員 過日、科学技術庁長官から所信表明を当委員会になされたわけでございますが、それに対しまして、ひとつ質問させていただきたいと思うわけでございます。  まず第一問といたしまして、この長官所信表明の中に「科学技術発展経済社会にひずみをもたらす原因であるかのごとき誤解を抱く向きもあるようでありますが、科学技術こそは、真に明るく豊かな社会を築き上げる力であり、むしろその正しい振興によってのみひずみなき発展が初めて期待できるものと信じております。」というふうなお話がございましたけれども、私も、実は最近物価の問題もやかましいようでありますが、科学技術振興によって賃金の上昇というものと原価の問題との間に安定をはかることができるのではないか。あるいはまたいろいろと社会が非常に発展をしておりますけれども、そういう社会発展する計画の裏づけには科学技術の必要があるのじゃないか。こういうふうに社会の現象をとらえていきますと、すべての部門にわたって科学技術発展基礎としているというふうに私には考えられるのでありますけれども長官表明の中にありましたようなお話に対して、政府は一体具体的な処置をどういうふうに講じておられるか、その点についてまず第一にお伺いしたいと思います。
  6. 西田信一

    西田国務大臣 私の所信表明に関連してのお尋ねでございますが、ただいま前田先生からもお話がございましたように、私も率直に申しましてわが国経済社会発展の原動力は科学技術振興にある、かように信じておるものでございます。わが国が終戦から今日まで非常に奇跡といわれるような高度な経済発展を実現できましたのも、わが国技術の急速な向上によるところが非常に大きいということは申すまでもないところでございます。さらにわが国がきびしい国際競争の中にございまして、今後ともさらに高い成長を維持し続けてまいりますためには、独創的な技術を大いに発揮をいたしまして、産業基盤強化をはかっていくことが非常に大事なことであると私は考えております。  また、科学技術発展ということはいろいろなひずみをもたらすというふうにもいわれる面もなきにしもあらずでありますけれども、しかしながら本質は私たちの身のまわりを豊かにし、そして便利で快適な生活を可能にするなど、国民生活向上に果たす役割りは非常に大きい、かように思います。  また他方、戦後の経済成長の過程におきまして公害でありますとかあるいは都市過密化でありますとか非常に大きな困難な問題が発生しておることも事実でございます。これらの問題を解決してまいりますためには社会資本の充実も大事でございます。そこで、この面におきましても科学技術の果たす役割りは非常に大きい、かように存じます。で、研究開発を通して生産合理化をはかる、ただいまお話もございましたが、物価の問題が非常にやかましいおりからでございますが、科学技術振興によって生産コストを下げる、こういうようなことに対しても科学技術の大きな成果が期待されているわけでございます。そういう面から申しまして、従来におきましてもいろいろ科学技術振興によりまして、たとえば、非常に大型化をはかるというようなことによりまして、発電機でありますとかタンカーでありますとかこういう面においてコストダウンが実現しておる。あるいは自動化によりますところのコスト低下といたしましては、たとえば連続自動紡績方式というようなものも効果をあげておりますし、あるいはまた連続鋳造法というようなものもこれはコスト低下の上に非常に役立っておるということが言えると存じます。また公害をなくするというような面におきましても、たとえば脱硫装置でございますとかあるいはジェット飛行機が非常に発達いたしましてこれが公害を巻き起こしておる。しかしながらこれらにつきましても、技術が進んでまいりますと消音装置等によってこの公害をなくする。あるいは最近においてプラスチックの容器がどうも始末に困るというような問題が起きておりますが、これらに対しましてもいろいろ科学技術を通して解決すべき問題が多い、かように思うわけでございます。このようにあげてまいりますといろいろございますが、とにもかくにも科学技術振興ということは、このような社会のひずみをなくし、そしてまたコスト低下をはかり、経済発展に大きく寄与するという意味におきまして、私どもは非常に大事であるというふうに考えておるのであります。  また現在経済審議会検討を進めておりますところの新経済社会発展計画におきましても、こういう考えを十分に織り込んでまいる必要がある、かように考えておるのでございまして、私どもこういうような点につきましても十分の配慮をいたしまして、技術開発推進という面におきましては、産業効率化あるいは情報化促進公害対策強化、こういう点につきまして、新経済社会発展計画の中にも十分これを織り込んでまいりたいと考えております。こういう立場から、当庁といたしましては企画調整庁という私どもの官庁の性格からいたしまして、関係行政機関との科学技術関係経費見積もり方針調整、あるいは特別研究促進調整費支出、あるいは当庁の付属いたしますところの各種の研究所におけるところの研究推進、こういうことに強力な施策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 北側義一

    北側委員長 前田さんちょっと大臣が……。
  8. 前田正男

    前田委員 それでは大臣が退席されましたので、その間に、大臣所信表明の第一にございます科学技術振興基盤強化ということで……。  私はそこに書いてございます「研究の総合的かつ計画的な推進」ということが必要だと思うのでございますが、従来特に特別調整費というものをつけまして、総合的な調整をはかり、また緊急の問題については緊急の研究費支出をする、こういうふうなことで科学技術発展に大いに役に立ってきたと思うのですけれども、この機会に、ちょっと大臣のおられない間にひとつ最近の状況等について局長から説明をしていただきたいと思うのです。特に緊急の問題には、最近問題になっていますスモン病問題等についても支出をされておるというふうに聞いておるのでありまして、従来からの総合調整内容、及び緊急の特調費支出、こういうことによって、研究を総合的かつ計画的に、あるいはまた緊急に推進しておるという事実をひとつ説明してもらいたいと思います。
  9. 石川晃夫

    石川政府委員 お答えいたします。  この特別研究促進調整費につきましては、昭和三十五年から科学技術庁で一括計上して実施しているわけでございますが、この内容につきましては、ただいまお話しのように、一般に総合研究、それから緊急研究の二つに分けております。総合研究につきましては、おおむねの期間といたしましては二年ないし三年をかけまして、二省庁以上にまたがる研究について総合的な研究を行なっているわけでございます。それから緊急研究につきましては、これはその年度におきまして、非常に緊急に研究しなければいけないというテーマが出ましたときに、この緊急研究経費を出しているわけでございます。  この総合研究内容を大きく分けますと、防災科学技術に関するもの、それから環境科学技術に関するもの、電子技術、それから海洋開発技術宇宙開発技術、これが大体大きなものでございまして、それ以外に人間科学、あるいは医療科学、あるいは航空科学、それから国土開発消費科学、こういうふうないろいろなものにつきまして研究推進しているわけでございます。  この総合研究におきましては、先ほど申し上げましたように、二年ないし三年をかけてやるような非常に大きな計画のものでございまして、たとえば防災科学につきましては富山湾海岸浸蝕というものにつきましても四十三年から約三年かけてやっております。そのほか、幾つかの項目がございます。また環境科学につきましては、たとえば悪臭防止の問題あるいは都市雑音防止の問題、こういうものもございます。  緊急研究につきましては、四十四年度実施いたしました項目といたしましては、ただいまお話しのございましたスモン病原因治療の問題、それから速中性子線による悪性腫瘍治療研究、それからいわゆる米ぬか油の問題と称しておりますが、その油症の本体とその治療法、それから先般岩手県で林野火災がございました。これに伴いまして、あのような大規模な林野火災が起きた場合の消火方法、それから高酸素密閉室における火災防止の問題、さらにエックス線診断用にフェライトを使うという研究、それから超音波によります循環機能疾患診断方法、それからシンナーなどの有機溶剤製品中毒防止、この八項目を四十四年度は実施しておるわけであります。  総合研究につきましては約四億六千万円ほど経費を使っておりまして、緊急研究費につきましては現在まで約一億五千万円という金額を投入しておるわけでございます。  以上でございます。
  10. 前田正男

    前田委員 この緊急研究の問題は、四十五年においてはこれを総合研究として科学技術庁で継続していくのか、あるいはまた各省の研究ということにこれは移っていくのか。大体従来の緊急研究のその後の研究はどういうふうになっていくのか、経過をひとつ教えていただきたいと思います。
  11. 石川晃夫

    石川政府委員 この緊急研究につきましては、原則といたしまして、その当該年度の緊急を要する研究ということになっておりますので、このテーマ自体は翌年度へは持ち越さないということを原則にいたしております。したがいまして、その後継続して研究をする必要がある場合には、それぞれの所管省において予算を取って研究を続けていく、こういうような原則になっております。
  12. 前田正男

    前田委員 先ほどの総合研究防災科学の中で、地震予知の問題について従来総合調整費はどうなっておるか、ちょっと聞かせてもらいたいと思います。
  13. 石川晃夫

    石川政府委員 地震の問題につきましては、当庁の防災科学センターにおきましていろいろな研究が実施されているわけでございますが、この中でも特調費を使ってやっておるものもございます。四十四年度におきます防災科学技術の中で、地震関係といたしましては北松型地すべり発生機構とかいうようなものが入っておりまして、地震予知そのもの内容を含んだものはないわけでございます。ただ緊急研究といたしまして、一昨年、四十三年度でございますが、松代地震に対しての特別研究は行なっております。
  14. 前田正男

    前田委員 それでは、大臣のおいでがおそくなるようでございますから、私の質問予定の順序がちょっと飛びますけれども、大体局長で答えていただけるようなものをお聞かせ願いたいと思うのです。  原子力平和利用というのは急速に発展をしておるわけで、発電設備発注等が非常に進んでおるように思うのですけれども、問題はその核燃料サイクルの点だと思うのです。たとえば核燃料資源がほとんどないわが国といたしましては、現在海外ウラン資源確保が最も大きなことであると私は考えておるのですが、最近アフリカ日本が進出するという話があるようですけれども、一体どうなっておるか、ひとつ局長から答弁してください。
  15. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 海外ウランの獲得につきましては、従来から民間におきまして長期購入あるいは短期契約等促進をしております。またことしになりましてからは、来年度からは探鉱事業団のほうでそれの助成策をとるという方向もとっております。そういう関係から、いま御質問会社の問題でございますが、実は昨年からフランスを通しましてアフリカニジェルの国の探鉱を共同でやってはどうかという話がございます。それにつきまして民間側電力業界並びに鉱山業界等が一緒になりましてその検討をいたしまして、最近におきまして出ました結論は、海外ウラン資源開発会社というものを一応今後つくってみてはどうかという考え方になっております。しかし今月の終わりにフランスのほうからこの問題についての話し合いに来ることになっておりまして、その話し合いに基づきましてこの会社ができるのでございますが、実際にはもう大体この方向で進んでいると思います。しかしこの会社は、さしあたりといたしましてニジェルのものを取り上げますが、いずれは今後開発すべき海外探鉱の問題が出ました場合にはこの会社ができるだけ引き受けていくという方向でいくように、いま民間で進められている現状でございます。
  16. 前田正男

    前田委員 そうすると、その会社民間出資であって、構成電力会社とか鉱山会社とかそういったのは入っているのですか。
  17. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 この構成は非常に広うございまして、現在のところでは鉱山会社石炭会社、それから電力業界あるいは商社まで広がって出資がされるというふうな考え方で、出資に関しましては手広くやるような方向でいくように聞いております。
  18. 前田正男

    前田委員 海外ウラン確保ということはたいへん大事なことでありますから、事業団でも予算がついて調査するようでありますけれども、ぜひひとつ官民あげて努力してもらいたいと思うのです。  次に、燃料サイクルの問題として非常に問題になってくるのが濃縮の問題だと思うわけです。これは最近アメリカにおいても濃縮民間に委託させるというようなリリーズの話もあるようですし、また私たちの国においても従来、遠心分離濃縮をやろうというものもあるようでございますけれども、おのおの問題点があると思うのですが、われわれの国において濃縮の問題について研究開発はどういうふうに処理しようとしておるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  19. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 濃縮ウランにつきましては、従来その基礎基礎と申しますか、非常に基礎的な研究を進めております。しかし、昨年の八月にウラン濃縮につきましての研究開発を、原子力委員会といたしましては特定総合研究として指定いたしまして、計画的に進むという方向に持ってまいりました。その初年度が本年の四十五年度になるわけでございます。そういたしましてこの計画を進めて、第一段階、大体ほぼ現在のところ四十七年度ごろという考え方をとっておりますが、までに技術的な判断ができる。と申しますのは、ガス拡散法遠心分離法と両方やっておりますが、その両方の技術的観点から見た判断をつけるのを四十七年度ごろにしたい。それからまた一方、どちらかを重点的に進めまして、第二段階結論を出す、そういう段階で進もう、そういう考え方で現在考えておるところでございます。
  20. 前田正男

    前田委員 そうすると、いつごろその結論は出て、日本研究開発を具体化するという目標はどうか。
  21. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 ウラン濃縮につきましては海外情報等がございません。したがいまして技術積み上げで進まなければならないのでございます。その積み上げでございますので、いまからなかなかその予定というものは立ちませんが、逆に考えまして、日本ウラン濃縮がどうなるかという考え方から一応考えてみますと、五十年度ごろにはもうはっきりウラン濃縮を実際的にどうするかということを考えられるまでに研究促進しなければならないのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、まだ基礎研究段階でございますが、なるべく早く基礎研究段階を伸ばして実用化等判断が早くつくようにしたいというのが、現状だと考えております。
  22. 前田正男

    前田委員 それで、さらにサイクルの一部として再処理事業団がことしから予算が取れまして建設にかかるわけでございますけれども、この分は、大体現在非常に発電設備が進んでおりますので、近く非常にこれが足りなくなるというふうに、能力として現在の発電設備の再処理は、これだけでは不十分だというような話が出ておるわけであります。そこで、その不十分なものに対して今後はひとつ、核燃料は民有をたてまえとしておるので、事業団でやる次の分は民間で再処理をやったらどうかというふうなことを考えておるところが二、三あるように聞いておるのですけれども、一体どういうふうに再処理のほうは進んでおるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  23. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 再処理工場につきましては、おかげさまでことしからかかれると思いますが、この予定でまいりますと四十八年ごろに稼動ができるという考え方でございます。しかしその処理量につきましては〇・七トン、したがってマキシマムにいたしましても約二百トンから二百十トンぐらいの処理量だと存じます。  そこで、いま電力業界等で軽水炉の発展を見てまいりましたが、それから出ました廃棄物量から逆算いたしまして、ここでまかなえる量になる時期は一体いつごろまでかというのが、大体五十三年ごろだろうと思います。したがいまして、その後につきましては、いままでは企業化試験と申しますか、そういう関係で国の国策としてやっておりましたが、そこで一段落つきましたので、その後の第二工場等につきましては民間のほうが営業的にできるかどうかという考え方で進むように、いたしたいと思いますが、その時期といたしましては、したがって五十三年ごろにでき上がるということになるのではないか、そういうような判断民間もしておられまして、そろそろ民間でも再処理工場の第二工場と申しますか、そういうものを考えていくような動きが出ているのが現状でございます。
  24. 前田正男

    前田委員 問題は、この核燃料サイクルというものをわれわれはなるべく日本資本において、日本の力においてやるようにしないと、現在の石油の例がございますので、できるだけひとつこのサイクル全体にわたって、現在加工なんか日本で、技術導入をしたのでしょうけれども工場もできたように思うのですが、なるべく日本の必要なものを、また技術導入をしなければならぬでしょうけれども日本において日本の自主的なサイクルが持てるようにすべきだと私は考えておるのでありますけれども、これについて政府は、大体日本立場でそのサイクルが持てるかどうかということについての見通しを、ちょっとこの機会に——いまお話ししたところに問題点があるわけですけれども、それをまとめて話をしていただきたいと思います。
  25. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 日本では初めに原子炉発電がございまして、現在盛んになってきたのがその燃料でございます。したがってそろそろ、いま申し上げました再処理工場という形でその燃料サイクルの実現の時期がちょうどまいったわけでございます。原子力委員会といたしましても、その燃料サイクル国内として一貫していくという考え方を現在持っております。しかしその間には、先ほど申し上げましたまだ基礎研究段階でございます濃縮ウランもいわばサイクルに入るかどうかという問題を除いてまいりますと、一応の形は、先ほどの再処理工場ができ上がりましたときに第一段階の、まだ雑ではございますが、国内的燃料サイクルという形が整ってくるのではないか、そういうふうに考えております。
  26. 前田正男

    前田委員 ちょっと大臣が来られないものですから予定以外になりますけれども、ひとつ聞きたいと思うのですが、韓国及び台湾等において原子炉計画があって、これに対して調査その他に日本にも来ておられるという話を聞くのですけれども炉自身についてはそれぞれの国で自分立場でおやりになると思うのですが、日本から情報その他を提供し、あるいはまた協力できる面は協力しなければならぬと思います。問題は、そういうものができてきたときの核燃料サイクルという問題になってくると思うのです。やはりこれは日本の持っておる、これから設備していこうという核燃料サイクルの中に自然に入ってくるんではないかというふうに私は考えておるのです。自分の国で一つの燃料サイクルを持つほどの力というものは、それだけ大きな原子力発展ということは、将来は別としてすぐに韓国台湾では期し得ないのではないかと思うので、そういう点については日本核燃料サイクルがこれに協力できるということが望ましいんじゃないかと思うのですけれども、そういうことは日本が引き受けてやったり協力したりするというようなことについて、法制的にあるいはまた政策的にぐあい悪いとか支障があるとか、そういうような問題はあるのでしょうか。
  27. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 現在韓国並び台湾、具体的には去年燃料対策といたしまして、韓国の要望によりまして、韓国におけるウラン現状はどうかというのに動燃事業団のほうが参加したことがございます。その点原子力につきましても、日本の中の発電炉ばかりつくるわけではなくて、将来は輸出産業として持っていくという考え方がございますので、そういう考え方からまいりますと、ぜひともそういう体制をとっていきたい。したがいまして、国内ばかりの燃料サイクルというのは、現在まだ国内ができていないのでそうなっておりますが、いずれ再処理工場能力等につきましては、海外のものも処理できるぐらいのことを考えていくべきだと思います。それについての法制的とかそういうことで、いま私の考えているところでは、支障が見当たるかということについては、支障はないように存じております。
  28. 前田正男

    前田委員 それでは原子力の問題はあと大臣が来られてからお尋ねすることとして、次に宇宙開発の問題についてお聞きしたいと思うのですけれども、最近東京大学が日本で初めての人工衛星を打ち上げることができまして、まことに喜びにたえないと私たちも思うわけでございます。いままでの関係者の努力には多大の敬意を表したいと思っているわけでございますけれども、しかし新聞にも報道されたとおり、今日東大が打ち上げるまでにはたいへんいろいろと問題があったことはおわかりのとおりでございます。そういうような実情から見ますと、現在科学技術庁が実用衛星としてQロケットで電離層の観測衛星を打ち上げようというような計画を立てておるのでありますけれども、どうもこれが東大の実例から見ましておくれぎみの傾向があるのではないか、こういうふうに世間で言われておるのでありますけれども、その実情について、ひとつ進行状況につきまして局長からお聞かせ願いたいと思います。
  29. 石川晃夫

    石川政府委員 お答えいたします。  先般二月の十一日でございましたが、一月期のロケット打ち上げにおきましては、東京大学のラムダロケットの四段目が人工衛星軌道を回ったということで、私たちとしましても、わが国科学技術の水準が相当上がっており、また確実であるという自信は得たわけでございます。しかし、この宇宙開発事業団が開発を進めておりますロケット並びに衛星につきましては、これは実用衛星を打ち上げるという目的でございますので、今後さらに現在以上にいろいろな技術を総合いたしまして進めていかなければならない問題点がたくさんあるわけでございます。したがいまして、そのような点を今後研究、開発を進めまして、早期に打ち上げられるように目下鋭意努力中でございます。  なお、宇宙開発事業団は昨年十月一日に発足いたしまして、ここに政府の資金とわが国におきます宇宙開発の人材というものを投入できるような態勢を逐次とりながら現在その作業を進めている段階でございます。  この事業団で開発いたしますロケットにつきましては、これは実用衛星を打ち上げるという目的のためには誘導制御という技術が非常に大切でございまして、この技術が現在のラムダ衛星の時点におきましてはまだ十分とは言えないわけでございます。この点につきまして、現在宇宙開発事業団もその点に集中いたしまして技術導入をはかりあるいは中での開発研究を進めて、一日も早くこの誘導制御の技術を獲得するように努力いたしております。と同時にまた将来実用衛星を打ち上げるために使われると非常に効果があると思われます液体燃料ロケットにつきましても、また現在開発中でございます。したがいまして、この技術の開発を外国からの技術導入も含めまして、自主技術と外国からの導入の両方かみ合わせましてわが国宇宙開発というものを進めていきたいと存じております。  なお、東京大学で今回成功いたしましたラムダロケットは、全段固体燃料ロケットでございますので、この固体燃料ロケットの技術というものが事業団に十分取り入れられるように、現在東京大学とこの宇宙開発事業団とどのようにして技術の交換を行なうかということについて作業を進めておりまして、近々そのような会合が発足する予定になっております。  以上でございます。
  30. 前田正男

    前田委員 そうしますと、いまの予定ではたしか計画は四十六年の末でしたか、上げる予定になっておるのですが、大体そのような計画どおりに進行している、こう理解していいわけでございますか。
  31. 石川晃夫

    石川政府委員 宇宙開発委員会で定めました宇宙開発計画につきましては、四十七年度にQロケットによりまして電離層観測衛星を打ち上げる予定になっております。先ほども申しましたように、宇宙開発につきましてはあらゆる技術を総合しないといけないので、なかなか困難な問題がたくさんございますが、私たちとしましてはこれを計画どおり進められるように現在努力中でございます。
  32. 前田正男

    前田委員 いまのお話にもありましたし、また新聞にも出ておりましたけれども、ある程度技術導入をするということでございますが、私は、原子力の実情から見まして、一定の水準に達するまでは思い切った技術導入もやむを得ないのじゃないかと思っておるわけでございます。そのかわりにその技術導入をもとにして日本は新しい技術発展させていく。これは現在の日本がいままで技術導入しましたものをもとにして外国の技術水準を追い抜いたものもたくさん例があるわけでございますから、そういう能力日本は持っておるわけですが、基礎的なおくれをこの際初めからやっていって追いついていくことは、事実上時間的にむずかしいわけですから、この際やむを得ず導入することも必要だと思うのです。問題は、導入のしかたをあまり限ってやっておりますと、宇宙開発というものは日本科学技術が将来の発展をしていく指針として先行していく技術であるとわれわれ思うものでありますから、あまり片寄って導入するということでなしに——特に私が見ておりますと、原子力の場合においてもグループ、グループに分けて技術導入をはかったわけでありますけれども宇宙開発においてもそういうふうに技術の導入においては、ある程度技術の進んだところ、いいところをお互いに取り入れて、しかもまたお互いに競争をし、そしてまた同時に日本技術水準を引き上げていくというような行き方で指導していく必要があると私は思っておるわけでございますが、現在のところどういうような技術導入の相談が政府のほうにあるのか、できればひとつ説明していただきたいと思います。
  33. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま先生のお話のように、われわれの技術導入といたしましては、やはりわが国宇宙開発を円滑に進めるという目的で技術導入をするわけでございまして、現在まで昭和三十年以来東京大学が開発した技術、さらに三十九年以降宇宙開発推進本部において開発いたしました技術、このようなものでも相当技術力の高いものもあるわけでございます。しかし全般的に見まして、システム的に見ますと、中にわが国においてまだ十分開発されてないものもございます。その点におきまして一応バランスのとれるようなかっこうで宇宙開発を進めていかなければいけないということで、技術導入をするわけでございますが、この技術導入の主眼といたしまして、やはり外国で長い間かかって、失敗を重ねながら開発された技術、こういうものをまた日本で同じような失敗を繰り返すということは非常にむだでございますので、そういうことのないように、有効な方法で技術導入をしたいと思っております。現在までにわが国におきましてアメリカから技術導入されましたのが五件ございます。この五件の中には技術導入が三件と、それから機器の輸入が二件というふうに分かれております。機器は部品的なものでございますが、あと残りの技術導入の三件はおおむね設計とか、そういうようなものに関する資料でございまして、今後まだ数件技術導入が要請されるものと考えております。
  34. 前田正男

    前田委員 特に、先ほどのお話の中にありましたシステムでありますけれども、これは日本の今後の産業の開発、科学技術発展には非常に大事なものでありますが、特に宇宙開発のシステムというものが、システムの中でも一番先行しておるというふうに、世界の水準がなっておるわけですが、われわれの聞くところでは、現在のところ一社がシステムの技術導入しておるように思うのでありますけれども、私は、こういう問題はやはり一社に限らずに、ひとつ技術導入のできる可能性のあるところは何社も技術導入をして、日本技術水準を引き上げていく、特に一番問題になっておるシステム関係日本技術水準を引き上げていくということが非常に必要だと思っておるわけですが、私の聞いておる範囲では、現在のところ一社と聞いておるのですが、その他システムの技術提携をするところがあるかどうか、あるいはまた現在そのほかにも技術導入しておるのかどうか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  35. 石川晃夫

    石川政府委員 ロケットの全体のシステムにつきましては現在一社でございますが、内容に分かれてまいりますと、やはりいろいろなシステムの方法につきまして、それぞれまた要求が出てくるかとも存じます。しかしながら、現時点において多くのシステムを並行的に輸入するということはかえって混乱を起こすことになりますので、その点は相互に調整をとりながら十分輸入をさせたいと思っております。
  36. 前田正男

    前田委員 大臣が来られたので、宇宙開発の問題を続けて大臣にお聞き願いたいと思うのでありますが、いま出ておりましたシステムの問題は、実はQまでは一社でもいいかもわかりませんが、次にNロケットというようなことで、ことしも幾らか概念設計の予算がついておるようでございますけれども、Qが実はおくれぎみで、いまのお話ですと、四十七年だということでありますが、そうしますと、Nロケットを並行してやらないと、Nロケットの打ち上げというものは非常におくれてくると思うわけであります。そして少なくとも、ことし予算がついているわけですから、さっそくに技術導入をして、そしてNロケットのシステムから取り組んでいかなければならぬのじゃないか、特にNロケットについては、いま問題になっております点がありまして、御承知のとおり、インテルサットの条約において、日本とヨーロッパのほうは地域間の衛星を上げたい、こういうことを希望しておるわけであります。ところがいわゆる一国だけの衛星にすべきものじゃないということをコムサットあたりからいっておるわけでありますけれども、われわれとしてはこの地域間衛星に対する発言という問題もあるわけであります。  それから宇宙空間をこの静止衛星でつなぐわけでありますが、幾つかの星があればつながれる、その空間に対する権利の確保ということも影響してくると思うのであります。したがって、静止衛星というものはひとつ急いでやる必要があると思うのでありますが、東大がおくれ、Qがおくれてきて四十七年になったということでありますけれども、実はNロケットの静止衛星は四十八年にはぜひ上げるというふうに当初計画をしておったようにわれわれ思うのですが、それでも実はインテルサットの条約改定が、いつでしたか、正式にきまる時期が間に合わないのではないか、しかし打ち上げる準備をしておるということで、何とかひとつ発言権を確保しようじゃないかということになっておったように思うのですけれども、そういう点から見て、この際ひとつNロケットを急いでやる必要があるのではないか、それがインテルサット条約にどういうふうに影響を与えてくるか、こういうことについて、ひとつ大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  37. 西田信一

    西田国務大臣 ただいまお話ございましたように、東大は幾たびか失敗を重ねて先般成功したのでございまして、その点は非常に喜んでおるのでございます。東大も予定よりおくれてようやく打ち上げに成功したということでございます。事業団の行ないますところのロケットの開発、Qロケット、続いてNロケットということでございます。これは私どもの気持ちといたしましては、いま予定されておる時期までには必ずこれを打ち上げるような努力をしたいと考えております。しかしながら、東大の打ち上げました「おおすみ」、この成果、あるいは今後きまりますところの予算等と関連いたしまして、やはり慎重を期して見直しを行なっていかなければなりませんし、政府といたしましては、その結論を待って、その結論を尊重して、そしてただいまお尋ねがありましたように、でき得る限りおくれをとらないように、この開発を進めてまいりたいという決意でございます。  そこでただいまお話がありましたように、インテルサットにつきましては、ただいまワシントンで会議が行なわれておるわけであります。それでわが国の開発がおくれをとりますと、その面におきましては非常に不利になるのではないかという御心配でございます。この会議は、二月十九日から始まりまして、だいぶ進行しておりまして、この二十日ごろには会議が終了する見通しでございますが、インテルサット加盟国の中でも地域衛星を打ち上げる能力を持っている国、ことに日本はそういう点につきまして、地域衛星を打ち上げる権利を確保したい、こういうことを強く主張しておるのでございますが、いま入っております情報、連絡によりますと、大体われわれの主張が通って、加盟国といえども地域衛星を打ち上げる権利を与えるという方向に進んでおりまして、大体これはわれわれの希望が通るのではないか、実はかような見通しを持っておるのでございます。  また、ついででございますから、けさの新聞にも出ておりましたように、インテルサットのマネージャー会社と申しますか、コムサットがこれを一手に引き受けておるわけでありますが、これにつきましても、国際的管理の機構に移したらどうかというような主張もございます。わが国といたしましては、またひとつ考えをこれに述べまして、これもまだ最終的決定には至っておりませんけれども、われわれの主張というものが相当尊重されつつあるというような状況にあろうと存じます。  いずれにいたしましても、こういうようなかりに地域衛星の打ち上げの権利が確保できたといたしましても、やはりひとつ、少しでも計画どおり進むように、おくれないようにということにつきましては、最善を尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 前田正男

    前田委員 それで大体の方向はわかるのですが、先ほどちょっと長官のおらない間にお話があったのですが、システムの問題が一番、宇宙開発だけではなしに、日本全体の科学技術に与える影響も非常に大きいわけでございますので、私は実は現在総合的なシステムは一社しか入っていないようでありますが、Nについても概算の設計の予算がついておるようですから、この際技術導入を並行してやらせるべきじゃないか、こう私は思うわけなんですが、これはひとつ、私が原子力におきますところのいままでの経過から見まして、やはりこういう外国との技術のおくれを取り戻すときには、グループ別に技術導入をさせて、そしてある程度進めていかなければならぬじゃないか、こういう点が、どうも宇宙開発のほうは、まだ私ども事業団理事長ともよく話しておりませんけれども、早く取り戻していかなければ、ほんとうの力というものはできないんではないかと思うわけです。それで取り戻しさえできれば、あとは日本人の能力でもって技術導入の水準以上のものをつくれることは、いままでの実績から見て明らかでございます。しかし、なかなか残念ながら全体のシステムの問題は、非常に日本もシステム技術というものはおくれておるわけですから、この機会にNロケットを並行して、システムを導入させてやらしたらどうか、こう思っておるわけでございますが、ひとつなるべく急いでやっていただいたらどうかと思うのですが、政府側で特にそれに対してお考えがあれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  39. 西田信一

    西田国務大臣 御指摘のございましたようにわが国技術の自主的な開発、システムの活用等によりまして、これもやってまいらなければなりませんし、また先進国の有効な技術導入を受けまして、そしてこれと相まって、ひとつわが国宇宙開発促進をはかるということは、きわめて重要だと思います。私どもは、ただ技術導入にのみ依存して、自主開発を忘れるようなことがあってはならぬと思いますが、相並行して、そしてできる限りのシステムの活用ということも考えまして、御趣旨のように努力をしてまいりたいと思います。
  40. 前田正男

    前田委員 それじゃ、話はちょっともとへ戻りますけれども大臣のお留守の間に、ちょっと質問しました問題から、あらためて所信表明の順を追うて、簡単に大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思うわけであります。  研究の総合的、計画推進ということについては、いま局長から従来特別調整費でもって防災とか、環境とか、電子、人間、消費、国土、医療、航空、こういったようなものについて推進をしてきたということを、説明を受けたわけです。また科学技術庁科学技術庁予算でもって、強力に原子力宇宙開発、海洋開発等、そういう開発事業を進めておられるわけでございますけれども、しかしながら、実はそれらに必要なところの基礎研究というのが非常におくれがちになっておるように思うのです。  それで、そういう点から見まして、かねてから当委員会においても研究しておることでもあり、また科学技術庁においても研究しておることでありますけれども、国の重点研究、たとえば地震予知等によるところの災害防止だとか、あるいは環境汚染技術等の開発によるところの公害防止だとか、あるいはソフトウエアの技術の開発とか、こういう問題について長期的な計画をつくって、基礎研究と目的研究を含めまして、長期的な研究をつくって、そうしておくれがちの基礎研究との間のバランスをとる必要があるのじゃないか、そういうことで、この長期的な計画をつくろうということについては、この科学技術特別委員会理事会の四十四年の七月三十一日の申し合わせにおいても、そういうものを進めていくべきであり、それに必要な法律をつくる必要があるというふうなことを考えておられる。現在われわれの理事会においても、この点について努力中でございますけれども政府のこれに対するひとつお考えを聞かせていただきたいと思うわけであります。
  41. 西田信一

    西田国務大臣 科学技術全体の総合された振興をはかる、バランスのとれた振興をはかるということがたいへん必要であるという点につきましては、全く同感でございます。  しかも、わが国は三つのビッグサイエンスにおきましても、その他ただいま御指摘になりましたような諸点につきましても、諸外国に比べては一歩おくれておるということも、これは否定できないと思います。私はことしの予算編成にあたりましても、実は諸外国と毎年国家投資の累積等を比較してみますと、スタートは同じであってもだんだん懸隔が、差ができておるという現実を見まするときに、私どもはこれからの科学技術振興ということにつきましては、ただいまお話がありましたように、総合的な計画のもとに長期的な計画基礎にして進めていかなければならぬというふうに痛感をいたしております。  で、私のほうにおきましても、そういう立場に立ちまして具体的ないろいろ検討を進めておるわけでございまするけれども、特に国会におきまして、当委員会におかれましても非常にこの点に御留意と申しますか、心を配られまして、そうして具体的な御検討をいただいておることはたいへんわれわれとしては力強い限りでございまして、政府といたしましても、こういうような基本的な施策というものをはっきり確立しなければならぬという意味におきましては、非常な熱意を持っておるわけでございますが、率直に申し上げまして、せっかくこの委員会において御検討がやはり進められておるわけでございますから、これらに対しまして非常な期待を持っておると申しますか、ぜひこれが早く実現するように、私どもといたしましてもそれに対しましていかようなる御協力も惜しまない、こういう気持ちでございます。
  42. 前田正男

    前田委員 これはひとつ当委員会において各党の御了解を得て、話をさらに進めていかなければならぬと思っておるわけですが、先ほど長官のお留守の間に原子力の問題のお話を大体聞いたわけですけれども、最後に残った問題として、いわゆる問題の核拡散防止条約でございますけれども、この問題について、最近問題になっておりますように、一応日本政府が調印はいたしましたけれども、これは批准の問題については、その保障措置に対してわが国が非常に不利にならないという問題が明らかにならないことには、政府のほうも困るでしょうけれども、われわれ国会側のほうも実はこの点については、はっきりしていく必要があるのじゃないかと考えているわけでございます。  そこで、わが国から保障措置につきまして、いろいろと国際原子力機構その他とも折衝するために、いろいろな具体的な準備とか、あるいは連絡とか、あるいは検討会だとか、いろいろなことを政府としてやっておられると思うのでありますけれども、ひとつどういうふうに進めておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  43. 西田信一

    西田国務大臣 核防条約の調印に至る経緯につきましては、先生すでに御存じのとおりでございます。  私どもといたしても、この条約に参加することによりまして、少なくとも平和利用の面におきまして、諸外国との間に実質的に不利な立場に立つというようなことがあってはならない。このことにつきましては、もう肝に銘じてこのことを考えておるわけでございます。したがいまして、今回の調印にあたりましても、強い政府声明を行ないまして、そうしてあらゆる機会に、外交を通し、またその他あらゆる機会を通しまして、このことを主張しておるわけでございます。  そこで、これに対する対応策をどうするかということでございますが、ただいま前田先生もお述べになりましたように、われわれといたしましてもこれに対するあらゆる対応策を考えておるわけでありますが、役所の中にはこれ専門の室も設けましたし、あるいはまた各省との連絡機関も設けました。あるいは学者、産業界等を網羅するところの検討会というものも強力に進めてまいりたいと思っておりますし、諸外国あるいはユーラトム諸国、その他等の実情を知っておく、あるいはそれらと不公平にならないようにということで、産業界からも出かけていっていただいて、これらの検討調査をすると同時に、われわれの主張をそれぞれの機関に反映させるというようなことも考えております。同時に、査察に対しますところのわが国の具体的な案というものを持たなければならぬわけでありますから、そういう意味において、国内におきましてもいろいろと具体的に検討を進めておるわけでございます。  このIAEAのいわゆる保障措置協定の中身はいろいろございますが、その中で一番問題なのは査察のしかたでございまして、これにつきましては現在もわが国はアメリカその他から核燃料を入れておるという点において、IAEAの査察を受けておるわけでございますけれども、そういう体験からいたしましても、もう少し簡素化されなければならぬ。簡素化するにはいかにすべきかということでございますが、これには少なくとも現在までのようなやり方でなくても、いわゆる軍事的に利用されることを防止することが目的でございますから、その目的を達成するに足る程度の簡素化された査察制度に持っていきたい、それには自動的な計測方法なども大いに取り入れていく必要があると存じますし、そのような具体的な方法等によりまして査察が簡素化され、また回数もごくわずかで済むということによりまして、産業活動の阻害になったり、あるいはまた商業機密が漏れるというような心配をなくしていきたい、かように考えておるわけであります。  わが国は調印をいたしましたが、少なくともわが国の主張が通らない限り、この批准は軽率に行なわないというような強い姿勢を示すことも大事であると考えます。同時に具体的な案をつくりたい。IAEAの理事会が先般ございましたが、これらを検討するところの特別委員会の設置のことにつきましても、この間はきまらなかったようでありますが、四月にまた理事会が開かれまして、そういう問題も討議され、大体そういう方向に進むようにも承知しておりますが、そういうような場合におきましても、われわれは具体的な案を持って臨まなければならぬというふうに考えておりまして、現在いろいろこれに対する具体的な対策を練っておるわけでございます。どうか国会におかれましても、たいへんこの問題について御心配いただいておりますが、諸先生方にもひとつ有効な知恵をかしていただきまして、一体になってわが国の主張を貫徹したい、かように考えておる次第でございます。
  44. 前田正男

    前田委員 先ほど申しましたとおり、国会側といたしましても、この保障措置という問題が核防条約の承認問題に重大な関係があるわけでございますから、政府におきましても最善の努力をしていただきまして、特にいまのお話のように、保障措置というものが、目的は結局核物質の拡散防止でありますから、これを効果的に発見できるシステムというものについてひとつ大いに掘り下げた御研究を願いたいと思っておるわけでございますが、時間の関係もありますので、この問題はこのくらいにします。  次に、海洋開発を政府は積極的に進めていただいておるわけでございますけれども、これは従来相当やっておるものでありますから、原子力だとか宇宙開発というものとちょっと違うわけでございます。しかしながら、やはり強力な総合調整というものが必要であると思うわけです。  そこで現在のような海洋科学技術審議会というような形式でもって総合調整というものが十分であるか、あるいはもっと強力なものに審議会を改組していくか、あるいは別に政府間の強力な連絡をするようなものを考える必要があるか、こういうことについて長官としてはどう考えておられるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  45. 西田信一

    西田国務大臣 四面海をめぐらしておるわが国といたしましては、海洋開発の問題は宇宙開発あるいは原子力と並んでと申しますか、あるいはより必要であるということはいえるかもしれません。海洋開発もいろいろ広範にまたがっておりますし、また役所の機構の上から申しましても、各省それぞれの立場においてこれを分断しておるわけでございますが、そういう意味におきまして総合調整ということはきわめて大事だということは、お話のとおりに考えております。  そこで、わが国の海洋開発、ことに海洋開発の技術開発の面につきましては、いまお話のございましたような海洋科学技術審議会というものが総理府の中にありまして、これが一応の海洋開発に対しますところの計画、これは主として技術に関する計画でございますが、これをつくって、着々実行に移されておる実情でございますけれども、これをもって事足れりということを言い切ることはできないのではないだろうかと思います。さらに検討いたしまして、あるいは閣僚会議というようなことも考えられるでありましょうし、あるいはまた別の機構を考える必要があるかもしれません。現在は技術のことが中心になった審議会等が設けられておりますけれども、もう少しやはり政策を加味するとか、あるいはそういった意味におきまして、この問題につきましても真剣に検討いたしまして、そうして諸外国に対しておくれをとらない、これは民間のほうも非常に積極的に意欲を持っておりますし、むしろ日本海洋開発技術がどんどん海外に売り出されるというぐらいの勢いをもちまして、これを進めるべきじゃないかというふうな気持ちを持っております。御提案の点につきましてはもう少し十分に検討させていただきたいと思います。
  46. 前田正男

    前田委員 いまお話のとおりに、海洋開発は従来各省がおのおの相当具体的に長きにわたってやっておることでありますから、技術的な調整では不十分ではないか、やはりいままで以上に政策的な調整というものを進めなければ、発展がいろいろとちぐはぐになってくるんじゃないかと思いまして、いまお話がありました閣僚会議とか、それは一つの方法だと思いますけれども、ひとつぜひ強力な方法をお考え願いたいと思うのです。  そこで、最後の項目といたしまして、この機会にソフトウエアの問題についてお聞かせ願いたいと思うわけですが、まず最初に、日本においてはソフトウエアの問題について基本的なあるいはまた総合的な研究が必要であるとわれわれ思っておりまして、昭和四十五年度においても科学技術庁予算研究開発の問題についての調査費がついておるようです。将来研究所をつくるということで、研究所をつくるための調査をするということで予算がついておると思うのであります。ところが、今回通産省から情報処理振興事業協会等の法律の提案があるようであります。同時にまた、通産省のほうにもシステム研究調査予算がついておる、こういうふうな問題がありますが、科学技術庁は通産省が法案をつくるにあたって、研究開発の問題について通産省から科学技術庁にいろいろな相談があったと思うのでございますけれども、この点についてひとつ実情をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 西田信一

    西田国務大臣 必要がございますれば政府委員からまた詳しく申し上げますが、この法律を出すにあたりまして通産省から協議を受けております。それがだいぶいろいろな経緯がございましてこういう形に落ちついたわけでございますが、この法案は電子計算機の利用、それからプログラムの開発、利用の促進情報処理サービス等の育成、こういうことを目的といたしておるわけでございます。したがいまして、情報処理振興事業協会の扱います業務とプログラムの開発、プログラムの開発にあたっての資金の借り入れ等に対する保証、こういったものが主でございまして、この協会がソフトウエア全般にわたりまして広範な総合的なあるいは基本的な研究を直接全部扱うんだ、こういうふうには理解をいたしておりません。しかし、この法案によりまして推進される業務は、御指摘のように当庁にわずかでございますが予算がついたわけでございますが、当庁がこれから推進しょうとしている情報技術処理振興と無関係ではない、関係があるわけでございます。この法律の運用にあたりましては常時通産当局と密接な連絡を保っていきたいと存じますが、これは必要がございますれば詳しく申し上げますけれども、相談があって、そしていろいろの経緯を経てこういう形に落ちついたものであって、今後もわれわれのほうはソフトウエアの振興がこれで完ぺきであるというふうには考えておりません。
  48. 前田正男

    前田委員 いまのお話のようなことでございますから、今度両方に調査費がついておるわけですけれども、私の考えでは、いまのお話のように、科学技術庁はその所管権限から見ましても、基本的な研究あるいは各省にわたるような総合的なシステム研究をする、通産省は通産省の所管のシステムの研究をする、ほかの省にもそういう調査費がついただろうと思いますが、そういう調査費がついてあるいは研究所をつくるのも各省所管の範囲でやる。しかし、科学技術庁科学技術庁の所管として、基本的なものあるいは総合的なものを研究するシステムの研究所をつくる必要があるのではないかと思うのです。この問題については、世間でもいわゆるシンクタンクというふうなことばが出ているわけでございますけれども、私はこの機会科学技術庁がやはりソフトウエアというかソフトサイエンスというほうが適当かもわかりませんけれども、ソフトサイエンスの総合的な技術についてはシンクタンク的な考えを取り入れて、基礎的な問題と総合的な問題については特にシンクタンク的な考えを取り入れてやるべきではないかと思うのであります。たとえば、開発プロジェクトのおのおのについてシステムをつくっていく。そうしてそのシステムをもとにいたしまして、各開発プロジェクトごとにできればシミュレーターをつくったらいいのじゃないか。そしてそのシミュレーターをもとにして予測、修正等を行なってそのプロジェクトというものを計画基礎にしていく、こういうことにすべきじゃないか。たとえば、流通システムの問題も長官触れておられたと思いますけれども、特にいま物価の問題でやかましくなっています生鮮食料品の問題を取り上げました場合には、その流通についてひとつシステムを取り上げまして、需給と生産の調節をはかっていく。そうしてそのできましたシステムをシミュレーターに入れて操作してみて、生産と需給がうまくいけるかどうかということを実際にはかってみる。そういうことができますならば、物価の安定に非常に役に立つのではないか。あるいはまた経済企画庁その他各官庁において総合開発計画というようなものをつくっておりますけれども、これは科学的な裏づけが十分でないと思うのです。やはり総合開発計画のおのおののプログラムについてシステムをつくって、それをシミュレーターに入れて科学的な裏づけにするというようなことをシンクタンク的に科学技術庁がそういうシステムあるいはシミュレーター、こういうものを提供していく。いわゆる政府施策の科学的な裏づけというものをここでやっていく、こういうようなことが必要ではないか。それにはまず基本的なソフトサイエンスについての研究をしなければなりませんけれども、同時にその基本的な研究をもとにした総合的なソフトサイエンスの研究をやっていく。私はそういうような形で、せっかくつきましたソフトウエアに対する調査費をもとにして、そういう構想の総合研究機関というものを早くつくる必要があるのじゃないか。私たちはことしからそういうものをつくってもらいたいと思っておったのでありますけれども政府間の話し合いでことしは調査費で来年そういう性格のものをということになっておるようでありますけれども、早く考えをまとめませんと、また来年の予算は八月の末に科学技術庁から出さなければならぬということになっておりますから、ひとつ私がいま申し上げましたような考え方をもとにされて、早くシンクタンク的なソフトサイエンスの総合研究機関をつくることを御推進願いたい。これは日本にとっても日本の行政、政治の科学的な裏づけとして非常に大事なことだ。いままでわれわれのやってきました科学技術はどうも政策的に政治的に十分に生かされていませんし、あるいは皆さんの役所の資源調査会等のりっぱな報告が出ておりますけれども、それが活用されていない。それはシステムとしてプロジェクトごとに政策の裏づけになっていない。そこに問題があるのではないか。私はこの機会にシステムをつくられてそのプロジェクトに基づいてシミュレーターをつくって、十年後にはこういうふうになるだろう、一九八〇年にはこうだろうということをそのシステムをもとにしてシミュレーターで想像して、なるほど科学的に裏づけられた計画はこうだ、あるいは生鮮食料品にしても、システムをもとにしたシミュレーターで実際にやってみて、生産と需給のバランスはこういうふうにとれてくるじゃないか、だからこういうふうに食料品の流通機構を変えなければいかぬじゃないか。農林省の政策の基礎として科学技術庁がそういうシンクタンク的なものを提供していく場合には、これは科学技術庁の大きな仕事じゃないかと思うので、長官も大いに熱意を持って取り上げていただきまして、この総合研究機関の設立に御尽力願いたいと思いますが、長官の決心をひとつ伺っておきたいと思うのです。
  49. 西田信一

    西田国務大臣 まことに御指摘のとおりでございまして、実はことしの予算でもそういうことをねらっての予算をわれわれは希望したのでございますが、力足りなくてわずかな予算に終わりました。しかしねらいはまさしくそこにあるわけでございます。何と申しましてもこれからさらに発展をしていく、また社会が高度化するあるいは複雑化する、こういうあれに対応いたしまして大量の情報処理いたしまして、そしてこれを生かして社会活動の合理化とか効率化をはかるということも必要でございます。また、例にあげられましたような食料品あるいはまた国土開発その他、こういったような重要なプロジェクト等につきましていま御指摘のようなシンクタンク的なシミュレーターをつくって、これを生かしていくということがまさしく重要な課題であると存じます。しかしとれました予算はわずかではございますけれども、ソフトサイエンスの総合的な推進をはかるための基礎調査、こういうことでございますので、わずかな金でありながらこれを有効に使いまして、そうしてぜひ来年はただいま御指摘なさいましたような方向に強力に進めてまいりたいという決心を持っております。よろしくお願い申し上げます。
  50. 前田正男

    前田委員 これで私は質問を終わりたいと思いますけれども、最後の問題はぜひ総理大臣にもお話し願って、日本がいま政策的に行き詰まっている物価の問題にしましても、公害の問題にしましても、あるいは将来の社会福祉発展計画にしましても、みんなおのおの科学的な裏づけが十分できてないからいろいろと政策について確信がない。なかなか思い切った解決策が出てこない。これは、私は回り道のようですけれども、早くシンクタンク的なものをつくってシステムをつくり、それをシミュレーターにかけて予想を立てて、そして実際にそれを政策に移していくということが必要だと思いますので、長官からぜひひとつそういう構想であるということを総理大臣お話しされて、この研究所はみんなが期待している、そういうことをぜひひとつお話し願いたいと思います。
  51. 西田信一

    西田国務大臣 適当な機会に、総理並びに閣内におきましてもそういうことを申しまして、ひとつぜひ強力に推進してまいりたいと思います。
  52. 北側義一

    北側委員長 次に、三木喜夫君。
  53. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 この間大臣から所信表明を承りまして大いに賛成な点もありますし、それからこの点はぜひただしておきたいという点があります。専門的なことはまた後日局長にお伺いいたしますから、きょうは大臣に常識的でもけっこうですから基本的な問題について率直にひとつお答えをいただきたいと思うのです。  いまも前田委員のほうから最後に要請がありましたが、この点は私も同感なんです。世の中が宇宙時代、情報化時代といわれる科学技術の進展の非常に著しい時代になってきたわけなんでございまして、したがって、科学技術庁の責任もいよいよ重大になってきたのは大臣の言われたとおりであります。私もそのとおりそのことを痛感するものです。しかし、これは大臣の責任ではないだろうと思いますけれども、この重大な科学技術庁長官が毎度かわっておるということ、それからこういうようなシステムも大臣の責任ではないでしょうけれども、聞くところによると、今度はあなたはどっちが兼務かわからないような、その仕事は北海道長官、言うなら札幌オリンピックのほうに重点がいくのじゃないだろうかという心配をぼくらも持つわけです。こういうようなことでいま前田さんが言われた、あるいは私はこの科学技術の時代に即応する日本の国の科学技術庁のあり方、あるいはその首班のあり方としてどうかと思うのです。これは毎度こういうことを言って歴代の大臣から私はきらわれものになるのですけれども、しかしいつかこれは踏み切らなかったらだめですよ。たとえばインドにおいても、なくなったバーバ博士にいたしましても、原子力なら原子力だけに全生命を打ち込む、あらゆるところのいまいうシンクタンクを結集する意味ですか、そういうようなやり方で後進国と目されておるインドが対処しておる。日本は何か内閣改造があるたびに科学技術庁長官というものはいつもかわってしまう、こういうことを私は非常に遺憾に思っておるのです。大臣にこんなことを聞くのはかえって失礼かもしれません。しかし、一国の科学技術振興対策に当たられる大臣ですから、ひとつ最初にその所感を聞かしていただきたいと思います。
  54. 西田信一

    西田国務大臣 三木先生から御指摘になりました点は、私みずからその立場に立って申すことは、たいへんおかしいのでありますがそのとおりだと思います。私は実は科学技術庁専門であったらよろしかったと思うのでありますが、これは辞令をちょうだいする立場でございますのであれでございます。北海道開発庁、それから科学技術庁、オリンピックの世話をせい、こういうことでございます。しかしながら、私はこの立場を与えられまして痛感いたしますことは、実は私はこういうものを持っております。これは実は私が就任早々大蔵大臣と折衝するときに、科学技術に国家が投入した資金はどうなっているかという各国の累積をずっと調べまして、日本が一番下で、しかもだんだん距離が離れていくというような状態、まずこれを見てもらいたいというようなことを実は申しまして予算折衝をいたしたのでございますが、感じますことは、まさしく日本科学技術によってこれから発展をしなければならないにかかわらず非常に立ちおくれておる。しかしながらこれを日本人の優秀さで、国の予算は少ないけれども、優秀さでそれがわずかに補われておるというような感じがいたします。また各国の大臣などに聞きますと、各国の科学技術大臣というのはたいへん有力な方がなっておられる。将来総理になるような人が科学技術大臣をするという話も聞いております。そういう意味で、決して日本政府科学技術を軽視しておるということではないと思いますけれども、ひんぱんにかわるということはけっこうなことではないと思います。しかしながら、一たんその立場に立ちました以上は、科学技術振興に全力を尽くしてみたいという決心でございます。私は、実は北海道もあずかっております。北海道に生まれて六十何年、北海道に住んで、北海道のことはもう大体地図も頭の中にすっかり入っておりますし、そう北海道のことには精力を使わなくてもどうにか大過なくやれるのではないだろうか。科学技術のことは真剣にやりたいという気持ちで、実は時間の使い方もむしろ科学技術のほうに多くの時間を使っているわけでございまして、いつまでやらしていただけるのかわかりませんが、しかしながら私が任命を受けまして、一年くらいの期間であるかも知れませんが、その間において停滞があってはならぬし、むしろできるだけの前進をしたい。ことしの予算も実は十分でなくておしかりがあると思います。思いますが、そういうことを主張いたしまして、そしてできるだけやったつもりでございます。しかしながら、わずかに六百億程度というような情けない状態でございまして、私はいま前田先生からも三木先生からも非常なありがたい激励をちょうだいしておる、こういうふうに実は受け取っておりまして、微力な私でございますが、諸先生方のお力をおかりいたしまして、立ちおくれている日本科学技術振興の上に全力を尽くしたいという決意だけは持っているということを御了承賜わってよろしくお願いをいたします。
  55. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 近来の大臣としては非常に率直な、しかも腹のうちを余すところなく披瀝される気持ちのいい御答弁に接したわけで、私も共感を覚えるわけなんです。全力を尽くしてやるというお気持ちも聞いて非常に力強く思うのですけれども、しかしこの科学技術振興の隘路は何かということを考えた場合に、ただ単に全力を尽くすという通りことばだけでは意味をなしませんから、どういうことに全力を尽くされるのか、それをきょう聞かしてもらわなければいけないと思うのです。  私は以下宇宙開発と海洋開発とそれから原子力開発とをお伺いしたいと思います。こういう項目で全力を尽くすということではないと私は思いますし、予算をとること、これもあとで予算の問題に触れたいと思いますけれども予算をとるのに全力を尽くす、こういうことが科学の大臣を持つ意味ではないと私は思うのです。言いかえますと、私はこれは科学技術庁という庁のかっこうに置いておくのはいけないと思うのです。科学技術省にしなければいけないように思います。それは私なりに考えがありますしいたしますけれども大臣の考えをとくと承っておきたい。全力をどこへ傾注するのか。
  56. 西田信一

    西田国務大臣 やはり先ほどから御意見がございまするように、科学技術振興してまいりますためには、基本的な政策というものがまず第一に必要であると思います。基本的な政策を立てて、その政策によって基本的な長期計画と、さらにはもちろん毎年毎年の計画見直しなり毎年の予算等につきましても、それに沿った努力をしなければならぬと存じます。そういう意味におきまして、計画の策定ということがまず何より根幹であろうと存じます。  そうして、科学技術庁というところが科学技術振興を一手に引き受けるというわけにはまいりませんので、これが政府部内あるいは民間を通しまして、そのおのおのの力が十分に発揮されるように、その能力が発揮されるその間におきましてそごがないように、またその力が総合されて発揮されるような総合調整ということがまた次に大事なことじゃないかと存じます。  それからまた、この計画がりっぱに立ちましても、裏づけがなければなりませんから、少なくともやはり民間の協力を求めながら、こういう大型な科学技術振興ということにつきましては、国がもう少し積極的に乗り出す必要があるというふうに存じますから、国がそういう姿勢をとるような努力をする。したがって、ということはいろいろございましょう。政策の問題もそれに入りましょうし、予算の問題もそれに入りましょうから、そういったことが必要であろうかと存じます。  それからまた、これはひとり日本だけの技術ということは、自主技術の開発は大事でございまするけれども、やはりもうすでに国際化時代に入っておりますから、やはり国際的な協力を求め、与えるというようなことが必要であろうと存じます。そういうようなことを政府部内にあって私は担当する立場にある、こういうふうに存じます。  まあ大まかに申しますと、そういったことが大事である、私の仕事の任務じゃないか、こういうふうに考えております。
  57. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 了解いたしました。私もそういうように思うのですが、いま科学技術振興ということが、すぐに産業界で物をつくる、そういうことに政府部内も指導者も引きずられておるんじゃないかと思うのですね。科学とは物をつくることなり、こういう考え方がやはり主体的に働いておるといいますか、おもな考え方になっておる、このごろの科学技術振興ということは。しかし、科学というものは人間生活をよくするためにひずみを直すものでなければなりませんし、やはり大臣が主体性を発揮してもらわなかったら産業界に引きずられるわけなんですよ。  以下、産業界に引きずられた例を一つ申し上げます。これを快刀乱麻でひとつ処理してもらわなければならぬと思うのです。そこで、例を出したいと思うのですが、前田さんも言っておられましたが、科学が進歩するとともに汚染がどんどん広がる、と同時に自然が破壊される、こういう状態の中で、ここに、きょうの新聞ですが、こういう問題が出ておるわけなんです。砂利穴に農薬百トン捨てて、非常に飲み水にも危険が出てきた、これは栃木県鬼怒川の化学工場が捨てた問題ですが、今月の四日にこれを捨てて、そうして十日じゅうに回収せいという県の命令が出ておるわけです。こういうことをやったり、あるいはまた中性洗剤、これは非常に便利ですね。いろいろなものを洗うのに便利ですけれども、この中性洗剤の毒性が大阪市の飲み水の中にすでに入ってきたというようなこと。それから、先般太平洋科学者会議でしたか、日本で行なわれまして、ニュージーランドの学者だったと思うのですが、ニュージーランドの海溝にこの毒性が入った。これくらい世界の学者にしても気を使っておるわけなんです。こういうような問題に対しまして科学技術庁として物をつくるだけでなくて、ひとつひずみを直すという方向にどのように体系的に計画的に進まれるか。私はこれは大事だと思うのです。いま大臣お話の中では、国が主体性を持ってやらなければならないものがだいぶある。これが科学技術振興の時代に、発達した時代に対処する役所の姿勢でないかとおっしゃいましたが、全く私はそのとおりだと思う。しかし、依然としてこういうことが国民の中に行なわれておるわけですね。亜硫酸ガスの公害にしたって同じことであります。産業界に科学技術庁も通産省もあるいは厚生省も引きずられてしまってどうにもならぬというのがいまの公害の状況でしょう。ここでどういうように主体性を発揮してこれをチェックしていくか、ひずみを直していくかということがいよいよ科学技術庁の任務となってくるのじゃないかと私は思う。いままで厚生省や通産省にまかしておったわけですね。公害部とか環境衛生局ですか、こういうところにまかしておったわけですけれども、それではいかぬのじゃないかと思うのですね。そういう点の考えをひとつ聞いておいて次にいきたいと思います。
  58. 西田信一

    西田国務大臣 私も、科学技術の進むことによってその所産として公害が生まれる。だから、科学技術公害をつくる犯人である、そういうふうに指摘されれば、そういうこともこれはそうじゃないと言い切れない。しかしながら、実際に科学技術というものはそういった公害をなくするとか、世の中のひずみをなくするということが科学技術の究極の目標というふうに思うわけでございます。したがいまして、いま例にあげられましたような問題が起きるということは、一つの科学技術のひずみであるかどうかわかりませんが、あるいはまた企業界の不注意というようなこともあると思いますけれども、これは第一次的にそれぞれの監督官庁もございますから、そういう具体的な問題につきましては私どもも注意を喚起し、またそういうものに対しまして、必要があり適当であるということになれば、われわれのほうは研究費も配分をいたしまして対処をするというようなこともやっておるわけでございます。ことに最近はプラスチックというような便利なものができまして、これがどうもあと始末に困るというようなことが大きな問題にもなっておりますし、あるいはまた工場あたりから出る油の始末が非常にうまくいっておらぬというような問題もあり、こういった問題につきましても、これをやっぱり科学技術が何とか解決していくという面も多分にあると思います。したがいまして、こういったようなものにつきましては固形産業廃棄物の処理というようなことにつきまして、むしろ化学処理をするという方法もございましょうし、またこれを有効に使って、たとえばこれを処理して、そして埋め立てをして、かえってこれをうまく使っていくというようなことも考えられると思います。そのようないろいろな起きる事象に対しまして、私どもといたしましても、たとえば有毒ガスなんかにつきましても、これをできるだけ有毒ガスが出ないような燃焼方法を考えるとか、あるいはまた新建材なんかも火災が起きますと常に問題を起こしておりますが、こういうものに対しても有毒ガスの発生防止についての科学的な検討をするとかいったようないろいろな問題があると思いますが、そういう問題につきましても、私どもは大きなプロジェクトの企業開発だけではなくて、そういう面につきましてもこまかい配慮を払って、そして横の連絡をとり、必要があれば研究させるというような配慮もし、それからまた第一次的な監督官庁との連絡調整等も十分とりまして、そういう公害を少しでも防止するというようなこと等につきましても、ひとつできるだけの努力をしたいと存じます。それからまた新しい技術の開発等によりまして、従来起きている公害も、あるいはまた国土開発のやり方によりましては、いろいろな配置の問題とあわせて、新技術によって公害をなくするというようなこともいろいろと考えられておりまするし、そういう両面相まって、ただいま御指摘になりましたような問題の具体的な処理につきましても、私どもとしてはできるだけのことをしてまいりたいと考えております。
  59. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 大臣、私は大臣だけに言うつもりはないのですが、あなたは自民党から大臣になられた人ですから、自民党の諸君にもこの話は私いままで何回でもしておるわけなんですし、科学技術庁としても心得ていただきたいと思うのです。要するに、科学技術庁というのは若い役所ですね。新しい役所です。そして若い芽ですね。この若い芽を伸ばしていかなかったら、いまの科学技術の進歩には対処していけないのでしょう。それを伸ばしていくのに、この役所に対する予算が、全体が二七%伸びたとか二〇%伸びたとかいう、その比率に合わして予算を持ってくることはいけないとこう言うのです。特にいまの予算でも大型のプロジェクトを持ったところの事業団が二つもあるでしょう。これに対する予算を取った。それを計算に入れて何%伸びたという計算のしかたは、これはいけないと思います。これは別に考えなければいかぬ。だから、全体では予算も相当取ってきたと言いたいところでしょうし、なるほど三五%伸びていますね。しかしそういうことが一つあるのと、あなたがいまおっしゃった、非常にいいお話をなさいましたけれども、それを一体だれがやるのか。どこがやるのか。研究調整局長のところでやらなければしょうがない。調整局長は宇宙もあれば海洋もある。こんなことで実際できますか。そうすると勢い、局をふやすなとか部をふやすなとかいうことが内閣あるいは行管の方針になっておりますが、しかしそのことはあなたは内閣総理大臣に向かって、あるいは自民党の中で、あるいはわれわれ野党も一緒におって、この必要を強調なさって、来年度はそれを拡充できるかどうかということですね。局をふやさなければだめなんですよ。要らなくなった古い枝がほかのところにたくさんあるのです。やってもやらないでもいいような局が他省庁に置いてあると思います。それは自分のなわ張り争いでぐっと握っておるわけなんです。だから役人がどんどんふえていく。そして肝心なところの役所の充実はできない。これが最初から申し上げておる科学技術に対処するところの大臣の責任と考えてもらいたいと私は思うのです。いまおっしゃったことは私もなかなか賛成なんです。しかしそれをどこでやるか。石川君がうしろにおりますけれども、そこへ持っていったらたちまち音をあげてしまいますよ。夜を日に継いでやっておってもできない。こういうことになるのですよ。前の大臣にもそれをよく言っておったのですけれども、またかわってしまって、またもう一ぺんあなたに言い直さなければならぬということです。局長や課長から大臣にとてもそんな憎まれ口はきけないし、科学技術庁の問題ですけれども、そんなことまで御進講申し上げられない。やはりわれわれ野党の者が要らぬことを言わなければしようがないと思うのですが、前田さんのような科学の重鎮もおられますから今度はだいじょうぶだろうと思いますけれども、どうですか、その点は。いまおっしゃったことはいいのですけれども、そういうぐあいに拡充しなければだめなんでしょう。
  60. 西田信一

    西田国務大臣 まことにありがたい御激励をいただきましてありがとうございます。実は私も決していまの機構が十分だというふうにも考えませんし、予算が十分だとも考えておりません。ことに予算の伸びは三五、六%だと申しましても、私は逆にそうではなくて、これは成功じゃないんだ、要求したのに比べてどのくらい歩どまりがあったというふうに考えなければいかぬ、こう実は内部で言っておるのです。八〇%要求し三五%ではあまり成績がよくないじゃないか、こういうふうに実は申しておるわけであります。また予算が取れましても、これを消化するいまのお話のような機構の問題も必要でございます。しかしながら、いま私ここで来年必ず局をつくりますと言うて大言壮語することはいたしませんけれども、十分内部の検討をいたしまして、そうしてどうしても足りないものは、これはやはり科学技術の重要性ということを考えれば当然のことでございますから、さらに十分一そう——私も日が浅いものでございますから率直に申しましてそこら辺の検討が十分できておりませんか、十分検討いたしまして、そして要求すべきものは要求していくというふうに勇気を持ってやりたいと思っております。いままだ機構をどうするかという、そういうところまで私結論を持っておりません。しかし、ただいまのことは大事なことでありますし、非常に大事な激励としてありがたくちょうだいして検討しておきます。
  61. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。私もちょっと用事ができておりますし、それからあと同僚議員が質問しますから、あと二つほど重要な問題点だけ聞いておきたいと思うのです。  宇宙開発、それから原子力の開発、海洋開発とあるのですけれども、これはまた別のときにしたいと思いまして、重要な問題だけ二つ聞いておきたいと思うのですが、なるほどあの宇宙開発について二月十一日、前田さんも言われましたように内之浦で打ち上げられた東大の人工衛星「おおすみ」の成功、これにつきまして私も敬意を表する一人であります。しかし今後、この「おおすみ」の上がったことを、ひとつ事実をとらえてその反省の上に立って計画を立てていかなければならぬ問題があるのじゃないかと思うのです。八月にミューを打ち上げるといっておりますけれども、今度は一機五億円これに国費を投じるのですが、いまのラムダ4Sの重力ターン方式のこの方式で十分の自信があるのかどうか。今度は失敗しないように地上の実験も十分やってもらって、そして成功させてもらいたい。それには無誘導でいいのかどうかという疑問を私はいま持っておるわけです。それからもう一つ、東大は重力ターン方式で、科学技術庁技術導入提携の立場をとって誘導制御の方式を取り入れている。そうすると、どこかで重力ターン方式から誘導制御方式に切りかえなければならぬのですね。そうしたらいまずっと無誘導方式を続けておくことが後のためにどういうプラスになるのか。たとえば、いまMのときには東大は無誘導でやるのでしょう。しかしながら将来はQからNへ移る場合どこかで誘導制御をやるということになれば、その無誘導でやった練習というものはそのときにどういうように実っていくのか。どういうようにそれを受け継いでいくのかということが私は問題だと思う。たとえば、固型燃料あるいは液体燃料というように、こういうように接合していくのはこの実験で可能かもしれません、いいかもしれません。そういう疑問を一つ持っておりますことと、続けてもう一つ言っておきたいと思うのですが、これは原子力のほうですが、原子力ではいよいよ高速増殖炉の開発がスタートするわけですね。これは動力炉・核燃料開発事業団によって高速増殖炉の開発が時間の問題になり、本格化してきたわけです。しかし、これに対して、値段が違うじゃないかということで実験炉の建設を受注グループが拒否をした。こういうことでこれから原子力の開発がスムーズに行くのかどうか、高速増殖炉の開発がスムーズに行くのかどうか。先がた申し上げましたように、科学技術というものを産業界だけにまかしておきますと、これに対してチェックできない。前の原子力船だって初めの受注の値段よりもうんと高い値段に値上げされた。そうした経験をいままで持っておるわけなんです。しかも、いま聞くところによると、これを値上げしたからもうかってぐあいがいいとほくほくしておるという話なんです。はたしてこれが適正な価格だったかどうかということについて私は後ほど原子力局長等に細部にわたってはお話をしようと思っておりますけれども、当面この二つについてお伺をしておきたい。そして、八月にMを上げるかどうか、大臣、これはあなたは委員長ですから、その点は大臣として答えてもらいたいと思います。
  62. 西田信一

    西田国務大臣 東大の「おおすみ」の御成功はたいへん喜ばしいことでございます。しかしながら、いまいろいろお話がございましたが、しさいに検討いたしますと、あるいは高さの面で計画した高さと少し違う、あるいは軌道の描き方が少し違っておる、あるいは載せた電池がうまく働かなかったとか、私は技術家じゃございませんが、いろいろ問題はまだもっとあるかもしれませんが、われわれしろうとが考えましても、そういった計画といろいろ違いがあるということが言えると思います。しかし、一応成功したことは成功したわけでありますが、そこでこれらのいろいろなこまかいデータをつくりつつございまして、大体今月一ぱいでそのデータがそろうそうでございますが、データがそろったところで、委員会技術部会というものをつくっておりますから、ひとつこれを技術部会にのせまして、そしてこれに対して十分検討を加えまして、そして八月ないし九月ごろにMの打ち上げをやる予定でございますが、その打ち上げの結果を十分検討いたしまして、次も必ず成功するように、今度はまたいろいろな面が軌道に乗るということになると思います。そういうふうに考えておるわけでございます。また、続いて本格的な衛星を乗せたものを打ち上げるわけでございますから、何とかひとつ今回の結果をさらに生かして成功させたい、かように考えております。  それから無制御でやっておるといっても、全然無制御というわけではありませんが、地上からの制御ではございませんので、これが直接今度の事業団の打ち上げるQなりMなりの場合にどういうふうに結びつくのかという御質問でございますけれども、これは私、こまかい技術的なことはちょっとごかんべんをいただきますが、しかし、全然無関係、無縁のものだというふうにも宇宙開発という大きな意味におきまして考えません。ですから、私の委員会でも総合して検討しておりますし、それからまた、今度の成功というものは、ある意味におきまして当事者の努力もたいへんだったと私は思いますし、国民全体の協力、ことに日本工業界の一つの成功ということが言えると思うのでございます。そういう意味におきまして、このことがやはり次の事業団のロケット打ち上げあるいは衛星打ち上げ等にも非常に参考に1参考と申してはことばが適当じゃないかもしれませんが、技術的な効果があるだろうと私は思っております。しかしながら、全く目的が違いますし、われわれのは実用衛星でありますし、そこらが違いますし、また高度、その他すべてが違うわけでありますし、またロケットの方式が違うわけでありますから、そういう立場におきましてこの事業団のほうも慎重な検討をやっており、前田先生からも御指摘になりましたが、なるべくおくれないようにといっても、おくれないということと、それから成功させるということと、なかなか両立はむずかしいのでありますが、そういうことで努力をしてまいりたいと存じておりますが、もし技術的なことにつきまして何かもう少し詳しくということでございますれば——そういうことで八月か九月には打ち上げたいと思っております。事業団のほうもロケットにつきまして同様に考えております。  それからもう一つの問題は実験炉の値段の問題でございますね。これも、実は私、新聞でちょっと見ましたものですからすぐ取り調べさせてみました。確かに全体では二百億ばかりの予算でございますが、そのうち建築費なんかもありますから百六十八億くらいでございますか、ところがそれとだいぶかけ離れたものが一応見積もりとして出た模様でございます。しかしながらそれは全く、何と申しますか、新しく技術を開発していくという一つのリスク負担というようなことも少し多目に見積もっておる面も多分にあるようでございまして、そこで、これは諸外国の例等も十分参酌して計算したわれわれのほうの予算でございますので、事業団としても自信を持っておるようであります。いま折衝がどんどん進んでおりまして、大体いまの見通しでは、初めてのものですからそういういろいろな面があったと思いますが、だんだん修正されまして、予定の範囲内でその契約は可能である、こういう報告を受けておりますので、そう心配はなかろうかと考えております。
  63. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これで終わりますが、大臣、最後にいま成功させたいという話があったのですが、今度の人工衛星になるのには太陽電池を張りつけた人工衛星本体を載せるのでしょう。そうすると、これはぜひ大臣の責任でひとつ成功させてもらわなかったら、いままでのようなわけにいきませんよ。ラムダ4S一基一億です。もちろん金を惜しむという意味ではありません。十分の準備をしてその後に不成功だったというのならいたし方ありません。地上実験も十分やっていただいてこれは成功させてもらいたい。このことを大臣からぜひひとつ成功させるように努力するということを確約願って私の質問を終わりたいと思います。
  64. 西田信一

    西田国務大臣 十分責任を感じておりまするし、またわが国宇宙開発の将来にかんがみましても、ぜひとも成功させたいという強い熱意でひとつ努力いたしたいと思います。
  65. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これで一応中止しまして、残余はまたこの次にやらせていただきます。
  66. 北側義一

    北側委員長 次に山中吾郎君。
  67. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私は四時まで三十分ほどお聞きいたしたいと思いますが、科学技術特別委員会は私初めてでありますので、今後大臣に御質問をしたりする前提条件を確認をしておきたいと思ってお聞きいたしたいと思います。  大臣所信をちょっと読ませていただいたんですが、一、二その大臣の真意を聞いておきたいと思います。  一つは、「科学技術発展経済社会にひずみをもたらす原因であるかのごとき誤解を抱く向きもあるようでありますが、科学技術こそは、真に明るく豊かな社会を築きあげる力」である。このとおりだと思うのですが、科学技術そのものは方向がないので、運営する人間の思想によって、人類破滅の凶器にもなれば、福祉の利器にもなる。また、最近特に巨大化された科学というものは、人間形成を伴わないと、非常に危険な事例が出てきておる。単なる原爆ということでなくて、食品化学その他生物化学の研究が細菌兵器になったりしておる。したがいまして、これだけを言われると、どうも科学技術に対してあまりにも楽天主義であるので、その辺、私は、科学技術そのものは両刃の剣である、悪用することもできれば善用することもできるという識見は、やはりお互いに持って振興をはからなければならぬと思うので、この文章では少し誤解があるように思うからお伺いしておきます。
  68. 西田信一

    西田国務大臣 御指摘のとおり、科学技術は、学問は別でありますが、その学問の成果というものをよく使うか悪く使うかということによって百八十度の違いが出てまいります。  そこで、私が申しましたのは、そのひずみが出ておるように誤解する向きもある、こう申しましたけれども、実際には、やはり科学技術によって、何といいますか、その過程におきまして、将来はむしろそうでなくて、科学技術がそういうひずみをなくし、公害もなくするというふうなことであるべきだという意味で申したのでございますが、実際には、若干これが、悪用されるんではないけれども、善意であっても、公害を起こしておるというような問題もあると思います。これを除去していかなければならぬというのが科学技術の持っている真の使命であるという意味で申したわけであります。  それからまた、私が科学技術庁という立場において考えておりまする科学技術というのは、あくまでも善用ということを前提としての科学技術ということを考えておるわけでございまして、ことにまた、わが国の国柄、国情から申しまして、わが国はすべて平和に徹するという国是を持っておりますから、そういう意味におきまして、すべて科学技術平和利用ということが前提であるというふうなことを考えております。まあ、悪意という場合には、あるいは使いようによっては凶器にもなるとおっしゃいましたが、そういうことでなくて、平和利用、そうして日本国民全体の福祉に役立つ科学技術、こういう意味でものを考えておるということを御理解願いたいと思います。
  69. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 科学技術庁長官であるから、科学技術だけとにかく振興すれば、悪用されても私の責任でないという考えではない、そうではないということですが、これはたいへんなことになるから、その識見をお聞きしたわけです。  それから宇宙開発と海洋開発、第三、第四に並列して強調されておられるのですが、いずれに重点を置くべきかという評価は、私は大臣に聞いておきたいところです。  宇宙開発については、もうアメリカ、ソ連にまかしておいてもいいのである、人類のためには。わが国はそれに追いつくということはできもしないし、さらにまた、これを軍事的に利用する危険も非常に多いのであるから、平和憲法を持っておる日本宇宙開発はほどほどに、これは先進国のソ連、アメリカが、人類の開発のために、月まで到達する技術を持っているのですからね。そうして、一方で、わが国は島国であり、資源は少ない、人口は多い。したがって、海洋開発に国是として全力を注ぐ、いわゆる重点を海洋開発にむしろ重くかけるという考え方、これが日本科学技術庁長官の識見ではなかろうかと思うのです。これは、第三宇宙開発、第四海洋開発、いろいろと書いてあるのですが、このままでは私はわからない。それはいかがでしょう。
  70. 西田信一

    西田国務大臣 わが国科学技術の三大プロジェクトと申しますと、原子力開発、宇宙開発、海洋開発、いままで手がけてまいりましたというか、スタートを切った順序からいいますと、海洋開発のほうはやや時間的におくれておると申してよろしいかと思うのでございます。私は、そういう意味におきまして、別にどれが主で、どれが従であるというふうには考えておりませんけれども宇宙開発も軍事用に使われる場合もございましょうが、わが国では事業団法の中にも平和利用ということを明確にうたっております。しかも、わが国が月に行くなんということは考えておりません。しかしながら、やはり実用衛星として、これは国民生活に無関係ではないと思います。気象の観測であるとか、あるいは通信であるとか、あるいは海上を航行するとか、あるいは地域衛星を打ち上げて、アジアにおけるところの宇宙通信をわが国が主導権をもってやるということは、決して国民生活に無関係なことではないと思います。しかし、どう申しましても、非常に大それた、アメリカやソ連と並んでやる宇宙開発なんということは、もちろん考えるべくもないことでございますから、それはおのずから限度があると思いますけれども、その意味では、アメリカやソ連にまかしてもというようなことではなくて、日本にふさわしい宇宙開発というものを進めていきたい。  それからまた、海洋開発につきましては、これはもうおっしゃるとおり島国でございまして、大陸だなを開発すれば国土が七割も広がるというくらいでございますし、無限の資源を持っております。全く未開の資源、未知のものであると思いますが、これの開発ということは、日本という四界海に面しておる国としては大いに努力していかなければならぬと思います。しかも、どちらかというと、原子力や何かに比べましても、やや国の力の入れ方がおくれておりますから、これはひとつ大いに、早く追いつくように、あるいはまた世界でもっと日本が進んだ海洋開発国になるように、そういうことを実は考えていきたいと思っております。  それからまた、海洋開発と宇宙開発とは、ある意味においてはつながりもあるのですね。全然無関係ではない。この間も話を聞いたのでありますけれども、宇宙衛星から海洋の魚群探知もできるとか、あるいは海の底の資源も全部探査できるとか、そういうようなことも進んでまいりますと可能になってくるといわれております。そういう意味で、宇宙開発につきましても限度を持った開発をやっていきたいと思いますが、海洋開発には私も同感でございます。山中先生と同様に、海洋開発にはもっともっと力を入れていかなければならぬと思います。幸いにいたしまして、このごろは、海洋開発は、宇宙開発とか原子力開発のように国が中心になってやらなくとも、民間もかなり意欲を持ち出してまいりましたから、そういった民間の力あるいは国の各機関の総合的な調整をはかりながら、民間にも協力してもらって、海洋開発には大いに力を入れてまいりたいと思います。ただ、いまは、そのスタートがおそかったものですから、予算の面で比べますと、あるいは原子力やそれから宇宙のほうにたくさん予算がついておって、海洋開発のほうはまだ予算のつけ方が不十分でございます。そういう意味におきましては、このおくれを取り戻すためにこれからやっていきたい、こういう気持ちを持っております。
  71. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 長い御答弁だけれども、どうも御識見は私にはあまりぴんとこないのです。現在の予算では確かに宇宙開発は先行していますからね。それについてかれこれではないのです。宇宙開発生活に無関係でないという表現——海洋開発は重要な関係があるというくらいの評価をしなければならぬと思うのです。それから宇宙開発も、海洋開発に気象観測その他関連はあるでしょう。あるけれども、直接資源の開発その他も含んで、そしてまた平和憲法を持っておる場合の海洋開発は、諸外国から日本がまた軍事化するのではないかという誤解を受けないように、ある意味においては自衛体制にもなる。そういう意味において、一方の宇宙開発は一つの政策としてあっても、海洋開発は国是として考えるくらいの識見を持って、技術長官は胸を張って言われるくらいでもってしかるべきでないでしょうかね。
  72. 西田信一

    西田国務大臣 ことばが不十分で熱意がないようにおとりになったかと思いますけれども、おっしゃるとおりに宇宙開発国民生活関係がございますが、海洋開発は、これこそ一億国民全部に関係があるといってもよろしいというくらいに申してよろしいと思います。したがいまして、ことに全部を海に囲まれておる国でございますし、海国日本と昔からいったほどでございますが、海洋開発は少しスタートがおくれておりますけれども、そのおくれを取り戻す、国の重大な国是とせよとおっしゃるお気持ちはよくわかりますが、それくらいの気持ちで海洋開発は積極的にやってまいりたいということで、ひとつ私の気持ちを御理解願いたいと思います。
  73. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私、初めてこの委員会に出た者ですが、いま配っていただいた衆議院科学技術関係審議要録を見ますと、池田総理大臣当時からの三回の諮問に対する答申で、海洋科学技術審議会、これの答申が大部分。したがって、この中に海洋開発というのが非常に重要な中心になっていることが明らかに出ておるから、長官は胸を張って海洋開発は最重点くらいにお答えになる実態があると思ったのですが、非常に御遠慮なさっておるようです。いずれにしても、私はそうありたいと思いますので、意思を表明しておきます。  これを見まして、科学技術振興対策委員会の審議の状況を、これから私の質問を展開するために鳥瞰してみたわけなんです。そうしますと、海洋科学技術審議会の会長の、これは池田さんの諮問に対する三十八年六月七日の第一次の答申が九五ページ以下に載っておりますが、これを見ますと、海洋開発の調査が非常に必要であるから調査を進めよという答申のようであります。三十八年ですね。私がお聞きしたいのは、この答申に基づいてどれだけ現在進捗してきておるのかということを、もうあと詳しくはやめますが、概念的にお聞きしておきたいと思うのです。  その一つは、この調査のところは特にお聞きするものはありませんが、その次の第二次の答申、一〇一ページ、三十九年九月二十八日に第二次の答申が出ております。これは科学技術を進める体制を確立せい、体制をつくれということを中心に答申をしておるようであります。  その答申の中に、海洋科学技術推進のために必要な総合データセンターを設置せよという内容が入っております。当面は運輸省による海洋データ、それから農林省による水産データのおのおのセンターを設置することが望ましいと三十九年九月二十八日に答申がされておりますが、これは実現をしておるのですか、局長どうですか。
  74. 石川晃夫

    石川政府委員 この海洋総合データセンターにつきましては、現在海上保安庁の中に海洋センターがございます。そこで海洋関係のデータを集めております。農林省のほうは現在のところまだございません。
  75. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 海洋科学技術審議会の答申というのを実施をする責任者は一応科学技術庁長官ではないのか。そうでなくて各省に責任があって、こちらのほうでは勧告する立場じゃない……。どうなんですか。
  76. 石川晃夫

    石川政府委員 この海洋科学技術審議会におきまして審議された事項は、これは総理大臣に答申されるわけでございます。総理大臣がその意見を尊重いたしましてそれぞれの省庁においてこれを実施するというかっこうになっております。
  77. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 科学技術庁長官は何も責任はないのか。
  78. 石川晃夫

    石川政府委員 科学技術庁はこの審議会の事務局として動いているわけでございます。
  79. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 科学技術庁長官技術推進するだけ——勧告権がありますね。ぼくは文教委員をしておるのでよく覚えておるのだが、文部大臣もいつか勧告した、また科学技術庁長官が勧告をした、その勧告権はこういう場合もあるのでしょう。
  80. 石川晃夫

    石川政府委員 その場合には、各省庁において行ないます事業につきましての総合調整という立場科学技術庁長官がこれを見ているわけでございます。
  81. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 勧告権は……。
  82. 石川晃夫

    石川政府委員 こういう海洋科学技術審議会につきましては、総合調整立場から見ているというのが実態でございます。
  83. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 長官が事務局を担当するというので総合調整立場だということはもうわかったのです。そうでなくて、科学技術推進に必要な場合には主管大臣に対して勧告することができるという規定があるでしょう。そこで、こういう答申まである。それは非常に大事な科学技術開発のために必要な体制の確立だ、それは総合データセンターをつくれ、これは非常に大事なことで、すでにことしが四十五年ですから六年も前の答申だから、それに基づいて何とかしろ、法的な勧告権ははっきりしなくても、科学技術庁長官がせめて海洋データセンター、水産データセンターぐらいはすでにつくらすぐらいの努力をするのが当然ではないか。きょういま見ただけですよ。そう思うので、何か事務当局はそういうふうな努力をしたのかどうか、それをお聞きしたのです。
  84. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま先生の御質問の件は、これは海洋科学技術審議会に対する諮問第1号ということで全般的なものを述べてあるわけでございます。その後第2号、第3号というふうにいろいろ諮問が出てまいりまして、昨年の七月に諮問第3号に対する答申が出まして、これによりまして、わが国の海洋開発のための開発計画というものが決定されたわけでございます。現在はこの第3号の答申によりまして現実的な海洋開発を進めているという段階でございます。
  85. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 少し答弁がずれておるのですが、次に進みます。  その次の第三次答申を見ますと、これは一〇三ページですね、四十一年十月二十日、これはいまあなたが私に答えた内容だと思うのですが、これをちょっと一べつをしますと、一番最初に調査の必要を答申でこたえて、第二次答申は調査の体制を確立せいという答申のようです。第三次答申は技術を開発しなさい、実際に推進するのにやはり技術が前提となるので、技術を養成し、開発しなければ推進はできないというので、この答申が出て、第一次、第二次、第三次と非常に組織的に順序よく出ていると私は見たのですよ。そこで、すでにこれが出ておる段階において、なおデータセンターがないようではほんとうは科学技術庁というものができて、特別委員会もあるのに、どうも進捗状況からいうとそう最善の努力を払ったあとが見えないような感じがして、われわれがもう少し皆さんのバックになって推進をするようにしなければならぬのじゃないかと思って申し上げた。それで一〇八ページを見ますと、ここに説明してありますよ。初めから五行目に「第二次答申でその必要性を指摘し、昭和四〇年度には海洋資料センターが運輸省に設置されているが、水産センターについても早急に実現を図るべきである。」ここでまたおしりをたたかれたが、水産センターはできてないようである。これは勧告が二回出ている。したがって、いまできていなければ西田長官のときに早急に水産センターをつくらすように努力をされるべきであるが、いかがでしょう。
  86. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま先生の御質問になりましたこの一〇三ページは諮問第1号の第三次答申でございまして、私が先ほどから御返事申し上げましたのは、一三九ページにございます諮問第3号に対しての答申ということで、私はこのあとの一三九ぺ−ジについて御返事申し上げたわけでございます。  この一三九ぺ−ジに開発計画というものの全般的なものを述べております。これは第1号、第2号の答申をさらにふえんいたしまして、もう少し大きな観点から見まして、やはりこの第3号についての答申の中にもこのようなデータは十分完備すべきであるということで、実は現在運輸省にあります海洋センターあるいはここに載っております水産センター、そういうものを全部含めまして、もっと大きな構想で海洋のデータを収集すべきであるということが、昨年の七月に出た第3号についての答申に出ているわけでございます。これにつきまして、実は水産センターがおくれておりましたのはまことに申しわけないわけでございますが、さらに構想を新たにいたしまして、このようなものをつくりたいということは、3号答申を受けまして、それぞれの官庁で十分協力し合いまして、現在各省庁間の推進連絡会議を設けまして、そこで検討されているという実態でございます。
  87. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 長官、聞いておいていただきたい。  一三八ページの、佐藤内閣総理大臣ができたあとに第四次諮問があって答申が出ている、これも私見たのです。一次は調査の必要、二次は調査体制の確立、第三次は技術の開発、第四次の佐藤総理大臣のときの諮問に対する答申は、その上に立って、この七〇年代に重点目標を定めるという内容ですね。ずっと関連しておるように私は見たのですよ。局長の説明は断絶しておるような話をされたが、私はそう見たんです。あとでまたよく読んでみてください。  そこで、いずれにしてもせめて総合センターはつくるように長官において在職中におしりをたたいて実現されるように——これはすでにもう数年前からの答申にあるものだと思います。この点については、私、今度の国会はここの委員に所属しておりますから、なお各論的に今後いろいろ大臣と一問一答したいと思う。  そこで、この第三次の答申の中の重点は、一〇八ページあたりに、「人材の確保および養成」ということが出ておりますね。この技術の開発、これは未開発領域でありますから、結局技術者も養成しなければ開発できない。既存の技術者はないのですから、海洋科学についての新しい技術者、研究者、学者というものを養成することからしなければ、日本の海洋開発はできない領域である。そういうところから人材の確保と養成ということが最後の第三次の答申に重点的に書かれておるようであります。  私は、この機会に要望して終わっておきたいと思いますが、大学紛争問題の中で佐藤総理大臣が新しい大学の理想像というのを坂田文部大臣とともに新聞その他で発表した中で、放送大学のほかに新幹線大学ということばがあって、その理念が不明確な構想でありましたが、こういうときこそ総合海洋大学構想などをお出しになって、そして未開発のこの領域はそういう人材、能力の開発をすることがなければ、もう開発する人材がないんですよ。そういう総合海洋開発大学構想などがこの答申の要望する線の最大の具体的プログラムではないかと私は感じたのであります。この点について私は次の機会長官と、もう少し具体的なデータをもってそういう実現の方向に、私も努力をいたしたいと思いますから、御検討願っておきたい。大臣の所見だけ聞いて、きょうは、私の質問はこれで終わります。
  88. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発について従来の諮問並びに答申が十分行なわれていない面もあるかと存じますので、これらにつきましても、若干まだこれらの検討が不十分な点もございますが、十分検討いたしまして、そうして必要のあるものはひとつその線に沿って努力をするということをまず申し上げておきたいと思います。  それからただいまのこの答申の中にもございますという人材の養成、これにつきましてはもう御指摘のとおりでございます。確かにいまのは一つの御示唆だと思います。しかし海洋開発というのは、土木工学とか各種の工学の総合されたものだと実は思うわけでございます。特別な海洋開発という学問もあるいはあると思いますけれども、総合されたものであります。最近の状況を見ますと、日本技術者の充足率というものも一時よりはだんだん上がってきておるように思います。しかしながら、これからこのような新しい開発をやらなければならぬわけでありますから、そういう面に対しましてさらに海洋工学的なあるいは大学をつくるとか、あるいは大学の中にそういう学問の分野をつくるとか、いろいろの方法があると存じますが、そういうことも検討に値する。現に東海大学でございますか、海洋工学科というものを持っておるところもございます。そういう面につきましても、私どものほうもこれから人材養成という立場において十分検討を進めてまいりたいと存じまして、私もたいへん貴重な示唆をいただきましたので、十分検討さしていただきたいと思います。  それからもう一つ、潜水技術ですね。これは潜水夫だけでなくて、学者も何も潜水してやらなければなりませんから、そういうような養成につきましては、私のほうが潜水審議会などをつくりまして、そうして潜水技術者の養成ということにつきましても、私どもは直接手がけておることは御承知のとおりでございます。ただいまの山中先生の貴重な御示唆は十分私ども検討に値することでございますので、検討さしていただきまして、また次の機会に意見を申し述べたいと思います。
  89. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 ひとつ御検討願って、海底生物学とかあるいは海底地質学とか海底物理学とか海洋防災学とか、海洋開発を目的とした総合大学がないと、現在の大学の一般の工学部、理学部の中から出たものでは直ちに役に立たないので、一つの研究と教育を持ったそういう機関で、基本的な基礎学問も含んだ機構がないと、これは作文に終わるのじゃないか。科学技術庁長官のこれからの課題はこれではないか。文部省その他の所管関係は全部わかっての話です。  それから潜水については、いまちょうどお話があったのですが、私は若いころ岩手県の教育長をしておったのですが、岩手県にある種市町に潜水学校を私の構想でつくった経験があり、非常に関心が深いわけでございます。ああいうものを含んで、やはりそういう技術の開発について特別の御検討を願いたいと思います。  質問を終わります。
  90. 西田信一

    西田国務大臣 承知いたしました。
  91. 北側義一

    北側委員長 次に、近江巳記夫君。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣所信表明に対する質疑でございますが、全部お聞きしますと相当に時間もかかりますし、きょうは限られた時間でございますので、一、二点お聞きしたいと思います。  大臣もこの第二点に原子力開発利用の推進ということをうたっていらっしゃるわけですが、特にその中に、「さきに調印いたしました核兵器不拡散条約につきましては、同条約への参加によってわが国原子力平和利用が不当に制約されることになってはならない」云々と、ここで核兵器の不拡散条約についてのことをうたっていらっしゃるわけでございますが、私たちはもちろんこの条約の精神については、これはもう賛成でございます。しかしながら、その内容を見てまいりますと、いろいろな点で不平等が目立つわけであります。これは外交問題ということにもなるわけでございますが、しかし原子力を開発していく最高の長官としても、これは非常に重大な問題じゃないかと私は思っております。そういう点で、今回のこの核防条約の調印に対する長官の御見解をひとつお聞きしたいと思います。
  93. 西田信一

    西田国務大臣 核防条約の調印に至りますまでの間におきまして、私どもも十分な、利害得失について検討をいたしました。核防条約は批准国が規定の数に達しましたので、すでに発効を見たのでございますが、わが国といたしましては、世界の中におきましても有力な原子力国であるということが言えると思います。ことに、将来に向かってはさらに日本はその地位が高まってまいると存じます。そういう立場にあり、かつまたわが国は平和憲法を持っており、原子力基本法があり、また核につきましては原子炉その他についての規制があり、現に平和目的に限るというみずからの規制をしておるわけでございます。そこで私の立場からは、核防条約の調印並びに将来の批准等につきましては、少なくとも平和利用の面におきまして、各国の間に、核保有国についても言えることでありますが、ことに非核保有国間におきましても非常に不平等な立場に立つことはわれわれとしては耐えられない、こういうことでございます。そこで現在も日本は外国から核燃料を入れております立場からIAAの査察を受けておるわけでございますが、日本原子力設備が増強されればされるほどその回数もふえ頻度も加わってきております。そこでユーラトム諸国におきましては、これはお互いの自主査察、お互い査察し合うということでIAAの直接査察を受けておりません。したがいまして、今度の核防条約の発効に伴うIAAの査察というものは、これはすべて平等であることが理想でございます。そういう意味から申しまして、現在のような状況のままの保障措置を受けるということにつきましては、われわれは納得できないのでございまして、すでに政府声明におきましても明らかになっておりまする——私もまたあの調印のときに原子力委員長立場において私の所信を述べた談話も出しておりますが、少なくともユーラトム諸国との差がないように、しかも簡素化された査察方法によりまして、産業活動が阻害されたりあるいはまた差別待遇を受けたりすることがあってはならない。またそのために商業機密が漏れるというようなことがないように、少なくともこれからIAAとの間におきまして協定を結ぶ立場でございますから、その事前におきましても、批准をしない事前におきましてもその道が開かれると存じますので、十分技術的なあるいはその他の検討を加えましてわが国の主張というものをひとつ十分に反映をさせまして、われわれが納得できる保障措置というものが認められて、そしてそういう協定が結ばれて初めてこの核防条約の批准をする、こういうことはもう政府の一貫した考え方でございますので、その方向に向かっていま全力をあげておるわけでございます。方法といたしましては、われわれのほうがみずからその体制をしいてそれに対するところの専門の人間を配置するとか、あるいは各省間におきまして通産省、外務省等の連絡機関を設けて連絡を密にしておりますとかあるいはまた学者、産業人等の検討会におきまして具体的な検討をする。あるいはまた査察の技術的な開発ということにつきましてもすでに相当やっておりますが、続けてそういう技術開発、計器等による簡素化の方向、こういうことも研究を進めておりまするし、原子力産業界からも適当な有力な方にひとつ出向いていただきまして、そうしてユーラトムその他の査察の方法等につきましても十分な調査検討をする。またIAAに対しましても十分わが方の主張を認識させるというような努力もいたしたいと存じますし、この間実はウイーンでございましたIAAの理事会は、このことに関しますところの特別委員会の設置という議題が出ましたけれども、これが実は決定を見ませんで、理事会はさらに四月に持ち越されましたが、おそらくはそういう機関ができると思います。その場合におきましては、今度は世界各国共通した一つの標準的な査察の方法ということも検討されると存じますので、あらゆる機会を通しましてわが方の主張を実現するように全力を尽くしたい、かような決心でおります。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官は特に査察の点にしぼっていろいろとお答えになられたわけでございますが、そのほかにいろいろな問題点が相当あるわけです。きょうは国連局長もお見えになっていらっしゃると思いますので、先ほど長官には、科学技術庁長官としてどう思われるかという点をお聞きしたわけでございます。国連局長にお聞きしたいのですが、われわれはあくまでもこの精神については賛成でございます。しかしながら、非常に不平等なそうした内容、また特に私も科学技術特別委員としまして、こうした査察の問題等についても非常な心配をしておるわけです。今回のこの調印についての国連局長政府としてのそうした、なぜそれに踏み切ったか、簡潔にひとつお答え願いたいと思うのです。また、特に査察の問題について、長官がお述べになっていらっしゃいますし、その辺のところを特に重点にお答え願いたいと思います。
  95. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 先生の御質問は、まず第一に、この条約が非常に不平等な条約じゃないかという点にあったかと存じます。それで、査察の問題につきましては、いま科学技術庁長官から、るる御答弁申し上げましたので、私の点は、まず第一にその以外の点で、この条約が不平等でないかという点について、政府はどう考えておるかという点を、まず触れて、それから、いまお求めになりました査察の点につきましても、政府としての考えを述べていきたいと存じます。ごく簡単にお話しをいたします。  なるほど、一見、この条約は不平等なような観を呈するかと存じます。しかしながら、と申しますのは、この条約におきましては、核を持っている国はそのまま、核を持続してよろしい。それから核を持たない国は、今後も一切核を持たないということでございます。なるほど不平等でございますけれども、この不平等なのは、現状が不平等なんでございまして、それを確定するという意味におきましては、確かに先生のおっしゃるとおり不平等でございますけれども、こういった不平等をなくすために、私は二つの方法があろうかと存じます。一つは、核を持っていない国は核を持てばいいんだ、全部が核を持てば、これは一つの平等になる。もう一つは、核を持っている国が軍縮をやるということで、平等化をはかる。この条約は、要するに核の引き金を持っている国が一国でもふえるということは、世界の平和というものを達成するために思わしくない。したがって、とりあえず、とにかく核を持っていない国は今後持たないんだ、そのかわり、核を持っている国は、今後軍縮に努力をして、そうしていま私が平等化の二番目として申し上げましたすべての国が核を持たないようになるんだ、こういったことによって、平等化をはかる、これがこの条約の精神であろうと私は思います。このことは、先生御承知のように、この条約の第六条に規定しておるわけでございます。したがいまして、われわれサインいたしますときにも、この政府声明におきまして、厳重にこの核軍縮に将来とも努力するようにということを訴えたのでございます。さらに、将来日本が批准いたします際、それから批准いたしまして発効して、日本について効力が生じましたあとにおきましては、リビュー、これは五年ごとにやることになっておりますが、そのときにも、核軍縮の進捗状況というものを十分考慮に入れるんだということを、声明においてうたったのでございます。これは、要するに、いま先生の御指摘の不平等という点についての、まず第一の非常に重要な点でございます。  それから、これは科学技術庁長官からすでに御説明がありましたけれども、査察の点に関する日本以外の国々との平等の問題でございます。  これはかいつまんで申しますと、この条約が三月五日に発効いたしました。したがいまして、発効してから百八十日の間にIAEAとの保障措置協定というものを締結しなければならない。これは日本はまだ批准しておりませんけれども日本ももちろんそういうように今後批准を目途としてわれわれもIAEAとの保障措置協定というものを交渉するわけでございますけれども、要するに、日本とIAEAとの間にできます保障措置協定と、それからユーラトムでありますとか、米英あたりは自主的に受けると言っておりますので、米、英、それから日本と同じような立場にありますスウェーデンその他北欧の諸国、それからカナダ、オーストラリア、こういった国々がIAEAと保障措置協定を結ぶわけでございます。このそれぞれの国々ないしユーラトムを含めまして、が結びますIAEAとの協定と、日本側がIAEAと結びますところのこの協定というものが、平等でなければならない。と申しますのは、しかし、それぞれ国によって、あるいはユーラトムの場合には、これは一カ国ではございませんので、その協定の形態というものはあるいは全く同じであるということにはならないのじゃないかと存じますけれども、実質的に日本がIAEAと結びますところの協定が、ユーラトムあるいはその他の国がIAEAと結びますところの協定と比較して、実質的に日本の協定が不利にならないように、これをわれわれとしては念願いたしておる次第でございまして、したがいまして、IAEAに対しましてもわれわれ保障措置というものの簡素化、それからいま申しました平等の適用、それからそのためにはまた自主的な管理制度の活用といった点を三つの重要な点として強調した意見をIAEAに提出いたしまして、今後とも強力にそれを実現すべく努力してまいりたいと存じております。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 国連局長からいま簡単にずっとお答え願ったわけでありますが、この不平等、これはもちろん核の独占ですね、それから査察、これが要するに非核国だけは査察を受ける、そうした問題。それから先ほど第六条に軍縮をおっしゃっておるわけですが、私も全部これを読みましたが、この第六条に、各国は「核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行なうことを約束する。」確かに政府は申し入れさせたと、そのようにおっしゃっておるのですが、これは気休めじゃないですか。実体的なものが明記されていないわけです。要するに、第六条というのは、これは交渉することだけを約束しているわけですね。そうじゃないですか。
  97. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 なるほど、先生のおっしゃるとおり、確かに核防条約の第六条の結語は、「誠実に交渉を行なうことを約束する。」確かにそれだけでございます。しかしながら、これがそういうような規定になりましたのは、まあ軍縮交渉と申しますのは、何月何日までにこれこれ、これこれの軍備を縮小しなければならないというような規定を設けますためには、あまりにも複雑な交渉でございますので、したがいまして、ここでは先生のおっしゃいますとおり、確かに精神的な規定かも存じませんけれども、繰り返しますけれども、軍縮交渉というものは、やはりある日にちを確定しまして、それまでにこれこれをしなければならぬ、そういったものが、われわれの立場から申しますと、非常に理想的でございますけれども、それはやはり現実的ではないだろうといったところから、こういった精神規定と申せばちょっと言い過ぎでございますけれども、一般的な概念規定になっておるわけでございます。  しかし、先ほども申しましたとおり、リビュー条項もございますし、それからわれわれといたしましては、これから一年か、二年になるか存じませんけれども、批准するときには、そのときまでにこの軍縮交渉というものはどの程度進むかということも十分考慮に入れたい、こういったところをひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、この交渉が長引いた場合はつくれなくなる、つくれなくっても、条約違反にならないか、こういう問題にもなってくるわけです。その点はどうでございますか。
  99. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 軍縮の交渉は、ただいま先生御存じのとおり、ヘルシンキそれから引き続いてウイーンでたとえば戦略の兵器制限交渉というのが米ソで行なわれております。こういったものもいま私の申しました軍縮交渉の成り行きも十分考慮に入れるという場合には入れる一つのファクターになるわけでございます。これがかりに決裂をして、軍備競争というものが、現在よりも激しい軍備競争がますます行なわれるということになりますならば、確かにこの第六条の精神には違反したものだろうと存ずるのでございます。したがいまして、今後とも早期の交渉というものを、米ソ両国とも誠実に交渉を行なうということを言明しておりますし、またわれわれといたしましてもそういうふうに予測しているわけでございますけれども、そういったものが現状どおりスピーディーに行なわれるとは私は存じません。しかしながら、ただいま誠実にこの交渉を継続し、現在よりもより激しい軍備拡張というようなことにならない限り、われわれとしては、軍縮交渉というものを誠実に行なっているということには——ちょっと私の説明はあれしましたが、要するにわれわれの希望するほど非常にスピーディーには軍縮交渉というものが進んでいなくても、これが逆行するような事態に動いていない限り、この条約の違反というような問題にはならないのではないかと、実は考えております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が心配するのは、現在もABMの強化が行なわれておりますし、ソ連が新型を開発している。要するに、現在の状態を見れば、核軍縮というよりも逆行しているのが進行しているような状態だと思うのです。私はその点の心配をしているわけです。ですから、この辺のところがことばを悪く言えば気休めじゃないか、この問題です。  それから、もう一つは、非核保有国の安全保障について何ら明記されていないということです。しかも、この非核兵器国の安全保障に関する安全保障理事会決議、一九六八年の六月十九日の決議を読みました。これは保障されていませんよ。明記されておりますか。
  101. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 これはなるほど先生のおっしゃいますとおり、確かにこの安保理決議あるいはその前提になりましたところの米ソの宣言でございますが、これは非核保有国が核によるところの侵略あるいは侵略の脅威を受けた場合には安保理事国がこれに対して適切なる行動をとる、こういったことでございまして、あくまでも国連憲章の範囲内での規定でございます。したがいまして、そういうこともございますので、実はこれでは非核保有国の安全保障が明確ではないではないかというような声が特に非同盟の諸国の間にあったのでございます。したがいまして、この条約が成立と申しますか、条約ができました一昨年の七月一日、それ以後に行なわれましたところの非核保有国会議におきましても、こういった点が問題になったのでございますけれども、まあそれは現在の、何と申しますか各国の安全保障体制というものがそれぞれの国の実情その他われわれの理想的な形態にはいかないんだというような、それが現実なんだということでもって、この規定は——規定と申しますかこの宣言並びにそれを踏まえたところの安保理決議ということでもって、それ以上の先生の御希望になるような規定はできなかったというのが現実でございます。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 その辺、よく説明していただいたので、これ以上は後日に譲りたいと思います。  それからこの査察の問題でございますが、たとえば西ドイツなんかは、IAEAならばいやだ、ユーラトムならばいい、こういう意見は、要するにどこに原因があるかということなんです。そうした場合この日本の不平等ということは、これは避けられないわけです。そうなってきますと、この非核保有国の間でも不平等が生ずるのではないか。そういう問題になるのです。この辺、いよいよもう交渉に入っていかれるわけです。ですから白紙ということはないと私は思うのです。ですから、これからそうした点をわきまえて、今後どういう交渉をしていかれるか。私たち特に科学技術特別委員としてこの辺のところはやはり一番心配なんです。この辺、具体的にお考えの点があればお聞きしたいと思うのです。
  103. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 確かに先生の御懸念されますとおり、ユーラトムの査察というものは六カ国の内輪の査察でございますから、彼らが申しておりますとおり非常に厳重だ、しかし実際の運営にあたってはうちうち同士のことですからあるいは大目に見ているんではないかというような御懸念、推測をされるのは無理からぬことだろうと存じますが、実はユーラトムと申しますのは御存じのとおりフランス、西独、オランダ、ルクセンブルグ、それからイタリア、ベルギー、この六カ国でありまして、たとえばフランスと西独の例をとってみますと、これは歴史的にもまた経済的にも非常なライバル関係にございますので、われわれが猜疑心を持つほどうちうちのことだから大目に見るというようなことは、実際問題としてないようでございます。もちろんわれわれといたしましては、今後IAEAとの保障協定を結ぶに際しましては、ユーラトムがいま主張しておりますところの自主規制というものをそのままIAEAに認めさせるというようなことを主張しておるようでございますが、それは核不拡散条約の規定から申しまして、そこでは国際原子力機関が査察するとなっておるのでございますが、ユーラトムの保障措置そのままを国際不拡散条約でもってそのまま認める、国際原子力機関がそのままユーラトムの査察を受け入れるというようなこどは、これは規定からいっても私は考えられないと思います。少なくともユーラトムがそういう自主規制をそのまま認めさせようとつとめておるということになりますと、われわれとしても当然同じように日本原子力規制法に基づいてやっておりますところの厳重な規制そのままを認めさせるような、一応出発点といたしましては、あくまでこのユーラトムと同じような主張をいたしまして、それがどういうようになりますか存じませんけれども、とにかく先ほど申しましたようにできた姿が実質的にユーラトムとIAEAとの協定、これに比べまして日本のほうが不利にならないように、形態はともあれ実質的には不利にならないようにやっていきたい、こう考えておるわけでございます。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 実質的に不平等にならないように、今後どういう具体的な交渉内容をひっさげていかれるか。これは今後の原子力発展の問題だと思いますから、その辺は当然長官としてもいろいろお考えになっていらっしゃるだろうと思います。まず国連局長にその辺のところを……。
  105. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 これは先ほど申し上げましたように、私から申し上げるのは非常に抽象的でございますので、それ以上は科学技術庁のほうからお願いしたいと思いますけれども、われわれ国際原子力機関と交渉するに際しましては、簡素化と申しますか、人を必ずしも使わぬでもいいじゃないか。いわゆるブラックボックスと申しますか、計器によるところの査察と同時にストラテジック・ポイントと申しますか、最も枢要な個所と申しますか、流れの枢要な個所だけを査察するといった簡素化ということ、もう一つはいまユーラトムとの関係で申しました自主管理を大いに活用させるということ、もう一つはこれは目的にもなるわけでございますけれども、平等な適用、この三つを大きな柱として交渉をしていきたいと存じます。その内容をどういうふうにということを、私はちょっと科学技術庁のほうからお願いしたいと思います。
  106. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 査察につきましては、実は現在までも受けておるわけでございます。現在までIAEAで受けておりますものについても、われわれは簡素化を主張していたわけでございます。したがいまして、われわれは去年の六月から八月にかけまして、IAEAの査察について簡素化すべき、あるいはする方法はどうかという検討会をいたしました。その関係から検討会で出しました一つの考え方がございます。そうしてわれわれはその方針に基づきまして、これから先のIAEAの査察の持っていき方につきまして進んでいたわけでございます。進んでいたと申しますのは、現在のところでは、たとえば敦賀の炉、こういうものの査察を受ける場合には、そのつど査察のやり方等を打ち合わせするわけでございます。その場合に、こういう考え方を取り入れろということを言って取り入れさせている。一つ具体的な形で入りましたのは、その中に燃料を入れまして、それが燃えて出てくる。その間の工程はシールしたらいいじゃないか、一々中に入ったのをどうのこうのと調べる必要はないじゃないかということでシール制度を取り上げさせたのが一つの実績でございます。そういう関係をいままでやっておりましたが、これから先核防に関係するわけでございますが、そういう関係から少し内容を広めまして、先ほど大臣が申し上げましたが、検討会を早急に、今月中にもつくっていくという考え方を私たちは持っております。それで、もうできているのかどうかということになりますと、やはりIAEAそのものが全体をどういうふうに持っていくかという情報をとりつつ、それに対してどう持っていくかという形でいくというような考え方で、その情報をとりながら検討を進めていきたいという体制をまずつくることではないかということで現在つくっておるわけでございます。
  107. 西田信一

    西田国務大臣 ただいま原子力局長が御説明申し上げましたとおり、従来もこの査察を受けておりまして、最近は月に一ぺんぐらい来るというような状況でございますが、それをもっと簡素化したいということは、核防条約に調印する前からの問題でございます。今度核防条約に調印をいたしました立場において、少なくとも従来よりはもっと不平等性をひとつ是正する、こういうことで臨んでいきたいと存じますが、何ぶんにもこれは多国間条約でございまして、各国の出方も見なければなりませんし、あまりわが国だけが先ばしってと申しますか、いろいろなことを出しましても、あるいは不利な結果を招くことがあってもいけません。そこら辺は各国の情勢を見ながら、わが国の最も望ましい主張というものを検討し、それを適当な機会に持ち出していく、こういうことでまいりたい、こう考えておりまして、いろいろ検討を進めておるわけでございます。  また新しい技術開発につきましても、さらに研究を進めるということもやっておりまして、そう長くはかからないとは存じまするけれども、そこら辺は十分各国の情勢を見ながら、わが国があくまでも不利な立場に立たないようにということをひとつ念頭に置きながら、正しい主張をしていきたいと思っております。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 あまりやりますと、外務委員会をこちらに移したようになりますのでこれ以上やりませんが、一応国連局長がお見えになっておりますので、私たちの主張点だけを言っておきたいと思うのですが、一つは、核大国の非核保有国への核兵器の持ち込みは当然禁止すべきである。これは要するに条約中に明記されておらない。この点です。それからさらに現在の五大核保有国のうち、フランスと中国は参加していない。これじゃ空文同然じゃないか、この辺の心配がある。そうした問題点。要するに日本は被爆国という立場でもありますし、日本が結局今後こうした問題の解決に積極的にもっと努力しなければならない。われわれは正直に申し上げて、まだ非常に消極的なように思います。  さらに条約期限の二十五年というのが非常に長過ぎる、この辺の問題です。  それから、この条約が核の地下実験の禁止に触れていない。ですからこの辺は、日本としてはそこまで触れなければいけない。きょうの朝刊あたりにはそれがちょっと載っておりますけれども。  あとこまかい点を申し上げればたくさんありますが、そうした点の心配があるわけです。ですからそうした点をよくまた踏んまえていただいて、不平等のそうした点、いろいろと今後ひとつ前向きに日本としての立場を貫いていただきたい。これを主張しておきます。申し上げたことについて簡単にひとつ……。
  109. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 四点ばかりあったと存じます。  まず第一点は、核の持ち込みが禁止されていない、おっしゃるとおりでございます。これはもう御説明申し上げるまでもなく、先生すでに御承知のことで御質問になっておられると存じますけれども、この条約は要するに現状を一応踏まえた上でつくられた条約でございます。したがいまして、NATO諸国には核は御承知のように入っております。これは核を持ち込まないということになりますと、NATOの体制は根本からくつがえされるわけでございます。それではこの条約は初めからできなかったという現実が、いま先生のことばをお借りしますと不満足な条約になった、それは認めざるを得ないと思います。  それからフランスと中国、これにつきましては、われわれのサインいたしましたときの声明でも、フランス及び中国に呼びかけたわけでございます。しかし考えまするに、フランスにいたしましても中国にいたしましても、自分の持っている核をよその国に渡すということは、これはセルフ・インタレストから申しましてあり得ないことだろうと思いますので、その辺もひとつ考慮していただきたいとわれわれは感じておるわけでございます。  それから二十五年、確かに現在の非常に目ざましい科学技術の進歩のスピードから考えますと、非常に長い条約でございますけれども、これには、先ほどからたびたび申しますように、リビュー条項もあるし、またいざわが国の至高の利益が害される場合には一応脱退できる規定がございますし、その点はわれわれはサインに際しましても、声明の中で留意しておったわけでございますから、その点もひとつ御留意いただきたいと存じます。  それから核地下実験でございますけれども、これはなるほどこの条約には規定してございません。しかしながら本件につきましては、ジュネーブにおきます軍縮委員会におきまして、日本は非常に積極的な活動をいたしまして、その地下核実験の問題につきましては査察をある程度以上——要するに地下核実験につきましてはソ連が査察を一切認めない立場をとっております。片やアメリカのほうは現地査察が絶対必要だという立場をとっております。その中間と申しますか、両者を納得せしめることのできる妥協の案として日本は、ある一定限度以上のものについては厳重にやるけれども、それ以下のものは大目に見ようじゃないかという現実的な提案をいたしまして、いま積極的な活動をいたしておるのでございます。したがいまして、この地下核実験の問題につきましては、われわれはこの条約とは別に軍縮委員会の場において目的を達成していきたい、こう考えております。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 この条約のことについてはもうこれで終わりたいと思っておりますが、いずれにしてもわが国のこれからの原子力開発ということを考えていきますと、計画よりも非常に急テンポで開発が進んでおりますし、そうした点の条約にこうむる影響ははたして絶無であるかという、その辺の点です。そういう点で設計資料やあるいは運転記録の提出義務とか国際査察の受け入れ、そういうことによって、今後国産動力炉開発の最大のねらいであるそうした技術情報の漏洩のおそれとかいろいろな問題があるわけです。そうした点、いま何点か私心配な点申し上げたわけですが、長官としても外務省とよく連携をとっていただいて、どうかひとつこうした点心配ないように今後やっていただきたいと思うのです。最後に決意だけお伺いして、この条約については終わりたいと思います。
  111. 西田信一

    西田国務大臣 御指摘のとおり、わが国原子力開発というものが国際的に見ても非常に急速度に進んでまいると思います。また進んでまいらなければならぬと思います。そういう意味から申しまして、ただいま御指摘の点はきわめて重要な事柄でございますので、あくまでも慎重を期し、そしてもちろんこれは外交交渉を通して結論を出すわけでございますから、私どもも外務省と緊密な連絡を常にとっておりますが、この上とも密接に連携をいたしまして、そして十分御注意のような点はわがほうの主張を貫徹してまいりたいと思っております。  なお、この条約加盟、非常にそういう心配の面もございますが、また実際日本はこれから原子力産業が非常に進んでまいりますが、国内にその燃料資源、ウラン資源がないわけでございまして、どうしても海外に多く依存しなければならぬという立場から申しますと、またこの条約に加盟するということが、直接でありませんけれどもあるいはそういう面で便益があるということも考えられる。また条約の中にも、核保有国を含めまして平和利用にはその技術その他大いに交流をやるように、技術提携をするようにというようなことが義務づけられておりまするし、そういう面でもまたプラスの面も若干これは考えられるわけでございますが、一番心配なのは何と申しましても先ほど御指摘のとおりでございますから、十分最善の注意を払ってまいり、そしてひとついい結果を生むように努力したいと思います。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、長官は、「科学技術こそは、真に明るく豊かな社会を築きあげる力であり、むしろその正しい振興によってのみひずみなき発展が初めて期待できるものと信じております。」このように所信表明でも述べていらっしゃいます。ところが、きょうの朝の新聞によりましても、各紙に、砂利穴に農薬百トン、栃木県の鬼怒川ですが、これは化学工場が捨てる、こういうようなことが起きているのです。この直接捨てるということについては、私はこの会社自体の責任だとそれは思います。しかしその背景ということをもっと考えなければいけないんじゃないか、私はこう思うのです。その点どのように把握されていますか。
  113. 西田信一

    西田国務大臣 私も実はその具体的事実はまだよく承知しておらないのでございますが、さっそく調査をさせたいと存じます。しかしながらその一つの実例をおあげになりましたように、科学技術が進むということによって生ずる各種の公害、これは何としても先ほど私が所信で申しましたようにさらに科学技術によって公害を除去する。そうしてひずみのなき非常に環境のいい社会をつくっていくということに科学技術の本来の使命があるのだというふうな意味で申したわけでございまして、そういう意味から申しますと、いろいろな起きておる公害、これにはそれぞれの第一次的な監督官庁もございますから、そこで取り締まっていただく。そうしてまた一次的には企業が最も公害が起きないような配慮なり責任を持つべきだと思いますが、そこでしかし、このできる公害の除去、公害をなくするということにつきましては科学技術庁といたしましても直接なし得るものは直接、また関係各省にやってもらう面につきましては各省と総合調整を行ないながらやっていただく。また、そのために予算が足りない面につきましては、私ども総合調整研究費を持っておりますから、それを配分いたしましてそしてその結論を出させる。こういうことを随時行なってきておるわけであります。今度の問題につきましても実情を調査いたしまして適切な措置を講じたいと考えておりますが、公害除去、こういうことにつきましては私どものほうといたしましても、科学技術という立場からそれぞれ適切な措置をそのつど講じてまいりたいと考えておりますし、積極的な研究等もこれを進めてまいりたいと思っております。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 一次的には企業の責任、二次的には監督官庁、まあ要するにこれから研究開発科学技術庁が積極的にやっていこう、その態度は私も了解します。しかしもう少し現状長官として認識してもらいたいと私は思うのです。  よくおわかりだと思いますが、御承知のように産業活動の産物として廃棄物がどんどん出てきているわけです。そういうことで、われわれ人間の生活活動と同じですけれども経済社会活動の高度化あるいは集中化に伴って排出される廃棄物の量というものは非常に急ピッチで増加してきております。従来から行なわれていた簡易な焼却とかあるいは埋め立てなどという単純な方法では完全な処分ということが困難となってきているわけです。こういう状態についてはよくおわかりと思いますが、そういうことで、人口の過密化等によって、大都市を中心としてこれら地域の自然環境における廃棄物の自浄能力というものが加速度的に減少してきているわけです。ですから河川とか道路、あき地等への不法投棄を誘発しているわけです。また二次的、三次的な公害を引き起こす、そういう状態になってきているわけです。したがって、この膨大な廃棄物の適当な処分体制の確立を急がなければならぬと思うのです。快適な生活環境の達成はもちろんのこと、将来における都市機能の確保という点からも、これは緊急で重要な問題だと私は思うのです。そうした産業廃棄物という点が非常にいままで盲点になって捨てられてきたわけです。私も大阪ですが、大阪は全国でもその辺の調査を積極的に進めておると私も聞いておるのですが、たとえば、この全国的な統計はまだいまはっきりしたものはないそうですが、もしあれば答えてもらいたいと思いますが、大阪で一カ月に約二百七十万トンの廃棄物が排出されている。ところが一般家庭から排出されるごみはわずかに十七万トンだというのです。そのほかは要するにすべて産業活動から排出される廃棄物で占められているわけです。したがって、その一カ月の排出量は二百五十三万トンという膨大な量になっている。産業廃棄物の量が家庭から排出されるごみの十八倍になっているわけです。  そこで、私は大臣にお聞きしたいのですが、こうした産業廃棄物が数々のそうした被害を及ぼしてきているわけです。廃油の問題とかあるいは農薬をほうった事件とか、これは影響がないとはいえぬわけです。一つは、はっきりと公害としてこれを把握されているかどうかという点です。それからこういう廃棄物を現在どのように処理をなさっているか、この二点についてお聞きしたいと思うのです。あと補足は、もしなんでしたら局長さんでもけっこうです。
  115. 西田信一

    西田国務大臣 概括的なことを私からお答えいたしますが、具体的にはまた局長からお答えいたします。  確かに工業が非常に進んで、工業化社会が進みますと同時にこのような廃棄物——固型廃棄物が出る、あるいは固型でなくても油のような有毒なもの、あるいはその他有毒なものが出る。これの処分というのは確かに大問題だ。私も実はけさの新聞で、どっかの町がばく大な金をかけて処理をするという体制をつくられたということを拝見いたしました。それはそういう自治体なんかの御協力も必要だと存じますけれども、やはりこれをひとつ科学的に処理する、こういうことも大事なことだと実は思うのでございます。そこで、たとえば一例を申しますと、プラスチックの廃棄物の処理技術につきましては、通産省が機械試験所、東京工業試験所と資源技術試験所の三つの機関を持っておりますが、この三機関におきまして今年度におきましても合計いたしますと二千六百万円の、しかもことしから三カ年計画でこういう積極的な処理技術研究をするということをやっておりますし、それからまた油の関係等につきましても、大阪の工業技術試験所でことしは一千百万円、これは何かポリウレタリンとかいうものだそうでありますが、それに油を含有させて処理する方法だそうでございます。このような研究も行なっておりますが、固形産業廃棄物の処理、それもただ投げるだけではなくて、できるならばこれを有効に活用するということがいいだろうと思いますが、そういう燃えないものを全部固めまして、そしてそれをどこかへ埋め立てに使うなどということも一つの方法だと思いますが、そのような各種の研究を行ないまして、これにつきましても実は資源技術協会のほうに委託をしましていまそういう研究をさせておりますが、このような工業化に伴って生じますばく大な固形廃棄物の処理につきましても非常に大事なことと考えまして、いろいろその対策を練っておるわけでございます。詳しくはまた局長から御答弁をさせます。
  116. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 ごみの出方、廃棄物の出方、これは近江先生のおっしゃったとおりに生活活動や産業活動、こういったものが高くなりますと、それに比例して増大してくるということはお話しのとおりでございます。これが公害についてくる問題で、これはだんだん重大な問題になってきつつあるわけでございます。これを処理するにはやはり合理的に考えていかなければならぬということになるわけでございます。それにつきまして当庁の関係にございます資源調査会におきまして、この廃棄物を処理するのにどうしていったらいいかという一番もとの段階でございます体系の問題、これを取り上げて調査した結果、昨四十四年十一月二十八日の調査会の報告が出ているわけでございます。これは廃棄物の処理を体系的にとらえてどうしていったらいいかという考え方を示したもので、これはまだ第一次の報告で、逐次これを詳細に調査を進めていく、こういう考え方でございます。  現在のごみ、いろいろ種類がございまして、生活関係で出るごみ、これは地方自治体で処理しているわけでございますが、そのほかの非常に膨大になってまいりましたのは産業廃棄物でございます。こういうものが入りまじったりしますとなかなか処理がむずかしい。やはり種類別に仕分けも必要で、そういうことによって資源の再利用、そういうこともできる。処理と再利用、こういったものをコンバインしまして利用すると同時に、公害をなくしていく、こういうような考え方でこの体系を考え、それぞれの処理方法を逐次検討していくというようなことで進めている次第でございます。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう一点明確にしておきたいと思うのですが、長官は、これははっきりと公害としてとらえていらっしゃるわけですね。それが一点と、いま要するに処理方向についてまだ研究段階である、そういうまだ現状に合わない体制である、その辺の状況説明がございました。その辺のところを特に公害の問題についてお聞きしたいと思います。
  118. 西田信一

    西田国務大臣 工場その他の産業廃棄物が全部即公害であるということが言い切れるかどうか。それらからまた公害が生ずる、その生ずる公害をなくするように努力する、こういうことであろうと思うのでございます。廃棄物そのものをそこら辺に投げてあればそれは公害だと言えると思いますけれども、そこら辺はちょっと微妙なところでございます。廃棄物から生ずる公害をなくする、こういうことに私どもは考えていきたいと思います。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはケース・バイ・ケースで、種類によって私はそう言えると思います。これを要するに直接的な公害もあるわけでしょう、たとえばこの新聞にあるように。ですから直接もあれば間接もある。そうすると、公害に含まれるわけでしょう、その点は。大きな範囲を含めて公害だ……。
  120. 西田信一

    西田国務大臣 その意味においては広義における公害と言えると思います。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 ところが、ここでお聞きいたしたいと思いますが、この公害基本法が昭和四十二年八月三日法律第百三十二号として制定されているわけです。ところがこの第二条に「この法律において「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」という定義がある。要するに気体と液体ということに限っているわけでしょう、これは。ですからその辺のところは私は法の大きな盲点だと思うのです。ですから、この辺をどう解釈なさるのか。きょうは厚生省の方も来ておられますし、まず厚生省からお聞きしたいと思います。それから長官
  122. 石丸隆治

    ○石丸説明員 われわれの生活環境から出てまいります廃棄物にはいろいろな形態があるわけでありまして、その点につきましてはただいま先生御指摘のように気体、液体、固体という部分があるわけでございます。私のほうで所管いたしております清掃事業というものはそのうちの固体廃棄物を取り扱っている仕事でございまして、公害として考えるか考えないか、これはただいま長官のほうからも御答弁がございましたように、ケース・バイ・ケースで考えるべきものかとも考えますが、公害基本法におきまして論議されました段階におきましては、固形廃棄物の部分については従来から清掃法で取り扱うということで一応除外されておると思うのであります。ただいま先生のおっしゃいました産業廃棄物というものは、現行清掃法第七条、第八条におきまして、多量の汚物あるいは特殊な汚物といたしまして家庭のごみと区別いたしまして、やはり現行清掃法の中で取り扱ってこれを処理する、こういう体系で進んでおります。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 あとから科学技術庁にお聞きしますが、そうしますと、この清掃法の中で、要するに「衛生的な方法で当該汚物を市町村長の指定する場所に運搬し、若しくは処分すべきことを命ずることができる。」八条はそうした点のことを「特殊の汚物の処理」等でいっているわけですね。たとえば、きょうの朝刊にも一斉に出ている。そういうものを指定する場所があるか。何もないわけでしょう、現実に。私の選挙区は大阪府下ですが、そういう市町村がたくさんある。現実に悩んでいる。問題はこういうふうにただ指定すべきであるというだけで、現実は違うのですよ。その辺の問題はどうなさるのですか。
  124. 石丸隆治

    ○石丸説明員 これはただいま先生御指摘のように、市町村長が場所を指定して処分を命ずることができるという命令権があるわけでございますが、現状は先生御指摘のように、なかなか市町村長が場所を確保することができない。したがって、命令を下すことができないというようなことでいろいろな問題が現在起きているわけでございます。もちろん第一義的には企業の責任においてこういったものは処理すべきでございましょうけれども、やはり各企業においてもなかなか処理し切れない。また国民の健康を守るという立場におきましては、企業ができなかった場合の受け入れ態勢というものを整備しなければならない、こういうふうに考えております。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 一般家庭あるいは少量排出者、なるほどこの辺についてはどうにかあえぎつつ処理なさっていることは私も認識しております。だけれども、いま申し上げた産業廃棄物の大量排出の処理に困る、こういうことは非常に大きな問題になってきているわけです。そうしますと、現在のこういう現行法、公害基本法あるいは清掃法、こういうところに実際はそれについていけない盲点があるわけですよ。そうしたその辺の法の整備、制定を大至急やるべきじゃないか、私はこのように思うのです。この辺厚生省、科学技術庁長官はどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞きしたいと思うのです。まず厚生省から……。
  126. 石丸隆治

    ○石丸説明員 ただいま先生御指摘のように、家庭から出てまいります固型廃棄物につきましては、従来から清掃法あるいは清掃施設整備緊急措置法、こういったものに基づきまして、閣議決定いたしました五カ年計画の線にのっとって現在いろいろな設備を整備中でございます。第七条、第八条関係の多量の汚物あるいは特殊廃棄物、こういったものにつきましては、ただいま御指摘のように、最近になりまして非常に多量に一時に出てまいる、こういう状態になってまいりまして、市町村がそれぞれ手当てをするという現在の法体系のもとでは対処しきれなくなった、こういうふうにわれわれも考えておるわけでございまして、こういう事態に対しまして、一昨年全国市長会の所属機関でございます日本都市センターのほうにその研究を依頼いたしまして、昨年五月に報告書をいただいたわけでございます。その報告書に基づきまして、現在厚生大臣の諮問機関でございます生活環境審議会に対しまして、昨年七月の十四日に、今後の清掃体系のあるべき姿ということにつきまして諮問をやっておる段階でございまして、現在せっかく審議中でございまして、近く答申を得られるのではないかと思うわけでございます。その答申が出ました結果は、その答申の線に沿って、われわれのほうでも法体系の整備、そういったことについて努力してまいりたいと思っております。
  127. 西田信一

    西田国務大臣 いま厚生省からお答えがございましたが、私の認識では、公害基本法というのは狭義の公害を規定しておるものだと思います。このような、ただいま問題になっておりますような多量の産業廃棄物、これはこういうことを予想してはいないと思いますけれども、しかしこれは広義といえば広義の公害だということは、先ほども申したとおりそういうことは言えるのじゃないだろうかと存じます。そこで厚生省がいろいろ検討されておるようでございますが、私たちも重要な問題として検討すべき課題だと存じます。
  128. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣は、特に開発の急がれておる公害防止等のための技術研究に力を注ぎたい、このようにおっしゃっているわけです。これは私は重大な問題だと思うのです。いまこれから研究していくとおっしゃったので、それはそのまま受け取っておきます。  そこで、この現時点の現況を考えますと、要するに広域的な行政でやっていかなければ太刀打ちができないということは、いま厚生省からもお話があったわけです。したがって、答申の方向もおそらく私はそういう方向になると思いますが、そういう方向になった場合に、法体系の整備、制定というその辺のことは厚生省としても十分お考えになっていらっしゃいますか。
  129. 石丸隆治

    ○石丸説明員 はっきりしたことは答申を受け取ってからでないと申し上げられないわけでございますが、ただいままでの審議の過程におきましても、ただいま先生御指摘のように、現在の法体系のもとで市町村が対処しきれなくなってきたという点から当然広域化の方向に進むべきである、そういった審議過程もございますので、したがいまして、もしそういうような答申が出てまいりますと、今後わが国の清掃体系というものを、それぞれの分野におきまして、市町村あるいは都道府県あるいは国、そういったものの責任の分野というものを明確に法律で規定すべきではないか、こういうふうに考えております。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 その責任の分担等も、要するに責任分担、費用分担、こうした点で分かれてくると思うのです。この費用分担として当然考えられることは、中継基地とかあるいは総合的処理施設、収集、運搬などの費用分担、またこの作業分担については輸送処理あるいは処理の作業分担、こうした方向になるのじゃないかとぼくは思うのです。その点、いま現実にこれだけの産業廃棄物がどんどん出てきておりますし、要するにこれは急がなければならぬわけです。その点、法体系は当然制定の方向に向かう、その意思は厚生省としてもはっきりとあるわけですね。あとで長官にその法律の制定意思をもう一ぺんお聞きしたいと思いますが、それでは現状が間に合わないという点において、いま全国的にその辺の処理等についてどういう対策を講じていらっしゃるか、その計画があればお聞きしたいと思うのです。
  131. 石丸隆治

    ○石丸説明員 この種の廃棄物の処理問題で一番悩んでおるのが大阪でございまして、大阪府におきましては、一昨年来すでに調査を完了いたしまして種々計画を立てておる段階でございます。その他の東京あるいは兵庫、愛知といった地域におきましては現在調査を続行中でございまして、近くその結果がまとまるのではなかろうかと思うわけでございます。  大阪につきましては、ただいま先生御指摘のようにすでに調査も終わっておりまして、計画も樹立の段階に入っておるわけでございますが、法律改正までなかなか大阪の実態というものは待てないという先生御指摘のような状態でございまして、大阪府あるいは大阪市が一緒になりまして大阪府全体としての広域処理体制というものをつくっていこうというような動きがあるわけでございまして、われわれのほうにおきましても、昭和四十五年度予算編成にあたりまして、こういった点を考えまして、法律は法律といたしましても何らかの手をつけなければいけないということで、起債の面、財政投融資の面で八億円の特殊廃棄物処理施設整備の起債のワクをお認め願ったような次第でございまして、とりあえずそういった財政援助のもとにおきまして大阪府あるいは大阪市が一緒になりました処理施設の建設に着手しようとしておるわけであります。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は何も大阪のことを聞いておるわけじゃないのですが、特に大阪がその辺のことを進めておるということであなたもお答えになったと思うのですが、いまお答えになったことをもう少し……。それはどういうくらいの規模ですか。
  133. 石丸隆治

    ○石丸説明員 大阪府におきます廃棄物の量は、先ほど先生が御指摘になりましたように、現在、月にいたしまして産業廃棄物が二百五十三万トン、それから家庭ごみが十七万トンというふうな排出の状況になっておりまして、これを処理いたしますには相当な金額がかかるわけでございます。ただいま科学技術庁のほうからもその再利用あるいは資源化の方向技術開発といった点でお答えがあったわけでありまして、こういった従来ただ単に捨てられていたような廃棄物が資源として再利用されるというようなことになれば、われわれ清掃部局のほうに持ち込まれる廃棄物量は減るわけでございまして、その点、今後の進みぐあいでどういうふうに変わるかわかりませんけれども、現在の量をすべて処理するといたしまして、今後五カ年間に整備すべき施設に要する経費が、大阪の推計では約千三百三十億円というような推計をいたしております。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 膨大な資金でありますが、それは特殊焼却、化学的処理、生物科学的処理、廃酸廃アルカリ処理、物理的処理、こうした内容があろうかと思いますが、そういうようなことを全部含んだ処理ですか。
  135. 石丸隆治

    ○石丸説明員 ただいま先生御指摘のような、いろいろな種類の廃棄物につきましてそれぞれの特性に応じましていろいろな処理方法があるわけでございまして、これをすべて備えるという計画でございます。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官にお尋ねをいたしますが、この公害基本法と清掃法と見ていただいて、要するに清掃法でも現状からいってもうそれは太刀打ちできない、合わないということがはっきりしたわけです。そこでなるほど法の、それは厚生省の所管かもしれませんが、長官として、この公害防止等のための研究に力を注ぐとおっしゃっておりますし、閣議等に持ち出してこの辺の法律の制定を今後なさるという、それだけの熱意がおありかどうか、その点お聞きしたいと思います。
  137. 西田信一

    西田国務大臣 いま御指摘になっております問題はかなり重要な問題だと私も認識をしております。そこで、厚生省で清掃法との関係でいろいろ検討されておるようでございますが、公害基本法は、御承知のとおり内閣の審議会が厚生省側とよく協議の上運用しておると心得ております。したがいまして当庁といたしましても、ただいま問題になりました諸点につきまして十分調査検討したいと思います。その結果必要な意見がまとまりますれば、これを内閣に私のほうから申し出て対処したい、かように考えております。  なお、当庁の資源調査会も先般廃棄物の処理体系につきまして第一次の報告を出しておりますので、必要がございますれば局長から説明をいたさせます。
  138. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 ただいまの廃棄物の処理体系に関する報告の内容でございますが、これは昨年十一月に出されたものでございます。それによりますと「廃棄物の資源化と環境を害さない処理を両立させる方式および技術調査研究を強力に推進すること。」などいろいろございますが、その中で「廃棄物の種類、発生源の多様化、処理方法の進歩および広域的処理の必要性などから、廃棄物処理問題に関する法体系について検討すること。」というようなことで、こういうことが必要であるということを基本的に考えまして、それが報告として出ておるわけでございます。これはこういう考えでそれぞれの担当省庁におきまして処理いただくように厚生省のほうにも御連絡申し上げてあるわけでございまして、なおこれをやる際に専門委員といたしまして関係各省からも御参加いただいておるわけでございます。その間においてこういう考え方は十分承知されておりまして、先ほど厚生省からお話がございましたように、その方向で現在進められているというのは先ほど御説明があったとおりでございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 さらに調査を進められて——もういまでもそれははっきりしておるわけですから、要するに長官として、その所管の大臣はそれぞれいらっしゃると思いますが、科学技術庁長官としては、法の制定を急ぐべきである、このように大臣自身はお考えですか。
  140. 西田信一

    西田国務大臣 十分急いで検討をいたしまして、そうして私どもの考えがそこにまいりますれば、ひとつ閣内におきましてそういう意見を申し出まして、そういう方向に取り進めてまいりたい、かように考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間もだいぶたっておりますので……。きょうは経企庁も来られておりますが、特に水質の汚濁というものは非常に最近は顕著なわけであります。今後の水質基準の方向、これは早い時点に何らかの方向を打ち出さなければ、考え方なりを発表していただかなければ——要するにもうこれ以上河川の汚濁を見ておれないと思うのです。その点どういう方向でお考えになっていらっしゃるか、具体的に発表していただきたいと思います。
  142. 白井和徳

    ○白井説明員 ただいま先生御指摘のように水質汚濁にかかる公害というのは非常に深刻の度を加えておるわけでございます。われわれといたしましては、水質保全法に基づきまして、現在まで全国約七十水域につきまして指定水域にし、水質基準の設定を行なっておるわけでございます。今後とも指定水域の拡大はもちろんやっていきたいと思いますが、あわせて、具体的に申し上げますと微量重金属関係の排水の水質の規制を今後強化していきたいと思います。  第二点といたしまして、従来指定水域になったところでありましても、その後の経済社会の変化に伴いましてその規制では十分対応できないというところにつきましては、積極的に現行の水質基準を見直していきたいということを考えております。  第三点といたしましては、現行法で規制対象ではないいわゆる汚濁源につきましては、今国会に水質保全法の一部改正法案を出しておりまして、そこにおきまして未規制汚濁源を規制対象に加えていきたい。たとえば、砂利採取業あるいは廃油処理施設、屎尿処理場等々を考えておるわけです。  さらに水質汚濁にかかる公害基本法に基づく環境基準の設定をいま水質審議会でもって検討中でありまして、できるだけ早く水質汚濁にかかる環境基準の設定をいたし、水質汚濁に関する防止対策を前向きに進めていきたい、かように考えております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 あまり長くやりますと皆さまに御迷惑がかかりますので、一応これで終わりたいと思います。なお、場合によっては、あした短時間関連質問でと思っております。      ————◇—————
  144. 北側義一

    北側委員長 引き続き、去る二月二十四日本委員会に付託されました宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  145. 北側義一

    北側委員長 まず、提案理由の説明を聴取いたします。西田国務大臣
  146. 西田信一

    西田国務大臣 宇宙開発委員会設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、宇宙開発委員会委員が現在、非常勤四人となっておりますが、そのうちの二人を常勤としようとするものであります。  宇宙開発委員会は、宇宙開発体制の整備の一環として、わが国宇宙開発計画的かつ総合的に推進するため、その重要事項について企画、審議、決定する機関として、昭和四十二年五月、総理府に設置されました。同委員会は、当時のわが国宇宙開発の進捗状況にかんがみ、委員長及び四人の非常勤委員で発足いたしました。  同委員会発足以来、わが国宇宙開発は、開発実施の中核機関たる宇宙開発事業団の発足、日米技術協力の進展、初の国産衛星の打ち上げ成功などに引き続き、いよいよ科学衛星の打ち上げ、通信分野の実用衛星及びこれを打ち上げるためのロケットの開発など本格化の段階を迎えようとしております。  これに伴いまして、同委員会におきましても、予算の見積もり・調整宇宙開発計画の見直し、研究開発の評価、国際問題の処理等の業務が著しく増大し、宇宙開発委員会の任務は、従来にも増して重要なものとなっております。  本来、宇宙開発委員会は、単に諮問に応じて審議することをたてまえとする一般の審議会とは異なり、みずから企画、審議、決定する能動的な機関でありまして、以上のような情勢に対応して、その職務の遂行に万全を期するためには、内外の動向を常時把握し、これを迅速に処理し得る体制を確立しておかなければなりません。このため、委員二人を常勤として同委員会強化する必要があります。  第五十八回国会で宇宙開発委員会設置法案を御審議いただいた際に、衆議院科学技術振興対策特別委員会及び参議院内閣委員会において、早急に委員を常勤化するようにとの附帯決議がありましたのも、まさにこのような御趣旨と存じております。  改正点といたしましては、まず、現在、定員四人の委員がいずれも非常勤となっておりますが、委員会の体制の強化をはかるため、このうち二人を常勤とする旨を定めることとしております。  このほか、委員の常勤化に伴いまして、委員長の代理、委員の給与、服務等につきまして所要の改正を行なうこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  147. 北側義一

    北側委員長 以上で提案理由の説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、明十二日木曜日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会