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1970-07-09 第63回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月九日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 大村 襄治君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 床次 徳二君 理事 川崎 寛治君    理事 中川 嘉美君 理事 永末 英一君       宇田 國榮君    北澤 直吉君       中村 寅太君    福田 篤泰君       豊  永光君    山本弥之助君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  委員外出席者         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         沖繩北方対策         庁長官     山野 幸吉君         沖繩北方対策         庁総務部長   加藤 泰守君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君         外務省アメリカ         局北米第一課長 千葉 一夫君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 七月八日  辞任         補欠選任   林  百郎君     東中 光雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。質疑の申し出があります。順次これを許します。大村襄治君。
  3. 大村襄治

    大村委員 私は、本日は主として山中総務長官沖繩問題についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、まず前回の当委員会におきまして沖繩における米軍毒ガス兵器撤去並びに米国軍人犯罪防止等に関する決議を行なったのでありますが、その後の経緯について外務省にお尋ねいたしたいと思います。  特に毒ガス兵器撤去につきましては、去る六月二十九日、米国上院におきましてグラベル案というものが可決されたのでありますが、これに対しまして沖繩現地におきましては、これは沖繩で無毒化するものではないかという、非常に心配する空気が強いのでございます。これを反映いたしまして、七月三日琉球政府立法院は強硬な決議を行なっているのであります。ところが、一方におきましては太平洋上にありますジョンストン島の調査アメリカが行なって、すでに調査の結果が本国政府報告をされているというふうな報道も行なわれているのでございます。そこで、この一連の経過について外務省当局見解を明らかにしていただきたいのでございます。
  4. 千葉一夫

    千葉説明員 ただいまのお尋ねの毒ガスの件から申し上げますが、御指摘のとおりアメリカ上院におきましてグラベル決議案というものが決議いたされまして、それとまた時を並行しまして、アメリカの国防総省のほうから、ただいま御指摘ジョンストン島のほうへ調査団を派遣した、昨日の外電によりますと、報告書は実はもうできておる、ただ、その内容はまだ明らかにされておらない、そういうような趣旨でございます。この点につきまして、あらゆる機会をとらえまして、政府米側に対しまして、このガスの早期撤去方針の確認とその早期実現、並びに実現の際の安全性の確保、この三点について申し入れております。  たとえば、先般愛知外務大臣アメリカへ繊維問題の交渉に参りましたときにも、ロジャーズ国務長官にそのことを申し入れております。また、昨日ロジャーズ国務長官が、ただいま日本に来ておりますけれども外務大臣と会見いたしましたときにも、同様そういうことを再び申し伝えております。それに対しましてロジャーズ国務長官は、アメリカ政府としての撤去方針はかたく変わらない。おくれておることは、諸般の理由によりまことに申しわけないが、とにかくアメリカ政府としてはただいまの基本方針を貫くよう最大限の努力をする、見通しはきわめて自分としては明るいと思う、そういう趣旨のことを申しております。というわけでございますので、われわれとしましては、絶えず米側にこのことを申し入れつつも、米側の行政府が誠意をもって事に当たっていると認めておりますので、彼らの努力あとを見ていきたいと思っているわけでございます。
  5. 大村襄治

    大村委員 一応の経過はわかったのでありますが、肝心の外務大臣が御出席ないものですから、これ以上確かめようがないわけであります。いずれにいたしましても、グラベル法案というものを見ますると、内容が明らかではないのでありますが、米国の五十州内には毒ガスを持ち込ませることを認めないとか、あるいはそれに関する経費の支出を容認しないとか、非常にわれわれとしては心配にたえないような点が含まれているようでございます。  そこで、ただいまお話のありましたジョンストン島というのが太平洋のどこにあるのか、私もよく知らぬのでありますが、聞くところによると、太平洋上の無人島であるというようなことであります。しかりとすれば、五十州に含まれないというのであります。それが実現するならば、沖繩で無毒化するとかあるいは沖繩の付近で処理するとか、そういう心配は解消するのではないかとも思われるわけです。たただいま、昨日のロジャーズ長官愛知外務大臣の会談の結果、先方は見通しが明るいと言われたというふうにあなたは言われたのでありますが、そういった点はいま私が申し上げましたような意味を含めての明るい見通しであるかどうか、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  6. 千葉一夫

    千葉説明員 ただいまの御質問の点につきましては、国務長官から微に入り細をうがって説明があったわけではございませんですが、ただいま御指摘の点も含めて申したと私どもは推定いたしております。
  7. 大村襄治

    大村委員 この問題につきましては、当委員会としましても明確な意思表示をすでに行なったところでございますので、政府当局に重ねて誠意ある交渉を続けることを強く要望いたしまして、次に入りたいと思いましす。  次に、山中長官に、お尋ねいたしたいのでございます。私は主として財政問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、その前に、今般南西諸島方面に発生して日本本州にまで上陸いたしましたところの台風の被害沖繩においてどのような状態であったか、もしおわかりでございましたならば、あらましお話し願いたいと思います。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 結論としては、一番心配されるのは農作物でありまして、人命その他には被害はありませんでしたが、一番時期的に見ても、あるいは作物の種類から見ても、キビというものを心配したわけです。しかし私のところに届きました被害には、私、疑問がありまして、いまこれを現地に問いただしているところであります。ということは、サトウキビの被害が六十七万四千三百四十九ドル、水稲が二十五万二千六百二十ドル、カンショが三十三万四千九百十ドル、こうなっているものですから、パイナップル被害は全くなくて、そうして風に一番強いサツマイモが水稲よりも被害が多い報告は私は疑問がありますので、きのう指示しまして調査を命じております。したがってこれは正確ではないように私は思います。そのほかの被害は幸いにしてごく軽微であったと思われます。
  9. 大村襄治

    大村委員 ただいま全体としてのお話があったわけでございますが、風による被害が大きいのか、それとも本土のように集中豪雨、雨による被害が大きいのか、その辺もしおわかりでしたら重ねてお尋ねします。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 作物被害は、一番大きいのはやはり風のようです。ただし作物に関しては、雨があまり降らないで、そうして風だけのために潮を巻き上げまして塩害というものを起こしているところが、その直後に大雨でも降ってくれませんと、パイナップルあたりは見た目にはあまり変わりませんけれども、茎のほうから腐っていきますので、ここらの調査はまだ慎重を要する個所があるように思います。沖繩県下全部ではありませんが、島によってそういう現象があるところもあるようです。
  11. 大村襄治

    大村委員 すみやかに被害の実情を調査されて、適切な対策を講ぜられるように要望いたします。  次に、最近の琉球政府財政の問題でございまするが、琉球政府財政現状は極度に困窮しており、新聞紙の報道をかりるならば、財政硬直化に悩んでいるというふうに聞き及んでいるのでございます。すなわち七一年度予算編成が現在行なわれているのでございまするが、米国政府援助削減等により難航して、その立法院への提案は大幅におくれ、また現在立法院における審議もきわめて難航しているやに聞き及んでおります。そこで、この七一年度予算立法院における審議状況また問題となっている点等総務長官は最近現地を訪問されているようでございますので、このあらまし状況について御見解をあわせてお尋ねいたしたいと思います。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 先般参りましたのは、本島並びに先島と言われる拠点島以外の小さい島を回りましたので、議会の方々あるいは執行部方々と詳しく財政問題を議論する時間は率直に申し上げてございませんでした。しかし感じましたことは、一番大きな問題は、やはりアメリカ援助費のあり方というものに対して、下院において九十五万ドル余の削減がさらに行なわれる。これはまだあと上院もあり、上下両院の昨年のような妥協したような経過もありまして、相当先のことに落ちつき先がなるにしても、沖繩の人からいえば、施政権を持っているうちは権利はがんばるが、施政権者としての財政上その他の義務は果たさないという、その義務のほうはどんどん放棄し始めているという実感をひしひしと感じておるようでございます。さらに予算歳入そのものの中にも、米側最終了解をとらないまま、約百万ドル近い原資に、県民外所得税通行税といわれる自動車税、こういうものの布令に直した場合における増収を見込んで計上してありますので、これらが場合によっては私どもあるいは現地準備委員会のリードで口添えをしてほぐしてあげなければならない問題を内蔵しております。ここらのところも論議の対象になっておるでありましょうし、さらに健全、不健全性から言いますと、民間銀行から借り入れをして、県の財政というものが歳入もくろみを立てざるを得ないところに追い込まれた経過あるいはその現状、それを踏まえて琉球政府としては、現在の予算執行過程においてどのような見通しを将来持てるのかということについての不安があるようでございます。したがって、あと質問があるのでありましょうから申しませんが、私どもとしては、そのようなことを前提にして来年度予算編成に処していきたいと考えます。
  13. 大村襄治

    大村委員 米側が、施政権下に置かれている沖繩に対して負担すべき経費をもし削減するというような事実がありとすれば、その点は猛省を促す必要があると思うのでございます。と同時に、琉球政府みずからの施政にもし足らない点がありとすれば、その点につきまして勧告、助言等を惜しむべきものでもないと思うのでございます。と同時に、私は後ほど今後の長期経済開発計画についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、それらの諸点を踏まえまして、政府の四十六年度予算概算要求の時期がだいぶ近づいてきておるのでありますが、主管大臣としての総務長官の、政府明年度沖繩援助予算、名前を援助からもっと積極的なものに変えるというお話もあるやに聞き及んでおるのでありますが、これらの問題についての基本方針をお尋ねいたしたいのです。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 アメリカ側が出さなければならない経費を出し渋っているというものさしから言うと、いままで出していたものが出すべきでない筋に出していた、教職員の人件費とか、そういうような当然琉球政府自体が持たなければならないものまで、アメリカ側援助内容をしさいに見るとあったというような点などが逆に目立つのであって、問題は、歳入面油脂課徴金あるいは先ほど申しました二つの所得税自動車税、こういうようなものを米側が一方的に徴収しておる、このところに私は問題があるように思います。そこらのところは、もう復帰も間近でございますから整理をしようじゃないかという話はしておるわけでございますが、これらの整理をしながらも、来年度予算編成においては、アメリカ側基地機能の維持あるいはそれに付随する必要な経費人件費その他、あるいは民政府を置いておりますから、それに必要な経費ぐらいのものしかもう組まないだろう、琉球政府に対する援助というようなものは、歳入の面でも干渉しない形をとるとするならば、歳出もおそらくもう切ってくるのではなかろうかという最悪の事態も予想して、それに耐え得られるような財源措置というものを琉球政府にいかに付与するかということを重点に置いて、来年度予算編成をやりたいと思います。大村委員地方交付税の仕組みその他はよく御承知の立場にありますから、私どものほうからそれらの点の問題点等を詳しく言いませんけれども、もし本土の一県たりせば、しかし現状では一県ではないということから考えて、最大限なし得る財源上の、ことに自主財源を与えるというような方向で検討を進めていきたい、このためには自治省とも大蔵省とも事前に相当な相談が必要だと考えて、もうすでに現在何回もこれを進行させている次第でございます。
  15. 大村襄治

    大村委員 次に、経済計画についてお尋ねいたしたいと思います。  佐藤総理の言われたいわゆる豊かな沖繩県沖繩県人実現するためには、まずマクロ的な長期経済開発計画が必要であると思います。また、さきに決定されました自由民主党の沖繩復帰対策要綱によりましても、新全国総合開発計画南方拠点としての沖繩を位置づけていくということが明確にうたわれているのでございます。そこで、さらに新聞情報によりますと、琉球政府経済開発十カ年計画経済開発審議会の答申を得て近く決定、発表されるようにも報道されております。  これらの事柄を踏まえまして、総務長官としては全国総合開発計画をどのように改定していかれたらいいと思われるか、この点について御見解を承りたいのです。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 新全総を昨年策定いたしましたときには、沖繩復帰時点等が未定のときでございましたので、沖繩については返ってきたならばという表現のもとに触れているだけであることは御承知のとおりであります。しかし、ここに返ってくることが時期的にも明確になりましたので、これからは沖繩列島経済性というものが、先ほど言われました沖繩政府の中において審議中の、沖繩政府部内において画定中の経済長期見通しあるいは計画、こういうものとは別個に、日本列島の全体の経済長期展望の中で沖繩列島という、緯度からいうならば台湾の半分ぐらいのところまで食い込むほど南に寄った弧状の、しかも相当大きい島嶼の存在する列島日本に返ってくる、これを全体的に展望いたしますと、文字どおりマクロ的な、そこには新しい視野が生まれなければならない。新全総計画は別段そういうふうに具体的に書いてあるわけではありませんが、やはり原点は太平洋ベルト地帯、こういうところにおいての現実を出発点とした新全総であることは間違いないと思います。したがって、沖繩が返ってまいりましたあとは、ただいま申しましたような日本列島に付加する付加価値というものが非常に大きい。ことに日本の貿易というものは、南のほうというものが原材料あるいは製品の輸出においても大きなウエートを持つ国であることはわかり切ったことでありますから、南方にそれらが展開しておるということを踏まえて、やはり新全総計画書き直し、積極的な琉球列島経済価値を踏まえた上での沖繩の新しい位置づけをして、それが日本列島にしかもどのように貢献するか、その貢献は単に沖繩が返ってきたことによる貢献のみでなくして、日本列島全体の経済に大きく根本的な書きかえを要求するほどの価値を持っておることをこれから意義づけつつ、さらにそれの具体的な経済立地をいろいろと策定しつつ、条件を環境整備しながら、新しい新全総の中の、全面的ではありますまいが、沖繩が返ってきたことによる日本の新全総の姿勢は変わってくる、沖繩日本列島の最南端における大きなポイントとして浮上してくるということについては同感でありますし、そうする価値のあることであるというふうに考えております。
  17. 大村襄治

    大村委員 日本政府は独自の沖繩経済開発計画を作成するお考えがあるのかどうか。もしあるとすれば準備はどのようになっておるか、その点をあわせてお伺いいたします。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 現在沖繩作業中のものは、本省の経済企画庁並びに沖繩北方対策庁、私たちのほうも共同作業みたいにして、知恵を貸すというとおかしいのですが、一緒に作業をしておる部門もあります。しかし、姿勢その他について基本的な角度の違いもありましょうけれども作業そのものにおいては、本土側のほうも今回は援助しながら作業しておりますので、その意味でこちらが別にそういうものをつくって対立するような現象は起こさないほうがいいだろうし、そういうふうにならないように努力したいと思います。
  19. 大村襄治

    大村委員 その際、自民党の対策要綱に掲げられておりますような特別措置法の制定とかあるいは沖繩開発事業団、仮称でございますが、そういった事業団の設置など織り込まれるお考えであるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  20. 山中貞則

    山中国務大臣 おおむね意見は一致いたしますが、沖繩開発事業団をつくることについては、私はそういう気はございません。
  21. 大村襄治

    大村委員 なお、私は、本日は返還協定交渉進捗状況をお尋ねしたいと思って用意してまいったのでありますが、外務大臣が御出席ありませんので、また総務長官のお時間もありますので、きょうはこれで終わります。
  22. 池田清志

  23. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 総務長官の時間があるようですから簡単にお尋ねしますが、まず第一に、軍雇用労働者間接雇用の問題であります。先般、施設庁が行っていろいろと実態調査をしようとしたが、まともにできなかったということは、本土側でも各紙に報道されたところでありまして、このことはこれからもいろいろと問題が出てくる一番の基本点だろうと思います。これは防衛庁長官のほうに直接は質問しなければならない問題でありますからおいておきますが、四十五年度中に間接雇用制度移行をさせたいのだということで、第一回目に行かれたときにもランパート高等弁務官とも話し合ったというふうに聞いておるわけであります。しかし、先般の返還準備委員会布令、布告の検討等についてのいきさつを見ると、そこらがまた少しおかしくなってきておるのじゃないか、こういう感じがするわけです。そこで、いろいろなことは抜きまして端的にあれしますが、間接雇用制度への移行の問題については、現在どういう話し合いになり、いつをめどに移行させるのか、その点について伺いたいと思います。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 先般施設庁諸君が行きまして、いろいろと米側が協力しなかったような報道がされました。これは、実は、施設庁というものは基地調査に行ったのではないということがよくわからないらしいのであります。施設庁は、別段基地実態調査して引き取り作業準備に行ったわけではないのでして、基地に関連するいろいろな、基地等周辺整備法案あるいは雇用問題等の下調査に行ったわけですから、その限りにおいては、私の手元にも別段、直接会いもしましたけれども米側が非協力で困るというようなことは何もなかったように思います。私としては、外交ルートの最後の詰めば残るとしても、感触として、ことしじゅうに間接雇用制度移行することは可能なりという線が現在作業過程でくずれておるというふうには考えておりません。しかし、その間接雇用は、いわゆる返還協定その他でものをいう本土並み間接雇用そのものずばりではないことは前から何回も申し上げておりますから、それに準じた形態というもので落ちつくという意味においては、解決は依然として今年じゅうにはなされ得ると確信します。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 その場合に、布令百十六号の問題については、これは事実上凍結されておるようなかっこうできておりますけれども、この布令百十六号というものをなくしていくのか、それとも改廃をしていくのか、あるいは布令百十六号というものは、いじらないで、それを前提間接雇用制度というものを考えておるのか、そこらの点を明らかにしてもらいたいと思います。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 布令百十六号があることと、全軍労諸君がはでにストライキをぶっ放して五日間ぶつ通しでやれるということとは、全く相反することなんですけれども、これは現地でも本土でも、あるいは受けるアメリカ軍側団体交渉に応じていますね。そういうことを見れば、まともから布令百十六号を廃止せよというような迫り方は、抵触する部分がどうしてもあれば、それは触れていかざるを得ませんが、スト権の確立とか団体交渉権とかいうものはもうすでになしくずしにされて、そのことを認めた上で向こう側も、一定期間休戦中とかあるいは休戦が切れたからどうこうということでものを言っておりますから、その点はあまりまともに攻めていかないほうがいいのではないか。イノシシ武者の私にしてはえらい上品な戦術ですけれども、こちら側に得になるような攻め方のほうがいいのではないかという感じを持っております。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に、暴行事件が相次いでおるわけで、またきょう何か起こるのではないだろうかという感じ新聞を見ざるを得ない。こういうことで、投書欄等を見ても、ぶち殺せというような怒りをぶつける若者も出てくるわけですね。私は、そういう気持ちは当然だと思います。先ほど大村委員質問に対しても、施政権者としての義務は果たさずにおいて、人権の面だけはがっちり握っておる、基本的人権の擁護だけはびた一文手をつけさせない形で施政権交渉をやっていくということは、基地機能と関連するとしても、もう許されないことだと思います。こういう今日の時代において絶対に許されない。  そこで、先ほどの返還準備委員会の問題とも関連するわけですが、先般の本委員会でも、逮捕権の問題については拡大したいということを答弁されたわけですが、しかし準備委員会における動きを見ておると、八十七号等の問題についてもいじらないという姿勢アメリカ側は臨んでおるようでありますが、そうすると、先般の総務長官の答弁は少し食い違ってくる、こういうふに思います。そこで逮捕権捜査権の問題について、つまり沖繩県民に対して相次いで起こっておるこうした米軍人暴行事件に対する本土政府としての責任、それはアメリカ側施政権を云々しておるからしかたないんだということではもう済まされないと思うんですね、その点はいかがですか。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 食い違ってはいません。先般も、食事に招待しておきながら、こなれの悪いような話をだいぶいたしました。要するに、これは琉球警察とそれから向こう米側の、直接相手は公安局を窓口とする米軍との間に覚え書きが交換されていて、それに基づいて運用されているわけですね。その点の話し合いで具体的な問題で、ちょっといま表に出してはまずいと思うのですけれども、出しにくい問題としていろいろの問題点を数項目あげまして、たとえばこういうことは実行できるんじゃないか、こういうことは許していいじゃないか、そういうことを話し合いをしておるわけです。それはどういうことを目的にしているかといいますと、うまくいっているんだとアメリカ側考える、琉警のほうはいままでうまくいっていたんだがと言う、そこの問題点の違いがある。そこに県民から見れば何を言っているんだという、被害額六十五セントの交通事故でも二、三百人飛び出して、こん棒、バットを握る空気が出てきておる。そうすると、米側のほうでも対抗するように近所におる兵隊が集まってくるという現象は、西部劇のまねじゃあるまいし、沖繩でそんなことをやるということは、日米両方、アメリカ自身のためにも何もプラスのないことですから、そこらをよくかみ分けて話をしながら、いま、これは技術の問題ですから、こまかな問題で捜査権等について話し合いが行なわれておるということにおいては変わりありません。それを準備委員会の席上にあげて議論するという段階にいま至っていないということであります。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間的には大体いつごろをめどにされるか。とにかく毎日起こっておるのですから、これはもう時間の問題だろう、こう思いますが、その点、いかがですか。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 率直に言って、ランパート高等弁務官もこの問題を一番苦悩しておるようですね。一人一人の兵隊にランパート高等弁務官の、自粛せよ、戦地ではないぞというその趣旨が徹底しているのかいないのか。しかし、この一人一人について責任を負わなければならない。このところ非常な苦悩があるようです。かといって、まともにこれを外交論議として、裁判管轄権の問題に根源がある、したがって管轄権の問題を議論しようというには、いまのところちょっとまだ機が熟していないという感じがします。すなわち施政権と裁判管轄権の問題との位置づけにおいて、別に切り離して議論していいという態勢にありませんので、こちらから問題は提起しておりますけれども、それを一方的に言って、たとえば琉球政府のほうでは、申し入れて正式にノーという返事をもらったのですね。これはやはり本土政府が正式に申し入れてノーと言われた場合の波紋は非常に大きいと思います。そこで、ノーと言われたっていいじゃないかという意見も一部にはございました。しかし、やはりノーという前にわれわれのなし得る分野がまだたくさんございますので、そういう、ノーと言われたらそれでおしまいになるという問題でない分野において話を進めておるということに御了承願いたいと思います。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 とにかく実効性のあがる進め方をしてもらわなければ、何ぼ話し合いが進んでいてもさっぱり実効性はあがらない。むしろエスカレートしていく。こういうことになれば、まさに先ほど言われたような事態になるわけです。この点はさらにプッシュしてもらいたい、こういうふうに思います。  それから次に、この間先島を回られて特に痛感をされたと思うのでありますけれども、無医村、僻地医療、こういう問題は、先ほど岡山県の問題が出たけれども、われわれの鹿児島県においてもなお一そう深刻な問題があるわけですが、それを補っていくという医介補の問題があるのです。これについては、現在何人おるのか、それから医介補については今後、返還後資格をどうしていくつもりなのか。これらの人が果たしてきた役割りというものを考えますと、当然今後もこの人たちのなし得る状態というものを保障しなければならない、こういうふうに思うわけです。いかがですか。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 正確な数の点はもう少しお待ち願うことにしまして、医介補の方々、医介補並びに歯科医介補と申し上げたほうが正確でしょう。それらの方々の代表の方二十名ぐらいと、私、時間をつくってお会いをいたしました。向こうのほうは、私たちの資格を暫定措置でもいいからもう少し認めてくれ、こういうお話です。私としては、逆に現在国民健康保険の沖繩への適用をどのような形態でできるか、離島も含めて非常な難問題である、沖繩問題は、財政力もさることながら、やはり医師の配置、あるいは診療所があっても医師がいないという無医島、無医地区というものの解決が、どうしても大きな阻害要因となって妨げておる、ですから、むしろ私どものほうでは、何ら身分上の心配はない、むしろ医介補が治療したために助かるべかりし者が死んでしまったという例も私としては聞いていない、その今日までの貢献を感謝しつつ、今後もぜひ医療行政に貢献をしてもらいたい、職務に精励してもらいたい、ただし注文がある、自分がこれから国会に法案を出して、医介補という介補制度を残すことの特例を御納得いただくにあたっては、どのように沖繩の僻地、離島医療に貢献しておられるか、だからこそ医介補というものは一ぺんに廃止できないのだという説明が成り立つ状態に置かれてなければならぬ、ところが残念ながら、普通の開業医も大体潤沢におると思われる那覇あたりにまで医介補の方々が開業しておられる、それさえもいじるなかれという気持ちではちょっと困ります。そこまで申し上げました。ですから、医介補の団体の会議の中で私の提案を真剣に検討していただいて、そうして、見ればまだ五十前後の方もおられるようだから、あなた方の中で相談をして、たとえば西表東部地区の診療所があって医師がないというところにおまえ三年間行ってこい、あるいはどの島にはおまえが行けということで、交代制でもいいから、医介補が無医地区なり何なり、沖繩の健康保険を施行する際の大きなささえになってくれているという実態を明確につくり上げてほしい。若干安易な点があることを私は配置図を示しまして皆さんに率直に訴えました。私たちも言われて痛いところがある、少なくとも大臣のそういうお気持ちであることを率直にぶつけられたことはたいへん幸いである、直ちに自分たちで相談をして、いやしくも診療所あって医師なしというようなところには、われわれ医介補が先頭に立って献身的に行くことを約束しますということを言ってもらいました。私も率直にものを言ってたいへんよかったと思っております。  数字が参りました。医介補が五十六名で、歯科医介補が十九名でございます。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  34. 池田清志

    池田委員長 永末英一君。
  35. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁長官に伺います。  沖繩返還後の沖繩防衛に関して、日米間で事務折衝が五月二十六日以来続けられておりますが、この経過の御報告を願います。
  36. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 五月十九日に、日米安保協議委員会を開きまして、わがほうから米側に対しまして、沖繩の防衛問題について協議を開始しようと提議をし、先方も応諾いたしました。以来たしかに二回だと思いますが、わがほうからは宍戸防衛局長を指名し、先方はアメリカ大使館に来ておりまするカーチス中将を指名しまして、両方でいろいろ協議に入りました。協議の概要につきましては防衛局長から御答弁させます。
  37. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 五月の下旬に一回、それから六月の中旬に第二回目、いままでに二回カーチス中将と会談をいたしております。話し合いは、おおまかに申せば、まだ瀬踏みと申し上げる段階かと思いますが、沖繩の返還後の防衛構想を防衛庁がどういうふうに考えているのだというようなことを私から説明し、それについて、たとえばそれは四次防で組まれて計画されたものだ。四次防というのはこういうスケジュールでつくられつつあるというふうなことを説明いたし、彼のほうからそれについて種々質問をした、概略申せばそういう状況でございます。
  38. 永末英一

    ○永末委員 わがほうがわがほうの沖繩防衛構想を立てるにあたっては、アメリカの、返還後の沖繩における彼らの防衛構想を聞かなければ、ばらばらでは成り立たぬ話であると思いますが、したがってアメリカがどうする、どうしたいと思っておるかというようなことはお聞きになりましたか。
  39. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そういうことについても概略の話はしております。私から逆にそういうことも若干の質問をし、彼からそれについて説明する、要するに会談でございますので、質疑応答を繰り返すということでござ、います。
  40. 永末英一

    ○永末委員 この前の当委員会で、返還後のアメリカ沖繩の軍事基地を使う使い方は、現在とは変わってくるというぐあいに防衛庁長官の御見解が表明されました。そこで、いままでの二回にわたる事務折衝を通じて、その変化があると判断をされますか、どうですか。
  41. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 私が話しておりますのは、施政権返還後の構想でございます。したがって、変化があり得ることは頭において話しているということでございます。
  42. 永末英一

    ○永末委員 変化があるというのは、現在はアメリカがあれを無制限に使用している。施政権者の立場で軍事基地を保有している。ところが七二年以後は、日本国の施政権下にある沖繩の土地が貸与されて彼らが使う、こうなる。そしてそのときに日米安保条約があるならば、安保条約による制約を受ける、こういう形になる。すなわち現在の無制限使用から比べると、きわめて大きく制限されるということが当然の結果だと私は思います。彼らはそのように認識しておりますか。
  43. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そういう前提のもとに話をしている、私そう認識しております。
  44. 永末英一

    ○永末委員 無制限の軍事基地使用を前提にするならば、その軍事基地の設定のしかたもまた非常に問題になってくると思う。もし、すでに二年後、いまのように制限された基地使用に移るということを彼らが前提にしておるならば、このごろ伝えられるような、たとえば本部地区における新しい飛行場の整備であるとか、あるいは海兵隊のキャンプの増設であるとか、あるいはまた東海岸における海軍用の施設の拡大であるとかという、拡大に向かう方向について、いささか彼らの方針にはっきりした筋道が立っていないように思われてなりません。これは防衛庁長官、どう思われますか。
  45. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 私どもが話しております主たるテーマは、返還後のことでございまして、現在部分的にどの基地がどう変わるとか、どの部隊がどうふえるとかいうことは、この一、二年の間にもいろいろな変化があり得ると思います。そのことについて、特に私こまかく確かめているというわけではございません。
  46. 永末英一

    ○永末委員 つまり私の申し上げたいのは、何もその条約上の制限下ということが問題であるのではなくて、それは具体的には基地使用の方法に制限が加えられるということを相手方が承知せざるを得ない問題だと思うわけです。したがって、それならば、アメリカ側沖繩の軍事基地をだんだん縮少の方向に考えていってくれなければ話が合わぬと思うわけだ。もちろん返還前の状態について、事務折衝する段階では私はないと思います。しかし返還後のことを相談し合うとするならば、徐々にやはりおのずからそういう目標を持って、アメリカ側もまたここ一年間ぐらいの基地使用の方法を考えてもらわなければ、一ぺんに返還時に方針を変えるというわけではないと思う。そういう気持ちは折衝に際して感じられたかどうか伺いたい。
  47. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 まだ二回程度でございますし、そうこまかい話にまだ入っておりませんけれども、申し上げられるのは、先ほど申し上げたように、返還後基地の使用の態様は変わるであろうというふうなことを認識しながら、カーチス中将も話しているというふうに感じられます。
  48. 永末英一

    ○永末委員 アメリカ側のそういう一つの考え方は、お聞きになったという話ですが、まだ、その感触はよくわからぬという話ですが、人間には一目ぼれということもありますから、大体言外の理というものもわかるんじゃないかと思うのですが、さてその場合に、わがほうの主張はどうされたのですか。どうしたいということを言われたのですか。
  49. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、施政権が返ってきまして、わがほうが防衛を具体的に第一義的にになうことになるということを基本的な出発点にしまして防衛構想を立てなければいかぬ。その構想は沖繩だけ部分的に取り上げるわけにいかないので、本土全体の一環として沖繩防衛構想を考えなければいかぬ。その本土全体の防衛構想は、三次防では沖繩ということを考えておりませんので、御承知の四次防で考えることになる。その四次防がこういうスケジュールでつくられるというようなこと、しかし、それはいわば長期の構想でございます。七二年当初返ってきた場合に、とりあえずどういうふうなことをしなければいかぬかというようなことを、われわれも腹案をいろいろいまつくっている段階でございます。その大体の腹づもりを話すというふうなことをやっているわけでございます。
  50. 永末英一

    ○永末委員 数日前ある新聞に、大体まとまった案をあなたのほうが提示したという記事がございました。いままで沖繩の防衛については、国会で防衛庁長官も大体の構想を発表せられたことはございます。現段階においてどういうものをアメリカに提示されておるか、明らかにされたい。
  51. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 いま申し上げましたように、将来の構想について、まだ一、二回でございますので、やや雑談的に大ざっぱなことを私から話している。これはもちろん、また防衛庁内部でもそう固まったものではありませんので、大体の見当を話す。それからとりあえずの当初のことにつきまして、内部でもまだ全部最終的にきまっておりません。もちろん、また向こうの都合といいますか、施設の利用等のことを聞かなければ、わがほう自身もなかなか数字等を固めにくい状況にございます。しかし、こちらの情報を提供しなければ、向こうもどの程度の施設を日本が利用を希望しているかということもわからない。お互いにわからない同士ではいけませんので、お互いに情報を提供し合うというふうな段階でございます。したがいまして、新聞等で最終案を提示したというふうなことの記事を見ましたけれども、こちらできっちり最終案をきめて、そしてどうだというふうに突きつけるようなやり方でなくて、大体の腹案を話しながら、情報提供しながら、向こうの情報もキャッチしまして合理的な案に仕上げていきたい。私もこれから何回か中将と会うでしょうし、さらに私どものスタッフがおりますので、両方の情報を交換しながら案を固めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  52. 永末英一

    ○永末委員 第一義的な沖繩防衛の責任を日本政府が負う、こういう立場で交渉に臨んでおられる、そういうふうに承知してよろしいでしょうか、長官。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 施政権返還後は、日本の安全保障条約下における日本の防衛領域でございますから、日本が第一義的に防衛の責任を負うべきものと心得ます。
  54. 永末英一

    ○永末委員 第一義的に防衛の責任を日本政府が負うならば、わがほうの自衛隊の基地がそこになければいかぬ。基地については第一義的責任をもって管理しなければ、これはどうも第一義的責任は負えない、こういう理屈になりますね。先ほどから防衛局長の話を聞いておると、相手方の基地を初めから何か借用するような姿で交渉に臨んでおるような、そういうことばを散見するわけですね。  防衛庁長官、これは、わがほうの神聖なる祖霊まします山河のわけですから、自衛隊がそこにおるとするならば、わがほうが責任を持って一〇〇%管理し得る基地というものをわがほうで保有する、そういうかまえになっていくのは私は当然だと思いますが、いかがですか。
  55. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それはもう当然のことでありまして、あの切りかえのときには一たん全部日本に返してもらって、また貸し直すというのでありますから、家主はこっちであります。家主という表現は悪いのでありますが、そういう主客転倒した立場になるのが当然でありますから、御趣旨に沿ってやるつもりであります。
  56. 永末英一

    ○永末委員 最初の安保条約に基づく行政協定のときに、形としてはいままでの占領によるアメリカ軍の基地が貸与基地に変わったわけです。ところが法律的に見ますと、そうやって切りかえて一つ一つ契約をするのだけれども、間に合わなければ従前の占領の基地をそのまま全部変更することなくして認める、そういう経過規定があって、それがこの前の六〇年の現行安保条約に基づく地位協定によってと同じように、前の行政協定による基地貸与が引き続きまた行なわれておる、こういう形になっておる。そこで、いま長官が言われたように、いよいよ一九七二年に沖繩が返還された場合には、沖繩の現在の軍事基地は、国県有地についてはアメリカの占領がそのまま続けられている。私有地については琉球政府が借り上げて、それからアメリカ軍との間の契約関係になっている。いよいよ一切の契約関係が変わるわけですね。したがって、あなたがそういう御趣旨ならこれは一つ一つ契約していかねばならぬ問題である。いままでの占領の引き継ぎは琉球政府が行なっておる。これをずるずる引き継ぐべき問題ではない。やはり全部洗うのだという気持ちがなければ、その間自衛隊の基地もまた主体的には取得できないと思いますけれども、この辺の心がまえはいかがですか。
  57. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 たてまえはおっしゃるとおりであります。
  58. 永末英一

    ○永末委員 その場合に、外務省がもちろん矢面に立って外交交渉返還協定をやるのですけれども、私は、過去十八年における安保体制の中でアメリカ側との折衝を外務省がやり、そして最後の出先の契約を防衛庁の中の防衛施設庁がやっておる、その姿を見た場合に、沖繩返還に対しては、いままでとは違って、わが方の自衛隊が第一義的な沖繩防衛の責任を持つのですから、やはり最終的な契約のしかたをする責任は実はあなたにあるのであって、その点はですよ、そうであるならば、いままでの占領中の惰性で行政協定、地位協定に基づく貸与の契約を結んできたこととは新たな角度で沖繩における新しい、もし米軍がおるとすれば、基地貸与の契約をすべきだと私は思う。そういうかまえでいまから臨んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  59. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 同感でございます。  なお、そういう折衝につきまして中央で行なう場合もございますし、あるいは現地において事前に行なう場合も出てくるかもしれませんので、現地日本政府の部局等には強力な人材を配置して発足させよう、そう思っております。
  60. 永末英一

    ○永末委員 先ほど防衛局長は、沖繩防衛は、もちろん沖繩のその部分だけの防衛ではなくて、広くわが国全般の防衛の一環に組み入れられるべき問題である、したがって、それは言うならば四次防との関連においてとらえるべき問題である、こう言われた。さて四次防というものは、言うならばわが方の独自でなし得る部分が大部分であると思います。しかし沖繩の防衛は、もしアメリカ側の何らかの考え、戦略、方針を理解しなければ十分には成り立ち得ないとするならば、四次防の策定のときと沖繩の防衛の方針が立つときとは合うのか合わないのか、お答え願いたい。
  61. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 四次防につきましては、防衛庁原案をこの秋ごろにつくりまして、政府レベルでそれをきめていただくのを来年半ばごろというふうに防衛庁としては期待をしております。そこで、いまお尋ねの沖繩に関しましては、防衛庁原案をつくり上げます、あと数カ月のうちに。わが方が自主的にもちろんつくるわけですけれども、案をつくる段階では現実にはまだ施政権向こうにあると思います。そしてその情報をできるだけ正確につかまえまして、できるだけ正確な情報のもとに将来のわが方の計画をつくり上げる必要があります。したがいまして、その間に、先ほど申し上げたような会談を何度かやりまして、できるだけ正確な基礎の上につくり上げたい、こう思います。あと一年くらいは政府レベルできめるまでに時間がございますので、さらにその数カ月後の情報がその後の折衝によりましてさらに正確なものになるというふうに期待していいのではないか、私はこう思っております。
  62. 永末英一

    ○永末委員 私はいままで防衛局長のお話を中心に論議を進めてまいりました。すなわち、アメリカ沖繩基地使用というものをはっきりと判断をしなければ、わが方の返還後の沖繩防衛の構想も十分ではなかろう、こういう論の進め方をしてまいりました。しかし、ひるがえって、わが方が沖繩における百万の同胞を守るのだ、こういう発想に立つならば、アメリカの戦力の援助を得ずして、わが方でぴしっとやらなくてはならぬことが基本的には何ぼかあるわけですね。沖繩が離島であること、したがって、海上自衛隊や航空自衛隊の力に依存せざるを得ないこと、さらにまた、そこには何ほどかの陸上自衛隊がいなくてはならぬこと、島嶼相互間の連絡もしなければならぬこと、いろいろあると思うわけであります。そういうものはわが方は計画をつくって、アメリカ側にこれこれの備えをしたいのだ、だからこれこれの基地が必要だ、おまえのところで使っているこれこれのものはやめてしまえ、こういう要求ができるはずだとぼくは思う。そういう発想に立つのか、それともアメリカ側がいま持っておる基地を見て、そしてあっち側の、最初言ったような構想で進めるのか、進め方の基本をひとつ伺いたい。
  63. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それはもとより前者の発想であります。
  64. 永末英一

    ○永末委員 そうだといたしますと、四次防の原案ができるのは今秋と言われましたね、秋ごろには沖繩の防衛の構想もわが方としてまとまる、こう見てよろしいのですね。
  65. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 おおむねまとまるだろうと思います。
  66. 永末英一

    ○永末委員 それまではもう打診であって、いままでいろいろなことを言われましたね。陸上自衛隊の数とか艦船の数とか、それからそこに置かるべき航空機、要撃戦闘機の台数であるとか、あるいはまた地対空ミサイルの数であるとか、そういうものをあなたが責任を持ってお出しになれるのはいつごろですか。
  67. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは、アメリカとの折衝等の情勢と、それからわが方の次の防衛計画の進行ぐあい、その両方をよく調整しながら総合的に組み立てられるべきものでありまして、四次防が庁内において概成される前後においてそういうものはできなければならぬ、こう思っております。
  68. 永末英一

    ○永末委員 アメリカの地対空ミサイル、すなわちナイキハーキュリーズというのは、アメリカの現在の方針からするならば、当然核弾頭を装備するということを前提の上で配置をしてあるように私には思える。わが方はいよいよナイキハーキュリーズを設置をしていくわけでありますが、もし沖繩におけるナイキハーキュリーズの管理をわが方がやるということになった場合に、わが方は従来からの方針どおり、核弾頭を持たない、こういうことでいくのが当然だと思います。その場合に、アメリカ側の地対空ミサイルのハーキュリーズに寄せる効果の見込みが、わが方がやった場合には違いますね、全然核弾頭はないのだから。その辺もやはりがんばってわが方に統一せなければならぬ。この辺が沖繩返還後における沖繩の核の一つの問題だと思いますが、あなたはどういう方針ですか。
  69. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 すべて本土並みであります。
  70. 永末英一

    ○永末委員 先ほど、方針としてはわがほうが独自で、沖繩防衛を考えていく、しかしながら、アメリカとの関係をたずねつつ総合的に終着点に至る、こう言われました。私は、これからいよいよ防衛局長の事務折衝が続いていくならば、いずれあなたとあちら側の責任者との折衝も始まると思います。あなたの最初打ち立てられたような方針で、まずやはりこの沖繩委員会を通じ、国民に方針を示し、内容を示して、その世論をアメリカにぶつけていく、沖繩の軍事基地の縮小、これが沖繩返還後に起こるべき日米間の政治問題の中では非常に大きな問題だ。その矢面には実は外務省ではなくて防衛庁が当たらなければならぬ問題だと思いますので、その腹がまえでひとつ交渉されんことを望んで、私の質問を終わります。
  71. 池田清志

    池田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十一分散会